1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十六日(金曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 臼井 莊一君 理事 久保田藤麿君
理事 坂田 道太君 理事 谷川 和穗君
理事 西岡 武夫君 理事 小林 信一君
理事 長谷川正三君 理事 鈴木 一君
有田 喜一君 稻葉 修君
久野 忠治君 河野 洋平君
周東 英雄君 世耕 政隆君
床次 徳二君 中村庸一郎君
広川シズエ君 山口 敏夫君
加藤 勘十君 唐橋 東君
川村 継義君 小松 幹君
佐藤觀次郎君 斉藤 正男君
有島 重武君
出席国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
文部政務次官 久保田円次君
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部省体育局長 赤石 清悦君
文部省管理局長 村山 松雄君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 小幡 琢也君
国税庁直税部法
人税課長 井辻 憲一君
参 考 人
(私立学校振興
会理事長) 岡田 孝平君
参 考 人
(日本学校安全
会理事長) 西田 剛君
専 門 員 田中 彰君
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四月二十五日
委員河野洋平君及び藤波孝生君辞任につき、そ
の補欠として増岡博之君及び大野明君が議長の
指名で委員に選任された。
同日
委員大野明君及び増岡博之君辞任につき、その
補欠として藤波孝生君及び河野洋平君が議長の
指名で委員に選任された。
同月二十六日
委員藤波孝生君、渡辺肇君及び山崎始男君辞任
につき、その補欠として世耕政隆君、山口敏夫
君及び佐藤觀次郎君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員世耕政隆君、山口敏夫君及び佐藤觀次郎君
辞任につき、その補欠として藤波孝生君、渡辺
肇君及び山崎始男君が議長の指名で委員に選任
された。
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四月二十六日
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六五号)
外国人学校法案(内閣提出第六六号)
同月二十四日
義務教育諸学校の施設に対する特別措置に関す
る請願(有島重武君紹介)(第四五七四号)
同(臼井莊一君紹介)(第四五七五号)
同(川村継義君紹介)(第四五七六号)
同外一件(斉藤正男君紹介)(第四五七七号)
同(坂田道太君紹介)(第四五七八号)
同外一件(鈴木一君紹介)(第四五七九号)
同外一件(谷川和穗君紹介)(第四五八〇号)
同外二件(長谷川正三君紹介)(第四五八一
号)
同(西岡武夫君紹介)(第四五八二号)
同(矢野絢也君紹介)(第四五八三号)
人口急増地域の義務教育施設整備に対する特別
措置に関する請願(長谷川正三君紹介)(第四
六四一号)
女子教育職員の育児休暇制度法制化に関する請
願(安宅常彦君紹介)(第四六四二号)
同(大柴滋夫君紹介)(第四六四三号)
同(川村継義君紹介)(第四六四四号)
同(村山喜一君紹介)(第四六四五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
四月二十五日
外国人学校法案反対に関する陳情書外六件
(第二三三
号)
同外一件
(第三二一号)
在日朝鮮人の民族教育保障等に関する陳情書外
一件(第二三
四号)
教職員の宿日直廃止に伴う財源措置に関する陳
情書(第二三五
号)
在日朝鮮人の民族教育保障に関する陳情書
(第三二二号)
義務教育学校用地取得費国庫負担に関する陳情
書(第三二三号)
義務教育学校用地取得費国庫負担等に関する陳
情書
(第三二四号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
日本学校安全会法の一部を改正する法律案(内
閣提出第九号)(参議院送付)
文教行政の基本施策に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の通告があります。これを許します。佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/1
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002・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 過日文部省から「わが国の私立学校」といういわゆる私学白書というものをお出しになったのですが、これをちょっと拝見いたしまして感じましたことは、いまのわが国の実情とか外国の実情、それからいろいろ私学の問題についてのあれが出ておりますけれども、これによって、いまの困難な非常にむずかしい問題の私学というものが一体救われるかどうかということになると、非常に疑問に思うのですが、これをお出しになった趣旨と、それから現状について大臣から所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/2
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003・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 今回の文部省が出しましたいわゆる白書は、わが国の私立学校を中心としての白書でございます。これを出しました趣旨は、私学についての現状を知っていただくこと、また問題点を知っていただくこと、そういうことを主として記述いたしたものでございまして、国民の皆さん方にも私学の状況等について十分御認識をいただきますと同時に、われわれとしましては、この現状の上に立って、今後の私学をいかにすべきやということを検討いたします重要な資料といたしたいと考えておる次第であります。
御承知のように、私学についてはいろいろ問題がございます。なかんずく私学の経営上の問題、言いかえますれば、主として財政上の問題が大きな困難として各私学の上にのしかかっておるような状況でございます。私学の果たしております役割りというものをここで考えますときに、私学の状態をそのまま、いわゆる財政難というようなことで放置しておくべきではないだろうというのが大方のお考えだろうと私は思うのであります。主としてそのような認識の上に立ちまして、いわゆる私学の振興策についてさらに一段と検討を加え、努力をしていかなければならない状態のもとにあると思うわけでございまして、今日までもいろいろ政府としましても、私学の立場を考えつつその振興のために努力はしてまいりましたけれども、従来のような程度のものでは問題の解決は困難だろう、こういう考えをいたしておる次第であります。さらに十分検討を加えまして、積極的に私学の振興という問題と取り組んでいきたい、このように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/3
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004・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 灘尾文部大臣の月並みな答弁でありますが、何といっても日本の財政の実権を握っているのは大蔵省であって、大蔵省のひものついておるということはいろいろ問題があるにしても、大体官学を出る人のほとんどが大蔵省なり文部省なりにおられる。局長の村山さんもそうでありますが、どうも私たちは私学だからひがみではないけれども、何といってもそういうような点で、やはり根本的には文部省の中にそういう気持ちがあるのではないか。私学の振興というような問題もありますが、その中で、一つの課であれしておるというようなこと、現在の私学というものは、日本全体の七割五分の人が実際は私学を出ておるわけなんで、私たちは私学の出だから、そういうことを言うわけではないのですけれども、同じ教育を受けるというような立場から考えれば、当然国立大学も私立の大学におる学生も、日本の学生ということについては変わりがないので、そういうような意識的に差別をしているのではないけれども、文部省というのは国立の学校だけを中心に置いているという傾きがあるというように考えるのですが、その点についてどういうように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/4
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005・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 文部省のほうで特に私学に対して差別的な考え方でものをやっておるのではないかというお尋ねでございますが、これは当然私が否定することを予想していらっしゃると私は思うのであります。そういうようなつもりで仕事はいたしておりません。
しかし問題は、長い沿革というものが私はあると思うのです。日本で私学というものが生まれ、それがどのようにして今日まできたかという沿革というものもあると同時に、最近における国民の中からの大学に対する進学率というふうなものが非常に増加してきておる。これに対応するために私学が非常に大きな役割りを果たしてまいっておる。また、そのような関係から施設設備等についても拡張整備をしていかなければならぬ。自然経営が困難になってくる。また、それが今度は父兄負担を増大するというような結果を招来するというわけでございまして、従来からの沿革に基づく文部省と私学との関係というものと、現状というものとの間に急激な変化が起こったと思うのであります。これにどう対処していくかというところが大きな問題であり、しかもきわめて複雑な困難な問題だろうかと私は思っております。たいへんな課題をかかえておるということは十分承知いたしておりますが、にわかにこれを抜本塞源的に解決することも容易なことではないということは、これは佐藤さんもひとつ御想像いただけるだろうと私は思うのであります。
いずれにしましても、私学側の努力も必要でございますが、同時に、われわれのほうも私学側に対して積極的な協力をしていくというかまえのもとに問題を解決する以外に道はないと存じます。そういう方向で努力していきたいということは、先ほど来申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/5
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006・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 慶応大学の福沢諭吉の独立自尊、それから早稲田は大隈さんの政界失脚の中から出てきたというようなことで、まあレジスタンスのような形で出てきたわけですが、そういう歴史的な過程はともかくとして、今日日本に二百六十五校という非常にたくさんの学校があるのですが、そういうものについて私は——灘尾さんは、たしか文部大臣を三回も四回もやられたので、答弁などのそつのないことは言う必要はないけれども、ここらあたりでなるほど文部大臣を四回もやられるなら、ちっとは気のきいたことをやられるというのであるならば、やはりそういうところにウエートを置くことになるのではないか。御承知のように、文部省の予算の大部分はほとんど義務教育にとられてしまって、あとは予算としては非常に少ないと思うのです。しかし、重要なところ、拡充すべきところは、やはり私学というものが今日非常に問題が起きております。また、非常に問題が起きるであろう。それは、これからますます学校、特に私学の問題が起きるような経緯がたくさんあると思う。あとで大蔵省の予算関係の人を呼んでおりますから、文部省が遠慮していられることをわれわれが言いますけれども、しかし、そういう点で、こういう方法ならば何とかしようじゃないかというような、もう少し積極的な意図があってほしいと思うのですよ。あなたがそうでなければ、私はいまの私学というものは窒息死してしまうのではないか、こういうように感ずるのでありますが、その点は一体どういうようにお考えになっていらっしゃいますか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/6
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007・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私学の問題をどう考えるかというところに大きな問題点が私はあろうかと思うのであります。佐藤さんも御承知のように、先年来文部省に私学振興の方策についての調査会を臨時に設けまして、その答申もいただいたわけであります。その答申の趣旨も、この私学白書の中に記述いたしておるところでございますが、私学の現状に対して当面何をするかということを答申していただいているほかに、基本的な問題をさらに十分考える必要がある。それに対しましては、はっきりした御見解もまだいただいていないままになっておるわけでございます。基本的な問題ということになりますれば、日本の教育全体に対する私学のあり方というものも考えていかなければならぬと存じます。これは容易ならぬ大問題であろうかと存じます。
当面の問題といたしましては、私どもとしましては、その答申の趣旨を尊重しながら積極的に問題の解決をはかっていく。言いかえれば、私学の助成とかいう問題について、さらに一そうの熱意を持ってやっていくという以外に道がないかと存じますが、それだけで解決もなかなかできる問題ではないというふうに私ども感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/7
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008・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 やはり文部大臣には、もう少し積極的にこの難関を打開するような意図がないと、自然と天から雨が降ってくるようなぐあいにはいかない。御承知のように、いままでいろいろアメリカとかイギリスなんかの例もあるので、私学の寄付金の免税をやるとか、いろいろなことをいままでわれわれも考えておったのですけれども、もうそんなものじゃ間に合わなくなった。これは少なくとも国の予算を相当与えなければ、へたをやるとたいへんなことが起きるのじゃないかというような問題があるわけです。この間も中央大学の問題がありまして、あの学長は民社党の佐々木君の兄貴で、私の中学校の先輩なんですが、結局学生に押し切られて、月謝を上げない。月謝を上げる必要があるからああいう問題が起きたと思うのですが、ところが上げられなくなって、一体ことしはどうなるかと思うと、これはたいへんなことになると思うのです。だけど、これは私、文部大臣だけの責任だと思っておりませんけれども、これは大蔵省の問題でもありますから、あとでいろいろ大蔵省にも聞きますけれども、やはりそういうところをどうやって打開をするかというような、そういうことを考えてほしいと思う。私は、もう灘尾さんだからこそこういうことを言うのであって、たしか一時愛知揆一君が一年ばかり文部大臣をやっておりましたけれども、これは大蔵省の出身でありますから、多少そういうふうなことについても触れておられましたけれども、どうもいまの状態だと、私学は窒息する。そうしたらたいへんなことになる。いま学生は非常にいろいろやっておりますから、これをきっかけに燎原の火のように私学の中からどんどんタケノコのようにいろいろな問題が続出する、そういうような時期でないかということを心配しておるわけです。
そこで、たまたまあなたのほうから私学白書をお出しになったから、解決の道があるかと思ったら、こんなもの、ただ現象を書くだけなら女学生にやらしたらいい。こんなものでは解決になっていない。なるほど参考にはなるけれども、解決の糸口にならないということ。これはちょっと口が悪いですけれども、残念だと思ったのです。そういう点で、いまどうしたら私学がこの際更生するかという問題は、少なくとも私はもっと非常に深刻なところへ来ているのじゃないかと思うのですが、灘尾文部大臣どういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/8
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009・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 わが国の私学というものを、教育の間でどういうふうに考えていくかという問題が一つあろうかと思うわけです。私学の位置づけとでも申しましょうか、そういう基本的な点についても十分考えていかなければなりませんし、同時にまた、私学等が何もかも政府に依存するというようなことでは、一体それが私学であるのかどうかということも問題ではないかと思うのであります。その政府との関係というふうなことにつきましても、十分私学の特質にかんがみて検討していかなければならぬところであろうかと思うのであります。なかなか困難な問題で、かりに何かの素案は書くことができましても、それを実現するということは決して容易なことじゃないと私は思うのです。そういう関係で、臨時に設けられました調査会においても、基本的な問題についてはなかなか答申が出しにくかった、このような実情にあろうかと思います。しかし、放任すべき問題でないことは、それはもう申すまでもないことであります。しっかりと基本的な問題に取り組んで考えていかなければなりませんが、これは言うべくしてなかなかそう簡単でない。したがって、当面の問題としていろいろな措置を進めていく以外に、ただいまのところとしては考えようがないわけでございますが、それを積極的に進めていきたいと思っております。
同時に、私どもとしましては、この問題は政府だけというか、国民の負担だけで解決できる問題じゃないと思います。やはり私学側における努力というものも大いにやってもらわなければなりませんので、私学の経営についての合理化と申しますか、そういう点に関する努力もやはり必要だと思いますし、また、私学の経理に関連しましてとかくの問題が生ずるということは絶無を期していって、私学そのものが国民から絶大な信頼を得、私学のやっていることには間違いないのだというような絶大な信頼を得るような状態になってもらわなければ困ると思う。したがって、この問題は私学側の積極的な努力、これに対応しての政府側の協力、これが両々相まっていくのでなければ、問題を大きく前進させることはむずかしい、そういう心持ちで私学側とも十分話し合いも進めまして、事態の改善につとめていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/9
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010・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 一面非常に常識的なことを言っておられると思うのです。しかし、今日大学の設置基準というのがあって、この設置基準に従うならばばく大な経費が要るということは御存じだろうと思うのです。これはおそらくアメリカのあれをまねしたのだろうと思うのです。しかし、こういうような設置基準をあげておいて——私学は月謝を上げるより道がないのです、ほかに経費がないのですから。月謝を上げるより道がないということになれば、学生が今度阻止するということになる。そこでこの問題をどうするかということになると、結局、いま私学の経営にも責任がないとは——私学だって責任を負わなければなりませんから当然やるべきだと思いますけれども、しかしその前に、政府が一体どこまで熱意を持ってこの私学のあれを援助するかということが問題になると思う。そこで私はこういう考えを持っておるのです。いま教育を受ける私学の関係、高等学校以上の学校の関係で大体七割五分は私学関係でみな人間をしょっておるわけです。これは文部省は直接は関係ないと言われますけれども、これも日本国民の学校なんです。日本の国の学校なんで、こういうところの人について、国立のことだから文部省は直接責任がある、しかし私学はほかの経営者がやっておられることだから、ある点までどうでもよいというようなやり方を、灘尾さん一人じゃない、いままでの文部大臣がずっとやってきた。その累積が今日こういう事態を招いたと思うのですが、その点はどういうように……。遠慮なくひとつ、あまり答弁らしい答弁をしないで、ほんとうに思い切った答弁をしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/10
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011・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 思い切るも思い切らぬもないのでありますが、私はそういうところを、先ほど申しましたように、私学については多年の沿革があるということを申し上げたわけでございます。その沿革と現状というものとの間にかなり深刻な問題を生ずることになった。そのように存じておりますが、格別いま急にどうしようとかいうような考え方もございませんけれども、とにかく昔と違って、いまは多数の、むしろ非常に多くの学生が私学に学んでおるというこの状況から考えますと、問題は単に私学の経営上の問題とか、経営者の問題じゃないのであります。むしろ国民の側に立ってこの問題は考えなければならぬ。そういう時代に入ってきておるということは、私どももそのように認識しておるつもりであります。そういう角度から私学というものに対処していかなければならぬと思うのでありますけれども、どう対処するかというところにいろいろな問題点が出てくると私は思うのであります。そこらの点を十分解決した上でないと、なかなか思うようなことはできない。同時に、これはきわめてあたりまえのことでありますけれども、現在の私学に対して十二分の援助を政府が与え得るかどうかということになりますと、これは実際問題として、ただ大蔵省がどうのこうのという問題でなくて、財政の問題から申しましても、そう簡単な問題ではないということもあわせて御了承を願わなければならぬと思うのであります。いずれにしましても、積極的に問題と取り組んでいきたいということについては御心配のないようにひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/11
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012・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 これはほんとうは大蔵大臣を隣に据えるといいのですけれども、大蔵大臣忙しいから来られぬということであれですが、御承知のように、いま私学振興会で貸し金が一千億ありますね。その利息を全部私学が払っておるわけです。これは六分五厘の利息だから、たいへんなことになっておると思うのですね。そこでことしは、いま灘尾さん言われなかったけれども、私学に相当融資をした、去年よりもうんとふやしたじゃないかということで、なかなか大蔵省との折衝で、財政投融資もたいへんなんでありますから、たいへんだと思うのですが、そういうことを言っておられるけれども、一体その利息は六分五厘——六分五厘じゃないけれども、とにかくそれより幾分か安いということになっておるのです。しかし、この融資をされておるために、かえって私学は借金の上に借金をする。それだから借金のための利息の赤字でいま四苦八苦しておるというような状態なんです。これは私は文部大臣の責任であるとは申しません。それは思いませんけれども、解決をする道としては、そういう問題はどういうようにしてやるか。まだいまは大学の志願者が多いですからどうにかやりくりしておりますけれども、いまの高等学校、もう私立の高等学校の志願者が減ってきて、きのうもテレビでやっておったが、三人くらいしかおらぬ高等学校もあるらしいが、そういうような問題が起きたらどういうことになってくるか。そこで私学振興会のことについても、やはりこれはいい機関ではあるけれども、その私学振興会の借金で学校を拡張する。しかし学校を拡張するということも、何も私学の人が喜んでやったのじゃなくて、やはり国のほうで全部はまかない切れないから、私学で七割ぐらいはやれといって、二、三年前に学校を増設させたことも、これは事実だと思うのです。そういう点で、そういうようなやりくりやりくりで今日の私学のいろいろな問題についての苦しさを増してきていると思うのですが、そういう点は文部大臣は理解しておられますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/12
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013・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 御指摘になりましたような問題につきましては、文部省としても大いに関心を持っておるわけであります。借金をして、そして学校の整備をやってきた。その金利が高いということであれば、金利を下げていくということも考えなければならないと思います。あるいは高利債があれば低利債の借りかえを心配してあげる、こういうような問題は当然文部省としては考えなければならぬ問題として今日までもやってきておるつもりであります。なかなか御期待どおりにいっていないので御不満があるだろうと思いますけれども、十分関心を持っておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/13
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014・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それから私学の財源である月謝の問題ですが、これは公立の、たとえば東大の月謝と私学の月謝とではえらい開きが出ていると思うのです。それでこういう問題については、一体との程度の月謝が——学生をおこらせないで、まあやむを得ないというような考えで基準をつくるということについてお考えになっているのかどうか。私はこれは理想的なことをやれば、やはり米価審議会のように、米価を消費者と生産者との間である点まで決定をするということならいいけれども、私学と国立の学校との月謝があまりにも開き過ぎるから、これは私学の学生がおこるのは無理がないと思うのです。こういう点は、一体文部省はどういう基準を考え、どういう方法でこの問題を片づけたらいいかということをお考えになっているのか。これは私は国立と私学同じになれとは言いませんけれども、こういう問題は、同じ社会におって、片方は公立の大学に行けば一のものが、私学に行けば十倍も出すというような、こういうような片手落ちのことがやはり問題になるのじゃないかと思うのですが、そういう点は文部大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/14
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015・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 一がいに片手落ちというわけのものじゃなかろうと私は思いますけれども、しかし現に私学の授業料その他が高いことは明らかなことであります。しかもその開きが多過ぎるというふうなことも明瞭なことであります。決してそのままでよろしいという問題ではないと思います。ただ現状は長い間のあれで、私学の収入というものの大きな要素が学生の側からの授業料その他の納付金にまっておる。そういうことでありますので、他に特別な財源がない限りは、苦しいときにはこれを上げていく以外には道がないというのが現実だ、このように思うのであります。しかし、そのままに放任しておいて、結局国民の負担が増すことでありますから、よろしいというものではないと思いますけれども、どの辺にどうしたらよろしいかというふうな結論はなかなか得にくい問題でありまして、また私学のほうにおきましても、ただ一つの大学だけの問題として考えないで、やはり私学全体の問題としてこういうような問題は十分検討してもらいたいものだと思っております。そういうことにつきまして、文部省と私学側との間にこれからの解決策についての検討が進められなければならない。また、そういう意味で私学側も横の連絡等についても十分やってほしい、こういうように申しておるようなわけであります。こうしたらよかろうというふうな解決策までは、まだ持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/15
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016・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 村山管理局長にお尋ねするのですが、いままで大蔵省との折衝の中で、私学関係の財投と、それからいろいろな私学に要する予算について折衝されたときに、どういうところはどのくらい削られて、どういうところはどのくらいにされたという例を記憶しておりますか、本年度の予算でけっこうですが……。私は昨年の十月ごろ、ちょうど天城さんのところに行っておったときに、東大の総長が来て、月謝の値上げ問題でいろいろ折衝されておりました。そのときは天城さんからも——天城さん大学学術局長をやっておられたときだから、また月謝を上げて学生騒動になっては困るから上げないでほしいという学長の話があるということを聞いておりましたが、私もそういうこともいろいろ思い合わせて、現在あなた方のほうで大蔵省と折衝して、自分たちはこれくらいあれしてもらわなければならぬのに大蔵省はくれなかったというような例があると思うのですが、そういう点の予算の関係はどういうようになっておりますか、四十三年度でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/16
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017・村山松雄
○村山政府委員 予算の要求査定については、各省と大蔵省とで折衝するわけでありますが、基本的な方針については閣議によりまして予算編成方針としてきめられて、そのワク内で私どもやらなければならないわけであります。たとえば概算要求総ワクにいたしましても、前年度予算の二五%増の範囲内というようなワクがございます。それから査定につきましても、いろいろな原則的な取りきめがなされて、その範囲で、たとえば施設費のごときは、公共事業関係の伸びをどうするというような一般原則の範囲内でなされます。そこで概算要求額と査定額の比ということにつきましては、概算要求それ自体でもワクがあるわけでありますが、たとえば私学関係のごときは、これは私学の御要望がたいへん熾烈である、その御要望も無理からぬということで、要求の段階では比較的ワクにとらわれずに要求さしていただいております。査定につきましては一般原則も働きますので、おそらく要求額に対する査定の歩どまりは全体的には約半分程度だろうと思います。重要な項目で申し上げますと、たとえば御指摘の私学振興会を通ずる財政投融資査定額は、出資金が十五億とそれから財政投融資が二百五十五億であります。これは要求に対してほぼ三分の二程度。それから今度新たに新設いたしました経常的教育研究費につきましては、査定額三十億でありますが、これは要求に対しまして約三分の一という結果に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/17
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018・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 この文部省の予算のことについては、これは灘尾さんがどういうぐあいに強く要求されたかということについては、大臣折衝でよくわかりませんけれども、しかし事態の急迫しているという事実をもう少し私は大臣として認識していただきたいと思うのです。灘尾さんが無能とかそういう意味ではなくて、どうも遠慮がちじゃないか。どうも予算のことがわかり過ぎて文部省はあまり取らぬようにしたらいいじゃないかという、そういう点、引っ込み思案のところがあると思うので、非常に残念だと思うのです。大体文部省の役人はおとなし過ぎるものだから、きょうは大蔵省の小幡君が来ておるけれども、どうしても大蔵省の人頭がいいからみんな取り巻かれちゃうのです。それできょうは主計局長を呼んだんだけれども、来られないので、小幡君に言うんですが、御承知のように文部省は第一引っ込み思案であるということが一番悪いんですけれども、それから文部省には反対給付がない、金は取るだけ。たとえば通産省とか農林省というのは、これだけ出すけれどもこれだけ返ってくるということがあるけれども——小幡君の責任じゃないけれども、どうしても文部省はそういうように引っ込み思案になる。そうして実際の教育というものは、いますぐ効果が上がるわけじゃないから、結局十年先、二十年先に効果があがるものですから、どうしてもやり方が消極的になると思うんです。そこへもってきて大蔵省は渋ちんときておるものだから、ますます予算が取れないということで、私はそういうことをいろいろ痛感しておるのです。
小幡主計官に言うのですが、一体文部省の査定についてあなた方はどれぐらいのあれを持っておられるか、私学の現状を一体ごらんになったことがありますか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/18
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019・小幡琢也
○小幡説明員 私学問題につきましては、これは最近の文教施策のうちで最重点事項の一つであるということは、私ども財政当局としましても十分承知しております。四十三年度におきましても、調査会の答申がございましたので、調査会の答申の御趣旨を十分尊重いたしまして、四十三年度、非常にきびしい財政事情でございますが、私学関係につきましては予算全体の中で格別の配慮を行ないまして、予算の金額だけでも前年に対しまして五割増という大幅な是正を行なったつもりでございます。ただ、私どもの立場といたしましては、やはり財政全体のバランスがございます。また財政資金の効率的な配分、使用ということに常に関心を持っておりまして、こういった補助金がどうすれば効率的に使用されるか、少しでも効果のあるような使い方をしていただきたい、そういうことを念願いたしておりまして、四十三年度、この新しい予算では三十億でございますが、そういった今後の実態に応じまして、だんだん実績、効果をいろいろ評価、検討しながら、今後もできるだけ財政事情の範囲内で、この私学振興について努力してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/19
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020・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 小幡君は学校はどこを出られたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/20
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021・小幡琢也
○小幡説明員 東大でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/21
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022・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 やはりそういう秀才だからそうなるので、しかしそういう東大を出ているから私学の苦しいところはわからぬ。人間は何といっても自分の体験がものをいいますから、そういう点をおそらく考えたことないのじゃないかと思うのです。あなたなんか、大学を出て大蔵省へ入るのは秀才ばかりでなかなかたいへんだと思うのですけれども、文部省でも、やはり灘尾さんはじめ、いま久保田さんだけが違うけれども、あとはほとんど東大ばかり出ていますから、私学がどんなに苦労しているかわからぬ。あなた方一人について国は六十万とか七十万とか使っているのですよ。私学についてはたった十万くらいしかやっておらぬのですから、これはどう考えたって、灘尾さん不公平じゃないと言われるけれども、自分が東大だから不公平じゃない、ぼくらは不公平だと思っている。それは私学が好きだという人もあります。早稲田が好きだ、慶応が好きだというような人もあるけれども、われわれはできなかったから入れなかったのですけれども、そういうことで判断をすべきではなくて、やはり社会の上に立った者は、当然政府としては、学校は、できてもできないにしても、入りたい者には、いまは自由の時代ですから、そういうことについての大きな気持ちを持たなくては、私は教育はできないと思うのですよ。ところが大蔵省自体は、一体この私学なんというものをてんで相手にしない。私はずっと文教委員長もやっておったし、ずいぶん言ってきたから、幾分かよくなってきたけれども、文部省自体も、私学局というのはないのですよ。私学に対して課よりない。それが日本の教育の七割五分の学生を背負っているのですよ。これはそういう矛盾を突けば一映じゅうやったって尽きないけれども、私はそういうことを言うのではなくて、常識的なことであっていいから、もう少しそういう問題について突っ込んだあれをしなければ——学生運動、いろいろなあれがあります。きのうも、阿部総長がやめられて、そのことでいろいろ慰労会をやった。ぼくらもかつては学生運動をやっておったから知っておるのですけれども、今日のように手のつけられないということになったのは、これはやはり文部省にも責任があると思う。東大の卒業式ができず、医学部の学生がヘルメットをかぶってわっしょわっしょやるということは、これはおそらく想像ができないのではないかと思う。そういう事態になってきているということは、これはいまの学生が悪いというのじゃなくて、政治家は、なぜそういうことをやるのかということを考えるだけの余裕がなければ、私は日本の教育はできないと思うのです。だから、こういう点でわれわれが考えなければならぬことは、こういう社会に不公平がある中で、一番教育の不公平が日本にはある。それは私学と官学の問題だということがわれわれわかってきた。
もう一つ、小幡君ばかりに言ってもいやなんだけれども、ほんとうは主計局長あたりに言いたいのですが、水田君は三年ばかり前に城西大学という学校をつくった。それで理学部、工学部をつくって、初めて私学のえらいことがわかったということです。彼はいま借金に四苦八苦しているのですが、そういうことになると、なるほどたいへんだということがわかるのだけれども、やはり大学を出てすらすらときたような人はそういうことはわからない。あなた方が文部省の予算に対して理解のないぐらいのことはわかっておるけれども、私学に対して一体どれぐらいあなた方がそういうようなあれを持っているかということについては、私は自分でこういうように私学のことを考えましたという何か例があったら、ひとつここで言ってくださいよ。私は一ぺんあなたに聞いてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/22
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023・小幡琢也
○小幡説明員 大蔵省としましては、実は昨年答申が出ました。あの調査会が、過去二年間十分慎重に審議をされたわけでございますが、その際に、二年間ずっと側面からおつき合いいたしまして、私学の実態につきましては、いろいろ調査もし、また委員の方と御一緒に現場に参りましていろいろ実態を調べまして、私学の現状につきましてはかなり知っているつもりでございますが、何ぶん学校の運営がいろいろ態様がございますし、また経営方針も非常に区々でございます。これを一律に補助するということは、一挙にはなかなかできないのではないか。そういう意味で、今後も文部省ともよく相談いたしまして、ある程度型によって分けて、それぞれの実態に応じた適切な手を打つほうがいいのではないか。一律に総花的に補助するということは、金を多く使うわりにどうも効果がないのではないか。また、そういった補助金のほかに、私学はやはり民間の寄付といったものも相当仰いでやるべきであるものですから、そういった減免税、こういうことで少しでも寄付が集まりやすくする。また、特に私学振興会からの融資の関係、そういった融資の面でもいろいろ改善すべきではないか。何といいましても、いま私学で一番困っておりますのは実は資金であります。土地建物、施設の拡充とか、債務償還費とか、こういった問題でございますから、こういったことに対してまず手を打つのが先決ではないか、こういうふうに考えております。
いろいろ申し上げましたが、ともかく大蔵省としましては、決して私学に対して冷淡であるわけではございませんので、今後とも、財政の範囲もございますが、できるだけ努力はしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/23
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024・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それは小幡君は役柄上しようがないけれども、大体どうやって文部省の予算を切るかという、切ることばかりしか考えてないのだよ。そういう寄付のあることなんか心配してもらわなくとも、ちゃんとこっちはもらいにいくからいいけれども、あなた自身がそういうことを考えているから……。大体寄付金があるからといっても、税金取られるのですよ。その税金も、アメリカあたりはただになっていますけれども、日本では寄付金に税金がかかる。そういう仕組みになっている。あなた、どうせそのうちにまた主税局あたりに回るのだから、わかるのだろうけれども、そういうふうになって、がんじがらめになっているのですよ。そこへもっていって文部省の予算はあなたのほうで削るでしょう。だからますます文部省のほうはしみったれて、私学のほうへも、思いも及ばぬようなわずかの金しか出さぬということになる。ことしだいぶ骨折ってもらったらしいのだが、何か三十億ぐらいの金が回ってきた。しかし、三十億といったって大学は二百六十五あるのです。幾らになるか、勘定してもらえばわかるのです。それはいろいろのことをいわれますけれども、私学に戦争前には援助がなかったなかったといわれておりますけれども、戦争前でも、三十一校しかなかったのですが、その時分に二十五万円ぐらいの補助金を出しておる。その当時の金でいうと、いまとは比較にならないぐらいウエートが大きい。そこで、 これは大臣が言われたように、私学にはいろいろ伝統もあるし、学校そのものに存在のいろいろな意義があるので、これは特別なあれがあるのですけれども、しかし何といっても、いまは学生が二万人もおるようなマスプロ大学がたくさん出てきて、昔のようにはやれないような状態になってきておる。そこで私らのときもそうだったのですけれども、現在の大学の中では、いま収容しておる学生が全部出席したらたいへんなことになるだろうと思う。出席しないだろうと思って学校はやっているわけです。おそらく三分の一ぐらいしか余裕がないと思うのです。そういう現状にいま日本の私学というものはなっていると思うのです。それだから、ひまだからいろいろなことをやっておる。学校がきちっとやれないところに私は悩みがあると思うのです。しかし、これは一たび打ち捨てておけばたいへんなことになるというくらいなことば、これは灘尾さん頭がいいから知っておられると思うのですけれども、おそらくこのままにして捨てておいたらたいへんなことになるぐらいのことは考えないといけない。いよいよになれば学生が悪いということになる。それじゃ世の中は進んでいかない。やはりどこに欠陥があるかということをみずから政治をやる者は考えなければいかぬと思うのですが、文部大臣はそういう点はどういうようにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/24
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025・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 現在の学生の問題は、ほんとうに心配しなければならぬ重大な問題だと考えます。また、学生のそのような状態に対しまして、いろいろな原因が作用しておると思うのであります。その中にやはり各学園そのものの状態が関係を持つということは否定することはできぬと思います。したがって、やはりいろいろな原因というものについて考えなければなりませんけれども、学生の勉学の場であるところの大学そのものの改善ということについて関心を払うことは当然のことと思います。その意味におきましては、私も佐藤さんと同じような心配をいたしておるわけであります。せいぜい気をつけてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/25
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026・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それからもう一つ、これは管理局長の権限であるかどうか知りませんけれども、高等学校の学生がだすだん減ってくると思うのです。そうすると、経営が成り立たぬ学校がたくさんできて、借金して運営せねばならぬ学校が出てくるように思うのですが、そういう心配は、どういう方法でこれを救っていかれるのか。これは私は文部省には一部の責任があると思うのです。そういう点でどういうようにお考えになっておられますか。これは大臣でも村山局長でもけっこうですから、ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/26
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027・村山松雄
○村山政府委員 私学助成の基本方針として示されました臨時私立学校振興方策調査会の答申におきまして、政府が直接助成をやる重点はやはり高等教育機関、大学、短期大学等でありまして、高等学校以下の学校については、たとえば高等学校については、現在も都道府県がそれぞれ助成されておるわけでありますが、それを伸ばし、政府も必要に応じて、たとえば都道府県の助成に対する交付税の措置であるとか、そういう政府としてできる措置を強化しようということをいっておりまして、文部省としてもその線に沿って、主として自治省に対して高等学校以下の私学助成について要請をし、若干ずつ改善を見ておりますが、まだまだ十分でない。特に東京などにおいて入学者が急激に減少する学校については、単に助成だけでは問題が解決しないのではなかろうかというぐあいに思っております。しからばどうするか、これは直接文部省レベルで何か対策を講ずるというところまでは現在至っておりませんことを、残念でございますが申し上げざるを得ない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/27
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028・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 それから文部大臣にもう一つ文句を言うのですが、大体、いよいよになると、何とか審議会をいわば隠れみのにして責任のがれするような傾きがある。これは文部省だけではないのです。大蔵省でもどこでもそういうのがあって、戦後日本の政治の中で一番大きなひずみになっているのは、何々審議会、何々審議会というものがたくさんあって、それが隠れみのになって実行に間に合わぬ。非常に急激にどんどん発達してくるような社会情勢に適合しないように思うのです。文部省が特にそういうものが多いのですが、少しそういうものをなくしたらどうでしょうか。そういう点は何かお考えになっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/28
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029・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私は、よそのことはよく存じませんけれども、文部省の関係におきましては、いま佐藤さんのおっしゃったような、ただ隠れみのだとかなんだとかいうような作用をしておる審議会はまずないのじゃなかろうかと思います。と申しますのは、文部省の仕事はやはり専門家の協力を得なければならぬことが——ことばかりと申してもよろしいので、文部省の事務的なスタッフだけでなかなか解決のつかない問題が非常に多いと思います。したがって、文部省関係の各種審議会というものは、私は非常に勉強していただいておる審議会だと存じております。問題はむしろ、その辺で十分調査をしていただいたものを、十分にこれを実現するということにおいてわれわれが考えなければならぬところが多々あるように思うのであります。いいかげんな審議会で、ただその隠れみののもとにぬくぬくとやっているというふうな気持ちはさらさらございませんし、むしろ非常に勉強していただいておる審議会が多い、私はこういうふうに見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/29
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030・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 そこで、私学関係のことはますます問題が大きくなるのですが、いま行政改革で一局減らせということをいっておりますけれども、ひとつ灘尾さん、あなたの時代に私学局というようなものを置いて、もっと具体的に前進をするというような御意図はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/30
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031・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私学の問題と文部省の機構の問題ということでございますが、私はいま一番問題とすべきことは、それは文部省からいえば、私学関係の機構をよくする、私学関係の助成をすることは、決して反対でもなければ何でもございませんけれども、現在の機構というものをその点だけでいじるわけにもまいりかねておる状況もございますし、むしろ問題は、私学をどうするかという問題について、われわれがなるべく早く結論を得ることじゃないかと思う。その結論を実現するために必要な組織、機構というふうなことも考えなければならぬと思いますが、その結論を得るためには、単に文部省の事務機構だけでは結論の出る問題ではございません。やはり外部の権威のある方々の御協力を得て、そうしてまた私学関係者等とも十分な連絡をとりつつ回答を出し、その回答を実施するために必要があれば、私学の関係の行政機構も大いに拡充してよろしい、こういう考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/31
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032・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 もう一つ、これは非常に幅のあることで、常識的なことであって、これはこういうような委員会で言っていいかどうかはわかりませんけれども、私は、文部省というのは少し広範な、一般のあれに向かない面もあり、またそういう点で非常に不幸な面になっているのじゃないかと思うのです。昔の局長の人は高等学校の校長になったり、大学の校長になったりした人がありますが、柴沼さん以後は、ほとんどそういう文部省の局長級の人がほかの分野に行って働いていない。そこで、いろいろな規則もあるのですが、いま文部省の局長なり次官をやって行かれた先は非常に範囲が狭いと思うのです。たとえば近代美術館とか、あるいは給食会だとか、文部省のせっかく優秀な人がおっても、やめればほとんど行くところがないような現状だと思うのです。これは大蔵省などに比べると、大蔵省の役人あたりは——いいか悪いかは別ですよ、自分の局におったときよりも月給も高いし、非常に優遇されておる。文部省の人は劣る。だから大学を出た人は文部省に行かないのです。私らも注意する、文部省に行ってもえらくなれぬ、あかんと。これは一つの社会的な通念だと思うのです。しかも育英会なんか森戸さんが横取りしてしまって、あんなものはやる必要はない。文部省が悪いと思う。あれは文部省の役人なら同情すべき点があると思うのだけれども、そんな古い連中が育英会なんかやる必要はない。
それからもう一つは、同じ役を、たとえば高橋さんは日本芸術院だとかああいうものを、九十近くなって一人でやっておられる。私は高橋さんをよく知っておりますけれども、一人では何もできぬ人が幾つも——映倫の委員長もやっておるでしょう。それで、文部省のただでさえないような役を一人で独占するような人がおる。こういうようないろいろな弊害が起きる。
これは、灘尾さんは長くおられて、内務官僚のベテランだからよく御存じだと思うのですが、そういうことも考えてやらなければ、文部省の人事の交流もできないし、社会的にもしぼんでいくと私は思うのですよ。これは私学関係とはよけいなことだけれども、私学の関係の人でも、文部省のあの人はいい人だからこっちへ抜こうなんという人は一人もおらぬ。それは理解がないから無慈悲なことをやっていると思うのです。私は、これはよけいなことに入ったのだけれども、やはり文部省の人事の交流の問題についても、大臣として考えるべきじゃないかと思うのです。
そこで、私学白書を見ても、これはりっぱなものであるかもしれぬけれども、いまの激流の中に私学の問題を解決するのには、これでは実は非常にのろまなものだと思うのです。もっとひとつ注意をして——同僚議員の質問がありますから、もう言いませんけれども、私は思いつきにいろいろなことを言ったわけですが、この際に特に灘尾文部大臣にお願いしたいのは、あなたはベテランの大臣でもあるし、いろいろなことを考えずに、まず私学のほうに道を開いていただきたい、こう思うのですが、一体どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/32
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033・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 たいへん御鞭撻をいただき、また、文部省の職員に対しまして非常に同情のあるおことばをいただきまして、ありがたいことと思っておりますが、私も、この私学の問題がきわめて重要な問題であるということについては、及ばずながら認識もいたしておるつもりでございます。せっかくの御鞭撻のもとにさらに努力させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/33
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034・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 もう一点、小幡君にお願いするのですが、きょうは主計局長が来るといって来ないのだけれども、あなたは秀才らしいけれども、文部省の担当だったら、少なくとも私学の苦しい現状を見て、来年度の予算のときには十分現状を見てひとつ善処していただきたい。と同時に、村上君は次官にかわるらしいけれども、だれが主計局長になるか知りませんけれども、そういう言づてがあるということを——また大蔵委員会でやりますけれども、そういう点をひとつあなたのほうから十分伝達していただきたい。
これで私は終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/34
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035・高見三郎
○高見委員長 この際、おはかりいたします。
私立学校振興に関する問題について、本日私立学校振興会理事長岡田孝平君を参考人としてその意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/35
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036・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/36
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037・高見三郎
○高見委員長 参考人には、御多用のところ御出席をいただきましてたいへんありがとうございます。
なお、参考人の御意見は、委員からの質疑に対するお答えでお述べいただくよういたしたいと存じまするので、さよう御了承を願います。
質疑を続けます。唐橋東君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/37
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038・唐橋東
○唐橋委員 ただいま佐藤委員のほうから私学振興に対していろいろ意見ございましたが、私も私学振興を心から希望する立場に立ちながら質問をしたいと存じます。したがって、新聞その他の報道でいろいろと論議をかわしております今回の日大の事件に対して、いま申しましたように私学の充実を念願する人々、私学に学ぶ学生、父兄は、この事件等を明らかにし、その生じた根源の中で他の大学に対しても他山の石として自覚を促し自粛することはもちろん、もしもこれに似た原因があるとするならば、この際それらを明らかにして、私立大学一般の内容を充実していただく、そしてほんとうに振興していただきたい、こういう念願を持っておるのは私だけでもないと思うわけでございます。したがいまして、そのような立場に立ちながら、お忙しいところを参考人として急に御出席いただきましたことに対して、まことに申しわけなく感謝の意を厚く表する次第でございます。したがいまして、参考人の方には、私の質問が終わりますならば、お忙しいときでございますから、他の委員の方々の質問がないとするならばお帰りになってけっこうでございますが、二、三の質問だけを申し上げさせていただきたいわけでございます。
第一点は、私学振興の中心的な役割りを果たしており、いま論議されましたように非常に困難な事業に対して日夜努力されておるということに対する深い敬意を表します。したがって、お伺いすることは、日本大学に四十一年、二年と——四十三年度はまだきまらないと思うのでございますが、助成金あるいは融資、そういうものがどれだけいっておるのか、この点をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/38
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039・岡田孝平
○岡田参考人 日本大学には、いまお尋ねありました四十一年、二年に、これはすべて融資でございまして補助金ではございませんが、融資額といたしまして四十一年には五億五千七百万円、四十二年度には約九億五千万円、これだけ融資をいたしております。
なお、この融資と申しますのは、これは土地及び建物の整備充実を要する事業に対しまして融資をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/39
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040・唐橋東
○唐橋委員 助成関係のほうは文部省からで、振興会を通じてはいっていないのですか。文部省から直接いっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/40
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041・村山松雄
○村山政府委員 文部省では、私立大学に対しまして研究設備の補助金、それから理科教育設備の補助金をいたしておりますが、これは振興会を通ぜずに直接文部省から大学のほうに交付いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/41
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042・唐橋東
○唐橋委員 その金額は、日大の場合幾らくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/42
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043・村山松雄
○村山政府委員 四十二年度の場合約四億と承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/43
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044・唐橋東
○唐橋委員 その場合、参考人の方にお伺いするわけでございますが、振興会が融資をされるという場合に、それはやはり計画なり何なりが出て融資されるわけでございますが、ことばは非常に語弊があると思うのですが、正当にその融資が使われているのかどうかという結果まで調査をしていくというような方針をとっておられるのですか。それとも融資されただけで、その使途等については一切自主的なものとしておかれるのですか。その点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/44
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045・岡田孝平
○岡田参考人 融資いたします場合には、まず、融資対象となります事業が適正なもので、かつ必要なものであるかどうかということの認定をいたしまして、そうしてそれが適正な事業であり、また必要な事業であるということが認定されますと、一定の計算方式によりまして融資額をはじき出しまして、融資をいたすわけでございます。その融資の際に、事業に着手しているということを写真等で確かめまして、またこちらから融資いたします額に相当する金額が支払い済みであるかどうか、支払い済みならば領収証をとる。あるいはまた現に支払う段階になっておる、請求書等が来ておるというような状態まで確認いたしまして、融資をいたします。さようにいたしまして融資された対象となる事業が完了します場合には、その完了報告書の提出を求めます。そうしてその完了報告書には建築関係庁の建築完了検査済み証、あるいはまた建物でありますれば建築業者から学校に引渡証というものがございますが、そういうものの写しを提出させる。また、その事業が完全に終わった、その支払いも済みました、もし未済額があるならば、幾ら未済があるかというようなことまで記載させまして、さような報告書をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/45
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046・唐橋東
○唐橋委員 書面審査だけであって、現地調査、審査ということはやっておいでにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/46
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047・岡田孝平
○岡田参考人 単に書類検査だけではまだ十分でないと考えておりますので、随時学校に出かけてまいりまして、融資の対象となった事業が目的どおりに完了しているかどうか、なおまた支払い状況は適正であるかどうかということを、証拠書類等まで拝見いたしまして調査いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/47
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048・唐橋東
○唐橋委員 日大の場合は現地調査、行なわれたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/48
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049・岡田孝平
○岡田参考人 日大の場合は四十一年度、一昨年に調査いたしました。この場合は、私どもの関係の職員と、同時に会計検査院の係官も同行いたしまして、共同で調査いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/49
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050・唐橋東
○唐橋委員 行ったり来たりして申しわけないのですが、文部省が助成をした場合、その監査というのはどういうふうにされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/50
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051・村山松雄
○村山政府委員 現実に購入したものにつきまして、必要に応じて確認をいたします。会計検査もこれまた随時行なわれることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/51
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052・唐橋東
○唐橋委員 日大の場合、四十一、四十二年度、行なわれましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/52
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053・村山松雄
○村山政府委員 四十一年、二年はやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/53
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054・唐橋東
○唐橋委員 時間がありませんので、参考人の方への御質問は私はこれでいいのですが、他の委員の方がなければこれでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/54
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055・高見三郎
○高見委員長 参考人には御出席をいただきましてありがとう存じました。厚くお礼を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/55
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056・唐橋東
○唐橋委員 文部省に対してお伺いいたしますが、私学全体の経営の中において一番問題になりますのは、いわば理事者側とでも申しましょうか、経営陣と、先生方の教授陣とでも申しましょうか、そういう二つのたてまえの上に学校が立っている。そういう場合に、ざっくばらんに申しますと、教授陣が非常に弱くて、経営陣、理事者が、教授の人事権まで介入していく、こういうことになった場合に、教育上における基本的な問題に非常に触れてくると思うのでございますが、こういう場合は、文部省としては、私学に対する指導方針という中でどのように考えられておるのか、基本的な問題として大臣にまずお伺いしたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/56
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057・村山松雄
○村山政府委員 法律関係をまず御説明申し上げますが、現在私立大学の運営につきましては、私立学校法で学校法人の組織を定めて、その学校法人が設置者として設置する大学ないしその他の学校の運営に責任を持つことになっております。なお、学校教育法で、大学には教授会を置いて、大学に関する重要事項を審議することになっております。学校教育法の教授会と私立学校法の学校法人とをつなぐ法的な仕組みはございません。そこで実際問題として、各学校法人、大学において解決されておるわけでありまして、仕組みの上でしいて申しますと、学校法人の役員、理事の組織の中には、その設置する大学の学長あるいは学校の校長などは必ず入れることになっております。その他必要に応じて学部長あるいは教職員の代表などを入れておる場合もございます。そこで理事会、つまり学校法人の意思決定において、一般に私立学校では教学側といっておりますが、教学側の意向も反映し伝達される仕組みになっております。なお、さらに学校法人の役員と設置する大学の学部長あるいは教授とをもって、たとえば教学審議会というような組織を構成して、両者の意思疎通をはかるというような仕組みを持っております。そこで私立大学は、法人と大学は本来同一の目標に向かって一致協力すべきものでありますから、運営が円滑になされるというたてまえになっておりまして、個々の学校の運営について文部省がかれこれ言うことは、一般的な指導助言機能としてはあるわけでありますけれども、特に個々の問題について口出しをするというようなことは、なるべくやらないたてまえになっておりますし、またそのように運営がなされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/57
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058・唐橋東
○唐橋委員 いまのようなたてまえの中で、どの学校であろうとも一応規則というものはあるでしょう。教員の進退は教授会の議を経て総長がきめる、こういうような趣旨の内規はどこの学校にもあるだろうと思います。しかしその場合、教授会できめた、そして総長が一応それをしたい、こういうのに、理事者側でははっきりとそれはいかぬ、こういうことで自由に理事者側が動かしておるというような事例は、文部省としてはいままであったでしょうか、それともまた、そういう事例は聞いていない、あるいはうわさ程度にはあるのか、こういうようなことは全体としてどうしても生じやすい弊害だと思うのです。そういう点に対しては、現実は文部省はどのようにとらえられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/58
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059・村山松雄
○村山政府委員 教授の人事に関する何と申しますか、教授会と理事者側との意思の不一致ということは、文部省としてはいままで報告を受けたこともございませんし、また少なくとも最近数年間の事例として把握をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/59
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060・唐橋東
○唐橋委員 文部省がそういう教授人事まで口を出すということは、おそらくしてはならないし、すべきものでもない、こう思いますので、ただいまのような答弁になると思いますが、実際に講座を持たないで教授というような資格で文部省には届けを出しておる、こういうような場合がある。こういうようなことであるならば、そういう点についてその内容に介入しなくとも、組織上の点検ですから、そういうような点検的なものは、組織的なものは、文部省としては、これは届け出を受けただけであって、実際はいまのような精神の中でやっていない、こういうことで点検的なものは実際やらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/60
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061・村山松雄
○村山政府委員 私立大学の教員組織の把握が一番正確になされるのは設置認可の時点でございまして、大学を設置しようとする場合には設置認可の申請書を出します。その申請書の中で教員組織というのは一番重要な要素になりますので、この段階では当該大学にいかなる教員組織が置かれ、いかなる人が任用されるかということが正確に把握されるわけであります。これはしかも大学設置審議会によって教員として適格であるかどうかの審査がなされて、それが確認されて当該私立大学の教員組織として確立いたすわけであります。確立され、認可されて直後の私立大学の教員組織につきましては、特にその変化を報告を義務づける規定はございませんけれども、文部省としましては、これは大学学術局の所掌でございますけれども、毎年教員調査をやりまして、職名、氏名、簡単な略歴等のリストを出していただいて、それを整理いたしております。これは任意調査で、大学から出していただいたものによって大学の教員組織の現状を把握しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/61
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062・唐橋東
○唐橋委員 わかりました。そのような形で教授陣容の把握をしておるということは了解いたします。
それでは次の質問に移りまして、各大学には必須の科目なり教科がございます。それは大学関係の御承知のような法令で示されておりますが、その示されている以外に、私立の場合にはどのくらいの範囲で必須科目はとり得るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/62
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063・村山松雄
○村山政府委員 大学を卒業するための要件として、大学設置基準に一般教育、専門教育、普通教育を通じまして百二十四単位を履修すべきことが定められておりますが、そのためにどういう教科目を配列するかということは、大学基準に示された基礎的な教科目を基礎として、それに加える部分は大学の自由でございます。一般に百二十四単位を履修するに必要な最小限の科目の、たとえば二倍とかあるいは場合によっては三倍とかいう講座、教科目を用意するのが普通でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/63
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064・唐橋東
○唐橋委員 いわゆる選択科目でなくて必須科目として、その学校がゴルフを必須科目にする、あるいは空手を必須科目にする、こういうことに対しては、文部省はその学校の任意にまかせておるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/64
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065・村山松雄
○村山政府委員 いまゴルフ、空手の例が出ましたので、おそらく体育に関する科目ということに承知いたしますが、大学設置基準で、大学を卒業するまでに体育四単位の必修を規定いたしております。体育四単位は必ずとらなければならぬわけでありますが、その体育を今度はどういう具体的な科目でとるかについては必ずしも規定がございませんので、いかなる科目をやらせるのが体育の履修上適当であるかという判断のもとに大学がきめるわけであります。一般に体操とか陸上、水上あるいは球技、そういうものをやるのが普通でありますが、空手などは格技というような名前でその一つにはなっておるようであります。ゴルフについてもやってならぬということではございませんが、これを必修にして、まあその他の基本的な科目のほうを顧みないというようなことがあるとすれば、多少異例ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/65
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066・唐橋東
○唐橋委員 体育実技はわかるのです。体育の単位もわかるのです。けれども単位がなしに卓球、ゴルフ、弓道、空手、柔道、こういうようなものがいまの中に出てくるのですが、そういう場合にこれは必須だ、こういうような単位なしの必須という科目は実際行なわれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/66
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067・村山松雄
○村山政府委員 必修科目とすれば大体単位がついているのが普通だと思います。しかし、それをやってならぬということは、少なくともそういう明文はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/67
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068・唐橋東
○唐橋委員 明文がなければその学校独自で必須科目を置いていいんですね。単位がなしにですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/68
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069・村山松雄
○村山政府委員 少なくとも一般的、常識的ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/69
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070・唐橋東
○唐橋委員 いまそういう学校がございます。そういう点について、それならばこれは適当でないというような場合に、文部省としてはどういう行政指導ができるでしょうか。あるいはゴルフを単位なしで必須だ、卓球を単位なしで必須だ、柔道も単位なしで必須だ。実技として選んで単位を与えるならばいいですが、単位なしでそういうものを必須にしていく、こういうようなことがあったとすれば、文部省としてはどういう指導をしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/70
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071・村山松雄
○村山政府委員 文部省は一般的に指導助言の権能が与えられておるわけでありますが、これは概して求めに応じてやる。それから求められなくても、放置することがきわめて不適当と考えられる場合に発動するということでやっております。で、このことはおそらく所管は大学学術局になるのではないかと思いますが、そういう事例は初めて拝聴いたしますので、放置しておくことが不適当であるかどうかの判断につきましては、私一存ではお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/71
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072・唐橋東
○唐橋委員 それでは大臣に聞かなければなりませんが、現実そういうことがことしから必須として単位なしで行なわれておるというのが出てきております。そういう場合に直ちに実態調査をして、いま局長が言われたような指導をしなければならないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/72
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073・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 いま初めて伺う話でございますが、先ほど管理局長が答えましたように、何か常識的でないような気持ちもいたしております。どこの大学のことか存じませんが、さような事実があればこれをよく調べてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/73
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074・唐橋東
○唐橋委員 それでは国税庁に対して。国税庁からは法人税課長が見えてますね。日大問題でずいぶんと国税庁の名前があっちこっち出てくるわけですが、現在までの調査の経過の概略を第一に聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/74
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075・井辻憲一
○井辻説明員 本年二月八日ころから源泉の監査をいたしておりまして、現在まだ引き続き調査中でございます。なお、二月八日の第一次の段階におきましては本部はじめ七カ所、第二次の段階で三月二十二日に五カ所というふうな着手の状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/75
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076・唐橋東
○唐橋委員 その場合、雑誌等に出ている問題ですから、明確に疑惑を解いていただきたいのですが、川村直税部長談として、二重帳簿があった、こういうように記事が出ているのです。二重の帳簿はありましたか、二重、三重の帳簿が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/76
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077・井辻憲一
○井辻説明員 私どもといたしましては、一般的に現在調査中でもございますし、個別事案でもございますので、新聞発表というふうなことはいたしておりません。ただ、新聞社のほうでいろいろ取材をされておりまして、当方のほうへも話を聞きにいろいろ来られる場合がございます。それで二重帳簿云々のことにつきましては、そういう表現でお答えいたしましたかどうか、はっきりいま承知しておりませんけれども、二重と申しますか、当然給与として所得税の源泉徴収をすべきものについて課税漏れになっているものがあるということが出ております。そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/77
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078・唐橋東
○唐橋委員 では、なお具体的に聞きますが、その前に日大の先生の裏口入学問題ですか、はなはだ古いところで申しわけないのですが、そういう問題が世間をにぎわした、事実内容は別として。そういうような点も世間としては非常にいろいろ疑惑の種になっていると思うのです。少なくとも私立学校では、補欠入学の場合はやはり入学金を取っていると思います。これは正式に大学時報やその他新聞にも出ております。それ自体のいい悪いは別として、この入学金の受け入れ簿はありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/78
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079・井辻憲一
○井辻説明員 先ほども申し上げましたように、現在調査中の事案でもございますし、個別の問題、具体的な問題につきましてはお答えいたしかねるのでございますが、ただいま御指摘のような帳簿を含めまして、普通の源泉監査の場合には、一応支払い台帳だけでは十分わからない場合が多うございますので、収入支出両方を監査するというのが通例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/79
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080・唐橋東
○唐橋委員 調査中とはいいながら、私はこういうのを見ているわけです。これはやはり正式に新聞に出ていますからね。これは新聞といっても日本大学教職員組合報というのに出ているのですが、その中には、私も予算等を見てみまして非常にふしぎに思うのは、本部の予算、これは正式に法人ですから、どこへでも出さなければならないわけですね。その中で、たとえばいま申し上げました収入金はどの項目に入るのだろうか、それからまた、いま源泉徴収関係で言われましたけれども、役員報酬の支給項目はどの項目へ入るのだろうか、こう思いますと、職員給の中で一般職員給、特殊資格職員給、労務職員給となっているのです。そして役員報酬の名もないのです。役員報酬欄がないのです。ですから私は、いま課長が調査中調査中と言うが、何も具体的事項をどうのこうのとここで言っているのではないのです。具体的事項は調査中、それは了解できますよ。しかし、一般論として——それならば整理をしてお聞きいたしますが、一つは、入学金の場合に、いまのような補欠入学のために収入があった、こういう項目はどの項目に入っているのですか。そのくらいは一般論としてあなたたちが監査する場合に当然答えられると思う。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/80
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081・井辻憲一
○井辻説明員 学校法人につきましては法人税が課税になりませんので、一般的には税務当局に決算内容の提出というものはございません。先ほど申し上げました監査と申しますのは、源泉所得税の関係で、その関係の帳簿を必要なときに監査に行って見せていただく、こういうシステムになってございます。したがいまして、ただいま一般論としてもどうかというお話でございますけれども、各学校により各学部によりましていろいろの経理なり収入項目の立て方があるだろうと思っておりますが、全般的にはそういう源泉監査ということでは全部の収入支出の決算書をとっておるわけではございませんので、具体的には当方といたしましてはちょっと判断いたしかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/81
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082・唐橋東
○唐橋委員 あなたたち税金監査に行った場合に、その個人個人の所得はやはり監査しますね。その所得の監査は、週刊誌等にも出ていますが、相当高額な所得をあなたたちのほうはつかんでいる、こういうことはもう明らかに報道されています。一人ずつの名前は申し上げませんけれどもね。そういう項目が、それならばこの事業予算の中のどの項目から出ているのかわからないのですか。私それを聞いているのです。年間千八百万の所得がありました、そうしたときにこの法人予算の中のどの職員給の中から出てきているのか。私は、普通の法人ならば役員報酬というものがあっていいと思うのです。役員報酬が本部予算に出てないのですよ。そういうときにあなたたちが、この項目の中から当然出ているか出ていないか、いや、この学校は役員報酬とはしないで一般職員給の中に入っているのです、そしてその中に見ていって千八百万の個人所得が出てきたのです、こういうのならば了解できるのですよ。しかし、普通の法人からいえば、必ず一般職員給と役員報酬というものは項目を別にすべきだ、私はこう考えるのですが、そういう点について、あなたたち調査したときにどう思うかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/82
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083・井辻憲一
○井辻説明員 一般論といたしまして、源泉徴収の対象になります給与等の所得につきましては、いろいろな費目から出ておる場合がございます。会社あるいは学校等で役員報酬と一般の職員の俸給とを分けて出しておる場合が多うございますが、学校により、あるいは学部によりましては、支出項目が、同じ給与の実態を持っておりましても、研究費、調査費あるいは補助費とか厚生費とか、その他何とか手当というふうにいろいろの科目がございますので、それらの科目を一応全部調べまして、総合して一定の個人に幾ら払われているか、それによりまして課税漏れがあるかないかという調査をいたすことになっておりますので、ただいまお尋ねの役員報酬を計上していない場合におきましても、他の費目で実質的に役員に渡っております手当と認められるものがありましたら、もちろん調査いたしまして課税すべきは課税する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/83
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084・唐橋東
○唐橋委員 手当の問題をあなた出しましたが、そうすると、いま当面日大の問題としてあなたたちが調査中ですか、判定中ですか、源泉課税対象であるかないかという疑問の中にあるといわれる手当は何種類くらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/84
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085・井辻憲一
○井辻説明員 現在調査中でございますので、具体的内容につきましては詳細には申し上げかねるのでございますが、各学部及び本部によりまして費目がいろいろございまして、数十項目ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/85
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086・唐橋東
○唐橋委員 私はここで日大がどうのこうのという、そういう趣旨じゃないのですよ。ですから、そういう判定に苦しむような手当を、やはり国税庁としては整理しながら、課税対象になるものはすべし、ならないものはならないんだという明白な一つの線をこういう場合に引くべきだ、こういうことであるので、やはりそういういろいろな手当の項目が出たならば、私たちだって、それは課税対象の、国会で議論すべき項目ですよ。いまそれだけの項目があるならば、ひとつこれはあとで資料として出してください。私たちもやはり課税対象であるかどうか審議しなければならない問題でもあり、あなたたち自体もまた事務的に審議しなければならない問題にもなると思うのです。出していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/86
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087・井辻憲一
○井辻説明員 実質的に給与と認められますようなものの項目につきまして調査いたしました上、御提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/87
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088・唐橋東
○唐橋委員 それではそういういろいろな項目を整理して、そしていま申しましたように、対象になるもの、ならないもの、こういうような指導は国税庁としては当然出すべきであり、またわれわれにもそういう点を参考資料として出していただけば、やはり税外か税内かという議論をする材料ともなると思いますから、出していただきたいと思うのです。その手当だけでいって、あなたたちがつかんでいるように、あの役員報酬という額が出てきているのか、やはり役員報酬は基礎的な給料というものが基本になっていると思うのですが、その役員関係の昭和四十一年度の所得金額は、ここでは私が申し上げなくてもあなたたちつかんでおりますから、そういう総額というものは、いまのようなあちらこちらから集めたものだけでなっているのですか、ああいう大きな金額は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/88
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089・井辻憲一
○井辻説明員 もちろんもとになる報酬と申しますか、給与というものがございまして、そのほかに手当というふうなものがあるわけでございます。役員につきまして主となる給与がどういう名目で出ておりますかにつきましては、私、現在ちょっと手持ちの資料、そこら辺までこまかい資料を持っておりませんので、現在お答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/89
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090・唐橋東
○唐橋委員 ここで繰り返すようですが、私がこの場で取り上げる趣旨もおわかり願えると思うのですよ。だから個々の点についていい悪いの、どうのこうのということを言いたくないけれども、少なくともこれだけのいろいろな世論の中に出てくるときには、調査中ですからこうでございますとか、それはわかりますよ、そういうことは。しかし、二月の八日から始まっているのでしょう。あれは普通ならば一つの事業体である。この場合は学校ですね、それは大きな学校でございますよ。それは現在まであなたたちが、やはりこういう点が不明である、こういう点が疑問なんだ、そういうことを明らかにしたいがために私はここで議論しているのですよ。そのことがやはりこのような疑惑を解いて、そして教育に関心を持つ父兄に、あるいは現在学んでいる学生に明るい希望が出てくると思うのですよ。何か糊塗していっただけでは、かえってそういう疑惑が大きくなる。こういうことなんで、あなたは課長さんで、局長のほうから何か聞いているとか、あまり言ってくれるな、詳しく言わぬようにしてこいというような任務を受けてきているような気がしてならないのですよ。もしそうだとするならば、私はやはり局長以上に出てもらって、そして正式な見解を聞かないうちはどうも明確でないですよ。調査中ですからてはだめなんです。調査中ならば——二月八日からわかっているのですよ。こういう点についてはまだ判断できません、こういう点については不明なんです、こういう点についてはどうなんですと、少なくともあなたたちだって全部いろいろ新聞や週刊誌見ているでしょう。見ていませんか——見ているならば、こういう国会の中においてそういう点を明らかにしていくことがやはり国会の任務であり、あなたたちの任務じゃないですか。そういう意味で私はいま聞いているのですよ。だから、たとえば会頭の年間所得、これは個人のものですから申し上げないのですけれども、出ているものは四十年度の申告で千百九十九万ですかある。けれども、私はそこで疑問に思ったのは、これは何も高い安いじゃない、それは当然だと思います、所得ですから。しかし、それならば予算を見たときにはっと思うのは、予算の項目にないのですよ。一般給与しかないのですよ。他方今度はあなたのほうの部長が、二重帳簿が発見されました、二重、三重までかかっています、そういう点が報道されている。存じているのでしょう。それならばこの際明らかにしておいていただきたいのです。ことばは悪いかもしれないですが、たとえばいまのように補欠入学のときの帳簿、そういうものがない、こういうことが出されたり、二重帳簿がある、三重帳簿があるんだ、こういうことが報道されているならば、それに対する正しい見解を、報道だけでなしにここで責任ある発言することが、それが国民の疑惑を解くことだし、教育の振興をおもんばかる一つの考え方じゃないですか。実際二重帳簿、三重帳簿ということが、このことばに対してあなたたちはその疑惑をどういうふうに解いてくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/90
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091・井辻憲一
○井辻説明員 二重帳簿と申しますが、どういう意味で二重帳簿と書かれておりますのか、ちょっと私どもも判断に苦しむわけでございますが、名目が調査費、研究費あるいは手当等いろいろございます。その中で実質的に給与と認められるものにつきまして、普通の給与のように源泉徴収をされておるものとは別に、源泉徴収がされておらない、源泉所得税が課税漏れになっておるものがございます。おそらくそのことを言っておるのだろうと思いますが、これの詳細につきましては、何ぶんにもおことばではございますけれども非常に膨大な機構組織になっておりまして、私のほうも鋭意現在調査をできるだけ早く終わるように努力中でございますけれども、一般的に明らかに手当という名前で、しかも実質的に手当であると思われるものにつきましては、これは課税をしていく方向でもちろん検討いたしますし、中には調査費、研究費の項目のものがございますが、これらにつきましては、実質的に渡しきりで職員、教授等の個人的な消費に使途がまかされておるというものにつきましては当然課税ということになりますが、たとえば研究室の本だとか備品等をそれで買いまして研究室に備えつけておくというふうな意味での研究費、調査費等につきましては、当然これは課税になりません。したがいまして、費目の名目いかんにかかわりませず、実態に即してその使途の内訳を現実に一つ一つ調査をいたしまして、その実質によって課税非課税を判断していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/91
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092・唐橋東
○唐橋委員 手当はそれでいいですわね。それならば、私が一番疑問に思っておるのは、繰り返すようですが、予算項目に役員報酬ということがないということにつきましては、あなたのほうではどう考えたのかということをまず聞きたかったんですよ。同時に、役員報酬の支給規程ありましたか、あなたたち調査した結果。役員報酬の支給規程は、少なくともなければならないと思うのです。そういうものがあったかどうか、これも調査中でわからないのですか。そんなことは許されませんよ。役員報酬の支給規程ありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/92
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093・井辻憲一
○井辻説明員 私、そこら辺までの詳細につきましては、現在まだ承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/93
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094・唐橋東
○唐橋委員 電話かけて聞いてくださいよ。役員報酬支給規程かあって、そうしてその中で——現場の係官の調査の中で聞いてくださってもいいですよ。その中で支給されたもの、そうしてその上に立ってあなたたちが今度は課税対象であるかないかというものを判定されるのです。役員報酬の支給規程というものがなければならないのですよ。聞いてないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/94
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095・井辻憲一
○井辻説明員 そういう規程があるかないかということは、まだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/95
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096・唐橋東
○唐橋委員 あなたはここではわからない。しかし、なければ支給できないということだけはわかりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/96
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097・井辻憲一
○井辻説明員 一般の株式会社でございますと当然ございますが、学校の理事者ないしは職員に対する、特に理事者に対する規定のしかたといたしまして、役員報酬の規程がどういう定め方になるのか、あるいはそういう規程というものを各学校で全部置いておられるのかどうかという点につきましては、全般的に私、ちょっと現在のところ存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/97
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098・唐橋東
○唐橋委員 そんなことであなたたち税監査できるの。給与規程に準じて給与が支払われ、各種手当が出され、その中でどれどれが課税され、どれどれが課税されないかという、この上に立って初めてあなたたちは税査定ができるんでしょう。それならば、いつまでたったって税査定の根拠がないじゃないですか。委員長、そんなに時間かからないと思いますので、ちょっと休憩していただいて、役員の報酬支給規程があるかないかということに対して、わかりませんと言うんですよ。わかりませんというならば、これは現場の調査の人に問い合わせていただきますよ。実際あるのかないのか、なくてあなたたちが査定できませんよ。だからいまのような各種項目の手当が全部出るんですよ。そうじゃないですか。支給規程があって初めて手当の項目が、こういう項目に対してはどうだ、こういう報酬はどうだ、ボーナスはどうだ、こういうことがあって初めて私はあなたたちの監査対象になると思うのですが、あるかないかだけですよ。それをひとつ聞いていただかなければならないし、その中に出てくるあなたがさっき言われたような各種の手当というものが全部あがっているならば、これは私はいいんですよ。そういう支給手当の中になければならないものが初めて手当として支給されるわけです。その上に立ってあなたたちが査定するんでしょう。あるかどうかわからないということは、ここではそうでしょうけれども、私は当然あるべきだと思う。その上に立ってあなたたちが査定しているんだと思います。だからあるなしでいいんです。それをひとつ聞いていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/98
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099・井辻憲一
○井辻説明員 当然あると思いますので、至急現地のほうへ確かめて調査いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/99
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100・唐橋東
○唐橋委員 そのいわば報酬支給、手当、特に役員に対するものですよ。職員に対するものは一応規程ができていると思います。役員に対しては、各種の手当等はやはりいまの支給規程の中から私は出さなければならないと思うし、そしてあなたたちが監査した中で、役員の報酬支給規程に出ている以外の項目、名によって支給されておる手当等があるのかないのか、二番番目はですよ。一番目はあるだろう。あったならば、それと比較してみて、あなたたちがいま検討している各種手当がその規程の中に織り込まれている手当なのか、織り込まれているものはどれどれであり、織り込まれていないものは何々なのだ、この項目ぐらいは明らかにしていただきたいのですよ。それをあとで資料で出してください。出していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/100
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101・井辻憲一
○井辻説明員 調査いたしまして、上司とはかりまして出すように検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/101
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102・唐橋東
○唐橋委員 あとで上司とはかって、出せませんでしたという返事が私にあるのですか。そんな答弁ありませんよ、責任者として出ておるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/102
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103・井辻憲一
○井辻説明員 実は個別の問題でございますので、やはり税の面につきましては、一般会社でもそうでございますけれども、やはり事案の内容いかんによりまして個別内容を申し上げられない場合もございますので、これらの規程等につきましては、一般的には外部に通常出ておるものでございますればもちろん問題はございませんけれども、各学校等でいろいろなものがあるかどうかわかりませんので、それらの点につきまして検討の上、判断いたすようにさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/103
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104・高見三郎
○高見委員長 唐橋君に申し上げます。加藤委員から関連質問の申し出がありますが、よろしゅうございますか。——加藤勘十君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/104
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105・加藤勘十
○加藤(勘)委員 ただいまお答えになりました役員の報酬規程があるかないかという質問ですが、私は日本大学に関係があるのです。評議員の一人として予算、決算の審議に当たっておりますが、役員報酬という規定はないのです。したがって、そこに調査費、研究費という——たとえば理事というのは役員ですけれども、理事としての報酬はないのです。みな理事は、あるいは局長をつとめ、あるいは教授をつとめ、あるいは学部長をつとめておる人がやっておる。したがって、学部長、教授、局長としての俸給は取っておるのですけれども、理事としての役員報酬はもらっていないのです。そういうところに、いま唐橋君の言うような疑義も生まれてくると思うのですよ。その点は明確にしていいと思うのです。実際学校の規程は、どこの学校でもそうでしょうけれども、このぐらい厚さがある。これを全部繰ってみたって役員報酬というのはありません。私は詳細に調べ上げている。ほんとうに学校に不正があるならば、われわれ自身が許さない。そうじゃないのです。今度の問題にしても、小石川税務署の指定に基づいて、その趣旨のもとに報酬という形でなくて、いわゆる調査費、研究費の形で出されておる。それが今度の国税局の調査によって、その中には当然源泉課税をしなければならないものがされていないものがある。また、研究費と先ほどおっしゃったように課税の対象にならないものがある。そういうことを区別されるのが現在の調査中であると思うのです。そういう点をはっきりしていただきたいと思うのです。私も学校の関係者の一人として、ただいまの二重帳簿もあるとか、三重帳簿もあるとか、これはけしからぬ話です。そんなものありませんよ。営利会社と違って、営利も何もごまかす必要がない学校だから、学校法人は課税の対象にならない。そういう点で何の必要がありましょうか。いま答弁を聞いておりますと、まだ調査中だからわからないというお話でありましたけれども、二重帳簿、三重帳簿というのはあるかないか、あるならある、ないならないとはっきり言っていただきたい。そういうものがあるなら、われわれも学校の関係者として許さない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/105
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106・井辻憲一
○井辻説明員 私どものほうでは二重帳簿というふうなことばを使ってないのでございます。先ほど申し上げましたように、源泉徴収の対象にすべきものについて、課税されておらないもの、徴収されておらないものがございますが、そういうものにつきましてもやはり帳簿は大体ございます。したがいまして、二重帳簿とかあるいは新聞に裏給与でございますか、いろいろことばはございますけれども、私どもといたしましては、そういうことばで言っておりますのではございませんで、費目によりまして、源泉徴収の課税対象に当然なるべきものであって課税漏れになっているものがある、こういう意味で申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/106
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107・唐橋東
○唐橋委員 だいぶ煮詰まってきて、私も了解できるのですが、「国税庁川村直税部長に聞こう。」ということである誌に載っているのは、こう書かれております。「まだ調査中なので、二十億という金額はどう変化するかわからない。ヤミ給与があったとすれば、教職員が所得税を脱税していたことになるので、これをチェック、つまり源泉監査をしているところだが、これは日大に限らず、他の学校にもおこなってきている。ただ、日大の場合は、二月八日から監査を始めたら二重帳簿が発見された。税務署用、本部用、そしてどこにも見せない内緒の学部用の三種類だ。あそこは、各学部が独立採算制をとっているから、本部の知らないヤミ給与をこれで操作していたわけだ。しかし、これから約五千人の教職員る一人一人収入調査して、ヤミ給与を摘発、追徴金を取っていくことになる。」、こういうことで、名前まであげてこの点が出ているのですよ。だから私は、疑惑があるからこの場で明らかにしなさい、こういうような趣旨で聞いているわけですが、だとするならば、川村直税部長はこういう趣旨で発言した覚えはない、こういうふうに正しく答弁していただかなければならないわけなんです。あなたは課長だから、直接でないからわからないでしょう。こういう点も明白にしなければ明らかにならないのですよ。あなたはこれ聞いていませんか。この記事を読んだときに、庁内でこの話出ませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/107
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108・井辻憲一
○井辻説明員 その記事は私も読んでおりますし、部長のところへ記者の方が見えまして話されたときの状況も聞いておりますが、部長の言いました趣旨は、二重帳簿というふうな文句は先ほど私が御説明申し上げましたような意味で言っておりますので、二重帳簿という文句を使ってはいないのじゃないかというふうに私聞いております。したがいまして、正式の給与台帳で源泉所得税の課税がなされておる、つまり天引き済みの台帳以外の帳簿の項目の中で当然源泉徴収すべきものが源泉徴収漏れになっておるものがある、そういう趣旨で申し上げたというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/108
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109・唐橋東
○唐橋委員 そういう趣旨ならばいいのですが、あまりにも明確に、「税務署用、本部用、そしてどこにも見せない内緒の学部用の三種類」、こういう限定はよほどでなければ——記者さんがつくり得るものかといって私も考えてみたら、それはつくり得ないのだ。何かその中にやはりそういう趣旨のものがあったり、あるいはまた、補欠入学金の受け入れ簿が当然前の事件でもあったのですから、そのときの談話も出ていますよ、前の教授の問題のときも出ていますよ。だから、そういう前からの関連もあるので、いまの段階では、補欠入学金の受け入れ簿等は当然あってよろしいし、あなたたちは、ありました、そういうのは私たちの手元にあって、そしてその中で検討しているのです。こういう答弁が出てくるころだろうと思ったのです。そうであるのに、補欠入学金の受け入れ簿、それも調査中だからわかりません。これでは、ここに出されているように、やはり税務署用、本部用、学部用、こういうふうに書かれたって、それを否定する——また明らかにほんとうに否定していただきたい気持ちがあるわけだ。そういうことを明らかにしていただくことが、私学振興の今後のほんとうの基本だと思うのです。そういうことなんですから、実際こういう帳簿、補欠入学簿はあなたたちはあったのかないのかということなんです。あって、その上に立って公正な監査をしているんだというのならばわかるのです。調査中だからわかりませんというのじゃとてもだめですよ。あなたで答えられないのならば、次回に局長以上に出てもらわなければ、この点解明できませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/109
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110・高見三郎
○高見委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時五十五分休憩
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午後六時五十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/110
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111・高見三郎
○高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、唐橋東君より発言を求められております。これを許します。唐橋東君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/111
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112・唐橋東
○唐橋委員 午前中の質疑を続けたいわけでございますが、内容が源泉徴収関係にもなりますので国税庁長官等の出席等もお願いしたい、こう存じますので、私の質問の続きは次回にさしていただきたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/112
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113・高見三郎
○高見委員長 内閣提出、日本学校安全会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/113
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114・高見三郎
○高見委員長 この際、おはかりいたします。
本案について、本日日本学校安全会理事長西田剛君を参考人としてその意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/114
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115・高見三郎
○高見委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/115
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116・高見三郎
○高見委員長 参考人には、御多用のところ御出席をいただきましてありがとう存じます。
なお、参考人の御意見は、委員からの質疑に対するお答えでお述べいただくようにいたしたいと存じます。さよう御了承をいただきます。
質疑の通告がありますので、これを許します。斉藤正男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/116
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117・斉藤正男
○斉藤(正)委員 議題となっております日本学校安全会法の質疑に入るわけでありますけれども、その前に、去る三月二十八日安全会法に関連をして質問をいたしましたが、その内容につきましては、千葉県国府台高校の石井君と柳沢君が浅間山で遭難をされたことに対し、学校安全会法の適用をするわけにはいかないであろうかということでるる伺ったわけでございます。その後明らかになった事実は、柳沢君が学校に対する旅行届けを家庭から承諾を得て捺印をし、これを担任の先生に提出をし、担当の先生また署名をされまして、気をつけて行っていらっしゃいということまでこまかに配慮されている事実も明らかになったわけでございます。過日も申し上げましたように、城谷先生が授業時間を通じ、教室で浅間旅行の勧誘をし、そしてまた柳沢君は生徒としてとるべき旅行願いを学校まで出したという事実も明らかな今日、学校安全会といたしましても、文部省といたしましても、十分な御検討をいただいたものだというように考えております。当時赤石体育局長は検討を約束してくださいました。また、西田理事長からもいろいろ検討をしてみたいという御答弁をいただいたわけでございますけれども、この際一カ月になんなんとする時日を経過して、文部省並びに日本学校安全会はどのように御検討をいただき、どのような方向に運ぼうとされておられるのか、この際、赤石局長並びに西田理事長から見解を承りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/117
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118・西田剛
○西田参考人 その後、私ども千葉県の支部の関係者を呼びまして事情をお尋ねするとともに、私自身、この事故にあいました城谷先生及び二人の生徒の追悼号とでも申しますか、学校のほうで雑誌を出しておられますので、そうした雑誌もお読みいたしました。城谷先生の人となりなり、教育に対する熱情あるいは生徒と先生との間の師弟の情のこまやかさ等、いろいろと感銘深く拝読さしていただいたような状況でございますが、さて現行の規定の運用、これは私どもといたしましては規定に基づいて適正に執行していくということをまかされておりますので、そういう意味から申しますと、現行の規定では遺憾ながらやはり読みにくいのじゃないか、しかし気持ちとしては何とかしてこの種のものは救ってやりたいケースのものである。こういうふうに考えまして、この省令の解釈、運用の事柄につきましては、やはり文部省さんのほうに相談するべき性質のものでございますので、そうした考え方で文部省のほうに御相談をかけておる状況でございます。したがいまして、現行の省令の解釈として拡大解釈することによって処理し得るであろうか、できればそういうこともお考え願いたいし、もしそれが無理であるとすれば、最近ややこれに似ましたケースがいま一つ出てきておるような状況もございます。それで前向きにひとつ、もし必要があるならば省令を多少とも改善するというような気持ちも加えて御検討願いたいということでお願いをいたしておるような状況でございます。文部省さんのほうでも非常に誠意を持って御研究を願っておると聞いております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/118
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119・赤石清悦
○赤石政府委員 ただいま西田理事長からお話ありましたように、先生からのお話もございましたので、私どもも、支部やあるいはまた周辺の父兄の方もともどもお見えになりましたし、いろいろと事情を聴取いたしました。その結果、私どもとしては、政令にございます、学校の教育計画に基づいて行なわれている課外活動であるとか、あるいはまた、学校が編成した教育課程に基づく授業を受けているとき、こういうことには遺憾ながら該当はいたさないけれども、政令の第三条第二項第五号にございます「前各号に掲げる場合のほか、文部大臣がこれらの場合に準ずるものとして定める場合」、こういうふうに、いろいろな事態が生じた場合において最終的に大臣の判断される条項がございます。これによって救えるかどうか、この辺で前向きに検討できるかどうかということを検討いたしまして、大臣の御判断をお願いしているところでございますので、あとで大臣のお話を伺っていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/119
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120・斉藤正男
○斉藤(正)委員 大臣から見解をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/120
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121・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 先般の委員会におきましてもいろいろお話を伺いました。また、本日も斉藤さんから新しい事実についてのお話も伺ったわけでございますが、ただいま安全会の理事長並びに体育局長がお答え申し上げましたとおりに、文部省及び安全会におきましても、この問題についていろいろ検討を遂げておるところでありますが、従来の基準から申せば、安全会のほうで支給がむずかしいという決定を下したこともやむを得ないかとも思うのでありますけれども、先般来いろいろお話を伺っておりますし、また保護者の側の気持ちになってみてものを考えます場合に、ただそれだけで解決できるものでもないような心持ちもいたしますので、私といたしましては、いま体育局長も申し上げましたが、本件につきましてはあらためて文部省としても考え直してみるということで、いま申し上げましたような法令の条項について積極的に前向きにひとつ文部大臣として回答を出したい、こういう心持ちでございます。
なお、将来の問題としましては、さらにまた何かの基準を追加するというふうなこともあるいは考えなくちゃならぬかとも思いますが、本件に関します限りは、私としましては前向きに検討をして結論を出すように、このような指示を与えておるようなわけでございます。さように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/121
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122・斉藤正男
○斉藤(正)委員 大臣並びに局長、さらに理事長の答弁をいただきました。積極的に前向きに検討をいただけるということで、当然のことながらたいへん気強く思うわけでございますが、関係者がいかにこの問題と取り組んできたかということは、遭難一周年を記念して発行されました「岩かげ」という追悼号が文集として出ておるわけでありますけれども、冒頭から巻末に至るまで涙なくしては読めない追悼文であります。この文集の中にも随時随所に出ておりますけれども、私は、やはり法を曲げて解釈するとか拡大解釈するとかということでなくて、ほんとうに事がどうして起こったのかということを十分おわかりいただいたと思っておりますけれども、ぜひ、いまお三人から発言のありました方向で学校安全会法の給付適用に踏み切っていただきますように要望をいたしまして、本問題に関しましては終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/122
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123・高見三郎
○高見委員長 斉藤君に申し上げますが、参考人はもうよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/123
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124・斉藤正男
○斉藤(正)委員 ええ、もうけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/124
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125・高見三郎
○高見委員長 参考人には、わざわざ御出席をいただきましてありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
質疑を継続いたします。斉藤正男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/125
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126・斉藤正男
○斉藤(正)委員 そこで本論に入るわけでございますけれども、学校安全会法は参議院先議でございまして、過日参議院で法案が可決されたわけでございますけれども、修正をされておるわけであります。すなわち、「この法律は、公布の日から施行する。」二番目に、「日本学校安全会は、高等専門学校の学生の負傷、疾病。廃疾又は死亡で昭和四十三年四月一日以後この法律の施行の日前に生じたものにつき、この法律による改正後の日本学校安全会法第十八条第二項の災害共済給付を行なうことができる。」これが参議院における修正点でございます。過日本案が本委員会に提案をされました四月十七日、灘尾文部大臣は、その提案理由及び内容の概要の説明をいたしておるわけでございますが、その提案理由の説明の中に「高等専門学校の学生にかかる災害共済給付については昭和四十三年四月一日から適用することとする旨の修正が参議院で行なわれました。」こういう提案をされて、参議院の修正案を説明されておる。このことについて大臣何か間違いをお感じになっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/126
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127・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 過日の私の説明についてのお尋ねでございますが、私は、本来から申しますと、政府の提出した法律案の原案をもって皆さま方に御審議を願う、これが政府の立場ではないかと思うのでございます。同時に、参議院においてそのような修正が行なわれたわけでございますが、これはいわば参議院側から皆さま方に御説明申し上げるのが本来の姿ではないかと存じます。ただ私は、便宜このような説明をして皆さま方の御審議を願うというような先例があるやに伺いましたので、それに従いまして便宜あのような説明をいたしました次第でございまして、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/127
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128・斉藤正男
○斉藤(正)委員 手続上、参議院が修正したものを大臣から、かように参議院で修正が行なわれましたという提案理由の説明なり、それに付加した説明は、従前も例があるわけなんです。これを私はとがめたり聞いているわけではないのです。参議院の修正と大臣の提示している修正が違うということを言っているのです。参議院はこんな修正をしてないのです。参議院の修正御存じありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/128
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129・赤石清悦
○赤石政府委員 大臣の提案の趣旨の中で、四月一日に適用するようにさかのぼりたい、こう申しましたのは、参議院の修正を簡単にわかりよく説明したと考えるのでございます。正確に申しますならば、法律的には「日本学校安全会は、高等専門学校の学生の負傷、疾病、廃疾又は死亡で昭和四十三年四月一日以後この法律の施行の日前に生じたものにつき、」事柄がこの法律施行の日までに生じたものについてほうっておくわけにまいりませんから、これは災害給付の根拠規定でございますが、「この法律による改正後の日本学校安全会法第十八条第二項の災害共済給付を行なうことができる。」こういう詳細な参議院の修正でございます。これが簡潔に大臣の御説明の中に入ったとわれわれ理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/129
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130・斉藤正男
○斉藤(正)委員 それは簡潔じゃないですよ。簡単にしたために違って提案をしているのですよ。大臣の提案の内容は、結局公布の日から施行をされる、しかし四月一日以後の高等専門学校の学生の該当事項ができれば、それまでにさかのぼってこの改正案を適用する、それはいいですよ。いいけれども、これでは給付もできるように解釈は自由にできるのですよ。そうでしょう。「昭和四十三年四月一日から適用することとする旨の修正が参議院で行なわれました。」これじゃ、はしょっちゃっていて大事なところが落ちているのです。参議院の修正とは違うでしょう。簡単にしたというだけじゃないですよ。簡単にしただけですか、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/130
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131・赤石清悦
○赤石政府委員 これは法制局の専門的な見地をお尋ねをしなければいけませんが、この表現といたしましてはいろいろな表現がございまして、ただ適用するといって遡及効を持たせるような表現もございますが、この場合は、施行の日以前に起こった事柄について、この法律施行以後でも適用して災害給付を行なうことができるんだ、こういう意味のことを正確に表現した、こういうふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/131
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132・斉藤正男
○斉藤(正)委員 それは参議院の修正案文がそうなんですよ。参議院の修正案文で解釈は初めてそうなる。大臣のこの提案理由の説明だけじゃならぬでしょう。給付もやっていいことに解釈できるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/132
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133・赤石清悦
○赤石政府委員 先生のおっしゃる意味を私ちょっとまだ正確にとらえておりませんが、要するに、法公布の日以後適用いたしますから、施行いたしますから、それ以前に起こった事柄に対しては遡及効を持たせられないのがたてまえでございます。しかし、御承知のように学年は四月一日から始まりますし、学生はすでに入っております。かつ、もう勉強いたしております。しかも掛け金は一年幾らといって取っておりますから、やはりそのブランクになった間といえども、起こった事柄について遡及して救ってやろうという趣旨でございますから、それを説明するのにはこのように詳しい表現を用いる、これが参議院のほうでおとりになった法的な立場であろうと存じます。ただ、こういった表現は、われわれの世界では「適用する」、こういうことばで表現する場合もございますので、適用することとする、と、こういうふうに大臣の提案理由の中に取り入れさせていただいた、こういうことになるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/133
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134・斉藤正男
○斉藤(正)委員 どうもおかしいと思いますね。簡単にとか明瞭にとかいうけれども、簡単にしたために不明瞭になっちゃったんですよ。なぜ参議院の修正どおりここへ説明しないのですか。参議院の修正を書いたって何のことはないのですよ。何かここで……(「内容は違っていないんだ」と呼ぶ者あり)いや、解釈のしようによっては違ってきますよ。おわかりになりませんか。参議院の修正は「高等専門学校の学生の負傷、疾病、廃疾又は死亡で昭和四十三年四月一日以後この法律の施行の日前に生じたものにつき、この法律による改正後の日本学校安全会法第十八条第二項の災害共済給付を行なうことができる。」、これを「適用する」、こういう一言でまとめちゃってあるのでしょう。「適用する」ということと「この法律による改正後の日本学校安全会法第十八条」云々ということとの意味が違うでしょう。わかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/134
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135・赤石清悦
○赤石政府委員 私どもは同じだと思っておるのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/135
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136・斉藤正男
○斉藤(正)委員 同じだと思ったらなぜ参議院の修正どおりここへ書かないのですか、あるいはおっしゃらないのですか。これは参議院の議決を経てきているんだ。それを文部省が略すとばどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/136
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137・赤石清悦
○赤石政府委員 それは、あるいは表現が若干違ったことはいけないかもしれませんが、ただ、この表現よりも普通の「適用する」と申し上げたことのほうが事態をはっきり簡潔に説明するというふうに考えまして、さような表現を使わしていただいたわけでございます。実体は何ら異なっていないものと了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/137
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138・斉藤正男
○斉藤(正)委員 こんなことで私はいつまでも時間をとろうとは思わないのですけれども、参議院の修正どおりに大臣がここで提案理由の説明なり、補足の説明なりをやられたらどういう欠陥があるのですか。あるいはどういう不合理があったのですか。不合理がないでしょう。参議院の修正案のほうがわかりにくいというのですか。慣行上これで妥当だというのですか。参議院の修正を文部当局が、これはあなたが原案を書いたのか知りませんけれども、表現を変えているのですよ。表現を変えたため、解釈のしようによっては、ただ「適用」ということばだけでは内容も変わってくるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/138
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139・赤石清悦
○赤石政府委員 先生のおっしゃる違っているという点は、むしろ私はわからないのでございます。私どもは全く同じだ、むしろ参議院の御修正の趣旨をわれわれの用語でかえって簡潔に御説明して、それで意味が通る、こう考えてそういうことばを使わしていただいた次第でございまして、何ら法律的な関係が、実体が異なっていない、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/139
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140・斉藤正男
○斉藤(正)委員 公布の日からさかのぼって適用できることと、給付するということとは違うのですよ。公布の日からさかのぼって適用できるということと、給付することとは違うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/140
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141・赤石清悦
○赤石政府委員 先生のおっしゃる意味は、給付もさかのぼるのか、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/141
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142・斉藤正男
○斉藤(正)委員 あたりまえじゃないですか、この表現なら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/142
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143・赤石清悦
○赤石政府委員 それなら御承知の第一項が「この法律は、公布の日から施行する。」と書いてございます。だから、さかのぼることは事実を適用することをさかのぼるのでございますが、給付事務その他はこの公布の日から施行するわけでございますから。施行後そういう手続を了する、こういうふうに私どもは解釈しております。したがって、実体はやはり変わらないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/143
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144・斉藤正男
○斉藤(正)委員 あなたはそういうふうに解釈したって、参議院で正式に文章表現をして、こういう修正が行なわれたんだから、こういう修正どおりここへ書けば何もこんなことを言う必要はないわけだ。それを簡略にしてわかりやすくしたなんて言うから、むしろこれは参議院の議決をあなたは曲げているということになる。参議院の議決の軽視だということになる。何も二行や三行ふえたからといって、拡大解釈なり、間違った解釈をしなくてもいいようにちゃんと参議院の法文はできている。「適用する」ということと——これは給付ととれますよ。給付ととれないという理由はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/144
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145・赤石清悦
○赤石政府委員 給付をいつ行なうかという問題と、その事柄について給付を行なうか行なわないかという二つの内容があろうかと存じます。その事柄に対して給付を行なうということを第二項はいっておるのでございまして、その給付をいつ行なうかは第一項に返りまして「公布の日から施行する。」、そちらのほうで読ましていただく、こういうふうに解釈いたしております。したがって、これも実体はやはり適用するという普通のことばと全く同じものである、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/145
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146・斉藤正男
○斉藤(正)委員 あなたがそう解釈したって、参議院ではちゃんとこういうように修正しているんだから、(「意味は変わらない」と呼ぶ者あり)変わらないといったって、参議院の修正を一文部省事務局が変えて提案するなんということはおかしいですよ。参議院の修正案をそのまま載せてどれだけの手間ひまがかかるのですか。趣旨は一緒ですよ。だけれども解釈のしようによっては給付までできるという解釈ができるからぼくは聞いているのです。さかのぼって適用するというだけなら給付も適用ができるということですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/146
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147・高見三郎
○高見委員長 この際、文部大臣より発言を求められております。灘尾文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/147
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148・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 先般の私の提案理由説明中、参議院の修正部分につき、「高等専門学校の学生にかかる災害共済給付については昭和四十三年四月一日から適用することとする旨の修正が参議院で行なわれました。」と申し上げましたが、誤解を生ずるおそれもありますので、これを「高等専門学校の学生の負傷、疾病、廃疾または死亡で昭和四十三年四月一日以後この法律の施行の日前に生じたものにつき、この法律による改正後の日本学校安全会法第十八条第二項の災害共済給付を行なうことができるとする旨の修正が参議院で行なわれました。」と訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/148
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149・高見三郎
○高見委員長 次回は、明二十七日土曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後七時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805077X01319680426/149
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