1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年二月十八日(木曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 中村庸一郎君
理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君
理事 小川 平二君 理事 小島 徹三君
理事 辻 寛一君 理事 島上善五郎君
理事 畑 和君 理事 山中日露史君
仮谷 忠男君 久保田円次君
佐藤 孝行君 中野 四郎君
藤田 義光君 加賀田 進君
實川 清之君 田原 春次君
堀 昌雄君 山下 榮二君
出席政府委員
自治政務次官 高橋 禎一君
自治事務官
(選挙局長) 長野 士郎君
委員外の出席者
参 考 人
(都道府県選挙
管理委員会連合
会会長) 染野 愛君
参 考 人
(六大市選挙管
理委員会連合会
会長) 酒井 吉松君
参 考 人
(全国市区選挙
管理委員会連合
会会長) 宮島幸太郎君
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本日の会議に付した案件
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/0
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001・中村庸一郎
○中村委員長 これより会議を開きます。
田原春次君から発言を求められておりますので、これを許します。田原春次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/1
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002・田原春次
○田原委員 今後の審議を進める都合上、次の資料を御用意願って、配付していただきたい。
第一は政党法に関すること。これはアルゼンチンと韓国に政党法があるそうでありますから、これの略文でもいいし全文でもいいから至急届けてもらいたい。第二は選挙法に関すること。各国それぞれ選挙法も多少違うようですが、私の希望するのは西ドイツの選挙法、カナダの選挙法、これは下院だけであります。それからブラジルの下院の選挙法、これはたしか政党比例代表であって、候補者の順位等はその政党できめるように聞いておりますけれども、なお正確を期する意味で、以上二種数、政党法関係と選挙法関係の資料を至急集めて配付していただきたい。これだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/2
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003・中村庸一郎
○中村委員長 ただいまの田原委員要求の資料につきましては、自治省においてすみやかに取りまとめ、提出願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/3
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004・長野士郎
○長野政府委員 政党法はアルゼンチンと韓国でございますか。——選挙法は西ドイツ、カナダ、ブラジル、すぐお目にかけられるものもございますが、なお調べなければならないものもございますので、だんだん取りそろえてお届けいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/4
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005・中村庸一郎
○中村委員長 次に、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として都道府県選挙管理委員会連合会会長染野愛君、六大市選挙管理委員会連合会会長酒井吉松君及び全国市区選挙管理委員会連合会会長宮島幸太郎君、以上三君の方が御出席されております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多忙中にもかかわらず、わざわざ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。参考人の方々は、各選挙管理委員会の委員長として運営に携わっており、御経験深い方々でありますので、それぞれのお立場からどうぞ本案について忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。ただ、時間の関係もございますので、お一人約十五分程度順次御意見をお述べいただき、そのあとで委員からの質疑に応じていただきたいと存じます。
それでは、まず参考人染野愛君よりお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/5
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006・染野愛
○染野参考人 私は都道府県選挙管理委員会連合会会長の染野愛でございます。本日は本委員会の参考人として出席し、意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたことまことにありがたく感謝申し上げる次第でございます。
御審議願っております選挙執行費基準法案につきましては、関係各位のなみなみならぬ御尽力によりまして、全般的には私どもの要望しておりますものに近い線で提案されておりますので、今後一段と選挙の管理執行に適正が期せられてまいることと存じております。
したがいまして法律案要綱の一、二、三と、五、六、七の事項につきましては、個々にはなお多少の実情に沿わないものがありますが、大体において満足いたす内容と思っております。
しかし第四項のポスター掲示場の経費につきましては、率直に申し上げて非常に困るのであります。と申しますのは、ポスター掲示場の効用が候補者の人的経歴を知る上で大きな役割りを果すものでありますため、設置場所、構造、管理等にたいへんな配意をなさねばならないわけでございます。そこで、法案に出ておりまする金額はいわゆる最低の製作費でありまして、その他の設置場所調査費、掲示場監視の監視費、並びにその設置場所の謝礼等はこの中からとても捻出することはできないのであります。例を東京都にとってみましても、掲示面積は三十面にもなりますので、長さは七メートル以上になり、製作費が最低六千円としても、そのほかに先ほど述べました掲示板の運搬費、あるいは掲示場の監視費、謝礼、その設置場所の調査費等に相当の額がぜひ必要でございます。
私は世田谷に住んでおりますが、世田谷の例をとってみますと、掲示場の個数が大体七十近い。これを八カ所つくりますと五百六十カ所、その中で公営の施設を利用するものが百カ所ございまして、民間に設置場所を協力願うものが大体四百六十カ所ございます。これらの四百六十カ所の設置場所を選定するためには千三百何カ所という候補地を選定いたしまして、それをさらに縮小いたしまして四百六十カ所の設置場所の選定をいたしますには、相当の日数を要し、また人的にも非常な要員が要るわけでございます。そして、それらの費用はただいまでは区の自主的な協力を得てやっておるような実情でございまして、相当額の費用をこれに要することは当然のことであります。そういうようなわけでございますから、これらの問題につきましても十分御配慮を願いたいと存ずる次第でございます。
また、市、区、町村と段階別に分けておりますが、特に都市近郊の町村等は都市と全く同様な状態でございますので、これを区別して金額に差をつけておりますことは実情に沿わないように私は考えるのでございます。
その例を申し上げますと、三多摩のごとき広範な地域におきましては、時によりましては掲示場が、丘陵の非常に高いところに運んでそこに設置されるようなことも多々あるわけであります。そういうところから考えますと、非常な運搬費を要するわけであります。これらのことを考慮に入れまして、当委員会におかれましてもそういう実態を十分御理解をいただいて、できるならば相当額の増額をお願い申したい、こういうふうに存ずるわけであります。
以上、はなはだ簡単でございますが、一応の私の意見を申し上げた次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/6
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007・中村庸一郎
○中村委員長 ありがとうございました。
次に参考人酒井吉松君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/7
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008・酒井吉松
○酒井参考人 時間の関係もありますが、またただいま染野さんからもお話のありました点とちょっと重なる点もありますけれども、お許しを得ましてこれから申し上げたいと存じます。
私は大阪市の選挙管理委員長の酒井吉松でありますが、六大市の選挙管理委員会連合会長を兼ねておりますので、主として大都市の立場から意見を申し述べたいと思うのであります。
まず、総括的の事項から申し上げます。
超過勤務手当の要素は、人員、時間数及び単位の三つあるのでありますが、近来の選挙事務は選管の専任職員だけで執行することはとうてい不可能なのでありまして、市長部局の職員から多数の応援者を求めますところがありますことはかねて御承知のとおりであります。なお、その事務は所定の勤務時間だけで終わるものではなくして、早朝から深夜にわたる関係上ばく大な時間を必要とするわけであります。
また、これが単価につきましては、大都市は特に高いのでありまして、今回の基準法の改正案によりましても、基準法にいう単価とは相当の開きが生じまして、その結果、選挙執行経費の予算を圧迫し、種々の制約を受けることとなるのであります。今回の基準法による単価と大阪市における単価とを比較いたしますと、この三要素、特に単価について現状とそぐわざるものがあるように思うのであります。
嘱託手当及び人夫賃につきましても、その勤務時間が一般と遅い、やはり早朝から深夜にわたる長町間の勤務となりますので、これが単価につきましても十分の御考慮をいただきますようお願いする次第であります。
次に、投票所の経費に関する事項であります。
最近の国会議員の選挙の投票率が上昇の傾向にありますことは喜ばしいことでありますが、この傾向は今後も進むものと考えられますので、選挙人の利便をはかるために、投票所の増設、また従事人員の増員などの考慮を払わなければならない現状でありますので、所要経費も増加しつつあるのであります。
以下、各個について申し上げてみますと、投票立ち会い人の員数については、現行三人を四人としていただきたい。
それから投票前日の投票所設備に要する人件費といたしまして、新たに超過勤務時間三時間の経費を計上するとともに、従事職員の投票所勤務に要する交通費を加えていただきたい。
投票箱、記載台等の用具を運搬する経費としまして、船車を借り上げる料金を増加すること。
投票所の設備として、選挙人名簿対照用の長机及びいすの借り上げ料金、並びに場内敷きものとしてのござなどの消耗品費を大幅に増額する必要がある。
投票速報の関係上、通信費については一投票所現行五通話を十五通話に増加していただくとともに、臨時電話の架設費については全投票所の二割分を計上することをお願いしたい。
それから投票所について民間の建物を借り上げることが多いので、これが借り上げ料の増額をはかっていただきたい。
それから選挙が冬季に執行される場合には、選挙人の利便をはかるために、投票所外の照明設備費を設けていただきたい。
次に、開票所の経費に関する事項であります。
開票事務については、開票速報の迅速化を要求されています一方、事務の複雑化、投票率の向上に伴う投票枚数の増加等に伴い、その所要時間が長くなっております。このため開票開始時間を早くする等考慮を払っておりまするが、やはり開票終了は夜間にわたることとなりますので、現状の超過勤務時間二時間では十分でなく、さらに四時間ほど加算していただきたい。
また、開票速報のため、臨時電話を開票所に一台、並びに市本部に開票所と同数を設置しているので、これが架設費と度数料を計上せられたいのであります。
次に、選挙公報発行費に関する件であまりすが、選挙公報については、参議院選挙については全国区と地方区、衆議院選挙については最高裁判所裁判官審査公報と、それぞれ二種類ありまして、これが折り込みについて非常に手数がかかり、また公報配布期間も限定されておりまするので、これに要する超過勤務手当を計上せられたいのであります。
ポスター掲示場に関しましては、ただいま染野さんからもいろいろありましたが、重複をいたしましてまことに御迷惑かもしれませんけれども、一応六大市の意向を申し伝えたいと思います。
今回の公職選挙法の改正に伴い、市区町村においては一投票区につき五カ所以上十カ所までの掲示場を設置しなければならないことになりましたが、このため大都市におきましては、その設置数は大幅に増加いたしております。しかも設置にあたっては立候補予定者の数を勘案し、公示の日までに設置しなければならない関係上、きわめて短い時間に行なわれなければならず、このため掲示板の作製並びに掲示場設置に対し、人夫の監督、掲示場管理者への連絡など、多数の職員の動員を必要としますし、これが超過勤務手当が必要となってまいります。また、設置のための人夫についても一日当たりの作梁時間が長く、かつ市街地である関係上、大工、とび職等専門の技術者を必要といたしますし、したがってこれに要する経費も大きなものがあります。その他民間施設管理者への謝礼とか、あるいは掲示板の運搬経費、選挙運動期間中の掲示場見回りの経費などを必要とするので、今回の改正案に示される額では不十分でありますので、さらにこれが増額をはかられるようにお願いをする次第であります。
また、掲示板につきましては、恒久的に使用できるものについて種々意見があったと思われまするが、六大市としては、これの選挙終了後の保管場所に適当なものがありませんので、あくまで臨時的なもので処理したいとただいま考えておるのであります。
立ち会い演説会に関する事項についてでありますが、職員派遣数については四人を見込まれておりまするが、最近の事例に見られるごとく、会場の秩序保持に相当の人員を必要とするので、衆議院議員選挙特別法のとおり、十人分を計上願いたいのであります。
マイクの借り上げ料については、一台現行一千円でありますが、少なくともこれを三千円として二台分を計上せられたいのであります。
また、夜間開催が多いので、聴衆の利便をはかるため、施設内の通路並びに会場外の照明設備費を計上せられたいのであります。
次に、事務費に関する事項でありますが、国会議員選挙における一般事務のうち、六大市で一番重要なものは補充選挙人名簿の調製であると考えております。最近選挙ごとに補充選挙人名簿の申請者数が増加する傾向がありますが、昨年の公職選挙法の改正によりまして、選挙時以外におきましても、随時申し出ができることとなりましたので、本年六月行なわれます参議院通常選挙には、職員を多数動員してその受付、資格の認定、名簿の作成、前住所地の市区町村選管への通知等、多くの事務を処理しなければならぬことになりました。したがって、従来の基準法において算定されました従事職員数及び従事日数では経費に不足を生ずるので、これが従事職員数の大幅な増加、並びに従事日数を選挙期間中だけではなく、それ以前の準備期間中十日間も加えられんことをお願いするのであります。
また、その超過勤務時間につきましても、平日三時間、土曜日は八時間、日曜日は十二時間を計上されるようあわせてお願いを申し上げます。
また、最近、郵便による一般の不在者投票が増加しつつありますので、これが郵便料につきましては、選挙終了後、精算交付されるようお願いを申し上げます。
以上をもちまして六大市選管としての意見を終わりますが、何とぞ大都市の実情を十分に認識を願いまして、よろしく御審議くださるようにお願い申し上げる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/8
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009・中村庸一郎
○中村委員長 ありがとうございました。
次に参考人宮島幸太郎君にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/9
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010・宮島幸太郎
○宮島参考人 本日、選挙等の執行経費の基準に関する法律の改正について、お呼びをいただきましたことを深く感謝いたしておるところであります。これは私個人の喜びだけでなく、私ども連合会会員一同の喜びでありまして、厚く感謝申し上げます。
委員長から時間の点について御注意がありましたので、簡単に重点的に申し上げたいと存じます。さらに両参考人の申されたことにはなるべく触れないようにいたしますが、あるいは重複いたすことをお許し願いたいと思います。
今回の基準額の改正で、われわれの同僚、全国の第一線の一番下で働く選挙管理委員の最もの喜びは、附則の三項が削られたことであります。これは御承知のとおり、もう十年以上悩み続けてきた問題でございますけれども、これが削られたということは政府当局のお骨折りでありまして、ぜひこれはこのままおのみいただきたい。もっとも一昨年の十一月の衆議院の選挙のときにはこのことが用いられておるわけであります。よろしくお願いいたしたいと思います。
今回の改正のことを総論的に申し上げますと、基準単価が改善されまして、染野参考人が申されましたように実情に近いものにはなってきたが、これで十分とは申せないのであります。これは地域的な差もございますけれども、私どものように東京に住まっております者から見ますときには、まだ足らないところがたくさんございます。しかし全国的なことであり、また国家の予算も膨張と申してはおそれ入りますけれども、大きく必要とするときでありますから、われわれは耐え得る限り苦しい財政でやっていくことはもちろんでございます。しかし、大体この程度よりしかたがないのかなというところまでは上げていただいておりますが、上げていただいていないのもございます。すなわち、超勤の基準半価とかあるいは嘱託員の費用とかいうものについてはずいぶん御考慮を払っていただいたあとがございますけれども、まだ足りないものがございます。重点的に簡単に申し上げたいと思いますから、お聞き取り願います。
投票所の経費にいたしましても、基準に関する法律が昭和二十五年にできましてから私どもの連合会としては十五年間たびたび陳情いたしております。陳情にはずいぶん伺って発言もさせていただいたことがあるのでございますけれども、この基準単価では中都市以上の選管といいますか、あるいは投票所におきまして、つまり有権者を多く抱擁しておる、たとえてこの表を申し上げますと、大体略図表でありますが、五千以上抱擁するところの投票所のケースというのは非常に嘱託員が多い。多いために無理をしまして人員で勘案して執務させておる。超勤の職員を一人働いてもらいますと、嘱託員何人分もの費用が食われてしまうわけでございますけれども、有権者の多い投票所というのは非常に批判の多いところでございます。また選挙戦ということばはいけないかもしれませんけれども、競争の熾烈なところでありまして、ほんとうにわれわれが心して——もちろんとの選挙についても心してやりますけれども、一そう神経を使うところであります。これに十分な配慮をしない不安というのは大きい投票所を持っておるところの共通の悩みであります。ことに私どもがぜひこれを解決してもらいたいとお願いいたします意味は、決して選管の都合ではございません。たとえて言えば、名簿対照等も多くの人を配備いたしますれば、そして熟練者を配備いたしますれば、迅速にこれが整備できてくる。ところがなれない者がやりましたら、間違えて隣ヘチエックでもしたらとんでもないことにもなりますので、熟練した職員を多く配備することによって有権者の方々に御迷惑が少ないわけであります。投票所に列をつくらなければならないから行くのはいやだということで、棄権することがもしあったならばたいへんなことでありますので、われわれはそのようなことに対しては十分力を注いでおりますが、いかにせんいつもこの執行費に市町村といいますか、われわれ第一線の者が赤字を出しますのは、事務構成と申しますか人員の配備が、矛盾といいますか不合理であるからでございまして、ぜひこの際この点をお直しいただけるものならたいへんありがたいことだと思う次第でございます。お手元にはないと思いますけれども、五千以上の有権者の投票所となりますと非常に嘱託員が多くなる。大きいところは三分の二も嘱託員でやられる。これではとてもわれわれが安心して投票管理者にあるいは役所の職員に仕事をゆだねることができないという不安を持っております。
それから続いて、先ほど酒井参考人から前日の分がないという御意見がございました。そのとおりでございますので、これは省いておきます。
それから設備経費の修繕費のことに触れられましたが、これもどうぞひとつよろしくお心にとめていただきたいと思います。この修繕費というのは、まことに失礼な申し方でございますけれども、ばかにしたような費用でございます。五千未満の投票所におきましては修繕費その地金百円、百円玉一つです。五千円以上で二百円という、まことに笑い話になるような金額でございまして、これは相当な額をお認めいただけて当然だと思う。しかもこのごろは、いろいろ地方公共体も学校の建築、改築、不燃性校舎、安全な校舎等にいたしましたために、そしてわれわれが若い時分の学校の鉄筋の校舎というと床はモルタルそのままでありましたけれども、いまはもう床を張ってございます。したがって、土足で歩かれてはたまらない、かなわぬというような意見が校長のほうから出まして、これに敷きものを敷けというので、苦しい乏しい地方財政から何割ということになっておるかどうか、敷きものを買ってもらっておる始末でございます。こういうようなときにあたりまして設備費というものを大幅に見ていただくということは無理とは存じますけれども、こういうところにやはりひとつお考えを願いたいと思います。
それから投票管理者、ついでに開票管理者でありますが、この費用弁償が三倍に上がった。三倍に上がったと申しますと、所得倍増ではありませんけれどもたいへんに上がったようでありますが、前の費用は四百円であります。一口、投票開始前から投票箱を送致して、開票所に持っていくまで努力してもらいまして四百円だ、しかたがないので、市町村におきましては条例をつくって、国の選挙でもそれに上回るところの報酬を差し上げておったのでありますが、この千二百円にもいろいろございまして、たとえば農村地帯ではこれで十分かもしれません。しかし、都会地ではなかなかさようにいかない。そこでどうしても何かでこれを勘案して捻出していかなければならぬことも起こる。しかも投票管理者の場合は前もって二回くらいは打ち合わせのために出てもらいます。万遺漏なきを期するために十分協議をいたします。その出張してもらう費用、お礼も何もございません。
それから、先ほど前日の設備の話がございましたが、もちろん投票管理者も出席してもらいまして、ここに三時間ないし四時間予行演習はやらないまでも、十分な配備をしておくというようなことにもひとつお考えおき願いたいと思います。
それから立ち会い人の四人というお話がございましたが、実は四人になりませんと、三人はどうしてもいなければならぬというと、一人生理上のことで退席したくらいのことはいいとは思いますけれども、二人しかいない時間が相当あったから選挙は無効であるというようなことを言われて訴訟の種になったこともあります。これは四人にしていただいて、そして一人くらいお茶飲みに下がれるようなことにしていただいたらたいへんいいと思うのでございます。この経費も三百五十円が千円に上げられた。このことは全国一律でございますからやむを得ないこととは存じますけれども、中都市以上では十分な額ではないと考えております。適当な改善が望ましいものでございます。
それから開票所の経費につきましては、即日開票四時間というのは、これは山の中の三百や五百の開票所でありましたならばできると思いますけれども、投票所はふやせ、開票所は減らせというのがわれわれの合いことばでございます。なぜ開票所を減らすかというと、投票所の秘密保持のためにもこれは三百や五百で開票すべきものでないというのがわれわれの考えでありまして、そういうような点からいきますと、大きい開票所におきましてはなかなか四時間くらいでは片づくものではない。しかも即日開票の場合には昼間相当長時間にわたりまして執務したあげくでございますから、深夜作業では疲れた上でのことでありますからなかなか能率があがらない事実はもう御存じのとおりであります。そういうわけで、前述のとおりお認めいただければたいへんしあわせだと思うわけであります。
さらに翌日開票の場合、大都市におきましては、即日開票ということは投票の機械化と申しますか、これをいたさない限りはできません。やむなく翌日いたしておりますけれども、これもでき得る限り良心的に早く結果を報告いたしたいというようなたてまえから、一斉に大体八時に開始しております。これを九時にいたしますれば差しつかえないのでございますけれども、八時からにいたしますと、どうしても七時半には開票所に到着してくれなければならない。選挙管理委員並びに選管の職員はもっと朝早くから行ってあれこれと準備を怠らないようにいたしますけれども、一般従事員にいたしましても三十分前には来て開票のやり方等を事務局長からよく、訓辞とは申しませんが、打ち合わせまして、その上で開票にかかる。たとえて言えば本年六月に行なわれると予想されておる参議院の全国区などの候補者の多い投票などは、よほど熟練して、まずこういうように分けていく、五十音順その他をすっかり打ち合わせをいたしまして開票にかからなければ能率があがりません。さような関係で打ち合わせをするためには三十分では足りないくらいでございますけれども、前もって出勤してもらわなければならぬ。さようにいたしますと、八時半から勤務時間でございますから七時半に来てもらいますためには、これは一時間の超勤というわけでございますが、これは認めていただけるのが当然だと思うわけでありますけれども、いままで十数年にわたって陳情してまいりましたけれどもお認めいただいておりません。それからまた、参議院の選挙等になりますと、土曜日などでしたらもちろんですが、普通の五時までの勤務時間でも足りなくて超過勤務になる場合がございますが、こういう場合がございましたときにはぜひ精算交付的なことにしていただきたいということでございます。
次は投票所の入場券のことでございます。これは入場券を発行してない地区も幾つかあるのでございますけれども、われわれがこれに悩んでおるのでございます。これは東京だけばかりではないようでございまして、一般人の、つまり市町村の何とやら委員という公正な人に配らせているところも幾つか、ほんとうに少数あるようでございますけれども、そういうことは望ましくない。またアルバイトでもこれを正確に配達してもらわなければ困る。責任を持って必ず親切にたずねてきちっと世帯主あるいはそこの代表者とは申しませんけれども、これに渡してこなければこれはえらいことになる場合もなきにしもあらずでございますので、どうしても役所の職員に土曜日の午後あるいは日曜日を利用して配付してもらいたいと思っていろいろ首長の部局に向かって要望を出しますけれども、なかなかこれが不自由なことでございます。すなわち私、選挙管理委員制度ができてから十八年半やっておりますが、その当時は収入になることでありますと喜んでやってくれたものでありますけれども、経済成長とかいろいろあるかしれませんが、公務員も豊かになってきたせいですか、こういったような郵便配達のようなことを好まなくなってまいりました。どうしても、それは中にはいろいろ家族の多い方、そういう人はかせぎたい、働きたいという人もあるでしょうけれども、ここにも一つの労働攻勢的なものが選挙管理委員会に向いてきておる。私どもの特別区の協定というのがございますが、毎回入場券は郵送せよ、そういうような要求に負けたと申してはおそれいりますが、圧倒されまして、品川、大田、世田谷、目黒、あの辺のところは、そのほかいま予算編成期にあたりまして、地財法にもとってもぜひ入場券の配付料を出してもらいたいという要求をして、首長の部局と話し合いがついたところももう五つ、六つございます。かようなことも選管はどうしても自立性を持たなければならぬという考えを起こさせる一つの問題でございますけれども、こういうものは郵便がいいとは私どもは考えません。やはり役所の責任ある人が行って一々配ってくれることがいいと思います。ポストへ入れそこなったりするというようなことがあってはならないと思いますけれども、いろいろこういう社会情勢からそうした悩みを持っていることをひとつお聞き取りくださいまして、御検討を願えればしあわせだと思っております。
それから入場券のついでに公報でございます。公報は、先ほど公報の発行について酒井参考人から発言がございましたけれども、これは参議院の場合はまことに大量になります。まだ衆議院のほうが立候補される方が少ないので、面積が違ってもまだ楽のようでございますけれども、リヤカーに積みましてある町かどへ置いておいて、そこから一部分ずつ持っていく。そのためにわれわれは、一府県で発行いたしますのでなるべく目方のかからない、紙質が悪くても輪転ざらのようなものでひとつやってもらいたいというような要望を出すくらいたいへんな量になる。こういうふうなことも、役所の人も服装がこのごろは整いましたが、役所の者はやはり有権者の宅に行くのには服装をきちんとして行ってもらわなければ困ります。この公報を大きく抱えまして何軒か配って歩くということはたいへんなことと思いますから、これも郵送にせよという要求が来ておるわけであります。このことは大都市だけのことであって農村に行けばそんなことはないですよとおっしゃられると思いますけれども、しかしそういった特殊事情を認めていただくならば、そういう特殊なところだけでも御勘案願えればしあわせだと思っておる次第でございます。
時間がちょっと経過いたしましたことをお許し願いたいと思いますが、それからポスターの掲示場でございます。これは今度たいへんな費用がかかるだろうと予想しておりました。十三億五千万円くらいかかるというようなことも選挙局のほうで伺ったのでありますけれども、ここに出たものは十億五千七百万円、これはつまり一番人数の少ないところは四千五百円に単価を下げたからでございます。先ほど染野参考人から冒頭申されましたけれども、このことにつきまして私どもがお願い申し上げたいことは、単価の基準についてたとえば四千五百円のことがどうであるということは申し上げない、もちろん四千五百円なら四千五百円だけのものをつくれば——つくればと申しましても建設費だけではごいません、撤去費も入りますし、これを見回る費用も入ります。それで立てて回ったところが、公共の道路だけであるならば別段謝礼も要りませんけれども、普通の家を借りて、へいを借りて、へいの中に柱を立てる、あるいはその前に立てるというようなことをいたしました場合には、どうしても幾ら役所の仕事でありましても謝礼を持っていかなければならないというようなことになりますと、勢い粗末なものになっていくというおそれがある。私どもはある国会議員の方から伺ったのですが、この委員会ですかどちらか存じませんが、国権の最高機関に選ぶ、つまり候補者となる人のポスター掲示はもっと体裁のいいものにしなければ見識にかかわるとおっしゃられたことを聞いておりますけれども、私どもそのとおりだと思います。でありますから何か色のものでもつくって、人から、ああ簡素であるけれどもきちっとつくってあるなあ、と思われるようにいたしたいと思いますけれども、先ほど染野参考人が申されたように東京地方ではとてもでき得ません。それは調整費でもってまだ何とか必要経費だけはいただけることは思いますけれども、そういうことであってはならないと私は思うのであります。われわれもこの基準額によりまして議会に審議してもらいますときに、これは足りないんだ、岡からはこれだけ来る、あとで足りなければ調整金で何とか支弁してもらえるんだというのでは、まことに心もとないことでございまして、きちんとかかるものだけはかかるだけの予算をいただけることが当然だろうと思うのであります。何となれば前のように一律に五千円というんならばこれはしかたのないことでございますけれども、段階を設けた以上二十一名以上六千円、これは東京だけの例でございます。ここで一言申し上げさせていただければ、いかにも東京は、ことばは適当でないかしりませんが、泡沫候補が立ち過ぎる。立ち過ぎる原因はどこにあるか。新聞広告にあるといわれておりますが、こういったことのないように法律のほうも改正していただき、われわれが安心して仕事のできるようにしていただきたい。先ほど染野参考人も申しましたように七メートル——実は、先生方に実情を申し上げなければわかりませんので、ぜひごらんを願いたいというものをつくってまいったわけでございます。
〔宮島参考人、図表を示す〕
たいへん大きなじゃまなものを持って伺いましたが、東京都におきましては三十七年の選挙のときは二十四名、三十四年のときには二十三名立っております。そういうようなことからこの前のときに三十人分つくりました。これを車道と歩道の間へ立てるという御意見もありますけれども、これを立てましたら営業妨害になりかねないものでございます。実際なかなか公道であるからといっても、遠慮なく地元の選管が立てさせてくれということは言いにくい本のでございます。これで三十名でございます。今度は法律を変えられまして、個人演説会の告知用の十センチが取られました。そしてそのために広くなったのでございますけれども、これを先ほど染野参考人が言われましたように、世田谷区では五百カ所できるんだ、私どもの荒川などというところは面積が、陸地と言ってはおかしいのでございますけれども、荒川の河川敷を引きますと約九平方キロメートルしかない、そこに二百八十三立てなければならない。〇・一四という平方キロでも特例がないためにこれに七カ所立てなければなりません。この特例をもうちょっと幅を広げていただくようにお願いしたのでございますけれども、入れていただけなかったという悩みでございます。これを九平方キロメートルのところに二百八十三、しかもその中には御承知の隅田川、駅構内とか汚水処分場とか人けのないところがたくさんありながらそういうことになったのであります。これは法律でそうきまった以上ぐちを言わずにやりますけれども、さらに費用の面でもし千円不足いたしますと、そうすると荒川の選挙費は二十八万三千円それに食われてしまうわけであります。二千円不足するとするならば申すまでもなく五十六、七万円という金がほかの経費、総計のところに食い込まれてしまうわけであります。ですからこれを大きくして、基準額に段階を設けられるとするならばぜひこれを設けていただきたいというのが念願でございます。私ども承るところによりますと、私どものほうの実情を、これらについては選挙局において局長はじめ真剣に研究していただいて、業者を呼んでいろいろと見積もらせて、これを建設から撤去までなにしたら一万円必要だというふうには考えていただいたようでございますが、ところが大蔵省の認めるところとならなかった。これはまことに残念なことでございまして、ぜひこれだけは——東京だけのことでありますけれども、ほんとうにマンモス掲示板とも言いたいようなこの実情に御同情を願いたいと思います。それはその程度にいたしますがぜひ——これはたいへんなものでございます。
それから立ち会い演説会の秩序保持についてであります。これは酒井参考人から申されましたので、もう申し上げることはございませんが、立ち会い演説会という最もいい制度と思う制度に、このごろまじめな聴衆が大都市の場合少なくなった、まことに残念なことでございます。これはどういうところにあるかというと、あるときおかしな、と申してはおかしいけれども、候補者があるいは暴行に近いことをしたりして、ほんとうに穏やかな有権者の方はもうこわくて行かれないような場面もあったりしたために来る人がなくなったことは、まことに残念だと思います。これのもとは何かと言えば、選管にたった四人、人夫が一人が与えられている。これは外との連絡が一人、司会者が一人というと、あと会場内には二人しか入れないわけであります。先ほど申されましたからもう申し上げませんけれども、会場の広さにもよりますけれども、大体衆議院の場合で人口四万人に
一カ所でございますから相当集まるはずでございます。ここにどうしても秩序保持のために十人くらいは配備していただけるようにお願い申し上げたい。
それから、前に自治省のほうでもお認めいただいた、この立ち会い演説会場のマイクの設備の費用というものもばかにできない。一台借りて技術者をつけないと、ある候補者のときにはよく聞こえ、ある候補者のときにはかすれてしまったとなれば、これは大きく選挙の公正を欠きますから、予備を備えておいて、しかも電気からとるようなものではだめですから電池からとってすっかり調整して熟練した人に出てもらう。そうなりますと、どんなことをしても——地方ではいかがですか、東京では一台三千円以下では借りられない。これがいま千円でございます。こういうことも立ち会い演説会が私どものような狭い区でありましても二班に分かれまして、衆議院の場合には十二回もございます。これで赤字を出して食い込むところの費用というものは、まことに貧乏人はこまかいことを言うようでございますけれども、なかなか穏やかでございません。ぜひひとつ選挙の公正を確保いたしますために、われわれが安心して仕事のできる、足りるところの費用までお認め願いたい。この点につきましては選挙局のほうで十分御理解をいただいておりますので、私にお聞きただしくださるより選挙局のほうに聞いていただきますことが適当だと思うのでございます。
それから、先ほど触れられましたが、選挙事務の従事期間の延長、それから平日、土曜日、日曜の超勤の時間、これは事務職員でございます。これが参議院の場合は平日を二十九日、土曜日を五日、日曜を五日、計三十九日とっておるわけでございます。衆議院は全部で三十六日と時間的に御迷惑をかけておりますから、これを上下五日くらいずつ延ばしていただかないと、準備やらなにはできないということになります。それから平日の超勤は二時間ということでございます。これは実情を御存じないにもほどがあると申し上げたいくらいで、選管の職員が七時に帰れるという日はありません。委員長でも十二時までおります。日曜日はお客が少ないととは事実でございます。日曜日休みかな、なんて思っていられる方もいるかもしれない。平日は十二時まで働かなければなりませんけれども、さようなことを申し上げましてもこれは無理でございますので、平日でせめて夜の九時まで、四時間くらいの超勤を認めていただくということは当然過ぎることではないかと思っております。それから土曜日でございますと五時間、つまり定時に帰ってしまう、五時に帰ってしまう。確かに受理やなにかは五時で締め切っていいわけでございますけれども、受理する時間ではなくて事務を処理する、あしたの用意をするということで、決してこの時間に帰れるものではない。その結果は、働いた人には出さなければならないからほかの費用を勘案するということになる。日曜日なんか七時間、これは五時までもいなくていいわけなんですが、そんなことではとても選挙は行なえない。ひとつ第一線の選管の実情を御視察いただきましてぜひともお願いいたしたい。
かようにたいへん時間をよけいいただいて申しわけございませんが、附則第三項の削除、これは私どもの限りなき喜びであり、そしてもう一つの大きな喜び、本日の喜びを申し上げますと、私どもは基準法ができました昭和二十五年以来、投票所の事務従事員の構成については陳情をし続けてまいりましたけれども、陳情に参りまして発言を許されたことはございますけれども、わざわざお招きいただいたのはきょう初めてでございます。連合会の全会員を代表いたしまして深く感謝いたしまして、これで終わらしていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/10
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011・中村庸一郎
○中村委員長 ありがとうございました。
以上で各参考人からの意見の陳述は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/11
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012・中村庸一郎
○中村委員長 次に、委員から質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/12
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013・中野四郎
○中野委員 御多忙中の各参考人から、切実な事実をあげ、しかも適切なる参考意見を伺って、たいへん感謝にたえません。
そこで、きわめて端的に二、三点この機会に参考人の方から御意見を伺いたいと思うのですが、先ほど来者参考人が一致して言われましたことは、ポスターの掲示場の問題でございます。これはもちろん都市と農村においてはだいぶ間隔がございます。当然これらに対する増加、適切なる方法をとるということは、それぞれの処置がとられなければならぬと思うのです。染野参考人にちょっと伺いたいと思うのですが、このポスターの掲示場ができたということは、これは公明選挙の上においても、費用軽減等の上においても、また美観の上からいっても、たいへんな進歩であります。われわれもすでに自分の選挙だけでも十七回を重ねてまいりますと、古い時分からのことをずいぶん経験しておりまするので、たいへんけっこうだと思うのですが、百尺竿頭一歩を進めて、先日来、さらにこの費用軽減の上からいっても、ポスターの掲示の責任を選挙管理委員会で持ってもらうのが一番適切ではないか、いろいろな御意見があろうと思うのです。管理上の問題もあろう、費用の問題がある、もし破れてそのままにしてあった場合には、発見されてこれがいわゆる選挙無効の訴訟を起こされるおそれがあるというような点については、十分われわれも了承をいたします。しかしこのことは、選挙管理委員会がほんとうに公明選挙を行なうという決意の上に立てば、やれぬことはないと私は思うのです。従来からこの問題はたびたび論議されておるのでありますが、結論から申し上げると、選挙管理委員会においてその責めにどうも任じられないというふうに伺っておるのでありまするが、私は、これはひとつ選挙管理委員会がもう少し強い決意を持って公明選挙の徹底を期すという上からも、ぜひ実行をしてもらいたいと思うものであります。この点について、ひとつ染野参考人から、ポスターの掲示場のお話も出たことでありますし、全国都道府県の選挙管理委員会連合会会長でもいらっしゃるので、ぜひこの機会に御意見を伺いたいと思います。
立ったついでですし、何べんもほかの方からも御質問があろうかと思いまするから、さらにもう一つ伺っておきたいのは、これは酒井参考人から伺ったらいいと思いますが、公報の点に触れられました。一体全国の各県によって公報締め切りの日にちが変わっておるということを私は非常に不自然に感じる一員です。たとえば、何県においては何月幾日夕方の五時まで、何県においてはさらに何月幾日まで、こういうようないわゆるまちまちの公報締め切りをするということは、敗戦直後のいわゆる印刷技術が発展をしていなかった当時ならいざ知らず、今日は大体都市と称するところには印刷工場は完備しておるのです。したがって、そういう理由で今日まで日にちをいろいろと切りかえておられましたけれども、もっとほかに理由があるのならこの機会に伺いたいのだが、やはり公報の締め切り期日というものは、全国一律に定めることが一番正しいと思う。しかも候補者に十分利便を与えるために、選挙準備、運動準備というものは、なかなか事実上やっておる候補者にとっては、たいへんな問題であります。したがって、印刷技術の許す範囲において、十二分の日時をとって、これらのいわゆる公報締め切りの期日を一律化するということが必要だと思いますが、この点についての御意見を伺いたい。
それから、もう一点だけでありますが、先ほど補充人名簿の話が出まして、最近は非常にふえてきたというお話であります。これは確かに有権者がふえたことを意味するものでありましょう。将来においてさらに多くなる見込みがあるということも、これは了といたします。ただ私は最近、これはうわさだけでありまして、実質上はわかりませんからこの機会に伺うのですが、集団的にいわゆる投票権を移動するという傾向をほのかに聞いております。これは一々名をさして申すべき性質のものではございませんけれども、将来において相当これは問題になる問題でありまするだけに、事実上最近そういう集団と申しますか、一つの地域に相当多数の者がそういう移動をして、補充選挙人名簿等の作製に非常な支障を来たしておるような事実があるかどうか。もしありとするなれば、一体どの方向に多いということを、ひとつ三参考人のどなたでもけっこうでございますから——まあこれは都市が中心でありまするからそのほうの方から伺ってもけっこうだと思いまするが、この三点について、御意見を拝聴いたしたいと存ずるのでごごいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/13
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014・染野愛
○染野参考人 お答えいたします。
選挙管理委員会の責任についてのお尋ねでありますが、もちろん私どもは、法律に定められたところの仕事を的確に、公正に、正しくこれを行なうということについては、全責任をもってその任に当たっておりますことは、御了承をいただきたいと存じます。しこういたしまして、このポスター掲示場の設置の実際の面におきますところは、区市町村においてこれを行なっておるわけでございます。ただし、都選管と区市町村の選挙管理委員会とは、密接なるところの連絡をもちまして、その監視、そしてその汚損を受けないような監視の面における技術上の問題、そういう問題につきましては、十分なる連絡をとっております。そういうことで御了承をいただきたいと思いますが、その実際の問題につきましては、宮島参考人からひとつ詳細なる御報告をお願い申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/14
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015・宮島幸太郎
○宮島参考人 それでは、中野先生の御質問にお答えいたしたいと思います。
なかなか選挙運動員というものも得られなかったり、または運動員に対する報酬等も私は選挙費のうちの基準単価は、まだ低いものもあると思うのです。また、公正な上からというおことばでございますが、それもあると思いますけれども、ただ、現在の選挙管理委員会の機構のままでは、残念ながら、できないと申し上げざるを得ない。選挙管理委員会は、おのおの長の部局に要求いたしまして人を得るようにはいたしておりますけれども、何ぶんにも地方交付税のワクの中の人数というものが少ないために、貧弱な町村では思うようにまいりませんことは、申し上げるまでもないところであります。そういうようなことから、現在のままのような制度でありましたならば、とても不可能と申し上げても差しつかえないと思います。何となれば、きょうは何々候補者が持ってきたからというので、峠の向こうまで張りにいかなければならぬというようなことが起こりましたらば、これはなかなかゆゆしい問題でございます。受け取って幾日目にまとめて張っていいのだというなら、これはまた別でございます。私どもは、ある選挙法の国会の古くからお目にかかっております方から御質問受けましたときに申し上げたことでございます。もし選管に張らせるというのでありましたならば、立候補締め切り後に提出した候補者だけに張らせる、いまの番号のようなくじを引かずに、くじは引くけれども、選管において順序よくていさいよく詰める、そうなればもっと小さいもので済むわけであります。かようなふうにまいらないかと思っております。
それから、ほんの私児でございますけれども、もしそういう場合立候補の受理期間を設けていただいたらどうか。そうして公示の日に立候補受付は締め切ってしまうというふうなことにでもして、いち早くその日には必ずポスターを提示していただく、そのときに何名提出されたからというので、直ちに選管はくじを引きまして掲示の順序をきめて張るというならば、これは請負人に請け負わせながら選管の職員が二人ないし三人で張らせることもできると思いますけれども、現在のような制度で何人立つかわからないものを大きくつくっておきまして、そして。ポスターの提示があったら持っていって張るというようなことは不可能だと考えるわけであります。
ちょっとお答えが足りないかもしれませんが、御質問によりましてまた……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/15
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016・酒井吉松
○酒井参考人 立候補の締め切り期日を全国統制して一定にしたらどうかという御質問のように承ったのでありますが、この事務は、それぞれ日をきめておるのは府県のほうでやっておりまして、われわれ市のほうでそういうことはやれなくなっております。これはあなたのお説には私はけっこうだと思って賛成するのでありますが、その主管の事務は府県にありますので、むしろ染野さんからお答えを願うほうが適当かと思いますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/16
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017・染野愛
○染野参考人 補充選挙人名簿の集団の移動につきましては、この実例を調査いたしておりますけれども、そういうような事実がないことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/17
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018・中野四郎
○中野委員 これはどうぞやわらかい気持ちでひとつお答えを願いたいと思うのですが、あくまでも参考人として伺うのでありまして、政府とやりとりをするのではございません。ただ私らは実際上に選挙を戦ってまいりまして、経験を私自身は持っておる者です。したがってその経験から割り出して申し上げるわけです。宮島さんのいまの御答弁でありましたが、選挙管理委員会においてポスターを張り、管理をするということは、私は不可能でないと思うのです。現在の機構とおっしゃいますが、それじゃどういう機構をつくったらいいか、あるいはどういう制度をつくったらいいかということもありましょう。御意見もいろいろあろうかと思います。しかしたとえば選挙を戦う者の一番かかる費用は何ぞやと言えば、労務者の賃金です。それから不正が行なわれるのもこれなんです。労務賃金と称して、いわゆるあらゆる問題で支出されるということも事実が証明するとおりです。したがってこれらを軽減し、公明選挙を徹底するという意味から申し上げたのですが、選挙管理委員会でかりに立候補順に張っていってもいいと思うのです。第一番に立候補する人たちは大体の準備はいたしております。しかしその期間の告示から投票の当日までの間に、あるいは締め切り期間までの間に、立候補する人は逐次出てまいりましょう。それはそれでいいじゃありませんか。県の選管でそれぞれナンバーを付して、一応あなたのほうの告示板に張ればよろしいのです。それからまた、その後に出た人たちはその順序で張っていけばよろしい。私の申し上げようとするのはそれじゃないのです。つまり、かりに候補者が労務者を使って山の果てまで行くよりも、その土地の選挙管理委員会に一定の書式を持ったものを持って私のほうからお届け申し上げる、あなたのほうでそれを自分の掲示板に張っていただく、あるいはその掲示板に張ったものに対しての監督をしていただく。これはどこへ行ったってそう広い範囲じゃありませんから、その管理委員会ならその管理委員会において監視するということはそう至難なことじゃないのです。ただあなた方のおそれる問題は、これを特定の者、何か悪意を持った者が破る、破られたものがそのままおかれた場合に、いわゆる選挙の公正を期する意味から選挙無効の訴えが出てきては困るというおそれを多分に抱かれておると思うのです。しかし私は、費用の点はあなた方のおっしゃることをまことにもっともだと思っておる、理解をする一人なんです。今後においても、選挙の公明を期する上において必要なりとする費用ならば、これは議会の議決によってきめるべきものでありますから、どんどん御要望にこたえるつもりなんです。そういう意味から、まず第一に選挙の各氏名を掲示する告示板にあなた方の選挙管理委員会でひとつ責任をもって張っていただいて、監視をしてもらうことができぬかということです。これができると相田労務者の費用も省けまするし、公正な選挙もできるのです。候補者みずからも、非常に費用の軽減と、選挙を行なう上においてのいわゆる正しい選挙ができる、こういう意味でお願いをしておるのです。
それから、まだはっきり御答弁がないようですが、立候補締め切りというものはどういうわけで各県によって違うのでしょう。私はこのことについて非常に大きな経験を持っているから申し上げるのですが、たとえば愛知県は、告示後五日間のうちに立候補の届け出をしなければいけないと、締め切りの期間をきめておる。ある一定のところは十二日の期間を置いておる。立候補する方々には、それぞれの選挙運動に対する事務が非常に繁多であります。したがって、私は当時これについて都道府県選挙管理委員会の連合会会長であった松崎権四郎君に質問書を出したことがある。その答弁によりますれば、敗戦後いまだ印刷技術がなかなか完備していない。したがってある一定のところは非常に早い、ある一定のところは非常におそいというような答弁をいただいておるのです。そんな不自然なことはせぬでもいいではないか。もう今日のような状態になったのだから、一定の期間を置いたらどうですか。印刷、配付という一定のある期間だけを置いておいて、十二分に候補者をして抱負を書かしめる方法をとるのが一番いい。便法論もありますよ。あなた方のほうで何でもいいからいいかげんな名前を書いて、候補のいろいろな履歴を出して、あとで一定の期間までに訂正をすることができるという便法論はありますが、さような不自然なことをしないで、この機会に全国一律に十二分の日にちをとった締め切り期間を設けてはどうか、こう申し上げておるのです。
それから、いまの補充人名簿の点は、宮島さんどうでしょうか。ないとおっしゃいますが、私は最近そうでないように思う節があるのです。一々こういう議会の席においてどの党がどうとかいうような議論はいたしませんけれども、最近この傾向が非常にふえておる事実をわれわれは知っておるのです。集団であるか、あるいはむろん個々でありましょうけれども、一定の地区に集中して、そうして選挙民の選挙権を移動するというような傾向が非常に強い。選挙の管理をしていらっしゃる委員長は責任者なんだから、これがわからないわけはない。大体全国の傾向を調べて、どういうようなところにどういう移動がだいぶ目立ってあるかというような事実をキャッチしていらっしゃるのかどうか、これをこの機会に伺いたい。
この三点を、まとめてけっこうですから御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/18
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019・宮島幸太郎
○宮島参考人 それでは、補充選挙人名簿のことにつきましてはだれでもいいからというおことばがございましたが、中野先生は、私も荒川の区議会にいる時分に大いに語ったことがある、もう選挙のベテランでいらっしゃいますが、私ども神経質になりまして、全国から調べておりますけれども、いま申されたような、そのきびしいあとはありません。それから、先般法律が改正されまして、常時申し出制ということになっております。申請でなくて申し出です。これにつきましても、われわれは選挙の公正を確保するためにずいぶん研究し、あるいは報告し合っておりますが、いまのところそういったあとがまだ見られないように思います。ただし地方選挙のときでございましたか、一人が多数の補充選挙人名簿申請用紙をもらいたいといって来たことがたくさんございます。それがわれわれに非常に不安を感じさせたのでございます。おっしゃることにつきましてはよくわれわれも心して、今後また注意の上御報告申し上げたいと思っております。
それから、またおことばを返すようでございますけれども、私の申し上げたことはことばが足りないかもしれませんが、現在のようにいつ張ってもいいというようなことではなかなかたいへんだということでございます。いついつまでに出してそれを一ぺんに張ればいいというのならできないとは申し上げないということを申し上げております。どうかその点はもう十分地方選挙のこまかいところまで御承知でいらっしゃるんですから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/19
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020・染野愛
○染野公述人 中野先生の御質問の公報の統一のことでございますが、これは全国都道府県選挙管理委員会できめればそれは統一できると思い、ます。これは可能であると存じております。そういうことでありますから、今後におきましても、これらの問題を十分会議にかけまして、全国的に統一するような方向に持っていきたいと思っております。
それから、ただいま宮島参考人から申し上げましたように、過去において先生のおっしゃるような集団的の移動のうわさはあります。うわさは私ども耳にしておりますが、しかしながら、その実際を調査いたしておりますと、うわさのような事実はなかなか捕捉しがたい。これは選挙管理委員会合同連合会の役員会におきましても、ときどきそういううわさを聞きますけれども、ただうわさだけであって、今後どのような方法でそういうことが行なわれるかということについては、私ども全国の連合会におきましても十分意を用いて善処するようなことには打ち合わせをいたしております。その程度に申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/20
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021・中野四郎
○中野委員 いまの公報の締め切り日についてはぜひ御考慮を願いたいと思います。全国お調べになればすぐわかります。立候補後五日間とか、あるいは一週間、大体が十一日から十二日ですね。長いのは十二日が最長だと思いますが、それで十分でき得るんです。それを依然として各府県で五日、一週間のままに放任しておくということは非常に不自然です。ですから、いま伺えば、染野さんはでき得ることだとおっしゃる。これはぜひ選挙管理委員会において実行に移していただきたい。
それからいまのポスターの問題なんですが、宮島さん、これはいまの制度はとにかくも、選挙管理委員会でいろいろなあなた方のほうの御要望がいれられてまいりますれば、御要望を聞いて、ポスターをあなたのほうで張って、あなたのほうで管理することはでき得るということに了承してよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/21
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022・宮島幸太郎
○宮島公述人 そのとおりでございます。
もう一つ加えさせていただきますと、実はこの前に三十人用意いたしまして、張ったのは最高が十一人でございます。これはまじめな当選を目的とする候補者の方が張りそこなったのならとんでもないことでございます。しかし、ポスターもつくらないという泡沫候補がたくさん出る、この穴ふさげが一つも行なわれていないということが残念でございます。
先般の特例法を本法に織り込むときに、あのリベート問題をどうしてふさいでいただかなかったか。これは東京の例でございますが、二十万円のリベートがあって、二十万円の供託金なら、ツー・ペイでありますから、供託金を没収されても何ら損はしないのであります。都の選管に向かって、あの人のあと継ぎが来て、あとを継いでやりますからお願いします言ってきた。そのとたんに、われわれの事務下の連合会は、それでは三十人分用意しなければいかぬとなった。しかし、もっと心配がございます。これがもう一つ来たら困る。継ぎ足せないような場所へ掲示して、つまり四間なら四間しかないところに掲示した場合、ここに二人でも三人でもはみ出しがあったらどこに掲示するか、そういう不安さえ持っておりますから、どうか泡沫候補抑制のほうに意を用いていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/22
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023・中村庸一郎
○中村委員長 田原春次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/23
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024・田原春次
○田原委員 ポスター関係のことで、選挙違反防止のことを中心にしてお伺いしたいと思います。
いまこういう長いのを見ましたが、たとえばやり方によって掲示場所での制限をする。十人ずつで区切って掲示場所三カ所つくればいいわけです。どうしても一枚にしなければならぬということはない。一枚にすれば注意が散漫になるし、かえってわからないということになる。十人ずつ区切ってA場所、B場所、C場所と三カ所つくればいい。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/24
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025・宮島幸太郎
○宮島参考人 私のほうの仕事でございますので、私からお答えさしていただきます。
これは配置となると選管としてなかなかむずかしいことでございます。もし一の個所が二の個所よりあるいは三の個所より見やすいすぐれたところにあるといたしますと、なかなかこれは批判の多いものでございます。それほどに真剣に選挙戦というものは戦われておる。これくらいにわれわれが考慮を払わないとえらいことになりますので、三つに分割することはできない。三段組みがいいとおっしゃいました国会議員の方々がいらっしゃる。三段組みにいたしますと高くなるので脚立を持っていかないと張れない。脚立を持って張って歩くのはたいへんだということで、手の届く限りのところまであげて二段組みが一番いいということでございますので、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/25
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026・田原春次
○田原委員 三千人ですから三カ所にした場合、抽せんさせればいい。第一場所、第二場所、第三場所十人ずつしか置けぬということならば抽せんの方法がある。それから場所ですが、第三場所を好む人もあろう、第一場所を好む人もあろう、そういう方法を考えてはどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/26
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027・宮島幸太郎
○宮島参考人 たいへん新しい御意見を伺いました。よく検討いたします。ただ大きいものには違いございませんが、われわれの狭いところで二百八十五カ所やっとでございまして、小さくしたからその近所にたくさん得られるかどうかというと疑問でございまして、よく実地に当たって研究してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/27
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028・田原春次
○田原委員 次にポスターのことですが、大体これが標準だと思いますが、これを半分にする。最初ポスターを考え出したのは演説会の告示用だった。最近は名前を知らせるためで、一枚のポスターに漢字とひらがなを書いたりする。でありますから横幅を縮めるように法律を変えれば、これだけでも場所が半分になってしまいますね。頭の問題だと思います。でかいものを書いて張るよりも便利重宝だと考えますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/28
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029・宮島幸太郎
○宮島参考人 たいへん新しい御意見をたくさん伺いましてしあわせに存じます。小さくするほうは、候補者となる方々がお望みにならないようでございます。私ども参議院の全国区、これをもし四分の一くらいの大きさにしたならば掲示ができるのじゃないか。また市町村の議会の議員でも、四分の一の大きさならばいいという考えも持ちましたけれども、これは候補者となる方がてんで問題にしてくださらない。そんな小さいものでわかるか、一言のもとにはねつけられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/29
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030・田原春次
○田原委員 議論ですから、思いつきだけ申し上げておきます。
その次は、ポスター掲示場と予算の関係をお話しになっておったようですが、確かに幾らか予算がふえるぐらいで、たいへんどうも御苦心と思います。そこで、私も選挙をやった経験から申しますと、民間の、あるいは市町村役場では既存の掲示場があるわけですね。それは全然使わないのですよ。選挙に関するものだけ全然別につくっておる。もちろん民間のものも、また市町村役場のものにもこの大きさで言うと、三人か五人しか張れぬような小さなものもある。今度は反面へいなどで、あるいは工場の中に大きな掲示場があるものもあるわけです。したがって、ここで私がお尋ねしたいことは、全部新設しなければならぬのかどうか、全部公営でなければならぬのかどうか。半分民間の設備を話し合いによって借りる方法があるのではないか。そうしますと、たとえば壁の場合はテープか何かでぐるりをとってその中に二十人なら二十人分のスペースをとる。これは炭鉱地帯で、この法律が出ない前に、炭鉱の社宅内に炭鉱側がみずから適当な場所を設置して、みんなポスターをここへ張れ、一人一枚に限るということで、結局みんな張ったものです。したがって、今度のように統一されたためにかえって炭鉱では張れなくなる。一々社宅街から外へ出ていかなければならないし、しかも費用でみなぶすぶす言っている。したがいまして、費用の増額は賛成です。しかし設置場所については簡易 民間というか、名前は適当でありませんが、既存のものを第一は利用する。既存のもので六名しか張れないという場合は抽せんでそこを希望する者は張らせたらいいのであって、希望しない者は張らせなかったらいい。それから壁、あるいは会社、工場内の大きな掲示板等を利用する場合は、あらかじめ交渉しておけば制限の枚数内でできるのではないかと思いますが、これは議論ですけれども、あなたはどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/30
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031・宮島幸太郎
○宮島参考人 どうも私は御意見にそむくようなことを申し上げているようでございますけれども、決してそうではございません。実情を申し上げているのです。いま、御承知のように板べいというものは非常に少なくなってまいっております。大体ブロックべい、大谷石のへいが多くなってまいりました。こういうものを借りる場合に、先日も投票管理者に内諾を得ておいて御参集を願いまして、そして公営掲示場の話をしましたら、ぼくのところのへいは投票管理者であったから苦情は言わなかったけれども、公示に来た者にコンクリートのへいへ大きなくぎを打ち込まれてこわされたことがあるというのであります。かように考えますと、へいをいためないように立てたり、はがされないようなのりで張られた場合、下のへいがいつまでもいつまでもポスターの残骸を残すようなことがあってはならない。あれを考え、これを考えますと、どうしてもせめて板だけでも新たに張らなければならぬと思いますが、たいへん参考になりましたので、全国の会員に、近くに総会がございますので、いろいろと話しまして、御意見のあるところを検討いたさせたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/31
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032・田原春次
○田原委員 どうかそういうことでお願いしたい。これを申し上げるのは、つい数口前に北九州の市会議員の選挙が終わったのです。そうすると、こういう規定のできる前の衆議院選挙のように、べたべた至るところに張るわけです。同じ場所に同じ候補者のポスターが二枚も張ってある。ほかの者は張れぬということです。東京は板べいがなくなったかもしれませんが、全国ではまだコンクリートべいだったり簡易設備をすれば使えるところもあるわけです。それから御答弁がなかったが、会社、工場の敷地内における掲示板というのは、選挙中は貸してあげましょうというところも出ると思うのです。掲示の趣旨というのはなるべく知らせるということですから、お役所式にしゃくし定木で、ない金の中から新設したり、新設してもたいてい残しておきません。選挙が済んだらまた撤去しています。それならばいままでどおりあるものを使えるような方法を少しくふうしてみたらどうか、これは公平の原則でやればできるのじゃないか、これは希望を申し上げておきます。
続いて、皆さん方選挙管理のベテランの方ですからお尋ねいたしますが、選挙違反を防止する方法について、何かこうもしたら防止できるだろうという、これはある大政党の——われわれ中小政党ではいかにしたら選挙違反を防止できるかということについていろいろ案があるのです。まず皆さん方のこうしたら選挙違反を防止できる、これは立法化するかどうか第二といたしまして、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/32
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033・宮島幸太郎
○宮島参考人 私ばかり立ちましてあれですが、大きな問題でございまして、私どもとしてはお答えに苦しむわけでございます。このために選挙を窮屈にすべし、あるいはゆるやかにすべしという意見、また検察当局あたりの意見を、審議会に来られて説明されると、もう買収、供応、選挙妨害というようなものは厳重に取り締まるからほかのところは解いてくれという御意見、どちらにしたら必ずきれいになるとも言えないようでございまして、むずかしい問題でございます。有権者の自覚に待つのだと言い切ればそれで片づくようでございますけれども、さて方法は、またよく三者、各団体で検討いたしまして具申いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/33
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034・田原春次
○田原委員 私はこういうことを考えておるのです。これを法律に盛った場合違反が少たくなると思いますかどうか。これは一人だけの御答弁でなくて、それぞれ三人の方にお願いしたい。
第一は、選挙違反が法律上確定した場合、従来は公民権停止が五年くらいですが、同一選挙区で永久に停止する、場所を変えなければならぬ、永久停止を必ずつけるということにしたらどうか。この点についてはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/34
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035・染野愛
○染野参考人 実は私もただいま第三次選挙制度審議会においての選挙の腐敗、選挙の実態調査に関する問題について研究をいたしておるわけでございますが、この選挙違反を防止するという問題は、言うべくしてこれを防ぐ方法はなかなかむずかしいと思います。要するに、議員候補者たる人の良心に待って法律を順法するという精神にのっとっておやりになるならば、一番選挙違反は起きないわけでございます。しかしながら、現実はおよそその理想と反しております。そういうようなわけで、せんだっての審議会においても御意見が出たのでありますが、要するに、選挙違反をした者はともかく公民権を永久でなくても相当年月停止したほうがいい、罰金、懲役なんかやるよりも公民権を停止するという方法が選挙違反防止の一つの手段ではないか、こういう議論が出ております。そういうようなわけで、この問題は根本問題に譲りますけれども、この制度審議会においてはやはり党と党との選挙、ただいまのような中選挙区における選挙戦というのはいわゆる人と人との選挙である。これは保守、革新を問わず一選挙区から二人も三人も立候補するというような場合においては、選挙民に政策の浸透をせしめる方法でなくて、そのお互いの人格識見あるいはこういう経歴を持ってりっぱな人だということを吹聴しておっただけで、いわゆる党の政策を浸透せしめる方法に移行しなければ選挙違反というものは絶えないのだ、いわゆる党と党との選挙、このためには選挙区を中選挙区から小選挙区に移行してやることが一番選挙違反を防止する方法ではないかということがただいま論ぜられております。いろいろの御議論はありますけれども、やはりだんな衆の選挙から政党の選挙に移行するような方法が私どもは望ましいと思っております。そういうわけで、この選挙違反の防止の点につきましては、有権者も議員候補者たる人も順法精神にのっとって真に民主主義に徹する選挙をやらなければならぬというように私どもは考えておりますが、なお先生方の御意見も十分拝聴させていただきましたから、今後の選挙制度審議会においてもいろいろな問題を発言いたしまして、違反のないような方向に持っていくことに微力でございますけれどもお尽くししたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/35
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036・田原春次
○田原委員 いろいろ御経験から出た御回答をいただいてありがとうございました。
ただ染野さんのお話の小選挙区が選挙公平、違反防止になるというのは議論のあるところでありまして、買収も容易になるという議論もありますものですから、これはきょうは私は質問はしていないわけです。私の質問したのは、選挙違反の防止策としての永久公民権同一地区剥奪論の問題だったのですが、似たような御答弁をいただきまして、どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/36
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037・中村庸一郎
○中村委員長 島上善五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/37
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038・島上善五郎
○島上委員 いろいろ聞きたいこともありますけれども、時間もありませんので、ぼくは参考人がこの席におられる機会に自治省の選挙局長に伺います。
せっかく執行経費を実情に合うように増額する法律を出されたのですから、その趣旨そのものは私どもけっこうだと思って賛成しておりますけれども、いま三参考人の御意見を伺いますと、結局費用がこれではまだ足りないというところに皆さんの意見が落ちついているように私は承知しました。せっかく増額するのですから、第一線でやっている人々の意見を、いま局長もうしろにおってよく聞かれたと思いますが、この実情に合うようにもう一ぺん再検討する必要があるような気がするのです。さっきいろいろ超勤の問題やら、あるいは立ち会い人を三人を四人にしてほしいとか、立ち会い演説会の選管の秩序保持のための人数を、現在の四人を十人くらいにしてほしいとか、みんな経費に関することなんです。私は、いま参考人のおっしゃられたことは一々もっともだと思うのですが、局長どうでしょう、まだこれでも実情に合わないという御意見のようです。たとえば超勤二時間なんて実情に合わぬ、少なくとも四時間ほしい、そういう意見なのですが、二時間でよろしい、あるいは立ち会い人も三人でよろしいという、この意見を聞かれた後のあなたのお考えを、ひとつ法律をつくる際に——ほんとうは法律をつくる際に十分第一線の人の意見を聞いて実情に合うように準備されるのがよかったと思いますけれども、いまそれを言っても始まりませんが、つくって国会に出してみた今日、実情に合わぬという意見を聞かされて、私どもどうもそのほうが正しいように聞きましたが、局長どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/38
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039・長野士郎
○長野政府委員 確かにお話しのような執行経費の問題については、私どもが現在提案しておりますところの改正案で全部の問題が解決するとは思っておりません。まだまだ改善くふうを加えていく面が相当多いという気もいたします。また選挙制度自身が非常に変わってまいりました。いまのポスターの公営掲示場なんかの問題もそうでございます。そういう関係の問題等につきまして、もう一ぺん実情もよく見てみたいということで考えておるところもたくさんございます。ただ、これはいわゆる基準法でございまして、先ほどお話がございましたように、どの経費をどういうふうに使うという費目で使途を拘束しておるわけでございません。これは基準の大体のめどをこういうところに置くということでございます。運用のくふうによりまして、こちらの経費がたくさん要ると思えばこちらに回すということも当然に考えられるわけでございます。それからまた大都市あるいは大府県を中心にいたしましては、いまお話がございましたように超過勤務手当が非常に少ないという問題がございます。これはそういうことを申し上げるまでもないことだと思いますが、現実の大都市、大府県の給与単価、それから国として財政計画その他で考えます単価というものは、その現実と考え方に開きがある。したがいましてそういう意味で、現実にAという人間はこれだけの給与をもらっているのだから、この人間を日曜日に使うと八時間でこれだけ出せ、こういうことがすべてそのままこれが不足だから足りないというかっこうになってまいるということではないのではないか、ここが非常にむずかしいところでございます。そういうことがございますので、大体大都市におきましては、いまお話がございましたように、ほかの経費が超勤その他給与費に食われるということのやりくりが非常にむずかしいという点があるわけでございます。これは私どもも正直申してあると思います。それだからといってその給与単価というものを現実の給与単価をとって基準法の基礎にするということはなかなかできかねます。そこで平均的な給与単価と、それから人員配置をもちまして平均的な構成をつくるわけでございますが、その点で現実の運用には非常な御苦心も要るということもよくわかるわけでございます。しかし私どもといたしますと、今後なお改善検討しなければならぬ面はございますが、これでとにかくやってもらえるものだというふうに実は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/39
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040・島上善五郎
○島上委員 大臣大蔵みたいに金を出すまい出すまいというような気持ちにならずに、選管の諸君はいろんな点で苦労しているのです、ポスター掲示場をつくるのでも場所を苦労したり、立ち会い演説でもいろんな苦労しているのですから、金の点だけはあまり苦労させないで——それはやりくりもいいですよ、基準だから、こっちが少なかったらこっちから余った分を持っていくとかやりくりもいいけれども、その基準が全部少ないのじゃやりくりのしようがないじゃないですか。ぼくはどうもそういう感じがするのです。どこの基準も足らない。さっきの参考人のお話の中で、この点は余裕がたっぷりありますというのは一項もなかったのです。これも足りないあれも足りない、みんな足りない、その基準がみんな足りなければやりくりのしようがないというふうに思えるので、少なくとも金の点だけは、よけいやったからむだづかいをするということは私はなかろうと思うのです。何もよけいやることもなかろうけれども、せめて間に合う程度にしてやるのが親切な法改正の態度じゃないかと思うのですけれども、これは法律を審議する際にまたゆっくり各項目ごとに検討するとしましても、きょう伺ったところでは、それぞれみんなこれで窮屈過ぎる、足りないというふうに私どもには受け取れるわけです。
そこで、参考人のどなたでもいいのですが、いまの局長さんの答弁であなた方納得されますか、満足されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/40
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041・染野愛
○染野参考人 ただいま勘上先生から、非常に私どもの選管の立場を御同情をいただいた御発言をちょうだいいたしまして、非常に感激でございます。きょう申し上げた要綱は各項目ともほんとうに少ないということを申し上げたので、これではたして候補者たる人が選挙管理執行の面に御満足がいけるかということについて私どもは危惧をいたしております。願わくはただいま先生から御発言のように、この各項目にわたって多少なりとも増額をいたされまして、今後行なわれる選挙に万全を期するような方向にこの委員会で御審議を賜わりますれば、私どもまことに幸甚でございますので、そういう方向に向かって特段の御配慮をお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/41
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042・畑和
○畑委員 関連して。選挙局長のほうにお聞きします。
先ほども全部足りないづくしなんですが、選挙局のほうでも、しかしこれだけ基準を上げたと言われるけれども、大蔵町のほうとの関係はどうなんですか。自治省のほうからもっと値上げの案を相談したけれども、けられたというのか、それとも通りそうもないからこのくらいでやめにしておこうということでやったのか、その辺の関係をひとつ説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/42
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043・長野士郎
○長野政府委員 お答えいたします。
私ども自治省のほうといたしましては、選挙の執行経費につきましてかねてからいろいろ検討をいたしまして、各地方の実態もわかるような資料も整えまして検討いたしておったわけであります。予算につきましては、これはいろいろいきさつもございますが、そういうことで予算が最終的にきまるということになるわけでございます。しかしできないものがこのままできまったというふうには考えておりません。私どもとしては、十分じゃないと思いますが、最低限度、いままでの経過から申しまして、一応はこれはがまんのできる程度と考えております。先ほど参考人の方が申されましたけれども、実は昭和二十九年でございますか、この積算をいたしました額から、全額交付しないで五%削るという規定がいまだに残っておるわけであります。そうでございますから、基礎単価が幾ら上がりましても、削られてはかなわないしいうこともございまして、まあ五%条項は向こうはおりる、そこで私どものほうはぎりぎりできる範囲のところでひとつ話をきめようということで、一応一歩前進を遂げた、そしてあとあとなお改善をしていく努力はいたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/43
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044・畑和
○畑委員 五%条項を削った、その取引的なものも若干あると思います。それは了承しましたけれども、先ほど参考人がこぞって足りないと言うのだから、できるだけ早い機会にまたこれを修正して——もう五%は削られっこないから、ひとつその点努力してもらいたいと思います。希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/44
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045・島上善五郎
○島上委員 さっきの陳述の中で、投票所はもっと増設する必要がある、それから逆に開票所は減らしてもいいのではないかという御意見がありましたが、私はこれは非常に貴重な意見だと思います。私も賛成です。外国の例なんかそうたいして参考にならぬかもしれないけれども、イギリスの場合は投票所が非常に多い。平均して有権者八百人について一カ所の割合、ところが日本は五千人もある。五千人以上のものもある。投票所はむしろ選挙人の便宜を考え、投票率を高めることを考えて、もっと増設する、附票所はなるべく少なくする、これは極端にいえば一カ所でもいいのじゃないかと思うのです。一カ所でいろいろな点で都合が悪ければ、もっとあってもいいけれども、あまりこまかく開票するということは弊害もあるし、経費もかかる。イギリスの場合は、いま言ったように投票所は平均八百人に一カ所であるが、開票所は一選挙区一カ所です。一カ所に集中して開票しています。私は、日本の場合もこの点はもっと検討して——これは私たちが検討することで、別に参考人に伺うことではありませんけれども、さっきの陳述の中にありました点は貴重な意見として大いに検討すべき問題だと思います。投票所はもっとふやして、開票所はなるべく集中的にするということですが、局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/45
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046・長野士郎
○長野政府委員 島上先生のお話は私どもも同感でございますが、実はそうなりますと、費用その他いろいろな問題が出てまいりますが、大体大都市におきましては、一投票区にある有権者の数、これは実は多過ぎるように思っております。私ども一度記憶しておるのでございますけれども、いまの投票のやり方をいたしますと、一時間当たりにいたしまして四百人から五百人くらいしかさばけない。さばけるという言い方はおかしゅうございますが、いわゆる流れない。そうするともう五百人くらいが一時間に投票するということになれば、よく投票日にありますような行列をつくっているような状態になるというふうに聞いております。そうしますと有権者が五千人もいるところでほんとうに一〇〇%投票されたら十時間もかかってしまう。そういう点からいいますと、大都市を中心にいたしましてはもっと投票所をふやすべきである、これは私どもも全く同様に思っております。できるだけそういう方向で投票所、開票所の基準と申しますか、あるべき姿、こういうものを考えていきたい。ただあわせて考えますのに、もっと簡素な、筒切な投票所、開票所のつくり方もなるべく考えてみなければならぬのではないかという気がいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/46
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047・中村庸一郎
○中村委員長 山下榮二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/47
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048・山下榮二
○山下委員 私は一つだけ参考人の方にお尋ねしたいと思うのです。
先ほど中野委員の査問の際に、選挙権の集団移動、いわゆる補充人名簿のことについて質問がありまして、一昨年の地方選挙のときにはそういうようなことが見受けられたが、しかしいまはそんなことはない、こういうようなお答えがあったと思うのですが、もし今後そういうような集団的な移動のようなことが行なわれる場合、いわゆる移動証明書というのですか、役所にその申請書をもらいに来られる、選挙管理委員会に来られる、こういうような場合等における選挙管理委員会の処置は一体どうされるお考えを持っていらっしゃるか、その点を伺いたいと思うのであります。
さらに、これらを何らか防止する方法をお考えになっているかどうか。たとえば一人で十枚も二十枚ももらいに来る、こういうような場合等に管理委員会のほうでそれを断わるとか何らかの処置がとられるものかどうか、その辺のことをひとつお聞かせいただきたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/48
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049・宮島幸太郎
○宮島参考人 私の申し上げたことに対する御質問でございますので、私からちょっとお答えを申し上げたいと思います。
集団移動のあったということは、過去に認められるものはなかったと申し上げているつもりでございます。後段におっしゃられましたように、申請書のたくさんの枚数を請求してきた人たちがいたことだけは事実だと申し上げておきます。それではその人たちが集団的に持ってきたかどうかといいますと、それは持ってこないわけです。これはばらばら持ってきたのだろうと思います。
そこで今後の問題でございますけれども、これは御承知のように、この特別委員会で御決定になりました常時申し出制というものがございます。そこでその常時申し出制は本人に限るとなっておる。しかし、本人に限るといって必ず本人が来なければいかぬということはいかぬというので、扱いの面で、必ず本人の意思による本人の判を押したものというようなことに、幾ぶん広義解釈的なものをやっております。したがって、今後多く取りに来るというようなことは、それはたとえば戸別訪問の種にもなりますし、いろいろ弊害があるので注意をしなければならない。私ども近くに総会がありますので、それらにもはかってどういう扱いをしていくかというようなことを考えなければならぬと思っております。
それから、これは選挙局のほうでもお考えでありますが、補充選挙人名簿の申請期間というものをなくしてもらいたいと私は考えておるのであります。常時申し出制ができたらば、選挙の公示の日なら公示の日あるいは適当な日をもって打ち切ってしまって、あの選管がネコの手もほしいような混雑しておるときに申請を持ってこられましても、申請を持ってこられたときに必ず実態調査ができるかどうかということは疑問でございます。ですから、ああいう制度は今後順次廃止していたきだたい。そしてできるならば住民登録法がもっとしっかりいたしまして、そしてこれに基づいて、住民登録地とは限りませんけれども、住民登録地をはっきり証明しながら、ここで投票権を得たいというようなものを認めていいものなら認めるとか、改善の余地がたくさんある。われわれはいろいろ研究いたしておりますので、近く総会を開きますから、やはりこの点も十分衆知を集めてまたお願いに上がりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/49
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050・中村庸一郎
○中村委員長 本日は、御多忙中にもかかわらず、長時間にわたり選挙管理委員会の運営に関する貴重なる御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。本案審査に資するところきわめて大なるものがありました。委員一同にかわりまして、委員長より厚くお礼申し上げます。
次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00419650218/50
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