1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月二十一日(火曜日)
午前十時十六分開議
出席委員
委員長 岡崎 英城君
理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君
理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君
理事 和爾俊二郎君 理事 秋山 徳雄君
理事 華山 親義君 理事 細谷 治嘉君
亀山 孝一君 纐纈 彌三君
島村 一郎君 田中 六助君
中馬 辰猪君 藤田 義光君
湊 徹郎君 村上 勇君
村山 達雄君 森下 元晴君
山崎 巖君 井手 以誠君
久保田鶴松君 重盛 寿治君
島上善五郎君 安井 吉典君
門司 亮君 吉田 賢一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 永山 忠則君
出席政府委員
内閣法制局長官 高辻 正巳君
内閣法制局参事
官
(第三部長) 荒井 勇君
警 視 監
(警察庁保安局
長) 今竹 義一君
大蔵政務次官 藤井 勝志君
厚生政務次官 佐々木義武君
厚生技官
(環境衛生局
長) 舘林 宣夫君
運輸政務次官 福井 勇君
運輸事務官
(自動車局長) 坪井 為次君
自治政務次官 大西 正男君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
自治事務官
(財政局長) 柴田 護君
委員外の出席者
運輸事務官
(鉄道監督局民
営鉄道部長) 蜂須賀国雄君
自治事務官
(大臣官房参事
官) 鎌田 要人君
自治事務官
(財政局公営企
業課長) 近藤 隆之君
専 門 員 越村安太郎君
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六月二十一日
委員周東英雄君及び登坂重次郎君辞任につき、
その補欠として纐纈彌三君及び湊徹郎君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員纐纈彌三君及び湊徹郎君辞任につき、その
補欠として周東英雄君及び登坂重次郎君が議長
の指名で委員に選任された。
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六月二十日
消火弾を簡易消火用具として採用に関する請願
(中馬辰猪君紹介)(第五五一四号)
家庭用消火器具規制に関する請願(中馬辰猪君
紹介)(第五五一五号)
地方公営企業の確立に関する請願(大柴滋夫君
紹介)(第五五六八号)
同外六件(角屋堅次郎君紹介)(第五五六九
号)
同(山花秀雄君紹介)(第五五七〇号)
同(辻原弘市君紹介)(第五五九二号)
同外十四件(華山親義君紹介)(第五五九三
号)
特別区の区長公選に関する請願(岡崎英城君紹
介)(第五七一七号)
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出)反対に関する請願(玉置一徳君紹介)
(第五七一八号)
同(永末英一君紹介)(第五七一九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇七号)
地方公営企業法の一部を改正する法律案(安井
吉典君外九名提出、衆法第三八号)
地方公営企業財政再建促進特別措置法案(安井
吉典君外九名提出、衆法第三九号)
公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
安井吉典君外九名提出、衆法第四〇号)
風俗営業等取締法の一部を改正する法律案起草
の件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/0
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001・岡崎英城
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案、安井吉典君外九名提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案、地方公営企業財政再建促進特別措置法案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、以上四案を一括議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/1
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002・門司亮
○門司委員 法案の内容については、かなり詳細に各委員から聞かれておりますので、重複を避けて、きょうは最初に法制局にお伺いをしておきたいと思うのは、御承知のように、この法律は当然特別法であるべき再建整備法と恒久法であるものとが継ぎ合わせられている、したがって、法体系の上からいうと、きわめてまずいものができはしないか。再建整備のほうは、ある時限が来れば消滅するのであります。したがって、恒久法であるべき公営企業法の中の一部分が、ある時期が来れは消滅する、あるいはこれが適用できないという、こういう法体系がよろしいかどうかということであります。これについての法制局の見解をひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/2
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003・高辻正巳
○高辻政府委員 お答え申し上げます。
立法上の表現形式に関する御質疑でありまして、私ども法制局としてはありがたい御注意と拝聴いたすわけであります。元来、御承知のように内閣の法制局はなかなか立法形式のやかましいところでございますが、今度この法案について御指摘のようなことがあるのはどういうわけであるか。むろんこれについてはいろいろ考慮の末にきめたことでありますので、どうしてこういう措置をとったかということを御説明申し上げたいと思います。
大体、立法上の表現形式は、実はどのような方式によるのが正しいかという絶対的な観点から決定されるものではなくて、どのような方式によるのがこの法律の中身をさがし出したり、あるいは理解するのに便宜であるかという技術的な要請から出てくるわけのものでございます。そういう観点から、今度の法案につきましてはいろいろな立法形式を実は考えたわけでございますが、主としてこういう方式をとった理由は三つほどあげることができるわけでございます。第一は、これもいままであるいは御議論が出ておるかもしれませんが、地方公営企業の財政の再建と企業運営の適切化というものが密接な関係を有する。そもそも問題の起こりが、地方公営企業の過去に累積された赤字の処理、これはどうしてもしなければならぬ。しかしそれだけではやはり将来の問題もあるし十分ではない。やはり地方公営企業制度そのものに相当基本的なメスを加えて、その制度の完ぺきを期さなければいけない、こういうのが両々相まって、地方公営企業に対するあり方を規制していくのに必要であるというようなことから、両者の立法上の動機における因縁をやはり形の上でも整えていくというのが一つでございます。それからもう一つは、一定の時点における赤字の処理ということになればなるほど仰せのようなことが起こりますが、やはり法律の四十九条あたりを見ればわかりますように、今後における赤字の財政処理の問題についてはやはり将来に残るものもございます。それが第三点でございます。第三点には、地方公営企業の財政に関する制度というものが一つの制度としてありますが、そういう制度の上に乗っかった一つの特例的な措置として同じ体系の法律の中にそれを書いておくほうがより以上理解に便利ではないかというような見地から、ただいま御審議を願っておるような形式をとったわけでございます。最初に申し上げましたように、立法上の表現形式は何が絶対的に正しいかというようなところからの観点よりも、やはり実際に法律というものは適用さるべきものでございますので、何がそういう意味からいって便宜であるかということも一つの重大な要素でございますので、その辺のほうにややウエートをかけたといえばそれまででございますが、その辺のことを相当考慮に入れて、こういう形式をとったわけでございます。
さしあたりそれだけ御答弁申し上げて、御説明といたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/3
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004・門司亮
○門司委員 法の体系自身から考えてまいりますと、公営企業法の今度の改正で将来の運営が完全にいけるとは私は考えられない。当然また赤字が出てきて、いつの時代かにはまた財政処置をしなければならないというようなことが出てくる、だから一つの法律にしておいたほうがよろしいのではないかというようなにおいのする答弁のように感ずるのでありますが、これは実に奇怪な答弁だと思うのです。法律自体はできるだけ健全性を保つべきであって、将来赤字が出るであろうなんということを予測してこしらえるような法律なら、こしらえないほうがいいです。私は、やはり公企法の中には将来のことを十分おもんぱかって赤字が出ないような処置をこの際はっきり織り込むべきである、そうしていま出ている赤字については別途の法律でこれを処置していくということか法の体系の上からいって正しいのではないか、またそうしてもらわなければ何のために改正したのだか一向わからなくなってくる。こういう点を考えてみますと、どうもいまの答弁では、単に便宜だけで、また赤字が出ればこれが生きてくるなんというようなことでは、私どもこの法律の審議は非常にむずかしいと思う。そういたしておきませんと、地方で安心して仕事をするわけにはいかないのではないか。私は、あくまでも法の体系の中では、臨時法は脇町法で通すべきである、そして恒久法はやはり恒久法としてのたてまえを貫くべきである。長官の言われるように、実質的には、こういう法律ができてもあるいはまたあしたから赤字ができるかもしれない。しかしこれは長官とここで議論をしても始まらない話であって、他の政府委員との間の話になろうかと思いますが、どう考えてもいまの長官の答弁では、私、納得するわけにはまいりません。しかし私に与えられた時間はごくわずかな時間でございまして、これだけで長く議論をしてまいるわけにもまいりませんので、一応私の意見として申し上げて、ひとつ政府には考えてもらいたいということであります。この点については、社会党から提案されております特別法によって処置しようということのほうが私は筋が通っておると思う。そうしてやはり恒久法は恒久法としてのたてまえをとるべきであると考える。
その次に法制局の長官にもう一つお聞きをしておきたいと思いますことは、この法律の中で、いい悪いは別にいたしまして、実は地方自治法の九十六条の地方の公共団体が議会において議決すべき事項というものがかなり大幅に制約を受けておりますが、これと憲法の九十四条との関係について、私は一応長官の意見を聞いておきたいと思います。御承知のように憲法九十四条は、地方の公共団体にその財産を管理するという権利を与えております。それから法律その他に抵触しない限りにおいては条例を制定することができるという権利を与えております。むろん行政を執行するの権能を有するとも書いてある。ところがこの法律を見てみますと、当然自治法によって議会の議決を必要とするものが、公営企業であるからといってこれが除かれておる。一方、財産の問題を考えてまいりますと、これは公営企業が地方公共団体から独立しておるわけではない、明らかに地方公共団体の中にあるものであって、地方公共団体の財産と見る以外にないのである。そういたしますと、この管理権というものは当然当該地方自治体の住民が持っているほうが正しいと私は考える。議会が持っているわけではない。やはり住民が持っておるわけである。むろん理解者が持っておるわけでもない。そういたしますと、住民の意思決定機関である議会が、財産の取得あるいは売り払いというようなものについて無関心でよろしいかどうかということであります。もし事務が非常に繁雑であって困るというなら、これを条例にまかせることができるという、条例の範囲を広げて、そしてあくまでも法律のたてまえとしては議会の議決権を尊重していくということがたてまえではないかと私は考える。この点についても法制局の御意見をひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/4
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005・高辻正巳
○高辻政府委員 御指摘のように憲法九十四条にはそういう規定があるわけでございまして、基本的に門司先生のおっしゃったことを論駁しようというつもりはございませんが、今度の法律案でも、地方公営企業の資産の取得、管理、処分等につきましては、結局においては予算で定めることになっておりまして、そういう手を通じまして地方公共団体の議会がそれに参与をする、決して地方公共団体がはずれておるということには相ならぬ仕組みになっておるわけでございますので、御心配のような憲法九十四条の規定に違反するというようなことにはならないという確信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/5
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006・門司亮
○門司委員 実にこれもまた法制局としてはあやしい答弁だと思います。なるほど予算、決算があります。しかし決算は二年おくれるのですね。予算はそのときの概算であって、その中の処置は自由にできる、こういうことであります。私がおそれておりますのは、すでに地方自治法の昭和三十八年十二月二十七日付の附則の中に、御承知だと思いますが、地方公共団体の長の権限として、工事または製造の請負に対する金高を施行令で定めておる、これは議会の議決が要らないと書いてある。その次には、府県だけの例を申し上げてまいりますと、府県の場合は金高においては七千万円、土地の坪数は二万平方メートル、七千坪でありますが、それまでは都道府県知事の裁決というよりも専決処分ができるということが書いてある。これは法律に書いてあります。議決を必要としない、専決でできると書いてある。そうなってまいりますと、この条項は非常に大きな矛盾を来たすわけでありまして、それと同じように、きょうはこまかい例をここで読んでいるとひまが要りますので、読まないことにいたしておきますが、ただ都道府県知事の例だけを申し上げておきますけれども、五大政令の市あるいは普通の市、町村というように分けて書いてある。施行令によってこれを制定いたしました関係から、地方の自治体では、いまのお話のように自治体の持っておる、当然議会が持たなければならないそれらの権限が法律によって長にゆだねられておる。私は、これが条例でゆだねるならよろしいと考える。これは地方の自治体がおのおの条例をこしらえて、そして自分のこうらに似せた、あるいは軽いものについて首長の専決にまかせようじゃないかという住民の意思決定によってこれを長にまかせるのならよろしいと考える。しかし、法律によってこれをきめていくというのは、いささか法律の自治の侵害だと考えざるを得ないのであります。現実にこれはあるのであります。この問題は、奈良県等において問題を起こしております。奈良県では、金高においては七千万円しか処理することができない知事の専決処分が、土地が七千坪以下であったということで一億五千万以上のものが専決で行なわれた。非常に大きな矛盾でしょう。金高は七千万円で削っておる。土地の場合においては一億五千万円をこえてもそれが専決でやれる。議会がつんぼさじきに置かれておる。こういうことで一体市民の財産が守れますか。現行の地方自治法の附則にすらそういうことが書いてあって、いま申し上げました奈良県ではすでに問題を起こしておる。今度の場合は、長ではありません。公営企業を運営する事理者で、長よりももう一つ責任の軽い人であると考えなければならぬ。いわゆる住民に対する責任は軽いはずである、公選ではありませんから。その人が、市会にはからないでもよろしい、自己の専決でできるということ、しかも都道府県や市の議会の委嘱も受けておらない、法律によってそれが認められておるということは、明らかに法律の自治権侵害だと解釈してもちっとも差しつかえない。財産権は、あくまでも住民に帰属するものである、私はこういうことを考えるのだが、一体こういうことでよろしゅうございますか。私は、必ずしも善人はかりが長の任命した運営の管理者にはならぬと思うのです。人間である限りはあやまちをおかす、おかさないとはいえない。私は、この点は、現実にいま申し上げましたような奈良県の実例がありますので、非常に今度心配しておる。その辺の解釈についてひとつ法制局の御意見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/6
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007・高辻正巳
○高辻政府委員 奈良県の問題は、私実は事情をつまびらかにしておりません。いま仰せになったようなことが地方自治法上の問題としてあったというお話でございますが、これは私どももよく自治省あたりから伺ってみたいと思いますが、問題は、ただいまの地方公営企業法の一部改正に関連してのお尋ねでございます。先ほど申し上げました、確かに予算できめることになっておる。しかし、それは政令で定める基準に従って条例できめるということに一応つなぎができておるわけです。もっと根本的に申しまして、地方団体の組織運営等に関する事項について、どこまで法律が介在するのがいいのか。一定の限度があって、それ以上にわたるならば憲法上疑義があるというような問題が起こることは確かにそうでございますけれども、御承知のような地方自治法自体もそうでございますし、そのほかの法律の規定には間々御指摘のような法律の規定があることは確かでございますが、それらはやはり憲法の精神に従って、九十二条あたりが問題になりますが、その辺の解釈問題になろうかと思うわけでございます。現実の奈良県の話は私よく存じませんので申しわけございませんが、それには直接お答えできませんか、一般問題として先生のおっしゃる、法律で何でもいけるというようではおかしいという危倶をお持ちになるのは、これは私、実はよくわかります。したがって、地方公共団体の運営その他の事項に関する問題につきましてはかなり私ども神経を使っておるわけでございますが、やはり地方自治法の当該規定は別といたしまして――というのは、ただいまの問題ではないと思いますので、現在の公営企業法の改正問題につきましては、御疑問の点は私はあり得ないと考えております。この辺は考え方もいろいろあると思いますが、先生のおっしゃったようなことにつきましては、いままでも十分注意しておるつもりでございますが、今後もなお十分の留意をいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/7
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008・門司亮
○門司委員 いまのせっかくの御答弁ですけれども、これは考えてまいりますと、結局官僚の中央集権主我の思想のあらわれだということになろうかと私は思う。こういうことをしなければならない原因が一体どこにあるかということであります。そうして、それからくる弊害がどれだけあったかということであります。これは自治省にひとつ聞いてみたいと思いますが、こういうことをしなければならない、議会がうるさくて、十分に公営企業の財産の取得だの売り払いができなかったという実例がどこかにあったら、ひとつこれをはっきり示してもらいたい。これは自治省側にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/8
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009・柴田護
○柴田(護)政府委員 三十三条の改正の問題につきましては、ただいま御指摘がございましたように、自治法との関連を考慮に入れ、それに企業の機動力というものを頭に置いて帯いたものでございます。具体的には、おっしゃいましたような不都合がどの程度どこで発生しておるかということは資料を持っておりません。正直に申し上げまして持っておりませんけれども、機動力を増すという考え方から言いますならば、自治法程度のものを公営企業につきましても採用していいのじゃなかろうか、こういう観点からこの規定を置いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/9
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010・門司亮
○門司委員 私は悪口を言えば、長い間の官僚行政になれてきた日本の今日までの国家機構の中で、急に自治法というような新しい法律をこしらえて議会の権限をかなり大幅に認めた。そうすると理事者としては、小じゅうとがおって運営がなかなかしにくいような気分があるであろうということは想像にかたくございません。だからといって、私は自治体の今日までのあり方をくずすわけにはいかない。これは、さっき申し上げましたようにだれの責任かということです。損をしても得をしても、これはすべて地方住民に一切かかってくる問題である。その地方住民の意思決定機関である議会がつんぼさじきに置かれておって問題が処理されるということば私は許されないと思う。百歩譲るならば、それらの事項については当該議会が理事者にこれを委任するといういわゆる議会の決定に基づいて、専決処分にゆだねるという方法をとるならば、これは私はよろしいと思う。それはその自治体の意思決定でありますから、その点は私はあえて自治を侵害するとまでは申し上げません。法律あるいは、しかも施行令の附則ですからね、さっき申しました改正は施行令でもないのですから。そういうことで、官僚の一存で地方自治体の持っております住民の権限を大きく抑圧していくというような法のつくり方について一体どうお考えになりますか。私は、こういう方法はよくない。さっき申し上げましたように、便法はあったはずである、条例によって幾らでも委任はできたはずである、道は開けておるはずである、その道をことさらに閉ざして、官僚の一方的な行政権を強くしていくということは、私にはとても考えられない。あえてここで憲法違反であるかどうかということについての論議をする時間を持ち合わせておりませんが、憲法の趣旨にはまっこうから反するものである。しかも今日の自治法制定の精神から考えても、法の精神にまっこうから反するものの考え方、いわゆる法の発想には非常に大きな誤りをおかしておりはしないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点についてもう一度法制局から御答弁を願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/10
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011・高辻正巳
○高辻政府委員 お話のうちにもありましたように、地方団体についての憲法上の精神と申しますか、これは先ほども申し上げたと思うのでございますが、かなり注意をしているつもりでございます。ただ法制局といたしましては、いろいろ行政の実際に当たっております行政各省の政策というものを法律的な見地から見て、それが支持するに足りるものかどうかという観点から私どもは審査をいたすわけでございますが、特にその審査の要点は、最も大事な点は憲法上の問題であることは言うまでもないわけで、地方公共団体に関しては、地方自治に関する憲法の条章が当然一番問題になるわけであります。私どもは、それについては、先ほども申し上げましたように、かなりの注意を払っておるつもりでございます。今回の法律案につきましては、何がベターかということについてはむろんいろいろ議論があると思います。そうしてまた、先生の憲法に対する非常な御関心といいますか、憲法を守るための御熱意、これは当然といえば当然のことでありますが、それについて非常に熱意のあるお考えを承っておるわけでございますが、先ほども申しましたように、私、今回の法律案においてそういう憲法違反の条章があるとはゆめ思っておりませんが、今後も、いま仰せになったような観点からする注意は十分に怠らないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/11
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012・門司亮
○門司委員 法制局長官におだてられて質問をやめるというわけではございませんが、これ以上この問題を追及している時間がありませんので、かわって、最初にこれは自治省から御答弁が願えれはけっこうだと思います。たしか五月の二十四日の当該委員会であったと思いますが、地方公営企業に対するものの考え方について柴田局長から答弁がされておるように会議録で一応拝見をしたのでありますが、一向要領を得ておりませんので、あらためてもう一度聞いておきたいと思います。
私は、時間がございませんので、私のほうから先に意見衣率直に申し上げておきます。地方公営企業とわれわれが考え、またそういう制度のありますことは、一つの地域社会における住民の日常生活にどうしても必要なものについて、そのものを施行していくにあたって、いわゆる一つの独占企業といいますか、独占企業の営利にこれをまかせるわけにはいかない。したがって、共通の利益を守り、共通の生存権を保持することのために、特に水道等のごときにおいてはこれを公営にするというのが私は公営企業の原理だと考えておる。この点について、一体自治省はどうお考えになるか、あらためてひとつ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/12
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013・柴田護
○柴田(護)政府委員 おことばのように、住民の日常生活に直結をしている、一般の民営の企業に対しまして公共性か非常に強い、こういう事柄で公営企業というものの存立の意義があるというようには考えておるわけでございます。ただ広く公営企業といいます場合には、それのみに限りませずに、もう少し広い概念で把握できるかと思いますけれども、法律で規制しようといたしております公営企業は、ただいま申し上げましたような観点からこれをとらえておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/13
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014・門司亮
○門司委員 そうだといたしますと、この事業の遂行にあたり、いわゆる資金の面に面接関係が出てくるわけでありまして、住民の欠くべからざるものであって、これを営利にまかせるわけにはいかないという原則の上に立ってものを考えてまいりますると、その企業は、あくまで住民の負担能力やあるいはその時限における経済状態等が勘案されて料金等がきめられることが一つの原則でなければならない。同町に、そのこと自体は、住民に欠くべからざるものである限りにおいては、できるだけこれを安くしなければならないということもまた法律の中に書いてある。低廉にこれを支給するということがはっきり書いてある。それらのものを総合いたしてまいりますと、現行の公営企業法の中で一体原資がどうなっておるかということは、自治省のほうがよく御存じだと考える。日本の国鉄その他から考えてまいりましても、すべてが、原資が非常に低いのであって、全部を借り入れ金で行なっておるところに非常に大きな無理がある。私はここにメスを入れない限りは、公営企業は、どんなに公営企業はかくあるべきだという理屈をこねてみたところで、説教してみたところで、直らない。この原資について一体どうお考えになっているのか。地方の自治体は、おそらくこれを自分の持っておる財産でまかなうわけにはまいりませんから、ほとんど全部借り入れ金でやっておる。借り入れ金でやろうとすれば、そこには結局利息を払わなければならない、しかもその利息は非常に高い。ことにはっきり申し上げていけば、最近は私どもは、水道その他においても同じことでありますが、市という一つの区域だけを問題にして論ずるわけにはわれわれとしていかないんじゃないか。かりに横浜なら横浜という、私のいる横浜市だけを限って議論するわけにはいかないのではないか。やはりもう少し広くなって、横浜地区というような関係で、周囲までこれをずっと押し広げていく。従来は市街地だけを見ればよかったものが、郊外へ郊外へと伸びておる。こういうように非常に伸びておる時代における当然の帰結として、資金を必要とすることは論を待たないことであって、その資金が高利であって、しかも短期であるということが公営企業の精神に沿うかどうかということです。私は公営企業自体の本質論から考えていくならば、当然政府が国民の生活を保障するという意味において、この原資だけは、そこから利潤の上がるまでくらいの間は利息を取らない、そうして原資を供給するというたてまえをとるべきではないか。こうしなければ、いつまでたっても、こんな法律をどんなにこしらえたところで、公営企業は、また何年かたてば、現状の社会情勢から見れば赤字になるにきまっている。その辺に対する考え方をもう一度聞かせておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/14
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015・柴田護
○柴田(護)政府委員 お話の点は、基本的にはおっしゃるとおりだと考えております。私どもといたしましては低利、長期資金の確保という立場から、先生御承知のとおり、過去何年かそういう方向でやってまいりました。ただ日本におきまする資金市場と申しまするか、資本市場と申しまするか、そういったような面の制約もございまして、今日思うように理想状態にはいっておりません。基本的にもっと深く考えてまいりますれば、自己資本というものをどう考えるかという問題に帰着するのだろうと実は思うのでございます。これは調査会におきましても、自己資本というものの不足が公営企業というものを非常に危殆におとしいれているのではなかろうかというようなことで、いろいろ御議論がございました。したがって、それをどう考えるかということの結論を、調査会におきましても得られなかったわけでございますけれども、調査会の答申では、御承知のように、当座資金繰りを潤沢にする程度の出資というものは考えろというようなお話もございました。この法律案の運用にあたりましては、少なくともその程度のことは考慮に入れたい、かように考えておるわけでございます。しかし外国の例などを見ましても、自己資本を相当程度持って公営企業を運営している例はあまりございません。むしろ低利の長期資金というものを中心に運営している例が多いようでございます。それをそのまま日本に持ってくることがいいか悪いかという問題はございますけれども、当座自己資本の充実というものをある程度考慮しながら、一方低利、長期の資金の確保ということにつとめてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/15
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016・門司亮
○門司委員 せっかくの答弁ですけれども、私はあと二、三分しか時間がございませんから、長くお話をしているわけにはまいりません。外国の例をお引きになっておりますけれども、外国は古くからの水道の歴史を持っておりまして、ある程度完備されておりますし、したがって従来から背負っておった負債等については大体償還が非常にスムーズにいっておると私は思う。ロスアンゼルスが新しく水道計画をいま立てておるようでありますが、三百三十マイル以上離れておるコロラド川からいま水をとっておりますが、これをコロムビア川に変えようとしておる。こうなってまいりますと、八百マイルから九百マイルもある、そういう大計画をあそこではいま立てようとしておるようなことを私ども聞いております。これらの問題がやれるということは、結局は長い歴史を持って、そうして旧来の借款というものが低利であり長期であった関係からこれを大体償還されておるということである。日本の場合は、急速に伸びておる今日の事態に対処することであります。したがって、外国の例とは非常に違うということであります。急速に伸びて、ここ二、三年の間にばかばかしくこういう問題が起こってきて伸びておるのであります。それに対処するためには、私は従来のあり方、ことに資本主義的のものの考え方でおったのでは、この問題の解決はつかないと思う。したがって、五年計画あるいは十年計画で、十年後に初めて完成されるならば、それまでは政府はほんとうの利息をとらない、原資だけは供給してやるか利息は取らないという、いわゆる住民の負担がその企業に対して過重にならない時期の来るまではこのめんどうを見てやるというくらいの親心がなければ、公営企業法をどんなにこしらえたって、また赤字をこしらえるにきまっているのだから、そして赤字を少しばかり利子の補給をしてやって、それで何とかごまかそうなんといったって、今日の日本の都市行政の中から非常にむずかしい問題を残している。しかし、これらの問題をここで議論をしている時間がございませんからそれくらいにしておきまして、運輸省からおいでになっていると思いますので、運輸省に一言だけ聞いておきたいと思います。
今日の都市交通の赤字の最大の原因がどこにあるかということは、私は運輸省も十分御承知のことと存じます。そこで一つだけ聞いておきたいと思いますことは、よく交通行政の一元化ということばが最近しばしば使われておりますが、一体運輸省としてはこの一元化のためにどういう処置をとられようとしておるのか、その点をひとつこの機会にはっきりお聞かせを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/16
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017・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 いまの御質問でございますが、大都市の交通の一元化の問題と思いますけれども、都市交通におきますところの一元化につきましては、有機的な輸送網を形成いたしまして、国民に最も利便な交通サービスを提供するためには、一元化が望ましいと考えております。実は一元化に至る段階とかあるいは時期とか方法というものにつきまして、特に一元化が完成するまでの間の輸送力の確保というような点につきましては、いろいろと慎重に検討しなければならない問題が多いと思いますので、現在都市交通審議会に諮問いたしております。都市交通審議会の答申を得次第、運輸省におきましてそれに対処する考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/17
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018・門司亮
○門司委員 これ以上時間がございませんか、きわめて不満足な答弁で、私はそんなことを聞いているのじゃないのです。これから審議会にかけてと言われれば、それで逃げられることになろうかと思いますが、問題はもう少し具体的に、いまどういう計画を運輸省として持っているかということです。審議会にかけているから運輸省は何も知らないのだということでは、運輸省としては能がなさ過ぎるのではないか。その具体策があるならば具体策を示してもらいたいということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/18
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019・蜂須賀国雄
○蜂須賀説明員 一元化につきまして、都市交通審議会のほうでも、この問題につきまして非常に時期的に見てむずかしいところがございます。現在都市におきます交通機関は、それぞれ歴史的にでき上がったのでございまして、これに対応しまして、一元化できないまでも、一元化に指向するような同じ効果をあげたいということで、たとえば地下鉄と郊外私鉄との直通運転とかあるいは共通切符の発行とか、そういうような問題につきまして現在進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/19
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020・門司亮
○門司委員 時間がございませんから、これ以上聞いても――私はそういう答弁をお聞きしようと思って実は来ていただいたわけじゃございませんので、私はもう少し運輸省に期待を持っておったわけでありますが、しかしいまの答弁だけでは何が何だかわからない。作文を書いて読むようなものであって、それが実際にできるとは考えられません。これ以上お話し申し上げません。
最後に私はもう一つだけ聞いておきたいと思いますことは、いろいろ問題はあろうかと思いますが、水道あるいは交通というような市民生活に欠くことのできない問題に対する一元化した方策が、政府はどこでどういう形でとられておるか。いまお聞きをいたしますと、運輸省では何か審議会におかけになっているという。水道のほうについても、自治省は公営企業の調査会にかけているという。あるいは厚生省もどこかにお尋ねになっているかもしれない。所轄がみなばらばらになっておって、ばらばらなものが出てきてこしらえれば、満足な家は建たないことはわかり切っている。これは所管の大臣として自治大臣にひとつ聞いておきたいと思いますが、われわれが考えてまいりますと、これをぜひ一カ所にまとめて、そして水道はかくあるべきだ、交通はかくあるべきだということが十分にそしゃくのできるような組織を持っていただきたいと思うのだが、その関係について自治大臣からひとつ所感がありましたら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/20
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021・永山忠則
○永山国務大臣 御説のように交通の一元化の問題はきわめて緊要なものでございますので、現段階におきましては関係閣僚及び関係各省におきまして、これが一元化に対しまして懇談を続けておるのでございますが、将来は一元的運営をやることのできるような方途について、御説のようなぐあいに検討を十分いたしたいと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/21
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022・岡崎英城
○岡崎委員長 華山親義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/22
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023・華山親義
○華山委員 このたびの政府の公営企業法案につきましては、発想がわれわれとは違っております。きわめて不満なものでございますし、これを統一し、今日政府のやっております財政政策等によりまして、はたして再建をしかつ発達をするかということにつきましては相当の疑問を持っております。今日はその根本の問題をお聞きする時間もございませんので、できるだけ具体的の問題にしぼってお尋ねをいたしたいと存じます。
政府の案では、地方公共団体の長及び議会の地方公営企業の管理者に対する指揮監督の権限を、現行法に比べまして縮小いたしております。たとえば第七条の改正規定は、管理者に対する長の指揮監督権を削除しておりますし、また第十三条の二の改正規定は、管理者の他の管理者に対する事務委任について、長の同意を削除いたしております。このようなことは、地方公営企業に住民の意思を反映するという地方自治の本旨からいっても、また長の行政運営の総合調整との関係から見ましても問題があると考えますが、自治大臣の御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/23
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024・永山忠則
○永山国務大臣 地方公営企業を機動的に、能率的に運営するためには、企業の日常の業務執行はできるだけ管理者にゆだねることが望ましいのでございますので、調査会の答申の趣旨に基づきまして、長の指揮監権督についても、公共の福祉に重大なる影響がある場合及び他の執行機関との調整をはかるため必要がある場合のみ必要な指示をすることができることといたしておると同時に、他の管理者に対する料金徴収事務のような事務の委任についても、長の同意は要しないこととする等の改正を行なっておるのでございます。しかし、地方公営企業の運営の基本的事項については、住民の意思が反映されることが必要でありますので、経営の基本方針、予算、決算、料金、重要な財産の取得処分等につきましては、長を通じて議会の議決を要することといたしておるのでございます。長の行政運営の総合調整権につきましては、長に留保されている権限によって十分その機能を確保することができるものと考えておりますけれども、お説のような点につきましては十分考慮を要する問題と考えますので、その運営の結果を見まして、さらに十分検討を続けていきたいと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/24
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025・華山親義
○華山委員 この問題は地方自治の本旨に関する問題でございますから、今後とも十分に留意をして運営を見ていただきたいと思います。
次に政府の案は、地方公共団体の一般会計または特別会計と地方公営企業会計との間の経費の負担区分を明確にすることをたてまえといたしておりますが、これにつきましては次のような問題があります。政府の明確な考え方を示していただきたいと存じます。
一つには、国と地方公共団体または地方公営企業との間の負担区分について明示する必要があると考えるかどうなのか。国と地方との関係につきまして、その点を明確にしていただきたいと存じます。
二つには、いわゆる生活用水等の供給、給水の立地条件の差に基づきます料金の格差を是正するため、国または地方団体の一般会計からの補助についても考慮する必要があるとわれわれは常々申しておるのでございますが、これにつきましての考え方はいかがでございますか。
三には、政府案の第十七条の三に規定する「その他の事情」とは具体的に何をさしているのか。たとえば施設の建設または改良を行なう場合など、地方の自主的な政策決定を行なう場合をさすものと理解していいのかどうか、この点につきまして明確なお答えをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/25
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026・永山忠則
○永山国務大臣 地方公営企業を含めた意味での地方公共団体と国との間の負担区分につきましては、一般的な原則は地方財政法に明示されているところでありますので、それらの規定の趣旨に沿った運営がなされるよう努力してまいりたいと存じております。また各事業についての具体的な国の補助、負担金につきましては、その性格上各事業法に基づいて定められることが望ましいと考えておりますので、必要なものにつきましては、お説の趣旨に沿ってさらに明確にするように検討を進めていきたいと存ずるのでございます。
また、立地条件その他の事由によりまして料金水準が著しく高額となる水道事業に対する財政措置については、おことばのように鋭意検討を続けていきたいと存じておるのであります。
次に第十七条の三の「その他特別の理由により必要がある場合」ということにつきましては、たとえば大都市における斜陽化した路面電車について、他の代替交通機関が整備されるまでの間、合理的経営を行なってもなお生ずる赤字に対しまして補助する場合のような特別の必要がある場合等をいうのでございますが、具体的にいかなる場合がこれに該当いたしますかは、地方公共団体の自主的判断にまかされておるのでございます。
なお、施設の建設または改良を行なうため必要なる場合は、一般的にはむしろ第十八条の規定に基づく出資によることが適当であると考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/26
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027・華山親義
○華山委員 最近地方と国との関係におきまして、当然国が持つべきものを地方に転嫁する傾向が強まっておりますので、この点につきましては今後とも十分に各省と連絡をとられまして、そういうことのないように自治省においても御注意願いたいと存じます。
次に伺いますが、路線免許の許認可についてであります。
調査会の答申によりますれば、都市交通について地方団体の長は当地域の包括的行政責任を持つべきものであります以上、相当規模の都市については、公営、民営を問わず、地域内の路線免許等については当該関係地方団体の長の意見を尊重するように指貫を講ずる必要があると述べておりますが、これに対する政府の講じ、または講じようとする措置について、まず運輸政務次官に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/27
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028・福井勇
○福井政府委員 バス事業におきましては、従来東京都特別区、また大阪市等七都市について長の意見を徴する制度となっております。適正妥当な意見につきましては十分尊重することにいたしております。意味を聞くべき都市の範囲を拡大すること及び他の事業において同様の制度を設けることにつきましては、自治大臣と協議の上、慎重に検討して措置することといたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/28
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029・華山親義
○華山委員 ただいま運輸次官の御答弁がございましたが、自治大臣といたしましてもこの方向に十分の努力をしていただきたいと存じます。所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/29
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030・永山忠則
○永山国務大臣 お説のとおりに十分地方の意見を反映してやるように、運輸大臣とよく協調して進んでいきたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/30
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031・華山親義
○華山委員 次に、国の財政援助を強化するのでなければ、一般国民の生活必需の水あるいは交通等が充実されない実態でございます。この意味におきまして、今後都市過密化の問題等もございますので、政府の援助を特に強化していただかなければいけないと存ずるのでございますが、その点について、水道と地下鉄に対する国庫補助につきまして伺いたいと思います。
水道は、国民の日常生活にとって必需的な性格を持つものであります。したがって、いわゆる生活用水について料金を低くする必要があり、また水道の立地条件の差その他によって起こる負担格差についてもこれを是正する必要があります。このような観点からいたしますれば、右のような事態を解決するために、工業用水道事業と同じように、水道事業に対しても国から財政援助をする必要があると考えますが、いかがでございますか。これが第一点。
また、地下鉄はいまや大都市の住民の足となっておりますし、この発達がなければ都市交通は解決できません。このような見地から、その料金は利用者の負担に耐え得る程度の額にとどめる必要があるとともに、企業の資本費の負担を軽減する意味からも、その地下構造物及び高架部分については少なくとも国道並みの国庫補助を行なうべきであると考えておりますが、いかがでございますか。
第三に、企業における資本費は毎年増大いたしております。そこで資本費の軽減をはかる意味から、少なくとも住民に直結する水道、交通等については利子を軽減するとか償還期限を延長するとか企業債の借りかえを認めるとかいたしまして、その資本費負担を大幅に軽減する必要があると存じます。またこのような見地から、企業債に対する資本量の増大をはかるとともに、政府資金の割り当てを増加し、また公営企業金融公庫に対する政府出資を増加し、利子の軽減をはかるべきだと存じますが、この点につきましていかがでございますか。
また、国が公共料金抑制策によりまして地方公営企業に協力を求めたような場合には、また求めようとする場合には、当然これはその収入減に対しまして国が財政上適切な措置を講ずる必要があるものと考えますが、この点はいかがでございますか。
いろいろな項目にわたりますが、まず自治大臣から御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/31
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032・永山忠則
○永山国務大臣 立地条件に恵まれていない等のために料金水準が著しく高くつきまするところの水道事業につきましては、お説の線に従いまして、住民の負担能力を勘案をして必要なる財政措置を講ずるように努力をいたしたいと存じております。
また大都市における高速鉄道につきましては、地下または高架の構築物の建設費に対する財政的援助が必要と考えられますので、早急にこれに対する対策を検討いたしたいと存じております。
水道、交通等きわめて公共性の高い公営企業につきましてはその利子負担を軽減し、資金繰りを緩和するために、今後ともできる限り利率、償還年限等の貸し付け条件の改善をはかることに努力をいたし、また借りかえ等の措置をも講ずるよう努力をしてまいりたいと存じております。
また企業債につきましては、その必要額の確保、貸し付け条件の改善につきまして従来から努力を重ねてきておるところではございますが、今後はさらに資金量の増大あるいは公営企業金融公庫の貸し付け条件の改善、企業債に対する政府資金の充当割合の増加等について、お説のように今後一そうの努力を払っていく所存でございます。
国が政策的な必要から地方公営企業の料金を抑制するよう協力を求めるような場合、また求めた場合、その結果地方公営企業の収入に減少を来たすような場合には、御指摘のようにその収入減に対しまして財政上適切なる措置を講ずべきであると考えて、今後も努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/32
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033・華山親義
○華山委員 ただいま自治大臣は、私のお尋ねしたことにつきまして今後一そうの努力をいたしたいと言っておられますが、これにつきましては関係各省のこれと歩調を合わせられるものでなければできません。それにつきまして、水道につきまして厚生政務次官は自治大臣の言われた趣旨を尊重しておやりになるお考えであるかどうか、伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/33
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034・佐々木義武
○佐々木(義)政府委員 ただいま自治大臣から御答弁のありましたとおりでございまして、厚生省といたしましても、その趣旨に沿いましてできるだけの努力を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/34
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035・華山親義
○華山委員 地下鉄その他の交通機関につきまして、運輸省政務次官の御覚悟をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/35
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036・福井勇
○福井政府委員 自治大臣の答弁されましたとおりに、運輸省といたしましてもできるだけの協力をする態勢を整えたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/36
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037・華山親義
○華山委員 地方公営企業の最も根本的な問題は財政の問題でございます。すべての資本を借金でやっていくというふうなことは、これは地方公営企業の最大の欠陥だと私は存じます。この点につきまして、しかしこういうやり方である以上、どうしても大蔵省は一般民衆の生活のために、この欠陥を是正するために最大の努力をいたしていただかなければならない、こういうふうに考えます。自治大臣はきわめて熱意を持ってこの問題に取り組まれるようでございますが、財政当局といたしまして大蔵省政務次官の所見を伺っておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/37
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038・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 地方財政健全化に占める公営企業の財政の問題は、御説のとおりきわめて重大な問題と心得ます。所管大臣からそれぞれ御答弁がございました趣旨を十分検討いたしまして、極力御趣旨に沿うように善処いたしたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/38
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039・華山親義
○華山委員 次に自治大臣にお伺いいたしますが、財政再建計画の承認をいたします場合に最も問題を含む問題は、労働基本権との関係でございます。自治大臣は財政再建計画の承認を行なうにあたりまして、またこれを指導するにあたりまして、企業職員の持っておるところの団体交渉権及び団体協約締結権をあくまでも保障して行なわれる気はあると思うのでありますが、これに対する自治大臣の御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/39
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040・永山忠則
○永山国務大臣 企業職員に認められておりまする団体交渉権及び労働協約締結権は、再建団体なるがゆえに制約されるものではございません。しかし企業の再建は管理者のみの努力で実視できるものではないのでございますので、労働組合の大局的見地に立っての理解と協力を特に要請をいたしたいと考えておるのでございます。自治省といたしましてはこの見地に立って、行き過ぎのないように十分留意をして善処をしていきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/40
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041・華山親義
○華山委員 次に伺いますが、料金の問題でございますけれども、政府は料金決定の基準として適正な原価をあげております。しかしこのほかにも、その時の経済の事情その他諸般のことからいたしまして、住民の負担能力とか、その際の経済の事情とか、そういうものをあわせて考慮する必要が私は場合によっては生ずると思うのでございますが、この点につきまして今後の自治省の方針について大臣から所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/41
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042・永山忠則
○永山国務大臣 地方公営企業の料金決定の基準といたしましては、能率的な経営のもとにおける適正なる原価を基礎とすべきものでございます。もちろん政府といたしましても地方公営企業の公共性にかんがみまして、従来からコスト引き下げのために企業債の利率の引き下げ、償還年限の延長等の措置をとってきたところでございますが、なおこの線に沿って努力いたしまして、適正な料金になるよう配慮を十分いたしたいと考えます。
なお、地下鉄事業、あるいは建設コストの多額にのぼる水道事業等、原価主義によって料金を決定することが住民の負担能力から見て困難と思われるものがございますが、これらにつきましては、お説のように別途の財源措置によりましてコストの切り下げをはかるよう今後とも一そう努力を続けて、御意思に沿うようにいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/42
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043・華山親義
○華山委員 次に、自治大臣に一点伺いますが、政府案の第五十一条は、地方財政再建促進特別措置法第二十一条を準用いたしております。これは自治大臣が、再建企業の財政運営が財政再建計画に適合しない場合にはその執行の停止を求める権限を留保いたしておるものでございます。もし再建企業がこれに応じないような場合には、財政再建債の利子補給を停止することができるという強力な権限を持っております。このようなことは、地方団体の自主性から見て問題があると思うのでございますが、どういうふうにお考えになりますか。特に私の心配いたしますことは、執行停止を求める権限の中には、労働協約の効力停止を求めることもあり得るのでございまして、このようなことがございますというと労働協約を無意味にし、かつ当事者能力を喪失させるものでございます。このようなことにつきましての所見を伺っておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/43
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044・永山忠則
○永山国務大臣 財政再建団体が財政の運営において万一財政再建計画に違反するような事態が生じた場合には、自治大臣は、予算のうちの過大と認められる部分の執行停止等必要な措置を講ずることを求めることかでき、また、この求めに応じない場合には再建債の利子補給を停止することができることとされているのでありますが、再建計画を誠実に実行することを条件として国の財政援助措置を受けている以上、この条件がくずれた場合には、政府としてはこの程度の要求ができることとすることはやむを得ないことであると考えられるのでございます。
また労働協約につきましては、かりに財政再建計画に抵触するようなものがありましても、それによって当該労働協約の効果が失なわれるものではないのでございます。しかし、企業の再建は管理者、労働組合一体となって努力をしなければならないものでありますので、労働協約の締結もその線に沿って行なわれることを期待しておるものでございます。普通会計の再建の場合でもこの規定の発動を見たことはないのでありますが、その運営につきましては御趣旨の点を十分体しまして、遺憾なきように自重してまいりたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/44
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045・華山親義
○華山委員 私の質問はこれで終わります。
最小限度の質問をいたしたのでございますけれども、私は、この法律によって、はたして再建が軌道に乗り、かつ大衆のために発達するかどうか非常に疑問に思いますが、少なくともいま私がお尋ねをいたしまして御回答になった点は、単なる回答ではなく、ぜひ政府におきまして全力をあげて実行し、また尊重していただきたいと存じます。
これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/45
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046・岡崎英城
○岡崎委員長 内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案に対する質疑は、ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/46
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047・岡崎英城
○岡崎委員長 なければ、本案についての質疑はこれにて終了いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/47
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048・岡崎英城
○岡崎委員長 この際、委員長の手元に、内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案に対し、渡海元三郎君、紺谷治嘉君及び門司亮君から、三派共同提出にかかる修正案が提出されております。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/48
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049・岡崎英城
○岡崎委員長 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。渡海元三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/49
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050・渡海元三郎
○渡海委員 ただいま議題となりました自民、社会及び民社の三党共同提案にかかる内閣提出の地方公営企業法の一部を改正する法律案に対する修正案について、三党を代表して、その提案の理由及び内容の概要を申し上げます。
御承知のとおり、内閣提出の改正案は、地方公営企業の健全なる発展をはかるため、地方公営企業制度に所要の改正を加えるとともに、過去に生じた赤字を計画的に解消するための財政再建措置を講じようとするものでありますが、この際、財政再建債に対する国の利子補給の拡大、償還年限の延長等、地方公営企業に対する国の財政援助措置を強化するとともに、職員の給与並びに赤字企業に対する自治大臣の財政再建勧告権及び企業債の制限に関する規定等に所要の修正を行なおうとするものであります。
次に、修正案のおもな内容について御説明いたします。
その一は、地方公営企業に対する国の財政援助措置を強化しようとするものであります。
すなわち、国は、地方公営企業の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、法令の範囲内において資金事情の許す限り、企業債の償還、借りかえ等につき特別の配慮をすることといたしました。また、財政再建債の対象となる赤字は、政府案におきましては昭和三十九年度末の赤字としておりましたが、これを昭和四十年度末の赤字とし、当該財政再建債に対する国の利子補給につきましても、政府案では年六分五厘をこえるものについて年一分五厘を限度とするとしておりましたが、これを年三分五厘をこえるものについて政令で定める基準により年四分五厘を限度として利子補給するとともに、財政再建期間及び財政再建債の償還年限につきましても、政府案のおおむね五年度をおおむね七年度に延長することといたしました。
その二は、給与等に関する規定の修正であります。
すなわち、給与の改正に関する政府案は、職員の給与は、職員の発揮した能率が十分に反映され、かつ給与の決定にあたっては、生計費並びに同一または類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与に加えて当該地方公営企業の経営の状況を考慮して定めなければならないとしておりましたが、給与の決定にあたってはこれら以外の諸要素をも総合的に考慮する必要があると認められますので、当該地方公営企業の経営の状況のみならず、その他の事情も考慮しなければならないものとするとともに「能率が充分に反映されなければならない」という字句を「能率が充分に考慮されなければならない」と修正いたしました。
また、赤字企業の財政再建策は、これを長期的に見る必要があり、法律で一律に強制することは好ましくないとの見地から、自治大臣が赤字企業を経営する地方公共団体に対し財政の再建を行なうよう勧告することができる旨の規定及び財政の再建を行なわない赤字企業に対する企業債の制限に関する規定を削除いたしました。
その他、適当な準備期間を置く趣旨から、地方公営企業の組織、財務等に関する規定の施行期日を政府案の昭和四十一年十月一日を昭和四十二年一月一日とすることといたしました。
以上が、この修正案の提案の理由及びその内容の概要であります。何とぞ全会一致賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/50
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051・岡崎英城
○岡崎委員長 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。
この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により内閣の意見を聴取いたします。永山自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/51
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052・永山忠則
○永山国務大臣 政府といたしましては、この修正はやむを得ないものと考えております。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/52
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053・岡崎英城
○岡崎委員長 これより内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案及び同法律案に対する修正案を一括して討論に付します。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。大石八治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/53
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054・大石八治
○大石(八)委員 私は自由民主党を代表して、地方公営企業法の一部を改正する法律案に対する三党共同提案の修正案及び修正部分を除く政府原案について賛成の討論を行なわんとするものであります。
御承知のように、近年、地方公営企業は生活水準の向上や地域開発の進展に伴い急速な拡大発展を続けておりますが、一方その経営の状況は悪化の一途をたどり、昭和四十年度における累積赤字は年間料金収入の二六%に当たる九百五十億円の巨額に達するに至っております。地方公営企業の経営がこのように悪化した原因としては、人口集中に伴う急速な施設拡充の要請による借り入れ金の増大、料金改定の遅延、人件費の急増、経営合理化の不徹底等があげられますが、基本的には企業の管理体制、給与制度、一般会計等との負担区分の不明確、料金の決定方法等総合的な都市政策の欠除にも問題があると考えられるのであります。したがいまして、今後地方公営企業が健全な発展を続けていくためにはその合理的、能率的運営が可能となるよう現行制度に所要の改善を加えるとともに、過去に生じた赤字を計画的に解消するための措置を講ずることが必要であると考えるのであります。
かような見地から、このたび政府が地方公営企業制度調査会の答申の趣旨に基づいて地方公営企業法に所要の改正を加え、制度の改善をはかるとともに財政再建についての措置を講ぜんとしていることは、まことに時宜を得た措置といわなければなりません。
その内容については、ここで詳細に述べることは省略いたしますが、政府案は地方公営企業を取り巻く外的要因の改善について必ずしも満足できるものではなく、かつまた財政再建に対する国の財政援助策についてなお不十分な点があります。
このような意味から、このたび三党から共同で提出されました本法案に対する修正案に賛成の意を表したいのであります。
すなわち、右修正案によれば、国は地方公営企業の健全な運営を確保するために企業債の償還、借りかえ等について特別な配慮をする旨の規定を加えるとともに、財政再建債の対象となる赤字を昭和四十年度末の赤字とし、その利子補給についても年三分五厘をこえるものについて政令で定める基準により年四分五厘を限度として補給するものとし、さらに財政再建債の償還年限もおおむね七年度に延長し、かつ法律による財政再建に際し無用の摩擦を生じないよう、赤字企業に対する自治大臣の財政再建勧告権及び企業債の制限に関する規定を削除いたしております。
また、企業職員の給与の決定の基準につきましても生計費、同一または類似の職種の国及び地方団体の職員並びに民間事業の従事者の給与、当該企業の経営の状況のほか、その他の事情をも考慮して定めなければならないものとしております。
以上述べました修正案に対しまして、私は前に述べたような趣旨から全面的に賛意を表するとともに、右修正部分を除いた政府原案に対し賛成をいたすものであります。
終わりに際しまして、特に政府に要望いたしたいことは、地方公営企業は国民の生活水準の向上、あるいは地域開発の進展に欠くことのできないものであることにかんがみ、地方公営企業の健全な発展をはかるために国は地方公営企業に対する財政援助措置の強化及び地方公営企業の指導育成に積極的な努力を払うべきであるということであります。
この要望を添えて私の賛成討論を終わりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/54
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055・岡崎英城
○岡崎委員長 島上善五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/55
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056・島上善五郎
○島上委員 私は日本社会党を代表して、ただいま上程されております地方公営企業法の改正案に関し、三党共同の修正案に賛成し、修正部分を除く政府原案に反対の討論を行ないます。
まず、修正部分を除く原案に対する反対の理由を述べます。
この法案を提出するに至った理由として、近年著しく増大した地方公営企業の累積赤字を解消し、企業の健全なる発展を続けるよう、地方公営企業制度調査会の答申の趣旨に基づいて所要の改正を加えるといっているのでありますが、私は以下数点にわたり、この政府原案ではとうてい累積赤字の解消、健全なる経営ということが不可能であるという点を指摘いたしたいと存じます。
その第一は、累増する赤字の現象面にのみ目を奪われ、赤字のよって起こる原因を十分に究明していないことであり、したがって赤字解消の対策もきわめて不十分であるという点であります。高度経済成長政策によって拍車を加えられた人口の過度の都市集中は、都市構造に大きな変化を生み、あらゆる面にひずみを生じておりますが、なかんずく都市交通においては交通戦争、交通地獄のことばさえ使われるほど極度の混乱と渋滞となっているのであり、これが企業の経済性に致命的打撃を与えていることは明らかな事実であります。この混乱、渋滞を解消をするため、地下鉄建設が時代の要請となってはいるものの、膨大なる建設費を要し、今日のようなスズメの涙にひとしい政府補助では企業の経済性を保つことはとうてい不可能であります。水道においても同様で、急激なる人口増その他の社会的、要請による需要増に応ずるためには巨額の投資を必要とし、これまた独立採算はとうてい不可能であります。その上政府の経済政策の失敗に基因する物価の著しい値上がりは企業経費の急増を来たしており、また公共負担的性格の経費も近年とみに増大しつつある反面、公共料金なるがゆえの抑制政策より起こる膨大なる収入欠陥という矛盾に板ばさみとなっている事実も見のがし符ないのであります。これを要するに赤字の最大原因は外的条件であって、企業内努力によってはいかんともしがたいものであります。この外的条件はおおむね政府の施策の失敗もしくは当然政府が負うべき責任の回避によるものであって、この根本にメスを加え、政府の負担を明確にすることなく、企業と地方公共団体にのみ不当な重荷を負わそうとする本案によっては、とうてい地方公営企業の公共事業としての再建と発展は期待できないのであります。
第二に指摘しなければならない点は、この法案は地方公営企業における労働者の存在を全く無視した、というよりはむしろ労働者に対する挑戦的なものであるということであります。もともとこの法改正の前提となった地方公営企業制度調査会に、企業に働く労働者の代表を一人も加えず、労働者の意見に耳をかさなかったことの片手落ちが問題であり、誤りの第一歩でありますが、その結果として出た答申には、「職員及び労働組合も」企業の発展に「協力を惜しむべきではない。」と命令口調でいっているのであるが、労働者に対する思いやりなどみじんもない、そしてこれを受けたこの法案も労働者の当然取得すべき労働基本権や生活権に対しては何らの配慮もなく、反対に、既得の権利さえも取り上げようとしているのであります。地方公務員の身分を有する企業職員の給与に能率給、経営の状況等の観念を導入したことは、国家公務員の身分を持つ現業職員の給与規定にはないところであって、自治省が常に主張している地方公務員は国家公務員に準ずるとの従来の方針に反するばかりでなく、この改正によって、逆に国家公務員の現業の職員にもこれを及ぼす突破口となる危険性を感ずるのであります。
また、給与規定をこのように改正するならば、当然労働基本権の拡充、ストライキ権の復活がなされなければならないのに、反対にこの法によって労使が自主的に行なうべき団交に強い一定のワクをはめ、さらに再建計画の承認にあたっては大臣が団交の結果を否認し得るようなおそるべき労働権否定の落とし穴さえ用意されているのであります。
この法改正は、最近そうでなくてさえ合理化によって物価上昇の中に賃金低下の攻勢が次から次へと加えられて苦んんでいる地方公営企業労働者に、権力をかさにした一そう強い合理化攻撃をもたらすであろうことは明らかであり、その結果は、公営企業再建に労働者の協力を一そう必要としている時期に、労使関係は絶え間なき泥沼的紛争となるおそれがあるのであります。これでは断じて地方公営企業の再建などはできるものではありません。
次に指摘いたしたい点は、地方自治の侵害についてであります。今日、地方公営企業は地方公共団体の重要な事業であり、今後ますます重要性を増大し、拡大する機運にあるとき、地方の首長と議会の権限を縮小するこの改正案には、企業の利用者であるとともに所有者でもある地方住民の企業に対する発言権を奪い、住民自治の基本を破壊するものであります。その反面、管理者の権限を強めて、自治大臣がこれに関与する、介入する権限を強めていることは、明らかに政府による地方自治の侵害であって、われわれの断じて了承できないところであります。東京都議会をはじめ、多くの地方議会が自民党の議員をも含めて、こぞってこの点に反対しているのをよもや御存じないはずはないと思います。
最後に申し上げたいのは、これまた答申にある一項でありまするが、交通事業の一元化の問題であります。本来、都市における交通は、地下鉄をも含めて一元的に運営さるべきものであることはおそらく異論のないところであり、東京の場合などは昔からの懸案の問題であり、調査会でもすみやかに解決すべきものと答申しているのに、今回はたとえ関係法律は違うといいましても、全くこの問題を置きざりにし、将来その方向で努力する云々のあいまいな大臣答弁では、とうてい問題の解決は期待できないのであります。
まだ幾つか問題点はありまするけれども、時間がありませんので省略いたしまして、最後に一言だけ三党修正に賛意を表しておきます。
以上述べたこの法律案には幾多の欠陥があるので、私たちは自治省に対して、今国会成立を断念して練り直すことを求めておったのでありまするか、三党代表によって、社会党案の考えを取り入れた修正案ができましたのでこれを了とし、労使間の問題をはじめなお修正すべき多くの点を次の国会に懸案として残すこととして、三党修正に賛意を表し、修正部分を除く政府原案に反対の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/56
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057・岡崎英城
○岡崎委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/57
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058・門司亮
○門司委員 ただいま上程されております地方公営企業法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の意思を表示するものであります。もっともその中で、修正部分に対しては、私ども必ずしも反対するものではございません。
私が、本案に反対する理由の一つは、この法案の発想が譲りをおかしておるということでございます。今日の地方公営企業の赤字、さらに経営難は、内部におけるいろいろな諸問題も必ずしもないとは言えないと思いますが、主とした原因は、あげて外部要因によるということでございます。ところが、案の内容を見てみますると、全くそれらについては何ら触れておらない。すべてが合理化と事業に対しまする中央の監督の強化と同時に、地方議会の権限の削除等によって、逆に申し上げてまいりまするならば、地方の自治体の住民の権利をすら抹殺しようとするような、きわめて非民主的の法案であると申し上げたほうがよろしいかと存じます。
今日の地方の公営企業の最も大きな財政難の原因は、先に島上君からも申し上げましたように、急速に伸びてまいります都市構造の変化による要因が一つと同時に、もう一つは、従来からの地方公営企業に対しまする短期で高利の融資を政府がしておったところに大きな問題がありはしないか。外国の例を見てまいりましても、かなり大幅の償還期間と同時に、低利によって最初の事業計画の遂行にはこれが充てられておるのであります。こういう外部要因を忘れ、内部要因にその更生を求めようとすれば、そこには労働強化の問題が起こり、先ほど申し上げましたような議会の権限の縮小が起こり、長の権限のこれまた圧縮が行なわれることは当然であります。ことに将来この法案の施行にあたって強くわれわれが指摘しなければならないことは、この法案が、地方公営企業という一つの企業の中に、交通があり、水道があり、病院があり、あるいはガスがあり、電気が含まれておる。これらに従事する従業員が、もし法案に書いてあるその事業の経営内容その他によって、かりに給与を勘案するということを強く打ち出されてまいりまするならば、地方の自治体の長として、これを一括して受け持っておりまする長のこれに対する配慮はきわめて複雑なものがあり、また地方の自治体全体における公営企業のいわゆる従業員に対する給与の不均衡からくる問題をどこでこれを処理しようとするのか。国における三公社五現業と申しましても、専売公社にしても、電電公社にしても、国鉄にしても、その企業は一つの監督官庁であり、一つの経営主体になっておる。したがって、地方の自治体とはその趣が非常に異なっておる。これをあたかも国の公社あるいは五現業と同じような角度から見るということは、地方公務員に対しまする給与の査定において大きな問題を起こすと考える。もしこのことが、われわれが杞憂しておるようなことになってまいりますならば、公営企業の運営については非常に大きな蹉跌を来たし、地方住民の迷惑はかなり大きなものがあろうかと考えております。こういう点等についても、私はもう少し法案の配慮が必要でなかったかということ、したがって、時間もございませんからこれ以上多くを申し上げませんが、法案の発想についてあやまちをおかしておるこの法案に賛成するわけにはまいりません。
私は、ここに修正案に賛成の意を表し、原案に反対の意見を申し述べるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/58
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059・岡崎英城
○岡崎委員長 以上で討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。
まず、内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/59
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060・岡崎英城
○岡崎委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただい左可決されました修正部分を除いた原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/60
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061・岡崎英城
○岡崎委員長 起立多数。よって、内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案は、三派共同提出にかかる修正案どおり修正議決すべきものと決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/61
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062・岡崎英城
○岡崎委員長 この際、和爾俊二郎君、秋山徳雄君及び門司亮君から三派共同提出をもちまして、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。和爾俊二郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/62
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063・和爾俊二郎
○和爾委員 ただいま議題となりました自民、社会、民社の三党共同提案にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、三党を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。
附帯決議の案文はお手元に配付されておりますので、朗読は省略をさしていただきます。
御承知のとおり、近年における水道、交通等地方公営企業の財政悪化の現状にかんがみまして、国は、地方公営企業の健全なる発展をはかるため、左の諸点に留意すべきであると思うのであります。
第一は、人口の都市集中など社会環境の変化に伴う水需要の増大により、地方団体は水道の新設、増設、改良等、膨大な建設投資の必要に迫られておりますが、水の必需性と地方財政の窮状に対処するため、並びに工業用水道に対する補助制度にも照らし、上水道卒業に対し国の財政援助措置を強化すべきであり、また、大都市における地下鉄道卒業は、交通混雑緩和のための都市改造事業である実態に基づき、道路等の公共施設に対する国庫負担制度に準じ、その建設費について国が負担する制度を確立するなど、積極的な財政援助措置を充実する必要があると思うのであります。
第二は、公営企業金融公庫は長期、低利、かつ安定した資金を地方団体に供給し、地方公営企業の経営を助け、その発展に尽力しているのでありますが、国は同公庫に対する出資を大幅に増額する等によって水道事業や交通事業等に対する企業債の利率の引き下げや、耐用年数に見合う償還年限の延長など、企業債の貸し付け条件を一そう改善し、もって地方団体の公営企業を推進し、住民福祉の増進に寄与すべきものと思うのであります。
第三は、国は、物価政策に伴い地方公営企業の料金抑制について地方団体に協力を求める場合は、それによって生ずる減収に対しては、国の責務においてこれに相応する適切な財政援助措置を講じ、もって地方公営企業の健全な運営を確保する必要があると思うのであります。
以上が提案の趣旨であります。
何とぞ皆さまの御賛同をお願い申し上げます。
―――――――――――――
〔参照〕
地方公営企業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、地方公営企業の健全な発展をはかるため、左の諸点について留意すべきである。
一 水道事業及び地下鉄事業に対する国の財政援助措置の強化に努めること。
二 公営企業金融公庫に対する政府出資を増額する等により、水道事業、交通事業等住民に直結する地方公営企業に対する企業債の貸付条件の改善に努めること。
三 国の公共料金抑制策により地方公営企業を経営する地方公共団体に対し協力を求める場合は、当該地方公営企業の健全な運営が確保されるよう財政上適切な措置を講ずること。
右決議する。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/63
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064・岡崎英城
○岡崎委員長 これより本動議について採決いたします。
本動議のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/64
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065・岡崎英城
○岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は和爾俊二郎君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、永山自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。永山自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/65
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066・永山忠則
○永山国務大臣 御趣旨を尊重いたしまして、善処いたしたいと存じます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/66
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067・岡崎英城
○岡崎委員長 おはかりいたします。
ただいま修正議決されました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/67
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068・岡崎英城
○岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/68
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069・岡崎英城
○岡崎委員長 次に、風俗営業等取締法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、風俗営業等に関する調査小委員会、理事会または各党間において協議が行なわれておりましたが、その結果に基づき、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して亀山孝一君から、お手元に配付いたしておりますとおり風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を本委員会提出の法律案として決定すべしとの提案がなされております。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/69
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070・岡崎英城
○岡崎委員長 この際、その趣旨について説明を求めます。亀山孝一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/70
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071・亀山孝一
○亀山委員 お手元にお配りしてあります案文は、先般来、自由民主党、日本社会党及び民主社会党との間において、それぞれ検討を続けておりましたところ、このほど意見の一致を見るに至ったものであります。
本案は、三党の合意による成案でありますので、国会法第五十条の二の規定により、本委員会提出の法律案として、その成立を希望いたす次第であります。
その立案の趣旨及び内容の概要につきまして便宜私から御説明いたします。
まず法律案の全文でありますが、これはお手許に配布してあります印刷物によることとし、朗読を省略させていただきます。
次に、この法律案を立案した理由を申し上げます。
御承知のように、過ぐる第四十六回国会におきまして風俗営業等取締法の一部改正が行なわれましたが、その際、政府は風俗営業等に対してさらに有効適切な取り締まりが可能となるよう現行法体系を根本的に再検討する等、全般的に整備するとともに、風紀上、法律上に問題の多いトルコぶろ、ヌードスタジオ等の営業の規制についても、現行法令の改正等により、すみやかに抜本的な対策を確立してその実効を期すべき旨の附帯決議が付され、その附帯決議の趣旨に沿い、本委員会に風俗営業等に関する調査小委員会が設けられ、白来、今国会に至るまで約三カ年間にわたり熱心に調査を進めてまいりました結果、去る五月二十四日小委員長報告が行なわれた次第であります。
この法律案は、このような経緯を踏まえ、小委員長報告を基礎として立案されたものでありまして、その目的とするところは、善良な風俗を維持するため、トルコ風呂営業について、風俗環境浄化の観点から必要な場所においては営業の場所の制限を行なうこと、トルコぶろ営業者等がトルコぶろ営業に関して売春、わいせつその他風俗犯罪を犯した場合には営業停止の処分ができるようにすること、及びストリップ劇場等の興行場営業についても、これらの興行場営業者等が公然わいせつの罪等を犯した場合には営業停止の処分ができるようにすること等により、いまや大きな社会問題と化しているこれらの営業に対して必要な規制を加えようとするものであります。
あらためて述べるまでもなく、風俗上、法律上に問題の多いトルコぶろは、公衆浴場法によって特殊浴場としての許可を受ける営業でありますが、これらのトルコぶろ営業におきましては、浴室の中で客にいかがわしいサービスが行なわれ、または売春が行なわれている等の事例が多いため、世間からは、この種営業に対して、売春防止法の施行によって姿を消した娼家の変形である、などときわめて手きびしい批判が行なわれております。
あたかもこれらの批判を裏書きするかのように、トルコぶろ及びミス・トルコの数は、近々数年の間にウナギ登りに増加し、昭和四十一年五月現在においてトルコぶろ六百七十五軒、ミス・トルコ九千七十二名となっておりますばかりでなく、風俗事犯の面から見ましても、昨四十年八月から九月にかけての警視庁による一斉取り締まりの結果によれば、当時全国五百四十四カ所のトルコぶろ営業のうち、その約四分の一に当たる百三十六カ所において違反行為が認められ、二百五十八名の者が各種法令違反被疑者として検挙されているのであります。そればかりでなく、各地の熾烈なるトルコぶろ建設反対運動を見ましても、もはや業者の自粛などで解決できる段階ではないと存ずるのであります。
同様のことは、ストリップ劇場やヌードスタジオ等の興行場営業についてもいえるのでありまして、警察庁が昨年八月下旬にこれらの興行場営業について一斉取り締まりを行なったところによれば、ヌードスタジオについては二百軒のうちその三四%に当たる六十八軒で違反行為が認められ、公然わいせつ罪などによって百三十一名が検挙され、ストリップ劇場においても三百十三軒のうちその二九%に当たる九十軒で違反行為が認められ、公然わいせつ罪などによって三百八十四名の者が検挙されている実情でありまして、とうてい放置を許されない状況であります。
次に、本案の内容について御説明いたします。
まず、トルコぶろ営業に対する規制から申し上げますと、第一に、トルコぶろ営業は、官公庁施設、学校、図書館及び児童福祉施設並びにその他の施設で善良の風俗を害する行為を防止する必要上、都道府県が条例で定めた施設の周囲二百メートルの区域内では営業を営むことができないこととしております。
第二に、都道府県は、善良の風俗を害する行為を防止するため必要があるときは条例により、地域を定めてトルコぶろ営業を営むことを禁止することができることとしております。
第三に、以上に述べましたトルコぶろ営業に対する場所の規制は、これらの規定の施行、または適用の際、現に公衆浴場法の許可を受けてトルコぶろを営んでいる営業者の営業については適用しないこととしております。
第四に、都道府県公安委員会は、トルコぶろ営業を営む者、またはその代理人、使用人その他の従業者が、トルコぶろ営業に関して売春、わいせつその他の風俗犯罪を犯した場合には、八カ月をこえない範囲内で期間を定めて営業の停止を命ずることができることとしております。
次に、興行場営業の停止について申し上げます。
都道府県公安委員会は、ストリップ劇場、ヌードスタジオ等の興行場営業を営む者、またはその代理人、使用人その他の従業者がその営業に関し、公然わいせつの罪等を犯した場合には六カ月をこえない範囲内で期間を定めて営業の停止を命ずることができることとしております。
以上の措置に伴い、罰則その他所要の規定を整備するとともに、この法律は、昭和四十一年七月一日から施行することとしております。
なお、世上これらの営業と同様に、善良な風俗を害するものとして強く批判されておりますいわゆる浮世ぶろにつきましては、その実態が公衆浴場であるものについてはあらためて公衆浴場法の許可を受けさせるように行政指導を行なう等、現行関係法令の適切な運用とこの法律案により、十分対処し得るものとしております。
以上がこの法律案の立案の趣旨及びその内容の概要であります。
何とぞ、全会一致御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/71
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072・岡崎英城
○岡崎委員長 ただいまの案について、御発言はありませんか。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/72
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073・岡崎英城
○岡崎委員長 別に御発言がなければ、おはかりいたします。
風俗営業等取締法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/73
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074・岡崎英城
○岡崎委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104720X04419660621/74
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