1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二十七日(土曜日)
午前十時三十三分開会
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委員の異動
四月二十六日
辞任 補欠選任
塩見 俊二君 内田 芳郎君
四月二十七日
辞任 補欠選任
林屋亀次郎君 宮崎 正雄君
徳永 正利君 八田 一朗君
大竹平八郎君 船田 譲君
竹中 恒夫君 岡本 悟君
田中 茂穂君 菅野 儀作君
内田 芳郎君 佐藤 隆君
野上 元君 森中 守義君
野溝 勝君 大橋 和孝君
二宮 文造君 小平 芳平君
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出席者は左のとおり。
委員長 青柳 秀夫君
理 事
植木 光教君
北畠 教真君
小林 章君
柴谷 要君
中尾 辰義君
委 員
青木 一男君
伊藤 五郎君
大谷 贇雄君
岡本 悟君
佐藤 隆君
西郷吉之助君
菅野 儀作君
八田 一朗君
藤田 正明君
船田 譲君
宮崎 正雄君
大橋 和孝君
木村禧八郎君
田中寿美子君
戸田 菊雄君
野溝 勝君
森中 守義君
小平 芳平君
須藤 五郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
厚 生 大 臣 園田 直君
政府委員
人事院総裁 佐藤 達夫君
人事院事務総局
職員局長 島 四男雄君
大蔵政務次官 二木 謙吾君
大蔵省主計局次
長 船後 正道君
大蔵省国有財産
局長 大村 筆雄君
厚生政務次官 谷垣 專一君
厚生大臣官房長 戸澤 政方君
厚生省公衆衛生
局長 村中 俊明君
厚生省医務局長 若松 栄一君
厚生省社会局長 今村 譲君
厚生省児童家庭
局長 渥美 節夫君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
自治大臣官房参
事官 皆川 迪夫君
会計検査院事務
総局第三局参事
官 桜木 拳一君
参考人
財団法人厚生団
常務理事 橋本寿三男君
法政大学講師 吉田 秀夫君
国立療養所大日
向荘入院患者代
表 浦部 福司君
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本日の会議に付した案件
○国立病院特別会計法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/0
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001・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
国立病院特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、参考人の方々の御意見を承ることとしております。御出席をいただきました参考人は、財団法人厚生団常務理事橋本寿三男君、法政大学講師吉田秀夫君及び入院患者代表浦部福司君でございます。
この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ、本委員会のために御出席いただきましたことを厚く御礼申し上げます。参考人の各位より承ります御意見は、今後の本委員会の審査の上に多大の参考になることと存じます。つきましては、参考人各位におかれましては、忌憚のない御意見をお述べいただくようにお願いを申し上げます。
それでは、議事の順序について申し上げます。初めに、参考人各位から十五分程度の御意見をお述べいただきまして、その後、各委員から御質疑を申し上げるという順序で進めてまいりたいと存じます。
それでは、橋本参考人から御意見をお述べ願います。橋本参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/1
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002・橋本寿三男
○参考人(橋本寿三男君) 私は、病院管理を職といたしまして、病院管理を勉強している者でございます。私は、したがいまして自分の分野から特別会計法の問題について所見を述べさしていただきたいと思います。主として申し上げたいことは二つあるのですが、その第一、特別会計法が国立療養所の運営にふさわしいものであるかどうかということについて考えてみたいと思います。
昭和三十六年の七月に発表されました病院経営管理改善懇談会というのが厚生大臣の諮問にこたえまして、要旨を発表いたしております。その八ページには、病院を経済的に見た場合には、一個の企業的経営体にほかならない、と示されております。この懇談会は、病院管理学あるいは経営学、そのほか著名な病院長や総婦長などが加わった委員会でございます。国立療養所も国の経営する病院の一種であるということにおきましては、やはり一つの経営体と見る以外に見方はないと思います。ただ、収容しております患者が一般の総合病院と相違しているというところだけであると思います。この懇談会で申しております企業的ということばにつきましては、なお学者間に議論のある用語であると思いますので、これはさておきまして、国立療養所も国の直営する一つの経営体であるということだけを前提として話を進めさしていただきたいと思います。
国立療養所も経営体でありまする以上は、やはり経営にふさわしい組織、特に経済的な組織、会計組織を持っていなければならないと思います。現在国立療養所は一般会計の組織のうちに含められております。そして国の予算によってまかなわれるたてまえをとっております。したがいまして、その予算を一銭のあやまちもなく予定どおり使用することにつきまして、きびしい法令があります。われわれはこれを一般に官庁会計と呼んでおりますことは諸先生方も御存じのとおりでございます。もちろん官庁会計でございますので、これは国民の税金でまかなうというわけでございますし、国会でお定めになった予算書どおり誤りなく使うことをたてまえといたしております。そうして、その中心的な動きをなしますのは何かといいますと、やはり金銭である、このような組織が経営体としての病院にふさわしいということは、私は申し上げかねると思います。経営体と申します以上、それは生きものでありまして、常に流動しているものであります。患者は予定どおり来てくれるとは限りませんし、また症状もあらかじめ予測することは必ずしもできません。病院の経営体としての流動性というものは、したがって同じ経営体であっても比較的高いものであると言うことができると思います。そこで、現在国療が置かれております官庁会計のワクの中から一歩脱皮する方法があるとしますならば、それは特別会計であると言うことができようと思います。しかし、その特別会計の組織が病院にふさわしいものでなければならないわけでありまして、単に一般会計から少し独立性を持った特別会計になったということだけでは、その意義を発見することはむずかしいのではないかと思います。
ここで、すでにとっております国立病院の特会について観察をいたしますと、なるほどある程度その条件を満たしていると考えてよいと思われます。たとえて申しますと、御案内のとおり、収支対応の原則でありますとか、発生主義を堅持しているといったようなことでございます。ここにおきましては、すでにもはや誤りなく予算を使い、消費するという目的のためにその制度があるということはできないということができます。また、このような組織になっておりますゆえに、当事者の努力次第によりましては、病院としての活動を詳細に経済的に翻訳することも可能なはずであります。たとえて申しますと、ある期間の病院のプラスマイナス、すなわち損益、ある時点の財政状態といったようなものを明らかにすることが可能なはずであります。このような仕組みは経営体にはなくてはならないものでございまして、欠くことのできないものということができます。また経営の流動性にこたえるために、すでに御案内のとおり弾力規定もあり、多額の出資を一時に必要といたしますような場合に、借り入れの制度も設けられていると存じます。また、物や土地と金銭といったようなものが経営上の必要から一体的に運営される仕組みを持っている。これらは一応病院の経営体としての性格に合致したものでありますけれども、まだこれで完全だというわけではありません。たとえて申しますと、固定資産の損耗の状況を把握しにくい状態であるとか、あるいは職員の給与等が一般公務員のワクにしばられているといったようなことは、なお改善すべき余地を持っていると考えられます。結論的に申しますと、このような経済的仕組みがやはり経営体である療養所には、単なる官庁会計よりは適したものであるということは、疑いを入れる余地のないものと考えてよいと存じます。
申し上げたい後段の第二点の問題について述べさせていただきます。経営体にふさわしいような条件を備えた特別会計でありますならば、それは療養所を運営するためには、一般の官庁会計よりいいということをただいま申し上げたわけでございますが、それは運営の道具として適切であるということを申し上げましたわけでございまして、どのようなりっぱな道具でありましても、使い方によっては、よく下世話に申しますように凶器ともなり得るわけでございます。この際に最も凶器になりやすい点を一言申し上げるのが私の趣旨でございます。それは収支対応の原則ということをあまり偏狭に考えられる危険であります。収、つまり病院に入るものといいますのを、端に患者収入と考えたりいたしまして、収入のないものには出さないという原則が偏狭に固執されますと、そういうふうに理解されますと、あるいはそれが客観的に強制されたりいたしますと、たいへんに療養所は問題をはらんでくると思います。ここで収支対応の原則に申します収の中には、国立療養所が国の疾病対策の一翼をになっておりますならば、当然国や公の負担に属するものを含んでいなければならないと考えております。特に聞くところによりますと、結核、精神病等の患者ばかりでなく、治療の上にも看護の上にも非常に困難な特殊な慢性疾患を対象とされるというふうに承っておりますので、もしそうならば、これらの医療費用をすべて患者の負担において充足するということは、実際問題として困難を伴うものと想像されます。そこで、やはり何らかの公あるいは国家の援助が必要と考えてよいのであろうと思います。総じて、最後につけ加えさせていただきますことは、わが国の病院は、おしなべて建築いたします場合の建築設備の単価も、諸外国と比べますと数分の一にすぎませんし、また医療器機におきましても、その近代化の度合いにおいて欧米には相当隔たっていると見なければなりません。もし国立療養所が経営体として、その経理を明確にし得るような組織ができ上がりましたならば、思い切ってこれに対して資金を投入したらいい、そのことによって日本の医療水準を向上していただきたいということを私は念願いたしております。医学の進歩に反しまして、それが資金の投入が先細りになるというようなことがありはしないかという不安については、私も全くそれを払拭することができるとは申し上げかねます。そうして大方の特別会計というものに対する不安というものも、実はここにあるのではないかと思います。
私は最後に結論を申しますと、特別会計、それが経営体にふさわしい条件を備えておりますならば、たいへんけっこうな国療の運営の手段となり得る、また場合によってはそれが一つの活路ともなり得ると考えております。しかし、最後に申し上げましたこの不安を解消するための手段は、何らかのものを講じていただきたいというのが私の所感でございます。
以上をもって私の意見を終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/2
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003・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、大竹平八郎君、徳永正利君、林屋亀次郎君、内田芳郎君、竹中恒夫君、田中茂穂君、野上元君が委員を辞任され、船田譲君、八田一朗君、宮崎正雄君、佐藤隆君、岡本悟君、菅野儀作君、森中守義君がその補欠に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/3
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004・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) それでは次に吉田参考人にお願いいたします。吉田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/4
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005・吉田秀夫
○参考人(吉田秀夫君) 吉田秀夫です。本委員会にお呼び出しを受けまして、急遽昨夜青森をたって帰ってきました。私は終戦直後数年間、わが国の医療制度や、あるいは社会保障制度の改正や改革という制度の切りかえに、いろいろな審議会の委員やあるいは調査会の委員として苦労した一人です。自来、戦後の政府のいろいろな医療政策や、あるいは医療保障政策とその成果をきびしく見つめてきた一人であります。
今回の国立療養所の特会制の問題につきましては、わが国の医療制度、特に国民の医療サービスが年ごとに非常に悪化している現状をかねて心配しながら、率直に言いまして、国民の一人として何という残酷なことであるか、若干憤りに近いような印象を私は持ってまいりました。大体、国立医療機関あるいは公立も含めた医療機関の特会制というものが、これがいかに政府当局者が弁解しようとも、現実にはじわじわと、あるいは直接に、きわめて露骨に医療機関の営利化あるいは独立採算制につながるものであることは、いままでの過去の実績がこれをはっきり立証していると私は思います。たとえば昭和二十四年に始まった国立病院の特会制、これはこのはしりでありますが、その当時一般会計から大体二五%くらい繰り入れると言われておりながら、実際には現在ではわずかに一一%、これもいずれはゼロに近くなるのではないかと思っております。また、医療機関の中核の一つであります地方の公立病院の場合には、昭和三十年には地方公営企業法の適用を拡大しながら、他の水道やあるいは交通事業と同じように、これまた独立採算制を強制しながら、いわゆる医療合理化政策を露骨にしてくる中で、全国至るところで実は患者や地域住民を含めて絶え間ない紛争を引き起こして今日まできていると思っております。
本来、医療機関の特会制ということは、これは医療の公共性を放棄するものと私は過去の実績で理解をしております。本来営利であってはならない医療を、医療従事者、入院、外来患者を犠牲にしながら、国庫負担やあるいは公費負担を節約しながら徹底した独立採算制を貫こうというのが、これが合理化あるいは特会制の本質であります。国立療養所は、わが国の結核の医療に何といいましてもきわめて大きな役割りを果たしてまいりました。結核は減少した、あるいは斜陽だといわれながら、まだ百四十万人の患者が実際には保健所に登録されております。この大部分は、いわれますように中高年の国民であり、あるいはきわめて貧困なボーダーラインあるいは貧困階級であります。また精神病患者や精薄児、あるいは精薄者などもこれは年ごとに増大しております。こういう問題はかたく貧困と結びついていると思います。たとえば、精神病患者の実態はよくわからないのですが、古い資料で見ますと、三十八年七月で百二十四万人、このうち八十万人は全く野放しということ、それからことしに入りまして厚生省から身体障害者あるいは精薄者の在宅している数が発表になりました。これは四十一年八月一日でいいますと、約四十八万四千七百人、これは二百人に一人の精薄者だ、この半分近くは十八才未満の子供だと、こういうことであります。それから毎日の交通事故によるいろいろな死傷者の数は、これは世界でもちょっと例のないほど非常に高位だといわれているわけです。こういう状態で、もし一たび自分の身内やあるいは家庭に結核なり、あるいは精神病患者なり、あるいは精薄者、あるいは身体障害者が発生したら、その家庭は一体どういう状態になるのか、これは想像に絶するものがあると思います。
こうした社会的疾患の根源は、私はやはり国際的に異常に成長したといわれるわが国の高度経済成長政策のいわば落とし子みたいなものであり、あるいはひずみであり、あるいは犠牲だと思います。その上に、わが国全体の労働者の賃金は、これはまだ欧米諸国から見ますときわめて低い賃金に低迷しております。その上に労働環境や、あるいは実際に暮らしている生活環境が非常に荒れ果てております。あるいは農民や市民の低所得あるいは貧困調査も、これは政府の調査からもいろんな形で立証されております。こうした社会的疾患に対して、これが発生しないようなそういう経済政策、そういう財政政策、あるいは住宅、あるいは生活向上政策がどの程度行なわれているかということになりますと、残念ながらどうも毎年のように後退しているのではないかとさえ思われます。一歩譲りまして、それなら発生した社会的疾患に対して個人で一体解決がつくかと言いますと、これはとてもじゃありませんがつくものじゃありません。確かに皆保険で大多数の労働者、国民は医療保険を持っておりますが、現在たとえば国民健康保険にたとえますと、四千三百万も入っている国民健康保険の中で、年間収入三十万以下というのが約七割近く、年間収八十万以下というのが約二割近い。こういう状態で昨年秋以来の労働者や公務員に対する一部負担の増大によって、この活用さえも、十分な医療を受けられないまま、そういう状態に実は現在あるわけです。まして、国立療養所に入院しております結核患者やあるいは精神病患者、あるいはその他の患者は、大部分はいわゆる公費負担の患者ということであります。本来医療に営利性を追求するというのはこれは誤りであります。
上述のような社会的疾患は、まず国の責任で対応されなければならないと考えております。たとえば、いままで公立病院は原則的に独立採算制を強いられておりますが、こういう公立あるいは公的病院がこれら社会的疾患の大半の患者を引き受けるというわけにはとてもじゃありませんがまいりません。また、国民の大多数がこのような長期の社会的疾患に見舞われた場合、いままで戦後二十数年の歴史の中で、まず第一に国民大衆は素朴に国立の療養所を当てにしてまいりました。これは当然のことではないかと思います。
さて、それならば医療合理化政策とは何かと言いますと、これまでの実績によりますと、まず医療機関の統合、廃止という荒っぽいことから始まりました。採算のとれない病院や診療所は切り捨てる、それから統合によって建物はたいへんデラックスになった。しかしそこに働いている医療従事者の労働は非常にきびしくなったり、あるいは患者に対する医療サービスも逆に低下してきたというのがこれが実態であります。これは国立病院のある例でありますが、建物が非常に近代的になったということなんですが、実際にはその建物をつくる前の段階の青写真を見ますと、そのデラックスな建物からは完全に給食の施設を、まあ給食を下請にしてこれをオミットしたというようなそういう青写真さえもあちこちの公立病院には見られております。その最も最近の露骨なやり方は、私は北九州の市立病院の給食の下請、大量の給食職員の分限による解職ではないかと思います。さらにこの合理化を進めますと、たとえば下足番の下請、あるいは有料化、あるいは病院の中の清掃の下請、さらに洗たくの下請などが国立病院でさえもこれは行なわれておる実態であります。もちろん、これは国会でもしばしば問題になっております差額徴収ベットの公然化、これは国立関係の医療機関の場合でも周知の事実であります。その上に、私はたいへん心配しておりますのは、一番国が責任を持つはずの国立病院並びに療養所において、圧倒的に医者が不足しているという事実であります。これは非常に皮肉を言いますと、無医地域あるいは無医村ではなくして、医療機関の中に実は医者のいない無医地域がある、こういう実態がいまずっと進行しております。さらに、病人が厚生省の統計によりますと、昭和三十年から四十年までの間に二倍もふえているのに対して、医師や看護婦はそれに伴うようなふえ方は全然見ておりません。これは明らかに国民医療サービスが年々低下しているということを物語っておりますし、国民医療サービスの低下は、すなわち近年あちこちに赤ん坊の取りかえ事件とか、あるいは注射の誤注によって患者が死亡したとか、いろんな医療事故が増大しております。その上に、私は昨年の秋以後、国立や公立や公的、あるいは日本全体の私的な医療機関といえども経営が非常に苦しくなってきているのではないかと思います。
こういう状態の中で、たとえば今度の国立療養所の特会制のほうで二つの大きな問題は、減免措置をどうするか、あるいは各種基準料金の徴収をどうするかという問題もあろうかと思いますが、この二つとも、私はもしこれを取っ払いますと、いまでも赤字で非常に困っておる地方自治体の地方財政に非常に負担をかけるに違いないし、そのことは患者や国民に対してそのまま転嫁する問題だろうと思うんです。国際的に言いましても、これはお隣にいます橋本先生あたり専門家なんですが、先進諸国の場合には一応医療の公共性は保持しております。これは国連の場合でもあるいはILOの場合でも非常にそのことを強調しているわけです。したがって、少なくとも国立あるいは公立に値する病院の場合には、営利化やあるいは独立採算制は強制しておりません。赤字になれば国あるいは地方公共団体がこれを補完しますし、あるいは年度途中でも、物価の高騰あるいは人権費の増大を伴いますと、それをやはり臨時の形で補足するというかっこうが先進諸国の国立やあるいは公立病院の実態であります。そういう点から言いますと、政府があえて国立療養所を特会制にするというならば、私は問題は、医療に対する国家の責任、あるいは医療の公共性を放棄したと国民の前にはっきりと言明すべきようなことではないでしょうか。特に減免規定やあるいは基準料は、そんならば当分一、二年は導入しないとあるいは当局側は言うかもわかりませんが、この場合でも、国会の場ではそういう公約がありましても、これはあまり当てにはならないのではないかと思っております。また、しばしば国会では附帯決議というふうなことでなされますが、これが上向きで好ましい方向でなされておりましても、実際には行政の場に入りますと、これはしばしば無視されてまいっております。たとえば去年の八月たいへんもめました健保特例法の実態を見ましても、法が制定になる八月中旬の段階までは、この程度の一部負担の増大では、たとえば初診料二百円とか、薬代外来一日一剤十五円というこのような一部負担ではほとんど受診率に影響しないと、患者は減らないということをしばしば厚生省当局が言明したといわれております。ところが昨年十月から、労働者や公務員はもちろんのこと、他の一般の国民の場合でも受診率に大きくこれが影響しております。その上に薬価基準の引き下げや新点数によって、昨年の春から夏にかけて政府が、政府管掌の健康保険で年間七百四十五億円の赤字だというPRが、実際にはこれがたった半年の健保特例法の実施によって三月までに百億円台に減少すると、これは驚くべき私は推移ではないかと思っております。こうした中で厚生省のいわゆる抜本的な医療保険の改正、改革試案というものが出されました。したがって、この厚生省の改正試案自体が、たぶん厚生大臣もお認めになっているんじゃないかと思うんですが、これはやはり何といいましても、社会保障や医療保障の後退なんであります。今度の国立療養所の特会制の問題は私はその露払い、医療保険や医療制度全体の切りかえの露払いの役目さえ持っているのではないかと思います。
そういう点では国民の大部分は納得できないであろうと思いますし、特に予算が成立しても、それに不可欠の関係にある特会制があと回しになるというようなことで、マスコミでもその混乱が伝えられておりますが、やはりこの責任も私は政府にあるのではないかと思います。私は、こういう残酷な国立療養所の特会制については反対であります。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/5
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006・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) では次に、浦部参考人にお願いいたします。浦部参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/6
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007・浦部福司
○参考人(浦部福司君) 今国会の大蔵委員会の特別参考人として意見を述べさしていただきますことを心から光栄に存じます。私は現在群馬県渋川市の国立療養所大日向荘に入院している一患者でございます。私は自分の長い療養生活で得た経験を通して、今国会に上程されている国立病院特別会計法の一部改正案は、結核対策の後退と、国立療養所の医療内容を低下させ、国民の期待にそむき、私たち入院患者に大きな不安を与えるものとして、反対する立場から以下意見を述べさせていただきます。
私ごとにわたってはなはだ恐縮でございますが、私は発病以来十七年、闘病生活の中で全財産を失い、貧困のどん底で両親を失い、また妻や子にも去られ、家も職も失いました。そうして幾たびか生きようか死のうかと迷いながらも、ひたすらがんばって現在になりました。こうした惨たんたる状態でしたが、生活のことや、また家族への心配がなくなって、心の安定が保てたとき、私のからだに奇跡が起こりました。私はその当時両方の肺に大きな空洞を持ち、手術はできないし、薬もきかない、いわゆる処置なし患者と言われていた患者でございます。この私の病気がなおり始めたのです。右の肺の空洞が石灰化してかたまってきまして、左肺の手術ができるようになりました。そこで昨年の七月、一か八かの気持ちで手術を受けました。胸郭成形手術という肋骨を七本切り取る手術でございます。それがどうやら成功したらしく、あきらめていた社会復帰への希望がようやく持てるようになったわけであります。この私の貴重な体験を通しまして、私が確信し得ましたことは、結核という長期療養を要する病気にとっては、適切な医療の必要はもちろんですが、それにもまして重要なことは、精神的安静が保たれるかどうかという点だと思うわけです。最近では結核によくきく薬が見つかりました。また外科治療も進歩して、結核はなおる病気になったというふうに言われております。しかし、それも社会的、経済的に保障されている人にのみ言えることであって、その日の生活に追われている貧しい私たちにとっては高ねの花で、医学の進歩をそのまま受けることはできません。いつでも、どこでも、だれでも、何の心配もなく安心して療養できる保障があって初めて精神的安静が得られるのです。私は国立療養所大日向荘に入って、初めてそのことを実感として感じたわけでございます。私は、この機会に十七年にわたる自分の悲惨な経験を通して申し上げたいのです。結核のような長期療養者の生活と医療を国の費用で完全に保障してくれることを心からお願いしたいのでございます。
ところで、この私たちの願いに反して、国立療養所に特別会計制が実施されようとしております。このことについても私たちは非常に大きな不安を感じております。私は、私の療養している国立大日向荘の実態を中心に若干お話をしたいと思います。私の療養している国立大日向荘は、外科病棟が一、重症病棟が二、それに軽症病棟六つの合計九つの病棟からなっています。そのほかに三個病棟はすでに閉鎖されておりますが、その中の一個病棟は、ことしの一月に結核以外の一般病の病棟として県からの認可がおりております。参考までに申し上げますと、群馬県の結核対策は全国一と言われております。しかも、その中で県民百人に一人は結核患者で、他人に病気をうつすおそれのある排菌患者のうち、その半数の一千人以上は入院もできずに社会に放置されております。こういう実態の中で中心的な役割りを果たしてきた国立療養所のベッドがあき、三個病棟も閉鎖されるという事態が起こっているのです。参考人として私がいただきました資料を見ますと、このたび国立療養所の経理を一般会計から特別会計に移されるというその理由の一つに、最近国立療養所のベッドがだいぶあいてきたということがあげられております。また厚生省でも、もう日本の結核対策は終わった、峠を越した、近い将来いまある五万のベッドを二万に減らすというふうなことを言われているようです。私もそうなることを願っております。しかし、いまも申し上げましたように、結核対策において先進県と言われる群馬県においてさえまだ一千人以上の排菌している重症者が入院できずにうろうろして、その陰で国立療養所の病棟が三つもつぶされ、約二百ベッドがほこりをかぶって眠っております。そしてそういう中では、そこで働く職員たちは次々定員過剰ということで首を切られております。そういう実態をもう少し正確に見ていただいて、その上でベッドがあいたということを言っていただきたい。患者がほんとうになくなってベッドがあいてきたのなら私たちも申し上げることはございません。しかし実際に重症の患者がいながらベッドがあいたということで、それを理由に結核対策は終わったということに私たちは納得ができないのでございます。
ところで、入院している患者の実態についてでございますが、私の療養している療養所のごく軽症病棟で起きた一つ二つの実例を申し上げてみたいと思います。一年ほど前吉田文子さんという患者さんが早朝トイレで喀血をして死にました。その方は、その前の日までは入浴も散歩も自由にでき、洗たくも自分でしていました。安静度四度の患者です。便所から帰ってくるのがおそいので、同じ部屋の人たちが心配してさがしにいきましたところ、息も絶え絶えの吉田さんを発見したわけです。すぐに看護婦の詰め所に連絡しましたが、看護婦さんはほかの患者に呼ばれていて詰め所にはいません。患者は自分たちではどうにもならないし、右往左往しているうちにようやく看護婦さんがかけつけてきたわけです。そしてすぐ当直の先生に連絡をして手当てを受けたわけですが、そのときにはすでに手おくれでした。悲しい宿命とあきらめればそれまでですが、せめて一病棟に二人の夜勤看護婦さんがいてくれたら、もう少し先生に早く連絡ができたら、もしや助かったのではないかという悔恨が一様に私たちの脳裏をかすめると同時に、それがやがてわが身に振りかかってくるかも知れないという不安を取り越し苦労とは思いません。また有賀さんという患者は、夜中に大喀血をしてベッドから落ちて意識を失い、その物音に目ざめた隣の療友があわてて看護婦さんを呼びましたものの、看護婦さんは当直の先生に連絡しなければならないし、かといって窒息寸前の患者から手も離せずということで進退きわまって動きがとれない。そこで患者が走り回って連絡をとってようやく事なきを得たのであります。こういう中で、私たちは夜間、看護婦さんが一人で勤務するということの危険をあらためて痛感すると同時に、自分の命はやはり自分で守る以外にないという、こういういまの看護の実態に深い恐怖を感ずるものです。
重症病棟に至ってはまさに悲惨です。ある重症者を見舞ったときのことでございますが、たまたま苦い薬を飲むところでしたが、粉薬ですから水が必要なわけですが、その水もほんの少ししか口に含みません。苦くないのかと私が尋ねますと苦いと言う。それならもっと水を飲んで口をすすいだらいいと言うと、あまり水を飲むと小便が出たくなる、尿器があかないうちに出ると困ると言うのです。私は驚いて、なんだ尿器が一ぱいなのか、なぜあけてもらわないのかと再び尋ねると、あんなに忙しそうな看護婦さんにそう何度も頼みにくいので自分で調節するよりほかしかたないと言うのです。また、ある重症者は寝たまま胸の上にお膳を載せて、鏡に映しながら食事をしているのですが、指の先に目玉がついていたらお膳の中が見えてもっと楽に飯が食えるのにとこぼしております。さらに、掛る重症者は私の近づくのをいやがりました。この患者はもう半年も下着をかえていないから、そばへ来ると臭いと言うのです。私が看護婦さんに体をふいてもらうときに下着をかえてもらったらよいのにと言うと、体もふいてほしい、下着もかえてほしい、でも零下十度前後の暖房もない病室で裸になったらかぜを引きます、かぜを引いたら私の命が持ちません、たとえあかで臭くても命にはかえられないと泣く始末です。
このように、常時あおむいて寝ている重症者が胸の上にお膳を載せて鏡を見ながら食事をしたり、看護婦不足から用便が出たくなくてもきめられた時間にしなければならず、下着を半年も着がえることができない、これが一体人間の扱いと言えるでしょうか。私たちは多くを望みません。せめて犬よりも、ネコよりもましな扱いをしてほしいのです。とりわけ私たちにたえられないのは、病院管理上の都合から、看護人員に見合った安静度が決められ、大きな空洞を持って、いつ何どき喀血するかわからない人が、動けると言うだけの理由で安静度を高くされて軽症病棟に入れられ、自分で洗濯や入浴、洗髪をし、自分で膳を運んで食事をしております。そして、一たび悪化するや、看護人員が十分でないという理由で、本人の意思に関係なく一方的に担送車に乗せられて、重症病棟へ運ばれます。私は最初に精神的安静ということを強調しましたが、軽症病棟から重症病棟へ移されるこの過程の中で、すでにその患者は生から見離されます。死を意識し、恐怖に脅えるためです。
私も三年前に大喀血をし、いよいよだめかと観念しましたが、そのときに食事などはとてものどを通るものではありませんでした。ところが先生は、私をなぜか重症病棟へ移そうとしません。そのとき私は、これは助かるかもしれないという一筋の希望を見出し、とたんに食慾も出て、どうやら再起することができました。これはたまたま重症ベットがふさがっていたためだと、あとになってわかりましたが、こういう微妙な心理作用が病気をよくもし悪くもするのです。残念ながら現状の看護人員では、手のかかる患者は看護婦さんの数の若干多い重症病棟へ移さざるを得ないのです。このように病院側の都合だけで患者が動かされるということに、私たちはほんとうに耐えられません。これが施設長をはじめ、職員がよくやっているといわれている国立大日向荘の実態です。ましてや全国の療養所の実態はなおひどいものであると思われます。
このような実態の療養所ではありますが、それでも、こと医療に関しては、国営の医療機関として採算を度外視してきだからこそ、曲がりなりにも他の医療機関に比べ良心的な医療が維持されてきたものと思われます。これが特別会計制になりますと、収支のバランスをとるために看護婦さんは減らされ、基準看護や基準給食や、基準寝具が採用になり、二割引き制はなくなり、入院料は二倍にも上がり、その上、医療、看護、給食の内容は逆に一そう悪くなろうとしています。このことは、すでに特別会計制を実施している国立病院の実態がそのことをよく物語っています。私のおります群馬県には国立病院が三カ所ありますが、それらの病院から転院してきた患者の話、あるいは私たちが友人をたずねて実際に見た話によりますと、たとえば国立高崎病院では、外来、面会人を問わず下足料が徴収され、患者の洗たくは一切患者の責任にされているため、患者は自分で洗たくするか、重症で洗えない人は家族を呼んで洗ってもらうか、たびたび結核菌のついた衣類を家庭に持ち帰って洗たくする状態です。また国立渋川病院では、頼めば洗たくをしてくれるけれど、パンツに至るまで洗たく代を取られております。しかも病室は一階に普通の外科患者、二階に結核患者を収容しながら、看護婦の詰め所は一カ所で、依然として一人夜勤を行なっております。一般患者と混合のためにその差別もはなはだしく、たとえば結核患者が電話を使用した場合、消毒液の入ったかんに料金を入れさせるというような状態も出ております。また国立沼田病院では、百三十ベットのうち、結核ベットはわずかに十分の一に減らされ、しかも難病や慢性病の患者は入院できません。しかも主治医が常勤せず、群馬大学病院から週一回の回診があり、それもそのたびに先生が違うために病状判断もまちまちで、一貫した治療方針というものがありません。基準看護をとりながら、重症者が自分の責任で洗たくをしたり、家族の付き添いを強要されたり、また基準給食でありながら患者は補食を必要とし、お湯を沸したり煮物をするときには五円玉、十円玉を入れないとガスも出ないという有料ボックスを公然と備えております。これらは特別会計制度をすでに実施している国立病院のほんの一例です。そして共通して言えることは、一般病棟をどんどん新築している蔭で、結核患者はますます片すみに追いやられております。
大日向荘でも、特別会計制を目ざして基準看護護、基準給食、基準寝具を実施するため一方的に準備を進め、すでに基準看護、基準給食については県に認可の申請を行なっています。給食についていえば、患者は現在一カ月千五百円から三千円の補食を必要としていますが、基準給食によって給食費は高くなります。しかもいままで以上の補食費が必要とされております。また基準寝具についても、私たちの生活のすべてはベッドでございます。長いベッド生活の苦痛をやわらげるため、さまざまな経験の中から、自分のからだに合ったものをそれぞれにくふうをして、重症者は「ベッドは命だ」とも、「寝具は自分のからだの一部だ」とも言っています。基準寝具が採用されますと、統一した規格品があてがわれ、大きい人にも太っている人にも合わないようなきめられた規格品があてがわれ、敷ぶとんはわずかに一枚という状態です。
すでに行われているところでは、私物のふとんをないしょで持ち込み、昼間は倉庫にかくしておいて、夜になるとこれを出してきて使うということも聞いております。施設側は、かい巻については丹前として認めると言っていますが、これこそ、すでに私物がなくてはやれない、その私物の必要性を確認しているもので、これでもなお基準寝具を強要し、一日五十円という加算料金を取ることがほんとうに患者のためになるでしょうか。いま私たちは、療養所から貸与されているシーツは月に二回洗たくのために交換しますが、この交換についても、看護婦さんが行なうことになっております。しかし患者がほとんど手伝っております。これは手伝わざるを得ないのです。ところが、基準寝具になりますと、シーツ交換は月に四回、ふとんの包布交換は月に二回です。いままでの何倍という費用が必要となる。しかし現状の看護人員の中でそれはどうしてできるでしょうか。いま大日向荘の看護婦さんは夜勤、早出などで一カ月のうち半分は病院に泊り込みの状態です。そのために、ほとんどの人が疲労のために健康を害し、先日行われました血液センターへの献血に際しても、申し出た五十人のうち半数の人が血液の濃度が正常人より薄い、低いということで採血を断わられております。また、最近十二名の出産者があったわけですが、そのうち六名の看護婦さんは、死産、流産、異状妊娠をしています。労働過重による疲労の蓄績がこうして看護婦さんの健康をむしばんでいるのです。重症者が入院してくると、「ああ、また手のかかる重症者か」と看護婦さんがこぼします。でも、私たちにはこのことばを責めることができません。
さらに国立療養所の特別会計制は、医療費の面からも私たちの療養生活をおびやかしています。しかも、その上政府は医療保険の抜本的な改悪を準備しています。それによれば、入院中の患者から給食費を取ることなども計画されているようです。私たちは、国立療養所の特別会計制がこの抜本改悪に道を開くものとして、一そう不安に思っているわけでございます。
私の友だちで、武藤さんという人は、先生から今後なお治療が必要だと言われていたのに、突然埼玉県の管轄の本庄保健所から、排菌がとまったというだけの理由で退院勧告が出されてきております。また、近藤すみえさんという患者さんは、もう二十年の療養生活を続け、まだなおる見通しがありません。行き場もありませんのに、群馬県の高崎福祉事務所から、突然療養生活が長過ぎるからという理由で、「もういいかげんに出なさい」と言われ、本人は泣いています。こういう問題は私たちの身辺に数限りなく起こっております。
厚生省当局、また県当局、施設側の責任者は、口をそろえて特別会計制になっても患者さんに迷惑はかけませんと言っておりますが、しかし、迷惑とは一体どういうことでしょうか。患者がなおり切らないうちに追い出され、あるいは看護婦さんの仕事を手伝わせている、また看護婦の目の届かないところへ入室させたり、重症であるために入院を拒否されたり、果ては行き場を失って自殺する。こういうことは一体私たちの迷惑ではないのでしょうか。
以上、私の経験と、まわりで起きました実態から意見を述べさせていただいたわけですが、絶望のふちに立たされた私が、ここまで元気になれたことを振り返ってみて、国立療養所こそ、私たちに残された最後のとりでだと断言できます。いま、特別会計制に塗りかえられることによって、私たちの療養の場は不安と混乱におちいっております。この安住の地を失った私たちはどこに療養の場を求めたらいいでしょうか。参議院こそ、日本の良識と確信いたします。
結論を出される前に、どこでもけっこうです、国立療養所の実態を直接見に来てください。そして、実際に苦しんでいる私たちの実情を見てください。私の出発を見送ってくれた重症の仲間たちも心からそれを望んでいます。
最後に私は、患者を代表して、国立療養所を特別会計制にすることに反対ですし、それを認めることはできません。国の一般会計で、国立療養所を運営し、結核対策をいまこそ充実させることを心から希望して、参考人としての意見を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/7
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008・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 参考人各位より御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。
それではただいまの参考人の御意見に対し御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/8
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009・木村禧八郎
○木村禧八郎君 お忙しいところを参考人としてお出ましになったことに対し、心からお礼を申し上げます。
橋本参考人にお伺いしたいのですが、先ほど多少おくれてまいりましたが、結論として、特別会計への移行はけっこうだというお話があったんですが、この特会制につきましていろいろ衆議院でも参議院でも質疑してまいったのですが、厚生省当局によりますと、この問題はもう十数年来懸案であったと、こう言われているのです。ところが、四十三年度の予算になって突如これが特会制になった、実行されるようになったわけですが、ところで、実際にきのうも公明党の小平さんからいろいろ質疑がございまして、非常に明らかになったんですが、いまの一般会計で国立療養所の経理をまかなっておるのと、それから特別会計にした場合、どこに一体メリットがあるのか、いろいろ聞いてみますと、はっきりしないわけです。それで結局結論は、具体的には四十三年度では十五億の借金が新しくできるということと、十八億の財産を処分することができて、約三十三億で新しく資金調達ができる、それによって施設なんかは新しく改善される。いままで長い間放置されてきたことが問題でありますが、そうすると、問題は三十三億の財源ということになるのですね。いろいろ聞いてまいりますと、一般会計では借金ができないのですね、一般会計でやっている場合。特別会計になると借金ができる、財産処分の十八億ができる、こういうことです。三十三億の財源があれば何も特別会計制にならなくてもよいということになるのですね。結局は財源問題になってくると私は思うのです。そのほかにいろいろ問題があると思いますけれども、しかし政府の意図は、はっきりと療養所が特別会計になれば一般会計でできない借金ができる、財産処分によって。いわゆる経理が楽になる、一般会計でしばられていた経理が楽になる、そこに大きなメリットが、特徴があるということが言われるのです。問題は三十三億、本年度に限って言えば。ところが、橋本さん御承知と思うのですが、たとえば四十三年度租税特別措置によりまして、利子所得の分離課税及び税率の軽減によって二百六十億も減税しています。それから配当所得の課税の特例で三百二十億減免税をしております。両方で五百八十億も四十三年度に税金を負けているのです、臨時の特例によりまして。ところが、もう長い間の質疑で明らかになったんですが、こういう利子所得や配当の課税の特例は資本の蓄積、貯蓄を増加させる、資本蓄積に役立つためにしているのだと政府は言っているのですけれども、これは実際には資本蓄積には役立っているのか役立っていないのか、証明されていないのです。証明されていないんですよ。とにかく、ただそういう人たちにこれだけの恩恵を与えているということだけは事実なんです。したがって、この問題は日本の国家財政全体から見なければならないわけであります。特に本年度、四十三年度に踏み切ったというのは、御承知のように、四十三年度になりまして財政の硬直化ということが言われ出して、そこで単にこの特会問題だけでなく、全体に社会保障に非常にしわ寄せされている。大蔵省の説明によりましても、はっきり財政硬直化の一番大きい原因は交付税であるというのです。大体まあ一〇%くらい自然に義務的経費が毎年ふえてくる。その一〇%のうち交付税が三・一%で一番大きい。その次は人件費で二・二%ですか、その次は社会保障費だというのですね、一・九%。そこで、まず交付税に、地方財政にしわ寄せし、人件費にしわ寄せし、それから社会保障にしわ寄せする、それで財政硬直化を打開する。その一環としてこの特会の問題が出てきているということは明白なんです。ですから、との問題はそういう国全体のいわゆる財政の問題、特に四十三年度にこの財政硬直化の問題としての一環としてこれが出てきたという、そういう立場からこの問題を見なければならぬと思うのであれます。ところが、いまのお説ですと、特会制けっこうというお話なんですが、私はその点がどうも割り切れない。むしろ、先ほど吉田先生から非常に具体的に、これまでの国立病院の経験、それからいまの国立療養所の実態等のお話を承わりまして、これは特会制になったらたいへんだ、独立採算というものを意図していることは明白であるというお話がありまして、これは医療の公共性を放棄するものというお話がありましたし、また、いま患者の浦部さんからも深刻なるお話を承わりまして、いても立ってもいられないような気持ちなんでございます。こういう状態でございますから、やはりどうか橋本さんにも、大所高所からもひとつ御検討をいただいて、この特別会計制にわれわれは反対の立場にあるのですけれども、もう少しわれわれに納得いくような御説明をひとつぜひお伺いいたしたいわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/9
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010・橋本寿三男
○参考人(橋本寿三男君) 私が申し上げましたのは、病院にどのような会計組織がふさわしいか、それにはいわゆる病院というものが経営体であります以上は、経営にふさわしい組織を持っていなければならない。同じ国が三十億、五十億を投入されるにいたしましても、そのような病院にふさわしい組織の上に積み重ねていただくことのほうがベターであるということを申し上げたわけであります。特別会計制度というのは、しかし、最後に申し上げましたように、一つの運営、経営をするための手段にすぎませんので、それの方法を、道具をうまく使っていただくことを私どもは期待しているわけでございます。国立療養所というものが一つの特殊な使命を持ち、国民のいわゆる特殊な医療の最終拠点としてこれから育っていこうとされるならば、一そうのこと、それにふさわしい会計組織が必要であるという趣旨でございます。したがいまして、そういうしっかりした組織の上に、大いに国費を導入していただきたいというのが私の念願でございます。
ここで誤解をよくされるのですが、私は病院というものは、およそ公的な性格を持ったものである、一つの社会機関であることは、常々いろいろな本にも書き、主張をしているところでございますけれども、まあ吉田先生もよく御存じと思いますが、しかし、それなるがゆえに、その会計組織はいいかげんで、いわゆる銭勘定ばかりする、そういう——言い方は悪いのでございますが、銭勘定ばかりするような会計組織を放置しておくことは、病院にとっては一般に行なわれておりません。欧米どこの国に行きましても、まあ先生方もよく御存じと思いますが、英国の病院の経理などというものはきわめて厳密に経理されております。つまり検査部門ではどのくらいの費用をどうして投入しているか、そうして一人当たり幾らかかっているかというようなことが精密に原価計算されております。またそれは公的な病院の多い、いわゆる市立病院が中心になって病院を形成しておりますフランスにおきましても、もう必ずりっぱなバランスシートができ、その経営分析が行なわれております。そういうことが国の予算を一方的に使うような仕組みの上に可能であるかといいますと、私はたいへんむずかしいのではないかと思います。むしろ思い切って投入していただくためにも、その地固めをしていただかなくちゃならぬ。もちろん国立病院の特別会計制度が全く国際水準に沿うようなりっぱなものであると、私自身もそれは断言をはばかりますけれども、しかし、一般会計のワクでただ漫然とお金を注ぎ込むというようなそういうやり方よりも、病院にはもっといいやり方があるということを申し上げたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/10
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011・木村禧八郎
○木村禧八郎君 はなはだもう一度御質問して申しわけないのですが、おことばを返すようで申しわけないのですが、実は予算制度のもとでは特別会計というのは例外なんであります。まあ今度の新しい財政法でこれは例外ではなくなりましたけれども、しかし、それだからといってむやみに特別会計をふやしていいというわけではないのでありまして、一般会計のほうが経理は何と申しますか、これは国民にとって総合的にわかりやすいような予算になるのでありまして、いわゆる単一予算主義と私が言うまでもないわけでありまして、それで特別会計というのは、特別会計にすると経理が楽になるように思うのですね、どうもこの国会での監督監視ですか、これがだんだん困難になるのです。ですからなるべく——財政法でまあ規定がございまして、特定の資金をもって特定の事業をやるときは特別会計をやっていいとか、三つばかり条件があって特別会計を設けることができるようになっておるのでありまして、従来はまあ例外でありましたが、いまはいわゆる例外ではなくなったのでありますけれども、といって特別会計をむやみにふやしていいというわけじゃないのです。どうしても特別会計になると、国会での、あるいは国民の審査が何というか、ルーズというか、十分行き届かないという弊害があるのですね。ですから、原則はやはり一般会計でやるというのが原則です。しかし、非常に世の中が複雑になりまして・いろいろな事業がありますから、一般会計だけではとてもまかなえませんので、特別会計はどうしても必要ではあるのです。しかし、これはなるべく私は一般会計でまかなうのが、経理の面から言えばですよ、このほうが目が届き、そうして会計検査もかなり十分に行なわれると思うのであります。ですから、私はそういう面ではむしろ一般会計で経理したほうが、経理面からいって厳正に行なわれると思うのであります。
それともう一つ、なぜ特別会計に四十三年度予算でしたか、この時点でしたか、いままでずいぶん懸案だったのですよ。なぜこの時点でやったかというところにひとつ着目する必要があるのじゃないか。それはやはり財政硬直化になってきて、はっきりしわ寄せをすると、その一つの手段であるということは非常にもうはっきりしているのですね。だから、そういう政治的ねらいというものもかなりというか、非常に重く見なければ問題意識がずれるのではないかと、そういうように私は思うのでありまして、おことばを返すようで申しわけありませんが、もう一度どうも先ほどの御説明では納得できませんので、お願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/11
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012・橋本寿三男
○参考人(橋本寿三男君) どうもたいへん私のことばが足りませんがゆえに、先生に御理解をいただけませんで残念でございますが、特別会計になると、まあ国家予算という面から申しますと、監督がやりにくくなるとおっしゃる面は確かにそういう面があるのではないかと思います。しかし、私は日本によりよい病院を一つでも多くつくりたいということを生涯の仕事と私なりに心得ております人間でございますので、病院の側から申しますと、多少まあ国家が監督の面で二次的な短所を持っておりましょうとも、病院自体が育つような組織というものが必要であるということを申し上げておるわけであります。それにはやはり病院自体の動きに常に並行して経理というものがなされる、官庁会計と申しますのは、ありますお金を間違いなく使うためにあるというのが一般に——先生方の中には経営学者もおいでになると思いますが、経営学では言われておるところであると思います。したがいまして、間違いなくお金を使うことが病院におきましては至上目的ではありませんで、ありますお金も物も人も有効に使うことが至上目的であろうと思います。したがいまして、特別会計である種の仕組みを、病院にふさわしい仕組みをつくり上げて、もし一般会計のままでそういうものができますならば、可能ならけっこうでございますけれども、これは望んでも得られないことであろうと思いますので、特別会計という、まあ逃げ道と申しましては悪いのでありますけれども、一般会計からやや独立性を持った制度によってむしろ要求を充足していただくことが願わしいということです。
なぜ四十三年度にそれが問題になったかという御質問につきましては、これはむしろ政治的あるいは行政的な当事者の御判断でそういうことになったのだと私は信じておりますが、それ以上のことを私から申し上げるわけにはまいりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/12
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013・須藤五郎
○須藤五郎君 橋本さんは、いい病院をつくるということをおっしゃるが、それはけっこうなことだと思うのです。私は、いい病院をつくって、そしていい治療のできるような設備をして、そして患者に満足してもらうということは、これはもう文化国家として当然のことだと思うのですね。まあ民間にはそういういい設備をした病院もありますよね。しかし、貧困層の人たち、それから長期療養を必要とする結核患者、まあ大体結核患者の方には貧困の層が多いということを聞いておりますが、そういう人たちが民間のいい病院に入院することができないんですね、費用の面で。それならば、やはり憲法の精神、社会保障の精神の立場に立って、国がいい病院をつくって、そしてその費用の点なども心配なしに治療のできるという設備をやはり国が私はしていかなければならないんじゃないかと思うのですよ。それは実際に今日やられておるかというと、そうでもないと思うのですね。そこに非常な矛盾があるのじゃないでしょうか。もちろん医療が昔から言っている聖職で、お医者さんは食わなくても患者のために働けというようなことも通用しないかもわかりませんけれども、しかし、今日実際に貧困層が多数日本にあって、そして結核患者がたくさんあるというこの現実をどうして措置していくかという点に立てば、やはり国の費用で、患者の負担でなしにりっぱな設備をつくって、そして患者をなおしていくという、これがやはり私は必要なことではなかろうかと思うのですよ。それをそっちへ置いておいて、すべて医療は企業であり経営という面があるから、そこはやはりそろばんがとれるようにしていかなければならぬというようなそういうものの考え方自体、私は医療の何たるかを実際に理解していらっしゃるのかどうか、それで憲法で保障されている社会保障の精神を実際どういうふうに理解していらっしゃるのか、そういう点を私はどう処置していかなければならぬか、これは吉田先生と橋本先生とお二人の方に、どういうふうに処置すべきものなのか、一ぺん聞いておきたいと思います。どちらからでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/13
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014・橋本寿三男
○参考人(橋本寿三男君) じゃ私から。私の申し上げました関連事項だけ先生の御質問に対してお答えさせていただきます。
第一点の貧しい人たちの病院というものを国がやらなければいけないのじゃないか、もしそういう必要がありますといたしますならば、それはまさに国がやらなければならないと思います。私は、私のことばの中に収支対応の原則と申し上げました。収の中には必ずしも患者さんからちょうだいするものだけをさしてはいけないのだ、それはこういう政策のためにはこれだけの資金は国が保障するのだというような、そういう政策がなければならないのだということを申し上げたはずでございます。したがって特別会計制度とか、あるいはそれに伴ういわゆるその形態にふさわしい会計組織を使いますことは、それらのお金が有効に適切に使い得るような仕組みを経済的につくり上げるということにおいて有利であるということを申し上げただけでございます。私は何も町にりっぱな病院があるから国はいいのだというようなことを申し上げているのではありませんで、むしろ国が特定の目的のためにおやりになるならば、大いにその目的のために資金をつぎ込んでいただきたい、そうしてそれがうまく使いやすく、病院のためになり患者のためになるような仕組みを早くつくり上げていただくことが必要だということを申し上げたわけであります。私は病院を企業的経営体という経営懇談会の御議論に対しまして、企業的ということばさえも御遠慮申し上げたわけでございまして、国家の経営もそうでございましょうけれども、病院が経営体であるというだけの前提、経営であることは間違いないのですが、経営体であるということだけを申し上げて私のお話の前提にいたしましたので、ぜひその辺は先生にもおわかりいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/14
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015・吉田秀夫
○参考人(吉田秀夫君) じゃ私から。いい病院ということは、建物が非常にデラックスだというこ
とではないと思うのですね。ですから、建物がデラックスでなくても、やはりいい医者がいて、いい看護婦がいて、まともな労働条件で、非常に親切な、近代的な医療行為あるいは医療サービスが
できるという、そういうことで患者あるいは一般国民に対応するというそういう状態がどの程度まで日本の医療機関の中で保障されるかといいますと、私は大学病院から下は個人病院に至るまで、全然だめだと思っております。それほど実は最近の医療制度の中にはいろいろな不合理、矛盾が一ぱいございますし、医者の数にいたしましても、国際的に大体中ぐらいでございますが、それでもほとんどが農村でなくて都市に集中するし、あるいは公務員である勤務医師になる人はほとんどな
いし、どんどん開業していくし、実際には看護婦は三十六年の人事院の判定さえ守れないようなたいへんな労働強化で、いまお触れになった国立療養所の実態、あれがどうも国立の病院や公立病院の実態ではないかと思われるほど荒れ果てております。そういう点が私は問題だと思うのです。これは大体マスコミで政治的、社会的にかなり問題になりながら、いまだに改善されないということは、どうも私は日本の政治全体がやはりそれほど深刻に国民全体の命を守り、あるいは健康を保持し、あるいは病気になったらそれをすみやかに安心して直せるような、そういう仕組みを一体まともに考えて今日まできたのかどうかという点が、私は問題だと思う。その一番中心が厚生省でなくてはならぬわけですが、厚生省も大蔵省のいろいろな圧力があるんだと思うのですが、さっぱりまともに医療政策を打ち出してきたということは、私は戦後の推移の中で一ぺんもありません。国立病院はとっくの昔にやられているのですが、国立療養所に独立採算制を強制したり、あるいは特会制に移すというようなことが、これが厚生省の政策なら、私は前向きでありませんし、逆に後退だと思いますね。そういう点が医療保障の持っている、医療保険の持っている矛盾、不合理と相和して、日本の医療制度と切り離しできませんから、そういう何か全体の医療保障の後退、医療政策の後退を私はたいへん心配しております。そういう点では国も自治体も、事医療については責任を持たない、医療公共性を放棄する、できればこれは全部個人病院にまかしたらいいんだというようなそういう政策の推移が感じられてなりませんものですから、これは私はたいへんなことだと実は心配しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/15
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016・須藤五郎
○須藤五郎君 実は私の女房は医者だったわけなんですよ。戦前は社会保障も、いまも十分でありませんけれども、いまほどのこともないし、そしてまあ貧困者は医者にかかりたくてもかかれない、薬ももらえないという状態がずっと続いたわけなんです。私はそのときにほかに職業を持っていて、私の収入で一家は十分にまかなうことができましたために、私は女房に、まあ医師法ではその当時は禁止されておりましたけれども、おまえは医薬はとにかくうんと安くせい、貧困者にはただで投薬しなさい、医師法違反でもかまわぬからやれと、そして私はずっとやらしていたわけなんです。まあ戦後健康保険というものが不十分ながらやられて、それで貧困層も医者にとにかくかかって薬を飲むことができるような状態になった。そして国立療養所というものがあって、まだまだ私は不十分だと思うのですが、結核の人たちが長い何年間というものそこで落ち着いて療養することができるようになった。しかし、これは私たちは医療というものは全然患者の負担じゃなしに、すべて国の責任において十分なことがなさわるというのが理想だと思っているんです。しかし戦後そういう方向に前向きできたように見えるやつが、今度のこの特会制などを通じ、去年の医療制度の改革というのですか、健康保険の後退によってまた逆の方向にどんどん行くということが私には感じられるわけです。ですから、去年の健康保険の改悪のときにも私たちは反対をしました。それと同じ気持で国立療養所の特会制に対しても私は反対をしているのですが、私たちの理想とするところ、考えていることと、今日日本の医療制度がだんだん逆行していく、そうして、橋本さんは企業じゃないとおっしゃいますけれども、しかし、何だか企業へ、営利事業にこれがだんだん移行していくような感じがしてしかたがないのですね。そうなれば、日本の貧困層は一体今後どういう医療を受けることができるのか、どういう状態に追い込まれていくのかと、また戦前の状態に戻ってしまって、とんでもないことがくるんじゃないか、これはまさに私は日本の憲法で保障している社会保障制度の逆行だというふうに考えられてしかたがないんですよ。だから、むしろこんな特会制じゃなしに、橋本さんもりっぱな医療ができるようにとおっしゃるが、そのりっぱな医療のできるように一般会計から金を投入して、そうして十分なことができるような方向に持っていくことこそ、私は文化国家の歩むべき道であって、社会保障をうたっている憲法を持った国の政治の私はあり方だと思うのですが、いまのあり方は逆になってきているというふうに思うのです。これはあとから三人の方の意見を私はお聞きしたいと思うのです。
それからお医者さんが足りない、看護婦さんが足りないということで、実際に非常な悲劇が起こっているということも浦部さんから私は伺いましたが、私も普通の市内の病院にも入ったことがあります。それから国立病院にも入ったことがあります。しかし、どうも私が一番感心のできないのは国立病院ですよ。国立病院の内容、建物は八階建て十階建てになって、中はずいぶんすばらしい、建物自体はりっぱです。しかし普通の大衆ベットというのですか、あるいは大ぜいの人が入る部屋の数は少なくて、それから上のほうにいくと、一部屋個室があって、それは一日三千円、高いのは一万円、 二万何千円というような部屋がずっとある。その部屋はがらがらあきなんです。そうして大衆の入る部屋は満員で、そう入れないというようなこと、それから食堂の食事も国立病院が一番粗末でした。それで、そこに入っている患者さんたちは補食をしないと生活をやっていくことができない。そうしてその補食は非常に費用が高い、その食堂の費用は非常に高い。そういう非常におかしい現象が国立療養所に現われている。こういう経営のしかたをやらなければ、独立採算というものが、いわゆる特別会計というものが成り立たない。だから経営の形がやはり特別会計というワクにしばられてそういう方向に行かざるを得ないじゃないか、こういうふうなことを私は国立病院に入ったときに実は考えさせられて帰ってきたのです。だから今日の国立病院がはたしてほんとうに一般の国民の期待にこたえているか、利益にこたえているか、私は何だか反対の方向に行っているような感じがしてしょうがないです。あんな国立病院ならやめたほうがいい、あれはひとつの特権階級のための国立病院であって、一般国民のための国立病院じゃないという感じを受けて私は出てきたことがあるのです。これが一点。これも皆さんの意見を聞きたい。
それから私は国立病院の院長さんに、あなた給料は幾ら取っていらっしゃるのですかと聞きますと、給料は安いですね。東京大学の教授をしておった方が病院の院長さんになられた、その院長さんの給料は十万円ぐらいですよ。そういう学位を持ち、りっぱな経験を、三十年も経験を持った一流のお医者さん、その道の大家です。その人の給料が十万円というのはおかしいというような感じがするのです。現に例をあげれば、この国会に医局があります。この医局に大学で研究をしていらっしゃる学位を持った先生でありますが、この先生もりっぱな先生です。この先生が一週間に半日ずつ二度ぐらい見えるはずなんです、かわりばんこに。しかし、その先生が幾ら給料を取っていらっしゃるかということはお調べになったらわかるのです。病院長として責任持った立場にある院長先生の給料が十万円そこそこでどうしてやっていけるかと思うのです。これはおそらく厚生省の課長さんよりも給料安いのじゃないですか。(「簡単簡単」と呼ぶ者あり)簡単じゃない、これは重要ですよ。そんな待遇をしておってはいいお医者さんは集まりませんよ。お医者さんがこれだから看護婦さんの待遇がどんなひどいものかということがわかる。だからさっき浦部さんがおっしゃったようなそういう悲劇が起こるということになるのです。こういう点も私はせっかくの機会ですから、お三方から意見を聞いておきたいと思います。あまり長くなるというと文句が出てきますから、私の質問はこの程度にしますが、どうぞお三方から意見を聞かしてください。これがほんとうの文化国家の医療として誇り得る医療なんでしょうかどうでしょうか。どうぞお三人だれからでもいいですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/16
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017・橋本寿三男
○参考人(橋本寿三男君) 私の本日お呼び出し受けました議題と少し違っている点もあるかと思いますが、せっかく意見を言えという御下命でございますので簡単に申し上げたいと思います。
まず、患者が自分で医療費を払う仕組み、これを公に強化していったのが健康保険であり生活保護法であり、福祉立法であると思うのであります。そういう方向でいま日本の国が進んでおるということを承知いたしております。それが最もいい方法であるかどうかにつきましては、それは議論のおありになるところで、先生の御意見は十分拝聴さしていただきました。国立病院の内容に関する御批判、これはあるいは私どもよりは先生のほうがよりよく御存じであられるのかもしれませんが、特会問題とこれらを直結されることについて私は異議があります。その点だけははっきり申し上げておきたいと思いますのは、それは特会の制度が悪いのではなくて、特会の使い方が悪いのだと私は申し上げたいわけでございます。要するに、もしそういう現実がやむを得ずつじつまを合わせるために行なわれるものであるといたしますならば、それはどうしてもそこへもっと必要な資金をどこからか導入していただかなければ改善されないということでございます。特に最後に申し述べられました医師、看護婦の給料が安いという御意見につきましては、私も私の意見の中に申し述べさしていただきましたように、必ずしもそういうことは十分でないということを申し上げたつもりでおります。むしろ有能な医師や看護婦に対して十分な手当を出すような仕組みももう少し——特会よりも一般会計でも有利になるということもあり得るわけでございますが、いまの段階でそういうことを申し上げますと混乱をいたすと思いますので、この程度にとどめさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/17
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018・吉田秀夫
○参考人(吉田秀夫君) たいへんみじめなことは、日本の社会保障制度の国際的な水準が依然としてアフリカ、アジアの後進国並みだということ、実は健康保険も年金も労災保険も失業保険も家族手当はありませんから、こういう社会保障のいろんな諸給付に十分なお金が出ていないということですね。その中で私はやはり国が当然責任を持つというそういう分野に対して金を出し惜しみをしている。最近はいろんな抜本的な改革といわれておりながら、抜本的な改悪ではないかと思われるようなことが非常に露骨になってきていることをたいへん心配しております。したがって、いま言われた肝心の国立病院でさえも中身はぐあいが悪いということは、ある意味ではそういう政策をずっと堅持してきたかとも私は思うので、ほんとうはたいへんおかしい事態だと思うのですね。特に非常に古くさい二十三年にできた医療法、その後若干変わりましたが、医療法さえも守れないような病院、健康保険でいいますと、基準看護、基準給食、基準寝具、その中でも特に基準看護さえも守れないような病院、これが圧倒的に多い。そういう状態の中で厚生省がいろいろな法律やら施行規則やら通達を出しておりますが、とても応じられないくらい医者が不足している、看護婦が不足している、あるいは医療サービスが荒れ果てているということはたぶん御存じだと思うのですが、そういうことが放任されたままさっぱり改善されないという点が私は問題だと思いますが、おそらくこれから非常に課題になると思うのですが、肝心の医療保険だけに焦点を合わせないで、それに関連する公衆衛生とか医療の制度万般について、もう一ぺん国会の場でも積極的な、これたら国民はだれでもいまの時点でこの程度でいいと思うものを、一歩一歩前進するようなそういう政策、ビジョンを国民に出してもらいたいと思うのです。そういう点では、最近の動きを国民は失望しておりますし、本来医療保障、社会保障も自分の命を守り、健康を維持し、生活を豊かにするはずのものなのですね、それが逆に健康をこわしたり、医療がさっぱり保障されなかったり、あるいは生活に非常にマイナスになったり、あるいは年金の掛け金が税金と同様に重圧だ、そういう社会保障は私は困る。そういう点では、国会も含めて、特に国会議員の先生方の良識と御奮闘を私は期待する以外にありませんから、この程度に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/18
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019・浦部福司
○参考人(浦部福司君) 須藤先生の御質問でございますが、これと関連するかどうかわかりませんが、現在群馬県の国立病院の一人平均一カ月の入院費は二万四千円です。で、特別会計をすでに実施している国立病院、またそれにひとしい性格を持つ地方公営企業法の県立病院などの入院費は五万円から最高五万九千円という数字が出ています。では 容はずっといいんじゃないかというふうな見方が出るわけですが、しかし、その医療内容は国立療養所よりも落ちるわけですね。なぜこれほどよけいな入院費を取りながら落ちるかということ、私は専門家でございませんので、その点の詳しいことはわかりませんが、やはり外見をよくしたり、いわゆるていさいをよくすることだけに金を使ってしまって、肝心な内容の医療面については少しも金が使われないためだと考えます。
それから看護力の問題について御質問がございましたが、私も先ほどの意見の中で非常にいまのひどい看護の実態を申し上げました。これは一部には看護婦さんたちから誤解を受け、批判を受けるのではないかというふうな不安さえあるくらいです。しかし、私申し落としましたが、いま国立療養所の私たちのところの、また全国そうだと思うのですが、看護婦さん、また給食の人たち、それぞれ労働者の人たちはほんとうに一生懸命やってくれております。からだを害しながらも一生懸命やってくれております。それでなおかつそういうふうな手の足らないという実態が起きるということは、もともとこの職員の、あるいは看護婦さんの定員の数というものが問題だと思うのです。いまの実態から見ても、いまきめられている看護定員なんというのは全然実情に合わない。しかもこれは戦後の混乱どきの物心両面粗末な時代に出されたこの定員がいまもそのまま堅持されているわけですが、そういう中から起こる定員の不法なきめ方ですね、私たちがふやしてくれふやしてくれとどういうふうに頼んでも、定員のワクがあるのだということでふやしてくれない。ところが、その反面、その基準看護を実施するにあたっては、やはり看護婦さんがある程度たとえば准看何名、正看何名という数があるわけですが、そういう必要が生ずると、自分たちの都合上必要があると、いままでたった一人の看護婦の増員もできなかったのに三名も四名も簡単に増員できるわけです。そういう事実がすでに大日向にも起こっているわけですが、こういう面から看護婦さんが苦しめられているという原因の一番大きなことは、やはりいまの定員が実情に沿わない非常にひどいものであるということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/19
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020・戸田菊雄
○戸田菊雄君 御三人に一点ずつ質問したいと思います。
まず橋本さんにお伺いしたいと思いますけれども、吉田先生の内容で明らかになっておるわけですけれども、私たちも当然そう考えておるんですけれども、特会計に移行することによって営利化、独立採算化の方向に走る傾向があって、そういうことは結果的に医療の公共性というものがそこなわれるのではないか、こういうお話であったわけでありますが、こういう見解に対してはどういう御見解をお持ちですか、その点が一点。
それから吉田先生に一点お伺いいたしますが、過日の衆議院の審議の中で、わが社会党の八木委員のほうからこういう追及が政府になされた。それはどういうことかというと、今回の特会法移行というものは社会保障制度の根幹に触れる問題であるので、したがってこれは当然社会保障制度審議会の審議にかけるべきである。このことに対して園田厚相は、それは確かにかけるべきであった、まずかった、おわびをいたしますと、こういうことをおわびをしたのでありますが、ただそれが法律に照らして違法かあるいは適法か、こういうことになると、違法ではない、こういう言い方をしておるのでありますが、こういった見解に対する御意見を承りたいと考えます。
それから浦部さんに一点だけお伺いをいたしますが、非常に御苦労なされて、皆さんの意見を代表して、非常に胸をえぐられるような御意見をいただいて、これはまさに私たちは政治欠陥であると考えております。そういうことに対する皆さんの正当な抗議でもあるというふうにも考えるわけです。そういう中で、やはりまた病院に入院もできない重症患者がおると私たちは考えているのですが、そういういわば重症患者が入院したいということで来ても断わられるという、そういう実態が数多く出てきていると聞いているのでありますが、そういう状況について御承知であればお聞かせを願いたい。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/20
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021・橋本寿三男
○参考人(橋本寿三男君) 私は先ほど冒頭に申し上げました意見の中にも、収支対応の原則というものを非常に偏狭に理解する、あるいはそれが強制されるようなことがあってはならないんだということを申し上げたつもりでおります。私はその前提には、特会によって期待し得る病院が経営体としての流動性を持った会計組織を持つことがよりよいという前提に立ってそういうことを申し上げているわけです。つまり病院にふさわしい会計組織を持ち、その病院に特別な公共性、つまり公的な使命を負わせられますならば、そこへそれに必要な経費を収入として公につぎ込んでいただく。これは年々おそらく療養所の特別会計も先生方の御審議を得ることになると思うのでございますけれども、そういう場合に間違いなくそれを保障されるということは非常に大事なことだということを申し上げたつもりでおります。したがいまして、一般会計のままでとにかく療養所の予算を多くするというやり方がいいか、病院にふさわしいある種のこれを機会に会計組織をつくり上げて、そしてそれに思い切って資金を導入するほうがいいかということについて、私は後者を選んでいるわけでございます。したがいまして、特会制をやれば即公共性というものが失われるというそういう考え方には立っておりません。私は病院を運営する手段としての特会制を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/21
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022・吉田秀夫
○参考人(吉田秀夫君) どうも私と橋本さんとだいぶ違うようです。私はやはり特会制という一つの手段といっても、現実のいままでの実績は特会制は営利化である、独立採算制の強制であると言っている。そういう意味で先ほどお話の社会保障制度審議会は私も占領中に委員をやっておりましたが、大小の社会保障関係の法律の改正案はやはり当委員会にかけるべきものだと私は理解しております。まして関連制度のような場合でも、たとえば恩給のような場合でも、やはりあの当時はちゃんと審議会にかけて審議したという記憶を持っております。今度のように大体六割以上が生活保護法あるいは結核予防法その他公費負担の患者のための最後の長期治療をする場所だというような、そういうようなことに対する問題を審議会にかけなかったというのは私はおかしいと思うのですね。当然かけてから審議会の意見を聞いて国会に出すべきじゃなかったかと思うのです。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/22
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023・浦部福司
○参考人(浦部福司君) 私もベッドで寝て生活をしていますので、それほど広い範囲にわたってはわかりません。ただわかっている範囲のことについてお答えしたいと思うのですが、先ほども申し上げましたように群馬県の場合、国立の沼田病院で何と言いますか、最近結核も非常に老年の人がふえているわけです。したがって結核からくる併発病のいろいろな内臓疾患、心臓が悪い、目が悪い、耳が悪いということがあるわけですが、またこれが同時に非常に治癒も結核性の疾患であるために困難だということで、いろいろなやっかいな問題もあるし、そういうことで、そういう患者が入ってくると、現状の看護婦さんではとても手が足らないし、そういうことが理由だろうと思うのですが、ていのよいことを言って、これじゃしようがないからほかに行ってくれとかというようなことで断わられて、しかたなしに大日向荘のほうに来たという例が幾つかあります。これはつい先日も問題になったわけですが、いま横浜療養所がこの四月一日から、私もその間の事情を存じておりませんが、療養所から病院に転換されるという問題があって、個々の患者さんたちや、また職員の人たちがほんとうに心配して、大ぜいの人が血相を変えて出てまいりまして、当時厚生省の医務局長や療養所課長といろいろな話し合いをしたわけです。その中でもいろいろと実態が出されたわけですが、特に横浜療養所の所長さんは非常に良心的な人で、まだほかにも結核ベッドを持っている病院がまあ何カ所かあるそうですが、そういうところではほとんど重症者は扱わないということで、いままではそういうものを一手に横浜療養所で引き受けていた。しかしこれが病院に転換された場合には、まあいろいろないわゆる採算的な面もあるでしょうが、もうそういう重症者はうちでも引き受けられなくなるという実態が出されたわけです。そのときに、詳しい問題についてはうしろに控、えておられる若松医務局長が御存じのわけですが、そういう点があったのかと医務局長も驚いていたような実態があるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/23
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024・森中守義
○森中守義君 橋本参考人にちょっと伺いたいのです。私ちょっとおそくなりまして御所見を拝聴できなかったのですが、最近医療関係で特に注目すべき問題は、先ほど浦部参考人からはしなくも言われたように、国立療養所における収容患者の選択が非常に顕著になっております。そのことが各施設における空床を多くつくっているということもあげられているようでございますが、元来私どもの考えとしては、国の機関としての療養所というのはその設置の目的等から言いましても、長期慢性、そして重症患者、こういう人たちを中心に加療すべきものだと心得ております。それが逆に患者の選択ということになれば、少なくとも設置の趣旨目的に沿わない結果であって、言ってみれば、社会保障政策の異常な後退ではないのかというように私は考えるわけであります。したがって、今回一般会計から特別会計に移る今日の時点における政府当局の説明、それによりますと、先ほど木村委員からも指摘がありましたように、資産の処分十八億、借り入れ金十五億、三十三億のいわゆる予算上のこれが弾力性と言い得るかどうかはいろいろ議論もありますけれども、その辺に目的が置かれておるようですが、実際問題としていままで特別会計の中にとられてきた傾向、そしてその内容と実績からいきますと、どうしても収支のバランスをとるということが特会制の特徴になっておるわけであります。これはひとり今回の療養所特別会計に限らないで、在来存在をする幾つかの特別会計の審議の経過を通じて、そしてその運営の内容を通じて明らかになっております。そういうことになれば、この場合においては独立採算ではないという規定をされておりますけれども、これが一年あるいは二年、三年というように日時の経過の中に運営上そのことがきわめて顕著に、しかも具体的な事実としてあらわれてくることが懸念をされるわけであります。そうなれば、最初に申し上げましたように収容患者の選択ということ、そして採算ということが相通ずる大問題になって非常に危険な方向に——国の機関として何のためにつくったのか、その目的は急激に失われる、そして政策としての後退を招くんではないかと私は憂慮いたします。むしろそのことが今回の特会制の大きな論争点でございますが、その辺の矛盾はお考えにならないのかどうかということが一つ。
それから吉田参考人にもう一つお尋ねしておきますが、きのうの厚生大臣と私どもとの間における質疑の中で、今回の特会制というものは厚生省が求めているのか、財政当局が求めているのか、どちらかという質問に対しまして、厚生大臣はきわめて明瞭に言明しております。つまり厚生当局が求めたものではございません、財政当局から強い要請があった、ただし十年間の長期にわたる検討の期間はありましたと、こういう答弁であったわけです。むろん公式の場所における見解ではございませんが、閣議等において厚生大臣のかなり抵抗したことは事実だと聞いております。したがって、財政当局が医療当局に対してそういうかなり規制を加える、つまり今日の国内におけるこういう社会保障等の問題に財政支配をだんだん強化しているというところにかなり強い抵抗を私どもは感ずるのでございますが、その辺に対して今日のそういう制度、あるいは財政との関係をどういうようにお考えか、このことを御両者よりひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/24
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025・橋本寿三男
○参考人(橋本寿三男君) 私は、この国立療養所における患者選択と言われましたただいまの森中先生の事実につきましては存じ上げませんので、ちょっとどういうお答えを申し上げてよいのか戸惑う次第でございます。ただ、もしそれが事実であるといたしますならば、そういう前提を置きますならば、仮定を置きますならば、それはその職員たちの特会意識のはき違えであろうと私は思います。やはり国立療養所には国立療養所の至上的な使命があるはずでございますから、それをどう充足していくかということに至上命令があるはずでございます。ただ特会にするしないというのはその道具にすぎません。で、御質問を私が理解いたしましたのは、独立採算でないとかあるとかということばは私は一度も申し上げなかったのでございまして、何を独立採算というのかと申しますと、専門的にはたいへん議論のあるところであろうと思います。これは日本の公的な病院のほとんどが独立採算ではないんではないかと私は理解しております。そういう言い方をいたしますと、そのこと自体にまあその実際論的な議論があり得ましょうと思いますが、要するに私が申し上げましたことは、病院がある種の財政組織を持つことによって、よりよく資金を活用できるということがあるといたしますならば、それを今日の段階で、いわゆる一般会計でまかなわれております国立療養所の立場といたしましては、それを特会に求めることは無理のない、私をして言わしむれば合理的な一つのステップであるということだけを申し上げておきたいと思います。いわゆる医療の公共性とか、国療の公共性というものとそういうこととの矛盾はないかという御質問に対しましては、私は寸毫もその矛盾を感じておりません。要するに、国家が使用される資金というものがりっぱに消化されるようなそういう仕組みを私は強調しておるだけでございまして、そういう資金が先細りになりましたり、非常に内輪にきめられたりすることは私といえども不安を、将来については不安があるということは私も率直に申し上げたわけでございます。またそれらが医学の進歩に即応するような形で、また国民生活の向上に即応するような形で強化されていくことを念願しておることにつきましては、私は皆さまに決して負けないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/25
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026・吉田秀夫
○参考人(吉田秀夫君) 社会保障制度と財政の問題というようなことになりますと、きわめて何か格調の高い政治的な問題であるんですが、私の経験からいいますと、昭和三十年代になって初めて国家財政が、あるいは国家の資金が非常に有効な制度については優位いたしますが、短期保険の典型である健康保険のような、こういう制度には金を出すべきではないというような意見が半ば公然と出ましたのは、七人委員会という学者先生の集まりのときにそういう意見が出ました。ただ私の大体知り得た範囲では、大蔵省というのがもし財政当局であるならば、大蔵省当局が公然と日本の医療保障制度に対して意見を言うようになりましたのは、やはり健保共済の赤字が非常に累増したという三十九年以後ではないかと私は思うのです。四十年以後も大蔵省がたとえば与党の政調会に意見を出したり、去年の十月には非常にはっきり言っておりますね、財政硬直を理由にして、たとえば健康保険制度なんかはもし赤字になれば保険料を上げたらいいし、もしそれでも赤字になれば一部負担を拡大すればいいじゃないか、大体本来自前でやるのがほんとうなのに、医療保障制度に金を出すのは一番最低の線だ、愚かなる線だということを財政審議会に出したことも私は拝見しております。ただそのくせ、実は社会保障制度を大蔵省は国全体の財政ではかなり活用していると思います。その一番典型なのは大蔵省の資金運用部と財政投融資の関係ですね。特にことしの予算を見ますと、四十三年度には財政投融資は二兆六千九百九十億ですね、それに対しまして大蔵省の資金運用部から吐き出すのは一兆七千九百十八億円ですか、その一兆七千九百十八億円の中で、何と厚生年金からの見込みがことしで五千百十億円ですからね。こういう膨大な千九百万人も入っている厚生年金、こういう膨大な金をたった一年で財政投資に吐き出すということは今度が初めてなんですね。そういう点では、社会保障の中で年金保険みたいな制度はもろに国家資金化し、これが財政一般の巨大な財源であるという点では、私は大蔵財政当局はこたえられないと思うのですね。そういうことのうまみがあるならば、たとえば国立療養費の場合で、たかだか何十億というような金の出し惜しみは私はおかしいと思うので、私はもっとなぜ厚生大臣も含めて厚生省当局はがんばらなかったか。私はきのうの質疑応答を見ますと、私は逆に厚生当局を激励したいような、どうもやられてしまっているようなわけでぐあい悪いと思っているんです。これが率直な感じです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/26
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027・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 参考人に対する質疑はこれをもって終わります。
参考人の各位にごあいさつを申し上げます。
本日は御多忙中にもかかわらず、当委員会のために御出席をいただきまして、貴重な御意見をお述べいただくとともに、委員の質疑に対しお答えをいただきましたことをたいへん感謝申し上げます。お述べいただきました御意見は、今後の委員会の審査の際参考にいたしたいと存じます。まことにありがとうございました。(拍手)
午後一時十五分再開することといたしまして、それまで休憩いたします。
午後零時三十二分休憩
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午後一時三十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/27
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028・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。本日、二宮文造君が委員を辞任され、その補欠として小平芳平君が委員に選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/28
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029・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 国立病院特別会計法の一部を改正する法律案の質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/29
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030・田中寿美子
○田中寿美子君 私は第一番に、今回の国立療養所の特別会計移管という考え方が財政中心主義で出てきているという点につきまして、大蔵大臣に少しお尋ねしたいと思うのですが、私が議員になりましたころ、ちょうど昭和四十年ごろから財政主導型の経済に変わってきたわけなんです。それ以来、経済における財政の主導権だけじゃなくて、あらゆる政策で財政が主導権を持ってきているように思うのです。ことに四十三年度予算は全体として財政中心主義、いわゆる財政硬直化という口実で社会保障制度全体の方向の転換をさせようとしているように思われます。財政硬直化の原因のことは木村先生があとから追及なさると思いますのですが、社会保障費を財政硬直化の要因と考えるということですね、こういうことは正しいとお思いになりますか。大蔵大臣どうお思いになりますか。社会保障費をふやすということは財政硬直化の要因になるというふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/30
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031・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 財政硬直化は避けなければならぬと思います。なぜ避けなければならぬかということは、結局財政硬直化によって新しい施策ができないということと、財政が硬直化した場合には必要な財政政策がとれないというところに問題があるのでございまして、新しい施策ができないというようなことは致命的であるということと、財政政策によって景気の調整をしようというときには、もう金融政策だけにたよらざるを得ないというような事態ができてきたときの犠牲が非常に大きいというようなことから、私どもは財政の硬直化を避けたいといっているのでございますが、結局社会保障という方面におきましては、今後実施する仕事がたくさんありますし、また新しい施策をしなければならぬということが出てまいりますので、そういう新しい時代の需要に対処するために財政硬直化を避けようというのが私どもの考えでございますので、財政硬直化のために社会保障へしわ寄せをしようとか、あるいは社会保障制度そのものが財政硬直化の一番のあれであるというような考えから出発しているわけでは全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/31
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032・田中寿美子
○田中寿美子君 そうしますと、大蔵大臣は、社会保障を進めることは財政硬直の要因であるというふうには考えないとお考えになっていらっしゃると考えていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/32
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033・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 必要な、合理的な社会保障制度はもっと拡充しなければならないし、同時に整備されて、もう少し効率化をすべきものは効率化する必要は、社会保障制度の中に私はあるであろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/33
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034・田中寿美子
○田中寿美子君 社会保障費というのは、社会保障制度を進めようと思えば、これはどうしても毎年ふえていくのがあたりまえですね。それで昭和四十三年度の社会保障関係費というのは八千百五十六億六千万というふうに出されております。これは失業対策費を含んでおりますね。ですから厚生省関係だけの予算ですと、七千六百八十六億、これは全体の構成比からいいますと、厚生大臣、去年と比べて総予算の中の構成比は、ことしは落ちていると思うのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/34
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035・戸澤政方
○政府委員(戸澤政方君) 補正後の予算を比較いたしますと、国家予算全体に占める厚生予算の比率は一三・二%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/35
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036・田中寿美子
○田中寿美子君 昨年はどうか、つまり昨年より落ちてはいませんかと申し上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/36
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037・戸澤政方
○政府委員(戸澤政方君) 一三・四%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/37
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038・田中寿美子
○田中寿美子君 昨年はいま言われましたように、私は失業対策費まで入れると一四・〇五だったと思うのです。そしてことしは一四・〇一と落ちている。失業対策費を除きますと、一三・四から一三・二と全体の厚生費は落ちているわけです。ですから社会保障費は、かりにこれは物価の値上げその他を考えてみますと、まさに後退していると考えていいと思うのです。四十年の社会開発の中で社会保障の充実についてこういうことが書いてありますね。「社会保障充実の必要性が高まっている現状にかんがみ、制度の合理化とその充実、給付水準の引き上げ等を行なう必要がある。このため振替所得の規模を三十八年度の九千六百十億円から四十三年度には二兆一千百億円に拡大する。この結果、国民所得に対する振替所得の比率は、三十八年度の五・三%から四十三年度には七%に引き上げられる。」これが社会保障の見通しとして立てられたものだと思う。現在振替所得は幾らですか。振替所得の国民所得に対する比率は。——時間がかかるようですから私が申しますと、振替所得は五・五%ですね。財政制度審議会などでは社会保障費は六%、振替所得の比率は五・五%、まだまだ低いということを言っております。しかも、それは四十三年度には七%に引き上げる予定だったのが五・五ですから、社会保障はむしろ後退しつつあるのじゃないか、こういうふうに思われるのですが、財政制度審議会の意見は非常にいま社会保障に関しての主導権をとっている。四十二年の十月十九日に財政制度審議会の研究懇談会で、社会保障制度に関してという建議ですか、答申と申しますか、建議のようなものが出されていますね。座長は櫻田武、日清紡の会長、ここに大蔵当局の社会保障に対する方針が出ている。そしてそれが主導的な役割りを果たしているのじゃないか。その中に受益者負担の原則だとか、社会保障よりは社会保険へなどという原則がいろいろ出ていると思うのですが、大蔵大臣、財政の観点から社会保障の原則を左右するというのは正しいことだとお思いになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/38
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039・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 社会保障でも防衛費でも、財政を無視した予算の編成はありませんので、終局的にはいろいろ財政事情に拘束されるということは当然だと思うのです。その間における各諸施策の均衡がどうとられるかということが私は問題だろうと思います。そこで、いまお話のございました社会保障費についてでございますが、財政制度審議会も言っておりますように、日本の社会保障制度、特に所得保障が非常に水準が低い、これはいろいろな年金制度が発足したばかりでございますので、当然この点で水準が低いというのはやむを得ないことでございますが、これをどうして上げるかということになりますと、結局給付に対する国民負担との関係が問題になるというようなことから、この四、五年の間の中期の計画としては、方向としては、やはり国民負担が結局二%程度上がるということを予想した社会保障制度のあり方が合理的だ、こういうような考えを持っておるわけでございまして、私どもも社会保障の拡充ということは十分考えていますが、結局それに対する負担をどうするかということでございますが、やはり国民所得の水準が上がらなければ、社会保険の負担なり、あるいは租税の形で行なう社会保障費の負担なりを国民に負わせるということができませんので、終局的にはやはり経済の成長政策、国民の所得水準を向上させるということにあると思いますが、それと並行して、やはり国民が社会保障についてもう二%ぐらいの負担ができる力を持つ経済計画が大切だというふうなことを言っておりますが、私どもも大体そういうことじゃないかと思って、その方向に沿って今後の社会保障制度拡充政策をとっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/39
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040・田中寿美子
○田中寿美子君 国民負担率が高いかわりに諸外国では還元率が非常に高いわけですね。ところが、財政制度審議会の言い分は、日本の社会保障は高度成長でやたらに間口を広げてしまって、それでアンバランスな発達をしている、中でも医療保障が過重である、あるいは国庫負担率は四五%にも及んでおる、だから年金その他、いまおっしゃったような所得保障のほうがおくれているので、進み過ぎたほうをむしろ下げてバランスをとるという考えがひそんでいるわけですね。それで受益者負担だとか、保険料の徴収のほうをあげるとか、そういうふうな考え方が出ているわけなんです。そうして、あの中に引いてある資料というものでは、たとえば西欧諸国が三五%ぐらいの国民負担だ、フランスは四九%だ、日本は二四%でたいへん低いというようなことを言っておりますが、たいへん都合のいい資料だけとっているんですね。国際統計で見ますと、たとえばニュージーランドとかイギリスだとかというところは高い。ニュージーランドは医療保障費の国庫負担率は一〇〇%、イギリスは七八%、日本が四五%というようなことで、都合のいい資料だけ引いて、日本が進み過ぎているかのように言っているのは非常に間違いです。医療は少なくとも先進国に近づいてきつつあるとしたら、ほかのほうを引き上げることをすべきだと思うのですね。
で、この点で、私はこの前、予算委員会の分科会で厚生大臣にこれをどう思うか、大体財政中心で、財政制度審議会が社会保障制度についての意見を出して、それによって社会保障のあり方をきめるというような考え方をどう思うかということをお尋ねしましたときに、厚生大臣は、社会保障というのは国民の権利であると考えるべきであって、財政に従属させるべきものではないとおっしゃったと思いますが、いかがですか、厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/40
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041・園田直
○国務大臣(園田直君) そのとおりに答弁をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/41
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042・田中寿美子
○田中寿美子君 社会保障というのは厚生大臣の所管でございますから、大蔵大臣があまりその点を左右なさらないようにしていただきたいと思うのですね。
そこで、国立療養所の経費ですけれども、財政制度審議会の意見と、それから社会保障制度審議会の意見と多少違うわけなんですが、社会保障制度審議会では、国庫負担の優先順位というものは、第一番に公的扶助、第二番に社会福祉、第三番に公衆衛生、第四番に社会保険という順序をつけておりますね。国立療養所の経費はこの順位でいけば何番目に、どれに充てるべきものだとお思いになりますでしょうか。大蔵大臣と厚生大臣と、両方にお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/42
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043・園田直
○国務大臣(園田直君) いまの御指摘の点は、国立療養所の会計はどれにも入っておりますので、どの点だときめるわけにいかぬと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/43
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044・田中寿美子
○田中寿美子君 その中でも一番多いものは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/44
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045・園田直
○国務大臣(園田直君) しいて言えば、公的扶助のほうに入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/45
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046・田中寿美子
○田中寿美子君 大蔵大臣お答えがありませんですね。同感ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/46
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047・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 厚生大臣の言われたように、いろいろの項目にこれは当てはまりますが、やはりしいて言えば公衆衛生のところに入るのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/47
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048・田中寿美子
○田中寿美子君 そこでだいぶ違いが出てきましたのですね。それは大蔵大臣が実情をよく御存じないからじゃないかと思うのです。国立療養所というのは公的扶助を受けている者が多いのです。生活保護患者と低所得層が多いですね。そうしておまけに結核の治療というのは、これは結核対策は個人の責任と経済の限界をこえたものであるということを社会保障制度審議会で言っておりますね。食費以外は全医療を公費ですべきであるということを言っております。しかしその食費すらも生活保護にかかっている人、あるいはボーダーライン層、あるいは長い間治療しております者が多いのですから、ですから補助を受けるという実情にありますね。そういう意味では、国立療養所というのは医療保障の中でも国庫負担を一番優先しなければならないものだと私思うのですけれども、大蔵大臣は公衆衛生と、三番目とおっしゃったのですが、そのお考えをお改めになっていただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/48
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049・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 別に考えを改める必要はないので、結核対策というものは分類の中では公衆衛生として取り扱っておりますが、その費用をどういうふうにまかなうかという場合に、国費をもってまかなっているということが事実でありましても、分類でどの辺にしいて入れるかといったら、公衆衛生という立場で結核対策を取り上げて、結核という病気の性質から国費を非常に多くこれに出していくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/49
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050・田中寿美子
○田中寿美子君 公衆衛生の費目じゃないですね。厚生大臣結核医療費ですね。そしていま別にどこに入れるかということが問題じゃなくて、私が申し上げているのは、国庫負担を最優先すべきものであるということを申し上げておるわけです。そういう認識を大蔵大臣していただきたいということをいま申し上げておるわけ、なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/50
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051・野溝勝
○野溝勝君 それは大蔵大臣だって当然だろう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/51
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052・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 当然で、いましていますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/52
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053・田中寿美子
○田中寿美子君 そういうわけで、財政中心にものを考えてやっていただくと困るので、今回の国立療養所の特別会計移管というような問題は、医療費の国庫負担はなるたけ縮めたいという気持ちが先に立って、大蔵省からそういうような考え方が出ているということを私は指摘しておきたいわけなんです。そういう意味で厚生大臣ね、厚生省は社会保障を管轄していらっしゃるわけなんですから、大蔵省に対して、財政中心主義的な態度に対して抵抗していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/53
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054・園田直
○国務大臣(園田直君) 財政中心主義から社会保障制度を考えることは反対でございますが、しかし国家財政に全然無関係というわけにはまいりませんので、その点財政当局ともよく相談をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/54
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055・田中寿美子
○田中寿美子君 この間もそういうふうにおっしゃったんですけれども、財政制度審議会が社会保障制度についての主導権をとるというようなことは自分は反対である、しかし国家の経済を破壊するのは困る。私は社会保障費このぐらいで国家の経済が破壊されるとは思いません。五兆八千百八十五億というものの中ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/55
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056・野溝勝
○野溝勝君 関連して。私どうもわからぬですね。というのは、これは憲法をひとつもう一回再読してもらいたいですな。憲法二十五条にはちゃんと書いてあるじゃないですか。明記してあるじゃないですか。そうすると、財政という問題よりは、これは一つの権利義務の問題で、これはやっぱり原則的に考えなければいかぬですね。それを中心にして財政の運営といいましょうか、やりくりといいましょうか、そういうことを考えていくということを考えなければならない。憲法の基本原則を軽く見るような考え方は私は間違いだと思うのです。軽く見ないと言いますけれども、聞くというと、財政のことばかり言っていて、完全に憲法二十五条の問題などは軽く見ておる。こういう点は私は大臣諸君はよほど慎重にお考えを願わぬと困ると思うのだ。ちゃんと書いてあるじゃないですか。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」、ちゃんと書いてあるのです。これを中心に私はお答えを願わなければならぬと思うのです。その点に対するお答えを聞いておきたい。そうしなければ論旨は進んでいかない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/56
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057・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) ですから、私どもは特にこの問題についての予算の強化を考えておりまして、たとえば今年度の予算を見ましても、御承知のとおり、よくパンか大砲かなんということを昔いわれましたが、もうそういう時代ではございません。防衛費の予算の二倍半以上の増額ということで、昨年に比べて約一千億円近いことしは社会保障費の増額でございまして、こういう点は他の施策との均衡から見ますというと、たとえば宇宙開発とかいろいろの新しい問題が出てきますので、そういうところに必要な経費の配分をいたしますというと、全体における構成の比率というような問題についてはいろいろのことが起こるかもしれませんが、金額としてはっきり千億近い予算の増額をはかるということは、今年度の予算においては、相当私どもが考えた予算の編成であったというふうに私自身は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/57
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058・野溝勝
○野溝勝君 全体の社会保障、社会福祉の予算はいまのように少しふえています。しかし、その社会保障なり社会事業なりの中で、どうして国民の医療の問題、今日の国立療養所の問題、これがどうしてこんなに国民から不満の陳情なり要請があるんですか。私はこの点は、その社会保障なり社会福祉なりあるいは公衆衛生なりの目の中で、どこかに欠けておるところがあると思うんです。たとえば患者が百八十万人もあるですね。そのうち三十万人はほとんど新患者です。こういう問題を特に重点的にその社会保障なり社会福祉なりあるいは公衆衛生なりの中で、どういうふうにして結核療養所の問題に対して医療制度の完ぺきを期するということにもう少し力を入れなかったか。いままでは問題なかった。国立療養所であるときには問題なかったんです。問題があってもそんなに今日みたいにやかましくはない。一体患者や従事員、職員ですね、そういう諸君がどうしてこの法案に対して疑問を持ち不安を持つか。この点は当局では相当考えなきゃならぬと思うんです。私は何がゆえにこの特別会計が必要であるか、これは一つの関連質問でございますからあとで聞きますけれども、そういう点についてあなたたちは深刻に考えて答弁してもらわぬというと困る。
それからもう一つは、どうかその答弁の中にも味わうべきものが——あなたたちは、もうすでに出したんだからしかたない、修正する考えなり何なり、そういう点を政府はやっぱし出してもらわなけりゃ、議員としてはまことに責任を負う上に困る。ですから、そういう点でこれからの質問に対しても、ただ通り一ぺんのあれでなくて、そういう点をひとつ深刻に考えてお答えをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/58
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059・田中寿美子
○田中寿美子君 そこで、いま経済的な観点から言いましても、社会保障費をふやしていくということは、社会保障制度審議会が申しております答申にありますように、国民の購売力を増し、景気調整の役に立ち、需要をふやしていく、そういうようなことを言っておりますが、そういう意味もあると、だから、社会保障費をふやしたら財政硬直の要因になるというふうな考え方は一切捨てていただきたいと思います。
そこで、今回の国立療養所の特別会計移管に関し、昨日も森中さんがちょっと触れられましたのですが、大蔵省がイニシアチブをとっているのですね。昨日の説明では、大蔵省と厚生省が合意の上で出しましたとおっしゃいましたけれども、実はそうではないんで、夏に出した厚生省の予算の原案の中には特別会計移管の案がないんですね。一体これはどういう経過をとってこうなったか、説明していただきたいと思います。これは大蔵大臣からまず、あと厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/59
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060・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 八月をもって締め切りました概算要求のときは、おっしゃられるように、こういう要求はございませんでしたが、この査定の過程においていろいろ——さっき野溝さんからお話しございましたが、少し誤解があるんではないかと思いまして、連日その辺について御答弁申し上げておるわけでございますが、国立療養所をいまのままにして一般会計でしていくのがいいのか、特別会計にしたほうがよくなるのかという、いかにしてこの内容をよくし設備をよくするかということから、いろいろ予算の折衝もしました結果、これは特別会計にしてあったほうがいいという話し合いができまして、厚生省からあとからこの特別会計の要求となって出てきたといういきさつでございまして、予算折衝の過程において両方の意見が一致したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/60
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061・田中寿美子
○田中寿美子君 厚生大臣いまのとおりなんでしょうか。一体予算折衝の過程で、いつごろそれじゃこの特会案が出てきたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/61
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062・園田直
○国務大臣(園田直君) いま大蔵大臣の答弁のとおりでありまして、予算の折衝の過程で合意を見たので、最後の合意をしましたのは大臣折衝の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/62
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063・田中寿美子
○田中寿美子君 というと何月ですか。大蔵省交渉というのは十二月するでしょう。もうそのとき出ていましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/63
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064・園田直
○国務大臣(園田直君) 十二月の日にちは忘れましたが、十二月の初旬だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/64
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065・田中寿美子
○田中寿美子君 十二月ですか、ほんとうですか。それじゃちょっとこういうものを読んでみます。社会保険旬報にこういうことが書いてあります。「特別会計移管の事実経過、四十三年度予算の厚生省所管分概算要求(四十二年九月末)では、特別会計移管の方針はなかったが、大蔵省は四十三年一月六日の大蔵原案において国立療養所関係予算を一般会計から落とし、国立病院特別会計に移す方針を厚生省へ内示した。一方的な内示に驚いた厚生省が賛否の態度をきめかねているうちに大蔵原案のまま政府原案が決定してしまった。そして、二月初め、厚生省は、特別会計への移行はわれわれ年来の主張であり、国立療養所はこれによって大幅に改善されるとの見解を発表した。」、中を少し省きまして、「以上の事実経過から見る限り、国立療養所の特別会計への移行は、大蔵当局が「財政硬直化」の名目で一般会計予算を圧縮することを意図し、その方便として出て来たという感じはぬぐえない。」とありますけれども、これは事実でしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/65
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066・園田直
○国務大臣(園田直君) いまお読みになったことは何のことか、実際に私と大蔵大臣と合意したのが十二月十一日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/66
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067・田中寿美子
○田中寿美子君 実際の原案として出てきたのは四十三年の一月六日でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/67
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068・園田直
○国務大臣(園田直君) 間違えました。一月十一日です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/68
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069・田中寿美子
○田中寿美子君 なぜそれじゃ厚生省は原案でのときには全然出していなかったのですか。もしそんなにいいものだと考えているなら、大蔵省との折衝というのは十二月ころ各省はやるものですね。その間にも出てくるはずだと思うのですが、そうじゃなくて、大蔵省が今年度の予算は全部財政硬直化のおりから引き締めるのだ、そして財政支出を縮めなければならないという方針が出てからこの案が出てきたように思われる、この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/69
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070・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私の知っている限りではそうではございませんで、もう事務当局の折衝は年を越さないで、昨年の十二月中にこの問題は起こっておりましたが、御承知のようにこういう問題につきましては、政府はやはり予算編成に関する限り与党と相談いたしまして、与党の政調会の相談にこういう問題も移してございましたので、そこでいろいろ方針がきまってからでないというと、最後に予算編成方針としてこの最後案を決定できないというようなことになっておりますので、その間与党との話し合いも進めておったというような事情がございまして、突如としてこの問題が出てきたというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/70
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071・田中寿美子
○田中寿美子君 では厚生大臣はどうなんですか。特別会計制度に移行したほうがいいと、ずっと考えてきていたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/71
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072・園田直
○国務大臣(園田直君) 特別会計移行の問題は、私の就任前、三年ぐらい前から省内においても論議されたものでありまして、もちろん事務的には大蔵省とも相談を続けてきたことと存じます。御承知のとおりに国立療養所の施設があまりに老朽で、これをなるべく早い期間にやることは、いまのままではなかなか困難で、一般会計からの繰り入れによって早急に整備するのが好ましいことではありまするが、それによっては期間が長くなりますので、これは特別会計に移すことによって財政に弾力性を持たせ、あるいは繰り入れ金その他の方法によってなるべく年度の金を多くして整備を早くしたいということで研究をしてきておったわけでありますが、ただ特別会計に移すと、国立病院のことなどもありまして、独立採算制に追いやられて、患者や職員にしわ寄せがくるということは私としては困りますので、その点を検討して、最後に私が踏み切って合意したのが一月の十一日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/72
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073・田中寿美子
○田中寿美子君 それじゃ、厚生省は過去にこの特別会計移管の案を出そうとした、その努力をしたことが何回かあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/73
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074・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 厚生省におきましても、昨日も申し上げましたように、具体的な検討を始めたのは十年くらい前からでございます。そして現実に予算編成で特会の予算を折衝して計上しようということで、特会の予算要求の形を検討したことも再三ございました。しかし、現実にはなかなか簡単には踏み切れない。といいますのは、特会法は法律としては会計制度だけの問題でございますけれども、実態としては運営のあり方いかんが非常に問題になるわけでございます。運営のあり方いかんということは、予算の裏づけということがきわめて重要な問題でございますので、予算の裏づけがはっきりしないままでただ特会に踏み切るということはきわめて危険がある。したがって、私どもといたしましては、本年度におきましても特会に移行するという心がまえは持ちつつも、一般会計予算で要求をしておいて、秋口ぐらいから折衝を始め、そして予算の裏づけが、この特会に移行してもその運営が欠点がなくやっていけるという見込みがつくということを考えながら、最後の踏み切りを、あるいは最後の判断を大臣にお願いするということで、そういう手続の上ではそのようになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/74
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075・田中寿美子
○田中寿美子君 いまおっしゃったところですと、医務局長のお話では一般会計で要求しておいて、そして途中で特別会計にかえるというつもりで原案をつくっていたとおっしゃるんですが、非常におかしいと思いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/75
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076・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 途中でかえるつもりということでなしに、特別会計に移行した場合に一いろんな予想されるような弊害あるいは危惧というようなものがなくなるような予算編成ができるならば、そこであらためて考えるという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/76
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077・田中寿美子
○田中寿美子君 過去にそれを出すことのできなかった理由は何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/77
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078・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) これもやはりいろいろな予算的な裏づけが十分できるかどうかという見通しと、その他現実に一般会計から移る場合にどういうような形がいいかというようなことで、この問いろいろ議論をいたしましたが、予算の時期までに間に合わなかったというようなこともございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/78
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079・田中寿美子
○田中寿美子君 過去十年間も考えていたとおっしゃるんですね。そして、しかも予算の裏づけができないんじゃないかという心配で出されなかったというほどあぶなっかしいものだとすれば、これは非常におかしいと思います。第五回国会、だから昭和二十四年でしょうか、国立病院が特別会計に移管されました当時ですね、あの当時の厚生省の医務局次長をしてらした方ですね、これは国立療養所というのは、国立病院と違って収入というようなことを考えてはいけない、だからどこまでもこれは一般会計で国庫でやるべきものなのだということを言明していらっしゃいますよね。その考え方は後に変わっていったわけですか。厚生省部内では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/79
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080・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 二十四年当時に比べますと、全般的に社会情勢全般も変わっておりますし、あるいは結核の事情も著しく変わっておりますし、また国立療養所自体の国家的使命というものも相当変わっておりますので、考え方の変化もあったということは当然だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/80
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081・田中寿美子
○田中寿美子君 私考えますのは、大蔵省は今度どうしても予算の中の支出を圧縮したいということでいろいろのものを詰めた。そこで国立療養所に出す金を倹約する、特別会計制度にして土地などを売り、そのほか収入を得てやったほうが大蔵省としては支出が少なくて済むというのが目的であり、厚生省のほうでは収入をはかるのが目的だ、こういうことになると思うんですが、そうではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/81
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082・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 大蔵省が一般会計の支出を減らすことが目的ということも——これは大蔵省の御答弁と思いますが、現実には一般会計からの支出はふえているわけでございます。また、私どもといたしましては、決して収入増を目的としたことでは全くございませんで、先般来申し上げましたように、新しい医療を国立医療機関が担当し、さらに使命を拡大していくために施設の近代化、サービスの向上、医療内容の充実というようことが行ない得るような体制として、このほうが非常にベターであるというふうに考えたからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/82
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083・田中寿美子
○田中寿美子君 その問題は、もう少しあとで議論しますけれども、一般会計からの繰り入れというのが国立病院の場合どんどん減ってきているわけですよね。ですから今年は金額においてふえていても、将来減らすというのが目的だということだと思うんですね。そういうことでなければ、幾らでもどんどん出すというなら特別会計に移す理由というのは非常に薄弱になるんですね。それでもなお移さなければならないというのはどういうところにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/83
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084・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 一般会計からの繰り入れもふえているのだから、特別会計に移行する必要はないんじゃないかというようなお話でございますが、特別会計に移行する理由というものの中に、先ほど大臣がお述べになりましたように、国立医療機関がきわめて老朽化しており、これから結核対策の協力はもとより、さらに重症心身障害あるいは長期慢性疾患の療養を担当しようという新しい使命にこたえていくためには、いまの施設ではあまりにもみすぼらしく、この施設で近代医療を行なうことは不適当である。したがって、どうしても近代化をはからなければならぬ。しかも、いかに一般会計から繰り入れていただくにしても、それにはおのずから経験的に限度がございます。それでは緊急の施設整備が十年、二十年かかるというような予想をつけざるを得ない。これでは新しい使命にこたえられませんので、どうしても急速に近代化をはかるためには短期資金等の導入も必要であり、そのためには特別会計制度が適当であるというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/84
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085・田中寿美子
○田中寿美子君 老朽化しているのを近代化のためにというのが一番旗じるしとしてあげられて、そのためには敷地の一部を売ったら金も入るし、借り入れ金ができるというのが一番の言いわけになっていますけれども、もしほんとうにそうする気ならば一般会計でできたんですね。これももうすでに三十九年以降やっていらっしゃるわけですからね。する気があればできるわけです。ことに結核というそれこそ社会的な責任のある患者の収容をする場所、これは国庫が負担するのが当然だと私は思うんですが、どうしてもこれは財政の面が先行してきているというふうに私は考えないわけにいかないんです。
そこで、私ついでですけれども、厚生省の官僚の方にちょっと文句があるんですが、厚生省というのはやっぱり一番金もうけできない役所でして、弱い者やそれから守ってやらなければならない者のための行政をする、もちろんそこに働いていらっしゃる方もみんな労働者です。公務員です。ですから、りっぱな方が多いと思うんですけれども、しかし、特にその仕事の意義を考えていただいて、計算のほうよりは、まず厚生省という立場から医療を守っていく、国民の健康を守っていく、こういうことのほうを主張する勇気を持っていただきたい。実はその一例ですけれども、この前鈴木善幸さんが大臣にいられた当時ですが、結核の患者の人たちがもっと治療の充実を要求しまして、そして大臣や各局長に会いたいという面会を申し入れたことがありました。それでなかなか取りついでくれないんですね、間に立った厚生省の官僚の方が。そこで厚生省のあの入り口にすわり込んでしまいまして、夕方でしたが、その連絡を受けたので急いで私行ってみましたら、みんな患者の人が会うまではというのであそこの土間に新聞を敷いてすわっていたんです。それで私厚生省というのは、やっぱりそういう患者のような人が来たりあるいは不幸な人も来られるような場所でなければならぬ、そういう人たちのためにはベンチ——まあソファーとまでは言いませんけれども、ベンチぐらいあってもいいはずだと思う。それからしまいには、なかなか会ってくれない、会ってくれるという確約がとれるまではというので、ふとんを借り込んであそこに泊まり込みしようとしたんです、雨の降る日でした。それで私ともう一人の議員が調べてみました。中間に立っている厚生省の係が保険局長、社会局長、医務局長に伝えていないんですね。おりませんということばかり答えて伝えていなかったということがわかりました。それで私どもが行って、代表が会うという約束を取りつけることがようやくできた。それから大臣ももちろんおらないということで大臣の秘書官にも通じていなかったんですね。ですから、それでようやく会う約束を取りつけて、大臣は非常によく誠実に会ってくだすった。そういうようなことで、私やっぱり厚生行政というものをやる者がそういう態度をとっていたんでは、ほんとうに厚生省の仕事はできないんじゃないか、そういう意味で厚生大臣、患者でもそれからそのほか厚生行政のもとにあります者でも、あるいは無認可保育所で困っている人たちが来ても、やっぱり会うだけの誠意を持っていただきたいと思うんですよ。厚生大臣その点で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/85
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086・園田直
○国務大臣(園田直君) なるべくお会いするようにしておりますが、今後とも十分注意いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/86
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087・田中寿美子
○田中寿美子君 それじゃあ、その次の問題に入りたいと思いますけれども、国立療養所というのは国有財産ですね。それでこの国有財産でありますところの国立療養所の敷地を売れば金が入る。これで近代化し設備をよくするんだということを最初は非常に言っていらっしゃったけれども、衆議院でもだいぶ議論されたので、ことばはだいぶこのごろは緩和していらっしゃいますね。で、借り入れなんかして近代化して、そして余った土地があったらこれを売るというふうに言い直していらっしゃいますが、最初非常に端的に説明されたときには、国立療養所は敷地が非常に広いので、あれを売れば相当の収入になるから、その資金をもって老朽化した施設を近代化するという説明がおもだったのでございます。私は療養所の敷地を売れるからというのはこれはどうかと思うのであります。国有財産でありますし、特にこれは行政財産でありますし、行政財産というのはそのまま売却できない。そこで療養所の敷地を売る場合に普通財産に切りかえて処分していらっしゃる。そういうことはみだりにすべきことでないと思いますが、大蔵大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/87
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088・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) みだりにするものではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/88
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089・田中寿美子
○田中寿美子君 そうみだりにするものではないと言うなら、一般会計に置くほうが国有財産本来の意味を全うすることができる、特別会計に置いたら売り安くなるでしょう、厚生大臣そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/89
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090・園田直
○国務大臣(園田直君) 一般会計のままの場合には大蔵省が売ることになり、一般会計の歳入となるが、特別会計になると、行政財産には変わりはなく、また売る手続も一般会計の場合と変わりありませんが、私のほう、すなわち特別会計の歳入となるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/90
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091・田中寿美子
○田中寿美子君 それだから特別会計に移したいというのが本音だと思うのであります。現在国立療養所の大部分は行政財産だと思いますが、普通財産は全部でどのくらいの面積があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/91
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092・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 療養所の土地は全部で千七百万平米でございます。これは全部行政財産でございまして、売り払い等の場合にはこれを普通財産に転科いたしまして処分いたすことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/92
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093・田中寿美子
○田中寿美子君 幾らか普通財産があると聞いておりましたが、全部とおっしゃられれば全部でもかまいません。その行政財産は売却できないから、それを売りやすくする方法として普通財産に直す、普通財産に直すときに、いままでの一般会計のときには大蔵大臣と協議して普通財産に直して売るという手続をとっていらっしゃるのだと思いますが、そうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/93
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094・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 一般会計にありました場合は、不用の部分を用途廃止をして、大蔵省に引き継いでその処分をお願いしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/94
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095・田中寿美子
○田中寿美子君 特別会計に移しますと、今度は大蔵大臣と協議しないでも厚生大臣の考え一つで売却することができるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/95
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096・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 特別会計になりますと、今度は普通財産に移しまして、大蔵省と協議をして厚生大臣が処分をすることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/96
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097・田中寿美子
○田中寿美子君 そうすると、やはり大蔵大臣と協議をしなければいけないのですね、そうですね。大体全体として千七百万平米持っている、そのうちどのくらいを売る予定でいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/97
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098・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 一応約一割と予想いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/98
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099・田中寿美子
○田中寿美子君 その普通財産でも、そうやたらに売っていいわけじゃないのですね。厚生省がいままで一般会計の中で土地を売ってこられたんでしょう。一部売ってきましたね、もうすでに国立療養所の土地を。どのくらいになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/99
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100・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 一般会計におきましては直接処分ができませんので、大蔵省に引き継ぎましたが、その分は約五十万平米でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/100
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101・田中寿美子
○田中寿美子君 大蔵省に引き継ぐときは一ぺんにやられたわけじゃありませんね。何年かにわたっていままでやってこられているわけですが、これまでの引き継がれた場所と、それからその面積、それから引き継ぐときには見込みの価格を立てるわけでしょう。そうして大蔵省の一般会計からそれに見合った、あるいは見返りとして、それだけのものを予算に入れてもらっていたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/101
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102・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 一般会計のときにおきましては、土地を引き継ぐことを予想いたしまして、そうして一般会計からまあほぼそれに見合うといいますか、相応の額を一般会計から予算としていただくということにしております。一般会計のときに引き継ぎました土地といたしましては、四十一年度に中野療養所、東京でございます。村山療養所、これも東京都でございます。近畿中央病院、これは大阪。四十二年度には千葉東病院、これは千葉。それから愛知県一カ所、大阪府一カ所、秋田一カ所、東京二カ所、神奈川県一カ所にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/102
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103・田中寿美子
○田中寿美子君 そうして、その見込み価格は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/103
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104・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 四十一年度におきましては十四億七千九百万円、それから四十二年度におきましては十七億二千九百万円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/104
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105・田中寿美子
○田中寿美子君 それ相当額を予算として大蔵省、一般会計から国立療養所用として入れてもらったわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/105
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106・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 現実に一般会計からもらっております予算は四十一年度が十二億、四十二年度が十七億五千万。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/106
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107・田中寿美子
○田中寿美子君 会計検査院の方がおいでだと思うんですけれども、この実績ですね、国立療養所の土地の引き継ぎ実績は四十一年度、四十二年度、厚生省が一般会計、大蔵省に引き継いだその面積と、それから実際に受け取った価格ですか、見返りとして受け取った価格、それはわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/107
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108・桜木拳一
○説明員(桜木拳一君) お答えいたします。ただいまの御質問でございまするが、会計検査院といたしましては、ただいま全般的な資料については整備いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/108
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109・田中寿美子
○田中寿美子君 よく聞こえない。何とおっしゃったかよくわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/109
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110・桜木拳一
○説明員(桜木拳一君) 会計検査院といたしましては、全部の面積が幾らになるか、それから金額が幾らになるか、それから一般会計のほうから幾ら受け入れたかというようなことにつきましては把握いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/110
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111・田中寿美子
○田中寿美子君 決算ベースで会計検査院というのはそれは見ていらっしゃるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/111
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112・桜木拳一
○説明員(桜木拳一君) 決算につきましては見ておりますけれども、その全部が幾らになるかという資料をただいま整備いたしておりませんので、全般的なお答えはいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/112
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113・田中寿美子
○田中寿美子君 私は会計検査院に資料を求めたんですが、そうしたら、そのときに出していただいた資料があるのですけれども、厚生省、それから大蔵省の国有財産局からいただいた、厚生省と大蔵省のはぴったり合わせてありました。だけれども、会計検査院の数字は違っているので私は伺っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/113
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114・桜木拳一
○説明員(桜木拳一君) おっしゃるとおりでございまして、非常に恐縮でございますけれども、この前お手元にお届けしました書類は、予算、つまり計画面での数字でございまして、実際に幾らになるかという数字ではございませんので、若干食い違いがあるかと思いますが、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/114
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115・田中寿美子
○田中寿美子君 私がお尋ねしたいのは、厚生省の所管の中にある国立療養所の土地の一部を大蔵省のほうに引き継いで、そしてそこから金をもらって新しく国立療養所の設備の近代化にいままで充ててきた。それは見積もりするわけですね。ですからその見積もりと実際に——その見積もりはその年にするわけじゃないんでしょう。四十一年度に引き継ぐ分はいつ見積もりするわけですか。そうすると、その見積もりの基礎というのは時価なんでしょうね、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/115
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116・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 四十年に引き継ぐ場合には三十九年度の予算の項に見積もりをいたしますし、前年に見積もりをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/116
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117・田中寿美子
○田中寿美子君 そうしますと、引き継いだ大蔵省はその土地を持っておりまして、そしてあとでそれをどこかに売るというときにはもうだいぶそこには差額は出るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/117
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118・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) もしそういう地価の値上がりがあれば差額が出ることは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/118
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119・田中寿美子
○田中寿美子君 ところが、普通財産にしましても、その用途はそう自由ではないと思うのです。その用途の計画を私は資料として出していただきましたけれども、これで見ますと、転活用計画というのは、国の庁舎等の用地、それから住宅、公園、学校、病院、道路、そして一つ未定というのがありますけれども、これらは大蔵省が引き継いだ国立療養所の土地を今度売却するときどういう価格になりましょうかね。これはその時価で高く売れるのか、それともこの中には無償のものもあると思うのですが、この内容を説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/119
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120・大村筆雄
○政府委員(大村筆雄君) 療養所が一般会計当時ですと、先ほど御質問ありましたように、普通財産にいたしましてそれを大蔵省に引き継ぎます。私どもも国有財産局として引き継ぎを受けまして、それを転活用計画を立てまして、売るものは売るし、公用に回すものは公用に回すということになるわけでございまして、ただいま転活用されております大部分は、目下計画中あるいは手続中というのが多うございまして、方式が大体きまっておりますが、まず財源的にはっきり国庫に入ってくるというものはきわめてわずかでございます。たとえば公用の庁舎、あるいは公務員宿舎用地、これは一般会計でありますから、別に財源になるわけではございません。それから公園等でございますと、これは国有財産法で原則として無償で貸し付けいたしますから、これは無償貸し付けになります。学校、住宅、一般の公営住宅その他でございますが、これは国有財産法上減額売り払いの規定もございますから、そういう措置もあり得るわけでございまして、必ずしも全部が全部時価で売れるというわけではございませんが、この特別会計になりますと、私ども今度国の一般会計の庁舎用地、あるいは公務員宿舎用地にいただきます場合は、これはまた有償所管がえになりますから、これは時価評価いたしまして所管がえを受けるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/120
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121・田中寿美子
○田中寿美子君 だから特別会計になったほうがもうかるということですね一つは。そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/121
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122・大村筆雄
○政府委員(大村筆雄君) たとえばいまの公用の庁舎用地あるいは公務員宿舎用地になりますと、これは一般会計でいただきます場合は、特別会計、一般会計とございますから有償所管がえになります。無償というわけにはまいりませんから、時価評価を受けまして有償所管がえということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/122
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123・田中寿美子
○田中寿美子君 それで少しわかったんですが、大蔵省はいままでのように一般会計で引き継いでもあまりもうけにはならないんですね。無償だとか交換だとか、そういうことになって、見積もり額だけは見返りとして厚生省に国立療養所分の費用として出しているけれども、大蔵宵の財源にはあまりならない。だから財政を詰めていくときには、そうたいして入らないのにたくさん出さなければならないということになります。だからこれは特別会計に移したほうが財政上からいえば得だと、こういうことになると思うんです。それからまた厚生省の側からいいますと、特別会計に移せば売るときも時価で売ることができる、こういうことで考え出されたものだと思うんですが、どうですか。大蔵大臣そういうことだということを承認なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/123
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124・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 何かさっきから御質問を聞いておりますと、大蔵省がもうけるためにばかり頭を使ってやっているようでございますが、そうではございませんで、たびたび申しましたように、たとえば本年度の予算を見ましても、この結核費は三十億円増ワクしておりますし、三百八十億円の予算で三十億円以上の増ワクをはかっておる。これはほかにないくらいこの問題には力を入れて、さらに今後いまの老朽している施設は、これは急速に改善しなければならぬという必要に迫られておりますので、そういうことを考えて、この特別会計にしようということを考えておるわけでございまして、財政硬直だからどうこうと、そういう考え方とむしろ逆の考え方で、これをやるために今後相当大きい費用の支出を私どもは考えているということで、田中さんのお考えとはおよそ反対のことを私どもは考えておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/124
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125・田中寿美子
○田中寿美子君 違うんですよ、大蔵大臣。いままで国立病院の経過を見ますと、一般会計からの繰り入れば特別会計になってからだんだん繰り入れ率は下がってきているんです。だから事実はそうなっていきますね。特別会計になって自分で土地をうまく売って、そして収入をとるということ。もしそんなんじゃなくて、 いま大蔵大臣がおっしゃったように、どんどん今後ふやしてやるというならば、何も特別会計にしなくてもいいわけですね。そういうことだと思うのですがね。それから何ももうけるためと言っているのじゃないのです。大蔵省が財政の支出を少なくするために、むしろこれは厚生省の管轄において売らしたほうがいい、こういうふうになっているのじゃないかと思っているわけです。
そこで、この国有財産、普通財産でも勝手にどんなものに使ってもいいというわけじゃないのですね。それで用途としてはいまさっきあげられたようなことだと思うのですが、療養所の敷地は政令によって大蔵大臣の用途の指定を要しないものである、こういうふうに考えていいのですか。国有財産法の二十九条に、政令で定める場合に該当するときは、用途の指定を要しないというのがありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/125
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126・大村筆雄
○政府委員(大村筆雄君) 国有財産法の第二十九条に、普通財産の売り払いをする場合の用途指定というのがありますが、この規定は一般会計所属財産のみならず、特別会計所属財産につきましても原則的に適用になります。したがいまして、病院特別会計の所属普通財産を売却いたします場合にも、原則としてこの規定によりまして用途指定をして売り払う、そういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/126
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127・田中寿美子
○田中寿美子君 そうすると、いままでにすでに売った場所がありますね。それはどういうところに用途指定なさいましたですか。売ったというか、引き継ぎしてそうして売ったところがあると思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/127
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128・大村筆雄
○政府委員(大村筆雄君) 先ほどお答え申し上げましたように、引き継ぎました療養所の土地は大部分がまだ処分の手続中でございまして、処分しましたのはごく一部でございますが、手元にこまかい資料がございませんから、はっきり確認しないと申し上げかねますけれども、たとえば東京経済大学に昭和三十八年ごろ交換した土地がございます。これなんかはまずはっきり用途指定がしてあるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/128
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129・田中寿美子
○田中寿美子君 大体いままで引き継いだ土地というのは、やはり都会地が多いのじゃないですか。わりあいと需要の多いようなところを手放していらっしゃるというように思うのですが、そうでないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/129
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130・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 従来国立療養所の土地を大蔵省に引き継いだものは、主として都会地のものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/130
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131・田中寿美子
○田中寿美子君 それでやはり問題だと思いますのは、都会地は地価が値上がりしていくわけです。で、大蔵省で一たん引き継ぎましたあとは、これはどういうふうに使われるかということは大蔵省の自由だということになりますね。それでさっきも幾つか用途があげられておりましたけれども、中にまだ未定のものもありますし、それから企業用に使うというのもありますね、そういう国有地というものがいままであとになって転売されていって利権を生むというようなことがありますのですが、国立療養所のようなほんとうに公的医療機関の土地が万一そういうようなことに使われるということがあってはならないと思うのです。その点を十分警戒するような方法がありますか、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/131
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132・大村筆雄
○政府委員(大村筆雄君) 国有地を処分いたします場合に、御指摘のような転売等の不当なことがあってはいけませんから、先ほどの二十九条の用途指定がございまして、主として私どもは公用、公共に優先してやりますが、それぞれ売り払いの場合には一定の期間、用途指定をして、もし、用途指定に違反するという事実が起こりましたら、売り戻しの処置をしておりますから、違反の事実がございましたら、契約解除いたしまして、売り戻しをしていただく、そういう処置もとっておりまして、転売等の事実が起こらないように厳重に規制しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/132
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133・須藤五郎
○須藤五郎君 関連して。大蔵大臣も厚生大臣も、この間の運輸委員会で観光施設財団抵当法という法律が通ったのは御存じだと思いますね。これは国有財産の国有土地あるいは公有土地をある観光事業財団が使用権を受ける、使用権を護得する。そうすると、その土地の上に家を建てれば、これは地上権ができるわけですね。そうするとその地上権を抵当に入れることができるというこういう法律がこの問通ったわけですよ。そうすると、こういう法律があると、いま田中さんがおっしゃったようなことは防ぐことができないのじゃないですか。使用権さえ獲得してその土地の上に家を建てれば地上権ができる。そうすると、その地上権をだれにでも抵当に入れて金を借りることができる。金を借りておいて、そうして金は払えぬと言って逃げてしまえば、ある銀行に抵当に入れて金を借りれば、その地上権自体は銀行に移ってしまうわけですね。これはどう考えても、国有財産がそういう手によっていろいろ権利があっちへ移ったりこっちへ移ったりするといろことはどうしてもおかしいと言って、私はそのときに責めたんですよ。そうしたら困ってしまって、審議がそのために一時間半とまったんですよ。それである人が中曽根運輸大臣に助け舟を出して、そういうことのないような、そういう不当なことのされないように政令でそれを防ぐことにしましょうというようなことに、中曽根さんから政令で処置をしたいと思うから了承してもらいたい、という発言があって、そうしてこの法案は運輸委員会を通った。私はもちろん反対をしましたけれども、いま田中さんの心配していらっしゃるようなことがこれは今後どんどん起こると思うのですよ。大蔵大臣、この国有財産というものがそういうふうに扱われていいものかどうか。借地使用権だけでもそういうことができるのですからね。それを防ぐ法律はないのじゃないですか。法的に何か措置される根拠があるのですか。それを伺っておかぬといかぬと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/133
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134・大村筆雄
○政府委員(大村筆雄君) 国有地を処分いたしますのは、もちろんこれは行政財産ではございません、普通財産の場合でございます。普通財産の場合、たとえばこれを学校に売るという場合、その学校に一定期間学校の用に供さなければいけないという用途指定をするわけでございます。それは契約の中にその用途指定を付し、違反があります場合は契約解除をして国に買い戻す。その買い戻し権を行使することも登記簿上も規制するわけでございます。したがって、もし学校として払い下げられたものを学校以外に使われました場合は、それは当然買い戻し権を行使をして契約解除になります。国に所有権が当然返ってくる、こういうことでございます。現在そのように規制措置を加えておりますので、ただいま御質問の点は私でないのでわかりませんが、私の扱っております国有地の売り払いの場合、そういう形式でやっておるわけでございますから、そういう用途指定に違反するということは、その規制期間中に起こり得ない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/134
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135・田中寿美子
○田中寿美子君 いや、いま普通財産ですからとおっしゃいましたけれども、行政財産だって大蔵大臣と協議して普通財産に変えられるわけですね。だからいままで国立療養所の土地は行政財産なのを大蔵大臣と協議して普通財産に変えて引き継いでいるわけです。だから、今後だって厚生大臣の所管のもとに入るとして、特別会計になってもやはり行政財産なんで、それを普通財産にして売ろうとするときには、大蔵大臣と協議をすればわりあいに簡単にできるのです。あまり歯どめがないのです。だから危険があるということと、それから普通財産でも用途指定をしないでいい場合があるのです。特別の事情がある場合にはという政令があるのです。一体その特別の事情があるというのはどういうものかということを説明していただきたいのと、それから用途指定を普通財産に簡単に切りかえられるという問題について、大蔵大臣の責任は非常に重大だと思いますし、いま日本じゅうに国有地というものは相当あって、それを大蔵省は各省が持っておるものはできるだけ供出させて売ろうとしておるわけなんですが、そういうことに関して、一体どういう歯どめがあるのか、それから用途指定をしなくても済む場合というのはどういう場合があるのかということを説明していただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/135
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136・大村筆雄
○政府委員(大村筆雄君) 療養所が特別会計に移管になりますと、当然行政財産の用途指定をされるかどうか、厚生大臣の御判断によっておきめになるわけでございます。その場合に、当然療養所運営の場合にどの程度必要か必要でないかという判断の上、その土地は行政財産として必要はないということで普通財産になさって、もしそれを御処分になるときは大蔵大臣にも御協議があるわけでございます。
それから用途指定の場合でございますが、これはもう原則として今日用途指定を一般的にやっております。特別の事情云々の場合は、それは公団等で、国と同様な場合で、特にそこまでやらなくても指定の必要がないという特別な場合でございまして、原則として今日用途指定で厳重な規制をやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/136
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137・田中寿美子
○田中寿美子君 特別の事情があるため、用途並びにその用途に供しなければならない期日及び期間の指定を要しないものというのがあるのですね。それはどういうものかということをお聞きしたのだけれども、おっしゃらないのですが、たとえば首都圏整備の関係だとか新産都市の設定の場合とか、工業整備特別地域だとかいうのは用途指定をしないで売ってもいいのでしょう。そうすると、これからは幾らでも利権発生の可能性があると私は思うのです。どうですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/137
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138・大村筆雄
○政府委員(大村筆雄君) もちろん御指摘のような、そういう国有財産以上に具体的に事業内容が規制されるような、法の規制のもとにやれるような場合、むしろ国有財産法の規定以上の規制が行使されるような場合、それは特にやらなくてもいいというように考えておりますけれども、あくまでこれは国有財産法で用途指定をやる以上の用途指定の規制が行なわれるという場合でございまして、そういうことを行なわれ得ないような場合、当然のこととして私ども用途指定をやるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/138
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139・田中寿美子
○田中寿美子君 何だか歯切れが悪くて……。国立療養所というのはたいへん広々とした土地を持っているところも多いのですけれども、それがたとえば付近に新産都市をつくるというようなことで、その一部が特別の事情があるから新産都市をつくるからというのは特別の事情になりますね。だから用途指定をしないで売ってもよろしいというようなことも起こり得ると思うものですからね。ですから、そういうようなことを考えますと非常に不安なんです。厚生大臣の所管に入りましても、そのような土地の処分というようなことをされては非常に困るのですがね。いま国立療養所の整備計画の中で四十億から五十億を整備計画に充てておりますね。それで本年度は土地の売却が十八億ですか、これからの売却する予定の場所、それから見込み額なんかをちょっと知らせていただきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/139
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140・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 四十三年度から五カ年計画で整備をやろうとしておりますので、その資金額二百三十億の中で土地処分によるものを四十億ないし五十億を考えております。その際に現在想定しておりますのは武蔵療養所、松戸療養所、埼玉療養所、札幌療養所というような施設の土地を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/140
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141・小平芳平
○小平芳平君 あとで私質問させていただくことになっておりますが、ちょっと同じ問題ですから関連で。
いまの田中委員から指摘されているように、この国立療養所の広い土地を結局処分して建物を建てようというわけでしょう。いま名古屋市昭和区の梅森光風園というのがありますね。これは七階建てのりっぱなビルができておりますが、これはビルまでできるくらいですから相当前だと思うのですね。ちょっと私も記憶がないんですが、何年か前ですよ。ですから、それはいつ大蔵省へ移管したか、それを受け継いだ大蔵省はいつそれをどういう名目で売られたか、その点御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/141
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142・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 梅森光風園の場合は三十九年度に四万六千平方米、四十年度に八万三千平方米をそれぞれ大蔵省に引き継いでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/142
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143・大村筆雄
○政府委員(大村筆雄君) 引き継ぎを受けましたのは、現在東海財務局の諮問委員会に国有財産審議会というのがございますが、そこに諮問いたしまして、名古屋市の公営住宅団地に転用するということで目下計画中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/143
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144・小平芳平
○小平芳平君 したがって、田中委員が指摘しておられたように、三十九年から見ればもう四年たっているわけですよ。四十年から見るともう三年たっているわけですよ。いまだに諮問をしているというような状態だと、第一土地を売るという計画自体何億なんという予算の立てようがないじゃないですか。ああした新興住宅地は四年もたってごらんなさい、どのくらい値上がりするか。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/144
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145・田中寿美子
○田中寿美子君 それで国立療養所の四十三年度からの整備計画持っていらっしゃるわけですね。厚生大臣、五カ年間で二百三十億の整備計画を持っていらっしゃるわけですが、それに関して衆議院の大蔵委員会で若松医務局長は、一般会計から経費をもらっていたんではとてもスピードが間に合わない、それで長期の先行投資をするので単年度主義ではいけないから、借り入れもでき、土地処分もできる特別会計に移して拡大生産の方向に進むんだ、それで土地の一割程度を処分するということを言っていらっしゃいますね。そうすると、長期の先行投資をするのだとおっしゃる以上、五カ年の整備計画というものは具体的にできているはずです。これまで何人の方もそれをお聞きになったと思いますし、それから衆議院の大蔵でもずいぶん尋ねていらっしゃいました。そうしてその具体的な計画を出すようにということを要求されていられたんですが、資料を全然出していただいておらないんですが、なぜそれができないんでしょうか。非常に簡単な計画は私たちもいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/145
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146・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 衆議院の大蔵委員会の段階で、年次計画の年次別の資金等の計画は出してございますが、個々の施設のそれぞれの具体的な計画というものはまだ流動的でございますので、そういう施設名をあげ、かつ個々の金額等を明示した計画は差し出してございません。しかし、大体この計画を立てるにあたりまして、私どもとして心積もりにしたものはございますし、それによって一応の試算はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/146
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147・田中寿美子
○田中寿美子君 それは私どもにはいただけないんですか、その資料は。衆議院でも請求されて、そうして出しますとお答えになっていらっしゃるんですね。そういう具体的な計画がないと予算ももらえなかったはずだと思うのです。だからあるのは当然だと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/147
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148・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) もちろん二百三十億というような経費を試算いたします場合にも、大体どの施設と——私ども八十四施設と申しておりますが、八十四施設をおよそ見当をつけ、そうしてそれの病床数等を計算いたしまして、それを整備するのにどれくらいという計算をいたしたわけでございます。しかし、これはもちろん問題なく確定するものもございますし、なおかなり流動して差しかえその他変更になる部分もございます。現実には一応資料等で明確にいたしますと、確定されたごとくになって非常に混乱も起こりますので、なるべくならば、ある点で個別的なお話等は伺いますけれども、それぞれ誤解を招いて非常に末端で混乱を起こすようなことを避けたいと思って、個別のものについてはいまのところ控えさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/148
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149・田中寿美子
○田中寿美子君 混乱が起こるというのは、その療養所に入っておる人たちが騒ぐということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/149
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150・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 患者等が騒ぐというようなことではなしに、うちの療養所は来年手がつくのだとか、あるいはうちのほうはあと回しだとか、それぞれみんな療養所はわがほうが一日も早く整備されることを期待しておりますので、そこら辺が順序がどうであるとか、どの施設が入った入らぬというようなことが現実には非常に末端で混乱を起こすということを心配しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/150
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151・野溝勝
○野溝勝君 関連して質問。やはり重要な問題が論議されておるのですが、この土地の処分問題、この法案が通った場合はそういうことになりますが、これはなかなか重大な問題であって、たびたびこういう点から利権問題なんというのが騒がれている。それで今回この法案が通るとすれば、大体厚生省の引き継ぎの土地というものは五十七万平米ですね、それは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/151
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152・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) この五年間で予定しておりますのが約二百万平米、五十何万坪かになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/152
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153・野溝勝
○野溝勝君 だから、それをあれすると五十七万になるんじゃないですか。その年度の一年間のあれはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/153
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154・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 約二百万平米でございますから、五年間平均でいけば四十万平米、したがって十数万坪。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/154
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155・野溝勝
○野溝勝君 ああそうか。そこで先ほど大蔵大臣や厚生大臣が言われておる近代化のために長期の資金等も必要だというようなことを言われておるが、原則としてはそれほど必要なものならば、国立療養所を別に特別会計にしなくてもいいと思うんですが、それはまあ原則論へまた戻りますから省略いたしまして、とにかくこの土地の処分の問題に対して先ほどからいろいろ御意見もありますが、これは厚生省としては有効適切に扱うと言うけれども、この有効適切にもいろいろ問題があると思うんです。そこでもちろん近代化をやると言っておりますが、土地を売って近代化をするとすれば、第一どういうことを先に考えておられるんですか。これは厚生大臣からひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/155
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156・園田直
○国務大臣(園田直君) 建物が非常に老朽でございまするから、まず建物の整備をしていく、次に医療器械その他の整備をやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/156
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157・野溝勝
○野溝勝君 その場合大蔵大臣は、この土地なぞが所管が厚生大臣に移るわけですね、そうすると、その場合に協議が行なわれると思うが、その場合は慎重に協議をして、国立療養所の近代化のために善処願う、あるいは努力するというふうにあなたの言われるとおり解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/157
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158・水田三喜男
○国務大盤(水田三喜男君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/158
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159・森中守義
○森中守義君 先ほどの資産のことでちょっと関連してお聞きしたい。
改正案の十七条であったかと思いますが、もうこれで病院勘定それから療養所勘定、二勘定間で資産の移動が無償でできると、こういう規定がある。これはむろん政令にゆだねておるようですが、一般規定であるのか、具体的に計画を推進する上でそういうことを予定しているのか。つまり先ほど田中委員からも指摘がありましたように、四十億ないしは五十億の、二百三十億の中に資産処分の金が要るんだと、こう言っているわけですね。したがって療養所勘定に帰属する資産は総額で幾らなのか。それが不足をするから、要するに資産移動を認めて病院勘定からそちらのほうに多少とも持っていく、そういうことを予定しているのかどうかという、これをひとつ承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/159
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160・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) その条文のうちの「移動」と言いますのは、私どもが考えておりますのは、国立病院から療養所に転換したり、あるいは国立療養所が国立病院に転換したり、病院と療養所の間に相互に行き来がございます。二十年以来国立病院と療養所がございますけれども、結核がうんとふえましたときには国立病院からどんどん療養所に転換して結核患者を収容いたしました。最近に至りましては結核がだんだん減りまして、そしてそのまわりが開発されまして住宅地になってくるというようなことで一般医療のほうがはるかに高まってくる、したがってそういう場合には国立療養所を今度逆に一般病院に転換するというようなことをいたしまして、いままでに二十年以来療養所から病院に転換したものが二十四施設、病院から療養所に転換したものが四十一施設ございます。そのような施設の転換を予想しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/160
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161・森中守義
○森中守義君 総額はどういうことになっておりますか、資産の総額は。予想額……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/161
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162・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) いままで移動した分につきましては、片や特別会計であり片や一般会計でございましたので、価格については現在私ども承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/162
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163・森中守義
○森中守義君 そういう意味でなくてこういうことですよ。いままで処分したものはこれはすでにないわけだから、新しく十七条によって療養所勘定に帰属する財産の見積もり額は幾らなのか、こういうことを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/163
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164・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 今度療養所勘定が設定される場合に、療養所勘定の基金として設定されますものが四百六億三千七百万円になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/164
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165・田中寿美子
○田中寿美子君 いまの整備計画の続きですけれども、いただいております資料で見ますと、特別整備八十四カ所、これで二百三十億、五年間に使うわけですね。一般整備七十カ所で十億、どうも私はこれを見ておりますと疑問を抱くんですが、特別整備の内容はどんなものか、それから一般整備の内容はどんなものか、御説明いただきたい。たいへん金額が違いますね。七十カ所を十億で整備して、特別整備のほうは八十四カ所で二百三十億、この内容をもう少し具体的に説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/165
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166・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 特別整備は原則として全部鉄筋コンクリートの近代設備に、全く新しいものをつくるという考え方でございます。一般整備といいますのは、八十四施設を整備するだけでも五カ年かかります。したがって百五十四施設あります中で、それ以降に残されてまいりますので、それまでほうっておくことができないものが相当ございます。したがって保安度の非常に低いような施設については、木造のままでも補強あるいは改修を加えていかねばなりませんし、また木造の施設でこれからなお数カ年間使用していかなければならないのに、現実に暖房もないというような施設が相当多数ございます。したがって、それらの木造施設であっても少なくとも暖房施設等は整備する、あるいはそれに必要なボイラー設備等も整備する、その他目的によりまして、たとえば特殊な老人性の疾患、あるいはリハビリテーション的な能力を与えようと思うものについてはそれらの施設を付与するというのが一般整備の内容でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/166
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167・小林章
○理事(小林章君) この際、委員の異動について報告いたします。
本日、野溝勝君が委員を辞任され、その補欠として大橋和幸君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/167
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168・田中寿美子
○田中寿美子君 どうもこれから受けます印象は、八十四カ所に二百三十億をかけて鉄筋コンクリートにする、あとのものは老朽化しているととろに暖房などを入れていって七十カ所を十億でやる、その八十四カ所のほうは近代化してそして残していく、七十カ所はどうも統廃合の対象になるんじゃないかというような感じがするのですが、そういうことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/168
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169・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 私どもとしては、資金等の関係上もあって、まず八十四カ所をやりましょう。その後また新たに計画をしていくということでございまして、この点は国立病院の整備にあたりましても第一次五カ年計画、第二次五カ年計画というようなことで順次整備をはかっていくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/169
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170・田中寿美子
○田中寿美子君 そうしますと、あとの七十カ所も根本的な整備を計画を立ててすると、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/170
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171・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) これも当然近代的なものにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/171
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172・田中寿美子
○田中寿美子君 そうしますと、統廃合という計画はないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/172
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173・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 統廃合という計画は、これは今度の特別会計とは全く関係なく、従来から実施をいたしてきております。国立療養所というものが非常に近隣のものがたくさんございますので、隣接のものあるいは近隣のものについては整備にあたりまして統合して整備をするという基本的な方針は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/173
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174・田中寿美子
○田中寿美子君 もうすでに第一年度で二十一カ所の統廃合の計画があるのですね。そうじゃないですか、どうですか、四十三年度の統廃合計画は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/174
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175・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 三カ所でございます、四十三年度は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/175
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176・田中寿美子
○田中寿美子君 どことどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/176
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177・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 新潟にあります内野、有明療養所二つを統合する。それから愛知県にあります梅森光風園と八事療養所を統合する。それから兵庫県にあります兵庫療養所と春霞園というのを統合するという計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/177
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178・田中寿美子
○田中寿美子君 そうしますと、衆議院の附帯決議で、統廃合については大幅な統廃合はしないという附帯決議がついておりますね。そうすると大幅な統廃合はしないというふうに確認できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/178
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179・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/179
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180・田中寿美子
○田中寿美子君 そうしますと、小幅な統合はするわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/180
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181・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 先ほど申しましたような原則で、ごく隣接したもの、あるいはごく近隣のもの等は整備にあたって考えるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/181
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182・田中寿美子
○田中寿美子君 特別会計に移管することによって借り入れ金ができるということが非常に重要な題目になっているわけなんです。一般会計でも借り入れ金はできたのですね。これは衆議院の大蔵委員会での討議の中から民社党の河村委員が尋ねていられることばにございますね。国債の対象の中に国立療養所も入っているから、理論的にいえば借り入れができたのだと、こういうことを言っておられますがね、そうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/182
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183・船後正道
○政府委員(船後正道君) 理論的に申し上げますと、国立療養所の施設整備費、これは一般会計当時におきましては公債発行対象経費でございます。したがいまして、一般会計で公債を発行する、この財源でもって療養所の施設整備はこれは可能でございます。しかし、問題は一般会計におきましては広い公共事業というものの再建に充てるために国債を出しまして、借り入れしまして、それによって歳出のそれぞれ要りょうに従って出していくという仕組みでございますので、この点は特別会計におきましては、療養所の施設整備という特定の目的のために特定の借り入れをするということとは差があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/183
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184・田中寿美子
○田中寿美子君 今後借り入れ金を考えているわけですが、本年度は十五億ですね。毎年借り入れ金をふやしていって、そしてその返済のときに何をもって返済するおつもりなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/184
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185・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 今後引き続いて借り入れをしてまいるわけでございますが、この返済につきましては、診療収入等の伸びの中からこれを返していきたいというふうに考えております。当然診療収入が伸びまして、その中から返済してまいりまして、その結果、収支の赤字分は一般会計で補てんをしていただくということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/185
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186・田中寿美子
○田中寿美子君 診療収入の伸びで返済していくという、つまり収入を上げていくというのを当て込んでいるわけなんですね。国立療養所の本来の目的からすると、あまり診療収入をたくさん見込んでいくというのはおかしいと思うのですがね。その点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/186
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187・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 国民の医療費というものは非常に急速に増加しております。患者数が同じでも医療内容が変わってまいりますと、年々十数%ぐらいの伸びがございます。また近代化等によりまして、さらにその利用率が高まれば、またそれに伴う収入増も予定されます。したがって、いわゆるもうけ主義、きゅうきゅうとしてもうけるという意味じゃなくても、ある程度の診療収入の増加というものは得られるわけでございますし、また端的に診療報酬の単価の値上げ等がありますと、それだけでも相当の伸びがございます。そういう意味で収入増等が相当期待できると思いますので、そういうものからでも返済していく。そうして足らない分は一般会計でやってもらうという構想でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/187
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188・田中寿美子
○田中寿美子君 厚生省は診療報酬体系を変えて、単価が上がっていくということを見越していらっしゃって、それを当てにしていられるわけなんですけれども、診療収入増で充てていくということになりますと、借り入れ金の額をなるべく低く押えて、そうして一般会計からの繰り入れがどんどん入っていくということでないと、これは営利化するおそれがあると思うのです。厚生大臣どうですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/188
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189・園田直
○国務大臣(園田直君) そういうことでございまするから、今年度からも、ずっと明年度その他におきましても、経営の収支は一般会計から繰り入れるということになっておりまするが、一般会計からなるべく繰り入れて、経営を圧迫しないように努力する。と同時にいまの借り入れ金についても同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/189
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190・田中寿美子
○田中寿美子君 その一般会計からの繰り入れですけれども、大蔵大臣も必ず一般会計からの繰り入れをしていくのだというふうにおっしゃっておりますけれども、これまでの国立病院の経験からしますと、特別会計になると同時にだんだん繰り入れが減っていっておりますね。繰り入れ率が下がっていく。そういうことになると、自然国立療養所のほうが営利化していくということになるのですが、繰り入れを必ず下げていかないというふうにお約束できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/190
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191・船後正道
○政府委員(船後正道君) 国立療養所に対する一般会計の繰り入れにつきましては、今後とも適正な経営に伴い生ずる収支の差額は、これは一般会計から繰り入れるという方針でございます。これを定率あるいは定額というような考え方もあろうかと存じますけれども、やはり毎年毎年の療養所の収入その他の自己財源、それから他方におきましては、経営施設費等の歳出というものが総合的にバランスするように一般会計の繰り入れをしていくわけでございますから、これを頭からきめてかかるということはむずかしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/191
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192・田中寿美子
○田中寿美子君 いままで国立病院が特別会計になってから、地方移譲や統廃合がたくさん行なわれてきているのですが、厚生大臣その心配はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/192
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193・園田直
○国務大臣(園田直君) 先ほどから医務局長が申しておりますとおりに、ただいままでやっておりまする原則的な統廃合は別としまして、特別会計に移行したための統廃合はいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/193
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194・田中寿美子
○田中寿美子君 国立病院は二十四年に特別会計になってから、地方移譲が十、国立療養所への転換が十五、それからさっきからたびたび申しておりますが、一般会計からの繰り入れ率は二五%から十四%に落ちておる。こういう経験から非常に心配をするわけです。約百六十の施設のうち廃止統合されるものがあるのじゃないかということと、それから病床が減らされていくということ、これは既定の事実みたいになっておりますね。結核の病床ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/194
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195・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 三十三年度ごろまではどんどん結核の罹病率が高くなり、ベッドもふえてまいりましたが、その後結核が急に減ってまいりまして、結核病床自体としては減少してまいっております。それにひきかえて精神病その他の病床をふやし、さらに最近は重症心身障害その他の病床数をふやしてまいりまして、先ほど先生の御指摘のありましたように、今後はこれを減らすというよりは拡大再生産ということばを使いましたが、機能を拡大し、新しい使命にこたえるように拡大していきたいという気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/195
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196・田中寿美子
○田中寿美子君 だいぶ時間がたちましたので少し急ぎまして、統廃合は大幅なものはしないとおっしゃっておりますのを確認しておきたいと思います。
それから八十四の五カ年計画に入っておりますところの特別整備のほかに、あと七十の療養所に対しても第二段階でまた整備をしていくのであって、これは廃止してしまったり統合してしまったりするものではないと、こういうふうに理解しておきます。
次に二割引き廃止と基準加算の問題で、地方自治体への影響のあることで少しお尋ねしたいんですが、先日国会の本会議での私の質問に対しては、自治大臣はまことにそっけないお答えで、基準財政需要額の中で措置しております、通り一ぺんのお答えがいつでもあるのですけれども、二割引きを廃止することによって、また基準加算によってどれだけ地方の負担がふえますか。そのことをまずお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/196
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197・船後正道
○政府委員(船後正道君) 二割引きの廃止及び基準加算の実施に伴いまして、まず一般会計側におきまして、結核予防その他の関係で八億六千二百万円の増加を見込んでおります。地方公共団体の負担はこれの裏負担だといわれるものでございまして、二億三百万円を推計いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/197
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198・田中寿美子
○田中寿美子君 自治省が基準財政需要額の算定の基礎にしてありますといわれましても、それで地方で必ずこれが使われるという保証はないわけですね。どういうふうにして厚生省はこれを保証なさいますか。あるいは自治省か。実はどこの責任でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/198
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199・皆川迪夫
○説明員(皆川迪夫君) 医療費の負担は地方の義務的負担でありますから、当然これは支出をいたします。ただ基準財政需要額で一般的に見ましたのと、個々の自治体で実際に発生した負担が非常に違うというような事態が発生した場合には、個別的に特別交付税でそれを見なければならぬということでございます。したがいまして、地方団体が負担をしないというようなことは考えられないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/199
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200・田中寿美子
○田中寿美子君 地方交付税の性格からいいまして、これはひもつきにするわけにはいかないわけなんです。それで大体地方の公衆衛生部ですか、あるいは衛生部といいますか、非常に弱いと思うのですね。厚生省はこの二割引き廃止及び基準加算についてどういうふうな指導をなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/200
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201・村中俊明
○政府委員(村中俊明君) 今回の国立療養所の二割引き廃止の問題につきましては、先ほど自治省のほうから御答弁がございましたが、一般会計につきましては約六億九千万円の予算の増を見ております。これは療養所の分でございます。それからこれに見合う結局命令入所の患者の公費負担の中身は、御承知のとおりその額の八割が国費負担、二割が地方の負担、こうなっております。その八割に見合う国立療養所の二割引きの額というものが一応六億九千万という計算になっております。それから二割に見合う地方で負担する分、これを先ほどのお話の地方交付税回しという形の折衝を自治省といたしまして、この内容につきましては都道府県の主管課長会議で指示をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/201
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202・田中寿美子
○田中寿美子君 それはわかるのですけれども、それをほんとうに使われる保証がありますでしょうか。どういう指導を厚生省はなさるのかということを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/202
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203・村中俊明
○政府委員(村中俊明君) 私どもが年間に結核の対策費として、ただいまの医療費も含めて約三百八十億の結核の対策の予算を持っております。この予算が正しく執行されるということが一番必要なことでありますし、これが実際に消化されるようなそういう指導を年間を通じてやっているわけでございます。ただいま御指摘の、特に問題になると思われます命令入所の患者の措置につきましては、これは都道府県に対して十分話し合いの上で消化できる、ぜひ現在のその県あるいはその府の命令入所患者の推定から想像されるそういう必要な予算措置を講ずるように、これは毎年年度末あるいは当初予算の編成、あるいは予算の締めくくりの会議のときには重要な問題として話し合いをいたしておりまして、この趣旨に基づいての指導を会議ごとに実施いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/203
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204・田中寿美子
○田中寿美子君 私、実はいままでのそういう命令入所患者なんかに対する地方交付税の交付金ですね、これがどのように使われてきたかということを知りたいと思いまして資料をお願いしましたけれども、どうしてもとれませんでした。厚生省というのはそういうものについて、地方に配賦されたものの行くえといいますか、ほんとうにどれだけそれが消化されているかというようなことを把握はできないものなんでしょうかね。これがはっきりしませんと、今度相当額の負担がふえるわけです。そのために命令入所患者も拒否されるというようなことがあった場合、これは特会制に移す、またこういうやり方をしたために結核対策は後退していくことになるわけです。それで私は心配をするわけですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/204
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205・村中俊明
○政府委員(村中俊明君) 命令入所の措置につきましては、一応先ほど申し上げましたけれども、八割の国庫負担ということで、国の補助金の執行という段階では私ども把握はいたしておるのでございますが、それに基づいた私は当然地方交付税の裏づけがあるものというふうな判断をいたしております。
第二点の、予算措置が十分じゃなくて予算上必要な措置ができない場合があるやに聞いているという点の御指摘でございますが、この問題につきましては、私は命令入所の判断というのは、医学的な措置によって判断されるのであって、予算の問題からそれを拒否するというようなことであってはならないし、ないように指導をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/205
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206・田中寿美子
○田中寿美子君 厚生省は行政指導をするその責任があると思うのです。それで、単に自治大臣がその需要額の措置はしてありますというだけでは私は安心できないわけなんで、そういう点は十分に見届けていただかなければならないと思います。
もう終わらなければなりませんけれども、最後に、今回の基準看護、基準給食、基準寝具という制度は、実はこれがはたして守られているかどうかというと、非常に問題がたくさんあるわけなんですね。昨日も藤原委員からもありました。付き添いのついている患者はたくさんこれは具体的な例があります。それから基準給食というのですけれども、これも補食している人はたくさんある。それから基準寝具ですが、これは特に問題があると思うのです。別の問題で森中委員も追及されましたけれども、一日五十円の寝具の予算で、実際には委託料三十円、その間の差額の二十円というのは一体どういうものになっているのかということや、それから事実上この寝具が十分でない。粗末であったり、いろいろの訴えがありまして、時間がございませんから省きますけれども、そういうものに対してのそういう事実がよくわかっていらっしゃいますかどうかということと、それからそういう基準をきめた以上は、それが患者にとってもほんとうに役に立つように活用されなければならない。それでその寝具などが、結局医療にあまり差別あるようなものであったりしたのでは、基準を設定しても何にもならないわけです。特に五十円のうち三十円で、二十円の差額があるわけなんですが、これについて私は疑問を持ちますので、説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/206
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207・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 基準寝具料を五十円受け取りながら、三十円で委託をしておる。その差額の二十円の行くえということでございますが、これは差額がそのまま収入になるということではございませんで、三十円を出して借りますふとん、敷布、まくらカバーというようなもののほかに、ベッドその他のものもございます。マットレス等の費用もございます。また、昨日来話が出ましたように、ベッドメーキング、あるいはその他で人手がしょっちゅうかかっております。そういう人件費が相当かかりますし、また総体的な管理費も当然あらゆる支払い報酬の中に入っております。そういう意味で、これが原価計算的にきちんとどうなるかということは、個々の施設について調べなければわかりませんが、これは入院料、給食費、あるいは寝具というふうにそれぞれ病院全体の経費に充当する形をしておりますので、部門別の収支を神経質にやることは必ずしも適当でないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/207
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208・田中寿美子
○田中寿美子君 一日五十円といいますと、月千五百円ですか、年間一万八千円ですね。いまごろ綿とか——ゴムでできたエバー・ソフトなんてわりあいに安いのですね。ですから一万八千円というと相当の額なんです。ですから相当いい基準のサービスがあるはずだと思いますが、その辺たいへんまあ疑惑も持つわけなんです。そういう意味で国立療養所ですから、あくまで営利主義になってはいけないと思う。それからほんとうに基準というものが患者の治療に役立つものであるように、給食も、それから看護のほうは要員の問題でたいへん苦心していられることはよくわかります。ですけれども、そういう点でも国立療養所の治療のためには、もっともっとほんとうにいい基準が保たれるようにしていただかなければならないと思います。
要するに私たちは、私はことに今回の特別会計に移さなければならない必然性というものがどうしてもわからないわけです。一般会計でやる意思があればやれるということを最後に申し上げまして、次の方に質問を譲りたいと思います。最後に大臣にどうぞ決意のほどを伺いたい。大蔵大臣も。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/208
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209・園田直
○国務大臣(園田直君) ただいまの基準看護、基準寝具、基準給食その他についての御意見は全くそのとおりであります。特に基準寝具については下請をしているほうが多くて、直営しているほうが少ないという状態でございます。しかしながら、看護及び基準寝具その他はこれは医療の重大な柱でありまするから、多大の困難がありましょうとも、定員の問題、あるいは財政の問題等克服して、原則のとおりにやるように十分患者へのサービス向上ができるようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/209
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210・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この特会制の問題について、昨日から社労との合同委員会を開き、またきょう大蔵委員会を開きまして、特にもう田中委員から非常にきめこまかい質疑が行なわれたわけでありますが、そうした質疑を通じまして、どうしてもまだわれわれ割り切れない。いままで一般会計で経理をしておった国立療養所の経理をどうして特別会計にする必要があるのかですね、その積極的な理由がどうしてもわからない。特にこれが独立採算になって、療養所の患者あるいはそこで働いている労働者の人たちに非常にしわ寄せが行なわれるのじゃないか、その弊害についてもうあらゆる角度から質問されましたが、どうしてもまだ納得いかないです。われわれの考えておる心配がぬぐい切れないわけです。そこで私はいままでの質疑と重複しないように、なぜこの一般会計から特別会計に国立療養所の経理を移す必要があるのか、しかも四十三年度の予算の時点においてなぜやらなきゃならないかという点についてこれから伺っていきたいと思います。
まず、大蔵大臣に伺いたいです。これは財政法の何条に基づいてこの特会への移行を行なうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/210
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211・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 財政法第十三条でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/211
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212・木村禧八郎
○木村禧八郎君 十三条には、特別会計を持つことができる場合は三つありますね、この三つのうちのどれによるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/212
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213・船後正道
○政府委員(船後正道君) 財政法第十三条の第二項には、特別会計を設置し得る場合を三つ書いております。「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」、この国立療養所を特別会計に移す理由といたしましては、広く解しますれば「特定の事業」ということにも該当するかと思いますが、私どもはこれを「特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」ということでもって、特別会計移行を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/213
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214・木村禧八郎
○木村禧八郎君 解釈いかんによっては、第一の「特定の事業を行う場合」に該当する見方もあるが、この場合は「特定の資金を保有してその運用を行う場合」に該当するという説明ですね。大蔵省は、これまで特別会計についての区分、現実にある特別会計の区分につきまして、国立病院特別会計は管理特別会計に入れているわけですね。しかし、管理特別会計というものに事業を行なう特別会計を区分するのはおかしいじゃないですか。この第二項は、たとえば貴金属特別会計とか、外国為替資金特別会計、こういうものが特定の資金を保有してその運用を行うのであって、明らかに国立病院、あるいは国立療養所の場合、これは第一の「国が特定の事業を行う場合」じゃありませんか。そういうふうに整理をしなければならぬ。大体これは整理がおかしいのじゃないですか。いままで大蔵省が国の予算でこういう区分を整理しておりますけれども、この目的いかんによってやはり問題が生じてくるわけなんです。なぜ第二の「特定の資金を保有してその運用を行う場合」に該当させたのですか、また、その必要があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/214
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215・船後正道
○政府委員(船後正道君) 外国為替の特別会計のように特定の資金を保有するもの、これは資金会計の範疇に入れて考えております。この国立療養所につきましては、第十三条第二項の最後の事項でございます。「その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」というふうに考えておりまして、その特別会計の性格といたしましては、いわゆる管理特別会計の範疇に属するものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/215
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216・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうすると、整理特別会計ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/216
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217・船後正道
○政府委員(船後正道君) まあ整理ということばの内容でございますが、特定の営造物の管理にかかわる特別会計という意味におきまして、管理特別会計というように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/217
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218・木村禧八郎
○木村禧八郎君 管理特別会計はおかしいじゃないかというのです。「特定の資金を保有してその運用を」とあるのでしょう。明らかに国立病院は事業を行なうのでしょう。ですから、おかしいですよ。なぜそういうふうに特にその管理特別会計にしなければならないのですか。事業特別会計というのじゃいけないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/218
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219・船後正道
○政府委員(船後正道君) 特別会計をどのような方法で分類するか、これは学問的にも種々御意見があろうかと存じますが、ただいま木村先生が御引用されました国の予算におきまして、これを五つに分類いたしております。一つは事業特別会計、二番目は保険特別会計、これは事業の中でも、保険事業というものを行なう特別会計という意味で保険特別会計、それから、さらに管理特別会計、これは特定の行政目的を遂行するため、物または営造物を管理する特別会計、この中には貴金属特別会計、あるいは国立学校特別会計、また、ただいま御審議いただいております国立病院特別会計、こういったものが属するわけであります。このほか融資特別会計、これは資金運用部、あるいは産業投資といったものが属するわけでございます。五番目は整理特別会計でございます。これは一定の資金の受け払いを整理して、その経理状況を明確にするための特別会計というように考えております。これには国債整理基金の特別会計等が入るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/219
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220・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そういうことを聞いているのじゃないのですよ。今回国立療養所を、いままで一般会計で経理しておったのを、今度は国立病院ですか、特別会計に移す。なぜ特別会計に移すか、その場合に、財政法に規定してある三つの場合、だれが常識で読んでも、どこの特別会計に当てはまるかは明らかじゃありませんか。なぜ管理にするのです。あまりにも明らかじゃないですか、常識からいって。よく読んでごらんなさいよ。特定の資金を保有してそれを運用するというのが管理の特別会計なんですよ。そうじゃないじゃないですか。やっぱり事業を行なうんでしょう。病院という経営をやるんですよ。療養所という経営をやるんですから、事業特別会計でいいじゃないですか。第一に該当させてなぜ悪いんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/220
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221・船後正道
○政府委員(船後正道君) 財政法十三条二項の列挙しております三つの場合のどれに該当するかということでございますが、病院も、もちろん病院経営という一種の行政的事業をしておるわけでございますので、こういう意味では、広い意味で国が行なう事業にかかわる経理だというようにも言うことができるのでありますけれども、いわゆる五現業の特別会計というように、事業を企業的に経営するのを目的とするものではございませんので、したがいまして、国立学校と同様に、この第十三条第二項の一番最後の「特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある」という条項に該当する特別会計であるというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/221
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222・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それはなぜ第一に該当させたくないかといえば、これは財政法四十五条ですね、「各特別会計において必要がある場合には、この法律の規定と異なる定めをなすことができる。」となっているわけです。したがって、財政法と異なる規定ができるんです、特別会計でね、そうでしょう。したがって、この特別会計に移す目的によって財政法に規定してあるものと特別の例外規定ができるんですよ。たとえば借り入れ金もできる、そういうところが魅力があるんでしょう。財政法の規定にかかわらず、公債発行できるとか、あるいは、また、事業会計なら独立採算というものをやっぱり採用していることによって資本に関する規定を置くことができる。それで、その収入発生の事実に基づいて経理すると、こういう財政法の規定と違った規定ができるんですよ。そのときに、これが事業を十三条の一項という考え方でやる場合に、やはり事業特別会計という考え方になってこざるを得ないんです。そうすると、独立採算的ないわゆる考え方がまた原理的にもどうしてもそこにそういう方向にいかざるを得ないんですよ。そこが問題なんであって、そうやると、いや、独立採算に移行するんじゃない、批判されるから管理特別会計と言う、こんなのは常識から考えてもおかしいと思うんです。しかし、いままでの大蔵省の分類のしかたもおかしいのです。いままでの分類が国立病院を管理特別会計に分類しているから、今度もそれに分類しているのですけれども、私はこれを直すべきじゃないかと思うのです。おかしいですよ。そこで、私は、独算制の採用、その資本に関する規定を置くことができるのです。そうして今度は財政法の規定にかかわらず、それと別に公債発行もできるのです。それだから財政法上の束縛からのがれて、かなり弾力的に自由に運用するようにしたいというのがねらいなんですね。独立採算をとりたい、そこがねらいなんですよ。だから、何かいろいろ独算制をとらないといったって、本質がそうなんですから、そこに問題があるのでしょう。そういうやはり問題意識をもってこれを理解しないと間違うのじゃないか。だから、大蔵省は率直にそうなんだと言うべきだと思うのですよ。そうじゃないそうじゃないということを盛んに言うから、私はおかしい、事業と反している。ほんとうなら独算制をやりたいのですよ。そうして借金をどんどんしたいのです。そうじゃないんですか。ねらいをはっきりさしてくださいよ、そこのところを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/222
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223・船後正道
○政府委員(船後正道君) 財政法の第四十五条によりますれば、特別会計におきましては、この財政法の規定と異なる定めをなすことができるわけでございまして、どのような異なる定めをするかは、まあそれぞれの特別会計の設置目的によって違ってくるわけでございます。ところで、この国立病院特別会計につきましては、今回新たに勘定区分を二つに分けまして、国立療養所の経理を特別会計で行なうことにしたわけでございますが、今回御審議をお願いいたしております法律案におきましては、実体的には従来と異なるところがほとんどない。財政法の例外規定といたしましては、従来の国立病院特別会計と同じである、おおむね国立学校特別会計とも同じような例外的な規定を設けているわけでございまして、決してこれによりまして独立採算を強化するというような意図を持ったものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/223
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224・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いままでの国立病院特別会計を管理特別会計のほうへ分類したのは間違いであって、それは十三条の一項に基づくように分類すべきだ、そうして、今回の国立療養所もそういう分類に——分類というより、むしろ十三条の一項に基づいて特別会計に移すんだと、こういうふうに理解すべきであって、それで国立病院とその経理のしかたが変わりないと言うけれども、いままでの非常にこまかい質疑で明らかになったとおり、国立病院が独立採算的になっているということも、きょうの参考人からも、これは浦部という人ですか、これは患者の代表でしたが、事こまかい実態をいろいろ伺ったわけですよ、療養所の実態も。それから、国立病院につきましては、さっき田中委員も御指摘がありましたが、だんだんそういう方向にあるということなんです。これはまた水かけ論になりますが、しかし、一番本質的な問題ですから、これは私はいまの管理特別会計として理解することには反対なんです。
そこで、今度は別の角度から伺っておきたいのですが、先ほど田中委員からの大蔵大臣に対する質問で、財政硬直化の原因として社会保障費の増加を考えていない、だから社会保障費の増加が財政硬直化の原因になっているとは見ていない、こういうふうに大蔵大臣はお答えになったようですけれども、そういうふうにお考えですか、やはり。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/224
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225・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 必要な社会保障費の拡充をはかるためには財政の硬直化がじゃまになるということと、また、同時に、現存の社会保障費においても合理化、統合をはからなければ、これがやはり硬直化の原因になるというものは、やはり若干は存在するだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/225
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226・木村禧八郎
○木村禧八郎君 よくあとの点わからなかったのですが、やはり現在の社会保障費の中には財政硬直化の原因になっているものもある、財政、硬直化の原因の中には社会保障費がその原因の一つをなしている、こういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/226
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227・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 財政硬直化の原因は、御承知のように、やはり法律、制度、慣行というものからきている面が非常に多うございます。そういう意味におきまして、現在の社会保障費におきましても硬直化の原因をなしているものはあると思います。しかし、私どもが何で財政硬直化ということを問題にするかということになりますというと、今後いろいろな新しい財政需要がある、新しい政策が必要になってくる。ことに社会保障部面においては今後いろいろな問題が出てまいります。さしあたり、所得保障が非常に日本は水準が低いというような問題もございます。こういう問題に対処するためには、現存のいろいろな硬直化の原因をここで除かねばならんという考えであって、たとえば今度のこういうような問題との関係でございましたから、これは財政硬直化からこういうことを考えたわけではない、こういったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/227
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228・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは、この特会制と硬直化との問題というものはまたあとで整理して伺っていきますが、まず基本において、財政硬直化の原因として社会保障費が、全部じゃありませんけれども、社会保障費が硬直化の原因になっておるといま言われましたが、具体的にどういう点で社会保障費が硬直化の原因になっておるか。それで、大体財政硬直化というものはこれまでいろいろいわれていますが、大蔵省はどう理解して、そうして何が原因であって、どうこれを打開しようとしておるのか、まずその点はっきりさせてもらいたい。われわれは財政硬直化の打開策の一環としてこの特会制が出てきたと理解しておる。それは田中委員がさっき質問しましたように、四十三年度の厚生省の概算要求の段階では特会制が出ていないのですよ。それを四十三年度の予算編成の段階に入ってから、村上主計局長がたいへんだたいへんだと財政硬直化をぶって歩いてPRをしたのです。それから厚生省のこの特会制の問題が起きてきまして、それで政府はなるべく四十三年度の予算の規模を小さくしたいために、百四十一億ですね、この国立療養所のほうの予算をこれを特会のほうに移す、移せば前年より予算規模が小さく見える、そういう操作もある、私はそう見ておる。そうでしょう。だから具体的に言ってください。具体的に何と何が財政硬直化の社会保障費としての原因になっておるのか、その点具体的に言ってもらいたいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/228
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229・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) まず一番最初のほうからの問題を申し上げますが、財政硬直化のためにこの特会制を大蔵省が考えたということは、これは全くございませんで、むしろ逆だと思います。と申しますのは、御承知のように、今度いわゆる総合予算主義というものをとりまして、そうして年度の途中で補正するというような財源を期待することは今年度困難でございますので、そういうことを避けるために必要な財政需要を当初予算において全部これを並べて、その優先度をきめ、均衡をとるということをやってみましたところが、非常に今後財政の合理的な配分ということについて均衡をとるということになりますというと、なかなかむずかしい問題がたくさん出てまいりまして、こういう国立療養所のような問題もその一つでございまして、単に各財政需要の均衡をとった主義で予算の配分をしようということになりますと、私は、やはり従来と同じような予算の配分になって、差し迫っておるこの設備の老朽化を急速に解決しなければいかぬというような必要性になかなか対処できないであろう、むしろここでこういう問題は特別会計に移すことによって借り入れ金もできるし、財産の処分もできるというような形でやるほうがこれは急速に改善されるというようなことを考えて特別会計に移したのでありまして、そこまでくる過程としましては、硬直化のために財政を節約しようとか、そういう意味からじゃなくて、今後特別会計にするのでなかったら急速なこの改善ができないということを私どもが考えたということでございます。
それから、社会保障の硬直化の一つの原因になっておるのは何かと申しますと、これは率直にいって医療制度だと思います。現在の社会保障費のほとんど半額以上を医療制度で占めるということのために、他の社会保障の伸び悩みということが起こっておることは事実だろうと思います。ということは、これは公費によって保障すべきもの、たとえば生活保護費、社会福祉というような問題、これは税をもってまかなうべきものでございますので、性格がはっきりしておりますが、医療保険というようなものは、ある程度国民の負担によって、保険料によってこれはまかなうべき社会保障制度でございますので、そこが統合され、国と保険者と被保険者の負担の割合というようなものが合理化して、制度が統合整備されるというと、これは相当違ってきまして、他の社会保障部面に寄与する面が非常に多くなってくる。で、はっきりいまそういう問題が出ているときでございますので、抜本的解決ということがいわれて、関係者においていろいろ審議しているところでございますが、やはりこういう問題が解決されないでいるということは、私は、やはり財政の硬直化の一つの原因をなしているというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/229
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230・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これはまあ本音を言われたわけでして、いまの後段の御答弁のほうから、財政硬直化の原因として医療制度がこれは原因になっているということをはっきりとお述べになったんです。そうして社会保障の中で医療費が独走的に高い、ほかの社会福祉、あるいは年金とか公衆衛生の費用に比べて非常に高いことは認めるんです。しかし、それだからといって、世界的に見てごらんなさいよ、世界的に見て。で、社会保障費が財政硬直化の原因であるということにつきましては、大蔵省の主計局の調査課長の亘理君が非常に詳しく「金融」という雑誌に書いています。昨年十二月号に「財政硬直化問題の背景と展望」、これは大蔵省の調査課長という資格において書いている。この中でいま大蔵大臣が言われたと同じことを言っています。ちゃんと書いている。それで、社会保障の部門の中で、従来、医療費の増加が格段に大きいのですが、すでに総医療費の国民所得に対する割合等から見て、医療保障は優に先進国水準に達していると、こう言っているんですよ。今後はいわゆる乱診乱療等を防止して、その伸びを合理的なテンポにとどめ、年金部門や社会福祉等を含めた社会保障全体としてのバランスのとれた充実をはかっていくべきであると、こういうふうにまあ言っております。これは大蔵大臣言われたとおりです。ところが、ここに非常に国民に誤解を与える表現がある。総医療費の国民所得に対する割合ですね、優に先進国水準に達していると、これはほんとうですか、事実ですか。国民一人当たりの医療費について、医療費は著しく低いですよ。これは総医療費を言っているのであって、総医療費のGNPに対する割合はそうです。ところが、国民一人当たりの社会保険の医療費、社会保障費について見ますと、日本は非常に低いのです。ですから、何か日本では、もう社会保障が、特に医療保障においては先進国並みになっているというような錯覚を持っている。それに基づいて財政硬直化のしわ寄せを社会保障、特に医療費のほうにしわ寄せをしようとしている。これは西ドイツのキージンガー内閣のもとで財政再建四カ年計画、これが社会保障のほうにうんとしわ寄せをしているそのまねをやっていると思うのです。西ドイツの予算の中に占める社会保障費の割合は三〇%じゃないですか。日本では一四・五%でしょう、四十二年度。まで西ドイツの半分以下なんですよ、社会保障費の予算の中に占める比率は。国民一人当たりの医療費を見てみますと、これは一九六一年ですが、日本は三千八百三十七円ですよ、イギリスは一万四千九百五十六円、フランスは一万二千九百九円、アメリカは三万二千九百六十円です。ただ、GNPに占める総医療費の割合を見ると、これは先進国並みみたいに見えるのです。どうなのですか、大蔵大臣は、日本の医療制度が財政硬直化の、率直にいって、大きな原因であるということをいまはっきり言われたのです。これはもっと認識を改めなきゃいけないのじゃないか、まだまだ日本では全体として医療費は少ないのですよ。医療費、医療扶助が独走しているということ、その独走している事態が先進国に比べてまだまだ低いのですよ。そういう低いもとで財政硬直化のしわをこの社会保障、医療費に寄せようとしている。根本的に間違いがあるのですよ。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/230
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231・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 社会保険の日本の負担が外国に比べて非常に低いということから給付水準が低くなっておるということでございまして、これをやはり変えていくことが社会保障を実質的に推進することでございますので、そういう意味から見ますというと、本来、社会保険制度であるべき医療保険制度がいまいろいろなことで赤字を出す、赤字が出たらこれは全部国費におんぶするというような形の制度がどんどん進められていくということは将来大きい問題でございまして、やはり医療保障制度がもっとこの水準を向上するというためには、この費用の負担というものについてここで抜本的な考え方を持たなきゃならぬということは、いまもう皆さんのこれは常識でございまして、どの審議会もそういう意味からこの問題と取り組んでいるということでございます。もしこれが合理的に解決されるのでございましたら、国の予算というものはほかの所得保障の方面にもっとこれが強化されるでございましょうし、公的扶助の問題ももっと強化されるというのに、この制度の、やはり私は明らかに硬直化していると思いますが、この硬直化のために社会保障制度全般への影響を与えていることは、私は事実だろうと思います。ですから、これは早急にやはり根本的な改善を要する問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/231
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232・木村禧八郎
○木村禧八郎君 大蔵大臣は根本的に問題の理解のしかたが間違っているのですよ。財政硬直化硬直化といいましても、日本のGNPに対する財政規模は諸外国に比べて大きくないのですよ。これは大蔵省で出している資料です。「財政金融統計月報」、この中で前の主税局長の塩崎君がいろいろな論文を書いています。「これからの税制」、この中で財政規模の国際比較をやっています。GNPに対する政府支出で見ますと、日本は一九・四%です。それからアメリカが二六・五%、イギリスが二六・二、西ドイツが三二・二です。フランスが三二・三なんです。GNPに対する財政規模は、日本は諸外国に比べて著しく小さいのです。こういうもとで財政硬直化硬直化といっていますけれども、ところが、社会保障費は西ドイツが三〇%なんです。日本は一四・五%ですよ。だから、西ドイツでは、かりに社会保障費が財政硬直化の一因になったと見てもいいかもしれません。そこで、キージンガー内閣では、軒並みに社会保障の料金を上げています。交付年金なんか切り下げている。それから、児童年金なんかもこれを切り下げています。そのかわり、防衛費は九十億マルク削っていますよ。日本は防衛費は四百十一億ふやしているんでしょう。逆じゃありませんか。四百十一億の防衛費があれば、この特別会計の三十三億なんか簡単に浮くじゃありませんか。これは全体の財政政策との関連においてこれを見なければいけないのですよ。だから、基本において財政硬直化の原因というのは、大蔵大臣、どこにあるのですか。いまは財政規模は小さいですよ。どこに硬直化がありますか。どこに硬直化があるのです、日本の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/232
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233・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、硬直化は財政の規模によらないと思うのです。新しい必要経費が調達できないような予算が弾力性を失うことが硬直化でございまして、こういう現象が日本の財政に出ています。いま医療制度の話が出ましたが、私は、非常に自分で心配しておりますのは、十分な責任を果たしていないようで、日夜心配しておりますが、たとえばこの医療制度におきましても、御承知のとおり、一千億円の赤字というものは借りて持っていますが、これは国が払うべきものであるのか、この保険者がこれを負担するものであるから、こういう原則もきまらないで、国民の貯蓄を一千億黙って使っているというような事態は、私は、これは政府、国会においても何らか合理的に解決さるべき問題で、こういうものがそのままにしてどんどん累積されていくというようなことは、これは財政が弾力的になっているとはどういっても申されない現象ではないかということで、私は、やはりこういう問題は真剣に考えたいと思っております。ただし、その問題とこのいまの特会法の問題は、これは別でございまして、それだから特別会計法を考えたというのじゃないということは、さっきからるる申し述べたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/233
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234・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは大蔵大臣がそう考えたいのです。また、大蔵大臣は、そう言っちゃ失礼ですけれども、問題意識が非常に浅薄であってわからないのかもしれませんよ。これと関連がないなんて言うが、とんでもない。それは財政硬直化の原因についてあなたしっかりした認識がないからですよ。そうですよ。いま、はしなくも言われたのですよ。財政硬直化の原因というのは、この歳出に対して適当な財源がなくなったと、そういうことを言っているんですよ。つまり高度成長の段階では自然増収がたくさんあって、自民党の放漫財政をまかなってきたんですよ。農地報償とか、財政硬直化の原因を自民党みずからがつくってきたんですよ。そうして高度成長の段階で自然増収をそういう人たちにどんどん分配してやっちゃったんでしょう。選挙のときにはうんと献金をしてくれるから、租税特別措置なんかでどんどん減税しちゃったんでしょう、そうして四十年にとうとう行き詰まったんでしょう。日本の財政は二千五百九十億赤字を出したんでしょう。そしてもう自然増収ではまかなえないので、今度は借金政策、公債政策なんでしょう。ところが、公債政策が行き詰まったんでしょう。とうとう九十八円六十銭で売り出した公債が九十七円に暴落したんでしょう。公債政策が行き詰まっちゃった。そうしてどうしようかといろので、今度は財界のほうからも公債には反対の声が出てきて、八千億公債を発行したけれども、今度は七百億削って七千三百億、また一千億削るんでしょう。公債発行も行き詰まっちゃった。そこで、結局たばこや酒の増税をやる、それからこの社会保障ですよ、受益者負担の原則とかうまいことを言い出し、あるいは応能負担原則とか、そうしてこういう医療なんかの赤字が出たときは保険料を上げて負担すべきだということをさっきあなたが言ったでしょう、これは常識だとあなたは言ったでしょう。それは諸外国で全体の予算の中で占める社会保障費が相当大きくて、もっと発達している国ならいいですよ、日本はまだまだ貧弱じゃありませんか。そんなところで西ドイツのまねをするなんて、これはおかしいですよ。とにかく財源問題は、とうとう公債発行が行き詰まったので、今度はほんとうに税制改正をやらなければならぬ段階にきているんですよ。それをやらないで、租税特別措置によってたくさんの減免税をやる、六千億にものぼるような会社の交際費にも手を触れないで、そうして大口脱税を認めているんでしょう。政府は歳入の財政硬直化に一つも入れてないのです。歳出の硬直化ばかり言っているでしょう。これで根本的に税制改正をやってごらんなさい。さっきもぼくが言ったのですが、租税特別措置ですが、あの中で利子配当の両方のあれは四十二年度五百億以上も滅免税しているのですよ、五百億以上。しかも、利子配当は資本蓄積にほとんど役立っているかどうかわからないでしょう。特定の階層にただ利益を与えるだけなんですよ。根本的に税制を改革すれば、いわゆる歳入面の硬直化に手を染めれば、特会制をやらなくたって三十三億くらい出てくるのですよ。さっき大蔵大臣は、いまの状態では財源がどうしてもございませんから、歳入限界があってしようがないからそういう措置を講じたのだ。十分に国立療養所に繰り入れできない、だから特会に入れて借金政策をさせて、あるいは国立療養所が持っている財産を売ってまかなっていくと、そういうことをせざるを得なくなると言われたんですが、財政硬直化のいまの根本の原因はどこにあるかといったら、歳入の硬直化に手を触れてないということに大きな原因があるのですよ。それを社会保障費に何かその財政硬直化の原因があるようなことを言っているのですが、大きな間違いですよ。この機会に根本的な政府の考え方を直しておかないと、今後の日本の財政にも非常に間違った編成のしかたが出てくるわけです。いわゆる社会保障を後退さすようなことになってくる。この際にはっきり認識を改めていただきたい。いかがですか。根本的に間違ってますよ。歳入の硬直化に取り組んでいますか。全然取り組んでないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/234
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235・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) いま私どもはいわゆる硬直化の問題と十分取り組んでおります。今年度の予算編成が終わったあとでも、財政制度審議会におきましては部門を幾つか分けて、あらゆる問題について検討していただくことにいまなっております。社会保障制度についても、むろん調査会は検討の対象としておりますが、私は、いまの社会保障制度が硬直化の原因を全部がなしておるということを言ったわけではございません。一つも硬直化の原因をなしていないというのではなくて、現存の制度の中でも硬直化の原因をなしておるものはやはりあるということを言っただけでございまして、これは事実だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/235
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236・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは、じゃ具体的に言ってください。さっきからの何か硬直化——医療制度のもとですよ、それは乱診とか乱療というのですか、お医者さんが乱診、乱療をやって経費がふくらむとか、そういうようなことを言っているのですか。それとも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/236
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237・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) そうじゃありません。乱診、乱療とか、ただそんな小さい問題じゃございませんで、全体の制度自身として、とにかくこれを運営していけば、いく間に一千億円なら一千億円の累積黒字が出たから、この赤字は借りていまそのままになっているというので、ほうっておけばこれがどんどん年々ふえるというのですから、一体この赤字はだれが解決するのかというものも、社会保障制度自身としてはまだ未決の問題で、きまっていないと言うので、何もきまらないでこういう形のままどんどん赤字が累積させていくということは、これはなかなか大きな問題です。これは明らかに財政硬直の一つの現象となっていることは事実でございますので、これはどこが悪いとかいいとかの問題じゃなくて、今後の社会保障制度の合理化という一つの問題として、これは十分検討の上解決したいということを申し述べておるだけでございまして、いいの悪いのというのじゃなくて、明らかにこの現象は硬直化の一つの現象と見ていいんじゃないかということを申しただけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/237
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238・木村禧八郎
○木村禧八郎君 国民健康保険とか、そういうような特別会計に赤字がどんどん出てきたことについては、これは認めますよ。これは一体だれの負担でこれを処理するかということが問題なんです。ところが、大蔵省のほうは、それをいわゆる応益負担の原則とか応能負担の原則とか、そういうことで被保険者の負担によってまかなうべきだ、それで財政硬直化を打開しろというのが大蔵省の意見なんですよ。それで、その理由として、日本では税金及び社会保険料の負担が諸外国より非常に低いということを理由にしているんですよ。大蔵省が財政制度審議会に出しました資料があるのですからね、「日本の社会保障」という広範な資料がありますよ。この資料を見ますとそういうことがはっきり出ている。日本では税金や社会保険の負担が諸外国より低いのだ、だから社会保険料とか税金をもっと負担すべきだ、しかも、亘理氏は何と言っているか。そういう負担をふやさなければ社会保障を充実すべきでないということをはっきり言っているのですよ。今後はそういう方向に日本の社会保障はいくんですよ。これは大蔵省の腹はそうなんですよ。厚生大臣、よく聞いておいていただきたい。大蔵省は根本的にそういう考えなんですから、大蔵省の財政ベースで考える社会保障の考え方と、それからほんとうに国民のウェルフェア、国民の福祉を考える厚生行政の立場からの問題とは、これは相当対立が起こってくると思うのですが、私は、厚生大臣、前から言っているように、きのうは社労のほうとの連合審査会で、社労の人が多かったから厚生大臣にだいぶ攻撃がひどかったのですが、きょうは大蔵委員会ですからね、これは大蔵省に責任があるのですよ、私から言わせれば。きのうは厚生省なんかは気の毒なようなものですよ。厚生省が攻められているのを大蔵省は黙って見ている。自分のほうが元凶なんです。責任者なんです。きょうはもう容赦しませんよ。きょうは大蔵省が元凶なんですから。さっき言ったように、大蔵省がこれを押しつけたのですから。厚生省の力は弱い。非常に不幸なことは、日本は厚生大臣の力は過去において弱いのです。失礼ですが、前に河野一郎氏が、おれなんか厚生大臣いやだなんて言って断わったことがある。そんな伴食大臣いやだと言って断わった。これは失礼ですが、園田厚生大臣は、そういう経過があるので、非常にがんばってもらいたいですよ。これは国民のためにほんとうに大いにがんばって、政治性のあるところを示してもらいたい。はなはだ失礼なことを申しましたが、まず根本的なものの考え方ですね、これは改めてもらわなければ困りますよ、大蔵大臣。あまり財政ベースばかりにとらわれるものじゃないですよ。これは亘理氏のを見てごらんなさい。これを見れば、これからどんどんみんな赤字は社会保険料の引き上げ、患者の負担、そういうことにはっきりなっているんですよ。だから財政硬直化はおそろしいんです。その一環としてこの特会制が出てきておることは間違いないんですから、大蔵大臣はどんなに否定されようとも。その証拠には、この特会制の中には二割の割引の廃止が入っているんですから、そうでしょう。そうして、もしこの特会に移さなければ、いまの老朽化しましたと、人ごとのように言われておるんですが、だれが老朽化したんですか。この老朽化した施設を近代化できないと言っておるんです。それは一般会計から入れれば老朽化を近代化できるんですけれども、財政硬直化で金がない、そこで特別会計に移して借金させるというんでしょう、関係あるじゃありませんか。あなた関係ない関係ないと言うけれども、これは大蔵省が火元ですよ。財政硬直化打開策として、いわゆる社会保障にしわ寄せしている。特に貧困者や何か多く、一番弱い階層のおるところですよ。そこへしわ寄せしているんですよ。人間尊重とか何とか佐藤内閣は言っておるけれども、全く矛盾している。大蔵大臣、根本的に考え方をここで改めてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/238
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239・中尾辰義
○中尾辰義君 関連。私はおとといも大蔵大臣に質問をしたわけですが、去るおととい来の審議の内容を聞いておりましても、この問題は、やはり何といっても医療サービスが低下してくる、その問題は、やはり看護婦が足らない、医者が足らない、結論はもっとふやせということになる。医者がもう少し来てくれればいい、看護婦をもう少しふやしてくれれば患者に対するサービスももっとよくなるんじゃないか、これが療養所側、あるいは患者側の要求でありまして、きのう、おとといから厚生大臣はずいぶん攻められておったけれども、結局は特会制になっても大蔵大臣が一般会計から金は出しますと言明はいたしておりますけれども、国立病院等の例を見ても、だんだん減ってきておる。ですから、大蔵大臣として金を出すのか出さぬのか、ここのところは最大の要点になってくるわけですから、先ほどから木村委員がおっしゃるとおりに、これは私も全く同感です。ですから、一番肝心のポイントをはっきりとひとつ答弁をしていただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/239
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240・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 適正な経理による収支の差額は一般会計で負担するということ、必ず出すということは言明いたします。それと、木村さんの問題でございますが、これはもういろいろ木村さん言われましたが、財政硬直化とか何とかいいながら、私どもの今度の予算編成では、実際において社会保障の充実ということをやはり一番これに考慮を払ったものでございまして、先ほども申しましたが、今年度の予算において九百五十億、約一千億近い予算の増額ということは相当の努力だと私どもは思っております。で、社会保障制度を、私は自分で予算編成をやってみて、どうしても、皆さんに何と言われても、後退させたという気が自分ではしない、いまの財政の許す限りにおいて私はできるだけ力を入れたというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/240
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241・木村禧八郎
○木村禧八郎君 たびたびこれまでの質疑に対して、この国立療養所を特別会計にすることによって独立採算に移行するのではないということを言われているんですが、単に抽象的に言われているだけではわれわれは納得できないわけです。そこで、これは厚生大臣にひとつ確認を求めたいと思うんですが、まず第一に、これまで非常に心配になっておりますが、療養費の割引制度ですね、それから基準加算の未徴収、これは今後も継続される意思があるのかどうか、これは明快に答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/241
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242・園田直
○国務大臣(園田直君) 割引制度と、それから基準加算の問題は、在来の患者はそのままでございます。いままでどおり。それから、新しく入られる患者及び外来患者についても、自己負担のあるものは割引制度を廃止をしない、基準加算もいたさない。なお、それはずっと続けるつもりでございます。続けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/242
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243・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、これは現行のままですか、それと違った点が出てこないんですか。今後ずっと将来それでいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/243
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244・園田直
○国務大臣(園田直君) いま申し上げたとおりでございまして、在来の患者の方はいままでどおりの割引もいたしますし、基準の加算もしない。新しい患者と、それから外来の患者は、自己負担のある方は割引制度をいたしまするし、基準加算もいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/244
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245・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これに関連しまして、地方財政の負担が出てくるでしょう。それはさっきどのくらいかと、よくわからぬようですが、それはどうなんですか、基準財政需要でみるんですか。はね返りが出てきたときは、大蔵大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/245
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246・船後正道
○政府委員(船後正道君) 基準財政需要のほうで算定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/246
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247・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今後はね返りがきたとき。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/247
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248・船後正道
○政府委員(船後正道君) 今後も同様の方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/248
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249・木村禧八郎
○木村禧八郎君 はね返りもみていくんですね。はっきりみていくんですか、はっきり言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/249
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250・船後正道
○政府委員(船後正道君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/250
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251・木村禧八郎
○木村禧八郎君 次に、衆議院の附帯決議がありますが、一般会計からの繰り入れにつきましては、総予算額の半分を下らない、これは定率主義ですね、われわれが主張している。これを確約できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/251
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252・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) この定額とか定率というようなものほ固定さるべきものではないと私は思います。そのときの財政ないし経済事情によって差額を国が負担するという原則をはっきりしておけばそれでいいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/252
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253・木村禧八郎
○木村禧八郎君 前からの質疑で明らかになったとおり、国立病院の場合、二五%がずっと繰り入れ率が下がってきているんですよ。そうなると、やはり独立採算になる危険があるんじゃないか、その疑いが出てくるので、そこで、心配がない心配がないとおっしゃいますから、具体的にそれを保証する意味で、定率にしていけば、とにかく率ですから、全体の予算が多くなれば率も多くなる、全体の予算が低くなれば低くなるのですから、二分の一を下らないということをここで確認されないと、これはわれわれますます不安になる。いままでこれは独立採算じゃないというのですから、決してそれにしないというその証拠として、そのあかしですね、そのあかしとしてこの確認をぜひ私はここでしていただきたい。独算制じゃないというなら、そうしなくちゃ独算制であるということになりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/253
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254・船後正道
○政府委員(船後正道君) 国立病院の場合は、御指摘のとおり、二十四、五年ごろは二五%前後の繰り入れでございましたが、それが低下いたしましたのは、御承知のとおり、当時は甲乙一点単価の時代でございまして、これが二十六年の十二月、一五%ばかり引き上げられております。その診療報酬の改定でもって二十七年度に一〇%台に繰り入れ率が落ちております。ところが、その後の経過を見ますと、やはり一般的にはこの診療報酬の改定のあった後には繰り入れ率は減る、それからしばらくしますと繰り入れ率がふえる。二〇%に上がった年も二十九年度にございます。まあこういう状況で推移しているわけでございまして、私ども肝心なことは、病院なり療養所の歳出をいかに確保するかという点だと思います。したがいまして、必要なる歳出は確保する、そうして自己財源でもってまかなえないものは一般会計から繰り入れるということが一番確かなる療養所の運営についての保証である、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/254
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255・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そこで、自己財源で足りないときに一般会計から繰り入れる、そのときに、そこが特別会計になった場合、この自己財源の調達について、それが独算的になる危険がある、一般会計から十分に繰り入れがないと。そこを心配する。それじゃ定率が困難ならば、少なくとも、四十三年度の実績を下回らない、そのことは確約できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/255
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256・船後正道
○政府委員(船後正道君) 明年度の国立療養所の必要とする歳出総額がどうなるか、それから、明年度の国立療養所の診療収入なりその他の自己財源がどうなるかという問題でございます。一般的に申しますれば、予算は年々四囲の事情でもって歳出総額がふえてきております。その歳出総額のふえるスピードに、自己財源がどのようにふえていくかということできまるわけでございますから、やはりこの場合も、私ども、ことしの実績額を下回ることはないとか、あるいは上回るとか、そういうことは非常に言いにくいのでございます。しかし、所要の歳出は確保していく、足らざるところは一般会計から繰り入れるということははっきりしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/256
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257・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ですから、そこで問題なんですよ。所要の財源を確保してという、その確保のしかたが、一般会計からの繰り入れいかんによって独算的になるのですよ。だからそこをはっきりさせなければ、だからみんな独算になるなると言うのですよ。しかも、これが財政硬直化打開の一環として出てきていることは、経過からはっきりしておるじゃないですか。厚生省の概算要求のときはなかったんですから、それで、あとで財政硬直化が騒がれてからこれが出てきた経過ははっきりしているのですから、そこのところですよ。そこをもっと明確にしてもらわないと、みんな不安が去らないわけです。ですから、そこのところをもう少しはっきりしてもらいたい。少なくとも、四十三年度の実績を下回らないくらいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/257
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258・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) その不安は、私は杞憂であると思います。独立採算制にしないという原則ははっきりしておるのでございますから、必要な措置によって不足が出る場合は国が持つという原則だけがはっきりしておれば、私は少しも心配はないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/258
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259・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これはわれわれ不満です。これでは、いままで社労との連合審査会、あるいは大蔵委員会、いろいろ質疑をやってきましたが、結局どうも独立採算になる危険があるということの心配をぬぐい去ることはできない。確約いまできないようですから、次にさらに伺いますが、これからわれわれ確約させるように努力をまたしていかなければならないのですね。今回の選挙のいかんによってはわれわれの要求もいれざるを得なくなるかもしませんからね。
第三には、国立療養所の統廃合とか地方移譲のさっき整理基調については田中委員から質疑がございましたので、特に昭和四十三年度の施設の百五十七、それから定床五万二千百十二床ですか、定員は確保する、この点はどうですか。これは確約できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/259
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260・園田直
○国務大臣(園田直君) ただいまの定員は縮小しないようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/260
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261・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いま私は数字をもって言ったのです。四十三年度の施設百五十七、定床五万二千百十二床、定員は確保する、この程度やはり確約できませんと、どうもやはり独算制のにおいが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/261
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262・園田直
○国務大臣(園田直君) 定床、定員は確保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/262
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263・木村禧八郎
○木村禧八郎君 確保いたします——満足いたしました、その点は。
第四です。医師、看護婦等、医療職の増員をはかってその待遇改善をはかること、さらに看護婦の配置基準につきましては、結核、精神病ですか、四対一以上、重症、それから自障害等は一対一以上を確保する、この点は確約できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/263
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264・園田直
○国務大臣(園田直君) 医師、看護婦その他の職員は、定床に必要なる人員を確保し、待遇改善等に極力努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/264
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265・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いまそのほかに看護婦の配置基準につきまして、結核、精神は四対一以上ですね、それから重症、自障害等は一対一以上、こういういま具体的に数字にわたって質問しているんですが、その点は確保を確約できるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/265
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266・園田直
○国務大臣(園田直君) このような定足数は確保するように努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/266
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267・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いま必要なと言われたけれども、この四対一と一対一ですね、これはやっぱり確保していただきたい。これは最低ですよ。そこが非常に重要なんですよ。ポイントなんですよ。ただ抽象的じゃまずいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/267
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268・園田直
○国務大臣(園田直君) この問題は、今後の問題を答弁するのは、あとでうそを言ったことになります。定員と財政の裏づけの問題がありまするし、特に配置等については、待遇がいまのままでは定足数もそろわないという実情でございまするから、待遇改善等とも考え合わせまして、その定足数を確保することに極力努力するということで御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/268
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269・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それじゃこういうふうに理解していいですね。いまの四対一、それから一対一につきましては、その目標に到達するように、これは財政面もあるでしょうけれども、努力すると、そうして大蔵省はこれに協力されますか、いまの財政面の問題。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/269
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270・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) こちらは受け身の官庁でございますので、厚生省の概算要求がまいりましたならば、査定の段階において十分協力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/270
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271・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは今後十分厚生省のほうから要求があれば協力すると害われたのですよ、検討じゃないですから。厚生省が非常にいままで遠慮していたということを言われているのですが、大胆にただいまの要求を出されるように。
それから、最後に第五番目に、国立療養所は営利制をとらない、それから医療給食、看護等の内容改善をはかり、特に患者食糧費の改善をはかるとともに、下請制度の導入、差額徴収の措置をとらないこと、こういう点について確約できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/271
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272・園田直
○国務大臣(園田直君) 国立療養所は、特別会計にかりに移行いたしましても、一般会計同様、営利制をとらないで、これによる人員等の削減はいたしません。また、差額ベッドは、これは極力押えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/272
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273・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ただいまの御答弁はそれでいいですけれども、しかし、私がいま確約を要求いたした点に御答弁が漏れている点がある。とにかく医療給食、看護の内容改善をはかる、それから患者食糧費の改善をはかる、下請制度の導入、差額徴収の措置をとらない、これは当然だと思うのですが、これは確約されますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/273
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274・園田直
○国務大臣(園田直君) いま落としました医療給食、看護等の内容の改善、特に患者食の改善をはかることは、これは当然のことでございますから、極力御趣旨の線に従っていたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/274
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275・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いま私の要求したことについては、確約されたと了解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/275
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276・園田直
○国務大臣(園田直君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/276
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277・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それで、最後に、いま五つの要求をしたのですが、その中で、ある点は満足すべき点もありましたけれども、非常に肝心な点において確約を得られなかったことは非常に残念でございました。したがって、どうしてもまだ独算制に移行して、患者とか、あるいは医療労働者の人たちに対するしわ寄せがないとはどうもわれわれ保証できない、不安心なんですが、しかし、時間の関係がありますから、最後に一つだけ質問をいたしまして私の質疑は終わりたいと思うのです。
それは、今度の暫定予算が組まれまして、そうして本予算が成立した。ところが、この特別会計の法律が通らないために、給与の支払いとか、あるいは患者に対するいろいろな薬の支給、あるいはいろいろな食費、食糧ですね、給食等につきまして昨日もいろいろこまかい質問がありました。結局大蔵省の主計局次長からも話がありまして、はっきりといまやっていることは財政法に違反している、こういうことをはっきり言われたわけでしょう、その点は認められたわけですね。これはどういう点から見ても根拠がないのです。私は支払い自体を悪いとは言いませんよ。しかし、このいきさつを考えると、われわれ憤慨にたえないのです。この前の国立病院が特別会計に移るときには、予算が四月で成立しました。ところが、国立病院の場合は実施期は七月、三カ月余裕があったのですよ。そういう出し方をしてきたのです。ところが、今回は、これはまあ予算と法律との関係なんですが、今回非常に悪例を残したことになる。そのために財政法に違反したことがいままでずっと行なわれて、根拠のないものを支払ったりなんかしているのですよ。こういうことは許されるべきでない、違法であることははっきりしている。そこで、私は今後のことを言っているのですよ。もし今度はこの特別会計の法律が全然通らない場合を予想したらどうなるか、そういうことも予想されないことはないのです、事情によっては。そういうときは、なぜ政府はその違法をおかさないでできる方法をとらないかというのですよ。それは補正予算を出すべきですよ。補正予算を出さないからこうなるので、それを出せば簡単なんですよ。そうすればこう違法をやらないで堂々とできるのです。これが通らなかった場合なおさらでしょう。ですから、少なくとも、この国会を終わるころまでは、たとえば二十七日ごろまでは一般会計で支出することを認めると、そういう修正予算を出すべきですよ。そうすれば財政法に違反しないで、法律秩序を守りながらそれは支出できるのですよ。われわれは特別会計に反対ではありますけれども、しかし、これが成立しない場合もあるのですから、この法律が。そういう場合にどうするか。そうして、大蔵省はこれまでは何と言ったか、この法律が通らないと大混乱が起きる、社会党の責任だと言うのですよ。だから早く通せ通せ、こんなの脅迫ですよ。大蔵省、脅迫ですよ。通らなかったらどうするか。われわれだって、やはり民生安定には心を悩ますわけですから、そう言われれば社会党の責任もやはり感じなければいけない。ですから、今後もあるのですから、今後はこういう出し方をすべきじゃない。前に国立病院のときはちゃんと三カ月余裕をおいたじゃありませんか。なぜ今度はそういう出し方をしたか。それで、さっきの御答弁でも明らかになったように、最初は厚生省はその意思がなかったのですよ、そうでしょう。概算要求がなかったのを、大蔵省から押し切られてあわててやったからこういうようなやり方なんです。こんなお粗末なことは国会を侮辱するものですよ。違法をやっている。われわれは財政民主主義を守るためにこんなこと許すことはできません。大蔵大臣、補正予算を出すべきです、補正、修正、この点については御意見どうです。今後もあるのですから。今回のことについては、きのうはもう陳謝陳謝で、厚生大臣と医務局長は陳謝ばかりしておるが、きょうは大蔵大臣は陳謝しなければいけませんよ。こんな違法を起こしておいて、これはてんたんとしていられませんよ。この違法についてはどう考えるか。それから、今後はどうするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/277
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278・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) これは木村さんの言われるのは私は少し無理じゃないかと思うのです。と申しますのは、本予算のときもそうでございましたが、なぜもっと早く暫定予算を出さないかということでしたが、私どもとしましては、法案は政府がつくって国会に提出しますが、この御審議は国会によってされることで、日程をきめていつどうされるという処理はもっぱら国会のことでございますので、これを政府が干渉するわけにいかぬ。したがって、よろしくお願いしますといって三月のどん詰まりまできて、そこでどうして本これは通る見込みがないと見てから大急ぎで暫定予算を提出するという措置をとったのですが、これは早くどうせ国会で簡単に通るまいからということで暫定予算を出すなんていうことは、国会をむしろ侮辱したことであろうと思うので、ぎりぎりまでこれはいっておる。れと同じで、この問題も、二月の初旬に法案として国会に提出してございまして、この間にはいろいろ御審議も私どもはお願いしておったのですが、きのうも申しましたように、これはひとり国会の責任ということではございませんで、政府側にもいろいろな問題がございまして、空白期間を今回は置いたというようなことからこの御審議がおくれたというような事情でございました。
また、補正予算ということでございましたが、いま言ったようなことで、暫定予算も十五日に通していただくというような事態でございまして、そのぎりぎり前まで、この特会法はあぶないから、これを十五日に参議院が通していただくというのを、これをすぐ十四日の日に予算の補正を出すなんということは、政府としては私は無理だと思います。どうしても出している法案の審議をよろしくお願いしますといって、最後のぎりぎりまで国会にお願いするのが政府の立場であって、何日に仕上げろとか何とかいう、そういうことの干渉は政府としては国会にできないものだから、私らは非常にそこらは節度を重んじているつもりでありまして、なぜ早く補正しないかということは、これはほんとうに私は少し無理な御意見ではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/278
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279・木村禧八郎
○木村禧八郎君 大蔵大臣は財政法に違反していることをやっるのを、あなた、いまのは強弁みたいなものですよ。ここで違反していることは事実なんです。これに対してあなたなぜ陳謝しないのですか、大蔵省としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/279
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280・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) それですから、違反を避けたいと思って、いろいろそういう事態を起こさないようにといって御審議をお願いしておったのですが、ほかのいろいろな事情でおくれたということは、非常に私どもとしては申しわけないと存じますが、しかし、こういう事態に対して、あらかじめこれはむずかしいということを予想してなぜ予算がきまったあとですぐ補正予算を出さぬかというのは、この場合として相当無理じゃないかということを私は考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/280
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281・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今後はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/281
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282・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 今後は、また国会の御審議が、こういう二月に出した法案が二カ月も三カ月もまごついて今度のようなことになるという事態はあまりないんじゃないか。できるだけ法案の審議を早目にお願いすることには政府として御協力いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/282
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283・小平芳平
○小平芳平君 私はきのうあらまし質問いたしましたので、最後に厚生大臣に二、三お尋ねしておきたいのであります。
先ほどもお話がありましたが、園田さんが厚生大臣になられた、そこでもって非常に抱負を語られて、社会福祉のためには魂をささげます、あるいは、また、障害者の御家庭には笑いを届けますと、こういうことを聞いて、そして社会福祉の増進のために非常な期待を持った。これはもうこの社会福祉事業に関心を持っている者はもとより、実際にそうした保護を受けていらっしゃる方、年金を受けていらっしゃる方がどれほど期待を持ったかしれない。ところが、実際問題が、先ほど来指摘されているように、厚生大臣としては最初の期待どおりものごとが運ばなかったのじゃないか。特に特会法の場合、いろいろいま確認をされましたので、そういう不安はないということも言えましょうが、私も内容で二、三まだ聞きたいことがありますが、しかし、これだけの実際の医療担当者、従業員、あるいは患者、こうしたところにこれだけの不安を巻き起こしているということは、非常に大臣としては不本意な結果になっているのではないか。したがって、厚生大臣としては、魂をささげるどころか、特会法をささげてしまう、そのことは決して大臣の本意ではないと、これからは大臣としては、また、政府、与党として、この特会法が出た今日のような姿がほんとうのあるべき姿じゃない、このように私は考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/283
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284・園田直
○国務大臣(園田直君) 就任以来五カ月、私は全力をささげて御奉公しているつもりではございますが、その結果においては決して十分ではないと十分反省をし、今後十分な決意を持って御奉公したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/284
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285・小平芳平
○小平芳平君 したがって、この特会法自体について、こうした制度をいますぐなぜ強行しなければならないか。これもきのうのお答えにあったように、一にかかって財政事情にある。要するに、一般会計であっても、大蔵省でお金さえつけてくれれば間に合うものを、大蔵省の壁が固くて、やむを得ずこうした新しい制度をつくって何とか突破口にしようと、これだけの問題じゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/285
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286・園田直
○国務大臣(園田直君) 国立療養所の老朽化、あるいは現在の時点における状態は各委員から御指摘をされたとおりでありまして、現地に参りましても相当激しいものがございます。そこで、できれば一般会計からの繰り入れによってこれを早急に整備をし、患者の方々の御不満を一掃したいのでございまするが、現実にはそうまいりません。したがいまして、一年でも二年でもその時期を早めるためにこういう方法をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/286
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287・小平芳平
○小平芳平君 したがって、一年でも二年でも早めるためにこういう方法をとらなくても、財政当局さえ財政の裏づけがあればこういう方法をとらなくてもよかったと、こういうわけですね。
そこで、もう一つ、さしあたって四十三年借り入れ金十五億、それから土地売却十八億と、これは将来ふえていくのか減っていくのか、その点についてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/287
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288・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 借り入れ金につきましては大体多少ふえる程度でございまして、また、土地売却については、五年間を考えますと、逐次減ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/288
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289・小平芳平
○小平芳平君 したがって、ただ十五億余の借り入れ金をするために、また、土地売却は、これは永久に続くわけではないのですから、そのために新しい特会制度を必要だということになったと、これだけじゃ全く理由が立たないわけですね。第一、この十八億の土地の単価はどういうふうにして見込まれたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/289
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290・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 現在のところ、一平米当たり二千円を全国平均として見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/290
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291・小平芳平
○小平芳平君 ですから、何の根拠もないわけでしょう、二千円というものが。それが、先ほどの田中委員の途中で私ちょっとお尋ねした名古屋の梅森光風園の場合も、もう三年も四年も前に渡してあるわけでしょう。ですから、実際にその売却したときの金がここへ入ってこないわけでしょう、値上がり分というものは。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/291
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292・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 私のほうが売却したわけではなくして、大蔵省に引き継いだわけでございますから、その差額というものは入ってまいりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/292
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293・小平芳平
○小平芳平君 ですから、ますます国立療養所が自分の土地を売ってまで設備を近代化しようとする。その土地処分の金すら満足にはいままで入ってなかった。ですから、大蔵省としまして、こういうように、ただもう財政的な問題、しかも、借り入れ金、あるいは土地の処分、それだけの問題でこうした特会制度を考え、特会制度を考えた結果、先ほど来指摘されているようないろいろな難問を各方面に巻き起こすということは、非常に考えなくちゃならないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/293
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294・園田直
○国務大臣(園田直君) たびたび申し上げまするとおりに、特別会計に移行しまするゆえんのものは、すみやかに設備並びに施設を整備をして、患者の方や職員の方々が安心をしてやれるようにしたいという一念でございまするから、この後におきましても、十分各位からの御指摘の点は留意をしながら、そういう点については、そういうことがないようにやっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/294
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295・中尾辰義
○中尾辰義君 関連で一つ。
いまの土地の売却の件ですが、この予算計上には十八億と出ておりますが、これを将来かりに二十五億円で売れたとしますね。そうしますと、その差額の七億円というものは療養所のほうに入るのか入らないのか、その点を、これは大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/295
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296・船後正道
○政府委員(船後正道君) 一般的に、療養所の予算を執行いたしまして、収入側の事情なり、あるいは歳出側の事情なりで剰余金が出ます。この剰余金は積み立て金になるわけでございまして、この積み立て金がまた翌年度の歳入財源になるというふうに、特別会計の中で財源として使用するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/296
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297・小平芳平
○小平芳平君 大蔵大臣、私お尋ねしたことはちゃんとお答え願いたいのですが、この特会制ですね、何かほかのものを特会制にしてもそれほど影響のない事業もあるわけでしょう。けれども、こうした国立療養所という一番弱い立場の、現に長期療養しているという、こうした弱い立場の人たちを国でもってみている国立療養所に、よりもよってこの国立療養所に特会制を持ってこようとするから、ほかのことであったらそんなに問題にならないことも、国立療養所という、性格が性格だけに、いまごらんのような各方面に不安を与えている、また、混乱も起きている。こういう点を、ただ厚生省としては設備近代化資金のためだと、こう言われているわけですから、ですから、厚生省のほうの、たとえば病院経営、療養所経営、医療制度、そのために必要な制度ではないわけでしょう。ただ一つ、お金のための制度でしょう。ですから、そういう点、財政当局としては、特会制度をしく場合でも、何かほかの事業と違った療養所経営というような場合は考慮に入れてやってもらわなくちゃならないのじゃないか、そういうことをお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/297
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298・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 昨年石炭の特別会計をつくりましたが、あのときも論議がございましたが、事実、いま石炭については、もう私企業としてこれ以上の国家の援助ができるかというくらい限度にきているということをいわれているくらい、非常に石炭振興の問題については政府はいま力を入れております。で、それを一般会計において今後いろいろな施策との均衡でそういう形でやっていくかどうかといいますと、石炭振興は非常に重要な問題でございますので、特定の財源を与えて特別会計で処理するほうが、これは弾力性ができますし、また、他の施策との一々均衡ということでなくて、必要なものは必要として処理できるというので、この制度のほうがいいだろうということで石炭の特別会計をつくりました。私どもは、今度の特別会計の審議のときでも同様なことを考えておりまして、一般会計の中で処理する、一般会計で多く金を出せばいいじゃないかといわれますが、今後これが長く続くかどうか、いろいろ考えてみますと、一方は、老朽施設を改善することは急務になって迫られておりますので、ここ短期間の間にばたばたとこの改善をやるというためには、やはり一般会計でなくて、もう借り入れ金がどんどんできるというような制度でやることのほうがこれは早いし、また、いいのじゃないかというようなことで、ほんとうにそういう意味から、この国立診療所をどう充実させるか、そういう意味から審議されて、結局特別会計がいいということで大蔵省も厚生省も意見が一致してこういう措置をとったということでありまして、これによって、私は、いまのような形でなくて、国立療養所はここ四、五年の間に見違えるほど内容がよくなるのではないかというふうに、私はその点は確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/298
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299・小平芳平
○小平芳平君 それは大蔵大臣、結局いまの御答弁では、どんどん金が借りられるからというだけでしょう。それじゃ何をやるにしても、どんどん金を借りられるから安心だなんということがありますか、世の中に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/299
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300・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) そういう意味じゃございませんで、必要な金融の道もできるということと、それから、財産を処分しても、これは一般会計の一般歳入になるだけであって、これがそのまま診療所の経費に使われるというふうにひもがついているものじゃございません。そういう意味で、診療所が整備されて、支障を来たさない土地を売却するというようなことにすれば、それがそのまま新しい設備としての新財産にそれが転稼してくるということもありますし、また、弾力条項も特別会計にはついてくることでございますから、経営の弾力性がつく、そういう三つの点を考えても、私は、一般会計で処理するよりも、この際、これは特別会計に移したほうが非常にいいのじゃないか、こう考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/300
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301・小平芳平
○小平芳平君 ですから、その御答弁はいままでもずいぶんお聞きしてきましたので、そのおっしゃる意味はわかります。ただ、われわれ財政に全然しろうとが考えた場合に、金が借りられるから安心だ、土地を売れるから安心なんだ、そう言われても、一方では金を借り、一方では土地を売り、まあそれは設備はよくなるでしょう。さて、あとどうなるかということがやはりこれは常識的に心配になるわけですね、常識として、世の中の。ですから、そこでもって次に起きてくるのは、収入第一の医療機関になるのじゃなかろうか、あるいは医療サービスが低下するような、あるいは人員整理やサービス低下や患者負担の増大が起きはしないか、こういう心配が当然起きてくるわけですよ。全然そういう療養者を対象にするというような建物でなければ、それはお金を借りて建物を建てる、土地を売って建物を建てる、それだけならまだ話は違いますけれども、こうした先ほど来私が申し上げたような国立療養所という長期療養者を、いま現に悪い設備のところで、少ない人員で長期療養しているというこの現状、そうした一番弱い立場の人たちであるということを財政当局としてもよく考えていただかなくちゃならないと思う。それはいいです、もう答弁は。
それで、厚生大臣に先ほど木村委員が確認されたときに、厚生大臣は、看護、給食、寝具の基準料金はとらないわけですか、あるいは二割引制を廃止しないわけですか、その辺がはっきりしなかったことと、それから、一体、基準料金はどういうふうにきめたかですね、もし実施するんでしたら。そういう点はいいですか。取るか取らないかが一つと、それから、基準料金はどういうふうにきめたか、それから、委託しないというふうにさっき言われたのですがね、それを。よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/301
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302・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 二割引並びに基準加算につきましては、現在入院している患者につき委しては従前どおりにやっていきます。新しく入院する患者、あるいは外来患者につきましては、本人に負担が全然ない患者については実施いたしますが、本人に負担があるような患者については、従来どおり二割引は続け、基準加算は付加いたしません。
なお、基準加算のきめ方でございますが、これは社会保険の認定によるわけでございまして、条件が具備すると社会保険事務所の認定が得られまして、認可があればこれを実施するということになります。
なお、委託業務等につきましては、これはその委託業務を実施することによって従来の職員の滅はやらないというように大臣は申されたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/302
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303・小平芳平
○小平芳平君 そうしますと、本人負担のない人からは基準料金を取るというわけでしょう。それが非常に考え方がよくないのです。本人に負担を其けないから、加算を取っても本人には影響ないのだ。しかし、どっかから取るわけでしょう、保険の点数として取るわけでしょう。そうすると、大蔵大臣がさっき言うように、それが財政硬直化の原因だなんて言っておるわけでしょう。ですから、取らないなら取らない、取らないで済むのだったら取らないでいいんですよ。
それから、委託はするわけですね。それじゃ委託はするけれども、人員は減らさない、そういうわけですか。従業員は減らさないと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/303
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304・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 寝具委託等を始めます。寝具委託等、委託業務を開始することによって職員としての定員は減らさない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/304
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305・小平芳平
○小平芳平君 それでは厚生大臣、この点はきのう局長によくいろいろ聞きまして、結論としては寝具を外部に委託するわけですよ。ところが、診療所は五十円もらうわけですよ、患者から。そうしておいて、委託は三十円で委託しているんですよ、田中委員も指摘されたように。ですから、そういうやり方はおかしいですよね。それはもう基準料金はこれこれしかじかできまったんだと言われますけれども、そんな療養所が五十円徴収しておいて、それは本人からじゃない、保険から取ったんだと言うけれども、何も二十円よけいに取ることはないですよ。そういう点は、やはり大臣、こうした国立療養所は一般会計でいかなる場合も負担していくということをはっきり言っているわけですから、そうしたピンはねみたいなことはやめたほうがいいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/305
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306・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 五十円と三十円の差額は決してピンはねではございませんで、委託を出した業者に払う金の三十円でございますけれども、その他病院内でいろいろの諸経費がかかります。人件費もかかり、また、運営上の諸経費もかかりますので、決してこれがそのままいわゆるもうけであるとか、あるいはピンはねとかいうことにはならないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/306
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307・小平芳平
○小平芳平君 大臣、基本的な考え方をお尋ねして、私これで終わりにしますが、それは局長の説明ではピンはねじゃないんですね。そのほかにも金はかかるんだと言われているわけですよ。ですが、そこで、国立療養所という、とにかく国が足りない分は全部見てあげますと言っているわけでしょう。ですから、ものの考え方として、三十円で委託するのだったら三十円だけで済みそうなものですがね。まあほかにもかかるというのですが、ものの考え方としては、患者に負担させない、患者に負担してもらいたくないのはもとより。また、この保険から取るなら本人負担じゃないからいいのだと言ったって、また保険料が上がるわけですね、そっちへかかっていけば。ですから、できる限りそういう点は国がめんどうをみてあげますと、そういう考え方、行き方というものが国立療養所には特別に必要だというふうに考えますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/307
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308・園田直
○国務大臣(園田直君) 給食、寝具等は、原則としてこれは直営が原則であります。しかしながら、現実においては、国立療養所のほとんどが下請に出しております、個々に。これは、一つは、給食、寝具は大事な医療の一環であるというたてまえから直営という原則を出しておるわけであります。したがいまして、委員各位からは、例外ではなくて、委託に出しているほうが多いじゃないか、したがって、原則はもうはずしたらどうだ、こうおしかりを受けましたが、あくまでその原則を通すように改善に努力するのが私の仕事であると考えておりまして、できるだけ財政上、定員上の問題を解決しつつ、原則に向かって前進をすることが私の責任だと考えております。
なお、いまの五十円の中から三十円業者に払って、あとの二十円がやはり寝具関係の人件費その他の諸雑費に使われている点については、さらに実情を調査いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/308
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309・佐藤隆
○佐藤隆君 本案の質疑終局の動議を提出いたします。
〔「賛成賛成」「委員長」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/309
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310・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ……起立多数……(発言する者多し)……を求めます。……(発言する者多し)……
〔「異議なし」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/310
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311・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。……(発言する者多し)……採決に入ります。……賛成の方の挙手を願います。……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/311
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312・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) ……本案は多数をもって可決せられました。
なお、議長に提出すべき報告書は委員長に御一任願います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり、その他発言する
者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/312
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313・青柳秀夫
○委員長(青柳秀夫君) これにて散会いたします。
午後五時二十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105814629X02019680427/313
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