1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月七日(火曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 大野 市郎君
理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君
理事 徳安 實藏君 理事 福井 勇君
理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君
理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君
阿部 喜元君 大竹 太郎君
小渕 恵三君 加藤 六月君
川野 芳滿君 菅 太郎君
菅波 茂君 中川 一郎君
西村 英一君 水野 清君
井上 泉君 板川 正吾君
久保 三郎君 神門至馬夫君
内藤 良平君 渡辺 芳男君
沖本 泰幸君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
出席政府委員
運輸省船舶局長 佐藤美津雄君
委員外の出席者
議 員 久保 三郎君
運輸省海運局次
長 高林 康一君
専 門 員 小西 真一君
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五月七日
委員矢尾喜三郎君辞任につき、その補欠として
久保三郎君が議長の指名で委員に選任された。
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四月二十六日
自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案
(久保三郎君外十四名提出、衆法第三五号)
同月三十日
国鉄和歌山駅前広場を全タクシー業者に開放に
関する請願(世耕政隆君紹介)(第四九七〇
号)
国鉄の安全輸送確保に関する請願(湊徹郎君紹
介)(第四九七四号)
五月二日
国鉄阿佐線建設に伴う土佐電鉄安芸線の買収等
に関する請願(八木一男君紹介)(第五一六八
号)
同(八木昇君紹介)(第五一六九号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第五一七〇号)
同(安井吉典君紹介)(第五一七一号)
同(柳田秀一君紹介)(第五一七二号)
同(山内広君紹介)(第五一七三号)
同(山口鶴男君紹介)(第五一七四号)
同(山崎始男君紹介)(第五一七五号)
同(山田耻目君紹介)(第五一七六号)
同(山中吾郎君紹介)(第五一七七号)
同(山花秀雄君紹介)(第五一七八号)
同(山本幸一君紹介)(第五一七九号)
同(山本政弘君紹介)(第五一八〇号)
同(山本弥之助君紹介)(第五一八一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(
内閣提出第三六号)(参議院送付)
自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案
(久保三郎君外十四名提出、衆法第三五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/0
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001・大野市郎
○大野委員長 これより会議を開きます。
久保三郎君外十四名提出の自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取することといたします。久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/1
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002・久保三郎
○久保議員 自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
近時、交通事故は激増の一途をたどり、まさに交通戦争といわれるものがあり、そのよってきたるゆえんのものは、経済の高度成長に追いつけない交通資本の不均衡にあり、無政府的な競争からくる混乱によるものでありますから、基本的には総合交通政策の樹立と、その施策の推進にまたねばなりません。しかし、直面するこの交通戦争に対し、少なくとも交通安全の政策目標を明らかにし、これを強力に推進する体制を確保することは急を要することであり、わが党は別途、交通安全基本法案を提案し、御審議をいただいておるところであります。
本法案は、その関係施策の一つとして、すなわち、現行の自動車損害賠償保障制度の拡充強化をはかり、自動車事故による被害者救済に一そう有効な制度として改善を加えようとするものであります。
交通事故のうち自動車事故がそのほとんどを占めており、国民的願望をよそに激増し続け、国民生活にとって最も脅威を与えております。ちなみに昭和四十二年中に起きた自動車事故による死者は一万三千六百十八人、負傷者六十五万五千三百七十七人で死傷者六十六万九千人に及び、前年を大幅に上回る最高の記録となっております。
これら被害者の救済には、救急医療制度及び更生制度の拡充強化、脳神経外科医療陣営の強化、自動車損害賠償保障制度の改善等をはかる必要があります。なかんづく、自動車損害賠償保障法による被害者救済制度は、自動車による人身事故に対し自動車側に無過失賠償責任を負わせることによって、被害者救済を積極迅速に行なおうとするものであり、強制保険制度をとり入れさらに政府がその六割を再保険することによって、被害者に対する賠償を一そう適確ならしめようとするものであり、また政府が保障事業を行なうことによって、被害者救済の徹底を期しておるところであります。
本制度創設以来十年余になり、その間自動車事故は、当時の死傷者七万二千五百人に対し、先に述べたとおり、昭和四十二年のそれは約六十六万九千人であり、遠からず十倍にならんとする傾向にあり、自動車事故の累増が社会悪として見られる今日、この制度による被害者の保護、救済を一そう徹底拡充する必要があり、制度全体の検討が望まれておりますが、本法案はさしあたり、被害者にとって不利益となる制度の欠陥を是正しようとするものであります。すなわち本制度の中で責任保険の適用除外、自家保障の制度を廃止し被害者救済に改善を加えようとするものであります。
まづ国、公社等の適用除外の自動車事故発生後における被害者との関係は、官庁組織の繁雑さと責任の不明確から、示談交渉一つとっても円滑にいかぬうらみがあり、示談不調となれば長期の訴訟に引き入れられ、資力の乏しい者は、これに対抗できない場合が多い実情にかんがみ、かつこの制度のもとで自動車所有形体の公私の別によって異なった制度を導入することは不公平であり、本制度の趣旨になじまぬことでもありますので、これを廃止し被害者救済を改善しようとするものです。
ただし、外国の外交官、国連機関、日米安保条約による駐留軍、国連軍はそれぞれの特別な理由に基づき、従来どおり本法の適用除外をいたすことは言うまでもありません。
次は、自家保障の制度を廃止することであります。この制度は保険制度以外の賠償能力の担保手段として、例外に認めたもので、現在五十五社、五万九千八百七十五両が対象となっており、支払い準備金は約十五億をそれぞれが積み立てており、いわゆる賠償能力に欠くることはない現状であります。しかし被害者救済については、適用除外の現情と変わりのないものがあり、本法の趣旨から離れるものがあり、かつ賠償能力によって特別な扱いをすることは、不公平であり、現に自家保障を行なっておったものが事故率が多くなり、強制保険に切りかえるものが出てくる等本制度の存在理由に疑問もあり、本法制定以来その扱いが論議されてきたこの特例を廃止しようとするものであります。
次に本法案の施行期日について申し上げます。自家保障制度から強制保険に切りかえるには、それぞれの手続が必要でありますので、公布の日から施行日まで六カ月間の余裕を置き、逐次切りかえをさせることとし、適用除外のものについては施行日から、予算措置等を講ずるためさらに二カ月間の猶余を置いて実施することにいたしたのであります。
その他は、本改正案を実施するに必要な経過措置及び条文の整理でありますので説明を省略いたします。
次に本改正案に直接関係はありませんが、国民の間に強い希望がある保険金の限度額の引き上げについてであります。現行の三百万円を六百万円に引き上げ、傷害についても現状を参酌し、適切なる引き上げを行なうべきでありますが、本件は政令によって実施するものであるので、政府の積極的な取り組みを強く要望する次第であります。
以上説明を終わりますが、慎重審議の上すみやかに可決あらんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/2
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003・大野市郎
○大野委員長 これにて提案理由の説明聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/3
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004・大野市郎
○大野委員長 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。砂田重民君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/4
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005・砂田重民
○砂田委員 船舶の輸出という問題が、日本の輸出総金額の大体一割くらいにいま該当をしているほど、最も重要な日本の輸出産業だと思うのです。それの問題と、海運収支の慢性的な赤字の解消なくしては、貿易収支改善も国際収支全体の改善もあり得ないことでありますので、こういった輸出造船の問題、大量建造を続けていかなければならない国内船建造の問題、こういうことを、あまり時間がありませんので簡単にひとつ御質問をしておきたいと思うのですが、まず船舶局長に伺っておきたいと思います。
造船輸出の決済条件のことですが、船価の二〇%は注文してきた海外の船主がデリバリーまでに支払って、いわゆるそれが頭金ですね、残金の八〇%を八年延べ払い、金利五分五厘、この決済条件というのは輸出船の国際的な標準的な決済条件、そういうふうに考えていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/5
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006・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 仰せのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/6
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007・砂田重民
○砂田委員 ここ二、三年前から日本の造船所のコンペティターである西欧諸国が、非常な勢いで巻き返しをしてきておりますね。各国それぞれ財政、金融、税制、あらゆる面の政策的な助成度を非常に高めてきておると思うのですが、西欧諸国の日本のコンペティター造船各国で、利子補給を行なっている国がありますか。あるとすればどういつだ、どれくらいの利子補給をやっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/7
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008・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 造船に関する利子補給につきましては、西ドイツが行なっておりますが、西ドイツの利子補給の制度については実は非常にむずかしくなっておりまして、船価の八〇%の約七八%については造船所負担金利五分五厘を下限として、二・五%まで利子補給を行なう、こういうふうなぐあいになっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/8
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009・砂田重民
○砂田委員 利子補給をしているのは西ドイツだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/9
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010・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 オランダがございます。オランダにつきましては、造船所負担金利五・七五%を下限といたしまして、市中金利との差額を最高二%まで利子補給するというぐあいになっています。なお、これに関します一九六八年から七一年までの総補給額が五千四百万ギルダー、約五十四億円ということになっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/10
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011・砂田重民
○砂田委員 利子補給をやっている国のことはわかりましたが、それじゃ造船所の設備投資に対して直接補助を行なっている国がありますか。あればその国の名前と、どの程度の直接補助を行なっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/11
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012・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 造船所に対します直接助成につきましては、投資に対する助成でございますが、イギリスでございまして、投資額の二五%をやっております。なお特別の地域に対しましては四五%までということになっております。地域によりまして四五%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/12
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013・砂田重民
○砂田委員 当委員会の調査室からいただいている資料では、イギリスの設備投資に対する直接補助金が四五%というふうに書いてあったと思うのですが、二五%と四五%というのが地域的に違うというのはどういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/13
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014・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 地域開発法がございますので、造船所が大体地域開発法の適用の場所にありまして、一般的には二五%でございますけれども、エジンバラ地区を除いては大体四五%というふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/14
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015・砂田重民
○砂田委員 そこで金利のことをひとつ伺っておきたいと思うのですが、英国の市中金融機関が、イングランド・バンクでの五・五%の金利を可能にできるような再割りの制度というのを自分できめて、そういう制度がちゃんと確立されていながら、その制度を市中銀行が一つも使わないでいて、市中銀行独自のアカウントで、船価の八五%までを十年五分五厘の金利で英国の造船所に貸している。一体こういう金利の貸し付けの条件がなぜ可能なのか、預金利子を下回っているほどじゃないかと思うのですが、どうしてこういうことが可能なのかおわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/15
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016・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 この点につきましては、われわれのほうも非常に疑問にいたしまして、実はこの前イギリスの造船所のベイリスという方が見えたときにお聞きしたのですけれども、結局輸出はやはり国の財政の面から非常に大事であるし、それから輸出は全産業に対する融資から見れば、ワクとしては非常に少ないので、五分五厘ということでやっても、これは民間ベースでやってもそう影響がない、したがってリファイナンスをやっておりますけれども、実際はそれを使わないで五分五厘でやっている、こういう言い分でございまして、われわれのほうとしてもう少しその実態的内容をつかみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/16
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017・砂田重民
○砂田委員 市中の銀行が自分のアカウントで五分五厘の金利というのが可能であるというのは、市中銀行はどういう計算をしておるのか、そこらのことをちょっと伺いたいと思ったんだけれども、そういう実情はまだよくわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/17
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018・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 ただいま申し上げましたように、輸出金融のほうは全産業の金融に対して非常にワクが少ないから、五分五厘でやっても特に問題はない、こういうふうな言い分でございました。しかし実際問題としましてはそれだけの説明ではわれわれとしては非常に納得いきませんので、あるいはほかのほうの金融面からも、輸出関係なしに、またいろいろな操作があるんじゃないかというふうに考えております。しかし、ちょっといまの段階ではその点が明確でございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/18
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019・砂田重民
○砂田委員 そういったいろいろなそれぞれ金融上の、あるいは直接補助金のようなもの、あるいは税制的な、日本側のわれわれが考えれば、日本よりももっと手厚い政策的な助成を受けながら、西欧諸国が日本造船界に巻き返しをはかってきているのですが、どうも最近の日本の造船会社は国際競争に負けているような気がしてならない。たとえばエッソが超大型タンカーを十二隻も発注をしておりますが、日本へは一隻も来ていない。全部西欧諸国家でこの十二隻を分けて取っています。ほかにもこういう日本の造船界が国際競争に負けたというような例が、最近ありますか。それと、どうしてエッソの十二隻などについては完全敗北を喫したのか。敗北と考えなくてもいいのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/19
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020・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 国際入札に関します敗退した事例を申しましては、昭和四十二年の初めにOCL、すなわちオーバーシーズ・コンテナ・ライン、これはイギリスの会社でございますけれども、それのコンテナ船六隻を三菱、日立二社で一応、応札したことがございます。これに対しまして西独が五隻、イギリスが一隻ということでヨーロッパに一応落札したわけでございます。これについては一応船価の差が約一五%というふうに聞いております。それからやはり去年の六月にコンテナ船三隻を、これもイギリスのACT、これはアソシエーテッド・コンテナ・トランスポーテーションという会社でございますけれども、これも日本の四社が応札しましたけれども、これは全部西独のほうに行っております。これにつきましては納期の面で折り合いがつかなかったということでございます。大体半年から一年の間、どうしても日本としてはおそくならざるを得ないということです。
それから超大型のタンカーでございますが、これは先ほど先生がおっしゃいましたエッソの二十万トンの十二隻でございますけれども、これも船価差が約五%あったということでございまして、これにつきましては日本としましては呉が応札しただけでございまして、そのほかの会社は大体納期の面から無理であるということで辞退をしております。
それから去年の八月には超大型の輸送船、これがやはり二十万トンですけれども、これは米国のテキサコの会社でございますが、これも六隻についてイギリスが一隻、それから西独が四隻、デンマークが一隻、これが納期が約一年差があったという事例がございます。これから一応われわれのほうとして推察しますと、日本は先物を持っているということで、向こうの船主の納期に合わないということが一番大きい問題。それからやはり先物ですと船価のほうのコストをわれわれのほうで見ておりますので、船価の面も多少高くなってきたということでございまして、いまの段階ではわれわれとしましては、納期の面が非常に大きなファクターであるというふうに判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/20
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021・砂田重民
○砂田委員 世界一の輸出造船国になったことですから、納期の点で負けるような事態が出てきたことも、私はそれは無理もないことだと思うのですが、先物であるにしても、いまあなたがおっしゃったように、船価でも五%ないし一五%も違う場合が出てきている。そういうむずかしい環境の中で国際競争を続けていって、世界一の輸出造船国としての輸出量の確保を続けていかなければならないのですが、頭金二〇%、残の八〇%について造船所の自己調達が八%であって輸銀の融資が七年の五〇・四%で四分、市中銀行融資が残の二一・六%であって大体七分三厘から七分四厘くらいの利息、こういうものをプール計算して八年延べ払い五分五厘の金利、こういうようにやっとしているんだと思うのです。そうしますと、全部の融資を受ける中での輸銀の融資というものが半分以上、去年かおととしからか輸銀は八年貸さなくなりましたね。七年に短くしました。輸出をやっている企業側にすればそれだけまた困難を加えたわけなんだから、どれだけ輸銀の融資の、四分の利息の七年という融資が日本の造船輸出を支えているか。輸銀の輸出貢献度というものは非常に力の大きなものであることが、これでわかるのです。そこで大臣にひとつ伺っておきたいと思うのですが、四十三年度の予算編成のとき大蔵省は、この輸銀の金利を四分五厘に上げようとしましたね。そういう交渉が大臣にもあったのですか。私ども考えますと、輸出造船の国際競争力というものが、五厘の輸銀の金利の引き上げということがもしもあったならば、日本の輸出造船の国際競争力というものが非常に弱まってしまう。そういう計算が成り立つというふうにわれわれは考えるのだが、大蔵省は五厘輸銀金利を上げても、日本の造船輸出の国際競争力というものはそう弱まらないものだという計算をしたのでありましょうか。何か大臣が直接御交渉なさったように承っておりますので、そこら辺の感触と、大臣が四分の利息のまま継続をしていくのだというはっきりした回答を大蔵省からとられたようにも承っておりますから、そこら辺のところをひとつ大臣から伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/21
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022・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 本年は砂田議員らの御協力によりまして四分を維持することができたのでございますが、大蔵省側の主張といたしましては、世界的に金利高の傾向にある。特にイギリスそのほかにおきましては、ポンドの切り下げ等に伴いまして金利を相当高くしておる。アメリカも当時同じような情勢でございました。そういうかげんから、日本も四分五厘ないし五分に上げていっても競争力は落ちないのだ、そういう主張を強くしておりました。われわれはそれに対しまして、こういう造船のような長期的なものは、そのときそのときのカーレントの経済情勢によりまして左右されていくものではない。一貫して日本の輸出力を維持しておくためには安定性ということが非常に大事であるということを主張いたしまして、四分を維持するように強く要請したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/22
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023・砂田重民
○砂田委員 船舶局長、その後大蔵省から輸銀の金利を輸出造船については上げたいという申し入れはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/23
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024・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 新聞紙上ではございますが、正式には申し入れございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/24
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025・砂田重民
○砂田委員 大臣、もう一つこの問題を伺っておきたいのですが、造船界の輸出契約の手持ち量から計算をいたしますと、輸出入銀行の四十三年度の資金量は不足しておると思います。四分の金利を造船輸出のために維持するに足るだけの、金利を必要としないという一般会計から輸銀への繰り入れの金は、足りないのではないかと私は思うのです。それだけに大蔵省はいま船舶局長が言ったように、その後輸銀の金利の引き上げの要求はないというお話でありますけれども、おそらく今後は何かそういう交渉が始まってくるのではないかと思う。大臣が先ほどおっしゃったようなものの考え方で運輸省としては、輸銀の赤字よりは国際収支赤字解消のほうがより重要なんだという考え方でその立場を貫かれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/25
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026・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 貫く覚悟でございます。輸銀の経理内容については私はよく存じませんけれども、政府内部のいろいろな措置によりまして四分を維持するように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/26
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027・砂田重民
○砂田委員 船舶局長に伺います。OECDの理事会の造船部会で、船舶輸出の国際的な標準決済を、八年の延べ払いをそのままにしても、金利は六分にしよう、国際的な決済条件を六分の金利にしたらどうだという動きがあるはずです。そこで、OECDの理事会の造船部会はこの六月開かれるのではないかと思うのですが、この問題についてはOECDの加藤大使に対してもすでに政府は訓令を出されておると思うので、この六月の部会に臨まれる日本の政府としての態度——これは外交交渉のことですからあまりこまかいことまではお話しになりにくければけっこうですが、話していただける範囲で大略伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/27
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028・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 OECDの造船特別作業部会の第五回の会合が六月の二十五日から三日間開催されることになっております。それで、この会議の議題といたしましては、輸出信用条件の調整、それから造船業に対する直接助成措置の削減などの問題でございます。わが国としましては、過度の信用条件を供与するということにつきましては過当競争を引き起こすもとにもなりますので、このOECDの議長提案というものに対しましては一応賛成の態度を示しつつ——実は、各国それぞれ国の事情によりまして、先ほど申し上げましたように輸出信用条件の違いがございますので、その辺を全部クリアにした上でわれわれとしても、先ほど申し上げました議長提案、すなわち頭金二〇%、それから金利六分、それから期間八年というものについては一応了承してもいいのじゃないかと思います。ただ加藤大使のほうに出しました対処方針でございますけれども、これは実は非常にこまかい字句の修正その他ございますけれども、内容におきましては日本の従来の主張を貫いているというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/28
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029・砂田重民
○砂田委員 外交交渉ごとですから、その見通しを伺っても船舶局長からはなかなかお答えがいただけないだろうと思う。非常にむずかしいと思う。各国のいろいろな助成政策はそれぞれの国が法律できめている助成策があって、いずれも期限つきの法律であって、その期限が一九七〇年であったり、七十一年であったり、そういうことから考えてもなかなか、来月のOECDの理事会の造船部会では、六分金利というものが国際的に話し合いがつくということは非常に困難だろう、私自身はそう思います。しかし、もしも六分金利というものがOECDで話がつくような場合は、理事会の造船部会であるだけに、そんなにこまかい規定をつけたきまり方はしないのじゃないだろうかと思うのです。たとえば既契約のものについてどうするかとか、すでに契約はとっておるけれどもまだ建造にかかっていないのはどうするかとか、そういうこまかいきまり方はしないで、六分金利なら六分金利、八年の延べ払いというようなことをやるんだという基本的なきまり方しかないのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/29
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030・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 会議の模様によりましてどうなりますか、必ずしも明確でございませんけれども、先ほど申し上げましたように、日本の従来の主張、これを全うするということが前提でございます。そのときに、日本の場合は融資によって五分五厘を確保しているだけでございますけれども、外国の場合ですと、先ほど先生からも御指摘があったようにいろいろな直接助成の問題、それから直接民間が五分五厘であるというような状態がございまして、これがみんな同じ標準でやるということを前提にわれわれとしても進むべきだ。そうしますと一日本の場合はそう急に不利な状態になるというふうには実は思われません。逆にわれわれとしましても、一挙に状態をかえるというような態度ではないことで進むというふうにしたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/30
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031・砂田重民
○砂田委員 まだ来月の造船部会のことですから何とも言えないだろうと思うのです。先ほど私が申し上げたように、大蔵省はおそらくこれできまることを希望しながら待っているのじゃないか。現に輸銀の資金内容から考えて金が足りないのであるし——四十三年度予算で現実問題として足りないでしょう。それだけに大蔵省としては、きょう大蔵省に来てもらえばよかったのですけれども、六月のOECDのあの部会で六分金利というものが国際的に協調的に話がつくことを期待しながら待っているのだろうと思う。そこでもしも六分金利というものがOECDで決定した場合には、日本の輸銀金利を当然上げるというところへしわが寄っていくだろうと思う。これはだれが考えてもそういうことになると思うのです。
そこで、こまかいことのようですが、船舶局長に伺っておきたいと思うのは、そういう事態があるいは予想されることかもしれないので、大体、造船所と海外の発注してきた企業なりバイヤーといいましょうか、船価をきめて、いろいろなこまかい条件がきまって、輸出の契約をまずしますね。それに基づいて通産省でELをとるわけです。それから運輸省で建造許可をもらうわけです。それから輸銀の融資承認を受けるわけです。これが一月くらいの間にぱたぱたと済んでしまうものなら問題はないだろうと思うが、初めに日本の造船所とバイヤーとの間で契約ができるというときには当然船価がきまっていて、その船価というものは輸銀の金利四分というものを基調にして計算されたコスト計算に基づいて船価がきまって契約がされている。ところが、ことし契約して再来年引き渡すというものは、輸出の契約ができて、輸出承認が通産からもらえて、運輸省の建造許可がもらってあっても、輸銀の融資承認を受けるまでには二年くらい間があいてしまうわけです。二年あとで融資承認をもらうときの輸銀の金利がどうなっているか、輸銀の金利を変えるというような場合に、既契約のものについてはもとのままとか、そういうきめ方をするのでありましょうけれども、既契約というものは何を意味するのか。融資承認が全部済んでいるものでなければ、造船所にしてみればとんでもない計算違い。もしもこういう事態になると、日本の造船の輸出意欲というものを低下させるだろうと思う。造船輸出の金利については輸銀は上げたいというふうな話は、大蔵省からも運輸省にはないそうですけれども、いろいろなプラント輸出その他はすでに輸銀の金利を上げているでしょう。あの事態は、片一方では最高輸出会議を開いて、何さま来年は国際収支改善が至上命令なんだ、企業側もひとつ輸出を義務と心得てやってもらいたいというようなことを政府が要求しておるかと思うと、同じ政府が企業の側の輸出意欲を阻害するような輸銀の金利の引き上げをやっておる。違う政府が二つあるような感じがするくらいです。そういうことでありますから、ELのあるものは全部既契約といってみたって、融資承認の時期とのかね合い、そういうことを十分考慮しておかなければならないと思うのですが、船舶局長はこういう点をいろいろ検討しておられると思うので承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/31
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032・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 輸出に関しましては先生のおっしゃるとおりでございまして、契約が成立しましてから、輸出承認がおりる、あるいはわれわれのほうの建造許可がおりるのは二、三カ月あとでございます。したがいまして、その建造許可が出たものから以降のものは全部、その時期をもって既契約というふうに考えております。それからいよいよ起工します二、三月前に輸銀に対して、金の必要ができますので、一応融資の申し入れをするわけでございますので、そのときに一応融資承諾という時期があるわけでございます。したがいまして、運輸省あるいは通産のほうの既契約と申しますのは、その一、二年先のいわゆる建造許可の時期あるいは輸出承認の時期でございます。それから輸銀のほうは、新規になりますのが融資承諾の時期でございますので、大体起工の二、三カ月前ということでございまして、そこに一応仕事をやっている面からの食い違いがあることは事実でございます。これに対しましては、われわれのほうも予算の折衝の時期を通じまして十分に大蔵省にもその線を説明しておりまして、先生おっしゃるとおりの線で、われわれのほうも今後も折衝を続けていくわけでございます。
なお、OECDのほうもいろいろやっておりますが、一応その案の中には新しい契約からということになっております。それから毎年こういうものは見直していく必要があるというようなことも書いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/32
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033・砂田重民
○砂田委員 大臣に最後に一つ伺っておきたいと思うのですが、海運局の関係の問題で、輸出造船と国内船の建造のかね合いの問題でございます。開銀の利子補給は一年間延長するということで先般法改正が衆議院を通っていま参議院で審査をされておるところでございますが、一年延長したので来年の三月三十一日にはこれが切れるわけです。四十四年からは利子補給はないということに今日ではなっているわけです。日本の計画造船というのは、荷主が船主と長期的な積み荷の契約をして、それに基づいて荷主の貨物を効率的に輸送できるような機能を持った船を計画造船の制度の上に乗せて、いままでは開銀の融資を受けながら造船会社に発注してできておりましたね。荷主と船主が長期的な積み荷の契約をするときに、その運賃計算というものは、いままでは当然開銀の利子補給を含んだ船価コストに基づいて長期的な運賃契約がなされていたはずなんです。ところが、四十四年度からはこの開銀利子補給がなくなるのではないか、法律は四十三年一ぱいしかございませんから。そうなってくると、四十三年度で開銀の利子補給がなくなるとすれば、四十四年度の第二十五次計画造船というものは、わが国の大手荷主にとってみても海運会社にとってみても、たいへんむずかしい問題になってくると思うのです。たとえば大きな製鉄会社は、開銀の利子補給がなくなった日本の海運会社につくらせる鉄鉱石の専用船よりも、八年延べ払い五分五厘の金利で日本の造船所に鉱石専用船を外国の船会社から注文させて、日本の鉄鋼会社がその外国の船会社と長期積み荷契約を結んだほうが、四十四年度以降は有利になるという計算が一応成り立つのじゃないか。ただいま審議をしております臨時船舶建造調整法で仕組み船という名前で呼ばれておりますが、そういったものをチェックするものにはなる。一応の歯どめはできるでありましょうけれども、この歯どめが完全にもしもできるとするならば、海運界にとっては好ましいことであるかもしれませんが、製鉄会社にとってみれば、鉱石の輸送ではコンペティターである海外の鉄鋼業者との国際競争力が弱まってしまう。開銀の利子補給が四十三年度で終わったならば、そういう事態が予想されるわけでございます。海運会社のためを思ってこの法律で完全な歯どのをやっていけば、日本の荷主の側の国際競争力が弱まってしまう。そっちのほうの国際競争力をいまのように強い力を持たしていこうとするならば、この法律である程度歯どめをしないということになったならば、これは日本の海運界にとって逆に大問題であって、大量建造を続けていこうとしてみても、貿易外収支の赤字解消をしようとしてみても、それもむずかしくなってしまう。この臨時船舶建造調整法をこれだけの期間延ばしてみても、四十四年度からの新しい海運政策というものが、今度は再建整備の計画ではなくて発展の計画というものが非常に大問題で、運輸省としてはことしの一番大きな問題ではないかという感じを受けるのですが、こういったことも前提にして、四十四年度からの新しい海運発展政策というものに、運輸大臣はどういうふうに取り組んでいこうとしておられるのか、これを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/33
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034・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 お説のとおりの要素がございまして、なるたけ海運界に負担を与えないで、ペースを乱さないということが非常に大事であるだろうと思います。そこで、海運造船合理化審議会に私は要望いたしまして、来年以降の長期計画、いかにして日本の海運政策というものを行なうべきか、その点につきましては、いままでの集約整備がかなり成功しつつありますが、それにとらわれないで、もっと大きな広い観点から考えてもらって、利子補給はもちろん、そのほかの点も考慮に入れつつ新しい発展政策を答申してもらうようにしております。そういうわけでございますから、今度の答申の内容につきましては、外航船、内航船あるいはオーナーとかオペレーターとか、あるいは今度出てきたコンテナ船の問題であるとか、あるいは海外競争力の問題であるとか、そういう総合的な観点からひとつ抜本的な対策案をつくってください、こういうことでお願いをしてあります。なるたけ早期に、でき得べくんばことしの上半期のうちに答申を出していただきまして、それで予算折衝も行ないまして、あまりペースを乱さないで済むように行政的にも措置をしてまいりたい、そう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/34
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035・砂田重民
○砂田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/35
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036・大野市郎
○大野委員長 野間千代三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/36
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037・野間千代三
○野間委員 二、三お尋ねをいたしますが、初めに、大臣がいらっしゃいますので、この前わが党の米田委員が中国との輸銀を使用しての船舶の輸出の問題について質問いたしました際に、大臣からたいへん的確な御答弁があったのです。しかし、あの御答弁を具体的に実施をする際には、やはりいろいろな政府部内の手続なりが必要ではないかと思うのでありますが、その後の首相の関係委員会等における答弁その他記者会見などの発言を見ると、必ずしも大臣の御答弁と具体的な部分では一致をしているというふうには見えないのですね。一方、中国関係の造船体制というのも、聞くところによると、ある程度進みつつあるというふうに見えるのですけれども、それとイギリスなりスウェーデンなり、そうした造船技術、造船体制の相当進んでいる西欧諸国で、中国との輸出関係が進んでくる可能性がだいぶあるんじゃないか、そう考えると、日本の場合に早く大臣の言われるような形に具体的に進めていかないと、おくれてくる可能性もなしとしないんじゃないかというふうに思うので、その問題についていまどういうふうに進めておられるか、先に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/37
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038・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 政府はケース・バイ・ケースでこれを考える、そういうふうに答弁しておったのでございますが、私は、この前、問題になっておりました日立造船の問題につきまして、日立造船の社長を呼びまして、先方がどういう考えを持っておるか、事務的に商談を再開して、事務的にどの程度までせり上がってくるかやってみなさい、それで先方がどういう意見を持っているか、いろいろ経済的な条件やあるいは政治的な要望とか、そういうものが出てくるかもしれない、そういうものがせり上がってきた場合に、われわれはこれを行政ないし政治の段階で取り上げて考えていく、そういう必要があるから、ともかくやってみなさい、そう言いまして、日立造船の関係の者がたしか広州の交易会へ行って先方と接触して、北京へ行っているのではないかと想像しております。その報告を聞きまして、いろいろ対策を考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/38
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039・野間千代三
○野間委員 わかりました。
その商談の進行状況とか、あるいはある程度の話の内容というのは、いつごろにわかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/39
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040・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは先方の都合もありますから、いつになるか、私はまだ知りません。これは商社ベースがやっておることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/40
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041・野間千代三
○野間委員 ただ、中国側の考え方は、政府のほうで、この前言われたいわゆる吉田書簡の扱いが正確に出ないと、商談が進まない可能性があるのじゃないかというふうにも見えるのですね。したがって、いわゆる中国貿易の壁になっている問題を政府の方針なり方策としてちゃんと整理しておかないと、商談を進めようとしても進んでいかないということはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/41
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042・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 そういう予測や想像はいろいろ流れてきておりますけれども、そういう予測や想像ではまだ不十分なのでありまして、現実的に具体的に先方と接触して責任ある者の声を聞いて、どういうことが条件になるのか、そういう点を見きわめなければならぬと私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/42
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043・野間千代三
○野間委員 それでは、そういう方法もあるだろうと思いますから、進めていっていただいて——ぼくらは多少心配があるような気がするのでありますが、具体的にそういう心配が出たときに、大臣が前回の答弁のような形で進めていただくということであればいいのじゃないかとも考えますので、もうしばらくこの問題は大臣のほうの進めに期待をかけることにしたいと思います。
次の問題は、最近の船舶がたいへん大型になりました。やがて五十万重量トンのタンカーもできるというようなぐあいになってきたわけです。しかも、世界的にそういう傾向にある。したがって、ドックの設備投資を相当しなければならぬ。しかも材料費の値上がりその他、関係諸経費の値上がり等から造船業界は現在、資本に対する利益率が相当低下をしているという問題がだいぶ出てきているように聞いておるのですが、これは船舶局長、先ほど質疑のあったように、西欧造船国との間の競争がいま相当激しくなっているわけですね。しかも諸外国で、造船に対する国家助成が相当強くなってきている。現在日本は世界第一位の造船国には違いないけれども、はたしてそれがそういうふうに進み得るのかどうか。たしか三十一年ごろから日本が世界第一位になっているわけで、十数年続いてはおるのですが、日本の経済の高度成長の中における底の浅さから見ると、しかもいまの大型化に対する資本の投下からくる利益の低下、こういう問題を考えると、現在の造船業界の実態ははたしてどうなのかという心配があるのですが、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/43
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044・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 わが国の造船業が、利益なき繁栄ということで象徴された時代がございます。これにつきましては、実は昭和三十七、八年ごろ手持ち工事量が非常に少なくなりまして、各社間の競争がきわめて激烈化したということがございます。その後、かなり工事量の確保につとめたわけでございますけれども、結局その影響がしばらくの間続いた。したがって、手持ち工事量はふえましたけれども、その過当競争による利益の低下というのが事実響いたわけでございます。これが造船所の営業利益を低くしたことでございまして、昭和三十七年から八年に受注した低船価船舶の影響が大体四十一年の上期ぐらいまで続いております。したがって、三十九年上期の営業利益率が七・七%でございましたけれども、これが四十一年の上期には二・九%というふうに落ち込んでおります。しかし、そのあとはじりじり上がってまいっております。したがって、今後は適正な船価の受注ということを行なって、この利益なき繁栄という汚名を払拭しなければならぬというふうに造船人は努力したわけでございます。
なお、今後の造船の特に大きな設備の状態ということにつきましては、一応昨年の五月に海運造船合理化審議会において、今後の造船施設がいかにあるべきかという運輸大臣の諮問に対する答申をいたしました。そのときに、今後の世界的な造船量が相当にふえていくということで、これに対する見通しは、われわれとしては、いまの造船業界の能力から見まして、まだまだと申しますか、その建造需要に応じまして増加していく必要があるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/44
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045・野間千代三
○野間委員 御答弁では、やや希望的な観測なんですが、四十二年で三・三%ですね。三十九年ごろには七七%であった。四十一年の二・九%から見るとややよくはなってきたのだけれども、しかし一方、大型化のテンポは今年あたりから急速に巨大化するわけですね。いままでの大型化よりも巨大化するという情勢にある。したがって、設備の内容がここ二、三年とは飛躍的に違う様相での設備投資になると見なければならぬと思うのです。一方、資料によると、たとえばスウェーデンの造船能力を見ると、五十万重量トンが建造できるドックがすでにつくられている。しかも、それは相当の数になっているようですね。七ドックに達しているという。しかも十五万重量トンのが九、二十万トンのが九、五十万トンのが七というふうに私の見た資料では出ておるのですが、これを見ると、特にスウェーデンの場合には、日本との競争のいわばきわめて有力な相手じゃないかと見えるのですが、そういう傾向から見ると、しかも先ほどお話しのあった、ことしの予算折衝の際には輸銀の金利を上げたい、かわりに市中銀行のほうも少し手を加えたらどうかという意見もあったようですが、それにしても、もし〇・五%ぐらい輸銀の金利が上がるとすると、これは約五十何%の比率ですから、一・二、三%ぐらい金利負担がふえるというふうに計算ができるんじゃないかと考えると、三・三%まで上がってきた利益率というのが、必ずしもこのまま希望的に見ていいとは言えないと思うのです。したがって、私は国家助成をすることをいま問題にしているのじゃないのですが、造船業界といいますか、そういうものの企業基盤といいますか、そういうものの問題としてよほどこれは考えなければならぬ問題があるというふうに思うのです。いま造船業界のほうがそれぞれグループ化を推進をして、六グループに集約をして、企業基盤の強化につとめておるようですが、政府のほうで、いま申し上げたような傾向に対する対策としてどういうことを考えておられるのか。たとえば一つの方策として、今月の十四、十五日に西欧のほうの造船業界の何か総会があると伺っておりますが、それに日本の代表が出発をされたというふうに伺っておるのです。これは競争の内容ということを見るのか、あるいは国際協調ももはや考えなければならぬという立場で考えるのか、そういう問題もあると思うのです。こういう問題についての政府のほうの考え方は、どういう考えでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/45
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046・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 先生がいま最初に、スウェーデンが七つぐらいあるとおっしゃったわけでございますけれども、これはおそらく建造ドックと修繕ドックと含めた超大型設備じゃないかというふうにちょっと考えます。それから、日本で一応デッドウェート十万トン以上というのが現在七つございます。それが一応許可したものが、四十五年までに十基にふえる予定になっております。したがいまして、日本の造船の能力もそれに応じてふえていくということになっておりますが、御指摘になりましたように、ヨーロッパのほうも現在八基ぐらいございますが、これがやはりそれまでには倍増するというふうになっております。したがいまして、日本の超大型船に対するシェアというものは、あるいは物理的に減るということはあり得ると思います。日本の造船業はそういう面からは、非常に今後シェアを確保するという努力をしなければいかぬというふうに実は考えておるわけでございます。それで、それの一環にもなるわけでございますけれども、先生がいま御指摘になった造船業のグループ化という問題がございます。これにつきましては、実は昨年の五月の海造審におきまして、一応造船施設の答申をいただいた。その中に、わが国の造船業は企業基盤の安定と、それから国際競争力の強化をはかるために施設の近代化、合理化、技術の自主開発、市場の維持開発等の諸措置を積極的に推進するとともに、企業間の過当競争を極力排除するために、グループ化を進めていく必要があるということをうたっておるわけでございます。われわれのほうとしましてはそういう見地から、昨年よりこのグループ化というものを積極的に進めてまいったわけでございますけれども、これも実は業者の自主的な判断にまつという結論でございまして、政府が特にそのために法律をもってやるわけでも何でもございませんで、行政指導という形でいろいろ意見交換の上グループにしたわけでございます。それで現在六グループございまして、これが合併とか統合とか提携の形で一応うまくいっておる。そして先ほど申し上げた海造審の趣旨を一応遂行しておるというふうに考えておるわけです。
それから今後でございますけれども、先ほど申しましたように、海造審におきましては新造船の需給見通しというものを立てております。たとえば十万重量トン以上のものにつきましては、昭和四十五年には世界では大体六百十万トン、これに対して日本が大体三百七十万トン、それから昭和五十年には一千三十万トン、これに対しまして日本の建造のシェアと申しますか、これが大体六百四十万トンというふうに立てております。現在の超大型船の日本の能力は、いま稼働しておるものは二百三十万トンぐらいですが、御存じのように、建造中のもの、それから改装中のものとございまして、四十五年までには一応海造審で立てました三百七十万トンは十分オーバーする。しかし五十年の六百四十万トンに対しましては、まだまだ不足するわけでございますので、四十六年以降につきましては、また大型ドックの建造というものも考えなくてはいけないというふうに考えております。これによりまして日本のシェアの確保と、それから六グループ化による競争力の強化というものを一応考えております。
それから先ほどもう一つ、造船の調査団が先般ヨーロッパに参りました。これの主目的は国際協調の問題でございます。国際間にそれぞれの疑心暗鬼がございますと、いろいろな面で非常に不都合が出てまいる。政府間ではOECDでいろいろ議論しておるわけでございますけれども、民間でも大いに意見の交換をやる必要があるのではないかということでありまして、しばらくぶりで調査団を派遣したわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/46
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047・野間千代三
○野間委員 六グループ化などによる企業基盤の強化なりで、いま私が心配したような問題を解消していくということがいま具体的にとられておる方法ですね。一方いまの産業状況全体を見ると、いろいろな情報によると、局長のいま言われた六グループがそれぞれ、たとえば電機系統であるとか、あるいは重工業であるとか、これは日本のいまの鉄鋼の合併などに見られる一つの傾向であるかもしれません。また一面注文をするほうも全体として製品を注文するというので、あらゆる部門を一つの企業に集結していくという傾向があるようです、いまの産業界のほうで。それの一つとして、これは資本系統もあるでしょうが、三菱重工業あるいは三菱電機、そういう系統のものが一つのグループをつくっていく。あるいは石播のグループが今度は東芝と連携をする傾向があるという。これはそれぞれ六グループがまた他の産業、特に重工業あるいは電機、そういう方面のグループが大きいと見られるのですが、ただ問題は、これは公取関係などいろいろ問題があるのでしょうが、それはそれとして、こういうふうになってくると、その中における造船業というものの位置はやや私は小さくなってくるというふうに見られるのですね。また一方、そういうものがグループ化された場合に、はたしていまやっているような輸銀の方式というものがそこの造船部門にのみ入っておっていいものかどうかということを考えると、一つのやはり産業界のこういう傾向に対する、輸銀方式による助成というものとの関連がどうしても出てくるというふうに思えるのですね。したがってそういう方面から見ると、これは大蔵省の言うように、もはや輸銀の低利の資金を供給する必要はないのじゃないかという意見の一つの裏づけにもなる可能性も出てくるということも言えるので、これはきょう直ちに結論は出ないと思いますが、いわば産業界のこういう傾向の中での造船業というものと輸銀による助成、これは関連がどうしても出てくるので、そういう方面に対する工作、考え方もやはりある程度分析をして立て直しておく必要がありはしないかというふうに思うのですが、これは運輸省のほうでもすでに検討されておるのでしょうか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/47
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048・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 造船業のグループ化に関しましては、まだ流動的と申しますか、これにきまったというものではございません。先ほど申し上げましたように、昨年の五月の海造審の答申の御趣旨に基づいて、一応六グループということで、その線で進めてまいったわけでございますが、さらに将来の大きい問題につきましては、いろいろの問題があると思います。ただ造船業の場合は、たとえば三菱のようにほかのほうの非常に大きな業種との合併もあり得るわけですが、そういう問題が出てきた場合に造船業の占める比率が少ないのじゃないかというような仰せでございましたけれども、これは確かに企業内ではそういう考え方もあると思います。しかしわれわれとしましては、御存じのように造船業は、日本の国際収支の改善をになう非常に良質の輸出産業でございます。そういう点から申しますと、決して合併によって造船業の比重が下がってくるということはないのじゃないかというふうに考えております。
なお業種の内容によりましては、三菱が新聞に出しておりますように、ほかのほうの産業部門を切り離すという考え方もあるわけです。これはやはり受注産業とそれから受注産業でない業種、そういうものとの会社におけるバランスとかいろいろな問題があると思いますけれども、造船業に関連するそういうグループ化の問題につきましては、ほかのほうの業種もいろいろまた考えているのじゃないかと思います。したがいまして、われわれとしましては造船業中心ということで、この最もメリットのある、先ほども申しました、輸出産業のにない手といういままでの誇りを持続できるようにやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
なお、具体的なことにつきましては、先ほど申し上げましたように多少まだ流動的でございますので、今後のあれにつきましてはまだ十分御説明申し上げる段階ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/48
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049・野間千代三
○野間委員 局長さんの答弁くらいであればそう心配ないというか、考える必要はないような気がするのですが、たとえば日立のグループがありますね。舞鶴重工業、尾道造船などで組んでいる造船のグループがある。これが日立製作所全体と、あるいは日産自動車と組む可能性があるというふうにもいわれており、川崎重工のグループと富士電機、川崎車輌あるいは富士通信機。それから三井造船等の系統が三井精機あるいは日本製鋼所昭和飛行機と組むということが言われてますね。こういう形を見ると、これはなかなか容易でない態勢だろうと思うのです。そう軽視できない。つまり一括受注方式ということに会社の形態がなってくるというふうに見なければならぬ。そうなってくるとこういうグループがもしでき上がるとすると、これはその中における造船部門は——これはもともと造船業は陸上の他の部門をやってますね。たとえば橋梁であるとか、いろいろ多角経営をしておりますね。こういうことを見ると、造船業というものの置かれている位置というのはこれはもはや——イギリスのゲッデス委員会の報告書は、相当イギリスのほうでは重要産業として重視しているようですが、ゲッデス委員会の報告を見ると、これは相当重要視をしているのだけれども、このゲッデス委員会の報告書の内容なども相当重要な参考になると思うのですが、その中でそういう関連で見て、日本のいま申し上げたような重工業部門が造船と産業機械、重電機、そういうものを含めたグループ化というふうに進んでいくとすると、これはその中における造船業というものの位置がやはり問題になると思いますね。私もこれはどういうふうに結論づけていいかまだちょっとわからぬのですけれども、指導監督をされている運輸省としてはそういう産業形態の傾向に対して、船舶局として造船業をどう見るかという点については相当重要視をして、こういう傾向に関する分析をしておく必要があるのじゃないかというふうに思うので、きょうはそういう希望だけ申し上げておきたいと思います。
それから先ほどちょっと砂田先生から御意見がありましたが、開銀の援助による、海運政策からくる計画造船ですね。これと、それからいまの輸出船との関係、これはなかなかやはり、先ほどの大臣の御答弁はやや抽象的ですから、具体的に海運政策と計画造船に対する助成がどうなってくるのかちょっとわかりませんけれども、いずれにしても何らかの方策をとらなければならぬというふうにはなると思いますね。一方、輸出造船に対してやはりいまのような形での助成が行なわれている。そうすると、輸出造船のほうのやつはいわば、卑近なことばでいえば、相手方に塩を与えているというような傾向になるわけですね。であるとすれば、いずれの方法をとるのが相手方に——相手方にあまり塩を与える必要はないわけだから、日本のほうがやはりもうからなければならぬ。つまり国益という考え方でくると、それに立脚するといずれが正しいのか。いずれの道を強化すべきなのかという問題があると思うのですね、ちょっと観念的な言い方だけれども。これは先ほど数字がありましたので省略しますけれども、日本の国策としていずれを強化することが国益であるかということは、やはり一応見きわめなければならぬ。これは両方とればいいということなんだろうけれども、しかし片方の輸出造船のほうはこれは明らかに相手方に塩を与えていることであるわけであって、そうなってくると、これは運輸大臣としてもいずれかを強化して、国益を中心にするということにやはり考えなければならぬ。これは来年なら来年、との計画造船の助成方式を考えなければならぬというときには、いずれ両方の問題を考えなければならぬことになると思うのです。大臣、これはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/49
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050・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 やはりこれは先進工業国の宿命でありまして、こっちが輸出しないと、ほかの国が輸出して外貨を獲得するという関係にもありますので、外貨、国際収支という面から見ましても、ある程度塩を与えるということは甘受しなければならぬ要素でもあります。しかし、それがために自国の海運というものが圧迫されるということではまた困るという要素もございます。しいて申し上げれば、やはり自国の海運政策というものが基本であって、そして輸出政策というものがそれに並行していく。しかし自国の海運政策といえども国際競争の中にあるものでありますから、国際競争の水準を見ながらいろいろバランスをとっていく必要があると思いますが、一応自国の海運政策というものが非常に大事であって、それにバランスをとりながら輸出を調節していく、そういう形が原則的には正しいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/50
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051・野間千代三
○野間委員 そういう答弁ですね。それはそういうことになるのだろうと思います。いずれ具体的にはいろいろな問題になってくるのでしょうね。なかなか、いまの大臣の御答弁では済まない。いまの造船の国際競争などがもっと激化をしてくると、なかなかそうもまいらないようなことにもなりかねないのですが、そこのところは、一応問題点として提起をさせていただくことだけにしておきたいと思います。
海運のこれからの発展の状況が、世界的に海運が発展をしてくるということになれば、これはもちろん造船も発展をしてくる。これはここ当分の間やはりそういう傾向であることは、これは日本の受注がすでに二、三年満ぱいであるということから見ても問題ないのであります。当面は心配ないと思うのですけれども、一つは発展途上国の造船能力が相当強化をされてきている。世界的にそういう傾向に来ている。それから、はたして中国の造船業がいまのように大型のほうにはなかなか来ないということで済むのかどうかという問題も出てくると思います。これは造船というのは、言われるようにやや労働集約的な仕事ですね。したがって、労働力では世界で有数な中国というものが造船の能力をもし持ち始めるとすると、相当急速に進んでくる可能性もあるんじゃないかというふうに思えるのですが、そういう要素、それからベトナム戦争であるとか、あるいはスエズの問題であるとか、そういう海運の一つの要素になっている問題が解決がついてくると、その場合に貨物の状態はどうなってくるのかということも出てくる可能性がある。そういう三つくらいの要素が当面考えられると思うのですが、そういう状態になってくるとやや船腹の、過剰までは行かぬでしょうけれども、船腹の状態を推察をしていくと、やたらに設備投資をしていっていいものかどうか。いわば巨大なドックの数をある程度考えておいたり、あるいは先ほどのお話の国際的な競争というものを、政府間の相談なりあるいは業界に対する指導などで、協調的な方向に向かわしたりということが必要な時期が、やがて近いうちに来るんじゃないかというふうに考えられるのですけれども、そういう面についてはどうなんでしょう。また、そういう心配はないのかどうか。造船業界などの考え方の底に流れている問題に、いま私が申しました巨大ドックを現状であまり増加すべきではないんではないかとか、あるいは一船台当たりの建造テンポというのをある程度まで世界的に協調しておいたほうがいいんではないかとか、あるいは、船舶の大型化というのもそう無制限に考えるべきじゃないんじゃないかとかいうような底流が、造船業界にあるようにうかがい得たのです。つまり業界のほうでは、いま私が申し上げた三つの傾向をある程度見通しながらそういう考えを持ち始めてきているんではないかと見えるのですが、やはり運輸省としてもそういうことも考えて、海運政策あるいは造船業に対する考え方を一応基底として持つ必要があるのではないかというふうに思うのですが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/51
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052・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 私はやはりある程度グループ別に集約化して、そうして合理化を行なうということが、日本のような高度に発達した工業国の趨勢であるだろうと思うのです。したがいまして、造船につきましてもグループ別による集約、近代化、合理化という方向は推進したほうがいいだろうと私は思います。
それから第二に、国際情勢その他によって日本の船腹量の測定ということが非常に大事であることは、お説のとおりであります。この点は慎重に動向を見ながら誤差を修正し、試行錯誤の修正を正確に行なうようにしていかなければならぬと思います。ただ、日本の経済の成長の動向及び世界の貿易量の増大の趨勢というものを電子計算機にかけてみますと、現在の経済社会発展計画のあとの時代を考えてみますと、日本経済が大体五・三%程度の成長を見るとすると、これは非常にモデストな数字であります。その程度の成長を見るものとしまして、海運の運賃収支をパーにしよう、赤字を解消しよう——海運全体の収支ではありません、港湾の荷役料とかそういうものを除きまして、運賃収支だけをパーにしよう、そういう計画で進みますと、特に積み取り比率を輸出入六〇%から七〇%に上げないと実はいけない。それで約三百万トンちょっとこすぐらいの船腹量を毎年建造しないと、それができない。そういう一応の電子計算機の試算ができておるのです。これはいま海運局におきまして鋭意検討中でございますが、その辺の検討も、考えてみますと、やはり現在の経済社会発展計画におきましては大体年間二百万トン見当でありますが、次の段階になりますと、やはり三百万トン見当にいかなくちゃならぬ、そういう数字にもなっておりますので、そういう動向も考えてみると、造船のほうもそれほどモデストにやるべきものではない。ただ、問題は、輸出船の動向がどう出てくるかという問題にかかってまいります。国内問題だけを考えますとそういうことにもなりますので、それほど悲観と申しますか、スケールを小さくする必要はないのではないか、一応そういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/52
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053・野間千代三
○野間委員 私もスケールを小さく考えるということじゃないんです。まあここ当分はまだ、そう私が申しましたような心配はないんでしょうから、特段の御答弁は必要ないんですが、ただ、造船だとかあるいは海運などというものは相当長期的なものですね。国際収支の問題でも、あるいは産業全体の問題としても相当長期的に運用され、経営をされるものですから、常に長期的な経済的な見通し、世界の見通しを見ながら指導する必要があるという立場から申し上げたのですが、一応、以上でその問題は終わります。
次に局長、いま造船業で輸出入銀行から借りている総額、それから、船舶のほうが借りているものとその他との比率などは出ていますか、どうでしょう。あるいは返済の状況であるとか、そういうものについてもしお答えができたら、御答弁のできる範囲でお願いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/53
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054・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 四十二年の十一月末日現在でございますけれども、貸し付け残高の合計額は八千百七十一億円でございますが、そのうち船舶の占める割合は、三千九百一億円となっておりまして、その比率は四八%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/54
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055・野間千代三
○野間委員 返還状況はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/55
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056・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 回収額は、これは毎年出ているわけでございますけれども、四十二年の十一月末の調べでは、六百七十四億円の合計の回収額に対しまして船舶は三百五十一億円、五二%、これぐらいが毎年の回収額になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/56
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057・野間千代三
○野間委員 船舶のほうは借りるほうでも約半分ですね。返すほうも当然半分。まあ輸銀の中に占める船舶の比重というのは、相当大きいというふうに見ていいですね。そこからたしか輸銀の赤字の問題なども出てくるのだろうと思いますが、これはいずれ——きょうは私もちょっとうっかりしまして銀行関係の御出席を願わなかったのですが、この輸銀の赤字の問題——いま赤字でなくて、大体とんとんにいっているわけですね、やや利益が減ってきているという傾向なんですね。ですから、別段赤字だからということでびっくりすることはないので、運輸省のほうでは、先ほど大臣の御答弁のように、いままでの方式で進めていって差しつかえないのでしょうが、しかし、いずれにしても、四八%借りているということになると、輸銀そのものとしては相当大きな問題にはなると思うのですね。したがって将来再び、予算編成の際に相当大きな問題になる、海運の助成についてことし問題になっているわけですから、大きな問題になる可能性もあると見受けられます。これは一つの考えとしては、先ほどのグループ化の問題、重工業との関連の問題などからくると、そういうものもやはり輸銀なり大蔵省とすると、現行どおりの輸銀の貸し出しが適正であるかどうか、金利が適切であるかどうかという問題にも一つの材料にはなるというふうにも見えるので、もしこの政策をなお継続していく必要があるとすれば、そういう問題も十分に考えながら対処をしておかなければならぬじゃないかというふうにも思いますので、これもひとつお考えおきをいただいて進めていただきたいというふうに思います。
最後に、先ほどちょっと言いかけましたが、五月十四日と十五日にローマで、西欧造船工業会の年次総会があるそうであります。その年次総会に日本の造船工業会の代表が出席をされるために二、三日前に出発されたというふうに伺っておるわけですが、これは西欧造船工業会に日本の工業会はどういう——これは出席なんですか、それともどういう資格になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/57
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058・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 これは西欧の造船工業会でございますので、日本の工業会が定期的に向こうの業界と接触を保つという意味の会合でございます。確かにローマで年次総会を開くのに際しまして、日本も出席させてもらうということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/58
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059・野間千代三
○野間委員 ただ来賓で行くぐらいでは意味がないので、しかも、私は造船問題の国際的な過当競争になりつつあるという心配をするわけですね、そういう意味からすれば、せっかくのこのいい機会だから、日本での調査団の派遣などもいいけれども、直接担当をしている業界同士の接触ですから、日本の造船工業会が二、三点基本的な考えとして、たとえば巨大船のドックを現状くらいにとどめたいとか、あるいは大型化を五十万トンくらいで押えておきたいとか、一船台当たりの建造テンポをある程度スタンダードにしたらどうかとかいうようなことを考えているとすれば、西欧造船工業会の総会という接触の時期に、そういう具体的な問題としてではなくて、やはり国際的な協調という方向に進めるような接触をすべきじゃないかというふうに考えられるわけですね。これはもちろん民間の団体だから、政府のほうでは別に干渉なり容喙はしないのでしょうけれども、そういうことでこのローマの会議に出席をするということであるならば、これは相当値打ちがあるというふうに思えるのですが、これはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/59
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060・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 今度の議題は大体、船腹の建造需給の見通しということと、それから大型設備に関する金額の面、数の面、いろいろあると思いますが、これの情報交換というのが一番大きな問題のようでございます。したがいまして、先生がおっしゃいましたようなことは、今後の問題としまして、いろいろこれから業界同士の協調ということから議論が発生してくるんじゃないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/60
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061・野間千代三
○野間委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/61
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062・大野市郎
○大野委員長 関連して、久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/62
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063・久保三郎
○久保委員 大臣がもし質問している最中においでになればお答えいただくことにしまして、当面、造船と海運のほうのそれぞれ部局を担当する方がおりますから、関連してひとつ申し上げたいのですが、先ほど野間委員から、低開発国の造船体制というか、そういうものについてお話がございました。
先般ニューデリーかどこかで貿易の開発会議ですか、こういうところで低開発国からいろんな問題が提起された。あるいは海運関係ではすでに数年前のICAOの会議で、低開発国から海運同盟に対する意見が出ている。そこで造船のことに戻りますが、低開発国というか発展途上国というのかわかりませんが、そういう国々は日本にわりあいに近いところに散在するわけであります。これを無視して日本の造船なり海運なりというものを、長い将来にわたって考えるわけにはもはやいかないと思うのです。特に造船の場合、輸出船のアフターケアの問題ももちろんあります。これは日本に持ってきて、その修理というか修繕というか、そういうものをしているんでありましょうが、これからはそういうものだけではちょっとサービスが落ちるではないかというふうにも考えられる。そこで結局低開発国というか発展途上国との間の修繕を含む造船ですね、そういうもののジョイントベンチャー方式によるところの方法を考えていく必要はないのか。海運においても同様だと思うのです。海運同盟、責のごときかたいからに閉じこもった海運同盟で先進国としての立場だけを固執するわけには、もはやいかなくなった。これを強行すれば、御承知のように国旗主義はもっと強まってくるという事態があるし、わがほうの外交方針にいたしましても、平和的な共存共栄というか、そういう立場であるとすれば、これはやはりジョイントベンチャー方式等を持った海運対策というか、そういうものも発展途上国との間に展開すべきではないかというふうにも一つは考えるわけでありますが、こういう問題についてそれぞれお二人はどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/63
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064・佐藤美津雄
○佐藤(美)政府委員 造船は、御存じのように、かなり高度の技術を必要とする産業でございます。したがいまして、低開発国としましては、独自にこれをやっていくということは非常にむずかしいようでございます。それで日本の各有力造船所に対しましてそれぞれ、船舶の造修を行ないたいということで合弁会社をつくりたいという申し入れがございます。現在ございますのは、まずシンガポールにあります石播のデュロンの造船所でございます。なお、現在あの隣の海運用地においても拡張したい、これもおそらく新しい造船所になると思いますけれども、そういう希望もございます。それから台湾に造船の技術援助をやっております。これは石播で行なっております。それから三菱では、これも最近でございますけれども、台湾の高雄で造船所をやるという、これは合弁でございますけれども、一応の協定ができたようなことを聞いております。したがいまして、今後おそらくこういうことがいろいろ出てくると思いますけれども、われわれとしましても、低開発国の造船というのはまだまだ技術的にも非常に低いし、これに対して大いに協力してもらうように行政指導をしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/64
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065・高林康一
○高林説明員 海運の面につきましては、低開発国との関係におきましては、UNCTADの場におきまして海運委員会でいろいろ論議をされておるわけでございます。UNCTADの場におきます論議は、主としてこの低開発国の伝統的産品に対する運賃をどのように設定するかというような問題、またそういうような問題について、荷主の立場から海運同盟に対するその運賃の問題についていろいろ協議をするということ、それからそれぞれの国の自国の商船隊というものが海運同盟に加入するということについて好意的に処理すること、こういうようなことがいろいろ問題になっておるわけでございます。この点につきまして、まず荷主を通じての伝統的産品の運賃に対する問題につきましては、荷主協議会というような機構を設置いたしまして、ここで具体的な運賃設定というようなことについて、輸出国である低開発国のいろいろ注文を聞くという組織が逐次できつつあるわけでございます。今後とも、この間のニューデリーの決議にもございましたように、そういう荷主協議会という機構を通じまして相互の接触を密にしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
また、そこの自国の商船隊の海運同盟に対する加入ということにつきましては、それぞれその国のいわば代表的ナショナルフラッグというものに対しましては、これを海運同盟においてはメンバーとして加入を認めるということは、従来海運同盟において伝統的に行なわれております。日本周辺の航路におきましても、インド・パキスタン航路あるいはインドネシア航路あるいは南米航路、こういうようなところにおきましては、それぞれの新しいナショナルフラッグが加盟しておるという形になっております。また、今後ともそういう傾向は進んでいくだろうと見ておるわけでございます。
またジョイントベンチャーの問題につきましては、その例は現在のところ比較的少のうございますけれども、集貨その他の面におきまして、日本の船会社がそれぞれ低開発国の商船隊のその集貨に協力するという形態は、南米等において、あるいは東南アジア等において相当行なわれておるという現状でございます。また、今後ともこういう傾向は進んでいくだろうというふうに見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/65
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066・久保三郎
○久保委員 大臣、お戻りになりましたから……。
いま事務当局にお尋ねしたのですが、造船にしても、まあ造船は修繕も含みますけれども、そういうものと海運、それが発展途上国との間の問題、先ほど野間委員からも出ましたから、それに関連してお話をいまお聞きしたのですが、造船においてはジョイントベンチャー方式で日本の造船会社と現地の資本との提携というか、そういうものがある程度なされているということでありますが、海運においてはそれがあまりございません。そういう意味で、将来の海運対策なりあるいは造船対策なり、日本の経済外交というか平和外交の一環としても、もちろん先の見通しは立てなければいけませんけれども、そういうものにもつと意欲を示した積極的な姿勢、それに応じた国内における再編成体制なり何なりも、そういうものを織りまぜて考えていったらどうか、こういうことを考えているわけなんですが、大臣としてはどういうお考えでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/66
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067・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 海運とのジョイントベンチャーというのは、お説のとおり非常に少ないようでございますが、私は個人的に、東南アジアそのほかの発展途上国との間には成り立つものだろうと思っております。インドネシアあたりに多少行っているのもございますが、そのお説には私賛成でございまして、そういう方向に網を広げていくように努力をしてまいりたいと思います。ただ、そういう発展途上国はわりあいにナショナリズムが強くて、その点は若干困難なことはありますけれども、しかし、将来非常に考うるべきポイントであるように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/67
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068・久保三郎
○久保委員 もう一つ。発展途上国ばかりじゃございませんが、将来にわたって日本の海外に依存する、原料供給というかそういう面での依存度がだんだん大きくなっているわけであります。私はよく存じませんけれども、原料供給国との間の海運輸送の面での共同方式というか、そういうものももう少し積極的に考えていったほうがいいのではないか、こういうふうに思うわけです。たとえば鉄鉱石一つをとってみても、港に積み出すまでの間はその当該国だけの問題になっているのではないかと思うのです。むしろ安定的に供給を受ける、あるいは供給をさせるということになりますれば、もっと輸送をつなぎ合わせた設備といいますか、そういうものを一ぺん考えてみたらどうかというふうにも思うわけです。これは将来もっともっと原料を海外に仰がねばならぬという実態がありますから、そういう点を考えることと、もう一つは、先ほど将来にわたっての船腹増強の問題で、大臣から、積み取り比率は輸出入とも大体六〇%を目標にしていって、港湾経費は別として、海運収支をパーにするという計算からいえば、これこれの数字が出てくるというお話でありました。私もそういうことだと思うのですが、目の子勘定でどうも恐縮でありますが、それは電子計算機は私の勘よりはずっといいと思うのでありますが、私が最初からこの問題に首を突っ込んでからは、六〇%か六五%かという積み取り比率というものを確保することと、日本の経済の発展というか、そういうものを直接結びつけることはやろうといったってあまりできないし、できてもこれは別な分野でその補いをつけることが正しいのではないかというふうにも考えているわけです。時間もありませんから、こまかにお話を申し上げることはどうかと思いますが、これは別な機会でも申し上げたように、いま世界の海上輸送量の三分の一ないしものによっては半分、日本につながってきているわけですから、日本は将来にわたって非常に大きなルートだと思うのです、世界的に、国際的に見て。そういうことを考えると、日本という国も、他人に見ては悪いのですが、一つの国ということで見た場合には、将来そういう立場から判断した場合には、やはりフィフティー・フィフティーということで、半々ぐらいに目標をきめていくことが、日本の海運なり経済というか、そういう面では一番正しいんじゃないか。六〇%にして、それで海運収支をパーにするということは、できれば非常にけっこうな話でありますが、私はそれはなかなかむずかしいし、そういうふうにあせって、と言っては語弊があるが、非常に大きな船をつくることに専念することだけが、海運を含めた日本の経済の発展のためにいいかどうかには、私多少疑問を持っているわけです。これは電子計算機ではじいたわけじゃございませんから的確性を保証することはなんですが、私はそういうふうにいまでも考えている。これは一つの話として聞いていただけばけっこうだと思うのです。そうして補いは一般の産業が負うべき筋合いのものではないかと思うのです。そういう考えについてどういうふうにお考えか、一言……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/68
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069・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 久保委員のお考えも一つのお考えであるだろうと思います。フィフティー・フィフティーということは近隣諸国及び国際関係等も考慮いたしますと、一つのスタンダードにはなり得るものだと思いますが、日本のようにこういう膨大な貨物を輸送したり、輸入したり輸出したりするというそういう国にあって、国際収支の赤字を何とか少なくしていこうという考慮からいたしますと、やはりフィフティー・フィフティーということではささえきれない、少なくとも目標としてはもっと高いものを確立しないといけない、そういうように私は思います。現在のあれでも五〇%、六〇%でありますが、それを下ってはいけないんじゃないか、そういう気が私率直にいっていたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/69
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070・久保三郎
○久保委員 比率が下ることと量がふえることとは、これは違うのですね。だから、ぼくが言うたとえば五〇%というのは一つの目の子勘定でありますが、そうしてもやはり量はふやしていかなければならぬということでありますから、必ずしも五〇%だからふやさぬでもいいということではないと私は思います。
その問題は別として、最後に、計画造船の問題です。これはもちろん海造審等を通して将来の海運対策、こういうもので計画造船の問題も処理なさるだろうと思うのでありますが、私は、計画的に船をつくるという意味の計画造船の是非は別として、いまのようなやり方は海運産業そのものの体質改善からいけば、これは必ずしもほめたものではない。体質が幸い回復したということでありますから、いまの融資の方法、資金調達の方法についてやはり少しく考えを直さぬと、船をつくればつくるほど他人資本で目一ぱいということになりまして、これでは企業体質は悪化するともよくなりはしない、こういうふうに思うので、こういう問題はやはり当面政策として早いところ出していただかないと、何か将来にわたっての船腹増強にも支障を来たすのではなかろうか、こういうふうにも思うわけなんです。ついては、計画造船についてどのようにお考えでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/70
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071・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 温室に長く入れておくとひよわになるということは、確かにそうでありまして、これからの発展政策を考えるにつきましては、やはり北風にあってもそうたじろがぬような、自分の力を持ったものにつくり上げなければいかぬ。それには相当、自己資本の力であるとか自主的努力であるとか、そういうものを加味していく必要はあるだろうと思います。ただ一ぺんにそういうものを撤去するということは、いま激烈な国際競争とのにらみ合わせにおきまして、徐々に考えていかなければならない要素もあると思いますので、そういう点も考慮いたしまして海造審の答申を検討してみたいと思っております。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/71
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072・大野市郎
○大野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
港湾に関する件について参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/72
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073・大野市郎
○大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお、参考人の人選、出頭の日時、手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/73
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074・大野市郎
○大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
次回は明八日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X02219680507/74
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