1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月十四日(水曜日)
午前十時二十六分開議
出席委員
委員長 簡牛 凡夫君
理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君
理事 塚原 俊郎君 理事 福家 俊一君
理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君
理事 肥田 次郎君
伊藤 郷一君 宇田 國榮君
川野 芳滿君 木村 俊夫君
佐々木義武君 壽原 正一君
砂原 格君 竹内 俊吉君
西村 英一君 細田 吉藏君
増田甲子七君 石村 英雄君
加藤 勘十君 勝澤 芳雄君
島上善五郎君 内海 清君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 齋藤 昇君
出席政府委員
運輸政務次官 有馬 英治君
運輸事務官
(大臣官房長) 広瀬 真一君
運 輸 技 官
(船舶局長) 藤野 淳君
運輸事務官
(船員局長) 若狭 得治君
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 岡本 悟君
運輸事務官
(自動車局長) 木村 睦男君
委員外の出席者
厚生事務官
(保険局次長) 熊崎 正夫君
農林事務官
(水産庁漁政部
長) 林田悠紀夫君
農林事務官
(水産庁漁政部
協同組合課長) 森 博君
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部長) 高橋 末吉君
日本国有鉄道常
務理事 磯崎 叡君
日本国有鉄道参
与
(施設局長) 柴田 元良君
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三月八日
モーターボート競走法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一二六号)
同月十二日
道路運送車両法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第一二九号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
船員法の一部を改正する法律案(内閣提出第三
八号)
モーターボート競走法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一二六号)
道路運送車両法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第一二九号)(予)
派遣委員からの報告聴取
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/0
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001・簡牛凡夫
○簡牛委員長 これより会議を開きます。
先般、国鉄土讃線の事故について、委員を現地に派遣し、その実情を調査いたしましたので、この際派遣委員よりその報告を聴取いたしたいと存じます。久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/1
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002・久保三郎
○久保委員 今回の土讃線土砂崩壊不通事故調査のため、当委員会より派遣されました委員を代表して、私から簡単にその視察報告を申し上げたいと存じます。詳細な日程及び現地で面接した方々についての御報告は、省略させていただき、以下、視察の大要について申し上げます。
私どもの一行は、派遣決定後、急遽現地におもむき、三月十一日には事故現場に至り、国鉄、運輸省、並びに高知県の各関係者とともに、土佐岩原駅より工事用のレール・カーに搭乗して災害個所まで行き、国鉄関係者より災害状況、工事の進捗状況等の説明を聴取し、つぶさに視察いたし、それより、土佐岩原駅より国鉄が現在バス代行をしております国道三十二号線によるルートを視察し、豊永駅より高知に至りました。高知駅においては、国鉄労組関係者より殉職職員の遺体捜査について要望を聴取し、高知港におもむきまして、荷役中の国鉄チャーター船霧島丸の荷役状況を視察、海運関係者より高知港湾の概況の説明を聴取、同港港湾事務所において県関係、国鉄、運輸省当局、海運関係者より、今回の災害不通に伴う問題点について熱心な意見を聴取し、また強い要望を受けたのであります。
今回の土讃線の災害事故の概況につきましては、先般の委員会において国鉄当局より報告がありましたが、私ども、災害事故現場に参りまして、これはものすごい土砂崩壊であり、聞いておりました延長百二十メートル、高さ百二十メートルの山腹の約六万立米の崩壊とはこれほどのものかと、まず驚いた次第であります。
この土讃線は、御承知の通りの地形、地質のために、過去におきましても、年平均にして実に約百回の落石、地すべり等の災害発生を見ており、そのうち、列車運行に支障を及ぼした事故は、最近の数年では、年平均七回の多きに達しております。国鉄四国支社当局の労苦も大へんなものであり、落石どめさく、落石おおい、集水坑及び落石警報機の設置など、防災工事に努めておる次第であり、また、ことに地すべりのはなはだしい危険個所については、最近までに線路変更を三カ所行なう等、過去十一カ年に十五億五千万円、年平均一億四千万円を投入しており、これは四国全線の防災関係工事費の五六%に当たるのであります。今回のこの土佐岩原−豊永間の現場も、過去に災害歴を持っている個所でありまして、去る二十三年九月十日に三百立米、十五日に二千立米の土砂崩壊があり、約二週間ほど不通となったのでありますが、その際には、復旧工事として六千立米の切り増しを行なうとともに、延長三十二・六メートルの避岩隧道とコンクリート土どめ擁壁を設置したのであります。
今回の災害は、すでに御承知のように、二月十三日、十七日、二十日と三回にわたる線路わきの山腹の大崩壊により、崩壊土砂は線路を延長百二十メートルにわたって埋没し、直下の落石おおいは押しつぶされて吉野川に転落埋没し、付近の鯉ケ渕橋梁の橋げた一連が落下、橋台、橋脚のそれぞれ一基が破壊する等の被害が発生し、その崩壊土砂は、川幅約百五十メートルの吉野川の半分近くを埋めるほどであり、その上、二名の殉職者を出し、事故発生以来、今日に至るもまだ不通なのであります。
国鉄当局は、この事態に対処するため、災害発生と同時に支社に復旧本部を設置し、応急工事及び死体捜査に全力をあげたのでありまして、現場の復旧工事本部には、主任監査員以下十名を常駐させ、人夫約百名、ブルドーザー五台を使用して、崩壊土砂の取り除き、崩壊落下のおそれのある上部土砂の取り除き、鯉ケ渕橋梁の復旧等の工事を昼夜兼行で行なっており、三月九日現在で、上部のり面切り取りで進捗率五三%、崩土取り除きで六二%、橋梁復旧で二〇%、全般的に見て、応急復旧工事は約五〇%の進捗率を示しておりましたが、崩壊個所ののり面に亀裂がまだ起こり得る個所も見られ、工事は難行であるとの感を私ども持ったのでありますが、国鉄当局では、四月一日開通を目途に、一日でも二日でも早くと、鋭意作業を進めておる実情であります。
次に、今回の不通に伴う国鉄の輸送対策について申し上げますと、旅客においては不通区間のバス代行により、また、貨物については本土向け急送品についてのみ、阿波池田まで荷主においてトラック輸送を行なってもらって、同駅より発送し、そのほかは、国鉄の手で、宗谷丸とチャーター船霧島丸の二船舶により高知港より代行輸送を行ない、応急輸送を行なっております。また、国鉄四国支社においては、今回の災害事故で高知県等の産業、経済に及ぼした影響の甚大なことに省み、土讃線災害防止のための恒久対策を真剣に検討しており、今回の事故現場については隧道による路線変更の案を検討するとともに、土讃全線の防災対策を詳細に検討するため、本社、部外者の参加を得て現地調査を実施することといたしております。
一方、高知県においては、当県内外鉄道輸送の唯一の動脈である土讃線の長期にわたる不通による影響の大なることにかんがみ、県庁に緊急輸送対策本部を設置して、関係者相集まり、対策を真剣に協議したのであります。
土讃線不通に伴う高知県に及ぼす影響について県当局が調査した結果によりますと、三月一ぱい不通と見て、出荷貨物の輸送費の増加総額の推定は約二千八百万円、価格の値下がり総額で約二億円、入荷貨物の輸送費の増加総額で約一千四百円、価格の値上がり総額で約一千八百万円と推定され、また、観光旅客の受け入れ面においても取り消しは約三万人、これによる影響額は七千五百万円と推定され、影響額の総計は実に三億三千万と推定されるのでありまして、高知県民に与えてる影響は甚大であり、まことに憂慮すべき事態であると結論しております。
また、県当局の輸送対策措置としては、国鉄当局に要請を行なうとともに、民間海運業者、全日空等に増便、増送を要請し、国道三十二号線の整備、吉野川における排土処置の問題等について、対策を立てて実施いたしております。
かかる実情から、県当局としては本事故に関して種々の問題点を抱えておるわけでありますが、私ども一行に対しましては、特に当面緊急の問題点として、代行輸送における諸問題について強い要望があったのであります。代行輸送は、前述の通り、旅客はバス代行か船便で実施しており、貨物はトラック輸送と国鉄による船舶代行、並びに民間の船便によって実施されておるのでありますが、陸路の国道三十二号線は、吉野川の峡谷に沿っておる地形上の難点もありますが、国道とは名ばかりの狭隘で、砂利も十分に入っていないような道路でありまして、各種自動車の大量通行は全く困難であり、国鉄当局などは、バスの転襲事故が起こらねばよいがと心配しておる実情でありますし、船舶代行輸送の場合は、使用される高知港が、港湾としてまことに貧弱なものでありますので、この土讃線不通後、平常より四〇%増の荷動きとなりましたことから、岩壁の使用は輻輳し、荷役の混雑、労務者の不足が目立ってきておる実情であります。従いまして、県当局は、国道三十二号線の早急整備を要望いたしますとともに、国鉄の代行輸送船である三千七百トンの宗谷丸では、船が大き過ぎて岩壁の利用上困ること、運航速度がおそくてピストン輸送ができないこと、及び荷役能率が劣っていること等の理由から、宗谷丸の配船を中止して、五百トンクラスの運航、荷役ともに能率のよい船を国鉄がチャーターして配船し、代行輸送のスピード・アップ方の実現を強く要望いたしております。そのほか、県当局としては、復旧工事期間の短縮はもちろんのこと、根本的な土讃線に対する安全輸送対策、及び高知港改修工事計画の早急実施、並びに四国東部循環線の早期完成を要望いたしておりました。
以上、かかる実情を種々勘案いたし、私ども視察団一行といたしましては、今回の災害事故の処理にあたっては、まず第一に、当面の緊急対策措置として、とにかく復旧工事が一日も早く終了し、平常運転ができるよう工事の促進を国鉄当局に要望いたすものでありますが、あのような災害個所の崩壊のり面でありますので、開通は安全第一をモットーとして、まず貨物列車を通し、十分に安全度を確かめた後に旅客を通すこと等、安全の確保を第一と考えるべきであります。さらに、殉職職員の遺体捜査については、復旧工事と並行して今後とも実行し、最善の努力、処理を行なって、一日も早く発見すべきであり、わからぬままに打ち過ごすというようなことの絶対にないよう、特に要望いたす次第であります。
また、船舶による代行輸送については、高知港の実情を勘案し、とにかく国鉄としては、災害とはいえ、不通によって有形、無形、甚大なる損害を高知県民に与えている点にかんがみて、この際は、地元の要望通り宗谷丸による運航を中止し、他の適当な船をチャーターして誠意を示すべきではないかと勘案する次第でありまして、その後、私どものこの意見の方向で国鉄当局が努力していることは、まことに国鉄並びに高知県民の両者にとって喜ばしいことと存ずる次第であります。
次に、この土讃線に対する恒久対策といたしましては、国鉄当局がすでに計画しているごとく、当地帯の地すべり、土砂崩壊等の災害発生について、さらに科学的に研究、再検討するとともに、その防災工事策については、抜本的な考慮のもとで計画を樹立して、この際は十分の費用をもって実施すべきものと勘案する次第であります。
また、今回事故のありました土佐岩原−豊永間につきましては、線路変更についてすでに検討中の由でありますが、現場を見て、その必要性を私どもも痛感いたした次第であり、ぜひ早急に計画を立て、改良工事を実施すべきものと思った次第であります。
そうして高知県といたしましては、土讃線一本にたよることなく、他の四国東部循環線の建設に、地元としても努力することが肝要と思われますし、その他、国道三十二号線の整備も、高知港の整備についても、一そうの努力を要するものではないかと、率直に申して勘案された次第であります。
以上、簡単に視察報告をさせていただきましたが、終わりにあたり、私どもの今回の視察に御協力下さった地元関係者、国鉄、運輸省当局の方々に、心より感謝の意を表しまして、報告を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/2
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003・簡牛凡夫
○簡牛委員長 内閣提出、モーターボート競走法の一部を改正する法律案、及び予備審査のため付託されました内閣提出、道路運送車両法等の一部を改正する法律案を一括議題とし、審査を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/3
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004・簡牛凡夫
○簡牛委員長 まず、両案について、政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。齋藤運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/4
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005・斎藤昇
○齋藤国務大臣 ただいま議題となりましたモーターボート競走法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
モーターボート競走制度は、発足以来すでに十年余を経過いたしたのでありますが、政府といたしましては、この間における数次の法律改正を通じ、また実際に法律を運用するにあたり、制度の改善をはかるため、絶えず努力を続けて参りました。
この間、公営競技に対する世論の動向にかんがみ、モーターボート競走を含む公営競技全般について検討を加え、今後の基本方策を定めるため、一昨年総理府に公営競技調査会が設置されたのであります。
この公営競技調査会は、昨年七月二十五日内閣総理大臣あてに答申を提出し、各種公営競技について、少なくとも現状以上にこれを奨励しないことを基本的態度とする旨を述べるとともに、その弊害をでき得る限り除去するための方策を示したのであります。
政府といたしましては、この答申の趣旨に沿って、モーターボート競走についての弊害を除去し、その健全化をはかるとともに、モーターボート競走の収益をもって、体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に寄与し得ることとする等、現行制度に必要な改善を加えるため、この法律案を提出することといたしたのであります。
次に、この法律案の主要な点について御説明申し上げます。
まず、第一には、モーターボート競走を行なうことができる旨の指定を受けた市町村について、指定の理由がなくなったと認めるときは、その指定を取り消し得る道を開いたことであります。
これは、現在モーターボート競走を施行し得る市町村の指定は、財政事情等を勘案して行なっているのでありますが、これらの市町村について、すでに財政健全化の目的を達した後においては、この法律の趣旨にかんがみ、その指定を取り消し、他の市町村と交代させるのが適当であるからであります。
第二は、競技の公正及び安全を確保するため、競走に使用するボート及びモーターの検査員を登録の対象に加え、また、競走場の施設の改善に資するため、入場料の最低額を定めるとともに、勝舟投票法の実施方法及び競走開催の日取りについて規制することにより射倖心の過熱を避ける措置を講じ、さらに、選手の質の向上をはかり、公正な競技を確保するためには、選手が安心して競技に参加し得る条件を整える必要がありますので、選手の共済事業に対する助成強化等選手に関する福利厚生の増進をはかるために必要な措置を講じ得ることとしたことであります。
これらは、いずれもモーターボート競走の弊害を排除し、その健全化に資するために必要な改善措置であります。
第三は、現行の造船関係事業等の振興のための交付金制度に準じて、新たに体育事業等、公益の増進を目的とする事業の振興をはかるための交付金制度を設けることとしたことであります。
これは、公営競技調査会の答申にもございますように、競走の収益の使途につきましては、制度発足当初との状況の変化にかんがみ、収益の一部を体育事業等の振興のためにも充当することが適当であると考えられるからであります。
なお、これらの振興業務の運営及び交付金の運用につきましては、種々の監督規定を設け、遺憾のないよう慎重を期した次第であります。
四号は、施行者からの交付金により、現行の造船関係事業等、及び新たに加わる体育事業等の振興業務を一体的に行なう団体として、新たに日本船舶振興会に関する規定を設けたことであります。
現在、交付金による造船関係事業等の振興業務は、全国モーターボート競走会連合会が競走の実施に関する調整業務とあわせ行なっているのでありますが、この二つの業務は、本来異質のものでありますので、それぞれの業務運営上の責任体制を確立するため、別個の団体に取り扱わせることといたした次第であります。
日本船舶振興会は、民法の規定により設立される財団法人でありますが、業務運営その他につきましては、交付金の適正な運営を確保し得るよう所要の規定を設けることといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願いいたします。
次に、道路運送車両法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして、御説明申し上げます。
最近における自動車数の増大及びこれに伴う自動車事故の激増にかんがみ、政府といたしましては、自動車の安全性を確保し、及び自動車事故による被害者の保護を一層強化するため、自動車検査制度及び自動車損害賠償保障制度の充実及び合理化の諸方策につきまして、鋭意検討を進めておりますが、そのうち、特に繁急を要するものにつきまして、とりあえず所要の改正を行なうことといたした次第であります。
この法律案は、道路運送車両法の一部改正及び自動車損害賠償保障法の一部改正からなっております。
まず、道路運送車両法の一部改正につきましては、第一に、検査標査標章表示制度の新設であります。
これは、自動車検査証の有効期間の終期を表示する検査標項を自動車に表示させる制度を新設し、その有効期間の終期を一目瞭然とさせることにより、無検査自動車の運行を防止しようとするものであります。
なお、この検査標章は、後に述べます自動車損害賠償責任保険と検査、登録等の関連性の強化によりまして、保険への加入の有無をも表示することになりますので、これにより無保険自動車の運行をもあわせて防止しようとするものであります。
改正の第二点は、自動車検査証の有効期間の改正であります。
これは、乗合バス等の営業用旅客自動車につきまして、その整備の向上、車両欠陥事故の低下の傾向にかんがみ、現行の原則九カ月、例外として一年となっております有効期間を一年に改正するとともに、自家用旅客自動車のうち、自家用バス及びドライブ・クラブ用自動車につきまして、乗車人員、その使用形態等を考慮して、その有効期間を二年から一年に短縮することといたしたのであります。
改正の第三点は、指定自動車整備事業制度の新設であります。
これは、最近における自動車数の増加に伴う自動車検査業務の激増に対処し、自動車検査制度の合理化をはかるとともに、自動車使用者の利便を増進するため、指定自動車整備事業制度を新設し、一部の検査につきまして、指定自動車整備事業者の検査を受けた場合には、書面審査によることとし、民間の検査能力を活用することといたしたのであります。
改正の第四点は、原動機番号に関する規定の整理であります。
現在、原動機番号につきましては、打刻等の規定がありますが、自動車の普及とその価格の低下に伴い、そこまで規制する必要がなくなりましたので、これらの規定を削除することといたしました。
次に、自動車損害賠償保障法の一部改正につきましては、第一に、保険と検査、登録等の関連性の強化であります。
これは、自動車の検査、登録等の処分を行なう場合に、自動車検査証等の有効期間をカバーする保険期間のある保険証明書の提示がないときは、これらの処分を行なわないものとし、これにより、検査証等の有効期間中は、必ず保険に加入している状態を確保しようとするものであります。
改正の第二点は、保険標章等の表示制度の新設であります。
軽自動車につきましては、検査、登録の制度がありませんので、保険期間の終期を表示する保険標章等を表示させる制度を新設し、保険期間の終期等を一目瞭然とさせることにより、無保険自動車の絶滅を期そうとするものであります。
改正の第三点は、契約の解除の制度であります。
現行法では、この保険が強制保険であるにもかかわらず、契約の解除につきまして何らの規制もありませんため、保険契約者が恣意的な契約の解除を行なうことにより無保険自動車が運行することもできるので、これに法律上の制限を加えることといたしたのであります。
改正の第四点は、罰則の強化であります。
これは、無保険に対する罰則を強化することにより、無保険自動車の運行を防止しようとするものであります。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/5
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006・簡牛凡夫
○簡牛委員長 両案に対する質疑は、次会に譲ることにいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/6
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007・簡牛凡夫
○簡牛委員長 船員法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/7
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008・久保三郎
○久保委員 運輸大臣おられるようでありますから、大臣に二、三お尋ねをして、あとは政府委員にお尋ねをします。
まず第一に、船員法の改正として今回提案されましたが、船員法の改正については、二十八年以来今日まで、それぞれの機関で御検討いただいたわけであります。
まず第一に、昭和二十八年の十二月に船員中労員中労委に諮問をされているわけでありますが、これは三十四項目について一応諮問をされておるわけであります。その中で、若干の答申が約九年間にわたって出てきたということであります。そういうことを考えますと、どうも何かしら九年間もかかって、多少の前進と言われる面もあるが、実際は後退する面もある。というのは、非常に民主的な方法として、たとえば法律の中で政令あるいは命令に譲る部面があるわけでありますが、それらは、ほとんどが民主的な機関であるところの三者構成の船員中央労働委員会というものを通すことになっているわけであります。形は非常に民主的でありますが、船員中労委の四十項目以上にわたるところの諮問に対する若干の答申の結果を見ますと、特に今日置かれている船員の労働条件の改善、向上という面からこの方法をながめますと、残念ながらブレーキ的な役割をしているのではなかろうかという一面もあるわけであります。これは制度自体の問題ではなくして、制度の中身の問題でもあろうかと思うのです。言うまでもありませんが、戦後陸といい、陸に関係するといい、いずれも民主的な労働条件というものが重点になっているわけであります。ところが、残念ながら、従来陸から隔絶された海というものが、やはりこの制度の中にも貫き通されているということが見えるわけであります。言葉をかえて言えば、海の関係が陸から封鎖された関係の中においてのみ処理されると一側面が今日も強く残っておる、こういうことが言えると思います。
これについて私がお尋ねしたいことは、まず第一に、諮問は、船員法人全体について諮問すべきではなかったかということであります。
さらに第二点は、運輸省として、あるいは政府自体として海陸の相違を乗り越えての労働政策というものが、ここにはちっとも盛られていないのではなかろうか。むしろ海の労働関係は、陸から遠く離れた今日ではなかろうか。そういうものを是正しないでは、残念ながら、船員法の画期的改正にはなり得ない、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
第三点は、言うまでもありませんが、この船員法自体が、戦争前のいわゆる労働関係というか、海上労働の向上、改善というよりは、一つには、海運の特殊性ということで規制を強くしている。言葉をかえて言えば、労働船員の保護という建前よりは、国家の要請に基づくところの、いわゆる労働規制というものが非常に強く支配している。この精神というか、その背骨というか、それが、今日の船員法の改正にも何ら解消されていない、こういうふうに思うのでありますが、この三つの点について、かように考えられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/8
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009・斎藤昇
○齋藤国務大臣 今般の法律の改正は、さきにも申し上げましたように、船員中央労働委員会に諮問をいたしまして、そうして三者間の意見の一致を見たものを取り上げたわけでございまして、この諮問をいたすにあたりまして、船員法全般について諮問すべきではなかったかという御質問でございますが、船員法に関しまして重要となるべき事項を考えて諮問をいたしたわけでございまして、もちろん、船員法全般にわたる事柄についての諮問をことさら避けたわけではないのでございまするが、当時諮問をいた際には、船員法の中で問題となるべき事項と考えたものを網羅して諮問をいたした、このように聞いておるわけでございます。
なお、船員法は、陸の労働条件よりも非常に何か時代おくれのような感じがするような御意見でございましたが、陸と海にはそれぞれ異なった特死事情もありまするので、従って、特に中労委も、陸の場合と船員の場合と両建になっておるわけであります。しかしながら、そういった特殊事情を除きましては特に二つにする理由はないと思うのでありますが、しかし、相当この特殊事情というものが、労働条件をきめていくにつきまして、あるいは船員側におきましても、あるいは船主側におきましても、特殊な事情がある、かように考えておりまするので、ただいま直ちにこれを一つしてしまった方がいいんじゃないかという考え持っておりません。しかし、そうだからといっていわゆる労働条件の向上といいますか、労働立法の進んで参りまするそういった歩調にできるだけ合わしていくことが望ましいと考えております。ことさら国の海運に関する特殊な要請から特別な労働条件を船員たちにしいているというような事情は、全くないわけでありまして、三者構成による中労委が、私は、最も民主的な行き方として採用せられておる、この方針は変える必要はなかろう、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/9
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010・久保三郎
○久保委員 今の御答弁で、最後の三者構成を変える必要はないと思うというお話でありますが、もちろん、われわれは三者構成を変える必要はないと思うのです。ただしかし、その中で海運というか、海上労働関係というのは、陸に比べて特殊性があるということがまず一つ。もう一つは、海上労働の中でも、外航船舶の乗組員と、近海をやるものと、あるいは漁船の乗組員、漁船の乗組員にも、幾多態様がある、こういうことで複雑多岐なものがあると思うのであります。でありますから、それだけをとりましても、非常に問題点が多い。非常に問題点が多いところに、三者構成の中で、特に今日漁業関係一つとってみましても、封建的な残滓というか、そういうものがたくさんある。しかも、船主一つとっても、大型漁船の船主、零細というか、小さい中小企業に類するものの船主、使用者側について見ても、大へんな差がある。そういうものを代弁するところの船員中労委が、はたしてそこに働く者の船員の立場を十分考え得られるかどうかというと、非常に問題があると思います。しかも、これは船員法だけでなくて、船員保険法の問題も出てくる。こうなりますというと、ますますこれは残念ながら問題の前進には役立たないばかりか、そこで糸がもつれ合って、さらに困難になってくる、こういうことがわれわれはあると思うのです。でありますから、むしろこの際は、政自体がいかなる方策をとるのかという基準が示されて諮問されなければならぬ。ところが、ここにも付属参考書類として出て参りました諮問の内容は、かくかくの要望があるからというか、意見があるからというだけであって、政府はこれに対してどうすべきかということは、諮問はしておらないのであります。もちろん、こういう諮問の仕方も、一つの方法としてはあります。しかしながら、これはかくあるべきだと思うが、三者構成の中労委はいかに考えるかという諮問の方法があってしかるべきだと思う。ところが、それがないというところに、私は、決定的なこの船員法の一部改正が、残念ながら、魂が入っていない改正に終わったのではなかろうか、こういうふうに考える。
そこでもう一つ申し上げたいのは、先ほど申し上げたように、この船員法自体の歴史を今ひもとく必要はないほど、古い法律であります。それが戦争中を経て、戦後の二十三年でありますかに、一応の改正がなってきた。これは大改正といえば大改正でありますが、残念ながら、先ほども申し上げたように、この船員法は、明治以来の船員法の歴史をたどれば、イギリスにおける海運の発達、そういうところ、さらにもう一つは海賊船の問題、こういうふうになるのではなかろうか。そういう時代を経てきた思想というか、ものの見方、そういうものが、今日のこの船員法の中にもまだ残っておるということは、残念ながら認めざるを得ないのではなかろうかと思う。こういうものをまず第一に取り除くという工夫があってしかるべきだと思ったのでありますが、これは一切手を触れておらない。たとえば、一つの例でありますが、船内規律の問題一つとりましても、酔っぱらいがはなはだしいとか、粗暴な行為をした者は直ちに懲戒をするという、これは別に海上労働であるから云々ではないと私は思うのです。こういう思想というが、法律自体にこういう条項があることは、残念ながら、船の自主性の問題ではなくて、船の労働、船員の質というものが海賊船時代のものであるという既定概念にとらわれた、一つの船内規律の条項ではなかろうかと思うのです。こういうことについて、われわれ自身は非常に不満を持っているわけであります。こういう点についてなぜ手を触れなかったのかということでありますが、この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/10
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011・斎藤昇
○齋藤国務大臣 ただいま御質問の中に、御意見を述べられたわけでございますが、御意見の次第は、私も大体感を同じうするものがございます。ないとは申し上げません。政府当局が、もう少し、何というか、進歩的な労働行政の見地をもって引きずっていったらどうかという御趣旨に解してもよかろうかと思います。今までの運輸省の船員労働行政の、海上労働行政のあり方も、さようであったと思いますけれども、私は、十全であったということは言い切ることもできないであろう。今おっしゃいますような御意見をさらに十分考えて、そうしておくれがちな分野における海上労働のあり方を改善していくというような指導の仕方が、なお一そう必要であろうと存じます。今後、さらにさように努めて参りたい、かように考えております。諮問をいたしましたのは、ずっと古いときに諮問をいたしたわけでありますが、今後、さらに今おっしゃるような御意見を十分考えまして、船員労働の向上に努めて参りたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/11
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012・久保三郎
○久保委員 次にお尋ねしたいのは、今までのお尋ねと大同小異でありますが、船員法というのはいかなる性格のものであるか、これを念のためにお尋ねしたいのでありますが、船員法というのは、われわれの理解によれば、これは陸における労働基準法、これに見合った船員労働基準法と考えていいのではなかろうかと思うのでありますが、それはどうなのか。それとも、先ほど来いろいろお話を申し上げたような性格をやはり併置させるのが妥当であるかどうか、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/12
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013・若狭得治
○若狭政府委員 船員の労働につきまして、労働基準法によらず、船員法を特別に設けている理由は何かという御質問でございますけれども、これは、海上労働というものは、陸上の労働と非常に異なった性格を持っておりますので、その規律及び保護等につきましても、特別な立法が必要であるということで、この船員法を別にしているわけでございます。
その特異性の第一としてあげるべきものとしては、海上労働が孤立した危険共同体の中で展開されるということでございます。海上労働におきましては、船員の働いている職場としての船舶は、海上危険に対しまして、通常の場合には、常に独力でこの危険を克服していかなければならないというような、孤立的な状態において海上を移動している、こういう制約のもとにおける労働の特殊性に基づきまして、特別の規定をする必要があるわけであります。
それから第二には、船員となりますことは、一般社会から隔絶された共同生活体の中へ加入を強制されるということでございまして、普通の陸上労働におきまして、たとえば家庭を根拠として生活をするというような場合と異なりまして、長期間にわたって、船舶という一般社会から全く隔絶された生活体の中で労働を行なうという点が、第二の特殊性ではないかというふうに思います。
また第三には、海上労働は、船員をも含めまして、多数の人命と多額の財産の安全な輸送のための社会的な要請を持っているわけでございますから、こういう少数の人間が、一般社会から隔絶されて、多数の人命の安全、財貨の安全ということをはかるために、法的な規制が必要であるという問題があると考えられるわけでございます。
また第四には、海上労働というものは、通常、外航船に見るごとく、世界各国の領海あるいは公海に活動いたしておるわけでございますので、そういう面から、世界の海運あるいは世界の港湾等の社会的な接触が、非常に強いわけでございます。そういう意味で、たとえば海上労働については、国際条約の面からの規定というものも非常に数多くあるわけでございますから、そういう面で、また陸上労働と異なる面があるかと存じます。
以上申し上げました大体この四点が、海上労働の特異な点ではないかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/13
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014・久保三郎
○久保委員 ただいまのお話の中で、船員法というものは、四つの内容を含めてある特殊な法律である、かいつまんで言えば、そういう御説明がありました。特殊な法律である理由はわかるわけでありますが、だからこそ、一般の労働基準法というか、そういうものから隔絶したというか、別個の立法措置をとっているわけであります。ただ変わっている点と言えば、まず第一におげになった長期間特殊な環境にあるということ、その中での労働であるということ、それから人命、財産等を特殊な環境の中で守らなければならぬ。要約すれば二つだと思う。この要約して二つの特色は、それじゃどこへ向けていくかということでありますが、船員法が船員の労働条件等をいわゆる規律するということにとるならば、それによって先ほどあげた二つの要点を充足するというならば、その船員法の中身は、そういう方向でなくちゃならぬ。ところが、先ほど来申し上げたように、少なくとも船員の労働の再生産を確保するということが一つでなければならぬ。長期間隔絶された一つの特殊な環境の中で労働するのでありますから、これをいかに保全し、向上していくかということが、船員法の中になくてはならぬ。こう思うのであります。ところが、それに対する配慮というものは、前近代的な配慮以外にない。たとえば労働時間一つとりましても、当直航海の場合は五十六時間、こういうことであります。これも一般の労働原則によれば、週四十八時間という原則がある。もちろん、運航中における当直業務は、そう簡単にいけるものでないということも、十分承知しております。しかしながら、原則は原則として貫き通すことによって、初めて海員の労働の再生産というか、これがはかれると思うのでありますが、これを直そうとはいたしておらない。
さらにもう一つの海上の特殊性というのは、その一点に尽きると私は極言する。海上の特殊性というのは、いわゆる船内規律その他の問題ではない。規律の問題は、言うならば、かかる法によって取り締まり的な、いわゆる強権的な発動によってのみこれをやるべきではなくして、むしろ近代的な労働規律というのは、自立的であり、自主的でなければならぬ。こう思うのであります。何ゆえ船なるがゆえに特殊な規律が必要かという問題であります。先ほどもちょっと申し上げましたが、たとえば二十一条の九号による争闘、乱酔その他云々の行為があった場合には懲罰に処する。これは近代的労働者として船員を見ていないというところの、一つの思想が現われているのではなかろうかと思うのであります。でありますから、繰り返し申し上げるまでもなく、労働の秩序、規律というものは、自立性を持って、自主性によって保たるべきである。それ以外の何ものでもないと私は思う。ところが、法律に厳としてこういうものを書いておくことに問題がある。もちろん、人命その他の問題がありますから、船長の公権的な権限については、若干残さざるを得ないであろう。しかしながら、規律そのものについてこういうものを残すことはどうかと思う。むしろ民主的な自立性、あるいは自主的な立場から、就業規則においてこれを規制するのが建前ではなかろうかと思うのでありますが、その点、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/14
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015・若狭得治
○若狭政府委員 ただいま第一点の、船員の労働時間が一週五十六時間という御指摘がありました。これは、陸上の労働時間が、労働基準法におきまして一週四十八時間と規定されておるのに対して、非常に立ちおくれではないかという御質問でございますけれども、先ほども申し上げましたように、船員は、航海中は船舶の中に閉じ込められておるわけでございまして、週休を得ようと思いましても、この閉じ込められた生活環境の中での週休というものは、週休としての意味をほとんどなさないということで、法律的には五十六時間の規定をしておるわけでございます。外国の例を見ましても、航海中は五十六時間の労働時間というのが多いわけでございますが、四十八時間制が正しいか、五十六時間制が正しいかという問題につきましては、下船の場合の補償の問題、あるいはかわりの休暇を与えるとか、あるいは有給休暇の期間を長くするとか、あるいは割り増しの賃金を払うとか、そういうような補償の問題で解決されるべき問題であるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
現行船員法におきましても、有給休暇は、二十五日の有給休暇を付与するということになっておりまして、これは労働基準法が、一年間につき最低六日というふうな規定をいたしておるのに比べて、その点の配慮が行なわれているというふうに考えておるわけでございます。
それから第二の点の規律の問題につきましては、御承知のように、船舶は一般社会から隔離されて、警察権も及ばないところで活動いたしておるわけでございますので、船内の規律を保持するための最小限度の船長の権限というものはどうしても必要であるということで、たとえば懲戒権等の規定も入れているわけでございます。また、外国の港における争議行為の禁止というような問題につきましても、正常な労使交渉の不可能なような争議行為というものは望ましくないと思われますので、そういう面の規制もいたしておるわけでございますけれども、いずれも、船舶が一般社会から隔絶されている、警察権も及ばないという点に特色があるわけでございまして、この程度の最小限度の規制というものは、ぜひ必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/15
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016・久保三郎
○久保委員 今のお話でありますが、一言だけさしあたり申し上げておきます。船内規律の問題に関連して、遠く離れた地点において、労働争議等の場合の解決の方法がない、こう例にとっておっしゃいましたから申し上げてみますが、これは大体通信機関の発達しない時代の話でありまして、今日は、船主はどこにいようとも、船の運航についても、あるいは船の運航についても、あるいは船内の問題についても、十分指令し得られるような今日の状態であります。そういうことを考えますれば、こういうものは、この条項に船内規律として残すべきではないのであります。むしろ、これは労調法に譲るべきであります。そういうところに前時代的なものがあるということを、私は指摘しているのであります。
それからも一つは、特殊な隔絶された環境にあるというお話でありますから、それに応じたところの労働生産性を考える。それには原則を、あなたもおっしゃる通り、五十六時間にしているけれども、有給休暇についてこれを配慮しておるんだ。しかし、これは五十六時間を基礎にしての有給休暇でありまして、四十八時間を基礎にしての話にしての話ではないと思います。ですから、四十八時間の基準を置いて、それによって、この有給休暇でまかなわなければならぬ面はそうする。しかしながら、四十八時間を貫き通し得られる面については貫き通すという努力がこの中になければ、本末転倒ではなかろうか。なるほど、法は最低基準をきめるものだということでありますが、あとは団体交渉とか、労働協約によってきめるという御意見もあるいはあるかと思うのでありますが、まず第一に、陸において四十八時間をしくならば、海においても、同じ労働者である、あるいはもっと特殊な環境にあるということでありますから、四十八時間じゃなくて、それ以上に短縮した形をとらすべきではなかろうかと思うのであります。今日、運輸大臣御承知のように、港湾労働者に対しても問題が起きております。それで、世界各国の港で、特に焦点は日本でありますが、港労働法がない日本に対して、いわゆるストライキをやろう、こういう国際的な決議が持ち上がっておる。こういうことが、港湾労働者ばかりでなくて、海に関係する労働関係者が、いずれも右にならえであります。そういうことを考えて、十分これは配慮すべきだと、私は意見として持っているわけです。
内海委員が、大臣にどうしても質問があるそうでありますから、私の質問は中断しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/16
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017・簡牛凡夫
○簡牛委員長 内海清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/17
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018・内海清
○内海(清)委員 私は、後ほど質問したいと思っておりましたが、大臣が時間がないようでございますので、この際、ただいままでの久保委員の御質問に若干関連いたしまして、大臣に二、三の質問をいたしたいと思います。
今回の改正法律案の提案理由の説明を見ますると、これは二十八年の十二月に、船員中央労働委員会に対しまして、法改正についての諮問が発せられた。それで、自来八年間にわたりまして検討された結果が提案いたされたのであります。私は、この改正案につきましては、冒頭久保委員からございましたような、今回の改正案は、なお多くの問題をはらんでおる、こういう点につきましては、もちろん同感であります。この船員法は、御承知のように、戦後におきまして、憲法の二十七条の二項に基づいて労働基準法ができたのでありますが、さらに、この労働基準法の百十六条に特例を認めまして、そうして船員法ができておるのであります。いわばこの船員法は、海上労働者の労働基準法、こういうものであると、私は考えるのであります。もちろん、海上労働者の特殊性ということを十分勘案しなければならぬのでありますが、しかし、労働者の労働基準というものは、これは海上であろうとあるいは陸上であろうと、何ら変わりがないので、当然一つのものでなければならぬと思うのであります。そこで、海上労働者に対しましては、労働者としての基準の上に、いわゆる海上労働者としての特殊性というものが積み上げて考えられるときに、初めて海上労働者の基準法ということに相なるのではないか、私はかように考えるのであります。ところが、御承知のように、船員法の場合におきましては、いろいろな、ただいまもお話がありましたが、この第三章の紀律でありますとか、監督、あるいはその他安全の面、いろいろなこれに類するものが規定に入っておるのであります。そこで、純粋な海上労働者の基準法ということには、いろいろな問題がある。これが基因いたしまして、いわゆる労働基準法との間に多くの均衡を失した点が生まれてきたのだと、私は考えておるのであります。
そこで、私がお伺いいたしたいのは、こういうふうな機会に、十分この点を勘案して、純然たる海上労働者の基準的なものを作って、他のいろいろな規定と切り離して、基準法的のものを早急に設定する必要があろうと思うのです。これに対しまする大臣の御所見を一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/18
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019・斎藤昇
○齋藤国務大臣 私は、こまかい点につきましては、十分検討をいたしておりませんので、どの点についてどうというお答えをまだいたしかねるわけでございますが、感じといたしましては、大体内海さんのおっしゃることに私は同感でございます。今後、それら個々の点を検討いたしまして、いま一歩先にぬきんでるべきじゃなかろうかという感じを持っております。十分今後検討を重ねて参りたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/19
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020・内海清
○内海(清)委員 大臣も、考え方としては同感のようでございますし、これは今回の改正によって終わるのでございませんので、早急に一つこの面に対する今の大臣のお考えを実現するように手をつけていただきたい。これを強く要望しておきたいと思うのであります。
次にお尋ねいたしたいと思いますことは、先ほど申しましたように、政府は船員中央労働委員会に対しまして、昭和二十八年に三十四項目の諮問を出しておる。さらに昨年の十月になりまして、四項目の諮問が出ておる、こういうことになっておるのであります。それに対しまする委員会の答申といたしましては、先ほど久保委員からお話のございましたように、それらのうちにつきまして、三者の合意したものが今回成案として生まれておるのでございます。ところが、これらの項目をいろいろ検討してみますと、先ほど申しました労働基準法との間に不均衡のものがきわめて多い、こういうことであります。元来、この基準法とか船員法とかいうふうなものにつきましては、いわゆる労働保護立法であります。従いまして、監督官庁であります運輸省といたしましては、常に一歩先んじて指導的立場に立って、こういう法改正には臨むべきであると、私は考えておるのであります。これは、労働基準法が戦後できました当時、いろいろな問題がありましたけれども、これがいわゆる労働三法として生まれて参りまして、今日ではかなりこれが厳格に守られて、労働者の保護というものが行なわれてきておるのであります。かような点から、歴史的な経過から考えてみましても、監督官庁としては常に一歩先を見て、そうして指導的立場に立ってこれをやらなければならぬ、こういうふうに私は考えるのであります。わが国の海上労働者に対しましては、これはきわめて後進性が多い。この実態を十分考えなければならぬと思うのであります。そういう意味合いからいたしまして、今回の船員法も、基準法に比しましてさらに今後多くの改正が行なわれ、業界の現状——もちろんこれも必要でございましょうけれども、労働者の保護立法としての成果を上げなければならぬのであります。これに対しまして、今回のこの改正案で、大臣は、当面一応この程度で満足すべきものであるか、さらに多くの改正点を持っておるか、こういうふうな点について、どういうふうにお考えになっておりますか。今回の提案にあたってのこの面に対する御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/20
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021・斎藤昇
○齋藤国務大臣 先ほども久保委員にお答えを申し上げましたように、海上の労働につきましては、非常な特殊性がございまするから、従って、労働基準法と同一に扱うというわけに参らない点が多々あることはもちろんでございます。しかしながら、今日までのあり方で十分かといわれると、まだまだ改善すべき余地があるだろう。三者意見の一致はもちろん必要なことでございますが、しかし、その三者意見を一致させるについても、指導的な立場に立ってもう少し推進していったらどうかというお考えも、先ほどお答えいたしましたように、私も同感だと申し上げております。今までもそうであったと思いますが、今後さらに一そうその点に留意をして参りまして、そうして少しでも労働条件の向上ということに推進をして参るのにやぶさかでない。そのためにも、今後さらに検討を続けて参りたい、かように考えております。このたびの改正は、当面の問題といたしましては、一応この改正をもって終わりたいと思っておりますが、しかし、これをもとにいたしまして、今後さらに今おっしゃるような方向に指導し、また検討を加え、必要を認めて参れば改正に踏み切って参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/21
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022・内海清
○内海(清)委員 大臣の御意見も、大体私の考えと同様だと思いまするが、今日までも指導的な立場に立ってこれをやってきたということでありますけれども、今回の改正案に示されたものを見ますると、いささかその点に私どもは疑義を持たざるを得ない。と申しますことは、二十八年の十二月に三十四項が提示され、それから昨年の十月までは、何らの諮問事項もない。その間八年間と申しますと、ずいぶん社会情勢も変わって参りました。労働の実態も、特に海上、あるいはその中でも、漁業関係などは、いろいろと変わってきておるのであります。そういう点を認めるならば、その間においていろいろの問題に対する諮問も十分行なわれ、指導的立場に立ってこれを進めていかなければならなかったと思うのであります。その点、はなはだ私は遺憾に存じておるのであります。今後はそういうことのないように、先ほど申されましたような、指導的立場に立って、いろいろな問題点に関しまして十分に究明され、早急にいわゆる基準法に対比いたしまするところの船員法というものが生まれるように、御努力いただきたいと存ずるのであります。
それらに関連いたしまして、重複いたすようなことに相なりまするが、この八年前の時点に立った改正がおもな柱になっておる。三十四項目というものがおもな柱になっておる。その後のいろいろな情勢を反映しているところがきわめて少ないと、私は思うのであります。ただいまも申しましたように、いろいろな社会情勢とか経済事情が、どんどん変わってきておるのであります。特にまた今回の改正は、三者の意見の一致したものを成案にしたということ、これはまことに民主的なあり方でけっこうであります。そういう形の上になおいろいろな問題が残されておると、私は思うのであります。従って、今後におきましては、三者意見の一致はまことにけっこうだと思いまするけれども、いろいろ移り変わりますところの客観情勢、あるいは実態的な保護政策的な見地、こういうようなことから積極的な改善が行なわれなければならぬ。それで、今回の改正案を見まして、いろいろございますけれども、私は、特にこの中で漁船関係に多くの問題を残しておると思うのであります。この点に関しまして、大臣は今回の改正でいかにお考えになっておるか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/22
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023・斎藤昇
○齋藤国務大臣 今回の改正は、先ほども申し述べましたように、かねて諮問をいたしておりました問題について、三者意見の一致を見て答申をいただいたものについてやったわけでございます。これらの諮問をいたしましたのは、なるほど昭和二十八年でありましたが、答申の出て参りましたのは、その後、三十四年と、それから三十六年と、最近の答申でありまして、その項目については、現状の時点に大体合った答申をいただいておる、かように考えておるのでありますが、しかし、諮問に漏れておりましたようなものがあるとすれば、今後さらに取り上げて参りたい、かように考えております。
漁船の方の問題は、二十トン以下をどうするかという問題もあるわけです。漁法もだんだんと変わって参り、それに従って労働条件等も変わってきておることも存じます。これらにつきましては、十分検討をいたしまして、善処して参りたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/23
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024・内海清
○内海(清)委員 大臣の時間がきているようでありますから、これでおきますが、そういうような基本的な問題についていろいろあるようでございますが、どうかただいま私から申し上げましたことも十分御勘案の上、早急にそれらの点につきましての改善の方途を講じていただきたい、これを強く要望して、あとの質問に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/24
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025・久保三郎
○久保委員 大臣には、後刻また折を見て私もお尋ねしたいと思います。
そこで、質問の中で、具体的な問題を二、三お尋ねしたいのでありますが、私、大体質問はまず総体的なものをお尋ねして、そのあと、一般の船員に対する労働条件の問題、次には漁船関係の問題、そういうような問題に分けてお尋ねしたいと思うのでありますが、たまに重複をいたしますので、あらかじめ御了承をいただきたいと思います。
そこで、きょうは水産庁の漁政部長も見えられておりますから、せっかくお出ましをいただいたのでありますから、少しだけお尋ねをしておきます。それから、厚生省もきょうはおいでになっておられますか——それではやはりせっかくおいでをいただいておりますから、少しだけお尋ねをしておきます。
それでは、先ほど内海委員から御指摘があった適用範囲の問題であります。適用範囲の問題で、特に問題点は漁船関係でございますが、船員局長にまずお尋ねしたいのでありますが、改正案に「(政令の定める総トン数二十トン以上の漁船」と書かれておりますが、これはいかなるものをさすのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/25
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026・若狭得治
○若狭政府委員 法律案に、総トン数二十トン以上の漁船で政令で定めるものというふうに規定いたしておりますのは、船員中央労働委員会の審議の経過、答申等からいたしまして、現在のところは、第一種を除く。すなわち、第二種及び第三種の従業制限を船舶安全法の漁船特殊規則によって持っている、そういう資格を持つ船舶というふうに考えております。すなわち、第二種、第三種の従業制限と申しますのは、沿岸漁業を除く漁船というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/26
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027・久保三郎
○久保委員 それで漁政部長にお尋ねしますが、今の船員局長のおっしゃる第一種、第二種第三種は、漁船特殊規則によっての区別だと思うでありますが、その場合、沿岸業に従事するもという御指摘がありましたが、それはその通りでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/27
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028・林田悠紀夫
○林田説明員 ただいま船員局長から答弁のありましたように、二十トン以上に適用になることになったわけでございまするが、政令で第一種は除かれるということになっておる次第でございます。第一種はどういうものかと申しますると、刺し網とか、あるいは小型底びき、まき網、ひき網、棒受、雑漁業というような、大体一日で、日帰りで行ってこれるという沿岸漁業を主としてやるところの漁業を第一種というように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/28
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029・久保三郎
○久保委員 重ねてお尋ねしますが、日帰りが全部でありますか。第一種は全部日帰りでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/29
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030・林田悠紀夫
○林田説明員 全部日帰りということはございませんが、第一種として沿岸を中心にして漁業を営んでおる漁船を第一種として指定しておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/30
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031・久保三郎
○久保委員 それからもう一つ重ねてお伺いしたいのは、二十トン以上でも——これは大体第一種漁業というのは、トン数て区切れどの辺です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/31
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032・林田悠紀夫
○林田説明員 第一種で、以東底びきのようなものは、相当大きものまであるわけでございます。従って、たとえば以東底びきでいきますると、五十トンぐらいのものまであるわけでございます。ところが、今回は、三十トン以上は船員法が適用されておるわけでございまするから、二十トン以上になった場合に、第一種として省かれる以東底びきといいますのは、三十トン未満のものでありまして、大体以東底びきは三十トン以上のものがほとんどでありまするので、ほとんどが船員法が適用されるというようなことになる次第で、トン数としてはそういうふうに第一種として大きいものもあるわけですが、船員法の適用を受けられないというものは、大体二十トン程度の、主として沿岸でやるような漁業ということになる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/32
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033・久保三郎
○久保委員 そこで、船員局長にお尋ねしたいのですが、第一種、第二種、第三種の区別は、これは労働関係の区別ではない。漁船の特殊規則という漁法によるところの区別であります。船が、いわゆる三十トン未満二十トン以上の中の船が、第一種だけをやっているわけではないでしょう。二つの業種をやっているものもあろうかと思う。そうなりますと、本日は第一種、明日は第二種という、こういう混乱が起きることを予想されておりますか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/33
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034・若狭得治
○若狭政府委員 第一種、第二種、第三種の従業制限と申しますのは、船舶の資格でございまして、漁法によって、漁業許可による第一種、第二種、第三種をきめているわけではございませんので、従いまして、その日ごとにその船舶の資格が変わるという問題は起きないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/34
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035・久保三郎
○久保委員 問題はない。それじゃもう一つお伺いしますが、先ほど漁政部長のお話によれば、主として日帰りであるということです。そうすると、日帰りでない場合もある。こういう場合には、問題ができやしないか。問題ができやしないかというより、どうも法の建前からいって——あなたのおっしゃることは、日帰りであるから、これは近くだから、沿岸漁業だから、これは適用しない。だから、あなたのおっしゃる言葉では、日帰りというより、沿岸漁業であるということに重みがあったようでありますが、沿岸漁業ならば、何がゆえに船員法を適用しなくてよろしいのか。よろしい理由は何でしょう。こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/35
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036・若狭得治
○若狭政府委員 先ほど船員法の特色を申し上げたわけでございますけれども、一番特色と申しますのは、家庭を離れて長期間海上で団体生活を行なうという点に、一番大きな特色があるのじゃないかというふうに考えておるわけであります。もちろん、今度の適用対象を拡張いたしましても、なおたとえば今久保委員が申されましたような問題があるわけでございますし、たとえば十九トンの船に二十トンの船というような限界の問題は、当然起きてくるわけでございます。ただ、一般的に、陸上の労働基準法によらず、海上労働を規律する船員法による方がより合理的であるという業種を全体として把握いたしまして、今度の改正を行なっているわけでございまして、二十トン以下につきましても、あるいは二十トン以上の沿岸漁業につきましても、海上労働であるということにつきましては同一の性質を持っておりますので、船員法の適用の対象となっている労働と、その間に必ずしも非常な相違があるというふうには考えられませんけれども、一般的に見まして、大体三十トン以上の船舶、及び二十トン以上でも、二種、三種の漁業に従事する船舶につきましては、ほとんど大部分が長期間海上に滞留いたしまして労働に従事するという、船員労働の特殊性を持つということで、適用対象を決定いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/36
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037・久保三郎
○久保委員 どうも納得できないお話でございます。私も、海に弱いのでありまして、ことに魚の方には弱いのでありますが、どうも今のお話ではすっきりしないであります。大体二十トン以上であっても、同じ海面で、同じ場所で働く場合もあるわけです、第一種も、第二種も。片方は船員法の適用を受けて、片方は受けないということ自体にも、問題がありやしないか。それからあなたは、日帰りならばおかの方と同じでいい、こういう解釈もされたようでありまするが、その理由として、海上での労働だと、こう言っている。海上に区別はあまりないと思うんです。期間の問題ですね。長期であるか、短期であるかという問題だと思います。そういうところにどうもすっきりしない面があるわけですが、底びきと揚繰りで、同じトン数で区別が出てくるということもあり得るわけですね。漁政部長、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/37
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038・林田悠紀夫
○林田説明員 先生のおっしゃる揚繰りと申しますのは、まき網漁業のことだと存じまするが、まき網漁業は、第一種になっているわけでございます。従って、小型底びきとか、あるいは以東底びきとかまき網というものは、第一種として取り扱われているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/38
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039・久保三郎
○久保委員 これは一緒ですか。そうしますと、この漁船の区別は、二十トンと仕切ったのには何か理由があるのか。問題点を変えて、第二種、第三種にしても、二十トンとしたところに特殊性があるのか。二十トン以下の場合はどうなるのか。そういう区別はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/39
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040・若狭得治
○若狭政府委員 先ほど漁政部長からの御答弁にありましたように、大体沿岸漁業につきましては、日帰りが多いわけでございます。家庭を根拠として労働を行なうという者につきましては、適用を除外しようという考え方でございます。しかし、先ほど御説明いたしましたように、二十トン以上であっても、必ずしも日帰りでないものもある。二十トン以下におきましても、もちろんそういうものもございますし、二十トン以上の沿岸漁業に従事している者につきましても、必ずしも毎日家庭に帰るというような実態でない者も当然あると思いますけれども、大体におきまして、二十トン以上の二種、三種の漁業に従事する船舶につきましては、沿漁ないし近海の漁業に従事するものが多いわけでございまして、そういうものを対象として、船員法の対象をしぼっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/40
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041・久保三郎
○久保委員 そうしますと、日帰りであるのは陸上労働にということで持っていくのだ、二十トン以下というのは大体そういうものだ、こういうことですね。念を押しますと、そうですね。ところが、一番問題なのは、陸上に回されているものが、一番目の目を見ないところの労働条件にあるわけです。そうだと思うのでありますが、漁政部長、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/41
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042・林田悠紀夫
○林田説明員 漁業労働者すべてで、統計によりますと、九十五万人くらいになっておるわけでございまして、そのうちの大部分が、沿岸漁業者になっております。おしゃるように、陸上を主として、海上を日帰り程度で行ってくるというような沿岸漁業者が、大部分を占めておりまして、漁業におきましては、それの所得が非常に低いということが問題になっておる次第でございます。それに対しましては、別途に沿岸漁業の構造改善なり、その他いろいろ振興の施策を行ないつつあるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/42
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043・久保三郎
○久保委員 お話がなかなかぴたりとこないようでありますが、いずれにしても、一番問題な点はそういうところであろう。ところが、おかにおける労働基準というか、そういう面は、実際にはなかなかこれに手が届かぬという現実であります。そうだとするならば、これを的確に規制するというか、そういうことを確立する方策があるかというと、なかなかこれは見当たらぬということでありまして、この法改正案で二十トン以上のものの第二種、第三種を入れようとしたのは、少しの進歩でありましょう。ところが、完全に二十トンで切れなかったところにやはり問題が残っているわけですが、これはやはり日帰りが原則だからという、そういう原則を全部貫き通すつもりでありますか、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/43
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044・若狭得治
○若狭政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、大体におきまして、そういう日帰りの実態の多いものについては、陸上の労働基準法によらせることが適当ではないかとかということで、現在では船員法の適用をしておらないわけでございますけれども、たとえば二十トン以下につきましても、まき網漁業の付属漁船につきましては、今度船員法の適用対象にすることにしたわけでございます。そういうふうに、今後の情勢に応じまして、たとえば漁法の発達なりあるいは船舶の性能の向上なりという面で異なった状態が出てくるという場合には、当然この再検討の必要があると思いますし、また、必ずしも日帰りのものには今後一切船員法は適用しないということの方針が、完全に申し上げられるという状態でもないと思います。先ほど申しましたように、日帰りでありましても、海上において労働するという実態については、大きな相違はないわけでございます。ただ、現在の船員法が、そういう海上において労働することだけに着目しているかと申しますと、一番大きな力点は、先ほど久保委員がおっしゃいましたように、長期間社会から孤立して生活しているという点に指向されておりますので、そういう点も勘案いたしまして、今後検討したいというふうに考えます。
〔委員長退席、塚原委員代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/44
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045・久保三郎
○久保委員 長期にわたって陸から隔絶されているということを理由にあげられましたが、それならば、たとえば五トン以上の一般船舶は、何がゆえに船員法の適用にたっているのか。これとどういう違いがあるか。五トン以上の一般船舶は、御案内の通り船員法の適用だ。ところが、二十トンの間の第一種は、日帰りでございますからこれは適用がないという理由は、これと対比した場合、どういうふうに理解したらいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/45
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046・若狭得治
○若狭政府委員 五トン以上の一般船舶につきましては、現在船員法を適用しているわけでございますけれども、これは、たとえば機帆船の例をとってみますと、ある地点から次の地点まで貨物の運送に従事しているわけでございまして、必ずしも家庭を根拠としてそこへ帰ってくるというような労働の実態ではないわけでございまして、大部分の者が荷物を求めて働いているというような状況でございますので、沿岸漁業の場合と異なりまして、家庭を根拠にしてその日その日の労働をやっているというような者と実態的に非常に異なるということで、貨物船等につきましては、五トン以上のものに船員法を適用するということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/46
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047・久保三郎
○久保委員 機帆船を例にとられますが、機帆船もその例かもしれませんが、機帆船ばかりじゃないでしょう。日帰りする航路の客船だってございましょう。何ら変わりはありませんよ。むしろ、これは定期的な運航をしている内航船というか、旅客船に例をとれば、これは定期的に毎日きっちり家へ帰れるわけですね。ところが、漁船の場合は、先ほどの御説明の通り、主として日帰りである。日帰りでない場合もある。漁法によっては、二十トン以上の船の方がずいぶん多い場合がある。六トンや七トンという客船に例をとって比較すれば、どっちが多いのですか。そういうことからいえば、どうも区別される理由は薄弱ではないかと私は思うのです。その他の理由はあるのですか。第一種を除くということには、その他の理由はあるのでございますか。それをお聞きした方が早いでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/47
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048・若狭得治
○若狭政府委員 もちろん、定期航路の客船のごとく、スケジュールを組めて、毎日家庭に帰ってくるというものはございますけれども、大数的に見まして、五トン以上の船舶につきましては、貨物船につきましては、ほとんどが家庭を根拠にしない労働に従事しているということがいえるわけでございまして、そういう大数観察から法律の適用対象を決定いたしておるわけでございます。
第一種の重量制限を有する漁船に船員法を適用しないという決定的な要因は何かという御質問でございますけれども、これにつきましては、家庭に帰る者が大部分でございまして、そういうものについては、陸上の労働基準法を適用していく方がより合理的ではないかということで、適用を除外いたしておるわけでございまして、例外がないということを申し上げているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/48
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049・久保三郎
○久保委員 なかなかどうもすっきりしませんな。先ほどの五トン以上の一般船舶と区別した理由は、何もない。むしろ五トン以下は、外洋にほとんど出ないから、だから、これは一般のほかの労働法によってやる、こういうようにした方が、実は実情に即するではなかろうかと思うのです。
そこで、漁政部長にお尋ねしますが、これは船員法を適用しない方が妥当だと思いますか、いかがでしょうか。ちょっと答弁はどうかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/49
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050・林田悠紀夫
○林田説明員 最近におきましては、漁船の行動半径が次第に広くなって参りまして、漁業の実態もだいぶ変化をしてきておるわけでございます。それで、今回におきましては、従来三十トン以上でありましたのを二十トン以上にしてもらうということになった次第でございまして、やはり漁業の、たとえば労働賃金の問題とか、要するに経営内部の問題もございまするし、徐々に引き下げていくということが必要であろうと存じております。私たちの方といたしましては、もちろん船員法ができるだけ適用されるということが望ましい次第でございますが、一方、そういうふうな経営の内容も考えていかなければなりませんし、次第に引き下げていただきたいということを申しておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/50
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051・久保三郎
○久保委員 労働条件等については、残念ながら、漁政部長御承知のように、漁船は船員法から適用除外になっております。その問題はまた問題になる点でありますが、一応われわれが考えるのは、これは厚生省にそのものずばりでお尋ねした方がいいと思うのでありますが、実際言うと、船員保険の対象にされたのじゃ困るというような御意向があって、こういうことになったのではなかろうかという、巷間まことしやかな説がございますが、率直に言って、船員保険というのは、今日どういう実態なのか、簡単に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/51
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052・熊崎正夫
○熊崎説明員 船員保険法の建前は、船員法の適用を受けます船員はこれを文句なしに船員保険法の方で適用するという形になっておることは、先生御承知の通りであります。従いまして、私どもの方は、保険財政がどうだこうだということでもって漁船の船員法適用を云々するということはいたしておりませんのでございまして、船員法の改正があれば、自動的に船員保険の方の適用を受けるという建前を堅持いたしておるところでございます。
船員保険の現状につきましては、御承知のように、船員保険というのは、総合保険の建前をとっておりまして、短期給付並びに長期給付合わせて一本で運営をいたしております。それで、船員保険特別会計制度を立てておりまして、昭和三十六年度予算におきましては、船員保険法の被保険者は、二十三万七千人ございまして、保険の歳入としましては、歳入予算大体百八億を計上いたしておりまして、これに見合います歳出としては大体八十億で、この八十億の中には、御承知のように、疾病保険分と失業保険分と年金保険分とございまして、簡単に数字を申し上げますと、三十六年度予算におきましては、疾病保険分は五十六億——端数は切り捨てます。それから失業保険分は三億五千万、それから年金保険分におきまして十二億、その他業務勘定を含めまして大体八十億ということになりまして、歳出と歳入との差額大体二十億程度は、長期の年金の積み立て分ということで、預金部資金の方に積み立てをいたしておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/52
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053・久保三郎
○久保委員 厚生省から、私の申し上げたうわさというのは否定されましたが、私も、その通りだと思うのであります。
〔塚原委員長代理退席、高橋清委員長代理着席〕
そこで、あらためて船員局長並びに水産庁にお尋ねするのでありますが、この二十トン以上の漁船についての法改正、この全体の法改正でありますが、この場合には、いわゆる関係省というのは、まず第一に考えられるのはこの三省だと思うのであります。そうすると、三省の中で意見があまり出なかったということになりますか。いかがですか。あなたの方から提案をして政府部内で取りまとめる段階において、水産庁、厚生省、そういうところからはあまり問題はなかった、最初の提案と違ってはいかなかったのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/53
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054・若狭得治
○若狭政府委員 現在提案いたしております適用範囲の拡張につきましては、三省の意見が完全に一致いたしておりまして、また、その過程におきましても、意見の違いはなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/54
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055・久保三郎
○久保委員 それでは、その諮問をした船員中労委ですね、その方の中で、審議の過程では、いかなる意見が出たか、出なかったか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/55
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056・若狭得治
○若狭政府委員 先ほどから御説明いたしておりますように、船員法の適用の対象となる者は、相当長期にわたって海上において労働に従事する者というふうにわれわれは従来解釈をしておりまして、船員中央労働委員会におきましても、そういうような解釈をいたしておりますので、第二種及び第三種の従業制限を有する船舶を船員法の適用対象に考えるという問題と、まき網漁業の付属漁船につきましても、船員法を適用するという問題以外には、労働委員会で大きな議論を呼んだという記憶は、われわれにはございません。従いまして、そういう船員法の考え方から見まして、現在の適用対象以上に対象を第一種に広げるという問題につきましては、中央労働委員会で議論された事実はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/56
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057・久保三郎
○久保委員 そうしますと、先ほどの御答弁と関連して、二十トン未満の漁船についても適用をさせたいのだというような水産庁の御意向もあったと思うのでありますが、そうすると、これはこの改正でどんぴしゃりで、あとは改善の余地がない、こういうふうに受け取っていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/57
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058・若狭得治
○若狭政府委員 昭和二十二年に現行の船員法に改正されたわけでございまますけれども、そのときは、三十トン以上の漁船に適用いたしたわけでございます。その後、漁法の発達あるいは沿岸漁業の不振等によりまして、小さい船でも外洋に出ていくというような実態がございましたので、このたび法律改正をやることにしたわけでございますけれども、今後とも、そういうような船舶の性能の向上あるいは漁法の変化というものは、当然予想されるわけでございます。そういう実態に即して、今後問題を取り上げて検討させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/58
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059・久保三郎
○久保委員 この二十トンというか、第一種のたとえば保険の実態等について、船員局長は御存じだろうと思うのですが、いかがですか。船員保険から除かれた。何の保険でこれらは社会保障制度に持っていってもらっているのか、そういう実態はお調べになって、十分認識されておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/59
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060・若狭得治
○若狭政府委員 第一種の漁業につきましては、もちろん陸上の労災保険によっておるわけでございますので、われわれの所管ではございませんけれども、そういう実態について、今後できるだけの調査をやっていきたい。当然適用対象の拡張という面からも、その実態を今後調査していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/60
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061・久保三郎
○久保委員 どうも提案されている主管省が、なるほど保険の方は厚生省で、魚をとる方は水産庁だからというふうにとれば、それまででありますが、政府として出しているのでありますから……。しかし、少なくとも船員法というか、船員のめんどうを見る御当局が、今から調べましょうということでは——調べてはあるが、あなたの方が言えないのかもしれませんが、どうもわれわれとしては不満足でございまして、いずれこれはさらにお尋ねをしなければならぬと思いますが、きょうは時間もございまませんから、それは途中で打ち切っておきます。
そこで、厚生省に——今船員保険法の改正が国会にかかっておりますから、これに関連して、今適用範囲の問題はやはり打ち切っておきますが、新たに船員法の改正案で、行方不明手当なる制度ができるわけです。これが通ればできるわけでありますが、心配をしているのは、零細な船舶所有主の場合、行方不明手当が完全に支払われるかどうかという心配があるわけです。これが制度はできたが、実際はなかなか無理だ、こういう心配があるわけです。ついては、これは船員保険法の中に一項目新たに創設すべき時期ではないか。船員法の改正のときにそういう論議はなかったのかどうか、こういうことを一つお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/61
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062・熊崎正夫
○熊崎説明員 行方不明手当を、船員法改正案で一応船員の一定被扶養者に対して支払うという形になっておるというこうは、私ども承知をいたしておりますが、そのようにこれを直ちに船員保険法の対象にするかどうかということについては、やはり慎重に検討しなければならぬ問題じゃないかというふうに、私どもは思っておるわけであります。なぜかといいますと、その行方不明の発生状況等につきましても、いろいろと問題がございますし、また、船員保険会計というものは、やはり特別会計でもって運用をいたしておるものでございますので、財政に対しての影響等も十分に検討いたさなければならないわけでございます。従いまして、どの程度行方不明者が出て、それに対しましての手当をどの程度払っているかということにつきましても、十分検討しなければなりませんので、保険事故としてどのように行方不明の事故をつかまえていくかということについても、十分検討を要する問題だろうと思いまして、その辺を慎重に検討しました上で、保険として取り上げるかどうかということを将来考えて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/62
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063・久保三郎
○久保委員 船員局長にお尋ねしたいのでありますが、今のお話ですね、船員法改正案の打ち合わせというか、折衡の場合に、船員保険法へ入れることを運輸省としては要求したかどうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/63
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064・若狭得治
○若狭政府委員 行方不明手当につきましては、零細な事業者が行方不明の起こるという場合には、当然船舶の喪失ということが伴って参る場合が多いわけでございますので、この支払いが確保できないという懸念が多分にあるわけでございます。従いまして、これをできるだけ簡素化してもらいたいということを厚生省にもお願いいたしておるわけでございますし、また、この法律が制定されました後におきましても、厚生省に引き続き御協力をお願いしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/64
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065・久保三郎
○久保委員 この問題も、船員保険法がかかっておりますから、その場所で別な方からさらに問題を堀り下げてもらいたいと思うのでありますが、どうも仏作って魂入れずというのが、この法律のこの条項ではないかと考えるわけです。一番行方不明の多いのは、今御答弁があったように、零細船主の持っている漁船が多い。しかも、これは一ぱい船主でございますから、船がなくなり、財産も全部なくなるという場合に、制度ができても、たとい裁判にかけられても払えません。そうなると、だれが一番困るかという問題——なるほど行方不明手当は、制度としては前進です。しかし、実際対象になる者はその恩恵に浴し得ないという実態は、厚生省も十分考えてほしい。なるほど、保険財政の問題もありましょう。しかし、政務次官もおられますが、政府が責任を持って提案するとすれば、その裏打ちをしっかりして出すべきだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/65
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066・有馬英治
○有馬政府委員 まことに仰せの通りだと思います。率直に申しまして、本日答弁の足らない点もあるかと存じます。その点はさらに検討いたしまして、また打ち合わせも十分いたしまして、後刻御納得のいく御説明をしたいと思います。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/66
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067・久保三郎
○久保委員 以上で、本日のところは途中で打ち切っておきますが、資料の要求を一つだけしておきます。
この諮問をされた条項で、今日法改正に、いわゆる答申のなかったものについて、当該の機関がいかなる論議をしたのか、その要点だけを資料として出してほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/67
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068・高橋清一郎
○高橋(清)委員長代理 次回は、来たる十六日、金曜、午前十時より委員会を開会することといたします。
なお、明日は午前九時三十分より商工委員会と連合審査会が開かれますから、御承知おき願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104003830X01419620314/68
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