1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月十二日(金曜日)
午後零時八分開議
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議事日程 第六号
昭和三十五年二月十二日
午前十時開議
第一 農地被買収者問題調査会設置法案(趣旨説明)
第二 土地区画整理法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/0
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/2
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003・阿部竹松
○阿部竹松君 この際、私は、夕張炭鉱爆発について緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/3
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004・田中茂穂
○田中茂穂君 私は、ただいまの阿部君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/4
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005・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 阿部君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/5
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006・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。阿部竹松君。
〔阿部竹松君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/6
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007・阿部竹松
○阿部竹松君 私は日本社会党を代表いたしまして最近頻発しております、炭鉱災害、特にガス爆発について、その原因と対策と、それに対する政府の所信をたださんとするものであります。
最近のガス爆発の発生は、御承知の通り、枚挙にいとまがないほど続発しておりまして、近年の一例を取り上げてみましても、茂尻炭鉱で一瞬にして六十名が犠牲者となり、あるいは太平洋炭鉱の三十九名とか、あるいはまた、大夕張炭鉱の六名、三井田川炭鉱の十二名、住友赤平炭鉱の十八名、あるいは明治赤池炭鉱の十七名というように、次から次へと大きな犠牲者が出ておるわけであります。最近におきまして最も悲惨でございました北炭清水沢炭鉱の坑内火災では、当時の毎日新聞に、「坑員二名むし焼き」「延焼防止に坑口密閉」と、この事実をありのままに報道しておるわけであります。これは火災が発生した当時に行方不明になりました坑員の救出も行なわず、坑口を密閉したからでございまして、その後、北大の医学部におきまして解剖したところが、密閉当時はまだその坑員が生存しておったということがあとで判明した次第であります。このようなニュースが毎日のごとく新聞に報道されておるわけですが、岸総理大臣はお読みになっておられますか。もちろん、外電の報ずるところによりますると、岸首相は、日本の新聞はスポーツ欄以外読みませんということでございまするから、御承知ないかもしれませんが、もしこういう事情を新聞紙上で御承知ならば、その対策をお尋ねしたいわけであります。
また、さらに、ごく近々の例をとってみましても、住友歌志内炭鉱で死傷者十八名を出し、あるいは日炭二島のガス爆発で死傷者八名、田丸炭鉱のガス爆発で死傷者四名、明治上芦別炭鉱の爆発で重軽傷者十六名、三井山野炭鉱のガス爆発で三十一名、三菱新入炭鉱のガス爆発で死傷者四十三名、このように、次から次へと爆発事故が起きております。このさなかに、北炭の空知鉱のガス爆発で死亡五名という災害を出したと同時に、今回、参議院の商工委員会あるいはまた、社会労働委員会より調査巡遣されましたところの北海道炭礦汽船夕張鉱業所の災害は、まことに目をおおうものがございまして、死傷者四十四名中、実に四十名の死亡者を出しました。その中の行方不明者四名がまだ坑内におきまして生死不明のそのさなかに、坑内に水を入れなければならぬという事態でございます。本月四日の西日本新聞の記事を引用するならば、「遺族たちは悲しみのふちに突き落とされ、いたいけな子供たちは、呼べども帰らぬ父親の姿を求め、冬空に向かって泣き叫んでいる。坑内に注水するにあたって、生きていたらどうする、見殺しではないか、注水は早過ぎると泣き伏す家族たちの悲痛な声を押えて、四名の行方不明者を坑内に残したまま、冷酷にも坑内に注水を開始した」と報道しておるのでありまするが、私も、夕張炭鉱に巡遣された調査団の一人といたしまして、この新聞の報告は全くその通りであって、事実そのまま伝えているということを確認せざるを得ないような悲惨な状態であったわけであります。
総理は、口を開きますと、法治国の法の尊厳さを説き、あるいは順法精神の徹底を説くわけでありますが、あなたが総理である現政府は、まことに法律を守っているかどうかということをお尋ねしたいわけであります。ほんとうに岸さんの政府がおっしゃる通り、法律を守っているのでございましたならば、炭鉱には鉱山保安法がありまするし、あるいは保安規則がございまするので、ガスの爆発するところには作業もございませんし、人間もおらないことになっているのでございまするから、当然、事故が起きないはずになっておりまするけれども、これは法の欠陥の示すところが、あるいは法律を守らない結果か、こういう点について総理の御見解を承っておきたいわけであります。
特に、欽定憲法が今日の平和憲法となって、日本の憲法が変わった、この根源となった帝国憲法と異なる最大の特色は、基本的人権の尊重をその柱としていることであります。ところが、このように災害の発生を続ける炭鉱には、人命の尊重さが全然ないわけであります。すると、この炭鉱には日本国憲法が適用されていないのかどうかという疑問を持つわけでありまするが、岸さんのお考えをお尋ねしたいわけであります。
また、前通商産業大臣でございました高碕達之助さんは、鉱業法の改正を行なって鉱区の整理統合を行なうと同時に、この姉妹法である鉱山保安法の改正を行ない、石炭企業の安定化をはかり、職場の安全を期したい旨の意図を持っておられたのでありますが、岸総理は、現在いかなる心境であるかとお尋ねしたいわけであります。石炭企業の盛衰にも災害がつきまとっておる今日におきましては、不況になると保安設備が等閑視されるという実態でございまして、根本的なメスを鉱業法に入れ、もって災害の要因を取り除く意思は岸さんにないかどうか、お尋ねいたします。
次に、岸総理は、昭和十六年十月から十八年十月まで商工大臣をやっておられたわけでありますが、東条内閣で戦争遂行のため戦時経済をその掌中に握り、飛ぶ鳥も落とすほどの勢いを示しておったわけであります。その当時、聖戦遂行という美名のもとに、岸商工大臣の企画による経済政策によって炭鉱労働者は奴隷のごとく酷使されたのであります。念のために当時の犠牲者の数字を拾ってみますと、昭和十六年、炭鉱労働者の死傷者数は実に八万五千百四十三名、昭和十七年、八万六千二百二十六名、昭和十八年、九万三千四百八名、岸内閣総理大臣が商工大臣だった三年間に、合わせて二十六万四千七百七十七名と、実に驚くべき数字の炭鉱従業員が犠牲となっておるわけでございます。鬼畜米英撃つべしと、こういうことで日本国民を指導した岸さんが、現在、位人臣をきわめる総理のいすについて長期政権を唱えておるわけですが、一方、ただいま読み上げました通り、炭鉱労働者は、東洋平和を守るという当時の岸さんの方針に従って、北の果てアッツ島から南十字星下の南海に、もくずと化した幾百万の将兵とともに、万斛の恨みを抱いて地下に眠っているわけであります。私は当時の岸さんを責めようと思いません。しかしながら、現在の状態をこのままでいいかどうかということについて岸さんにお尋ねしたいわけであります。岸さんは、絶対多数の上にあぐらをかいて、このままの姿で放任する気持かもしれませんが、岸さんの所属しておられる自民党の多くの同僚議員の中にも、これはまことに気の毒であって、何らかの方途を講じなければならないと、きわめて適切な助言を下さる自民党の同僚議員もあるわけであります。岸さん、このような現状認識から、あなたはこの災害絶滅のため、諸法規の改正と、あるいはまた労働基準局のごとくに炭鉱保安確保のための諸機関は、労働者のサービス・センターである労働省に移行してはどうかと思うわけでございまするが、この点の御見解を承りたいわけであります。
次に、池田通産大臣にお尋ねいたしますが、日本の石炭資本家は、炭鉱には災害はつきものであると言っております。しかしながら、諸外国の例を簡単に申し上げてみますると、たとえば、ソビエトのドンバス炭田にある労働者千五百三名のプロレタールスカヤ・グルボーカヤ炭鉱では、昭和三十年四月から三十一年十二月までの二十一ヵ月の間に、災害によって負傷したのはわずかに軽傷二十二人のみで、死亡重傷などの犠牲者はただの一人もございません。またお隣の中国ではどうかと申しますと、これは台湾ではなく中華人民共和国の話でございますが、昭和三十年における出炭百万トン当たりの死亡と重傷者数は六・五二名でございますが、ところが、日本は五三九・八名で、驚くなかれ中国の百倍近い犠牲者を出し、石炭資本家のいけにえとなっておるわけであります。ついでに資本主義諸国の例を若干申し上げてみますると、昭和三十年における出炭百万トン当たりの死亡率は、日本は
一五・七名と非常に高い数字を示しておりますが、西ドイツでは四・八一名で日本の三分の一、フランスでは二・六三名で日本の六分の一、イギリスでは一・九六名で日本の八分の一、岸総理の最もお好きなアメリカでは〇・八五名でございまするから、日本の約二十分の一という低い率を示しておるわけでございまして、これほど日本の数字が高いということは、日本の石炭資本家ほど、より多くの労働者の血を利潤追求の犠牲としておるものはほかにないことを証明しているわけであります。諸外国の二十倍から百倍近い死傷者を出し、近時特に大手炭鉱ではガス爆発が続出し、多数の犠牲者を出している実態を無視し、監督行政の基盤となる鉱山保安関係の本年度の予算案は、昨年度に比し、中小炭鉱の保安指導費を若干増額したのみで、重大な社会問題となっている大手炭鉱のガス爆発防止のための対策費は全然増額されておりませんで、ただ続出する炭鉱ガス爆発を傍観しておるのみであるかどうかということを、池田通産大臣にお尋ねしたいわけであります。
また、昭和二十八年、二十九年の石炭業界不況のときに、災害が多く発生したわけでございまするが、今回も大災害が続出しておるその原因は、企業合理化という美しい名前で生産のコストを引き下げる、そのために保安施設に全然経費をかけない、お金をかけない。同時に、三井三池炭鉱のように、首切りをしなければならない、最後にロックアウトという手段をとってくるわけでありますが、災害の質あるいは量においても、次に申し上げるように、合理化と災害の数字が統計にはっきりとこれを証明しているわけであります。すなわち、炭鉱災害のうち最も悲惨な労働者の死亡数が、昭和二十七年、二十八年、この不況当時、六百七十九名が六百九十六名になり、二十九年は七百九名と、逐次高率を示しておるわけでございまして、このような災害を起こしロックアウトまでして合理化しなければならない理由とその対策を、通商産業大臣にお尋ねしたいわけであります。
最後に通産大臣にお尋ねすることは、保安協議会というのがございまして、労使双方からそれぞれ協議会の委員を出しておりますが、一年に一ぺんも開かないという実情でございますので、保安協議会について通産大臣の見解を承っておきたいと思います。
さらに、松野労働大臣にお尋ねいたしますが、鉱山保安法第五十四条によりますと、「労働大臣は、鉱山における危害の防止に関し、通商産業大臣に勧告することができる。」と規定してございます。松野労働大臣は、今回の夕張炭鉱のガス爆発の問題につきまして、未然に、炭鉱労働者の生命をその危害から防止するために、通商産業大臣に対し、法に基づき勧告したことがあるかどうかということをお尋ねしたいわけであります。もし勧告したことがあれば、具体的にどのような方法を講じられたか、松野労働大臣にお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/7
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008・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 最近、炭鉱におきましてガス爆発の事故が頻発いたしておりまして、それに際して多数の犠牲者が出ておりますことは、まことに遺憾でありますし、また、その犠牲者の遺家族等の立場に対しましては心から同情をいたすものであります。これらのガス爆発の原因につきましては、それぞれあらゆる方面からこれを詳細に検討いたしまして、将来かかることの繰り返さないように対策を十分考えていく必要があると思います。従来といえども、御承知のように、鉱山保安法によりまして、そういうガスの多い山等につきましては、設備の上から、あるいは採掘の技術の面から、またこれに関与するところの人々の保安に対する認識を高めていくというような、いろいろな措置をとってきております。しかし、言うまでもなく、こういうものは、他の天災、不可抗力と違って、私は、科学技術の発達とともに、これに対して有効なる技術的な面やあるいは施設の面等において、さらに一段と検討を加えて、こういうものの再発を防止しなければならぬ、かように考えております。もちろん、こういう災害が、鉱山におきまして特別でありますが、さらに産業界一般におきまして、産業の発達とともにいろいろな産業上の災害がございますので、鉱山の災害を含めて、そういうものに対する対策を立てるために、内閣に各方面の有識者や経験者あるいはそれに関連を持った人々を集めまして審議し、対策を考究いたしておりますのも、そういうことを未然に防ぎたいという考えにほかならないのであります。
鉱業法の改正の問題について御質問でございましたが、これは改正について調査審議するための機関を通産省に設けておりまして、鉱業法のみならず、鉱業法に関連して鉱山保安法の問題も検討いたしまして、適切な方途を講じたい、かように思っております。
鉱山保安法を労働省に移管すべきではないかという御議論でございます。生産の面を監督することとその生産に従事しておる労働の面の所管とを別にすることがいいじゃないかという御議論だろうと思いますが、その点は一応私も理由があると思います。ただ、御承知のように、鉱山の問題は、鉱山におけるところの設備やあるいは作業と
いうものと、鉱山保安の労働上の問題とが、特別な密接な関係にございます
ので、鉱山保安法を通産省の所管にしております。しかしながら、労働者に対する処置につきましては、おあげになりましたような条文において、労働大臣が勧告をしていく、十分な連絡をとって労働者の福祉なりあるいは労働条件の改善、危険の防止等については処置するという法律になっておりまして、十分にその連絡をとっていくことにおいて一応目的を達するのではないか、かように考えております。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/8
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009・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
昨年末から今月初めにかけまして大炭鉱の爆発が三回も起こったことは、まことに遺憾に存じておるのであります。これが原因の調査につきましては、山野、新入並びに夕張につきましても十分調査をいたしておりまするが、お話のように、水を入れたり密閉いたしております関係上、まだ原因が十分にわかっていないことは遺憾でございます。ことに、お話のように、まだ生存者が生存しておられると考えられる場合に水を入れたことはまことに遺憾でございまするが、これは火の勢いとか、あるいはガスの量によりまして、保安管理者の判断でやることで、やむを得なかった措置かとも思います。いずれにいたしましても、今後こういうことが起こらないようにするのがわれわれの務めでございます。
お話のように、外国に比べまして非常に炭鉱の犠牲者は多うございます。戦後毎年減っては参りましたが、まだ昨年におきましても五百七十四人という死者を出している。こういうことはどうしても早く除かなければならぬ。私は鉱山保安につきまして十分努力を続けていきたいと思います。
まず第一に、私は、お話のように、鉱山監督官、これは昨年度増員をし、旅費もいただいたのでありまするが、この鉱山監督官の機能をもっと発揮させたい。また、保安指導員等も増員させたい。そうして生産管理機構と保安管理機構、これを一つの手でやっているのでございまするが、何とかこれを合理化して保安の万全を期したいというふうに考えております。また、技術的に見ましても、資源技術試験所を拡充いたしまして、早期に危険を発見するとか、あるいは可燃性ガスの発生状況を自動的に見てやるとか、いろいろな技術の研究によりまして予防措置を講じていきたいと思います。
なお、この合理化の問題でございますが、合理化は即保安と、つきものでございまして、保安を考えずに炭鉱の合理化ということはあり得ない。私は、合理化は保安を主にしていくべきだ、また生産計画というものがやっぱり保安計画と一体をなさなければ炭鉱の運営はできないと思います。従いまして今後、保安協議会、これは年に一回しか開いていないのでございまするが、できるだけこれを開きますと同時に、いわゆる経営者に対しまして常に注意を怠らぬようにいたしたいと思っております。今回の夕張の炭鉱につきましても、一月十九日に通産省並びに札幌鉱山監督局は、切羽のガスの発生が非常に多いようだから注意を要するという警告は発しております。しかし、今回の原因が切羽のガスに基づくものか、あるいは上の方の炭塵によるか、これは、はっきりいたしません。いずれにいたしましても、今後一そう注意を経営者その他に喚起いたしまして、できるだけ危険を少なくするよう努力していきたいと考えております。
なお、労働省からの勧告によりまして、ガスを抜くこともどんどん進めております。今でも、三十の鉱山事業所におきまして、一年に千五百億立米のガスを抜きまして、暖房、発電用のボイラーに使うとか、あるいは都市ガス、あるいはアンモニア・ガス等に炭鉱から抜いたガスを利用してやっておる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣松野頼三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/9
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010・松野頼三
○国務大臣(松野頼三君) 最近人命に対する甚大な産業災害が続発いたしまして、これは確かに、労働省といたしましても政府といたしましても、最も今後の取締法規に警戒を要する、注意をしなければならないことだと考えます。ことに、災害を受けられた方々にとりましては、これは言葉で表わせないお気の毒なことだと、こう考えて、心から今回の災害というものについては、より以上政府としては注意をすべきものだと真に考えております。
なお、御質問の勧告につきましては、昭和三十一年に労働基準局長から保安局長に、これは勧告権がございますので勧告をいたしました。内容につきましては、ガス爆発、自然発火等の危険性を内蔵する石炭鉱山に特に重点を置いて監督指導を実施すること、鉱山保安法違反については常に厳重な措置を講じ、特に悪質重大な違反行為に対しては係員の解任を命ずる等、法規の厳正適切な運用を行なうこと、ということを内容にいたしまして、昭和三十一年にやはり鉱山保安についての勧告をいたしております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/10
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011・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 阿部竹松君。
〔阿部竹松君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/11
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012・阿部竹松
○阿部竹松君 ただいまの質問に答弁漏れの点がございましたので、その点をお尋ねいたします。
まず、池田通商産業大臣に、保安協議会という協議会が法に基づいてございますが、昨年もあるいは一昨年もそうだと思いますが、一回も開かれておらない。これは何のために開かれないか、理由をお尋ねしたのがまず一点と、その次にお尋ねしたのは、労働基準局のように、災害が次から次へと起きるから、鉱山保安局あるいはそれぞれの機関を労働者のサービス・センターである労働省に移行する意思があるかないかという、この二点をお尋ねしたわけですが、御答弁がないのでお願いしたいわけであります。
その次に、労働大臣にお尋ねしました三十一年の点については、私は承知しております。しかし、あなたが労働大臣になられてから次から次へと最前申し上げました通り災害が起きております。従って、あなたの時代にそういうことをやられたことがあるかないかということをお尋ねしたので、三十一年の後一向ないということであればそれまでですが、あなたの時代にどうやったかということをお尋ねしておるのでございまするから、その点をお含みの上御答弁願いたいと思います。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/12
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013・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 保安協議会は年に一回開いております。しかし、これは私は今後は年に一回に限らずたびたび開きたいと考えておるのであります。それから、保安関係の問題につきましては、総理もお答えになりましたように、石炭鉱業というものは生産計画と保安というのが一体をなすもので、しかも、高度の技術を要するものでございまするから、私といたしましては、保安関係の事務を労働省に移すことは適当でないと考えております。(拍手)
〔国務大臣松野頼三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/13
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014・松野頼三
○国務大臣(松野頼三君) 昨年、火薬爆発につきましては、通産省と連絡をいたしまして所要の手続をとるようになっております。鉱山問題につきましては、御承知のごとく今回の場合は原因調査にある程度の時間がかかります。原因調査の結果、その原因が明確になりましたならば、いずれ監督行政の問題か、あるいは保安行政の問題か、あるいは設備の問題かということが明確になりましたら、それについて勧告を検討いたしたいと、こう考えております。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/14
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015・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第一は延期いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/15
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016・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/16
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017・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第二、土地区画整理法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。建設委員会理事稲浦鹿藏君。
〔稲浦鹿藏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/17
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018・稲浦鹿藏
○稲浦鹿藏君 ただいま議題となりました土地区画整理法施行法の一部を改正する法律案につきまして建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
現行の土地区画整理法施行法によれば、土地区画整理法の施行以前から都市計画法第十二条の規定に基づき旧耕地整理法に準拠して土地区画整理を施行いたしている組合は、土地区画整理法に基づく新組合に組織を変更しない限り、本年三月三十一日をもって解散するものとされておりますが、昭和三十四年台風第十五号による災害を受けた地区内にある組合のうち一部のものは、災害によりその事業の施行に著しい支障を生じたため、本年三月三十一日までにこれを完了することが不可能となり、また、組合員の大多数が同台風により罹災して新組合に組織変更の手続をする余裕がなくなっております。
本改正案は、これらの組合について特別の救済方法を講ずるため所要の改正を加えるものであって昭和三十四年台風第十五号による災害のため土地区画整理の施行に著しい支障を生じたと認めて建設大臣が指定する組合については、従前の規定による土地区画整理を施行することができる期間を一年すなわち明年三月三十一日まで延期し、その間に事業の完了をはかろうとするものであります。
委員会における質疑のおもなるものは、「今回の改正は、台風第十五号により事業の施行に支障を生じた組合のみを対象としているが、それ以外の組合で事業を終息しないものはどうするか」、また、「この改正により建設大臣が指定しようとする予定の組合は何か」、その他、旧組合の組合数及びその実態等について質疑がありましたが、これに対して政府側からは、「土地区画整理法施行法の立法の趣旨が同組合を新法による組合に切りかえていくことにあるので、台風第十五号により切りかえ困難なもののみを対象とし、事業を終息しないものは新組合に切りかえるとか、あるいは地方公共団体に事業を引き継ぐ等の方法で解決するよう指導していく」等の答弁がありました。
かくて質疑を終了し、討論には別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/18
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019・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/19
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020・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。
次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十九分散会
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○本日の会議に付した案件
一、夕張炭鉱爆発事故に関する緊急質問
一、日程第二 土地区画整理法施行法の一部を改正する法律案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103415254X00719600212/20
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