1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年二月二十六日(金曜日)
午後一時十九分開議
出席委員
委員長 中村庸一郎君
理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君
理事 小川 平二君 理事 小島 徹三君
理事 辻 寛一君 理事 島上善五郎君
理事 畑 和君
小渕 恵三君 佐藤 孝行君
砂田 重民君 藤田 義光君
湊 徹郎君 秋山 徳雄君
堀 昌雄君 山下 榮二君
出席国務大臣
自 治 大 臣 吉武 恵市君
出席政府委員
自治事務官
(選挙局長) 長野 士郎君
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二月二十三日
委員赤澤正道君辞任につき、その補欠として鈴
木善幸君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
委員今松治郎君、篠田弘作君及び藤枝泉介君辞
任につき、その補欠として砂田重民君、湊徹郎
君及び小渕恵三君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同日
委員小渕恵三君、砂田重民君及び湊徹郎君辞任
につき、その補欠として藤枝泉介君、今松治郎
君及び篠田弘作君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
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本日の会議に付した案件
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/0
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001・中村庸一郎
○中村委員長 これより会議を開きます。
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題として質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。島上善五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/1
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002・島上善五郎
○島上委員 国会議員の選挙等の執行経費を、その基準を実態に合わせるように引き上げるということは、それ自体けっこうなことであり、かつ必要なことですから、私ども賛成するものでありますけれども、なお政府が今回出された原案については不十分なところが多々あるわけであります。私は、理事会の話し合いもあるしするから、そう長い時間質問しようと思いませんけれども、せっかく出されるのですから、もう少し完ぺきを期していただきたいと思うわけです。
その一、二をお伺いしておきますが、これは最初大臣にお答え願って、少しこまかい点は専門の局長でけっこうです。
公営掲示場が、前回の選挙法の改正の結果、衆議院及び参議院の地方区の際には、一投票区について五カ所以上十カ所と大幅にふえましたことは御承知のとおりであります。そこで、公営掲示場の経費について伺いたいのですが、今回の改正によりますれば、その基準が候補者数によって九人未満、十三人未満、二十一人未満、二十一人以上と四段階に分けられております。以前の法律は、区と市と町村に分けただけで、候補者数による段階でついていませんでしたので、候補者数による段階をつけたことは、私はこれは前進だと思います。ところが、区と中と町村の間に段階をつけておりますが、これを全国画一的に実施しようとすれば、非常に無理があると私は思います。
この基準額自体も私は少し金額の上で足りないと思います。と申しますのは、昭和三十八年十一月の総選挙の際に、東京について見ますれば、一カ所について六千円ずつかかっておる。これは東京都の選管の報告です。しかるに、今度の場合は、一番候補者数の多い二十一人以上で基準が六千円で、九人未満の際には四千五百円。区の場合そうなっております。この額自体も、私は少し足りないと思う。おそらく大蔵省との折衝の結果こういうふうになっただろうと思って、この点は選挙局の努力に同情もしておりますけれども、とにかく足りない。
その上、市と町村と区と三段階つけておりますが、これなども私は三段階ではなくて、ほんとうはせいぜい二段階ぐらいにするのが適当ではないか、こう思います。
それからただし書で「その構造が特別のものであること、当該選挙に際し新設されたものでないこと等の事情がある掲示場について、自治大臣があらかじめ特別の額を定めた場合においては、当該掲示場については、当該額とする。」こういうふうに弾力性を持たしておる。これも私はよろしいと思うのです。しかし、せっかく弾力性を持たせるならば、区と市と町村の間にもそういう配慮があってしかるべきではないかと思うのです。と申しますのは、私は東京の例だけについて申しますが、このような例はおそらく大都市の周辺には相当あるのではないかと思う。東京の例について申しますと、世田谷区の隣に北多摩郡の狛江町という町があります。その隣が調布市、三鷹市、武蔵野市、そして杉並区、こうなっております。この辺は今日生活状況その他から見まして、全く同じといってもよろしいのです。しかるに、この基準によりますれば、世田谷区の場合は、九人未満の際に四千五百円、狛江町の場合には三千円、すぐ地続きで、隣合わしておって、町の状況、物価その他の生活状況も全く同じであるところで、一掲示場について千五百円も違うのです。私はこういう違いは適当ではないと思うのです。せっかく弾力性をただし書きで持たしておきながら、こういう場合についての配慮がされていないように思う。大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/2
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003・吉武恵市
○吉武国務大臣 ただいま島上さんのお話のように、ところによりますると、同じような生活環境のところもあろうかと思います。しかしながら、一々そういうところをこまかく段階を拾っていきますと、限界をどうしていくかというようなことで、なかなかむずかしい問題だと思いまするので、いま私どもとしては、一応原則は原則として、八条の二に掲げてございまするように、候補者の人数と区、市、町村とに分けまして、原則はそれで進みたいと思います。
しかしながら、著しく状態が同じで、なおかつそれを区別するということもどうかなと思われるところがあるいは若干あるかもしれません。そういう点は、ここにもございまするように、ただし書きの「構造が特別のものであること」また「当該選挙に際し新設されたものでないこと等」につきましては、別の考慮を払うようになっておりまするので、それはよく調査をいたしまして、なるほどと思うところにつきましては考えてみたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/3
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004・島上善五郎
○島上委員 ところが、このただし書きの条文をこのまますなおに解釈いたしますと、一つは「構造が特別なものであること」、これはおそらくこの基準額より多く見るという場合だと思うのです。その次の「当該選挙に際し新設されたものでないこと」というのは、額を少なくする場合のことだと思うのです。その下に「等」というのがある。この「等」の場合に、いま私が指摘したように、地域の状況が全く同じであって、千五百円も格差をつけることは不適当である、無理であるという場合を当てはめるのであれば、よろしいのですけれども、「構造が特別のものであること」あるいは「新設されたものでないこと」というこの二つの解釈の中に、どうひん曲げて解釈しても、地域の状況の配慮というものは解釈できないと思うのです。ですから、もし解釈するとすれば、その下についている「等」の際に、こういう地域が全く同じであって、差別をつけがたい際の配慮が含まれているものであるかどうかという点を明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/4
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005・吉武恵市
○吉武国務大臣 御承知のように、個々の例外といたしましては、構造が特別のものであること、それからまた新設されないようなものというものを掲げまして「等」といっておるのでありまするから、これと同じような、この二つの問題は実費的には同一に考えられないということで掲げておるわけであります。これと同じように、なるほどこれは無理だなと思われるところは考えざるを得ないのじゃないか、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/5
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006・島上善五郎
○島上委員 どうも少し答弁があいまいなんですが、要するに、構造が特別のものであることと新設されたものでないこと、それ以外の場合のことですね。もう一ぺん念を押しておきますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/6
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007・吉武恵市
○吉武国務大臣 この二つだけなら「等」という字は要らぬわけであります。ですから、これと実質上同じような場合は、とこう考えざるを得ないのじゃないか、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/7
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008・島上善五郎
○島上委員 じゃ、大臣が立場上少しあいまいな答弁をするのはやむを得ないとして、私はぜひ、先ほど指摘したような、地域が全く全じであって千五百円の差別をつけがたいというところについては、この「等」のところで十分配慮をしてもらいたいということを希望しておきます。またそういうふうにただいまの御答弁を私なりに解釈して、この点は質問を終わります。
もう一点だけ。立ち会い演説会について、選管の秩序保持ということが最近非常に問題になってきておる。これは私の予測では、今後予想される選挙についてはもっと秩序保持がむずかしくなり、選管の負担が多くなるような気がします。そうすると、現在は秩序保持について選管の職員四人、人夫一人、たしかそれだけしか見ていないと思います。そうでしょう、長野君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/8
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009・長野士郎
○長野政府委員 立ち会い演説会の関係の職員の配置数につきましては、御指摘のとおり全国基準といたしましては、吏員を四人ということで算定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/9
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010・島上善五郎
○島上委員 これも選挙区によって状況がだいぶ違うと思いますが、大都市のような、候補者が多くて激戦で、それから計画的に聴衆を動員する党派があると予想される場合には、とうてい四人や工人ではどうにもなるものじゃないのです。どうにもならなかったら警察官の出動を要請すればいいじゃないかということになるでしょうけれども、選管としてはおそらく警察官の出動はなるべく要請したくない、できる限り自分たちの手で秩序保持をやりたいと考えるのは当然だと思うし、そうあるべきだと思うのです。東京の例を聞きましたら、前回の選挙でも、十人ないし、多いところでは十五人選管の職員が出て、そして警察官の出動を要請しないで秩序保持につとめている、まあどうやら任務を果たした、こういう実態です。ですから、先ほど私が言いましたように、次の選挙にはもっともっと選管の職員を配置しなければならぬのではないかと思われます。四人では、それこそ地方の比較的閑散な地帯ではそれで間に合うかもしれませんけれども、大都市や激戦区ではとうてい間に合わぬ、そういう実態であるということをよく見きわめていただきたい。これでははなはだしく不十分だと私は思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/10
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011・吉武恵市
○吉武国務大臣 御指摘のように、大都会地で候補者が非常に多いようなところはなかなかむずかしいだろうと思われます。したがいまして、将来の問題としてはこれは考えていかなければならぬかという感じを私はしております。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/11
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012・島上善五郎
○島上委員 私はこのことを符に取り上げて質問するのは、最近秩序保持が困難になり、会場が混乱するという事態がしばしば起こっております。そうかといって、警察官を動員して権力でもって検束するとかなんとかいうことをすることは、なるべくやらぬほうがいいわけですから、そうすると反面には、こういうような立ち合い演説会では意味がない、立ち合い沢説会をやめようじゃないかという空気が起こったり、あるいはある候補者は、ああいうばかばかしい立ち合い演説会には自分は出ないと言って、出ない。それで、まあそういっては悪いかもしれませんけれども、当選には縁のないような泡沫候補ばかり出て、言いたいほうだいのことをしゃべっておる。そうすると聴衆もまた立ち会い演説会に対して疑義を持つ。こういう空気が出てくるということになれば、せっかくいままで言論戦の場において大いに効果をあげてきた立ち合い演説会そのものがおかしくなってしまうということを私は心配するからなんです。これはひとつおざなりな答弁ではなくて、今度改正しよう——私ほんとうは改正してもらいたいのだが、それは無理かもしれませんので、少なくともこの次の機会には実態に合うように、実態を十分調査の上、次の参議院の選挙はもう目の前に迫っておりますから、この実態の調査はわけないことですから、その実態に合うように改正をするという強い決意を、お考えをひとつ聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/12
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013・吉武恵市
○吉武国務大臣 先ほども申しましたように、お話のようにごもっともな点だと私も思います。したがいまして将来努力をいたしたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/13
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014・島上善五郎
○島上委員 それでは本会議があるので、まだ質問はたくさんあるけれども、この次の機会には総理大臣の出席も約束しておることだし、自治大臣に伺いたいことがたくさんありますが、この法律については私ども社会党は賛成ですから、それで別に賛成討論もあとでいたしません。省略いたしますから、一言だけつけ加えておきますが、与野党で附帯決議についての話し合いもしたことで、附帯決議をつける際にもお話があると思いますが、これは決して十分なものではないということです。なお実態に合わない点が多々あることを十分頭に入れていただきまして、ことし衆議院の解散があればこれはしかたがないけれども、ことしなければおそらく来年でしょうから、その来年の選挙には実態に合うように、私どもは次の通常国会には抜本的な改正をしてもらいたいということを強く要望しておきます。そうでないと、来年になると物価は現にどんどん上がっておるし、労賃は上がって実態に合わない。いまこの案自体が実態に合わないし、また来年実態に合わない、こういうことになると、この大事な選挙が手が抜かれたり、おろそかになったり、そして反面には不正腐敗の選挙がはびこるという事態が起こりかねませんから、私どもは賛成しますけれども、次の参議院の選挙の実態をよく見きわめた上で、次の通常国会には抜本的な改正をして、来年の選挙に間に合うようにしてもらいたいということを強く要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/14
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015・中村庸一郎
○中村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/15
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016・中村庸一郎
○中村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/16
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017・中村庸一郎
○中村委員長 起立総員。よって、本案は原案どおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/17
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018・中村庸一郎
○中村委員長 この際、上村千一郎君、高上善五郎君及び山下榮二君より、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨説明を求めます。上村千一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/18
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019・上村千一郎
○上村委員 自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案にかかる国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付する動議を提出いたします。
案文を朗読いたします。
附帯決議
一、執行経費中個々の経費の算定基準については、最近の選挙の実情に即しない点があると思われるので、政府は、すみやかにその実態につき調査し、この法律の全般にわたつて根本的な検討を行ない、適正な改正措置を講ずること。
一、政府は将来ポスター掲示場については、可能なところから順次恒久的設備を促進するとともに、これに要する財源措置を行ないうるように検討すること。
次に、附帯決議の趣旨説明を申し上げます。
政府は本年二月二日、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を提案したのであります。この法律案は、国会議員の選挙等の執行に遺憾なきを期するため、現行の法律の全般にわたってその基準について改正を加えようとしたものであります。
つぶさにその内容を見ますると、島上委員の質疑内容等にもありまするように、最近の選挙の実情に即し多くの検討すべき事項があるように思われます。特にまたポスター掲示場費については現行のポスター掲示場の設置の趣旨及び国費を節減する見地から恒久的な設備をすることが強く要望されるところでありますので、以上の提案をいたす次第であります。
よろしく御賛同を賜わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/19
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020・中村庸一郎
○中村委員長 本動議について採決いたします。
本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/20
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021・中村庸一郎
○中村委員長 起立総員。よって、上村千一郎君、島上善五郎君及び山下榮二君の提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、吉武自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。吉武自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/21
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022・吉武恵市
○吉武国務大臣 ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、十分その御趣旨を尊重していきたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/22
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023・中村庸一郎
○中村委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/23
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024・中村庸一郎
○中村委員長 異議なしと認め、さよう決定いたしました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/24
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025・中村庸一郎
○中村委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00519650226/25
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