1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年三月二十九日(木曜日)
午後三時五十六分開会
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委員の異動
三月二十九日
辞任 補欠選任
上田 稔君 水谷 力君
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出席者は左のとおり。
委員長 大河原太一郎君
理 事
岩上 二郎君
真鍋 賢二君
志苫 裕君
三治 重信君
委 員
井上 孝君
加藤 武徳君
古賀雷四郎君
松浦 功君
水谷 力君
吉川 芳男君
秋山 長造君
佐藤 三吾君
中野 明君
原田 立君
神谷信之助君
国務大臣
自 治 大 臣 田川 誠一君
政府委員
自治大臣官房長 矢野浩一郎君
自治大臣官房審
議官 吉住 俊彦君
自治省行政局長 大林 勝臣君
自治省財政局長 石原 信雄君
自治省税務局長 関根 則之君
事務局側
常任委員会専門
員 高池 忠和君
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本日の会議に付した案件
○地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
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001・大河原太一郎
○委員長(大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、上田稔君が委員を辞任され、その補欠として水谷力君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/1
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002・大河原太一郎
○委員長(大河原太一郎君) 次に、地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明につきましては、前回の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/2
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003・佐藤三吾
○佐藤三吾君 何も江戸のかたきを長崎で討つわけじゃないんですけれども、一言だけ冒頭に言っておきたいことがあるんですが、予算委員会で私が資産公開問題を出したら、田川さんは勘違いしておるんじゃないかと、こういうお話だったんですね。勘違いはしてないんですよ。確かにあなたがおっしゃるように、比較するとかそういうことも大事ですけれども、私はやっぱりスタートが大事だと思うんです。スタートにうその申告を出しておったらこれは虚偽ですね。その節があるから私はあえてあの問題を出したわけです。同時に、言う人はやっぱりちゃんと自分で出さなきゃいかぬと、この説はわかりますよ。だから私どもは党として資産公開法を全議員を対象に出しておるわけです。これはひとつ勘違いをなさらぬように一言つけ加えて入りたいと思うんです。
まず大臣に聞きたいのは、どうも今度のこの行革関連法案で次々出てくる、例えば身分移管の問題にしても、いろいろ出てまいります法案の内容を見ると、一体自治大臣としてどういう姿勢で対応しておるのか。あなたが新自由クラブの代表として主張しておることと、今出てくる法案の内容を見ると随分違うんですね。そういう意味で、あなたに、これは本当は一般質問で聞くべきところですけれども、基本的な問題ですから、地方自治に対する姿勢、これをまずお聞きしておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/3
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004・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 自治省の責任者としての地方自治に対する基本的な姿勢について御質問でございますが、私も地方行財政についてはずぶの素人でございますけれども、地方自治というのは民主主義の基本であるというような認識に立って自分の仕事をやっているつもりでございます。
佐藤さんに申し上げることはいかがと思いますけれども、僭越でございますけれども、日本の地方自治がしかれて三十数年になります。この地方自治三十数年にわたる新しい地方自治をわきからずっとながめておりまして、関係者の御努力で、ある程度の進展はされましたけれども、ある面では既に佐藤さんなんかがお感じのように、不十分な点も幾つかあると思うんです。私自体もこの職を受けましていろいろお話を聞いたり御指摘を受けたりして、一体これでいいだろうかという点も幾つかございますし、御指摘のように、臨調の答申の中にも頭をかしげさせるようなこともございました。しかし通観して、ずっと見て、とにかくある程度の進展をした。これを私どもはさらに発展をさしていかなければならない。これが私どもの本当の気持ちでございます。
特に我々がまず地方分権を推進する意味から考えていかなければならない大きな点は、住民に身近な行政は住民に身近な地方団体で処理するようにしていかなければならない、そういうように事務の配分を考えていかなければならないということが一つではないかと思うんです。それからもう一つは、地方財政の基盤をもっと強くしていかなければならない、こういうことを頭に置いてというよりも、むしろ自分の一つの大きな目標にして地方自治に携わっていきたいと、このように思っております。
また、御指摘の私ども新自由クラブは、割合に地方分権ということに対して関心をかなり強く持っております。そういう面で幾つか、私が自治省を受け持つようになりまして、十分それが生かされてないという面も、これはもう御指摘のようにあると思います。これからそういう足りない点を、非力でありますけれども、一生懸命努力をしてやってまいる決意でございます。どうぞひとつ今後とも御教導のほどをお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/4
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005・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そういう方向で努力するということはわかるんですけれども、しかしやっておる内容が逆な方向に映ってしようがない。
もう一つ聞きますが、臨調の答申、とりわけ国と地方との関係ですね、これについてあなたはどういう評価しておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/5
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006・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 先ほども申し上げましたように、臨調の答申の幾つかを見さしていただきまして、やはり私どもが考えていた幾つかの点で、これは個人的でございますけれども、御指摘のありました地方事務官の問題だとかこういうことは、これは地方公務員にすべきではないかというふうに我々は考えておったわけでございますから、臨調の答申とはちょっと考え方が違っておると、こういうような点がございました。そのほか多少ございますけれども、大きな問題はそういうような点でいかがなものかというふうに思ってお
ります。ただ、これはもう率直に申し上げたわけで、たしか予算委員会で後藤田行政管理庁長官も言われたように、私どもは臨調の答申を最大限これを尊重していかなければならないという立場でございまして、そういう意味で今回の地方事務官の関係の三法の立法になったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/6
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007・佐藤三吾
○佐藤三吾君 それではもう一つ聞きますが、地方制度調査会が幾つか答申していますね。この答申内容についてはどういう評価をしておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/7
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008・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 地方制度調査会の答申は、もちろんこれは尊重しなければなりませんし、その中に幾つか取り上げられている問題が、かつて例えば国と地方との関係とか議会制度であるとか監査制度であるとかというような問題が、自治省としてもこれを立法化していかなきゃならぬという、そういうような時期もあったようでございまして、そういうことは実現をしていくようにこれからも努力をしていかなければならない。地方制度調査会がこれまで答申されたことで実現していない点も幾つかございますが、私は、その地方制度調査会が答申をされたこと自体は評価をしているわけでございます。こういうことを実現していく厚い壁があることは否定をいたしません。なかなか厚い壁がありますけれども、厚い壁があるからといって、これをこのまま手をこまねいているわけにはまいらないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/8
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009・佐藤三吾
○佐藤三吾君 端的に言いますと、地方制度調査会は、地方事務官の移管の問題についてはきちっと自治体に移管しなさいと、機関委任事務についてはこの際ひとつ一切地方に整理しなさいと、補助金についても明確に出していますね。ところが、臨調の答申は全くそれに逆の答申を出している。私は、やっぱり大臣として、また新自由クラブ代表としてかねて主張した自分の信念というか、確信からいって、この問題にどう対処するのかと、そこがやっぱり私は期待も半分あるし、逆に言って、いろいろ言うことは言うけれどもできぬのではないかと、こういうあきらめも半分ありますよ。そこら辺をひとつあなたにまずただしておかなければならぬ。そこが一番根本的な原因だと思う。基本だと思うんですよ。それが今まさに崩されようとしておるわけだ、そこが。だから私は聞くんだけれども、そのことをきちんとしないと、税の問題も財政の問題も、分権も言ってみても全然これはそらごとですよ。そこであなたに聞いておるのだ。むずかしい問題はわかりますよ、厚い壁という表現がありましたが。しかし、あなたはそういうむずかしい壁の中に直面することを承知の上で自治大臣になったわけだ。なった以上、ここでどうするのか、ここをきちっとしていただきたいと思うんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/9
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010・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 御指摘の点も幾つかそうだと思います。まあ我々がこれからやらなければならない問題でできる問題とできない問題が確かにあると思いますけれども、しかし与えられた課題について、やっぱり何を優先していくかということを考えながら、ひとつ皆さんの御指導を得つつやらしていただきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/10
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011・佐藤三吾
○佐藤三吾君 だから、まず第一にそこで聞くのは、地方事務官についてどうして体を張って闘わなかったんですか。どうですか、職を賭して闘わなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/11
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012・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 地方事務官の問題については、先ほども申し上げましたように、政府の臨調の答申はこれは最大限尊重していかなければならないというような答申に対する一つの姿勢の中で、私どもはある程度実は地方の立場を主張してまいったわけでございます。結果的には佐藤さんがおっしゃるような方向には参りません状態で今日まで参りましたけれども、自治省一丸になって地方の立場になって調整をしたいということで努力をしてきたことは、私はむしろ自治省の諸君に対して評価をしているわけでございまして、我々のできる範囲のことで努力をしてきたということをひとつ御理解をしていただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/12
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013・佐藤三吾
○佐藤三吾君 これは、ひとつまたこれからも議論をやりますけれども、しかし私はこの問題一つとってみても、歴代自治大臣は体を張ってこの問題については各省との闘いをやってきたわけです。そして、国会でも決議をされ、地方制度調査会は五回か六回ぐらいこれは決議しています。採択していますよ。それが、しかもあなたがおっしゃったように、私が言ったんじゃないですよ、あなたがおっしゃったように、住民に近いところの仕事については身近なところの役所でやる、これが原則だとさっきおっしゃった。そうだと私も思います。臨調の第一次の答申の中にもそれはきちっとしておる。ところが、この地方事務官問題についてはもう全く逆なことをやっちゃったわけだ。間違っておるわけですよ。その間違ったことでもやむを得ず従わなきゃならぬということについて私は承服しかねるのですよ。それはやっぱり政治家としても、間違ったことは間違ったこととして正すのが当たり前じゃないですか。いかに臨調の答申であろうとも間違ったことは事実なんだから、どうして変な妥協をやってやむを得ないとか、その中でできることをやるとか言ってみて何をやるんですか。何にもないじゃないですか。そこの基本をきちっと押さえていかないと大変な時期に来ておるわけですから、ここを私は、きょうは本当はこれだけでもう議論したかったんだけれども、法案がかかっていますから今後持ち越してまた議論をやります。
そのほかあるのです。機関委任事務の問題にしてもあるし、補助金の問題もある。さらに自治法改正案が、十七次答申をやっておるのに、これも各省から袋だたきになってつぶれた経緯もある。そのときには安孫子さんが自治大臣で、職を賭してやると言っていて、やりも賭しもしなかった。こういったことの繰り返しで来ておるだけに、私はやっぱりしっかりしてもらわにゃいかぬし、やっぱり言うこととすることが伴わなければ、政治家としてやっぱり腹を切るぐらいな決意がなければ、地方に例えば、また後ほど出ますけれども、起債にしても何の問題にしても、そこら辺のところだけはなかなかいたけだかになってやるが、こういうことでだれが信用しますか。どうですかそこら辺。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/13
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014・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) お互いに政治家として責任をとる場というのは幾つか出てくると思います。そこで、どういう問題でひとつ勝負をかけるかということはこれはなかなか軽々に判断できないと思いますけれども、私は一つ二つ、一つの大きな問題を勝負をかけてやらなきゃいかぬ。しかしそれは、それまでやっぱり個々の政策の面で妥協しなきゃならぬときもあると思うんですよ。そういう面で、その何を一つの大きな勝負にしていくかというのは政治家個々の認識でございますが、といって私は地方自治の問題が重要でないとは申しておりません。しかし、そういう一つの政策を勝負にかけてやるにしても、もっと基本的な大きな問題を勝負にかけていかなければならない、そういうことがあるはずなんです。そういう面でひとつ見ていただきたい、このように思っているわけでございまして、決してその場限りの言い逃れをしているわけではないので、ひとつもうしばらく長い目で見ていただき、御指導をしていただきたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/14
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015・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私もせいぜい目を凝らして見ていきたいと思いますよ。いずれにしても、大臣というのは二十九年以来、調べてみると大体七カ月で大臣はかわっていますね。期間は余りないようでありますよ。ですから、そういう意味ではひとつ腹を決めてやってもらわなきゃ困るんですが、特に今の自治大臣としての所管の問題で、ここをおろそかにされたのでは困る。したがって、やっぱりこれからの法案の関係の中で、特に今知事会を含めて、地方労働局の設置については総反対の動きも出ておりますね。私は、閣議で決定したからあなたはあきらめるのじゃなくて、その中でまた頑張らなきゃならぬと思うので、そこら辺はひとつ姿勢をきちっとして最後まで貫いてほしいと思
うんです。
これに時間を余りとられると本体の方がおくれますから、ここら辺で一応問題を留保しておきたいと思いますが、次に地方税の問題でまずお聞きしたいと思います。
今度、納税環境の整備ということで四点ほど新しい条項が出てまいりましたね。これは一体どういう意味を持つのか。とりわけ官公庁の協力の問題であるとか、もうちょっと何かありましたね。これはまあ別ですが、特に訴訟の問題と帳簿書類の保存の問題、ここを少し説明いただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/15
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016・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) 御案内のとおり、明年度でございますが、税調の答申にも基づきまして、課税の公平の一層の推進を図る、またそれを通じて税に対する信頼感を確保するというような観点から、国税におきましてもいわゆる納税環現の整備に関する改正を予定しているところでございますが、それと相まって、地方税におきましても、ただいま御指摘いただきました主要な四点ぐらいございますが、それにつきまして地方税としても納税環境の整備に関する規定をお願いしているところでございます。
その考え方でございますが、まず証拠申し出の順序の問題でございます。これはいわゆる課税処分の取り消し訴訟におきまして、訴えを提起した者、つまり原告と申しますか、納税義務者の側でございますが、納税義務者が、課税庁が決定いたしました課税処分以外に、例えば必要経費をもっと使っておったとか、そういう自己に有利な事実についてどうも課税処分と異なるという場合にはそれを主張なさるわけでございますが、そのときは、自己の責めに帰することができないというような理由による場合を除きましては、課税庁の方がその課税事実を主張した後遅滞なくその異なる事実につき主張及び証拠の申し出をしなければならない、こういうふうに規定させていただこうとするものでございまして、これに反して行いました攻撃、防御方法は、これは民事訴訟法の百三十九条の一項というところに「時機ニ後レテ提出シタル攻撃又ハ防禦ノ方法ハ」云々という規定、これは必要がございますれば後にまた引用さしていただきますが、そういう文言があるわけでございますが、そういう「時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法とみなす。」という改正規定を予定しているところでございます。
その趣旨といたしましては、政府の、あるいは課税庁の決定が間違っているということを主張する場合には、まずそれを示す証拠を提示する責任を負わなければならないという考え方に基づきまして、訴訟でございますから、余り自己の主張を引き延ばしまして訴訟をおくらせるといったことのないように、俗に言う訴訟経済に資する観点からこういう規定を設けようとするものでございます。
次に、記録保存義務でございますが、これは、地方税で申しますと個人の住民税あるいは事業税について適用があるわけでございますが、その年におきまして事業所得者などの個人が前年あるいは前々年におきまして事業税であるとか住民税を課税されていた、そういう人々に対して適用されるものでございますが、それらの方々の業務あるいは事業に関して作成し、または受領した帳簿及び書類を保存する義務を課そうというものでございます。
この制度を設けました趣旨といたしましては、申告書を書くとき、どなたでもやはりその基礎資料に基づいてお書きになるわけでありましょうから、そういう基礎資料を保存しておくということは、まあ申告制度そのものの内に含まれているようなそういう責務であろうというふうに考えられることもございますし、また、これを法律上明記することによりまして所得の申告の適正化が期待できる、こういう理由によりまして改正をお願いしようとするものでございます。
そのほかに、御指摘にもありましたように、官公署等への協力規定でございますとか過少申告加算金につきまして二段階制を導入するという問題がございますが、特に二点を説明せよという御指摘でございますので、必要に応じましてあとの二点は御説明申し上げたいと思います。
以上、二点のみとりあえず御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/16
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017・佐藤三吾
○佐藤三吾君 ここに、条文にありますね。第十九条の十四ですか、これは、今あなたの説明を聞きますと、挙証責任というんですか、それを訴えた側に出させると、そういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/17
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018・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) 結論から申し上げますと、今回の改正は、挙証責任あるいは立証責任を納税者の側に転換するというものではないわけでございます。これは税制調査会におきましてもいろいろ御議論を賜ったところでございますけれども、中には、もちろん納税者側に挙証責任を負わすべきである、こういう意見もあったわけでありますが、これについては慎重でなければならないという意見もございまして、ちょっと引用さしていただきますと、「理段階において一般的な立証責任を納税者に課すことを制度化することは見送り、判例等の今後の展開にまつこととする」というふうに述べておるところからも明らかでございますが、立証責任の転換を意図したものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/18
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019・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そうすれば、「併せてその事実を証明すべき証拠の申出をしなければならない。」と、こう言うこの「証拠」、これはそういうことじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/19
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020・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) ただいま十九条の十四の改正規定を御引用になったと存じますけれども、私もちょっと引用させていただきますと、そこにいわゆる課税庁が「その処分の基礎となった事実を主張した日以後」という文言がございます。これは、文言上からまいりますと「事実を主張した」ということでございますけれども、事実を主張する以上は、それを明らかにする証拠を提示して、当然その課税庁側の課税事実を主張するわけでございますから、その後にこの原告側の主張あるいは証拠の申し出が来る、それが遅滞なく行われなければならないという趣旨でございまして、順番といたしまして、最初に挙証責任を納税義務者にあくまでおっかぶせてしまうというようには読めないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/20
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021・佐藤三吾
○佐藤三吾君 しかし、これは素人考えですが、中身としては同じになりませんか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/21
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022・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) その訴訟の実態から申しまして、今おっしゃいましたような原告の証拠の申し出というのが時間的に大変おくれまして訴訟が遅延したということもこの改正規定を設ける一つの動機になっているわけでありまして、それを早めるという効果を持つ以上は、改正前とやはり仕組みは異なったものになったというふうに理解すべきであろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/22
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023・佐藤三吾
○佐藤三吾君 こういう地方税関係で事例はどのくらい、何件ぐらいあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/23
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024・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) 今ちょっと詳しい資料を手元に持ち合わせませんが、毎年の訴訟の発生件数は二十件から三十件、これは県、市町村ともにそれぞれ二十件ないし三十件程度のものでございます。ただ、中には大量に発生するといった不規則な年もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/24
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025・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いや、私が言っているのは、その「遅滞なく」というのをあなたは強調なさるから、そういう事例というのは何件ぐらいあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/25
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026・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) これは、訴訟の実態について確たるはっきりした数字というのは持ち合わせていないわけでありますが、いろいろ実態をお聞きしているところによりますと、平均いたしまして、例えば一つの訴訟が始まりましてから完結するそのどの段階で証拠の申し出があったかということに相なりますと、その大体長さで申しますと、半分より後になるケースが非常に多いというふうに聞き及んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/26
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027・佐藤三吾
○佐藤三吾君 だから、それは逆に言えば、裁判の、ある意味では弁護士さんの戦術もあるでしょう。しかし、そのことでこの条文を見ると、決定庁の方が「処分の基礎となった事実を主張した
日」、「主張した」と、こういうことで挙証責任はちゃんと決定庁にあるということを言いたいんだろうと私は思うんですが、しかし、その後に使われておる文章を見ると、「遅滞なくその異なる事実を具体的に主張し、」そしてその証拠を出さなきゃならぬと、こうなっておるわけでしょう。ですから、挙証責任の転換ということは形式的にはしてないんだと。しかし実際はやったのと等しいんだと、こういうふうにとられても仕方がないじゃないですか、この文面を見る限り。結果的にそういうことがやられていくということになりますと、私はやっぱりもう訴訟する意欲がなくなってくるというか、この訴訟の中における法の対等の原則というものは崩れるんじゃないかと、そういうふうに思うし、それについては最高裁の判例も出ていますよ、三十八年三月十二日に。ちゃんと「所得の存在及びその金額について決定庁が立証責任を負うことはいうまでもない」ということが出ていますね。そういう最高裁判例からいってみても、この条文というのは、私は大変な問題を抱えていると、そう思うんですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/27
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028・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) 今御引用になりました最高裁の判例、これは、先ほども申し上げましたように、まず課税庁の側に立証責任があるという原則は、今回はそれはさわっていないわけでございます。ただ、何度も申し上げますように、遅滞なく証拠の申し出をしていただくわけでありますから、それによりまして、当然のことでございますが、訴訟の完結が早くなる。それなりに課税庁側といたしましても、納税義務者といたしましても、不安定な状況から安定的な状況に早く移ることができる。もし納税義務者の主張が正しければ、それは正しい状況に早く移行することになるということでございまして、そういう観点から意味のある規定であるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/28
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029・佐藤三吾
○佐藤三吾君 特にこれを今回入れなきゃならぬという、地方税関係でですね、そういった事例というのは去年どのくらい起こりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/29
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030・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) その点をつまびらかにする資料を持ち合わせないわけでございますが、ただ、間接的に申しますと、例えば五十六年度におきまして地方税関係で起きた訴訟は五十五件でございますけれども、その以前から繰り越しと申しますか、係属中の事件が約三百件でございます。そういうものを、訴訟が進行いたしまして、五十六件、五十六年度で完結しておる。そうするとまた約三百件、翌年度に繰り延べられるといったような状況でございまして、ただいま御指摘になりました御質問に対しては正面からお答えはできないわけでございますが、以上のような数字から御賢察をいただければ幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/30
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031・佐藤三吾
○佐藤三吾君 それは五十六年の数字であって、私は今回の改正にこれを突然出してきた経緯から見ると、昨年よほどこれ重大な問題になっておる事例があって、したがってそれを改正せざるを得ぬというような、そういう緊急性を帯びた問題だと受けとめておったんだけれども、そうじゃないんですね。言うならば、これは国税通則法の改正に伴って地方税法の中にも入れざるを得ぬと、そういう類のものですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/31
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032・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) 日本の訴訟自体が外国に比べて随分おくれがちだということを聞いておるところでございますし、またその中でも特に地方税だけというわけではございませんで、あくまで国税、地方税を通じまして税務争訟あるいは税務訴訟、これが遅延がちであるというような実態を踏まえまして改正さしていただきたいというものでございまして、やはりその点は、国税と地方税では同じような方針のもとに、同じ税金でございますから、同じような方針のもとに進まなければならない。数は、国税に比べますと地方税の発生件数はそれは少なかろうと、それは確かに言えるわけでございますが、やはり数だけの問題じゃございませんで、訴訟を促進する、早く安定的な状態に落ちつかせるといったようなことから、国税とあわせて今回お願いをしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/32
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033・佐藤三吾
○佐藤三吾君 しかし、これほどの重大な内容を突然出してくるという意味が僕はやっぱり重大だと思うんです。しかも、今聞いていますと、余り地方税関係の中で特に昨年さま変わりしたような情勢が起こっておるわけじゃない。「遅滞なく」というこの表現の中で、結果的には挙証責任の転換を事実上やらざるを得ない、訴訟する者はその証拠書類をきちんとしなきゃならぬというこういった問題をやられたんでは、私はいわゆる法の精神からいっても問題があるんじゃないかというふうに思いますから、今までこれをお尋ねしたんですけれども、なかなか得心いきませんね。特剔出さなきゃならぬという理由はないような感じがします。
そこで、次の条項のみなし規定です。これは、本来裁判所の判断に、裁量にゆだねる事項ではないんですか。なぜこれをこの条文の中につけなければならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/33
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034・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) 実は、それに似た規定が地方税法にはございませんが、現在の国税通則法にございまして、ちょっと読み上げさしていただきますと、「裁判所が相手方当事者となった国税庁長官、国税局長、税務署長、税関長その他の行政機関の長の主張を合理的と認めたときは、その訴えを提起した者がまず証拠の申出をし、その後に相手方当事者が証拠の申出をするものとする。」つまり、今おっしゃったような意味での実質的な挙証責任の転換ができる旨の規定が、実は現行法、地方税法にはございません。国税通則法にございます。ただ、これの利用状況と申しますか、この条文を使って実際に訴訟が早められた例というのが余りない。つまり、それほど利用されてない規定であると。こういう書き方ではなかなか訴訟の遅延を防げないといったような観点から今回の改正をお願いしている。そういう意味では、従来より審理が早められるという効果は持つものであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/34
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035・佐藤三吾
○佐藤三吾君 裁判審理を、訴訟審理を早めることよりも、むしろやっぱり公正な課税というそこの方を正していかなきゃならぬ問題だと私は思うんですよ。そして、それについて公正だと思うけれども、あなたが公正でないと言うなら堂々とひとつフリーな立場で裁判で争っていきましょうと、こういう姿勢が基本でなきゃならぬと思うのを、それを封じていくような形をとるべきじゃない、私はそういうように思うんです。これは議論していると時間がたちますからこの程度でやめますが、そこら辺はひとつぜひ再検討をして、削除をしていただきたいというふうに思います。
それから、保存義務の問題についてでありますが、これは自治省令で定めるところによって云々ということが一つ。それから、これは罰則が伴うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/35
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036・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) まず、後段の罰則でございますが、これは罰則の規定はございません。
それから、自治省令は、この法律を通していただいた後でつくるものでございますから、ただいまどういう方針かというふうに確定したものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/36
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037・佐藤三吾
○佐藤三吾君 これは、通則法との関連はどうなんですか。あれはたしか三百万以上というのが入っておったんじゃなかったですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/37
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038・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) 御案内のことかと存じますが、俗に三百万円以上の人に課せられた義務と申しますのは、いわゆる大蔵省令で定めました簡易な帳簿をつけなさいと、こういう義務でございます。国税の方もそうでございますが、そういうふうに所得三百万円以上には記帳義務が課せられるわけでございますが、三百万円とは関係なしに、納税義務者であればこれらの業務、その納税者の方々の業務でございますが、これらの業務に関して作成し、または受領した帳簿及び書類、これを保存するものとするというふうにされておりまして、地方税法で対応しておりますのは、今申し上げた後段の方の規定が同じような規定として設けられている。記帳義務の方は地方税法の方には設けていないと、こういう二つのものがあるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/38
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039・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そうすると三百万円以下の零細な人たちとか、もうそういう事務能力もない例えば大工さんとか、こういったところまで保存義務を背負うと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/39
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040・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) 御指摘のとおりでございますが、納税義務者というのは、私から申すまでもなく、申告書をお出しいただくわけでございますが、申告書一枚を目の前に置いてそのまま書けるものではもちろんございません。やはりそれには基礎資料というものが伴うわけでございます。そういう基礎資料としてどういうものがあるかと申しますと、それはその納税義務者の取引の上で、例えばただいま例をお引きになりました大工さんなら、例えば領収証なら領収証はお持ちであろう、そして任意にもし帳簿をおつけになる方であればその帳簿というものが残るであろうといったようなことで、課税庁側から、こういう様式で記帳しなさいと、そういうことは申していないわけでございまして、納税義務者の方が取引上いろいろな帳簿を使い、あるいは伝票を受け取り、あるいは相手方に伝票を発行して控えが残るといったような意味での記録書類、これをしばらくの間保存していただきたい、こういう趣旨で設けているものでございますので、零細な方々につきましても、やはり申告書を書く以上はそういう基礎資料がないと書けないんじゃないかと、そういう意味で、それほど過重な義務を課しているとは考えていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/40
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041・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私は、国民の立場からいえば納税の義務があるわけですから、それは自己の良心に基づいて厳正にやらなきゃいかぬと思いますよ。しかし、例えば青色申告一つ見ても、そういう記帳義務をつけるかわりに、何というんですか、煩雑な中でやるわけだからこれこれの恩典をつけますよとか、こういう煩雑な義務をお願いするかわりにそれにふさわしい恩典をつけますよというのができていますね。今度はそれはないわけでしょう、逆に言えば。そして、義務だけきちっとしなさいと、こういうことなんだから、それはこの法の建前からいってみても少し過酷であり、問題が私はあるんじゃないかと思うんですよ。同時にまた、この問題で、実際問題として大工さんやその他の、焼き鳥屋のおばちゃんにしてもいろいろありますけれども、そういった皆さんが果たしてそれにこたえ得る、出し得る能力はあるだろうかと、そういう意味では僕は、証拠を保存しようといったって、そんなあれはないような、実感として、現場として、思うんですよ。こういったところにまで今回この法の適用を伸ばすという、手を伸ばすというのは一体どういう理由ですか。何かそんな必要があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/41
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042・吉住俊彦
○政府委員(吉住俊彦君) 冒頭に趣旨を御説明いたしましたとおり、やはり所得を申告していただく以上、その申告書に書き込むべき数字の基礎となる資料がなければ書けないわけでございまして、そういう意味での基礎資料、これは何も課税庁側から義務づけたものではございません。任意に取引上受け渡しがあったもの、それをお残しいただきたい、そうすればその方の申告が正しいことの立証にも相なるというようなこともございますし、また、そういうことを通じまして正しい申告が出てくることが期待される、こういう趣旨から改正をお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/42
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043・佐藤三吾
○佐藤三吾君 これは私はなかなか実際問題として——建前上言えばそういう言い方が成り立つかもしれません。しかし、対象事業の実態から見るとちょっとこれは、今までこのことができなかったから入れなかったわけでしょう、現実は。それが途端にこの条文を新設して入れるという意味が今の説明ではよくわかりませんね。そういう今あなたの言う論理だったらもっと前からあるべきだ、この規定が。税金は今急に取るわけじゃないんだから。そうでしょう。だから、そこら辺はひとつ大臣、やっぱり検討していかないと……。今の二つの問題を見ればわかる。官庁感覚としてはああいう説明が成り立つかもしれませんが、例えば訴訟の問題にしても、事実上は挙証責任の転換ですよ、あれは。そういう物件を全部反論の際に備えなさいというわけですから、それができぬなら訴訟などしなさんなという論理になるんですよ、これは。今の問題もそうなんですが、いかがですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/43
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044・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 佐藤さんのおっしゃるそういうような御意見もあると思います。あると思いますが、やはり一面、徴税側に対する言い分を残しておこうというようなこともあると思うんです。
それからもう一つ、税制調査会の答申にもございますので、この点はひとつ御了承していただきたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/44
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045・佐藤三吾
○佐藤三吾君 実は、徴税に当たる者は私の仲間ですよ、県税事務所の連中というのは皆。そのメンバーの皆さんがこう言うんですよ。こんなものつけられたんじゃ今円満にいっている徴税業務そのものにも——それでなくてもやっぱり嫌われるわけですよ、言いかえれば。それがなお権力的な様相になる。逆な意味で、こういう条文がなければそこら辺も配慮しながら徴税業務をやっていくわけでしょう、しかし、こういうものがつけば、文句あるなら来いという式になるわけだから、そういう意味では非常にやりずらいと言っておるんです。そこら辺が私はどうしてもこの条文に引っかかりますから、さっきいろいろただしたわけでございますが、そういう趣旨で、後ほどまた修正案も出しますけれども、私はしない方がいい、そういうふうに思います。
それから、これだけに時間を費していきますとあれですから次に行きますが、今度の地方税の増減の状況を見ると、減税、増税の中身では、都道府県が五百九十二億円ですか、プラスが。市町村は九百四十八億の減になっていますね。合計が、五十九年度は三百五十六億減と、六十年度、平年度を見ますとプラスが三百十四億と、こういうふうになっておるわけですが、とりわけその中でも市町村については五十九年度で九百四十八億、平年度で六十二億という減になっているわけで、非常に落ち込みが激しい、税収がですね。市町村というのは基礎自治体ですから、さっき大臣が言う二番目の問題、自治体財政の確立、自主財源の。これとはまさに逆行する内容なんですね。これいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/45
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046・関根則之
○政府委員(関根則之君) 御指摘をいただきましたように、都道府県と市町村の減税に伴う減収額とそれに対応する増収額とが違っております。お話のありましたとおりでございますが、初年度というのはその制度が始まるばかりでございますから、波があるわけでございますが、平年度レベルに直しますと、これもお話がありましたように、一応、全市町村におきましても減収額が六十二億ということでございますから、これを三千団体で均等に、均等といいますか、それぞれ負担をするということでございますので、個々の市町村にとりますとそれほど大きな額にはならないものというふうに考えております。この後の措置は、財源調整措置でございます交付税等によりまして市町村の財政運営に支障のないような措置を講じていきたいというふうに考えておるところでございます。
また、決して私ども市町村というものを軽視をしているつもりはございませんが、減税財源を確保するに当たりましては、いろいろな方面から幅広く御検討いただきましたが、なかなか減税の減収額とぴったりうまく合う税目というのは必ずしもあるものではございませんで、まあまあ比較的普遍性のある税目で財源が確保できたんではなかろうか。しかし、この辺が限界であったということでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/46
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047・佐藤三吾
○佐藤三吾君 理解をしてもらいたいと言うが、なかなか基礎自治体が落ち込むということは、私はどんなに大臣が強弁してみても、自治体の自主財源というのが落ち込んでいく経過、実態から見れば、自治分権ということにはならぬと思うんです。まさにマイナスの方向にならざるを得ない。交付税は当然そういう落ち込みを補てんするためにあるわけですから、ならしをする意味でそれは当然のことだと思うんですが、やはりここら
辺は姿勢としてもきちんと、むしろ強化を含めて検討すべきときじゃないかと思うんです。そこら辺は一つ、そういうように思いますから、つけ加えておきたいと思います。
それでは、今度の総体を見ますと、地方税と使用料、手数料というのが異常に膨らんでおるわけですね。地方税はわかりますよ。特に交付税それから譲与税、国庫支出金、こういうのが急激に落ち込んできた、今度の財政全体を見ますと。その姿から見ると、やっぱり大臣がいろいろ言いますけれども、私どもが言うように、国の財政のしわ寄せのツケが集中的に地方財政の方に来ておると同時に、また手数料、使用料等を含めて住民に来ておる。そういうことは大臣、これは言えるんじゃないですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/47
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048・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 見方によりまして、国のしわ寄せが地方へ来るという、そういうような認識も出てまいりますけれども、やはり国と地方とは車の両輪のようなものでございまして、地方の立場からだけ見れば、国のしわ寄せがこう来るということも見えますけれども、今の国の財政状態から見れば、地方の立場だけ考えていくわけにもまいりませんので、そういう意味で地方も国と同様厳しい財政の中から対応していかなければならないと、こういうことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/48
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049・佐藤三吾
○佐藤三吾君 しかし、そう言うけれども、例えば今度三年ぶりに国の機関委任事務の手数料関係、三十三件ですか、一七%の引き上げがやられていますね。それに伴って、またあなたのところは、自治体固有のやつも上げるという指導をやっているわけでしょう。水道など見ると、最低と最高の間が十七倍というんですよ。さすがに、やっぱりこれはひどいということで、生活環境審議会が、少なくとも一・五が理想で、自治体間の格差が余りにも大き過ぎるじゃないか、せめて当面は二倍の範囲内におさめるべきだと、こういう答申をやってます。こういったことについては、地方税と絡んでどういうふうに認識しておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/49
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050・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 五十九年度の税制改正あるいは予算編成の論議の過程におきまして、税制につきましては、御案内のように、全体としては増税をしない、トータルとしては増税しないで当面の財政危機を乗り切ろうという政府全体の方針でございますので、行政によって直接利益を受ける者についてはできるだけ受益者負担の適正化を図る。これは国も地方もその方面で努力するということが確認されております。その方向に沿いまして、地方の使用料、手数料等についても、その経費の実態に対応して適正化を図るという方針で今回の地財対策を組み立てたわけでございます。他の歳入項目に比べて使用料、手数料あるいは雑収入等が少し高くなっているじゃないかという御指摘かと思いますが、それぞれ内容的には、その経費のコストの上昇に対応して適正化を図るということで処理をしているところでございます。
それから、水道料金の問題につきましては、かねてから、いわゆる高料金対策としまして、全国平均を上回る資本費がかかり、かつその料金も全国平均以上に住民の料金負担を求めているような団体につきましては、特別交付税の配分等におきまして必要な措置を講じてきております。それから、高料金の原因となっております水源対策その他についても従来から国庫補助金等が出されており、また交付税による措置も講じてきているところでございます。
ただ、現在の財政状況のもとでありますから、一定の範囲内でおさまるようにというところまでは至っていないことは事実でございます。私どもも基本的には、水というものは住民生活にとって最も基本となるものでありますから、それが余りに高額になるということはこれは避けなきゃならないと、そういう意味で、現在のいろいろな措置を今後とも適正化していくように努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/50
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051・佐藤三吾
○佐藤三吾君 この水道料金の問題は格差是正のために指導する、こういうふうにとっていいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/51
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052・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 今回、先般新聞等で報道されておりました提言、それに直接関連してということではございませんけれども、従来から高料金対策としていろいろの措置をとってきておりますが、これらの措置については、今後ともその内容の確保、充実に努力していきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/52
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053・佐藤三吾
○佐藤三吾君 どういうことなの。内容の充実というのはどういうこと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/53
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054・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 財政全体が厳しくなってきておりますけれども、たとえば高料金対策等について、先ほど申しましたように、資本費が全国平均以上であり、かつ料金も全国平均以上になっているような団体がその水道料金の引き下げのために一般会計から繰り出したものについて特別交付税で措置しておりますが、こういった措置については、交付税全体が非常に厳しくなってきておりますけれども、そういった措置は今後とも確保していきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/54
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055・佐藤三吾
○佐藤三吾君 確保して是正指導をやっていきたいと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/55
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056・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 是正指導につきましては、今のような財政措置と裏腹の問題でございますが、公営企業会計に対する一般会計の繰出基準というものを毎年度定めておりますから、五十九年度につきましても、今の高料金対策の繰出基準というものは、今申しましたような考え方で堅持していきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/56
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057・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いろいろ長たらしい説明だけれども、簡単にはどういうことですか。しないのか、するのか、私は聞いておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/57
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058・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 財政状態全体厳しくなってきますけれども、高料金対策については従来の水準を何とか守っていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/58
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059・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そうすれば、十七倍の現状を守っていくと、こういうこと。私は、交付税で一般会計から繰り入れてでもやっぱり是正しなきゃならぬと。それに必要な資金は交付税で、少ないけれども特交でそれは補てんしましょうと、そう言っているんじゃないんでしょう。どうなの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/59
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060・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 十七倍をどうこうするということではありませんけれども、私は、一般的に高料金対策として、全国平均より著しく高くなっている団体についてはいろいろの措置が今まであるわけですから、それが後退しないように、交付税全体が減っておりますけれども、その高料金対策としての措置は五十九年度も確保していきたいと、そういうことで指導もしていきたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/60
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061・佐藤三吾
○佐藤三吾君 これはやっぱり大臣、大事なことなんですよ、水を飲まない人間なんていないわけだから。もう九〇%、一〇〇%近く今水道でしょう。そこが、ある都市によっては十七倍も格差がある、水道料金に。これは大変な問題だと思うんですよ。ですからああいう答申が出てきたと思うので、しかも基準までちゃんと定めて、理想としては一・五の範囲内、しかし当面二の範囲内にすべきであると、こう出ておるわけですから、これは今財政局長にいろいろ話を聞くと、従来の方針。確かに従来の方針でそれを何とかしようということで手当てしていることわかりますよ。しかし、その結果が今十七倍あるわけだから、これをどうするのか、こう聞いておるわけで、大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/61
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062・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) ちょっと初めて聞いたような話で、不勉強でございまして、よく帰りましてから検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/62
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063・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 具体的に現在の公営企業会計に対する繰出基準というものをいろいろ定めておりますが、今回の研究会のレポートに着目してこの基準をすぐに改めるということを今この場で答弁できないわけですけれども、もちろんああいった指摘がなされたという事実も踏まえて、この基準のあり方などは研究していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/63
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064・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そう言えばいいんで、それならすぐ済むことなんだけれども、何かいやに起債を認
めぬとかラスパイレスがと、目の色変えたような発言をすることありますけれども、それはまた後でやりますが、そんなことだけじゃなくて、この大事な問題はぜひきちっと私はしてもらいたいと、ひとつ強く要望しておきたいと思います。
それから、住民税の税率改正の中で、最低税率三十万以下二%という現行が、二十万以下二・五、二十万から四十五万の間が三%と、こういうことで改正されていますね。しかも、賦課制限については百分の八十から七十八に引き下げて、そしてやられているわけですが、その結果、私は所得格差の拡大になっておるんじゃないかという気がするんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/64
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065・関根則之
○政府委員(関根則之君) 確かに最低税率を〇・五%引き上げさしていただきました。それから、出発の最初の数段階のやや不整合になっているブラッケットの刻み方が所得段階が上がるに従ってだんだん広がっていく、そういう体系に直さしていただいております。その結果、所得の逆転といいますか、再配分が逆になっているような現象があるんではないかというお話でございますが、減税の効果は、やはり低所得層ほど住民税の軽減割合は低くしておりますので、税率の引き上げによって逆転現象が起こっておるというふうには私どもは考えておりません。
それからもう一つ、賦課制限の率の引き下げでございますけれども、これは、御承知のとおり国税で最高税率が五%下がったわけです。したがって、賦課制限につきましても、所得税の高額所得層に対する負担の軽減を図るということをストレートに効果をあらわしますためには賦課制限も同じように五%下げてくれぬかと、下げるべきだという議論が相当各方面から起こってきたわけです。私どもは、しかし賦課制限につきましては前々から問題があお制度である、しかもその財源はすべて地方団体においてしょっていると、地方団体の負担において賦課制限制度というものは成り立っているというような問題点がありますから、五%所得税の最高税率が下がったからといってストレートに賦課制限率を下げるわけにはいきませんよと、そういう考え方で対応したわけでございます。
ただ、問題はこの前、現在の賦課制限のかかり始めの所得段階というのは一億二千九百万ですけれども、それが設定されましたのが昭和五十五年度所得、住民税年度でいきますと昭和五十六年度住民税からそういう制度ができたわけです。しかし、それが現在までにやはりそのときの一億二千九百万の所得段階というのは、現在の貨幣価値に直しますと大体一億四千五百万程度のところまで来ているわけでございますから、その賦課制限がかかり始める所得段階をその後の物価上昇と貨幣価値の下落等に見合ったものに直す程度のものは、これはやむを得ないといいますか、税制としてもやっぱり検討すべき筋合いのものである、そういう考え方に立ちまして、率といたしましては二%の引き下げをさせていただく、こういうふうにしたわけでございます。結果的には一億四千三百九十万五千円の段階から賦課制限が始動する。改正前は一億二千九百八十六万八千円からスタートしていたわけですが、その間の引き上げ率といいますか、それは約一〇%になっておりまして、この間におきます物価なりあるいは国民所得のデフレーター等から比較いたしましても、大体つり合うものだということでございます。そういうことでやっておりますので、決して高所得層に対して住民税のサイドから負担軽減を思い切ってやったとか低所得層以上にやったということはありません。
ちなみに、住民税につきましては、賦課制限を二%下げましても、例えば一億五千万の粗収入のある人については住民税は百八十二万六千円の増税になっております。二億の人については三百二十五万一千円の増税になっている、こういう形になっておりますので、お話のございましたような形での逆転といいますか、そういうものはあらわれていないというふうに私どもは理解してます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/65
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066・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そこで結構ですが、二百万、三百万の収入層、それから五百万以上、これの住民税の負担軽減の状況ですね、独身、夫婦もしくは夫婦子供二人、これはどういうふうに数字がなっていますか、五十九年度と六十年度を対比して平年度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/66
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067・関根則之
○政府委員(関根則之君) 五十九年度におきまして、夫婦子供二人の世帯で申し上げますと、五十九年度は九千二百円の軽減、六十年度は同じく九千二百円の軽減でございます。これは税額がゼロになりますので、一切税金いただかなくなるということでございます。それから三百万段階では、五十九年度におきましては一万一千二百円、六十年度におきましては一万百円でございます。それから五百万段階、五十九年度におきましては一万七千八百円、それが六十年度には一万九千二百五十円ということでございます。一千万円も申し上げましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/67
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068・佐藤三吾
○佐藤三吾君 割合でいくと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/68
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069・関根則之
○政府委員(関根則之君) 割合でまいりますと、二百万の段階は税額がゼロになりますので、軽減割合としては一〇〇%軽減という数字になります。三百万段階で五十九年度は二四・五%、六十年度は二二・一%でございます。五百万段階で五十九年度は九・五%、六十年度は一〇・二%の軽減になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/69
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070・佐藤三吾
○佐藤三吾君 これは、夫婦の場合はどうなんですか。夫婦、独身。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/70
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071・関根則之
○政府委員(関根則之君) 独身の場合を申し上げますと、二百万段階で五十九年度は二千八百円の軽減、六十年度は千八百五十円でございます。それから、三百万円段階で五十九年度が四千円、六十年度は千八百五十円、五百万段階で五十九年度は四千八百円、六十年度は五千七百円でございます。
夫婦世帯に移ります。二百万円の段階で五十九年度は四千八百円、六十年度が三千七百円でございます。三百万段階で五十九年度六千四百円、六十年度五千五十円。五百万段階で五十九年度九千六百円、六十年度一万五百円、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/71
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072・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そうすれば、やっぱり二百、三百万の層というのは、五百万層から見ると減税の、いわゆる減税割合ですか、それはやっぱり過酷になっておる、こう言わざるを得ぬのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/72
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073・関根則之
○政府委員(関根則之君) 今回の減税は、住民税につきましては、いろいろな条件のもとで行いましたので、昭和五十九年度と六十年度の二カ年に分けて、六十年度になって初めて平年度化してくる、あるべき本来の姿が、そこで恒常的な姿があらわれる、そういう仕組みをとっておりますので、減税の最終的な効果というのは六十年度の数字でごらんをいただきたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、税負担が改正前と減税後でどう変わるかと、減った分の軽減割合というのを率にして先ほど申し上げたわけです。三百万円段階では二二・一%の軽減割合になっておりますが、五百万円の段階では一〇・二%、七百万では五・七%、一千万では三・三%、二千万にまいりますと一・二%しかない、こういう形で減税をやっておりますので、決して下に薄いということはございません。やっぱり下に厚く減税効果が及ぶように考えて減税案を組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/73
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074・佐藤三吾
○佐藤三吾君 これまたやっておると時間がないんで、これ以上やりませんが、それではもう一つだけ聞きますが、二・五の、ここの最低の方当たりましたね。今私が申し上げたように、最低税率当たったことによってどの程度の税収増になっておるのか、その点はわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/74
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075・関根則之
○政府委員(関根則之君) 最低税率を〇・五%引き上げまして、先ほど申し上げましたやや不整合なブラッケットを整合性のあるものに改めさしていただきました。そこのところの改正によりまして、これは昭和六十年度から動かしていきますが、六十年度の増収額は約一千億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/75
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076・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そうすると、賦課制限による減収はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/76
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077・関根則之
○政府委員(関根則之君) 賦課制限による減収ではございませんで、これは逆に地方税といたしま
しては増収になっておりまして、約十八億と計算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/77
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078・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いずれにしても、今度の減税の中で一番重視をしなきゃならぬのは、さっきの予算委員会の公述人の皆さんのお話じゃないけれども、二百、三百万層にもっと手厚い手当てをしていかなければ景気上昇にもならぬ、いわゆる需要喚起を言ってみてもならぬという、そういう意味合いから見ると、あの税制改正というのは、各党間では景気浮揚に役立つ減税というのが建前なんだけれども、国税もそうですが、地方税を見る限りそういうふうにはなってないということが明らかになったんじゃないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/78
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079・関根則之
○政府委員(関根則之君) 今回の減税案を組むにつきましては、私どもは、思い切って低所得層に対する減税効果というものを高くしていきたいということを念頭に置きまして、そういう基本方針で臨んだわけでございます。したがって、一番低所得層に響いてまいりますのは、やはり課税最低限をどこまで上げられるかという問題だというふうに考えます。国税の方が全体で八千七百億規模の減税をやりましたけれども、所得三控除につきましての引き上げ幅は四万円にとどまっております。我が方も、一応三千億という減税の規模の目標を置きましたけれども、結果的に国税と全く同じ四万円の引き上げができたというのも、私どもとしては一点集中的に所得三控除の引き上げに与えられた財源を投入する、それによって、確かにまだ国税には及びもつきませんけれども、できるだけ課税最低限を上げたと、こういう案を用意したわけでございます。その点を御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/79
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080・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そこまで言うなら、五十六年のときに、やむなく生活保護基準に抜かれるが、もうしかし財政的にも苦しいということで、便法でつくった課税最低限、これをなぜ残したんですか。そこが今あなたがおっしゃるような趣旨なら残すことはないじゃないか。保護基準よりも下回らぬようにきちんとすべきじゃないですか。そうなってないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/80
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081・関根則之
○政府委員(関根則之君) 私どももできることなら課税最低限を生活保護基準を上回る水準に設定をしたい、これは念願は持っております。しかし、今度の減税財源といいますか、減税の規模をできるだけ集中的に課税最低限の引き上げに使ってもなおかつ生活保護基準を上回るわけにはいかなかったと、こういうことでございます。いや、そんなこと言わずに上げたらいいじゃないかという御主張かもしれませんが、そのためにはさらにもっと減税財源というものを用意しなければいけない、厳しい地方財政の中で、それは残念ながらできなかったというのが偽らざる実情でございます。ただ、もちろん問題は、生活保護基準程度の収入しかない人たちが実際に、現実的に住民税の所得割が課税されるというのは、これはやはり問題がありますので、そういう人たちには住民税所得割が課税されないようにするために昭和五十六年度からやむなくとってまいりました非課税措置というものを残して、そういう低所得対策をとったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/81
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082・佐藤三吾
○佐藤三吾君 へ理屈もやっぱりいろいろあったもんですね。これはせっかくこういうふうに税制改正久しぶりやるわけだから、しかもその趣旨が、さっき申したように、局長が強調しておるように、低所得層に重点を置いたと、こう言うんだから、やっぱりあくまで五十六年の制度というのは便法ですよ。やむなくつくったわけで、これをこの機会に解消するような措置をとらなかったということは、何とあなたが強弁しても理屈は通らない、率直に言って。だから、これはひとつ大臣に聞いてもまたよくわからないということを言うだろうけれども、大臣わかりますか、これ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/82
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083・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) よくわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/83
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084・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そうすれば、その理解でいいですね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/84
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085・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 今後、御指摘の点を十分ひとつ反映さしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/85
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086・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私は、そういう発言というのはちゃんと記憶していますから、ひとつぜひ頼みます。
そこで、時間がございませんから二、三お聞きします。
法人税関係です。なぜ今度、外形課税を税のこの改正の際に導入しなかったのか、私はどうしても理解できない。これは知事会、自治体の方で外形課税の導入については強い要求もあったし、私は、自治省自体としては、いままでの議論から見ると、決してこれをすべきじゃないという立場よりも、むしろちょうどあの当時出てきた一般消費税との関連で見送ったという経緯がありますね。今度見送っだということは、まだ一般消費税が期待ができるんじゃないかと、そういう願望からこれを見送ったのか、一体どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/86
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087・関根則之
○政府委員(関根則之君) この前、知事会で法人事業税外形課税実施案要綱というものまでつくりながら、つくった翌年の一月二十日にはそれを取りやめますという決定をしております。そういう経緯がございました。なぜ取りやめたのかということになりますと、先ほどお話がございましたように、当時、税制調査会におきまして審議をされておりました新税案、いわゆる一般消費税ができそうだといったような動きも十分関連を持っている問題でございますが、それとともに、そのころにちょうど景気の停滞が長引きまして大変な深刻な不況下にあったわけでございます。そういった実施の時期との兼ね合い、時期も余りよくないではないかといった問題もあったのではなかろうかというふうに考えております。私どもは、基本的には、いつも御答弁申し上げておりますように、都道府県の法人関係税収の安定的な確保を図ってまいりますためには外形により事業税を課税するようにすることが望ましいことだということは基本的な考え方として持っております。
ただ、これは単純に事業税だけの問題として、切り離して一挙に実現に移すということができるようなものではございませんで、ほかの国税における法人関係税との兼ね合い等、いろいろな関連が出てまいりますので、税制全般の中でやはり結論を出していただかなければいけない、そういう性格を持っているものというふうに理解をしておりますし、税制調査会におきましても、昨年の暮れの年度答申に向けまして、私どももこの問題については十分御検討いただいたわけでございますが、結論的には、従来からの経緯もあり、課税ベースの広い間接税というような問題との兼ね合いも考慮しながら今後検討すべきであると、こういう結論に至ったわけでございまして、五十九年度から直ちに実施に移すといったような明快な御結論を得るに至らなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/87
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088・佐藤三吾
○佐藤三吾君 大臣、地方財政というのは国の財政以上に安定性が必要なんですよ。そういうことで、地方自治体ではっとに、たしか五、六年前ですか、外形課税の要求が強く来て、自治省も腰を上げたわけですよ。地方制度調査会もそういう答申をしたと私は記憶しているんですが、いずれにしてもそういうときに大平さんのあの一般消費税が出てきた。それで、それとの関係を含めてさたやみになっておる経緯があるんですけれども、私は、もうあれは国会で決議になりまして、大蔵官僚の方ではEC型の付加価値税を含めた考えがあるやに仄聞しますけれども、しかし中曽根内閣はしないと言っているわけだし、もうここら辺で私は、やっぱり見切りをつけて、地方は地方できちっとすべきときに来ておると思うんです。それを今度あえてしなかったということで、今理由を聞いてみると、依然として国との関連と言っているけれども、僕は、やっぱり国との関連じゃなくて一般消費税との関連だったんだから、それはもう芽はなくなったわけだから、ここできちっとすべきじゃないかと思うんですが、いかがですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/88
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089・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 先ほど税務局長から経緯の説明がありましたが、私も聞いておりまして、こういう外形課税を取り上げていくという問題は知事会などでこれまで主張してきた、これも
一理あることでございます。ただ、今局長が述べたような経緯から考えまして、地方制度調査会、そういうところからの十分な御審議を得ないと、そう簡単に、すぐと言うわけにもまいりませんが、引き続いてこのようなことを検討していかなければならない問題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/89
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090・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そういう回答だろうと思いますが、もっと真剣になってほしいんですよ。一般消費税との関係がもうなくなったと断定していいんじゃないかと私は思うもんだから、そこら辺は、もし仮にそれが少し息絶え絶え残っておったとしても、もうこの辺で見切りをつけないといけない時期に来ておる、そう思いますから、ぜひ検討するならそういう意味でひとつ真剣に検討してほしい。
それから、非課税等の特別措置の問題について、これは毎年委員会のたびに議論をされておるんですが、ことしの状況を見ると整理合理化が十九、そうして新設が三、拡充が七、延長が二十九、こういうふうに数字が出ておるわけです。これは、ある意味では、私はやっぱり補助金の一種だと思うんです。補助金なら、どこどこに何ぼ、どういう趣旨で出したということが鮮明に出てきますね。これはおたくは知っておるかもしれないけれども、どこどこのところにどれだけ出たということはわからない。課税を何%、三分の一とか何とかいって一体それが何ぼになるのか、こういうことが鮮明に出てこない。ましていわんや、その結果どれどれの企業にどれだけ恩典がいっておるのかというごとは、これも出てこない。こういうことのあり方が私は問題があると思うんです。そして、自治省にその中身を出してくれということで、出したんですが、これを見ればなおわからないというような数字しか出てこない。私が聞きたいのは、産業用電気税一つとってみても、五%以下は外しましたけれども、一〇%までは外さない。その間に企業はどのくらいあるのか、どういう企業があるのか、そういうのは一つも出てこない。
ですから、こういうことでは、これだけ今財政危機ということで問題になって、いわゆる行政改革というのがやかましく議論をされるときに、こういうところについては薄ぼんやりみたいな、真っ暗で何も見えないというようなやり方が果たしていいのかどうなのか。私は、やっぱり国民は納得しないと思うんです。それは、やっぱり企業の方から見ると、率直に言うなら暗い方がいいでしょう、見えぬ方が。しかし、国民の側から見ると、これはたまらぬと思うんですよ。そこら辺はやはりこの際、行政改革の時期ですから、大変手間数がかかると思うんですが、今ここに出せとは言いませんけれども、内容を公表して明らかにする、そうして、国民の目にさらした中でそれがいいか悪いかを議論してもらう、こういう態度をとるべきだと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/90
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091・関根則之
○政府委員(関根則之君) 租税特別措置は補助金ではないかという議論がございます。しかし、これは財政講学的にそういう考え方がとれる、補助金と同じ財政上の効果あるいは企業に対する援助的な機能を持つ、そういったいわゆる性格論としてそういうことが言えるということでございまして、先生もちろん御承知のとおりでございますけれども、補助金そのものではない。したがって、個別に指令書を出して申請書を受けてやるというような性格のものではございませんから、個別的な明確な資料というものは出てこないわけでございます。そういうことでございまして、税で、国税の租特なりわが方の非課税等特別措置をとりますと、どうしてもそういう形になるものだから実態が必ずしも明確にならない、そういう性格を持つものであるから、そういう特別措置というのは、よほどしっかりした必要性あるいは効果というものが認められるもの以外は早く整理合理化を進めるべきだと、こういう御議論になってきているんではないかというふうに私どもは理解をいたしております。
したがって、そういう性格を有し、しかもその辺が必ずしも個別に明確にならないというようなことを持っておりますので、私どもも、引き続き鋭意、租税特別措置等につきましては整理合理化を進める努力を続けていきたいというふうに考えます。
個別的な企業名なり何なり、そういうことにつきましては、少なくとも税務当局といたしましては税を取ってないわけでございますので、税を取っているものでありますれば私どもの方に課税資料を通じていろんな具体的なデータが入ってくるわけですが、この問題につきましては、課税をしていないということからそういった個別データがございませんので、御提出をしたりあるいは一般に公表したりするということができないわけでございます。通産省が直接、企業関係につきましては私どもにいろいろなデータの提供なり、そういうものをしていただいております。通産省ともよく相談をしまして、そうは言いましても、できるだけこういったようなものが明らかになるようにそういう努力は続けていきたいというふうに考えます。
と同時に、基本的には、やはり租税特別措置そのものをできるだけ整理縮小を図っていくということが必要であろうというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/91
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092・佐藤三吾
○佐藤三吾君 整理縮小することが大事だ、こう言いながら、今度も何かと言えば廃止は一つ、新設が三、拡充が七と、こういうふうに数字が出ていますね。だから、整理縮小じゃなくて整備拡大しておるわけだ。この中には障害者の問題とかいろいろございますよ、措置の中には。農業関係もございましょうし、いろいろあります。そういう点についてはそこまでは言いませんけれども、少なくとも企業に対するものについてはこの際私はすっきりすべきだ、もっと言うなら、端的に言うなら全廃して、そうして必要なら補助金やればいいんだ、国民の見える場で。そういう方に僕はやっぱり変えるべきだと思う。企業についてもし必要なら補助金やればいい。こういう企業を代表する人たちが今、例えば政府の財政審議会であるとか政府の税制調査会であるとか、そういうところにほとんど行っているんじゃないですか。臨調なんかそうですよ。そうして何を言っておるか。僕はやっぱりここら辺は、国民の前にさらすべきだと思うんだよ。そうして、何か民間は活力のために血のにじむような苦労をした——したかもしれませんし、しただろうと思う。しかし、それはやっぱりこういうものをさらけ出した中で言うべきで、ここに私は問題があると思うんです。
しかも、そういう企業が、御存じのとおりに使途不明金を含めていろいろな事件を起こしておる。おまけに脱税を起こしておるこれも事実。こういう姿をそのまま放任して、そうして弱い省のところに重点を置いた行政改革をやっていくという論理がまかり通っておるから、私はなおさら言うんですよ。ここら辺、私、許すときじゃないと思う。やっぱり行革のときなら、きちっとしなきゃ国民の皆さんは納得しませんよ。いかがですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/92
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093・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 租税の特別措置や地方税の非課税措置をできるだけもう縮小して徹底的にやれという御意見、そういうお考えは私も全く同感でございます。ただ、これは言うべくしてなかなか、御承知のように難しい問題なんですよ。私は、こういう問題を真剣に実施させようとするならば、まず一番困難なものから、また大きなものからやっていかないと、細々小さなものをやるといったって、あそこがああじゃないか、お医者さんはどうだ、新聞はどうだと、こういうふうになっちゃうんです。だから、とにかく一番大きなものから手をつけていく。これから手をつければかなり整理ができるんではないか。しかし、それは相当の覚悟も要るし、また党派を超えて、これは多少は圧力があってもやっていこうという空気が出ませんと、ただ私なんかが一人でしゃっちょこ立ちしたってなかなかこれできないことなんです。しかし、私は少なくとも何か在任中にやらなきゃならぬとすれば、このくらいのことはひとつ道を開いていかなければならないという決意を抱いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/93
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094・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私は、あなたが予算委員会で新聞関係のいわゆる広告税ですか、これについてなかなか張力切って決意を表明しておったですね。ですから、そのくらいの決意を持ってやるならできぬことはない、やろうと思えば。だから、それは後ほど聞こうと思うが時間がないからついでに聞きますが、この新聞関係のやつについてはどうして今度の税制改正でやらなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/94
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095・関根則之
○政府委員(関根則之君) 新聞、放送、出版等に関する事業税の非課税措置につきましても、私どもは基本的には整理対象として早いところこの特例措置は廃止をしていただきたいという基本的な考え方を持って、ここ数年来、各方面に議論の対象として提起をいたしまして、議論していただいているところでございます。ことしの税調におきましても当然のことながら御議論をいただいているわけでございますけれども、やはりこういった事業の公益性でありますとか、逆にまた社会保険診療報酬との、あっちを残しておれの方だけかと、これはまた逆の方もあるんですけれども、そういったような議論も出てまいりまして、最終的には結論をいただくに至らなかったということでございまして、私どもとしては、引き続き説得といいますか、実現のための努力をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/95
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096・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私は、大臣、さっき言った中身の問題一つだけ言いますと、産業用電気課税など、なぜ五%かからぬかというと、本意はその五%から一〇%の中に新日鉄が入っているんでしょうが。それが一番大きな原因なんでしょう。だから、そこら辺が赤裸々にならないのだ。これでわからない。そういうところをなぜそこまで必死に隠して防衛しなきゃならぬのか。僕はそこら辺まで踏み込んでもらいたいと同時に、踏み込むことの一歩として、やっぱりそこら辺を公表することが大事だと思うんです。国民の目にさらすことが、それができぬことはないわけです。それも資料要求したってそれは出さない、なかなかおたくの方は。だから、そういうことが私はやっぱりあなたの決意とあわせて、できることだと思うんだから、ひとつぜひお願いしておきたいと思います。
最後に一つだけ聞いておきますが、利子配当課税、これは地方税に今ついてないですね。そのために臨時がございましたが、今度は特例措置、これは交付税のときやりますが、特例措置ということで今度は中身がさっぱりわからない、込みになりますから。そういうこともあるわけですが、これは国税としては、何というんですか、例の非課税貯蓄の問題とグリーンカードですか、それとあわせて八月までに結論を出すということで審議をするということでしょうが、これは自治省としてはどういう態度で対応するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/96
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097・関根則之
○政府委員(関根則之君) 自治省としての一番基本的な物の考え方は、やはり総合課税へ移行することによってこの問題を根本から解決をしていただきたい、これが長い間の自治省の基本的な考え方でございますし、今でも私どもはそういう考え方を捨ててはいません。現に、現行法は三年後にはそういう形になるということを基本として置いているわけでございます。しかし、それは実際問題として、いろいろな経緯からいたしまして、グリーンカード制度がこのまま現在ある法律のような形できれいに発足をするということは非常に難しいんじゃないかというふうに考えております。
そこで、その後の利子配当課税のあり方をどうするのかということを、今お話しのございましたように、八月までに政府税調で御論議をいただくということになっているわけです。私どもとしては、基本的には総合課税を何とかできないかという考え方で基本線は臨みますが、仮にそれが無理であって、グリーンカードが無理で、もう一回分離課税というものを残さざるを得ないということになりました場合には、住民税がそれによって課税できないという前の姿に戻ってしまうのは、それは困りますと。この機会に何とか住民税としても課税できるようなことを考えていただきませんと、一つのチャンスになるわけですから、一たんことしの、今回の見直しの場を見過ごしまして、二年後、三年後になって、いや、しまったと、やはり住民税にも課税さしていただきたいということを言いましても、なかなかチャンスがつかめないであろうという問題意識を持っておりますので、何とか、仮に分離課税というものが残るのであれば住民税においても課税できるような方法を御検討いただく、そういう方法を何としても結論を出していただくように税制調査会にはお願いをし、説明もし、努力をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/97
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098・佐藤三吾
○佐藤三吾君 大臣はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/98
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099・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 今局長が言ったとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/99
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100・佐藤三吾
○佐藤三吾君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/100
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101・大河原太一郎
○委員長(大河原太一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、次回の委員会を三月三十一日午前十時に開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00419840329/101
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