1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月二十三日(火曜日)
午前十時四十五分開会
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委員の異動
四月二十二日委員赤松常子君辞任につ
き、その補欠として加藤シヅエ君を議
長において指名した。
本日委員井上知治君辞任につき、その
補欠として吉田萬次君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 山本 米治君
理事
雨森 常夫君
棚橋 小虎君
委員
青山 正一君
大谷 瑩潤君
郡 祐一君
西郷吉之助君
田中 啓一君
吉田 萬次君
河合 義一君
小酒井義男君
後藤 文夫君
宮城タマヨ君
政府委員
法務政務次官 松平 勇雄君
法務大臣官房調
査課長 位野木益雄君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
最高裁判所長官
代理者
(事務総局総務
局長) 関根 小郷君
最高裁判所長官
代理者
(事務総局総務
局総務課長) 海部 安昌君
最高裁判所長官
代理者
(事務総局家庭
局第三課長) 森田 宗一君
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本日の会議に付した案件
○判事補の職権の特例等に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○裁判所法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・山本米治
○委員長(山本米治君) これより本日の会議を開きます。
委員の異動について御報告いたします。本二十三日付で井上知治君が辞任せられ、吉田萬次君が補欠選任せられました。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/1
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002・山本米治
○委員長(山本米治君) 判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び裁判所法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。御質疑の方は御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/2
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003・棚橋小虎
○棚橋小虎君 ちょっとお尋ねいたしますが、速記者というものは、従来も裁判所で使われておったようでありますが、この速記者の今日までの身分とか、それから裁判上、速記というものはどういうふうに運用されておったか、それからまた実績等についてちょっとお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/3
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004・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 今のお尋ねの点でありますが、新しい裁判所が新しい憲法下にできましてから、訴訟手続のやり方が従前と変りまして、証人の尋問が、いわゆる当事者の方から先に聞くという交互尋問制を採用することになりまして、従って従前は裁判長が進んで証人の言うことを聞くということでございましたのが、当事者の方からお互いに主尋、これは主の尋問、それから反対の側から反対尋問という、いわゆるクロス・エクザミネーションの方法が採用されました結果、従来の法廷におきまする証人等の尋問の記録につきましては、いわゆる裁判所書記がやっておりましたのを、それでは十分でない事件がございますので、速記を使うということが考えられまして、その結果、裁判所では昭和二十五年からいわゆる機械速記によりまする速記者の養成を始めまして、その結果、昭和二十七年から昨年あたりまで約三百名近くの人員が養成されました結果、それが各裁判所に配置されまして、重要な事件におきましては法廷に速記者を立ち会ってもらいまして、従来書記官だけで、いわゆる要領だけを書きまする調書を作っておりましたのを、今度は話す言葉そのまま速記にいたしまして、それを調書の一部として採用するということにいたしております。ただいまお話がございました身分等につきましては、ただいま御審議中の法案ができませんうちは、速記官という官がございません関係から、従来の裁判所事務官に採用いたしまして、名称は速記士」いうことにいたしまして、実際の運用上やっておる次第でございます。今度この法律が通過いたしますれば、それを速記官に変えることに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/4
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005・棚橋小虎
○棚橋小虎君 今度この法律でもって速記官というもの、が置かれることになりますというと、この速記官というものは、今度は各裁判所の公判廷にはすべて速記官というものが使われるようになるのですか、また、地方裁判所以外にも、いろいろな裁判所にも速記官を使うようになるのか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/5
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006・関根小郷
○説明員(関根小郷君) ただいま申し上げましたように、全体として三百名をこえる程度でございますから、原則といたしまして、地方裁判所だけに配置いたしまして、特に必要のある場合には、そこの地方裁判所におりまする速記官を高等裁判所に臨時に貸すというようなことでやっていきたい、こういう考えでおります。ただいまのところでは、全部の裁判所に行き渡るということを考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/6
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007・棚橋小虎
○棚橋小虎君 従来の誓詞官というものと、今度置かれる速記官というものとの職務上の関係あるいは権限というものの限界、たとえば公判廷において書記官と速記官とがともに供述をとるというような場合に、書記官の口述の筆記と速記官の速記とが食い違ったようなことがかりにある場合には、一体どういうふうにいたしますか、その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/7
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008・関根小郷
○説明員(関根小郷君) ただいまの法廷におきまして、速記官ができまして——今では速記士でございますが、この速記士あるいは速記官が書記官と一緒に法廷に出ておりまして、両方ともその証人の供述等を聞きまして、書記官の方は要領をとり、速記官の方はそのまま速記するということに相なります。それで、その上今度調書を作りますときには、速記官の作りました速記録を書記官がそれを引用するということに相なります。従いまして、書記官の仕事の分量がそれだけ減るということに相なります。そういたしまして、書記官の方は、法廷におきまする手続の進行その他に十分注意を払うということに相なりまして、結局、大まかに申しますれば、書記官の人員を、速記官の増員によりましてそれだけ減らさなくちゃならないということに相なるかと思います。それで、今、最後にお話しの速記録の記載と書記官の調書の手控え等が違っておる場合はどうなるか、それは、そういうことはあり得るか思いますが、原則といたしまして、速記録は機械、録音機と同じような性質を持っておりますので、大体正確かと思いますが、ときによると間違いがある、そのときには、速記録を引用いたすかどうかは書記官の責任においていたします関係から、書記官が引用します場合に、自分の責任におきまして、その点は自分はこう思うということを付け加えて速記録を引用するしことに相なります。それから、さらにもう少し先に進んで申し上げますと、今申し上げたのは、書記官と速記官との違いでございますが、さらに、裁判官の方は、自分は書記官はこう思うが、やはり速記官の書いた方が正しいと思いますときには、裁判官が書記官に対しましてさらにその訂正を命ずることができることに相なっております。でありますから、結局、裁判官と書記官と速記官が三半共同によってよりよい調書ができるということに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/8
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009・棚橋小虎
○棚橋小虎君 そうするというと、速記官のとった速記というものは、独立した訴訟記録ということにはならないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/9
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010・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 速記官——ただいまでは速記士、この法律が通りますれば速記官でございますが、速記官が作りました速記録は、訴訟法上独立の長所ということには相なりません。いずれ訴訟法を改正いたしまして、そういったことにした方がいいかどうか、ただいま検討中でございまして、もう少し速記官が充実されまして、そして速記録の調書におきまする引用が十分になりまする時代が来ますれば、ただいま申されましたように独立の権限を持って速記官が作り得る、その作りました速記録は、そのままで調書になるということに改正したらどうかということも考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/10
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011・棚橋小虎
○棚橋小虎君 従来、裁判所法の第六十条によるというと、裁判所の書記官のとった記録というものは、裁判官がそれに変更を命ずるような場合に、自分の意見と違う場合には、自己の意見を善き添えるということになっておりますが、速記官にはそういうことはないわけですか。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/11
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012・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 今度の法案におきましてもそういう手だてはございません。でありますから速記官といたしましては、自分の作りました速記録が完全無欠であると信じましても、それを引用いたしまする書記官におきまして、やはりお前の書いたものは間違っておるのだということになりますると、やはり今のところではやむを得ないということに相なろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/12
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013・棚橋小虎
○棚橋小虎君 それからついでにお尋いたしますが、速記官の採用の基準とか採用の方法、これの給与、待遇というようなことはどうなておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/13
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014・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 速記官につきましては、この法律が通りますれば相当技術家といたしまして尊重せざるを得ないわけでございまして、大体ただいまの給与の点を標準といたしまして申し上げますと、最初養成が終りますると速記官補といたしまして採用いたしましてこの初任給は大体六級職を標準といたしまして、それから六ヵ月経まして速記官の代行を命ずるということに相なります。これで七級職程度を与える。それから約二年ぐらいたちましてほんとうの速記官になる。そうして大体八級というようなことに相なろうかと思います。大体今ここにおられる、国会の速記をおやりになつ、ておる方と同等ぐらいの給与を与えるということを目途として考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/14
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015・棚橋小虎
○棚橋小虎君 それから速記官の研修の方針、あるいは教科内容、それから法律知識というものに対しての一定の基準——法律の知識が必要とお考えになるかどうか。そういう点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/15
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016・関根小郷
○説明員(関根小郷君) ただいまお話の通り、法廷におきまする仕事が中心と相なりまする関係から、どういたしましても法律に関する知識が必要でございます。従いまして、速記士の養成につきましては、最高裁判所にごさいまする書記官研修所の速記養成部におきまして養成いたしておりまするが、大体二年間速記技術を習わせまして、その間法学通論、憲法民法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法、世界史、そういったいろいろな学科も習うということをやっております。そういたしまして入所後六ヵ月目に一応適格試験をやりまして、そこで少し落ちる人もいますが、大体二年後には法律知識も相当の知識を得ました上で研修所を出るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/16
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017・小酒井義男
○小酒井義男君 ただいまの棚橋さんの質問に関連してですが、この養成をする人員というものは、どのくらいで、ただいまの研修の計画、それと予算との関係はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/17
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018・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 大体一年に百名前後入所いたしまして、そして二年後にそれだけの数が卒業するということに相なります。そういたしますと、一体どの程度まで速記官をふやすつもりかということに相なるかと思いますが、これは現在地方裁判所におりまする書記官が、総体で約三千名近くおります。その三分の一程度は速記官にかえていきたい。そういたしますと、結局千名程度までふやしていきたい。ただいまのところ、申し上げました百名前後の入所いたしました速記官養成につきましての予算は、これも大まかに申しまして大体千五百万円、年間千五百万円ぐらいでございます。こまかいことは予算の方に出ておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/18
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019・小酒井義男
○小酒井義男君 そうすると、相当長期にわたるわけでございますね、一応研修を終って実際仕事ができるようになるのは。その研修の期間をもう少し短かくして、全員の養成を早く終るというようなことは不適当なのかどうか、一つそういうことをお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/19
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020・関根小郷
○説明員(関根小郷君) ただいまのところ、大体二年でございますが、今のお話で、もう少し短かくできないかということを考えておるかというお問いでございますが、これは、何と申しましても機械速記でございまして、相当熟練しなくちゃならぬ。それで養成後せっかく速記官補あるいは速記官になりましても、役に立たぬといかぬので、なるべく十分の修練をしたらどうかというので二年ということになっておりますが、今後研修所におきまして検討いたしまして、もしもう少し短くても修得ができるように相なりますれば、短くすることも考えたらどうかという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/20
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021・小酒井義男
○小酒井義男君 この前のときもちょっとお尋ねしたのですが、調査官の研修にしても一ヵ年に五十人ぐらいを行なっていくというお答えでしたが、それをやっていくと、これもやはり十五年ぐらいかかるようですね。約八百名に近い調査官が研修を行なっていくということになるわけなんで、そうすると全部研修を終る期間が非常に長くて、もうどういう——年令の高い人を先にやられるのかどうかわかりませんが、現在の人で、最後に残るのはもう相当先でなければ研修が終らぬというようなことになると思うのです。これではなかなかこういう法律の改正ができても、実際に役に立つのがずいぶん先のことになるのですが、これはもう速記官だけでなしに、裁判所関係の研修というものが、もう少し早くやるようにすべてを……、むろん努力なさっていると思うのですが、予算の関係が重点か、やはり研修に入れる人員を、一挙に入れてやるということが不可能、だからこういうことになるのか、その理由はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/21
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022・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 今お話の通り予算の関係もございますし、施設の関係もございましょうし、それから、また、調査官のお話につきましては、在各裁判所に配置して働いております調査官を、さらに中央に集めるという関係もございまして、施設の関係も考えざるを得ないのであります。しかしお話の通りなるべく早く多く研修を終らせるという方法がいいことは間違いございません。その点も研究いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/22
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023・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 今の小酒井委員の質問にちょっと関連いたしまして伺いたいのでございますが、その調査官が研修に集められますのは、年に五十人ということなのでございますけれども、一体古い者からなのでございましょうか、新しい者から研修させるというような建前でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/23
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024・森田宗一
○説明員(森田宗一君) 家庭局長が出張中でございますので、かわってお答えを申し上げたいと思いますが、現在の研修計画といたしましては、養成部と研修部というふうになっておりまして、養成部については大体三、四年の実務経験を経た者から選ぶ、つまり新しい人を選んでいくということで、これは将来は、養成でありますから、文字通り新任の人で、一年ないし二年の経験あたりの若い人から優先して採る、それを選考して採るということでございますが、それ以外に、今申しましたように研修の方には中堅の人あるいは主任クラス、さらに主席、次席というような人たちに特殊な研修をいたしますので、これはそれぞれの研修の目的に応じて研修所に入所するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/24
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025・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 森田課長にお伺いいたしますが、この調査官で一番長く在任されております方はどのくらいの長さでございましょうか。また普通にもうおやめになった方もあるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/25
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026・森田宗一
○説明員(森田宗一君) 家庭裁判所の調査官は、御承知のように昭和二十四年に家庭裁判所が発足して以来、当時少年保護司と呼ばれ、その後少年調査官と言われ、さらに家事関係の調査官と一本になって家庭裁判所の調査官になって、その全体を通じましてもまだ八年余りにしかなりませんので、その間やめた人ももちろんございますし、その最初から少年保護司として採用されて現在まで及んでおる人もございますし、また旧制度の少年審判所の時代の、ちょうど現在の調査官に当るような保護司を多年経験をしておった方で、家庭裁判所の少年保護司となり、さらに家庭裁判所の調査官となって今日に及んでおるという人もおります。そういうわけでございまして、旧制度と通じて多年の経験の人もおりますが、また新しい制度になって、あらためて入ってきた人もおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/26
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027・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 旧制度の少年保護司からずっときておるような調査官は、最後はどうなるのでございましょうか。これは、私こんなにたくさん調査官志望者がある中で、やめる人は少いし、上が詰まっておったら、一体どういうふうな運営になるかと思っておりますが、その点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/27
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028・森田宗一
○説明員(森田宗一君) この点は、私どもも非常に考えて、将来何とか工夫をしなければならない問題の一つだと思っておるわけであります。現在のところは、まだ、ただいま申し上げましたように、発足して日も浅く、非常に熱意を持って仕事に当っておるところでございますが、ことに年輩の人であり、主席というような立場で、部下の将来についてもいろいろ心配をする立場におる人は、ただいま宮城先生の御質問と同じような心配をしておる向きがございます。そういうわけで、私どもとしては、今後これをどう考えていったらいいかということは、十分熟しておりませんけれども、検討しておるわけでございますが、多少私の私見にわたって恐縮でございますが、現在の保護制度が非常に分化、分業され過ぎておって、つまり旧制度に比べますと、いろいろな意味で進歩前進があるわけでございますが、少年院関係、保護観察関係、調査審判の家庭裁判所関係というようなそれぞれの分野で人員が採られ、それが養成されて参りますけれども、交互にそれぞれのフィールドで働き、他に変っていくというような点がいささか窮屈になっておるのじゃないかと思います。これはもちろん具体的にはある程度交流と申しますか、転任というようなことも——転任と申しますよりも、職場が変っておる人もおりますが、制度的には、それぞれの分野で育って、その行きつくところに行くという形になっておる、こういう現在の保護機構というものに対しても、将来考えていただかないと、うまく解決しないのじゃないかという点が一つございます。
それから、これも多少私の希望のようなものでございますけれども、調査官がさらに将来いろいろ経験もでき、調査官研修所だけで優秀な、単なるケース・ワーカーというだけでなく、法律的な素養を加えた家庭裁判所の事件を判断するのにふさわしい人として養成されていくような場合には欧米、ことにアメリカなどにありますようなレフェリー制度というようなものも考えて、つまり法律家でない、しかも家庭裁判所に専門の、ある審判の権限を持ったような立場の人として道が開けるということになれ、は、これは非常に安定するのじゃないかというふうに考えておりますが、しかし、この点はまだ十分私どもとして、最高裁判所として、熟した見解でございませんので、そのおつもりでお聞き取りを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/28
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029・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 総務局長にちょっとその点でお尋ねいたしとうございます。今、森田課長のおっしゃった二点でございますが、この人事の交流、つまり法務省の管轄区域にございます少年法による保護制度と、それから家庭、裁判所の方の、ことに調査官の人事交流というようなものについては、今までほとんどございませんように思っておりましたが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/29
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030・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 今、宮城委員のおっしゃいましたように、ほとんどないと思います。具体的の例で一、二あるかと思いますが、まあほとんどないと申し上げていいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/30
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031・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 その点は、最高裁判所といたしましては、それをする方がいいと願われるのでございましょうか。また、やっぱり裁判所は裁判所の建前でいくべきが本態だというようなお考えでごさいましょうか。その点いかがでございましょうか。その今まで人事交流がなかったというわけは、どこにございますのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/31
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032・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 宮城委員の今おっしゃいましたように、調査官に適当な人あるいは保護の、法務省関係に適当な人と、人を中心といたしまして考えれば、人事交流を妨げるものはないと思います。ただ、何と申しましても内閣と裁判所という関係でございますので、人事交流が、内閣だけできめるわけにも参りません。最高裁判所、だけできめることもできません点から、特にそういうつもりになりませんと、なかなかできないわけでございまして、その点を、最高裁判所の人事当局で従来深く考えていたかと申ますと、あるいはその点につきましては御要望のように深く考えていなかったかもしれませんと思います。その点、十分反省いたしまして、今後のことに向いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/32
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033・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 まことにありがたい御説明をいただきました。どうかこの問題は非常に大事だ、と申しますことは、ことに調査官、ケース・ワーカーとして長年の間経験を持っていらっしゃる方が、観察所あるいはことに少年院関係にお出ましいただきまして、その責任をとっていただきますということは、これは人事の行き詰まりを打開するということ以上に、仕事の面から非常にプラスが多いというように考えております。ぜひこの点は最高裁判所で一つお考え願いたいと思っております。それからレフェリーの問題が出ました。私も数回この委員会においてレフェリーを取り上げましたけれども、このレフェリーの研究というものは、最高裁判所で今進んでおりますのでしょうか、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/33
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034・関根小郷
○説明員(関根小郷君) このレフェリーの問題は、最高裁判所側から海外に参っております者は、そのことを聞いておりましたのですけれども、研究しなければならぬということは考えております。しかし、それを専門に研究ができているかと申しますと、まだできておりません。これも将来研究いたしたい課題の一つでございますので、この点御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/34
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035・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 よくわかりました。
それからいま一つお伺いしたいのでございますが、この今度の調査官研修所の予算でございますが、この予算の要求額とそれから査定額とは非常な違いがございまして、私が見そこないでないならば、ほとんど六分のぐらいな査定になっておりますが、これで実際の運営はできますでございましょうか。まかない切れると最高裁の方ではお思いになって、今手をおつけになっておりますでしょうか、どうでしょうか、その点一つお願いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/35
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036・森田宗一
○説明員(森田宗一君) ただいま御指摘の、予算の請求額と査定額が非常に違うという点、私どももこれで十分だと思っておるわけではございませんが、とにかく当初、まだ裁判所の方の一部改正ということにならずに、仕事の実質だけで請求した際でありますからこういうことになったことと考えて、私どもとしては、この範囲内において、あとう限りの既存の施設を利用し、あるいは人員を動員して、とにかくこの範囲内で当初計画いたしました万全とは申しませんけれども、これに沿うような方針を立てて現在やっておるわけでございますが、次の機会には、さらに実際の方針に沿ったような予算をぜひ計上していただきたいものだと考えております。
なお、具体的な計数についてもごらんになっていらっしゃるようでございますので、ちょっと申し上げますと、庁費について削減がありますが、この点は、現在、従来の裁判所の研修所の一部を利用し、それから宿舎その他については、借り上げの費用によってまかなっておるわけでありますが、大蔵省の方におきましてもはっきりしたまだ場所の特定はございませんが、内々国有財産の適当な一部を、これに割愛してくれるということの内約を受けておるわけでございます。それから研修人員等についても、予算の削減といいますか、請求通りでなかったために、多少当初の計画とは違って参りましたが、その点はなるべく他を割愛しても、人員については削減をしないでやるべきだというような方針で、現在始まっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/36
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037・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 またあと戻りするようでございますが、家庭裁判所の少年部の調査官と家事部の調査官とは、いつも交流しておるのでございますか。大体専門的になっているのでございますか。そうしてその分野でこの研修所に選ばれる者はどういうふうになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/37
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038・森田宗一
○説明員(森田宗一君) 家庭裁判所の調査官は、本来の理念といいますか、今後の、遠い将来のあり方としては、一本の姿で行くべきでありますし、従ってその仕事の内容、研修についても、初めから終りまで一本であるということが観念的には言えると思いますが、日本の少年保護の仕事の分野と家事審判所を引き継いで生まれました家庭裁判所の家事審判部の仕事とは、相当フィールドが出違うことになっておる。これが一つの世帯に入っておるという状態でございます。ただ、御承知のように数年前に少年係調査官と家事係調査官というものを二本にして、家庭裁判所調査官ということになって現在に及んでおりますが、それはやはり本来一本であるべきものという理想に向って一つ踏み出したことになってはおるのでございます。従って、今度の研修におきましても、そういう理想の姿、理念としては一本の形でやっておりますが、やはり単に学理の研修、研究だけでございませんで、ほんとうに有能な実務家の養成ということに一つの重要な主眼があるわけでございますから、現実の少年審判の面と家事審判の面との調査官の仕事の性格に応じて、第三早期においては一本でやっておりますが、二学期以後にはそれぞれ専門に分れる。さらに最後の仕上げのときは一本になっていくといったような形をとっていく。また採用につきましては、各庁の希望によって選考して採っておるわけでありますが、これが、ただ試験の結果だけによりますと一方にあまりに偏してしまう。たとえば少年の方の人だけ、が出てきてしまうというようなことになっては適当でないということで、やはりその点は、ある程度家事と少年どの、バランスをとりながら研修所に入所させるというような方針をとっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/38
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039・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 今の御説明は一応は了承いたしますけれども、実際問題としまして、その家事部の方と少年部の方の調査官は初めに一本になり、中で分れ、またしまいで一本になるといったような、そういう現状というものは、実際においては大きい所ではそうかもしれませんが、小さい、地方の調査官の少い所では、そういうふうな取扱いがされていないのじゃございませんか。そしてまた、仕事の性質から申しましても、一本でいいとも考えられます。が、これはケース・ワーカーとして、その性格から申しますと、少年に対するケース、それから家事審判に対するケースの取扱いなんというものは、非常に異なっている場合も多いと思っておりますが、その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/39
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040・森田宗一
○説明員(森田宗一君) 先ほどの御質問に対して、少し言葉が足りなかったかと思いまして、ただいまの御質問が出あったように存じますが、私申しました最初に一本で、途中で分れてまた最後にと申しましたのは、研修所の方のことを申したのでありますが、現場の仕事の面では、ただいま宮城先生がおっしゃったように、やはり性格が相当違いますし、かりにこれが理念として一本であるべきだと申しましたけれども、今後といえども仕事の具体的なやり方といいますか、感覚というものは、やはり相当違っていくだろうと思うのです。これはどこまでも残るものでないかと思うのであります。そういう意味で、現在はまだ両者がもう少し一本であっていいと思うのにそうなっていないということから、一そうばらばらに、少年は少年、家事は家事というふうになっておりますが、今申しましたような意味で、将来でももっと歩み寄りができても、やはりそれぞれの専門分野というものがあって、その人相の持ち味、あるいは能力、関心の度合い、いろんな点で少年ばかりの調査官としてずっと伸びていく人、家事係として専門化していく人というのはあり得るし、またあるべきだと思います。ただ、家庭裁判所のよって立っている理念と申しますか、あり方という意味で、少年のことしかわからない、あるいは家事のことしかわからないということでは困るのでありまして、やはり家庭裁判所がどういう理念で一本の姿になっているか、また家庭裁判所の調査官、がそれぞれの機能を異にしながらも、どうして一本の姿で進み出したかということに対しては、やはり仕事の面でも理解を持って、その上で、それぞれの興味と申しますか、能力に応じて専門化していくが、土台はやはり一本でいくということ。従って、研修所でも総合的にはどちらにでも行き得るという能力を養うということが必要な要件になるのじゃないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/40
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041・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 これは総務局長に伺いたいのでございますが、今の私の申しましたことは、つまり、少年部の方の調査官というものは非常に専門家的に深入りをし、そしてその研さんを積みました暁には、先ほどのレフェリーになり得るという一つの将来に対する大きい見通しができる。そのためには、もうどこ——よでも専門化してやっていくということが私は実際の仕事の上には必要じゃないか、そしてまた必ずいつになるかわかりませんが、一つ最高裁判所の方でレフェリーの制度で設けて、将来の明るい見通しをつけていただくようにしたいということと、それから家事審判の方では、私は今まで簡易裁判所の判事というものに婦人、がいないように思っておりますが、いかがでございますか。これは判事の資格がなくても簡易裁判所の判事はできると思っております。そこで、この家事審判の方で非常に専門的な勉強をし、たくさんの事件を取扱い、人格的にも、常識的にも高められたところの婦人が、やがてはこれを簡易裁判所の判事になり得るというような例をお開きいただくということは、私は大切なことじゃないかと思っております。これは女の道を開くという意味だけ、でなくて、事件そのものからいいますというと、やはりおっかさんの立場を持っているほんとうの女性が裁判官になるということは、道が開けているんですから、一つそこに伸ばしていただきたいというようなことを常々考えておりますが、一つこの点は十分最高裁判所の方でお考え願いたいと思っております。
それから最後に私伺ってみたいと思うことは、調査官の研修所の教官とそれから書記官研修所の教官というのは同格と思っておりますが、この書記官の研修所の教官は裁判所法の四十一条それから四十二条、四十四条、弁護士法の五条でこの一定の年限や経過いたしました場合には、裁判官やあるいは弁護士となる資格が与えられるというようになっておりますが、その同格でございます調査官、研修所の教官について、何か手をお打ちになる意図はございましょうか、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/41
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042・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 今お問いの点三点にわたってお話がございましたようでございますが、第一点の少年調査官と家事調査官との関係、さらに少年調査官の、将来レフェリー制度を採用の上に、そういった方向を考えたらどうか、ごもっともなお話だと思いましてございますが、レフェリー制度は、先ほど申し上げましたように、大いに研究したいと思っておりまして、その暁には、そういった方向になろうと思っております。ただ、家事調査官と少年調査官を一本の家庭調査官にいたしました理由は、御承知のように少年問題は、破壊された家庭から、家庭の破壊ということから、結局少年調査官と家事調査官というのは、本質を同じにすべきだというところから出発をいたしました関係で、この点も将来どういうふうに改めたらいいか、大いに研究いたしますが、そういった点から出発しておりますので、その点もお含みおきいただきたいと思います。
それからお話の中で、婦人の裁判官を採用することが道が開けている、確かに開かれておりまして、ある程度の裁判官が現在おりますが、ただいまのところでは、大体地方裁判所に配属されている方が多いわけであります。今お話の中に、簡易裁判所とございましたのですが、これは家庭裁判所のおつもりでおっしゃったのでございましょうか、どちらでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/42
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043・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 簡判の判事にはこの判検事の試験を受けなくてもできるということになっておりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/43
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044・関根小郷
○説明員(関根小郷君) わかりました。今のお話…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/44
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045・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 家庭裁判所でなくて、簡判の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/45
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046・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 簡易裁判所の裁判官に婦人を採用したらどうかというお話でございますね、これは確かにお説のように元来家庭裁判所は英米の両国におきまして採用されておりまするいわゆる治安裁判官、ピース・オブ・ジャスティスと申しますか、ジャスティス・オブ・ピースと申しますか、簡単に申しますとJPと申しておりますが、この治安裁判官におきましては、英米におきましてもお話のようにしろうとの婦人裁判官がなっておりまして、裁判官の席で実際に裁判をやっております。私どももあちらへ参りましたときに、実際に見て、いろいろお話を聞いて参り一、伍した。ですけれども、日本はそこまでいっておりませんので、これもりっぱな婦人の方が出られてして治安裁判官としての同じような役を果たされる時期は来ると思います。ただ、現在におきましては、何と申しましても簡易裁判所の訴訟手続が地方裁判所の訴訟手続とほとんど同じなのでございます。それを何とか改革いたしまして、英米両国におきまするような簡単な手続でやれるように改革したい。これは現在法務省に置かれておりまする法制審議会におきまして、簡易、裁判所のあり方について検討いたしております。その検討の暁、ほんの簡単な手続で、簡易裁判所のあり方がはっきりいたして参りました暁には、おっしゃるように婦人裁判官の参加ということが当然出てくると思います。そのことももう少し将来のことになろうかと思います。
それからこの法案にございます家庭裁判所調査官研修所の教官と書記官研修所の教官との振り合いでございますが、この家庭裁判所調査官の教官は、大体におきまして調査官をもって当てることになっております関係から、書記官研修所の教官が裁判官をもって当てるのとは違っております。でございますから、先ほど申されました裁判所法四十一条あるいは弁護士法の関係条文等におきましては、裁判官の資格の一問題にも関連いたします関係で、その点の相違はございます。これはある程度やむを得ないじゃないかと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/46
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047・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 これは書記官研修所のあの教官と同じような資格を与えられるという意味合いではなくて、何かそこに立法的な措置をすべきじゃないかという意味で、判検事や弁護士の資格をという意味ではございませんから、その点を念を押しておきます。
それから最後に、私は森田課長に伺いたいのでございますが、今度の売春防止法が制定されまして、売春防止法の中の保安処分の規定がどうきまるかわかりませんけれども、最近にきまることだと思っておりますが、それが家庭裁判所で取り扱わないで、刑事裁判所で取り扱うというようなことになりました場合に、やはり私どもの願いは、公判前に、調査官をしてケース・ワーク的な働きをすべきじゃないかというふうに考えております。どうしても調査官を使うべきだと、こういうふうに考えておりますが、もしそういうことにでもなりました場合に、一体その調査官というものは、急に増すこともできませんでしょうが、何か手が打てるとお考えでございましょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/47
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048・森田宗一
○説明員(森田宗一君) 売春防止法につきましては、現在法務省刑事局が中心になりまして、特に保安処分の点についての規定の審議が行われておるわけでございます。これはまだどういうことになるかはっきり私どもも存じませんが、今、宮城先生のおっしゃったように、保安処分を、いかなる保安処分をするかという判断をするについては、やはり通常の訴訟手続とは違った形で行うとすれば、当然調査官のある程度の調査ということが予想されるわけでございます。この点につきましては、法務省当局の以外にも、あるいは最高裁判所の方の刑事局でも試案をこの会議に出して、両方を審議している最中でございますが、そちらの方の案では調査官花置く、調査官が保安処分の判断の事前に関与するということがはっきり出ておるわけでございます。もしそうなりました場合に、また私どもはそうあることが望ましいと思っておりますが、そういう場合には、一体そう簡単に調査官を得られるかどうかという一まつの疑念があると思いますが、これは私どもといたしましては、またおそらく調査官を置いて保安処分の判断の前の調査に関与させるという試案を作りました刑事局においてもそうだと思うのでありますが、家庭裁判所の調査官で相当年配でもあり、また経験も積んで、こういう困難な売春事件の調査、売春婦人の調査に相当適任である、ふさわしいと思われる人、がおるわけでございますから、そういう人の中から得て、実際の実働員は必ずしも困らないのじゃないかというふうに私ども考えております。ただし、これは家庭裁判所関係といたしましては、この法案がもし施行されるようになりますと、従来条例違反、累犯事件、あるいは一般の窃盗事件等に関連して出て審議されております売春常習の少女が、この保安処分の件でやはり家庭裁判所にもふえて参りますので、売春防止法が全面適用になりました暁は、家庭裁判所としては、事件はふえこそすれ減ることは絶対にないわけでございまして、家庭裁判所定員等の実働員がそういうことでは、はなはだ困るわけございまして、この点はやはり売春防止法が画期的な法律でありますだけに、もし調査官が必要である場合は、それに合せて、定員は少くも最小限度とっていただいて、そしてその実際の人間は家庭裁判所から増し得る、そういう期待を持っていきたい、こういうふうに、これはお願いを、私どもは関係当局にしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/48
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049・山本米治
○委員長(山本米治君) 他に御発言もないようでありますから、両案はいずれも質疑を終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/49
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050・山本米治
○委員長(山本米治君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて採決に入ります。
判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/50
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051・山本米治
○委員長(山本米治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、裁判所法の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/51
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052・山本米治
○委員会(山本米治君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定、いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会」議における口頭報告の内容、第七十二条による報告書等につきましては、いずれも慣例により、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/52
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053・山本米治
○委員長(山本米治君) 御異議ないと認めます。
それでは両案を可とされた方は、順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
雨森 常夫 吉田 萬次
大谷 瑩潤 郡 祐一
青山 正一 西郷吉之助
後藤 文夫 河合 義一
棚橋 小虎 宮城タマヨ
小酒井義男発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/53
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054・山本米治
○委員長(山本米治君) 本日は、これに散会いたします。
午前十一時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01619570423/54
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