1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年二月五日(火曜日)
午前十時四十五分開会
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委員の異動
十二月十五日委員若木勝藏君、和田博
雄君、大野幸一君、堂森芳夫君及び駒
井藤平君辞任につき、その補欠として
河崎ナツ君、吉川末次郎君、赤松常子
君、草葉隆圓君及び平井太郎君を議長
において指名した。
一月二十三日委員赤松常子君辞任につ
き、その補欠として棚橋小虎君を議長
において指名した。
二月四日委員平岡市三君、草葉隆圓君
及び平井太郎君辞任につき、その補欠
として黒川武雄君、島津忠彦君及び北
村一男君を議長において指名した。
委員長の補欠
二月四日堀越儀郎君委員長辞任につ
き、その補欠として梅原眞隆君を議長
において委員長に指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 梅原 眞隆君
理事
加納 金助君
高田なほ子君
吉川末次郎君
委員
木村 守江君
高良 とみ君
高橋 道男君
堀越 儀郎君
山本 勇造君
荒木正三郎君
矢嶋 三義君
国務大臣
文 部 大 臣 天野 貞祐君
政府委員
文部政務次官 今村 忠助君
文部省社会教育
局長 寺中 作雄君
文部省調査普及
局長 久保田藤麿君
文部省管理局長 近藤 直人君
文化財保護委員
会事務局長 森田 孝君
事務局側
常任委員会專門
員 石丸 敬次君
常任委員会專門
員 竹内 敏夫君
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本日の会議に付した事件
○理事の補欠選任の件
○ポツダム宣言の受諾に伴い発する命
令に関する件に基く文部省関係諸命
令の措置に関する法律案(内閣送
付)
○教育及び文化に関する一般調査の件
(昭和二十七年度文部省関係予算に
関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/0
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001・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) それでは文部委員会を開きます。なお委員のかたで更迭もありましたので御紹介もしたいと思いますからちよつと懇談に移したいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/1
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002・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) それでは速記を始めて下さい。最初に理事の補欠に関して御協議を願いたいと思います。理事の若木勝藏君が文部委員を辞任せられましたので理事が一名欠員となりました。只今から理事の補欠互選を行いたいと思います。つきましてはこの互選の方法をどういうふうにいたしましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/2
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003・矢嶋三義
○矢嶋三義君 理事の互選につきましては成規の手続を省略してその指名を委員長に一任せられんことの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/3
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004・高田なほ子
○高田なほ子君 只今の矢嶋さんの動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/4
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005・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 只今の矢嶋君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/5
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006・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 御異議ないものと認めます。それでは私から若木勝藏君の補欠として吉川末次郎君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/6
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007・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 次にポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く文部省関係諸命令の措置に関する法律案の提案理由を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/7
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008・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 今回政府から提出いたしましたポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く文部省関係諸命令の措置に関する法律案について御説明申上げます。
ポツダム命令で文部省に関係あるものは全部で十八件あります。このうち、文部省が主として処理すべきものは十件でありますが、宗教法人令はさきに宗教法人法の附則で廃止され、又宗教団体法等の廃止に関する件は廃止することだけを規定したものでありますから問題はないと考えますので、残るのは八件ということになります。この法律案では、これら八件のうち存続すべきもの二件と廃止するもの五件を規定しておりまして残りの一件は別途措置いたすことにしております。
第一條は、存続すべき命令及び命令の規定を掲げたものであります。第一番目は、学校施設の確保に関する政令であります。従来これに基いて学校教育上支障のある場合には返還命令をして、これを返還せしめて来たのでありますが、今なおそのままになつている学校施設及び目下返還途上にあるものについても、今後必要に応じて返還させることができるようにこの政令を存続することにいたしました。第二番目は、明治三十九年法律第三十四号官国幣社経費に関する法律廃止等の件附則第三項であります。これは神社等が旧法令の規定によりその所有する宝物について既に登録してある場合は、宗教法人令の規定による登記とみなす規定でありまして、今日なお旧宗教法人令による宗教法人が存続している関係上この規定を存続せしめる必要があるわけであります。
第二條は、廃止しようとするポツダム命令の件名を掲げたものであります。
第一番目は、外国人に移転された著作権の登録及び保護に関する政令であります。これは、昭和二十四年四月四日付の覚書に基いて制定されたものであります。占領下におきましては、外国著作権に関する契約は、すべて連合国最高司令官によつて承認されなければならないことになつており、外国人の有する飜訳権に関する契約も、もとよりこの取扱を受けております。このような飜訳権に関する契約のうち、約千三百と推定される契約は、日本語訳の上に生じた飜訳者の有する著作権を、外国人たる原権利者に移転し、且つ、この移転について著作権法上の登録をしなければならないという條項を含んでいるのであります。この政令は、右の條項に基く契約上の義務を公法上の義務として、日本人に履行させようとするものであります。
主権回復後におきましては、外国著作権に関する契約は契約当事者間の合意のみを以て成立することになりますので、この政令を廃止することにしたのであります。
なお、主権回復後、相互の契約で著作権移転に関する登録を定めた場合においては、その登録は、著作権法及び同施行規則によつて取扱われることになるのであります。
第二番目は、国民学校等において使用する教科用図書の提出に関する件であります。これは、昭和二十年十二月三十一日付の覚書に基いて制定されたものであります。
これは、国民学校、青年学校、中等学校、師範学校、青年師範学校その他文部大臣の定める教育施設において修身、国史、地理の授業停止が命ぜられたことに伴い、昭和二十年十二月三十一日において使用中のこれらの教科に関する教科用図書五十八点について無償で国に供出させることを目的としたものであります。これらについては既に処理を終つておりますので廃止して差支ないと考えます。
第三番目は、外国映画の調査等に関する省令であります。この省令は、外国において製作した映画及び本邦において外国人又は外国法人が製作した映画について、所有者又は所持者に対し申告義務を課したものでありまして、既にその目的を果したと考えますので、これを廃止するものであります。
第四番目は、外国人の著作権の調査に関する省令であります。この省令は、大正十四年一月一日から昭和十六年十二月八日までの間に、外国人の著作物について外国人から著作権の全部又は一部を讓受け又は出版権の設定を受けた者に対し、報告義務を課したものであります。これも既にその目的を果したものと考えますので、廃止することにしたのであります。
第五番目は、連合国人の著作権の使用についての調査に関する省令であります。これは、連合国人が昭和十六年六月一日以降有した著作権を使用した者に対し、報告義務を課したものでありまして、さきの省令と同様その目的を達したものと考えますので廃止するものであります。
第三條及び第四條は、経過規定であります。
まず第三條は、外国人に移転された著作権の登録及び保護に関する政令第四條による登録申請の義務が発生している場合において、この政令が廃止されるときまでに登録申請を終つていないものについては、その登録はこの法律施行後も従前の例によることを規定したのであります。これはこの政令施行中に登録義務が発生した場合において、登録した者と登録していない者との間に不均衡が生じないようにするための措置であります。
第四條は、罰則の経過規定であります。国民学校等において使用する教科用図書の提出に関する省令以外の命令には、それぞれ罰則の規定がありますが、衡平の原則からして、これらの命令が有効でありました間になされた違反行為に対しては、主権回復後といえども罰則を適用する必要がありますので、その旨を規定したものであります。
以上が本法案の要旨であります。なにとぞよろしく御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/8
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009・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) これに対して質問なりいろいろあろうと思いますがこれはこの次の会に讓りまして、次に昭和二十七年度文部省関係予算の概略について先の会計課長でありました寺中教育社会局長から説明を伺いたいと思います。ちよつと懇談会に移りたいと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
午前十時五十八分懇談会に移る
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午前十一時一分懇談会を終る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/9
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010・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) それでは懇談会を閉じまして委員会を再会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/10
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011・寺中作雄
○政府委員(寺中作雄君) 新会計課長が休んでおりますので大変失礼でございますが私から代つて説明をさせて頂きます。来年度の文部省所管の予算でございますが、全体の総額は三百五十二億九千三百七十八万三千円でございます。ただこのほかに実際には文部省で使われる金でありますが便宜上農林省或いは外務省或いは大蔵省等に計上されておるものがございますので、それらを合せますと三百八十億余りになるのであります。これをこの文部省所管の予算を前年度の文部省予算に比べますと約八%の増額になつておりまして、これを政府総予算に比べますと四・一%でございます。この四・一%というパーセンテージは偶然にも昨年、即ち昭和二十六年度の政府総予算に対する比率と同率になつておるのでございます。
それではお手許に「昭和二十七年度予算重要事項別表」というものをお配りいたしましたと思いますのでそれに従つて御説明申上げたいと思います。なお部款項目別に説明をせよというようなお話があつたのでありますが、来年度の予算におきましては部款というものを廃止されまして「項」がまあ大項目になつておるのであります。そのほかに「組織」というものがありますがこれは文部省とか国立学校とかいうような組織でありまして要するに「組織」と「項」で成立しておるような形になつております。で項は大体ここに重要事項別表に挙げましたこれが大体項になつておりますので、細かいものは多少省略をいたしますが主なるものはここに挙げてございますので、これを御説明申上げれば大体御趣旨に副うかと思うのであります。最初に教科書無償配布の経費でございますが、これは三億六千四百万円でございまして、小学一年の国語と算数の教科書を国において買上げる、その経費は全額国庫で負担するという形になつておりまして、小学一年生の数は大体百五十五万人でございますので、その者に全員漏れなく国庫で負担をして教科書を配るという形になる次第であります。昨年までは半額負担でありましたが本年度はその点改善された次第であります。
その次が六・三制校舎の整備費でありますが、これは細かく申上げますとそこにありますように純六・三建物というものと、寒冷地屋内体操場、盲ろう学校建物、この三つを含めて六・三制の計画に入れておるわけでございます。純六・三の関係では大体二十三万九千坪を整備する考えなんでありますが、それが三十四億六千九百万円でありますが、これは大蔵省の計画から言いますと〇・七坪の完成を期するという目標で割出された数字でございます。併しながら文部省の計算で参りますと、それが要求の数字は三十九万五千坪になつておつたわけでありまして十五万坪の開きがあるのであります。これは昭和二十四年度にこの〇・七坪に対する不足坪数というものを出しまして、そうしてその不足坪数を毎年入れて行きました六・三制に対する補助金で補つて行きますと、二十三万九千坪でもう終りになるという計算になるのでありますが、実際は町村單位で計算するのでなくて、学校單位で計算しなければならない。要するに新單位による計算法に変りました関係と、それから鉄筋補正と申しまして鉄筋の建物になりますと廊下等の幅員が少し広くなるのであります。そういう関係で約十五万坪の差ができたわけなんでありまして、鉄筋補正の関係が三万坪、新分割に関する関係が十二万坪ということで、十五万坪は実際上〇・七坪の完成にまだ不足をしておるという事情なのでございます。單価等は大体値上げされた価額で計算をされておるのであります。そこでこれは現に地方に参りましてもこの三十四億円で六・三制は完成しないという実情がございますので、何らかの形でその不足の関係を補充しなければならないのでありますが、これを来年度もやはり〇・七坪の完成という形で要求をいたしますか、或いはこういう不足が生じておる所は主として戰災地が多いのでありまして、地方から戰災都市へ兒童が復帰する関係もあるわけでありますので、戰災地の復旧という形で要求いたしますか、とにかく何らかの名目によりましてこの不足坪数を補充しなければならないという実情に追られておるのであります。
それからその次は寒冷地屋内体操場の関係でありますが、これは坪数にいたしますと七千七百坪でございまして、これも実際は要求の十分の一くらいのものであります。その要求をいたしましたのは七万七千坪について要求をいたしておりますが、この七万七千坪は必要な坪数の四カ年計画のものでございますのでなお相当この完成には開きが生じておるという実情でございますが、今後この方面はなお充実を要する余地が多いのであります。
盲ろう学校の建物の関係は、これは義務制が三十一年度に完了をいたしますので、それまでの期間に必要な学校校舎を建築するという計画で進めておるのでございます。
それからその次の項目は科学研究費でございます。これは昨年まではこの科学研究交付金と民間団体補助金を合せて五億円でございましたが、それらの関係のものを全部集めました六億七千六百万円が今年の二十七年度の予算額になつております。科学研究交付金の関係は四億六千万円から五億六千万円、一億円の増額になつた次第であります。これによりまして大体総合研究については一件百万円百二十件、機関研究については一件百五十万円四十六件、各個研究については一件十万円千五百件というくらいの科学研究の交付金を出せる見込みになつております。その他この五億六千万円の中に試験研究補助、研究助成補助、それから輸入機械の購入費、それから研究論文の刊行費というようなものが入つておるのであります。それからその次の民間団体補助金でありますが、これを今年から切離したわけでありまして、現に民間研究所が六十五機関くらいあるのでございますが、そのうち真に日本の科学振興に役立つような研究をしておりますものを選びまして、日本学術振興会ほか三十四機関に五千万円を出すという予定にいたしておるのであります。特殊学術団体補助と申しますのは、これは備考に書きましたように開国百年記念事業会に千五百万円、日仏会館に百万円という形になつております。輸入機械購入費、これは従来大蔵省の海外拂の諸経費の中に計上されておつたのを今年から文部省に付けたわけでありまして、これが五千万円でありましてこの中には他省関係の科学機械の買入費も入つておる、こういうことになつておるのであります。以上が科学研究費であります。
次は在外研究員の選考派遣でありまして、これは長期留学生、短期留学生を合せた研究員の派遣費でありますが、長期留学生を十八人、短期留学生を十三人派遣できる見込になつております。その他に現在行つております留学生十八名の帰還旅費が含めてあるのであります。
それから私立学校振興会でありまするが、この内容については他の機会に御説明申上げたと思いますが、要するに従来私立学校に戰災復興等の形で貸付けました金が約十九億ばかりあるのでありましてその中には二十六年度の十億の金も入つておりまするが、一応その債権を投資いたしますのと今年の予算の二億六千万円を合せて大体二十二億くらいの資本を持つた振興会を作りましてこれによりまして私立学校経営費の短期の融資をやろうという目的で設立をする次第であります。
次は産業教育振興費でありまするが、これは六億七千三百五十八万円でありまして補助金に当るものは六億六千六百六十六万三千円という数字になつておるわけであります。その六億幾らのうちで約六億が高等学校の職業教育設備に補助され、又二千万円が中学校関係の産業教育施設に補助され、約四千万円が大学関係に入れられると、大学関係は国立並びに公私立が入つておるのであります。そのほかに内地留学生というような制度に約六百万円を盛られておる。こういう形で産業教育振興費が組まれておるのでありまして、国会方面から非常に御盡力を得ました産業教育振興法による内容がこれによつて一応の形が整えられたという形でございます。決して満足な数字ではありません。
次は日本育英会の事業でございますが、これは昨年度二十四億に対しまして二十九億五千九百万円約五億の増額でございます。併し一人当りのいわゆる單価は変更はないのでありまして大学は千九百円、高等学校は五百円でございます。大学関係が三年制から四年制に延びますので学生数が実質的にふえる形になります。そこで大体同じパーセンテージにいたしましても約五億の増額になつて来るのであります。この二十九億は高等学校三%、大学二〇・二八%、教育諸学生六〇%という形でございます。そのほかに遺家族子弟の育英資金が入つておるのでありましてこれは遺家族子弟のうの大学関係は五〇%、高等学校関係は三〇%、教育関上係は八〇%を見込みまして、その元の人数並びに遺家族関係を合せたものが約十七万二千名ばかりになります。このものに対する育英の貸付金が二十九億五千九百万円になる次第であります。
学校給食費として挙げておりますがこれは文部省関係ではなくして農林省所管の関係で取扱われることになつた次第であります。その数字を少し直しましたが、二十五億二千四百万円というのは大体一日一食百グラム二百十五日分の五百五十万人分のパンの給食に要する経費の半額でございます。これは食管特別会計の中で見られるということで農林省と話合いができておるわけであります。
それら運転資金の利子補給と申しますのは、これはミルクの購入費の運転資金、それに対する利子だけを見るという形でありまして、農林省の一般会計の食糧庁の予算の食生活改善費として上げられておるのであります。大体運転資金は年額にいたしまして四十億を要するのでありますが、それを四回回転にいたしまして一回分が十億、その利子補給が九千六百万円になるのであります。
それから次はユネスコ関係でありますが日本がユネスコに加盟をいたしまして国内委員会を作る必要があるのであります。で、この国内委員会の委員会運営費並びに各種の事業費、教育、或いは自然科学、社会科学というような各種の部門に亘るユネスコ関係の事業費、そういうものを合せまして二千二百十七万円を計上いたした次第であります。そのほかに外務省関係として国際分担金の予算並びにユネスコの会議出席旅費が大蔵省に計上されておるのであります。
次は勤労青年学級でございますが、これも職業教育振興の一環といたしまして、大いに増額を必要とした次第でありますが、きまりましたところは五百学級に大体一万円くらいの金を補助するような形になつておるのであります。額は五百一万円であります。
それからその次に国立文教施設費、これは十三億三千五百万円でありまして、昨年度から工事費が非常に上つておりますのでそれを考慮された程度の増額になつておるのであります。国立学校関係は戦災復旧も漸く五五%に進んでおるのに過ぎないというような事情でありますが、その上に国立文教施設の統合整備計画を立てましてできるだけ一カ所に集めて総合的な大学を樹立するためにはまだ相当多額の金を要するのでありますが、財政の都合から十三億程度のものを来年度得た次第であります。
それから文教施設災害復旧費、これは国立関係が一億二千万円、公立関係が二十億でございます。国立関係は二十六年度のケート台風、ルース台風の関係でありまして、公立関係は二十五年度のものが残つておりますのと、二十六年度のケート、ルース両台風の関係の災害復旧費、これを一括して二十七年度に計上した次第であります。
オリンピック大会の選手派遣費は、オリンピックは五十人、それからデビスカツプの庭球大会は四八の選手を派遣する、そのために必要な派遣費の半額でございます。オリンピック関係も予定いたしております人数は五十人より多いのでありますが、これは多少他にその財源を求めて派遣する必要があると思います。
その次は現職教育出席旅費補助とありますが、これは例の地方で行なつております認定講習の関係、通信教育の関係、その他を含めて来年度は百十万單位を出す形となつておりますので、それに出席するための旅費一日九十六円、その三分の一を補助するという形で一億というものが計上されておるのであります。
学徒援護会は二千七百万円から三千万円に増額になりましたがこれも物価騰貴に応ずる程度でございます。
通信教育費補助は六百七十四万円でありまして、これは現在通信教育生が、高等学校関係の通信教育の学生が二万七千六百人ぐらいおるのでありますが、来年度は一万人ぐらい殖えまして三万六千八百人になる。その一万人に要する増加分に対する補助費を見込んだわけであります。そのべースの関係の二万七千人については平衡交付金による地方費によつて賄うという方針になつておるのであります。
それから博物館設置運営改善でありますが、これは博物館法が国会の御盡力によつて成立をいたしまして、それによります博物館に対する補助金でありまして三百三十六万円に過ぎませんが、館数は補助に値いする博物館は大体四十六館程度でありますので、補助といたしましては一館当り七万円くらいの補助ができる見込であります。
それから中央教育審議会と申しますのは金額は大したことはないのでありますが、従来教育刷新審議会として内閣に設置されておりましたものを改組いたしまして文部省の審議会にいたしまして、講和後の教育行政確立のためにいろいろ助言を得る機関いたしたいという考えでございます。
その他を一括いたしまして十七億、これにはいろいろ細かい経費が一括して入つておるのであります。
本省関係は百四十億八千八百八十八万円になるのであります。
次は国立学校でありますが、これは昨年度、国立学校の全部は昨年百七十億に対しまして二百五億になります。約三十五億の増額でございます。主として人件費の増でありますが、その他に学生経費というものが一般の大学について二割増、附属学校について六割増を計上した次第であります。
それから厚生補導費と申しますのが一億二千七百万円ほど計上になつておりますが、来年度は事業量も多少増額をいたしますので、それに伴いまして学生の厚生補導に一段の力をいたしたいという考えでございます。
それから所轄機関の関係は文部省所属の各種の研究所の経費でありまして前年度と大した差はございません。
文化財保護委員会の関係におきましても総額において前年度と余り変りはございませんが、施設といたしまして京都の国立博物館、奈良の文化財研究所が出発いたすことになりましてその経費が多少計上されておるのであります。
以上が大体文部省予算の大綱でございますがその他に例の平衡交付金の問題がございます。平衡交付金は来年度からそのうち教育費に当る分を教育費の補助金といたしまして平衡交付金の中から引抜いて、これを地方の財政に即した形で補助するということを計画いたしておつたのでありますが、何しろ戰後平衡交付金制度というものが或る程度動いて来たわけでありますが、これをまだ講和関係が完全に発効しない現在においてこの制度を多少打破するようなことはいろいろ関係筋の関係もありまして困難なのであります。それでまあ来年度は現在の制度のままということになつておるのでありまして、これについてはのいろいろむずかしい問題がたくさんございますが、来年度以降においては必ずこの地方財政関係に相当大きな変革を要するような事情が迫つておると思うのでありますが、二十七年度だけは一応このままで行こうということになつた次第であります。簡單でありますが以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/11
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012・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) この予算説明についての質疑は時間の関係上次回に讓ることにいたします。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/12
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013・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) ちよつと懇談会に移りたいと思います。
午前十一時二十九分懇談会に移る
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午前十一時三十二分懇談会を終る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/13
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014・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) それでは委員会を再開いたします。森田事務局長から文化財保護委員会の予算概略を聞くことにいたします。森田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/14
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015・森田孝
○政府委員(森田孝君) 只今総額につきましては本省の寺中政府委員から御説明がありましたが、細部につきまして若干御説明を申上げます。
本年度の文化財保護委員会の予算編成につきましては発足後一年の経験に鑑みまして実際上文化財保護法を実施する上におきまして必要だと考えられる点に重点を置くと同時に、従来文化財保護法を実施する上において必要であつたにかかわらず、予算が計上されていなかつたものについて考慮して参るというような意味におきまして予算を編成いたしたのでありまして、総額におきましては二十六年度の補正予算をも加えました額に対しまして若干の増額を見たという程度であります。そういう意味におきまして只今お手許HE資料を配りました内容を御覧願いますと、二十六年度において零であつたものが二十七年度において上つておるのは、主として法律実施上の必要な項目を新らしく予算に計上したというものであります。それから二十六年度に計上してあつて二十七年度に計上してないものというのは、サンフランシスコの展覧会ほか二項となつておりまして、これは補正予算では組まれましたが臨時的なものでありますので本年度組まなかつたものであります。
次に若干項目に従いまして御説明を申上げます。先ず事務局につきましては文化財保護委員会の一般行政に必要な経費、これの中で特に人件費につきましてでありますがこれが増額しておるのは單価の増による増額でありまして、行政整理により十八人の減になつております。その他の問題につきしては研究委託費、これは先般の臨時国会におきまして法律の御修正を願いました関係でこの中へ調査研究の委託が入りましたのでここへ計上をいたしたのであります。
それから七番の聽聞の関係、これも法律上実施を必要といたしましたが本年度予算がありませんので行わなかつたものであります。法律に要求しておりますところの数項目につきまして聽聞を必要といたしますので来年度からこれが実施をすることになつたのであります。
それから国有財産の事務処理、これも又法律上史跡名勝天然記念物に指定せられておる物件で、国有財産については文部大臣の国有財産の中で公共福雇用財産については文部大臣の管理になることになつておりますが、これも又経費の関係で各省の現在所管になつておるのを移管する事務が遅れておつたのでありますが、来年度からこのほうの実施が可能になつたのであります。
それから国宝重要文化財の台帳でありますが、これは戦争中焼けて無くなつたのでありますが、昨年までに調査の中に入れてあつたのでありますが、台帳整備という項目を新しく起したのであります。
それから埋蔵文化財届出処理、これも又新らしく法律実施に必要なものとして計上したのであります。
それから海外の美術展の開催準備でありますが、これは昨年は先ほど申しましたように、サンフランシスコの展覧会を臨時に行なつたのでありますが、これは計画的に行うべきものであるという意味におきまして準備費を計上いたしまして、綿密な調査研究の上で準備を整えて行いたいと思つております。目下公式に申出があるのはアメリカだけであります。ロックフェラーの財団が中心となりまして主としてアメリカの博物館の連合機関によつて申出が参つておりますが目下先方と事務的な折衝を行つておるのであります。
それからそのあとに埋蔵文化財の報償金につきましては、発掘せられたものについて国家的にこれが保存を必要とするものにつきましては、法に従いまして報償金を出すことによつてこれを国の所有にいたしまして長く保存をして参るという意味のものであります。これも新しく計上したのであります。
それから次の文化財保存事業費でありますが、これは修理関係が三億五百万円から二億七千万円に減つておるのは、昨年の台風の被害の復旧に要する七千万円の予算が二十六年度の予算に入つておる関係上これが本年度の当初予算で減つて参つたのであります。
それから次に参りまして保存設備でありますが、これは昨年度と同じような考え方で組んであります。内訳につきましては最後の頁に細かく記しておきましたので御覧を願いたいと思います。
次に姫路城その他の保存修理に必要な経費、これは国有財産のものにつきましてでありまして、文化財保護委員会で直営工事をいたすべきものであります。熊本城を新しく工事に着手したいと考えております。それから黒門、これは現在の高松宮様の御殿の前にある門でありますが、これが土地が国有地そうして又門も国有になつておるのでありますが、今回指定をいたしまして文化財保護委員会の所轄に移しましてこれを解体して移築したいと思いますので、本年度は差当り解体をする費用を三百万円計上いたしたのであります。
次の災害関係五千百万円でありますが、災害防止ということは文化財保護委員会におきまして修理に追われる現状におきましては、今後永久に修理に追われるということをなくするために、防災を徹底的に行うということによつて将来修理が少しでも先に伸びて行くようにという考えで、重点的な政策としてこれを行なつて参りたいと考えまして本年度は五千百万円を計上したわけであります。
それから無形文化財につきましては法律的になおいろいろ検討して頂きたい点もありますが、差当り助成金を新らしく計上しまして、無形文化財保護のうちで保存を必要とするものについては助成を行なつてこれが保存の一助として参りたいと考えております。
その次にあります二、三、四、資料の買上げ調査、或いは記録映画の作成などは、これが保存について必要な手段の一つであります。
それから附属機関に入つて参りますが、法律によりまして京都の国立博物館と奈良の文化財研究所を新しく設けることになつたのでありますが、これがそれぞれそこにもう一点加わつて入つてあります。京都の国立博物館につきましては、人件費の問題について若干申上げておきたいのでありますが、行政整理により九人行政整理を行われることになつておりますが、これは本省の附属機関の研究員が行政整理から除外をせられたのであります。参議院の発議によりまして除外せられたのでありますが、東京の国立博物館と東京の文化財研究所と同じ法律上の性質を持つているにかかわらず、これが除外されなかつたという点があるのでありまして、この点は従つて当初の政府案通り行政整理を行わなければならんような現状になつております。この点を特に申上げておきたいと思つております。従つて総額が若干人件費で東京国立博物館は殖えておりますが、それは定員増ではなくて單価の増であるということを申上げておきます。それから京都の博物館は四十九名の定員を定めて計上せられたのでありまして、臨時費を加えまして千八百三十四万円の経費で来年度は運営して行きたいと思つております。それから東京は美術研究所を中心にしまして、今度の法律で東京文化財研究所というものは名前を変えて頂きましたが、保存研究部というものを新らしく設立いたしたいと思つております。これは部内の定員のやりくりによつて定員を満たして、あとは非常勤職員を数名とりましたのでこれによつて運営して行きたいと思つております。がこの中に先ほど申上げました美術研究所の研究員で行政整理の除外になるべき性質のある者が除外にならないで済んだ、一名の行政整理が入つております。これは附属機関全体から申しますと、国立博物館の九名の中の四人が研究員の性質を持つた者でありまして、合計五人が行政整理から除外すべき、すべきと言つちや語弊がありますが、本省の附属機関と同じような方針で除外せられるはずであつたものが除外せられなかつたというのが合計五人になつているのであります。これがそれぞれ行政整理される人員としてここへ上つておるわけであります。
それから奈良の文化財研究所は、ここに人件費が落ちておりますが十五名の人件費であります。そうしてなお事業費の中に若干の非常勤職員の費用が入つておるのであります。これらで差当り奈良の文化財研究所を来年度運営して参りたいと思つております。
以上合計いたしまして文化財関係で総額五億六千万円になつております。本年度二十六年度の五億二千万円に比して四千万円の増額になつております。なお本年度補正予算が約九千万円でありますのでこれを差引きますと一億二、三千万円の当初予算に比べまして増額になつておるのであります。定員関係におきましては二十八名の減でありまして、増加の分が六十四名の増員になつておりますので、差引四百五十一人という定員になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/15
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016・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 只今の説明についての質疑は次回に讓りまして、今日の委員会を閉じたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/16
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017・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) それでは委員会を閉じまして懇談会に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/17
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018・矢嶋三義
○矢嶋三義君 懇談会に入る前に最近文部委員会で地方に出張した場合の報告を承われないような状況なんで、できるだけ早い機会にまあ普通よくやられるような紀行文式のものでなく、内容的に要点をつかんだのを各派ごとに報告するような機会を持つて頂きたい、これが一つ。
それからもう一つは今日の予算の説明を承わつたんですが、科学研究費が一億ばかり殖えたというような説明もありましたが、附属機関の都内にある研究機関ですね、こういうものを文部省所管のものと他省とを比較する意味におきましても必ずしも文部省所管だけに限らないで、参議院が忙しくなる前に一応そういう施策を計画して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/18
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019・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 了承いたしました。それでは本日の委員会はこれにて散会いたします。
午前十一時四十七分散会。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X00219520205/19
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