1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十七日(木曜日)
午前十時五十五分開会
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委員の異動
二月二十五日
辞任 補欠選任
鬼木 勝利君 辻 武寿君
二月二十六日
辞任 補欠選任
辻 武寿君 鬼木 勝利君
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出席者は左のとおり。
理事 石原幹市郎君
下村 定君
伊藤 顕道君
鶴園 哲夫君
委員
源田 実君
小柳 牧衞君
塩見 俊二君
林田 正治君
千葉 信君
鬼木 勝利君
向井 長年君
国務大臣
国 務 大 臣 山村新治郎君
政府委員
臨時行政調査会
事務局次長 井原 敏之君
行政管理庁行政
管 理 局 長 石川 準吉君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○臨時行政調査会設置法の一部を改正
する法律案(内閣提出)
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〔理事下村定君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/0
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001・下村定
○理事(下村定君) ただいまから内閣委員会を開きます。
三木委員長が所用、欠席のため、委託によりまして私が委員長の職務を行ないます。
臨時行政調査会設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続きこれより質疑を行ないます。
政府側御出席の方は、山村行政管理庁長官、井原臨時行政調査会事務局次長、石川行政管理局長でございます。御質疑のおあり方は、順次御発言を願います。伊藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/1
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002・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回お尋ねしたことは臨時行政調査会に対する政府の態度等にお伺いしたわけですが、なおお引き続いてこの問題を一、二お伺いをしたいと思います。
一昨年、首都行政について政府は緊急を要する案件として、この問題を臨時行政調査会に依頼しておいたわけです。これを調査会は受けとめて、この問題を特別部会で検討したわけです。さらに調査会としては、第二専門部会においてこの検討を進めまして、総合開発行政のあり方について検討を進めてきたわけです。こういう中で、政府は一方こうやって臨時行政調査会に緊急問題として依頼しておきながら、臨時行政調査会には何らの相談もなしに、近畿圏の整備法案、こういう法律案を、第四十三だと思いますが、第四十三国会に提案してしまったわけです。これを緊急を要する案件として臨時行政調査会に委嘱して、その検討を依頼しておきながら、今度は何の相談もなく、こういう法案、近畿圏整備法案を第四十三国会に出してしまったということ、これも前にも申し上げたように、政府のいわゆる調査会に対する態度としては、きわめて遺憾だと思います。やはり何といっても調査会軽視のそしりは免れないのではなかろうか、こういうふうに当然こういう問題から受け取れるわけです。このことに関して、長官どういうふうにお考えになるのか。また、この問題は調査会としてもいろいろ問題があろうかと思いますので、調査会としての考え方、これについては幸い事務局次長もお見えになっておりますので、調査会側として、どう考えておるかをお考えをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/2
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003・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 御指摘の近畿圏の問題が出ました当時のいきさつにつきましては、私も実は詳しくそのことをつまびらかにいたしておりませんが、政府といたしまして、臨調を軽視しているのじゃないかということでございますが、決してそういうことはございません。御存じのように、総理の施政方針の中にもはっきりとこの答申に期待をするという施政方針をいたしたゆえんも、政府がこの臨調を重要視いたしておりますところの証左でございまするし、なおまた、今回いま御審議願っておりまする法案を提出いたしましたゆえんのものも、ぜひともこの臨調の答申を尊重いたしたいという精神のあらわれでありますことを御了承いただきたいと存ずる次第でございます。
なお、そのほかの問題につきましては、事務局より御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/3
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004・井原敏之
○政府委員(井原敏之君) 首都圏行政の問題は、いま伊藤先生がおっしゃいましたが、実はこれは具体的に文書によって内閣総理大臣が臨時行政調査会に諮問したという形式はとっておりません。ちょうど一昨年の秋に、都政調査会、田中一郎さんが委員長になられた都政調査会というものがございました。都知事の諮問機関でございます。これは首都圏の問題について意見を出したわけでございます。それと前後いたしまして、地方制度調査会も首都圏の問題、東京都の問題について特に言及した答申を出したわけでございます。そういうことがございまして、しかもその都政調査会の答申と——これは都知事に対するものでございますけれども、地方制度調査会のそれと、若干ニュアンスの違いがございまして、時の行管長官であります川島国務大臣が、臨時行政調査会の委員会に見えまして、こういう問題について、臨時行政調査会がまとまった一本のものにしてくれるなら非常に政府としても好ましいということがありましたので、かたがた東京都の問題が大問題だという認識はあったわけでありますけれども、御承知のように、調査会は一般的に行政運営なり制度の基本的な事項をやるところでありまして、特殊問題をやるのは例外という態勢をとっておったわけであります。たまたまそういう政府側からの話もあり、また、東京都の問題は特殊問題とはいえ非常に緊急であるということで取り上げて、昨年の八月十三日の改革意見第一号として答申をすることになったわけであります。
またその間に近畿圏整備本部が政府部内にできましてそのことにつきましても御承知のように、臨時行政調査会の事務局長は行政管理庁の事務次官が法定兼職で兼務いたしております。したがって、政府側においていろいろ強い政治情勢がありまして、近畿圏整備本部設置の要請が強く出てきておるというようなことは、そのつど事務局長として委員会に対しては連絡をしておったわけであります。ただ、近畿圏の問題につきましては、首都圏の問題のようにこれを特別会を設けて臨調で取り上げるということはいたさなかったわけでありまして、これは内閣としての責任で処理を進められたわけでございますが、首都行政についてそういう調整を要するという必要もあり、緊急であるということで取り上げまして答申を急いだわけでありますが、それがその後どうにもなっておらぬ経緯について臨調ではどういうふうに考えておるかというお尋ねのように承ったわけでありますが、委員会といたしましては、確かに特殊問題であり重大であり、緊急性があるということで答申をいたしたのでありますけれども、これまた一たび内閣に出しました以後は、やはり内閣の責任で問題を進められておるわけでありまして、臨調の中に個々の意見、委員としてのいろいろな意見は確かにございました。しかし、正式に委員会としてそれをどうこういう意思表示はしておらぬわけでございます。なお、このために政府側には行政改革本部を設立され、検討には取っ組んでおるわけでありまして、その点について委員会として特に不満があるという状況はない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/4
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005・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いろいろ御説明いただき、最終的には委員側には別に不満はなかったということでございましたが、私の伝え聞くところによると、政府は調査会に緊急問題として委嘱しておきながら、何らの相談もなく近畿圏整備法案を四十三国会に出してしまったということについては委員の皆さんが非常に激しく憤慨されたということを承っておるわけなんです。いまの御説明では、別にそういう問題はなかったということでございますが、これはまあここで言うても水かけ論になろうかと思いますが、さらにこの問題について、首都圏行政についてはいま御説明の一端にもございましたが、調査会は昨年の八月池田総理に対して答申を出して、首都圏庁の設置、それから首都圏評議会、こういう一連の施政について提案があったと思うわけです。ところが、これに対して政府は、いわゆる行政改革本部ですか、そこで検討をするということで、何らこれがまじめに受けとめられないで今日まできておる。今国会の政府提案の中にも、なかなか首都圏庁設置の法案は見当たらないわけです。今後出すのやもしれませんが、いままでのところこういうものは見当たらない。一方において非常に緊急問題であるからというので調査会に委嘱しておいて、さて慎重審議その結果について答申したところが、さっぱり、取り上げられないままにもう半年も経過しておる。せっかく国会開会に際してもいまだに提案もない、具体化されていないということは繰り返し申し上げることですが、どうも調査会を軽視しておるのじゃないか、こういう結論を出さざるを得ないわけです。こういうことについてひとつわれわれが了解できるように御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/5
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006・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) ただいまの首都圏行政の答申に対しまして、政府はどういうような態度をもって進んでおるかという御趣旨の質問に対してお答え申し上げますが、この答申を受けまして、政府といたしましては、ちょうど昭和三十八年の八月二十日の閣議決定改革本部をつくりまして、そうしてこの本部におきましして、いままで六回の行政改革の本部の会議を開いて検討いたしておる次第であります。たまたまちょうどそれを受けましてから総選挙等がございましたので、おくれておる課題もございましたが、ぜひこれだけと特別に早く切り離して答申をいただいたたてまえからいっても、この通常国会に法案を提出する心がまえでいこうという気持ちで行革本部としてはこの問題の作業に取っ組んでおった次第であります。しかし、現実にはなかなか実はその間の調整がむずかしい問題でございまするし、特に重要な問題でございまするところのいわゆる広域行政との関連あるいはその後九月までに出るでございましょうところの全般の答申の問題等のかね合い等もございまして、実はいろいろ議論が分かれておるのが実情でございます。しかし、いつまでもこの問題について政府が——通常国会に法案を出すというたてまえのもとに努力をしておりますが、その問題をあいまいもことしておるべきじゃないという考えを私は持っております。ぜひとも近いうちに行革本部としてこの通常国会に首都圏問題についての法案を出すか出さぬかという結論は出しまして、そうして皆さま方にも御了解を得たいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/6
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007・伊藤顕道
○伊藤顕道君 ここで問題にしなければならないのは、先ほど来お伺いしておるように、政府に都合よく利用できるものについてはさっそく取り上げるけれども、政府に都合よく利用できない審議会等の答申については検討中ということでじんぜん日を送ってなかなかこれを取り上げない。こういうことがこの問題だけに限らず——これはまあほんの一つの例としてお伺いしたわけですが、他にもたくさんあるわけです。こういう一連の、政府は個々に考えて都合よく利用できるものだけは取り上げる、都合よく利用できないものはなかなか取り上げない、こういう弊風があるように感じられるわけです。そうだとすれば、こういう弊風をさっそく取りやめなければ、せっかく多額の国費を費やして審議会等を設けてもこの意義が薄らいでしまうのじゃないか、こういうことをわれわれは憂えておるわけです。問題はそこにあるわけです。したがって、この点についてひとつお答えいただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/7
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008・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 従来いわゆるこの行政改革という仕事がなかなかその所期の目的を達し得なかったという原因がどここにあったかと申しますれば、確かに伊藤委員の御指摘のような点が多分にあったように私は個人的見解を持っております。しかし、今回これだけの期待のもとにまた、法の命ずるところによりまして臨調にこの問題をお願いしておる以上は、いただきました答申については十分その趣旨を尊重することはもとよりのこと、ただいま御指摘になりました、政府の都合でもって、都合のいいところだけをとり、都合の悪いところはとらないということであってはならないと思います。あくまでも国民全体の奉仕者としての立場において、行政機構がどうあるべきかという観点からその問題は処理すべきものであるという信念のもとに、行革本部としてはこれらの問題と取り組むつもりである次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/8
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009・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大体国の、政府の責任者である池田総理についても、この臨時行政調査会設置法案ができた当時は、その施政方針等にもこのことを取り上げて言われておったわけです。ところが、最初だけであって、それ以後施政方針の内容をじっと見ておりますけれども、それがほとんど行政改革について臨時行政調査会等のこの面にはさっぱり触れていないんです。最近ややこれらしいことに触れてきたわけです。その問題については、前に政府の態度としていろいろお尋ねしたときに伺いましたのでここでは繰り返しませんが、あれにしても非常に第三者的のようなきわめて熱意のない表現であったわけです。これを要するのに、臨時行政調査会が設置された当時だけややそういう熱意に近いものは見えたけれども、その後さっぱり熱意はない。こういうことで今日にきておるわけです。ということは、総理みずからがあまりこの行政改革には熱意がないのではないか、こういうことを疑わざるを得ないわけなんです。このことは総理自身に御出席いただいて、直接御答弁いただく以外にないわけですけれども、おりませんから、ひとつ長官、総理にかわって、一体どういうことなのかということをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/9
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010・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 池田内閣が発足当初におきまして、この行政改革の問題を国民に強く公約いたしましたことは御存じのとおりでございます。したがって、総理個人のお気持ちといたしましても、おそらく相当の情熱を持ってこの行政改革に取り組む心がまえであると私は考えておる次第でございます。先般も申し上げましたが、ちょうどこの前の委員会の前日に、佐藤委員長に総理はお会いになりまして、ひとつぜひ思い切った案を出してもらいたい、そして根本的に日本の行政改革のために役立つような答申を期待するという激励をされたということも聞いております次第でございますので、おそらくその情熱におきましては当初と変わらないものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/10
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011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま申し上げたような態度を総理が持っておるので、一つの具体的な問題をここで出してみたいと思いますが、臨時行政調査会が懸命に検討しているさなかにこういう事例があるわけです。昭和三十七年、これは第四十回国会ですが、この際検討中であるにもかかわらず、防衛施設庁それから社会保険庁という外局が二つもできた、局が四つ、部が六つ。こういうふうに調査会がせっかく検討中であるにもかかわらず、まだ結論が出ていないのに、こういう機構がこういうふうに変わっておる。またさらに、三十八年、これは四十三国会だと思いますが、部が三つ新たにできておる。さらには今国会提案中のものを調べますと、局は六つ、部が四つ、これはまだ成立はしておりませんけれども、それぞれの設置法が通ればでき上がる予定になっておるわけです。と申し上げるように、このような局部の新設、増設が、調査会の検討中に、結論を持たないでどんどん進行しておる。こういう態度が現実にあらわれておるわけです、現実の姿として。長官の立場からいろいろ総理擁護の弁がいまあったわけですけれども、これは立場上さもあろうと思うのですが、しかし、何とおっしゃろうとも現実にこういう事例が出ておるわけです。せっかく臨時行政調査会に機構改革委嘱をしておいて、まだ答申が出ないのに、その答申の精神に沿うてこういうものができたというのならたいへん話はわかるのですけれども、まだ結論が出ないのにこういうものがどんどん新設されておる。これでは繰り返し申し上げるように、多額の国費を費やして、また天下の人材を集めて臨時行政調査会というものを設置してもその意味はだいぶ薄らいでしまうのじゃないかと、こういうふうに当然に考えられるわけです。これはただひとり私の個人的な考えではないです。当然そういうことが考えられると思うわけです。こういう現実を通してこういうことを申し上げざるを得ないのを私もきわめて遺憾に思うのですが、現実の姿がこうなってあらわれてきておる。こういう点をどのように解明いただくか、ひとつ長官としてのお考えを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/11
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012・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) たびたび申し上げましたように、臨調の尊重、臨調の答申の実現のための政府の前向きの姿勢ということにつきましては、これはもう変わらざる方針でございます。したがって、この答申を待ちまして今後全般的な行政機構の改善に取り組むのでございますが、これは単に部局の問題ばかりではございませんで、全般的な行政機構の問題をお願いしておる次第でございますので、その間に御存じのように、行政の面におきまして実際に内閣といたしましての施策を実行するための必要が生まれてまいりますことも政治上の実際でございます。したがって、今回あるいはその前におきましても臨調の答申が出ないうちに多少とも部局の問題等についての変動がありますることは、やはり一応政府当局としてはこう考えておるというたてまえのもとにこの局をつくりあるいは部をつくったほうが実際の行政上に、国の便になるという考えのもとに発足した次第でございまして、決してこれは臨調を軽視したという意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/12
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013・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いまお伺いしておる事例の中でも、わけて地方農政局、これは非常に問題の多かったいわゆる中央集権の疑い濃厚であるというような観点から地方農政局の設置についてはだいぶ異論があったわけです。こういうものもいま申し上げたように、結論のないままにこれはきわめて重要な改革であろうと思うのです。それだけでなく、今国会提案のいわゆる建設省設置法の中にも地方建設局の設置という問題があるわけです。これも地方農政局と同様に中央集権の疑いがきわめて濃厚なものであるわけです。こういうふうに見てくると、先ほどの幾つかの外局——局部の増設、新設、こういう問題と、さらには特段に重要なまた中央集権につながる地方農政局、地方建設局、これは地方建設局は今後の問題ですが、こういう問題がすでに出され、また、出されようとしている。こういうところにもどうも長官の口からは決して調査会を軽視ではございません、そうおっしゃっておることはそういうふうに聞こえますけれどもその長官の明言を裏づけるにはあまりにかけ離れているのではなかろうかと思うのです。長官は軽視ではないとおっしゃるけれども、現実はこういうふうに軽視しているとしか考えられない事例が幾つかここに出ているわけなんです。過去において、そうして現在もそういう傾向が進められようとしておる。この辺に問題があろうと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/13
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014・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) ただいま御指摘の農政局あるいは建設局の問題をはじめといたしまして、いろいろな具体的な問題が、あるいは見方によりまするというと、答申を待たずしてこういう問題をいじるということについては、非常に議論としては伊藤委員の御指摘のような疑問が生ずる場面があるかもしれませんが、率直に申しますならばそこに実は生きた政治のむずかしさがあるのではないかと考えておる次第でございます。われわれはあくまでもこの答申が出ました以上におきましては、その答申と正面から取組んで、十分に尊重して、その実現をはかるつもりでございますが、その答申をお待ちしている間にも、切実な問題として、いろいろ行政面においてこういう部局をつくれというような声も反面においてございますために、いろいろ政策を実行するためにこれは必要だという判定をいたしました最小限度のものを一応提案したような次第でございますので、その間をひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/14
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015・伊藤顕道
○伊藤顕道君 ただいま重ねてお答えがあったわけですけれども、どうも問題と結びつけた場合には、なかなかおっしゃるとおりには受け取れない節があるということを申し上げておいて、時間の関係もございますので次の問題で一、二お伺いしたいと思います。
これは第三十九国会であったと思いますが、昭和三十六年十月二十八日と三十一日の議事録に出ておりますが、この両日、臨時行政調査会設置法案を当内閣委員会で審議いたしました。その際、私は、時の川島長官に次のようなことをお伺いしたことがあるわけです。この調査会は行政制度、運営について検討をなさるのではないのか、諸制度、運営だけではなく、そのほかの公務員制度についても検討なさるのではなかろうかと心配されるけれども、この点について川島長官のお考えをお伺いいたしたい、こういう質問をしたわけです。これに対して長官は、こうお答えになっておるわけです。今度の調査会はそこにはねらいがありません、行政機構の問題であります、私の考えておるこの調査会においては行政機構だけを取り上げて検討いたしたい。こういうふうにお答えになっておるわけです。私は繰り返しお伺いしたことに対して、繰り返し明言されたわけです。ところが、この調査会が調査を始めると、いざ始まるということになると、第三専門部会において、ここに資料がございますが、ここで拝見したのですが、第三の専門部会において、調査項目の中で、真正面から公務員に関する調査を取り上げているわけです。さらに最終的な七人委員会でも、改革意見項目には、公務員問題が審議の対象として取り上げられているわけです。こういうことになると、先ほど申し上げた川島長官のおことばもあり、そして、調査会の第二回の会議でなされた決議があるはずです。この内容は、調査会の任務遂行に関する基本的態度の決議というものが、第二回の会議で決定されているわけです。この川島長官の言明といい、この決議といい、こういうものに対比して考えた場合、この二つにいずれももとるのではないかと疑いを持たざるを得ないわけです。このことについては、それぞれの立場、長官、そして事務局次長からそれぞれひとつこの問題についてお考えをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/15
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016・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 前の長官の川島大臣と伊藤委員とのこの御質疑、答弁の御趣旨というものは、要するに、公務員の人員整理を目的としてこの問題を取り扱わないという御趣旨ではなかったかと思うのでございます。また、これは、本案の附帯決議としての趣旨にもございますので、もとより調査会といたしましては、この趣旨は十分尊重されつつ運営されていると存じます。
なお、調査会の内部の問題につきましては、事務局から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/16
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017・井原敏之
○政府委員(井原敏之君) いまの伊藤委員の仰せでございますが、川島大臣が、臨時行政調査会設置法を御審議をいただくときに、繰り返し申し上げておったことの一節であろうかと思いますが、ただ、私ども、その、いまお取り上げになったくだりのところだけ伺いますと、ちょっと私ども、多少失礼ですけれども、ふに落ちない点があるわけでありますが、調査会は、御承知のように、行政制度と運営全般の基本的な事項を検討するということが法のたてまえでございます。前の川島大臣が繰り返し申し上げましたことは、行政整理を目的として今回の改革を考えておられぬ、これが重点であると思います。しかし、そうはいうものの、いろいろやっているうちに、公務員に及ぶのではないかというようなお尋ねなり何なりございました節にも、公務員の現在の既得権を侵害するというのですか、そういうようなことはないようにするということをはっきり申し上げたと思います。したがって、そういうことと臨時行政調査会の委員としては了解しているわけでございますので、それが第一でございますが、なお、行政改革で行政制度、機構をやるのだということを言ったではないかという仰せでございますが、実は、いま、理屈っぽくなりますけれども、設置法の第二条でも、制度運営の基本事項を討議するということにもなっておりますし、行政改革に取って組んで考えてみますと、一機構の問題には決してとどまらないのでありまして、運営の問題、権限の再配分の問題、さらには、そういう機構や権限の問題だけを追求しておっては、どうしても問題の根本的解決になりませんので、それに当たっております公務員の能率の問題であるとか、その処遇の問題であるとか、職場規律の問題というような運営管理、公務員自体の問題にからまざるを得ないことなんでございまして、そういう範囲において、実は調査会でも検討しているわけでございます。したがって、国会で申し上げました人員整理を目的としていないことは、いまもはっきり確認されているのであります。公務員の実質上の権限がそこなわれることにならぬようにというような配慮も、十分七人委員としては心得て検討を進めているわけでございまして、附帯決議の精神あるいは設置法の精神には十分準拠して運営されていると私ども確信をして見ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/17
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018・伊藤顕道
○伊藤顕道君 長官に重ねてお伺いしますが、前任者の川島長官の言明されたことについては——まあその間にいろいろございますけれども、結局前任者であったことは事実であります。そこで、前任者の言明されたことに対しては、やはりあとを継がれる歴代の長官がこれを尊重して、今後その実現に最大限の努力をするのはこれは当然だと思うのです。もしそうでなければ、長官がかわるごとに方針が変わってしまうのならば、せっかく国会で審議を重ねても全く意味のないものとなってしまうから、それは当然なことだと思うのです。この当然なことをいま一度確認の意味で長官からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/18
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019・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) ただいま御指摘の問題は、私も川島長官から事務引き継ぎをいたしておりますし、特に内閣はやはり池田内閣でございますので、川島長官が答えられましたことは、そのとおり、私も今後とも守っていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/19
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020・伊藤顕道
○伊藤顕道君 事務局次長にも重ねていまの点でお伺いしますが、行政機構の改革だけでなく、運営も当然関係してくる、このことは私も了承しておるのです。先ほど申し上げたように、行政改革、運営等についてだけならばよろしいが、公務員制度、公務員ということになると、当然人員整理とか配置転換、こういう問題が当然出てくる問題だ。こういうことをおそれて、そういうものについて検討されるかどうかということについて念を押して伺ったわけです。もちろんわれわれの主題とするところは、指摘にあったように、また、附帯決議でも強調されておるように、人員整理とか、配置転換については強力に反対し続けておるし、現在もそうであるわけです。したがって、このことはすなわち人員整理とか配置転換は絶対に行なわない、こういう言明がある限りは、この審議過程で公務員制度に自然に触れることは当然あると思うのです。したがって、行政改革、そうして機構の改革だけでなく、運営等も当然この調査会で審議があってしかるべきだと思う。われわれはこういうことは認めておるわけです。ただ、いま申し上げた意味で公務員制度が検討されるということになると、これは前の川島長官の言明にももとるし、また、いま申し上げたところの決議にももとるということを申し上げておるわけなんです。このことをひとつ次長に重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/20
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021・井原敏之
○政府委員(井原敏之君) 設置法の条項並びに委員会でおつけになりました附帯決議の趣旨を尊重することはもうすでにはっきりいたしております。ただ、いまの公務員制度に触れないというおっしゃり方なんですけれども、これは公務員制度ということをどういうふうに考えるかでございますが、広い意味ではいまの第三専門部会が扱いました考え方というものは、前回提出いたしました要約にも書いてございますけれども、現在の国家公務員法のたてまえというものを大体全部に尊重しておるという考え方です。しかもその現在の国公法が運営段階で実は非常にいまだしのものが多いじゃないかということをむしろ問題にしておるわけでございまして、そういう意味では新しいいまの国家公務員法の精神と違うことを考えるという動きは、現在調査会の中にはございません。ただ、公務員制度一切に触れるなとおっしゃいますと、これは公務員制度ということの限定ということでございますけれども、昔の非常に身分的な公務員を考えるとか、特権的な公務員を一部に考えるというような問題になりますとまさに問題でございましょうが、そういう段階で広く言えば公務員制度の問題にも及ぶ。たとえばこれは帰趨のほどはわかりませんけれども、公務員の一部のものについて労働基本権の問題をどういうふうに考えるかというようなことは、そういうことにノータッチで、一体公務員関係の報告というものができるのかどうかという問題も危惧されるわけでございます。また、人員整整理を目的としないことは明らかでございますけれども、いまお耳に達しております。太田委員が担当しております機構の統配合の問題で、若干の範囲での配置転換というものはあるいは結論的には出るのではないかという——これも七人委員会の意見を全部保留しておる段階でございますので、私どもいまべらべら申し上げる段階ではございませんけれども、一切配置転換を目的としないのだということを、事務局の私の立場からそこまで申し上げかねる。これはしかし、結論がいかように落ちつくものか、まだ未確定の段階でございますので、こういう申し上げ方はどうかと思いますが、人員整理を目的としないことはこれははっきりした鉄則でございます。調査会の運営で決議しておりますが、いま配転の問題についても一切やらぬということを、事務局の次長として当委員会にお約束するという、そういう私責任の者でもございませんし、この問題については今後十分検討されることと思います。ただ重ねて申し上げますけれども、現在の公務員の身分的なあるいは現在受けておる権益をそこなうというようなことは一切考えておりません。これははっきりした調査会の委員の考え方でございます。これははっきりお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/21
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022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま御説明のあった中で、人員整理とか配置転換の問題は、前に詳しく申し上げた附帯決議の精神を伺ったときに、長官が十分尊重いたします、いままた川島長官の言明に対しても、同じ池田内閣の前任者であるから当然これを尊重する、こういうことになれば、人員整理並びに配置転換についてはないように最大限の努力をするし、また、そういうことはあってはならない、こういうことに結論が出るわけです。ただ、事務局次長からの説明は、まだ結論が出ていないのだ、審議の過程においてわれわれはまだとやかくは言えない、これはその点はわれわれにもわかるわけです。したがって、われわれそういう基本的な反対の態度で臨むわけですけれども、何ぶんまだ審議の過程ですから結論が出ていない、これはしばらく結論の出るまでわれわれは待つ以外にないわけです、審議の過程という意味で。それと行政制度の合理化あるいは能率化、こういう問題を審議するその過程の中で公務員の問題が自然にこう出てきた、こういう出てきた方ですね、これと七人委員会でもう明らかに公務員問題が審議の対象になった、初めから公務員制度というものを取り上げておいてそれと真正面から取り組むのと、行政制度のいわゆる合理化、あるいは能率化、こういう問題を検討する過程において公務員問題は出てきた、この出てき方は根本的に違うと思う。これはぼんやりしていると同じようなことになるわけですよ。これは調査項目として明らかに旗じるしを掲げてこれを真正面から取り組んだ場合と、ただこういう合理化、能率化という問題を審議する過程でたまたま公務員問題が出てきた、それに触れてある程度の審議をする。これは取り組み方は根本的に違うと思う、繰り返し申し上げますけれども。この点はどういうふうに理解したらよろしいのか。もし間違っておったら御訂正いただきたいと思う。どういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/22
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023・井原敏之
○政府委員(井原敏之君) 当初から公務員制度ないしは公務員問題を取り上げるかまえというものは少し違うのじゃないかという仰せのように承りましたが、実は七人委員、それから調査会ができますまでのいろんな世論とか世間の意見等を伺いましても、公務員の執務態度と申しますか、不親切であるとか、横柄であるとか、いろいろ公務員に対する批判というものは非常に多いわけでございます。実は七人委員も、当初から、行政制度なり運営の改善といいましても、結局はその運営の衝に当たる人間の問題も含めなければ、行政改革は画竜点睛を欠くという意識を当初から持っておったわけであります。したがって、三つの専門部会に分けましたときから、この問題はとにかく人の面からの改革問題だということで、七人委員がはっきり一致で問題意識として取り上げておったわけでございまして、制度運営をやっておるうちにいろいろと人間の面をくずさなければだめだということがあって、おくればせにその問題を取り上げたということでないことははっきりいたしております。しかし、そういうことでございますけれども、人間の面から見る行政改革は一つの大きな柱であるという認識に立ってやってはおりますけれども、いま仰せのごとく、非常に逆行的なことを考えておるわけでもありませんし、附帯決議の精神、法の精神には十分従ってやるということは明らかでございますけれども、ただ、あとから公務員問題が突然と、運営なり、権限問題を検討しておったら出てきたといういきさつでないことは、やはりはっきり申し上げておいたほうがよろしいかと思います。お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/23
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024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 まあいずれにしても、配置転換の問題は、結論が出てから、その様子を見た上でまた重ねてお伺いしたいと思います。
次に政府としては、国会に提出する法律案の数を減らす意図から、この国会に国家行政組織法の改正案を出すようだと、こういうふうに伺っておるわけですが、もし出されるとしたらいつごろ出されるのか、まずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/24
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025・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 一応ただいま御質問の問題についての議論のあることは事実でございまするが、いまのところ、いつ出すかということを申し上げる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/25
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026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 長官は、伝え聞くところによると、一月の三十一日自民党の役員会に出席されて、その席上で、党首脳部の意向を打診された結果、党側から強い要望もあって、同改正案を近く衆議院のほうへ提出する、こういうふうに伝え聞いておるわけなのです。そういう考えは——ただ、いつ出すかということは、いま御説明のあったように、まだ決定していない。そういう意向のあることだけははっきりしておるわけですか。その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/26
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027・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 御存じのように、毎国会におきまして、いろいろ設置法の問題で内閣委員会等に御苦労をかけておりますことは、これは非常に国会議員の方々のうちには、政府与党の中におきましては、こういうような煩は避くべきじゃないかというような御意見があるのは事実でございます。したがいまして、党側におきまして相当御意見がありますることも十分私どもも聞きましたので、一応検討はいたしておりまするけれども、いまのところ、これをいつ出すかということを申し上げる段階ではないことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/27
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028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 二月十四日の政府与党間の話し合いで、一応二本立てにしようということがきまったように伺っておるわけです。その二本立てというのは、一応国家行政組織法を改正案を出し、そうして各省庁のいわゆる設置法の改正案を出す、その二本立てで出していく、まあそういうことを前提にいたしますと、この国会にももうすでにこれを裏書きするかのごとく、各省庁の設置法の改正案が相当数多く出ておるわけです。まあここに法律名は一々わかっておりますが、こういうふうに考えますと、どうもこれがその二本立てのうちの一本がもうすでに国会に出ておる。あと残されたのは行政組織法の改正案と、こういうことになるので、伝え聞いたことはまさにそのとおりいくように考えられるわけです。そこでお伺いするわけですが、そういう二本立ての方針でお進みになるのかどうかということ。それから、もう大体設置法案が相当出ておりますけれども、まだ予定されておるものがあれば、どういうものかという問題もあるわけです。こういう点についてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/28
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029・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 先ほども申しましたように、与党内におきまして強いそういう声のあるのは事実でございますので、政府といたしましては検討はいたしておりまするが、ただいまの段階で、いつ出すということを申し上げる段階ではないと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/29
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030・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この行政組織法の改正案は、もし出されるとすれば、まあ長官はいつということはまだ言えない、それはそのとおりだと思いますが、言えないとしてもですよ、その国家行政組織法改正案が出れば、そういう法案の審議の際に、当然われわれは審議を進めるわけです。そこで、この案件は臨時行政調査会の問題ですから、したがって、それにはここでは触れませんけれども、ただ、審議会等の設置に関係の面があるわけです。したがって、いま一つ、二つお伺いしたいのは、この行政組織法の改正案と結びつけて、いわゆる審議会等の設置に関連の分だけというふうに制約をしてお伺いしたいと思います。
そこで、まずお伺いしたいのは、ここで審議会を云々ということを前々からお伺いをしてきたわけですが、もしこの改正案が出されるとすると、改正案の内容としては、調査とか、あるいは諮問機関的な審議会などの設置は、各省庁の設置法によらないで、政令によってきめる、そういう御意向のようでありまするけれども、この点は長官としては、どういうふうにお考えになっておるのか。従来は各省の設置法によって出されておったわけです。それをあらためて政令で設けようとするお考えのように伺っておるわけです。この点はいかが理解したらよろしいか、お教えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/30
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031・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 国家行政組織法をこの国会に出せという強い声の一つは、要するに、あまりにも設置法その他でもっていろいろと国会の皆さま方にお手数をかけておる。これがむしろ簡易なものについては政令にしたらいいじゃないかという思想のありますことは事実でございます。しかし、これをどういうような形で出すかということにつきましては、一応全般的なにらみ合わせからいま検討中でございますので、ただいまどういう案を出すかということを申し上げる段階ではないということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/31
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032・伊藤顕道
○伊藤顕道君 ただいま検討中という名答がございましたので、あまり深追いはできませんけれども、また逆に考えれば、政府は、一たん決定すると、なかなかいいことでも変えませんからね。どんないいことでも一たんきめてしまうとなかなか変えない。こういうたてまえからいえば、せっかくまだ御検討中だからこそ、ここでお伺いをしながら強い要望を申し上げておきたいと思います。従来も、この審議会等の増設については非常に問題があったわけです。現に、先般申し上げた三十六年の国会でも、不用になったもの、それから似通ったようなものについては、これは統廃合を行なうべきであるとか、あのころたしか百五十ばかりの審議会があったわけですが、これは国会の場で問題になって、年々増加の一途をたどっておる、これは整理すべきである。まあその他いろいろ附常決議の内容もあって、いろいろ当内閣委員会でも全会一致の決議がなされたわけです。そのことには触れませんが、というふうに百五十の時代でも非常に乱設のおそれがあるということで警戒されたわけで、現在は二百九十ほどに増設されておる。いわゆる行政組織法第八条によってすなわち法律によって決定される。そういう手のかかる、政府から見ると手のかかる方法かもしれませんが、そういう方法でやっても、なおかつ乱設の傾向があるということで、国会では警戒しておったわけです。ところが、今度は安直に手軽に各省庁の政令で決定できるということになると、もうどんどんその数はふえるということは当然考えられるわけです。非常に手続が簡単ですから、政令ならば。国会の審議は要らぬわけです。こういうことではせっかく附帯決議は尊重すると口ではおっしゃっても、附帯決議の精神を尊重するなら、それに逆行するような、こういう政令で決定するというようなことは、どうも理解しがたい。幸い長官は、いままだ結論は出ていないのだ、そういう意見もあるという意味のお答えで、せっかく検討中であるというふうに承った。これ幸いです。検討中ですから、ひとつこういう精神を十分持って、従来でさえも乱設の傾向があったのだから、こうやって政令で設けることになると、ますます乱設のおそれがあって、行管の立場でも各省庁の統制をとるのに非常に窮地におちいるであろうことも予想されるわけです。したがって行管の立場を考えても、これは慎重に検討すべき内容ではなかろうかと思うわけです。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/32
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033・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) まだ検討中の問題でございますので、この問題の内容についていろいろとお答え申し上げることは不適当とは考えますが、ただ、個人的な見解をこの際でございますから言わしていただきますならば、もとより民主主義体制下におきましては、国会の御意見というものを十分に尊重してあらゆる行政をしなくちゃならないことは当然でございます。したがいまして、この精神だけはあくまでも尊重してまいりたいつもりでございまするが、反面におきまして、確かに与党内の一部に声のございまするように、非常にまあ簡易な問題までも一々国会のお手数をかけておるという点も、これは政府としては一応検討を要すべき問題でもあろうと思いますので、その間に実は議論が二つに分かれてまだまとまらないというのが現状でございます。したがいまして、私どもといたしましては、十分慎重に検討いたしまして、なお、伊藤委員の御意見も十分に参考にいたしまして善処するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/33
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034・伊藤顕道
○伊藤顕道君 もう時間もございませんから、最後にひとつ要約的に御要望を申し上げたいと思うのですが、前々からお伺いする中で、附帯決議に対する益谷前長官の決意の御表明、それから川島長官の御表明、それから附帯決議それ自体の内容、こういう点をあわせ考えてきたときに、いま長官がおっしゃったように、これはよほど慎重に検討なさらぬと、将来を誤る問題になりかねないわけです。ただ、私がここではっきり申し上げたいのは、必要な審議会にまでこれを制約を加えよう、そういう意図は毛頭ないわけです。必要なものはどんどん法律によってつくって活用すべきである。ところが、先日来申し上げておるように、いろいろそこに問題があってということがあって、正しい方向にいっていない。そういう点についてお尋ねしたわけであって、必要なものは合法的につくってこれを活用するのが、これでこそ行政機構の改革、運営が、そうして合理化、そうして能率化が推進されると思うのです。こういう点でわれわれは、正当なものの、そうして活用されるものの審議会等については、決してこれに協力することにやぶさかではないわけです。こういうような意味合いから、ただいままでの事例から言うと、非常に乱設の傾向があって、あまり有効に使われていない実情があり、乱設されている。ますますこれが数がふえている。こういうことを憂える立場からお伺いしているわけです。こういう点はひとつかみしめていただいて、最大限に善処されるよう、強く要望申し上げて、本日の私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/34
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035・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) ただいまの御意見は十分拝承いたしまして、善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/35
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036・下村定
○理事(下村定君) 他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本日の質疑は、この程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X01019640227/36
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