1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年四月四日(木曜日)
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平成八年四月四日
正午 本会議
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○本日の会議に付した案件
関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律
案(内閣提出)、新東京国際空港公団法の一
部を改正する法律案(内閣提出)及び航空法
の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨
説明及び質疑
午後零時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01319960404/0
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001・土井たか子
○議長(土井たか子君) これより会議を開きま
す。
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関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案(内閣提出)、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び航空法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01319960404/1
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002・土井たか子
○議長(土井たか子君) この際、内閣提出、関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案及び航空法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。運輸大臣亀井善之さん。
〔国務大臣亀井善之君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01319960404/2
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003・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案及び航空法の一部を改正する法律案、以上三件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
初めに、関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
関西国際空港につきましては、一昨年の平成六年九月に滑走路一本で開港して以来、国際線、国内線とも順調に乗り入れ便数が増加してきているところでありますが、今後の航空輸送需要に適切に対応した国際ハブ空港の整備を図る等の観点から、二本目の滑走路等を整備する二期事業を緊急に実施する必要性が生じております。
しかしながら、二期事業は、一期事業より沖合の水深の深い海域を埋め立てることになり、空港用地造成費が極めて多額になること等から、一期開港後間もない現在、関西国際空港株式会社が、新たな空港施設の整備に加えて多額の資本費負担を伴う空港用地造成をみずから行っていくことは困難な状況にあります。
このような状況を踏まえ、二期事業については、関西国際空港株式会社がすべての施設を整備する現行方式ではなく、資本費負担の大きい空港用地の造成については運輸大臣が指定する者が行うという上下主体分離方式によることを法律上位置づけ、これにより二期事業の推進を図るため、この法律案を提案することとした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、関西国際空港の設置及び管理のうち、運輸大臣が航空輸送需要に対応するために緊急に行う必要があると認めるものに係る空港用地は、運輸大臣が指定する者が造成を行い、関西国際空港株式会社に貸し付け、貸し付けの終了後関西国際空港株式会社に譲渡することとしております。
第二に、運輸大臣が指定する者について、一定の指定要件を定めるとともに、所要の監督措置を定めることとしております。
次に、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
新東京国際空港は、より一層増大する国際航空需要に対応するため平行滑走路等の整備が必要であり、未買収地問題を初めとする成田空港問題の解決が喫緊の課題となっておりますが、この問題につきましては、平成六年十月に終結した成田空港問題円卓会議において、空港の整備を話し合いで進めていくことが合意されました。今後は、この合意を踏まえ、これまでの空港つくりの反省の上に立って誠意を持った話し合いを行うことにより、用地の取得、騒音移転の問題等の解決に全力を尽くすとともに、地域と共生できる空港の整備に積極的に取り組むこととしております。
また、昨年二月に閣議決定されました「特殊法人の整理合理化について」におきまして、事務の効率化を図るため、平成八年度に新東京国際空港公団の本社機能を新東京国際空港内に移転することとされております。このような状況から、今後、より積極的に空港と地域との共生を図るとともに、特殊法人の整理合理化、さらに東京一極集中の是正を進めるため、新東京国際空港公団の主
たる事務所を東京都から千葉県成田市に移転することが強く求められているところであります。
また、特殊法人につきましては、その経営の活性化を図るため役員の任期を短縮するとともに、財務内容を国民に広く公開する観点から所要の措置を講ずることが要請されているところであります。
このような趣旨から、この法律案を提案することとした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、新東京国際空港公団の主たる事務所の所在地を東京都から千葉県に変更することとしております。
第二に、新東京国際空港公団の理事及び監事の任期を四年から二年に変更することとしております。
第三に、新東京国際空港公団の財務内容につき、附属明細書、事業報告書及び決算報告書を公団の事務所に備え置くことを義務づけることとしております。
最後に、航空法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
我が国の航空機検査制度は、昭和二十七年の航空法制定時におきまして、国が個々の航空機を直接に検査することを基本とした制度として定められ、それ以来、基本的な仕組みは変更されずに現在に至っているところでありますが、この間、民間事業者の能力の向上、登録航空機数の大幅な増加、国際的な相互承認の進展、環境規制に関する国際的な取り組みの進展等、航空機検査制度を取り巻く内外の情勢は大きく変貌しております。
また、昨年三月に閣議決定されました規制緩和推進計画におきましても、諸外国の制度を踏まえつつ航空機検査制度の見直しを行うこととされており、これを受けて、航空審議会におきまして、さらなる航空機の安全性の向上に資する観点から御審議をいただき、昨年十二月には、国際化等時代の要請に対応した「航空機検査制度のあり方について」答申をいただいているところであります。
こうした情勢変化を踏まえ、かつ、世界的な動向に沿いまして、個々の航空機等の検査につきましては、民間事業者の能力及び輸出国の証明の活用を進めることとし、国は、設計の検査、安全確保等に必要な情報の収集・提供等の業務に重点を移していくことによりさらなる航空機の安全性の向上を図るとともに、航空機の環境規制につきましては、国際民間航空条約に基づく国際標準に準拠し、発動機の排出物規制の導入等により国際的な環境規制との整合化を図るほか、国民負担の軽減に資するための規制の簡素化、合理化を図るため、この法律案を提案することとした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、航空機の安全性等に係る国の証明制度において、民間事業者の能力及び輸出国の証明を活用することにより、国の検査を省略できる範囲を拡大することとしております。
第二に、国際民間航空条約に基づく国際標準に準拠して、航空機の発動機の排出物を規制するための所要の規定を整備することとしております。
第三に、航空機の安全性、騒音及び発動機の排出物についての国の証明を一本化する等、規制の簡素化、合理化を行うこととしております。
以上が、関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案及び航空法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
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関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案(内閣提出)、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び航空法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01319960404/3
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004・土井たか子
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。古賀敬章さん。
〔古賀敬章君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01319960404/4
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005・古賀敬章
○古賀敬章君 新進党の古賀敬章でございます。
ただいま趣旨説明のありました航空関連三法について、新進党を代表いたしまして、総理並びに関係大臣に質問させていただきます。
まず初めに、政府の空港整備に対する基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
近年、世界は、情報通信・輸送技術の飛躍的な発達、また自由貿易体制のもとで、国際経済上のいろいろな障壁が急速に取り除かれたことなどにより、経済活動のグローバル化、ボーダーレス化が一段と進んでおります。さらに、東アジア諸国の急速な経済発展、旧共産圏諸国の市場経済への参入、欧米諸国の競争力の回復等により、世界経済はまさに本格的なメガコンペティションの時代に突入いたしております。こうした世界的な潮流を背景に、航空輸送の果たす役割は従来にも増して大変大きくなってきております。
我が国近隣のアジア諸国では、こうした航空輸送の重要性を深く認識し、自国経済の発展を先取りするように、国家的プロジェクトとしての大規模空港、いわゆる国際ハブ空港の整備を積極的に進めております。
例えば、香港のチェク・ラップ・コック空港は一九九八年に開港予定、その年間処理能力は、全体計画において、離発着回数三十八万回、延べ八千七百万人の旅客をさばくことができるということであります。マレーシアのセパン新空港は一九九八年に開港予定、タイの第二バンコク国際空港は二〇〇〇年、韓国の新ソウル国際空港も二〇〇〇年、中国の上海新国際空港は二〇〇五年にそれぞれ開港予定で、年間処理能力はいずれも香港の
それ以上であると聞いております。こうした現状を見ていますと、近い将来、我が国は東アジアの僻地になってしまうのではないかという危機感すら覚えてしまいます。
さて、政府は、去る二月二十七日に第七次空港整備五カ年計画を事業規模総額三兆六千億円で閣議決定されましたが、本計画策定における政府の基本理念をお聞かせください。また、今後の我が国における国際ハブ空港整備の進め方についても具体的にお答えいただきたいと思います。
なお、二十一世紀を展望して計画される新たな首都圏空港については、第七次空港整備五カ年計画の期間中に具体的計画を策定すべきであると考えますが、政府にそのお考えがありやなしや、あわせてお尋ねをいたします。
今までの我が国の空港整備のあり方は、飛行機に乗るのはぜいたくだという思想が底流にあり、利用者負担という考えが前面に出ていたように思われます。空港整備特別会計の果たしてきた役割は十分に評価はいたしますが、そろそろ空港整備の財源を根本的に見直すべき時期に来ているのではないかと思いますが、いかがでしょう。お尋ねをいたします。
あわせて、公共事業予算配分の見直しについてもお尋ねしておきたいと思います。
公共事業予算は、今日まで、省庁別、分野別の硬直的な配分がなされ、均等的な割り振りを行う総花的予算執行がなされてきました。民間企業の設備投資であれば、経済情勢の変化に対応して投資対象を優先度をつけて選別し、投資のタイミングや採算性を厳しくチェックするわけですが、公共事業においてこのような認識が薄いのは、即効性のある景気刺激策としての側面を重視し、本来あるべきインフラ整備という本筋を軽視してきたことに原因があるように思われます。
また、それ以上に忘れてならないのは、これからの公共事業においては、国際的視野を持って予算配分していくことが重要だということであります。それゆえに、国際競争の荒波にさらされている空港や港湾においては、このことを念頭に置いて整備していかなければなりません。大規模な投資をしてインフラ整備はしたが、世界一高い使用料を払わされるようでは、せっかくの利用者を失いかねません。公共事業における予算配分の本格的な見直しについて、総理の御所見をお聞かせください。
さて、関西国際空港株式会社法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。
関西国際空港は、我が国で初めての国際線と国内線のネットワークが結合する二十四時間空港であり、空港整備とアクセス整備が同時に実施されたという利点も有する空港であります。しかし、他方において、空港使用料や賃借料が著しく高い水準になっていることに加え、総事業費が増加したにもかかわらず自己資本比率が据え置かれたことにより借入金の負担が大幅に増加したことや、国際線において就航便数が予想を下回ったことなどから、事業主体の経営が大変厳しくなってきているという問題も生じております。
そこでお尋ねいたしますが、当初計画における見通しの甘さなど問題がなかったのか、政府のお考えをお示しいただきたいと思います。
関西空港の二期事業の実施については、我が国の国際ハブ空港整備という観点からその必要性は十分に理解できるものでありますが、規模拡大に当たって最も重要な点は、過度な利用者負担の是正と関西国際空港株式会社の健全な経営が成り立つような財源スキームを構築することにあると思いますが、どのような方策を考えておられるのか、お聞かせください。
次に、二期事業を進めるに当たって、関西国際空港株式会社がすべての施設を整備する現行方式ではなく、資本費負担の大きい空港用地の造成を運輸大臣が指定する者が行うという上下主体分離方式をとられるということですが、その理由をお聞かせください。
また、この方式の方がさまざまな面でメリットが大きいというのであれば、なぜ一期事業のときにもこの方式を採用しなかったのかもあわせてお尋ねしたいと思います。
なお、関西国際空港は、近畿圏のみならず全国民の期待を担って開港したわけですが、この空港の成功のかぎは関西国際空港株式会社の経営いかんにかかっていると言っても過言ではありません。施設設備の減価償却期間の延長や一般経費の削減などの対策を早急に具体化して公表すべきであると考えますので、国の強力な指導をこの際夢望しておきます。
次に、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。
成田空港問題については、平成六年十月に終結した円卓会議において、空港の整備を話し合いで進めていくことが合意され、同空港をめぐる長年の対立構造は一応解消されました。しかし、いまだなお八戸の所有地十六・一ヘクタールと一坪地主等の五・一ヘクタール、合わせて二十一・二ヘクタールの用地取得がなされておらず、その取得の円満解決に向けて鋭意努力されておられるわけですが、その見通しはいかがでしょうか、お尋ねいたします。
これまでの空港つくりの反省の上に立ち、「地域と共生する空港」の理念のもと、このたび、公団の主たる事務所を東京都から成田市に移転するとされておられますが、全く異論ありません。むしろ遅きに失したと思っております。
問題は、全体計画がいつ完成するかであります。用地取得の話し合い解決という不確定要素がありますが、その取得がなされた時点からどのくらいの期間で完成させる計画なのか、今後の進め方と決意のほどをお聞かせください。
最後に、航空法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。
航空機の安全性は、言うまでもなく、航空機の使用者、航空機や装備品の製造者、整備事業者並びに国などがそれぞれの役割を果たすことによって確保されているわけですが、今回の改正において、国の役割のあり方を見直すというものであります。
国が個々の航空機をみずから直接検査することとした現行の制度は、第二次大戦後停止されていた我が国の民間航空の活動が再開された直後の昭和二十七年の航空法制定時に定められたものであり、航空を取り巻く内外の情勢の変化を考えると、必ずしも合理的なものとは言えなくなっていると思われます。検査制度をめぐる現状と課題を、国際的な動向も含めてお聞かせください。
さらに、今回の改正で国が個々の航空機の検査を行わなくなることにより、航空機の安全性が低下することにはならないのかということもお伺いしたいと思います。
なお、このたびの改正は閣議決定されました規制緩和推進計画に沿って行うということでありますが、それならば、航空機検査制度の見直しと同様に、船舶検査についても、規制緩和の趣旨から民間主導型の検査制度に移行していくつもりがおありになるのかについてもお尋ねしたいと思います。
以上で航空三法に関する質問は終わらせていただきますが、一昨日、当本会議場において、政府の規制緩和推進計画の改定について趣旨説明があり、同僚の西川議員から質問をさせていただきましたが、政府の計画は小手先のものであり、実質的な内容を伴っているものはほとんど見当たらず、残念至極であります。
およそ生あるものは、新陳代謝をして初めて存続することができるのであります。個人においても企業組織においても、すべてそうであります。国家といえども、その例外ではありません。規制緩和を実質的に推進し、行政改革を断行し、そして情報開示を進めて民主主義の熟度を高めていく、このことこそが我が国にとっての新陳代謝であります。
橋本総理は登山が御趣味だそうですが、今こそ、いかにいてつくような冷たい水であろうと避けては通れない谷川を渡る勇気を振り絞って、日本の未来という新しい山に向かって挑戦していただきたいと思うのであります。
さきの選挙における国民の意思とは違う形とはいえども、現時点において政権を担っておられるわけですから、国民のために言葉だけではなく行動で示していただきたいということを切望して、質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01319960404/5
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006・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 古賀議員にお答えを申し上げます。
まず、第七次空港整備五カ年計画策定における政府の基本理念、また今後の我が国における国際ハブ空港整備の進め方についてのお尋ねがございました。
二十一世紀に向けて我が国が今後とも安定した発展を持続し国際社会に一定の地位を確保していきますために、航空需要に対応しながら、交流の基盤である国際ハブ空港あるいは国内拠点空港の整備を時期を失することなく進めることが喫緊の課題だという点は、私どもも同様の感じであります。政府としては、その認識のもとに、大都市圏における拠点空港の整備を最優先課題として推進することを基本理念とし、第七次空港整備五カ年計画の策定に当たってまいりたいと考えておりまして、国際ハブ空港につきましても、このような考え方に基づいてその整備に積極的に取り組みたいと考えております。
また、公共事業の配分についてのお尋ねがありましたが、いわゆるそのシェア配分につきましては、公共投資基本計画等の考え方、社会経済情勢の変化や国民のニーズ等も踏まえながら、引き続き国民生活の質の向上に直結するものへの配分の重点化を基本とし、この中で、次世代の発展基盤となる、例えば空港、港湾のハブ化あるいは情報通信の分野、さらには防災対策の充実等の諸課題にも適切に対応してまいっております。
なお、この結果として、公共事業の各事業の伸び率には大きな差が出てまいりました。二けたを超える伸び率のものがある一方、横ばいのものがあるなど、相当めり張りもついてきましたし、そのシェアも相当程度変動してまいっております。
今後とも、こうした方針を私どもとしては続けていきたい、そう考えておるところであります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたします。(拍手)
〔国務大臣亀井善之君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01319960404/6
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007・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 古賀議員にお答えを申し上げます。
まず、首都圏の新たな空港についてのお尋ねでありますが、航空審議会の第七次空港整備五カ年計画に関する中間取りまとめを踏まえ、海上を中心とした新たな拠点空港の建設を前提とし、総合的な調査検討を行うとともに、国と関係地方公共団体との協議を進め、結論を得た上で事業着手を目指す考えであります。
次に、空港整備財源の見直しについてでありますが、今後の空港整備を展望すれば、ますますボーダーレス化する国際社会において、我が国が今後とも安定した発展を持続し国際社会に一定の地位を確保していくためには、航空需要に対応しつつ、交流の基盤施設である国際ハブ空港や国内拠点空港の整備を時期を失うことなく進めることが喫緊の課題となっております。
このため、これらの空港整備を円滑に実施していくための財源の確保が重要となっております。この点については、第七次空港整備五カ年計画に関する航空審議会の中間取りまとめにおいても、その「別紙」で、「一般財源の拡充を含めた所要の財源の確保に取り組むことが適当。」とされており
ます。運輸省といたしましては、今後とも、このような指摘を踏まえつつ財源の確保に適切に対処してまいる所存であります。
次に、当初計画における関西国際空港株式会社の経営状況の見通しに問題はなかったのかとの御質問でありますが、関西国際空港株式会社の一期事業につきましては、事業費が旅客ターミナルビルの規模の増加や予想以上の地盤沈下により当初計画より増加するとともに、開港当初の乗り入れ便数においても国際線が一日約四十八便と予想を大幅に下回ったこと等から、厳しい経営状況に置かれていましたが、その後、本年夏のダイヤにおいては国際線が一日約七十四便と急速に増加するなど、経営状況も徐々に好転をしております。
今後も、関西圏の経済的ポテンシャルや関西国際空港の利便性、官民一体となった地元の乗り入れ促進への取り組み等から考えて、関西国際空港への乗り入れ便の需要は引き続き増加することが予想されており、関西国際空港株式会社の経営努力と相まって、長期的には十分収支採算性がとれるものと考えております。
また、二期事業の実施に当たり、過度な利用者負担の是正と関西国際空港株式会社の健全な経営が成り立つよう、どのような財源方策をとっているかとの御質問でありますが、二期事業の財源スキームにつきましては、一期よりも水深の深い海域を埋め立て、一兆五千六百億円という多額の事業費を要するため、投資の回収期間が長くなることが予想されること等から、空港施設の整備主体と用地造成の整備主体を分離した上下主体分離方式を導入するとともに、多額の資金を要する用地造成については、無利子資金の比率を高めることにより関西国際空港株式会社の経営の健全性を確保することとしております。
また、二期事業について上下主体分離方式をとる理由は何か、なぜ一期のときは同方式をとらなかったのかというお尋ねでありますが、関西国際空港の一期事業においては、大阪国際空港からの国際線の振りかえ等により開港当初からかなりの乗り入れ便が見込まれたこと等から、現行の事業方式でも採算性の確保が可能であると判断しておりました。
これに対し二期事業は、一期事業より空港用地の造成費用が多額になることに加え、供用当初からの乗り入れ便の大幅な増加は見込めず、航空需要の増加とともに段階的に乗り入れ便数が増加していくことから、一期と同様に関西国際空港株式会社がすべての整備を行う事業手法では、十分な事業収支採算性を確保することは不可能であります。このため、無利子資金の比率を高めること等の支援措置とあわせて、用地造成主体を関西国際空港株式会社と分離することにより、供用当初の用地費負担を軽減し、これによって二期事業の早期推進を図ることとしたものであります。
また、関西国際空港株式会社の経営に対する国の指導につきましては、関西国際空港の成功のかぎはその運営に当たっている関西国際空港株式会社の経営いかんにかかっているという御指摘は、理解できるところであります。同社においては、開港時より空港施設の減価償却期間の延長を行うとともに、一般経費の削減を行うなど経営合理化のための諸施策を講じてきているところでありますが、今後とも一層の経営努力が行われるよう同社を指導してまいる所存であります。
次に、新東京国際空港の問題についてのお尋ねでありますが、申すまでもなく新東京国際空港は日本の空の玄関として重要な役割を果たしてきており、増大する国際航空需要に対処するためには、一日も早く空港を完成させることがぜひとも必要であります。
新東京国際空港の整備に当たり必要となる未買収地の取得については、一昨年十月に終結した円卓会議の結論を踏まえて、誠心誠意徹底した話し合いにより行うこととしております。その話し合いに期限を付することはできませんが、できる限り早期に用地取得ができるよう最大限の努力をしてまいる所存であります。
用地取得が行われれば、平行滑走路等の整備に必要な残工事期間は約二年程度と考えております。
円卓会議の結論によって空港をめぐる対立構造は解消され、昨年夏以降、これまで空港反対同盟の代表的存在であった農民の方々との合意や裁判上の和解を行う等、成田空港の問題は解決に向けて着実に進展しつつあります。今後は、円卓会議の結論を踏まえて、地域と共生できる新東京国際空港の整備に積極的に取り組んでまいる所存であります。
次に、航空機の検査制度をめぐる現状と課題についての御質問でありますが、御指摘のように、我が国の航空機検査制度は、昭和二十七年の航空法制定当時に国が個々の航空機を直接に検査することを基本とした制度として定められたものでありますが、現在に至るまでの間、内外の情勢は大きく変貌してきており、これに的確に対応していくことが課題となっております。
まず第一に、我が国におきましては、航空機製造者や整備事業者等の民間事業者の能力が着実に向上してきているほか、我が国の登録航空機数は大幅に増加してきており、その結果、国の直接検査の件数も急増してきており、検査を受ける航空機使用者のニーズに十分こたえていくためにも制度の合理化を図っていく必要があると考えております。
第二に、国際的に見れば、航空機の安全性等に係る証明について国際的な相互承認が進展してきており、輸入航空機については輸出国の証明をもとに個々の航空機の検査を省略することが世界的な趨勢になっております。我が国においても、こうした国際的な動きに積極的に対応していく必要があると考えております。
第三に、航空機の環境規制につきましては、国
際民間航空条約に基づき、騒音及び発動機の排出物について規制を行うことが国際標準として定められております。これらの環境規制につきまして、さらなる環境の保全の観点から、我が国においても、発動機排出物規制の導入等国際的な規制との整合化を図っていく必要があると考えております。
また、今回の改正に伴い航空機の安全性が低下することはないのかというお尋ねでありますが、航空機の安全確保は航空行政の根幹をなす重要な課題であると認識しております。このため、今回の改正におきましても、民間事業者の能力や外国の証明を活用することにより、航空機や予備品の検査を省略する範囲を拡大することとしておりますが、その前提として、民間事業者が十分な能力を有することや外国において適切な証明が行われることが担保されることを確認する等により、十分な安全確保のための措置を講じることとしております。
また、国としましても、航空機の安全確保の根幹である設計検査を充実させていくほか、安全情報の収集・提供等の業務を推進していくことにより、航空機の安全性の一層の向上に努めてまいる所存であります。
最後に、船舶検査についても、規制緩和の趣旨から民間の検査能力を活用していく必要があるのではないかとの御質問でありますが、船舶検査についても、既に認定事業場制度による民間事業者の能力の活用や民間検査機関の積極的活用を図っております。今後さらに、規制緩和推進計画に基づき、認定事業場制度のさらなる活用を図る等、民間の検査能力の一層の活用を図っていく所存であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01319960404/7
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008・土井たか子
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01319960404/8
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009・土井たか子
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十四分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X01319960404/9
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