1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年五月十二日(木曜日)
午前十時五十七分開議
出席委員
委員長 福田 一君
理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君
理事 高橋 禎一君 理事 高橋 等君
理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君
理事 石山 權作君 理事 田万 廣文君
生田 宏一君 今松 治郎君
内海 安吉君 小金 義照君
谷川 和穗君 辻 寛一君
富田 健治君 山口 好一君
杉山元治郎君 門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 益谷 秀次君
出席政府委員
人事院事務官
(職員局長) 矢倉 一郎君
総理府総務副長
官 佐藤 朝生君
外務政務次官 小林 絹治君
外務事務官
(大臣官房長) 内田 藤雄君
委員外の出席者
人事院事務官
(職員局厚生課
長) 小西 宏君
専 門 員 安倍 三郎君
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五月十一日
委員谷川和穗君及び角屋堅次郎君辞任につき、
その補欠として倉石忠雄君及び柏正男君が議長
の指名で委員に選任された。
同月十二日
委員倉石忠雄君辞任につき、その補欠として谷
川和穗君が議長の指名で委員に選出された。
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五月十日
傷病恩給の是正に関する請願(田中彰治君紹
介)(第三三八六号)
同(福井順一君紹介)(第三三八七号)
同(正力松太郎君紹介)(第三四二七号)
同外一件(中村幸八君紹介)(第三四二八号)
同(大橋武夫君紹介)(第三五一五号)
同(星島二郎君紹介)(第三五一六号)
建国記念日制定に関する請願(松岡嘉兵衛君紹
介)(第三三八八号)
同(高田富與君紹介)(第三三八九号)
同外三十三件(相川勝六君紹介)(第三四二五
号)
同(愛知揆一君紹介)(第三四二六号)
同(松岡嘉兵衛君紹介)(第三四五〇号)
同(本名武君紹介)(第三五二五号)
長野県に災害救助用ヘリコプター隊招致に関す
る請願(羽田武嗣郎君紹介)(第三四二九号)
寒冷地手当増額に関する請願(笹山茂太郎君紹
介)(第三四四八号)
建設省定員外職員の定員化に関する請願(増田
甲子七君紹介)(第三四四九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律
案(内閣提出第一一三号)
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一二二号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/0
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001・福田一
○福田委員長 これより会議を開きます。
国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/1
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002・石山權作
○石山委員 ただいま議題になっている国家公務員災害補償法は、提案の中にもありますが、在来よりも働く人たちにとっての条件がかなりに有利になった、こういうことが言われております。しかしこれはもちろん比較的に有利になったということでございまして、私たちから見ればかなりな不備も拝見されます。たとえば、社会労働委員会で本法が通ったわけですが、このことを通じて考えてみても、今度の国家公務員災害補償法の中身が非常に多岐多様にわたっているということでございます。こういうような厚生事業はおおむね公務員であろうともあるいは
一般の民間人であろうとも、男でも女でもというふうな工合で、国民という立場から見て一本化されなければならないのが一つの要素になるだろうと思いますが、今回特に国家公務員という名前、あるいは国家公務員の中でも特別職という名前、あるいは船員のうちでも上級、下級ですか、海上保安庁と分けてみた、こういうふうな分け方が、今回の本法の提案理由の中身になるだろうと思うのですが、そうしなければならなかった理由を一つ御説明をいただきたいと思います。私たちはなるべく一本化が必要だろう、だれが見てもわかるようなことが必要だろうと思うのですが、こういうふうに四つくらいに分けなければならなかった理由を一つ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/2
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003・佐藤朝生
○佐藤(朝)政府委員 ただいま石山委員から御質問のありました点につきましては、現在の国家公務員災害補償法は、御存じの通り公務員法の体系と申しますか、公務員法の体系の中に公務員災害補償法がございます。また特別職につきましては、原則として国家公務員法が適用されませんので、特別職につきましては、別な公務員災害補償の制度をとっておるわけでございます。もっともただいま仰せのありました通り、公務員が災害にかかった場合の補償制度につきましては、実質につきましては大体同一歩調にすべきであると考えておりますが、現在の法律の体系が、一般職と特別職というふうに二つの体系に分けております関係上、災害補償につきましても、一般職と特別職というふうな二つの体系に分けて考えておる次第でございまして、今回の改正案におきましても、その建前をくずさずに、一般職の体系と特別職の体系と二つに分けて改正案を出しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/3
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004・石山權作
○石山委員 それではこまかいことになりますが、人事院の方にお伺いしたいのです。今副長官の答弁では、特別職と一般職と何ら差異がないような仰せです。しかし差異がないといっても、名称が違っていることと、境目、いわゆる給与でいえば体系があるわけでしょう。そうすると特別職の体系と一般職の体系というものは、そこに差が出ているわけです。つまりわずかの差だと思うのですが、階段が違うのです。そうした場合に、いわゆる不公平のないようなことをとおっしゃっているのですが、実際に一人一人階段の違った人に当てはめた場合に、誤差が出るだろうと思うのですが、そういう点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/4
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005・矢倉一郎
○矢倉政府委員 実は特別職と一般職につきまして、それぞれ一応法の体系がかようになっておるのでございますが、実際に適用いたします場合は、実は国家公務員の災害補償法、これに大体準ずる措置をとっておりますので、個々の場合にいたしましても、差は出てこないというふうに現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/5
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006・石山權作
○石山委員 今度その問題については、所管が人事院に移るように拝見しましたが、在来人事院から見て公務員の補償の制度は、どこかに欠点等がありましたか。こうしたらより以上よいのではないか、こういう考え方と、今度の新しい制度というものはうまく合っているかどうか、まだ、皆さんが今まで考えてきた欠点が、今度の法律でもカバーできない点があるか、そういう点があったら一つお聞かせ願えればよろしいと思います。在来の制度を見た考え方、こうあるべきだという考え方、今度の制度と見比べたものを、簡単でいいですけれどもお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/6
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007・矢倉一郎
○矢倉政府委員 この災害補償につきましては、旧来は大体一時金でまかなっておったのでありますが、一時金よりは年金にする方が、結局その災害を受けた人にとっては有利になりますので、これまでの制定は、年金の制度がないという意味からいたしますと、旧来の制度は、それだけ完全な補償制度ではなかった。そういう意味で、御承知のように労災保険法が年金化いたしましたので、これに合わして重度障害、災害補償の等級からいきますと、一級から三級までを年金化していくという制度にいたしましたので、それだけ今度の制度は、旧来の制度よりも災害を受けた者については保護が厚くなるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/7
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008・石山權作
○石山委員 今までの一時金打ち切り制度が、今度はずっと継続して国家がめんどうを見てやる、こういううたい文句は、私も大へん有利だと思っておりますが、それでは実際上の内容は規定されましたか。こまかいことは政令等できめるので、本法案が通らなければ、その内容はわからないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/8
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009・矢倉一郎
○矢倉政府委員 災害補償について年金化し、一方におきまして、実は打ち切り補償を廃止して療養補償、休業補償を続けて参るという制度は、今度の法改正ですべて尽しております。ただそれについての手続関係だけが、人事院規則に譲られておるという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/9
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010・石山權作
○石山委員 もうちょっと下へ問題をおろして、実際に給付を受ける立場の人、たとえば失業保険等の場合でも、ちょっと働いた場合それを差し引くとか、それから未亡人の年金みたいな場合もあるでしょう。働いた場合など、何か非常にむずかしく物事をきめて、与えるべき金額を削除してしまうというふうな具体例が、在来も、あなたの方の人事院規則の中で、そういうふうなこまかい、つまり削除するような細則があるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/10
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011・矢倉一郎
○矢倉政府委員 御指摘のような点で、削除するというふうな関係はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/11
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012・石山權作
○石山委員 この法案で、特に特別職の場合はやむを得ないだろうし、そしてまた不均衡はないのだという皆さんの答弁を、そのまま受け入れるしかないと思いますが、次にある船員の災害補償、これはわれわれのような常識論から見れば、著しくむずかしい解釈になるわけです。特に「海上保安庁の海上保安士及び防衛庁の海曹以下の職員には、」というふうな提案説明がついていまして、下層と上級と分けてやっているということと、それから船員保険の方が有利な条件で問題を見られているという点です。そこで私が冒頭に申し上げたように、官であろうが民であろうが、男であろうが女であろうが、条件は同じなのが正しい見方じゃないかということからしますと、ちょっと差があるということと、人事院の所管としまして、こういうふうな取り扱いの場合、防衛庁の場合は特別職になるわけでしょうけれども、何か下は違うわけでしょう。そうした場合の取り扱い上から見て、つまり給与体系というふうなものから見て、著しく不合理性を感じませんかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/12
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013・矢倉一郎
○矢倉政府委員 実は国家公務員の中には、いろいろな職種がございまして、今御指摘のいわゆる海上保安庁勤務の方々には、船員と見た方がいいというふうな職種がございます。従って船員である海上保安庁職員については、その勤務の特殊性から、それに応じた措置をとることが必要であろうということで、従来とも御承知のような船員については船員保険法を適用するというふうな形ができております。従って、今度改正しようとするにあたりましては、一応その体系をそのまま維持していくというふうな形での改正になっておりますので、ちょっとごらんいただきますと、非常に複雑な形になっておりますから、そこにいろいろ不利があるかのごとく一応ごらんいただくかと思いますが、これは一般のいわゆる労災保険法改正に伴っての必要な暫定的な措置として、ぜひやっておきたいという点だけを今度取り入れておりますので、従って法体系全体についての整備というようなことまでは、今回の改正については入っておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/13
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014・石山權作
○石山委員 海上保安庁の職員の一部は船員として見た方が現実的ですか、有利だという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/14
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015・矢倉一郎
○矢倉政府委員 実は船員については御承知のように、一応従来の制度といたしましても、船員保険法の適用によって、つまり勤務条件の相違ということをある程度取り入れたような措置というものがどうしても必要になって参ります。従って一応これまでの考え方としては選択制をとるというふうな場合もございまして、船員についてはそういった有利性というものがそこに若干見出されておるということに現在なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/15
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016・石山權作
○石山委員 おそらく人事院には前々から公務員制度によって行なわれている公務員の給与あるいは公務員の権利その他は詳細に勉強して、規定もあるようであります。私も勉強すればそういうことはわかるだろうと思うのですが、この船員の選択権あるいは防衛庁との関係で現実的であるというふうな問題――各省がたくさんあるわけでしょう。そうすると職業病というものは各省によって孤立するものでなくして、その職場に準ずるものだ、その仕事によって準ずるものだということは一つの通俗論だと思うのですが、ずっと各省でプールされた形で皆さんの方では職業病というものを決定されておりますか。そしてそれはどんな格好になっておりますか。表か何かになっていると思うのですが、大まかなところを一つ御説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/16
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017・矢倉一郎
○矢倉政府委員 職業病については実はかなり専門的な立場もございますので、ここに厚生課長が見えておりますので、その点をもう少し詳細に申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/17
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018・小西宏
○小西説明員 職業病につきましては人事院規則一六―〇というのによりまして、その十条に規定をいたしております。これには別表にその公務に起因する疾病と考えられる職業病をあげておりまして、五十六にわたる疾病名をあげております。この疾病が職業病ということで認められる公務というのは、どういう公務であるかという業務の内容を、それぞれの疾病に対して羅列してあります。こういう列挙主義で疾病とその疾病が職業病とみなされる公務の内容をあげておりまして、これは各省のいかんを問わず、そういう業務についておる職員がここに掲げられました五十六の疾病に罹患した場合には、職業病として特に有利な取り扱いをするという定めにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/18
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019・石山權作
○石山委員 この法案の出てきたのが、けい肺病から拡張されてじん肺病、それから拡張されて一般のものに応用するという、考え方としては非常に幅が広くなってきたわけですが、普通の産業人、現場にいる方のことはわかりますが、公務員のいわゆる行政機関に従事している人の職業病というのは、一体どういうのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/19
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020・小西宏
○小西説明員 これには五十六にわたる疾病名をあげておりますが、その中で行政面と申しますか、いわゆる事務官庁に働いておる者に該当する者というものは特にございません。元来が職業病でございますから、いろいろな科学的物質を扱うとか、あるいは放射線を扱うとか、危険物品を扱うとかいうようなことによりまして、それに罹患するというのが職業病でございます。通常の事務官庁に働いておる者に該当する者としては特にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/20
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021・石山權作
○石山委員 郵政の問題を一つお聞きしたいのです。そこまで皆さんの手が回っておるかどうか知りませんけれども、せんだって郵政の一つの調査の資料の中に、郵政職員がよその官庁より胸部疾患が異例に多いわけです。そういう部門は行政部門にあるかどうかという疑問も持つわけだし、それから作業としてどんな程度の作業が胸部疾患にかかるかというので疑問に思っておったのですが、今私は御答弁を承ると、普通の行政部門にはそういうことがないということになると、郵政のような場合にはあなた方の表ではどういう中に入るだろうかということの疑問を持ったのですが、御説明いただければ一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/21
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022・小西宏
○小西説明員 ただいまの郵政の場合に、いろいろな業務があろうかと思いますが、たとえばその職業病として掲げられております疾病の中にはこういうのがございます。非常に騒音が激しいというようなところで、その騒音による耳の疾患というものを起こした場合には、これは職業病として取り扱うということはございます。それから非常に塵埃の多いところで業務をして、それによりましていわゆるじん肺症というものを起こした者は職業病とみなすということになっております。ただいま結核の例があげられましたけれども、結核も実はこの五十六の疾患の中に入っております。入っておりますけれども、これの対象になりますところの業務は、主として公務上結核患者に接して、それの看護をするとか世話をするとか診療をするとか、そういう立場にある人が業務上感染をいたしまして結核を発病したというときには、職業病として取り扱うということにいたしております。従ってそういう点から申しますと、大体結核療養所等の結核病棟に勤務している医師、看護婦というような人たちが、その対象になる職員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/22
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023・石山權作
○石山委員 いい案でございましょう。たまには皆さんもいい案をお出し下さると、われわれも内閣委員として審議のかいがあるわけですが、それの裏打ちとしての予算等は推定していられるだろうと思うのですが、どのくらいか。それからこれを支出する法的根拠などを一つ御説明願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/23
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024・佐藤朝生
○佐藤(朝)政府委員 このたびの改正は、障害補償を年金化するということでございます。また打ち切り補償を廃止するというこの二点でございます。最初の障害補償の年金化に伴いましては、今度の改正案にあります年金額が大体一時金の六分の一でございますから、当初の六年間はむしろ予算が減少するという状態でございます。それから打ち切り補償の廃止に伴います予算増も、従来人事院におきまして、打ち切り補償をほとんど行なっておりませんので、それにつきましても実質的には予算上はほとんど影響がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/24
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025・石山權作
○石山委員 そんなにうまくいっているのですか。これとこれと足して引いたらゼロだという工合に、うまい工合にいくわけないじゃないですか。百何十万の人事を動かしてゼロだなんて、実際当てはめないから、そんなに大ざっぱに言っておられるのだろうと思うのです。どこかにあるだろうと思うけれども、国家全般の財政からすればそんなのはものの数にならぬで、ごまかしはきくだろうという答弁だろうと思うのです。私ここで懸念するのは、これを施行した場合損得がないということになりますか。そうすると予算上はゼロで法文上だけよくなるなんという、そんなばかなことはないでしょう、言ってみれば。そうすればあなたが先ほど言った今までは三年で打ち切ったけれども、今度は長く国家がめんどうを見てあげますなんというのは、ちょっと何だかおかしいじゃないですか。それは文章だけのうたい文句ですか。つまり向こう三年というと、境目にきている人が必ずあるわけでしょう。三年目で打ち切られる人が生きてくるでしょう。生きてくる分だけ予算がふえなければならぬということはちょっと考えられるのですが、それは言葉だけで、むしろ経過措置としてはめんどうを見ないというわけですか、どうなんですか。経過措置としてめんどうを見るのですか見ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/25
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026・矢倉一郎
○矢倉政府委員 確かに御指摘の点が一つ疑問をお持ちになる点だと思いますが、実は年金化いたしますにつきましては、旧来一時金が一度に出ます。ところがこれを年金にしてずっと先まで引き延ばして参りますので、そこでさしあたり六年分というものを一時金に出しておりましたから、これの六分の一が大体年金の額になります。そこで人数が非常にふえない限りはその年金の分につきましては、むしろさしあたりは若干減るかもしれないというめどがつくことになります。それから打ち切り補償の廃止につきましては、これは実は従来一応打ち切り補償はなるべく行なわないというふうな考え方で運用して参ったのであります。しかしそれにいたしましても打ち切り補償は実際には何件かございますので、その分についての予算増額というものは出て参ると思います。従ってそういう点、両者を彼此考え合わせますと、当分の間は予算の増加というものは出て参らない、かように考えておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/26
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027・石山權作
○石山委員 その説明を聞いていると赤字でなくて黒字だということ、むしろ金が余るという傾向が出る。だから副長官が答弁されたようにプラス・マイナス・ゼロだという、そういう手品にはならない、ただ余裕があるということ。この制度をやっても何ら国家でも苦しまないで、十分にこの制度をば金額的に現わすことができるということだと私は思います。それでいいですね。
それからもう一つお聞きしたいのですが、この条文は私が先ほどから言ったように、損はさせないのだ。損はさせないというけれども、たとえば海上保安庁の船員の問題の船員保険、これは有利になるというような可能性が生まれてきているわけです。こういうことはやはり制度としては、国民年金、国民保険というふうな立場からすれば、これを一本にするという工夫が最初からとられる必要があるということです。それから先ほど私ちょっと申し上げた特別職の階段というものと一般職の階段が実際違うわけですから、その境目が実施面からすると必ずちょっとしたあれが出てくる危険性があるのだろうと思う。私はやはりこの制度をやっていろいろな矛盾が出てきたら、少しであろうともその矛盾は上へ上げていくという努力が必要だろうと思うのです。これはむしろ予算なんかで下へ下げるというのでは最初の考え方に逆行もしますし、歩調を一つそろえていただきたい。国家のお金を出すのですから、その人によって、その職種によって、重いとか軽いとかいうのはおかしい。これはやはり民間であろうと官であろうと、ぐっと一本にそろえていただくということが基本になるだろうと思います。その軽過措置として矛盾が出てきたならば、それは下げるのではなくして、わずかの差であっても上に上げるような行政措置をこの場合とられることが、この法を生かす一つの基本になるのではないか、こういうふうに要望申し上げまして、質問を打ち切ります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/27
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028・福田一
○福田委員長 ほかに御質疑はありませんか。――御質疑がなければこれにて本案についての質疑は終了いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/28
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029・福田一
○福田委員長 これより本案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/29
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030・福田一
○福田委員長 御異議なしと認めます。よって本案は可決いたしました。
なお本案に対する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/30
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031・福田一
○福田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/31
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032・福田一
○福田委員長 次に外務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/32
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033・石山權作
○石山委員 外交辞令でなく、そのものずばり御答弁をいただきたいと思うのですが、この審議官の役目と申しますか、任務といいますか、一体何を意図していられるかということをまず第一にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/33
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034・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 結局この職をなぜ置こうとしているかという理由を御説明申し上げれば、おのずから職務内容もはっきりして参ると思いますが、現在東京には在外公館が、大使館五十四、公使館が十一ございます。戦後独立国か非常にふえて参ったということのほかに、漸次日本の地位が上がって参ったためかどうかは存じませんが、ともかく東亜の方面におきましては在外公館を置く場合は、まず東京に置くというような傾向になっております。そういった関係で大使、公使が非常に大ぜいおりますと、おのずからこういう人たちは自国のプライドというような関係からも、やはり大臣とか次官でないとなかなか、局長くらいで実質的には差しつかえない場合でも、やはりそういう上の人に会いたいという希望が非常に強いわけでございます。それがスムーズに参りませんと、相手方に不必要な不快の気持を与えるというようなことになりかねないわけでございます。そういうわけで、これは必ずしも日本だけの問題ではないのでございましょう。各国ともに戦後次官のほかに、あるいは次官を複数制にするとか、あるいは次官代理、次官補とかいうような制度をとって参っております。それによりましてただいまのような在外から参っております大使、公使の応接に充てておるようなやり方をしておるわけであります。それが一つ。もう一つは御承知のように国賓とかあるいは政府の賓客、そのほか必ずしも招待でない形でも、大臣クラスあるいは次官クラスの者の来訪というものが非常にふえて参っております。昨年度だけでとりましても、一応外務省が何らかの形で接待をしなければ儀礼的にまずいような件数が百七十件をこえております。そしてこういう場合、相手の地位によりまして、ただ局長だけでは何となく相手方の名誉心におもしろくない感じを与えるというような例が少なくないのでありまして、そういった関係から、いわゆる招待外交的な角度での上級者の接待面の仕事というのがまた非常にふえておる。
もう一つは、これまた戦後の非常に殊特な現象でございますが、国際連合、それに伴います付属の国際会議、あるいはそれ以外でも国際会議の数が非常にふえて参っております。そして東京で行なわれるものも非常に多いのでございますが、ほかで行なわれます場合に、できることなら現地の大公使などで間に合わせるように努力はいたしますが、実際問題といたしまして、本省から次官あるいは次官の代理者クラスの者の出席が要請されるような国際会議が漸次ふえて参っております。最近の例で申し上げますと、後進国開発の国際会代なども、次官あるいは次官代理の者を出してくれということが、大体の標準になっておったわけでございます。そうかと申しまして、次官がそう簡単に出歩くというわけには実際問題として参りませんので、やはり次官の代理者のような者がそういう会議でも出るような体制を作っておくことは、国際的な祝状に合った制度ではないか、こう考えるわけでございます。
おもな理由は大体以上のようなものでございます。従いまして実際の任務はどういうことになるかと申しますと、次官にかわって大公使に応接する、国際会議などに次官のかわりで出席する、あるいはただいま申し上げましたような儀礼的あるいは交際的な面でいろいろ次官にかわって応接する、大体そういうことがおもな任務になるのではなかろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/34
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035・石山權作
○石山委員 あなたの御説明を聞いていると、一人あると大へんな仕事ができるというような……。今までいられる政務次官はお二人でなかったですか。――そうすると今までの次官と局長の間というのですか、地位からすれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/35
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036・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 政務次官は外務省は一名でございます。
それからただいま御指摘のように、大体われわれは次官と局長の間ということになると思います。しかし同時に、実際の仕事の上におきまして、屋上屋を架すようなことになって、仕事がかえって渋滞するような弊害が起こらないようにということは、われわれとしては十分警戒しなければならぬと思っておりますし、間の立場、資格ではございますが、それができたならば、必ずそこを通さなければ次官に行かない、書類など参らないというふうにしてしまうことはどうかと考えておりますので、その点は内部的に十分調整いたして参りたいと考えております。
それから一人が非常に何でもやるというふうにあるいは聞こえたかも存じませんが、要するに今まで非常に欠けておる、あるいは相手方に無用の悪感情などを起こさせないようにいたしたいために、少なくとも、さしあたっては一人でございますが、置きたい。われわれの希望、あるいは将来の発展を見なければわかりませんが、場合によってはそれを複数制にして参る事態が起こるかもしれないというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/36
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037・石山權作
○石山委員 そうすると性格が、たとえば省で政務次官と事務次官というように分けている。各省の場合は、審議官は事務というよりも政策決定の機関になる場合が多いようですが、外務省のような場合は、大公使を相手というと、政策決定よりも、何か事務的な問題に対する指示、示達というふうなことが多いように思うのです。そうしますと、一人であらゆるものを受け取るよりも、今安保委員会を聞いていると皆さんの方にたくさんの局長さんがおられるでしょう。それぞれの担任の局長さんの方にその問題を持ち込んで処理してもらった方が能率が上がるのじゃないか、解決が早いのじゃないかと思われるのです。
もう一つは、審議官を一人置いても、審議官一人では仕事ができるわけじゃないので、審議官室みたいなものを設けるわけでしょうが、そのスタッフはどういう格好になるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/37
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038・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 ただいま御指摘のような意味の審議官というものは、外務省にないわけではございません。ただし今度の場合にはそれと違いまして、御指摘のように実際上在外使臣などに接触する、あるいはそれの話を聞いたり、あるいはこっちから申し入れをする場合の役目を期待しておるわけでございます。それは御指摘のように実質的に考えますと、各局長がそういう大公使に応接しても、われわれ自体の角度からしますればそんな不都合があると思っておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、やはり大使というものは、彼らが持っておる感情と申しますか、プライドと申しますか、そういう角度から申しますと、一つあなたは何々局長に会ってくれというのでは、やはりおもしろくないような例が少なくないのでございます。それから実際、たとえば在外使臣が次官に会うことになっておりますと、その間は次官が外国の大使館に入っているということになりますと、ほかの日本人のお客さんと違いまして、実際上その間全く隔離されてしまうような事態になりますので、われわれの省内のいろいろな仕事の面からも不都合が起るという実情がございまして、そこで次官の代理として裁決する者がおる、次官が都合の悪いときにはその人の裁決で事を運ぶような制度をとっておくということは、場合によって、事態の緊急性などを考えますと必要があるわけでございます。かたがた、その人が一人できれば、万能的にいろいろな問題が解決されるというふうには決してわれわれ感じておりませんけれども、現在のいろいろな不都合を補う意味においては、非常に有益な制度ではないか、また現にそういう事情で世界の各国とも同様な制度をとっておるのではなかろうかと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/38
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039・石山權作
○石山委員 そうすると、私はさきに日本の在外大公使というふうなことを考えておったのですが、在日の大使、公使、この接待が非常に大きいという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/39
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040・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 私もし言葉が足りませんでしたら、私はその意味で申し上げたわけです。在外使臣が、東京に大使が五十四、公使が十一おるというふうに申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/40
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041・石山權作
○石山委員 そうすると話の前提がだいぶ違っておりました。
それから機構上の問題について副長官にお伺いしたいのです。長官も来ていただけばなおいいと思うのですが、審議官一人というお話ですから、そういう考え方をお伺いしておきたいのです。人一人なんというと、案外何となく便利だからいいだろうというようなことになるのですね。私は今国家公務員の定員法の調査をやっておるわけですが、なるほど人数が多くなると、たとい一人であっても便利だし、サービス精神も発揚されれば効果が上がるだろう、これは理の当然だろうと思う。一人一人、ということが押えのきかない格好になるのだ。これは大蔵省の主計局から来たある課長さんなんか言っているのですが、仕事も仕事だけれども、各省の公務員の本能だというような言葉も言っているのです。だから仕事もなるほど仕事だろうと思うけれども、何らかの機会にそれに便乗したような形で、形を広げていくのではないか。審議官というと、職制からすると、外務省の中で格づけがどういうふうな省令になるかわかりませんけれども、お話の性質からすれば、次官と局長の間に位する審議官だと言っているのです。ほかの省の審議官はどういう格づけをされているかということ、それから総理府としてこういう機構上から見た場合、どういう見解をして、今回の案に賛成なさったかどうかということを承りたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/41
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042・佐藤朝生
○佐藤(朝)政府委員 ただいまお尋ねのございました外務審議官のことに関連いたしまして、そういう職についての格づけの問題でありますとか、そういうものについてどういうふうに思っておるかというお尋ねでございますが、現在各省にありますこの種のものといたしましては、たとえば建設省の技監、それから大蔵省の財務参事官、海上保安庁の警備救難監、そういう種類のものがございます。この種類のものができました場合に、どういうふうな格づけをするかという問題につきましては、これはどうも総理府の所管ではございませんで、人事院紋別定数で設定することになると思います。その法律の趣旨に従いまして、適当な格づけをするのではないかと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/42
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043・石山權作
○石山委員 これは外務省にお伺いしますが、たとえば省議をおやりになりますね。重要問題を決定するとき、――重要問題でなくても省議なんかおやりになるだろうと思うのですが、特に政策決定のような場合、この審議官の立場といいますか、権限といいますか、こういうふうなものは省令の中できめられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/43
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044・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 多分省令できめると思いますが、これにもございますように、実際問題としましては、その政策調整の問題が数局にわたるような場合に、その人が主たる担当者になるというような場合も、あり得ないことではないと思います。しかし省議の決定というような場合におきましては、当然その人も省議の議に参画いたしますし、そういう場合に最後の決定者は事務当局の首脳者であるやはり次官になるというふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/44
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045・石山權作
○石山委員 あなたの説明を聞いていると、私は案外すらすらと賛成申し上げたいと思うのですが、この提案の法律の二項に、「重要な外交政策の企画立案及びその実施に関する事務を総括整理する。」という重要事項が記載されているわけです。これはやはり審議官一人ということではなくして、外務省の機構の一つの大きな改革になりかねない要素をこの中に含んでいる。だから審議官一人そこにお入れになれば、やはり部課長もふえざるを得ないような格好じゃないですか、この法律の内容からすれば。そうすると機構拡張に通ずるものではないか。今年度が審議官一人ふえれば、そのことによって来年は設置法として部課長をふやすということになりかねないと思うのですが、そのことと、あなたが提案されているような在日の大使、公使の関係、また省内の関係ももちろんあるのですが、その任務というものと、政策立案の基礎をやるということになると世帯がどうしても大きくならざるを得ないと思うのですが、その構想はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/45
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046・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 これはそういうふうにお読みになるような趣旨は、われわれの頭では全然考えておりません。これはただいま申し上げましたように、もちろん各局にわたるような問題について、ある場合にその審議官が担当者になるというような例があり得ないとは考えませんけれども、これはあくまで現在あります事務当局を使っての問題でございまして、その人の下に大きな機構、局なり部なりあるいは課なりを作ろう、こういう考えは全然持っておりません。またそういうことになったのでは、これを置いた趣旨が全くなくなってしまうわけでございまして、そういうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/46
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047・石山權作
○石山委員 大蔵省なんかへ行っても、日銀政策委員なんという部屋がありますが、これはやはり御本人を中心にしたものの考え方で、そういうふうな部屋を作っているわけですね。ですからあなたの提案の、あるいは説明の意見を聞くと、身軽な形で在日の大、公使としょっちゅう面接をする、連絡をする、情報の交換をする、そしてあるときには省議にも参加する、こういうようなふうに思っておったのですが、「重要な外交政策の企画立案」ですね。企画は少数の人でできるが、立案となると、これは少数のスタッフではなかなかできないという証拠が歴然としているのですね、今までのあれからしますと。そうすると、あなたの御意見というものと、現われてくる法文というものと、それからそのことにより起きるだろうところの機構拡充の問題は、ちょっと矛盾を感じているのですね、私はこの法案から見ると。あなたの提案趣旨だけだと、私もよくわからぬけれども、外交上そういうようなことに関して失礼な気分をもしかりに与えているとすれば、一人二人のいわゆる高級官僚の増員などはやむを得ないものだと考えますけれども、どうもそこの中に、各局をも押えるような、全般の政策立案をここでやるというふうなことになりますと、これはこのままでは済まぬということになると思うのですが、その点はもう一ぺん説明をしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/47
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048・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 重要政策の企画立案を当然この人がやるのだというふうにわれわれは考えておるのではないのでございまして、たとえば例を申し上げますと、一応、軍縮というような問題が起こります。この軍縮の問題というものは、現在の外務省の部局で申しますと、国連で問題になっておるからという意味で国連局が一応の担当をいたすわけでございますけれども、しかし同時に、これは御承知のように国連外の意味で、国連外と申しますか、各政務関係の局の、たとえばソ連関係の方を担当しております欧亜局の方からいっても、もちろんこれは重要な問題でございますし、またアメリカの方を担当しておりますアメリカ局から見ましても、これはもちろん重要な問題でございます。またそのほかイギリスなりフランスなりドイツなりの動向ということになりますれば、これまたそれぞれの地域にも関係して参ります。そういう問題ごとによりまして、必ずある一局だけ、そこだけが主管で取り扱うというのには適しない問題というのが現に起こっておりますし、また今後も起こり得るというふうにわれわれは考えております。そこでそういう場合に、だれがそういった問題を統括して、常に自分の下にスタッフを持っているという意味ではございませんが、各部局のやっておりますことを統合的にあるいは重複なりを避けるような形において、適当な指示を与えるようなものがなくては困るわけでございます。われわれといたしましては、ここに重要政策の企画立案ということを多少うたっておりますのは、そういった場合に、たとえば今のその審議官にそれの全体の統合的なことをやらせる、こういうような意味でわれわれは考えておるわけでありまして、その人が自分のスタッフを持って特に重要政策の企画立案を絶えずやる、こういう意味にはわれわれとして全然考えておらぬわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/48
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049・福田一
○福田委員長 委員長から質問しますが、これはその場合、事務次官は当然これはこういうような重要な外交政策の企画立案、実施に関する事務を総括整理する、これは当然の職務だと思います。大臣からこの審議官になった人が命を受けて、こういうことをやってくれ、こういったときに事務次官と競合が起きた場合、その人によっては、事務次官何を言うか、おれは命を受けておるからおれがやるのだ、こういうような場合の調整の考え方はこの中に入っておるのか、またどういうふうにしてやるのか、これをまずちょっと説明してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/49
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050・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 われわれといたしましては、事務当局の終局の責任者は当然事務次官であるという考え方でございます。ただ、ただいま申し上げましたように、それでは各局にまたがる問題だから、その最終段階にいきます前の段階において、次官が常に各局長とそういうことをやって参ることが事実上可能かと申しますと、実際次官というものの現実の問題といたしましては、やはりその一つ前の段階のそういった統合整理はだれかに担当してやらせるということの方が、事実上便宜でもございますし、また実際問題としてはそうせざるを得ないことがわれわれの仕事から見てあるわけでございます。しかしそのときに御指摘のように、かりに審議官と次官とが非常に仲が悪くて意見が違うというようなことが起こり得ないか、これは観念的に考えれば、人間のことでございますから起こり得ないとは言えないかもしれませんが、制度の問題としましては、ただいま申し上げましたように当然次官が最終の責任者なのでございますから、最後の段階においては当然次官が整理統合いたすべきでありますし、またそうなるであろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/50
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051・福田一
○福田委員長 その場合に、次官がそういうことをするのだということが、法文上どこかにそういうところがありますか、そしてその法文とこの法文との関係はどうなるか、それを説明してみて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/51
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052・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 この官を置きます根拠になっておりますのは、国家行政組織法の十七条の二の四項でございますが、便宜上事務次官との関係もございますので、一応この条文を全部読んでみます。第一項に「各省及び第三条第三項但書の各庁には、事務次官一人を置く。」二項に「事務次官は、その機関の長たる大臣を助け、省務又は庁務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する。」これが事務次官の事務として第二項に書いてございます。それでこの問題の基礎になります法文はこの四項でございますが、四項は「総理府、各省及び各庁には、特に必要がある場合においては、別に法律の定めるところにより、その所掌事務の一部を総括整理する職を置くことができる。」この条文に基づいて今これを置こうとしておるわけでございます。従いましてわれわれとしては、この十七条の二の趣旨から見ましても、事務当局の最後の責任者は当然この第二項の事務次官である。従ってこれは大臣ないしは事務次官の委嘱を受けて、ある範囲においての所掌事務の一部を総括整理する職である、こういうふうに理解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/52
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053・福田一
○福田委員長 それならば、なぜ今のその条文を引例するような説明をこの中に入れておかなかったのか、そういう誤解を受けるようなものを、どうして提案理由のうちにでも何にでも入れなかったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/53
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054・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 確かに提案理由の中にそのことをうたってないのは、われわれの方がまずかったと存じます。しかしわれわれは、当然そういう考え方でこの官を作っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/54
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055・石山權作
○石山委員 あまりたてついて言うのは外交辞令にそむくかもしれぬけれども、もう一ぺん言います。各局長の上に立って、各局から何でも上がってくるものをそこでチェックしなければ通さないのだ、だから私は言うわけです。そういう傾向になれば、ここにある二項が生きてくるわけですね。いわゆる部課を何ぼか置いて、二、三十人くらいの機構をほかに設けなければ、これは生きてこないわけです。そういう構想でいくと、僕はきょうは上げてしまおうと思ったけれども、これは委員長、ちょっと考えさせてくれということになると思うのです。あなたの説明を私、すなおに聞いて問題を進めてきましたけれども、そこをもう一ぺんきちんと言っていただかないと、これはやはりわれわれは党へもう一ぺん持ち帰らなければいかぬような結果だと思うので、もう一ぺん御説明いただきたい。
私の言いたいことは、在日大、公使の問題と、それから省内のたとえば条約局と欧米局との調整のとれないような問題を審議官に御相談する、そうして調整ができたような場合に次官に持っていく、こういう手もあり得るわけです。そういうこともあなたは考えながら御提案しているのではないかと私仄聞しているのですが、この法案の通り解釈すると、そういうことはうそなような気もするのです。その点もう一ぺん、念を押すようですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/55
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056・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 全く私どもうかつで申しわけございませんでした。提案理由の中にただいまのような条文を引いて、地位づけというものをもっとはっきりしておくべきであったということについては、私申しわけないと存じます。ただわれわれ自身が、この官を置きたいということの趣旨は、先ほど来申し上げました通りでございまして、ことさらごまかしで申し上げるようなつもりは毛頭持っておりません。実際ただいまほかの外国の例などでも申し上げましたように、そういう上級のポストというものが今日の外交をやって参ります現実の必要性と申しますか、有益性と申しますか、そういう角度から出て参っておるわけでございまして、ほかの国の例でもこの官ができたからそこに非常に多くのスタッフをつけておるなんということは、現にどこもやっておりませんし、われわれもそういう考えは全然持っておりません。むしろただいま申し上げましたように、次官にある場合にかわっていろいろなことをする、つまり次官が直接自分で何も部課を持っているわけではないと同じような考え方に立って考えておるわけでございます。
それでその際に重要政策といいましても、常に重要政策の企画立案を当然この人がやるという官ではないのでありまして、各部局の担当でやれるものは当然それで済まして参る。ある場合に各部局にまたがるような問題は、少なくとも最終決定の前の段階までに、一つそれを調整整理するものがあった方が便利であろうという場合に、その人にやらせることもあり得る、こういう意味に私は解しておりますし、またその通り実行されると私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/56
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057・田万廣文
○田万委員 関連して。私外務省のことは知りませんが、次官補という言葉はどうでしょうか。そういうふうに審議庁と出ておりますけれども、次官補という言葉が適当ではないでしょか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/57
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058・内田藤雄
○内田(藤)政府委員 われわれも全くその通りに考えております。ただ実はこの名称の問題は、非常にいろいろ紆余曲折がございましたが、次官補というような一般的な名称にしますと、各省においてこれをすぐまねをすると申しますか、一般化するのでないかということで、大蔵省もそれから行政管理庁も、その名称に対しては非常に強い反対がございまして、それで結局次官補という名前はやめざるを得なかったわけでございます。しかしあくまでわれわれの思想は、正直に申し上げましすとこれは次官補の思想でございますので、従いましてそういう下部の機構を作るというようなことは、全く考えてないというのが正直な気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/58
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059・福田一
○福田委員長 ほかに御質疑はありませんか。――御質疑がなければ、これにて本案についての質疑は終了いたしました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/59
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060・福田一
○福田委員長 これより本案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
外務省設置法の一部を改正する法律案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/60
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061・福田一
○福田委員長 御異議なしと認めます。よって本案は可決いたしました。
なおこの際、委員長から一言政府当局の方へ申し上げておきますが、先ほど石山委員から言われた質問の要旨は非常に大事な問題だと思うので、十分質問の要旨を体して運営をやるということにしてもらいたいと思うのです。これについて外務政務次官から一言御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/61
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062・小林絹治
○小林(絹)政府委員 仰せの通りにいたします。そのつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/62
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063・福田一
○福田委員長 なお本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/63
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064・福田一
○福田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
次会は明十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03819600512/64
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