1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月十一日(火曜日)
午前十時十六分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 北村 暢君
理事
石井 桂君
稲浦 鹿藏君
武内 五郎君
委員
岩沢 忠恭君
小山邦太郎君
小柳 勇君
瀬谷 英行君
田中 一君
田上 松衞君
国務大臣
建 設 大 臣 河野 一郎君
政府委員
近畿圏整備本部
次長 八巻淳之輔君
首都圏整備委員
会事務局長 谷藤 正三君
北海道開発庁主
幹 荒巻与四郎君
建設大臣官房長 平井 学君
建設大臣官房会
計課長 吉兼 三郎君
建設省計画局長 町田 充君
建設省都市局長 鶴海良一郎君
建設省河川局長 畑谷 正実君
建設省道路局長 尾之内由紀夫君
建設省住宅局長 前田 光嘉君
建設省営繕局長 建部 仁彦君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 博君
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本日の会議に付した案件
○建設事業並びに建設諸計画に関する
調査
(建設行政の基本政策に関する件)
(昭和三十九年度建設省関係予算に
関する件)
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001・北村暢
○委員長(北村暢君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
建設事業並びに建設諸計画に関する調査を議題といたします。
本日は、去る一月三十日聴取いたしました河野建設大臣の建設行政の基本政策及び昭和三十九年度建設省関係予算に関し、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/1
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002・田中一
○田中一君 私はこの際、大臣の予算審議のための時間が多いと思いますから、二点だけ質問いたしまして、あとの問題は、予算委員会の分科会に譲ってじっくりとお伺いしたいと存じます。
最初に伺いたいのは、当面の問題として、住宅政策の一元化の問題であります。第二次池田内閣ができて、建設大臣は留任をされ、少なくともわが国の住宅行政という面においては深い御理解があると存じますけれども、二月四日の新聞を見ますと、どうも住宅建設ばかりでなくて、住宅の管理方式までも、早川自治大臣は、どういうわけか、建設省よりも先ばしったあらゆる面の施策を新聞等に発表しているのを見ております。ことに公営住宅法四章の第二十四条、「公営住宅又は共同施設の処分」という項目がありますけれども、これなどは歴史的に相当問題のあった行政上の点でありまして、これが、入居者に分譲をするということを積極的に発言をしておるわけでありますけれども、これは何か、建設大臣が自分でそういう発言をしたのじゃ支障があるというようなことから、早川自治大臣に発言を代行させたのではなかろうかというように、野党のわれわれとしては勘ぐっておるわけなんであります。慎重に、常に新聞記者会見においては、大臣自身がきめのこまかい発表をしているいままでの慣例から見ても、非常に奇異の念を抱かざるを得ないのでありますけれども、この点はどういうことからこのような事態になったのか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/2
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003・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 昨年末、予算編成当時から住宅政策に減税を——税の施策を用いようということを私は強く意識いたしまして、これを閣議等においても、あらゆる角度から、税をひとつ考慮することによって住宅政策の緩和に資するように、たとえば民間の人が住宅をお建てになる場合に、不動産の取得税をどうするとかいうようなことで考えてやるとか、いろいろな方法はないだろうかと、そういう点で、特にひとつ考慮願いたいということを発言をいたしました。これが地方財政にもいろいろな面で考慮される点が出てまいりまして、そのときから非常に自治大臣が住宅政策に関心を持たれたという気持が、私、いたします。かたがた、従来、大都市に住宅問題が非常にやかましゅうございましたが、最近は、地方の市町村にも漸次住宅問題についての要請が強くなってきております。そういう関係もあったと思いますが、現自治大臣は、従来の自治大臣に増して、非常に住宅問題に関心を持っておられるようでございます。いまお話がございましたが、別に、私打ち合わせをして云々ということはございませんが、そういうことで、住宅問題にときに意見を申されることも、私、伺っておりますが、御指摘のように、自治省において、住宅問題について非常に強力な発言をされましたことを私拝見いたしまして、まあ、たいへんけっこうなことだと、大いに地方を督励して、これに関心を持ってもらうことは、住宅政策を総合的に推進する上においてけっこうだと。いずれにしても、御承知のとおり、住宅政策をそれじゃ建設省と自治省と二元的にやるのか、そういうことは考えておりません。あくまでも建設大臣の責任において推進するという点は、少しも私は変えていこうとは思っておりませんが、御協力いただくことはたいへんけっこうだと、こういうつもりで、まだ具体的にその内容等について、まいっておりません。打ち合わせて、それは困るとか、それはよかろうと、そういうことでいこうとかいう段階にはまだ達していません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/3
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004・田中一
○田中一君 公営住宅法ができて、その後この二十四条に規定しております耐用年限の四分の一をこえた時期において、全国的に払い下げの要求が、地方自治団体から起こったのでありますけれども、早川自治大臣は、いわゆる地方公共団体側から、そういう要求をしたいという気持ちから出たのだろうと思います。けれども、これはなかなか問題があるのです。ことに最近は御承知のように、何年前になりますか、七、八年前になりますけれども、すべての国有地、公有地の払い下げは時価によるという方針がきまったから、多少とも今までのように、国有財産——いわゆる公有財産は安いのだというような間違った認識は是正されてはおりますけれども、まだ国民の感情としては、一応いわゆる商業ベースによるより安いのだという観念を持っております。耐用年限の四分の一ということは、二十年と押えれば五年であります。終戦直後の公営住宅の木造建築物は、二十年も耐用年限があるということすら間違いであって、相当お粗末なものであります。しかし何といっても、その土地はほしいわけであります。土地が安いという前提ならば、ほしいわけです。家はもうゼロ、無価値です。それこそどこかに土地があるならば、家は差し上げますから、どうか持っていってください——いわゆる無償払い下げの制度をとったほうが、土地としての環境として、不良住宅は一掃されるというようなことさえ極言し得ると思うのです。で、こういういわゆる地方公共団体側からの要求に対して、御検討はなさったと思いますけれども、今までの経過から見ても、町村合併による未開発地域を大部分持っているというような市町村は別として、大都市並びに大都市周辺−都市周辺の土地価というもの、また、それに対する払い下げという問題は、相当考慮しなければならぬと思うのです。たとえば、具体的に書いておりますが、早川さんは、二十戸以上の団地に対する払い下げだということを言っておりますけれども——二十戸以内か……、二十戸というと、二月五十坪としても千坪です。千坪の土地が、これはもう過小宅地ということにでき上がってきて、もはやこれは効率的に土地を利用するということはゼロになるわけです。ましてや、その環境、地域というものが別の用途に用いられるような公算が強くなりますと、守い土地を買って、家の価値はゼロである、で投機的な値上がりを待っているというようなことになって、逆に、一面、宅地造成とか、あるいは新住宅地区というものを造成しよう、そうして地価の抑制をはかろうという考え方に逆な面が出てくるおそれが多分にあると思うのです。また、背後に相当未開発の地域を持ったところは、これはもうある年限、ある時期までは払い下げしてもよかろうと思いますけれども、これすら問題があります。そこで、そういう点、前田局長のほうは相当検討していると思いますけれども、公営住宅法を一度改正しまして、そうして払い下げする場合には、本省——建設大臣の許可を受けなければならぬのだというふうに改正したことがあるのです。あまりにそういう公営住宅の住居者が、土地の値上がりによって不当なる利益を受けるのではなかろうかという懸念があったために、法律を改正したことがあるのです。これは、私たちは始終、どうしてもしなければならぬということを言っていたところでございます。その点について、早川自治大臣は、自治省のほうでは自治省だけの考えで検討しているのか、あるいは大臣は御存じないけれども、局長あたりが向こうと意を通じてやっているのか、その点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/4
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005・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) たいへん有益な御意見を拝聴いたしまして、非常に参考になったところでございますが、いまのお話のように、自治省は自治省としてまだ発言している段階でございまして、まだ建設省として云々ということはございません。ただ、何分にも地方にそういう毒が多うございますので、だいぶ前でございましたが、閣議で、名前は忘れましたが、だれか閣僚の中からそういう発言があったことを記憶しております。私も常に注意を払わなければならない問題だと心得ますので、住宅局長に勉強はするように指示はいたしておりますけれども、別して、これを特別に前進して、これをすぐにどうしようということには至っておりません。十分各方面の事情を調査いたしまして最善を尽くしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/5
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006・田中一
○田中一君 地方公共団体が建設した住宅を払い下げよう、これは、法律による四分の一を経過したから払い下げようというこの心境は二つあるのです。一つは、建設費の単価が安いということです。国が一応標準単価というものをきめております。これが実際に合わないということであります。だから、なるほど三分の二とか三分の一とかの補助があるといっておりながら、事実は半分にも足りないということなんです。三分の一の場合は、三分の一どころじゃない。それこそもらっても足りないということなんです。実情に合わない単価の補助率でごまかされているのが現状なんです。法律からいえば、なるほど予算の捻出ということがありますから、これは一方的に、これしかないのだといえばそれで済むでしょうけれども、実際建てるほうの側では、土地は買わなければならぬ、その土地に建てる場合に、政府が予算に組み込んでいるところの標準建設費では建たないのです、場合によっては持ち出しているわけです。そこに、何といってもそれぞれの地域における市民の要求が強いから財政措置をしなければならぬ。その場合に、政府の予算上きめられている単価で建てられるならば、たとえば自分の負担が少ないけれどもとても建てられないという場合に、早く耐用年限が来たものを払い下げて、そうして自分の持っている土地も一緒に払い下げて、そうして新しい需要にこたえようということになるのが第一点であります。
それから第二の問題は、これはまあ民選市長なり、市町村長でありますから、市民の居住者の要求によってそれに従おうという空気が強いのです。これをいま御検討なすっていらっしゃいますけれども、これをいま、これが相当緩和されますと、全国的に耐用年限の来ているものといいますと、大体において三十二年ころまでのものは全部払い下げすることになります。三十二年度にできたくらいのものから以前は全部払い下げなければならぬ。膨大な土地です。膨大な住宅です。一体そういう払い下げを前提としての住宅建設、いわゆる公営住宅法ではないはずです。少なくとも国が管理をし、当時の規模から、いまは耐火建築のほうが相当にふえております。耐火建築でも払い下げるのかということになるわけなんですが、この点は慎重にお考え願わないと困ると思う。いたずらに混乱がございます。その点について、いま建設大臣の御答弁はそれでいいですから、前田局長は一体どういう考えを持っているか、ちょっと大臣の目の前であなた言って下さい。そうして自治省あたりがこのような新聞記事を出すと、全国的にこの要求が強いのでありますから、この点については非常にこまかい具体的な計数まで出して自治省は発表しておりますけれども、その点は、これははたして要求なのか、建設大臣は自分のほうで独自にきめますと言っておりますから、きょうは早川自治大臣にも来てもらって一緒に質問したかったのですが、来られませんでしたが、局長の心がまえをひとつわれわれと大臣の前で示して下さい。いいかげんはいけませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/6
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007・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 公営住宅の譲渡処分につきましては、法律にも規定がございますし、ただいまの先生の御意見及びその他各方面からの御意見も出ておりますので、それを十分に参考といたしまして、大臣の御指示を得て検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/7
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008・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 田中委員の御発言でございますけれども、私大臣をしておる以上は、私の言うことですべて御信頼をいただけば、決して事務当局一存でものをさせるということはいたしません。責任を持って私はここで答弁したとおりに実行いたしますから……。
なお、私は、お話を承っておるうちに、先ほども申し上げるとおり、たいへんけっこうなお話を伺ったと思っておりますが、だんだん安い住宅に入った人がかわれるようになったならば、もう少し上級な住宅にかわってもらって、安い住宅には安いほうに貸していただくほうがけっこうだということも相当考慮のうちに置かなければならぬのじゃないかということも考えまして、簡単にほしいからといって、それを分譲するということは適当でない特殊な事情等も勘案して指導する必要があるということも考えまして、今後十分慎重にこの問題は対処いたしたいということをあらためて御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/8
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009・田中一
○田中一君 これで大臣、安心しましたから……。
信頼し得る建設大臣として、もう一つ伺っておきます。それは、これも、新聞記事ばかり取り上げましてはなはだ申しわけないと思いますけれども、当面の問題ですから伺っておきますが、二月七日の朝日新聞で、放射四号線のうち渋谷——赤坂見附間を四月中旬までに完成しろという監督官庁としての立場から発言なすっている。これはほかの大臣が言うよりも河野さんに言われると、ぎくっとくる。おそらく東京都はろうばいしていると思うのです。そこで最初に伺いたいのは、オリンピックに間に合わすためにつくっている代々木の屋内総合競技場ですか、この建築に対して、設計変更かあるいは計画変更による予算が新しく計上されています、三十九年に。この点については、せんだってオリンピック特別委員会で佐藤国務大臣が、十分に予算を計上しておりまして、それに対処するようになっておりますと、こういう答弁をしております。なるほど予算面にも出ております。そこで、予算に計上しておりますが、私は昨年の暮れに、当委員会が、オリンピックの実施を前提とする各種の関連工事が行なわれております、これによる災害の問題が非常にやかましくなっておるので、これを視察しようではないかと提案は九月ごろにこれを提案してあったんです。ところがずるずる、総選挙などがあったために、昨年末に回ったわけですけれども、あの現場へ行ってびっくりしたものです。あの広い一万五千人入るという客席の中に五分の一か、六分の一ぐらいの支保工を一面に組んでいる。これは一体何だと、私はあの工事の内容を少し知っておりますけれども、こういうようなことは初めの計画にはなかったわけです。おかしいではないか、たいへんなものだぞ、これは、ちょうど若戸大橋の一本のつり橋で屋根をかけるような仕組みの工事になっておりまして、ああした計画すら、ぼくは日本の現状から見て賛成しがたいという気持ちを持っておるのです。わが国のあらゆる経済面から見ても、膨大な費用、単価のかかるものは賛成しがたいという気持ちを持っておりますが、これを採用した文部省がよいというのならばこれまたやむを得ません。建築を非難するには当たらぬと思いますけれども、しかし、施工に当たってあれだけの大きな変更を来たしておるということになりますと、これは問題です。ましてや、入札の際に受け手がなかったものを、ようやく清水、大林組が受けたという話を聞いておりますが、これすら、正式な契約ができておりますから、これは文句がないと思いますけれども、これにも非常な無理がある。壁がある。もうオリンピックに間に合わせるのだ、あるいは九月一ぱいにつくるのだ、あるいは八月一ぱいに完成するのだという壁があります。絶対の壁があるのです。壁というか、終点があるのです。これに対しては、河野さんは、工程上完全に完成するという見込みだから、あれに対して早くやれとかなんとかということはおっしゃっておらぬ。新聞どおりには見ていないけれども、おそらく完成されると思いますが、こうした変更された計画に対する裏づけの契約更改という問題は起こるのだろうと思いますけれども、それは御承知でしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/9
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010・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 営繕局長に説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/10
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011・建部仁彦
○政府委員(建部仁彦君) 田中先生の御質問にございました屋内総合体育館につきましては、当初二十五億円で計画をいたしました。先生のおっしゃるとおり、つり橋のような形をつくりまして、それから高張力鋼のケーブルでもって十文字に屋根を組んでいく設計でございましたが、その後、種々力学的に検討いたしました結果、高張力鋼ケーブルを引っぱります。調整の作業が非常に困難であるということが判明いたしまして、それを、主ケーブルは大体つり橋の形をとっておりますが、それから直角にとります構造体を鉄骨に変更いたしました。その鉄骨をかけるために、当然下に相当の仮設の足場をつくらなければならないということで彼我両方を比較検討いたしまして、どうしても工期に間に合わせるためにはそういう必要を生ずるということで、その他——それだけではございませんが、その他の設計変更も大体含めまして、これは所管は文部省の所管になっておりますが、ことしの予算で五億円を増額いたしまして、三十億円でことしの八月一ぱいに完成するということで目下工事は順調に進んでおります。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/11
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012・田中一
○田中一君 設計変更による、あるいは工期短縮による予算超過というか、何というか、損失は補てんするということですか。それとも積極的にこちらから、国のほうから直接に変更させて、それに対する予算を出すということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/12
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013・建部仁彦
○政府委員(建部仁彦君) 当初の、昨年のたしか二月のときに契約した工事、その当時は、建築工事につきましては六月一ぱいという工期でございましたが、その後の変更等によりまして、建築工事を八月一ぱいに実は延期しております。これは当初は外まわりの工事を、建築工事を完成してゆっくりやろというような計画でやっておりましたが、建築はそういうような設計変更を生じましたので、最終的には、建築工事の大体の形ができますと同時に、外周工事に同時にかかって八月一ぱいに全部竣工する、こういう計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/13
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014・田中一
○田中一君 だから、昨年の四月一日に締結した契約は契約として、あとの契約変更による予算を支出するというわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/14
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015・建部仁彦
○政府委員(建部仁彦君) 当初の契約当時に、いわゆる随契入札いたしましたが、一ぺんに落札いたしませんが実は随契に入ったわけでございますが、この間若干両方の——こちらのほうで計算しました予定価格と、それから業者のほうで計算しました入札の価格に若干開きがございました。それで私のほうで計算いたしました予定価格につきましては、当時非常に業者が熱意があったということが一点、それから資材等で相当に勉強しようという業界の声もございましたので、幾ぶんその点辛めにできていたかと思いますが、それは一応その当時の契約で双方了解のもとに成立したのでございますので、その点の補てんということは、今回の増額には入っておりません。今回は設計変更の分だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/15
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016・田中一
○田中一君 そこで、直轄している工事は、それでおそらくだれも損がなく、無理がなくできると思います。で、赤坂見附——渋谷間の放射四号線の工事は、これは都の所管ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/16
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017・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/17
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018・田中一
○田中一君 そうすると、建設大臣は、国民の感情、都民の要求にこたえるために、このような発言をしたと思うのです。これは政治家として正しいと思います。当然そうでなくちゃならぬと思います。そういたしますと、少なくともどの工事も経済ペースによって、この期間で、この金額でやれば災害がない、これで完成するという目途のもとに契約を締結されておるものと思いますけれども、たとえこれを一週間、二週間といえども短縮するとなりますとたいへんな問題が起きるわけです。何といっても仕事しているのは、都の直営事業じゃなくて請負人にやらしているものが多いわけでから、それらのものに対する支出は、東京都が大体夜間の作業その他をやれば三割や四割はかかってくるわけなんです。これは国のほうで間接に援助をしようというつもりで発言なすっているのか、あるいは都のほうで自前でそれを調弁しろと、計画変更ですからこれに対する手を打てということなのか。大体、建設省の仕事というものは、契約した工事がおくれますと、罰金を取っておるのです。過酷な罰金を取るのです。たとえば昨年なども、あの北陸、新潟地区の大雪のために汽車がとまって資材の輸送が困難になった、そのために一カ月やむを得ず工事がおくれたという場合でも、あの罰金を取っております。そういう過酷なことをしている。自分の故意の手違いでなくても、それでも罰金を取っている。雪の降る二日前に、一日前に着くように送れば間違いなかろうじゃないか、こういうようなことを言って取っている。はなはだ過酷なものです。したがって、今度工期を短縮する場合には、当然これに報償金とは言いませんけれども、施工計画の変更によるところの契約更新ということは当然行なわれると思う。これに対しては、建設大臣、発言した以上——発言し、また実行させる以上、あなたの言われたことはきっと都はやりますよ、だらしない都ですけれども。これは建設大臣、国が援助助けようというのか、あるいは都の中でやれというのか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/18
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019・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) ただいま田中さんの御発言でございますが、私はこれまでも工期を短縮して開通を急がしている場合がございます。こういう場合に、ただ現場を見ずに見当でやれやれということは申さないつもりでございます。御承知のように、青山の場合にいたしましても、だれが見ても、一体どこでおくれているのか、なぜ一体こんなにかかるのかという気持ちを、一般市民は非常に不快に思っていると思うのです。そこで内容を検討いたしてみますと、いまお話の請負人が非常に無理をして深夜業で突貫工事でやらなければならぬようなことを要求しているのじゃないか、支障面はどこにあるのだといえば、たとえば用地の解決がまだ一部分つかないために、その部分がおくれるとか、青山の場合で申しますと、電電公社関係の青山の電話局の関係がおくれるとか、地下鉄の乗り入れ口の関係でおくれるとかいうようなことで、工事自体で非常に無理をして急がなければならぬようなことで時間がかかるのじゃないのであって、しいていえば段取りでおくれている場合がある。もっと厳格にいえば、東京都なり、しいていえば建設省のほうにあるかどうか知りませんが、私から言わせれば役人のほうで、発注者のほうで当然処理してやるとか、協力してやらなければならぬ面に、怠慢ということは当たらぬでございましょうけれども、日が延びておる点がある。歩いてみると、大体できているじゃないか。都民が見ましても、一体あと舗装さえすればいいじゃないか、といっても半年もかかっているじゃないかというような面が青山の場合でも見られると思います。そうすれば、これを促進して一般の中小業者の商売のはめにも、一般交通のためにも、一日も早く完成するということは当然の責務であるというような意味合いから、四月十五日までに完成したらいいだろう、いまからやればできる、だれもそんなに無理しなくてもできるということで四月十五日までにやってくれということでございます。具体的に当たってみますると、いま申し上げますように、青山学院の前に鉄筋コンクリートのぼろの家がある。この家の用地の関係が解決しない。これのごときも期日を切って、いつまでにというて、そしてその関係者との間に昼夜を分かたず折衝すれば、おのずからこちらの誠意にこたえて立ちのいてももらえるだろうし、解決するだろうという気持ちがいたしますし、また私自身も、こういうことは速記録になってはどうかと思いますけれども、三浦義一氏のところへ参りまして、そしてその関係の人のためにおくれておるようであるから、その関係を解決いたしました。電電公社の関係も、電電公社の総裁のところへ実は代理を出して、そしてケーブル線のつけかえ、つなぎ合わせをして、ぜひ何日までにやってくれと言って、それを片づければ、そのあとは舗装だけで済む。もう一カ所は、地下鉄の関係というようなものがおもなものでございまして、いまお話のように、青山の、渋谷から赤坂見附間におきましては、工事請負人がそのために実に突貫工事をやるとか、夜業をやるとか、むしろ私がそういうふうな問題を解決することによって、帳場を早く締められる、普通の作業で早く工事が終われば、それだけ雑費が省けると思う、というようになるくらいでなかろうかと、あの場合には考えておりました。しかし、これはすべてがそうでない。たとえば名神国道で岐阜——大垣間を四月十一日に開通式をやる予定でございます。これは半年間、約四カ月、五カ月も早うございます。これらも、ことしは雪が非常に少なかったので舗装が非常に進んでいるというようなことで、無理なところは側線を通してでも開通しようじゃないかというてこれを要求しております。
しかし、これからも現実にそういうことをやるために請負人に負担をかけるというのであれば、一方早く開通することによって、道路公団の収入がふえるのでありますから、それとの見合いによって私は調整していいのではないかと、こう思います。もちろん、人にどんな迷惑をかけてもやりさえすればよいというようなことはむろん考えておりませんので、この場合でも、後日東京都と請負人との間に事態が、問題が起これば、当然建設省としても考慮してもいいのではないかと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/19
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020・田中一
○田中一君 お話のように、あなたが自分から乗り出して解決に当たろうというその熱意は非常に私は高く評価しているのでございます。しかし、ケーブルの埋設にしても、これは請負人がやっている。地下鉄工事にしても請負人がやっている。私は何も請負人を助けるために言っているのではない。そのために請負人は労働者にそれだけの賃金をやって徹夜作業をやらしているのでは決してない。現にせんだっての地下鉄工事視察のときにも、飯田橋の橋の下に入ってみますと、一応八時間労働なら八時間労働ときまっております。十時間なら十時間ときまっております。ところが、手間は多少高くして——八百円で来たけれども、千二百円もらっていると言っておりました。しかし、私ども建設委員会が視察しに行った。ところが、全部労働者を隠していて接見させない。ようやく地下鉄の飯田橋の橋の下に入って、どんどん先へ行ってようやくつかまえて、労働者に近寄って聞くと、実際は十三時間労働をやっている。そうすれば手間が少しでもふえるから……。そうしてこれが災害になる。こういうように末端で仕事をしている、働いている者たちに対しては薄くなる。
そこで、いまお話のうちの、あそこの青山六丁目のところの鉄筋コンクリートの家というのは、あそこには不二歌道会という右翼の人が入っているのでなかなかどかないということを聞いております。これわあなたが右翼かどうか知りませんが、あなたの一声で向こうがうんと言うならば、むしろいいと思う。したがって、そういうところはいままでに政治の面で欠けているところがあったと思うのですが、これはどしどし今後あなたが出ていっていただくことがいいのですが、実際仕事をしている者はそれに報いられないということがあったのでは、やはり全体の、いつまでにこの仕事をしなければならないという、オリンピック開催という目標があるために、どうしても無理をしなければならない。その無理は必ず労働者の労働強化になる。かつまた、請負人の赤字となってあらわれてくるのは当然なんです。ですから、いま大臣のお話の面は、一応観念的に全部了承できますが、さて、オリンピック開催というこの現実に向かって進んでいる事態が、内容において紛争が起きた場合の処理ということが一番大事になりますから、この点にいっての考え方をただしておきたいのです。
私ども一番こわいのは、第二点としては災害なんです。もう屋上の工事をやっている、たとえば赤坂見附の下を通るのに、運転手に、おい、気をつけろ、早く行け、早く行けと、あそこにとまっていることがこわくてしょうがないのです。あなたも同じ心境だと思うのです。これは要するに、工期には、経済的な工期というものがあるのです。これをこえていこうとする場合に、往々にして災害が起きるわけなんです。ことに前国会で流産した労働災害の防止に関する法律案というのが出ておりますが、これなどの責任というのは、下手人だけに罪がかぶさっておって、建設大臣のように、これを一カ月縮めろという命令をする命令者には責任が何もないのです。オリンピック開催の期日はきまっている、それに間に合わすために、工期を一ヵ月縮めろと、その命令者には責任がないのです。本来ならば、災害が起こった場合に、労働強化によるところの、労働条件が悪いために、睡眠不足で落っことす場合もありますし、いろいろあると思うのです、原因を調べると。しかし、やっぱり命令者の、最高の責任者の処署ということが、私は、労働災害防止に関する法律の中には多くの責任が秘められているというように考えて、こういう二つの問題から伺っているわけなんですが、金銭的な問題については、そういう紛争が起きた場合には、自後、完全に処理する。処理させるという強い決意であられるのか。それはまた東京都のほうではそれを承知して、あなたの勧告というか、監督権に服そうというのか、その点をちょっと伺っておきたいと思っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/20
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021・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 従来も、そういう場合に下部機構と合意の上、割り増しを出しておるのでございまして決してそれを出さずに万事下のほうで処理しろというふうにはしておりませんそうでございますし、私もむろんそうすべきだと考えております。
それから、責任の帰趨につきましては、むろん下部に一切の責任を負わして、みずからは責任る回避するというような気持は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/21
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022・田中一
○田中一君 労働災害の防止に関する法律というのは、結局下手人の責任なんです。これではかわいそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/22
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023・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) よく検討します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/23
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024・田中一
○田中一君 この点は、今度もいろいろ問題がありますけれども、これはひとつお考えおき願いたいと思うのです。
まだ時間があるようですが、いまの問題について、東京都のほうに対しては、私は、きょうの議事録のもとに、議事録を証拠といってはおかしいけれども、示して東京都のほうの態度をよく聞きたいと思います。それだけにひとつ全体の関連の事業、オリンピックを目当ての事業に対しては、あなたのっている鋭い的確な感覚でおっしゃるのはかまいませんけれども、あと始末は各局長にさせるようにひとつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/24
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025・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 了承しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/25
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026・小山邦太郎
○小山邦太郎君 関連。住宅問題について、田中君からの質問はきわめて適切なものであり、また、注意すべきことと思うのですが、それがために住宅払い下げに消極的になるようでは非常に困る。私は積極的に住宅払い下ぐべきものである。そうして住む人が自分で持てるように政策をあみ出していくことのほうが大事で、それには、特定の者に不当な利益を与えることは、これは先ほどもお話のとおり、注意すべきであるが、多少奨励の意味をもって、これは進んでみずからのものにするように振り向けるということが非常に大事だと思うのです。なぜなれば、住宅政策遂行の上にも、やはり不十分な財政力しかない自治体がその中から生み出して住宅を建設する公営住宅をいつまでも持っているということはこれはまずいことです。なるべくこれは早く払い下げて、そうしてその資金をもって再びさらに住宅の建設に充てるようにするということが大事であるばかりか、保存の上からも、住む人が持つということになれば、これは非常に私は、保存の上にも好影響がある。ただ安いので住んでいる。しかも安いから建設も十分でない、自然短期間に修繕費用も多く要するようになる。これらのことは、どの点から見ましてもまずいと思います。なるべく早く私は、耐用年限四分の一になったらば、というのではなくても、その前にも希望者があったらどんどん払い下げるようにしてもらいたいという希望を持って御質問申し上げます。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/26
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027・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) 私は、ただいまの御発言でございますけれども、先ほど来、田中委員から御発言を承にておりまして、これはよほど慎重に考えてやらなければいかぬと思います。と申しますのは、買う金があれば自分が建てるということも、実は別に案をつくりまして、そうして住宅公債を買っていただけば別に建てて差し上げるわけでございます。あらゆる角度で金のある人ならば、買う金がある。適正な価格でこちらが払い下げたものを適正な価格で買うということならば、ほかに方法はいろいろあるわけでございます。それを、先ほどもお話のありますように、土地が安かろうとか、これを買えば安く買えるだろうとか、というような考えで払い下げをしようというようなことに万一なりますと、これは非帯に弊害が起こります。同時に、ある年限そこにお住みになれば、相当の社会的地位も実は上がるとか、収入の道もふえるとか、家族の構成条件も変わってくるとかということで、五年、八年たって同一の条件である人はなかなか少ないのじゃないかと私は思うのです。そういう場合に、むしろ積極的に上級の人は他の住宅にかわって、そうして新しい人に安い住宅を譲っていただくというようなことを奨励していくことも一つの道じゃないか、こう思います。したがって、これまでに数年間、公営住宅に入っていらした人は、相当にもう収入がふえてきた、家も買えるようになったということになれば、やはりその人はその人なりにほかのクラスの住宅に入っていただくというように、われわれのほうとしては「一世帯一住宅」という趣旨はどこまでも徹底して新しく建てていくわけでございますから、ひとつそういう点については慎重に考えで、ただ、いま入っている家は安く買って、それをまたすぐわきへ要領よく転売でもして、幾らかでもさやを取って新しい家を建てるというような量見を起されることは、社会的に大きな弊害が起きます。そんなものは厳重に押えればいいじゃないかといいますけれども、今日は押える道はあるようでなかなかない。したがって、よほど慎重に対処する必要があると思います。むしろそれよりも、いま言うような、積極的に政府の住宅政策にあらゆる角度から御協力願って、そうして自分のいま入っている家を買うばかりが能じゃない。資金をいま申し上げたような他の方向で住宅債券でも買っていただいて、そうして政府と一緒になって新しい住宅を建てるというような方向に向かっていただいたらたいへんけっこうじゃないかと思うわけでございまして、これは全部が全部すべてに当てはまるわけには参りませんから、むしろ払い下げの道も考えていかなければなりませんけれども、そうだからといって、住んでいるものを押えるのもいかぬかもしれませんが、積極的にやるのもどうかと思いますので、そこらのところは、ひとつ実際の実情に当たって解決していくのでなければ、適当でないのじゃないか、こう思います。どうかひとつよろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/27
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028・小山邦太郎
○小山邦太郎君 わかりました。
なお、積極的なお話を伺って非常に満足なんですが、田中君のご質問は、これはなかなか大事な問題で、それを大臣がよくのみ込んで、そうしてお話によると、その心配もないようになさるというのだから、これはけっこうですが、されば、積極的にという一つには、宅地公債住宅公債、非常にけっこうです。ところが、この規模がいかにも小さい。これはひとつ十二分に、私は要望が多いだろうと思うから、その要望にこたえるように、もし三億をオーバーした希望がどんどんありましたら、これはどういうふうになさいますか。進んでひとつこの規模を拡大するように希望をいたしまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614149X00519640211/28
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029・北村暢
○委員(北村暢君) 本日の審議はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。
午前十一時十一分散会
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