1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十八日(金曜日)
午前十時十六分開議
出席委員
委員長 野田 武夫君
理事 有田 喜一君 理事 藏内 修治君
理事 壽原 正一君 理事 多賀谷真稔君
理事 八木 昇君
大坪 保雄君 上林山榮吉君
神田 博君 田中 六助君
中村 幸八君 三原 朝雄君
滝井 義高君 細谷 治嘉君
出席国務大臣
労 働 大 臣 小平 久雄君
出席政府委員
通商産業事務官
(石炭局長) 井上 亮君
労働基準監督官
(労働基準局
長) 村上 茂利君
労働事務官
(婦人少年局
長) 高橋 展子君
労働事務官
(職業安定局
長) 有馬 元治君
労働事務官
(職業訓練局
長) 和田 勝美君
自治事務官
(行政局長) 佐久間 彊君
委員外の出席者
通商産業事務官
(石炭局鉱害課
長) 佐成 重範君
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本日の会議に付した案件
炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六八号)
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第五三号)
産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案
(内閣提出第五四号)
産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第五五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/0
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001・野田武夫
○野田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/1
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002・多賀谷真稔
○多賀谷委員 石炭界は産業構造の変革あるいはエネルギー革命と称して非常な急激な変化をしたわけですが、その間に政府はいろいろな観点から離職者対策を講じたわけです。そこで、政府の政策が一応離職者対策として確立してから今日までの離職者の対策に対する趨勢についてお聞かせを願いたいと思います。これは局長からでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/2
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003・有馬元治
○有馬政府委員 三十七年の四月以来昨年の十二月までの実績集計ができておりますので、それで申し上げますと、三十七年の四月当初にそれまでの合理化解雇者で要対策者として残っておる者が一万六千三百人ございまして、自来約四年間に新規に合理化解雇者として求職者になった者が十万二千二百七十五人でございます。したがいまして、合計いたしますと十一万八千五百七十五人が離職者対策の対象になったわけでございますが、この十一万八千人に対しまして、安定所の紹介によって就職した者が六万四千三百四十二人でございます。大体地元と広域と半数半数ぐらいになっておりますが、広域が三万一千百十七名、地元が三万三千二百二十五名、こういう内訳になっております。それから、自己就職もしくは会社あっせんによって就職した者が四万五千五百四十六人、安定所の分と両者を合わせますと十万九千八百八十八人でございます。したがいまして、全体の要対策者から就職者を引きますと、残りが八千六百八十七名でございまして、現在この八千六百八十七名が今後離職者対策を要する対象人員になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/3
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004・多賀谷真稔
○多賀谷委員 昭和三十七年四月からの、離職者対策が一応確立されてその政策に乗った退職者に対する離職金並びに整備資金、できれば人数も、これは通産省からお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/4
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005・井上亮
○井上政府委員 三十七年度から今日まで支払いました離職金、この離職金は、退職金の金融の問題と、それからもう一つは閉山に関連いたしまして石炭鉱業合理化事業団から交付いたします離職金、二種類あるわけでございますが、融資の問題と交付する離職金、その詳細につきましては資料をもちまして直ちに御提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/5
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006・多賀谷真稔
○多賀谷委員 通産省のほうでは三十七年四月から幾ら退職をしておると見ておるのか、これをまずお聞かせ願いたいと思います。中には入るのもおりますけれども、絶対数の減少でなくて、退職者はその後幾ら出たかという点をお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/6
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007・井上亮
○井上政府委員 三十七年以降昭和四十年十二月末までの実績で申し上げますと、これは炭鉱離職者につきましての再就職計画に関連いたしまして調査した資料によりますと、三十七年四月から四十年十二月までに実績といたしまして十万二千二百七十五名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/7
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008・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、退職者と新規求職者が合っているですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/8
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009・井上亮
○井上政府委員 ただいま申し上げました数字は、新規求職者として安定所に申し込みのありました離職者数です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/9
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010・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私が通産省に聞いておるのは、退職者は幾らですかということです。労働省のほうは実は先ほど聞いたわけです。おっしゃるように十万二千というのを聞いたわけですが、退職者は通産省では幾らと把握しておるのか、こういうことを言っているわけです。なぜ私が聞くかといいますと、新規求職者に入らないで退職する者がおるわけですね。そうして、その者は逆にまた退職金のほうではもらっているわけです。退職するわけですから退職金のほうはもらう、しかし安定所の窓口には行かない、こういう情勢です。ですから、この食い違いを知りたいと思って聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/10
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011・井上亮
○井上政府委員 これは数字の問題でございますから、食い違いを出してもいけませんので、詳細に調査いたしました上、後刻、労働省とも打ち合わせしまして、ただいま御質問の退職者の発生数とその関係を明確にいたしまして、資料をもちまして御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/11
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012・野田武夫
○野田委員長 多賀谷委員、御了承願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/12
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013・多賀谷真稔
○多賀谷委員 いろいろなケースがあるわけです。まず、整備資金の対象にはなるけれども職業安定所の窓口に行かない層がある。これは第二会社の場合そういうことがある。あるいは、初めから自営業その他で自分が就職がきまっておる人があるわけです。それから、新規求職者であるけれどもまた炭鉱に就職するのがある。こういう層もあるわけです。いろいろあるわけですから、なかなか把握困難ですけれども、そういう把握をしておかないとなかなか政策が立たないという意味で聞いておるわけです。
そこで職業安定局長から話がありました県内就職あるいは広域紹介のうちで、炭鉱に逆戻りして就職をしたというのはどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/13
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014・有馬元治
○有馬政府委員 三十九年度と四十年の十二月までの分がございます。両年度について申し上げますが、三十九年度は、新規の雇い入れ総数が鉱員と職員と合わせまして三万一千百七人、このうち炭鉱離職者が再度雇い入れられた者が一万五千九百人、約半数は炭鉱の離職者を雇い入れております。この一万五千九百人のうちにいわゆる求職手帳を所持しておった者は三千五百九十三人でございます。したがって、炭鉱の離職者が山へ還元している者は一万五千九百人でございますが、そのうち手帳を持っている者はその四分の一程度の三千五百人。それから、四十年度で申しますと、十二月までの集計でございますが、鉱員と職員と合わせまして一万八千四百十九人が新規に雇い入れられております。そのうち炭鉱離職者は八千八百四十七人で、半数には満ちておりませんが、約半数近くでございます。この八千八百四十七人のうちに手帳持ちは千二百五十八人、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/14
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015・多賀谷真稔
○多賀谷委員 組夫というやつは安定所を通じての就職になるのですかどうですか。安定所はそういう労働条件の悪いのは就職あっせんをしないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/15
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016・有馬元治
○有馬政府委員 組夫に対しては、私どもの安定所はあまりタッチしていないと思います。これはほとんど組業者の縁故募集で人員の確保をされておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/16
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017・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、少なくとも三十九年と四十年で約二万四千という人は炭鉱に逆戻りをしている、こういうことがこの数字では言える、こういうように考えるわけです。
そこで、広域紹介に乗った者の賃金、これは大体どのくらいの平均賃金になっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/17
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018・有馬元治
○有馬政府委員 四十年度の実績で申しますと、産炭地域が平均で二万四千二百六十三円、それから、広域紹介により受け入れましたもの、これは主として名古屋、大阪方面でございますが、平均で二万九千二十二円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/18
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019・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に、政府機関への就職です。これは各省別に計画と実績をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/19
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020・有馬元治
○有馬政府委員 政府機関の離職者採用計画は三十七年度から樹立したわけでございます。三十七年は、計画数が三百二十七名に対しまして、実績は三百七十名、実績のほうが若干上回っております。それから、三十八年度は、計画が二千七百五十三名でございまして、実績は二千五百三十名ということで若干下回っております。それから、三十九年度は、計画が二千二百八十五名で、実績は千四百十七名、ずいぶん下がっております。それから、四十年度は、九百七十三名の計画に対して、十月現在で百三十五名、そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/20
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021・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これを見ると、石炭政策の熱が非常に高まったときは各省協力してくれるけれども、少し政策が下火になったということになると、約半分くらいしか遂行率がない、こういう状態ですね。やはり政府のかまえに問題があると私は思う。これは、三十七年から三十八年というと、政府もかなり力を入れた。ところが、それが下火になると、もう自然に置き忘れてきておる。これがいまの石炭界の実情でもある。これは非常に残念に思うのですが、三十九年にはなぜそれほど実績が下回って、計画の遂行ができなかったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/21
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022・有馬元治
○有馬政府委員 政府機関の大口としましては運輸省関係と郵政省関係でございますが、三十九年度は、運輸省関係で千三百名の計画に対して七百五十二名、約半数程度であったわけでございますが、これは主として志免炭鉱の分の国鉄部内への配置転換が思うようにいかなかったということが一番大きな原因であります。それから、同じく郵政省につきましては、四百名の計画に対して百二十一名という実績でございまして、これは、適格者がそれらの中からなかなか得られなかった、あるいは遠隔地に希望者が少なかったというような事情がございまして計画よりも下回っております。こういうところに大きな原因があったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/22
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023・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは、志免炭鉱からさらに国鉄内部への配置転換もやはり炭鉱離職者として統計の中では出てくるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/23
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024・有馬元治
○有馬政府委員 これは同じ国鉄部内であったわけですが、炭鉱の合理化解雇に準じた扱いで、こういった離職者採用計画の場面におきましては、国鉄部内に配置転換する者も計画にあげ、さらに実績に計上する、こういう処置のしかたをやったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/24
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025・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは解雇してないでしょう。解雇しているのですか。国鉄部内に行くのに解雇するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/25
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026・有馬元治
○有馬政府委員 これは、その当時の扱いで休職扱いという形にして、部内の配置転換、あるいは部外へも若干出ましたけれども、部内への配置転換を主として、私どもも運輸省、国鉄当局にそういう要請をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/26
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027・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そのことの是非を言っているわけではありませんけれども、志免炭鉱の分をかかえても計画どおりに遂行できなかったという点は、非常に政府は熱の入れ方が足らない、むしろ熱意が非常に冷却をした、こういうことが言えるのではないかと思う。政府みずからがそういう状態でありますから、他の企業、かなり安定した企業につくというのは非常にむずかしい。私は政府自体の雇用政策というものについて後ほど別の機会に質問をしたいと思うのですけれども、政府機関がこういうような状態ですから、他の民間機関にそれを押しつけることはできない。こういう状態で、非常な不安定な職場につかざるを得ない、かような状態になっておると思うのです。これはいずれ運輸省、郵政省からどうしてできなかったお聞かせ願いたい、かように考えております。
それから、次に、住宅関係ですけれども、住宅関係は、一体炭鉱離職者用の住宅としてどのくらい建て、そして現在どのくらい入居しておるのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/27
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028・有馬元治
○有馬政府委員 現在まで建設中のものも含めまして二万八千六百七十八戸でございます。建設中のものが相当ございますので、入居可能といいますか、でき上がった戸数は二万三百九十八戸でございます。うち入居済みのものが一万六千五百二十二戸、入居率は八一%でございます。そのうち石炭の離職者は大体六四、五%入居しておりますので、約一万戸が石炭の離職者に充当いたしておる、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/28
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029・多賀谷真稔
○多賀谷委員 四十年度といっても、十二月末の求職者が八千六百八十七というこの実態ですね。現在滞溜している状態というものとは必ずしも一致しない。現実に産炭地域に小学校の要保護児童並びに生活扶助支給者の子供が七〇%もいるというのですね。これは学校のほうで手続をするわけですから、その数字は間違いがない。あるいは五〇%以上の学校が相当多い、あるいは三〇以上はほとんどだという実態と、この期末就職者というのとが必ずしも現実に一致していないですね。これはどこに原因があるのか。結局、労働省の安定所からそういう層はもう離れていく、行ってみてもしかたがない、窓口に行ってもしようがないからというので離れていく傾向があるのではないか。あるいは、手当等がもらえなくなればもう窓口に来ない、こういう状態にあるのではないか。しかし、産炭地の事態を見れば、現実にはおよそこれとはかけ離れた情勢にある。あれだけの失業群がいる。とにかく要保護児童並びに生活保護法の適用を受けている家庭の児童が七〇%もおるということは、大体住民の何十%もがそういう家庭であるということを示す。ですから、労働省の統計から見ると、確かに就職もかなりうまくいっておる、それから窓口にもあらわれてこない、こういう状態なんだけれども、現実の姿というのがどうもそぐわないのですね。これは一体どこに原因があると局長は考えておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/29
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030・有馬元治
○有馬政府委員 御指摘のように、八千六百八十七名というのは、離職者対策に乗っかっておる対象者で、なおかつ再就職ができない求職者でございます。したがいまして、この合理化解雇以前からの滞留者、あるいは、合理化解雇の対象にならない、直接石炭離職者でない、関連部門から出た失業者、あるいは、一たん再就職をしましても、さらに離職をして山元へ入っておる者も若干ございます。こういった各層のいわゆる失業者が筑豊地帯にはこのほかに相当いるということは実情でございます。私どもも、その数が出身経路別にどのような状態に存在しているのか。この辺の詳しいデータがございませんのでわかりかねますけれども、いま申したような状態で相当に失業者がこのほかにおるということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/30
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031・多賀谷真稔
○多賀谷委員 三十七年度の計画、少なくとも黒い手帳の受給者は緊就にも一般失対にも行っていないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/31
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032・有馬元治
○有馬政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/32
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033・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そこで、このほかに緊就にタッチしておる者がおる、さらに三十七年度は一般の失対の者もおる、こういう形です。それにしても、年々逐次生活保護の世帯がふえているわけですね。その原因は、普通の病気であるとか、それから老齢であるとかいうのではなくて、炭鉱離職であるというのが原因ですね。ですから、私は、これはその経路について総合調査をする必要があると思うのですよ。一体そういう貧困者がどういう経路から出てきて、それが政策に乗るものがどのぐらいであって、乗らないものがどのぐらいであるか。そうして、これは、こういう状態で滞溜して、このまま放置しておけば、全体がまさにスラム街化しますよ。いま子供までスクラップ化されようとする状態の中で、今後どういう状態になっていくか、もう想像に絶するものがあると思うのですね。これはあとから別の機会に質問しますけれども、たとえば、組夫のおる炭住街というのは全くどうにもならないそうですね。自治会も何もつくれないというのですよ。ですから、同じ炭鉱の中で、組夫ばかり炭住を分けて入れておる。ですから、一般の従業員はその組夫の中に行きたがらぬですよ。今度山野の問題があったのも、若干それがある。要するに、一時その組夫の中の炭住に入れようとした。だから、どうしてももとの炭鉱におりたいというのは、もとの炭鉱におりたいということだけじゃないのですね。その組夫のおる炭住に移すものですから、これはたいへんだという気持ちがある。ですから、一方そういう組夫というのが外部から入ってきて、そうしてスラム街を形成している、一方また、いままでいる炭住街あるいはその周辺に失業者が群をなしている、そうして失業対策費や生活保護費は年々増加の一路をたどっている、こういう状態になっている。そこで、これをひとつ、たとえば筑豊なら筑豊、あるいは佐賀炭田なら佐賀炭田というものをモデルにして総合調査をしてみる必要があるのではないか、こういうように思うのですが、大臣のお考えをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/33
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034・小平久雄
○小平国務大臣 先ほど来多賀谷委員のお話を承っておりまして、非常に複雑な事態があるように私も承ったわけであります。労働省の関係におきましても、そのような複雑な実態を必ずしも正確にとらえた資料もないようでありますから、よく事務当局と打ち合わせまして、いずれにしても、御指摘のような総合的な調査をやって、実態をまずとらえる、こういうことにつとめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/34
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035・多賀谷真稔
○多賀谷委員 さらに、先ほど私は政府機関の就職の問題を申し上げましたが、政府は石炭問題が非常にクローズアップしているときは、数字に示すように、就職に熱を入れてくれるわけです。しかし、少し下火になると放置される。これはもう数字が示しているわけです。ですから、政府がこういう腰がまえであれば、民間会社はもう推測できるわけです。ですから、政府みずから、この問題を忘れないで、この深刻な問題に取り組んでもらいたい。それはやはり所管の労働大臣にぜひひとつ骨を折ってもらいたい、かように思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/35
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036・小平久雄
○小平国務大臣 その点も、御指摘のような事情に相なっているようでありますから、関係各省なり、あるいは政府関係の機関なりになお一そう採用を促進してもらうように、一そう努力をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/36
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037・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今度の法案ですが、この法案に促進手当の増額が規定されておりますが、従来四百五十円頭打ちであった場合には、大体何%くらいが頭打ちになるわけですか。今度の場合、五百七十円というようになりましたら、どの程度が頭打ちになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/37
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038・有馬元治
○有馬政府委員 三十七年当時は、四百六十円で頭打ちになるものが五一・二%あったわけでございます。それに対しまして、昨年の十月現在では、頭打ちがだんだんふえまして、六七・八%というふうな状態になりましたので、今度最高日額を引き上げるという措置を講じたいと思ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/38
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039・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それで、五百七十円になりますと、頭打ちはどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/39
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040・有馬元治
○有馬政府委員 五〇・八%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/40
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041・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、結局五〇・八%の人は失業保険がダウンする、こういうように考えるわけですが、そこで、この求職手帳がもうすでに満了したものが相当いるわけですが、これは今日現在においてどの程度いるか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/41
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042・有馬元治
○有馬政府委員 昨年の十二月までの手帳失効者が全国で九百二十名でございます。さらに、この三月まで、年度間に失効すると思われるものが合計で千二百三十名、これは先ほどの九百二十名を含んででございます。それから、来年度の失効見込み者数が千四百六十名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/42
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043・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、すでに四十年四月ごろから失効しているわけですが、これらの人はどういう就職をしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/43
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044・有馬元治
○有馬政府委員 この失効をしてその後の身の振り方についてどういうような動向になっておるかということにつきまして、福岡県について調査をいたしたのでございますが、その結果によりますと、失効後もさらに就職対策を必要とすると思われるものは全体の二七・六%でございます。その他の者は、自分で自営をしたり、あるいは縁故関係で就職をするという者が三一・九%、それから、家事に従事するという者が二四・四%、それから、生活保護を受けておるという者が十六・一%、こういう内訳になっておりますので、私どもとしましては、この失効者の中から出てくる二七・六%程度の就職要対策者を中心に、今後の再就職、あるいは公共事業その他への就職あっせんを展開をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/44
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045・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この手帳切れの人々の年齢層がわかったらお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/45
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046・有馬元治
○有馬政府委員 五十歳以上が七二・七%という高率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/46
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047・多賀谷真稔
○多賀谷委員 五十歳以上だけでは、どうもせんさくのしようがないです。もう少し詳しく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/47
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048・有馬元治
○有馬政府委員 三十四歳以下が六・八%、それから、三十五歳から四十九歳までが二〇・五%、それから、五十歳から五十九歳が四二・〇%、六十歳以上が三〇・七%。先ほど、五十歳以上を集計いたしまして、七二・七%、こう申したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/48
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049・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、六十歳以上という者が緊就その他の仕事ができるかどうか、これは問題があるにしても、そのほかは、これは労働力として対策を考えなければならぬ層ですね。そうしますと、これは具体的には一体どうするわけですか。手帳は切れた、地元にはおる、これはまあ今後大きな社会問題になるわけです。あなたのほうは一般失対にも緊就にも入れない。この残った層を一体政府はどうするつもりであるか。もうすでに満了者が出て一年になるわけでしょう。一年になるのにまだ対策が立っていないというのはおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/49
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050・有馬元治
○有馬政府委員 私どもは、この手帳切れの離職者の中で、先ほど申しましたように二七・六%の要対策者層を中心といたしまして、さらに一段と再就職の促進をはかるわけでございますが、地元におきましてはなかなか的確な民間求人がございませんので、勢い、公共事業あるいは産炭地振興事業、鉱害の復旧事業、こういった事業に吸収すべく現在努力中でございます。具体的には、筑豊地区について申し上げますと、これらの公共事業等に三百十三名の吸収計画をもちまして、離職者のうちで手帳切れになって、しかも再就職の必要があるという方々に対して優先的に紹介、あっせんをする、こういう体制を整えて、現在再就職を推進しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/50
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051・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そこで、鉱害課長、いま公共事業に三百十三名という吸収計画が労働省から示されたわけですが、今後鉱害の復旧計画は膨大になるわけですね。そうすると、この炭鉱離職者をその鉱害復旧に、しかもかなり恒久的な職業として使う方法があるかどうか。これはどういうように考えておるか、労働省とどういう話をされておるか、これをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/51
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052・佐成重範
○佐成説明員 いまお示しのように、鉱害復旧事業は、四十一年度は四十年度に比べましてさらに五割の増加、事業量にいたしまして全国で五十六億円の規模に達するわけでございます。特に無資力鉱害復旧事業量がその半ばを占めておりまして、鉱害復旧事業団が直接工事の施行者となりまして復旧工事を行なう規模が増大してまいるわけでございます。この鉱害復旧事業に炭鉱の離職者を吸収いたしますことは、その立地の条件、復旧の地点から考えましても、また離職者の所在から考えましても、最も適切なことでございますので、極力これが吸収をはかる考えでございます。その具体的な方法といたしましては、炭鉱の離職者が集まりまして復旧工事に適する企業を新たに設立するというような事態も見受けられる次第でございまして、かような動きは、これが十分な復旧工事能力を有します場合におきましては、これを復旧事業の工事の事業者といたしまして活用いたしますことは最も適切な措置と存ずる次第であります。さような観点から、このような炭鉱離職者がみずからつくりました企業の活用ということを最も中心といたしまして、極力復旧事業団がこれらを活用し、また、炭鉱等がみずから工事施行者になります場合におきましても、その炭鉱から発生いたしました炭鉱離職者が復旧事業に従事できますように極力行政指導を進めるよう、労働御当局ともお打ち合わせをいたしまして進めたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/52
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053・多賀谷真稔
○多賀谷委員 その場合に、ブルドーザーを使って機械化したほうが能率があがる。単価の面から復旧事業を安くするということを考えるならば、炭鉱離職者の人手を使わないで、機械化したほうがいい。ところが、いま炭鉱離職者の吸収という点を重点に考えるならば、これはぜひ使わなければならぬ。ここで一つ問題点が起こる。そこで、私は、その場合の賃金その他について、別の新しい事業ではなくて、緊急就労と鉱害復旧というものをかみ合わせて、何か賃金の援助でもできる方法はないだろうか。私がこれを言いますのは、復旧計画から言えば単価を安くしょうと考えるわけですから、特に安くするということはないですけれども、しかし、機械化できるものはなるべく機械化してやりたい、こういう面が出てくる。しかし、現実には労働者をぜひ使ってもらいたい。それは、生活保護費を払うとかそういうことを考えれば、コンバインにしてやるほうがずっと安いのですよ。ですから、そこに政策的にくふうがないだろうかと思う。労働大臣、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/53
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054・小平久雄
○小平国務大臣 多賀谷先生のお話、私もなるほどと実は承っておったのであります。先ほど局長からも御説明を申し上げましたように、これは福岡県の調査でございますが、いま収容の対策として考えられるべき者が人数にしますと百七十人、全体の二七・六%、こういうことでございます。鉱害復旧のワクもだいぶふえた、こういうことでございまして、それにどのくらい収容できるのか、それらの点もひとつ労働、通産両省で十分打ち合わせまして、これを極力吸収をしてもらいたい、私どものほうから言えばそう思うわけでありますが、一方、鉱害復旧をなるべく能率的にあるいは安価に、こういうこともございましょうし、緊就と鉱害復旧事業というものをどうかみ合わせてやるのが適当であるか、それは技術的な検討も要すると思いますので、さっそくひとつよく協議をさせまして、なるべく御趣旨の方向でできるようにつとめたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/54
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055・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、ああいう膨大な生活保護費を払うのはもったいないと思う。これは永遠に続くわけですから。ですから、産炭地振興の問題も、運転資金をわずかばかり今度やっと出すことになったけれども、もう少し政府が保護してやれば、一般失対費用も要らないし、緊就の費用も要らないし、生活保護の費用も要らないし、むしろ国全体としてプラスになるのです。それが、各省ばらばらですし、全然そこに政策の統一性がない。ですから、緊就というのは鉱害復旧じゃなくて別の仕事をするものだ、こういうふうに頭からきめておるわけです。それから、産炭地振興というのもまた、一般失対でもない、緊就でもない。いま産炭地振興の土地が非常に造成費が高いのですよ。そこで企業が来ないのです。ところが、産炭地振興が独立採算制ですから、やむを得ない。そうすると、産炭地振興のやっている土地造成をなぜ一般失対や緊就でやらないかという問題です。一般失対や緊就でやられれば、これは安い土地になるわけです。あるいは一般失対の全額の費用、あるいは緊就のいまの費用の半分にしても、産炭地振興の土地造成は非常に進み、さらに土地の単価は安くなるわけです。ですから、そういう点をなぜ話し合って政策ができないだろうか。一方においては、どんどん土地造成をしても売れない土地なんですよ。ただいま筑豊炭田で坪当り三千円も四千円もする土地へ企業は来ません。それを一般失対や緊就として行なうならば、これは私は非常に安い土地造成ができると思うのです。この点をどういうように考えられておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/55
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056・有馬元治
○有馬政府委員 緊就の現状から申しますと、七割が道路の整備事業でございまして、土地の整備事業が一三・一%、現状では非常に低い比率でございます。しかし、御指摘のように、土地造成等については、緊就あるいは鉱害復旧事業、あるいはもう一つ産炭地振興事業、この三者をかみ合わせてやればもっと能率的に合理的にいくのではないかという御指摘で、私ども全くその点は同感でございます。その際にいろいろ採算の問題あるいは先行投資に対するいろいろな大蔵省筋の制約の問題がございますので、この辺を具体的に解決しながら、これらの関係の事業の総合的な能率発揮という方向へぜひ持っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/56
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057・多賀谷真稔
○多賀谷委員 その一般失対や緊就というのは、その対象は、道路であるとか校庭であるとか、公共的な施設の工事でなければならぬ。民間に将来払い下げる工場用地の造成はできない。それはいまの日本のたてまえでできないことになっている。しかし、それは、たてまえはたてまえだろうけれども、その土地造成も、何も民間に払い下げなくてもいいのですよ。イギリスでは、地方の雇用法、もとの工場配置法で、つくった土地は民間に譲渡しない。九十九年間は政府、公団が持っているわけです。そして九十九年間貸借関係にある。ですから、政府がつくった土地は私企業に譲らないわけです。しかし、九十九年も貸すわけですから、事実は譲ったと同じでしょうね。私は何か方策があると思うのです。石炭局長、いま産炭地事業団が造成している土地は非常に単価が高くなっている。それは、労務費もかかる、いろいろ経費もかかる。ところが、鉱害復旧の問題も今後大いに増大をする。ところが、緊急就労、一般失対も現実に行なわなければならぬ。そこで、これらをひとつ総合してやったらどうか、こう言っているわけです。いま確かに公共施設でないと一般失対、緊就のワクの中に入らないけれども、しかし、一般失対、緊就と鉱害復旧、産炭地の土地造成を全然ばらばらでやっておったのでは、実際お互いに何のために政策をやっておるかわからぬという状態になるだろう。だから、それはひとつ総合的にやってみたらどうか、こういうように考えるわけです。そうすると、いまの失対に出す国からの補助金の半分でも産炭地事業団に出せば、これは産炭地事業団のほうでは非常に安い土地になる。緊就だって同じですよ。ですから、土地造成というのは、御存じのように、そう高度の技術は要らぬわけですし、鉱害復旧も、若干家屋等は技術が要りますけれども、一般はそう高度な技術は要らないのです。ですから、私は、これらを総合的にやったらどうか。生活保護の費用がどんどん年々累増していくというそのことを考えれば、非常にむだな経費の使い方を政府はやっているのじゃないか、こう思いますから、これはひとつ総合的に研究してもらいたい。いま労働大臣から答弁がございましたが、石炭局長からもひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/57
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058・井上亮
○井上政府委員 ただいまの多賀谷先生の御意見につきましては、私どもも非常に有効な措置ではないかというふうに考えております。鉱害復旧の事業量は、私どもいま全国鉱害量調査で調べておりまして、近く集計結果が出ることになっておりまして、まだ途中でございますが、私の見通しでは、今後八百億をこえる復旧量があるのではないかというふうに考えておりますので、この復旧に際しまして、ただいまのような御構想を今後生かすように、積極的に前向きで検討してまいりたい。特に、ちょうどいま、私ども、鉱害問題につきましては、石炭対策一般の一環といたしまして、ひとつ思い切った抜本的な対策を立てようということで、石炭鉱業審議会の鉱害部会で、さきに十二月に中間答申を出しましたが、六月を期しまして、さらに根本的な対策の検討に入る予定にいたしておりますので、ただいまの御意見を参考にいたしまして、施策に反映してまいるように努力していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/58
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059・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私が一番この法案を通じて心配をいたしますのは、手帳切れの労働者の就職問題です。しかも、現実にもう昨年の四月からその手帳切れの労働者が出ておるわけですから、これはいまの総合的な問題と別個に早急に対策を立ててもらいたい。四十一年度は千四百六十名出るわけでしょう。四十年度で千二百二十名も出ているわけです。ですから、これだけの労働者を対策のないまま放置することはできないと思うのです。ですから、これはいまの総合的な政策と別個に早急に考えてもらいたい。これはできれば次の機会までにこれらの就職の計画を出してもらいたい、私はかように思います。大臣でも局長でもいいですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/59
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060・有馬元治
○有馬政府委員 これは、先ほど申しましたように、三百十三名の吸収計画を現に立てて、福岡県当局を督励しながらやっております。この内訳について、詳しいデータ、その後の実績等について最近の時点で調査をしたものを後刻提出させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/60
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061・多賀谷真稔
○多賀谷委員 四十一年度の緊就のワクはどのくらいでありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/61
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062・有馬元治
○有馬政府委員 本年度は五千八百でございますが、来年度は五千四百でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/62
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063・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この緊就いまのところ何年まであるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/63
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064・有馬元治
○有馬政府委員 四十二年度一ぱいを一応目途にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/64
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065・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣、これはどうされるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/65
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066・小平久雄
○小平国務大臣 これは、結局、いま局長から申しましたように、四十三年三月までは予算措置でやっていく、こういう方針で従来きておるわけでございます。ですから、結局四十三年度の予算をきめる際におそらく問題になるだろうと思います。ですから、いま私が必ずこうすると言明するわけには、私も立場上いかぬと思いますが、しかし、私の気持ちと申しますか、考え方としては、四十三年度以降も当然、あるいは一定の年間を一応切るようなことがあっても、やはり続けていくべきであろう、かように考えていますので、きのうでしたか、参議院でもそういう私の考えは述べておいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/66
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067・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ぜひ四十二年度以降もやってもらいたい。そうして、先ほど申しましたような総合的な就職計画というものをぜひ立てるべきだと思うのです。ですから、それによってまたその緊就というものが今後ずっと存続をする。しかも、それは、緊就という名前のものでなくて、別の形で同じような仕事が恒久的な仕事として成り立つ、こういうように考えるわけですから、ひとつぜひ御努力を願いたい、かように思います。
そこで、この問題に関連をいたしまして、雇用対策全体の問題をちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
政府は、雇用審議会の答申を得られて雇用対策法という法案を準備されているやに聞くわけですが、時間がありませんからこの法案の内容については申し上げませんけれども、一番問題は、日本の今後の労働力が四十一年度をピークとして新規学卒者がだんだん減っていく。そうして実際企業内における補充も将来における新卒では補てんできなくなるという情勢にある。一方、雇用情勢は非常に老齢化をしていく。しかも、人間の生命はきわめて長くなる。こういう状態の中で、日本は西欧が経験したような雇用対策というものを抜本的にやらなければならぬ転換期に来ておると思う。わりあいに勤勉で、そうして教育程度が高く、しかも非常に安い労働力を得られた時代というのはもう過ぎ去りつつある、こういう問題。これに相応して産業構造の転換等もありますが、私が一番遺憾に考えますのは、そういうような情勢にあるにもかかわらず、日本の経営者並びに日本政府は、依然として旧来の考え方を踏襲しようとしておることです。それが労働政策であり、雇用政策であると考えておる。こういう点が非常に問題だと思う。たとえば、日経連で日本的なレイオフだという構想を発表した。これは、アメリカの制度の中で自分の都合のいいように解釈をして、そうして全くすりかえておる。たとえば、アメリカでレイオフをやる場合は、景気変動における雇用調整の手段としてやっておるわけですけれども、しかし、それは先任権を前提としてやっておる。ですから、若い者から切られておるわけですね。若い労働力から切られておる。日本でそれをやると、日本の経営者はアメリカ的なレイオフには反対するでしょう。何のためにやっておるかわからぬ。要するに、日本では能力と貢献度ということを言っておる。それを基準としてやる。しかも、能力と貢献度というのは、過去のものだけでなく、将来のものも含めてやるから、結局中高年齢者を切りたいと言う。しかも、アメリカの場合には再雇用約款になっておるわけです。ところが、日本の場合には再雇用約款というものがついてない。そういう保障がない。ですから、そういう行き方でやろうとするところに問題があると思うのですよ。私たちが政策を考える場合に、表から見ると非常にいい政策がすぐ逆用をされると、とんでもない政策になる可能性があるのです。日本の政府と言ったら語弊があるかもしれないが、政府及び経営者というのは、われわれが外国における法律制度をそのままいいところをまねてやろうとするけれども、それを逆用してくる。そこで、なかなか私たちが賛成し得ない面が出てくるわけです。そこで、今後の労働力の老齢化に対して、一体政府はどういうように考えておるか、これをお聞かせ願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/67
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068・有馬元治
○有馬政府委員 御指摘のように、人口構成が老齢化していくという傾向は必至でございます。数字で申しますと、四十年度で三十五歳以上の年齢層が四九・六%占めておったのが、五十年になりますと五六%、その間に六・四%の比率の増があるわけでございます。こういう速度で人口構成が老齢化してまいる。これを前提として今後の雇用対策を展開しなければならないわけでございますが、その際に、この中高年層の雇用対策をどうするか、これが雇用対策の一番重点になる一つの事項だと思いますが、その方法といたしましては、従来の雇用主の頭の切りかえと申しますか、こういった雇用動向に対応して、中高年者を有効に活用していかなければならないという、頭の切りかえがまず必要になるわけでございますが、これらの情勢をPR、啓蒙しながら、具体的な対策といたしましては、やはり中高年に独特の雇用政策を展開しなければならないのじゃないか。その方法といたしましては、やはり、中高年向きの職場は中高年を優先的に雇用させていくという方向で行政指導をしなければならない。その制度としまして、中高年向きの適職の選定と雇用率の設定という方法を一応雇用対策法では考えております。これだけの処置につきましても賛否両論がございまして、そこまでいくのは行き過ぎだ、あるいは、雇用率の設定が努力目標にすぎない程度では、強制力を持たせなければ不十分であるというふうな、いろいろな意見がございます。しかし、私どもとしましては、努力目標程度の制度といたしましても、雇用率の設定、適職の選定というふうな制度はこの際確立をしていきたい、こういう考え方で雇用対策を現在検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/68
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069・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、その際に、企業外に排除するというのは、中高年齢の対策として一番まずいと思うのです。もう石炭産業のように産業そのものが壊滅する、企業がつぶれるというなら、中高年齢者とか若い者という区別はできないでしょう。しかし、何でも企業外に排除すればいいんだという考え方、そうして企業外に排除して適職を見つけるんだという考え方は、私は間違いだと思う。長い間そこに従事しているのですから、あるいはからだがそれほど動かなくても、その業種では案外動くのです。いままで長い間二十年も三十年も経験した労働者は、ほかのことはできないけれども、いままで継続してきたその職場には一番向いておる。ですから、とかく中高年齢者の対策といえばまず企業外に排除してから適職を見つけるなんということは、私は一番愚じゃないかと思う。まず、それはやはり企業内にとどめるというのが第一です。ですから、企業内にとどめるということをまずやるべきだ。企業内に適職の場所を見つけてやる。私は、自動車の運転手、バスの運転手が五十も六十にもなって仕事ができるとは思いません。しかし、これはみな、その企業の中で、バスからおろして、ほかのいろいろな仕事をさせておるわけですね。また、今後もさすべきです。ですから、できるだけ企業内における適職をまず見つけてやる、これが第一ではないか、こういうように考えるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/69
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070・小平久雄
○小平国務大臣 その点は私も全く同感でございます。ただ、私は、率直に申して、御承知のとおり定年制の問題などもいろいろ論じられておりますが、一体なぜ定年制というものが日本で行なわれるようになったかということについては、これは、新しい労働力というものが相当豊富にあって、新しい者のほうが賃金も安く使えるとか、一般的に言えば人事の刷新と言いますか、そういう点もあったと思いますが、やはり、日本の賃金制度というものも、いわゆる年功序列型で、長くいれば働きがあろうがなかろうがとにかく賃金を上げていかなければならぬ、こういった慣行、これも、やはり相当災いしているのではないかと思うわけであります。しかし、一方においては寿命もだいぶ御承知のとおり延びてまいったのですから、いままでのように五十や五十五で働けないといったようなことはないし、一方また、御指摘のとおり若年労働がだんだん減っていく、他方においては、中高年齢者について今度は就職のために非常な国費を使いながら、また本人にも苦痛を与えながらこういう悩みもいたしておるということは、非常に矛盾をしておると私は思います。したがって、先生御指摘のように、まず第一には、なるべく従来おった企業内で適職を見つけていくということ。しかし、その際の給与等に関しては、これはやはり、何と言うのですか、能率給と言うのか、その人の働きに応じた、能力に応じた給与というように、給与の点でもよほどこれは今後検討していくべきものではないか。そういうことによってなるべく先生御指摘のような方向に今後業界を指導していくことが望ましいであろう、私もさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/70
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071・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、定年制を廃止するかわりにすぐ年功序列型賃金を改革をするという、それについては若干問題があると思います。ただ日本の場合は、長くつとめれば退職金も多い、それがずっとどんなに長くなっても昇給するという制度、それは確かにおかしいと思うのです。ですから、それはみずから首を締めるような形になる。その点は、ただ年限が長ければあらゆる条件が全部よくなる、しかもそれは日本の場合長くなればなるほどカーブが急カーブでいきますから、さらにそういう状態になるという点については考慮してもよいのではないか。ですけれども、まず根本的には、企業内で使うという制度を確立すべきである。そしてやはり、政府が少なくとも雇用率を他の企業に押しつけるというならば、政府みずからが、中高年齢者を雇える職種については雇ってやるということが必要ではないか。
そこで、自治省に来ていただいておるのですが、日本の政治が中高年齢者対策の方向にいっておるのに、あなたのところはなぜ定年制なんというのを持ち出したのですか。実におかしいと思うのですよね。今後、二十一世紀までいかなくても、一九七〇年代における労働力の構成というものはぐっと変わりますよ。そのぐっと変わる状態の中に、なぜ地方公務員に定年制を置くという全くばかげたことをお考えになったのか、その真意が私はわからなかったのですが、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/71
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072・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方公共団体につきまして定年制を設けてほしいという要望は、御承知のように十年くらい前から繰り返されておったわけでございますが、その実情を見てみますと、一口に地方公共団体と申しましても、御承知のとおりに、三千余りも独立の団体になっておるわけでありまして、それらの団体の中には、相当高齢者が多くて人事も行き詰まっておる、新陳代謝も円滑に行なわれない、人事管理上もいろいろ問題があるようなところも少なくないのでございます。そこで、私どもの考えておりますところは、全国一律に定年制を強制しようというのではなくて、個々の団体におきまして、自主的な判断によりまして、定年制を設けたほうがいいという団体においては設けられる道を開こう、かような考え方でおるわけでございます。もちろん、御指摘の、中高年齢者の雇用促進の要請の強いこともよく承知をいたしております。先般閣議で御決定になりました趣旨は地方公共団体につきましても実施いたしております。問題は、定年制自体が中高年齢者の雇用促進をはばむというのではなくて、この運用のいかんによるのではないか、定年をどういう職種についてどういうように定めるかどうかということにもよるものと思っておるわけでございます。そういうことでございますから、地方公共団体が必要を認めないところは設ける必要はない。必要を認める団体が、しかも必要と認める職種について設け得ることを法律的に開くというだけの考え方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/72
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073・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、職種といっても、労働力を使う職種がもしあったとしても、それはある一定の限界があると思うのです。しかし、大体地方公共団体の仕事は、おおまかに言って、むしろ老齢者に適した仕事が、ほかの職種から見れば多いのじゃないか。多いから現実につとまっておるのです。それで、住民から文句を食うのじゃなく、ただ人事の異動がうまくできないとかなんとかあるけれども、大体、村役場なんかに行っても、若い者よりも年寄りの人のほうが、戸籍については専門だというので戸籍係をやっている。ぼくは、日本の企業全体から見れば、大体中高年齢者に向いているのではないかと思う。そう言ってはちょっと語弊があるけれども、そういう仕事が多いのじゃないですか。あなたのほうがそんなことをやれば、大企業もみんなやるから、中高年齢者はみな余って、どうにもならなくなるのですよ。ですから、いままで地方公共団体になかったのを、いまごろつくることは、これは全く逆行しておる、こういうように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/73
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074・佐久間彊
○佐久間政府委員 地方公共団体あたりは中高年齢者に向いておるというおことばについては、私どもも異論を述べません。むしろ最近は地方公共団体が住民福祉のためにやらなければならないサービスが非常にふえてきております。地方公共団体におきましてもできるだけ税金を効率的に使って住民に還元していかなければならぬという要請が高まってきていると思うのでございます。そういうようなことでございますが、もちろん職種によりましては中高年齢者で十分間に合う仕事も多いわけでございますから、かりに定年制を設けます場合におきましては、職種の特殊性につきましては十分な配慮を加えるように、先般準備いたしました法律案の中にもその趣旨のことを書いております。実際の指導にあたってもそういう点を考えてまいりたい、かように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/74
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075・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、国家公務員についても、いまのような状態に対しては爆発するのじゃないかと思うのです。というのは、同級生が次官になれば、局長はみなやめる、どこか民間会社とか事業団に行く。そうすると、だんだんその非難が強まってきておるでしょう。若い局長でまだ小さい子供がおるのに、みなやめていくでしょう。ああいうことも一体許されるだろうかと思うのですよ。国家は一番有能なとき使うわけだ。最も頭の弾力性のあるとき、知能の最も働いておるときに使って、あとは民間や事業団にほうり出しておるわけだ。そのことも、いままでの国の政策から言えば、確かにいまの日本の官僚政治は非常に合理的にできておる。しかし、人間的な問題を見れば、ああいうことが許されるだろうか。いまは民間企業が受け入れたり事業団がどんどんつくられておるからいいけれども、しかし、あれもいずれ行き詰まるだろうと思うのですよ。ですから、よその国へ行ってごらんなさい。役所であんな若いのは少ないですよ。ドイツなんかは、古いことばかり言って、何十年も石炭の仕事をしたというのが出てくるのですが、しかし、日本の官僚のいまのシステムそのものにも非常に問題があると思うのです。いま天下りに反対だという意見があるでしょう。それがだんだん高じてくれば、結局いまの局長なんかは行くところがない。政治家のほうは古くなっても出てきておるけれども、しかし、役所のほうは、五十を過ぎた局長なんかほとんど見当たらないという形でしょう。こういう点も非常に問題がある。こういうことも今後検討しなければならぬ時期に、地方公共団体にいままでなかったのにやるということはないでしょう。これはむしろ、さっき労働大臣が言われたように、ただ勤続年数が長ければあらゆる手当もよくなる、給料もよくなるということについては、ある一定年限で、これを下げることはできませんけれども、昇給というものについては考慮すべきものがあるかもしれない。ベースアップはそういうわけにはいかないけれども、ずっと四十年いてもどんどん昇給するという制度は考えなければならぬかもしれない。しかし、いま定年制を設けるのは全く逆行ですよ。いまみんな中高年齢者のことを一生懸命言っておるのです。労働省で、ほかのことは悩みはないのです。老齢化が一番の悩みです。それなのに、あなたのほうは若い者だけとって古い者は出していくというなら、一体だれがそれを救いますか。定年制をやるとまた天下りという問題が起こる。中央官庁でもそういう問題が起こっておるのです。地方自治体でやってごらんなさい、とても目につきますよ。地方でやると、目につくだけに、住民から今度は非常な反撃を受ける。結局、いまやめても、共済年金で食っていけないでしょう。それは認めるでしょう、局長。何か仕事をしなければならぬでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/75
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076・佐久間彊
○佐久間政府委員 共済年金で食っていけるかどうかという点でございますが、公務員の年金あるいは退職手当は最近非常に改善をしていただいておりますので、私ども調査をいたしてみたところによりますと、民間と比べましても決して遜色はございませんし、三十年勤続をしてやめた場合におきましては、大体年金もやめたときの給料の四〇%以上になりますし、それから退職手当も三百万近くになりますし、いろいろな点から考えてみますと、そう十分とは言えませんけれども、相当改善されてきておる、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/76
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077・多賀谷真稔
○多賀谷委員 たとえば、自動車学校に行くと、警察署長をやった人とか、地方を歩いていると実に不愉快な思いがする。やはり国家権力が出ていって、そうして民間企業に行っておる。それはやはり役所の監督の範囲内にある企業はなおさらです。いまのような状態では、私はいつか国民から反撃を受けると思うのです。それは官吏個人、公務員個人が悪いのじゃないのです。それは制度が悪いのですよ。ですから、われわれが制度を考えてやらなければならぬ、こういうように思うのですよ。とにかく、裁判所は、最高裁判所の判事と簡易裁判所の判事が七十歳ですね、定年は。これは、最高裁判所は、非常に高度な判断を要するものは老齢者が必要だということであり、簡易裁判所の仕事はまた年寄りでもいいということですね。中間の判事は、これはいま六十五歳でしょう。実に裁判所は合理的だと思うのですよ。非常に高度な判断を要するところは七十歳、それから一番簡易なのも七十歳にしておいて、中間の裁判所は六十五歳にしておるでしょう。こういう仕事が地方公務員にもあるのですよ。きわめて事務的な仕事については、私は相当長く使ってもいいと思うのですよ。ことに地方公務員にはそういう仕事がある。ですから、そういう場合には、やはり、そういう定年制なんかしかないで、自主的にそこで行なわせたらどうか、こういうように思います。
そこで、いまさら私が申し上げるまでもないでしょうが、調査をされていると思いますけれども、各国の公務員の定年制をどこの国でも見てごらんなさい。アメリカが七十歳から六十五歳、イギリスは、管理職が六十五歳、一般職が六十歳、フランスは普通職で六十歳、ドイツは連邦公務員が六十五歳、こういうようになっておるわけですね。日本だけが、これから労働力構成が変わろうというのに五十五歳、こういうばかげた法律をつくろうとすること自体、私は、優秀な公務員にもあるまじき行為だ、こう思うのです。
もう少し、こういう点も、十分国の政策とマッチする、あるいは国の方向とマッチするように私は考えていただきたい。確かに、地方財政は逼迫しており、何らか節約をしなければならぬという状態にあるでしょう。あることはわかりますけれども、もう少しくふうがあるんじゃないか。そうして、全体の国の政策にぜひ乗っかってやってもらいたい。このことを要望しておきます。答弁がありましたら、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/77
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078・佐久間彊
○佐久間政府委員 先生のいろいろ御指摘になりました点、私どももいろいろ考える点もあるわけでございますが、制度の問題より、むしろ制度の運用いかんの点が多いのじゃなかろうかと思います。私どもも、五十五歳を下ってはならないという一応規定を検討いたしておりますが、これは、五十五歳にしようということではなくて、最下限を保障しよう、それを下るというむちゃな定年制が行なわれることをなくしようという趣旨でございまして、全体の雇用状況からいたしまして、逐次その定年も延長されていくのが必然的な傾向であろうというふうに考えておりまするし、それから、いろいろおあげになりましたような職の特殊性によりましても十分差をつけていくべきじゃないか。現在におきましても、中高年齢者が主として適職ということで先般の閣議決定にも示されておりますような単純労務関係のものにつきましては、地方公共団体で勧奨退職を実施しております場合にも、一般の職員よりも年齢の基準を高く置いております。六十歳くらいに置いておるところが非常に多いわけでございます。これもまた当然のことかと思うのでございます。
なお、先ほど裁判官をあげてのお話がございましたが、国家公務員におきましても、自衛官などにつきましては相当低い定年制が見られております。地方公務員の場合も、たとえば警察官、消防官等につきましてもやはり同様な定年の制度を開く道があってもいいのじゃないか。いずれにいたしましても、私どもは、一律に強制をしようということではなくて、必要とする団体が必要とする職種についてそれぞれ検討し、地域の実情に合った内容の定年を定め得る道を開くということでございまするので、運用にあたりましては、いろいろ御指摘にありました点は十分配慮すべきものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/78
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079・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは別の機会に質問することもあると思うのですが、聞くところによると、政府のほうでも定年制は出さないということをきめた、こういうことですが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/79
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080・佐久間彊
○佐久間政府委員 自治省といたしましては今国会に提案のつもりで準備を進めてまいったわけでございますが、先般の閣議におかれまして、提案する前に公務員制度審議会の御意見も拝聴したほうがいいのじゃないかというようなお話があったと、大臣から承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/80
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081・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは、公務員制度審議会だけではなくて、むしろ雇用対策審議会にもかけてもらうといいと思うのです。これは全体的な問題ですからね。ただ公務員のことだけ考えておけばいいという問題でないでしょう。国または地方公共団体がみずからいろいろな政策の先頭に立たなければならない。ですから、これは公務員制度審議会にかけると同時に、単なる公務員という頭だけでなくて、むしろ雇用対策審議会にかけて、そうして議論をしてもらったらいいと思うのです。むしろその問題でしょう。それは、公務員制度審議会で公務員だけのことを考えれば、一番公務員を能率的に使うことを考えますよ。しかし、この問題は、問題の性格がそういう問題でないのです。それは、公務員を最も能率的に安上がりに使おうというならば、あなたの言うように、五十五で全部切って、最も人生の有能なときだけ使えばいい。ですから、むしろ日本の雇用全体の問題として把握しなければ、影響が大きい、こう言っておるのです。これは局長の問題でないでしょうから、ひとつ大臣から。この問題は十分慎重に対処してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/81
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082・小平久雄
○小平国務大臣 実は、地方公務員の定年制といっても、定年をしくことができるという、各地方公共団体にその根拠を与える法案ということでございましたが、それを提案したいという話がありましたので、私もその席で申し上げました。それは、御承知のとおり、政府あるいは政府関係機関、それから地方公共団体等を通じて中高年齢者についての雇用率を設定して、それを遂行してもらう、こういうことを現にやっておるわけでありまして、大体この雇用率はいま達成をいたしておるわけであります。そこで、たとえこういった定年制ができるということにいたしましても、少なくともこの中高年齢者の雇用率だけは守ってもらわなければ困りますよということを、私は、自治大臣にもその際、要望というか、注意を喚起したと申しますか、そういうことを申し上げておいたのであります。自治大臣も、もちろんそれは守ります、こういう御返事であったのです。地方によっては財政的にも非常に困っておる、その原因がまた高給の老齢者が非常に多いためにという、こういったような特殊な事情のあるところもあるのだ、そういうところでは定年制をしき得る、そういう根拠法規をつくるのだということでございましたから、それ以上のことは、自治省の所管でありますから、私はあえて反対しなかったのであります。いずれにしても、先ほど行政局長からお話がありましたとおり、公務員制度審議会の意見も聞くことが適当であろう、こういうことにその後なりまして、多分そのほうに意見を徴しておるところだろうと思います。
また、お話のとおり、ひとり公務員の問題ではなくして、全体の雇用の問題の一部である、こういうことも確かだと思います。しかし、自治省当局が、地方自治体の育成とでも申しますか、そういう観点から今回ああいうことをお考えになったのだろうと思います。私は、先ほど来申しますようなことを要望して、取り扱いは自治大臣にまかせた、こういういきさつであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/82
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083・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に、炭鉱労働者の賃金水準についてどういうお考えであるか、これをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/83
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084・小平久雄
○小平国務大臣 炭鉱労働者の賃金は、以前は各産業中においてむしろ最上級のところにあったと思いますが、最近ではあまりよくなくなってまいりました。詳しくは後ほど局長から御説明申し上げますが、鉄鋼業であるとか、あるいは輸送機械関係であるとか、あるいは運輸業の関係であるとか、金属工業に比べましても下回っておる、大体そういうことでございまして、石炭鉱業に従事する人の立場、ああいった特殊な職場での労働ということを考えますならば、私は、もっと上位にあってしかるべきだ、かように考えるわけでありますが、それにつきましても、もちろん、申し上げるまでもなく、石炭鉱業自体が今日こういう大きな悩みを抱いておる際でありますので、石炭鉱業自体が安定し、あるいは隆盛に向かうということが基本であろうと思います。石炭鉱業審議会からも近く抜本的な対策についての答申があるそうでございますから、それらと、また業界の立ち直りとにらみ合わして、逐次改善されることが至当であろう、私はかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/84
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085・多賀谷真稔
○多賀谷委員 石炭局長は、いま各炭鉱の今後の計画を聞かれておると思うのですが、コストを算定する場合における労務費の今後の上昇率はどういうふうに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/85
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086・井上亮
○井上政府委員 御指摘のように、ただいま私どもとしましては、六月答申を目ざして、まず会社別、山別の今後の出炭の見通し、能率の見通し、あるいは収支の見通し、あるいは借り入れ金残高の今後の推移、こういった点につきまして、経営全般にわたって検討いたしております。その場合に、やはり何かよりどころがありませんと、計画ができません。そこで、今後の各社のそういった見通し、計画をつくらせます場合に、これは実情には合いませんが、一つの計算単位といたしまして、年率七%の賃金上昇率ということで一応試算いたしております。ただ、しかし、これは七%どいうことが今後の炭鉱賃金の上昇のあるべき姿かどうかということは、価値判断はいたしておりません。一応過去の実績等からいたしまして、そういう計算単位で出しておるという実情でございます。ただ、御承知のように、今日炭鉱の実情は一社を除いてはほとんど全滅的な赤字の状態でございますから、通常であればこの七%の上昇も全く不可能な現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/86
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087・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実情に合わないかもしれませんがとか、いろいろ前提条件をつけて七%と言われておりますが、政府は来年度一般的な賃金の上昇率を幾らと見ておるか、知っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/87
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088・井上亮
○井上政府委員 政府の考え方は私ども存じておりません。もともと、この賃金といいますものは、私どもの考えとしましては、各産業それぞれ事情が違いますので、各産業の実態に応じて労使がきめるべきものだというふうに心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/88
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089・多賀谷真稔
○多賀谷委員 政府は四十一年度の消費水準の伸びを一一%と見ております。しかし、雇用量等がふえますから、結局政府は八%と見ている。これは税収のほうからも八%と見ておりますね。しかし、それは五・五%の物価高ということが前提です。本年度、すなわち昭和四十年度は、四・五%であったのが七・七%くらいになるわけです。ですから、そこにもう狂いが来ておる。そうして、五・五%といいましても、すでに昭和四十一年の三月までにかなり上がって、実際はもう二・五%上がっておるわけですから、あと三%しか余裕がない、こういう状態なんです。それはとにかくとして、過去の実績と言われるけれども、過去の実績というのは、最近非常に低いのですよ。すなわち、一般はこの九年間に八五%上がっている。しかるに、炭鉱は五九・七%しか、しかも十年間でこれだけしか上がっていない。必ずしもこの上昇率で行っていないけれども、しかし、他の産業から比べると非常に上昇率が低い。そうして、昭知三十五年には坑内夫は四位であったけれども、いま五位になっておる。それから、坑外夫は十六位であったのが二十位に下がっておる。こういう状態です。そこで、局長はよく承知をして七%と言っておるのだろうと思うのですけれども、これでは実際問題として労働力の確保ができないのじゃないか、こう思うのですね。一体これはどうするつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/89
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090・井上亮
○井上政府委員 私が、過去の一応経験値といいますか、実績値といいますか、申しましたのは、他産業全般のことを申したわけではありませんで、石炭鉱業としての、九%のこともありますし、七%のこともありますし、五%のこともありますし、いろいろそういった経緯を見まして、現在の石炭鉱業の現状からいたしますと本来ならそこまでとてもむずかしいわけでございますけれども、ただいま多賀谷先生がおっしゃいましたような、やはり今後の炭鉱労務者の職場における安定性の確保の問題、あるいは新規労働力の確保の問題もありましょう、そういうような点を考慮いたしまして、つまり、会社の経営状態、それから労務者の定着性というような点を考慮いたしますと、まあ七%程度は少なくとも見てあげねばならぬじゃないかというような気持ちもございます。ただ、しかし、これはあくまでも、そういった政策的な意図で七%ときめたわけではございませんで、計算単位ということで出しておるわけでございます。実際においては、企業の労使が話し合いまして、適当なる、先生おっしゃったような意味で、労務者がやはり定着する、あるいは新規雇用もできるというような点を考えてやはり決定すべきではないかというふうに考えております。
なお、この七%の価値判断の問題でございますが、それは、先生おっしゃいますように、他産業と比べて、確かに他の産業における賃金の上昇率がここ数年石炭の賃金の上昇率よりも上回っておった、それから、ランクにおきましても、若干炭鉱賃金の上昇が低いわけですから、それだけのギヤップが出ておるというような御指摘は、これは事実だと思います。なお、石炭の労働者の立場から見れば、特に重労働だとかいうような性格を考えますと、やはりそれ相応の賃金をやるのは至当かと思いますけれども、やはり、現実の石炭鉱業の経営の今日の現状からいたしますと、そう自力で払えない賃金をやりまして、かえって労務者のほんとうの雇用の安定になるかどうかという点もありますので、この辺は、労使がやはり慎重に検討し、かつ平和裏に話し合ってきめるべき性質のものではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/90
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091・多賀谷真稔
○多賀谷委員 労働大臣、社会労働委員会へ行かれるそうですから、最後に課題だけを大臣に話をして、後ほど御答弁願いたいと思います。
この前予算委員会で質問をしたわけですが、炭鉱の宿命といいますか、それは、他の工場と違いまして、きわめて僻地にある。そうして、炭鉱がやまればその土地もほとんど無価値になる。炭鉱の財産は坑道だけで、何にもならない。しかも鉱害がある。こういうところで閉山をした場合に、退職金の確保というのは不可能なんですね。いま各社はみな、五つあるうちで一つ閉山すれば、あとの借金は四つにかぶせる、さらに三つになればその一つ分を他にかぶせる、こうやって逐次なしくずしにいっているから払えるけれども、実際に一社一山になれば払えない。ですから、炭鉱のその地域における最後の山に残っておる労働者というものは、結局退職金がもらえないという形になる。長崎の離島でも、もし炭鉱がやまれば、全く無価値ですね。どんな宿舎のアパートも、そしてどういう坑道も全然価値なしですよ。これが他の工場と違うゆえんですね。財産が、普通の設備械械でない、そうしていわゆる他の工場のように都市における敷地でない、こういう状態ですから、私は退職金の確保というものはきわめて困難だと思う。私はこれを制度的に考える必要があるのじゃないかと思う。ですから、社内に退職金の積み立て金を留保しておっても、これはとてももらえないですね。ですから、それらの問題を、一体特別年金との関連においてどういうように解決せんとするか。これはきょう御答弁要りませんから、別の機会でけっこうですが、ひとつ十分考慮をして、検討をして回答をいただきたい、かように思います。もちろん短時間のうちにすぐ結論は出ないでしょうけれども、方向だけでもお示しを願いたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/91
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092・野田武夫
○野田委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後零時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104589X00519660318/92
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