1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月十七日(火曜日)
午前十時五十分開会
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委員の異動
二月十三日委員小山邦太郎君辞任につ
き、その補欠として木暮武太夫君を議
長において指名した。
二月十四日委員木暮武太夫君辞任につ
き、その補欠として小山邦太郎君を議
長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 早川 愼一君
理事
稲浦 鹿藏君
岩沢 忠恭君
委員
小山邦太郎君
佐野 廣君
西岡 ハル君
安井 謙者
内村 清次君
村上 義一君
安部 清美君
国務大臣
建 設 大 臣 遠藤 三郎君
政府委員
建設省計画局長 美馬 郁夫君
建設省住宅局長 稗田 治君
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本日の会議に付した案件
○本委員会の運営に関する件
○建築基準法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○公共工事の前払金保証事業に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣
提出)
○土地区画整理法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○首都高速道路公団法案(内閣送付、
予備審査)
○道路法の一部を改正する法律案(内
閣送付、予備審査)
○道路整備緊急措置法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○日本道路公団法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○公営住宅法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X00919590217/0
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001・早川愼一
○委員長(早川愼一君) これより建設委員会を開会いたします。
まずさる十二日の委員長及び理事打合会について御報告いたします。
日程について協議いたしました結果、本日は建築基準法の一部を改正する法律案ほか七法案の提案理由の説明を聴取する。二月十九日は、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律案の質疑、並びに建築基準法の一部を改正する法律案の詳細にわたる説明を聴取する、なお基準法については参考人について協議する、二月二十四日は基準法の審議。なお公報には基準法のほか、参議院先議の土地区画整理法の一部を改正する法律案、公共工事の前払金保証事業に関する法律の改正案を掲載する。二月二十六日は首都圏法案の審議、基準法の審議、できれば採決をする。なお公報には土地区画法の改正案、公共工事の前払金保証事業に関する法律の改正案を掲載する。以上のごとく決定しましたので御報告いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X00919590217/1
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002・早川愼一
○委員長(早川愼一君) それでは建築基準法の一部を改正する法律案、公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案、土地区画整理法の一部を改正する法律案、首都高速道路公団法案、道路法の一部を改正する法律案、道路整備緊急措置法の一部を改正する法律案、日本道路公団法の一部を改正する法律案、公営住宅法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日はこれらの法律案について提案理由の説明を聴取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X00919590217/2
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003・遠藤三郎
○国務大臣(遠藤三郎君) ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
御承知の通り、建築基準法は建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護をはかり、もって公共の福祉の増進に資することを目的として昭和二十五年に制定され今日に至っておりますが、この間社会情勢の変化、諸技術の進歩等に伴い、種々実情に沿わない面も生じて参りましたので、今回同法施行の実績に徴して慎重なる検討を加え所要の改正をはかろうとするものであります。
今回の改正は相当広範な範囲にわたっておりますが、そのおもなる点は次の通りであります。
第一に防火に関する規定を強化整備したことであります。
まず建築物の防火性能上の種別といたしましては、従来主要構造部が耐火構造の建築物と木造の防火構造の建築物との二種類でありましたが、最近の建築材料等の進歩に伴い、この中間の防火性能を有するものとして、新たに簡易耐火建築物を設けることが適当と考えられますので、これらに関する規定を整備し、これにより特殊建築物及び防火地域等における建築物の防火に関する構造制限を強化、整備することといたしました。
次に、最近増加の傾向にあります地下建築物、無窓工場等につきましても、消火、避難等の点から放置し得ない状態にありますので、避難施設、消火施設、無窓の居室の構造等について所要の規制を行い、あわせて映画館等の特殊建築物、地下建築物等の室内の仕上げを防火上支障がないようにしなければならないことといたしました。
第二に都市における建築物に関する制限を整備したことであります。
まず建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員は、従来は四メートルを原則とし、一部既存の道路について緩和しておりましたが、実状として厳に過ぎる場合もありますので、土地の状況によっては、これらを緩和することができる道を開きました。
次に、住居地域、工業地域等の用途地域内の建築制限につきまして、産業の発達と除害装置の進歩等に伴い、新しく制限を必要とする業態の建築物を追加するとともに、公害の少なくなった建築物について制限をはずすことといたしました。
なお、特別用途地域制を更に活用し得るようにするため、必要と認める場合には、用途地域の制限を緩和することができる道を開くとともに、用途地域等の目的を全うするため、用途の制限のほかに建築設備等の規制をも行うことができることといたしました。
さらに、敷地面積による建築面積の制限については、過小宅地が多い市街地等については厳に過ぎると認められる場合もありますので、土地の状況によりやむを得ない場合には、その一部を緩和する区域を指定できる制度を設けるとともに、建築物の高さについても、周囲の状況等により、緩和することができることといたしました。
第三は、違反是正の措置を強化したことであります。
すなわち、違反することが明らかな工事中の建築物について緊急の必要がある場合には、聴聞等の手続を経ないで直ちに工事の施工の停止を命じ得ることとする等違反是正の措置を強化することといたしました。
最後に、手続等に関する規定を整備したことであります。
まず従来の災害発生の実情にかんがみ、映画館等の特殊建築物の所有者は、その維持保全の状況を、定期に特定行政庁に報告すべきものとするとともに、昇降機等の建築設備については、その安全性を確保するため、定期に維持保全の状況につき、検査する制度を設けました。
次に昇降機等の建築設備及び飛行塔その他の工作物の設置についても、確認申請等の手続及び構造耐力等の規程を準用することとし、さらに確認申請手数料を物価の変動に伴い、ある程度引き上げることとしました。
以上述べましたように、今回の改正は、法施行の実績にかんがみ、強化すべきところは強化し、厳に過ぎると認められる面は緩和し、制度全体の合理化をはかったものでありまして、これにより今後とも法の一そうの適切な運営を期して参りたいと考えております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に公共工事の前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその要旨を御説明申し上げたいと存じます。
東南アジア、中近東、中南米等の諸国における開発計画に対しわが国が協力いたしますことは、国際経済協力あるいは輸出振興の上からきわめて重要でありますが、昭和二十九年以来、これら諸国から建設事業に関する引き合い等が漸次増加して参りましたにもかかわらず、これらの引き合い等のうち実際に契約いたしましたものは僅少の数字にとどまり、わが国業者の海外における活動状況は必ずしも活発とはいい得ない状況にあります。
この原因といたしましては現地情報の早期入手が困難であること、海外建設工事に関する知識経験に乏しいこと等が考えられますが、特に、建設業者または建設工事の設計、監理等を行ういわゆる建設コンサルタントの担保能力の不足のため、事業活動に必要な資金の融通を受けることがきわめて困難であり、これがわが国業者の海外における事業活動の振わない大きな原因となっているのであります。
ところで最近、フィリッピンにおけるマリキナ・ダムの建設計画が具体化されようとし、引き続いて東南アジア、中近東等の諸国においても大規模な建設工事についてわが国の協力が期待されております。
このような現状にかんがみ、わが国の海外建設協力を促進するため、建設業者または建設コンサルタントの海外における事業活動に必要な入札保証金、契約保証金、建設機械購入資金等の多額の事業資金の調達につきまして、これらのものの担保能力を増強し、金融の円滑化をはかる必要性が痛感されるのでありますが、これに対処する措置といたしましては現在、公共工事の前払金保証事業に関する法律の規定に基き、保証事業会社が建設業に関する金融のための保証事業を営み、その実績を上げておりますので、今回同法の一部を改正して、保証事業会社が、海外における建設事業に必要な資金の金融に関する保証業務をも営むことができること、とすることが適当であると考えた次第であります。
以上がこの法律案の提案の理由でありますが、次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。
前払金保証事業会社は、その本来の業務である前払金保証事業のほか、従来より、公共工事に関する資金についての金融保証事業、及び建設工事の用に供する重要な機械類の取得に関する資金についての金融保証事業を、兼業として行なっておりますが、このたび新たに、兼業の業務として、建設業者または建設コンサルタントが、金融機関から外国における事業活動に必要な資金について融資を受け、あるいは信用状の開設等を得た場合に、それによってこれらの業者が当該金融機関に対して負担する債務についても、その保証を行うことができることといたしたのであります。
なお、かかる海外建設事業に関する金融保証事業を行う場合におきましても、その事業の重要性にかんがみまして、他の保証事業と同様、建設大臣の承認を受けた約款により保証契約を締結させることといたしたのであります。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
次に、土地区画整理法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
御承知のように、健全な市街地の造成を目的とする土地区画整理事業の基本法であります土地区画整理法が、昭和三十年に施行されまして以来すでに四年を経過し、その閥土地区画整理事業を全国的に実施して、都市における公共施設を整備改善し、宅地の利用を増進して参ったのでありますが、その運用の実績にかんがみまして今回同法に所要の改正をはかろうとするものであります。
以下今回の改正の要旨を申し上げます。
まず第一に宅地の立体化に関する規定を整備したことであります。最近における都市の人口増大と産業施設集中の傾向は特に著しく、市街地における土地利用の高度化を促進しなければ、わが国の都市問題は解決できない現状であります。土地区画整理法は、その解決の手法として宅地の立体化の制度を設けておりますが、現行法は、このようないわゆる立体換地ができるのは、面積の小さな宅地を整理する場合と、すべての権利者の同意がある場合に限っておりますので、今回、立体換地のできる場合を広げ、市街地における土地の合理的利用と災害防止のため特に必要がある場合においては、防火地域内であって、高度地区内の宅地について、権利者の代表機関であります土地区画整理審議会の同意を得た上で、宅地の立体化ができるようにし、市街地の高度化の促進に寄与せしめようとするものであります。
次に公共施設管理者の負担金に関する規定を設けたことであります。
最近、道路、河川等の大規模な公共施設の用地の確保が困難となってきておりますが、土地区画整理卒業によってこれらの用地を造成するようにいたしますと、これがきわめて円滑に進捗するのみならず、付近の土地の利用の増進に貢献するところが多いので、これらの用地を確保するため土地区画整理事業を施行するという事例が全国的に多くなっております。
かかる場合において、従来からも本来の公共施設の管理者から土地区画整理事業の施行者にその用地費相当分を支出していたのでありますが、この関係を明確にするために、今回このような重要な公共施設の用地を造成することを主たる目的とする土地区画整理事業につきましては、施行者は、本来の公共施設の管理者に、その川地の取得費に相当する金額の範囲内の事業費を負担させることができるようにしようとするものであります。
第三は土地区画整理審議会の委員等の任期を延長することであります。
現行法では、土地区画整理審議会の委員並びに土地区画整理組合の役員及び総代の任期は、三年をこえない範囲内で施行規程または定款で定めることになっておりますが、土地区画整理事業の実態は、その期間が相当長期にわたるものであり、また事業の内容及び手続が非常に複雑である等の点にかんがみまして、今回任期の最高年限を五年に改めまして事業の円滑な施行をはかろうとするものであります。
以上が改正の主な点でありますが、このほか土地区、画整理事業の適正かつ円滑な施行をはかるため、事業計画の決定及び変更、権利の申告、保留地の処分方法、並びに土地区画整理事業と農地等の関係の調整に関する手続を整備するはか、予備委員の数の特例、公共施設の川に供されている宅地に関する特例、及び清算金の延滞金徴収の規定を設けるとともに、仮換地指定後における公共施設予定地等に関する管理責任を明確にしようとするものであります。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
次に、首都高速道路公団法案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
最近の首都における自動車交通量の激増はまことにめざましく、これに伴って生じている交通の混雑に起因する人的、物的な損失ははかり知れないものがあり、ために首都の機能を著しく低下させていることは御承知の通りであります。これをこのまま放置するならば、近い将来において首都の交通は全くの麻痺状態に陥ることが憂慮されております。
このような現状を打開するためには、首都における街路及び駐車場の整備を促進する必要のあることはもちろんでありますが、さらに自動車専用道路を建設することが最も有効な措置であることは、すでに外国の諸都市の実例に徴しても明らかなところであります。
このため政府といたしましては、全国的に有料道路事業を行なっている日本道路公団のほかに、首都における自動車専用道路の建設及び管理に専念する事業体を設け、これに政府の資金のほか関係地方公共団体からの資金を導入し、首部高速道路の飛躍的な整備をはかることとし、これがため新たに首部高速道路公団を設立することといたしたのであります。この法律案は、この首都高速道路公団設立の目的及びその組織、業務、財務、会計等について所要の規定を設けようとするものであります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。
まず第一に、首都高速道路公団は、東京都の区の存する区域及びその周辺の地域において、有料の自動車専用道路の建設及び管理を総合的かつ効率的に行うことにより、自動車専用道路の整備を促進して交通の円滑化をはかり、もって首都の機能の維持及び増進に資するために設置するものであります。
第二に、首部高速道路公団は法人といたしまして、その資本金は、政府及び政令で定める地方公共団体からの出資金の合計額とし、政府は公団の設立の際十億円を出資することになっております。
第三に公団に管理委員会を設置することといたしました。管理委員会は任期二年の委員五人及び公団の理事長をもって組織するもので、予算、事業計画、資金計画及び決算についての議決機関とするものであります。
第四に、公団の役員として理事長、副理事長、理事及び監事を置くこととし、その任期はそれぞれ四年といたしております。
第五に公団の行う業務でありますが、今国会に提案しております道路法の一部を改正する法律案、並びにこの法律案の付則でその一部を改正いたしますところの道路整備特別措置法に基く、有料の自動車専用道路の建設及び管理を行うことを主たる業務とし、あわせて有料の路外駐車場の建設及び管理等を行うことといたしておりますが、公団の行う自動車専用道路の建設は、建設大臣が定める基本計画に従ってなされることといたしております。
第六に公団の財務及び会計でありますが、公団の予算、資金計画、事業計画、財務諸表、借入金、首都高速道路債券等につきましては、建設大臣の認可又は承認を受けることを要するものといたしております。
最後に、公団の設立に関する事務は、建設大臣が任命する設立委員に処理させることとし、公団の設立の際、現に日本道路公団が行なっている首都高速道路に関する事務につきましては、これを新公団が承継することといたしております。
なお、首都高速道路公団が昭和三十四年度に施行すべき事業に必要な資金は三十五億円を予定しておりますが、これには政府出資十億円、東京都出資十億円のほか借入金九億円、東京都からの補助金六億円を充当する予定であります。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
次に、道路法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
御承知の通り、国民経済の進展に伴いまして、最近における自動車交通壁の増加はまことに目ざましいものがありますので、政府といたしましては、道路整備計画の樹立、道路整備の財源の確保、高速自動車国道の建設等諸般の施策を講じて、道路の整備のために鋭意努力している次第であります。
しかしながら東京等の大都市その他特定の地域における交通の混雑は、通常の道路の整備では解決できない状況となりつつありまして、自動車、自転車、歩行者等の混合交通を避け、かつ平面交差による支障を除去する等の新たな施策を必要とするに至っているのでございます。
このような現状を打開するためには、自動車専用の道路を整備して自動車の運行を能率的にするとともに、交通の危険の防止をはかり、もって道路の機能を十分に発揮させる必要があると考えまして、ここに道路法の一部を改正する法律案を提出いたした次第でございます。
次にこの法律案の要旨を申し上げます。
第一に、道路管理者は、交通が著しく輻湊して道路の能率的な車両交通が妨げられている市街地及びその周辺の地域において、交通の円滑をはかるために必要があると認めるときは、まだ供用を開始していない二級国道以下の道路について、自動車専用道路を指定することができることといたしております。また部分的に交通が著しく輻湊して、車両の能率的な運行が妨げられている道路についても、その部分の区間の交通の円滑をはかるために必要があると認めるときは、自動車専用道路の区域を指定することができることといたしております。ただしこの道路の区間についての自動車専用道路の推定に当っては、その自動車専用の道路の区域のほかに、自動車以外の方法による通行に支障がない道路の区域が、その区間に残されていなければならないことといたしております。
第二、自動車専用道路の機能を十分に発揮させるために、自動車専用道路と他の道路等との交差は原則として立体交差とすることとし、他の道路等を自動車専用道路に連結し、または平面交差させようとするときは、自動車専用道路の道路管理者に協議し、または許可を受けなければならないことといたしました。
第三に、自動車専用道路の交通の安全をはかるため、自動車専用道路には、みだりに立ち入り、又は自動車による以外の方法により通行してはならないことといたしました。
またこの際、建設大臣が行う道路の管理事務の処理をより円滑にいたしますために、道路管理車である建設大臣の権限の一部を地方建設局長及び北海道開発局長に委任することができるようにいたしました。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でございますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
次に、道路整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
現行道路整備緊急措置法第五条は、地方公共団体に対する道路の舗装その他の改築または修繕に関する国の負担金の割合または補助金の率についての特例について規定しており、その内容として昭和三十三年度におけるこれらの負担割合及び補助率については、旧道路整備費の財源等に関する臨時措置法第四条の規定に基く、高率の負担割合及び補助率を踏襲することとしておりますが、昭和三十四年度以降における負担割合または補助率については、別に法律で定めるところによることとなっております。
その後、道路整備の緊急性、地方財政の状況等を検討いたしました結果、昭和三十四年度以降四カ年間においても、昭和三十三年度におけると同様に高率の負担割合または補助率とする必要があると考えられますので、同条を改正して、昭和三十三年度以降、五カ年間における地方公共団体に対するこれらの負担金の割合または補助金の率を、道路法等の規定にかかわらず、改築については四分の三、修繕については二分の一の範囲内で、政令で特別の定めをすることができることとするものであります。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
次に日本道路公団法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
日本道路公団の資本金は、公団の設立の際における旧特定道路整備事業特別会計の資産の価格から負債の金額を差し引いた額とする旨、定められているのでございますが、公団の事業の拡大に伴いまして、事業運営の合理化をはかりますために増資できる道を開く必要が生じて参りました。
また高速自動車国道の建設に要する資金を調達いたしますために、外貨資金を借り入れる必要があるのでございますが、国際復興開発銀行から外資を借り入れるに当りましては、債権者としての同銀行の地位の保護その他につきまして、規定を整備する必要があると認められます。
以上がこの法律案を提案いたした理由でございます。以下本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、公団は、必要があるときは、建設大臣の認可を受けてその資本金を増加することができることとし、この場合には政府は公団に出資することができることといたしました。
第二に、国際復興開発銀行が公団に資金の貸付をした場合には、同銀行は、道路債券の債権者と同様に、一般の先取特権に次ぐ優先弁済権を有することといたしました。
第三に、公団は、国際復興開発銀行と締結する外貨資金の借入契約に基いて、同銀行に道路債券を引き渡す必要があるときは、その発行事務を外国の銀行または信託会社に委託することができることといたしました。
第四に、公団が国際復興開発銀行に引き渡した道路債券を外国投資家が譲り受けた場合における、外国向けの光利金の支払い及びその受領について、外資に関する法律の特別措置を定めることといたしました。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でございますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
次に公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
公営住宅法は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的として、昭和二十六年六月に制定されたのでありまして、以来七年有半にわたり、この法律に基く公営住宅の供給が国の重要施策の一として強力に推進され、戦後における住宅難の解決のために大いに役立って参ったことは御承知の通りであります。しかしながらこの間における年数の経過に伴いまして、その管理については、公営住宅の目的から見て不合理な面を生じ、これがため改善を要する点がかなり見受けられるに至っております。
すなわち公営住宅法が、低額所得者に対して低家賃の住宅を供給することを目的としているにもかかわらず、一方においては、収入が著しく低額である者が、第二種公営住宅にも入居できないという事態が生じているとともに、他方においては、入居後収入が増加し、すでに低額所得者とはいえない者が、依然として低廉な家賃で公営住宅に入居している事態が相当見受けられるのであります。
また初期に建設された公営住宅の家賃は、その大部分が建設当初に定められた低い家賃のまま据え置かれておりまして、このままの家賃では適切な維持修繕ができないばかりでなく、最近建設された公営住宅の家賃に比しその差が著しく、住宅の効用を考慮いたしましても同一階層の低額所得者に対する家賃としては、はなはだしく公平を欠いている状態であります。
このような不合理を是正し、管理をより適正に行い、もって公営住宅法本来の趣旨に沿い得るようにするため、公営住宅の家賃の変更、割増賃料の徴収等について、所要の規定を整備いたすこととした次第でございます。
以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、次に本法律案の要旨について御説明申し上げます。
まず第一に、公営住宅の管理の一般的義務として、事業主体は、常に公営住宅及び共同施設の状況に留意して、その管理を適正かつ合理的に行うよう努めなければならないことといたしました。
第二に、事業主体は、入居者の収入が著しく低額である場合は、家賃の減免をすることができることを明らかにいたしますとともに、事業主体が著しく適正を欠く入居者資格を定めた場合には建設大臣はその変更を命ずることができることといたしました。これにより収入の著しく低額である者の公営住宅の入居が容易になるものと考えております。
第三は、収入超過者に対する措置について必要な規定を設けました。すなわち公営住宅は本来低額所得者に賃貸されるべきものでありますから、収入が一定基準をこえた場合には、引き続いて低廉な家賃で当該公営住宅に入居していることは適当と認められません。そこで収入が一定基準をこえる者が引き続き三年以上入居している場合には、その者に対し当該公営住宅を明け渡すように努力義務を課するとともに、事業主体においても当該入居者が他の適当な住宅に入居できるようにあっせんする等、その明け渡しを容易にするように努めなければならないものといたしました。
さらにこの場合において、入居者が引き続き当該公営住宅に入居しているときは割増賃料を徴収できることといたしました。この割増賃料の額は、公庫公団等による住宅の家賃の水準をも勘案し、第一種公営住宅にあっては、その家賃の変更の限度額の〇・四倍、第二種公営住宅にあってはその〇・八倍に相当する額を限度とすることとし、入居者の収入に応じて政令で定めることといたしました。
この場合において経過措置として、現在公営住宅に入居中の者につきましては、原則として三年間は明け渡しの努力義務及び割増賃料に関する規定は適用しないことといたしました。
第四に事業主体が家賃を変更する場合の合理的な限度を設けることといたしました。この家賃の変更の限度額は、建設大臣が政令で定めるところにより住宅対策審議会の意見を聞き、建築物価の変動を考慮して地域別に定める率を、当該公営住宅の建設に要した費用に乗じて得た額を基礎として、家賃を定める場合の限度額の算定の例に準じて政令で定めることといたしました。この限度額は家賃を決定する場合の限度額とみなし、従ってこの限度額以内で家賃を変更する場合には、家賃を決定する場合と同様、公聴会を経ることを要しないものといたしました。
第五に、さきほど述べました家賃の減免、他の住宅のあっせん、割増賃料の徴収等の措置を行うためには、公営住宅の入居者の収入状況を的確に把握する必要がありますので、事業主体の長は、これらの措置を行うため必要があると認めるときには、公営住宅の入居者の収入の状況について、当該入居者またはその雇主、その取引先その他の関係人等に報告等を求めることができることといたしました。
以上のほか公営住宅のより適正かつ合理的な管理をはかるため、事業主体の修繕義務の範囲、敷金の運用にかかる利益金の使途等所要の改正を行うことといたしました。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X00919590217/3
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004・早川愼一
○委員長(早川愼一君) ただいまの各法律案についての補足説明並びに質疑は、次回以後の委員会において行うことといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X00919590217/4
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