1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月二日(火曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 足立 篤郎君
理事 鹿野 彦吉君 理事 熊谷 義雄君
理事 坂村 吉正君 理事 森田重次郎君
理事 石田 宥全君 理事 角屋堅次郎君
理事 稲富 稜人君
小澤 太郎君 小山 長規君
佐々木秀世君 田澤 吉郎君
田中 正巳君 中村 寅太君
中山 榮一君 長谷川四郎君
本名 武君 三ツ林弥太郎君
赤路 友藏君 伊賀 定盛君
工藤 良平君 兒玉 末男君
佐々栄三郎君 實川 清之君
柴田 健治君 永井勝次郎君
西宮 弘君 美濃 政市君
森 義視君 神田 大作君
中村 時雄君 樋上 新一君
出席政府委員
農林政務次官 安倍晋太郎君
農林省農林経済
局長 大和田啓気君
委員外の出席者
参 考 人
(六大都市水産
物卸売人協会会
長) 伊藤 春次君
参 考 人
(大阪市中央卸
売市場長) 池内英太郎君
参 考 人
(全国地方青果
卸売市場協議会
会長) 宇佐美兼次郎君
参 考 人
(全国青果卸売
組合連合会会
長) 江澤仁三郎君
参 考 人
(全国青果小売
商組合連合会会
長) 大澤常太郎君
参 考 人
(六大都市水産
物仲買組合連合
会会長) 北村 宮藏君
参 考 人
(全国青果卸売
会社協会会長) 関矢 尚一君
参 考 人
(東京都中央卸
売市場長) 土屋 鉄蔵君
参 考 人
(全国魚卸売市
場連合会会長) 筒井 英樹君
参 考 人
(全国水産物小
売団体連合会理
事長) 中根 長吉君
専 門 員 松任谷健太郎君
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三月二十九日
委員三ツ林弥太郎君、湊徹郎君、粟山秀君、柴
田健治君、岡本富夫君及び樋上新一君辞任につ
き、その補欠として福田一君、重政誠之君、黒
金泰美君、八木昇君、斎藤実君及び浅井美幸君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員八木昇君辞任につき、その補欠として柴田
健治君が議長の指名で委員に選任された。
四月一日
委員黒金泰美君、重政誠之君及び福田一君辞任
につき、その補欠として粟山秀君、湊徹郎君及
び三ツ林弥太郎君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同月二日
委員赤路友藏君、實川清之君及び浅井美幸君辞
任につき、その補欠として柳田秀一君、永井勝
次郎君及び樋上新一君が議長の指名で委員に選
任された。
同日
委員永井勝次郎君及び柳田秀一君辞任につき、
その補欠として實川清之君及び赤路友藏君が議
長の指名で委員に選任された。
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四月一日
中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(安宅
常彦君紹介)(第三三二六号)
同(川村継義君紹介)(第三三六二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の
一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/0
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001・足立篤郎
○足立委員長 これより会議を開きます。
農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案につきまして、参考人より意見を聴取することといたします。
本日御出席の参考人の方々を御紹介申し上げます。
六大都市水産物卸売人協会会長 伊藤春次君、大阪市中央卸売市場長 池内英太郎君、全国地方青果卸売市場協議会会長 宇佐美兼次郎君、全国青果卸売組合連合会会長 江澤仁三郎君、全国青果小売商組合連合会会長 大澤常太郎君、六大都市水産物仲買組合連合会会長 北村宮藏君、全国青果卸売会社協会会長 関矢尚一君、東京都中央卸売市場長 土屋鉄蔵君、全国魚卸売市場連合会会長 筒井英樹君、及び全国水産物小売団体連合会理事長中根長吉君、以上、十名の方々でございます。(拍手)
参考人各位には、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席下さいまして、まことにありがとうございます。
ただいま本委員会におきましては、農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を審査いたしておりますが、本案について、参考人の方々の忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
なお、はなはだかってでございますが、時間等の都合もございますので、御意見開陳の時間は、お一人十分程度にお願いいたしたいと存じます。
議事の順序につきましては、まず参考人各位から御意見をお聞かせいただいた後、委員各位から参考人の御意見に対して質疑をしていただくことといたします。
まず、土屋参考人にお願いいたします。土屋参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/1
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002・土屋鉄蔵
○土屋参考人 卸売市場近代化資金制度について申し上げたいと存じます。
中央卸売市場における生鮮食料品の取り扱い量は、大都市への人口の集中、特に周辺地域における都市化と消費の高度化によりましてますます増大しつつあり、すでに東京都における取り扱い高は、昭和四十二年において総額三千百三十四億円と、全国中央卸売市場取り扱い高の約四〇%に達しようとしております。さらに、運搬車両類の著しい増加と大型化などにより、市場施設は狭隘混雑を来たし、いわゆる過密化現象が進行しております。
このような情勢に対処して、生鮮食料品の供給の円滑化をはかり、価格の安定に寄与するため、東京都においては、昭和四十三年度において二十七億余円を計上して、現在、市場の施設整備と新市場の建設を行なおうとしております。これらの施設整備事業は、取引の円滑化と市場の近代化を目標とするものではありますけれども、現状においては、基幹的、共通的な施設の範囲にとどまっておりまして、卸売りの人、仲買い人などの市場業者が利用する個々の施設に対してまでは、諸般の理由により、十分な措置を講ずることができないのが実情でございます。
このたび提案されております卸売市場近代化資金制度の設定は、このような情勢下においては、まことに時宜を得た有効適切な施策と考えられますので、開設者といたしましては、一日も早く実施の運びとなりますことをお願いするものであります。
しかしながら、この制度の内容について、若干の意見を申し述べさしていただくならば、まず、融資ワクの三十億円は、市場業者全体の数から考えて少な過ぎるのではないかということ。また、その条件でございますけれども、利率が、確かに市中銀行より低利であるとはいえ、物価対策上重要な地位にあって、流通機構をになう市場業者に対するものとしては、さらに低率であり、かつ償還期間も延伸されることが望ましいと考えます。
次に、これらの制度が、単に施設整備に必要な資金にとどまらず、昭和三十八年七月閣議決定の、生鮮食料品流通改善対策要綱に基づく取引機構の合理化策としての仲買い人の法人化等による経営規模の拡大のための必要な資金についても、同様の措置がとられることが必要かと考える次第であります。これらをいま直ちに改善することはむずかしいことかと存じますが、今後は十分にこの点御検討をお願いし、早期に実現されることを期待してやまない次第でございます。
次に、この機会に中央卸売市場開設者の立場から、中央卸売市場における問題点の一つについて申し上げたいと存じます。
御承知のごとく、中央卸売市場における財政面については、地方公営企業法の一部改正――これは昭和四十一年七月に行なわれたわけでございますが、これに伴いまして、いわゆる経費負担の原則が定められ、昭和四十二年度から適用を受けております。しかしながら、市場会計の収支状況は、毎年多額の一般会計からの、補助を必要としておりまして、この額も年々増加しまして、昭和四十一年度には一億六千二百万円、昭和四十二年度には七億四千五百万円、昭和四十三年度においては八億四千二百万円が予定されております。これに加えまして、流通圏の拡大等により増大する取り扱い量に対処するための市場施設の整備拡充及び新市場建設に伴う設備投資により、市場財政は一そう逼迫化することは必定であります。これを改善するためには、受益者負担の見地から、市場の自主財源の大宗ともいうべき施設使用料の改定が必要かと考えますが、これについては、昭和三十八年七月の閣議決定により、使用料の引き上げの抑制措置がとられていることなどから、東京都の使用料は、昭和三十二年四月以降据え置きの状態でございます。しかしながら、これの値上げは、生鮮食料品の流通機構の中核である中央卸売市場の公共性から、物価に対する影響を考えますとき、この閣議決定による値上げ抑制措置を撤廃していただくかどうかということは、かなり慎重に検討を要する問題であろうかと考えます。
しかし、そうなると、このような現状では巨額の投資を必要とする市場の整備はきわめて困難となります。そこで、これら事業に対する国のより積極的な助成を望みたい次第であります。すなわち、補助金は改善されつつあるとはいえ、現在きわめて少額なものと申さなければなりません。したがいましてこの増額と、それから新市場建設のための用地取得費に対しまして、何らかの財政援助をされることを、私どもとしては強く要望したい次第でございます。
なお、現在施設整備事業の財源の大部分を起債に依存しておりますけれども、昭和四十三年度においては二十五億六千万円の起債を予定しておりますが、その未償還残高は、昭和四十一年度末においては四十六億三千七百万円、四十二年度末においては六十億円をこえ、四十三年度末には実に八十八億をこえる見通しでございます。このような未償還残高の累増は、当然のことながら企業債利子の負担増となりまして、前に申し上げました一般会計からの補助は、ほとんどこれに充当している状態でございます。したがいまして、このような市場財政逼迫の緩和策として、低利の政府資金の導入とか、企業債償還年度の繰り延べ措置、さらに利子補助給措置などについても、十分なる施策を期待するものでございます。
私の意見は以上のとおりでございますが、実は、たまたま横浜の市場長にきょう参考人として出ることを申し上げましたところ、横浜の市場長も関係業界と会議を持ちまして、ぜひつけ加えて陳述してもらいたい、こういうふうに言ってきましたので、お許しを得まして読ませていただきたいと存じます。
一、最近、とみに大都市において人口が過密化しているため、当該地域における生鮮食料品の流通近代化の促進及び同物資の価格安定は緊急課題となっているので、大都市における生鮮食料品取り扱い業者の施設近代化のため、本資金の融資を重点的に行なうよう御配慮願いたい。二、融資額の貸し付けについては、中央卸売市場法に基づく各指定区域ごとに貸し付けワクを設定してもらいたい。三、融資の窓口を横浜市内に設置してもらいたい。四、融資総額を次年度以降においては、業界の資金需要額を満たすに足るよう大幅に増額してもらいたい。五、昭和三十八年七月閣議決定に基づく生鮮食料品流通改善対策要綱により設置した中央卸売市場における代表買いなどの分化機関に対しても、施設近代化をはかるため貸し付け対象とされるようお願いいたしたい、以上でございます。
私の陳述を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/2
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003・足立篤郎
○足立委員長 ありがとうございました。
次に、池内参考人にお願いいたします。池内参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/3
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004・池内英太郎
○池内参考人 少し、東京の場長がお話しになった点と重複する点もあるわけでございますが、御了承賜わりたいと思います。
ただいま議案として御審議願っております流通近代化資金の融資の問題につきましては、その趣旨につきましては私といたしましても全面的に賛成でございます。いろんな意見につきましては、東京都の場長から述べられたわけでありますが、特にお願いをいたしたいことは、中央市場の流通機構というものがいろいろ問題になりまして、それの合理化のためにいろいろなにがあるわけでございますが、その一つの重点は、やはり仲買い人の法人化、大型化を進めるということが非常に大事でございまして、大阪市の場合も業界の協力を得まして、農林省なりわれわれの行政指導によって、現在これを進めておるわけでございますが、大阪の場合も最近そういった機運が非常に高まりまして、現在百十二社ほど、個人から法人に切りかえられたものがあるというような状況でございますが、いままではどうかといいますと、単に行政指導によってやっておりましたので、それに対する裏づけがなかったということでございますが、今度の適切な措置によりまして、それに対するある程度の裏づけができるということで、われわれも非常に喜んでおる次第でございます。
特に、いろいろ今度の内容を見ますと、施設の整備という点に重点が置かれておるようでございますけれども、どうしても仲買い人等の整備統合につきましては、そういった整備統合に必要な資金といいますか、そういったものが必要でございますし、それがなければ、仲買い人の法人化あるいは大型化ということがなかなか進みにくいわけでございますので、特にその辺につきまして格段の御措置をお願いいたしたい、かように存ずるわけでございます。大体、流通近代化資金につきましてはそういうことでございます。
それから、この際でございますので、私もちょっと一言お願いいたしておきたいと思うわけでございますが、東京都の場長から述べられましたとおり、地方公共団体と中央市場の運営上、いわゆる中央市場会計との関係につきまして、一般会計からの持ち込みというのが年々ふえていっておりますので、この点につきましては、特に御配慮を賜わりたいと思うわけであります。
一つ具体的な例について申し上げますと、私のほうは福島の本場の狭隘打開ということを目的にいたしまして、昭和三十九年の暮れに東部市場を建設いたしましたもので、これは本場の約六割の能力を持っておるわけでございますが、それは大体四十三年度までに三十一億円の経費がかかっておりますけれども、そのうち国家からの補助金が九千五百万円、それから起債が二十六億円、市費が四億一千万円、大体こういうような内訳になっておりまして、その後いろいろ補助対象の拡張だとか、あるいは補助率の引き上げ等、農林省でいろいろ御努力願いまして、現在であれば、約三十一億の建設費に対しましては六、七億の補助金がいただけると思いますが、その当時は一億足らずでありましたので、そのことで先ほど東京の場長のお話にありましたように、普通の管理費あいは公債の元利償還等を考えますと、地方財政としては非常に苦しいわけでございまして、いま御説明申し上げました東部市場は約三年たっておりますけれども、その間に一般会計から補助いたしました市費の持ち出し分が、大体十一億ほどでございます。こういう状況でございますので、新しく市場を建てるとか、あるいは既設の市場をいろいろ施設を整備していくという場合に非常に困るわけでございます。先ほどお話がありましたとおり、新設の市場につきましては補助対象に対する三分の一、それから既設市場については五分の一ということになっておるわけでございまして、この補助率の改正ということを、特にお願い申し上げたいと思うわけでございます。
なお、使用料の改定につきましても、大体東京都の場長さんと一緒でございますので、時間の都合上これを省略さしていただきたいと思います。
それからもう一つの問題は、東京、大阪はじめ大都市の市場におきましては、取引の形態が非常に変わってきておる。と申しますことは、社会情勢の発展に伴いまして輸送手段が非常に高級化してくる、それからまた産地におけるいわゆる出荷体制というものが大型化してくるというような関係で、大都市におきましてはどうしても、いわゆる需給圏というものが拡大していくわけでございまして、大阪市の場合におきましても、大阪の福島本場それから東部両市場におきまして扱います荷物のうち、市内で消費される分は四八%であります。それから府下に二二%、他府県、大体奈良、和歌山、兵庫ですが、これに二〇%ほど行くというような状況になって、非常に集散市場化しておるという状況がございます。
それともう一つは、最近われわれが扱います生鮮食料品の性格というものが非常に変わってまいりまして、たとえば、冷凍魚であるとか、あるいは非常に高度に加工された加工品であるとか、あるいは規格品、こういったものが出回ってくるわけでございまして、先ほどの需給圏の拡大という問題とともに、もう一つは、大体委託販売によりましてせり取引が原則であるということになっておりますけれども、この取引の方法につきましても、いろいろ検討しなければならない時期になっておるのではないかと思います。これにつきましては各都市、各市場によって状況がいろいろ違いますので、われわれ直接現場に当たっておるものといたしましては、その実態をよく把握いたしまして、卸、仲買い間のいろいろな機能の調整を十分いたしまして、農林省のほうにまたいろいろ御協議申し上げるつもりでございますが、こういった意味からも、ひとつ新しい意味の市場法についてもその検討をお願いいたしたい、かように思うわけでございます。
まことに簡単でございますが、私の御意見といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/4
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005・足立篤郎
○足立委員長 ありがとうございました。
次に、関矢参考人にお願いいたします。関矢参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/5
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006・関矢尚一
○関矢参考人 ただいまは中央市場の東京、大阪の開設者の代表の方の御意見がございましたが、私は、その中央市場の開設者から指定を受けまして卸売りの業務を担当いたします業界の代表として、きょう御下問に応ずるわけでございます。
今回の流通近代化の資金のための法改正、融資を賜わる問題につきましては、もう申すまでもございません、全幅の賛意を表するものでございますが、この機会に、それらの賛成をする理由等につきまして、私どもの現在当面する物価と流通の問題にございますいろいろ複雑な、山積する問題につきまして申し上げたいのでありますが、時間もございませんので、その中の中核になる非常に重要な問題につきまして、二、三私の意見を申し上げたいと思うものでございます。
現在、私ども中央市場で青果物を取り扱っております総量は、全国の流通量の、大体野菜におきまして約四五%、果実におきまして約五〇%でございまして、その全国流通の全体量というのは、やはり全国民に対する青果物の需要の量の相当の分野を占めるものでありまして、私ども中央市場の卸売り業務の与える全国流通に対しまする、あるいは物価形成の問題に対する影響力、指導性というものにつきまして、私どもはこの点非常に重要な任務を帯びておるものであるということを確信しておりまして、私どもは日夜非常に恪勤精励して、生産者あるいは消費者の御信頼にこたえておるものでございます。時代が進展してまいりまして、こういうような問題がいまここで論議されることは、非常に時期を失して、むしろおそかったのではないかという感がいたします。もっと前にこの問題が当然論議されまして、そして流通の、消費者や生産者に与える問題を正確に解決していかなければならなかったのではないかということを思うものでございまして、特に中央市場の関係におきましては、全国の市場の問題もございますが、特に東京の問題といたしまして、中央市場が大正十二年開設以来、私どもの中央市場に占めております敷地の面積が、在来に比べまして約一・三九倍でございまして、いま申しました私どもの取り扱いの総量が約二・九七倍になっております。量は三倍になりましても、その業務を処理いたします場所、あるいは輸送事情の問題で――当時の輸送事情と今日とでは隔世の感ございまして、非常に機動性のある輸送事情に対して、現在の市場はそれに適応いたしておりません。
そういうような関係でいろいろ問題もございますが、特に申し上げたいのは、やはり東京都の需給圏、あるいは全国の、京阪神、京浜等の大都市における中央市場開設地帯の蔬菜の需給圏の広域化でございます。サークルが非常に広がってまいりまして、私ども中央市場のサービス圏が非常に大きくなっております。こういうような面で、現在の都市における消費人口分布と合致した市場の配置というものが非常に大きなそごを来たしております。その当時の状態のままで、市場の新設、増設等が行なわれておりませんので、都会における消費人口分布と、さらに市場の配置というものが非常に大きな時代的なそごを来たしておりますので、こういう点でも、いま申しました流通圏の拡大に伴う需給関係の業務にいろいろな支障を来たすわけでございまして、こういう点で、私どもの仕事の上で非常に大きなロスもあり、あるいは困難を来たし、あるいは支障を来たすわけでございますので、こういう点で、やはり中央市場の現在の配置の問題あるいは業務の運営の問題等につきまして、御再考願いたいわけでございます。
特に、品物の流通の問題等につきまして、一カ所に集中するいまの市場の配置の問題から、品物を各所にいろいろと転送するような問題が起こってまいりまして、こういうような問題がいま市場でも非常に問題になっておりますが、こういうような問題を規定の上で新しく規制をしていただきまして、そうして合理的な転送制度というものを設けていただきたいことを第一にお願いしたいわけでございます。
さらに、中央市場の取引の根本原則がせりになっておりまして、せりを原則にいたしまして取引をいたしております。生産者から無条件委託を受けまして、そうして私どもはせりを原則にして取引をいたすわけでございます。しかしながら、最近におきますところの生産地の生産体制あるいは農業協同組合の共同生産体制、さらに産地の選別選果、あるいは荷づくりの機械化、さらに近代化というようなことが促進されてまいりまして、産地の出荷形態が非常に近代的な大型化した進歩形態をとってまいっておるわけでございます。かような点から考えますと、取引のあり方を、現在のようなせり上げ方式のみのせりに限定することは非常に窮屈な、一種の行き詰まりを生ずるわけでございまして、こういう点で、このせり制度からさらに新しい取引の一つの制度に転換する中央市場の取引制度の改革というような問題を、ぜひお願いしたいわけでございます。
それでは、どういうことが今後考えられるかと申しますと、それは私どもの長年の経験によりまして、生産者にも消費者にも間違いのない、物価形成の公正度を保持する意味からいきましても、そういうような角度から見ての方法としては、やはり見本によるところの相対売りとかあるいはその他の方法によりまして、こういう問題を解決していきたいことを考えているわけでございまして、これが第二点でございます。
それから政府におきましても、いろいろなインフォメーション、アメリカ等にならいました流通情報というものが整備されてまいりまして、産地もそれによって非常に益するところがございますので、こういう点で、販売の方法をせり以外の新しい合理的な方法に、ひとつ考えていただきたいということをお願いしたいと思っております。
第三番、これが中心でございますが、やはり先ほど申しましたように、東京都の人口は、三十一年に発布されました首都圏整備法によりましても、昭和五十年には三千万になんなんとするような人口になるわけでございますので、こういう点で、中央市場の法律の発布されました当時の人口と比べまして、約十倍になるわけでございます。こういうようなときに、依然として旧態依然たる市場の配置、面積、あるいは当時の輸送事情と違いまして、今日ではほとんど買い出し人が数倍の機動力を持つ自動車をもって買い出しに来ております関係で、パーキングプレイスもないというような市場の施設では、とうてい今日円滑な流通を期することはできないわけでございます。こういう点で、やはり市場の開設、設備の積極的な改革をしていただかなければ、これはできないわけでございまして、ただいまも東京の土屋場長からも、いまの問題につきましてるるお話がございましたが、私からも重ねて、ひとつ強くこの点をお願い申し上げる次第でございます。
特に政府におきましても、東京都の人口過密化対策に対しまして、市場の増設、新設あるいは市場の移転等によりましてこの問題を解決する一つの方向、市場の流通整備改善の一つの方向として方針をお打ち出しになっておりますので、そういう問題につきましても、業界はこの問題を積極的に研究して、そうしてりっぱに生産者、消費者の負託にこたえるような、信頼にこたえるようなたてまえにおきまして解決していく心組みで、日々真剣にこの問題を考えております。
そういうような点におきまして、私どもの中央市場というのはいろいろ問題がございまして、特に最近におきまして国民の食生活の流通構造が非常に変わってまいりました。いろいろ加工食品の流通というような問題も出てまいりました。コールドチェーンあるいはその他の問題もございまして、やはり新しい科学的な貯蔵設備、その他倉庫の必要、その他運搬施設の問題等もございまして、こういう点でやはり積極的に、ただいまお取り上げになりましたような今回の流通近代化の新しい融資法案の成立と、資金ワクの拡大並びに融資条件の業界に十分理解のある緩和策をお取り願うことを、私は心から念願いたすものでございます。
いろいろ申し上げたいこともあるのでございますが、一応いま申し上げましたように、非常に時代錯誤的な現状の中央市場の施設構造というものにつきまして、ぜひひとつ御改革願うことを、最後に心からお願いいたしまして私の陳述を終わりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/6
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007・足立篤郎
○足立委員長 ありがとうございました。
次に、伊藤参考人から御意見をお述べいただきたいと存じます。伊藤参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/7
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008・伊藤春次
○伊藤参考人 本論の前提に、特に水産物の流通上の問題点二、三をあげて結論をつけたいと存じます。
先ほど来のお話で、だんだん中央市場における大市場への集中化というふうなことはすでにお話がありましたが、特に水産物の場合は、その生産構造の上からも、物自体の上からも、青果物とはその点大きく異なるところがございまして、中央卸売市場の中でも中心市場に集荷され、さらにそれが地方の卸売市場等に行く流れが非常に大きいウエートを占めてまいっております。その上に、輸送上あるいは交通上のいろいろな問題と、それから大きな信用流通の拡大によりまして、さらに一そうその勢いがだんだん強くなる情勢にあります。他面、水産物の生産事情が、だんだん沿岸、沖合い漁業からさらに遠洋漁業へと拡大転換されていくに従って、沖合い漁業、沿岸漁業の多産獲のものが陸上冷凍される一方、遠洋漁場で生産される魚はほとんど冷凍魚となって市場に入荷している現状から、だんだん、いわゆるなまものとしてのせりと委託によるその日、その場の取引という性質のものが、むしろウエートがだんだん少なくなりまして、買い付け、相対等による取引慣行がだんだんウエートを多く占めてまいりまして、いわゆる取引の多元化というような様相を呈してまいっております。しかしながら、主として中小漁業者の営む沿岸、沖合い漁業の多産獲魚類その他の魚類は、依然として市場取引の中核をなしておりまして、この点に対しては世上ともすると、遠洋冷凍魚がほとんど全部であるかのごとき錯覚を起こしておりますが、この点に対しても、十分その期待に沿えるようなやり方をしていく責任があると存じております。
次に、施設と運営の問題でありますが、輸送手段も異なってまいりまして、先ほどお話のありましたように、これを受け入れ、これを処理するような施設が老朽化してまいっておりますが、その一面大きい変化――これからの問題点は何としても労働力の問題であります。早朝からあるいは深夜から、特になまものを取り扱ってまいります市場では、卸売り会社に荷が荷揚げされ配列される労務、卸売り会社から仲買い売り場へ配達をする労務、さらに仲買いから小売り、こういうふうな面の労働力の非常な不足を来たしておりますが、将来ますますこの面において窮屈になろうとしておりますおりから、労働生産性の向上をはかるという施設なり運営が切実に要請されております。
そういう事情のもとに、今度打ち出されてまいりました生鮮食料品の流通近代化の資金制度でありますが、これは考えてみますと、いままでのいろいろな行政上の欠点を思い切って改革しようとする意図があるやに思われ、非常に心強く存ずるのであります。従来、卸売り会社等の施設に対しては、現在でもそうでありますが、開銀等の制度金融に加えて市中銀行の融資は、仲買い人の融資に対しては全く裏づけのないまちまちのものであります。いわんや、小売り面における金融措置等に対しては、あるいは環境衛生金融公庫もしくは通産省の中小企業金融公庫等によって、生鮮食料品の流通における金融措置は、各省あるいは各地方全く責任のないまちまちな制度で運用されておったのでありまして、むしろ制度らしいものはないといってしかりな状態でありましたが、今度の案は、考え方をだんだん拝聴してまいりますと、農林省が、中央卸売市場はもとより、卸売市場から仲買いあるいは小売りまでを一貫して金融のめんどうを見よう、こういうふうな腹がまえでこの案を提案されましたことは、何といいますか、行政の責任の一元化とでも申しましょうか、生鮮食料品の流通問題が非常にやかましいおりから、まことに画期的なものであると存じまして、大いにこの制度を拡充強化すると同時に、ともするとこういうふうな制度金融は、絵にかいたもちとしてあまりに手続がめんどうであるというようなこと、それから、利子が非常に高いというようなこと、制度は設けられても、そういうふうなことのためにもちが食えないというふうなことが往々にしてあるのでございまして、せっかく農林省の一元的な責任によってこういう制度が設けられる以上、この制度をさらに拡充整備されまして、そうして流通の近代化が各面において促進されて、将来ますます重要な要素を占めてまいります生鮮食料品の流通が円滑に行なわれるように、一日も早くこの法律が制度化され、期待に沿えるようなことになることを希望するものであります。
以上をもって終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/8
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009・足立篤郎
○足立委員長 ありがとうございました。
次に、江澤参考人にお願いいたします。江澤参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/9
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010・江澤仁三郎
○江澤参考人 私は、青果の仲買い人でございます。
先ほどからいろいろお話がございましたが、現在の中央卸売市場の取引におきましては、先生方御承知のとおりに、全国にまたがりまする各地の生産地から大量に荷受け会社が集荷いたしまして、これを迅速に評価し、そうして小売り商の皆さま方に分荷配分いたしますのが私たちの役目でございます。したがって、この三者の機構、機能というものは絶対に欠かせないものでございまして、これが流通の根幹をなすものだと確信をいたしておるわけでございます。もちろんわれわれといたしましても、経済社会の変革期にありまして、生産者あるいは小売り商の方々がそれぞれ大型化、近代化を促進されつつありまする今日でございますので、三十八年の七月の閣議決定によりまする生鮮食料品の流通改善要綱に示されるまでもなく、私ども自主的に体質の改善、企業の合同等によります大型化、近代化とともに経営の合理化に努力をいたしておるものでございます。
現在、私どもの利潤は、差益商人でございますけれども、新しい考え方からいたしまして、差益商人の立場を越えてボランタリーチェーン方式等を取り入れまして、小売り商の方々の仕入れ部門を担当するという心持ちで、手数料制度ということに対しましても十分考えているつもりでございます。これがひいては価格安定策に努力できるゆえんだとも考えております。
ついては、今回の流通近代化資金の制度についてでございまするが、市場関係業者でありまする卸、仲買い、小売りの三者を通じて一貫しての施策でありまして、先ほどもお話がございましたように、まことに画期的なものだと考えております。特に、私ども仲買い人にとりましては初めての制度でございまして、一日も早くこの法案が成立されますことを心から要望するものでありまして、この際お願いを申し上げたいことは、このたびの三十億のワクは、われわれ中央卸売市場の卸、仲買いのほかに一般地方市場の整備を含めての融資額でございまして、われわれから考えまして少々少な過ぎる額だと思っております。もちろん、初年度のことでございますのでやむを得なかったとも存じますが、どうぞ諸先生方の御尽力によりまして、次年度からの融資ワクはぜひとも増額できるようにお願いをいたしたいと存じます。なお、融資の条件並びに貸し付け利率の点につきましてもでき得る限り緩和され、この資金制度が十分に活用でき得まするようにお願いを申し上げたいと存じます。
もちろん、われわれにいたしましても、この近代化資金の活用につきましては十分に心いたしまして、仲買い人の自主的な経営基盤の確立のために必要な施策を積極的に推進するはもちろんでございまするが、優良従業員の確保、定着性を持たせるためにも、その宿舎等の共同施設あるいは共同搬送のための送配施設、合理化、大型化に伴いまする統廃業者に対しまする補償方法、その他倉庫、冷蔵庫等の施設等につきましても、有効適切にこれが利用できるように努力をいたしたいと存じます。
以上、ちょうどの機会でございましたので、私どもの現状と考えておりますること、並びに今回の制度について私の意見を申し上げた次第でございます。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/10
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011・足立篤郎
○足立委員長 ありがとうございました。
次に、北村参考人にお願いいたします。北村参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/11
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012・北村宮藏
○北村参考人 六大都市水産物仲買組合連合会の北村でございます。
本日は、農林漁業金融金庫法の一部改正につきましてお呼び出しをいただいたわけでございますが、このたび農林省が生鮮食料品流通近代化資金制度の確立を期されまして、中央卸売市場の卸売り人並びに仲買い人を対象とする制度金融を、農林漁業金融公庫法を改正し、当該金庫を融資機関として、流通の合理化、消費の安定的拡大のための資金として、われわれ仲買い業界に融資の道をつけていただく措置をとられましたことは、政府が流通改善に積極的意欲を示されましたことは、私ども業界といたしまして久しく要望いたしてまいりましたことがようやく実現の運びと相なりますので、本改正案の成立を、私ども連合会員一同大きな期待を持って希望申し上げるところでございまして、ぜひともこの改正案の早期成立をお願いいたすものでございます。
私ども、六大都市水産物仲買組合連合会といたしましては、去る三十八年七月の閣議決定によりまして、仲買いの業務の大型化を勧奨され、連合会はもとより、各単位組合におきましても、それぞれ流通の変革に伴う合理化に即応するため、政府施策に協力いたしまして今日に至ったのでございますが、何ぶんにも経営規模の拡大、すなわち統合、合併に要する資金不足に当面いたし、所期の目的を必ずしも達していないのでございます。かかるときに、政府の助成措置を痛感してまいりましたおりに、本融資によりその効果が期待できるわけでありまして、その点諸先生方にも御賢察くださいまして、本改正案に御協賛をいただきたいのでございます。
次に、本改正案の内容の点につきまして一、二お願いいたしたいと存じます。
その一つは、本改正案第十八条の二の項の中で、前述いたしました仲買い人の統合に必要な資金を融資対象とすることを当局も私どもに確約されておるところでございますが、これについて改正案には明記されておりませんので、本項の中の解釈を、「仲買の業務に必要な施設であって、特に必要であると認められるものの改良、造成又は取得に必要な」資金とは、仲買い人の統合資金が含まれているのかどうか。私は施設とは、物的施設、すなわち開設者による仲買い人の営業場所の指定と人的施設、すなわち業務許可を含めて、これが商法上ののれん権を確立しての取得と解釈いたしておりますので、右のような点を本委員会で御確認をいただきまして、政府、開設者、公庫ともに十分御了承の上、スムーズに融資していただけるようお願いいたしたいのでございます。
次に、金利の点でございますが、一言申し上げますと、この画期的な施策を実りのあるものにしていただくためには、金利の年八分二厘はいかにも割高ではないのかと考えるわけでございます。もちろん、農林中金その他政府の金融機関との関連もありますので、やむを得ぬこととは考えますが、本改正案施行後におきまして、少なくとも東京都が現在融資しております中小企業近代化資金のごとく、年四分ぐらいにしていただけないものか。本委員会の附帯決議としてでも、ぜひこの点をお取り上げいただきまして、なお開設者の協力という立場から利子補給をするよう、政府から開設者に勧告していただけるよう、御支援をお願いいたす次第でございます。
また融資は、先ほどもお話がございましたが、描けるもちでないように、この手続中におきましても、合併、統合等のめどがついたものにつきましては、すぐ融資の道が開けるというふうに、ぜひ簡素化したものにしていただきたい、かように考える次第でございます。
なお、仲買い人の法的地位の確立並びに仲買い人の名称の改定等につきましては、この融資にも至大の影響もあることと存じます。このことにつきましては、ここに御臨席の諸先生方へもたびたび陳情、請願等を重ねておりまして、十分御理解をいただいているところでございますので、詳細にわたりましては省きますが、先ほど来の参考人の御発言等を伺いましても、大正十二年以来約四十五年を経過したこの市場法の抜本的改正は、絶対間近なものだと確信しておるのでございますが、さような場合におきましては、特段の御賢慮をお願い申し上げる次第でございます。
仲買い人の大型化と取り扱い物品の拡大について申し上げたいと存じます。私ども中央卸売市場におきます仲買い人は、俗にいう八方縛りと申しますか、かなりべからず主義で縛られているのでございますが、一面には統合して大型化せい、あるいは合併して大型化せいと申されましても、あの市場の中におきまして、市場以外には一つも出られない。あるいは直接の荷引きは認められない。私どもの仕入れをする場合は、荷受け会社にだけ限られているわけです。ところが一面には、現在の生産事情から申しまして、なまものは、先ほど荷受けの伊藤さんからも申されましたが、なお六〇%くらいはなまものがあるといたしましても、その他四〇%のものは、いろいろの加工品として、一次、二次、三次の加工品が、最近は市場をオミットしてでも町にはんらんしている時期でございます。それらにつきましても、私どもは、市場におきましてこれらの取り扱いの拡大をお認めいただきませんと、せっかく大型、統合あるいは資金の御融資をいただいても、所期の目的を達せられないのでございます。そういった点につきましても、どうか諸先生方の御支援をいただきまして、法改正のときには、この点も十分御検討をいただきたいと思います。
なお、集散市場ということばが、世上よく機会あるごとに聞くことばでございますが、集散市場と申しましても、現在、中央卸売市場というのは、集散市場というものを認めて、必ずしもその点に法改正をしているわけではございません。たとえば、現在の法律で申し上げれば、卸売り人は出荷者の受託あるいは承認を得た買い付けということ、市場においてはそれを卸売り場に配列して、評価の任務を持ちます私どもが評価または分荷するのが仲買い人の職務でございますが、この仲買い人の職務の分荷、転送という点について、私どもの立場から申し上げますと、現在、集散市場に名をかりて必ずしもこのルールが守られていないきらいが日常ございますので、こういう点につきましても、取引ルールの法律改正がなった暁は別といたしまして、現在といたしましては、ぜひ本来の姿に戻りますように、監督者である農林省または開設者にお願いする次第でございます。言ってみますと、魚の入り口は荷受け機関でございまして、私どもは出口を承っているところの仲買い人でございますが、これらのルールをはっきりしていただくことが、公正取引に寄与するのではないか。
なお、現在産地事情の変化ということは、どなたもお認めするところでございますが、受託を本則とする卸売り人、要するに荷受け人におかれましては、年々買い付け品の増大を見ているのでございますが、この買い付け品の増大ということは、私ども市場において評価をする場合に必ず正しい評価がされるかどうかという点についても大きな疑問を持つものでございます。これらにつきましても、買い付け品等の増大については、開設者、農林省におかれましても十分卸売り人の方々と御協議の上、これらの正常化に役立てていただきたい、かように思います。
以上、時間の都合もございますので要約して申し上げまして、私の陳述を終わる次第でございます。どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/12
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013・足立篤郎
○足立委員長 ありがとうございました。
次に、大澤参考人にお願いいたします。大澤参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/13
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014・大澤常太郎
○大澤参考人 私は、先ほど御紹介がありました全国青果小売商組合連合会長をしております大澤常太郎でございます。あいにくかぜを引きまして熱が少しあるものですから、お話しすることが不徹底でお聞きにくいかと思いますが、しばらくの間御容赦を願いたいと思います。委員長の御質問に対し、意見とお答えをいたしたいと思います。
第一点は、金融制度の行政を農林省の窓口一本にしていただきたいということでございますが、市場取引における卸、仲買い、小売りの機能が正しく評価されて、これに一貫した政策を行なうために流通近代化資金制度が設けられたことは画期的なことで、消費者の代買い人たる小売り商としてはまことに喜びにたえないところでございます。ただ、残念なことは、融資機関が二本立てとなったことで、流通の合理化は卸から小売りまで一貫して近代化、合理化することによって効果があがるものでありますから、この行政の窓口はぜひとも農林省に一本化さるべきだと考える次第でございます。
第二点は、小売り商の近代化と融資方法についてであります。青果小売り商の店舗数は非常に多く、しかもその大部分は経営が小規模で、近代的とは言いがたいものが多いのでございます。その反面、きびしい労働条件と多くの難問題をかかえ、特に人手不足は深刻な悩みとなっておるのであります。これらのことが誘因となって、業界内に近代化への意欲が高まってきております。特に、青年業者の間にその傾向が顕著なのであります。したがって、この金融制度を大いに活用することが考えられますので、今後は融資ワクの拡大と、融資条件の緩和をぜひともお願いする次第でございます。
第三点は、市場施設の拡張整備を要望いたします。私ども青果小売り商は、中央卸売市場はもちろん、その他のたくさんの市場から毎日買い出しをして商売いたしておるのでございます。しかし、その市場はほとんどが狭く、施設も不便な状態が多い実情で、買い出しの自動車さえ満足に置けないありさまでございます。どうか迅速円滑にものが処理できますような便利で買いよい市場にするよう、市場の整備拡張をすみやかに行なっていただけるようお願いをいたす次第でございます。
第四点は、農林漁業金融公庫法案の改正をすみやかにお願いいたしたいと思います。小売り商の近代化だけが進んでも、流通のパイプは円滑にはなりません。卸、仲買い、小売りを一貫して同時に近代化が進められて、初めて流通の合理化、近代化が実現するのであります。小売り商については国民金融公庫からの融資がきまったようでありますが、市場側と仲買い関係の融資についても農林漁業金融公庫からの融資がすみやかに行なわれるよう、本案の成立を一日も早く行なっていただきたいと希望するものでございます。
最後に、今回の国民金融公庫の融資対象業種から食肉、食鳥、鶏卵の三業種が除外をされましたが、同じ生鮮食料品の小売り業者としてはなはだ残念でございます。何とぞ近い将来、この三業種もぜひ融資対象に加えてくださるよう、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
さらに、先刻大阪の池内さん、東京の仲買いの代表の方から、仲買い人の法制化の話がありました。もし仲買い人の法制化を実現するような場合には、小売り商も同様に法制化をしてもらいたい。私ども小売り商は、消費者に対する低物価政策に協力する目的をもちまして、青果の小売り人は現在東京だけでも約一万人、消費者の代買い人として売買に参加をいたしております。こういうような事情でございますから、どうかその点を十分お考えを願いまして、もし仲買いの法制化実現の場合には、小売り商も同様にお取り扱いを願いたいということをお願いいたしまして、私の陳述は終わりといたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/14
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015・足立篤郎
○足立委員長 ありがとうございました。
次に、中根参考人にお願いいたします。中根参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/15
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016・中根長吉
○中根参考人 ただいま御指名をいただきました全国水産物小売団体連合会の中根でございます。
本日は、水産物小売り商の立場から参考意見を述べる機会を得ましたことを、たいへんに光栄と存ずる次第でございます。
さて、このたびの生鮮食料品流通近代化促進のための資金制度が認められたることに対しまして、厚くお礼を申し上げます。
近代化促進については、私ども業界あげて研究をいたし促進につとめておりますが、今回の資金制度について御意見を述べたいと存じます。
まず、第一に申し述べたい点は、この流通近代化資金制度は、卸、仲買い、小売りそれぞれの現実的な機能を評価されて、一貫した施策として樹立されたもので、まことに画期的なものであると考えております。しかしながら、私ども水産物関係業界として考えますに、融資機関が二本立てになったことは非常に残念であります。いわゆる流通の合理化ということを考えた場合に、卸から小売りまで、一貫して近代化して初めて効果があがるものではないかと存ずるものであります。どうかこの観点から、ぜひともこの行政の窓口は農林省に一本化されることを強く要望する次第であります。
第二点は、経営の近代化の推進についてでありますが、私ども小売り商は、御承知のように経営が小規模であって、店舗数も多く、経営方式は非常に近代的な面が欠けているような次第でございます。人手不足は申すに及ばず、その他の問題につきましても非常に苦労の多い商売でございます。こういったことが誘い水となって、小売り商人は近代化への意欲が高まっております。そこで、この資金制度の活用ということが十分に考えられますので、今回の融資については、農林省を主体として制度化されますようお願いいたします。
それから貸し出しについては、国民金融公庫からさらにわれわれに身近な金融機関を通じてやっていただきたいと思います。融資ワクについては、環境衛生金融公庫並みに拡大されたいと思います。利率は、御承知のとおり非常に高いので、この問題につきましても一応検討をされて、補給措置を考えられんことを切にお願いいたします。融資条件について、対象物件あるいは物件の規格など規制せずに、多数の業者が利用できるようにしていただきたいと思います。共同仕入れなどによる運転資金などについても、どうかそういう面も入れましてこの条件にしていただきたいと思います。
なお、つけ加えて申し上げたい点は、貸し付け限度は一件当たり六百万ということになっておりますが、この問題につきましては、一千万という環境衛生金融公庫並みにしていただきたいと考えております。融資事務手続の簡素化もあわせてお願いいたしたいと考えております。本制度が決定次第、全国の資格業者がすみやかに借り入れできるような体制を、下部組織まで御通達をされるようにお願いいたします。
第三点は、近代化に伴う市場設備の整備の問題でありますが、私ども小売り商人は、中央卸売市場、地方市場等幾多の市場から買い出しをしております。たとえば、東京の築地市場にあっては、人口増加に伴う入荷量の漸増によって、現在の市場は全体に狭くなっております。また、年々交通量は激増し、市場内での駐車に支障を来たしております。市場から各店舗にいかに迅速に運搬するかが、流通末端にあるわれわれ業界の使命であると思います。したがって、市場内に近代化施設を取り入れ、市場を拡張され、特に市場からの搬出に対する交通手段として、市場内の駐車場設備を完備され、買い出し業務に支障のないよう要望いたします。また、今後市場を設置する場合、大型市場をつくられることが流通機構上大切なことと思います。さらに、大都市と地方都市における格差を是正し、それぞれの地方の実情に見合った市場のあり方に重点を置かれ、整備を進め、買い出し人に対する利便供与について、前向きの姿勢で施策を進められるよう要望いたします。
最後に、われわれ業界の近代化はわれわれだけで進めても、流通のパイプは円滑になることはできません。卸から仲買いを経て小売りまで、一貫して近代化が進められるとき初めて流通の合理化、近代化がはかられるものと考えます。したがって、われわれ小売商については、国民金融公庫からの融資がすでにきまっているので、卸、仲買い人等中央市場の関係業者の施設の近代化をはかり、市場運営の改善合理化を進めるために、農林漁業金融公庫からの融資を可能とするよう、この法案について、われわれ小売り業界からも、一日も早く成立されることを要望する次第であります。
以上、私の意見陳述を終わらせていただきますが、この機会にもう一言お願いしたい点は、市場信用の強化のためにも、箱ものに対する計量の表示とともに、出荷者の名称等を的確にされるようぜひともお願いいたしまして、私の意見陳述を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/16
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017・足立篤郎
○足立委員長 ありがとうございました。
次に、宇佐美参考人にお願いいたします。宇佐美参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/17
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018・宇佐美兼次郎
○宇佐美参考人 全国地方青果卸売市場の代表宇佐美兼次郎でございますが、この際、一言お願いを申し上げたいと存じます。
まず第一番に、この委員会において生鮮食料品の流通近代化資金の制度を中心とした本案をお取り上げくださったことを、厚く御礼を申し上げます。特に、青果物を取り扱う地方市場においては、この法案を多年にわたり要望していたので、まことにありがたく感ずる次第であります。
さて、地方市場の現況は、各地の混雑した旧市街地に取り囲まれた零細な規模で、その施設は狭隘であり、しかも老朽化しています。この際、政府の強い御指導により、市場の施設の近代化と経営の健全化をはかり、消費者の価格安定と流通の改善合理化をはかることは、まことに大きな意義を持つものと確信をいたします。またこの法案は、卸売市場の特徴である各機能を統一的に生かし、一貫して合理化をはかるねらいはまことに画期的のもので、全国業界は永年にわたり要望し続けてきただけに、ぜひとも早期成立をお願い申し上げる次第であります。
次に、本案による資金制度の内容でありますが、地方市場は全国に約二千近くありますが、最近の激変しつつある流通事情にこたえるためには、あるいは交通対策とか、都市計画に沿うため、その他施設整備に巨額の費用が必要であります。その資金量をまかなうために、資金ワクの拡大をお願い申し上げたいのであります。また、はなはだかってがましいことばではありますが、貸し出し条件の緩和と申しますか、改善と申しますか、金利においても手続においても、でき得る限り改善をお願い申し上げたいと存ずるのであります。
第三番目といたしましては、地方市場の法制化問題であります。従来の市場行政の中心には、地方市場の指導方針が確立されていませんので、国及び地方公共団体を一貫した行政体制がありませんでした。最近は地方市場の統合、大型化、施設の整備あるいは取引の公正化など、統一的な行政指導が必要となってまいりましたので、地方市場の改善整備の推進とあわせて、ぜひとも地方市場に対する法制化についてもお考えをいただき、その立法措置をすみやかにお取り上げくださるようお願い申し上げます。
以上、はなはだ簡単でありますが、私の陳述をこれで終わらしていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/18
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019・足立篤郎
○足立委員長 ありがとうございました。
最後に、筒井参考人にお願いいたします。参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/19
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020・筒井英樹
○筒井参考人 御指名をちょうだいいたしました全国魚卸売市場連合会の筒井でございます。
地方市場問題については、前陳述者の宇佐美さんから、簡単に地方市場の実態の御説明がございましたが、人口十五万以上の都市が九十五ある中で、二十五の都市に中央卸売市場が開設をされておることは御承知のとおりでございます。その他の都市には、御承知のとおり全国で総合市場が百五十、青果関係の市場が千二百四十一、水産物関係が五百二十三、食肉関係が四、総計千九百十八の消費地市場がございます。これは、農林省でやりました地方市場の実態調査の数字でございます。これを対象として、私たちは長い間政府にお願いを申し上げてまいりました。と申し上げますことは、こういう表現が適当であるかどうかはわかりませんけれども、大正十二年にできました中央卸売市場法という法律において制定されております卸売市場というものと、ただいま申し上げました地方卸売市場という問題に対して、私は、ひとしき政治の恩恵を受けていないみじめな地方卸売市場の開設者の一人として、長い間運動を展開いたしてまいりました。しかしながら、各陳述者から述べられましたように、今回の生鮮食料品流通近代化資金制度、農林省のこの御提案に対しては、時おそきに失するきらいはないとは申し上げませんけれども、英断をもって本問題を解決していただけるという政府の方途に対しては、私たちは深甚の敬意と心からなる喜びを感じつつ、お礼を申し上げたいと存じ上げるものでございます。
前陳述者も述べられましたとおり、御下問の事項に対しては、表現の違いはございますけれども、すべて満腔の敬意を払って御賛成を申し上げておるわけでございますが、私は地方市場の実態といたしまして、二、三つけ加えてお願いを申し上げたいことは、宇佐美さんの陳述にもございましたように、地方市場は、その数多い市場というものが、すべて非常に老朽化し、小型のものが数多く、過当競争の中で流通に携わっておるという姿が見受けられるのでございます。そうしてこの日本の現在の高度経済成長の中の谷間にあって非常にあえぎつつも、消費と生産にマッチする流通のために、あらゆる風雪に耐えてやっておるのが地方市場の実態であろうかと考えます。ゆえに、本制度の制定によりまして、近代化即大型化によりましてその経営を合理化し、そうして国の要請せられておりまする国民生活の安定、物価の安定ということを主体として流通に当たることが、われわれ業界として課せられた公益性そのものであろうかと考えます。
さような点からまいりまして、今度の制度が卸、仲買い、小売りと一貫した制度の制定であると同時に、いままで見捨てられておりました地方市場に対しても、思いやりのある政治のもとで仕事を進めていくことができることを、私たちは非常な感激のもとに大きな期待を寄せておるものでございます。どうか諸先生のお力添えによりまして、本資金制度のすべての問題が早急に解決をいたしまして、われわれが全心全霊を打ち込んで、生鮮食料品流通業者として政府の御要請におこたえし得る形に仕上げていただきたいと存ずるものでございます。
それと第二の問題は、今度の資金のワクでございまするが、このワクについてはいろいろ御意見がございました。しかし、ただいま申し上げましたように、三十億のワク内には中央卸売市場関係業界の方もございますし、地方卸売市場関係のものも否まれておるのでございます。千九百を突破する地方卸売市場のそのほとんどが大型化するためには、あらゆる固定設備にばく大な投資をしなければならない現況でございます。もし脆弱な中小企業者が固定設備資金にばく大なものを投資いたしますると、その流通業務に対しては、なかなか皆さんの御期待に沿うような仕事がやっていけないことは言をまたないのでございますので、今回は別といたしまして、今後国民生活安定のために、どうかこの予算ワクの拡大ということを御考慮いただきたいと考えるものでございます。
その次は法制化の問題でございますが、御承知のとおり中央卸売市場法という法律があって、全国二十五都市に開設をされております中央卸売り市場は、その法律の擁護を受けていると申しましょうか、いろいろの制度がございます。しかし地方市場関係には、何らそれに対する法制化がなされていないのでございます。特に全国の都道府県においては、その県内における地方卸売市場に対する条例すら制定されていないという県が数多くあることは、御承知のとおりでございます。さような観点からまいりまして、どうかこの法案が制定をされますことを機会にして、中央卸売市場、地方卸売市場を問わず、生鮮食料品の流通を通して国民生活安定のために寄与しなければならないという立場にある卸売市場関係、並びにこれに関連をいたしまする業界に対しては、ひとつ政府において基本法的なものをつくっていただき、その法律を基礎として各都道府県に条例を制定して、全国あまねくこの政治の恩恵に浴せられるように、法の改正を急速にひとつやっていただくように、私は特にお願いを申し上げたいと存じます。
非常に表現がまずうございますけれども、結論といたしまして、今度の資金制度につきましては、われわれ業界としては、この英断に対して深甚の敬意と厚いお礼のことばを申し上げます。諸先生方におきましても、どうか国民生活の安定、物価の安定という面において、急速にこの法案を御制定いただき、われわれ地方の恵まれざる市場におきましても、思いやりのある政治のもとで仕事ができますようにくれぐれもお願いを申し上げまして、私の陳述を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/20
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021・足立篤郎
○足立委員長 ありがとうございました。
これにて参考人の意見の開陳は一応終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/21
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022・足立篤郎
○足立委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
なお、政府に対する質疑は明日行ないたいと存じますので、本日は参考人についてのみ御質疑願います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ツ林弥太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/22
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023・三ツ林弥太郎
○三ツ林委員 参考人の御意見を拝聴いたしますと、この制度につきまして皆さん方賛意を表しておるわけでありますが、二、三御質疑を申し上げたいと思います。
初めに土屋参考人にお願いをいたしますが、過密化現象に対し供給の円滑化をはかろうということで、東京都がずいぶん努力をされておる、こういうことであります。ことに、いままでの市場のほかに新市場の建設を計画されておられるという話でございますが、新しく計画されておりまする新市場の建設の状況について、ひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/23
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024・土屋鉄蔵
○土屋参考人 ただいまの東京都におきます新市場の建設状況でございますが、これは昭和三十八年を起点としますいわゆる八カ年計画、これは農林大臣の告示によって決定された市場整備計画でございますが、この線に沿いまして現在具体的に着手しておりますのは、世田谷の市場と板橋の流通センター内に設けます板橋市場と、この二つでございます。これは現在用地買収が具体的に進んでおりますが、しかし、開場は四十五年度中になる見込みでございます。なおそのほかの計画は、杉並、練馬にわたる地区に一つ、それから足立に一つございます。なおこの点につきましては、まだ具体的な用地買収までは進んでおりません。
そのほかに私どもの計画といたしましては、先般、国の中央卸売市場審議会から答申がございましたあの線に沿いまして、大井市場の問題とかあるいは三多摩市場の問題とか、これは具体的に本年度、四十三年度において検討したい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/24
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025・三ツ林弥太郎
○三ツ林委員 新しい市場の建設の点につきましての計画はわかるのですが、先ほど大澤参考人のほうから、いままでの市場というのが全く自動車も置けないし、はいれないし、買い出し人が非常に困る。私ども秋葉原、各地区の市場を見てまいったが、非常に狭隘でどうにもならない。こういうことで、新市場が計画されているが、それは別として、既設の市場について整備するということを早急にひとつ――秋葉原だとか、築地だとか、豊島だとか、足立だとか、こういうものについては現状をどのように考えて、将来はどういうふうに東京都でお考えになっているか、それをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/25
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026・土屋鉄蔵
○土屋参考人 いまお話がございましたように、この東京都の市場においては、非常に過密化の現象になっておるわけでございます。市場の中の非常な混雑のために、正常な業務の運営にも支障を来たすおそれも出てきておりますし、それから付近住民にも、いわば市場公害とでも申しましょうか、そういった状況になっておりますことは、御指摘のとおりでございます。その原因といたしましては、やはり開設当初、このような車の増加ということはあまり考慮に入れた計画はなかったということと、それから、やはり人口増大に伴いまする飛躍的な取り扱い数量の増加、こういうことが原因だろうと思いますが、この対策につきましては、いま申し上げました八カ年計画の中に、やはり既設の市場の整備計画も織り込みまして、立体化とか敷地の拡張とかをはかっておるわけでございます。
しかし、とうていこういった措置だけでは解決はできないと私は思っております。したがいまして、先般の過密化対策としての答申も出たことでございますので、東京都としましては、四十三年度におきまして新市場の配置と、それから既存市場の抜本的な施設の改造をやりたい、こういったことから調査費を計上してございます。したがいまして、四十三年度におきましては、そういった面を全面的に基礎的に調査をいたしまして、早急に混雑緩和の対策を立てたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/26
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027・三ツ林弥太郎
○三ツ林委員 それから、ちょうど市場長さんお見えですので、参考のためにお聞きしたいのですが、東京都で出しておりますいろいろ経費の問題等もございますが、出荷奨励金の問題ですけれども、これもいろいろ論議すれば問題点も出てくると思うのです。東京都でおやりになっている出荷奨励金については、いろいろ規制をされておることなんですが、私ども首都圏におりまする生産者といたしますと、あれだけ規制しますと、全く東京都さんのいうような、そういうふうないろいろの条件からして出荷できない場合があるわけであります。ことに、東京都に出している私どもの県とすると、四〇%があって、あと六〇%はただ単に東京都に出して出荷奨励金がもらえない。しかも、野菜を出すことでは全国第一を誇って、東京都に寄与しているところも非常に多いわけであります。
そういうことでありますが、この問題は別にいたしまして、出荷奨励金の内容と、また考え方と、それから将来に対する考え方を、ひとつこの際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/27
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028・土屋鉄蔵
○土屋参考人 出荷奨励金につきましては、農林省からの指示もございまして、その線に沿って現在実施しているわけでありますが、三十五年、六年、七年でしたか、あの三年間の実績に基づきまして、その範囲内で実施する、こういうふうなことをやっておるわけでございますが、しかし、いま御指摘のような、今後どういうふうにするかという問題につきましては、これまたいま農林省からお話がございまして、目下具体的に検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/28
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029・三ツ林弥太郎
○三ツ林委員 次に、関矢参考人にお願いをいたしますが、いまの市場が大正十二年に開設した。いわゆる市場法をつくったときは東京が三百万の人口である、昭和五十年度には三千万の人口になる、こういう話であります。いま東京都の市場長さんのほうからお話しのように、新設の計画がなされておりますが、東京都の新設の計画とともに、実は首都圏下の新設という機運が非常に大きくなってまいっているわけであります。特に関矢参考人のほうは、市場の開設、設備の改革を願いたい、こういう強いお話があったわけでありますが、埼玉県等におきましても、県や国の計画にはかまわないで、最近民営で市場を開設しようという機運が非常に濃厚であるわけであります。そういうふうなことで、この市場を新しくつくる場合は民営が強いというけれども、民営にしなければならないという原因と、それから、やはり魚を加えた総合市場の傾向が非常に強くなってまいりましたので、もちろんそれで私どもはよろしいというふうに考えておりますが、そういうふうなことに対する所見、さらにまた、この新設の市場は総合市場としてはどの程度の規模というか、また用地の確保というか、こういうものについてひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/29
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030・関矢尚一
○関矢参考人 お答えいたします。
いまの問題につきましては、農林御当局さらに開設者の東京都のお考えと構想とがおありになると思いますが、私は、そこに働いております業者の立場から、私どものお願いなりお答えを申し上げたいと思います。
最後の、いわゆる市場の取り扱いの総合化でございますが、これは、やはり小売り商の最近の経営状態が、消費者の住宅構造あるいは消費構造が非常に変化して近代化してまいりましたので、やはり小売り商がグローサリーシステムで、いわゆる大資本経営に転化するような傾向もございますので、やはり私どもの市場も、いわゆる専業的な単品市場ではなく、やはり肉も魚も野菜もあるような総合的な、大型的な近代市場を必要とすることは当然じゃないかということを考えております。
それから、いまの市場の設備改造とか、あるいは近代化とか、さらに新設の問題でございますが、これにつきましては、さっきも私の陳述の中で申し上げましたが、農林省から出ております人口過密化の市場の流通改善対策の中に、一応一つのプランニングが出ております。これに対しまして私ども業界も、これにはいろいろと賛否こもごもでございますけれども、しかし、いまお話のございましたように、大体市場というものが、やはり売り場と置き場とさらにパーキングプレイスというような、大体三分野が一つのスペースになるわけでございます。分野がきまるわけでございますので、そういう点では、やはりこれは現状のままでいるということはとうていできないのは当然でございます。
こういう点で、いま申し上げましたような新設あるいは拡張というような一つの問題につきまして、積極的にぜひこれを推進していただきたいという熱望を持っております。それに対しまして業界のほうでは、現在の位置というのは、三百年、四百年の歴史の上に、やはりこれがいろいろ交通上の問題、さらには消費のいろいろな事情の上にでき上がった市場でございますので、簡単にこれを無視することはできませんので、やはりそれと並行してこの問題を考えながら、いまの市場の新設問題を考えていきたいと思っております。
さらに、国際的に見ましても、フランスにおきましてもアメリカにおきましても、少なくとも二十万坪台の市場が実現いたしまして、現在のような一万坪、二万坪くらいの市場では、とうていいまの総合的な食品市場というものはマネージができないということは当然でございますので、やはり相当大規模な面積を持った市場の建設ということを、ぜひ私どもはお願いしたいというふうに自分では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/30
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031・三ツ林弥太郎
○三ツ林委員 地方市場で宇佐美参考人にお願いしますが、地方市場というものは全国で二千近くあるわけですが、市場を新設されますと、今度は地方市場の方々を相当圧迫するというような、地方によっては相当そういう問題が出てくると思うのですが、これについてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/31
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032・宇佐美兼次郎
○宇佐美参考人 私、愛知県でございますので、大体名古屋市の実情しかわかりませんで、東京とか大阪というような大都市のことはあまり――いろいろうわさとかそういうことは聞きますが、愛知県を例にとりますと、やはり中央卸売市場のほうから、仲買いさんの手に渡ったものが流れて、地方市場を若干圧迫するところもあるかもわかりませんが、これは市場の力によったもので、先ほど私が申しましたように、地方市場は地方市場の中にも大小がありまして、ごく弱体なものはやはりそういうものに依存しなければならぬ場合もありますし、依存せぬでもいいものもありますが、若干の被害はあると私、考えますけれども、大都市の周辺についてのことは深く知りませんので、この際意見を差し控えたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/32
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033・三ツ林弥太郎
○三ツ林委員 次に江澤さんに。仲買い人の非常に重要な使命がわかったのですが、積極的に大型化とか企業の合同とかをやって、経営の合理化、近代化をはかっておるというお話ですが、三十八年七月に閣議決定で生鮮食料品のそういう要綱が出ましたけれども、その後仲買い人の合併といいますか合同といいますか、そういうふうな実績と、またうまくいっておるかどうか、そういうことについてひとつ簡単に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/33
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034・江澤仁三郎
○江澤参考人 お答え申し上げます。
三ツ林先生は東京、特に神田の市場のことはよく御存知と思うのであります。正直に申し上げまして東京に七つの市場があり、みんなで五百七十八人の仲買い人中、私ども神田が二百七十八人、築地が百五十人、あとは三十名足らずであります。したがって築地、神田以外の各市場におきましては、むしろ増員をしなければならぬという立場です。私ども神田が一番よけいでありますので、これが整備につきましては、いままででき得るだけ企業合同の体制をとりまして、いま神田におきまして約二十軒ばかりの法人組織ができておりますが、これを今後もふやしてまいりたい。しかもでき得るだけ大型化によりましてこれをやっていきたい、かように考えておりますが、先生も御承知のようにあのような狭さでございます。先ほどもいろいろお話が出ておりましたとおり、神田におきましても南口の立体化等をいたしまして、まず第一に仲買いの店舗の移動をいたしまして整備してからでないと、その企業合同ができない立場にある、そういうことも御了承いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/34
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035・三ツ林弥太郎
○三ツ林委員 以上で質疑を終わるのですが、一つ私のほうから政府委員のほうへお願いをしたいのですが、実は中央卸売市場の数と地方卸売市場の数が幾つだかはっきりと私にも見当がつかないのですが、提案理由の補足説明の場合は、中央卸売市場の数は二十五都市に五十五、それから地方卸売市場が全国で千九百余、こういうふうに載っております。それが昭和四十二年十二月十二日、農林省の生鮮食料品卸売市場対策協議会の、生鮮食料品卸売市場地方市場の改善整備に関するパンフレットによりますと、中央卸売市場法に基づく中央卸売市場は五十四、それから中央卸売市場の指定区域内の類似市場が百五、それから地方市場が千七百五十五、こういうふうになっております。これはあとでけっこうでございますので、正確なる数字をお願いしたいと思います。
以上で終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/35
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036・足立篤郎
○足立委員長 関連質問を許します。坂村吉正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/36
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037・坂村吉正
○坂村委員 時間もありませんので、簡単に一、二点を、せっかくおいででございますから、皆さん方にお伺いしておきたいと思います。
こういう制度をしきます場合に、将来やはり流通機構としての市場というものをどういうふうに持っていくべきかということを頭に置いた上で、今後のいろいろな施策を考える必要があると思うのでございます。
第一に、いまの中央卸売市場法は、先ほど御指摘のように、大正十二年につくったものです。十五万以上の都市に中央市場をつくる。中央市場と地方市場とどこが違うのだという問題は、長い間の経過がありまして、いまはやはり再検討しなければならぬ、再考しなければならぬ、そういう時期に来ているのじゃないかと思う。昔の中央市場がそのままで、将来そういう姿で十五万以上の都市につくるのは中央市場で、そのほかのものは別の市場だという考え方はおかしいのじゃないか。中央卸売市場法というものをやめちゃって、そうして新しい生鮮食料品の卸売市場、そういうものをどういうぐあいに将来発展させ、規制していくかという問題を考えるべき時期にきているのではあるまいかという感じがするのでございますが、これについて先ほど来、野菜については関矢参考人が非常に御発言でございましたが、魚については、卸売りの立場から伊藤参考人、魚だけじゃまずいから、青果のほうについては江澤参考人、それから地方市場の宇佐美参考人、一言でけっこうでございますが、考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/37
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038・伊藤春次
○伊藤参考人 なかなかむずかしい問題でありまして、大体考え方としましては、中央卸売市場も地方卸売市場もそう大きい変わりはないと思うのでありますが、その重要度あるいは開設者等において特に異なっております。それから取り扱い数量の規模によって、水産の方面から申しますと、六大都市のように全部仲買い人制度を置いてやっておる市場と、地方卸売市場ではほとんで仲買い人――現在の中央卸売市場で見る仲買い人制度等のないのが通例になっておりまして、こういう点が非常に変わっておると考えるのでございます。法律の取り扱いから考えまして、いわゆる中央卸売市場ですらも、行政地域と経済地域が異なってきております現状、したがって、開設者の費用負担等の関係等にかんがみましても、相当再検討を要するものがあると存じますが、私は、中央卸売市場、地方卸売市場を通して、あまり具体的に取引の問題等を制定するような法律は、不可能だと思います。と同時に、むしろ中央卸市売場でも、大きい市場とそうでない市場に対しては、考え方をある程度変えていかなければならないのではないか、かような点を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/38
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039・江澤仁三郎
○江澤参考人 坂村先生の御意見、私は将来は先生の意見と同様でございます。しかし現在におきまして、中央卸売市場法、これはもう全面的な改正というものが必要であるということと、先ほど私どもの同僚の北村参考人からも申し上げましたが、いま中央市場以外の自由市場と申しますか、それと中央市場のわれわれとの戦いもあるわけでございます。したがって、縛る仲買い制度ではなく、ある程度自由な立場において競争をさせていくようなことをいま少し取り上げていただく。欧米におきましては中央市場がございませんから、卸と仲買いの立場が一つのようにごらんになる方が大ぜいおられますけれども、将来は、私は先生のおっしゃるような欧米に準じた、もとの問屋制度といいましょうか、そういうものに返り得る時代もくるのではないか、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/39
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040・宇佐美兼次郎
○宇佐美参考人 私は、主として青果のほうを取り扱っておりまして、魚のほうには関係がありませんので、この場合、委員長にお願いをいたしますが、全国魚卸売市場連合会の筒井さんから、この魚の問題はお答えを願ったほうが適切かと存じますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/40
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041・坂村吉正
○坂村委員 青果のほうの立場でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/41
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042・宇佐美兼次郎
○宇佐美参考人 青果のほうといたしましては、先ほどもちょっと触れましたように、市場の大小の差が非常に大きいので一がいに申されませんが、たしか三十七年の国会であったと思いますが、私ども要望しまして、附帯決議を衆議院のほうで御決議願ったと思いますが、そんなようなふうにひとつ市場法を改正していただいて、先ほどどなたか参考人から御意見があったように、地方市場もやはり現在より大型化するということは、先ほど申し上げましたように、すでに業者の一般の声としてまとまっておりますので、やはり任意的に、自治的にいまそういうことを推進しつつありますけれども、民間同士の話し合いだけではいろいろの難点もありますので、やはり法的根拠のある中央卸売市場法に準ずるような立法措置をとっていただいて、その権限を府県知事に委譲していただけば、府県知事の御指導によって、小さい何を農林省のほうでお世話願うというのも、これはなかなかえらいことだろうと存じますので、そんなようにお願いできるように、今後立法措置をすみやかにお願いできればよろしい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/42
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043・坂村吉正
○坂村委員 どうもありがとうございました。実は私、先ほど申し上げましたのは、いまの中央卸売市場法で将来の流通問題が片づくとは思われない。十五万以上の都市は中央市場で、あとはまた別の市場だという考え方自体に非常におかしなところがあるので、これはやはり中央市場法もやめてしまって、新しい立法をやって青果物の流通の問題と取り組んでいく、そういう体制をつくるべきじゃないかというのが頭に非常にあるものですから、それについての御意見を実は伺ってみたわけでございます。
もう一点だけお伺いいたしますが、一つは、こういうぐあいに都市化傾向がだんだん大きくなってまいりまして、交通とかそういう事情からいいまして取引も非常にたいへんでございます。荷さばき等も非常にやっかいなものでございましょうが、将来といいますか、だんだん進んでおると私は思いますけれども、商品の規格化というものをもっと積極的に進めて、魚にしてもあるいは野菜にしても、見なければ取引できないんだというような状態を脱却して、そうして、場合によったら、きょうの入荷はどういうところからどういう品種のものがどれだけ入ってきたか、これについて、これは有線放送でも何でもいいですから、全部小売店には放送ができるような形になって、電話で、それじゃひとつこれをもらいたいということで、小売り店はすわっておって、仲買いなりあるいは卸なりそういうところから、市場から小売り店に逆輸送で運んでいく、そういう形の取引というものが将来生まれてこないと、こういう都市の周密化が進んでくると非常に困るんじゃないか。私はこういう感じがするので、方向としては、商品の規格化というものをもっと進めて、電話取引ができるのだという形のものを将来考えるべきじゃないだろうかという感じが一つするわけでございます。と同時に、もう一つは、市場に対する商品の集中化、こういうことが中央市場の問題を議論する場合には盛んに出てきますけれども、むしろ逆に分散化――魚なんかの場合はあるいは事情が違うかと思いますが、野菜なんかの場合には、むしろ市場の分散化をやって、主体は都市の郊外に置く、郊外に卸売市場があって、そうしてそこに町の中から小売り人が買いに行く、こういう体制を将来考えるべきじゃないだろうか。いま神田なり築地なりで幾らこれを整備しようと思ったって、あそこで荷さばきあるいは能率のあがる取引はできないんじゃないかというふうな感じを私は持っておるのでございますが、これについてはどなたにお伺いしたらいいのかわかりませんが、まあ関矢参考人と、それから仲買いのほうで北村参考人、それから小売りの中根参考人にひとつお伺いいたしたいと思います。御意見を聞かしていただけば、参考になると思いますので非常にありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/43
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044・足立篤郎
○足立委員長 時間の関係もございますので、なるべく簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/44
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045・関矢尚一
○関矢参考人 商品の標準化の問題は、生産団体におきましても非常に積極的にこの傾向を促進いたしまして、リンゴとかミカンのような非常に生産量の大量のものは、ややそれが理想に近いような形に現在進んでおります。さらに、蔬菜の面におきましても、カンランあるいはハクサイ、さらにタマネギ、バレイショなど貯蔵性のある商品におきましては、そういうことが着々として進捗していると私は確信いたしております。さらに、軟弱蔬菜のようなものにつきましては、生産者の個人出荷の関係もございまして、その点がまだ非常におくれておりますけれども、御期待に沿うようなことも着々として努力されているんじゃないかということを私は信じております。
それから、いまの市場の分散と都心から郊外への問題の二点でございますけれども、やはり価格の構成上から、商品を分散いたしましてはたして最も公正にして妥当な、合理的な価格ができるかということを考えますと、需要と供給を集中的に一カ所に集中することが、最も公正な、理想的な価格の構成ということに重大な役割りを果たす一つの大きな理由になるのではないかということを、現在私は、実際の日常の経験の上から確信いたしております。
それから、郊外のほうへの進出の問題は、さっきも申し上げましたけれども、この間も私は実地検分に大井に参りましたが、大井埠頭のほうは、実はまだ半分海でございます。海のものとも山のものともわからないところに引っ越すとか引っ越さないというのはちょっと見当つきませんので、もう少し現実的に煮詰まった場合に、私ども業者としての一つの判断をまとめていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/45
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046・北村宮藏
○北村参考人 いまの坂村先生の御質問でございますが、将来の中央市場のあり方はどうかというふうなことだと思うのですが、私も先生と同感でございまして、現在の市場法を手直ししてもその精神がずっと改まらなければ、やはり新しい皮袋に新しい酒を入れるという考え方で思い切った改正をすべきではないか。改正というより、新しい観点で立法するということがいいのではないか。
それから商品の規格化でございますが、これは魚のほうにおきましてもだいぶその点は進んではおります。おりますが、必ずしも魚のほうで、いま政府が進めておりますコールドチェーンというものについては、これは工場給食とか、学校給食とか、あるいは会社の給食で使う程度のものはいいといたしましても、いろいろいま試験中のことで、それに判断を早急に下すことはできませんが、魚の面では、現在進むのがどの辺で一体とどまるのか必ずしも――もちろん生産者はあらゆる商品の加工を考えまして、そうして手取りを多くしようという時代でございますから、これはおのずと事業者がくふうをなさることだと思うのです。しかし、それには魚においては限界があるのではないか、かように思います。
それから、市場のあり方の問題で、分散はどうかというふうなことでございますが、私は魚の観点から言いますと、これはやはり大量集中という考え方でございます。ただ、市場をこしらえます場合に、現在の段階になりますと、もう道路網というものを考えないで、ただ市場を荏原にこしらえた、どこにこしらえたといっても、これは問題にならないのではないか。道路さえよければ、たとえば、私どもがヨーロッパへ行きましても、スペインから西ベルリンなんかへくだものが一昼夜で来る、ドーバーの魚もハンブルグへは二十時間で来るということは、すべて道路網だと思います。たとえば、冬に野菜がないところに、太陽道路を突っ走ってイタリアからどんどん入っていく。最近の日本におきましても、道路というものを重視しています。これも非常にけっこうなことだと思います。道路というものと市場というものをお考えになれば、りっぱな市場ができるのではないか。ただ数だけこしらえても、その周辺の道路というものを十分に考えなかったなら、その効率はあがらないのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/46
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047・足立篤郎
○足立委員長 参考人に申し上げますが、時間がたいへん経過しておりますので、簡単にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/47
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048・北村宮藏
○北村参考人 それから、かりにこれを都内のことにたとえて申しますと、三多摩市場とか大井市場とかいうのでございますが、大井市場等は、現在、聞くところによりますと十二万坪というのですが、これはもう先ほど関矢参考人がおっしゃいましたが、ヨーロッパあたりではどんな市場へ行きましても大体十万坪ぐらいでありまして、ことしでき上がりますパリの市場は十九万五千坪もあるわけでございますから、そういった意味におきましても、十万坪単位くらいでこしらえていただく。十万坪くらいでも総合市場というのでは小さいのではないか、こんなふうにも考えます。時間もありませんので、大体大まかなことを申し上げまして失礼いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/48
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049・中根長吉
○中根参考人 小売り商の立場から申しますと、やはり大市場というものにすべて魚というものは集中されますので、できますなれば三十万坪ぐらいの大市場をつくっていただき、そこに全部集中されることが非常にいいのではないかと思います。
総合市場につきましても、やはりわれわれ業界におきましては、今後はあらゆる品物を取り扱うような時代になりますので、総合市場をおつくりになる場合には、三十万坪以上の場所でない限りは、現在はわれわれ業界が各店舗、各店舗自動車を一台ずつ持っており、東京都内におきましても六千軒からの業者がありますし、三多摩地区、関東地区の業者が中央市場に集まるというような場合が非常に多いのです。なぜかと申しますと、現在三多摩地区に相当小さい市場がございますが、三多摩地区のお客さんはその市場で物を買えば近くて済む。理屈はそういうような理屈でございますけれども、買い出しに来る方は全部築地市場を目がけて来る。そういう感覚から申しますと、大市場がある場合には小市場は成り立たないということがはっきりいたしますし、われわれ業界におきましても、小市場で物を買うよりも、大市場の大量に物のあるところに行って買うというのが、これは習慣的でもある。そういう関係がございますので、私どもの支店あたりも、川越先に持っておりますが、やはり中央市場目がけて、朝五時に出発してきて中央市場の魚を買っていく。そういり関係から見ますと、どこにつくられても、先ほど北村参考人の言ったごとく、道路網が完備されましたところに大市場をつくられることが、一般の統計から見ましても、また物価の安定から見ましても、そこに集中させるということが非常にいいんじゃないか。それを目がけて買い出し人はそこに集中する、そういうふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/49
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050・坂村吉正
○坂村委員 これで私の質問を終わりますけれども、私たちもひとついろいろ勉強してまいりたいと思いますが、十分ひとつ御勉強いただいて、御示唆を今後もいただきたいと思います。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/50
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051・足立篤郎
○足立委員長 兒玉末男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/51
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052・兒玉末男
○兒玉委員 時間が経過しましたので、二、三点お伺いしたいと思いますが、東京都の中央卸売市場長の土屋さんにお伺いしたいのであります。
先ほど、いろいろ参考人の方から貴重な御意見承りましたが、第一点は、今回の公庫法の一部改正によりまして、市場関係の設備近代化、合理化、こういうことがその対象になっておりますけれども、先ほどどなたでしたか、転送というものが非常に多いということを言われましたけれども、特に野菜等におきましては、横浜地区で生産されたものを東京に持ってきて、それをさらにまた横浜のほうに持っていく、こういうことによって非常に輸送がふくそうするし、コストが高くなる。この転送の問題について、私は相当思い切った措置をとらないと、相当の市場の拡張等をしましても、やはりその傾向というものが、各市場における混雑を緩和する役割りを果たさない。この転送に対して、特に土屋さんは、いままでどういうふうな御指導なり、今後の改革においてどうい、うふうな御構想をお持ちなのか、第一点としてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/52
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053・土屋鉄蔵
○土屋参考人 この転送の問題でございますが、これにつきましては、いろいろ問題もあるわけでございます。市場に入ったものが、かりに上場されずに他のほうに転送されるということになりますれば、これはやはり価格形成上本来出るべき価格よりも高い価格になる、数量が少なくなるから高くなる、こういった問題もあるわけであります。しかしながら、現状におきましては、必ずしもこの原則どおりはいかない面もあろうかと存じます。こういった現在の実態をにらみ合わせてのことだと思いますが、農林省からも通達をいただいております。したがって、やはりこの価格形成に特に支障のない範囲の数量などにおいて、転送の措置をとるようにという御指示をいただいております。この趣旨に沿っていま検討中でございますけれども、いろいろ問題がありまして、まだ具体的な結論は得ておりません。早急に結論を出したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/53
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054・兒玉末男
○兒玉委員 転送の問題は、これは先ほども触れましたが、価格形成にも相当影響が大きい。この改革がなかなか困難だというそのネックでございますか、大体どういうところに問題点があるのか、大筋だけでもけっこうですが、お教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/54
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055・土屋鉄蔵
○土屋参考人 先ほど申し上げましたように、価格形成が、やはり一応抽象的と申しますか、理念的と申しましょうか、こういった点が一番大きな問題だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/55
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056・兒玉末男
○兒玉委員 この点、また政府委員のほうにもいずれ御質問したいと思っております。
もう一点は、いわゆる公正なる市場行政ということが、私は今日ほど主張されたときはないじゃないかと思うのですが、前国会の参議院の審議の場におきましても、たとえば、卸売り人がその営業権を売却する、今度また同じ市場において、その人が再度いわゆる営業の認可を申請する、こういう具体的な例が東京の市場の場合においても提起されたやに聞いておりますが、こういうことがもし野放しにされることは、いわゆる卸売り人の利権化という問題と私は非常に関連が深いと思うのですが、今後の市場行政において最も大事なことは、卸売り人等のこのようないわゆる利権化を阻止して、公正な市場行政ということが、私は今日最も重要な課題ではないかと思うのでございますが、この点については、農林省当局も相当厳重な警告を出しておるわけでございますが、この公正な市場行政というものについて、土屋さんは今日どういうふうな御指導なり、現在提起されておる問題について、どういうふうな措置を講じられようとしているのか、この点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/56
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057・土屋鉄蔵
○土屋参考人 市場の取引などにおいての公正化、これは当然のことでございまして、これは私ども特に意を用いておる点でございます。特に四十三年度におきましては取引の公正を一段と期する、こういう観点から巡回指導班的なものを設けましてやるつもりでございます。
それからまた利権化の問題でございますが、これはむろん公共の市場におきまして、その利権化は許されないことでございますので、こういった点は厳重な取り扱いをしていきたい、こういうように考えております。
それからいま御発言の、たぶん江東市場の葛飾分場の問題ではなかろうかと思いますが、突然でございますので、ここに具体的な資料を持っておりませんので、日時などは具体的に申し上げられませんけれども、この問題は、いわば道義論とそれからわれわれの行政ベースとの問題のからみ合いだと思います。私どもといたしましては、なるほど道義的には非難さるべき会社の支店設置の申請もございましょうけれども、しかし十数年たっておる今日、なおかつそういったことだけで、申請をしてきた者に対して一体断わり得るかどうか、多分に疑問を持っております。というのは、たとえば卸売り人の許可申請にいたしましても、刑罰を受けた者が入っておればこれはできませんけれども、これもたしか二年か三年たてばできる、こういうふうな中央市場のたてまえでございます。したがいまして、別に法律問題でもない十数年前の問題を取り上げて、申請をしてきた場合に一体これは断わるのが適当かどうか、多分に疑問を持っております。
したがいまして、私どもといたしましては、行政ベースと申しますか、そういった点からこの問題は処理すべきである、こういうように考えまして進めておりますが、しかし、かといって、やはり円満な解決が望ましいわけでございますから、私どもとしては関係者の円満な話し合をひとつ進めていきたい、こういうことで目下努力中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/57
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058・兒玉末男
○兒玉委員 最後に、一言だけ要望を兼ねてお聞きしたいのは、特に魚関係等の市場を私も何回か見に行きましたが、衛生的な処理といいますか、不潔な感じを非常に強くするわけですね。この点やはり食べるものであるし、お魚等はなまで食べる。こういう点から、もう少し衛生面の指導ということを私は強力に行なっていくべきじゃないか。これは、もちろん設備改善等多くの問題があろうと思うのですが、問題は当事者の思想の問題だと私は思うのでございます。この辺について、どういうような御指導なり今後の改革をしようと思っておるのか、この点最後にお伺いしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/58
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059・土屋鉄蔵
○土屋参考人 いま市場の衛生は、これはなまものを扱う場所でございますから、御指摘のようにきわめて衛生的でなければならないのは当然でございます。そうは申し上げましても、施設の面からいって必ずしも完ぺきでない点は確かにございます。そこで、われわれといたしましては衛生的な措置といたしましてかなりの予算も計上しまして、それから関係業界の協力を得まして、消毒とかいろいろな面をやっております。特に申し上げれば、ネズミなども現在はもう一匹もおらないというような状況になっておりますし、それから日々の衛生的な取り扱いにつきましては、同じ都の衛生局の検査所もございまして、あそこにたしか二十数人の所長以下の職員がおりまして取り締まっております。しかし完ぺきでございませんので、今後ともさらに衛生的な面については十分な配慮をしていきたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/59
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060・足立篤郎
○足立委員長 神田大作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/60
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061・神田大作
○神田(大)委員 簡単に二、三お尋ね申し上げたいと思います。時間もありませんから、お答えも簡単に、要領よくひとつお願いします。
まず第一に、先ほど関矢参考人からの話だと思いましたが、旧態依然たるせりでもって売買取引をしておる、そういうやり方を一歩前進させた方向へ持っていくべきじゃないか。私たちもせりだけでもって、これだけ膨大な青果物、生鮮食料品を取引するというのは、現在においては非常に時代おくれをしておるんじゃなかろうか、こういうように考える。原則としては、せりというものは一つの基準をつくる上において大事なことだと思いますけれども、これだけ産地が共同化し、品物が規格化してきたのであるからして、たとえば、産地との前もっての契約栽培というようなことを推し進め、そしてもっと取引の近代化をはかったらよかろうとわれわれ考えるのですが、その点について、関矢参考人の御意見並びに東京市場長の御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/61
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062・関矢尚一
○関矢参考人 先ほど坂村先生から御質問のございました、商品の規格の標準化の問題と、包装その他の問題等の問題に並行いたしましてこういう問題が起こってくるわけでございますけれども、さっき申し上げましたような商品の流通状態でございますので、たとえばミカンとかリンゴとかいうようなものと、あんた軟弱蔬菜ダイコンとか一般の蔬菜類の売り方というのは、これは当然性質が違いますので、変えなければならないわけでございまして、やはり軟弱蔬菜なんかの販売につきましては、せりが最も適当な合理性を持っておるのではないかということを、私、現在でも考えておりますけれども、リンゴとかミカンとか、あるいはさっき申しました非常に貯蔵性のあるタマネギ、バレイショ、キャベツあるいはハクサイというようなものにつきまして、やはりこういうようなものの取引の問題をさらに――相対ということをさっき申しておりますけれども、相対というのは必ずしも新しい近代的な方法でないわけでございまして、せりから相対に変えるということはむしろ逆行の傾向もございます。さらにこれが相対ということになりますと、やや公開性を失うので、ちょっとその点のいろいろ問題もあると思いますが、しかし、さっきお話しのように、ある程度の十分公正な一つの制度のもとにこれが運用されるならば、やはりこういうことを行なうことが、いまの物価の形成上から一番いいんじゃないかということを考えるものでございます。
さらに方法といたしましては、私どもの責任で産地から、いまお話しのような契約買い付けというような、値段をきめて買ってまいるという方法もございますし、さらには産地が底値をきめまして、それによって委託をしてくるというような方法もございますし、さらには見本で取引をいたしまして、実物をあとからお届けするというような方法もあるわけでございます。しかし、一番一般性を持っておりますのは、やはり何と申しましても相対売りということが、私は一番最初にとり得る最も端的な一つの手段じゃないかということを考えております。さらに、せりがせり上げ方式でございますので、非常に大量に買うものはやはり高い値段を出さなければ買えないという一つの原則、ここに一つ問題が起こるわけでございまして、外国ではせり下げというような方法もないわけではございませんけれども、この点で、やはりそういったせりの持つ一つの欠点を補正するための一つの相対制度というようなものを並行的に、特定の商品につきましてお認め願えれば、それは先生のいまお話しのようなことで、私は非常にその商品の迅速な、しかも、流通の適正が期せるんじゃないかということを考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/62
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063・土屋鉄蔵
○土屋参考人 市場における取引方法としましてせりが是か非か、あるいは相対がいいかどうかという問題でございますが、これは中央市場における取引の基本に触れる大きな問題でございまして、にわかにここで私は御意見を申し上げかねますけれども、しかし、中央市場の従来の実績から申しまして、やはりいろいろな欠点もなくはないと思います。しかしながら、私はやはりこれにまさるさらにいい方法があれば別でございますが、いまの段階においては、これにまさる取引方法があろうとはちょっと考えられないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/63
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064・神田大作
○神田(大)委員 ありがとうございました。これは非常に大きな問題だろうと思いますので、われわれも今後検討していきたい、こう考えております。
次に、いまの東京卸売市場の場長の土屋さんにお尋ねしますが、いまの市場の手数料というものが数年来改定されないですね。いま手数料が八・五%、くだものは七%、それに荷主交付金が一・四%というようになっておりますけれども、これはもう改定されなければならぬだろう。というのは、取引数量も非常に膨大になってきておる。また荷主交付金のごときは、ずっと前の昭和三十五年、三十六年、三十七年の三カ年平均の取り扱い数量に基づいた金額の荷主交付金をやっておる。これは生産者に対して非常な不利益でありますし、現在においては私はもう改定される時期である、改定されなければならぬ、こういうように考えておりますが、場長さんはどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/64
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065・土屋鉄蔵
○土屋参考人 この卸売り人の手数料の問題につきましては、全国的な問題として、農林省の御指導のもとに各市場が規則できめて運営しておるわけでありますが、これに関連しまして、いわゆる荷主交付金の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、いま農林省からのお話もございまして、具体的に検討を進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/65
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066・神田大作
○神田(大)委員 中根さんにちょっとお尋ねしますが、小売り団体における近代化が一番私は必要だ、また非常にむずかしい問題だと思いますが、これらに対する、いま人手不足もありますし、いろいろな意味合いで経営も困難になりつつあろうと思いますが、連合会としては、これらの近代化の具体的な具体案、そういうものをお持ちになるかどうか、それを簡単にひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/66
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067・中根長吉
○中根参考人 近代化につきましては、業者の皆さんを一応集めていろいろと説明しておりますが、現在のわれわれの近代化と申しましても、かりにここに三軒の店舗がありまして、それを一軒の店舗に集中した場合に、あと、その場所の残ったところへ出てこなければ営業が成り立つ、そういう関係が一つありますし、また買いものに来る方が、われわれ鮮魚におきましては、せいぜい三百メートル半径以内です。そういう関係で非常にむずかしいのでございますが、われわれといたしましては、魚屋、八百屋、肉屋それから乾物屋、そういうような業態が少なくも五十坪ないし七十坪ぐらいの市場をつくり、その中に入ってお互いに食料品を営業する。場合によってはそれが一本化して共同体をつくるということが一番いい。また業者によりましてはすべてを荷分けして、一般家庭にすぐ結びつくような営業方針に変えていく、そういうように近代化の話をしておりますが、何と申しましても、われわれ業界は零細業者が非常に多いので、その資金面に対して非常に苦慮している次第でございますが、今度の金融措置が完全に講ぜられれば、そういう方面に踏み切っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/67
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068・神田大作
○神田(大)委員 どうもありがとうございました。
最後に宇佐美参考人に伺います。地方市場の整備ということは非常に大事なことであると思いますが、いま土地も非常に値上がりしておる。少しぐらいの金ではこれは整備できない。しかしながら、このまま地方市場を旧態依然たるままにしておくというと、中央市場に来た品物が今度は地方都市へ逆送されておるというような現実もあるのですね。これらの合理化を私は速急に施す必要があると思いますが、これら地方市場の近代化についてのお考えをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/68
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069・宇佐美兼次郎
○宇佐美参考人 お尋ねのとおり、地方市場の整備、近代化と申しますのは、先刻も申し上げましたように、地方には非常に零細な市場がありますので、大体いま業者どもの考えておりますのは、人口十五万ぐらい、場所によっては十万あるいはやむを得ぬところは五万でも、地域を多少勘案してなるべく整備して、そうしてなるべく大型化して、一たんそこへ生産者のほうから入ってきます荷物を、一市場で、どんなものが一貨車なり一車来ましても、それを他へ転送するようなことのないように、一例をあげますとそういうようなことのないように、そこまで整備をしたいというようなことも、この整備の課題になっております。私、愛知県の出身でございますが、愛知県なんかでも寄り寄り協議をいたしておりますが、大体人口十万、理想としては十五万ぐらいまでに合併統合をしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/69
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070・神田大作
○神田(大)委員 この問題は、あとで政府委員にいろいろと質問したいと思っておりますが、参考人に対する質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/70
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071・足立篤郎
○足立委員長 永井勝次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/71
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072・永井勝次郎
○永井委員 時間がありませんから、一つの問題についてだけ……。コールドチェーンについてお尋ねをしたいと思います。お答えをいただきたい人は土屋さん、池内さん、それから筒井さんにお願いいたしたいと思います。
コールドチェーンについては、それぞれの立場において賛否両論、いろいろ分かれておると思うのであります。それからいろいろ実行していく過程で問題も相当に多いと思うのですが、第一は、コールドチェーンを軌道に乗せていくということになりますと、これは、扱うのは大洋であるとか、あるいは日水であるとか、ほとんど大手の独占市場になっていくのではないかということが一つの問題であります。それからその流通過程では、冷蔵庫ではなくて冷凍庫を持たないと、それを受け入れていく体制がない。消費者のところまで、家庭のところまで行けば別ですが、その中間では冷凍庫が必要だ、行く行くは家庭でも冷凍庫が必要だ、そういう設備がないと、正しく品物が流れていかない、こういう問題があろうと思うのです。
それから、コールドチェーンになりますと品物が安くなる、あるいは非常に合理的になる、こう言っているのです。要らない頭を切ってしまう、尾っぽを切ってしまう、骨をとってしまう、無用な輸送費を除くことができるからと、こう言うのですが、反対するほうは、どんなに合理化されても、魚は腹のところが太くて尾っぽのところが細い、そうすると機械で切り身をつくるといったって、結局機械で切れない。やはり出刃ぼうちょうで、手で切る以外には切れない。そうすれば、こっちから流れてくるのは機械化しても、切り身をつくる段階は人の手でなければだめじゃないか、こういう意見もあります。そういうことで、コールドチェーンを正しく軌道に乗せていった場合、大手の独占にならないかどうか。それから冷凍する、あるいは切り身にするという段階でも相当の経費がかかるのだから、なまで、鮮魚で配給するよりは経費がかかる、値段が高くなる、こういうふうに言われておりますが、コールドチェーンを実行に移す場合における実際上のいろいろな問題点、それから価格関係においてどうであるかということについてお答えをいただきたいと思うのです。
もう一つは、非常に安くなる、あるいは合理化されるという点では、一つの魚が大豊漁になる、たくさんとれ過ぎたという場合は、いま肥料とか魚粉とか、そういうものに処理しているのですが、そういうたくさんとれて値段が下がったときに、それを大量に仕入れて、そうして冷凍しておいて、それをずうっと平均売りしていくから安く供給ができるのだ、こういうふうに主張されているのですが、そういう関係では生産地の消費者なんかは、生産地はなかなか品物が多種多様でないのだ、いままでは、大量にとれた場合にはせめては安い魚が食えたのだけれども、コールドチェーンのルートに乗せると、大漁しても安い魚は食えなくなる、みんな中央へ持っていかれてしまうという反論もあるわけなんです。これらの面を、生産から消費者にまで届く過程における流通段階でいろいろな問題がありますから、それぞれの立場でひとつなにしていただきたい。筒井さんなんか、ことに産地の北海道関係ですから、北海道等においては、これが新しく動き出した場合に、産地としてはどのような経済的な影響があるのか、これらについてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/72
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073・足立篤郎
○足立委員長 参考人の方々に申し上げますが、意外に時間が経過しましてたいへん御迷惑をかけております。したがいまして、御答弁はなるべく要点をつかんで簡潔にお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/73
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074・土屋鉄蔵
○土屋参考人 このコールドチェーンにつきましては、まだ実際は実験段階と申しましょうか、そういう程度でございますので、お恥ずかしいことでありますが、私はまだ十分な研究はいたしておりませんが、しかし、これからの行き方といたしましては、やはりコールドチェーンにならざるを得ないのじゃないかと私は考えております。
大漁のときも高いものを食わされるという結果になるというお話もございましたけれども、貯蔵性を与える、保存ができるということになりますと、やはり供給の平準化と申しますか、安定した供給ができるという意見もありましょうし、今後やはり市民生活においても、貯蔵して一週間もためておいて食べられる、こういった形になるのじゃないか、私はこういうように考えます。今後はやはりそういった傾向になるのではなかろうか、こういうふうに考えますが、先ほど申し上げましたように、まだ詳しくは検討しておりませんので、これ以上申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/74
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075・池内英太郎
○池内参考人 コールドチェーンのなにでございますが、傾向といたしましてはやはりそういうことになっていくのじゃないかと思いますけれども、昭和三十八年には鮮魚とそれから冷凍の関係が、鮮魚が七一%であったのが、四十年では六六%になっておるということで、冷凍魚がふえていくということは、水産物の需給関係からやむを得ないと思うのでありますが、コールドチェーン組織につきましては、なお消費者のほうが冷凍魚等に十分なじめないというような状況で、小売りの段階においてコールドチェーンの綱が切れるというような面もあるわけでございます。これは、やはり消費者が手間をかけて自分で料理をして安いものを食べるか、あるいは料理その他が非常にむずかしいし、最近はインスタント的な傾向になっておりますので、魚屋さんにいろいろな手間をかけて料理をしてもらって、少し高いものを買って帰るということで、これはやはり国民の消費生活と関連して進んでいくということでございますので、コールドチェーンのあり方についてはそういった状況を背景にいたしまして、いろいろ考慮いたしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/75
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076・筒井英樹
○筒井参考人 お答えいたします。
お二人の方から申されましたように、全国の国民の消費量からまいりましても、国内生産では足らなくなっております。そうすれば遠洋漁業や深海漁業に移行して動物たん白の摂取量を確保しなければならぬ、こういう現況からいけば、当然コールドチェーン問題が強く取り上げられ、その線に入ってくることは当然でなかろうかと考えております。ただ、お話がございましたように、大企業資本の手にすべてが握られるのじゃないかというおことばでございますが、永井先生のお話しの点、私は北海道でございますので、全国のことは十分わかりませんけれども、北海道の現況からまいりますと、北海道も、御承知のとおり非常に多獲性魚で、季節的にあまり高級でないものを多獲することもございますので、北海道でもいろいろの面でそれを研究されて、現在やっております。やっておりますが、北海道は今回の農林省の生鮮食料品卸売市場対策協議会の報告をもとにして、北海道卸売市場審議会が市場の大型化を急速に推進すべくやっております。
流通関係にちょっと触れますけれども、地方市場というものは、現在の状態では私はだめだと思います。ゆえに、広域流通をもって生産者の御要望にこたえられる大型化を完成することによって、私は大企業資本に独占されるような流通機構にはならない、かような信念をもって北海道の市場を指導しております。
現在、北海道においては、各生産地には非常に整備された冷蔵庫がございます。消費地といたしましては札幌に五万三千トンの冷蔵庫がございます。旭川は札幌の圏内でございました関係上ございませんけれども、いま先生のおっしゃるようなコールドチェーンという問題の今後を考え、道央地区から道北地区のコントロールセンターとして、旭川市にいま近代的な冷凍庫を建設中でございまして、本年度中にでき上がりますが、家庭の方々に対しては、現在北海道においては、特に旭川を中心としてやっておりますことは、コールドチェーンになります過程におけるいろいろの状況と、その品物を御家庭でどういうように御利用になればお得であるか、あるいはそれが風味その他を全然落とさずに消費できるかということのPR等をやっておりますが、価格の面においては、私は、先ほどお話がございましたように安定価格は得られるけれども、非常に価格差というものが縮まってきて、いままでの価格よりは上昇するというような状況は、現在のところないとお答えをして、早晩コールドチェーン問題を強く推進していかなければいけない状態にあると思います。特に、北海道は本州と離れておりますので、近海ものその他の鮮魚が少のうございますので、北海道で生産されるものでは御満足にならない消費者の食生活に変わりつつある現況からいって、そういう状況に進みつつあるというお答えをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/76
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077・永井勝次郎
○永井委員 最後に、これは単に魚の技術的な処理の問題だけでなくて、流通的にはこれは革命的なもので、コールドチェーンが軌道に乗ってくれば、これは中央卸売市場を通らないでまっすぐ流れていくわけです。ですからまだ調べてない――技術的な調べは別として、皆さんの存立の基礎を危うくするかどうかという問題です。中間の段階を減らしていく、そういうことで費用の上昇はその面でマイナスしてくるから、安く消費者に届けられるのだ、こう言っているわけですが、中央卸売市場、これはほんとうに大手からまっすぐ来れば通らなくなります。そういう関係で、そういうことが末端の消費者の家庭から見て、合理化されれば、中間のそういう段階の省略は合理化だからけっこうだとお考えになっているかどうか、東京と大阪のお二人からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/77
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078・土屋鉄蔵
○土屋参考人 私どもは中央卸売市場の責任者ということになりますが、しかし同じ東京都という、広く行政をあずかっておる者から見ますれば、要するに消費市民にどのような方法にしたら一番安く届くのか、一番安い方法で届けば、私は中央市場長といいながら、中央市場のルートだけ守るということではなくて、そういった方法もけっこうではなかろうか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/78
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079・池内英太郎
○池内参考人 私も大体同様でございまして、生産者は必ず中央市場を通して物を送らなければならぬということに相なっておりませんので、生産者から直接消費者に行く、それで安いということであれば、それでもよいかと私は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/79
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080・足立篤郎
○足立委員長 石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/80
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081・石田宥全
○石田(宥)委員 たいへん時間が迫っておるようでありますから、土屋参考人並びに池内参考人にお伺いをしたいと思うのですが、これは基本的な問題でございまして、いまの中央卸売市場の運営がはたして妥当であり、公正なものであるかどうか、私は非常に疑問に思うのです。中央卸売市場というものは、生産者が卸売り、これはいわゆる荷受け機関ですから、荷受け機関に出荷をする、荷受け機関がこれを市場に出す、そこで仲買い人というものがこれを評価して分荷をする、それで金融の関係もこれをやる、こういう形になっておるのでありますが、しかし、法文の上では卸売り人ということになっておる。しかし私は、卸売り人という名称は使われておるけどれも、これは純粋には荷受け機関であり、荷受け機関たるべきものではないか、こう考えるのです。
ところが、現状を見ますと、青果物は九〇%以上が委託になっておるから、ややこれはいいといたしまして、水産物になりますと、六〇%以上が買い付け取引を行なっておる。そのほか二〇%ぐらいがさし値をやっておる。こういうことが中央卸売市場の精神に合致するかどうか疑わしい。大きな水産会社が品物を出してきて、適当に評価が行なわれなければならないのに、これは幾らでなければ売らぬとさし値をしてくる。そうしてその額に達しなければ持っていってしまう。こういうことが行なわれるべきではないのではないか。
そこで、荷受け機関という性格が強くなれば、買い付けをしたり転送をしたり、出したものを引っ込めたりということは許さるべきものではない。ところが現在、いま申し上げたように、さし値をしたりあるいは買い付けをしてしまって、自分が買い付けをしたんだから自由自在だというような取引が行なわれるから、単複の問題が問題になってくる。金沢の市場では公取が介入してくる。それは、公正な取引が行なわれないから公取が問題にしたのではないか。荷受け機関としてもっとすっきりした取引が行なわれておるならば、公取が介入してくる余地はないのではないか、こう私は考えるのです。この点についてはもう議論の余地はないように私は思うのですが、これは土屋場長さん、池内さんのお考えを承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/81
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082・土屋鉄蔵
○土屋参考人 卸売り人、荷受け機関と私ども申しておりますが、いまお話しのように中央市場法では委託が原則、それが買い付けが多くなっておること、それからさし値が非常に多くなっておる。こういった問題は、確かに石田委員の御指摘のとおり、私はやはり中央市場本来の趣旨には必ずしも合致するものではないと考えます。しかし、さし値の点につきましては、自由経済と申しますか、法のたてまえとして許しておる以上、これはやはりむやみに私どもはとめられない、こういうふうに考えております。それから買い付けのほうも、先ほどもお話に出ましたが、魚については特に冷凍化が進んできておりまして、そして規格化してきておる、保存もきく、こういうことになりますと、勢い買い付けという形も出てこざるを得ない現状ではなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/82
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083・池内英太郎
○池内参考人 中央市場のほうは、もちろん原則として委託販売、せり取引ということでございますので、商品の性格がそういうものでありますれば、当然そういう委託販売、せり原則というものをできるだけ貫いていくということがいいと思います。ただしかし、買い付けにいたしましてもさし値にいたしましても、法律によってきめられて許可されておるわけでございますから、具体的に、買い付けによらなくては集まりにくい荷物だとか、あるいはさし値のほうは生産者からつけてこられるわけでございまして、これがあまり不適当なものであれば、なかなか仲買いさんのほうも買えないというようなことでございますので、買い付けあるいはさし値の問題につきましては、業務規程その他に従いまして開設者が承認することになっておりますので、その点を十分やっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/83
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084・石田宥全
○石田(宥)委員 政府のほうの関係は明日、ことにいま問題になりましたコールドチェーンの問題も、科学技術庁を呼んでいたしますから、きょうは参考人に関する問題だけをお伺いしておきたいと思うのです。
先ほど来伺っておりますと、いずれも施設の老朽化と狭隘を強く訴えられておるわけです。そこで、いま土屋さんがおっしゃったように、いろいろ商品が規格化したり冷凍化したり、あるいはかん詰め類などが出されておる。かん詰め類などのような定価売りのものを、あの狭くて困る、狭くて困るという市場に持ち込まなければならないという理由が私にはわからないのです。これは法改正が必要なようでありますから、あす農林省の方とよく話し合いたいと思うのでありますけれども、仲買い人が場外から買えない、しかたがないから、狭い狭いというところにかん詰めまで持ち出す、こういうことになっておるのですが、これは農林省のほうでも何とか考えよう、場外セールスというものを認めて、かん詰めなどはことごとくそこへ持ち込まなくとも、もう定価はきまっておるものですから、しかもそれが、必ずしも五分五厘とはいってないようでありますけれども、四分なり四分五厘なりという卸マージンをとっておる。こういうものは場内に持ち込まない、あるいは見本的なものだけでやるとか、あるいは仲買い人が場外で取引ができるようにするとか、そういうような措置をとれば、その狭隘の問題はそれほど問題ではないのではないか、こう考えるのですが、率直に土屋さん、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/84
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085・土屋鉄蔵
○土屋参考人 かん詰め類などは確かにお話しのとおりだと思いますが、買い出し人側の便宜という点から考えまして従来扱っているわけでありますが、確かに混雑している今日でございますから、お話しのような行き方もひとつ考えてみていただく必要があろうかと存じます。
ただしかし、そのかん詰め類やそういったものを扱わせないというだけで市場の混雑が緩和するかということになれば、これはならないと思います。というのは、やはり何といいましても駐車スペースが非常に少ない。開設当初そういったことがほとんど計画に入ってなかった、これが非常に大きな原因である。それから入荷数量も何倍かにふくれ上がっている。こういったことが大きな原因でありまして、私は、かん詰め類程度を場内に搬入させないというだけでは解決しない問題だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/85
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086・石田宥全
○石田(宥)委員 かん詰めだけで解決するといういまの言い方はちょっとオーバーだったかもしれぬけれども、一例をあげたわけです。冷凍品や何かで定価売りのものも相当あるわけでありますから、そういうものについてはやはり法改正を必要とするかもしれないが、あなた方の意見を参考にして、われわれは今後立法措置を必要とするなら法改正のために努力をしなければならないと思いますので、お伺いをしたわけであります。
さらにもう一つ、特に水産物でありますが、水産会社が各地に常駐職員というものを相当置いておる。いろいろ調べてみると、二名も三名も産地に置いておる会社がある。これが一面においては過当競争になって、価格をつり上げるという役割りを果たす。一面においては、おおよそ百億円くらいかかるのではないかという話です。こうなると、もっと運営の面で――消費者価格がいまやかましくいわれておるときに、卸売り人がそういう産地駐在員などを置いて過当競争してつり上げて、そして結果的には消費者に高いものを売らなければならないような、こういうものについての指導監督は、これは農林省のほうにあるか、あなたのほうにあるか。法律は国の法律だから、農林省が指導監督をすことになるけれども、開設者は都のほうでありますから、ここらの点はむずかしい問題だと思うのでありますけれども、やはり国民全体の消費者の立場から考えて、何とかこれはそういうことをなくするような処置が必要ではないだろうかと思いますが、お考えを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/86
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087・土屋鉄蔵
○土屋参考人 中央市場法に基づく中央市場の卸売りだから農林省だ、こういうふうに私どもは考えておりますが、やはり実施団体の第一責任はわれわれ開設者である東京都にあると思っておりますので、いまお話しのような点につきましては、経理検査を通じたり、あるいは日常の取引において常に注意なり指導をしておるところでございますが、今後ともその点については、さらに格段の指導をしてまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/87
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088・石田宥全
○石田(宥)委員 もう一、二点お聞きしなければならぬのですが、転送問題で兒玉君からちょっと触れられたのでありますけれども、これについては先ほどの陳述の中で関矢参考人から、合理的な転送の道を開けということを強く主張されました。私も、これは場長の承認で行なわれる、ところが実は場長の指定したところへ転送されないで、別のところへ転送されておるなどという事実もあって、どうも不明朗にする原因ではないかと考えておるので、これについてはやはり何か市場運営上の一定の機関をつくって、そこで協議の上で、その場長の判こ一つでどこへでもやれる、しかも指定した行き先へ行かないでとんでもない別な方向に行くなんというような不明朗なことはなくさなければならないのではないか、こう考えておるので、これはあすの政府委員に対する質問をする都合もございますから、ぜひひとつ御意見をお聞かせ願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/88
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089・土屋鉄蔵
○土屋参考人 転送の問題につきましては、先ほど二回ほど御答弁申し上げたわけでありますが、ざっくばらんに申し上げまして、実態においては都外あるいは場外に出る、こういう状況でございます。そこで、農林省のほうからもこれについて、いわば合理的な範囲と申しますか、先ほど私が申し上げましたような価格形成に特に影響のない程度において、品目とかあるいはその数量などを限定して扱うようにしたらどうかという御指示をいただいておりますので、目下実はその線に沿って検討いたしておりますけれども、いろいろ問題もございまして、まだ結論は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/89
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090・石田宥全
○石田(宥)委員 ぜひひとつ、あすまた農林省にもよく言いますけれども、そうしてください。
それから最後に、土屋場長さんにちょっと伺っておきたいのですが、最近東洋水産という会社が七億ほどの赤字を出して倒産をしたということですが、これは詳しいことはまた農林省からも伺いますけれども、大体被害者というのはどんなところなんでしょうか、ちょっと伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/90
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091・土屋鉄蔵
○土屋参考人 いまのは東洋シュリンプの関係だと思いますけれども、会社としては築地魚市場会社といいますが、東市でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/91
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092・石田宥全
○石田(宥)委員 またあすゆっくり伺うことにして、どうも参考人にはたいへん御苦労でございました。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/92
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093・足立篤郎
○足立委員長 以上で、参考人に対する質疑は終わりました。
参考人各位には、御多用中のところ長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
次回は明三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105805007X00819680402/93
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