1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年五月十四日(金曜日)
午前九時四十分開議
出席委員
委員長 岩田 順介君
理事 荒井 広幸君 理事 能勢 和子君
理事 森 英介君 理事 柳本 卓治君
理事 石橋 大吉君 理事 川端 達夫君
理事 前田 正君 理事 青山 丘君
井奥 貞雄君 石川 要三君
稲垣 実男君 大村 秀章君
小林 興起君 白川 勝彦君
田中 昭一君 棚橋 泰文君
藤波 孝生君 保利 耕輔君
宮腰 光寛君 城島 正光君
中桐 伸五君 松本 惟子君
河上 覃雄君 岩浅 嘉仁君
大森 猛君 寺前 巖君
濱田 健一君 土屋 品子君
出席国務大臣
労働大臣 甘利 明君
出席政府委員
社会保険庁次長 宮島 彰君
労働大臣官房長 野寺 康幸君
労働大臣官房政
策調査部長 坂本 哲也君
労働省職業安定
局長 渡邊 信君
委員外の出席者
議員 大森 猛君
労働委員会専門
員 渡辺 貞好君
委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
坂本 剛二君 宮腰 光寛君
畠山健治郎君 濱田 健一君
同日
辞任 補欠選任
宮腰 光寛君 坂本 剛二君
濱田 健一君 畠山健治郎君
五月十四日
労働法制の全面改悪反対、男女ともに人間らしく働くルールの確立に関する請願(石井郁子君紹介)(第三二五一号)
同(穀田恵二君紹介)(第三二五二号)
同(寺前巖君紹介)(第三二五三号)
労災病院等の充実に関する請願(畠山健治郎君紹介)(第三二九一号)
同(松本惟子君紹介)(第三三三三号)
同(大森猛君紹介)(第三三九三号)
同(児玉健次君紹介)(第三三九四号)
同(寺前巖君紹介)(第三三九五号)
同(中林よし子君紹介)(第三三九六号)
同(春名直章君紹介)(第三三九七号)
労働者派遣法対象業務のネガティブリスト化の採用反対等に関する請願(知久馬二三子君紹介)(第三三六五号)
同(畠山健治郎君紹介)(第三三六六号)
同(松本惟子君紹介)(第三三六七号)
同(金田誠一君紹介)(第三三九八号)
同(濱田健一君紹介)(第三三九九号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百四十三回国会閣法第一〇号)
職業安定法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九〇号)
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(大森猛君外一名提出、衆法第一五号)
午前九時四十分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/0
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001・岩田順介
○岩田委員長 これより会議を開きます。
第百四十三回国会、内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案、内閣提出、職業安定法等の一部を改正する法律案及び大森猛君外一名提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城島正光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/1
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002・城島正光
○城島委員 おはようございます。民主党の城島でございます。
きょうは主に労働者派遣事業の法案の改正内容について質問をさせていただきたいと思いますが、まず最初に、労働大臣の基本的な御認識を承りたいなというふうに思うわけであります。前々回だと思いますが、私自身同様の基本認識をお尋ねしたことがありますが、少し派遣法に絡んでもう一度お尋ねをさせていただきます。
大臣は、この間の委員会の質問等に対しても、現下の状況ということについて、いわゆる世界的な大競争時代、メガコンペティションの時代であると。そういう中で、一言で言うと、いかにして企業が競争意欲を保ちながら今の状況の中で打ちかっていくかということも極めて大事な視点であるということだと思いますが、そのことについては私も全く同様の認識であります。
私自身、長年職場におりまして、大臣おっしゃる、それこそグローバル化時代の中での大競争時代の中で職場が本当に荒波にもまれていくのを、実際この十数年、嫌というほど体験をしてきたわけでありまして、個々の企業とかあるいは個々の職場、個々の労働者、もちろん経営者も含めてでありますけれども、こうした一遍に来た大競争時代をどう乗り越えていくのかということが、ある面では、いい意味でいう、企業を守り、同時に労働者が労働条件を守り、そしてまた発展させていくということが本当に大切であり、また難しい時代に入ったというのは、もう肌で実感をしているわけであります。
ただ、そういう大競争時代を乗り越えていかなければいかぬ、すなわち高い生産性を上げていかなければいかぬというところまでは大体皆さん一致をするわけでありますが、それでは、それをどういうアプローチで、どういう戦略で乗り越えていくかというところにおいて、実は大きく道が二つに分かれてきているのではないかというふうに思うわけですね。
一つは、私はそうあるべきだと思いますが、前々回の私の質問の中で使わせていただきました、今アメリカの経営の中でそういう表現が使われておりますが、いわゆるハイロードアプローチという、一言で言えば、高い生産性、高い賃金、高い労働条件、高い生産性をもっていわゆるコストとしては低くしようではないかということに終結をする経営戦略というのが注目を浴びているということであります。
少し詳しく専門的な本の中からハイロードアプローチという中身を紹介いたしますと、こういう表現になっているわけでありまして、「グローバル化の進展をアジア諸国との競争としてのみとらえるのではなく、国際分業の進展にともなうわが国経済の発展段階としてとらえること。」これは中心的にアメリカの話でありますのでそうでありますが、それから二点目としては、「途上国との間で労働条件切り下げ競争をするのではなく、技術革新のいっそうの進展と労働者の職業能力の向上を通し、より高付加価値な製品を世界に提供していくこと。」三点目は、「そして雇用面ではこうした高付加価値戦略を可能とするような長期雇用を基本とし、女性や高齢者の能力が生かせる社会をつくっていくこと」。これがここで言うハイロードアプローチの基本的な戦略だと。私は、まさしくそういう戦略の中で大競争時代を打ちかっていく産業構造、企業構造をつくっていくことが本質ではないかなというふうに思っているわけであります。
先月末から私も中国へ行ってまいったわけでありますが、五年ぶりの中国だったのですが、そこで日系企業のいろいろな経営者の皆さんとも論議をする時間がありました。痛切に皆さんおっしゃっていることのこの部分に関連することだけ申し上げますと、今率直に言って、いろいろな中国の状況の変化はありますが、本質的に、外資系の企業、もちろん国内の大改革を今やっておりますので中国の国内企業もそうでありますが、極めて企業経営は難しい。なかなかいわゆる利益が出ないということですね。
それの最大の課題というのは、いろいろありますけれども、結局、いわゆるコストが安いのではないかということで参入していった多くの企業がなかなかうまくいかないというのは、中国においても御承知のような改革の中で、いわゆる経済的な、あるいは貿易においても自由化の方向である。最大の競争相手がいわゆる同じ企業の海外製品になっている。中国の市場においても、利益を出していく企業というのはどういう企業かというと、まさしく今申し上げたことと同じで、極めて高い生産性を保つ商品ないしサービスを持っている企業でなければ今利益が出せない状況である。
そういう点でいうと、これは国の実情を超えて、今まさしく大臣よくおっしゃっているメガコンペティションの時代にあっては、どういう地域であれ、どういう国であれ、本質的に生き延びていける、あるいは発展していく企業というのは、そういう面では非常に高付加価値の企業ということだと思うし、それを支えるのはまさしく人材であるということなのではないかと思うのですね。
そういう観点で、今本質的な大競争時代の中で、雇用面あるいは労働行政面として、大臣はどういう御見解をお持ちなのか、どういう方向に持っていこうとされているのかということをまずお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/2
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003・甘利明
○甘利国務大臣 いわゆるボーダーレス社会の中で、企業は国際戦略を考えなければならない時代に入っているのは事実であります。大競争時代の競争を勝ち抜いていかなければすべては単なるお題目になってしまうわけですから、勝っていかなければならない。しかし、その勝ち方だと思うのであります。
雇用を日本国全体としてしっかりと維持していく、これは政府の最重要課題の一つでありますけれども、そのためには日本の国内に所在をしている産業が競争力を引き続き保ち続けなければならない。あるいは、時代的役割を果たし終わって雇用を維持できなくなっている企業があるとしたならば、これから日本発世界企業に巣立っていく企業にしっかりと経営資源が適宜適切に移動するということはもちろん大事なことであります。ただ、競争力を上げていく場合に、高付加価値産業に経営資源が適宜適切に移行するという仕方と、もう一つは在来の企業が存続したままどう競争力を上げていくかというアプローチがあると思います。
そうした中で、競争力の上げ方の際に、雇用を直ちに削減して競争力を上げていくという手法が外国の例では間々見られますけれども、そういうアプローチはすべきではない。生産性を上げていくということの中に、設備投資も必要でありますし人材投資も必要なんだと思います。つまり、抱えている人員の能力アップを図ることによって生産性を上げていくというアプローチがありますから、そういうアプローチをまずとるべきだと思います。雇用に手をつけるというのはやはり最後の最後の手段でありますから、それまで経営者は最大限の努力をすべきだと思っております。
日経連の会長が昨日交代をされまして、その就任記者会見で、企業は雇用を守ることを責務としてしっかりと認識をすべきである、同じ市場経済でも人間の顔をした市場経済たらんとすべきだという発言をされておりました。これは私どもの思いと非常に共通をしていると思います。
世の中が大競争政策の流れに沿って、ターボキャピタリズムといいますかハイパーキャピタリズムといいますか、英語で言いますとウイナー・ゲッツ・オール、勝者が全部をとってしまうという方向にとかく流されやすいのでありますけれども、そういう形であってはならないと思います。国家管理経済とハイパーキャピタリズムとの中間がないということではおかしいのであって、その中間がしっかりあっていいはずである。
競争力を高めていくために、経営資源を適宜適切に集めることができるというパイプは必要であります。そのために今この二法案を審議していただいているわけでありますけれども。もう一方で、中心的な雇用形態とかあるいは賃金形態が安定的に存在をしていいはずでありまして、私は、日本型の雇用形態というのは決して悪いスタイルではないと思います。ただ、それだけでは競争に勝てないということにどうするか。ですから、いろいろな選択肢を働く側にも働いてもらう側にも用意する。そういうことによって、競争に負けてしまってはどうしようもないのでありますから、大競争に勝ち抜きながら人間の顔をした市場経済を確立していく、その方向はこうであるというのは日本が発信をしていくべきだというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/3
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004・城島正光
○城島委員 大体よくわかりました。大筋においては、日本型のいい面での雇用体系というのは基本としていきたいということだろうというふうに承りました。
今回の派遣法改正の一つの大きなポイントにもILO百八十一号条約の批准ということがあるわけでありますが、実はILOにおいても、九六年、ILOが主催した企業シンポジウムで、人的能力開発型企業という企業概念が提起をされているということであります。そこでは、労働力をそのたびごとの消費財とみなして、企業は人々の能力を高める教育機能を持つという視点を軽視し、そうした機能のかわりに外部労働市場からあり合わせの人材を調達する、いわゆる一般的に言うアメリカ型の企業モデルとの対比がこのシンポジウムでは念頭に置かれて、いわゆる一人一人の能力をいかにして高めていくかというところをきちっと企業ごとにも図っていくことが大事じゃないかというシンポジウムであったというふうに思いますが、まさしくこういった姿勢を基本的に持っているのが、今大臣もおっしゃいました、今までの、いわゆるいい意味で言う日本の雇用体系であり終身雇用体系の本質だというふうに思うんですね。
よく言われるように、やはりいいものを変えてはいけない、変えてはいけないものを変えないというその勇気、同時に、今大臣もちょっと触れられましたけれども、本質的に変えなければいかぬものをやはり変えていくという決断力ということも重要だと言われますし、また同時に、何をきちっと守っていくべきか、何を変えるべきなのかという賢明な峻別をする英知というのがそれ以上に重要だと言われるわけであります。
今度の派遣法改正も、大臣おっしゃっていることについてはほとんど同感でありますが、こういった視点から見ると、どうなんでしょうか、昨今よく言われる規制緩和という流れ、この規制緩和をもちろん否定するものではなくて、大いに経済的な部分でやっていかなければいかぬという立場に私もありますが、その規制緩和というようなこと、あるいは競争ということにウエートがかかり過ぎているのではないか。
いい意味での、今言ったような日本のよき、これからも逆に守り発展させていかなければいかぬ、まさしくこれからさらに効果を発揮するであろうと思われる雇用慣行、長期雇用、そしてじっくりと育てていって人材をつくっていくという意味での、そうした日本のよき、いい意味での終身雇用といったものを含めた雇用慣行というものに逆行する流れをつくることになるのではないかという意見も結構あるわけでありますが、こうした点について、大臣、どういうふうな御見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/4
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005・甘利明
○甘利国務大臣 城島先生の今のお話は、規制緩和の一環として、働く者の観点よりもむしろ競争原理の観点からの施策推進ではないかという御質問と受けとめておりますが、新しい施策を推進していくときに当然光と影の部分があると思います。光の部分を幾ら強調しても、影の部分が相当な面積を占めているのであるならば、全体としては余りいい政策でないかもしれません。ですから我々は、一つの政策を国会に提出させていただいて御審議いただくときに、御懸念をいただいている影の部分はできるだけなくしていこう、そういう努力はしてきたつもりでありますし、現在の法案に関してもしているつもりであります。
ただ、では一〇〇%なくなったかと言われますと、我々はほぼそれに近い形で出している、世の中が求めている、あるいは、そういう形態を日本経済が持っていないとどうしてもメガコンペティションに勝ち抜いていけない、そういう懸念が出てしまうということを含めて、マイナス部分はできるだけ排除をしているつもりでありますけれども、全部なくなったかと言われますと、これは当然議論の余地が残るかと思います。
今回の規制緩和は、確かに両方の面があると思います。
企業にとって都合のいい点、当然あります。それは、新しい業を起こしたいとしても、それに見合った人材が適宜適切に供給してもらえないという点。どんなに人材を募ろうとも、そういう優秀な人材が企業を立ち上げる時期にきっちり確保できない。できないとやはり競争力のある新しい産業を生み出していくときのデメリットになりますから、日本全体として雇用の維持というのが、長いスパンではかると守れなくなる。もちろん、企業が収益を確保していくために高収益分野にシフトしていく、そういう形は企業にとっての方向性でありますから、そういう点から見れば、企業にプラスをする制度改正ではないかという点は確かにあります。
ただ一方で、働く側においても、長期にその企業で働ける選択肢と、それから自分の挑戦したいものにキャリアアップをしながら挑戦していくシステムと両建てで成っていた方がそれはいいに決まっているのでありまして、私は、この競争社会の中で、働く側からしてみれば、いろいろな選択肢を用意できる、それをどれを選択するかは自分の意思でできる、そして自分の意思に逆らって思いが遂げられない危惧をできるだけ防いでいくということに努力をするということで、一〇〇%働く側の意思を通して、こういうことだけやりたいということにはできないかもしれませんけれども、それは、全体として競争にも勝ちながら、日本的経営、日本的雇用のよさをいかに存続をさせていくか、その両方に目配り、気配りをしながら法案を作成していく、その線に沿ってやっているという確信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/5
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006・城島正光
○城島委員 わかりました。
ただ、そういう姿勢ということはよく理解できましたが、やはり、そういう観点に照らしても、我々からするとまだかなり多くの疑問点、問題点がこの法案の中にあるというふうに認識せざるを得ないというふうに思います。
少し法案の中身について質疑をさせていただきます。今回のこの法案の大きな趣旨として、いわゆる臨時的、一時的な需給調整ということを一つの大きな目的として適用対象業務を自由化する、いわゆるネガティブリスト化するというふうになっているわけでありますが、専門的な二十六業務に限定をされた現在の派遣労働についても、先日の参考人質疑の中でも、何人かの参考人の方々からは、現場で起こっているさまざまな問題というのも披瀝をされたわけであります。
その中で、私自身が幾つか問題だなと思っておりますのは、今のこの二十六業種に限定している実態においてもというのが実は前提につくわけでありますが、この前、政府側の御答弁の中で、現段階での派遣労働者数が約八十六万人、登録型がうち約七十万人、これを常用換算すると約三十四万人程度になるんではないかというふうに言われました。この間の連合の調査を見てみますと、登録型派遣のいわゆる実労働日数というのは平均約三カ月程度という調査結果が一方であるわけであります。最長でも一年。
いろいろなデータのとり方はあるかもしれませんが、これも一つかなり広範囲のデータでありますので、こういった実態を考えてみますと、一言で言うと、結構、現在の派遣労働においても、一人一人のスタッフの人にとってみると、雇用が細切れになっている可能性は大きい。恐らく現実そうなんだろうと思うんですね。数カ月、二、三カ月働いて、一たんそこで契約が切れる、そしてまたしばらくインターバルを置いて派遣労働に行かれるという、かなり細切れの雇用になっているんだろうというふうに思うわけですね。
そうすると、今回業務を拡大するとすれば、今の専門的な業務であってもそういうことですから、こういう実態が大きく拡大していくという可能性が非常に強い。まして、その中で登録型ということになりますと、派遣労働できちっと派遣されていないときは雇用関係がなくなっちゃうということですから、その間は当然失業状態というのでしょうか、雇用関係にない、いわゆる雇用不安と言っていいんだと思いますが、そういう状況にある。それが一遍に拡大していくんではないかという大変大きな危惧感が、実は率直に言ってあります。
それでは、今この二十六業種に限定されている中で、企業サイドからすると、専門業種以外のところにどう対応しているかというと、推測するに、恐らくそこはパートさんとかアルバイトだとかというようなことでその期間は対応しているんだろうというふうに思いますが、それが、今度の拡大される法案の趣旨からいうと、拡大される派遣労働で置きかわっていくというふうに思われますね。
そうすると、登録型の場合というのは、スタッフの人たちからしても、今でもそういう細切れの雇用の実態からすると、雇用の状況からすると、極めて不安定な雇用という実態が大きく拡大していく危険性があるというふうに思われるんですが、この辺はどういうふうな御見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/6
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007・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 ただいま大臣から、雇用についても多様な選択肢を用意するという御答弁をいたしましたが、今般の改正は、派遣の世界におきましてもやはり多様な選択肢を用意していく、そういう新しいチャンネルをつくっていく一つの方策ではないかというふうに考えています。
今お話にありましたように、派遣労働者八十六万人のうち七十万人くらいは登録型の派遣労働者です。この方々の中には複数の事業所に登録をしている方もおられると思いますので実数は七十万より少ないと思いますが、いずれにしても、常用型よりは登録型の方が現在も多いわけでございます。
労働省で、今般の法改正に向けて派遣労働者から派遣労働に関するアンケートを行った結果ですが、今手元に正確な数字はありませんが、先般の委員会でも議論になりましたけれども、その中には、正社員になれなかったからとか正社員になるまでのつなぎだといった消極的理由で派遣労働に従事しているという方も確かにあるわけですが、そのほかに、働きたいときに働ける、だからいいんだとか、自分の特技を生かして働けるからいいとか、あるいは人間関係等でいろいろ煩わしいことがないからいいんだというふうに、そういったことを派遣の積極的理由として挙げている方が、消極的理由の方の、複数回答ではありますが、数倍、六倍程度に労働省の調査では達しているというふうな結果も出ているわけであります。
働きたいときに働けるから派遣で働きたい、あるいは、自分の特技を生かして働きたい、自分の好きなときに働きたい、こういったことは、何も現行の二十六業務だけに限った意識ではないと思います。したがって、日本の労働者の中には、こういった働き方を選好する人が相当ふえてきているというのが現在の実情ではないかというふうに思います。
そういった意味でいいますと、今般、我が国の雇用慣行にも配慮しながら、一時的、臨時的な派遣についてさらに業務を拡大するということは、労働者側のニーズにも十分合ったものではないか、少なくとも、新しい選択肢を提供して多様な働き方にこたえることができる一つの方策ではないかというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/7
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008・城島正光
○城島委員 前もそのデータを披瀝されまして、確かに、かなり多くの人の中に、今の派遣労働者の方の中にそういう意識が、積極的に派遣で対応したいというのがあるということは私も認識をしております。一方で、そういう中にあっても、今申し上げたように、雇用契約が切れるということについての、この前の参考人の中にもありましたけれども、不安と同時にいろいろなトラブルも現実的には非常に多いというのも実態だろうと思うんですね。働きたいときに働けるということも、そういうことになればそれは一番いいことではありますが、同時に、そういう意識の人の中においても、雇用形態が安定をするということは当然求められていることだというふうには思うんですね。
そういう観点も含めてみて、雇用の不安定化につながっていく、雇用の不安定化が拡大していくと言う方がいいと思いますけれども、という懸念というのはやはりかなり強いんだろうというふうに私は思います。
と同時に、先ほど少し論議をしたように、本来でいけば、これからの企業経営にとってみても、さらに今の専門的業務の中の人たちも、かなり自己研さん、自分の能力をアップしていくということが大事であり、そういうふうにされているわけでありますが、そういう人材育成あるいは教育ということをきちっとやる上においても、登録型というよりはきちっと雇用が確保されている常用型というのが基本ではないかな。派遣されている派遣先に行く以外、その契約が切れたときには本来の自分の企業、常用型のいわゆる派遣会社に戻って仕事をする、その中でさらに能力を磨いていくということが安定的に、計画的にできるのではないか。
したがって、専門業務以外のところに拡大をするのであれば、ますます、能力開発とか研修とか教育というのが実は非常に大事である。それをきちっとやる上においても、登録型ということではなくて常用型ということの方が極めてそういう面には合致しているのではないか。
したがって、二十六業種以外に拡大する部分においては、そういう面でいうと、やはり常用型ということを基本にすべきではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/8
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009・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 派遣労働者については、特に一定の水準の技能とか特技とか、そういったものが要求されて、企業の方も即戦力として派遣労働者を使用するというのが一般的な道ではないかというふうに思います。
法律の上でも、派遣労働者については、派遣元が教育訓練に努めなければならないというふうにされておりますし、また、私ども、許可に際しましては、教育訓練の計画というものを提出していただき、また、更新のときにも、実際にそれがどのように行われたかというふうなことをチェックをしているわけでありまして、派遣の事業主自身がそういうことに努めることはもちろんでありますけれども、行政としても、教育訓練に力を注いでもらうように努力をしているわけであります。
今般拡大される派遣は、特に一年以内ということですから、ますます短期の即戦力、そういった需要があるところに初めて需要と供給がマッチングするのであろうと思いますが、そういったことになりますと、派遣業者としても、派遣労働者としても、自分の特技をますます伸ばす、そういったことによって派遣業者あるいは派遣労働者の中における競争に勝ち抜くということもあるわけでございますから、短期であればあるほど、高い技能、能力を持った人が派遣としてうまくやっていける、こういうふうになるのではないかというふうにも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/9
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010・城島正光
○城島委員 考えられていることはわかるのですが、実態としては、先ほど申し上げましたように、今の専門的な業務の中でも、私も現場に入っていろいろ見たのですけれども、率直に言っていろいろな課題や問題があるな、現実問題としてはいろいろな問題があるなというのが率直な実感であります。
特に、そういう中で、先ほど申し上げたように、今回のこの法案の趣旨というのは、臨時的、一時的な雇用の需給調整ということが一つ大きなポイントになっているわけですね。私が本質的にかなり違うと思うのは、臨時的、一時的な雇用に対してということと、今までの専門的な業務の代替というものとは、かなり質的には違ってくる部分が大きいと想定されるわけですね。
そうしたときには、先ほど局長おっしゃった、今のスタッフの人たちの意識調査というのもそう大きく変わらないかもしれませんが、現実的に質的にかなり変わってきたときに、本当に、先ほどから申し上げている細切れの雇用になってくる。今でいけばパート、アルバイトといった人たちがやっているだろうところが、場合によっては派遣労働に置きかわっていく可能性があるということからすると、私は、現実問題を想定すると、恐らく雇用に対する不安というのはやはり強くなるのじゃないかなという危惧があるのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/10
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011・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今般の改正は、従来の日本の雇用慣行にも十分配慮をして、あくまで一時的なものに限るということにしまして、長期雇用とは一線を画した制度になっているわけであります。
その中における派遣の需給というのはどう伸びていくかということだろうと思いますが、先ほどから議論がありますように、そういった就労形態を希望する方、中には不本意で、正社員になれなかったのでという方もいらっしゃるわけですけれども、事業がだんだんと進展していくということになれば、やはり本当に希望する方と本当に必要とする企業との間でこういった関係は成熟していくというふうになるのではないかというふうに見ております。
我が国においては雇用の絶対数が不足しているという状況ではないわけでありまして、安定所だけをとってみましても、これは確かに臨時、パートも含むわけですが、年間五百万件くらいの求人はあるわけであります。
したがって、個人個人が能力を高めながらそういった常用雇用に進むという道は、我が国で絶対的にその需要が不足しているので何が何でも派遣しか働く道がないということでは、客観的にはないと思いますし、大部分の方は常用労働者として今でも雇用についておられるわけですから、派遣労働から例えば正規社員に移りたいというときには、何らかの形の能力アップを図りながら再就職あるいは転職、そういったチャンスというのは十分にあるのではないかと思います。
また、短期労働市場だけをとってみましても、一千万に上るパート労働市場が既に日本には形成されているわけでありますから、短期であるが直用を希望する方、短期であって派遣を希望する方と、いろいろな就労のチャンネルというのは徐々に整備されつつあるのではないかというふうに見ておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/11
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012・城島正光
○城島委員 現状の二十六業務限定という中でいけば、いわゆるある面での専門的な特技、技能を持った方が中心となった派遣になっているわけでありますが、何度も申し上げるように、今度、広くその対象業務を拡大するということになりますと、まさしくいろいろな業務の中で対応可能になってくる。それこそ一般事務といったことも対応可能になってくるわけなので、派遣されるスタッフの人の立場からしても、単に、高い、いわゆる専門的な能力ということを持たなくても、そういう一般事務のところへ派遣されていく、派遣が可能になるということでもありますので、選択肢はふえるという面は非常によくわかるし、認めるわけでありますが、拡大していく中で、やはり、現状の中でも何度も申し上げるような細切れの雇用になっているのが、そういう実態に一層拍車がかかっていくことは間違いないのだろうと私は思います。
局長おっしゃるように、既に今、パート、アルバイトの市場というのはかなり、労働市場としては一つの大きな分野を形成しているということもよく理解をしているわけでありますが、逆に、であるがゆえに、この部分については、いわゆる登録型ではなくて常用型の派遣労働ということに拡大する部分は、今の専門的なところは両方あるわけなので、今度拡大する部分は常用型雇用に限定をするということをやっても、基本的には、まさしく企業サイドからしても、あるいは今の労働者側の、派遣側のニーズからしてもそう大きな障害はないのだろうというふうに私は思うのです。
今回の法案の中で常用型の派遣に限るということがされない、そういうふうな決断をされない背景、理由は一体何でしょう。もう一度お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/12
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013・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今の点は、やはり労働者の意識構造も大きく変化をしておりまして、労働者の中には自分の働きたいときに特技を生かして働きたい、そういった方も実際問題としてふえてきている。フリーターという方、これがいい例になるかどうかわかりませんが、フリーターというようなことも、社会的に見てどうかということは問題があるかもしれませんが、実際にはふえてきているわけであります。
そういったこと一つとってみましても、やはり日本の国がこれだけ大きく成熟社会に入ってきたというふうなことも一つの背景だろうと思いますけれども、労働者が、何が何でも常用でなければいけないという人ばかりではない。少数ではありますけれども、登録型派遣で働きたいという希望も実際にあるわけでありますし、また、企業の方も、短期の労働力、即戦力を調達したいといった需要もふえてきているわけでありまして、そういった需給の双方を見ながら、今般の一時的、臨時的派遣の拡大について提案をしている、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/13
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014・城島正光
○城島委員 なかなかこの辺は平行線でありますが、言わんとするところは、不安定雇用が拡大をしないというところを、我々、私は特に問題というか懸念をしているところでありまして、少なくとも、今回のこの法案で、ネガティブリスト化によって不安定な雇用の状況に置かれている人が拡大をしないという対応はぜひ必要だろうというふうに思います。
そういう観点に立って少し問題指摘をしたいと思うのでありますが、雇用の安定化を図るためには、幾つか問題がありますが、特に社会・労働保険の適用問題ということが一つ重要なポイントではないかと私は思うのであります。
そういう点で、まず一点目は、派遣元が派遣先に対して社会・労働保険の加入状況ということをきちっと連絡をするという義務を明確にこの法の中ですべきではないかな、当然そうしてもおかしくないなというふうに思うのでありますが、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/14
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015・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 社会・労働保険の加入につきましてはしばしば問題とされ、また、例えば会計検査院からの指摘も受けるというふうに、やはりこの派遣労働の、特に登録型の弱点の一つではないかというふうに確かに見ているところであります。
そういった問題点も踏まえまして、今回の改正に当たりましては、社会保険等の適用について処罰をされた者については、これを許可の欠格事由にする、あるいは許可を受けていた者についてもこれを取り消し事由にするということで、社会保険、労働保険の適用の徹底を期するというふうにしているわけであります。
今お話のありました、派遣元が派遣先に対しまして派遣労働者の社会・労働保険の加入状況を連絡させるということも、これら制度への加入を促進するという点から大きい意味があると思いますので、こういったことの適用については十分検討させていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/15
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016・城島正光
○城島委員 ぜひそういう方向で検討をお願いしたいというふうに思います。
同時に、今既に局長触れられましたけれども、保険への加入ですね、派遣労働者そのものが社会・労働保険にきちっと加入するということの徹底を図るべきだろうというふうに思うのです。ある面では、社会人としてまた勤労者としての責務からも、そしてまた同時に自分自身の雇用をきちっと安定させるという意味からも、そういうことの徹底を図るようにすべきだというふうに思うのです。
確かに、今の規定でいくとなかなか煩雑なこともよくわかるわけでありますし、そういうことの改定も、ある面では念頭に入れなきゃいかぬ幾つかの施策があると思いますが、いずれにせよ、派遣労働者の皆さん自身が入る、そしてもちろん企業単位もきちっとそういうものに対応するということの徹底を図るための措置というのがぜひ必要だと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/16
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017・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今般、法改正によって社会保険、労働保険の適用の徹底を期する、そういう制度的担保も必要ですが、実際に、先ほど申しましたような、派遣元から派遣先に対してそういうことを徹底する、あるいは行政の面におきましてもそういう指導をさらに強めていくというふうなことによりまして、先ほどから議論がありますが、派遣労働が単なる不安定雇用になるのではないということの担保はきちんとしていかなければいけないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/17
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018・城島正光
○城島委員 今後ぜひきちっと、先ほどおっしゃいましたように、パート、アルバイトを含めて、こういった分野の労働市場というのが一つの大きな役割を果たすあるいは大きい市場になってきているということからしますと、こういった点の整備というのが絶対に必要なことだろうというふうに思うのですね。したがって、この新しいネガティブリスト化の方向であれば、それにタイミングを合わせてこの問題についてはやはりきちっと対応するという、相当な決意でこれに臨んでいただきたいなというふうに思います。強く要請をしておきたいと思います。
それから、これも現実の今の派遣労働の中で結構大きい問題というか、いろいろクレームが出てくる中で、派遣労働契約の中途解約の問題があるわけでありまして、これに対する保護措置について、指針に規定をされている措置があるわけでありますが、これも正直申し上げて、抜本的な強化というものが必要だろう、派遣先に対する損害賠償の実施等を含めた義務づけというのが当然ではないかというふうに私は思っているわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/18
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019・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 派遣契約の中途解除の問題でありますけれども、民事上は、派遣先が正当な理由がなくこれを途中で一方的に解約した、解除したというときには派遣元から損害賠償請求ができる、裁判上はそういうことになると思いますが、実際にはそういった手続をとることもなかなか難しい面があろうかと思います。
現在、指針におきまして、この問題につきましては、仮にそういった派遣契約の中途解除があるという場合には、派遣元は派遣先と連携して新たな就業機会の確保に努めるべきであるといったふうなこと、あるいは損害賠償につきましても適切な善後処理方策を講ずるべきでないか、こういったことを決めているわけであります。この損害賠償につきましては、適切な善後処理方策というふうなことで、なかなかこれが行政として明確な指針を示したとまでは言えないというふうに思います。
昨年八月の中央職業安定審議会の答申におきましても、この契約の中途解除につきましては、その措置の実効性を確保するため、指針の中でより具体的で実効性の上がる措置を検討すべきだということを御提言いただいておりますので、そういった審議会の御提言を踏まえて対応していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/19
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020・城島正光
○城島委員 この辺もぜひ義務づけが必要だというふうに私は思っております。先ほど申し上げたように、雇用の不安定化ということに絶対つなげない、つながらないということのためにも、この部分は特に重要ではないかというふうに思っております。
あわせまして、派遣元の事業主が派遣労働者に対しての、今おっしゃいましたようにいわゆる雇用主としての責任があるわけでありますので、これまた当然でありますけれども、派遣元事業主が労働基準法そのものを厳格に守る、履行するということをきちんと何らかの形で確保することが重要だというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/20
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021・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 派遣元事業主は派遣労働者の使用者でございますから、労働基準法その他労働関係法令の使用者としての責務を負っているわけでありまして、特に派遣労働者につきましては、労働時間の管理等々について、使用者としての責任も大変重いと思われます。こういった強行規定を派遣元事業主がきちんと遵守するということは当然であろうと思いますし、指導もしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/21
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022・城島正光
○城島委員 この件についてはぜひ強い決意で臨んでいただきたいと思います。
次に、この前から、本会議での代表質問等を含めて、私自身は極めてまだ不明確だなというふうに思っておりますのは、いわゆる派遣期間の限定のところの認定についてなんですけれども、特に、この法案中にある同一業務という表現ですね、これについて少し論議させていただきたいのであります。
法案中の同一業務とは、もう一度お尋ねしたいのでありますが、何を指すのかということについてお尋ねをいたします。
〔委員長退席、石橋委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/22
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023・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今般拡大される派遣の対象業務につきましては、これを一年以内のものに限るというふうにしておりますが、そこの規定は、派遣先は、同一の業務について、一年を超える期間継続して派遣労働を受けてはならないというふうに規定をしているわけでありまして、したがいまして、同一の業務の概念の確定ということは大変重要なことであるというふうに思います。
この業務という言葉あるいは同一の業務ということはかなり一般的な概念でありまして、かなり広義の意味を持った言葉であろうというふうに思います。したがいまして、これを無限定に使うということになると、内容が大変不明瞭なものになるというふうに思います。
まず、同一の業務ですけれども、派遣労働者を継続して派遣するという場合の最も典型的なケースは、前任の、前にいた派遣労働者がやめて、その後に別の派遣労働者を派遣する、前の人の穴埋めにまた別の派遣労働者が来るというふうなことが最も典型的な常用代替の例であろうというふうに思います。そういったことから考えますと、前の派遣労働者が行っていた業務、それが同一の業務という解釈もできないのではないかというふうにも考えられますが、やはりこれは少し狭義に過ぎるというふうに思います。
一般的に、企業におきましては、組織の最小単位であります係とか班、こういった名称が一般的かどうかは問題があるかと思いますが、いずれにしましても、企業の最小単位の組織というものにおいては、仮に何名かの労働者がいたとしても、それはそれぞれ互換性を持つ同一の種類の仕事をしている、同一の種類の業務に携わっているということが言えるのではないかというふうに考えておりまして、少なくとも、同一の業務の解釈につきましては、企業組織における最小単位である班や係、そういったところで行われている業務を同一の業務としてとらえる。こういうふうにとらえることが、今回の、特に短期派遣について常用雇用の代替を防止する、そういう改正の趣旨に沿う、そういった解釈になるのではないかというふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/23
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024・城島正光
○城島委員 もう一度確認をしたいんですけれども、そうすると、「同一の業務」という表現で「業務」という表現になっているんですが、業務ということを特定することは難しいということですか。であるがゆえに、いわゆる組織の最小単位と思われるところでしか規定できないということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/24
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025・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 現在の派遣の対象業務であります専門的な業務、二十六業務でありますけれども、この業務を政令で特定する場合にも、例えば「通訳、翻訳又は速記の業務」というふうに、職種の概念と両方あわせまして業務というものを特定している、こういったふうにしているわけでありまして、業務というだけではこの概念は非常に漠然としたものになるのではないかというふうに思います。
今般は、一定の業務を除きまして、原則として広く適用対象にしようということですから、職種とかみ合わせてこの業務を限定するとか、そういったことは不可能であろうと思います。
先ほど申しましたように、常用雇用の代替を防止する、こういった点から、例えば隣の席に移ればもう業務がかわったというふうなことはやはり狭義に過ぎると思いますので、組織の最小単位で行われている業務を一つの業務とみなして、その中で異動するということはやはりこの法律に触れる、そういった解釈で臨む、あるいは、組織でとらえますと班とか係といった組織の最小単位がとらえられますので、客観的にもこの概念がかなり明確になってくる、こういった点から、組織の最小単位でとらえることがふさわしいのではないかと思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/25
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026・城島正光
○城島委員 ちょっとよくわからなかったんですが、そうしますと、例えば最小単位を係だとすると、係をかわれば係の名称も変えることができるわけで、係をかわっていくことは、どうなんですか。同一業務との認定の中において、例えば同じ課の中に係が三つなら三つある、それを、AからA、B、Cというふうに移っていけばこれは同一業務とみなすのかどうか、ちょっと単純質問でありますが。係をかわれば同一業務じゃないというふうに単純に見ることができるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/26
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027・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 係や班と申しましたのは、一般的にそれが組織の最小単位を構成しているのではないだろうかということで一つの目安としてそう申し上げているわけでありますが、趣旨は、組織の最小単位というものにおいては同種の労働が行われているのではないかというふうに考えているわけでありまして、その同種の労働の行われているところを、この派遣法で言う、今般の改正で言う同一の業務というふうにとらえるべきではないかというふうに考えているわけであります。
ただ、現実には組織の形態というのはいろいろなものがあり得るわけでありまして、実態に即して判断をしなければいけないというふうに思いますが、現行法におきましても、派遣労働者の従事する業務の内容あるいは就業の場所、指揮命令権者、こういったものを契約において定めるというふうになっておりまして、これは、今般拡大される業務についてもそういうふうになっているわけであります。したがいまして、同一の業務の解釈に当たりましても、派遣契約に定められたこういった事項も大いに参考にしなければいけないかというふうに思います。
また、やはり企業の組織には実にいろいろなものがあるということを考慮いたしますと、先ほど申しましたような概念を中心にして実態に即した判断が必要であろうと思いますので、単に名称の上で係の間を異動したというだけでそれがもう同一の業務ではないというふうには言えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/27
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028・城島正光
○城島委員 確認なんですが、そうしますと、係をかわったということで同一業務ではないというふうに単純には判定できない、中身を見る、こういう御答弁ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/28
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029・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 企業によりましては、同種労働が行われていても、労務管理の必要性等から、そういう幾つかの係に分けるというふうなことは通常見られるところでありまして、そういった場合には、その同種のものを同一の業務というふうに見る余地は十分あろうかと思いますが、いずれにしても、そこのところはそれぞれの企業の実態によって判断される面が大きいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/29
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030・城島正光
○城島委員 そうすると、それはだれが判断するんでしょうか。同一業務あるいは同一業務ではないという判断はだれがするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/30
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031・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 まずは派遣契約におきまして、派遣先と派遣元が契約でそれを決めるということになると思いますが、これは強行法規の解釈でありますから、最終的には行政なり、あるいは本当に最終的には司法によって判断されることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/31
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032・城島正光
○城島委員 これは一年というところが今回の派遣法の大きなポイントになっているわけでありますが、しかし、その一年ということを規定するのが実はこの同一業務なんですね。そうすると、これが今局長御説明あったようなことですと、はっきり申し上げて、極めて不明確というのでしょうか、だれが判定するのかということによって解釈がかなり広がる可能性があるし、ここは解釈によって実はいろいろな運用が可能になるおそれがありませんか、今の御答弁では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/32
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033・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今般、臨時的な、一時的な派遣につきましては、その対象業務を原則として自由とするというか、広くこれを認めていくというふうにしているわけであります。そういった今般の法改正の趣旨、それと同時に常用雇用の代替は防止する、一年以内に厳格にこれを制限する、そういう立法趣旨を踏まえながら、御指摘がありますように、この解釈については、だれから見てもわかるという客観的な、明確なものにする必要があろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/33
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034・城島正光
○城島委員 明確なものにしないと、しかも客観性を持ったものにしないと、事実上、一年というのが意味がなくなる要素を秘めたのがこの表現ですね。ですからここは、今おっしゃったように、明確なものにするということなんですが、それにしても、今までの御答弁では、とてもじゃないけれども明確ではない。
しかも、実態を見るんだけれども、一つは、いわゆる組織の最小単位ということをもって同一業務と見る、そして解釈、運用することを基本的に考えているというふうに受け取ったわけでありますが、少なくとも組織の最小単位である係あるいは班というのが本当に同一業務として認定にふさわしいかどうかということについては、仮に係とか班が最小単位であったにしても、私は、現実の今の企業運営から見て甚だ疑問があるんですね。まして今、組織においては大体、一般的には組織のフラット化というのが進んでいまして、係、班というのは組織の最小単位ではない企業はかなりふえているんじゃないでしょうか。まず、その辺の御認識はいかがでしょうか、実態の認識ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/34
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035・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今企業経営もいろいろと変化を遂げておりますが、そういった中に中間管理職の排除でありますとか組織のフラット化とか、そういった現象が進行しているということは、そういうふうな認識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/35
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036・城島正光
○城島委員 そうすると、一般論として見ても、組織の最小単位、これを仮に同一業務ということに置きかえて表現するにしても、少なくとも係とか班という表現は極めて不適切ではないか。最低限一般的に通用するものであれば、課あるいは部という単位が今のところ最小単位としては共通的な状況ではないかと思いますし、それから、指揮命令権をだれが持つかということについても、これは最低その辺の単位ではないかというふうに思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/36
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037・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 係や班と申しましたのは、確かにこれは例示でありまして、基本的な概念は、同種労働を行って企業を支えている、そういった最小の企業組織、そういったものをこの改正法で言います同一の業務の判断の中心にすべきではないかというふうに考えているわけであります。
そういったことから申しますと、必ずしも係とか班とかいった名称ではなくて、そういったこともまだまだ日本の企業には多いと思いますけれども、同種労働を行っている組織の基本単位あるいは最小単位、そういったものによって判断するということだと思いますので、必ずしも名称がどうかということではないとは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/37
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038・城島正光
○城島委員 そうであるのですが、おっしゃっていることはわかるのですが、そうだとすると、同一業務というのは、具体的に業務としてあるいは職種として限定する、規定するのはかなり困難。したがって、それにかわって、恐らく今職場で同一業務ということで認定できるであろう職場の最小単位を一つとらえるかということだと思うのですが、そうであればあるほど、もう一つのポイントは、今申し上げたように、例えば派遣労働をこの職場に導入する、あるいはこの人にかわって派遣労働を入れようということを判断できる人というのは、少なくともそれはラインとしての明確な指揮命令、そしてその導入を決断できる人というのは、どう見ても係長とかあるいは班の班長ということではあり得ないと思うのですね。それは、僕は、部長なのか、大きい事業所でいけば事業所長なのかはあれですけれども、一般的に見たときにも、そういう点でいくと、最低限、課単位、課長単位ぐらいだと思うのです。指揮命令権あるいは派遣労働を導入するかどうかの判断をできる人という観点からも、明確に課単位以上ではないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/38
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039・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 組織の人事権ということであれば、これはかなり地位の高い管理者ということになると思いますが、そういった方は、一般には多くの係、班あるいは課、そういったものについての人事権を有していると思われます。
ここで問題になります同一の業務は、必ずしも同一の人事権者ということではなくて、やはりその組織の最小単位として同種労働が行われている単位、そういったものの中での、労働が相互に互換性がある、そういったところにおいてこれをとらえるべきではないかと思っておるわけでありまして、そういったところにだれを配置するかあるいは派遣を受け入れるか、そういったことの決定権とはまた別の問題ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/39
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040・城島正光
○城島委員 ただ、これはもう一つの側面からいって、途中で御質問したように、これは一年というところとほとんど同義語ですから、そうすると、この一年を限定してきちっとやる上において、恐らくいろいろな、何というのですか、一年を超えて派遣労働を受け入れようとすることも可能なところになるので私はこだわっているわけであります。先ほど申し上げたように、そういう人事権あるいは派遣労働を導入するかどうかの権限、そういうところを含めて考えないと、先ほどちょっとお聞きしたように、班とか係とか、あるいはそういう権限を持たないところの組織を基本に対応していくとすれば、いかようにでも組織をつくることができるわけですね。名前を変えるあるいは改廃をするということはかなり自由にできることは間違いないわけであります。
ただ、先ほど申し上げたようなそういった権限を持っている組織というのは、これはもちろん事宜において変えるわけでありますが、簡単に組織を変更することは難しいという要素を兼ね備えるわけですよ、そういう人事権も含めて持っている単位です。ですから、この問題は、簡単に組織を変えることはできない最小単位、安易に組織を変えることはできない最小の組織ということの意味合いから、指揮命令権そしてまた派遣労働を導入するかどうかの決断を持っている人の単位ということを私は申し上げたのです。
ですから、私は、少なくともそういう両面からしないと、これは本当にしり抜けになってしまうんじゃないかと思うのです。また、まさに悪用しようとすれば簡単にできる可能性があるのではないかというふうに思うのでこだわっているのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/40
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041・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 先ほど申しましたように、別に脱法的観点からというふうなことではなくて、同種労働であるけれども一人の管理者の管理能力を超えるというケースでは、同種労働であっても複数の係に分けるということは一般的に現在でもあるわけでありまして、そういった場合には実態に即して、係を超えたところに異動したとしても、名前ではなくて実態に即して判断すべきではないかということを申し上げているわけでございます。
したがいまして、脱法的に組織の改廃をして、同一の業務だというふうなことになればそれは脱法行為として是正をさせなければいけないと思いますが、中核的概念は、複数の労働者がいるときにその労働に相互に互換性がある、そういった組織の最小単位の中での異動、入れかえというふうなものは同一の業務ではないというふうには言えないというところを基本にして解釈していきたいと思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/41
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042・城島正光
○城島委員 ですから、今おっしゃったように、そういうことは脱法行為だと。でも、要するに、それが脱法行為かどうかということを判定するのは現実には大変難しいわけですよ。したがって、わかりやすく言えば、だれが見ても客観的にそういう判断ができるような基準をつくるということがポイントではないか、こう申し上げているわけです。
例えば今の局長の御答弁のままいくとすれば、これが脱法行為かどうかの判定すら難しいのじゃないかということを、私は、そういう表現で置きかえればそういうふうに申し上げているのです。ですから、そこは少なくとも、今申し上げたように、派遣労働を導入するかどうかの判断もできる、そういう指揮命令権者がいる組織というのが最低限の組織じゃないかというふうに思うのです。
同一業務ということを本来業務で特定すべきだと私は思いますが、それが現状難しいとすれば組織で置きかえる、それを受け入れるとすれば、その組織というのは、少なくともそういう派遣労働を受け入れるかどうかの判断が指揮命令権も含めてゆだねられている人が受け持つ単位というのが最小の同一業務ということの単位であるべきだし、そうでなければ、それ以下の組織であればいかようにでも組織を改廃することが可能であるという危険性を秘めているということを指摘すると同時に、一般的に客観性を持たせるとすれば、今私が申し上げたような単位で言えば、最低限、課というのがふさわしいのではないかというふうに、まとめて言えば言っているわけであります。
かなりこれに時間をとられているわけでありますが、ここは一年というところに極めて大きな関係があるので、再度御答弁をいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/42
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043・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 私どもは必ずしも人事権とか組織の管理権とか、そういったことで判断をしていないということは先ほどから申し上げているとおりですが、確かに日本の企業の実態というものはさまざまでありまして、どういった組織を有して事業を行っていくかということもさまざまであろうと思います。
基本的な解釈を中心としながら、やはり違法派遣を行った場合には行政処分の対象となりますし、派遣先についてもこれが公表というようなことにもなるわけでありますから、それぞれの企業にとっても大きな問題であります。したがって、これは客観的に、しかもわかりやすい明確なものとなるように、基本概念を中心としながら、その適用については関係審議会の意見を十分聞きながら明確にしていく努力が必要というふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/43
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044・城島正光
○城島委員 客観的、しかもだれが見てもこれが同一業務であるのかないのかという判断ができるような基準をぜひつくっていただきたい。それなしにはこの一年というのが有名無実化する危険性をはらんでいるということを申し上げておきたいと思います。
同様に、この一年というのがここでもし仮にきちんとなったとしてですけれども、派遣期間一年以上使用する場合の雇用の義務についてであります。努力義務規定を派遣先企業に課すということになっておりますが、ただ、これは先日の委員会で、ただしそのポストについて派遣先の事業主が新たに雇おうとする意思がないときは適用にならないという御答弁をされておりますが、これはそのとおりでいいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/44
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045・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 企業に対して特定の労働者を雇えというふうに雇用義務を課するということは、現行の日本の法制ではなかなか難しい面があると思いますし、また、必ずしもそういったことについて現在十分な社会的コンセンサスが得られているとも考えられないわけでありまして、今おっしゃいました雇用に関する努力義務規定というのは、派遣労働者の雇用の安定と、先ほど申しました使用者の採用の自由といいますか、そういったものとのぎりぎりの調整点ではないかというふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/45
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046・城島正光
○城島委員 そうするとやはり、派遣先の事業主がそのポストに新たに雇おうとする意思というのが、まあ想像するに多くのところは、今の企業環境からすると、ないということは十分想定をされるわけでありますが、そうしますと、これは努力義務規定といっても、現実的にはほとんど効果がないと見ていいのですか、その場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/46
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047・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 これはその努力義務規定の前提の要件ですけれども、例えば三カ月でも採用して通算して一年を超えたときにはというふうなことではなくて、あくまでも同一の派遣労働者について一年を超えて採用したということですから、一年間使用してみて、その人は十分その企業にとって有益な人であるという評価もあっての上でのことだというふうに思いますので、この規定が効果がないというふうには必ずしも言えないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/47
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048・城島正光
○城島委員 でも、企業が、派遣先の事業主が新たに雇おうとする意思がなければ適用にならないということであれば、余り効果がないのではないかなというふうに思うわけでありますが、そうしますと、前回の参考人の中でもありました、例えばヨーロッパ、ドイツあたりであるみなし雇用みたいな規定というのは導入できないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/48
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049・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 この点は、先ほども申したことですけれども、我が国の法体系のもとでは、事業主には採用の自由、営業の自由といった権利が保障されているわけでありまして、これを制限するものとしては、例えば障害者については一定の割合の方を採用しなければいけないというふうな雇用率の制度、あるいは採用に当たっては男女で差別をしてはいけないという均等法の制度、こういった制度はあるわけでありますけれども、さらにそれを超えて、具体的にこの人を雇え、あるいは雇ったものとみなすというふうなことは、雇用というものが特に長い継続的な関係であるというふうなことを考えましても、なかなかそれは困難ではないかなというふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/49
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050・城島正光
○城島委員 現在の法体系からいって難しいというのは、確かに、今の法体系からいってそうかもしれません。ですから、これは、いわゆる短期雇用のこういった労働を含めた、法体系のこういった部分についての見直し、あるいは三年後の改定あたりで一つの検討課題として取り上げていくという方向ではどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/50
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051・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 この制度はこれから始めてみようというところでございますから、やはり運用の実績とかそういったものを見ながら検討していく課題であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/51
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052・城島正光
○城島委員 ぜひこの辺も御検討いただきたいと思うのであります。
あわせて、五月十一日のこの委員会において、参考人の皆さんから大変貴重な意見あるいはアドバイスをいただいたわけでありますが、特にその中で一点、政府の方に確認をしておきたいと思う点があります。
龍谷大学の脇田参考人から、イタリアと韓国では、過去一定期間内に労働者の解雇等を行った派遣先への労働者派遣が禁止されているということが言われまして、資料にもそういうのが出ておりました。これらの国に比べて、今回も含めてでありますが、我が国の派遣法の労働者の保護措置というのは弱いのではないかという意見陳述があったわけでありまして、この指摘について政府としてはどういう御見解をお持ちなのか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/52
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053・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 脇田参考人の意見陳述におきましてそういった意見の開陳があったということは承知をしております。
そこで、例えばイタリアについて見てみますと、確かに、派遣前十二カ月ですか、において労働者の解雇等があったときには派遣を禁じるというふうな制度がありますし、韓国におきましては、大統領が定める一定の期間内にそういった解雇等があった場合には派遣を禁止するという仕組みになっているようであります。それぞれまだ発足したばかりで、運用の実態等がどうなっているかよくわかりませんけれども、法制上はそういう仕組みをとっているところであります。
ところで一方、イタリアにつきましては、そのほかいろいろ仕組みがあるわけでありますけれども、産業レベルの全国協約において認められた場合に派遣が許されるというふうな仕組みになっておりますし、また、派遣期間の制限もございません。それから、韓国におきましても、派遣期間の制限は、今回の我が国のような業務単位の制限ではなくて、派遣元事業主を変えれば期間の制限なしに労働者派遣を受け入れることができるというふうになっておりまして、国情の違いというかそういったことによって、派遣制度全体の仕組みを見ていきますと、それぞれに似たところ、違ったところというのはいろいろあるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/53
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054・城島正光
○城島委員 ということは、イタリアとか韓国といったものと我が国の、それこそ社会経済環境というのはかなり異なる、あるいはまた今までの法律の積み上げにも違いがあるということから、こうしたイタリアとか韓国の制度のある部分だけを取り出して比較をする、あるいはその一部を取り出して我が国の法制化の中に入れ込むということについては無理があるという御答弁だと思います。
そういう指摘であれば、それは一定の理解ができるわけでありますが、先ほどのみなし雇用もそうかもしれませんけれども、我が国の今回の改正案の内容というのは、そういった点からすると、今の我が国の経済環境あるいは社会環境、そういった面の実情に合った、適正な就業機会の拡大、あるいは常用雇用労働者の代替を防止するといった点や労働者保護の実現といった観点に立って見ると、まさしく実効ある内容であるということを言い切れるということでしょうか。
〔石橋委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/54
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055・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 臨時的、一時的な派遣ということは今般の新しい制度ですが、その他労働者の保護という点について言いますと、派遣法制定以来十数年を経過しているわけでありまして、こういった問題は、派遣元、派遣先あるいは派遣労働者、こういった三者の間でおのずと一定の秩序が形成されてくるべきものであろうというふうに考えているわけであります。
雇用についていろいろな選択肢を用意するといった意味でも、それが有効に活用されるということは必要なわけでありまして、そういうふうに考えておるわけでありますが、大変残念なことに、まだ派遣労働者の地位というものは確かに弱い面があって、いろいろとこの制度についての苦情もあるというのが実情ではないかというふうに考えているところであります。そういった点では、今般適用業務が飛躍的に拡大されるわけですから、労働者の保護についても十全を期するということは必要だと思いますし、ILOの百八十一号条約においてもそういうことがうたわれているわけであります。
まず、一時的、臨時的派遣の担保ですが、これにつきましては、先ほどのような同一の業務という概念を使って、派遣先がかわっても派遣労働者がかわっても、いわゆる通算してこれが一年を超えてはいかぬというふうにしているわけでありますし、その違反に対しましては、派遣先には公表等の制度、あるいは派遣元には行政処分あるいは罰則、こういったことによって担保しているところでございます。
また、労働者の保護につきましても、従来から苦情の処理等々について規定があったわけでありますが、今般新たに、特に労働者のプライバシーを保護するという点から、個人情報の収集、保管等についての規定を新設すること、あるいは秘密を漏らしてはいけないというふうな禁止規定を新たに設けたこと、さらには違法事案がある場合の労働大臣への申告制度の設置とそれを理由とする不利益扱いの禁止の規定の新設、そういったことや、あるいは、従来から派遣元が事業主であるということでこちらの方には相当厳格な規制をかけていたわけですが、派遣先についても、これから派遣労働が広く広がるということであれば、派遣先における就業環境の整備、あるいは派遣先の労働者が利用しているような福祉施設については、派遣労働者もこれを利用できるようにすべきではないか、こういったふうな点を新たに盛り込んでいるわけでありまして、労働者保護の強化あるいは働きやすい職場環境の整備、こういったことについて相当の充実を見ているのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/55
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056・城島正光
○城島委員 わかりました。
ただ、こういう点については、いいとこ取りだけをするわけではありませんが、全体の法体系との整合性をとる中でも、やはり海外の例も参考にしながら、より実態に即して実効ある内容としていくべきだろうというふうに思います。特に、これから三年後の見直しも含めて、海外の動向や今申し上げたような観点での検討を積極的にしていっていただきたいなというふうに思います。
それに関連してでありますけれども、いわゆる派遣労働の対象外業務、除外すべき業務について二、三確認しておきたいというふうに思います。
この対象外業務については、その業務を対象外とするかどうか、その判断については中央職業安定審議会の意見を聞くということになっているわけですね。
一九九六年の改正時の国会論議においては、病院における介護労働への派遣制度の適用については、介護労働そのものが、医師、看護婦を初めとするチームと一体となって提供しているものであり、患者の生命と健康に直接かかわる職種という特殊性にかんがみ、そのための教育研修等はその施設内で行うことが重要であるというようなことの中で、これはひとつ検討していこう、こうなっている業務だというふうに思いますが、この件についての確認。
あわせて、私は、派遣労働にふさわしくないところとしては、労使関係上からいいますと、労働組合との窓口になっている労務担当、あるいは企業によって言い方はいろいろあるわけでありますが、そうした人事労務担当、労務部門といった業務は、これはやはり派遣労働の対象外ということではないかというふうに思うのでありますが、その辺についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/56
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057・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 これは、専門的な業務あるいは労務管理について特別な配慮が要る業務、いわゆる二十六業務について、そういった時代の議論でありますけれども、看護婦やあるいは介護の分野、こういったものについてこれを対象とすることについてどうかというふうな議論が過去にあったことは事実であります。
また、今般も、派遣にふさわしくない業務というものについては政令でこれを除外するという道が開いておりますので、そういった、今申しましたような分野についても当然これから議論になろうかというふうに思っております。
今御指摘の、人事労務管理部門についてはどうかということにつきましては、人事とか労務管理といったものが企業の外の人によって行われる、そういったケースが生じるかどうかですが、極端に言えばそういったことも考えられなくはないので、これについては絶対に除外すべきだというふうな意見が従来から出されているというふうなことは承知しております。
いずれにしましても、これは改正法が成立いたしました後に、政令の中にどういったものを盛り込むかということを、関係審議会に諮りながら、あるいは業所管官庁ともいろいろ意見交換しながら考えていく事項であるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/57
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058・城島正光
○城島委員 もう一つ、かなり実態を見ると難しいなというふうに思う点が一つあるので、この辺も、実態認識と今後の対応をもうちょっとお尋ねをしておきたいんですが、いわゆる請負です。請負と今回の派遣との区分け、区分というのは、これは大変悩ましい問題だと私は実は思っているんです。現実問題としての請負の実態は、偽装派遣と言った方がいいと思いますけれども、そういう実態が、一般的とは言いませんが、かなりの頻度であるのではないかというふうな実態認識を私はしているんですけれども、これは行政としてはどういうふうに現状をとらえられているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/58
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059・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 請負と申しますのは、あくまでその事業が請負事業者自身によって行われるということが基本でありまして、人事管理にしろ仕事のあんばいにしろ、そういったものはすべてその企業の指揮命令のもとに行われるというものが初めて請負であるわけで、こういった派遣と請負の区分につきましては、派遣法制定時からその判断基準というものを示しているところであります。
ただ、これも残念ながら、特に製造の現場において、いわゆる偽装請負、偽装派遣、こういったものがまだ見られるというのが事実ではないかというふうに思っていますが、これは今般の派遣法の改正に関する中央職業安定審議会の建議におきましても、この辺についてさらに明確な基準を立てる必要があるというふうな指摘を受けておりますので、そういう努力がさらに必要ではないかというふうに思いますし、そういったことに基づいて、そういうことが行われることのないように指導を徹底していくということが必要であろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/59
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060・城島正光
○城島委員 この辺は既に区分けについて、確かに、おっしゃるように通達が出ているわけでありますが、実態として見ますと、現状なかなかそういうふうにいってないということだと思うんです。ですから、この辺は、本当に明確な基準、区分けの明確化というのをやはり各経営陣、経営側に徹底を図らないと、現実はなかなか難しいテーマだと思うんですね。
ですから、これは明確化と同時に、どうやって徹底化を図っていくかということが実効を上げるにはポイントだと思うんですが、既に今一つの基準はあるわけですね。あるんだけれども、なかなか進んでない。恐らく今回も、明確化しても場合によってはなかなか進まない可能性があるんですが、徹底を図るための対応策というのはどういうことをお考えなのでしょうか。あるいは、今まで既に通達等を含めて明確にされたのがあるんですが、この間どういう取り組みをされてきたのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/60
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061・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 派遣法の制定時に、請負と派遣との区分というものにつきましては基準を発表して、それに基づいて指導を行ってきているわけであります。
ただ、先ほど申しましたように、まだそういったケースが特に製造の現場において見られるということで、これは、例えば労働者からの申告があったというふうなときに、安定機関がこれについて監督をするというか指導いたしましてその是正をさせてきているケースがまだあるということでございます。製造の現場は除くことにしているわけでありますが、今般非常に派遣の対象が広がるということになると、ますますそういった指導の強化ということが必要であると思いますし、その点、私どもは体制の強化ということについて十分検討しなければならないというふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/61
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062・城島正光
○城島委員 実効あるものにするのは大変難しいわけでありますが、ここも、行政として徹底化を図ることを相当強い意志を持ってやらないと、この問題はなかなか現実的には解決するのが難しいテーマではないかというふうに思っております。ぜひ強い意志を持ってこの解決に向けて努力をしていただきたいというふうに思います。
最後に、時間がほとんど参りましたので、不安定雇用の防止という観点に戻るわけでありますが、一点だけ要請あるいは御見解を承って終わりにしたいと思います。いわゆるクーリング期間の話でありまして、同一業務について派遣労働者の使用が終了した後、当然ある一定期間を置くべきだというふうに私は思っております。新たに派遣労働者の使用を開始するまでの期間を当然設定をされると思いますが、私は、常識的には最低三カ月程度の期間が必要ではないかというふうに思っておりますが、これについての御見解を承りたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/62
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063・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 この問題は「継続して」という文言の解釈になると思いますが、どのくらいの期間があけば継続してということに該当しないのかということも、これについても客観的に解釈を確定していく必要があると思いますが、今御指摘のあった三カ月というふうなことも十分念頭に置いて検討させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/63
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064・城島正光
○城島委員 ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/64
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065・岩田順介
○岩田委員長 次に、河上覃雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/65
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066・河上覃雄
○河上委員 公明党・改革クラブの河上でございます。
四十分でありますので、私は、さまざまなこれまでの議論を通じて出てきたものの中で、特に業務そして期間の問題、この点に重点を絞りまして何点か御質問をいたしたいと思っております。
私の一番確認したいところは、同一業務という中身の点でありまして、その前提といたしまして、まず冒頭確認をいたしたいのは、今回の改正で、労働者派遣事業の対象業務を、現行の専門的または特別の雇用管理を必要とする二十六業務とそれ以外の業務の二本立てにしたという点です。この二本立てにいたした理由はどういう考えに基づくものでしょうか。この点、まず御回答いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/66
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067・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今回の改正は、労使のニーズにさらに合致をさせるということで、派遣労働の対象業務を原則自由にする、一定の業務を除いてすべてこれを対象業務として認めていくという方向で改正を考えているわけでありますが、ただその場合には、我が国の雇用慣行に十分配意をいたしまして、これはあくまで臨時的、一時的な労働にしようということで大方のコンセンサスが得られたものであるというふうに考えているところであります。
従来の二十六業務は、専門的な業務であったりあるいは雇用管理について特別の管理が必要だ、そういったものについて派遣を認めていたわけでありまして、こういったものであれば常用代替というようなことも起こらないのではないか、あるいは派遣労働者の雇用の安定も図れるのではないか、こういったことから従来二十六業務が派遣の対象になっていたと思います。
その結果、法施行後十数年経まして、数十万の方がこういった分野で既に能力を発揮して働いておられるという実績もあれば、企業にとっても、そういった専門能力を市場から即戦力として調達できるということについては、十分その必要性が感じられているというふうなことがあると思いますので、従来からの二十六業務については、従来の制度としてこれを引き継ぐことが適当ではないかというふうなことで、確かに二本立てではあるのですが、そういったことから今般の改正を考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/67
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068・河上覃雄
○河上委員 いろいろ御説明いただきましたが、帰するところは、現実にこの二十六業務で仕事に従事されている方がいらっしゃる、これが主要な要件のように受けとめられます。
しかし、私もようわからないのですが、二本立てにすると難しい問題がいっぱい出てくるなということが、この質問の前に整理をいたしますと改めて出てまいります。むしろ、わかりにくさと混乱を実態論の上では招くのではないのか、こういう懸念がありますので、今の御回答に沿いながら、次に、では業務とは一体何なんだろう、この点からさらに質問を求めてまいりたいと思います。
改正案は、労働者派遣事業の対象業務を、港湾運送そして建設、警備業務、さらにその他審議会で定める業務を除いた業務、こう位置づけているわけでありますが、では、ここに言う業務という意味はどういう意味になるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/68
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069・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今回の改正案におきましては、港湾運送業務、建設業務、警備業務その他審議会の意見を聞いて政令で定める業務についてはこれを適用除外とすることにしておるわけでありますが、この業務というのは、一般的に申し上げますと、個々の労働者が通常継続して行っている仕事といったふうな意味ではないかと思います。先ほど述べました建設業務等々以外の業務については、これはすべて今回の拡大される対象業務となる、そういった意味合いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/69
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070・河上覃雄
○河上委員 つまり、辞書を開いて見てみますと、業務とは職業上の仕事と書いてあるのですね。今局長も、業務とは仕事の意味なんですということですね。ネガティブ化をするわけです、対象業務は原則自由化になるのですから。ネガティブ化に伴う業務という意味はどういう位置づけになるんだろうなという疑問があって私は聞いているわけであります。つまり、仕事なら何でもいいことになるわけで、今の四つの事項以外の業務であればいいということになっていますが、そういう視点からも、ここに使われている業務というのは非常にあいまいさが残るわけであります。
これを受けながら、もう一つ、それでは第四十条の二第一項の同一業務というのはどういうふうに理解をすればいいのか。この規定の同一業務というのは、今安定局長が言った一般論としての業務の意味なのか、あるいは法的な意味を持つ同一の業務となるのか、どう理解すればよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/70
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071・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 この同一の業務につきましては、これについて一年を超えて継続して派遣を受けてはならないというふうに規定している禁止規定の概念の中核をなすものであります。したがいまして、単に同じ仕事というふうな意味ではなくて、今回の改正法上、法的な意味を持つものであるというふうに理解をしております。
また、この同一の業務ですが、翻訳の業務とか通訳の業務とか、そういった縛り方をすることができないと同時に、広く対象業務を広げる、その一方で常用雇用の代替は厳にこれを防止する、そういった今回の改正の趣旨から考えますと、同種労働が行われている企業の最小単位、そこで行われる業務が同一の業務として理解するのが最も的確なのではないか。これは先ほど申し上げていることでございますが、そういうふうに解釈をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/71
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072・河上覃雄
○河上委員 ですから、同一の業務というのは、一年の縛りがかかっている、この縛りを超えるのかあるいは未満なのかということを担保するために同一の業務、こういうふうにせざるを得ないのだろうな。私もこれは理解しなくもないのですが、ともかく、業務あるいは同一の業務、この業務そのものの内容が、業務として位置づけようとすると非常に無理がある。今局長は、組織の最小単位、班とか係とか、こういうふうに限定されましたが、別なことを置かないと、これは多分実際上、運用する場合にさまざまな問題が起きてくるだろうと思うわけであります。
今申し上げてきた点を考えましても、私は、この労働者派遣事業制度については、可能な限り客観的かつ具体的にこの業務の中身を詰める必要があると考えております。特に、第四十条の二の第一項、同一業務については、今お話がありましたように、課よりも小さい組織単位である係や班とする考え方だけでは、制度の運用に混乱が生ずるおそれもあると思います。したがって、ぜひとも、この同一業務の中身、これは冒頭申し上げましたように、可能な限り客観的に、そして書き切れるところまで具体的に書いていただいて、そして、あわせてこれを審議会の場においても十分御検討する、こういう方向で臨んでいただけるかどうか、これに対する御回答をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/72
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073・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 係や班というのは、組織の最小単位としての一つの例であるというふうに思います。実際には日本の企業にはいろいろな組織形態というものがあるわけでありますから、この解釈については、できるだけ具体的に判断ができるように、だれが見てもわかるというふうなものにしなければいけないと思いますので、審議会の意見も聞きながら、こういった場合にはこうだというふうなことを具体的な例で示すということもしながら、その具体化、明確化に努めていく必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/73
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074・河上覃雄
○河上委員 今、業務の話について何点か確認をしながら御注文いたしました。
視点をちょっと変えまして、今度は、派遣労働者が現行の二十六業務に派遣された場合と、それ以外の業務に派遣された場合では賃金に差が生ずると私は考えるのですが、この問題についてどうお考えでしょうか。これからの質問につきましては、二本立てになっているところの問題点を御質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/74
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075・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 現行の二十六業務はそのまま存置するということですから、今回の改正によってその分野において特に賃金の変動が生じる、そういった影響があるというふうには考えられませんが、新たに派遣の対象となる業務はこれは広く一般にということでございますから、いろいろな形態があって、必ずしも専門的な職業でないもの、業務でないもの、そういったものも当然対象にはなり得ると思います。
ただ実際には、短期、即戦力ということですから、一定の能力を持った人、すぐ使える、そういった人について需要がある、一般に広く広げるといってもおのずと限度があるというふうに思いますので、そういったことであれば市場の需給の中で賃金は決まっていくというふうに思います。したがって、二十六業務に比してこれが必ず低くなるというふうなことも一概には言えないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/75
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076・河上覃雄
○河上委員 具体的に聞きます。
派遣元と派遣先の間で一年間の派遣の契約を締結した場合に、派遣元が派遣労働者に対して二十六業務かあるいはそれ以外の業務かということを明示しないまま派遣する。この場合、今回の法改正では、二十六業務の場合には実質三年間が更新を含めて担保されることになるわけですね、大臣。ところが、二十六業務以外の場合は一年間、更新なしということになるわけでありますので、雇用義務が生ずる一年を超える今回の二十六業務以外の点。この二十六業務という仕切りとそれ以外の業務という仕切り、区別というのは、運用上も非常に実効性を欠くような問題が生ずるのではないかと私は心配するわけであります。
派遣された人が、派遣先に行きまして、二十六業務で行ったのか行かないのかわからない。派遣の期間が切れるときに、いや、あなたは二十六業務で来ているんだから来年も来てちょうだいという話になるわけであります。だから、ここら辺でいろいろな問題点が出てくるわけでございますが、今私が申し上げたような例はこれは違法の派遣となるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/76
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077・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 従来は二十六業務に限定されていたために、例えば添乗の業務について言いますと、添乗の業務はできるけれどもそれに伴う営業活動のようなものは認められないということで、非常に使いにくい制度だというふうな指摘もあったわけでありまして、今般そういったことは解消されるということになりますが、やはりこの二本立てになっている弱点、問題点の一つが今おっしゃったようなことではないかというふうに思います。
派遣契約の中では、派遣労働者が従事する業務というものを派遣先、派遣元の契約の中で書くということに現行法でもなっておりますので、この点については、明確にそこのところは規定していただくように指導する必要があると思いますし、その中に二十六業務が含まれるのであれば、政令の第何号に言うこの業務であるというふうなことをはっきり明記していただきたいというふうに思います。そういった指導をしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/77
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078・河上覃雄
○河上委員 やや回答まで含めてお話をいただきましたが、ですから私は、これらの問題を整理するために、派遣元は、二十六業務に該当するかそれ以外の業務に該当するかというのは今後きちっと派遣労働者に対しても明示の必要があるのではないのか、こう考えるわけでありまして、これについてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/78
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079・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 従来の二十六業務と拡大される業務とを一緒にやるというふうなことが先ほどの御質問ですが、これは直ちに違法になるということはもちろんないと思いますが、今おっしゃいましたように両方あわせて行うというふうなときには、派遣期間の長さとかそういった点でいろいろ問題が生じる余地が十分あるわけでありますから、このことを労働者自身がよく承知をして派遣されるということは重要なことではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/79
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080・河上覃雄
○河上委員 今少し議論をいたしてまいりましたが、現行の二十六業務とそれ以外の業務の区別、仕切りはなかなかつきにくい側面がある。ですから、運用があいまいになりますと制度それ自体の整合性を欠くことになりますし、かえって派遣労働市場というものが混乱するおそれがあるのではないのかと私は考えます。
この二本立ての制度を前提として、私が今指摘をいたしましたようなことをまとめてもう一遍御見解を賜りたいと思いますが、この指摘に対する認識、そしてこの制度の適切な運営に向けた考え方は今後どうするのか、御答弁をください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/80
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081・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今般、派遣の対象業務が広がるということによって、労使のニーズに合致する面も大きくなっていくというメリットはあるかと思っておるわけですが、この制度が、従来の業務と新しい短期の業務と二本立てになっているというところからくる問題点も、御指摘のように確かに生じる面があるわけであります。
こういったことを防止しまして、一体どういった業務について派遣されているのか、それに対して法律のどちらの規定、一年なのか、あるいは三年までできる業務なのかといったことがあいまいにならないように、そういったことでの制度運用上の混乱を防ぐ、そういった観点から、派遣契約の締結あるいは派遣労働者の就業条件の明示を初めとしまして、法制度のさまざまな運用の場面場面で十分な配慮を払ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/81
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082・河上覃雄
○河上委員 二本立ての意味を業務の側面から今御質問いたしたわけです。
今度は、二本立ての期間という側面から幾つか、業務と期間の問題をからめながら質問をいたします。
二十六業務以外の業務は原則一年で更新をできない、こう今回は法改正でしたわけです、先ほどもやや触れましたけれども。今度は、二十六業務に係る現在の取り扱いをなぜ継続したのだろう、一年間ではなくてこれを実質三年とした、二十六業務を実質三年に継続したことの意味について御回答をくださいませ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/82
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083・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 この二十六業務は、専門的な業務あるいは労務管理について特別の配慮を必要とする業務ということでありまして、こういった業務については、派遣労働者の雇用の安定とかあるいは常用雇用の代替とか、そういった点での問題は少なくとも少ないのではないかというふうなことで、従来から、期間更新によって三年まではいい、あるいは特別の労務管理を必要とするものについては期間の制限がない、こういった取り扱いがなされてきたわけでありまして、現在においてもそういった意味というものは変じていないのではないかというふうに考えております。したがって、こういったものに限定して見れば、従来の制度を維持することも十分意味があるというふうに思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/83
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084・河上覃雄
○河上委員 現実的には業務でも混乱が生ずるし、期間の違いについても混乱が生ずるところなんですね。だから、私は、今御説明をいただきますが、なかなか期間の問題についても意味の理解をしにくいわけでございます。労働者派遣事業のあり方を臨時的、一時的な業務、そして常用代替防止という大きな観点から考えますと、二十六業務についても一年間、更新なし、こういう考え方にむしろ整理されるべきじゃないかという考え方を持ちます。この考え方についての労働省の御見解をください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/84
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085・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 二十六業務につきましては、今般特にそれを変えなければいけないという積極的な理由はないのではないかというふうに思いますし、そういった専門的業務につきましては、今後とも、そういった方の能力の発揮とか、あるいは常用雇用の代替にはならないといった面でそれなりの存在意義がもちろんあるというふうに思っているわけでありますが、いずれにしましても、短期、臨時というのは、法律が成立しますればこれから初めて始まる、我が国で初めての仕組みでございますから、従来のものとそういったものとが混在をして世の中にあるといったことがどういった弊害があるのか、あるいは、それぞれのメリットを生かしてこれがうまくそれぞれ伸びていくのか、これからの問題に負うところも大変多いと思っているわけでありまして、法施行後の需給の実情等も見ながら検討する課題ではないかというふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/85
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086・河上覃雄
○河上委員 いずれにしろ、ぜひ御検討いただきたいと思います。私は、業務の側面あるいは期間の問題、二本立てにすることによって運用上さまざまな混乱が生ずるのではないか。むしろ、これから実施した場合にも混乱を招く要因が大きく残るんではないのかという感想を持ちます。これは実施をして実態を明らかにしていく中でまた議論をいたしたいと思っておりますけれども。
そこで、抽象論でいろいろ話を進めますとなかなかわかりにくい問題があります。私も、あれ、これはどういうことになるんだろうな、具体的に考えますといろいろな疑問がわいてくることがありますので、ここから先はやや具体的なケースを五通りばかり申し上げますので、これが違法な派遣になるのかどうか、これを御説明いただきたいと思います。
まず一つは、派遣先の同一事業所の同一業務について、例えば、一月から四月、六月から九月、十一月から二月と四カ月ずつ仕切りまして派遣労働者Aの派遣を受けることは違法の派遣となりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/86
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087・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今挙げられたケースでは、一月—四月の次は六月—九月というふうにおっしゃいましたから、一つの派遣が終わって次の派遣が始まるまでに一カ月間のクーリング期間といいますか、そういったものがあるケースでございます。
ただ、これは、一月から始まった派遣が同一の業務について行われて、終わりが次の年の二月になりますから、通して見れば一年二カ月ということになっているわけでありまして、この継続してということにつきましては、派遣が始まったときから暦の上で継続して一年をいう、こういう趣旨でございます。
したがいまして、今のケースですと、最後の派遣が始まって、これが十二月末日を超えたという時点から違法なものになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/87
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088・河上覃雄
○河上委員 今のケースの場合は、十二月を超えた段階から違法の派遣となるということであります。
次に、派遣先の同一事業場の同一業務について、A、B、Cという三人の異なる派遣労働者の派遣を、今申し上げましたように、一—四、六—九、十一—二、こういう形で四カ月ずつ分けて受けることは違法の派遣となりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/88
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089・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 同一業務について、A、B、Cという異なる派遣労働者の派遣を、先ほどのようなケースで四カ月ずつ分けて三名を受け入れたときはどうかということでございますが、同一業務についての一年の派遣ということは、これは派遣元がかわるあるいは派遣労働者がかわりましても通算して一年をカウントするということでございますから、今のケースですと、最後のCという方が十二月を超えたところでやはり違法派遣というふうになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/89
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090・河上覃雄
○河上委員 Cさんが十二月を超えると違法派遣となる、こういう解釈です。
三つ目に伺います。先ほどは二例とも同一業務でありましたが今度はそれとは異なる業務、派遣先の同一事業場の同一業務とは異なる業務に派遣労働者のAさんを、一番先に申し上げましたように四カ月ずつに分けて受けることは違法の派遣となるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/90
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091・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 それぞれ異なる業務につきまして、例えば初めの業務にAさんが四カ月派遣をされ、一定の期間をあけてその同一人物が次の異なる業務に派遣をされた、こういったことでありますと、業務が異なるという前提でありますから、異なった業務についてはそれぞれ一年以内の派遣ができるわけでありますから、御指摘のようなケースについてはこれは合法的にできるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/91
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092・河上覃雄
○河上委員 今のは合法であると。
もう一つは、派遣先の同一事業場の同一業務とは異なる業務、これを四カ月ずつA、B、Cの異なる派遣労働者、これを受けることは違法派遣でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/92
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093・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今の件も、同一業務とは異なる業務に、例えば最初の業務にはAという方が四カ月、しばらくしてBという方が別の業務に四カ月、最後にCという方がこれまた別の業務に四カ月ということであれば、それぞれは一年間を超えておりませんから、それぞれ違った派遣として合法的なものになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/93
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094・河上覃雄
○河上委員 A、B、Cがいずれも異なる業務で就労するならば、これは合法であるという見解ですね。
ではもう一つ。今度は角度を変えまして、派遣先の同一事業場において、派遣労働者AさんがB業務に三カ月就業して、若干の間隔を置いて派遣労働者のCさんがAさんの業務とは異なる業務に九カ月間就業する場合は違法の派遣となりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/94
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095・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 三カ月と、若干の期間を置いて九カ月ということだけを見れば、これは十二カ月、一年を超えるわけですけれども、前提が同一事業場における異なる業務ということでありますから、そういった前提であれば、それぞれについて派遣期間を計算することになりますから、今のケースは合法的なものになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/95
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096・河上覃雄
○河上委員 今五例を示してまいりました。実際こういうように活用されるのかと思うんです。
しかし、これだけ例示を挙げながら御質問を申し上げましたが、一番目、二番目のケースは違法になる部分が生ずる、あるいは三番目は全くの合法。期間それから業務、二つの要件が重なることによっていろいろなケースが出てくる。それでこれが運用されるわけでありますので、私は、さっきから申し上げているように、こういう二本立てはどうも混乱が生じることが多いんじゃないのかなという懸念を持つというふうに申し上げているわけでございまして、この例示をいろいろ考えておりましたら、パズルのように何通りも組み合わせられるものですから、私も途中でこれ以上やるのはやめようと思ったぐらいでありまして、いろいろございます。
例えば今は四カ月間ずつ仕切って一年を超える形の質問をいたしましたが、今五例申し上げましたけれども、例えばこの期間が一年未満だったらではどうなるんでしょうか。全部合法になりますか。今五例は一年を超えてでありましたが、三カ月間に区切って今の五例を当てはめたら合法になるのか違法になるのか、言ってみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/96
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097・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 継続してといいますのは、暦の上で継続して一年というふうに解釈をしておりますので、一月一日から派遣が始まればその年の十二月末日までの一年間というふうに解釈をしておりまして、その間、例えば三カ月単位の派遣が繰り返されて通算して一年以内であるということであれば合法でありますし、さらに、これが違った業務について一年以内に同一人物がまた行く、あるいは別の方が違った業務について派遣をされる、それが一年以内というふうなことであればそれぞれ合法的にこれが派遣ができるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/97
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098・河上覃雄
○河上委員 起こり得る問題点を指摘させていただきました。これらに支障がないような中身にして実施をいたしたいと私は考えますし、業務の中身を特定する作業というのはここですぐさま結論が出るような問題ではないとも考えますし、ぜひとも、衆知を集めながらしっかりした中身にしていただきたいということを強く要望いたしたいと思っております。
ちょっと視点が外れますが、もう一つ、対象業務のネガティブリスト化に伴って、ある意味では派遣先の責務ということを今後詰めていく必要があるのではないのか、私はこう考えております。参考人に対してもこれらの点については私自身伺ったわけでございますが、この派遣法が成立して以来十数年が経過するわけでありますが、制定当時の議論の中に、使用者に対する規制というものは、日本の事業規制法ではユーザーに規制をする例がない、特定分野に極めて限られていた、そしてもう一つは、社会的なコンセンサスが十分に得られないという観点で使用者の責任というものは排除された、こういうふうに聞いております。したがって、雇用関係を結んでいる派遣元に一元的に派遣労働者に対するさまざまな責務が課されているわけでありまして、派遣先にはこの責務というものが薄い形でしか現在は担保されていないということになるわけです。
私は、時代も変わりましたし大きく変化をいたしました、二十六業務というポジの時代からネガに切りかえようとしているわけですから、この時代の変化に合わせて、今後は派遣元だけではなくて派遣先に何らかのやはり責務というものを考えるべきではないだろうか。そして、派遣労働者が守られるし、また生き生きと働ける環境というものを整え整備をしていく必要があるんだろうと考えます。これは、使う側にとっても大事な視点であるし、使う側の方も自己自身で責務はきっとお感じになっていらっしゃるだろうけれども、これらの問題、きちっとすべきであると私は思っております。
その意味で、対象業務のネガティブリスト化に伴いまして、派遣先の責務の内容は、労働省としては今後どのように変わるものと考えていらっしゃるか、これについての御見解をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/98
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099・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 派遣労働は、派遣先、元、派遣労働者という三者の関係でありますから、確かにそこからいろいろな問題が生じているわけでありまして、そういった中でも、派遣労働者に関する雇用責任、使用主責任というものはきちんと明確にしておきませんと、派遣労働者の保護もあるいは労働条件の整備も図られないと思いますので、今後とも派遣元が使用者責任を厳格に負うという基本線は変わることはないというふうに考えておりますが、その派遣元の責任、義務、そういったものに加えて、派遣先においても派遣労働者の就業環境の整備に努める、プラスアルファでそういうことを派遣先にもしていただくということは十分意義があるし、これから派遣業務が広く広がっていく上でもそういった配慮が必要ではないかというふうに考えております。今般の改正法案におきましても、派遣先における就業環境の維持ですとか、診療所や給食施設等の利用について派遣先が便宜を講じるように、そういった規定も盛り込んだわけでありますし、派遣先の講じる措置については、具体的にさらに指針で明らかにしたいと考えているところであります。
また、トラブルの防止等につきまして、派遣元だけではなくて派遣先につきましても、派遣される労働者が派遣法の違反があるというふうに労働大臣に申告をすることができるというふうにいたしましたし、また、そういったことを理由にして不利益取り扱いをするということも、派遣元についてもこれを禁止するというふうなことにしているわけでありまして、使用者責任を、派遣元にこれがあるということを明確にしながら、さらにその上にプラスをして、派遣先についても一定の責任を負わせていくということは、就労条件の改善等にも大いに意義があるというふうに思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/99
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100・河上覃雄
○河上委員 もう一点、育児と介護の側面から質問をいたします。
育児休業、介護休業の代替要員についての労働者派遣については、今回のネガティブ化に伴いまして特例事業が廃止になっております。これによって製造業の直接生産工程の業務、これが抜け落ちることになるのですが、仕事と家庭責任の両立の観点から、私は残念な気がいたします。これを対象とすべきではないのか。
あわせて、企業の自主努力によりまして設定された、例えば法律は三カ月でありますがそれを一年という場合には、その対象期間もあわせて対象と考えるべきではないのか。私は、この点はぜひとも何とかしなければならない問題である、こう強く思うわけでございますが、これについてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/100
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101・甘利明
○甘利国務大臣 ただいま河上先生が御提起された問題は非常に重要な問題でございまして、御案内のとおり、今までは育児・介護休業法の特例でそういうことが対応できたというのが、今度はそれを派遣法で引き取ってしまうわけでありますから特例がなくなってしまう。そうすると、今までできたことができなくなってしまうという逆行するおそれは当然ありますから、それは、先生の御指摘も踏まえまして、これから中央職業安定審議会にお諮りをするわけでありますけれども、省令によりまして今までと同様に措置ができるようにというふうに検討していきたいと思います。
それから、後段の点であります、企業独自で法律に上乗せをした育児休業制度、それに対して一年という縛りがかかってしまうとこれも非常に使いづらくなる。現に、育児休業の前段に産前休暇というのが当然ありますから、それだけでも超えてしまうではないかということでありまして、これに関しましても、御指摘をいただいているところでありますし、中職審の意見を聞いた上で、労働省令におきまして育児休業等に準ずるものとして定めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/101
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102・河上覃雄
○河上委員 間もなく時間でして、せっかくお出ましいただいて、きょうは本当は大臣と、雇用保険の問題、そして五月中に取りまとめられる予定になっております次の雇用対策の話、そしてぜひとも、昨今総理が御熱心のようでございますが産業競争力強化法、これらの話について議論をさせていただきたいと思っておりましたが、あと二分程度しか残らなくなってしまいました。
一点だけ。これは大臣の所管でありますから、雇用対策。総理も昨今は、雇用対策が一番重要だ、こう、海の向こうでも国内にお戻りになられても大分声高にお話しになっていらっしゃる。したがって、この五月中に予定する雇用対策の中身、その骨格がどのようなものになるのか。できればこれは大臣にお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/102
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103・甘利明
○甘利国務大臣 四月二十三日の閣議におきまして、総理から、特に雇用が、今までも大事だし、現在、これからさらに重要になってくる、政府を挙げて取り組んでいきたい、特に労働大臣は、通産大臣や文部大臣等関係大臣、関係省庁と連絡をとって、新たなる雇用対策を策定せよという御指示をいただきました。
これを受けまして、今事務的にも関係省庁で詰めております。私なりのアイデアもありまして、それも俎上にのせるようにということで指示をしておるわけであります。
まだ他省との詰めがありますから、私の思いだけでこういうことになりますというのはまだ言えないのですけれども、考え方としては、今深刻になっております、特に中高年ホワイトカラー層に対して、カウンセリングから始まって、入り口から出口、つまり再就職にきちっと当てはめるまでを一連の体系としたいと思っております。
その際には求職者の自主選択性というものを大幅に加味して、求職者の意思に沿って職業訓練が行われ、そして職業が用意をされるように、現在ある求人あるいはごく近未来に起こってくる求人の探り出しとあわせて、うまくマッチングするようなシステムが組めたらというふうに思っておりまして、これは通産省の力もかりて組んでいきたいと思っております。
そのほか、文部省は文部省なりに、通産省は通産省なりに、軸足、視点は違うと思いますが、いろいろ案が出てきますので、五月中のうちに詰め終わって発表できるようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/103
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104・河上覃雄
○河上委員 ありがとうございました。
大事な問題だと思います。この場ではなくて、また別な機会をぜひ設けていただいて、今申し上げたような議論をぜひともいたしたい。委員長にもお取り計らいをお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/104
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105・岩田順介
○岩田委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十一分休憩
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午後一時二十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/105
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106・岩田順介
○岩田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。寺前巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/106
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107・寺前巖
○寺前委員 前回に続きまして、質問をやらせていただきます。
私、この間表を歩いておりましたら、日本IBM株式会社というところの労働組合が出しておるビラを受け取りました。このビラを見て、ほう、えらいことになっておるんだなと改めて思いました。そのビラを見ていると、こう書いてあるのですね。「全世界のIBMで社員半減 利益は史上最高」「大企業の人減らしでますます広がる雇用不安」、こう書いてある。
それで、直接IBMの人に話を聞いてみました。コンピューターのトップを行く世界的な大企業で、売り上げは年間十兆円だ。そのIBMの一〇〇%出資の子会社である日本IBMの売り上げも、そのうち一五%を超えるという状態になっておる。九三年以降を見ると、売上高、経常利益とも伸びていて優良企業だ。しかし、ここの正規従業員は、八四年のときには二万五千人おったものが、あれから十三年たってきた今日になると、次々に減らされていって、五千人減や、二万人だとか、現在では二万人をさらに割ってどんどん減り続け、あと五千人減らすのではないかと言われて、四人に一人の人減らしだということで働いている人たちが不安がっている。
このIBMの藤沢工場に働いていますという人に会いました。この藤沢工場は、聞いてみますと、二つの大きな製造現場のうち、パソコン組み立て部門はすべて業務請負になっているんだ。必要に応じて三百人から八十人が働いている。正規社員は二十人いるだけなんだ。もう一つのハードディスク製造部門では、働いている六百人のうち、常用労働者は百人だけで、五百人は一〇〇%子会社から出向の名目で常時働いているという。ここでは、九百人のうち九割に近い八百人が正社員でないという驚くべき実態に変わってきている。
政府の今度の法案の提案あるいは討議の中を聞いていますと、常用労働者の派遣労働者への代替を防止するという言葉を繰り返し聞かされてきたけれども、実態は既にこうやって代替に定着していっているのじゃないだろうか。私は、こういうやり方が大企業で公然と許されてきているということについて異常さを感じるのですが、大臣、いかがなものでしょうか。こういうことについて、いいことだなと思っておられるのか、これは異常だ、こんなことは何とかしなければならぬと思われるのか、まずその所信を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/107
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108・甘利明
○甘利国務大臣 企業の経営者がいかに他社との競争に勝ち抜いていくか、それは当然、その経営判断としていろいろな視点があろうかと思います。その際に、法律に違反するような行為があっては断じてならぬことでありますし、基準法を初め労働法令に違反するようなことがあるならば、それは厳正に対処をしてまいります。
そして、私は個人的な思いも含めて、適正利潤は適正利潤として確保をしていただく、それは当然企業の目指すところでありますが、過当な利潤を確保するために雇用に手をつけるということは、企業経営者のモラルとしてあってしかるべきことではないというふうに思っておりまして、企業家の責任としては、適正利潤を上げて、それを税としてそのうちから国家に納めていただく、そして従業員の福利厚生にも目配り、気配りをし、雇用の確保という社会的責任も全うしていただく。トータルとして企業としての責任を果たしていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/108
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109・寺前巖
○寺前委員 社会的責任を負えよといったって、常用代替をしていくようなことになったらえらいことだということを、私は大臣がどう言われるかなというふうに思っていたところです。
ところで、この問題については、職安はもちろんのこと、労働省、中央にまで問題を持ち込んできた経過があるということを聞きました。それで、初めのうちは、個々の派遣労働者がラインにくしの歯のように配置されていた。服装もそこの労働者と同じ服装をやっていた。指揮もちゃんとIBMの正規職員の手でやられている。こんな派遣労働というのは派遣労働法から見てもおかしいじゃないかということで、職安に言いに行ったというのです。
そうしたら、職安はその場で何も話をしてくれぬで、事態がどんどこ、変わっていくことは変わっていった。変わっていった行き先はどうなったんだろうか。結局のところ、派遣労働者だけのラインをつくってしまって、そのラインについては、その請負会社の方と会社との間に、請負だよということで、服装は変えるわ、まじっていたところの姿は変えてしまって、そして請負という形態になってしまった。だけれども、内容的に見たら、派遣労働者は派遣の会社へ行ってそこで仕事をするということにおいては、従来と少しも変わらない。職場の中におけるところの自分の存在の場所が違った形で存在し始めただけだったのではないか。
そうすると、職安に何回か行った、労働省本省にも行った、そして結果は、請負だという形態になったらもうそれで指導は終わりだということになるのかいな。何のことはない。それだったら、わしらは何のために訴えに行ったかわからぬという気持ちになるということをそこの労働者は言うわけです。
さあ、IBMの問題は、何回か本省にも交渉に行ったという話だから、どんな指導をしたんだ。請負をやりなさいという形態の指導に持っていくということが今の指導方向なんだろうか。それとも、待てよ、こんなところに請負の派遣の仕事を持ち込んでくることは許されないことだと、頭から否定しかかって抑えてしまうという方向に持っていく指導をしたのか。私は指導の姿を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/109
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110・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今御指摘の件は、平成九年の秋のことであると思いますが、日本IBM藤沢事業所において、別の企業が請負形態ということで仕事をしていたという件であると思います。
平成九年の十一月に、ある労働組合から、日本IBM藤沢事業所において、いわゆる偽装請負といいますか、IBMの社員とその下請というか請負と言っているところの企業の職員が同じような仕事の仕方をしているというふうな申し出が公共職業安定所にあり、以後、公共職業安定所において、請負ということをきちんとするというふうなことで指導をし、翌年、平成十年の三月にそういったことで是正をされたというふうな報告を受けております。
製造の現場について、確かにいろいろといわゆる偽装請負というふうなことがあるといったことについて、安定機関としても指導や監督を行っているわけであります。ただ、企業の中において、別の企業が請負としてそういった事業を遂行する場合があるということ自体は法的に禁止されているわけではございませんで、それが、禁止された派遣業務の脱法を目的として、形は請負であるが実態は派遣であるというふうなことになったときに偽装請負の問題として出てくるわけでありまして、こういった問題が危惧されまして、派遣法については、その制定当時から、請負と派遣との形態、こういった点を区分すべきである、こういった基準でこれを区分すべきであるという基準をつくりまして、そういったことに基づいて運営しているわけであります。例えば、事業の遂行について、その請負会社が自分の責任と権限においてこれを行うこと、こういった基準をいろいろ立てておるわけでございます。
したがいまして、ある企業の工場内、敷地内、そういったところで別の企業が一部の事業を請け負ってこの事業を遂行するというときに、それが完全な請負の形を備えていれば、もちろん法律上は問題ないということになるわけでありますが、形を変えた偽装請負であるということになれば厳しく取り締まりをする必要があるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/110
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111・寺前巖
○寺前委員 それは、偽装の疑いがあるという場合には取り締まりますのやという話や。現にあなた、こういう違法行為があるということで改善をさせていった結論が、請負という格好だけはつけた。だから、労働者から見るならば、どこが変わっているんじゃと。どこが変わっているんじゃというぐらいだったら、これは偽装だと。偽装としてレッテルを張って規制を加えるということが指導できなければ、指導できるような法提起をするなり指針をつくらなければならない。
私、ちょっと関係の職業安定の方にお話を聞いてみたら、こう言っていましたよ。昭和六十一年の派遣と請負の判断区分の大臣告示があるんだ、それに基づいて、請負というのはこういう条件さえそろえば請負なんだということが書いてあるので、これは請負なんだ、だからそういう方向に整理をしたら何も違法になりませんよと。違法にならなかったら、それじゃ、違法になるようにきちんとしなかったら、先ほど言ったように、この雇用の形態というのは、何ぼあなたたちが常用代替の道をいろいろ制約しますのやと言ったって、それは生きてこないことになるじゃないか。
今度のこれを見てごらんなさいな。今度の法改正の附則四のところに、何人も、物の製造の業務云々については、当分の間、労働者派遣事業をやってはならない、製造部門ですから、これはやってはならないと。だけれども、こういう形態があるんだから、この形態を学ばれたならば、それは別ですよということを言っているのだったら、国会までこんなことで承認をしておったら、実態に合わぬじゃないか、国会まで愚弄されたことになってしまうじゃないか。
私は、本当に労働省ありというのだったら、あの大臣告示だけではいかないのだったら、ちゃんといける告示に直してしまったらどうなんだ。本当にこの精神というのは、製造部門については当分の間やったらいかぬと言うんやったら、やったらいかぬらしくしなかったら、偽装請負という形が存在するということを認めていることになるじゃないか。
この問題は、見直してくれるんかどうかというのは、この法律自身を審議するに当たって、いいかげんなことで我々こんなものに賛成するということになったらえらいことになるから、私ははっきり言ってもらいたいと思う。事実上、偽装請負になるようなことは絶対に許さないから、その区分の問題については、従来型の問題については見直しをやりますと言い切れるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/111
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112・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 当然のことでございますけれども、偽装請負は禁止をされ、請負は法的には認められた仕事のやり方であるということでございます。
先ほど申しましたように、この派遣法の制定に当たり、特に製造業の現場における派遣というものは従来から禁止されているといったことにかんがみまして、偽装請負と請負との区分の基準について、これを法制定当初から定めているわけでありますが、昨年五月の中央職業安定審議会の建議におきまして、「いわゆる偽装請負、違法な労働者派遣への対応を図る観点から、労働者派遣と請負の区分に関して、必要な業務について、関係者が的確な判断等を行うことができる具体的な基準を作成することが適当である。」というふうにもされているところでございます。過去のいろいろな事例も参考にしながら、この建議の内容も踏まえまして、さらに明確な基準の樹立について努力をする所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/112
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113・寺前巖
○寺前委員 もう現に起こっている問題について、改めて見直しを要求したいと思います。
次に、このときに会ったところの派遣労働者が見せてくれた給料表というのがある。私、何げなく見ておったら、私に言わせれば、違法派遣のもとで働いている労働者の給料明細なんだ。ところが、健康保険も厚生年金も入っていない。収入を見ると、十何万円という数字がちゃんと書いてありました。何で入っていないのだろうか、大量の人が派遣会社からそこへ行っているのにこんなことがあるんだろうか、不思議だなと思ったが、厚生省、おられますか、こんなことあるんですか。
私は、社会保険にこういうふうに派遣会社で入っていないということについて、各年度別に、最近の五年間でもいいですよ、去年の分だけでもいいです、今までにどれだけの訴えがあったのか、あるいは調査をされたことがあるのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/113
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114・宮島彰
○宮島政府委員 お答えいたします。
健康保険の適用につきましては、当該労働者が当該事業所と実質的に常用的使用関係があるかという点につきまして判断した上で適用するということになっておるところでございます。
常用的使用関係があるか否かということにつきましては、労働者の労働日数あるいは労働時間、就労形態、職務内容等を総合的に勘案して認定するということとなっております。使用期間につきましては、二カ月を超えて引き続き使用されている場合は、健康保険の一般の被保険者となるという適用をやっておるところでございます。
お尋ねの数の関係でございますけれども、私どもの方におきましては、適用事業所なり被保険者数につきましては、基本的に農林水産業なり卸売業といった業態別の統計の把握という形を行っておりますが、派遣業という形での区分の数字は、現在のところ把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/114
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115・寺前巖
○寺前委員 特に登録型の派遣労働者というのが派遣会社では圧倒的部分を占めている。その諸君たちは、文句を言うたら次の世話をしてもらえないというところから、文句を言いがたい事態にある。それで、そういう言いがたい事態の人は国民健康保険で済まさせられているという実態も非常に多い。
それは、契約の内容とも関連するから、そうであるのはけしからぬというふうには一概に言えないと思う。だけれども、一定の基準で許されるものだったら、ちゃんと社会保険として適用しなさいよという指導を、この派遣業界が二十六業務から原則自由化するという方向に向かうということになるならば、派遣会社におけるところの社会保険への参加の実態について調査をやっていただきたいと思うんですが、厚生省、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/115
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116・宮島彰
○宮島政府委員 派遣労働という形につきましては、その中には非常に短期あるいは断続的に雇用が行われるという就労形態もございまして、いわゆる派遣元の事業主の方におきまして健康保険制度の理解がまだ不十分である面もあるんではないかというふうに考えられます。
したがいまして、私どもとしては、やはり事業主に対しまして、制度につきましてきちんと理解をしていただき、適正な届け出をやっていただくというための指導の強化を行いますとともに、現在、社会保険調査官によりまして各個別の事業所調査という形のものをやっておりますが、この中でも、派遣事業所についても重点的に調査、確認を行いまして、事業主に対します一層の啓発、指導を行ってまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/116
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117・寺前巖
○寺前委員 労働省は、派遣労働者が雇用保険なり健康保険なり厚生年金なりをきちんと受けられる状況にあるのかどうか、なかんずく登録の労働者についてどういう実態にあるのか、つかんでおられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/117
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118・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 今ちょっと手元に資料がございませんけれども、労働保険の適用等について調査をしたことがございまして、たしか先般の委員会で数字を申し上げたと思います。
ただ、そのときの調査というのは、大変短い期間の方については、そもそも保険制度の適用がないというような方があって、本来適用がある方についてどのくらい適用があるかという調査は、確かに遺憾ながらございません。その点については、さらに実態を明らかにしていく必要があろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/118
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119・寺前巖
○寺前委員 私、この間質問したときに数字が出まして、雇用保険は登録型六三・二%とか健康保険四九・八%とかおっしゃいましたので、えらい高い数字が出るんだなと不思議に思ったものですから、直接担当のお方にお聞きしました。
そうすると、その調査というのはアンケート調査で、事業所千九十五、そして労働者として答えていただいた方が二千十四人だというんだから、登録型の労働者だけでも七十万人からおるという実態で、これがイコール、こうやってほとんどの人がなっているというふうに見るわけにはいかない。まして、これが普遍化させて原則自由になったら、一体これはどうなるんだろうかというふうに言わざるを得ないと思うんです。
そこで、労働者として、やはり健康保険とか年金とか、あるいは雇用保険というのは非常に大事な位置を占めてきます。この前、私ここで質問をやらせてもらいましたが、銀行に行ってみると、銀行で募集をやるときに、もう社会保険なりそういうものに入らなくてもいいような条件下での募集を公然とやっているわけです。
例えば、雇用保険だったら、一年以上引き続き雇用されることが見込まれることということで制約を加えるとか、あるいは社会保険だったら四分の三以上であることとか、そういう制約というのが事前にあって、制約の範疇内における派遣労働者の募集をやってしまう。そうすると、そういう社会保険が適用されない条件を知った上でお行きになるんですからということで、長期にわたって社会保険なり労働保険なりの権利が奪われたままで労働者が派遣されていく。
こういう労働者層が、一つは偽装という形でもって雇用形態になっているし、一つはまた、こうやって受けなくてもいいような条件づくりでもって組織されていく。さあ、年がいったときに、果たしてこういう事態の中でよい人生であったなとだれが語ることができるでしょうか。
私は、先ほども言いましたように、こういう代替の姿になっていった原因というものが、安上がりで労働者を使うことができる、そのためには出さなくていいものは削っていったらいいんだという発想が資本家の中に流れる。こういうときに、こういう問題についてどうしようかという方針を持たないままに全面的に解除してしまうということを許しておっていいんだろうか。改めてもう一度その点について聞きたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/119
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120・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 労働者が派遣という形態で働く、そういった働き方を選ぶかどうかというのは、大臣も再三答弁しておられますが、これはあくまで選択肢の問題であろうというふうに思っておりまして、もう何度もこの委員会でも議論になっているところですが、実際に派遣労働で働いている方について、そのメリットを強く意識して働いている方が圧倒的にといいますか、相当多いように思っております。
そういった方たちの選択肢をさらに広げるということで今回派遣労働についての拡大を図る、かつ、一方で、派遣労働者のプライバシーの保護とかといったことに十全を期するということで、あわせて法改正をお願いしているところでありまして、労働者の意思に反してこの派遣形態を押しつけるとかといったものではもちろんございません。
ただ、社会保険等の適用の問題は大変重要な問題でありまして、会計検査院からもその不適用について指摘をされたということもございます。そこで、今回は改正におきまして、健康保険等の規定によって処罰された者については、これは事業としての許可の欠格事由に該当することといたしましたし、既に許可を受けている者についても、こういったケースがあった場合には許可の取り消し等を行う、こういったことでさらに制度としては一層の整備を図ったと思います。
ただ、実際の適用の問題としましては、派遣元事業主がきちんとこの義務を履行する、法律を守るという姿勢が大事なことでありますから、そこのところにつきましては、厚生省とも連携を図りながら一層指導をしていかなければいけないというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/120
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121・寺前巖
○寺前委員 私は、全面化する以上は、そういう対策を全面的に見直してもらう必要があると思いますよ。
その次に、この前残した問題で、時間がもう来ましたので、聞いておきたいと思うんです。
一つは、この間、常用代替の防止だということで、専ら派遣の問題について聞きました。そうしたら、私の聞き違いであるならばあれですけれども、局長さんは、定款で複数の銀行に派遣するとか規定していれば専ら派遣ではないんだと言われたんです。
ところが、昭和六十二年三月に発行された「労働者派遣法の理論」という本の中に、これは職業安定局長であったお方がお書きになったものですが、判断基準は、定款等に記載され具体的に明らかにされている事業目的だけではなく、事業運営の実態にも照らし、客観的に特定の者への労働者派遣を目的としているか否かにより判断すると書いてある。
書いてあるからというて、いいというわけにはいかぬ。私は、明らかに変化を加えたんだな、これではインチキな派遣会社になるな、専ら派遣で取り締まるんだということを言っておったって、書いてあったらよろしいんだということでは、これは実態的ではないから、これは困るなと。これは、この間の質問に対するあなたの答弁でこのまま捨ておくわけにいかないので、それをひとつ聞きたい。
それからもう一つ、特定の銀行のみに派遣したことが明確になってきた場合に、現行法の四十八条では勧告とか、四十九条の改善命令を出すことになっているのに、それが出されていなかった。今後、このような専ら派遣会社の許可は取り消すのかどうか。きちんとしてもらわなかったら、平気でインチキなことがまかり通っていくことになるじゃないか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/121
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122・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 まず、これから派遣事業を行おうという事業主については、これが専ら派遣であるかどうかというチェックとしては、先般申し上げましたが、定款等に記載されている事業目的によって判断をする、あるいは、法律で事業計画を出すことになっておりますが、労働者派遣事業計画書に記載されています派遣先の確保の対象地域や方法によって、広く派遣先を確保するものであるかどうか、こういった点によって、これは許可するときには書面審査で対応せざるを得ないわけでございますが、実際に営業を始めたときになかなか注文が来なくて、結果として一つの企業との取引が多いというふうなことはあろうかと思います。そのことをもって直ちに専ら派遣とはいえないと思いますが、ほかの企業に対しては全然営業活動もしていない、宣伝することもしないというふうな実態があるとすれば、これは専ら派遣に該当すると思いますので、その点については是正をさせなければいけない、そういった運用で臨みたいと思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/122
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123・寺前巖
○寺前委員 前の局長さんが、派遣労働法ができてから二代目になるのかな、加藤さんが一番最初の局長さんだと思うから、その次の人が書いた本だと思うのです。その人の、実態を見た上でやらなかったら、専ら派遣というのは、書いてあったからではだめなのだよという指摘は、これは守るのか守らないのか。守るというふうに理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/123
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124・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 ただいま申し上げましたように、これから派遣事業を始めよう、そのために許可をとろうというときには、これは定款等によって判断することになりますが、今おっしゃいましたように、実際に営業活動に入ったというときには、もちろん実態を見て専ら派遣かどうかの判断をすることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/124
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125・寺前巖
○寺前委員 もう時間が来ましたので、きょうはこれで終わりますけれども、私は、実態として常用の代替の方向に流れているし、それから、労働者の条件がこうやって老後まで考えたときにえらいことになるなという姿を見たときに、こういういろいろな問題が起こっているのに、これを促進させる役割を担うようなことは政治はやってはならないということを、あえてもう一度強調して終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/125
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126・岩田順介
○岩田委員長 次に、濱田健一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/126
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127・濱田健一
○濱田(健)委員 きょうの質問の冒頭に、これまで申し上げてまいりましたこの派遣労働という部分については、派遣元の労働者の質を高めていくということで、教育訓練の重要さが論じられてきたというふうに思うわけでございます。
現行の専門的、技術的な二十六業務以外に今回の法律案では門戸が開かれることになっているわけでございますが、いろいろなアンケート等を見ておりまして、現在の景気の低迷ということも含めて、派遣料金が低くなっていく傾向というものが、本当に専門的、技術的業務以外にたくさん見受けられるように思っているわけでございます。当然ながら、派遣元が派遣会社として利益を追求するという意味では、どういうところでコスト削減するかというときに、教育訓練費等の削減をやっていく可能性もあながち否定し得ないと私は思っているわけでございますが、今回の法改正の中では、仮にそういう事態が生じた場合には今回の法改正の意義を失わしめてしまうというふうに思うわけでございます、そういうことはないとは思うのですが。
そういう意味で、法改正の趣旨に忠実に沿う運営等を図っていくためにも、派遣元は教育訓練を確実に履行するように、許可に際しての厳格な判定、許可基準の厳格化、教育訓練をしっかりやっていくのだよということの指導の徹底も図る必要があるというふうに思っているわけですが、局長、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/127
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128・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 現行制度のもとにおきましても、許可を行うときに、あるいは更新のときに、教育訓練の計画とか実績とか、そういうものを提出していただいておりまして、これをチェックするということにしております。法律にも、派遣元事業主は教育訓練について必要な措置をとるよう努める、こういう規定があるわけでございます。
今般、派遣の対象事業が広がるということになりますと、必要な教育訓練の範囲も広がっていくというふうに思いますが、今御指摘のような教育訓練の実績あるいは計画、こういったものについては厳しくチェックしていくことが、この派遣制度を発展させる上でも、派遣労働者本人にとっても、大変重要なことではないかというふうに思います。
また、派遣事業も市場の競争の中にあるわけでありますから、短期、即戦力ということで、派遣先の需要に応じられるような派遣を行うことがその企業の生き残り競争にとっても大変重要なことでございますから、そういった点からも、競争の中からも、派遣元事業主が派遣労働者にきちんと訓練をするということは、ある程度おのずと行われていくのではないかとも思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/128
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129・濱田健一
○濱田(健)委員 今回の改正で二、三の業務以外はネガティブリスト化されていくわけですが、今お答えいただいた局長の答えに伴って、現在の職業訓練教育といいますか、訓練校等々の活用、そしてその中身の充実、派遣法がこういう改正がなされるという意味で、もっとそういう充実というものが必要になってくると思うのですが、その辺は、局長、どういうふうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/129
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130・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 従来は、専門的な業務等について二十六業務に限定をして派遣の対象にできるということでございましたから、これはある程度評価をされた市場を形成してきたと思うわけでございますが、これから派遣の対象になるところについては、必ずしもそういったところだけではなくて、これは短期、一時的なものでございますが、派遣の対象としてこれから市場に出ていくということになるわけであります。
そういった点では、今御指摘のように、派遣労働者に対する教育訓練、その方々自身の能力のアップということが大変重要な問題だと思いますので、私ども公的機関のそういった訓練機関の利用等々も含め、訓練に行政としてもいろいろと協力できる点については配慮しなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/130
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131・濱田健一
○濱田(健)委員 教育訓練の実施等の中身の充実について、予算確保かれこれも頑張っていただきたいというふうに思っております。
もう一点は、当然、今回のネガティブリスト化されるという法案の趣旨からいって、派遣契約等々の確認をする場合に、派遣労働者が、どういう法律になっていくんだ、どういう指針が示されているんだ、どういう命令もあるんだというようなこと等を含めて、可能な限り法改正の趣旨ないしいろいろな中身を知るということが大事だというふうに思っております。
そこで、派遣元、派遣先という、雇用関係のあるところと働く場所が違うという状況の中ではそういう中身が薄まってしまうという可能性も私たちは危惧するわけでございます。派遣元で、これらの法の改正の趣旨、いろいろな指針の中身等々、周知義務というものを明確化すべきだというふうにも考えているわけですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/131
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132・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 現行の制度におきましては、派遣元事業主は派遣労働者に対しまして、派遣先との派遣契約に定められた事項、すなわち、派遣労働者の従事する業務の内容でありますとか就業の場所、あるいは派遣期間、勤務時間、こういったものについて、これを原則として書面によって明示するということに現行制度ではなっております。ただ、今御指摘の派遣に関する法令の周知については、これを明示すべきである、あるいは周知すべきであるといった法令上の規定はございませんし、指針についても定めておりません。
今般、派遣労働の対象を拡大することに伴いまして、派遣労働者のプライバシーの保護等々についても新しい規定が設けられるわけでありまして、派遣労働者自身がこういったことを周知し、適正な権利行使ができるといったことのためにも大変重要なことだと思いますので、運用上検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/132
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133・濱田健一
○濱田(健)委員 職場を見てみますと、意図的に法の趣旨が曲げられているとは言いませんけれども、肝心なところが労働者にわかっていないという状況が幾つも見られる。具体的には申しませんけれども、ありますので、今の局長の答弁は重く受けとめながら、監視活動を強化しなければならないというふうに私は思っております。
もう一点は、適正な就業条件の確保、これに対する年齢差別の抑止という観点でございます。
年齢の要件が採用基準になることを放置するならば、それは広い意味での、現在行われている可能性といいますか、さまざまなところで指摘されている事前面接行為を容認することにつながっていくと私は思います。
ただ、これは、若年労働者や高年齢者という部分についてはそれなりの理由がございますので、その部分については妥当な年齢の部分があるわけでございますけれども、事前面接の行為等を厳格に防止することになった今回の見直しの趣旨を生かしていくために、派遣契約の締結に際しては、年齢に関する合理的な理由のない定め、これを行うことが許されてはならないというふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/133
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134・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 この派遣法の建前は、派遣契約に基づいてどういった労働者を派遣するか、これは派遣元が特定をするという仕組みになっているわけでございまして、法令上にも、派遣先は、派遣労働者の国籍や信条、性別等を理由として派遣契約を解除してはならないというふうに定めているわけであります。事前特定を許すとすれば、この法律のこの条文の脱法行為にもなりかねないというふうに思っております。
確かに年齢についてはこの条文の中に列記はされていないわけでありますが、派遣労働者の派遣というものは、あくまで、派遣先が要求する一定の職業能力を備えた、そういった人を派遣するということが趣旨でありましょうから、御指摘のように、およそ合理性のない年齢要件の設定が行われることのないように指導していく必要があろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/134
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135・濱田健一
○濱田(健)委員 私の前の質問で、渡邊局長から、今言っている適正な派遣就業の確保のために派遣先が厳格に守らなければならない事項として、例えば業務の範囲、直接指揮命令者、これは該当の者以外に命令を出してはならない、そういう指揮命令者、そして派遣就業の時刻というようなものを指針の中に具体的に例示するということも答弁の中で出していただきました。これは一定の改善点であるというふうに評価はしたいと思っております。
でありますから、それゆえにこそ、派遣先においてこれらの事項が守れない場合、行政サイドがやらなくてはならない措置の有効性というものをこの際明確にしておきたいと思います。
このような場合に、まず不利益をこうむっている派遣労働者の雇用主である派遣元が、派遣労働者が適正な形で就業することができるように派遣先に改善を求めていくということが当然であると私は考えております。しかし、この改善要請にもかかわらず派遣先が応じない場合は、派遣元等の要請を受けて、当然行政が指導を行うことになるというふうに思います。
ただし、今回の法律でもあくまで指導レベルということで、従う従わないは最終的に派遣先の良識に帰着せざるを得ないということだろうと思うのですが、この程度の実効性というもので、指針に具体的に例示するという制度的な意義、これが果たしてしっかりと担保できるのだろうかということを心配するのですが、この点、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/135
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136・甘利明
○甘利国務大臣 確かに派遣労働者との雇用契約は派遣元が結ぶわけでありますけれども、派遣労働者が就業する派遣先と派遣元との間にも派遣契約というのが結ばれているわけであります。そこで、三十九条によりまして、「労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講じなければならない。」とされているわけでありまして、このために、指針におきまして、就業条件の関係者への周知徹底、就業場所の巡回、直接指揮命令者から就業状況の定期的報告を受けること等の措置を講じているところであります。
ただ、先生の御指摘は、いずれにしても、指揮命令者である派遣先の、ある部分、良識に任せて期待をするというところにとどまってしまうのではないかという御懸念だと思います。
これは、指針に盛り込んでいる以上、きちっと指導はしてまいりますけれども、御懸念の表明で、法改正の後には原則自由化になるのであるからその点はもっとしっかりやれというお話だと思います。契約違反に対してさらに実効性を上げるために、派遣先への指導等の方策を検討してみたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/136
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137・濱田健一
○濱田(健)委員 指針、ガイドラインという形で出されたものが紙の上に書かれた文字としての役割しか果たさないということが余りにも多過ぎるという意味では、もっと法的な根拠を持つ、派遣先の責任といいますか、社会的な責務として非常に重たいものがあるのだということを実効あらしめる中身にこの部分も高めていく必要があるということを私は強く申し上げておきたいというふうに思うところでございます。
それで、もっと深刻なのは、同じような問題が生じている場合に、派遣元が何ら派遣先に改善を求めないというような場合があるわけでございまして、このような派遣元が雇用主として当然果たすべき役割を放棄した場合については、当然行政としての厳しい対処の仕方というのがあると思うわけですが、現状と、これからのそれに対する展望というか決意というか、法的な根拠に基づいた役所の対応の仕方というものを明快に答えていただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/137
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138・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 現行の仕組みにおきまして、派遣先が派遣契約に違反をして、かつまた、その中には派遣法等の違反、そういったことも含まれるといった場合には、派遣元はそのような労働者派遣を停止し、または解除できるという規定があります。行政としましては、こういった違法行為を是正するために適切な措置を何らとらない、そういった派遣元に対しましては、許可を更新しないといった措置もとれることになっているわけであります。
いずれにいたしましても、派遣契約が厳正に守られない、それを放置することによって派遣労働者の権利や利益も損なわれる、そういった場合につきましては、派遣元についても厳しい指導を行っていく決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/138
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139・濱田健一
○濱田(健)委員 時間がありませんので、最後に、中央省庁等改革法案等がきのうの分権法の本会議趣旨説明に続いて来週入るようにお聞きをしております。この間、国家公務員の総定数を減らしていこう、スリム化しよう、数字も一五%だとか二〇%だとかというのが出てきておりますが、日本の労働行政に関して、直接住民や労働者の権利を保障するという意味で、基準監督業務そして職業安定業務含めて、諸外国との人口的な差を含めて、少ないということが言われております。
後ほど土屋委員も質問をされるようでございますが、私は、大まかに言って、この派遣労働法というものがネガティブリスト化されていくときに、この間いろいろな懸念が示されていく中で起きてくるトラブルが当然ふえてくる可能性を指摘しながら、これはやはり労働行政の要員というものをふやすことはあっても決して減らすことはできないというふうに思うわけでございます。それは当然同じ気持ちでいらっしゃると思いますけれども、その辺、いかがでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/139
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140・甘利明
○甘利国務大臣 連休中にタイとフィリピンを回ってきました。バンコクの職安に行きましたら、職員が大変張り切って求職者の対応に追われておりました。何人くらい職を求めて失業者の方が来られるんでしょうかと聞きましたら、一日五十人くらいという話でありました。我が国におきましては一番忙しいときにはそれこそ一日に千人オーダーで、今こういう状況でありますから特にそうなんでありますが、来られる。そこで、私としては、極力親切丁寧、身内が来た思いで対応してほしいということを訓示しておるんでありますが、外国の例を見て、正直、うらやましいと思いました。
丁寧に親身になって対応するにはそれなりの人の確保が必要であります。しかし、行革が進んでいる中でありますから、極力効率よく、サービスを犠牲にしないで効果を上げていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/140
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141・濱田健一
○濱田(健)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/141
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142・岩田順介
○岩田委員長 次に、土屋品子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/142
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143・土屋品子
○土屋委員 初めに、今回、無所属でございますが、委員長初め理事の皆様には二十分という時間をいただきまして、ありがとうございます。
今回の法律改正につきましては、既に長時間質疑が行われておりまして、論点も出尽くしたかとは思いますが、私なりに、派遣業を営んでいる方とお話をさせていただいたり、また労働行政の現場を視察させていただいた中での私が思っていることを質問させていただきたいと思います。
まず、法律の実効性をどのように担保するのかということでございますけれども、法律の趣旨は理解しておりますし、また労働者保護等的確な運用が担保されてこそ意義のあるものだと思っております。
派遣業を営んでいる方にいろいろな実情を伺いましたところ、実際の派遣の現場では、正直言って必ずしも法律に沿って行われているわけではないという実態を聞かせていただきました。今専門的な二十六業種に限定されて現行法では派遣を行っているわけですけれども、実際のところをお伺いすると、そういう形で派遣業者としては出したいが、派遣先の方から、技術を持った人を希望するが時には違う仕事をさせる場合もあるということをお互いに了承の上で、しかも、派遣された派遣労働者自身もそれはある程度納得の上で派遣がされている実態も多いように感じました。
そういう点を考えると、私たちがこうやって毎日質疑をしているこの法律というのは、現実はもう既に行われているような状態であるのではないかということを感じたわけでございます。
それから、この間の質疑で参考人の意見を聞かせていただきましたが、賃金の不払いの問題や途中解雇の問題、それから事前面接、そしてセクハラの問題など派遣労働者の被害は大変多いということも出たわけでございますけれども、この辺も、派遣元の会社の方とお話ししますと、余りそれを大っぴらに派遣先に要求をしますとなかなか自分のところの派遣労働者を受け入れてもらえないような実態になってしまうということで、なかなかそこら辺は泣き寝入りというような状態も多いということも伺ってまいりました。
そこで、現行法においてもそれだけいろいろなことが内在されていてチェックがされていない状況が多々あるとすれば、新しい法律が施行された後でさらにそういう問題が多くなるのではないかと懸念しております。そういう点で、いかに運用されていくか、今現実にどのようにチェックをされ、また、これから先、現実よりもさらにチェック機能を強化することを考えていらっしゃるかという点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/143
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144・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 派遣労働に関する指導監督は全国の公共職業安定機関において行っておりますが、現行の指導監督の仕組みとしましては、これは、派遣元や派遣先には派遣に関する責任者を置くということにされておりますが、こういった責任者の方を集めた研修会等を行っておりますほか、定期に、派遣事業については安定所の職員が監督に出向いております。また、派遣労働者からいわゆる申告があった場合には、それに基づいて事業場の監督を行う、指導を行うということも行っているわけであります。
今般、この指導監督体制、システムというものを強化するということにしておりまして、まず公共職業安定所が派遣労働者の苦情や相談に応ずるということを法令上はっきりと位置づけておりますのと、違法事案につきましては、労働大臣に対する申告制度、それを理由とする不利益取り扱いの禁止という仕組みを設けております。また、今事実上行っているわけでありますが、労使の協力を得て労働者派遣事業適正運営協力員という方、こういった方の位置づけ、役割についてもこれを法律上明確にするということにしているわけであります。
派遣労働の範囲が広がる、派遣労働者数もふえていくだろうという見通しでありまして、先ほどから定員の厳しい実情等も出ておりますが、こういった法令上にもきちんと指導監督体制を位置づけることでありますから、これに従って実効のある指導監督をしていく必要があると考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/144
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145・土屋品子
○土屋委員 今のお話を伺いますと、今でもハローワーク、要するに公共職業安定所の重要さというのは大きいわけでございますけれども、今後はさらにハローワークの重要性というのが大きく指摘されていくものだと思います。その点でちょっとハローワークの現状というのを、皆様本当に大変な状況というのを認識していると思いますけれども、改めてここで考えさせていただきたいと思います。
私も地元のハローワークへお邪魔をして現状を視察させていただきました。私のところは、首都圏に近いところですから、東京から一時間ぐらいで通える範囲なので東京で働いている人も大変多く、そして人口も急増地帯でございまして、ハローワークがいつ行っても込んでおります。外には本当に人が座り込んで待っているような状態でございます。そして、そういうような状況の中で働いている職員の方は完全にオーバーワークでございまして、お昼のお弁当を食べる間もなく、本当にかみかみ仕事をしているというのが現状だということも認識してまいりました。
ここのところ本当に経済が低迷しておりまして、リストラ、リストラということで、中高年の方が特に厳しい状況にさらされているわけですけれども、こういう中で、果たしてハローワークが労働者の権利を守るセーフティーネットとして機能しているのだろうかというのが大変な心配でございます。
それで、細かいことで申しわけございませんが、私のところと比較をさせていただいて、職員の数の格差の是正についてちょっとお伺いしたいんです。私のところは、埼玉県全体でとらえますと、人口が六百七十万人でございまして、職員数が三百十九人、私の調べで合っていれば、そういうことになっております。日本で一番人口の少ないと言われた鳥取県と比較しては申しわけございませんが、人口六十二万人に対して九十一人の職員でございます。これは、数字を見ただけで、埼玉県は、人口が鳥取県の十倍でありながら、職員数が三倍程度というこの格差、大変なものだと思います。
これで考えますと、これから派遣に対していろいろなトラブルが起きた場合に一体対応ができるのだろうかということを懸念いたします。特に都市部の方が派遣業は多くなると思いますので、その点で、今は行政改革でリストラということで、労働省の方も大変厳しく大蔵省または総務庁からもいろいろ要求されているかとは思いますが、一番重要な部分においてリストラをするのはいかがかと思いますので、この点の将来的な見通しをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/145
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146・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 国家公務員の定員事情も大変厳しいわけでございまして、労働省の定員についても、過去、純増というような時代もありましたけれども、最近では横ばいから純減ということになっているわけであります。
私ども、できるだけ機械化できるものは機械化する、やめられる仕事はやめるというふうに業務の効率化をしながら、特に公共職業安定機関というのは情報化に最もなじむ部分でありますから、できるだけコンピューター等も導入して処理をするというふうにいろいろと努めておりますが、基本はやはり、職業紹介にしろ職業相談にしろ今おっしゃった派遣の監督にしろ、人と人との対応の仕事であるというふうに思っていまして、どうしても核心的な仕事の部分は機械化によっては対応できない部分であるというふうに思っておりますから、労働行政につきましては、監督署もそうでありますが、人の確保、その能力の向上ということが極めて重要だというふうに思っておりまして、そういった観点から、従来から定員の要求をしてきたところでございます。
また、定員の配賦につきましても、今おっしゃいましたような人口とか、あるいは勤労者の数とか取扱業務の量とか、こういったものを考えながら、定員削減を行っていく所、増員を行っていく所、こういったことでできるだけ努力しているつもりでありますが、なおやはり現実にアンバランスもありますので、業務の実態等を見ながら、定員の配賦についてもさらに考えていくという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/146
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147・土屋品子
○土屋委員 これからできるだけ努力していただくというお答えをいただきましたが、大変しつこいようでございますが、さらに細かく言いますと、私の選挙区、春日部市というところが全国で一番職員数と人口の割合が足らないところでございまして、約五十万人に対して二十一人という状況でございます。そして、派遣に対する許認可それからチェック等、苦情等の処理は、今たった一人で行っている状況であることをお伝えいたしまして、次の質問にさせていただきたいと思います。
もう一つは、先ほどからも労働者の職業訓練についていろいろお話が出ておりましたが、私は、今チェックの人員が足りないならば、やはりトラブルが起こるのを事前に防ぐ方法をもっと強く考えていかなければならないのかなということを感じております。そういう点では、派遣会社の方の職業訓練または派遣先の会社の意識向上という問題もありますけれども、労働者自身が自分の権利義務というものを深く理解して働くということも大事なことではないかと思います。
最近、派遣元の会社の方とお話ししたところ、若い派遣希望者の方が本当に社会性がなくて、例えば契約が六カ月あっても三カ月でやめてしまって、ある日来なくなってしまったという例が非常に多いということを伺っております。これは教育問題にも及ぶことだと思いますけれども、今やはり学生の気分のまま就職をする、職につくという方が多いわけで、そういう方たちが派遣の中に入った場合に、全く労働法規のことも知らない、労働者としての権利義務ということがわからないまま派遣先へ送られるということが一つの問題点だと思います。その点、例えば小冊子をつくって、派遣に対する心構え、そういうものなどもできればしていただいた方がトラブルが未然に防げるのではないかということを感じたわけでございますが、この点、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/147
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148・渡邊信
○渡邊(信)政府委員 その点は行政自身で作成するのか、あるいは行政がモデルをつくって、事業主の協会がございますから、そういったところを通じて配布する、指導するということにするのか、そういった問題はあろうかと思いますけれども、大変有意義な御見解ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/148
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149・土屋品子
○土屋委員 御理解いただきましてどうもありがとうございました。それでは、どうぞ前向きに御検討いただければありがたいと思います。
最後になりますけれども、きょうは、大臣もお忙しいところお越しいただいておりますので。
先ほどもちょっとお伺いしましたが、産業競争力の問題等最近出ております。競争力を日本も身につけて頑張っていかなければならない、本当に分岐点に来ていると思いますが、その中でも労働者の利益というのも並行して追求していかなければならないわけですけれども、今後の労働行政の中で大臣がお考えになります最も重要な課題についてお答えいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/149
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150・甘利明
○甘利国務大臣 競争力会議で、企業がどうしたら競争力がつくか、大競争時代の中で日本の雇用を抱えている企業が引き続き営々として業を営むことができるようにするにはどうしたらいいかというのが今議論されているわけであります。
その中で象徴的に言われていますのが、三つの過剰感に対する対処であると言われています。一つは過剰債務の問題でありますし、もう一つは過剰設備の問題、もう一つが過剰雇用の問題というふうに言われています。それぞれ、税制で対処する取り組みをつくるとかあるいは金融で対応する措置をつくるとか、いろいろ過剰な設備をスリム化して、あるいは新しい設備に入れかえて競争力をつけるということになるんだと思うんですが、雇用に関しましては、物、機械と同じように、減らして固定経費を減ずるという単純なやり方ではなくて、生き物でありますから、競争力をつける、生産性を向上させるやり方にも、雇用者の能力を引き上げていくということも競争力をつける手法ではないかと思うわけであります。
そこで、極力我が省といたしましては、雇用者、労働者の職業能力を引き上げることによってその企業に競争力をつけさせるという手法をとっているわけであります。
日本の企業経営者も、かなり健全な方が多いかと思います。雇用維持というのは企業の社会的責務であるから、どうしようもない、いろいろな手法をとってどうにもならぬときにしか手がつけられない、そういう一種の雇用維持に対するモラルというものをしっかり持ってもらいたいと思いますし、持っている企業経営者は多いかと思います。
ただ、時代の変遷とともにリーディングインダストリーというのは変わるわけでありまして、戦後は繊維産業が日本の経済を支えた、それから鉄鋼産業が中心になり、やがて家電や自動車になり、そして半導体になっていくというふうに、主力産業が変わっていくわけであります。その産業が日本経済を引っ張る。
ただし、産業が発展をしていく際には、経営資源、つまり資本と労働力がきちんと、時代的な役割をある程度果たした、耐用年数が来つつある業種から、これからを支えていく業種に極力スムーズに移っていくということも日本全体としては必要でありますから、雇用を守る責任をしっかりと企業に感じてもらいつつ、新しい産業が伸びていくための失業なき経営資源の移動というものがしっかりとなされるような体制をつくっていく。そういう意味で、各種選択肢が用意をされているということは大事なことだというふうに思っております。
日本の目指す資本主義というのは、日経連の会長が就任時にごあいさつをされましたように、人間の顔をした市場主義といいますか、血の通った資本主義経済というものをきちっと目指していくべきだと思いますし、また我が国ならそれができるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/150
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151・土屋品子
○土屋委員 どうもありがとうございました。きょうは二十分という貴重な時間をいただきまして、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/151
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152・岩田順介
○岩田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505289X01319990514/152
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