1. 会議録本文
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000・会議録情報
本国会召集日(昭和三十四年十月二十六日)(月
曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の
通りである。
委員長 大平 正芳君
理事 稻葉 修君 理事 臼井 莊一君
理事 簡牛 凡夫君 理事 木村 武雄君
理事 高見 三郎君 理事 小牧 次生君
理事 櫻井 奎夫君 理事 辻原 弘市君
大島 秀一君 加藤 精三君
清瀬 一郎君 木村 守江君
坂田 道太君 高橋 英吉君
竹下 登君 谷川 和穗君
塚田十一郎君 灘尾 弘吉君
濱野 清吾君 松永 東君
八木 徹雄君 河野 密君
西村 力弥君 野口 忠夫君
長谷川 保君 原 彪君
堀 昌雄君 本島百合子君
山崎 始男君
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昭和三十四年十月二十八日(水曜日)各会派割当
数変更後の本委員は、次の通りである。
委員長 大平 正芳君
理事 臼井 莊一君 理事 簡牛 凡夫君
理事 木村 武雄君 理事 高見 三郎君
理事 小牧 次生君 理事 櫻井 奎夫君
理事 辻原 弘市君
櫻内 義雄君 加藤 精三君
清瀬 一郎君 木村 守江君
坂田 道太君 篠田 弘作君
高橋 英吉君 竹下 登君
谷川 和穗君 塚田十一郎君
灘尾 弘吉君 濱野 清吾君
松永 東君 八木 徹雄君
西村 力弥君 野口 忠夫君
長谷川 保君 堀 昌雄君
本島百合子君 山崎 始男君
鈴木 一君
―――――――――――――――――――――
昭和三十四年十一月六日(金曜日)
午前十一時四十五分開議
出席委員
委員長 大平 正芳君
理事 臼井 莊一君 理事 簡牛 凡夫君
理事 木村 武雄君 理事 小牧 次生君
理事 櫻井 奎夫君 理事 辻原 弘市君
高橋 英吉君 竹下 登君
谷川 和穗君 濱野 清吾君
西村 力弥君 野口 忠夫君
長谷川 保君 堀 昌雄君
本島百合子君
出席国務大臣
文 部 大 臣 松田竹千代君
出席政府委員
文部事務官
(大臣官房長) 齋藤 正君
文部事務官
(体育局長) 清水 康平君
委員外の出席者
議 員 臼井 莊一君
議 員 小牧 次生君
議 員 辻原 弘市君
専 門 員 石井つとむ君
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十月二十六日
委員稻葉修君及び大島秀一君辞任につき、その
補欠として櫻内義雄君及び篠田弘作君が議長の
指名で委員に選任された。
同月二十八日
委員河野密君辞任につき、その補欠として鈴木
一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員原彪君が辞任した。
同月三十日
委員櫻内義雄君辞任につき、その補欠として稻
葉修君が議長の指名で委員に選任された。
十一月六日
理事稻葉修君十月二十六日委員辞任につき、そ
の補欠として稻葉修君が理事に当選した。
―――――――――――――
十月二十六日
国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒
の災害補償に関する法律案(山崎始男君外三名
提出、第三十一回国会衆法第四号)
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する
法律案(臼井莊一君外七名提出、第三十一回国
会衆法第四九号)
市町村立学校職員給与負担法等の一部を改正す
る法律案(辻原弘市君外三名提出、第三十一回
国会衆法第五二号)
日本学校安全会法案(内閣提出、第三十一回国
会閣法第一二一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の互選
国政調査承認要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
日本学校安全会法案(内閣提出、第三十一回国
会閣法第一二一号)
国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒
の災害補償に関する法律案(山崎始男君外三名
提出、第三十一回国会衆法第四号)
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する
法律案(臼井莊一君外七名提出、第三十一回国
会衆法第四九号)
市町村立学校職員給与負担法等の一部を改正す
る法律案(辻原弘市君外三名提出、第三十一回
国会衆法第五二号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/0
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001・大平正芳
○大平委員長 これより会議を開きます。
まず衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対し国政調査承認要求をいたしたいと存じます。つきましては、理事会の協議に従い、本国会におきましても、学校教育、社会教育、教育制度、学術研究及び宗教、文化財保護に関する事項につき、議長に対し国政調査承認の要求をいたしたいと存じますが、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/1
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002・大平正芳
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお調査の方法、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/2
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003・大平正芳
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/3
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004・大平正芳
○大平委員長 次に、ただいま国政調査の承認が得られましたが、参考人より、学校法人名城大学問題について意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/4
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005・大平正芳
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお参考人招致の日時、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/5
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006・大平正芳
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。寺発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/6
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007・大平正芳
○大平委員長 次に理事の補欠選任についてお諮りいたします。理事でありました稻葉修君が委員を辞任され、再び委員に選任されました。つきましては、理事が一名欠員となり、それの補欠選挙を行なわなければなりません。先例により、その補欠を委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/7
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008・大平正芳
○大平委員長 御異議なしと認め、理事に稻葉修君を指名いたします。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/8
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009・大平正芳
○大平委員長 次に日本学校安全会法案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。松田文部大臣。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/9
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010・松田竹千代
○松田国務大臣 このたび政府から提出いたしました日本学校安全会法案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
この法案は、学校教育の円滑な実施に着手するため、学校安全の普及充実に関する業務を行なわせるとともに、義務教育諸学校等の管理下における児童、生徒等の負傷その他の災害に関して必要な給付を行なわせるため、日本学校安全会を設立しようとするものであります。
義務教育諸学校等の管理下における災害事故の防止につきましては、かねてより配慮いたしているところであり、災害も減少の傾向にありますが、なお学校の管理下において児童、生徒の不慮の災害が発生しており、これに要した医療費等は、損害賠償または社会保険の給付を受けた額を除いても、相当の額となっております。
こうした状況にかんがみ、学校安全を普及充実するとともに、義務教育諸学校等の管理下において発生した児童、生徒等の災害に関して適切な措置を講ずべきであるという決議または要望が、衆参両院の文教委員会を初め、関係各方面からなされていたのであり、また一方、相当数の県において財団法人の学校安全会が設立されるに至ったのであります。これらの学校安全会は、主として保護者の寄付によってまかなわれているものでありますが、これらの学校安全会においても、相当の公費負担をもって、法律により新しい制度が確立されることを要望してきたのであります。
政府といたしましても、かねて学校の管理下における児童、生徒の災害について実態調査をいたしますとともに、種々検討の結果、この法案を作成いたした次第であります。
本法により設立しようとする日本学校安全会は、学校安全の普及充実に関する業務として学校安全の普及及び啓発事業を行なうとともに、義務教育諸学校の管理下における児童、生徒の災害につき、災害共済給付を行なうものであります。この災害共済給付は、義務教育諸学校の設置者が児童または生徒の保護者の同意を得て安全会との間に締結する契約により行なうものとし、共済掛金は、安全会との間に災害共済給付契約を締結した学校の設置者が安全会に対して支払わなければならないものといたしております。そして学校の設置者は、当該契約にかかる児童、生徒の保護者から、共済掛金の額のうち一部を徴収する建前としておるのであります。一方国は、安全会に対して、その事務費の一部等を補助しようとしております。このようにして義務教育諸学校の管理下における児童、生徒の災害について、教育的配慮のもとに、公共的性格を持つ特殊法人たる日本学校安全会に災害共済給付を行なわせるものであり、他の一つの業務である学校安全の普及充実に関する業務と相待って、学校教育の円滑な実施に資そらとするものであります。
なお、安全会は、高等学校及び幼稚園の管理下における生徒及び幼児の災害についても、義務教育諸学校の場合に準じて、災害共済給付を行ならことができることといたしておりますが、ただこの場合は、共済掛金は、原則としてその全額を保護者から徴収するものといたしております。
何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるよらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/10
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011・大平正芳
○大平委員長 次に補足説明を聴取いたします。清水体育局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/11
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012・清水康平
○清水政府委員 日本学校安全会法案についての文部大臣の趣旨説明を補足しまして、その内容の概要を御説明申し上げます。
この法案は、学校教育の円滑な実施に資するため、学校安全の普及充実に関する業務を行なわせるとともに、義務教育諸学校等の管理下における児童、生徒等の負傷その他の災害に関して必要な給付を行なわせるため、特殊法人として日本学校安全会を設立し、その組織、業務、財務・会計、監督等に関し所要の規定を設けたものであります。
以下順次その要点を御説明申し上げます。
第一は、日本学校安全会、以下安全会といいますが、その法人格及び組織についてであります。
安全会は、法人とし、主たる事務所いわば本部を東京都に置くこととし、従たる事務所いわば支部を必要な地に置くことができることにいたしております。支部は、各都道府県に置く予定であり、支部における事務の処理については、安全会の職員を置くほか、附則第九条の規定により、当分の間、都道府県の教育委員会から相当の協力を得ることができることになっております。
安全会の役員としては、理事長一人、理事三人以内及び監事二人を置くこととし、これらの役員は、文部大臣が任命し、その任期はいずれも二年といたしております。なお、安全会の役員及び職員は、その業務の公共的性格にかんがみ、第四十三条以下の規定により、刑法のいわゆるわいろ罪の適用については、公務員と同一の取り扱いを受けることといたしております。
次に、安全会には、理事長の諮問機関として運営審議会を置くこととし、特に所定の重要事項については、理事長において、あらかじめ、運営審議会の意見を聞かなければならないことにいたしております。
運営審議会の委員は、二十人以内とし、安全会の業務の運営に関係を有する者、これは、学校の設置者側、保護者側及び学校側の代表を予定しております。及び安全会の業務の運営に必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命することとし、安全会の業務の運営について、広く関係者及び学識経験者の意見を求めて、その運営の適正を期することといたしておるのであります。
第二は、安全会の業務についてであります。
安全会の行な5業務のその一は、学校安全、学校における安全教育及び安全管理をいいますが、学校安全の普及充実に関することであります。
これは、学校安全に関し、学校、教育委員会、文部省等に協力する意味であって、主として学校安全に関する普及啓発事業を行なうものであります。
なお、学校安全の強化につきましては、文部省においてもさらに一そう力をいたすよう、附則第十条により文部省設置法の一部を改正し、体育局の所掌事務に学校安全に関する事務を明記することといたした次第であります。
業務のその二は、義務教育諸学校、以下学校と略称しますが、義務教育諸学校の管理下における児童及び生徒の負傷、疾病、廃疾または死亡、以下災害といいます。につき、当該児量、生徒の保護者に対し、医療費、廃疾見舞金または死亡見舞金の支給、以下災害共済給付といいますがを行なうことであります。
次に災害共済給付は、学校の管理下における児童、生徒の災害につき、学校の設置者が保護者の同意を得て当該児童または生徒について安全会との間に締結する契約により、政令で定める基準に従い定款で定めるところにより行なうものとしております。
すなわち、災害共済給付の種類は、前述のように医療費、廃疾見舞金またほ死亡見舞金の三種類でありますが、それぞれの内容、程度等については、政令で基準を定め、安全会はその基準に従って定款で定めるととろにより給付を行ならのであります。
なお、この政令においては、社会保険に関する法令等の他の法令による療養その他の給付もしくは補償を受けられるとき、または損害賠償を受けたときは、それらの価額の限度において、災害共済給付を行なわないものとすることを規定いたすことになっております。
また、災害共済給付は、学校の設置者が保護者の同意を得て安全会との間に締結する契約によって、行なわれるのでありますから、設置者についても、保護者に対しても、加入は任意となっております。しかし、この災害共済給付は、学校教育の円滑な実施に資するため、特殊法人たる安全会を設立して行なわせるものでありますから、より多くの学校の設置者がより多くの保護者の同意を得て加入することを期待いたしておるのでありまして、安全会としても所定の正当な理由がある場合を除いては、災害共済給付契約の締結を拒んではならないことにいたしております。
なお、学校の管理下における児童及び生徒の災害の範囲については、政令で定めることにいたしております。学校の管理下の範囲としては、教育課程の実施中、学校の休憩時間中、授業開始前及び終了後における在校中でその在校につき校長が一般的に承認している場合、学校へ登校し及び学校から帰宅するための通常の経路中等を予定いたしております。
次に共済掛金の額は、政令で定める範囲内で定款で定める額とし、安全会との間に災害共済給付契約を締結した学校の設置者が、共済掛金の額に当該契約にかかる児童及び生徒の数を乗じて得た額を安全会に対して支払わなければならないことといたし、一方学校の設置者は、当該契約にかかる児童、生徒の保護者から、共済掛金の額のらち政令で定める範囲内で当該学校の設置者の定める額を徴収することにいたしております。ただし、経済的理由によって、共済掛金のうち保護者が納付すべき分を納付困難と認められた保護者からは、これを徴収しないことができることといたしております。
前述のように、学校の設置者が、安全会との間に締結する契約の当事者となり、また共済掛金の一部は必ず拠出して、共済掛金の全額を安全会に対して支払わなければならないこととしておりますのは、学校の管理下において発生した災害については、設置者の立場として、重大な関係と関心を有しておるという教育的配慮によるものであります。
次に災害共済給付にかかる給付金の支払いの請求及びその支払いの手続等は、政令で定めるところにより行なうものとしておりますが、支払いの請求及び支払いは、すべて学校の設置者を経由して行なうことにいたす予定であります。
なお、安全会は、義務教育諸学校に関する災害共済給付の業務のほかに、高等学校及び幼稚園の管理下における生徒及び幼児の災害についても、災害共済給付を行なうことができることにいたしております。この場合において、設置者は、共済掛金の額の全額を保護者から徴収することを原則としていることを除いて、他は義務教育諸学校に関する規定を準用することにいたしております。
以上が、安全会の行なう災害共済給付事業の概要でありますが、なお、第三十七条以下の規定により、安全会は、災害共済給付の給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、給付を行なったときは、その給付の価額の限度において、当該災害にかかる児童、生徒または幼児が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得することとし、また給付を受ける権利の保護、公課の禁止等に関する規定を設げております。
また、第三十六条の規定により、この法律に基づき学校の設置者が処理すべき事務は、学校の設置者が地方公共団体である場合においては、当該地方公共団体の教育委員会が処理するものとしております。
第三は、安全会に対する国の補助についてであります。
国は、予算の範囲内において、安全会の事務に要する経費の一部を補助することができることとし、なおまた、国は、公立の学校の設置者が要保護及び準要保護児童生徒にかかる保護者の共済掛金の納付分を徴収しない場合にその一部に充当するため、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、安全会に対して補助することができることといたしております。
第四は、安全会に対する監督等のことであります。
安全会は、第三十二条の規定により、文部大臣の監督を受けるのでありますが、その業務の公共性に基づき、定款、業務方法書、収入支出の予算、事業計画、財務諸表等につきましては、文部大臣の認可または承認を受けることを要するものといたしたのであります。
以上日本学校安全会法案につきまして、その内容の要点を御説明申し上げた次第であります。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/12
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013・大平正芳
○大平委員長 次に市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を議題といたし、提出者より趣旨説明を聴取いたします。臼井莊一君。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/13
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014・臼井莊一
○臼井莊一君 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案の提案趣旨を説明いたします。
この法案は、五大都市の定時制高等学校教育の沿革的並びに現実的の特殊事情を認めまして、それらに勤務する教員及び職員の給与の負担主体を府県より市町村に変えようとするものでございます。
本案は、さきの第三十一回国会衆議院文教常任委員全員をもって提案者及び賛成者といたしております法律案でございまして、五大都市定時制高等学校の教員及び職員の待遇改善に関する思いやりのある法案でございますので、可能な限りすみやかに賛成を見ることをお願いいたします。
以上をもちまして提案者を代表いたしましての提案理由の説明といたします。(拍手)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/14
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015・大平正芳
○大平委員長 次に市町村立学校職員給与負担法等の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より趣旨説明を聴取いたします。小牧次生君。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/15
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016・小牧次生
○小牧次生君 ただいま議題になりました市町村立学校職員給与負担法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。
この法律案は二つの法律を改正するものでございまして、第一は市町村立学校職員給与負担法の一部を改正するものであり、第二は地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正するものでございます。
市町村立学校職員給与負担法の改正は、同法二条の次に一カ条を追加して、政令で財政力その他の事情を勘案して指定する市町村以外の市町村の設置する幼稚園の園長、教諭及び助教諭の給料その他の給与を都道府県の負担にしようとするものでございます。
御承知のごとく、幼稚園教育は人格形成期といわれる三才から六才までの一番重要な時期の教育でありまして、小学校の入学前の教育として重要な役割を果たすとともに大きな効果を上げておりまして、幼稚園教育の重要性が認識されるにつれて幼稚園の入園希望者は年々増加しているのでございます。ところが公立幼稚園におきましては、施設の少ないため、希望者の三分の一しか収容されておらず、その競争率は二倍から二十倍の狭き門のところもあり、その結果公立幼稚園に収容されなかった幼児の中で、経済的に恵まれた家庭の幼児は私立の幼稚園に入園できますが、大多数の幼児はほっぽり出されている現状であります。
また公立幼稚園では、幼児を最大限まで収容しているため、文部省令で定めた施設の暫定最低基準幼児一人当たり〇・九坪を確保していない幼稚園が総数の七三・八%に上り、設備についても設置基準以下のところが七三%もあり、このような不正常な中で教育が行なわれているのであります。さらに国立の幼稚園の教員は小中学校の教員とひとしい給与を認められているのでありますが、市町村立の幼稚園の場合は、市町村の財政規模の大小により同一県内の同一学歴者の幼稚園教員の相互間において毛給与が異なり、また教育職員の免許の点では同様の資格を要求されているのに、義務教育諸学校の教員と比較いたしました場合、初任給において平均二号俸低く、昇給も不完全であるため、その差は年数を経るに従いましてさらに大きくなり、人口二千五百人以内の町立幼稚園教育の給与は四千九百五十三円で、これを日給に換算すると約百六十五円にすぎない現状にあります。
そこで、本改正案は幼稚園教育が義務教育に準ずる重要な地位を占める点にかんがみ、幼稚園教育の振興をはかるために、公立幼稚園教員の給与などについて小中学校の教員と同じような措置を講じようとしたわけであります。そしてこれにより市町村立の幼稚園の設置を促し、父母負担を軽減しますとともに、教員給与の改善をはかり、さらにその任命権者を都道府県の教育委員会として、人事の交流を円滑にし、もってわが国の幼稚園教育の振興をはかりたいと存ずる次第でございます。
次に地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正でありますが、これはすでに申し上げましたように、政令で指定する市町村以外の市町村の幼稚園の教員の給与を都道府県の負担といたしましたので、その任命権者も他の県費負担教職員と同様に都道府県の教育委員会にいたすためのものであります。
なお、本案改正に伴い公立幼稚園の教員の任命権が市町村教育委員会から都道府県教育委員会に移り、給与その他の勤務条件についても都道府県の条例の適用を受けることになりますので、これに関して必要な経過措置は附則に必要な規定を設けております。
以上簡単でございますが、提案理由を申し上げた次第でございます。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決下さいますよら、お願い申し上げます。(拍手)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/16
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017・大平正芳
○大平委員長 次に国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒の災害補償に関する法律案を議題とし、提出者より趣旨説明を聴取いたします。辻原弘市君。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/17
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018・辻原弘市
○辻原弘市君 ただいま議題となりました国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒の災害補償に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
およそ国家隆昌の基盤を教育に置かなければならないことは言うまでもないところでありますが、なかんずく義務教育における約千七百万人の児童生徒のすこやかな成長こそは国民全体の念願でありまして、教育基本法及び児童憲章に明示されておりますように、常に留意せねばならないところであります。
さて義務教育に関しましては、憲法第二十六条第一項によれば、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と規定しており、さらにまた第二項においては「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」と規定しておりまして、義務教育について特にその責務をうたって重視しておるのであります。しかるに一昨年来児童生徒の災害がひんぴんと報じられておりますのは、先刻御承知のところでありまして、特に紫雲丸事件や相模湖事件、三重の水難事故や学校給食の集団中毒等、記憶に新しいものが多くあったのであります。楽しい修学旅行や遠足に不安を抱いていかなければならないことはまことに遺憾なことで、義務教育の諸学校で起きた災害の処置が父母の負担のままに放置されていることは実に忍びないところであり、義務教育の趣旨からもまた絶対に見のがすことのできないものだと存ずる次第でございます。現在地方公共団体においては、自主的な補償策が共済組合的なものとして全国的に広まりつつあるのでございますが、このことは父兄並びに国民がいかに学校における災害に強い関心を持ち、特にその対策の万全をこいねがっているかを端的に物語っているものだと存ずるのでございます。従って、このような現状におきまして、これをさらに一歩前進させ、児童生徒を災害から守るとともに、不幸にして災害を受けたならば、直ちに、迅速、かつ、公正な補償を国家によって行なうことが焦眉の急務であると存ずる次第でございます。
この法律案は、かような事情のもとにおきまして、ぜひとも必要と考えられる災害補償を国に行なわせることを目的として立案いたしたものでございまして、その内容を簡単に御説明申し上げますと、第一に、この法律は、義務教育諸学校の管理下の災害について、義務教育の特殊性に基づき、国はこれに対する補償を行な5責任を有するのであるという立場に立っているのでございます。この場合学校の管理下とは、義務教育諸学校の児童生徒が、当該学校の教育または監督もしくは保護を受けている場合を言うのでございますが、具体的には政令に譲っているのであります。
第二に、との法律による災害の補償の種類としては、療養補償、傷害補償、葬祭補償、遺族補償、打ち切り補償を考えておりますが、補償は金銭による補償としております。補償金額は、療養補償については原則として完全に治癒するまでの費用を見ることに考えています。遺族補償につきましては、中学校を卒業して勤めに入った労働者が業務上死亡したとき、労働基準法で保障されている金額に準ずることといたしました。傷害補償等その他の補償につきましては、中学校を卒業して直ちに労働に従事したものが、労働基準法で補償される金額に準じて補償することにいたすように考えています。
第三には、最初に申し上げましたように、補償の実施は国家事務でありまして、文部大臣が最終責任者でありますが、公立の義務教育諸学校については、都道府県の教育委員会が委任を受けてその補償を実施するものとしておるのであります。
第四に、この法律による補償は、災害を受けた児童生徒が社会保障による給付を受けることができる場合には、その給付を受けるべき限度において補償を行なわないようにいたします。
第五に、補償を受ける手続について申し上げますと、公立の義務教育諸学校の管理下で児童または生徒が災害を受げたときは、本人またはその遺族が文部省令で定める補償申請書を学校長及び市町村の教育委員会を経由して都道府県の教育委員会に提出をし、委員会は政令で定める基準に照らして、学校の管理下における災害であるかどうか判定を行ない、補償金額を決定し、補償をいたすのであります。これに不服の場合は、文部大臣に審査の請求を行なうことができることになるのであります。国立の場合もこれに準じております。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるよらお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/18
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019・大平正芳
○大平委員長 本日はこの程度とし、次会は来たる十一日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することにいたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103305077X00119591106/19
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