1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成六年六月二日(木曜日)
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平成六年六月二日
正午 本会議
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○本日の会議に付した案件
行政改革委員会設置法案(内閣提出)の趣旨説
明及び質疑
午後零時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/0
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001・土井たか子
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
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002・土井たか子
○議長(土井たか子君) 御報告することがあります。
永年在職議員として表彰された元議員本名武さんは、去る四月十二日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
本名武さんに対する弔詞は、議長において去る五月十五日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
〔総員起立〕
衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに外務委員長逓信委員長農林水産委員長の要職につき また国務大臣の重任にあたられた従三位勲一等本名武君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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行政改革委員会設置法案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/2
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003・土井たか子
○議長(土井たか子君) この際、内閣提出、行政改革委員会設置法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣石田幸四郎さん。
〔国務大臣石田幸四郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/3
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004・石田幸四郎
○国務大臣(石田幸四郎君) 行政改革委員会設置法案について、その趣旨を御説明いたします。
我が国の経済社会の構造を新たな時代にふさわしいものに改革していくに当たり、行政改革は避けて通れない喫緊の課題であります。
このため、政府は、行政改革推進本部を中心として、規制緩和を初め、行政改革の推進に積極的に取り組む所存であります。
今般設置しようとする行政改革委員会は、臨時行政改革推進審議会の最終答申等の趣旨を踏まえ、国民の視点に立って政府による行政改革の実施状況を監視するとともに、行政情報の公開に係る制度について本格的な検討を行い、行政改革に関する諸般の方策の着実な推進に資するものであります。
次に、法律案の概要について、その内容を御説明申し上げます。
行政改革委員会は、許可、認可等行政の各般にわたる民間活動に係る規制の改善の推進その他行政の制度及び運営の改善の推進に関する施策の実施状況を監視するとともに、行政情報の公開に係る制度について調査審議し、その結果に基づいて内閣総理大臣に意見を述べることを任務としており、委員会の意見については、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととしております。
また、委員会は、規制の改善の推進に関する意見を受けて講ぜられる施策に関し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣または内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告することができることとしております。
委員会は、行政の改善問題に関してすぐれた識見を有する者のうちから両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員五人をもって組織することとするとともに、委員会の事務を処理させるための事務局を置くこととしております。
また、委員会は、行政機関の長等に対して資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができることとしているほか、特に必要があると認めるときは、みずから行政機関等の運営状況を調査することができることとしております。
なお、委員会は、政令で定める本法律の施行の日から起算して三年を経過した日に廃止されることとしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
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行政改革委員会設置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/4
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005・土井たか子
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。福永信彦さん。
〔福永信彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/5
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006・福永信彦
○福永信彦君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました行政改革委員会設置法案について御質問をいたします。
本格的な高齢化社会の到来を控え、二十一世紀に向かって真に活力があり豊かな国づくりを進めていくためには、行政改革は避けて通れない課題
であります。とのため、我が党は、これまで各般の制度改革を進め、その結果、国鉄の分割・民営化を初めとする三公社の改革、年金・医療制度の改革、行政組織の再編成・合理化、国家公務員の大幅削減、国から地方への権限移譲、規制緩和の推進など、着実な成果を上げてまいりました。特に、我が国を取り巻く内外の厳しい諸情勢を考えるとき、政府と国民とが使命感を持って行革に取り組んだ土光臨調当時の経験を想起すべきであります。
現在、我が国を取り巻く環境は、外に日米関係、内には長期化する不況問題、財政状況の悪化など、いずれも緊急に対応すべき課題を抱えており、また、これらの課題の背景には、いずれも経済とともに行政自身の持つ構造的な問題があります。経済の活性化、対外経済摩擦の解消のための規制緩和、活力に満ちた地域社会を形成していくための地方分権など、行政改革は待ったなしの状況であります。
しかしながら、行政改革は言うべくして困難な課題でもあります。行政改革は、我が国社会経済に大きな変革をもたらすものであり、国民、関係者の利害は錯綜し、さまざまな意見の対立、利害の衝突が不可避的に伴うのであります。このような困難な課題に取り組み、所期の成果を上げていくためには、国民多数の支持のもとに、さまざまな利害対立を乗り越えるだけの総理の強い決意と、さまざまな利害を調整するための慎重な手続と配慮があわせて重要であります。
果たして、少数与党政権たる羽田政権において、このような課題に効果的に対処することができるのでありましょうか。変革はかけ声だけでできるものではございません。明確な問題意識のもと、改革理念を明らかにしつつ、広く衆知を結集して改革方策を立案するとともに、改革に伴う痛みを最小限にすることもまた求められるものであります。
そこで、総理にお伺いいたします。総理は、今後、意味ある成果を上げるためにどのように行政改革に取り組まれようとしているのでしょうか。その決意と基本的考え方をまずお聞かせいただきたいと思います。
次に、行政改革委員会についてお尋ねいたします。
我が党政権下の八〇年代において、臨調、行革審を中心として、行政改革が血のにじむような思いで積み重ねられてまいりました。相当な成果も上げ、行革の基本的な考え方や方策も示されているものであります。しかし、本委員会設置法案では、こうしたこれらの答申への言及は全く残念ながら見られないのでございます。これらの答申や行革の成果は、委員会の活動にどのように生かされていくのでありましょうか。
また、政府は、行政改革に関する諸般の方策の着実な推進を唱えておりますが、本委員会の任務は規制緩和と情報公開に重点化しており、その他の行政改革に対する取り組みの姿勢が明確でないのであります。簡素で効率的な政府を実現するには、国・地方を通じた行政組織の整理合理化、国家・地方公務員の定員総数の抑制・縮減、特殊法人の見直し等による行政経費の節減はもとより、今日的課題としての地方分権の推進は、規制緩和や情報公開に劣らず行政改革の重要課題であると考えるものであります。今回の法案は、こうした行政改革全般に対する目配りに欠けていると言わざるを得ないのであります。
また、この行政改革委員会の常勤委員については民間人を起用することが与党内で検討されているということでありますが、給与その他の面からも適切な人材が得られるのかどうか、また、公正な人事を行っていただきたいと考えますが、役割、性格等について総理の明快な御答弁をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/6
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007・土井たか子
○議長(土井たか子君) 皆さんに申し上げます。
本会議中は、自席に着席の上、静粛にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/7
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008・福永信彦
○福永信彦君(続) 次に、規制緩和についてお尋ねいたします。
政府は、昨年九月の緊急経済対策以来、二度にわたり具体的な規制緩和方策を決定されたところでありますが、その内容を見ると、到底、内外からも十分評価され、実効性ある抜本的な規制緩和とは言えないのであります。さらに、現在、行政改革推進本部を中心として、さらなる規制緩和に向けた取り組みが行われていると聞いているところでありますが、この行政改革推進本部の本部専門員には、学者以外のメンバーは特定の分野に偏っており、全般にわたって目配り、気配りのできる人が少ないようにも思えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
規制緩和は、総論賛成、各論反対の最たるものであって、これまでの経過から見ても、よほどの政治的リーダーシップなくして実のある改革は期待し得ないと思うのであります。少数与党の現政権に果たしてどこまで期待できるのか、残念ながら甚だ疑問であります。この際、今月末までに取りまとめられる予定と聞いている規制緩和の断行に向けた総理の決意をお伺いしたいと思います。
最後に、行政改革委員会において本格的に検討することとされている行政情報公開法の問題についてであります。
行政が持っている情報を広く国民に公開すること自体は、当然推し進めるべき課題であり、自民党政権下においても、大平内閣以来、行政措置、個別法制などにより着実に改善を実施してきたところであります。ただ、情報公開法という法律をつくることについては、いろいろ重要な検討課題が残っており、なお研究する必要があると考え、政府に引き続き検討させていたわけであります。
例えば、行政の持っている情報はまさに多様であり、プライバシーや企業秘密などの第三者の秘密情報、あるいは防衛・外交にかかわる国家秘密など、保護がしっかりしないまま行政機関が安易に何でも公開ということになると、国民に取り返しのつかない損失を及ぼすおそれがあります。また、一般の傍聴人が大勢見ている中で行う裁判所制度においても、果たして秘密か秘密でないかという微妙な問題を適切に解決できるかという憲法にもかかわる問題がございます。
現政府は、このような情報公開制度の問題について本格的に検討を行うこととされ、今回の行政改革委員会設置法案で調査審議事項として明示されているところであります。そこでお伺いしたいのは、情報公開の法制化に関するこのような重要な問題について、果たしてその解決の目途があって本格的検討に着手しようとしているのかということであります。
以上、政府の御見解と決意をお伺いしたところでありますが、総理は去る国会で、所信表明のとき、普通の言葉で政治を語る、こうおっしゃっておりました。なるほど、私もそのとおりであると考えるわけでありますが、しかし、ただでさえ権カ二重構造、一・一、こう言われておるわけでありまして、したがって、総理は、普通の言葉と同時に、どうか自分の、御自身の言葉で答弁をするよう心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣羽田孜君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/8
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009・羽田孜
○内閣総理大臣(羽田孜君) 行政改革に取り組む決意についてお話がありました。
行政改革は、もう今や避けて通ることのできない国政運営上の重要な課題であるというふうに認識をいたしております。改革に伴う痛みは必ずあります。また、それを最小限に、これを調整しなければならないという難しさもあります。そして、行政改革というのは、御指摘がありましたとおり、かけ声だけで済むものではありません。私ども、少数政権でありますから、非常に難しい課題であります。しかし、私どもは、この時代の要請、これにこたえるつもりで真っ正面からこれに取り組むならば、議会、皆様方の御協力を得られるものと確信をしながら、この問題と取り組んでまいることをまず申し上げる次第であります。(拍手)
私どもは、去る二月十五日には、今後における行政改革の推進方策につきまして閣議決定をしたところでございますけれども、この大綱は、国と民間との関係については規制緩和、国と地方の関係については地方分権、行政運営のあり方をめぐっては行政情報公開を初めといたしまして行政組織、特殊法人などの改革・合理化など、各般の改革課題についての改革方策の方向づけを与えるものでございまして、我々は、これに沿って勇断を持って行政改革を推進し、行政の簡素化、効率化、透明化、これを目指してまいる所存であります。いずれにしましても、実りのある成果をおさめるべく全力を尽くすことを申し上げたいと存じます。
続いて、常勤委員の問題等についての御指摘がございました。
行政改革委員会の委員につきましては、政府といたしまして、すぐれた識見、これを有する方を公正に選考する考えでございます。委員会の果たす役割の重要性にかんがみまして、これは両院の同意を得る、そのようにいたしております。
また、委員会の任務に照らしまして、事務局との密接な連携のもとに、濃密な調査ですとかあるいは専門的な検討を行っていただく業務というものも予想されることから、若干名の常勤委員を置くことができることといたしておりますけれども、その俸給につきましては、適切な人材が得られるよう十分配慮をしていきたいというふうに思います。
いずれにいたしましても、法案の成立いたしました後、具体的な人選に当たりましては、この所期の目的を果たせることを目標といたしまして人選をしてまいりたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、国会にまた御審議をいただくことにいたします。
本部専門員の選定に関する考え方ということでありますけれども、行政改革推進本部の住宅・土地、情報・通信、輸入促進・市場アクセス改善・流通の三作業部会におきましては、同本部における規制緩和についての実施方針の決定に至る過程で民間の意見を参考とするため、民間の有識者十七名の方を本部の専門員として委嘱してございます。
本部の専門員の委嘱に当たりましては、それぞれの分野について知見を有している方、あるいは規制緩和に関心の高い専門員としてふさわしい方にお願いをいたしておるところでございます。私どもは、そういう中にありましても、外国の事業者の声も聞くようにという意見もございます。在日外国事業者団体の幹部の方の参加もいただいておるところでございます。
また、規制緩和の断行に向けた決意ということでありますけれども、私どもといたしましては、先般の中期行革大綱、これにおきまして、規制緩和の推進を第一の柱として、基本的な方針とともに相当数の具体的な措置を決定したところでございますけれども、さらに三月には、対外経済改革要綱におきまして、住宅・土地、情報・通信、輸入促進・市場アクセス改善・流通、金融・証券・保険の各分野における検討の基本的な方向を示し、新たな規制緩和方策につきまして、その成果を六月末までを目途にいたしまして取りまとめることとしております。これも先ほど申し上げましたように、実りのあるもの、中身のあるものにするために全力を挙げます。
我が国経済社会の活性化と国際的な調和を目指し、このような基本的な考え方のもとに、今後とも規制緩和の推進について努力を払ってまいりたいというふうに考えます。
情報公開の法制化に関します重要な問題について、その解決のめどがあって本格的に検討に着手しようとしているのかということでございます。
行政情報の公開は、公正で民主的な行政運営を実現し、行政に対する国民の信頼を確保するという考え方から重要な課題でございまして、これは積極的に取り組む必要があるというふうに私は確信をいたしております。
情報公開制度の検討に当たりましては、さまざまな行政情報の実態を踏まえまして、重要な課題に適切に対処することが不可欠であろうというふうに考えます。このため、各界のすぐれた識見をお持ちの専門家の皆様方に御参集をいただきまして、本格的、専門的な検討を行っていただくことが必要であると考えまして、今回の行政情報公開の制度に関する調査審議を任務の一つとする行政委員会の設置法をこの国会でただいまお願いを申し上げたところでございます。どうかひとつ、この早期成立に向けまして、皆様方の御審議をよろしくお願いを申し上げたいと思っております。
普通の言葉で語るというお話もありました。私は、まさに普通の言葉で語るということは、国民の皆さんに行政を知っていただきたいということであります。しかし、これはみずからの信念に基づいて、私はこれらの問題を進めていくことをこの機会に申し上げたいと思います。(拍手)
〔国務大臣石田幸四郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/9
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010・石田幸四郎
○国務大臣(石田幸四郎君) お答えを申し上げます。
私に対する質疑は、行政改革委員会において従来の臨調、行革審の答申や行革の成果がどう生かされていくのかという問題、さらにまた行政改革
委員会の任務というものが規制緩和と情報公開に重点化されておる、その他の行政改革に対する取り組みの姿勢はどうかというような御質問でございました。
まず、従来の臨調、行革審の答申でございますが、これは中期行革大綱にもその答申の趣旨は十分生かされているというふうに考えておりまして、この行革委員会におきましても、こういった各般の行政改革に対する御意見を承ることができるというふうに考えておるところでございます。
また、任務を情報公開、規制緩和に重点化され過ぎてはいないかというようなお話でございますけれども、特に情報公開の問題につきましては大変重要な課題でございまして、行政改革に全く新たな課題の一つとして取り上げるというような問題でございます。すなわち、情報公開法の制定を目指しているものでございまして、この情報公開法はまさに五十年に一度あるかないかの大きな行政改革だと思いますので、特にこの行政改革委員会でお取り上げをいただくという方向づけをいたしておるわけでございます。
しかしながら、行政改革は全般にわたるものでございまして、政府自身の行政改革の努力と、同時にまたこれを監視するための民間人を中心とする行政改革委員会というのは、いわば行政改革の両輪の一つと位置づけられるものでございますので、これらの行政改革委員の今後の幅広い御議論を大いに期待を申し上げているところだということをお答えとして申し上げたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/10
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011・土井たか子
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/11
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012・土井たか子
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十一分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905254X02219940602/12
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