1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月八日(木曜日)
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議事日程 第十八号
昭和四十二年六月八日
午後二時開議
第一 地方交付税法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
第二 昭和四十二年度における地方財政の特別
措置に関する法律案(内閣提出)
第三 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一
部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
議員請暇の件
政治資金規正法改正に関する緊急質問(島上善
五郎君提出)
政治資金規正法提出遅延に関する緊急質問(門
司亮君提出)
政治資金規正法改正に関する緊急質問(伏木和
雄君提出)
日程第一 地方交付税法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
日程第二 昭和四十二年度における地方財政の
特別措置に関する法律案(内閣提出)
日程第三 交付税及び譲与税配付金特別会計法
の一部を改正する法律案(内閣提出)
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
戦没者の父母等に対する特別給付金支給法案
(内閣提出)
午後二時八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/0
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001・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
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議員請暇の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/1
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002・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) おはかりいたします。
議員松田竹千代君から、海外旅行のため、六月十七日から本会期中、議員宇都宮徳馬君から、海外旅行のため、六月二十一日から本会期中、右いずれも請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/2
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003・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
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政治資金規正法改正に関する緊急質問(島上善五郎君提出)
政治資金規正法提出遅延に関する緊急質問(門司亮君提出)
政治資金規正法改正に関する緊急質問(伏木和雄君提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/3
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004・亀岡高夫
○亀岡高夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、島上善五郎君提出、政治資金規正法改正に関する緊急質問、門司亮君提出、政治資金規正法提出遅延に関する緊急質問、及び伏木和雄君提出、政治資金規正法改正に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/4
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005・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/5
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006・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
まず、島上善五郎君提出、政治資金規正法改正に関する緊急質問を許可いたします。島上善五郎君。
〔島上善五郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/6
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007・島上善五郎
○島上善五郎君 私は、日本社会党を代表して、政治資金規正法の改正に関して、佐藤総理に対して質問を行なわんとするものであります。(拍手)
御承知のように、この問題は、すでに六年前、第一次選挙制度審議会において、政治資金は党員の負担する党費及び党を支持する個人の献金する浄財によってまかなうべきものである。したがって、会社、法人その他の団体の献金は一切禁止すべきものであるとの答申がなされたのでありますが、政府と自民党はこれに一顧も与えず、たな上げにしたままになっておりました。ところが、昨年来のいわゆる政治の黒い霧の続発によりまして、政治と金の不明朗な、そして野方図な関係を粛正せよとの世論が急速に高まり、さらにその後の選挙の醜悪な実態等にかんがみまして、第五次選挙制度審議会においてこの問題を取り上げ、政治資金のあり方を、他の選挙制度全般の改善が実現するまでこのまま放置することができないことを全員一致をもって確認し、他の選挙制度改善と切り離して、当面緊急に措置すべき事項として、本年四月七日、佐藤総理に対して答申がなされたところであります。
佐藤総理は、この間の事情を十分に承知の上で、答申が正式に出される以前から、またはその後の統一地方選挙中、さらに最近に至るまで、再三再四にわたって、答申を尊重し、すみやかに法案として国会に提出し、今国会において成立をはかると言明し、公約してきたのであります。また、直接この問題を所管する藤枝自治大臣も、この国会の委員会におきまして、当初は五月中旬までに提出したいと答弁し、次いで五月末までには何とかまとめたい、こう答弁し、さらに六月の初めにはぜひ出したい、こういう答弁を繰り返してまいりました。しかるに、国会会期も余すところ三週間に至った今日、なお党内調整に名をかりて、実は党内の強い反対に押されてじんぜん日を送り、いまだ閣議決定もできず、総理と自治大臣はみずからの無力と不誠実を暴露し、国民からはなはだしい不信と失望を買っているのであります。(拍手)
そこで、私は国民の要望を体して、以下数点につきまして具体的に伺いますので、明快率直なお答えをいただきたいと存じます。
その第一は、一体いつ閣議で決定し、いつ国会へ提出するのかを明らかにされたいのであります。
今国会で成立をという以上は、当然会期内成立を期することでありましょうから、すでにおそきに失する今日、なるべく早く出したいなどという抽象的な一時のがれの答弁では、われわれは断じて承服することはできません。(拍手)われわれは、明日の閣議で決定して直ちに国会提出の手続をとられることを要求いたしますが、もしそれができないならば、臨時閣議できめるか、十三日の閣議できめて直ちに国会提出の手続をとるか、その点、総理大臣、責任を持ってはっきりとお答えいただきたいのであります。(拍手)
第二点は、答申尊重についてであります。
冒頭にもちょっと触れましたが、かつて池田内閣は、第一次審議会の答申を受けて、これを尊重すると口では申しましたが、答申の大事な柱であった政治資金規正は全然たなに上げっぱなし、連座制もまた骨抜きにして実効のあがらないものにしてしまいました。たしか総理も当時閣僚として骨抜きの一半の責任をになわれたはずであります。自民党とその政府が骨抜きの名人であることは、新聞の漫画の種にもされておるところで御承知だろうと思います。(拍手)
そこで私は、今回答申を尊重すると申しておりますが、若干心配になりますのでお伺いしたいのでありますが、今回の答申は、御承知のように緊急に措置せよとの前提に立って、政治資金規正の対象にしても、金額にしても、きわめて具体的に示しております。答申尊重とは、具体的に示されておりますものは、そのワク内で正確に法文化することであり、おおむねとか、準ずるとかの表現を用いている点につきましても、その精神を正しくくみ取って法文化することだと私ども理解しております。総理大臣はどのようにお考えか、はっきりお答えをいただきたいのであります。
また、自民党総裁でもあります佐藤総理が、尊重のたてまえを貫こうとするのでありますれば、国会提出後、与党による答申無視の修正などは断じてあり得ない。いな、許し得ないことであると考えますが、総理はどのようにお考えか。(拍手)
私が、このように伺いますのは、実は、私の承知するところによりますれば、答申がなされてから二カ月余り、ブロック会議だ、選挙調査会、総務会、やれ合同懇談会、やれ顧問会議などと、いままでの自民党にはかつて見ることのできなかった、慎重の上にも慎重の検討を続け、先般発表した自治省案にもその意向を反映し、国や地方公共団体と請負関係にある会社、政府関係金融機関から融資を受けている会社のうち、それぞれ一割以下のものをはずしたり、実施時期を政令にゆだねて大幅にずらそうとするなど、明らかな答申無視の骨抜きを加えているのに、自民党内には、いまなお本質的反対とも解される反対論が強く、そうかといって、いまに及んで提案しないわけにもいかない。そこでともかく一応出すだけ出そう、その先のことは審議の過程でと、大幅修正か流産の謀略的意図が有力に動いているとのことでありますが、もしそうであるならば国民と野党を欺くもはなはだしいもので、断じて許されないことと考えます。(拍手)
私は、この際、総理に対して、党内におけるこのような不純な動きを勇断をもって排除し、いま述べました二点、すなわち、実施時期を早めて明確化すること、請負関係、融資関係の一割以下の除外の取りやめなどで答申の線に近づけることこそ総理のいままでの公約に忠実なゆえんであると考え、これらの点につき重ねて総理の答申尊重の真意を伺いたいと思います。(拍手)
第三点は、今国会成立についてであります。
自民党内に今日なおいわゆる車の両輪論が盛んであることは総理もよく御承知のところであります。そして、この両輪論は、今国会で政治資金規正法改正を成立させないで、次の区割り等の答申とからませようとする議論であることもまた明らかであります。この議論をなす人々の胸中を私なりに推測いたしますれば、今国会で成立させないで、むしろ小選挙区推進のてこに利用しようとする小選挙区推進論者の魂胆と、また一方には、反対に、どうせ小選挙区制は野党がこぞって反対するであろうから、抱き合わせで政治資金規正法も流してしまおう、そして流れた責任を野党に転嫁しようとする魂胆などが入りまじっているもののように思われます。(拍手)いずれにいたしましても悪知恵の発達した謀略政治家の考えそうなことであります。(拍手)
この際、われわれの考えと態度を明らかにいたしますが、答申案文に示されているとおり、われわれは選挙制度全般の改善が実現されるまで現状のまま放置することを許さないものがあるから、政治資金規正については切り離して緊急に改善する必要があるとの認識に立ちまして、答申どおりのものを最低ぎりぎりの線としてぜひ今国会で成立させ、来年七月などとのんびりしたことを言わずに、一日も早く実施することを求め、そのために懸命に努力いたします。先般の記者会見で、総理は、野党はああ言っているけれども、と勘ぐったような発言をいたしておりましたが、日本社会党の態度はこのようにきわめて明快かつ純粋でありますから御安心をいただきたい。(拍手)
そして、このためにわれわれは、政治資金規正法改正案の国会提出がおくれているのは明らかに政府と自民党にあるのでありますから、法案が提出されたあとは、今国会会期内成立の審議スケジュールを組むことを自民党所属の公職選挙法特別委員長及び委員諸君に、要求して、審議を進めようとするものであります。ただし、一言つけ加えておきますが、この場合、伝えられるように、みずから提出をおくらせておきながら、政治資金規正法審議を会期延長の口実に利用するような無責任な党略を用いるならば、会期末の国会運営全体にきわめて重大な影響を及ぼすであろうことを警告しなければなりません。(拍手)
ここで、自民党総裁としての責任において、総理は、政治資金規正法改正の今国会成立のために具体的にどのような方途を講ぜられるかをしかと承っておきたいと存じます。
最後に、もう一点明らかにしておきたいのは、五年後をめどに個人献金と党費によって党の運営を行なうようにとの答申に対して、総理は今後どのように措置されるかを承りたいのであります。
もともと今回の答申は、第一次選挙制度審議会が昭和三十六年十二月二十六日、第二次池田内閣に対して行なった答申の考えを受け継いだものであって、当時は会社、法人の献金をすべて禁止すべしとなっていた内容が、今回は、一度に実施すると混乱を生ずるおそれがあるからとて、五年をめどにと緩和したものでありますが、その基調をなす考え方は全く同じであります。したがいまして、総理が答申の趣旨をほんとうに理解し、これを尊重しようとするのであれば、五年をめどに一切の団体献金を禁止することが可能となるよう、政党自体の体質改善の努力とあわせて制度的改善の措置を当然考えられなければならないのであります。五年後をめどとする一切の団体からの政治献金禁止に御賛成であるかどうか。そして、どのような措置をとられるかを、多少先のことではありますが、答申にもありますので、ちょっと伺っておきたいと存じます。
以上四点にわたって質問いたしましたが、要するに、われわれは国民世論にこたえて政治と金の関係を明朗化し、政治の浄化とあわせて政党の近代化、組織化を実現するための当面緊要の措置の一つとして、選挙制度審議会の四月七日の答申に沿う政治資金規正法改正及び公職選挙法改正を最低線として、ぜひ今国会で成立させようとするものであり、この熱意を了とせられ、誠意ある御答弁をいただきたいものであります。
なお、もし御答弁が明確を欠いたりピントはずれであった場合は、再質問をすることを留保して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/7
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008・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
選挙制度審議会から答申が出まして、もう相当の期間たちました今日、政治資金規正法改正案がまだ国会に提案することができませんこと、まことに私遺憾に思っております。この点ではぜひ御了承を得たいと思います。しかし、もうこの問題もたいへん長くなっておりますので、できるだけ早く、来週中にも必ず提案できるようにいたしたい、かように考えておりますので、いましばらく時間をかしていただきたいと思います。
次に、この内容の問題でありますが、これは私が申し上げるまでもなく、選挙制度審議会設置法、この法律の第三条には、他の審議会に書いてないような書き方がいたしてあります。私がそれを読み上げますと、「政府は、審議会から答申又は意見の申し出があったときは、これを尊重しなければならない。」実は、はっきり書いてあるのであります。したがいまして、今回提案するであろう規正法改正はどういうようになるだろうかといって、ずいぶん御心配のようでございます。政府は、どこまでもこの法第三条、これを十分尊重いたしまして、そうして原案を作成するのでございます。この点では、骨抜きだと言われましたが、小骨一本も抜くようなことはございませんから、どうか御審議の場において十分御審議を願いたいと思います。
この法案が提出がおくれましたのは、私が申し上げるまでもなく、たいへん広範であり、また基本的な問題に関係するからであります。わが国の今後の議会政治、民主政治を健全育成する上におきましても、この法律の持つ意義が非常にはっきりしておるのであります。したがいまして、私どもといたしましては、原案を作成するにつきましても、審議会の答申を尊重するにいたしましても、十分これらの点を勘案いたしまして、わが国の民主政治の健全育成に、発達に役立つようにこれをつくらなければならないと思います。また、そういう意味で皆さま方の御審議も、ぜひともそういう立場で御検討を願いたいと思います。この点では、私は与党と野党たるとの区別はない、かように思っておりますので、十分御審議を尽くしていただきたいと思います。
いろいろお話がございましたが、仮定の条件その他による議論は、私それに対するお答えはいたしません。ただ、いわゆる車の両輪論等についての問題だとか、あるいは政治資金は個人並びに党費によってまかなうという本来の姿に返れ、五年後にはそういうようにしろという審議会の御意見でありますが、これも十分尊重いたしまして、審議におきまして各党の御意見を十分これに反映さしていただきたいと思います。政府はこの点では、これはいわゆる努力目標だと、かように考えましたので、時限的な、期限をつけるような立法はいたしておりませんけれども、皆さん方の御審議によりまして、より完全なもの、よりいいものができれば、それに私どもは賛成するのでございます。要は、議会政治、民主政治の健全育成のために役立つものをつくりたいと、かように思います。
また、もう一つ申し上げておきますが、御指摘にもありましたように、この審議会が政治資金だけを切り離して答申をいたしましたのは、この政治資金、このものが最も今日緊急措置を要するものだ、こういう意味で答申をしたのだと、かように政府は考えておりまして、先ほど申すように、改正案は十分その趣旨を尊重するつもりでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/8
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009・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 島上善五郎君から再質問の申し出があります。これを許します。島上善五郎君。
〔島上善五郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/9
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010・島上善五郎
○島上善五郎君 私は、ただいまの総理の答弁にはなはだしく不満です。もし一カ月も前ならば、来週中に出すように努力しますということで、がまんしたかもしれません。来週中にもと、こう言うのですから、場合によったらその次にもなりかねないという解釈が成り立つ。来週は、御承知のように十七日まで来週です。そうすると、残るところ二週間足らずで、一体この会期中に成立させることができるとお思いになりますか。公選法の自民党の小沢委員長をはじめ、大馬力をかけて二週間で上げるスケジュールを組んでくれるならば、それはまた別でありますけれども、来週も十三日が定例閣議のはずですから、私は、おそくとも十三日の閣議できめて、直ちに提出の手続をしても、印刷等の関係で十五日になるのではないかと思う。それ以上延びることは、今国会の成立に対して、口では言っても、政府は熱意がないという証拠であろうと思うのです。私は、重ねて、来週中にも努力するなどということではなしに、はっきりした御答弁を要求いたします。
同時に、先ほど私も触れましたが、この政治資金規正法提出がおくれておりますのは、いま言ったように、はっきりと政府の責任です。その政府の責任でおくらせておきながら、会期延長の口実に使うということは、私は、あまりにも無責任で承服できない事柄です。(拍手)少なくとも政治資金規正法の審議を会期延長の理由にしないということだけは、この際はっきりしておいていただきたいと思う。
それからもう一点、十分尊重する、小骨も何も一本も抜かない。まことにけっこうです。しかし、私どもの解釈によれば、すでに小骨ではない、かなりの骨が二、三本抜かれていると思う。これはさっき私が指摘したとおりです。緊急に措置すべきものを政令にゆだねて、実施時期を大幅にずらすということも、これは答申違反です。政府関係の金融機関から融資を受けたもの、一割以下のもの、あるいは請負関係にあるもの、一割以下のものを取り除くということも、これは答申のどこにもないことであって、答申の骨を明らかに抜いております。(拍手)そればかりではない。おそらく、きょうも、あすも、あさっても、どうして骨を抜こうか、抜こうかと苦心、努力されるに違いないような気がして、私どもは心配でしかたがありません。
いずれ内容につきましては、提案された後に詳しく御質問いたしますから、私は内容には特に詳しくは触れませんけれども、ただいまの総理大臣の、小骨一本も抜きませんという御答弁は、すでに抜いたと私ども解釈しております。実施時期の問題と、一割以下の除外の問題を、答申の線に引き戻すということを意味するものかどうかを伺っておきたいと思います。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/10
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011・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
重ねてのお尋ねでございますが、政府は、急いでこの改正案を提案するつもりでおりますから、先ほどお答えいたしましたように来週中にもこれを出す、これを御了承いただきたい。(「そうはいかないよ」と呼び、その他発言する者あり)いかないとおっしゃいますが、これが答えでございます。私の答弁でございます。
その次にお答えいたしますが、これを理由に会期を延長してはいかぬ、国会の会期延長云々、これは国会の審議全般について考えるべきものでございます。さようにひとつ……。それについてとやかく申すのではございません。この点は十分国会の審議をしていらっしゃいます皆さんのほうがよく御承知だ、かように思っております。
次に、また骨抜き論が一席ございましたが、まだ私は原案を提案いたしておりません。その提案もしてないその案について、骨が抜かれておるとか、小骨がどうとか、こう言われることはよほど先走った御議論でございます。私自身が申すのは、政府の原案作成者でございますから、それは差しつかえございませんけれども、野党の皆さんが、まだ原案も見ないうちからとやかく言われることは筋が立たない。(拍手)どうか、国会に原案を提案いたしましたその暁において十分御審議賜わりますようお願いをいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/11
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012・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 次に、門司亮君提出、政治資金規正法提出遅延に関する緊急質問を許可いたします。門司亮君。
〔門司亮君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/12
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013・門司亮
○門司亮君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政治資金規正法の提案が非常におくれておりますることについて、政府の所信をただしたいと思うのでございます。私は、主として総理大臣にお尋ねをいたしますので、総理大臣から、ただいまのような、何か感情の高ぶったような答弁は、ぜひ避けていただきたいと思います。
私がこう申し上げますのは、民主政治の基本をなすものは何であるかといえば選挙でございます。選挙が公正に、きれいに行なわれるときに、初めて自由国家としての民主政治が行なわれるものであるということを、総理大臣はよくお考えを願っておきたいと思うのでございます。(拍手)したがいまして、選挙に関するすべての法案は、憲法に次ぐ大法典と申し上げましても、民主政治の今日においては決して差しつかえのないものであろうかと私は存じます。(拍手)
この法律をどうしても早く出さなければならない背景については、同僚各位のほうがよくその内容は御存じのことと思いますので、この点には触れませんが、この問題に対して選挙制度審議会におきましても、御承知のように、昨年の十一月十一日に第五次選挙制度審議会が成立をいたしましてより、その中で最も緊急を要するものは何であろうかということを検討いたしました結果、区割りの問題もございましょうし、また、現行選挙法自体をどう改正するかということも一つの大きな課題でございましょう。さらに、今日の参議院の制度をどうするかというようなことも、一つの課題であることに間違いはございませんが、昨年来の政界の不祥事は、国民に対して非常に大きな政治に対する不信感を与えておることは御承知のとおりであります。国民が政治に不信感を抱いてまいりますならば、その国の政治は必ず腐敗堕落を急速に始めていって、国家の存立すら危うくなるであろうことは、古今東西の歴史を見れば、よく皆さんも御承知のことと思います。(拍手)また総理も御存じのことと思います。したがいまして、選挙制度審議会は、当面措置すべき問題として、まず政治資金規正法を改正する必要があろうということで、前後十回にわたりまして、島田さんを小委員長といたしまして、審議に審議を重ねてまいりました。本年四月七日の総会においてこれを決定し、十日に総理大臣にその全貌を答申したことは御存じのことと思います。したがいまして、私は、こういう形の中で審議されましたこの選挙制度審議会の苦労と申し上げますか、熱意に対しては、政府はこれを一体どう受け取っておいでになるか、最初に聞いておきたいと思うのでございます。
同時に、もう一つの問題は何であるかといえば、先ほど同僚島上君からも申し上げましたように、三十六年の第一次の審議会の答申は、五年間というような期限を入れておりません。直ちに個人並びに党費によって党の運営をまかなえという答申をいたしております。しかし今回のこの答申は、それよりも後退をしておるのであります。五年間という期限をつけたことは、後退しておるということを意味するものである。なぜ一体審議会がこの後退を認めなければならなかったかというと、直ちに第一次の答申と同じような角度から出すということになりまするならば、今日の政党間におけるいろいろな混乱が生じて、より以上この法律の運用が困難になるであろうということを配慮いたしまして、きわめて親切な態度で審議会が答申したものであるということを、総理にはひとつよく考えていただきたい。この私の考え方に対して総理はいかようにお考えになるか、最初に御答弁を願いたいと思うのでございます。
さらに、内容等につきましては、私からいろいろ申し上げるまでもなく、皆さんも御承知のことであり、先ほど島上議員からも申し上げましたので、率直に私は聞いておきますが、いまのように、来週中にも出すかもしれないというようなあいまいなことでなくして、すでに答申して一カ月たっております。今期はあと二十日しか残っておらない、こういう時点でございますので、総理大臣は、責任を持っていつ幾日に出すということを言い切れるだけの熱意がなければ、この法案の成立はむずかしいと考えられる。また、国民は今日の時点において私はそれを要求しておると考えておる。
同時に、この法案は単に国会審議としてわれわれがこれを取り扱うということだけではございませんで、先ほど申し上げましたように、政治のきわめて腐敗、堕落した今日の政界をいかに粛正するかということについての問題でございます。したがいまして、対象は、単なる普通の法案のように国会対政府ではございません。この法案の内容すべては、あげて国民に対する政府の姿勢と国会の熱意を示すというところに、私は大きな意義がなければならないと存じ上げております。したがいまして、単に国会における与野党の取引であり、あるいはやりとりであるというようなお考えに総理がお立ちになっておるとするならば、非常な認識不足だといわなければならないと存じ上げます。(拍手)この点、国民に対する一つの大きな政党政治をなすものの任務としての問題であるという私の考え方に対して総理はいかようにお考えになるか、御答弁をわずらわしたいと存ずるのでございます。
さらに、この問題の最も大きな要素として考えなければなりませんことは、いままで出されなかった理由の中にどういうものがあるかということを私はこの際明らかにしていただきたい。これは単に野党のわれわれに示すというのではございませんで、これもさっき申し上げましたように、審議会が答申してから、もう一カ月もたっておって、まだ政府の原案というものが見られない。自治省の案はたびたび出てまいりますが、これは出るたびに変わっております。わが国の民主政治がほんとうに議会制民主主義の立場に立って政治の行なわれるような、きれいな選挙が行なわれるようになるであろうかどうかということは、国民の大きな期待だと私は考える。したがって、単に私に答弁をするということでなくして、国民に答弁をするという立場からひとつお答えを願いたいと思うのでございます。私はできるだけ早くこの法案を国会に提案をしてもらいたい。私ができるだけと申し上げておりますのは、委員会その他で、あるいは与党の各位ともいろいろお話を申し上げましたように、どう逆算いたしてまいりましても、この週中に出すか、おそくとも来週の初めに国会に提案をしていただきませんと——今国会の一応の最終は今月の末日であります。これを逆算いたしてまいりまして、参議院までどうしてこれが通るかということを考えてまいりますならば、また、政府の熱意と、政府がこの法案に対する国民への答案としての責任をお考えになるならば、当然この際、いつ幾日の閣議にかけて出すということの言明をしていただかなければ、私は、私どもがここで緊急質問をいたしましても、その効果は半減されるどころか、全く総理大臣にほんろうされるような形になりはしないかということである。これは単に私どもに対する不信だけでなく、国民への不信でもあろうかと私は考えますので、どうかひとつこの機会に、ぜひその提案の日にちあるいは閣議決定の日にちを明確にしていただきたいと思うのでございます。
さらに、その次に聞いておきたいと思いますことは、御承知のように、この種の法案は、きわめて複雑多岐にわたるというよりも、むしろ選挙法の改正というようなものは、個々の議員の立場に立って考えますならば、五百人おれば五百人の意見が当然出てくるものでありまして、これをまとめるということは容易なことではございません。そこで、私が総理大臣に要望いたしますことは、従来、わが国における歴史を見てまいりましても、たとえば、小選挙区にしたこともございます。あるいは大選挙区の連記制にしたこともある。さらにまた、いまの中選挙区制に戻したこともございます。これらの大きな選挙法の改正のときに、歴代の総理がとってまいりました態度は、——決然たる総理の態度がなければ、これは党に諮問し、党の代議士諸君の意見を全部まとめてということになってまいりますならば、五百人いれば五百様の意見が出てくることはあたりまえであって、当然、そういうことでは、この法案がまとまる性質のものではございません。私は、かくのごとき、国の憲法に次ぐというようなこの聖典をまとめようとするならば、総理の決断によってこれを行なうという総理にかたい決意がなければ、この種の法案は成立しないものであるということは、過去の歴史がよく物語っておる。私は、今日じんぜんとして日を送っておいでになりますことや、与党の諸君の意見を聞かれることも一つの方法かとは思いますが、それにこだわっておったのでは、この法律の成立は危ぶまれる。私は、この際、総理にその決断を要求申し上げるのでございます。(拍手)
総理は、与党の内部において、いろいろな意見はございましょうが、しかし、それをできるだけすみやかに収拾して、国民に対する答えとして、総理の決断をこの際強く私は要求いたしまして、私の質問を終わりたいと存ずるのでございます。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/13
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014・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 門司君にお答えいたします。
これは御指摘、また御意見を述べられましたように、選挙に関する法律、これは申すまでもなく、民主政治あるいは議会政治を守る上からも、また、その健全な発達を願う上からも、最も大事な基本法であります。私は、その点で、御指摘になりましたことに、全然全部同感でございます。これは私が申し上げるまでもなく、御指摘のとおり大法典だ、かように思っております。したがいまして、この取り扱い方も実はそう簡単ではなかったのであります。私はそういう意味で答申を得てから、政府がずいぶん長い間時間を費やしたじゃないか、かように言われること、その点は先ほども社会党の方にも私まことに遺憾に思うということを申したのでございますが、これが基本的なものであり、関係するところも非常に広いのでありますから、それらの準備、検討のために時間を要したことは、これはまた了としていただきたいと思います。
この問題は、三十六年の第一次以来、経過をるる御説明になりました。私も現状において取り上げるべき事柄、その最小限度のものを選挙制度審議会は答申をしたのだと思います。この答申は、先ほど設置法を読み上げましたように、政府自身がこれを尊重する義務がある、責務があるのであります。したがいまして、私どもは忠実に答申を尊重するつもりでおります。これは重ねてお答えをいたしておきます。
しかし、将来、個人献金並びに党費によって政党はまかなわれるべきものだ、これが望ましい姿というか、本来の姿、本然の姿だ、そうあるべきだ、かようには指摘しておりますが、御意見にもありましたように、これを今日直ちにとめることは、現状を混乱さすだけだ、そういう意味で、審議会は、五年のうちにこの目標を達成するように、こういうことを政党に対して期待した意見を述べておるのであります。私は、先ほど社会党にお答えいたしましたように、五年ということに限った立法はいたさなかったが、さらに皆さん方のほうで、審議の機会に十分御意見を伺いまして、そうして、これについて適当な処置ができるなら、それについても、私ども、考えるだけの余裕は持っておるんだというお話をしておりますから、どうか審議を通じまして建設的にこれらの点にもお触れを願いたいと思います。
私どもは、こういう事柄については、政党自身みずからが近代化あるいは組織化をはかり、そして、ただいまの政治資金の本然の姿によってまかないができるように努力はいたしますが、この努力がもし行なわれないならば、それらの政党は、だんだん国民と遊離する、こういうようなことにもなるのではないかと思います。したがいまして、党の運営から申しましても、これは審議会の示しておるその方向において努力すべきことだ、かように私は考えております。
次にお答えをいたしますのは、この審議会の答申、これを実施することは国民に対するわれわれの任務だ、これは政府ばかりではないと思います。これは同時に、国会の諸君もその任務の一端をになわれるものだと私は思います。そうして、御意見にもありましたように、五百人集まれば五百人の意見が出るものだ、選挙に関する法規は、そういうような意味を持つものだ、こういう御指摘であります。私自身も、ただ与党だけの意見の調整にじんぜん日をむなしゅうしておるのではございません。与野党全部について今回の答申があったものだ、かように考えておりますので、与野党の全体の方々の御協力を得るような案、これが答申の線だ、かように考えて、ただいま原案を作成しておるのであります。私が来週中にもという表現をいたしましたことについて、たいへん御不満のようでございます。しかし、私はこの席において責任を持ってお答えいたしますのは、これはできるだけ早く出したい。さらにそれも来週中にも、かように申しておりますので、具体的な御意見もただいま述べられましたが、十分政府はその具体的な御意思も尊重いたしまして、皆さん方の御期待に沿うようにこの上とも努力するつもりでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/14
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015・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 次に、伏木和雄君提出、政治資金規正法改正に関する緊急質問を許可いたします。伏木和雄君。
〔議長退席、副議長着席〕
〔伏木和雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/15
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016・伏木和雄
○伏木和雄君 私は、公明党を代表して、政治資金規正法改正に関し、総理に質問を行なうものでございます。
この法改正は、国民が広く注目をしておるところでございます。したがって、国民大衆によく理解ができるように親切丁寧なる御答弁をお願いする次第でございます。(拍手)
第五次選挙制度審議会より総理に提出された答申の精神は、「政党は、議会制民主政治の基盤である。政党の活動は、公明正大で、かつ、清廉潔白でなければならない。また、民主国家における選挙は、明るく正しく行なわれなければならないことも当然である。昨今、政治資金をめぐって国民の疑惑を招くような事態が生じ、また、総選挙においては買収、饗応等の悪質犯罪があとを絶たなかったことは遺憾に堪えない。」と冒頭に述べているのであります。これは現今の政治の体質に対する国民の弾劾の声を代弁し、そのための政治資金の規正をより望ましい形に改めるよう要求したものであります。(拍手)
したがって、私ども政治家は、この答申を受けるにあたり、まずみずからを省みて、国民の信頼にこたえる厳粛な姿勢が必要とされるのは当然であると考えます。総理はいかなるお考えをお持ちでしょうか、まずお伺いいたします。
この答申は四月十日に提出され、以来約二カ月の月日が浪費され、ようやく自治省案が自民党に示されたのであります。総理は、四月十一日の答申受理以前においても、わが党の政治資金規正の改正を迫る質問に対し、すべて答申待ちの姿勢で言を左右にし、答申が出ればすみやかに国会に提出すると答弁し、さらに総理は、答申提出後も、しばしば、答申尊重、早期国会提出を述べてこられたのであります。ところが、本日までの政府並びに与党の経過をたどると、国民の至上命令は全く無視されたのであります。政府は本気でこの法案を成立させる気でいたのか、本気で取り組んでいたのか、疑わざるを得ないのであります。(拍手)
総理、あなたは今日までの国会答弁を全く踏みにじり、国会提出を延々とおくらせた理由について、国民に対して何と釈明するか、納得のいく答弁を願いたいものであります。(拍手)
ことしの最も重要なる政治課題である本法案審議は、十分なる時間をかけた慎重なる審議をすべきであると思うのでありますが、今期もあと余すところ二十日余り、十分な審議は事実上不可能であります。単に政府と与党との折衝のための日時を使って、ゴールの日限がきめられた中で、これは審議権を事実上奪っているのと同じであります。今後、法案提出も含めて、どのような構想を持っておられるか、あらためて総理の見解をお伺いしたいものであります。(拍手)
野党のこの法案成立の熱意は御承知のとおりであります。むしろ、与党の今期内成立への熱意は、今日の結果から見るとき、はなはだ疑わしく、まさに与野党その所を変えているかのごとき感があるものであります。
このような観点に立って、総理は、今国会会期中に成立を期しておられるのか、確信のほどを重ねてお伺いするものであります。
次にお伺いしたいことは、総理並びに自治大臣が絶えず言明をしてきた答申尊重についてであります。
昨年来の黒い霧事件について、総理は、勇断をもって積年の病弊を除くと述べたことをいまだ忘れていることはないと思うのであります。一日一日と法案提出が延びるたびに、残念ながら骨が一本一本抜かれ、でき上がった自治省案は、全くの骨抜きとなってしまったのであります。
わが公明党は、すでに過去数回にわたり参議院において改正案を提出し、会社、団体の献金については一切認めず、個人に限ることを主張してまいりました。したがって、答申それ自体にも不満ではありましたが、せめて答申中、五年を目途に団体、会社の献金を禁止する項目を法文化することを主張してまいりました。
デモクラシーの基礎はあくまでも個人であります。何人たりとも平等の立場においてすべての国民が政治に参加するところに民主政治の理念があり、この形態をつくり上げるところに近代政党としての自覚がなければならないと思います。したがって、政治を大口の献金者のみの独占物にするようなことは断じて許せないのであります。(拍手)この最も重大な点を取り除いてしまっていることは、あくまでも会社等の大口献金を続けようとの考えであり、本来あるべき姿の政治献金は個人に限ることに一片の考えも持たないといわなければならないのであります。
わが国政界にあって政党の近代化は各界から要望されているのであります。政党近代化の立場より、近い将来献金を個人に限るべきであると思うのでありますが、総理の考えをお伺いするものであります。(拍手)
なお、その他の問題点をあげてみると、国または公共団体との請負契約のある会社や、政府関係金融機関からの借り入れ金のある会社等の献金を認めている点、施行期日は政令で定めるという点、さらに、制限違反を歓迎しているかの感も与える罰則の緩和等、多くの骨抜きが明らかにされております。しかし、これらの幾多の問題点については法案提出後の審議において質問することとして、次にお尋ねしたいことは、今後の問題であります。
自民党内部には、これだけ骨抜きされた政府案要綱がまだきびし過ぎる等の声をたまたま聞いております。いまだに閣議決定もできないのは、これ以上政府案を緩和するためなのか、あるいは政府案で党内を説得するためなのか、明らかにしていただきたいものであります。
さらに、両輪論等の全く筋違いな議論すら出ているようであります。政治資金規正法改正は、選挙や政治に金がかからないよう、総理が諮問して出発したのではないでしょうか。区制の大小が必ずしも出費の大小とは限らないことは、十分承知のはずであります。地方議会の選挙でも数百万の費用をかける人すらあることは、それを明らかにしております。規正法の改正は、答申にもあるごとも、当面緊急に措置することを要する事項として、さしあたりこれを実施することを要求しているので、区制もろともという両輪論は、答申の精神にさからうものであり、これはむしろ規正法改正案と相打ちを意図したことであり、国民はどうしても納得できないのであります。総理は、小選挙区制を近い将来予定しているか、忌憚のない御意見を承りたいのであります。
最後に伺いたいことは、政府の法案提出のあり方であります。
答申を立法化する過程にかなりのむずかしさのあることはわからないものでもありませんが、あまりにも与党との話し合いに力を入れ、国会審議を無視した感を受けているのであります。ある程度与党との話し合いはしたとしても、政府はすべての法案はできる限り早く提案し、国会において与党も質問に立ち、少数党の意見も尊重し、修正すべきは修正し、よりよき法律にしていくことが、真実の議会制民主主義の姿でないかと考えるものであります。(拍手)提案した以上一歩も引かないという片意地な審議を改めるべきであります。野党の修正に応ずる気持ちはあるのかないのか、明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
さらには、聞くところによると、与党議員の提案により大骨まで抜いてしまうといううわさを耳にしております。すなわち、選挙の際の特別措置等の修正であります。自民党総裁としてもこのようなことを考えているのかどうか、最後に承りたいと思います。
以上、改正案提出及び今後の国会運営についてお尋ねをして、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/16
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017・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 伏木君にお答えいたします。
ただいま、選挙制度審議会から答申を得ました政治資金規正の問題、これは私は、国民の至上命令といいますか、政治資金、これが公正、適正に扱われなければならないという、そういう国民の至上命令だと思っております。そういう意味で選挙制度審議会の答申を尊重する、こういうことで私は国民の期待にこたえるものだ、かように思って、ただいま原案の作成を自治省に命じたわけであります。この問題は、先ほど来たびたびお答えいたしましたように、私は、たいへん今日までおくれたことを遺憾に思っておりますが、これから先、もうできるだけ早く、また来週中にもこれを国会に送る、こういう決意をいたしておりますので、どうか国会に送られました上は、十分審議を尽くしていただきたいと思います。御意見にもありましたように、もちろん、原案は政府がつくりましたが、しかし、審議し、それを成立さすのは国会でございます。また、そういう意味では、与野党どの政党の意見をというような区別をするつもりはございません。りっぱな御意見であれば、必ずその意見が通るものだ、かように私は確信をしております。ことに、先ほども門司君にお答えいたしましたように、今回のこの改正は、私どもが議会制民主政治を守るという、その立場に立って、そしてりっぱな民主政治を行なうために、公明正大な選挙が行なわれるように、また、党運営がやられるように、こういうところからの改正でございますので、いわゆる党利党略にとらわれることなく、国家の長期にわたる大計のもとに、ことにまた、政治のあり方というその基本問題と取り組んでこの問題を解決したい、かように私は念願もし、また皆さま方にそのお願いもし、政府自身もそういう意味で姿勢を正しておるつもりであります。どうかそれらの点についての忌憚のない御意見を委員会において十分聞かしていただきたいと思います。
また、政治資金は、党費あるいは個人献金によってまかなわれることが望ましいという、これはしばしばお答えしたとおりでございます。しかし、それぞれの国の実情にも合わなければならないのであります。たとえば、わが国などは、個人というよりも、ただいまは法人組織の——税でも法人税がたいへん中心をなすように、この法人というものが一つの社会組織としてりっぱな活動をしておりますので、ただいま、政党の場合におきましても、この法人を全然無視することが適当なりやどうか、これらは私はひとつ委員会でも十分御議論を聞かしていただきたいものだ、かように思います。私はあえてこの点を主張するわけではございませんけれども、十分ひとつ御検討願わないと、実情に合わないというところに無理がくるのでございますから、そういうことのないようにいたしたいものだと思います。
次に、区制についての御意見がございました。私は一体どういうように考えるか、こういうようなお尋ねであります。ただいま選挙制度審議会が全般にわたっていろいろ審議しておると思います。総理としての私の私見をただいま御披露するような段階、また、そういうような事柄ではない、かように思いますので、せっかくのお尋ねではございますが、私は意見を差し控えさしていただきます。
ただ、重ねて申し上げますが、選挙制度審議会設置法の第三条の趣旨だけは十分御理解賜わりまして、どういうような意見が出てまいりますか、十分ひとつ尊重するということに徹していただきたいと思います。
また、車の両輪論にも触れられましたが、私が先ほどもお答えをいたしましたように、今回、政治資金の問題だけを緊急措置すべき問題として取り上げられ、そして審議会が答申をしたこと、これは政府としては十分理解しておりますから、その点で誤解はございません。したがいまして、いわゆる両輪論というものを、そのまま私はとやかく申すわけではございません。ただ、この際に、先ほども申しましたように、この政治資金規正そのものは、全般の問題、広範にわたる問題でもあり、そういう意味から両輪論が出てきたこと自身を無視することはいかがかと私は思います。しかし、政府がこの際に取り上げておるこの政治資金規正の問題、また、審議会が分離してこれを取り上げたその趣旨は誤解していないつもりでございますから、どうか御審議の際に十分さような立場で御検討願いたいと思います。(拍手)
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日程第一 地方交付税法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
日程第二 昭和四十二年度における地方財政
の特別措置に関する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/17
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018・園田直
○副議長(園田直君) 日程第一、地方交付税法の一部を改正する法律案、日程第二、昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/18
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019・園田直
○副議長(園田直君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員長亀山孝一君。〔報告書は本号末尾に掲載〕
〔亀山孝一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/19
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020・亀山孝一
○亀山孝一君 ただいま議題となりました二法案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、地方交付税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、地方団体の行政経費の増加に対処するため、地方交付税の単位費用を改定するとともに、地方交付税の算定方法の合理化をはかるため、経費の種類、測定単位、測定単位の補正方法等を改めようとするものであります。
次に、昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案について申し上げます。
本案は、地方財政の健全な運営をはかるため、昭和四十二年度に限り、地方団体に対し臨時地方財政交付金を交付することとし、これに伴い、同年度分の普通交付税の額の特例を設けるとともに、基準財政需要額の算定に用いる測定単位、単位費用等の特例を設けようとするものであります。
両法案は、ともに五月九日付託され、同十一日藤枝自治大臣から提案理由の説明を聴取した後、同二十四日には本委員会に参考人を招致して意見を聞くなど、慎重に審査を行なったのであります。六月二日、質疑を終了し、採決の結果、両案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、地方交付税法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党共同提案により、都市特に大都市における財源の充実をはかること、地方債における政府資金を大幅に増加することなどを内容とする附帯決議を付することに決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/20
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021・園田直
○副議長(園田直君) 両案につき討論の通告があります。これは許します。井上泉君。
〔井上泉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/21
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022・井上泉
○井上泉君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案並びに地方交付税法の一部を改正する法律案につき、反対の討論をいたすものでございます。
民主政治の基盤といわれる地方自治に関するすべての法律案は、わが国の民主政治を発展させていく上においてきわめて重要な役割りを持っておることは、万人周知のところでございます。しかるに、この二法案とも地方自治の発展とはほど遠いものであることをまことに遺憾千万に思うものです。(拍手)
まず、昭和四十二年度の地方財政につきまして、政府はきわめて楽観的な見通しを持っておられます。はたして、地方財政は健全な道を歩み、楽観してよいものでありましょうか。断じてそうではありません。本年度を現象的にとらえるなら、あるいは昨年度よりよいかもしれません。しかし、この数年来の財政難の中にあって、住民の各種の行政措置要求の声に、あえいでいた地方自治体が、これを解決するための地方財政そのものの根本的対策には全く手がつけられていないのでございます。このことは、わが党が従来から指摘しておりましたことでございます。たまたま税収が伸びたからといって単年度計画策定が楽になったにすぎません。これとても、住民の要求不満を解消する財政内容でなく、もちろん、本質的な不安定、不健全な要素は依然として解決されないままになっております。このことは、政府みずから証明をしております。
すなわち、本年度の地方財政対策については、当初、自治省は、千四百二十億円の財源措置を必要とし、要求したにもかかわらず、予算編成の段階で削減され、最終的には、たばこ消費税の引き上げや臨時地方財政交付金等により七百五十一億円が措置されたにすぎません。これは地方財政の抜本的強化とはほど遠いものといわざるを得ません。(拍手)
昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案に盛られている臨時地方財政交付金百二十億円は、本年度限りのものであり、しかも、その中身はまことに承服しがたいものであります。
ただいま委員長報告にありましたように、第一種交付金のうち五十三億円は、四十一年度に発行された特別事業債の元利償還金に充てるために、便宜上普通交付税と合わせて算定されるものであり、特別事業債の元利補給という性格、または、各団体の元利償還額が異なるという点等を考慮すれば、各団体の実績を基礎とした元利補給方式をとるべきでありましょう。
また、昨年特別事業債に振りかえられた公共事業費の地方負担分にかかる元利償還金については、国の責任において措置することが国会で決議され、政府もしばしばその実行を約束しているにもかかわらず、明年度以降においては、多額にのぼると予想される償還金に対する財源措置が明らかにされないことは、国会の決議無視もはなはだしいものといわねばなりません。(拍手)第二種交付金は、市町村道の道路に案分し、市町村及び特別区に対し交付するものであり、私どもは、市町村に対する道路目的財源獲得の方向としては認めますが、しかし、御承知のように、政府は、昭和四十二年度より向こう五カ年間の道路整備計画をその総事業費六兆六千億で決定し、そのうち地方単独事業費は一兆一千億に達しております。この事業別配分でまことに特徴的なことは、当初要求した一兆九百億円に百億円の上積みをし、一方においては、要求総額七兆三千億円が六兆六千億円に削減されていることであります。これは、全体を削減しながらも、国の財源措置を伴わない地方単独事業を上積みして、国民の目をごまかし、地方財政に重圧を加える措置としか受け取れません。(拍手)一部独占の利益に奉仕する産業道路、高速道路には多額の国費が投入されながらも、一方、地域住民や零細中小企業者たちが日常利用する市町村道、わけても裏町、農山村の道路は昔のままに放置され、雨降れば泥土の中に、晴れれば砂じんもうもうの中に放置され、しかも、増加する車両により交通地獄の中に立たしめているという現実の地方道の姿に対し、この整備拡充は緊急、重要なことであるにもかかわらず、これに対する国の道路整備費は、市町村に対し全くゼロであります。昨年十二月、地方制度調査会は、「国から地方団体特に市町村に道路目的財源の移譲を行なうとともに、道路整備計画の改定とも関連し軽油引取税等の増強について必要な措置を講ずべきである。」と答申し、これを受けた自治省は、市町村道路目的財源として百三十三億円を要求したにもかかわらず、臨時交付金という中途はんぱな形で、しかも、本年度単独道路事業費一千八百億円という需要に対する二十五億円とは、どこに社会開発、どこに人間尊重の政策が存在するのか、全く国民無視の政治といわざるを得ません。(拍手)このような態度では、いつまでも住民の道はよくなりません。なぜ政府は、みずから求めたところの地方制度調査会の答申や地方団体の声を聞き目的財源を与えないのか。私どもは、この住民の要求にこたえず、議会の決議や答申を無視した財政措置に対して、賛成することはできないのであります。(拍手)次に、地方交付税法の改正案についてでございます。本年度の交付税総額八千九百二十一億円は、なるほど、前年度に比較すると一千四百五十四億円増加しています。このことは、表面的には、地方税収の伸びと相まって、昨度年に比し、かなりゆとりのあるものと受け取れますけれども、昨年度においては、一般的財源の不足を補うため、投資的経費の需要額を減額し特別事業債に振りかえる等、異常な措置がとられたことに対し、本年度は、道路費、河川費等の投資的経費を復元のため、単位費用の引き上げと事業費補正の復活が行なわれたことは、当然だとはいえ、けっこうなことであります。しかしながら、交付税が一般財源的な役割りをもって地方の財源調整と財源保証という両面から見たときに、または、数年来の地方財政の困窮による自治体固有の業務の圧縮、委任事務の増加による財政負担、ばく大な超過負担の現状等から見て、財政負担の打開にはほど遠いものがあります。
さらにはベトナム特需、軍事的産業の性格を持つ現在の重化学工業中心の経済政策は、急激な人口の流動を来たし、地方団体間の財政力の格差と、また、流動する人口によって生ずる都市の過密化、一方における膨大な地域における過疎化の状態から見て、交付税制度の持つ役割りはきわめて重大なものがあります。しかるに、交付税制度は、昭和二十九年に発足し、十二年を経過したものであり、今日の社会経済状態に即応した仕組みに改めることが必要であります。本改正案において、交付税算定の基礎となるべき基準財政需要額の算定の方法については、一部改善の点は見受けられても、決して前段申し上げましたような今日の地方団体の現実に即した算定方法とはいえません。毎年行なう末梢的な、小細工的な継続としかいえないのです。このことは、依然として地方団体の行政水準を前年度並みに維持するのが精一ぱいということであります。人口百七十万の県、人口十万の市町村という標準地方団体のとり方にも問題があり、投資的経費、人口の過密、過疎地帯に対する基準財政需要額の算定等、多くの問題を残しており、さらには、交通安全対策、公害対策に要する経費を単位費用として設けられていないことに大きな不満があります。現実に地方団体に対し加速度的に国の委任事務が増大しており、赤字公債発行はさらに地方団体の財政負担を増大さしていることからも、まず、現行交付税算出の基礎並びに交付税率を引き上げるべきであります。こうした問題について何ら手がつけられていないことにおいて、私どもは反対せざるを得ないのであります。(拍手)政府は、交付税率の引き上げと、地方自治の本旨に基づき、地域住民の福祉のため、地方道路費、下水道費、教育、衛生費、農林漁業等の第一次産業の基盤整備、振興のための費用の測定に重点を置くべきであり、かかる点に対してもきわめて不十分なことを指摘いたします。私は、最後に、佐藤内閣が、ほんとうに国民の声を聞き、日本の民主政治を守るという姿勢があるならば、数回にわたる衆参両院の決議や地方制度調査会の答申を忠実に実行し、地方自治体に財政的にも自主権の確立をはかり、住民要求にこたえるべきであると考えるものであります。それがためには、政府は、すみやかに国と地方団体の事務の再配分、国税の移譲等の措置をいまこそ実行すべきであります。
この二法案が、こうした根本的解決とはほど遠く、その場しのぎの糊塗的な措置としか受け取ることのできないこと、しかもその内容もはなはだ不十分、不明確であることを指摘し、反対の討論を終わるものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/22
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023・園田直
○副議長(園田直君) これにて討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。
まず、日程第一につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/23
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024・園田直
○副議長(園田直君) 起立多数、よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第二につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/24
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025・園田直
○副議長(園田直君) 起立多数、よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
日程第三 交付税及び譲与税配付金特別会計
法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/25
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026・園田直
○副議長(園田直君) 日程第三、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/26
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027・園田直
○副議長(園田直君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長内田常雄君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔内田常雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/27
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028・内田常雄
○内田常雄君 ただいま議題となりました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この法律案は、ただいま可決されました昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案によりまして、本年度において地方公共団体に交付される臨時地方財政交付金百二十億円を交付税及び譲与税配付金特別会計において経理するために、その受け払いについての規定を特別会計法に追加するものであります。
この法律案に対しましては、去る六月二日、質疑を終了し、討論を行ないましたところ、日本社会党を代表して広瀬秀吉君よりは、地方財政に関する政府の配慮を不十分であるとする見地から反対の討論があり、また、民主社会党を代表して永末英一君よりは、地方財政に対する抜本的対策の欠除を不満としつつも、本年度の特別措置として賛成の討論がありました。
次いで、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決となりました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/28
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029・園田直
○副議長(園田直君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/29
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030・園田直
○副議長(園田直君) 起立多数。よって本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
戦没者の父母等に対する特別給付金支給法案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/30
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031・亀岡高夫
○亀岡高夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/31
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032・園田直
○副議長(園田直君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/32
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033・園田直
○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法案、右両案を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/33
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034・園田直
○副議長(園田直君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員長川野芳滿君。〔報告書は本号末尾に掲載〕
〔川野芳滿君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/34
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035・川野芳滿
○川野芳滿君 ただいま議題となりました二法案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
改正の第一点は、款症程度の障害者に対して、障害年金または障害一時金を受給者の選択により支給すること
第二点は、恩給法の一部改正に関連して、本法の障害年金、障害一時金、遺族年金及び遺族給与金等を、それぞれ増額するとともに、軍人軍属が日華事変中に不具廃疾となり、または死亡した場合に支給する障害年金及び遺族年金の額についても引き上げること
第三点は、祖父母等に対する遺族年金等の支給要件を緩和するとともに、準軍属の遺族のうち後順位の者についても遺族給与金を支給すること
第四点は、勤務に関連する傷病による弔慰金の支給要件を緩和すること
また、未帰還者留守家族等援護法、戦傷病者特別援護法及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法につきましては、留守家族手当の額及び療養手当の額を引き上げるとともに、特別給付金の支給範囲を拡大すること等であります。
次に、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法案について申し上げます。
本案のおもな内容は、昭和十二年七月七日以後に公務上負傷し、または疾病にかかり、これにより死亡した者の父母または祖父母として、本年四月一日において、公務扶助料、遺族年金、遺族給与金等の年金給付を受ける権利または資格を有する者であって、戦没者の死亡の当時他に子も孫もなく、その後本年三月三十一日までの間に子も孫も出生しなかった者に対し、十万円の特別給付金を支給すること等であります。
両法案は、四月六日本委員会に付託となり、自来熱心なる質疑応答が行なわれたのでありますが、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、両法案はいずれも原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対しましては附帯決議を付しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/35
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036・園田直
○副議長(園田直君) 両案を一括して採決いたします。
両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/36
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037・園田直
○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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038・園田直
○副議長(園田直君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時四十四分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
自 治 大 臣 藤枝 泉介君
出席政府委員
内閣法制局長官 高辻 正巳君
厚生政務次官 田川 誠一君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02319670608/38
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