1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年一月十八日(火曜日)
午前十時二十三分開会
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委員の異動
一月十八日
辞任 補欠選任
大谷 贇雄君 北畠 教真君
北條 浩君 鬼木 勝利君
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出席者は左のとおり。
委員長 西田 信一君
理 事
青柳 秀夫君
植木 光教君
日高 広為君
成瀬 幡治君
中尾 辰義君
委 員
青木 一男君
伊藤 五郎君
大竹平八郎君
北畠 教真君
木暮武太夫君
西郷吉之助君
西川甚五郎君
林屋亀次郎君
藤田 正明君
木村禧八郎君
柴谷 要君
田中寿美子君
戸田 菊雄君
鬼木 勝利君
瓜生 清君
須藤 五郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
自 治 大 臣 永山 忠則君
国 務 大 臣 藤山愛一郎君
政府委員
行政管理庁行政
管理局長 井原 敏之君
経済企画庁調整
局長 宮沢 鉄蔵君
経済企画庁国民
生活局長 中西 一郎君
経済企画庁綜合
計画局長 向坂 正男君
大蔵政務次官 竹中 恒夫君
大蔵大臣官房財
務調査官 吉国 二郎君
大蔵省主計局次
長 鳩山威一郎君
大蔵省主計局次
長 岩尾 一君
大蔵省主税局長 塩崎 潤君
大蔵省理財局長 中尾 博之君
大蔵省証券局長 松井 直行君
大蔵省銀行局長 佐竹 浩君
大蔵省国際金融
局長 鈴木 秀雄君
国税庁長官 泉 美之松君
通産省重工業局
長 川出 千速君
自治省財政局長 柴田 護君
自治省税務局長 細郷 道一君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
通商産業省企業
局次長 両角 良彦君
参考人
日本開発銀行理
事 淡河 正君
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本日の会議に付した案件
○昭和四十年度における財政処理の特別措置に関
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○租税及び金融等に関する調査
(日産・プリンスの合併問題に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/0
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001・西田信一
○委員長(西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、北條浩君が委員を辞任され、その補欠として鬼木勝利君が委員に選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/1
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002・西田信一
○委員長(西田信一君) それでは、昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/2
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003・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私は新米で初めての質問なんでありますから、いろいろと脱線することがあるかもしれませんけれども、その点はあらかじめひとつ御了承願っておきたいと思います。
それで、最初に大蔵大臣にお伺いをしたいと思うのでありますが、それは四十八回国会の中で佐藤総理が、今後四十三年度までは公債は一切発行しません、こういうことを言われたのでありますが、その後わずか二カ月でもってその態度がまるきり豹変をいたしました。それで、公債発行に現在踏み切ったという状況でありますけれども、こういったいわばこの態度の変更について何か背景に動かされたものがあったんではないかと考えるのでありますが、その辺について大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/3
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004・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 総理大臣が参議院の予算委員会で、中期経済計画に関連いたしまして、公債の発行は考えておりませんという答弁をされたのでありますが、それは中期経済計画におきまして公債の発行を予定していなかったのです。それと矛盾するではないかという趣旨も込めての質問でありましたので、まあただいま公債発行ということは考えておらぬというふうに申し上げたようでございますが、佐藤総理は前々から、一方においては減税を維持すべきものである、また他方においては公債政策を取り入れるべきものであるというふうな考えを持っておったのであります。現に一昨年の七月自由民主党の総裁選挙の際に、総裁立候補の弁といたしまして、そういうような考え方を明らかにしておるわけであります。国会において正式にこうだというふうに政府の統一所見として申し上げる段階にはなかったと思うのでありまするが、胸のうちにはただいま推進しておるような考え方を秘めておった、構想されておった、こういうふうに私は了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/4
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005・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これは私が持っている資料でありまするけれども、この資料によりますと、ちょうど佐藤総理がその態度を豹変したその事態の中でこういうことが言われておるのであります。経団連が六月初めに景気の見通しについて話い合をした中で、この経団連の皆さんが、たとえば石坂会でありまするけれども、石坂会長は「税制と金利の操作、この二つをうまくやれば不況を克服することは困難でない」、こういう発言を具体的にやっておるのであります。加えて、奥村野村証券会長でありますが、この方は「過去の経済成長政策は間違いではなかった。ただ財政金融政策が適切でなかっただけである」、こういうことを奥村野村証券会長はまた言っておる。さらに、河合小松製作所会長でありますが、この方はまた、「公債発行を具体的に詰めて考えていく段階に来ている。環境を整備してから公債を発行すべきだという議論はさか立ちをしておるのではないか。まずその公債を発行しろ」、こういうことを言っておるわけであります。さらに、最も露骨だと思うのでありまするけれども、経済同友会が六月七日の政策、審議会で次のようなことを言っておるのです。「現在は設備の過剰というところから脱していて、過剰となっている設備は現有設備の一〇%程度である。これらはすでに社会的に陳腐化し摩滅とみなすべきものであって、これを評価すると一兆五千億になる。この一兆五千億の過剰設備を政府が買い上げてくれさえすれば、われわれは不況を乗り越えることができるのだ」、こういうふうに、言ってみれば経営者団体が一様にそういうことを、軌を一にしてこういう声明をやっておるのです。私は、こういうものと佐藤総理のそのわずか二カ月の間に豹変した態度というものが何かしら軌を一にしているのではないかという考えを持っておるのであります。この辺について私は大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。
ことにこういう問題については、かつて戦時中高橋大蔵大臣が軍部の圧力にいろいろと抵抗してきたけれども、結果的には二・二六事件というああいう事態において生命まで奪われた、こういうやっぱり陰の暗いそういうものが公債発行には常につきまとってくるのではないか。この辺についての大臣の所見を明確にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/5
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006・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、佐藤総理の公債に対する考え方というものは、すでに一昨年総裁選挙のとき考えられておったことなんです。私もそのときいろいろ、総裁当選後どういうふうな経済政策をとるかということについて相談にあずかりましたが、まあ戦後ずっと続けてきた経済政策に一つの転換を試みる時期に来ておる、こういう結論であったわけであります。それから、昨年の六月三日に内閣改造が行なわれまして、それまでは前内閣の政策を大体において踏襲するという考えでありましたが、これから新しい政策上のスタートをする、ついてはどういう方向の経済政策を打ち出すかということにつきまして、六月三日に先立つこと一カ月ぐらい前から、これまたいろいろ検討が行なわれたわけであります。その結果、ただいま推進しているような方向の政策をとるべきものだということに相なった次第でありまして、そういう背景がありますので、私は六月三日に、大蔵大臣に就任するその日に、新聞、ラジオ等からいろいろと意見を求められましたが、そのときはっきり、これからは公債政策に転換するんだということを申し上げておるわけなんであります。
ただいま戸田さんからお話しのいろんな材料というものは、その後財界なんかで、私がそういう発言をしたことに基づいて、公債政策を受け入れるべきか受け入れざるべきか、あるいはどういう程度にこれを考うべきかというような議論が展開された。その議論がただいまお話しのいろんな発表やあるいは論議となっておるんだと、こういうふうに私は理解をするものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/6
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007・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちょっと、関連。関連ですから、簡単に質問いたしますが、先ほど戸田君が、佐藤総理が、昭和四十三年まで公債を発行しない、こう言ったにもかかわらず、わずかの期間に豹変した理由について質問したところ、大蔵大臣は、これは中期経済計画では公債発行しないことになっておったので、そこで公債発行しない、考えていない、こう答弁されたと、こう言うんです。そこで、私ふしぎに思うのは、中期経済計画というのはあれは閣議決定になっているんですね。これが廃止されたということを私はいまだ聞いていないのです。中期経済計画にかわるまた長期計画というものができたことも聞いておりません。現に中期経済計画は生きているわけです、廃止されていないんですから、閣議で変更されていないんですから。ところで、中期経済計画というものは、公債を発行しないということが前提になっているんです。その中期経済計画が変更されないで、それでそっちのほうはそのままにしておいて、それで中期経済計画は公債発行しないことになっているんだけれども、それだから発行しないと答弁したわけですね。それで、中期経済計画は変更しないのに、その後の経済情勢の変化によって公債発行するんだ、こう言っているわけです。そこが矛盾していると思うんです。今度は公債発行を前提とするやはり計画というものがなければならぬわけですね。また、中期経済計画をどういうふうにこれは公債発行を前提とした長期計画に切りかえていくのか、これもちっとも明らかにしてないんです。そっちのほうはそのままにしておいて、そうしてただ公債発行ということだけを言うから、どうしてもそこのつじつまが合わないのです。その辺の何というのですか、けじめというんですかね、それをはっきり承りたいんです。何かあいまいで、公債発行ということが前面に出てきてしまって、あとはみんなぼやかしてしまっておるんですね、いままでのつながりを。こんな何かその場限りの無計画のようなやり方でいいかどうかということが問題になる。特に公債発行は今後重大な問題になりますから、そういう無計画、その場限り、思いつきのような、何かそういうような感じがするわけです。非常に不安に感ずるわけですね。その点、はっきり承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/7
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008・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 確かに中期経済計画は閣議の法定を経ております。しかしながら、公債発所による新しい財政計画、これも閣議の決定を経ておるわけです。したがいまして、新しい閣議がその部面におきましては古い中期計画の財政計画の部面を修正したということになるわけですね。理屈をいえば、そういうことなんです。
しかし、そういう理屈の議論でなくて、もう少し実体的に申し上げれば、いま中期計画といいますが、藤山経済企画庁長官から昨日もお話がありましたが、非常にこの計画をつくったときに比べましていろいろな要素が変わってきておるわけであります。したがいまして、これは動かざるような状態になってきておる。いまこれを修正するような形をとるか、あるいは根本的にやり直してしまう形をとりますか、いずれにいたしましても、これを根本的に再検討しなければならぬという時期に来ておるんです。しかし、現時点において新しい長期計画を立てるがいいかどうかということになりますと、いま非常に経済が流動しておる最中でございます。そういうようなことで、いま直ちに長期にわたる経済計画というようなものをつくるに適当な時期ではないというふうにも思われるわけでございまするが、ともかくこの経済の推移を見て長期的な展望もしてみなければならぬ、これはもうお話のとおりかと思うのであります。まあそういう一方において長期計画の置かれておる立場ではありまするけれども、財政についてこれをいままである中期計画の線で縛られなければならぬというような状態では経済の現状に対処することはできない、こういうふうな判断のもとに中期経済計画の財政計画とは別に公債計画によるところの財政計画というものをスタートする、こういうことに相なった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/8
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009・木村禧八郎
○木村禧八郎君 関連ですから、午後私はこれについてまたこまかく承りますが、企画庁長官はどうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/9
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010・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 中期経済計画につきましては、私がたびたび申しておりますように、いろいろな要件が変わってきております。したがって、これを中期計画そのものを置いてその中の変わった点を修正するのか、あるいは現状ではこの計画をさらに別個の形に改めるほうがいいのかということは、私は考えてまいらなければならぬ問題で、今日までもどう扱うかということを考えてきたわけでありますが、今回の公債発行その他長期にわたります公共事業の計画その他がさらに改定されるような状況にもなりつつありますので、それらを総合されました上で、私は、中期経済計画をつくりました経済議会に、この問題をどう取り扱うか、これは経済審議会が半年以上かかってつくり上げた計画でございますから、その問題をそういう状態のもとにおいてどう取り扱うかということを諮問してまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/10
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011・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いま公債発行に至る時期的な取り扱い等について、大蔵大臣から御答弁があったわけであります。ことしの経済白書を見ますると、この経済白書の中に、これは金森内国調査課長のことばだったと思いますけれども、結局要約していえば、今後の財政確立のためには、公債発行と明確に表現は使ってないのでありますが、そういうことで要約されているのです。もちろん、大蔵大臣自身が公債発行推進論者だと私は聞いているわけでありますが、そういうものがからみ合って、あらかじめそういう計画をお持ちになっておったんじゃないかというふうに考えるのでありますが、そうだとすれば、佐藤総理が国会において答弁をしたことは全く国民を侮辱することになってくるんではないか、こういうふうに考えるのでありますが、その辺の見解について大蔵大臣の御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/11
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012・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) よく閣僚の一人としていろんな考え方を持っておると、あるいは閣議の大勢がそうであるというような際におきましても、閣議の正式の方針としてまだ打ち出せないんだというような段階というものがあるものでございます。おそらく佐藤総理が、国会で御質問を受けて、公債を発行いたしませんと、こう言いましたのは、そういうデリケートな段階の御答弁かと思うのであります。よくあることなんでございます。それでよろしゅうございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/12
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013・戸田菊雄
○戸田菊雄君 経済白書関係でありますが、藤山長官のほうから御答弁を………。こういうことがあるのです。これは金森内国調査課長の要約したことでありますが、私は、ことしの経済白書の最も大事な結論は、公債発行はなぜ必要なのかというこういう白書の中心テーマをそこに置いて、金森調査課長はこの経済白書をまとめておると思うのです。ことしの経済白書であります。こういうことについて藤山企画庁長官のほうは参画をしておると思うのであります。そういう問題はどうですか、取り扱いとしては。長官がこれらの問題について目を通しておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/13
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014・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今回の経済白書は、私が就任して二週間ほどで実は私の手元に参ったのであります。私としては、私のおおよその考え方も中心に、ある程度の修正をいたしました。しかし、全体を全部修正するというわけにはいかなかったことは事実でございますから、したがって、何か両面の意見が並列されているというふうな考え方が、世間の批評があったことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/14
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015・戸田菊雄
○戸田菊雄君 問題を次に移したいと思いますが、第二の問題は、現在の経済情勢というものについて大臣は再三国会答弁で述べられているわけでありますが、この経済の不況というこういうことについて、私はいまの不況というものは非常に、昭和四年ないし五年、六年のあの経済不況とだいぶ似ているんではないかという気がするわけです。ことにそういう経済情勢というものが、当時、満州事変が勃発をして日華事変に発展をして大東亜戦争、こういうことになってきたことは記憶に新しいと思うのです。現在、やはりそういう経済不況を土台にいたしまして、前国会でもって全く無謀な採決をやった日韓条約の妥結、さらにいまアメリカのベトナム侵略戦争に対するところの医薬品の補給であるとか、あるいは軍需品の修理とか、あるいは生産とか、あるいはまたLST乗員の派遣、技術提供の問題、こういう形で、政府はいろいろ言を左右にしておりますけれども、結論は私はそういう侵略戦争に積極的に協力をしているのではないか、こういうふうに考えるわけでありまして、ことにこの今後の防衛予算などを見ますと、防衛予算においては、今年度の場合は大体三千十四億程度であります。国民所得の約一・三%という程度でありますけれども、これが防衛第三次整備計画でいきますと、おおむね国民所得の二%になる、こういう予想があるわけであります。七千億ないし八千億という防衛予算というものを今後とっていこう、こういう形になってまいる。こういうことを一連の情勢として見た場合に、当時の、やはりこの昭和四年、五年、六年等の大不況時における、かつて軍閥が歩んだようなそういう道筋をいまの政府も歩みつつあるのではないかという、こういう考えを持つのでありますけれども、この辺に対する認識の問題について、大蔵大臣の所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/15
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016・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) わが国が独立国でありまする以上、独立を保障するという方途を持たなければならぬ、これは私は言うをまたないことと思います。国際社会におきましても、どういう事態がいつ起こるかもしれません。これに対して日本が侵略的行動をとるということは、これは私は断じて許さるべきことではないとは思いますけれども、みずからを防衛するという体制は、これは逐次整えておかなければならぬ。ただいま日米安全保障条約というものがあって、これを主軸にして国土の安全は保障されていると思うのでありまするが、しかし、その副次的な防衛力としては、わが国が防衛力をその国力に応じて築き上げていかなければならぬという立場に置かれていると、こういう判断をいたしているわけであります。しかしながら、ただいま戸田さんがおっしゃるように、これが戦争前の軍閥のような勢いとなって、日本の各界を圧迫するような事態になるかというと、そういうふうには全然考えておりません。国力を無視し、あるいは国際情勢に積極的、侵略的な態度で臨む勢いにまで持っていく意図であるかということにつきましても、毛頭さような考えは持っていないのであります。そのときどきの国力の状況に応じて相応の自主体制は努力をしていかなければならぬという、きわめてつつましやかな考えに基づく防衛構想というものを持っているわけであります。それがただいま世界に無比というような低率の防衛予算というふうに相なっている次第でございます。これをどしどし昔のように拡大していくというような考え方というものは、政府のどこのすみにも存在しないということをはっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/16
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017・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これは週刊の東洋経済でありますが、この中で、「戦前にみる公債政策の教訓」、こういうことで、日本銀行調査局次長である吉野俊彦さんがこういうことを言っている。「日銀引き受け発行までの経緯」の中で、「世界各国はこれを契機として、従来共通に採用してきたデレフレーション政策による生産費の低下——貿易の振興を断念した。そして、それぞれの政治勢力圏内において、原料と製品との確実な販路を確保する、いわゆるブロック経済確立運動が盛んになった。日本が満州へ進出したのも、やはり日満両国を一体とした一つの経済ブロック運動にほかならなかった。」、こういうことを東洋経済の週刊誌の中で言っている。これをわれわれが考えるときに、現在その日韓条約を土台にして、日本と韓国が経済協力をして、まあ言ってみればいまの世界体制も、資本主義国家においては海外基盤をどう一体確保するか、それに基づく経済圏というものをどう確立をしていくか、こういうことに相当関心を持っていることだけは事実だろうと考える。こういう一連のケースと今回政府が行なったところの日韓条約妥結に伴う日韓経済協力——名目はそういうことを言っておるのでありますけれども、内容としては相当日本の経済が、大企業が韓国に進出していくことは間違いないと思うのです。こういうものと相当私は似通っておると思うのでありまするが、この辺に対する大臣の所見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/17
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018・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 日韓条約は、これはそういう考え方に立っておるんじゃないんです。これは、隣合っている日本と韓国が、戦後とにかく二十年もの間善隣友好の交わりをしないというのはきわめて不自然じゃないか、この不自然を自然なひとつ姿に直していこうという一点にあるわけであります。したがいまして、これから、その自然な形ができたのでありまするから、自然、経済交流も盛んになり、わが日本の経済も韓国に相当進出していくであろうと思います。しかし、これは日本の経済が韓国にいろいろな形で、あるいは無償協力だ、あるいは有償協力である、あるいは民間ベースの経済協力とか、そういう形で進出していくこと自体が韓国の経済の安定の基礎をつくるわけでありまして、決してこれが満州に進出したときのような状態ではない。日韓条約というものはそういう満州進出というような性格のものじゃなくて、全く不自然な日韓両国の関係を自然の常道に戻そうという一点にあるというふうに御理解願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/18
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019・戸田菊雄
○戸田菊雄君 これはどうも私も半年ばかり国会を経験いたしまして、日韓国会も聞いたのでありますが、政府の言っていることは一貫して、国民に対してどう一体うそをついてつくろうかというところに私は終始してるんじゃないかと思う。いま大蔵大臣の答弁を聞きましても、言ってみれば、日韓の正常化ということを表に出しておるのだが、内容としては、いま不況だ不況だと、ことに四十年度におきまして歳入欠陥二千五百九十億もあるんだと、こういうわが家の身上は全く貧乏底をついている状況であって、そういうときに一体日韓条約強行採決をして、全体として八億ドルの経済協力をしていかなければならぬ、こういうことは私はさか立ちした理論じゃないかというふうに考えるわけです。
そこで、私はどうしても、公債発行にいま政府が踏み切るということは、その背景として、過去の歴史からいってもそうなんでありまするけれども、そういういわば戦費調達に主として公債は使われてきた、そういうことが日本の国内情勢の中にも数多くあるんではないか。たとえば第三次防衛計画の中で政府の今後の防衛計画の重点はどこにあるのか、こういうことになりますと、バッジ・システム、いわゆる半自動管制装置、こういうものを装備をして、できるなら飛行機のレーダー網を直ちに日本と韓国、沖繩、台湾、こういうものに対して備えつける、そうして臨機応変の体制をとっていこう、こういうことも考えておられるようでありますし、それから海上自衛隊については対潜哨戒とかあるいは対潜攻撃体制、こういうものが大幅に増強される、あるいは自衛隊そのものがミサイル化していく、こういうことに多くの予算をとっていこう、こういうことでありまするから、前に私が申し上げましたように、三次計画でいくと、四十五年ないし六年では相当数防衛予算というものはふえていく、こういうことになると思う。大蔵大臣はそういう問題についてあくまでも自衛上と、こういうことをおっしゃられているのでありますが、それはかつての軍閥の皆さんもそういうことを言ってきた。表現上は私は言い古されたことばではないかというふうに考えるわけであります。そういう一貫した軍事背景というものは、いまの日本の中にひしひしと迫ってきている。こういうときに公債発行をするということは、それ自体軍事公債、そういうものがやはり内にひそんでいるのではないかというふうに考えるのでありますが、この辺について大蔵大臣の所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/19
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020・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 昨日も私の所見を詳しく申し上げたのですけれども、公債発行と軍事費というものは、これは何らのつながりはないのです。軍事費を増強しようと思いますれば、増税によってやってもいいのです。それをそういうのにかかわらず、公債発行すればそれが軍事費につながっていくのだというふうに理解するとすれば、これは飛躍した理論ではないか、そういうふうに思うわけであります。先ほど申し上げましたように、軍事費自体につきましては、これは国力に相応しました自衛力を増強していくという一貫した考えであります。しかも、それは決して防衛という域を脱してはならないということは、かたい政府の方針としておりまするので、御安心を願いたい。
また、ときどき戸田さんが第三次防衛計画が実行されたら先はこうなるんだというようなお話がありますが、第三次防衛計画というのは、まだ政府部内においては統一された見解ではございません。まだ防衛庁でそういうような計画の検討を進めている、そういうことで、まだ閣議の決定があるわけでもないし、また政府の計画として承認されているわけでもないし、まだ防衛庁段階で低迷しているというようなことでありまして、いずれ話がありますれば、私どもは国力また財政力等いろんな角度からこれを検討しなければならぬ問題であるということも御了承おき願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/20
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021・戸田菊雄
○戸田菊雄君 じゃ、次の問題に移りたいと思いますが、どうしてもわれわれ理解のできないのは、いまやはりこれは社会党も言っているのでありまするが、おまえ社会党だからそういうことは言っても取り入れることはできないというなら、これは話は別であります。しかし、公債発行をしなくとも何とか済む財源は一体ないのか、こういうことを強く私は考えるのであります。そういうことを考えますと、一つは租税特別措置法というもの、私の調査によりますると、昭和三十九年は約二千九十八億という減免措置があるわけです。さらに、農地報償法によって政府は一千四百五十六億も——言ってみれは富裕者ですね、これは。大蔵委員のどなたか自民党の方が農地報償の対象である、一体生活のぐあいはどうなのかを調べたという結果が出ているのでありますが、それによりますと、いずれにいたしましても、報償金をもらっている人はみな裕福だという結論が出ている。そういうにもかかわらず、それらに対して一千四百五十六億という総体予算を出している。さらに、前にも申し上げましたように、日韓条約でもって八億もやっている。こういういわばプレッシュアー・グループによって政府が動かされているような不浄な使い方がいまの予算の中にはあるのではないかというふうに考えるわけであります。ですから、それは思想や党の違いを越えて、ほんとうに国民のために今後の経済政策ないし財政政策というものをとっていくという、こういう真摯な態度があるならば、私は政府においてもこれらの問題について十分検討してもいいのではないか、こういうふうに考えるわけです。
そういう点についていままでは、これは自民党は、わが政府の大方針だ、こういうようなもとにばっさりやられてきたわけでありますが、この機会に至って、どうしても歳入欠陥によってこういう状態になっている、非常に財政が窮屈である、そういうときに一体いままでの予算執行の状態の中で、そういうものの再検討を全面的にやるものがあるのかないのか。あるとすれば、私たちが主張してきたこういう租税特別措置法なりあるいは農地報償法あるいはまた日韓援助のこの協力経費の問題、こういう問題について、もう一回政府に真摯な立場で検討する必要があるのではないかと、私はこう判断するのでありますが、この辺に対する見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/21
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022・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 四千億円をこえまする昭和四十年度の財源欠陥に対しましては、お話のとおり政府部内におきましてはあらゆる努力をしてみたわけであります。その結果、約千四百億円はこれをそういう方向で調達し得る、つまり政府部内におきまする経費の節約でありますとか、あるいは予備費をくずしますとか、あるいはその他のやりくりをいたしますとか、しかしともかく千四百億円はひねり出したわけなんです。ところが、どうしてももうこれ以上のことはできない、こういうことで、二千五百九十億円、つまり租税収入の落ち込みに相当する額だけは公債によらざるを得ないという結論になったわけであります。
ただ、その検討の過程におきまして、租税特別措置法の廃止、つまり増税ですね、それなんかも考えてみたのでございまするが、しかし、今日の経済情勢のもとにおきまして、増税を行なう、しかも、特別措置と申しましても、これはそれぞれ重要な意義を持っておる減税政策であります。それをひっくり返して増税を行なう、こういうようなことはとうていいたすべきものではない、そういうまあ結論になっておるわけでありまして、いろいろくふうはいたしておる。しかし、お示しのような点はこれを取り上げることができなかった、こういうふうに御理解を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/22
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023・戸田菊雄
○戸田菊雄君 そうすると、いまの大臣の答弁ですと、まあ租税特別措置法とか、そういうわれわれから見れば冗費という、あるいは不公平、こういういわば財政の状態というものを検討する意思はないと、こういうことですね、いまのは。これは確認しておきたいと思いますが、その点についてどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/23
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024・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 租税特別措置はあくまでも特別措置でありまして、特別の任務が終わりますれば、これは廃止すべきものである、こういうふうに考えております。したがいまして、この特別措置の検討はいたします。また、そういうただいま申し上げましたような趣旨において検討の結果、これは廃止してよろしいという段階になりましたものは、これを廃止いたします。しかし、大体におきまして、ごく一部のものはともかく、大体大筋におきましては、ただいまこれを廃止することはできない経済情勢である、こういう判断をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/24
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025・戸田菊雄
○戸田菊雄君 時間もありませんから、先に進みますけれども、次にこの公債の歯どめについてでありますが、きのう大臣は三つの問題を出されまして成瀬先生に対する答弁をなされたわけです。一つは民間の経済情勢と見合うとか、あるいは二つは市中消化が原則である、あるいは国の経常支出には使わない、こういったことを歯どめの当面の措置として、さらに結果的には人の問題であるから、節度というものを保持してこの歯どめの役目を果たしていこう、こういうお話だったと私は聞いておるわけです。私はどうもこういう回答で公債の歯どめが完ぺきだというふうには考えておらない。
これも同じ東洋経済で、さっき申し上げた吉野俊彦という方が言っておるのでありますが、こういうことを言っているのです。いろいろありますけれども、その関係の個所を読みますと、「しかし昭和一〇年から二年にかけて生産力の余裕がなくなり不況対策を必要としなくなった時、そして従来同様の方法を続けることがインフレーション進展の危険性をはらむに至った時、もはや日本銀行引き受けによる赤字国債の発行をやめることはできなくなっていた。」。いわば、公債を発行していくと、結局公債はやめるわけにはいかない。同時に、それによってインフレが進行しようとも、それは雪だるま式にふえていく性格のものだということを言っているわけです。
そういう性格が私は公債の内容にあると思う。公債そのものの性格はそういう性格を持っているのではないか、こういうことでありますから、口の悪い言い方をすると、ほんとうに大臣もこの歯どめについて自信がある、こういう状態でいけば完全にインフレ助長というものはさせなくても済むのだ、こういうことは一言も言い切ってはいないのではないかというふうに考える。ですから、それは人間の問題であるから、節度を保持すればと、こういうことを大蔵大臣は結果的には言っているのであります。が、この程度で一体今後の公債発行から来るインフレを防止して、物価高騰をなくして、そうしてこのような従来とってきた方針である健全財政、こういうものの立て直しをしていくにいいのかどうか、その辺の問題について大臣の所見を伺いたい、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/25
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026・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 現在日本の経済情勢を見ますると、企業も、各個人におきましても、非常に蓄積が乏しい状態でございます。この蓄積に乏しい状態に対して、国の財政は一面におきましては社会資本の充実を行なわなければならぬという要請にも当面しておる。そういう際に、この社会資本の充実、あるいは社会保障の拡充というようなことを増税によってまかなうべきかというと、これはそうじゃない。これは戦後二十年たってここまで日本の国力が発展してきた以上、国において若干の借金をするというようなことをいたしましても、何ら不安を与えるようなことはない状態になってきている。大いに社会資本を充実し、他面、企業あるいは国民の蓄積を考慮するというような意味合いにおいて、国が積極的に借金政策、公債政策を導入するということは、私は今日の経済情勢下においても当然考えなければならぬことである、こういうふうな考え方をとっているわけであります。
昨日も申し上げたのですが、公債政策をとるからといって、この公債を財源とした財政の伸びが適正な規模であり、つまり民間の経済活動の総和において、調和のとれたものであるというようなことから、国全体の資金状態、あるいは労務の需給状態、あるいは物の需給状態に圧迫と不均衡を生じない限りにおきまして、インフレになるというようなことは絶対にあり得ない。私は、公債政策をとるからインフレになるという議論に対しましては、そういうことには絶対にいたさせませんという自信を持っております。
昭和初期のことをいろいろお話でありますが、高橋蔵相が昭和七年に公債の発行、増発、しかもこれを日本銀行引き受けでやるということをやり始めたわけでありますけれども、これによってたいへんなデフレ経済が改革をされたわけです。そうして昭和八年、九年、十年、十一年と、この時期は昭和の経済史におきまして日本の経済が最も安定した時期の一つであります。それが不幸にして二・二六事件というようなものに続きましたものですから、この政策は破綻をしたわけであるし、また私は、いま公債を発行する、それによって国民の力を養う、また産業の基盤を培養するというようなことによって、これは結局将来政府をささえる、つまり政府の財政の基盤をなす力というものが培養され、公債も逐次これを減少することができるようになると思うのでありまするが、昭和初期もそうなんです。昭和八年、九年と経済界が回復する。昭和十年には公債漸減方針というものを立てまして、これを実行に移す過程に入って、現にそれを実行しておるのであります。それが二・二六事件でひっくり返されちゃった、こういうことに相なるわけでありますが、私は、こういう二・二六とかそういう事態の想像し得ない今日の日本の政治情勢下において、必ず将来この公債というものを漸減し、お話のような雪だるま式な公債の拡大というようなことがないようにすることが可能であるということを確信をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/26
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027・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それで、時間がないので急ぐのですけれども、ただ、いま大臣がおっしゃられたように、私が言っているのは、特別会計における政府保証債、そういうことを言ったのじゃない。私が言っているのは、一般会計の今度の特例法に基づく公債発行、こういうものに対する見解をいま伺ったわけであります。そこを間違いのないように願います。そういう意味で最初言ったのです。
それで、次に、これまで政府はいろいろ景気対策というものをやってきたと私は思うのです。たとえば公定歩合の引き下げであるとか、あるいは資金の貸し出しの緩和、あるいは株価維持の問題、ことに共同証券設立、あるいは山一証券に対する無制限、無担保、無利子で、きのうもお話がありましたように金を貸し付けたような問題、そういったいわば株価の維持等に対する問題などを含めて、いわば金融面からの対策というものを多くとってきた。しかし、それでも一向に景気というものは上向き態勢にならない。こういう状態の中で、はたして四十一年度に、再度また建設公債として七千三百億、きのうも大臣の答弁にあったのですが、こういう公債発行によって、大臣も言われているように、いまの根が深いといわれる経済の不況状態について、ほんとうに立て直し得る見通しなり自信というものがおありなのかどうか、その点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/27
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028・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の不況の根源は、とにかく設備が非常に過剰である。これは正確な統計がないのがまことに残念ですけれども、大企業なんかをピックアップしてみましたところによりますると、大体三割も過剰設備をかかえておる、こういうような状態でございます。それに対して需要が一体どういうふうに伸びているか。とても三割の需要——三割までいかなくとも、二割充足しまして九割操業だというところまで持っていくということは、これは容易ならざるところである。そういうようなことを考えまするときに、まあ大体正常な操業度を各企業が保っておったという四、五年前のような状態まで日本の経済が回復していくには、私は相当時間がかかるのじゃないかと思います。しかし、そういう目標に向かって経済が歩み出すかどうかということにつきましては、私は今度の昭和四十一年度予算を契機といたしまして、そういう方向に歩み出す、こういう見通しを持っているのであります。経済企画庁では、昭和四十一年度には七・五%の経済成長をするのであろうという見方をいたしております。その見方で非常に重要な要因を占める民間の設備投資は横ばいと、こう見ている。これをほうっておきますと、七・五%の成長にはとうていいかないのでありまするが、しかし、その設備投資の停滞を財政で補うという考え方に基づきまして、昨日も申し上げましたようなスケールの予算を組むということにいたしたわけでございまして、これが主導力となって日本の経済は、ただいま申し上げましたような、少し先になりまするが、本格的な経済回復へ向かっての歩みを歩み出す、ことしはそういう年である、そういうふうに確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/28
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029・戸田菊雄
○戸田菊雄君 藤山経済企画庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。去年の九月二十五日であったと思いますが、長官が大阪に行かれまして、それで記者会見の席上であったと思いますが、当時の経済企画庁として、物価抑制は、大体四%ぐらいのアップで押える、こういうことを発表された。それに対して、一体そのとおりいくのかという質問に対して、どうもそれではいかない。きのうの答弁でありますと、今年度の明確なパーセンテージはまだわからないけれども、当面のところは七・六%であるという答弁であったと私は記憶しているのであります。そうしますと、全くいまの政府の姿では、物価抑制策は打つ手なしという、こういう状態ではないかと考えます。これは国民のだれもが、一体物価対策はどうなんだ、こういうことは重要な関心事ではないかと私は判断をするのであります。この辺に対する今後の具体策、あるいは物価抑制についての見通し、こういうものについて長官の所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/29
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030・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 物価問題については、あらゆる角度、国民生活の上からいっても、国民経済の上からいっても、これを当然安定さしてまいらなければならぬわけでありまして、企画庁としても、内閣としても、この面に非常な力を入れておりますことは、予算編成等を通じても御了承いただけることだと思います。問題は、物価が上がりますものについて、基本的な構造上の問題、あるいは需給の関係の問題等々、いろいろな原因が私はあると思いますし、また、それらの原因が個々に働いたり、あるいは総合的に働いたり、そして出てきているものだと思います。したがって、単純に一つのものに対する対策だけでは済まぬのでありまして、相当総合的に広く対策を立てて、そしてその物価に対する影響力の厚薄はございますけれども、それぞれ処置してまいらなければならぬと思うのであります。
したがって、今日構造上の問題からいえば、低生産部門の生産性を向上さして、そして労働賃金の平準化に伴ってそれを吸収していくというようなところもやってまいらなければならぬと思うのでありまして、また、生鮮食料品等の対策につきましては、生鮮食料品の価格を安定させまして、そして農業従事者の生産に対する安定的な生産を確保していくという、非常に、できるかと思えばできる、天候の問題がございますから。しかし、値段が高いからたくさん翌年はつくる。そうすると、非常に暴落をする。しかし、暴落をした翌年は、そういう暴落をするからつくらぬのだというようなことで、また高騰する。そういうようなものがやはり安定してまいらなければ、生産者の立場に立ちましても、消費者の立場に立ちましても、安定した、低位に安定したものでやってまいることが必要だと思います。そういう政策もそれぞれとってまいらなければなりませんし、また、将来のことを考えまして、食肉等の問題につきましては、現在非常に食肉牛の頭数がだんだん減りつつあります。世界的にも相当減っているように考えられます。したがって、そういうものに対する増産ということをやりまして、そうして供給の確保をはかっていかなければならぬ、こういうような問題にも手を触れてまいらなければならぬと思います。
また、同時に、流通過程の問題について十分な合理化をやって、そうして流通過程におけるコストの上昇というものを押えていかなければならぬ。たとえば今回の予算等におきましてもボランタリーチェーンその他、そういう方面の予算措置を講じまして、それらのものに対する対策を立てていく、あるいは市場の近代化をはかっていく、そういうようなことでそれらのもののいわゆる流通過程の合理化ということによりまして、流通上に伴います費用の節約を期していくということも、これはまた物価対策の上で非常に必要だと思います。
また、それらの問題を一般的に考えながら、緊急に必要な場合には緊急輸入をするというようなことも当面の問題としては考えていかなければならぬと思うのでございます。
そういうような面で各般の施策を講じてまいらなければ、総合的に、そうしてそれが成り立っていきませんと、私は、この高度成長をした今日の状況下においてひずみが出ております物価問題の解決は容易なことではないと思うのであります。そういう面に真剣に政府として取り組んで、そうして予算等につきましてもそれぞれそれらの問題についての措置をいたしつつ前進してまいりたい、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/30
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031・戸田菊雄
○戸田菊雄君 来年度の新しい予算の内容においても、いま長官がおっしゃられたように、流通機構の整備であるとか、公正取引委員の強化であるとか、いろいろとそういう面での対策は打たれておるのであります。予算にしても十億程度増加をさした、こういうようなことが報道されております。しかし、そういうことは私はいままでもいろいろと政府はそのときどきに応じて対策というものはやはりやってきた。しかし、それでもなおかついま物価抑制ができないというのが、私は現状であると思います。ですから、ここでほんとうに抜本的な対策ということが私は必要じゃないかと思うのであります。その抜本的な対策というものは、切り詰めていうなら、私は政治的決断じゃないかと、こういうふうに考える。
いまいろいろと対策を長官が話されたのでありまするけれども、ことしになって米価が上がる、さらに国鉄運賃が上がる、私鉄十四社の料金がこれまた上がる、郵便、電話、すべてがこれから軒並みに上がっていく。言ってみれば、新しく水を得てさらに魚があばれ回るというような情勢が今後の情勢であります。ですから、そういう趨勢は十分見通されておるのでありますから、そうしていま長官がおっしゃられたように、事柄は時期適切、いろいろな対策はやってきたけれども、まだ物価は抑制できていない、こういうことでありますから、その辺に対する抜本的な決意なり対策というものがいまほど必要なときはないのであります。
政府は一面において減税三千億どうのこうのと言っておりますけれども、これは物価でもって帳消し、むしろマイナスになってしまう、こういうのがいまの国民生活の実態じゃないか。ですから、こういう問題についても政府のより具体的に、これでいけばほんとうに物価抑制は、たとえば一年後にはこうなります、当面はこういうことで押えられます、こういうことになっていかないと、私はいまの国民というものはどうしても理解しにくいのじゃないか。この辺についてもう一度ひとつ長官の御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/31
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032・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 由来、物価に対してやはり構造上から来ている問題について抜本的な注意を払うということが私は足りなかったのだと思います。したがって、そういう問題について今回は抜本的な対策を考えるということで政府も決意をいたしておりますし、また、その方法として予算等についても配慮をしてまいり、そうして実行に移していきたい。これはただ単に一年間ストップをするとかいうだけでは問題は解決しないのでして、翌年同じ問題が起こってくるのですから。そうした問題についてやはり抜本的に考えていくとなれば、当面の問題を処置しながらやはり今後のあり方というものについて根本的にいろいろ考えていかなければならぬ。それで、私どもも企画庁の中に私的な懇談会ではございますけれども懇談会を設けまして、そしてそういう面についての抜本的なひとつ方途についてそれぞれ各会の有力な方々の御意見を伺って、そうしてそれを進めてまいりたい、こういうふうに考えておるのでございまして、委員の皆さま方も非常に熱心に討議をして御意見を出していただいておりますので、私どもはそれらの御意見等を参考にしながら、やはりいまお話しのような抜本的と申しますか、力強い政策を打ち出していきたい、こう考えておるのでございまして、当面われわれの考えてやらなければならね点だけは、すでに予算等を通じてやることに始まっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/32
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033・戸田菊雄
○戸田菊雄君 時間がありませんから、先へ急ぎますけれども、次に、歳入欠陥で見ますると、所得税を除いてはそれぞれ歳入欠陥が出ておるわけです。いかに所得税が忠実に徴収されておるかという実証だろうというふうに私は考えまするけれども、この税金の問題について政府が、四十年度には今回の二千五百九十億の公債発行、来年は七千三百億発行する、以下四十三年度までその状態が続くと、この間大蔵大臣がおっしゃられた。これが大体私たちの想定でいきますと、数年後には十兆億に近い公債発行額になるのではないか。もちろんそのときの財政規模はそれに相応してふえていくだろう。そういうものに対してどうしても税金という問題が、ことに私が問題にしたいのはボーダーライン層に対するそういう対策というものは何らなされておらない。すべて置きっぱなし、ほっぽり投げておる。こういう問題についての税徴収に対するところの対策、何かその具体的のそういう面の救済措置等についてお考えがあれば、大臣の見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/33
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034・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 税制面におきましても、所得の低い人に対しましては非常にいま重点を置いた配慮を払っておるのです。たとえば今度の税制改正、所得税におきましても免税点を現行の五十六万円からこれを六十三万円に引き上げるというようなこと、これによって納税人口なんかも相当減ってくるわけです、また、低い階層をねらいまして所得税を引き下げるというようなこともいたすわけであります。さらに、住民税におきましても同様な考え方で減税を行なう、こういうことになるわけです。
いまのお話は、所得税の減税に関係のない階層にどういう配慮をするかということでございまするが、これは税法上でどういうということはなかなかむずかしいことだと思うのです。しかし、歳出面におきましては、たとえば生活保護費を一三、五%これを引き上げる。あるいは失業者の賃金をこれを引き上げますとか、あるいは社会保障諸施策におきまするいろいろな国の援助を強化いたしますとか、あらゆる努力をいたし、農山村僻地に至るまでいろいろなこまかい配慮をいたしておるわけなんであります。
納税者階級には減税を、また納税をするに至らない低所得者に対しましては手厚い社会保障をもちまして万全な対策をとっておると、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/34
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035・戸田菊雄
○戸田菊雄君 時間がありませんから、急ぎますが、いま農業人口の中でも相当数軽減対象者がいる、こういうお話でありまするが、具体的に数字がわかったら教えてください。
それから、間接税の問題でありまするが、きのう成瀬先生の質問だったと思いますが、その中にも出たようにも思うのでありますが、これは三十九年の国税庁の統計によりますると、どうしてもやはり低所得層が間接税の最大負担者になっておる。ちょっと読み上げますと、十万円以下、これが大体一七・六%、二十万円未満が八・九%、四十万円未満が六・四%、七十万円未満が四・八%、百万円未満が三・九%、百万円以上が三・〇%ということで、この収入がふえていくに従って間接税の負担割合がぐっと下がって、ほとんど富裕者についてはゼロに近いような状況になっているのであります。こういういわば矛盾した状態がいまの間接税の中にあるわけであります。こういう点に関しては、政府はもっと、やはりこの税体系の問題について具体的に検討してもいいのではないか。ことに、私は砂糖、あるいは国民の生活必需品と思われるようなそういう必需品に対して、砂糖なんかその代表だろうと思いまするけれども、そういう問題のこの間接税というものは廃止をしてもいいのじゃないか、こういうふうに考えるのでありまするが、こういった問題について、三点についてお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/35
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036・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 主税局長から答弁をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/36
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037・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) ただいま御質問のありました納税人員の減少の問題でございますが、大臣がおっしゃいましたのは、農業人口という御発言じゃない、納税人員が相当減ると、こういう御発言でございました。
現在、二千二百万人ばかりの所得税の納税者がございますが、今度の、先ほども申されました課税最低限の引き上げによりまして、百八十万人ばかりの納税人員が減ることになっております。その内訳といたしまして、営業諸業、あるいはまた農業、給与所得者、これにつきましては現在精査中でございます。いずれまた、資料をもって御説明申し上げることができるかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/37
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038・戸田菊雄
○戸田菊雄君 もう三点ほどでありますが、私が国勢調査でもって北海道に行った際でありますけれども、非常にいま国税庁の職員は人員不足ということでございます。あるいはまた、いま職場環境の空気が非常に悪いと思うのですよ。たとえば函館や、あの付近に行った際に、現地の要請としては、総合管理庁舎をつくってくれという要請が出ていると思うのです。非常に寒いところでありますから、そういう問題については、ひとしお感じているのだと思います。また、建物それ自体が非常に悪い。こういう中でいわゆる労働強化の中に働いているのが職員の実態ではないか、こういうふうに考えるわけでありまして、第一点は、これは行政管理庁に付随すると思いますが、そういういわば合同庁舎の促進なり、機構改革ないしはそういう管理体制について、どういう具体的な指導をなされておるのか、その点について大臣にお伺いしたいと思います。
それから、もう一つは、最近、この大蔵省、総括的に大蔵省とか、管理業務機関内の職員の中に、言ってみれば組合がそれぞれあるわけです。これは公務員といえども憲法二十八条で団結権が保障されている、そのとおりであります。これらに対して、非常に分裂攻勢なり、あるいは労働強化に追いやるような悪政を、いわば労務体制というものをやられておるように感ずるのでありまするが、こういう問題に対する一つの姿勢について、そういうものについてひとつお伺いをしたいと思います。具体的に事例をあげろというならば、幾らでもあるのでありますが、きょうはちょっとその余裕がありませんから、大まかに抽象的になりましたけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。その点についてお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/38
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039・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 税務職員なんかの処遇ですね、これにつきましてはできる限り配慮をしておるわけでございまするが、特に公務員宿舎をつくりますとか、あるいは設備の改善をいたしますとか、これは一挙にはなかなかできませんが、順を追うて逐次努力をいたしておるわけでございます。
また、税務職員等につきまして、組合を分裂させるための何か工作でもしておるのじゃないかというようなお話でありますが、これは絶対にそういうことはいたしておりません。これはもう職員組合は職員の自主的な動きによってきまるものでありまして、政府はこれに対して何らの干渉をいたしておりませんから、これは誤解ないようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/39
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040・井原敏之
○政府委員(井原敏之君) 税務職員の問題はいま大蔵大臣からお答えがあったとおりであります。新年度の定員増の査定におきましても、先ほど来出ておりますような財政事情でございますので、非常にきびしい態度で臨んだわけでございますが、やはりどうしてもやむを得ない行政需要に対してはそれ相当な審査はいたしたつもりでございます。
それから、合同庁舎の問題がちょっと出たようでありますが、職員の厚生の問題として、税務職員の宿舎等の問題、これは全般論として大蔵大臣のおっしゃったとおりでありますが、この事務の管掌といいますか、国民に便利なようにという配慮で、国のブロック機関あるいは都道府県にある国の出先機関を同じ庁舎のもとに置くというような配慮は、いま一番そういう問題の熾烈な要求のあります港における合同庁舎の問題、これを目下大蔵省と密接に連絡をとりながら改善策を進めておるわけであります。まずこれは非常に金の要る問題でありまして、逐次漸を追うて改善するということになろうかと思っておりますが、そういう配慮で行政管理庁といたしても順次推進をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/40
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041・戸田菊雄
○戸田菊雄君 さっき大臣は、組合分裂とか、そういうことは絶対考えないというお話でありますが、どうも私は、ことに国税庁内部のいろいろな人事運用体制といいますか、そういう問題を見ますると、年々管理職というものがふえてきておる。そういう体制で、より強徴税体制というものに追いやるということがあるのじゃないかと思うのですが、そういうことは具体的にないのですか。ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/41
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042・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 管理職の範囲が、行政的な、行政運用の見地から、どの点まで管理職にしたらいいだろうというのは、これはおのずから行政管理の面からきまってくるのです。行政管理の面から自然にきまる管理職の範囲というものが、別な意図を持っておって、組合分裂のためのものだというふうに御理解のようでございまするが、そういう考え方は全然持っておりませんということを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/42
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043・田中寿美子
○田中寿美子君 これまでにもうたくさんの方々が私のお聞きしたいことを質問して、そうしてお答えがあったわけですが、それで、もうほんとうに、少し原則的なことでお伺いしたいと思います。
私は、公債発行とインフレの関係、それから物価と、こういうところでお尋ねしたいと思うのですけれども、佐藤内閣は四十年度公債発行に踏み切ったということは、この日本の戦後の経済、それから財政のたいへんな変化をもたらすわけですから、非常に責任があると思うのです。大蔵大臣は、公債というのは、ことにこの四十年度の公債は赤字公債であるということは、どうしてもお認めにならなくて、歳入不足補てん公債と、たいへんめんどうなことばを使われますが、しかし、国が借金するものであるということは認めていらっしゃるわけなんです。私たちが非常に重大だと思いますのは、この四十年度の赤字公債の発行がきっかけになって、これからまた四十一年度は七千三百億、四十二年度、四十三年度と、次第に額がふえていくと思われますし、それから、大蔵大臣は三年間くらい、三、四年というふうにおっしゃっておりますけれども、実際には十五年間ぐらいは公債発行が続いていくだろう、それはどんどん額がふえていくだろうという懸念を持っている人は非常に多いのでございます。普通、新聞雑誌などにも赤字公債、インフレというようなことばがしばしば見えておりますが、大蔵大臣は現在もインフレではないとお考えになっていらっしゃるようですし、また今後も公債発行によってインフレの心配はないというふうにおっしゃっていますし、またそうならないように必ず責任を持ってするという御説明が次々あったわけなんです。一体それじゃ、昨日参考人として御出席になりました成城大学の有井教授は、現在すでにクリーピング・インフレーションであり、そしてさらにトロッティング・インフレーションになりかかっているし、いまにギャロッピングまでにいくだろうというふうな警告をしていらっしゃったのですけれども、一体インフレというのは大蔵大臣のおことばではどういうことを意味していらっしゃるのか、そうして現在はインフレではないということを思っていらっしゃるのですか、どうですか。たいへん原則論的なことですけれども、私たちはインフレ、インフレと非常に心配しておりますので、お教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/43
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044・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) インフレ、デフレの議論が盛んにいま行なわれておるわけですが、インフレと一般にいわれていますのは、これは物価が上がり、そして貨幣価値が減少するのだ、こういうことを言っておるのかと思います。いま日本の経済の実態を見ますると、卸売り物価というものは安定をいたしておるわけであります。その面においては、卸売り物価の面ではインフレじゃないのです。ところが、消費者物価ですね、このほうは上がっておる。そういう意味におきましては、これは私はインフレであると、こういうふうに言って差しつかえないのじゃないか、そういうふうに考えております。
ですから、一面においてはそうかと思うと、この経済はインフレの経済かというと、そうでもない。そうでもありませんのは、またインフレ、デフレの基準として、物が供給過剰である、そういう面をとらえてこれをデフレというふうに理解する人が多いのでありまするが、そういう角度からは、これはデフレの経済なんです。非常に複雑で、わが日本においてはちょっといままで経験したことのないような様相の経済である、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。
つまり、いまの経済は非常に複雑で、デフレの面もある、インフレの面もある、きわめて複雑である、こういうふうに私は理解をいたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/44
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045・木村禧八郎
○木村禧八郎君 関連して。大蔵大臣から、これはインフレ、デフレの問題は、特にインフレ問題については、いま重要な国民の関心を持っている問題です。これに対して大蔵大臣のいまの御答弁では、私は初めてそういう珍説を伺ったのです。通念として、インフレというのは通貨価値の減価であるということは言われましたが、そのとおりです。それから、物価の値上がり、しかし物価の値上がり必ずしもインフレじゃないのですね。それから、インフレとデフレの混合で、複雑であるとか、いろいろ言われますけれども、生産過剰だからデフレ、そんなことはありません。もういままでずいぶん長い間の歴史を見ましても、インフレという現象が起こっていたでしょう。これは通貨の増発によるそれが原因になって物価が上がる、通貨の値打ちが下がることがインフレであって、物の供給が減って物価が上がるのはインフレとは言わない。これは価格騰貴です。物価上昇は全体の価格の上がるということでしょう。それは具体的には、消費者物価は総理府の統計局で発表している消費者物価にあらわれている。卸売り物価にはインフレはない、消費者物価にはインフレはある、そんな同じ通貨価値について、通貨価値の中で卸売り物価と消費者物価はありはしません。この対外価値を考える場合にどうするか。卸売り物価の対外価値と消費者物価の対外価値、そんなことはないのです。普通、一歩譲りまして、卸売り物価と消費者物価と合わせて割ったのが通貨価値だと、普通そういうふうに説明されております。しかし、一般国民には、消費者物価が通貨価値を代表する。それは通貨価値の下がることは物の面から来たよりも、これまではいわゆる信用インフレ、日本銀行がどんどん貸し出して、いま一兆五千億円のオーバーローンになっている、これが根本の原因です。そうして起こったのが物価値上がり。だから、これはインフレである。つまり通貨価値の減価である。こう説明すべきでありまして、きのうの有井教授のお話のあれは、物価値上がりはいわゆる公定利子率をこえて上がる場合はインフレである、こういうような説明をしているわけですが、こういう説明のしかたはありますけれども、やはりそれは一応はっきりしたもう常識的に、世界的にずっとこのインフレについては解釈のしかたがあるわけです。それに基づいてはっきりした具体的なことを打ち出さなければインフレ対策にならない。
ついでだから、企画庁長官に伺いますが、五・五%に来年度消費者物価を押えると言いますけれども、世界的に見まして、昨年度五・五%消費者物価が上がった国というのは日本以外には一国あるだけです。オランダです。オランダを除いてはみんな五%以下なんです。五・五%に押えると言いますけれども、それはたいへんな世界的に物価値上がりになっている。ですから、何を根拠にしてその程度以下に押えているのか。これは押えるどころか、世界的にたいへんな物価値上がりです。この点について伺いたい。大蔵大臣からはインフレについての定義をはっきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/45
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046・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどは田中さんにインフレの定義を申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/46
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047・木村禧八郎
○木村禧八郎君 定義がおかしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/47
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048・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) つまり、物価が上がり、そうして貨幣価値が減るということがインフレなんだ。それではいまの日本の情勢はどうなんだ、こう言うから、卸売り物価の面においては貨幣価値は減っておりません、この面ではインフレとは言いがたい状態である、しかし消費者物価は上がっている、これをいえばインフレというふうに言ってよかろう、こういうふうに申し上げたわけですが、しかし、一面においてインフレ、デフレということにつきましては、いまいろいろな議論があるわけです。赤字公債の呼称のごときいろいろな議論がございまして、物の生産が過剰である、あるいは物資が欠乏している状態である、これがインフレ、デフレの基準であるというふうな説もある。そういうような面から見ると、今日の経済はわれわれから見るとデフレ経済である。つまり、いまの経済はインフレ、デフレいろんな面を持っている経済である、こういうことを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/48
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049・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 五・五%の値上がりが世界じゅうにあまりないということは私も実は承知いたしております。したがって、私としてもそれで必ずしも満足しておるわけではございませんが、かねて七、五、三ということばがありますように、本年は七%台、八%以内でとめられると思いますが、それを来年は五%台、再来年は四%台でなくて三%ぐらいにもっていけば、いま木村さん御指摘のような世界的なある程度許容されるようなところまでもっていけるのじゃないかということで、私たちが三年計画で構造上の問題その他の問題を解決していきたい、こういう趣旨でございます。
そこで、来年五・五%ということをどうしておまえは考えるのかというところでございますが、大体本年度、四十年四月から四十一年三月まで一年間の対前年度物価が七・七%前後、六%になりますか、八%になりますか、七%その辺でおさまるとしましたときに、大体三十九年度を見ておりますと、かりに三十九年の三月を横ばいにいたした四十年度の指数と三十九年度の一年間の平均指数というものを見ますと、三・四%ぐらいの上昇になります。これをわれわれ「げた」と言っておるのです。ところが、本年四十一年度にいきますと、その「げた」というものは二・四%前後ではないか。大体三十九年度対四十年度に比べまして、四十年度対四十一年度というのは一%ぐらい「げた」が低くなってくる。それは一年を通じまして、最初四月から始まって八月、九月、十月、一月、三月とくるが、三十九年度は十二月、一月、二月、三月とずっと上がったわけです。ところが、本年度は御承知のとおり、四月が九・九%ぐらい上がりました。その後大体その数字がならされてまいりますと、いま言ったように七・七%ぐらいということにまあなってくるわけです。まあ下半期の上がるよりもむしろ最初に上がっているというところにこの「げた」の幅の小さくなることがあると思います。三十九年に比べ四十年度は一%ぐらいはその「げた」が下がっておりますので、たとえば四十年度の七・七%から一%下がったとすれば六%台になるわけです。少なくとも六%台くらいなものから一%ぐらいはわれわは政策努力で下げていかなければ物価対策としてやったかいがないのじゃないか、こういうことを考えるわけでして、したがって、非常に困難なときでありますけれども、われわれは少なくもその程度のものは極力政策の努力をいたしまして五・五%前後に下げていきたい、こういう努力目標として私は申しておるわけであります。ですから、努力いかんによってはそう不可能の数字とも思いません。五・五%はまだ世界の水準より高いじゃないかと言われれば、われわれはそのとおりだと思いますから、それで満足すべきじゃなくて、さらに四十二年度になればそれが三%台くらいに落ちるように、まあ四%はこえないように努力していくということでそこへ落ちつけていきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/49
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050・田中寿美子
○田中寿美子君 先ほど大蔵大臣はインフレーションの定義で物価が上がって貨幣価値が下がるということだというふうにおっしゃったんですけれども、それじゃなぜそうなるのかということなんですが、インーフレーションというと通貨膨張というのが訳語だと思いますけれども、通貨が膨張するというのは、日本全体に流通している商品やサービスの総量に必要な貨幣額よりも非常に多く通貨が発行されているということだろうと思うんですけれども、現在通貨の発行額、それから日本に流通している商品総額、そういうものがわかりましたら、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/50
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051・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 商品の流通総額はわかっておりますかどうか、大体売り上げ税でも計画する際には調べておくのですが、いまそういう数字がありますかどうか……。それから、日銀の、通貨は大体経済成長に見合って増発されながら今日に至っておるわけであります。決してこれが国の必要量をこえておるという状態ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/51
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052・田中寿美子
○田中寿美子君 私たちの感じでは、現在独占資本の時代になりますと、各国の間の経済競争、それに伴って軍事費が増大してきます。それからまた、国内では労使の階級的な対立なんかがあって、それに対しても社会政策をやらなければならない、そういう費用がふえてくる。それから、産業に対して補助をしていく財政措置が必要になってくる、それの費用が増大する。しかも、大衆の所得というのはこれは相対的には下がっていく。そういうようなときに、非常に収支が苦しくなってくるときに通貨は非常にたくさん出されていく、現在まさにそういう段階だと思うのです。それで、物価が上がっていくということも、そんな物価騰貴だけでなしに、そういうふうに通貨の価値がどんどん下がっているから、つまりインフレーションだから、なお物価騰貴がおそろしいので、はたして物価の安定される日が来るだろうかという心配を私たちは持つわけなんです。昨日も有井教授は利子率をこえる物価水準の騰貴がインフレだというふうな説明をなさいました。私は全くそういう状況にいまあると思います。銀行に十万円の定期預金を一年間したとして、十万五千五百円を受け取る。そうして一年たってその十万五千五百円に物価騰貴率を考えに入れますと、実際にはそれは九万八千二百円ばかりの値打ちになっているわけです。明らかに貨幣価値は預けていたために下がっていたという状況にあると思う。ですから、私はいまはほんとうにインフレだという感じがいたします。
四十年度公債二千五百九十億については、これは歳入の不足を補うものなんだからそれは決して景気対策でもなんでもない、これはインフレになる心配はないという御説明です。確かにこれは不況対策としてではないはずなんです。ですから、今回に限っては、この四十年度の公債発行によってインフレになるということはないという御説明なんですけれども、ほんとうにそうなんでしょうか。つまり、二千五百九十億の内容の使い方によっては、たとえばその建設事業、公共事業に使われるというのはほんとうの赤字穴埋め的なものなのか、あるいはもっと四十一年度以降の景気対策に使うような公債と同じような性格のものになる危険はないのかどうか、そこを御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/52
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053・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 木村さんのあれで説明のちょっと違ったところがあまりすから、訂正しておきます。いまの「げた」ですが、「げた」が三十九年から四十年にかけて三・四%、それから今年はたぶん二・五%。そこで一%という差が出る。七・七%、かりにこれを七・五%としまして、下がれば、その一%というと六・五%、その六・五%に対して一%ぐらいの努力をして五・五%、こういうことです。さっき二・五%と申し上げたそれは間違いです。訂正しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/53
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054・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 冒頭に田中さんから御質問がありましたが、いまの経済はインフレかデフレかというあれで、その前にインフレとは一体どういう定義だと言うから、私は、消費者価格から見ればインフレであり、また需給という関係から見ればデフレであり、また卸売り物価という面からはこれはインフレでもデフレでもないと、こういうふうに申し上げたんですが、また、そのインフレかデフレかという、今度は通俗の呼称というか、理解のしかた、こういう面になりますと、私はいまの経済全体を見ましてインフレだとは思っていないんです。つまり、非常に複雑な経済であり、消費者物価は上がりつつある経済だが、俗にインフレですかデフレですか、こういう場合は、インフレというと物価が際限なく上がり続けていくというその絶望感を含めたようなインフレですね、こういう響きを持つわけですが、そういう事態では私は絶対にあり得ない。またそうさしてはならぬと、こういうふうにかたく考えておりますから、この点は誤解のないようにこれからひとつ話を願いたい、こういうふうに思います。
それで、今度公債を発行するから、じゃインフレになっていくかというと、そのインフレというのは、私がいま通俗な意味におきまして申し上げた、この物価のとめどもない上昇を招くというようなことかというと、そういうことには相なりません。これはいま政府が公債を発行して、物の調達あるいは労銀の支払い、そういうことをいたしまするけれども、特に物の面におきましては、生産力が非常に余っておる、その余っておる生産設備が幾らかでも稼働していくという状態になるのでありまして、物の欠乏を招くとか、あるいは物の需給の不均衡を起こすというような事態には相なりません。そういう意味合いにおきまして、価格面ではこれを押し上げるというような要因にはならぬ、こういうふうにまあ考えております。
さらに、このインフレになるんじゃないかという議論の一つとして、この公債がまあことしは、あるいは来年はそれでいいかもしれねが、だんだんと雪だるま式にふえていって、将来物の需給あるいは資金、労務の需給、国際収支の不均衡というものに発展するのではないかというようなまあお考えを持つような人があるようでありまするが、それに対しましては、私はしばしば申し上げているんですが、公債は発行しますけれども、予算の規模は適正な規模にこれをきめます。これさえ守り抜けますならば、インフレには相なりません、こういうことを申し上げているわけであります。公債とインフレ論というのは、私から見ますと、少し飛躍している議論じゃないか、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/54
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055・田中寿美子
○田中寿美子君 これまでも公債発行しないという主義を持っていらっしゃったのが、昨年の半ば、後半から発行主義に変わった。そのことについては先ほど戸田さんからの御質問もありましたので、私それは省略いたしますけれども、四十一年度以降の公債、これは景気対策としてやるのだ、赤字の穴埋めではない、これは民間の資金を対象にして市中で公募する、税金は取らないけれども、これは民間の遊んでいるお金を吸い上げるので、別の意味ではもちろん税金にもひとしいものだと思うんですけれども、四十一年度の総額七千三百億、その後については、大蔵大臣のそれじゃ考えでは、次第に景気が回復してきたらその発行額はどんどん減らしていくという考えかと思われますけれども、そういう意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/55
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056・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/56
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057・田中寿美子
○田中寿美子君 そういうふうにうまくいけばいいと思うんですけれども、経済成長率も毎年毎年相当高い程度で保っていかなければならないということになり、そうして四十一年、四十二年、これは大内兵衛さんの計算ですけれども、毎年毎年非常にふえていくんではないか。そうして、しかも四十二年度にはその公債は一兆円ぐらい出し、それの利子が七百億もかかるだろう。毎年そういう利子を加えていくわけですから、四十五年度ぐらいになったら七、八兆円の公債総額になりはしないかということを言っておられますけれども、そのような懸念というようなものはないんでしょうか。これは、福田大蔵大臣は、そういうことは絶対にしないとおっしゃっておりますけれども、しかし、私たちを取り巻いている日本、世界の状況からいいますと、経済の規模は大きくなるばかりである。そうしてそういう方向に行く懸念は十分にありますし、佐藤内閣の政策も途中で変わったように、福田さんがいらっしゃる間はいいとして、そういうことが十分懸念されると思われます。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/57
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058・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、今年税が非常に落ち込んだ、また来年も相当額の自然増は見込めない、こういう状態になったこの局面をどういうふうに打開していくかということにつきましては、税が自然に集まるような国民的な経済の基盤をつくること、これが先決である。税をここで大いに集めて、そうして均衡財政を貫ぬいていくということも一つの考えでしょう。しかし、私は、それは日本の経済の置かれている今日を打開するゆえんでない。むしろ将来税をもって、今日出すところの公債は国民に順調に償還できるように、国民自体を富ましていく、政府はそのためにいささかの借金をしてよろしい、こういう考えでございまして、必ずや公債政策で日本の経済は安定的成長を遂げる、こういうことにつきましてはいささかの疑念も持っておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/58
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059・田中寿美子
○田中寿美子君 戦後今日まで公債発行しないで済んだというのは、財政法の精神がこれを公債発行しない、インフレにならないようにするという精神であったと思いますし、そしてそれが軍事予算の役割りを果たさないようにと、平和主義であったと思うのですけれども、それができたのは、自然増収があって、そうして公債を発行しないでも済んだということだったと思うのですけれども、いまのお話ですと、経済が回復してきたら自然増収の形でまかなっていく、つまり増税もするということでございますね、つまり公債発行を押えていって、将来景気が回復したら増税し、その増税によってすべての経費をまかなっていくのだ、こういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/59
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060・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 増税をせぬでも、租税収入がふえてくるという状態を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/60
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061・田中寿美子
○田中寿美子君 いま大蔵大臣は、公債発行の目的は社会資本を充実させることだとおっしゃいました。それから、国民生活を引き上げる、社会保障にも使う、こういうことをおっしゃっているわけなんですけれども、その社会資本の充実ということの内容は、これは公共事業というふうに解釈していいと思いますが、そうでしょうか。その中には、私はやはり昨日から何人かの方が懸念された軍事的な事業への発展もあり得るというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/61
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062・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) まあ軍事費というか、防衛費ですね、これを私は社会資本とはいま考えておりませんが、つまり、われわれはわれわれの生活を営みますが、また生活費の中から何がしかを出し合って共同の生活環境をつくる努力をいたしておるのです。これが財政でありますけれども、その共同の生活環境あるいは経済環境、住宅でありますとか、あるいは道路でありますとか、河川の整備でありますとか、そういうものを私は社会資本の充実というふうに申し上げておるのでありまして、防衛力はこれはまた別のカテゴリーに属するものかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/62
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063・田中寿美子
○田中寿美子君 公債発行の目的の中に、目的と申しましょうか、公債を発行して減税をするということをやっていかれるわけなんですけれども、減税が目的になるというのは少しおかしいので、減税によって収入が減った分をまた公債でもって埋めていくということですから、やっぱり税金を取るのと同じようなごまかしの感じがいたします。それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/63
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064・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ちょっとよく意味がわかりませんが、もう一度お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/64
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065・田中寿美子
○田中寿美子君 公債発行の一つの目的は減税だというふうに言われた。目的と申しましょうか、公債は発行して、同時に三千億減税をする。そうすると、減税しておいてまた収入の減った分は公債で補っていくわけですから、やはり別の形の税を取るということになると思うのですが、それだったらいっそ、発行しないで、最初から置いといたほうがよくないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/65
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066・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 公債は先へ行って国民の税金で償還しますから、税金の先取りであるという性格は持ちます。持ちますが、今日においては決して税金に関係のある問題ではないのであって、今度出す公債は社会資本の充実を対象として発行いたしますが、その結果、いままでならば社会資本の充実のために租税収入が充てられておったわけです。その負担が社会資本の遂行の財源として減りまするから、したがって、反射的に減税の財源も生み出されることに相なります。しかし、公債は何か税の関係ではまがいものであるかのごときお話ですが、そうじゃありません。これは将来の税負担にはなりまするけれども、今日は減税を可能ならしめる要因になりこそすれ、決して税負担を増すというようなものではない。これは何か誤解かなんかではないかと思いますが、いかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/66
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067・田中寿美子
○田中寿美子君 先取りというのが、結局同じことだと思うのですけれども、さっき戸田さんが言われましたように、今度減税される、その減税の対象にならない非常にたくさんのボーダーライン層以下の者がいるわけなんですけれども、その大衆課税を減ずるという考えはないかとさっき戸田さん聞かれましたけれども、お答えなかったんですけれども、ほんの幾つか何か間接税、物品税の免税をしたようですけれども、でも、たとえば、たばこだって、大蔵大臣がお吸いになるハイライトと、それから月収二、三万円の人が吸うハイライトと、税金は同じに一本について半分くらい払っている。そうしますと、低所得層ほど非常に高い間接税を払っているということになるわけです。その辺を直していくというお考えはないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/67
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068・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 直接税と間接税をどうどういう振り合いにするかということは、これはなかなかむずかしい議論でございまして、財政についていろいろ意見を持っておる方の中には、間接税を少しふやしたらどうか、たとえば売り上げ税を創設するとかいろいろなことを検討せよということを言ってくる人が実は多いのであります。また、間接税というものは、これは徴税の技術からいいますると、国民にそう負担感を持たれないままに税が徴収されておるという点において、きわめて魅力的な面を持っておるわけなんです。しかし、一面租税の所得に応じての負担という面から見ますると、これは頭割りになるわけでありますから、そういう面から見ると、これは欠陥も持っておる、こういうふうに考えられるわけなんですが、まあしかし、間接税は、いまわが国におきましては大体四割くらいが間接税でしょうか、六割くらいでしょうかは、直接税になっております。そういうようなことでございまするが、ただいま申し上げましたように、間接税のほうでは徴税の技術の面から国民との摩擦がないというような点もありまするしいたしまして、なかなかこれを廃止するということは私はむずかしいかと思うのです。しかし、これが国民に非常に圧迫感を持たれるというような場合におきましては、これはまた検討しなければならぬけれども、ただいまは、まあ六対四というような比率はそう議論になる、また議論の種をまくような状態ではないような感じがいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/68
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069・田中寿美子
○田中寿美子君 時間が進みますから、経済企画庁長官にお伺いしたいのですけれども、物価の問題ではいやというほど議論していらっしゃいますけれども、私ども婦人層や家庭の主婦なんかが集まりますと、すぐに、一体物価は下がるのかどうか、賃金が上がらなくたって物価が下がるほうがいいという極論すらする人があるくらい、物価の問題は一番大きな関心事で、下がるということは全然考えられませんが、安定できるのかということ、それから上がり方を低くすることがだんだん見通しとして持っていらっしゃるのかどうか。さっきから戸田さんへのお答えいろいろありましたけれども、ああいうことだけで物価が安定するというようにどうも考えられないのです。それで、やはりああいうことのほかに、つまり流通、生鮮食料品の流通機構を合理化するとか、それから生産のコストを下げるとか、いろいろおっしゃいましたけれども、そういうことのほかに、非常にたくさんの品物ができ過ぎて余っている、その品物の独占価格を何とかするという考え方がおありにならないか。それから、いまの間接税を下げる。それから、公共料金を上げていったんでは絶対に物価は安定しないと私は思うんです。そういうことについて、経済企画庁は相当の見通しを持って案を実際にお立てになっているのか。そして、立ててもそれが有効に働けるのかどうか。物価問題懇談会なんていうのもできて、言いたいことをみんなが言っているし、それから国民生活局ができまして、そこに先日も私は主婦と一緒に行きましたけれども、何かもう、どうようしもない、困ったというような、まるでハムレットのような、それで各原局に突き上げられて、せっかくのできたプランもどうしようもないという、そういう機構なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/69
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070・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) お話のように、物価問題を解決してまいらなければなりませんし、したがって、われわれも目標を置いてそこに向かっていくようにひとつ努力もいたしますし、それから知恵もしぼっていくわけでございます。で、いまお話しのように、どの程度のところで安定させればいいのか。経済が非常の拡大している、こういうようなときにどの程度で安定させればいいのかということは、これは問題でございますけれども、外国の例から見れば、二%台、まあ三%をこえるともう警戒しなきゃならぬというのが一般の通念のようでございます、経済を論じておられる学者の方々その他の間で。ですから、私ども、少なくともまあ三%ぐらいのところまでは持っていかなければならぬという目標のもとにやってまいりたいと、こう思っております。
そこで、いろいろな物価をいま突き上げております問題は、いろいろ各方面にわたった行政機構の中で、各省が分担する非常に広範な問題を一つ一つ取り上げてまいらなければならぬわけでございまして、したがって、われわれとしてもそれらの問題を取り上げながらこれから進んでいかなければならぬ。で、どういうふうに取り上げていくか、またどういう問題を取り上げるかというような問題につきましても、それぞれ物価懇談会等の御意見も伺いながら、われわれとしても案を立ててまいりたい。で、当面、いまお話しのような管理価格の問題等につきましても、再販価格の問題等もございますから、公正取引委員会の人をふやしてもらいますし、また今度は広島等に支局も設ける、そういうようなことは予算措置をしていただいたわけです。そしてできるだけ公正取引委員会におけるそういう機能も強化しながらそういう問題にも手をつけていく。物価懇談会も、この次の第二回の会合には、公正取引委員会の委員長に来ていただきまして、各界の方々にも聞きながら、そういう問題について何らかの話し合いをして、どうしていったらいいかという問題を考えてまいりたい、こう思っております。
それから、先ほど来申し上げておりますような一つ一つの問題については、いろいろ手を打っていかなければならぬのでございまして、物価問題懇談会でも、比嘉さんから、たとえば中小企業、特に環境衛生を扱っておる部面の例をお話しになったのですが、たとえばクリーニングのようなものは、近代化をすることによって、大阪では実例があるという、実例を持っておいでになったのですが、近代化をして、そうして新しい機械設備を入れた結果として、二百幾らの洗濯料が百八十円でございましたか、そういうふうに下がった。しかし、それは消費者との協力を得て、配達等はしないで、消費者にそこまで持ってきていただくというようなことで、機械化とあわせてそういうふうに下がったのだという実例を、数個の実例をお示しになりながらお話しになりました。そういうような問題につきまして、われわれも今回いろいろ議論もございますけれども、環境衛生に対する融資のワクを拡大していただいて、そうして近代化、合理化というような面については、その面からひとつ解決をしていく、少なくも上げていかない、サービス料金等は上げていかないというような面について配慮しておるつもりでございます。
それらの問題、農業の問題にいたしましても、あるいは輸送関係、流通過程の問題につきましても、それぞれの問題を取り上げながら、構造上持っておりますいろいろな問題を取ってまいるのでございまして、ことに住宅の問題等も物価問題には関係してまいりますので、実は非常に広範な問題、そしてどこにしぼって、どこをまっ先にやるかというような問題も非常にむずかしい問題でございます。がしかし、これをどれ一つとして、将来かりに二%前後で安定させるという目標でありますれば、それぞれの問題を詰めていきまして、そうして施策の上に乗せていかなければならぬと思っておりますので、若干時間はかかりますけれども、私はお話のような世界的な状況にまで、ひとつ各国の事情のところまではぜひとも持っていきたいということでやっておるわけでございます。
公共料金等の問題につきましても、ただ単に一年ストップをしたというだけでは、翌年同じ事情のもとにやはり公共料金を上げなければならぬという事情が出てまいります。したがいまして、公共料金等につきましても、やはり独立採算制の中における公共性というものについて私どもは考えていかなければならぬのではないかと思います。そうしてそういう問題については、一体どこでだれが負担するのかというような問題も考えてまいりませんければ、ほんとうの今日のような公共料金の問題の解決という問題については相当困難がございます。ただ、それに目をおおっているだけでは相ならぬのじゃないかと、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/70
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071・田中寿美子
○田中寿美子君 それでは、もう時間がありませんので、終わらしていただきますけれども、物価と賃金のことなんですけれども、労賃と物価との悪循環を絶つ必要があるというようなおことばを、大蔵大臣はあっちこっちでおっしゃったのです。それから、新聞での座談会などで大蔵大臣が、政府は医者で、財界は患者だという話をしていらっしゃいますが、国民は何なのか。それで、経済が立ち直るのは財界の努力と、医者の注射と投薬によるとおっしゃっていますけれども、いま瀕死の状態にあるのは国民だと私は思うので、その国民に対して、物価が上がっていくのに見合うだけの賃金の値上げというものがありませんから、非常に苦しい状態にあるということについて、御質問はこれで時間がありませんので差し控えますけれども、よくお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/71
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072・西田信一
○委員長(西田信一君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/72
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073・西田信一
○委員長(西田信一君) 速記つけて。
午前の審査はこの程度にとどめ午後は一時より委員会を再開することとして、これにて休憩いたします。
午後零時三十分休憩
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午後一時十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/73
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074・西田信一
○委員長(西田信一君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
午前に引き続き、昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/74
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075・木村禧八郎
○木村禧八郎君 最初に大蔵大臣にお伺いしますが、この特例法ですが、この法律でこれまでいろいろ質疑をいたしまして、問題は残っているわけです。最後に締めくくりとしまして、その問題について大蔵大臣からはっきりした御答弁を伺う必要があり、それがはっきりしませんとわれわれも困るわけです。と申しますのは、これは予算委員会でも質問いたしましたいわゆる償還計画の問題です。この償還計画については、この四十年度の補正の歳入欠陥を補うための二千五百九十億のこの公債発行のための特例措置、この第二条で、この公債の償還計画を国会に出さなければならないということになっているわけですが、この償還計画については出ていないわけでして、これにはだいぶ議論があるわけです。政府のほうは、予算の参照書に一行だけ書いてある、あれがそうだと。償還計画表ですかね。しかし、われわれの解釈では、あれは償還計画というものではない。たとえば外債については償還計画があるわけです。ああいうようなものが償還計画というべきものです。ところが、大蔵大臣は、じゃ、償還計画をこの法律に基づいて出すことになると、将来の財政計画を出さなければならないことになるので、実際問題としては困難である、こういう御答弁なんです。
で、事情はわかりました。事情はわかりましたが、償還計画を出さないと、この財政特例法に違反することだけは、これは明らかなんです。違反することは明らかです。あの一行だけの償還計画表というものが償還計画でないということになれば、償還計画がないことになる。また、この償還計画表に関する補足説明として、一般的に、政府の財源によって、またこれまでのこの国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律、昭和三十六年にできましたこの法律の第2項で「国債の償還に支障を生じないようにしなければならない。」という規定があるわけです。こういう規定とか、それから財源関係を考えれば、まあ国債整理基金特別会計の資金等を考えれば、償還に心配がない、こういう一般的な説明で、これが財政法違反でないというふうに政府は説明しているわけです。しかし、国債整理基金特別会計のこの資金は、これは公債全体の償還に関する資金であり、またその規定なんですよ。この特例法によるところの、特例法の第二条にいうところの償還計画というものではないわけですね。このことははっきりしたわけですよ。大蔵当局の、事務当局の方からもよく事情を聞きました。ですから、事情はわかったのです。問題は一体どうするかということです。大蔵大臣は、あの一行だけの計画表がこの特例法の二条にいうところの償還計画だと、こうおっしゃっている。しかし、これについても、どうもそうは言うけれども、何となくそれでは割り切れぬ、こういう大蔵大臣のお答えもあったわけですよ。実際問題として、この償還計画は結局公債の信用に関することですから、国内だけでなく対外的信用もあるでしょうから、実質的に考えて、この償還計画、この問題はどういうふうに処理していこうとされているか。とにかく、形式としては違反でないと思うけれども、何となく実際問題として割り切れないという大蔵大臣のお答えもあり、しかもこれは財政法四条に基づいて発行される公債の場合もこの問題が起こってくるわけです。しかも、将来かなり多額の公債が発行される。その場合の償還計画については何ら政府にはっきりした方針がないわけです。減債基金の制度によるのか、それともこれまでのように剰余金の五分の一でいくか、しかし、今後赤字公債をどんどん出さなければならない場合に剰余金を公債の償還財源に充てるということも、これは理屈に合わぬですよ。いままでは剰余金の五分の一、改正して五分の一になったので、前は二分の一ですが、この剰余金を積み立てるということが、償還財源にした、償還方法にしたわけですね。しかし、それでは今後はまかなえないわけですね。理屈に合わぬ。それから、眠っている規定ですが、前年度の公債の現在額のこの何%という規定もありますね。そういう規定でいくのか、何らかこの償還計画というものをはっきりさせなければならぬ段階に来ているわけですね。
この特例法をわれわれここで上げるにあたりまして、賛成、反対はとにかくとしまして、これについてはとにかくいままでの質疑の過程、大臣の御答弁もありますし、何らかここで決着をつけておく必要がある。そこで、大蔵大臣、どういうふうにこの決着をつけようとされているのか、行きがかりにとらわれて、いや、あの計画表だけでいいというそういうふうな事務的御答弁ではなく、真剣に、今後の問題もあるわけですから、財政法四条に基づいて発行される公債の問題もあるわけですから、ここではっきりさしておかないと、また蒸し返しになりますよ。四条で発行する場合に償還計画が問題になりますから、一応ここで決着をつける意味で、ひとつはっきりした御答弁をまず伺いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/75
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076・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 財政法第四条で、そもそも償還計画を明らかにしなければならないと言っているのはどういう立法の趣旨でありますか、どうもいろいろな人の話を聞いてみてもよくわからぬのです。当時具体的なケースに当てはめてみて検討が行なわれなかったのじゃないか。ただ単に償還の計画を持たなければならぬぐらいのことであったのかもしらぬというふうに思うのです。で、それを引き受けて、しかしながら、今度の特例法でも同じたてまえをとることにいたしたわけなんですが、さてこれを現実にどういうふうに措置するかということになりますと、予算書の中に掲げてあるような一表だけになっちゃうわけですね。
そこで、私は木村委員が御指摘された点を考えてみると、私は非常にいい御指摘を受けたと思って感謝をしておるのです。この御指摘を受けて考えてみますると、形の上ではどうもこれ以外の道はありません。これはありませんが、しかし、これだけで足りるかというと、どうも足らないように思う。で、いろいろ検討いたしました結論は、これでいいというふうに考えずに、何らかこの立法をいろいろそんたくしてその趣旨を生かすようにしたい、そういうようなことから、四十一年度において発行する公債につきましては、この公債はどういう考え方でどういう方法で償還していくんだということを説明を付してこの予算書の中に挿入いたしたい、こういうふうに考えております。つまり、簡単な表が一つついて、そしてこれにこういう方法で、こういう考え方で償還するんだということを明らかにする説明を添付する、こういうふうにまあいま考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/76
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077・木村禧八郎
○木村禧八郎君 どうもしかし、それだけでは私は不十分なような気がするんですね。そうしますと、この予算参照書ですね、あそこに表を掲げて、あの表の説明として書くのか、あるいは予算総則にでも書くのか。予算総則に書くというのも形がちょっと妙だと思いますが、まあそれともう一つは、制度的に何か減債基金の制度をやるのか。まあいままでのような剰余金の何分の一を積み立てて償還財源にするという方法ですね、これももうこれからは実情に合わぬことになりますね。実情に合いませんよ。多額の公債を発行するのに、剰余金が出るはずがないでしょうからね。そうすると、その制度はどうするのか。いままでのそういう問題も起こってくるわけですよ。
そうしますと、諸外国の例もいろいろ調べていただきましたが、まあ発行する銘柄そのものの財政計画を国会で承認を得るという、そういう制度をとっているところはないように承っていますがね。しかし、何らかの形で、あるいは公債の信用を保持するということが一番主でありましょうが、何らか手当てをしなければならないんじゃないんですか、その点は。一方において、かりにあの表に説明をつけるということで、一応財政法四条の解釈はつくとしましても、今後のこの多額に発行される公債償還についての何らか減債基金制度なり、あるいはいままでの剰余金の何分の一を積み立てるとか、あるいは前年度の公債現在高の何%積み立てるとか、いろいろなやり方がありましたが、どういうふうにするのか。あるいは全然そういうものは別につくらないで、結局まあ財政全体自体がその保障になる、そういう考え方でいくのか、その点はどうなんです。何かやはりそこに手当てしなければいけないのじゃないかという気がするのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/77
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078・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 国債の償還につきましては、まあ昔は減債基金制度というものが国際的な制度として方々の国で採用されておったわけであります。最近はこれを採用している国は少なくなってきております。なぜかというと、おそらくその財政の都合によりまして、これを機動的にやっていくということに結局はなる、そういう実際に即応して制度を考えるということじゃないかと思うのでありますが、とにかくそういうふうになってきているのです。わが国におきましては、いま国債整理基金特別会計という制度がありますが、これをさらに発展さして、まあ減債基金制度を設けるかどうか、そういう点につきましては、これはまあとにかく何らかの制度があったほうがこれは安心感があっていいのだという考え方と、そうじゃない、制度をつくっておくと、それが固定してかえって財政の流動性に支障があるのだという考え方もあるし、財政制度審議会というものもありますので、この一年間ぐらいゆっくりこの制度自体をどうするかということを検討をしていきたい、こういう考えであります。
しかし、取り急ぎ四十年度の問題があり、四十一年度の問題がある。これに対しましては、先ほど申し上げましたように、御指摘の点もあり、私は御指摘の点まことにごもっともだ、こういうふうに思いますので、予算書の付属表に説明を加えるというところでお願いをしたい、こういうふうにまあ考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/78
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079・木村禧八郎
○木村禧八郎君 国債の償還に対するまあ手当ての問題としては二つの考え方があるということを承ったわけですが、まあそれは今後財政制度審議会ですかでゆっくり検討されたいということですから、まあその検討にまつということも一つの方法です。あえてまあそれについてわれわれ異議を立てるわけではありません。十分に学識経験者のそういう人たちの意見も広く徴して結論を得られることも心要だろうと思うんです。
そこで、この問題についてはこれ以上いろいろ議論しても、これはただ議論倒れになることもありますから。まあ私の考えでは、この特例措置については政府は償還計画出していないのですけれども、少なくとも違反していると、こういうまあ立場で、これは私はがえんずることはできないと思います。これは水かけ論になるわけです。将来について大蔵大臣も慎重に考えるということですから、それは信用いたします。
そこで、国債整理基金特別会計というのはどのくらいの積み立て金あるのですか。事務当局の方でいいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/79
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080・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 昭和四十年度の当初におきまして約千三十七億円余りございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/80
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081・木村禧八郎
○木村禧八郎君 千三十七億。じゃ、この中からその運用利益ですね、これは四十年度のこの歳入に繰り入れましたね。それは除いているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/81
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082・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) ただいま申し上げましたのは、いわば元本でございます。従来の運用益というものは、本年度で百六十三億になる予定になっております。先ほど申し上げました千三十七億の別にございます。このうち約百五十億を本年度補正において利払いに充てたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/82
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083・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、元本が千三十七億で、運用益が百六十三億あって、そのうち百五十億を四十年度の財源に繰り入れた。そうすると、運用益は十三億残っておる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/83
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084・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/84
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085・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それでいいんですね。
次に、大蔵大臣に伺いますが、先ほど戸田君の質問に対して大蔵大臣は、四十年度の財源不足は約四千億ということを言われたのですね。四千億のうち税収不足による分が二千五百九十億、そのあとの不足分は、これは節約等で補なった、こういう御説明でしたが、それでいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/85
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086・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/86
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087・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そこで、ずいぶん私も、こんなに歳入不足が大きいとは思っておらなかったのです。税収不足以外に千四百十億歳入不足があった。これは歳出が非常にふえたからそういうことになっております。ところで、この二千五百九十億の税収不足分は、今度は現時点で計算してこれ以上ふえるということはないのでしょうか。三月決算にもよると思うのですが、いまの情勢ですと、どうも三月決算もあまりよくないといわれております。そうすると、もう少し、二千五百九十億以上に税収不足がなるのじゃないかと思うのですが、その点、大蔵大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/87
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088・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) これ以上減収増ということになるとたいへんでございますので、私も注意しておるのですが、大体この程度で済みそうでございます。あるいは多少余りが出るかなというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/88
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089・木村禧八郎
○木村禧八郎君 なぜこういう質問をしたかと申しますと、しょちゅう問題になるのですが、徴税強化の問題があるものですから、そこで、このままですともっと税収不足が多くなりそうだ。そこで、税務当局を督励して非常に徴税強化をやる心配が出てくるのじゃないかと思われますが、いまの大蔵大臣の答弁ですと、大体この程度で落ちつくようで、そういう無理もされないように思いますので、そう理解してよろしゅうございますか。特に徴税強化をやるというようなこと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/89
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090・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 徴税強化などとは毛頭考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/90
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091・木村禧八郎
○木村禧八郎君 次に、これは前に成瀬委員から本会議でも質問したのですが、私も質問しました。四十年度の二千五百九十億の税収不足によるいわゆる赤字、これは四十年度で公債発行してこれをまかなってしまうわけです。増税するとか、あるいは歳出を削るとかしなかったわけですから、これは今年度までずっと続くわけですね。そう理解すべきじゃないでしょうか。私はいろいろ資料をこう見るのですが、大蔵省の財務官の方がいろいろどこかへ行って話をされたのを読んだこともあります。あるいはまた金融財政事情ですね、これも購読しているのですが、そこで大蔵省の方が書かれたのを見ますと、この二千五百九十億というのは、この赤字は後年度までずっと続くものである。私もなるほどそう思った。そうでしょう。これは増税によるか歳出を削るかしなければ、後年度は歳出はふえるばかりなんですからね。また、歳入も自然増収が二千五百九十億以上あれば別です。ところが、四十一年はないんです。そうすれば、その赤字というものは後年度に残る、こう理解しなければいけないんじゃないでしょうか。四十年度だけじゃないのですよ。これは公債でまかなってしまうんだから、いつまでもこれはつきまとう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/91
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092・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それはいろいろな見方があるわけですが、ともかく私どもが推算したところでは、四十一年度は税制改正を行なわなければ千億近くの自然増収があるわけなんであります。そういうような点を考えますと、この赤字が続くというふうには言えないかと思う。いろいろ見方があるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/92
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093・木村禧八郎
○木村禧八郎君 税制改正をやらなくても、私は不足だと思うのです。そうしますと、こういう問題が起こってくるんですね。この四十年度の赤字が後年度に続くと、四十一年度に続くとなると、この財政特例法は、つまり税収不足による歳入欠陥を公債でまかなうということは、これは財政法四条で許されていないので、特に特例法を設けてそこで公債発行でこの赤字をまかなうということにしたわけです。ところが、そういう赤字が四十一年にもこれは残っていくわけなんで、そういう場合にその赤字は財政法四条では許されない。この赤字についての公債発行は、少なくともですね。そうすると、四十一年度になるとこの特例法を廃止してしまうんですよ。だから、そこに矛盾がある。ほんとうはこの特例法をずっと続ける意思でなかったかと思う、政府は。そうすれば理屈は合うんですよ、われわれ反対だけれども。あるいは財政法を改正してしまう、四条を改正してしまう、そうすれば理屈に合いますよ。ところが、まあかなり良心的であると、私は大蔵大臣のこれまでの御答弁からこれは私は理解しますよ、ごまかさないで。大蔵省証券で泳いでいくとか、あるいはへ理屈をつけて、そうして財源がプールされるんだから、この公共事業費の支出分と理解して、二千五百九十億の赤字をまあ補てんするための公債は財政法上やられるというへ理屈もつき得ると思うのです。でも、そういうへ理屈をつけないで、ともかく特例法を出してきたということは、大蔵大臣が財政法を一応尊重して、そうして特例法でいくと、こういう考えで出してきたと思うのですが、その点はまあ了解できるのですよ。できるのですけれども、そこに矛盾があることは、これはおおいがたい事実だと思うのです。いまお話ししたように矛盾が出てくる。そうすると、四十一年にもほんとうはこの特例法でやらなければいけない赤字分があるわけなんです、この赤字が単年度だけではないんですから。これを増税か歳出の削減でまかなったなら別ですよ。ところが、その赤字分はずっと毎年続くわけですよ。ほかに税制改正をまあしないとして、増収が二千五百九十億以上なければそういうことになるんです。その点はどういうふうに御説明なさるのか。私はどうしてもこれは矛盾だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/93
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094・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それは木村委員のおっしゃるとおりで、先ほど申し上げましたように、四十年度は二千五百九十億円の減収があった、その事実をベースにいたしまして、そしてどういうふうな変化が四十一年度は起こるだろうかということを計算するわけですね。そうした場合に、四十年度の予算に比べまして千億程度の自然増収がある、こういう状態でありますので、ただいまあなたがおっしゃられるお話、おそらく、四十年度は赤字公債じゃないか、そうすると同じ事態が続くんだから四十一年度も赤字公債じゃないか、こうおっしゃられるんじゃないかと思いますが、そういう御心配はないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/94
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095・木村禧八郎
○木村禧八郎君 心配じゃないんですよ。事実は事実として、やはりはっきりさしたいわけなんです、賛成、反対は一応別として。事実問題、事実をはっきりさせなきゃいけないんであって、その必要があるんです。私はいまの大蔵大臣の御説明ではどうも納得できない。これはまあ議論になりますから、この程度にしておきます。
次に、四十一年度予算と景気との関係です。四十一年度、いわゆる大型積極予算、一応政府案ができ上がったわけです。この四十一年度予算は、一番大きなねらいは、これまで佐藤総理大臣、福田大蔵大臣が言われたように、不況対策に重点を置いているんですね。その他にもいろいろその予算の目的があるわけですけれども、一番重点は不況対策といわれています。そこで、この不況対策との関係を伺いたいのですが、私の理解するところですと、この四十一年度予算の編成の前提としまして、四十一年度の経済見通しを政府はつくって発表しております。これによりますと、四十一年度総生産ですね、総需要とも言っておりますが、三十兆八千五百億と見ているわけですね。これは四十年の実績見込みに比べまして大体三兆一千三百億増になる。この三兆一千三百億増は実質で七・五%の増ということになるわけですよね。七・五%増というものを金額に直すと、三兆一千三百億なんです。これだけの有効需要を新しくつける。この有効需要は、前の戸田君の質問に対して大蔵大臣は、設備投資によってはなかなかつきにくい。というのは、設備投資が四兆五千五百億ですからね。大体四十年度で五百億増。ほとんど横ばいですよ。そこで、設備投資によってこれだけの有効需要をふやすのは困難だから、財政によってこの有効需要をそれだけよけいつけて景気を刺激する、こういう論理になってくる。そして財政のほうはそこで大型積極予算を組んでいく。大体、まだ地方財政計画は出ておらないと思うのですけれども、国及び地方財政、政府の財貨、サービス購入量は大体七兆一千億ぐらい両方でなると思うのです。七兆一千億ぐらいのあれをつけて、中央、地方の財政によりまして、そして三兆一千三百億の有効需要をつける。その場合消費者物価は五・五%、こういう筋道になっているように私は思うのです。まずその筋道はどうですか。大蔵大臣、そのように理解してよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/95
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096・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 大きく申し上げますと、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/96
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097・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、いまの不景気は大体、まあその原因にはいろいろありますが、生産と消費の不均衡、非常に設備過剰がある。大体設備過剰をどのくらいにごらんになっているのですか、四十一年度で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/97
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098・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 遺憾ながら設備過剰に関する統計資料、つまり稼働率統計というものは日本では整っていないのです。それで、まあ抽出調査をするほかない。そうすると大体、いろいろな種類の抽出調査がありますが、大体三〇%くらい遊休になっておるのじゃないかというふうにいわれておりますが、これはまあ権威あるあれじゃありませんですが、大体そういう見方が大勢であると、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/98
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099・木村禧八郎
○木村禧八郎君 金額にしてどのくらい……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/99
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100・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ちょっと金額はここで承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/100
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101・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まあ四十年度の場合ですね、二兆円から四兆円ということをよく世上いわれておりましたですね。そうしますと、四十一年になると、四十年度に投資された民間設備ですね、これが稼働化してきますね。四十一年度に動いてきますね。四十年度に投資されたものです。四十年度は大体実績見込みで四兆五千億ですね。まあ四兆九千億見込んだのだけれども、それだけなくて、大体四兆五千億といわれておるのですね。これが四十一年度に稼働してくるということになると、二兆円くらい稼働してくると思う。まあ計算の方法によりますけれどもね。大体八五%の八割と普通見られていますね、そうすると大体二兆円くらい。そうしますと、四十一年の設備過剰は、まあ金額にして大体四兆円から六兆円くらいになるのじゃないかと思うのですね。そうなると非常に大きなものじゃないかと思うのです、設備過剰は。そこで、積極大型予算を組まれたと思うのですが、それでもどうもいまの設備能力の過剰と比べまして、三兆一千三百億の有効需要をつけることによって、それで非常に高度の操短をやっていますね、その操短は緩和できるくらいの景気回復が可能とお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/101
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102・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) まあいまの稼働の現在状態ですね、とにかく経済は七・五%成長するわけでありまするから、その限度において消すと、こういうことになります。ところが、その設備は設備投資が行なわれまするから、若干の設備能力というものができてくるわけであります。私どもはだからそういうことを考えますと、七・五%は全部消されることにはならない、多少その設備投資の影響というものによって、またそれが消されると、こういうことになるのじゃないかと思います。その数字につきましては、まだいまこれをこういうところで申し上げられるような資料はございませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/102
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103・木村禧八郎
○木村禧八郎君 企画庁長官は、まあ財界人ですから、その正確な何は要らないですが、およそどのくらいのお見込みですか。いままで世上二兆円とか四兆円といわれましたが、四十一年度の設備過剰をどの程度に大体おさめたらいいとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/103
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104・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私も、経済界に長くいましたけれども、なかなか設備投資がどの程度過剰になっているかという推算は非常にむずかしいと思います。ことに能力——稼働率との関係においては設備能力というものが、政府がいわゆる十分な統計を持っていないのもそういうところにあると思うのですが、設備の稼働力というものが明確につかめていない場合が非常に日本では多いのであります。たとえば百トンのプラントをつくってフル操業してみれば百トンよりも大幅な実力が出るというような場合が多いのじゃないか。それから、ある場合には百トンの工場をつくったけれども、ある部分がネックになっているから、それをその部分だけを直せばすぐ百十トンの力がある、そういうようなことが非常にわれわれ民間の仕事をやっておりましてもありますから、設備の能力というものは非常につかみにくいと思います。したがって、稼働率というものをどこを基準にしておくか、それが調べにくい。通産省等でも非常に明確なつかみ方ができないところだと思うのです。
ただ、金額的にそれじゃ設備に投資した金額ですね、金額的に総投資に対してどのくらい稼動しているのだろうかというような大きな形になれば、やはりおそらく私どもの常識でいえばいままでの設備投資に対して七割くらいのところではないか、以上には金額でいっても動いていないのじゃないか、こう思います。それ以下だと私は思います。現状ではむろんフルに動いている、設備が完全に動いているところがありますけれども、これは全くいわゆる木村さんのおっしゃった勘ですから、正確な数字的な推算ではありませんから、あるいは当たるも八卦当たらぬも八卦ですが、勘からいえばそんなふうな感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/104
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105・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まあ勘といえば勘ですけれども、一応いままでの前年度に投資した民間設備投資が翌年度どのくらい稼働化するかという計算のしかたが一応ありますが、それが正しいかどうかわかりませんけれども、いままでは大体投資の八五%を純投資と見る、残り一五%はリプレースメントだ。その八五%の八割稼働と見れば、いま長官の言われたくらいになる。七割稼働すれば、また違ってきますけれどもね。
そうしますと、少なくとも四十年度で投資されたものが四十一年度に二兆円くらい稼働化してくる設備能力になるのじゃないか。長官のあれですね、もう少し大きいようですね。そうしますと、かなり大きいですね。その稼働があるということになる。これに対して三兆一千三百億ですか、積極財政によってこれだけの有効需要をつけるというのがですね、そうして物価は五・五%の消費者物価の値上がり、そうしてもし消費者物価がもっと上がった場合に、五・五%以上上がった場合ですね、上がった場合、三兆一千三百億というこの有効需要というものは実質的にはむずかしいと思うのですよ、実質的には。つまり、名目成長率は高くなりますけれども、実質成長率はそんなに高くならない、こういう問題が起こってきませんかね。これは大蔵大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/105
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106・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 物価の変動があるという際には名目は高くなります。しかし、実質には影響ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/106
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107・木村禧八郎
○木村禧八郎君 三兆一千三百億ですね、これは総生産をふやすことになっているのですがね。これが実質価値が下がるでしょう、物価が上がってくれば。どうですかね。企画庁長官、どうですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/107
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108・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 三兆一千三百億というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/108
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109・木村禧八郎
○木村禧八郎君 三兆一千三百億というのは、四十一年度の総生産を三十兆八千億でしたかに押えているのでしょう。これは政府の経済見通しですよ。それは前年四十年の実績見込みに比べて三兆一千三百億増になる。それが七・五%ということですね、それをさしているわけです。それは五・五%の消費者物価の値上げというものを前提として計算されていると思うのです。そうでしょう。そうでなければつじつまが合わないですよ。その場合、物価がもっと上がった場合ですよ、三兆一千三百億の実質価値は下がるわけですからね。下がってくると思うのです。あるいは今度は、名目的に総生産そのものがふくらむかもしれませんが、とにかく私は、物価が上がると実質的に三兆一千三百億にならないと思う。そうなってくると、成長率は上がるけれども、名目成長率は高くなるけれども、実質成長率は七・五%にならぬじゃないか。それだけ物の需要がふえないということになるですね。そこで、政府のねらった不況対策も効果をおさめられないのじゃないか。この物価が五・五%以上上がるということになると、そういう事態が出てくるのじゃないか。だから、社会党の見方は七・五%の成長率、困難ではないか、そういう考え方を発表しています。四・五%じゃないか。この考え方は、いまお話ししたように、大体、物価が上がってしまうと実質購買力は減るのじゃないか。そうなれば、政府が四十一年度の予算を編成するときに発表した経済見通しですね、あれに基づいて計算した場合ですよ、これは不況対策が重点になっているのだけれども、その効果を十分におさめられないのじゃないか。そこが一つのわれわれの批判の焦点になるのです。そこのところはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/109
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110・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 消費者物価が上がった関係で消費自体が減るということが起こりますれば、あなたの言うとおりなことになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/110
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111・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そういう前提に立つわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/111
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112・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) しかし、私どもといたしましては、物価はそうは動かない、また、かりに多少の変動がありましても、これが消費を抑制するという程度のことはあるまい、こういうふうに考えて、一一%成長ということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/112
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113・木村禧八郎
○木村禧八郎君 次に、四十一年度予算の規模について質問したいのです。その前提として伺いたいのは、国庫債務負担行為はどのくらいになりますか。国庫債務負担行為全体でです発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/113
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114・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 国庫債務負担行為は、こういう考え方をしておるのです。通常つけております国庫債務負担行為というのはあります。それに対して、四十年ですね、景気対策といたしまして、主として公共事業費に国庫債務負担を増ワクをいたしたわけであります。その同じ考え方を今度四十一年度予算においてもとっていきたいと、こういう考え方でございますが、その特別のものをつけるというのは、今度膨大な予算を組みましたが、この組んだゆえんのものは、何としても景気を常道に乗せなければいかぬ、そういう考え方であります。しかし、万一これでも多少不足だというような事態でもありますれば、四十年度においてやったように、四十一年度においても四十二年度の支出に予定されるべきものを繰り上げ契約をすることができるというようにしておいて、財政の弾力的運用というか、経済界の変動に臨機対処する態勢を整えようと、こういう考え方なんです。それで、その額につきましては、これはただいままだ関係各省と話を進めておる最中でございます。いずれこれは予算書を国会に提出をいたすというまぎわにならぬと確定をせぬと、こういうふうに存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/114
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115・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それはおかしいですね。もうあの予算は衆議院——国会に提出したんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/115
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116・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 大体、予算は二十六日ごろ提出をいたす予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/116
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117・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まだ出していない……。そうですか。御承知のように、国庫債務負担行為も財政法上でいう予算の内容になっているわけですね。これは丁ですか。甲、乙、丙、丁の丁でしょう。ですから、予算の内容になっているわけですよ。だから、予算の規模をきめるときには、国庫債務負担行為もきまらなければならないわけですよ。大蔵大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/117
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118・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 大体、四十一年度の予算で四十一年度の経済に対応する措置は十分であると考えております。なお、補足的に、万一のことを考えまして、国庫債務負担行為というものも拡大していこうというので、四十一年度を問題とすると、経済、財政と見合うバランスとしては本予算そのもので十分だと思います。そういうことで閣議の決定を、国庫債務負担行為を含めざるものを決定しておる次第でございます。なお、補足的な景気対策とか早期見通しといたしまして、国庫債務負担行為を拡大しようということを考えておる、その額は目下関係各省で打ち合わせておる、こういう段階です。いずれ、まあ一週間ぐらいのうちには明らかになる見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/118
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119・木村禧八郎
○木村禧八郎君 四十年度の国庫債務負担行為ですね、さっき計算してみましたら、補正で大体三百八十三億六千万円ばかりふやしています。四十一年度以降の歳出要因になる予算——そうしますと、四十年度は国庫債務負担行為は、四十年度のさっき補正でふやした三百八十三億六千万円加えてどのくらいになるかそれで、四十一年はそれに対してどのくらいふえるか。大体でいいんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/119
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120・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 四十年度は大体、政府機関を含めまして千億円ふやしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/120
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121・木村禧八郎
○木村禧八郎君 補正を入れて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/121
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122・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) つまり、景気対策用として千億円ふやしておる。通例あるもののほかに千億円ふやしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/122
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123・木村禧八郎
○木村禧八郎君 通例のものを入れますと……。通例のものは幾らくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/123
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124・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 一般会計で七百四十八億円あるわけで、通例のものが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/124
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125・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この七百四十八億は、補正で三百八十三億ふやしたのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/125
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126・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それは上乗せになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/126
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127・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは千億の中に入っているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/127
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128・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 千億と申しますのは、国鉄とか電々とか、そういう政府機関を合わせまして、千億円をただいまの七百五十億円に上乗せをしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/128
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129・木村禧八郎
○木村禧八郎君 七百四十八億というのは一般会計だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/129
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130・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/130
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131・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうすると、この特別会計、政府関係機関全部入れて幾らぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/131
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132・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 一般会計、特別会計、それから政府関係機関を合わせまして四千四百六十一億円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/132
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133・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これが四十年度でふえた分ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/133
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134・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 四十年度の当初予算についていたものですが、それで、補正予算で追加したものが約一千億あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/134
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135・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうすると、五千四百六十一億、それが四十年度。それともう一つ、それでは四十年度分で四十一年度以降歳出要因になる国庫債務負担行為全体で幾らかですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/135
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136・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ちょっともう一度。四十年度において……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/136
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137・木村禧八郎
○木村禧八郎君 四十一年度以降歳出要因になる国庫債務負担行為の総額。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/137
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138・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それがただいま申し上げた数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/138
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139・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは四十年度にふえた分じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/139
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140・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 四十年度において四十一年度以降で契約をなし得る額が、ただいま申し上げた五千四百億ばかりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/140
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141・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは財政法二十八条にちゃんと出ているでしょう、何年度以降ずっと歳出要因になる額というのが。それも必要ですが、四十年度にどのくらい国庫債務負担行為がふえたか。これは四十一年度以降歳出要因になるのでしょう。国庫債務負担行為の総額でしょう。いまのお話は総額でしょう。国庫債務負担行為の期限は、継続費と同じように五カ年間支出できるでしょう。継続費と同じようにちゃんと期限が五カ年間の歳出要因になってくる。だから、その総額が幾らかということと、四十年度に幾らふえたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/141
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142・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) つまり、三十九年以前のもののしりは四十年度に幾ら来ているか、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/142
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143・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/143
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144・鳩山威一郎
○政府委員(鳩山威一郎君) 四十年度の当初予算で、今後将来の債務負担になるものの総額は幾らかという御質問については、先ほど大臣がお答えになった数字がその数字になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/144
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145・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それが四千四百六十一億ですか。四十年度だけでそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/145
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146・鳩山威一郎
○政府委員(鳩山威一郎君) それに補正予算で一千億追加した。それから、全体の債務負担の総額の中で四十一年度以降に負担するものはどれくらいか。これは私の手元に政府機関は持っていないのですけれども、一般会計と特別会計だけで申し上げますと、一般会計が当初予算では総額一千九百三十七億でございまして、四十一年度以降になるものが八百六十二億でございます。それから、特別会計は一千四百十二億の総額がございまして、四十一年度以降になるものが九百二十二億でございます。あと政府機関は持っておりませんので、数字はわかりませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/146
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147・木村禧八郎
○木村禧八郎君 さっきのは、これは政府機関も含んでいる。それで伺いたいのは、私は財政規模の質問をするために聞いているのでありまして、四十年度の国庫債務負担行為の総額と四十一年度の総額とどのくらい違いがあるかということを聞きたいのです。それから、四十年度にどのくらいふえたか。これは、いま政府関係機関も含めてお話があったのですが、これに対応するものは四十一年度はどのくらいかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/147
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148・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それは、ただいま申し上げましたように、ただいま各省と折衝中でございまして、まだはっきりした数字というものは出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/148
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149・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それでは、大蔵大臣、これよりふえると見ていいのですか、四十年度よりも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/149
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150・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 若干ふえると見てよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/150
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151・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、四十一年度の財政規模を見る場合、私は国庫債務負担行為というものもあわせて見るべきだと思うのですね。というのは、いますぐに歳出要因になりませんけれども、国庫債務負担行為で国会で認めれば、これは両者は、国会でもう今後——大体実質は継続費みたいなものですからね。それはやや違うところはありますけれども、継続費ですと当年支出要因になりますけれども、国庫債務負担行為は翌年度の負担になりますが、しかし、実質は継続費とあまり違わないのですね。これを認めてしまえば、あとは削ってしまうわけにはいかないでしょう。そうすれば、それを担保にして金を借りられるわけですよ、金融機関から。そうでなければ、国庫債務負担行為を認める意味はないですよ。そうすれば、景気刺激要因になりますよ、国庫債務負担行為を一たん認めれば。それだけ信用のインフレになる。インフレといっては語弊があるかも知らないが、非常に起こってくる可能性が出てきますよ。そうなると、私は、四十一年度の財政の規模というものはこの表面にあらわれているものよりかなり大きいと見ていいと、この国庫債務負担行為で言えますね。そう見なければならないじゃないかと、こう思うのですよ。国庫債務負担行為もあわせて……。そうなると、公債は発行する。国庫債務負担行為で、そういう金融のほうの見積もりをつける、政府保証債も四千億発行する、インベントリーも取りくずす。インベントリーはどのくらい取りくずすのですか。どの特別会計で取りくずすかわかりませんが、インベントリーはどのくらい取りくずしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/151
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152・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 外為会計から百四十億円ばかり取りくずします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/152
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153・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そのほかのインベントリーはもう残っておりませんか。貴金属とか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/153
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154・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 特別取りくずしはいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/154
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155・木村禧八郎
○木村禧八郎君 もうないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/155
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156・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ありますけれども、貴金属ですか、ありますけれども、今回取りくずすのは外為だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/156
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157・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、公債発行七千三百億、それから政府保証債四千億、それからインベントリー百四十億ですか、取りくずす。そのほかにいまの国庫債務負担行為、これは五千億以上になりますね。これはまた信用の膨張の原因になりますね。そうすると、これはかなり大型積極景気刺激予算という形になる。
その場合、どうしても私はそれが、これはさっきも議論になりましたが、これだけのたくさんの購買力を造出する場合に、もし企業が操短をどしどし次々に解除していけば別ですけれども、解除していかないと、結局それは物価を引き上げる作用にのみ、何というか、効果が出てきまして、実質的に生産をふやすという効果が出てこない。私はこういう気がするのです。
それで、一番理想的な景気刺激対策としては、前に数量景気というのがありましたですね。きのう公述人にも質問したのですけれども、昭和三十年ころでしたか、輸出はどんどんふえる、国内で生産はふえるが、物価は上がらなかった。そこで、民間の企業は日銀からどんどん金を借りたけれども、どんどん返した。昭和三十年の日銀の貸し出し残高は二百七十億円台に減ってしまった。どんどん日銀に返した。これが私は正常なる形の景気対策だと思うのです。数量景気、物価は上がらない、そういう形に持っていくのが私は正しい景気対策だと思うのですよ。ところが、これだけ大きい購買力、三兆一千三百億を造出する。しかし、これよりも私はもっとふえると思う。それがもし——いまこういう生産制限をやっていますけれども、セメントなんか六〇%くらいの稼働率であるとか、工作機械は五〇%くらいの稼働率、一番ひどいのが卓上扇風機で三二%の稼働率、これがこれだけ購買力を出すことによってどんどん操短を緩和していく、生産もどんどんふやしていく、そうなれば物価が上がらないで、物が売れて、利潤もふえていく、こういう形に持っていかなければならないと思うのです、本来は、ほんとうは。これがいわゆる数量景気です。それが、企業ももうかったらどんどん日銀にオーバーローンを返していく、正常化していく。ところが、そういう形にならないで、むしろ、物価を上げるような作用をする危険がある、可能性がある、いまのカルテルが強化され、独占が強化されて。ですから、私は、インフレになるのじゃないか、こう思うのです。この点は大蔵大臣、一番の中心、この大型予算と景気との関係の一番重要な点だと思うのですがね。どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/157
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158・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) いま、あなたも御承認なさっていられますように、設備が非常に余っております。この過剰の設備に対して追加購買力をあてがう、そうすると、企業は設備費の新しい負担なしに製品を供給することができるわけです。決して、そういう形のもとにおいて物価が騰貴する、多量生産によるコスト低下はありましても、それが上がるのだというような要因にはならぬ。木村さんの言われるのと全く逆の現象が出てくるのじゃないか、こういうふうに思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/158
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159・西田信一
○委員長(西田信一君) ただいま委員の異動がございましたので、御報告いたします。
大谷贇雄君が委員を辞任され、その補欠として北畠教真君が委員に選任されました。
以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/159
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160・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いま大蔵大臣が御答弁になったようなことが、昭和三十年ころの数量景気というものなんです。そのころと事情が違っているのですよ。非常に独占化が進み、非常にカルテルが強化されているのですよ。そういうもとでそういうふうにならないというところに問題があると思うのです。それは大蔵大臣がいうように、昭和三十年ごろの数量景気みたいになれば、それが理想的ですよ。しかし、いま非常に過剰です。それなのに物価が下がらない、卸売り物価が下がらないところに問題がある。大蔵大臣は、卸売り物価が上がらないから安心だと言いますが、そうじゃない。卸売物価は下がらなければならない、ほんとうは。これだけの近代的な設備があり、能率の高い設備がありながら、これが下がらないところに問題がある。うんと能率があがっているのに、生産性が高くなっているのに、これが下がらないところに問題がある。前に山際日銀総裁も言われましたよ。問題は、この物価問題の一番の問題点は、卸売り物価が当然下がるべきところが下がっていないところにあるのだ。横ばいを保っているということは、相対的に上がっていることなんですよ、コストがうんと下がっているのに。そこにわれわれと物価問題の大きい違いがある。これは今後の事実に徴さなければならない、水かけ論になりますから。大蔵大臣の言うとおりになるかどうか。なれば、これは三十年度の数量景気のようになる。本来ならば、そうならなければならぬはずですよ、こんなに設備過剰なんですからね。ところが、卸売り物価は下がらない。私は、こういうカルテルが強化されておるので、いまお話ししたように、これだけ多くの積極大型予算を組んでごらんなさい、どうしたって卸売り物価が上がってきますよ。必ず上がってきます。これはもうかけをしてもいいですよ、大蔵大臣と。だから、将来のこれは事実によって判断するよりしようがない。
そこで、次に伺いますが、もうあまり私の質問時間がございませんので、大蔵大臣に対しては最後になると思うのですが、先ほど田中委員からインフレの質問がありました。そして大蔵大臣は、国債発行とインフレとを結びつけるのは飛躍し過ぎるという御答弁だった。私はそうじゃないと思う。なぜ国債発行をすぐインフレに結びつけて世間で騒ぐかということは、これは貨幣論を学んだ者はすぐわかると思うのですよ。信用インフレの場合、貸し出しの場合はこれは回収されます、その場合、銀行券を供給した場合は。政府紙幣と違うのは、政府紙幣は出っぱなしです。ところが、銀行券はこれは貸し出しに使うのだ。回収される。ところが、公債を発行して出る通貨は政府紙幣だ、回収ということがないのです。だから、公債発行して出てくる通貨と銀行の貸し出しによって出てくる通貨と、これは違うのです。だから、公債発行だとすぐ通貨膨脹になってインフレになると、こう心配するのですよ。飛躍じゃないのです。これまで信用インフレ——信用インフレには限界があります。融資により増加する通貨は回収される。ところが、政府の公債発行の結果として出てくる通貨は、回収性というのはない。増税よりほかにない。回収はないのですね。だから、インフレにつながるのです。そこで、インフレにならないように日銀引き受けを避ける。歯どめやをかましく言う。
なぜ歯どめをやかましく言うかといえば、公債発行は政府紙幣の増発に直接つながるのですよ。つながる危険性があるからこそ、歯どめ論が出てくるのです。危険がなければ歯どめ論なんか要らないですよ。そうでしょう。そして歯どめ論として、財政法四条の建設公債を発行する、市中消化をする、こういうことを歯どめにしているのですよ。そこで問題は、結局回り回って日銀の引き受けになるから、政府紙幣の増発ということになって、インフレになっていくということになるのですね。そこのところが一番問題です。私は決して飛躍じゃないと思う。
大蔵大臣は、公債発行はインフレというのは飛躍だというが、その飛躍でない理由は、銀行券と政府紙幣と、そういうものの区別をはっきりさせないから、飛躍のように思うのであって、この点いかがですか、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/160
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161・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、いま私どもが考えている公債の論議をしているのであって、抽象的、一般論的な公債論議をしているのではない。いま私どもが歯どめをちゃんとし、財政の規模を適正にいたしましょう、また民間市中消化をいたしましょう、また発行の対象は公共事業費に限りましょうと、こういう装置をした公債発行というのはインフレとは全然つながりはない。つまり、公債であろうが税であろうが、政府が金を民間に放出をする、それは同じでございます。ただ、手段として公債と税の違いがある。公債にそういう仕組みをした場合の税との違いは、税は強権的に国民の所得なり資産を取り上げるわけでございまするが、公債の場合は、公債という国家に対する資産を国民の手に残す、こういう違いがあるだけなんです。その違いが多少の経済界に及ぼす影響はあります。公債が担保となって、そうして金融の利便に供せられるという点はありまするけれども、その他においては何らの違いはない。私はそういう意味合いにおいて、公債が出た、すぐインフレだと、こういう議論は少し飛躍しているのじゃないかということを申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/161
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162・木村禧八郎
○木村禧八郎君 時間がありませんから、最後に企画庁長官にひとつ物価問題で伺いますが、先ほど五・五%四十一年度の消費者物価値上がりの想定をした根拠を伺いました。これは四十年度の消費者物価の値上がりは大体七・七%といわれていますが、この中には消費者米価の値上げ、国鉄運賃、私鉄運賃の値上げとか、それから医療費の値上げ等々が含まれているわけですか、七・七%の中に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/162
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163・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 四十年度の見積もりも、それから四十一年度のわれわれの予想したものにも、いま御指摘のようなものを含めて考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/163
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164・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、四十年度で大体国鉄運賃、米価、私鉄運賃、それから医療費ですか、それで七・七%になって、それよりさらにまた五・五%上がるということになると、これはたいへんなぼくは騰貴になると思うのですよ。さっき「げた」の問題がありましたけれども、じゃ五・五%上がると。その要因は一体何がその要因になるのか。国鉄運賃なり米価なり私鉄運賃なり医療費を織り込んで大体七・七%、その後また五・五%上がるについては、何がその大きな値上がり要因になると考えているのか、どうも理解できないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/164
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165・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) たとえば米価につきましては、一月からこれは影響してまいりますが、国鉄運賃はおそらく、いまの政府の予定では二月十五日ということですから、これの三月までの影響というものはそう大きく見られないと思う。むしろ四十一年度にどれだけの影響が残っていくか。ことに貨物運賃等考えてみますと、貨物運賃の影響というのは非常に計算がむずかしいものでございまして、なかなか個別の物価にどういうふうに影響していくかということは計算しにくいものです。ですから、乗客の問題等考えてやっていかざるを得ないのですけれども、そういうものも入れ、あるいは郵便は七月から上げるというふうなことであれば、それを七月から考えていく、そういうことで四十一年度はやっていくわけす。ですから、したがって、四十年度はいま申し上げましたような米とか国鉄の、残余の時間というようなものについての影響というものは、ある程度含んでおります。
それから、いま私どもが一番心配しておりますのは、昨年もそうですが、四月に教育関係の費用が非常に上がりました。それが御承知のとおり例の九・九%というので、対前年度比ぐっと上がった理由の大きな原因です。ですから、私学等に対しまして、私学に助成金を出すとか低利の金を出すというふうな方法をなるべくとっていただいて、今度はなるべく上げないようにわれわれも私学の助成をやる、同時に国立大学はこれは上げないでやっていただくという処置を、私どものほうと大蔵大臣と相談の上でとったわけでございます。できるだけそこのところの影響を来年度は緩和していく、こういうことを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/165
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166・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この政府の物価対策というのは、国際的に見ても、さっき申しましたが、五・五%に押えるなんというのは世界最高の物価水準ですよ。それで物価対策だと言えないと思うのですよ。日本は四十年度七・八%になっていますね。これは昨年の八月現在ですが、OECDの発表したものです。七・八%になっている。それを五・五%に押えるといったって、世界各国で五・五%以上なんというのはさっき言ったようにオランダだけで、みんなそれ以下ですよ。だから、物価対策といいながら五・五%というのでは非常に高い水準ですね。話にならぬと思うんです。これは議論になりますけれども。
もう一つ、企画庁長官に伺いたいのは、長期計画につきましていままで問題になっていた点は重化学工業比率、これを非常に高く見たわけですね、ことに倍増計画で見ますと。これは私は問題だと思う。今後どの程度にこれを——あまり急速に重化学工業化したことが比率を大きくしたということが言えると思う。これをどのくらいに見るのか。倍増計画でいうと、四十五年度七五%ぐらいに見ているんですよ、重化学工業の比率を。その点が一つと、もう一つ、個人消費比率が非常に低いですね。個人消費の比率五〇%以下ですよ。大体四十年度五三%ぐらいでしょう。昭和二十八年は六一%ぐらいですから、これは六一%以上にしませんと、私は設備過剰、消費不足の問題は解決しないんじゃないかと思う。個人消費率の問題。それから、もう一つは、経済見通しを立てたら一応それに近づくような努力をすべきじゃないか。これは前にも論じたんです。ところが、たとえば物価を何%に押える、成長率を何%に押えると発表はするんですけれども、それと事実実績が違いそうになったときに、何らの手を打たないんですね。それでは何のために見通しというのは立てるのか、さっぱり意味がないと思う。この三点について、今後の長期計画をつくる場合に問題になる点だと思いますので、最後にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/166
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167・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 重化学工業が非常に伸び過ぎて、いわゆる中小企業とか農業とか伸び悩んだ、これが今日の原因の一つだと思います。したがって、安定成長に伸びる場合に、私どもの考え方からすれば、重化学工業をある程度押えて、そして中小企業あるいは農業、そういうものを伸ばしていくと、こういうことが必要だと思います。
それから、個人消費は当然伸びる状況にございますけれども、購買力が大きくなるということは、先ほど来の話、だれでもすぐ考えつくところですが、十分な生産活動ができて個人消費、国内消費が伸びてまいりますことは、これは国民生活においての影響ばかりでなく個人の消費が伸びる、そのことが私は輸出商品のコストダウンになるというので、これは経済計画の中で見てまいらなければならぬと思うんです。
それから、最後の御質問であります経済計画を立てた以上はそれにのっとって政府が運用しなければならぬ、そのとおりだと思います。自由主義経済の中における経済計画でございますから、きちんとしたものをつくりまして、そのとおり動くというわけにはまいりません。したがって、企画庁としてはこういう計画を長期のものをつくりますれば、それを指針として各省がそれに応じて経済を運営し、またそれに若干の状況変化が起これば、それを訂正して、そして計画と実際とがマッチしていくように政策の上で、あるいは計画の上で訂正しながらいくと、こういうことが必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/167
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168・木村禧八郎
○木村禧八郎君 自治大臣に一つだけ質問いたします、せっかく来ていただいたんですから。一つだけです。それは御承知のように、今度四十一年度からまあ多額の公債を発行する財政計画になっているわけです。地方財政に非常に大きな影響があることは、大臣もう御承知のとおりですね。まあ一つは歳入面に影響が来ますわね。税収が十分にないから、いままで所得税、法人税、酒税の三税の二九・五%、今度は三二%に引き上げたわけです。引き上げるから財源不足はカバーできるようなものの、そのほかの税収は景気よくなければ減ってきますし、それから景気変動にしょっちゅう交付税というものが影響を受けるような形ですね。いままでは自然増収が毎年あったからいいようなものですけれども、今後はそういう景気変動に幾らでも左右されるような交付税の交付のしかたですね。これは何とか考えなければならぬ段階に来ているんじゃないですか。その点一つですね。これは前に平衡交付金のときには、これは基準財政需要と基準財政収入の差額を政府が補償すると、こういうたてまえになっていたものですから、まあ理屈上は赤字が出ないことになっておったんですよ。ところが、この交付税制度になりましてからですね、三税何%ということになりましたから、三税が減れば、それで減っちゃうでしょう。交付が減りますね。それでまあ四十年度は一応の臨時的手当てをしたわけです。今度の特例法の中にもその一つが入っているわけですがね。ですから、今後平衡交付金みたいな制度に返れとは言いません。その他のいい方法があればいいんですけれども、この政府が地方自治体に交付するその金額が景気変動によってしょっちゅう非常に大きく悪い影響を受けるというこういう制度自体、ひとつ検討する必要があるのじゃないか。この点が一つですよね、地方財政の歳入面ですね。
それから、歳出面については、政府は大型予算を組みますから、それにつれて地方負担分が非常にふえるわけですね。そのために地方財政が非常な赤字になってくると。もう最近では、公営企業も含めて地方財政はたいへんな危機でしょう。その歳出面について、政府が公共事業費等をうんとふやすとすぐに地方負担分がふえる。直轄事業を政府がふやせばすぐ地方負担がふえると。そうしてそのほうの裏づけが、財源としては交付税が景気変動の影響を受けると、こうなっている。歳出面についてもやはりいままでのようなこの形でいいのかどうか問題だと思うんですよ。この点について伺いたい。
それから、地方財政計画がいつごろ出るのか。地方財政計画はいつごろ出されますか。これは交付税法の七条で国会に出さなければならぬことになっていますね。なっています。ところが、もう今月の終わりごろから衆議院では予算の審議に入るのですよ。予算審議会に入る場合、国の一般会計予算あるいは特別会計予算、政府関係機関の予算はあるけれども、地方財政計画ができていなければ、総合的な予算審議ができないのですよ。ところが、いつも地方財政計画は非常におくれて出てくるわけです。これは技術的にむずかしい点があるかもしれませんが、地方財政計画は早く出さなければ、国のこの予算とあわせて地方財政計画を見なければなりません。国の予算も地方財政計画とあわせて審議しなければ意味ないのですよ。国の財政も地方財政も、これは相互一体的なものなんでありますから。ところが、地方財政計画はいつでも提出がおくれる。これは今回はいつごろ出されるのか。いままで地方財政計画が非常に提出がおくれるのです。国会に出すのがおくれるのです。これについて今回は、あるいは今後どういうふうにその点について処理されていこうとしているのか、この点についてお伺いしまして私の質問は終えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/168
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169・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) あとのほうから申し上げますが、地方財政計画はできるだけ早く、平生より早く出すように、二月の中旬ぐらいまでに出しておりましたが、できるだけ早く出すようにしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/169
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170・木村禧八郎
○木村禧八郎君 二月の中旬ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/170
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171・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 旧来そういうような状態でしたが、できるだけ早く出すように鋭意努力いたします。
それから、交付税の関係は、ことしは二・五%上げましたが、お説のようなぐあいに、端的に再検討を要するときが来ていると考えておりますので、努力をしていきたい。すなわち、やはり事務の再配分、自主財源の確立というようなこととあわせて、根本的に検討する時期に来ているというように考えております。御趣旨のように検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/171
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172・西田信一
○委員長(西田信一君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/172
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173・西田信一
○委員長(西田信一君) 御異議ないと認めます。
それでは、討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/173
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174・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本法律案に反対をいたします。
第一の理由は、二千六百億の赤字を生じたということは、とりもなおさず経済の見通しを誤ったからでございます。したがって、その責任は、政府として当然追及さるべきものと考えております。御案内のように、山陽特殊鋼をはじめ山一証券等々、大中小をあわせて一年間に倒産件数は約六千件ございました。このことは循環変動かあるいは経済構造の変化か、どちらに、その根本原因があるかというようなことについて、政府の対策と申しますか、分析というようなことが全然的をはずれておって、その対策が二転三転したというよりも、むしろ政策がなかった。いわゆるこの不況に対する見通しを誤り政策を誤ったというその責任を、まず第一に追及したいと思います。
二つ目の理由は、本法律案は、いろいろなことを言いますけれども、要するところは、財政法の精神をじゅうりんし、財政法に違反しているという点でございます。すなわち、特例法を出すこと自体が財政法の精神をじゅうりんしておると思います。もう一つ大事な点は、二千六百億の赤字が、四十一年度、四十二年度、四十三年度と引き継がれておる。このことについていろいろと説明等はございますけれども、やはり四十一年度以降の公債というものが四条ただし書きだとおっしゃるけれども、やはり赤字公債という性格を帯びておるという点で、財政法違反として指摘しなければならないと思います。
それから、三つ目の問題は、償還計画の点でございますが、これもしばしば政府に対していろいろとわれわれただしたのですけれども、政府の御説明については納得できません。財政法はすなわち銘柄個々について年度別の計画を明らかにするようにしておるわけでございます。その点を明らかにしておらぬという点は財政法違反の疑いがあると思います。
四つ目の問題は、インフレに拍車をかけるという点でございます。公債発行は通貨増発となりまして、結局通貨価値の減少でございます。すなわちインフレでございます。そのことが消費者物価へはね返ってきておるわけでございます。インフレの拍車になるという点をわれわれは心配をし、反対をする四つ目の理由としたいと思います。
五つ目の理由は、国民生活を公債発行が結果的には困難にする。すなわち、物価騰貴になって、政府は不況対策には一生懸命のようでございますけれども、物価対策ということについて二、三、四というようなふうに少し軽く見ておる。われわれは不況対策と同時に、物価対策というものを十分考えていかなくちゃならない。その物価対策がないという点を指摘して五つ目の反対の理由にしたいと思います。
六つ目は、交付税の落ち込み、そのことで出ておりますけれども、こういうようなことで地方自治体の財政が確立するものではなくて、また三百億の財源をベースアップのために確保するための法律案をお出しでございますけれども、この三百億だけでは私たちはめんどうが見切れないものだと。こういうめんどうを三百億出して見切らなくちゃならないようなふうにせず、もっと地方自治体というものの財政を確立するように政府というものはしておかなくちゃならない。
こういう点をあげまして、反対の理由にいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/174
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175・植木光教
○植木光教君 私は、自由民主党を代表して、本法律案に対し賛成の意を表明いたします。
最近における不況の実態はまことに深刻なものがあり、企業利潤の極度の低下、あるいは家計の消費支出の著しい伸び悩みなど、いわゆる低圧経済の様相が極端に顕在化しているのであります。
かかる深刻な不況により、財政面においても、本年度に二千五百九十億円という大幅な租税の減収を見るなど、きわめて異常なる事態を招くに至ったのであります。
ただいま議題となっておりますこの法案は、不況の結果生じた税収不足を国債によって補てんするとともに、税収の減少により地方交付税交付金が減少することを回避し、さらに地方公務員の給与改定の財源に資するための借り入れ金の措置を講ずるなど、地方財政対策の一翼をもになうものであります。
この法案は、旧ろう二十七日に成立した補正予算と一体不可分の関係にある重要法案であり、補正予算に計上された公務員給与改定費、災害対策費、中小企業対策費、義務的経費の不足額の補てんなど、現在において最も緊要なる支出の財源となるものであります。また、現下の地方財政の状況から見て、地方交付税交付金の減額を回避して、事業の支出に遺漏なきを期し、加えて地方公務員の給与改定を実施するための措置として、各方面からその成立の一日も早からんことが渇望せられている法案であります。
特に歳入不足という事態に対し、増税または歳出縮減の方策をとることなく、国債を発行することとしたのは、現在の不況の実態から見てまことに適切なる措置であると言い得るのみでなく、今後の財政のとらるべき方向として当然の道だと信ずるものであります。
しかるに、今回の国債発行に対し、財政法の精神に違反するとか、インフレのおそれがあるとか、あるいは戦争経済への足がかりをつくるものであると心配される向きがあります。
しかしながら、今回の国債発行にあたって、政府当局が財政法第四条ただし書きによることなく、税収補てんの国債であることを率直に認め、特別措置で発行することとしたのは、むしろ財政法を尊重するがゆえであると考えられるのであります。
また、佐藤総理並びに福田蔵相がたびたび言明されているように、税収補てん公債は今回限りのものであることや、本委員会におきまして蔵相がるる説明されましたように、四十一年度以降の公債発行についても、市中消化の原則を守り、公共事業費の財源に限定し、かつ財政の規模とその運営を適切に行なう限り、インフレを引き起こすことはなく、まして、戦争経済に転換するというがごときは、まさに杞憂にすぎないと言い得るのであります。
私は、本法案による国債の発行がきっかけとなり、不況からの脱出がなし得られ、次いで本格的な公債政策導入による経済の安定的発展の基盤が形成されていくことを確信しつつ、この法律案に対し賛意を表明する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/175
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176・中尾辰義
○中尾辰義君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律案に対しまして、反対の討論を行なうものであります。
まず、この法案の性格から考慮するならば、政府が今日までとってきました高度成長経済は、資本主義経済の欠陥を遺憾なく発揮し、景気の反動は設備過剰による長期の不況となってあらわれ、中小企業の連続倒産、あるいは投資意欲の減退、相次ぐ物価の上昇等、国民生活の多大の犠牲のもとに、ついに二千五百九十億円の多額にのぼる税収の不足を生じ、その穴埋めが赤字公債の発行によって四十年度財政の収支を合わせようとするものであります。この失政は全く政府のずさんな経済政策と無責任な放漫財政によるものでありして、その政治的責任は重大であり、政府はこの法案の成立によってその責任をのがれようとするものでありまするが、政党政治の今日であれば、いさぎよくその責任をとって退陣すべきであり、われわれはその政策の失敗を追及するものであります。
反対の第二点は、赤字公債の発行が財政法により禁止されているのは、過去の財政史に見るごとく、これがいかにも不健全であり、インフレの要因となり、財政の基本原則に反するからであります。総理は、このような特別立法による公債発行は今年一年限りであり、今回限りであると言明をしておりまするが、今日の資本主義経済のもとでは、いままでは景気は循環をいたしております。再び深刻な不況が到来し、税収の不足を生じた場合は、またまた赤字公債の発行を考えざるを得ないでありましょう。そうなれば、このたびの特例措置はその先例をつくることになり、財政法第四条の立法精神を破ることになるのであります。特別立法でやりさえすれば何でもできるという政府の立法の趣旨を無視した考え方は、はなはだ危険であり、民主主義の原則を破壊するものと言わざるを得ないのであります。
反対の第三点は、今回の特例法には償還計画が全く示されてなく、簡単に、昭和四十七年度に二千五百九十億円の償還をすることだけを示されております。大蔵事務当局の補足説明を見ましても、財政法第三十四条により、剰余金から繰り入れられた国債整理基金により償還を計画し、国債の償還に支障を生じないよう繰り入れ額の総額を決定すると言っております。しかも、七年後における国民経済の規模が現在よりはるかに大きくなることを期待し、そのときは国民所得水準もかなり高くなるものと予想されるので、租税収入が相当増加するから、四十七年度において円滑に償還できると言っておりまするが、逆に景気過熱の反動不況により税収の剰余金が減少した場合は、この計画は全く狂ってくるのであります。これでは償還計画とは言えないのであります。むしろ今後の国債の償還にあたっては、国民大衆の租税を充てるより、国債発行によってまかなわれた資本が投資され、その投資によって生ずる利益をもって償還に充てるべきであると思われるのであります。
反対の第四点は、公債発行とインフレとの関係であります。大蔵大臣は、国力が充実した今日、公債発行が直ちにインフレにつながるとは考えられないとしばしばこのように言明をいたしております。しかし、今年度の二千五百九十億円の赤字公債の発行に次いで、四十一年度にはすでに七千三百億円の公債発行を準備し、その他政府保証債、金融債、事業債等を合わせますと、来年度は約二兆円にものぼるものと予想されておるのであります。また、明後年度は、設備過剰の現状から判断いたしまして、おそらく国債だけでも一兆円程度にはなるでありましょう。その後、景気の上昇を見込み、税の自然増収を期待し、公債発行を漸減しようといたしましても、最近における予算の特徴は、社会保障費、食管会計の赤字繰り入れ、公務員給与のベースアップ、その他の当然増経費の増加により、その歳出経費は硬直化し、税の自然増収はほとんどこのような当然増経費と減税に充当せざるを得ない状態にあります。したがって、ひとたび公債に依存した財政は、年々雪だるま式に膨張し、公債発行をやめることはきわめて困難であります。また、国債の消化につきましては、日銀引き受けはやらない、市中消化の原則を貫けばインフレ防止の効果がありというが、今後発行する国債は公共事業の範囲内において建設公債を発行するにいたしましても、結局は現在の政府保証債と同様、日銀の買いオペの対象となり、日銀券の増発につながり、景気を過熱し、ひいてはインフレの道をたどることは必至と思われるのであります。そうして諸物価はさらに上昇を続け、国民生活を圧迫するものと思われるのであります。
要するに、本年度の二千五百九十億円の公債をはじめ、今後続くであろう多額の国債発行は、大衆を犠牲にして産業資本への強力なてこ入れを行なうというものであり、全く国民大衆不在の財政政策であると言わざるを得ないのであります。政府はこのような非難を避けようとするならば、物価安定に本腰を入れ、所得税の大幅減税を断行すべきであることを要望し、私はこの法案に対し反対をいたします。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/176
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177・瓜生清
○瓜生清君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律案に対し、反対の意思を表明をいたします。
反対の第一の理由は、今回政府が租税収入の減少に見合う赤字公債の発行を行ない、わが国の健全均衡財政方針を変更しようとしている点にあります。そもそも、四十年度の税収の伸びが大きく期待できなかったことは、当初予算編成のときから明らかであります。しかも、政府のたびたびの景気回復の言明にもかかわらず、逆に不況はますます悪化してまいっております。これは政府の経済政策が朝令暮改を繰り返し、その場その場を糊塗する政策に終始していたからであります。かくして二千五百九十億の税収不足を招いたことは、全く政府の責任であり、ほかの何ものでもありません。
次に、政府は四十年度に限って今回の特別措置を講ずるのだと言われておりますが、今後経済の体質改善並びに物価値上げの抑制政策を確立せずに、四十一年度の予算編成に見られるごとく、ただ目先だけの不況対策を行ないますならば、かような赤字公債の発行というものは四十年度だけにとどまらず、今後必ずや第二、第三の特例法が必要となり、これが財政インフレを招来することは必至であります。
反対の第二の理由は、財政法第四条の精神を安易に否定しようとする政府の無責任な態度であります。私どもは、昨年末の予算委員会における補正予算案の審議の過程におきまして、政府に対し、赤字公債発行以外の財源補てん措置を講ずべきことを勧告してまいりました。およそ財政法第四条は、大幅な歳入不足が生じて初めてその真価を発揮するものであります。しかるに、税収不足をみずからの誤りによって招きながら、その責任を財政法第四条に転嫁し、その根本を変更せんとするがごときは、私どもの断じて容認できないところであります。
第三の理由は、特例法にははっきりした償還計画が示されていない点であります。わずか二行だけ、昭和四十七年度までに償還するというのでは、償還計画の名に値しないものであります。また、昨日配付されました償還計画表に関する補足説明の資料を見ましても、具体的な数字が明示されていないのは私どもの納得し得ないところであります。
最後に、私どもが反対をする点は、一たん公債が発行されますと、原則を市中消化ということになっておりますけれども、この原則が骨抜きになり、日銀が事前にあるいは事後に市場操作を行ない、その公債をみずから引き受けるということになることは必至であるという点であります。かくして本格的なインフレヘの道が準備されていく危険性があることを真剣に憂うるものであります。
以上の見地から、不況を来たした経済構造の抜本的改革並びにインフレ阻止の確たる対策を放置した本法案に対しましては、反対をいたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/177
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178・須藤五郎
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対するものであります。
本法案は、政府がどのように理屈をつけようと、財政法四条違反であります。そもそも、終戦後新たに財政法が制定された精神は何であるか、これこそは侵略戦争の防止、戦争の元凶である独占資本の力を弱め、人民生活の根本的破壊を防ぐということ、ここにあったのであります。
この財政法四条こそが、真のインフレの歯どめではありませんか。これをはずしておいて小手先を弄しても、インフレを防ぐことはできません。政府の言い分は全くのうそとペテンと言わなければなりません。
第二に、政府は、公債は将来にわたって軍事公債に発展することはないと言いました。しかし、四十一年度に発行される七千三百億の赤字公債、これによって一般会計の財源を浮かし、軍事費を捻出しようとしているではありませんか。しかも、政府は長期にわたって公債を発行し、停止するつもりはないと言っています。この財政法第四条の違反が、やがて軍事公債発行への道を開くことは明らかであります。
第三に、政府は公債の市中消化によってインフレにならないと言っています。しかし、四十一年度七千三百億円の公債、四千億の政府保証債、その他地方債、事業債を合わせ、二兆円をこえる膨大な額を市中消化できるというのですか。できません。実際には大量の日銀券の増発、通貨価値の下落、物価のとめどもない高騰となり、人民生活を根底から破壊することは明らかであります。
このように財政法の根本精神を踏みにじり、インフレ政策を政府が積極的にとろうとしている政治的意図は一体何でありましょうか。それは人民大衆を収奪し、不況対策の口実で反動と戦争の推進者である独占資本を強化するものであります。すでにアメリカはベトナム侵略戦争を拡大しており、佐藤内閣もこれに追従し、積極的に加担して、朝鮮、東南アジアに対する帝国主義的進出を企て、国内では軍国主義の復活政策を推し進めております。インフレ政策による財政政策の転換は、この経済的準備を強化するものにほかありません。わが党は、かかる反動的、侵略的政治路線に基づく佐藤内閣の経済政策を強化する本法案に、断固反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/178
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179・西田信一
○委員長(西田信一君) 他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/179
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180・西田信一
○委員長(西田信一君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/180
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181・西田信一
○委員長(西田信一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/181
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182・西田信一
○委員長(西田信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/182
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183・西田信一
○委員長(西田信一君) 次に、日産・プリンスの合併問題に関する件について調査を進めます。
この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
本調査のため、本日参考人として日本開発銀行理事淡河正君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/183
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184・西田信一
○委員長(西田信一君) 御異議ないと認め、さよう取りはからいます。
暫時休憩いたします。
午後三時四分休憩
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午後三時十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/184
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185・西田信一
○委員長(西田信一君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
日産・プリンスの合併問題に関する件について調査を進めます。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/185
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186・柴谷要
○柴谷要君 昨年五月三十一日、通産大臣のあっせんで、当時の通産大臣は櫻内大臣でございましたが、日産とプリンスの合同が大臣のあっせんで決定を見ました。自来、その通産省のあっせんの線に沿って努力を続けて両社がきていることは事実でございますが、ただ、資本の形からいいますと、日産は非常に膨大でありますし、プリンスは小さいということで、日産からプリンスにたいへんな圧力が加わっておるという事実が最近指摘されてきた。それと同時に、日産に働く労働者とプリンスに働く労働者の条件がおのおの異なっておる、この問題が非常に実は問題になっておる。で、この問題について、日産の川又社長がプリンスに対して不当労働行為的な問題があるのでありますが、これはまあこの本委員会では追及するつもりはございません。あらためて違う場所でやるつもりでおるのですが、今回の合併にあたりまして、整備計画が開銀に出されて、四十億の融資という線が出ているはずであります。昨年五月三十一日のあっせん以来今日まで、一体日産とプリンスとが、どういう話し合いで、どういう状態で、どういう結果に今日なっておるか。通産省の重工業局長から、当面の知る範囲でけっこうですから、ひとつお聞かせをいただきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/186
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187・川出千速
○政府委員(川出千速君) ただいま御指摘がございましたように、四十年の五月の末に、日産自動車とプリンス自動車工業との合併の基本的了解に到達したという発表がございました。その中で、合併の時期は四十一年末を目標にするということになっております。それから、合併の比率その他については、その当時発表されましたが、合併の基本的方向だけそのときにきまりまして、なおいろんな細目につきましては、合併委員会を両社の間に設けまして、両社から代表者を出して、具体的な事項を審議し、かつ、きめていくという方針を発表したわけでございます。
その後、両社の間で合併委員会がたびたび開かれて、現在も検討中のように聞いておりますが、その内容につきましては、これは両社の経営の問題でございますので、通産省といたしましては承知していないわけでございます。まだ最終的にいろんな項目がきまったというふうには聞いていないわけでございますけれども、合併の時期は、おそらく当初の目標のように、四十一年中にはできるのではないかということを推測いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/187
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188・柴谷要
○柴谷要君 重要な議案が本会議にかかりますので、これはわずか十分間でひとつ済ませたいと思うのですが、この合併のために、両社で話し合いするために委員会ができている。日産から二名、プリンスから一名、三名、こういうのが委員会の構成なんですね。それで、二対一という構成ですから、これはもう言わずもがな、日産のほうの勢力が強いことは事実です。この日産がプリンスにたいへんなことをやっておるのですが、これは不当労働行為に該当する事項でありますから、これは社会労働で私は追及したいと思う。しかし、こういううわさが伝わっている中で、政府の金、いわゆる国民の金を四十億も開銀から借りようと、こういう手続をしておるのですが、こういうときに開銀がすんなり四十億出す気があるか、参考人としておいでいただいておりまする開銀の理事にちょっとお尋ねをしておきたいと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/188
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189・淡河正
○参考人(淡河正君) いまの労働問題については、全然てまえどもは承知しておりませんでして、政府の強力な行政指導によりまして、日産・プリンスの間に合併の契約ができ調印を見ましたので、昨年の十一月二十四日、通産次官から本行に融資のあっせんの文書が出まして、年末に受け付けをいたしまして、現在これを審査中で、これをてまえどもの銀行では調べている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/189
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190・柴谷要
○柴谷要君 実はプリンス関係の労働者の代表に対して通産大臣が、日産の社長と会って、ひとつ胸襟を聞いて話し合いをしたらどうだ、あっせんをしようということで、実は通産大臣が川又社長に連絡をして、そして会う約束が大体できたらしい。ところが、プリンスの代表が数回日産側に連絡をとりまするというと、居留守を使って今日会わない。通産大臣があっせんをして会うという約束をしながら、今日は逃げておるということは、まことにけしからぬと思うのです。それほど通産省がこういう企業に対して威力がないのか。まあいわば通産省はなめられておるのかどうか。これは大臣に聞きたいところなんですけれども、御都合があるそうなので、重工業局長に聞きたいのですけれども、大臣があっせんをして、いつ幾日会いなさいと、向こうに話をしておるから十分会いなさいと、こういうことを大臣があっせんの労をとりながら、さて行ってみるというと、きょうはどこどこに用事があって出かけてしまっていないと、こういうことで相手方は逃げてしまう。こういうようなことでは円満な話し合いにはならぬと、こう思いますが、これに対して一段と通産省としては努力をされる意思がおありであるかどうか。また、そのような状態の中で開銀が融資をすることが適切であるかどうか、これは大蔵省にお尋ねをしておきたいと思うのです。できれば、円満に解決をした上で、必要な金であるならば開銀も融資をすると、こういうことが一番いいのではないか、こう考えますけれども、この点について三者からひとつ御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思うのですが、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/190
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191・川出千速
○政府委員(川出千速君) ただいまのお話の中で、通産大臣がごあっせんになりまして会うようにということを、実は私、大臣から伺っておりませんものですから、その点ちょっとはっきり御答弁申し上げにくいのを遺憾に思います。大臣にさっそくお伺いしてみようかと思っております。
それから、私どもはやはり労使間は円満にいくことが一般的に申しまして一番生産の面でも効果があがるという考えを持っておるわけでございます。
なお、体制金融の問題につきましては、これは先ほど申し上げましたように、四十一年末までに合併ができる見通しを持っております。何にいたしましても、重要な合理化設備の金融は早目に、四十年度の設備でございますので推薦したほうがいいと思いまして、開銀のほうにお願いしたわけでございますが、もちろん、金融機関としましては、それを相当慎重に審査をする時間も必要なわけでございます。私どもとしては、昨年の十二月に開銀のほうにお願いした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/191
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192・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 日産・プリンスの合併に伴いまして、いわゆる体制金融の融資を行なうという案が通産省にございまして、開銀のほうに回っておるという事情だけは私も承知いたしております。まだその内容、それからその進行状況といったようなものは一切承っておりません。いずれ、合併でございまするから、解決すべき問題はいろいろあろうと思いますが、いずれにしましても、この体制金融という措置が、体制金融本来の趣旨に沿いまして効率的に使用されるということを希望するというのが私どものたてまえでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/192
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193・西田信一
○委員長(西田信一君) 開銀からお答えございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/193
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194・淡河正
○参考人(淡河正君) ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/194
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195・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ちょっと私は資料についてお尋ねしますが、この推薦企業というのは、自動車工業向け体制金融で合併をするところを推薦企業と通産省が認めておるわけですね。しかも、両社の四十年度総工事費は四百十一億、うち対象工事費が二百五十一億ある。そして融資推薦額が四十億だと、こういうのですが、四十一年はどうなるのか、あるいは四十二年はどうなるのか。それから、工事費はどういうので、対象ということはどういうことか、ちょっとこの資料の説明をお願いできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/195
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196・川出千速
○政府委員(川出千速君) 資料の御説明をいたします。
体制金融は必ずしも自動車産業だけではございませんけれども、具体的な例として日産自動車とプリンス自動車が対象になったわけでございます。四百十一億円は、両社の設備金額の四十年度のトータルでございます。その設備投資にはいろんな投資がございますけれども、その中で乗用車のものを中心に取り上げました。しかも、その生産設備を中心に取り上げたいのが二百五十一億円でございます。で、開発銀行の融資のワクには限界がございますので、そのうち二割程度——二割にも当たりませんけれども、二割弱のところを融資対象ということで限界がございましたので、お願いをしたわけでございます。
なお、四十一年度の両会社の体制金融につきましては、まだ方針がきまっていないわけでございまして、開発銀行の体制金融の融資のワク等も考慮に入れた上で、今後相談をしなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/196
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197・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、「うち対象工事費」というのは、乗用者に限って設備投資をした金額だと、こういうふうに考えていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/197
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198・川出千速
○政府委員(川出千速君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/198
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199・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そういう中で、四十億というのがただ単なる大づかみなものか、たとえば対象工事費の何%というふうにきめられておるのか、片一方のほうで、縛られたワクの中で四十億になるのか、どういう基準になるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/199
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200・川出千速
○政府委員(川出千速君) これは大ざっぱなものでございまして、体制金融の四十年のワクが四十億程度でございますので、対象工事費の二割程度と思いましたけれども、その限界は四十億ということで大まかに四十億というお願いをしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/200
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201・成瀬幡治
○成瀬幡治君 四十一年はどれだけになっていますか、体制金融。自動車関係、あるいは自動車関係でなくて、全部含めて、体制金融が幾らになるのか。そうして、うち自動車は幾らになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/201
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202・両角良彦
○説明員(両角良彦君) 四十一年度の体制金融のワクにつきましては、ただいま一応の予定といたしまして七十五億円が予定されておりますけれども、それが自動車向けに幾らになるかというような点につきましては、なお未確定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/202
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203・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、この四十億というのは四十年度予算ですか、それとも三十九年度から繰り越している額ですか。どういうのですか、四十億というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/203
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204・川出千速
○政府委員(川出千速君) 実は体制金融の自動車につきましては、三十九年度の財政投融資計画の開発銀行の中にあったわけでございますけれども、対象がなかったので、その繰り越し分と四十年度の分と合わせて大体四十億ぐらいということがきまったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/204
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205・成瀬幡治
○成瀬幡治君 いろいろな点については、商工委員会なり、あるいは不当労働行為等の問題については社労委員会等の問題であるということになっていますが、柴谷君がただしたくて、そうして答えがどうもはっきりしないのを、もう一度確認の意味でお尋ねしたいのですが、不当労働行為の問題があるんです。新聞等にも出ている。知らぬということはおかしいと思う。新聞見ておらぬ、あるいは話を聞いておらぬのか、どういうことか。不勉強なのか、おかしいと思う。しかも、そういうことについて通産大臣があっせんまでしておるわけです。そのことも知らぬとおっしゃる。まことに無責任なことだと思うのですが、そういうことのある中で、少なくとも企業が健全に発展をしていくためには、労使がうまくいくということが第一条件です。したがって、勤労条件等の問題でことしはいろいろなトラブルが起きてきたということはたいへんなことだと思う。したがって、そういうものも円満に解決した上に立って体制金融というものは出されるべきだと考えておりますが、このことについて、いや、そうじゃない、そんなことは関係ないのだと、おれのほうはきまってきさえすれば出すのだという態度なのか、そのことを通産省を代表して局長からまず御答弁いただくとともに、開銀のほうは、何もわからぬ、そんなことは何も知らぬ、ただ通産省が出せと言ったら出すのだと、こういう態度か。万般をにらみ合わせて、そういうことがうまくいった上で出すというのか。その姿勢と申しますか、態度と申しますか、心がまえと申しますか、そういうことが承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/205
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206・川出千速
○政府委員(川出千速君) お答え申し上げます。
不当労働行為のことは、実は私よく存じませんものですから、はなはだ申しわけございませんが、先ほど申し上げましたような御答弁を申し上げたわけでございます。
なお、開発銀行に推薦をいたしましたのは昨年の十二月のことでございまして、不当労働行為問題と無関係かどうかという御指摘でございますけれども、それは全然無関係ではないと思います。しかしながら、この設備金融の問題も、国際競争力をつける大事な時期でございますので、私はやはり急いでやらなければならない問題ではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/206
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207・淡河正
○参考人(淡河正君) 両社の合併計画などで私思い出したのですけれども、人事あるいは従業員についての差別待遇はしないという一言も入っていたと思います。なおかつ、そういった労働条件あるいは人事権、人事問題につきましては、経営者側で良識をもって善処していただけるものだと信じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/207
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208・成瀬幡治
○成瀬幡治君 重工業局長の答弁、不満ですから、重ねて質問します。あなたは、そんなことは大事だけれども、国際競争力に勝つのも大事だから、そんなことは無関係でやるという答弁です、聞き方によっては。もう一度、どうなるのか、はっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/208
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209・川出千速
○政府委員(川出千速君) そういう重要な問題でございますので、もうすでに開発銀行のほうには昨年お願いをして、審査にも相当時間もかかるということも考えました上にお願いしたわけでございますが、そういう労使間の問題は、また別の問題として非常に重要な問題でございますし、体制金融の問題とまた無関係とは思っていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/209
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210・成瀬幡治
○成瀬幡治君 関係があるとするなら、どっちが先ですか。無関係とは思っておらぬというなら、どうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/210
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211・川出千速
○政府委員(川出千速君) 私どもとしましては、開発銀行のほうにお願いをしましたものですから、あと審査していただくのに相当な時間がこれからもかかるだろうと思います、何カ月かかるかわかりませんが。同時に、労働問題のほうは、現在私どももよく承知しておりませんものですから、よく実情を聞いてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/211
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212・柴谷要
○柴谷要君 重工業局長、私が先ほど大臣があっせんの労をとっているということで、円満に解決をさせて、そして目的の期日までには合同させて融資をさせてあげたいという、こういことで大臣はやっているわけです。それを私がいま投げ与えたのだから、大臣の意思を聞いて十分私も対処いたしますと、こう答弁すれば、成瀬委員も納得してくれるのです。それをあなたは何か逃げ口上を言うからいかぬ。私は、大臣があっせんをしてくれたことをうちの代表にちゃんと私は聞いて知っているんだから、だからそのことを言っているんだから、あなたはそのままの答弁をしなければいけませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/212
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213・川出千速
○政府委員(川出千速君) 大臣とよく相談をいたしまして、大臣の御趣旨に従いまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/213
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214・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは私も時間的なことはよくわかります。しかし、当然そういうような問題も解決されて円満な話し合いで、初めて体制金融というようなことが行なわれるべきで、国民の税金ですから、いいかげんに使ってもらっちゃ困る。ですから、企業が円満にいくということが大事である。その中には一人の労働者も泣かない、不当解雇があるというようなことはもってのほかだと思います。だから、そういうことのないように十分あなたのほうは行政指導をやって、そして円満にいくというかっこうにしなくちゃいかぬと思うのです。それが通産省の仕事だと思うのです。いや、そのことは労働のほうだからおれは知らぬということじゃなくて、やはり万般を見渡して行政指導等でやっていただきたいと思っている。あなたのほうがどうもやらぬような気配だから不満なんですが、もう一度決意を聞いておいて、はっきりしなければ何べんも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/214
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215・川出千速
○政府委員(川出千速君) 御趣旨に従いまして善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/215
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216・西田信一
○委員長(西田信一君) 本件に関する調査は、本日のところはこの程度とし、これにて散会いたします。
午後三時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00419660118/216
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