1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月八日(金曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 瀬戸山三男君
理事 鍛冶 良作君 理事 小島 徹三君
理事 小林かなえ君 理事 田中伊三次君
理事 福井 盛太君
綾部健太郎君 一萬田尚登君
世耕 弘一君 高橋 禎一君
中村 梅吉君 馬場 元治君
濱田 正信君 大原 亨君
田中幾三郎君
出席政府委員
検 事
(大臣官房司法
法制調査部長) 津田 實君
大蔵事務官
(主計局次長) 吉岡 英一君
委員外の出席者
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房参事官) 關戸 嘉明君
大蔵事務官
(主計官) 廣瀬 駿二君
最高裁判所事務
総局事務次長 内藤 頼博君
判 事
(最高裁判所事
務総局総務局総
務課長) 長井 澄君
判 事
(最高裁判所事
務総局人事局
長) 守田 直君
専 門 員 小木 貞一君
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四月七日
裁判所書記官及び調査官の勤務時間延長反対
等に関する請願外一件(木原津與志君紹介)
(第一九六七号)
同外八件(中村英男君紹介)(第一九六八号)
同(中村英男君紹介)(第一九六九号)
同(中村英男君紹介)(第一九七〇号)
同外一件(中村英男君紹介)(第一九七一号)
同(中村英男君紹介)(第一九七二号)
同(中村英男君紹介)(第一九七三号)
同外五件(大貫大八君紹介)(第二〇〇九号)
同外二件(石山權作君紹介)(第二一一七号)
同外二件(栗林三郎君紹介)(第二一一八号)
同(今澄勇君紹介)(第二一六四号)
同外二件(今澄勇君紹介)(第二一六五号)
同(石橋政嗣君紹介)(第二二〇八号)
同(石橋政嗣君紹介)(第二二〇九号)
同外二件(石橋政嗣君紹介)(第二二一〇号)
同(石橋政嗣君紹介)(第二二一一号)
同(石山權作君紹介)(第二二一二号)
同(栗林三郎君紹介)(第二二一三号)
同(八木昇君紹介)(第二二一四号)
同(八木昇君紹介)(第二二一五号)
同(八木昇君紹介)(第二二一六号)
同(八木昇君紹介)(第二二一七号)
同(横路節雄君紹介)(第二二一八号)
同(横路節雄君紹介)(第二二一九号)
悪質泥酔犯罪者に対する保安処分法制定促進に
関する請願(鈴木一君紹介)(第二〇〇七号)
同(本島百合子君紹介)(第二〇〇八号)
同(加藤勘十君紹介)(第二一一九号)
同(片山哲君紹介)(第二一六三号)
同(河上丈太郎君紹介)(第二二〇七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一〇七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/0
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001・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 これより会議を聞きます。
裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑を継続いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。
この際御参考までに申し上げておきますが、政府側から総理府關戸参事官、大蔵省吉岡主計局次長、法務省津田司法法制調査部長、大蔵省廣瀬主計官、最高裁判所内藤事務次長、守田人事局長、これだけ出席されております。大原亨君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/1
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002・大原亨
○大原委員 最高裁判所法の六十条の改正に関係いたしまして、私はこれから二つの面から昨日に引き続き質疑を行ないたいと思うのであります。
一つは、裁判所の書記官あるいは調査官の職務の内容の面から、もう一つは、その書記官の勤務条件の面から一つお尋ねしたいと思うのです。きのうの質疑を通じて明らかになった点は、抽象的でしたが、いろいろな仕事の割に定員が少ない。私どもが地方の第一線で聞きます場合にも、そういうことがいつも非常に問題になります。裁判が遅帯する、ある場合には忙し過ぎて間違う、こういうことがあります。しかもその少ない定員が欠員を持っているということもきのう大野委員等の発言にもございました。それからいろいろ理屈はつくけれども、待遇が悪い。一般の公務員の給与水準よりも悪い。それは戦争中に軍需産業やその他へ転出した、戦後の穴埋めが十分できていないのだ、こういうことなんですけれども、若い人が多くて中堅層が少ない。これは各官庁の一般的な現象ですけれども、とにかく待遇が悪い。そういうことになりますと、非常に大切な仕事をしておる裁判所の仕事というものが、いろいろな面で支障を来たすのではないか。そういうことになると、結局はその被害は裁判を受ける国民あるいはその該当者の人権を十分に守れない、国家で保障されているそういう権利を十分守れない、こういう結果が生ずるのじゃないか、こういう問題であります。
大蔵省の方へ御質問する前に、ちょっと高裁の事務局へお聞きしたい点は、最近取り扱いの民事事件やあるいは調査官が関係いたしております家事事件等の取り扱い件数の増加の状況を若干数字的に御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/2
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003・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねのございました裁判所に係属いたします事件の数でございますが、ただいま手元にございます民事訴訟、刑事訴訟の事件の二つについてお答え申し上げます。
昨年度、昭和三十四年度の民事、刑事の訴訟事件の件数は三十四万六百九十一件となっております。この件数は、終戦後の昭和二十四年度を一〇〇といたしますると、指数として一一九になっております。ですから、昭和二十四年に比べまして一九%の増加になっているわけでございます。御承知のように、終戦後裁判所の制度も改まりまして、いろいろな問題が裁判所に持ち込まれるようになったわけでございます。これは新しい憲法のもとに、民主主義という考え方もございましょうけれども、いろいろな事件が裁判所に持ち込まれるような道が広げまして、民事事件として、あるいは刑事事件として、あるいはただいまの御指摘のような家事事件あるいは調停事件として裁判所に持ち込まれるようになったわけでございます。それで、裁判所におきましても、ただいま申しましたような数字に準じまして、やはり件数が増加しているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/3
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004・大原亨
○大原委員 私の手元にある資料によりますと、民事事件については昭和二十四年に新しく受けた事件が三十三万件ある。昭和三十二年は八十六万件で、ある。その事件の中で未済が、昭和二十四年は七万六千件、昭和三十二年は二十三万一千件、こういうふうになっておりますが、これは大体間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/4
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005・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいまの全体の件数は手元にございませんので、その点お答えいたしかねるわけでございます。先ほど申し上げました数字は訴訟事件でございまして、そのほかに、刑事で申しますれば、略式事件であるとか、そういったいろいろな事件があるわけでございます。また民事につきましても、調停事件であるとかその他多くの事件があるわけでございます。そういう事件についての件数が手元にございませんので、その点はただいまお答えいたしかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/5
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006・大原亨
○大原委員 今度の六十条の法改正に伴うて書記官補の職務の変更がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/6
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007・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 その点につきましては、今度の改正では書記官補の職務には変更ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/7
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008・大原亨
○大原委員 書記官補と書記官というものは日常どんな違った仕事をやっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/8
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009・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 書記官というものは、御承知の通り、書記官補の中から研修を受けたりあるいは昇任試験に合格いたしまして書記官に昇任されていくわけでございまして、法律的な力におきまして書記官の方がそれだけの資格を持っているわけでございます。日常の仕事につきましては、本来書記官が当たるべき仕事が裁判所に多くあるわけでございまして、昨日も申しましたように、現在書記官の欠員が多くございますので、書記官補にその代行を命じまして、書記官と同じような仕事をさせているわけでございますが、そういう面におきましては日常執務の上では大差がないわけでございます。しかし先ほど申し上げましたように、書記官はそれだけの実力を備えたものとして、昇任試験の合格であるとか研修の終了であるとか、そういった資格を必要といたしております。それだけの力を持った人たちが書記官になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/9
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010・大原亨
○大原委員 法律改正に伴いまして、裁判官と書記官と書記官補の場合につきましては、また大藏省の方で一応中心といたして話を進めていくということで、あとで御質問したいと思います。
大蔵省にお尋ねしたいのですが、きのうおたくの給与課長がここへ出席されまして答弁したのが、私には二様にも三様にもとれる答弁をしている。どういう点かといいますと、今回調整号俸を書記官、調査官についてつける際に、八%の増給をしていく。そういう措置をとる条件としまして、勤務時間数を一週間五十二時間にするという条件を付したことについて、きのうもいろいろ論議をいたしておる。これからも一つやって参りますけれども、そのときに、大蔵省の給与課長の答弁によりますと、裁判所の方が調整号俸で待遇を改善するという名目なり、あるいは仕事が多いということで、五十二時間を差し出してきたんだ、こういう答弁をしたり、あるいは他の検察事務官等の均衡があるから、五十二時間という条件でなければ大蔵省としては許さないんだ、こういう大蔵省の方針を押しつけたような答弁もあった、この二つは逆ですけれどもね。この問題については、私は憲法の労働基本権の問題から、労働基準法の問題から、一般職の問題から、あるいは今日の労働問題としての時間短縮の問題から考えて、仕事の態様から考えてみてもそうですけれども、これは無条件にここを素通りしてもらったのでは困る。大蔵省なり政府がそういう態度をきめるということは重大な問題だと思う。先ほど申し上げたように、定員が少ない、しかも欠員がある、待遇が悪い、仕事が多い、こういう条件の中で、裁判をやる場合には、裁判を受ける方に対する人権侵害の問題が出てくる、こういうことから重大な問題であるというふうに考えて、一つ十分究明していきたい、こういうふうに思っております。きのうもだいぶ時間をかけてやりましたが、そういう大蔵省の答弁がありました。大蔵省は予算の中でやり繰りをする際には、いろいろ理屈をつけて査定をされるということはあると思うのですけれども、実態とか、あるいは筋の通らぬことでこういう問題を取り扱っていったんでは、非常に大きな疑問を残すのではないか。私どもは書記官や調査官の待遇を改善するということについては、決して反対ではない。しかし、それはそれとして筋を通してやるべきである、こういうことを昨日から申し上げているのです。一体、一週間の就労時間を五十二時間というふうにきめておる火元はどこですか。あなたの方はどういう御見解なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/10
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011・吉岡英一
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。昨年の暮れにいわゆる予算の要求、予算折衝が行なわれたわけでございますが、そのときの事情を申し上げますと、最高裁の方から、書記官、調査官等の勤務内容と申しますか、権限を強化するとともに、勤務時間もある程度延長する。それに対応するものとして調整額を八%上げたいという御要望がございまして、それに対しましてわれわれといたしましては、昨日も給与課長が御答弁申し上げたのでありますが、一般の検察事務官あるいは公安調査五官、入国管理官その他一般職の場合のバランス等も考えまして、御要求の筋はもっともであると考えて、それを予算に計上したいといういきさつでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/11
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012・大原亨
○大原委員 今この御答弁ですと、仕事の質と量、質というのは——権限の強化の問題はまた別に議論いたしますけれども、この仕事の質、それから時間は量でありますが、そういうことから調整号俸をやったんだ、こういう申し出があったからやったんだ、こういう御答弁でありますが、私は一つの常識として考えまして、仕事の質に従って号俸の体系あるいは調整するというふうなことはあると思うのです。たとえば大学の教授などは、きのうも例に引きましたけれども、一週間に数日間しか授業しないけれども、研究時間その他で十分時間をとる。しかし勤務時間について拘束をすることはできないし、測定もできない。教職員一般にもそうですね。それを、あなたの方は御承知の通りだと思うが、一般には調整号俸へ入れていくのです。そういうことで、あとでいろいろ議論はいたしますけれども、書記官の仕事がいろいろと責任も重大になってきたし、あるいは教養訓練も重ねてきたから、この際仕事の実態に沿うてそういうふうにやるというのだが、しかし勤務時間を一週五十二時間にするというふうなこと、後者の方をそういう調整号俸の条件にするということは、これは法律の精神、憲法の精神に違反をしている。しかもやり方自体が間違っておる。絶対間違っておる、こういうふうに私はきのうも御質問したのです。たとえば検察事務官というのでしたら、これも勤務時間五十二時間を減らさなければならない。こういう非常識なことはないわけです。基準法にも四十八時間をこえてはならないという原則をきめてあるわけです。そして仕事の都合で船員とかいろいろな場合は別にしまして、そういう時間についてやはり基準法もあるし、一般職の公務員についての規定もあるのだが、船員等のそういう不規則な、あるいは断続的な、そのこと自体が大きな公共の問題になるような場合には、きびしい条件をつけて、四十八時間に近い範囲できめてもいいということになっているのが法の精神です。そういたしますと、結局仕事が多い、仕事の質が非常に大切だということでいろいろ調整をするのはわかるけれども、そのことを定員増加とか、待遇改善とかということをやらないで、勤務時間を五十二時間で拘束するということを条件にして調整号俸を出すということは、どう考えてもいけないです。私はいけないと思いますけれども、大蔵省といたしましては、最高裁の方で、もしこれが、やはり法の精神から見ても、憲法から見てもいけないものだということがわかれば、私は結論を急ぐけれども、このことを条件にしないで調整号俸を出すということについては何ら異議がない、最高裁の方から言ってきたから、この問題は勤務の実態を考えてこういうふうに取り上げたのだ、五十二時間というのは必すしも条件ではないのだ、こういう見解に同意されますか。あるいはこれに反対な場合には、反対の見解を一つ大蔵省の立場で答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/12
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013・吉岡英一
○吉岡政府委員 先ほど御説明いたしましたように、その経緯といたしましては、最高裁からそういうお話があって、私どもの方として、一般職の場合のバランス等を考えてこれを認めたということを申し上げましたが、そういう意味で、今の勤務時間の延長の問題と調整額の増加の問題とは、条件と申しますか、一体の問題であると考えております。従って、勤務時間の延長なしに調整額を増加するということは、私としては適当でないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/13
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014・大原亨
○大原委員 今言ったように、超過勤務についての仕事の質から考えて、考え方を変えて、大学教授とかいろいろな仕事があると思う。あなたはよく知っておられるのだが、あるのです、しかし五十二時間を条件としてあなたの方が予算査定をするというふうなことは、私は最初に質問したことをもう一回重ねて聞いておきますが、どういう根拠ですか。これは違法じゃないですか。違法なことを根拠にして、結局はあなたの方がそういう条件を付した、結果的にはそういうことになる。あなたの方が違法を押しつけるということになる。違法でないということについて説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/14
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015・吉岡英一
○吉岡政府委員 一般的に四十八時間以内という原則があることはお話の通りでありますが、ただ官庁の特殊な必要に応ずる場合には、勤務時間を延長しても差しつかえないことになっておるわけであります。一般職の場合は、人事院の承認を得て、そういうことをきめることができることになっております。その法律を運用しておられます最高裁の場合には、最高裁の承認といいますか、御判断でそういうことができるわけであります。法律違反という問題はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/15
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016・大原亨
○大原委員 人事院の承認があればできるといいましても、先ほど申し上げたように、船員とか看護婦が一つの例外でありますけれども、公務員関係では、人事院判定というのを——看護婦についてこれは全医労が問題として提起しましたのを取り上げて判定を下しているのです。その中にいろいろと説明してありますけれども、結論は、国立病院ですけれども、厚生省はすみやかに看護婦数を確保して、四十四時間制実施の条件を作り、四十四時間制を実施すべきである。現在四十八時間の勤務なんです。そういうふうになっておるのです。つまりその勤務時間については、たとえば検察事務官でしたら、事件があったら夜出ていかなければならぬ。あるいは事件の途中でも休む場合もある。警察と同じような権利を持っておる、あるいは責任がある、こういうことから若干の制限がある。あるいはそういう特例を認める場合もある。あるいは断続的な内容もある。忙しいから、勤務時間が長いから、定員や待遇改善について努力をしておかないで、忙しいという仕事量だけでもって、五十二時間というふうな勤務の条件で予算を査定したり、政府の方針をきめるというふうなことは——それなら、理屈をつければどこにだってあるじゃないですか。そういうことについては、けじめがつかないんです。だから、人事院にいたしましても、基準法の趣旨からいたしましても、そういう場合には、よほどの客観的な理由がなければいけないのです。船員とか船に乗っておる場合には、やっぱりいろいろな断続的な仕事の態様でもあるわけです。勤務時間については認めてもいい。ただしこれは国際的な常識だし、人権を守るという最低限の基準から考えてこう出ておるのだから、やたらにこれを大蔵省で予算査定をいたしまして、その均衡上の都合とか、そういうことで曲げることはできない。仕事の質において論議をするのならいいけれども、これは私が先ほどから言っておる通りです。しかしながら、定員不足とか欠員とか、待遇が悪いというようなことを、言いのがれのために、それを何とかして糊塗するためにそういうことをやるということはいけない。人事院規則その他によってできる。人事院の承認を得ない場合においては裁判所ということになるのだけれども、この書記官の場合は裁判所ですが、しかしそういうことはいけないと私は思うのです。これは基準法や憲法の精神に違反しておると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/16
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017・吉岡英一
○吉岡政府委員 基準法その他の法律におきましても、ただいま申し上げましたように、原則的なものがあると同時に、特殊な場合には例外も認めておるわけであります。従ってこの場合も特殊な場合であるかどうかの判断の問題だと考えます。そういう意味におきまして、先ほど申し上げましたように、人事院の一般職の場合におきましては、人事院におきまして、検察事務官とか、あるいは公安調査官等を特殊な場合と認めて五十二時間の勤務時間をとっております。本件の場合には、最高裁において書記官等の勤務の特殊性を考えられまして、五十二時間の勤務時間をとられたわけであります。それに対しまして、われわれとしては、さきに申し上げました一般職の場合とのバランスを考えて、ごもっともであると判断をいたしたわけであります。書記官等は、最高裁の方からむしろ御説明になった方がいいのかと思いますが、裁判官という勤務時間の制約のない特殊な仕事をされる方の補助をやっておられる方であります。そういう意味において勤務の特殊性があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/17
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018・大原亨
○大原委員 裁判所の書記官というのは、事件のいろいろな持ち込みがあっても、一定の時間の中で処理すべきなんです。夜なんかやる必要はない。裁判自体についても、これは公開の原則だし、夜なんかやる必要はないのです。それで足りなかったら定員をふやせばいいのです。それを勤務時間を延ばすというようなことをやるという。しかも政府が基準法やその他において、憲法において労働基本権やあるいは基準法における最低限の底をきめておいて、そうしてそういう勤務の態様であるにもかかわらず、それを勝手に五十二時間という条件を付して、調整号俸を付するというようなことは、政府がやるべきことではない。そういうことはいけないのです。今この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/18
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019・吉岡英一
○吉岡政府委員 今こまで御説明した通りの考え方を持っておりまして、御説のような御意見もあるかと思いますが、われわれとしては勤務の特殊性によった勤務時間であり、それに応じた調整号俸であるという考え方で、間違ってはおらないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/19
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020・大原亨
○大原委員 あなたは最高裁の方からこういうふうに言てきたから、やったんだ、その根拠についてはこういうふうに考えておるのだということを言っておるのですが、その中身というのは、基準法は最初の一条にもこう書いてある。「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」、「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」この労働基準法の一条、あるいは二条その他、憲法を受けて国家公務員法の一般職のそういう規定があるわけです。公務員の規定がない場合においては、この基準法や憲法に返ってくるのです。そういうことから考えてみまして、あなたの答弁は、そういう基準法の精神に違反しておるじゃないですか。しかも、書記官については、管理職手当も何もないということは、きのうの答弁でわかった。書記官の職務権限については新しく加わっておるけれども、管理職でも何でもないということがわかった。そういう実例もないのに、そういう国の作った憲法なり基準法の精神に違反をして、例外措置をもって抜け穴からいくのはいけないのです。法律の精神からいって、これは大問題です。あなたで解決しなかったら、大蔵大臣に聞かなければならぬ。そういうところへのしわ寄せはいけない。五十二時間の勤務で拘束するというようなことは——四十八時間をこえてはならない、その前後だというのに、しかも書記官について五十二時間である、そういうあなたのようなでたらめな法律の解釈はないですよ。私が言った基準法と憲法と一般職との関係から考えてみて、不当である。基準法の精神に反する、こういうことについてあなたの御見解をもう一回聞かしてもらいたい。記録にとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/20
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021・吉岡英一
○吉岡政府委員 労働基準法あるいは国家公務員法等を御引例になったわけであります。その同じ法律の中で、特殊な例外の場合の規定があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/21
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022・大原亨
○大原委員 どこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/22
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023・吉岡英一
○吉岡政府委員 たとえば一般職の職員の給与に関する法律の第十四条に「職員の勤務時間は、休憩時間を除き、一週間について四十時間を下らず四十八時間をこえない範囲内において、人事院規則で定める。」という第一項がございますが、同時に第三項に「職務の性質により第一項に規定する勤務時間の最高限をこえて勤務することを必要とし、且つ、その勤務時間が俸給算定の基礎となっている職員の勤務時間については、各庁の長が従前の例に準じて定めるものとする。この場合において、各庁の長は、人事院の承認を得なければならない。」とあります。要するに趣旨は、人事院の承認を得て原則の例外として長い勤務時間をきめておることになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/23
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024・大原亨
○大原委員 この法律がそういう解釈だったら、全部が例外になってしまうんだ、幾らでもそういうことができるのですよ。この場合は、私が具体的に言ったように、事件の処理というものは書記官の仕事というものは定員をふやせばできるんですよ。定員をふやせばこの仕事はできるでしょう。定員をふやしてできない場合に、仕事の態様からいって、公共のいろいろな問題に関係がある場合には、例外措置なんだ。あなたは原則と例外を取り違えているのです。これは定員をふやしたら、この仕事は処理できるでしょう、勤務時間についてそういうワクをはめないでもできるでしょう。あなたは原則と例外を、法律を反対にしてやっている。この問題について権利を主張する者がちゃんとそうやれば、今は人事院という第三者機関がなくて、最高裁の方は任命権者が、監督する者が判定を下すようになっている、これは憲法違反です。だからこれは最近国会で問題になったから改めるということになっているが、それに対して救済措置がなければならない。なかったら憲法の二十七条に違反するものである。労働基本権に違反するものである。これは生存権として認めているものだから、それに対する制約を加える以上は、補償措置がなければいかぬ。この問題はたまたま最高裁が人事院とかその他の第三者の調停機関がないものだから、その盲点で自分で判断をしているけれども、法の精神からいったら、例外を原則にすりかえるものである。あなたの説明しているのは例外だ。定員増加をもってこの問題が解決できないかどうか、こういう点が基本的な問題ですよ。定員増加をもってできるでしょう。あなたはできないと思いますか、この勤務の態様から言って。これは次長に御答弁いただきましょう。あなたは勤務の実態を知っておられるのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/24
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025・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 裁判所の事件の増加は先ほど申し上げた通りの状況でございまして、ただいま御指摘のように定員の増加をもってこれに対処すべきであるということは、確かに基本的にはその通りでございます。しかしながら裁判所の実情が定員の増加ということが現実の問題としてできないということ、これはまず第一に先ほども申し上げましたように、裁判官の数が現在以上得られないという現実の問題があるのでございます。その裁判官の数が今日以上に得られないという現状は、今日のような執務体制にならざるを得ないということになるわけでございます。その裁判官の執務体制に応じまするところの裁判官の調査に関する補助の仕事は、やはりその裁判官の執務体制からくるわけでございます。従いまして書記官の今度の新しい職務につきましては、やはりその実情に即応せざるを得ないわけでございます。そこに五十二時間の勤務時間延長をせざるを得ないという現実の状況があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/25
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026・大原亨
○大原委員 裁判官なりあるいは書記官の定員が足りない上に欠員があるわけだが、その裁判官とか書記官は、待遇を改善して定員を増加して、補充できないということはありませんよ。戦後十年間たっておるじゃないですか。そういうことはあり得ないことですよ。そういう客観的な説明がつきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/26
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027・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、裁判所で扱いまする事件の増加ということはいろいろ理由があるようでございますけれども、昔の制度では裁判所に持ち込めなかったような事件も裁判所に持ち込めるようになりまして、いういろな事件が裁判所の判断を受けるような法制になったわけでございます。従いまして、裁判所の事件がふえて参りましたし、今後一そうふえるということは予想されるわけであります。しかし一方におきましてそれに応じまする裁判官の増加ということは、結局これは日本全体の法曹の数に応じて制約されるのであります。法曹の数は、御承知のように、戦後裁判所における事件の数の増加に応じてふえておりません。司法研修所におきまして修習生の養成をしているわけでございますが、その養成が、人数はおいおいふえておりますけれども、とうていそれに追いつかないわけであります。御承知のように、日本の法曹人口は、弁護士、裁判官、検察官を含めまして戦後著しい伸びがないのであります。その中におきまして裁判官を任命していかなければならないのが現実であります。司法修習生の修習につきましては、戦後ようやく十年を経て参りまして、司法研修所の修習が軌道に乗り出て、約十年たったわけでございます。ということは、修習生を終わって判事補になり検事になり弁護士になった人たちがようやく十年の経験を経て参ったのであります。ここでようやく今度判事になる資格を得る人たちが九十名ばかり出るようになったのであります。判事補から判事になる任命資格を有する人が九十名いるようになったのであります。判事の定員の、今日まで掲げておりました欠員が、ことしはどうやらこれで一ぱいになるというのが現状であります。裁判官にせよ、書記官にせよ、定員を増加すればいいに違いございませんけれども、こういうような裁判官の任命資格あるいは書記官の任命資格から申しまして、すぐここで所要の定員をしていくということは、現実の問題として困難なことでございまして、何年かの後を期してその対策を練るほかないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/27
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028・大原亨
○大原委員 書記官の待避が悪いから定員に満たないのじゃないですか。修習生その他の職員からの補充任命についていろいろ話がありましたけれども、待遇が悪いからじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/28
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029・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 もちろん裁判官、書記官につきましての待避の問題は、基本にあると存じます。しかし、今当面しております問題は、書記官について申しますと、昨日も申し上げました新しい書記官制度のもとにおける書記官、その任命資格を持ち、それから定められました研修を経た者、そういう人たちの数が今日まで得られなかたわけでございまして、これもようやくその数を満たせるような状況になってきたわけであります。過去十年間まことに長いようでありますけれども、とにかく裁判所といたしましては着実にその道を歩みながら、書記官陣営の充実ということを期しているわけでございまして、書記官の充員、それもようやく今年あたり相当の数に上ることが期待されているわけでございます。これはやはり新しい意味の書記官制度を作る上におきまして、過渡的にはこういった現象ができるのもやむを得ないことと存じます。すぐに一、二年あるいは二、三年で解決する問題ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/29
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030・大原亨
○大原委員 私は専門家でないからわからぬですけれども、書記官の勤務時間について今論議をしているわけだが、書記官を、たとえば大学卒でもどんどん入れるし、部内からでも再訓練したり、どんどん登用できるような道を開いて、それに相当する待遇をしたら、書記官の権威も高まってきて補充できる。それくらいの教育はできるはずだし、戦後十五年じゃないですか。あなたは、大蔵省の関係があって予算をきゅうきゅう締められておるから、そういう答弁をなさるのかもしれないけれども、いろいろな事情を聞いてみたら、第一線に立つ書記官たちはとても忙しいんだ。そういうことになると、きのうも大野委員が御質問になっていたけれども、それに対応する待遇をして定員をふやしていけばできるですよ。物理的にそんなことできませんか。戦後十五年ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/30
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031・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 ごもっともでございますけれども、やはり裁判所の裁判官にせよ、書記官にせよ、それだけの実力——実力と申しますのは大学卒業という意味だけでなくて、実務上の実力がつくことが必要でございますが、一、二年あるいは二、三年ですぐ実力がつくということにはなかなか参らないのでございまして、これは先ほど来申し上げますように、新しい書記官というものを作っていく上において経過している過渡的な状況でございまして、確かに予算の面もございますけれども、金ばかりでは解決できない問題で、要するに人間の問題になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/31
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032・大原亨
○大原委員 あなたの答弁はまだ納得できないのだが、戦後十五年ですし、号俸体系を書記官の職務に相応するように変えていく、こういうことはいいですよ。当然やる、それが本則ですよ。そしてそれに基づいて定員を補充していく。やはり大学卒だって何だって、優秀な人はなかなか来たがらぬですよ。そうでしょう。いろいろ事情を聞くと、待遇の問題、定員の問題です。法律を守っているところが一番法律を守らない。まずその最高裁の足元が、憲法や基準法の精神に逆行した、そういう人権を否定するような不明朗なことをやっている。この点は、書記官との関係、一般裁判官との関係、いろいろなことについて御質問したいけれども、これは職場の仕事をやっている空気の問題だから、そういう大切な職務だったら、それに相応するような条件を作っていかなくちゃならない。そういうことをやらないで、労働基準法や一般公務員の待遇に関して例外的な措置で、しかも時代の趨勢に逆行する一週五十二時間という条件で仕事をさせることを正当化するようなことはいけないですよ。
一つ念のために聞くのですが、五十二時間の上に超過勤務いたしましたら、超過勤務手当を払うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/32
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033・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 超過勤務については、ただいま仰せの通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/33
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034・大原亨
○大原委員 大蔵省の方も一つ聞いておいてもらいたいのだが、昨日の質問の続きですが、予算も通っていない、あるいは法律改正も通ってなくてまだ審議中ですけれども、そういうときに、これをやるために、書記官から同意書を取られる、これは封建的じゃないですか。基準法の精神、憲法の精神に反しておる同意書を取っているのですよ。そうして一札取っておいて、一定の限界を設けて、権利を保障するという建前でなしに命令を聞けという立場で、聞かなかったら承知しないぞという状況の中で同意書を取る、そして五十二時間の既成事実を作り上げる、これはいけないと思うのです。きのうも御質問いたしましたけれども、同意書は大体どのくらい集まっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/34
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035・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 これは必ずしも同意書といえないようないろいろな形があるわけでございまして、昨日も申し上げましたけれども、報告の形式は、表題のないのもありますし、それから、これは首席書記官に頼みましたからそういうことになっておるわけですが、報告とか、上申書とか、回答とか、あるいは同意書というのもありますが、種々雑多な書面の形になっております。そういったものが大体千七百四十七通ほど参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/35
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036・大原亨
○大原委員 その中で同意書は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/36
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037・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 その中で、賛成しておるのが二千七百十人でありまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/37
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038・大原亨
○大原委員 千七百四十七で二千七百十人なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/38
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039・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 これは署名を求めたわけではございませんから、管内の賛成の人員何名というような報告もあるわけでございます。ですから、まず同意書を取ったという誤解があると思いますけれども、同意書というものを取ったわけではないのでありまして、ただ意向を聞いた。その意向の表現が、同意書というような形で出しているものもあるし、上申書的な形で出しているものもあるし、回答という形で出しているものもある。あるいはそういう書面もなくて報告をしたものもありますし、いろいろあるわけでございます。そういったものが二千七百十人で、うち書記官が二千百五十人、全体の八三%くらい、それから調査官が五百六十名、これが六八・五%くらい、平均いたしますと八〇%くらいは大体賛成している。勤務時間の延長は反対だ、勤務時間の延長がなければ賛成だというのもみな反対にいたしておりますけれども、そういった人が百七人くらいと考えております。全面的反対が百九十八人、留保したのが五人、提出しないことが明確になったのが三百八十人くらい、合計いたしますと六百九十人くらいがいわゆる反対と考えていることになります。しかしこれは全部でない、来ないのもまだあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/39
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040・大原亨
○大原委員 同意書は時間を書いてあるのですか。五十二時間勤務することに同意しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/40
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041・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 同意書の形では、「次の条件で現行八%調整を一六%に増加することに同意する。一、勤務時間一週四十四時間を五十二時間に延長すること。二、「裁判官の事務補助をすること。」この裁判官の職務の補助——判例、法令上の調査といったことの改正につきましては、全面的にみな賛成でございます。勤務時間については反対の面があるとただいま申し上げた通りでございます。この同意書の一つの形式では、五十二時間勤務するということを条件に入れておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/41
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042・大原亨
○大原委員 私の手元にある資料では、そういう同意書のうち、勤務時間が入っているのは全国でもほんの一、二の高裁の地域であって、あとはほとんど入っていない。あなたは、同意書を出させたのじゃない、命令をしたのじゃない、自主的に出したのだと言うのでしょう。出させたのでしょう。出させたのだったら同じことでしょうしかも、五十二時間というものについては、私の手元の資料では確認もしていない。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/42
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043・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 私の方としては、書記官の意見を聞いたわけでございまして、同意書を出せとかあるいは何を出せとかいったわけじゃございません。ただ、意向を聞くにあたりましては、裁判所書記官の権限の拡充の問題、勤務時間五十二時間の延長の問題、調整号俸八%増しの問題を明確に示しまして意向を聞くようにと言うて依頼したにすぎません。もちろんその書記官が帰りまして書記官同士の間で説明したときは、当然そういうことを言って説明したものと思いますし、そういう報告を大体受けております。その結果、勤務時間の延長というものが、必ずしもそういうものについて一々承諾の文面が書いてなくても、それはもう当然希望、賛成の意見であれば、それは賛成していると私どもは見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/43
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044・大原亨
○大原委員 人事局長、あなたの方が承知させるという意図を持ってやっていることは、いろいろな会議の伝達の仕方ややり方ではっきりしているのです。大蔵省の方によく聞いておいてもらいたいのだけれども、あなたの方は予算査定において、私は筋を通して待遇改善しなさいと言っているのです。調整号俸もよろしいでしょうと言っているのです。しかしこんな誤ったことをやるから——封建的な同意書とかいうものを、一つの職制あるいは最高裁の意向によって取ったのであったら、これは大へんなことですよ。そういうことは近代的な民主主義の社会においてはないですよ。戦争前の封建時代の裁判所であれば、無定量の忠誠の義務を負うということはあった、文句なしだったのです。そういうことがこういうところにしわ寄せになっているのです。改善さるべき方向というのが明確にならないで、そうして現状においてこうういうふうな非常に不合理な形になっている。しかも最高裁という足元でそういうようになっている。これは同意書は強制したわけじゃないといっても、客観的には明らかに強制しているのです。現にあなたの手元に資料を集めているでしょう。みんな集まるということは知っているわけだ。この資料を出さなかった人というのは、よほどりっぱな人だと思うのです。自分の権利について意識している人は、仕事についても良心的にやるという自党を持った人ですよ。これが民主主義だ。そういうふうになっていかなければいけない。これは出さない人の方がよほどしっかりした人であって、自覚の高い人というふうに思いませんか。人事局長どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/44
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045・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 私どもはその詳細のことはわからないのでありまして、私の方では意向が知りたいことはもう当然でございます。なぜならば、意向がわからなければ、こういう法的措置を講ずる余地は全然ないのでございます。だからそういう意向を知った上で、初めて裁判所法の改正も、それから裁判所法の改正が成立しますれば、それと勤務時間の延長というようなことも一応法的措置を講ずるわけでございますが、そういう意見を聞いた上でそういう措置を講じようとする態度が、私は非民主的とか、あるいは封建的とか、そういうものではないというふうに考えた上の措置でございます。その同意書を取るとかなんとかいうことを強制的にやったというような事実は私の方は全然わからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/45
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046・大原亨
○大原委員 私が言っているのは、いいことについて同意書を取るのはいいんです。現状においては調整号俸を出すということはいいことでしょう。とにかく待遇改善ですから、素朴にみんな望むんですよ。しかし五十二時間という条件を付すというようなことはいけないですよ。基準法の体系から言うても、そうして国際的な常識から言うても、日本の国内法の体系から言うても困難ですよ。そういうことについて同意書を取るということ自体が悪いんですよ。間違いですよ。人事局長、そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/46
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047・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 私どもは書記官の意向を聞いた上でいろいろ措置しようとするわけでございます。書記官が反対すれば、もちろんそういうことをするつもりはないわけであります。ですから強制とかなんとかいったニュアンスを持たせたような御質問のようでございますけれども、そういったものはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/47
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048・大原亨
○大原委員 それでは少し問題を変えて、第六十条に直接関係いたしまして御質問いたしますが、第二項が挿入されまして、今度新たに書記官の仕事として裁判官の命を受けて、裁判官の行なう法令及び判例の調査その他必事な事項の調査を補助する。こういうふうになっております。これはもとの原文で言いますと、第三項に端的に出ておるように「裁判所書記官は、口述の書取その他書類の作成又は変更に関して裁判官の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。」こういうふうに仕事をやる限界を前の法律はきわめて明確にしておきました。正当でないと認めたときには、書記官の職務の範囲を出ていることや、あるいはやったことについて意見があるときには、意見が言えるようになっておる。今度は、裁判官の命を受けてこれこれについて仕事を補助する、こういうふうになっておるわけです。そういたしますと、法令及び判令の調査その他の事項、こういう仕事の内容が問題になってくるわけですけれども、その他必要な事項で裁判官の命令するものとは、具体的にはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/48
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049・津田實
○津田政府委員 裁判官が裁判所の事件を処理いたす上におきましては、法令、判令の調査その他必要な事項の調査をいろいろいたさなければならぬわけであります。ところが、そこに例示にあげておりますところの法令及び判例の調査というものは、典型的なものを例示としてあげたわけでありまして、法令の内容あるいは法令の存否、改廃の経過、あるいは判例の内容等の調査は当然いたすわけでありますが、それについて裁判官が命令をして書記官に補助をさせる、こういうことになるのであります。その他必要な事項と申しますのは、それに類するような、その例示に当てはまるような事項でその他必要な事項ということでありまして、あるいは法令制定の経過、国会におきまするところの審議の経過、そういうようなものを議事録等によって調査をするというようなことも含みます。また、方面は違いますが、具体的事件におきまして、たとえば非常に複雑な計算関係のものがある。その計算の内容は一々裁判官が行なうわけでありますが、その計算の照合、計算が正確であるかどうかの照らし合わせを書記官にもやらせてみる、あるいは犯罪数のたくさんな事件につきまして、犯罪一覧表を作成する。その犯罪一覧表の内容と始末書、その他被害届というものと合致するかどうかというようなことを調査させる。あるいは控訴審その他上級審におきまして、下級審の裁判所の手続が法令に従っておるかどうかを記録上見得るかどうかという点の調査をさせるというようなことが、この必要な事項の調査の内容に入るわけでありまして、それは個々に裁判官が命令をして補助をさせる。あくまでもそういう調査は本来裁判官がやるべき調査でありますが、裁判官が命令をしてその調査の補助をさせるという意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/49
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050・大原亨
○大原委員 その仕事の範囲についてはその他の事項等につきましては、何できめるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/50
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051・津田實
○津田政府委員 法律上は、ただいま申し上げましたように、この法令及び判例の調査というようなことを例示にあげて、その他必要な事項といっておりますので、そういうような意味におきまして、裁判の本質に触れるような調査ではなくて、裁判官の行なう調査を補助するという意味の調査で、調査と申しましてもほんとうの裁判の内容を含むところの事実の調査というものをこれに含ませる趣旨でないことは、この例示からも明らかでありますし、書記官の職務の本質から申しましても、書記官と裁判官の職務を分けております。つまり、裁判官がみずから裁判をするという本質から申しましても、そういう事実の調査をさせるというようなことは当然含まないわけでありまして、そういう意味におきまして裁判官が事件に関して行なう必要なそういう事実の内容にわたる、いわゆる裁判にわたるような事項でない事項に関して裁判官の行なう調査というようなものを補助させる、こういう意味でありまして、具体的の内容はこの法律を正当に解釈して行なう以外にはないわけであります。ただし、最高裁判所におきまして、司法行政の範囲内においてこれこれの事項を例示として必要な方法において裁判官に周知させるというようなことは、これは事実上可能であると思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/51
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052・大原亨
○大原委員 例示をしてあるから、これこれこういう問題についてはその例示の原則に従って裁判官のやる仕事まで入るのではない、こういう御説明がありましたが、今までもいろいろ裁判書きの問題等で論議がありました。そして、問題となって、組合との間においても不正常な関係になるという原因になったと思うのです。その問題はあとにいたしましても、やはり例示をする、これは原則だから、この例外的なものその他必要な問題、こういう問題についてはこの精神に従ってやるのだ、こう言われましても、やはりこの第六十条の第三項の精神から言いまして、裁判官といえども人間である、こういうことから、客観的な基準がなければ、いろいろと無理な仕事がふえてきて、それでなくても勤務時間の問題で人権じゅうりんの問題を論議しようとするのに、仕事の問題についても下の方へ下の方へしわが寄る。そうすると、書記官としての仕事の限界と責任というものが不明確になってくる。こういうことからいえば、六十条全体の精神からいうと、そういう精神が間違ってきはせぬか。そういう点についての、いろいろ議事録にとどめるという意味もあって、あなた御説明になりました。そういう点の保証、それは具体的な仕事についてはあらかじめやはり列挙をすべきでじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/52
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053・津田實
○津田政府委員 もちろん法律にこまかく列挙するということを立案の過程において考えないわけではなかったのであります。しかしながら、裁判所法自体の一般の体系と申しますると、裁判所の組織をする法律でありまして、他の一般の体系から申しましても、裁判官あるいはその他の職員の職務範囲というものは非常に抽象的に掲げられておるわけです。そういうことを考えますと同時に、具体的には裁判官が命令をして行なうという立場をとっておりますので、この裁判官はいわば法律の解釈の最終の拠点であるわけであります。従いまして、その裁判官が法律を不適正に解釈をするということはまず一応考えられないということと、もう一つは、この事項につきましてどういう事項を主として行なわせるか、またどういう範囲において行なわせるか、あるいはその程度いかんという問題は、これはやはり司法行政の問題として抽象的に最高裁判所が指導することができる範囲に属するというふうに考えておりますので、法律面はこの程度で十分であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/53
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054・大原亨
○大原委員 規則でもやらぬわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/54
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055・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいまの事務の範囲でございますけれども、これは裁判官の行なうこれこれの調査を補助するという表現で、私どもその範囲は明らかにされているものと存じます。その範囲の具体的なものは、ただいま津田部長から御説明申し上げましたが、最高裁判所といたしましては、その実施の方法につきまして、やはりこれは最高裁判所規則で実施面を規定すべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/55
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056・大原亨
○大原委員 法令及び判例の調査が新たに加わるわけですけれども、きのう私はこれに関連いたしまして、各級裁判所における資料室の問題について御質問いたしましたが、資料室の現状はどうなんですか。それからその資料室で仕事をしている人、それから資料室の持っておる仕事の目的、こういうものはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/56
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057・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 裁判所の資料室は、従来裁判所に図書室というものがございまして、図書を蔵しまたは職員の利用に供しておったのでございます。その後それを資料室という制度に改めまして、その充実強化をはかっているわけでございます。資料室は各裁判所に置かれておりまして、所要の図書を蔵して職員の利用に供するわけでございますけれども、年々最高裁判所が一定の予算を各所に配付いたしまして、各所でそれぞれ図書を整備するのでございます。一方また全国的に当然必要とする基礎的な法律書などがございますので、それは最高裁判所が一括して購入いたしまして各所に配付いたしております。配付の範囲等は、予算の制約等もございまして、それぞれの本によりましてその範囲をきめているわけでございますが、年々そういった整備がはかられているわけでございます。資料室はそういうわけで年々図書の整備がなされておりまして、どこの図書館でも同様でございますけれども、年々その整備をはかっていくうちに、図書室が資料室としてりっぱなものになっていくわけでありますが、書架の設備などもだんだんにいたしております。これも年々図書がふえるのに対しまして、書架の増設ということはなかなかむずかしいし、やはり完全な書架という施設は、従来もたくさんございませんけれども、書架の施設などもおいおいいたしておるわけでございます。そこに資料室の係長がおりまして、これは事務局の、書記官ではございません、事務管が係長をしておりまして、資料室に当たっております。
なお資料に関しましては、資料担当の裁判官がおりまして、その整備なり整理などにあずかっております。資料室には、ただいま申しましたように、係長がおりまして、資料室の事務をやっております。これは職員の要求に応じまして、大体閲覧室の設備がないものですから、主として貸し出しによりまして図書を利用しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/57
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058・大原亨
○大原委員 その資料室のシステムというのは、これを整備しておけば近代的なものだと思うのです。その中には判例とか法令の調査ということで外国にもいろいろ例があるらしいが、カード式できわめて事務的にできるようになっておる。それは事務官がちゃんとおってやっておるのですが、そういう整備をするとかあるいはそれを強化するとかいうことでなしに、書記官に対しましてそういう法令や判例の調査についての一つの職務の内容を与えるのは、どういう根拠なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/58
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059・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 判例、法令等の資料を整備いたしますことは、裁判所の資料としては当然なさるべきでございます。ただいま御指摘のございましたような資料室の整備ということと、それから書記官のこういった調査の補助ということは一体をなして、裁判所の事務の運営に資することになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/59
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060・大原亨
○大原委員 もう一回次長の方にお尋ねいたしますが、六十条の第二項にこういう新しい条項を入れることは、裁判所の書記官の職務権限について、従来規定をいたしました精神からいって、そういう裁判官の命令を受けて、そしてこれを補助する、こういうふうに必要な事項を具体的に内容的に明示しないでやるということは、六十条の精神からいいまして、これは少し問題となってくるのじゃないか。裁判官の職務という面と、それから書記官の事務内容の明確化とそして自主性という面から考えて、問題となるおそれはないと考えられるか、あるいはあると考えられるか。私はあるのじゃないかというふうに思うわけですけれども、その点について、法律の体系からいってこの点はおかしくないかどうか、法律の仕組みからいいましておかしくないか。これは重ねて御質問するのですが、一つあなたの方から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/60
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061・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 裁判所書記官の職務権限につきましては、裁判所法第六十条第二項に現在基本的な規定がございます。それは「裁判所の事件に関する記録その他の書類の作成及び保管その他他の法律において定める事務」となっております。御承知のように、裁判所の書記官につきまして、法律によりまして書記官が当然行なうべきとされておる権限、職務があるわけでございます。これはただいまお話のございましたように、書記官の独自のと申しますか、書記官が当然に行なうべき権限と法律上されているわけでございます。そのほかに、その事務に付随いたしまして、当然これに付随し、また密接に関連いたします事務が書記官の事務とされているわけでございます。それをわれわれは書記官事務といい、訟廷事務と称しておりますけれども、そういった付随的な事務があるわけでございます。以上のような書記官の事務につきましては、現在の六十条の三項に「裁判所書記官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う。」ということがございます。これが書記官の職務の態様の原則でございまして、書記官はその職務を行なうにつきましては裁判官の命令に従わなければなりません。ただ、さらに第四項に、今度はその例外を置きまして、「口述の書取その他書類の作成又は変更に関しては裁判官の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、」書記官は「自己の意見を書き添えることができる。」となっております。ですから原則はやはり口述の書き取りその他の書類の作成でも、裁判官の命令によって変更しなければならない。けれども、もし変更が正当でないと認めたときには、これを書き添えるわけであります。それが書記官の職務、執務の態様でございます。今度の調査の補助ということは、従来の第二項に定めました権限ないしそれに附随する職務とは全く別のことでございます。これは昨日来申し上げましたように、今日の書記官の学識あるいは能力そういったことから、さらに書記官の職務を新たに広げるわけでございまして、それにつきまして、まず裁判官の調査に関する補助という、従来と比べますと、法律的には若干高度の職務を付加するわけでございます。これはやはり裁判官の調査の補助でございますから、裁判官の命を受けてすることになるわけでございまして、先ほど申し上げました第六十条に定めまする従来の書記官の職務権限に照らしましても、特にこの執務の態様に異なる性格を持たすわけではございません。ただ権限の範囲といたしましては、従来よりもまた別のものが加わるわけでございます。この意味におきまして、新たなるものが加わりますけれども、執務の態様につきましては、従来と性格を異にしていないと解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/61
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062・大原亨
○大原委員 第六十条の今言われた末尾の項に、「その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。」というふうに、書記官に対して一つの公証官としての自主性を与えておると思うのです。兼子教授も、書記官は一般的に裁判官の部下じゃない、補助官ではない、法律上書記官に与えられた権限を行使する機関構成員であり、裁判所法第六十条三項も、裁判機関と書記機関との機関相互関係としての命令関係を定めたものであって、一般の上官、下官の公務員関係に基ずく指揮命令を規定するものではないという考え方もあるわけです。この末尾の項の「自己の意見を書き添えることができる。」というふうなことは、第二項の次に今回入れましたことにはかからないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/62
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063・津田實
○津田政府委員 ただいま御指摘の現在の第四項につきましては、これは裁判所書記官が独立して職権を行使する場合におきまして、現在の第三項によりまして、その職務を行なうについては裁判官の命令に従わなければならぬ、従いましてそれに従ってやった場合に、自己の意見と違うことがある場合に書き添えるという考え方を、現在の第四項が示しておるわけでございます。従いまして、今度新たに加わろうといたします第三項につきましては、これはあくまでも裁判官の行なう調査を補助するわけでありますから、こういう自己の権限に基ずいて最終的な内容をきめるというような事柄が起こり得ないわけでございます。従いまして、事柄の性質上、現在の四項は新しい条項には適用がないということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/63
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064・大原亨
○大原委員 だからそこが問題でありますけれども、書記官が新しい職務権限を持つ、こういうことになる。そういう際に、これは憲法の七十六条に、「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」これは司法権の独立についてまず最初に述べておると思うのです。そういうところから考えて、そういう条文から考えてみましても、責任分野と仕事の範囲というものは裁判官については明確にしておく。それで書記官についても自分の責任の範囲を明確にしておく。それを、裁判官の命令を受けてこれに従属するような、そういう意味の主体性のない補助機関にするというふうなことは、これはやはり裁判官が責任を持って人権をさばいていくという憲法の趣旨からいって、裁判官としての責任のがれになったり、あるいは誤った結果をもたらすのではないか。それは裁判官はいい人がいるとは限らない。全部がいい人とは限らぬ。公正にやろうという意思があっても、やはり人間であるから、そういう責任分野が明確でなければ、投げやりのことも起きてくるわけです。ですから、こういう書記官が公証官としてのそういう自主性を確保することが、人権を守ろうとすることが、それぞれの分野に従って良心的に仕事をしていく、少々都合が悪いことがあっても、その原則を守っていくことが、私はやはり憲法の趣旨であり、裁判所法の趣旨である、こう思うのです。そういう書記官を従属する機関にするというようなことはいけないのじゃないか。基本的に言えば憲法違反だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/64
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065・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の点でございますが、裁判所法第六十条四項に、ただいまお話しのような口述の書き取りにつきましては、書記官が自分の意見を書き添えるという、これは公証の公正の一つの担保としての形において、そういう権限があるのだろうと存じます。これは書記官のそういう公証事務の権限の自主性と申しますか、それを規定しておるわけでございます。しかし従来書記官はやはり先ほど申し上げました書記官事務、訟廷事務を行なうのにつきまして、裁判官の命令に従っていたわけでございまして、しかしそのために、この第四項のただいま御指摘の権限が左右されたというようなことはないと存じます。その公正が害されたというようなことはないと存じます。今回新たに加わります職務も、やはり裁判官の命を受けということになっておりますが、それは従来の言記官事務あるいは訟廷事務にプラスいたしまして、そういった一種法律的に高度な事務が加わるわけでございますが、それについて裁判官の命を受けるということにいたしましても、従来通りやはり六十条第四区項のこの書記官の公正な執務の担保というものが害されるおそれはないものと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/65
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066・大原亨
○大原委員 六十条の第二項には「書類の作成及び保管その他他の法律において定める事務」こう言っておる。「他の法律」と書いてある。法律ですから、法律によらなければ書記官の仕事の内容は規制できないようにしてあるのです。今度は第二項では、その他裁判官の命令をする必要な事項、こういうふうになっていまして、非常に包括的に裁判官に従属をしてくる、こういうことになるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/66
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067・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 今度の改正「その他必要な事項」と申しますのは、決して御指摘のように広い意味は持っていないと存じます。例示がございますことと、それから裁判所の事件についての裁判官の調査でございますからその範囲はきわめて明瞭になっておると私どもは存じております。その意味では、決して範囲が非常に広まったというふうには思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/67
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068・大原亨
○大原委員 それは思っておらぬといって、原則の上に立った例外的な問題だといわれても、大蔵省の主計局の主張に立って、今の答弁は例外をもってこういう原則的な問題を説明しているのだ、あなたの方もそれに便乗しているのだ、安易についているのですよ。書記官とか調査官というものの職務というものが、現状において大切であり、そうして仕事の質というものがそれだけ集中度や責任の多いものであれば、そういうふうに号俸体系を変えるならば、堂々と調整号俸をやったらいいじゃないですか。当然定員を増加してやるべき問題をやらないで、そして例外的な措置をして糊塗しようとするから、この制度自体がゆがんでくるのじゃないか。これはやはり基本的な問題です。あなたの足元において職員が安んじて仕事ができない、そういう態勢において公正な裁判はできませんよ。国民の人権尊重はできませんよ。みずからの職員において、予算の都合や単なる都合上だけで、法の解釈について無理なことをするようなことでは、これはいけないですよ。そういうことから考えてみまして、私はこの「その他必要な事項」ということについては、私のようなしろうとがわかるような、どういう場合があるのかという点について、文書をもって一つお答えをいただきたい。
後ほどどういう場合があるかということを、文書をもって私の手先へお出しいただきたい。
それから事件の受付件数にいたしましても、未処理件数にいたしましても、処理状況にいたしましても、最近裁判所が非常に忙しくなっていることはだれも認めていることです。そこで、そういう場合に、勤務時間を、五十二時間にする、こういうことで現状を糊塗しようとする。一週間の勤務時間でありますが、それで糊塗しようというふうなことなんだけれども、公務員法にも基準法にもちゃんとあるのです。この最低を割らせないために、これに違った勤務の態様をやる場合においては、法律できめなければならぬということになっている。基準法にもちゃんと書いてある。公務員は基準法は適用になるのですよ。政府自体が最低の条件をきめているのですから、これは適用になるのです。これを受けて、一般公務員法の労働基準があるのです。だから一般公務員法でこれを適用する場合には、こっちが優先するのです。特別として認める場合にはそれでいいが、これはこれ以上きわめてよろしいということにはならない。だから、そういうことを考えてみました場合に、今申し上げました点について、あなたの御見解を一つもう一ぺんあらためてお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/68
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069・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のございましたように、今日の裁判所の実務の現状上、まことにやむを得ない時間延長でございますが、法律できめることはまことに御指摘の通りでございますが、その法律は先ほど大蔵省からも答弁のありましたように、一般職の職員の給与に関する法律第十四条第三項に基づいて勤務時間を延長するわけでございます。人事院の承認ということが、裁判所の職員の場合には言いかえられまして、最高裁判所できめることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/69
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070・大原亨
○大原委員 ずるずる抜けていくわけでありますけれども、その際に、その前に全司法の組合との関係があると思うのですよ。これは基準法にも、第二条におきまして、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」こういうふうに書いてある。第一条においては最低のものであると書いてある。最低のものをこえるようにきめることは、これは合意において自由である、こういうことである。しかし公務員については、日本においてはいろいろ労働基本権の規制があることは御承知の通りです。しかし、それに対する代償措置がなければ、これは憲法違反です。それで今おそらく皆さんの方でその不利益処分の審査とかその他についての公平審査の機関についての立法が衆参両院において問題になった際に、処分問題等を伴いましたけれども、問題があったと思うのです。そういう方向で若干でも改正されると思うのですが、その中にはいろいろ論議する問題があります。それで今もし監督任命権者がやっておいたら、それに苦情を言うていったって、否定するのは原則としてきまっているのです。これは責任のがれのためのそういう官僚機構からいえばそういうことなんです。そういうこと自体が憲法違反です。それからILO条約の八十七号の批准の問題がありますけれども、これに関連いたしましても、全司法の職員がその権利について自覚をして、国際舞台に訴えていった場合には、これは違法な措置です。原則に反しておる。今までは権利の上に眠っておったから、権利の上に眠っておると、そういう権利というものは保護されないのです。しかしながらこの問題が国際問題にもなる、そういうことになってきたら、原則的に違反しておる。そこで問題となるのは、全司法との間において少なくとも話し合いをして、こういう問題については論議をすべきである。同意書とかなんとかいうふうな内容的に若干みんなが希望する問題があったからといったって、全体の勤労者、働いておる人の権利から言えば、基本的な問題に触れるような問題についてそれを同意書というような形で取ることはいけない。これは組合との間において話し合い、交渉すべきである。もう一回聞きますけれども、全司法との間においてそういう点について話し合いをいたしましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/70
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071・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 全司法につきましては、御承知のように、全司法の今日の状況がある意味で正常でない状況でございますので、正式の話し合いということは私どもはいたしておりません。しかし昨日も人事局長からお答え申し上げましたように、事実上いろいろ人事局長との折衝はいたしておるわけであります。今回のことにつきましては、今日までのところまだ、遺憾ながら、その話し合いにおきまして、組合の同意を得るには至っていない現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/71
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072・大原亨
○大原委員 職員が団結しまして、いろいろ討議をして、意思表示をするという労働基本権が生存権として認められておるのです。これは国際法、国内法の原則です。憲法の原則です。あなたは同意書を取ったと言われぬけれども、この署名を見てごらんなさい、こんなにたくさんあります。この署名は組合において集団的に十分討議した結果においてこれは反対なんです。こういうふうに署名はたくさんあります。書記官補も入っておるし、書記官も入っておる、それから一般の事務員、職員、その職場の人々も入っておる。そういう納得のできないことを押しつけるということはいけないのですよ。全逓との間においては、この前藤林あっせん案が出たが、代表者において適格性を欠いておる、裁判上の問題になっておる、こういったところから、やはり団体交渉をやることになった。これはILO条約八十七号を批准するという建前から、そういうことについてはやらざるを得なくなった。あなたの方は、積極的に、この問題については、そういう今こまでの行きがかりとかそういうことを捨てて交渉さるべきです。そのこと自体がまた問題になりますよ。第三者機関、救済機関がありもしない、それを同意書という形において一方的にやる、しかも組合は無視しておる、その問題は書記官の権限強化と関係しておる、こういうことになりまして、これは重大な問題です、組合との間において話し合いするのに何か支障がありますか、組合との間において交渉するのにどこに支障がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/72
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073・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたように、事実上の折衝はしているわけでございまして、今日の段階までにおきましては同意を得ていないというのが現状だと申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/73
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074・大原亨
○大原委員 全司法と話し合いをするんですね。しないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/74
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075・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、正式の団体交渉ができるような状況ではございません。ただ事実上の折衝をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/75
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076・大原亨
○大原委員 全逓の問題でいろいろ論議してみましたら、ずっと論議をしていたら結局そういう職員が団結する権利というものは否定できないのです。事実上そういう団結をしている職員団体の法人格は否定できないということになった。ただし全逓の場合は、いわゆる公労法上の組合でなかった、こういうことになった。そこでさらに突き進んでいきましたら、この問題について議論はある。なぜかというと、協定を締結する当事者、代表者を欠いておるから云々ということがあった。国家公務員におきましては——裁判所の職員もそうです。人権ということにおいてはこれは当然です。そういう点からいいますと、いわゆる通常の文書による協定はないわけです。一応原則的にないわけです。話し合いの結果文章等にまとめることはあっても、いわゆる労働協約というものはないわけでしょう。そうすると、当事者というものは、そういう問題については公務員は自由にできるわけです。だからこの問題については、ILOの八十七号条約の批准については、政府は今日までそれを批准するという態度をきめているし、二十八条の勤労者という中には裁判所の職員も入るのです。これは質疑応答で明らかです。国際舞台においてもそうです。警察とかあるいは軍隊については特例を設ける、しかし既得権は尊重するのです。そういう立場からいいまして、名前がどうであろうが、全司法組合との間において当然こういう問題については話し合いをすべきなんです。意見が不一致のままで、しかも同意書という形で押し切って、しかも基準法の精神に違反するということはいけない。幾ら大切なことであってもいけない、こう私は思うのです。次長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/76
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077・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 私どもといたしましては、現在の段階では、先ほど申し上げました以上のことはできないわけでございまして、事実上折衝しつつ、いろいろ私どもの見解、または組合の方の見解も互いに疏通し合っているつもりでございます。ただこの問題につきましては、先ほど来申し上げますように、今月のところまだまとまっていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/77
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078・大原亨
○大原委員 もうしばらくしたら終わりますが、基準法には、最低基準がこれであって、その基準の上に立って、これは憲法から出てきておる基準だけれども、その上で話し合いをすることになっておる。それでむしろ条件をきめてもいいということで、最低の底を保護しているのです。しかもその中には四十八時間をこえてはならないという原則をきめてあって、例外があるわけです。これを受けて公務員法でも例外があるのですが、例外と原則を間違えた政府の見解というものが逐次明らかになってきたわけです。だから人権を守るというのは何かというと、そういうところにしわ寄せすれば仕事の実態というものが民主的に、良心的にならぬからですよ。そういう点において、大蔵省はそういう勤務の実態あるいは法律関係については、今までお聞きになってわかったと思うのですが、根源はやはりそこにあるのではないかと私は思う。あなたのところが根源じゃないかと思うのです。一週五十二時間ということにして、調整号俸なり号俸体系を変えるという条件にしてはいけないというのです。勤労の質の問題についてはまだ論議する問題が若干あるけれども、私は一応資料が出てきてから論議する。文書によって若干の資料を私は求めておるから、もう少し明確な基礎の上に立ってやりたいけれども、そういうことを条件にして予算査定をしたり、またはそういうことを言ってきたとすれば、それは間違いだ、こう言ってやるべきなんです。大蔵省はそういう責任がある。最高裁の方は第三者機関もない。監督者と不利益処分を処理する人間が同じだ、こういうことになっておる。こういう変則的な条件に置いてある。こういうことはないのだから、これは国際的に問題になる。これは封建的なんだ。一方的なんですから、そういうことを予算査定の材料にすることはいけないですよ。そういう基本的な問題について間違っておる点については、十分に大蔵省において一つ研究してもらいたい。大蔵省の答弁を聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/78
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079・吉岡英一
○吉岡政府委員 今このお話の点につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもといたしては、最高裁からそういうお話がありましたのに対して同意をいたします以上は、私どもとして独自の判断で検討もし、いろいろ論議もした結果でございます。従って大蔵省も、これに伴う調整額の増額に同意をいたしておりますので、そういう判断をしておるわけであります。その判断が間違っておるから検討しろというお話でございますが、われわれとしては今のところ、われわれの考え方が間違っておるとは実は考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/79
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080・大原亨
○大原委員 私が事実に基づいて主張したことについて、法律解釈その他について、それを反駁する材料、理由を言って下さい。もう一つ聞きますが、最高裁の方で仕事の質とかそういう問題に基づいて、あらためて見解を出して相談があった場合においては、あなたの方は労働時間について一週五十一時間、こういう問題については必ずしもこだわって解釈しない、これは十分話し合いをする、こういうことにできますか、そういうことは絶対できませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/80
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081・吉岡英一
○吉岡政府委員 最高裁が従来の態度なり意見をお変えになって、違った話で御相談があったときという仮定の御質問でございますが、もちろん最高裁から正式に御意見があれば、われわれとして検討することは職務上当然の義務でございますから検討はいたしますが、ただ、今のところ、申し上げましたように、この件に関する限りは、われわれとしては相当検討した結果であるということを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/81
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082・大原亨
○大原委員 そういうことで日本の官僚機構が動いているのです。大蔵省のむちゃくちゃな、答弁できないような査定が基礎になって、それでずっと仕上がっているのです。それに合うような理屈をくっつけていく最高裁の方も悪い。法律の番人でありながら自主性がない。あなたの方がそういう予算査定の態度をとっているからいけない。私が主張することについては、学者だって、与党の諸君だって、だれだってそんなことは当然だと思っておる、それが道理なんです。それを予算の都合とかで実態を無視してぎゅうぎゅうやるものだからいけない。私はもう一回局長か大臣に来てもらってやりたいけれども、裁判所の予算査定の仕方はでたらめだ。地方裁判所が一番忙しいのです。それが超過勤務手当が一番少ない。高裁よりも少ない、最高裁よりも少ない。そういうことはないですよ。一審強化とか、早く人権を調査するためにやるとかいって、窓口が一番困っている。それに形式的な、機械的な他の官庁とかその他のワクの中へ入れたようなことをやるからひん曲がってくるのです。当然定員を増加すべき問題についてはやらないで、努力しないで、勤務時間を封建的な昔に返すようなことでやって、そうして職務の内容もひん曲がってくるような結果になる。これは許せぬですよ。あなたは次長だから、本省へ帰って、いろいろ相談しないで、出先で自分勝手なことを言うと、自分の立場があぶなくなるからがんばっているのだと思うけれども、そういうことはいかぬですよ。私は大臣や局長に来てもらって、十分に明らかにしたいと思います。これだけの希望意見を付して、私の意見を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/82
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083・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 次に、刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑者の通告がございませんが、質疑はありませんか。——本日はこの程度で散会いたします。
午後零時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01919600408/83
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