1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十六日(水曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 田村 元君
理事 井原 岸高君 理事 丹羽喬四郎君
理事 廣瀬 正雄君 理事 松澤 雄藏君
理事 岡本 隆一君 理事 川村 継義君
理事 下平 正一君
逢澤 寛君 大倉 三郎君
木部 佳昭君 佐藤 孝行君
服部 安司君 堀川 恭平君
湊 徹郎君 森山 欽司君
山本 幸雄君 渡辺 栄一君
井谷 正吉君 石田 宥全君
佐野 憲治君 山中日露史君
山下 榮二君 稲富 稜人君
出席国務大臣
建 設 大 臣 瀬戸山三男君
出席政府委員
警 視 監
(警察庁交通局
長) 内海 倫君
建設政務次官 谷垣 專一君
建設事務官
(都市局長) 竹内 藤男君
建 設 技 官
(道路局長) 尾之内由紀夫君
委員外の出席者
警 視 長
(警察庁交通局
交通指導課長) 広山 紫朗君
専 門 員 熊本 政晴君
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三月十四日
国道二号線バイパス建設に伴う国鉄宇野線横断
工事に関する請願(逢澤寛君紹介)(第一七二九
号)
八戸市、大間町、野辺地町間路線の国道編入に
関する請願(森田重次郎君紹介)(第一七六二号)
国道四五号線の整備に関する請願(森田重次郎
君紹介)(第一七六三号)
アルプス観光株式会社の天竜川河川敷占用許可
反対に関する請願(中澤茂一君紹介)(第一七六
四号)
県道沼田、田島線改修工事に伴う路線変更反対
に関する請願(久保田円次君紹介)(第一八五一
号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
都市開発資金の貸付けに関する法律案(内閣提
出第四三号)
交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法案
(内閣提出第五八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/0
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001・田村元
○田村委員長 これより会議を開きます。
都市開発資金の貸付けに関する法律案を議題とし、審査を進めます。
本案は前会に質疑を終了いたしておりますので、これより討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
都市開発資金の貸付けに関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/1
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002・田村元
○田村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
おはかりいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/2
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003・田村元
○田村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/3
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004・田村元
○田村委員長 次に、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。佐野憲治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/4
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005・佐野憲治
○佐野委員 ただいま上程になっております法案に対しての質疑に入る前に、関連いたしますので、ちょうど大臣もお見えになっておりますので、一言見解をただしておきたいと思います。
その一つは、この間の金曜日の本会議におきまして、自治大臣から、地方財政計画についての説明と、これに関連いたしまして地方交付税法の一部改正法律案並びに地方財政の特別措置に関する法律案、この三つに対する趣旨説明があったわけですが、私、この趣旨説明を承りながらくみ取れましたのは、ことしの地方財政に対して、特に公共事業の増大に伴う措置に対して、地方財政計画なり一連の法案を提出されておる大臣の中に、隠し切れない一つの大きな不安、そしてまた極端な普通経費の節約、あるいはまた積極的な公共事業の受け入れ体制、これらに対して三つの要素がにじみ出た形で大臣の表情からくみ取ったわけです。この点につきまして、やはり公共事業の主たる所管大臣である建設大臣としてどのように考えて、現在自治省あるいは大蔵省と折衝しておられるか、その点についてお聞きいたしたいと思うのです。
と申し上げますのも、一つは地方財政計画の中に見られますように、昨年度に比較いたしまして交付税は二・五%のアップ、すなわち三二%となっておるわけです。これによりまして五百八十六億円、臨時交付金として四竹十四億円、これだけが昨年新しく掛買がとられておるわけですけれども、これらを合計いたしまして交付税の総額は七千六百四十一億円、前年度と比較いたしますと五百七億円の増にしかすぎないという、終戦以来かつてない最低の数値をあらわしているだろうと思うのです。しかも普通交付税は四百八十九億円にしかすぎない。こういう中で、しかも公共事業の受け入れ体制をとるために一千二百億円の財源補てん特別事業債、これが組まれておるわけでありますが、そうした結果として、ここに地方交付税法の一部改正、地方財政の特別措置という法律が出てまいったわけです。前年度に比較いたしまして四百八十九億円しか伸びのないこういう中で、財源補てんとして一千二百億円を用意する、こういうふうになってまいりますと、特に建設省関係の事業としてどういう影響が一体出てくるか、この点についてでありますが、いま自治大臣が説明いたしておりましたのを見てまいりますと、都道府県の四百四十億円、市町村の四十二億円、合わせまして四百八十二億円、これは交付団体、交付団体では都道府県の九十八億円、市町村が九億円、合計いたしますと都道府県が五百三十八億円、市町村が五十一億円、合計五百八十九億円、約六百億円をこれまで当然地方交付税の中における基準財政需要額として見込まれておった。当然、財源の保証としてこれだけのものは見込まれているのを、どうしてもそれだけを交付税で見ることができ得ない。だから六百億円を切って財源補てん特別事業債でまかなうのだ、こういうぐあいに説明いたしているわけです。
そこで、建設省関係における、関連いたします道路あるいは河川あるいは都市計画、こういうものが大幅にこの中に含まれてまいっておるということも想像できるわけで、現在までの折衝過程の中で一体道路なり河川なりあるいは海岸、都市計画、これらの事業がどれだけ——前年度には財政需要額として保証されていたものが、このような異例の措置をとらざるを得なかったわけですけれども、そういう中身は一体どうなっているか、この機会にお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/5
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006・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 建設省全体のことにつきましては私はお答えする資料がございませんが、道路関係について申し上げますと、おおむね従来と同様に地方の各公共団体に交付されます交付税のほかに、新たに特別事業債というワク、これが千二百億ほど考えられておるようでございますが、道路関係につきましてもその一部大体二百億くらいを充てまして、地方財政上裏づけのある措置をとる、かようなふうに自治省との折価において伺っているわけでございます。道路以外のことにつきましては所管ではございませんので、私から申し上げる筋ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/6
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007・佐野憲治
○佐野委員 私の聞きたいのは、これまでだと地方交付税法によって基準財政需要額として当然財源保証を義務づけられておった。その規定によりますと約六百億円程度はその中に含まれるべきものである。今回の措置はその分を削除して特別事業債に回す。こういう措置をとるわけですね。そうしますと道路の場合でいきますと、現在までとられておる基準財政需要額、道路面積並びに延長による、こういう計算の中で当然一般の道路費として財源が保証されているものを今度切ってしまう、こういう措置をとるわけです。しかしながら河川や海岸の場合はほとんど全額じゃないかと思いますが、道路の場合は一部は基準財政需要額の中に残す。しかしながらそれではもう困るから頭を切るのだ、こういう措置をとろうというわけですね。(「あした連合審査会で自治大臣と財政局長に、佐野さん、代表選手としてやりましょう」と呼ぶ者あり)一応建設省の見解も……。そういう折衝に対して大臣は七〇%消化、建設省はやるのだ、こういうぐあいに非常に意気込んでおられるわけですけれども、現実的に財源の面から見てまいりますと、こういう措置によりまして、いずれ地方行政の側からも出てくるでしょうけれども、所管大臣として、そういう河川、海岸あるいは道路、都市計画——都市計画のごときは二百十八億円と伝えられておる。あるいはまた海岸はほとんど全額が削除になっておるのではないか。道路の場合は需要額を残しますから百二十八億円、これだけを当然例年でありますならば一般交付税として保証されるものを、切ってしまう。こういういき方をとっておるわけです。そのほかに、局長さんが言われるように増加分として、例年の基準財政需要領でない増加分としての分も含まれてくると二百億円ぐらいになってしまうのじゃないか。これでは一体どうなるかということと、そういう折衝の過程の中において、いままで地方に対して財源保証としてとられていたものが、このような苦肉の策かもしれませんけれども異常な措置をとることによって、はたして事業の消化ができるのか。あるいはまたこういうことがことし四十一年度だけの特例措置としてというふうに、法案が、大臣の説明によりますとそうなっておりますが、これがもし明年度だけではなくて、これからもずっと続いていく措置ということになってまいりますと、これは大きな問題を含んでおるのではないか。特に所管大臣として、あらゆるものがこういう形に持っていかれていくことに対して、一体どういう見解をお持ちになるのか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/7
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008・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 こまかい計数のことは私よく存じておりませんが、いまお話しのように、特例としてああいう措置を四十一年度はとることにいたしております。地方財政の裏づけがなければ事業は施行できませんから、大蔵大臣との話ではこれは将来是正するという話し合いでああいう措置がとられておる、こういうことであります。こまかい点については、合同委員会等において御審議願えればけっこうだと思いますが、四十一年度の特例としてやる、こういうことで私どもは了承している。四十一年度の事業執行については道路その他全部まかなえる、こういう打ち合わせをいたして、いま進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/8
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009・佐野憲治
○佐野委員 私はやはり二つの問題点があると思うのです。苦肉の策にしろ、こういう財政措置をとるということ、しかもそれによってはたして事業が円滑に消化できるだろうか。本来におけるところの道路の持つ性格をゆがめて、景気浮揚対策と申しますか、フィスカルポリシー、こういう形で公共事業がとられるということは問題があるのじゃないか。ほんとうに国土総合計画なりあるいは国土保全、あるいは道路が持つ重大な使命、そういう中に道路というもののいわゆる事業計画というものが出てくるのであって、景気浮揚のためにフィスカルポリシーという立場から公共事業をもてあそんでもらっては——いまの不況乗り切りのためにとったのだ、こういうことを強調されるわけです。しかしながら、今日における道路需要の逼迫、一体全国的にどういう状態になっておるか、その中で計画的にこれを遂行するのではなくて、一時的な景気浮揚対策として公共事業がとられておる、そういう中にこういう安易な財源措置が出ているのではないかということを心配するわけです。来年もまた公債を発行する、この措置をとらなければやっていけないということは、もはや自治大臣の説明における消費経費に対する徹底的な緊縮政策をとってきて、片方において公共事業を受けるためにあらゆる経費を動員する。してもなおやっていけない。だからこれを特別事業債に向けるというわけですけれども、特別事業債と一般の増加による分を合わせますと八百八十四億円という膨大な起債額が見込まれる。これが従来からとられておるところの起債額三百九十億円を加えますと、一千二百七十四億円、特別事業債が一千二百億円だ。このうち下水道その他の分を合わせますと八百八十四億円、六百億円にプラス二百何十億が加わってまいって、従来からの起債額三百九十億円を加えると、公共事業だけでも一千二百七十四億円というばく大な数字になってきておるわけです。しかも道路なり河川、当然これは財政需要額として法によって見込まれなくちゃならぬ。だから交付税率の引き上げをやらなくちゃならないのに、それをやらずしてこういう措置をとってくる、これはあくまで財政秩序の紊乱ということを私はおそれるわけです。大臣として一体財源補てん特別事業債、この場合におきましても、大蔵省あたりではいろいろな意見があったようにも承っておるわけですけれども、政府が政府資金を五百億円しか出さない。七百億円は縁故債だ、一体これだけの縁故債を消化できるのかどうか。これらの点に対しまして、所管大臣として、消化するのだとあらゆる機会に強く主張しておられる。建設省関係で上半期七〇%、その中で縁故債七百億円、これだけのものが一体消化できるのかどうか。これに対してどういう考え方を持っておられるかもお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/9
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010・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 財政運営は財政当局の意見を尊重しておりますが、縁故債等についても事前に大蔵当局あるいは自治省そういう間でそういう縁故債を、銀行等の間に打ち合わせをしておるということで、私もそれを信頼いたしておるわけであります。いまお話しのように、こういう制度を恒久的にとるということではなかなか、特に地方財政の運営というものは円滑にいかないと思いますから、その点は自治大臣あるいは大蔵大臣が申し上げておりますように、四十一年度の異例と申しますか、特別な財政措置としてやる、こういうことでありますから、私どもはそれを了承いたしております。しかしこれが恒久的な政策となりますと、地方財政はそれではまいりませんから、そういうことは将来は改めなければならない。私どもの立場としてはそういう考えで進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/10
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011・佐野憲治
○佐野委員 一般公債が七千三百億円、政府保証債が二千五百億円、その他は利用債その他その上になおもこのような特別事業債、しかも縁故債によってやるのだということは、地方金融の逼迫した今日しかも金利その他から考えてまいりまして、おそらく皆さんの事業の中で、政府資金を使う場合と、縁故債を使う場合における金利の問題も、これは大きな問題になってくるだろうと思います。あるいは農協なりあるいはそういうところまで地方自治団体が頭を下げて行って縁故債の手当てをしなくちゃならない、ばく大な借り入れのための接待その他の費用もかさんでくるでしょう。膨大な利息になってくるのじゃないか。ですから、大蔵省あたりでもおそらく五百億円以上は無理だという財務当局の主張で政治的に逆になって——七百億円か政府資金で五百億円が縁故債だというように逆になってしまう、こういういろいろな事情があったにいたしましても、これは重大な問題として大臣もやはり慎重に考えていただきたい。単なる事業だけの数字でなくて、その裏づけ、消化するための財源の裏づけ、どういう形においてこれが流れていくかということに対しましても、都城の市長として名声かくかくたる建設大臣として、特にその実務に当たられておる方であります。私はその点に対しましても血の通う、閣議におけるところの措置をとっていただきたい。このことをひとつ強くお願いいたしておきます。
同時に、特に私は、道路の場合につきまして、御存じのとおり昭和二十八年に交付公債の制度というもの、が生まれた。直轄事業に対する負担金を納めることができ得ない、こういうことから直轄事業に対するところの特例措置として交付公債、現金収入をしなくてもよろしいという制度が生まれた結果として、累積交付公債がものすごい数字にのぼってまいった、こういうことから、直轄負担金というものに対するところの論議がかわされましたし、先般五カ年計画の改定の場合においても大きな論議を巻き起こしておるわけですけれども、私はここでお尋ねしておきたいのは、道路の場合、直轄負担金に対しまして、この交付公債制度を昭和三十五年から廃止する、廃止するかわりに基準財政需要額の中に必要な経費として道路費は全額財源を保証する、こういう制度が画期的にとられてまいったわけです。他の部面におきましては、直轄事業責という形である程度の起債を認めておるけれども、道路の場合におきましては全額基準財政需要額の中で始末をする、財源を保証する、こういう形がとられてまいったわけです。しかしながら、そうした正しい財政秩序の努力、交付税の措置がなされたにもかかわらず、これがくずれ去りつつあるという点に対しましても、やはり私は注意を喚起しておいていただきたいと思う。昭和三十九年ついに、名神高速道路なりあるいは国道、こういう形で三重県、奈良県などの財政需要額に見込まれておる単位費用をもってしては措置でき符ない、こういう要求が激しくなってまいりまして、三十九年度に初めて事業費補正という異例の措置をとってまいった。私たちはこれに反対だ。少なくとも基準財政需要額の中で道路費は財源を保証さるべきである。けれども矢つぎばやにおける道路炎の増高、国道あるいは高速道路、こうした結果としていろいろな負担がふえてまいる、あるいは一部府県に集中してまいる、こういうことから事業費補正という措置をとられたのだろうと思います。ところが四十年度になってまいりますと、それでは困るということで、直轄事業債というものが初めて奈良県なり三重県なりその他の県にとられてまいった。このようにして、せっかく交付税で全額見るのだ、交付公債制度を廃止するのだという新しい財政秩序が道路費の増高の結果として破壊されて、事業費補正がまずやってまいる。これでもまかない切れないから直轄事業債、その上で今度は特別事業債という形で、交付税のあるものさえも切ってそっちに持っていってしまう。こういうことになってまいりますと、一体どうなるかという点に対して、特に道路局長あたりは交付公債の廃止並びに全額交付税で消化をする、こういう正しい財政秩序の確立のために歩いてまいった、ここ数年間いまそれがくずれ去ろうとしておる、こういうことに対しまして、一体道路整備五カ年計画を樹立するにあたりましてもどのような形でこの折衝に当たってまいっておられるか。単におれのところは計画をつくるのだ、これを都道府県は受け継いでいくのだ、こういう形で道路整備五カ年計画がつくられているはずではないだろうと思います。そういう結果としてひとつ御検討願いたいということと、さらに大臣に要望しておきたいのは、三十九年度の決算が先般発表になりまして見てまいりますと、昭和二十八、九年ころの地方財政危機が叫ばれておりましたときには、いわゆる農村を中心とする後進県が赤字を出してまいった。ところが三十九年度の都道府県の決算と三十の大都市における決算を見てまいりますと、都道府県の四十一が赤字を出してまいっており、主要都市のうち十五が赤字を出してまいっておる。逆に昭和二十七、八年における地方財政の赤字は、経済の不均等発展の結果として起こってまいったという基本的な問題がありますけれども、最近の赤字というものは都市を中心として赤字が大きくなってまいっておる。累積赤字の中に東京、大阪あるいは埼玉、三重、こういう地帯が赤字県に転落をしてまいってきておるわけです。そういう中でも公共事業は一体どのように消化されるか、これに対する財源の裏づけ、このことなしに単なる予算の計上をやってまいりますと、たいへんな需要額となってまいるのじゃないか。こういう点に対しまして、今後の計画作成にあたりましても私はもう少し自治大臣なり、あるいはまた前年度におけるところの公共事業がその府県財政にどういう影響を及ぼしておるか、こういうことがやはり慎重に検討されないと、単に事業費だけの増額で何%ふえたという形では済まない問題となってきておるのじゃないかという点につきまして一応要望申し上げると同時に、これらの財政の問題に対して大臣並びに担当局長として、日ごろどのように考えて折衝しておられるかという点をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/11
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012・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 直轄事業に対する財源の負担の考え方でございますが、私どもはやはり三十五年以来とっております方針が、一応現在の段階においては妥当であろうと思っております。ただ、昨年来地方財政事情から一部の府県におきまして、特別事業債的なものが認められましたが、これは特に一部の県に対して非常に臨時に特別大きな直轄工事が行なわれましたための措置でございまして、これはあくまでやはり特例的な現象だと私ども考えております。
それから特別事業債の問題でございますが、これにつきましても先ほど大臣お話ございましたが、やはり今後恒久的にこうするかどうかということについては、道路計画の今後の財源措置として十分検討しなければならぬ問題であろうと思います。おかげで道路計画につきましては、五カ年計画で国の負担あるいは地方の負担ということが明確に区分されておりまして、大体それらについてはいずれも国がめんどうを見る、こういう形で組み込まれておりますので、暫定的なそういう事業債で若干見る。先ほど私二百億と申し上げましたが、道路につきましては地方単独に対して約百九十億、そのほか若干の補助として二十億ほど見ておるようでございますが、全体としては、道路事業の裏づけというものは各公共団体にそう無理がないように道路財源の確保を考えておるようでございまして、そういう点につきましては、道路事業に限りまして事業の執行に支障はない、かように考えております。ただ今後の問題につきましては、地方財政の問題非常に大きな問題でございますので、十分地方財政のあり方につきまして関係当局と私どもも連絡をとって、対処したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/12
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013・佐野憲治
○佐野委員 これ以上繰り返してもなんですけれども、やはり交付公債が地方財政をどうにもならない窮地に追い込んで、そのため道路整備事業そのものも足を引っぱられるという形になってしまったということから、交付税で、全額を見るという措置がとられた。いままでは特別事業債、こういった形が非常に大きな禍根を残すのではないかという点に対して一応警告して、今後慎重にひとつ検討していただきたい、かようにお願い申し上げるわけです。
私はこれと関連して、やはり今般提案になっておる法律案を見てまいりましても、気がかりになってくるわけです。交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法、これは緊急だからと言われるのでしょうけれども、これは昔の道路法の機関委任事務と違いまして、新しい道路法によって管理者が明確になっておる。町村道なり主要府県道の管理者がそれぞれ定められておるのに、それに対する交通安全施設をやるという場合に、計画を建設大臣なり国家公安委員長が立てるのだ、それをもととして管理者あるいは府県公安委院会が実施計画を立てるのだという法律の構成になっておるわけです。私は道路緊急整備法ですか、この場合の合同審査のときにも一言触れておったわけですが、これは緊急措置なんだということなんでしょうけれども、この場合におきましても、やはり建設大臣が道路整備計画に対しまして決定をする、こういうように法の体系がなっておるわけですね。私は少なくとも管理者があって、管理者のもとにある道路、その道路に対するところの整備五カ年計画を立てる場合におきまして、当然これは管理者の資料なり要求なり、これに基づいて建設大臣がこれを決定するという形で計画は樹立されるべきであって、国がまず計画を立てる、その過程におきましては、道路審議会なりあるいはまた各省との御意見の交換も行政措置としてはあるでしょう。法的には大臣がこれを決定する、こういう高圧的な形がとられてまいっておるわけです。このことがまた今度の場合にも私は出てきておると思います。同じ建設省で、同じ法文を見てまいりますと、たとえば公営住宅法があります。非常に民主的な雰囲気の中から出てまいりました住宅問題の解決としての公営住宅法、この法律体系がやはり妥当じゃないか。町村長が計画を立てて県知事それから建設大臣に報告をして、その結果閣議の決定を得てきめる、これに基づいて実施に当たっていく。財源その他の点から公営住宅は全く日陰ものとなっておりまして、法律はりっぱだけれども予算的には超過負担で地方自治体が悩まされる。法律は非常に民主的なたてまえをとってきておると私は思う。府県と地方との協力関係を法律の中において明確にいっておる。ところが道路緊急措置法の場合にいたしましても、あるいは今回の法律を見てまいりましても、もう全く国がきめてこれを地方におろす、地方はこれに基づいて実施計画を立てろ、その間には意見を聞かなくちゃならぬという訓示規定は入っておりますけれども、法の体系からいってこれは一体どうだろうか。この点に対して最近の建設省の立法的な傾向として、こういう措置を一体どうお考えになっておられるか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/13
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014・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 緊急措置法と今回御提案申し上げております交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法との関係でございますが、これは若干性格が違うかと思います。今回御提案申し上げております緊急措置法は、御承知のように現在交通事故が非常に多い。それに伴いまして、特に人身の傷害が非常に多いというようなことにつきまして、国が重大な関心を持っているというような観点から特別な措置をする、特別な助成をする、特別な計画をしまして、短期間にこれを完成しよう、こういう含みを持っておるのでございまして、ただいま申しましたような意味におきまして、国の重大な関心事であるという点が特色であろうと思います。そういうような意味におきまして、短期間に全国公平に見まして、あぶないところを措置するということで、単に管理者だけにまかしていいということではなかろうと思います。そのために、私どもと警察庁のほうとかねてから綿密なる準備をいたしておりまして、あらかじめ交通事故発生の態様につきましても調査いたしまして、それらを各地方に流しまして、そして必要な個所を選べばよろしいのでありますが、その事故態様に対する指貫といたしましては、かなり中央でいろいろ指導しなければならぬ面があるというようなこともございまして、三カ年でこれを実施するためにはどうしても建設省並びに国家公安委員会のほうでこれを強力に指導するという必要があり、計画的に実施するためにいま申しましたような手続をとらなければならぬ、かようになったものと考えておりまして、今後すべてこういうふうになるのかということにつきましては、別の問題として議論すべきであろうと思います。今回の措置としてはこれが適切である、かような判断に立って御提案申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/14
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015・佐野憲治
○佐野委員 私は内容を聞いておるのじゃないのです。内容は後ほど聞かしてもらいたいが、法律の体系として、こういう形の地方と国の協力関係、しかも管理者が定められておる。その場合に一定の行政の要求に基づいて国が緊急措置をとるということは、これはわかります。だが協力関係はあくまで協力関係ではないか。そのことを法の中に明確にするのは当然じゃないか。だから道路緊急措置法にいたしましても、第一次五カ年計画、第二次、第三次と、次から次に五カ年計画が長く続いてまいっておるでしょう。車両制限令にいたしましても、次から次、長期計画に基づく緊急特別措置法、これらの法文もそうなっておりますね。大臣が決定をする、聞かなければならぬ、この程度になっておるのです。しかしながら、同じ法律の中で公営住宅も住宅問題として私は緊急な問題であろうと思います。これに対するところの助成なりその他の方法も私は明確に定まっておると思います。そういう場合に、町村長が公営住宅の責任者だとして住宅統計、住宅資料、これらを中心として国に上げてまいる、これに基づいて建設大臣が閣議において決定をする、こういう権威ある方法をとってきておるわけでしょう。このことこそが本来法的における国、地方の協力関係を明確にしておる法体系だと私は思います。その点が最近どうして欠けてきておるのかという点、第一、建設省の最近の立法の傾向の中にそういう形があるのじゃないかということ。これは私がたびたび申し上げるのですが、都市計画の場合にいたしましても、大正八年にできた最も古い国の機関委任事務を規定しておる法律、このことが実際いかに現実と離れてしまっており、かつまた多くの問題を地方自治の観点から投げかけておるか、こういう点から考えてみましても、もっと法的に——皆さんは国あるいは地方の責任区分を明確にしなければならぬとしきりに強調される。ところが法体系から見てまいりますと、逆に国が地方を支配する、こういう形、その決定に地方は従わなくてはいけない、こういう決定によって緊急計画が樹立される。しかもその緊急は、三年間の緊急がまだ延びていく、半恒久的なものになってしまうと、緊急だからこういう措置をとるのだ、中央集権化の立法措置をとるのだといって済まされない問題があるのじゃないか。これは大臣も法律の専門家として、地方自治のたてまえから考えてまいると、こういう法律体系を持っていくということ、しかも先ほど申し上げましたように、地方財政の最近の赤字が、国の事業を受け入れておる、なくてはならない地帯に増大をしてまいっておる。しかもこれは国が決定をするものを受け入れるという形をとっていく。その結果として地方財政は赤字という原因をつくってしまっておるということから考えて、地方におけるところの財政規模なり能力なり、それから事業の進展なり、こうしたものをにらみ合わせた中で財源措置を講ずるというためにも、やはり法律のたてまえとして地方が管理者である、都道府県、市町村が管理者である、その管理者と国とが協力して一定の行政水準までこれを持っていく、こういう点なら私はわかると思いますけれども、逆になってしまっておるじゃないか。それで、法律的にも制度的にも国が地方を支配するのだ、緊急だから支配するのだという形をとって、財政的にはいま申し上げましたような、たとえば道路の場合だと全額交付税で見なければならぬという道路の重大性からもくるのでしょうけれども、そういう措置をとっていく。だから、国の路線からはずれた場合には、監督事項という項目はございますけれども、道路五カ年計画にも数字的に八千億円ぽんとはじき出しておられる。ところがこの八千億円が年次計画として考えて一体どうなっておるか。単独事業にみんなしわ寄せがきてしまっておる。こういう形を見てまいりますと、単独事業といってもほとんど国との関連があり、あるいは国の超過負担をごまかす——ごまかすというわけではないですけれども、決算面上そうしなければならないから、公営住宅の超過負担分を単独事業費の中に入れなければ決算ができないですから、そういう形をとって、本来における単独事業というものはわずかなものに圧縮されてしまっておる。地方住民と最も密接な関係にある、本来やらなければならぬ仕事がそういう形で圧縮される。道路整備五カ年計画の中になければ何もやらない。五カ年計画の中のものしか財源の補償をしないのだ、財源的には国の支配の中に地方がある。制度的にもそういう形がとられてまいるというようなことになってしまいますと、地方自治は一体どうなってしまうのだろうか。民主主義の政治の基盤だといわれる地方自治と皆さんの合理的、能率というものを要求される気持ちもわかりますけれども、しかも制度の上におきまして協力関係を明確にしていくことが大切じゃないか。緊急という名において公共事業、社会資本の立ちおくれを何とかしたいという議員心理をついてこういう乱暴な中央集権的な法律が建設省のほうから出てまいるということに対しましても、こういう問題は、恐縮ですが、皆さんの内部においても検討していただきたい。幸いに大臣、次官もおいでになりますし、立法過程の方はおられないようですけれども、そういう意味におきましても、ひとつ建設省がいまの法体系を全般的に検討してみる必要があるのではないか。私はこういう点に対して一応希望を申し上げると同時に、これらの問題に対しての大臣の所見を一応伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/15
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016・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 建設省所管の各種法律が中央集権的になりつつあるのじゃないか、こういう法案を中心にしての御意見でありますが、どういう点で中央集権的になるかという御意見が、御趣旨がよく私はまだ実は把握できないのであります。道路体系はいわゆる住宅問題とやや違いまして、申し上げるまでもなく国全体の道路網、幹線から末端に至るまで総合的に運営されなければならない。そういう意味において国がやはり道路体系に対する大方針をきめる、そして個々の問題を地方と相談していく、これは私やむを得ないことであろうと思います。したがって、それをあえて行政の中央集権をはかろうとか、そういう思想に基づいてこういう立法か立案されておるとは全然考えていないのであります。その点をどうかひとつ御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/16
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017・佐野憲治
○佐野委員 繰り返しても無理ですけれども、事業目標なり事業量を、全国的な行政水準のもとに長期政策を立てられるということに対して、私はそれなりで国が責任を果たしていくということに対して日ごろ敬意を表するわけです。しかしながら立法過程において管理者なり国、地方の責任が明確になっているのに、国が法的に一方的に決定するのだという形で閣議決定を行なう。こういう法律の置き方が私は問題だと言うのです。もっと地方と協力をするという形において——財政的からも制度的からもそういう形に追い込められておるというところに——私は公共事業の場合はいろいろな問題があることは存じておりますけれども、やはりそこに単独事業があるのではないかと言われますが、単独事業と補助事業の比較を見てまいる場合によくおわかりのとおり単独事業が国の超過負担のしりぬぐいとして単独事業費というものが決算面に出てまいるということもひとつ御参考までに……。
あまりその問題にばかり触れておりましてもと思いますので、一応法案関係に入りまして、道路構造令、これに適用しておるところの道路というものは、一体幾らぐらいになっておるかということを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/17
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018・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 きわめて大ざっぱな数字になろうかと思いますが、国道につきましては四十年度の末におきましておおむね六十数%であろうかと思います。主要地方道におきましては四十数%であろうかと思います。一般地方道におきましては二〇%前後であろうかと思います。きわめて大まかな数字でございますが、構造令に該当する道路という意味で申し上げた数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/18
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019・佐野憲治
○佐野委員 そうしますと、一般地方道、特に主要地方道でない一般地方道並びに市町村道は一体どうなっておるかという資料はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/19
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020・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 先ほど申しました二一%前後という数字は、主要地方道以外の一般府県道の数字でございます。これ以外に全国に約八十数万キロの市町村道がございます。これにつきましては、特別のものを除きまして、大部分はまだ構造的に未改良ということでございます。したがいまして、そのパーセントは手元にございませんが、また後刻調べまして御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/20
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021・佐野憲治
○佐野委員 道路構造に関しましては道路法にも規定し、政令によってこれを定める、こういう形で政令が行なわれましてから相当の年月を経て、なおも国道は六〇%である、主要地方道は四〇%である、その他は二〇%である、ほとんど道路の体をなしていないんじゃないですか。これは一体道路五カ年計画の中で、道路構造令に基づく整備というものを考えてないわけなんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/21
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022・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 道路構造令は、道路を改良する場合の一つの構造規格でございまして、交通量に応じまして、所要の幅員、所要の見通し、所要の勾配、これを与える、こういうことで書かれております。
〔委員長退席、廣瀬委員長代理着席〕
したがいまして、道路整備五カ年計画で改築を行ないます場合には、道路構造令に従って行なう、こういうことでやっておるわけです。したがいまして、全国で九十万キロ以上ございます道路につきまして、直ちに全部その構造規格を与えるということは、全面的に改築を行なわなければならぬということになります。一方五カ年計画で改築の事業のワクも定められてまいりますので、それに従って、構造令に合格する道路をつくっていく、こういうことになっておりますので、逐次五カ年計画の進展に伴いましてそういう積み方をするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/22
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023・佐野憲治
○佐野委員 建設省のビジョン、道路に対するビジョン、二十三兆九千億円ですか、こういうのを何かで読ましていただいたと思うのですけれども、この二十三兆九千億円という膨大なビジョン、そのビジョンが達成した場合におきましては、構造令——構造令というのは、やはり道路の保全なりあるいは交通の危険防止なりあるいは交通の安全円滑、こういう要素も含まれておると思いますが、そういう意味において、道路構造令に基づく構造、あるいは道路の付属物、これを合わせて道路だと思うのです。構造令に基づく構造を持ち、かつまた法に規定されている付属物、照明灯なり街灯なりを持つ、これが道路だと私たちは考えるわけですけれども、そういう法で道路として、当然機能として施設として持たなくてはならない、この責任を国が果たすためには、二十三兆九千億円というビジョンの中で、これは完成できるわけですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/23
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024・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 道路構造令は、お断わり申し上げておきますが、これは、どちらかといいますと、名前と内容と若干違いますが、幾何学的な構造基準、こういうものを定めておるのでございます。そういうもので、先ほど申しましたように、主として幅員、それから勾配、カーブ、こういうことについて規定いたしております。たとえばいまお話しのような付属物についても、どういうところにどういうものがなければならぬということまで明記してございません。本来ならばそういうことも要るかと思いますが、構造令にはそういうことは明記してございません。
そこで二十三兆九千億も、三年前に私どもで描きました一つの将来図というものにおきましては、これによって、昭和五十五年ごろまでに、一般道路につきましては、国道、県道はもちろんでございますが、市町村道も含めまして、最も民衆に密接な関係のございます。通常バスが通っているような道路につきましては、おおむね改築を行ないたい、こういうようなことで描いたものでございまして、先ほど申しました市町村道八十数万キロを含めたものまで全部構造令の規格に合うというものではとうていないわけでございます。しかしかなり、その中で主要な幹線道路につきましては、市町村道も含めまして、これだけ投資すれば、おおむね諸外国に比べまして見劣りしない道路水準になるであろう、こういうような気持ちで描いたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/24
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025・佐野憲治
○佐野委員 私は何も道路構造令の中に付属物まで入っているなんて聞いているわけじゃないし、付属物と構造令とが一体となって道路として機能を発揮するのじゃないか、そういう場合に付属物を抜きにして、あるいは改築自体構造令によって施行をやっておる、こういう意味はわかりますけれども、そういうものが一体となって道路の機能を発揮するのではないか、そういう機能を発揮するためには一体どれくらいかかるんかということをお聞きしたわけなんです。
そこで、お伺いしておきたいのは、道路環境が悪いために道路管理者の責めに問われるべき損害賠償、こういう判例が何かあったように記憶いたしておりますが、こういう事例はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/25
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026・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 いろいろ係争中のものもございますが、事例は二、三ございます。たとえば山岳地の道路におきまして、勾配部の路肩がよくなかった、そのために夜間、トラックがそこから落ちた、こういう事故に対する補償問題、あるいは仙台の市道でございましたが、市道の管理が悪いために夜間そこにオートバイでしたか、自動車がぶつかりまして、これも人身事故を起こした例がございます。それから高知県では未改修の道路の斜面、のりのかなり上方から落石がございまして、これが自動車の上に落ちまして人身事故を起こしたというような事例がございました。また北海道では街路の並木が倒れまして、それに車が当たりまして、やはり道路管理者の責めを問われている事件、そういうようなものが私のほうの耳に入っております。最近そういうふうな事例がかなり目につくようになったことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/26
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027・佐野憲治
○佐野委員 私は、損害賠償の提起をしなくても、実際そのために不具になり、あるいはまた生命を奪われる、こういう痛ましい事例は続出しているのじゃないかと思う。建設白書ですか、「国土建設の現況」の四十年版を見てまいりましても、「交通事故の特徴は、歩行者、特に学童や幼児が被害を受ける場合が非常に多いことで、三十八年における交通事故死者数の三分の一が歩行者であり、歩行者の死亡または重傷を伴う事故のうち約六〇%が車道横断中に生じている。このため横断歩道橋、照明、防護柵などの交通安全施設の緊急な整備が道路事業の重点施策にあげられているが、まだまだ不十分というのが実情である。」ということから、やはり道路の改築、あるいはまた現在における道路の施設、これらに対しましても検討しなくちゃならない問題点を含んでおるのじゃないか。と同時に、たとえば国家公安委員会のほうで信号機をつけられる。そうすると警察庁の統計によりますと、信号機をつけて六カ月間前後の経過を見ますと死亡者が五五・九%だ、負傷者が四一・三%、これだけの減少を示してまいっておるのでございます。同じ地点で調査の結果が、信号機をかけるだけで死亡者が半分くらいに少なくなっている。これは警察庁の統計の結果出てまいっておると思うのですが、そういう中で私が感じますことは、たとえば同じく警察庁の統計を見てまいりますと、罰金だけで百五十億円、八割が納めたとして百二十億円の罰金、交通取り締まりの規制は私は非常にきびしいだろうと思います。百五十億円からの罰金を昭和三十八年度においてやっておるわけですから、たいへんなものだと思うのです。しかしそれに比較いたしまして、道路安全施設の建設費、あるいは道路そのものの現況というものは、事故の大きな原因になってきておるのじゃないか、こういうことも考えるわけです。こういう点に対しまして建設省としては一体どのように対処してまいっておるか。この点もお聞きいたしたいわけですけれども、時間が相当迫っておりますので、そういう意味から、今回出されましたこの法案、国家公安委員会と共管になっておるわけですけれども、これはたとえば道路整備五カ年計画の中で七百三十億円見込んでおる道路安全施設充実計画、あるいはまた国家公安委員会において去年から三年計画で信号機を五千基ふやしたい、こういう形で進められておる三カ年計画、あるいは皆さん方の防護さくの場合は、四十年度から三年計画で防護さくの完備をはかりたい、こういう計画を進めておられるわけですが、これらの一連の計画と、今回法律に出してまいりましたところの計画とは一体どういう関係になるか。あるいはまた道路整備五カ年計画と別ワクで、七百三十億円の別ワクでこういう緊急措置をとろうとするのか。その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/27
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028・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 交通事故の発生に対しては、道路整備五カ年計画の中でやれるものは従来努力してやってまいったのでございますが、いまお話のございましたように、この今回提案いたしました緊急整備法に基づきます新しい三カ年計画以前に、私どもは道路の付属物として標識の整備あるいはガードレールの整備を特別に一昨年から進めてきたわけでございます。いずれも内容は交通安全施設の整備の一部と考えられますが、そういう形で取り上げる時点に達しておりませんでしたので、それらを今度含めまして、新たに来年から三カ年にわたりますところの緊急三カ年計画を立てたい。それには建設省関係だけでも六百億に相当するものを見込みたい、こういうつもりでおるわけでございます。道路整備五カ年計画で従来やっておりましたものも内容的には含んでおりますので、私どもは、五カ年計画の一部として四十一年、四十二年はいずれにしてもそういう形でいかざるを得ないのではないかというふうに思っております。しかし六百億以上のものになりますと、全体計画の中のウエートも占める率がかなり大きくなりますので、いずれまたこれらのことにつきましては別途、道路計画全体として考える必要があろうかと思っております。要するに、従来やっておりましたものも当然内容的には今後の計画の中には含まれるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/28
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029・廣瀬正雄
○廣瀬委員長代理 佐野君、もう一人質疑者が残っておりますので、なるべく簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/29
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030・佐野憲治
○佐野委員 警察庁の方、来ておいでになりますか。——去年から三カ年計画で信号機をふやすために一億七千九百万円の補助予算が計上されておったわけですけれども、これに別に、地方債計画のワク外として、これは損保から借り入れる、縁故債ですか、ワク外起債として五億円、合わせますと、地方の二分の一の補助でありますから八億何千万円ですか、これだけのものを去年は初年度として実施されておるわけです。その結果一体どうなっておるかということと、あとの二年度、三年度に対しましては——その場合には皆さんが三カ年計画で五千個の信号機をつくりたい、そのために損害保険協会からのワク外債を確保して、補助は二分の一だ、こういう形で進められてまいったわけですが、明年度は一体どういう形でやろうという考えなのか。あるいはまたこの法律のもとで、この予算はどうなってまいるか。この点もひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/30
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031・内海倫
○内海政府委員 お答え申し上げます。
警察におきましてはただいまお話のありましたように、都道府県公安委員会の単位で安全施設を設置いたしておるわけであります。今年まで、方法といたしましては国のほうによる補助金、並びに本年度から損保を原資といたします起債によりまして信号機の設置を行なっておりますが、現在までにつくっております信号機の数字を申し上げてみますと、昭和三十九年度末の保有数が全国で六千七百三十六基、昭和四十年度の設置計画が、先ほど申しました起債分を含みまして千百六十基、四十年度末の保有総数は七千八百九十六基になるわけです。そのほか、道路標識、道路標示等それぞれ昭和四十年度末の設置計画数並びに道路標示の総延長等も示しておるわけでございますが、今度のこの緊急措置法によりまして、公安委員会といたしましては、この三年計画によります計画されました信号機、これの現在計画として立てております若干の内訳を申し上げてみますと、通常の信号機が千五百基、それから歩行者のための信号機が千三百四十七基、さらに最近開発されております自動感応系統式信号機の十八セット、さらに同様な自動感応でございますが、地点感応信号機と申すものを六百基、これだけを一応三カ年計画のものに予定いたしておりますが、これは先刻御存じの、指定いたしました道路に対します計画でございますので、都道府県公安委員会といたしましては、指定道路以外の信号機その他の設置につきましては、さらに在来の計画による補助金並びに起債によりまして今後も継続をしていかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/31
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032・佐野憲治
○佐野委員 ただいまの御説明は交通局で出しておられる資料でよくわかるのですが、実は去年から四ヶ年計画として五千基の信号機をつける、これに対しまして二分の一の補助を行なう、あるいはワク外起債も依存をする、こういう形で本年度進めてまいったわけであります。明年度を迎えるときに、ここにいまの法案が出てまいるということになりますと、この計画の中にそれが組まれてくるわけで、緊急三年計画の中に組まれるわけです。そうしたら、四年計画が三年計画になるわけですが、そういう場合財源として一体どうなるのか。いわゆる、いままでのような形における財源として、警察庁は警察庁として道路標識なり道路標示なりあるいは信号機をやっていく、計画は三年間でこれをやるという形をとるのか。警察庁のほうでは別ワクとして三年計画は六百四十七億円と私一応説明として聞いておりました。この中に国家公安委員会が担当いたしておる信号機なり従来におけるそういうものと、四ヶ年計画とが総合されて出てまいりました数字であるのかどうか。警察庁の局長さんのいまのお話では、別ワクでもなくて、それも含ませてかつまたという道路五カ年計画、七百三十億円は三十億円としてあるのだ、ほかにまた財源を足して三年計画は一応——閣議決定ですからまだはっきりしてはいないかもわかりませんが、一応六百四十七億円という内訳も私たち資料としていただいておるわけですけれども、そういう中にこれは入るのか入らないのか、どういう形になっておるのか、財源は一体どこから出てまいるか、補助は確保はわかりますけれども、そういう点はどうなっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/32
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033・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 ただいまお示しの数字は六百四十七億でございますが、これは四十一年から三カ年間にこの計画に基づきます費用として実施する総体費用でございます。そのうち建設省のほうでやります。すなわち道路管理者でやります費用か六百三億、したがいまして差の四十四億が公安委員会で実施する事業の分でございます。建設省関係の道路管理者でやります六百三億につきましては、これは五カ年計画の中の事業として実施しよう、こういう趣旨でございます。公安委員会のほうの財源につきましては別途御説明があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/33
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034・広山紫朗
○広山説明員 御説明申し上げます。
先ほど建設省のほうから御説明がございましたとおり、三カ年計画の目途といたしまして六百四十七億でございますが、そのうち公安委員会分として四十四億を予定いたしております。これと、昨年御説明申し上げました四ヵ年計画との関係というお話でございましたが、もとよりこの四十四億の中に四ヵ年計画は入るわけでございます。ただこの法律でも御存じのとおり、対象道路が既存の道路を対象といたしておりますので、若干の新設道路に伴う施設というものが幾らか予算外にございます。
なお、起債の関係でありますが、起債は現在のところまだ額は決定しておりませんが、大体昨年並みのことを一応いたしておる段階でございます。この起債はもちろん別ワクでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/34
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035・佐野憲治
○佐野委員 別ワクというのは、また損保に依存するという地方債計画ワク外の起債という意味でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/35
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036・広山紫朗
○広山説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/36
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037・佐野憲治
○佐野委員 道路五カ年計画の中には踏切道も入っておりますが、この分は除外しなければならぬわけです。それを除外しても四十年度の建設省関係の事業費は五十五億五千万円、これに踏切分が六十五億円、合計百二十一億、こういう数字になっておるわけですが、そういたしますと、いままで一年間に五十五億五千万円でやってまいりましたのに対しまして、今度は三年間で六百三億円の事業量を消化するということになってまいりますと、道路整備五カ年計画そのものを変えなければならない事態になってくるのではないかと考えるのですが、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/37
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038・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 踏切道のほうはこれとは全く別でありまして、踏切道のほうは要するに踏切道改良促進法でございますし、あるいは道路改良事業といたしまして結果的に踏切道をなくしていくということも行なわれております。これらはかなりの事業であります。そこで、それらを除きましたいわゆる交通安全施設事業をやるわけでありますが、六百億という数字は道路管理者を含めます分としてももちろん画期的なものでありまして、従来やっておりましたものに比べても相当大きな倍率になるわけであります。そこで、道路整備五カ年計画は御承知のように閣議決定いたしておりますが、そこまで詳細な決定をいたしておりません。そこで、先ほどちょっと私が申し上げましたことは、これらは道路整備五カ年計画の四兆一千億のワク内でやるべきものであると心得まして、従来考えておりました改良事業あるいは特殊改良事業というものは割り振りを若干変更する必要があると思いますが、総体としてそう差異はなかろう。しかし、中身を変えることによって本質的には当初考えておりました五カ年計画の内容をある時期においてはやはり考え直すべきであろう、こういうことを考えておりまして、先ほどややあいまいなことを申し上げましたが、当面この仕事は五ヵ年計画の一部であるというふうに考えまして、実行したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/38
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039・佐野憲治
○佐野委員 いろいろお聞きしたいんですけれども、時間の関係もありますし、次の質問者も待機しておられるそうですから、また別の機会にしたいと思いますけれども、大臣、考えていただきたいのは、昭和三十七年の八月二日、池田総理大臣から交通基本問題調査会あてに、交通安全に関する総合的施策に関する答申を求められてから、答申が出てまいりましたのは昭和三十九年三月二十七日、一年半にわたりそれぞれの専門家たちがいろいろな具体的なプランを提示して答申をしておられるわけです。これを受けまして、四十年の一月だったと思いますが、閣僚懇談会におけるところの決定事項もあるわけであります。それから四十六、四十八国会におきまして道路法の一部改正、特に日本の道路から見てどうかと思われる、国際道路条約批准のために、キープレフトですか、この制度も日本のように歩道のない、外国と比較にならない立ちおくれたこの道路の中にキープレフトを採用するということは一体どうなんだろうか。もちろんオリンピックその他の関係で国際道路条約を批准しなくちゃならないというせっぱ詰まった中でとられた措置だろうと思うのですけれども、そういうこともありまして、二回にわたる道路交通法の改正案が国会に出されてまいっておりましたし、そういう中でも衆議院、参議院、それぞれ附帯決議をつけまして、特に交通安全のために取り締まりは百五十億円も罰金をとっておるわけですから、これ以上取り締まっても問題の解決にはならぬのではないか。道路構造令から見てまいります現在の日本の道路構造、あるいはまた付属物等規定してありますけれども、国道にも付属物として当然設置しなければならない街灯、照明灯もないという国道がずいぶんある。こういう中で交通事故というものは発生すべくして起こるのではないかという意味におきまして、国家公安委員会だけではなくて、建設省あるいは運輸省、通産省、これらが一体化して、この答申に基づいて交通行政の一元化等に対するところの具体的な問題を提示して、衆議院の委員会は附帯決議として強い意思表示をやっておるわけであります。
〔廣瀬委員長代理退席、委員長着席〕
にもかかわらず、道路費は何十%アップしたアップしたというお話だけを承りまして、交通安全に対するところの各省一体となった総合施策が一体なされておるだろうかどうだろうか。今度ようやく三年計画が出てまいりましたけれども、この場合におきましても、踏切除去は別だ、これは運輸省は関係してない。あるいは通産省の車両、これに対するいろいろな問題点が日本の現在の道路事情から考えて、現在の通産行政としてとられておる自動車の生産、規格、このことも大きく交通安全を阻害しておる。これらの通産省の関係は、これはまた別だ。運輸省は別だ。結局は建設省と国家公安委員会とだけが、いままでばらばらで、仲間で話しておられたのが法律上一本の形でやるという体制がようやくできたにすぎない。私はきわめて遺憾だと思うのです。建設省の白露には、重大性を輸送その他に追われ、産業基盤整備に追われたために、重要な問題がなおざりにされ、不十分であったという反省を記録としてあらゆる面に訴えて、今後は生活環境あるいは交通安全、人間尊重という役割りと道路整備計画とを結合した中で新しい構想を持たなくちゃならない、こういう将来に対する示唆もやっておるわけです。こういうりっぱな考え方があるにもかかわらず、実は答申が出てまいりましてもやろうとせられない、閣議決定をされてもこれを予算化しようとなされない、法制化しようとなされない。ようやく出てまいりましたこと、きわめて遺憾に存ずるわけで、それらの内容につきましても、まだ同僚議員からいろいろな角度から問題を取り上げる予定になっておりますので、私は、一応法体系並びに建設省、国家公安委員会の考え方に対する基本的な問題をきょうはお聞きいたしまして、具体的な法案の内容なり、今日における交通事故に対する建設省の重大な責任、損害賠償は提起されないけれども、現実に不具となり、生命をなくしている幾多の痛ましい姿が道路保全の不整備の結果起こっているという事実に思いをはせて、もっと将来それらの点に関して、幾多の答申、幾多の決議、国会のこれらをも尊重して、ひとつ施策を進めていただくことを最後に要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/39
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040・田村元
○田村委員長 下平正一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/40
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041・下平正一
○下平委員 三点ぐらいお伺いをいたしたいと思います。
その一つは、最後に佐野委員がちょっと触れられておりましたけれども、佐藤内閣ができまして、佐藤さんがいろいろなキャッチフレーズを出しましたが、その中の一つに、交通事故で死亡する人が最近非常にふえてきて、日露戦争の戦死者と同じくらいの数があるのだ、したがって、人命尊重という佐藤内閣の政策の基本からこれを大いに取り上げるのだ、こういう宣伝が行なわれ面して、御承知のとおり去年でしたか、交通安全対策本部ですか、推進本部ですか、ちょっと名前は忘れましたけれども、そういうものができたと思います。そこで、その対策本部では一体どういうことが議論をされて、そうして基本的な対策として一体どうきまったのだ、これはおそらくあれだけ佐藤内閣が人命尊重という立場から国民に約束したのでありますから、当然今回出てきたこの交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法ですか、これもその中の一環として出てきたと思いますが、佐藤内閣が取り上げた交通安全政策との関連をひとつ大臣から聞かせていただきたいと思います。
特に、全部といってもこれは時間がかかりますから、問題を一点だけにしぼりますが、最近新聞等でも、一部の学者あるいは民間人の意見の中でも、交通問題というものとほんとうに取り組むためには、いまのような、道路の建設を担当している建設省とか、取り締まりを担当している公安委員会とか、あるいは運輸省とか、こういうばらばらの体系では、これからほんとうに複雑化していき、さらに速度が増し、大型化していく交通問題というものを処理することができないから、交通行政というものを一元化すべきではないか、こういう意見も出ております。交通安全対策本部でいろいろなことを議論されたと新聞では報道を受けておりますが、全部でなくてよろしいですから、その交通行政のあり方について、一体どういう議論が行なわれて、いまの佐藤内閣としてはどういう基本的な政策を持っているのか。これをひとつ、大臣御存じなければ、だれでもけっこうですから御説明をいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/41
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042・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 昨年の一月でございますが、ただいまお話しの交通基本問題調査会の答申に従いまして臨時交通関係閣僚懇談会というのが開かれました。その了解に基づきまして交通対策本部というものが設けられて、その交通対策本部が交通事故防止の徹底をはかるための緊急対策をいろいろ項目をあげております。その一つは道路及び交通環境の整備拡充ということであり、二番目には交通安全活動の推進、三番目に交通秩序の確立、四番目に被害者救済対策の確立、五番目に交通事故防止に関する総合的研究の推進、最後に交通安全国民会議の開催、こういう六項目を出しまして、これらの問題を中心に、交通事故防止の対策を緊急かつ強力に推進するということでやっておるわけであります。
その一番目の、道路及び交通環境の整備拡充の一番初めに、交通安全施設の整備拡充という項目がございます。今回提案申し上げております緊急措置法は、この第一番目の問題として交通対策本部で取り上げておる問題を、具体的に建設省並びに国家公安委員会のほうで法律案として取り上げたものでございます。その他の項目につきましても、交通対策本部の方が来ておられませんが、それぞれ問題を分けまして、緊急な対策も立てておるわけでございますが、御承知のように、交通安全国民会議はいつも開催されておりますし、その場でいろいろ各種の問題か提議され、提案されております。他の部面におきます問題につきまして私ども十分承知いたしておりませんが、少なくともこの対策本部で第一番目に取り上げました問題をたまたま今回取り上げたという形になっております。他の事項につきましての詳細な議論の内容については、ちょっと承知いたしておりませんので、また別の方から御説明をいただかなければならぬかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/42
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043・下平正一
○下平委員 対策本部に関係しておる方がおらないということで、中身について詳細わからないということなら、私の質問はやめておきたいと思います。
それで別に質問していきたいと思いますが、率直に言いまして、いままでの、特に道路に関係した自動車、こういうものの交通安全対策というものは、私はもうほんとうに手が抜いてあったと思います。率直に言うならば、いまの道路状況、それからドライバーが要請される任務、そういうものから、事故がこれだけ件数が多いのですけれども、これはほんとうにドライバーのいえば神わざですね。私も実はドライブの経験がずいぶんあるのです。アメリカでもハンドルを握っていましたけれども、日本の道路を運転する場合には、神風タクシーとよく笑いましたけれども、ほんとうにこのドイバーの犠牲において交通事故というものがややこの程度で抑えられておるという状況ではないかと思うのです。
それと、もう一つは、この免許行政とかその他は運輸省に関係があるのですね。具体的に言いますと、私のうちの前でもバスが走っておりますが、バスが通る際に、バスの両側の窓と、こちら側のかきねとこちら側のかきねは、どう見ても十センチか十五センチしかすいていないのです。そこを三十人から四十人乗りの大型バスが通っているという実情なんです。交通事故というものは、設備の完備したところよりももっと別なところで実は起きております。そして、実際問題として、小さな事故が実は計上されてこないのです。
私も実は自分で交通事故にあった経験は三回あります。三回ともほとんど高速道路でありませんでした。私一番大きな事故は、衆議院の災害対策で北海道に調査に行きまして、自動車が川の中に転覆いたしましたが、これも子供がひょいと飛び出してきた、こういう状況です。交通事故の対策を設備等の面でやっていただくとしたならば、単に高速道路とか国道とかそういう場所だけでなしに、もっと地方道とかその他の面にも重点を置いていかないと、ほんとうの意味の対策にならぬではないか、こう思うわけであります。
そこで、先ほど佐野君もちょっと触れておりましたけれども、昔は道路といえば、高低を直して平らにすればこれが道路だったと思うのです。しかし、最近のこれからの道路というものの観念は、単なるそれだけでなしに、その道路が持っている使命に基づいた付帯設備というものが完備をされて初めて道路といえるのじゃないかと思うのです。したがって、今度の場合には、建設省あるいは国家公安委員、ここで協議をして緊急な場所をやる、こういうことで措置法が出てきておりますけれども、これからの考え方というものは、道路というものについての一つの条件といいますか、付帯施設を含んだ条件というものを的確にして、それを必ずつけるということに厳格にやっていかなければ——もう道路だけはどんどんあけてしまう、たとえば最近一番端的な例は、都市の郊外に住宅がどんどん建っております。ここへできる道路なんというものは、道路標識とか設備とか、そういうものは全然考えられていない。しかもこの道路は、通勤者があり、子供があり、非常な危険な状態になっているのです。したがって私は、緊急整備でこういう形で場所を指定して、とりあえずこれをやっていくということに反対ではありませんが、将来の方向として、道路はどうあるべきか、道路の施設等についてはどういう責任体制をつけるのか。特に先ほど佐野君も言っておりましたけれども、今度の場合には、いかぬところを上から見つけて、ここがいかぬ、あそこがいかぬ、こうやれということなんです。そうでなくて、道路をつくった際には付帯設備も全部できているという形の道路行政が行なわれていかなければならぬと思うのですが、そういう点についての将来のあなた方の考え方、こういうものをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/43
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044・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 先ほど来下平さんの御意見を私ども承って、全く同感であります。申し上げるまでもなく、日本の道路は、産業経済、特に自動車交通の急激な進歩に合わない道路が常識になっている。そこに自動車が非常に発達をしている。特に大型のトラックなりバスが発達している。この問題はいまに始まったことじゃありませんので、自動車製造行政と道路行政をどうマッチさせるか、こういう点について、確かに政治の面で非常にばらばらであった。これが常に議論をされて、一面においては日本の道路に応ずるような自動車製造にすべきではないかという議論があり、それでは自動車工業の発展はできないのだ、こういうような議論がされているわけであります。交通問題懇談会でいかなる議論がなされておるかということは、私つまびらかにいたしておりませんが、議論がなされておってもおらなくても、そういう問題は当然常識的に考えるべき問題である。そういうことから、さしあたり、自動車製造業を規制するということも日本の産業上適当でない。かといって、現在の自動車交通に応ずる道路を急速に整備することはなかなか間に合わない。それぞれの調和をはかるために、車両制限、あるいは車両制限が急速に進むと交通上非常に支障を来たす。そこに御承知のとおり待避所の増設、急場の間に合わせをしておる他所がたくさんある、こういうことが従来行なわれてきておるわけであります。一般道路につきましては、御承知のとおり道路整備に相当の努力を尽くしておりますが、先ほど来御説明いたしておりますように、なかなかこの自動車交通の発達に間に合わない、こういう状態で、現在つくっております道路というものは、おおむね道路らしい道路、それに応ずる道路ということでつくっておりますが、旧来の道路あるいは旧来整備された道路というものは、自動車交通に合わない道路がたくさんある。そういう点で、さらに近代的道路に整備するのは、なかなか言うべくして行なわれない、間に合わない、そういう欠点を補うことをさしあたりこの法律でやろう。歩道もない、全く人間は自動車に追い回されている状況が全国至るところにある、交通事故は年々多くなる。これを緊急にさばけるところはさばこうじゃないか、これがこの法律の趣旨であることは申し上げるまでもないことであります。おっしゃるとおりに道路はそういう時代であり、それを前提にしてそれに応ずる道路をつくる、これが今後の道路行政の基本的な考え方である、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/44
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045・下平正一
○下平委員 その基本的な考え方をもう少し推し進めるわけにはいかないでしょうか。
〔委員長退席、丹羽(喬)委員長代理着席〕
というのは、夜間における交通事故というものは、お互いにやってみればわかるのでありますけれども、幾らライトを下向きにしてみても、制限速度の時速六十キロで走っていたのでは、左側を通行している人間を発見してどんなに急ブレーキを踏んでも間に合いません。いまの自動車の構造、ヘッドライトのあれからいって、御承知のとおり向こうから来るヘッドライトを幾ら下げてみても、こちらの運転手はこれを一べつして、おそらく視界は六十メートルぐらいしかきかないと思うのです。だから六十キロの制限速度で走っていたのでは、現在の状況では不注意でなくても事故が起きます。私ども経験しておりますけれども、発見をしてからブレーキを踏んでも間に合いません、そうなると、街路灯というか照明灯というものがどうしても必要になりやせぬか。これは一つの例でありますが、大臣は予算委員会に行くそうで時間がありませんから、この点はまた何かの機会に御質問をして聞くとして、少なくともこれからつくる道路については、そういうものを完備しなければ道路としては使用を認めない。私がたしか西ドイツに行ったときに、道路の問題で向こうで案内してくれましたが、その人はひやかしにいわく、日本には道路がございませんねと言われたのであります。いや、ぼくのところだって道路があってバスが走っているよと言ったら、あれは道路の予定地でしょう、こういう皮肉を言われたのであります。したがってこれからの道路行政の中で、そういう考え方をもっと強く推し進めていくべきだということだけを申し上げて、この項は終わります。
次にもう二点だけ、内容について若干御質問をいたしたいのでありますが、この内容で道路標識とかいろいろの整備をする、こうなっておりますが、一体いまの道路標識とか標示というものが実際に適合しているかどうかということをもっと具体的に考えてほしいと思うのです。
一例を申し上げます。私はいまから四日前に、長野から夜、自動車で運転してこちらに帰りました。甲州街道、国道二十号線をしょっちゅう行き来します。関東周辺の国道、ぼくは歩かないところありませんけれども、たとえば立川の四つかどを過ぎて行きますと道路標示がありまして、甲府までたしか七十三キロか五キロと書いてあったと思います。それからさらに十キロくらい走っていくとまた標示がありますが、立川から甲府まで七十六キロと書いてあるのですね。これは運転手の安全に直接的な影響はないと思います。しいて言えば、ガソリンの量が少なくなって、このくらいなら行かれると思って行ってみたら、行くに従って距離が遠くなる。軽井沢の標示もそうです。国道十八号線です。これでは標示の意味がないと思うのです。どういうわけでそんなことになっているのか。あれは建設省がやっているのでしょう。建設省の標示でありながら、距離が全然違う。ここから行って、行けば行くほど遠くなるというのです。こういうばかげた標示が行なわれている。私ちょっと聞いてみたら、これは管理している場所が幾つもあって、そのためにこういうことになっているのだと言いましたが、一体いま行なわれている道路標識とか標示というものが的確に行なわれているかどうか。いまの点なんか数カ所あります。水戸街道に行ってもあります。こういう点は一体どうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/45
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046・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 先生お話しの標識は国道のことでございますから、管理者は建設省になっております。したがいまして、標識についても正確な道路標識を当然出すべきでありますが、いまお話のございましたような点につきましては、私どもも二、三そういう例があったことを聞いております。それは間違いであるのか、あるいは距離のとり方の考え方が不統一であるのか、あるいはわれわれの考えておることが適切ではないのかというそのいずれかに属するかと思いますが、一つは、ある市町村まで到達する場合に、その市町村までの距離をどこにとるかということについていろいろな議論があるわけでございます。つまり行政区画の境界までの距離をとればいいのか、境界は往々にして山の峠になっておったりしておることがあります。最近は市でも相当大きゅうございますから、こんなところが市かと思うところも行政区画上市になっております。そこまで幾らということを出します場合には、非常に近い距離が出てくる。それともう一つは、町のまん中までとるべきである——市の市庁があるという問題は別にいたしまして、おおむね市の中心地と考えられるところまでの距離にすべきである、こういう意見と二つございまして、むしろいまの中心地がどこであるかという距離をとるべきである、そのほうがわかりやすい、こういう意見があるわけです。そこで、距離のとり方につきまして従来からいろいろ議論しておりましたが、たまたまそういう行政区画までとるべき距離と市の中心地までとるべき距離との間においてそういうような差が出てきたのじゃないかと私どもは察するわけでございます。たまたまそういうのが続けて出てきました場合に、非常におかしな現象が起きてくる。これは当然直さなければなりませんが、距離のとり方の標準につきまして、的確な方法はございませんので、私ども非常に議論しておるのでございますが、今後それらにつきまして誤解を与えることがあってはいけませんので、急いで検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/46
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047・下平正一
○下平委員 そういう答弁をされると少しけつ曲がりだから、からみついた質問をします。私もっとすなおに答弁してもらいたかった。あなた方、一体、道路標識はだれのためにつけますか。運転する人のためにつけるのか、君たちのためにつけるのか。道路標識や信号灯というものは、事故を起こさぬために、ドライバーのためにつけるものじゃないかね。そうしたら、建設省がやっておる道路標識が距離のとり方がまちまちで、これから統一しますなんてばかげた話ありますか。それではその標識書いてあるのを見たことあなたあるのか。この標識は甲府市の中心地を基点にしてありますよ、この標識は市境を基点にしてありますよ、そういう説明がしてありますか。ドライバーはこの標識を見て、ああ甲府まで何キロかと判断しますよ。ましてや、中心地か市境かそういうことを判断して標識を見るゆとりはありませんよ。だからそういうことならば、私は考え方が違っておると思うのです。いまだに標識が何を基点に標示しているか議論がきまっておりません、これでは標識の意味なさぬでしょう。だから私はこういうものをやるについても、ほんとうに事故を起こさないように注意しているドライバーのためにつくるのか、あるいは君たちが考えてああでもないこうでもないと理屈をこねくってやるのが標識なんですか。まだありますよ。たとえば一方交通の標識があります。あの一方交通の標識で東京都内運転してごらんなさい、何回も行って、ここは一方交通だとわかっている人はわかりますよ。一方交通の出口の標識は、入って自動車がカーブ切って見なければわかりませんよ。それでは一方交通の標識としての価値がありません。幸いに虎ノ門のような大きな交差点は標識が上にできましたが、普通のところに行ってごらんなさい。入ってハンドル切って向こう見てから一方交通だとあわててバックするときには、うしろから車がついてきて、うしろのバンパーはねられている事故はたくさんありますよ。私、局長の答弁わからぬことはないけれども、せっかくつくった道路標識が距離一つ見てもまだまとまっておりませんなんということでは、こんな標識はやめてくださいよ。意味ありませんよ。特に一方交通の出口の標識なんというものは、私に言わせればおよそ事故のもとです。まだありますよ。カーブのあれもあります。そういうことで、この内容について一体標識というものは——一定の速度制限をいたしますね。おそらく普通の国道でしたら六十キロを飛ばしております。みんながその六十キロでその標識を艦載して、判断して運転の措置をするというその標識の大きさとか、その視界の距離とかいうものは、科学的なデータができ三建設省がちゃんと指示しているのですか、東京都内にあっても、環状七号線と甲州街道のあれは確実にできますか。環状七号線でも渋谷のほうへ行ったらわかりませんよ。私、先日横浜バイパスを参考までに通ってみた。そして渋谷のあそこに出てきたんです。標識の認識が夜間ではほとんどだめです。これではせっかく何億の金をかけて標識をつくってみたところで、実際は効果がないじゃございませんか。
それでは道路局長に聞きますが、いま標示をしてあります標識は、一体夜間においてどれくらいの速度のとき、どれくらいの視距で、どれくらいの大きさでという基準があったらひとつ教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/47
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048・尾之内由紀夫
○尾之内政府委員 標識の大きさにつきましては標識令で一応きまっておりますが、これをきめる場合には、もちろんいまお話しのような関係者がいろいろ寄りまして、また見やすいか見やすくないかということにつきましても、学識経験者を入れまして委員会をつくって一応きめたものでございます。ただ、いまお話がございましたが、私ども実際にできておるものを見まして、やはりなお見にくいという考えを持っております。このために、今後もう少し、先ほど来のお話のような、夜間でも読めるような考え方、あるいはもう少し標示板を大きくする努力、これをいたさなければならないと思っております。いまどのくらいの距離で、どのくらい児えるかということについては私ちょっと即答できませんが、十分そういうようなことは検討した上で標識令はきめておりますが、それを実行した限りでは私も同様な考えを持っております。実際問題として改善すべき点がまだ多多残っておるということは私ども十分認識を持っておるつもりであります。先ほども決して言いわけのつもりで申したのではありません。私も実はそういうことがありまして、心を痛めておる一人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/48
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049・下平正一
○下平委員 直してもらえばいいです。
それからもう少し具体的に言いますと、たとえば国有鉄道が信号機を設置する場合には、まぎらわしいものは撤去いたします。そうして一定距離、普通の信号機でしたら三百メートルの透視距離というものは、それ以外にまぎらわしいものを全部撤去して安全を守っているのです。ところが国道、特に市街地における国道の標識というものは全然それがないです。私をしてちょっと酷な言うい方をさせれば、法律できまったり、いろいろきまっているのだから、出しておかぬと文句を言われるから出しておけ、実はこの程度のものが出ておる個所がずいぶんあるのです。それを運転してきた者が認識しようと思っても、ネオンがある、広告塔がある、街路樹か茂っていて——なるほどその付近まで行けばわかります。しかし、遠くから逆転者としての措置をするその余裕のある標識というものは、全部が全部とは私は言いませんけれども、非常に少ないのです。だから私はよく国家公安委員にも言うし、道路関係者にも言うのですが、あれはおまえたち法律できまっているか言いわけに出したのじゃないか、もっと親切にやってみたらどうか、こういうことを忠告しておりますが、時間がありませんから、この点は特に、どうせ金をかけてやるならば、ほんとうにドライバーがそれによって措置ができるように親切なやり方をしてやってもらいたい。特に距離等についてはぼくのところにもずいずん苦情もきております。ぼくのところにもかなりのデータがあります。だから早急に、市街地の中心地を基点にするなら基点にするということで統一をしていただいて、走っていくに従って距離がだんだん遠くなるというようなばかげたことのないように、ひとつ運転者の立場に立って、この中身については処置していただきたい、こういうことをお願いしたいと思います。
それからもう一点は、これは建設省関係じゃありませんけれども、安全対策というものは、一つには設備が一番大事だと思うのです。しかし、安全対策の一番大きな面はドライバーのほうにあるのです。もう一つは歩行者にあります。しいて言うならば、自動車の構造にあります。そこで三奇困ることは、最近のテレビ広告その他を見ていても、うちの車は千二百CCで最高速度が百二十キロまで出るとか、ものすごい速度に対する誇大な宣伝が行なわれているのです。おそらくいま免許証をとりたいという人たちは、お年寄りの人は非常に少ないのです。お年寄りの人たちは大体商売をやるについてどうしても自動車が必要になってきて、やむを得ず軽免をとろうかということになって、必要上無理をしてとっていますが、大部分は、教習所へ行ってみればわかるとおり、運転免許の許可年齢がくれば何でもかんでもとりたい、とったらすぐスポーツカーを運転したい、こういうことで、むちゃくちゃな運転をいたしております。したがって私は別の角度で、これは運輸省か通産省かどこかでやらなければならぬと思いますが、日本の道路では速度制限は最高六十キロ、私の経験では四十キロというものが事故のない最高リミットだと思っています。六十キロくらいでは事故に対する処理はできないのです。そこで、ああいう誇大な宣伝をして、免許証をとったらすぐ百キロのスピードでぶっ飛ばす、そういう形を直すことが事故防止の上ではたいへん必要じゃないかと思いますが、これは当委員会とは若干あれしておりますから、そのほかに二点ほど交通のほうにお願いしたいのですが、最近の免許制度のあり方というものは私は必ずしも完全じゃないと思います。
実は先日、私、長野から帰ってくる際に、高崎のところでバイパスに車が一台とまったままで動かない。私、車をとめて、何をしたんだと言ったら、若い男女が五人くらいでトヨペットに乗っておりました。そうしたら、何しろ電気がつかないんだ、こう言うわけです。見るとヘッドライトのヒューズが飛んでおりました。君ら免許証を持っているかとぼくが聞いたら、全員持っていると言うのです。ところが、免許証を持っていながら、ライトのヒューズが飛んで電気がつかない、その故障が発見できないというような実情なんです。この間も乃木坂でありました。車がとまってしまってどうしてもチェンジが入らないと言うのです。調整板を押しさえすればすぐ入るのですけれども、その調整板を押すということをしないで、あの道を下ったカーブのところで動かない動かないと言っておるのです。これは私は運転免許制度のあり方に若干の欠陥が出たものだと思うのです。単にハンドルを回せばいいということではなしに、応急措置ができるくらいの技術訓練というものは当然免許基準として厳密にやるべきじゃないか、こう思います。私、教習所へ二、三回見学に行きましたが、この程度のことでどんどん乱発をしていったのでは、いま言った若い者のスピードにあこがれるあれと一緒になってたいへんなことになるのではないかと思うので、免許制度のあり方について何か御意見があったら聞かせていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/49
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050・内海倫
○内海政府委員 免許制度につきましては、ただいまの御意見に私も非常に同感する点が多いのであります。ただ、御存じのように、非常にたくさんの応募者に対する現在の試験制度の状況というものは、構造上の知識、あるいは実際にそういう故障が起こった場合にどういうふうに修理し得る能力があるかということを判定する上に非常に困難な条件がございますので、これをでき得るならば自動車練習所においてほとんど間違いなく行なわれることを期待する以外には、現状におきましてはそういう点についてこれを確保する方法がない。御存じのように、試験場におきます構造に関する試験は筆答試験でございます。それから自動車練習所を卒業いたしました者につきましては、実技運転の試験は免除いたしております。試験場でこれをチェックするということはないわけでございます。そういう意味で何らかの形におけるそういう問題の解決ということは今後も考えなければいけないと思いますが、在来も実は研究はいたしておるのでございます。いまのところ御意見のような状態があることは私も率直に認めなければいけないと思います。今後試験場並びに練習所の指導につきましては十分考えたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/50
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051・下平正一
○下平委員 この安全対策の面で現在見のがすことのできないのは民間の協力であります。私も実は交通安全協会の役員をやっておりまして、オーナークラブに入ってやっておるわけです。従来オーナークラブというと、やや特権的な形で親睦会的な運営がされて、ラリーをやるとか、そういうことだけに重点が置かれておったのでありますが、私はやはり安全対策の中心になるのは何といっても現実面としてはドライバーの良識だ、こう判断をしています。したがって、ドライバー教育ということ、免許制度の改善は、私はぜひやってもらいたいと思うのですが、いかに免許制度を改善いたしましても、さあ実際に運転をする段階になってきたそのドライバーに対する教育とか、あるいは交通安全の思想の普及だとか、いろいろなことが必要だと思うのです。そこで、現在おそらく地方の公安委員会あるいは具体的には警察署を中心に交通安全協会というものができて、いろいろの施策をやっておると思います。私ども、実は月五百円ずつ徴収をして、それを全部道路標識、安全設備にクラブとして警察を通じて県の委員会に毎年出しておるわけでありますが、この民間の協力団体というものをもっと育成するといいますか、ここに重点を置いてドライバーの教育その他のことをやる必要があると思いますが、それともう一つは、何か免許をとった後における教育とかそういう面が全然法律的、行政的に欠けておるような気がするのです。その面を強化していくことについて何か腹案があるのかどうかお伺いをしたいと思うわけであります。どんなに設備をよくしてもその面をおろそかにしたのではこれは事故が絶えません。私は、自分の経験からもおそらく事故の大半というものは、ドライバーの不注意とは言いませんが、ちょっとした注意あるいはちょっとした知識、ちょっとした法律に対する誠意といいますか、交通に対する誠意さえあれば防げるということがたいへんあるのじゃないか、こう思います。したがって、既成のドライバーに対する教育の方法とか、あるいは現在の交通安全に協力しておる民間団体の交通安全協力会といいますか、これが大体やっておると思いますが、そういうものを大いに活用をし、またその中からたくさんのいい意見が出てくるのです。標識の設置等につきましても、単に警察が取り締まりをすると言うと語弊がありますけれども、取り締まりに都合のいいという形で標識を考えるのと、ドライバーが運転しやすいという立場で標識の設置個所なり標識を考えるのとでは、たいへん違いが出てくると私は思うのです。したがって、この交通安全に関する二点、既成ドライバーに対する教育と民間の協力団体に対してこれをどう考え、これをどう発展させていくかという点についてのお考え方を聞いておきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/51
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052・内海倫
○内海政府委員 民間の協力に関しましては、非常に貴重な御意見をいただいたわけでございますが、私どもも、民間、とりわけ運転する人たちの積極的な協力を得なくして交通安全というものの実現は考えられない。この前提に立ちまして、お説のように、安全協会というふうな全国組織並び地方組織々極力育成いたしまして、またできるだけこれに入会をしていただいて、そういう民間の団体を通じてドライバーの方の自覚あるいはいろいろな資料の提供、こういうふうなことをやっております。さらに、違反を行なった人に対しましては、各県ごとに運転教育学校——仮称でございますが、そういうふうなものを最近みなそれぞれ設置いたしまして、ここに入校させるというと非常に大げさでございますが、そういうところでもう一度、なぜ違反が行なわれたか、なぜ事故が起きたかというふうなことについての教育も実施いたしております。さらに、必ずしも全国各県とは申しませんが、大きな県あるいは多くの県におきましては、ニモター制度というふうなものを採用いたしまして、私の勤務いたしました愛知県の例をとりますれば、各署ごとに三名ないし五名、あるいは十名程度の、これはほとんどが運転をする人及び歩行者その他有識者の人をモニターに委嘱いたしまして、運転する人の立場から、あるいは歩行する者の立場からいろいろな意見を警察側に言っていただく、そういうふうなことで率直な交通する立場の人々の意見を聞いてこれを反映していくというふうな措置もとっておりまするし、また、そのほか、各県それぞれの立場で民間の協力を積極的に得るような対策をとっておるのでありますが、もとよりすべてが十分でございませんので、今後はさらに安全協会その他の、あるいは日本自動車連盟等自動車の運転する人の団体などを育成いたしまして、あるいはそういうところに資料を提供して、積極的なそういう意味の訓練といいますか、協力といいますか、そういう努力をいたしたいと思っております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/52
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053・下平正一
○下平委員 もう一点。この間川村委員が具体的な交通事故の原因別、いろいろの資料を要求してありますので、それを見なければわからないと思いますけれども、最近の実情を実際に体験した者から見ると、歩行者がいばっているという感じなんですね。たとえばおれが通るときに何で自動車が通るんじゃ、自動車というものはとまるのがあたりまえだというような、私は、歩行者優先という考え方が必ずしも考え方としては悪くないと思いますけれども、ひどいのになると、ガードレールみたいなさくを乗り越えてばばっと飛んでくるんですね。それで、急ブレーキをかけてとまって、君、まずいじゃないか、いや、道路はおれたちのためにあるんで自動車がとまるのがあたりまえだ、というようなことが最近間々私は体験をしております。したがって、私は、歩行者優先ということが原則として間違っているとは言いませんけれども、やはり一般に自動車は非常に高速化していますから、あるいはいろいろの交通がふくそうしておりますから、交通安全をやるためには、同時に片一方の輪として、一般の市民に対して交通安全思想の普及ということにかなり力を入れていかないと、実際交通事故というものは減ってこないのじゃないかというので、これは建設省の担当じゃありませんけれども、私は、かなりの費用をさいてもいいから、一般の国民に対する交通安全思想の普及というようなことをかなり思い切ってひとつこの際やっていただきたい、こういうことを御注文だけ申し上げまして、三十分までという約束がちょっと延びましたけれども、私の質問を終わりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/53
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054・丹羽喬四郎
○丹羽(喬)委員長代理 次会は来たる十八日金曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104149X01119660316/54
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