1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年二月十九日(月曜日)
午後一時四十九分開会
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本日の会議に付した事件
○公聽会開会に関する件
○所得税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○登録税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○相続税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○印紙税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○骨牌税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/0
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001・小串清一
○委員長(小串清一君) それではこれより大蔵委員会を開会いたします。
先ず税法に関する公聴会を開こうと思うのですが、本月の二十七日火曜日くらいを予定いたしまして、各方面から五名くらいの公述人を選定しようかと思つております。皆さんの御意見はどうですか。この問題は大体二十七日に公聴会を開くとしまして、君名くらいの公述人選定等につきましては、理事の諸君や政府とも、相談をして人選をして見ようと思いますが、一つお任せ願いたいと思いますか、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/1
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002・小串清一
○委員長(小串清一君) それではさよう取計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/2
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003・小串清一
○委員長(小串清一君) 本日の議事日程の中で、衆議院の都合があつて、税法については主税局長は見えておりませんが、説明のほうは主税局の調査課長が見えております。それから開拓者資金融通特別会計についても係官が見えております。これより税法に関しての質疑を行いたいと思いますが、今申すようなわけで、委員諸君から御質問をお願いいたします。又その前に政府においてこの所得税、法人税、通行税等についての説明があれば、先ず政府側から御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/3
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004・忠佐市
○政府委員(忠佐市君) 昭和二十六年度の租税関係の予算の算出の基礎につきまして、すでに予算の説明と題しまする印刷物は差上げてあるわけでございまするが、若し時間が頂けまするならば、若干補足さして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/4
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005・小串清一
○委員長(小串清一君) 御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/5
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006・忠佐市
○政府委員(忠佐市君) 数字のことにつきましては、すでに差上げておりまする印刷物で大体を尽しておると思われますので、この点につきましての私どもの考えておりまする若干の要点を御説明さして頂きたいと思います。すでにこの前主税局長からお話が出ておる次第でございまするが、昨年の暮に開会いたされました第九国会におきまして、所得税及び間接税の若干につきまして暫定的の改正がございました。その昨年の第九国会におきまする税法の改正がなかつた場合において、その当時の税法を基礎といたしまして計算いたしますれば、昭和二十六年度においてどのくらいの歳入が見込み得るかということを私ども考えまして、それから今回の税制改正及び昨年の第九国会におきまして行われました税制改正、その相互を通じました減税の額というのを計算いたしまして、その差引額を昭和二十六年度の租税歳入予算と、かように推計いたしました次第でございます。で、二十六年度におきまするところの第九国会における税制改正なかりし場合の歳入見込額はという点につきましては、大体のところ、二つのポイントから問題を解決したいと考えておりました次第でございます。
第一点は、朝鮮動乱が勃発いたしまして以来、我が国の産業経済方面に相当顕著な変化が見受けられておりまするのですが、この変化が昭和二十六年度を通じてどのような経過を迫るか、この点を先ず推測いたす必要がございます。ところでこの見通しといたしましては、いろいろの観点から取上げる問題がございまして、或る前提をとることは非常に困難でございます。従いまして予算を確実に見込もうというような観点からいたしまして、昭和二十五年十月におきまするところの一般経済水準が、二十六年度を通じた平均の経済水準になる、このような想定をいたしまして、予算の数字を彈き出すということを一応前提といたすことにいたした次第であります。それからもう一つの観点でございまするが、税の問題が我が国の財政及び国民経済の面におきまして非常に大きな問題でございますることは常に御指摘の通りでございますが、只今までの観点といたしましては、徴税を成るべく公平ならしめて、それを能率化するというような観点で取上げておつたと思います。ところが最近の情勢の推移はそのような徴税の能率化というような面と同時に、又税制の適正化という面まで強く取上げる必要があるのではないか、伝えられまするように、徴税の組織を合理化しますると共に、国民経済の納税資力の程度を見計らいまして、無理のない納税方法を講じて参る、その点を通じて徴税の適正化ということを相当重要視すべきであると、かように考えたわけでございまして、その点から現在の税務行政の能率において、どの程度の税収を見込むべきであるかということを、非常にウエートを置いて考えたほうがいいだろう、こういう点が取入れられた次第でございます。で現行税法、と申しましても、昨年の第九国会の改正前における税法を基礎にいたしまして、収入すべき税額が、五千百八十八億二千万円というように一応計算いたされまして、それを基礎にして、その基礎資料によつて減税額を計算いたす、その結果昨年の第九国会における税制改正に対して、減税が昭和二十六年に引延ばされました額が、百七十一億五千八百万円、それから今度の税制改正におきまして減税となりまする額が六百四十六億七千万円、合計いたしまして七百四十二億千六百万円とまあ計算いたされまするので、差引四千四百四十五億四百万円が、最後の予算の数字に相成るというように計算いたしました次第でございます。大体の考え方といたしましては、そのような二つの観点から取り上げておりまするですが、これを各税のそれぞれについて申上げますると、何と申上げましても、重点は所得税にかかると思われます。この所得税につきましては源泉徴収の所得税と、申告納税の所得税との一本建にいたしておる次第でございまするが、先ず源泉徴収所得税について申上げたいと思います。非常に煩わしいとは考えまするのですが、先ほど申上げましたように、従来の税法によつて計算いたしました場合の税額と、それを基礎といたしまして改正税法によりまする税収額と、二本建に計算いたしておりまするので、順序を追つて現行法から申上げることをお許し願いたいと思います。給与所得につきましては、この点は徴税の面におきましては基礎となりまする資料が比較的確実でございまして、その収入も順調な推移を見せておる次第でございますが、その基礎に立ちまして先ず従来の実績を一応押さえまして、その実績によつて将来どの程度の伸びが計算されるかというような観点から数字を計算いたしております。ところがその実績は、できますならは昭和二十五年度をとりますることが一番いいだろうと思われますのですが、二十五年度は経過中でございまして、実績は十分かたまつておりません。従いまして止むを得ず昭和二十四年度に実績をとることにいたしました。而して、二十四年度に対して一十五年度の実勢がどういう趨勢にあるかということを計算いたしますと、九月まで半年経過いたしておる次第でございまして、半年が実績、それから十月以降の半年が推計というような計算になる次第でございまして、これは相当確実性があると考えられます。このような計算にいたしまして、実績を一応膨らましておきまして、その割合は支給人員では約六%、それから俸給等の支払金額につきましては一四%九というような数字になつております。昭和二十五年度を一応推計いたしまして、その上に二十五年度と二十六年度との勤労者数及びその給与の支払総額がどのような推移を迫るかということを計算して、それによつて昭和二十六年度の予算の基礎とするというようなことに考えた次第でございますが、増加の趨勢を見込みまする場合におきましては、支給人員は経済安定本部において想定いたしておりますところの大体の就業見込人員というようなものに基礎を置きましてそのほかに私どもの持つております実績を多少加味いたしまして、二%六の増というような計算をいたした次第でございます。それから問題は賃金の水準であろうと思われるのですが、これは先刻申上げましたような十月水準を一応とるという考え方といたしまして、昭和二十五年十月における給与水準が昭和二十六年度においてその年間平均の水準になるというような構想の下に、昭和二十五年度一年度におきまする給与額につきましては平均八%二程度ほど増加するというような見込みを立てました次第でございます。かようにいたしまして、現行税法を計算いたしました結果、税法の改正がなければ千三百六十一億五千一百万ほどの税収になるはずであるという計算をいたしまして、これを改正法の場合に当てはめた次第でございます。改正法に当てはめる場合におきましては、昭和二十六年度におきますところの支給人員と支払給与の総額というようなものは、一応見当をつけておる次第でございますから、改めまする点は、基礎控除が二万五千円から三万円に引上る、それから扶養控除が一人につきまして一万二千円から一万五千円に引上るということでございますから、それから現行法によりますれば、納税資格のあつた者が納税資格がなくなるという面がございまするし、それから一般的に課税所得が減るという面がございます。それと同時に税率の段階を変えておりますので、税額が又減つて参る。このような計算をいたしました結果、銀行預金などに対する預金利子等を加えまして改正後における税収の見込みが千五十億五千四百万円、このように計算した次第でございます。それでその場合の減税額の総額は三百十億九千八百万円という数字が出ておるのでございますが、この内訳は、表にして差上げてあります通り、基礎控除が百二十一億八千三百万円、扶養控除が百三十一億三千万円、税率の改正が四十七億一千百万円、それで合計三百億二千四百万円という数字が出ております。そのほかに、新らしい改正といたしまして、寡婦控除老年者控除、勤労学生控除、それから保険料控除等をいたしまするに伴いまして減収が生じますが、又新らしく預貯金の利子などにつきまして源泉選択制度が採用されるという結果、増収になる面がございまして、その点差引きいたしまして十億七千四百万円ほど減収となる、まあかような計算をいたした次第でございます。
その次は申告納税の所得税でございますが、申告納税所得税の税収の見積りにつきましては最も苦心をいたした次第でございますし、又注目の的になると考えられます。そこでやはり一応確実な実績を捉えまして、その実績に応じて将来の経済の趨勢を当てはめまして二十六年度の推計をする、かようなことを考えたわけでございまするが、その基礎となる実績といたしまして最も適当なのは何かと考えました結果、昨年の七月に行われました予定申告が最も確実であろうと考えた次第でございます。御承知のように昨年七月の予定申告は大部分昭和一十四年の実績によりまして昭和二十五年の予定申告をいたした、かような関係になつておりまするので、予定申告と申しましても実際は二十四年の実績と大体において同視できると思います。中には減額申告いたしまして実績より低い申告をした者もございまするが、その量は比較的少い割合を示しておるわけでございまして、大体において予定申告の数字が二十四年の実績を表わすというように考えられております。そうしてその数字といたしましては、申告納税者数が三百八十四万人、その税額が多少実績の報告の数字とは違いまして、或る程度私どもの達観を加えた数字でございますが、七百二十一億四千八百万円という数字が出ております。これが昨年の予定申告の実数でございますが、二十四年の実績を表わすというように一応考えられますから、所得を一応一十四年に対して二十五年がどの程度増加するものかということを見込むべきであろうと考えられます。そこでその二十五年の数字をどのように推計するかという問題でございまして、これ又計算の方法につきましてはいろいろの方法もあろうかと思われますのですが、昨年第九国会におきまして昭和二十五年度の補正予算の御審議を願いまして、通過いたしております。その後この補正予算を見積りました当時の状況を左右するような大きな変化が見受けられませんので、一応昭和二十五年度の補正予算を基礎とするのが適当ではないかと考えました次第でございます。それで繰返しますようでございますが、昭和二十五年度の補正予算におきましては、納税者の数が五百二十七万七千人を越えて、これは生産とそれから価格の増というのが所得の増加となつて反映いたしますほかに、税務官署の徴税能率が増進する、それから納税者の申告の成績が上つて参る、こういうような要素を取入れまして、二百八十四万人の予定申告の納税者が、五百二十七万七千人に殖える、それからその所得金額が五千二百七十八億ほどのものが、七千九百十五億ほどに殖える。その所得の殖え方に比較いたしまして、税額の殖え万が相当多い、それを税率の区分に従いまして許算いたしますると、予定申告で七百二十一億の税が、千四百七十一億にはね上る、かような計算をいたしまして、御審議を願つた次第でございますが、この人員と所得金額を基礎といたしまして、二十五年に対する昭和二十六年の増加割合をもう一回推計するということを考えました次第でございます。これにつきましては、先ずその生産の増という問題と、価格の増という問題と二つございます。生産につきましては、経済安定本部において見通し作業を行なつておりますところの、最近の作業の実績を一応取入れまして、農業につきましては一%増それから営業につきましては、いろいろな営業を、個人に相当するものを総合いたしまして九%四ほど増加する、こういうような想定をとります。それから物価につきましては、昭和二十五年におきまするところの平均、これも九月までは実績が出ておりまして、十月から十二月までが、三カ月間の推計でございますが、その一年間の平均と、昭和二十六年の一年間の平均いたしました場合を計算いたして見まして、農業につきましては、これは農業パリティ、その他農産物の価格の関係からいたしまして、多少強めに九三の増加になります。このような内訳の計算をいたしまして、全体を見ますると、申告納税所得税におきまする全納税者の増加の割合は、二十五年対一十六年が約一二%程度になるのではあるまいか、かような観点からいたしましさ計算いたしました現行法による納税者は六百五万二千人と、いうようなことに相成りまして、その税額が千六百十九億、まあかような計算に相成る次第でございます。でこれは昭和二十六年の所得に対する昭和二十六年度分の税額でございまして、この一部が滞納となつて翌年に繰越されることがあると当然予想されます。それから昭和二十五年度以前の滞納額で、昭和二十六年度に繰越されておりましたものが、昭和二十六年度に入つて参るというような繰越し、繰戻しという関係を調節する必要がございまして、これを現在の徴税状況から考えまして、計算した残りが、千四百八十億八百万円という数字が出て参ります。これを一応現行法によります申告納税所得税の数字と考えました次第でございます。税法の改正の結果といたしましては、先ほど源泉徴収所得税において申上げましたと同様に、昭和二十六年度分の納税人員と、課税所得金額というものを、二十五年度の補正予算に対する、二十五年対二十六年度の経済的な増加指数によつて引延ばす、それが改正法においてもやはり基礎に相成ります。そうして先ほど申上げましたような基礎控除扶養控除、税率の変更というようなものを当てはめて計算し直して見て、その結果現行法によりますれば千六百十九億ほどの課税額になるものが、改正後におきましては、千二百十四億というように相成るわけであります。かように計算される次第でございます。これを基礎といたしまして、繰越し、繰戻しの補正計算をいたしますと本年度の税収が約千百七十六億九千万円と見込まれるわけでございまして、減税額といたしましては三百三億千八百万円という数字に相成ります。これを内訳にいたしますれば、基礎控除の引上げによりまして、六十三億八千六百万円、扶養控におきまして百十二億四千四百万円、税率の改正におきまして百億二千百万円という結果に相成ります。この合計が二百七十六億五千百万円でございまして、この外にその他の減税が二十六億六千七百万円に相成る、かような次第でございます。それから法人税につきましては、最近の法人の業績は大変に好転いたしておるような形勢が窺われる次第でありますばかりでなく、申告納税の趣旨が徹底いたして参りまして、申告の成績も非常に向上しておるように考えられたのでございます。従いまして、予算といたしましても相当堅実な計算ができるということを、一応予定して計算いたした次第でございまするが、これにつきましては収益の予想をいたしまする場合に、所得税で計算いたしましたように、過去の実績となりまするところの所得の総額というようなものを計算しておきまして、それに対する増加率、或いは減少率というようなもので将来の予測をいたすという方法もあろうと思われるのでありますが、最近におきまする法人の増資傾向、或いは新設法人が増加するような傾向を考えるときはこのような所得に対して割増しというような計算では多少実情に副い得ないと考えられまするので、投下された運用資本金が、大体どの程度のものであろうかということを一応考えまして、それに対して収益率というものはどの程度になるのかということを、最近の実績によりまして、各個計算いたしたほうが確実ではないかと考えた次第でございます。そこで昭和二十六年度におきますところの法人の平均運用資本金というようなもの、これは払込み資本金と、利益を積立てました積立金との合計でございますが、これを年平均といたしまして、三千九百十六億ほどに計算いたしたい。それから最近の決算を調査いたしました結果、平均的な利廻り収益率を五二%程度見込んで差支えないというような数字が出ておりまするので、それによりまして、会社の利益金額の昭和二十六年度といたしましては、二千三十六億ほど予定できる、かように計算いたしました次第でございます。それに対しまして、前年度の税制改正によりまして調整をいたします分と、それから本年度の税制改正によりまして調整する分と、差引いたしますことによつて本年度の収入の予想が立つ、かような形式を考えた次第でございまして、なおその要点を申上げますれば、本年は法律改正の手段に待たないで実行いたそうといたしておりますものに、固定資産の減価償却の耐用年数改訂の問題がございます。これは基礎的な、原則的な事項を法律に書き上げておりまして、その具体的な適用は政令、省令にお委せを願つておる。それで固定資産の耐用年数は、現在大蔵省令を以て個別的に規定させておる次第でございまするが、この固定資産の耐用年数を全面的に改訂するという作業を進めております。これによりまして、只今まで相当大まかな業種分類によつて定められておりました耐用年数が相当細分されて参りまして、その結果減価償却額というものが増加するような耐用年数の変更が行われるであろうということが、予想される次第でございます。なお機械設備等が経済事情の変化とか、或いは新規の発明等によりまして陳腐化いたしました場合に、新らしく特別償却の方法を取入れまして、企業の経理の堅実適正化に資したいという点もございまして、これによりまして相当額の減価償却が殖えまして、その結果法人の利益を少くするという要素が含まれて、考えられておりますが、その分も合計いたしまして、百十七億円程度の金額を見込んでおる。かような次第でございます。かようにいたしまして、現行税法によりまする収入額を六百六十六億八千三百万円と見込んでおる次第でございまするが、税法改正によりまして、積立金に課税を廃しまするとか、新規に購入いたしました機械に対する減価償却を、三年間に半分程度までに繰り上げるということによる減収、それから見返資金で優先株を取得いたしました場合の非課税というような点を総合いたしますると、税収といたしまして、二十九億五千八百万円ほど減る。その結果二十六年度の予算といたしましては六百三十六億四千五百万円程度見込み得る、かような計算を立てた次第でございます。それから大体このような考え方で他の税も計算いたしておる次第でございまするが、相続税と富裕税とにつきましては、やはり昭和二十四年度の実績というようなものを基礎にいたしまして、それから財産増加割合というものを、個々の相績財産、或いは富裕財産、富裕税課税の対象となる財産の種類別に検討いたしまして、その結果課税価格というものを計算いたし、それによりまして昭和二十六年度に収入し得る税額を見積つた次第でございます。
多少又形が変りますものは間接税の見積りでございまするが、そのうち一番重点を置くべきものは酒税でございます。この点につきまして、昨年の第九国会における税法改正の際に、種種問題と相成りました次第でございまするが、税率を調整することによりまして、相当程度密造酒を駆逐する、かような観点におきまして、正当な酒造業者の業績を好転せしめるということを考えた次第でございまするが、今度の予算につきましての計算の基本的態度も全く同様でございます。この点につきましては、先ず与えられた原料といたしましては米が六十万石、麦が三十万石、甘藷が一億九千万貫というのが基礎でございまして、若し昨年の税法改正なかりせば見込み得る販売数量というのは幾らであつたかという計算をいたしまして、それは三百二十一万九千石という程度に考えた次第でございます。その税収は千百四十億六千万円、ところが先ほど申上げましたような事情によりまして、原料は同じでございまするが、そのほかに生産が増加いたしまするならば、業者の努力によつて獲得し得る原料が又おのずから現われて来る、かような考え方に基きまして計算いたしました消費量、この消費量と所得の増加によりまして自然に伸びる分と、それから密造酒を駆逐することによりまして、密造酒に置き代つた正規の酒というものが加わつた考え方でございまするが、合計いたしまして四百十万石、八十八万一千石の増を見込んでおりまして、但し税率が引下げられておりまする結果、税収は十七十二億八千三百万円かように計算いたしました次第でございます。
その他の諸税につきましても大体同様な計算をいたしておる次第でございまして、大体においてすでに差上げてありまする説明に尽きておるように考えますので、その点は省略さして頂きたいと思います。問題といたしては、国民所得の推定におきまするところの、所得の、増加係数と、予算の基礎、租税収入を見込みまする予算の基礎といたしました数字とがどういう関係にあるかという問題でございます。この点につきましては、予算は相当早めに編成の手続を進めておりました関係上、先ほど申上げましたように、大体十月の産業経済の水準というものを基礎にいたしまして、計算いたしております。国民所得の推定といたしましては、これは情勢の変化によりまして、ときどき改訂をいたすような情勢が現われておる次第でございまして、多少この割合に相違がございますが、この相違につきましては、又御指摘によりまして、私どもの考えを申上げさせて頂きたい、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/6
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007・小串清一
○委員長(小串清一君) 御質問ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/7
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008・九鬼紋十郎
○九鬼紋十郎君 法人の利益と言いますか、五二%というような、そんな利益を見られるのですか。その資本に対して。多過ぎるような気がする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/8
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009・忠佐市
○政府委員(忠佐市君) この点につきましては、各経済雑誌等に事業分析として利益率の表を掲げておるようでございます。その利益率といたしましては、相当低めに出ておると思います。ところで私どもの計算といたしましては決算上に表われて公表いたしまする場合の利益金額と、税法の規定によりまして計算いたしました所得金額とが相当の開きを見せておる場合が多うございます。そこで私どもが予定いたしましたのは、会社の決算上公表いたしました利益金額でございませんで、税法の規定によりまして、正当なものとして計算した課税所得を一応とつておる次第でございます。それで決算報告として表われました数字を一応置き替えまして、利益率を見てみますると、結論といたしましてこのような数字になる、かような計算をいたした次第でございます。その内容につきまして本当は一々申上げて御批判を仰ぐということが必要であろうと思われますのですが、農業、水産業、工業等といたしましてそれぞれの数字は持つておりまして、この数字につきましては確信を持つておる次第でございまするが、なおこの関係は取りまとめまして、あとで御説明をさして頂くようにお願い申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/9
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010・小串清一
○委員長(小串清一君) 御質疑はありませんか。別段御質疑がありませんければ、なお御研究のために、今日はこの程度でやめようかと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶものあり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/10
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011・小串清一
○委員長(小串清一君) それで本日はこの程度で会議を散会いたします。
午後二時三十四分散会
出席者左の通り。
委員長 小串 清一君
理事
杉山 昌作君
委員
愛知 揆一君
岡崎 真一君
黒田 英雄君
九鬼紋十郎君
清澤 俊英君
小林 政夫君
高橋龍太郎君
森 八三一君
政府委員
大蔵政務次官 西川甚五郎君
大蔵省主税局調
査課長 忠 佐市君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X00919510219/11
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