1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年五月十九日(木曜日)
午前十時三十九分開会
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委員の異動
五月十七日委員永岡光治君及び安田敏
雄君辞任につき、その補欠として光村
甚助君及び小柳勇君を議長において指
名した。
五月十八日委員光村甚助君及び小柳勇
君辞任につき、その補欠として安田敏
雄君及び永岡光治君を議長において指
名した。
本日委員松野孝一君辞任につき、その
補欠として吉江勝保君及び河野謙三君
を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 岩沢 忠恭君
理事
稲浦 鹿藏君
武藤 常介君
田中 一君
委員
小沢久太郎君
太田 正孝君
小山邦太郎君
田中 清一君
吉江 勝保君
米田 正文君
内村 清次君
武内 五郎君
安田 敏雄君
田上 松衞君
小平 芳平君
衆議院議員
村上 義一君
遠藤 三郎君
勝澤 芳雄君
塚本 三郎君
国務大臣
建 設 大 臣 村上 勇君
政府委員
建設政務次官 大沢 雄一君
建設大臣官房長 鬼丸 勝之君
建設大臣官房参
事官 高田 賢造君
建設省道路局長 高野 務君
建設省住宅局長 稗田 治君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
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本日の会議に付した案件
○国土開発縦貫自動車道中央自動車道
の予定路線を定める法律案(内閣送
付、予備審査)
○東海道幹線自動車国道建設法案(衆
議院送付、予備審査)
○公共工事の前払金保証事業に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣
提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/0
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001・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
まず委員の異動について報告いたします。五月十九日付、松野孝一君が辞任せられ吉江勝保君が選任されました。また河野謙三君も選任されました。
以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/1
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002・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 本日は先刻の委員長及び理事打合会の協議によりまして、高速道路関係二法案の提案説明を聴取の上、公共工事の前払金の法案の質疑を行ないたいと思います。
ではまず国土開発縦貫自動車道中央自動車道の予定路線を定める法律案を議題といたします。まず政府の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/2
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003・村上勇
○国務大臣(村上勇君) ただいま議題となりました国土開発縦貫自動車道中央自動車道の予定路線を定める法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
国土開発縦貫自動車道の予定路線につきましては、国土開発縦貫自動車道建設法第三条において、中央自動車道のうち小牧市附近から吹田市までを同法別表の通りとするほか、別に法律で定めることとし、政府は、すみやかに、国土開発縦貫自動車道の予定路線に関する法律案を、同法別表に定める路線を基準として作成し、国会に提出しなければならないと規定されております。
中央自動車道のうち小牧市附近から吹田市までの間につきましては、すでに日本道路公団によって建設工事が開始されておるところであり、また中央自動車道のうち東京都から小牧市附近までの間につきましては、過去三ヵ年間にわたり調査を実施して参りましたが、昨年十二月その結果の取りまとめを行ない、関係地域の地質、気象の状況、概算建設費の積算、交通量の推定等の主要な項目についてその概況を把握することができた次第であります。そこで本年三月十八日国土開発縦貫自動車道建設審議会の議を経まして、本法案の内容となるべき予定路線を決定し、これを法律案として今回国会に提出いたしました次第であります。
この法律案は、国土開発縦貫自動車道建設法第三条第一項の規定に基づき、国土開発縦貫自動車道中央自動車道のうち東京都から小牧市付近までの予定路線を定めようとするものでありまして、同法別表に定める路線を基準として作成しており、起点を東京都、主たる経過地を神奈川県津久井郡相模湖町付近、富士吉田市付近、静岡県安倍郡井川村付近、飯田市付近、中津川市付近及び小牧市付近としております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/3
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004・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 次に政府当局から、予定路線の調査結果について補足的の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/4
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005・高野務
○政府委員(高野務君) 私から、国土開発縦貫自動車道中央自動車道の予定路線をきめますまでの調査について御説明申し上げます。
中央自動車道の調査につきましては、建設省が昭和三十二年度から三十四年度までの三ヵ年間にわたりまして、一億六千三百三十万円の調査費をもちまして調査を実施いたしました。調査の内容につきましては、国土開発縦貫自動車道の立法趣旨に従いまして、高速自動車道として東京都から小牧市までの区間につきまして、計画線の選定、概算、建設費の積算、経済的な諸問題の検討などを行ない、主要な項目につきましては中央自動車道の概況を把握し得たものと考えております。なおこの調査の実施にあたりましては、沿線が山岳地帯で必要な基礎資料なども不備でありましたので、全線にわたり空中写真測量によりまして五千分の一の地形図の作成をいたしました。この五千分の一の地形図を使いまして調査を行なったわけでございます。調査の担当につきましては建設省の担当部門を動員いたしますとともに建設省以外の学識経験者の協力のもとに地質、トンネル、橋梁などにつきましては専門委員会を、気象、自動車の走行調査につきましても外部機関に委員会を設けて、さらに長大トンネル、長大橋梁の積算または経済的な調査の分につきましては、それぞれ専門の機関に調査を委託いたしまして、取りまとめをいたした次第であります。
なおただいままで実施いたしました調査は中央自動車道の調査のきわめて概略的な調査でありまして、ただいま御審議をお願いいたしております予定路線を定める法律案の、提案の見通しを得る程度の概要と申すべきものであります。今回取りまとめました建設省の調査結果はできるだけ入念に取りまとめたつもりでございますが、今後行ないます調査の精度が高まるにつれまして、調査結果の数字につきましては、多少の変更が起こることは当然予想されるわけであります。現在入手できる資料並びに方法については十分活用したつもりであります。予定路線の法律が制定されますと、基礎調査を実施することになるわけでありまして、この基礎調査におきまして基本計画を定めるに必要な調査を十分にいたすわけでありまして、三十五年度におきまして引き続き三千万円の予算をもちまして実施をするわけであります。基礎調査をしてできるだけ早い期間において基本計画を定めるつもりであります。一つよろしくお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/5
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006・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 次に東海道幹線自動車国道建設法案を議題といたします。
まず発議者から提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/6
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007・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) ただいま議題となりました東海道幹線自道車国道建設法案につきまして、私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、その提案の理由並びに法案の要旨を御説明申し上げます。
近時、わが国経済の著しい伸長発展に伴いまして、必然にきわめて過大な交通需要を喚起し、特に自動車交通の飛躍的増大により、今後の輸送対策に即応する道路整備の緊急性は、日とともに重きを加うるに至りました。現に、所得倍増を目途とする長期経済計画の策定にあたっては、発足したばかりの道路整備五ヵ年計画が、すでにして抜本的再検討を迫られている実情であります。なかんずく、わが国産業の中核的大動脈たる国道第一号線——いわゆる東海道について見まするに、その交通量に逐年倍増の趨勢にありまして、かくのごとき現状をもって推移せんか、今後五ヵ年を出でずして交通の麻痺状態に陥ることは必至であり、まことに憂慮にたえない事態に立ち至っているのであります。
また、このような交通の輻湊は、痛ましい交通事故の頻発を招き、他面、自動車走行速度の低下による産業生産機能の鈍化を来たす等、人的物的両面において、民生、経済上の犠牲と損失は、けだしはかり知れないものがあると思わるるのであります。
このような交通の緊迫を緩和するため、現国道の拡幅、バイパスの建設補強等当面の応急対策が一応考えらるるのでありますが、現実の交通需要は、既定の道路整備計画をはるかに上回り、今後加速度的に増大の一途をたどるものと想定せられ、この種の混合交通方式のみをもってしては、問題の本質的解決は、もはや、いうべくして不可能であると断ぜざるを得ないのでありまして、この際、別途に新たなる創意構想をもって、これが抜本的打開策を講ずる必要を切実に痛感するものであります。
すなわち、これがため、いわゆる高速自動車国道として、特殊の規格と機能を有する自動車専用の道路を早急に建設して、自動車交通の高速化、輸送効率の強化をはかることが刻下喫緊の根本命題であると思うのであります。
今や高速自動車道の普及発達は世界的趨向であり、欧米先進諸国においてはつとにこれが顕著の度を加えているのでありますが、ひとりわが国においては、旧態依然として道路交通対策の著しい立ちおくれを余儀なくせられていることは、まことに遺憾にたえないところでありまして、この際、この内外の新事態に即応する画期的施策の一環として、差しあたります東海道交通需要の緊迫に備えなければならないと存ずるものであります。
なお東海道高速自動車国道の建設に伴う財源の問題につきましては、前述のような交通量の著増傾向に徴しまして、有料道路として、その採算性がきわめて確実でありますので、もっぱら財政資金等の効率的活用により事業の促進を期することを建前といたしております。従って、公共事業による一般道路投資を圧縮するがごときことは、いささかも懸念の必要はないものと確信し、また、かくのごとき杞憂を生ぜしめざるよう万全の考慮を払うべきことは、もとより言うを待たないところであります。
飜って、わが国産業の現況と、その発展的将来を観望いたしますとき、重化学工業の振興による経済の体質改善が、最も強く要請せらるるところでありますが、あたかも東海道地域は、つとにわが国産業活動の中枢として、拠点的役割をにない、長大な臨海工業地帯を擁した港湾、用水、工場用地の整備充実等今後の建設的方策と相待って、きわめて好適な立地条件に恵まれているのでありまして、ここに担々たる一大幹線道路が貫通しましたならば、ひとり本地方における産業基盤の拡充強化に資し得るのみならず、広く、わが国経済の発展、国民所得の増大と社会民生の安定向上に寄与するところ、きわめて大なるものがあると確信する次第であります。
以上が本法案を提案せんとする理由であります。
次に、本法案の要旨について、若干の説明を試みたいと存じます。
まず、第一に、東海道幹線自動車国道の意義と性格を明確にいたしました。すなわち、本国道は、全国的自動車交通網の枢要な一環として、特に政治、経済、文化上重要な地域を連絡することを目的とした高速自動車国道でありまして、道路法上の道路としての取り扱いをすることにいたしております。
第二は本国道の予定路線を定めるものでありまして、まず起点を東京都、終点を名古屋市附近としまして、その主たる経過地を、横浜市附近、静岡市附近、浜松市附近及び豊橋市附近と定めております。
第三は路線の指定についてでありますが、本国道の路線は、前述の予定路線を基準として、政令で具体的にこれを定めることといたしました。すなわち、この政令につきましては、本法の施行後、すみやかに運輸・建設両大臣が共同してその案を作成し、閣議の決定を経なければならないことといたしております。
第四は本国道の新設及び改築に関する整備計画の問題でありますが、これについても、運輸・建設両大臣が、政令で定むるところにより、これを共同作成することにいたしました。
第五に、本法の附則において、現行の高速自動車国道法及び道路整備特別措置法の一部改正を行ないまして、前にも述べました通り、(一)本国道を、道路法上の高速自動車国道としたこと、(二)日本道路公団において、整備計画に基づく本国道の新設または改築を行なわしむるようにしたこと等、一連の関連規定を整備いたしまして、本法制定の趣旨、目的に即応し得るよう所要の法制措置を講ずることといたしましたのであります。
以上が本法案の提案理由並びにその要旨でありますが、願わくば慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことを切にお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/7
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008・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 国土開発縦貫自動車道中央自動車道の予定路線を定める法律案、並びに、東海道幹線自動車国道建設法案の両案につきましての質疑は、次回に譲ります。
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009・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) これから公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/9
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010・田中一
○田中一君 前回の委員会で建設大臣並びに政務次官も御出席にならないのをはなはだ遺憾に存じております。今後ともどちらか御出席になるようにお願いいたします。前回では、大蔵当局を呼びまして、今審議中のこの法律案につきまして、私の見解並びにかかる法案の存在というものがなぜあるかという点等について、根本的な質疑をかわしたのでありますけれども、残念ながら建設大臣、政務次官が御出席なさらなかったのを再度遺憾の意を表します。従って、今後とも建設当局が大蔵省等の見解を聞くには最もいい機会であるのですから、そういう場合には、つとめて、つとめてでなく絶対に出席するように、委員長から注意を促していただきたいとかように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/10
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011・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/11
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012・田中一
○田中一君 そこでお伺いいたしますが、公共工事の前払金保証事業に関する法律は、戦後の金融事情、経済事情、あるいは占領軍から強制される諸立法によるところの業者の救済策として出されたものであって、もはや今日においては、予決令の臨時特例等におきましても、かかる法律のもとにかかる保証会社等の存在の意味が相当薄らいだのではないか、かように考えております。従って、これに対する建設大臣の見解をお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/12
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013・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 御指摘のように、終戦直後の状態というものからは、相当発注者と業者との間のあらゆる問題が緩和されて参りましたので、漸次かような問題については、私はその必要性というものが薄くなってくるとは思います。しかしながら、現状の請負契約等を見ておりますと、まだ私どもとしては相当ここに補強的な意味の一つのものを設けておかなければ、発注者にもまた業者にも不便を来たすところがあるんじゃないかと思っております。しかし業者も漸次健全になり、また発注者もそれぞれその指名者に対する認識を深めて参りましたならば、この制度もいずれかの方向に改正していく必要があろうと思っておりますが、現状ではもうしばらくこの制度を一つ必要とするような気持で法案の改正をお願いしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/13
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014・田中一
○田中一君 そこで建設省が現在行なっておりますこの契約を見ましても、工事請負契約書が、印刷してあるフォームが多少違いがある。これらはなぜ違うかということです。問題は、今回の改正の要旨というものは請負によるところの事故ということが主眼になっております、それに対しての前払保証会社というものに対する保証の有効適切な措置というのが改正の主になっておるのですから。しかし元になるところの請負契約というものは基本とならなければならぬのです。そこで資料として提出されたものを見ますと、内容において相当相違があるのです。これは各局ともに発注部局で勝手に作っておるものであったのか、その点はどうですか。これは大臣御存じなければ官房長でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/14
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015・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) ただいま田中先生から御指摘のように、具体的な契約約款におきましては、建設省所管の事業におきましても土木と営繕とで多少の違いがございます。しかしながら、実は建設省といたしましては、建設業行政の立場から標準請負契約約款というものを策定いたしまして、これは中央建設業審議会において検討いたしまして策定するのでございますが、これを国の工事なり公共団体の工事発注者に勧奨するということをやっております。そこで実際の約款は違いがございますが、なおこの実際の約款の個々の内容を、先生の御指摘のような点、特に片務的な傾向の内容につきまして、ただいま中央建設業審議会において検討いたしておりまして、その結果さらに標準請負契約約款を改正いたしまして、その暁におきまして国、公共団体等の発注者に、改正された約款に基づいて契約書を策定するように指導いたしたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/15
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016・田中一
○田中一君 問題は、会計法を見ましてもどの法律を見ましても、契約行為というものが具体的に法制化されておらぬところに欠陥があるんじゃないかと思うのです。昭和二十五年ですか二十六年でしたか、建設省が中央建設業審議会の意見を求めたという点につきましては、当時は非常にいいと思っておりました。しかし実際においてはその内容というものが片務的なものである。従ってこれは今日の実情から見れば、はなはだ不十分であろうということを言わねばならぬと思うのです。一昨年あたりから非常に強く大蔵当局にも改正を要求し、政府自身も政府の提案として会計法の一部改正というものを出したこともあった。それらはもう今では根本的な契約約款等を検討しようと、今官房長がこれにつきまして検討中だといっておりますけれども、前回の委員会で小熊法規課長を呼びまして聞いてみますと、大体において来国会あたりには出したいというような意向を示しておりました。その点は十分に発注官庁、いわゆる相手側の官庁であるところの建設省は、単に中間的な法律だけを持っているという大蔵省の意向だけをウのみにしないで、やはり発注官庁としては、何も金の単価の安い、あるいは入札金額が低いということのみによってその目的が達せられるものじゃございません、予算のある範囲で十二分の建設ができることが建設大臣の主眼でございますから、従ってそのような点についても十分留意していただきたいと思うのでございます。ことに地方の公共団体に対してはこれらのものを勧奨して実施させるにかかわらず、現に中央官庁においてすら前払保証制度等も利用しない面もあるわけです。これらのものに対しては抜本的な改正に伴ってやはりいい制度は活用してよろしいと思うのです。その点についても十分な発言をしていただきたいと、かように思いますけれども、どういうお考えでおるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/16
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017・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 御指摘のように、あらゆる日本の産業の中で最も工事契約に関する、また請負契約に関する片務的なことは、業者もその点を指摘して叫んでおりますが、私どももこの点については十分改正していく必要があろうと思います。従いまして大蔵省においては、その財政制度審議会等において会計法の改正をするということを積極的に進めるように聞き及んでおりますが、建設省としてもわれわれといたしましても十分これに協力して、すみやかにこれはいわゆる片務的な請負契約というものが双務的に改められるように努力をいたしたいと、かように思っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/17
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018・田中一
○田中一君 先般参考人として当委員会に出席をいたしました東日本建設業保証株式会社の三島社長から、当委員会の要請に基づいて五月十一日に意見書が出ております。これは東日本ばかりでなく西日本並びに北海道の保証会社の意見として出ておりますが、第一は「工事完成保証人の制度を廃止した方が良いとされる具体的理由について」です。この点につきましては、三島参考人がそういう発言をしておりますから、この点について他の二会社の方の意見等も含めたものを文書で求めたものでございます。お手元にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/18
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019・村上勇
○国務大臣(村上勇君) あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/19
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020・田中一
○田中一君 第一の問いに答えて、「業者間の工事完成保証人制度は、理想的な指名入札制度においてはその必要がないものであって、請負契約の合理化及び企業経営の健全化の観点から望ましい制度とは思われません。」これに対する建設大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/20
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021・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 私もこの三島氏の意見と全く一致いたしておるといっていいのであります。それはしかしこの指名入札制度というものが理想的なものに現状ではまだなっていないと思います。そういうような意味からこの請負契約の場合に、この工事完成保証人というものが必要でありまして、これは理想的な指名入札制度になってさえおれば、これはまあ全体のほとんど八、九〇%までは理想的なものになっておると思いますけれども、わずかのパーセントまだ全く理想的なものでない。そうしますと、ほんとうの理想的なものにするとすれば、結局業者が非常にしぼられまして、企業意欲に燃えておる残された業者というものは、それからオミットされるということになりますと、そこらに今後日本の業者を育成強化する上に、ただ単に理想的なものというだけに限定するということは、これはどうかと思いますので、まあ現状では、私はこの保証人の負担を適正に軽減して、そうして完成保証人というものをつけておくということが、この事態に即しておるんじゃないか、かように思っておる次第
であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/21
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022・田中一
○田中一君 これは、御承知のように、工事請負契約書にある第三十四条の「保証人は未済工事に対する金額の百分の五を違約金として工事を指定する期間内に納付する」これは解約に対する条項でありますけれども、このように金で解決しようという考え方、これがやはり矛盾ではないかと思うのです。これは前払保証制度の矛盾ですから、前払保証制度というものは、結局工事を完成さすために前払保証制度を設けておるわけでありましょう。それから工事完成保証人も、工事を完成さすための、工事の完成を実現するための保証人であろうと思うのですよ。これは金を出せばそれで解除されるのだということは、これはやはり大目的であるところの工事を完成させようというものから遠いものと思うのです。従って、どこまでも工事を完成させるんだという前提に立たなければならぬと思うのです。この点がはなはだ不十分であろうと思うのです。ことに指名競争入札というものが全面的に行なわれておる、いわゆる機会均等と申しますか、国民はいつでも国との契約が結べるのだという公入札制度をとらないで、このような指名入札制度を採用する以上、指名したという政府の責任が非常に大きいのでございます。それが、あるいは元請であるところの契約者が、これは百分の十、十分の一です。それから保証人が百分の五を罰金として払えば解除できるのだということになりますと、やはり工事の完成ということにはならないのです。こういう点がやっぱり非常に問題であろうと思うのです。自分の指名したという責任を感じないで、ことに金で解決しようという考え方は、これはとっちゃならぬと思うのです。従って、この点については、今後契約約款あるいは契約法というものができた場合には、建設大臣はどういう考え方を持って立とうとしておるか伺っておきます。これは現に政府がやっておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/22
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023・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 今後の契約約款等の改正につきましては今後に譲るといたしまして、現在のこの完成保証人制度という観点から私は判断してみましても、今工事を完成しなければならぬという目的に対しては、完成保証人制度が——これは今田中委員の御意見では、百分の十契約者は投げ出せばいい、完成保証人は百分の五捨てればいい、それで解約はできるのだ——なるほど法的にはそういうことになっておりますけれども、しかし、さてその契約者といいまた完成保証人といい、その法定されておる規則だけで投げ出そうというような現象には従来なっていないのでありまして、少なくともそういうことで投げ出した場合にはその店の信用はほとんど失墜する。要するに、ちょうどいわば破産の宣告を受けたと同じような、世間的にもまた発注者側からもそういうように見られるおそれがありますので、どんなことをしてでもこれを完成しようという意欲は、これは契約者にもなおまた完成保証人にもその意欲は非常に旺盛であります。従いまして、そういうような、私が今申しました精神的な方面の工事完成に対する責任を持つというようなことであっては、法的にはならないのでありますけれども、今まだ契約上のあらゆる改正ができていない今日では、前払金に対する責任も、完成保証人が従来と違って損害をこうむらないで済むというような今回の改正において、保証人は工事完成を従来よりもしやすくなってくるというようなことで、完備したものではありませんけれども、まず、ただいま御指摘になりました工事を完成させるというその目的には、私は従来よりも相当沿ってくるという確信を持っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/23
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024・田中一
○田中一君 請負契約というもの、その請負契約そのものがやっぱり問題があろうと思うのです。これは日本ばかりでなく伝統的ないろいろなよさも悪さもございますが、しかし、今日のような苦しい生活の層が厚くなって参りますと、単なる請負によって、この次お前は使ってやらぬぞというような脅迫めいた言葉に刺激されて、一生懸命、損しても完成しようということは、これはやっぱり資本主義社会の一番悪いところなんですよ。もっと合理化せぬければならぬと思うのです、合理化されねばならぬと思うのです。合理化する方法としてはいろいろございます。たとえば実費生産制度もあればいろいろな問題もあります。ただこういう形の過去の請負制度というものが伝統的にずっときているから、それをやっているのだということだけでは解決つかぬと思うのです。それは何かと申しますと、これはもう私が申し上げるまでもなく、一億円の仕事を八千万円で請けた場合に二千万円というものをどこから生み出すか。かりに業者自身が負担するということになれば、これは負担に応じ切れるものじゃない。その二千万という赤字をどうして埋めるかということは、やっぱりその仕事に、建設工事そのものの質の問題に非常な悪影響がくることはこれは明らかなことであります。
もう一つの問題は、下請あるいは一般技能者を使いますから、これらに対するところの低賃金にいかざるを得ないわけです。これまた自分の親方と言われる元請の会社がつぶれたのでは、自分らは仕事がもらえぬからがまんしようということになります。その元請の下にいる親方は労働者に対する賃金を低めていくということにならざるを得ない。少なくとも国の仕事を完全な姿で完成させようという意欲があるならば、二割でも三割でも赤字があるということであってはならぬと思います。この企業者はいろいろな形の層の仕事をやっておりますから、もうけるものも損するものもある。これは営利企業でありますからそういうことはあり得ると思います。これともうけた仕事の黒字をこれに注ぎこむのだということも、これはあり得ると思います。そういうことではやはり平和な日本の姿にならぬと思います。だから制度の改正にあたっては、約款の問題、工事完成保証人の場合も相当な考慮を払われて、何もわれわれが考えておるようなものに持っていらっしゃいということは無理でありますから、そこまで言いませんけれども、少なくとも自分の働いた能力に対するところの、正当な対価であるところの賃金というものを完全にもらう、という姿こそが望ましいと思います。これは何も社会主義も資本主義もございません、当然のことです。ところが中間にある諸負業者というものはそこまでの切実なものを考えずして、場合によれば小さな業者をたたきつぶすためにダンピングを行なう場合もあります。そのために六万近いといわれる業者のうち看板だけの業者が相当ございます。今は好況でいいけれどもこれは不況時代になったら必ずそれが起きます。やはりそうした不自然な人為的な過当競争というものを避けなければならない。これはいい社会を作り同時にいい仕事を完成させよ
うというならば、契約が元になっていい社会を作り、いい仕事をするということにならざるを得ないと思いますから、これは大臣も一つ十分に、今財政制度審議会で相当検討しておるそうですから、これは官房長が出ているかと聞いておりましたけれども、まあ場合によればあなたの方でその態度をきめて出られると思いますが、一番大きな仕事を発注をしておるところの建設省はその点十分に考えてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/24
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025・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 十分考えて今回の改正を一ついたしまして、今までの片務的な契約を少しでも双務的に前進さしていく一段階であります。従来から申しまして田中先生御指摘のように昔は入札保証金を積ましたり、あるいはまた工事が落札すれば契約保証金を積まして、ずいぶん業者というものは片務契約に泣いたと思うのであります。ところが最近では公営前渡金制度、あるいはまた前渡金に対する保証制度、また完成保証人を置いて、その完成保証人には迷惑をかけないような制度、これから私はようやく今度で、
一段階ある項上をきわめる、中腹までぐらいは請負業者が今までの片務契約から双務契約に近づいてきつつあると思います。しかし御指摘のようにまだまだ相当考えていかなければ、これだけのいわゆる大事な公共事業を遂行せしめる業者に対して、従来より少し毛の生えた程度のあり方では、私どもはまだ何ともわかりませんから、ただいま申しましたような中央建設審議会あるいは財政制度審議会等において十分検討いたしまして、そうしてここにほんとうにいずれにも片寄らない理想的な契約約款を作っていく。そうして今後の公共事業の運営に万遺憾なきを期したい、かように思っておる次第でありまして、御指摘の点は十分私どもこれを今後の努力によって解決して参りたい、かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/25
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026・田中一
○田中一君 最後にもう一点承りますが、この制度は公共事業の前払金保証事業に関する保証会社でありますけれども、この際私はこれはこの会社の保証前渡金と申しますか、そのような基金が創立されれば創立されるほどこれは安全性が保たれるのです。そこで業者に対するこれは保護法なんです。決して発注者に対する保護法じゃございません、実態はですね。そこでどうですか、これを公共事業というものを民間をも含めるものに発展させるということの方が望ましいのではないかと思
います、ここまでくるとですね。御承知のように、この制度ができる以前には国が税金を取るために汲々たるものであって、なかなかそういうことができなかったという点もあって、こういうことができたのでありますけれども、これを民間に及ぼすことの方が一番望ましいのではないかと思う。これ
は民間の場合には、今言う通り一応民間が建設工事をやる場合には、これまたこの法律にきめられた目的と同じように、質のいい品物が契約された期限内にでき上がることが望みであるのですから、民間にこれを及ぼしても一向差しつかえないと思います。かえって企業者に対するところの保護になるのではないかと思うのです。現在のように数十億の工事がたくさんくるような状態になりますと、現在ではもう一流の業者というものは一億円やそこらの仕事はしないのですよ。本当に仕事をしようとしないのですよ。まあ、いんぎん無礼にお断りをしている。また、何か不況のときに困ると思うからまことにいんぎん無私にお断りしている。そうすると二流三流で少しは力がどうだろうとかいうところにもしなければならぬような状態になりますので、これを民間にまで及ぼすということにしたらどうか。民間にまで及ぼすということになるとどういう障害があるか、これはむろん立法の精神からは違いますよ。しかし根本的に関係あるのです。完全な公共事業云々という条件でなくして、建設工事の前払保証金保証事業に関する法律になるわけです。公共事業ですと銀行が貸すのです。大体において銀行がひもつき金融してくれます、一定の限度まで。そのかわり前渡金というものは出来高によって、契約の約款によってくるところの出来高によって支払いは順次銀行が受け取っていけば、銀行はちっとも心配ない。常に出来高と見合いながら金を出していきますから。民間の工事こそかかる保証会社の制度が必要なのではないか、その段階にきたのではないか。かように私は考えるが、その点しゃくし定木でない、法文上の問題でなくして、一つの大臣から御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/26
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027・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 民間の発注者に対しても、また民間の発注による請負に対しましても、私はこの制度は非常に御指摘のように望ましいことと思います。民間の場合には請負契約というものが非常に随意契約になっておりまして、場合によれば特命方式を取ってある特定の業者に特命で出すというようなこともありまして、そういう点とのからみ合いをどういうふうにするかという点の研究を要することもあろうと思いますけれども、やはり民間といっても、たとえば電源開発とかあるいは九電力会社というようなのは、民間とはいいながらやはり政府の財政投融資等によって企業をしておるのだから、こういうような制度を研究して私は適用したならば、むしろ企業の発注者も安心して、また業者も安心してその事業を遂行することができると思います。十分これは研究しまして、そうして各方面とも検討して、そして結論を出してみたいと思っております。時間的に一つ御猶予願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/27
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028・田中一
○田中一君 これは一面この法を作ったときの精神からいうと、公共工事に対してはなるほど継続性ある注文がくるから、けつを割りたくないという気持があるのです。しかし民間の場合には全くその場限りの仕事にならざるをえないところから、公共事業の発注者の前払いを保証するためのいろいろな手数料、基金等を取り上げられて安全を保証しているという形になっておるのですから、それはとてもかなわぬというような空気が公共工事を行なう方の側にあると思うのですが、これは公共工事の側ばかりを言うべきもんじゃないのです、随契工事だってこの保証制度を使ってもよろしいわけです。十分に一つ考えてみて下さい。現在でも保険事業等がございますが、保険会社などももう少し普遍化しなければ、国民全体がその保険制度というもののよさを受けるようなことにならない条件を常に持っているわけです。たとえばバラックの建物等はこれは保険をかけぬとかということになりますと、やはりこの制度というのはほんとうに活用するには民間に及ばなければならないのではないか。そうして基金が少なくとも二百億、五百億というものになりますと、単なる前払いの保証にすぎないのでありますから、安全性が保てて、いい社会の国民的な制度になるというように考えますから御検討を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/28
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029・村上勇
○国務大臣(村上勇君) ただいまのお説のように、これは民間企業といえども業者にとってはたとえ北海道のいなかでも、九州でもどこでもどういう所でも、民間企業でもその仕事を投げ出したということは、これは公共事業にやはり影響してくる、業者としては影響してくるものであります。どこでどういうことをしても、これは全国的にまるで電波に乗ってあの業者はだめだということに折紙をつけられるのでありますから、業者にとっては民間企業だからどうということはないので、全く致命的なものでありますから、従ってこれはほんとうに私どもも十分研究して、そうして何らかの結論を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/29
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030・田中一
○田中一君 従って契約法等を考究する場合に、まあ民法上の単なる契約ということでなくして、こういうものを作らなければならぬというもの、それも野丁場においてものを作らなければならぬという性質のものに、単なる国と国民との間にかわす契約以外に、民間においてもかかるものに対してはかかる契約をしなければならないのだ、というような約款等も検討されなければならないと思うのですよ。少なくとも日本人相互の間におきまして、クレームの問題が起きないように基本的なものが確立されることが望ましい、かように考えますから、この点も一つ御考慮願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/30
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031・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ほかに御質疑ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/31
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032・武内五郎
○武内五郎君 この保証制度の、一般の建設会社が金融に非常に困っておる。ことに金融上における信用というものは最近の経済統計等を見ますといろいろな推測がされるのであります。ことに不渡手形等の件数においては建設業者が非常に多い。そういうようなことで金融上の信用等が非常に私は低いと考えております。従って健全なるこういう制度によるところの金融の確立というものは、絶対必要であると思うのでありますが、従って、東日本、西日本、北海道等の保証会社の実績を見ますと、年々事業数、件数というものは多くなってきておる。非常にいいことだと思うのですが、これが地方の工事等では、府県の工事、町村の工事等においてまだ非常に利用度が低いと思います。これは、そこで地方において業者間で、自然発生的に保証協会というようなものを作っておる。この保証協会はこの本法によって作られておるものですかどうですか。また地方における保証協会等のようなものに対する建設省の考え方、あるいはまた将来どういうふうな、これを育成していくという考えなのか、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/32
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033・鬼丸勝之
○政府委員(鬼丸勝之君) ただいまお話のように、一般の産業の生産設備なりあるいは運転資金等につきましては、都道府県で信用保証事業を行なっておりまして、そのために信用保証協会というものができて運営されておることを承知しております。ただ建設業につきましては、私どもの仄聞いたしておりますところでは、直接この信用保証協会で金融のめんどうを見ておるというケースがほとんどございません。実は建設業審議会等におきましても、この保証制度というものを、今の保証協会の中に建設業の仲間入りをさせたらどうかというような意見もございまするが、それよりも、実は前払保証事業会社におきまして金融保証の業務をやっておりまして、私どもといたしましては、前払保証事業会社の、この工事金融保証を大いに活用していただくように、業界にも呼びかけております。この金融保証の実績もこれは工事金融保証と建設機械金融保証と二通りございまするが、年々ふえてきておりまして、まあ最近では工事金融保証が一億二千三百八十五万、建設機械金融保証が千百四十万、これはまだ微々たるものでございますが、こういうような実績を示しております。そこで、保証事業会社に対しても、また一般業界にはもちろんでございますが、この制度をさらに活用されるように今後一そうの指導に努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/33
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034・武内五郎
○武内五郎君 こういうことは御存じですか。工事を請け負ってくる、それで契約が成立する、建設業者がこれを金融会社またはその他の金融機関に持っていって債権を譲渡する、そうして、これははなはだどうもおかしい点もあるのですが、そういうことが地方で相当多数やられておるのじゃないかと思うのですが、そういうことについて、私は金融事業等の関係が少しおかしいと思うのですが、これはどういうふうになるかお話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/34
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035・村上勇
○国務大臣(村上勇君) 準備のできないために、その契約書を持って銀行の窓口をたたいて、そうして銀行からそのいわゆる工事金を銀行が受け取るようにして金を借りるということは、しばしば地方においては、地方と申しますか、小さな業者で行なわれております。しかし、これしも必ずしも銀行は、その契約書を持っていったから右左に金を貸すということにはなっていないようでございます。やはりそこにいささかの信用ということを加味して、その上で融資をしておるように私は聞き及んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/35
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036・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ほかに御発言もないようでございますから、質疑は終了したものと認め、これより本案の討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/36
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037・田上松衞
○田上松衞君 民主社会党を代表して、やむなく賛成するという意向を明らかにして申し述べます。
ちょっと大きなことを言うようですけれども、世界付勢の激変、これに伴って国内の政治、経済、文化等の面でも当然に変動を控えておるわけでございまして、議会政治についても、特に国民が今日は真剣に注目と監視を厳粛にしておるところです。こうした今日の情勢下で、全国民のひとしく念願しておるものは、やはり民主主義の基盤の上に生まれる国民の公共の福祉のことである、これは今さら言うまでもないことだと思うわけです。そうした雰囲気の中で、特に公共事業工事、すなわち国民の負担に伴う工事等に関して、国民が期待と要望を寄せている最大のものは、工事の完全な施行ということだろうと思う。内容的には先般質疑の中でも私意見を申し上げましたように、工事完成期間と、工事計画内容の完全実施だ、これは異論がないと思うのです。本案の件名だけが世上に公表されたときに、少なくとも識者の間で期待しておったものは、今申し上げたような点から、何か公共事業の施行に関しての根本的な改革がここから生まれ出るのじゃないかということであったのですが、案外出て参りましたものは、こうした国民の要望とは遠く離れてしまった、何も根本的には触れていないところの、むしろ言い過ぎかもしれないが枝葉末節にすぎない。ただ前払い金の求償手続、これだけの問題なので、こういうことを知ってしまった国民が、むしろ落胆失望しているというのが私は真相だというのです。このことは、今さら言うまでもなく、この本案とは必ずしも直接的に関係はない事柄であるけれども、しかし、こうした法案を生み出す前の母体というものは、根本的な政策であるから、このことについては特に一つ今後十分の関心を持っていただいて、何らかの対策を要望しておきたいと考えます。
ところで、この本案に関してですが、むしろ、しばしばこの中でも議論が出ましたように、受け身に立つところの保証事業会社等の意見といたしましても、この必要を認めていないという今の制度、建設大臣も全く同感だという意見まで出たほどです。私は、やはり露骨に言ってしまうと、むしろこんなものは不要だ、見ようによるならば、改革しなければならない大きな問題が背後にありながら、なまじっかこういうところをいじくってしまっていっては、かえって大きな問題を解決する前に何か障害を与えはしないか、何か一つのくさびを打ったような格好になりはしないかというようなところまで心配される面すら、実はあると思うのです。しかし、これはいろいろ見解が違う点がございまするから、今この揚では論議はよしますけれども、ただしかしこれをやっていくと、よかれあしかれ今までの行き方と比べてみますと、まあ、それと比較すれば一歩前進だろう、またこの程度で賛成せざるを得ない。そこで賛成いたしまするが、こいねがわくは、どうぞ一つ、こういうことで政府にお願いしておきたいことは、保証会社についても十分一つ監視あるいは指導ないしは監督、強過ぎるかもしれないがそういうものを厳重にされまして、国民の要望する点に少しでもこたえるような工合にしていただきたい。特にこのことを強くお願い申し上げまして、本案に賛成いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/37
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038・田中一
○田中一君 日本社会党を代表して、本改正法案が、本法が実在するという前提で、少なくとも前進であるから賛成するわけであります。しかし、この背後にある基本的な契約法が、単に民法上の通念と申しますか、それから会計法で扱われている点は不十分であるというように考えます。参議院の建設委員会は、かつて再三にわたって契約約款の確立、むろんこれは国と国民との間における建設工事の契約の面、あるいは民間相互の契約等が、常に双務的でなくちゃならぬということを主張してきているわけであります。審議の過程において、建設大臣並びに大蔵大臣も、双務的な新しい構想のもとに、契約法を作りたいというような意欲を示しておりますから、どうかその点については、単なる伝統にとらわれることなくして、今日の世相に合った、そうして働く者がむだ働きにならぬ、生活が困らないというような形の契約法を作っていただきたい。ことに工事完成保証人等の存在が、この本法の中に初めておどり出て参りました。これはむろん建設業法によるところのもの、それから契約は双方において確認された存在であるのでありますから、これらの問題がかつての当委員会の参考人等の意見にも徴して、是非の問題等をも十分に検討されて、国民と国との間に、双方に何ら過不足のない権利と義務を履行し、民主的な建設工事が行なわれるような措置をとっていただくということを条件として、本案に賛成するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/38
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039・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) ほかに御発言がなければ討論は終結したものと認め、これより本案の採決を行ないます。
公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手をお願いします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/39
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040・岩沢忠恭
○委員長(岩沢忠恭君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書につきましては、委員長に御一任を願います。
それでは本日はこれをもって散会いたします。
午前十一時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103414149X03019600519/40
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