1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十一年十月十三日(水曜日)
午前十時三分開議
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○議事日程 第六号
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昭和五十一年十月十三日
午前十時 本会議
第一 公衆電気通信法の一部を改正する法律案
(趣旨説明)
第二 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一
部を改正する法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
一、新議員の紹介
一、日程第一
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001・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
議席第五十五番、地方選出議員、大分県選出、後藤正夫君。
〔後藤正夫君起立、拍手〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/1
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002・河野謙三
○議長(河野謙三君) 議長は、本院規則第三十条により、後藤正夫君を地方行政委員に指名いたします。
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003・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第一 公衆電気通信法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。福田郵政大臣。
〔国務大臣福田篤泰君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/3
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004・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、日本電信電話公社の経営状況にかんがみまして、その財政基盤の確立を図るため、電報電話料金を改定すること等を内容とするものであります。
日本電信電話公社は、発足以来数次にわたる五カ年計画を実施し、加入電話の増設を重点に電信電話サービスの拡充、改善を図ってまいりましたが、この間、技術革新の成果を生かすとともに経営の合理化により電報電話料金を極力据え置いてまいりました。
しかしながら、近年における人件費の大幅な上昇等により、日本電信電話公社の経営状況は急速に悪化し、昭和四十九年度決算におきましては約一千七百五十億円の欠損金を計上するに至り、五十年度におきましても欠損金は二千八百億円を超え、今後一層の経営努力を期待するといたしましても、五十一年度から五十三年度までの三カ年間の収支を見通しますと、さらに大幅な欠損の生ずることが予測されるところであり、このまま放置すれば、きわめて憂慮すべき事態に立ち至るものと考えられます。
このような状況から、このたび電信電話事業財政の健全化を図るため、公衆電気通信法を改正して電報電話料金を改定することといたしたものであります。
改正案の主な内容は、第一に、通常電報料につきまして、基本料は二十五字まで百五十円を三百円に、累加料は五字までごとに二十円を四十円に改めることといたしております。
第二に、電話使用料について、度数料金局に収容されております加入電話の場合は二倍に、定額料金局に収容されております加入電話の場合は一・五倍にそれぞれ改めることといたしております。
なお、昭和五十一年度中は、暫定的に電話使用料の改定幅を平年度の二分の一にとどめることといたしております。
第三に、加入電話から行う自動通話の度数料について、七円を十円に改め、また、これに準じて手動通話の通話料を改めることといたしております。
第四に、設備料について、一加入電話ごとに、単独電話は五万円を八万円に改め、その他の電話の種類に応じ単独電話に準じて改めることといたしております。
第五に、公衆電話料について、おおむね加入電話からの通話料と同額に改めることといたしております。
以上のほか、電報電話業務の合理化を図る等のため、報道電報、報道無線電報、至急電報及び予約通話の廃止、国際通話料滞納者に対する措置の強化、その他所要の規定の整備を図ることといたしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。
なお、この法律案は、衆議院におきまして、施行日に関し、「本年六月一日」といたしておりましたものを「公布の日の翌日」に修正されております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/4
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005・河野謙三
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。茜ケ久保重光君。
〔茜ケ久保重光君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/5
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006・茜ケ久保重光
○茜ケ久保重光君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対しまして、社会党の政策を主張しながら、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
わが社会党は、本年五月、今日の電気通信事業のあり方及びそれに関連し料金に関する方針を明らかにいたしました。戦後三十年を経た今日の電気通信事業は、これまでなされた幾つかの変更にもかかわらず、各分野にわたって基本に立ち返った見直しが必要であり、時代に即応する体制に改めなければならないことを明らかにしたのであります。
その中で、特に公共企業体経営の原則にのっとった経営の基本原則として、第一に公共企業体制度の堅持、第二に公共企業体の原則に立った経営の民主化、第三に国民経済の要請に対応し得る自主性の確立、第四には健全な経営基盤の確立、そして第五に不公正排除による料金体系の確立等の諸原則を明らかにし、その具体的内容について幾つかの改革点を提案したのであります。
さらに、これらの諸原則から生まれる事業のあるべき今日的課題として、一つには、国民の福祉向上に適合するため電気通信事業におけるナショナルミニマムを実現すること、二つとして、大衆負担の増大排除とともに、サービスの提供並びに料金制度等における不公正の徹底排除、さらに経営の徹底した民主化の追求、その具体的な展開として、国民に開かれた事業体制とするために、国民が常に公共業務に対して監視、査照することができる体制である電気通信監理委員会の設置及び利用者の意見が経営に十分反映する体制として各地における電気通信利用者委員会の設置を提唱したのであります。そしてさらには、政府の提案している公衆電気通信法の一部改正とは直接関係するものではありませんが、今日の電気通信事業において深刻な問題となっておりますデータ通信等における個人情報のプライバシー等、基本的人権の保護措置等の施策を講ずべきであることを要求したのであります。
言うまでもなく、これらの経営原則並びに事業にかかわる課題については、その細かな内容については幾つかの意見があるとしても、大筋については広範な国民の納得の得られるものであり、当然政府みずからも課題とすべきであります。総理はこれらの点について、いかような御所見でございますか、承りたいのであります。
もちろん、具体的内容については今後の委員会において十分な審議をするといたしましても、これらの経営原則及び事業の課題については、政府として当然受け入れ、政府の課題とすべきだと思うのでありますが、いかがでありましょう。
さらにお伺いいたしますが、初めに申し上げましたように、本来ならば、政府の電気通信事業に対する施策といたしましては、単に料金の値上げを国民に強要するのではなく、事業の見直しに基づく制度の改革が政府みずから提案されるべきであります。そこから生まれるサービスのあり方や料金体制の原則に基づいて、改めて利用者や国の負担のあり方が検討されなければならないと思うのであります。政府がいたずらに料金の値上げによって利用者、国民大衆にその負担を押しつけることは断じて許せぬのであります。したがって、政府の昨今の料金問題に対する姿勢は明らかに対応が逆転しており、一方的に国民への負担を強要するのみであります。
一例を挙げれば、公社経営実態の公開の問題であります。電電公社は、公共企業体でありながら、満足な経理やコストについての実態も明らかにいたしておりません。一応の数字は出ております。しかし、いかなる算定方式でなされたのかは全く不明であります。公表の判断基準は一方的に当局側に握られているのが実態でありまして、その不透明の程度は、公共事業であっても民間企業にすぎない電力会社のそれにも劣るのが実情であります。経営のガラス張りがなくして値上げ問題が民主主義の原則に基づいて検討されようはずはありません。政府は、この公共事業としての基本的な条件である経営の公開問題をまず大幅に改善し、徹底した公開制度を取り入れるべきでありましょう。総理の御所見を承りたいのであります。
次に、幾つかの具体的な例についてお伺いいたします。
第一には、今後の需要見込みについてであります。言うまでもなく、料金水準は将来の設備投資の規模と密接に関連するものであります。これまでわが党は幾たびとなく、公社経営の中で減価償却が過大であり、一般国民は債券等の問題を含めて過大な建設投資負担を負わされているということを問題にし、追及してまいりました。経済の高度成長が破綻したことを指摘するまでもなく、今後の建設投資の水準は大衆負担増を生ぜしめない程度に抑制されるべきでありましょう。政府は、長期・中期の見通しを、どのような投資の伸びを想定しているのか。さらに、いわゆる住宅用、業務用等、それぞれの構成ごとにその需要の根拠を示しながら明らかにしていただきたいと思うのであります。
さらに、政府は大幅値上げの提案を行っているのでありますが、その提案者として、今回の値上げは今後の需要に基づいてどのような影響を与えるとお見通しですか。その算定についても明らかにすべきでありましょう。
次に、負担の不公正の問題について若干お伺いいたします。
言うまでもなく、電話の利用は、いわゆる一般国民の生活維持のために使われる住宅用と、営利の手段として使用される業務用におおむね大別されているわけであります。われわれはこれまで、いわゆる業務用、特に大企業が利用する専用料金等が実態からして不当に安く提供されていることを改むべきであることを主張してまいりました。しかるに、政府はこれと逆の措置を講じてきたのであります。専用料金については、昨年ごく短距離を除いて大幅な値下げ、すなわち十キロメートルでは四一%、百キロメートルでは三八%も値下げを断行しておるのであります。当時すでに公社の赤字問題を政府が主張していたにもかかわらず、さらにはまた大幅な値上げをしていたにもかかわらず、営利に使われる大企業料金の値下げを断行したことは、まさに一般消費者に対する背信行為と言うべきでありましょう。断じて許せません。政府は、なぜそのような行為を行ったのか。今後速やかに改むべきであり、また、政府のこれに対する方針を伺いたいのであります。
次に、ナショナルミニマムに関して、公社の取り組むべき内容と政府の方針についてお伺いいたします。
わが党は、数年前から、寝たきり老人に対する電話の提供等、福祉向上に対応するサービスについて幾つかの提案を行い、その一部については実際に運用されている面もあります。しかし、今日の社会的要請からすれば、きわめて不十分であります。わが党は、現在、身体障害者、お年寄り、さらには母子家庭等に対するサービスをなお一層拡大し、しかも、その負担については福祉料金として位置づけ、公的負担で大幅な減免措置を講ずべきことを主張しております。なお、住宅用の料金体系にナショナルミニマムを導入すべく最大限の努力を払っているのでありますが、公社、政府はこれを世論と受けとめ、積極的な対応をなすべきであろうと思うのでありますが、いかがでございましょう。
さらに、これらの措置は政策的要請に基づく措置であり、その負担減免については当然公的資金をもって充当すべきものであり、政府は今後必要な財政措置で裏づけを行うべきでありますが、政府の所信を伺いたいのであります。
最後に、私は三木総理に対して、その政治姿勢と政治的業績についてお伺いいたします。
三木総理は、組閣以来満二年を迎えようとしております。その間、果たして三木内閣は国民に何をしたでありましょうか。残念ながら、これという業績は見当たりません。ただただ総理のいすにしがみつく姿こそが大きくクローズアップされている。三木総理は、クリーンを標榜し、そしてまた幾つかの公約をされました。独占禁止法の改正ないしは金のかからぬ選挙の運営、すなわち政治資金法の改正等々なさいましたが、その一つも実は実現しておりません。やったのは、いわゆるガス・電気料金の値上げ、私鉄運賃の値上げ、消費者米価の値上げ等々、公共料金の値上げだけであります。しかも、いままたここに、電話、電信、国鉄運賃の値上げをしようとしている。群馬県の一主婦がこういうことを申しました。三木さんという人は何かしてくれると期待したが、やったのは値上げだけで、私どもの個人の生活は消費者物価の値上げで非常に苦しんでいるんだ、何をしようとしていらっしゃるのかわからぬ、ということを言った。これは私は国民全体の気持ちだと思うんです。
三木さん、あなたはロッキードでもうまいことおっしゃるが、実は何もしていらっしゃらない。ただはっきりしているのは、自民党の内紛に際して一生懸命に頑張って、総理といういすをしっかりと持とうとすることしかわかっていません。(拍手)私は、少なくとも、総理大臣が何年政治をするかわかりませんが、何か一つぐらいは国民が、あの総理はいいことをしたということがなけりゃならぬと思うのであります。三木さんはそれがないんであります。三木さん、あなたはこの国民の期待に対して、私は、四十年の議会生活を誇示される三木さんがせっかくなった総理大臣、何か一つぐらいは、いま言ったように、国民にこういうことをしてやったという自負を持ってもらいたいと思うんです。それには、せめて最後に、このいわゆる悪法であります電気通信法による電信電話の値上げ、国鉄値上げ、しかも五〇%、何十%、でたらめな値上げであります。これを何とか国民的な良心に従ってあなたが手を打つことが最後の一つの問題であります。三木さん、あなたは四十年という長い議員生活を誇示される総理大臣として、最後にこういったことに対する良心的な措置をして総理大臣をおやめになる決意であるかどうか、一点お伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/6
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007・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 茜ケ久保議員にお答えをいたします。
第一問は、公共企業体、それから電気事業に関する公共企業体の一つの、どういうことを目標とするかと、また社会党の提案に対していろいろ御意見を求められました。電気通信事業というものは、これはやはり利便を国民に提供して、そして公共の福祉を向上しようということが、これが設立の目標でございますから、この目標に向かって今日まで指導をしてまいったし、今後も指導をしていくつもりでございます。ただしかし、電気通信事業に対する国民の需要が多様化してくるし、高度化してくるし、時代の要請にこたえた電気通信事業のあり方はどうあるべきかということが検討さるべき時期に来ておることは事実でございます。政府においても、公共企業体のあり方というものに対していま根本的に検討を加えておることは御承知のとおりであります。このときに社会党の提案というものは、非常に参考になる提案であります。非常に建設的なものを踏まえておる。今後十分に検討をしてまいりたいと思うわけでございます。
また、茜ケ久保君は、社会的弱者に対して、負担の軽減といいますか、社会政策的な考慮が要るというような意味のお話がございましたが、われわれは独立採算制というものをやっぱり維持したい、このたてまえはやっぱり維持したい。なぜならば、利用する人としない人と、利用する人に対して応分の御負担を願うということが負担の公平にも合致すると思います。したがって、一つの社会福祉政策というものには、電気通信事業の中でこれを取り入れようとすれば、おのずから限界があるということは御承知を願いたい。また、そういう社会福祉と申しますか、そういう面については、今後社会保障というものを充実することによって、茜ケ久保君の御指摘のような問題は、そういう方面でカバーしてまいりたいという所存でございます。
また、今後考えなければならぬことは、電気通信事業というものは茜ケ久保君御指摘のように国民のものであります。国民本位に、国民の意見を常に反映しながら、経営の民主化を図っていくということは御指摘のとおりでございます。
また、最後に、三木内閣は一体何をしたかという厳しい御批判がございましたが、振り返ってみると、二年間三木内閣は相当に内閣としては成果を上げた内閣であると考えております。茜ケ久保君がお考えになっても、この三木内閣が誕生したときには、あのような物価高、インフレ、これはもう破局的な状態になっておったわけです。しかも、不況というものが一緒に来ておる。スタグフレーションのような中に、非常に困難な日本の経済情勢の中で出発をした。その物価も今日は鎮静し、また、日本経済は安定経済成長の路線に、そういうところにだんだんと定着していきつつあるじゃありませんか。これはやはり、日本の経済の運営というものは過った運営をしてない。また、金権政治というものの批判を受けて、金のかからない政治、金のかからない選挙、これを目指して、画期的な公職選挙法の改正、政治資金法の改正を行ったわけであります、これは。いままでこんなことはないですよ。いつもやるやると言って、こういう改正は行ったことがない。この第一回の総選挙で、この二つの新しい法案というものが、一体その目的を達成できるために有効なのかどうかということが試される選挙になっておるわけですからね。
また、一方において、外交的には日本の国際協調というものは一段と進んだですね。やはり国際首脳会議には常に日本は主要なメンバーである。アメリカとヨーロッパ、日本、この連携というものは一段と強化されてきた。そうしてまた、日本は核防条約を批准することによって、日本の平和外交に対する説得力を強めたですね。二年間という短期間の間に、まあ三木内閣は相当な成果を上げた内閣である、こう自負をしておるわけでございます。
いまはロッキード問題、このロッキード問題を解明しなければ日本の民主政治というものは健全に育たないということで鋭意やっておるものでございますから、どうかこのロッキード問題についても、いろいろなことを言われますけれども、これをひとつ実績を見て批判をされたい。まだ今日は、ロッキード事件というものは、全日空のルートは一応の解明はされたといっても、児玉ルートという大きなルートは残っておる。このすべてに対して、三木内閣がどういう態度をとるかということは実績を通じて批判を願いたい。私は、二年間の内閣の実績に対して、国民に対しても、やれることはやったということを自負するものでございます。(拍手)
〔国務大臣福田篤泰君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/7
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008・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) お答え申し上げます。
御質問の中で、単に値上げするだけでなく、制度改革をも考慮すべきであるという御質問でございました。今回の料金改定は、人件費等の高騰によりまして急速に悪化しておる電電公社の財政状況を健全化することを目的としておることは御承知のとおりでございます。したがって、料金体系等の抜本的な見直しにつきましては、改定後の事業収支の推移、利用状況、また諸外国の実例等を見まして、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
なお、建設計画の見通しについての御質問でございますが、今回の改定の基礎になっております五十一年度から五十三年度分までの三カ年間における建設投資規模につきまして、安定成長下の経済運営を目指す政府の昭和五十年代前期経済計画における投資配分に基づきまして、五兆四百億と決定いたしたものでございます。
なお、この三カ年間の建設投資額の大部分は、国民のいわば生活必需品とも言われております電話部門への投資額で占めておりまして、今後とも適切な規模の建設投資は必要であると考えております。
また、減価償却制度についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、電信電話事業は高度の設備産業でございまして、固定資産が全資産の九割弱を占めております。このような事情を考えますと、現在の電電公社の減価償却費が過大であるとは考えておりません。また、電電公社が事業運営上設置する電気通信設備は、日進月歩と言われる技術革新の影響を非常に強く受けております。将来の陳腐化、あるいは不適応化の度合いも非常にはなはだしいものと考えられます。このような実態を考えますと、現在の定率法による減価償却は適切な会計処理であると考えておる次第でございます。しかしながら、御指摘のような建物及び工作物につきましては、これらの実態が必ずしも明らかでありませんので、定額法の採用につきまして検討いたしておる次第でございます。
次に、データ通信につきましてプライバシーの保護の問題がございました。これは現在、情報化社会において非常に重要な問題に相なっております。関係省庁とも連絡をとりながら慎重に対処してまいりたいと考えます。
また、経営の公開につきまして御議論ございましたが、御承知のとおり、公社の経営内容は、法律の定めるところによって財務諸表の公告を行っておるほか、予算、決算、主要な電信電話料金の水準及びサービス水準につきまして国会において十分な審議を尽くされておりますので、国民の理解は十分得られておるものと考えております。
なお、今回の電信電話料金の改定法案につきまして国民の意思をお伺いし、国民の意思を反映する国会の場において私どもは厳粛にその御意見を体し、公共の福祉に沿うことで御審議をいただいておるものと考えておる次第でございます。
また、今後の見通し、それから値上げの影響等に対して御質問ございましたが、当初の予定どおり、ことしの六月一日実施がもし実現しておりますならば、五十三年度までに収支均衡し得るものと見込まれておりましたが、御承知のとおり、実施時期がおくれましたために見込みどおりの増収は期待できない現状でございます。
郵政省といたしましては、料金改定実施後も電電公社がなお一層の経営努力を重ねることは当然でございまして、料金水準をできるだけ長期間維持できるように指導してまいる考えでございます。
なお、物価に及ぼす影響につきましては、五十一年度については〇・四%弱消費者物価を押し上げるものというのが私どもの見通しでございます。
最後に、負担の不公平の問題についてお触れになりましたが、これは、電信電話料金は受益者負担の原則に立ちまして、原価、利用価値、個別サービスの料金とのバランス等を勘案して決めておりますところでありますので、負担の不公平はないものと考えております。今後におきまして、従来同様、利用者の負担の公平はさらに常に慎重にこれを期するように努力してまいる所存でございます。(拍手)
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/8
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009・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質問は、電電公社が母子家庭等に対しまして特別な福祉料金を設定する場合におきまして国庫負担の用意があるかという御質疑でございました。この問題につきましては厚生大臣からも御答弁があるかと思いますけれども、財政当局として御返事を申し上げます。
こういう問題は、電電公社が独立採算制を堅持しながら、公共企業体としての立場におきまして自主的に判断し、自分の負担、みずからの負担で自主的判断すべき問題と考えておるわけでございまして、直ちに国庫負担を考えるべき性質のものとは考えておりません。(拍手)
〔国務大臣早川崇君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/9
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010・早川崇
○国務大臣(早川崇君) お答えいたします。
電話料金値上げと社会福祉との関係の御質問でございます。原則論といたしましては、利用者負担という原則は曲げられません。それを補うためには社会保障の別の所得保障の面でこなしていく、いわゆる生活保護費を上げるとか、あるいはこのたびすでに実施しております老齢福祉年金一万数千円の中でこなしていくというのが原則でございまして、その点につきましては、利用者負担の原則はやむを得ないと思っております。ただし、特に寝たきり老人とか、あるいは重症身障者に対しましては、すでに御承知のとおり、福祉テレホンと申しまして、福祉電話の制度を設けております。今日までこの設置費は、挙げて国並びに府県、市町村の負担でございますから、ただでその方々に設置をいたしておりまして、六万人の所要に対してすでに二万台近いものが貸与されておるわけでございます。問題はその使用料金でございますが、月千三百円から二千六百円に基本料金が上がる、これが負担になるじゃないか、こういう御懸念でございますが、現在福祉テレホンを設置しているのは三百七市町村がございまして、市町村が事業主体でございます。その中で基本料金を県並びに市町村で全額負担している市町村が大体七割近くございます。さらに、あと二割は一部負担ということになっておりますから、この電話料金の基本料金に関する限りは、これだけ上がりましても、それに準じてやはり従来負担している市町村は私は負担してもらえるのではないかと。国から強制できませんけれども、負担してもらえるのじゃないかと。設置分の負担は国費の補助でやることになっております。
なお、五十二年度におきましてもさらに一万台、そういう寝たきり老人、重症身障者に対する福祉テレホンを設置する計画で現在予算要求をしておるというのが実情でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/10
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011・河野謙三
○議長(河野謙三君) 藤原房雄君。
〔藤原房雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/11
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012・藤原房雄
○藤原房雄君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
政府は、五十年度においては物価一けたの公約を達成し物価対策は成功をおさめたと吹聴しておりますが、総理府の本年上半期の家計調査報告によりますと、全国勤労者世帯の実質収入は、本年四月以降、前年水準を下回っております。このような勤労者の実質賃金の減少は、きわめて大きな政治責任であることを政府は銘記すべきであります。
また、十月一日、総理府統計局が五十年基準の新指数で発表した九月の東京都区部の消費者物価指数は、前月に比べ二・八%、前年同月比で九・三%という大幅な上昇となり、一カ月の上昇率としては、四十九年四月以来の高記録となっております。この原因は、医療費、塩、麦、NHK受信料、消費者米価、電気料金等、相次ぐ公共料金の値上げが影響していることは明らかであります。それに加えて、電報電話料金及び国鉄運賃の大幅値上げを強行しようとしております。まさに国民生活無視の失政と言わざるを得ません。
総理は、五十一年度末消費者物価指数、対前年度比で八%の政府見通しは可能と考えておられるのかどうか、御答弁を伺いたいのであります。
さらに、公共料金の支出が低所得者層ほど家計に占める割合が高いことは御承知のとおりであり、五十一年度における各種の公共料金の値上げが、これらの人々の家計に甚大な影響を与えていることも明白であります。総理は、低所得者層に及ぼす影響を緩和するための対策を持っておられるのかどうか、これもまた、あわせてお伺いいたします。
第二に、電電公社の建設計画についてお伺いします。
電電公社は、公社発足以来、申し込めばすぐつく電話の実現を事業運営の基本目標とし、そのためには大量の建設投資が必要であるとの理由で、電電債券の加入者強制引受制度などを設け、加入者に大きな負担を課して財源の確保を図り、数次にわたる長期計画を策定し、今日に及んでおります。ところで、公社は電報電話料金の大幅値上げとともに今後三年間における総額五兆四千億円の規模の建設計画を企図し、しかも、その年間伸び率は二〇%に近い大幅なものであります。これは明らかに、かつての高度経済成長政策に追随した建設計画構想の延長であり、過大投資と断ぜざるを得ません。高度経済成長が破綻し、わが国のもろもろの経済計画や国土計画が安定成長を基調に見直されているとき、このような膨大な建設計画の遂行が必要かどうか、疑問を抱かざるを得ないのであります。もとより、建設計画と料金水準とは無縁な関係ではなく、膨大な減価償却や金融費用を通じて表裏の関係に置かれています。このような過大な建設計画を根本的に見直し、電報電話料金の値上げを図るべきではないと考えますが、この点について郵政大臣の明確なる答弁を求めるものであります。
第三は、電話料金体系の是正についてであります。
昭和四十六年の公衆電気通信法の改正によりまして、広域時分制が導入され、電話料金はすべて通話時間と距離によって算定されることになりましたが、最低料金でかけられる単位料金区域が狭く、現在の広域化した生活圏、経済圏をカバーし切れず、特に大都市の住民とその近隣地域住民との間に料金について大きな格差があります。また、道路一本隔てて通話料金に格差を生ずる場合もあり、これらはわれわれが日常経験するところであります。
また、電話の伝送経費は、技術革新により非常に低下し、通話料の距離別格差は著しく縮小しているにもかかわらず、区域外通話料金は、最高三分で五百四円、最低七円と、その比率は七十二倍となっております。イギリスの十二倍、西ドイツの十五倍等に比べ、諸外国にその例を見ない、はなはだしい料金格差であります。しかるに、今回の改正案では、これらの問題の改善は何ら見当たらず、料金を単に一律に値上げしようと企図しているにすぎません。電話料金体系の是正について、郵政大臣はいかなる御所見を持っておられるのか、お伺いをいたします。
また、公社の料金制度においては、社会的経済的に弱い立場にある身障者、母子家庭等の経済的負担の軽減については何らの考慮が払われておりません。郵便では盲人の点字郵便等は郵送料が無料であり、国鉄は身障者に対し介添え人とも運賃が半額となっております。身障者の中で、特に盲人は歩行の自由がきかず、日常生活の中で電話は欠くことのできない補装具の一つになっているのであります。このような人々のために電話料金の基本料、度数料、設備料等に、いわゆる福祉型料金制度を採用するようにすべきではないかと考えますが、総理の御見解をお伺いしたいのであります。
第四は、電電公社の減価償却制度についてであります。
公社の固定資産は建設計画の推進によってここ数年急激に膨張しており、それに比例して支出に占める減価償却費の割合も増大し、五十一年度では、その比率は実に三〇%以上に達しております。同系事業の国際電電が一七%、その他国鉄が一一%、電力一七%、ガス二二%であることから、公社の減価償却費がいかに過大であるか明らかであります。
公社は、技術革新が著しい等の理由で、高額償却の定率法を必要とすると主張しておりますが、なぜ建物や工作物についてまで定率法を適用しなければならないのか。また、耐用年数も不当に短縮されていると言わざるを得ません。
こうして見ますと、公社の赤字は、極端に表現すれば、つくられた赤字とさえ言えます。現行減価償却制度について、郵政大臣はこれを適正であると考えているのかどうか、御答弁をいただきたいのであります。
第五は、企業の経営活動に提供されているデータ通信及び専用回線等の料金についてであります。
公社の五十年度事業別収支状況で明らかなとおり、電話事業の収支率一〇六%、データ通信等は一四八%であります。収支率一〇六%の電話について大幅な料金値上げを行う反面、収支率が一四八%であるにもかかわらず、認可料金であるデータ通信等の料金は改正を行わないようでありますが、事実であるとすれば、著しく負担の公平を欠く措置であると言わざるを得ません。公社は、昭和四十二年から五十一年までにデータ通信関係に五千三百四十六億円の投資を行っており、その収支は四十八年度からしか明らかにされておりません。四十八年度には二百四十三億円、四十九年度には三百五億円、五十年度には三百六十億円という大幅な赤字を出しているのであり、それ以前のものを加えれば膨大な赤字の累積となるのであります。
公社は、今回の値上げの理由として、住宅電話の増加が赤字の原因であると喧伝していますが、実は、データ通信を中心とした先行投資のための値上げであると言っても過言ではないと思います。データ通信の料金について明確な御答弁を伺いたいのであります。
なお、現行法では専用回線の料金月額の限度額を法定事項としておりますが、今回の改正においては、これを国会の審議権の及ばない完全な認可料金にしようとしています。これは、企業本位の小社の経営姿勢と断ぜざるを得ないのであります。これを安易に認めるわけにはいきません。この点についても、あわせて郵政大臣の御所見を明らかにしてもらいたいのであります。
第六は、電報料金の大幅値上げについてであります。
電報は、電話を引けない階層の人々や、僻地や過疎地域の住民にとって、緊急の通信手段であることは申すまでもありません。特に、「チチキトク」的な緊急電報についての大幅値上げには慎重でなければなりません。今回の二倍ないし三倍の大幅値上げには、公社の事業経営に当たって、公共性を忘れ、ただ収支率の向上という経済性のみの経営姿勢が露骨に示されていることはまことに遺憾であります。この電報料金の大幅値上げについて郵政大臣の御見解を伺いたいのであります。
以上のように、公社の現在の赤字は、過大な投資に伴う金融費用の増大や、他に比類のない減価償却の計上など、さらにまた、データ通信等の大企業のための投資を増大し、一方では、専用料金などによって破格の低料金を適用し、収支の低下をみずから招いた結果であると言わざるを得ないのであります。
そのような赤字を大幅な電報電話料金の値上げによって国民に負担をさせることは断じて許さるべきではないことを強く主張いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/12
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013・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 藤原君にお答えをいたします。
最初に、今年度の消費者物価指数を八%程度に抑えることは可能かという御質問でございました。
消費者物価の動向を見ますと、今年の四月に野菜の高騰などあって、前月比二・五%の値上がりという異常なこともございましたが、五月になっては鎮静になり、昨年の十月以来は一けた台におさまっておりますから、今後、卸売物価の上昇による波及、天候に左右される季節商品の動向なども頭には入れなければなりませんが、ぜひとも今年度消費者物価指数を八%台におさめたいという政府の考え方は変わらないわけでございまして、また、この政策目標の達成は可能であると政府は考えておるわけでございます。
次に、公共料金の値上げなどによって、生活保護世帯など社会的弱者というものに対してどういうふうにして政府は政策を講じていくのかというお話でございます。生活保護世帯のような低所得層に対しては、その生活の安定ということに政府は絶えず意を配ってまいったわけでございます。たとえば、生活保護の基準などについても、消費者物価の動向なども考えて毎年改善を図ってまいったわけでございまして、今後ともこういう点については一層充実をしてまいりたいと考えております。
最後に、社会福祉料金と申しますか、公共事業にこういう考え方を取り入れたらどうかというお話でございます。先ほど茜ケ久保議員の御質問にもお答えいたしましたが、どうしてもこういう公共事業というものであっても、独立採算制といいますか、利用をしておる人と利用をしてない人というものはやはり区別さるべきであって、利用をされておる人に応分の御負担を願いたいという独立採算制のたてまえは維持していかないと、経営の責任というものは、これはやっぱり責任体制が成り立たないわけでございますから、そういう点で、このたてまえはとりたいというので、おのずから社会福祉政策を取り入れることには限界があることを御承知おきを願いたい。こういう社会福祉の面においては、今後の政治の目標がそういう方面に重点を置かなければならぬことは藤原君と同意見でございまして、社会保障の充実を通じてその目的を達成してまいりたいと考えております。
他は関係各大臣からお答えをいたします。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/13
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014・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私に対しましては、五十一年度の消費者物価目標八%は達成可能かと、こういう御質問でございますが、これはただいま総理大臣からお答え申し上げたとおりでございます。
ただ、藤原さんがそういうお尋ねをされたのは、公共料金が続々上がるじゃないか、それで八%達成ができるかということかもしれませんが、これは、八%という中には公共料金の引き上げを含み、それを前提といたしておるんです。もし公共料金問題がなければ八%というような高い目標を設定することは妥当ではないのでありまして、公共料金はいろんな事情で上げなきゃなりませんけれども、消費者物価目標八%は、これをぜひ実現をいたしたいし、また実現可能であると、かように考えております。(拍手)
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/14
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015・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 私に対しましては、公共料金の値上げに対しまして低所得者層に対する対策をどう考えておるかという趣旨の御質問でございました。これにつきましては、いま総理大臣からお話がございましたとおりでございますが、政府といたしましては、低所得者層に対しまして生活保障、あるいは所得の保障、あるいは各種の福祉サービス等を通じまして所要の給付を確保するように努めておるつもりでございますけれども、今後ともこれを精力的に続けてまいること、そういう決意で当たっておる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣福田篤泰君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/15
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016・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 建設計画の見通しについての御質問でございますが、先ほど申し上げたとおり、政府の昭和五十年代の前期経済計画に基づいてその配資——投資配分を五兆四百億に決定した次第でございますが、資金の大部分は、投資額大部分が、先ほどお答え申しましたとおり、いわば生活必需品となっている電話部門ヘの投資でございまして、今後とも適切な規模の建設資金は必要であろうと考えておるわけでございます。公社といたしましても、いままで料金の据え置きを極力努力してまいりました。度数料が昭和二十八年代に据え置きというのも一つの例でございますが、急激なオイルショック以来の財政悪化で、やむを得ない処置であろうと考えております。
また、減価償却制度につきましては、電信電話事業はやはり高度の設備産業でございますので、固定資産が全資産の約九割弱ということは先般お答え申し上げたとおりでございます。また、技術革新等の影響も非常に強く受けておる場合でありますので、現在の定率法による減価償却は適切な処理であると考えております。しかし、建物、工作物等については、定額法の採用について目下検討中でございます。
なお、設備料についても一例を御報告申し上げますが、四十八年の秋以来の急激な経済状況の変化で、人件費、物件費、非常な高騰でございまして、当時予期できなかった事情がございましたので、単独電話につきましても五万円を三万円引き上げて八万円にいたしましたのは、昭和四十六年当時には五万円を決定いたしました、その加入者の専有部分である宅内設備及び加入者線路設備等の新規増設工事費が七万円でありましたものが現在は約十二万円、すなわち六割程度も上昇していることも御承知願いたいと存じます。
なお、データ通信につきましては、先ほど申し上げたとおり、今後料金の改定につきまして電電公社から認可申請があった場合には、基本的な考え、要は受益者負担の原則を守りながら、原価あるいは利用価値等のバランスを考慮しながら、不均衡のないように十分配慮してまいる覚悟でございます。
なお、専用回線の料金の限度額につきまして別表から削除することにいたしましたことは、法の制定当時に比べまして専用サービスの利用態様が著しく変化してまいりまして、待時通話料を基準とすることが適切でなくなった時代でございます。並びに専用サービスの種類が非常に多くなりまして、この種類ごとに限度額を設けることが実情に即さないことは御承知のとおりでございまして、法定主義のなし崩しをするようなことは毛頭考えておりません。
最後に、電報料金につきまして、電報事業の収支を相償うものにするためには現在の料金水準を十倍以上に実は改定する必要があるわけでありますが、電報は何といいましても電話を持たない人のための最低限の電気通信手段である現在の状況から見まして、このような事情を勘案し、通常電報料につきまして今回は改定額の幅を二倍に抑えるということにいたした次第でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/16
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017・河野謙三
○議長(河野謙三君) 山中郁子君。
〔山中郁子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/17
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018・山中郁子
○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに郵政大臣に質問いたします。
政府はいま、ロッキード疑獄の真相究明には後退に次ぐ後退を重ね、一方、この物価値上がりの折に、国鉄運賃と電報電話料金の大幅な引き上げは最優先の課題として強行しようとしています。しかし、いま必要なことは、値上がりではなく、電電公社の財政と経営を今日の状態に陥れた原因を明らかにし、これを根本的に改革することです。そのためにも十分な審議を尽くすことが必要です。ところが、衆議院では、国会法が決めている公聴会も開かず、委員会の審議日数もわずか二日間で採決を強行しました。その上、本法案審議に当たって欠かすことのできない物品契約実績調書や、在日米軍サービス基本契約協定書、経営分析などの諸資料の提出を拒み続けてきました。このことは、議会制民主主義を踏みにじるばかりでなく、公社の秘密主義を擁護するものと言わなければなりません。本院の審議に当たり、総理と政府の責任において、これらの資料を提出させることを約束されるよう答弁を求めます。
また、現在まで公社と政府は、わが党の質問に対し、まさに無責任なごまかしと言い逃れに終始してきました。たとえば、大きな支出を構成している減価償却費について、技術革新が進んだにもかかわらず、電話機の耐用年数が二十年から九年に大幅に短縮されたのはなぜかという質問に対し、電話機を壊す人間がふえたからだとか、日本の電話機はデリケートにできていて壊れやすいなどと答弁をしました。しかし、たとえば議員会館の私の部屋の電話機は昭和三十四年につくられたもので、すでにほぼ十七年間も使われているのです。大臣や議員の皆さんの部屋の電話機をお調べになってみてください。こんな子供だましの答弁を国会で通用させてよいとお考えでしょうか。本院の審議に当たっては、絶対にこうしたいいかげんな態度はとらず、責任ある答弁を行うことを総理並びに郵政大臣に強く要求し、回答を求めます。
以下、私は四つの具体的な問題にしぼって質問し、政府の見解をただします。
第一に指摘したいのは、公社と政府の言う電電公社の赤字が実際は黒字なのに、経理操作でつくられた赤字であるという点です。先ほど指摘した電話機などの耐用年数を実態に合わせ適正なものにし、アメリカの電話会社並みに定額法に改めれば、電話部門の改善だけで五十年度でも八百五十億円の黒字になります。さらに、電話架設の際徴収する設備料は、五十年度では千六百五十二億円に達しておりますが、これは収入として計上されず、資本剰余金としてため込まれています。これを収入に入れ、同時に減価償却制度を改めれば、赤字どころか、五十年度で二千五百億円以上の大幅な黒字になることは明らかです。国民と国会を欺瞞するこの経理操作をやめるのか、それとも引き続き赤字づくりのからくりを温存するつもりなのか、総理と郵政大臣に、はっきりお答え願います。
第二に、私は、現在行われている大企業奉仕の料金体系について指摘し、質問いたします。
全国銀行協会などのデータ通信システムは、一システム一カ月当たり四千三百六十万円、加入データシステムは加入一社当たり月平均百六十万円の赤字になっています。設備料についても同様です。一般電話の架設コストは一万六千円なのに、現行で五万円、今回の引き上げによると八万円を取り立てるのに対し、ビル電話は十六万七千円かかるのに二万五千円、テレックスは九十四万円のところ五万円しか取っていません。その上、公社幹部は、値上げがいやだったら住宅用電話の架設を即刻やめることだなどと国民を恫喝しているありさまです。郵政大臣は、一般電話、電報料金並びに設備料を据え置くとともに、大企業通信への出血サービスをやめ、適切な料金に引き上げるべきであると思うがどうか、お伺いいたします。
第三に、公社は、昭和四十六年から五十年へかけて総収入の七割にも当たる総額五兆八千億円の設備投資を行い、さらに今後三年間に総額五兆四百億円の設備投資を計画しています。国民が要望している電話増設は、疑問の多い公社の算出によってさえ二兆数千億円、つまり投資計画の半分で済む勘定です。そのほかの部分は、いずれも莫大な資金を要するデータ通信、画像通信、ビル電話などの主として大企業が利用する通信サービスの拡充に優先的につぎ込む計画です。しかも、このために大きな借金を抱え込み、金利だけでも月二百六十四億円も支払っているのです。いま国民が望んでいるのは、一般電話や公衆電話の増設、普通加入区域の拡大、不便な地域集団電話を一般電話に切りかえること、福祉電話の普及と開発などであり、まずこの要望にこたえるべきです。そこで私は、電話増設などへは優先的に投資するとともに、企業向けの過大な設備投資を適正な規模に改めるべきであると考えますが、郵政大臣の見解を伺います。
第四は、公社経営陣のあり方についてです。去る八月に公社の経営委員を辞任した小佐野賢治氏のごとき人物を登用したことについてどのように反省しておられるか、総理の所感を伺います。
再びこのような不祥事を起こさないためにも、現在の経営委員会の構成を改め、国民の公正な代表たるべき清廉潔白な人材を登用すること、総裁、副総裁も国会で承認すること、経営委員会を公開することが必要です。
さらに、関連メーカーへの公社幹部の天下りを厳格に規制し、納入資材の原価を公開するなど、経営の民主化やガラス張りの経営で国民の信頼を得るための積極的な姿勢をとることが公共企業体として当然の課題ですが、その意思があるかどうか、政府の明確な答弁を求めます。
最後に、仲裁裁定について伺います。
政府は、値上げしなければ責任が持てないという態度をとっています。しかし、すでに私が指摘してきた公社の経営の実態からいって、その完全実施は十分可能であり、直ちに実行すべきであると考えますが、総理の答弁を求めます。
私は、すでにわが党が政策で発表しているように、そしてただいま指摘しましたように、電電公社の経営を抜本的、民主的に改革すれば、値上げの必要はいささかもなく、真の国民本位の電気通信事業を実現できるものであることを重ねて強調して、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/18
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019・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 山中君にお答えをいたします。
公衆電気通信法の改正が衆議院で強行されたと、慎重に審議を保証しろというお話でございましたが、御承知のごとく、十月の十二日に衆議院の本会議で可決をされたわけですが、衆議院では継続審議になっておりましたから、閉会中の審議も含めて十分な審議が行われ、そしてその結果成立に至ったものと思うわけでございます。参議院においても、慎重に御審議の上、一日も早く成立に御協力を賜りたいと存ずる次第でございます。
また、いろんな資料のお話等もございましたが、資料でも政府がつくってない資料もございますので、そういう資料はお出しすることが困難でございますけれども、しかし、審議上必要な資料はできるだけこれを提出をいたしまして、御審議をいたす上において御協力を申し上げたいと考えておるわけでございます。
また、答弁はふまじめな答弁という御指摘もございましたけれども、国権の最高機関である国会において政府は誠意を持って常に答弁することが当然でございますので、そういうことのないように今後とも注意をいたします。
また、小佐野氏の問題でございますが、小佐野氏が任命をされた当時は、いろいろロッキード事件なんかに対しての名前が出てまいりませんでしたけれども、その後いろんなうわさに上ったことは事実でございまして、今後経営委員の任命ということに対しては一段と注意をいたします。ただ、経営委員に対して公正な人を選ぶようにという山中君のお話でございます。当然のことでございまして、これは重要な経営委員でございますから、今後とも公正な人たちがこの経営委員になってもらうように政府としても十分注意をいたします。
ただしかし、国会の御承認を得る人事でございますから一いま山中君は、総裁とか副総裁は国会で任命せよというお話でございましたけれども、国会の承認を得た経営委員がこれに当たるわけでございますから、間接的ではございますけれども、国会はそういう面において関与をすることになると思います。また、経営委員会を公開にせよというお話でございましたが、公開する意思はございませんが、そのいろんな内容と申しますか、経営委員会で審議された内容はできるだけ国民に明らかにして国民の理解を深めるようにいたしたいと思います。
また、仲裁裁定のお話がございましたけれども、政府は昭和三十二年以来仲裁裁定を誠実に履行してまいった。公労法三十五条のこの規定というものはこれは政府は守るべきものと考えております。しかし、御承知のように、今年度の仲裁裁定を実施するためには、現在政府が与えられておる予算上においてはこれに対して確実な裏づけがございませんわけでございますから国会の御審議を願ったわけでございます。しかし、国会においても十分御審議に協力をしてくださるというわけでございますから、この改正法案が成立するものと期待をいたしますから、仲裁裁定の実施というものが余りに遠くないときに実施できるものと期待をいたしておる次第でございまして、政府は今後ともこの実施には努力をいたす所存でございます。
お答えをいたします。(拍手)
〔国務大臣福田篤泰君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/19
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020・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) お答えいたします。
まず、減価償却制度の適正化の問題でございますが、この点は、社会の変化、通信需要の進展等に即応いたしまして、サービスの提供に支障のないように絶えず見直しを行って適正化を期しておる次第でございます。
なお、設備料につきましては、その使途を明確写るためには——損益勘定収入としないで資本勘定収入としておる理由は、仮に損益勘定収入といたしますとその使途が不明確になります。人件費、物件費等の経常支出に消費されるおそれもございますので、かえって財務の健全性を損なうものと考えております。
なお、大企業の負担の公平、不公平の問題でございますが、データ通信などの料金は、受益者負担の原則にのっとりまして、その原価、利用価値、個別サービス等のバランス等を参酌して決めておる次第でございまして、負担の公平は期しておるものと考えております。今後におきましても、従来と同様に、絶えず利用者の負担の公平を期するように極力努めていく方針でございます。
なお、投資規模の適正化の問題でございますが、三カ年度投資規模は、先般御答弁申し上げたとおり、政府の方針にのっとりまして投資配分を決定いたした次第でございます。なお、その大部分が電話部門にあることは御承知のとおりでございまして、これは御指摘の一般電話の増設を初め、公衆電話、福祉電話等の増設、また普通加入区域の拡大、地域集団電話の一般電話への切りかえなど、計画的に着々実施する予定でございます。
なお、電話以外の部門につきましては、実情に応じまして、需要の実情を勘案して、適正な規模の投資を行うように配慮いたしておる次第でございます。
なお、公社幹部の関連メーカーへの就職の問題につきまして、公社の職員がその技術的な能力等を、専門的な能力を買われまして関連メーカーに再就職するようなことはあり得ることでございます。それ自体は問題ないと思いますが、いやしくも世間の非難を浴びることがないよう十分指導してまいる覚悟でございます。
最後に、公共企業体の運営姿勢でございますが、公共企業体である電電公社は、電気通信による公共の福祉を増進することを目的としておる。その経営執行に当たりまして、公社の幹部も十分それを認識して職務に当たっているものと信じ、今後も十分指導してまいるつもりでございます。
〔木島則夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/20
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021・木島則夫
○木島則夫君 私は、民社党を代表して、ただいま趣旨説明のありました公衆電気通信法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
政府がいつも主張しているように、すべての公共料金を一律に、しかも長期にわたって凍結することの不可能に近いことは私も理解をいたしております。
しかし、今回の電話電報料金の大幅な値上げを内容とする改正案につきましては、依然として九%台に推移してきた消費者物価をさらに押し上げ、国民生活をますます圧迫するばかりでなく、国民を十分に納得させるだけの合理性、妥当性に欠けている点を指摘しないわけにはまいりません。このような立場からお伺いをしたいのは、電話料金体系の合理化、改善についてであります。
改正案は、従来から大きな矛盾として指摘をされておりました距離別料金格差について何ら是正をしておりません。確かに市内通話の三分間七円というのは外国の料金と比べれば安いが、逆に市外通話を比べると、かなり割り高となっているのが現状であります。ところが、自動化されていれば、市内通話でも市外通話でもコストはほとんど変わりません。距離的錯覚を利用した料金体系が電電公社に大きな利益をもたらしてきたと言っていいでしょう。欧米諸国と比べてみると、日本は一区域内の通話料を一とすると、千キロメートル、東京−福岡間でありますが、これが七十二倍、これに対しアメリカは十四倍、西ドイツは十五倍となっております。改正案は、技術革新の成果は電話利用者にも還元されるべきであるという原則を全く無視したものであります。郵政大臣は、この際、距離別料金格差の是正に踏み切らなかった理由、根拠を明らかにされたいと思います。またあわせて、全国自動即時化の現状における現行の級局区分制度のあり方に対する政府の基本的な方針についても、大臣の明確なお答えを求めるものです。
次に、料金体系の欠陥として指摘をしたいのは、改正案には福祉の視点からの温かい配慮が欠けている点です。アメリカ人ベルが、足が不自由で歩けない母親のために電話機を苦心して発明したことはよく知られるところですが、心身障害者、寝たきり高齢者などにとりまして、電話は現代社会を生きていくために不可欠な生活手段であり、電話料金の大幅値上げは、こういった方々の日常生活に深刻な影響を及ぼすことは必定であります。私は、福祉国家を指向するわが国において、福祉的な政策料金制度の確立が必要であると確信をしておりますが、これに対する総理大臣の考え方をただしておきたいと思います。
なるほど、電電公社の言い分によりますと、電話を一台架設するのに三十数万円の投資を必要とするのに、住宅用電話の場合、一台当たりの料金は月額平均二千六百円程度で、事務用電話の三分の一程度にしか当たらない、これでは収支のバランスがとれないというのであります。ここで気になりますのは、住宅用電話を赤字と決めつけている、その一方的態度です。住宅用電話は確かに発信面からの収入こそ少ないが、事務用電話からの受信面を通じて総収入に大いに寄与していることも忘れてはならない現実だと思います。確かに、住宅電話の比率増加に伴い、一台当たりの電話の利用回数が減少しており、これが効率を低下させていることは否定できません。だが、電話局の設備の大きさは使う頻度によっても決められるわけで、この設備を頻繁に使う事務用電話のコストは大きく、余り使わない住宅用電話のコストは低いはずであり、したがって、料金収入の面からだけで住宅用電話が事業収支の悪化を招いているという公社の主張は余りにも一方的な見方だと思いますが、郵政大臣いかがでございましょうか。
改正案に対する次の質問は、経営の合理化、近代化についてであります。
政府、電電公社が合理化に対する熱意を欠き、依然として惰性に終始しているその典型的な例を、電報部門に指摘したいものであります。電報部門の収支状況は年々悪化の一途をたどり、昭和三十年度の赤字額は約百億でしたが、ここ十年来、電話の普及に比例して電報の扱い件数は毎年四百万から五百万通減り続け、去る四十年度には国民一人当たり年間〇・九通だったものが、五十年度には〇・四通に減っています。だが、利用者が減っても、電報部門がある以上、受付と配達の職員を二十四時間配置しておかなければならず、要するに、一通の電報を受け取ってから配達するまでに料金の十倍近くの費用がかかっていることになります。五十年度の赤字額は千八十八億と、三十年度の十倍以上にふくれ上がり、公社全体の事業収支赤字二千七百五十億円の約四〇%を占めているほどです。このような最悪の事態をもたらした根本的原因は、電報利用の大部分が儀礼的、社交的なものになっている事実を直視して、電報事業の縮小またはその廃止を基本とし、電話のない僻地のどうしても必要な電報などについては低い政策料金を設定し存続するなど、抜本的な対策を講じなかった点にあります。
政府は電報制度存続の是非に対する基本的な考え方を明らかにすべきであり、電報を存続するならば、独立採算制を本旨とする公社経営の著しい悪化を未然に防ぎ、健全化を図るために電報部門に国の補助金を出す考えを持っておられるのか、この点についても総理大臣の明確な御答弁をいただきたいものです。
私は、この際、電報制度の是非、電報料金のあり方などに対する国民の意向を知るために、電報に関する国民の意識調査を直ちに行うべきであると思いますが、この提案に対する郵政大臣の率直なお答えを伺いたいものです。
電報部門の収支悪化に関連して特に私が主張したいのは、電報通数の低下に伴う余剰人員を電話加入の急増等により繁忙をきわめる営業部門などに配置転換をするなど、電報部門の合理化に対する真剣な努力を怠ったことであります。こうした怠慢を反省することなく、収支を償うためには電報料金を現行の十三倍、つまり、一般電報の場合百五十円を約二千円に値上げをする必要があると国民に宣伝する公社の厚かましい態度は厳しく反省していただきたいものであります。
第三の質問として政府に伺いたいことは、生産性の向上、経営の合理化の強力な推進を妨げている不正常な労使関係が依然として解消されていない点です。
公社内部では、労務問題の解決が困難な局を労困局と言っておりますが、このような言葉がまかり通っていることは労使関係が正常でないことを明白に示しております。細かいことについては委員会で質疑をするつもりでございますが、政府は労使関係の正常化についてどのような具体的対策を用意されているか、また、わが党がすでに提案をしている公営企業体合理化審議会の設置について現在どのような考え方を持っているのか、以上の二点に対する総理大臣の見解もお伺いをいたします。
私は、この際特に強調したいのは、電電公社もいまのうちに抜本的な経営の刷新を図っておかなければ国鉄と同じ運命になる可能性があるということです。言うまでもなく、電電公社は独占公企体であり、国民は、料金が不当に高くとも、たとえサービスが悪くとも公社以外に選択の道はなく、その料金は実質的には税金と同じ性格を持っているものであります。このような公社の企業としての有利性の上に平然とあぐらをかき、真剣な経営努力を怠るならば、第二の国鉄化は火を見るよりも明らかであり、国民に多大な犠牲を強いるばかりでなく、電電関連中小企業の経営を破綻させ、その家族の生活をも脅かすことになると思います。このことを政府及び電電公社の労使に対し厳しく指摘をして、私の質問を終わるものであります。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/21
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022・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 木島君にお答えをいたします。
私に対しての第一問は、電話あるいは電報料金の大幅値上げが国民生活に与える影響という点をお取り上げになりました。この点は政府が一番注意をする点でございまして、大体電話とか電報の料金というものは従来据え置かれてきたわけですが、五十年度非常に経営が悪化して値上げをすべき必要があったわけですけれども、物価政策優先という見地からこれを凍結をいたしたわけです。まあ五十一年度はどうしてもやはりそういう必要が起こってまいったわけでございまして、これを実施するについてもいろいろな、五十一年度分と五十二年度分に分ける等の、なるべく影響を緩和したいということに配慮をいたしてまいったわけでございます。
このたびの電電料金の改定によって、家計の負担というものは、五十年の家計消費支出額、これは総理府の統計局の調査によるものですが、推計すれば月額で約九百円程度の支出増となるわけでございまして、この九百円でもこれはやはり国民生活には響くわけでございますけれども、しかし、公共料金をいつまでもこういう赤字で、経営がもう非常な不健全な状態になるということを据え置くわけにはいきませんので、利用者に対してその程度の御負担は願わざるを得ないという結論に達したわけでございます。
それから、私に対しましては、福祉政策というものを料金の中に取り入れたらどうかという——まあしばしばお答えしたように、そういう質問のお気持ちはわかるんですけれども、しかし、こういう公共料金の中に福祉政策を取り入れるということには限界があるわけでございまして、やはり福祉政策は、社会福祉政策あるいは社会保障制度を充実することによって福祉政策はやるべきで、公共料金の中で福祉政策を大きく取り入れるということは、政府としては、政策のあり方として、やはりそういう方向には非常な限界があって無理ではないかという考えでございます。
また、電報についていろいろお話がございました。確かに電報というものは慶弔電報が中心でございますが、まだしかし緊急な電報もないとは言えないので、一体電報のあり方というものはどうあるべきかということは、政府も真剣にいま考えておるわけですが、まだこれを廃止するということには踏み切れないわけでございます。しかし今後は、これは確かに電報というものは一つの問題だと考えますので、十分検討はしてまいりたいと思います。そこで、緊急なものには補助金を出したらどうかというお話でございましたが、そういう意図は政府は持っていないわけでございます。
また、労使関係というものを一体正常化の基本にどういうふうに考えているかということですが、どうしてもこういう改定案、国鉄にしても、電電にしても、その基本にあるものはやっぱり労使関係の正常化だと思いますね。いろんな再建案が出ても、それを推進していくためには労使関係の正常化が要るわけで、そのためには今後とも、電電にしてもあるいは国鉄にしても、労使関係の正常化というものは労使双方が真剣に取り組むべき問題だと考えます。木島君それにはどういう点があるのかということですが、私は思いますのに、労使双方における不信感というものがあるわけですね。これを取り除かなきゃいかぬ。経営者は、いわゆる労働者側の生活の向上というものに配意しなければならぬし、また一方においては、組合側もやはり経営の合理化、能率化、こういうものに対しては協力するということで、これは多少の時間はかかりますけれども、この労使関係の正常化ということは、これは一番の大きな課題であると、こういうふうに考えるわけでございます。また、公営企業体の合理化審議会というもの、これは民社党の従来の御主張でございますが、政府も、木島君御承知のように、政府の公共企業体等関係閣僚協議会、この下部機構として中山伊知郎氏を議長にお願いして、部門別に小さく専門家を委嘱して、公共企業体のあり方というものに対して根本からメスを入れようというわけでございまして、これが相当に動いてまいっておるわけでございますから、こういう活動の推移等も見守って、この問題というものは確かに一つの御意見だとは思うのですが、この問題に対する政府の結論を出したいと考えております。
他は郵政大臣からお答えをいたします。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/22
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023・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
今回の料金改定が国民生活や物価に与える影響いかん、こういうお尋ねでございますが、ただいま総理大臣から申し上げましたように、家庭に対しましては、一家庭毎月平均いたしまして九百円程度の負担増加になる、かように御了承を願いたいのであります。それから消費者物価に対しましては、これは〇・四、年間上昇という影響があるわけであります。
このように、電信、特に電話料金につきましては、各家庭、各事業がこれをほとんど利用される、そういうことで非常にその料金改定は影響が大きいわけです。したがいまして、この料金改定には政府も慎重な態度をとったわけなんです。電電公社の経理の立場からいいますと、大体ことし倍額ぐらいの引き上げをしないと収支が相償わぬと、こういう情勢でありましたが、これはまた国民生活に与える影響、また物価に与える影響、これが衝撃的であると、こういうふうに考えまして、まあ一挙大幅ということを避けまして、段階的にやるというので、この程度の御提案を申し上げておるということを御理解願いたいのであります。(拍手)
〔国務大臣福田篤泰君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/23
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024・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 距離別料金格差の問題でございますが、今回の料金改定自体が、人件費等の高騰によりまして急速に悪化した電電公社の財政状況の健全化を目的としておりますので、料金体系等の抜本的な見直しにつきましては、料金改定後の事業収支の推移、それから利用の形態、諸外国の実例等をよく考えまして参考とし、今後慎重に検討して格差を是正することに前向きに検討いたしたいと考えます。
次に、現在の電話局の級局制度につきまして、広域時分制の実施によりまして、最低通話料で通話できる範囲が従前の市内通話区域より拡大したことによりまして、その存在意義は若干薄れたものと言えますが、なお最低通話料で通話できる範囲に差異があること等を考え合わせまして現行の級局区分を存置したものであり、そのあり方につきましては、これも今後とも慎重に検討いたしたいと考える次第でございます。
なお、電報につきましては、総理からお答えありましたとおり、現在の利用構造は確かに大きく変化しておりますが、緊急の際の通信手段としての役割りもまだ十分残っておりますので、いま直ちにこれを廃止することは考えておりません。将来はいろいろな合理化に努め、その他アメリカにおける電子郵便等の発展等見まして、いろいろと事態の変化については十分いまから検討いたしたい考えでございます。(拍手)
〔国務大臣早川崇君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/24
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025・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 福祉料金を設けろというような御提案でございますが、この件につきましては、総理がお答えになられましたように、受益者負担という点で、特別の料金をつくらないで、所得保障という社会保障の別の面で、生活保護費、老齢福祉年金、障害年金等を増額することによってこなしていくという基本方針でございます。
ただし、茜ケ久保議員にもお答え申し上げましたように、ベルのお父さんが重症心身障害者だったというので、ひとり暮らしの身障者なり御老人にとりましては、電話というのは大変有効な生活の道具でございますので、特にそういった寝たきり老人、重症心身障害者に対しましては、電話の設備費、八万円かかりますが、これを市町村で、国の補助で買いまして貸与する。また、電話料金が、今度基本料金が二倍上がりますのを、全部そういう人たちに負担させないで、先ほども申しましたように、三百七市町村がやっておりますが、その八割五分までは負担を公共団体でやっております。そういった面で、料金の値上げというものも自治体の補助によってこなしていく。こういうことで、週二回、そういう人たちにはホームヘルパーというのが訪問していろいろめんどう見ておる、そうして福祉テレホンという方法で、何か異常の事態が起こったときなんかも十分それによって用が足せるように、今後とも福祉電話の増設は図ってまいりたいと、かように厚生省としては考えておる次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/25
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026・河野謙三
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。これにて休憩いたします。
午前十一時四十分休憩
〔休憩後開議に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X00719761013/26
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