1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
令和五年六月一日(木曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
五月三十日
辞任 補欠選任
赤松 健君 加藤 明良君
井上 哲士君 小池 晃君
五月三十一日
辞任 補欠選任
加藤 明良君 臼井 正一君
小池 晃君 井上 哲士君
六月一日
辞任 補欠選任
臼井 正一君 長谷川英晴君
井上 哲士君 小池 晃君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 酒井 庸行君
理 事
浅尾慶一郎君
大家 敏志君
西田 昌司君
横沢 高徳君
上田 勇君
委 員
臼井 正一君
佐藤 信秋君
白坂 亜紀君
長谷川英晴君
馬場 成志君
藤川 政人君
古川 俊治君
宮沢 洋一君
宮本 周司君
勝部 賢志君
柴 愼一君
秋野 公造君
横山 信一君
浅田 均君
梅村 聡君
大塚 耕平君
井上 哲士君
小池 晃君
神谷 宗幣君
堂込麻紀子君
国務大臣
財務大臣 鈴木 俊一君
副大臣
財務副大臣 秋野 公造君
厚生労働副大臣 伊佐 進一君
大臣政務官
防衛大臣政務官 木村 次郎君
事務局側
常任委員会専門
員 小松 康志君
政府参考人
財務省主計局次
長 前田 努君
財務省理財局長 齋藤 通雄君
文部科学省大臣
官房審議官 奥野 真君
厚生労働省大臣
官房審議官 大坪 寛子君
防衛省大臣官房
衛生監 鈴木 健彦君
防衛省大臣官房
サイバーセキュ
リティ・情報化
審議官 上田 幸司君
防衛省大臣官房
審議官 茂木 陽君
防衛装備庁防衛
技監 三島 茂徳君
参考人
株式会社日本総
合研究所調査部
主席研究員 河村小百合君
元防衛事務次官
三井住友海上火
災保険株式会社
顧問 黒江 哲郎君
東京財団政策研
究所研究主幹 森信 茂樹君
国立大学法人山
口大学名誉教授 纐纈 厚君
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要
な財源の確保に関する特別措置法案(内閣提出
、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/0
-
001・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) ただいまから財政金融委員会を開会をいたします。
委員の異動について御報告をいたします。
昨日までに、赤松健君が委員を辞任され、その補欠として臼井正一君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/1
-
002・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、財務省主計局次長前田努君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/2
-
003・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/3
-
004・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/4
-
005・柴愼一
○柴愼一君 おはようございます。立憲民主・社民の柴です、柴愼一です。
引き続き質問をさせていただきたいと思います。
この防衛財源確保法については、まずは政府による四十三兆円の買物リストが示されて、この法案というのは、そのお金をどう工面するかというものだというふうに思っています。そうであるならば、その買物リストそのものの納得感がなければいけないんじゃないかというふうに思っていまして、国民に負担を求めるのであれば、その妥当性について丁寧な説明が必要だというふうに思います。そして、まずは国会での丁寧な説明、丁寧な議論が必要だというふうに思っています。
政府は、GDP二%ありきではなくて、現実的なシミュレーションに基づく積み上げによるものとしていますが、その詳細はまだ明らかになっていないというふうに思っています。積み上げた結果としての五年間で四十三兆円、単年度でいうと八・九兆円でしょうか、の規模となりますが、これは金額ベースで世界第何位の防衛費の額となるのか。現状が何位で、この抜本的な強化によって何位になるというふうに認識しているか、お答え、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/5
-
006・木村次郎
○大臣政務官(木村次郎君) 防衛力整備計画では、令和九年度における我が国の防衛関係費は八・九兆円程度に増額されるものとされていますが、五年後の諸外国の防衛費の水準や為替水準について見通すことは困難であるため、令和九年度における諸外国との比較をお示しすることは困難です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/6
-
007・柴愼一
○柴愼一君 将来のことは分からないということはそうなんだなというふうに思っていますが、まさにドイツにGDPで抜かれるという予想も、そんな予測もあるということでいけば、どうなるか分からないということですが、GDP二%を一つの、各国が目安として防衛費の整備に取り組むとすると、国力に応じた順位になるんじゃないかと。
報道によれば、今現在九位のものが三位になるというふうに報道されていますが、そのことについては認識されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/7
-
008・茂木陽
○政府参考人(茂木陽君) お答えいたします。
各国の比較というものをするためには、それを行う時点というものをそろえる必要があると考えているところでございます。我が国の防衛費が八・九兆円となりますのは令和九年度の見込みでございますので、令和九年度を見通すということが必要になるわけでございます。
その観点で諸外国を見渡しますと、例えばロシアのウクライナ侵略を受けまして、各国、国防費の増額、かじを切っている傾向がございます。イギリスなどは国防費を対GDP比三%まで増額するとか、あるいはドイツも対GDP比二%以上を維持する、こういった動きもあるわけでございます。お隣の韓国も、国防費年平均増加率五・八%というような計画があるやに報じられているところでございます。また、ロシアとウクライナ、まさに今武力行使を行っている国もあるわけでございますので、こういった国もある中で、五年後の国防費を具体的に各国がどのようになるのかということを責任を持って見渡すことはとても困難であるということを政務官から申し上げたところでございます。
また、為替水準につきましても同様でございますし、また、諸外国の国防費を見る際には、公表されている国防費の内訳も必ずしも一様ではございませんし、各国ごとの予算制度も異なっているところでございますので、その多寡というものを比較し、順位を導出するということは非常に困難であるというふうに考えているところでございます。
したがいまして、令和九年度の諸外国の防衛費と我が国との比較を責任を持ってお示しするというのは困難であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/8
-
009・柴愼一
○柴愼一君 それがいいとか悪いとかということではなくて、例えば日本が、例えば九位の日本が三位になるというようなことがどのように意味を持つのかということを含めて検証されていないとすれば、ちょっと私驚きかなというふうに思っています。その順位となることをどう認識しているのか、妥当と考えているのかということも含めて、ちょっと議論を進めていきたいというふうに思います。
そして、国民に理解を得るときに、その実額が世界第三位となるという報道も含めて、その理由を説明するという努力も足りないんじゃないかって、分からないと、確かにほかの国がどうなるか分からないということですけど、日本がそれだけ増やすということについての説明というのが足りないんじゃないかというふうに思います。
先ほど言ったとおり、今は、日本は防衛費は世界第九位というふうに言われています。これ、私は平和憲法もあるので、国力も少ないけれどもそういうものなんだなという納得感が私はありました。世界第三位の防衛費を持つということは普通の国になりますということを宣言しているんじゃないかというふうに受け取れるんです。
我が国がそうなることに頼もしいと思う国がある一方で、脅威と感じる国もあるんじゃないかというふうに思うんです。そのことが一つの抑止力になるということでもあるかなというふうに思うんですが、そのことが、岸田総理がアメリカのタイム誌の表紙を飾った際の見出し、岸田首相は長年の平和主義を捨てて自国を真の軍事大国とすることを望んでいると、抗議されたということですが、というふうにされたのも私は無理のないことじゃないかというふうに思うんですが、それらの国際社会に対してどのように対応しているのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/9
-
010・茂木陽
○政府参考人(茂木陽君) 必ずしもお答えにストレートに答える形になるかどうか分かりませんけれども、先ほど委員から、現在日本の順位は九位であって、それが三位になっていくということをどう考えるかということでございます。
私ども、ちょっと、その九位、三位ということについてつまびらかに承知しているわけではございませんけれども、私どもが承知している限り、政府として、日本国のその国防費の世界における順位を示したことはございませんけれども、例えばストックホルム国際平和研究所のところの数字ですと、私どもの手元の数字では、日本は十位というふうにランク付けされていると、現状でございます。それから、イギリスの国際戦略研究所、ミリタリー・バランスというものを出しているところでございます、ここによれば、八位というふうに位置付けられているということでございます。
それが三位になるということについて、ちょっと私どもつまびらかには承知いたしませんけれども、仮に、いわゆる、この数字はいずれも令和四年度のものでございますけれども、諸外国が様々な動きがある中で、諸外国の国防費は令和四年度に固定をして、我が国だけ令和九年度の国防費を使って比較を試みろということでありますれば、それは令和九年度の各国の比較における我が国の順位を正確に示すことにはならないと私どもは考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/10
-
011・柴愼一
○柴愼一君 国際社会に対してどう説明している、何かメッセージとか出しているということはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/11
-
012・上田幸司
○政府参考人(上田幸司君) お答え申し上げます。
委員御指摘の国防費につきましては、先ほど防衛省からお答えいたしましたとおり、我が国自身として何位と導出しているわけではございません。そういった国防費になったというようなことを直接説明するようなことはございませんが、まさに今、我が国の安全保障政策、防衛政策、どうしてこのような政策を取るのかにつきましては、当然ながら、周辺国始め、国際社会にしっかりと説明をしていくところでございますし、また、近日中、国際会議など開きましたら、ある場合には、防衛大臣始め、防衛省を始め、日本国政府からしっかりと政策について説明してまいるという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/12
-
013・柴愼一
○柴愼一君 ですから、どう説明しているんでしょうかと。防衛費を増やすということをどんなふうに、いや、皆さんと同じようにやりますと、頼りにしてくださいと言っているのか、私たち変わりませんと言っているのか、どういうふうに説明されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/13
-
014・上田幸司
○政府参考人(上田幸司君) お答え申し上げます。
今申し上げましたように、その国防費がどう変わるかというところに重点を置いてではなくて、そもそも我々が何を目指してこのような防衛政策を取るのか。まさに我が国が、我が国が置かれている安全保障環境において新たな安全保障政策、防衛政策を取る必要があったと、このような戦略三文書を出したということについて説明をし、その結果としてこのような防衛力整備を行っていきます、公表できるものにつきましては国際社会始め、しっかりと説明していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/14
-
015・柴愼一
○柴愼一君 ありがとうございます。
ちょっと別の視点から質問させてください。
これまでの委員会審議の中で、我が国の防衛費の、防衛装備品の整備、配備、調達に当たって、当初の見積りから大きく膨らんだ額になっているというふうな指摘もありました。今般の防衛費の抜本強化の対応では見積りより高い額となった場合にどのように調達していくのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/15
-
016・茂木陽
○政府参考人(茂木陽君) まず、私どもの積み上げにつきましては、例えば、その効率性、合理性というものはしっかりかみしめながら必要な防衛力の積み上げをしてきたものでございまして、単価等につきましても、実勢、実績のあるものは実績のあるもの、それから類似のものがある場合は類似の実績を、あるいは必要な場合には業者の見積りを取ってなどという形で、必ず私どもがしっかりその経費が膨らむようなことがないように配意しながら私どもはこの防衛力の積み上げをやってきたと、まずこれでございます。
その上ででございますけども、その上で、今お示ししております四十三兆円程度というこの防衛力抜本強化の規模でございますけども、これは私ども不可欠なものだと考えておりますが、この規模は、防衛力の抜本的強化が達成でき、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準としてお示しした金額であることから、これを超過することは考えていないところでございます。
仮に、為替あるいは物価上昇の影響を受けまして所要経費が上振れした場合には、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底することによりまして見積もった経費の範囲内に所要経費を収めるよう努力してまいる所存でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/16
-
017・柴愼一
○柴愼一君 ありがとうございます。
ですから、これまでもそういう努力をされてきたんだと思うんですよね、ちゃんと見積り取って。でも、結果としては上振れしちゃっていることがありますということだとすると、今後もない、絶対ないとは言えないんだといったときに、様々な努力というふうにおっしゃられるんですが、例えば、トマホークミサイルが当初見積りより高いので四百発のところ三百発にするということなんですか。そこをちょっと、具体的な対応を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/17
-
018・茂木陽
○政府参考人(茂木陽君) 個別具体的な装備品を実際にどのように調達していくのか。それは、個々の状況に応じて、まさにその私どもが成し遂げたいと考えております防衛力の抜本強化の趣旨と、それから、その経費等を踏まえましてその状況に応じて対応するものでございますので、一概に申し上げることはできませんし、そのときの状況に応じて私どもは対応していくということでございますので、今委員が御指摘された例についてこうしますということをこの場で申し上げることは困難でございますし、差し控えたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/18
-
019・柴愼一
○柴愼一君 ありがとうございました。
個別というように、じゃ、例えば、四十三兆円を絶対に超えないようにその範囲内で配備していくのか、必要な装備を配備するために結果として四十三兆円が膨らむことがあるのか、どちらでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/19
-
020・茂木陽
○政府参考人(茂木陽君) 先ほども御答弁申し上げましたように、四十三兆円という数字につきましては特に大変重いものだと受け止めておりまして、この範囲内で私どもその必要な防衛力強化を成し遂げたいと考えているところでございまして、仮に様々な部分で、一部の例えば装備品等が物価高騰等がある場合は、全体としてその枠内で収まるように私ども努力をするわけでございます。
具体的に申し上げれば、様々な合理化努力、例えば重要度の低下した装備品の運用停止を行うとか、調達コストの管理、抑制をする、あるいは長期契約などの様々な契約上の手法を駆使して単価の低減を図る等、様々な努力を含めまして合理化、効率化の努力をしていく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/20
-
021・柴愼一
○柴愼一君 総論としてはそうだというふうに思うんですが、ですから、様々な努力のところが、また結果として、自衛隊の皆さんの労働条件とか環境、働く環境とかというところにしわ寄せが行ったら、もう当初のやっぱり目的とも違ってきちゃうんですよねって。
例えば、言ったとおり単品の配備の見積りが上振れしたんだとしたら、その配備そのものを減らすとかいうことの努力をするべきじゃないかというふうに、絶対弱いところにしわ寄せが、削減できやすいところに行っちゃうんじゃないかというふうに思うと、そこについてはしっかり見ていただきたいというふうに思います。
このこと、ですから、どっちも難しいんだと思うんですよね。だから、必要な装備としてやっているんだとしたら、何が何でもこの当初予定を守るんだということかもしれませんけど、ただ、それは国民負担を増やすことになってしまう、その調達については極めて厳正に当たっていただきたいと、ただ、またそういう危険があるということも指摘をしておきたいというふうに思います。
それでは、ちょっと我が国の置かれた地理的要素とか、何で世界第三位でも必要なのだということを含めてもう少し聞かせてください。
各国は、置かれた状況に応じて必要な防衛費、軍事力を整備しているんだというふうに思います。我が国の特徴として、我が国の特徴はどうなんだというのを見ると、地理的要素であれば、例えば直接国境を接する国がない、ないですねと、島国ですねとか、逆に言うと離島が多いとかです。あとは、防衛戦略でいえば、日米安保体制で米軍基地があるということ。そして、平和憲法があって専守防衛だという、そういう方針があるというところから見たこの防衛費の金額ベース、規模についての認識というのはありますでしょうか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/21
-
022・木村次郎
○大臣政務官(木村次郎君) 力による一方的な現状変更の試みの深刻化や北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射など、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中、政府の最も重要な責務として、国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜かなければなりません。このため、防衛力を抜本的に強化することといたしました。
今般の検討に際しては、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行い、必要となる防衛力の内容を積み上げて四十三兆円程度という防衛費の規模を導き出しました。
具体的には、我が国への侵攻そのものを抑止し、遠距離から侵攻戦力を阻止、排除するため、スタンドオフ防衛能力の整備に約五兆円、統合防空ミサイル防衛能力の強化に約三兆円を計上しました。また、万が一抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合に、領域を横断して優越を獲得し、非対称な優勢を確保するため、無人アセット防衛能力の整備に約一兆円、領域横断作戦能力の増強に約八兆円、このうち宇宙領域約一兆円、サイバー領域約一兆円、車両、艦船、航空機等に約六兆円、指揮統制・情報関連機能の強化に約一兆円を計上しております。さらに、迅速かつ粘り強く活動し続け相手方の侵攻意図を断念させるため、機動展開能力、国民保護のために約二兆円、持続性、強靱性を強化するために約十五兆円、このうち弾薬等の整備に約二兆円、装備品の可動向上約九兆円、施設整備約四兆円といった将来の防衛力の中核となる分野に加えて、自国で装備品を安定的に調達するため、言わば防衛力そのものである防衛生産・技術基盤の強化に約一・四兆円、命懸けで日本を守る自衛官の処遇改善といった防衛力を支える人的基盤の強化を含む教育訓練費等に約四兆円、基地対策経費約二・六兆円、この合計約四十三兆円をしっかりと積み上げさせていただきました。
この四十三兆円程度という防衛費の規模は、先ほど審議官から申し上げましたが、防衛力の抜本的強化が達成でき、自衛隊、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準として不可欠であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/22
-
023・柴愼一
○柴愼一君 それは、ずっと、基本的な四十三兆円の積み上げのことだというふうに思うんです。
ですから、日本の状況、例えば、いろんな各国が置かれた状況の中でやっていますと、日本としてはやっぱりこういうところが必要、だから、例えば専守防衛というのは、こっちからミサイル撃たない、撃ち落とすのでやっぱり高い技術が必要ですとかお金掛かるんですよということだったら分かるということもあるんですけど、そういう特徴の中でなぜこれだけのものが必要なのかというのは、やっぱり国民に分かりやすく示すということが必要じゃないかというふうに思うんです。
一方で、米軍基地がこれだけあって、それでもなお世界第三位の防衛費が必要な理由というのは国民はどう思うのかというふうに思うんですが、それについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/23
-
024・木村次郎
○大臣政務官(木村次郎君) 今申し上げたことに加えまして、我が国の防衛力整備に当たりましては、当然ながら、我が国は四面環海で多くの島嶼を有し、また、広大なEEZ、大陸棚を有しているといった地理的な特徴を踏まえており、各自衛隊は、航空侵攻、海上侵攻、着上陸侵攻といった状況に対応し得る各種能力を整備することとしております。また、これに加えて、近年では、大規模なミサイル攻撃、情報戦を含むハイブリッド戦、宇宙、サイバー、電磁波領域や無人アセットを用いた非対称的な攻撃など新しい戦い方も顕在化しており、こうした防衛上の課題も考慮する必要があります。
さらに、我が国は、日米同盟を安全保障政策の基軸とし、米国が日米安全保障条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いていますが、自らの国は自ら守るという強い意思と努力があって初めて、いざというときに同盟国等とともに守り合い、助け合うことができると考えております。
先ほど申し上げました今般の防衛力の抜本的強化の内容につきましては、こうした考え方を踏まえた上で、国民の命と暮らしを守り抜くために必要となる防衛力の内容を具体化したものであり、現下の厳しい安全保障環境において我が国として不可欠な取組と考えております。
国民の皆様方にも折に触れて、様々な機会やまたツールを駆使しながら、懇切丁寧に説明責任を尽くしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/24
-
025・柴愼一
○柴愼一君 御丁寧に説明いただきました。
NATO加盟国がそれぞれに果たすべき役割として経済規模に応じた防衛費を確保するというのは理解するんですよね、対等な立場でどこかの国が攻められたらみんなで守っていくという関係ですと。なので、やっぱり二%なりって、そういうのを負担していきましょうというのは分かりますと。ただ、日米安保体制の中で我が国がNATO加盟国と同様の責任を担うことになるのかと、やっぱり同様に二%ぐらいを目安にしていくということなのかと。
日米の役割分担は変わったんでしょうか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/25
-
026・上田幸司
○政府参考人(上田幸司君) お答え申し上げます。
まず、委員御指摘のように、ヨーロッパ、NATO諸国の例を出されましたけれども、国家防衛戦略におきまして、例えば、この防衛上の課題といたしまして、ウクライナへのロシアの侵略、これに関しまして、国家防衛戦略で、こうした欧州で起きている力による一方的な現状変更、これはインド太平洋地域でも生起し得るというふうに指摘しておるところでございます。そして、こうした一方的な現状変更に対して、自らの能力をしっかりと高めていく、そして、同盟国、同志国としっかりと連携していくという考え方でございます。
その上で、日米の基本的な役割は変更はございませんけれども、日本が果たすべき責任、自らの国を自ら守るといった責任をしっかりと果たすための防衛力の抜本的な強化というふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/26
-
027・柴愼一
○柴愼一君 役割分担は変わったのかどうかというのは明確にお示しいただいていないと。ただ、反撃能力を持つということであれば、盾と矛の関係でいえば矛の一部も日本も担っていくと、我が国が担う部分が大きくなったんじゃないかというふうには認識しています。
今後、やっぱり具体的な防衛力をこれから確保していくには、やっぱり率じゃないんですよ、結局、額ですよねと。実額によるものだということでいけば、日本経済が成長ができなければ、必要な防衛費というのは、結局、確保するために、額を確保するためには防衛費二%というのも超えていくことだって生じてしまうんではないかということを心配しているんです。
我が国の経済成長に向けた政策を打っていく、そんな原資が必要と、そういう政策を打てる財政状況とすることも総合的な防衛力を高めることにつながるというふうに思いますが、認識をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/27
-
028・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 財政は国の信頼の礎でありまして、有事であっても日本の信用や国民生活が損なわれないようにするために平素から財政余力を確保するということが不可欠であると考えております。有事の際に大幅に財政需要が増加するような場合にあっても、必要な資金を市場から調達することができるように、しっかりとした財政基盤を維持強化することであると考えて、重要であると考えておりまして、そのために平素から我が国財政に対する市場からの信認を確保できるような財政運営を行っていくということが必要だと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/28
-
029・柴愼一
○柴愼一君 ですので、このことについて、また引き続き質問続けていきたいというふうに思います。
時間参りました。以上とします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/29
-
030・梅村聡
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
今日も防衛費の確保、財源法案について質問させていただきたいと思います。
それで、一昨日、連合審査の方で、特に歳出改革の話と、それからやはり税制措置の話、維新の会としては、やっぱりここにこだわりを持って質問をさせていただきたいと思っております。
それで、まず、一昨日の質疑で明らかになったことは、令和五年度、六年度、七、八、九年度までと、ここまでの歳出改革は毎年二千百億円ずつ積み重ねていくと。だけど、令和十年度以降に関しては、その歳出改革、歳出削減の数値目標はないと、努力は続けていくんだけれども、数値目標は令和十年度からはないんですと、こういうことが分かってきたわけなんですけれども、ちょっと改めてこれお聞きしたいと思うんですが、その二千百億円の歳出改革を、今回、この社会保障費以外の歳出削減ということでこれはまとめられてきているんですけれども、ここでなぜ社会保障費以外という枠組みがはめられたのか。社会保障費というものもここでは対象にならなかったその理由について、これちょっと財務大臣からまずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/30
-
031・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) これまで、政府といたしまして骨太の方針に基づいて毎年度の予算編成を行っており、歳出改革につきましては社会保障も含めて聖域なく取り組んでいるところであります。
その上で、今回の防衛力強化のための財源としての歳出改革につきましては、昨年十一月に取りまとめられました国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議の報告書においても言及されているとおり、防衛関係費が非社会保障関係費であることを踏まえて、社会保障関係費以外の経費を対象として、骨太方針に基づくこれまでの歳出改革を継続する中で財源を確保することとしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/31
-
032・梅村聡
○梅村聡君 ですから、防衛費という枠組みが社会保障費じゃないので、非社会保障分野なので、そこで歳出改革をしていくと。確かに、縦割りで説明だったらそれでいいかとは思うんですけれども、財源というのは最終的には、一般財源から考えれば、そこで線を引くということにどれだけの意味があるというか、国民側から見て分かるのかと、理解できるのかという、そういう面があると思うんですけれども。
それと、もう一つは、これは私の感想なんですけれども、今から十五年前、二十年ほど前に、いわゆる社会保障費の伸びを毎年二千二百億円ずつ削減をしていくと。あの話があったときは、医療現場も介護現場も、いろいろ社会保障の分野の方々は結構な騒ぎになったということもあったんだと思います。これが五年間続くと一兆一千億削減されると。今回のこの防衛費と似たようなスキームだったと思うんですけれども、二千二百億でもまあまあの世の中騒ぎになったと、なった中でですね、次の質問に行きたいと思うんですけど、その二千二百億でも騒ぎになったのに、五月二十五日の朝のNHKのニュースを見ていましたら、この少子化対策の強化に充てる年間三兆円程度の新たな予算の財源についてはと、今日のニュースでは三兆円台半ばでまとめるというそういう流れもあったんですけれども、政府は二兆円ほどの医療や介護といった社会保障費の歳出改革などで捻出し、残りのおよそ一兆円は社会保険料への上乗せで確保する方向で調整をしていますと。
これまだ報道ベースなので固まってはないと思うんですけれども、普通に考えて、二千二百億であれだけ世の中が騒ぎになって、そして今回さらっとニュースでは二兆円と、およそ十倍だと思うんですけれども、そういう話がさらっと出て、まだ固まってないからこれ騒ぎになってないと思うんですけれども、今回の防衛費と比べると、これ十倍ぐらいの歳出改革が求められるということで、これ、堂々とこれを打ち出されることについて、財務省として今どういうふうに考えておられるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/32
-
033・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 子供政策強化の内容、予算、財源につきましては、現在総理の下で議論を行っているところでありまして、また、今後与党における議論も行われていかれるところでありますから、現段階において確定的なことを申し上げられないということについてはまず御理解をお願いをしたいと思います。
その上で、梅村委員に申し上げますと、先日開催されましたこども未来戦略会議におきまして、総理から、全世代型社会保障の観点から歳出改革を徹底するほかに、既定予算の最大限の活用を行う、こうした歳出改革の徹底等により、国民の実質的な負担を最大限抑制する、こういった方向性が示されたところであります。歳出改革等につきましては、こういった総理からの御発言を踏まえ取り組んでいくものと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/33
-
034・梅村聡
○梅村聡君 だから、数字をぼんと出したんだけれども、それに関しては今後議論をしていくということだと思います。
ただ、まあちょっと突っ込んだ話になると、じゃ、二兆円を、仮にちょっと、防衛財源ではなくて社会保障費ですけどね、二兆円を確保するというのが、もしこれ国費ベースで二兆円確保するとなったら、これ医療や介護というのは国費って大体四分の一ぐらいですから、サービスベースでいくと八兆円ぐらいカットせぬとあかんと、これはもう大変な、改革というよりも何か違う世界に行くような話だと思いますし、いや、そうじゃないんだと、国費ベースではなくて財源として二兆円なんだという話だったら、こういう社会保障費には保険料とか地方自治体の負担も入っていますから、じゃ、そういう関係者に、じゃ、保険料も少子化財源に使いますよと、何だったら患者さんの窓口負担の分も少子化対策にこれ使いますよと、これ物すごい調整をしないといけないと思うんですけれども、この辺りって一体どう考えておられるのか、これもちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/34
-
035・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 繰り返しになりますけれども、こども未来戦略会議におきます総理からの御発言を踏まえ取り組んでいくものと考えているところでありまして、現段階において、具体的な歳出改革の金額などを含めて確定的なものが定まっているわけではございません。
いずれにせよ、少子化対策の財源確保、重要でありますので、国民の皆様の理解が得られるよう取り組んでいく必要があると、そこは先生と一緒であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/35
-
036・梅村聡
○梅村聡君 不断の見直しが必要だということはこれは我が党も一緒なんですけれども、岸田総理に、もし議論されることがありましたら、まあまあすごいことを言ってはるよということを是非これはお伝えいただきたいと思います。これ、仕組みもないままにこれが先走ると、何をしているのかよく分からないことになりますので、このことは是非お伝えをいただければなというふうに思います。
それから、ちょっと次、復興特別所得税に関しての質問をさせていただきたいと思います。
今回は、家計の負担にならないように、この復興特別所得税を一%下げて、その一%分がいわゆる防衛財源に関する財政措置であるというふうになっていますけれども、そうしますと、当然その一%分は復興事業に影響が出るんじゃないかと、これは衆議院で質問がありました。
そのときの衆議院の財務省の答弁は、復興債を発行して柔軟な資金調達が可能になるので、復興特別所得税の税率を下げても毎年度の復興事業には影響を及ぼさないと、こういう答弁をされているんですけれども、でも、これは復興債が発行されるわけなんですね。復興債は国債とは単純には比較できないと。なぜかというと、復興特別所得税で償還されるからこれは国債とは全然違うものなんだと言われるかもしれませんが、でも現実は、二〇三七年で本来だったら復興特別所得税の財源確保も終わるはずのものが、それを更に先延ばししていくわけですから、ですから復興債もいわゆる赤字国債に近い、つまり、先に、償還が先送りされるわけですから、やっぱりこれは将来世代への負担の先送りに当たるんじゃないかなと私は思います。
ですから、そういった意味でいえば、この岸田総理が述べた、将来世代への負担の先送りとなる国債の発行は財源とはしないと、このこととは矛盾するんじゃないかなと思うんですけれども、この点に対する見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/36
-
037・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 今般の防衛力強化のための財源につきましては、税外収入の確保、歳出改革、決算剰余金の活用、税制措置での御協力により確保することとしておりまして、将来世代への負担の先送りとなる赤字国債は、将来にわたって維持強化していく防衛力を安定的に支える財源としてまず位置付けていないということであります。
他方、東日本大震災の復興事業につきましては、従来より、一定の期間における全体の事業の規模の見通しとそれに見合う復興財源をお示しした上で、毎年度、事業の執行に当たっては、歳入が歳出を下回る場合は復興債の発行を通じた資金調達により円滑に執行を行っていると、これ今、梅村先生からおっしゃっていただいたとおりであります。
このように、復興債は、復興特別所得税などの歳入が確保されるまでのつなぎとして発行されるものであり、その償還財源、これはあらかじめ確保されているということでありますので、赤字国債とは性格が異なると考えているところであります。
したがって、復興債の発行を通じた資金調達により復興事業を執行することと、防衛力強化を安定的に支える財源に赤字国債を用いないと、そういう総理の御発言の趣旨は矛盾はしないと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/37
-
038・梅村聡
○梅村聡君 債券の種類の違いはそうだと思うんですけれども、総理はなぜ赤字国債をやらないかというその目的は、将来へ先送りをしないんだと。この裏打ちされた目的からいえば、今回の復興債に関しても、財源は確保できているんだけれども、その財源の調達期間は先に延びるわけですから、これはやっぱり将来世代への先送りと言えるんじゃないかなと、私は国民はそういうふうに思うと思いますので、是非その辺りもきちんと分かりやすく御説明をいただければなというふうに思います。
それでは、次、これはちょっと繰り返しの質問になりますが、確認の質問になります。
今回、今御紹介いただきましたように、いわゆるこの財源のフレームの四分の三は、税外収入、歳出改革、決算剰余金の活用、こういったもろもろのもので確保するんだけれども、残りの四分の一がこの税制措置でお願いするという、こういう説明はこれまで繰り返し行われてきましたけど、これは令和十年度以降もこのことは維持をされるのかと。それから、仮に、その令和十年度以降、この数字というものが、四分の三と四分の一はあったとしても、仮に四分の三が確保できないとなった場合も、これは新たな増税、そういったものは今考えていないのか。この辺をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/38
-
039・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先生から御指摘がございましたとおりに、令和九年度以降、必要となる毎年度約四兆円の財源確保は、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保など、あらゆる行財政改革の徹底により約四分の三を確保し、それでも足りない約四分の一につきましては税制措置での御協力をお願いをしたいと考えているところでございます。この割合につきましては、令和十年度以降も同様の方針で確保していく考えであります。これらの財源、いずれもしっかりとした財源であると考えておりまして、予定どおり確保できると考えております。
政府としては、今後とも、あらゆる行財政改革の徹底を通じまして必要な財源の確保に最大限取り組むこととしておりまして、岸田総理が参議院本会議で答弁申し上げましたとおり、更なる税制措置は考えていないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/39
-
040・梅村聡
○梅村聡君 最大限の努力をして、足らずは税制措置でお願いするという答弁だったので、逆にちょっとここを聞いておかないと、足らずがもっと多かったと言われたらこれ大変なことになりますので、今日はそのことを確認をさせていただければなというふうに思います。
それからもう一つは、これもちょっと報道ベースのお話で恐縮なんですけれども、このいわゆる防衛版ふるさと納税、ちょっとこれについてお伺いをしたいと思っております。
この四月二十五日の鈴木財務大臣の記者会見の中では、こういった自民党内で浮上する防衛力整備を目的とした国への寄附制度の導入について、これ、大臣は慎重な考えをお示しになったというふうに報道されています。
じゃ、これをなぜ慎重な、慎重というのはまあ否定的という意味だと思うんですけれども、なぜそうなのかといえば、一部の団体や個人から多額の寄附があったときに、結果として行政の公平性に疑念を持たれるようなことにはならないかと指摘をされたというふうに報道されているんですけれども、この結果として行政の公平性に疑念を持たれるというのは、これ具体的にどういう状況を想定されていたのか、これちょっと御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/40
-
041・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 防衛力整備を目的とした国に対する寄附制度の導入について、私は、決して反対だとかそういうことではなくて、課題があるということについて、その課題を記者会見で指摘をさせていただいたということをまず最初に申し上げたいと思います。
その四月の記者会見におきまして、私からは、一部の団体や個人から多額の寄附があった場合、結果として行政の公平性に疑念を持たれることにならないかといった課題がある旨申し上げました。
こうした趣旨につきましては、過去に閣議決定されました官公庁における寄附金等の抑制についてとの政府方針にも記載されているものであり、例えば、特定の企業から国に対してその企業に関係する政策分野に支出されていることを目的として多額の寄附がなされた場合、結果として国民からその政策分野における行政措置が公平に行われるか疑念を持たれるおそれもないとは言えないことから、この件を課題として申し上げたところでございます。
そのときにもちょっと具体的に申し上げたかもしれませんけれども、例えば、防衛装備品を受注している企業が何か多額の寄附をするということになりますと、様々な疑念を及ぼす可能性がないとは言えないというこの課題を指摘をさせていただいたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/41
-
042・梅村聡
○梅村聡君 時間が来たので終わりますけど、そういう課題だということを今日は認識をいたしました。
小さな自治体とはまた違って、財源規模がこれ何千億、何兆の話なので、そこまでの寄附をする企業がちょっとあるかどうかというのも私は余りイメージが湧かないので、課題としておっしゃったということを確認して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/42
-
043・大塚耕平
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
昨日、財務省から決算の説明を受けまして、そのときにいろいろ気付くこともあったんですが、まず最初に、国有財産法上、その国有財産に含まれるものとしてどのようなものがあるのか、概略を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/43
-
044・齋藤通雄
○政府参考人(齋藤通雄君) お答えを申し上げます。
国有財産法の適用を受けます国有財産の範囲につきましては、国有財産法の第二条に規定があるところでございます。
国有財産でございますので、まず国が有するものというのが大前提でございますけれども、その上で、では具体的にどういう財産かというところでございますが、第一号で不動産、それから第二号で船舶、航空機など、それから第三号で一号、二号に掲げる不動産及び動産の従物と、ここまでが有体物、形があるものでございます。それから、第四号以下で、もろもろの権利が今度列挙されております。地上権、地役等の物権、あっ、失礼、地上権、地役権等の物権、特許権、著作権等の知的財産権、それから株式、債券等の有価証券に表示されるべき権利、あるいは出資による権利というものが列挙されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/44
-
045・大塚耕平
○大塚耕平君 今回の財確法では一部の独法から基金を回収するということになっているんですが、独法等に付与している財源のうち基金などにたまっているもの、こういうものは、所有権は国にあるのか独法側にあるのか、どちらにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/45
-
046・前田努
○政府参考人(前田努君) お答え申し上げます。
基金につきましては、これは国から交付された補助金等を原資として、公益財団法人ですとか独立行政法人、地方公共団体などに造成されるものでございまして、補助金につきましてはその法的性質は負担付贈与であるというふうに解されてきたことからも、この当該法人により所有されているため、これは国が所有しているものではないというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/46
-
047・大塚耕平
○大塚耕平君 大臣、今お聞きいただいたとおり、国から渡したお金でも、一旦渡すと、独法とか、例えば補助金であれば補助金を給付した先の所有なんですね。
もちろん、補助金は民間企業とかに渡せばそれはもうそちらの所有というのは分かるんですけれども、補助金の財源として各役所に取りあえず配分したもの、あるいは独法に配分したものとか、こういうものの所有権は移転しているということなんですが、預かっていると、後で回収されると思うと、いろいろ使ってしまえという、こういうインセンティブが働くので、だから補助金適正化法とかああいう仕組みもできているわけなので、私は、今回の財確法のこの組立てを見ていて、今後も防衛財源は必要だと思いますので、この際、国有財産法を適正に改正をして、そもそも基金に余っているお金はまだ国の財産だという状態であれば、今回のような財確法の仕組みよりもっと軽微な対応で可能だと思うんですが、国有財産法をちょっと一回見直してみるというアイデアは、大臣、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/47
-
048・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) まず、現状は、もう先生御存じのとおりに、基金を所管している各省庁において、行政事業レビュー、また基金レビューなどを通じましてしっかり把握をし、また点検をしていると、そういう状況でございます。
そういうような現在の手法でまずしっかりやっていくということが基本であると思いますが、先々のことについてはいろいろな指摘もあるわけでございますので、そういうものをお聞きをしながら総合的に考えていくことが必要なのではないか、今々は、現状の今やっております手法できちんとチェックし、中身を把握していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/48
-
049・大塚耕平
○大塚耕平君 基金についても、麻生大臣、愛知副大臣のコンビのときに随分ここでも議論になって、基金の在り方の見直し取り組みますということで、麻生大臣も当時の愛知副大臣も宣言をしてくださって、まあ一定の見直しは行われたんですが、その後も余り実態は変わっていないような気がしますので、国有財産という切り口から少し御検討いただいたらいいのではないかということを申し上げておきたいと思います。
あわせて、昨日、その決算の報告を受けたときに、あっ、なるほどなと思う点が一つありまして、大臣、この決算書に国の財産として航空機千五百六十六機という数字がありまして、これほぼ自衛隊の航空機なんですよ。この千五百六十六機で、現在価値幾らぐらいだと思いますか。決算書に載っている、いや、御存じなければ御存じないで結構なんですが、例えば千五百六十六機の自衛隊機、決算書に載っている国有財産としての価値、勘で結構なんですけど、幾らぐらいだと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/49
-
050・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) よく分かりません。もしかしたら、かなり償却して減額されているのかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/50
-
051・大塚耕平
○大塚耕平君 いや、そうなんですよ。僕もびっくりしたんですけれども、千五百六十六機、ほぼ自衛隊機ですが、一兆五百七十二億円の価値しかないんですね、千五百六十六機で。一機当たり七億円ぐらいですよ。
いや、だから、私が申し上げたいのは、例えば、航空機が本当に我が国の防衛力に資するかどうかというのは、この現在価値の数字をトレースすると、いかに古いものが多いかというのがもう数字から分かるわけですよね。新しいもので一機何百億円もするのが高過ぎるとかいろんな議論はありますけれども、千五百六十六機で資産価値僅か一兆円の航空機で我が国が防衛できるのかという、こういう見方もできますので、あっ、なるほど、決算書というのはこういうアプローチもあるんだなということを昨日気が付きましたんで、今後、しっかりそういう観点でも見ていきたいと思います。
今日、文科省にも来ていただいていますけれども、今後の防衛を考える上で、デュアルユースというのも非常に重要なポイントなんですが、この間、予算委員会で総理にも若干申し上げたんですが、デュアルユースに関連して、大学における研究活動に現在どういう制約があるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/51
-
052・奥野真
○政府参考人(奥野真君) デュアルユースに関連いたしましてお尋ねでございますが、まず、政府といたしましては、令和三年に策定された科学技術・イノベーション基本計画におきまして、レジリエントで安全、安心な社会を目指すため、様々な脅威に対する総合的な安全保障の実現を通して、我が国の平和を保ち、国及び国民の安全、安心を確保するため、関係府省庁、産学官が連携して我が国の高い技術力を結集することとされておるところでございます。
大学における研究の在り方につきましては、この分野に限らず、各大学の責任において自主的、自律的に判断されるべきものであると認識しておりますが、文部科学省といたしましては、この基本計画で示された社会的な要請を踏まえ、広く大学の理解と参画を得た上で先端技術の研究開発を推進し、その研究成果が社会に還元され、国民の安全、安心の確保にも資するよう、関係府省と連携しながら努めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/52
-
053・大塚耕平
○大塚耕平君 この問題は日本学術会議の在り方とも関係してくるわけですが、一言で言うと、デュアルユースに関連して、文科省として何か大学に研究に制約を掛けていることはないという理解でいいですか。簡単でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/53
-
054・奥野真
○政府参考人(奥野真君) デュアルユース一般に関して、一般的に文部科学省側から制約、制限を掛けている事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/54
-
055・大塚耕平
○大塚耕平君 アメリカの友人に以前聞いたことがあるんですけど、デュアルユースという言葉、元々あちらではむしろポジティブな言葉なんですよね。いろんなことに使える、ユースフルという意味で、ところが日本ではいつ頃からか、デュアルユースというと、何か軍事にも使える危ない技術みたいな語感が浸透しちゃっているんですが、これも、せんだってから大臣、総理との議論でお伝えしているように、我が国がなぜ今のような脆弱な状態になったのかという、その背景にある我が国の構造的課題を解決しないと、幾らお金掛けても同じことになるんですよね。
せっかく文科省審議官に来ていただいているので、台所で使っているもので軍事技術から派生したもので何かお気付きになるものありますか、毎日使っているもので。審議官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/55
-
056・奥野真
○政府参考人(奥野真君) デュアルユース、非常に多義的でございます。また、個々の技術は特定できませんが、一般的には、例えば電子レンジ等において使われているようなものにつきましても、基本とする要素技術においては共通するような点があると承知してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/56
-
057・大塚耕平
○大塚耕平君 鋭いですね。何かほとんど、サクラのような答弁をしてくれましたけど。電子レンジなんですよ。二、三年前に私たまたま外交防衛委員会にいたんですけれども、イージス・アショアを陸上から海上に移すというんで、レーダー施設をSPY6にするか7にするかという議論になっていましたが、あれはロッキードとレイセオンの争いですが、電子レンジはレイセオンのレーダー技術から出てきていますから、だから、要は、どちらかというと軍事、軍事とは言いませんけれども、そういう先端技術研究でミリタリーの方から来ている民生技術ってすごく多いんですよ。だから、そこを縛っちゃっているから日本はどんどんどんどん遅れていっているという部分もあるということを是非共有をして、そこについて適正な政策、制度運営をしていかないと、幾らお金を掛けてもこの状況が繰り返されるという懸念を持っています。
したがって、今回、私どもの問題、国民民主党としての問題意識は、防衛力抜本強化は賛成です。一定の財源が必要だというのも理解できます。しかし、経済状況等いろいろ考えると、やっぱりそれは増税でやるようなタイミングでもないんじゃないかと。さらには、幾らお金掛けても、そのバックグラウンドにある今申し上げたような様々な構造的課題を解決しないと結局何も解決しないと。更に申し上げれば、大変財政金融状況が異常な状況がもう今目の前にあって、これをどうするかということとセットで、有効活用できるなら有効活用した方がいいと。
だから、日銀保有国債の一部永久国債化ということを申し上げているわけで、今日はもう時間が来ましたので終わりにしますけれども、是非、できない財政再建策にこだわって目の前の課題を解決しないまま結局先送りするのでは、後になって更に深刻なことになりますので、是非真剣に検討していただくようお願いをして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/57
-
058・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
法案では、五年間で四十三兆円の軍拡財源の確保のために、国立病院機構の積立金約八百十九億円のうち四百二十二億円、地域医療機能推進機構、JCHOの積立金約六百七十五億円のうち三百二十四億円を一年前倒しで国庫に返納させて防衛力強化資金に繰り入れようとしております。
新型コロナの感染拡大で深刻な医療逼迫が広がる中で、国や自治体の要請に応えてコロナ病床の確保や感染患者を受け入れ続けてクラスターが発生した一般病棟、病院であるとか、ワクチン接種のための看護師派遣にも対応して、過酷な状況の中でも献身的な努力で地域医療体制の中核を担ってきたのが全国各地の国立病院機構やJCHOの病院なわけですね。
私は、本来、こうした公的病院の積立金は職員の処遇改善や医療体制の強化にこそ使われるべきと思いますが、財務大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/58
-
059・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど来申し上げておりますが、今回の防衛力抜本強化に要する財源確保、これに当たりましては、国民の負担をできる限り抑えるべく、あらゆる行財政改革の工夫を行う中で、独立行政法人の積立金につきましても一定の基準に基づき精査をし、その結果として、国立病院機構及び地域医療機能推進機構の積立金の一部を活用させていただくこととしたところであります。
その上で、両法人の国庫納付後の積立金は、国立病院機構で三百九十七億円と直近八か年で最高の水準、それから地域医療機能推進機構で三百五十一億円と過去最高の水準となっておりまして、これまでの実績との比較でも極めて高い水準となっていることから、経営上、一定の余力があるものと考えているところでございます。
今般の国庫納付は、安全保障環境が厳しさを増す中で、政府の方針として、防衛力を維持強化していくに当たって、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、あらゆる工夫を検討する中で行うこととした対応でありまして、御理解を賜りたいと、そのように考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/59
-
060・井上哲士
○井上哲士君 この間、政府はコロナ病床の確保のための補助金を原資としているから返還と、返納と言ってきたわけでありますが、これは、国や自治体の要請に応えて、一般医療を縮小し、コロナ病床を確保してきたことに対するものであり、全ての医療機関に共通した正当な補助金であって、返納を迫る理由にはならないと思うんですね。過去最高だとおっしゃいましたけど、それだけこうした病院が大きな役割を担ってきたことの私は裏返しだと思うんです。原資はコロナの補助金というんであれば、それは、この間のコロナ禍の教訓を踏まえて、医療体制の拡充にこそ使われるべきだと思うんですね。
厚労副大臣、来ていただいておりますが、独立行政法人の中期計画は五年計画であって、国立病院機構の現在の中期計画は二〇二三年の三月までの五年目の最終年度に今入ったところであります。二〇二四年四月からの新しい中期計画は今年の夏以降に検討すると聞いております。最後の事業年度に積立金があるときは、そのうち厚労大臣の承認を受けた額を次の中期計画の期間の医療提供義務に充てることができるとされているわけですね。それを一年前倒しで返納させるというのが今回の法案であります。
この二つの機構は、昨年の感染症改正で、パンデミック時の医療提供義務が課せられることになりました。ですから、新しい中期計画は、コロナ感染拡大で浮き彫りになった脆弱な医療提供体制を克服する課題とか、新しい感染症対策に対応する課題があると思うんですよ。政府は積立金を一年前倒しで国庫返納しても病院運営や施設整備計画などに支障はないと言いますけど、まだその次の中期計画の検討すら始まっていないのに、この時期から返納させるというのは、やはり来年からの新しい中期計画の内容に影響しないわけがないと思うんですよ。
積立金の前倒し返納をさせて、両機構の施設整備や改修、医療機器の更新、老朽化病棟の計画的な建て替え、そして医療提供体制の拡充など、コロナ禍の教訓を踏まえた新しい感染症対策に対応するにふさわしい中期計画の策定を困難にするんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/60
-
061・伊佐進一
○副大臣(伊佐進一君) 国立病院機構と地域医療機能推進機構の施設設備整備につきましては、これまでも、繰り越された積立金の多寡にかかわらず、当期の診療報酬等の自己収入あるいは財政融資資金の借入れ等を財源といたしまして、中期計画に位置付けられた整備計画に基づいて計画的に取り組まれたというふうに承知をしております。これまでの中期期間の中でも、五百億円繰り越したときもあればゼロだったときもございます。ただ、安定的に、整備の実績額を見れば三千五百億円程度で既に推移をして、これまでも推移をしてまいりました。
次期整備計画は令和五年度中に法人において計画されるものでありまして、現時点で具体的な内容については承知してございませんが、令和三年度の法人の財務状況は、税務、財務状態は、今般の積立金の返納があったとしても、令和元年度と比較して改善をしておりまして、自己収入や借入金等によりまして必要な投資が直ちに困難になるとは考えていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/61
-
062・井上哲士
○井上哲士君 これまでと比較って言いますけど、これまでと違うんですよ。コロナ禍を体験をしたんですね。ですから、JCHOの山本修一理事長は、メディアファクスの報道では、積立金は二〇二四年以降の第三期中期計画に充てたいと。次期中期計画では、感染症対策を見据えたハード面の改修、老朽化対策、医療DX推進でICT基盤整備にも速やかに着手する方針だと。政府は感染症法改正で体制整備を医療機関に求めているだけに、社会的責任を果たしたいと述べられております。そして、次期中期計画に向けて六百七十五億円あっても足りない状況だと述べられているんですね。ですから、その中から結局召し上げるということになれば、結局必要なことやれば借金をするということにもなりかねないと思うんですね。そういう問題、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/62
-
063・伊佐進一
○副大臣(伊佐進一君) この次なる新興感染症への備えにつきましては、今委員御指摘していただきました感染症法の改正に基づいて、都道府県、医療機関と平時に協議を行いまして、各医療機関の機能、役割に応じた協定締結を行っていただくと、そしてまた、感染症医療を担う医療機関をあらかじめ適切に確保することとしておりまして、例えばこうしたNHOあるいはJCHOがその履行に要する費用については、協定に基づいて一定の財政支援を行うということにさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/63
-
064・井上哲士
○井上哲士君 私は、まさにこういう問題は、医療の拡充、まさにJCHO自身が言っているように、この社会的責任を果たしていくというためにこそしっかり使われるべきだと思うんですね。
そして、この問題は、こういう機関で働く皆さんの労働条件にも関わっております。四月十三日の内閣委員会で国立病院機構の東京医療センターの事例等を取り上げました。国立病院は、筋ジストロフィーとか重度心身障害、結核など、国が国民のために取り組まなければならない政策医療を提供しておりますから、赤字経営が多いわけですね。従来から慢性的な人手不足に加えて、コロナ対応で疲弊をして大量退職や休職が起き、そして残された職員にしわ寄せが起きると、こういうことも、悪循環も指摘をいたしました。さらに、国立病院機構での労働基準法違反のサービス残業の横行や妊娠した看護師や未就学の子供がいる看護師にも夜勤の強要があるなど、様々な告発を取り上げたわけですね。
当時、伊佐副大臣は、機構本部が事実確認を行っている最中なので、報告をもって対応したいということでありましたけども、その後、どういう報告があったのか、厚労省はどういう対応をされたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/64
-
065・伊佐進一
○副大臣(伊佐進一君) この国立病院機構において報道内容に関する事実関係の確認等を引き続き行っております。現時点で超過勤務手当の未払が確認されまして、未払分の追加支給を含め対応した事例があったというふうに承知をしております。また、報道があった十七病院については、看護部長等から事実関係を確認するという調査も実施をしたと、また、病院長等の管理職に対して労働関係法令の遵守について周知を行った、さらにまた、環境改善に向けて勤務時間の取扱いを明確化するための通知を各病院に対して発出したという報告を受けております。
厚労省としては、引き続き、国立病院機構の再発防止を含めた対応状況を把握しまして、適切な勤務環境が確保されるように必要な助言を行うなど、適切に対応してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/65
-
066・井上哲士
○井上哲士君 週刊誌が報道したのは二月ですよね。私質問したのは四月なわけで、それからもう一か月半たっておりますけれども、まだ聞き取りが行われている最中ということなんですね。全職員のアンケートは九月にやるとお聞きをいたしました。
今、従来の通知を再度徹底しているというようなお話ありましたけど、それが、通知があったにもかかわらず、それに違反する事態がたくさん起きている、告発が起きていると。そのことの原因にメスを入れなければ、私解決をしないと思うんですよ。
こういう医療現場での深刻な実態というのはやはりぎりぎりの人員体制が原因なわけでありまして、このコロナ感染で医療従事者の絶対数が不足をして、感染しても入院できないという、自宅や高齢者施設で亡くなる方が続出をした。やはり平時に余裕がなければ緊急時に対応できないということが浮き彫りになったと思うわけです。
あのコロナ禍の三年間、こうした機構の皆さんが本当に必死の思いで対応した、だからこそ各病院に補助金が下りたんですね。これ、現場の献身的な努力があったからなんですよ。ところが、その積立金を一年前倒しをして召し上げてしまうと。私は、本当にこれ、職場の皆さんがどんな思いで受け止めていらっしゃるか、政府、受け止めているのかと思うんですね。
国立病院機構が担う役割にふさわしく、人員体制の強化とか働きに見合った処遇改善、物価高騰を上回る賃上げと、こういうことに使えという医療現場の皆さんの声にこそ応えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/66
-
067・伊佐進一
○副大臣(伊佐進一君) この国立病院機構、また地域医療機能推進機構を含め、多くの医療機関におきましてコロナ対応に御尽力をいただいたこと、本当に深く厚労省としても感謝をしております。
御指摘の人員体制の確保、また処遇改善につきましては、今回の一連の報道を踏まえた再発防止策の実施、そしてまた、適切な勤務環境の確保に取り組むことと、こうしたことを通じて人材確保につなげていくというふうに伺っておりますが、また同時に、処遇改善については、令和四年十月、昨年十月に診療報酬改定によりまして看護職員の処遇改善をさせていただいたと。また、臨時特別一時金の支給、そしてまた基本給の引上げなども行っておりまして、継続的に処遇改善に取り組んでいるものというふうに承知をしております。
厚労省としては、両機構又は積立金の国庫納付の特例的な前倒しにかかわらずに、引き続き地域医療における役割を適切かつ確実に果たす運営を行うことができるように今後もしっかりと注視をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/67
-
068・井上哲士
○井上哲士君 時間なので終わりますが、現場では矛盾が渦巻いております。この積立金の返納というのはやめるべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/68
-
069・神谷宗幣
○神谷宗幣君 参政党の神谷宗幣です。
防衛財源確保法案に関連して質問します。
今回の防衛予算の増大の背景の一つに、戦争の戦い方が変わってきているということがあると思います。資料でも新しい戦い方として、ミサイル防衛や宇宙、サイバー、電磁波の戦い、無人機攻撃、情報戦といったものが挙げられていますが、生物兵器による攻撃への想定が非常に弱いように思います。
人類に大きな災害、災難をもたらす生物兵器は、大量破壊兵器の中で、他の核兵器、化学兵器に比較して、より安価で製造が容易であるため、国際社会で大きな関心が持たれています。我が国においても、生物災害が自然発生する若しくは人為的に作為された場合には、国民の生命、財産に甚大な被害をもたらすことが容易に予測されます。実際に、近年、新型コロナや鳥インフルエンザなども発生していますから、その被害は説明するまでもないと思います。
このような脅威に対処し得る体制の整備は、厚生労働省が責任を負うものではなく、国家の安全保障上の重要な問題であるとして、政府全体が真剣に取り組むべきテーマであると考えていますが、自衛隊は、生物兵器対処に関する本格的な研究開発や教育訓練は実施していますか。また、今回増額される予算の中に生物兵器に備える予算は組み込まれていますか。併せてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/69
-
070・三島茂徳
○政府参考人(三島茂徳君) お答えいたします。
防衛省におきましては、生物兵器を含むいわゆるNBC対処能力を確保するために、必要な研究開発や教育訓練などに取り組んできているところでございます。
研究開発について申し上げれば、生物兵器の探知、識別能力を有するNBC偵察車の開発、生物剤の身体への浸透及び付着等を防止するために使用する個人用防護装備の開発、飛沫中のウイルスを検知するための技術の研究といった事業に取り組んでおり、またイギリス国防省との間では、防護マスクに関する技術の共同研究も行っております。
教育訓練につきましては、自衛隊医官を国内外の関係機関へ留学させる等、生物剤に対する医療能力の向上を図っているほか、対特殊武器衛生隊等では、警察、消防との共同訓練を実施し、関係機関と更なる連携強化に努めており、陸上自衛隊化学学校においては、生物兵器等に対処するための教育訓練を実施しております。
また、令和五年度予算におきましては、飛沫中のウイルスを検知するための技術と研究を令和四年度から引き続いて実施するための必要な経費として約四億円、施設整備については、既存施設の更新に合わせて、施設の機能、重要度に応じたNBC等に対する防護性能を付与することとしており、既存施設の更新に必要な経費として約八百六十八億円、装備品については、生物兵器等による汚染環境下において隊員が行動するために必要な一八式個人用防護装備、汚染地域を除染するための除染車等の最新の装備品の導入などに必要な経費として約七十九億円を確保しております。
こうした取組を通じて、引き続きしっかりNBCに対する防護能力の強化を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/70
-
071・神谷宗幣
○神谷宗幣君 お聞きいただいたように、研究で四億円ということですね。四億円ですよ、たった四億円しか充てられていないということですね。
次に、この三年間猛威を振るっていた新型コロナウイルスについてお聞きします。
このウイルスは、人工ウイルスだったかも知れないという可能性がいまだに否定できておりません。最近も、三月一日のBBCニュース・ジャパンの記事では、アメリカの連邦捜査局、FBIですね、FBIのクリストファー・レイ長官が、新型コロナウイルスの起源が中国政府が管理する研究所である可能性が最も高いとの見方を示しています。レイ長官は、FBIが、FBIはですね、しばらく前から今回のパンデミックの起源は研究所の事故である可能性が最も高いと見ているとして、世界的パンデミックの発生源を特定する努力を中国が妨害し、不明瞭にしようとしてきたというふうに述べられています。
研究所から漏れたものだから一〇〇%人工のものだというふうに断定はできませんが、世界の軍が生物兵器を研究しているという報道はたくさん当然ありますし、今回のウイルスの塩基配列も野生生物のものではないというふうな論文もあります。新型コロナウイルス人工製造説というのは、かつてSNSでは情報として削除されていたんですが、今削除されなくなっているということです。
しかし、なぜか日本ではいまだにこの辺りの話は全て陰謀論扱いされています。これだけ世界で多くの人々の生活や人生を破壊した新型コロナという病気の発生源とその背後の真相をありとあらゆる観点から考えようとする試みに対して陰謀論と片付けてしまうのは、国家安全保障上の観点からも知的怠慢に過ぎるのではないかというふうに我々は考えています。
情報操作でパンデミックを起こしたり、ウイルスを生物兵器として使ったりということは、SF映画の話ではありません。人類は過去にもそうしたバイオテロを経験しているからです。例えば、二〇〇九年、メキシコで突然豚インフルエンザが発生しましたが、二〇一〇年の一月に欧州評議会の保健委員長のヴォルフガング・ワダルグ氏が、製薬系大企業が大量にワクチンを売るために、ウイルスの毒性を過大に見積もって、偽りのパンデミックを宣言するように世界保健機構、WHOに圧力を掛けたという、いわゆるパニックキャンペーンを画策していたというふうに告発をしています。この件に関しては、二〇一〇年一月二十五日にアメリカのNBCニュースが、そして二〇一〇年六月四日にはBBCが、WHOの鳥インフルの専門家、専門の研究者らが大手製薬会社と極めて近しい関係にあったという事実を論証して報道しています。
このほかにも海外ではバイオテロや事故などが何度も発生していますし、日本もその例外ではありません。一九九五年三月にはオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こしました。これは化学兵器の使用事案でしたが、彼らは一九九三年に亀戸異臭事件という生物兵器によるバイオテロも起こそうとしていたということが分かっております。
我々参政党は、ウイルスの毒性を過剰に見積もったインフォデミックの可能性や人工ウイルスが漏れた結果のパンデミックであるという可能性を当初から訴えてきましたが、日本のメディアの論調と全く違うからか、いつも陰謀論とレッテルを貼られてきたので、かなり丁寧に前置きをした上で質問をします。
防衛省の自衛隊は、今回、あっ、防衛省・自衛隊は、今回の新型ウイルスの蔓延を生物戦あるいは生物兵器のテロから国民を防護するといった観点から検討し、独自の調査を行ったことはあるのでしょうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/71
-
072・鈴木健彦
○政府参考人(鈴木健彦君) お答えいたします。
今般の新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、新型コロナウイルス感染症対策本部の下に関係機関が連携して対応してきたところであり、とりわけ防衛省が独自に新型コロナウイルスに関する調査研究を行ったことはございません。
一方で、防衛省・自衛隊は生物化学兵器に対処するための各種部隊を有しており、万が一生物テロなどがあった場合には、警察や消防機関等との他の政府機関と連携しつつ対処することを考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/72
-
073・神谷宗幣
○神谷宗幣君 御回答ありがとうございます。
つまり、疑ったことがないということなんですね。だから、ばっとまかれてすぐ人がばっと死んだ場合は、これはテロだとすぐ分かるんですけれども、そうでない手を込んだやり方をされて、世界の機関がこれそうではないとかということになると、調査しないというふうな状態になってしまっているわけです。
次に、時間がないので次の質問行きます。
今回の新型コロナワクチンの接種ですが、自衛隊は、各地に大規模接種会場を設置して、国民への組織的な接種をオペレーションとして行いました。
しかし、既に明らかになっているように、日本国内で報告されているだけでも二千人以上の死者が出るなど、過去最大の薬害事件になり得る可能性が出てきています。このワクチンのリスクの安全性に関しては所管官庁である厚生労働省が全責任を負うべきところではありますが、自衛隊を信頼して接種をした人もいらっしゃると思うので、そこにもし十分な調査がなかった、誤りがあったということになると、せっかく積み上げてきた国民の自衛隊に対する信頼が崩れてしまうのではないかというふうに危惧しています。
そこでお聞きしますが、防衛省・自衛隊は、新型コロナワクチンの危険性について、国民の安全を守るという観点から、内部に保有する防衛医科大などの能力を使うなどして独自に十分な調査研究、あるいはリスクを見積もったことがあるのでしょうか。
同じく、済みません、一緒に聞きます。厚生労働省にも聞かせてください。新型コロナワクチンの可能性について十分な調査研究、あるいはリスクの見積りを行ったことがあるか。連続で答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/73
-
074・鈴木健彦
○政府参考人(鈴木健彦君) お答えいたします。
国内で使用されている新型コロナウイルスワクチンにつきましては、厚生労働省において有効性及び安全性の評価を行い、厚生労働大臣の承認が得られた医薬品であり、自衛隊大規模接種センター等で使用いたしましたワクチンについても、厚生労働大臣が承認したものを用いているところでございます。
その上で、自衛隊中央病院において当該接種センターで集積されたワクチンの副反応の情報を独自に分析し、その結果、ワクチン接種部位で生じる発赤やかゆみの発症率に関し年齢や性別の差異が判明したため、こういった情報を全国で活用していただけるよう公表をしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/74
-
075・大坪寛子
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
新型コロナワクチンの安全性、有効性につきましては、何枚かの安全弁を設けて審議をしているところでございますけれど、まず初め、ワクチンにつきましては、使用する前に薬事承認の申請、これが、製造販売企業から提出をされてまいります臨床研究データなどに基づき、まず審議、審査がなされて、品質や有効性及び安全性の確認が行われた上で薬事の承認を得ると、こういうステップがございます。
加えて、これは予防接種法に基づいて今般接種を行っておりますので、予防接種法に位置付けるかどうかに当たっても、国の審議会において意見をいただき、有効性、安全性の確認、世界においてのデータ、こういったものを確認した上で決定をされております。
また、予防接種法に基づいて予防接種が開始されました後は、接種後の副反応が疑われる症例、先生今御指摘いただいたような件数も同じそれでございますが、医療機関や製造販売業者から国への報告というものを義務付けております。これらの報告によりまして継続的に情報を収集し、これまた国の審議会において第三者の立場から専門家の先生に評価、確認をしていただいております。
これまで、こういったデータの積み上げから新型コロナワクチンの接種を中止すべきとの判断、御見解はいただいていないところであります。
また、続きまして、市販後におきましても、その品質の管理、これは国家検定でありますとか、製造販売メーカーに義務付けられておりますロットの品質の確認、こういったことも加えまして、二重三重に安全性を担保しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/75
-
076・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。
ほかの国は大分やめているんですけど、日本はそういう報告が出てきていないということなんですね。
我々は今、日本の国防の在り方とその予算付けについて議論をしています。今回のこの問題、非常に国家予算とか考えるのに大事なものだというふうに思いますので、今日は時間が来たのでこれで終わりますが、次回、この続きを聞いていきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/76
-
077・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 茨城県選出の堂込麻紀子です。
本日も、今回の法案における防衛財源確保の枠組みについてお伺いをいたします。
外国為替資金特別会計の規模についてお伺いします。いわゆる外為特会ですけれども、為替介入等のために円資金の調達が必要な場合には、国債の一種である政府短期証券を発行するということです。また、剰余金を一般会計に繰り入れる際、例えば外貨資金を直接円資金に両替することとなると、外為、為替の介入と同じ効果を得ると、与えるということになるため、外貨資金等はそのまま保有して、その見合いとなる政府短期証券を発行して円資金を得るということになります。
これによって、外為特会においては、保有する外貨資産、その見合いとして円資金を調達するための政府短期証券を両建てで抱えることというふうになっており、そもそも特別会計として保有する資産、また債務、この規模として適切であるかどうかというところを疑問視する意見が出ているかと思います。
今後、金利上昇局面になることがあれば政府短期証券の利払い負担が増加しかねないというふうに考えますが、今後の外為特会の規模、これをどのように考えているか、御認識をお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、理事大家敏志君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/77
-
078・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 堂込先生今御指摘くださいました外為特会の一般会計への繰入れは、円貨で行う必要がございますので、政府短期証券を発行して見合いの円貨を調達した上で実施をしてございます。
こうした中で、金利上昇局面において外為特会の利払いが増加する構造にあることは堂込先生御指摘のとおりでありますけども、金利の上昇が外為特会の剰余金に与える影響につきましては、外為特会が保有する外貨建て債券からの受取利息の増加を含めて資産、負債全体で見る必要があることから、確たることを申し上げることは困難と考えてございます。
その上で、外貨準備の適正な規模ですけども、国際的に統一された見方があるわけではありませんが、市場に急激かつ過度な変動が生じた場合に自国通貨を買い支えるために十分な額の外貨資産を保有しておくことは重要であり、また、近年の円の取引高で捉えた為替市場の規模の増加傾向や他国における過去の外貨準備の減少例等に鑑みますと、日本の外貨準備の額が過大であるとは考えていないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/78
-
079・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 また、加えて、独立行政法人等からの積立金等の不用見込みを国庫返納させるという、こちらの御趣旨について、済みません、伺わせてください。
今回の法案において、国立病院機構及び地域医療機能推進機構もこの積立金についての国庫納付の特例が設けられております。先ほどもお話ありましたけれども、この二つの機構含めて新型コロナウイルス感染症等対策予算により積み上がった積立金、また基金等の不用分、これについて国庫納付を求めるということにしているかと思います。
五月から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けを五類に見直すということで、今後のウイズコロナへの移行に併せて対策の見直し自体は適切に行われる必要があるというふうに考えます。一方で、感染の再拡大、こうした懸念も払底されていないという中で、これまでコロナ禍への対応に充てられていたその予算が単に積み上がっているからといって、防衛財源に繰り入れられるということが適切と言えるのかどうかというのは疑問かと思います。
今回、このような国庫返納の枠組みを設けることとした御趣旨について鈴木大臣よりお伺いしたいと思います。また、厚生労働省としての、今後の感染拡大と、再拡大ということもゼロではないということから、その御認識をお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/79
-
080・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど来申し上げているところでございますけれども、今般の防衛力の抜本強化に要する財源確保に当たりましては、国民の負担をできるだけ抑えるべくあらゆる行財政改革の工夫を行う中で、独立行政法人の積立金につきましてもお願いをするところでございます。
そのなぜこの国立病院機構、地域医療機能推進機構から前倒しでの積立金納付をしていただくことにしたかということでありますが、積立金百億円以上で、令和六年度以降に中期目標期間等の終了に伴う国庫納付を予定している独立行政法人のうち、足下で顕著に積立金が増加し、かつ、その由来がコロナ対策の予算等によるものを精査をいたしました。その結果として、御指摘の二法人の積立金の一部を活用させていただくこととしたところであります。
さらに、これらの積立金を前倒しして納付していただくこととしておりますが、これは、政府として最大限の努力を行っていることを明確にお示しするためには、現時点で確実に見込むことができる税外収入の全額を予算に計上し、防衛財源としてどの程度の税外収入を実際に確保できているかをお示しするべきであると、そのように判断したためであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/80
-
081・大坪寛子
○政府参考人(大坪寛子君) 先生から、感染拡大のときの備えとしてどのように考えているのかという御指摘をいただいております。
本年五月八日に感染症法の類型の見直しを行いましたが、その変更後も感染拡大、これが生じる可能性ということは厚生労働省も認識をしておりまして、それを想定した上で、新型コロナに対応する医療機関への財政支援、これは国病機構ですとか地域医療支援機構に限ったことではございませんが、コロナに対応していただく医療機関への財政支援につきましては、必要な見直しを行った上で当面九月まで継続することとしておりまして、こうした対応に万全を期していきたいと思っております。
その上で、今後、更なる、次なる新興感染症への備えにつきましては、昨年十二月、改正感染症法を成立させていただいておりまして、その中で、都道府県が医療機関と平時から協議を行い、各医療機関の機能や役割に応じた協定締結、これをあらかじめしていただいた上で、感染症医療を担う医療機関を適切に確保していく、こういったことを目指しております。その履行に要する費用につきましては、協定に基づき一定の財政支援を行うこととさせていただいております。
こうした取組を通じまして、厚生労働省としましては感染拡大に備えた準備を続けてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/81
-
082・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 ありがとうございました。
次は、少し質問の方を変えさせていただいて、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置についてお伺いをいたします。
〔理事大家敏志君退席、委員長着席〕
まず、令和五年度、与党の税制改正大綱及び政府税制改正大綱においては、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置ということで、実施時期は盛り込まれてはおりませんが、法人税、所得税及びたばこ税を増税するという方針が示されているというふうに思います。
今後、防衛財源の確保のために増税を行うということが既定方針であるのかというところ、仮に増税に至るとしても、更なる財源の確保の努力をしつつ、増税幅、また期間を圧縮しようとする考えはあるのかというところを鈴木大臣の御見解を是非お伺いしたいというところと、増税する税目として、法人税、所得税及びたばこ税、こちらを挙げているというところはどのような理由によるものなのかというところをお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/82
-
083・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 防衛力強化の財源確保でありますが、行財政改革を最大限の努力を行うと、それで四分の三を確保し、それでも足りない約四分の一について税制措置での対応をお願いさせていただきたいと考えているところでございます。こうした方針につきましては、昨年末に政府・与党で確認をした上、閣議決定をしておりまして、この内容を変更すること、これは考えていないところであります。
この税制措置の実施時期につきましては、令和九年度までの過程におきまして、行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃金の動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて、閣議決定した枠組みの下で与党税制調査会において判断していくことになります。
また、税制措置の対象となります税目についてでありますが、このことにつきましては、与党税制調査会におきまして、国民各層の負担能力、現下の経済情勢にも配慮しつつ、幅広い税目について議論が行われたところでございます。その中で、防衛力の強化、これは国民の命、暮らし、事業を守るためのものであり、個人や法人に広く裨益するものであることを踏まえまして、所得税、法人税が対象とされ、また、特殊な嗜好品であり、一定の税収が確保できる物資としてのたばこの性格に着目して、たばこ税が対象とされたものであると、そのように承知をしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/83
-
084・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 ありがとうございます。
たばこ税、産業で従事する方もたくさんお見えになりますので、その辺も踏まえて、そこだけを取り上げるというわけではありませんけれども、その税制の在り方については改めてまた今後も確認させていただきたいというふうに思います。
所得税の新たな付加税と復興特別所得税の関係について、済みません、簡潔にちょっと質問させてください。
所得税額に対する新たな付加税ということで、復興特別所得税、こちらの、別の税目ではありますけれども、合わせて所得税額の二%というふうになることから、実質的には現行の復興特別所得税の一部を防衛財源に振り向けるということと変わらないのではないかというふうに考えます。また、年単位で見れば負担する税額に変化はないように思えますけれども、復興特別所得税の課税期間が延長されるということで、結果的には新たな付加税分は確実に負担が増えるというふうに考えます。
なぜこのような付加税の仕組みを防衛財源のための増税に活用することとなったのか、財務省の御見解をお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/84
-
085・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 防衛力の抜本的な強化を行うに当たりまして、歳出歳入の両面からの安定的な財源を確保する必要がありますが、そのうちの税制上の措置につきましては、与党税制調査会において、現下の経済社会の状況を踏まえながら、幅広い税目について議論が行われたものと承知をしているところであります。
その中でも、先生御指摘ありましたが、今回の税制上の措置は、税制の構造そのものを見直すことではなく、それぞれの所得金額に応じて御負担をお願いをするということであるということ、防衛力の強化に係る追加的な費用は全額国費で措置されるものであることを勘案いたしまして、所得税につきましては全額付加税での対応をすると分けさせていただいたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/85
-
086・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 時間が来ておりますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/86
-
087・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 はい。
私の質疑は終了とさせていただきます。引き続き議論の方、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/87
-
088・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 午後一時に再開することとし、休憩をいたします。
午前十一時三十六分休憩
─────・─────
午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/88
-
089・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) ただいまから財政金融委員会を再開をいたします。
委員の異動について御報告をいたします。
本日、臼井正一君及び井上哲士君が委員を辞任され、その補欠として長谷川英晴君及び小池晃君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/89
-
090・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 休憩前に引き続き、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見をお伺いをいたします。
御出席いただいております参考人は、株式会社日本総合研究所調査部主席研究員河村小百合君、元防衛事務次官・三井住友海上火災保険株式会社顧問黒江哲郎君、東京財団政策研究所研究主幹森信茂樹君及び国立大学法人山口大学名誉教授纐纈厚君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、河村参考人、黒江参考人、森信参考人、纐纈参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず河村参考人にお願いをいたします。河村参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/90
-
091・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。日本総合研究所の河村と申します。
本日、私の方からは、防衛財源確保法案と国を守るための財政運営の課題ということで意見を述べさせていただきます。
資料一ページおめくりください。
今回の法案、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案に関してですが、私も一国民として、昨今のこの内外情勢の変化、特に安全保障環境が大きく変わっていることを考えて、やっぱり軍事力のある程度の強化が必要だろうという思いでいる一国民でございます。
今回の法案、岸田総理がかねてからお考えをお話しされてきていて、こうやって国民の命、暮らし、事業を守るための、事業というの、これ、裏付けとなる安定財源を将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべきだということを繰り返し総理がおっしゃっておられまして、それを可能にすることになった、その一歩を踏み出すことになった法案ではないかというふうに考えておりまして、私自身もこの法案、賛成でございます。
ただしですね、ただし、これで、ああもうこれから先五年間は安泰だ、問題ないということには残念ながら決してならないんじゃないのかなというふうに思っておりまして、今日は頂戴した時間を使ってその点について意見を言わせていただければと思います。
一枚おめくりいただければと思います。
もう申し上げるまでもないことでございますが、武器ですとか兵器をそろえるだけでは決して国を守ることはできないと思います。そのもう本当に大事な前提条件として、安定的な財政運営、そして安定的な経済運営を継続できているということが絶対に必要な条件ではないかというふうに思っております。
ところが、現在の我が国の財政運営の実情、まあ表面的には何もないかなというふうにお受け止めかもしれませんが、そんなことは私はないと思います。もう正直申し上げて、崖っ縁に立たされているような状況じゃないかなというふうに思っております。
ちなみに、財政制度等審議会、私も委員として末席を汚させていただいておりますけれども、その昨年の五月の建議にこうした一文がございます。「仮に防衛力を抜本的に強化したとしても、それを支える経済・金融・財政の強いマクロ構造がなければ、防衛力を継続的かつ十分に発揮することはできず、結果的に「戦わずして負ける」ことにもなりかねない。」。この戦わずして負ける、そうなってしまいかねない、この懸念、私自身も本当に強く持っているものでございます。
一ページおめくりください。
一国が、財政運営を、別に日本に限りませんが、安定的に継続できるかどうかというのは、まあ借金している主体は別に国だけでなくて家計も企業もみんな一緒だと思いますが、利払い費をつつがなく払うことができるか、払い続けられるかということで決まっております。
こちらには、もう先生方御案内の今年度の一般会計の歳出と歳入の見取図出しておりますけれども、我が国の予算というのは、一千兆円を超える普通国債残高を抱えながら、利払い費を僅か予算ベースで八・五兆円で済ませることができているからこそ組めているというのが現実だろうというふうに思います。
一枚おめくりください。
ところが、我が国は現在、毎年どれだけの国債を発行しなければ財政運営を回すことができなくなっているのか、これは年度別、年度ごとに棒グラフの形にして示したものであります。財務省から出ている資料を基にしたものです。
これ、毎年の国債発行額、ずっと御覧いただきますと、これ二〇一二年から、震災の翌年からですけど、大体百五十兆円ぐらいで来ていたのが、何とか頑張って減らしていって、百三十兆円ぐらいまで減っていたところでコロナ危機が来てしまった。で、もう二百兆円上回るような状態、足下でも百九十兆円ということですね。これだけの国債、こんなにたくさんの国債、新発国債だけじゃなくて、もちろん山のような借換債があるわけです。これをつつがなく調達できなければ、本当に大変なことになってしまうんですね。
こんな状態で、万が一、我が国の近隣の諸国にもいろんな国がありますけれども、万が一何か有事になってしまって、それに我が国が巻き込まれてしまった場合、果たして我が国の財政運営は耐えることができるでしょうか。私は、その点を心配に、懸念いたしております。
次のページ御覧ください。
この百九十兆円というのがどれほどの規模なのかということをほかの国と比較していただくために、各国とも経済規模が違いますから、この百九十兆円をGDP比で取った規模の計数で御覧いただいたのが、こちらの数字です。この表の左から二行目のところ、グロス所要資金調達額となって、日本が赤字で四八・八%、GDP比五〇%弱となっているのがこの数字です。ですから、前のページの百九十兆円を名目GDP比に引き直すと約五〇%近い四九%くらいだと。これ、よその国と比べると、もう日本がどれだけ高いかということがお分かりいただけると思います。
例えば、ヨーロッパで本当に健全財政国の代表であるドイツですとか、それからイギリスなんか見ると、大体GDP比一〇%ぐらいですよ。やっぱり安定調達ということをすごく重視してやっていると思います。ヨーロッパの中でもやや財政が悪い国ということで知られているイタリアなんか見ても、それでも二三%。アメリカは基軸通貨国ですから、短期国債の需要がそれなりに準備資産の運用とかでありますので高いですが、それでも三割ぐらい。どれだけ日本が高いかということなんですね。
この数字、なぜIMFが出すようになったかというと、これ、それまで各国の財政どれだけ悪いかというのは一番左側の債務残高の、国の、政府の債務残高のGDP比で見ているだけで比べていたんですが、これだけでは分からないと。もう釈迦に説法ではありますけれども、例えば百兆円のお金を調達したとしても、全額十年債で調達していれば毎年の借換えは十兆円で済みますね。でも、全額短期国債、一年債で調達したら、毎年百兆円の借換えしなきゃいけないんです。それだけ、ある年に何か起こった、金融情勢が変化した、有事に巻き込まれたというときに影響を受けるダメージの度合いというのは極めてそれだけ大きくなるということは、債務残高だけじゃ分からない、このグロス所要資金調達額の規模というのが非常に大事だということ、重視しているということだと思います。
ですから、日本の場合でこれが何でこんなに大きいかというと、そのお隣にあります満期負債、満期が到来して、日本の場合、多くは借換債でやりますけれども、そこがすごくほかの国に比べて大きい。そして、そのまたお隣の財政収支の赤字幅、これ新発国債の発行額にまあ大体相当する数字だということで御覧いただいていいと思いますけれども、これもやっぱりほかの国、大分コロナからもう三年目になって落としてきていますけど、まだまだ大きい。結果的にこういうことになってしまう。やはり非常に、崖っ縁と私が申し上げたいのは、こういうことからでございます。
一ページおめくりください。
これまでは日銀の金融政策運営のこともあって、何とか本当に超低金利で抑えてきていますけれども、まあ本当にもう限界に来ていると思います。今日はこの話は本題ではありませんので深くは立ち入りませんけれども、まあ足下では、折しも一回落ち着いていた円安がまた不気味な感じで進展してきているなというふうに私は非常に懸念をいたしております。
市場金利の上昇に我が国の財政運営がもし付いていかれなくなった場合、日銀が抑え切れなくなった、市場金利が上がり始めてしまった、こんな金利水準ではとても利払い費が払えないというふうになったときに、何ができるか。国としてできることというのは、本当に市場の信認をつなぎ止めるしかないんですね。毎年の、毎年度の国債の発行額をできるだけ減額しなきゃいけない。新規国債なんて発行してられなくなるかもしれないですよね、新たな借金の積み増しですから。加えて、既に出した国債の借換債をなるべく出さないで、償還していくようなことを考えなきゃいけないかもしれないというふうに思います。
一ページおめくりください。
これに対して、我が国の国債の償還のこれまでの実態を見ますと、やり方としては、先生方御案内のとおり、三つございます。
一番目が定率繰入れ、これは六十年償還ルールにのっとるものですね。二番目が剰余金繰入れ、これは今回の法案にも関係するかもしれませんけれども、決算剰余金が発生した場合に、その少なくとも半分以上を債務償還に繰り入れる。三番目が予算繰入れということなんですね。
その剰余金繰入れについては、最近年の数字を、次のページ御覧ください、私がちょっとグラフに拾ってまいりました。この棒グラフ御覧いただきますと、決算剰余金、どれだけ発生したか。発生しなかった年ももちろんございますよね。発生した決算剰余金のうち、過去の国債の残高の元本の返済に充てた分というのを紺の棒グラフ、それから一般財源の方に充当したのを赤い棒グラフでお示ししております。大体の年は半々ですよね、法律の規定どおりという感じですよね。ただ、御覧いただくと、二〇〇四年とか二〇〇五年、全額、過去の借金の返済に回していた、立派な政策運営してらした年もありましたよね。ただ、その後も、その時々の経済情勢いろいろあったり、危機があったりしましたから、全部、全額赤になっちゃっている年もありますけど、まあこんな感じではあります。
ただ、よく御覧いただきたいのは、ここにある棒グラフの左の目盛り御覧ください。左御覧いただいても、毎年、まあ多くても二兆円いくかどうかなんですよね。ここにある棒グラフ、じゃ、仮に赤全部やめて全部紺にして全額償還したら、国債どれだけ減らしていたかっていったって、いや、金額限られますよね、全然ですよね。百兆円なんかいかないですよね。三十兆円いきますか、そんなもんですよね。だから、それぐらいなんですね。
ですから、前のページお戻りいただくと、一番目の定率繰入れ、六十年償還ルールですと、今年度の予算ですと、六十分の一ですから一・六%、約十六・八兆円の予算が計上されていますけれど、これに剰余金繰入れ、先ほどのレベル、そして、それから予算繰入れ、これはなかなか、政府所有株式の売却とかができない限りはなかなかできていないのが実態だと思います。こういうようなやり方でしか元本返せてないから、こういう結果になっちゃっているんじゃないかと。
ですから、今回の法案、いろんなやっぱり国民に先々増税の負担を求めていく上では、まず歳出改革が先だということで、いろんなところから財源確保されたということ承知しております。その中で、この決算剰余金の法律で許されている半分のところを使ってということ、そういうことが入っているのも承知しております。それはそれでいいと思います。別に法律の規定に合っている話ですからいいと思いますが、別の問題として、じゃ、この国が、これからこれだけ人口が減っていく中で、これだけの借金を抱えて、これだけの借金を積み増して、どうやって返していくのかということの答え、その解決策を別途、是非、先生方にはお考えいただきたい、どうかお考えいただきたいというのが私からのお願いでございます。
二ページおめくりくださいませ。九ページのところでございます。
じゃ、どうやって国債を返していくべきなのかというところなんですね。ほかの国がどうやっているかというと、六十年償還ルールとか作っている国ありません。私が問合せしたときにも、どこの国の当局もお答えくださいましたけど、そんなルールありません、だって、六十分の一だけ返せばいいということだったら、残高が増えても全然いつまでたっても返せないじゃありませんか、河村さん、というメールが英語で来ちゃいました。もう私、本当に恥ずかしくなりました。やっぱり真剣に真面目に返していかなきゃいけない。
ほかの国どうやっているかというと、これは安全保障関係じゃないんですが、アメリカが去年インフレ抑制法を通したときの歳出と歳入の金額の規模をこのタイルの面積で表した図、これよくアメリカの新聞に出るんですが、お示ししたものです。これで御覧いただくと、右側が歳出削減と歳入なんですね。この合計のタイルの方が歳出よりも大きいですよね。こうやってアメリカは、まあ財政インフレを招いてしまったという反省はあるけれども、こうやって、こういう形で何か改革をしようというときに、歳出と歳入の案を組むときに歳入の方を多くする、増税をする、それから厳しい歳出カットをする。そういうことをやって、歳入の方をこれだけ大きく用意して、こうやって過去の借金を返していくんですね。ほかの国、ヨーロッパの国もみんなこうやってやっています。是非とも、先生方、次は、次なる課題、日本の国守るためにはこういうことも是非お考えいただきたいと思います。
次のページ御覧ください。我が国に対する世界の視線が厳しさを増しているという話でございます。
今年の三月末、定例の毎年やっている対日四条協議という名の報告書をIMFが出しました。その中に何と書いてあったか。日本は公的債務のGDP比が上昇軌道に乗っていることから、金利が急上昇し、ソブリンストレスが掛かる可能性がある。ソブリンストレスって何だという感じなんですけど、要するに、ギリシャみたいな、IMFとか、ギリシャはIMFとEUに助けてもらって、お金貸してもらって何とか切り抜けたんですけど、日本はお金持っている、経常収支もまだ黒字だ、そういうことにはならないけれども、ですから、IMFとしてはまあこの国にはお金出す必要はないなと思っているんですよね、でも、すごい財政調整を日本の国内でやってもらわなきゃいけなくなるかもしれませんよという警告をしています。
これは国際機関だけではなくて、下のところにジ・エコノミスト、ロンドン・エコノミストがどういうふうに言っているかということを持ってきましたけど、ここでも、真ん中のところの中ポチ、悪夢のシナリオとなった場合、日本の政府負債の持続可能性に疑問を投げかける事態となることがあり得るということを言われています。まあこれ、ちょっとある意味、日銀の金融政策とも関係する話なんですが、もうある意味、世界はお見通しです。
どうか先生方、御認識いただきたい。IMFだったら、おい、日本、大丈夫かと心配してくれていると思うんですよ。こんな財政運営続けていちゃ駄目だよ、金融政策運営の方もそうなんですけどね、駄目だ、本当にやっぱりきちんと財政再建していかないと大変なことになっちゃうぞと言ってくれている。でも、世界の目線ってそれだけですか。私たちの近くにある国って友好国だけじゃないですよね。そういう国が果たしてどういう目で私たちの国のことを見ているか。本当に、こんな財政運営がつまずいちゃうようなことになって、弱みに付け込まれちゃうようなことになっちゃったら本当にどうなっちゃうのか。先ほどの財審の建議じゃないですけど、それこそ戦わずして負けることになってしまいかねないかということを一国民として非常に心配しております。
最後のページ、御覧ください。
我が国の場合、エネルギーですとか食料の海外依存度も高いですよね。万が一の有事ということに巻き込まれてしまった場合、国際金融情勢が激変してしまう可能性というのはあり得ると思います。為替が売られる、金利が上がる、そういうときに耐えられるだろうか、そういうときに耐えられる財政・経済運営の堅固な基盤を構築していくことが国を守り抜く上で必須の条件なんじゃないか。ですから、今回の法案、一歩前進だと思います。ですけど、まだ課題はあります。是非とも先生方に御検討をお願いしたい。
私からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/91
-
092・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) ありがとうございました。
次に、黒江参考人にお願いをいたします。黒江参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/92
-
093・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) 以前、防衛省に勤務しておりました黒江でございます。
まず、本日はこのような機会を頂戴いたしましたことに心より感謝を申し上げます。
御案内のとおり、政府は昨年末に国家安全保障戦略を始めとします戦略三文書を決定したわけですが、私は、元防衛事務次官という立場で国家安全保障局のヒアリング、あるいは国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議に参加させていただきまして意見を述べさせていただきました。本日は、こうした立場から、現在の日本を取り巻く安全保障環境、さらにこれを受けた戦略三文書のポイント、今後の実施の課題といったところについて簡単に私見を述べさせていただきたいと思います。
まず、お手元の資料、三ページでございますが、参考一を御覧いただきます。
基本的なことですが、我々が存在しておりますアジア太平洋地域は軍事力の量という観点で見ますと、世界の中でも軍事力が、軍事大国が集中しているホットスポットだということが言えると思います。さらに、その中でも、中国、ロシア、北朝鮮という権威主義の三か国が、現在三者三様の形で国際秩序に対する地政学的な挑戦を激化させていると、これが我が国周辺地域のみならず国際社会全体の安全保障環境を厳しくしているということでございます。
最初のページに戻っていただきまして、それでは具体的にどのような対応なのかということで、まず中国でございます。ここには、戦略文書の中からこれまでにない最大の戦略的な挑戦という位置付けをしておる部分を抜き書きしてございますが、中国の場合の特色は、軍事力のみならず、経済力あるいは技術力を含めて国力全てを用いて国際秩序に挑戦していると、この点が最も特色のあるところでございます。
これは、彼らは超限戦と、限定を、制限を超えた戦いというような言い方をしておるというふうに理解をしております。巨大な人口と非常に効率、ある意味非常に効率的な国家資本主義、あるいは最近では先端技術力を背景としまして世界第二位の経済大国に上り詰めたわけですが、彼らはその巨大化した経済力を自国の意図を他国へ強制する手段として用いていると、いわゆる経済的威圧ということでございます。
さらに、この経済成長が軍事力の拡大というところにどのように寄与したかというのは参考資料の四ページ、さらに、そこで蓄積されました軍事力が実際にどのように使われているのか、我が国周辺でどのように活動が拡大しているのかということを五ページ、参考の三にお示しをしてございます。
したがいまして、我々は中国を見るときに、軍事力のみではなく、経済力あるいは技術力あるいは情報力等々、国力全体に着目する必要があるということでございます。
続きまして、北朝鮮でございます。
これは、一ページの北朝鮮のところには、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威ということで戦略の文言を書かせていただきましたが、これは言うまでもなく北朝鮮の場合には核とミサイルの脅威でございます。
昨日も偵察衛星と称する物体の発射を試みましたけれども、昨今どのような打ち上げ方をしているのか、あるいはその北朝鮮のミサイル能力がどうなっているのかということにつきましては資料の参考の四、六ページ、さらには、打ち上げの状況につきましては七ページにグラフとしてお示ししてございます。これは、令和四年版の白書から取っておりますので、実は白書が発刊した後に発射回数が激増しまして、昨年度は五十回を超える発射に至っているというふうに認識をしております。
また、ロシアでございますが、中国との戦略的な連携と相まって、安全保障上の強い懸念になっているというのが戦略の表現でございます。これにつきましては、NATOの東方拡大でありますとかカラー革命に対する警戒感というところを基にしまして、二〇一四年にクリミアを併合し、昨年ウクライナに対する侵略を行ったわけでございます。
ロシアの場合の特色は、間違いなく、ためらいのない軍事力行使ということでございます。また、その際に、軍事力とともに、いわゆるハイブリッド戦という形でサイバー攻撃あるいは情報戦といった非軍事的な手段を併用するという、そういう脅威であるということでございます。さらには、昨今のウクライナの状況、ウクライナ戦争の際に、核による威嚇ということまでやっておるということでございます。
これらの地政学的な様々な三者三様の挑戦に加えまして、戦略では、国際社会のガバナンスの低下というところに警告をしております。これにつきまして、米国、G7等の国際的な枠組みによるリスク管理というのは困難である、あるいは国連が十分に機能発揮できていないという、そういう記述があるわけですが、これは私なりに解釈をいたしますと、世界平和に対して特別の責任を負っておるというのが国連の安全保障理事会なわけですが、その常任理事国五か国のうち、実に二か国が秩序を維持する側ではなくて国際秩序に挑戦する側に回っていると、このことは国連が機能不全に陥っていることの非常に大きな要因であるというふうに考えております。
また、核軍縮ということを捉えましても、核不拡散条約におきまして核軍縮交渉を進める責任を持っております核保有国、これはロシアもそうでございますが、そのロシアが自ら核による威嚇を行っておるわけでございます。これは、非核保有国にとってみれば、核を持たなければ自国の安全は守れないのではないかという、そういう懸念を呼び起こすわけでございます。そういう意味で、核不拡散体制自体が形骸するという懸念が、非常に強い懸念が生じているということでございます。
また、戦後の国際秩序を支えてきた一つの大きな要素としまして、私はそれは米国の軍事力だというふうに理解をしておりますけれども、米国自身、内政的に経済格差等に起因する深刻な社会の分断、そういったものが対外的な方針、外交方針に大きな影響を与えるのではないかということが懸念されるところでございます。
こうした地政学的な挑戦と国際社会のガバナンスの低下ということに直面をいたしまして、戦略三文書は、これに対する対応の在り方ということで、どのようにこれにアプローチすべきかということを示したことでございます。
ここで、戦略三文書のポイントを三つ挙げたいと思います。
この一つ目は、国力全てを活用した対応ということでございます。これは言うまでもなく、中国を念頭に置いたときに、軍事力、外交力だけではなくて、国力全てを用いて、こちら側としても対応せざるを得ないということでございます。その表れが、国家安全保障戦略を我が国の安全保障政策の最上位の政策文書だと位置付けたことでございます。この位置付けは画期的なものだと思っております。
中国が、先ほど申し上げました超限戦を展開している、あるいはロシアに見られるようなハイブリッド戦と、こういったものに対応するためには、行政の縦割りを排しまして、外交と防衛のみならず、我が国の総合的な国力を有機的、効率的に用いなければならないということを明示したわけでございます。
その具体的な内容というのが、ここに掲げました各種の項目でございます。
また、二番目のポイントといたしまして、抑止力としての防衛力を抜本的に強化するという方針でございます。これは、向こう五年間で四十三兆円を投入しまして防衛力を抜本的に強化するということとしております。これにつきましては、七本の柱を立てて、防衛力整備の優先度とそれぞれの経費規模を明らかにしておるというふうに理解をしております。
やや具体的に申し上げますと、スタンドオフ防衛能力、あるいは無人装備、宇宙、サイバー、電磁波といった、これらの欠落している、あるいは現在自衛隊で整備が遅れている機能を向上させると。それとともに、この中に反撃能力がございます。これにつきましては、周辺国のミサイル能力の向上で、現有のミサイル防衛システムのみでは我が国の防衛が全うし切れないということを受けまして、自ら反撃能力を保有して相手の攻撃意図を制約すると、そのことによって抑止を図るという方針に転換したということでございます。また、防衛力整備計画の最初の五年間で、装備品の可動率の向上あるいは弾薬備蓄の増加を図る、それをもちまして、現在持っております装備品、自衛隊の能力をまず一〇〇%発揮できる、そういう体制に持っていこうとしているということでございます。
これらの事業を行うことによりまして、二〇二七年度に、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を合わせてGDPの二%を達成するというのが今回の方針でございますが、二%という数字について様々議論はありますけれども、私自身は、主要先進国の水準から比べましても妥当なものだというふうに考えております。
三番目のポイントは、次のページでございますが、外交の積極的な展開ということでございます。
先ほど、ロシアについては軍事力の行使についてためらいがないということを申し上げましたけれども、このウクライナの戦争の事例というのは、外交を軍事力で代替することはできないという教訓を示したものだと思っております。他方、我が国としましては、外交を軍事力で代替してはいけないというのが国是であるというふうに私は理解しております。俗な言い方をして恐縮ですが、国際社会の中で、話せば分かる人たちばかりではありません。しかし、話さなければ分からないというのも真実だと思います。その意味で、今回の国家安全保障戦略の中では、我々が取るべき第一の戦略的アプローチは外交であるということを明示したところでございます。
したがいまして、防衛力の抜本的強化は実際に行うわけですが、これは、自分の国は自分で守り抜ける防衛力を持つということが外交の地歩を固めるものなのだと、そういう位置付けの下で行われる政策であるということでございます。現に、中国との間でも、建設的かつ安定的な関係を構築すると、そのために様々なレベルの意思疎通を通じて、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案も含め対話をしっかりと重ね、共通の課題について協力をしていくという、そういう方針を掲げているところでございます。
また、本日は時間の関係で細部には触れませんけれども、戦略の中には、中国との対話だけではなくて、各国が広く結集できるような外交課題を列挙しまして、これへの取組が重要であるということも明示しておるわけでございます。
以上が、戦略三文書の三つのポイントでございます。
さらに、残された課題といたしまして、ここで掲げた戦略を実施していくに当たっての課題というものがございます。これは幾つかございますけれども、本日、この中で四つほど述べさせていただきます。
まず、防衛力といいますのは、つまるところ、装備と人でございます。
装備につきましては、これは、参考資料の後ろの方ですね、六ページ、失礼、八ページから九ページに、昨年の国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議の報告書の関連部分を抜粋しましたけれども、この中にも述べておりますが、我が国は、戦前と異なって国営の工廠がございません。したがいまして、自国での防衛装備品の研究開発、生産、調達、これらを安定的に確保しようとすると、これは全て防衛産業に頼らないといけないわけでございます。その意味で、ここに挙げましたような防衛産業の事業の魅力化、あるいは官民の先端技術の防衛装備品への活用、そういった各種の施策が重要になってくるということでございます。このため、現在、政府が国会に対して防衛産業の基盤強化法案を提出させていただいておると聞いておりますけれども、これが国会におきまして徹底的に審議されて早期に成立されることということを私は期待をいたしております。
二番目のポイントは、人の問題でございます。
自衛隊を構成する非常に大きな重要な要素であります人でございますが、少子化の中で人材確保が極めて重要になってきております。ここには、戦略の記述としまして、人的基盤強化のために優秀な人材の確保を図ると、ハラスメントを一切許容しないと、そういった組織環境を整備する等々が書いてございます。
これは特に八ページの参考の六のところにお示ししました有識者会議でもそういう議論が出たんですが、自衛隊員は職務遂行に当たりまして、あらかじめ自分が任官するときに、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努めると、これ、つまり、自分の命を懸けますということをあらかじめ宣誓しております。これ、こういう宣誓をしておるのは唯一自衛隊員だけでございます。そういった自衛隊員の処遇の改善というのが急務だというふうに私は考えてございます。
また、経済基盤、経済財政基盤の強化ということでございますが、ここには、先ほどの河村先生からも御指摘ございましたけれども、有事の際の財政余力、こういったものが極めて重要だという記述とともに、経済成長が我が国の安全保障の更なる改善を促すんだという安全と経済成長の好循環ということについても留意するんだということが方針として掲げられてございます。この点につきましても、有識者会議の報告書の中でも、具体的には、様々な形で、安全保障に関する事業というのが経済成長にも寄与し得るんだということが記述があるわけでございます。
今回、ここでお諮りされております財源確保法、これを含みます財源の確保措置につきましては、私も財政につきまして専門家ではございませんので、全く防衛の立場から申し上げるわけでございますけれども、まさにその有事に備えた財政余力の必要性あるいは持続性のある経済力、財政基盤の強化、国民の理解を得る必要性と歳出の効率化の必要性、あるいは現役世代での分かち合いの必要性等々について議論された上で、そうした各種の要素を勘案した結果が今提案されておる財源確保措置なんだろうというふうに理解をしております。
特に、かつて防衛省で国の防衛の仕事に携わった身から率直な考えを申し上げれば、防衛省・自衛隊というのは、先ほど申し上げましたように、文字どおり命を懸けて国民の生命、財産を守ろうとしておる、そういう組織でございます。これに対しまして、是非、国民の皆様方からの御理解と御支援を賜りたいというのが本音でございます。そういう意味で、財源確保につきましても、是非このような観点にも御配慮いただきながら御議論いただければ大変有り難いというふうに考えてございます。
最後に、これだけの経費規模を持っております防衛力整備計画でございますので、これが実際にどのように実施されているのかということを検証することが大変重要だと思います。戦略上では国家安全保障会議による定期的かつ体系的な評価ということが書いてございますけれども、これとともに、国会におきまして徹底的に検証されるということも重要だというふうに考えてございます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/93
-
094・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) ありがとうございました。
次に、森信参考人にお願いをいたします。森信参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/94
-
095・森信茂樹
○参考人(森信茂樹君) 東京財団政策研究所で研究主幹をしております森信です。
本日は、このような意見を述べる機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
私は、この法案には賛成の立場でありますが、防衛費の財源問題についてはいろいろ問題もあると思いますので、意見を申し上げたいと思います。
最初に、財源問題の議論のやり方についてです。岸田総理は、当初、防衛力の内容、予算規模、財源の三つを合わせて議論すべきだと繰り返し発言しておられましたが、実際は規模ありきの議論、結論となった印象を受けました。
防衛力の内容を示す防衛三文書の決定の前にGDP比二%という規模がおおむね決まり、中身の積み上げもなく、防衛大臣と財務大臣の協議で五年間四十三兆円が合意されました。国民からすれば、請求書の中身が分からないまま負担だけを押し付けられた格好になりました。
兆円単位の大型増税も含まれているだけに、具体的な中身、使途が国民に見える形で議論される必要があったのではないでしょうか。これまで消費増税の議論を見ますと、増税の結果、社会保障がどのように充実するのかを国民に示すことで曲がりなりにも国民の理解が進んだわけで、このような手順を踏まなかったことは残念だと考えております。
次に、スキームの中身について見てみたいと思います。
まず、評価すべき点としましては、赤字国債がスキームに入らなかったことです。戦前の経験、歴史を鑑みますと、戦時国債の発行による際限ない防衛費が、戦時国債の発行により際限なく防衛費が拡大していったという経験があり、その反省が行われているということは評価したいと思います。
現在アメリカなどで生じているインフレの原因をたどっていきますと、資源高やペントアップ需要だけではなく、底流にはトランプ、バイデン両大統領による拡張的な財政政策があるというのが米国のエコノミストの間で言われております。この懸念が現実化したのが、英国のトラス政権の拡張的財政政策です。大規模減税のための国債増発計画の公表が金利を急騰させ、ポンド安、株安を誘発し、減税の取りやめ、政権崩壊につながりました。国債増発による拡張的財政政策が財政赤字、経常赤字の拡大をもたらし、通貨安や金利高、インフレにつながるという市場の懸念が顕在化したわけです。
我が国のインフレ率はいまだ三%程度で、米英の状況とは異なっております。一方で、再びぶり返す円安はインフレ懸念を生じさせており、コロナ対策での累次の大型補正予算やグリーントランスフォーメーション投資など巨額の財源を必要とする施策が、つなぎ国債を含む国債発行で行われています。
こうした状況下で、長期にわたり恒久財源を必要とする防衛費を国債発行に頼ることは、逆に国力の脆弱化につながると思います。また、安易に国債発行に頼ることになれば、我が国経済にも不測の影響を及ぼしかねません。怖いのは、財政破綻というよりも、思わぬインフレにより弱者がしわ寄せを受けること、受けることにより社会が分断されることです。そのような事態を防ぐという観点からも、防衛財源に赤字国債が含まれなかったことは大変評価をしております。この点につきましては、先ほど河村さんからるる述べられたところだと思います。
いずれにしても、本委員会で議論されているこの法律のように、財源を確保する枠組みをきちっと定めると、法律で定めるということについては賛意を表したいと思います。
次に、本法案とは直接の関係はありませんが、別途、党税調で、与党税調で決められた防衛力強化に係る財源確保のための税制措置についてお話をしたいと思います。
税制改正大綱では、令和九年度に向けて複数年掛けて段階的に実施することとし、令和九年度において一兆円強を確保するとされました。
その具体的内容ですが、これは御承知のことだと思いますが、まず法人税について、法人税額に対し税率四から四・五%の新たな付加税を課す、中小法人に配慮する観点から、課税標準となる法人税額から五百万円を控除することとするとされました。所得税につきましては、所得税額に対し、当分の間、税率一%の新たな付加税を課すとし、復興特別所得税の税率を一%引き下げるとともに、課税期間を延長するとされました。また、たばこ税について、一本三円程度の引上げを段階的に実施するとされました。また、実施期間については、先ほど申し上げましたとおり、令和六年以降の適切な時期とすることとなりました。
このように、年間一兆円程度の増税を財源とすることにつきましては、防衛問題を自分事として考えるきっかけとなり、今後、野方図な防衛費拡大への歯止めとなるとも評価をしております。
この問題を考えるに当たっては、防衛費の性格や財源調達の歴史を見ていく必要があると思います。防衛という公共サービスは、対価を払わなくてもサービスを受けられる公共財です。個人や企業は、それによりもたらされる安心、安全があって初めて活動の自由が享受できるという意味で、幅広く受益しているわけです。
近代国家による戦費調達の歴史を見ますと、広く国民が負担すべきだという考え方の下で、所得税により調達されてきました。ドミニク・フリスビーの税金の歴史という書物によりますと、所得税が世界で最初に導入されたのは一七九九年の英国で、目的はナポレオン戦争の戦費調達でした。抜本的に見直され、本格的な税制になったのは一九一八年で、第一次世界大戦時です。米国でも所得税導入が本格的に議論されたのは一八一四年、対英戦争の戦費調達のためです。実際に導入されたのは一八六一年、南北戦争の戦費調達のためでした。
我が国でも累進制度を持つ所得税法が誕生したのは一八八七年で、富国強兵を実施するためです。一九四〇年に、第二次世界大戦に備えるため、所得税の対象が大幅に拡大されました。
このように、歴史を遡ると、戦費調達は広く国民が負担すべきだという考え方が背景にあることが分かります。
このような世界の税制の歴史、防衛という公共サービス費用の特殊性、さらには財政インフレリスクを考慮に入れると、安心、安全という利益を享受する幅広い主体が会費として負担するという考え方をベースとすることが望ましいと考えます。私が税負担を賛成する理由です。これは、財源論というより、国民が自国を守るためにその費用をどう負担すべきかというモラルの問題でもあります。
具体的な増税の中身について触れたいと思います。
まず、法人税への七千億から八千億程度の付加税です。
先進諸国は、法人税率を引き下げて他国から投資を呼び込む税の引下げ競争が自国の税収減につながったという反省から、多国籍企業を対象に一五%のグローバルミニマム税の導入をOECDで合意するなど、法人増税の潮流に転じています。バイデン政権でも、法人の自社株買いに課税するなど、法人課税の強化を行っております。
一方、我が国では、これまで継続的に法人減税してきたものの、雇用者の賃金増加や設備投資増加につながらなかったという反省があります。したがって、この程度の負担増はやむを得ないと考えます。
次に、所得税についてです。
累進構造の下で公平な負担をする所得税での負担は、防衛による財産保全というメリットが高所得者ほど大きいという観点からも賛成です。
一方で、東日本大震災の復興財源スキームを活用した点は、復興財源に手を付けるとの誤解を生じかねませんので、政府は復興財源の総額は確実に確保することをきちんと説明する必要があると思います。
私は、そのような誤解を生まないためにも、金融所得課税の見直しによる財源確保を行うべきだと考えています。金融所得の課税状況を見ると、いわゆる一億円の壁が存在しており、我が国の累進構造を弱めております。また、NISAの大幅拡充の恩恵が高所得者に偏ること、それから高所得者ほど防衛や安全からの受益が大きいことなどがその理由です。年間二千億程度の金融所得への課税強化は株式市場に与える影響も限定的で、高所得者限定の増税ならば国民の理解が得やすいのではないかと思います。
なお、増税は先延ばしすればするほど難しくなる上、つなぎの財源も必要となるので、年末には具体的な増税時期などをしっかり決めていただきたいと思います。
さて、一方で、それ以外の財源につきましても様々な問題があります。とりわけ、決算剰余金〇・七兆円、歳出改革一兆円という内容については、恒久的な財源と言えるかどうかは分からず、大きな問題を抱えていると思います。
まず、決算剰余金ですが、これは決算の結果生じるという概念でありまして、それをあらかじめ財源とすることは大きな問題を生じさせます。無理やり剰余金を出そうと、当初予算で国債費などを過大見積りしたり、過大計上したり、あるいは歳入予算を過小に見積もったりということが起きないように願っております。
また、毎年の補正予算は剰余金を財源としており、その活用ができなくなると赤字国債の増発につながっていきます。お金に色が付いているわけではないので、剰余金の元をたどっていくと補正予算の赤字国債だったということにもなりかねず、マネーロンダリングとの批判も生じかねません。
次に、歳出改革による財源捻出も問題があります。
財源スキームは、社会保障関係費以外についてこれまでの歳出改革の取組を実質的に継続する中で、防衛力整備計画対象経費の増加額のうち、二千百億円程度に対する財源を確保するとされています。この説明は極めて分かりにくく、社会保障関係費以外のどの費目にどの程度の歳出改革の可能性があるのか国民に分かりやすく説明するとともに、予算の付け替えに終わらないように、今後の予算編成を監視していく必要があると思います。
小泉内閣時代の二〇〇六年には、自民党の政調会長主導で歳出歳入一体改革が行われました。その結果、今後五年間の歳出改革の概要が骨太の方針二〇〇六で閣議決定されました。削減対象は、社会保障、人件費、公共投資など広範囲に及び、費目ごとに具体的な数値目標が明記されました。これを参考にしつつ、歳出改革を行っていく必要があると思います。
最後に、申し上げたいことがあります。
国を守るためには、国民が守るに値する国家づくりをしていくことが重要です。それには、国を支える経済力の強化、国民の勤労意欲向上、安心して消費できる社会づくりなどの政策もおろそかにすべきではないということです。
少子高齢化の進展で社会保障の持続可能性への信頼が揺らぎ、国民の将来不安が消費の低迷や少子化につながっています。フリーランス、ギグワーカー、非正規雇用を含めたセーフティーネットの拡充が必要です。このためには、受益と負担の国民的議論を行いつつ、必要な財源を確保していくことが必要だと思います。
以上です。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/95
-
096・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) ありがとうございました。
次に、纐纈参考人にお願いをいたします。纐纈参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/96
-
097・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) 現在、明治大学国際武器移転史研究所で客員研究員に就いております纐纈と申します。
今回は、このような場で意見を述べさせていただく機会を頂戴し、誠にありがとうございます。
私のお話は、先ほども、黒江参考人もお触れになりました戦略三文書、私は安保三文書と呼ばせていただきますけれども、この問題点につきまして、そもそも論になるかもしれませんけれども、五点ほどお話し申し上げ、その後、財源の問題、そして、我が国が向かわなければいけない安全保障の本来のあるべき姿はどこにあるのかといった問題につきお話をさせていただきたく存じます。
まず、五点ほど、この批判的な問題を触れさせていただきます。
レジュメ、いろいろ書いてございますけれども、一点目は、今回の三文書におきまして非常に特徴的なことは、中国への敵視認識というものが非常に明々白々に、ある意味では赤裸々に語られたこと、これであると思います。早速、中国を始め近隣アジア諸国は、これに対する懸念の表明を繰り返しております。
私は、中国という国との関わりというのは、経済関係含めまして大変大きな、重要な国であります。現在、中国は、二千七百兆円というGNP、もう既に世界第一位、これIMFの統計でございますけれども、第二位の二千二百兆円のアメリカを約五百兆円もの差を付けている超経済大国になりました。
何も、経済大国だから中国との交流を進めるという意味ではなくて、それだけ大きな経済的なパイを持っているわけですから、この国を敵視することは、同時的に、我が国民の経済力、生活力をも阻害しかねないと思います。なので、私は、中国に対する敵視論というのは根本的に間違いだと思っています。
二点目には、軍事ブロックの問題でございます。
今、日本は、日米安保、いわゆる日米同盟のみならず、AUKUS、クアッドなどなど多国間軍事ブロックに参入が相次いでおります。また、この度には、準NATO諸国入りすら検討されている由でございます。
私は、このような軍事ブロック化というものが、戦前の事例を見るまでもなく、世界に紛争の種をまきかねないという意味で、私は、軍事ブロックではなくて平和ブロックをつくるべきだと繰り返し説いてまいりました。
この問題は、国際、様々な問題がございます。その解決方法はいろいろございます。けれども、この三文書が示すところは、国際的な様々な事象に対して軍事的に対応する、つまり軍事には軍事をという、そういう関係性の中で国際秩序にこれを是正しようとしている。このことは私は根本的に誤りだと思っております。
三点目に、この三文書に示された内容、幾つかもちろん問題はございますけれども、私は長い間、軍事史研究者として国家総動員体制史を勉強してまいりました。それとの絡みでいえば、国家資源の防衛力への集中ということが大変ある意味では強く強調されていると思います。
人材も、それからこの資金も、ある意味では防衛のために一元的に集中するという、その方向性が果たして我が国のこれからのことを考えた場合取るべきスタンスなのかどうなのかと、これはもう十分に吟味しなければならないというふうに思います。まさに、国家総動員体制というものが戦後バージョンでつくり替えられようとしているのではないかという大変大きな懸念を持つものでございます。
四点目でございます。
戦前の国防三文書、帝国国防方針、国防に関する兵力、帝国軍の用兵綱領というものが一九〇七年、明治四十年に策定されました。ちょうど日露戦争後三年後でございます。以来、三回ほどこれが改定されまして、一九三六年、つまり盧溝橋事件の前年に戦前最後のいわゆる国防三文書が改定されました。
国防三文書が示したことは、日本があくまで戦争によってこの国力を世界に発揮していくという前提で書かれた公文書でございます。それと同じような基調でもって書かれたものが防衛三文書ではないかというふうに思います。
やはり、戦前の国防三文書も、仮想敵国、戦前は、帝国海軍はアメリカであり、帝国陸軍は旧ソ連でございました。アメリカ、ソ連という世界の陸軍大国、海軍大国を敵視することによって、日本が、軍拡に次ぐ軍拡によって膨らんでしまった軍事力、そして軍事力をかさに着て非常に侵略的な戦争に走ってしまった。そのことを歴史の教訓にたどるならば、ここの国防三文書とうり二つのこの安保三文書、これ大変大きな問題、ある意味では将来禍根を残しかねない大きな公文書だと私は思っております。
五点目に、統合司令部設置という話が出てまいりました。これは、もう随分前からこういうものが検討されていることは民間人の私もよく承知しておりました。
その統合司令部というのは、一口で言えば、戦前でいうと大本営、つまり、帝国陸海軍を一元的に統制、作戦運用するという、そういう統合機能を与えられたものが大本営だとするならば、この統合司令部もある意味ではそうしたものにまさに類似したもの、あるいは新しい戦争指導部ができた。このことによって、日本は、まあある意味では戦える自衛隊、戦える防衛力を整備したということにはなっておりますけれども、平和国家日本がそのような戦争指導部を形成することのプラス面とマイナス面、メリット、デメリットを勘案した場合には、さあどちらでしょうかという問題はきちっと考えておかなければいけないだろうというふうに思います。
続きまして、防衛費増額の問題でございます。
もうこれは再三議論されておることでありますから目新しいことは特段ございませんけれども、一口この場で申し上げたいことは、これだけの防衛費というものの増額が逆に外交力の柔軟性を欠くことにはなりはしないか。日本はいつも防衛力という名の軍事力を背中にしょって外交を展開するということは、やはりそこは、外交力を十全に発揮することではなくて、むしろ軍事力が表に出てしまう、表出してしまうという可能性を常に背負った外交力の展開になると。そうしますと、非常に広い、柔軟性を担保された外交力こそ本来の外交力であるべきなのが、これができなくなるという懸念を持ちます。
今、ある学会では、防衛外交という言葉がはやり出しておるやに聞いております。防衛力と外交力を一体化して、そして諸外国に対するある意味では圧力を掛け、そして外交力を発揮していくという考え方でございます。これが果たして本来のあるべき外交力の展開か、私は大変疑わしいというふうに思っております。
真ん中のグラフ、これはもう御案内のとおりのグラフでございます。
日本は経済的に大変相対的に劣化状況にありまして、今から十年前は、世界のGNPに占める日本のGNPは何と一六%、ひところは一割国家と言われましたが、十年後の現在におきましては、世界に占めるGNP比率が一〇%ダウンの六%に落ちております。こういう財政状況下でこれだけ巨大な防衛力を用意するということの矛盾というのは、多くの国民、有権者はやはり疑問に思っているのではないかというふうに思います。
また、三番目の表を御覧ください。
今、アメリカは世界に現在十七、八万のアメリカ軍を展開しておりますけれども、現時点では日本のアメリカ駐留軍が世界で一番でございます。五万五千という状況になっております。
となりますと、駐留米軍に対する同盟強靱化経費というそうですけれども、これが現在、大体四千億円を軽く超しております。これが恐らく今後も大変財政の逼迫に拍車を掛けるのではないかというふうに思えてなりません。そういう意味でも、やはり防衛力の強化が日本の貧困化に結果してしまうというおそれを多分に持ちます。
そして、三番目のところでございます。
ここは、私が一番今日は申し上げておきたかったところなんですけれども、それじゃ、どうするんだと、そういう、ある意味ではリアリズムに反して、理想論ばっかり言っていいのかというのは当然出てまいります。そしてまた、防衛力強化のために日頃尽力されている方々に敬意を表しつつも、私は、日本の安全保障を担保するための抑止力強化、向上という言葉が繰り返し繰り返し出てまいります。でも、皆さん、こんなふうに考えてみてください。昨年、二〇二二年四月、あっ、ごめんなさい、二月のロシアのウクライナ侵略、あれをどう評価するのでしょうか。私の見立てはこうなんです。アメリカを中心とするNATO諸国、もう現在三十か国近くなりましたですね。強大な軍事力を欧州に備蓄、配置しております。それでもロシアの侵略を防げなかったのではないでしょうか。ここはやはりしっかり踏みとどまって考えるべきだと思います。
私が申し上げたいのは、幾ら強大な抑止力を蓄積しても侵略は止められない、止められなかったという歴然たる事実、これをどう理解するかと思います。日米安保があったればこそ、例えば中国や朝鮮の侵略を受けなかったと説く方もおられます。果たしてそうでしょうか。そうで私はないと思います。確かに中国の戦略を見ますると、これは六ページのところに書いておりますけれども、二〇一九年の中国の国防白書を見てみますと、これは中国語でありますけれども、チャンドゥウェイシアと言いますけれども、これは日本語に訳しますと、戦略的抑止と訳します。ウェイシアという言葉は、もっと正確に訳しますと、威圧、プレッシャーですね、軍事力によるプレッシャーを意味します。つまり、中国もある意味では強大な軍事力をこさえて、そして言うところの抑止力を高め、そして覇権政策を貫徹しようとしている。ということは、中国も抑止力に依存している、そしてまた日本も戦略三文書、安保三文書に示されたように、抑止力に依存しようとしている。つまり、相互抑止が働いて、その結果、どういうことになりましょうか。中国の軍拡、そして日本の防衛力増強という名の軍拡、つまり相互にお互いに軍拡のスパイラル、負の連鎖にはまり込んでしまっている、そのことをどう捉え返すのかということだろうと思います。私は、必要なことは反撃能力を持つことではないと思います。
今、参考人で御出席の黒江哲郎氏が毎日新聞のコメントにこう書かれております。日本が仮に反撃能力を持たないと宣言しても彼らは軍拡をやめないだろうと、そのとおりだと思います。そのとおりだと思います。そういう意味では、黒江氏のコメントの内容はまさに合理的かつ論理的です。なので反撃力持つのではなくて、なので反撃力、つまり抑止力に頼らない防衛力の構築、あるいは安全保障政策の構築というものが求められているというふうに私は思います。
そのことをこの中盤のところに書かせていただいております。相互抑止関係の清算の方途を試みる必要、これがある、その一つの方法としては、もちろんこれは正解ではなくて、学会のレベルでは一方的軍縮とか同時軍縮とか、そういう新たな軍縮論も様々な形で議論されております。優先すべきは、反撃能力の保有ではなく、交渉促進のための意欲である、このことを申し上げたい。
そして、もう一つ付け加えさせていただくならば、今、核抑止の問題が様々な場で語られていると思います。議員の先生方も、よく核抑止というものが必要である、そのとおりだと思います。しかし、こういう問題もございます。ロシアがウクライナに侵略したもう一つの理由は、核抑止力が担保されている、つまり核抑止という均衡、いわゆる安定が得られた、なので通常兵器で侵略しても構わない、つまり核抑止という考え方が逆にロシアの侵略戦争を呼び込んだという捉え方も私はしていいのではないかと思います。そういう意味でいうと、抑止論というのは、核抑止であれ通常兵器による抑止であれ、これは大変危険な選択肢だというふうに思いますし、この日本国民のみならず、アジア諸国民をも多大な犠牲を強いる可能性のある考え方だと私は思っております。
そういう意味で、これからの日本の安全保障の在り方は、抑止力に依存するのではなく、換言すれば、抑止力というある意味では神話に依存するのではなく、そこから脱却して新しい交渉力、外交力を身に付け、それで日本の未来を切り開いていく、このことが最も問われているのにもかかわらず、巨大な防衛費というものをこさえて、そして先ほども少し触れましたけれども、貧困化というものを導きかねないとするならば、これは大変大きな問題でございます。今真剣にこの法案を審議されている先生方を前にしては大変失礼な物の言い方かもしれませんけれども、無駄とは言いませんけれども、余り有効ではない力を蓄えるために貴重な財源をこさえるということ自体、果たしてどうなのかなというふうに思います。
ほかの点につきましては、もう時間がございませんので、後ほど御質問等がありますれば、お答えさせていただくことにいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/97
-
098・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/98
-
099・古川俊治
○古川俊治君 参考人の皆様方、本当にありがとうございました。
最初に、自由民主党の古川俊治から質問させていただきたいと思っております。
まず、河村様あるいは森信参考人、お二人のお話は大変、河村参考人は財務省の審議会の委員をやられていると、それから森信参考人は宮沢先生の一年先輩というふうに伺いましたけれども、本当に財務省に長らくいられた方ということで、大変筋金入りというか、筋の通った財政再建論をお話しいただいたというふうに思っております。
〔委員長退席、理事大家敏志君着席〕
河村参考人から解決策というお話もありましたし、また、森信参考人からも、この積み上がった赤字国債をどうするのかというお話がメインだと思いますけれども、実は私どもも、これは国会議員全員だと思うんですが、これどうやって解決したらいいかということのために日々なかなかずっと議論を闘わせているわけでございまして、一概に、皆さんで解決策が余りない状況に陥っているのが現在だというふうに思っております。
今、ほかにも、もちろんお金に切れ目はないわけですから、子育てにも金が掛かると、これが高齢化してくると医療や介護にも金が掛かると。で、今のこの安全保障環境はやっぱり防衛力増強大事だよねという話になってくると、さあ、この財源どうするのかという話になってまいります。あと、そうすると、どこかから、もし国債に依存しないとなれば、どこかからお金を持ってこなきゃいけないわけですけれども、この一つの方法は、かなり、これだけ積み上がったものですから、ちょっとの増税じゃ済まなくなります。大きな増税どこかで考えなきゃいけないということになるか、あるいは、現在でも、実を言うと、我々、ずっとこの経済、長年停滞を続けているこの経済をどうしようかということでもかなり議論してきました。なかなか、ちょっと投資を行ってしまうとGDPギャップが需要不足になっていくという経済がずっと続いていて、GDPは上がらない、民間給与も上がらない、しようがないからちょっと国から投資してその需要不足を埋めてきたというのが今までだと思うんですね。
こういう状況で、ちょっと先ほど森信参考人からは金融所得課税のお話がございまして、ここも十分考えられる。ただ、規模として大きなものになってしまうと、やはり金融市場を通した資金調達というのも企業が難しくなって、あるいは日本がなかなか企業活動に向かない国だというふうに見られかねないので、この辺もちょっとそのバランスを考えながらということになってきて、大きな財源は出ない気がします。
もう一方で、済みません、意見表明になって、二〇〇六年、先ほど小泉改革の話がございましたけれども、私はあのときに医療現場におりまして、大変つらい思いをいたしました。そういう意味では、やはり財政を縮小しようとすれば、どこかから給付が落ちるわけですから、現場のやっぱり生きている人たちにはかなりの影響が及ぶということもございます。
その中で、河村参考人、森信参考人、これだけはやっぱり国会に言っておかなきゃいけないよと、これを、具体的な政策があれば、もし、一番うれしい、いいと思うんですが、どういうことをやるべきなのかということをお二人には是非ちょっと御提示いただきたいなと思いました。
それから、黒江参考人、本当にありがとうございました。事務次官の立場から本当に防衛力を支えてきた、今でも大変専門的な見方を御提示いただきまして、ありがとうございます。この防衛装備品の国内の開発というものは非常に重要だというふうに考えておりまして、これだけ大きな投資をして、それがなるべくなことであれば国内企業によって実用化されていくと。それが国内の経済も回っていくという好循環をつくれるきっかけにもなるというふうに思っておりますが、しかしながら、これだけもう今、防衛装備品の、国内の防衛産業というものが衰退をしていると。どうしてもこれ技術がないというところがございます。そういう中で、今は新型の兵器なんかは国際の研究開発が非常に進んでいるというふうに思っております。
で、その事務次官のもう御経験から言って、まあ我々もこれから有志になれる国とはこれを、防衛力はやはり一緒にやっていかなきゃいけないと考えておりますが、その間、ちょっと今までの御経験で、やはり国際関係になってきて、日本の防衛省のどこか難点というのは、どこかあるかどうか。御経験に基づいて、他国とやっていく上で難しさというの、もしあったら教えていただきたい。これ、特にその防衛力の、その装備品の開発というところでちょっと関心を持っているものですから、お教えいただきたいと思っております。
最後、纐纈参考人に伺いたいというふうに思っております。
ちょっと全体としてですけれども、ウクライナは防衛の、済みません、集団安全保障体制、NATOがやっぱり抑止にならなかったというお話をされましたけれども、これ、ウクライナ、NATOに入っていなかったんですね。ですから、守る必要がなかったわけです、NATOの諸国は。それなんで、ロシアはそれを見越して、もちろんウクライナ以外にももっと小さい国もあったんですよ。ただ、それNATOに入っていた。で、NATOに入っていないウクライナは、NATOの諸国にやっぱりやられないだろうから、ロシアは入りやすかったわけですね。それなんで、ウクライナができてしまったと。
その教訓からは、やはり日本は集団安全保障体制をしっかり持つと、そして、他国の、まあ同盟国の力も使った抑止力を持っていくというのが、取りあえずこのロシアの侵攻における我々たちの、まあ一般的な国の考え方だというふうに理解しております。
その中で、いろんな御意見、もはやもう抑止力が効かないと、そうかもしれません。ですけれども、各国、やっぱり狭く見ると集団安全保障体制を取っているんですね、世界各国。欧米の、もちろんアメリカは当然のこととして、ヨーロッパ各国もやはりそうやっています。スイスでさえもかなり自国の防衛力は強いわけですね。それで見ると、日本だけがなかなかそれやめるべきだというのもちょっと現実的じゃないんじゃないかというふうに思っておりまして、それから見て、やはり中国の話で、あれだけやってももうやめないよという話もありましたけれども、やっぱり台湾にという問題もございます。
その中で、じゃ、今これからやはり日本としてやらなきゃいけないこと、各国がそういう状況の中でどうお考えなのか、ちょっとそこを教えていただきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/99
-
100・大家敏志
○理事(大家敏志君) 先生、四名続けていかれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/100
-
101・古川俊治
○古川俊治君 はい、もちろん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/101
-
102・大家敏志
○理事(大家敏志君) 時間が少ないので、簡潔に、じゃ、いいですか。河村参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/102
-
103・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 私からでよろしいでしょうか。済みません。
古川先生、御質問くださいましてありがとうございます。じゃ、私の方から簡潔に、歳入とこれは歳出の改革についてどういうふうに考えているかというふうに御質問いただいたというふうに認識しておりますので、簡単にお話しさせていただきたいと思います。
歳入の面では、まだまだ努力できる余地、いっぱいあると思います。私、思いますには、誰だって税たくさん取られたくないですよね。それは企業も、国民個人も一緒だと思うんですけど、そのある意味甘えの感情の方にばっかりちょっと配慮し過ぎちゃうとやっぱり良くないんじゃないかなと。基本的に、もう本当に総理がこの防衛力増強でも繰り返しおっしゃっていらっしゃるように、やっぱり今を生きる私たちの、今を生きる私たちが恩恵を受ける分については今を生きる私たちの世代できちんとしかるべき負担をしようという、そういう気概をみんなで、国民みんなで持ちましょう、それは防衛力増強だけには限りませんよということで是非考えていただきたい。
その目で見たときに、歳入の面で、税制改革の面では二つポイントがあると思うんですが、一つ目のポイントは、余力のあるセクター、それなりにこの国にあると思うんですね。企業セクターも非常に絶好調なセクターもある。商社さんとかもそうですね。
海外だとウインドフォール課税までやっているじゃないですか。最近、本当に、法人税課税を強化する方向で、どこの国にもやっぱりコロナの後大変なセクターは大変だったから、でも逆に、二極化した企業セクターも、結構稼いだところもすごくあったから、そっちにそれなりに払ってねということで、ウインドフォール課税とかやっていますよね、資源関連の課税とかでの。企業、すごいもうけていらっしゃるじゃないですか。
で、それでそういう課税をやって、そういう国の企業がみんな文句言うかといったら、皆さん黙って分かりましたって言って。だって、それ何で分かりましたって言うか、文句言わないかっていうと、誰か余力がある人が払うしかないからですよ。だから、そういうことをなぜ、日本が一番、世界で一番、歳入欠陥の国だと私は思うんですけど、残念ですが。でも、それが事実だと思うんですが、なぜ考えていただけないのか、是非そういうことを考えていただきたい。
あと、歳入の観点でもう一つは、公平です。課税の公平です。だから、先生おっしゃってくださった……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/103
-
104・大家敏志
○理事(大家敏志君) そろそろおまとめいただいて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/104
-
105・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 金融所得課税、市場への影響とかはあるとは思いますけれども、でも、やっぱり課税の公平をきちんと考えて、総合課税化をもう少し進めるとか是非是非やっていただきたい。
それから、あと所得ベースですね、課税ベースのところですね。所得税の配偶者控除の話であるとか、それから租特の問題、法人課税の租特の問題。いや、この前も毎日新聞に大きな記事出ていましたよね。何か、献金たくさんしている企業の租特の、何かまけてもらっている幅が多いんじゃないかとか、そういう話もあって……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/105
-
106・大家敏志
○理事(大家敏志君) 先生、そろそろおまとめいただいて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/106
-
107・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 済みません。
そういう辺りもお願いします。あと、歳出改革については、無駄を減らせ無駄を減らせと言うと、例えば、私にとっては無駄でも……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/107
-
108・大家敏志
○理事(大家敏志君) 残り六分で三名います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/108
-
109・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 別の方にとっては無駄じゃないということがあると思うので、私が思いますのは、無駄かどうかじゃなくて、この国、これだけ人口が減っているんだから、人口減少にそぐう形での財政、一番端的には地方財政だと思います。社会保障の改革は皆さん議論するけど、地方財政のところって随分おざなりじゃないですか。ずっとこのところ地方の一般財源、前年同水準ルールで来てますけど、これだけ人口が減っているんだから、そこもやっぱりしっかり考え直して、教育制度とかもそうですけど、人口減少のトレンドに合った国の形をつくり変えていくことを通じてきちんと歳出改革もしていく、それが必要だと思います。
申し訳ありません。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/109
-
110・大家敏志
○理事(大家敏志君) 黒江参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/110
-
111・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) ありがとうございます。
国際共同開発、これは、広い意味で捉えますと、防衛装備の移転ということの、そういう文脈で考えられるわけですが、私、方針、国としての方針が必ずしも明確でないと、あるいはその制度が十分でない、さらに、企業側のその心持ちがなかなかそれに付いていってない、こういう三点があるんだろうと思います。
方針といいますのは、戦略的にどういった地域とどういう関係を結ぶかという、そういう方針をやはりこれは官側が示さないといけないだろうと。
それから、制度として、例えば国際共同開発したときに、第三国に移転する際の制約というのがあるわけです。これがやはり他国と比べると、やはり日本の場合にはなかなか制約が大きいというふうに捉えられているということ。あるいは、セキュリティークリアランスの問題。これは、同じレベルで他国との間で秘密の技術等々について議論できるベースがない。
最後の心持ちというのは、いわゆるレピュテーションリスクを企業側が感じていると、そういうところだと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/111
-
112・大家敏志
○理事(大家敏志君) ありがとうございます。
森信参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/112
-
113・森信茂樹
○参考人(森信茂樹君) 時間の関係で、ピンポイントして申し上げたいと思います。
私は、例えば今の政府の少子化対策の財源問題なども、やっぱり税の議論を封じる、最初から封じているのが問題だと思います。例えば、少子化対策三兆円というのは消費税に直すと一%なんですが、これ、消費税を増税して少子化対策に全額充てれば、高所得者の負担を消費性向の高い勤労世帯に移すことにもつながりますので、経済が活性化すると思いますし、今この消費税一%分の増税を、デジタルを使って、〇・五、〇・五あるいは〇・三、〇・三、〇・三という形で引き上げるようなことも私はできると思うんですね、レジが軽減税率のおかげで近代化しましたから。そういうことも考えて、新しいデジタル時代のやっぱり少子化対策を考えていくべきじゃないかと思います。
そのときに、消費税、逆進性がいろいろあると言われますが、それは、給付付き税額控除というものも、また、これもまたマイナンバーで国民所得の、国民のほぼ全員の所得が把握されてますから、それを活用して返していくという制度が可能になっているわけですね。だから、そういうことを活用してやったらどうかと思います。
時間の関係でちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/113
-
114・大家敏志
○理事(大家敏志君) 纐纈さん、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/114
-
115・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) 一点だけ。
古川先生、ありがとうございました。
ウクライナは、二〇一四年以降、準NATO諸国と私は見ておりました。二〇一四年にドンバス戦争が始まって以来、あのマイダン革命前後して、事実上ウクライナは、アメリカの軍事顧問団千名近くが入っているという情報もございます。そういう意味でいうと、ウクライナもある意味ではNATO諸国、事実上入っていたというふうなカウントも可能かと思います。
〔理事大家敏志君退席、委員長着席〕
もう一つは、将来、じゃ、どうすればいいか。これはやっぱり、ASEAN諸国との平和地帯構想、これはやっぱり外交力でもって推し進めることによって中国あるいは朝鮮との関係性というものを改善していくという、この外交努力というものをやはり求められているというふうに思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/115
-
116・古川俊治
○古川俊治君 どうもありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/116
-
117・勝部賢志
○勝部賢志君 立憲民主・社民の勝部賢志でございます。
今日は、参考人の皆さん、ありがとうございます。
時間が限られていますので早速お伺いをしたいと思いますけれども、まず初めに、森信参考人にお伺いをしたいと思います。
法律で、その財源をしっかり確保することを議論をすることは基本的に賛成だというお話でありました。けれども、内容としては非常に問題があるという御発言でありましたんで、そこを少しはっきりともう一度、はっきりとというより、もう少し教えていただけたらというふうに思うんですが、一つは、私ども問題にしているのは、三十四兆円という額が先にありきでそれを議論してきたと、(発言する者あり)あっ、失礼しました、四十三兆円、失礼しました、四十三兆円ですね。国民からすれば、請求書の中身が分からないまま代金だけ押し付けられた格好になっていると、まさにそのことを表しているのではないかと思いますが、そのことの更なる御説明と、更に加えて、その四十三兆円という額について先生はどのようにお考えかということが一点です。
それから二つ目は、決算剰余金とか特別会計からの繰入れなどは恒久財源としてはなり得ないものだと、したがってマネーロンダリングも招きかねないという御発言がありましたので、その点、更に付加して御説明いただければ有り難いと。
最後に、もう一つは、私ども、これが一番問題だと思っていますけれど、やっぱり、増税というんでしょうか、税に頼らなければやっぱり確保できないという議論をしていながら、その税の中身が全く具体で示されない。だから、私は、今回の法律に、やっぱり税の議論もしっかりセットでやるべきだと、示すべきだと、そう考えていますが、先生のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/117
-
118・森信茂樹
○参考人(森信茂樹君) お答え申し上げます。
第一点の点は、やはり積み上げという形の議論がなくて、まず総額が決まってしまったというのが私の印象です。これは、やっぱり議論をする順番がちょっと違うんじゃないかということで、ただ、四十三兆円が正しいかどうかっていうのは、私、ちょっとこの判断する能力はありません。ただ、その議論の仕方が、先ほども申しましたが、消費税等々については、やっぱり使途をどうして、このために使うからこれだけの財源が必要だというような話がずっとあったわけですね、両方セットで、負担と給付がセットで議論されてきたんですが、今回はそうじゃなかったという点が問題だというふうに私は思っております。
それから二点目の、マネロンと言ったら主計局に怒られそうですが、特に問題になります、剰余金というのは、誰が考えても、締めてみた後の概念ですよね。決算をしてみて、締めてこれだけ余ったねという概念を、それが最初から財源だというのは、何かどう考えても論理矛盾じゃないかと私は思います。
それで、やはり剰余金、さらにその問題なのは、この今までの、去年、おととしのコロナの関係の予算を見てみますと、要するに補正予算をほとんど、前回ならば八割ぐらいが赤字国債で、あれですね、賄われて、さらにそれが、予備費なんかもこの補正でまた積み増されて、結果的に何かそれが使い切れなくて残って、それが剰余金ということになりますと、どう考えても、たどっていけば、元をたどっていけばやっぱり赤字国債だったということに今までなっていると思いますので、これからそういうことのないようにお願いしたいなというのが第二点でございます。
それから、やっぱり税の中身は、なかなかこれは、年に一回というふうな形で今までずっと税制改正大綱が決まっているのが通常でしたので、同時並行的にするのが難しかったのかもしれませんが、やはりこの財源問題として、どういう税を、これは今年のまた年末にかけて議論になるんだというふうに思いますが、本当に、先ほど申しましたように、金融所得の課税はなくて、財源なくていいのかと。
やはり税の議論といいますのは、併せて、この財源確保だけではなくて、社会がどう変わるかというところも併せて議論になってきますので、そういう議論も併せて行ってほしいなというふうに考えている次第です。
以上です。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/118
-
119・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 勝部賢志君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/119
-
120・勝部賢志
○勝部賢志君 あっ、済みません。
どうもありがとうございました。
続けて、纐纈参考人にお伺いをしたいと思います。
纐纈参考人が書かれた本の中に、「総力戦体制研究」という、ちょっと大分昔の書物ですけれど、その中で、戦前、官軍産学が総力戦体制をしいて、戦後それが、例えばですが三菱重工などの防衛村、あるいは日立、東芝、ゼネコンなどが原発村ということで、そういうその経済、ある意味それが高度経済成長を支えてはきたんですけれども、結果として今それはもう完全に、何というんですか、斜陽というか凋落していて、今回のこの流れは、ひょっとするとこういった防衛村とか、あるいはこの間GXの法案なんかの審議もありましたんですけど、やっぱりその原発村みたいなものにまた回帰していくのではないかと、そういう流れをたどるのではないかというような思いをちょっと持っているんですが、その点いかがかということと、日本の防衛のあるべき姿をもう一度根本から考える必要があるという趣旨の御発言があったと思います。私も同感でありまして、防衛力を強化することが直ちに日本の防衛を強化することにただただつながるかどうかということは、やはりその外交の問題も含めて考えるべきだと思っています。その点、もう少し付け加えて御発言あればお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/120
-
121・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) 勝部議員、御質問ありがとうございます。二点、御質問いただきました。
最初に御案内いただきましたのは、一九八一年、私がまだ二十九歳のときに書きました「総力戦体制研究」、サブタイトルが日本陸軍の国家総動員構想という本でございます。そこで、初めて戦前のいわゆる軍国主義、あるいはファシズムというものが、そういう抽象論ではなくて具体的な形態を伴って日本が国家総動員体制を取り、そして最終的には敗戦の憂き目に遭うような戦争国家になっていったというそのプロセスを実証した本が「総力戦体制研究」であったわけでございます。
そういう意味で、そこに書きましたことを一つだけ取り上げてみたいと思いますけれども、一九一八年、これは大正七年になりますけれども、軍需工業動員法という法律が制定されました。これは、一口で言ってしまえば軍需と民需をワンセットにする、一体化をする、つまり軍工廠だけでは、つまり官営工場だけでは武器生産等々が不可能であったために、戦争国家にしていくためにはいわゆる民間企業にもいわゆる武器生産を委託するという、いわゆる官民合同と当時言っておりました。
つまり、現在はそういう方向性を今たどりつつあるのではないかという、議員もそういう御懸念を表明されましたけれども、私も全く同感でありまして、いずれ軍需と民需が日本でも軍産複合体という形で一体化をし、これが非常に大きな政治的な役割も、経済的な役割のみならず、政治的にも経済的にも、そして更にもう軍事的にも、ある意味では大きな権力構造をつくり上げていくのではないかという、そういう怖さを私は今ひしひしと感じておりまして、そういう方向性を、今、いよいよもって今回の三文書によってその道筋がつくられてしまったと。これは、もうある意味では一生懸命それをつくられた方々には大変失礼な言い方かもしれませんけども、そういういわゆる軍国日本への先祖返りのような可能性というものを、私は歴史研究者ですから、どうしてもそういう方向に目が向いてしまいます。
だけども、これは、やはり私は自信を持って、そういう方向性の中に今、日本はたどりつつあるんだということを、ある意味では一研究者としては警鐘を乱打させていただきたいなというふうに思っています。
ならば、二点目の御質問でございます。
今後、防衛力に頼らない日本の平和力の構築、展開というものはどういうものがあるかと。先ほど最後の方に少し申し上げましたけれども、やはりこのアジア地帯に平和共同体というものをやはりつくり上げていく。そのためには、ただ単に中国や朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮という言葉ではなくて、私、朝鮮という言葉を使いますけれども、そういったものを非常に排除的、あるいは外側に追いやるのではなくて、やっぱり抱き込むような形で、やはりそこはいろんな矛盾、いろんな困難性を抱えながら、文字どおり外交力によって十分に担保できる領域だというように私は思っておりますし、日本の外交力というものは、大変レベルの高い外交官僚の皆さん方おられますので、民間の有識者等々含めまして英知を集めて、防衛力に頼らない平和安全構想というものをやはりつくり上げていくということが、今本当に多くの方々もそれを実は望んでおられます。それに代わる法律、代わる政策というものが、積極的な法律が、政策が提言ができないがために、今ある流れというものになかなかさお差せないという状況下にあると思います。
そういうためにも、私は、平和共同体構想というものを、学界という狭い領域だけではなくて、政界、財界含めて広めていかなければいけないというふうに思っております。
大変抽象的なお答えですけれども、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/121
-
122・勝部賢志
○勝部賢志君 ありがとうございました。
続いて、河村参考人にお伺いしたいと思うんですけれども。
先ほど、日本の財政は崖っ縁に立たされている、財政だけじゃないのかもしれないですけれど、経済状況とかですね、戦わずして負けるというような御発言がありました。要は、何ぼいろんな兵器、武器というか防衛資源を整えても、そこに人の生活がきちっとなければ、結局、経済力もなければ、有事になっても戦えないんじゃないかということなんだと思うんですけど、そこから脱するために、今防衛費は四十三兆円と言っていまして、一方で子供予算は三兆円半ばって、こう言っています。防衛費の方が先に出て、財確法を今審議しているので、この額を確定しようということが先に来るわけですけれど、じゃ、三兆円超えをどうやって確保するんだというのも一方で非常に大事だと思うんですね。
そういう意味で、国力をしっかり維持するということでいったときに、その防衛費と今例えば子育て予算、それ以外にもあると思いますが、そういうのをどうバランスよく考えていったらいいのか、その辺、御示唆をいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/122
-
123・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 勝部先生、御質問ありがとうございます。
私としては、確かにその防衛予算だけではない、子育てもある、それ以外の予算もございますね、どうやってバランスを取っていったらいいか、確かに難しい問題なんですけれども、ただ、この国、やっぱりそういうある程度、少し歳出積み増すのに堪える余力があると思います。それは国債出してということではなくて、逆に担税力まだあると思います。
ですから、そこからどうか公平な形で、まだ余力のある方いらっしゃると思うんですね、うまく歳入を確保するやり方というのは先ほどちょっと申し上げましたが、是非、お考えいただきたいと思います。
それだけでなくて、忘れてはいけないのはコロナ対策どうするのか、それも忘れてはいけない課題で、使ってしまったお金ですけど、是非お考えいただきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/123
-
124・勝部賢志
○勝部賢志君 それでは、黒江参考人にもお伺いをしたいと思うんですけれども。
これまで制服組のトップということで、あっ、失礼しました、背広組のトップということで防衛に携わってこられました。御尽力には心から敬意を表したいと思うんですけれども、制服組というんですかね、例えばですが、香田洋二さんなんかは、少し今回のこの考え方について異論を唱えたり、あるいは、もう少ししっかり積み上げた議論が必要じゃないかとか、現場のにおいが余りしないというような御発言もあります。
そういうその内部の方々といいましょうか、携わってこられた方々の御意見をどのように受け止めておられる、ちょっと答えにくい質問かもしれませんけれど、そのことをどのようにお受け止めになっておられるのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/124
-
125・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) 御質問ありがとうございます。
今御引用なされました香田先生のコメントにつきましては、私も折に触れて拝見しておりますけれども、他方、正直申し上げまして、現場のにおいでありますとか積み上げが足らないんじゃないかということに対して、私は強い違和感を感じております。正直申し上げます。
これは、香田さん御自身、私よりも先輩でございますので、早く防衛省を去っておられます。さらに、私自身も既に退職してもう五年以上になりますけれども、今回の防衛力整備計画の検討の過程におきましては、まさにその現場レベルのニーズといったものを積み上げていった上で、かなり多額の、本当にその短期間のうちにきちんとした防衛力を積み上げようとすれば、かなり多額のものが必要である、投資が必要であるといったことを踏まえて、それを財政当局等ときちんと議論をした上で出てきたものが四十三兆円であるということで、防衛省が出しておりますパンフレット見ても、主要な項目について幾らぐらいずつ掛かるんだということがきちんと形としてあるわけでございます。
そういったこと、あるいはその省内での検討過程でも、制服組、背広組というのは一体となって、防衛大臣の指導の下できちんと議論を長年、長年といいますか、一年半以上積み重ねた結果がこうであるというふうに私は聞いておりますので、正直申し上げて、ちょっとなかなか私には理解し難いということでございます。
失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/125
-
126・勝部賢志
○勝部賢志君 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/126
-
127・上田勇
○上田勇君 公明党の上田勇でございます。
今日、参考人の先生方には、大変お忙しい中御出席をいただき貴重な御意見をいただきましたこと、改めて御礼を申し上げます。
今日、河村参考人と森信参考人からは、防衛力の強化については基本的に賛成という立場で、これを前提とした、主として財源確保について、基本的には財政規律を重んじる立場からの御意見をいただいたというふうに理解をしております。そして、黒江参考人、纐纈参考人からは、主として我が国の防衛力の在り方、安全保障の在り方についての貴重な御意見を頂戴をいたしました。
今日いただきました御発言、そしてまた、これまでそれぞれの皆様のいろんな著作であるとかメディアに載っている記事なども事前に読ませていただきましたので、そういったことも参考にしてちょっと御質問をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、河村参考人にお伺いをいたしますが、財政、今日の御発言の中でも、今の財政規律については大変大きな懸念を持っているということはもうこれ理解をさせていただきました。ただ、今いろいろ言われていることの中に、これまでも大量に国債を発行してまいりました。ところが、現実には物価も安定をしていたというか、むしろデフレ状態がずっと続いてきたし、金利もずっと安定をしてきたというのが、これまで実績があります。
そこで、財政理論、経済理論の一部には、国債はもっと発行しても、これは財政の健全性や持続可能性は大丈夫なんだというような、MMTに代表されるような議論もございます。もちろん、先生はこれには賛成でないという立場だというふうには思いますけれども、そこで、お伺いしたいのは、こうした経済財政の理論に対して、どこが一番の問題だというふうにお考えか、先生の御意見伺えればと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/127
-
128・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 上田先生、御質問くださってありがとうございます。お答えさせていただきます。
先生がおっしゃられたような、そういう考え方があるということは私もよく承知しております。ただ、それが、日本でもこれまでこれだけたくさん国債発行してきて、長年にわたり大ごとにはなっておりませんね、表面上は静かにという感じですけれども。それができたのに、なぜか、それがなぜ問題なのかということなんですが、やはり大きな世界経済全体の情勢の流れの中で受け止める必要があると思います。
やはり、これまで長らく低インフレ、低金利、低成長状態が続いてきておりまして、特に日本の場合には、その低インフレと低成長がほかの国に比べても顕著でございましたね。ただ、よその国も確かにもう、リーマンの後、結構低成長の状態が長く続いたのは事実でありました。
ところが、その後、コロナショックが入って、その後どういうふうに展開したかというのはもう本当に先生方御案内のとおりでありまして、高インフレ、高金利のような局面になっている。そして、この開放経済の中で、国際金融界の中で、国際経済の中でこの国、なりわい営んでいるわけでありまして、そういった影響も受けざるを得ない状況だと思います。
ですから、今までだったら何事もなく、日銀が黒田総裁の下で量的・質的金融緩和をずっと十年間やっていらして、物価目標の達成のためということで国債大量に買ってこられてということで、それで何も起こらないで来たのは事実ではありましたけれども、その日本を取り巻く前提条件というのが大きく変わってきていると。これから先も、今既にもう同じ状況ではなくて、これから先もそうではないだろうと。そのゆがみというのは一番どこに今出ているかというと、金利は日銀がまだいろいろ抑え付けているような状況にありますが、為替レートですね、やはりそこに端的に一番出てきていると思います。最近でも、一ドル、円ドルで見ると、やっぱり百四十円に乗ってくるというようなときもあったりもしますし、かなり不気味なというか、怖いような感じじゃないかなというふうに私は思っています。
ですから、国債どれだけ出しても大丈夫というようなお考えの方がいらっしゃることは承知しておりますけれども、私の考えとしては、そういう方々が一番議論されないのは、そういうふうに国債とかをたくさん買い入れた中でどう経済運営回していくかというときに、中央銀行というのが政府の経済政策の当局の中の非常に重要な部門でありますけれども、中央銀行が銀行としてやっていく上でどうやっていったらそれを回していけるのかということを、中央銀行だって銀行ですね、やはりバランスシートの問題が出てくることもございますし、民間と違うといっても、やはりそれを一方向で幾らでも悪化させられるというものではないというふうに思います。そういったところの御検討というのが、正直申し上げて、なされていなかったんじゃないかなというのが私の意見でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/128
-
129・上田勇
○上田勇君 ありがとうございます。
続いて、森信参考人にお伺いしたいというふうに思います。
ただいま御意見を伺いまして、防衛力の強化をしていくということは基本的に理解をするものの、その財政規模の在り方であるとかにはちょっと疑問がある、また、その財源、安定財源が必要であって、参考人の基本的なお考えは、それはやっぱり所得税が一番ふさわしいんじゃないかという御意見だったと理解をいたしました。
そして、その所得税の中にも二つあって、広く薄くというような観点から、これは、今議論している付加税みたいなことがイメージされているんじゃないかというふうに思います。もう一点は、一億円の壁ということもございましたけれども、これは高額所得者、不動産とか金融所得の課税強化ということを意味されているんだというふうに理解をいたしました。これはちょっと方向性とは違う方向ではあるんだけれども、この二つのバランスを取ることによって、いい、適正なスキームにしていこうということではないのかなというふうに理解をいたしました。
そこで、この一億円の壁の問題についてお伺いしたいんですけれども、これは、政府・与党でも、この税制、昨年からずっとこの問題についても議論をしてまいりました。そんな中で、この一億円を超えるような超高額所得者の所得というのの大きな部分というのは、土地譲渡であるとか株式の譲渡、それが多いということでありますけれども、これ議論している中で、政府、これは財務省も含めてですけれども、の方からは、こうした土地とか株式というのは、所得が発生するのはその譲渡した年だけれども、長年にわたって形成してきた資産をいっときに所得にしているので、そのとき単年度で発生した所得と同じような扱いをするのは果たして公平なのかというような疑問もございました。まあ一理あることでもあるんでしょうけれども、かといってそれで、だからといって今の分離課税がいいとは思わないわけでありますので、その辺、そうした考えについてどういうふうに考えられているのか、また、総合課税にするのか、分離課税、あるいはその税負担の割合、どの辺が適度なところだというふうにお考えか、ちょっとお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/129
-
130・森信茂樹
○参考人(森信茂樹君) お答え申し上げます。
まず最初に、法人の負担も私はこの防衛に関しては求めるべきだと思います。先ほど申しましたように、日本の法人税をずっと継続的に下げてきましたが、企業行動を見ると、賃上げにも回らず、設備投資にも回らず、内部留保が増えてきているということが事実としてありますので、しかも世界の潮流は法人増税の方向に回っていますから、それはそれで行うべきだと思います。
今の問われました金融所得についての私の考え方を申し上げますが、今年度税制改正で、最低限の手当ては、一億円の壁についてはされたんですね、二二・五%。今おっしゃいましたキャピタルゲインというのは一時期に出てきますので、大体世界の税制見ましても半分課税になっているんですね。だから、今四五%の半分の二二・五%というところをフロアにして最低税率という方向でということでこの間法律改正が行われました。
私は思うんですが、だけど、その対象になる人がたしか二百人とか三百人とかという極めて少数の人しか対象にならないような改正なので、これはもっと、極端に言えば、一億円以上の方は全部ミニマムタックスの対象にしてもいいんじゃないかというふうに考えております。
ただ、これ、やっぱり分離課税というのは、これも世界の税制見ますと大勢と言っていいと思います。これを、やはり今総合課税にするだけの、例えば利子所得について銀行口座に番号が付いているわけではありませんから、それはできないと思うんですが。
したがって、なるべく、この一億円の壁をなるべくもう少し累進税率を上げていくというような方法は、今のこのミニマム、今年導入されました改正をもう少し充実させていくと。二二・五も、何も二二・五だけじゃなくて、例えば二五でもいいし、三〇でもいいし、そういうふうに上げていきますと、私の計算ではこれ相当な財源が出るというふうに考えて試算をしているんですけれど、その辺も年末にかけて御検討されたらいいなと私は期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/130
-
131・上田勇
○上田勇君 ありがとうございます。
続いて、黒江参考人にお伺いをいたします。
今回のこの防衛力整備計画のこの規模が、先ほどもちょっと意見もあったんですけれども、初めに数値目標ありきで、内容は後付けで、悪い言葉で言えば丼勘定なんじゃないかと、必ずしも真に必要な装備品になっていないんではないかというような批判もございます。
今回のこの計画の策定には参考人は直接は携わっておられないというふうには思いますけれども、ただ、これまで防衛省のずっと幹部を務めてこられて、これまでの中期防などの策定には直接携わってこられたわけであります。
そうした経験から見て、これまでもどういうふうに、そういうふうに積み上げが、確かな根拠あって積み上げてきたものなのか、これまでの中期防もですね。そして、それから考えて、今回のこの整備計画、そうしたしっかりとした根拠に基づいて積み上げたものだというふうにお考えかどうか、そういうふうに思われているのかどうか、その辺のお考え、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/131
-
132・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) 御質問ありがとうございます。
この点は、マスコミ等でもそういった御批判はあるので私自身も非常に気にしておったところでございますけれども、私自身の経験から申し上げますと、これは中期の五か年の計画もそうですし、あるいは単年度の、まさにその年の防衛予算もそうでございますが、非常にその現場レベルの、部隊レベルから自分たちのところでどういうところが足りないのかといった要望から、あるいは戦略的に見て、中央レベルで、こういった能力というのをもっと持った方がいいんじゃないかといったそういう発想、そういったもの、そこで現場と中央とのやり取りをした上で、どこの部隊にどういうものを持たせるのかといったそういう非常に緻密な議論というのを、年度予算であれば一か年、中期防であればもっと長い時間を掛けて現場と中央とのやり取りをしながら、その繰り返しの中で要望というのを決めていくという、そういう防衛省内のプロセスというのが一つございます。
その上で、我々は当然その要求側でございますし、必要な能力というのはこのぐらいまで必要なんだということを主張させていただくわけですが、そういったものを財務省さん等々との間で調整をすると。その過程で、財務省さんが財源どのくらい確保できるのかという、そういう議論をやりながら収まっていくということで、それが一つのめどとして、今回の場合であれば、収まり方のめどとしてGDPの二%と、ほかの経費と合わせてGDPの二%というところで四十三兆円というふうに導かれたものだというふうに思っておりますので、ある意味、その中身は非常にきちんと詰まっていると。ただ、それを最終的にどういうレベルに落とし込むかといったときに、諸外国の例でありますとかそういったものを参考にしながら、一つの基準というのを決めてそこに落とし込んでいるという、そういう流れだったんではないかというふうに私は推測をいたします。
少なくとも、私の経験からするとそういうことで、決してその丼勘定で枠が決まって後から入れているというものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/132
-
133・上田勇
○上田勇君 ありがとうございました。
もう、ちょっと時間がなくなってしまいまして、本当は纐纈参考人にもちょっと御意見を伺いたかったんですが、今日の御発言や、これまでのいろいろな赤旗始めとするメディアなどの寄稿も拝見をさせていただきました。そういうことで、お考えは十分承知をしておりまして、本当は今の自衛隊に対し、今の自衛隊の機能とか規模に対する御評価とか、これから将来どうあるべきかというようなこともちょっとお伺いをしたかったんですけれども、今日、ちょっと時間がなくなりましたので、これで終わらせていただきます。大変失礼いたしました。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/133
-
134・浅田均
○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。
今日は、四人の参考人の皆さん、貴重な御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。
私の方から順次質問させていただきたいと思います。
まず、纐纈先生にお尋ねしたいんですが、中国といかに向き合うかというところで、人権に懸念を表明しつつ非軍事領域での関係強化というふうな御主張をされているんですけれど、私どもにとりましては、尖閣の、日本の領海の中にまで侵入してきているというふうな捉え方をしているところ、こういう中国の行為に対してどういうふうな反応をすべきであって、また、具体的にその非軍事領域での関係強化というときに先生の頭の中にどういうことを描いておられるのか、簡単に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/134
-
135・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) ありがとうございます。
尖閣の問題につきまして、かつてトウ小平がいわゆる棚上げ論を申しまして、つまり、小さな岩ごときで日中両国関係にそごを来すのは、これは百害あって一利なしというような表現で、これは棚上げにしようと言われました。もちろん、中国側、それから日本国側も、尖閣の領有権を主張しております。その根拠も、史料的にも様々それぞれ言い分がございます。これは恐らくいつまでたっても解決の付かない問題だと思います。
ならば、それは一時棚上げにしてでも、そしてその解決を未来に託すと、これは嫌な問題を先送りするということではなくて、その間に、必要なこと、これからちょっと、私、こういう言葉を申し上げたいと思うんですけれども、和解なきいわゆる協力ということはあると思います。つまり、和解はできない、けれども協力はできるんだろうと、決してこれは矛盾することではないと思います。
それは、やはり日中関係を好転化させたそのプロセスの中で、懸案である中国の人権の問題、今の尖閣の問題、あるいは海洋進出の問題、山積みになった問題を和解プロセスの中で解決していく、この方法しかある意味ではないと思います。それは決して理想論ではなくて、逆に言うと、それしかない、唯一無二の方法ではないかと私などは思っております。
そういう意味で、先ほども申し上げましたけれども、中国、朝鮮などを含めまして、かつて、六者協議のようなああいう枠組みですね、つまり、全ての領域、全ての諸国を巻き込んだ形での包括的な関係、協議というものを再構築するということが一時はできていたわけですから、もう一度六者協議のようなものに立ち戻り、さらに、アウフヘーベンして、ASEANを中心とした平和地域の協力関係というものをつくり上げると。これはやはり長期的な、戦略的な考え方になると思います。戦術的にはやはりそこでけんかするかもしれませんけれども、中長期的、戦略的には、やっぱりその方法による日中和解、決して日中再戦の道を選ばず日中和解の道を選ぶためにはそれしかないんではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/135
-
136・浅田均
○浅田均君 ありがとうございます。
ところで、その中国でございますけれど、サイバー攻撃、サイバー防衛、サイバー攻撃という点においては一番の勢力というか数を持っているというふうに我が方は把握しておるわけでございますけれども、次に黒江参考人にお伺いしたいんですけれど、そのサイバー防衛ということに関しまして、今日の御発言の中にはちょっとしかなかったんですけれど、資料にお書きいただいているその民間との協力、これが必要であると。私どもも同じように思っておりまして、例えば海上保安庁とか警察、まず、そのサイバー攻撃とか、それから領海の侵犯とか、まず海上保安庁が出てくる、それで、サイバーに関しても、犯罪ということでまず警察が出てくる。だから、国家における攻撃という認識の前に前さばきをする組織があって、その後、攻撃かどうか認定するというふうになるわけであります。だから、何か、民間との協力というより、警察あるいは民間を含めて、自衛隊等との協力、連携が不可欠であると思っております。
そこで、先生、この中に書かれてあるんですけれども、サイバー防衛は国と民間が同じ目線で対策に取り組むべきだというふうにお書きいただいているんですけれど、これ何か、NSCとか何か具体的な仕組みというのか、そういうものを念頭に置かれてこういうことをお書きになっているのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/136
-
137・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) 御質問ありがとうございます。
まさに国としての、外国からのサイバー攻撃につきまして、非常に私自身も先生と同じような懸念を共有をさせていただいております。攻める側はまさにどこか、我々に分からないような形で攻めてくるわけですけれども、それ受ける側が、例えば発電施設であれば経産省であると、あるいは、犯罪ということであれば警察庁であると、防衛施設は防衛庁、受ける側がそれぞれ間口が違うということでありますと、一体何が起きているのかというのを、我々その判断できないわけでございます。
そういったことを防ぐためにも、まずその攻撃に対して、これはどういう攻撃なのかという情報をすぐに共有をしないといけないと。さらに、これが複雑なものであれば、その対応能力持った人を官民問わずこれ選び出してそれに対応するという、そういう体制というのをつくるのが必要なんだろうと。
これは、現在、御案内のとおり、内閣官房にNISCという組織がありまして、サイバーに対する様々な政策というのを負っているわけでございますけれども、私自身の考えとしましては、そのNISCを強化して、先ほど各省庁の縦割り排除するんだというのが今回の戦略の考え方だと申し上げましたけれども、まさにそれに従いまして、NISCにおいてそういった官の力、あるいはその民の力といったものを糾合するという、そういう体制が必要なんではないかというふうに考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/137
-
138・浅田均
○浅田均君 黒江参考人に追加の質問ですが、そういう先生の観点に立つと、今のそのNSCの体制とか内閣官房に置かれている組織で十分だというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/138
-
139・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) 私は、様々、これにつきましては、権限でありますとか実際の連携の要領でありますとか、そういったところで様々の改善の余地がまだあるんだろうというふうに考えております。そこについては多分政府側も同じ認識を共有してくれているのではないかというふうに期待をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/139
-
140・浅田均
○浅田均君 ありがとうございました。そういう前提に立って、私どもも防衛費の増額あるいは人員の増員というのは必要だというふうに考えております。
そこで、お金の話になるんでありますが、森信先生も河村先生も共に防衛費の増額には賛成であると。それで、結論的にいうと、今を生きている私たちが負担しましょうよと、だから所得税でその財源を捻出すべきというふうに御主張されていると私は理解しているんですが。
他方、今賃金が上がらないと、空白の三十年とか言われていますよね。だから、この時期に所得課税を行うことが果たして適切なのか。この時期にやらないにしても、将来的に所得税で防衛費を捻出しますよというメッセージを今発信してしまうことによって、インフレ率二%になるまで国債、バランスシート拡大政策を続けていくと日銀の植田新総裁もおっしゃっていますので、そこで一番重要になるのは、期待インフレ率というのが、これからインフレがどういうふうに起きて、高くなっていくかって一般の国民の皆さんが期待インフレ率を持つことによって物価が上がっても購買力は衰えないと、だから経済はいい方に回っていくんだというふうに私どもは考えているんですけれども、この時点において防衛費の財源を所得税でというメッセージを発信してしまうことが果たしてどういう効果をもたらすのかというところにすごく懸念を持っております。
それと、税源を求めるならば、僕らはフロー課税よりはストック課税の方がいいのではないかというふうな考え方を持っておるわけでございますけれども、この二点について、森信先生、河村先生、御両人の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/140
-
141・森信茂樹
○参考人(森信茂樹君) お答え申し上げます。
確かに、今、浅田先生おっしゃったとおり、現在、非常にクリティカルな、デフレ脱却のクリティカルな局面にあるということは事実だと思います。ただ一方で、防衛費の問題というのは、国民がこの防衛という問題をどうやって自分事として考えていくかという点においても非常に重要な話で、それをやっぱり国民が自分の負担として、やはりある程度負担するんだと、これは自分の国を守るための負担なんだというふうな考え方を持つことも私は重要ではないかと思います。
したがって、大変、確かに両方の問題があろうかと思いますが、私は、この程度の負担はそれほど大した金額では、まあそう言うと怒られるかもしれませんが、巨額な金額ではないと思いますので、やむを得ないというふうに考えております。
それから、ストック課税についてお答えがありましたが、このストック課税というのは、しかし、なかなか言うは易しく実は実行が難しくて、相続税のことが思い浮かびますが、相続税というのはやはり一生に一回のイベントの話ですから、これをやはり毎年負担していくというためには、結局、ストックから生まれる所得、先ほどから問題になっています金融所得を含めた資産所得の課税で考えていくことが私は代替案としていいんではないかなというふうに考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/141
-
142・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 浅田先生、ありがとうございます。
課税についての考え方ですが、やっぱり防衛力増強するときに、まず余力がある方が、余力のあるセクターがということでいいと思うんですが、同時に、やっぱり国民全体が、それぞれ担える余力には差があると思いますけど、それに応じつつ、配慮しつつ、みんなで負担するという考え方も、やっぱりそれも同時にあった方がいいんじゃないかなということで、今回、この法案に入っているあれではないですけれども、閣議決定の方で所得課税のところも入っているということは、所得課税のところは累進課税も入りますので、ある意味負担できる余力に応じてという面がより強くなりますので、入れたのはそれなりに理解できるんではないのかなというふうに思います。
ストック課税については、やはり強化する方向でという先生のお考え、私も賛成であります。先ほどちょっと申し上げましたけど、金融資産の所得課税とか、そういうところ使っていく手もありますし、あとそれから、相続税とか贈与税のところ、いろいろなかなか課税として難しいところがあるということは、それは理解はしますけれども、今日は防衛力の増強の話ですが、私なんか思いますのは、相続税とか贈与税、今、結局、結構、要するに特例がありますよね。特例で結構みんな優遇されているうちに一生懸命自分のお子さんとかお孫さんにとやっているところがあると思うんですが、あれは私は逆に良くないというか、縮小した方が社会の公平を高める上ではいいんじゃないかなというふうに思っていますので、そういうところで使っていく。
どっちかというと、私なんかは、防衛力増強に使うよりは、そういうことこそ子育ての支援のためのところの財源としてひとつ考えていただけないかな、自分の子供、自分の孫だけじゃなくて、やっぱり社会全体に、次の世代に返していくということで、この相続課税とか贈与課税のところの見直し、考えていただけないかなと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/142
-
143・浅田均
○浅田均君 時間が余りありませんので、最後の一問、また河村参考人にお尋ねしたいんですが、厳しさを増す我が国に対する世界の視線ということで先ほどお話しいただきました。悪魔のシナリオとなった場合と書かれているんですね。この悪夢を毎晩見ている友達がおります。先生も御存じの、某投資家というのかな、元銀行家でございますが、この人が全く先生と同じようなことを言うておりまして、このイールドカーブコントロールからの無秩序な出口は劇的な事態になるだろうと。
だから、今の日銀のやり方を逆流させてどうして正常に戻していくかというと、マイナス金利をやめる、イールドカーブコントロールをやめる、短期市場を復活させる、それで金利を上下させるという普通のところに戻していくということになろうかと思うんですけれども、果たしてこれだけの作業をやるのにどれぐらいの期間が掛かってしまうんだろうというふうな思いを持つんですね。
先生の忌憚のない御意見を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/143
-
144・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 浅田先生、ありがとうございます。
御質問の点については、時間を掛ければ掛けるほどやりやすくなるというものじゃないと思います。逆です、逆です。今みたいに市場が安定しているときに、きちんと先見の明を持って中央銀行がきちんと計画を立てて、ほかの中央銀行、みんなそういうふうにやりますよ、議長とかが最初方針を出して、次の決定会合までによく練ってということで、ぶっと決めてやるのが、そういうやり方をFEDもイングランド銀行とかもみんなそういうふうにやるんですが、そういうふうにきちんと見通しを立ててやっていくというふうに早く切り替えていけば小幅ずつの変更で済むと思うんですね。
ただ、今の政策運営見ていると、ちょっと、総裁替わられてもちょっと果たしてどうなのかなという感じで心配しながら見ておりますが、マーケットが大きく動かないからいいわいいわってことで先延ばしにしていると、結局、猛烈なマーケットからアタックを受けたときに物すごく大幅にいきなり動かざるを得なくなることになるんじゃないかってことを非常に心配しています。
で、今申し上げたような猛烈なアタックを受けるまで何もしないでずるずるずるずるやっていて、猛烈なアタックを受けた結果というのを悪夢のシナリオというような言い方で、ジ・エコノミストなんかがしているんじゃないかなというふうに私は理解しております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/144
-
145・浅田均
○浅田均君 申し上げました藤巻健史というのとほぼ結論的には同じでございました。
ありがとうございます。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/145
-
146・大塚耕平
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚でございます。
今日は参考人の皆さん、どうもありがとうございます。できるだけ質問は短くしますので、それぞれ二分ぐらいずつでお答えいただけると助かります。
纐纈参考人がリアリズムと理想論という表現を使われましたので、その切り口から、まず河村参考人と森信参考人にお伺いしたいんですが、今の日本の財政状況、相当懸念を持っておられると思うんですが、お二人にとって、まあ理想論とは言いませんが、このぐらいの状況だったら許されるという財政状況というのは一体どういう状態であって、そこに到達するのに何年ぐらい掛かるというふうにそれぞれイメージしていらっしゃるかをお聞かせいただけると幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/146
-
147・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 大塚先生、ありがとうございます。お答えいたします。
許される状況というふうにお尋ねくださっているんですが、これぐらいの財政、政策運営ができていれば、ある意味、ある程度安心していられるような状況というふうに、ちょっと私の解釈かもしれませんが、そういうふうに受け止めさせていただいてお答えさせていただくと、今この国の財政再建の目標はプライマリーバランスの黒字化という話ですけど、足りないと思います。利払い費まで含んだ財政収支の、それも均衡でも足りません、新発国債残っちゃうから、の黒字化ですね。それを目指した、今すぐにはできませんよね、それを目指してやるということをきちんと計画を立てて、それが多分、余り長く時間掛けるわけには多分いかないので、二年、三年ぐらいのタームでできるぞというような感じで、きちんと財政再建に向けてしっかりと国会で議論もしてくださって、回せているような状況というのがある意味安心してというか、許される状況に当たるか分かりませんが、私から思いますと、ある意味少しは安心して何とかこれでなるかなと思えるような状況ではないかなと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/147
-
148・森信茂樹
○参考人(森信茂樹君) お答え申し上げます。
私、その確たる答え方は難しいと思いますが、やはり財政ルールをやっぱりしっかり守ることだと思うんですね。一応、今我が国ではプライマリーバランス、二〇二五年黒字化という目標があって、それがやはり、プライマリーというのは初歩的なルールですから、その後にまだまだ本当のルールがいろいろ来るはずなんですけど、でも、プライマリーですらやっぱり守らないということになりますと、結局、今さっき河村さんもおっしゃっていたように、投機筋から狙われる可能性があるんですね。結局、私は、投機筋に隙を見せるような財政運営をしてはいけないというふうに思っていまして、それが何回も、今、時々こうばしばしっと投機筋の売り浴びせが起きているわけですね、成功はしていませんが。しかし、成功したということは大変なパニックになるということなものですから、彼らに隙を見せないような財政ルールをしっかり守るということが当面の我が国の財政健全化の道じゃないかというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/148
-
149・大塚耕平
○大塚耕平君 お二人に更問いで恐縮なんですが、プライマリーバランスということにお二人ともお触れになりました。
プライマリーバランスは、河村さん、二、三年とおっしゃいましたけど、仮に数年でできたとして、政府債務の対GDP比、今二・〇超えていますけども、これは何倍ぐらいだったらそれぞれ許される対GDP比だと思われるかを、それぞれにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/149
-
150・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 大塚先生、ありがとうございます。
許されるといいますか、どこを目標にすべきかというところがまずあると思うんですね。かつてIMFに日本って言われているんですけど、たしか例の四条協議の報告書だと思いますけど、よその国は、EUが政府債務の名目GDP比六〇という目安がありますよね、ですからそれぐらいの水準を目指してみんなやっていきましょう、八〇%とかそれぐらいですよねと言いながら、日本も当時からもう全然例外的に大きかったので、日本だけは例外だけど一〇〇%目指しましょうねというふうに言われていたことがあります。
だから、現状からすると、いや、一〇〇に持っていくなんて本当に何十年掛かるかという感じで、大変だなというか、まあ一〇〇が無理でも、せめて一五〇にすることを目標にやっていく、だけど、そこに至るまでには大変な、やっぱり本当に時間も掛かるし、国民の覚悟も必要ですし、負担も必要ですしということになりますから、その目標をきちんと国内で共有して、それに向けた計画を立てて、多分十年計画なんかじゃ済まないですし、もう先生御案内のとおり、成長率と金利の関係で結構、あとインフレ率がどうなるかとかで全然変わってきちゃうんですけれども、きちんと計画を立てて、それに向かって歩みをしっかり日本が進み始めたなということを世界中に納得してもらえれば、その先生おっしゃるような許される状況というか、ある意味、安心して国民も少しは暮らせるような状況になるんじゃないかなというふうに私は思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/150
-
151・森信茂樹
○参考人(森信茂樹君) お答え申し上げます。
私は、ちょっと先ほども申し上げましたが、肝は国際投機筋に付け込まれないことだと思うんですね。それは、やはり日本の財政運営に隙を見せてはいけないということだと思うんです。そのためには、いろんな財政ルールを守るとか、あるいはいろんな財源の問題が、つなぎ国債、例えばGX移行債でも、結局あれはつなぎ国債というふうになっていますが、将来の財源がいまだまだ確保されていませんですね。抽象的な形でしか、カーボンプライシングというような話ですから、まだ確固たるものがない。いろんなものがつなぎ国債という形でどんどんどんどん何か知らないけど積み重なっていくというような事態は避けるべきではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/151
-
152・大塚耕平
○大塚耕平君 ありがとうございます。
それでは、黒江参考人と纐纈参考人にもリアリズムと理想論という観点からお伺いしたいんですが、黒江さんは極めてリアリズムのお立場で御意見を述べていただいたと思うんですが、仮に防衛力に頼らなくてもいいような手法がもしあるとすれば、日本を守るという意味においてですね、どういう手法があるというふうにお考えかというのをあえてお伺いしたいと思います。
纐纈さんには、逆に、理想的平和論が成り立てばいいんですけども、そういう方向で、日本が十分な防衛力を持っていない中に残念ながらもし外国の侵略に遭ったときに、そのときに纐纈さんはどういう対応をしたらいいと思われるか。それぞれお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/152
-
153・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) 御質問ありがとうございます。
ただ、私、今先生おっしゃったような前提で実は余り物を考えたことがございませんので、なかなか自信を持ったお答えというのができないんですけれども、一つには、その防衛力がない形で我が国を守れるということであるとすると、それは多分前提となります国際環境というのがよほど緊張していないといいますか、我々が防衛力持たないで済むと、安心感持てるというような、そういう環境ができて初めてそういうことが可能なんだろうと。
その場合には、これは防衛力があろうとなかろうと、私さっき申し上げましたけれども、今回の戦略の中でも外交が第一だということを言っているわけでございますので、それは国家間の話合いと、それによって全てが解決されるというのは最も理想的な形でございますので、もちろん理想としてはそういう状況というのが考えられるんだろうと。ただ、それは周辺の環境によるということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/153
-
154・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) 御質問ありがとうございます。
まず、問題の前提といたしまして、恐らくは、攻められたらどうするのかというところから多分議論が発しているんだろうというふうに思います。私は、大事なことは、攻められないこの国づくりはどうあるべきかということを優先して考えておきたい。そのこともある意味では理想主義という形で一蹴されることが往々にして多いわけなんですけれども。
例えばスイス、これは武装中立でございます、御案内のとおり。スイスは、今でも大体四千人程度のプロの軍人しかおらず、そして国民皆兵制を取ってございます。つまり、もし侵略を受けた場合にのみ、家に持っている銃でもって立ち向かうというような方向性を取っている。だから、武装中立というのも一つの方法かもしれませんけれども、私は、そういう武力によって平和を守る、あるいは守られた平和が本当の平和だとは思っていません。
ただ、こう言いますと、まあ学者のたわ言っていうふうにお聞きいただくことになるかもしれませんけれども、例えば、じゃ、もう一つ、コスタリカの例をよく引き合いに出されますね。
コスタリカの場合には、隣国との内戦状態あるいは紛争状態が長きにわたって続いていた。ところが、アリアスという大統領が、無軍備、非武装中立政策を取った。結果、いろんなプロセスがございました。そうそう簡単に、言うほど簡単ではありませんけれども、内戦状態、紛争状態、国境紛争が基本的にはなくなりました。
いや、それはコスタリカだからできた、あるいはスイスだからできた、日本のようないわゆる大国においていわゆる真空地帯をつくることは逆に紛争の種をまきかねないという議論はすぐ出てくるわけですけれども、果たしてそうなんでしょうか。果たして、日本が非武装中立を決断したときに、果たして、さあ、待ってましたといってどこそこが日本を侵略する、そのメリットはどこにあるのかということをしっかり考えた場合に、私は、無軍備イコール真空地帯ができ上がって、そこに待ってましたといって手を出すということは、私はあり得ないと思います。
それからもう一つ、万々が一、相手の土俵に乗ります、攻められたらどうするかっていう、これは私は余りしたくない話なんですけれども、御質問いただきましたからあえてしますけれども、それはもう非暴力、無抵抗です。
となりますと、じゃ、殺してくれという話になります。つまり、死を課して私は平和を守る、それだけの価値のある平和国家であれば、場合によっては死を課してでもやっぱりこの平和国家を守る、守るに値する国家をどうつくっていくのかということが問われると思います。
これ、やや、防衛の問題というよりも哲学的な問題になるかもしれませんけれども、いずれ、そういう方向性の中で、命の安全保障論的なものが主軸を示す安全保障政策のトップに立つ、こういう時代をやはり私たちはつくり上げないと、また再び戦前回帰型の軍国主義になっていくっていう、これ極めて単純な物言いかもしれませんけれども、それはやはり重ねて申し上げたく思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/154
-
155・大塚耕平
○大塚耕平君 じゃ、最後に、纐纈さんと黒江さんに一問ずつお伺いしますが、今、纐纈さん、前半ではスイスのことを例に取られました。最後は非暴力、不服従とおっしゃいました。
スイスは、私、九〇年代に行ったときに、国民皆兵ですから、一般市民が小銃を担いで歩いていました。だから、今申し上げたようなケースで、二つおっしゃったんですが、スイスのように国民がみんな銃を取って戦えとおっしゃるのか、それとも非暴力、不服従、どっちを取るのかっていうのは、簡潔にお答えください。
それから、黒江さんにお伺いしたいんですが、リアリズムで対応するにしても、米軍もいつまでも日本を守ってくれる保証は必ずしもないと思っています。例えば、台湾問題で、アメリカのオースティンさんは、昨日ですか、全ての措置をとると言っていますので、全軍そっちに対応したら日本は自分で守んなきゃいけないと。
そういうことを考えると、いつまでもFMSに頼った防衛装備では先々大変懸念だと思うんですが、事務次官をやっておられた立場で、なぜ日本はFMSにあれだけ巨額の資金を投じ続けるのか、事務次官としてどういう問題意識を持っておられたかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/155
-
156・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) スイスは武装中立、大塚議員おっしゃったように、武装によって平和を守るという国家です。しかも、スイスの場合には、いわゆる国際機関をたくさん寄せて、いわゆる平和国家、武装をするけれども平和国家っていう形を取っております。
私は段階論を取ります。まずスイスのごとく非同盟国家、武装非同盟、そして様々な和平交渉等を積み上げていく中で非武装中立という、二段階的な方向性の中でこの問題を対応していくべきだというふうに思います。ですから、最終的にはコスタリカになります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/156
-
157・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) FMSに対する問題意識という御質問でございましたけれども、私自身は、これは、世界的な軍事技術水準にどう追随するのかということだと考えております。我が国だけが陳腐化した装備を持っているというわけにはいきません。
その観点からしたときに、国産の装備品で賄えるのか、あるいは要求性能からしてアメリカ製の装備品に頼らざるを得ないのか、そういう判断の結果としてFMSに対する調達、調達の量というのは決まっているという、そういう認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/157
-
158・大塚耕平
○大塚耕平君 あと二分ありますので、黒江さん、もう一問だけお伺いします。
今の状況はなぜFMSに頼らなければならないかという御説明として理解できたんですが、いつまでもこの状態でいいと思うかどうかという点については、事務次官としてどうお考えでしたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/158
-
159・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) これは、我が国の持っております技術水準、それとの兼ね合いの問題でもございますので、理想的には我が国の技術水準を上げていくと、そのための研究開発投資というのがこれまで以上に必要だと思っています。
ただ、それは一〇〇%国産が最も望ましいのかというと、そこは、先ほど私申し上げたような性能の関係等々、様々なことを考えないといけないというふうには思っております。ただ、国産の方向性を強めるというのは私の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/159
-
160・大塚耕平
○大塚耕平君 ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/160
-
161・小池晃
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
ちょっと四人の参考人の方全員に質問できないかもしれませんので、お許しください。
黒江参考人にお伺いしたいんですが、抑止力ということが先ほどからも議論になっております。そして、黒江参考人は、これは毎日新聞のインタビューですかね、抑止力というのは相手国の意思に働きかけることなんだと、相手国に、日本を攻めたら反撃されるというリスクを感じさせる軍事力だということなんですね。
そうなってくると、相手国はその軍事力を上回る軍事力、軍拡をしていくことになっていくだろうと思うんですね。結局、やっぱり際限のない軍拡競争になっていくのではないかということが懸念されると思います。特に中国のような圧倒的な経済力を持っている国であれば、そういった懸念は大いにあると思うんですね。
その点で、そういったことも、日本の軍事力がもう際限なく抑止力という名の下に広がっていくことは、これはやむを得ないというふうにお考えなのか、それとも何らかの歯止めが要るのか要らないのか、その点はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/161
-
162・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) まさに相手国の意思に働きかけるというものなわけですが、我々が考えております抑止力といいますのは、別に相手国の能力と同等のものを持つことで相手国に攻めさせないということではなくて、相手国が攻めてこようとしたら相当な損害が出ると、そういうリスクを感じさせるということで相手国の意思を制約するという、そういう意味で申し上げておりますので、それの観点からしますと、たとえ中国のある程度の軍拡があったとしても、それに追随して我が国が際限なく軍拡を進めていくということには必ずしもならないんだろうというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/162
-
163・小池晃
○小池晃君 その何らかの歯止めということは、特にその点では考えなくても大丈夫だというのがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/163
-
164・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) 歯止めと言われている御趣旨がちょっと私必ずしも理解できていないかもしれないんですが、まさにこれは我々の防衛力整備につきましても、これは従来から言われていることでございますが、国の他の諸施策との調和ということを考えるということがまず前提としてございます。
国力にそぐわない防衛力、これを持つということはまさに軍事大国ということでございまして、我が国はそれを目指さないということを申し上げておるわけでございますので、そういう意味では、まさに国力の中で他の施策を遂行していく中でのバランスを考えてどれだけの防衛力に投資をしていくのかという、そういう考え方が必要なんだろうというふうに思っております。
まさにそれがこれまでであればGDPの一%であったし、現在の状況に照らしていえば二%であるということだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/164
-
165・小池晃
○小池晃君 私も、やはりまさにそれがGDP一%という一つの考え方としてあったんだろうと思うんですが、それがやはり今回のような形で反撃能力というところまで広がっていくと、これは際限のないものになりかねないのではないかということは、懸念は拭えないんですね。
それから、参考人は、戦略的アプローチの第一は外交だということを先ほども、今も繰り返されました。ただ、私は、安保この三文書を読んでもどういう外交戦略を持っているのかということがなかなか読み取れないんですが、安保三文書で言っている外交戦略というのは一体何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/165
-
166・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) これは、まさに戦略三文書の中にも書いてございますけれども、まさにその紛争というのを話合いによって解決するというのが戦後の国際秩序、それがルールだったわけで、それに復帰をさせるということがまさに外交戦略の第一なんだろうと。
それを実際に実施していく上で、我が国の外交を先ほどの固める地歩として、それなりの防衛力を持って抑止力として機能させていくということが前提になった上でそういう外交戦略を、外交政策を展開していくということだと思います。
細かく言えば、これは日米同盟を強化していくことであり、あるいは他国との関係を強化していく。これは、同志国にとどまらずに、今いわゆるそのグローバルサウスと言われている国との関係でも良好な関係をつくっていくと。各国が結集できるような、できるだけ多くの国が結集できるようなアジェンダをつくることで、先ほど申し上げたような低下しつつある国際社会のガバナンスというのをもう一度機能するものに持っていこうと、それがまさに日本が考えている外交戦略なんだろうと私は理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/166
-
167・小池晃
○小池晃君 外交戦略について纐纈参考人に伺いたいと思うんですが、私たちはやっぱり東アジアに平和な環境をつくる上でASEANが提唱しているAOIP、アジア太平洋、インド太平洋構想、これは非常に重要だと思っているんですね。
一方で、先日のG7サミットの首脳声明見ても、AOIPには触れているんですが、どちらかというとFOIP、自由で開かれたインド太平洋構想か、FOIPの方、こちらに重点が置かれているように思います。
これ、結局、中国を排除、包囲していくブロック的な対応になっていく危険はらんでいると思うんですが、やっぱりあれこれの国、排除するんでなく、包摂的な平和の枠組みをつくろうということをASEANは提唱しているわけですけれども、やはりこういった方向こそが必要なんではないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/167
-
168・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) 御質問ありがとうございました。
先ほど、二点目に軍事ブロックの参入の問題を指摘させていただきました。私は、中国、ロシア、あるいは朝鮮という、まあ日本にとってはある意味では防衛三文書におきまして仮想敵国視された国々に対してむしろ包括的な協議の枠組みの中に取り込むという努力、これを最初から放棄したいわゆる日本の防衛政策の根幹というものは非常に懐疑的、問題があります。
ある意味では、戦前もそうでした。日独伊軍事同盟、これを一九四〇年に結び、その翌年には日英米戦争に踏み切った。もっと遡及すれば、一九〇二年に日英同盟が結ばれ、そしてその二年後に、一九〇四年に日露戦争が起きた。つまり、そういった軍事ブロックあるいは同盟というものは戦争を呼び込むものでしかないということをやはり歴史が示していると思うんですね。
そういう意味でいうと、今議員がおっしゃったような意味での包括的な枠組みづくりというものが安全を担保する。要するに、唯一無二という言葉を先ほども使わせていただきましたけれども、そういう方向性の中でやっぱりいかないと、どこそこを排除し、どこそこを同志国だから抱え込んでそれ以外は駄目だという陣取り合戦的なその安全保障論というのは、極めていびつ、かつリスキーな安全保障だと思います。
そういう考え方は、だんだんだんだん、少なくとも学界では、非軍事的な安全保障論であるとか、民衆の安全保障論であるとか、命の安全保障論、様々な呼び名を基に構想されておりまして、恐らくそういう動きが学界等々からもこれから今後出していかなきゃいけないなというふうには思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/168
-
169・小池晃
○小池晃君 中国との関係について更にお伺いしたいと思うんですが、私たちはやっぱり中国の覇権主義的な行動についてはこれ厳しく批判してきた政党です。
同時に、やっぱり日本と中国というのは、これは政治的、経済的、文化的、歴史的に深い結び付きがあります。最も重要な二国間関係と言ってもいいんであろうと。
ところが、今、様々な紛争、緊張、対立があるわけですね。これ、何とか打開しなければいけない。外交努力が必要だと思いますし、参考人は中国の大学や研究機関などでも講演したりしてきたという関係がおありだと聞いております。
やっぱりこの今の二国間関係を打開していくためにどういう努力が必要なのかということについて、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/169
-
170・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) 中国の海洋進出は、確かに多くの日本人あるいは世論の中に脅威感情をかき立てていることは間違いございません。
海警という形ですけれども、大変軍艦に近い船艦を出してきておりますし、また、日本が固有の領土だと主張しております尖閣の周辺にも、ある意味ではどんどん出てまいります。そのことは、可視化された脅威として常に大きな問題となっております。だからこそ、中国との関係性の改善というものは必要だと思います。
どうしたらいいかという問題につきましては、やはり日中の、一九七二年の日中共同宣言のあそこに戻りつつ、やはり中国との対話再開というものをやっぱり念じるべきだろうと思います。朝鮮とも平壌宣言がございました。中国とも、今申しましたように一九七二年の日中共同宣言等々で両国は平和関係を構築するんだということを強く強く、当時の多くの先生方も御尽力をいただいて和解をつくってきたわけです。しかし、だんだんだんだんと中国の軍拡が進み、そして日本とアメリカとの関係性が強化されるに従って、日中関係が非常にこじれてまいりました。
私先ほど申しました日中和解というのは、即無理であっても、和解なき協調、和解なき平和というのはあり得ると思います。幾つかのプロセスを経て、漸次、段階的にであれ、中国との接近外交というものをやる。相手の懐に飛び込み、そして胸襟を開くということは、中国の人たちも言います。先ほど御紹介いただきましたけれども、もう今までに二十以上の大学で講演とか講義を現在も続けておりますけれども、中国のいわゆる知識人、メディアの人、研究者、何と言っているかというと、もちろん中国の核兵器なり中国の通常戦力の拡大というのはあくまでアメリカの対中国包囲戦略に対する対抗措置である、決して私たちから向かうことはないんだと。
これ信じるか信じないかはそれぞれもちろん皆さん方も御自由だと思いますけれども、私は、長年彼らとの付き合いの中で確信的に得ているのは、彼らは経済力によって世界のリーディングセクター、引っ張り役を任じようとしているのであって、軍事力によってではない。もう既に、先ほど繰り返しておりますように、中国のGNPは二千七百兆円、IMFの統計でありますけれども、世界第一位でございます。そのせっかく勝ち得た経済大国を、紛争や侵略戦争等々で台なしにするわけがない。十四億の民を食わせていくことはできない。
それから、もう一つ付け加えさせていただきますと、中国は資源大国ではなく資源小国です。じゃ、資源をどこから持ってくるかと。海洋です。海洋をもし封じられれば、中国は兵糧攻めに遭って、十四億の民は飢え死にしかねない、論理的には。そういう恐怖感を彼らは持っています。なので、海洋は常に自由にしておきたいというのが彼らのある意味では戦略です。ならば、お互いに折り合えるチャンス、折り合える議論の余地というのは十全にあると思います。
是非是非、皆さん方の御尽力で、日中和解という方向性の中で日本の安全保障を考えていただきたい。日中和解が日本の最大の安全保障と、これはもう繰り返し繰り返し申し上げたいというふうに思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/170
-
171・小池晃
○小池晃君 その点で、日中両政府間にはこれ重要な合意が、今参考人もおっしゃいました日中共同声明もありますけれども、二〇〇八年の日中共同声明では、お互いに脅威とはならないということを、これは何度も繰り返し確認しているわけですね。それから、尖閣の問題では、二〇一四年の日中両政府間の合意で、これは対話と協議を通じて問題解決を図ると。それから、先ほど私冒頭申し上げましたAOIPというのは、これは日本政府も中国政府も共通の目標にしている。これ、岸田首相にこの点を私ども申入れをした際には、首相認めて、これは重要なやっぱり土台だとおっしゃっているんですね。
やっぱりその日中双方の政府が、これはもう日本だけじゃないですよ、中国もですよ、やっぱりお互いに脅威とはならないという合意をした以上は、やはり今のような尖閣での行動のような覇権主義的な行動を慎む、日本側も慎む、そういった中でやはりその両国の関係を前向きに進めていくということが、これは私は党派を超えた、今、日本の政治に求められている課題ではないかと考えているんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/171
-
172・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) もとより、今議員がおっしゃったように、安全保障の問題は、与野党の問題たがわず、共通認識の下に進めなければ、やはり大きな力あるいは大きな政策として実現は不可能です。そういう意味で、野党、与党という枠組みを超え、あくまで民意はどこにあるのか、民意はやっぱりたくさんのトマホークを持つことで安全が担保されるとは思っていない。沖縄の人たち、言うまでもなく、耳を傾けるならば、自分たちの島が、まして軍事基地になろうとは思ってみなかった。
昨年、二〇二二年九月に与那国島危機事象対策交付金というのが交付され、有事の際には島民にお金を出すから島出てくれというようなとんでもない条例が制定されたと聞いています。つまり、与那国島が軍事基地化するということは、回り回って西南諸島あるいは沖縄、さらに日本列島全体が軍事基地化するという、論理的にはそういう方向性をたどるかもしれないというときに、果たしてそれで本当に日本の国民、生命、財産守れるんだろうかと。そのことへの危機感が今ふつふつと湧いてきているんじゃないでしょうか。
そういうことを十分に考えた場合に、野党、与党の防衛政策をすり合わせる中で、やはり選択すべき方向性は何かということを今もう一度原点に立ち返りつつ考えなければいけないというふうに思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/172
-
173・小池晃
○小池晃君 今日、財政的にもこれだけの多額の赤字国債を発行している国がこれだけの大きな負担をしていくことについてのやっぱり問題点も指摘をされたというふうに思うんですが、やっぱり私は立ち止まって、やっぱりこの国の安全保障の在り方を本当に真剣に考える議論をこの法案の議論を通じてやらなきゃいけない、それがやっぱりちょっと、やはりまだまだ不足しているのではないかというふうに思いますので、今日の参考人の質疑でいただいた意見も十分反映させた徹底した審議を今後やっていこうということを求めて、質問を終わりたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/173
-
174・神谷宗幣
○神谷宗幣君 参政党の神谷宗幣と申します。よろしくお願いします。
〔委員長退席、理事大家敏志君着席〕
まず、森信参考人にお聞きしたいんですけれども、今回の防衛予算なんですけど、四十三兆円という金額ありきで、一体何に使うか分からないのに請求書だけが国民に押し付けられるというような状態じゃないかというふうなことが言われていましたけれども、これまで財務省はそういった形での予算組みとかはしたことがなかったのかということを、財務官僚出身者ということですので、その辺聞きたいんですけど、あと、財政民主主義について、御本人どのように考えておられるか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/174
-
175・森信茂樹
○参考人(森信茂樹君) お答え申し上げます。
今の御質問ですけど、補正予算、景気対策の補正予算というのは、私の印象では同じような感じで、まず規模が決まって、積み上げがないから必死で積み上げると。最近ではコロナのあれがそうですけれど、結局使い道がなくなってくると基金に積み上げるというような感じの予算編成が最近行われているんじゃないかなというのが私の印象です。
したがって、特に予備費の問題というのは、財政民主主義からしても非常に大きな問題があると、国会の審議の在り方も含めてですね、あるというふうに私は思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/175
-
176・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。
そうなんですよね。だから、やっぱり最近のこういうやり方というのはちょっとやり方が雑になっているというふうなこと、私もこの委員会で述べたことあったんですけれども、認識が確認できてよかったです。ありがとうございます。
続いて、河村参考人にお聞きしたいんですけれども、やっぱり今の我々の負担、我々がもっとちゃんとした方がいいんじゃないかと増税の話が出ていましたけれども、今の国民の負担率は税金と社会保障費で四七%ぐらいあるというような状況の中で、本当にこれ以上税金とか上げて国民経済回るのかというふうな懸念があります。ですので、我々、参政党という党ですけれども、今は増税は一切すべきではないんじゃないかということですね。
とはいえ、財源を捻出しなければいけないということの中で、やっぱり歳出改革をしていかないといけないんじゃないかということで、私もこの委員会で先日述べたのが、やはり一番、今、日本でお金掛かっているのは医療費だろうということです。だから、こういった医療費の削減をやっぱりシステム変えることによってやっていく、その中で子育て支援のお金ですとか防衛費を捻出していくというようなことは考えられないかというふうに提案しているんですけれども、医療費の削減について河村さんのお考えあればお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/176
-
177・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 御質問ありがとうございます。
医療費の部分ですね。やはり、出し方、誰に対してどれだけ出していくのかというところでやっぱり大いに、負担もやっぱりもらいますので、そこは考えていく余地があるのではないのかなというふうに思います。
医療費というと、個々の、個人にというのもありますし、全体、医療政策全体としてのいろんな予算とかもあると思いますけど、コロナで結構なお金かさみましたね。結構丼勘定になっちゃってということで、お金がそれで結構今回、滞留していたのも、だから一部、国の独法の病院には戻してもらってというのが今回の法案にも入っていると思いますけれども、やはり大いにその歳出改革のところを見直していく余地はあるんじゃないのかなと。
それからあと、まあちょっと御質問の範囲少し越えちゃうかもしれませんけど、医療界の方々、大分ちょっと税制面での優遇を受けられているんじゃないですか。そういったところも併せて正す方向を是非お願いできればと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/177
-
178・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。
先ほどの資料が大変参考になりまして、やっぱりコロナで一気にもうグラフが跳ね上がっていましたので、これ可視化してみて、改めて、ああ、やっぱりここら辺を見直していかないといけないなと思ったので、参考にさせていただきたいと思います。
続いて、纐纈参考人にお聞きしたいと思います。
中国を脅威国とするべきではないと、中国を脅威と感じるべきじゃないんじゃないかというふうなことでしたけれども、まあまあ、ちょっと少し時代古い話になりますけれども、チベットなんかは特に武装はしていなかったわけですよね。それが、ある日突然、人民解放軍がやってきてという形で、もうもはや中国の一部というふうになってしまっているというふうな、こういったことがあるんですけれども、このチベットの問題なんかはどういうふうに捉えておられるのか、まずお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/178
-
179・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) 御質問ありがとうございました。
チベット問題の人権状況は極めてひどいと私はもう捉えています。そしてまた、私も中国に教え子がたくさんいますけれども、いわゆる回教族出身の教え子がおります。ただ、女性なんですけれども、彼女はこう言っておりました。確かに私たちイスラム系回教徒、あるいはチベット系の人たちに対する抑圧はひどいけれども、また一方で中国は、懐柔策だと思いますけれども、子育て政策、一人っ子政策のときに、いち早く二人以上でもオーケーだ、あるいは中国の大学、御存じかもしれませんけれども、地域によってはなかなか北京の大学には行けないけれども北京に行かせてくれるというような優遇措置、こういういわゆる懐柔政策を施して、もちろん全てが反中国、あるいは反中央というわけではない。
それから、やはり問題は、一番根本的な問題は、中国の人権状況に対してアクセスする日本は残念ながらルートを持っていない。インターナショナル、例えば国際的な機関がある程度いろんな形で調査団を出しているけれども、果たして日本の調査団あるいは日本の人権団体等々がチベットにはなかなか入れない、なぜかという問題ですね。私は入るべきだと思います。そのためにも、中国との議論、胸襟を割って関係づくりをする、そのプロセスの中でやっぱりチベット問題、それだけではございませんですよね。中国国内の非常にひどい南北問題ございます。教育格差の問題、貧困格差の問題等々ございます。これは日本との関係性の中で解決できる部分も、全部とはもちろん申しませんけれども、あるんだろうと思います。ただただ排除排除の論理でもって行くならば、ひどい人権状況はそのまま続いてしまう可能性はありますので、そこら辺のところも含み込んだ上で中国との関係改善ということを申し上げたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/179
-
180・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。
チベットの現状に対しては問題意識を持っておられるということが分かったんですけれども、先ほどのお話聞いていますと、非武装で、そして攻めてきたら戦わないと、それだったらもう殺されますというふうな哲学をお聞きしましたけれども、それをやっていると、日本が将来チベットみたいになるということが大いにあり得るわけですよね。
だから、中国がやってきました、我々戦わずに占領下に入りました、で、懐柔策はしてくれてちょっとお金はくれるけど、でも言語は変えられるし、いろんな制度は変えられていくと、そういった状態になることもやむなしというふうにお考えになっておられるのか。その辺はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/180
-
181・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) ありがとうございます。
全く違います。中国が日本に攻めてきたと、一〇〇%私はないと思っていますけれども、まあでもそれでは話が進みませんから、中国が日本に来て、中国の制度、中国の政治システムを日本に導入する、それを唯々諾々とやはり日本人が受け入れるでしょうか。それはあり得ないと思います。やはり何らかの抵抗、不服従、ガンジーのような抵抗というのは当然するんだろうと思います。
その前にですね、その前にやはり、侵略してくるというのは、やっぱり私は、大変失礼な言葉かもしれませんけれども、妄想でしかないと思います。非常にリアリティーを欠いた判断ではないかというふうに思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/181
-
182・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。
まあ、そこは多分考え方が違うと思うんですけど、実際、チベットの話を出したのは、実際に妄想ではなくてチベットには侵略をしているので、それが起こり得るんではないかという危険性を聞きたかったんですけれども、この点に関しては結構です。
もう一点だけ纐纈参考人に聞きたいんですけれども、戦う、軍事力で戦うことはないにしても、おっしゃるように、中国、経済力でどんどんどんどん世界に浸透していっていますと。まあオーストラリアなんかでも非常に中国の勢いが大きくなって、数年前には「サイレント・インベージョン」という本が書かれまして、結局、武力では来ないけれども、例えば、政治家を買収して国の法律を変えていくとか、企業、土地、そういったものを買収していくというふうな形でどんどんどんどんと国の主権に入り込んできているというふうなものを問題視された本がベストセラーになったんですけれども、こういった点に関して、日本が、例えば中国からそういった経済的な力を使ってのサイレントインベージョンを受けないように、スパイ防止法みたいなものを制定して、そういった経済侵略をはねのけていくということに関しては、先生はどのようにお考えなのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/182
-
183・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) 中国のいわゆる直接侵略ではなくて、議員が御指摘なのは間接侵略、つまり、今のようなソフトな形でもって主権を侵害していくという方向性の中で、中国はそういう戦略を取るのではないか、いや、現実にもうサイバー攻撃、先ほども話が出ましたけれども、取っているんではないかと、これに対してどういうふうに防波堤を築いていくべきなのかというお話だろうというふうに思います。
〔理事大家敏志君退席、委員長着席〕
じゃ、逆に言いますと、中国はなぜそのような悪行を働くのか。悪行という言い方はちょっと言い過ぎかもしれませんけど、そういうようなことを中国にさせないためにも、私は、中国に対するきちっとした関係性をつくり上げていく中で、中国のこの部分はよろしくない、もちろん日本の中にも改善をすべき点は多々ある。そういうような意味で、総合的な信頼醸成ということを繰り返していく中で、今御指摘のような問題というのは、やはり時間は掛かるんだけれども、やっぱりそういう選択しかないだろうと思います。
戦争によって解決するというのは、短期的にはそれが可能であっても、中長期的には、あまたの人命が失われ、国力が消耗し、そして未来をつなぐ子供たちが犠牲になっていくということを考えれば、時間は掛かっても、私は、やはり非暴力、非戦の立場に貫く中で関係改善をやはり貫くべきだろうと思いますし、それが政治家の、政治を担当される方々の責任だろうと思いますし、我々研究者は、こういう提案等々をお出しすることによって活発な議論をしていく、それがやっぱり必要なことではないだろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/183
-
184・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。
ですから、あれですね、軍事的な攻撃に対する抵抗ももちろん駄目だけれども、そういった経済的なものに関してスパイ防止法みたいなもので対抗するということよりも、話合いでいい関係をつくって法的な抑止力も必要ないという、そういった理解でよかったんでしょうか。
武力による抑止力は新たな戦いを生むということでしたよね。私は、だから、じゃ、法的な抑止力をつくるということに関してはどうなんですかということです。その点、端的にお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/184
-
185・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) スパイ防止法に対して、私は長年、八〇年代から、中曽根内閣当時から出されておりますスパイ防止法に対しては反対の立場を取っておりました。
それはなぜかといいますと、相手の国の脅威というものを口実に、国内における自由、民主主義等というものを阻害する可能性のある法律であったからです。つまり、もろ刃の剣としてスパイ防止法が出され、その結果として、その恐怖というものがあったればこそ、あのときには国民挙げてスパイ防止法の反対し、廃案に追い込んだという実績がございます。
そのときに多くの人たちは何を考えたかといったら、やっぱり、まず国内における平和、そして民主主義、これを成熟させること、そして日本が、中国だけではなくて世界のモデルケースになり得るような平和国家をつくることが最大のこれは安全保障力であるという判断だったと思います。そういう方向性というのは私は間違っていないと思いますし、そういう意味でいうと、議員おっしゃったような意味での法的云々というのは、私は日本の平和国家においてはなじまない法律だというふうに考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/185
-
186・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございました。
では、最後に、黒江参考人にもお聞かせいただきたいと思います。
資料で有識者会議の議論なんかも少し入れていただいておりましたけれども、人的な、人材の確保が必要であるというところは私も全く同じなんですけれども、自衛隊員の処遇を改善する、これも絶対やってくださいねというのは、私、この委員会でも言ったんですが、それだけではなくて、やっぱり今、人材の確保すごく難しいので、自衛官でない一般の国民が国防の大切さとか自衛隊に対する理解をもっと深めていかないといけないんではないかと思うんですけれども、そういった議論は有識者会議で出なかったのかというのが一点と。
もう一つは、そうやって日本の学生さんとかが自衛隊に入って一緒に国防に、任に就こうというふうな気持ちになってもらうためにこういうことやればいいんじゃないかというふうなアイデアがあれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/186
-
187・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) 大変大事なところの御指摘、ありがとうございました。
ただ、他方、有識者会議でそこまで細かい議論があったと私、記憶していないんですけれども、我々は今、防衛省の中で、まさにこの点につきまして、どうやってその人的基盤強化するかという話合いを、部外の有識者も含め、有識者といいますか、部外の人間含めて話合いをしておりまして、私も参加させていただいております。
まさに、今先生御指摘あったように、どういう形で自衛隊の仕事というのを一般の方々に理解していただくかと。そのための広報の努力であるとか、様々工夫していく余地というのはたくさんあるんだろうと、そういったことを全てやっていくと。それによって、今非常に募集の状況というのは厳しいわけでございますが、これだけ自衛隊というのはやりがいもあるし、あるいは任期制であれば自後のそのキャリアパスの上でもこれは役に立つんだといったようなことをPRしていくとか、様々なことを今話し合われておりますので、それを是非実現していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/187
-
188・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。
では、もう一問、黒江参考人に聞きたいんですけれども、これも有識者会議の資料の中で、何ができるかではなく、何をすべきかという発想でやっていくべきなんだというお話があって、まさにそうだろうなと私も思いながら読んでいたんですけれども、何をすべきかという視点で今回の四十三兆円の予算見て、これ足りないんじゃないかというふうなふうにもし思っておられるところがあれば、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/188
-
189・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) 不足するという認識というのは、私、今の段階では持っていないんですけれども、他方で、これから先に残っている課題というところでは幾つかあるのかなと。
大きなところでは、財源の話、あるいはその経費規模の話から外れますけれども、核についての問題ということについて、ロシアの核の威嚇というのが非常にクローズアップされていると。我々もそれは非常に脅威だと思っておるわけで、これに対してどういう形で対応すべきなのかと。これは、もっとオープンな形で、まさに国会の議論も含めて、どんどん議論していただくことが必要なんじゃないかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/189
-
190・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 時間が参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/190
-
191・神谷宗幣
○神谷宗幣君 はい。
ありがとうございました。まさに私も、この委員会で先日それを申していたところでしたので、意見が合ってよかったです。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/191
-
192・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 茨城県選出の堂込麻紀子です。
本日は、参考人の皆様、大変貴重なお時間いただきまして、本当にありがとうございます。
私の方から、四名の参考人の皆様に質疑をさせていただければというふうに思っております。
まず初めに、黒江参考人の方にお伺いをします。
その前に、自衛官の皆様のある意味その命を懸けたその使命を全うするという意味では、大変、今の自衛官の皆さんの処遇、待遇、また環境面での改善というのは本当にこれから図っていかなきゃならないというふうに思っておりますので、そこも含めて私の方から質疑をさせていただきますけれども。
今回、本法律案の審議において、防衛力の整備計画における四十三兆円という水準、また防衛関係費の対GDP比の位置付けについても議論が行われているんですけれども、今国会の中で、政府がなかなか答えづらい面もありますので、なかなか明確にお答えいただけないというところで議論が止まっているというふうに黒江参考人は御認識かと思うんですけれども、公表できる情報は、黒江参考人は、政府が公表できる情報は出しており、説明もしており、情報提供は十分であると思うというふうに認識だとは思うんですけれども、そこが少し、私たち国民にとって、その情報のもちろんギャップであったり、これまでの経験、知識、また従事してきた方からの視点からすると、私たち国民にとっては少しギャップがあるなというふうに思っております。
その国民の理解を得るための分かりやすい説明という観点からはまだまだ十分ではないというふうに私は考えておりますけれども、情報提供における国民の理解という視点の必要性について、是非、黒江参考人からどのようにお考えかというところを頂戴したいなというふうに思っています。(発言する者あり)済みません、続いていいですか。
そしてまた、ちょっと質問、参考人の方、変えさせていただきまして、纐纈参考人にお伺いしたいんですが、近年の日本の防衛費の伸びについて、国の防衛力維持、また日本経済の成長の観点という視点から見てどのように評価をされているのかという点と、先ほど日中の和解が重要な安全保障であるというふうにお話をされておりましたが、政府は、日米同盟が日本の外交の基軸であり、日本の平和と安全に、日本の平和と、及びアジア太平洋地域の安定と発展にとっては不可欠な役割を果たしているというふうにお考えですが、纐纈参考人からして、日米同盟の在り方についてどうお考えかというところを御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/192
-
193・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) まず、じゃ、黒江参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/193
-
194・黒江哲郎
○参考人(黒江哲郎君) 情報提供に、情報の公開に当たっての国民の理解ということでございますが、私も、まさに先生おっしゃるように、国民の理解を得ていくためには、必要な情報、とにかく出せる情報というのを出していくと、積極的に出していくというのが必要な姿勢だというふうに思っております。
そういうつもりで恐らく防衛省も今対応しようとしているんだと思うんですが、他方で、またこれはちょっと是非御理解いただかないといけないのは、ある種の情報については、これは能力、自衛隊の能力、あるいはその手のうちを明かすことに直結するものがございますので、そこについてはきちんとそういう理由を示した上で、これはこういう理由で説明できないんですということをお断りしながら対応すると、そういうことが必要なのかなというふうに思います。
そういう意味で、国民の理解を得るためにいろんな情報を出すべきであるという御趣旨については全く私も同じ意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/194
-
195・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) それでは、纐纈参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/195
-
196・纐纈厚
○参考人(纐纈厚君) 御質問ありがとうございました。
二点御質問をいただきました。
一点は、膨らむ防衛費が日本の経済力に対して、相当のある意味ではダメージ、あるいは相当の負担を強いているのではないかと、このことをどう考えるかという御質問だったと思います。
五ページの資料をお示ししたのは、先ほどとかなり重なったお答えになるかもしれませんけれども、日本の経済力の現在とこれからというものを長期的に捉え返した場合に、これだけの防衛費負担というものが、今後日本の経済力が復活、そして国民の暮らしの安定、安全のために、これはマイナスにこそなれプラスになるとは一つも思いません。逆に、例えば、今日たくさん話が出ましたけれども、中国、朝鮮等々の脅威がもしあるとしても、その脅威をまずなくすことによって防衛費負担を減らすことが、また、これもまた同時に安全保障の非常に重要な目標になるんだろうと思います。
私は、どこまでお金を積み上げれば安全が担保されるかということは、まさに際限のない、先ほども少し出たようですけれども、まさに軍拡のスパイラルにもう既に日本は入ってしまいました。そういう意味でいうと、どこかでやはりこの軍拡のスパイラル、負の連鎖を断ち切る工夫をやっぱりしなければいけない。そのためにどういう知恵を絞り出すのかということでは、実はもう様々な提案が出ているんだろうと思います。国会の場でそれがどこまで議論されているかは十分私は把握しておりませんけれども、その点は十分にやっぱり今後先生方も含めて御議論いただければというふうに思います。
そして、二点目、日米安保。日米安保、日米軍事同盟をどう考えるかという大変大きな問題でありますけれども、簡単に申しますれば、私は、日米安保が戦後の日本の安全保障に非常に貢献したとは実は全く思っておりません。日米安保によって、例えば先ほどから出ましたような中国からの直接、間接侵略、あるいは朝鮮からの侵略等々が防止できた、そのために日米安保が機能したとは思っていないわけです。いや、むしろ、そういう侵略を防いだのは日本国憲法、まさに第九条であって、最大のいわゆる防衛力を発揮したものが日本国憲法第九条だと私は信じておりますし、なので護憲の立場を貫徹したいというふうに思っております。
そしてまた、同時に、日米同盟によって日本の外交力の柔軟性を非常に欠いてしまう。様々な形で全ての国々とやっぱり等距離外交をしいていくという方向性の中で戦後の日本は歩み始めたのでありますけれども、残念ながら、五一年、日米安保条約が締結された時点で、日本の外交というものが、あるいは日本の防衛というものが、アメリカ仕込みの日本外交、アメリカ仕込みの日本の防衛という形になってしまったことは、これはやっぱり否定できないだろうというふうに思います。
やはり日本人ですから、それは認めたくない気持ちは分かるんですけれども、客観的、史料的に見れば、やはり日本はアメリカから、ある意味ではアメリカもとっても大事な国でありますけれども、日米安保条約を日米友好条約に切り替える、あるいは自衛官の方々を防衛省からあるいは消防庁等に配置換えをする等々の方向性の中で、やっぱり自衛隊の段階的軍縮と日米安保の段階的な解消という方向性の中で、本当の意味での日米安全保障というものが成り立つんだろうという、そういう議論を私どもは実はやっているわけでございまして、なかなか遠い話かもしれませんけれども、そういう中長期的な戦略というものをやはりきちっと検討に値すべきであるというふうに私は考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/196
-
197・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。
続きまして、森信参考人にお伺いをいたします。
税制改正大綱で示されている税制措置のうち、所得税の付加税に関しては復興特別所得税の税率を同率で引き下げるというふうにしており、被災地の復興財源を防衛力強化に転用するのかという強い批判が出ている面があります。課税期間延長で復興財源は確保されるというものの、その選択肢、これが果たして妥当かどうかというところを是非見解をお伺いしたいというところと、もう一つ、コロナ禍からの経済の回復過程という今現状にあると思います。国民生活、また中小企業という経営は大変厳しい状況にあると思いますけれども、経済活性化するための税制上の対応というものが考えられるとすればどのようなものがあるかというところを是非参考人のお考えをお伺いしたいというふうに思っております。
済みません、続けてもよろしいでしょうか。ちょっと参考人の質問をまた変えさせていただきまして、済みません、河村参考人の方にお伺いをしたいというふうに思っています。
参考人、河村参考人の方は財政審議の分科会の方でも御審議をいただいているということで拝見しております。今回、防衛に限らずどの分野においても、将来の日本国民が負担する財源では国としての財政の持続可能性が維持できないということで、先ほど崖っ縁というふうに言葉もしておりましたが、その財政健全化を進めることが必要というふうに指摘をされております。
こうした中、少子化対策の財源も課題になるという中で、財政健全化の実現にはますます厳しい状況になるというふうに考えておりますが、改めて、今後の方策についての御見解と、防衛財源の確保に当たっては基幹税で対応すべきというお考えだと思いますけれども、税制改正大綱に盛り込まれておる税制措置には、法人税、所得税の付加税、またたばこ税の引上げというものが掲げられております。この措置についてどのように評価されているのかというところを是非御見解をお伺いしたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/197
-
198・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) それでは、まず森信参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/198
-
199・森信茂樹
○参考人(森信茂樹君) お答え申し上げます。
第一点の復興財源の話ですけれど、結局、横の期間を延ばすことによって一%減税になった部分を確保していくということでその税制改正が行われるんだというふうに思いますので、だけど、そこをしっかり説明しないと、やはり復興財源の総額を確実に確保したかどうかというところが国民には伝わらないんじゃないかと思いますということをちょっと申し上げたいと思います。
限られたこの一分、二分でこの税制改正の、日本の経済を活性化するような税制改正というのをちょっと申し上げるのには余りにも時間がないんですが、私は、やはりきちっと、今起きております中間層の二層化というのが、右と左に分かれつつありますから、やはり累進機能をしっかり確保して、余裕のある人にはもう少し負担をしてもらうような税制を考えていくと、これに尽きるんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/199
-
200・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) では、河村参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/200
-
201・河村小百合
○参考人(河村小百合君) 堂込先生、ありがとうございます。簡潔にお答えさせていただきます。
財政健全化に対する考え方ですけれども、やはり、国内見渡すと、コロナ危機の影響もあって非常に厳しいセクターがあることは十分承知しております。ただ、やはり冷静に見るべきは、その一方で、がんがん稼いで物すごく潤っているセクターがあるのも事実であります。
国の先行きとしては、厳しいセクターがあるからということで、そこで財政健全化の手緩めてしまいますと、本当に今日ちょっと申し上げましたような大変な事態を招いてしまいかねないということがありますので、それはもう余りにも国全体に犠牲が大きくなり過ぎるということで、やはりそこはしっかりその負担の公平な負担ということをしっかり考えながら、できる負担から少しずつということでしっかり財政健全化を進めていくことが大事だというふうに思っております。
そして、あとそれから、今回のその防衛財源のところの、閣議決定の部分だと思いますが、増税の案についての考え方なんですが、私は、その法人税のところ、それから所得税のところ、たばこ税ということで、ある意味バランスが取れた考え方が示されたかなというふうに思っております。
法人税についても、やはり中小企業向けの配慮もなされておりますし、所得税のところも、いきなりというふうに持ってこないで、ちょっとその復興財源のところとの制度のやりくりがあるところは批判もありますけれども、そこはいきなりの負担には配慮しつつ、で、所得税ですので、ちゃんと累進が掛かるという形での負担になりますので、そういう形でバランスが取れたような形でお考えになられているというふうに思って評価しております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/201
-
202・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 ありがとうございます。
質問の方を終わりにします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/202
-
203・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了をいたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたりまして大変長く御意見をお述べいただき、ありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01220230601/203
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。