1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月十日(金曜日)
午前十時二十八分開議
出席委員
委員長 宮澤 胤勇君
理事 高橋 禎一君 理事 辻 政信君
理事 江崎 真澄君 理事 高橋 等君
理事 森 三樹二君 理事 田原 春次君
長井 源君 保科善四郎君
眞崎 勝次君 小金 義照君
田中 正巳君 茜ケ久保重光君
石橋 政嗣君 下川儀太郎君
渡辺 惣蔵君 鈴木 義男君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 川崎 秀二君
出席政府委員
総理府事務官
(調達庁次長) 山内 隆一君
行政管理政務次
官 森 清君
総理府事務官
(行政管理庁次
長) 山中 徳二君
総理府事務官
(行政管理庁管
理部長) 岡部 史郎君
外務政務次官 園田 直君
外務事務官
(大臣官房長) 島津 久大君
外務事務官
(欧米局長) 千葉 皓君
委員外の出席者
外務省参事官 石井 喬君
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
専 門 員 安倍 三郎君
専 門 員 遠山信一郎君
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六月十日
委員松山義雄君辞任につき、その補欠として福
井順一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五二号)
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/0
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001・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより会議を開きます。
外務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。田原春次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/1
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002・田原春次
○田原委員 私はこの機会に二、三の点について外務省の考えておる海外移民政策についてただしておきたいと思います。新聞等で時折海外移住問題についての各国の農業移民の受け入れ態度が報ぜられておる程度であって、まだ国会でのまとまった全般的な報告を聞いておりません。設置法の中で移住局を作るという趣旨については先般説明がありましたが、これができた後において、今年、また将来にかけて日本民族の海外移住について、まず何をどこからやるかということをお聞きしたいと思います。その方の説明員がおりましたら一つ説明をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/2
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003・石井喬
○石井説明員 私からお答え申し上げます。日本の移民政策に関しましては、現在のところほとんど中南米だけに限られておる現状でございます。今後これを大いに拡大して参りたい。それがためには私ども現在ぜひやらなければならないと思っておりますことが非常にたくさんあるのでありますが、現状におきましては、なかなか手が回りかねてそこまでいっていないということでございます。そこで今後移住局ができました暁には、私どもはまず第一にこの移民政策というものを世界的な規模においてやっていきたい。つまり現在中南米に対しましていろいろ工作を進め移民を送り出しておりますが、それだけでは実は十分ではないと思うのでございます。まず国連に働きかけまして、日本がどうして移民をしなければならないか、それから日本の移民を外国において受け入れることによりましてどのような利益が世界的にもたらされるかということを国連という機構を通じて私どもは世界によく知ってもらいまして、世界的なバックのもとに日本移民を送り出すことが必要であるというふうに考えております。
次にやはり何と申しましても米国の力と申しますか、国際的地位と申しますか、私どもそれを利用と申しては非常に誤弊があると思いますが、米国とよく話し合いをいたしまして、それのバックのもとにやるということも、実際問題としては非常に効果があるのではないかということでございます。
さらに現在日本の移民問題というものに非常に深い関心を持っておりますものにカソリックの関係がございます。これはジュネーヴあるいはローマに本部がございまして、それが日本の移民問題というものについて深い関心を示し、各方面に働きかけを行なっていてくれるのでございます。ことに中南米諸国におきましては、御承知の通りカソリックが圧倒的な力を持っておりますから、そういうところに働きかけてカソリックというものによって日本の移民を推進していくということも必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
さらに私ども現在非常に痛感しておりながらできないことの一つに、いろいろの資料の整備、統計の整備ということがございます。私どもが各国に向いまして、日本が移民をしなければならない事情をいろいろ説明するに当りましても、実は残念ながらいろいろの統計等もまだ十分そろっていないような実情であります。それから私どもは世界各地からいろいろ移民に関する情報を集めてはおりますけれども、何分にもスペイン語であり、ポルトガル語であり、イタリア語であり、ドイツ語、オランダ語というような、いろいろの言葉で報告されてきておりますために、これを読み、整理し、分類するというところまでなかなか手が回っていない。しかしこれは今後移民を大きく推進いたしますための一番基本的な問題だと思いますので、今後移住局ができますならば、そういう点にも力を注いでいきたい。
もう一つ、私どもが現在中南米に移民を送り出しておりますが、これの一番大きな隘路と申しますと、これも多少誤弊があるかと思いますが、中南米諸国における日本移民の反対論の基礎にありますものは、日本人というものは同化しないという議論でございます。先般ブラジルにおきまして、憲法を改正して日本移民を排斥しようということがありました。これが議会におきまして可否同数になり、議長の一票によって否決されたというような事態もあったのでありますが、これの基礎的な理論と申しますのは、日本人は同化しないということであるわけであります。しかし私どもが現地の事情をいろいろ調べますと、なるほど一世の中には同化がおそいという現象は確かに見られるのでありますが、日本人が同化しないのだということは言えないと思います。従いまして今後は日本人の同化政策、日本人を向うに同化させるためにいかなる方法をとったらいいのか、これはもちろん外国に参りました者だけについていろいろいたしましてもだめでございます。やはり国内における教育から始めていかなければならない。日本人の国際的な教養というものを深めていって、日本人がどこへ参りましても日本人としての集団を作ることがないように、国際的な人間としての素養を身につけていくということから始めなければならないと思っております。現在のように五千とかあるいは六、七千、一万程度を出しておりますうちは、実は小手先だけのいろんな施策でもってできるかと思うのでありますが、今後私どもが相当大量に継続的に移民を送ろうということになりますと、この基礎的な問題を解決していかなければならない。これを私どもは移住局ができましたあとにおきましては、まず第一に取り上げていきたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/3
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004・田原春次
○田原委員 移民を海外に送る上におきましてしばしば新聞等で断片的に読んでおりますのは、農業移民の面において農林省、労働移民の面において労働省、中小企業移民の面において通産省と、ある場合においては外務省の申すことが食い違っておる、こういうふうな記事であります。これらの調整が可能なりやいなや、それから外務省にこの一局ができた場合に、各省等が真に協力していくものかどうか、これはいたずらに各省がセクショナリズムになりまして、また似たような局や課を他省に作っていくということになりますと確執が起りますから、これらの点の用意をして設置法の改正を出しておるのか、この点はもっと明瞭にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/4
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005・石井喬
○石井説明員 この点につきましては、御承知のように、前々から主として農林省との間にいろいろ問題があったわけでございます。しかしこれは私どもも日本の移民政策を大きく推進していくためにいかなる形態をとるのがよろしいかということで議論をいたして参りまして、農林省にいたしましてもやはり日本の移民国策を推進するためにいかなる形態をとるべきかということを基礎にして話し合ってきたわけでございまして、私は決して両省間でなわ張り争いをやったというふうには考えていないのでございます。ただ考え方におきまして、私どもは移民政策というものは国の内外にわたって一貫して行わなければならないものである、つまり日本の国内における人間を、外国へ送り出しましてそれを育てていくということでありますから、やはり国内、国外において一貫してやっていかなければならないのではないかというふうに考えているわけでございます。それに対しまして、農林省その他におきまして、国内のことは外務省はよくわからぬではないか、これはまあ国内のことにまかしたらどうかというようなことでいろいろ議論したのでございますが、この点は先般官房長官が御主催下さいまして、関係各省が全部集まりましていろいろ議論を尽しました末に、一つの了解点に達しました。今後はその線に沿って円滑に相協力して仕事を推進していくことができるというふうに確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/5
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006・田原春次
○田原委員 わが国の食糧及び人口増加の面から見ますと、食糧において年間に約二百万トンの不足で、外部から得ておる。人口は絶対数の増加が百二十万以上であるといわれております。従って刻下の日本の一番大きな問題といたしましては、海外各国の了解と賛成並びに歓迎を受ける立場に立って、大量に海外移民をしなければならないのではないかと思います。しかるに今回予算の面を見ますとせいぜい四、五千人くらいの移住に関する経費しか出ていないようであります。先般の自由党、民主党の共同修正によれば二百十数億という金を新たに捻出するというのでありますが、海外に移民を出すために移住局を作るということになれば、百二十万の絶対増加数に対して全部とはいえないにいたしましても、日本と同じ立場のイタリアが終戦後百三十万くらい濠州、アフリカ、南米に移民を送っておるのを見ますれば、日本の将来の国策は貿易と移民ということを最も優先しなければならない。ところが外務省の人事配置を見ますと、依然としてヨーロッパ中心の人事の配置でありまして、中米、南米に優秀なスタッフを送るということがない。むしろ今後は中米、南米に最優秀な人材配置をする、必要ならば中米、南米の未設置のところには公使館を作る、あるいは公使館のところは大使館にする。その反面全体の外務省の費用の節約からいうならば、ヨーロッパにおいてただ惰性的にあるとしか見られないような大使館も相当あるのでありますから、これらを縮小して、そして貿易、移民をして中南米の新市場を開拓し、優秀なる人材を新天地に送るということで、有能にして強力なる外交陣営を配置すべきだと思います。それが今回見られない。一面移住局を作りながら、これに即応する配置が用意されておらないことを考えますと、なぜそういうことをしなかったのか、また将来そういう計画があるのかどうか、これをこの機会に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/6
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007・園田直
○園田政府委員 お答えする前に、本日委員長の連絡によりまして外務大臣が出席して詳細に御答弁申し上げる予定でありましたところが、参議院の本会議の審議状況によりましてやむを得ず出席いたしかねる状態になりましたので、不肖政務次官、代理として出席いたしましたので御了承願います。
ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。われわれ外務省といたしましても全く同様の意見でございまして、予算折衝におきましても、ただいままでの移民その他のワクから一挙にこの際飛躍していろいろな面に拡大するとともに、人口問題、あるいは外貨の獲得の問題、あるいはさらに今までの移民というようなものから転換をいたしまして、民間外交の推進としての外交、移民外交というものを考えまして、いろいろの面に重点を置いて予算の折衝をしたのでございますが、今日の段階におきましては、御承知の通り、本年度の予算関係からの渡航許容人員は約五千五百名でございます。なお本年度以降の長期移民計画に関しましては、事務当局で立案中でございまして、予算その他資金面との関係もございますので、近く発表、御報告申し上げる予定にいたしております。
なお今まで移民に関する外交というものが非常に消極的であって、特に移民の重点である中南米等には外交官の人材等も配置していない、今後よろしくそういう点を考えて移民外交を推進していけという御注意でございますが、全く同じ意見を持っておりまして、外務省といたしましては、ただいま中南米には十九ヵ所に在外公館を設置いたしておりまして、人員六十三名でございます。今度の外務省の在外公館の設置に関する法律の一部改正と予算の折衝の結果、移民関係といたしましては、ドミニカに専任公使、ボリビアに公使館を新設する予定をしております。
なお人材の配置にいたしましても、ただいま御注意をいただきました点をとくと検討いたしまして、本省におきましても、ただいままでは移民課でございまして、外交の中核をなすに至らなかったため、そういう面から出先公館におきましても移民の点についてはいささか疎漏な点があったのではないかと深く反省をしております。そういう面でまず今般皆さん方の御援助によりまして移住局が設置されました際におきましては、外交の重大なる一部門として在外公館等にもよく注意いたしまして、人材の配置並びに外交の推進等には十分なる顧慮をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/7
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008・田原春次
○田原委員 ただいままでの話は大体中南米に重点を置いておるようですが、段階的に中南米に重点を置くのは当然と思いますけれども、たとえばアラスカにはすでに日本の資本でアラスカ木材会社か何かできているそうでありますが、それに季節労働者を入れようとしたけれども、移民法その他の手続がめんどうで入っておらない。これはアメリカ人の労働力、賃金から見れば、日本の森林伐採労働者の方がはるかにいいのであります。しかしいまだにそういう点についての成果が上っておらない。それからまた日本の食糧事情から見れば、東南アジア、たとえばボルネオ、あるいはセラム、ハルマヘラ、そのような近接地帯になお有望な農耕地帯がある。今は賠償も講和条約の最終決定も済んでおらないから、直ちにはこれに対する交渉はむずかしいと思うけれども、すでに平和的に民主的に立ち直った日本であるし、優秀は日本民族の技術、正直、勤勉、こういうものによって未開発地域を開発することは、それぞれの国々の利益になることだと思う。従って外務省はこういう面にもう少し力を入れてもらいたい。新しく再出発する日本民族の将来に対して、特に東南アジア各国との積極的な友好関係を回復する努力が足らないと思う。これらの努力をすることによって、それらの国々も日本人が行って米を作ったり、森林を伐採したり、魚をとれば非常に利益を得るのですから。そういう点平素の啓蒙、友好関係の努力が全くできておらないと思います。これは移住局ができるということになれば、ひとり中南米の仕事だけではなく、広く移住し得るあらゆる国の調査をなし、それから外交的手段並びに宗教家や世論の背景等を得まして、次々に全世界に対して勤勉にして正直、そしてその国の法律を守る優秀な日本民族が平和的に向うの国の産業に協力するように、もう少し勇気を持ってやってもらいたいと思うのでありますけれども、従来の新聞等に現われた傾向を見ますと、とかく消極的であり、はなはだしく遠慮している。さような遠慮はかえって向うの開発をおくらすのでありますから、大いに積極的にやっていただきたいと思います。大臣がお見えになりませんから、次官からこれらの中南米以外の国に対する今後の方策等を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/8
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009・園田直
○園田政府委員 御承知のごとく、今までは移民というものはほとんど農業移民というものに限定されて考えておったようでございますが、外務省といたしましても、すでに御相談申し上げました通り、農業移民というワク内からありとあらゆる部面にわたる移民、あるいは地域におきましても、中南米の移民から各所の方向に進出をしたいと考えておりますことは全く同様でございます。従いましてただいまそのような方面に逐次調査を進め、準備中でございます。なおかつ在外公館の配置等にいたしましても、ただいままでの単に大国の重要な都市に配置せんとする配置方針をこの際転換いたしまして、アジアの大戦後独立いたしました国家、新興国家及び移民のために必要なる各所の国々に公館を配置しようとする意思がございまして、これはすでに今度の予算折衝におきまして、このような在外公館配置の意見を提出をいたしましたが、遺憾ながらその意見は約三割程度に削られまして、その三割程度もただいま法律案となって外務委員会で御審議を願っておりますが、在外公館の配置の基準等も今までのような大国の大都市に置くという方針から、今おっしゃいましたように、経済面あるいは移民的な面から、小さい国といえども実際重要な国家に配置しようということはなかなか御理解願うことが困難で、ただいま盛んに御相談をしている経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/9
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010・田原春次
○田原委員 たまたま重光外務大臣はこの内閣の副総理でありますから、閣内に相当重要な発言力を持たなければならぬと思うのでありますが、今度の予算を見ましても、思わしい成果が上っておらないと思う。今政務次官の御答弁があったように、英国における日本の大使館でも、大使のほかに公使三人とその他四十人ぐらいいると思う。アメリカの日本大使館も大使のほかに公使が三人ぐらいおって、四十数名大使館員がいるようでありますが、その英国との交渉においても、ガットの加入においてはいまだに英国の了解が得られない。あるいはアメリカの大使館に多くの外交官がおりますが、マグロの輸入関税を引き上げられたり、アラスカの林業移民においても成果が得られない、こういう状態であるから、いたずらに大きな国に置かなければならぬということは毛頭ないと思う。それらの国の大公使の配置は転換をいたしまして、日本を受け入れてくれるような、また十分その余地がある、またこちらで公使館、領事館、大使館の施設を何ら使用していないところに重点を置くべきだと思うのです。しかし全体の外務省の費用等もございましょうから、それらをにらみ合せるのは当然だと思います。ぜひやってもらいたい。
第二点は、日本の外交官の三分の一は常に船の上にあると戦前にはいわれておる。すなわち転任、帰任がはなはだしくて一カ所に長く駐在することがない。これは外交官の昇進上の、国内の手続上の一つの現われがそこにあると思うのであります。われわれが聞いておるところによりますと、たとえばイギリスのクロスビーという大使が前後四十三年おったといわれている。あるいはアマゾンの下流のベレンにイギリスの副領事が二十五年おった。こういうことで先進国の外交方針は外交官を昇給のための転任や内地に呼び寄せるというのでなく、その土地における専門家として教育しておるのであります。かような見地に立ちますならば、外交官の三分の一はいつも転任出発というような従来の悪弊をこの際除去しまして、その国に対する特殊な手腕と熱情とを持った者を長く置く半面、在任中に次々に昇給等もするというよにして、国内の一般職の官公吏の昇給昇格とおのずから異なった方法をとることにすれば外交官が真にその駐在国の専門家になれると思います。こういう点についてはまだ工夫が足らないと思います。こういう点も、これは予算面に現われる問題ではなくて、省内の人事配置、任命等の問題でありまするが、適材を適所に置く、そうして武力なき平和的日本民族の海外への発展等については外交は外務省をただ一つの窓口にして、省内に人材が足らなければ他省からも得てそして適切にやるように、外交官の任用規則でありますか、そういうことで存外はばまれているのじゃないかと思いますが、今後これらを改正していくような方針はあるかないか、これをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/10
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011・園田直
○園田政府委員 予算の面におきまして非常に重大な段階であり、重要な問題を控えておるにかかわらず、外務省の予算が非常に少いという御意見でございますが、われわれもさように考えております。しかし今の段階におきましては、仰せのごとく、外務大臣は副総理の立場で閣内に強力な発言をしなければならぬ立場でもございますが、また一面閣内統一のためにはこれを統一せしめる責任者でもございますので、そういう意味におきまして乏しい財政の面からは今日万やむを得ざるものと考えております。将来につきましては、皆さん方の御支持を得まして、逐次終戦後の終戦連絡事務所的な、外務省が日本の内政の頂点に立ちまして、日本の独立の隘路を打開する政治上の頂点に立つべく努力したいと考えておりますので、この上各位の御支援を願いたいと考えております。
なお在外公館の設置方針につきましては、先ほども申し上げました通り、戦前の在外公館の配置方式はこの際改めて、新しい配置の方針をとるべき段階でございます。それは一つは各国の政治、文化の進歩の状態は著しいものでございまして、単に以前大都会であり政治の中心であった点は逐次転換をしておるのでありまして、たとえばトルコのイスタンブール等は戦前におきましては情報収集の拠点であり、東洋西洋の接触点でありましたが、逐次それが西方に移動しておるというのが一例でありまして、その他の点につきましても大いに検討すべき点がございます。なおまた大きな方針といたしましては、先ほど申し上げました通りに、大国の大都会に格の上の大使を配置するという方針はこの際変えて、やはりアジアの諸国に重点を置きまして、ほんとうに密接なる関係があり、しかも外交的には弱小諸国が手を握って、強力なる国家に向って、国連あるいはその他の会議において有力なる発言をするためにも、小さい国々の重要なる点に逐次配置したいと考えております。
なお人事の方面につきましては、ただいま御注意願いました点は、すでに外務大臣といたしましても人事配置上絶えず注意を与えておるところでございます。戦争という一つの空間がございましたので、外務省の中に一つの専門家的な存在の気配が薄れていくということは、御指摘の通りでございます。従いまして人事を行います場合には、あくまで一つの国家の代表として、その相手の国家のいろんな実情をよく明察するばかりでなく、その国家代表者と個人的な親しみを増して、そして国家の利益を上げまするように、一地に長く滞在せしめるような方針はすでにとっております。
なお、また他省との交流は仰せのごとくでございまして、単なる外交技術というものから外交が飛躍をいたしまして、経済面あるいは農業面あるいは貿易面等重大な方向に進出をしております。そういう面で多少の人事の交流もいたしまして、広く専門の知識を吸収し、直接の外務省の外交官にそういう知識を与えるとともに、他省からも広く人事を受け取りたいと考えております。ただいまのところすでに三分二は外務省出身の外交官でございまして、三分の一は他省から人員を配置しているような状態でございます。その他につきましても御意見の通りでございますので、十分検討してやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/11
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012・宮澤胤勇
○宮澤委員長 江崎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/12
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013・江崎真澄
○江崎委員 政務次官にお尋ねをいたしますが、移住局の設置について、今移民計画を立案中であるというお説でありますが、少くともこの予算の少いときに局にしようという以上は、これは先に計画があってそしてその行政的な充実をはかるということでなければならぬと思うのですが、局を作ってそれから計画を立てるなんて、国防会議なんかでもこれからまた六ヵ年計画を作るのだといって、総理、とぼけておられたようですが、これは相当具体的にあるのでございましょうか、もしありましたらその内容を少し承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/13
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014・園田直
○園田政府委員 仰せの通りに移住局の設置をお願いいたします段階におきまして、すでにその基本方針に基いて長期の移民計画を外務省としては立てております。しかしながら予算面あるいは党の長期経済計画等の面に従いまして、まだ発表の域に達してない段階でございますので、もうしばらく御猶予を願いまして発表したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/14
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015・江崎真澄
○江崎委員 この移民の予算につきましては、本年度五千五百万程度の支出計画ができているということでございますが、国内の支出だけにおいて移民の十全をはかるということはきわめて困難だと思います。すでに前岡崎外相の当時にも対米借款の問題等が具体的に持ち上っておったのであります。その後、この内閣になりましてからの経過について承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/15
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016・園田直
○園田政府委員 ただいまの仰せの通りでございまして、ただ単に政府から渡航貸付費の支出を願いまして、それによってのみ移民を進めて参りますることはきわめて消極的でございますので、借款をやりまして、その借款に基いて移民に専念をする財団法人を作りまして、これによって逐次進めていきたいと考えております。この借款は、御承知の通り、前自由党内閣のときに進められました問題でございまして、わが内閣がこれを引き継ぎまして以来、借款の問題は話が進んでおりまして、向うの要求では元利の保証を政府がやればその他のことについては一切の条件は要らない、こういう点まで話は進んでおります。借款の点は順調にいっているばかりでなく、むしろ向うの方からせき立てられているような状態でありまして、前に折衝されました自由党の方々からも、あまりおくれれば借款の点がかえって困難になるから急げという好意的な御注意を承わっているような状態でございます。
これについての準備は、予算的には予備金の中に一億この会社の基金として準備をいたしておりましたが、今度の予算修正に伴いまして、正式に移民公社もしくは会社のための基金一億として修正を願いまして、正式に予算が準備をされております。これに基きましてただいま折衝中の問題は、移民公社にするかあるいは会社にするかという問題で、政府与党内の議論が統一されておりません。と申しまするのは、正直に実情を御報告を申し上げますると、大蔵省関係では元利の保証を政府がやるし、なおまた政府出資の会社ではなかなかいろいろな問題等が起るから、やはり大蔵省が直接監督をできるような公社にしたいという意見があるようでございます。外務省といたしましては、公社という名目では、これは戦争中にスマトラ島に移民の関係でそのような性質のものが作られたことがございますが、ただ単に公社という名前だけで政府の直接出先機関という誤認を受けまして、いろいろな問題が起った先例がございます。ましていわんやこの移民という問題は、戦前と違いまして出かせぎにいくという考え方ではなくて、ほんとうに日本の国民が向うの国に渡って行って、向うの国民となって経済開発に協力をするし、文化向上に貢献せんとする意味の外交でございますから、そういう面になりますと、移民の相手国家から、特に日本の国民は今までどうかと言われておったのは、非常に日本国民は日本の国を愛するという一面、一方には自分の国に入ってまでも自分たちだけで固まって、住んでおる国のことよりもやっぱり元の日本の国の利益になることばかり考えるという点が、他国の非難の点でございましたので、そういう点からいたしましても、公社といたしますと相手国では政府の直接出先機関であるという印象から、いろいろな障害を来します。従ってただ単に移民の会社が渡航するための渡航費の貸付だとか、あるいはその準備だけをするようでございましたならば、それでもかまいませんが、そうではなくて向うに移民いたしましたあと、いろいろな農業あるいは企業の資金の問題や、あるいはその他のお世話をする、最後まで責任を持って移民外交を進めたいと考えておりますので、そういうことになりますと、公社という点でなかなか仕事がうまくはかどりません。従って大蔵省の金銭に関する監督権はこれを強化されてけっこうであるから、名目の運営上は会社にしてもらいたいというのがわれわれ外務省の意見でございました。しかしながら予算の折衝過程において妥結すべき問題が今日まで取り残されておりましたのは、実は予算折衝の困難な状態を現わす一つの事例でございまして、この問題の解決を待っておれば予算の折衝がうまくいかぬので、何とかまとめようということで、これを保留をして予算だけ獲得をしたわけでございます。そこで今これを早急に解決しなければならぬ問題でざいますが、実は内々ではございますが、各党に御相談申し上げましたところ、自由党におかせられましても、社会党両派におかせられましても、やはり移民だけは会社でなければうまくいかぬのであろうという各位の御意見が強いようでございます。従って政府の方で意見が一致をしないでぐずぐずしておるならば、むしろ議員提案で全会一致の問題であるから、早く会社を作って、この一億の基金で、そうして借款を早くやって、移民をどんどん進めていったらいいのではないか、これがほんとうの空気でございます。従いまして政府といたしましては、それではまことに何であるから、なるべく早く意見をまとめるからしばらく待っていただきたいということで、ただいま政府内のそういう意見の調整中でございます。私といたしましては、まとまればすぐ御相談を申し上げるし、また意見のまとまるのが長くかかるようであれば、国会において国民の代表たる議員が提案されることは、政府の恥でも何でもございませんから、議員提案を願ってもけっこうである、こういうことをにらみ合せてただいま考慮中の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/16
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017・江崎真澄
○江崎委員 非常に御努力を願っておるようでありますから、たいへんけっこうでありますが、最初の借款計画は大体どれぐらいの金額を気がまえられて、また何戸ぐらいのものをとりあえずこれによって移民しようとしておられるのかを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/17
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018・園田直
○園田政府委員 金額は、前から折衝願っておるのを引き継ぎまして、千五百万ドルでございます。従いまして大蔵省との相談では、この基金も一億ではやや不足でございますので、初年度は若干をあるいはこれに流用するかもわかりません。あるいは民間の資金を一部集めたいと考えております。その千五百万ドルが借款できまして、まず何名移民をただちにやるかという御質問でございますが、この点はまだただちにお答えを申し上げるような段階ではございません。借款計画は持っておりますが、その借款をただちに全部渡航貸付に回すというわけではございません。いろいろな設備あるいは準備の資金等が実際は国家の予算で支出されるべき筋合いのものを、これによって初年度は流用しなければならぬということもございますので、この点についての御答弁は御容赦願えれば幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/18
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019・江崎真澄
○江崎委員 今の五千五百人の送出計画でありますが、移民というものはすでに御存じの通り男一人で行って成り立つものじゃありませんが、これは一体何戸でどういう形でおやりになるのであるか。具体的に一つ承わりたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/19
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020・石井喬
○石井説明員 今のところは中南米諸国が主でございまして、向うの政府なり、これを使います方の要望は、できるだけ労働力の多い家族にしてほしいといっております。ところが家族と申しましても、よく向うに行きたいために、構成家族と申しまして、臨時に養子になったりなんかするのがございます。こういうのは非常に困る。向うに行って分れてしまいます。従いましてできるだけ自然家族の構成で、その中に労働力三人以上入りますと、夫婦と大きな子供というようなかっこうになりまして、子供が大きいとその下もいるということで、大体今のところ家族六人平均くらいになっております。従いまして五千五百人と申しましても、家族で申しますと、大体それを六で割ったくらいの家族数ということにならざるを得ないのでございます。ただ最近はアルゼンチンとかブラジルなりで技術を持った単独の若い優秀な人間がほしいという声が相当強くなって参りました。そういたしますと、六で割ります割合がだいぶ下って参りまして、われわれとしては非常に望ましい傾向になっておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/20
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021・江崎真澄
○江崎委員 今の単独の若い者というお話は、これは将来にかけて非常に希望の持てる話でありますが、その技術というのは具体的に言いますとどんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/21
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022・石井喬
○石井説明員 いろいろございますが、今一番要求されておるのは、技術者といたしましては、たとえば養鶏の専門家、果樹の専門家、それから場所によりましてはいろいろな農機具を作る者とか、井戸掘りの職人とか、自転車の修繕工とか、各様にわたっておりますが、まず一番多いのは果樹の専門家とか花作りの専門家、そういうものが要求されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/22
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023・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/23
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024・宮澤胤勇
○宮澤委員長 次に行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を続けます。石橋政嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/24
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025・石橋政嗣
○石橋(政)委員 定員法関係につきまして若干厚生大臣に御質問したいと思います。御承知の通り、昨年の定員法の改正に基きまして、厚生省関係において引揚援護庁のであると思いますが、四カ年間にわたって計画的に整理をすることになっておるわけでございますけれども、この引揚援護庁の今後の見通しを一応知る必要があると思いますので、現在の在外同胞をどういう計画に基いて引き揚げさせようとしておるのか。今後の問題でなかなか見通しは困難かと思いますが、一応の整理者の数が出ておる以上、ある程度のめどはついておると思いますので、その点を最初にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/25
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026・川崎秀二
○川崎国務大臣 御承知のごとく、引き揚げ援護業務が引き揚げを促進するとともに次第に縮小されて参っておるのであります。このことは国家としてはむしろ喜ぶべき現象でありまして、引き揚げが促進されるということは国として喜ぶべきことであるに反し、その業務に携わってそのことのために要員として旧陸海軍以来残っておられる方々には、次第に行政整理の日が近づいていることは、御本人たちにとってはまことにお気の毒ではありまするけれども、これまたやむを得ない現象であろうかと思うのであります。引き揚げ関係職員の人員整理は、その業務に伴いまして昭和二十九年度から四カ年にわたり総計一千五百一人を整理することといたしており、本年度におきましては六月末までに四百十八人を整理いたすこととなっておるのであります。これらの職員の退職につきましては、昨年とられましたような待命制度は、行政整理の建前からいたしまして、これを存続するということは困難な情勢に立ち至り、また党の考え方もそのようでありますので——しかし同時に待命制度はとらずしても、その結果直ちに路頭に迷うような職員を出すことは、私どもとしては見るにしのびないわけでありますから、待命制度に準ずるような余裕のある退職整理の期間を設けたいということから、今回指名定員外制度を実施することに相なったわけであります。これについては閣議におきましても相当の論議がありまして、これもとるべきでないという考え方を持つ閣僚などもあったのでありますが、遂に指名定員外制度を実施することに相なったわけでございます。さきに申し述べました通り、今年度の整理人員は四百十八名でありますが、部内における配置転換、他への就職あっせん等により、すでに百四十六人が整理済みであります。残りの解員は二百七十二名でありますが、そのうちすでに二百十六人は本案成立のあかつきには指名定員外制度に服したい旨、すでに本人より円満に申し出が提出されておりまして、残余の人員は今月一ぱいには他への配置転換ができる見込みであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/26
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027・石橋政嗣
○石橋(政)委員 ちょっと質問の要点をそれたと思うのでありますが、私最初にお伺いいたしましたのは、四カ年にわたって整理をするということが明らかになっておる。そうしますと、引き揚げ事業の今後の見通しということは非常にむずかしいではあろうけれども、これだけの人員をことし減らす、来年はこれだけ減らすということがわかっておる以上、引揚援護局の事業というものも一応のめどがついておるのではないか、そうするならば、現在在外同胞がまだどのくらいおるのか、これをどういう形で今後引き揚げさせる計画のもとにこの事業の縮小を見越しておられるか、これをまず最初にお伺いしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/27
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028・川崎秀二
○川崎国務大臣 ちょうど外務省との質疑応答の交代期でありまして、多少ざわざわしておったので、たしか引き揚げのことの御質問かとも思ったのでありますが、語尾にこれらの計画並びに現在の進捗状況というお話でありましたので、整理の問題の方を先に申し上げて、まことに恐縮であります。聞き落しかもしれませんので、私からおわびを申し上げておきます。
現在引き揚げの状況は、生存者の見込み数はソ連本土におきまして約一千五百、樺太において一千、中共において七十という見込みを厚生省としては立てておるのでございます。この生存者の引き揚げについては、予算案のときに申し上げましたように、本年度はこの中の約五千名程度引き揚げる予定のもとに予算を組んでおるような状態でありまして、日ソ交渉等が進捗いたしますれば、さらに大幅な引き揚げも予想されるわけでございます。従いまして本年度を軸として三十二年度、三十三年度あたりまでには引き揚げが完了するものと考えておりまして、これに基いて引き揚げ援護局の整理は三十年程度において四百十八人、三十一年度において四百八十二人、三十二年度において四百五十人、こういう数字をもって漸次整理をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/28
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029・石橋政嗣
○石橋(政)委員 ただいまの計画に基きますと、大体三十年度に五千人からの引き揚げを見越しておられる、こういうわけでありますが、私たちといたしましても、引き揚げは一日も早く行われることが望ましいし、また努力をしなくちゃならない。このように思うわけでありますけれども、必ずしも予定通りに進まないような事態も予想しておかなくちゃならないのではないかと思うわけでございますが、もしこの引き揚げが予定通り進捗しないというようなことになりますと、被整理者の数にも異動がある、このように考えてよいものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/29
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030・川崎秀二
○川崎国務大臣 もとよりそういうふうにお考えをいただいてけっこうであります。しかしながら引き揚げが予定通り進渉しないというよりは、むしろ今日立てておりまする計画は、昨年の末において予算の原案が大蔵事務当局で作られた際に提出をいたしたものでありまして、その後日ソ交渉という新たなる事態が入り込んでおりますから、その結果によって新たな情勢の進展も予想されるような情勢で、あるいは引き揚げが早くなる見込みもあるのではないかとさえ思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/30
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031・石橋政嗣
○石橋(政)委員 大体厚生省関係の整理は、今の大臣のお言葉によりますと非常にスムースに進んでいる、こういうことでございまして、残りが五十六人ある、こういう話でございますが、もしこの五十六人の方々の配置転換といったようなことがうまく行かない、そしてまた本法案の附則十項に基く指名退職の希望をしないというふうな事態に立ち至りましたときに、大臣としてはどういう措置をとられるつもりか、この点を確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/31
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032・川崎秀二
○川崎国務大臣 それは厚生省においてはすでにただいま御指摘の通り円満に予定数の指名定員外の申し出がありましたので、御懸念の点は万々ないことと思いますが、なお残りの者につきましても、大体防衛庁方面に配置転換をいたしたいという見込みがほぼ立っておるような次第でございます。これもつけ加えて申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/32
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033・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは引き続いて調達庁関係についての質問をいたしたいと思います。昨年度以来引き続き年次計画によって整理を行なっておるもののうち、調達庁関係が一番トラブルが多いように私ども考えるわけでございますので、特に細部にわたっての質問をいたしておきたいと思います。
その前に調達庁の業務がいわゆる駐留軍を対象にしております関係上、漸減していくということは、われわれといたしましても十分に納得がいくわけでございますが、しかしそうはいうもののまだ人員を急激に減らさなくてはならないような事態に立ち至らないで済む方法があるのじゃないか、こういう疑問を持っているわけでございます。その一つといたしまして補償業務でございますが、このうち行政協定の十八条に基く補償業務が非常に遅延しておるようなきらいが強いのでございます。最近私のところに来ておりますものを見ましても、昭和二十八年に起りました米軍による事故、これらの事故に基いて申請したものすら処理できておらないというような件数が、相当あるように思うのでありますが、まず、行政協定十八条に基く補償業務、この範囲内に属するもので未決になっておる件数が現在一体どのくらいあるのか、この点を御質問してみたい思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/33
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034・山内隆一
○山内(隆)政府委員 お答えいたします。行政協定十八条の問題は時々刻々に起っておりまして、従ってまた問題によりまして非常に簡単に片づくものもあり、非常に長くほとんど半年以上もかかるようなものもありますので、そんな関係で未決事件が何件ということは、ときによって非常に違うわけであります。私今手元に十八条関係の資料を持っておりませんので、未決事件が何件ということを申し上げることができないでまことに遺憾に思いますが、最近の進行状態は以前に比べて非常によくなって参りました。その理由は、御承知かと思いますが、以前は府県知事に書類の受付とか調査とか、最後の金の支払いを委任をいたしておりましたが、どうも仕事がダブるような形がありまして、県を通過することによりまして非常に期間がよけいかかるということが、いろいろな調査から明らかになりましたために、昨年の四月一日から全部調達庁だけで責任を持って処理するということにいたしましたので、平均して約一カ月は事件の処理が短縮になったかと思います。従って今日はごく早いものになると一ヵ月、極端なものは別としまして数あるもののうち比較的長くかかるもので三カ月というような程度に短縮せられました関係上、未決事件はよほど少くなったと思いますが、的確な数字はいずれあとで書面にしてお届けいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/34
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035・石橋政嗣
○石橋(政)委員 行政協定十八条に基く補償事務は相当停滞しておると考えておるわけでざざいますが、件数が現在明確にならないのでやむを得ません。後日お聞きいたしますが、このおくれておる原因には、私は二つあるんじゃないかと思う。ということは、一つは根本的な問題で、米軍との話し合いがどうしてもつかない。というのは、被害者としては米軍の車にひかれたのだということを明確に証言しておるにもかかわらず、米軍が認めないというふうなケースがあるし、あるいはまた私の今特っておりますケースの中には、事故を起した当時は確かに軍籍を持っておったけれども、その後除隊してしまって、一シビリアンになったので、軍としては知らないといって突っぱねている、そういったケース、あるいは日本の検察庁において不起訴処分になったので補償の責任を生じないといって逃げておるケース、こういった問題は根本的に解決しなければならない問題であって、単に処理のおくれておることの責任を追及するわけにはいかないと思うのでありますけれども、それと同時にもう一つおくれている理由といたしまして、たとえば事務的に翻訳などが非常におくれているというのが相当あると私聞いておるわけです。これなどは人員整理というようなものとは逆行しておるのではないか、もう少しそういった翻訳に携わる者をふやしてやるというようなことが考えられなくちゃならぬじゃないか、こういうふうなことで私質問をしたわけでございますが、答弁を得られませんでしたので、なるべく早い機会に、現在未決になっておるものの件数がどのくらいあるのか一つお知らせ願いたいと思います。
それからもう一つ、調達庁といたしましては戦後初めてできました特別な技能を持った人たちによって構成された一つの役所であると思うのでございますけれども、これがだんだん縮減されていくということは、ある意味においては非常に不幸なことじゃないか、せっかくのこういった技能を今後も活かしていくということが、当然考えられなくちゃならないのではないか。たとえば各省庁がばらばらにやっております調達業務というものを一元化して、これを現在の調達庁あたりでやっていくということを計画されたらどうかということをさきに長官にも話したのでございますが、こういう研究機関を設けたりあるいは上部に働きかけたりしたことがあるのかどうか。あるとすればその経過といったようなものを若干お聞かせ願いたいと思うわけであります。こういう措置が今後とられるとするならば、必ずしもこういった特殊技能を持った者をどんどん整理していくといったような必要もないのではないかと思いますので、あわせて質問してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/35
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036・山内隆一
○山内(隆)政府委員 調達庁の整理計画は、御承知のように、昨年度から来年度にわたる三カ年で七百一名の計画になっておりますが、この調達庁の整理計画の内容でございますが、一部分は他の各省共通な事務処理の合理化といいますか、行政管理庁でいろいろ検討されて、仕事の種類によってこの程度節約してもできるのではないかというような方針がきまりまして、調達庁もその例に漏れませんで、一部についてはそういうような事務処理の合理化というような意味から来た定員減も若干でございますが、調達庁の減の主たる理由は、事務の縮小によるものが大部分でございます。この縮小は何かと申しますと、調達庁は講和条約発効後大量に不動産の解除がありまして、その解除不動産の補償事務というものが、金額にしても莫大な金額に達するし、事務の分量としても異常に大きな分量になりまして、一つのビルを解除されたものをどうして原状に回復するか、そのためにどれくらいの金がかかるかというようなことを計算して、所有者と話をつけるだけでもなかなか大へんなことでございます。その仕事が講和条約発効前後から解除になり始めて、二十七年の七、八月ごろまで、非常なたくさんのものが解除になったわけであります。その補償事務の処理が大よそどれくらいかかるかということを検討いたしまして、その処理計画に基いて本来ならばあるいはその減を受けるような場合でも、そういう臨時の仕事が相当多いので、どうしても必要な人員は置かなければならぬというような計画であったものが、だんだんと処理計画によって減少してきまして、もう三十一年度ならばまず処理を終ることができる、そういうような見通しを立って、その見通しのもとに定員減の計画をいたしたわけでございます。しかし不動産の解除はその後におきましてもぼつぼつございます。また最近は移駐計画に基きまして、相当の解除も予想されますが、これはまた別途の問題として考えなければなりませんが、とにかく当初の大量解除については残りが非常に少なくなって参っておりますので、その意味でこの調達庁の定員減はやむを得ないものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/36
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037・石橋政嗣
○石橋(政)委員 どうも質問の要旨からそれておると思うのでありますが、現在のような調達庁のあり方であるならば、これが年年歳々業務が減っていって、人員整理というようなことが行われることはやむを得ないであろうということは、私認めておるわけでございます。それでせっかく調達庁に集まっておる特殊技能者の集団を散らしてしまうということは、ある意味では不幸ではないか。この特技を生かすためにも、現在各省庁においてばらばらにやっておるいわゆる国内調達あるいは省庁の営繕とか用度、そういうものを全部一括してやるような役所をつくり、それを現在の調達庁が引き継いでやるというような形にすればいいのじゃないか、そういう計画が過去においてなされたことがあるか、あるいはどこか政府部内あるいは調達庁の中にそういうものを研究する機関を設けようというような計画があるのかどうか。あるとすればその折衝の経過などを一つ御説明願いたい、こういう質問をしたつもりだったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/37
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038・山内隆一
○山内(隆)政府委員 国内調達の問題につきましては、今の官庁である調達庁の前身は公団である特別調達庁という時代がありまして、その公団である特別調達庁におきましては、設置法の中に明らかに国内調達をやることのできるような項目があったわけでございます。従いまして調達庁としては本来の仕事が縮小になりましても、国内調達の仕事は権限として設置法に載っておるから、いずれこういう方面を具体化して、その全都にはなかなか手が届きませんけれども、最も手近な、また効果のあるものからやりたいという考えを持って計画したことはございます。しかしそれは公団時代に設置法に載っておりましたからそういう計画をいたしましたが、今度はいろいろの必要から官庁にまた直さなければならぬというときに、非常に論議があったわけでありますけれども、元来終戦後に特に軍の必要という特殊の意味を持ってできた官庁が、そのままに国内調達というような大きな問題と取り組んでやるということはどうかという、各省にいろいろ意見がありましたことと、調達庁の本質からいって、そういうことで性格をあいまいなことにすることはまずいじゃないか、とにかく調達庁は設置当初の本来の使命に従って進むことが必要じゃないか、一方こういうことでありましたことと、もう一つ、当時国内調達のうちの特に大きな問題は営繕関係でありますが、建設省設置法にも国費をもってする営繕は建設省がやるようになっておる。調達庁にそのまま置くということはおかしいじゃないかというような意見もあって、それでとにかく今のところは、今度の官庁としての調達庁は駐留軍の仕事をもっぱらやるということに限るべきだというので削られてしまったわけです。従って今の調達庁設置法ではそういう方に手出しをすることはできないわけでございます。ただ新しい問題として将来どうかということは、これは意見としていろいろあろうと思いますけれども、しかしこれはなかなかむずかしい問題でありまして、現在のところ調達庁はその国内調達についての考えを持っておりません。むしろ調達庁の機能を発揮するためには、すでにいろいろ問題もあります。軍の直接調達をある範囲においては間接調達にした方がいいじゃないかという問題は考えてもおりますし、また希望する面もだいぶ多いようであります。大体そんなようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/38
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039・石橋政嗣
○石橋(政)委員 この問題は非常に大きな問題で、機構の改革あるいは、事務の簡素化といったようなものとも関連して十分に検討する必要があるものと思うわけであります。しかし本席においては一応その程度にいたしまして、ともあれ調達庁は現実において整理しようとしておる。ところがその整理の仕方がまずいのかどうか、調達庁においては非常にトラブルが多いように私は思うわけでございます。
それに関連いたしまして、若干の質問をしてみたいと思いますけれども、本年度分御指摘の通り三百三十二名の整理があるわけでございますが、この三百三十二名のうち、もしこの法が成立した場合に、いわゆる本人のあくまで自主的な意思に基いて、指名退職制度の適用を受けようという意思の表明をしておる者が現在までにあるのか。もしあるとすれば、何人くらいか、それを最初にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/39
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040・山内隆一
○山内(隆)政府委員 明らかにその意思を申し出てある者も非常にたくさんあります。それから明らかに申し出ていないが、まず申し出るだろうという見通しを持っておる者もありますので、合せて約二百二十名くらいあるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/40
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041・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうしますと、定員法の改正によってどうしても三百三十二名の整理をしなければならぬ。ところが現在まで自発的に申し出るであろうという予想のもとに、予想まで含めて二百二十名ということでありますと、さらに百十二名かの差がここにできてくるわけでございますが、この人たちがもし自発的に申し出をしないという場合に、問題は非常に紛糾してくると思うのでございますけれども、これに対してどういう取扱いをなさるつもりか、これを御質問いたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/41
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042・山内隆一
○山内(隆)政府委員 調達庁の三十年度の整理予定が三百三十二名で、今二百二十名と申しましたから、その差は百数十名になるわけでありますが、実は予算面にも明らかになっておると思いますが、三百三十二名の整理ではありますけれども、欠員等もございますので、二百五十四名だけ整理すればよろしい。従って二百五十四名の人員に対する予算が計上されておるはずでございます。従って私どもの努力の対象になる数字は二百五十四名でありまして、もう三十数名を残すのみ、こういうふうになっておるわけでございます。なおその三十数名をどうするかという問題になるわけでございますが、これは主として調達庁の総人員が減る関係で機構が縮小されるわけで、役付職員において一番整理に悩んでおるわけでありまして、この三十数名というものも大体そういうような種類を見てさしつかえないかと思います。しかしこれらの数字につきましては、何といっても三十数名に切り詰められておりますのと、いろいろ趣旨をよく説明して、どこまでも納得の上この整理を円満に終了したい、かような念願を持っておりますのと、今のところそこに数字の開きはありますけれども、大体六月末までにはできる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/42
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043・石橋政嗣
○石橋(政)委員 聞くところによりますと——まあこういうことはないと私は思うのでございますけれども、いわゆる当局側といたしまして、この三十四名の整理に当って当局側から見て好ましからざる人物を是が非でもやめさせるというような強圧的な、強制的な態度で臨んでおるようなうわさを聞くわけでございますが、もしこういうことがあると、私はせっかくの法の精神をゆがめてしまうのじゃないか、このように思うわけであります。昨年の臨時待命制度というものが施行された場合には、任意と強制の二本建があった。ところが本年度はあくまでも任意の形だけでやっていこう、これは川島行政管理庁長官もはっきり申しておりますし、この法案を読んでみましても、その精神で書かれておるように思うわけであります。それを実際運用面で強制的にやるということであっては、これは表に表わすのは任意、実際には猛烈にそういった強圧的な形でやるということで、法の精神を踏み殺してしまうことになるわけでございますが、絶対にそういうことはやらないということを確言できるか。たとえばどうしても申し出を行わなければ国家公務員法の七十八条の四項で処分する、こういうふうなことを言ったりしたりするようなことは絶対にないかどうか、私は率直に答弁していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/43
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044・山内隆一
○山内(隆)政府委員 今のいよいよという場合に、公務員法の七十八条を適用することがあると言ったかどうかというお尋ねでございますが、職員に対してそういうことを言ったことは絶対にないと私考えております。ただ内輪で、この整理は制度上どうなって、ぎりぎりのところになれば一体どういうところにいくかというような話し合いのときに、そういう問題が出たことは事実でありますけれども、まだまだ私ども目下のところそういうことを考えておりません。そうしてまた先ほども申しました通り、もうわずかな数になっておりますのと、それからこれもやはり厚生省の今後の努力と同じような方向でありますが、就職あっせんとかあるいは配置転換とかいうようなことが円滑にできるならば、この数ももっと縮まるわけでございます。そんなわけでありますので、まだ公務員法に持っていってやらなければならぬというような状態ではなく、どこまでも円満に話し合って、今度の指名定員外制度が整理を円滑に終りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/44
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045・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは最後に行政管理庁の力に要望いたしておきたいと思うのでありますが、先ほど厚生大臣の答弁の中にも、残り五十六名については防衛庁に配置転換したい、こういうようなことがございました。こういった配置転換計画というものはもうなされておると思うのです。一つ各省のいわゆる配置転換計画をまとめて、今厚生大臣が言ったような大まかなものでもけっこうでございますから、出していただたきたい。
それからもう一つは、この定員法のいわゆる区分に従って、各機関に属しております常勤的非常勤職員と申しますか、常勤労務者と申しますか、こういったものの数字を明確に提出してもらいたい。この二点を要望いたしまして私の質疑を打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/45
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046・森清
○森(清)政府委員 石橋さんの御要求になりました資料につきましては、さっそく私ども作りまして差し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/46
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047・宮澤胤勇
○宮澤委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本案に対する質疑は、本委員会としては一応ここで終了いたしました。午後農林水産委員会に合同審査を申し込んでおりますから、それを行なってこの質疑を一切終了することにいたします。
それではこれで散会いたします。
午前十一時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02119550610/47
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