1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月四日(水曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 高見 三郎君
理事 小山 長規君 理事 坂田 英一君
理事 長谷川四郎君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 足鹿 覺君
理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 大坪 保雄君
加藤 精三君 仮谷 忠男君
吉川 久衛君 小枝 一雄君
笹山茂太郎君 舘林三喜男君
寺島隆太郎君 内藤 隆君
野原 正勝君 八田 貞義君
藤田 義光君 松田 鐵藏君
亘 四郎君 角屋堅次郎君
東海林 稔君 中澤 茂一君
西村 関一君 松浦 定義君
湯山 勇君 稲富 稜人君
中村 時雄君 林 百郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
農林政務次官 丹羽 兵助君
農林事務官
(農林経済局
長) 松岡 亮君
農林事務官
(農政局長) 昌谷 孝君
委員外の出席者
農林漁業金融公
庫総裁 清井 正君
専 門 員 松任谷健太郎君
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本日の会議に付した案件
農業改良資金助成法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八三号)
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八六号)
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
の一部を改正する法律案(内閣提出第九〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/0
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001・高見三郎
○高見委員長 これより会議を開きます。
いずれも内閣提出にかかる農業改良資金助成法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、質疑に入ります。湯山勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/1
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002・湯山勇
○湯山委員 政策的なことは、いずれ大臣がお見えになっての質問もあると思いますから、事務当局へ、特にその前提としてお尋ねいたしたいことをお伺いしたいと思います。
まず、改正点についてでございますけれども、第四条の改正ですが、第四条の改正の中で、第一項がそのまま残されているようですが、これはそういう必要があるかどうかです。今回の改正によって、予算の範囲内で政府は出資をする。したがって、金融公庫法の中へ金額を示しておく理由は意味をなさないことになると思うのですが、どういうわけで第一項をそのまま残されたのか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/2
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003・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 この問題につきましては、昨年も御質問がありまして、産投特別会計から出資されたもの、あるいは開銀から承継されたものにつきまして、この規定を統合して全部の出資額を明らかにするようにしではどうかという御質問がございまして、その後私どものほうで検討いたしたわけでございます。ところで、一方出資に関しまして、毎年国会の議決々経まして予算で決定されまするので、別に毎年法律の改正をしなくてもよいではないかということで、全体の政府金融機関につきまして改正の機会があれば、そういうふうに改正いたそうという政府の統一方針がきまりましたので、実はこの際、この点をどうするかということをさらに検討いたしたわけでございますが、開発銀行等から承継いたしました債権につきましては、まだ未回収の分がございます。債権額は確定いたしておりますけれども、未回収の分がございますので、承継された債権であるということを、やはり法律上に残しておいたほうがベターではないかということもございまして、この点に触れなかったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/3
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004・湯山勇
○湯山委員 いまの御説明は、まことに何のことかわからないような御説明なので、この第一項の政府出資の千二百二十二億七百万円というようなものは、これは意味をなさない数字でございましょう。そういうものをなぜ法律で置く必要があるのか。また、第二項、第三項と今回の修正によって加えられても、こういう数字は動いてくる。それから昨年御指摘申し上げたのは、いずれにしても、この第一項にあげてある金額というものは、狭い意味、広い意味は別として、全部政府の出資なんですから、いまそういう開銀等のもので出資を明確にする必要があれば、別途すればいいのであって、この第四条の第一項、非常に重要な資本金のところの第一項にこういうものがある。全く無用の長物です。理解に苦しむようなものがついている。これでは昨年も御指摘申し上げましたけれども、せっかく二項、三項、こういう形にしても、これがあったのでは全く意味がないのじゃないか。しかも、これにはいまのように要らない数字もずいふん入っている。こういうことになるのじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/4
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005・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 確かに御指摘のありましたように、承継された債権につきましては、金額としては確定いたしておりまするので、これに一々法律の規定を残さなくてもという御意見は、ごもっともであると思うのでございます。でございますが、本年度追加されました出資額と合わせまして、なお政府の出資額と条文の規定として残しまして、これらの承継された出資額も一応法律の規定に残しておくという形をさしあたりとりましたのは、やはり相当古い時代の債権でございまして、これを承継した経緯というものを法律に残しておいたほうがなおベターじゃないか、こういった気持ちでございます。御指摘の点はごもっともでございますけれども、これはそういったものが全部回収され、問題がなくなった際に、この規定を全部整理いたしまして、出資額というものは登記でもって明らかにされるということではっきりさせたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/5
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006・湯山勇
○湯山委員 出資額は、今後は、この法律が通れば、法律では明確にならないわけですね。ですから、いまの御答弁だと、ただ気持ちだけでそうしておるというようなことで、実際は法律のていさいとしても実におかしいし、この数字というものは、今後公庫の運営なり何なり何ら影響のない数字が残っておるわけですから、こういうものが残っていて、しかもこの金額も、これをもとにしてどうするわけにもまいらない、そういうものが第四条第一項にでんとすわっているというのは、法律のていさいとしてもいかにもおかしい。それはよくわかるけれども、明らかにしておきたいという気持ちでこうしたんだという局長の御答弁では、そのお気持ちが私にはわからないので、むしろ局長の気持ちとしては、これはすっぱりのける、資料なら資料で残っているわけですから、それで知りたい人は知ればいいし、また、そういう内訳をわれわれが知らなければならないという理由はないと思うわけです。全くこれは無用のものだと思いますけれども、そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/6
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007・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 なかなか気持を御納得のいくように説明しにくい点、申しわけないのでございますが、承継されたものにつきまして紛議が起きた場合、もちろん、これは法律上いろいろ明らかにする書類はあるわけでございますけれども、法律上これははっきりと開銀から承継されたものであるということをやはり明確にしておいたほうが、今後紛議が起きた場合、非常に古いものでございますから、よりベターではないか。これはもちろん御指摘がありましたように、徹底した論議で申し上げますならば、今後要らなくなる規定でございます。したがいまして、それまでの経過的なものとして、附則でもいいような規定でございますけれども、しいてここに触れないでおいてもよろしいではないか、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/7
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008・湯山勇
○湯山委員 局長の御答弁を聞いておりますと、局長としてはのけたいという気持であったけれども、何かそのまま残されたような、そういうことじゃないかというような印象さえ受けるのですが、実際には農林行政を進めていく上において全く必要のないことだと思いますし、幸い公庫の総裁が見えておりますから、総裁は、こういう条文があろうがなかろうが、これは今後の場合影響ございませんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/8
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009・清井正
○清井説明員 お話しの点、私もただいま経済局長がお答え申し上げたと同様な感じを実は持っておるわけであります。法律上は先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、経過的な問題かございますのと、ただいま局長が御説明申し上げましたとおり、また三億はかりの金が承継されたものとして残っておりますので、そういったものか片づきますまでの間は、やはり残しておいたほうがいいのではなかろうかという、これは気持でございます。法律的にはお話しのような点があるわけでございますけれども、そういったことで、私はこの法律の改正に公庫の立場からも賛成しておるわけでございますが、あくまでもそういった気持から考えておるわけでございまして、公庫の事務を運営していく上におきましては、別段この四条の規定にこういうふうに数字があげてなくても、さしあたり問題になることはないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/9
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010・湯山勇
○湯山委員 これでこの条文について結論が出たようなもので、削除しても別に差しつかえはない。ほかにこれを示す資料は他にも公文書として残っている。ただ、どういうのかすっきりしないけれども、残しておきたいというような気持ちで残している。残しておいたからといって弊害が——ひょっとして私は弊害があると思うのです。というのは、これにははっきり政府の出資金千二百二十二億七百万円、もしこれを残しておくというなら、何年度ということばを入れなければ、いつまでもこのままいくとすれば、おかしいですよ。だから、この条文は修正されていないけれども、第四条の第一項というのは当然削除すべきものだ。これはいまするか、来年するかは別として、削除しなければ不合理になってくる、こういう条文だと思いますが、これはお認めになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/10
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011・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 御指摘のように、これはできるだけすみやかな機会に削除する筋合いのものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/11
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012・湯山勇
○湯山委員 それでは、今回削除するかどうかという結論をいまここで局長からお聞きするのは少し無理だと思いますが、これは政務次官、いまお聞きいただきましたように、あってもなくてもいい条文であって、しかもこのまま置けば、将来混乱といいますか、誤解を招く、そういう条文が、せっかく今回改正される中で取り残されている。それにはいまいろいろ御説明がありましたけれども、政務次官もよくおわかりいただけなかったと思いますし、私どももその理由がよくわかりません。そういうものが残っておる、これはひとつ、委員会においてもそうでございますが、政府のほうでも御配慮願って、できれば今回この審議の過程において削除するほうが、よほど法律としてもていさいもよくなりますし、また、今回の改正の趣旨もそのほうがよく通ってくる、そういう項目だと思いますから、ひとつ政務次官においてもお心にとめておいていただきたいと思います。
それから、その次にお尋ねいたしたい点は、やはり今度の改正の大きい問題は、金利の引き下げと期間の延長、そういうことで、画期的な改正を行なったという大臣の提案説明もございましたが、私これをいただいてずっと調べてみると、そんなに画期的によくなったというような点が見受けられないので、非常に遺憾に思っておるわけですが、まず、資料的なことについてお尋ねいたしますと、別表の第一表、第二表合わせて、改正点が大体三十くらいでございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/12
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013・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 改正点の数はまだ数えておりませんが、そのくらいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/13
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014・湯山勇
○湯山委員 その中で、金利を引き下げた改正が何ヵ所ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/14
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015・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 これは法律の面と業務方法書の面と両方ございます。法律の面での改正点は、金利に関しましては、法律の規定が別表に掲げる条件の範囲内で業務方法書で定めるという規定になっておりまして、業務方法書のほうで実行金利を書く。したがいまして、法律を改正しただけでは、実際の貸し付けられる金利というものの改正に必ずしもならないわけであります。そういうことから、業務方法書の改正で、実際に貸し付ける際の金利を改めることを主眼とし、第一義として今回金利体系の改正をやっております。業務方法書の改正のみではできない部分について法律の改正をいたしたのでございます。したがいまして、法律の改正面におきましては、大きな改正とはなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/15
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016・湯山勇
○湯山委員 つまり、いま審議しておるのは、業務方法書等についてはまたあとでお尋ねいたしたいと思いますが、法律の面から見ますと、金利を引き下げておる個所は二ヵ所ございます。それから、暫定措置はありますけれども、引き上げになっているのが四ヵ所あるわけです。つまり、引き下げが二ヵ所で、引き上げが四ヵ所、それから期間延長が——大なり小なり一年延びたのも入れて、期間が延長になったのが十二です。それから、法律改正にはなっておりますけれども、実は従来の据え置き期間と償還期間、これを今度合計して期間としたために、ただ単に加えるだけ、足し算をしただけの改正が十二ヵ所あります。したがって、金利の引き下げが二ヵ所、暫定措置は別として引き上げが四ヵ所、それから期間延長が十二ヵ所加えただけ、足し算しただけが十二ヵ所。だから、三十ヵ所の改正点の中で、ほんとうによくなったというのは三分の一もないわけです。せっかくたいへん大きな柱として法律の改正をしておいて、その中心になる金融公庫法が、この程度法律の面から見てよくなったというので、はたしてこれで画期的な改正ということが言えるかどうか。実際にいただいた資料を詳細に見てまいりますと、これではどうもあんまりさびしいんじゃないかという感じを持ちますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/16
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017・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 法律の改正の点からいいますと、条文そのものの改正は、御指摘のように、数は多くないのでございますが、しかし、実際に農家が貸し付けられる条件というものは、大幅に改正いたしております。金利にいたしましても、引き下げられたものは相当数ございます。据え置き期間も、一般的に内数といたしまして貸し付け期間の中に含める。それから貸し付け期間、据え置き期間、それぞれ延長したものが相当ございます。それで、結局問題は、農家が貸し付けられる場合の条件がどれだけ改善されたかということでございますから、この点からいいますと、実質的には相当大幅な改正をやっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/17
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018・湯山勇
○湯山委員 法律の上からは、いま申し上げましたような判断しかできないわけで、これは局長もお認めになられたとおりなんです。それで、いただいた資料から、いま局長の御答弁の内容のようなことが私どもにはよくわからないのです。そこで、それがわからないから、こういうことを言われても、一体引き下げた数よりも、上げたほうが多いというような印象しか受けない。それから期間延長になっている。確かに期間の年数はふえておりますけれども、それは単に据え置き期間を加えたのみというのが、これがまた三分の一以上ということだと、その改正がどれだけよくなったかということがわからないので、これはひとつよくわかるような資料を御提出願いたいと思います。それをいただかなければ、このままの議論では、あるいは質問を続けましても、私どもはそんなによくなったと思わない。局長のほうは非常によくなったと、こういうことの御答弁になるわけで、これではどうもぴったり呼吸の合ったお尋ねができませんので、そういうことがよくわかる資料をぜひひとつ早急にいただきたいと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/18
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019・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 新旧の貸し付け条件、金利、それから貸し付け期間、据え置き期間、それに融資ワク等を比較しました資料はお配りしてございますが、さらに申し上げますと、金利を引き下げましたものが——大体四十くらい金利のきめられておる項目がございますが、そのうち、十七金利を引き下げておる。それから金利が上がった形になっているものが五つございますが、そのうちの四つは、一部を引き下げ、一部を引き上げております。それで純粋に金利を上げた形のものになるのは一つでございます。あとは十七引き下げたということになっておるわけでございます。
それから貸し付け期間につきましては、これも非常に数が多くございますが、そのうち、延長いたしましたのが、十六くらいの項目にわたって延長いたしております。
それから据え置き期間につきましては、全部の項目について、据え置き期間を貸し付け期間の内数とする改正、これは全部の項目にわたっておりま−す。それから据え置き期間を延長いたしましたのが三つ四つの項目でございます。特に土地改良とか、そういった重要な項目についていたしております。
大体お配りいたしました資料について概括的に申し上げますと、そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/19
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020・湯山勇
○湯山委員 それで、いまの中で、据え置き期間をこの期間の中に入れることにしたということは、これはどういう理由がおありになるのか。結局これを運用する側から見れば、あるいは借りる側から見れば、従来は据え置き期間と償還期間を足しておった。今度はめいめいが引き算をしなければならなくなるわけで、足し算をする、引き算をする、いずれにしても、なまのままでは全体がわからないわけですから、そうすれば、従来は足し算しておったのが、今度は引き算になる。何か引き算するほうが、農政全体があとずさりしたような印象を受けないわけでもないので、こういう操作は必ずしもしなければしないで、従来やってきた方法のものがなじんでおっていいのじゃございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/20
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021・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 もしもそういう印象を受けられましたとすれば、私どもの説明が不十分であると思いますので、この際申し上げますが、第一に、他の金融機関におきましても、今回改正されたように、内数にされておるのでございます。第二として、なぜそのほうが有利であるかという点でございますが、これはたとえば三十年という貸し付け期間がございます。従来は五年据え置きと貸し付け期間二十五年、こういうことにして合わせて三十年、こうなっておったのでございます。ところが、時によって据え置き期間を短縮する場合がございます。これは借りるほうの希望にもよることがございます。そうしまして、いまの五年の据え置き期間を三年にいたしますと、合わせて二十八年で償還する、従来の規定によりますと、こういうことになったわけでございます。ところが、今回の場合は、三年に短縮いたしますと、あと二十七年間で償還するということで、やはり合わせて三十年間で償還できる、こういうことになるわけで、そういった点が、改正規定のほうが有利になるゆえんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/21
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022・湯山勇
○湯山委員 いまの御説明、よくわからないのですが、とにかくおっしゃったように、五年間据え置き、二十五年償還、それをただ三十年償還と合わせるというだけで、勘ぐった言い方をすれば、こうやれば今度の改正によってずいぶん期間が延びたような印象を受けるということです。操作をしたにすぎないじゃないかという印象さえ受けるのです。こうしなければならないといっても、結局借りる人あるいは貸す人の側では、分けて計算しなければならないのですから、足し算、引き算はめいめいがすることにして、何年間は据え置き、何年間で金を返すということがはっきりしておるほうが実際的である。現実に合っている。かえって、こうされたために、何かわかりにくいような気がするわけです。従来の慣例もありますから、いま言われたようなのは、いま局長の言われたようにしても、そのとおりにはいかないわけですね。二十七になるか二十八になるか……。だから、それは同じじゃないかと思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/22
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023・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 いま御指摘になりましたように、借りる人の都合によって、これは早く償還したほうが有利である場合もあるし——有利というより、その人の償還能力によるわけですが、何も借金をいつまでも残さないほうがいい。特に三十年というような期限の場合は、子供の代にまで及ぶというようなことで、短くしたいという御希望があります場合、特に据え置き期間等は、借りて投資した結果、効果が早く出れば、できるだけ早く償還に入ったほうがいいわけですから、そういう希望のある方には、もちろん短縮してあげられるわけですが、しかし、その際に、それならば償還期限は少し長く償還したいというような場合におきまして、従来の規定でいきますと、二十五年なら二十五年ときめられておりますと、二十五年以上には延ばせないわけです。ところが、今回の改正によりますと、据え置き期間を短縮した分は、償還する期間のほうを延ばしてよろしい、こういうことが可能になるわけであります。そういったための改正であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/23
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024・湯山勇
○湯山委員 それはどういう操作でなされるわけですか。政令とか、あるいは業務方法書、あるいはもっとほかの方法か。いまの新しい法律を見ましても、据え置き期間というものは、表によって定められている。それから、特に据え置き期間といわゆる従来の償還期限とでは、金利の違うものもございますね。したがって、この据え置き期間は据え置き期間としてきちっとしている。それから償還期限は償還期限として法律で定められておって、これはいま言われたような、そういう融通がきくということには、ちょっとこのままでは考えられないのですが、それはどういう規定でそういうことになるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/24
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025・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 これは法律の面では、第十八条第二項の改正規定のうちで、「償還期限」の下に「(据置期間を含む。以下同じ。)」としたことによって、それは可能となるわけでございますが、実際の貸し付けは、さらに業務方法書で、据え置き期間、貸し付け期間とが定まりますけれども、さらに個々のケースごとに希望に応じてきめてまいるわけであります。また、それは貸し付ける側の農林公庫と相手方の話し合いにもよるわけであります。それで、この法律上許された、あるいは業務方法書で許された償還期限の全部を欲しない場合もある、そんな必要はないという場合もございますから、それぞれのケース・バイ・ケースでこれは変え得るわけでございます。最高限度が業務方法書できまる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/25
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026・湯山勇
○湯山委員 そうすると、今度の改正によって、実際は、従来の据え置き期間、償還期限という区別のあったときのような厳密な区分はしないで、それらはまあ大体、極端に言えば、限度をこえなければどう区分してもいい、したがって、ケース・バイ・ケースで、その中身、何年据え置き、あと何年で返すというのはきめていくんだ、こういうことでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/26
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027・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 もちろん、貸し付け期間、据え置き期間には限度がございますが、その範囲内では伸縮自在になっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/27
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028・湯山勇
○湯山委員 それはたいへん手数がかかるし、めんどうなんじゃないでしょうか。というのは、これは初めはそういうつもりで契約した、それからあとで、この法律の範囲内、期間の限度内だからといって、延ばしてくれとか、変えてくれとかいうことも出てくると思います。それらを一々ケース・バイ・ケースでやるとなると、これは公庫の仕事というのは、従来よりもたいへんめんどうになって、手数を要するということになるのではないかと思いますが、その点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/28
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029・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 それは業務方法書で定められたなら、その範囲内でやるわけでございますけれども、大体の基準は、業務方法書で定められたところで行なわれて差しつかえないと思います。ただ、借り受ける側と貸すほうの側とが話し合いでこういうふうにしたいという場合に、法律の範囲内ならば必ずしも基準どおりにしなくてもよろしいというわけでありますし、また、実際に償還している途中で、ことに災害などがございました場合、これは実際上の措置として、政府側もそれを指示いたしますが、延長する場合もございます。そういうことは、従来よりもむしろ便利になっておる、こう申し上げてよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/29
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030・湯山勇
○湯山委員 それは借りる側に対してはずいぶんサービスの向上になることは認めます。ただ、実際に運営するにあたって、非常に公庫のほうの手間がかかるんじゃないかということを心配しておるのですが、その点はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/30
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031・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 その手間は従来ともう全然変わらないと申し上げていいかと思います。むしろ、借りる側にとっては、手間は同じだけれども、有利にというか、むしろ伸縮自在にされたということではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/31
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032・湯山勇
○湯山委員 これは受けるほうのサービスがよくなれば、するほうのサービスはやはりたくさんにしなければならないと思うので、当然公庫側の経費とか、あるいは手数が混んでくるということはあるんじゃないでしょうか。これは清井総裁にお聞きしたほうがいいかもしれませんが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/32
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033・清井正
○清井説明員 据え置き期間を償還期限の中に含めて規定をいたすということの問題につきましては、ただいま局長からお答え申し上げたとおりでございまして、実はその点は、私どもも、実際を運営している立場から申し上げまして、借り入れ者の立場から考えますと、そのほうがより便利であるという観点から、お願いをいたしておったわけであります。しかも、こういうふうに別々に規定をいたしておりますのは、御承知のとおり、農林漁業金融公庫だけでございます。ほかの金融機関は全部、普通据え置き期間と申しますれば、償還期間の内数になっておりまして、農林漁業金融公庫だけが別な規定になっております。ただいま申し上げましたとおり、別々に規定されておるための問題がありますので、この使命を担当いたしておりますわれわれといたしましても、かねてから政府側に要望いたしておりましたのが、今回実現いたしたようなわけでございます。ただ、それによる手間の問題でございますが、なるほど御心配の点は重々私どももわかるのでございますが、ただ、これは実際に当てはめて考えました場合に、私どもは、法律の範囲内で業務方法書をつくりまして、それを政府に認可を受けて、その業務方法書に準じて実施をいたすということでございますが、実際貸し付けをいたす場合におきましては、まず償還期限と据え置き期間を借り入れ者に説明いたしまして、こういうことになっておる、しかもこのものは独立でなくて、内数になっているからどういうふうになさいますかということで、借り入れ者に御相談申し上げまして、当初に借り入れ者に相談した結果、あるいはその限度一ぱいでやるとか、あるいは償還期限の内数で据え置き期間をきめるということになりますと、おのずから償還期限がきまってまいるということになってくるのでございまして、まず最初に貸し付けを希望される方と折衝するときに、いろいろその折衝にめんどうがあるわけでございますが、それで一たんきまりますれば、あとの計算は、自動的に計算表をもっていたしますので、さほど手間はかからないわけでございます。ただ、心配いたされますのは、途中で変える場合でございます。たとえば五年据え置きでありましたのを、何かの事情で早く返したいから三年にしてくれというような場合でございますが、そういうことも間々あることはあるのでございまして、私どもも、その点につきましては、従来のやり方におきましても、かりに据え置き期間のほうが変わりましても、償還期限はきまっちゃっておりますので、それの操作にいろいろ問題がございましたが、かりにこれが制度が変わりましても、多少の事務的な手間はあるかもしれませんが、しかし、これは主として借り入れ者の便宜のためにすることでございますし、特にこれのために経費がよけい要るとかいうほど私どもの手間がかかるようには想像いたしておらないのでございます。かりにかかりましても、これは貸し付け機関として当然のことでございますから、かねてから私どもが要望いたしておりましたようになりましたので、せいぜい借り入れ者の便宜のためにわれわれ努力いたさなければならないというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/33
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034・湯山勇
○湯山委員 それから、なお内容についてはまだあとでお尋ねすることにしまして、表面的に改正点の字句に関連することを中心にお尋ねいたしたいと思います。
もう一つの改正点は、監事の権限強化でございます。これは行管からの勧告でございますか、それに基づいて改正がなされた、それはそうだと思います。ところが、この今回の改正は、行管のほうから勧告のあった趣旨ともまた違っているのじゃないか。というのは、監事がその監査事項を実際に反映させるために直接主務大臣に提出する、それから総裁を経由することもいい、こういうように、行管のあれは二本立てになっておると思います。ところが、今回の改正は、そうなっていないで、監事は総裁を経て主務大臣に意見を述べる、こういうことになっておるので、この点は、どういうわけで直接大臣に意見を述べるということにしなかったのか、これをお聞きしておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/34
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035・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 主務大臣に直接または総裁を経由してという勧告あったのに、総裁を経由してとしたはどういうことかというお尋ねでございますが、これは直接主務大臣に意見を具申すると申しましても、やはり直接の執行者でございますから、総裁にも十分知っていただいて、もし総裁にも御意見があるならば、総裁の意見もそれに添えて出していただいたほうが、むしろ主務大臣としては、その監査の結果による意見の是非を判断しやすいわけでございます。総裁を経由するということは、必ずしも監事の意見を総裁が曲げるということにはならないわけでございます。そういうことを考えまして、経由して具申するということにいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/35
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036・湯山勇
○湯山委員 これはそうじゃなくて、総裁と監事は主務大臣が任命する、これは全く独立している。したがって、この監事の監査結果の報告その他意見というものは、総裁を経由してじゃなくて、直接主務大臣に持っていく、これは決して総裁を無視するという意味じゃございません。そういう意味じゃなくて、ことにりっぱな総裁がおられるのですから……。それはたてまえして総裁を経由してやるのならば、何も主務大臣にそういうことをする必要もありませんし、また監事を直接主務大臣が任命するという筋合いもないわけで、これは行管の意見のとおりに、総裁を経由しないで直接主務大臣に意見を述べる、こうするのがほんとうではないかと思いますが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/36
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037・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 これは、監事は主務大臣が直接任命するという制度になっておりますから、監事にある程度の独立性を認めていることは事実でございます。しかし、経由するということは、その独立性を阻害することではないと考えておるのでございます。たとえば、いろいろな補助金の申請にいたしましても、あるいはいろんな意見の具申にいたしましても、知事を経由して出される場合が多いのでございますが、その場合、知事はその意見を修正したり、申請書を修正して出してくるわけではございません。必要あれば自分の意見を添えて出してくるわけでございます。したがいまして、主務大臣としては、むしろ監事の意見を一度総裁に見てもらって、その上で、その監事の監査結果による意見に総裁自身の御意見があるならば、添えて出していただいたほうがむしろよろしいということでございまして、監事の独立性といいますか、そういうものを制肘するという趣旨のことではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/37
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038・湯山勇
○湯山委員 それは、局長は行管の勧告を誤解しておられるのじゃないかと思います。行管の勧告ではこうなっております。「監事の職務遂行上必要な基盤と条件を整備して、監事機能を十分に発揮せしめるとともに、監事行政遂行上、監事監査の結果を極力活用する要がある」こう勧告して、その説明の中に、「監事の任命は主務大臣によるものであり、意思決定機関及び執行機関に対して、独立して広く国民的視野に立って、業務全般の監査を行なう職務を持っているものであるから、監査結果を、主務大臣の施策方針または意思決定機関の業務運営方針の決定に十分反映させるため、」その次です。「業務運営に関して主務大臣に直接意見を提出し、または総裁(理事長)に意思をのべうることを、監事の権限として明らかにする必要がある。」こうなっておるのです。したがって、これによれば、総裁経由ではなくて、当然監査の結果を直接主務大臣に提出する、これが勧告の趣旨なので、いまこの改正のようにされたのでは、直接主務大臣に提出するということが消えております。したがって、中途はんぱになるし、場合によれば、極端なことを言えば、何日間で経由しなければならないという規定があるわけでもございませんし、経由する場合に総裁がそれを押えていく、また総裁がそれについて意見を述べるということになれば、監査の結果が直接大臣に届かない、反映しない、こういうこともあり得るわけで、むしろ、監事、総裁は直接大臣が任命するということとの関連において、直接大臣に意見を提出するという改正ならば、これは行管の勧告とぴったり合うわけです。せっかく改正して、ここで特に総裁を経由するということをつけた意味は、私にははなはだ納得がいかないし、了解に苦しむところですが、ただいま申し上げた勧告とそれとの関連はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/38
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039・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 今回の改正規定は、行政管理庁とも十分協議の上でつくったものでございます。経由することは、手続の面では直接ということではございませんが、総裁は監事の意見を直したり、あるいはそれを主務大臣に提出することをとめることはできないわけでございます。したがって、これは、内容は直接主務大臣に伝達されるわけでございます。ただ、その際に、主務大臣としては、むしろ、執行する立場にある総裁の意見も、監事と別な意見がおありならば、出していただいたほうがいいわけでございます。総裁がよく内容を検討されて、総裁自身の執行機関としての立場の御意見も伺ったほうがよいわけであります。監事の意見が常に執行機関から見ても可能な意見であるかどうか、これは保しがたいわけでございます。そういう意味で経由されることにいたしておるのであります。別に、監事の意見具申を総裁が押える、あるいは直したりする権能が、経由ということによってあらわされるわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/39
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040・湯山勇
○湯山委員 それは、その御解釈は私は少し間違っていると思います。というのは、直接という意味は、そういうことを経由しないというところに意味がある。これは任免が、たびたび申し上げますけれども、主務大臣は直接総裁、監事を任命する。監事には直接大臣に意見を述べる権限もあるし、総裁に同じようにする権限も持っているわけですから、必要とあらば当然監事の人は両方へ同じようにすることもあるでしょう。それから大臣は、当然また同じように、自分の任命した総裁に、直接監事のほうから申し出た意見について、こういうことがきておるが、どうかということを聞くこともできるわけだし、それは重大な問題についてはそうしなければならないと思います。ただ、この経由するというのは、文書係を通すような経由ではないと思うのです。ここに特に法律に規定してある以上は、内容についても調べてみる、そしてそれについて総裁はどうも納得できないということがあれば、監事にもう一ぺん再考を求める、あるいはこれは間違っているんじゃないかというようなことを言い得る、そういうことを内容とした経由でなければ、ただ単に文書係を通していくんだというような、そういう意味の経由ではないと思うのです。もし、いま局長が言われるように、中身の検討もしない、ただ右から左へ通る式に通るだけだということならば、あえてこういう規定は必要ない、こうなってくるので、いまの御説明では私は了解しかねるのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/40
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041・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 先ほども申し上げましたように、総裁は監事の意見を検討もしないで出してもらうということではございません。経由するという意味は、単に郵便ポストを通すというような趣旨ではございません。総裁にも見てもらいたい、見てもらって、必要あらば意見も添えてもらいたい、こういう意図が含まれておるわけでございます。総裁としてはおそらく、監事の意見に自分の立場から見れば重大な誤りがあると思えば、監事に意見を言われると思う。それで、監事も、それは自分が誤りだなと思ったならば、むしろ撤回されるのではないかと思う。しかし、自分の考えが正しければ、あくまでも、総裁が別にどういう御意見があろうと、それは主務大臣に提出されるものである、それを総裁が押えたりすることはできないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/41
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042・湯山勇
○湯山委員 そうすると、いまの御答弁だと、こういうことになりますか。監事は主務大臣あてに文書を出す、ところが、総裁はそれを見る、そしてこれは間違っている、ぐあいが悪いというときには、撤回を求める、大臣あての文書には総裁は訂正もしくは撤回々求める、こういう権限を持つわけですね、ここでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/42
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043・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 そういう権能を持つわけではございません。しかし、監事に意見として自分の意見を申されることは、何ら差しつかえないと思います。監事のほうが自主的に直されるならばそれでけっこうではないか。しかし、監事の意見を修正せよとか、あるいは出すなとか言うことは、総裁はできないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/43
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044・湯山勇
○湯山委員 それについて非常に大事な点は、監事は総裁に言えなくて、主務大臣には言わなければならぬというようなことがあると私は思うのです。ないとは言えない。そういう場合どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/44
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045・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 そういうことはちょっと考えられないと思います。しかし、経由するということは、結局は、主務大臣に直接かりに出すといたしましても、総裁に対して主務大臣は意見を求めなければなりませんので、総裁には知らしめるということになるわけでございます。総裁の意見を聞かずに、監事の意見だけで判断するということは、ほとんどないと私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/45
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046・湯山勇
○湯山委員 監事の任務はそういう性格じゃないと思うのです。それならば、監事も総裁が任命するということにして何ら差しつかえないわけです。そうじゃなくて、独立の機関としてそれをやっていくということのためには、監事にはそこまでの権限がなければ監事としての役目が果たせない。そういう場合がないというのは、一つの系列の中に入ってしまえばあり得ないということを言われるんだろうと思いますけれども、そうではなくて、任免も、いまのようにちゃんと主務大臣が総裁、特に監事を任命している。総裁に任免権がないわけです。そういう監事が、あらゆることを常に総裁を経由してでなければ主務大臣にものが言えない、これは間違っておると思うのです。たてまえから見ても、間違っておる。これは総裁がいい悪いじゃないですよ。監事のほうが極端に言えば間違っている場合もあります。そういう場合においても、やはり間違ったのは間違ったなりに、総裁を経由しないで主務大臣に意見を述べる、こういう制度がなければ、これは監事の意味をなさない。そうでなければこの条文改正はする必要ないわけです。いまおっしゃった範囲ならば、何もこの条文を改正しなくてもやられていることなんだし、あえてここで条文改正、法改正をするということならば、この監事の権限、権威をもっと持たせて、独立させて、間違っておれば間違っておったで、やはりそれなりに直接主務大臣に意見を述べる、こういう機会を残しておく、つくっておく、これがこの法改正のねらいでなければならないし、行管もまたそれをはっきり勧告しておるわけですからね。そうじゃございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/46
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047・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 先ほども申し上げましたように、これは行政管理庁と十分協議の上で改正案をつくったわけでございますが、いま御指摘のありました点は、私はむしろ逆ではないかと思うのであります。というのは、主務大臣が直接監事を任免する。総裁に監事の任免権を与えてないわけでございます。独立性を認めておる。したがって、監事は、総裁に対してはまあ遠慮なくものを言える立場にある。主務大臣に対して言う場合には、結局主務大臣に直接言いましても、その是正命令を出すなり監督命令を出すのは、主務大臣から総裁に対して出すわけでございますから、総裁と監事との関係が、独立性といいますか、そこに制度上総裁の指揮下にない監事であるということからしますと、逆に総裁にそれを見せて、総裁の意見も十分聞いたほうがいい、総裁が、監事の監査結果は非常にけっこうであります、そのとおり直しますという御意見ならば——おそらくそういう場合が多いと思いますが、その意見を添えていただければなおけっこうではないか、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/47
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048・湯山勇
○湯山委員 いまの局長のようなお考えならば、監事は主務大臣に意見を提出する場合には、同様のものを総裁にも出す、これなら局長の言われたとおりです。そうではなくて、経由というものは、いずれにしても、どういう形にしろ、これはチェックができるということなんですから、それは私は、いまの御答弁とは違った意味がある、こう思います。だから、大臣に出すときには、総裁にもそれと同じような意見を送付するということならばいいんですよ。それなら局長の言われたとおりです。そうでないのですから、この経由というのは余分なことではないか。もしいま言われたようにするのであれば、同時に総裁へも提出するということにすれば、それはその筋が通ると思います。経由ということは、どうしてもこれは勧告の趣旨とは違っている、私はこう思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/48
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049・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 主務大臣に意見書を出すと同時に総裁にも意見書を出すというやり方も、確かに御指摘のようにあると存じます。経由ということは、むしろ、その監事と総裁との間が独立的な関係にあるという結果として、総裁によく知らして、自分は主務大臣にこういう意見を出しますよということを知らしてやるということは、むしろ私どもとしてはいい結果を生むのじゃないか。決してそれは総裁に対して監事を押える権能を認めるわけではございません。多くの書類は、知事を経由して大臣に出されます。陳情書にしても、意見書にしても、知事がその意見書なり陳情書を改めて出すということは聞いたことはございません。また押えたということも聞いたことはございません。それはできないようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/49
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050・湯山勇
○湯山委員 そういう場合は必ずしもないことはありません。農林関係ではどうだか存じませんけれども、主務大臣に出す書類を知事が押えたという例はたくさんあります。私はそういうことを知っております。
それから、いまのように、総裁には言えないけれども、ぜひこれは主務大臣には言わなければならないという場合もできてまいります。そういうことがむしろ大事なのであって、これは総裁が適不適とか、総裁に人を得るとか得ないとか、そういう問題ではなくて、制度として検討すべき問題で、それから見ると、どうもこの改正には納得できないところがございますが、それはそれとして、次の問題に移りたいと思います。
それは、先ほど償還期間の問題に関連して、いろいろ公庫側のサービスは強化されなければならないということでございますが、実は今度の資料によりますと、公庫の運用利回りが五・三六が五・二八、それから資金原価は五・三六、五・二八、これは一致している。借り入れ金の歩合が三・九二から三・八四、これと換算される経費率というのが変わっていないのです。サービスはよくしなければならない、末端まで届かせなくちゃならない、そういうことだしするのだから、当然この経費率はふえなければならないと思いますが、これはこのままではたしてやっていけるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/50
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051・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 ごもっともなお尋ねでございますが、従来、経費率は、総貸し付け額がふえるにつれまして下げてきておるのでございます。というのは、貸し付け金額がふえますと、それの一定率で経費率を出してみますと、経費に充てられる額はかなりふえるわけでございます。そういう点からして、能率がよくなるという意味で、従来と同様の経費率をとらないで、下げてきております。しかし、今年度は従来とは異なって、経費率を前年度と同じ率に据え置いてあるのでございます。したがいまして、事務費に充てられる額はかなりの増加になります。八百七十億が千七十億にふえて、同じ経費率で事務費を出すわけでございますから、かなりの事務費の増額になっております。それからその内容といたしましても、定員はかなり増員の予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/51
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052・湯山勇
○湯山委員 定員も五十名程度ふえるということもお聞きいたしましたが、この経費率ですね。これの内容を示すもう少し詳しい資料はいただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/52
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053・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 経費率の内容につきましては、別途資料を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/53
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054・清井正
○清井説明員 経費率の点について、ちょっと私から御参考のために申し上げておきますが、経費率については、三十八年度と同様の一・四四ということでございますが、その具体的内容、金額について、御参考のためにちょっと申し上げておきたいと思います。
経費率については、委託費率一・一一、事務比率〇・二八、引き当て金〇・〇五、合計一・四四という経費率は、御承知のとおり三十八年度と同様の経費率になっておるわけでございますが、その絶対的金額を申し上げますと、予算上の金額は、たとえば事務費について申しますと、同じ〇・二八という率でございますけれども、計算の基礎が違っておりますので、具体的金額にいたしますと、三十八年度の事務費は八億五千二百万円でございますが、同様の比率の三十九年度の金額は九億九千二百万円ということで、一億四千万円ばかり本年度は昨年度より事務費の金額が上がっておるのでございます。その中には、ただいま申されたように、人員の増その他貸し付け金額の増に伴う経費が入っておるわけであります。総体の割り算の基礎となる数字が上がっておりますので、同じ経費率でも金額が相当上がっておる、その点は御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/54
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055・湯山勇
○湯山委員 これは人件費の増とかいろいろな問題があって、いまの絶対金額が上がっていることはよくわかりますけれども、しかし、はたしてそれで十分な人員の確保、それから待遇ができるかどうか、これはなお詳細な資料をいただきたいと思います。
それから、あとでいただきたい資料をまとめて申し上げます。昨年の三分五厘資金の消化の状況、これを資料として出していただきたい。それから構造改善の資金の消化状況、これもいただきたい。それから今年度政府が出資した金額、いつ、どれだけしたか、時期別の資料。それから翌年への繰り延べが四〇%程度従来あるようですが、それの年次別の資料、どれくらいを翌年へ繰り越したか、そういう資料をいただいて、なお質問を続けさせていただきたいと思いますが、大臣がお見えになりましたから、交代をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/55
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056・芳賀貢
○芳賀委員 この際、資料の要求をいたします。
第一は、農林漁業者の貯蓄の状態、これを区分しまして、一は、国家機関に対する蓄積として、郵便貯金あるいは簡易保険、さらに国民年金に対する積み立て、これを昭和三十五年以降最近まで年度別に農業、漁業、林業と区分して出してもらいたいと思います。それから次は、系統に対する貯金、当座的なものと定期的なものにしていただきたいと思います。その次は、その他の民間の貯蓄の状態、銀行とか信用金庫とか、それらの機関に対しての当座的なものと定期的なもの、いわゆる農林漁業者の貯蓄の状況というものを出してもらいたいわけです。
それから同時に、負債の関係、農林漁業者の借り入れ金の状態、これも政府機関からの貸し付けの状態、公庫の貸し付けとかあるいは農業改良資金とか、そういう政府機関からの貸し出しの状態と、次には、たとえば系統の資金であっても、近代化資金のように国が利子補給等の措置を講じて流しておる資金の実態、それから一般の系統からの融資、その他民間の融資、これもやはり三十五年以降の農林漁業者別の、なるたけわかりやすい内容の資料を整えてもらいたいと思います。
それから次に、法案の審議にも関係がありますが、たとえば三十五年度以降において、公庫の監事から総裁に対しあるいは主務大臣に対して意見書を提出したその件数、あるいは意見書の要旨について、どういう点を指摘したかというようなおもなる点についてお出し願いたいと思います。
それから第三の資料は、いわゆる自立経営農家育成のための経営拡大のための資金、これは農地取得資金という形で公庫から出しておられるわけでありますが、この三十五年度以降の貸し出しの状態、最近においては構造改善指定地区に対する経営拡大の農地取得の資金の貸し出しと、構造改善地区以外における一般農家の農地拡大のための資金の貸し出し状態がどうなっておるか。とりあえず、この三点について資料をお出し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/56
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057・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 調製し得る限りにおきまして、できるだけ詳細に資料を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/57
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058・芳賀貢
○芳賀委員 審議に間に合うように。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/58
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059・高見三郎
○高見委員長 中澤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/59
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060・中澤茂一
○中澤委員 昨日、農林大臣の御都合も聞いて、理事会を開いて、十時に御出席を願って、午前中この法案の総括審議をやる、こういうことでございました。われわれ別に底意地の悪いことを言うのではない。大臣の忙しいのは十分承知である。しかし、国会の運営というのは、委員会が中心でなければならぬ。それがいまの制度だと私は思うのです。だから、十時に御出席を願うように、こちらを中心にものを考えてもらわなければ困る。向こうは予算委員会であらゆる議論が出るわけでありますが、一人の質問者から決して一つの問題ではないのですから、そういう点は、答弁の時間を一番うしろにしてもらうなり、やりくりが予算委員会はできるわけです。ほかの案件をずいぶんたくさん質問するのですからね。そういう点について、大臣は一体委員会中心に考えられないのか。われわれも、事務当局で間に合うのに無理に大臣を引っぱり出そうとしているのではありません。少なくとも提出法案の総締めくくりにおいては、大臣が法案に対して責任を負っている以上は出席すべきである。それがいまの国会構成の中における委員会運営のあり方でなければならぬ、私はこう信じているのでありますが、その点について、本日の十時というのが、十二時になってお見えになるのは、一体委員会中心にお考えになっているのかどうか、今後の運営の問題がありますから、それを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/60
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061・丹羽兵助
○丹羽(兵)政府委員 ただいま中澤委員から大臣に対する御質問がございました。きょうの委員会は、なるほどお話がありましたように、大臣の御出席を願わねば委員会を開かないという申し合わせにはなっておりました。それを特に野党の皆さま方の特別な御配慮をいただきまして、大臣に早くお入りいただくことを前提にして、事務的な質問に入っていただきまして、たいへん恐縮に存じておるところであります。国会対策のほうでも、また私のほうからも、大臣にこの委員会に入っていただくよう特別な御配慮をいただいておるのでということを再三言ったのですが、いろいろの都合でついついこんなことになりました。今後は、もちろん大臣も気をつけられますが、私としても、与野党の皆さまの御配慮をいただいたことを十分承知しておりますので、つつしんでやっていきたいと思います。どうぞよろしく。
大臣の前に、私の手落ちを深くおわび申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/61
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062・赤城宗徳
○赤城国務大臣 お話のように、もちろん、委員会中心で議事を進めていくことに、私の考えに変わりはございません。けさの状況は、十時にこっちに入る予定で、向こうへちょっと顔出しをしてすぐこっちにくる予定であったところが、社会党の質問者のほうで、私に関する問題を一番先にする、あとゆっくりこちらでやるようにという話なものですから、それに乗って待っているうちに、なかなか私のところへ回ってきませんで、ついおそくなったわけであります。しかし、向こうも繰り上げて私に対する質問をして、急いでかけつけたのですが、時間がたいへんおくれて申しわけありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/62
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063・中澤茂一
○中澤委員 一応遺憾の意を表明すればよいのですが、今後やはり森林基本法とか、いろいろ大法案が出てくるのですから……。予算委員会は調整がつくと思うのです。農林大臣に質問をするので、農林大臣のほうはあと回しとか、そういう点は与党のほうでも調整をしてやってもらわないと、自今法案の審議に対して考えを改めなければいかぬ。その点念を押しておきます。
そこで、一体大臣は、今度の農林金融の問題について、農村はいまにっちもさっちもいかない段階にきているが、農政の中で、農林金融の位置づけをどういうふうにお考えになっているか。現在の赤城農政の中で、農林金融の位置づけ、ウエートを相当置いておるのか、あるいはこれは総合的な中の一環だというお考えか、その点をまず明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/63
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064・赤城宗徳
○赤城国務大臣 農政の基本的な問題を本委員会等におきまして申し述べましたときにも触れておりますが、農林に対しての金融は、大体四つの柱の中の一つとして、非常に重大な問題として取り上げておるわけでございます。考え方といたしましては、農山漁村、いずれも他の産業に比して脆弱な面がございますから、国として助成するということは当然しかるべきものだと思いますが、予算の総ワク等から考えましても、思うようにいかぬ面もあります。どうしても金融面、融資面のほうにより拡大の余地もありますので、そういう面を拡大いたしまして、農業、漁業、林業政策を推進する大きな柱といいますか、推進力にしたい、こういうふうに考えて、より金融面に強いウエートを置いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/64
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065・中澤茂一
○中澤委員 もちろん、それは農業の総合政策として、金融という問題は重大にお考えになっていることはいいですが、一体いまの日本の農業の現況というものは、金融面ぐらいでてこ入れしても、どうにかなるという見通しはあるのかどうか。少なくとも金融で日本の農業経済を見ていくという面においては、一体現況における日本農業は、企業として成り立つものかどうか、ここに私は基本的な問題があると思うのです。企業として成り立つという前提に立てば、金融という問題は非常に大きな問題であるが、かつて補助金整理のとき、この基本的な問題は論議されたのですが、一体大臣は、いまの日本農業の現況の中から、企業として成り立つ農業という考え方の金融を考えるのか、あるいはこれは企業としては困難である、だから金融面において特別な考慮を払うという考え方に立つのか、どっちの面に立ってこの金融問題は取っ組んでいらっしゃるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/65
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066・赤城宗徳
○赤城国務大臣 日本の農業が企業的に成り立つか成り立たないか。私は成り立たせなくてはいかぬと思います。そういう面におきまして、金融の裏づけも必要な面があります。しかし、それとは別に、農業を近代化し、あるいは企業的にやっていくという前提がございます。どういう前提かといえば、たとえあば基盤の整備、土地改良——その中には草地造成等もありましょうが、そういう面に近代化とか、企業的な農業の成り立つ前提としての農業対策というものがあると思います。そういう面に対しましても金融の必要が相当あります。土地改良にいたしましても、構造改善の仕事にいたしましても、金融面でささえていく、こういう画がたくさんあると思います。でありまするから、日本の農業が企業的に成り立たないということじゃなくて、私は成り立たせたい、そういう企業的に成り立つ方向へ向いている面も相当ございますので、そういうささえともなり、またその前提としての、個人個人の農家としてではなく、全体の農業政策遂行のために、基盤の整備のためにも金融、構造改善等のためにも金融、こういう必要性を感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/66
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067・中澤茂一
○中澤委員 私は大臣とは見解を異にするのです。たとえば構造改善ということを大臣がいま言われておる。しからば、一体金利面から考えた農業経営は、はたして企業としての採算がとれるものかどうか。たとえば、いま水田なら、農業としての限界価格は大体一反歩二十万円ぐらいでしょう。これに対して自作農維持資金として政府が出しているのが五分。そうすると、新しく構造改善として政府が出しておるものは、一分引き下げて取得資金は四分ですね。たとえば四分としてみても、新しく二十万円の水田を買い取るためには、年間八千円の金利が必要になってくるわけですね。もし自作農維持で借りた場合には、一万円の金利が新しい土地取得に対しては必要だ。それだけの金利ウエートを持っているわけですね。そうすると、たとえば二十万円の水田、しかも一番価格の安定している米、政府が補助している米、これに対して今度の構造改善の四分としても、八千円の金利負担を農民は負うわけですね。八千円ないし一万円の金利負担をしておって、たとえば全国平均三石二斗くらいの収穫量としても、収入は一反歩大体四万円と見なければならない。これ以下の経営生産地帯もある。四万円の収入を安定した米で得る場合においても、金利負担は八千円ないし一万円、そういう計算になるわけです。そうすると、四万円の収入を得るために、二十万円の資本投下をして、八千円ないし一万円の金利負担をして、そうして水田を購入して、農業というものは成り立つかどうか。たとえば会社の例でいえば、こういうことも言えると思うのです。この比率をとってみると、四万円に対して一万円の金利負担ですから、二割五分の金利負担。会社の経営上では、たとえば一千万円の売り上げに対して二百五十万円の金利負担をするということと変わりがないわけですね。そんな会社というものは成り立つわけがない。それと同じようなことで、いま言った素朴な計算をしてみましても、企業として成り立つという考え方が正しいのかどうかというところに、私は疑問があると思うのです。その基本的な問題を掘り起こさないと、一体農林金融で、日本農業経済を今後発展させるためにまかなう——しかも政府の方向は、だんだん補助金政策から金融政策へ切り変わってきている。しかもまた、その金融政策は、できるだけ安上がり農政のために、系統融資金融へ方向が大きく変わりつつある。そういう点において、金融政策を考える基本問題として、どういうふうに大臣はお考えになっておるか。いま言った構造改善、すなわち、日本の農業の体質改善を根本的にやろうとする立場に立っておる四分の金利さえ、一番安定した米において日本の農業は負担し切れないという事態は、大臣はお認めになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/67
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068・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私は、個々的に見れば、一人一人に一反歩なら一反歩購入するという場合に、いま例を引かれましたが、それで成り立たないというわけではございませんが、非常に不利だとは思います。しかし、そういう個々的な問題をあとで申し上げるといたしましても、団体的に土地改良をするという場合に、負担を融資によって一応肩がわりしていく、こういうようなための融資というものは当然必要であり、また、それが完成した上においては、償還といいますか、負担の能力は、ある程度私はだんだん上がってきていると思います。
それから、個人的な場合で、新たに一反歩なら一反歩を二十万円なら二十万円で取得する。いま三分五厘になっておるようでありますが、四分といたしましても、八千円の金利負担、こういうようなこともありますけれども、これにはいろいろあると思います。いままである程度の土地を持っておった上に、なお一反歩なら一反歩をふやすために購入したという場合に、その新しく購入した一反歩からの計算からいうと、いまのような計算が出ましょうけれども、農家全体のものから償却していく、いままでの農業収益の中からも償還していくというような考え方もあろうと思います。でございますから、厳格に償却的な考え方で計算をいたしますと、非常に採算に合わぬような数字も出る場合があると思います。また出ておるかと思います。しかし、全体として見ますならば、やはりそういう金融の裏づけをもって農家の経営を増していくというようなことは必要であろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/68
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069・中澤茂一
○中澤委員 いま大臣は土地改良の問題を出されたけれども、土地改良だってどうですか。土地改良再建整備法をやってくれという団体要求があるでしょう。全国の土地改良区の八割は、負担金未納でにっちもさっちもいかたいわけです。これはやはり、個々的な問題としてとおっしゃるけれども、農業と農業経済の中におけるところの基本的な問題だと思うのです。そういうような問題が根底にあるから、全国の土地改良区の八割は負担金未納でにっちもさっちもいかない。旧債たな上げにしてくれ、政府が利子補給やってくれ、元金だけ長期償還しましょう、こういう問題が現実に出ておるわけですね。私は農林金融が不必要だという論議をしているのではないのですよ。そういう立場から、個々的な問題から考えていかないところに、私は、あらゆる金融制度の問題の中に、長期にわたってやったら償還不能がずっと出てくるというような形が出てくると思うのです。そういう面において、特に金利面において、これは農林金融といわない、日本の一般金融体系というものは、非常に高金利体系である。その一環としての農林金融も、非常に高金利体系である。そういう中において、今回いろいろ段階整理をされたのはわかるが、はたして一体五分以上の金をいまの農産物価格の不安定と低農産物価格の中で貸すことが親切なのか、貸さないことが親切なのか、私は疑問を持つのです。そういう点において、金融をやるならやるで、いま少し新しい一つの構想をお出しになったらどうか。要するに、高金利体系をどういうふうに処理するか、これが基本的な問題だと思うのです。だから、段階整理をやって、九段階を四段階ないし五段階にする、そういう整理も私は必要だと思う。しかし、先ほど湯山委員の質問にもあったように、償還期限の据え置き期間の繰り込みの問題だとか、表から見た看板だけは非常にいいが、中身をしさいに検討していくと、政府の負担をいかにふやさないかということに努力をしているあとが至るところに見られるのです。表面だけはこういうふうにしたから、下がったような印象を与えている。そういう点において、今度の改正三法を見ましても、われわれは納得できない。いま少し政府の利子補給という体制で大幅な金利引き下げというものをやらぬ限り、結局貸すことによって、借りた農民が苦しむという事態が出てくると思う。そういう点について、将来赤城農政の中で一つの大きな柱というものを金融体系で出すならば、今後その高金利体系においてどういうふうに是正していくか、これを基本的に考えておいてもらわぬといかぬと思うのですが、いかがなお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/69
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070・赤城宗徳
○赤城国務大臣 金利は安くて、償還期限が長期であること、これは非常に望ましいことでございます。農業金融におきまして、特に償却といいますか、還元といいますか、それが渋い産業でございますから、当然そう考えなくちゃならぬ。ただ、本年度といたしましては、二分の金利という議論もございましたし、あるいは無利子という議論もございましたけれども、三分五厘の金利のものが四一・六%くらい全部の中で占めておりますし、大体平均しまして五分程度になっています。金利面におきましても十分考えたと思います。また、段階あるいは金融のワク、種類等も非常に整理いたしております。無利子というのは、なかなかむずかしい制度だと思います。いまの改良資金の制度だけで四十六億のワクの無利子のものを設けてふやしましたが、いまの段階におきましては、期限がもう少し長くなくてはいかぬというふうに考えておりますけれども、利子の体系からいえば相当思い切って改めた、こう思っております。しかし、なおさらにできるだけ長期に、できるだけ低利にできるように、検討といいますか、尽力といいますか、そういう方向へは持っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/70
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071・中澤茂一
○中澤委員 それはたいした予算的な金額が必要じゃなくして、これに重点を置くならできるわけですね。たとえばいま大臣が平均五分と言ったが、平均金利は五分にはとどまっていないようですが、政府資金の場合はそういうところまできている。そうすると、一千億の融資をしても、五分とすれば金利は五十億ですね。それを二分ないし三分引き下げるということは、私は国家財政の立場から見て不可能じゃないと思うのです。たとえば一千億の二分引き下げてみたところで、二十億だけで済むのですから、私は、赤城農政の中に特色ある農政を出してもらいたいと思う。かつての河野農政というものは、新農村建設構想だとか、いま構造改善になっておる前進したパイロット構想を出して、やはり一つの河野農政の看板は出たわけです。ところが、寡聞にして私は赤城農政はこうだというものは実は伺っておらないわけです。結局総花的な惰性的農政になっておる、こういうふうに私は判断しておる。それなら、金融なら金融体系の中でひとつ思い切った処置をして、赤城農政は金融であったというように思い切った処置をしてもらいたい。それにはいま言ったように、国家財政の負担から考えても、たいした金額ではない。せいぜい三、四十億を国が利子補給で一般会計で見てやろうといえば、相当な特色ある金融体系ができるはずなんですね。そういう点についてひとつ思い切って金融でやろう、こういうお考えはあるのかないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/71
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072・赤城宗徳
○赤城国務大臣 進めてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/72
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073・中澤茂一
○中澤委員 たとえば、大臣に少し本腰を入れて私はやってもらいたいのは、大臣が予算編成の前にガソリン税の問題を出した。そうして農民の使うガソリン税を免税にするという問題で、無利子の金融体系というものをちょっと出された。私はそのとき新聞を拝見して、ははあ、これはここで一ふんばりやるな、実はこうほくそえんでいたわけです。ところが、それが二転三転して龍頭蛇尾になり、しまいには何だかしっぽも頭もちっともわからなくなった。そしてさきごろ予算委員会で、わが党の井手君かだれかが、不当じゃないか、農民のガーデントラクターは何も道路を走って利益を得ているのじゃない、行き帰りに国の道路を使用するが、一日じゅう田の中をかきまわしておるじゃないか、それを農民にガソリン税は不当じゃないかというので、一時間にわたってこの問題を予算委員会でやったところが、田中大蔵大臣は四十年度から考えましょうというところまで、これは与野党共同でやったようですが、問題が前進しておるわけです。私は、赤城農林大臣があの無利子構想を出したときに、もっと強引に突っぱれば可能であったと思うのです。そういう点について、赤城農林大臣ははなはだ福徳円満で、非常に当たりさわりのよい方で、まことに人格円満なけっこうな方ですが、もう少し荒っぽい立場で、ひとつこれだけは一歩も譲れぬという立場で、今後の金融体系に力を入れるお考えはあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/73
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074・赤城宗徳
○赤城国務大臣 ガソリンの問題は、済んだことですからいろいろ申し上げませんが、農林漁業の金融については一そう力を入れてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/74
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075・中澤茂一
○中澤委員 大臣、ガソリンの問題は済んだのじゃないのです。予算委員会で与野党共同で、田中大蔵大臣からようやく四十年度から考慮するという言質をとったのです。おそらく来年度の予算編成には、農業用ガソリン税の問題をどうするかというのがこれからの問題だと思うのです。だから、これは済んだ問題じゃないのです。四十年度に何とかいたしましょうという答弁を大蔵大臣がしておるわけですから、四十年度において、農業用ガソリン税の問題に対して、大臣はこれからがんばってもらわなければいかぬと思うのです。済んだというお考えはどういうところから出ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/75
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076・赤城宗徳
○赤城国務大臣 三十九年度におきまして免税ということにならなかった。そこで、三十九年度は一応済んだ、そういうことで、このいきさつをいまさら申し上げてもと思ったものですから、省いたわけでございますが、今年農業用機械のガソリン税を免税するということにつきましては、ずいぶん強く交渉したのです。しかし、大蔵当局としては、御承知のように、課税の面で非常に骨が折れるというような面から突っぱねておりました。しかし、これを私のほうでどういうように使うか、二つの案があったのです。一つは、ガソリン税が道路に還元してくるので、免税が困難だということならば、これを農村の道路に使うように還元すればということ、それからもう一つは、無利子の資金のほうにこれを入れて、農業改良その他に使うようにしようかと、実は考え方が二つになっておって、攻撃力が弱ったというか、農道のほうにつきましては、建設省なんかも賛成いたしまして、建設大臣もそっちでいこうかという話を一方で進めて、一方において農業金融の無利子のほうでいこう、こういう二つに分かれて折衝して、どっちかをとろうというような、少し欲の深いというか、分裂したような、統一しない方針でやったものですから、農道のほうに還元はやめて、そのかわり改良資金のほうのワクはふやそう、無利子の資金をふやそうということで、折れ合いをつけかというのが経過でございます。しかし、この間の予算委員会のいきさつ等もありまして、来年は大体これは免税するというような約束を大蔵大臣のほうから井手君が取りつけたようなわけでありますので、免税にするということはどうしてもしなければなりませんが、免税にするか、あるいはいま言いましたように、農業金融のほうの無利子の金にでもするか、あるいはまた町村道のほうの問題にするかというような問題は、残っておると思います。いずれにいたしましても、この金が農業方面に使えるというめどはつきましたから、強力にこれを推し進めるということにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/76
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077・中澤茂一
○中澤委員 大臣はどっちのほうに来年度は使おうというお考えですか。金融体系の中に全部ぶち込んでいこうというお考えですか、それとも農道の整備のほうに使おうというお考えですか、二本の攻撃力がどうもまずかったという自己反省のようですが、一本の攻撃力は来年度はどこに向けるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/77
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078・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私は、今年改良資金のほうのワクをふやすというつもりでせっかくふやしたのでございますから、金融面のほうに向けていきたい、こういう気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/78
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079・中澤茂一
○中澤委員 そこで、今度お尋ねしたいのは、いま言った高金利体系の中で、系統金融が一般に日本の高金利体系に歩調を合わせて、金利が非常に高いわけです。この系統金融関係に対しては、この金利引き下げに今後どういり方向で進むべきか、こういう点については、大臣のお考えを率直にお知らせ願いたい。政府資金のほうはいま言った一つの方向も出たろうが、系統金融のほうをいまのような高金利体系のままほっておいて一体よいのかどうか、この点についてのお考えを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/79
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080・赤城宗徳
○赤城国務大臣 系統金融の面につきましても、今度の改正につきましては、金利を低くしてこれを回すことに協力を求めております。そうしてその回は承諾いたしております。ただ、まだ七分五厘から八分くらいになっておりますから、高いことになっております。ただ、系統金融の資金コストといいますか、御承知のように、組合員預金でありますが、どうしても信連等の預金率が高くないと、資金の吸収といいますか、集めることが非常に困難だというようなこと、あるいはその他の経営上の人件費等もあります。そういうようなことで資金コストが非常に高いので、この方面の指導といいますか、資金コストを安くするような方策をあわせて考えませんと、系統金融の金利をそう低くするということは困難であると思います。そういう面も検討いたしまして、金利面が低くなるようなことについては、なお一そう指導といいますか、協議するといいますか、そういうことをいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/80
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081・中澤茂一
○中澤委員 ただ、系統金融の場合は、大臣が言うように、資金コストが非常に高くなってきておるわけです。だから、これをただ行政指導だけで協力を求めたり、安くしろと言っても、これは私はできないと思います。それは系統金融の中にも私はいろいろ矛盾があると思うのであります。たとえば三段階制というものを一体どうするかという基本的の問題が横たわっておる。しかし、最終的には、私は、農林金融の場合は、政府がこれに対して一部利子補給方策をとる以外に低金利に引き下げる方法はないと思う。だから、そういうような行政指導や協力要請じゃなくして、少なくとも実質的にこれはこういうふうにひとつ補給制度をとろうじゃないか、その補給する分だけはひもつきで引き下げろ、こういうような強い措置をとらないと不可能だと思います。だから、そういう点において、大臣は今後系統金融に対しては利子補給の方式というものを考えるべき段階にきておるのじゃないか。同時に、この系統の中においても、御承知のように、合併促進が非常に急速に進んでおる。これは必然的に二段階制に移行する一つの過程がいま出ておると思うのです。だから、そういう中で、たとえば二段階制にしてみても、これは金利コストはそう下がらないと思う。せいぜい下がっても、まず五厘下がれば山場じゃないか。だから、そういう基本問題を解決しても、なお根本的な高金利体系というものは解決できないわけです。それに対して政府が強力な利子補給制度をとる、あるいは公庫の一部に系統資金の何%かを繰り入れをして、それに対して利子補給制度をとるとか——自主金融であるから、いまの形のまま利子補給制度をとるということはなかなか困難だと思う。しかし、それは方法論としては私はあると思う。政府資金の中へ系統資金の何%かを強制導入する、強制導入したものに対して政府が利子補給制度をとる、こういう方法はあり得ると思う。その点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/81
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082・赤城宗徳
○赤城国務大臣 現在におきましても、系統資金につきましては利子補給制度をとっておる。近代化資金六百億につきましては、利子補給の制度を開いておることは御承知のとおりでございます。こういう足がかりがありますので、利子補給等についても、コストの低下、三段階をどうするかという問題がございますが、コストの低下の問題とあわせて、利子補給の問題等もさらに推進する方向において検討していきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/82
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083・中澤茂一
○中澤委員 ですから、これは行政指導だけではなくて、強力に政府が——この利子補給というのは、かつて補助金整理の問題のときもいろいろ議論されたのですが、利子補給ということは、政府の財政負担もそう大きな比重を占めないで、一番安易にやれる方法なんですから、そういう点において、系統金融に対してはもっと強力な利子補給をやるべきである。同時に、政府の制度金融に対しても大幅な利子の引き下げをやるべきである。財政負担が非常に増大するものならばこれはなかなかできないであろうが、これは大臣が腹をきめて、少なくとも系統融資の金利低下のためと政府金融の金利低下のために五、六十億の予算をここにさこうとするならば、私は画期的な低金利政策は確立できると思う。だから、それについて、大臣が、ひとつ赤城農政の本筋は金融で出していこう、こういうお考えで今後取り組むかどうか、その決意のほどをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/83
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084・赤城宗徳
○赤城国務大臣 せっかく本年度におきまして相当この方面に突っ込んで進めてきたのでありますが、さらに一そうこれを進めることが、私は非常に大事な農政の問題だと思いますので、進めていきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/84
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085・中澤茂一
○中澤委員 今度の三法改正を出した機会に、基本的な政府の方針というものを出してもらいたいと思う。これは御承知のように、また八月過ぎれば来年度予算の編成にかかるわけですから、もういまから基本的に赤城農政の金融はこうだという方向が出ていかぬと、また予算編成に間に合わぬという事態になると思う。だから、これはひとつぜひこの機会に、金融だけは少なくとも赤城農林大臣の特色を出す、こういう形でいまからその決意を具体的な行動に移して、そうして来年度は金融体系面で赤城農政の新しい特色を出す。もっとも、七月の総裁公選でかわってしまえばおしまいですが、かわらぬ限りはひとつがんばってもらいたい、こういうふうに考えるわけです。
同時に、私は、農林金融の場合、金利の問題といま一つは、やはり償還の問題が一番大きな問題だと思う。金利を一体どう引き下げるか、それから償還期限を一体どう延長するか。先ほど経済局長は、金を借りたが、いつまでも借りているのはいやだから、早く返したいという人があれば、早急に返してもいいという答弁をしておりましたが、それは、そういうものも私は全然ないということで否定するわけではない。しかし、農業経済全体、しかも、いまのような不安定な農産物価格の中においては、そういう償還期限というものをなるべく長期にしてやることが必要だ。欧州の農業金融などを見ても、大体四十五年ぐらいが平均で、アメリカあたりの大規模農業を見ても、大体四十年、五十年という期間がある。こういうことを見れば、やはりこの償還期限においても、日本の金融体系というものは劣勢であるということが思われるわけです。だから、そういう点について、償還期限というものをもっと大幅に引き延ばす必要がある、私はそのように判断しておるのですが、大臣はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/85
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086・赤城宗徳
○赤城国務大臣 全く同感です。ただ、その同感どおりにことしは実際にいっておりませんけれども、それはまことに同感であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/86
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087・中澤茂一
○中澤委員 たとえばスウェーデンの金融などを調べてみても、二分で償還期限が八十年なんというのがある。私は、スウェーデン、デンマークの酪農というものは、なぜあそこまでああいう理想的な形で発展したか、こういうことを考えてみると、やはり金融面の政府のてこ入れが、あの酪農発展の基礎をなしておるのではないか、こういうことを私は考えるのですが、少なくともいまの日本の酪農に二分で八十年の償還期限——大体三代にわたるわけですね。二分で八十年の償還期限の金を相当豊富に出すということになれば、その金融のてこ入れという面から、日本の酪農業の発展というものが考えられるのではないか。現実に六分、七分という金を借りて、しかも価格の不安定の中にあるから、要するに酪農業というものが頭打ちになってしまったんだ。どこかでこの頭打ちを打開する一つの政策が出なければいかぬじゃないか。その一つの政策としては、やはり金融血におけるところの低金利、長期償還、こういう一つのてこ入れが必要だ。こういう点において、大臣は何か特色のあるものをお考えになっておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/87
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088・赤城宗徳
○赤城国務大臣 諸外国の例なども御指摘のようなことでありまするし、また私のほうの調べでも、西ドイツが三十五年、フランスが三十年、ただ、その種目につきましては、農業の事業規模の拡大、建設資金、共同利用施設とか土地購入等で、オランダ、ベルギー等は三十年から三十五年というような例もあります。でありますので、日本の農業金融につきましても、こういう他国の例等に近いところへぜひ持っていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/88
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089・中澤茂一
○中澤委員 たとえば構造改善の問題がいま至るところで行き詰まりを来たしておる。これは当初の政府の計画では五割補助である。そうしてあとは制度金融で三割ですか、一億一千万のうち二千万は制度金融でまかなう、こういう基本構想を出したわけですね。やはり基盤整備費だけは国が無償でやるべきである。農民はいまの段階ではそういう負担能力がない。しかも、物価格か完全に米のような方式で安定をとっていれば問題はない。そうすれば、農民は一体その資金投下をしていいかどうかの判断の上に立ってやる。ところが、農産物価格は不安定きわまりないものである。そういうところに構造改善が——このあとの共同化施設その他に対しては五分なり六分の金で融資をする、そういうことで、構造善になかなか農民がおいそれと飛びついてこない。よほど客観的立地条件に恵まれていない限りは、おいそれと飛びついてこない。そこに構造改善の問題が、金融面において一つのガンをなしておるとも言えると思う。われわれは基盤整備は無償論を繰り返しまして、ついに政府も七割まで助成をしよう、こういうところまできたのですが、しかし、この基盤整備費の問題は、これは別個の土地改良法のときにまた議論する問題としても、ここでやはり共同利用施設とか、すなわち、日本の農業を先ほど大臣が言ったように大型化し、共同化していくという方向に対しては、特別な金利政策を考える必要がある、こういうふうに私は考えておるのです。その点について、大臣は、今後共同利用施設に対しては、構造改善に特別金利政策を考える御意思があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/89
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090・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いま構造改善の非補助のほうの共同施設は三分五厘ということになっておりますが、農業政策全体として、経営規模を拡大したり、あるいは共同によって経営を広げていく、こういう面につきましては、私は金融面の相当なバックアップが必要だろうと思います。これはいまも幾分やっておりますけれども、そういう面をなお推進していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/90
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091・中澤茂一
○中澤委員 同時に、共同化推進は、全国至るところにそういう芽は吹いてきているのです。われわれも全国の共同化の例をとって、雑誌「共同経営」というものを出しておりますが、これに対しても非常に需要が多い。至るところから「共同経営」を売ってくれ、送ってくれという声があるということは、農民がいまの零細規模経営の中ではどうにもならぬ、だから、これは共同化の方向をとらなければだめだというところへ、もう意識的に前進してきている。ただ、これに対する政府の施策があまりにも貧困であるために、簡単に飛びつけない。そこに問題があるのです。だからたとえば、特に来年度大臣はガソリン税を金融面に重点的に使うという場合は、共同化施設に対しては相当な幅の無利子金融をやってやる、このくらいな御決意を持たなければ、金融面における構造改善事業というものは私は前進しないと思う。だから共同化施設に対しては、無利子金融を全部認めろとは言わないが、たとえば六割なり七割は無利子金融で見ていこう、こういうことでなければならぬと思うのですが、その点についてはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/91
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092・赤城宗徳
○赤城国務大臣 構造改善でも、もうすでに御承知のはずでございますが、九十万円のうちの五〇%は共同化施設のほうに回っております。国で五割補助するということにいたしておるわけでありますけれども、無利子の金融のワクの問題でございます。いまのガソリン税で九十億ぐらいのものだと思いますが、これは共同施設全体に回すということになると足らぬことになるかと思いますが、どういう面でやっていくかということは、さらに検討していかなくてはならぬと思いますけれども、お話の点はよく頭の中に入れておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/92
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093・中澤茂一
○中澤委員 それは共同化という方向が明らかに構造改善地区では出ているのです。特に主幹作目の指定をやったのですから、酪農をやったところは酪農の共同化をやろうとしておるし、養蚕の主幹指定をやったところは養蚕の全蚕共同飼育までやろうという考え方が出ているのですよ。だからそれに対して、私は全額とは言いませんが、少なくとも共同利用施設に対しては六割なり七割は無利子金融をやってやる、それが一つのてこになって前進すると思う。だから、来年度についてはそういう方向で、ガソリン税を日本の共同化推進のほうに大きなウエートを置いて進めていく必要がある。そうなれば、金融面からする構造改善というものは一段と前進するのではないか、こういうふうに考えておるのですが、そういう点について、そういう方向に出ておるものに対する誘導政策の一つとして、これは強力に推進するという御決意をいま一度伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/93
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094・赤城宗徳
○赤城国務大臣 私が申し上げましたのは、ガソリン税をやってみて、それだけでは、共同化をやった場合に、全国的に共同化を進めていくだけの金に足りないのじゃないかという場合もあろうと思いますので、共同化の面にもし使うとすれば、どういう面に使うのかということは検討を要する、全部構造改善、共同化に使うには、かりに九十億といたしましても足りないのじゃないかという気がいたしますので、共同化のほうに金を使う決意をするといたしましても、その内容について、共同化の中のどういうところかという、金のワクからの制限がおのずから出てくるのではないか、こういうことでありますので、なお検討してみたい、こう申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/94
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095・中澤茂一
○中澤委員 大臣、そんなことはないです。九十億あれば、共同化金融は全部無利子にできます。たとえば、政府からの借り入れが六分でしたか、六分五厘でしょう。六分五厘の利子でちょっと計算してみても、政府資金から入ってくるものを全部無利子にするのに、九十億全額使わないで間に合うわけですね。たとえば一千億で六分とすれば、利子補給を全額して無利子にしても六十億でいいでしょう。そういうことだから、私は当初から全額とは言わないが、九十億あれば、共同化施設に対しては、六割なり七割というものは無利子金融が行なわれますよ。それでもなお利子補給金は余りますよ。原資の貸し付け資金を私は言っているのではない。九十億全額でなくても利子に使うという考え方でいいのです。かりに四百億借りたといっても、六分の金利で政府が全額負担しても二十四億です。だから、やろうと思えばできるでしょう。四百億共同化施設に出して、それを全部無利子にしましよう、その利子補給は六分にして二十四億ですからね。だから、私の質問で、九十億を原資として考えればそれは足りない、利子補給分にやって無利子にするという考え方で私は質問しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/95
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096・赤城宗徳
○赤城国務大臣 数字の問題でございますが、経済局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/96
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097・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 原資として使います場合と、利子補給として使います場合とは、非常に違ってくるわけであります。利子補給でいきますと、短期の資金ですと、利子補給の額はそれほど大きくございませんが、長期の資金になりますと、たとえば平均十年で償還されるものといたしますと、初年度は五十億で済みましても、翌年度は新規に貸し付ける五十億のほかに、前年度に貸し付けた五十億、プラス百億になります。それが十年間累積してまいりますから、利子補給は非常に財政面で負担が少ないように思われましても、長期の場合はかえって多くなる、こういう場合がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/97
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098・中澤茂一
○中澤委員 しかし、たとえば構造改善資金だってけしからぬのですよ。これはまだ問題が残こっているのですよ。これは五割というのを、われわれに追い上げられて七割まで上げたのはいいが、全国知事会で、自治省の役人さんが立って、知事の質問に対してどういう答弁をしているかというと、あれは法律できまったものじゃないかり、県のほうでお金がなければ、あんなもの出さなくてもいいですよ、別に法律できまったわけじゃないのですから、こういう答弁をいたしておるのですよ。私のほうの知事が非常に憤慨して、あれは法律でないから、県で出さなくていい、こう言っているが、県会では二割出さなければいかぬということになったので、県の財政負担としては非常に膨大なものになって、にっちもさっちもいかないという問題が出ておるのです。だから、それは、政府は金融の利子補給政策でやるんなら、三百億や五百億の金出したって何でもないじゃないですか。私はそう思うのですよ。少なくとも日本の農業体質の根本的改善をやるというのが、いまの構造改善事業でしょう。それにしては、あまりにも子供だましのちゃちなやり方じゃないですか。しかも、われわれが国会で問題にしたように、法律をつくらないで、行政措置でやっておいて、そうしてあとは都合の悪かったり、予算が取れなければ、政府のほうは適当に逃げてしまう。こんな体制で一体日本の農業の抜本的な体質改善が可能であると考えておるのかどうか。体質改善をやらなければ外国農業との太刀打ちはできない。これは至上命令だ。しかし、至上命令とするならば、これに対して経済局長が、年がたてばふえてくる——ふえてくるくらいなことは、あなたに聞かなくても、子供でもわかっていることなんだ。ふえるにきまっているんですよ。きまっているが、そういう根本的な一つのもとをつくればいいじゃないですか。もとをつくってそういう制度にしてしまえば、ふえていくものはそれだけふやせばいいのですよ。何もそんなに大蔵省ばかりに気がねしなくていいのです。ふえていくものは自動的にふえていくんだから、予算要求のときもあまり頭を下げなくても取れるでしょう。これは自動的にふえていくんじゃないか。そういうことで、基本的なものは、やはり農林省がほんとうに農民の立場に立って、将来それは何十億にふえようが、何百億にふえようが、これを一つの突破口にしていくんだという、こういう考え方を持ってもいいんじゃないですか。一年たてばふえていくから、それでは大蔵省が了承しまい、そういうふえることはおれはやめた、そういう考え方はおかしいじゃないですか、経済局長、そう思わぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/98
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099・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 確かにそういうお考えもあるかと存じますが、大蔵省も百も承知であるわけでございます。したがいまして、利子補給と出資と、どういう形で使っていくのが、最も効率的で、しかも目的を達し得るかということを十分検討いたしまして、これは利子補給でいくか、これは原資として使うか、こういうことを常に考えながら進めておるわけでございます。九十億の金を原資として使いますのと、利子補給として使いますのは、やはりその貸し付ける資金が長期にわたるものであるとか、どういう金利で、どれだけの利子補給をするかということを十分考え合わせまして、検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/99
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100・中澤茂一
○中澤委員 局長に何も質問する予定じゃなかったんだが、あなたが変なことを言い出すから、あげ足を取るわけじゃないですが、効率的運用ということは、経済合理主義と結びついているんですよ。あなたのおっしゃる効率的運用ということは。しかし、日本の農業の体質改善をやるのは、経済的合理主義と効率運用という考え方では断じてできませんよ。それはできないですよ。やはり非合理性の合理性という問題を考えねばいけないですよ。それをあなた方はいつも大蔵省と折衝する場合は、大蔵省の経済合理主義——大蔵省じゃない、政府、赤城さんを含めて政府なんだ。政府の経済合理主義で農業政策を考えるところに根本的な間違いがある。経済的合理主義を考えたら、日本の農業なんかにはびた一文も金は出せませんよ、農業の致命的欠陥というものは、要するに資金効率運用が全くないというところに農業の致命的欠陥がある。そこにやはり世界農業が非常に行き詰まっておる問題がある。昨年の国連世界食糧会議では、十年後の人類の食糧は飢餓状態になるんじゃないかという議論をしておるじゃありませんか。どこの国も生産性向上、近代国家は工業だ、工業だ。そこで、農業生産は、どこの国でも停滞するか、低下を始めておる。十年後に人類の食糧というものは飢餓状態になる。現に日本でもそういう事態が、われわれ三年も前から警告しておるにもかかわらず、現に米においてそういう事態が出てきているではないですか。それは経済合理主義の結果がここに出てきている。すなわち、効率的運用とか、経済合理主義、そういう考え方を貫いて、近代国家は工業化だといまのまま進んでいったら、五年後の日本の食糧はどうなりますか。本年度でも、おそらく十一月の食い込みは、一ヵ月分の五十万トン食い込むでしょう。そこで、いまあわてて四十万トンの外米輸入を急いでいるでしょう。これは経済合理主義から出た考え方がこういう事態まで追い込んできている。おそらく私は、五年後、いや三年後の日本の食糧状態というものは、たいへんな事態が出てくると思います。しかも、平年作の場合であって、もし本年度一部冷害でもあったら、本年度の食糧政策というものは危機に追い込まれると思う。だからこれは、経済局長あまり効率主義だとか、経済合理主義のたてまえで御答弁をなさるから、私はそれを言うのですが、大臣はそういう考え方に対してどういうふうにお考えになっておるのか、やはり経済合理主義を貫くのか、農業の場合は経済合理主義性というものはだめなんだ、こういうお考えに立つのか、これは基本的な問題ですから、明確にひとつお答えしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/100
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101・赤城宗徳
○赤城国務大臣 経済合理主義ということがどういう定義なのか、問題があろうと思いますけれども、農業というものが、工業面のように、何といいますか、やはり合理主義というのですか、まあ、そういうものでやっていけない性格の産業だというふうに私は思っております。しかし、農業政策を非合理的にやっていくということと、これはまた別の問題だと思います。やはり合理性は持たなくちゃなりませんが、他産業のような性格とは全く違うものである、こういう立場に立って農業政策を進めていかなければだめだ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/101
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102・足鹿覺
○足鹿委員 関連して。これは大事な点なんですよ、農林大臣。現に単協の預貯金はふえ、農林中金のいわゆる農民の貯金というものはふえておるんですよ。それが農業外に流出をしておるんですよ。いわゆる系統外融資の形はおおうべくもないのです。問題は、農民の資金をいわゆる農業にいかに効率的に運用をしていくかということが農業金融の基本であるならば、現在農民の積んだ金が農業外にどんどん流れ出ていく、それをわずかに補強しておるのが制度金融の姿である、こういう形になっておるのです。元来、最初は国が行なっておったところの損失補償あるいは利子補給、そういうようなものも、先ほどちょっと中澤君も触れられましたが、だんだん国の責任を都道府県に転嫁し、あるいは資金源は農協にこれを転嫁しというふうに、国はだんだん後退の一途をたどっておる。つまり、現在日本における農業金融のあり方というものについては、政府は及び腰なんです。積極的にこれと取り組もうという意図がない。しかも、農民の貯蓄というものは相当系統農協にはあるのです。ですから、このものに対していかに政府が取り組んで、そして農民の資金を政府が援助するなり、あるいは損失の補償をするなりして、いかにしてこれを農民に効率的に運用せしめていくかというところに、近代化の要諦があるのじゃないですか。この問題を抜きにして、私は農林金融の根本問題は解決つかぬと思うのです。ただいまの大臣なり経済局長のたまたまの御答弁は、特に経済局長の答弁は本音を吐いたのだと思う。はしなくもいままでのあなた方の考え方の本音が出た。それを農林大臣が取りつくろうがために、抽象的に言っておられる。この間から私が言っているように逆なんですよ。もし事務当局が相当急進的であって、農林大臣はいろいろな立場から見てまあまあここら辺が妥当ではないかというような考え方であれば、行政はある程度全般的に進んでいくと思う。事務当局がへっぴり腰で、大臣は至るところで構想をぶちまくる。しかも、それは一般には何か画期的なような印象を与えておる。特に赤城農政の基本は基盤整備と金融、この二本立てであるといわれているくらい重要な柱が、ただいまの一時間余りの質問を通じて、一体どこに政府の姿勢が出てきておりますか。いま言ったように、農民の積んだ金は、農民資金を農民が効率的に利用することのためにはどういうふうにあるべきかということについて、農林大臣は基本的な姿勢と対策の根幹を示すべきであると思うが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/102
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103・赤城宗徳
○赤城国務大臣 その姿勢のあらわれが、今度の改正のようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/103
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104・中澤茂一
○中澤委員 その姿勢のあらわれがこの三法とすれば、これは、あまりにも赤城農政はお粗末農政だといわざるを得ない。この内容を克明に見ると、ただ段階整理をしただけじゃないですか。段階整理をしただけで、あとは一体何に特異的なものがありますか。特異的なものがあったらひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/104
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105・赤城宗徳
○赤城国務大臣 ワクが去年から比べまして非常に多くなっております。利率も下げてありますし、そういう面におきましては、私は、先ほどのお話のように、これが全部だとは言いませんが、あらわれであると言って差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/105
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106・中澤茂一
○中澤委員 ワクがふえた、ワクがふえたと言うが、ちっともあらわれじゃないですよ。財投のワクが全部ふえているのでしょう。昭和二十七年か八年にこの制度が始まったときは、財投全体から見れば、この制度の融資ワクはたしか七・五くらい出ていたと私は思うのです。ところが、二十八年から年々低下を続けてきておる。それが七から六に下がり、五に下がり、四まではたしか下がらなかったと思うが、ぐっと下がってきている。本年度は財投全体のワクから見れば、おそらく五・七、八じゃないですか。そうすると、制度が始まったときの七以上のものを獲得していれば、これは大臣ふえたと言って大見得が切れますけれども、七から五台へ落ちたものをふえましたと言うことは、私はちょっといただけない答弁だと思うのですが、それでも大臣はふえたというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/106
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107・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 いま財投との比較においての御質問でございますが、たとえば出資金について申し上げますと、財投の出資の伸びは二八・一%でございますが、農林公庫の出資の伸びは三九%でございます。それから財投の出資及び借り入れの合計額の伸びは二〇・八%でございますが、公庫の出資と借り入れの合計額の伸びは三二%でございます。一一・二%一般の伸びより大きいのでございます。そのワクの点につきましては、いろいろ申し上げたような数字でございます。
先ほど私が申し上げたのは、少しことばが足りなかったので、補足させていただきますが、同じ九十億の金を使う場合に、利子補給に使ったほうがいいか、原資に使ったほうがいいかをよく検討させていただきたいという趣旨で申し上げたのでございまして、何も合理主義ということでございませんので、ちょっとことばを加えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/107
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108・中澤茂一
○中澤委員 それは出資に対する財投のワクを言っておるので、財投総額のワクからいえば、それは違いますよ。私きょう資料を持ってきておりませんが、二十八年にはたしか七をこえていたと思うのです、財投総ワクからいえば。ところが、そういう政府出資ワクだけでものを言っておるから、そういう数字になるのです。総体的なワクからいえば、五%台を落ちておるのです。落ちてないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/108
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109・松岡亮
○松岡(亮)政府委員 全体の財投のワクは一兆三千四百二億であります。それで、公庫に対する財投のワクは七百五十億でございまして、これは三二%の伸びでございます。五%以下には落ちておりません。それよりかなり上回っております。相当に来年度のワクにおきまして回復したということばは適当でないかもしれませんが、とにかくさっき申し上げましたような出資においても、出資と借り入れの合計におきましても、ほかの一般の財投をぐんと引き離しておるわけでございます。その点は相当に改善されたはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/109
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110・中澤茂一
○中澤委員 もう時間もきたようですから、いずれまた他日の機会に、三法を上げるときでも、いま一度大臣に、いま少し基本問題を他の角度からひとつ検討したいと思います。
最後に、御承知のように、蚕糸が非常に問題になっておるわけです。審議会が二日、三日開かれたようですが、その経過と政府の考える態度、これについてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/110
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111・赤城宗徳
○赤城国務大臣 標準生糸の最高価格あるいは最低価格を決定いたしたのでございますが、最低は一俵二十四万円、最高が三十三万円、こういうことになりまして、キログラム当たりにすれば五千五百円と四千円、こういうことになっております。そこで、これは六月からの価格でございますので、新生糸の最低、最高によるものが発足する六月、その間の経過期間、三、四、五月の間現物生糸価格の四千円は堅持する、こういうことで中間買い上げワクを拡大していく、こういう方針で四千円を割らせない、こういう進め方をしていくようにきめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/111
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112・中澤茂一
○中澤委員 これはまた雑件の日に、いずれ蚕糸とか酪農とか、いろいろまた理事会のほうで日程を組むでしょうが、とにかく四千円を割らせないはいいが、一体買い入れというものをどう考えているのか。問題は、いまいろいろな意見を総合すると、大体二万五千俵、このうちランニングと見られるものが八千から一万という見方をしておるのですが、そうすると、純粋滞留分というものが大体一万五千くらいあるという判断になるわけです。これが荷もたれになって、四千円を割らんとしたわけです。そこで、若干の手は打って回復したが、いまでも四千三、四百円を低迷している。こういう事態でありますが、これはやはり滞貨分の荷もたれがここへ大きな影響がきておる、こう考えられるのですが、先ほどの大臣の答弁の中で、中間買い入れのワク増しを考える、こういう答弁でしたが、そのワク増しはどの程度お考えになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/112
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113・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いまお話しのように、価格を上げるか、あるいは滞貨をさばいていくかという問題に分かれておったと思います。お話のように、日本の生糸の価格が不安定だということになりますと、輸出生糸が売れないといいますか、買わない、そういうことでございますので、ここではっきりきめておけば、輸出のほうに滞貨がさばけていきますので、その点から価格の安定がもたらせるということで、価格の点は四千円を堅持していく、そして滞貨のほうをさばく方向へ進めたほうがよかろう、こういう方針をきめたわけであります。そのワクにつきましては、いま申し上げる材料を持っていませんが、ワクは拡大する方針です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/113
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114・中澤茂一
○中澤委員 もう時間切れになりましたから、これでよしますが、私と蚕糸局長の根本的な見解の違いはそこにあるのです。少なくとも四千円にきめて、四千五百との間を低迷していれば輸出は増大するであろうというのが蚕糸局長の見解なんです。しかし、その後ずっと旬報が横浜、神戸からくるのを見ていると、決して受注が増大してない。そうなると、一つ打つ手があるのは、滞貨の買い上げワクの拡大以外に方法はないのです。だから、その点について、ワクの拡大を思い切ってやらない限りは、これはずっと四千から四千五百の間を低迷していくであろうという見通しを私は持っておる。だから、それについては、買い上げワクの拡大について早急に決定を願わなければならぬ。同時に、これはいずれまた他のときにやりますが、蚕糸問題は、ほんとうに基本的に考えなければならぬ段階にきておる。いまのまま、その日暮らしのような場当たり政策だけやっていって、世界に最高の供給国である日本の蚕糸業などというものは、安定するものではないのです。これに対してぐらいは、ひとつ大臣は本腰を入れて取っ組んでもらいたいということを要望して、これはまたいずれ他日の機会に蚕糸問題の基本論をやりたい、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/114
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115・高見三郎
○高見委員長 次会は明五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605007X01519640304/115
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