1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年一月三十一日(水曜日)
午前十時三十分開議
出席委員
委員長 有田 喜一君
理事 岡本 茂君 理事 周東 英雄君
理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君
上村千一郎君 倉成 正君
藏内 修治君 小泉 純也君
薩摩 雄次君 澁谷 直藏君
中村 幸八君 田中 武夫君
滝井 義高君 渡辺 惣蔵君
伊藤卯四郎君
委員外の出席者
通商産業技官
(大臣官房審議
官) 久良知章悟君
労働事務官
(職業安定局
長) 三治 重信君
労働事務官
(職業安定局調
整課長) 北川 俊夫君
労働事務官
(職業訓練局
長) 村上 茂利君
労働事務官
(職業訓練局管
理課長) 中田 定士君
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一月三十一日
委員白浜仁吉君辞任につき、その補欠として上
村千一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員上村千一郎君辞任につき、その補欠として
白浜仁吉君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会に関する件
炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律
案(内閣提出第六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/0
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001・有田喜一
○有田委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会から本委員会と連合審査会を開きたい旨の申し出がありましたので、これを受諾し、連合審査会を開くことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/1
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002・有田喜一
○有田委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。
なお、連合審査会開会の日時等につきましては、委員長に御一任をお願いいたします。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/2
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003・有田喜一
○有田委員長 さよう決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/3
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004・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ちょっと資料の提出をお願いいたします。炭鉱離職者の趨勢についてのいろいろな資料をお願いしたい。まず第一は、炭鉱離職者の離職数、これは減少数でもけっこうです。ことに炭鉱離職者臨時措置法の適用になった昭和二十九年から、その動向をお知らせ願いたい。その次に、その離職者の広域職業紹介の実施状況、並びに県内職業紹介の実施状況、これを地域別に一つ出していただきたい。さらにまた再就職者の労働条件、これもできるだけ出していただきたいと思います。次に炭鉱離職者の職業訓練実施状況、これは炭鉱離職者援護会ができましてからの、昭和三十四年の十二月以降でけっこうであります。これは入所者、中退者、終了者、終了者のうちの就職状況、これは年令別、地域別にお願いいたします。さらに、できれば再就職の場合の労働条件もお願いいたしたい。さらにまた訓練職種別、さらに中退の理由、次に県外訓練所の入所状況、さらに職業紹介あるいは訓練以外の、すなわち緊急就労事業の吸収計画並びに実施状況、さらに公共事業における失業者吸収状況、鉱害復旧における失業者吸収状況、それから一般失対事業における吸収状況、さらに今後の問題として、昭和三十六年度の第四・四半期並びに昭和三十七年度の炭鉱離職者の発生見込み並びに移動見込み、並びに計画、これを一つ至急資料を出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/4
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005・三治重信
○三治説明員 ただいまの資料、大体できると思いますが、ただ職業訓練の方は大へん詳しいのですが、その中退の理由別とか訓練所への県別のものは、あるいはすぐには出ないかもわかりません。それ以外のは大体出ると思います。至急資料として整えて提出したいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/5
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006・有田喜一
○有田委員長 それでは、内閣提出、炭鉱離職者臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題として、質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。岡田利春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/6
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007・岡田利春
○岡田(利)委員 きょうは大臣が出席できませんので、本法案に対する質問の予備的な質問、こういう軽い意味で若干質問いたしたいと思うわけです。
今、多賀谷委員から資料の提出の要求がありました通り、炭鉱離職者の実態、あるいはまたその動態というものは、なかなかつかみ得ないわけです。従って本法案を審議する場合に、その実態をやはり把握しないと、なかなか核心に触れた質問というものは非常に困難であろうかと考えるわけです。これからの審議の方法の関連もありますので、今局長が答弁いたしましたこの資料の提出は、いつごろまでにできるのか、まず、この提出の時期を一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/7
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008・三治重信
○三治説明員 あす十時ごろまでに提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/8
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009・岡田利春
○岡田(利)委員 炭鉱離職者の臨時措置法が三十四年十二月にできておるわけですが、特にこの中で、今回改正点として出した以外の前提の問題点として、いわゆる移住資金の支給をめぐって、県外移住の問題と県内移住の問題が、ずいぶん長い間論議されてきたわけです。しかし私の調べによりますと、いわゆる事業団の業務方法書等を見ますと、県外移住並びに県内移住についての移住資金の支給については、どうも業務方法書の面と実際に運用されておる面が違うのではないか、こういう感じが実はいたすわけです。従って、実際問題として今移住資金の取り扱っている業務の実態というものは、どういう方法でやられておるのか。この際その業務方法書等をめぐって、それと対比しながら、現在行なっている方法について一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/9
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010・北川俊夫
○北川説明員 移住資金につきましては、現在月平均千三百件程度移住資金を支給しております。単価といたしましては、大体七万一千円程度になっております。今御指摘のように、移住資金の支給要件といたしましては、法律にございますように、炭鉱離職者または炭鉱労働者が多数居住している地域から、その指定地域外に移住することを要件としております。その地域につきましては、御承知のように、業務方法書で指定をしておりまして、大体炭鉱のある地域につきましてはほとんど指定いたしております一炭鉱労働者の全体の大体二%から五%程度が、地域外に居住しておる。従いまして居住地域の点からいいますと、ほとんどが移住資金の支給は受けられる、そういう要件になっております。ただ御承知のように、現在の移住資金につきましては要件がございまして、炭鉱離職者臨時措置法の二十三条の二項で、その退職がその者の責めに帰すべき重大なる事由でないこと、あるいは自己退職でないこと、それから離職が三十年九月一日以降であること、あるいは二十九年九月一日以降一年以上引き続いて炭鉱労働者として働いておった経験を有すること、それからこの法律の施行の際、昭和三十四年十二月現在において指定地域に住んでおること、あるいは法律施行後新たに安定した職業についたことがない、こういう要件を指定いたしております。なお、これらの要件につきましては民生委員の証明、あるいは当該市町村長、そういうものの証明を添付いたしまして、それで申請をいたしておりますが、運用の面は、こういうことを申してはなんでございますけれども、炭鉱労働者の方々になるべく移住資金が渡るように弾力的な解釈でやっておる、こういうふうにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/10
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011・岡田利春
○岡田(利)委員 今説明された点で問題なのは、業務方法書を検討して参りますと、大体炭鉱の所在している市町村単位になっておるわけです。決してこれは県単位になっていないわけです。ですからAという、炭鉱のある、多数炭鉱労働者の居住している地域から隣の町村、全然炭鉱もないそこに移住した場合には、業務方法書等から見ると、今、二十三条の資格要件があれば、当然移住資金を支給する対象になると私は思う、そういう点については、現在の取り扱っているのは、そういう場合には支給されていないというのが実態ではないでしょうか。いわゆる県外移住、県内移住という問題があって、県外の場合には一応資格要件に達する、しかしながら、自県内の場合には、同一県内の場合には、一応業務方法書等から見れば適用されるということになっておるけれども、実際問題としては、自県内の場合にはほとんど適用されてないというのが実態ではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/11
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012・北川俊夫
○北川説明員 今の御指摘、実際にどうなっておるかという点で、いろいろ先生方の方にも御質問があろうかと思うのですが、われわれの解釈では、支給要件に該当しておる、すなわち、指定地域の市町村に住んでおって、そこから外へ出るという要件さえ備えれば、しかもこれは移住資金でございますから、住居を変える、そういうことでございますれば、当然に支給しておる、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/12
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013・岡田利春
○岡田(利)委員 これは、過般来、いろいろ陳情団とか、そういう中でも論議が行なわれたり、あるいはまた、直接そういう面で陳情も行なわれておるのが実態なわけであります。そこで、やはり一番問題なのは、自県内の場合に、この点が適用されていない。県外に移住する場合については、資格要件があれば支給されておるわけです。ところが一方業務方法書を見ると、あなたが言われるように、Aという多数の炭鉱労働者の居住する町から隣の町に行く場合でも、資格要件があれば、当然その対象になるという工合に私は理解をしておるわけです。ですから、この点、実態がどうなっておるかということは非常に大事な問題ですし、そういう点についてもあわせてあとから、実態がどうなっておるのかという見解を示してもらえば非常に幸いではないか、私はこのように考えるわけです。特に県内の場合には、福岡県、佐賀県あるいは長崎県、あるいはまた北海道は一つの県でありますから、特に北海道のような場合には、北海道からよそに出なければ対象にならぬ、こういうことになりますと、東北六県プラス新潟県の地域を有する北海道の場合、非常に問題になってくるわけです。予算も実はあるわけでありまして、そういう面から、業務方法書等で一応そうなっておるけれども、実際の場合には、予算運用の面で相当縛られておるのではなかろうか、こういう気がするわけなのです。そういう点、予算上との関連は、実績はどうなっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/13
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014・北川俊夫
○北川説明員 予算上は、昨秋までは非常に予算のワクが少のうございまして、御指摘のように、移住資金の要件に該当するのに支給しないということはございませんが、支給が順次ずれるということはございました。しかし、昨年の十一月に石炭関係の閣僚会議が設置されまして、そこで緊急対策の一環といたしまして、移住資金の支給のワクを大幅に拡充いたしました。たしか一万三千人を一万六千人にふやしたはずでございます。それによりまして、予算のワクでそういう支給要件をゆがめて解釈する、あるいは支給を制限する、そういうようなことは一切なくなっておる、こう考えております。
それから、もう一度繰り返して明確にしておきますことは、その県から外へ出なければ移住資金を支給しないということは絶対にございません。北海道でございましても、指定地域から、たとえば札幌へお移りになる、そういうものには支給しておる実績もございますので、あとで、件数その他内容は、何でございましたら、資料で提出いたしてもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/14
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015・岡田利春
○岡田(利)委員 これはあとで資料を追加して出してもらうことにしまして、先ほど説明がありましたように、昨年度の実績は千三百人、平均七万一千円という実績であったということになりますと、予算上大体満配なわけです。今年度の予算を見ますと、支給人員は一万七千人で四千人増加をして、平均の単価は大体六万九千円ですと、ことしの一年間の実績から二千円下回った六万九千円を一応予定しているわけです。そうすると、去年の場合には満配なわけです。一万三千人の予算しかないわけです。実績がそう出ているということですから……。それも年度は終わっていない。三月末で年度が終わるわけでしょう。そうすると、どうしても消化し切らぬという点が、あなたの今の説明から見ても、大体想定がつくのではないかと思いますが、この予算を立案するにあたって、一万七千人というのはどういう根拠に基づいて出されたものか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/15
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016・北川俊夫
○北川説明員 この算出の根拠は、雇用奨励金を支給するという制度の新設に伴いまして、雇用が大体二割以上伸びるであろう、移住資金の支給を受けるものが二割以上多く出てくるであろう、そういうことで約二割増という計算をいたしております。単価の点につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、現在七万一千円でございますが、これは今の移住資金の支給状況を見ておりますと、北海道からの移住が最近非常にふえておる、こういうような実情でございます。ただ、この冬に入りまして北海道の移住がやや減って参りまして、単価も今までの七万一千円からやはり六万九千円程度に落ちるのではないか、そういう関係で、来年度の積算は六万九千円で十分であろう、なお移住資金のワクにつきましては、そういうわけで一万七千人に限定はしておりますけれども、われわれと大蔵省の了解事項といたしましては、移住資金は義務的なものである、法律に基づいて支給するものであるから、来年度において雇用が非常に伸びて移住者が非常に多くなる、そういう事態が出てくれば、これについては適当な財政的な裏づけをする、こういう了解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/16
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017・岡田利春
○岡田(利)委員 次に、今の移住資金と関連して、雇用奨励金の問題についても、一応今年は五千人の予算を計上しておりますけれども、もし六千人、七千人あるいは一万人とふえた場合には、同様に義務費として受け入れる考えがあるのかどうか、この点について見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/17
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018・北川俊夫
○北川説明員 雇用奨励金につきましても、労働省、大蔵省の考え方としましては、移住資金に準ずる性格のものとして、実績に応じて財源の裏づけをするように努力いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/18
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019・岡田利春
○岡田(利)委員 雇用奨励金のいわゆる具体的な支給基準といいますか、これはいずれ省令あるいはまた業務方法書等に具体的に定められると思うのですが、当初労働省の大蔵省に対する予算の要求としては、大体最低二万円から最高四万円までで、四分の一の雇用奨励金を当該事業主に出す、こういう原案であったと思うわけです。しかも四万円以上については、その場合には四万円の四分の一すなわち一万円は頭打ちとして支給する、こういう構想であったように私は記憶しておるわけです。今度の予算の決定された内容を見ますと、三万円すなわち七千五百円で頭打ちになって、当初の要求よりも一歩後退いたしておるわけです。しかしこの七千五百円というのは、たとえば三万五千円あるいは四万円、三万円以上に対してもこの七千五百円を支給するという意味なのか、三万円までということで、七千五百円も三万円も頭打ちになっておるのか、この点と、それから基準として考えられる重要な事項について、もし考え方がまとまっておれば御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/19
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020・三治重信
○三治説明員 雇用奨励金の支給の要件について御説明申し上げますが、男子につきまして二万円以上の方に、それで雇った事業主に対して支払う、その二万円については五千円、それ以上の場合には、その増加した金額の大体四分の一、その最高限度は今おっしゃったように七千五百円で、三万円でございます。三万円以上支給されるものについても、その支払われる賃金は三万円以上でも、国から奨励金を出ずのは七千五日円を限度とする、こういう規定でございます。こういうような内容につきまして、いずれ業務方法書で下部一般に公示するというふうに、業務方法書の取り扱いに規定するということになります。なお女子、身体障害者の場合につきましては、その二万円の基準を下げまして、一万四千円以上というふうにしております。さらに、この法律が通った後でなくて、これを本年の一月一日以降に雇用された者についても遡及して適用していく。それから年令は三十五才以上でございますが、ただし一斉閉山、あがり山とか買い上げとか、そういうような場合の一斉閉山の場合には、三十才までその基準を下げる。その他安定所の紹介によるとか、またはその雇用が常用雇用として永く続く見込みのあること等、若干の規定を入れるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/20
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021・岡田利春
○岡田(利)委員 雇用奨励金の支給の、今の女子と身体障害者の場合なんですが、女子の場合はさておいて、身体障害者の場合には、ちょっと私は問題があるような気がするわけです。現実に公傷になって、まだ治療継続中という場合には、これは解雇もできませんから、そういう点では比較的当面すぐ問題になりませんけれども、一応症状が固定して、不具者としていわゆる軽作業についておる。しかし、炭鉱の合理化というものはものすごい勢いでどんどん進んでおる、こうなって参りますと、当然いわゆる身体障害者を排除するということが、これは現実に出ておるし、これから特にこの面に合理化が集中的に向けられる傾向にあると私は思います。私は、全国の統計はどうかわかりませんけれども、北海道に先般視察に参りましたときに、大体北海道内に身体障害者が二千人おる、二千人ということは二千世帯ある、こういう説明がなされておるわけです。そうしますと、災害率その他から見て九州の方が高いわけですから、全国でおそらく五千人以上——私ははっきり数字をつかんでいないわけですが、相当数の身体障害者がおると思うわけです。しかも炭鉱のこれからの合理化というのは、今までは希望退職その他で人減らしを行なってきたけれども、今度は質のいい労働者を確保する、こういう点に向けられて参りますと、身体障害者は排除される。公傷、私病を問わず、たとえば肺結核等でなかなか安定しない、軽作業でなければ従事できない、こういう人々にむけられてくる。現実にそういう者を休職にしたり、ある部面においては排除するということが行なわれておるわけです。そうしますと、特にこの身体障害者に対しては、こういう雇用奨励金自体だけではその対策が私は十分とは言えないと思いますし、また保障額が非常に低いということは、今日の炭鉱合理化の趨勢から見て、社会問題としてこれは再検討しなければならぬ要因があるのではなかろうか、こういう気持を私は持っておるわけですが、こういう点についてはどういう考え方を持たれておるか。いわゆる身体障害者なるがゆえにその障害額が、これは生産性が低いのだから最低基準額も当然低いのだ、こういう単純な割り切り方なのか、この点一つ見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/21
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022・三治重信
○三治説明員 一万四千円に下げましたのは、女子並びに一般の身体障害者の雇用賃金が、現行において一般の人よりか低いのは事実であります。従って、全部これを込みにして二万円以上だけを対象にするというふうになりますと、女子または身体障害者という、そういうことによって、この支給要件にかなわなくて、せっかく就職しても雇用主が奨励金がもらえないという事態がくるからということで、われわれの方は基準を下げたのであって、従ってこういう考え方と申しますか、われわれの方は、現実に合わして、その現行賃金よりか若干でも努めて高く雇用してもらうために、その支給対象の範囲を広げた、緩和したというふうな意味でこういうふうにしたので、決して安い賃金でこれを雇いなさい、そのかわり奨励金をあげるというふうには解釈しておらないわけでございまして、それはまた一面、逆にいえば、身体障害者でも二万円以上にして、そして雇用奨励金の方をもっと増額したらいいのではないかということは、一つの議論としては出ると思いますが、いろいろ折衝の結果、われわれの方としては、こういう人たちに特別に支給率を上げるということでなくして、やはり採用条件を下げて支給範囲を広げるということで、一応結論を得たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/22
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023・岡田利春
○岡田(利)委員 炭鉱は作業強度率も全産業で一番高いし、災害率も非常に高いわけです。しかも、災害率は依然として減っていないわけです。大体死亡だけをとらえてみても、フランスに比べて日本の炭鉱は約三倍の死亡率なんですね。百万人稼働で統計を出しますと、フランスに比べて三倍。大体、ヨーロッパに比べて三倍ぐらいです。おそらく日本の場合は九・七か八ぐらいでしょう、フランスの場合にはそれが三・四か五ぐらいでしょう、そうすると約三倍ですね。死亡でそうですから、重傷の面でも同様の傾向をたどっているわけです。しかも炭鉱労働者は非常に少なくなってきたわけですが、災害率というものは依然として減らない、むしろ高くなってきておるというのが、今日の統計なわけです。さらに労働者が減って能率が上がってくると、そういう災害による身体障害者というものは、どうしても温存しておくわけにいかぬ、どうしても排除するというような方法がこれから特に来年にかけて強くとられてくると思うのですね。そうしますと、この問題は、いわゆる雇用奨励金だけでは解決しない問題ではないか、こう理解するわけです。だから単に雇用奨励金の問題で、身体障害者の場合にはできるだけ雇ってもらうということで、基準を下げて出すという考え方は一応了とするとしても、これだけでは解決できる問題でなくて、これは新たな角度で検討しなければならぬ問題だという工合に私は考えるわけです。そういう点について労働省は検討されたことがあるかどうか、あるいはまた、その身体障害者の現在炭鉱在職者の中における実績というものはどうなっておるか、もし資料がなければあわせて資料として提出してもらいたいと思うのですが、この点についてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/23
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024・三治重信
○三治説明員 私が訓練局長をやっておりました昨年におきまして、石炭経営者協会の方からも、身体障害者の配置転換について、職業紹介だけではむずかしいから職業訓練をやって、そして配置転換を考えてもらいたいという申し入れがありまして、いろいろ検討いたしましたところ、現在入っております身体障害者の訓練は、むしろこういう方でなくて、小児麻痺とか一般の障害者が多いわけです。その就職の状況を見ますと、大体一万円前後で、現在炭鉱で障害を受けて各山で雇用されておられる方の賃金と比較してみますと、訓練をやっても、とてもそれだけの賃金には及ばない、そういうことを考えまして、とても訓練では現在無理ですというふうに答えたわけです。それで、別に何とか方法はないだろうかという話で、今話を進めているわけでございます。また経営者協会の方も、身体障害者の割合につきましては、まだ調査資料がありませんでした。それで二、三の資料を求めているのだけれども、たしかあのときには三菱、住友のどこか二、三の山の資料が今集まったところなんだというふうに言われたのですが、これは特に身体障害者の割合の多いところだったと思いますが、鉱害だけの関係で大体一一%ぐらいの人があるような数が出ております。従ってこの方面の関係の資料は、今すぐは、おそらく経営者側の方もどこも、身体障害者がどれだけいるかということについては、ちょっと資料がつかみにくいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/24
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025・岡田利春
○岡田(利)委員 今、炭鉱の労働者の長欠というのが七千人くらいに上っておる。非常に膨大なわけです。いわゆる産業災害によるものと、疾病による長欠、これが非常に多いわけですね。従って私は、この問題は特に重要な問題として取り上げなければならぬと思うのです。産業以外の、今言われた小児麻痺とか、あるいは交通事故とか、あるいは何か天災等による傷害を受けたものについては、これは私は厚生省の所管になると思うのです。ところが炭鉱のみならず、産業災害による身体障害者については、これは労働省として当然その対策を考えなければならぬわけです。特に、炭鉱が集中的に合理化を進めておる、特に人減らしがものすごく激しいという場合に、今まではあまり表面には出てこなかったけれども、これからどうしてもこの問題が非常に集中的に私は出てくると思うのです。そうしますと、われわれが北海道へ行っても、経営者の陳情では、わかっておるだけでも約二千人の身体障害者が現実におる、これを何とか対策を立ててもらわなければ、将来の炭鉱の質のいい労働者の確保には問題がある、この点はぜひ一つ検討してもらいたいという陳情が、むしろ経営者からなされておるというのが実態なわけです。そうしますと、やはりこの実態をすみやかに把握をして、今から対策を立てなければ、非常に問題が出てきますし、今言った、雇用奨励金だけでこれは解決できる問題ではなくて、特にそういう人については特殊な職業訓練を施すとか、そういう特殊な、臨時的な学級を作るとか、そういうことをやはり雇用促進事業団の中で実施に移さなければならぬ段階だと思うのです。こういう点について、特に対策を一歩進めるという私の認識と、あなた方の認識が一致するかどうか、見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/25
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026・三治重信
○三治説明員 実態をまだよく承知いたしませんので、はっきりしたことを申し上げられないのが残念なんですけれども、私の石炭経営者との話のときの感じからいきますと、先ほど先生がおっしゃったように、炭鉱災害によるところの身体障害者であるものですから、身体障害者になる前の前職賃金を保障している部面が非常に多い。従って民間雇用で一言うところの、身体障害者でも残存能力を有効に適応訓練をやって、新しく使って、それに相当する賃金を出していく、その基準からいくと非常な開きがある。従ってそれが、一般雇用の方に、石炭以外の産業に転職さす場合に、賃金の部面で非常に問題が出てくるんじゃないかという感じを持っておったわけですが、いずれにいたしましても、先生のおっしゃる部面もまた、経営者側が労働省に対して、昨年、一般の離職者に対する対策と同時にそういう部面を考えてほしいという申し出のあったのも事実でございます。しかし、これは実態をもう少し確かめてみないと、一般的にと申しますか、これをこういうふうにしたいというふうな部面について、まだわれわれ労働省としても結論を得ませんので、今後調査研究し、各方面とも連絡して考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/26
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027・岡田利春
○岡田(利)委員 直接法案とは関係ありませんけれども、今の問題と関連して、いわゆる炭鉱災害による死亡者は毎年六百五十前後、多いときは七百をこえるわけです。大手の場合には労働協約等があって、いわゆる優先採用の原則でできるだけ採用する、こういう方法をとっておるわけです。中小の場合には、もう即、縁が切れてしまうという格好なわけですが、この滞留人員が一体どうなっておるかという問題も、この際あわせて考えてみる必要があるのじゃないかと思うわけです。これは未亡人の人が、子供が大きくなるまで坑外業務に働いておって、子供が成人に達すれば、切りかえ採用で、未亡人の人がやめて、子供が採用される、こういうケースが非常に多いわけです。この点もやはり炭鉱合理化案の今の進め方からいうと、抱えておくことができないという傾向が出ているわけです。特にガス爆発等によって大量に死亡した場合、多くの子弟なり未亡人を抱えているという炭鉱も随所にあるわけです。そうすると、この面の対策もあわせて考えてみなければならぬのではないか、約二割の人がもし炭鉱に残っておるとするならば、大体二百名くらいの人がおるわけです。五年間で大体一千人、こういう数字に実はなるわけですね。この人たちもこれからの合理化の犠牲をさらに強要されるという傾向が出てくると思うのです。ところがこれは、移住してほかに就職をあっせんしてもらうとか、職業訓練を受けるとかいう条件には実はないわけです。この点については、やはり政府としても、炭鉱の合理化をこのように進めていくという計画を変えない限り、ある程度の強い行政指導を行なう必要があるのではなかろうか、こういう考え方を持つのですが、この面については特に検討されたことがありますかどうか、お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/27
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028・三治重信
○三治説明員 全くその通りでございまして、昨年から、一度大きな爆発があったときに、職業安定局の方で、現地にそういう遺家族のための、遺家族福祉センターというものでありますが、未亡人や何かの職業講習をやるセンターを作りました。本年度もその予算を一部とっております。さらに労災の方で、死亡者の遺家族の生業資金とか、そういうふうな援護制度のために二億の基金を設けまして、その利子を今後生業資金的に使って、そういう生業ができるようにしていきたい、そういう遺家族関係の対策につきましては、まだわずかではございますが、昨年以来、また本三十七年度におきましては、労災保険並びに雇用促進事業団の方でそういう施設を設けまして、実施していくようにしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/28
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029・岡田利春
○岡田(利)委員 炭鉱労働者が自己の責めによらざる理由で解雇をされた場合、職業訓練を受けて、そして安定的な勤め先を求めていく、その場合に、今の訓練所の施設能力から考えて、さらに合理化が強化されていく場合、今度技能習得手当も出たし、別居手当制度もできたという面で、職業訓練所に収容しきれぬという事態が出てくるのではなかろうかと思うわけです。この場合には一体どう措置するか、これが第一点です。
第二点の問題としては、職業訓練所の問題なんですが、国立職業訓練所、あるいは県立の職業訓練所もあるでしょうし、あるいはまた三重県のように特殊の職業訓練所もあるでしょうし、あるいは事業主が職業訓練所を作る場合もあるでしょうし、いろいろ予想されるのですが、そういうところに入る場合、具体的にはどういう職業訓練所というものを考えておられるか、大体今までのケースだけなのか、それ以外に何か新しい角度で職業訓練所というものを一応予想されておるのか、この点も含めて一つ御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/29
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030・三治重信
○三治説明員 現在、御承知のように、炭鉱離職者のために専門に、その人たちだけを対象として訓練所を設けております。その定員が約三千百人でございますが、現在のところまででは大体七割、最近においては修了者——一時入った人が出ておりますので、大体半分の千五、六百人の程度であります。従いまして、三十七年度の予算につきましては、そういう実情から申しまして、その収容人員の増加はちょっと、対大蔵省の折衝の上においてもできませんでした。しかしわれわれの方としては、各地に訓練所の整備計画は持っておりまして、現在のところ、総合訓練所を含めますと、約六万五千人程度の収容能力を持っておりまして、それについて、炭鉱離職者が入りたい職種につきましては、優先的に配置するように考えております。従ってわれわれの方としては、現在のところ、炭鉱離職者の方で、職業訓練を受けるために職業訓練所へ入りたいと言われる方が入れないということはまずないと思います。もちろん本人の能力が、本人が希望される職種に非常に適しない場合、またその一応のテストがあって、訓練の対象として、この人を訓練して確かにこの技能を身につけられる、そういう標準に達しない方については、それは無理ですよというふうに勧告はしておりますけれども、しかしその希望される方が一定のテストの能力を持っておられまして、競争試験のためにはずれるということはまずないというふうに申し上げていいのじゃないかと思います。むしろわれわれの方としては、職業訓練所に入っていただくように、職業安定所や市町村を通じて、できるだけ募集を徹底させることにもう少し努力しなければならないというふうに考えておるくらいであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/30
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031・岡田利春
○岡田(利)委員 なるほど現在の国立職業訓練所の場合は、六万五千人の人員が収容できるわけですね。しかしながら、これは全国の話なんです。そのことは実際問題としてどうかとなると、運用の面で六万五千人という数字は出てこないと思うのです。そこで別居手当も三千六百円、あるいは技能習得手当七十円も出るわけなんですが、まず初めに、技能習得手当七十円という根拠は、どういうところに一体置かれているのか。それから第二には、三千六百円の別居手当は、もちろん職業訓練を受ける場合に簡易宿泊所を作る、そういうものに収容する、そのまかない費が大体三千六百円だということではないかと私は思うのですが、そういう点はっきり、炭鉱離職者の場合にそういう簡易宿泊所の便宜が適用され得るのかどうなのか、そういう自信があるのかどうか、このことをまず伺っておきたいと思うのです。
それともう一つは、職業訓練所の配置の問題なんですが、もちろん労働省としては全産業的な視野に立って職業訓練所の配置をしなければならぬのですが、一例を産炭地の北海道にとってみますと、札幌、小樽の間の銭函にりっぱな国立職業訓練所ができた。第二には釧路と旭川と函館に実はできているわけです。函館は慢性不況地帯で、職業訓練の必要があると思うのです。旭川にできて釧路にできておるのだけれども、肝心かなめの、最も労働者が滞留し、炭鉱労働者の最も密集している空知が一ヵ所もないわけです。こういう点、職業訓練所の設置の問題は、何か市町村の陳情によってある程度訓練所を作る、そういう政策的な面で一貫して職業訓練所を配置する、こういうものに欠けているのじゃないかと私は思うのです。しかも三ヵ所一ぺんに予算をつけたけれども、これは実際には政府の方針もあって繰り延ばされておる。しかもそれは去年予算がついたけれども実現ができないで、これが一体今年の下期に開設できるかどうか、できなければ来年の四月一日からでなければ実際に職業訓練ができないという実態なんです。こういうやり方について、今の差し迫っている雇用政策と照らし合わせて考える場合に、悪い言葉で一言えば、何か非常に観念的な面が強いのではないかと思うのですが、この点もあわせて一つ御見解を承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/31
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032・三治重信
○三治説明員 訓練局長がおられて答弁すべきですが、私はずっと訓練局長をやっていたものですから、訓練局関係のことですが御答弁申し上げます。
一般の総合訓練所は、御承知のように、各県一ヵ所ということで現在進んでおりまして、今年度新しく和歌山と奈良に作りますと、政治的にちょっと設立する場所がきまらない京都を除きましては、全部設置されることになります。北海道は東北六県よりもさらに広いということで、四ヵ所にきめたわけでございます。それで昨年は、予算は二種目ずつ内地並みに入ったのですが、暖房施設を入れるのを忘れておりまして、従って早くそれをやっても、冬に暖房施設がないとちょっと授業が始まらない。内地の場合だと、実習所二棟建てまして二種目の授業が始められたわけなのですが、北海道はよく考えてみると、暖房施設を別に本館のところで作って、全部に暖房が回るように施設をしないと、授業がちょっと冬できない。しかしそれを特別に二棟だけにやることはできないということで、延ばして、今年度とうとう予算を入れまして、一緒にできるだけ新年度から工事を始めるように、新年度の予算も含めた設計をやっていただくようにしておりますので、来春早々から北海道三ヵ所一斉に、内地の二ヵ年分のものが一緒に工事にかかれる予定でございます。
それから、北海道の炭鉱離職者についての、その現地、いわゆる離職者発生地に訓練所を作るようにということですが、われわれの方としては、北海道庁の意見に従って、離職者の出た夕張とか美唄とか、そういうところに臨時の、石炭対策のための特別の訓練所を作った次第でありまして、われわれの方として、そういう石炭対策につきましては、現地と相談した上で、現地の要望するところに作ったことと思います。その詳しいことについては私今ちょっと資料を持ち合わせておりません。さらに、われわれの方としては、発生地ばかりでも就職のときに困るのじゃないかということで、小野田とか、それから大阪とか、需要地に特別の訓練コースを設けまして、それには全員収容の寮も設けましてやっております。従って今後もこういう方々に対して、発生地もさることながら、やはり需要地に収容した方が、どうせ移転して就職される方については——訓練期間中までも家族と離れるのはあるいはどうかと思いますけれども、実際にむしろ需要地で訓練を受けられる方がいいような気もいたしまして、その点につきましては、そういう宿舎を増設するように、昨年四千五百万円、今年もその程度入れまして、宿舎を作ってそこへ収容していくようにしていきたいと考えております。
なお、別居手当につきましては、三千六百円は、現在大体三千円から三千二百円の食費をとっております。これは大体燃料費、それからまかない婦の関係のものも、全部は予算に入っておりませんけれども、若干そういう寄宿舎運営のための経費が別に訓練所の宿泊施設には入っておりますので、現在のところ物価の値上がりも考慮して、今まで大体三千円から三千二百円の寄宿舎費をとっていたのを、三千六百円にすれば、その寄宿舎に入っていただければ大体無料で訓練が受けられるということでございます。
技能習得費の関係は、七十円のうちで三十円が交通費。これも、各地の石炭離職者の方で訓練を受けられている方の交通費を調べたところ、大体この程度でいくのじゃないか。それから四十円の方は教科書代、作業服代その他文化費というものをたっぷり見込んでも、大体四十円だったら余る。それは、ほかの、いわゆる生活保護費が百五十円入っているじゃないか、——というのは、大体各種学校とかそろいう私設の学校にいくと、授業料とか、一切がっさい、一部の材料費まで各人持ちになるので、そういうところまで計算してあるようなので、訓練所の経費をどう計算しても——われわれの方もできるだけ多くしようというふうに計算したのですけれども、そういうものはみんな訓練所の予算の中に入っていて、重複計算になって、技能習得費といっても、生活保護費の積算の基礎からいくと半分以上が重複計算になるものですから、どう計算しても七十円程度、われわれの方が実際に見ても、実費はそれで十分にまかなえるというようなことで、七十円にきまったようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/32
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033・岡田利春
○岡田(利)委員 額のことはきわめて大事な焦点ですから、別途同僚議員からも御質問があると思うので、一応これはたな上げにしておきたいと思うのですが、今言われた職業訓練所の設置の問題なんですが、これは答弁とは実態が違うと思うのです。なるほど北海道庁ではまとめたかもしれません。しかしそれは自主的に申請のあった各市町村を単位にして一、二、三と順番つけて、これを予算要求したというのが私は実態だと思うのです。ですから私は、雇用促進のための職業訓練所の配置ということは邪道だと思うのです。たとえば炭鉱の子弟なんかの場合には、今当該企業は炭鉱がほとんどの雇用者を占めておるわけですから、炭鉱労働者の子弟というのは非常に多いわけです。扶養率も非常に高いわけです。そうすると、子弟が出てきて訓練を受けて、どこか産業に就職したいと思っても、これは非常に離れたところでは実際に職業訓練を受けられないという実態があるわけですね。ですから産炭地の空知炭田を見ますと、これは単に炭鉱離職者の職業訓練だけでなくて、扶養率の非常に高い、しかも子弟が余っている炭鉱地帯のいわゆる子弟の職業訓練という問題もあわせて考える場合に、政策的には、銭函に作る、函館、旭川に作るのであれば、これは空知に作るのは当然だ、私は二カ所作れと言っているのではない、一カ所ぐらい作るのはあたりまえだと思うのです。特に北海道は広いし、空知といっても二県分あるわけですから、そういう実情を無視しているというのは、やはり政治の一番悪い面がここに現われているのじゃないか、このように実は考えるわけです。従って、これはもちろん予算上の問題もあるでしょうけれども、御存じの通り、国立の職業訓練所のほかに、県立の職業訓練所もあるわけです。もし大量解雇で実際にそういう人々が出てくる場合、今言われたように、七十円もらい、三千六百円の手当があるといっても、函館まで行く、釧路まで行くというのは——銭函の場合は非常に近いのですけれども、非常にこれは問題があるのじゃないか。ですからやはりこれは、三池のように、事態によっては特殊な簡易職業訓練所といいますか、臨時的な職業訓練所といいますか、こういうものを考慮する気がまえが必要ではなかろうか、私はこういう気がするのですが、そういう事態に対しては積極的な対策を考えられておるかどうか伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/33
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034・村上茂利
○村上説明員 御意見まことにごもっともでございまして、北海道の例についての御指摘があったのですが、大体訓練所の設置につきましては、ただいま職安局長からもお答えしたのでありますが、総合訓練所につきましてはある程度将来の長い見通しを立てまして、長期にわたって訓練を要する地域というものをやはり考えまして作らさるを得ない。その場合に、釧路は北海道の道東地区でございます。旭川は中央並びに北部の中心地であります。札幌は御承知の通り、もう一カ所南部には函館というように、恒久的な施設としての総合訓練所の配置としては、北海道の場合はまずまずではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。ただ御指摘のように、こういうふうに大量に失業者が出てきて何とかしなければいかぬという場合に、そういう恒久的な固定した施設ではどうにもならぬ、もっと適切な手を考えたらどうかということでございます。これはまことにごもっともな御意見でございます。労働省としましては、これは先生御承知かと存じますが、滝川に、三十五年度でございましたか、訓練所を作ることにいたしまして、これがもっぱら炭鉱離職者に対する訓練のあの地区のセンターになる、そういたしましてさらに芦別であるとか、あるいは上砂川、あるいは三笠といったようなところに臨時の訓練施設を設けまして、機動的にこれに対処したい、かように考えております。そのように恒久的な施設と臨時的な施設とを総合的に運営いたしまして、多少まだ時期的に十分機能を発揮していないところもあろうかと存じますが、そういうところにつきましては鋭意努力いたしまして、目下の緊急の要請にこたえたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/34
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035・岡田利春
○岡田(利)委員 職業訓練を受けて職業訓練所を出てくる、その場合に、雇用奨励金制度を設けて順調に雇用されるという前提に立つわけなんですけれども、実際問題として、職業訓練所に入る者が非常に多くて、卒業したけれどもなかなか雇用もきまらぬというような事態が考えられるわけです。われわれは一歩を譲って、国会決議を消化するという立場に立っても、少なくとも職業訓練所を出て雇用先がちょっとないという場合には、前職賃金保障主義といいますか、生活保障ということを考えなければいかぬのじゃないか。労働省としても、職業訓練所を出て雇用先がきまらぬという場合には、職業訓練手当というものをある程度上げて、生活保障ということを考えて訓練を継続するとか、あるいはまたその間において行政的に考えていく、こういう意図もあったように私は聞いておるのですが、この点についてはどうなっておるのか。それと、訓練手当は据え置きになっているわけですね。その点の関係はどうなっているのか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/35
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036・三治重信
○三治説明員 現在炭鉱離職者訓練につきましては六カ月になっておりますが、修了と同時に、また修了までに行く先がきまっておれば文句ないわけであります。ところがそれが一割二割きまらない場合にどうするかという問題でございますが、これについても先年要望がございましていろいろ検討したのですけれども、訓練の体制からいくと、やはり所定された期間に所定の技能を身につけた者をどういう理由で延ばすか、就職できないからということだけで個々に延ばすという場合においてはやはり訓練制度と非常に矛盾があるということで、なかなかその要旨は通らなかったわけです。それでわれわれの方としては、やはり六カ月の訓練が足らないということになれば、これはその訓練期間を正規に延ばした方がいい。それから修了から就職するまでの間の問題につきましては、やはりこれは本人の就職の意欲と、それから安定所の責務というものを発揮するために、期間をそう個人的に延ばすというのは非常にまずいじゃないかという結論でございます。従って、訓練を六カ月やって就職ができない者が相当出るという場合におきましては、それを全体的に、今の六カ月が足らなければ、また各地の事情、就職期がそれに合わぬということであれば募集期を変えるというふうな格好で、訓練期間を制度として動かすべきであって、個々の修了者、五十人のところ三十五人は就職できたけれども、十五人は就職できないからその者だけに特別に訓練手当を出すとかいうことはどうも制度としてまずいということで、その措置をとらないようにしたわけでございます。
それから訓練手当の三百円を増額できませんでしたのは非常に残念でありまして、われわれの方としてはもう少し増額したいということでやったのですけれども、これは初め百八十円で出たのを急激に三百円にしたのだから、もう少しそれでやってみてほしい、しかも実績からいきますと、大体炭鉱離職者で三%くらいじゃないか。三%ぐらいだから金を多くしたっていいじゃないかという理論も出るわけなんですけれども、これは失業保険受給者が大部分なんだし、そちらの方を手厚くするのだからもう一年しんぼうしてほしい、もう一年かどうか知りませんけれども、大きなところをやったんだからということで、ついに泣き寝入りになったわけです。これについては非常に申しわけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/36
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037・岡田利春
○岡田(利)委員 この点は国会決議の未消化の部分で、先ほどの額の問題と同時にきわめて焦点の問題ですから、これもまた一応たな上げにしておきたいと思います。
それで問題は、今炭鉱離職者が職業訓練を受けるのは、雇用奨励制度から考えてみますと、大体三十五才以上の人というのが常識的な想定として成り立つわけですが、職業訓練を受けさせる年令的な最高を五十才に置いているのか、四十五才に置いているのか、五十五才に置いているのか。もちろんそれは体力その他に若干の関係はあるでしょうけれども、一般的な基準として、五十五才の定年でやめる人を考えておるのか、あるいは五十才なのか、四十五才なのか、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/37
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038・三治重信
○三治説明員 原則としては年令は考えておりません。ただ職種によって、自営並びにそういう生業的な、なりわい的な職種につきましては、高年令者をそちらに向けるようにして、自動車整備とか電気とかいう、若い人たちの職業として、また雇用が事実上労働市場としてそういう方に制限されている場合の職種については、やはり本人にそういう雇用がなかなかできないからということで、その受けられる職種についての指導はしておりますが、どの職種は年令何ぼ、この職種はどの程度までいいというふうに年令を制限しているということはございません。ただ実際の、入れる職種についての指導の態度といたしましては、やはり高年令者についてはなりわい的な、自分でも将来独立自営かできるような職種をおもに指導しております。これならば、現在のところ年令は何才でも、技能さえ身につければ仕事はたくさんあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/38
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039・岡田利春
○岡田(利)委員 この際、私昨年の十二月二十三日の当委員会で質問しておきました炭鉱の組夫の問題なんですが、私どもが炭鉱地帯をずっと実態調査に参りますと、今炭鉱の下請機関の労務者が実際に枯渇しておる、この面を何とかしてくれぬかというような声が非常に随所に聞かれるわけであります。ところが下請の場合には、依然として古い作業システムなり、作業設備をほとんど持たないで仕事をしている。しかも低賃金で、労働時間も長いというようなことで、なかなか労働者が集まらぬのが実態なわけです。集まってきたのを見れば、何々組の、入れ墨をした連中が多くて、そっくり帰ってもらうという例も二、三カ所において発生しておるわけです。そこで、実は炭鉱保安の面とも関連を持っているわけですが、この実態を的確に把握をしてこれからの政策を考えていかなければならぬ重要な問題だと思います。しかも大きな起業工事にかかりますと三百名、四百名の人々が働くわけなんですから、これがその仕事が終わるとまた移動させなければならぬという面で、直轄夫以外のいわゆる組夫に対する対策ということも、われわれは同様にやはり検討を加えていかなければならぬ問題ではないか。坑内においては保安法上の問題があって、今保安協議会では組夫に対する保安管理制度を一体どうするかという議論が行なわれておる実情にもあるわけです。しかも、私は二十一日にも質問したのですが、一般の直轄鉱員が働いておって、そのうちの一割とか二割もしくは半分が組夫であるということは、直轄現場ですから、これは全部が会社の、企業の財産であり、施設なわけです。そこに労務者だけが、組夫という名前で入ってきておるわけです。しかもそういう地点で災害を起こしたのがあの福住炭鉱の災害で、この実情というものが明るみに出されているわけです。あるいはまた去年爆発があった方城ですか、そういうケースが出てきておるわけなんです。ああいう事故があると、そういう点がぱっと表面に出て、ふだん何にもないときは出てこないわけです。この点は早急に実態把握をするというお約束もあったのですが、その後どう進んでおるかという問題と、これだけ事実が明らかになってくると、私はやはり職業安定法違反ではないかと思うのです。しかし、安定法上からいって、これに対する厳重な措置をとったということは、あまり私は聞いてないわけです。この点は一体どう考えられておるのか。今までそういう場合には一体どういう態度をとってきたのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/39
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040・三治重信
○三治説明員 組夫の関係につきましては、昨年来炭労からの陳情もまたいろいろありました。ところが、われわれの方はその実態は知りませんでした。従ってそういうことについて現在調査をしております。この職安法違反の問題については、一時司令部がおりました当時、相当きびしく規制したときがございます。それ以後、大体職安法の基準に反しない程度にまで程度を高めて、大体現在特別な組夫は別として、またそういう職安法違反の労務供給的なものは、現在それほどひどいのはなくなっているというふうにわれわれの方は考えておりますが、たまたま今おっしゃったようなそういう事件によって明るみに出たことも事実ですし、また先ほど申し上げましたように、炭労からもいろいろ御説明を聞きまして、われわれも承知しておりまして、その実態を目下調査中でございます。またこういう組夫につきまして職安法違反の事実が出れば、われわれの方としても事業主に十分その改善を促すつもりでおりますが、これは従来の陸上のそういうものについてもなかなか実情がわからないのが普通でございますので、その点については、さらにわれわれの方としても、そういう事業主の反省を促すという部面で行政措置をできるだけやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/40
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041・岡田利春
○岡田(利)委員 できるだけないように注意し、あるいは勧告をするということなんですが、そういうことだけではこれらの問題は解決はできぬのではないかと私は思うのです。やはり法に従って明確に、罰則を適用するものは適用するという確固たる態度がなければいかぬのじゃないかと思うのです。なぜこう言うかというと、実際われわれの調査なり、われわれの触れている範囲ではひどくなってきているのです。この組夫の使用の実態というものはむしろひどくなってきておるのであって、決して緩和されてきておる状態ではないわけです。これからさらに合理化が進めば、その度合いが強くなっていくことも明らかなんです。しかもきわめて能率の高い大手においても、こういう事態があるわけなんです。ですからこれは決して緩和されるのではなくて、これからより一そう強まっていく、こういう傾向にあると私は思うのです。もしこれを厳格にするならば、おそらく中小のBクラス以下の炭鉱というものは、炭鉱経営が不能になるのではないか、こう私は私の触れている範囲でははだで感ずるわけなんです。それだけに、くさいものにはふたをしていく、これはなかなか解決ができぬから、くさいものにはふたをしておけという式の、まあまあ主義というものがまかり通っているというのが今日の偽らざる実態ではないか、私はこういう考え方を実は持っておるわけであります。そこでこの組夫の対策について、ぜひ労働省として、炭鉱合理化の推進されている中において、その動態というものを的確に把握してもらいたい。もちろん今の機能ではなかなか困難でしょうけれども、これを把握して、これに対する抜本的な対策を立てない限り石炭産業は安定しないのです。見せかけの能率は上がっておるけれども、あるいはそのことによって組夫出炭が直轄出炭に含まれて生産は上がっておるけれども、これはやはり一時的な状態であって、将来の石炭産業の安定にはならぬのです。ですから今やらなくても、いずれこの問題を解決しなければ、石炭産業の安定というものは雇用の面では成り立たぬわけです。いずれ問題は出てくるわけなんです。ですから私は、今からこれはやはり労働省として積極的に調査もし、実態もつかんで対策を立てる必要があるのではないか、また、そのことを除いて石炭産業の安定というものはないのだと思うのです。もちろんそういうことによって、厳格にやれば中小炭鉱が重大な事態に立つという状態も出てくるわけです。私はそれほど拙速主義で解決しろということを言っておるのではないのです。そういう実態があるから、やはり今から対策を立てなければ、これは三十八年の十月で合理化の五カ年計画が終了しても、きわめて砂上的な基礎の上に石炭産業の一応の能率、生産の増強というものが乗っかっておる、こういうことになって、石炭産業の安定は期し得られないと私は考えるわけです。そういう点、私はあらためてまたいずれかの機会に、今国会中に、私は私なりで調べてこの問題を具体的に聞きたいと思いますので、特にこの点について強く要請しまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/41
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042・有田喜一
○有田委員長 滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/42
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043・滝井義高
○滝井委員 少し事務的な数字の質問をしたいと思うのです。あす多賀谷さんの資料要求で出していただくそうですので、ちょっと重複するところもあるかもしれませんけれども、現在労働省としては、炭鉱離職者対策を必要とする炭鉱の離職者というものを、どういう工合に押えておるのか、それをちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/43
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044・三治重信
○三治説明員 昨年の十二月末で、大体滞留者全体で四万九千人程度と考えております。それでさらに三十七年度の初め、三十七年の四月には、いろいろこの一−三月でも対策をやる関係上、大体横ばいで四万八千百四十人程度ではなかろうか。そうして新規に来年度一年間に求職者として現われる人の数が八万三千人。そうしていろいろ対策をやっていって、三十八年の三月末には大体三万九千人程度まだ残るではないかという計画を立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/44
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045・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、三十七年度の年頭には四万八千百四十人、新規対象の一年間が三十七年度中に八万三千人となるとすると、大体三十七年度中には三万四千人程度の離職者が出る、こういう見方なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/45
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046・三治重信
○三治説明員 三十七年度中に新しく四万八千人、ほかに三十六年度中でさらに残っておられる滞留者が四万八千百四十人、三十七年度中、三十七年の四月から三十八年の三月末に現われる求職者、これは大体離職者と言っていいと思いますが、これが約八万三千六百人、それに対して安定所の紹介と雇用奨励金、また縁故で就職される、そういういろいろのことを種々考えて、最後に三十七年度中に全部——一人も残らぬということはとてもできない、やはり三十八年の三月末には約四万人、三万九千人ほどの人が三十八年度に繰り越されるのではないかというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/46
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047・滝井義高
○滝井委員 ちょっと頭が悪いせいかわかりかねるのですが、昨年の十二月末現在で四万九千二百人滞留しておるわけでしょう。そうすると、三十七年の一月から一応見ていきますと、三十七年度中に八万三千人の対策を必要とする者が現われてきておるという格好になるわけですね。そうすると、八万三千から四万九千を引いた約三万四千ぐらいの人が新しく閉山その他によって離職者として現われてくる、こう見て差しつかえないのかというのが私の質問の要点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/47
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048・三治重信
○三治説明員 そうではなくて——それではもう一度最初から申し上げますが、十二月末に四万九千八百五十八人、四万九千人ほどと先ほど申しましたが、それが大体滞留者として残る。それからこの一−三月でいろいろ対策をして、そしてまた新規に出てくる人も差し引いて三十七年末には大体四万八千人ほど、四万八千百四十人、それが三十七年度に滞留として残る人となるであろう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/48
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049・滝井義高
○滝井委員 三十六年末にですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/49
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050・三治重信
○三治説明員 そうでございます。そして、それにさらに三十七年度中に新規求職者として現われてこられる人たちを含めて、いわゆる離職者が全部含めて八万三千人、それを加えますと、従って約十三万人程度になるわけです。そのうちで職業安定所の紹介で就職可能の方が、大体われわれの推計では三万六千人、それから縁故就職が、大体今までの実績でこの安定所紹介との割合を見てきますと、縁故就職者が非常に多くて四万六千九百人ほど、それから帰農者が三千三百四十五人、その他——これはおもにその前に残った方や何かが求職をとりやめたり、それから死亡されたり、その他自然にそういう求職戦線から抜けられる方が約六千二百九十八人、これら、今言った安定所の就職者、縁故就職者、帰農者その他というものを合計して、その十三万人から引くと三万九千人になる、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/50
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051・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、三十七年度中に新規求職者八万三千人というのが、炭鉱の合理化あるいは閉山によって出る、こう考えて差しつかえないのですか、ここをちょっと知りたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/51
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052・三治重信
○三治説明員 その割合はこまかいことはまだちょっと—— 今年度、三十六年度の安定所なんかがつかむいわゆる求職者のトータルを来年度に延ばしての計算でございまして、その内訳は終閉山がなんぼで、整理がなんぼというふうには、ちょっと計算しておらないわけであります。われわれの方では三十六年度の現在までの実績の求職者、それはいわゆる終閉山の場合もあるし、それから中小炭鉱で自然退職者もあるし、そういういわゆる一般的な平常の退職者も多数含まれているわけなんであります。その区別は、われわれとしてはまだそこまでの分析はやっていません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/52
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053・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、これは石炭局に尋ねることになるわけですが、先般来予算で問題になっているのは、保安確保困難な炭鉱の閉山、廃山、これはことしの予算では二億八千七百万円、それから石炭合理化事業団の補助として非能率炭鉱の整理費二億七千万円、それから炭鉱整理促進費十億六千四百万円、こうなっておるわけです。これはいつか説明を聞いたときには、保安で四十五万トン、それから新しい方式による六百二十万トンのうち三十七年度に百二十万トン、それから今の合理化事業団の方式で残っておるのが六十七万トン、計二百三十二万トンが来年度いわば買い上げとか、とにかく処理されるトン数だったと記憶しているんです。従ってその予算は、今言ったようなもので二百三十二万トンが処理される、こういう理解をしておったわけです。そうすると、二百三十二万トンの対象になる労務者の数が一体どの程度かということを知れば、三治さんの方の受け入れ態勢の数との比較ができてくるわけですが、まず、来年合理化なり保安なりでやるところ、予算が少し狂っておりますからあるいは数が違うかもしれませんが、あなたの方の予算確定後における閉山なり保安でつぶすもの、あるいは買い上げるもの、こういうものを先に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/53
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054・久良知章悟
○久良知説明員 合理化計画につきましては、先生方御承知のように、昭和三十八年度に二六・二トンの能率まで持っていくという線で進めておったのでございますが、最近この計画を見直すべきであるということで、私どもの方で作業をやり直しておりますので、三月中に若干の変動があるかとも思いますが、現在予算の計算に使っております一応の考えといたしましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、来年中は事業団の従来通りの方式による買収が六十七万四千、それから保安整理によるものが四十五万、それからこのほかに自然消滅と申しますか、こういう方式によらなくて、やはり炭鉱をやめるであろうというものを六十五万九千トン見込んで、この合計が百七十八万三千トン、これに今度の新方式によります六百二十万トンの買い上げのうちの三十七年度分、これが百二十万トン見込まれますので、全部を合計いたしますと二百九十八万三千トン、こういう数になるわけでございます。
その場合の労務者の数の問題でございますが、これは平均人員で最初に申し上げますと、三十六年度、本年度の実施計画での平均人員が二十一万六千四百人、それから三十七年度が十八万三千六百二十人、それから三十八年度が十六万一千六百人ということになるわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように平均人員の減でございますから、これから三月末という年度末の人員を計算いたしまして、三十七年度年度中労務者として純減が幾らあるかということを計算いたしますと、一応二万七千四百十人、こういう数字になるわけでございます。これをもとに計算がしてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/54
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055・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、大体三十七年度に二万七千四百十人の純減になることになるわけですが、これと労働省の数字の関係、ここらがやはりお互い両省の間の意思統一ができて、イコールの状態になっておいてもらわぬと、来年になったら大蔵省から、何だ、あれだけの金をつぎ込んだけれども、炭鉱離職者はちっともこのルートに乗ってこなかったじゃないか、こう言われて、予算を差し引かれる可能性も出てくる。従って、ここらの数字が三治さんの今の説明と石炭局の説明とちょっと合わぬのですよ。これを一つ合わしてもらわなければいかぬと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/55
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056・三治重信
○三治説明員 先ほど私が申し上げましたのは、そういう通産省のおっしゃった数字も全部われわれ十分連絡してあります。われわれの方は、全体の職業紹介、または全体の今までの実績と、それから新しく計画的に、今通産省がおっしゃったようなやつを、今年度と来年度の比較でそれだけを増に見込んでいるということで、そういうふうな数字になっております。あとその積算のこまかい問題につきましては、課長から説明さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/56
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057・北川俊夫
○北川説明員 今通産省から説明がありました数は、念を押されましたようにネット減、純減の数字でございます。従いまして、今までの在籍労務者と来年度末における在籍労務者の差が二万七千四百十、こういう御説明であります。しかしながら、われわれは、炭鉱を離職しました者、首を切られました者全体について援護対策をやらなければなりませんので、ネット減でなくて、首を切られた者が炭鉱ではどのくらい年々あるか、これが問題になろうかと思います。念のために通産省の資料で申しますと、統計月報で申しますと、三十二年は雇い入れが八万八千九百、それに対して解雇が七万六千、三十三年は、雇い入れが五万三千に対して解雇が六万七千、ずっと飛びまして三十五年では、雇い入れ四万五千二百に対して解雇が七万、こういうふうに、悪く言いますと、どんどん首を切っていながら、また入れている、こういう状況でございます。従いまして、ネット減としましては二万とかあるいは二万八千、そういう数字でございますが、解雇者そのものは今申しましたように七万とか六万、こういう数字でございます。これは通産省のいわゆる解雇された者の数でございますが、労働省のは、その解雇されたものが安定所の窓口に求職の申し込み、失業保険の受給、そういうことで出て参ります数字を積算して出したのが、先ほど局長から申し上げました年間八万とかあるいは七万五千とか、こういう数字であります。通産省の七万という数字よりやや多いのは、中小炭鉱あるいはその他臨時、そういうものが全部安定所の場合は含まれております。従いまして、先ほど局長が昨年の十二月末で四万八千でございましたか、そういうふうに申し上げました数字は、炭鉱離職者としましてはつかみ得る最大限の数字をつかんでいる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/57
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058・滝井義高
○滝井委員 わかりました。結局、新しい人が入るけれども首を切られる人がたくさん出てくる。炭鉱で首を切られた経験者というものは、非常に多くなってきている。それで大体なぞが解けました。
そうしますと、今度はあなたの方の数字ですが、あなたの方で、たとえば昨年の十一月では、炭鉱離職者の対策というものを三万七千人台に見ておったのですね。昨年の十二月では、それが七万三千人台になったわけです。今年の予算を見ると六万一千五百二十人。あなたの方の数字は絶えず動揺しているのですね。どういう理由でそういう動揺があったわけですか。たとえば十一月われわれが聞いたときは、三万七千人を対象にした炭鉱離職者の対策というものが出てきた。それが十二月になったら七万三千人になった。今度の予算は六万一千五百二十人になって、一万人くらいの数が簡単に変わってくるのですね。これはやはり今後お互いに数字を基礎にして論議していかぬと、それの根拠が変わっておったんでは論議にならぬ。
〔委員長退席、岡本(茂)委員長代理着席〕
幾分かは変わると思いますが、しかしそれを一割以内ぐらいにとどめておかぬと、一万以上こえるということになると、一割にしても、七万の一割というと七千になりますから、一万に近い数字になりますが、数字が非常に動いた理由です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/58
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059・北川俊夫
○北川説明員 今の点は、こういうことかと思います。三十六年度の炭鉱離職者対策をやりました対象人員が三万二千、こういうことでございます。本年度は、先ほど御指摘のございましたように、予算の要求のときは七万をこえる数字で対象人員の要求をしております。これはわれわれの要求通り雇用奨励金がレベル三十才で、それから安定所の利用率を九〇%と、そういうような積算でやりますと、おのずから今までの一般紹介あるいは広域職業紹介によって就職する者がふえる、そういうことで対象人員が特に職業紹介の面で急増するであろう、こういう考え方でございます。なお、これで念のために申し上げますが、急増をいたしますけれども、それは一部こういうものも入っております。といいますのは、今まで自己開拓で就職した者であっても、今度は安定所を通ずることが雇用奨励金の支給条件になっておりますので、安定所の利用率がうんと高まる、そういうことでございまして、数字で申し上げますと、去年の広域職業紹介六千三百が来年度においては一万四千、こう見込んでおりますけれども、この倍増だけが雇用の純増であるということではございません。利用率も含めてそういうふうになる。従いまして、そういう雇用奨励制度をやることによりまして、職業紹介、少なくとも安定所を通じて就職する者の数が倍増する。従って、国の施策の裏づけとして就職する者の数がふえますので、国の離職者対策の数は、非常に多いようでございますが、六万九百、そういう数字をはじき出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/59
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060・滝井義高
○滝井委員 それから、この三十六年度に自県内の職業紹介というのが三千くらいだったのが、二万二千人と約七倍程度に増加しているわけですね。これは何か七倍程度に増加する政策的なてこというものがありまか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/60
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061・北川俊夫
○北川説明員 昨年度までの一般紹介三千人という数字は、職業紹介の予算の裏づけとしては、炭鉱離職者について三千人分だけよけい見てやろう、こういうことで、予算的な数字でございました。実績は今までも年間一万五千六百人程度は就職しております。従いまして、今回は雇用奨励金を実施することによりまして、一万五千六百の数字が二万二千に実際にふくれ上がった、こういうことでございます。従いまして、伸びは大体七千程度、このくらいが、安定所を通ずる利用率の高まりとともに、就職が一般紹介で自県内でふえる数字、こういうことでございます。従って去年の三千というものは、今までの職業紹介によって自県内に就職した者の数と合わした数字で、積算を低くするために非常に低く見積もっておった、こういうのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/61
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062・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、今まででも炭鉱離職者は自県内で、たとえば福岡県だとか山口県だとかというようなところだと思うのですが、そういうところで一万五千六百人あったということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/62
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063・北川俊夫
○北川説明員 その通りでございます。(「炭鉱に行っておるのだ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/63
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064・滝井義高
○滝井委員 今多賀谷さんは炭鉱と言っておるけれども、炭鉱に行っても自県内紹介は自県内紹介だと思うのだけれども、今、結局三十五年度で四万五千二百人就職して、二万人首を切ったという。この四万五千二百人の中にほとんど大部分入っておるのじゃないかと思うのですが、そこらあたりはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/64
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065・北川俊夫
○北川説明員 炭鉱離職者が再就職する場合に、炭鉱とそれ以外の産業に分けますと、大体炭鉱には五五%程度、半分以上が帰っております。あとの四五%が一般産業その他の産業へ就職しておる、こういうのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/65
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066・滝井義高
○滝井委員 それは自県内だけですか。たとえば最近明治鉱業なんかは、九州の者を北海道に移動さしていますね。そういうものを含めて五五というのが炭鉱ですか。それとも自県内だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/66
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067・北川俊夫
○北川説明員 労働省で広域職業紹介をいたします、このうち、今申し上げましたのは全部安定所紹介というのが前提でございますから、安定所紹介で炭鉱離職者を炭鉱へ広域紹介をすることはいたしておりません。従いまして、自県内紹介、すなわち安定所を通じて自県内で就職する者のうち、五五%が炭鉱へ帰っておる、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/67
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068・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、五割五分は炭鉱に帰るわけですね。これは移住資金というのは、どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/68
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069・北川俊夫
○北川説明員 おそらく炭鉱のありますところは原則として指定地域になっておりますので、指定地域から指定地域に移ることになりますので、移住資金は支給されておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/69
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070・滝井義高
○滝井委員 これは一つ、なかなか問題点だと思うのですがね。他の産業よりか、今の石炭産業というのは事業主としては一番苦しいわけですね。ところが、どんどん日の当たる、伸びていく産業で炭鉱労働者を雇用した場合には、二万円以上について四分の一、五千円から七千五百円の雇用奨励金をあげます、苦しい炭鉱が、職業訓練も必要としなくて、一番能率的な炭鉱労務者を雇った場合には何にもないのだということになると、何か政策的な筋は通っておるような感じはするけれども、何かちょっと抜けておるような感じがするのです。これは実態が、とにかく相当多くの首が切られている、しかしそれはまた雇用されているということは、これはもとの炭鉱に回り水になっているのですよ。だから、石炭産業の安定を考えようとするならば、一方石炭産業を安定化するためには近代化の資金をつぎ込んでやる、そしてできるだけ若年労働力をそこに残すという政策をとろうとすれば、炭鉱がやはり相当の賃金で雇う、二万円以上で雇うというならば、炭鉱の最低賃金を一万二千円で作るために中央最低賃金審議会で議論されておりますけれども、現実にこれは育成策になると思うのです。今まで一万八千円で使っておったものを二万円で使えば五千円上げますよということになれば、炭鉱の事業主も労働者も得になる。両方得なんです。しかも移住資金までやっていい炭鉱に移してやるということになれば、これは政策としてはかえって、よその京都や大阪にやって家を建ててやるより、炭鉱の住宅はがらあきですからね、いろいろの点から考えても、これは一石五鳥か六鳥くらいになるような感じがするのです。現実にそういう状態ですからね。これだけを政策からはずすということは、どうも今の御説明を聞いてみて何か納得がいかない。これは大臣に質問するところかもしれませんが、三治さんとしては、これはきょう答弁ができなければ少し検討してもらわなければならぬところだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/70
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071・三治重信
○三治説明員 石炭産業が不況のために、他産業、他地域へ国としてそういう離職者対策をやるということでございますので、悪い例かもしれませんが、井戸水をくみ上げてまた井戸へ返すといろのは、やはりどうも理論上できない。それからまたもっと極端なことをいえば、まず最初に農村から来て雇う。一年少したって首を切る。そうすると三カ月たって入る。それは一年間雇用奨励金をもらえる。それからまた半年くらいたって首を切る。また二、三カ月たって同じ人を雇うと雇用奨励金をもらえるということで、どうも制度としても同じ産業に入るというのは、一面そういう利点もあるかもしれませんけれども、国の政策としてやる場合には、そういう同じことを繰り返されることが可能な場合においては、やはり私は不可能じゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/71
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072・滝井義高
○滝井委員 その場合には、一回雇用奨励金をもらった人は、他に炭鉱にこの次行くときにはもらえないのだということにしておけば防げると思うのです。さいぜんの御説明によれば、たとえば昭和三十五年に、七万人首を切って四万三千二百人雇用する、この場合におそらく半数以上というものは農村からやってきているわけです。そうして農村から来て、ようやく炭鉱になれたところで、炭鉱が閉鎖になって首を切る、こういうことになれば、この農村から来た新しい労働力というものをむしろ他山に入れてやる指導をした方が、雇用奨励金も出さなくて済むわけです。そして、炭鉱の技術を持っている人をむずかしい職業訓練をやって使うよりか、炭鉱に紹介をして、賃金も上げてやる方が、安定雇用にもなるし、安定賃金にもなるわけです。だから結局三治さんの方は、一回炭鉱にやって、今度はまたよそにやるという手が一つ省けるのです。三角形の両辺をいくか、一辺を行くかということです。それは一辺を行った方が早いんですね。農村から一ぺん炭鉱に回らせて東京、大阪にやるよりか、三角形の二辺を通るよりか早いんですよ。そうするとやはり考え方としては、炭鉱の者は炭鉱に安定賃金で、政府で保障してやる、こういう形の方が、今の説明から見ると、古水が回っているような感じから見ると、どうもいいような感じがするんですが、これはなかなか議論の分かれるところだと思うんです。実態をもう少し—— 三十二年で八万八千九百人雇用して七万六千人首を切っている。それが今度は三十五年には四万五千二百人雇用して七万人首を切っているという、この雇用と首を切った関係とが——との程度が一体炭鉱労働者かというと、五割ということでしょう。そうすると半分は回り水になっているということです。新しい人がいなかから来て、しばらくおって、やはりその回り水になりながら今度は他の産業に出ていくのですから、それならば炭鉱から炭鉱、この政策を徹底をして——雇用奨励金を出すということは、別な言葉で言えば石炭に補償金をやるのと同じです。そうすると、これは電力の社長さんが言っておったように、それならば石炭にトン当たり五百円とか六百円の補給金をお出しなさい。それの方が早い。この解釈からいうと、それと同じ形が人間を通じて変わった形になっているだけです。ここらあたりは、今の実態から見て非常に研究問題だと思うのです。これはなおもう少しあなた方その内容を分析をして、少し検討してもらいたいと思うのです。私、これは一ぺん大臣の意見も聞かしてもらいたいと思うのです。きょうはこれでやめておきますが、もう少し実態をよく検討して、資料をできれば出してもらいたいと思うのです。
それからもう一つは、二万円という点ですね。現実に炭鉱労務者が広域職業紹介で就職をした場合に、二万円以上と以下とは一体どうなっておるかということです。私の知っておるのは、ほとんど二万円以下です。一万八千円が多いです。そして広域職業紹介で紹介を受けるときには何と言っておるかというと、今私のところにたくさん手紙が来ておりますが、職業紹介を受けるときは二万円以上ということで行った、ところが行ってみたら一万八千円で、内容はどうなっておるかというと、残業その他がつくと二万円をこえるわけです。いわゆる時間外の給与が入って二万円をこえるわけです。二万円という計算をするときに、本俸は一万八千円だ、ところが居残りその他があると二万二千円になる、こういうときには、その二万円という限界というものは、居残りその他も加えた手取りの給与で二万円となるのか、本俸でなるのか、こういう問題が出てくるんですね。
そこでまず第一点は、一体二万円を境にして、本俸で上と下とがどういう関係で雇用されているか。広域職業紹介で、多分過去一万人くらい出ておったと思います。多賀谷さんから今どのくらいか資料を出してもらいたいという御要求がありましたが、去年私が質問したときには、九州の事業団ですか援護会関係だけで一万人くらいやっておったと思いますが、その一万人の数で、本俸が二万円の上と下の比率ですね。それと今の、二万円というときには、それは手取りでいくのか本俸でいくのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/72
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073・北川俊夫
○北川説明員 まず一番初めの二万円という場合に、時間外労働、所定外の割増しが入るかどうかという点でございますが、入ると解釈いたしております。ただ、入ると解釈しました場合に、基本給が非常に低いにかかわらず、残業が非常に長いということになりますと、これは不合理がございますので、二万円という保証をすることがなかなか困難でございます。従いまして、毎月きまって支給する賃金というのを労働省で統計をとっておりますが、これは所定外が一割程度、そういう結果が出ておりますので、二万円という基準は、これはまだ詳細に詰めておりませんが、基準賃金が一万八千円、それに残業が約一割程度ついて二万円、こういうことで一万八千円の基準給があれば二万円の月額を払うであろう、そういう認定をいたします。
それから今度は、雇用奨励金の実際の支給にあたりましては、その認定を前提といたしまして、月々払われる賃金の総額、毎月きまって支給される賃金の総額の四分の一を支給する、こういうふうに考えております。
第二点の、今までの広域、職業紹介の実績から見て二万円というのはどうか、この点でございますが、今までの実績は、まず平均で申し上げますと、三十五年に就職いたしました広域職業紹介のすべてのアベレージの賃金といたしましては、約一万六千円でございます。それが十カ月たちましてそのときにどのくらいになったか、そのアベレージの計算をいたしますと、これが二万一千円程度に上昇いたしております。それから昨年、三十六年に広域職業紹介で就職しました者は、その間にベ−ス・アップその他賃金が一般的に上昇いたしましたせいもございまして一万八千四百円、この程度になっております。それが三カ月後の調査時点では約二万百五十円、この程度のレベルになっております。そういうところが広域職業紹介の賃金の実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/73
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074・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、平均して一万六千円ないし一万八千四百円程度ということになると、二万円以上の人はおそらく少なくて、二万円以下の人が多い。平均でいけば半々ということになるでしょうが、五割は二万円以下だ、五割が二万円以上だ、こういうことになると、五割の人はこの恩典に浴さない可能性が出てくるわけです。残業その他を一割加えるということになると、これはまたなかなか議論の分かれるところになるのですがね。そうすると、どうもこの二万という基準を幾分下げなければならぬという形になる。下げると炭労のいういわゆる安定賃金ということにもならぬことになるわけですね。ここらはなかなかむずかしいところで、僕もちょっと簡単に、こうやったらよかろうという結論をなかなか出せないのですが、これは実績ですから、これはもう少し何か合理的に、少なくとも——炭労で今度東京に四千人ばかり陳情に来たわけです。そうして帰った人の報告によると、率直に言って、宿屋に泊まって朝散歩がてらその付近の八百屋さんを見て回ったらしい。ところが東京の主婦の皆さんが、われわれのいなかでいえば一本十円か二十円の大根が八十円、その一本八十円の大根を買えずに、みなそれを半分とか三分の一とか四分の一とか買っているのを見て帰ってきておるわけです。とてもこれでは三万円もらっても東京あたりには行けぬぞ、こういう結論になったのですよ。帰った人は、みんな東京のあれを見ておるわけです。とても三万円以下では行けぬぞ、こういう形になっておるわけですね。そうすると、今度二万円以上だったらその四分の一、五千円やるといえば、事業主の方は実際は一万五千円で、二万円は名目二万円、こういう形になってくるわけです。だから私は、むしろこの際、労働省としては、炭鉱労務者を雇用する場合には、過去の実績は一万六千円とか一万八千円だけれども二万円で雇って下さい、こういう勧告か何かをせざるを得ないのじゃないか。というのはどうしてかというと、実は今私のところにも一つ手紙がきている。この十二月に神奈川県に来ています。ところが今度この雇用奨励金が出るという新聞を見たわけです。そこで、十二月に来た私たちは一体この対象になるだろうかという心配が出てきた。この前あなたと個人的に話したら、それはとてもだめだという。なるほどこれは法律ですから、だめだと思うのです。ところがその人たちは職業紹介を受けるときはどういう形で来たかというと、あなた方は二万円になるんだというて来ている。来てみたら一万八千円です。そしてほかに居残りその他がつくと二万円になる、こういう形になってきたわけです。そこでその人たちがどういう考えを持ち始めたかというと、最近神奈川県のあの近郊にはどんどん工場ができるわけです。そして労働力が不足しているわけです。そこでこの労務者の諸君は、率直にいって、二万円以上くれるところに移りたいというわけです。ところが、これが移れない問題がある。何かというとパイプ・ハウスです。パイプ・ハウスに住んでおるわけです。ところがパイプ・ハウスの所有権は、労働者が住んでおるけれども、これは私も初めて知ったのですが、所有権は事業主にあるのですね。これに居住させる権利は事業主にある。労務者が今Aというパイプ・ハウスに入っていて、一万八千円しかくれぬから初めの約束と違う、だから私はこのAをやめて、お隣の新しくできた工場に行けば二万二千円くれるといっておるからこれに行きますと言うと、じゃ君パイプ・ハウスを出てくれ、こうなる。家がないから行けないのです。だからその労務者は私に手紙をくれまして、名前を言うとその会社に工合が悪いからと言えませんが、何と書いておるかというと、結局われわれ炭鉱労働者というものはタコ部屋に入っておるのと同じだ、住居権で制限されて奴隷労働にならざるを得ないと言ってきておる。これは私はその通りだと思うのです。はるばる皆から見送られて、せんべつをもらって、歓呼の声に送られたわけではないけれども、神奈川県に出てきた。そしてパイプ・ハウスに住んで、行ってみたところが一万八千円で、二万円と約束が違った、違ったので、これはやめて、新しい工場が隣にできるからそれに行きたいと思っても、君隣に行くならパイプ・ハウスを出てくれ、こうやられると行けない。それは西も東もわからないところに来たわけですから、こういう問題が出てきたわけです。そこでこのパイプ・ハウスというものを簡単に事業主の自由にしてはいかぬ、やはり労働者が自由にいいところにかわれる体制というものをパイプ・ハウスにもとらなければいかぬ、ところがとられていない、こういう問題が出てきた。そこで今度の法律でこういうものが出てくると、この人たちはどういう意見になってきたかというと、もう一ぺん私たちは国元の田川に帰りたい、そして職業紹介をしてもらって、今度はそのところに二万円で行くんだ、こういうのです。それはそうでしょう。神奈川県に来て二カ月か三ヵ月おれば、大体神奈川県の実情はわかってくる。どんどん新しい工場ができておる。そして来てみたら、労働力不足で引く手あまたです。福岡におるときは引く手あまたではなかったけれども、神奈川県に来たら引く手あまたです。娘一人に婿八人ですから、今度はこっちが売り手市場になった。向こうにいるときは買い手市場だったけれども、こっちに来たら売り手市場なんですね。だからこれをやりたい、こういう要求が出てくることは自然の姿だと思う。資本主義の社会における労働力が商品として需要と供給の関係で流れていくとすれば、自然の姿だと思います。それを今度は今言ったパイプ・ハウスその他で締められてくるということになると、これは低賃金をくぎづけすることになると思うのですね。こういうことを一体どう打開をしていくかということですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/74
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075・北川俊夫
○北川説明員 今の移動宿舎の貸与要件につきましては、少し誤解があると思います。移動宿舎はなるほど事業主に貸しますけれども、炭鉱離職者を五名以上雇っておれば、今の業務方法書でお貸しすることができます。先ほど申し上げましたように、昨年の秋の閣僚会議の決定、それからことしの予算で、住宅対策としましては非常にふんだんのワクをとっておりますので、予算が足りない、ワクがないからお貸ししないということはなくて、要件さえあればお貸しできると思います。
それから今の場合に、川崎ないしは横浜でAという会社に炭鉱離職者が勤めておられて——それは転々とおかわりになることは望ましいことではありませんけれども、Aという会社が安定所の紹介と違って二万円が一万八千円だ、こういうことでおやめになって、そのままBという会社におかわりになる、Bという会社が炭鉱離職者を五人以上雇っておれば、これはパイプ・ハウスがお貸しできる、こういうことです。従いまして、わざわざ田川までお帰りにならなくても、五名かたまってそこへ雇われておるような事業主においでになるならば、パイプ・ハウスはお貸しできるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/75
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076・滝井義高
○滝井委員 だから今度はどういう問題が起こってきつつあるかというと、やはり私に手紙をくれて、一つわれわれは事業主と団体交渉したいという。約束が違うじゃないか。だからわれわれは団体交渉をして、今度は次の事業主に一月一日に雇われる形をとるから、この法律を適用してくれという。それは今度は炭鉱離職者になるのですからね、またやめてしまえば。だから一応田川に帰るというのは、炭鉱離職者の形態をとらなければいかぬから帰るというわけですよ。神奈川県に来て一カ月か二カ月すると、事情がわかる。どんどん隣へ工場ができているのですから、そして労務者募集といっているのですから、パイプ・ハウスも一緒に団体交渉して、事業主からこっちへかえてもらおう、こういう問題が出て来つつある。新聞を見てそうしなければならぬと思うが、どうであろうかという相談が来ておるわけです。だから私たちとしても、これはなるほど重要な問題だということを考えざるを得ない。ところが今五人一緒になっておっても、Aという事業主にパイプ・ハウスを貸しておるのですから、隣に行きたいと言えば、君らは出て行け、こう言われるから、住居権を侵害されて出て行けない。だから私たちはこのままなら奴隷です、こうなっている。奴隷でなくなるためには何とかしなければいかぬ、こういう気特をやっぱりこの法律というものが起こさせているわけです。これはなかなか北川さんたちが思いも及ばぬことが現実に——私もこの手紙をもらってなるほどそうだと思った。だから十二月に来た人は、もう一ぺん帰ってやり直したいと思う、そうすれば事業主も得だし私も得だ、だからこの合意は成り立つと言うのです。こういう問題がある。これはあなた方だけでなくて、なお大臣が来てから少しやらせてもらわなければならぬところです。
十二時半になりましたから、ここらでやめておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/76
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077・岡本茂
○岡本(茂)委員長代理 明日は午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004589X00419620131/77
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