1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十二年五月三十日(火曜日)
—————————————
昭和四十二年五月三十日
午後二時 本会議
—————————————
○本日の会議に付した案件
健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する
法律案(内閣提出)及び船員保険法の一部を改
正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、税務署の設置に関し承認を求めるの件
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出)
午後二時八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/0
-
001・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
————◇—————
健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関す
る法律案(内閣提出)及び船員保険法の一部
を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/1
-
002・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 内閣提出、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案、及び船員保険法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生大臣坊秀男君。
〔国務大臣坊秀男登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/2
-
003・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案並びに船員保険法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案について御説明申し上げます。
近年、医療保険の財政は、各制度とも悪化の傾向にありますが、特に政府管掌健康保険及び船員保険においては、深刻な財政危機に直面しており、このまま推移すれば、制度の崩壊すらおそれられる事態に立ち至っております。
医療保険制度については、将来にわたる安定と発展の基盤を築くため、各制度全般を通じた抜本的な対策を講ずることが必要であり、政府はつとにその検討を進めてまいったのでありますが、諸般の事情により、いまだ成案を得るに至っていない現状にあります。政府といたしましては、今後とも引き続き検討を行ない、四十三年度から実施の緒につくよう最善の努力をいたす所存でありますが、何としても、制度を維持するためには、今日の段階においてこれ以上の赤字を出さぬよう臨時応急の措置を講ずることが必要であります。
このため、政府は、当面の収支の均衡をはかるため、まず国が極力大幅な国庫負担を行なうこととし、四十二年度において、政府管掌健康保険について二百二十五億円、船員保険について六億円という、前年度を大幅に上回る国庫負担を予算に計上することとしたのでありますが、同時に、この難局に対処するため、被保険者、事業主及び実際に給付を受ける方々にも、それぞれの立場において御協力をお願いすることとし、保険料率の引き上げ、一部負担制度の改正を内容とする臨時応急対策を策定し、この対策を骨子とする健康保険法及び船員保険法の一部改正案要綱を、社会保障制度審議会及び社会保険審議会に諮問し、御審議を願ったところであります。
両審議会からは、医療保険制度の抜本的対策のすみやかな実施について、強い指摘がなされるとともに、今回の対策は保険財政の現状にかんがみ、臨時応急対策としてはやむを得ないという趣旨の答申をいただいております。
なお、特に社会保障制度審議会の答申において、政府が抜本的対策を早急に確立する姿勢を明らかにするため、今回の対策は臨時特例法として法制化することが適当であるという御意見もありましたので、当分の間の暫定措置であることを明確にして、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律という立法形式をとり、提案することといたした次第であります。
以上がこの法律案を提出した理由でございますが、次に、この法律案の概要を御説明いたします。
まず、健康保険については、
第一に、初診の際支払うべき一部負担金の額、現行百円を二百円に、入院の際、最初の一カ月間一日について支払うべき一部負担金の額、現行三十円を六十円にするとともに、新たに被保険者が外来診療で投薬を受ける際の定額負担として、一剤一日分の額が十五円をこえる薬剤について、十五円を負担していただくこととしております。
なお、社会保障制度審議会の答申において述べられた御意見に沿って、被保険者資格喪失後の継続療養の給付を受ける者については、新たに設ける外来投薬時の定額負担はこれを免除し、入院時一部負担金は現行の額に据え置くことといたしております。
第二に、政府管掌健康保険の保険料率、現行千分の六十五を千分の七十二とすることといたしております。
次に、船員保険については、
第一に、初診時の一部負担金及び外来投薬時の本人定額負担につき、健康保険と同様の特例を設けることとしております。被保険者資格喪失後の給付の場合、外来投薬時の一部負担金を支払うことを要しないことも同様であります。
第二に、保険料率については、疾病部門に充てるべき保険料率の引き上げに伴い、失業保険の適用を受ける者の保険料率は、現行千分の二百二を千分の二百六に、失業保険の適用を受けない者の保険料率は、現行千分の百九十一を千分の百九十五とすることといたしております。
なお、この法律は、昭和四十二年六月一日から施行することといたしております。
次に、船員保険法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
船員が失業したときは、船員保険において、失業保険金の支給その他陸上労働者の場合における失業保険法による給付に準じた措置を講ずることとなっているのでありますが、今回の改正は、失業保険法による失業保険の給付水準との均衡を考慮し、船員保険の失業給付の改善を行なうこととするものであります。
その改正の第一は、現在失業保険金の支給日額は、その最低額を含め法律で規定されており、この結果、社会経済情勢の推移に応じ、迅速に政善を行ない得ないうらみがありますので、この点を改め、金額算定の基準を法律に規定するにとどめ、具体的な金額については失業保険法における給付水準等を考慮して、厚生大臣が定めることとしたことであります。なお、厚生大臣がこれを定める場合には、社会保険審議会の意見を聞くことといたしております。
改正の第二は、失業保険金における配偶者加給金の日額を、現行二十円から三十円に引き上げることとしたことであります。
以上が健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案並びに船員保険法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
————◇—————
健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関す
る法律案(内閣提出)及び船員保険法の一部
を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に
対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/3
-
004・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。藤本孝雄君。
〔藤本孝雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/4
-
005・藤本孝雄
○藤本孝雄君 私は、自由民主党を代表して、ただいま趣旨説明のありました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案並びにこれに関連して今後行なわれるべき医療保険制度の抜本対策について、若干の質疑を行ないたいと思います。
福祉国家を建設するため、社会保障制度の充実強化をはかることは、わが党の基本政策の一つであり、なかんずく医療保険制度の改善には、最も多く意を用いてきたことは御承知のとおりであります。
しかるに、最近における各種医療保険の財政は著しく窮迫しており、特に政府管掌健康保険においては、一千億をこえる巨額な累積赤字をかかえ、このまま推移すれば制度の崩壊すら危惧される事態に立ち至っているところであります。
政府は、その原因の一つとして、最近における医療費の増加をあげているのでありますが、近年の医学、薬学の進歩による医療水準の向上、乳児死亡率の大幅な減少等に見られる国民の健康水準の向上を考えました場合、単に赤字が生じたという現象面のみをとらえて論議すべきものでないことはむろんであります。(拍手)いわゆる保険財政は赤字であるが、国民の健康勘定は黒字であるといわれるゆえんであります。一方、制度の破綻を目前にして手をこまねき、何らの対策を講ずることなく、いたずらに日を過ごすこともまた許されるべきではありません。
わが党は、このような見地に立って、現行の医療保険制度について抜本的な改善を加え、国民の福祉に合致した制度の立て直しを行なうべきことを主張し、過般の総選挙においてもこれを天下に公約したところであります。特に総理は、社会開発の推進について機会あるごとにその決意を表明しておられるところであり、この医療保険制度の抜本対策についても、当然にその一環として内閣の総力をあげて取り組む御所存であると承知しているのでありますが、この際、あらためてこの問題についての御決意を伺いたいと存じます。(拍手)
また、この医療保険の抜本対策の樹立にあたっては、現在多くの制度が分立し、その結果各制度間に給付内容、保険料負担などの面において著しい格差がある点を是正することが制度改革の核心であり、このことについてはつとに各方面から指摘されているところでもあります。
さらに、現在の診療報酬の支払い制度についても、医療担当者はもちろん、医療を受ける患者、被保険者の側にもそれぞれ多くの不満があるのでありまして、医療保険の制度面における改革にあわせて、診療報酬体系の適正化をはかることがぜひとも必要であり、これらの施策が総合的に講ぜられるのでなければ、医療保険の進展は期し得ないと考えるのであります。抜本対策の基本的な方針についても、この際総理の御所信を伺っておきたいと思います。
次に、今回政府から提案された法案及びこれに関連する諸問題について、厚生大臣にお尋ねしたいと思います。
政府管掌健康保険において大幅な赤字を生じていることは先ほども申し上げたとおりでありますが、これについての対策を考える以上、その赤字の性格を明らかにすることがまず第一に必要だと考えます。この赤字の性格について、厚生大臣はどのように認識されておられますか、最初にこの点についての大臣のお考えを承りたいと思います。
私は、医療保険が保険の形式をとる以上、その運営に要する費用は、まず事業主、被保険者など、この制度によって利益を受ける人たちがこれを負担すべきものであると考えている者の一人であります。しかし、いわゆる国民皆保険を国が法律をもって定めたものである以上、保険制度の種類やこれに属する被保険者の所得の状況等を考慮して、国が応分の負担を行なうこともまた当然のことと考えるのであります。政府管掌健康保険は、主として中小零細事業に働く人々を対象としており、国民健康保険はともかくとして、他の健康保険組合等に比べれば、なお相当数の低所得者が含まれている事実を見のがしてはなりません。
今回政府が提出した法律案は、当面、政府管掌健康保険の財政の立て直しをはかるための臨時応急の措置であると説明されたのでありますが、この対策の立案にあたって、ただいま申し上げたような事情をどのように配慮されたのでありますか。また特に、国と被保険者または患者の負担の割合、負担方法についての厚生大臣のお考えを具体的にお示しいただきたいと思います。
今回の財政対策案については、すでに各方面からいろいろな批判、御意見があることは御承知のとおりでありますが、今回政府が新たに実施しようとしている薬剤の一部負担に最も多くの議論が集中しているように考えるのであります。医療を受ける際、その費用の全額を保険で支払うことが理想であり、逐次これに近づくよう努力しなければならないのでありますが、現状においては、患者に対し、ある程度の負担を課することもまたやむを得ないところであります。しかしながら、薬剤の一部負担は新たに設けられるものであり、その意味においては、今後の抜本対策の際に検討されるべき問題であるとも考えるのでありますが、政府はこの点をどのようにお考えでございますか、お伺いしたいと思うのでございます。
また、一部負担を設けることがやむを得ないとしても、これが患者の必要な受診を抑制するようなものであってはならないことは、これまた当然のことでありますが、この点についての危惧の念が国民の中に見られるのでありますから、これについての御見解を明らかにしていただきたいと思います。
さらに一部負担については、所得の低い人たちに対する配慮も忘れてはならないところであります。政府の案においても、社会保障制度審議会の答申の趣旨を体し、離職後なお継続して給付を受ける人たちに対しては今回の特例措置を適用しないとしているのでありますが、はたしてこれで十分でありましょうか。健康保険の場合、被保険者自身の所得は、その標準報酬によって把握することはできるが、その者が属する世帯全体の所得状況を判断することの困難である事情は十分承知しているのであります。しかし、そのような困難を排して、一人でも多くの低所得者にこの措置を及ぼすことこそ、まさに血の通った政治というべきであります。この問題について、さらに再検討される御用意があるかどうか、率直にお伺いいたしたいと思うのであります。
さらにまた、今回の一部負担の新設により、医療機関に対し多くの負担を課することになるのでありますが、この点はいかがでございましょうか。現在、医療保険の事務を処理するため、医師が本来患者の診療に充てるべき時間もさかざるを得ない事情にあることは周知のところでありまして、国民医療の見地から見のがすことのできない重大な問題であると考えるのでありますが、この点についての御見解を、ぜひともこの機会に承知いたしたいのであります。
なお、この際、現在問題になっております医療費の引き上げについても、あわせてその経緯を御説明いただきたいと思います。
私は、政府管掌健康保険が深刻な財政状況に直面している事実、また、このような事態に対処して、その立て直しのための対策を講ずることが、政府の当然の責務であることを否定するものではありません。赤字をこのまま放置しろとか、赤字の全部を国庫で負担しろとかという無責任な意見にくみすることは、絶対にできないのであります。政府は、今回の措置は、当分の間における臨時特例のものであることを法案の形式の上で明らかにしたと説明されたのでありますが、私は、この当分の間とは、きわめて短期間であり、来年度から実施するといわれる抜本対策までの暫定的なものであると理解するのであります。その意味で、昭和四十二年度単年度において、できるだけ収支の均衡をはかり、医療機関に対する支払い遅延などの最悪の事態を回避しつつ抜本対策樹立の前提条件を確保する必要があるという点においては、政府の御意見と全く同じ立場に立っているものであります。したがいまして、今回の政府案に対し、国民各層が抱いている疑念を晴らし政府の真意を明らかにすることが、与党の一員である私に課せられた責任であるという見地から御質疑を申し上げているのであります。
福祉国家の建設のためには、その大きな柱である社会保障制度の充実強化が必要なことは申すまでもないところでありますが、制度の現実、特に先ほど来申し上げている医療保険においては、各制度の間に大きな格差があり、これに対する国民の強い不満のあることをわれわれは瞬時も忘れるべきではないと思います。今回の対策についても、このような国民の不満が多くの批判と不安を招いていることはいなめない事実でもありますので、政府は、当面の財政対策にとどまることなく、直ちに抜本対策に取り組み、このような国民的な要望に沿うよう努力することがぜひとも必要であります。
総理は、この際、医療保険制度の抜本対策に対するお考えを明らかにし、国民の不安を一掃し、社会開発並びに国民の健康と福祉の増進のために、一部の声に惑わされることなく、百年後に知己を求めるという御心境で、勇断をもってこの問題に対処されるよう、最後に重ねてお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/5
-
006・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
福祉国家の建設は、私ども政治家に課せられた大きな課題だと思っております。私は、与党の協力のもとに、御承知のように社会開発を進めておりますが、この社会開発は、私が申し上げるまでもなく、社会保障制度、これを充実強化する、これがその中心をなすのであります。ことに、ただいまもお話がありましたが、この社会保障制度の充実強化は柱でございますが、その意味におきまして、医療保険の制度、これと真剣に取り組むつもりであります。
ただいま御指摘ありましたように、今日わが国の医療保険制度につきましては、もう根本的な改革を行なうべき時期にきておると思います。そういう際には、御意見にもありましたが、各種の給付水準を是正すること、同時にまた、各制度間における負担の均衡をとること、さらにまだ、医療報酬制度の適正化をはかるなど、いろいろ広範かつ多岐にわたり、また根深いものもありますので、これらの点については中央社会保険医療協議会等の御審議も得まして、そうしてそれらの協力のもとに、強力に推進してまいる考えでございます。(拍手)
〔国務大臣坊秀男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/6
-
007・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。
政府管掌健康保険の赤字は近年非常に増高しておりますが、それは、保険料の収入の伸びを診療費が上回って、保険料の収入がこれに追っつかない、こういうことから生じてくるのでございまして、この医療給付費の増高原因としては、近年著しい医学、薬学の進歩のほか、医療機関の整備等を医療供給体制の充実、あるいは所得水準の上昇、人口構造の変化等による医療需要面の変化というような、社会の進展に伴うものが考えられる一方、他面診療報酬体系のあり方、その他制度的な問題もあると考えられております。
次に、今回の対策にあたっては、政管健保の被保険者に中小企業の労働者が多い点等も考慮し、国としてもできる限り大幅な国庫負担を行なう、こういうこと等いたしまして、前年度を五割上回る二百二十五億円を措置することとしたのでございます。しかしながら、政管健保が制度崩壊の危機に瀕している現状にかんがみ、保険制度のたてまえからいっても、事業主、被保険者及び患者の方々にも応分の負担を願うことはやむを得ない措置と考え、それぞれの負担の均衡も考慮した上で保険料率の引き下げ及び一部負担制度の改定を行なうこととしておるのでございます。
なお、今回の対策におきましては、昨年講じたような保険料についての対策のみではとうてい赤字の解消をはかることができない財政状況にあるので、保険料率引き上げ等の収入対策のほか、臨時応急の措置として、一部負担制度に手をつけざるを得なかったのでございます。したがって、今回の対策における外来投薬時の本人定額負担は、現行一部負担制度の拡大ないし肩がわりという意味で設けたものにすぎません。制度の根本的な立て直しというものではないと思います。
外来投薬時の定額負担は、定額負担で、またその額もきわめてわずかでございますので、必要な受診を抑制するような結果は生じないと考えております。
低所得者に対する配慮の必要性についての御意見は、ごもっともと考えます。お説のように、低所得世帯を把握することは、しかし実際問題としてなかなか困難であろうと思います。制度の基本に触れる問題でありますので、今後抜本的対策の検討の一つの大事な課題として真剣に検討してまいりたいと思います。
今回の外来投薬時の定額負担については、医療機関が現に診療報酬算定にあたって用いる単位、すなわち、薬剤一日分について十五円を課するということにしておりますので、医療機関にとり簡明で、事務的にも混乱は生じないと考えており、事務量については若干の増高は免れないにいたしましても、さしたる影響はないと考えております。
社会保険における診療報酬については、昭和四十年十月、中央社会保険医療協議会が診療報酬体系の適正化にすみやかに着手するべき旨の建議を東畑会長名で行ないまして、これを受けて、四十一年十一月より診療報酬体系の適正化に関する審議を重ねているところであります。その議題の一つとして、医療担当者側から入院料その他の診療報酬の引き上げの問題が提出されており、この問題は、現在診療報酬体系の適正化に関する審議の一環として検討されております。私といたしましては、この中医協における審議の結果をまちましてすみやかに対処する所存でございます。この際、さきに御指摘の医療機関における事務量の点をも考慮してまいりたいと考えております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/7
-
008・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 島本虎三君。
〔島本虎三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/8
-
009・島本虎三
○島本虎三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました健康保険法及び船員保険法の臨時特例法案等について、総理並びに関係閣僚に質問を行ない、国民の底を流れる不安と疑問を解明せんとするものであります。(拍手)
まず第一に、佐藤総理は、今国会の冒頭におきまして、その施政方針演説で、わが国が進むべき道として、「社会の主体は人間であり、経済の繁栄は人間の尊厳と社会の福祉に奉仕するものでなければならない」と、風格ある社会、人間尊重の政治を強調されましたことは御承知のとおりであります。しかし、いま提案されておるこの臨時特例法案の内容は、遺憾ながら佐藤総理の示したわが国の進むべき道に逆行するものと断ぜざるを得ないことはまことに残念であります。(拍手)
言うまでもなく、健康保険制度は、国民の健康と生命を守るための最低の保障であります。特に経済の高度成長にもかかわらず、その恩恵にあずかるどころか、かえってそのしわ寄せを受けている中小零細企業の労働者にとって、健康保険こそ、まさに命の綱ともいうべき重要な社会保障制度なのであります。しかるに、その健康保険において保険料率を大幅に引き上げ、患者一部負担金を倍増させ、さらにその上薬剤費の患者負担まで強行せんとするのは、低所得層の健康開発を目途とした佐藤総理の社会開発計画とは全く逆行するものであります。(拍手)したがって、このような施策と佐藤総理の所信とはどこでどう結びつくのか、まずこの矛盾の解明を明確にしていただきたいのであります。(拍手)
第二点は、いまやわが国は鉄鋼、自動車、電力の生産においては世界第三位、テレビ、合成繊維においては世界第二位、造船に至りましては世界第一位といわれるように、工業生産力はまさに先進諸国と比肩するに至っているにもかかわらず、社会保障水準は、今日なお昭和三十五年当時の西欧諸国の水準にも遠く及ばないという現状であります。ところが、先ごろ策定された経済社会発展計画においても、社会保障長期計画の位置づけはきわめて不明確であるのみならず、経済の効率化という生産第一主義の至上命令のもとで、いまやその影さえ薄れてしまったのであります。実にゆゆしい問題であります。佐藤総理は、この際、真に実行性のある長期計画を策定して、ILO条約百二号の批准の意向を明確にすべきであると思うが、いかがでしょうか。
第三点として、わが国の医療保障のあり方については、すでに昭和二十五年社会保障制度審議会が答申しており、また、その総合調整に関する基本方策についても、同審議会が三十七年に答申済みであります。さらに医療保険財政の問題点については、一昨年総理みずから答申を受けたはずであります。にもかかわらず、今日まで右顧左べんに終始し、医療保険のみならず、医療制度全般にわたる改革に手をつけようとしないばかりか、その基本姿勢をすら示そうとしなかった結果が今日の混乱を招来し、医療保険全般の制度的後退が予見されるに至りました。(拍手)佐藤総理の政治責任はきわめて重大であります。総理のこれに対する所信と決意を伺いたいのであります。(拍手)
次に、坊厚生大臣、早川労働大臣、水田大蔵大臣にそれぞれ伺います。
その第一は、医療保険制度は、わが国の立ちおくれた社会保障の中で比較的進んだものであり、その中核をなすものであります。しかもそれは前述のごとく、国民の健康と生命を守るための最低の保障であります。しかるに、あるべき医療保障が、もっぱら保険財政の面からのみ論ぜられているのは、まさに本末転倒もはなはだしいものといわざるを得ません。(拍手)健康投資の概念なしに赤字のみを解消せんとすることは、低所得層の健康水準を低下させるのみか、圧殺することであります。坊厚生大臣は、このような国民不在、政策不在の法律案を提案したことについて、基本的考え方を明らかにしていただきたいのであります。
第二は、初診時の患者一部負担金の引き上げであります。かつて結核予防運動はなやかなりしころ、予防にまさる治療なしと叫ばれ、最近のガン予防運動においても、早期発見、早期治療が強調されているのであります。疾病構造が複雑化した今日、早期受診の必要性はますます高まっております。そのためにも、受診時における経済負担をより少なくして、受診機会の増大こそはからなければならないことは理の当然であります。しかるに、今回、初診時の一部負担金を二倍に引き上げたことは、理由のいかんを問わず、それに逆行するものであり、疾病対策のイロハもわきまえぬ暴挙であり、国民の健康と生命を脅かす最たるものと断ぜざるを得ません。(拍手)坊厚生大臣は、本法案を提出するにあたって、早期発見、早期治療の関係をどのように考えたか、あわせて国民の健康開発を犠牲にする暴挙にひとしいこの提案をいさぎよく撤回する意思がないかどうか、これを強く伺いたいのであります。
第三として、入院時の一部負担金の引き上げであります。最も営利性を排さるべき国立病院、国立療養所においてさえ、現にベッドの差額徴収等が公然と行なわれているのであります。保険財政のつじつま合わせにばかり狂奔している結果が、寝ている病人から着物をはぎ取るにひとしい冷酷むざんな仕打ちが平然と行なわれているのであります。坊厚生大臣は、まずみずから範を示し、少なくとも所管する病院、療養所等の施設における差額徴収をすべて撤廃し、さらにはその営利性を排除するため、社会保障こそ国民の権利であるとの基本的立場に立って、断固独立採算制を廃していただきたいのであります。これについての御所見を承りたいと存じます。
第四には、薬代の患者負担制であります。本件につきましては、一昨年の社会保障制度審議会及び社会保険審議会の答申にも、制度の抜本的改革のときに検討すべきであると述べられていたように、これは保険給付費の一部負担を意味し、軽々に取り上ぐべき問題ではないのであります。おそらく今回の措置は、医療費の中に占める薬剤費の膨大さに目をつけた結果でありましょう。それを患者負担によって歯どめをかけるという場当たり的施策が一体何をもたらすでしょうか。厚生大臣は真剣に考うべきであります。医者にかかると、これまでよりもお金がよけいかかる、それなら売薬でがまんしておこうということになるのであります。高物価と低賃金に苦しむ国民大衆は、当然そのような消極的自衛の道を考えます。しかし病気をなおすことまで損得で考えなければならない国民を、大臣は、しあわせだと思うのですか。そういう政治が福祉国家の政治なのですか。貧乏な患者に薬代まで負担させようなどと考える前に、保険で使う薬剤の生産、販売を管理、規制してはどうですか。(拍手)坊厚生大臣の見解を問うものであります。
第五として、保険料の負担能力の問題であります。政管健保の被保険者の六八%は規模三十人以下の小企業に働く労働者であります。その人たちの六一%は三万円以下の月収であります。このような実態に労働者をほうり出しておく、政府の中小企業政策、労働政策こそ、まず責められなければなりません。しかるに、この低賃金労働者に追い打ちをかけるがごとく、一昨年の厚生年金保険料、昨年の健康保険料と矢つぎばやに引き上げられ、その上にまた今回の健康保険料の再引き上げであります。保険料を取り上げるほうは別々でも、取り上げられるさいふは一つであります。いまや月収三万円の労働者は、毎月二千百五十五円の社会保険料を天引きされることになるのであります。早川労働大臣、この人たちの二千百五十五円は、あなたのさいふの中にある二千百五十五円とは生活にかかる重さが違うのであります。せめて社会保障のための費用くらいは軽減措置を講じてやってはいかがですか。このままでは貧しい者同士で共食いをする、いわゆる水平的所得再分配といわざるを得ないのであります。早川労働大臣及び坊厚生大臣の所信を問う次第であります。
第六には、医療保険に対する国庫負担についてであります。本法案の財政効果は、御承知のとおり、保険料率の引き上げ座三百二十五億、一部負担金引き上げで百七十億、それに国庫負担が二百二十五億、行政努力が二十五億で、合計七百四十五億円であります。その結果、労働者の負担増は三百三十二億五千万円、事業主の負担増は百六十二億五千万円、しかるに国庫は、四十一年度の百五十億円を差し引けば、わずか七十五億円の負担増にすぎません。
ところで、昨年の法改正における財政効果は、標準報酬月額の改定分で百二十七億、保険料率改定分で七十七億、それに国庫負担が百五十億、薬価基準引き下げが四十四億、行政努力が九十八億、合計四百九十六億円であったのであります。その結果、負担増は労働者百二億、事業主百二億、国庫負担は四十年度の三十億を差し引けば百二十億円でありました。すなわち、四十一年度の改正にあたっては、国と事業主、それに労働者がおおむね赤字を分かち合った、いわゆる三者三泣き論的負担でありました。
しかるに、今回の改正では、国庫一、事業主三、労働者六の割合の負担であるのであります。(拍手)これはまことに許しがたい問題であり、きわめて重大であります。水田大蔵大臣、なぜこのような負担割合を行なったのか、その根拠を示していただきたい。また、第五十一国会における附帯決議されました医療保険に対する国庫負担の定率化について、その見解を明らかにしていただきたいのであります。
第七に、行政努力に関する問題であります。四十年の保険三法改正案では五十八億、四十一年の健康保険法等の一部改正では九十八億、さらに今回の臨時特例法案では二十五億円と、常に数字合わせによって算出されておるのが行政努力の実体であります。そのため、医師の良心的医療に対しても、治療指針をたてに不当な監査を強行している疑いがあります。まず守らるべきものは国民の健康であり、生命であるはずであって、健保財政優先ではないと考えるが、坊厚生大臣の見解を問うものであります。
また、今日の医療問題の混乱の真因は、国民皆保険の実施によって医療需要の社会化が進み、かつ医学の目ざましい進歩にもかかわらず、医療供給体制がそれに対応できていないところにあります。厚生大臣は、制度の抜本的改革にあたって、供給体制の改革を真剣に取り上げる意思がおありなのかどうか、再びお伺いいたしたいのであります。
最後に、私は、今回の臨時特例法案は決して暫定的措置ではなく、制度の抜本改悪につながる第一歩だと断定せざるを得ないことは、まことに残念であります。(拍手)国民は、もはや政府のいう抜本改革を額面どおりに信用できないでおるのであります。佐藤総理は、四十三年度に前向きの抜本的改革を行なう確信がおありであるならば、その抜本改革とは何かを明確に示すべきであります。そうでない限り、もはや暫定対策には応ぜられないものであることを明らかにして、質問を終わらなければなりません。
国民の生活と、生命と、健康にきわめて重大な影響を与える問題でありますので、明確にお答えくださいますよう要望いたしまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/9
-
010・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 島本君にお答えいたします。
社会保障制度、この充実強化をはかるということを絶えず申しておりますが、その場合に、いまお話しになりました健康保険制度というものは、その分野でも重要な面を占めております。したがいまして、この健康保険制度の強化充実をはかっていく、これを政府はいろいろ努力しておるわけであります。ところがなかなか思うようにまいりません。わが国のその歴史がまだ浅いということもございましょう。そこで、ただいまの緊急措置、これを必要といたしました。
これは私が申し上げるまでもなく、島本君もよく御承知のことだと思いますが、保険制度そのものは、当然、保険者、被保険者、あるいは事業主、医療担当者、これらの者が相互に信頼関係を打ち立てて相互の理解と協力によって、初めてうまくでき上がるものだと思います。これが根本の問題でありまして、今回の健康保険制度におきましても、緊急措置として、やむを得ず一部実施しようというのであります。当然、根本的な対策を引き続いてやらなければなりません。これと並行いたしまして、根本対策がいろいろ研究されておるわけであります。もうすでに二年前にそういう答申が出ておるじゃないかというお話もございます。しかし先ほども申しましたように、これらの事柄はたいへん広範多岐にわたるものであり、また根深いから、そう簡単な結論は出てこないのであります。しばらく時間をかしてくださいというのが今日までの政府の態度であったと思います。しかし、今回この緊急措置をとることにより、四十三年度以降においてはぜひともこの根本対策を実施するように、一そうの努力をするつもりでございます。
私はさように考えておりますので、政府の本来の主張と最近やることは違うじゃないかという御批判があるのでありますが、御批判は御批判として、政府鞭撻のことばとして私は伺いたいのであります。
さらにその責任追及のお話が出ておりましたが、これは私がただいま申しましたように、たいへん根本的な問題だから、そう簡単な結論は出ないのだ、御了承を得たいとお願いしておるのであります。
そこで、ILO百二号条約を批准しろ、こういうお話であります。私が説明するまでもなく、ILO百二号、これを批准しておる国は世界でいま十五カ国くらいでしょう。私は、日本の社会保障制度を見ました際に、どうもいま直ちにこの条約を批准するような条件が整っていない、かように思います。いまこの基礎的な、基本的なものに合致するものといたしましては、わずかに疾病給付と失業給付、この二つだけだ、かように思います。さらにこの条約を批准するためには、少なくとも三つはそろえろというのがあの条約で要求しておるものであります。私どもも、この条約を批准する、そういう国でありたい。さらに劣っておりますもの等については、今後とも検討をいたしまして、充実をはかってまいりたい、かように考えております。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣坊秀男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/10
-
011・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。
健康保険制度が、国民医療を確保する上におき・まして、きわめて重要な役割りを持っておるということは同感でございます。今日、保険財政が極度に悪化し、制度が崩壊のおそれすらも生じておる現状にかんがみまして、何としてもこの制度を維持する、そのために今回、臨時緊急の財政対策を講ずることとした次第でございます。国といたしましても、限られた国家財政の中で最大限の努力を払いまして、大幅な国庫負担措置を行なうことといたしておるのでありますが、保険制度のたてまえから言いましても、被保険者、事業主及び実際に給付を受ける方々にも応分の負担をしていただくということを、今度の臨時対策におきましてきめたわけでございます。
それから、初診時及び入院時の一部負担のことでございますが、初診時、入院時の一部負担金は、御承知のとおり、昭和三十二年に現行百円にきめられて以来、十年間据え置かれておるわけでございます。今日これを改定することにしたのでございますが、三十二年以降における所得の伸び等を勘案いたしまして、この程度の引き上げであったならば早期受診に支障を来たすといったようなものではないと考えております。
それから、差額徴収の問題でございますが、国立病院、国立療養所は旧陸海軍の病院を引き継いだのでございまして、建物が老朽しておることがたいへんはなはだしい。設備の近代化等に伴い、患者の需要もたいへん多くなり、差額ベッドについても患者の強い要望にこたえて必要最小限度のこれをやっておるわけでございまして、差額徴収の額も低額のものが大部分を占めておりまして、収益をはかる、そういったような趣旨では決してございません。また、国立病院は特別会計制度をとっておるが、これは病院経理を明確にして、病院管理を効果的に行なうために設けたものでございまして、独立採算を目的としておるものではないのでございます。現に、毎年一般会計から相当額の負担をいたしておりますことは、御案内のとおりでございます。
それから、薬剤費でございますが、今回の外来投薬時の負担金は、先ほども申し上げましたが定額であり、かつその額もわずかでございますので、従前医療機関で受診をしていた患者の必要な受診を抑制するような程度のものにはならない、かように考えております。今回の外来投薬時の定額負担は、医療保険の当面の赤字対策でございまして、特別の抑制効果を期待しておるというようなことではございません。
医薬品の生産、流通につきましては、自由、公正な競争にゆだねられるべきものでございまして、このことが、たとえば価格の面においても引き下げの効果をもたらすものと考えております。保険で使用する薬剤につきましては、毎年薬価調査を行なうことによってその実勢価格を把握いたしまして薬価基準価格に反映させる方針のもとに、本年も現在これが作業を進めておるところでございまして、これによって保険薬価の適正化をはかる予定でございます。
それから、政管健保に加入する労働者の負担率が非常に多い、それに対処して一体どう考えておるか、こういう御質問でございますが、社会保険のたてまえからいいまして、今回の財政対策におきましては、被保険者の方々にも応分の負担をお願いすることといたしまして、保険料の引き上げを行なうこととしておりますが、引き上げ幅につきましては、前年度を五割も上回る二百二十五億円という国庫負担を行なうことによりまして、その上げ幅を極力押えることとして、その引き上げを一割程度、すなわち千分の七にとどめることといたしたわけでございます。
次に、近年における医療保障の充実、医学医術の進歩、疾病構造の変化等、医療需要の変化は急激なものがございまして、これに対応して従来から一般病床の拡充、整備をはかり、あわせてガン、リハビリテーション、救急医療等の諸対策に努力してきているところでありますが、なお増大する医療需要に対処し切れない現状にあります。病院と診療所がいたずらに競合している状態ではございません。しかし、医療機関のあり方については根本的に検討すべき分野もあるので、今後慎重に処理をいたしたいと考えております。
なお、病院の経営についても、病院のあり方等について、現状においてはきわめて多様性がありまして、一様には律しがたい点があるので、今後医療制度調査会の答申等を参考にいたしまして十分に検討してまいりたい、かように考えております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/11
-
012・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) お答えいたします。
今度の緊急対策の特徴は、被保険者と事業主と受益者と国と、この四者がそれぞれ負担することによって当面の赤字を切り抜けたいというのが特徴でございますが、その負担割合は、被保険者と事業主が百六十二億五千万円、受益者の負担が百七十億円、国庫の負担が二百二十五億円ということでございまして、さっき御指摘になったような六、三、一という割合にはなっておりません。
それから、国庫負担の定率化という問題がございましたが、これは御承知のとおり、社会保障制度審議会から社会保障総合調整に関する答申というものがなされておりますが、この答申を見ましても、社会保障に対する国庫の負担は優先順位がある、生活保護等に対する負担が最優先であって、社会福祉に対する負担がその次の順位であって、社会保険に対する負担は一番あとの順序であるということをはっきり明記しておりますが、そのとおりだと思います。と申しますのは、社会保障のやり方で国が直接金を支出するのと、保険制度によって運営される社会保障制度というものがございますが、これをどちらでやるのかということを明確にしないところにいろいろな混乱が起こっておるのだと私は思います。医療保険というようなものは本来が保険料の収入によってまかなわるべきものであるということは、諸外国どこでもそうでございます。国庫によってこの保険をまかなっている国はよそにはないというのが実情でございますが、わが国におきましてこの負担率を見ますというと、たとえば国民所得に対する比率を申しますと、社会保障の負担率は日本では四・六%でございます。西ドイツが一二・七%、フランスが一八・一%、イタリアが一四・六%ということで、租税の負担率を加えますと日本の倍以上が各外国であるということになろうと思います。これは、結局日本の国民の所得水準が低いことであって、保険料を多く分担する余裕がないということでございますので、この余裕のない間国が国庫でいろいろ補助をするということはやむを得ない現実ではございますが、将来の方向としましては、この保険制度の運営は料金を中心にしてまかなっていくべきものであるという方向ははっきりしております。したがって、ここで国庫負担の定率化というようなことには検討すべきいろいろな問題があろうかと考えます。(拍手)
〔国務大臣早川崇君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/12
-
013・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 社会保険料が、三万円の低所得者で二千百五十五円、高過ぎはせぬか、こういうお話でございますが、私の所管している保険は失業保険でありまして、これは千分の七という低率でありまして、二百十円程度よりこの中には占めておらないのであります。これはいままで保険料を上げたことはございません。諸外国に比べましても、千分の七という失業保険はむしろ安いのでございます。他方、失業するのは低所得者が中心でございます。季節労務者、出かせぎ労働者、中小企業、零細企業、保険金をもらうのはむしろ低所得者でございますから、むしろ政府管掌保険に入っている人が、千分の七という低い保険料で保険金の恩沢に浴しておるというのが実情でございます。
なお、今回出しました失業保険法の改正では、低額所得者の保険金給付の日額を引き上げる改善措置をとっておる次第であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/13
-
014・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 和田耕作君。
〔議長退席、副議長着席〕
〔和田耕作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/14
-
015・和田耕作
○和田耕作君 ただいま趣旨説明のありました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案につきまして、民主社会党を代表して、佐藤総理並びに関係閣僚に質疑を行ないたいと思います。
まず第一に、この法律案の背景になっておる政管健保の赤字の問題についてであります。総理大臣に質問をいたしたいと思います。
政府は、この法案を提出するにあたりまして、昭和四十二年度一年の赤字は七百四十五億と予想されております。本年末までの累積赤字は一千九百億に達すると述べております。また、このままに放置するなれば、診療報酬の支払いの遅延が起こる、あるいはまた社会保障制度の根幹をゆるがすような結果になるのだ、このような御説明をなさっておるのでございます。まことにゆゆしい事態だといわなければなりません。
私は、本国会でしばしば佐藤総理の、社会開発と人間尊重を重視するという言明を思い出しながら、総理にお尋ねしたいと思うのであります。つまり、いま問題にしているこのような赤字の原因がどこにあるのか。その原因は、人ごとのように申されておるきらいがありますけれども、ほかならぬ政府自体にこの赤字の原因があるのではないか、この問題をお尋ねしたいと思うのでございます。
総理の諮問機関である社会保障制度審議会は、改正案について諮問されたその答申の中で、医療保険制度の抜本的な対策をサボる政府の態度に警告を発しております。つまりかような状態が続く限り「医療保険の破局をもたらすばかりではなく、社会保障の均衡ある発展を阻止し、ひいては、わが国社会開発全般に一大障害となることは明らかであろう。」と極言しておるわけでございます。政府の抜本対策をサボっておる態度に対して、総理の諮問機関がこのように極言しておるわけでございます。総理、あなたの諮問機関がこのような警告を発しておるのでございますが、これをどのように受けとめられておるのか、このことについて総理の所見をお伺いしたいのであります。(拍手)
これまでも政府におきましては、昭和四十二年度より抜本対策を講ずる旨をしばしば強調してまいったのであります。ところが、今回提案されました法案の趣旨説明によりますと、「諸般の事情により、抜本対策の成案を得るに至らなかった」と述べております。この「諸般の事情」というのは一体どのようなものでございましょうか。この点を明らかにすることに赤字財政に悩む医療保険制度の再建に寄与する大きな問題がひそんでおると思うのでございます。はたしてこの「諸般の事情」が一朝にして好転するものであるか、あるいは総理は英断をもってこれに当たる決意をお持ちであるのかどうか、その時期と確信について総理の責任のある答弁をお聞きしたいと思います。(拍手)
最近、この赤字の実態につきまして厚生省が明らかにした資料によりますと、特別に診断を受ける患者が急増したということでもないようでございます。また、罹病期間が長引いておるということでもないようでございます。一人当たりの薬代の請求が異常に高くなっておることがおもな原因だとされております。この薬代の異常な急増は、昭和三十五年には医療費の二〇%であったものが四十年には四〇%にも達しておるのでございます。なぜ、特に最近数年間、このような一人当たりの薬代が多くなっておるのか、その理由を伺いたいのでございます。
このような薬価支出の異常膨張は、結局は現在の診療報酬体系そのものに原因があるといわなければなりません。医師の技術能力の評価が、何ら診療報酬体系に組み入れられていない。出来高払いと申しますか、一剤でも多く、一日でも長く治療したほうが得になるという制度そのものに問題があるといわなければならないと思います。この問題を解決するためには、良識に基づいて医師の積極的な協力を求めることによって合理的な診療報酬体系をつくることが必要でございましょう。そのために、医療実態調査を合理的に実施することが必要だと考えております。この調査は、昭和二十七年以来まだ一度も実施されておりません。これは診療報酬体系の基礎的な資料になるものでございますけれども、これがないために推測でもって行なわれておる状態でございます。
このような問題について、厚生大臣は過去どのような努力をしたのか、どこに困難があるのか、この辺の問題について誠意のある答弁をお願いしたいと思うのでございます。
医療保険制度の問題は、どこの国でも医師の立場をどのように位置づけるかという問題が最大の問題でございます。医師は、国民の健康を守る重要な社会活動家として尊敬されなければならない、また、尊敬されるに値するような行動をとらなければならないのでございます。これができるためには、技術料等の正当な評価に基づいて、先進国並みの所得が保障されるように措置されることが必要かと思うのでございます。
お互いに日本の国民は、医療費として直接間接に一兆四千億という膨大なお金を負担しておるのでございます。この一兆四千億というお金は、国民所得の五%にも達するものでございまして、これはアメリカを除いたどこの先進国よりも多い負担でございます。こんなにたくさん国民は医療費として負担をしておる。それに比べて、国民が現在保険給付として受ける給付はいかにも少ないじゃございませんか。アメリカは別として、イギリスに比べてもドイツに比べても、北欧諸国に比べても、その国民よりは、総医療費としては国民はもっと多く負担をしておる。にもかかわらず、受ける給付は少ない。そういう状態がある。現在の暫定方策には、政府の責任で赤字が出ておるという根本原因があるにもかかわらず、なおかつ国民の負担において、大衆の負担において、この急場を切り抜けようとするところに最大の問題があるわけでございましょう。(拍手)
私は、このような国民の負担をしている一兆四千億というたくさんのお金は、合理的に配分をすれば、現在のもろもろの保険制度のゆがみは直せるのではないか、少なくともそのめどがはっきりついておるのではないか——架空なことを言っているわけじゃございません。一兆四千億という金の配分を考えることによって、そういうことができるのではないかと思うのでございます。よろしく総理大臣、あるいは各省関係大臣は、この問題をしっかりお考えになって、この際抜本改正に断固として勇断をもって取り組まなければならないと思うのでございます。総理の所信をお伺いしたいと思うのでございます。(拍手)
次に、この抜本対策につきまして、厚生大臣並びに関係の大臣にお伺いいたしたい。
この暫定対策の法案が、いろいろ諮問されるときにも、社会保障審議会でも、社会保険審議会でも、声をきびしくして何回も政府に抜本対策を要求しておるわけでございますけれども、いかんせん、そういうものが出てこない。このことは暫定法案に対する私どもの質疑の基本的な態度、抜本対策がつくられるかどうか、どのようにつくられるかということと、不可分のことであることを意味しておるわけでございます。どこの党でも抜本対策と言っております。どういう立場の人でも、抜本対策が必要だと言っておる。しかしながら、その抜本対策の内容についてはみんな違っておる。このようなことがございますので、私は次の三点に対して、総理並びに各省大臣にお伺いをしてみたいと思います。
第一は、赤字の実態が薬価の異常な膨張にあるということが事実であれば、現在の、すでに法律として行なわれておる医薬分業の問題を、もっと効果あらしめるように考えるつもりはないかどうか。この医薬分業については、昭和三十一年の国会ですでに成立している法律でございます。だが、その際に例外規定がつくられた。この例外規定が本物になって、現在、お医者さんが投薬をすることが常態になっておるわけでございます。現在、医薬分業が相当に行なわれているのは、歯科医師または予算上の都合で一部の大病院でこれが行なわれておりますけれども、大部分のお医者さんの場合は、これが行なわれていない。政府は、法律の趣旨である医薬分業を効果的に進めるために、医師の立場も考えて、前述のとおりの技術料の評価を中心とした、合理的な診療費の体系をつくることが大事だと思います。医師の投薬は緊急の例外措置として、処方せんによって薬剤師に投薬させること、薬価基準の問題を再検討することなどが必要だと思うのでございます。
第二の点は、各種の保険制度の統合調整の問題でございます。この問題については、もうそろそろ画期的な対策が必要だと思います。総理もいまその所信をお述べになったのでございますけれども、現在の国民健保、政管健保、組合健保、日雇い、船員、共済などの各種の健保がございますけれども、御案内のとおりに、この給付の内容は、保険料率も国庫負担の額も、そしてその保険の給付の内容も大きく違っておるわけでございます。同じ国民がその収入や立場の相違のゆえに、著しく異なる医療サービスを受けることは妥当ではございません。もうそろそろこれは抜本的に改革しなければならない問題だと考えるのでございます。この種の不公正は、ごまかしなしに年度計画を立てて、高い給付に近づける形で是正すべきものだと考えるのでございます。
第三点は、国庫補助の問題でございます。ただいま大蔵大臣は、社会保険に対して、特に健康保険に対しての国庫補助は最後の最後でいいんだというようなお話がございました。しかし、現在すでに国民健康保険の中にも、国庫補助を必要としておる。あるいは日雇い健保の中にも必要としておる。このような問題は、政府管掌の健康保険の問題にも、その数は決して少ないものではないと思うのでございます。このような問題を考えなければならない時期に来ていると思います。むろん社会保険を中心とする医療保障の体系でございますから、何もかにも国庫補助をやれ、何もかにも国が負担をしろという議論は成り立ちません。しかしながら、いま申し上げたとおり、国民はたくさんの医療費を払っておる。しかもその給付を受けていない。払うに払えない人もおる。このような状態でございますから、国庫補助についても、一定の額を抜本対策として考慮するのは当然のことだと思うのでございます。また、この国庫補助については、たとえばお医者さんの技術センターをつくるとか、看護婦の養成をするとか、あるいは病院の基本施設を整えるとか、このような問題について、国が負担をするということも必要だと思うのでございます。いずれにしても、この抜本的な保険制度の総合調整のために、ある程度の国庫負担は絶対に必要なものだと考えます。できれば相当額の、定額の補助を前提に考えなければならないと思いますけれども、重ねて大蔵大臣の御所見をお伺いいたす次第でございます。
以上、私は本法案の改正の内容については、具体的に言及することを避けてきました。私は、それが必要でないという理由からではございません。以上の諸点についてわかりますように、この暫定改革案というものは、政府がその処置を誤った結果できておる赤字の対策であるし、また、この暫定対策は、具体的な抜本対策との関連なしには考えることのできない、そのような性質のものでございます。したがって私は、政府は、総理大臣はじめ各省の大臣の皆さん方は、その赤字の根源にメスを入れるということと抜本対策を必ずやるんだということを、日時を示して保証することでなければ、この暫定対策というものは無意味なものになりはしないか、何年も何年も続くものになりはしないか。そうなれば、無意味なだけでなくて、有害な暫定対策といわなければならないのでございます。このような意味におきまして、総理大臣並びに厚生大臣から、抜本対策の実施について、責任のある、またわれわれが納得できるようなめどをつけたお答えをいただきたいと思うわけでございます。
以上をもちまして、私の質疑を終わらしていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/15
-
016・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 和田君にお答えいたします。
ただいま当面しておる暫定措置、これにいたしましても、やはり赤字の実態を十分把握して、そうして対策を立てなければいかぬ。その場合には、もちろん抜本的対策と関連なしというわけじゃない、それを十分考えてやれ、私もそのお説にはしごく賛成であります。私が申し上げるまでもなく、先ほどもお話をいたしましたように、ただいま問題になっておりますのは保険制度でございます。保険というものが当然あるべき姿、これはおわかりだと思います。すなわち、保険者と被保険者と、この場合におきましてはやはり事業主も入りますが、同時に医療担当者、これらが相互に信頼し合い、お互いに協力する、こういうことでなければならないと思います。その原因が、あるいは薬価が非常に多いとか、何がどうしたとかいうような議論もございましょうが、基本的に、この三者の協力関係ができないと、また信頼関係ができないと、保険制度はうまくいくものではございません。私はそういう立場でこの問題を見、この問題と取り組んでまいるつもりであります。
そうして、一部におきまして、特別な団体から政府はその考え方を左右されるのじゃないか、こういうような御心配があるようでございますが、政府は、もちろん各団体の意見を聞く、それだけの用意はいたします。しかし、特別団体に考え方を左右される、こういうことは絶対にございませんから、御安心をいただきたいと思います。
当面する問題につきましては、あらゆる場合に政府の勇断を要求されますが、ことにこの医療保険を整備する、こういうことにつきましては絶えず勇断が必要だと思います。中央社会保険医療協議会等の意見も十分聞きまして、そうして基本的な対策を立てるつもりでございます。
あるいは今日の赤字の実態について、あるいは薬価、保険制度の給付、料率の問題、あるいは政府の国庫負担の問題等にお触れになりましたが、それらは関係大臣からお答えさせます。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/16
-
017・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 社会保障制度審議会の答申で言っているように、私どもは現状の社会保険に国庫負担が要らないということを言っておるわけではございませんで、優先順位から見ると、保険制度で運営している社会保障に対する国庫の負担は一番あとの順位になるということを言っておりますが、私もそのとおりであるということをさっき申したわけでございます。やはりそういう方向で、保険制度でいくのなら、保険の掛け金、つまり料金の収入を中心にして運営すべきものだ、こういう方向は間違いないと思いますが、もし、その方向で社会保険制度を育てるのだとしましたら、おっしゃられるとおり、ここで根本的な抜本的な対策をしなければならないと思います。抜本的な対策は、やはり各種の保険制度をここで統合していく、それ以外にはないと思いますが、この統合のむずかしさの一つは、やはり条件が全部違っておる、給付の内容も保険の料率も違っておるということ以外に、やはり国庫負担をいろいろの制度に積み重ねてきましたから、これがまちまちになっておって、それぞれの制度がこの国庫負担の既得権的なものを捨てないというような考えがございますので、この統合がやはりむずかしい。したがって、こういう考えを捨てて、新しい観点から、新しい制度の中における国庫負担のあり方がどうかということを、やはりこの際根本的に考える必要があるということを考えますと、さっき言いましたように、ただ現状に即した政府管掌保険に対する国庫負担の定率化というような安易なことを考えるわけにはいかない、もっと根本的な検討を必要とするということを申したのでございまして、そのとおりだと思います。(拍手)
〔国務大臣坊秀男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/17
-
018・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のとおり、健康保険、医療保険の制度を抜本的に根本的に立て直しをしなければならないということには、もうわれわれも懸命の努力をささげておるわけでございますが、それがいまの段階におきましては、いろいろな事情によりましてこれを立案することができなかった。そこで、その抜本的改正をやるまでに健康保険が崩壊のおそれがあるというような非常に危険な状態にある。この危険な状態にある政管健保を中心として臨時暫定的の対策を今度御審議を願うことになったのでございます。その臨時緊急の対策をやる場合、赤字が生じてきたその赤字を究明せねばならないじゃないか、こういう御意見でございますが、近年における保険財政の赤字は、先ほども私申し上げましたとおり、医療給付費の伸びが保険料の伸びを大きく上回っておるということ、これがその原因でございます。しかし、そういうふうに医療費が近年著しく増加してきたのは、これは医学、薬学の進歩に伴う医療内容の向上、医療機関の整備充実、国民の医療需要の変化等によるものでありますが、医療費の内容を分析してみますと、一日当たり金額の急激な上昇、中でも医療費中に占める薬剤費の割合が大きくなってきていることが注目されます。薬剤費の増加をもって、それだからといって直ちに過剰投薬があると見ることは、これは少し早計だと思います。医師の良識を信頼したいと考えております。しかし、いずれにいたしましても、薬剤費の問題を含め、医療費の適正化は医療保険制度の基本的な問題の一つであると考えます。医療費の適正化の問題につきましては、現在中央医療協議会においてもせっかく審議中であり、制度の抜本的対策と並んで、この問題の解決をはかることといたしたい所存でございます。
それから、抜本対策についてどういうことを考えておるか、こういうお話でございますが、医療保険制度の根本的な立て直し、抜本対策を樹立するにあたりましては、関連分野、周辺の問題を含む広範な問題の検討が必要でありますが、この対策のいわば基本的な原則として、少なくとも現在の給付水準の格差を是正するということ、費用負担の均衡及び医療保険財政の長期的安定、並びに診療報酬体系の適正化は、ぜひとも実現しなければならないものと考えております。
なお、抜本対策の実施につきましては、しばしば申し上げましたとおり、四十三年度から実施の緒につくように最善の努力をはかってまいる所存でございます。
医薬分業についてのお話でございますが、医薬分業の制度は、国民一般の慣習にかんがみ、漸進的な進展を期待するという姿勢で三十一年に実施されたものでありますが、その後、この制度の趣旨が必ずしも十分に浸透していないために、その実績は顕著にあらわれていない状態でございます。今後この制度が社会に浸透し、所期の効果をあげることを希望いたすものでございますが、そのためには、受け入れ薬局側の体制の整備や、処方せん発行側の医師の協力など、諸条件が必ずしも十分に整っておりませんので、今後これらの諸条件の整備に努力をしてまいりたいと思います。
それから、医師の技術を正当に評価しろ、こういうお話でございます。医療報酬体系につきましては、昭和四十年十月、中央社会保険医療協議会の東畑会長名で、医師の技術を正当に評価する方向で、すみやかに医療報酬体系の根本的検討に着手すべきこと等を内容とする建議がありまして、現在これを受けまして、中央医療協議会において診療報酬体系に関する審議が進められておるところでございまして、私といたしましては、中医協の結論を待ちまして、すみやかに対処する所存でございます。
それから、薬価基準でございますが、薬価基準については、これも先ほどお答え申し上げましたが、薬価基準の価格と実勢価格とが乖離することのないよう定期的に薬価調査を実施し、その結果を薬価基準に反映させてまいる所存でございます。また、薬価基準全般の適正化については、現在中央社会保険医療協議会におきまして、医療報酬体系適正化の一環として、薬価の算定方法等について鋭意検討をいただいておるところでございまして、その結果を待ちまして、すみやかに対処する所存でございます。
現在の医療保険各制度に給付及び保険料負担のアンバランスがある、そのとおりでございます。そこで、医療保険各制度間において給付及び保険料負担の両面にわたって格差のあることは、これはどうしても是正していかなければならない。このことは、国民皆保険のもとにおける今日において、これを放置することができない問題でございますので、抜本対策案の策定にあたりましては、これの解決をはかることに主眼を置いて検討を進めてまいる所存でございます。以上でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/18
-
019・園田直
○副議長(園田直君) 大橋敏雄君。
〔大橋敏雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/19
-
020・大橋敏雄
○大橋敏雄君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました健康保険法及び船員保険法の臨時特例法案について、総理並びに関係大臣に対し、現在国民が最も関心を寄せる諸点について質問をいたしますが、ただいままでの質疑に対する総理はじめ各大臣の答弁は不誠意きわまるものであります。どうか、つぼをはずさないで、明確にお答え願いたいものであります。(拍手)
佐藤総理は、施政方針演説において、「社会の主体は人間であり、経済の繁栄は人間の尊厳と社会の福祉に奉仕するものでなければならない」と述べられましたが、今回の臨時特例法の意図するものは、総理のさきの演説内容とは全く違っていると感じられるものであります。福祉社会実現のために、医療の重要性はいまさら取り上げるまでもありません。ところが、歴代自民党内閣の失政は、物価高、実質的低賃金、労働過重、重税、そして相次ぐ倒産等を招き、追い詰められた生活の中で国民は常に健康についての脅威にさらされてまいりました。医療政策、中でも、国民皆保険の充実はますます必要となってきたのであります。しかるに、この特例法は、政府みずからの医療行政の拙劣、怠慢、ひいてはその弱腰から生じたところの政管健保の赤字を被保険者、患者、医療担当者の負担にすり変えて処理しようとするものであります。さらに、これを、被用者保険全般に援用することを企図し、保険料率の大幅引き上げをはじめ、一部負担の増額、新設など、被保険者を極度に圧迫する、文字どおりの健康保険法の改悪なのであります。要するに、保険財政の逼迫は今日突発的に発生したものではありません。すでに三十七年以来であり、政府は、今日のこのような最悪の事態に立ち至るということは十分予測し得たはずであります。
一昨年九月、社会保障制度審議会から、健康保険の制度運用について、抜本的対策の早期樹立についての意見が出され、かつ、きびしく警告されていたものであります。すなわち、答申では、「将来の整備された社会保障体系中に占むべき医療保険のあり方、その赤字の原因に触れ、両三年を目途とし総力をあげて、いわゆる抜本対策を確立すべきであることを強調し、その内容を具体的に指摘しておいた。しかるにその後の経過は、当然なさるべき行政努力すらその極く一部がみられたにとどまり、政府の管掌する健康保険制度は、赤字に赤字を重ね、事業崩壊の危険を示している。この間における政府の無策は、いかなる事情があったにもせよ、強く責められなければならないと同時に、甚だ遺憾に堪えないところである。」と述べているのであります。この答申は、この臨時特例法を見るとき、全く適合することを悲しむものであります。
そこで、国民の最も疑問とするところは、今日まで具体的な抜本対策の実施がなぜ行なわれなかったのか、ほんとうの意味を聞きたいのであります。政府において、いまだに抜本的対策の具体化もなく、漫然と日を送って今日に至り、赤字の累積のままにまかせたことはまことに怠慢のそしりを免れないと思うのであります。国民の前に明確なる答弁を求めるものであります。
また、健康保険臨時特例法案の料率千分の七アップの大幅引き上げの試算の基礎がどこに置かれたのかということについてでありますが、政府のこのような政策は、その年度の赤字財政の手当てをするだけの場当たりの対策であります。すなわち、政管健保では、昨年も保険料率を千分の二引き上げており、ことしもまた大幅に引き上げようとしておるのであります。また、保険料の値上げのみか、さらに弱い立場の患者に薬代の一部負担をさせようとしているのであります、このような政管健保の値上げは、被用者保険全般に適用されることはもちろんのこと、他の公共料金並びに物価の値上げをあおることは必至であります。かつまた、この赤字対策には各種医療保険制度に抜本的な検討を加え、基本的な問題からとらえて、制度の健全化の方途を講じなければならない段階であるにもかかわらず、堂々めぐりのこの赤字対策、料率引き上げには賛成できないのであります。
さらに、中小企業対象の政管健保の保険料率が千分の七十二となれば、労使が折半して千分の三十六の負担となります。これは現行の大企業対象の組合健保が千分の三十五を最高としているのに対しまして、それすら上回ることとなってしまうのであります。きわめて不合理な改定案であり、絶対反対であります。
ちなみに、月収三万円の場合、現行負担額九百七十五円が、改定後は千八十円となり、年間千二百六十円の増額となります。なお、このほかに厚生年金保険料や失業保険料が徴収され、これらを合算すると、年間実に二万五千円という、ほとんど一カ月分の所得に匹敵するばく大な金額になるのであります。低所得者層の被保険者にとっては大問題です。
そもそも政管健保の赤字の原因の一つは、その構成員たる被用者の特異性によるものであります。すなわち、他の各種保険組合に比し、老齢者が多く、したがって、罹病率も高い、また組合保険を結成できない零細企業の従業員であり、低賃金、低所得者であり、生活環境も著しく劣るために罹病率が高いのであります。社会保障的見地からその特異性を補うためにも、政府はこの際、国庫負担金の大幅増額を行なうことが妥当と考えるのでありますが、大蔵、厚生両大臣の見解を承りたい。
次に、初診時、入院時の一部負担増に関してでありますが、政府は、初診時の負担、現行百円を二百円に、入院時の負担、現行三十円を六十円にと、二倍の引き上げを実施しようとしております。現行初診時の一部負担制の効果のねらいは、乱診の防止に置かれてきたことは周知のとおりでありますが、保健医療の立場からは早期受診、早期治療こそが望ましく、これによって医療費の節減をはかることも可能であります。しかるに、今回の倍増措置は、ボーダライン層の受診を不可能にし、やむなくしろうと治療におちいる危険にさらされることは明白であります。また、入院時の負担増も、すでに入院料差額徴収などの弊害を与える要因でもあります。入院治療を抑制するおそれもあります。政府の見解をお伺いしたい。
外来投薬時の本人定額負担は、患者の負担を増加させるのみならず、治療を中断させ、受診抑制にもつながるものであります。さらに、医療機関の事務は繁雑の度を増し、関係者をことさらに苦悩せしめることは必至であります。また、事務の簡素化に逆行し、医師の診療能力の低下を来たす重要問題でもあります。この薬剤費の問題は、医療制度の基本に属する事項であります。これをこのたびの臨時暫定対策で新しく加えることは根本的な誤りであります。
また、臨時特例法といいながら、期限が示されていないのはなぜか、このままずるずると延長されるのではないか、この点が国民が特に関心を持つところであります。
また、この法案は、今日の赤字対策の特例法として提案された以上、抜本対策を講じた際には、料率及び一部負担は大幅に下げるのか、下げないのか、明らかにすべきであります。総理並びに厚生大臣にお尋ねいたします。
また、保険制度相互間の格差の是正についてでありますが、医療保障という以上は、その保障内容に格差があってはならないと思うのであります。現実には多数の医療保険制度の分立によって保険財政の格差とその内容の不均衡が生じているのであります。したがって、国民医療全体の向上をはかるためには、現在の医療保険制度の調整が最も必要であると考えますが、この各医療保険間の不均衡是正について、政府はどのように考えるか、お尋ねいたします。
次に、診療報酬の適正化についてお伺いするものでありますが、わが国の診療報酬体系の最大の欠陥は、医療費が医師の技術に対してではなく、投薬や注射という物に対して支払われていることであります。医師の技術で報酬が保障される前向きの診療報酬体系に改善されねばなりません。それにはその技術差を診療面でどのような方法で評価するかが重要課題であると思うのでありますが、政府の見解をお伺いします。
次に、医薬分業についても、売薬的医療制度が常套化していることにとかくの問題があります。こうした薬剤からの医療収入に依存する制度上の欠陥を是正することが必要と思うのであります。そして医師は、医師の技術が尊重される医療制度を実現すべきであります。厚生当局もすでに六千品目にわたる薬剤の実勢調査を完了したようでありますが、すみやかに適正な薬価基準に改定すべきであります。医師会でさえも恥ずかしいことではないかと自認している現今の売薬的医療制度を追放するためには、現在の名目だけの医薬分業について再検討を深め、そして医師と薬剤師との間の責任分担を明確にし、医薬分業を実現せねばなりません。厚生省当局の英断を望み、その見解を求めるものであります。
次に、診療報酬の支払い方式についての疑問でありますが、報酬という以上は、それは人それぞれの生活のささえ、その技術や働きが正しく評価されて、支払われなければなりません。あくまで均一ではなく、個別的であり、仕事の分量ではなく、質の高さ、できばえの良否によるものが当然考えられるが、現在の診療報酬はその考慮がなく、ただ分量に重点を置いた支払い方式であり、断じて改善されるべきと考えるが、厚生大臣の所見をお伺いするものであります。なお、出来高払い方式では、技術料の認定と尊重が明確でなく、医師の技術格差も考慮されていない点も、あわせて改善さるべき問題点にあります。
次に、薬価と医療経済の実態調査の実施についてお伺いします。
昭和三十八年以来、いまだに薬価基準の適正化はなされておりません。現在、厚生大臣がきめている基準の価格より、実際医師や薬剤師が購入する値段にはかなりの開きがあるのです。権威ある筋の論説にも、現在の購入価格と薬価基準の差をなくせば、三百億円くらいの財源が浮くはずであると述べられております。はたしてどうか。一例をあげれば、副腎皮質ホルモンは百錠七千九百円、これが保険できめられている値段です。メーカーの申し合わせ価格はその半値なのであります。しかも実際には病院や診療所には七百円から千円程度で納められるということもあるようであります。薬価基準を実際の半値に手直しすれば、なるほど三百億円の節約も夢ではないと思われるが、厚生大臣はこの点どうお考えなのか、承りたい。
また、懸案の医療経済実態調査にあたっても、診療報酬の算定の基礎となる重要事項であり、公正なる実態調査は絶対必要と考えるが、その実施の決意についてお答え願いたい。
また、医療関係の監査についてお伺いいたします。医療費増大の陰に、悪徳業者や医師の不正があると聞きます。ある新聞にも、東京の渋谷のある診療所で、毎年冬になりますと、家族と看護婦の全員が肺炎にかかったということになるので、行政指導をしたということが述べられておりました。あるいは神戸では、診療所から患者の治療代が請求されてきましたが、その患者は他の病院に入院中、結核で死んでしまっていたのであります。ところが、請求書は入院前の診療所からの請求であったということであります。あるいは福岡県では、ある医師が一回……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/20
-
021・園田直
○副議長(園田直君) 大橋君、申し合わせの時間が過ぎましたので簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/21
-
022・大橋敏雄
○大橋敏雄君(続) 一回診察して、十日分の薬を与えただけなのに、請求書には、診療日数十一日、毎日処置し、トリコマイシン錠を投与したとして完全長期患者に仕立て、請求していたというようなことをよく聞くのでありますが、政府はこれらに対しどう対策されるのか、お伺いいたします。
次に、薬事行政についてお尋ねいたします。日本人は、薬好きの国民だと評判されるほど、必要以上に薬を使用します。それが医療費の増加の一因でもあるのです。外国では、医薬品についてはかなりきびしい制限があるようであります。抗生物質剤、精神安定剤、ホルモン剤などは、医師の指示がなければ自由に買えない。あるいは、強肝剤のような効果のはっきりしないものは、薬局では売っていない。また、医師が用いる医療用医薬品の広告などは、テレビや一般新聞にも許可されないというほどだそうであります。日本は、国民の習慣や好みに便乗してか、これに比べてあまりにも自由放任であります。この薬剤の乱用と過信に対しての大幅な是正措置が必要であると思うのでありますが、総理と厚生大臣にお尋ねいたします。
さて、るる述べてまいりましたが、結論といたしまして、抜本対策はいまをはずして時はないということであります。厚生大臣も昭和四十三年を目途としてと言っておりますし、なお答申書にも、「いまやこの問題に対する抜本対策の確立は正に天下の声である。一内閣一大臣の問題ではない。」と断言しております。医療問題はとかく政治的に取り扱われ、政府として当然果たすべき多くの責任が果たされず、幾度か政府の公約は流されてきたのであります。これに対して国民の政府に対する不信感は根強いものがあります。政府各位の勇断を促すとともに、抜本対策実現に対するその時期と、さらに実施にあたってのプログラムを示すよう、特に総理の決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/22
-
023・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
まず第一に、政府の答弁は不誠意だ、誠意がない、こういうおしかりでございますが、私は各党に対して同じようにお答えしておるのでありまして、この答弁で十分ひとつ誠意をくんでいただきたいと思います。そして私のほうからひとつお願いがあるのですが、やはり政策を批判するときは、総合的に、また長期観点に立って御批判を願いたいと思います。
私は、今日行ないますものが緊急暫定措置である、これはもうすでに先ほど説明したとおりであります。なお、この抜本対策につきましては、これがずいぶん時間がかかっておる、けしからぬというお話でありますが、これも先ほどお答えいたしましたとおり、何ぶんにも多岐にわたり、また根深いものがある、そういうことでありますので、これを一挙に改革するということは、まことに至難でございます。これは公明党の皆さんにおかれましても御了承いただけるだろうと私は思います。
またいろいろ具体的な問題についてお尋ねがございました。私はこの席で一々お答えするわけにまいりません。またその他の機会があるだろうと思います。そのほうへ具体的には譲らしていただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/23
-
024・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) お答えいたします。
保険料率の問題について御質問があったようでございますが、七百四十五億円にのぼる赤字を、もし保険料だけで解決しようとしましたら、一六%引き上げる必要がございます。こういう大幅な引き上げを一挙にすることは適当でございませんので、一部自己負担の改正と、国庫負担の増額によってこの引き上げ幅を押えることにいたしました。昨年、政府が案を出しましたときに、国会で修正を受けたのでございますが、そのときのいきさつを勘案して、千分の七程度の幅で上げることはやむを得ないであろう、こういうことで引き上げの幅をきめたという次第でございます。(拍手)
〔国務大臣坊秀男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/24
-
025・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。
現在の医療保険制度には多くの問題が山積しております。これを抜本的に立て直すためには、今回の臨時財政対策を責任をもって実施した後におきまして、引き続き直ちに抜本対策の詰めに入り、昭和四十三年度から実施の緒につくように最善の努力をいたしたいと思います。
今回の対策における政管健保の保険料率の引き上げについては、今年度に予想される赤字を保険料のみでまかなうとすれば大幅な引き上げにならざるを得ない。しかし昨年も引き上げを行なったことでもあり、実際上大幅な引き上げは困難と思われますので、国庫補助の大幅な増額をはかるとともに、実際に給付を受ける者にも応分の負担を願うということといたしまして、一割程度の引き上げを行なったわけでございます。保険額の変動が国民生活に関係があるということは、これはもちろん否定できませんけれども、しかし、今日の保険制度が、保険方式をもって、お互いが保険をする、こういうたてまえで打ち立てられておりますので、現在この保険料制度が崩壊の危機に直面しておるということから考えてみまして、今回の程度の料金の引き上げは大方の御納得を得るものだと考えております。
それから、赤字をすべて借り入れ金か何かでやったらどうか、こういうお話でございますが、これ以上借り入れ金を増すということは、累積赤字が四十一年度末に一千億を突破するという巨額に達しておること等から考えてみまして、そういった資金にもおのずから限度がございますので、今日の行き方をとったわけでございます。
それから、初診時、入院時等の一部負担につきましては、先ほど来何回かお答えを申し上げましたので、そのお答えでもって御了承を願いたいと思います。
それから、今回の財政対策にあたっては、今日の逼迫した財政状況にかんがみまして、臨時応急の対策として、この一部負担制度に手をつけざるを得なかったのでございます。外来投薬時の定額負担も、給付を受ける者と給付を受けない者との間に——保険の中には給付を受ける者と受けない者とがございますから、その間の均衡もひとつ考えたい、こういうわけでございます。医療保険各制度において、給付面及び保険料負担面の両面にわたり格差のあることは、先ほど来申し上げたとおりでございますが、このことは、国民皆保険という制度のもとにおいては非常に問題がある。そこで抜本政策を策定するにあたっては、この点が最も重要な点としてこれを解決しなければならない、こういうことでございます。
診療報酬体系の適正化につきましては、現在中央社会保険医療協議会において審議が行なわれておりますので、その御答申を得まして早急に検討をしてまいりたい、かように考えております。
医薬分業につきましては先ほどお答えを申し上げましたので、それによって御了解を願いたいと思います。
医業の経営実態調査の実施方法につきましては、これも現在中央社会保険医療協議会におきまして方法を検討いたしておりますので、その話し合いが早急にまとまることを期待いたしておる次第でございます。
診療報酬の請求に際しまして、不正請求をする例がごく一部の医療機関にあるということも、これも否定はできないと思いますが、厚生省といたしましては、このようなことのないように、保険医療機関等の指導につとめるとともに、請求にあたって不正、不当の疑いのある者については監査を実施し、事案に応じまして指定の取り消し等の措置をとっていくところでございますが、今後も厳正に対処することによりまして、保険医療の円滑な運営をはかる所存でございます。
それから、近年薬を非常に使うという傾向にございますが、近年保険医療費の中で占める薬剤費の比率は年々大きくなっておりまして、このことが保険医療費増高の一つの要因となっておることは否定できないところでございますが、このような傾向は、おもに医学、薬学の進歩等に伴うものと考えておりまして、薬剤の乱用が——これも全くないということは断じ切れないと思いますが、厚生省といたしましては、収益を得るためにいたずらに薬剤を使用する傾向をなくしていくとともに、行き過ぎた広告の是正、薬に対する正しい知識の普及につとめてまいりたいと思っております。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/25
-
026・園田直
○副議長(園田直君) 田代文久君。
〔田代文久君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/26
-
027・田代文久
○田代文久君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
ただいま趣旨説明がありました健康保険の問題は、本来社会保障政策の問題であります。昨年三月、本院におきまして、総理大臣は、健康保険法改正にあたり、本制度は保険制度であるけれども、社会保障制度の一環であると明確に述べておるのであって、この問題は基本的に社会保障の問題として取り上げるべきものであります。特に政府管掌の健康保険に至っては政府が全責任を負うべきものであり、その事業運用に伴う経費を政府が負担するのは当然であります。しかるに政府は、この責任を果たさないばかりか、事業運用上生じた不足を赤字と称し、それを口実に保険料率の引き上げ、初診料、入院料等の一部負担の増額、薬価の一部負担の新設を行ない、これを被保険者に転嫁いたしておるのであります。このことは、政府みずからが健康保険制度を社会保障制度として見ようとせず、むしろ社会保障の精神を否定し、破壊しようとたくらんでおる具体的なあらわれであるといわざるを得ないのであります。佐藤総理並びに関係大臣の見解を求めます。
一体、政府のいう赤字、特に最近における赤字なるものは昭和三十七年以来のものであって、昭和三十七年十六億円であったものが年々累増し、昭和四十一年には三百三十四億円になっておるのであります。事態はまさに明白であります。この赤字の増加は、自民党政府が昭和三十六年、対米従属のもとで独占資本本位の所得倍増、高度成長政策なるものを打ち出し、企業の近代化と称して合理化を進め、労働者に対する激しい労働強化、低賃金、首切り、高物価政策、さらに労働災害、交通災害、公害、住宅難などが加わって、その健康が急速に破壊された結果であります。佐藤総理やあるいは水田大蔵大臣、また厚生大臣は、現在の日本の勤労者、労働者の生活あるいは健康がどのように破壊されておるのか、これを実際に見たことがあるのか。見たことがないじゃないですか。このことは政府統計が示すとおり、全国の受診患者は、昭和三十六年、四百七十万人であったものが、医療科学の急速な進歩発展にもかかわらず、昭和三十七年には五百万人をこえ、その後引き続き増大の一途をたどっておることは総理も十分御承知のことでありましょう。その上に、診療は受けないけれども、健康がおかされつつある労働者の数はこの数倍に達しておることも世間周知のことであります。このことは政府・自民党の人民収奪の悪政の結果、労働者の健康が破壊されつつある証拠であって、その責任は当然独占資本と自民党政府が負うべきものであります。総理は、この厳然たる事実を認めるかどうか、お尋ねいたします。
このように、自民党政府の反動的、反人民的な悪政によって労働者の健康は極度に悪化しておるにもかかわらず、佐藤内閣は、この事実に目をおおい、保険財政の赤字を云々して、その責任を労働者に転稼しようとするのであるが、断じてこれは許すことができないのであります。もし、この改悪案が強行実施されるならば、一体どうなりますか。かぜを引いた患者は、投薬日数三日の場合、いままで初診料百円で済んでおったものが、薬代一部負担と合わせて二百四十五円と、約二倍半にはね上がり、肺結核とかあるいは高血圧などで長期にわたるものは、一ヵ月実に一千百三十円と、十一倍にもなり、患者の負担はたえがたいものとなると同時に、社会保障としての性格は全く破壊されるのであります。また、この改悪によって、病気になっても医者にかかれないという、そういう人々が激増し、医療事業そのものが打撃を受けることは保険担当医師が警告しておるところではありませんか。政府は、このことを承知の上で、本改悪案を強行するつもりであるのか。これは一部値上げなどという、そういうなまやさしいものでは断じてないのであります。まさに、労働者を病魔と生活不安に突き落とす健康と生命の問題であります。この一事を見ただけでも、本改悪案は、社会保障の精神を全く無視したものといわざるを得ません。
しかも、政府のいう赤字なるものは、現在、年間わずか四、五百億円であります。五兆円に及び本年度一般会計から見るならば、そのわずか一%にも満たない。しかも、政府管掌の被保険者数は、その家族を含めますならば約二千万人にも及び、全人口の二〇%にも達するというこの事実は、これはどうですか。
しかるに、政府は、一握りの独占資本の利益のためには、租税特別措置によって、一兆円をこえる膨大なる減税措置を行ない、また、第三次防衛計画では二兆三千億円をこえる国民の血税を戦争準備のために惜しげもなく投入しようといたしておるのであります。もし、政府が真に労働者の生活と健康を考え、佐藤総理のいう人間尊重を誠実に実行する意思があるならば、租税特別措置や第三次防衛計画をやめるだけでも、労働者の健康を保障するための財源は、まさにあり余るのであります。にもかかわらず、佐藤総理は、受益者負担の原則などと称して、労働者に医療費のばく大なる負担を押しつけようとしておるのであります。
さらに、政府は、この法案を臨時特例と称し、社会保障制度としての健康保険制度をなしくずしに解消し、これを踏み台として社会保障制度全体を破壊する意図を露骨に示しておるのであります。全国の労働者はもちろん、広範な勤労人民は、すでにこの政府の意図を見抜き、怒りを込めてこの改悪に反対し、地方議会も反対決議を行ない、政府に迫っておることは、佐藤首相みずからが承知しておることでございましょう。政府は、この実情を無視して、あくまでこの改悪案を強行しようとするのか。道は、二つに一つしかありません。総理は、この人民の立場に立つのか、それとも、人民の痛切なる叫びを無視して、一握りの独占資本の立場に立ち、あくまでこの改悪を強行しようとするのか、明確な答弁を求めるものであります。
わが党は、労働者人民の要望にこたえ、政府と資本家による全額負担の医療保障制度の確立、医療報酬の改善、低賃金と労働強化、長時間労働の打破を要求します。さしあたり、保険財政対策としては、赤字の全額国庫負担、保険料引き上げの中止と、一部負担の廃止を要求します。
この道こそが真に人民の生活と健康を守る唯一の道であることを主張し、私の質問を終わります。(捕手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/27
-
028・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
いままで同じようなお尋ねがありましたので、私は、重複する点は、もういままでの答弁でひとつお許しを得たいと思います。
しかし、どうしてもはっきり申し上げておかなければならないのは、この赤字対策は、いわゆる被保険者だけの負担で、これは解消するというものではございません。政府自身も、いままでもこういう保険制度ではありますけれども、財政的な処置をとってまいったのであります。でありますから、今回の処置そのものが、全部負担増、それだけで解決されるのだ、かようにはごらんにならないほうがいいのじゃないだろうか、かように私は思っております。政府はやることはやっている、これは重ねて申しますが、財政的に許す範囲において、できる限りの処置をとってきているということであります。
また、ただいま、その後の問題についていろいろ共産党のお得意の御議論で、戦争の準備のためにこの処置をとるというようなお話でございます。これは、戦争準備のためにとるようなものではございませんから、そういう点は、幾らお得意でもしばらく差し控えていただきたいと思います。
次に、私申し上げますが、今回のこの処置をどうしても強行するのか、こういうお話でありますが、別に、私は強行するというような気持ちはございません。しかし、国民の立場に立ちまして、国民のためにこの暫定措置はとるべきだ、これが健康保険を維持するゆえんだ、かように私は考えております。(拍手)
〔国務大臣早川崇君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/28
-
029・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 健康保険の赤字は、高度成長、所得倍増のしわ寄せによって労働者の健康を害されているためである、こういう御質問でありますが、わが国の経済の発展として労働者の生活水準、食生活、生活内容は著しい向上を遂げておりまするし、また、その結果、国民の平均寿命も七十歳前後にまで延びているわけでございまして、そういう面から赤字が出てきたのではなくて、むしろ健康保険の赤字の原因については、厚生大臣がお答えになられましたいろいろな原因によって出ておると申し上げたい次第でございます。(拍手)
〔国務大臣坊秀男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/29
-
030・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 今度の政管健保の対策は、このままにしておきますと、健保が崩壊するおそれがあるということで、これが崩壊しますと、国民の健康、社会保障に非常に支障が生じてくる。そこで、どうしてもこれを緊急な対策として財政対策をやらなければならない、こういうことで、今度の対策ができたものでございまして、これが国民の健康を破壊するとか、そういったようなものでは——これはもうむしろ逆の話でございまして、国民の健康を保持していくために今度の対策に出たわけでございます。御了承願いたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/30
-
031・園田直
○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、税務署の設置に関し承認を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/31
-
032・亀岡高夫
○亀岡高夫君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、内閣提出、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件、右両件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/32
-
033・園田直
○副議長(園田直君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/33
-
034・園田直
○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
—————————————
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/34
-
035・園田直
○副議長(園田直君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事藤井勝志君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔藤井勝志君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/35
-
036・藤井勝志
○藤井勝志君 ただいま議題となりました法律案及び承認案件につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、外国旅費に関する改正を行なおうとするものでありまして、最近における旅行の実情等にかんがみ、日当、宿泊料及び食卓料について、その定額を一割五分程度引き上げるとともに、移転料についても、その定額を五割程度引き上げるほか、特に多額の運賃を必要とする場合における加算割合を引き上げる等の改正を行なうものであります。本案につきましては、本三十日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。
最近、都会地の税務署におきましては、管内の納税者、課税物件等の大幅な増加に伴い、事務量が過大となり、納税者に対するサービスや事務管理の面で円滑を欠くおそれを生じてきております。本件は、このような事情に対処して、東京国税局管内に北沢税務署を、大阪国税局管内に東淀川税務署を、また、広島国税局管内に広島南税務署をそれぞれ設置し、納税者の利便と税務行政の円滑な運営をはかろうとするものであります。
本件につきましては、木三十日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり承認すべきものと議決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/36
-
037・園田直
○副議長(園田直君) これより採決に入ります。
まず、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/37
-
038・園田直
○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件につき採決いたします。
本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/38
-
039・園田直
○副議長(園田直君) 起立多数。よって、収件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/39
-
040・園田直
○副議長(園田直君) 委員長の報告を求めます。商工委員会理事天野公義君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔天野公義君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/40
-
041・天野公義
○天野公義君 ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、公正取引委員会の任務がますますその重要性を増していることにかんがみ、公正取引委員会事務局の拡充をはかろうとするものでありまして、その内容は、公正取引委員会の地方支分部局として、高松地方事務所を新設すること、公正取引委員会事務局の定員を二十九人増員して三百三十六人とすること等であります。
本案は、去る五月十九日本委員会に付託され、五月二十三日塚原総理府総務長官より提案理由の説明を聴取した後、慎重審議を行ない、本日の委員会において質疑を終了、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に対し、公正取引委員会の機能のなお一そうの拡充強化、特に不当景品類及び不当表示の取り締まり体制の強化について附帯決議を付することに決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/41
-
042・園田直
○副議長(園田直君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/42
-
043・園田直
○副議長(園田直君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/43
-
044・園田直
○副議長(園田直君) 本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十一分散会
————◇—————
出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
厚 生 大 臣 坊 秀男君
労 働 大 臣 早川 崇君
国 務 大 臣 塚原 俊郎君
出席政府委員
内閣法制局長 高辻 正巳君
厚生省保険局長 熊崎 正夫君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01919670530/44
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。