1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年四月十四日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第十五号
令和五年四月十四日
午前十時開議
第一 特定先端大型研究施設の共用の促進に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
)
第二 民事関係手続等における情報通信技術の
活用等の推進を図るための関係法律の整備に
関する法律案(内閣提出)
第三 防衛省設置法の一部を改正する法律案(
内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推
進に関する法律案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/0
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001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/1
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002・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。西村康稔国務大臣。
〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/2
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003・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
世界的規模で、カーボンニュートラルの実現に向けた大規模な投資競争が激化しております。こうした中で、我が国においても、二〇五〇年カーボンニュートラル等の国際公約と産業競争力の強化を通じた経済成長を同時に達成するグリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを実現するため、官民で連携して、今後十年間で百五十兆円を超えるGX投資を実現する必要があります。
そのためには、今後十年間で二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うとともに、炭素排出に値付けを行う成長志向型カーボンプライシングを将来導入する方針をあらかじめ示すことにより、事業者の先行投資を促進する仕組みを措置する必要があります。
本法律案は、こうした内容について取りまとめ、令和五年二月に閣議決定されたGX実現に向けた基本方針に基づき、所要の措置を講ずるものであります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、政府は、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略を策定することとします。
第二に、設備投資支援等、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策に充てることを目的として、政府は、令和五年度から令和十四年度まで、脱炭素成長型経済構造移行債を発行するための措置を講ずることとします。
第三に、令和十年度から、化石燃料の輸入事業者等から化石燃料賦課金を徴収するとともに、令和十五年度から、発電事業者に対して二酸化炭素の排出枠を有償又は無償で割り当て、有償で割り当てる排出枠の量に応じて発電事業者から特定事業者負担金を徴収するための措置を講ずることとします。
第四に、脱炭素成長型経済構造移行推進機構に、化石燃料賦課金及び特定事業者負担金の徴収、排出枠の割当て、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する事業活動を行う者に対する債務保証等の支援等を行わせるための措置を講ずることとします。
第五に、政府は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する投資の実施状況等を踏まえ、施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとします。また、排出枠等に係る制度を実施する方法を検討し、この法律の施行後二年以内に、必要な法制上の措置を講ずることとします。
政府としては、以上を内容とする法律案を提出いたしましたが、衆議院において、この法律の施行後二年以内に政府が法制上の措置を講ずるに当たっては、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策の在り方についての検討も行うことを明記することを内容とする修正が行われたところであります。
以上が本法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/3
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004・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。田島麻衣子君。
〔田島麻衣子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/4
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005・田島麻衣子
○田島麻衣子君 立憲民主・社民の田島麻衣子です。
ただいま議題となりました政府提出の脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案、いわゆるGX推進法案について、会派を代表して質問をいたします。
GXは、百年に一度起こるエネルギー政策の抜本的な転換であると専門家が述べるように、今後の日本の将来に大きな影響を及ぼす重要課題の一つです。この取組の巧拙は、日本の未来のエネルギー価格を左右し、産業競争力を左右し、また地球規模課題の解決に対する姿勢を問うと言っても過言ではありません。ですから、今回、この法案の提出により政府のGXへの取組が一歩前進したことは、一定の評価に値すると考えます。
しかし、なぜ二〇二三年の提出まで提出がなされなかったのでしょうか。今回のGX推進法案の提出は、やはり遅きに失したと言わなければならないのではないでしょうか。
今回の法案で採用された基本的な政策の多くは、二〇一〇年代初めに民主党政権が既に唱えていたものです。例えば、今回のGX推進法案の目玉の一つである排出量取引制度は、民主党政権が地球温暖化対策基本法案の中で既に盛り込んでいたものです。同法案が二〇一〇年に国会に提出されてから、はや十三年。本格的な稼働は三年後の二〇二六年といいますから、実現までに十六年が経過することになります。これは余りに遅い対応ではないでしょうか。
また、化石燃料賦課金や特定事業者負担金はFIT賦課金総額や石油石炭税収が減少する範囲内で導入すると政府は答弁されていますが、このFIT賦課金も、民主党政権時の二〇一一年のFIT法の成立により導入されたものです。
西村大臣にまず伺います。
西村大臣は、GX推進という重要かつ困難な諸課題に向き合う中で、民主党政権の環境経済政策をどう評価されていますか。民主党政権のこうしたイニシアチブが現在の政府のGX政策に連なっているとの御認識はありますか。答弁を求めます。
大臣は、さきに審議入りした衆議院の経済産業委員会で、政府として非常にこのカーボンプライシングについての取組が慎重であった面は、私も否めないというふうに思っていますと答弁されており、これまで政府が慎重であった理由として、日本が先行的にアジアの中で突出して厳しくなると、多くのCO2排出産業がアジアに移転をする懸念があったからと述べておられます。
しかし、中国では二〇一三年から排出量取引制度のパイロット事業を実施、韓国では二〇一五年から排出量取引制度を本格的に開始しています。また、シンガポールは二〇一九年に炭素税の導入を決定しています。
西村大臣に伺います。
日本のカーボンプライシングの取組がアジア諸国の中でもかなり遅れた理由は何でしょうか。また、今回スタートが遅れたことで日本の国際競争力に影響が出るようなことはないか、簡潔にお答えください。
GX推進は日本の産業競争力や地域経済の在り方に影響を及ぼす可能性があるため、その政策の運用においては、様々な産業に関わる人々の意向を丁寧に聞く必要があります。
昨年のGX実行会議では、構成員の意見を反映して、GX実現に向けた基本方針に脱炭素成長型経済構造への公正な移行という要素が新たな政策の柱に位置付けられました。しかし、今回の法案には、残念ながらこうした文言は含まれていません。
西村大臣に伺います。
政府は、GX推進法案の施行に関して、どのように脱炭素成長型経済構造への公正な移行を確保し、失業なき労働移動を実現しますか。
また、こうした観点より、GX経済移行債の運用においては、付加価値の高いグリーンでディーセントな雇用創出につながる分野への支援も大事と考えますが、大臣の御認識を伺います。
この法案では、GX推進のための目標や基本的な方向、GX経済移行債の発行に関する事項、成長型カーボンプライシングの導入に関する事項、GX推進機構が行う支援に関する事項など、国民が最も知りたい重要事項は全て、閣議決定で決められるGX推進戦略の中で定められる旨が規定されています。
これまで、巨額の予備費の使用決定や安全保障関連三文書の決定など、政府は、国民の暮らしと雇用と安全に直結する課題の多くを、国会の審議を経ずに閣議決定で進めてきました。
今回、GX推進に直結する重要事項の大半を閣議決定されるGX推進戦略に委ねたのはなぜでしょうか。GX推進戦略の策定に当たっては、どのように国会の関与を確保し、また、国民の知る権利を保障しますか。
GX基本方針では、産業界や専門家も交えて、進捗評価や分析や、必要な見直しを進めていくとされましたが、産業界、労働団体、消費者団体などの外部有識者を含む会議体は設置されるのでしょうか。
これらの点を網羅した上で、GX推進戦略はどのようなプロセスで民主的に策定されるか、大臣の見解を伺います。
また、GX推進戦略は、いつ頃をめどに発表されますか。簡潔な答弁を求めます。
今回の法案の大きな柱の一つは、GX推進機構の新設です。GX推進機構は、化石燃料賦課金の徴収、特定事業者負担金の徴収、排出量取引制度の運営、民間企業のGX投資の支援など、今回の法案で新設される制度全般の運営を担います。
この機構による支援も含め、全体として、今後十年間で、国による二十兆円規模のGX経済移行債による先行投資支援や、百五十兆円を超える官民GX投資の実現を目指すとしています。
経済産業省による新たな機構の設立と聞いてまず国民が思い出すのは、クールジャパン機構ではないでしょうか。二〇二一年度末の累積赤字が三百億円に達するなど、その運営は決して成功しているとは言えません。
西村大臣に伺います。
そもそも我々はこうした新たな行政機構をつくることに対して慎重であるべきと考えますが、GX推進機構の新設は、政府において、いつから、そしてどのようなプロセスで検討が進められたのでしょうか。
また、新たな組織の設立が必要な理由は何でしょうか。なぜ既存の組織を活用することは検討されなかったのでしょうか。民間に任せられる分野は可能な限り民間に任せるべきと考えますが、大臣の御所見を伺います。
GX推進機構の業務は、GX推進のための対象事業活動を行う者の発行する社債を引き受けたり、資金の借入れに関わる債務の保証を行ったり、対象事業活動に必要な資金の出資を行うなど、厳しいビジネス環境で事業を行う当事者にとって非常にセンシティブな内容を含みます。
このGX推進機構に所属する役員が非常勤の場合、営利を目的とする他団体の役員となったり、また自ら営利事業に従事することが許される理由は何でしょうか。常勤の場合は経済産業大臣の承認があれば兼業が許されますが、それはどのような場合でしょうか。兼業を許された役員が自らの営利事業に有利になるような債務保証や出資を行った場合、どうなりますか。
こうした疑問点を全て網羅した上で、GX推進機構の役員の兼業について、政府はどのような民主的コントロールを行使するか、お答えください。
加えて、本法案にはGX推進機構の役員報酬の定めがありません。法案に役員報酬の定めがない理由と、今後どのようにいわゆるお手盛りを防ぐか、その見解をお答えください。
また、GX推進機構は、経済産業大臣の認可を受け業務の一部を委託することが可能ですが、委託先の選定に当たっては一般競争入札の原則を徹底していただけますか。また、公募や入札の結果は経済産業省の基準に基づいて国民にきちんと公表していただけますか。お答えください。
GX推進機構は、経済産業大臣の認可を受けて独自のGX機構債を発行することができるとあります。そもそも、このGX機構債とは何の目的で発行されるものでしょうか。GX推進法案の柱の一つであるGX経済移行債とはどのように異なりますか。
法案には、政府はGX機構債の債務保証ができるとありますが、それはどのようなときでしょうか。答弁を求めます。
最後に、GX経済移行債の投資基準は衆議院の経済産業委員会でも大きな論点でした。具体的な投資基準は今後どのように策定されますか。また、投資基準の策定及び実際の投資判断について、透明性、公平性をどのように確保するか、お答えください。
現在、電力業界では、カルテルの問題や小売電気事業者間の公正な競争や一般送配電事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせるような情報漏えい、不正閲覧の問題が起きております。電力市場の監視機能強化のために具体的にどのような取組を行うのか、経済産業省が行っている事実関係の調査及び検証の進捗状況をお聞きします。
二〇三三年度に始まる排出量取引制度の有償オークションは発電事業者を対象に行われると理解しますが、公正な競争に疑念を抱かせるような事件が起こる中で、本当に機能する排出量取引制度を透明性を確保した形で創設できるのか、大臣の御見解を伺います。
最後に、一言申し上げます。
我々が参議院の本会議場で集う今このときも、国民の皆さんは必死に働き、学び、汗を流している現実を我々は忘れてはならないと思います。苦しいときも、つらいときも、くじけずに前を歩いていく。それを顔に出すこともしない。それは、誰もがこの厳しい努力はいつか報われるに違いないと心のどこかで思って毎日を生きているからではないでしょうか。
どのような境遇に生まれるかを選択できる人間はいません。私たちは、挑戦する勇気と意欲を持つ人々がきちんと機会に手を伸ばすことができる社会をつくってまいります。失敗を忌み嫌うのではなくて、失敗を未成功と呼べる社会をつくってまいります。
それは、このGX推進法案の場面においては、よりクリーンで安全なエネルギーの普及、エネルギーの安全保障、そして経済成長という、時に相反する三つの難しい課題を同時に解決しようという意欲を持つ人間が、権力へのそんたくや権力への近さではなくて、アイデアと熱意でGX推進の事業支援に公正にアクセスできる社会を意味します。
それは、このGX推進法案の場面においては、黒塗りの資料の提出ばかりで、資金の流れが全く追えない今の不透明な行政の情報公開の在り方を改め、本当に公正な選定が行われているのかと疑念を抱かせるような今の補助金公募や入札の在り方を改め、GX社会実現のために挑戦をする意欲を持つ者が安心して新しい制度に参加できる社会を意味します。そうではありませんか、皆さん。
四月十三日の東京新聞の朝刊では、経済産業省が管轄する電気・ガス代補助事業の管理費が、公募決定後のたった一か月で百億円も上乗せされ発注されていることが新聞報道されました。原資はもちろん国民の税金です。国民がエネルギー価格の高騰で苦しむ中、特定の団体が公金で恩恵を受けるかのような疑義を抱かせる今の政治は、我々の手で変えていかなければなりません。
私たち立憲民主党は、国民の労働と汗と涙がきちんと報われる社会をつくってまいります。このことを強くお約束して、私の質問を終えたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/5
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006・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 田島議員からの御質問にお答えします。
民主党政権の政策の評価などについてお尋ねがありました。
私も当時、民主党の皆さんとともにFIT制度創設に関わりました。制度導入後、再エネ比率は震災前の約一〇%から倍増しております。地域と共生した再エネの更なる導入に向け、事業規律の強化や系統整備の円滑化など、再エネ特措法の改正を含むGX脱炭素電源法案を衆議院で御審議いただいております。
また、排出量取引制度は、民主党政権時代も含め長く議論されてきました。今般、二十兆円規模の先行投資支援や化石燃料賦課金との組合せ、制度導入の時間軸の設定等、成長志向型のカーボンプライシングの大きな構想の推進を決断し、本法律案で御提案させていただいているところであります。
アジア諸国との競争への影響についてお尋ねがありました。
我が国は、御指摘の中国、韓国、シンガポールに先んじ、二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言しました。その上で、制度は、各国それぞれの経済・エネルギー事情、その他の国内政策との関係等も踏まえて設計されるものであり、開始時期等で一概に比較すべきものでないと考えております。
今後とも、成長志向型カーボンプライシング構想の実現、実行により、国際公約の達成と我が国の競争力強化、経済成長の同時達成を、同時実現を目指してまいります。
公正な移行の確保とGX経済移行債の運用についてお尋ねがありました。
GXの実現、実行に当たっては、新たに生まれる産業などへの円滑な労働移動を始めとする公正な移行の観点が重要です。その重要性も踏まえて、本法律案では脱炭素成長型経済構造への円滑な移行と規定しております。
このため、今般の成長志向型カーボンプライシング構想を実現、実行することで、企業のGX実現に向けた投資や取組を前倒し、同時にリスキリングなどの人材育成の取組とグリーン分野を含む成長分野への円滑な労働移動を進めてまいります。
また、GX移行債、経済移行債を活用した先行投資支援は、排出削減だけではなく産業競争力強化、経済成長にも寄与するものを対象としており、革新的な技術開発やその社会実装支援などを通じて、御指摘のグリーンでディーセントな雇用を創出してまいります。
GX推進戦略の策定及び公表時期についてお尋ねがありました。
GXの推進に当たっては、官民での投資の進捗状況、グローバルな動向や経済への影響、技術開発の動向などを踏まえて柔軟に、かつ予見可能性を確保しつつ取り組む必要があるため、本法律案に基づきGX推進戦略を策定することとしております。
GX推進戦略は、産業界や労働団体、消費者団体や学識経験者などの多くの有識者等の御意見を踏まえて策定した基本方針に沿って定めていく考えですが、その際には、GX実行会議等の外部有識者の意見を聞く機会も設けていきたいと考えております。
また、GXに向けた取組を早期に実現、実行していくため、法律の施行後速やかに必要な手続を適切に行った上で、GX推進戦略を閣議決定し、公表します。国会に対しては、審議等を通じて適切にその内容を説明してまいります。
GX推進機構の創設の検討についてお尋ねがありました。
産業構造審議会や各種検討会での議論なども踏まえて、総理が議長を務めるGX実行会議で取りまとめたGX実現に向けた基本方針の中に、化石燃料賦課金や特定事業者負担金の徴収、排出量取引制度の運営、債務保証等の金融支援業務を行う主体としてGX推進機構が明記され、本年二月に閣議決定いたしました。
今後、GX推進機構の設立に当たっては、経済産業大臣が、定款や事業計画書に加えて、理事長等についても認可するなど、引き続き適切なプロセスで進めてまいりたいと考えております。
GX推進機構新設の理由についてお尋ねがありました。
排出量取引制度の運営を担うとともに、官民で百五十兆円超のGX投資を引き出すため、民間で取り切れないリスクについての債務保証等の金融支援業務を行います。
本法でGX推進機構を新設としたのは、当該業務を効果的に実施可能な既存組織が存在せず、化石燃料賦課金の徴収や排出量取引制度の運営は公平性、中立性が求められることを踏まえたものであり、営利を目的としない認可法人として設立することといたしました。
今後の組織設計や業務の実施については、官民の知見を結集し、民間の創意工夫を可能な限り生かした形で進めてまいります。
GX推進機構の役員の兼業や報酬に関するお尋ねがありました。
機構の非常勤の役員については、機構の運営において民間の知識やノウハウを積極的に導入することで、組織の効果的、効率的な運営が可能となるよう、民間で事業に従事する方の任命も想定をしております。
次に、機構の常勤の役員については、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならないことを原則としております。一方、法第四十八条のただし書により、経済産業大臣の承認を受けた場合は兼業は可能となります。ただし、兼業の承認に当たっては、公平性と中立性が求められるGX推進機構の業務に支障がない範囲内で厳正に審査を行うこととします。
また、機構の支援業務の決定プロセスにおいては、利害関係を有する役員がいる場合はその意思決定プロセスに関与させないなど、適切なガバナンスを行うこととします。
役員報酬については、これまでの行政改革の中で、認可法人等の一部の給与水準は公表してきたことを踏まえ、GX推進機構においても、運営の透明性を確保するために公表することを検討しております。
GX推進機構による業務の委託についてお尋ねがありました。
本法律案では、GX推進機構について、外部機関の知見やノウハウを活用することで、より効果的、効率的に業務を実施することが可能となるよう、機構の業務の一部を委託することができる規定を設けております。
GX推進機構は、政府等で採用している一般競争入札の原則がそのまま適用される組織ではありませんが、競争性、透明性、経済性の観点から、GX推進機構においても原則として一般競争入札を採用するとともに、入札の結果についても透明性を確保していくことが重要と考えております。
GX推進機構の機構債についてお尋ねがありました。
GX推進機構において、突発的な事態により資金不足が生じた場合であっても、短期的な資金を調達し、滞りなくカーボンプライシングの徴収業務等を実施できるよう、GX推進機構が機構債を発行することができる規定を措置しております。このため、二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うことを目的とするGX移行債と機構債は性格や規模感が異なるものであります。
また、政府によるGX推進機構に対する債務保証については、機構債発行に当たり短期の資金調達を円滑化するため法律案に規定しているところであります。
GX経済移行債の支援基準と判断基準について、投資判断についてお尋ねがありました。
GX経済移行債の支援対象については、GX実現に向けた基本方針において、排出削減のみならず、経済成長、競争力強化も重要な要件としており、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業であること、事業革新性、技術革新性があるものといった考え方を支援基準としてお示ししております。こうした要件を満たせば支援対象となり得ますが、外部の有識者の意見等も踏まえつつ、支援の判断を検討してまいります。
また、GX経済移行債を活用した具体的な事業については、毎年度、財政当局との調整を経た上で国会での議決を経て決定することとしており、こうしたプロセスの中で適切に透明性、公平性を確保してまいります。
電力業界における一連の不正事案への対応についてお尋ねがありました。
大手電力による一連の不正事案は、公正な競争を阻害し、電気事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせるものであり、極めて遺憾であります。
情報漏えい事案については、関西電力送配電など五社に対し、情報システムの分離分割、内部統制の抜本的強化、関係者の厳正な処分などの業務改善命令を行うよう電力・ガス取引監視等委員会から勧告がありましたので、厳しく対処してまいります。
カルテル問題については、公取委の処分なども踏まえ、補助金交付等の停止及び指名停止等措置を行ったところであります。電力市場の監視機能については、今後、体制面も含め強化するべく、そのための方策を検討しております。
排出量取引制度の透明性確保についてお尋ねがありました。
二〇三三年度から始まる有償オークションは、今年度から開始するGXリーグにおける排出量取引の試行実施や、二〇二六年度からの本格稼働に続く形で導入してまいります。
GXリーグでは、企業の削減目標や削減に向けた取組状況について開示する情報基盤を用意し、金融市場を含めて多くの関係者が参照できるようにすることで、透明性高く運用を行う方針であります。
こうした枠組みを段階的に発展させていく中で、国、企業共に知見やノウハウを蓄積し、御指摘の透明性の観点も含め、実効性の高い排出量取引制度としてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/6
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007・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 猪瀬直樹君。
〔猪瀬直樹君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/7
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008・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 日本維新の会の猪瀬直樹です。
会派を代表して、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案、いわゆるGX推進法案について質問します。
折しも、明日四月十五日から開かれる、札幌でG7気候・エネルギー・環境大臣会合が開かれます。日本は、議長国として世界各国のGX推進を牽引すべき立場にあります。その一つの鍵となる電気自動車、EV車ですね、EV車の普及促進についてまず伺います。
昨年十月二十七日の経済産業委員会において、霞が関の各省庁の公用車一千百台のうち、EV車がたったの十六台、全体の一・五%しかないと指摘しました。その際、西村大臣は電気自動車の調達を増やしたいと答弁しましたが、先月九日にその進捗について再度ただしたところ、全体で十一台増えて二十七台と、お膝元の経産省ではたった一台増です。各省庁でこんな状況が続いていては、政府のGXの取組には本気度が見られないと言われても仕方がありません。まず隗より始めよです。
新年度に入り、改めてGX推進を担当する立場として、この本会議の場で西村GX担当大臣に各省庁のEV車導入促進についての見解と具体的な数値目標を求めます。
政府の定義では、いまだに電動車の中にハイブリッド車も含まれております。これも合わせての普及目標の数字になるんですが、ハイブリッド車は、言わばガラケーにiモードを付けた、そういうようなものであって、それに対してEVは、抜本的な技術革新を基にした言わばスマートフォンに当たるわけです。全然違うんです。両者には大きな違いがあるにもかかわらず、自動車メーカーを気遣う余りに、これらを一緒くたにしたままでは本質的な政策目標が提示できず、今後、政府がGXを推進する上でも大きな障害となります。持続可能な脱炭素社会実現を目指す企業グループである日本気候リーダーズ・パートナーシップ、ここもハイブリッド車を含むべきではないとの意見書を出しています。
この電動車にハイブリッド車を含む現行の定義をGXの更なる促進と国際的な目標設定との整合性を取るためにも変更し、EV車としての普及目標を定めるべきだと考えますが、いかがですか。GX担当大臣に伺います。
今から十五年前の二〇〇八年一月、東京都副知事であった私は、石原都知事の代理として、世界経済フォーラム、いわゆるダボス会議に出席しました。そこで私は、東京は二〇二〇年までにCO2の排出量を二五%以上削減すると宣言しました。この年、東京都は、都内の大規模事業所、すなわち、工場だけではなく、それ以外のオフィスビル、ホテル、デパート、大学など、千四百か所に対してCO2排出総量の削減を義務付け、同時に、排出権取引制度を導入する条例を作り、二年後の二〇一〇年度に実施しました。参加を希望する事業所だけではなく、排出量が基準を上回る事業所には全て削減義務を負わせました。これは、当時、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度であり、首都である東京が率先して先進的な施策を導入し、国全体における技術開発や産業育成につなげていくもくろみがありました。
実は、この二〇一〇年当時、キャップ・アンド・トレード方式による排出権取引の導入に関して、環境省の審議会において詳細な検討が行われていました。諸外国や東京都の事例なども詳しく参照して具体的な計画を立てていたようですが、結局、国策としては実現しませんでした。
なぜ導入が止まってしまったのか、当時の検討内容と、実現に至らなかった経緯について環境大臣に説明をお願いします。
二〇一五年十二月にCOP21が開催され、二〇二〇年以降の新たな温暖化対策であるパリ協定を採択しました。今世紀後半のカーボンニュートラルの実現を目指すことが掲げられ、欧米各国は再生可能エネルギーの比重を更に高めるべく、この数年間に新たな目標を設定し、その後現在まで目標達成に向けた努力を続けてきました。
しかしながら、我が国では、その後二〇一八年に作成された第五次エネルギー基本計画にこの内容は反映されませんでした。二〇三〇年の電源構成比率は、二〇一五年に定めた計画と同様、再生可能エネルギーは二二から二四%の目標のままでした。
パリ協定批准後も従前の目標設定を変えることなく、抜本的な施策も打ち出さずに数年間を無為に過ごし、二〇一九年六月にようやくパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略が閣議決定され、翌二〇二〇年に菅総理が二〇五〇年のカーボンニュートラルの達成を宣言したわけです。
振り返れば、このパリ協定から五年間の足踏み、取組の遅れを決定的にしてしまった最大の要因と、しまったのが最大の要因と考えていますが、なぜパリ協定を批准したのにその趣旨が反映されることなく、第五次基本計画においてエネルギーミックスを改定せず、足踏みがずっと続いたのか。経済産業大臣に、この間の経緯と足踏みの理由とその反省を込めて御答弁いただきたい。
翌二〇二一年に小泉進次郎環境大臣が打ち上げた二〇三〇年度にマイナス四六%の削減目標がそれまでとは違う意欲的な数値目標として評価されたが、同時に、本当に間に合わせられるのか、現在、その実効性を疑問視される状況と言わざるを得ません。
その後策定された第六次エネルギー基本計画で再エネの電源構成比率が三六から三八%と上方修正され現在に至るわけですが、二〇三〇年まではあと七年を残すのみです。本気で実現するならば、これまでの緩慢なやり方ではなく、まさに異次元の施策が必要となるはずです。CO2削減率と再エネの電源構成比について、二〇三〇年度目標の達成に向けた足下の状況、今後の具体的な道筋とその実現可能性についていま一度御説明をいただきたい。GX担当大臣に伺います。
東京都のキャップ・アンド・トレード制度は導入から十年以上経過したが、この間、対象事業所の総CO2排出量は年々削減され、二〇二一年度では基準年度に比べて三三%減の水準となりました。世界に宣言した二〇二〇年には二五%以上削減するという目標を既に達成しています。
先日の衆議院の論戦の中で、西村大臣は、義務付けを含めた制度を早急に導入すると、代替技術がないことや、導入すると、代替技術がないことやカーボンリーケージが起こるおそれがあると弁解したんですね。EUに二十年以上後れを取っている現状から更に十年もの時間を掛けて、やっと発電事業者のみに義務付けを行う方針と説明しています。
では、十年以上前に義務付けを始めた東京都から、それを嫌がって大規模事業所が撤退することが起こったのかと。そんなニュースは全く聞いたことがありません。本法案における化石燃料賦課金の導入及び排出権取引制度について、衆議院において二年以内に導入年次などを見直すことを明確にしたことは評価しますが、排出量取引制度について、遅く、狭くではなく、より早く、より幅広く事業者に義務付けを行い、既存の税体系の見直しも含めて早期に諸外国並みのカーボンプライシングを実現することが実効性の担保に不可欠と考えますが、一体やる気があるのか、GX担当大臣の見解を伺います。
最後になりますが、既存の業界や既得権益に配慮する余りGXの推進に本来必要なスピード感や肝腎の政策目標を見失うことがないよう、総理やGX担当大臣の強いリーダーシップを期待して質問を終えたいと思いますが。
ちょっと最後に、三十秒ぐらい余っているので付け加えたいんです。大陸から黄砂がどんどん来て、排気ガスと一緒になって複合汚染で花粉症がよりひどくなるわけですが、これを早くやめなければいけないんです。そもそも、東京がカーボンプライシングやったのは、石原慎太郎元知事がディーゼル車規制をやったからなんですね。こういうことをどんどんどんどんやっていかないと、せっかくコロナでマスク取れるようになっても、花粉症で取れないということになりますから。そういうことで、政府のとにかく強い姿勢を期待したいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/8
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009・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 猪瀬議員からの御質問にお答えします。
政府の公用車における電気自動車の導入についてお尋ねがありました。
自動車部門のカーボンニュートラル実現に向け政府自身が積極的に電動車の導入を進めていくことは重要であり、こうした観点から、政府では二〇三〇年度までに公用車を電動車一〇〇%とする目標を掲げております。
経済産業省においては、昨年度末時点で電気自動車四台、燃料電池自動車七台を含む電動車六十八台を保有しており、電動車の比率は九七%となっております。今後、電気自動車等の調達を更に進め、各省をリードするとともに、民間での普及にもつなげてまいります。
電動車の定義についてお尋ねがありました。
自動車産業において地殻変動ともいうべき大変革が起きております。一方で、技術開発の多様な可能性等を踏まえれば、燃料の脱炭素化なども含め、あらゆる技術の選択肢を追求することが重要です。こうした観点から、我が国では、二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車一〇〇%という目標を掲げております。
世界それぞれの国の事情に応じて道筋は様々ですが、その中で我が国が電気自動車でも世界をリードしていくことが重要であると考えており、政策を総動員して電気自動車を含む電動車の普及を進めてまいります。
エネルギーミックスの改定についてお尋ねがありました。
二〇一八年七月に第五次エネルギー基本計画を閣議決定した際には、二〇一五年に定めたエネルギーミックスを改正しておりません。これは、二〇三〇年度再エネ比率二二から二四%を含むエネルギーミックスの達成に向けて道半ばであったこと、そして、このエネルギーミックスが二〇三〇年度温室効果ガス二六%削減という当時の政府目標と整合的であったことなどから、まずは、エネルギーミックスを見直すのではなく、その確実な実現を目指すとの方針を明確にすることとしたためであります。
このような方針の下でも、再エネについては、二〇一二年に導入したFIT制度の効果もあり、東日本大震災前約一〇%であった再エネ導入比率が二〇二一年度には初めて二〇%を超えるなど着実に増加しており、エネルギーミックスの改定がなかったことが再エネ導入を阻害したとの御批判は当たらないものと考えております。
一方で、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現や二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減という新たな政府目標を掲げたことを踏まえ、二〇二一年十月に閣議決定した第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度の再エネ比率を三六から三八%まで更に倍増させる高い目標を掲げております。この目標を踏まえ、今後、関係省庁とも連携しながら、引き続き再エネの最大限導入に取り組んでまいります。
二〇三〇年度におけるCO2削減率と再エネ電源比率についてお尋ねがありました。
第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度の電源構成に占める再エネ比率を三六から三八%と見込んでいるところ、二〇二一年度の再エネ比率は速報値によれば二〇・三%となりました。また、二〇三〇年度のエネルギーミックスを実現した場合、二〇三〇年度のエネルギー起源CO2の排出量が約六・八億トンとなることを見込んでいますが、二〇二一年度の排出量は約九・八億トンでありました。
温室効果ガスの二〇三〇年度四六%削減目標に向けては更なる削減が必要であり、目標達成に向けてあらゆる政策を総動員してまいります。特に再エネは、二〇三〇年度に現状の二倍程度まで拡大すべく、適正な国民負担と地域との共生を図りながら、屋根設置を始めとした太陽光の促進や洋上風力の案件形成、系統整備、イノベーションの加速など、関係省庁とも連携して最大限導入を進めてまいります。
排出量取引制度等のカーボンプライシングについてお尋ねがありました。
今般の成長志向型カーボンプライシングについては、経済成長、産業競争力強化と排出削減を同時に実現していく観点から、企業がGXに取り組む期間を設け、当初低い負担から徐々に引き上げていく方針をあらかじめ明確にした上で、二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うことで、早期にGXに取り組むほど将来の負担が軽くなる仕組みとし、意欲ある企業のGX投資や取組を加速させてまいります。
その上で、御指摘の排出量取引制度については、今年度から試行的に開始するGXリーグにおいて、鉄鋼等の多排出産業を含めて六百社以上の賛同を得て、EUと同水準である国内排出量の四割以上をカバーする形で始動してまいります。さらに、この民間の創意工夫を生かしたGXリーグを段階的に発展させ、二〇二六年度から排出量取引制度を本格稼働させてまいります。
なお、既存の税体系の見直しについては、税の原則は公平、中立、簡素でありますが、既存の税制はそれぞれの課税根拠等に応じ必要性や許容性を精査の上措置しており、今回の法案のみを契機とした整理は困難と考えております。
今般の成長志向型カーボンプライシングを実現、実行していく中で、我が国の技術、我が国企業の技術力を生かしてイノベーションを創出し、世界をリードしながら、我が国の経済成長、産業競争力強化と脱炭素化を共に実現してまいります。(拍手)
〔国務大臣西村明宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/9
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010・西村明宏
○国務大臣(西村明宏君) 猪瀬直樹議員から、排出量取引制度の検討経緯についてお尋ねがございました。
平成二十二年に中央環境審議会地球環境部会に設置しました小委員会において、事業者等のヒアリングを始め排出量取引に係る制度設計に関する検討を行いました。当時は、排出量取引制度の具体的な内容について、関係者との合意に至らなかったものと承知しております。
その後も、環境省では、審議会などにおいてカーボンプライシングに関する検討を深めてまいりました。こうした知見の蓄積を生かして、カーボンプライシングに関する議論に環境省として貢献してきたものでありまして、今回の成長志向型カーボンプライシング構想の考え方にも反映されているものというふうに考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/10
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011・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 礒崎哲史君。
〔礒崎哲史君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/11
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012・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史です。
ただいま議題となりました脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案、通称GX推進法案につきまして、会派を代表して質問をいたします。
三月十七日の衆議院経済産業委員会における参考人の御見解には、傾聴すべき点が数多くありました。本日は、その内容も踏まえながら、政府に対し、以下質問いたします。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を国際公約に掲げ、国家を挙げて取り組むこととしてきましたが、今やこれは単なる環境政策ではなく、国際競争における産業政策であることを改めて認識しなくてはなりません。
本日議題のGX推進法案は、エネルギー安全保障、経済合理性の伴った脱炭素化、産業競争力強化による経済成長の三つの目的を全て達成するために、失敗できないエネルギー政策の大転換を企図するものと言えます。
一方、産業構造を大きく転換させることで、雇用への影響を懸念する声も多く聞かれます。GXを進める上では、そうした声に応えるために失業なき労働移動が図られることが重要です。新たな技術やサービス、イノベーションを生み出し、産業市場を育てるのが人だからです。
GX実現に向けた基本方針でも、公正な移行、すなわち、新たに生まれる産業への労働移動を適切に進めていくことが重要とされ、化石燃料関連産業から低炭素産業への円滑な労働移動を支援することは、国民の生活、雇用を確保するとともに、我が国の経済成長にも資するとされています。また、決して中堅・中小企業を取り残すことなく、社会全体のGXに向けた取組を推進していくとも記載されています。
しかし、このGX基本方針を踏まえて提出された本法律案には、公正な移行については一切規定されておらず、また、中小企業への配慮についてもほとんど見受けられません。衆議院の審議において、西村GX担当大臣からは、法案成立後に策定するGX推進戦略には公正な移行を明記するとの答弁がありましたが、それではなぜ本法律案に明記しなかったのでしょうか。政府に合理的な説明を求めます。
また、失業なき労働移動や中堅・中小企業への配慮をどのように担保し、社会全体でのGXを実現していくのかについても、政府の見解を求めます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの取組は、文字どおり足の長いものとなります。技術革新の見通しや、国際情勢、自然環境の変化等、不確定な要素に対し不断に見直しを行うアジャイル型の取組が必要であり、法成立後の運用こそがその成否を左右します。
したがって、そのプロセスにおいて、経済界、労働界、学術界、地域社会との緊密なコミュニケーションは不可欠であり、幅広い関係当事者の参画の下、雇用を含む政策課題の洗い出しと省庁連携による横断的な対応が不可欠です。
西村大臣は、労使の代表者や専門家、有識者もメンバーに入っているGX実行会議において、定期的に進捗状況を評価していくと言っておられますが、運用に当たってはより実務的な議論が必要になってくると考えます。GX実行会議で連合の芳野会長から提案のあったように、例えばドイツやカナダのように、我が国でも政府のイニシアチブにより公正な移行に関する委員会を設置し、雇用を含む課題横断的な対応を進めてはいかがでしょうか。見解を求めます。
さらには、政策課題別又は業界別に分科会などを設置し、GX実行会議本体の下に、より個別具体的な課題を議論する場を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。見解を求めます。
三月十七日の参議院経済産業委員会で取り上げましたが、失業なき労働移動にはリスキリング事業が一つの重要な鍵になると考えています。しかし、経済産業省が開始した事業は転職を前提とする個人に対象を限定し、また、企業を対象とする厚生労働省の事業は、約五百億円規模の人材開発支援助成金の中の一つのコースに限られていたりしています。これでは余りにシャビーです。こうした事業の在り方にも、何が具体的に必要とされているか、経済界、労働界とコミュニケーションを取った上で、効果的かつ柔軟に対応すべきです。
さらには、二〇〇九年のオバマ政権時代に米下院で可決されたワクスマン・マーキー法案で提唱された、排出量取引制度で得た収入を職業教育訓練プログラムや失業者への所得支援等に充てる仕組みを参考にし、リスキリングに充てる予算を倍増すべきと考えます。前者は質、後者は量の確保の観点から、それぞれ見解を求めます。
カーボンプライシングについて、制度が導入され、化石燃料価格や電力料金の形で負担が転嫁された場合、GXに先行して取り組んだ大企業は負担が減りますが、化石燃料を使用しないと成り立たない産業や、GXに取り組む余力のない中小企業、国民に負担が偏ることが懸念されます。カーボンプライシングの負担の在り方について、政府の見解を求めます。
カーボンプライシングを本格的に導入する今回を機に、負担が見えにくい状況を明示的なものに変えていく必要があると考えます。
化石燃料に対しては、現時点でも、地球温暖化対策税を含む石油石炭税を始め揮発油税、軽油引取税、FIT、FIPの再エネ賦課金など複数の負担が課されており、今回の化石燃料賦課金は、これらに屋上屋を架そうとするものです。これらの税制や関連する制度を整理簡素化し、明示的なカーボンプライシングに一本化すべきと考えます。そうすることで、欧州が進めるCBAM、炭素国境措置に対しても、日本の炭素負担を正しく示すことができるようになります。また、時代に合わない曖昧な課税根拠を明確にすることにもつながります。政府の見解を求めます。
二〇三三年度から開始しようとしている排出量取引制度についても、省エネ法や高度化法といった既存制度を、今回構想しているGXETS、排出量取引制度に合流させていくべきと考えますが、政府としてどういった構想を描いているか、答弁を求めます。
また、四月から始まったGXリーグは、GXETSの試行である第一フェーズと位置付けていますが、いずれ排出量の国際取引にもつなげていこうとした場合、例えばEUETSとの互換性をどのように高めていくのか。とりわけ、国際標準、ルール作りを主導していく観点から、政府が考える課題と対策について見解を求めます。
本年三月二十日の日経新聞の報道で、先進国が国連に報告している石油、ガスの生産や輸送などに伴うCO2排出量の数値について、実測重視の算定値との間に、米国では三・二倍、ロシアは四・六倍、カナダや豪州は二・五倍の違いがあり、報告は実態より過小評価されていると指摘されています。
こうした状況を踏まえ、先ほどの排出量取引制度同様、CO2排出量の実効的な換算方法の見直しを我が国として提唱していくことも重要と考えます。ルール作りを主導する観点から、西村環境大臣に見解を求めます。
日本の半導体製造装置の輸出規制強化の報復的な位置付けとして、中国が高性能レアアース磁石の製造技術の輸出禁止を検討しています。同技術は脱炭素の鍵となるEVに不可欠な要素ですが、状況をどのように分析し、どのような対応を検討しているか、政府の見解を求めます。
この件は、米中のデカップリングに日本が本格的に巻き込まれ始める象徴的な例になると考えます。政府として、日米同盟は堅持しつつも、米中の間でどういったスタンスを取っていくのかが問われると考えます。米国と常に歩調を合わせるのか、攻防をいなしつつ様子を見るのか、国際条約に基づいたルールを履行することをより能動的に求めていくのか、政府の答弁を求めます。
以上、質問といたします。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/12
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013・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 礒崎議員からの御質問にお答えをいたします。
公正な移行についてお尋ねがありました。
議員御指摘の公正な移行は、GXに伴う円滑な労働移動などの雇用の確保の考え方を含むものと承知をしております。その重要性も踏まえて、本法律案で規定した脱炭素成長型経済構造への円滑な移行は、脱炭素と経済成長を両立させ、雇用の創出、所得の拡大につなげ、成長と分配の好循環を生み出すことを意味しております。
この意味で、まさに公正な移行、特に円滑な労働移動などの雇用の確保の観点は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に含意されております。本法律案に基づきGX推進戦略を策定する際は、この公正な移行を明記して、必要な政策にしっかりと取り組んでまいります。
社会全体でのGXの実現についてお尋ねがありました。
GXの実現、実行には、新たに生まれる産業などへの円滑な労働移動を始め雇用の確保の観点が大変重要であると認識しております。
このため、企業のGX実現に向けた取組を後押しするとともに、リスキリング等の人材育成の取組とグリーン分野を含む成長分野への円滑な労働移動を進めるとともに、技術開発を通じた雇用の維持確保にも取り組んでまいります。
また、大企業のみならず、中堅・中小企業を含めてサプライチェーン全体でGXに取り組むことが重要です。このため、中堅・中小企業による温室効果ガスの排出削減に資する設備投資等を支援する補助金の拡充や要件緩和を行うとともに、相談窓口の体制強化や専門家によるハンズオン支援の体制構築などをきめ細かく実施してまいります。
GXの実現、実行に向けた政策を議論する場についてお尋ねがありました。
GXの実現、実行に当たっては、産業構造の転換や円滑な労働移動を含む雇用の確保など、横断的な課題に取り組む必要があります。
こうした観点から、GX実行会議では、日本経済団体連合会、経団連の十倉構成員、日本労働組合総連合会、連合の芳野構成員を始め日本商工会議所や地域の金融機関、消費者団体や学識経験者など、多様な有識者に加わっていただき、議論を行いました。
GXの分野では、技術開発や各国の動向が大きく変化していく可能性があり、政策の実行に当たっては、GX実行会議等で進捗評価を定期的に実施し、必要な見直しを効果的に行ってまいります。その際には、御指摘の公正な移行や個別具体的な論点についてもしっかり議論して取り組んでまいります。
失業なき労働移動についてお尋ねがありました。
GXの実現に向けては、雇用の確保やセーフティーネットの整備、新たに生まれる産業などへの円滑な労働移動の観点が大変重要と認識をしております。リスキリング等の人材育成含め、労使の代表者もメンバーに入ったGX実行会議等において議論を深めてまいります。
その上で、御指摘のような排出量取引制度で得た収入を職業教育訓練や所得支援等に措置する仕組みを検討しているわけではありませんが、リスキリング等の人への投資については、五年で一兆円のパッケージとして、政府全体で取組を強化することとしております。
GX経済移行債を活用した支援についてお尋ねがありました。
御指摘の先行投資支援は、排出削減と産業競争力強化、経済成長を共に実現するためのものであり、閣議決定したGX実現に向けた基本方針において要件を定めております。また、具体的な事業は、国会における予算案の議決を経て実施することとしております。
原子力や、水素、アンモニアと化石燃料の混焼は、我が国がエネルギーの安定供給を確保しつつ排出削減を実現する有力な手段の一つであります。将来的には、混焼にとどまらず、水素、アンモニアの専焼に向けて取組を進めます。
いずれにせよ、GX経済移行債の具体的な資金使途については、外部の有識者の意見等も踏まえながら検討してまいります。
その上で、GX経済移行債については、これまでの国債と同様に、同一の金融商品として発行することに限らず、国際標準に準拠し、民間の第三者認証を得た形での発行も目指して検討してまいります。
明示的なカーボンプライシングへの一本化についてお尋ねがありました。
税の原則は公平、中立、簡素でありますが、既存税制や関連制度は、それぞれの課税根拠等に応じ必要性や許容性を精査の上措置しており、今回の法案のみを契機とした整理は困難であります。
その上で、今般導入する制度は、まさに炭素価格が表れる明示的カーボンプライシングであります。あらかじめ導入時期や方針を明確にし、早期に取り組むほど将来の負担が軽くなる仕組みとし、企業のGX投資の前倒しを促します。
今般導入するカーボンプライシングの取扱いや既存税制等も含む日本の制度による排出削減への寄与が国際的に適切に評価されるよう、諸外国と継続して議論をしてまいります。
排出量取引制度などの成長志向型カーボンプライシングについてお尋ねがありました。
本制度では、導入時期や徐々に水準を引き上げていく方針をあらかじめ示し、二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うことで、早期にGXに取り組むほど将来の負担を軽くし、企業の排出削減効果の高い投資を引き出してまいります。また、今年度からGXリーグで試行的に実施し、二〇二六年度から本格的に稼働させる排出量取引制度には電力や鉄鋼を含め六百社以上が参加を表明しており、EUと同水準の国内排出量の四割以上をカバーしております。
本法律案に規定しているとおり、排出量取引制度などを実施するための具体的な詳細規定は、この法律の施行後二年以内に検討を行い、法制上の措置を講じることとしております。
これらの施策を総合的に実現、実行することにより、我が国の経済成長、産業競争力強化と排出削減を共に実現をしてまいります。
国外の制度との互換性、国際ルール作りについてお尋ねがありました。
カーボンプライシングに限らず、各国制度は、それぞれの経済・エネルギー事情やその他の国内政策との関係なども踏まえ設計されるものであり、互換性のみを追求して制度を設計するものではないと考えております。
その上で、EUにおける排出量取引制度を始め諸外国の制度の実態や教訓を踏まえながら我が国での制度設計につなげていくことは大切であると考えております。また、国際的な取引も視野に入れたカーボンクレジット市場の創設も目指してまいります。
成長志向型カーボンプライシング構想について、更なる国際的な理解が進むよう、しっかりと対外発信も進めつつ、国際的に整合性が取れるよう諸外国とも継続して議論していく考えであります。
中国のレアアース磁石製造技術の輸出禁止措置についてお尋ねがありました。
中国政府が改定作業を行っている中国からの輸出を禁止又は制限する技術リストの中で、レアアース磁石の加工技術を輸出禁止の対象とする方向で検討がなされていると承知をしております。
今回の改定はまだ中国政府内で検討中のものと承知しており、我が国経済や企業への影響について慎重に分析をしているところであります。我が国としては、様々なリスクにも対応できるよう、サプライチェーンの強靱化のため、永久磁石の生産能力増強や省レアアース磁石の開発、リサイクル技術の開発、導入、レアアース等の重要鉱物の権益確保に向けた取組を進めてまいります。
米中デカップリングの進行に対し、両国の間でどういったスタンスを取るのかというお尋ねがございました。
日本は、これまで貿易立国としてルールベースの自由でオープンな国として成長を実現してまいりました。国際秩序が揺らぐ中にあっても、分断ではなく協調が重要であり、自由で包摂的な経済秩序の構築を主導していくというのが我が国の基本的立場であります。
その上で、我が国にとって唯一の同盟国であるアメリカと緊密に連携しながら、経済安全保障の確保を図り、G7、IPEF、WTOなどの多国間枠組みを活用してまいります。最大の貿易相手国である中国との関係については、我が国の国益が確保されるよう適切な経済関係を構築してまいります。(拍手)
〔国務大臣西村明宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/13
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014・西村明宏
○国務大臣(西村明宏君) 礒崎哲史議員から、CO2排出量の算定、換算方法の見直しについてお尋ねがございました。
温室効果ガスの排出・吸収量は、各国の排出削減目標の進捗状況を把握するための重要な基礎データであります。現在のルールでは、各国において、気候変動に関する政府間パネル、IPCCのガイドラインに基づいて算定し、また、気候変動枠組条約の事務局から算定方法等の妥当性についてレビューを受けるものとされています。
このように、基本的には各国の責任の下で正確な算定、報告がなされるべきものでありますが、科学的知見の進展に伴いまして、算定方法のルールなどの必要な改善を行うことも重要であります。
環境省は、温室効果ガス観測技術衛星、GOSATシリーズによる全球規模での二酸化炭素、メタンの観測を行っております。そのような知見も踏まえつつ、温室効果ガスの排出・吸収量の正確な算定に貢献してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/14
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015・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 岩渕友君。
〔岩渕友君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/15
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016・岩渕友
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表し、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案、GX推進法案について質問します。
電気料金の高騰が暮らしと営業を直撃する下で、大手電力会社による不正が相次いで発覚しました。
公正取引委員会は、カルテルを結んでいた電力三社に、過去最大となる一千十億円の課徴金を課しました。また、関西電力など七社の社員が、子会社である送配電会社が持つ新電力の顧客情報七十五万件余りを不正に閲覧、利用していました。驚くべきことに、新電力から顧客を奪い、競争相手を不当に排除し、エリアごとに市場を独占していました。
これらは、いわゆる電力自由化、電力システム改革の前提を根底から揺るがす大問題であり、報道にあるような処分で済む問題ではありません。徹底した検証を行い、少なくとも大手電力から送配電部門を完全に別会社とする資本関係の分離にいよいよ踏み出すべきです。いかがですか。
真相も明らかにならないまま大手電力の電気料金の値上げを認可するなど、国民の理解は到底得られません。電気料金の値上げは凍結するべきではありませんか。
以上、西村経産大臣の答弁を求めます。
明日からG7気候・エネルギー・環境大臣会合が札幌で開催されます。国連気候変動に関する政府間パネル、IPCCが発表した最新の報告書は、この十年の選択と行動が、今後、数千年に決定的な影響を与えると強調しました。パリ協定が掲げた一・五度目標を達成するには、CO2の排出量を一九年比で三五年までに六〇%、五〇年に八四%削減することが必要だと明示しており、一刻の猶予もありません。国連のグテーレス事務総長は、今回の報告書について、もう無駄にできる時間はないと訴え、主要国に今年のCOP28までに目標を更新するよう呼びかけています。
日本の削減目標は余りにも不十分です。少なくとも二〇三〇年に六〇%まで削減目標を引き上げるべきではありませんか。西村環境大臣と西村経産大臣に伺います。
G7の中で石炭火力発電の廃止期限を明らかにしていないのは日本だけです。昨年のG7会合では、事前協議で三〇年までに段階的廃止とすることを提案されたのに対し、日本が最後まで反対し、共同声明に廃止の期限が盛り込まれず、世界中から批判されました。
まさか今年の議長国である日本が、石炭火力発電の廃止期限も決めず、世界の足を引っ張るようなことはありませんね。経産大臣、お答えください。
GX実現のための基本方針は、原発の最大限活用、六十年を超える運転、新増設を進めるとしています。東京電力福島第一原発事故の被害は終わったと言わんばかりに、パブリックコメントでの圧倒的な反対の声も聞かず、福島の声も聞かずに原発回帰への大転換を進めるなど許されません。徹底した国民的な議論が必要ではありませんか。西村GX担当大臣に伺います。
福島第一原発事故後、脱原発を決断したドイツは、明日、全ての原発の稼働を完全に停止します。一方、岸田政権は、原子力基本法を改定し、将来にわたって原発を推進、支援することを国の責務として書き込みました。これは、福島第一原発事故の反省も教訓も忘れた暴走であり、新たな安全神話にほかなりません。
原子力利用に係る基本理念や原則などを定める原子力基本法を原発推進基本法に変質させるものではありませんか。一体どこで議論されたのでしょうか。高市科学技術政策担当大臣の答弁を求めます。
以下、西村GX担当大臣に伺います。
GX基本方針では、今後十年間で百五十兆円を超える官民の投資を実現するとしています。本法案で創設するGX経済移行債はその具体化であり、その使途は経産省に白紙委任されています。十年間で二十兆円、原子力発電や、水素、アンモニアと化石燃料の混焼発電にも投資するとしていますが、グリーンを名のる国債でこのような投資をする国は世界にあるでしょうか。
基本方針では、さらに、水素、アンモニアについて、火力発電からのCO2排出量を削減していくなど、カーボンニュートラルの実現に向けたトランジション、移行を支える役割と位置付けています。結局は原子力と石炭火力を延命することになり、CO2の排出削減にもならないのではありませんか。
世界各国は、主に省エネと再生可能エネルギーに使途を限定した環境国債を発行し、民間投資を促進しています。原子力や石炭火力混焼発電に投資を呼び込むことは、CO2排出削減に貢献しない、見せかけの環境投資、グリーンウオッシュそのものではありませんか。
政府は、アジア・ゼロエミッション共同体構想を掲げ、脱炭素の名で、アジア各国で水素やアンモニアの混焼、CCS、炭素貯留の普及に向けた技術開発を推進しようとしています。しかし、日本政府が日本企業と既に推進している支援でも、現地の方々から、地元のためにならないし、脱炭素にもならないという訴えを聞いてきました。支援の名で誤った気候変動対策を押し付けるのではなく、化石燃料からの公正で公平な移行こそ支援するべきではありませんか。
本法案では、成長志向型カーボンプライシングを導入し、化石燃料の輸入事業者に課す賦課金と、発電事業者から徴収する負担金で償還するとしています。
しかし、二酸化炭素の排出に価格を付ける炭素税、カーボンプライシングは、欧州と比べて既におよそ二十年遅れていることに加え、本格的に導入するのは二〇三〇年代です。しかも、その内容は企業の自主性に任されており、排出量の上限もありません。産業界の負担は、あらかじめ石油石炭税とFIT賦課金の減少の範囲内にとどめられ、排出削減につながりません。石油連盟の会長が大した負担にならないと発言しているように、これでは排出量削減の効果はとても期待できないのではありませんか。一定基準以上の事業所に制度への参加を義務付けるべきではありませんか。
最後に、本法案について、若者たちも、気候変動の解決にならず、何のための法案なのか、日本の未来、自分たちの人生が左右される問題なのに将来世代の声をなぜ聞かないのかと訴えています。
政府は、再エネも原子力も、あらゆる選択肢をと言いますが、国際的な研究報告では、原子力に熱心な国は再エネ導入量が少ないことが明らかになったとして、原子力発電と再エネの利用というのは相互に排除し合う傾向があると結論付けています。
省エネを思い切って進め、一〇〇%国産の再生可能エネルギーへの速やかな転換こそ、エネルギーの安定供給にも、脱炭素にも、経済発展と雇用にもつながるということを述べて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/16
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017・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 岩渕議員からの御質問にお答えいたします。
電力不正事案についてお尋ねがありました。
一連の事案は、公正な競争を阻害し、電気事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせるものであり、極めて遺憾であります。
現在、情報漏えい事案の調査結果を踏まえながら、有識者会議では情報システムの分離、物理、物理、物理分割を求めるなどの再発防止策を議論しており、電力システム改革の趣旨に照らしながら、様々な観点を考慮しながら虚心坦懐に議論いただき、その結果を踏まえ、適切に対処してまいります。
その上で、電気料金の改定申請については、燃料価格の高騰などを背景としたものであり、電気事業法に基づいて定められた手続や審査ルールに従い、厳格かつ丁寧に審査を進めてまいります。
削減目標についてお尋ねがありました。
今回のIPCC統合報告書は、この十年間における急速かつ大幅で即時の温室効果ガス排出削減の必要性を全世界に呼びかけるものと受け止めております。
我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度、二〇一三年度比四六%削減というパリ協定とも整合する国際公約を掲げており、新たな削減目標について議論する前に、まずはこの政府目標の実現に向けて、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画、GX実現に向けた基本方針といった政府方針に沿って全力で取り組んでまいります。
石炭火力発電についてお尋ねがありました。
閣僚会合の議論の内容について、事前のコメントは差し控えますが、各国それぞれの事情があり、道筋は多様であることを認めながら、ネットゼロという共通のゴールを目指すことを確認してまいります。
必要な供給力が十分に確保されていない段階で直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じることになれば、電力の安定供給に支障を及ぼしかねません。そのため、二〇三〇年に向けて、当面は高効率な石炭火力発電を活用しつつ、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めるとともに、二〇五〇年に向けて、水素、アンモニアやCCUS等を活用した脱炭素型の火力に置き換える取組を進めてまいります。
原子力政策への国民的議論についてお尋ねがありました。
原子力を活用していく上で、東京電力福島第一原発事故の経験、反省と教訓をひとときも忘れることなくエネルギー政策を進めることは、これまで一貫した政府の方針であり、この方針は本年二月十日に閣議決定したGX実現に向けた基本方針においても明記されております。
事故により被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、最後まで福島の復興再生に全力で取り組むことは、原子力を活用したエネルギー政策を進めてきた政府の責務であると考えております。
国民各層とのコミュニケーションの深化、充実等に国が前面に立って取り組む方針は、GX基本方針に明記されております。基本方針の策定に際しては、昨年末から一か月にわたりパブリックコメントを実施するとともに、年明け以降、全国で説明会、意見交換会を実施し、国民的な議論の実施に取り組んでおります。こうした取組は今後も進めてまいります。
GX経済移行債を活用した支援についてお尋ねがありました。
御指摘の先行投資支援は、排出削減と産業競争力強化、経済成長を共に実現するためのものであり、閣議決定したGX実現に向けた基本方針において要件を定めております。また、具体的な事業は、国会における予算案の議決を経て実施することとしております。
原子力や、水素、アンモニアと化石燃料の混焼は、我が国がエネルギーの安定供給を確保しつつ排出削減を実現する有力な手段の一つであります。将来的に、混焼にとどまらず、水素、アンモニア専焼に向けて取組を進めます。
いずれにせよ、GX経済移行債の具体的な資金使途については、外部の有識者の意見等も踏まえながら検討してまいります。
その上で、GX経済移行債については、これまでの国債と同様に、同一の金融商品として発行することに限らず、国際標準に準拠し、民間の第三者認証を得た形での発行も目指して検討してまいります。
化石燃料からの公正で公平な移行への支援などについてお尋ねがありました。
御指摘のCCSについては、電化や水素化等による脱炭素化を最大限進めても排出されるCO2を回収し、地下に貯留する技術であり、先ほどの水素、アンモニアの混焼と併せて、カーボンニュートラルを実現するために重要な技術であります。欧州でもCCSプロジェクトが進んでおり、米国でも昨年に大胆な投資促進策が決定されたところであります。
こうした技術のほか、抜本的なCO2削減を実現する水素還元製鉄、日本発の次世代太陽電池のペロブスカイトなど、我が国が先行する革新的技術の開発を進め、あわせて、アジア・ゼロエミッション共同体構想の実現、実行を通じ、アジアや世界の脱炭素化に貢献し、我が国の排出削減と経済成長、産業競争力強化を共に実現してまいります。
排出量取引制度などの成長志向型カーボンプライシングについてお尋ねがありました。
本制度では、導入時期や徐々に水準を引き上げていく方針をあらかじめ示し、二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うことで、早期にGXに取り組むほど将来の負担を軽くし、企業の排出削減効果の高い投資を引き出してまいります。また、今年度からGXリーグで試行的に実施し、二〇二六年度から本格的に稼働させる排出量取引制度には電力や鉄鋼を含め六百社以上が参加を表明しており、EUと同水準の国内排出量の四割以上をカバーしております。
本法律案に規定しているとおり、排出量取引制度などの実施するための具体的な詳細規定は、この法律の施行後二年以内に検討を行い、法制上の措置を講じることとしております。
これらの施策を総合的に実現、実行することにより、我が国の経済成長、産業競争力強化と排出削減を共に実現してまいります。(拍手)
〔国務大臣西村明宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/17
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018・西村明宏
○国務大臣(西村明宏君) 岩渕友議員から、我が国の温室効果ガス削減目標についてお尋ねがございました。
我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、それと整合的な二〇三〇年度四六%の削減目標と、五〇%の高みに向けた挑戦の継続を表明しております。これらの達成、実現に向け、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画、GX基本方針に基づく対策、施策を着実に実施してまいります。
その上で、三年ごとの地球温暖化対策計画の見直しや、二〇二五年までの提出が奨励されている次期NDCなどの機会を見据えて、目標とそれに実現するための対策、施策について、関係省庁とも連携しながら、不断の検討を行ってまいります。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/18
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019・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 岩渕友議員からは、原子力基本法の改正についてお尋ねがありました。
ロシアによるウクライナ侵略などの地政学リスクの増加によるエネルギー安全保障強化の必要性、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現の観点などから、原子力を含むあらゆる選択肢を追求することがますます重要になっていると認識しています。
御指摘のとおり、今回の原子力基本法の改正案では国の責務に係る規定を創設しておりますが、これは、原子力のエネルギー利用の目的はあくまでも安定供給の確保や脱炭素社会の実現、エネルギー供給の自律性の確保という点にあることを十分に踏まえ、政府としてこの目的の範囲内で適切な措置を講じるべきとの従来の政府方針を明確化するものであり、原子力を支援することを国の責務とするものではありません。
その上で、今回の改正案には、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ、安全神話に陥り、事故を防止することができなかったことを真摯に反省という規定を盛り込み、事故の防止に最善かつ最大の努力をしていくという方針を初めて明記することとしております。
また、議論の場につきましては、内閣府が所管する原子力委員会において、約一年掛けて五十名以上の有識者などからヒアリングを行い、検討を重ねた上で、今後の原子力政策について政府としての長期的な方向性を示す羅針盤となる原子力利用に関する基本的な考え方を本年二月に改定し、同月の閣議において尊重される決定がなされました。今回の原子力基本法の改正案は、この基本的考え方も踏まえ、政府として閣議決定したものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/19
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020・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/20
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021・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第一 特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長高橋克法君。
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〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
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〔高橋克法君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/21
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022・高橋克法
○高橋克法君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構により設置される放射光施設の共用を促進し、科学技術に関する研究等の基盤の強化等を図るための措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、次世代放射光施設ナノテラスの活用により期待される成果、ナノテラスの安全管理方策、地域及び産業界との連携の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/22
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023・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/23
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024・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/24
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025・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第二 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長杉久武君。
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〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
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〔杉久武君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/25
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026・杉久武
○杉久武君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、民事関係手続等の一層の迅速化及び効率化等を図り、民事関係手続等を国民がより利用しやすいものとする観点から、民事執行手続等における電子情報処理組織を使用して行うことができる申立て等の範囲の拡大、申立て等に係る書面及び裁判書等の電磁的記録化並びに映像と音声の送受信による期日における手続を行うことを可能とする規定の整備、民事執行手続等の申立ての手数料等に係る納付方法の見直し、公正証書の電磁的記録化及び映像と音声の送受信による公正証書の作成手続に係る規定の整備等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、システム構築の在り方やセキュリティー確保のための取組及び今後の開発の見通し、オンライン申立て等における本人サポートのための体制構築の必要性、ウェブ会議の適切な運用に向けた取組等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して仁比委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/26
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027・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/27
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028・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/28
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029・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第三 防衛省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長阿達雅志君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
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〔阿達雅志君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/29
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030・阿達雅志
○阿達雅志君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官定数の変更を行うとともに、地方防衛局の所掌事務に国際協力に関する事務を追加するものであります。
委員会におきましては、防衛省・自衛隊におけるサイバー人材の確保、育成に向けた取組とサイバー防衛能力の質的向上、統合幕僚監部の体制強化が日米の指揮系統にもたらす影響、陸上自衛官の定数削減による南西地域の防衛体制への影響、FMS調達に係る諸課題を解決するための取組等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の山添委員より反対、沖縄の風の伊波委員より反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対しまして二項目から成る附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/30
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031・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/31
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032・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X01520230414/32
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