1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月十七日(火曜日)
午前十一時一分開会
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委員の異動
三月十二日委員後藤義隆君及び下條康
麿君辞任につき、その補欠として森田
豊壽君及び佐藤清一郎君を議長におい
て指名した。
三月十三日委員佐藤清一郎君及び森田
豊壽君辞任につき、その補欠として下
條康麿君及び後藤義隆君を議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 相馬 助治君
理事
後藤 義隆君
中野 文門君
松永 忠二君
竹下 豐次君
委員
川村 松助君
近藤 鶴代君
下條 康麿君
林屋亀次郎君
坂本 昭君
松澤 靖介君
国務大臣
文 部 大 臣 橋本 龍伍君
政府委員
文部大臣官房総
務参事官 齋藤 正君
文部省初等中等
教育局長 内藤誉三郎君
事務局側
常任委員会専門
員 工樂 英司君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○就学困難な児童及び生徒のための教
科用図書の給与に対する国の補助に
関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/0
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001・相馬助治
○委員長(相馬助治君) これより、文教委員会を開会いたします。現在、理事が一名欠員になっておりまするので、まず理事の補欠互選を行いたいと存じます。互選は、慣例によって、委員長の指名になっておりまするが、さように取り計らって御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/1
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002・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 御異議ないと認めます。それでは委員長は、理事に後藤義隆君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/2
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003・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 次に、就学困難な児童及び生徒のための教科用図書の給与に関する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案を議題にいたします。
これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/3
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004・松永忠二
○松永忠二君 この法律の実施に伴ういろいろの問題があるわけでありますか、この法律の積算の基礎というようなものについて、内容を一つ御説明をいただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/4
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005・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは、昭和三十一年度の父兄負担の教育費の調査を基礎にいたしまして、それから算出した額でありまして、小学校が四百四十円、中学校が千六百二十円という数字を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/5
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006・松永忠二
○松永忠二君 もう少しこまかく、千六百二十円、四百四十円というのは、やはりいろいろ基礎があつての話だと思うのです。そういう積算の基礎をどういうふうにとられておるのか、それを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/6
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007・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 大へんこまかくなって恐縮でございますけれども、実は昭和三十一年度の父兄負担の教育費をとりました際に、実績として出ましたのが小学校七百二十九円、中学校千八百五十九円でございます。予算に計上しました額は、それから運賃の値上げ等がございましたので、約一割の増額をいたしまして、小学校八百円、中学校二千四十円という数字を押えたわけでございます。そこで、この中で教育扶助費のうちに、見学旅行費というのが教育扶助の方で小学校が最高学年三百六十円見込んでおります。中学校の三年では四百二十円見込んでおります。従って差引いたしますと、小学校が四百四十円、中学校が千六百二十円という積算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/7
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008・松永忠二
○松永忠二君 二千四十円という費用の中には、いろいろの費用もあると思うのでありますが、大体中学校については宿泊をどういうふうに考えているとか、あるいは内容について一応のめどを持っておられると思うのです。大体距離的のことも考えておられると思うのです。その点、簡単でけっこうですが、骨になるところを、小学校についてはおそらく宿泊費はなしに、大体どのくらいの距離を考えておられるか、中学校については宿泊も考えながら、しかもなおかつ教育的にも一つのめどを押えておやりになっていると思うのです。そういう点を、できるだけ質問しなくてもいいようにお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/8
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009・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは先はど申しましたように、積算は一応実績を基礎にいたしましたが、この金額でどの程度の修学旅行が可能かということにもなろうかと思うのですけれども、小学校の場合に六年で、大体バスによって日帰り旅行をいたします。片道百キロ程度を予定しておりまして、これがバス代が四百円、見学料が四十円と見込みまして、四百四十円で大体百キロ程度の日帰り旅行ができるということでございます。それから中学校の場合には、片道鉄道で四百キロ——往復で八百キロになりますが、これが七百八十円、宿泊費が標準が二泊三日でございますので、二泊をとりまして三百五十円の七百円、それにバス代及び見学料百四十円を見込んで千六百二十円、大体二泊三日程度の旅行が可能かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/9
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010・松永忠二
○松永忠二君 これは、大臣にも一つお答えいただきたいと思うのですが、すでに関西、特に東京を中心として、宿泊費について業者が修学旅行の宿泊の費用を値上げしょうというようなことの話し合いが出ておると思うわけであります。そういうふうになると、おのずからこの積算の基礎も狂ってくるわけでございます。特に物価が横ばいしているというような、そういうような考え方からして、特にこの宿泊費の決定については、文部省としてやはり相当発言権をもって指導していくとか、あるいは業者に要請をしていくという必要があると思うのですが、こういう点について、文部省としてどんなふうな考え方で進んでいくというつもりであるのか、お聞かせをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/10
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011・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 宿泊費に対しまする行政権能の問題を今、頭から振りかざすというと、むずかしい問題かありますけれども、とにかく旅館の業者としても修学旅行のお客というのは大事なお客のはずでありますし、値上げの問題があって、放置することはできませんので、何とか話し合ってできるだけいけるようにと思って、事務当局に工作をさせておる次第でございます。経緯を局長の方から御説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/11
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012・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 宿泊料の問題は、実は昨年からこれはくすぶっておりまして、昨年実は関東の旅館組合で値上げの話がございました。昨年も諸物価が横ばいな折柄、修学旅行の宿泊費だけ上げる理由は私ども実は見出しがたいし、関係業者といろいろ懇談をいたしまして、昨年はついに取りやめになった。本年また同じような問題が蒸し返されまして、業者間でもいろいろと話し合いが進められたわけでありますが、これに先だちまして、関西の業者はすでに三百五十円の修学旅行を引き受けるということを決定しておりました。ところが、関東の旅館組合は、京都のような条件と非常に違って、まあ特に資産の再評価をするとか、あるいは減価償却のために金がかかるとか、いろいろ理由もありましたけれども、まあ関西側でも同調していただきましたし、また個々に私ども業者の方々にもお会いして、できるだけ三百五十円の線を維持するようにお願いして、ともかく今年は三百五十円で関東側もやるということで落ちつきましたわけであります。本年については、関西側とともに問題はないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/12
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013・松永忠二
○松永忠二君 御努力を多とするわけでありますが、実際のところ、実は三百五十円といっても、実態は米を持参してやっているということは御承知だと思うのです。これは、やはり三百五十円としたのは、そういうふうなものを含めてということではなくて、そういう実態があるということは承知をしておりながら、しかも三百五十円というような単価を定められたのか。やはり実態は米の問題、米を相当持って宿泊していることは事実であります。三食分も、大体一食一合五勺というようなものを持ってそうして出かけているわけなのです。そうなってくると、実際問題として三百五十円とはいっても、ほんとうの宿泊費というのはもう少しかさんでいるわけです。こういう点については、やはり表面宿泊費三百五十円というような考え方でいるのか、そういう点はどういうふうな考えをお持ちになり、また把握をされているのか、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/13
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014・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 三百五十円が、結局原価計算の問題にもなろうかと思うのですが、お話のように、米を持参することも事実のようでございます。ただ、米を持参する問題は、前に米の統制令が非常にきびしい時代からの経過もありまして、今、米の持参をやめることはこれは簡単にできるかどうか、私も自信ないのでございますけれども、要するに今の三百五十円の単価の中には、これは今日までの経過の実績がございますので、厳密な意味で原価計算をしているわけではございませんので、業者が申しておりますのは三百五十円ではなかなか原価計算がやっていけないと逆の事例を言っておるわけであります。いろいろと業者の方の御注文もありますが、私どもとしては、その中で特に宿泊のあっせん業者への謝礼が相当多いようでございます。それからまた多少つき添い教師なんかの負担もあるようでありますが、できるだけ諸事を簡略にしていただいて、三百五十円で何とかしていただきたい。これは決して厳密な意味の原価計算から割り出した額ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/14
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015・松永忠二
○松永忠二君 実態は、実際の父兄負担が三百六十円で、あの負担の調査が八百円と二千四十円という話が出てきているのですが、実態は、私たちこれではやはりもう少し価格が多くかかっているのだと思うのです。特に中学については大体、二泊三日ということになると、この額では少し実際のところ、実情に即しない面があるし、まあこういう点については、今後実情に即するように、内容改善を努力していただくということを考えていかれるべきだと思うわけでありますが、相当この点の父兄負担というものは大きいというふうに考えなければならないと思うのです。そこで実際文部省は、市町村が就学困難な児童に対して、その旅費の負担をどういうふうに実態的にやっているのかということ、そしてまた、つまり市町村援助の実態というものをどういうふうにつかんでおられるのか、この辺の考えを、調査の問題を聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/15
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016・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 現在、市町村がどういう援助をしているかというお尋ねでございますが、中学校においては、実施校の約一八%が市町村の援助を受けて修学旅行を行なっております。また、山口県の徳山市とか、青森県の三沢市のように、困窮している家庭の児童生徒に対する修学旅行費の支給を市条例でやっているところもございます。このほかにPTAが相当援助していると思うのですが、PTAの点はちょっとあとで申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/16
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017・松永忠二
○松永忠二君 実態を御調査になっておられると思うのですが、そういう点で特に必要を感ぜられて出されていると思うのですが、しかし今お話しのように、実際のところ、中学で一八%というお話もあるように、こういうものについてはPTA負担というものに相当寄っかかっている点も多いと思う。これについても学校教育法あたりに規定もしているけれども、実際のところ、市町村が支出をしたものについて補助を与えるという規定になっているわけでありますから、やはり強力な行政指導がなされないと、市町村が積極的に援助するということは非常にできにくいと思うのですが、こういう点については、具体的にどういうふうにおやりになるつもりなのか。たとえば大よその——大よそじゃなしに、均等割に配分をきめて市町村に一定の額をやる、この配分の仕方に少し私どもは意見を持っているわけですが、一応ここに出ている施行令に基いて配分のワクをきめて、そうして各市町村に示達をする、そうしてその範囲で市町村も出してもらうという、そういう行き方をとっていくのか、市町村の負担したものを出してもらって、その上に基いてお出しになるというやり方をとるのか、こうなってくると、あとのような場合だと、現実に市町村で援助することは非常に困難になるのじゃないか。積極的な援助というものはなされないというふうに思うわけであります。その点についてはどういうふうにやられていくつもりなのか。その実際をお考えになっているところを聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/17
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018・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ちょっとその前に、先ほどの、市町村から援助を受けているのは一八%、PTAその他の団体から援助を受けているのが一五%、ですから合せて三三%、約三分の一が何らかの形で援助を受けているわけであります。そこでこの法律は、先ほど御指摘になりましたように、市町村が出した場合に、二分の一を国が補助するという建前になっておりますけれども、その前に、学校教育法第二十五条で、「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」、この二十五条の規定を受けておりますので、市町村で第一次に困っている家庭の子供たちに就学の援助をしなければならぬ、この規定を受けているわけです。そこで、私どもはこれを配分するに当りましては、先ほど松永委員のお話のうち、むしろ国の方から積極的に補助金を出して、その範囲で市町村でお考えいただくという建前をとっております。ですから、出した場合に二分の一出すのじゃなくして、積極的に国の方が行政指導をし、補助をいたしまして、各市町村漏れなく貧困家庭の児童生徒が修学旅行に行けますように努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/18
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019・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、この辺はどういうふうになっているのですか。この配分の基準というのはここにあるように、生活保護の生徒とそれから児童数というものについて勘案をして出していこうというようなことだと思うのです。特にこの点で実態調査をやられて、やはり全国的にこういう面で非常におくれているというか、生活が非常に困難であって、修学旅行の費用も非常に補助をすることを必要とする地方というのは非常にアンバランスがあるというように思うわけです。特に東北地方あたりはひどいということを私どもは聞いておるわけです。東北地方あたりには今度逆に、修学旅行に行けない生徒が相当あると私たち聞いておるわけです。そうなってくると、この配分については、やはり従前のような考え方をもってやっていくのか、こういう点について何か地域的な考え方を積極的に勘案していくつもりなのか、こういう点についてはどういう考え方を持たれておるのですか、その辺をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/19
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020・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この制度、実は前に教科書の無償の問題がございまして、私どももいろいろ経験して参ったのでございまして、大体当初の実態を見ておりますと、全国的に児童数に配分した数が生活困難なものに大体比例しておりまして、しかし最近の実態を調べてみますと、むしろ生活保護法の方に重点を置いた方がいいように考えております。ですから、従前は児童数七に対して、生活保護の割合を三で見ておつた。今後はこれを半々に見ていきたい。児童数に按分するのを半分、あとの残り半分は生活保護の児童数に按分していきたい。この両方の要素で大体適正に配分できるのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/20
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021・松永忠二
○松永忠二君 ちょっと今のお話では、今までのを改めて五対五という形でその点も考慮していきたいというお話だと思うのです。そこで、市町村の方面の財政的な裏づけについては、やはり配意をされておると思うのですが、具体的にどういうふうな配意をされておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/21
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022・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは地方財政計画の中において同額のものを入れておきましたし、また交付税の単位費用の改訂に当りましても、この費用を見込んで改訂いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/22
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023・松永忠二
○松永忠二君 財政計画や交付金の中に同額を入れてあるわけですね。
そこで、その修学旅行について運輸省が特別な列車というものを作製して、特に便宜をはかっていくということをすでに実行されているようであります。特に修学旅行について一番困難なのは、配車という問題であるし、これについてはある程度、教育委員というか、学校側の要望というものはなかなかいれられない実情にあるというように考えておるわけです。こういう点非常に困難を感じておるわけなんです。こういう特別列車というようなものについて、やはり積極的に文部省が運輸省あたりと協議をして、こういう問題についての改善の方策というものを協議されているのか、あるいは運輸省自身がやはり自発的にそういう点をおやりになっておられるのか。構造等についても、いろいろな人の意見が実は出ているわけであつて、修学旅行に特別な列車を作るとすれば、もう少し内部構造を変えていったらどうだろう。そうすれば収容人員も多くなってくるし、非常に工合がいいという意見もあちらこちらに出ているわけで、こういう点について、文部大臣の方も努力をしていただかなければできないと思うのですが、実際として、事務的にどういうふうに今進行しているのか、その辺を一つお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/23
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024・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 問題は計画輸送にあると思うのです。できるだけもう少しまとまった数が出ますならば、これは国鉄でも特別列車を出していただくのに非常に都合がいい。そこで、修学旅行協会、これは財団法人でございますが、いろいろと文部省といたしましても修学旅行の時期、人員についての調整をいたしているわけです。大体春秋の二回主として大量に出るわけです。今回きまりましたのは、東京から大阪に行く特別列車は大体、これは「こだま」と同じスピードと特急並みの列車で、中身は全部普通の列車でございません、修学旅行専用車でございますので、指定席も今のままでなくて、三人がけができるようになっておるようでございます。それから、その中で子供たちの荷物を置く網だなとか、あるいは先生方がついていろいろ説明をするにもいいようにいわゆる移動教室の考え方をとつて、教室がそのまま動いていくというようなそういう考え方で、修学旅行として最も快適であり、最も教育的なそういう配慮のもとに専用列車が作られた。これが東京から大阪に行くものが十両、向うからこちらに来るものが十両、一日に十両ずつが両方から動く、こういう十両編成の列車が毎日動くという形になっているわけなんです。これを試験的にやりましたら……今後ますますこれをよく改善いたしまして、努力いたしていきたい。中心は、東京の指導部長が中心で東京関係をまとめていく。片一方は大阪の指導部長ですか、関係者が中心になって学校側の意見を取りまとめて国鉄と話し合いを進めているわけなんです。今後ますますこういうような傾向で、一応私どもも試験的にいたしましたりして、成績を見まして、さらに専用列車をふやすように努力して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/24
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025・松永忠二
○松永忠二君 その専用列車は、やはり文部省が関係をしてそういうようなものが作られたのですか。今のお話のようだと、東京、大阪が独自に運輸省と交渉されてやられたのか。今のお話でもあるように、東京、大阪の間だけが十両編成で一回ずつ行くということになるので、他の地域の生徒はおそらくこの恩恵に浴することはできないと思うのですが、そうなってくると、私もあと一つ数字もお聞きしたいのですが、お話を聞きたい。
一体、小中学が、これは高等学校もですが、どのくらい一年に一体修学旅行をやるのか。私は相当の数だと思う。こういうことについて、やはり文部省として積極的に一つの策を立てて、関係の官庁との間に対策を進めていくというようなことが必要じゃないかと思う。これをただお客本意というか、利益本位に運輸省が考えてやるというのではなくて、これだけ定期的に計画的に実施されている修学旅行は、やはり教育的に配意しながら、ずいぶん運輸省あたりでも予算をとって新車両を増設している、新設している現在の状況の中で、これだけもうけている修学旅行に特別列車をもっと計画的に作っていくという配意をやっていくべきじゃないかと思うのです。こういう点についてはけっこうなことだと思うけれども、実際どうなっているのですか。そういう点を文部省が積極的に、これだけの人数がある、こういうふうにやっていかなければできぬという見通し、計画をとにかく持って話し合いをされているのかどうか、そういう、点一つどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/25
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026・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) もちろんこれは非常に多くの人数でございますし、私どもも修学旅行というものは教育の計画の重要な一環と考えておりますので、これの成否というものが非常に教育に及ぼす影響も大きいし、将来の思い出にもなると思いますので、修学旅行のあり方について文部省は指導をし、また手引書も出しており、国鉄に対しても十分この点は打ち合わせをしております。国鉄でも非常に大きな数に上っておりますので、この点に十分な関心を持っているわけです。ただ、特別列車を配車する以上は、相当長期にわたって継続的にそういうものの需要がないと、これは採算の上から困難かと思うのです。やはり国鉄の採算にも乗り、教育的な考慮も加わる、この両方の意見が合致しなければ私困難かと思うのです。
そこで、今日までの修学旅行の人数でございますが、実施学校生徒数が百四十万でございます。この百四十万に対して参加人員が約百二十七万です。不参加人員が十三万四千ほどでございます。ですから、約九〇%の参加を見ておるわけでございます。こういう点で、この人員の分析が結局東京、大阪が非常に多いと思うので、そういう点で今東京、大阪になりましたが、やはり私どもとしては、できるだけ全国的に計画を立てまして、児童たちの専用列車ができるように努力して参りたいと思うのです。一つは資金の問題もあろうかと思いますけれども、国鉄当局とも今後十分打ち合せまして、できるだけ修学旅行の時期の調整と同時に配車の適正、配車をする場合に修学旅行である程度継続的に使えるようなものでないと困りますから、そういう要素をいろいろ勘案して、今後この計画を推し進めて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/26
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027・松永忠二
○松永忠二君 採算がとれるかとれないかという、定時的にどうかというお話があるが、これはもう明らかに定期的に行われることで相当な数でやっておるのですから、これは採算がとれないといこうことは私はないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/27
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028・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 失礼しました。期間の問題なんです。東京、大阪というのはずっと問題はないのですが、いなかの方へ行くと、あるいは鹿児島とか北海道とかはやはりそうは参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/28
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029・松永忠二
○松永忠二君 それは車両が実際に、地方では地方——九州は九州一円でやるし、東北では東北一円でやるということで、やはり東京、大阪だけに配車するということでなしに、ほかの地域に配車しても、しかもそれは十分活用の余地はあると思うのです。ただ、私の聞いておるのは、文部省はそういうふうに努力されても、運輸省にそういう計画があるのか、また、そういうことを計画でなく、ただちょっと一つの試みとしてやられたのか、それとも一定のやはり計画をもってこういうふうなやり方をしていくのか、いかなる計画を運輸省が持っているのかということを聞いておるわけです。
それからもう一つ、これは御承知のように返還金があるわけですね。この返還金が修学旅行会とか公社を経なければ、返還金がないわけなんです。ところが考えようによれば、一体、小中学校どこの学校でも必ず修学旅行というのはやるわけなんです。たまたまそれが公社に申し込んでいくか、あるいは直接に行くかということだけなんであって、そういうふうに考えてみると、小中高等学校、その学校の修学旅行の申し込みに対しては、その返還金を公社を通らなくても学校に返還するという形をとれば、今こういうふうに出ているように、法律に出てきているいわゆる生徒に対する補助金も非常に必要だけれども、そういう返還金をもらえば、非常に学校としては、そういう生徒に対する金に実は加えることができるわけなんです。ただ、その規約によって、月に何百万円の契約高を持っているような公社でなければ、これは返還をさせないという、そういう鉄道の規則があってやられているようでありますけれども、これについては、やはり毎年必ずやることであつて、しかも非常に小さい部分的な乗車についてやれということは言わなくても、計画的にやっている修学旅行の一環についてはそういうことをやったらいいのじゃないか、そういうことについて、何かやはり積極的に交渉していくという考え方はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/29
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030・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) もちろん私どもも全国的に修学旅行の回数、頻度というようなものを考えまして、相当長期間にわたって継続的にその線が使用されるような場合には、これは御指摘のように専用列車を作った方がいいと思います。今回東京と大阪間については相当長期にわたって継続的に一定の人数が確保されるわけでございます。ところが、いなかの方に参りますと、一般の乗客も乗るし、修学旅行の学生も乗る。こういうふうな点でなかなか専用列車だけで採算がとれないという問題があろうかと思います。私どもといたしましては、できるだけ今の計画が、東京—大阪間に試みましたこの計画は非常にけっこうだと思っております。こういう計画をできるだけ全国に普及さしていきたい。ただ、この場合の条件としては、できるだけ同じようなコースをとらないと困るので、そのコースの調整等について各県教育委員会の御協力が得られれば、できるだけコースを調整して、同じようなものが出ればそこの線にはこういう、東京—大阪間のような専用列車を作るように国鉄当局にも十分相談して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/30
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031・松永忠二
○松永忠二君 あとの返還金の点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/31
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032・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 返還金のお話は、どういう意味の返還金か、私ちょっと把握しにくかったのですが、実はこの金は銀行が貸した金でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/32
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033・松永忠二
○松永忠二君 いや、これは公社を通して申し込んだときにはその鉄道運賃のパーセンテージをもって返還してよこす金がある。これは大体公社でも、あるいはあっせん業者あたりがこの金を目当てにして、つまり仕事をやつているわけなんです。これはある意味かり言うと、私さっき話をしたように、学校が一年に一回定期に行う修学旅行についての申し込み金については、その旅費のきまった割合、あるいはパーセンテージですか、一%か二%かわずかな割合ですが相当に大きな金なんですよ。普通の場合には月に何百万円という契約のある公社でないと——契約のあるところから申し込まなければ返還してよこさないわけです。この返還金というのは、私は、市町村なりあるいは小中高等学校というのは公けなものとあって、これがはっきり申し入れをしていけば、単独なものが申し入れてもこういうものについては、その割合と返還金をよこすということをやれば、その金で補助金等も十分に与えられるわけです。業者が公社を通してやれば返還金が公社に来るけれども、そのほかのものを通してやったときには、自分でやった場合にはそれは来ないというようなやり方は、少しやはりあまりに公社本位のやり方ではないか。それも、一般の民間の旅行をする人たちがそういうことをやるということについては、私は別に差しつかえないと思うが、とにかく法律を出して、国が二分の一補助をしていこうというような、そういう修学旅行についてはやはりそういうような配意がなされてもいいのではないかと思うのですよ。そういうことに積極的に一体、事を検討して交渉していく気持はないのか。これをまた地域の実情にすれば、市町村あたりでまとめて市にその金が返還されて来ても、その財源を使って、こういうものに使っていくことも実はできるわけなんです。こういう点について聞いているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/33
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034・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) まあ、今のお話は、結局公社が旅行あっせんをするための手数料だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/34
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035・松永忠二
○松永忠二君 いや、そうではないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/35
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036・相馬助治
○委員長(相馬助治君) ちょっと速記をとめて。
午前十一時三十九分速記中止発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01519590317/36
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