1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月十五具(木曜日)
午前十一時十三分開議
出席委員
委員長 夏堀源三郎君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
有田 二郎君 大上 司君
佐久間 徹君 島村 一郎君
清水 逸平君 苫米地英俊君
三宅 則義君 宮幡 靖君
宮腰 喜助君 竹村奈良一君
出席政府委員
総理府事務官
(外国為替管理
委員会委員) 大久保太三郎君
外務事務官
(管理局長) 倭島 英二君
大蔵政務次官 西川甚五郎君
大蔵事務官
(主計局次長) 石原 周夫君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 佐藤 一郎君
大蔵事務官
(理財局長) 伊原 隆君
委員外の出席者
議 員 北澤 直吉君
議 員 並木 芳雄君
外務事務官
(管理局借入金
審査室長) 池田千嘉太君
大蔵事務官
(理財局経済課
長) 吉田 信邦君
專 門 員 椎木 文也君
專 門 員 黒田 久太君
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本日の会議に付した事件
外国為替資金特別会計法案(内閣提出第八一
号)
在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案
(内閣提出第八七号)
緊要物資輸入基金特別会計法案(内閣提出第八
八号)
公庫の予算及び決算に関する法律案(内閣提出
第一〇三号)
農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一〇四号)
企業再建整備法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九四号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/0
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001・夏堀源三郎
○夏堀委員長 ただいまより会議を開きます。
一昨十三日本委員会に付託に相なりました公庫の予算及び決算に関する法律案、及び農業共済再保険特別会計法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたしまして、政府当局より提案趣旨の説明を求めます。西川政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/1
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002・西川甚五郎
○西川政府委員 ただいま議題となりました公庫の予算及び決算に関する法律案外一法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
国民金融公庫及び住宅金融公庫の予算及び決算に関しましては、従来公団の予算及び決算の暫定措置に関する法律が適用されていたのでありますが、これら公庫の業務の特殊性にかんがみまして、今回この法律を制定して業務の円滑な運営に資し、かつ予算の執行を適正ならしめようとするものであります。
次に本法の内容の要点を御説明申し上げますと、次の四点でございます。
その第一点は、公庫の予算につきましては、原則といたしましてこれを収益及び費用の収支予算といたそうとするものであります。すなわち貸付金の利子その他資産の運用にかかる収入及び付属雑收入をもつてその收入とし、国民金融公庫にあつては、借入金、恩給債券の利子、事務取扱費、業務委託費、固定費産の取得に要する経費及び付属諸費を、住宅金融公庫にあつては、借入金の利子・事務取扱費、業務委託費、固定資産の取得に要する経費及び付属諸費をその支出といたしております。右の外予算の形式及び内容につきましては、これを予算総則及び收入支出予算とし、收入支出予算は、收入の性質及び支出の目的に従つて款及び項に区分することとしたほか、その他の細目は大蔵大臣が主務大臣と諮つて定めることといたしたのであります。
第二点は、追加予算、予算の修正及び暫定予算の規定を設けるとともに、移用、流用、繰越し及び予備費に関する規定を設けようとする点であります。
第三点は、大蔵大臣は公庫の予算の執行の適正を期するため、必要があると認めるときは、収支の実績もしくは見込みについて報告を求め、または予算の執行状況について、実地監査を行うことができるようにいたそうとする点であります。
第四点は、公庫の決算は翌年度の七月三十一日までに完結することとし、決算報告書は予算の区分に従い、毎事業年度作成の上大蔵大臣の承認を経た財務諸表を添え、主務大臣を経由して大蔵大臣に提出することといたそうとするものであります。
次に農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
農業共済再保險特別会計におきましては、気象上の悪條件に基く異常災害の発生に伴いまして、再保險金の支拂いが増加し、これがため支拂い財源に不足が生じ、毎年一般会計からこの不足財源を補填するため繰入れを行つて来たのでありますが、今後も同様の事態が発生する可能性が考えられますので、このたびこの会計に新たに再保險金支拂基金勘定を設け、農作物共済及び蚕繭共済に関する異常災害の発生に俘つて生ずることのある農業勘定における再保險金の支拂い財源の不足に充てるための財源を、一般会計からこの再保險金支拂基金勘定に一括して繰入れておき、農業勘定において再保險金の支排い財源に不足が生じた場合には、再保險金支拂基金勘定からその不足を補填することができることといたそうとするものでございます。
なお再保險金支拂基金勘定に属する現金は、この会計の農業勘定及び家畜勘定において一時支拂い上現金に不足が生じたときは、これを繰りかえ使用することができることとし、農業勘定及び家畜勘定における支拂いの円滑化にも資することといたそうとするものであります。以上の理由によりまして、この法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/2
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003・夏堀源三郎
○夏堀委員長 次に在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案を議題といたします。
本案に関しては委員外北澤直吉君並びに並木芳雄君が、委員外の発言を求められておりますが、これを許すに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/3
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004・夏堀源三郎
○夏堀委員長 御異議ないようであります。北澤直吉君の発言を許します。北澤直言君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/4
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005・北澤直吉
○北澤直吉君 今回政府が在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案を提出せられまして、またこの次の国会におきまして返済に必要な事項を定めた法律案を提出し、昭和二十六年度中に借入金の返済を開始するという方針を政府が決定せられましたことにつきましては、われわれ敬意を表するのであります。
申し上げるもでもなく海外から引揚げられました方々は、長年海外において仕事をせられておりまして、各種の地盤を持つておつたのでありますが、無一物となつて内地へ帰つて来られたわけでありますので、内地に帰られまして、いろいろ仕事をする場合にも非常な困難があつたのであります。従いましてこういう海外から引揚げられた方につらましては、政府におかれましてもあらゆる角度からいろいろの保護を與える必要があると思うのでありますが、特に在外公館が海外において居留民から借入れをしたというようなものにつきましては、なるべくたくさんの金を債権者に返還してやるというふうにお考えを願いたいのであります。こういう場合におきましては、政府の予算の制限があることはもちろんでありますけれども、予算の許す範囲において、なるべくたくさんの金を債権者に返してもらうということをお願いしたいのであります。そこで問題はなるべく金を返すことと、なるべく多く返還するということが必要だと思うのでありますが、そこでお伺いしたいのは、昭和二十六年度中に借入金の返済を開始する、こういうふうにこの法案にうたつておりますが、大体いつごろから返済を開始される方針でありますか。その点もし構想がありますればお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/5
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006・西川甚五郎
○西川政府委員 お答えします。在外公館の借入金につきましては、実は一日も早く御返済申し上げたいと思つておりますが、いろいろ事情がありまして、たいへん遅延いたしまして申訳ないと思います。幸いにいたしまして、今回この法律案を提案したのであります。支拂いの時期はその法律案にもありますが、次の国会において、それをいかに支拂うかという法律案をつくる準備の法律案でございまして、次の臨時国会、あるいはそれができない場合には通常国会の当初において法案を提出いたしまして、そうしてできる限り二十六年度中に支拂つてしまいたい、こういうような考えを持つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/6
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007・北澤直吉
○北澤直吉君 そうしますと、次の国会においては、これに関係の法案と同時に予算の補正をする、こういうようなお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/7
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008・西川甚五郎
○西川政府委員 お説の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/8
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009・北澤直吉
○北澤直吉君 ただいま提案されました法律の第二條に、「借入金の返済の方法は、国民負担の衡平の見地から、公正且つ妥当な基準に基いて定められなければならない。」こういうふうに規定されておるわけでありますが、もちろん戰争の犠牲者は海外引揚者ばかりでなく、国内にもたくさんあるのであります。従いまして国民全体の負担の衡平というような見地から、この返済方法あるいは返済の基準というものを定めなければならぬと思うのでありますけれども、政府におかれましては、返済の基準と申しますか、大体政府において確認した借入金は、どの辺の割合で返すお考えでありますか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/9
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010・西川甚五郎
○西川政府委員 その返済いたします金額につきましては、実はこの法律案を御審議願つて成立いたしますと、この法律案によつて審議いたしまして、その額をきめたいと思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/10
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011・北澤直吉
○北澤直吉君 それでは政府の方ではまだどのくらいの割合を返還されるというような腹案をお持ちになつておらぬ、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/11
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012・西川甚五郎
○西川政府委員 実はそこにございます審議会をつくりまして、そうして外務省と大蔵省の職員から三名と、民間からの委員五名に出ていただきまして、根本の一番むずかしい問題は、確認を得ました円以外のものをいかに換算するかというその率でございますから、その率をきめますと初めてそこに額が出て来ます。その額をきめますために審議会をつくるということになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/12
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013・北澤直吉
○北澤直吉君 この法案によりますと、「借入金を表示する現地通貨の評価に関する事項を調査審議する。」ということになつておりますので、この審議会におきまして、いろいろな外地の通貨によつて借り入れた金額を、日本の円に換算するという評価の基準がきまると思うのであります。そのときに伺いたいのは、評価する場合の基準を今後のこの審議会がきめるのでありますが、たとえば支那の連銀券とかあるいは儲備券とかいう各般の通貨によつて、評価の基準というものができるわけでありますが、そういうものに対する評価の基準——当時の日本の円と当時の外地の通貨との換算率によるとか、何か評価の基準について目安があるかどうか。
それともう一つは、その評価のきまつた全体の全額のうちで、どのくらいの割合が返還されますか。大体の見込みでもありましたら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/13
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014・伊原隆
○伊原政府委員 評価の基準につきましては、これからできる審議会において審査をする。つまり今度できる審議会と申しますのは、先ほど政務次官からお話もありましたように、できるだけ各方面の御意見を伺いまして、各方面の異論のないところで、現地通貨で表示されております国の債務を、円で評価をしたら幾らかということを審議したいということでございます。もつとも公定レートなら幾らであるか、調整料込みなら幾らであるか、ということはごく簡單に出るわけでありますが、その当時の物価の事情、その土地の物価事情、いろいろ違つた要素がございますので、この委員会をつくりまして、各方面の御意見を十分伺つた上で、最も異論のないと思われるところにきめたいというのが、政府の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/14
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015・北澤直吉
○北澤直吉君 もう一点伺つて私の質問を終りますが、在外公館の借入金につきましては、こういうふうに政府の方で誠意をもつて返還するというふうな措置をお考になつているのでありますが、これと関連して、引揚者が外地に残して参りました在外資産の問題、たとえば引揚者が外地で日本の銀行に預けておつた預金というようなものも、たくさんあるわけでありますが、そういうふうな在外資産の補償の問題とこの借入金の問題との間には、やはりある程度の関連があると思います。そういう在外資産の場合におきましても、特に中国においては大体賠償にとられる。従つて政府はこれを補償しないという方針と思いますが、在外公館の借入金を返還することになりますと、その間のバランスと申しますか、そういう点に多少考えなければならぬ問題があると思うのでありますが、政府はそういう引揚者が外地に残した在外資産の補償の問題について、どういうお考えを持つておりますか。これと関連して伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/15
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016・西川甚五郎
○西川政府委員 在外資産につきましては、実はただいまのところ政府としては考えを持つておらないのであります。実は講和会議が終りまして、先ほどおつしやいます通り賠償の問題がございますので、その点をよく勘案いたしまして将来善処したい、こういう考えで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/16
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017・北澤直吉
○北澤直吉君 それでは最後に希望を申し上げておきたいのですが、政府におかれましても引揚者の窮状をよく察せられましてこの在外公館の借入金については、なるべく迅速に、なるべく返還の割合を多くして、なるべく早く返還されるよう善処されんことを希望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/17
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018・夏堀源三郎
○夏堀委員長 並木芳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/18
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019・並木芳雄
○並木芳雄君 私はこの法案を見たときに、非常にふしぎに思い不安に思つたのです。今までずつと外務省が所管しておつたにかかわらず、この程度の、模様がえではないが、新しい機構、審議会というものをつくるのに、どうして外務省の所管から大蔵省の所管に移さねばならなかつたか。そのいきさつをまず質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/19
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020・西川甚五郎
○西川政府委員 実は外務省に審議会があつたのでございますが、これは確認のみ一本で進んで参つてその間にやはりいろいろ支拂いのためのレートの問題等も考えておつたのでありますが、どうしても確認の方は外務省でやつていただきまして、レートの方はやはり大蔵省でやつた方がいいのではないかというので、大蔵省の方にレートの審議会を設けた、こういうふうなかつこうになつておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/20
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021・並木芳雄
○並木芳雄君 外務省の管理局長が見えておりますが、この程度のものを、やはり外務省でイニシアチーヴをとつてできないのですか。がんばつたかどうか。外務省の方の言い分を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/21
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022・倭島英二
○倭島政府委員 お答えいたします。外務省の従来担当しておりましたのは、借入金の請求書に対して、その確認をするという事務にもつぱら当つておりまして、現在もまだその事務が相当ございまして、その関係で審査をし、それから確認証書を発給するというのも、今年の秋ぐらいまでかかる。さらにそのあるものにつきましては、審査をする前提として調査も必要な部分が相当ございましたので、その調査、審査のために、ある請求書に対しては、さらに来年までもかかるのではないかと思つておる状況でございまして、今の御意見のように、外務省がこの程度しかできなかつたかという御質問でございますが、一つは、従来の確認請求書に対する審査にさらに時間を要するという点が一つと、一つは今大蔵政務次官からお話がございましたように、大体政府部内の分担としましても、支拂い関係については大蔵省の方で担当していただくのが適当であるというような意見になりまして、大蔵省の方で主として担当していただくということになつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/22
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023・並木芳雄
○並木芳雄君 確認事務に時間をとり手数がかかるならば、それは所要人員を要求すればいいのです。外務省のあの予算などを見ても、非常にワン・マン首相に遠慮して、当然請求すべきものも請求しない。そういうところが現われておるので、今のような答弁で、朝に一城を拔かれタべに一壘を抜かれるというように、また大蔵省にしてやられたという感じを、こういうところからも受けるのです。私はこのことだけならあまり言わないのですが、その萎縮した、自由でない、不自由な外務省の片鮮がこういうところにも出ておると思うので、私は今質問というよりも注意を喚起した形になるのですが、必要な点はどんどん要求したらいいと思うのです。審議会ができてこの仕事が終れば、当然今度は支拂いの開始になりますが、そのときには今度外務省が主管されるかどうか。主管されると思うけれども、そうであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/23
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024・倭島英二
○倭島政府委員 支拂いの関係につきましては、多分大蔵省の方で主管していただくことになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/24
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025・並木芳雄
○並木芳雄君 その点はまだ打合せてないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/25
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026・倭島英二
○倭島政府委員 はつきり文書とか何とかにはなつておりませんが、大体支拂いの関係については、大蔵省の方でしていただくという了解になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/26
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027・並木芳雄
○並木芳雄君 私どもこのことについては非常に関心を寄せておりましたので、当然外務委員会の方にかかると思つていたのです。大蔵委員会にかかりましたときも、いち早く合同審査会というものを要求したのでありますけれども、何ゆえか大蔵委員会の方の都合で断つて来たということを聞いております。今ここで資料をもらつたところで、急に質問をするというような状態ですから、ろくな質問もできないわけですけれども、合同審査会を断つたいきさつについて、委員長より御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/27
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028・夏堀源三郎
○夏堀委員長 大蔵委員会には現在二十以上の法案があります。そのうちまだ非常に重要な法案も相当ありまして、これは予算に関連がありますので、どうしてもこの三月一ぱいに上げなければなりません。そうした関係で時間の都合上、合同審査会はむずかしいじやないかという意見に到達したわけであります。それで今日はこれにかわつて委員外の発言を許した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/28
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029・並木芳雄
○並木芳雄君 本件確認に至るまでの周知の状態、これはどういう方法でやつたか。つまりこの申出の資格のある人々に徹底して知らされたかどうか。それをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/29
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030・倭島英二
○倭島政府委員 お答えします。確認請求書は、法案が出されました後、一定の確認請求を出していただく期間が定まつておりましたが、その期間においては、政府といたしましては各府県市町村の協力を得まして、あらゆる手を盡したつもりでおります。政府から印刷物、新聞その他の用意をしましたと同時に、各府県ではこの徹底のためにずいぶん御協力いただきまして、各府県はまた各府県で、それぞれその府県の関係者に直接の関係があるわけでございますから、各府県とも努力をしていただいたことと思います。そういう点からであつたかと存じますが、大体政府の予想では十八、九万件くらい請求書が出るかと思つておりましたが、最後に請求書の出ましたのは二十一万件でございまして、大体本請求書の提出について、関係者の方々に、こういう手続で請求書を出していただくという問題については、政府としては全力を盡したつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/30
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031・並木芳雄
○並木芳雄君 ただいまの数字で、申出が二十一万何がし、それから確認が十八、九万ということですが、その正確な数字はわかりませんか。つまり撤回されたものの数です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/31
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032・倭島英二
○倭島政府委員 撤回というのが、御質問の御趣旨がちよつとわかりかねるのでありますが、今申し上げました予想は、政府は従来現地で借上金をお取扱いになりました各公館の公館長、民団その他の邦人団体の関係者から関係の資料をいただいておりまして、その資料に基いた大体の予想が当初十八、九万は請求書が出るのではないかと思つておつたわけでございまして、それが十八、九万と申上げた数字であります。ところが実際最後に出て参りました請求書の数字は、今申し上げましたように二十一万件でございました。今御質問の中で、撤回というお言葉がございましたが、政府の方としましては、その請求書に対しては何らまだ撤回というような手続をとつておりません。先般も御説明申し上げたと思いますが、この二十一万件の内容をさらに一口御説明申し上げますと、その二十一万件の中には、従来の調査によつて、大体審査会法の第一條の借上金に該当するであろうと予想せられるものが十三万八千件ございます。さらに調査をしなければ該当するかどうかはつきりきめかねるというものが五万八千件、それから今日までの調査によつて、一応この借上金に該当しないと思われるものが一万四千件、合計二十一万件というのが現在の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/32
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033・並木芳雄
○並木芳雄君 今の説明でわかつたのです。資料を見たら、なるほどここにありますが、私の聞こうとしたのは、この中の一応非該当と思われるもの、こういう数字を知りたかつた。それが約一万四千件あると書いてあります。そこでこの一万四千件の非該当というものは、主としてどういう理由で非該当と認定したものであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/33
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034・倭島英二
○倭島政府委員 お答え申し上げます。これは先ほどもちよつと御説明申し上げましたように、従来の調査によつて一応非該当となるのではないかという見当を立てたのでありまして、この一万四千件の中には、さらに調査を進めなければならないものがございます。但し明らかにこの審査会法の第一條の借上金というものに該当しない、たとえば郵便貯金だとか、銀行の預金だとか、あるいは外国の政府に出したものだとか、その他いろいろな種類のものが、とつさの間でございますからございますが、近くこの郵便貯金だとか、あるいは銀行預金だとか、そういう認拠書類、証憑書類から見ても、明白に借入金じやないというものに対して——何かやはり間違つておつたのだろうと思いますが、確認証書の請求が出ておる。そういうもの約一千件のものに対して、近くその関係者に御通知を申し上げる予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/34
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035・並木芳雄
○並木芳雄君 これはずいぶんむずかしい審査であつたろうと思う。それで今日まで大体該当すると予想せられるものが十三万八千件ありますけれども、この中でも必ずしも書類などが完備しておらなかつたものが多いのじやないかと思う。そういうところの内容について御説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/35
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036・倭島英二
○倭島政府委員 審査の基準につきましては、要するに審査会法の第一條というのを基準にいたしまして、審査をして来たわけでございますが、その中で、第一段といたしまして政府が努力をしましたことは、現地で金を借りた在外公館、あるいは邦人自治団体、もしくはこれに準ずる団体というものがどういうものか。つまり金を借りた主体は、一体この法律にいうものに該当するかどうかということに、ずいぶん手をかけて審査をいたしました。その数は、つまり金を借りたということを記載して請求書を出された、その借上げ主体というものが全部で千八百件ほどございました。その借上げ主体の審査ということに相当時日を盡したのでありますが、その借上げ主体が大体きまりました。大体この団体あるいは在外公館が借りた借上金は、いわゆる法律にいう借上金と認めてよろしいということがきまりをしたあとからは、その団体に関する請求書を一部審査をいたしました。その審査をしました請求書の中には、今の御質問にありましたように、関係資料が整つていないものと整つておるものと、その整え方も種々さまざまでございまして、われわれが事務的にわけます段階から申しますと、五段階にも六段階にもわかれております。それで先般約一万九千件確認証書を発給し、さらに三月の末ごろに、一万七、八千件確認証書を発給する予定になつておりますが、このすでに発給しまた近く発給する予定の請求書の関係は、どの点から見ましても、審査会法の第一條の借上金と認めるに十分なる資料がそろつておるというものであります。先ほど一応十三万八千件は借上金に該当すると思われると申しましたが、その中には、もちろん全部資料のそろつていないもの、あるいは状況のいまだ判明しないものも相当ございまして、そういうものを今年の秋くらいまでに何とかはつきりさして、十月あるいは十一月ごろまでに確認証書を出したいと思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/36
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037・並木芳雄
○並木芳雄君 議拠が不十分と申しますか、書類手続が不十分ではあるけれども、実際においては受取る資格のあるものも多いのじやないかと思うのです。そういうものに対する救済策というものを何か考えておられるかどうか。たとえば私の案ですが、保証人を幾人か出すことによつて、証拠としては、書類としては不十分であるけれども、支拂つてやろうというような、つまりこういうような主観的観念がそこに入つて、この法律の目的を達するようなことを当局として考えておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/37
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038・倭島英二
○倭島政府委員 今の御意見の点でございますが、先ほど申し上げました、第一種類に属する十三万八千件につきましては、もう少し調査並びに審議を加えれば、大体借上金と認める方向へきまるのではないかと思いますが、ただ第二の種類に申し上げました、まださらに調査を要するものという五万八千件の中には、資料不十分なものがあり、その資料不十分なものにつきましては、今御説のような関係者等にもいろいろ来ていただきまして、審査会の過程においてお話を聞き、できるだけこの法律の趣旨に沿うように、この法律によつて救済されるように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/38
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039・並木芳雄
○並木芳雄君 その点は、とにかく非常にもらう方の立場は弱いですから、十分同情の心をもつてやつていただきたいと思います。
次に在外公館等というものから借りた主体の名称が、ここにちよつと今拝見しましたら載つておりますが、相当数が多いです。私頭の中で分類しようと思いましたけれども、できませんが、何かこの在外公館等というものを、審査の過程において定義づけられるものが出て来なかつたかどうか。こういう種類の団体においては何件、こういうようなものについては何件、これを何らかの分類によつてわかりやすくわれわれに示すことができないかどうか。もう少し敷衍しますと、在外公館等というものをどの範囲にきめることができたか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/39
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040・倭島英二
○倭島政府委員 法律に書いてありますのは、御承知の通り法律の題目は在外公館等と書いてあります。審査会法の第一條に「在外公館又は邦人自治団体若しくはこれに準ずる団体」というふうな書き方になつております。確認請求書に書いてありますいわゆる借入主体とわれわれが申しますものは、先ほども申し上げましたように一千八、九百にも及ぶものでございまして、それを請求者の方からはいろいろ名前がついております。従つてわれわれは各地方について、在外公館は大体領事館ということではつきりしておりますが、そのほかの団体につきましては、各地方によつて種々雑多な名前がつけられておりますので、これを特に少い範囲に分類をするという試みはまだ持つておりません。しかし請求書に書かれた各団体の名前は、全部わかつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/40
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041・並木芳雄
○並木芳雄君 それでは次に、今度予定されております審議会の性格について質問をいたします。先ほど伊原局長の答弁の中に、皆さんに寄つてもらつて、適当な評価の基準をつくり出すのだということを述べられておつたのですが、そういうことをしなければ、当局としては適当な評価をつくり出す自信がないのであるか。私はこういう審議会をつくつてきめることが、民主的な方法であり、皆さんに納得してもらうのによいというその気持はわかるのですけれども、裏を返すと、案外値切つてやろう、安くしてなるべく支出を少くしてやろうという魂膽があつて、結局こういう審議会でもつて皆さんの御審議をいただいて、きめたのだからということで、責任を転嫁するような節があるのではないかと思うのです。もし自信があれば、相談をしなくてもよいのじやないか。自信がないからこういうものをつくるのか。自信があつても、なるべく少く拡つてその責任をこの審議会に転嫁させよう、こういう風よけに使うのかどうか。そういう点について質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/41
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042・伊原隆
○伊原政府委員 お答えいたします。その在外公館の今回の法律によりまして、つくつていただきます審議会は、お話の通りたくさん出ておりまする現地通貨建の借入金を、円に直して幾らになるかということを評価いたすのが趣旨でございます。こう評価につきましては、一番よりどころのあるところは、公定レートでございましようし、また公定レートでなく、調整料込みレートということも考えられます。こういうことなら非常に簡單ではありますけれども、この借りました時期とか場所とかによりまして、日本の通貨との購買力の比率がどうなつておるかということも、非常に大きな要素になります。従いまして各方面の御意見を伺いまして、各方面が納得せられるあらゆるデータを集めまして、各方面とも御異論のないところで評価というものをきめるのが一番妥当である、こう考えて、委員は政府以外の方五人、そしてできましたら専門委員の方を地区別にお願いをいたしまして、当時の事情等をよく知つておられる方にも御審議を願つた上できめたい、こういう考えであります。何分にもこの問題は、海外から引揚げられた方々の休戚に関することでありますので、愼重の上に愼重を期したい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/42
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043・並木芳雄
○並木芳雄君 公定のレートでやれば割に簡單だということでありますが、公定のレートで今確認されている額を換算してみると、大体幾らぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/43
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044・伊原隆
○伊原政府委員 これはただいま外務省からお配りをいたしました資料を集計いたしますと、わかると思うのでありますが、数字が多少違うかもしれませんが、公定のレートで当つてみますと百二十億程度になるのではないか、こういうふうに考えおります。これはこの数字を公定レートで割つて行きますれば、すぐ出る数字でありますが、大体百二十億程度じやないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/44
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045・並木芳雄
○並木芳雄君 利子については、むろん拂うだろうと思いますけれども、その点はどうなつていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/45
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046・伊原隆
○伊原政府委員 利子についてお拂いをするかどうかとか、どういうふうな評価でお拂いをするというようなことは、ここの法律にもございますように、次の国会に提出いたします支拂いに関する具体的のことをきめた法律によつてきまるわけでございまして、その法律につきましては、次の国会におきまして国会の御意思によつてきめたい、こう考たております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/46
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047・並木芳雄
○並木芳雄君 第二條ですが、第二條の中に、「国民負担の衡平の見地から、公正且つ妥当な基準に基いて定められなければならない。」この中で「国民負担の衡平の見地」というところを大きくぶつたのは、どういうわけですか。私どもはごくざつくばらんに、借りたものは返せばよいじやないかという観念を持つておるところへ、第二條として、大蔵大臣の施政方針演説のごにく、「国民負担の衡平の見地から」というように言つているのは、何か特別の理由があるか。どういうわけでこういうものを入れたかをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/47
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048・伊原隆
○伊原政府委員 これは御存じの通り、在外公館の借入金の問題につきましては、借入れの行われた状況等から考えまして、できれば実質的には在外財産の処理と一体的に考えるということも、実は一つの考え方であつたのでありますが、借りたものは早く返すという意味で、在外財産とは切離して、早く処理しようということになつたわけでもありますし、それから戰争災害をこうむつた方たちとの均衡の問題とか、それから過去に行われました戰時補償の打切りの問題というふうな、いろいろなことがありまして、要するに国家としてはあれもしたい、これもしたい、いろいろございますけれども、できるだけすべての見地から公平に、また財政の許す範囲内でやつて行きたいという原則を立てたわけであります。その実体は、次の国会に提出します法律案によつて内容が明らかにされる、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/48
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049・並木芳雄
○並木芳雄君 特に次の国会に出すと予定しておる理由はどうなんですか。今国会でも間に合えば出してもいいと心いますけれども、その点を伺いたい発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/49
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050・伊原隆
○伊原政府委員 お示しの通り、できりだけ早くやることが望ましいのでありますが、ただいま外務省からもお話がありましたように、一方確認の事務につきましても、できるだけ早く進めて行く。一方この三條にもありますように、外地の通貨で表示されております債務を円建にしたらどうなるかということも、大きな要素でございます。言つて、いつまでも引きずつておくということでは申訳ないことでありますので、法律としてははなはだ異例な法律でありますが、政府としてはこの法律によりまして、次の国会には必ず具体的な法律案、並びにそれに必要なる予算的の措置を提出をしなければならない、こういう義務を負つた法律がこの法律であります。必ず次の最初に召集される国会にお出しをする、誠意を持つて処理するという点を、おくみとりを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/50
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051・並木芳雄
○並木芳雄君 それは臨時国会でも開げば別ですけれども、次の国会といつても、われわれはこの前だつて請求したが開かなかつたくらいで、ぼやぼや引延ばして、通常国会になるかもしれない。そうすると、本国会は五月七日中ではあるのですが、またそれがずるずる延ばされて、この三月三十一日までに審議が終らなければ、この第一條にある通り、昭和二十六年度中に借入金の返済を開始しようと思つても、その意気は壯であるけれども、できないということが起るわけなのであります。だからこれは次の国会ということでなく、もしそういう熱意があるならば、すみやかに臨時国会を開くとか、そういうことでなければおかしいと思うが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/51
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052・伊原隆
○伊原政府委員 これは私から申し上げるのは適当かどうか存じませんが、純法律的に申しますと、臨時国会があれば、次の最初に召集される臨時国会、もし臨時国会がなければ、通常国会の当初に提出する、こういうことであります。臨時国会がある場合には、事務当局としては、その一等初めの時期に出して行く、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/52
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053・並木芳雄
○並木芳雄君 それでは最後に、今の返済を開始するという言葉ですけれども、これなんかもずいぶん見ようによると、体裁はいいけれども、開始になると言わずに、終了するとか完了するとか、熱意を示したらどうか。
それからよもや年賦償還などはしないと思うけれども、この点は大丈夫か。つまり当然一ぺんに拂うべきである。だらだら分割拂いをして行つたりするようなことはないと思うけれども、どうなのか。要するに支拂いを開始するだけではわれわれは物足りない。いついつまでに完了するということをどうして入れないのであるか。これをもつて私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/53
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054・伊原隆
○伊原政府委員 今並木さんからのお話は、できるだけ早く開始をし、かつ早く皆さんに御満足を得るようにしろというお話であると思うのでありまして、政府の考えもまつたく同じであります。ただこれは法律でありますから、開始をして、かつ終結するというふうに書くのも、いかがかという考えもございます。政府の予定といたしましては、ただいま申し上げましたように、できるだけ早く国会が開かれた場合にはそれに出しまして、そうして考え方としましては、予算もできれば一度に盛つてしまつて、そして外務省の方でやつておられる審査の進行状況ともにらみ合せまして、できるだけ早く開始し、かつ終つてしまいたいということであります。総理大臣からも、国会に対してそういう熱意の御声明があつたので、それに基いてつくつた法律案でございます。政府の誠意と熱意はおくみとりを願いたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/54
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055・夏堀源三郎
○夏堀委員長 竹村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/55
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056・竹村奈良一
○竹村委員 並木君から大体私の問わんとするところは質問されましたので、重複を避けてお伺いしたいと思います。先ほど並木君の質問に対して、大体公定レートで考えると、現在まで総計で百二十億程度になる、こういうお話でございましたが、そこで私のお伺いいたしたいのは、公定レートで大体計算すると、金額で百二十億だということになりますと、これの最高の返還を受けるものは、現在まで調査された分では一体どれだけであるか。それから最低の返還を受ける額は一体どれだけか。これがおわかりであれば、大体でよろしいのでありますから御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/56
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057・倭島英二
○倭島政府委員 今の御質問でございますが、実は現在までの確認証書を審査しておる過程においては、どれが一番大きいかということについて、今残念ながらここに数字を持つておりませんけれども、儲備券の大体一億程度が大きなもので、小さいものになりますと、数百円という程度のものもある状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/57
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058・竹村奈良一
○竹村委員 本日いろいろ資料をいただいたのでございますが、私たちの考えでは、これは政府が借りたものであれば、その事のいかんにかかわらず、当然即日これは返還すべきものである、こういうふうに私たちは考えておるのでございます。そのうちでも問題になるのは、そういう数百円というような少額なものに対しては、これは文句を言わず即日返すべきだ。ところが大きなものに対しましては、それの借入れをしたその径路等を愼重に調査する必要がある。返すものは返すべきだが、それが正しく借りられたかという点が問題になる。そこで今まで確認書を出されたうちで、たとえば儲備券の一億円程度のものは、現在の公定価格で私不幸にしてどのくらいになるのか知りませんが、そういう大口と見られるもの、これが一体何件くらいあるかその点をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/58
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059・倭島英二
○倭島政府委員 先ほども御説明申し上げましたが、大体の見当として、一応従来の調査によつて、借上金に該当するのであろうという見当を立てましたのが十三万八千件でございます。その中で今の御質問の趣旨にぴたつと合うようにまだ区分わけをしておりません。たとえば一番大きなものがどれくらいある、小さいものがどれくらいあるというような、額によつての区分わけをいたしておりませんので、残念ながらここで数字を申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/59
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060・竹村奈良一
○竹村委員 それではもう一つお伺いいたしますが、確認書を出される場合におきしては、いろいろな御調査を苦心してなされたものだと思います。たとえば借入金を借入れするところの径路等を調べた場合におきまして、非常に一般と異なつたような借入れをしておるというような案件はなかつたかどうか。たとえば特別に、これは一人が儲備券一億円と言われましたからそれを言うのですが、儲備券一億円を政府にお貸しになつた。つまり在外公館にお貸しになつた場合においては、それがどういう径路でお貸しになつたか、そういう点が概略わかればお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/60
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061・倭島英二
○倭島政府委員 先ほどもちよつとほかの委員の御質問にお答えしましたときに御説明申し上げましたが、何しろ借上金が借り入れられたときの状況は、各地方によつて異なつておりますし、それから時が時でございまして、一様ではございません。借入れを行つた団体も全体で千数百ある状況でございまして、その中で大部分の借入金を取扱つたと思われる主体を従来九十件くらいと、大体見当をつけたわけでありますが、それ以外にもたとえば今のお話のような特殊の借入金とか、いろいろな場合があるのであります。また主体でもはつきり審査をしておらぬのが相当多いわけであります。千数百件あるうち今九十件見当だけはつきりしたわけでありまして、まだ中にはいろいろな方法でいろいろな場合に借入れを行つたというものがあると思います。そういうものについては今後まだ政府としては十分調査をしたい。それでさしあたり先般と、間もなく三月末に、確認証を発給したものと発給したいという予定になつているもの、約四万件足らずのもつにつきましては、これは全部審査会法の第一條の趣旨に基きまして、借入れの状況その他十分明確になつておるものから、確認証を発給しておる状況であります。まだ全体といたしましては、調査をしなければならぬものがたくさんございます。そういうものについてはまだ確認証を発給する段取らにならない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/61
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062・竹村奈良一
○竹村委員 昨日もちよつとお伺いいたしまして答弁があまりはつきりわからなかつた。審査中だとかいうことを聞いたのですが、たとえば前に——おそらく倭島さんは一番よく御承知だと思いますが、海外引揚委員会に陳情されました、たとえば大連におきまするところの民主団体として借入れをやられた分については、一体現在はどういうふうになつておるか。これがわかつておれば聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/62
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063・倭島英二
○倭島政府委員 大連での借入金の問題もすでに数回いろいろ審査会で調査、審査をされておりますが、現在までのところまだ最後の結論が出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/63
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064・竹村奈良一
○竹村委員 どうもはつきりしないので、それでは重ねてお伺いするわけでございますが、そうすると、大体今までのこの審査で確認証を出されましたのは、全国の市町村役場、各府県から出て来たもの、これを中心としてされたのでありましようけれども、これ以外の形において直接外務省等にそれを訴えて来たというものに対して、審査されたような件数があるかどうか。その件数があればひとつ知らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/64
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065・倭島英二
○倭島政府委員 確認証の請求書を出していただくときには、その手続の方法としまして各府県の市町村の方にお願いをしております。ときたま外務省の方へ直接に来られた請求もないではございませんが、そういう際には普通の手続に乘つけてもらいまして、各関係の市町村からまた出していただいておるという状況でございます。外務省に直接出たものを何か審査の対象にしておるというのは一件もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/65
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066・竹村奈良一
○竹村委員 先ほど並木君からも質問があつたのですが、私まだ判然としないのでお伺いしたいのでありますが、なぜ借入金評価審議会というものをおつくりになるのか。この点に対しては先ほど並木君に対していろいろ答弁されておりますが、もちろんこれか民主的な行き方だ、こういうふうに考えられますが、反面においてはこういう小さい審議会をおつくりになると、たとえば少額の返還を受けるものはそのままになりますけれども、大口の返還を受ける資格を持つていると考えられておる人は——往々にしてあることでありすが、いろいろ運動される。審議会をつくると一番便宜であり、もちろん民主的な原則から行きますならば、審議会をつくり、みなから意見を聞くのがいいという考え方もありますが、しかしそういうようなきらいが従来からいろいろあつた径路から考えで、われわれはそのことについて考えさせられる。こういう審議をする場合には、公定レートがあつて、政府にはいろいろ専門家もおられるから、この専門家によつて一応原案をきめて国会に提出され、国会において審議する。これが私は今日の国会としての任務だと思いますが、審議会あるいは審査会をやたらにつくることは、国会は何もわからぬおしやべりの会だというので、審議会でやつておられるように考えるのでありますが、この審議会をつくらなければならぬという実質的な根拠は一体どこにあるか。この点をひとつお伺いしたい。これは政務次官がおればいいのですが、答弁されるならばしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/66
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067・伊原隆
○伊原政府委員 私から申し上げるのは適当かどうか知りませんが、事務的に申し上げます。
この第三條にあります審議会というものは、どうしてつくる必要があるかというお尋ねでありますが、ただいま資料でも差上げましたように、儲備券あり連銀券あり、いろいろな通貨の種類によりまして債務が表示されておるのであります。これを円として評価した場合には、一体幾らになるかという事実を客観的に調べるというのが、この審議会の任務でございます。従いまして委員を五人、その他地域別に專門委員をお願いしまして、あらゆる資料を集めまして、だれでも納得が行くことができるような評価の基準をつくりたい。従つて繰返して申し上げましたように、政治的な委員会でございませんので、事実を審査する、外貨建の表示の債務を円に評価する場合に幾らになるかということを、きわめて技術的に審査をいたす審議会であります力それに基いて第二條の精神によつて幾らの支拂いをするかというふうなことは、これは法律になるのでありまして、その法律は国会の御審議によつてきまるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/67
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068・竹村奈良一
○竹村委員 この問題についてはあまり論議したくはないのですけれども、今の御答弁によりますと、第三條によりまして最も技術的に、事務的にこれを評価する審議会だ、こういうのでありますが、そういたしますと、單に事務的な技術的な審査をされるだけの技術者が政府においてはおらないということをみずから証明されておるわけでありますが、これは大蔵省にしても外務省にしてもそういう人はおりませんか。おらないならおらない。おらないからこれは必要になつて来る。こういうふうに聞えるわけでありますが、おらないならおらないでけつこうでありましてこの法律は必要でございましよう。おるなら何もわざわざつくる必要はない。その点をはつきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/68
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069・伊原隆
○伊原政府委員 これは先ほどもお答えいたしましたように、居留民の利害休戚に関係するところが大きいのでありまして、政府の力、並びに民間でそういうことをよく知つておる引揚げられた方たちのあらゆる知識を動員して、万全を期そうということでございます。ものはとりようでございますけれども、できるだけ皆さんの納得のできるようなふうにしたい。政府が責任をのがれるわけでも何でもないのでありまして、できるだけよい、万人が納得するものをつくるという誠意に基きまして、この審議会をつくりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/69
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070・竹村奈良一
○竹村委員 もちろんその気持はよくわかるのです。気持はわかるのですが、しかし今言われるように政治的問題で解決するのではなしに、事務的におやりになる。事実今日の公定レートを考えて、それに対して実際はどのくらいかということをお考えになる。これは通産省でも貿易等をやつておりますから、いろいろわかると思います。技術的に考えて、政府は十分おやりになるところの人材は私はそろつておると考えておる。ところがそれをわざわざ納得の行かぬ審議会をこしらえて——少くとも審議会というものをつくれば費用がいるのです。今日税金で苦しんでおるものの金をそういうものにどんどんお使いになる。これは審議会をつくつて政治的におやりになるなら別ですけれども、事務的におやりになるならこの審議会などは私は必要ないと思う。しかもいろいろと各方面から意見を聞くと言われますけれども、意見を聞いたところで実際は事実がはつきりしておる。その点から考えると審議会をつくるということ自体が、何か政治的な、たとえばこの返還に対して上げるとか下げるとかいうことについての運動とか、そういうものを受ける便利のために審議会をつくられるよりな気がしてならない。しかもそれは小口の人は別です。大口の人で、いろいろ外国におるときに政府の出先と連絡のあつたような人が、これを返還してもらうというときに、こういう審議会をつくるのは非常に便利だ。こういう考えでされたようなことがあるかないかは知らぬが、われわれとしてはそういうふうに考えるわけです。技術的に評価する場合においては、政府の專門家によつて評価したらいいわけだ。その点も納得できない。それはどう考えても、今日の政府において、專門的に技術的に單に事実を事実として評価される場合においては十分できるし、人材はそろつていると思う。それであるから、それが政府に出されて、政府が原案をきめて国会に出されて、それを政治的に解決するのは国会でするならいいが、審議会が先にやつてしまうということは、どうも納得が行かぬのですが、この点を重ねて伺いたい。
それからもう一つは、現在まで審査された結果、今まで通つた十三万件のうちで、一人当り儲備券の一億円というようなものが出ているのですが、これは大体最高だと思いますけれども、これに類するような件数は何件あるか。それから最低の三、四百円、千円、二千円、一万円までくらいの低い件数は何件あるか。この費料をこの審査を終るまでに出していただきたい。その点を要求して私の質問はこれで終りますが、先ほどの審議会をつくることについては納得していないので、納得できるような御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/70
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071・伊原隆
○伊原政府委員 審議会につきましては、いろいろ申し上げた通り資料等も、率直に申し上げまして、政府の出先の官憲もございませんし、あらゆる資料を集めてやつて行きたい。またこの審議会の運営につきましては、お示しのようなことが万起り得ないように、公平にかつ公正にやつて行くという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/71
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072・夏堀源三郎
○夏堀委員長 資料はできるだけ早くお願いします。休憩いたします。午後は一時半より会議を開きます。
午後零時二十五分休憩
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午後二時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/72
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073・夏堀源三郎
○夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。外国為替資金特別会計法案、緊要物資輸入基金特別会計法案、企業再建整備法の一部を改正する法律案、公庫の予算及び決算に関する法律案、農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案の五法案を一括議題といたしまして質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/73
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074・竹村奈良一
○竹村委員 現在外国為替管理委員会等で持つておるところのドルは一体どれだけあるか。これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/74
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075・大久保太三郎
○大久保(太)政府委員 ただいまの外国為替管理委員会等で持つておりますドルのお尋ねでございますが、外国為替管理委員会勘定その他で持つております外貨資金の残高を申し上げますと、二月末におきまして四億七千八百万ドルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/75
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076・竹村奈良一
○竹村委員 この四億七千八百万ドルに対しての円資金はどういう形で補われておるのか。その大体の構想と事情をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/76
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077・大久保太三郎
○大久保(太)政府委員 保有外貨の中には、外国為替特別会計が設けられましてから、特別会計の経理に属する外貨として移されたものがございます。そのほか円資金の調達方法といたしましては、昨年度、一昨年度にわたりまして一時借入金あるいは国庫余裕金を使用いたしまして、これら外貨の保有の増大をまかなつて参つたのでございますが、昨年の九月からいわゆる日本銀行の外貨貸付制度がつくられまして、この貸付制度によりますと、外国為替管理委員会が輸入の手当に要する所要ドルを日本銀行に売却いたします。その売却の代金といたしまして、外国為替特別会計に円が入つて参ります。御承知の通り、昨年の秋ごろからこの制度に乘りました輸入が非常に促進いたしまして、日本銀行からドルの売却代金として入りました円資金が相当豊富になりましたので、現在におきましては、すでに従来この年度で行つておりました国庫余裕金の使用、あるいは外国為替資金証券、これを全部返却いたしまして、なおそのほかに先般の二十五年度補正予算によつてきめられました一般会計からの繰入金百億円の繰入れをも得ましたので、結局外国為替特別会計といたしましては、ただいま相当豊富な円資金を持つておる、そういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/77
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078・竹村奈良一
○竹村委員 一般的には大体わかるわけでございますが、これは私の研究不足かもわかりませんが、現在外貨資金、いわゆる日本銀行から円資金を借り入れるために、日本銀行券の発行高が非常に増大しているように考えるのですが、こういう関係はどうですか。この点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/78
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079・大久保太三郎
○大久保(太)政府委員 日本銀行券の発行高と外為会計との収支の関連は相当むずかしいのでございますが、要するに日本銀行が外貨を買い入れまして、その対価としてこの特別会計に円を提供いたします。しかもそれは結局外為特別会計といたしましては、輸出手形の買取りが相当ございますし、その他貿易外受取りのために円を拂う、そういう関係によつて資金が民間に対して出るということになります。特別会計を基準にいたしますと、一方では特別会計は日本銀行から円をもらい、それからまた他の特別会計から円をもらつて受取り超過になります。ただいま申しました一般会計からの繰入れなんかもそうでございますが、それを合せまして、その資金によつて輸出その他による外国為替を引受けると、民間にそれだけ資金が出る、そういう関係であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/79
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080・竹村奈良一
○竹村委員 きようはこれでやめます。もつと研究しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/80
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081・宮幡靖
○宮幡委員 それでは外国為替の特別会計について二、三お伺いいたします。これは紋切り型の質問になるわけでありますが、これがなかなか巷間では解釈しにくいどころであります。昨年の暮れにおきましては、五億数千万ドルの外貨資金の手持ちがあつたことが発表されておりますが、その後の傾向を見ますると、外貨がだんだん減つて参りまして、これは御説明の日銀ユーザンスの関係が大きく響いたわけでありましようが、とにかく外貨は減りまして、二月末におきましてはLCの開設が困難である。こういうことが巷間に伝わつたわけでありますが、この点は現在解消せられておりますかどうか。その点についてお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/81
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082・大久保太三郎
○大久保(太)政府委員 仰せの通りわが国の保有しております外貨の残高は、昨年末五億千九百万ドル、これはすでにたびたびこの国会におきまして、他の所管の方からも御発表があつたのでございますが、二月末におきまして、ただいま申し上げましたような四億七千八百ドルというふうに、相当の減少を来しております。これは御承知の通り朝鮮事変の起りました後、ことに昨年の十月ごろから、つまり十月—十二月の外貨予算の状態にも現われておりましたが、相当輸入の促進をいたしまして、このために輸入信用状の開設が非常に多く、ほぼ輸入におきましては多少の時期的な遅れもないではございませんが、相当の効果を上げたものと私ども考えております。その事情を反映いたしまして、どんどん輸入の決済が進行いたしまして、昨今こういうふうに減少を呈して来ているわけであります。ところでただいまお尋ねのLCの開設が困難だとおつしやいますのは、ドル領域のLCの問題ではございませんで、ポンド域からのポンドのLCの開設につきまして、相当困難な事情が生じたのであります。と申しますのは、ポンド域の通商は、日英通商協定におきまして、双方輸出入のわくがきめられておるのでございますが、その後の物価の騰貴の情勢その他を織り込みまして、相当大幅に引上げるということを、ただいま両国側で相談しておるわけであります。それに対しましてポンドの決済用に必要なポンド資金は、日本といたしましては相当ぎりぎりの程度にしかございません。非常にきゆうくつなんであります。そういう関係で最近のようにポンド資金の決済が増大いたしますと、非常に困る状態がございます。なおこのポンド資金を補充いたしますために、イギリスの為替管理当局に、直接ではございませんが、こちらの関係機関を通じまして、要望いたしておるわけであります。巷間伝えておりますようなドルとポンドのスワップが実行されますと、ポンド資金が一時に豊富になりまして、これが円滑な決済ができるのでありますが、ただその問題につきまして昨今まだ交渉中なものでございますから、ただいまのところポンドのLCはしばらく開設を差控えるように、私どもの方から為替銀行に指示いたしましたわけでございます。ついでにお断り申し上げておきますが、これは全部をストップしたのではありませんで、LCを開設しなければ輸入契約がキャンセルざれるとか、非常に緊急なものにつきましは、もちろんポンドのLCの開設を認めまして、その額は昨今でも相当の額に達しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/82
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083・宮幡靖
○宮幡委員 ただいまの御説明はきわめて御懇篤な御説明で、その点では了解できるのでありますが、手持ちドルの外貨では、お示しのように十二月末が五億一千九百万ドル、一月末が四億八千六百万ドル、先ほどお話の二月末は、私の調べました数字とは少々違つておりますが、われわれが調べました数字ですと、四億三千万ドル程度でありまして、大体十二月から一億ドル程度の減少、こういうことが常識的には言われる。ところが二月末において輸入信用状の発行したものは約七億ドル、輸出信用状の到達いたしているものが二億五千万ドル、こういう状況を見比べますと、やはり日銀ユーザンス制度の改正のない限りにおきましては、外為が外国為替銀行へ預け入れます使えないドルが生じまして、結局はドルにつきましても、やはり信用状の開設ということが容易ならない事態が来るということが想像せられます。巷間では、こういう方面は少しむずかし過ざますので、解釈がいろいろである。輸出が振興いたしましてこれに伴いますところの国内の円通貨が増発されますと、これをもつてただちにインフレの再現だと非難し、国の最高権威である当国会におきましても、しばしばこれが話題になりますが、われわれは通貨の増発をもつて、ただちにインフレだとは申したくないのであります。増発通貨が生産市場に流れるということは、これはすなわち生産を増強し促進する意味でありまして、決してインフレではありません。少くとも悪性ではありません。こういう通貨がやみ市場に流れた場合のみが、悪性インフレの原因となるのでありまして、こういうことをわれわれは心配しておりませんが、端的に批評いたします方は、これを転出インフレである、悪性インフレの再現だなどと申しております。そういう面から考えまして、輸出が促進して外貨があるので、常識的には輸入を促進した場合に、信用状の開設に困難を来すであろうなどということは、夢にだに思わぬのであります。ところが現実の問題は、LC開設のための外貨の担保額が百パーセントである。こういうような制度の欠陷から、事実は五〇%だけは使えない預金となるわけでありますが、こういうような制度の中で死んだ外貨がある、こういうことはほとんど一般には除外されて解釈されておる残念な面があるわけであります。御説のように政府の施策百パーセントに成功したとは申し上げませんが、輸入計画が七〇%程度完遂されました現在の国情下におきましては、まずまず成功だと私どもは申して決してはばからないところでありますが、こういう面で参りますと、どうしてもドル資金というものが、二月の末で見通しますとやはり足りなくなる。そこで日銀ユーザンス制度の外為から日銀ヘドルを売ります制度に、どうしても改善を加えなければならない、こう私どもは強く考えております。ところが一万田日銀総裁がアメリカから帰られまして、外為の木内委員長とのお話の中に、一万田さんのお考えは、必ずしもこの日銀ユーザンス制度を改正することに賛成しておらぬ。この席でありますから詳しいことは申しませんが、おおむね三つくらいの條件を出して、その前提條件が満たされた場合においては、外銀とのドル・ユーザンスは認めてもよいが、さしあたつては日銀ユーザンスの制度もただちに改正する意図はない、かような説明をせられております。そこで外為としてお考えになつておりますドル・ユーザンスは——一体日銀ユーザンスは正常なるユーザンスではないのでありまして、ドル・ユーザンスというものをそれぞれ関係方面に懇請いたしまして、これを実施に移すお考えをお持ちになつておるどうか。それを伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/83
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084・大久保太三郎
○大久保(太)政府委員 ただいまのお説の通り、輸出の面におきまして、輸出信用状の接受高というものは、昨今やはりふえております。これは輸出が依然として相当程度力を持つて伸びて行く状況を示しておると思うのでございますが、数字を申し上げ示すならば、昨年の十二月末にのきまして輸出信用状の接受高が二億三千万ドルございましたのが、二月の末日におきましては、これが二億七千百万ドルぐらいにふえて来ております。ところで他面輸入の信用状も、一—三の輸入計画が非常に大きな計画をもつて促進いたしましたことを反映いたしまして、輸入信用状の発行残高というものは、先ほどのお言葉のように六億をちよつと越しております。こういう状況で参りますならば、結局日本側の持つておりますドルの現金の額も、そう大きく拡大いたしました貿易の決済をまかなつて行きます上におきまして、相当そのままでは困難である。しかし貿易量の増大、これは非常に日本といたしまして力を入れなければならない点でございますし、かつそれを円滑にまかなつて行くということが目下の急務でございますので、お尋ねのございました外国銀行からのドルについてのユーザンス、つまりドルの決済はただいままではユーザンスがございませんと、あちらで荷物が出まして船積みされると同時に、日本の持つております勘定が落ちてしまうのでありますが、それがその時期よりもなお三箇月あるいは四箇月先に繰延べられるという便宜をねらいまして、ドルのユーザンスの信用供與という問題の必要を大いに認めておるわけであります。ただいま関係の諸銀行と話合いまして事を急速に運びますように努力いたしています。多分近いうちにこの制度の実施が見られるのじやないかと私は存じております。このユーザンス制度がもし実施されますならば、お話のごとく、これが本格的な日銀ユーザンスの制度はよほどこれに肩がわりいたしまして、日銀ユーザンスの重要性というものは、相当程度減少するのではないか、そういうふうに私ども考える次第であります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/84
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085・宮幡靖
○宮幡委員 ただいまの外為のお考えになつておる方針は、まつたく時宜に適するお考えでありまして、どうかその方針にのつとりまして一日も早く実現するよう、なお一層の努力をいただきたいと思うのであります。と同時に先ほど御答弁の中に関連して現われました、スターリング下のスワップの問題でございますが、これも現在は大体七百万ポンドが限度になつておると覚えております。この拡弱がたまたま一千七百万ポンドでいいではないかというようなことが伝わつておりますが、これもまだ司令部と交渉中でありますので、容易に御発表はできなかろうかと考えますが、私どもの考え方でありますと、いわゆる新特需と申しますか、日米経済の協力体制から申しまして、アメリカの民間の注文が日本の民間の業者へ直接参るという事態が生じました場合には、従来の中小貿易の考えよりも、もう少し飛躍した考え方を持たなければなりません。しかもポンド地域からの輸入ということが相当のウエートを持つことになりますので、ポンド貨をスワップし得る限度というものが、現在の七百万ポンドを千七百万ポンド程度に改革したのでは、いささか不安を持つておりますので、この点につきまして、もし交渉中でおさしつかえがもれば、しいて御答弁は望みませんが、おさしつかえない限度でお見通しとして、また御意見としてお持ちになつておるところを、お話いただいたら仕合せだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/85
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086・大久保太三郎
○大久保(太)政府委員 ポンド域との決済を円滑にいたしますために、ポンド資金の調達方法といたしまして、ドルの現売り、先買い、つまりスワップをいたさなければならないのでございますが、これは日本がこれを無限に実行するということは、イギリスの為替管理当局の方針といたしましてお願いできないのであります。本来ポンド域との決済をするにはまずロンドン市場を使いまして、ロンドン市場の力によつてやつて行くのが望ましいのだ。それでまず例の英系銀行からのポンドのユーザンスについて事柄を運んではどうかということで、たしか昨年の十二月に、ポンド域につきましてはポンドのユーザンスの便宜の提供を得まして、ただいままで相当広範囲にこの信用を利用いたしておるわけなのであります。と同時にそれだけでもこれまでサイト決済のものが、期日が参りますればキヤツシユを補う必要上、五百万ポンドを限りまして実行を認めていただいたわけであります。これは日本といたしましては、イギリス管理当局の非常な好意あるとりはからいであろうと私は思つておりますが、なお先ほど申しましたように、これだけのキヤツシユではとうてい足らない状態がはつきりいたしましたので、なおこれにつけ加えまして相当額のポンドの現買い先売りをお願いしておるわけであります。金額につきましてはちよつとこの席で申し上げにくいのでありますが、今後支障のないように相当額のスワップの実行を、総司令部を通じましてイギリスの当局に折衝いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/86
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087・宮幡靖
○宮幡委員 その点もまた御答弁によりましてきわめて明瞭になりました。そうするとことごとく適切な方向に進まれておると確信するものであります。そこで、これはあるいは外為の考えを聞くことが、少し間違つておるかとも思いまするが、ついででありまするから一つの御意見として承りたいことは、順次改訂されると思いますが、現状のいわゆる協定貿易の決済方法としてスウィング・アカウントがあるわけであります。このスウィング・アカウントにこだわつておりますと輸入の促進ができないことになる。このスウィング・アカウントにかかわらず、ドルならドル、ポンドならポンドの決済を進めて行くということが、輸入促進の一つの効果を上げるわけでありますが、この点についての外為としてのお考えを、ちよつとお聞かせしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/87
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088・大久保太三郎
○大久保(太)政府委員 オープン・アカウントの金融協定におきまして、相当程度スウィングのとりきめが行われておりますので、両方の貿易量の増大につきまして非常に効果を上げておると思つております。なおこういうスウィングの條項のございません協定につきましても、今後協定の改訂の時期に達しますならば、できるだけこういう條項の挿入をして行きたいという考えでおります。もしスウィングがない場合、あるいはスウィングをどうしても日本の必要な原料資材を輸入いたしますのに、見返りに輸出が出ないという——国柄によりましてそういうところが相当あるわけであります。重要資材の積出地である国との協定についてスウィングをオーバーいたしまして、なおそういう場合にスウィングの條項の拡張ができなければ、ある程度ドルのキヤツシユでもつて決済するということは、非常に望ましいことではないかと思うのであります。ただドルのキヤツシユ決済を自由にいたしますと、何ゆえに協定するか、オープン・アカウントを設けるかという根本の原理にも多少齟齬を来しますので、ドル・キヤツシユの決済ということをそう広汎に認めることはできにくいと思いますが、ある場合やむを得なければドル決済をやる。日本が貞越しの場合にはドルを拂い、また勝越しのときにはドルで拂つてもらうという方向、ただいまそういう方向で相当輸出が進んでおります。御了承願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/88
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089・宮幡靖
○宮幡委員 ただいまの御説明もきわめてよく了解できたのであります。そこでもう一つお伺いすることにいたしますが、それは去る十二日から外国為替の自動承認制を停止したように報ぜられておりますが、ドル地域、ボンド地域全部、オープン・アカウントの中のアルゼンチン、スエーデン、品目で百七十四品目について自動承認制を停止いたしたのであります。これは永久の停止でないということは私ども想像がつきますが、外為管理委員会の立場から自動承認制の停止をある程度緩和するという時期のお見通し、あるいは現にこれの停止を解く、こういう問題についての御考慮があるかどうかという点をお話いただきたい。同時にもし自動承認制の問題と外貨の割当の問題とあわせ考えてみますと、結局は輸入を強行しなければならない事態において、外貨資金の面において輸入の調節を行わなければならない、こういう事態が来ることも心配の一つとして考えられるわけであります。外国から、俗に申せば金を借りる、術語的にいえば信用の供與を受けるというような現実が現われない限り、強行しなければならない輸入をある程度調節する、こういう遺憾な事態も考えられる。これは考える方が無理かもしれませんが、そういう見通しをもつて配慮して参らなかつたならば、外国為替の割当、自動承認制の復活等についても違算が来るのではなかろうかと思うのであります。停止せられました自動承認制をどういうふうな程度に復活して行こうか、どういう時期にやろうか、品目についてはこういうお考えだという外国為替管理委員会のお考えがありましたら、おさしつかえない程度でけつこうでありますから、お話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/89
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090・大久保太三郎
○大久保(太)政府委員 お尋ねの自動承認制の一時停止につきましては、私から御説明申し上げるのがよいか、あるいは通産省当局からでも御説明願うのがよいかと存じますが、私から委員会の方で考えておるところを申し上げますと、せんだつてドルのキヤツシユの輸入及び一、二のオープンアカウントにつきまして、自動承認制を停止いたしたのでございますが、その理由は、当時新聞等ではドルの資金が不足したから停止したのだというふうに、伝えられておつたように記憶するのでございますが、これは正確に申し上げますと、そうではなくて、輸入が計画通りに一ぱいになりまして、一—三の予算、そのうちに外貨割当のほか自動承認制の額がございます。これが相当多額に計上されていたのにかかわらず、これに全部輸入業者のお客がつきまして、予算が一ぱいになつてしまつたわけなんであります。これは従来でございますと、予算が一応満額になりますと、それになお予算を追加いたしまして、そしてできるだけ自動承認制をいつも明けておくという方針でいたのでございますが、一—三の予算から八回その増額をいたしまして、遂に非常に大きな予算を全部食つてしまつたわけであります。これ以上予算を追加いたしますことは、外貨のキヤツシユの決済の面におきまして、相当困難がただいまございますので、一応ここで締め切つたわけであります。これはいつまでもとじておくというのではございませんで、ごく最近に、この四月—六月の予算が編成されまして、それが動き出すようになりますので、そのときには資金の手当に応じまして、適当なる自動承認制による輸入の予算額というものを組みまして、そして動かして行く、そういうつもりでございます。ですから、これは遠からずまた再開されまして動いて行く、そういうふうに御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/90
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091・宮幡靖
○宮幡委員 その点も了解できました。そこでわれわれが反省してみますると、どうも輸入が不振だ。先ほど申しました、端的な言葉でいえば輸出インフレ、輸出は盛んになるが、それに伴う輸入ができないではないか、現政府の施策というものは、まつたく無為無能であるなどと極論さえせられる方がありますが、外国為替の面で見れば、かくのごとく輸入が振つておるということを如実に物語るものであることを、私はこの大蔵委員会の記録に嚴重にとどめておきたいと思います。いずれにいたしましても、かくのごとく外貨予算が足りなくなるほど輸入が振つておる。この現実を何人が否定することができるでありましようか。これを通産省の立場でなく、外国為替管理委員会の御説明によりましてはつきりいたした、かように考えるわけであります。
そこで、さらにもう一つお伺いいたしたいことは、自動承認制というものの欠点をこの際考慮に入れなければなりません。すなわち思惑買いと申しますか、あるいは買付が不均衡になる、こういうことを考えなければなりません。特殊の品物に思惑が働きますならば、その方面に自動承認制を集中いたしまして、結局他に必要な物費を買いとる割当が受けられない。私は先着順の方法がよいというのではありませんが、とにかくそういう思惑買いの買付の不均衡を来す、こういうところに一つ欠陷を自動承認制が持つております。お説の四—六の外貨予算を組みかえて、あるいは七—九の予算のうちから、一億五千万ドルを繰上げるというようなことも伝え聞いておりますが、そういうような面で、外貨予算の面だけは拡大して参りましても、その自動承認制の結果現われて参りますものが、不均衡の買付でありますと、日本の産業の全体的な振興のために、必ずしも喜ぶべきでない。たとえば生ゴムの買付に集中してしまつて、他に必要なるところの非鉄金属の輸入にこと欠く、こういうような事態になると困ると思いますので、この点につきまして、あらためて自動承認制を復活いたします場合におきまして、何か特別の御考慮が為替管理委員会としてありましたならば、お知らせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/91
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092・大久保太三郎
○大久保(太)政府委員 自動承認制には、大いに長所もございますが、お説の通りまた他面短所もございます。ただ自動承認制は、とにかく輸入につきまして金融力があり、かつ国内においてそれだけの需要が確かにあり、しかもそれを海外から輸入するについて、採算が十分整うというものについて、相当思い切つて輸入をさせるというには、効果のある施策でございます。もしこれにかえまして他の案をとりまするならば、早いもの勝ちで輸入承認をとらせる。そうしますと、その間には限られた外貨資金の割当が予想せられますので、その間いろいろな競争、思惑が生じまして、実需以上の仮需要によりまして申込みが非常に輻湊する。そのために一々くじ引きでもつて輸入業者に資金を割当てなければならぬ。ほんとうに必要なものを輸入したい人はくじから漏れ、思惑をやつている人がくじに当るという弊害がございます。またもう一つの方法といたしましては、ただいま食糧あるいは米綿その他についてやつております割当制、これは重要品目につきましては非常にいい制度でございますが、相当広範囲にいたしますと、どうもいわゆる統制の弊に流れないでもないのであります。役所によりまして、製造業者、需要家をそれぞれ指定いたしまして、相当の数量を割当てて行くということで、あまり芳ばしい制度ではない。しかしながらそういつた意味で、自動承認制は確かに他の制度に比較しますならば、輸入を促進いたしますのに効果が多いのでございますけれども、また他面ただいまお示しのような、一つの物資に輸入が片寄つて、他の緊要な物資の輸入か阻止されるという面もございます。一つの例を申しますならば、皮革の場合におきまして、日本の工業の設備のために、ベルトであるとかその他の工業用原材料としての皮革の輸入は、非常に緊要なのでございますけれども、場合によりましては、せつかく輸入された皮がハンド・バツクになり、あるいはぜいたくなくつになるという面もございます。そういう点を両方よく勘案いたしまして、できるだけ自由競争のべーシスに乗つた今の自動承認制を生かして、しかもむだのない有効な輸入に局限して行くという点につきまして、委員会といたしましても、ただいまもつばら検討いたしております。次の予算の編成までには、何とか改善すべき点は改善して行きたいというので、目下検討しておる最中であります。どうか御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/92
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093・宮幡靖
○宮幡委員 あまり長くなりますから、ただいまの外国為替資金特別会計法案に直接関連のない質問でありますので、本日はこの程度にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/93
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094・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいま議題になりました企業再建整備法の一部を改正する法律案につきまして政府の提案理由もあるわけでありまするし、企業再建整備についてはこの前にすでにやつたわけでありますが、今度の改正によりまして、企業再建についての構想についての特徴をひとつ示されたいと思います。幸いに吉田さんが来ておりますから、一応簡單に説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/94
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095・吉田信邦
○吉田説明員 今回の企業再建整備法の改正につきまして、その目的とするところの概要をお話申し上げます。
今回の改正に至りました理由は、御承知のように企業再建整備法に基きまして、特別経理会社はそれぞれ整備計画を樹立いたしまして、政府に認可を申請いたしました。その認可になりましたものから、実行に移つておる次第でございます。それでこの特別経理会社の数は全部で四千七百六十二社でございましたが、これらのうち大部分は認可が済みまして、現在未認可のものはわずか八社でございます。大部分のものは適当な計画を樹立して認可を受けたわけでございますし、またとても整備ができないというもの約七十八社につきまして、解散命令を出します等の措置によりまして、今残つておるのはわずか八社という状況でございます。従つてこの意味では、整備計画はほとんど大部分樹立されたということができると存じます。しかしながらこの計画を認可された会社のその後の実行状況について見ますと、四千七百六十二社のうち、実行が完了いたしましたものは三千百五十一社でございます。まだ実行未完了のものが千六百三社残つております。それでこれらの千六百三社がなぜ実行できないでいるかという点を検討いたして参りますと、まず第一に増資が困難であるということでございます。この整備計画の上に一おきましては、全部の会社で約五百億円の増資が計画されております。しかし証券市場の状況等でなかなか思わしい増資ができませんで、現在六百十五社が計画通りの増資ができないでそのままになつております。その金額は約七十三億円に上つております。それからもう一つの理由といたしましては、再建整備によりまして旧会社を解散する等の措置によりまして、第二会社を設立いたしたものがずいぶんあります。この第二会社を設立いたしました場合には、一応旧会社が現物出資をして、第二会社をつくつたわけでございますから、その現物出資額に応ずる株式を旧会社が持つておるわけであります。この第二会社株式をその旧会社が処分をし終つてしまわなければ、実行完了と申せないわけでありますが、この第二会社株式の処分がなかなか思わしく進行しておりません。やりました処分額は百八十億円でございますが、この中で百億円が処分未済で残つております。それから第三の点といたしましては資産処分でございます。整備計画で、この建物は幾らくらいで大体売るのだというような計画が立つておるわけでございますが、やはり価格の関係等でなかなか処分が思わしく行かない場合もございます。そして現在資産処分ができないために、整備計画が完了していないものが、九百八十九社というような状況でございます。これらの点を考えてみますと、証券市場の状況とかあるいは産業界の状況等によつて株式の増資ができたり、第二会社の株式処分ができたり、あるいはまた資産処が進行するわけでございます。まつたく経済情勢いかんによるということになつて参るわけでありますが、しかし他面この特別経理会社についてのこういう勧告もありました事情等から考えまして、現在のところ実行完了の條件をあまりやかましくておくことは、多少無理があるのではないかという点が考えられますので、今回の改正は実行の條件をもう少しやさしくて、そうしていわばフリーな立場であると処理ができるようにいたしたいというところに、そのねらいがあるわけでございます。
まず第一に増資の問題でございますが、現実の増資ということはかなり困難がございますが、今回新商法が施行されることになりますと、授権資本制という制度ができて参ります。これは現実の増資はしておりませんが、一応これだけ増資するということをきめて、そうして取締役会にその増資の実務を委任するわけでありまするが、こういうふうにいたしまして、授権資本制による授権資本の額をきめましたならば、これをもつて一応増資と見て、特定会社を解除することにしたらどうか。現実の増資はまだできませんが、増資し得る態勢が確立するわけでありますから、そういう意味で授権資本をやりました増資額分だけ立てることにいたしますれば、それで実行完了したと認めたい。
それからまた第二会社株式の処分でございますが、これまた証券市場に依存しておりますので、他の整備計画事項が全部完了してしまえば、第二会社株式の処分だけが残つているというような場合には、一応特別経理会社から解除いたしていいのではなかろうかという意味で、改正をいたしております。
それから第三点といたしまして、資産処分の問題でございますが、これにつきましても他の計画が完了しており、資産処分だけが残つておる、しかもこの資産処分については、債権者側も異議がないというような場合には、要するに特別管理人というのが債権者側から代表して出ておりますが、この特別管理人の全員の同意があつた場合には、特別経理会社から解除してもいいのではないか。そうすればそのことは結局資産の処分を会社にまかせるということになるわけであります。と申しますのは、たとえば現在整備計画で資産を百円に売るというように書いてあるとしますと、その資産を八十万円で売るとかあるいは五百万円で売るとかいうようなふうに、値段がかわつて参りましたり、あるいは売る相手がかわつて参りましたりすると、そのたびに変更申請を要する。一々政府に申請して変更の許可を受けましてその上で資産を処分するというような非常にややこしい手続になつております。そういつた手続を政府に設けておりましたのは、いわば債権者の保護というような立場からでありますが、債権者を代表する特別管理人の全員が同意するということであれば、一々政府の認可を受けずにその会社にまかさてやるという方式にしてはどうか。大体今回の改正の目的はその三点でございますが、なお商法の改正に伴いましていろいろ字句等をかえなければならぬ点もありますが、そういう條文の整理をあわせていたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/95
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096・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいま吉田さんから詳細な御説明があつたわけでありますが、非常に俗つぽい質問でありますが、今日インフレも終息したとは申しながら、すべての固定資産等につきましては相当高く見る必要があると思いますから、一応再建整備法の当初と今度は価格の点が内容的に違つておると思いますが、この点については政府はどうお考えでありましよか。何か便法があると思いますが、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/96
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097・吉田信邦
○吉田説明員 今の御質問は資産の処分でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/97
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098・三宅則義
○三宅(則)委員 資産です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/98
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099・吉田信邦
○吉田説明員 資産の処分につきましては、勢い現在のところは先ほど申し上げましたように、価格等がかわるというような場合には変更の申請を受けることになつておりますが、それではあまりたいへんでございます。認可にあたりましても、簡單なものは簡單に認可し得るように措置はいたしておりますけれども、それにいたしましても相当な手数になりますので、債権者等が同意したり特別管理人の全部の同意がある場合には、受理したいということを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/99
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100・三宅則義
○三宅(則)委員 ごく簡單なことでありますが、この特別管理人全体が承認するという事柄は、物の値段が上つておるという場合には当然そういうことになると思いますが、それについて政府はどう考えておりますか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/100
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101・吉田信邦
○吉田説明員 ちよつと御質問の趣旨がわかりかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/101
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102・三宅則義
○三宅(則)委員 特別管理人全体の承認を得ることになるということにつきましては、その資産の内容が、いわゆる固定資産等が値段が高くなりました場合におきましては、その債権を埋めることができますから、承認を得る、こういう点になると思うのですが、その点について承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/102
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103・吉田信邦
○吉田説明員 仰せの通りでございまして、そういう意味からいつて心配ないという場合もありましようし、また会社の従来のやり方等からいつて、債権者を代表する特別管理人が、これはまかせても安心だというような会社の経営状況等によつて、全員の同意というものが出て来るのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/103
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104・三宅則義
○三宅(則)委員 先ほどのお話によりますと、四千七百六十二社のうちすでに三千百五十一社というものは完了したというふうに言われておりますが、あとの千六百三社というものは、まだ未完了のように承つたのであります。これも最近のうちに完了するという御意思でありましようか。その辺をもう一度承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/104
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105・吉田信邦
○吉田説明員 この完了は、当事者の報告によつて数字を出しておるのでございますが、いわば増加が具体的にできたとか、あるいは資産処分が完了したとか、第二会社株式の処分ができたという、具体的な事実に基いて完了ということになるわけであります。そこでただいま申し上げましたように、完了の條件を多少緩和して、そうして弊害のないものは、完了ということにして行きたいと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/105
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106・三宅則義
○三宅(則)委員 ちよつと横道になりまして、あなたの管轄でないかもしれませんが、先ほど来たびたび当委員会においても質問があつたわけですが、会社の資産というものの価格と、個人資産のいわゆる評価価格とはたいへんに違つているのであります。たとえば相当りつばな会社でありましても、拂込み資本金額の二倍もしくは三倍くらいの市場価格でありますが、民間のいわゆる固定資産等につきましては、三倍ないし四倍どころではない、十倍も二十倍も富裕税については見るようになつておりますが、この点について政府は何か打つ手を持つておられますか。これは方角が違うかもしれませんが、参考に一応聞いておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/106
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107・吉田信邦
○吉田説明員 その点につきましても御承知の資産再評価について進めたいと考えておりまして、さらに今度は再再評価を認めるということで、法案を準備しておるのでありますが、いろいろな事情で遅れておりまして、非常に申訳ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/107
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108・小山長規
○小山委員 これは非常に幼稚な質問だと思うのですが、実行が完了して特経会社たることを解除された場合は、解除されない場合と比べてどういう恩典なりあるいは利益があるか。審議の関係上ちよつとその点を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/108
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109・吉田信邦
○吉田説明員 お答え申し上げます。その点につきましては事情はいろいろ違いますが、たとえだ資産処分なんかが未了であるけれども、全員の同意によつて特経会社がはずれたというような場合は、資産処分につきましては、ちよつと計画がかわつたということで、一々政府に変更申請を出して、その認可を受けるという煩雑さがなくなります。そのほか特経会社の経理としては、特別管理人というのがございまして、会社側及び債権者側から代表者が出ましてそういつた事項を管理しておりますが、それがなくなりまして、会社としては自由に準行し得るということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/109
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110・小山長規
○小山委員 この企業再建整備法という法律は、金融機関の再建整備法と一緒にできた法律であります。この法律をかえることによつて、別に金融機関の再建整備法に影響するところはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/110
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111・吉田信邦
○吉田説明員 現在のところ、別に金融機関の方には影響するところはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/111
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112・宮腰喜助
○宮腰委員 これは過去の問題ではありますが、今後もこの問題が起きて来ると思うのです。実は企業再建整備法をやる場合は、ある程度政府の方で積極的に出て行つて、お前のところはどう、お前のところはどうと聞いた上で、協力して一ぺんに再建整備法によつて処理するということは、株の処理上これがために株券の証券対策が不可能な事態がたびたびありまして、増資をして株式市場に持つて行つても引受手がないというような状態が続けられて、現在でもそういう状態になつております。大蔵省ではいろいろそういう段階を考慮しながら、階段を設けて、どこどことは今回やるからというような調整をする必要があつたのじやないかと思います。この大蔵省の指導方法が悪いことが、結局昨年来の株の暴落となつた原因じやないか。従つて私はこういう便法を設けても、今後とも両建で行く。いわゆる今までの整備法と特別の処理と併立するのじやないかと考えるのですが、今後やるならある程度調整をとつて段階を設けないと、ようやく再建がなつて株式市場が活況を呈して幾らか回復したのに、また指導方法を誤るとまたまた株価が暴落するということもありますので、この点を今後御注意願うと同時に、政府のお考えはどういう指導方法で行くか。その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/112
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113・吉田信邦
○吉田説明員 ただいま御指摘の点はきわめてごもつともの点で、私どもといたしましても、過去をふりかえつてみるときに多少不備があつたかと存じます。しかしながらこの増資等の問題につきましては、一応認可の條件といたしましては、初め計画したものは六箇月以内に実行しなければならないという本来の建前でございますけれども、証券市場の実情等に応じまして、六箇月過ぎまして実行ができないというような場合には、それをまたさらに六箇月延ばすことを認めるというような形で、会社の方で自発的に出て来ないものに無理に強制するというような方法は、極力避けて参つたような次第でございます。また今後におきましても、証券市場の実情等からいいまして、整備計画だけのために無理が起らないようにという点については、特に注意をして参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/113
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114・宮腰喜助
○宮腰委員 実行未完了がまだ千六百三社ありますが、これは商法改正までに全部やつてしまわなければならぬか、あるいは強制的にやるものか、あるいは任意の方法でやつて行くものか、もし商法の改正と関連させるとすれば、強制的にこれを処理しなければならないような機運もありますが、この千六百三社というものは商法改正までに全部完了させるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/114
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115・吉田信邦
○吉田説明員 その点につきましては、決して商法改正までに無理にやらせてしまおうというような考え方ではございません。商法が改正になつたならば、その改正商法の有利な点を使つて、こういうふうな処置をし得るということを規定いたすだけでございまして、その意味から申し上げまして、決して無理に整備の実行を強行しようという考え方は持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/115
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116・宮腰喜助
○宮腰委員 私は改正商法と一致させるというお考えを持たれているように思つたのですが、その場合は改正商法と一致しなくてもやむを得ないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/116
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117・吉田信邦
○吉田説明員 商法等の関係につきましては、実は一般特経会社の実行が遅れている原因の一つとして増資の問題がございます。すなわち授権資本制ができたならば、こういう便法を認めるという行き方でございますので、そういつた意味から申しますと、商法との関連が非常に多くなつて来るのであります。しかしながら商法が改正にならなくても、ほかの点については実行させて行かなければならないものだと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/117
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118・宮腰喜助
○宮腰委員 一部には、商法が少し延びるのだという説も伺つておりますが、そういうことがあるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/118
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119・吉田信邦
○吉田説明員 その点につきましては、私どもまだ確たる見通しを持つておりませんが、一応現在提案されておりますので、商法が実施されるという仮定の上に立つて、この法律が立案されたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/119
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120・宮幡靖
○宮幡委員 これは簡單な法律でありますので、なるべく質問を盡してしまいたいと思いますので、関連してお尋ねいたします。これはあるいは事務当局の方にお伺いすることが行き過ぎになるかもしれませんが、われわれの感じを率直にお伺いするわけです。一体この企業再建整備につきましては、補足的にこういう改正をしなければならぬという事態は、私どもはすでに解消されておるのではなかろうかと思います。この法自体をすでに廃止して、自由に世上一般の信用の対象といたしまして、仕事をやつて行くものはやつて行け、あるいは解散させて清算するものは自由にやれ、こういう一種の野放しにしてもよい時代に来ているのではないか。御承知のようにこの改正というものは、実にうるさくやつて参つたわけでありまして、こういう姑息な改正をやるべき時期ではない。すでにもう自由におやりなさい、こういうことにしてよいと思います。もちろん関係方面とのいろいろのまつわりがありますので、一概には言えませんが、私どもはそういう感じを持つておりますが、御当局はどのようにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/120
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121・吉田信邦
○吉田説明員 その点につきましては、私どももそういう方法もとれないものかというようなことで、いろいろ研究もいたしてみました。しかしながらこの再建整備法の終局の趣意は、金融機関に対する借金の問題である。それは第二封鎖預金の問題になるわけでありまして、同時にまた現在の状況といたしましては、賠償指定施設の問題がどうなるかというようなことがきまつておらない。それで債権をずいぶん切つておりますが、賠償指定施設が解除になるとすれば、打切つた債権をまた元へもどすという余地も出る余裕が非常に残つております。そういうような関係で、やはり講和問題等の処理までは最後的には完結し得ない。従つてそこに達するまでの間として、できるだけ無理が少いようにという方法しかとれないのではなかろうかと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/121
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122・宮幡靖
○宮幡委員 お考えはよくわかりました。全面的に廃止することができない状況も考えられるわけでありますが、しかしかりに全面的に廃止が困難であるならば、廃止してこれにかわり最終段階をまとめるような、何か簡單な立法をなすべきだと私どもは考えます。今度の改正におきまして、このオーソライズド・キャピタルによるところの増資を見ておりますが、これは法律の体裁だけでありまして、実行が伴わないのであります。四分の一しか拂込みができないでおりまして、そして増資完了の上に初めて整備計画の実行なり、あるいは特経会社の解除なりが完了したということになつておつて、四分の一しか入らぬということがございましたならば、もともと最初の考え方とは趣が違うわけであります。ただ形式が、幸い商法に授権資本制度が現われて来たので、これに便乘して何とか流してやれ、こういうことになりまして、これは実の伴わない改正である。こういうことをやるよりは、現在の企業再建整備法は廃止して、それにかわつて現在に合いました一つの特経会社を解除し、すべて再建整備を終つたというふうに、最も早く行く方法を選ぶべきではなかろうか、こう思います。事務当局の方として、いろいろな関係でなかなかむずかしいと思いますが、いずれわれわれの方としても考えをまとめまして、次の機会にぜひこれを改めたいと思いますが、とにかく第一点の増資を未拂込み部分で認めることは、これは保証資本という意味からいえばいいかもしれませんが、保証資本では現実の金融機関の借金は拂えない、そういうことになつて参ります。しかも運転資金にも役に立たぬ、こういうことになつて参りますと、どうも残念ながら、この改正は形はりつぱでも実が伴わない、こう申し上げなければならぬと思います。第二会社の株式の処分につきましても、この第二会社の株式を所有する資格を、従来の持株会社整理委員会のとつて参りましたような、あるいは証券処理協議会ですか、あれらでやつて参りましたような嚴重なわくを定めずとも、今すでに特経会社からはずれないような会社の株はどこへ渡しましても、決して日本の産業経済界を撹乱したり、あるいは占領政策上違反となるような方向に走ろうとは、われわれは考えない、従つてもつと第二会社の株式の処分のわくというものを——従業員に必ず持たすのだというような、そういう形式的なことにもはやとらわれない方がいい。現実を見ましても、従業員はほんとうに株を引受けておらない。特定の者が持つており、ただ名義上従業員にある。こういうことでありまして、法律的効果は実際上つておらぬのであります。こういう点から考えましても非常に遺憾に思います。それから資産処分の点につきましても、これはおそらく三宅委員がそこに触れておつたろうと思いますが、これも特経であるがゆえに処分しにくいのであります。特経でなかつたならば適当の価格、しかも債権者との折衝も相当スムースに行くはずであります。特経会社なるがゆえに、この資産処分に窮しておるという面もあるわけでありまして、この三つの改正の点については、私はこれ自体に反対ではありませんけれども、決して十分の改正でないということをお考えいただきまして、できたら、こういう法案でなしに、大蔵省の方であらためて御立法いただきたいと思います。現行法を廃止して、それにかわるべき最終段階の処理をいたします法律をつくつていただく、こういうことをお願いいたしたいと思いますが、それらに対するお考えがもし伺えましたら、一言伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/122
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123・吉田信邦
○吉田説明員 ただいまの御質問の趣意は、まさに非常にいいところを言われまして恐縮しておりますが、現在の立場といたしまして、まずこの程度でさしあたりの無理な点を一応少くして行きたい。また実際問題といたしまして、賠償問題等の解決に伴いまして、いずれ最終処理を近いうちにしなければならないと思います。その際に本格的な処理を得るようなことを考えたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/123
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124・宮幡靖
○宮幡委員 それでは企業再建整備法の方はこれで終りまして緊要物資輸入基金特別会計法案につきましてお伺いいたします。この緊要物資輸入基金特別会計を設けます理由は、申し上げるまでもなく法律上わかつております。またその他の客観的情勢でよくわかるのでありますが、その内容としましては、この基金を使い得るものは、特需上に応ずるために必要な物資を買うことでありまして、それ以外には使つてはいけない、こういうことがうたつてあるのでありますが、一体緊要な物資でもつて、ランニング・ストックと備蓄との間の区分、あるいはその限界等につきまして、何か関係方面との御折衝の中に、画然たる区別があるものでありましようか。線が引かれておるものでありましようか、その点ちよつとお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/124
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125・石原周夫
○石原(周)政府委員 この緊要物資の輸入の特別会計におきまして、いわゆる備蓄ということができるかできないかということでありますが、この点につきましては法文でごらんになりますように、特殊の需要に関連いたしまして、海外から入れるものに限定せられておりますので、いわゆる一般の用途のための備蓄、あるいは一般の用途のための輸入ということに対しましては、この会計は及ばないわけであります。この特殊な用途に充てまする場合、若干備蓄的な効果を生ずることはあり得るわけでありますが、これは特殊な需要というものの性質上、おおむねそういう場合はあつても、きわめて例外的であろうと思います。
第二に、備蓄ということと一般のランニング・ストックとの境目をどう引くかという点は、お示しのように非常に微妙と申しまするか、必ずしも限界の明らかでない問題でありまして、現在通産省におきましては、どの程度の備蓄を必要をするかという計算をやつておるようでありまするから、詳細は通産省の方から答え願つたらいいかと思いますが、私どもの承知いたしておりまするところでは、御承知のように最近の輸入の相当に良好なり情勢、信用状あるいは輸入契約の成立という点から見まして、従来予想せられておりましたよりも、輸入の情勢が相当よくなつて参つておるという点からいたしまして、さしあたり備蓄というものは従来通りのやり方でやつて行つて、おおむねその目的を達するのではないか。あるいは従来通りのやり方でやつて参りまする以上に、何らか特殊な方途をもつていたしまする備蓄というものは、必ずしも必要でないのじやないかというのが、最近の一応の結論であります。この結論に到達いたしますまでの間において、主として通産省でありますが、大蔵省も若干参加いたしまして、司令部との間にいろいろ折衝があつたのでありますが、その後いろいろの情勢の変化なども出て参りまして、今申し上げたような結論に到達したような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/125
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126・宮幡靖
○宮幡委員 それでは簡單なことをあと一、二点伺いますが、この特別会計の基金は、回転基金的な性格を帶びるものであるか。あるいは投資特別会計と見たがよいのか。この点の御見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/126
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127・石原周夫
○石原(周)政府委員 回転基金の性格を帯びるものとお考えになつてよろしいと思います。ただこれを例外的な場合に回転させませんで、この会計である期間補助をするということは、法律上定められておりませんので、その場合におきましては、若干のストックがある期間続くということがあるわけでありますが、性格上は回転基金というふうにお考えになつてよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/127
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128・宮幡靖
○宮幡委員 その点は明らかになりました。しからば物資の補助、助成をする等の場合は別といたしまして、現実に政府が物資を輸入いたします機関——これは通産省に聞くのが適当かもしれませんが、大蔵省としてのお考えでけつこうでありますが、貿易公団もなくなるのでありまするから、通産省のどれかの機関でやるべきだと思います。その場合の実務につきまして、この基金の管理は通産大臣とはなつておりますが、この総括的な資金の金操りの点は、大蔵省でやるのでありますか。その点についての大蔵省のお考えはどんなふうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/128
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129・石原周夫
○石原(周)政府委員 この会計は、御承知のように歳入歳出の予算があるでのあります。回転基金的な資金の、物を買い物を売ります関係が歳入歳出会計であります。別に私どもから提出している予算書でごらんのように、その中に五十名ほどの人件費を見込んでございます。これをどの部局でやるかということにつきましては、予算書には明らかになつておりませんが、御承知のように臨時通商業務局が援助物資の関係でございますし、従来の貿易特別会計の残務関係は通産省の通商振興局でやつておりますので、通産省の今後における問題と関連いたしまして、その両者の間において調整いたすというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/129
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130・竹村奈良一
○竹村委員 いわゆる緊急物資と言われておりますものは、一体どういうものをさしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/130
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131・石原周夫
○石原(周)政府委員 本法の第一條に
「外国で生産された物資で政府において緊急に取得することを必要とするもの」ということになつておりまして、さらに第四條におきまして、「政府において特殊需要に応ずるため緊急に取得する」ということが書いてあります。この二つが法律上與えられておりまするわくでございますので、このもとにおいて、具体的な場合に緊急性ということが問題になつて参ります。個々の場合におきまする緊急性の程度によりまして、この会計に入ることになりまするが、目下のところ、どういうものが具体的に考えられるかということにつきましては、具体的な計画は通産省で立案中でありまして、まだ最終的に申し上げる段階に立ち至つていないのであります。ただ当然予想せられます問題は、国際的に割当の行われまする物資でありまして、政府がどういうものを輸入し、どういうふうに流すかということにつきましてのはつきりした筋道を立てる必要がある。たとえて申しますればニッケルというようなもの、あるいは原綿などにつきましても、そういうことになると思います。そういうような大体の筋道から申しまして、国際的な割当の必要な物資ということに相なるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/131
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132・竹村奈良一
○竹村委員 現在伝えられるところによりますと、日米経済協定その他の問題が問題になつておるわけです。しかも国際情勢によつて、現在のような状態が続くとするならば一相当いろいろな割当をされるものが出て来ると思います。割当てられるものをどんどん緊急物資として輸入をして、それがいわゆる平和的な目的に使用されるのではなしに、言われておりますように、日本がいわゆるアメリカの一つの兵器廠としての役割を果すという場合においても、そういう割当されるところの原料というものは、この法律に該当するのであるかどうか。この点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/132
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133・石原周夫
○石原(周)政府委員 この法律は、先ほども申し上げましたように、特殊需要という言葉を使つておるのでありまして、これはいわゆる特需と俗に称せられます外国貿易の一種でありまして、国連軍の需要に応じまして、国内において外貨をもつて決済せられます取引というものに、さしあたり解釈されるわけであります。おつしやいまするような日米経済交渉というようなことにつきましてのお話は、これはまだ将来の問題でございまするので、そういうような場合に該当するかどうかということは、具体的にどういうことをやられるかということになりませんと、お答えいたしかねるのであります。ただ申し上げておきますが、通常の輸出貿易あるいは輸入貿易に伴いますものにつきましては、もちろん本会計のあずかり知るところではないということは申し上げられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/133
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134・竹村奈良一
○竹村委員 もう一点だけ聞いておきたいのですが、第二会社ができまして、第一会社の株式なんかを全部譲渡を受けてしまう。その場合に従来そういう例があつたかどうかということを聞いておきたいのですが、第一会社の株式を第二会社が全部引継いで、第一会社が無資産になる場合、今までに第一会社が国家に支拂わなければならないところの税金その他が、あるいは未収になつたり、あるいはそれがとれなかつたりしたような例があるかどうか。その辺を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/134
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135・吉田信邦
○吉田説明員 ただいまの第二会社ができました場合におきましては、第二会社に現物出資をいたしますから、旧会社はその現物出資額に相当する株式を手に入れるわけでございます。従つてその株式が売れる限りにおきましては、その株式を処分いたしまして、旧来の債券を弁済するとか、あるいは税金の支拂いに充てるとかいうような方法をとることになつております。今まで税金が拂えなくなつたものがあるかという御質問でございますが、そういう事情になりますので、あるいは非常に小さいものでは、あつたかどうかは存じませんけれども、大きな問題として問題になるほどのものは、現在のところはないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/135
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136・竹村奈良一
○竹村委員 もう一つ聞いておきたいのでございますが、これによりまして、たとえば第一会社が第二会社からそういうものを引受け、あるいは株式を取得した後におきましても、今までのうちで、その第一会社に勤務しておつた社員、職員のその後の措置は一体どうなつておるか。それは全部退職せしめられておるのか、あるいはどういうような形になつておるか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/136
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137・吉田信邦
○吉田説明員 その点につきましては、企業によつてかなり異なるものがございます。旧軍需会社等によつて、非常にその当時大勢の人員を収容しておつた、しかしそれだけの仕事は全然なくなつたというような場合もございますし、また第二会社をつくりましもが、そういう人員等については大した問題ではないという場合もございます。それで大体が第二会社をつくるといいましても、工場はそつくりそのまま残つておるわけでございます。従つてそういう意味から申せば、第二会社をつくる前にある程度人員整理が行われた場合もございますし、また第二会社が新しくできてから、これでは第二会社をやつて行けないというわけで、人員整理が行われた場合があるかと存じます。それらの点については、第二会社をつくるにつきましては、整備計画を立てますときに、政府が認可する前に異議申立ての期間を與えるということになつておりますので、その間に異議の申立があつたり、一応異議の申立てはあつたが、その後会社側と話し合つて、いろいろ折れ合つたりというような形で今までは進んで来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/137
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138・夏堀源三郎
○夏堀委員長 その他御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/138
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139・小山長規
○小山委員 在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案、及び企業再建整備法の一部を改正する法律案につきましては、十分審議も盡されたと思いますので、質疑を折切られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/139
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140・夏堀源三郎
○夏堀委員長 小山君の動議に御異難はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/140
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141・夏堀源三郎
○夏堀委員長 御異議ないと認めます。よつてこの二法案は質疑打切りといたします。
本日はこれをもつて散会いたします。
午後四時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X03519510315/141
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