1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年六月九日(木曜日)
午前十一時二十九分開会
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委員の異動
五月二十日委員安部清美君、平井太郎
君、野本品吉君、北畠教真君及び鍋島
直紹君辞任につき、その補欠として植
竹春彦君、西田隆男君、宮澤喜一君、
泉山三六君及び前田佳都男君を議長に
おいて指名した。
五月二十四日委員武藤常介君辞任につ
き、その補欠として後藤義隆君を議長
において指名した。
五月二十六日議長において野上進君を
委員に指名した。
五月二十八日委員後藤義隆君辞任につ
き、その補欠として秋山俊一郎君を議
長において指名した。
五月三十日委員秋山俊一郎君辞任につ
き、その補欠として後藤義隆君を議長
において指名した。
本日委員植竹春彦君、前田佳都男君、
西田隆男君、野上進君、宮澤喜一君、
泉山三六君、大野木秀次郎君及び林田
正治君辞任につき、その補欠として北
畠教真君、梶原茂嘉君、上原正吉君、
近藤鶴代君、鍋島直紹君、佐野廣君、
西田信一君及び大谷瑩潤君を議長にお
いて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 大川 光三君
理事
井川 伊平君
後藤 義隆君
委員
上原 正吉君
大野木秀次郎君
梶原 茂嘉君
北畠 教真君
近藤 鶴代君
佐野 廣君
鍋島 直紹君
西田 信一君
林田 正治君
国務大臣
法 務 大 臣 井野 碩哉君
政府委員
法務大臣官房司
法法制調査部長 津田 實君
最高裁判所長官代理者
事 務 総 長 石田 和外君
人 事 局 長 守田 直君
総務局総務課長 長井 澄君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠互選の件
○裁判官の災害補償に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/0
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001・大川光三
○委員長(大川光三君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告申し上げます。
五月二十日付、安部清美君、平井太郎君、野本品吉君、北畠教真君、鍋島直紹君、以上辞任、植竹春彦君、西田隆男君、宮澤喜一君、泉山三六君、前田佳都男君、以上選任。
五月二十四日付、武藤常介君辞任、後藤義隆君選任。
五月二十六日付、野上進君が選任されました。
五月二十八日付、後藤義隆君辞任、秋山俊一郎君選任。
五月三十日付、秋山俊一郎君辞任、後藤義隆君選任。
本日付、植竹春彦君、前田佳都男君、西田隆男君、野上進君辞任、北畠教真君、梶原茂嘉君、上原正吉君、近藤鶴代君選任。
以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/1
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002・大川光三
○委員長(大川光三君) 次に理事の補欠互選を行ないます。
ただいま申し上げました通り、後藤理事が一時委員を辞任されたため、理事に一名の欠員を生じておりますので、この際、理事の補欠互選を行ないたいと存じますが、その方法は、慣例により、その指名を委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/2
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003・大川光三
○委員長(大川光三君) 異議ないと認めます。
それでは私より後藤義隆君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/3
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004・大川光三
○委員長(大川光三君) なお、議題の審査に入るに先立ち、このたび最高裁判所事務総長に就任されました石田和外君を御紹介申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/4
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005・石田和外
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 一言ごあいさつさしていただきます。
ただいま委員長から御紹介下さいましたように、先般最高裁判所の事務総長に新規任命を受けました石田でございます。
司法行政運営の面からいたしまして、裁判所の強化、司法権の擁護ということに微力を尽くしていきたいと念願いたしておるものでございます。申すまでもなく、司法の使命は、究極するところ法秩序の確立、基本的人権の擁護ということにあろうかと思います。司法は、立法、行政と並んで民主政治の維持運営のために必要欠くべからざるものでございましていささかでも裁判所が弱体化するようなことがあってはならぬと存じております。それにもかかわらず、従来ややもいたしますと、国民一般の方々からうとんぜられ、軽ろんぜられるような傾向がないでもないと思いますが、これは事柄の性質にもよることかと思いますが、従来裁判所側も、いわゆるPRが不足しておったことにも帰着すると思うのでございます。幸い当法務委員会におきましては、伝統的に司法制度、裁判制度のことをよく御理解下さいまして超党派的に裁判所を御支持願っておるわけでございまして、このことは深くありがたく存じておる次第でございます。何分新米のことで不慣れでございますが、一つよろしくお願いをいたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/5
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006・大川光三
○委員長(大川光三君) それではこれより裁判官の災害補償に関する法律案を議題に供します。
御質疑のある方は御発言を願います。
なお、当局として裁判所から石田事務総長、守田人事局長、長井総務局総務課長、法務省から津田司法法制調査部長が出席されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/6
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007・井川伊平
○井川伊平君 私から簡単に御質問を申し上げますので、どなたかおわかりの方から御答弁を願いたいと思います。
従来公務上の災害の補償について、労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給与の応急措置に関する法律の適用を受ける裁判官及び特別職職員と、それから国家公務員災害補償法の適用を受ける一般職の職員とは、補償の取り扱いについてどういうような具体的な相違があったものか、この点につきまして承りたいと存じます。
なお、過去における裁判官に対する公務災害補償実施の例についてあわせて具体的に説明を承れば幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/7
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008・津田實
○政府委員(津田實君) 従来の裁判官につきましての公務災害補償と、一般職の国家公務員に対する災害補償等につきましては、大筋においてはそれほどの相違はないのでございますけれども、こまかい点におきましては若干の相違がございまして簡単に申し上げますと、たとえば障害の補償につきましては、一般職の国家公務員につきましては、六年間の分割給与支給というものがあり得たわけでありますが、裁判官につきましては、一時金の支給ということのみが行なわれておるというようなこと、あるいは遺族補償につきましても、裁判官は、一時金を支給されるに対しまして、一般の国家公務員は、一時金または六年分の分割支給が受けられる。あるいはその遺族の受ける者の順位に多少異同があるというような相違がございますし、また福祉施設につきましては、裁判官関係についてはなかったわけでありますが、一般職の国家公務員につきましては、施設するように努力をしなければならぬというような規定があります。あるいは義肢、義眼、補聴器等の補装具につきましても、裁判官についてはこれを支給することができなかったのですが、一般の国家公務員にはそれが支給される。あるいは災害補償についての審査請求につきまして、一般の国家公務員には特別な規定がありましたが、裁判官についてはこれがなかったというような点が相違があったわけであります。でありますが、今申し上げましたように、一時金にいたしましても、それが分割払いにされないというだけの違いであったのと、それから福祉施設につきまして若干の違いがあったというような、比較的些少な点の相違でありましたので、現在までそのような状況が続いて参っておったわけでございます。
なお、御質問にございました裁判官に対する補償の具体例につきましては、最高裁判所の方からお答え願った方がよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/8
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009・守田直
○最高裁判所長官代理者(守田直君) それでは私から裁判官の公務災害補償の運用実績について御説明申し上げます。
今まで裁判官に対しまして、遺族補償その他の公務災害補償を認定支給した例は三件ございます。まず昭和二十九年三月の五日でございますが、福岡地方裁判所八女支部の判事松藤正憲という判事がおられましたが、その判事は法廷審理終了後、判事室におきまして判決原稿を執筆中、過労のために脳溢血を起こしまして死亡したという件でございます。この判事に対しましては、遺族補償及び葬祭補償合計二百四十六万八千七百四十円を支給しております。
それから次に、同年九月二十六日に札幌高等裁判所判事笠井寅雄という人がありましたが、その判事が最高裁判所へ出張の命令を受けて出張の途上、御承知のごときあの青函連絡船洞爺丸の海難事故によりまして死亡いたしました。この判事に対する補償は、遺族補償及び葬祭補償でございまして、合計いたしまして二百三十五万八千八百二十円を支給しております。
それから次に、昭和三十年七月一日、東京地方裁判所判事山本実一の件でございますが、これは建物明け渡し請求訴訟事件におきまして、係争家屋の検証中、建物がくさっておりましたために、二階露台とともに転落いたしまして、右の脇及び右の下腿部に負傷したという事故でございます。この判事には療養補償として千二百六十円が支給されております。
裁判官に対する公務災害補償は、以上の三件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/9
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010・井川伊平
○井川伊平君 別なことでございますが、改正後の労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給与の応急措置法の適用を受ける司法官関係職員が、この法律が通過した後においてもありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/10
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011・津田實
○政府委員(津田實君) ただいまのお尋ねの点でございますが、ごく狭い範囲に若干の適用がございます。すなわち認証官である裁判官、つまり高等裁判所長官以上の裁判官及び裁判官の秘書官につきまして、その非常払いをいたすという、応急の給与の非常払いという場合があり得るわけでございます。たとえば疾病でありますとか、災害でありますとか、その場合には、この法律の規定が適用されるということになりますわけでございます。ほとんど例のないことであろうと思いますが、理論上はその点だけ適用されるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/11
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012・井川伊平
○井川伊平君 福祉施設関係につきましてお伺いいたしますが、公務上災害を受けた職員の福祉に関して、人事院及び実施機関は必要な施設をするよう努めねばならず、「外科後処置」、「休養又は療養」、「職業再教育」は、人事院または実施機関の施設または指定する施設において行なうことになっておりますが、人事院または実施機関、指定する施設は、具体的にはいかなる機構において運営されるのであるか。
それから第二点といたしましては、公務災害を受けた裁判官の福祉施設については、一般職の国家公務員の例によることとなるが、具体的取り扱いにおいて、現状より不利になることはないかどうか、改正後の具体的取り扱いについて、一般職の職員の災害福祉施設の現状との関係からも説明を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/12
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013・津田實
○政府委員(津田實君) この国家公務員の災害補償に関しましての福祉施設でありますが、ただいまお示しの外科後処置でありますとか、休養あるいは療養に関する施設、職業再教育の施設、あるいは義肢、義眼、補聴器等の補装具の支給に関する施設、こういうようなことが考えられるのでございます。現在一般職の国家公務員につきましては、人事院におきまして労災病院を外科後処置に関する施設等に指定いたしておりますし、それから都道府県のそれぞれの施設を指定いたしまして福祉施設といたしておるわけでございます。従いまして、労働者災害の場合と実質においては相違がないわけであります。今回裁判官の災害補償につきましても、一般職の国家公務員の例によることになるわけでございます。従いまして、「例による。」というのは、すべての点において一般職の国家公務員の関係事項が準用されるということになるわけでございます。そこでこの法律成立の暁におきまして新たに裁判官の災害補償に関する法律によりまして、福祉施設として外科後処置に関する施設あるいはその他の施設を、人事院の場合と同様に指定すれば可能なわけになります。その具体的指定につきましては、いずれ最高裁判所の方でおきめになると思いますが、そういう道が開かれるということによりまして新たに裁判官について福祉施設が設けられると、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/13
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014・井川伊平
○井川伊平君 最後にもう一点伺いますが、産業労働者の業務災害に対する保険施設に比べまして、国家公務員の公務災害福祉施設の運営の実情等は不十分でないかどうか、両者を比較してのお話を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/14
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015・津田實
○政府委員(津田實君) ただいまのお尋ねの点でございますが、この国家公務員災害補償法によりましての福祉施設の指定、先ほど申し上げましたように、裁判官の場合も同様になるであろうと思われるわけでありますが、その指定は、なるほど独立の病院を作るとか、あるいは独立の施設を設けるというようなことはいたしておりませんが、これはやはり全体の災害による数の問題でございますので、やはり地方に分散せしめるとか、そういうような観点からと同時に、こまかい施設を分立させますよりも、大きな施設にまとめる方が福祉を向上せしめるゆえんであるというような観点等から、国家公務員につきましては一般の労災病院を指定したり、あるいは都道府県の施設を指定するという形が行なわれているわけでございます。従いまして、そういう施設によりまして行なわれる——つまり福祉を享受する意味におきましては、これはもう一般の労働者の場合と全く同じでございます。それからその他の災害補償につきましては、全く一般の労働者の場合と同じであったわけでありますが、今回は、さらに国家公務員の方が若干有利にされるというようなことになりましたので、従って裁判官も一般労働者と同じということでなくて、有利にする必要があるということで、今回の新しい立法が裁判官について出される、こういうことになりましたわけであります。いずれにおきましても、一般の労働者の方々より不利益になるということはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/15
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016・井川伊平
○井川伊平君 ただいまの一般の産業労働者よりも有利な点があるというそれを、具体的におっしゃっていただきたい。あまりこまかくなくてもよろしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/16
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017・津田實
○政府委員(津田實君) 非常に問題はこまかくなるわけでございますが、今度の国家公務員の災害補償におきましては、障害補償につきまして一種、二種というふうに分けられまして、第一種の障害につきましては、障害の残存期間中、年に何百日分、こういうふうな支払いがなされるわけであります。と同時に、今度は従来ございました療養補償を受けておって三年間経過して治療不治癒というような場合に、打ち切り補償が行なわれておったのでありますが、それらがやめになるというような改正が今回行なわれたわけであります。ところが、労働者災害補償におきましても、今の点はほぼ同じであるわけでございますが、この労働者災害補償におきましては、長期傷病者給付等の規定が新たに設けられまして、傷病者については障害給付、遺族給付というようなことが行なわれることになったわけであります。しかしながら、公務員の方はその必要がありませんで、まるまる給与を受け得るというようなことになるわけなんでございまして、一般の場合に比しまして公務員の方が少しよくなるということが考えられるわけであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/17
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018・大川光三
○委員長(大川光三君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。
本日付、宮澤喜一君、泉山三六君、大野木秀次郎君辞任、鍋島直紹君、佐野廣君、西田信一君、各選任。
以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/18
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019・大川光三
○委員長(大川光三君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/19
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020・大川光三
○委員長(大川光三君) 異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/20
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021・大川光三
○委員長(大川光三君) 異議ないと認めます。
これより採決に入ります。
裁判官の災害補償に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/21
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022・大川光三
○委員長(大川光三君) 全会一致でございます。よって裁判官の災害補償に関する法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/22
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023・大川光三
○委員長(大川光三君) 異議ないと認め、さよう決定いたしました。
以上をもって本日の審議は終了いたしました。
次回の委員会は、追って公報をもって御通知いたします。
本日は、これをもって委員会を散会いたします。
午前十一時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415206X02219600609/23
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