1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年十二月七日(火曜日)
午前九時開会
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委員の異動
十二月二日
辞任 補欠選任
櫻井 充君 今泉 昭君
内藤 正光君 足立 良平君
十二月三日
辞任 補欠選任
久野 恒一君 青木 幹雄君
世耕 弘成君 斉藤 滋宣君
荒木 清寛君 続 訓弘君
十二月六日
辞任 補欠選任
青木 幹雄君 須藤良太郎君
斉藤 滋宣君 陣内 孝雄君
藁科 滿治君 小宮山洋子君
梶原 敬義君 清水 澄子君
十二月七日
辞任 補欠選任
小宮山洋子君 藁科 滿治君
続 訓弘君 但馬 久美君
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出席者は左のとおり。
委員長 成瀬 守重君
理 事
馳 浩君
畑 恵君
円 より子君
山下 芳生君
委 員
加納 時男君
倉田 寛之君
陣内 孝雄君
須藤良太郎君
保坂 三蔵君
真鍋 賢二君
足立 良平君
今泉 昭君
木俣 佳丈君
小宮山洋子君
藁科 滿治君
加藤 修一君
但馬 久美君
西山登紀子君
清水 澄子君
渡辺 秀央君
水野 誠一君
国務大臣
国務大臣
(科学技術庁長
官) 中曽根弘文君
政務次官
科学技術政務次
官 斉藤 鉄夫君
事務局側
常任委員会専門
員 塩入 武三君
政府参考人
科学技術庁原子
力局長 興 直孝君
科学技術庁原子
力安全局長 間宮 馨君
資源エネルギー
庁長官 河野 博文君
資源エネルギー
庁長官官房審議
官 藤冨 正晴君
参考人
全国原子力発電
所所在市町村協
議会会長
福井県敦賀市長 河瀬 一治君
電気事業連合会
原子力開発対策
会議委員長 前田 肇君
三菱マテリアル
株式会社代表取
締役社長 秋元 勇巳君
元中央大学教授 中島篤之助君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○原子力災害対策特別措置法案(内閣提出、衆議
院送付)
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/0
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001・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、内藤正光君、櫻井充君、荒木清寛君、久野恒一君、世耕弘成君、藁科滿治君及び梶原敬義君が委員を辞任され、その補欠として足立良平君、今泉昭君、続訓弘君、小宮山洋子君、清水澄子君、須藤良太郎君及び陣内孝雄君が選任されました。
また、本日、続訓弘君が委員を辞任され、その補欠として但馬久美君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/1
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002・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
原子力災害対策特別措置法案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に全国原子力発電所所在市町村協議会会長・福井県敦賀市長河瀬一治君、電気事業連合会原子力開発対策会議委員長前田肇君、三菱マテリアル株式会社代表取締役社長秋元勇巳君及び元中央大学教授中島篤之助君を参考人として出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/2
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003・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/3
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004・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) 原子力災害対策特別措置法案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、参考人から御意見を聴取いたします。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。ただいま議題となっております法律案につきまして、皆様から忌憚のない御意見を承りたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方でございますが、まず参考人の方々からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
それでは、河瀬参考人からお願いいたします。河瀬参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/4
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005・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) おはようございます。
私は福井県の敦賀市長を務めております河瀬一治と申します。また、全国に原子力発電所を持っております所在市町村協議会というのがございまして、その会長も今仰せつかっておりまして、本日は参議院の先生方に私どもの気持ちを聞いていただけるという大変ありがたい機会を設けていただいたわけでございまして、まずもって心から感謝を申し上げる次第でございます。
ことしは、ちょうど衆議院の科学技術委員会の方でも使用済み燃料の中間貯蔵に係ります原子炉等規制法の改正の中でも参考人として出席をさせていただきまして、意見を述べさせていただいたわけでございます。
敦賀のことを少しお話しさせていただきたいというふうに思います。
私ども敦賀市には、原子力発電所が、昭和四十五年三月に運転を開始いたしました日本で最初の商業用軽水炉型原子力発電所があります。これは日本原電の一号機でございます。また、同じく日本原電の二号機、またさらには核燃料サイクル開発機構の「ふげん」、これは間もなく廃炉になるということで今廃炉研究にも入っておりますけれども、この「ふげん」。また、御承知のように「もんじゅ」が実は立地をいたしておりまして、全部型の違った四つの発電所を持っている、発電所を持っている地域としても少し特殊な地域ではなかろうかなというふうに思っております。
また、さらには北陸電力の石炭火力発電所の一号機がございますし、現在二号機を建設中でございます。また、隣接をいたします美浜町であります、五木ひろしさんのふるさとでございますけれども、ここにも三基の原子力発電所が立地をされております。これは関西電力の発電所でございます。
そういうことで、福井県の私どもの地域は嶺南地域、若狭地域とも言いますけれども、その地域にはまだ高浜、大飯町というのがございまして、全部で今十五基の原子力発電所が立地をいたしておる地域でございます。
特に、私どもにとりまして大きなショックであったわけでありますけれども、「もんじゅ」でございます。これは御承知のように七年ですね。私の記憶では七年の就任したときでございました。七年の十二月にナトリウムの漏えい事故を起こしまして、またその後は東海の再処理工場の事故もございました。
そういう中で、原子力政策のあり方が問題となりまして、動燃の改革が行われましたし、現在原子力長計の見直しの議論がされているところでございます。
また、日本原電におきましても、かつては昭和五十六年に放射能を含んだ水が漏えいしたこともございました。また、日本原電二号機におきましては、ことしの七月十二日に一次冷却水の漏えい事故がございまして、これもマスコミに大きく取り上げられたところでございます。こういう事故等がございまして、非常にこの地域の実はイメージダウンがあったわけでございます。
私も、振り返りますと、まだ当時子供であったわけでありますが、最初敦賀に発電所が来たときには非常に歓迎といいますか、また初めて電気を送ったのが、たしか昭和四十五年の大阪万博の会場に私ども原子力発電所でつくった電気を送ったときには、新聞に原子の灯がいよいよともってというような大変明るい見出しが出ておったのも記憶をいたしております。しかし、昨今のそのような事故が続きますと、私ども立地をいたしております、原子力を持っております地域にとりまして非常にイメージダウンになっていることも事実でございます。
そういう中で、ついせんだって、九月にはジェー・シー・オーの加工施設での臨界事故という今までかつてないようなすさまじい事故が発生をいたしまして、そういう中で国民の皆さん方の原子力というものに対します不安が非常に今増長しているのも事実ではなかろうかなというふうに認識をいたしておるところでございます。
ただ、私の思いでは、加工施設と原子力発電所というのは全く別のものであるというふうに思っておりますし、私どもの施設は、臨界を起こしてそれで熱をとって水蒸気を起こし、そのために何重もの防護をしていることも事実でありますが、いざ国民の皆さん方にしますと、加工施設も原子力発電所も一緒だというふうな思いの皆さん方がたくさんいる、そのような状況を変えていくべきだなというように実は思っておるところでございます。
そういう中で、今回は原子力災害対策特別措置法の制定をしていただけるということで私どもの意見を聞いていただくわけでございまして、特にこの原子力災害対策特措法につきましては、実は私ども、先ほどの全国原子力発電所というのは長うございますので全原協というふうに略させていただきますけれども、全原協が、昭和五十四年の米国のスリーマイル島の発電所で事故がございました、それ以来長年にわたりましてこれは実は要望をしてきておった法律でございます。
そういう中で、ジェー・シー・オーの臨界事故が起きて初めて立法化されるということは私どもは少し遅いんじゃないかなというふうな気も実はいたしておりましたけれども、今回このような形で動いていただいておりますのは大変ありがたく思っております。反省に立ちますと、こういうことがもっと早く制定されておれば東海村での損失がもっと少なかったんではなかろうかなというふうなことも今思っておるところでございます。
今回の立法化ということで本当に関係の先生方にも大変お世話になっておりますし、今後のやはり原子力行政には、何といいましても国民の信頼、また安心感、このことを得ることが非常に大事だというふうに思っております。そういう中では、大きく貢献ができるものじゃなかろうかなというふうに認識を持っておる次第であります。
ただ、やはりこの法案につきましては運用方法も非常に大切でございますし、実効性のあるものとして国民が安心を得られるものにしていただきたいというふうに思っておる次第でございます。ただ、こういう法律ができましても、決してその法律が適用されることのないようにということはもういつも願っておることでございます。
まず、そういう中で具体的な意見といたしまして、この法案に定めます市町村の原子力防災業務の主なものといいますのは住民退避措置、また住民広報措置であるわけでございます。特に住民の退避措置につきましては、これは予期しないときに、それも短時間のうちに放射能被曝環境のもとで、私どもの地域ですと数百人から数千人の住民を退避させるということでありまして、これは極めて難しい業務ではなかろうかなというふうに思います。特に、自然災害と違いまして、やはりその地域からいかに短時間でたくさんの皆さん方が離れるか。一般災害ですと、その後ボランティアの皆さんがやってきていただいたり、瓦れきをのけたりという作業がございますけれども、この災害につきましてはともかくそこから早く離れていくということでありまして、そういう意味で短時間のうちにたくさんの皆さん方を退避させるというのは非常に難しいものがあるなというふうに考えておるところでございます。
そういうことで、次の点の運用についても御配慮いただきたいというふうに思っているわけであります。
その一つといたしまして、原子力事故の事故想定でありますけれども、こういうものをやはり明確にしていただきまして、特に退避の時間的余裕というのを示してほしいというように思います。これはいろんな気象条件によって変わってきますし、いろんなことが考えられるわけでありますけれども、そういうものを細かく明記をしていただきたいなというふうに思っております。
またあわせまして、防災の重点対策区域といたしまして今八キロから十キロというふうになっておるんですけれども、この根拠を明確にすべきだというふうに思います。また、住民に納得のいく説明が必要ではなかろうかなというふうに思っておる次第でございます。
また二つ目として、避難マニュアルの整備をしていただきますとともに、避難道路、また避難施設等の整備が必要であるというふうに思っております。
また三つ目といたしまして、陸上そして海上の避難輸送手段の確保がこれは必要であるというふうに思います。
先ほど言いましたように、たくさんの人がいっときに、今現在私どもの地域では道が一本しかございません、その道でもし事故でも起こせばそこがもうふさがってしまうという状況等もございますので、そういう避難道路、また避難施設、そして先ほどの海上の輸送などもやはり考えていかなければならないなというふうに思っておるところでございます。また、その地域におきましては、当然過疎の地域でございまして、バス等の手段も数が少のうございます。そうなりますと、自家用車でいかにスムーズに避難できるかというような検討もすべきじゃなかろうかなというふうに思っておる次第であります。
また四番目といたしまして、避難誘導の人員また救命活動の人員、これは充実をしておかなくてはならないというふうに思います。
特に、避難誘導の人員また救命活動の人員におきましては、原子力災害という特殊な災害のいろんな判断能力を持つ必要があるというふうに思います。当然、教育的な研修をするだけじゃなく、やはり人的な支援を求めたいなというふうに思っておるわけであります。そして、やはり原子力災害という特殊な事故でございますので、その特殊作業を行うことができる原子力レスキュー隊、これを設置すべきであるというふうに考えておるところであります。
また五番目といたしまして、住民退避措置の一部を原子力事業者へ委託できるようにすべきであるというふうに考えております。
原子力事業者におきましては、原子力災害の発生を即座に知ることができるわけでありますし、原子力の知識、また資機材を有している関係から、原子力施設のごく隣接の住民避難措置、例えば三キロ程度までは委託できるようにすべきであるというふうに考えております。なお、アメリカの方では防災対策は事業者の責任として位置づけられております。
また、住民広報措置を確実にすべきでございまして、広報施設の充実強化が必要であるというふうに考えております。
また七つ目といたしまして、特に原子力発電所の事故や災害といいますのは地域経済に大きな悪影響を及ぼしたり、また大きなイメージダウンを与えるものでございます、先ほど触れたとおりでありますけれども。そうなりますと、地元産業に大きな風評被害を招いているのも現状でございます。もう皆さん方も最近ではジェー・シー・オーの事故で御承知のとおり、茨城県産の農作物がほとんど売れないという大変気の毒な状況が起きております。実質的な被害は何にもないわけでありますけれども、人の思いというのは大変悲しいものがございまして、私ども昭和五十六年に敦賀で事故が起きました。大した事故じゃなかったんですけれども、バスが通りますとバスガイドさんが、ここは敦賀で、事故が起こったから窓を閉めなさいと言ったりする例が実際ございました。それで、おもしろい話ですけれども、あんなところに嫁さんに行ったらあかん、また、あんなところから嫁さんもろうたらあかんというような被害が出る。私、これいつも言っておったんですけれども、ついせんだって東海の村長さんといろんな会議でお会いしましたら、私の言っておったことがほんまやなというふうにしみじみと語ってくれたわけでございます。
そのような風評被害、当然これは原子力損害賠償法というのがございまして、例えば放射能汚染をされたりそういう被害にはこのような賠償法があるわけでありますけれども、この風評被害といいますのは全くそういうような補償がないわけでありまして、私どもいろんな、例えば私どもの場合ですと会社の方等々に御支援をいただいて、またPR活動に一生懸命努めてイメージを回復しようということでさいの河原を積むように努力するんですけれども、何かありますと一挙にもうがたがたとそれが崩れ落ちまして、先ほど言いました悪いイメージの方につながっていくのが現状でございます。そういう意味で、原子力損害賠償法のような形で風評被害にも対応していただいて、地元の産業を支えるというようなこともお願いしたいなというふうに思っておる次第でございます。
また、東海の方でもそうですけれども、やはり事故後の住民ケア対策方法というのもしっかりしたものに確立をしていただきたい、このようにも思っております。
そういうことで、今細かく分散しまして具体的な意見を述べさせていただきましたけれども、またいろいろと御指導をお願いしたいというふうに思っております。
また、国の対応関係についてでございますけれども、東海の村長もやはり初動体制が大事なんだということを痛切にお話をしておりました。国の初期対応の活動を確実に行えるような形にしていただきたい。また、この法律は事故の初期判断を国の一元的責任として対応していただくようになっていることは大変望ましいというふうに考えておる次第でありますけれども、その体制また機能を確固たるものにしていただきまして、地元が安心できますようにしていただきたいというふうに思います。私ども地元の首長というのは地域住民の生命、財産を守るのが第一の仕事でございますので、当然それなりの対応はいたしますけれども、最終的には国が責任を持っていただくんだというその姿勢がやはり地域住民に大変な安心感を与えますので、そのような形でお願いしたいというふうに思っております。
そういう中で、今オフサイトセンターの建設ということが打ち出されておりまして、これも防災の一つの安心の拠点になるものというふうに思っておりますが、この運用方法につきましてもこれを明確にすべきだというふうに思っておる次第でございます。
それと、先ほどから風評被害等々のお話をさせていただいておりますけれども、やはり国民の皆さん方の原子力に対します知識の普及が私は必要じゃなかろうかなというふうに思います。特に、報道の皆さん方は原発というこういう言い方をして、これはもういつも言われておりますけれども、それでは火力発電所をだれも火発と言わぬですね。水力発電所を水発と言う人はおらぬです。原発と言いますね。これはやはり原爆にどこか何かひっかかったような形で、特に被爆国であります日本人にとりまして非常にイメージが重なっておるようなことを私は実は感じております。
また、確かにトラブルはございますけれども、放射能が相当に漏れてかつてそのような大事故といいますか、住民が大きく避難することは起きたことがないのもこれは事実でございますし、そういう知識をやはりもっともっと普及すべきだというふうに考えておりまして、そういう面でもこれから学校教育の中でももっと取り入れるべきだなというふうに思っております。
そういうようなことで、やはり原子力災害といいますのは技術的また社会的観点から見ましても極めて特殊なものでございますので、住民の安全、安心のために原子力災害対策特別措置法を早急に制定すべきであるというふうに考えておる次第でございます。
ただ、総括的に見ますと、今回のことにつきましては本当に私どもは、先ほど言いましたように一定の評価もさせていただいております。
次に、原子炉規制法の一部改正ということで、もうすぐ終わりますので、よろしくお願いします。
今回の規制法でありますけれども、これはやはりジェー・シー・オーの事故のみを想定した改正案であるというふうに言わざるを得ません。やはり原子力発電所というのは、先ほど言いましたように、いろんな関連でいろんなイメージを与えるところでございますし、私ども原子力を立地しておる二十七の地域がございますけれども、それぞれ悩み、また当然安全にやってほしいということはこれはもう地域住民すべての願いでございますので、今回の規制法につきましても、やはり私ども原子力発電所というものも認識に持っていただいていろいろと改正をお願いしたいというふうに思っております。
また、今回の行政改革によりまして原子力安全委員会が内閣府に移行いたしまして、省庁との区切りを一層明確にしていただいているということは一定の評価もしたいというふうに思っておる次第でございます。
なお、将来的な目標といたしましては、私ども全原協は創立三十周年を昨年迎えましたけれども、やはり国民の視点に立って安全性を厳しく監視する国民の代理人といいますか、そのような組織をつくりまして国の安全規制部門の抜本的な改革を断行していただいて、もって国民合意の形成を図っていただきたい、このようにも思っておる次第でございます。
最後に、地域振興につきましては、当然私どもの地域も発電所と共存共栄をしたいという思いはいっぱいでございます。しかし、いろんな法的な関係等々で、発電所を持ちながらも非常に苦しい地域が実はたくさんございます。そういうことも配慮をいただきながら、地域振興につきましても今後ともいろいろとお力をいただければ幸いでございます。
最後になりましたけれども、本当にこのようないい機会をお与えいただきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。
ちょっと時間をオーバーしましたので、これで失礼申し上げます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/5
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006・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) どうもありがとうございました。
次に、前田参考人にお願いいたします。前田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/6
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007・前田肇
○参考人(前田肇君) 前田でございます。
私は、関西電力で原子力・火力本部長を務めておりますとともに、電力会社のあれであります電気事業連合会の原子力開発対策会議の委員長を務めております。本日は電気事業者の立場として意見を述べさせていただきます。
お手元に簡単なレジュメをお配りしてございますので、適宜御参照いただきたいと思います。
私ども電気事業者は、現在五十一基、四千五百万キロワットの原子力発電を行っております。過去三十年、もうそろそろ三十年になりますが、外部に放射能被害を及ぼすような事故を起こすことなく安全に運転してまいっておる、このように考えております。
そのような中で今回のジェー・シー・オーのウラン加工施設の事故が起こったわけでございまして、原子力発電所など電気事業者の設備で発生したものではございませんが、我が国で初めて一般の人が原子力施設の事故によって放射線を被曝したということ、また住民の方の避難や屋内退避が強いられたといった事故でございまして、同じ原子力に携わる電気事業者としても大変大きな衝撃を受けるとともに、極めて重大な事態だというふうに受けとめております。
何よりも大きな問題なのは、事故が技術的に予見できなかった、技術的に未知の分野であったというようなことではなく、またうっかりミスといったような原因でもなかった、むしろ組織立って違法なマニュアルを作成し、さらにそれすら守られていなかった、こういう安全意識の欠如が原因であったということが最も大きな問題である、このように考えております。
また、これまで原子力発電所等の安全運転を地道に積み重ねてまいりまして、営々として培ってまいりました地元や周辺住民の皆さん方との信頼関係、こういったものも損ないかねないものであるということで非常に残念に思っておるところでございます。
とはいいましても、原子力は、資源小国である我が国にとっては、エネルギーセキュリティーの観点からも、あるいは環境保全という観点からも将来にわたって電源として非常に重要な役割を担うものだと確信しております。したがいまして、今回の事故を契機として、原子力全体にかかわる規制の見直しやあるいは原子力災害対策の仕組みを一刻も早く整備していくということが、国民の皆様の原子力に対する信頼を回復し、今後とも原子力利用を推進していく上で必須である、このように考えておりまして、その意味で今国会におきましてこの関連の二法案の審議が迅速に進められているということに感謝をいたしております。
さて、今回の事故に対します電気事業者の対応でございますが、まず発生直後は、事故の事態収拾に向けまして、事故発生の翌日以降、自主的に各電力会社から協力を行っております。具体的には、放射線測定や汚染チェック等の要員を最大時で約六百七十人、延べにして約三千人を東海村へ派遣いたしました。また、最大時ではモニタリングカー十一台、サーベイメーター二百四十台を提供したほか、フィルムバッジなども提供してまいりました。
また、十月四日から十四日にかけて、通産省の御指示によりまして、我々の原子力発電所のマニュアル、手順書につきまして、保安規定に基づいて適切に作成、遵守しているということを再度徹底的に確認いたしました。そして、その確認結果を現地調査によって通産省に改めて確認をいただいております。
次に、今後の継続的な取り組みといたしましては、原子力の安全確保は各事業者がそれぞれに自己責任を全うしていかなければならないということは言うまでもありませんが、今回の事故を教訓として原子力産業界全体の安全文化を共有し、さらにそれを向上させていくために、電気事業者のみならず、燃料加工メーカー、プラントメーカーあるいは研究機関、こういったものすべて、トータルで三十五機関が参加する新組織、これを我々はニュークリアセイフティーネットワークと名づけておりますが、これを十二月九日、明後日に設立することとしております。
この組織は、原子力事業者の安全確保と安全文化の普及を目指して、参加する会員間の相互評価、いわゆるピアレビューを実施する、あるいは原子力安全に関する情報交換あるいはヒューマンファクターに関する教育訓練の支援等、こういった活動を行っていくこととしております。こうした活動を通じて、原子力に携わる者同士がイコールパートナーの立場から安全について情報を交換し、あるいは評価し合うことで原子力産業界全体の安全レベルの向上を図っていきたいと考えております。
次に、今回の法律の制定及び改正に対する電気事業者の対応について述べさせていただきます。
まず、原子力発電所は、多重防護の思想に基づき何重もの安全対策を施した設計を採用しておりまして、厳重な品質管理体制のもとで建設しております。また、運転開始以降につきましても、ほぼ一年ごとに定期点検を行うほか、保安規定に基づいて厳正な安全管理を実施し、従業員に対しても計画的な教育訓練等により技術的能力や安全意識の維持向上を図っております。
一方、安全規制といたしましては、設計段階では行政庁と原子力安全委員会のダブルチェックが行われており、また建設、運転段階では行政庁により使用前検査や定期検査、保安規定遵守状況の確認といったようなことが行われ、行政庁の実施するこういった安全規制の状況につきましては原子力安全委員会に適切に報告されていると認識しております。こういった仕組みが有効に機能し、日本の原子力発電所は非常に高い安全レベルを維持しているものと考えております。
そこで、今回の原子炉等規制法の改正に伴って加工事業者に対して発電所と同様に定期検査が追加されるということになります。また、全原子力事業者に対して保安規定遵守状況に係る検査などが新設されることになります。これにより、原子力全体に対してバランスのとれた安全規制が充実強化されるものと考えております。
このように、事業者の自主保安と国の安全規制により原子力全体の安全レベルが向上されるものと考えておりますが、万々一の原子力災害が発生した場合のことを考えますと、やはり周辺住民の皆様のみならず多くの方々に多大の御迷惑、御心配をおかけすることになります。このため電気事業者といたしましても、防災対策の充実に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
今回の原子力災害対策特別措置法の制定に伴ってオフサイトセンターの整備や防災専門官の設置等が行われ、原子力災害対策の実効性の向上が図られるものと考えております。我々電気事業者といたしましても、今後とも事業者の基本的責務である安全確保、事故防止に努めることはもちろんでございますが、法律案の精神にのっとって、防災業務計画の作成、防災管理者の設置、防災組織の整備等に取り組むとともに、国と自治体の実施する防災訓練に積極的に参加していきたいと考えております。電気事業者としては、防災対策の実効性をさらに高めるため、今後消防や医療機関等との連携も深めていく必要があると考えており、行政側の御支援をお願いしたいと考えております。
以上述べましたように、今回の法律の制定及び改正は、原子力の安全性の向上及び国民の原子力に対する安心感の醸成に大きく寄与するものと我々も期待しております。その上で、二、三の点につきまして要望を申し上げたいと思います。
まず、緊急時の通報や総理大臣が本部長となる国の災害対策本部を設置する基準は、これは政省令で定められることになると思いますが、現場が迷うことのないよう、わかりやすいものにしていただきたいということとともに、事後の風評被害が拡大しないように適切な措置を講じていただきたいと思います。
また、原子力事業には、電気事業者、再処理事業者あるいは燃料加工メーカーといろいろな事業分野があり、それぞれの事業分野ごとに施設の構造や内包する放射性物質の量、採用されている技術等が異なっており、例えば事故の影響範囲だとかあるいは整備すべき資機材等の詳細につきましても、事業分野ごとの特性に応じて今後検討していただきたいと考えております。
さらに、安全確保改善提案制度につきましては、悪意による虚偽の申告等により原子力事業者に不利益が生じないよう、適切な運用を要望いたしたいと思います。
最後に、原子力安全の確保は、設計、建設、運転の各段階を通じて厳正な安全規制と事業者における高い安全文化が相まって達成されるものであります。今回の法律の制定及び改正に当たっては、加工事業者等とも積極的に情報交換を行い、相互に協力して対応してまいりたいと思っております。電気事業者としては、国を初めとする関係当局の御指導を得ながら、原子力に対する国民の皆様の信頼を回復できるよう、最大限の努力をしていく所存でございます。
以上で私の意見陳述を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/7
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008・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) どうもありがとうございました。
次に、秋元参考人にお願いいたします。秋元参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/8
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009・秋元勇巳
○参考人(秋元勇巳君) 御紹介いただきました三菱マテリアル社長の秋元でございます。
私は、当社の子会社でウラン燃料加工業を営みます三菱原子燃料株式会社の社長をも務めさせていただいておりますので、本日は主にウラン燃料加工という立場から意見を申し述べさせていただきたいというふうに思っております。
私、日本の場合、エネルギー資源が非常に乏しい国でございますので、原子力政策の基本でございますが、やはりナショナルセキュリティーというものが非常に大事だろうというふうに思っております。そういう観点からいたしまして、原子力のサイクルの各段階につきましても、極力国内の資本、国内の技術で賄うということが国策の中心になっているというふうに思います。
その一環といたしまして、ウラン燃料加工につきましても、昭和四十年代でございますけれども、そのころの中葉に各加工会社が設立をされました。初めのうちは海外技術に依存する部分もかなり多かったのでございますけれども、それ以来、安全確保に最大の留意を払いながら技術の研さんに励みまして、非常に短い期間の間に世界で最もすぐれたウラン燃料を供給できるようになったというふうに自負をしているわけでございます。
私どもいつも燃料の社員にも言うことなのでありますけれども、この電気の少なくとも一〇%は我々のつくった燃料が支えているんだよということを社員によく言うのでありますけれども、そういう誇りといいますか、ここ二十数年来、核燃料加工に携わる者といたしまして、燃料加工技術、それから安全対策に自信と誇りを持ってやってきたわけでございます。そのやさきの今回のジェー・シー・オーの事故でございまして、我々は一様に同じ事業に携わる者といたしまして大きなショックを受けました。まことに残念でございますし、かつ重大なこととして受けとめております。
特に、今回の事故の場合、従業員に重度の被曝者を出しました。近隣一般の住民の方々への避難の要請あるいは屋内退避の要請というのが行われるなど前例のない大事故でございまして、国内の多くの方々に原子力に対する不信感を招いたのではないかというふうに思っておりますし、世界じゅうの人々に衝撃を与えまして、原子力のみならず日本の産業とか文化とか、そういったものに対する不信感さえ醸成したのではないかという点でもまことに不幸であり、残念な事故であったというふうに思っております。
私ども、改めて資源に乏しい我が国の核燃料サイクルの一環を担うという重大な使命を担っていること、及び一歩誤りますと大きな事故につながる事業を営んでいるということを再認識いたしまして、今後このような事故を再び起こすことが絶対にないように、従来にも増してさらに安全第一の運転管理に努めるべく重大な決意をいたしているところであります。そして、事故直後から実際に具体的な対応をしてまいっております。
そこで、第一に、事故直後にウラン燃料の加工業各社がどのような安全対策をとったかということから御説明を申し上げたいというふうに思います。
まず、事故後に直ちに各社はそれぞれの社内に緊急対策本部を設置して対応に当たりました。そして、各工程を詳細に再チェックいたしまして、臨界管理方式を含む管理状況を確認いたしました。従業員に対する臨時教育をさらに徹底実施いたしました。さらに、加工事業の許可申請書、設計工事認可申請書や、これらの許認可の条件などを再チェックいたしまして、特にマニュアルを含む保安規定の遵守状況が本当にそのとおりになっているかということについて確認をしたわけでございます。
その過程で、実は十月四日からジェー・シー・オー以外の加工施設に対して科学技術庁からの立入検査がございました。その結果、第一報が十月十二日付で発表になっておりますけれども、その内容は、臨界管理を中心として施設・設備、作業・運転管理方法、教育訓練の観点から総点検を実施した結果、いずれも基本的な安全性の確認はなされているということでございました。
第二に、今度はウラン燃料加工業界共通の問題といたしまして、この加工業界は社団法人の新金属協会に所属しておりまして、その中で核燃料加工部会というものをつくっております。そこに臨界事故対応対策会議というのを設置いたしました。そこで鋭意再発防止策の検討を進めているところでございますが、基本的には設備面での安全強化、組織を含む安全管理の強化、安全教育の徹底、不測の事故時の共同対応など、すき間すき間に水のしみ通るような注意力を持って幅広い検討をしているところでございます。
第三に、先ほど前田参考人からもお話がございました電気事業連合会が中心になられまして原子力業界全体として日本版のWANOといいますか、ニュークリアセイフティーネットワークをつくろうという呼びかけをしておられます。加工業界といたしましても積極的に参加したいということで、私も発起人の一人に加えさせていただいているわけでございますが、今回の事故はやはり世間では燃料加工とその他の原子力事業を一体として見ているわけでありまして、原子力業界全体としての安全文化の構築、信頼の回復というのが非常に重要でありまして、NSネットの設立はその意味でも全く意義深いものであるというふうに考えているわけでございます。
それとともに、私ども燃料加工業界といたしましては、世界の核燃料加工業界で共通な安全文化を確立する必要があろうというふうに思っておりまして、加工業界版のWANOといいますか、世界の核燃料加工業界の安全に関するネットワークを新たに構築しようということで検討を開始しております。
加工業の安全というのは、究極のところ加工業自体で考えて解決せざるを得ない面が非常に多いわけであります。同時に、この問題を一つの国の中で完結させることなく、世界に開いた世界共通レベルでの安全文化を築く必要があるというふうに結論づけることができるかと思います。安全に国境はないというふうに思っております。世界じゅうの加工業者が安全向上のために連携して取り組むことが望まれるのであります。
国民の間に思わぬ不信を招きました加工業界の信頼回復の有力な手段の一つは、少なくとも日本の加工業の安全対策、技術が世界レベルと同等あるいはそれ以上のものであるということを情報公開などを通じて客観的にかつ積極的に示していくことが必要であろうというふうに思っているわけでございます。その具体化のために、実は昨日でございますけれども、海外からの主要な核燃料加工業者の代表をお招きいたしまして、フランスやアメリカからもわざわざお越しをいただいたわけでありますが、そういう横のネットワークといいますか、をこれから構築していこうというようなことで東京で準備会合を持ったところでございます。
そういうことで、我々加工事業者みずからが安全性改善のイニシアチブをとらなければいけないという決意のもとで、具体的な行動を起こしているところでございます。
最後に、今回の原子炉等規制法の改正、原子力災害対策特別措置法の制定に関しまして、一言御要請を申し上げたいというふうに思います。
その前に、まず今回の事故の特色を振り返ってみたいと思うのでありますが、まず第一に、今回の事故は、我々が通常行っております実用の商業炉のための五%未満の低濃縮ウラン燃料を供給するようないわゆるルーチンワークといいますか、そういう作業の中で発生したものではございません。高速実験炉でございます「常陽」炉の燃料製造のために必要となる濃縮度一八・八%という、いわゆる中濃縮ウランの原料をジェー・シー・オーさんがバッチ受注で受けられて加工をするという、いわば臨時的な作業の中で発生したということでございます。
第二に、今回の事故の原因究明は現在鋭意なされているところでございますし、軽々に結論づけることはできないと思いますし、また、同業者にむち打つようなことは余り言いたくないのでありますけれども、明らかに今回の事故については弁明の余地はないと考えております。
結局のところ、この事故は形状制限あるいは質量制限、さらにはマニュアルというような形で、いろいろな形で厳格に管理されているはずの多重防護のメカニズムが無視されまして、人為的にそういうメカニズムが一つ一つはぎ取られた、そういう結果起きたものでございます。いかに安全技術の粋を尽くした施設でも、設計の基本思想が無視されれば事故は免れないわけでございます。
こういった状況の中での事故は、規制の強化だけでは防ぎ切れるものではないと思っております。むしろ、当事者に合意されないような一方的な規制の強化というのがもし起こるということになりますと、それはそれを遵守しようとするような意欲をそぐことにもなりかねませんし、あるいは過重な規制は、十分安全だったら、じゃここまでやりゃいいんだろうというようなことで、いわば規制任せになってしまうというような不当な安心感を与えるというようなこともありまして、かえってモラルを低下させるおそれすらあるというふうに思います。今回の事故は千載の痛恨事ではございましたけれども、これに余りの過剰反応を示して過剰な規制でこたえるということは、逆に原子力全体に対する国民の不信を増長することにもなりかねないというふうに思います。
それでは、再発防止は一体どうしてやるべきなのかということでありますが、その要諦は、結局のところ、必要なフェールセーフの機能の中で安全文化の維持向上に向けての当事者の不断の熱意こそが求められるところであって、加工業者が自己努力によって、モラル向上をも含めた自主保安体制の確立による安全性の向上に取り組むほかにないなというふうに思っているわけでございます。
我々は、現在我々が採用しておりますウラン燃料加工工程は、取り扱う核分裂物質の濃度、濃縮度、質量を厳格に管理をいたしまして、さらに中性子による連鎖反応を抑制するために減速度管理あるいは形状寸法管理というようなものをきめ細かく行っているわけでありまして、これらを基本にして設備や作業手順を厳重に組み込まれた多重防護システムで臨界は起こり得ないというふうに確信をしているわけでございますけれども、なお、ウラン燃料加工業界としての自主保安体制の確立を改めて決意をいたしまして、その決意を鮮明に国民各位にも表明しまして、そのこととこれからの監督官庁の検査の強化によりますチェックとの相乗効果をもちまして実行の担保としたいというふうに考えております。
現在国会で御審議中の原子炉等規制法の改正、原子力災害対策特別措置法の制定内容につきましては、私どもといたしましても十分理解をいたしまして、適切に対応していきたいというふうに考えているわけでございますけれども、まだ具体的内容としての政令、省令等の内容は伺っておりませんので、その段階で我々としても意見を十分言わせていただきたい。その意見もお聞きいただいた上で合理的な範囲で規制内容を決定していただけますように御要望を申し上げたいというふうに思っているわけでございます。
以上、いろいろ申し上げましたけれども、信頼回復の道は、正直言ってまことに厳しいものがあろうと考えております。結局のところ、目に見える形での努力を積み重ね、実績を積み重ね、それによって信頼を回復していく以外に道はないと思っております。
我々は今回の事故を未曾有の重大問題として受けとめまして、並々ならぬ決意で事に当たっておりますことを御理解いただきまして、我々核燃料加工業が安全第一のもとで健全な発展を遂げられますように、よろしく御指導、御協力、御支援のほどをお願い申し上げます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/9
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010・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) どうもありがとうございました。
次に、中島参考人にお願いいたします。中島参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/10
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011・中島篤之助
○参考人(中島篤之助君) 御紹介いただきました中島でございます。
それでは、座って御説明させていただきます。
最初に、お手元に二つの資料を配付させていただきました。
一つは、もう皆様よく御存じの資料でございますが、これはきょう、原本はINSAGレポートというものであります。これはIAEAのセーフティーシリーズのナンバー75、INSAG3というものでありまして、原子力発電所のベーシック・セーフティー・プリンシプルと題するものの最後のページのものでありまして、その図をお手元に配付してございます。
これを配付した理由は、先ほど前田参考人もおっしゃいましたが、現在の原子力発電所というのは多重防護の思想で設計、建設がされている。その多重防護というものの実は一番最後の外側の段階のところでオフサイト・エマージェンシー・レスポンスというのがありまして、そのことを指摘したかったのであります。つまり、日本では防災対策と申しますが、正確に言えば緊急時の対応というのは、本当は許認可のときに、その許認可の条件としてなければならないということを申し上げたかったのであります。日本では実はそうなっておりません。これはアメリカでは明確にそうなっておりまして、緊急時計画が出されて初めて建設、運転が許可されるというふうになっておりまして、今度の防災対策法で私はそういう方向に進むことを期待したい。
このセーフティーシリーズというのは、これは全部で二百九十六条、一々原子力発電所というのはこういうふうにしなきゃいけない。口の悪い私の友人は、これは世界的な原子力の教育勅語だということを言った人がおります。私は教育勅語というのは余りありがたくありませんが、とにかく拳々服膺しなきゃいけないものであるというふうにして、条文、箇条書きで書いてあるわけです。そういうものであるということをちょっと申し上げておきます。
それから次に、もう一つ配付いたしましたのは、JAERIの、JAERIというのは、原研の半公開資料でありますが、そのもとになったものは、スリーマイルアイランドの事故に関する大統領委員会、皆さんも御存じのケメニー委員会というのがございました。これがその日本語の訳でありますが、スリーマイル島(TMI)原発事故報告というものであります。このケメニーさんというのはハンガリー生まれの数学者でありまして、ダートマス大学の学長をしておられた方であります。この方が大統領の直接の指名で委員長を務められまして、非常に格調の高い報告書をつくったというのは皆さんもよく御存じだと思いますが、それだけではありませんで、そのケメニー委員会の報告が出されて十年たったものを本当にそのとおり実行しているかどうかということを今度はやったものがきょうお配りしているものでありまして、このJAERIメモはこういうものでありますが、これはまだ、もうなくなったかもしれませんが、原研の情報部に請求されれば手に入れることができるかと思います。
その中のFという項目が「緊急時計画の作成及び対応の改善についての勧告」というものでありまして、ここでは、例えば大統領委員会はどういうことを言ったか、それを十年かかって、例えばNRCや何かがちゃんとどう実行したか、どういうふうに改善されたかということが書いてあります。非常に細かいことにわたって書いてございます。これを全部御説明している時間は到底ありませんので後で御研究いただければ幸いでありますが、こういう点から比べますと、日本の防災といいますか緊急時計画に対する対応は決して十分ではなかったと私は言えるのではないかと思います。
さて、今回のジェー・シー・オー事故というのは、きょうここで御審議の対象になっております二つの法律の提案理由にもジェー・シー・オー事故のことが書かれております。これについては、私も原子力関係に関係しておりました科学者の一人として大変残念に思っておりますのは、外国のいろいろな論評を読んでおりますと、日本というのはこんなに技術レベルが低かったのか、こんなにモラルが低下していたのかというようなのが散見されるわけです。イギリスのネーチャーもそうでありますし、そのほかインディペンデントでしたか、そういう雑誌でもそういう論評が出てきている。これは我が国の原子力関係者が本当に重大と受けとめて改善をしなければいけない問題だろうと思います。
その意味におきまして、私はこのケメニー委員会の報告が示しておりますように、事故調査が徹底して行われなければいけないのではないかと。ところが、率直に申し上げまして、現在の事故調査は安全委員会のもとに事故調査委員会がつくられております。委員長は吉川先生でありますが、事務局は科学技術庁がやる。これは私はもうはっきり間違いであると申し上げたいと思います。なぜならば、NRC、つまり非常に強大な組織を持った、充実した組織を持ったNRCがケメニー委員会の調査の対象になっております。それで、その改善も勧告されているということになるわけですが、私は、安全委員会が自分でやる調査では自分の座っているいすを持ち上げることはできない、自己改革というのは非常に難しいんだという言葉がありますが、そうなってしまっているということが非常に問題ではないか。
ですから、ケメニー委員会は大統領直属でやったわけですけれども、日本でも先例がないわけではないのでありまして、これは原子力船「むつ」の事故のときのことを覚えている方がいらっしゃると思いますが、このときには三木総理大臣の私的諮問機関という形でありましたけれども、原子力行政懇談会というのがつくられました。有沢広巳先生が座長をやられまして、一年にわたって各方面の委員をお集めになって議論をされて、それが今日の実は原子力安全委員会、つまり原子力委員会から原子力安全委員会を独立させるもとになった行政改革が行われたわけであります。
私は、ことし出ました、というのは、原子力安全委員会がちょうど昨年で二十周年になるというわけで、安全白書が毎年出されておりますが、そこに原子力安全委員会の事務局から何か書いてくれというので拙文を寄稿いたしました。その中で書いたことは、もう二十年たって見直しをやっぱりすべき時期に来ている。ジェー・シー・オーが起きる前に私はそういうことを書いたわけですけれども、ジェー・シー・オーの事故が起きましてまさにそう思っております。
私が申し上げたいのは、このときにいわゆるダブルチェックということが行われるようになりました。つまり、行政庁による一次審査を安全委員会がダブルチェックしてやっているから非常に厳重な安全管理なんだと言うわけですけれども、本当にそうなんだろうか。私ははっきり言って、それは形骸化して安全委員会の能力を過剰に浪費しているような感じだったのではないか。それで、原子力発電所の方の基準は非常によく整備されていてしっかりしているのに、今度のジェー・シー・オーの事故のようにほかの分野との安全の管理のレベルが斉一でない、ばらばらだったんじゃないか、こちらは非常にラフ、ラフと言うと語弊がありますが、抜けている点があったんじゃないかと。そういう点は改正しなきゃいけない。
ですから、今度の結果、一言で言えば科学技術庁や安全委員会というのが本当に原子力行政の管理能力、安全能力というのがあったのだろうかということが疑問として出されていて、私はこれは否定できない。そのことをやはりみずからチェックできるようなことにしなければ私は立ち直れないのではないかと思います。
今からでも遅くありませんから、日本には大統領というのがありませんから首相だと思うんですけれども、首相は事故対策本部を組閣が終わるとさっさと解散されてしまったのは私は間違いだったんじゃないかと。やはり、事故調査委員会を再組織なさって、科学技術庁や安全委員会の責任、安全委員会も非常に努力されたと思いますが不十分だったわけでありますから、その点検がきちっとできるような調査委員会をつくる必要があるというふうに考えます。
それから次の問題でありますが、防災ということ、これは緊急時対応ということでありますが、これは一種の戦い、戦争のようなものでありまして、古い言葉で、敵を知りおのれを知れば百戦危うからず、孫子の兵法にあるわけです。つまり、敵を知るというのはどういうことかというと、どういう事故が想定できるかということをきちんと研究しなければいけないということになるわけです。
ですから、各原子力施設ごとに、原子力発電所あるいは今回のような加工施設等々について具体的な緊急時計画のシナリオを想定して、防災ということは、起こっては困ることでありますけれども、起こったときにその影響を緩和するというのがその目的であります。ですから、起こり得るものと考えて、その影響を軽減するというのが防災の基本でありますから、これはケメニー委員会の先ほどの資料の中にも繰り返し述べられておりますけれども、単一のシナリオではいけないんだ、幾つものシナリオを考えて、これは原子力施設の立地されている施設の地域あるいはその他の自然条件等によっても変わるんだということを考えてやっていかなければいけない。
ですから、アメリカの場合ですと、日本とシステムが違いますから一概に比較はできませんけれども、例えば住民が避難できないようなところに原子力発電所をつくってしまった、そして電力会社は建設が終わりましたと言うんですけれども、運転許可がおりない。その理由は、岬の先の方にいる住民の退避が不可能だということで、何年たっても運転ができなくて、ついに放棄した。結局その州に一ドルで売ったという話でありますが、一ドルで売ったということは放棄したということと同じですけれども、そういうような厳しい例もあったということでありまして、私は法律のつくりっ放しだけではだめであるということが重要な問題であろうと思います。
日本の法律は特にそうでありますが、法律だけを見ましても私どものような科学者には非常にわかりにくい。大変そう悪いことが書いてあるわけじゃないと思うんですけれども、具体的なことは省令であるとか規則であるとか、そういうところで決まってくるわけであります。ですから、その規則をだれがつくるのかということが非常に問題でありまして、ケメニー委員会の後の報告では、アメリカでは連邦緊急管理庁というお役所があるようでありまして、それと地方自治体が協議をしていろいろなシナリオを作成する、つまり地方自治体が受け入れられるようなものをつくる、それを国が援助するというふうにならないと実際の実行は行われないのではないか。
それからもう一つは、責任機関の問題でありますけれども、米国の責任機関はケメニー委員会の報告の後でもNRCが防災についても責任を持つということが決められております。我が国ではこの辺が非常にあいまいでありまして、推進と規制の分離が明確になっておりません。
ということは、今度安全委員会を内閣府に昇格させるというのは、よく言えば昇格するんですけれども、下手をすれば、悪い言葉を使いますと、昔お公家さんがよくやった位打ちというシステムがありまして、偉くして実権をなくす。例えば木曾義仲を偉くして失脚させるというようなことがありました。私は、そうなるとは言いませんが、どうも内閣府に入るなんというのは余り歓迎すべきことではないんじゃないだろうか。本当に安全委員会がNRCのように責任機関になるためには許認可権限を安全委員会に集中しなければ私はいけないと思います。そういう大改正が必要なのではないか。ところが、それは現在の調査委員会の報告からはどうも出てきそうもないということであろうと思います。
それから、だんだん時間になってまいりましたから一言申しますと、今回の事故で非常に深刻な被害を受けた、つまり半数致死線量を超えた被害者が二人出ておりますね。大内さんという方は十八シーベルトといいますか、要するに六グレイが半数致死線量だと言われておりますから、それをはるかに超えている。辛うじて先端医療でもって存命をされているという状況でございますし、もう一人の方もバウンダリーにある。もう一人の方は私は回復するのではないかと個人的には思っておりますが、そういう深刻な事故が発生いたしました。
被曝医療対策が非常に重要であります。我が国では医療というのは厚生省の管轄だということになるんだと思います、私は詳しくはありませんが。今度の場合も、最初に水戸の国立病院に連れていって、とても準備がないということで千葉の放医研に送られ、それからさらに東大病院に移るというような経過をたどっておるところを見ましても、今後の防災対策においてこの医療の体制を整えていくということが非常に重要であります。
それから、東海村はある意味では特殊な地域でありまして、旧動燃、核燃料サイクル開発機構があり、原研があります。ですから、そういうところのホール・ボディー・カウンターを使って住民の後の被曝管理ができました、被曝測定が可能でありましたけれども、これは全国すべてそういうことが可能というわけにはいきません。これから、そのホール・ボディー・カウンターが本当にチェックされているかどうか、配備されているとしてもこれは動かしていないとすぐもう使えなくなってしまいますから、絶えず維持管理をしなきゃいけない。また、そういうことができる人員を配置しなきゃいけない。そういう具体的な問題をきちんとやっていただかないと国民の信頼を回復することは非常に難しいのではないかというふうに私は考えております。
時間が参りましたので、私の陳述はこれで終わりますが、いろいろ御質問いただければお答えをいたしたいと思っております。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/11
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012・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) どうもありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/12
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013・加納時男
○加納時男君 自由民主党の加納時男でございます。
本日は、河瀬市長さん、そして前田委員長さん、秋元社長さん、中島先生、四人の参考人の方から大変貴重なお時間を割いていただきまして、有益なお話をいただき、ありがとうございました。
きょうは、今お話しになられたことに沿いまして極力質問させていただきたいと思います。私も、この仕事に入る前に参考人で呼ばれたことがあるんですけれども、せっかく説明したのにそれと関係ないことだけ聞かれてがっかりしたことがありますので、きょうはなるべくお話しされたことに触れて伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず第一なんですけれども、まず河瀬市長に伺いたいと思うんです。
原子力災害対策特別措置法は、かねて市長さんが全原協の会長さんとしても主張されていたことの一つの実現かなとも私ども思っているわけでございます。と申しますのは、つとに市長さんから私ども御注意を受けてきたのは、災害対策基本法の枠組みというのはあくまでも自然災害を頭に置いていて、ならばこそ市町村長が第一線の責任を負う、これはわかる。だけれども原子力については、安全規制についても市長は直接関知できないんだ、専門知識も非常に大事だ、そういうものがないままに原子力災害についても同じように第一線の責任を負わされてはちょっと果たせないよと、これ根本から考えなさいということを、私この世界に入ってからも市長さんから強く言われました。
これを受けまして、別に自民党の宣伝をするわけじゃないんですが、我が党としては原子力防災対策プロジェクトチームをつくりまして、私も副主査として参加させていただき、全原協さんの御意見も十分伺った上で、例えばオフサイトセンターの設置であるとか、それから国が初期段階から関与してしっかりと情報連絡あるいは助言をすること、あるいはレスキュー機能を強化していくこととか、防災資機材を充実することとか、来年度の予算を目指して予算からまずスタートし、これはこういう実績を積みながらなるべく早い機会に防災の特別措置法をつくろうと、ここまで答申し、新聞にも載ったわけでございますが、それをやっている最中に残念ながらジェー・シー・オーの事故が起きてしまった。けれども、これらの考え方があったから、今回災害対策特別措置法は非常に短時間でもできたのかなとも思っているわけでございます。
また今回、一部ではございましたけれども、オフサイトセンターとまではいけなかったかもしれません、私も事故後すぐそこのセンターへ入りましたけれども、関係者が一堂に会するということの萌芽状態はできたかと思います。
まだまだ不十分だったとは思うんですが、このオフサイトセンターについて市長さんはどういうことを具体的に、先ほどのお話につけ加えて御要望がございましたら教えていただきたい。あるいは今回のオフサイトセンター的なものは、試験実施ではございましたが東海村に、原研さんの中につくらせてもらったんですが、これをごらんになって市長さんとして、こういうことを工夫したらいいよとか、御感想あるいは評価するとか、もしございましたら、それも含めて一言いただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/13
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014・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) 加納先生には本当に私ども全原協の御意見をいつも聞いていただきまして、今回の特に法律にもいろいろと反映をしていただいております。心から感謝申し上げる次第であります。
今御指摘いただきましたオフサイトセンターでありますが、私ども、先ほどお話ししましたように、嶺南地域には十五基の原子力発電所が集中立地をいたしておりまして、原子力発電所の銀座だというふうに言われておるところでもございます。そういう中で今回の法律の制定の動きがございまして、本当にこれまた重ねてでありますけれども、感謝を申し上げております。そういう中で、オフサイトセンターをつくってそこが防災の一つの拠点になるということで大変喜んでおりますし、その具体的な運用等々につきましては実はまだ細かい詰めまでは聞いていないところもございます。
ただ、お話を聞きますと、当初福井県内の方では二カ所ぐらいをというお話を聞いておったんですが、御承知のように十五基の発電所がございますし、自治体では敦賀、美浜、大飯、高浜という形で発電所がございますから、それぞれ大体三基から五基の発電所が立地をいたしております。そういう観点で、今お話をお聞きしますと、四カ所各自治体にどうしても防災の拠点だから必要だということでお話も聞いていまして、これも大変実は感謝をいたしております。
先ほど言いましたように、具体的な運用等々につきまして、当然ここがそういういざというときの備えになる箇所だなという認識の中で、これから細かい詰めで、今の図式では総理大臣が本部長になっていただいて私どもの方にもいろんな命令系統でいただく、当然それまでに現地の首長としてやることは行うということでの図式がやはり機能的に動く施設として、細かい部分ができましたらまた私どもの要望をそういう中で通産の方なりに聞いていただく機会があればありがたいなと思っていますので、場所も今選定をしまして、こういう場所と、県の方にも上げてともかく今動いておりますが、細かい運用につきましては、また後ほどお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/14
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015・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。どうぞよろしくまたこれからも御指導をいただきたいと思っております。
河瀬参考人と関連して前田参考人に伺いたいと思うんですが、先ほど河瀬市長さんのお話の中で、初期対応が非常に大事だと。国の役割はもちろん非常に重要で、今回の法改正のポイントの一つも、国が一歩前へ出る、前面に出るということがうたわれているわけでありますが、先ほど河瀬市長さんはそれに加えてとおっしゃったと思いますが、原子力事業者の役割が不可欠だと。当然のことでございまして、現場のことを一番実は知っているわけでございますし、情報も一番早いわけです。
オフサイトセンターは国と県と市町村というのが構成することになっていますから、当然地元の警察とか消防、それから場合によっては自衛隊の方、いろんな方が入る。当然のことながら、原子力事業者が入っていなければ話にならないと思いますが、これに加えて、先ほど市長さんは原子力事業者の役割は非常に重要だとおっしゃったので、具体的に初期段階で特に情報の共有ですとか資機材の提供でありますとか対策ですとか、いろいろあると思うんですけれども、特に電気事業者に期待する役割といいますか、防災関係でございましたら、河瀬参考人から先にお伺いし、それに関連して前田参考人からコメントをいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/15
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016・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) もちろん事業者の皆さん方が一番最初に万が一のことがございますとその現場にいらっしゃいますし、私、そこで働いていらっしゃる皆さん方の危険がやはり当然少なくあるべきだという中で、現在でも恐らくそういう中ではしっかりとしたマニュアルを持たれながら万が一に備えていらっしゃるというふうに思っております。
そこで、オフサイトセンターとの関係でありますけれども、やはり国、県、市、私ども自治体と、そして事業者の皆さん方もその中に一緒に入っていただいて通報体制がまず速やかにいくようなこと、オフサイトの中にはテレビ会議といいますか、そういうシステムなんかで直接国との対談等々、そういう中にも、例えば発電所の中とオフサイトセンターがすぐつながる、また役所とすぐつながるというようなそういうシステムづくりもお願いして、当然、中に一緒になって防災に取り組んでいきたいというふうに思っていますので、今まで以上のひとつ御協力をお願いしたいというふうにこちらは希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/16
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017・前田肇
○参考人(前田肇君) 加納先生が今おっしゃいましたように、こういった非常災害のときには初期対応というのが非常に大事だろうと思っております。
それで、事業者といたしまして、異常事態の発生は一番最初に我々が把握するわけでございますから、常時使っておりますモニタリング、そういった機器を通じて、あるいは発電所の運転状況の把握を通じて異常事態の発生を確認すれば当然直ちに通報連絡する、これがまず一番最初に重要なことだろうと思っております。
それで、オフサイトセンターが設立されたときには我々事業者もこれに当然参加、参加といいますか、そこへ責任のある人を出しまして、一番重要な災害状況の把握、連絡、情報連絡、そういったことを我々の責務としてやっていく必要があろうかと思っております。
それから、それ以外に、我々の持っていますモニタリングポスト、各所に置いてありますモニタリングポストの示しております放射能のレベルだとか、あるいはそういったものの情報データ、あるいはサーベイメーターを持って各周辺地域の状況をサーベイするとか、場合によりましては避難のための誘導のお手伝いだとか、そういったようなことはこれから具体的にこの新法にのっとりまして防災業務計画をつくっていく中で地元の自治体と御相談しながら細部は詰めてまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/17
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018・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。
今、原子力事業者の、また電気事業者の協力というか、原子力発電をやっていらっしゃる方の協力というのは一般論としてあったわけです。
前田参考人に伺いたいと思うんですが、先ほどのお話の中で、今回のジェー・シー・オー事故について、電気事業者、これは現地の電気事業者は日本原電さんだと思うんですけれども、離れたところ、関西電力さんとか東電とか、ほかの電力会社からも大勢参画をして放射線の測定とか汚染チェック等に最大時六百七十人ですか、延べ三千人、サーベイメーター二百四十台、モニタリングカー十一台、フィルムバッジの提供というようなことは先ほどお話があったと思います。
こういう自主的に協力されたということで、これは私は非常に新しい芽といいますか、大きな、不幸な事故の中でも一つの芽だと思いますけれども、電気事業連合会の委員長として伺いたいんですが、今回のこういう協力をされたことは私は立派だと思うんですが、これを通じてどういう成果が上がり、ジェー・シー・オーに限定して結構ですが、どういう課題を感じられたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/18
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019・前田肇
○参考人(前田肇君) 電気事業者は、いろいろ台風等の自然災害の発生時にもお互いに相互に協力するということは従来からずっとやってきております。今回のように、原子力災害でこれだけ大規模な協力をしたというのは実を申しますと初めての経験かと思います。
今回、ジェー・シー・オーの事故が発生しまして、直ちに電気事業連合会としても各電力会社に協力を要請したわけでございまして、各社それぞれ社員それから協力会社の人たちも動員しまして、サーベイメーターを持ち、車を持ち、あるいは防護服等も持って現場へ参りました。例えば、関西電力の場合でもたしか六十数名が行ったかと思います。こういった対応は、自画自賛になるとあれでございますけれども、非常に迅速に対応できたのではなかろうか、こう思っております。テレビ等でもいろんな遠方の電力会社のヘルメットをかぶった人が住民の方々の汚染をサーベイメーターでチェックしているというようなところが映ったりしておりまして、そういう意味では我々としても十分協力できたのではなかろうかと思っております。
今後の課題というお話でございましたが、当面、万一のこういったことが起こったときには今回と同じようにこういった協力体制をきちんとやっていく必要がございますし、そのやり方につきましても、今回は本当に緊急対応したわけですけれども、電気事業連合会の方でもこういった事態に対応するような仕組み等も検討する必要があろうかと思いますが、しかし根本的にはやはりこういった事故を起こさないようにするための事業者全体としての対応策が大事だろうと思っておりまして、これは先ほどちょっとお話しさせていただきましたけれども、業界全体でニュークリアセイフティーネットワークという組織をつくっていわゆる安全文化の向上ということに努力していきたい、こう思っているわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/19
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020・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。
今のお話に関連して質問させていただきたいと思います。
先ほど秋元参考人から非常に大事な御指摘があったと思います。今回まことに違法なけしからぬ事故は起こったけれども、その根底にあるものを幾つか分析されておられました。結論として、規制の強化、これは必要である、ただし規制をどこまでも強化していっても、過剰規制といいますか、作業員の後ろに全部一人ずつ役人がついて見る、これは漫画みたいな話でございます。そういうことは私は不可能だし、秋元参考人がおっしゃったとおり、むしろ過剰規制によって規制だけ守っていればいいんだというように上っ面だけ流れたら大変なことになります。大切なことは、モラルが喪失されてはいけない。安全文化といいますか、セーフティーカルチャーが根本になければいけない。そういう意味で、自主保安が何よりも大事だということは秋元参考人のお話で強く感じました。そのことが前田さんが今おっしゃった究極的には自主保安につながってくると思います。
そういう点で伺いたいと思いますが、まず前田参考人に伺いたいと思います。
今のお話の中で、ニュークリアセイフティーネットワークというお話が出ました。これはチェルノブイリであの起こってはならない大災害が現実に起こった後、マーシャル卿の提案で、世界の原子力発電事業者が上下の関係、上から下を見てチェックするというのではなくて、同じ目線で、同じ仕事をやっている仲間の目でフレンドリーに見て、チェックをしてアドバイスをしていこうという、これは非常に成功した話で、それをWANOというコンセプトを今回のジェー・シー・オーの事故にかんがみて、日本版WANOといいますか、原子力発電だけじゃなくて原子燃料の加工の会社も含め、原子燃料サイクル全体を通じてセーフティーネットワークの輪をつくっていこう。当然のことながら、そこでは仲間としてのチェック、ピアレビューというのが中心となると思うのでございますが、これについて今どこまで例えば日本版WANOは進んでいるのか。
それから、先ほど秋元さんのお話の中で、昨日、原子燃料加工をやっている会社の世界の会合があった、準備会があったということですけれども、例えばフランスのコジェマですとか、イギリスのBNFLですとか、アメリカのGEだとか、そういったところも参加しているのかどうか。そして、これはどんなふうに進んでいくのか。
あえて言わせていただくと、こういう動きと前田さんが言われた動きと私は同じ根っこだと思うんですけれども、全体としてどのような連携を持ちながら、原子燃料加工事業のセーフティーネットとそれからニュークリア全体のセーフティーネットが前へ行くのだろうか。現状とこれからのスケジュール、それから課題等について前田参考人、秋元参考人からお話をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/20
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021・前田肇
○参考人(前田肇君) 今、先生がおっしゃいましたように、チェルノブイリの事故の後、世界の原子力発電所を運転している事業者すべてが集まりましてWANOという世界的な組織をつくりました。これは、各国それぞれ国情は違い、安全文化のレベル、安全のレベルも違います。安全に対する取り組み方も違います。こういったものをお互いに情報を交換し、ただ単に情報を交換するだけではなくて、実務者が、発電所で実際に運転をしている者、保守している者同士がお互いに相手の発電所を訪問して、二週間、三週間、そこで相手のやっていることをよく見て議論をして、そして気がついたことをいい点悪い点忌憚なく指摘するというような形で、お互いのやり方、文化、我々はこれを総論的にセーフティーカルチャー、安全文化と言っていますけれども、そういった文化を交換してレベルを上げていこうということをやってきております。
実際、これをやり始めましてほぼ十年になるんですけれども、非常に成果が上がってきておりまして、世界じゅうの発電所の事故率だとか利用率も非常に向上してきております。
今回、我々がジェー・シー・オーの後、考えておりますニュークリアセイフティーネットワークはそれの日本版ということなんですけれども、WANOが原子力発電事業者だけでやっておるのに対しまして、今回は、広がりとしては日本の国内だけですけれども、参加するところは、原子力発電事業者だけではなくて、加工メーカーさんも再処理事業者さんも、あるいはサイクル機構とか原子力研究所とかいった研究機関も、あるいは核物質を運搬しています輸送事業者も、要するに原子力という名のつくものに携わる事業者が全部集まってお互いの経験を交換し合おう、お互いに研修、教育をやろう、こういったことであさって発足をするところでございます。
それで、そのピアレビューの具体的計画、内容ということは、それですので発足以降具体的に検討していくことになろうかと思いますが、やはりモデルといいますかお手本はWANOがお手本になろうかと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/21
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022・秋元勇巳
○参考人(秋元勇巳君) 加工版のWANOについての御質問でございますが、ジェー・シー・オーの事故が起こりまして、実は私どもの三菱原子燃料もジェー・シー・オーさんの割と近くに位置しておりますものですから、早速ガイガーカウンターを担いで駆けつけまして、その後の住民の皆様のチェックであるとかいろいろな形での手助け、できるだけやらせていただいたつもりであります。
ただ、そのときに感じましたことでございますが、やはり気がついてみますと、ジェー・シー・オーさんの近くにおりながら、ジェー・シー・オーさんの工場、それから我々の工場、お互いに余り人間が交流をしたことはございませんでした。
これは現実、今まで各核燃料事業、いろいろないわゆる国の何といいますか、工業権といいますか、いろいろな技術をベースにして進んでおりますものですから、なかなかおのおののプロプライアトリーといいますか、そういったことがありまして、そう気安くお互いに見せ合うというようなことがないというのは、これは大体化学工業一般のことなのでありますが、考えてみますと、確かに技術の面で設備そのものについての商業機密であるとか工業権というのはあるわけで、そこまで入り込んでいくというのはこれはなかなかできない問題があるかもしれないが、少なくとも安全という面ではもう少しお互いに血の通い合った流れというのがあってもよかったのではないかということを、私その後で非常に反省をいたしました。
そういう面で、今度の加工版のWANOといいますのは、やはりこの加工業にとっては共通のいろいろな安全上の問題がございます。
例えば、原子炉の場合には、核燃料はさやの中に入って原子炉の中におさめられるわけでありますけれども、加工業の場合には、最初は六弗化ウランというガスでやってまいりまして、それから溶液になり、粉になり、あるいはペレットになるというような形で、いろいろな形で変化をしてまいります。ただ、原子炉の場合には臨界状態を保ってエネルギーを出すというのが本来の原子炉の仕事でございますし、加工業の場合には臨界に絶対持っていかないというところで仕事をやっていくということで、そういう意味での加工業特有の問題点といいますのは、これは共通の安全上の問題点というのは幾つもあるわけであります。
こういった問題点についてお互いにやはり知識を交換し、お互いに啓発をしていくということが非常に必要なんじゃないかというふうに思いました。
事故が起こりましてから割と、一週間か二週間でございましたけれども、ヨーロッパに行く機会がございましたので行きまして、向こうのコジェマ、あるいはBNFLのテーラー社長と会談をいたしまして、私のこういうような考え方につきましてお話を申し上げましたところが、もう大変賛成であると。やはり原子力安全、共通の文化の問題についてお互いにそういうネットワークを持つということが非常に必要なんではないかというようなことでございました。
例えば今考えておりますのは、安全規制とか安全教育に関してはこれはもうすぐにでも情報交換ができるじゃないか。それから、事故や事象の解析もいろいろ一緒になってやることもできるであろうし、何らかのときのホットラインということもできるであろうし、相互訪問をしてそういう意味での文化を高めていくというようなこともできるじゃないかというような、そういうようなことをベースにしてディスカッションをしたわけでございます。
きのう集まっていただきましたのは、フランスのコジェマ、あるいはイギリスのBNFL、アメリカのGE、それからウェスチングハウス、そういうようなところの方にもおいでをいただきました。それから、日本からは加工業者がみんな集まりました。また原研、核燃料サイクル機構の方にも御出席をいただきまして、そういう問題についてディスカッションをさせていただいたところであります。
その上で、やはりそういう意味での加工、いわば今までの、前田参考人からもお話がありました、NSネットをたて糸といたしますと、そのよこ糸として今度国際的なネットワークというものを持っているということは非常に重要なことではないかというようなことになりました。
特に、コジェマあたりからお話がありましたのは、最近のインターネットを非常にコジェマは活用しておられます。ラアーグの近くにインターネットのいわばセンターをつくったと。それを中心にして非常にエクステンシブなネットワークをつくって、業界はもちろんであるけれども、一般の大衆の方にもそのネットワークをいろいろな形で公開して、今何が起こっているのか、今何をどういう形でやっているのかというようなことについて知っていただくというような、そういう動きも非常にやっておるんだというようなお話がございました。
それをひとつ、日本も含め、アメリカも含めていろいろなネットワークに組み上げていくということが一番手っ取り早い方法ではないかというようなことで、きのうの話では、まずインターネットをどこまでこういう意味でのネットワークで活用できるかというところから始めたらどうであろうか、そういうことを始めております。
ただ、アメリカあたりからのお話でいわゆる独占禁止法とかいろんな問題がございます。そんなことがありましてなかなか難しい問題もあるのでありますが、安全の問題に関してはこれはやはり共通の問題としてクリアしていけるのではないかというふうに思ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/22
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023・加納時男
○加納時男君 時間になりました。ありがとうございました。
中島先生、ごめんなさい。先生にお伺いしたかったのは、時間なので、また同僚議員から伺います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/23
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024・小宮山洋子
○小宮山洋子君 小宮山洋子でございます。民主党を代表して質問させていただきます。
四人の参考人の皆様にはそれぞれのお立場から御意見をありがとうございます。
河瀬参考人からももっと早く法律が制定されていればというお話がございましたが、民主党でもプロジェクトチームなどでずっと検討はしてまいりました。それで、今回の不幸な事故をもとにしてですけれども、このたびやっと法律が制定される運びになりましたので、きちんと実効性があって国民の信頼を回復できるような法律になるように今審議を進めているところでございます。
その信頼を回復するためには、やはり安全規制のあり方というのがきちんと実効性の上がるものになっているかどうかが一つの大きなポイントだと思います。
参考人のお話にもございましたが、今の原子力安全規制、いわゆるダブルチェック体制で、行政官庁としては通産省と科学技術庁、そして原子力安全委員会と。ダブルチェック体制をとっていると言われておりますが、参考人のお話にもありましたように、それがどうも形骸化していて、中途半端な存在になって、実効性が薄くなっているのではないかという危惧があると思います。
その推進と規制が同居しているというのが一番大きな点だと思うんですけれども、十分な安全規制が行われるためには、やはり推進する部分と規制とが別々にきちんと分離をされなければいけないのではないか、そのように考えますけれども、秋元参考人、中島参考人、そして全員の方にちょっとその点についてまず御意見を伺いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/24
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025・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) 特に、民主党の辻一彦先生、私どもの地元でございまして、いつも原子力防災につきましてはお世話になっております。ありがとうございます。
今の安全委員会のことでありますけれども、今までは本当に科学技術庁の中にございまして、同居しておったということで、私どもはひょっとするとそういうことが一つの原因で安全性の確保が少し薄かったかなというような認識も実はございまして、私どもも、先ほど触れましたけれども、安全性を厳しく監視するようなシステムをつくってほしいということでかねがねこれも要望をいたしております。
そういう中で、今回は内閣府に移行して、そして省庁との区切りを一層明確にするということも出ておりますので、一定の評価はさせていただきたいというふうに思っておりますが、将来的にはそういうような、もっと厳しく、国民の代理人という言葉を使わせていただいたんですが、特に原子力等々、これは非常に難しいものでしてなかなか素人ではわからない。そういうことですから、例えば法律ですと弁護士さんというのがいらっしゃいまして、わからないことを代理人として立てていろいろな裁判等々があると思うんですが、そういう面で原子力の本当に専門家の皆さん方を、安心できる方を立ててしっかりと監視していただければ、国民にとってはより安心感が強くなるのではなかろうかという意味で私どもも実は求めてきたわけであります。
そういうことで、私どもは地域、たくさんの住民が原子力発電所の周りに暮らしておりますので、ともかく一に安全、二に安全に安定して運転していただくことがもう第一の希望でありますので、安全につきましてはこれからもひとつ国としてしっかりやってほしいなというように思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/25
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026・前田肇
○参考人(前田肇君) 原子力推進と安全規制は分離すべきではないかという御質問かと思いますが、基本的には全くそのとおりだと思っております。
それで、現在でも一応組織的には私の理解では分離されているとは思っておりますが、よく言われておりますように、安全委員会の事務局が科技庁の原子力安全局にあるのは分離の形が見えにくいということなのだろうと思いますが、今度の省庁再編成で原子力に係る安全規制というのが原子力安全・保安院に一元化されるということで、それとは別に原子力安全委員会は内閣府の方に行くということもございまして、その辺ははっきり見えてまいりますし、原子力の推進は行政府にあって、規制はその安全・保安院で一元化されるということで、分離の形が非常によく見えてくるのじゃないかと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/26
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027・秋元勇巳
○参考人(秋元勇巳君) 原子力の推進と安全の機能をなるべく明確に分離していくという基本的な考え方、これはぜひとも堅持していかなければいけないというふうに思っておりまして、これは国のレベルでも、あるいは我々の企業の中のレベルでも同じようにやっていかなければいけないことであるというふうに思っております。
私どもの方も、そういう意味での原子力安全主任者といいますか、それが安全の問題についてはチェックをするような機能は今までございましたけれども、今回の教訓をもとにいたしまして、社内に原子力安全の監査役という新しいポジションを設けました。これは今は独立で社長直属でございまして、社長の安全委員会に直接報告ができるという形にいたしました。年に二回、三菱マテリアル社の原子力関係の施設をチェックいたしまして、その内容については逐一報告をしていく、その勧告については最大限の実施努力を払うというような、そういうシステムをつくりました。
そういう形で、実際に独立して機能するようなチェックとそれから推進の機能のバランスというものを国のいろいろなところでつくり上げていくことが一番大事なことではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/27
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028・中島篤之助
○参考人(中島篤之助君) 今度の事故に関連いたしまして、規制と推進の分離でありますが、昔の行政懇談会の報告を読み直してみると大変興味があるんですが、実は有沢先生が日本の政治では行政委員会はなじまないんだということを大変強く主張されました。だからNRCのようなものはできないということなんです。私はその理由がどうしてもわからないんですが、つまりそのときの政府から一定の距離を置いていないと、例えば原子力というのは核兵器に転用されるおそれがあるということを懸念されたというふうに田島先生は述べておられます。
それはそのとおりかもしれませんけれども、しかしやはり安全規制をきちんと推進から分離してやるためには、きちんとした行政委員会みたいなものにして権限を持たないとこれはできないというふうに私は思います。ですから、先ほど申し上げました安全白書に私はそのことを主張しておきました。もう見直すべき時期に来ているというのはそういうことであります。
もう一つは、この安全委員会がおつくりになっている安全白書が、ごらんになっていただくとわかりますが、一般の市民が読んでも恐らくわかる人はいない、私が読んでもわからない。私も多少専門家の端くれだと思っているんですけれども、とてもわからない。こういうところが問題じゃないかということが一つ。
それからもう一つ、関連しますが、国民が原子力に対して非常に不信感を持つようになった一つの事件としてチェルノブイリがあります。先ほど、ニュークリアセイフティーネットワークや何かの起源になったのがチェルノブイリの事故だということがありますが、チェルノブイリの事故というのは非常に環境への被害が大きかったんですけれども、その原因は黒鉛が燃えたからなんです。ところが、どうして黒鉛が燃えたかということについての科学的な究明は全然されていないんです。これはやはりロシアのことだからというので、ヨーロッパの人も取り組まないし、私は、日本の国民のそういう意識、安全に対する不安というのはそこから来ているんだとすれば、日本の安全委員会が調査をなさったらどうかと。
実は、このことについて何か発言しているのは石川迪夫君だけでありまして、ちょうど昔の練炭をおこすときのようなぐあいにして黒鉛に火がついたんだろうという大変おもしろい仮説を出しておりますけれども、ほかにそういうことを言っている人はいるかねと聞いたら、いやだれもいない、何もやってくれないんだということを言っておりましたけれども、私はこのことも考えていただくべき時期に来ているんじゃないかというふうに思っております。
ちょっと脱線しましたが、以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/28
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029・小宮山洋子
○小宮山洋子君 原子力安全委員会は、今科学技術庁が事務局をやっている、その内々でやっているので問題だということが当然あると思います。内閣府に昇格したからといって、それがきちんとなされるのかどうかというのは、先ほどから参考人からの御指摘もあるところですけれども、現在の安全委員会は八条機関としてただ勧告するだけで独自に検査体制も持っていないわけですけれども、これをもっと強力な権限と独自の事務局を持つ三条機関に格上げをするということが一番きちんとわかりやすくなるのではないかと思うのですが、今、事務局のことなども含めて分離すべきだとおっしゃいました河瀬参考人はその点はどういうふうにお考えなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/29
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030・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) 御指摘いただきましたように、やはり私どもは地域住民を守るためにより安全が一番いいわけでありまして、冒頭言いましたように、国民の代理人となるような本当にしっかりした安全体制というのは大変ありがたいというふうに実は思っております。
ただ、今いろいろ議論が国会の中でされておりますし、また先生方のいろんな御意見の集約の中でそのことも非常に大切でありますし、私どもはまずそういう意見が出ましたら受けとめさせていただきますが、どういう形であれ、より安全に発電所が安定に運転されることを強く希望いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/30
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031・小宮山洋子
○小宮山洋子君 やはりせっかく法律をつくりましても、安全規制のあり方、国民が納得のいかない形では余りその実効性が上がるという期待も持てないと思いますので、この点はぜひこれからも詰めていきたいというふうに思います。
それからもう一点ですけれども、今回の事故の教訓としましても、迅速な初動体制がどうとれるかということがポイントだと思います。その点からして今回の法律がきちんと教訓を酌み取っているのかというと、まだまだ足りない部分があるのではないかというふうに考えます。
先ほど、国が一元的に判断をするというので安心だという御意見が河瀬参考人からございましたけれども、判断は国が一元的に責任を持ってやるとしましても、現地の体制いかんにかかわってくる問題だと思います。そういう意味では、原子力施設のある自治体が人的にも物的にも体制がきちんと整備できるように、それは国、自治体それから事業者の方、いろいろなさることがあると思うんですけれども、その初動体制の現地の体制について、今回の法律で十分なのか、あるいはどの点をどういうふうにしていけばもっと充実したものになるのかを、河瀬参考人、それからまたお一人ずつ御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/31
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032・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) 実は私どもいつも一元的にと言っておりましたのは、原子力行政というのはやはり国策ということで、私どもがそれを受け入れて今現在まで来ておるわけであります。
そういう中で、もし災害があった場合に非常に特殊だということで、一自治体の判断では非常にしにくい。そういう中で、今回は国の一元的な責任という部分でも少し取り入れていただいておりますので、そのあたりは評価いたしますし、今度オフサイトセンターというのが建設をされるわけでありまして、そこを中心に、私どもは自分たちの町にもオフサイトセンターができるというように伺っておりますので、そこを通じて初動体制が速やかに行われることを実は期待いたしております。
当然、これはできますと防災訓練も行いませんと、ただ法律ができた、格好ができただけでは実効性もありませんので、そういう訓練などを行いながら、またなかなか物事というのは実際に動かしてみて初めてこういうことかなと気づくことが多いものですから、今回の法律の中で制定をされて、オフサイトセンターもできて、そして訓練をやって、またそこでもし不備なようなことが出ましたら、これは国の方には要望してまいりますし、現在のこの体制で私はある程度いけるんじゃなかろうかなというふうに踏んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/32
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033・前田肇
○参考人(前田肇君) 事業者といたしましては、従来から防災に関しましていろいろな社内的な組織とか体制をつくっております。その中で、防災管理の責任者も決めておりますし、通報連絡の手順等も決めておりますし、一たん事あったときの組織、体制等も全部決めてやっておるわけでございます。
今回、この新法が制定されまして、その中で事業者の責務ということが非常に明確になっております。内容的には、今申し上げましたように、我々が従来から自主的にやってまいったことがほとんどでありますけれども、これが法律できちんと決められたということ、それから国と地方自治体との間で十分協議をして事前に防災業務計画をつくるということが明確になったということ。ということは、地方自治体とこの辺は事前に十分協議をして、お互いの要求事項、要望事項をすり合わせして、より実効性のある計画ができるであろう、こう思っております。従来からそういった組織等もあって、自分たちでもやってまいりましたけれども、それがさらに充実したものになるだろう、このように思っております。
初動体制のお話ですけれども、先ほど申し上げましたように、事業者としていろいろやるべき役割はあるわけですけれども、やはりオフサイトセンターというものができて、そこで国と地方自治体との役割がきちんと明確になって、その中で我々事業者の果たすべき責任というもの、これはこれから具体的に御相談しながら決まっていくことであろうと思いますけれども、決まった暁にはそれをきちんと守っていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/33
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034・秋元勇巳
○参考人(秋元勇巳君) 前田参考人のお話にありましたように、防災訓練、これは組織の中ではそれなりに私どもやってまいりましたが、例えば周りの住民の方々にまで一緒になってやっていただく訓練といいますか、そういったものにつきましては、今まではむしろそういうようなことをするとかえって原子力は不安全なものじゃないかというような心配をされる向きもありまして、なかなかそういうところまで踏み込んだことができなかった。今度の防災法によりまして、むしろ地域の方とこれらのところを本当に腹を割って本当に実効性のあるような防災訓練もやれるようになるという意味では、大変我々うれしいことだというふうに思っております。
初期体制の話でありますけれども、こういうことで、先ほどいろいろな組織の強化のお話が出ました。ただ、人を何百人ふやしましても、本当にその人間がそのときに役に立つ人間であるかどうかということが一番の問題であろうと思います。
それをどういうふうにして確保していくかということは、枠組みでそういう立派なものをつくるのは非常に簡単なのでありますけれども、それを本当に適切な人がそこに配置されるようにして、しかもその人たちが常にそういうことに役に立つように訓練を続けていくといいますか、その技術を磨いていくというのは非常に難しいことだというふうに思います。
皮肉な話ですが、今度のジェー・シー・オーの事故の場合でも、東海村の村長さんは避難の計画、三百五十メートル以内の人たちの避難をお一人で決断しておやりにならなければいけなかったというようなことがあるわけでありますけれども、そのときに結局もとになりましたのは、事故を起こしましたジェー・シー・オーの人間が出しました情報でありました。結果的に見まして、そういう村長さんのおやりになりました対応というのは非常に適切な対応であったというふうに思います。
そういうことで、現場を本当に知っている人間がそういう組織の中に入ってやれるということになりますと、官でこういう組織が別にできていて、民は民でもってこういう形でただ対応するという隔絶された形になったのでは恐らくだめだろう。その中に人間の交流があり、こちらで監査をやる方は、また製造の現場の中でそういう問題点をいろいろな形で把握して、今度は立場が変わってこちらでおやりになるというような形の、いわば人のローテーションなり訓練の流れができませんと、現実にこれだけのものが実効性のある組織として動くということが難しいだろうというふうに思います。そのあたりの知恵をこれから実際のところで出していただければというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/34
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035・中島篤之助
○参考人(中島篤之助君) 今の質問、過去の例から考えますと、いろんな事故の後に例えば原子力発電所に通産省からあるいは科学技術庁から役人が常駐するようになる。ところが、それが余り専門家でなくて、一番初期のころはお米の監査をやっていた方がそこへ行ったというような例も実際にあったわけです。それから、福島で東電のポンプの事故がありました。そのときも、正月だったから、検査官はお役所の習慣に従って四日まではお休みだというようなことがあるわけです。ですから、余り役に立っていない。
私は、今度の原子力防災専門官というようなものをつくるというのは、どういう人を選んでそうするのかということにかかってくるのでありまして、つくること自体に私は反対ではありません。国がそういう姿勢を示すということは結構ですけれども、本当に実効のあるものにするには、秋元さんが今言われたとおり、しかるべき人をきちんと配置する、その人たちも勉強してもらうということがなければ、これはむだになっちゃう。
今度の場合も初動がおくれたというのは、例えば私が村長さんに会ってお話を聞きますと、科学技術庁の担当者がいたわけです、東海村には。何を聞いても全然、本庁に聞いてみますけれどもといって返事が来ない。それで、じりじりして結局独断で決めざるを得なかったということをおっしゃっておりました。
それから、原子力研究所では、一時にはもう既に出動すべく待機をしていた、専門家を集めて所内で待機をしていた。ところが、科学技術庁に問い合わせをしたために、科学技術庁が行けということが出てこないからおくれちゃったというような、これは笑い話のようですけれども実は深刻な問題でありまして、私は、余り国の方に聞いてからやるというようなことに、ともすると予算をもらって仕事をやっているところはそうなりやすいのですけれども、それではうまくない。
ですから、オフサイトセンターというものの意味は、結局その地域にあるむしろ地方自治体とよく協議をして、アメリカの場合はそういうシステムになっていますけれども、そうしてそこで例えば村長さんが要請したらすぐ原研からは人が出てくるというような、あるいは事業者からは人が出てくるというふうなものにしないと、せっかくのこの法律が生きないだろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/35
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036・小宮山洋子
○小宮山洋子君 ありがとうございました。
時間ですので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/36
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037・加藤修一
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
きょうは、四人の参考人の方に御多忙中おいでいただきまして、大変にありがとうございます。
最初に、河瀬参考人にお伺いいたしたいんですけれども、今回、臨界事故ということで極めて重大な事故であったわけでありますけれども、この委員会でも何回か審議しておりまして、重大な事故にもかかわらず住民は比較的冷静であった、パニックにならなかったというふうに言われている。これが唯一の救いであったというようなコメントもございます。
私は別の見方をしておりまして、情報が十分伝わらなかったということと同時に、ケメニー委員会なんかにございます、原子力は極めて基本的には、本質的には危険なものであると、そういうことを口からきちっと発する、そういう態度が必要であるというようなことが書かれているわけであります。
これは一九九四年でありますけれども、国連大学主催で巨大都市と自然災害国際会議が開かれておりまして、その議長をやった人がジェームズ・K・ミッチェルという方なんですけれども、その方が非常に意味深長なことを一つの文章としてまとめております。これはチェルノブイリ原発事故の関係でありますけれども、「パニックを未然に防ぐため事故に関する情報は選んで流したと伝えている。」と。これに対してこのミッチェルという方は、「しかし、災害に遭った時の人間がどのような反応をするかに関する文献は、その反応としては、パニックより、混乱、ショック、心理的外傷を起こす可能性の方が高いことを示唆して」いると、こういうふうに言っているわけなんです。
私は、確かにそういうところもあると思いますし、パニックを未然に防ぐということも非常に大事なわけでありますけれども、ただ、ふだんの総合的な避難訓練、これも非常に重要なことだと思うんです。今まで避難訓練をやると、そういう原子力発電の事故が起こる可能性があるのかと、危険なものかと、不安感をあおるとか、そういったことから、なるべく避難訓練はやらない方がいいんではないかという、そういった意見もあることも聞いております。
今回の法案の中で、とりわけ第十三条でありますけれども、原子力緊急事態に対応した防災計画、そういったものをつくらなければいけないというふうに理解しておりますけれども、いわゆるこれは緊急時の対応計画だと私は本当は思いたいわけですね、中身はどういうふうになるかちょっとわかりませんが。ただ、住民のふだんの総合的な避難訓練、これは極めて私は重大だと思っていますけれども、これについてどういうふうにお考えなのか。
それと、先ほど細かな御報告をいただいて、私の印象としては、実際に起こったときは可及速やかに避難をやらなければいけないと。その中身としては、例えばの話ですけれども、これはシェルターの整備まで含んでのお考えなのか、その辺についてお答えいただければというふうに思います。二点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/37
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038・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) まず第一点目の防災訓練等々の考え方でありますけれども、確かに先生から御指摘いただきましたとおり、従来、今まで私どもの地域では特に原子力災害の防災訓練を行ったことはございません。かつてといいますか、原子力発電所は何重にも遮へいされておりまして、現在、敦賀は御承知のように、建設、運転がされてから三十年、建設の前の段階になりますともう四十年からの原子力とのおつき合いもございまして、かつてそういうことがなかったということも一つの事実でありますし、そういう観点もあったというふうに思います。
また、私どもの地域も、観光地といいますか、大変水のきれいな、また魚のおいしい、今はカニのシーズンでして、来ていただくとカニなんかが大変いいんですけれども、またフグが今大変たくさん養殖されておりまして、非常にうまいということで評判なわけであります。
そういう地域でありますので、確かに訓練をやるということはやはり危ないからするんだろうというようなこともあったことも事実だというふうに思います。しかし、これだけのいろんなことが起こった場合に、私は、万が一、備えあれば憂いなしという観点から、やはり原子力防災訓練等については県、当局といろいろな打ち合わせをしながら行っていきたいというふうに思っております。それが安心感、逆に、こういう訓練を行っていようとも、発電所自体、例えばふだん自由に来ていただいてもいいところですよというようなことと整合性のあるような形で行えたらというふうに思いますし、またそういう原子力関連等のいろいろな教育等で国民の皆様方にもそういうことの御理解がいただけるような形になれば一番いいなというふうに思っています。
そこで、避難で、私どものところは道が一本しか実はございません。ただ、海がございますので、船の手段も十分にこれは考えられます。ただ、地域によっては、会館を建てるときにやっぱりシェルターもつくろうやないかというような実は声も聞いておりますが、やはりシェルターをつくろうと思いますと相当の予算が必要でございます。その予算分も、例えば国の方で法律に沿ってじゃシェルターをつくりなさい、そういう面では十分に補助金も出してあげましょうというふうになれば一考はしてみたいなというふうに思っておりますが、現在私どもの自治体としてはシェルターまでつくって云々ということは考えておりません。
ただ、可及速やかに避難できる道路の確保、また私どもは半島にありますので、そういう船等があればある程度速やかに避難できまして、また訓練の中でそういうことも取り入れられるんじゃなかろうかなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/38
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039・加藤修一
○加藤修一君 それでは、次に前田参考人にお伺いしたいんですけれども、きょうのコメントの中で、我が国は資源小国である、あるいは環境保全、そういったことについて言及されておりましたけれども、エネルギーを効果的に供給できるシステム、これがあることは極めて私は望ましいと思っております。当然ながら、エネルギーのセキュリティー、こういったことも十分考えていかなければいけない。もちろん環境保全についても考えていかなければいけないわけですけれども、準国産的なエネルギーとして原子力が考えられているわけでありますけれども、極めて集中的かつ巨大で複雑な技術体系によってつくられている原子力発電ということになるわけですけれども、これのエネルギー収支計算、こういったものも私いろんなところで聞くわけでありますけれども、標準的な原子力発電に係るエネルギー収支計算、これは日本の中にあるんでしょうか。その辺について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/39
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040・前田肇
○参考人(前田肇君) 電力中央研究所というところで出しています報告書にエネルギー収支計算が出ております。
エネルギー収支計算と申しましてもいろんな見方があろうかと思うんですけれども、例えばいろんなタイプの発電所、水力とか火力とか原子力とかあるいは太陽光とか、そういった発電所を建設をして運転する。建設をするとき、例えばセメントが必要だからセメントをつくるのにエネルギーが要るとか、機械をつくるのにエネルギーが要るとか、そういった建設のときのエネルギーから、運転中のエネルギー、これは石油でしたら石油を燃やす、したがってエネルギーが要る、あるいは石油を運ぶためのタンカーのエネルギーが要る。こういった運転中のエネルギー、そういったエネルギーを全部足したものと、その発電所が三十年の間に発生するエネルギー、これは一体どれぐらいあるのかというのを比較しまして、投入したエネルギーの何倍のエネルギーを発電できるかという意味のエネルギー収支、これを試算したものがございます。
それで、三十年ぐらい運転すると仮定しますと、原子力発電所の場合、原子力発電所の場合は濃縮ウランを必要としていまして、濃縮ウランをつくるのに相当たくさんのエネルギーを必要とします。現在使われておりますガス拡散法という濃縮ですとエネルギーをたくさん使うんですけれども、最近使われ始めました遠心分離だと非常に少なくなります。遠心分離の方の数値はちょっとないんですけれども、たくさんエネルギーを使うガス拡散法で濃縮ウランをつくってそれを燃やした場合の収支を計算しますと、大体インプットのエネルギーに対して二十四倍のアウトプットが原子力の場合出てまいります。
そういう意味で、一番アウトプットが多いのは水力なんですけれども、四、五十倍のアウトプットがある。それに対しまして、火力なんかですと、燃料そのものの輸送その他にエネルギーをたくさん使いますので二十倍程度になります。それから、いわゆる自然エネルギー、風力とか太陽光とか、こういったものはクリーンなエネルギーでありますけれども、非常にエネルギー密度が低くて利用率が高くならないということもあってせいぜい五、六倍ぐらい、そういう意味ではエネルギー収支は非常に悪い、こういうような数字が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/40
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041・加藤修一
○加藤修一君 今までこういうケースがあったかどうかわかりませんが、参考人の方に今の資料をでき得れば委員会の方にいただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/41
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042・前田肇
○参考人(前田肇君) はい、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/42
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043・加藤修一
○加藤修一君 それでは次に、今回の東海臨界事故のサイトの関係であります。
前田参考人にお聞きしたいんですけれども、私は常々この審議の中で事故の場所をメモリアルサイトにすべきだと。それはリアルな形でやる場合とか、あるいは仮想現実、バーチャルリアリティー、そういった面を使いながらやっていく方法もあると思うんです。過去にこういう事故を起こしたところについてメモリアルサイト的にやったケースがあるかどうか、その辺についてちょっと教えていただきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/43
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044・前田肇
○参考人(前田肇君) メモリアルサイト的と申しますと、私ちょっと詳しいことを知りませんが、「むつ」がたしか青森で今係留されて、あそこがややメモリアル的になっているかなと思います。
それから、メモリアルサイトというわけじゃございませんけれども、私のおります関西電力で平成三年に蒸気発生器の細管を破断するという事故がありました。これは日本の原子力発電の歴史の中では一番大きかった事故なんですけれども、これは別にサイトをメモリアルにしたわけじゃありませんが、事故を起こしました蒸気発生器を保管する建屋をつくりまして、そこに何といいますか、負の遺産というような形で置いておいて、ずっとトラブルの経験が風化しないようにということで保存しております。これは一般にも公開しておりまして、当時のプレス等の非常に生々しい報道なんかもそのまま銅版にして一般の方に見ていただけるようにはしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/44
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045・加藤修一
○加藤修一君 それでは、前田参考人とそれから秋元参考人にお伺いしたいんですけれども、今回の原子力新法の関係で、第十三条、先ほども申し上げましたけれども、「原子力緊急事態」というところがございまして、その「緊急事態の想定」、この中身のあり方によっては、私は防災計画あるいはアメリカで言っています緊急時対応計画の中身が大きく変わってくるんではないかなと思っておりまして、その事例、例示をどういうふうにつくり上げていくのかなと。これは政省令の範疇に入るかもしれませんが、この想定ということについてやはり相当関心が私は両参考人ともおありだと思うんですけれども、どの辺のレベルをお考えでしょうか。ちょっと難しい質問かもしれませんが、もしその辺についてのお考えがあれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/45
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046・前田肇
○参考人(前田肇君) 非常に難しい御質問なんですが、これは議員御指摘のとおり、これから政省令の中で決められていくことだと思います。ちょっと私はここでどこで線を引くべきだということを申し上げる立場にもないし、また具体的に余りその辺まだよく検討はしておりません。
それで、通常の原子力発電所運転中に起こりますいろいろなトラブル、事故というものは、過去の経験においては外部に対して放射能で影響を与えるような事故は一回も起こしておりませんので、そういう意味では過去の事故ではそういった事態にはならないんじゃないかと思うんですけれども、例えばアメリカで起こりましたスリーマイルアイランドの事故なんかは、あれは相当重大な事故ですし当然対象になるんじゃないかとは思いますが、これはちょっと私のこの場での何というか感想だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/46
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047・秋元勇巳
○参考人(秋元勇巳君) 例えばアメリカでどういうふうに扱われているかというのは一つの御参考になるのかというふうに思いますけれども、私どもと同じような低濃縮のウランの加工工場においてアメリカではどういうことになるかといいますと、やはりそういう事態での緊急計画を策定して、万一の臨界事故の場合には、例えば境界の敷地のところでの放射線を測定すべきである、エアサンプリングによって放射能測定を行って、州あるいは郡の当局と協力して近隣の住民の避難を行うというようなことになっているわけであります。
そのときの測定結果に基づいて、一般の公衆の被曝が十から十五ミリグレイの場合には屋内退避であるよと、五十ミリグレイを超えると州あるいは郡当局が避難勧告を考慮するというようなことになっているわけでありますけれども、こういう避難計画というのは作成されているわけでありますけれども、臨界事故自体を工場の設計のところで想定しているかといいますと、それはそうではございませんで、やはり低濃縮ウラン加工工場におきましては、現在の技術水準に基づく対策で臨界は防止できるということが基本の思想になっているというふうに思っております。起きたときの被害が重大でございますので、やはり起きてからの対策というよりは、起こさないための防止策に全力を挙げるということが基本であるというふうに思っているわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/47
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048・加藤修一
○加藤修一君 それでは、秋元参考人とそれから中島参考人にお願いしたいんですけれども、まず、九九年七月の「原子力eye」という雑誌の中で、秋元参考人が「アジア諸国への技術移転は日本の役割」ということでお書きになっていらっしゃるわけですけれども、その中で、「原子力開発推進には安全の確保と国民の理解が不可欠です。特に、後者」、つまり国民の理解が不可欠であるというところなんですけれども、これが非常に大きなかぎになっていると。「これには二つの面があります。一つは原子力の必要性の理解、例えば化石エネルギーの資源的限界、日本だけでなくアジアを視野に入れたエネルギーセキュリティー、新エネルギーの技術的・量的限界、地球温暖化対策との両立性などについての理解です。」というふうに書かれてございまして、その後に、「日本の将来のエネルギー源をどう考えるのかという総合的な議論が必要だと思います。」というふうに書いてありまして、私もそのとおりだなと思います。
問題なのは、総合的な議論ということで私がちょっと考えていることは、例えば総合エネルギー調査会というのがございます。これの設置法がございますけれども、この総合エネルギー調査会というのはあくまでも通産省の所管の中にあるわけでありまして、この中で、ある意味ではここだけですべて決められてしまう、日本の総合エネルギーですね。このレポートについては国会に報告する義務にもなっておりませんし、あるいは地球温暖化等を含めて環境の問題ということについて議論しなければいけないというふうに参考人はおっしゃっているわけですので、私はこういう設置法を改正する必要があるんではないか。
一つはやはり国会に対して提出する義務、もう一点は環境庁等ほかの環境にかかわる極めて大きな役割を持っている省庁がそこに意見を言えるようなそういったことも私は必要じゃないか、この二点が改正する場合には最低限必要かなとは思っているんですけれども、この辺についてはどういうふうに、これもまたちょっと難しい質問で、もしお考えがあれば、答える立場にないよと言われましたら私もちょっと困ってしまうんですけれども、感想だけでよろしいですので、済みませんが、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/48
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049・秋元勇巳
○参考人(秋元勇巳君) 法律の問題になりますと非常に弱うございまして、どうお答えしていいか、非常に戸惑っているところでございますけれども。
やはり国のエネルギーセキュリティーというのは、これはもういわば国の基本政策の大宗でございます。したがって、それをつくっていく上で、なるべく多くのいろいろな意見を結集してそれをつくっていくという姿勢が必要であろうということは私もまさにそのとおりであろうと思います。
それを具体的にどういう形でやっていくのかというのはいろいろな方法があるだろうと思います。例えば今度、省庁の改編がございまして、今までの原子力安全委員会がたしか内閣府でしたか、に上がるというような形になります。そういう形で、むしろ国全体の立場から今度は原子力の長期計画というのを考えていただけるような立場になるのではないかということがありまして、例えばこういうような動きというのは非常に結構なことではないかなというふうに考えているわけであります。
そういう面で、いろいろな省庁のお立場も踏まえまして、ただ、エネルギーそのもののセキュリティーにつきましては、今通産省の資源エネルギー庁というところでかなり集中していろいろなデータもお持ちであり、議論もお持ちであるということもあるだろうというふうに思いますので、それをコアにしていろいろな形の意見を集中していただくというのが一つの行き方ではないかなという感じもしております。
どうも法律論は弱うございますので、このあたりで御勘弁をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/49
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050・中島篤之助
○参考人(中島篤之助君) 現在、私は、原子力委員会が設けました原子力政策円卓会議のモデレーターというのをやっておりまして、そのモデレーターの一人が茅陽一さんでありまして、茅陽一さんがこの総合エネルギー調査会の会長もやっておるということで、実は今いろんな議論をしているわけですけれども、その中の中心テーマは、総合的な日本のエネルギーの中での原子力の位置づけということがメーンテーマになって議論されているわけです。これは、例えば原子力は反対だという方の意見も含めまして、原子力はやめろ、そして再生エネルギーだけでやったらどうかというような御議論も伺いながら提言をまとめようとしているところであります。
この間もそういう方から質問が出まして、例えば二十基新たに原発を増設するなんというけれどもどう思うんですかと言われて、茅先生自身が、私はとてもできると思っていないと。そうしたら、それは無責任じゃないかという御質問があって、そうではない、お役所がそういうことを決めたので総合エネルギー調査会としてはそういう発表をしているけれども、学者個人としては到底無理だと思っていると。特に、ジェー・シー・オーなんかが起きればこれはできないというような、これは仕方ないんです。これは国民の世論が決めるわけですから、通産省が幾らお決めになってもできないものはできない。できなければ日本のエネルギーセキュリティーはそれではどうかなってしまうかというと、実はそうでもない。つまり、まだ天然ガスもあるし石油もあるから、エネルギーで危機的な事態が起こるということはだれも考えていない。ただし、やっぱりそういうことを総合的に、計画的にやれるようにしたい。
その意味では、実は国会で大いに議論をしていただきたいということが出てまいりまして、この次、実は国会議員の方にお集まり願って、一月のたしか二十一日になったと思いますが、なかなか国会議員の方はお忙しくて、実は九月の末にやろうと思ったら内閣改造だというのでだれも出ておいでになれないということで、やっと時間を調節してようやくできるようになりましたので、私は非常に期待しております。各党から一名ずつおいで願って議論をしていただく。むしろ国会で大いに、国権の最高機関でありますから、このエネルギー問題を主要テーマにして議論をしていただきたいというのが円卓会議の一致した意見であるということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/50
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051・加藤修一
○加藤修一君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/51
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052・西山登紀子
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
きょうは、参考人の皆さん、本当にお忙しいところありがとうございます。敦賀市長の河瀬さんには、この間、実は敦賀二号機の事故のときに調査に参りまして、お忙しい時間もとっていただきました。どうぞよろしくお願いをいたします。
今回の事故を契機に二つの法案が提出されているわけですけれども、その法案が本当に国民の安全確保の願いにこたえるためには、何といっても今まで安全神話にとらわれて原子力は安全だよといって安全対策をないがしろにしてきた政府、行政の根本的な転換が前提だという立場が一つと、それからもう一つは、不幸なジェー・シー・オーの事故から教訓を酌み尽くす、この二つのことが大事であるということで今国会で審議も重ね、よりよい法案にしていきたいという私は立場でございます。
二カ月余り国会で審議をしてまいりましたけれども、しかし、残念ながら政府の答弁には率直に言って今までのこと、あるいはジェー・シー・オーの事故の対応に対する率直な反省の言葉が聞こえてまいりません。私は不安が募る一方でございます。
先ほど中島先生がおっしゃいました、政府自身に安全能力があったのか、管理能力があったのかという不信、これは事故現場の東海村の住民の皆さんにずっと私も直接お話しする機会がありましたけれども、本当にそういう不信感というものがこの事故を契機にして今募っているというのがございます。
そこで、私は、科学者といいますか専門のお立場からぜひ教えていただきたいことがございますので、中島先生にお伺いしたいことがございます。
実は、先ほど河瀬参考人の方からも、初期判断が非常に大事だという御意見がございました。それで、国の体制とか機能を確固たるものにしてほしい、国が責任を持ってほしいと、こう言われたんですけれども、では、ジェー・シー・オーの事故の対応について、今の国の科学技術庁なりあるいは原子力安全委員会なり政府が本当にそういう能力があったのかどうかというところは大変私は疑問を持っております。
そこで、具体的な内容について中島参考人にお伺いしたいわけですけれども、実は、九月三十日の事故当日、原研の那珂研究所というところがまず最初にジェー・シー・オーから二キロ離れた地点で中性子を測定していたわけでございます。その点について私は十二月二日の当委員会でも質問をいたしました。この那珂研のデータというものが実際の事故の対応に対してどう生かされたのかということで質問しましたが、どうも無視をされたような御答弁だったので、詳しく事実経過を報告してほしいということでお願いをいたしました。長官も約束をしていただいて、私の手元に当日、九月三十日のいろいろ時系列的な対応のメモが届いております。
ちょっとお伺いしたいんですけれども、九月三十日の事故は十時三十五分に発生をしております。十三時十八分に、那珂研究所の安全管理課長が東京にある原研本部の安全管理室に、九時から十三時までの中性子モニタリングポストの測定値のグラフ、(資料を示す)こういうファクスなんですけれども、を送ってきたと。この時点では十時半ごろの中性子測定値については誤信号と判断したということでございます。
十三時二十二分に、那珂研で中性子が検出との情報をその原研本部企画室から科学技術庁は接受しているんですが、グラフ等はありませんということでした。
十四時二十四分に、那珂研モニタリングにおいて中性子を検出した件はノイズである可能性が高いとの情報を原研本部企画室から科学技術庁が接受しています。
十五時十一分に、那珂研究所の二つの中性子モニタリングポストのデータについて、通常の指示値はゼロであるが、十時三十七分にそれぞれ〇・二六マイクロシーベルト・パー・アワー、〇・〇四四マイクロシーベルト・パー・アワーの最大値が測定された旨の情報を原研本部安全管理室から科学技術庁は接受しております。
十五時二十六分ごろに、那珂研究所の安全管理課長が原研本部安全管理室に、十時三十七分のピーク値をノイズと判断したのは誤りであるとの訂正を電話で連絡しています。
十六時四十七分に、十時三十七分のピーク値はノイズではなく有意な値と判断される旨のコメントを添えた中性子モニタリングポストの九時から十三時ごろまでの測定値のグラフを原研本部企画室から科学技術庁が接受しているということでございます。
そして、二十三時十五分、夜中に近くなってまいりまして、第二回事故対策本部、本部長は科学技術庁長官ですが、十時から十九時三十分までの中性子モニタリングポストの測定データを報告しているという、時系列の対応、今時点で私の手元に届いているのはこういうことでございます。
現地東海村では、原研の那珂研究所対策本部は一時八分、原研の東海村研究所対策本部は一時十分に設置されたという資料もございます。
これをどのように私たちは理解したらいいんでしょうか。科学者の立場として、こういう中性子の測定が実際されて、それから原研本部にも送られ、科学技術庁にも送られていたにもかかわらず対応がおくれたということについて、先生の科学者としての御意見、御評価をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/52
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053・中島篤之助
○参考人(中島篤之助君) これは誤信号となぜ誤認したのかというのは私にはわかりませんけれども、しかし、とにかく那珂研究所というのは核融合の研究所であるわけです。核融合の研究といいますのは、もし核融合、臨界プラズマでもそうですけれども、HとDの反応が起これば十四ミリオンエレクトロンボルト、MeVといいますけれども、それの中性子が発生するわけです。ですから、日本で一番感度のいい中性子測定装置を備えた研究所である。これが東海村にあったというのは、非常に本当は今度の事故においてハッピーなことだったと私は思うんです。それを活用できなかったということになるのではなかろうかと思うんです。
ですから、二キロ離れていても検出できるわけでありまして、これは臨界事故が起こる、つまり臨界事故といいますか今度のような溶液系の中の臨界バーストと呼ばれるような事故は、最初のところで非常に鋭い中性子のパルスが出るわけであります。その後は割におとなしくなるんですね。臨界が続いてもそう高いピークは出ない。大抵は、過去の臨界事故の臨界バーストの例では、例えば再処理工場等では熱が出ますから溶液が飛んでしまうとか、あるいは水がありますと酸素と水素の分解反応が起こってそれで臨界が終息するというような経過をたどって、全体として、過去の臨界バーストのデータを見ますと、つまりどのぐらい核分裂を起こしたかという原子の個数でありますけれども、十の十五乗から十の二十乗に行った例はないと思います。大体その範囲です。
今度の場合、かなり後になってから二・五掛ける十の十八乗だというデータが出ました。こんなことを申し上げるのは失礼なんですけれども、これは大体一つの原子が六・三掛ける十の二十三乗ですから、一グラム原子がですね、ウラン235であれば大体その一万分の一ぐらいになりますから、ミリグラムスケールの核分裂が起こったということになるわけでありまして、これはちょっと原子力を知っている人ならもう瞬間的にわかる話だと思うんです。それがわからなかったということが私には非常に不思議でわからないというふうに申し上げたらいいでしょうか、貴重なデータをどうして活用しなかったのかというのは大変残念なことだったのではないかというふうに思います。
ですから、その後はずっと原研から出動したニュートロンカウンター等々によって周辺の中性子もはかられたわけですけれども、たしか十月の四日だったと思います、事故から四日たっていましたが、ちょうど先ほど申し上げましたモデレーター会議が三菱総研の会議室で開かれておりました。私は、そのときに科学技術庁のお役人がたくさんおられましたので、さっき私が申しましたのはトータルフィッションといいます、一体そのトータルフィッションは幾つだと思うのかと言ったら、全然理解できないんですよ、はっきり言って。だけれども、中性子測定器がなかったらその推定が難しいだろうということは確かだと思いますから、どうするんだと言ったら、後でFP等から逆算いたしますというようなことを言っていまして、これはもう大変心細いことだと思ったんです。そういうことを受けましてモデレーター会議では緊急声明を出しましたけれども。
今、西山議員からの質問でいろんな経緯がありますけれども、やっぱりその最初の十時三十七分のピークというのは明らかに臨界バーストが起こっているということをどうして認識できないのか、私には理解しかねます。
そういうお答えでいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/53
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054・西山登紀子
○西山登紀子君 御専門の中島先生が、こういうのは原子力関係者だともうすぐにわからなきゃいけないものだということなんです。それがわからなかった、そして対応がおくれてしまったということについては、これは非常に重大でございまして、こういう事態をそのままにしておいて法律を決めても、法律は必要ですけれども、もっとやっぱり今の中身、そういうものをきちっとしていかないと私たちは安心ができないと思うんですが、その点で先生の御提案はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/54
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055・中島篤之助
○参考人(中島篤之助君) 私、さっきちょっと申し上げましたが、安全委員会のもとにつくられましたが、報告書、「緊急提言・中間報告」というものの中にこのことが全然書いてないんですね。ですから、これは例えばケメニー委員会なんかだったら、一番先にどうしてこれがわからなかったかという経緯が、恐らく証人をたくさん呼んで宣誓させて、なぜこういう判断をしたのかということは逐一追跡されると思うんですよ。そういう調査をしなきゃいけないんじゃないでしょうか、アメリカ流にやれば。
そうでないと、今私も拝見したばかりで、こういう詳しいデータは知りません。ただ、私が知っていたのは、臨界バーストというのが最初に起こって後、科学技術庁がモデレーター会議のときに出してきたものは、大分たってからの緩いカーブを持ってきただけなんです。ですから、全然これじゃわからない。
そういう性質を持っているということは、これはだれでも知っているというか、つまり核燃料サイクルのことについての教科書にもその図は出ているんですよ。ですから、科学技術庁の行政官は当然知っていなきゃいけないんじゃないかと私は思うんですけれども、それは最近余り臨界事故というのがなかったから忘れてしまったのかどうか。例えば、これは核燃料サイクルの人ですと、再処理工場というのは非常にそういう危険がいつもありますからあるいは警戒していたのかもしれないけれども、科学技術庁の方はまさかと思っていたということはあったのかもしれませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/55
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056・西山登紀子
○西山登紀子君 科学者のお立場からも、この那珂研究所の中性子の測定データというのは今回の事故の原因やあるいは対応を教訓とする上では非常に重要なデータである、それが事故報告書からも一切見えないというのは非常におかしなことだと、そういうふうに先生は思っていらっしゃるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/56
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057・中島篤之助
○参考人(中島篤之助君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/57
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058・西山登紀子
○西山登紀子君 それでは、ちょっと質問を変えまして、実は今度の法案に申告制度の新設というのが新しく出ておりまして、これも非常に大事なことだと思います。
しかし、これが本当に有効に働きまして内部告発というか、国民や住民の安全を守るために内部告発をするということなんですけれども、それを実効あるものにするためには、ただ法律で新設するというだけではなかなか実効性が持てないだろう、嫌がらせがあったりおどしがあったりいろいろするんじゃないかと思うんですけれども、この点で、中島参考人は御自身が原研の研究員をなさっていたころに雑誌「科学」に執筆をしたということで厳重処分をされたということをお聞きいたしました。
いわばホイッスルブロアとして体験をお持ちだということなんですけれども、その御体験と、今度こういうふうに法律に明記されるようになった、一歩前進なんですけれども、これが本当に実行されるためには何が必要だとお考えになるか、その辺をお伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/58
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059・中島篤之助
○参考人(中島篤之助君) 私は、ホイッスルブロアなんということをやろうと思って論文を書いたわけではないんです。
ただ、当時、原子力発電所がたくさんできてくるということについて安全問題が心配だということで、武谷三男さんを中心に、私と藤本陽一さん、それから亡くなられましたけれども小野周さんとの四人が幹事になりまして原子力安全問題研究会というのをつくっておりました。そこでいろいろやったこと、やって話し合ったことを各人がそれぞれ論文にして「科学」に報告を出していた。その中に、おまえがやれということで、私が書いたのは原子力施設の事故例というのを書いただけです。今お読みになっていただければわかりますけれども、何も告発などしておらない、ただ過去の例を書いただけです。
そうしたら所長に呼ばれて、まず怒られたんです。何を怒られたかというと、君、外国のことは幾ら書いてもいいが、日本のことを書いてはいかぬと。つまり、日本のことというのは原研のことです。私は驚きまして、不思議なことだと思っていたんです。そうしたら、厳重注意という処分がありまして、これは当時はまだ、国会で大変な問題にしていただきまして、それ以後私はかなり言いたいことが言えるように逆になったと思っておりますが、そのかわり出世はしませんでした。
ですが、私の書いたのは、例えば、当時は原子力も大した事故がなくて、SL1の事故であるとかウィンズケールの事故であるとかそんなことを詳しく書いて、ただ原研のJRR3、国産三号炉の事故を書いたりしたのがどうもよくなかった。国会では、原研の理事会の方は厳重注意は処分ではありませんということを一生懸命おっしゃっていたんです。私は、記念に今でも、その厳重注意のものが書留で送られてきましたから保存しておりますけれども、こういうばかなことは、今度は法律にもこういうのが入るぐらいですからもうなくなると思います。
ホイッスルブロアというのは、パグウォッシュ会議でノーベル平和賞を受賞されたロートブラット先生が非常に強調されていることでありまして、これはやっぱり企業の中でそういうことを言う自由を従業員が持たないと本当に安全は保たれないという趣旨だと思います。
ただ、私がこのことで自分自身の経験で非常に興味を持っておりますのは、私が厳重注意処分を食った後で、ある外国の雑誌がおもしろいことを書いている。イノセント・マネジメント・オブ・ジャーリという題で、つまり、JAERI、日本原子力研究所の非常に無邪気なマネジメントというのが出たんです。厳重注意がどうして無邪気な処分なのかというのが意味がわからなかったんです。
私はそれから何年か後、原子力産業会議の年次大会のときに、原子力情報の発信に関するパネルというのがありまして、それに引っ張り出されまして、私のそういう経験を話しました。そうしたら、そのフロアにちょうどアメリカから来ておられたロッシンさんという原子力学会の会長になられた方がおられまして、私、中央大学に行ってからでありますが、プロフェッサー中島、非常に興味を持ったと、かつての自分の経験をお話し始められたんです。
それは、ロスアラモスの研究所にロッシンさんがいたころに、やはりあることをある学会に発表しようとした。きっとそれが当局としては余り発表させたくなかったことだったらしいんですが、とにかく学会へ行ったら、座長がいて、おまえはきょうの発表は最後であると言われたというんです。そのうちに、見ているとどんどん会場から人が消えていくというわけです。最後に座長だけしか残らなくなったけれども、私は旅費をもらって出張したのでそこで話をして、報告をして、そしてエニークエスチョンと言ったら、もういいと言ったと。ですから彼はCIAに相違ないというのがロッシンさんが言って、これはたしか原産会議の議事録に残っていまして、私は非常に興味を持った。
だから、イノセントの反対ですね。つまり、これは大変ある意味では悪らつな管理です。ですけれども、研究者の発表の自由を差しとめるようなやぼなことはやらないということです。害がないようにするにはだれも聞いていなきゃ構わないということなんでしょうけれども、私はちょっと恐ろしくなりました。こういうことをやられちゃたまらぬなと。それよりは日本はイノセントでよいのかもしれません。しかし、ちょっと前時代的であったということはどうも否定できないのではなかろうかと私は思っています。
ですから、ホイッスルブロアが入るようになったというのは、やっぱりかなり日本も進歩したなと私は個人としては評価いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/59
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060・西山登紀子
○西山登紀子君 あと少しですが、河瀬参考人に。
私も実は京都出身で、近畿の水がめ琵琶湖なんかもありまして大変京都の皆さんも関心が強くなっているわけですが、今度この法案の関係で京都の方に例えば指定病院を置くというようなお話があって、しかしお医者さんの側が実は放射線医学について余り勉強している医者が少ないんだということで大変心配されているんですけれども、その辺の問題について河瀬参考人の御要望といいますか、実態を踏まえての御意見をお伺いして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/60
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061・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) やはり災害があった場合に、被害に遭われた方をいかに医療でフォローしていくかということが大事でありますし、実は私どもは市立の病院がございまして、放射線の専門家をいつも置いておりまして、関連でちょうど私ども、若狭湾エネルギー研究センターというのが実はございます。そういう中で今、放射線を利用した、加速器を利用したがんの治療でありますとかいろんな研究もされておりますので、そういうあたりとタイアップしながら、万が一に備えてのお医者さんの配置というのはしていただければこしたことがないなというふうに思っています。
京都の方のことにつきましてはちょっと私も事情はわかりませんが、やはり地元としてはそういういろんな研究をする、また万が一に備えてのことと、あわせて、放射線、先ほど言いましたがんの治療等々が今非常に研究されておりますので、そういう部分があっていざというときにも役に立つような形をとっていただければ非常にありがたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/61
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062・清水澄子
○清水澄子君 社民党の清水澄子です。
四人の参考人の皆さん、ありがとうございました。いろいろ質問が重ならないように努力したいと思います。
まず、秋元参考人にお伺いしたいんです。
今回の東海村の臨界事故の原因は、燃料加工におけるコスト圧縮の問題や納期短縮の問題などがあったように報道されておりますけれども、燃料加工関連の業界におられる秋元参考人の目から見て、核燃料加工の現場というのはどこでもこういうふうに非常にきゅうきゅうとした状況にあるのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/62
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063・秋元勇巳
○参考人(秋元勇巳君) 大変難しい御質問でございますけれども、ウラン燃料のコストの構成は、ウラン燃料をつくるのにどういう部門でどのくらいお金がかかるのかというようなことを計算してまいりますと、IAEAの資料があるんですけれども、原料のウランで三五%、それからウランを濃縮するときに四四%かかる、燃料加工が二一%ということでございます。
今回のジェー・シー・オーさんの行われた部分というのは実は再転換ということで、燃料加工の中のまたごく一部なのでありますけれども、そこのところのコストというのは、二一%の成形加工コストのほぼ一〇%ということでありますので、比較的付加価値が低いということになります。
そういうところで、しかも今国際競争が非常にあるということがありますので、ジェー・シー・オーさんの利益が減少してきたというようなことは事実あったのかなと思います。ただ、安全を無視した合理化なんということは実は言語道断な話でありまして、やはりそういう意味での不当性といいますか、それは変わらないというふうに思っております。
ただ、今の御質問で、全体として値下げの圧力があったかというようなことでございますが、確かに今、日本の電気というのは、よく新聞あたりで世界一高いんだというような、何が高いのかまたいろいろな議論があるんだろうと思います。ただ、日本の電気が例えばサービスとか品質の面で世界一すぐれているというのも事実であります。ですから、そういうところの中でどういう形のものが必要かということはいろいろ議論のあるところかと思いますが、やはり一円でも安く国民の皆さんに電力を使っていただく必要があるということで、電力業界と一緒になって、とにかくいわゆる安全を前提にしてコストを下げていこうじゃないかという努力はやっております。私どもの加工工場でもそういう意味での努力は進めております。
それから、現実、最近新しい原子炉の建設がなくなってまいりました。したがって、加工工場そのものの稼働率が決して高くないというようなこともございますけれども、やはりそういう合理化努力の中で相応の経常利益というのは出しておりまして、そういう意味で、我々は圧力というふうには全く考えておりません。むしろやはりそういう意味で、これからこれはどのような業界でもやっていかなければいけないいわゆる効率化の一環としてやらせていただいているというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/63
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064・清水澄子
○清水澄子君 それでは、三菱関連の三菱原子燃料ではジェー・シー・オーのようにきゅうきゅうとしておられないということで、それは非常によかったと思うんです。
先ほど、今回のジェー・シー・オーの事故の違いといいますか、それはさっき、「常陽」の燃料を加工していた、いわゆる核燃料サイクル機構の燃料加工による事故であるというふうにお話をされておりました。それで、マニュアル違反をしながら加工していたジェー・シー・オーでも一般の軽水炉用の燃料加工のときには事故はなかったわけですね。そうしますと、核燃料サイクルというかプルトニウム利用が絡むこういう燃料、そういうもののときにはやっぱり事故になりやすいということもここでは何か示唆をしていると思うんです。
今、関西電力が高浜原発四号機でMOX燃料利用を開始しようとしているわけですけれども、これは軽水炉に今度はプルトニウムを組み込んだ燃料を利用するわけですが、秋元参考人の会社ではこのMOX利用のための燃料棒のさやをつくっておられると思いますけれども、もしMOXの燃料ペレットの寸法が小さかったりまたは大き過ぎたり万一何か欠けていたりというときは、その燃料は炉心でどういう状態を起こすのでしょうか、聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/64
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065・秋元勇巳
○参考人(秋元勇巳君) 御質問の意味を正確に受け取っているかどうかちょっと、もし見当違いでしたらまた御質問いただければと思いますが、確かにジェー・シー・オーさんでやっておられたのは通常の低濃縮ウランとは違った施設で、違った非常に高い濃縮度のウランをやっていたということでございます。
したがって、そういう中濃縮の実はウランを取り扱うことができる加工施設というのはジェー・シー・オーさん一社でありまして、日本の場合には低濃縮ウランを取り扱う会社は、施設が全部で四つございますけれども、そういう面では、やはり低濃縮ウランに比べてこういう中濃縮ウランの場合には、臨界になる量も小さくなってまいりますし、いろいろと格段と注意を要する部分でありますから、そこについてもう少しいろいろな意味での特別の注意といいますか、それを払う必要があったのかなという感想は持っております。
ただ、MOX燃料ということになりますと、これはMOX燃料と今のウランの燃料とどこが違うかといいますと、濃縮ウランの部分が濃縮ウランのかわりにプルトニウムが入ったということでありまして、全体のいわば燃える部分といいますか、その濃縮度は今の軽水炉のウランの燃料と同じレベルなのでございます。したがって、プルトニウムそのものの属性というような問題はございますけれども、臨界という立場から見ますと、MOXの燃料も今のウランの燃料も変わりはないというふうに言えますので、臨界の問題でMOX燃料が特に危険であるというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/65
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066・清水澄子
○清水澄子君 また今後も秋元参考人にはいろいろ教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、河瀬参考人に伺いたいと思います。
先ほども、この全原協の要望書もそうですけれども、原子力防災対策は、まず国の一元的責任の明確化というのを主張していらっしゃいます。私も、それは当然この原子力エネルギー政策は国の基本的な政策ですから、それはあらゆる面で一元的な、一元的といいますか国が責任を持つということは非常に重要だと思っておりますけれども、今回の臨界事故で政府の初期対応が非常におくれたわけです。科技庁に災害対策本部が設置されたのも事故発生後四時間後でしたし、総理を本部長にする対策本部も第一回は十時間後であったわけです。しかも、それのおくれた上に、政府は一度も住民の避難については何の指示もしなかったわけです。
そういう点から見ましても、先ほどからお話しありましたように、皆さんおっしゃるように、今度の中性子線被曝というのは十八時間も住民がさらされていたという大変大きな事故なんですけれども、こういう場合に今度の災害対策特別措置法は総理を本部長とする対策本部が避難など必要な措置を自治体に指示できる、こういうことになっているわけですが、原子力事故対策というのは、さっきもおっしゃっていましたけれども、第一にやっぱり物すごい初期対応というのが非常に時間を争うことだと思うんです。
そういうときに、こういう本部がつくられてからそういう避難対策というのは、一番現場のといいますか、もちろん事業者が責任ありますけれども、やはり自治体の責任というのは、独自判断というのが非常に要請されてくるんじゃないかと思うわけです。そのときに河瀬参考人は、今度この法律で、もうこれで万全と思いますか、それで、もし国の対応が遅かった場合は市独自の判断でやっぱり住民の避難勧告を出されるおつもりでしょうか。その点どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/66
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067・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) 御指摘いただきましたとおり、私どもの仕事はやはり地域住民の生命、財産を守るのが第一でありますので、当然今回のこの法が制定をされて、しかし特例ということがありまして、本当に緊急なことが起きれば、私自身でもそれは行うべきだというふうに実は思っています。
ただ、法律として国が一元的に責任を持つという部分がございませんと、ではそれなら首長で、勝手にと言うと変ですけれども、判断して物事をやりなさいといいましても非常に対応ができない部分もございますので、いざというときには当然今回の東海村の村上村長のような形でもとりますし、私どもはそれには万全を実は期したいというふうには思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/67
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068・清水澄子
○清水澄子君 そこで、先ほどから河瀬参考人は、一にも安全、二にも安全という、その安全と言うときにはこの原子力発電所の運転についておっしゃっているわけですけれども、私は、地域住民が自分でいろいろ緊急のときには自己判断できる材料というのがふだんから情報公開をされていないと、その事業所や国だけに頼っていても、やっぱり住民自身もみずから判断できることが必要だと思うんですね。
そういう意味で、今回のジェー・シー・オーの事故のときに行ってみましたら、隣にいる人たちが自分の前の会社が何をつくっているか知らなかったというような状況もありましたし、どんな避難をしていいか全然知らないわけですね。ですから、やはり住民が例えば風はきょうはこっち向いている、だから風上に行かなきゃいけないとか、そのようなふだんからの情報を提供するには、これは国だけに任せることでなくて自治体でも独自にできると思いますけれども、その点についてどのようにお考えになっているか。
それから、あとの三人の方々も、どういうふうに住民にふだんからどういう情報を提供しておくべきかということについてお考えをお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/68
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069・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) 私どもも現在そのモニタリングシステムを持ちまして、風向きでありますとか現在の放射線量とかは一目で見られるような形は実はとっております。
ただ、住民独自の判断ということを言いますけれども、要するに原子力災害というのは目に全く見えない、においも全くない放射能というものがあるわけでして、独自の判断といいましてもそれはまず非常に不可能。
ただ、私どもちょうど有線テレビがほぼ一〇〇%普及をしていまして、そこに防災チャンネルということで持っていますから、いざというときには住民の皆さん方に、こういう形で現在風向きがこうだからこちらへということはできる体制は今現在とっております。
もちろん、住民の皆さんの判断ですから、毎日毎日天気を見て、きょうは風向きがどっちどっちと思いながら暮らせといっても、それも非常に難しい面もありますし、確かに先生御承知のとおり、情報公開ということは非常に大切でありますし、特に全く目に見えない、においもしないという、そういう不安もありますので、その情報公開につきましてはまたいろいろお願いもしていきたいというふうに思います。
独自の判断といいますと、またちょっと私ども一体ではどのように情報提供していいかなということも迷うところもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/69
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070・清水澄子
○清水澄子君 あわせて三人の方々に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/70
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071・前田肇
○参考人(前田肇君) 実際に事故が起こったときに住民が自分で判断するというのは、これは非常に難しいだろうと思います。
ただ、少しでもそういうときに混乱しないようにということでやっぱり日ごろからの先生おっしゃった情報公開、そういうことは非常に大事だと思っています。今現在、原子力発電所では、例えば私のところですと、一発電所当たり十ほどのモニタリングポストがありまして、常時放射線の線量率をはかっていまして、これをオンラインで自治体へ連絡しております。それが例えば敦賀市役所のロビーのところにいつも出ているというようなことで、毎日毎日このぐらいの放射線レベルだなというのを市民の方が見ていただけるわけです。
それともう一つ、もっと僕が大事だと思いますのは、やはり日ごろから発電所の内容といいますか、どういうことをやっているのか、どんな人がそこで働いているのか、どんな機械があるのか、そういうことをやっぱりよく見ていただく、そして親しんでいただくというのが一番大事だろうと思っていまして、見学会だとかあるいは広報紙を通ずるとか、あるいは発電所ごとにそういった地域の皆さんとコミュニケーションを図るグループ数十人の人を置いていまして、そういう人たちが常に日ごろいろいろお話をしながら御相談にも乗るというようなことで、少しでも日ごろからのベースとしての御理解を深めていただくということが大事だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/71
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072・秋元勇巳
○参考人(秋元勇巳君) 放射線が目に見えない、においもない、これがやはり一番の住民の皆様の御不安の問題だろうと思います。したがって、そういうものが一体どの程度のリスクがあるかということについて、やはり日ごろ皆様に知っていただくような活動がぜひ必要であろうかと思います。
今回も、ジェー・シー・オーの事故が起こりまして、それからいろいろな形での何ミリシーベルトとか、いろんな話が出てまいりました。それが一体どのぐらいのいわゆるリスクがあるのかということについて、科学的には非常に正しいデータを一生懸命やってお出しになるわけですけれども、恐らく受け取られる方から見るとわからないということがあるんだろうと思います。
ただ、我々、現実には放射線の中で生活をしているわけでありまして、例えば飛行機に乗って成層圏に上がれば宇宙線、放射線を浴びるわけですし、この建物の中でも建物の構造材から出ている放射線もあるわけであります。そういったレベル、あるいは医療で受けるレベル、そういうものと比べて、今受けているものがどのぐらいのレベルであるかということの御理解があれば、やはりその意味で余りにもいろいろ、先ほどのパニックといいますか、そういうような問題にならずに済むという部分があるのではないかというふうに思います。
今度の場合も、一ミリシーベルト以上をとにかく受けた者を何か一くくりにして被曝者というような格好で何十人というような数をお出しになりました。確かに、現実に最初に事故にお遭いになった三人の方、それからその周辺で現実に作業に従事された方、これは本当にそういう意味での被曝者でいらっしゃると思いますけれども、それではその程度のレベルのものを全部被曝ということになりますと、ではラジウム温泉に入った人を被曝者と言うのか、飛行機に乗った人を被曝者と言うのかというような問題もございます。
やはりそういう言葉の無神経な使い方というのも非常に問題であろうと思いますし、それの持っているリスクとベネフィットを日ごろからよく周りの方にわかっていただく、この程度のことだったらこういう行動をして安心なんだなということを理解するような形でさせていただくというようなPR活動というのはぜひ必要なのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/72
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073・中島篤之助
○参考人(中島篤之助君) ジェー・シー・オー事故に限って言いますと、東海村の村長さんが避難勧告をした三百五十メートルの範囲というのは、本来無人であるべきだったと思うんです。
ですから、周辺、これ原子力発電所の場合も日本の法律は数値が書いてないんですけれども、一応原子力安全委員会等の内規では、たしか六百メートルから八百メーターをエバキュエーション、つまり無人地帯にする、従業員を除いて、そういうことになっていますが、加工施設についてはどうもそうなっていないようなんです。
ですから、今度の事故を本当に教訓として学ぶとすれば、まずその辺から始める。つまり、ジェー・シー・オーなんか、もう周りに民家がありますから、ジェー・シー・オーの方を引っ越させなきゃいけないかもしれませんけれども、そういうことがまず必要ではなかろうかというふうに私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/73
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074・清水澄子
○清水澄子君 もう時間がありませんので、あと一つだけ中島参考人に、被害者の医療対策です。
これは、今回も本当に計画被曝者なんと言うのは私はおかしいと思います。決死で入ったんだから、計画的に入ったからこれを計画被曝者であるという、そんな名前はおかしいので、本当に被曝を受けた以上はやっぱり人体に影響を受けているわけですから、この日本の中で、事後対策も含めて被曝医療対策のシステムというのはどのように今後つくっていくべきか、この点について一言お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/74
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075・中島篤之助
○参考人(中島篤之助君) それは、例えばチェルノブイリの場合に一番大きな被曝をした人は消防士なんですね。今度のジェー・シー・オーの事故でも、倒れている三人の人を救出した人はやっぱり被曝せざるを得ないわけです、そこら辺に中性子がまだありましたから。
ですから、私さっき申しましたように、地方で原子力事故が起きて一番まず、例えば原子力発電所をつくるときも消防、これは例えば事業者がそれぞれ事故が起きた場合は自分のところで消防を持つわけですが、間に合わなくなったときはそうでないのが、自治体消防が出動しなければいけない。そのときにどうするのかというようなことが余り具体的には私は決まっていないと思います。
それから、今度の場合、シーベルトの話が出ましたけれども、これは中性子による放射化で被曝しているわけです。ですから、我々の体の中に食塩がありますので、それが放射化されて放射線を出す、それによる被曝なんです。ですけれども、これは非常に半減期が短いですから、それが逆に後でわからなくなっちゃうわけです。なくなっちゃって結局わからなかったというケースが非常に多い。ですから、今後調査でどの程度きちんとしたことがわかるかはわかりませんけれども、私も、秋元さんがさっき言われたように、いわゆる原水爆の被爆者と同じ言葉を乱用しますと、みんな被曝者になっちゃうわけです。
ただ、私個人の経験でも、マイクロシーベルト計をつけてチェルノブイリの前なんかへ行きますと、東京では一日に一・四マイクロシーベルトぐらいです、私のうちですと。それが見る見る動くわけですから、これはすごいなというのは実感しますけれども、そういうことでもない限り放射能というのは全く目に見えないわけです。向こうの従業員が五分以上はいないでくれと一生懸命言うんですが、せっかく日本からはるばる見学に行ったんだから長くいようなんて言って、針の動くのを眺めながら写真なんか撮って帰ってくるわけです。にっこり笑っていますけれども、実は非常に危ないところにいたなんということになるわけですが、ああいうところを歩いてきますと少し無神経になります。日本というのはいい国だなということになっちゃうんですが、これは余談です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/75
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076・渡辺秀央
○渡辺秀央君 どうも御苦労さまでございます。大分時間が経過いたしまして、お疲れだろうと思うのであります。
私は長い間、原子力エネルギーというものを強力に推進をしてきた一人でありまして、そういう意味では本当に、先般のこの委員会でも申し上げたんですが、まさに今度の事故は本当に痛恨のきわみだという感じです。それは、先ほど前田さんも秋元さんも、もちろん河瀬さんは立地市町村長の立場からおっしゃっておられますけれども、また科学者として中島先生も、本当に全くつまらないことから取り返しのつかないことだなと。それを言っていても始まりません。だから、とにかく防災をしっかりする国の法律を、まずベースをつくり上げるということだろうと思うんです。
〔委員長退席、理事馳浩君着席〕
そういう意味では、さっきそれぞれ皆さんからおっしゃっていただいたものを私今メモさせていただいた中で、時間が大分実は超過をしておりますので、今、水野先生と二人でなるべく短縮しようやというお話をしたんですが、また今まで同僚の皆さんが十分要領のいい御質問もされておりますので、同じことをなぞらうつもりは全くありません。
一つには私は、河瀬さんから順番に、せっかく遠いところからおいでいただいて、私は、若狭は私の愛妻の出身地でありますので、実は敦賀の原電あるいはまた大飯町、全部自分の地元の柏崎以上に実際を見ております。また見させていただいております、衆議院議員時代に。だから、実態をよく承知している中でちょっと幾つかのことを、これは全国の立地市町村長の立場でおいでになっていただいているんだから、ちょっとお話をお聞きしたい。端的にひとつ答えていただければありがたいと思います。
一つは、お話の中で、さっき風評被害ということを考えてもらわにゃいかぬという話がありましてちょっと気になりました。これはやっぱり立地市町村長の皆さんがこういうことを言い始めますと、これは実は大変なことになっていくと思うんです。これはむしろマスコミの方に問題があるわけなので、これはそういうところまで国が補償ということはどういうことかなという感じが率直にいたします。しかし、あなたの立場で、そういうことは一言言っておかなきゃいかぬだろうという意味だろうと思います。だから、原子力損害賠償法というのがあっても、風評まではなかなかこれは法律としてはやりにくいことだなと。これは一つちょっと私の感じを申し上げておきます。
しかし同時に、電源立地地域振興特別措置法というのを市町村長の皆さんがおっしゃっている。これ現在まで私どもはもう数十年かかってこの電源三法というものをいろいろ手直ししたり、あるいはまた交付金等もかさ上げは私がやった張本人ですが、いいか悪いかは別にして、だけれども、しかしそういったこともこれありで、今までの三法についてあなたはどういう評価をしているか、ちょっとそこを一言だけお聞きします。そう悪い法律だとは思っていないんですけれども。
それからもう一つは、さっきの実効性を期待したいというお話の中で、いわゆるレスキュー隊の編成なども考えなきゃいかぬ。私はこの委員会で実は防災器具、各消防署、警察に全部あるかと、配置されていないと言うからそれはだめだということで、おかげさまで今度予算化してもらうことになりました。そういう問題点が早急に行われなきゃいかぬと思うんです。事故はないことがいいですけれども、まさに災難ですから、忘れたときに事故は起こると、私ども災害対策でもやってまいりましたけれども、いつも申し上げてきたところです。そういう意味で、そういった問題について忌憚のない御注文を、立地市町村長としてしっかりと予算要求の中でさらに精査をしていただきたいということが二点目。
〔理事馳浩君退席、委員長着席〕
三点目は、これはちょっと気になりましたが、前に申し上げたように私も敦賀はよく知っていますが、道路が一本というのが前から本当に気になっている。それはあなた遠慮しないで、関西電力さん、あるいは県とか、あるいは電源立地交付金、そういうものの中で、それはもし万一のときに一本のときにはどういうことになるかということはやっぱり立地市町村長として、私、柏崎なんかはおかげで十分な道路というのを両面持っております。また避難、出ていくところがある。だからぜひ、あそこは全く半島の先端でなかなか大変だろうと思うんです。関西電力さんはあそこに直接関係ないですけれども、そういう意味で申し上げたわけじゃないですが、そういう中で、あなたの今たった一言だったんだけれども、私は政治家として聞き逃すことはできないなというふうに思いました。
そういうところを、やっぱり安心を与える、安全性の中に安心を与えていくという、地方政治の大事な民心を集約していくことではないかなという感じがして、大変興味深く聞かせていただきました。御意見があれば端的に一言お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/76
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077・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) まず、電源三法のことにつきまして、これは昭和四十九年ごろだったと思います、もう先生方のお力で、またこれ全原協が強く要望いたしまして成立をいたしました。おかげさまでこういう税金を有効に使わさせていただきながら、私どもの町づくり、また町の発展のために大きく寄与してくれたものというふうに思っております。
ただ、やはりいろんな縛りがございまして、これはええけどこれはあかんというようなことで、非常に使いにくいのも現実でございました。今、またそういう要望を出しながら、通産当局等々でいろんな御審議をいただいて、また税制では長期発展対策交付金等も創設をいただきまして、いろいろとお力をいただいております。大変感謝をいたしておりますが、先ほど言いましたようにちょっと使いにくい面もまだあるかなというところが本音でございます。
また、レスキュー隊等々ということで、これも先生方のお力でかなり検討もされておりますし、先ほどいろいろお話が出ました例のジェー・シー・オーの事故につきましても、救出に行った消防士さんが被曝してしまうというそういうことのないような体制づくりのためにレスキュー隊、また防護服のことにつきましても今回予算化もいただきまして、大変感謝をいたしております。
そういうことで、私どもがいつも思っておりますのは、備えあればというだけで、決してこんなものが必要だということがないことが一番ありがたいんです。もうこれは法律もできた、服も配備してあったけれども、将来百年か二百年か知りませんけれども、原子力にかわるいいエネルギーができたときに、一遍も使わぬで済んだなと言われることが一番ありがたいというふうにまず思っています。そういう面で、安全規制をまず第一にお願いしたいと思っておりますけれども、やはり安心、安全のためにいろいろお力をいただきまして大変感謝いたしております。
それと、道路ですけれども、御指摘いただきましたとおり、敦賀半島といいますのはぐるっと若狭湾の中に出ている半島であります。地図を見ますと、ちょうど道路があるかのように実は書いてあるんですけれども、立石というところから白木、これは「もんじゅ」のあるところです、そして関西電力がある丹生というところにつながる、昔から点線で将来道がつくよというようなことはもう何十年も前から出ておりますけれども、現実にそういう道路は実はできておりません。
そういうことで、半島周遊道路ということでいろいろな要望も今まで出してきておるんですけれども、半島の振興法という法律がありますが、どうしても人口も少ない等々でそれの適用も実は受けられない状況で、実は今現在は、地元としてはそういう道路等々をぜひ整備してほしい。また、今回の法律が成立いたしますと、先ほど言いました避難道路という観点からも、そういう道路がつながっていくことがもうベストだということで、これは私どもの前からの実は気持ちでありますので、ぜひそういう形で、それが振興につながる可能性が十分ございますので、振興とそしてまた防災と、いろんな面でかなりいいものになれる可能性のある道路でありますから、このあたりも要望はしていきたいと思っています。またよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/77
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078・渡辺秀央
○渡辺秀央君 次に、前田参考人にお伺いをさせていただきますが、いろいろ御指摘をいただいたり、また電気事業者としての反省、まさにニュークリアセイフティーネットワーク等のお話もお聞きいたしまして、先般この事故のときに、まさに原料と燃料と事業所というその関係が我々もうかつだったというふうに私も反省を申し上げたんです。実際そこのところをフォローされて早速にこういった仕組みを考えられる、十二月に設立の予定だと、今月設立の予定だと聞いて大変喜んでおりますが、ぜひまさに実効性のあるものにしていただきますように。
これは、事故があった当時というのは各事業体が集まったり、責任者が関心を持ったり、秋元さんおられるけれども、それは責任者はみんな関心を持つんですけれども、一年ぐらいすると今度は総務部長が出たり、あるいは何たら部長が出ていくというようなことが大体常です。そうじゃなくて、私が申し上げたいのは、こういう国策に沿った仕事をせっかくやっておられるという認識、それから責任、使命感、秋元さんからもまさにお話がございました、そういう一つのモラルと申しましょうか、そういうものの持続性ということが私はやっぱり大事じゃないかなと思うんです。
そういう意味では、電気事業連合会、私も長いおつき合いをさせていただいてきました。しかし、こういう問題についてとにかく全事業者が協力し合って、そしてこの問題について、まさに事故が起こらないことが安全の第一の要件としてやられるわけですから、このモラルという問題、事業者のモラルあるいはまた従業員のモラル、労働組合の諸君たちもおられますけれども、まさに全体のこういった問題についてのモラルの教育、あるいはまたそういった実際面、実施面、そういうことをどういうふうにお考えになっておられるか、あるいはまた今後各事業者連合会としてそういう問題もあわせてお取り組みになっておられるかということをちょっとお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/78
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079・前田肇
○参考人(前田肇君) 今、先生非常に重い、重要なことをおっしゃっていただいたと思っております。
原子力にかかわる事業所、どこで事故が起こっても、我々の立場から言うと、要するにすべて原子力の事故ということでして、いやあれは発電所は関係ないんだと言っても簡単に理解していただけるわけでもないわけでして、そういう観点から、今度、ニュークリアセイフティーネットワークということで、全事業者が参加してやろうと思っています。
それで、その中でやはり一番大事なことは、まさに今先生御指摘いただいたようにモラルということでございまして、実は一年ほど前にお恥ずかしいことがありまして、燃料を輸送する容器のデータを何か改ざんするという問題がありまして、あのときに電気事業連合会としまして、やはりこれはモラルが欠落していた、緊張感が足りなかったということで、全電力挙げて再度モラル徹底といいますか、まさに単なる技術的なことだけではなくて、風土にまでさかのぼってモラル対策をやろうということで、具体的には経営者トップから一般の従業員まで含めていろいろな教育をする、セミナーを開く、外部の御意見を聞く、あるいは考えつく限りのことをいろいろやっているわけでございます。
それで、原子力というのは当然安全第一でやっているわけでして、安全運転が続くというのは非常にいい状態なんですけれども、安全がずっと続くとやはりモラルというものが緩んでくる可能性があるわけです。したがって、そこを何とか日ごろの活動で、モラルが緩むこと、緊張感がなくなることを防がなきゃいけない、これが一番大事なことだと思っていまして、今回のニュークリアセイフティーネットワークというのもまさにそのためにつくったわけです。お互いに自分のところは安全だ、大丈夫だといってのほほんとしていると、よそから怖い顔した専門家がやってきて、よくよく我々のところのオペレーションを見て、ここはちょっとたるんできたじゃないかと、こういうことを指摘してもらおうというのがまさに今回の目的でございまして、そういうことで今後ともとにかく何十年と安全で絶対に事故を起こさないような組織、風土をつくり上げていこうと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/79
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080・渡辺秀央
○渡辺秀央君 ありがとうございました。
もうちょっとお話ししたいんですが時間が迫っていますので、せっかく秋元社長お見えでありますから、さっきのお話の中でも大変いいお話を、御意見を承りました。
過重な規制でこたえることはむしろ今後に問題があると、これは私は本当に卓見だと思いますね。規制すればいいというものではないと思うんです。それはまさに世の中すべて、科学者の前で恐縮ですけれども、私は絶対はないと、どんなものでも絶対ということは宗教の世界以外にないなという感じがいつもしておりますが、だからこそ我々は努力していかなきゃならぬのだというふうに思います。
そういう中で、先ほど申し上げたとおり、今回の事故はまことに痛恨ですが、日本の核燃料加工技術というのは、全く素人質問ですけれども、世界的に私は冠たるものだと思っていたんです。
この間、実はおたくの関係のところもお邪魔いたしまして、御案内をしていただいて、みんなで大変勉強をさせていただいてまいりました。ありがとうございました。ジェー・シー・オーの中にはもちろん入れません。しかし三菱さんの方へは入らせてもらった。三菱さんの方を見る限りにおいては、こんなところで事故が起こるのかなという感じでしたよ。だけれども、片っ方ではまるでバケツでやっちゃうというような、そんなに差があるものなんだろうかと、それはやっぱりいわゆる科学技術庁の検査が行き届いていないと、これは指摘はいたしました。
しかし、モラルの問題もあると思いますよ、あると思いますが、全般的に日本のこの核燃料加工技術というのはそんなに貧弱なものなんでしょうか。私は世界に誇れるものではないかと思っているんですけれども、どんなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/80
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081・秋元勇巳
○参考人(秋元勇巳君) ありがとうございました。
先ほども申し上げましたように、ジェー・シー・オーさんで起こりました事故もジェー・シー・オーのメーンの工場で起こったわけではございませんで、いわば本当に附属の、小屋と言ったら申しわけないですが、建屋の中でいわば臨時的にやったところで起こった。本当は臨時的にやるところについてはもっともっと注意を払っておくべきであったというところがあるわけですが、それはそれといたしまして、低濃縮ウランのいわゆる原子炉向けの燃料といいますか、それにつきましては、今事故を起こしたジェー・シー・オーさんといえどもかなりのいろいろ技術水準でやっておられるというふうに私は思っております。
なぜそういうことになるかといいますと、これはでき上がった燃料の品質を見ていただければ一つの例としておわかりいただけるかと思うんですが、燃料のさやに詰めますので、必ず何万本に一本かは幾ら注意をしても小さなピンホールがあいて、そこから幾らか冷却水の放射能のレベルが上がるというようなことが起こるわけでございます。いわば原子炉というのはある程度そういうものが起こるということ、何万本に一本かは起こるということを前提にして原子炉というのは設計されているわけでして、それが起こるということ自体は別に事故でも何でもないわけであります。
それが一体どのくらいで起こっているかといいますと、私どもは例の加圧水燃料、PWRという燃料をつくっていますので、私のところのデータで調べてみますと、アメリカのウェスチングハウスがつくられた燃料でどのくらいでピンホールが起こっているかというと、大体五万本に一本ぐらいは起こっているというデータがございます。私どもの方は電力さんにお納めして今ここで五年、六年ですか、ピンホールが一つもございません。したがって、今までのところ四、五十万本ピンホールなしにやってきているということでございます。
結局、それがないということは冷却水の放射線レベルも下がるわけですし、全体として原子炉を安全に運転していけるということになりますので、燃料だけではなくて原子炉全体の安全に対してやはりそういう品質というのが寄与しているというふうに私どもは自負をしておりまして、これを、オペレーションの安全それから製品の安全すべてに心がけて、この記録をぜひとも維持していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/81
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082・渡辺秀央
○渡辺秀央君 中島先生に本当はちょっとお聞きしたかったんですが、もう時間いっぱいであります。
ただ、先生おっしゃった被曝医療体制が貧弱だと、これは本当にそう思います。本当に大賛成であります。そういう意味で、御指摘をいただいたことは大変参考になりました。
同時にまた、法律ということについてのお話がございましたが、確かにわかりにくいですよ。実際には役人主導で、日本の国はすべて役人がやりやすいように省令だ、政令だというので、ある意味では当事者能力をそこに見出してやっているみたいな面で、今度の事故の初期における動作の緩慢性というのもそこにあったと思います。そういう意味ではやっぱり地方自治体にむしろ実権を持たせた方がいいということは全く賛成です。私はそういう意味では今度がいい例だというふうに思います。
要するに、事業所もあるいはまた事業体、企業も、地方自治体と年じゅう接触しているわけですから、そこにこそむしろ防災の壁ができ上がるということだろうと思うので、この法律はまずは法律として、悪いところはどんどん直していくのが我々の役割なんで、この原子力エネルギーに関する防災法律というのを出発点として、これができ上がったからこれで終わりというのじゃなくて、絶えず点検はしていくつもりでありますが、ぜひいろいろな御指摘とまたいろんな参考意見を聞かせていただきたい。大変きょうはありがとうございました。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/82
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083・水野誠一
○水野誠一君 参議院の会の水野誠一でございます。
きょうは本当にお疲れさまでした。私は最後の質問者なんで、短くすると言ってなかなか短くならないのが政治家の悪いところなんですが、私は簡潔に一問ずつ質問させていただきたいと思います。
まず、きょうはちょっと順序を変えて、中島先生から伺いたいと思うんです。
中島先生のお話の中で、特に安全委員会の権限の問題あるいはその手足がない問題等々、これは私も非常に大きな問題だと思い、またそのダブルチェックが本当に機能しているのかというようなことから、前の委員会でも何度か質問をさせていただきました。
実は、きょうはちょっと違う視点から伺いたいと思うんですが、先生が八六年にエコノミストで書かれた論文がございまして、これはスリーマイルアイランド原子力発電所事故あるいはソ連原発事故ということから書かれたものなんですが、その中にMTBAという言葉が出てきます。これはミーンタイム・ビトウィーン・アクシデント、つまり、大変難しい英語になるんですが、事故と事故の間の平均時間ということ、これは理論値として計算をされる。そうすると、ボイラーなんかだとほぼ八千年に一回というぐらいのペースになる。それに対して原子炉は一千年に一回。つまり、ボイラーと比べるとかなりまだ未完成な技術じゃないか。また、単純に比較すれば八倍ぐらい事故の可能性があると。こういうデータをお示しになっています。
これは八六年のレポートなんですが、現在これは大分技術も進歩してきていると思うんですが、この辺の間隔というのは変わってきているんでしょうか、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/83
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084・中島篤之助
○参考人(中島篤之助君) このMTBAというのは安全工学で主張される非常に重要な、むしろ理論値というよりも経験則なんです。ボイラーの場合にそうだということは、これは私が申し上げたのではなくて、私の学術会議の同僚だった石谷清幹先生がボイラー協会のデータからそういうことを言っている。ですから、日本には私どもの家庭にもあるようなボイラーを含めてたくさんのボイラーがあるわけですが、それを平均しますと、つまり八千年ももつボイラーというのはないわけです、現実に。確率論の話です。しかし、それは非常に十年間ぐらいとって動かないんですね。だから変わらないと。ダムというのは五千年に一回決壊する、それから橋はおっこちるとか、そういう、安全工学というのは大変おもしろい工学なんです。
原子炉の方がそれじゃどうだったかというと、とにかくスリーマイルアイランドの原発事故が起きたときに、これは現在核燃料サイクル開発機構の理事長をやっております都甲さんが、それまでの商業用原子炉がちょうど千原子炉年の運転経験であった、だから千年に一回ということにMTBAはなるんだということをおっしゃいました。
それが変わったかどうかというのは、これは非常に難しい。ロシアの場合を見ますと、チェルノブイリは大体四百数十原子炉年で起こっているわけです。これを日本に適用しますと、私、去年、おととしでしたか、柏崎で全国の原子力施設立地地域の議員の方々がお集まりになったときの会合で申し上げたんですが、日本の原発は今のところまだ若いんです。ですから、それを積算しましても、きょうちょっとデータを持ってまいりませんでしたが、たしか六、七百原子炉年ぐらいだから、原発をこれ以上ふやさないということと、もう一つは老朽化した原発を減らしていけばこれは小さくなるわけです。そうすれば当分の間は事故を、この安全工学上のMTBAからは鬼胎しないで済むだろうと、つまり事故が起きる心配。
ところが、私が最近気になっているのは、どうも原子炉の寿命を、立地が非常に困難になってきているものですから、電力会社の方が六十年使えるとかなんとかおっしゃっているのは非常にうまくないんじゃないかと。前田さんを前に置いてなんですけれども、そう思っています。
実はさっきのボイラーの場合は法定耐用年数というのがはっきり法律で決まっておりまして、たしか十四年だそうです。実際は、企業で使っておられるボイラーで、十四年間もボイラーなんか使っているような企業は、これはもう競争に勝てないから、もうどんどん新陳代謝されている。原子力の方だけはそう簡単にかえられないから引き続き使おうということでしょうが、PWR、加圧水型原子炉の場合は、実は熱交換器を美浜事故以来交換することがはやっておりまして、それを見ますと、あれが最初設置されてから交換するまで大体やっぱり十四、五年なんです。だから、やっぱりボイラーの一種だなと私は思っているんですが、今後やっぱりその辺のところを実際問題としてはお考えいただきたい。余りむやみに延長することはよくない。BWRの場合は外側の、シュラウドというのを交換するというようなことをやっています。ですから、やっぱり材料というものから見て、そんなに長時間引っ張るということは余り賢明ではないんじゃないかと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/84
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085・水野誠一
○水野誠一君 今のお答えに関連して、次に前田さんに伺いたいんですが、私も実は前のやはり委員会で三十年という一つの耐用年数、これを六十年に延ばすという話が出てきた。確かに機械の単純な寿命からいけば六十年でももつというような見方もあるのかもしれないんですが、非常にいろんな意味で私は、単純にその耐用年数を延ばしていくと、これは確かに廃炉にするということに関連するマイナス面といいますか、いろいろ出てくるデメリットというのも大いにあるんですが、その点について一言、もう本当に簡潔で結構ですが、お考えをお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/85
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086・前田肇
○参考人(前田肇君) 今、原子力発電所は法律上決められた運転寿命というものはございません。毎年毎年、毎年といいますか、約一年に一回きちんとした定期検査をやりまして、その通産省の検査を受検して合格すると次の一年間運転できると、こういう形でやってきておりまして、一番古いので約三十年です。
それで、そろそろそういった三十年、中年に差しかかってきたわけでして、数年前から通産省と我々と発電所の寿命といいますか、技術的にどういう状況かということをいろいろ詳しく調べました。それで、現在の技術レベルで適宜適切な保安、点検保守をやっていけば技術的には六十年は運転できるという答えが出ております。これは原子力安全委員会にも報告されまして、原子力安全委員会でもレビューをされて妥当であると、こういうふうに言われております。
それで、現実にじゃ我々が六十年運転するのかと問われますと、それはまだ別に決めたわけじゃございません。関西電力の美浜一号機というのが実はPWRでは一番古い発電所でございまして、これが来年で三十年になりますので、先日、福井県と美浜町に対して、十年間引き続いて運転をしますと、十年後にもう一度総合的なプラント全体の健康診断をやりまして、安全レビューをやって、その時点の状況あるいは地球環境とか需給バランスとかそういったもろもろの条件を勘案して総合的に判断いたしますと。我々としてはできれば長く使いたいと思っておりますが、それは先の判断になろうかと、こう思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/86
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087・水野誠一
○水野誠一君 次に、秋元さんに伺いたいんですが、今回の事故で私は一番、事故の原因というのもショックだったんですが、それ以上に、その後の作業、例えば決死の水抜き作業をするとかボランティアが土のうを積むとか、そういうところは非常に近代的なイメージを持っていたその原子力の作業としては何か原始的だったなと、原子力じゃなくて非常に原始的な作業だったなという感じがしたんです。
これは今回、非常に御社とジェー・シー・オーさんとの明暗というのが分かれた感じもするんですが、もしか事故が起きた後、これはやはりそこでも体制の違いといいますか、そういうものが出てくるのか、もう事故が起きてしまえば同じ作業をやはりしなきゃならないのか、その辺はいかがなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/87
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088・秋元勇巳
○参考人(秋元勇巳君) 今回の場合には、後で考えてみますと、やはり初期対応という面で非常に問題があったというふうに思っております。したがって、もし適切な初期対応がなされていれば、あれほどの、例えば二十時間も臨界が続くというようなこともなかったろうと思いますし、それからもとをあれいたしますと、やはり人がビーカーで入れたと、恐らく入れたときに臨界に達して例のチェレンコフの光が出たと。ところが、作業員の方たちは、それを何であるかがわからずにまだ続けて入れておられたらしいという話もあります。したがって、そこでまた余計に量が入っちゃったと、それが瞬間で終わらずにということの一つの原因にもなったということがございまして、やはりふだんの従業員教育といいますか、そういうような形で、とにかくそういうようなものが起こらないようにすると。起こってからの対策ではもう意味がないわけでありまして、起こらないようにする対策というのはまだ幾つもあったというふうに思います。
したがって、先ほどから申し上げておりますように、やっぱり人の問題だと思います。したがって、一人一人がそういう意味での自分のやっている作業の意味といいますか、その重要性というのをきちっと把握をしてやっていれば、たとえ間違いがあってもその間違いを最小限に食いとめることができるというふうに思っておりまして、やはり全体としてここのところ、実は中島先生や私どもが原子力を始めたころには、原子力というのは本当にきらきら光っておりました。若い連中がみんないわば本当に高い志を持って入ってきていたわけでありますが、最近はどうも受け身になって、何となく専ら間違いを起こさなければいいんだというような、そういう形になってくる。やはりそこに一つの一番の問題があるような気がしていまして、ちょっと脱線するようですけれども、どういう形で今の人たちに原子力に新しい夢を与えるのか。原子力自体が安全にずっとただ進んでいきますと何となくマンネリになります。それがやはりマネージとして一番大事なことかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/88
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089・水野誠一
○水野誠一君 なぜ今こういうことをお尋ねしたかといいますと、やはり原子炉もそうですし関連施設もそうなんですけれども、非常に人力に頼る部分というのがまだまだ多い。これはよく原子炉なんかでも、メンテナンスをするのに下請の労働者がかなり内部被曝をしながら作業をしているんじゃないかとか、こういう指摘なんかもあるわけです。これは、事実どうかというのはよく私もわかりません。
ただ、やはり作業の無人化であるとかロボット化であるとか、あるいはレスキュー体制のシステム化であるとか、こういうことがないと、本当に原子力というのは安全だという何か呪文のような今までのやり方ではだめで、やはり危険だけれども、だから注意して扱うというところに基本的な、行政もそうですし、事業者もスタンスを変えていくということの中で、ぜひそういったところへの投資も考えていく必要があるんじゃないかなと、こう思うわけです。
最後に、もう時間がないので河瀬さんに一言お尋ねしたいんですが、今おやりになっております全原協の発言力あるいはその機能、そういう点から見たときに、国とか事業者は皆さんの発言をきちっと受け入れているのかどうか、その辺御感想を一言伺わせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/89
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090・河瀬一治
○参考人(河瀬一治君) この全原協ができましてちょうど昨年でさっき言いましたように三十周年を迎えまして、そのパーティーには総理もお越しいただきましたし、いろんな皆さん方の中で生の声も実は聞いていただいております。私どもは、このエネルギー問題、特に原子力問題は、沖縄の基地問題同様、大変重要な問題だというふうに認識をいたしておりまして、それぞれの地域が国策を担って一生懸命頑張っておるんだという自負をいたしております。
そういう中で、いろんな御意見も確かに聞いていただいておりますが、これは難しいところで、一〇〇%というふうにはまいりません。ただ、やはり今回の法律の制定の動き、また安全規制に対する動き等々行けば、それなりに聞いてはいただいております。また、地域振興につきましても、先ほど渡辺先生の方からお話ございましたとおり、電源三法等の、私どももちょうだいしながら町づくりをやっておりますし、いろんなことでお話は聞いていただいておりますが、一〇〇%というわけにはまいりませんし、できればもう少し聞いていただけたらなという気持ちはございます。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/90
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091・水野誠一
○水野誠一君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/91
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092・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
本日は、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
午後一時四十分まで休憩いたします。
午後零時三十五分休憩
─────・─────
午後一時四十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/92
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093・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) ただいまから経済・産業委員会を再開いたします。
この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、小宮山洋子君が委員を辞任され、その補欠として藁科滿治君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/93
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094・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
原子力災害対策特別措置法案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に政府参考人として科学技術庁原子力局長興直孝君、同原子力安全局長間宮馨君、資源エネルギー庁長官河野博文君及び同長官官房審議官藤冨正晴君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/94
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095・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/95
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096・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) 休憩前に引き続き、原子力災害対策特別措置法案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/96
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097・加納時男
○加納時男君 自民党の加納時男でございます。
初めに、中曽根長官にお伺いしたいと思います。
ジェー・シー・オーの事故が発生しましたときに、緊急対策に関係者が出たわけでございます。それに加えまして、もちろん地元の東海村、茨城県はもとよりでありますが、各省庁が非常に迅速に私は対応したと思っております。
きょう午前中、参考人質疑がこの席で行われたわけですが、そのときに前田参考人から、事故に際して自主的な協力をエネルギー産業の人たちがやったというような報告もなされたわけでございますが、こういったような状況は大臣聞いていらっしゃいますでしょうか。どう聞いていらっしゃるか、把握していらっしゃるか、そしてどのように評価していらっしゃるか。もしありましたら、どういうところが今後の課題か、その辺を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/97
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098・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) ただいま加納委員からお話がありましたように、事故発生直後、関係各機関がフルにその機能を発揮して対応してくださいました。
政府対策本部に科学技術庁、それから内閣安全保障・危機管理室、それからお話ありました関係省庁、また茨城県、東海村のみならず、日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構、日本原子力発電等の支援機関の関係者が集まり対応を協議したわけでございます。
特に臨界を終息させるために、関係研究機関は、解析に基づく対応方法の検討や、それから遮へい強化等の作業等支援をいたしました。また、臨界終息後の住民の汚染検査等には、全国の電気事業者の皆さん方が大変積極的な貢献をされたわけでございます。さらに、研究機関や電気事業者は、環境モニタリングにおきましても、資機材の提供も含めて積極的な協力支援をされました。
以上のように、今回の事故に対しましては、研究機関や電気事業者また関係諸機関からの大きな貢献、協力があったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/98
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099・加納時男
○加納時男君 今のお話でわかりましたけれども、いずれにしましても、今回の事故自体は非常に遺憾な違法作業でございます。それからまた対応について、特に科技庁の対応について同僚の委員からも私からも厳しい指摘があること、これはもうよくわかっていただきたいと思います。
その上に立ってでありますが、関係省庁、自治体、それから電力会社初め民間の企業、こういった方々が全力を尽くされたこと、それから臨界の終息作業に当たってジェー・シー・オーの職員の方々がまさに決死隊の気持ちで水抜き作業に当たられたといったことは、私はやはり記憶にとどめたいと思っているわけでございます。
今回の事故について、事故後ですけれども、科学者かどうかわからないんですが、一部の評論家とおっしゃる方がテレビで、ミニ原爆が落ちたようなものだとか、それから中性子爆弾だとかといったような、いわば非科学的なアジテーションをやって、私もテレビでそういう方々とお会いしたこともありますが、これに対する批判を申し上げると黙ってしまうという状態なんですが、こういったようなことは、私はやっぱり科学技術庁としても、悪いことは悪い、違うことは違うとはっきり言うべきだと思うんです。
これは政府参考人の方でも結構ですけれども、あるいは政務次官でも結構ですが、こういったことについてはどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/99
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100・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) 加納委員おっしゃるとおり、全く非科学的なアジテーションだと我々も認識しております。
我が国は、核兵器開発についての知見を有していないところでございますが、一般論として申し上げれば、原爆は高濃縮ウランあるいはプルトニウムを極めて短時間のうちに意図的に膨大な核分裂の連鎖反応を起こさせる、いわゆる系が無限大という形で起こさせるものでございます。そしてその結果、中性子線、ガンマ線、放射線とともに膨大な熱エネルギーを生じさせて、核分裂生成物が大気圏の高空にまで達し、そしてそれが広い範囲にわたって落ちてきて住民の被爆を含む環境影響を生じさせる。
また、水爆、その一種であります中性子爆弾は、核分裂の結果生じたエックス線を使って水素など軽い原子核を核融合させて膨大な熱エネルギーを放出するものと言われております。
今回の事故は、そもそも未臨界を維持すべきウラン燃料の加工施設において、通常では考えられない従業員の違反行為によって核分裂反応が引き起こされたものであり、事故の結果、中性子及びガンマ線が放出される等ということにはなりましたけれども、いわゆる核爆発を伴うものでは全くなく、原爆等とは全く異なるものと理解をしております。
したがいまして、今回の事故をミニ原爆だとか中性子爆弾と表現することは全く適切でないと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/100
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101・加納時男
○加納時男君 今の回答は非常に私はわかりいいと思います。
特に、原爆との違いですけれども、質量がまるで違うということ、それから濃縮度が九〇%以上に高度に濃縮したのが原爆であるし、今回の使っているウランは、普通の発電所で使っているような三、四%といった低濃縮度ではない、いわば私の言葉で言うと中程度の濃縮度、一八・八%ですから、中程度ですから、濃縮度が爆弾とはまるで違う。瞬時に爆発させて放射性物質、放射能をまき散らして人を殺りくするのが爆弾であるのに対して、今回は放射性物質はほとんど全部容器の中に閉じ込められている。
今回のは全く違うというのはおっしゃるとおりなんですが、もう一つ、中性子爆弾と関係して、きょう午前中の参考人質疑で、あるいは聞いていらっしゃらなかったかもしれませんが、こんなことがありました。
中性子を被曝する、中性子を受けるということはどういうことか。人間の体の中にある、例えばナトリウム23という自然物質があります。工学博士なら御存じだと思います。そのナトリウム23が中性子を受けて放射化してナトリウム24というものに変わる、そこから放射線が出るんだ。つまりそういう放射性物質が体内に生まれるから怖い、このことが週刊誌にまたでかでか載ったわけです。これも極めて考えたらおかしいんですよ。
つまり、ナトリウム24確かにできました。けれども、ホール・ボディー・カウンターで計量をしている。しかも、ナトリウム24というのは、半減期が短いわけですから、これはもう八日間ぐらいだったですか、短いですよね、ですからどんどん減っていっちゃう。量が少なくて、計測もされている。したがって心配はない。カリウム40ですか、人間の体の中にはそういう放射性物質がもともとあって、これは半減期が十億年もするものですよね。こんなようなことを、これがあっても何も支障ないわけですから。
そういうことが、危ないこと悪いことと大丈夫なことの区別がなくて、ともかく一つあったら世の中全部悪い、原子力もやめてしまえみたいなむちゃくちゃな議論まで起こっているわけですけれども、そういう点では、もう大臣とか政務次官がテレビへ出て、どんと、こういう変なことを言ったら、それは違う、悪いのは悪い、しかし違うのは違うと、こういうふうにはっきり言っていただきたいと思うんです。官僚の方はなかなか慎重ですからしゃべりにくいと思うんです。政務次官は政治家ですから言っていただけると思うんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/101
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102・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) 今、加納委員のおっしゃったとおりだと思います。
私もどんどん自分の信じているところは申し述べていきたいと決意しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/102
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103・加納時男
○加納時男君 すばらしいお言葉をいただきました。ぜひ実行していただきたいと思っております。
さてそこで、少し具体的なことに入りますので、もし政務次官おわかりじゃなかったら政府参考人の方でも結構でございますが、具体的なことをちょっと厳しい質問ですがさせていただきます。
前回は安全指針十二を取り上げたんですけれども、きょうは総理府令を取り上げてみたいと思うんです。
核燃料加工施設の設計及び工事の方法の認可については、昭和六十二年に総理府令ができているわけであります。核燃料物質の臨界防止について厳しい条件を付しております。
大事なことなのでちょっと読み上げますと、「加工施設は、核燃料物質が臨界に達するおそれがないようにするため、核的に安全な形状寸法にすることその他の適切な措置が講じられているものでなければならない。」、これが一つです。それからもう一つは、「臨界質量以上のウラン又はプルトニウムを取り扱う加工施設は、臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているものでなければならない。」とあります。今読み上げたところであります。これは昭和六十二年にできているんです。
ところで、今回のジェー・シー・オーの事故を起こした施設でございます転換棟でありますが、これは昭和五十九年に変更許可を得てできているわけであります。ですから、昭和五十九年にできたもの、その後に六十二年の総理府令が出た。この六十二年の総理府令が五十九年のに直ちに適用されない、これは私はわかりますけれども、二つ質問があります。
まず第一は、この設備、今のジェー・シー・オーの事故を起こした設備は、この昭和六十二年の総理府令があったとすると、これをクリアしていますか、いませんか、これを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/103
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104・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) クリアをしております。
まず、その一つといたしまして、先ほど加納委員おっしゃいました「核的に安全な形状寸法にすることその他の適切な措置が講じられているものでなければならない。」という点につきましては、形状管理、質量管理、また一バッチごと処理をすること等の多重防護の考え方がとられているわけでございまして、この点についてもクリアしております。
それから二番目に、委員御指摘の「臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているものでなければならない。」という点につきましては、高線量のガンマ線をとらえて警報を発するガンマ線エリアモニターが設置されておりましたので、これがその警報装置に当たるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/104
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105・加納時男
○加納時男君 それは、僕は官僚の方が書いたものだったらそれでいいと思いますよ。そう言わないとやっぱり立場ないです。私は、政務次官のお答えとしては非常に不満ですね。私は、大変失礼ですけれども、今の答弁は納得できないと思うんです。
といいますのは、一点目の話はまあまあいいと思うんですよ。「安全な形状寸法にすることその他の適切な措置」、要するに適切な措置が講じられていればいい。「適切な措置」というのは、安全な形状寸法に全部なっている、これだけでも満たすんですね、この法律の文章の読み方、「その他の」というのは。それはわかりますよ。質量管理をやっていた、バッチ処理をやっていた、それをちゃんとやればいい、これはわかります。
二番目の方です、「臨界事故の発生を想定した適切な措置」として、今、臨界警報装置があるからいいとおっしゃった。そう言わないとこれ立場がないというのは官僚の方はそうかもしれないけれども、政治家としては私は納得できないというのは、あくまでもこの第二項、二つ目に申し上げたことのポイントは、「臨界事故の発生を想定した」、しかも「適切な措置」なんですね。
今おっしゃったのは、警報装置があった、それでガンマ線を見る、高ガンマ線量が出ればそれに伴って中性子線もある程度見当はつくだろうと言ったけれども、少なくとも中性子線の測定装置はついていないわけですよ。それは建物の中にもなかった。私も現場を写真で見ました。なかった。外に行ったら、外もなかった。この間同僚委員と行って聞いたけれども、ついていませんでした。一番近くにあったのは二キロ離れた原研の那珂ですか、そこにあったんですから、これはやっぱり中性子線の測定装置がなかった。これは事実ですよ。
それから、状況はどうなっているのか。私も事故直後に行って困ったのは、ITVがないものですから中がさっぱりわからぬ。決死隊が撮った写真が頼りだったわけですね、爆発していないこともよくわかったんですが。そういうことでITVもない。
さらには、「臨界事故の発生を想定した適切な措置」というのは、普通の常識で、政治家の常識で言えば、これは例えば硼酸水を注入する設備であるとか臨界をすぐに終息させる措置、これが「臨界事故の発生を想定した適切な措置」ではないかと思うんですけれども、ちょっとくどいようですけれどもいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/105
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106・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) 加納委員おっしゃるとおりだと思います。
臨界事故を想定した適切な措置、その適切な措置いろいろあるかと思いますが、このガンマ線エリアモニターだけで適切な措置と言えるかどうかという点については私も同様に感じるところでございますが、基準ということだけから考えますと、あの施設で高レベルのガンマ線エリアモニターが鳴るという事態はいわゆる臨界ということしか考えられないということから、ある意味で、この警報装置、臨界警報装置の設置に当たると、このように判断をしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/106
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107・加納時男
○加納時男君 これ以上私も追及していくと泥沼に入りそうな気がしてきたので、ちょっと自分でも怖くなってきましたけれども。
実は、今の最後のお答えは、ちょっとこれまずいんですね。というのは、臨界としか考えられないようなものであったと言うと、臨界としか考えられないようなものなら、なぜ臨界としての措置を科学技術庁はすぐとらなかったんですかということになっちゃいますから、それでまたやってもいいですけれども、そこはちょっときょうは前もって通告していないのでこの程度にしますけれども。
ともかく、私は今回のことは、今答弁まとめてみますと、違法ではなかった、科学技術庁の審査は違法ではなかった。しかし、私は、今のような昭和六十二年に総理府令でこんな厳しいものを出しているということから考えてみると、不十分ではあったな、あるいは不適切なところがなかったとは言えないというのが答えかなという感じがします。
ですから、ともかく官僚というのは無謬主義というか、間違いを起こさないんだというようなことは官僚の方は言ってもいいですけれども、少なくとも政務次官には言っていただきたくないと思ったんですが、今正直におっしゃったので、こういうふうな議論をぜひこういう我々の国会の場ではやっていきたいと思います。
いいんですよ、人間は間違いというのはあるんですから。あったことを認めずに、間違っていませんでしたばかり言っていると、本当に世の中よくならないんですね。政務次官にこういう政治家がなるようになった、政治家が今までもなっていたんでしょうけれども、ちゃんとした政治家がと言っちゃいけないな、ともかく大臣にかわっていろいろなことのできる政務次官ができたという制度をフルにぜひ生かしていただきたい。これはお願いでございます。
もう一つだけつけ加えさせていただくと、昭和五十九年にできた設備、六十二年の法律あるいは基準から見ると不十分なところがあった。こういうときに、私は一概に何でもいいから、バックフィットというんですけれども、さかのぼって全部直せとはあえて言いません。刑罰だって不遡及ですよね。きょう法律ができた、きのうまで懲役刑だったのがきょうから死刑に変わったから、おまえは急に死刑になったよというのじゃたまらないです。法律は不遡及の原則でいいと私は思います。だから、機械的に適用することはない。
ただし、少なくも原子力の安全のように国民の非常に強い関心があり国民の生命にとっても非常に大事なような事項の安全に関する基準の重要な変更があったときには、勇気を持って、そのさかのぼることも含めて、どうやって現状と折り合っていくのか、こういったことも真剣に考えていただきたい。
きょうの私の結論は、決してここで科学技術庁がチョンボをやったとか間違っていたということじゃなくて、不十分なところも今になってみるとあったかなということを反省していただかないと法案の審議に入れないものですから、今のお答えで結構でございます。ありがとうございました。
次に、ジェー・シー・オーの裏マニュアルについて伺いたいと思います。
ジェー・シー・オーでは、正規の工程、正規の手順、これは正式なマニュアルと言っておりますけれども、それではなくて、裏マニュアルをつくっていたということがはっきりしております。この間、ここでも取り上げられました事故調査委員会の中間報告の中で、平成九年に裏マニュアルが社内で承認、発行されたものといったような記述があったことを私はちょっと記憶しているんですけれども、これはジェー・シー・オーの社内でどこまで承認されているのか、もしおわかりでしたら教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/107
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108・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 御説明いたします。
平成九年にジェー・シー・オーが作成した手順書、いわゆる裏マニュアルと呼ばれておりますが、これは製造部門がその原案を作成いたしまして、関係部門である品質保証部門の審査を経まして、製造部長の承認を得たものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/108
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109・加納時男
○加納時男君 わかりました。
製造部長までやっている。これは組織として正式に認めたということだと思いますけれども、大変な問題だと思います。
もう一つ伺いますが、今回裏マニュアルにもさらに違反した、バケツから沈殿槽に入れる、これは裏マニュアルにもなかったと思うんですね。裏マニュアルではバケツで、バケツだって違法なんですけれども、バケツで貯塔に入れるという、これは形状管理されている貯塔に入れる。貯塔は私も見てきましたけれども、この中に入れている分には裏マニュアルであっても臨界事故が起きない、これは確かなんですね。ところが、裏マニュアルにも違反した今回の直接沈殿槽に漏斗を使って入れるという作業は、だれの発案でだれが承認したかわかったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/109
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110・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 御説明いたします。
原子炉等規制法の第六十七条に基づきましてジェー・シー・オーが今月三日に提出した報告書によりますと、今回の作業は、事故のあった施設で実際に溶液の製造作業に従事した製造グループの三名のうちのだれかが発案し、同三名からの確認はとれていないものの、別の計画グループに属する核燃料取扱主任者免状を有する者に問い合わせた上、大丈夫であろうという趣旨の返答を受けて実施したものとしております。
なお、同社によりますと、作業者の属する製造グループにおいて当該作業の手順について正式に承認した者はいないとのことでございますが、当庁としては事実関係についての確認を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/110
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111・加納時男
○加納時男君 事故があって三日、四日たったわけじゃないんですね。九月三十日でしょう。当庁として今確認をしていますなんと言うのは、私は正直言って非常に不満ですね、そういう回答は。ぜひ、もうこういうことはどんどん調べて、ここの我々の場で明らかにしてくれなきゃ困るわけですよね。
今お話しの中で核燃料取扱主任者にも話したと言うけれども、これは非常に私は気になるんですね。核燃料取扱主任者というのは、これは法律に基づいて、炉規法に基づいて置くことになっているはずですよね、置くことになっています。その核燃料取扱主任者というのは何をしていたんですか。そしてまた、今のお話ですと、裏マニュアルは承認した。さらにその裏マニュアルにも反したものをこの取扱主任者は認めたんでしょうか。ちょっと聞き取れなかったんですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/111
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112・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 今、私が申し上げましたのは、核燃料取扱主任者の免状を持っている者ということでございまして、法定されております、つまり届け出を要する核燃料取扱主任者に関しましては、その手順書に関しまして審査に関与していなかったということがわかっております。
手順書は作業者の具体的な作業手順を定める文書でございまして、作業の安全と密接に関連することから、保安上必要な場合には各職位に助言、協力すること等が保安規定に定められている核燃料取扱主任者といたしましては、手順書を審査する役割を持っていてしかるべきだったというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/112
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113・加納時男
○加納時男君 これは今、国会テレビで中継されているんですけれども、もしこういうことをいろんな方が見ていて今の答弁聞いてたら、非常に不満だと思いますよね。核燃料取扱主任者は何をしていたんですか、今回の件にどうかかわっていたかという質問に対して、核燃料取扱主任者の免状を持っている者が見たとか、法律上定められている者は別だとか、こういうことではやっぱり困るので、核燃料取扱主任者というのは、ただそういう人がいればいいというようなことでは私は非常に不満でして、今回法律改正するわけですけれども、じゃ、核燃料取扱主任者についてはどのようなことを今後期待し、または指導していくつもりですか。それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/113
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114・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 今後につきましては、こういう資格を持った者がちゃんとしたこの安全の手続に深く関与するという形をとっていかなければいけないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/114
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115・加納時男
○加納時男君 どうも非常にきれいな抽象的なお答えなんですけれども、そういうことで具体的にしっかりやってもらいたい。今回ああいう具体的な事件が起こったわけですから、私はなるべく具体的なことをお答えいただきたいと思います。
さて、大臣に伺いたいと思うんですけれども、今もいろいろ科学技術庁の担当の方も非常に、科学技術庁というから日本でも最も科学技術については精通した方が集まっておられると思うんですが、そこで全く原始的、きょう午前中にも原子力についてプリミティブな方の原始的な事故が起こったということを同僚委員がおっしゃったんですけれども、こういうことを、確かにジェー・シー・オーは違法な作業をやっているし、科学技術庁としては自分たちが認可したもののとおりやっていれば臨界なんて起こらないんだ、これもよくわかるんですけれども、現実には事故が起こった。悪いのはジェー・シー・オーだ。ここまではわかるんですが、じゃ、国の安全管理は十分だったのかどうか。
大臣どうでしょう。今のお話、答弁をずっと聞いていらっしゃって、よく答弁したとお思いかどうかも伺いたいんですけれども、ともかく国として安全管理について十分であったのかどうか、大臣の所見をぜひ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/115
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116・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) 今、委員もお話しされましたように、国、行政庁の立場といたしましては、法律にのっとって検査、審査また日ごろの保安調査等を行っていたわけであります。そして、現場での違法な作業が、これがまず事故の原因となったわけでありますが、結果としてこのような事故が起きたということは、国のこういう体制が十分ではなかったということが言えるのではないかと、そういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/116
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117・加納時男
○加納時男君 少し具体的に伺っていきたいと思います。
立入検査なんですけれども、これは法律の施行に必要な限度においては実施できると私は思うんですけれども、現実にはジェー・シー・オーに対して立入検査はたしか一回も行われなかったんじゃないかと思います。これはなぜでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/117
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118・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) 原子炉等規制法の第六十八条に基づきまして行政庁は立入検査をできることになっておりますけれども、これまでは何らかの問題が発生した場合に立入検査を実施いたしまして、特に問題が顕在化していない、そういう場合は行政指導等による任意の保安規定遵守状況調査で対応することが通常でございました。
しかし、今回このような事故が実際に発生いたしましたことから、今御審議をお願いしておりますこの原子炉等規制法の改正におきましては、保安規定遵守状況に係る検査を定期的に行うこととしておりまして、継続的なチェック体制を確立することとしたものでございます。原子炉等規制法第六十八条に基づく立入検査等につきましても、より効果的に運用して安全の確保に万全を尽くしていきたいと、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/118
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119・加納時男
○加納時男君 わかりました。
今の大臣の御答弁の中で一つだけまた伺いたいと思います。これは政務次官かそれ以外の方でも結構ですが、保安規定の遵守状況調査をやったというふうに大臣今お答えになられました。私の調べた範囲では、平成四年まではほぼ毎年実施されていたと思うんですけれども、それ以降これは実施されていないように、私がちょっと調べた範囲では気になることがあるんですけれども、これはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/119
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120・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) 委員御指摘のとおりでございます。
平成四年以降、六ケ所村のいろいろな原子力施設等、いわゆる法令で定められた保安規定の遵守状況の検査というところに人手をとられまして、いわゆる法令で定められていない任意のところについては手薄になったというのが正直な現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/120
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121・加納時男
○加納時男君 そういうふうに非常に具体的に話していただくと国民もよくわかると思うんです。今までが完璧ではなかったからこそこういうことが起こったわけですから、今後法律で直していく、定期検査も義務づける、そういうことで悪かったことは悪いでそうおっしゃっていただけると、だから法案が必要だということにちゃんとなると思うんですね。そういうふうにぜひお願いしたいと思います。
ちょっと意地の悪い質問かもしれないんですけれども、東海村には運転管理専門官というのがいたんですよね。前に伺ったら一名いたということだったんですが、平成十年四月にこの事務所がたしか東海村にできていると思うんですけれども、毎月一回程度ジェー・シー・オーの東海事業所にも巡視を行ってきたというふうに伺っています。その際、これまでに転換試験棟は見たことがあるんでしょうか、ないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/121
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122・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 御説明いたします。
運転管理専門官の業務は、保安規定の遵守状況について調査するとともに、関係規則に定められている異常事態等の発生時にその状況等を的確に把握し、その内容を本庁に連絡することとされてございます。
東海村常駐の運転管理専門官は、平成十年四月に着任以来、毎月一回程度ジェー・シー・オーの東海事業所の巡視を実施してきたところでございます。そのうち、転換試験棟につきましては、平成十年四月十六日、九月三日、平成十一年三月四日の三回巡視を実施してきたところでございますが、残念ながらこの日に関しましては運転中ではなかったということでございます。
なお、毎月行きながらこの転換試験棟について過去三回しかというところに関しましては、いわゆる施設の大きさから見ましてこの試験棟は非常に小さい規模でございまして、そういうことから頻度が相対的に少なくなったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/122
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123・加納時男
○加納時男君 三回見たと言うんですね。だけど、転換試験棟は小さいから見なかったと。これは私は非常に疑問なんですね。
じゃ、質問させていただきますが、転換試験棟という存在をその運転管理専門官は知っていたんでしょうか、知らなかったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/123
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124・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 知っておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/124
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125・加納時男
○加納時男君 知っていたら、なぜ見なかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/125
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126・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) ただいま申し上げましたように、この地区におきましてはいろんな施設がございます。特にこのジェー・シー・オーに関しましても、第一加工棟、第二加工棟、二つ大きい施設がございまして、そういうところの巡視に精力を使っておりまして、この規模の大きさからして若干頻度が落ちたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/126
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127・加納時男
○加納時男君 今の答えは納得できません。なぜならば、このところで第一、第二が大きいと、私も現地知っていますけれども、第一、第二は大きいですよ。これは、低濃縮のウラン、濃縮度三%とか四%といったものしか扱わないんですね。一八・八%という中程度の濃縮度のウランの燃料を加工する施設というのはジェー・シー・オーしかなくて、しかも転換試験棟にしかないわけですね。だから、転換試験棟というのは一八・八%のウランという、三、四%に比べればよりリスクの大きいものを扱っているんだという認識はあったんですか、なかったんですか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/127
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128・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) それはございました。
確かに濃度の点、委員御指摘のとおりでございまして、より注意すべきであったかと思いますが、規模に関しましては、第一加工棟が二百二十トンウラン・パー年で、第二加工棟が四百九十五トンウラン・パー年でございますが、この転換試験棟は三トンウラン・パー年であり、かつほとんど間欠的にしか操業いたしておりませんで、そういうことで、操業していないところということもあって少し頻度が落ちたのかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/128
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129・加納時男
○加納時男君 終わったことをとやかく言うのは私も余り趣味じゃないんですけれども、大事なのは、これから一層この体制を強化していこう、そのために法律をつくろうというときですから、ぜひとも前向きにこういうことについては反省をしながらやっていただかないと、これは仕方なかったんだというんじゃ私困るのでございますよ。これはもうはっきり申し上げたいと思います。
少し原子力災害対策特別措置法の中身に入ってみたいと思いますけれども、今回大きな哲学の変更があったような気がします。午前中の参考人質疑でも、河瀬さん、敦賀の市長さんであり全国の原子力の立地している市町村の協議会の会長さんですが、ちょうどそこの席に座られてお話しされたときに、やはり災害対策基本法というのは、住民の安全を守るために市町村長が第一線で守る、その責務はよくわかる、しかし、原子力については、何分特殊な知識を必要とするものだし、目に見えない、においもしないものが放射線でありますから、そういう意味では第一線で防災の責任だけを負えと言われても不十分ではないかということから、かねて全原協としても、河瀬さんとしても、国がもっと前に出てくださいとお願いしてきたと。今回、それにこたえて前へ一歩出てくれたということは評価しておられました。
その上で質問したいと思うんですけれども、原子力防災の特殊性を考えますと、大事なことは、初期対応、何かがあったときにすぐに対応する、しかも指揮系統は一元的になっているということがすごく大事なんですね。きょうも午前中にオフサイトセンターがかなり質疑の中で議論されました。関係者が一堂に会して情報を共有し、いろんなアイデアを持ち寄り、そしてできる限り早く対策を打っていくという、時間的に早く、内容的に的確なものをすぐにやるということがオフサイトセンターの役割だろうと思っています。
そういうことで、国が一元的に緊急時の初期対応をやっていくということが大事ではないかというような議論が大分午前中あったのでございますが、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。もし大臣から御答弁いただけたらありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/129
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130・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) 今回の事故の反省といたしまして、委員のお話にございましたように、初期対応が果たして迅速であったかどうか、それから情報等が一元化されて的確な指示ができていたかどうかという点が反省点の一つでございます。
原子力災害による放射線や放射能につきましては、よく言われることでございますが、五感に感じることなく被害を受ける可能性がありまして、また、適切な対応を行うためにはやはり専門的な知見が求められる。そういった特殊性があることから、国が果たすべき役割と責任はほかの自然災害と比較いたしまして大変大きいものと認識をいたしております。
このため、本法案におきましては、災害対策基本法による防災対策の特別措置として、例えば緊急事態応急対策の実施に関しまして、一定の異常な事象が生じた場合には、内閣総理大臣が原子力緊急事態宣言を発出するとともに、直ちに総理みずからが本部長となる原子力災害対策本部を設置すること、もう一つは、本部長は関係行政機関、地方公共団体、原子力事業者等に対して必要な指示を行うことなど、原子力災害については、国が今までより一歩前に出て地方自治体と連携をとりながら対応することにより、原子力災害対策の抜本的強化を図ることとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/130
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131・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。
今、大臣から一定の異常事象が発生した場合ということでちょっと思い出したんですけれども、アメリカの緊急時の通報基準というのがございます。今、大臣がまさにおっしゃった一定の異常事象、もともとは英語で書いてあるんですけれども、ノーティフィケーション・オブ・アンユージュアル・イベント、まさに異常な事象、これが第一段階。第二段階というのがありまして、警戒態勢、これはアラートと言っているんですけれども。第三番目がサイト内、つまり発電所とかそういうところですね、施設の中の緊急事態、サイトエマージェンシー。最後の一番悪いのが、総合緊急事態といいますか、ゼネラルエマージェンシー。四段階あって、弱、小、中、大というような感じですけれども、そういうふうに分かれているわけです。これによって体制も全部決まってくるという、非常にこれはある意味ではわかりいいわけです。これはちょっとこれから日本の防災を考えていく場合に私は参考になるんじゃないかと。
今、大臣がまさにおっしゃった、一定の異常事象があったときに内閣総理大臣が招集してとか、そういうのが非常に私はわかりいいと思うんですけれども、今のこのアメリカのような通報基準というものも今後参考になるのかと思いますけれども、この辺は何か長官、政務次官ありましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/131
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132・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) この基準につきましては今後政令で定めるわけでございまして、鋭意検討するわけですが、加納委員おっしゃいましたように、このアメリカの基準、これは大いに参考になると思いますので、これを参考にして決めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/132
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133・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。
次に、原子炉等規制法について一つ二つ質問したいと思います。
これは大臣にできたら伺いたいと思いますが、きょう午前中に参考人質疑が行われて、非常に充実した質疑だったんですけれども、その中でキーワードとしては、規制強化と自主保安というのが大きなテーマだったような気がします。
つまり、今回起こってはいけない事故が起こった。これを深く反省した上で二つのことが大事ではないか。一つは規制の強化が必要だと。これは原子炉等規制法、それから災対法と二つ今回法律を改正あるいは新しくつくることによって対応していく、法による規制、これが大事だということはどの参考人もおっしゃいました。それに加えて多くの参考人から言われたのは、規則だけ強化すればいいんじゃないよと。法律だけ変えたらば事故が起きないというものじゃありませんと。大切なのは、実際の現場の人、実際に事業をやっているあるいは作業をやっている方々を含めたそういう組織体の自主保安の考え方、これが大事である。安全文化と、セーフティーカルチャーという言葉もありました。
そういう点で、きょう興味深く伺ったのは、前田さん、電気事業連合会の原子力開発対策会議の委員長であり関西電力の副社長さんですが、彼から、今まで電力とか原子力発電という分野では世界的なネットワーク、安全をお互いにチェックし合う自主的な組織、WANOというのがあったわけですが、加工業者の方は入っていなかったわけです。加工会社の方も含めて原子燃料サイクル全体のすべてに関係する人たちが原子力の安全文化を共有しようと。文化を共有するというと何か文化講座をやるみたいですが、そうじゃなくて、実際の情報交換だとか、それから資機材を新しいものを開発したらその情報交換をする。
それから、何よりも大事なのは、監督官庁が上から下を見るような目でチェックするのではなくて、同じ仲間として、同じ目線でもって仲間として設備を診断し、そしてアドバイスをしていこう、これが非常にWANOで成功しているわけなんです。これを、今までそこから落ちていた原子力加工業者までも含めてやっていこうというような議論がありました。
それからもう一つは、三菱マテリアルの社長の秋元さんから、彼は現実に原子力にもタッチしていらっしゃる方でございますが、核燃料の加工会社というのは、今までライバルでありますからなかなか情報交換すらしなかった、あるいは相互に訪問して中を見るなんということはなかった。その枠を取って、今回のジェー・シー・オーから教訓を学んで、自分たちも垣根を取り払ってお互いに見せっこしようという、言い方は変ですけれども、見よう、そしてアドバイスをしていこう、原子力の安全を守ることがともかく大事なんだと。そのためには従来企業の壁があったのを取り払おうというので、アメリカのGEとかウェスチングハウス、それからフランスのコジェマ、イギリスのBNFL、そういった方々がきのう集まったそうです。そして、世界的なネットワークをつくるということが決まったそうであります。私は、この二つの動きは、今回の厳しい、つらい事件の中に一つの光明かなとも思っています。こういう自主保安というのは、これまで、電力とか原子力産業の方は言っていましたけれども、官庁の方は余り言わなかったと思います。
今回の法改正を目前に控え、大臣の所感を承りたいんですが、私は、規制強化も大事だけれども、同時に忘れてはならないのは自主保安であり、そういう新しい芽が出てきたことを大臣はどのように評価されるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/133
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134・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) 御指摘のとおり、事業者等が保安規定等に基づいてみずから厳格な保安対策を講じることは安全確保の基本中の基本でありまして、原子炉等規制法でもこれを前提としているものでございます。
今回の法改正は、国が定期的な検査を行うこと等によりまして緊張感を維持し、事業者が保安規定等に定める保安対策を着実に行うことを確保するための措置を講じるものでありまして、事業者等の自主保安の重要性を変えるものではないと認識しております。自主保安がまず第一歩だ、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/134
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135・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。力強いお言葉をいただいたので、ぜひそのこともこれからの行政で生かしていただければありがたいと思っております。
少し専門的なことを一つだけ伺いたいと思いますが、原子力防災専門官、今度の法律でできるわけでございます。これと、それから原子力関係なんですけれども保安検査官、これとの関係を伺いたいと思います。
原子力防災専門官は、衆議院でその役割について議論がなされまして修正がなされました。自民党さん、民主党さん、社民党さん、公明党さん、共産党さん、自由党さん、全部言わなきゃいけないんですけれども、全会一致で修正がなされたということが私は大事なポイントだと思っています。特にそこでは、自治体からの情報の収集、それから自治体に対するそれに基づく助言ですとか、こういったことがたしか入ったと記憶しております。
原子力防災専門官というのは、常時は原子力事業者の防災業務計画の作成でありますとか、原子力防災組織の設置等に関する助言を行っていますけれども、いざ何か起こったときには情報の収集や助言に加えていろんなことをやっていかなきゃいけない。このときに当然のことながら、防災専門官という名前ではありますけれども、当然通常時点でプラントの運転管理状況も把握していなければ防災活動はできないから、プラントの安全管理状況も当然つかまなきゃいけない。一方、保安検査官なんですけれども、この方々もいざ何か一たん緩急あったときには防災業務に当然携わると思うんです。
こうやって考えていくと、原子力防災専門官とそれから保安検査官というのは、観念的には全く別なものでありますけれども、やっているものが根っこは同じであって相互にラップするところがかなりあるんじゃないか、またラップしていなきゃ困る。だとすると、定員の問題もあるんですけれども、今後人員の配置を行っていくわけですけれども、例えば兼任とか併任といったことをしても私はむしろ役に立つのかなとも思うんですけれども、この辺のお考えはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/135
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136・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) 実はその点に関しまして、衆議院の審議の段階でも大いに議論があったところでございます。防災専門官は、原子力保安検査官とは別に防災に専念すべきだという議論もございました。しかし、議論の結果、各党共同で修正がなされたように、ある一点に収束したわけでございますけれども、それはやはり防災専門官といえどもそのプラントのことをよく知っておかなくてはならない、日常の業務についてもよく知っておかなければ、いざというときの防災専門官としての役目は果たせない、こういうことで地域またサイトの中での情報収集に努める、こういうふうになったわけでございます。
そういう意味で、委員おっしゃいますように、兼任または業務を兼務するというようなことも大いにあり得ることだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/136
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137・加納時男
○加納時男君 わかりました。政務次官の今のお答えは私として非常に理解しやすいお答えで、またよろしくお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、今回こういう事故が起こったわけでありますが、現在いろんな議論がこの事故を契機に起こっているわけであります。中には、現在は非常にウエートも小さく将来も大きなウエートは期待はできないけれども、大切な芽として新エネルギーにもっと力を入れていくべきではないかという意見があります。新エネルギーの重要性とか必要性は私は十分理解しているつもりでありますし、自分なりには応援しているつもりでありますけれども、ただ、新エネルギー、特に太陽光、風力、地熱、こういったものに切りかえていけば原子力がなくても済むというようなウエートではまたないのも事実だろうと私は思います。
責任あるお立場で、日本のエネルギー政策、原子力政策に変更は今後あるのかないのか、これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/137
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138・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) まず、今回の事故によりまして原子力政策に対する国民の皆様の信頼を大きく失ったということは大変残念なことでありますし、また大変私ども厳粛に受けとめております。
しかしながら、委員十分御承知のとおり、現在の日本におきましては大変資源が乏しいという状況がございまして、そういう中で社会経済の安定的な発展とそれから地球環境の保全を図っていくためには、やはり石油、石炭等の化石燃料の使用をただ増大させていくというわけにはいかないという事情がございまして、新エネルギーの導入や省エネルギーの対策にも全力で取り組んでいかなければならないわけでございます。
今すぐこれらの代替エネルギーに原子力から取ってかわれるかといいますと、これはコストの面でも、また時間的な面でも大変に厳しい状況でございまして、すぐ代替エネルギーが全面的に取ってかわることはできないわけでありまして、そういう意味で私どもは、これらが大きく育って、さらなる実用化が促進されて原子力に取ってかわれるまで、やはり原子力というものが中心になっていかなくてはならない、そういうふうに思っております。
ただし、安全面におきましては十分に注意をいたしまして、国民の皆様の御理解をいただくようにまた最大の努力をしていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/138
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139・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。
今、法律を見てみますと、例えば代エネ法であるとか新エネについての援助であるとか、それから原子力に対しては原子力基本法を初め今議論しています原子炉等規制法ですとか、いろんな法律がそれぞれぶつ切りであるわけです。きょうも午前中に参考人質疑の中で出てきたんですけれども、エネルギー全体をまとめた国会論議、特にエネルギー基本法のようなものをつくって、今まさに大臣がおっしゃったとおり、私は省エネルギーが一丁目一番地だと、実は長年省エネルギーをやってきた立場から申し上げたいんです。省エネルギーこそ一丁目一番地、そして二丁目として私は新エネルギーとか、それから化石燃料のクリーンな利用、効率的な利用も欠かせないと思うんです。アドバンスト・コンバインド・サイクルとか、それから今燃料電池とかいろんなものがございますけれども、こういったような化石燃料のクリーンな効率的な利用、そして今おっしゃった欠かせない原子力の重要な役割といったようなことをパッケージにしてエネルギー基本法のようなものを議論していったらいいんじゃないかということもきょう午前中にあったので、これは全然通告していない質問でございますが、御所感があれば、あるいは資源エネルギー庁の方からでも感想があれば伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/139
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140・河野博文
○政府参考人(河野博文君) 御説明をさせていただきます。
エネルギー政策の基本的な考え方につきましては、ただいま中曽根長官がお答えになったとおりでございまして、そういう基本的な考え方に立ちまして今後総合エネルギー対策を進めてまいるわけでございますけれども、その中で今先生から基本法制定についてのお尋ねがあったわけでございます。
今後とも、私ども、国会でのこうした御議論を十分に踏まえさせていただきまして、さまざまな要請にこたえ得るようなエネルギー政策に心がけていかなければならないと思います。こうした中で、あらゆる視点から不断にエネルギー政策のあり方について検討してまいるということだと思いますので、そうした際に当たっての課題というふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/140
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141・加納時男
○加納時男君 ありがとうございました。
きょうは政府参考人としてのお答えですから、政策についてこうしたいということはおっしゃれない、言いたくても言えないというつらいお立場はわかりますけれども、大体の気持ちはわかりました。恐らく大臣のお気持ちを受けて今おっしゃったんだと思います。
私は、あくまでも自然エネルギーが大好きで、何度もしつこく言いますけれども、ただ自然エネルギーがあるからほかのを排除するというのはおかしいよと、原子力は大事だけれども自然エネルギーは役に立たないということを言ってはいけませんということを私は申し上げたいわけで、それぞれの人がそれぞれいいように、チューリップの歌じゃないんですけれども、赤、白、黄色、どの花見てもきれいだなということで、自然エネルギーも化石燃料の効率利用も、そして原子力も欠かせない、こういうことでぜひ進めていきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/141
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142・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) 午後三時十五分まで休憩いたします。
午後二時三十分休憩
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午後三時十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/142
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143・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) ただいまから経済・産業委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、原子力災害対策特別措置法案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/143
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144・加藤修一
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
今回、科技庁さんの方から渡された資料の中には、「原子力安全規制の抜本的強化」ということで、「厳しい緊張感を持続するための枠組みの整備(炉規制法の改正)」ということで何点か項目がございますけれども、この項目も非常に私は重要だと認識しております。
ただ、今まで、私この委員会で何回か取り上げてきておりますけれども、九月三十日を原子力防災の日にすべきではないかとか、あるいは実際に事故が起こったところについてはメモリアルサイト、あるいは実際にそうでなくても、サイバー空間というんですか、そういうところに仮想的な現実をつくり上げて、そういったものによって訓練についてあるいは風化していきそうなものについて風化させない、そういったことについて質問をしてきたわけであります。
きょうは参考人の方々に来ていただいてさまざまなコメントをいただいて非常に参考になったわけでありますけれども、きょうの参考人にこの辺について尋ねましたら、電事連の前田参考人は、メモリアル的なものについては、例えば「むつ」というのがある。あるいは、平成三年に、関電でございますけれども、美浜の原発の関係で、これについては保管を考えてきている。実際にやっている。そういった資料があることによって、トラブルの風化、そういったものを進ませない、そういうことに活用しているような話がございまして、非常に私はなるほどなということで聞いておりました。
参考人のコメントが終わった後で、別の方からは、イギリスの例がございまして、それにはイギリスのセラフィールド、これはコンクリートで固めてしまったという話でありますけれども、一九五七年に無知の記念碑ということで、これもまた風化させないためにこういったメモリアル的なものを残している、そういうふうに伺ったわけであります。
それと、全然別の省の話でありますけれども、薬害エイズの関係で厚生省は誓いの碑というのをつくってございます。誓いの碑の文言としては、「命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する」という形で、これはことしの八月二十四日に竣工式があったわけでありますけれども、こういう形で非常に重要な事件、事故に対してなるべく風化させないようなことをいろいろ考えている。その一つとしてこういうものがあるわけであります。
重ねて、こういった面についてメモリアル的なものをつくるべき必要性は十分私はあるのではなかろうか、このように考えているわけですけれども、大臣どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/144
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145・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) 厚生省に設置されました誓いの碑は、厚生省と東京、大阪HIV訴訟両原告団との和解に当たりまして、裁判所から被害者への鎮魂、慰霊の措置等に最大限の配慮をすべき旨の要請があったことを踏まえて、原告団からの要望に基づき設置されたものと聞いております。碑文には、今委員からもお話がありましたように、医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう、医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことが銘記をされております。
関係者に厳しい緊張感を持たせてこうした事件の教訓を風化させないようにするということは、大変に重要なことだと私も思っております。メモリアル的なもの、記念碑を設置すべきではないかとのことでございますが、どのようなことができるか考えてみたい、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/145
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146・加藤修一
○加藤修一君 以前の答弁に比較いたしますと、極めて積極的な発言だと私は受け取っております。
それで、平成十一年十一月五日に「緊急提言・中間報告」という形で原子力安全委員会からレポートが出ておりまして、その一ページ目に、最後の二行でございますけれども、事故の究明ということで、「事実の背後にある構造的・倫理的な問題を含めて検討を進め、最終報告書をとりまとめることとしたい。」と。この関係で、どなただったでしょうか、委員の方がこれに類するような発言をされて、答弁もたしか社会科学的なアプローチというような意味合いを含んだような答弁であったように、記憶が定かではないわけですけれども、そういう部分があると思います。
それで、実は十二月五日の日経に載っていた記事でございますけれども、環境庁が水俣病の被害で報告書を出しているわけですけれども、この記事を見る限りにおいては、「行政・企業に構造的誤り」というふうに書いてございまして、「原因究明や対策を講じるに当たり、政府として統合的に決定すべき責任が全く果たされていない」とその報告書の中で政府の対応について厳しく批判しているわけでありますし、それから、「通産省が企業の立場を擁護したため患者救済が大幅に遅れた」、あるいは「厚生省は原因を最後まで解明する責任を放棄した」、こういう形で、最後に橋本座長のコメントでありますけれども、「水俣病に関係する政策決定の遅れの原因をえぐり出せたと思う。」と。そういう形で、要するに行政、企業におきます構造的な誤り、一過性とかそういった話じゃなくて、「構造的誤り」というような表現で実はこのレポートの重要な部分がなされているように私は思います。
先ほどの「緊急提言・中間報告」の方につながってくるわけですけれども、その構造的ということについてもう少しわかりやすく私は科技庁の方からお伺いしたいわけです。今回の事故について、構造的あるいは社会科学的なアプローチという観点から考えた場合は、どういうふうな表現、また最終報告ではどういうふうな方向性の中で今検討されているかということも加えて、できる限りで御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/146
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147・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) 御指摘の報告書は、環境庁の国立水俣病総合研究センター部内に設けられました研究会が作成したものと承知をいたしております。
株式会社ジェー・シー・オーの事故につきましては、事業者において安全審査で確認された条件を著しく逸脱した操作が行われたことが直接的な原因でありますけれども、現在、事故調査委員会におきまして、社会と安全などのテーマについて作業チームをつくりまして、事故の背景にある構造的問題も含めてさまざまな角度から検討中のことでもありますので、現在はこれを見守ってまいりたい、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/147
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148・加藤修一
○加藤修一君 よろしくお願いしたいと思います。
それでは次に、民主、自主、公開ということで、原子力基本法の中には三原則という形で入っているわけですけれども、公開という原則で、実は平成十一年六月二日に経済・産業委員会の方に提出されているレポートがございます。これは、「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」ということで 、昭和三十四年に科技庁が日本原子力産業会議に調査を委託してつくったものでありますけれども、これは私は非常に関心を持ってずっと調べていた関係がありまして、実はなかなか全文が公開されていなかったということで、公開すべきだということで、公開していなかったことについての反省も科技庁からいただいているわけであります。
この「まえがき」の中に、
大型原子炉の運転から生じうる公衆への危険の大きさを全体に評価するためには、次の四つの本質的且つ非常に困難な問題をといて行かねばならない。すなわち
(1)分裂生成物が原子炉から放出されて公衆のいる地域へ放散される可能性如何
(2)放散された放射能の公衆地域への分布をきめる要素又は条件如何
(3)人的又は物的損害を生ずる曝射あるいは汚染の水準如何
(4)万一分裂生成物の放散があったときその結果生じうる死亡者障害者の人数および物的人的損害額如何
ということになっているわけであります。
私は、今回の新法の第十三条、緊急事態そしてその想定ということで、今までの答弁では、スリーマイルアイランド、そういったことも想定を検討していきたいという話になっているわけですけれども、いずれにしても、どういう想定をするにしても、「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」、こういったことをやっていく必要が一つは私はあるのではないかなと思うわけですけれども、この辺についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/148
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149・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) 公開の原則は、自主、民主の原則と並びまして原子力基本法上極めて重要な原則であると考えております。
原子力の開発利用に当たりましては国民の方々の理解と信頼を得ることが不可欠でありまして、このためには、核物質防護等に係る一部の情報を除きまして、原則としてすべての情報の公開が重要と考えており、その公開に当たりましては情報の迅速かつわかりやすい提供に努めてまいりたいと思っております。
御指摘の報告書につきましては、既に、委員の御要望を受けまして、本年六月一日に委員部を通じて当委員会に提出をした上で国会図書館にも公開資料として収蔵するなど、公開扱いをしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/149
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150・加藤修一
○加藤修一君 もう一点。
公開の件については私も十分承知しているわけなんですけれども、再試算するべきだと私は基本的に考えております。この再試算のやり方によっては、というのは、つまりさまざまなケースシミュレーションを考えなければいけないわけでありまして、そのケースシミュレーションは、避難経路を含めて考えなければいけない、気象の件についても考えなければいけない、さまざまな要因がかかわってくることは先ほど読み上げたとおりなわけですけれども、これも緊急事態が生じたときに対応をどうするかといういわゆる防災計画の中身にかかわってくる問題だと思います。
そういった意味では、こういったことと同時にそういう意味も含めて、というのは防災計画にかかわってくるところが多いということで、そういった意味を含めてぜひ再試算をする必要が私は十分あり得る、そういうふうに認識しております。この辺については大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/150
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151・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) この試算をもう一度やり直すべきではないかという御指摘でございますけれども、この報告書は原子力賠償法の制度検討の過程で取りまとめられたものでございます。
我が国の原子力賠償法は、原子力事業者がすべての損害を賠償するまで責任を負う無限責任制度を採用しておりまして、具体的なケースを想定して被害額を算定するという考え方はとっていないため、結果的に制度設計の基礎とはなっていないものと考えております。
原子力賠償法における賠償措置額は、原子力事業者の無限責任を前提として、万一の場合に備え、あくまで被害者に対する迅速かつ確実な賠償の履行を具体的に確保する基礎的な資金としての役割を果たすべく設けられたものでございます。また、事業者側の賠償能力に問題がある等政府が必要と認める場合には、国会の議決により政府に属せられた権限の範囲内で国が必要な援助を行い得るとしております。
したがいまして、原賠制度に関しては新たに被害想定を行う必要があるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/151
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152・加藤修一
○加藤修一君 ちょっと理解がまだできないわけですけれども。
先ほど、最初に読み上げた中は、要するに大型原子炉の運転から生じ得る公衆への危機の大きさを全体的に評価するという意味合いで書かれているわけですけれども、百歩譲って被害額を想定しなくても、被害想定に向かう場合のケースシミュレーション、そういったことは防災計画でも十分使える話でありまして、それは私はやってしかるべき意味合いが十分あるというふうに理解しているわけですけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/152
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153・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) 今回の災害対策特別措置法におきまして防災訓練というものが規定されております。その防災訓練をやる以上、想定事故というものを考える必要がありますけれども、その場合、考えられ得る事故、最大の事故というそういう想定はございます。そういう意味での想定事故というのは当然考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/153
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154・加藤修一
○加藤修一君 それは十三条に対応した形の想定の中身だと思うんです。それをどういうふうに具体的にわかりやすく、かつ防災計画の詳細設計に至るまでつなげていくかという点については、やはりケースシミュレーションを多数やった中でつくられていくべきものだと私は思っております。それと、さらにマニュアルともつながってくる話だと私は思っているんです。
ですから私は、賠償法云々という話じゃなくして、公衆に対する危機の観点から考えていった場合は、当然緊急事態が生じたときにつまびらかになっている防災計画がもともと必要なわけで、それをどうするかという場合には、こういったやり方を十分踏まえた形でやっていくことが望ましいんではないかというふうに先ほどから申し上げている次第ですけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/154
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155・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) この災害対策基本法上におきましては、いろいろな原子力施設がございます、また関連施設もございます。その一つ一つの施設に応じて考えられ得る最大の事故を想定していろいろな、避難経路、避難の方法等を考えなくてはならないということでございます。
先ほど委員御指摘の試算は、これは原子力損害賠償法の法律を考える際の一つの被害の試算でございまして、直接リンクするものではない、このように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/155
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156・加藤修一
○加藤修一君 いや、ちょっと私は違うんじゃないかなと思うんですけれども。これと直接に私はリンクしようとは思っていないわけですけれども、それと賠償法の話は。先ほど私申し上げましたように、それは抜いて考えてもいいというふうに申し上げております。
要するに、最大の事故を想定したときに避難経路とか道路の関係とかそういったものについては考えなければいけないというふうに政務次官はおっしゃったわけですから、まさに私が言わんとしていることについて、あらあらでありますけれども政務次官の方から答弁があったように私は理解したわけですけれども、違いますか。
要するに、この中でいろいろやっているケースのシミュレーションというのは避難と密接にかかわってくる話なんですよ。要するにそれは、被害額を試算するということの前にそれをやらなければいけないからやっているという話なんです。私は、その被害額の想定の前の段階までは、これはある意味で標準的な、ある意味では普遍的な部分があると思っていますから、そういったやり方も非常に大切でなかろうかというふうに私は申し上げている次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/156
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157・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) 加藤委員が考えていらっしゃることと私が言っていることと多分同じだと思うんですけれども、各施設に応じた具体的な考えられ得る最大の事故を想定してこれから防災訓練また防災計画を立てていかなくてはならないわけでございますので、そういう検討が個別具体的に各施設においてこれから行われていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/157
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158・加藤修一
○加藤修一君 要するに、死傷者数が最小になるように避難経路をそれぞれの与件に対応した形で複数のケースシミュレーションをもとにして考えていく、そういうふうに理解いたしました。これでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/158
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159・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/159
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160・加藤修一
○加藤修一君 それでは、この中でも触れているわけですけれども、単純に大人だけの被曝者の数とかそういうふうに計算しておりまして、何人の方が亡くなる等々含めて、あるいは晩発性の影響についてはどのぐらい出るか、そういう数値があるわけでありますけれども、「放射性物質の内部被ばく基準一新へ」という、これは九七年の新聞記事でありますけれども、「子どもへの影響を初めて考慮した評価に一新される見通しになった。」ということで、九七年ですから今から二年前の話であります。
今までは子供に関しては年齢の区別はなかった、国際放射線防護委員会、ICRPが内部被曝の影響を再評価して、幼児についてもその影響というのは大人以上に相当のものがあるということから、子供への影響を配慮したそういう基準というのをつくらなければいけないと約百種の放射性物質についてそれぞれ基準を示したわけですが、大人と子供の区別がなかった。そこで、子供への影響把握、影響配慮を考えようということで、九〇年からですか、順次内部被曝の影響を公表して、生後三カ月、一歳、五歳、十歳、十五歳、大人に初めて分けて、この辺のことについて勧告をしているわけです。
この辺については我が国の現状というのはどういうふうに進展しているか、その辺について御説明お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/160
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161・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) 加藤委員おっしゃいましたとおり、国際放射線防護委員会、ICRPが一九八九年から一九九六年にかけまして報告書を五冊刊行いたしました。その報告書の題名は、「放射性核種の摂取による公衆の年齢依存線量」という題でございます。この中で、ICRPは、年齢による放射線影響の違いを考慮した内部被曝線量評価法を提案しております。
これを受けまして、我が国の放射線審議会の基本部会が、外部被ばく及び内部被ばくの評価法に係る技術的指針という中で、このICRPの一九九〇年勧告の取り入れにあわせまして、この年齢依存性を考慮した新しい線量評価法により排気中濃度限度、排水中濃度限度を算出することが適当である、このようにこの審議会はしているわけでございます。
その審議会におきまして、現在、関係行政機関からの諮問に対する審議が行われているところでございまして、科学技術庁といたしましては、この放射線審議会からの答申を受けまして、二〇〇一年四月一日からの改正法令に施行する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/161
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162・加藤修一
○加藤修一君 よくわかりました。なるべく早くと言っても、もうそういう形で決めているわけですからあれですけれども。でも、九〇年の勧告から相当数の年数がたっているということは、もうちょっと早くできなかったかなという、そういう気持ちはございます。
午前中にほかの委員の方から、例えば総合エネルギー政策ということについてきちっとやっていくべきではないかと。原子力もそこの中に位置づける、あるいは自然エネルギーも位置づける。そういったことに関して私は前向きに認識しておりまして、例えば総合エネルギー政策基本法というのをつくるべきだと思いますし、あるいは総合エネルギー調査会設置法、これは一部改正いたしまして、例えば環境庁が意見を言うようにしたり、総合エネルギー需給見通しについて国会への報告を義務づけるとか、そういった観点も極めて重要なところかと思っております。
最近、あの事故があって以降、自民党の幹部の方でございますけれども、お名前を言っても一切差しさわりはないと思いますけれども、梶山元官房長官が「論座」という中でこういうふうに論文を書いてございます。紋切りになったらまずいと思いますので、ちょっと十行ぐらいありますけれども読み上げてみます。
私はもちろん、今ある原子力発電をすべてストップしろとまでは言いません。日本の電力消費の四割を占める原子力を止めるなら、電力消費やさらに現在の生活レベルを下げ節約する覚悟がないとできない。その運動もできず原子力発電だけを止めろ、と反対するのは現実的ではない。
しかし、これだけは言えます。これ以上、原子力発電を増やすという政策は無理だ。時間をかけ、民間を含めた下部組織から安全性を再構築し、総体として国民の信頼を得るほかない。それがないと、新しく原子力施設を増やすわけにはいきません。いけいけどんどんはダメです。
こういうふうに「論座」の中で書いているわけであります。
それと、十月六日でありますけれども、憲政記念館で行われたシンポジウム、これは地球環境国際議員連盟、GLOBEという組織のシンポジウムでありますけれども、この中で橋本前総理は今回の事故について、「事故の影響は長期的に見ていかなければわからない。この事故はエネルギー政策全体、温暖化対策、京都議定書の議論を根底から揺るがす」、そういうふうに述べて、要するに言わんとしていることは、「温暖化対策の柱としての原子力政策を再考することが必要」である、そういうふうな認識を示したということだと思うんです。
先ほど私は梶山元官房長官の論文を紹介いたしましたが、「それがないと、新しく原子力施設を増やすわけにはいきません。いけいけどんどんはダメです。」ということに対しては私も賛成する気持ちが強いわけです。
私は、原子力にかかわるさまざまなデータ、情報ですね、そういったものについてはやはりどんどん目の前に見えるような形にすべきだと。そういうふうに認識している視点から、例えばきょうの参考人に対しても私は申し上げた点がございますけれども、原子力発電のいわゆるエネルギー収支計算ですね、そういったものについて検証をしておく必要があるのではないか、そう思います。
これについてライフサイクルのスパンでエネルギー収支を計算して、それはどういうふうな形でそれぞれの発電システムによって違っているのか、その辺のことも明確にする必要が私はあるのではないかと思いますけれども、これは通産省と科技庁にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/162
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163・河野博文
○政府参考人(河野博文君) きょうの午前中の御審議でも御議論になったと承知しておりますけれども、これまで私どもが承知しております原子力発電あるいはその他のエネルギーとの比較も含めまして、いわゆるエネルギー収支についての計算結果というのは、恐らく長官からお答えになると思いますので私の方からは差し控えさせていただきますけれども、一つは科学技術庁で一九七七年に行われた調査と、それからきょう午前中御議論になりました民間の電力中央研究所の比較的最近の試算でございますけれども、そういった例があるわけでございます。
この結果も御承知かとは思いますが御紹介させていただきますと、比較的エネルギー投入量の多いと言われておりますガス拡散法に基づきます濃縮を使った場合でも、エネルギーの投入に対して原子力の場合二十四ないし二十八倍のエネルギーが発生するという結果になっております。
この際、他のエネルギーとの比較といたしましては、例えば水力では五十倍、石油火力では二十一倍、LNG火力で六倍、太陽光あるいは風力で五、六倍ということになっておりますので、原子力発電所のエネルギー収支はすぐれているという結論になっていたというふうに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/163
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164・加藤修一
○加藤修一君 科技庁長官に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/164
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165・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) 一九七〇年代の半ばに、世界的に原子力発電のエネルギー収支についての関心が高まりまして、各種の報告書が出されたわけでございます。今もお話ありましたように、科学技術庁では、このような状況を踏まえまして、一九七七年に我が国独自の調査を行ったところでございます。
今、資源エネルギー庁の方から一九九五年の調査の結果だと思いますが御説明がありましたけれども、一九七七年の私どもの方の調査によりますと、原子力発電におきましては、投入エネルギーに対して得られる発電電力量は約四十五から五十倍でありまして、他のエネルギー源による発電よりすぐれております。例えば石油や石炭火力の数倍の収支となっておるわけでございます。最近の研究事例もおおむね同じような傾向であると承知をしておりまして、原子力のこのエネルギー収支の優位性について結果が出ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/165
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166・加藤修一
○加藤修一君 原子力発電がほかの発電システムと比較して優位であるという御答弁ですが、バックエンド政策にかかわるようなコストをどの程度見ているかということについては、非常に私は議論のあるところだと思います。その見方によってはかなり変わる可能性は十分あり得ると思いますけれども、きょうはそれについては質問いたしません。
私は、また別の角度から原子炉にかかわるような問題で知るべき一つとしては、地球温暖化防止にかかわる関係で原子力賛美という形になっておりますけれども、一概にそれは言えない部分でありまして、将来に対して負の遺産を残すような部分も極めて大きくあるわけですから、そういった認識も十分しなければいけないなと思います。
それから、原子力発電所では大量の水を使うわけであります。いわゆる冷却水でありますけれども、例えば百万キロワットの原子力発電の場合だと年間何十億トンという水を使うと思うんですね。ということは、温排水ですから、その熱容量で地球を暖めているという話にもなりかねない。この辺について数値計算というか、簡単な計算でいいんですけれども、ちょっと紹介していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/166
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167・河野博文
○政府参考人(河野博文君) 比較的大型の百十万キロワットの標準型の原子力発電所についての試算を御紹介させていただきたいと思います。
温排水によりまして放出されます熱量は、キロワットアワー当たりで千七百五十キロカロリーに相当いたします。この数値を用いまして、平成十年度の原子力発電によります発電電力量、これは約三千三百二十億キロワットアワーでございますけれども、温排水の熱量は五百八十一兆キロカロリー、これは原油換算に申しまして六千二百八十万キロリットルに相当するということになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/167
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168・加藤修一
○加藤修一君 そうすると、商業用の原発が五十一基ありますから、アバウトで約五十倍ぐらいすれば全体の熱量になるという理解でよろしいですね。
それと、温排水の影響としてはそのほかにさまざまなことがあるんです。いわゆる地球温暖化に関連して考えていきますと、例えば海水中に二酸化炭素が含まれているわけですけれども、溶存度合いというのは温度が上がれば少なくなってくるわけで、十度Cだと一立米当たり二酸化炭素が約二・三二キロ、二十度になると一・六九キロ。こういった単純な計算から考えていって、例えば百万キロワットの原発だと一日運転すると約千トンのCO2が発生するというふうに言われているわけですけれども、そういうことも当然原発にかかわる情報としてあるんだなということをやはり私はみずから認識しておきたいと思います。
次に、先ほどバックエンド対策の関係をお話ししたわけですけれども、原子力発電所のバックエンド対策について、最近通産省の総合エネルギー調査会原子力部会が三月二十三日にまとめました「商業用原子力発電施設解体廃棄物の処理処分に向けて」という内容の中にあると思われるわけですけれども、バックエンド対策の事業化に伴って巨額な追加的費用が必要であるというふうに考えられるわけです。この関連で一キロワット時当たり一円ぐらいに増加するのではなかろうか。この一円というのをどういう形で最終的に求められたか、その中身ですね。それぞれパーツを考えていったら何十銭、何十銭、足して一円前後という話になってくると思うんですけれども、その辺についてちょっと紹介していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/168
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169・河野博文
○政府参考人(河野博文君) 御指摘のバックエンド対策でございますが、これは平成八年に総合エネルギー調査会の原子力部会において試算を行った例がございます。一キロワットアワー当たりの核燃料サイクルコストは、これはフロントエンドも含めまして一・七円ということでございますが、そのうちのバックエンド対策は再処理に要する費用を含めまして〇・九円、約一円、こういう試算になっております。
その後さらに、解体放射性廃棄物処理処分費用ですとかあるいは高レベルの放射性廃棄物処分費用について合理的な見積もりがなされるなど検討が実は進んでおりまして、こういった状況にかんがみまして、バックエンド対策のコストも含めて原子力発電のコストについての実は見直しを今行っているところでございまして、総合エネルギー調査会の原子力部会で御審議いただく予定でございますので、現在鋭意作業中ということで、データ等の詳細につきましてはこういった新しい数値なども入れたものを後刻お届けさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/169
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170・加藤修一
○加藤修一君 新しい、〇・九円プラスアルファの関係で、それにつながるものは全部報告いただけるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/170
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171・河野博文
○政府参考人(河野博文君) 平成八年の点につきましては、再処理で約〇・八円、廃棄物処分等で〇・二円ということでございますが、小数点以下の問題もありましてバックエンド対策〇・九円という御報告になっているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、新しいデータも入りまして、現在、全体の見直しをいたしておりますので、その見直しの方の新しいデータについては後刻御説明させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/171
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172・加藤修一
○加藤修一君 今、検討中で、検討中だけれども報告するという意味ですか。ちょっとどういうふうにとったらいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/172
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173・河野博文
○政府参考人(河野博文君) どうも御説明が拙劣で申しわけないと思いますが、一番目には、先生御指摘の既にあります試算でございますが、これは約一円といいますか、〇・九円でございまして、この内訳といたしましては再処理とそれから廃棄物の処分等の費用が積算された結果としてこういう数字を報告といたしております。
ただし、この中には、その時点では私どもがまだ十分把握できなかった具体的な数字を外国の例などを引用して計算している例もございますので、現在私どものさらに知見を高めた数字として見直しをしておりますので、そういった数字については後刻御報告させていただきたいというふうに申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/173
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174・加藤修一
○加藤修一君 よろしくお願いいたします。
それでは、時間があれですから一問だけスキップいたしますけれども、防災指針の関係なんです。
現在、事故が起こった場合避難すべき距離等について原子力安全委員会でつくっている防災指針があるわけですけれども、それは原子力発電所等周辺の防災、それから再処理施設周辺の「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」というところに書いてありまして、今回の東海村の臨界事故のような核燃料の加工施設のいわゆる避難距離、これを定めた防災指針はないように思うんですね。
そこで、当然、今回の法案にあわせて見直しをするということだと思うんですけれども、やはり原子力発電所、再処理施設と並んで核燃料加工施設についてもこういった意味での防災指針をつくるということが大事であると思いますけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/174
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175・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) 今回の事故の教訓等を踏まえまして、原子力安全委員会は平成十一年十一月十五日に、原子力発電所等周辺防災対策専門部会に対しまして、核燃料加工施設の防災対策を含めました原子力防災対策の充実強化を図るための検討を指示したところでございます。
この専門部会ではこれを受けまして検討を行っていると、そういうふうに聞いておりますが、その中で防災指針等について、例えば異常時の通報基準、あるいは緊急事態の判断基準、また、今お話がありました防災対策を重点的に充実すべき範囲等々につきまして議論が行われるものと、そういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/175
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176・加藤修一
○加藤修一君 午前中の参考人の議論の中で出てきた話ですけれども、敦賀市長の河瀬参考人が言っていたことなんですけれども、私も前々からどういうことかなというふうに思っていたんです。例えば、原子力発電所等周辺の防災の距離というのは八から十キロメーターである、それから再処理施設は半径五キロメーター程度の距離を目安にしている。参考人の方もおっしゃっていたことは、その半径八から十キロメーター、根拠がないんじゃないかと。
根拠というのは一体どういうふうに考えておられるのか、ちょっと御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/176
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177・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 御説明いたします。
先生おっしゃいました防災指針の中で、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲の目安で、原子力発電所について八ないし十、再処理について五というのが出ております。
先ほどの大臣の御発言にもありました防災専門部会でこの距離について検討したわけでございますが、この際に、技術的見地からは起きるとは考えられないレベルの大量の放射性物質の放出があり、かつ極めて発生確率が低い最悪の気象条件であっても、この地域の外側において防災対策を必要とするような影響を与えないということから、この地域の範囲において重点的に防災対策を充実しておけば十分であるというふうに考えられたものでございます。
ただし、この目安というのは一般的に提案されたというものでございまして、地元の防災計画に実際に適用するに当たりましては、画一的に採用するのではなくて、各サイトごとにその自然的社会的周辺状況を勘案して決められるものであるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/177
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178・加藤修一
○加藤修一君 極めて、各サイトごとにその自然的社会的周辺状況を勘案して増減されるべきものであるという、勘案というところは非常に恣意性というか裁量性が入るような感じがするんですけれども、これは数量的にどうこうという話はないんでしょうし、非常にちょっと根拠ということでそういうふうに説明されてもにわかに理解しがたいんですけれども、これについては別の機会にまた質問したいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/178
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179・水野誠一
○水野誠一君 我が国の原子炉の中にちょうど七〇年代の前半に稼働を始めたものが多いわけですけれども、もう間もなく三十年を迎える。既に昨年の三月、国内初の原発として三十一年間操業を続けてきた日本原電の東海発電所が運転を停止して、敦賀原発一号機も二〇一〇年ごろまでに運転を取りやめて、これは商業用軽水炉としては初めて廃炉となる方針だということが明らかにされました。
ことしの五月にちょうど中間貯蔵施設に関する原子炉等規制法の審議をしましたときに、私はこの原子炉の高齢化問題そして廃炉に伴う大量の廃棄物の処理問題について若干質問させていただきました。
コンクリートや鉄材など廃炉に伴う廃棄物の量というのは大変膨大なものでありまして、百十万キロワット級軽水炉で約五十万トンと言われている。これは大部分はコンクリートが占めるということですが、ちなみに霞が関ビルを解体しても五万トンぐらいといいますから、霞が関ビルの十倍ぐらいの廃棄物が出てくるということになります。これを仮に幅六メーターで五十センチぐらいの深さの舗装道路に再利用すると、何と東京から静岡ぐらいまで舗装ができる、こういう計算もあるそうです。
そこで、いろいろこの問題というのは原子力行政から派生する問題としてやっぱり見逃せない問題ではないかと思うんですが、一部に原子炉の運転期間を三十年から六十年に延ばすという方針も取りざたされております。しかし、とはいいながら、日本の原子炉が本格的な廃炉時代を迎えてくるということになると、その大量の廃棄物をこれからどうしていくのか。特に中でも再利用できる一般廃棄物と放射性廃棄物との線引きをどうするのかという大変微妙な問題が出てまいります。この重要な論点について考えていく必要があるだろうと思います。
昨年十二月に安全委員会の専門部会がこの点について報告書をまとめているはずでありますが、その概要をお聞きしたいと思うんです。九割方の廃棄物がどうも非放射性廃棄物として再利用可能だとその中で言われていると聞いておりますが、これは事実でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/179
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180・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 御説明いたします。
クリアランスレベルと申しますのは、放射性物質の濃度が極めて低いということから放射性物質として扱う必要がないものを区分するレベルでございまして、現在、原子力安全委員会のもとに置かれております放射性廃棄物安全基準専門部会において検討中でございます。
このレベルを下回る廃棄物等は再利用が可能となるほか、通常の産業廃棄物と同様の埋設処分が可能となるということでございます。このクリアランスレベルにつきましては、諸外国においても検討が行われ、また既に幾つかの国では実施されているわけでございます。
本年三月、同専門部会におきまして、主な原子炉施設、軽水炉、ガス炉等でございますが、におけるクリアランスにつきまして科学的観点から数値を算出してございます。その概要は、いわば廃材が再利用あるいは埋設される場合を想定いたしまして、人体への影響が無視できると国際的に認められております〇・〇一ミリシーベルト・パー年以下となるよう廃材の放射能レベルを計算したものでございます。
この専門部会におきましては、引き続きRI施設等におけるクリアランスレベルについてその数値を算出しているところでございまして、またクリアランスレベルを下回るものの確認体制あるいは確認方法等を含めた実施方策につきましても現在調査審議中でございます。
なお、クリアランスレベルが実施されますれば、原子炉施設を解体した場合九七%以上、これは百十万キロワット級の原子力発電所の場合は約五十三万トンに相当するわけでございますが、のコンクリートや金属は放射性廃棄物として扱う必要がないものとなるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/180
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181・水野誠一
○水野誠一君 私は、コンクリートや鉄材などの廃材が再利用されることによって我々の生活に非常に身近なところ、生活圏の中に入ってくるという話を聞くと、今御説明のあった〇・〇一ミリシーベルトですか、これは十マイクロシーベルトということだと思いますが、それ以下という基準があってもやっぱり不安を感じる人というのはいるんだろうと思うんですね。特に、長期的に見ると、放射線が人間の健康に与える影響についてはまだまだ疑問も残っているという指摘もあるわけであります。
例えば、これは数カ月前の週刊誌の記事なんですが、原発の廃材がジュースの缶になると。これは安全だと言われているんだけれども、例えば過去に台湾の台北市で、医療機器ではあったものの放射性物質を含んだ金属スクラップが過って建物の鉄筋に混入した、それによってマンションの住民が被曝するという事故が九五年に発覚していると。こんな事実も盛りながら紹介されると、非常に不安を覚える国民というのが私は少なくないんじゃないだろうかなと思うわけです。
そこで、こういった問題についての検討状況あるいは今後の取り組み姿勢、これは科学技術庁がどんな議論のもとでお考えになっているのか。例えば、原発廃材を利用した製品にはその旨の表示を義務づけるなどの方策も検討されているのかどうか、この点について伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/181
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182・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 御説明いたします。
クリアランスレベルを含めました放射性廃棄物の処理処分の理解促進のためには、放射性廃棄物に関するシンポジウム等をまず実施しているところでございます。
また、表示についての御指摘でございますが、今後のクリアランスレベルの円滑な実施に向けて必要な措置等については、原子力発電所を所管する通商産業省や廃棄物全般を所管する厚生省と十分相談して、適切に対処してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、国民の理解を大前提といたしまして、適切に実施してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/182
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183・水野誠一
○水野誠一君 ところが、現在の法制では、原発の管理区域内で発生する廃棄物というのはすべて放射性廃棄物とみなされる、したがって長期間の管理が必要とされるわけでありまして、こういった廃材の再利用を可能にするためには法改正が必要なんじゃないかと思うんです。
さきの安全委員会の報告を拝見しましても、今後、基準値設定を予定している研究用原子炉などから出る廃材物も含めて、二年後をめどに法改正をすべきだとしているわけでございます。
科学技術庁としても二〇〇〇年末までに法制度化の見通しをつける考えがあると、こんな報道も拝見しているわけでありますが、この法改正の内容について、なかなか今の時点ではおっしゃりにくいところもあるかと思いますが、今伺える範囲で結構ですが、基本スキームを御説明いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/183
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184・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 御説明申し上げます。
クリアランスレベルの実施に必要な法令改正等でございますが、原子力安全委員会におけるクリアランスレベルの議論が終了いたしました後に、行政庁において検討がなされるものでございます。したがいまして、現時点において具体的な御説明はできかねますが、クリアランスレベルの数値は何らかの形で法令等に位置づけ、明らかなものにしたいと考えております。数値的な目安といたしましては、二〇〇一年末までには法令化したいというふうに今考えて作業をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/184
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185・水野誠一
○水野誠一君 ということは、さきの質問で伺った、製品の中にこれは廃材を利用したというような表示を入れるか入れないか、そんなことも含めてこれは法令の中に入るという解釈でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/185
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186・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/186
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187・水野誠一
○水野誠一君 ありがとうございました。
百十万キロ級の原子炉で五十万トンという非常に膨大な量の廃棄物を基準値に従って区分けしていくということになるわけですが、適正な放射線測定が担保されることが最大のポイントになる。特に非常に低レベルの放射線量の測定というのは大変難しいということが通説でございまして、ここのポイントが私は非常に大事だと思うんです。この施設の閉鎖時における廃棄物の放射線測定検査についての責任を持つのはどこになるのか、非常に素朴な質問なんですが、これを伺いたいと思うんです。
私は、先日行いました代表質問以来、安全基準に関して責任を持つ行政府が検査にも責任を持つべきだと。これは安全委員会についての御説明も含めて、あるいは今度の法案に出てくる検査官、これが科学技術庁あるいは通産省からメンバーが出るという問題について質問をしたときに、こういうお答えが返ってきたわけですが、これからすると、やっぱり科学技術庁あるいは通産省が測定をして、その測定について責任を持つ、こういう解釈になるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/187
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188・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 御指摘の測定検査にかかわる責任の所在についてでございますが、商業用発電所の場合でございますと、まず一義的には原子炉設置者である電力事業者が負うべきものでございまして、安全規制の観点からは通商産業省の所掌に属するものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/188
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189・水野誠一
○水野誠一君 資源エネルギー庁としてはどうですか、どういう御見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/189
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190・河野博文
○政府参考人(河野博文君) 先ほど科学技術庁から御答弁ございましたように、クリアランスレベル以下の廃棄物に関してどういう制度化をするか、あるいは取り扱いをどうするかという問題については、原子力安全委員会においての検討がさらに進められるということでございますので、その結果を踏まえて私どもはこの解体に伴う安全確保に対処するということでございます。
クリアランスレベル以下の廃棄物の管理は、具体的にはその制度設計によるわけでございますけれども、行政上の責任を負う立場ということであれば通産省でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/190
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191・水野誠一
○水野誠一君 測定検査に当たって、それでは安全委員会の役割は何かということをお尋ねしたいと思うんです。つまり、科学技術庁あるいは通産省の測定検査に対して安全委員会がいわゆるダブルチェックをすることになるんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/191
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192・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) いわゆるクリアランスレベルにつきましては、科学技術庁で法令上の基準値とすることを含め具体化について検討中でございますが、廃棄物の測定につきましては、今局長からも御説明いたしましたが、事業者が行った測定の結果を規制行政庁である科学技術庁または通商産業省が法令上の手続として何らかの確認を行う方向で検討中でございます。
原子力安全委員会において安全審査のようなダブルチェックを行うことは予定されていませんが、一般論といたしまして、原子力安全委員会として、実際に事業者による測定検査等が行われる段階において、行政庁から報告を受け、必要に応じ調査を行って意見を述べることはあり得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/192
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193・水野誠一
○水野誠一君 今、責任所在について幾つか質問をさせていただいておるんですが、ジェー・シー・オー事故における責任所在を、行政府と安全委員会の責任、それを整理して考えるとどうなるのかという質問を前回の委員会で私の方からさせていただきました。そのときに出席をされていた佐藤委員長から、ジェー・シー・オーの施設設置許可を出すに当たっての科技庁の検査は適当であるという答申を出したという、責任が安全委員会に生じるという答弁がございました。
ところで、その安全委員会には科学技術庁、通産省の審査結果を覆すだけの明確な法的権限はあるのでしょうか。また、過去に安全委員会が科学技術庁の安全審査結果を実際に覆したというようなことがあるのかどうか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/193
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194・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) ダブルチェックでございますけれども、例えば原子炉の設置許可、これを出すのは通産省であり、科学技術庁であり、行政庁でございます。その設置許可を出すに当たり、あらかじめ原子力安全委員会の意見を聞く、これがダブルチェックでございます。この意見を求めるに際し、規制行政庁の安全審査結果の妥当性について原子力安全委員会は判断し、意見を述べ、この意見を尊重するということになっております。規制行政庁は、この意見を受けて申請の変更等の措置をとることもあり得るものでございます。
現実に、例えばジェー・シー・オーの場合でございますけれども、昭和五十九年の設置変更申請に対して臨界管理の方法について原子力安全委員会から指摘がございまして、この指摘に基づいて申請書の補正を実際に行わせております。
なお、原子力安全委員会が設置法二十四条に基づく勧告につきましてはこれまで行ったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/194
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195・水野誠一
○水野誠一君 では、視点を変えて、仮に今回の廃炉から出てくるコンクリート、再利用されたコンクリートなどに将来問題が発生して、十マイクロシーベルト以下という基準がもしも不適切であったとされたときには、基準を定めた安全委員会に責任が生じるのでしょうか。行政府とは違ういわゆる八条機関、諮問機関である安全委員会が責任をとるということはできるのかどうか、どうも私は疑問だと思うんですが、この点について御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/195
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196・斉藤鉄夫
○政務次官(斉藤鉄夫君) 原子力安全委員会が安全審査指針として基準を定めるということになると思います。この場合、その基準によって検査をするのが行政庁でございまして、ですから第一義的な責任はすべて行政庁にあるというわけでございます。
ただ、専門的な立場からそういう基準を勧告したその責任、その基準そのものが科学的に見て後から不当であったという場合には、当然これは安全委員会の責任ということになりますけれども、基準にのっとって行った検査そのものに対する責任は行政庁が負うものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/196
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197・水野誠一
○水野誠一君 前回の委員会で、本来のダブルチェックというのは法的にも実質的にも独立した二者によって行われるべきである、原子力の推進と規制の責任所在が混在している今の体制が国民の信頼を得る妨げになっている、こういう指摘をさせていただきました。
この廃炉に伴う廃材再利用の問題や、また次の通常国会に法案提出が予定されております高レベル放射性廃棄物処理の問題などを議論するに当たっては、必ずまたこの安全規制体制に関する議論が出てくると思います。こういった問題というのはなかなか本当に難しい議論だと思うのでありますが、この点についてもう一度大臣の所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/197
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198・中曽根弘文
○国務大臣(中曽根弘文君) 原子力の規制と推進の機能を効果的に分離しつつ、現在、科学技術庁または通産省が法令に基づく安全審査を行いまして、そしてさらに原子力安全委員会がダブルチェックをする仕組みとなっているわけでございます。これは我が国に適したシステムであると考えているところでございます。
今回、このような大変残念な事故が起きたわけでございまして、安全体制の見直しを行っているわけでありますが、御承知のとおり、原子力安全委員会は、平成十三年一月からの省庁再編に伴いまして内閣府設置法第三十七条の適用となりまして、国家行政組織法に基づく各省庁より一段高い位置にある内閣府に設置されるとともに、独立の事務局が置かれてその活動がより充実されることとなるわけでございます。今回の事故を踏まえて、原子力安全委員会の独立性と機能の強化をさらに進めることといたしております。このような体制によりまして安全確保に万全を期して、また国民の皆様の信頼を得るよう努力したいと思っておるところでございます。
なお、先日の本会議の小渕総理の御答弁にありましたように、総理の御指示を受けまして、原子力安全委員会の独立性及び機能の強化を早期に実施すべく、平成十三年一月の内閣府への移行に先立ちまして、平成十二年度早々にも安全委員会の事務局機能を現在の科学技術庁から総理府へ移管をいたしまして、その独立性を強化し、また人員も大幅に拡充する方向で現在検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/198
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199・水野誠一
○水野誠一君 今のお答えは想像していたとおりといいますか、もう何回も伺っているお答えなんですが、先ほどけさの参考人質疑の中で中島先生がいみじくも、内閣府に安全委員会を持っていくということは、昔お公家さんの世界で位を上げて実質的な権限を取り上げるという歴史的事実があった、それにならないようにという大変厳しい御注意があったわけでありますが、私が心配するのもそこでございました。といいますのは、今よりもさらにその独立性を高めるというふうに見えながら実は孤立した存在に安全委員会が置かれる、これが一番心配なところであります。
確かに、人員も強化するということでありますが、とはいえ、本当に検査、実験をするような手足がない。そしてさらに、行政府に対して指導していく本当の権限が与えられるかどうか。こういった実質的な問題として、建前ではなくて、本当の実質的機能として安全委員会というものをやっぱりいま一度しっかりと見直していく必要があるというふうに私は思っておりますので、その点を重ねて指摘させていただいて、終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/199
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200・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) ただいまの質疑に対して間宮原子力安全局長より答弁を求められておりますので、これを許します。間宮原子力安全局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/200
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201・間宮馨
○政府参考人(間宮馨君) 恐縮ですが、今の件でございますが、ちょっと先ほどの答弁で私表示につきまして法令化検討というような言いぶりをした結果になったかと思いますが、表示につきましては法令化を含めて通商産業省等関係省庁と今後検討していきたいと考えておりまして、そのように訂正させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/201
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202・成瀬守重
○委員長(成瀬守重君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後四時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614062X00419991207/202
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