1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月七日(金曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 木村武千代君
理事 大西 正男君 理事 高村 坂彦君
理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君
理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君
理事 山本悌二郎君
相沢 英之君 井上 裕君
谷 洋一君 中村喜四郎君
西田 司君 与謝野 馨君
加藤 万吉君 北山 愛郎君
新村 勝雄君 水田 稔君
権藤 恒夫君 斎藤 実君
中井 洽君 三谷 秀治君
川合 武君
出席国務大臣
自 治 大 臣
国家公安委員会
委員長 加藤 武徳君
出席政府委員
警察庁長官 浅沼清太郎君
警察庁長官官房
長 山田 英雄君
警察庁交通局長 杉原 正君
自治省行政局公
務員部長 塩田 章君
委員外の出席者
議 員 佐藤 敬治君
地方行政委員会
調査室長 日原 正雄君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六二号)
昭和四十二年度以後における地方公務員等共済
組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一
部を改正する法律案(内閣提出第六三号)
地方公共団体に対する臨時雇用創出交付金の交
付に関する法律案(細谷治嘉君外六名提出、衆
法第四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/0
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001・木村武千代
○木村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出に係る道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。加藤国務大臣。
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道路交通法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/1
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002・加藤武徳
○加藤国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、交通事故を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資するため、身体障害者の通行の保護及び自転車の通行の安全の確保に関する規定を整備し、自動二輪車等の運転者の遵守事項に関する規定を整備し、その他交通方法に関する規定を合理化するとともに、副安全運転管理者の設置等安全運転管理の強化に関する規定を整備し、行政処分制度に関する規定を整備し、その他運転者対策の推進を図ること等をその内容としております。
以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
第一は、交通事故の防止等を図るための規定の整備であります。
その一は、身体障害者の通行を保護するための規定の整備でありますが、これは、目が見えない者は盲導犬を連れて道路を通行することができることとすること、身体障害者用の車いすが通行している場合において、車両等の運転者はその通行を妨げないようにしなければならないこととすること等をその内容といたしております。
その二は、自転車の通行の安全を確保するための規定の整備でありますが、これは、自転車の定義を設けるほか、自転車の交通方法の特例について新たに節を設けて関係規定を整備すること、自転車は自転車横断帯により道路を横断または通行しなければならないこととし、自転車横断帯を通行している自転車の保護について規定を整備すること、歩道等を通行することができる自転車の大きさ等を定め、歩道を通行する場合における自転車の通行方法について規定を整備すること、自転車の運転者は、制動装置または反射器材を備えていない自転車を運転してはならないこととすること等がその内容であります。
その三は、自動二輪車の運転者等の遵守事項に関する規定の整備でありますが、これは、自動二輪車の運転者は所定の乗車用ヘルメットをかぶって運転しなければならないこととすること、原動機付自転車の運転者は所定の乗車用ヘルメットをかぶって運転するように努めなければならないこととすること、自動車等の運転者は二台以上の自動車等を連ねて通行させ、または並進させる場合において共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせる行為等をしてはならないこととすること等をその内容といたしております。
その四は、高速自動車国道等における運転者の遵守事項に関する規定の整備でありますが、これは、自動車の運転者は高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは燃料の量、貨物の状態等を点検し、必要な措置を講じなければならないこととすること、故障等により本線車道等において運転することができなくなったときの措置について規定を整備すること等をその内容といたしております。
第二は、運転者対策の推進を図るための規定の整備であります。
その一は、安全運転管理の強化を図るための規定の整備でありますが、これは、車両等の使用者は運転者等に対し、安全運転に関する事項を遵守させるように努めなければならないこととすること、自動車の使用者は、安全運転管理者の業務を補助させるため副安全運転管理者を選任しなければならないこととすること、公安委員会は、安全運転管理者を選任している自動車の使用者等に対し報告または資料の提出を命ずることができることとするとともに、自動車の使用者等が積載制限違反等の違反行為を下命または容認した場合において運転者がその違反行為をしたときは、当該自動車の使用者に対してその違反に係る自動車の使用の制限を命ずることができることとし、この命令の実施について所要の規定を整備すること等をその内容といたしております。
その二は、運転免許制度に関する規定等の整備でありますが、これは、緊急自動車等一定の自動車を運転することができる者の資格の制限について規定を整備すること、仮免許の有効期間を三ヵ月から六ヵ月に延長すること、運転免許の行政処分を現に受けている者は国際運転免許証で自動車等を運転することができないこととすること等がその内容であります。
その三は、行政処分制度に関する規定の整備でありますが、これは、道路運送車両法第五十八条第一項の規定等に違反した者に対する運転免許の行政処分について規定を整備すること、運転者が交通事故を起こした場合において警察署長が運転免許の仮停止等の処分を行うことができる事項について規定を整備すること等がその内容であります。
その四は、副安全運転管理者に対する講習及び公安委員会の行う車両等の運転者に対する講習に関する規定の整備であります。
その五は、運転免許試験手数料等についてその限度額を引き上げることとすることであります。
その六は、罰則及び交通反則通告制度に関する規定の整備でありますが、これは、麻薬等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転した者に対する罰則を引き上げるとともに、その運転者を非反則者とすること、高速自動車国道等における自動二輪車の二人乗り行為を反則行為とすること等をその内容としております。
なお、この法律は、改正点が多く改正内容の周知徹底等に相当の日数を要するものと考えられますので、昭和五十三年十二月一日から施行することとしております。ただ、緊急自動車等一定の自動車を運転することができる者の資格の制限に関する規定は、昭和五十四年四月一日から施行することといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/2
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003・木村武千代
○木村委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
引き続き本案について補足説明を聴取いたします。浅沼警察庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/3
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004・浅沼清太郎
○浅沼政府委員 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その要点を補足して御説明いたします。
第一は、交通事故の防止等を図るための規定の整備についてであります。
その一は、身体障害者の通行を保護するための規定の整備についてであります。
身体障害者が安心して通行できるようにするため、この法律案におきましては、目が見えない者が盲導犬を連れて道路を通行することができるようにするほか、身体障害者用の車いすが通行しているとき、または目が見えない者が盲導犬を連れて通行しているときは、車両等は一時停止または徐行してその通行を妨げないようにしなければならないことを新たに規定することとしております。
その二は、自転車の通行の安全を確保するための規定の整備についてであります。
まず、新たに自転車の定義に関する規定を設けるとともに、自転車の交通方法の特例について節を設けることにより、自転車に関する規定の体系化を図ることとしております。
次に、新たに、自転車横断帯に関する規定を設け、自転車は道路を横断し、または交差点を通行しようとする場合において、付近に自転車横断帯があるときは、自転車横断帯によって横断または通行しなければならないこととしております。
次に、現行法におきましては、二輪の自転車以外の自転車は歩道等を通行することができないとされておりますのを、三輪の自転車についても同様の措置を認めるとともに、他方、歩道を通行することのできる自転車は普通自転車と称することとし、新たに車体の大きさ等について制限を加えることとしております。
また、従来歩道を通行する場合の自転車の通行区分等が定められていなかったこと等にかんがみまして、新たに、普通自転車は歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、また、歩行者の通行を妨げることとなるときは一時停止しなければならないこととしております。
その三は、自動二輪車の運転者等の遵守事項に関する規定の整備についてであります。
まず、現行法におきましては、一定の道路の区間においてのみ、自動二輪車の運転者及び同乗者の乗車用ヘルメットの着用義務が課せられておりますのを、すべての道路においてこの義務を課すこととし、また、原動機付自転車の運転者に対しても、乗車用ヘルメットの着用の努力義務を課すこととしております。
次に、暴走族についてでありますが、取り締まりの強化等各種施策の推進にもかかわらず、暴走族による不法行為事案が多発していることは御承知のとおりであります。そこで、二人以上の自動車等の運転者が二台以上の自動車等を連ねて通行させる場合等において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせる行為等をしてはならないこととして、暴走族の不法行為を排除しようとするものであります。
その四は、高速自動車国道または自動車専用道路における自動車の運転者の遵守事項に関する規定の整備についてであります。
まず、新たに、高速自動車国道等において自動車を運転しようとする者に対し、燃料の量、貨物の積載の状態等についての点検義務等を課すこととし、この義務に違反して燃料の不足等により本線車道等において自動車を運転することができなくなったとき、または貨物を転落させたとき等には処罰することができることとしております。
また、故障その他の理由により本線車道等において運転することができなくなった場合において、自動車が停止していることを一定の方法により明瞭に表示しなければならないこととしております。
その五は、違法駐車車両の移動等に要する費用の徴収限度額の引き上げ等についてでありますが、移動等に係るものについては五千円から一万円に引き上げ、保管に係るものについては一日当たり三千円から一時間当たり五百円に改めようとするものであります。
第二は、運転者対策の推進を図るための規定の整備についてであります。
その一は、安全運転管理の強化を図るための規定の整備についてであります。運転免許取得者の増加に伴い、安全運転管理の役割りがますます大きくなっていることにかんがみ、この法律案においては、まず、車両等の使用者は運転者に対し安全運転に関する事項を遵守させるように努めるとともに、安全運転管理者の業務を補助させるため副安全運転管理者を選任しなければならないこととし、その他、安全運転管理者等の解任理由等について規定を整備することとしております。
次に、新たに、自動車の使用者等が運転者に対して最高速度違反等の違反行為を下命または容認してはならないこととし、また、自動車の使用者等が積載制限違反等の違反行為を下命または容認し、それによって運転者がその違反行為をした場合において、公安委員会は、六ヵ月を超えない範囲内でその違反に係る自動車の使用の制限をすることができることとしております。
その二は、運転免許制度に関する規定の整備についてであります。
まず、一定の自動車の運転者は、その自動車の種類に応じ、免許を受けていた期間が一定の年数に達していなければその自動車を運転することができないこととしておりますが、当面、緊急自動車をその対象といたしたいと考えております。
次に、現行法においては、国際運転免許証を所持している者は、運転免許の行政処分を受けている場合であっても、本邦で一年間自動車を運転することができることとなっておりますが、これを禁止することにいたしております。
その三は、行政処分制度に関する規定の整備についてであります。
まず、いわゆる無車検もしくは無保険の自動車等を運転したとき、または道路を車庫として使用し、もしくは長時間自動車を道路に駐車させたときは、運転免許の行政処分ができることとしております。
次に、麻薬、覚せい剤等の影響により正常な運転ができない状態で自動車等を運転した場合は、負傷に係る交通事故を起こしたときにおいても、運転免許の仮停止ができることとするほか、無免許運転または無資格運転をした場合において交通事故を起こしたときの運転免許の仮停止等についても同様の規定の整備をすることとしております。
その四は、公安委員会の行う講習に関する規定の整備についてでありますが、公安委員会は、副安全運転管理者に対する講習を行うほか、車両の運転に関する技能及び知識の向上を図るための講習を行うように努めなければならないこととしようとするものであります。
その五は、運転免許試験手数料等の限度額の引き上げについてでありますが、運転免許試験手数料については千五百円から三千円に、講習手数料については五百円から千円に、それぞれ引き上げようとするものであります。
その六は、罰則及び交通反則通告制度に関する規定の整備についてであります。
麻薬、覚せい剤等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転する事案が増大しております。その道路交通に与える危険性は高く、酒酔い運転と何ら変わるところはありませんので、麻薬等の影響による無謀運転の罰則の懲役刑の長期を六月から二年に引き上げ酒酔い運転の罰則の懲役刑の長期と同一にしようとするものであります。その他、反則者及び反則行為の範囲について必要な規定の整備をすることとしております。
以上が道路交通法の一部を改正する法律案の主要な内容であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/4
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005・木村武千代
○木村委員長 次に、内閣提出に係る昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。加藤自治大臣。
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昭和四十二年度以後における地方公務員等共済
組合法の年金の額の改定等に関する法律等の
一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/5
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006・加藤武徳
○加藤国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
政府は、恩給年額の増額を図るため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議を願っておりますが、地方公務員共済組合の退職年金等の額の改定につきまして恩給法等の改正内容に準じて所要の措置を講ずるほか、寡婦加算の額の引き上げ、掛金及び給付額の算定の基礎となる給料の最高限度額の引き上げを図る等の措置を講ずるとともに、地方議会議員に係る退職年金等の増額改定措置及び地方団体関係団体の職員に係る年金制度等について地方公務員共済組合制度の改正に準ずる措置を講ずる必要がございます。
以上がこの法律案を提出いたしました理由でございます。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一は、地方公務員共済組合制度の改正に関する事項のうち恩給制度の改正に伴うものについてでございます。
その一は、恩給年額の増額の措置に準じ、地方公務員共済組合が支給する退職年金等の額について増額することとしております。すなわち、その額を、昭和五十三年四月分から約七%増額する措置を講ずるとともに、昭和五十一年度の退職者のうち同年度中に改正が行われた給与条例等の給料に関する規定の適用を受けずに退職したものに係る年金額の改定についての特例措置を講ずることとしております。
その二は、恩給における最低保障額の引き上げに伴い、退職年金、廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げる措置を講ずることとしております。
その三は、恩給における増加恩給の増額及び公務扶助料の最低保障額の引き上げに伴い、公務による廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げる措置を講ずることとしております。
その四は、恩給における老齢者等に対する普通恩給等の算出率の特例措置の改善に伴い、年金条例職員期間等を有する七十歳以上の老齢者等に係る退職年金、廃疾年金及び遺族年金の算出率の特例について改善措置を講ずることとしております。
第二は、その他の地方公務員共済組合制度の改正に関する事項でございます。
その一は、遺族年金に係る寡婦加算の額を引き上げることとしております。
その二は、掛金及び給付額の算定の基礎となる給料の最高限度額を三十八万円に引き上げることとしております。
第三は、その他の制度の改正に関する事項でございます。すなわち、地方議会議員共済会が支給する退職年金等について、年金額の改定に関し所要の措置を講ずるとともに、地方団体関係団体の職員の年金制度等について、地方公務員共済組合制度における措置に準じて所要の措置を講ずることとしております。
以上が、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/6
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007・木村武千代
○木村委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/7
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008・木村武千代
○木村委員長 次に、細谷治嘉君外六名提出に係る地方公共団体に対する臨時雇用創出交付金の交付に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。佐藤敬治君。
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地方公共団体に対する臨時雇用創出交付金の交付に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/8
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009・佐藤敬治
○佐藤(敬)議員 ただいま議題となりました地方公共団体に対する臨時雇用創出交付金の交付に関する法律案につきまして日本社会党を代表し、提案理由及び概要を御説明申し上げます。
わが国の完全失業者は、昭和五十年に百万人を超えて以来、本年一月には百二十六万人にも達し、国民に深刻な雇用失業不安を与えており、政府にとってこうした不安を解消することば本年最大の緊急課題と言わなければなりません。
しかしながら政府・自民党の雇用失業対策には、失業統計のあり方に始まって具体的政策の実施に至るまで多くの問題があると申し上げなければなりません。
すなわちその一つは、失業統計のあり方の問題であります。一週間に一時間以上働き、賃金を得た者を除外していることからも明らかなように、わが国の失業統計の算出方法は、失業者の実態を数的にも地域的にも的確に把握していないのであります。これでは失業者の実態に即した十分な雇用失業対策を講ずることはできるはずがありません。
二つには、失業者の年齢別、性別及び地域別分布とそれに対応した政策の問題であります。わが国の失業者は、全国的には婦人労働者と中高年男子労働者により多く集中するとともに沖繩県等特定地域においては全階層にわたって多発しております。したがって、地域別、年齢別、性別等失業者の社会的構成に対応したきめ細かな雇用失業対策の確立こそいま最も強く求められているのであります。
最後は、政府・自民党の経済財政政策の問題であります。円高不況とも言える今日の経済危機は、わが国経済体制の構造的矛盾に由来するものである以上、基本的には民間設備投資の拡大をてことする旧来の景気政策から脱却して、福祉中心の経済への移行を図る必要があります。にもかかわらず政府・自民党は、膨大な国債発行をもって日本列島改造型予算の再現を図り、これに地方財政を動員して景気浮揚を図ろうとしております。こうした景気政策の行き着く先は、部分的かつ一時的景気回復はあっても結局は、地域経済と住民生活の不均衡と格差を拡大し、雇用失業対策には何ら役立たないことは明らかであります。
こうした立場からわが党は、今日の失業者の実態に即した緊急雇用・失業対策は、自治体における雇用創出プランの推進であることを主張してきたわけであります。数年前、西ドイツで実施されたこの種の実例を挙げるまでもなく、大型公共投資に対する地方財政の下請化を排し、義務教育施設の改善、公民館、図書館、単独の下水道事業の拡大、ボタ山処理、医療・福祉施設の拡充など地域の実情に沿った生活福祉関連事業や土地調査等各種自治体の基本的統計事務の充実を中心とした臨時の雇用創出事務事業を推進するならば十分な雇用効果が期待できるのであります。
ちなみに申し上げれば、わが党が昨年自治体の雇用創出プランを発表して以来、これまで多くの自治体から「十分な財源さえ保障してくれるならば、雇用創出事業は山積している」との声が多く寄せられております。
これが本法律案を提案した理由でありますが、次にその概要を御説明申し上げます。
第一に、本法律は、多数の失業者が発生し、雇用の機会が著しく減少している状況にかんがみ、自治体の臨時雇用創出事業を促進し、もって住民の雇用の安定を図るため、自治体に対し、臨時雇用創出交付金を交付することといたしております。
第二に、この臨時雇用創出交付金は、昭和五十三年度から昭和五十五年度までの三年間とし、各年度都道府県にあっては、人口一人につき千円とし、かつ当該都道府県の失業の状況を考慮して加算し交付するものといたしております。また各市町村においては人口一人につき三千円を交付することといたしております。
第三に、臨時雇用創出交付金は、自治体が雇用機会の創出のため臨時に行う事務事業に要する費用に充てるものとしてその使途目的を限定いたしております。
第四に、自治体は、毎年度、議会の議決を経て臨時雇用創出事業計画を策定し、自治大臣に提出するものといたしております。
第五に、この臨時雇用創出計画の策定に当たって自治体は、臨時雇用創出事業に関する重要事項を調査審議するため、条例の定めるところにより、労働団体及び経済団体の代表並びに学識経験者で構成する臨時雇用創出推進協議会を設置することといたしております。
以上が本法律案の提案理由及び概要でありますが、最後にこの自治体における臨時雇用創出事務事業の推進によって、市町村人口のおおむね〇・〇一%が臨時的に直接雇用されるとともに事業の発注に伴う波及効果も十分期待され、およそ二十万人の雇用増が見込まれることを申し上げておきたいと存じます。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/9
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010・木村武千代
○木村委員長 以上で本案の提案理由の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/10
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011・木村武千代
○木村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
地方交付税法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/11
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012・木村武千代
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、参考人の人選、出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/12
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013・木村武千代
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次回は、来る十一日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時十一分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404720X01019780407/13
4. 会議録のPDFを表示
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