1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十八日(火曜日)
午前十一時十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 栗山 良夫君
理事
井上 清一君
田村 文吉君
田畑 金光君
委員
伊能 芳雄君
田中 啓一君
宮澤 喜一君
吉野 信次君
梶原 茂嘉君
藤田 進君
吉田 法晴君
上條 愛一君
寺本 広作君
堀 眞琴君
市川 房枝君
国務大臣
通商産業大臣 岡野 清豪君
労 働 大 臣 小坂善太郎君
政府委員
内閣官房長官 福永 健司君
通商産業省石炭
局長 佐久 洋君
通商産業省鉱山
保安局長 吉岡千代三君
通商産業省公益
事業局長 中島 征帆君
労働政務次官 安井 謙君
労働省労政局長 中西 實君
事務局側
常任委員会専門
員 磯部 巖君
常任委員会専門
員 高戸義太郎君
説明員
法制省刑事局公
安課長 桃澤 全司君
労働事務次官 齋藤 邦吉君
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本日の会議に付した事件
○委員長の報告
○電気事業及び石炭鉱業における争議
行為の方法の規制に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/0
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001・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 只今から委員会を開会いたします。
先ず委員のかたがたに御報告申上げます。株式会社日本製鋼所赤羽作業所における労働争議に関連する米兵発砲事件につきましては、七月一日付の米軍当局の第一次回答の趣旨に基きまして、七月六日更に文書による米軍当局の回答を外務省を通じ依頼しておきましたところ、このたびその回答を得ましたので、以下朗読いたしまして御報告に代えます。
協三第六一号
昭和二十八年七月二十四日
外務省国際協力長局
参議院労働委員長殿
日鋼ストライキに関連する米兵発砲事件につき米軍当局の回答伝達の件七月六日付貴信を以て御依頼のあつた本件につきましては、今般米軍当局より七月二十二日付合同委員会あて覚書を以て回答がありましたがら右回答写(仮訳文添付)別添のとおり伝達いたします。
合同委員会あて覚書(仮訳)
件名日鋼事件に関する情報供与方要請の件
日付一九五三年七月二十二日
一、参照文書 一九五三年七月九日付覚書
二、前記参照文書で要求された質問に対し左の通り回答する
(一) 米軍軍曹メンデロウはいかなる意図をもつて発砲したか
(答) セべノは通称赤羽門から約二ヤードの地点に立つていた処五十名ない至六十名のピケ中の労組員に包囲された、マンデロ軍曹はピゲ隊に対し包囲を解くよう数回叫んだがピケ隊員は無視した。マンデロ軍曹はセベノに重大な危害が加えられるのを防ぐためにとり得る唯一の方法は銃を空に向けて一発発射する以外にはないと感じてそのように発砲したものである、前記の事実は当時赤羽門を警備していたTODの駐留軍警備員松川辰夫、水野茂、元木岩敏(音訳)がいずれも認めている。彼ら三名はいずれもこの三年間丁TODの警備員として就業しているのである、松川及び水野は若しマンデロ軍曹が発砲しなければセベノに重大な危害が加えられたであろうと述べた。
(一) セベノ・ドミニック軍属の乗用車にピケ中の労働組合員が窓ガラスや車体を打つて暴行を加えたかどうか。
(答) セベノ自身及び前記五名の日本人警備員、マンデロ軍曹、北見義彦、田島かずを(女)、安倍茂子(女)、村山正嗣、三雲敏辰(音訳)はいずれもピケ隊がセベノの乗用車の車体や窓ガラスを打興していたと明言した。この行為はセベノがきわめてゆるい速度で三列ない至四列のピケラインを通り抜け、通用門に近接した後行われたものである
(一) セベノ・ドミニツク軍属の乗用車が急スピードで無警告のまま門に向い急カーブした際車体でピケ中の労組員に打撲を与えたかどうか
(答)現在までの調査によればセベノは非常に徐行して何回も警笛を鳴らして居り、入口をふさいでいたピケ隊員の中セベノの車体で打撲を蒙つた者は一人もいないということが明らかにされている
(一) セベノ・ドミニック軍属はピケ隊員の頭部を二回強打し、なお近くの者に暴行を加えようとしたかどうか
(答) 確証によればピケ隊員がセベノの乗用車を打興している間にセベノは車から降り、直後ピケ隊員に句囲せられたことが明白である、目撃者の陳述によれば、一人の日本人がセベノの腕を捕え、揮えたのでセベノは拳をふり上げ一名ない至二名のピケ隊員をなぐつた由である、この時マンデロ軍曹が発砲したのでピケ隊員が散らばり、セベノは漸くTODの中へ遁れることができた次第である。
以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/1
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002・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 次に、只今の委員長及び理事打合せ会の経過並びに結果を御報告申上げます。
公報でお知らせを申上げましたように、本日九時から委員長理事打合せ会を開きまして、議事の進行について協議をすることになつたのでございます。そしてその協議の結果整いましたことについて御報告を申上げます。
先ず第一点は、各委員から質問の通告をされておりまするが、その質問の通告及びその所要時間、これは合計八十四時間になりますが、その時間は、必要があるものと認める、こういうことが第一点でございます。第二点は、併し、会期が切迫しておりまするので、次に申上げまする時間で、一応明二十九日中に第一回の通告質問が一通り行えるようにする。一通り行う予定である、こういうことでございます。それからその時間は、左派社会党六時間、右派社会党六時間、改進党二時間、無所属クラブ二時間、純無二時間、こういう合計十八時間になりますが、これで一通り第一回の通告質問を順次行う、こういう予定にきまつたわけであります。それから、要求大臣は必ず出席をせしめる。この三点が協議事項となつたわけでございます。以上御報告を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/2
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003・藤田進
○藤田進君 報告はよくわかりましたが、ただ、確かめて置きたいと思います点は、我々、尤も自由党はないようですが、六、六、二、二、二と、合計十八時間の質問時間を設けるということでありますけれども、一応第一回の質問をこれで明二十九日中に終つて、改めて第二回なり、情勢に応じておやりになると思うのですが、お尋ねしたい点は、すでに本委員会が開催されて以来、しばしば要求をいたしておりまするところの大臣が、労働大臣を除いては全然出席がない状況であります。従いまして、質問所要時間を私ども提出いたしましたが、この所要時間の中には、すでに御配付になりましたところの一番下段にあるごとく、総理大臣を初め、通産、法務各大臣の御出席を求めて質疑を行いたいのであります。然るに第一回、明二十九日に一応このような予定を立てられる以上、恐らく私の推定では吉田総理大臣並びに犬養法務大臣、岡野通産大臣、これら要求大臣、又他の委員につきましては、吉野信次君の法制局長官、これは質問の時間からはずれておるので、この点に関してもつまびらかにして頂きたいのですが、何れにいたしましても、かかる大臣の御出席が明日中にあることが許されないならば、三時間或いは六時間、二時間ですか、この所要時間で、総理大臣に対しては一時間半、法務大臣、通産大臣にはそれぞれ一時間半という質問者としては腹ずもりがあつて所要時間を出していたのでありまして、これが一応縮められております限り、これに比例いたしまして、各大臣に対する質問も私どもといたしましては整理しなければなりません。従いまして、それも今明日中に必ず吉田総理大臣以下要求大臣は出て来るかどうか、これによつて理事会の御決定になりました時間に対して私ども質問の腹ずもりがございますので、先ず最初に要求大臣に対する出席のほどはどうであろうかを委員長からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/3
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004・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) いろいろ努力いたしましたけれども、まだ責任ある大臣から責任ある言葉を聞いておりません。従いまして、これは本委員会開会以来ずつと出席大臣のことは問題になり続けて来ておる問題でありますので、従つて、私は只今こういうような質問が出ましたから御回答申上げますが、内閣の責任者である吉田総理か、或いは又緒方副総理からここへちよつとおいで願いまして、そして今藤田君の言われたことについて責任あるお言葉を聞きたい、こういう工合にして手続を今いたしております。若し今ここで内閣の責任者からその言葉を聞いたほうがよろしいということであれば、今おいで願うように手続きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/4
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005・藤田進
○藤田進君 私どもは確めるべきことはできるだけ時間をきり詰めて確めたいと思いますので、時間の労費を極力議事進行についても避けたいと思います。併し、只今からどなたが御質問なさるにいたしましても、割当てられているところの六時間、このことは当然我が会派につきましては二名それぞれ三時間づつにするか、二時間、四時間にするか、いずれにしても、二名の者が大よそ事情を見計らつて割振つて質問することも考えられるのでありまして、そうなつて参りますると、私が質問するにいたしましても、労働大臣に対する質問もまだあるけれども、併し他の要求大臣に対してのほうがより重要であると考えれば、何らかの質問時間を残さなければならないのではなかろうかというふうにも考えるのであります。従いまして、私は速かに委員長の御手配になつておりますところの、副総理或いはこれに相当する人をお呼び願つて確めて頂くことは、当然やつて頂かなければなりません。と同時に並行いたしまして、今割当てられておりまする質問は、これは一応の案として二十九日中に第一回を終るように目標として努力しようではないかということでありまして、無論要求いたしました時間は八十四時間に合計でなつているようでありますが、これは決して必要のないものではないという建前をここに認められていると思いまするので、取りあえず割当てられましたところの時間は、出席大臣に対して向けまして、更に要求いたしておりまする吉田総理並びにその他の大臣に対しましては、爾余の時間で質問を行うように、但し割当時間に質問いたしておりまする際に、他の大臣がお見えになりまするならば、他の大臣にも質問はいたしたいと思います。従いまして、余り固い決めでなしに進めませんと、余り固くここで議論をいたしますと、割当てられましても、出席大臣がはつきりと同月何日に何時から何時までという、この約束ができない限り、質問が迂闊に始められないことになりますので、そう固い取り決めでない恰好で、取りあえず労働大臣から質問は続けて行きたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/5
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006・吉田法晴
○吉田法晴君 今の、内閣の責任者が来て答弁するというのは、出席を求められたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/6
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007・安井謙
○政府委員(安井謙君) そこの御事情をちよつと御説明申上げます。昨日来通産大臣、法務大臣の出席の御要求がありましたことは私どもよく存じておりまして、あらゆる手を尽して本日の出席を求めておつたのであります。先ほど非公式にお話があつたかも知れませんが、通産大臣は四十度の熱を出しており、法務大臣は昨日来めまいがして、目下医者を呼んで注射中であり、どうしても本日の出席は不可能であるということであります。それで、いろいろ様子を伺つてみますところ、明日の朝から無理をしても何とか出て来られるのじやないかという事情にはございます。で、なお正式に政府の責任者からこの点についてのいろいろな事情を聞きたいという委員会の御希望でございますならば、官房長官を呼んで参りまして、その間の事情は御説明に及びたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/7
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008・田畑金光
○田畑金光君 これは、やはり只今安井政務次官からのお話もありましたが、内閣の当面の責任のかたから明確に御答弁をお願いしたいと考えております。同時に、念のために我々として申上げておかねばならんことは、先ほどの委員長理事打合せ会においても、只今の委員長報告の中にもありましたように、これからの質問というものは、期間から申しましても非常に重大な質問になつて参りますので、関係大臣の出席を願わなければ質問をしようにもできない点が多々あるわけであります。労働大臣に質問しただけでは、電気の問題にいたしましても、石炭の問題にいたしましても、どうしても所管大臣にお尋ねしなければならん問題があるわけであります。従つて所管大臣の出席なしではこの法案の審議を進めることができないということ、労働大臣の答弁だけでは限界があるということだけは明確に認識して頂かなければならんと考えております。更に又、私は質問の中に吉田総理の出席を要求しておりますが、昨日来の小坂労働大臣の答弁を聞いておりましても、この際吉田内閣総理大臣の労働施政方針というものを承わらなければ納得が行かん点がありまするので、この会期中に、質問の時間中に吉田内閣総理大臣の出席は是非とも願わなければならんと考えております。こういう重大な法案に対して、いやしくも内閣の首班がこちらに来て、そうしてその労働問題に対する所信を説明しないということは、或る意味においては、労働問題に対するその認識の程度を我々は疑わなければならんと思います。殊に我々の質問で、まだ残されておる点は、総理大臣の意思、所信を伺わなければ明らかにされません。殊に、私は先般来当時の労働次官をしておられた寺本さんの御説明が伺えるならばと、こう思つて待つておりますが、やはりこれは総理大臣の説明とも関連いたしますので、殊に、私は総理大臣の出席を求めて質疑をしたいと、かように考えております。更にもう一つは、この際念のために委員長にちよつとお尋ねしたいことは、各会派がそれぞれの時間を割当てられて、一応明日までには一廻りするようにしよう、こういうことは先ほどお話がありましたが、これは総計十八時間でありますけれども、夜の夜中までやろうと、こういう時間じやない筈だと思います。生理的な限界というか、お互いの肉体的な、或いは精神的な限界においてこれはやつて行こう、こういうことでありまするので、その点も一つ委員長の報告の中には説明はなかつたのでありまするが、朝例えば十時から夕方の五時、遅くも六時と、こういう一応従来の努力をした最大限の時間においてこれは処理して行こうという含みを持つた取極めであることは確認して頂かんと、夜の十時、十二時になつてまでやるということは、これは我々としては肉体的にかないませんので、その点は一つ明らかにして置いてもらわなくちや困ると思います。従いまして、当面私は内閣の責任者の出席を願つて、総理大臣以下各大臣がなぜ出席できないのか。その理由を一応明らかにして頂きたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/8
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009・田村文吉
○田村文吉君 先に田畑委員も御一緒で御相談した問題でありまして、この問題そう複雑な解釈をすることはないと思うのであります。ただ今お言葉の中に、今委員長の御報告の中に必要な要求の大臣は必ず出席してもらいたいと、私は尤もだと思いますが、併し、今聞くところによりますと、通産相は今日四十度の熱を出している。かようなことは、必ずその大臣がお出にならないでも、かような場合には政務次官もいるし、代りの政府委員もいるのでございますから、そういうような方法をお互いにやはり考えていいということが政治の運用の常識でないか、こう考えてますので、田畑さんの御意見も多分そうであつたろうと思います。どんなに熱があつても、どんな所用があつても引つ張つて来るのだという意味ではないと思いますが、差支えのある場合には代理のかたが出席する。総理の工合の悪いときには副総理が出席して説明する。総理がいけなければ副総理が代つて出て、それに伴つて政府委員に出てもらう、こういうような便宜の方法をお取り願うと、こういうふうにして、なお後段にお述べになりましたお話は、さつきお話をしたばかりでございます。明日中には一応皆さんの質疑を各会派に亘つて一巡しようじやないか、こういう申合せができたんでありますから、どうかその意味でやはり御進行頂いて、そういう細かい、かような場合には、ああいう場合はということには触れないで、そういうことで進めて頂く、こういうことをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/9
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010・吉田法晴
○吉田法晴君 田村委員の今の発言、どういう工合にやつて行くかということは、これは常識と慣例に従つてやつて行けばいいことだと思います。病気であるものをこれは強制もできませんし、事実できません。大臣の点については残念ながら少し私言葉を異にいたしますが、この法案が重要であるならば、或いは二回に亘つて首相の施政方針演説の中に入つた点である。当然総理として一回は出て、これは質疑に答えらるべきだと思う。それから法務大臣、通産大臣が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/10
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011・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 議事が大分錯綜しておるようですが、発言願つてもいいけれども、今の問題はやはり安井政務次官に聞いても、労働大臣に聞いてもこの問題ははつきりしないと思うのです。だから責任者を呼ぶか呼ばないかということをおきめ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/11
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012・吉田法晴
○吉田法晴君 私も聞いた。ほかの要員からも聞いたけれども。それはそれでいいでしよう、というのは、それがこの法案と委員会に対する私は政府の態度ではあるまいかと思うのです。至極簡単でいいですから、一応出て御説明なさるべきだと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/12
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013・藤田進
○藤田進君 田村委員の言われたことは尤ものようですが、かといつて無制限に田村委員が言われておるとは思いませんので、安井政務次官のお話によると今日中には出れないということですから、一つ明日から出られるように、国務多端の折柄そう何カ月も寝ておるようなことでもないから……。それから私としては本会議で約束をして頂いているのでありますから、当然約束は果して頂きたいし、そのつもりで、私は本委員会に労働大臣に対する質問をやつているのでありますから、是非総理大臣以下要求大臣は出て頂く、本朝の委員長理事会におきましても、要求大臣は必ず出席させるということでございますので、この点を大前提として政府の責任あるかたの、責任あるところの御答弁を承わりまして質問を始めたいと思います。是非ともさようにお取計らい願つて、第一回の質問いたします私どもとしては、次の見通しがまつくら闇で持ち時間をなくいたしますると、非常に皆さんに御迷惑をかけますので、是非とも一つ確めて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/13
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014・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) そこで私もちよつと取計らいに困つておるわけでありますが、只今御報告を申上げました委員長理事打合せ会の申合せを一応御承認頂いて、その運用について更に確かめて行くという御意見であるのか、或いは委員長理事打合せ会の申合せを承認するために更に必要であるのか、その辺がちよつと私まだはつきり聞き取れないものですから、議事の進行に困つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/14
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015・吉田法晴
○吉田法晴君 それは理事委員長打合せ会できまつたことですから御了承の上の御発言だろうと思うのですが、念のために各位にお取計らい願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/15
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016・藤田進
○藤田進君 私は理事会の結論が三項目に分れておりまして、先ず第一には通告いたしております八十四時間はこれは必要があると認められておりまするし、更に第一回としてはやはり一昨日以来昨日までの質問を見ますると、質問者に関連して殆んど質問者以外の質問のほうが多いということで、かねて田村委員或いは梶原委員のほうからも関連質問についての御意見も出ておるというような事情でありますので、第二項としてはやはり二十九日中には一応一廻りしようではないかと言われておりまするし、それから更に第三には必ず要求大臣の出席を求めるのだということが本委員会の結論でもありまするので、この原則は当然賛成し、認めているのでございます。そのような解釈で、そこで、その運用に当つて如何にそれでは質問をやりかけてみても、要求大臣は必ず出席させると言つても、これは本委員会だけの事情でございますので、その出席なさるところの政府の側が一体委員会の通りにお取計らいになるのかどうか、これを確めて質問を始めたい。このように申し上げているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/16
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017・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) それではよくわかりました。委員長及び理事打合せ会の申合せを実行することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/17
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018・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ではさよう取計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/18
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019・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 本日の会議に付する事件は電気事業及び石炭鉱業における労働争議の方法の規制に関する法律案、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案(予備審査)でございます。
先ず電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案を議題に併します。
そこで只今藤田君その他から御発言がございましたように、本日出席を要求しておりまする大臣は総理大臣、岡野通商産業大臣、犬養法務大臣並びに小坂労働大臣でございます。ところが只今委員長のところへ参つておりまする回答によりますると、吉田総理大臣は出席されません。岡野通商産業大臣は病気で静養中でございます。犬養法務大臣も又病気で静養中とのことでございます。併し昨日委員長はやはり通商産業大臣の出席について非帝に努力をいたしましたところ、二日間の診断がございまして、本日は出られるであろう、こういうお話でございましたので、私は諒としておりました。併しいよいよ明日までに廻りということに申合せをいたしまして、議事の進行を図るということになりますというと、出席大臣の可能性の問題は非常に重要でございまするから、そこで委員長といたしましては、私が独断で出席大臣の問題を処理したということでなくて、ここへ内閣の責任者を招致いたしまして、そして出席大臣の点につきましては委員各位からとくと一つ御了解の行くようにお話合い願つて、その上で議事を進めたい、こういう工合に私は考えるわけでございますが、さように取計らつて異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/19
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020・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ではさようにいたします。
速記をとめて下さい。
午前十一時五十一分速記中止
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午後零時二十二分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/20
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021・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて下さい。
当委員会はスト規制法案の審議のために吉田総理大臣、小坂労働大臣、岡野通商産業大臣、犬養法務大臣の出席を要求しております。併し今日まで小坂労働大臣を除いて総理以下他の閣僚は全然この委員会へ御出席になりません。従つて、こういう状態では当委員会としては議事の進行を図ることができない状態にあります。内閣の責任ある答弁を要求するためにお出でを願つたわけでありますから、その趣旨に副う御答弁をお願いいたしたいと思います。福永官房長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/21
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022・福永健司
○政府委員(福永健司君) 只今委員長から各閣僚の出席につきましてお尋ねがございましたのでございますが、何分にも会期末近くになつておりますので、あつちこちの委員会等にそれぞれ出ておるので、当委員会へ御要求通り出席いたしておりませんことは誠に遺憾に存ずる次第でございます。犬養法務大臣は本日是が非でもというように言つておりましたのですが、めまいをいたしておりまして、只今医者等も参りまして、伏せておりますような状況であります。私どものほうからは無理をしてでも出て来るようにということを強く申しておりますが、只今ではそんなに無理をしてはいかんというように医者が言つておるようでございます。岡野通産大臣はこれ又高熱で昨日休んでおりました。今朝来是非出るようにということで熱を冒して出て来ておりますが、閣議のあと通産委員会に出まして、只今経済安定委員会のほうへ廻つております。今本人に会いまして、是非とも当委員会のほうへ出席するようにということを只今交渉いたして参りましたので、もう間もなく経済安定委員会のほうは暇が頂けるんじやないかと思います。ちよつと十二時半から臨時閣議を行いますが、これはさしたる時間は要しないと思いますので、そのあと当委員会へ通産大臣がお伺いするように私只今話合をいたして参りましたような次第でございます。総理大臣もいろいろの用件で意のごとく出席等もできませんで、誠に遺憾に存ずる次第でございます。いずれにいたしましても非常に重大な案件を連日御審議を頂いております当委員会へ、御要求の通りに大臣が出られませんでしたことは申訳ないのでございますが、いろいろ今申上げましたような事情等もございますが、できるだけの方法をとりまして出席いたすように私のほうでも手配をいたしたいと存じます。犬養氏のほうへもこれからなお折衝をいたしたいと思います。取りあえず通産大臣だけは如何なる差繰りを行いましても、今後は出るように話をいたして参りましたので、大体今申上げましたような事情でございますので、御了承を頂きたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/22
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023・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ちよつとお尋ねいたしますが、吉田総理大臣は一番最高責任者として希望もあるわけでありますが、只今の官房長官のお話ですど、吉田総理は出られないということだけで、今まで出られなかつたということだけで、明日までどういう工合にして出すのかということについての御説明が全然なかつたのでございますが、これはどういうわけですか。それで若し吉田首相が出られないとするならば、どういう態度をおとりになろうとするのか、この点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/23
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024・福永健司
○政府委員(福永健司君) 重ねてお尋ねの点でございますが、先ほども申上げまし通り、吉田総理もいろいろの用件のために忙殺されておりますが、今後のことにつきましても只今から更に相談をいたしまして、できることならばと存じておる次第でございます。それからいろいろのその他あちこちからの要求等と勘案もいたさなければなりませんので、確答はいたしかねるところでございます、只今から更に吉田総理につきましても相談をいたしまして、出席できるようならば是非そうするように、こちらへも早急に御返事を申上げたいと思います。諸般の都合でどうしても不可能なような場合におきましては、何とぞ副総理を以て、いろいろお尋ねの点等につきましても副総理について御質問を頂きたいと思いますが、この点につきましては吉田総理が出られればこれは最もいいわけでありますが、只今からなお当委員会の御意向を体しまして折衝をいたしたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/24
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025・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) それから第二点は、私は委員長として議員の要請に応えまして、各閣僚の出席を求めたのであります。そのときにあなたは今まで二回に亘つてあちこちに出かけたので、労働委員会に出られなかつたとおつしやいましたが、労働委員会はあちこちの中にどうして入らないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/25
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026・福永健司
○政府委員(福永健司君) もとより労働委員会におきまして大事な案件の御審議を頂いておりますことであり、この御要求を軽んじたわけでは絶対ございません。ただ大臣等が登院いたしますと、その時間からあちこちで出て来いというお話がありまして、その状況上最初に参りましたようなところでなかなか時間がかかりまして、そのままというようなことにもなり勝ちでございます。本日の場合等におきましても、当委員会に出席すべく登院するようにということを通産大臣にも私は申しまして、本人もそのつもり参つておつたのであります。閣議が終りまして、直ぐに通産委員会のほうにちよつとというので参りました、これはまあさしたる時間もかからなくて終つたのでありますが、そのあと直ぐに隣りの、極く近くの部屋で開かれておりました経済安定委員会に出席をということで、そちらに今参つておるようなわけでございます。先ほど申しましたように、これを済ませまして、極く短時間で臨時閣議を終りまして、そのあと恐らく……。従いまして、午後当委員会を再開なさいます時にはもとより間に合うわけでございます。ほかから話がありましても、ほかに参らないで、こちらに来るようにしかと私のほうで本人に連絡いたしたいと思います。委員長のあちこちの中に当委員会が入らないのかというお言葉でございますが、出席いたしておりませんでしたので、そういうお言葉もあつたと思いますけれども、決して当委員会を軽んじておるわけではありません。何とぞその点御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/26
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027・藤田進
○藤田進君 私どもが現在審議しております案件につきましては、極めて事が重大であり、且つ労調法の三十五条の二によりますと、副総理とかそういつたものでなしに、時の総理大臣が事を決する緊急調整がございます。この総理大臣が決定権を持つところの緊急調整と、今審議いたしておりますいわゆるスト規制法、一名スト禁止法、この関係は極めて深いのでありまして、是非とも吉田総理にかなりの時間を割いて頂きませんと審議に支障を来たす現状に立至つておるのであります。更に通産大臣につきましても、これ又石炭、電気ともに通産大臣には極めて直接関連を持つ産業でありまするので、この点につきましても是非ともかなりの時間を割いて頂くことが必要でありまするし、更に犬養法務大臣につきましても、現在電産或いは炭労の曾つてのストライキに関連をいたしまして、本法案に直接これ又関連を持つところの内容を持つておりますので、是非とも会期中には出て頂きたいそういうことで要求を出しておりまするが、只今の御答弁によりますと、極めてこの点があいまいに思うのであります。従つて、更に私どもが質問を一廻りしようというときに当りまして、もつと具体的に各大臣についてお答えが願いたい、若し今この時間でお答えがむずかしいようであれば後刻でも私は結構だと思いますが、是非とも明確な御答弁を願いたいと思います。これが第一点でございます。
第二の点は、せつかく官房長官にお出でになつて頂きましたので、昨日来、巷間伝えられておりまして、与党である自由党の佐藤幹事長は会期の延長をするのだというようなことを申されております。本委員会といたしましても、審議の都合上若し政府なり与党がかようなお考えを持つに至つておるとすれば、もはや本日二十八日でございますので、可なり明確にもなつておるやにも推察できるのでございまして、この点につきましても政府はどういう与党との連絡なり持つておるか、本日も緊急閣議を開かれる模様ですが、これらについても若干関係があるのじやないかとも推察するのでありまして、第二の点としてはこの点についても一つ本委員会で明らかにして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/27
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028・福永健司
○政府委員(福永健司君) お尋ねの第一点につきましては、先ほども申上げておりまする通り、通産大臣につきましては午後出席いたしますことを明確にお答えを申上げることができると思います。犬養法務大臣につきましては今朝来、先ほど申上げましたような病気の容体でございます。更に連絡をいたしましてその後の経過等によつて何とか来られるものなら来させたいと、こう思つております。何しろ病気のことでございますので、極端な無理もできないかとも思いますが、できるだけの無理もいたしたい、こういうふうに考えております。この点につきましては更に本人のほうに折衝をいたしますので、なお御猶余を頂きたいと思います。総理大臣等につきましては、先ほども申上げました通り、更に相談もいたしたいと思います。
お尋ねの第二点につきましては、会期の点は申すまでもなく、会期につきましては国会でおきめになることなんでございます。政府といたしましてはすでにきまつておりまする会期中にできるだけ政府から出しました多くの案件につきまして御審議を頂きたいと、こう申上げる次第でございます。政府或いは自由党の幹事長が会期の延長について云々というお話でございますが、政府はもとよりさようなことを今までには申しておりません。自由党の幹事長が云々というお話も私どもで確かめました限りにおきましては、未だ延長について正式にそういう考えを持ち、そういう考え方を表明した事実はないということでございます。殊に幹事長から政府側に対しまして会期延長等につきまして相談等は未だございません。本日の臨時閣議はほかの問題でございまして、そういう会期等に関する話は恐らく出ないのではないかと私は想像いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/28
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029・吉田法晴
○吉田法晴君 簡単に一点だけ申上げます。それは先ほど通産大臣は四十度の熱を出して伏せつておられる。そこで私どもにおいては、そういう高熱を出しておる人を呼ぶのもどうか、人道的な問題といつたような点からいつて、通産大臣或いは法務大臣については出席の見通しさえもつかん、先ほどの御答弁からいうと結論を申上げるとそうだと思います。それから総理についても然りであります。私はこの法案を重要法案として国会に出された政府の態度とは大臣の出席から見たら思えん。通産大臣の点についての官房長官の誠意は若干認めるが、全体としては極めて不誠意である。この法案の審議については政府こそむしろ審議を遅延せしめておる責任があるやに感ずる。もう少し誠意を以て大臣の出席について取運んで頂きたい。若し答弁があるならば伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/29
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030・福永健司
○政府委員(福永健司君) 先ほども申しておりまする通り、政府におきましてはもとより誠意を以て努力をいたしておるわけでございますが、申すまでもなく、委員会等も非常に衆参両院で多く開かれておりますような状況におきまして、皆さんの御要求の通りに行かなかつたという点は誠に申訳ない次第でございますが、只今の御趣旨はそれぞれなお一層徹底するように関係閣僚等にお伝えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/30
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031・田畑金光
○田畑金光君 官房長官に更にお尋ねしたいと思いますが、関係大臣の第一に総理大臣の御出席を求めておるわけであります。只今までの官房長官のお話によりますると、その他の方面に多忙をお極めになつて、総理大臣の出席についての可否が明らかにされていないわけであります。臨時閣議もあるとするならば院内に総理大臣は来ておられると思うのですが、このスト規制法案という法律は政府としては重要な法案とお考えになつておるのか、或いはこれはまあ次の会期に延してもいいと考えておられるのか、どつちであるか、先ず承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/31
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032・福永健司
○政府委員(福永健司君) 只今お話の案件は非常に重要なる案件と政府においてももとより認識をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/32
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033・田畑金光
○田畑金光君 重要な案件とお考えであるそうでありまするが、そうしますと総理大臣はその他の委員会等には御出席なされても、当労働委員会には出席をされない、これは労働委員会を軽視しておる、こう我々はみるのが至当だと考えるのですがどうお考えになつておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/33
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034・福永健司
○政府委員(福永健司君) なお先ほど申落しましたが、本国会において政府は通過しなくてもいいいと考えておるのかというお尋ねの点でありますが、この点につきまして申上げなかつたのであります。もとより政府といたしましては是非本会期中に御審議を終つて頂きたいと念願いたしておる次第でございます。
なお、只今御質問の、ほかのほうが重要で当委員会乃至当委員会にかかつておりまする案件を軽視しておるのではないかというお話でございますが、さようなことは絶対にございません。ただ先ほども申しましたように、非常に多くのことが錯綜いたしております。何とぞその点も御了察を頂きたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/34
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035・田畑金光
○田畑金光君 福永官房長官の御答弁では非常に不満であります。先ほど委員長からもお話がありましたが、会期も切迫しておりますので、与党も含めて本日の委員長理事の打合せ会、更にこの委員会において承認されたことは、今後の議事の進行は総理大臣を初め関係大臣の御出席を願わなくちやならん、これが前提になつておるわけです。殊に残念なことには、先般来いろいろ労働大臣に質問しておりますが、結局のところは内閣総理大臣の方針というものを伺わなければ、この法案の本質というものを我々はつかむことができないのであります。官房長官にお尋ねしますが、一体この法案については労使関係のみならず、国民全体がこの法案の性格というものが将来の日本の一つの方向を決定する、こういうことは国民輿論として周知の事実であり、内閣においても、政府においても御了承のことだと私たちはこう見ておるわけであります。これほどの重要な法律案に対し、なぜ内閣総理大臣が一回でもこの労働委員会に出て来て我々の問わんとすること、政府のやろうとすること、なぜここに一回くらいでも来て所信を述べるだけの腹構えができないのか、労働問題というようなものは、それほど今日の政府の施策の中から無視されておるのかどうか、若し労働問題を本当に尊重し、この法案を重要な法律であると考えるならば、なぜ内閣総理大臣が一回くらい委員会に出て来て各委員の問わんとする事項に対して答弁をなさらんのか、これについて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/35
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036・福永健司
○政府委員(福永健司君) 只今のお尋ねの点でございますが、もとより政府におきましては本委員会の只今議題になつておりまする案件を重要視いたしておりますることは、先ほどから重ねて申上げた通りでございます。総理大臣ができるだけ出席いたすことも、これも望ましいことでございます。先刻申上げきたように、いろいろのことが錯綜いたしておりますために、決して軽視したというわけでなく、出席ができなかつた次第でございます。御了承を頂きたいと存じます。吉田内閣の本案件と関連する諸般の施策所信等につきましては、労働大臣たる小坂国務大臣が、総理の乃至吉田内閣の意向を十分に今までからも申上げておると思うのであります。この点についても何とぞ御了承を頂きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/36
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037・田畑金光
○田畑金光君 官房長官の御答弁が非常に私は不満なのであります。成るほど小坂労働大臣の御答弁は一応我々は伺つておりまするが、善良な小坂労働大臣の御答弁だけでは、(笑声)我々としてつかめない点が多々あるのであります。これ以上の問題の究明は吉田ワンマンと言われる総理大臣の所信のほどを伺わなければ、この法案の性格、今後の労使関係に対する政府の考え方、これを我々はつかむことができないのであります。殊に私は一つの資料も持つておりまするが、この法案というものがどういういきさつで以て立案されたか、これを尋ねて行くと、どうしても吉田首相の所信のほどを伺つておかなければ、我々はこの法案を納得して審議を進めることはできないのであります。他の委員会等において内閣総理大臣は出席されておるでしよう。この労働委員会に出席できないはずはないはずです。なぜ吉田内閣総理大臣は一回でも来てこの法案を通ずる政府の考え方、今後の労働問題に対して、なぜ政府は、総理大臣は、その意向を明らかにしないか、殊に我々は今後の日本の経済自立というようなことを考えても、労働力というもの、労働問題というものを無視してはできないでしよう。官房長官は責任を持つて会期末までに内閣総理大臣を出席させるという約束ができるかどうかお尋ねいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/37
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038・福永健司
○政府委員(福永健司君) 先ほども申上げておるような次第でございまして、決して吉田総理大臣が殊更に本委員会に出て来ないということでは断じてございません。労働行政に関しましては総理大臣は小坂労働大臣を信頼し、小坂労働大臣に所信見解等におきまして食い違いがあるはずはないのでございます。その点は何とぞ御了承を頂きたいと存じます。
なお、只今縷々御指摘の点につきましては吉田総理に伝えまして善処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/38
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039・井上清一
○井上清一君 議事進行について。只今いろいろ出席大臣の問題について議論が出ておりますが、先ほど福永官房長官から御説明がありましたことを私は了承して差支えないと思う。
なお、この上非常に限られた時間の中で、かような問題のために時間を費やすことはどうかと思う。私はさような点であれば更に考え直さなければならない、是非一つ議事を進行して……(「何を考え直さなければならないのか」と呼ぶ者あり)例えば時間の問題等について委員長として十分お見込みを以て、一つ議事の進行を図られんことを一つ希望したいと思います。さような点は先ほどは、明日を以て質問の打切をするというような事情の下にお進めになつておる。時間も制約されておりますので、できるだけ一つこの辺で大臣の出席要求の問題については一応諒とせられて、会議を進められんことを切望いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/39
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040・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) あなたのお話の中で、委員長に対して私は福永官房長官をここに今日呼びたいというのは、議事の進行を進めるためにそう言つたのですよ、それに対して限られた時間でこういうようなことをやることはあたかも私が議事の引延しをやつておるがごとき発言をされましたが、只今の発言は取消しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/40
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041・井上清一
○井上清一君 私は限られた時間の範囲内において速かに一つ議事の進行を図られんことを切望したいとこう言つたのです。(「考え直さなければならんと言つているじやないか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/41
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042・堀眞琴
○堀眞琴君 井上君、今の発言は非常に不穏当だと思います。委員長、理事打合せ会で今後の議事の進め方について一応了承してやつたのです。ところがあなたは考え直さなければならんというような発言をされる、それは一先ず私は取消しを要望したいと思う。
それからもう一つ、官房長官にちよつと伺いたいのですが、昨日以来総理大臣はどの委員会に、どのどの委員会に出席されているか、それを明らかにして頂きたいということと、今日は臨時閣議等もあることですから、恐らく朝から登院されておるだろうと思いますが、午後の総理の出席されるところの委員会の名前をお挙げ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/42
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043・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほどから伺つておりますと、私の不徳の故にいろいろ(「不徳じやないぞ」と呼ぶ者あり)各大臣の要請があるようでありますが、今までの御要求を伺つておりますと、官房長官に対して是非一つかくかくの大臣の出席を要求せいという強い御要望の発露であると承わりますので、私もこれは委員会の建前はどうか存じませんが、労働省担当の国務大臣といたしまして、官房長官と力を合せて御要望に沿うように善処したいと思つております。従いまして一つこの程度で御了承願つて、臨時閣議等もございますので、あとのことはできるだけ一つ十分に検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/43
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044・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 井上君にもう一つ、私は委員長として重要なことをあなたに質しておかなければならん、先ほどの中でこういうことをするならば考えがあると言われましたが、その考えは(笑声)何でありましようか、その点を伺つておきたいと思います。(「暴力でも振うというのか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/44
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045・井上清一
○井上清一君 実は考え直す……時間の割当の問題についてはもう一遍いろいろ御相談をし直さなければならんということを私は思つたのでございますが、不穏当であるという委員長の御指摘がありましたので、この点は一つお取消しを願つておきたいと思います。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/45
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046・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 僕が取消すのじやないよ。(「委員長が取消すのじやないよ」「自分で取消すのだ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/46
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047・井上清一
○井上清一君 取消します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/47
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048・堀眞琴
○堀眞琴君 僕の質問に官房長官答えていないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/48
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049・福永健司
○政府委員(福永健司君) 総理大臣の本日の出席要請でございますが、一々詳細につきまして全部が全部記憶いたしておりませんが、本日は濠洲大使始めいろいろの渉外事項等も錯綜いたしておりまする事情は私も承知いたしておる次第でございます。昨日は登院いたしておりません(「了解、進行進行」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/49
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050・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 二時まで休憩いたします。
午後零時五十五分休憩
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午後二時四十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/50
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051・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 休憩前に引続き会誌を開きます。質疑のある方は順次御発言を願います。ちよつと速記をとめて下さい。
午後二時四十五分速記中止
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午後三時速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/51
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052・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて下さ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/52
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053・吉田法晴
○吉田法晴君 いわゆるスト規制法について私も質疑をいたしておるのでありますが、通産大臣に御出席を頂いて質疑をいたしたいと思うのであります。昨年の炭労電産のストは国民生活、国民経済に大きな影響を与えたとして、その争議行為の一部或いは殆んど大部分を規制せんといたしております。なお、この法律審議に当りましても、すでにこれは九州だけではないと思いますけれども、全国に企業合理化ということで労働者の首切りが行われようといたしております。言い換えますと、これは政府の方針かも知れませんけれども、或いはMSAの援助の受諾に伴いまして、或いは軍需生産を中心に再編成し、労働政策については、低賃金政策と労働組合の抑圧政策が行われようとしておるのではないかと私ども考えるのであります。通産大臣は電気石炭についてその産業の復興についてどういう考えを持つておられるのか。労働政策に関連をしてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/53
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054・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答えを申上げます。
我々といたしましては、御承知の通りの国際情勢でございまして、今後朝鮮休戦ができまして世界的に平和がまずく促進されるということになりますというと、いわゆる軍備拡張とかいうようなものがスロー・ダウンしまして、そうして正常な経済活動が盛んになつて来る。同時に世界各国ともこれについて貿易競争が起きるのではないか、こういうような見通しを持つております。そこで只今でも日本の貿易品は外国に対しまして割高でございまして、価格の点におきまして競争力がありますのはまあ繊維産業ぐらいなものでございまして、将来日本の輸出貿易に大きな重点を持つべきところのいわゆる重化学工業品というものは、只今のところ競争力が非常に欠如しております。そこで我々といたしましては今後の情勢に備えまして、そういうようなものに対してコストの引下げということを重点的に考えて行く次第であります。併し、これは結局企業の合理化、特に設備が古うございますので、これを改善して行つて、そうしてコストの引下げ、又同時に原材料を買いますときに別品外貨とか何とかいうものを利用しまして、よそから入ります材料を成るべく安く買う。そのほかいろいろコストの引下げのために金利の問題とか税法の問題とか、又輸出商社が如何にうまく外国に商売ができるかというような便利も考えまして、いろいろな方策を講じましてコストの引下げを図つておる次第でございます。併しながら御承知の通りに我々が輸出貿易を促進し、自立経済を営むということは、八千四百万の人間がこの狭い国土に住んでおりまして、一人といえどもそのおのれの生活を脅かされることなしに食つて行き、働いて行ける、こういうことが結局経済自立の念願でございますから、輸出貿易を促進するために首切りをするとか何とかいうようなことであつてはならないと、こういう考えで我々はすべての方策を講じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/54
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055・吉田法晴
○吉田法晴君 平和産業を中心にしてやつて参りたい。或いは貿易を促進して参りたいという点は私どもも異議はございません。或いは自立経済を樹立いたしますについての努力等もいたさなければならんことも別に意見を差挾さむものではございません。現実に現われておりますのは、例えば石炭等につきましてもコストの引下げをただ労働者にだけ負わせる、これは如何かと考えるのであります。大臣は今設備、材料その他についてお話がございましたが、方針は或いは今の通りかも知れませんけれども、現実にはそう行われておらない。或いはここに出ております法律は、労働組合の活動を抑制しようというこれは法律であります。私が申上げるまでもなく、或いは石炭にしても電力にしても、労働者の心からなる協力なくしてはその復興を図ることも、生産性を高めることも、コストの引下げを行うこともできないと信ずるのであります。現実には、例えば手許に通産省から資料をもらつておりますけれども、終戦後労働時間等が変つて参りましたから、その辺にも違つた要素がございますが、戦前に比べて生産費の中で占めておる労務費の割合は漸時下つて参りました。これは新聞等で拝見いたしましても、輿論は労務費の引下げは限度に来ておる。労務費の節約が限度に来ておると言われておるのが私は公平な意見ではないかと思うのでありますが、なお労務費の節減によつてのみ生産費を下げようという努力がなされておる。或いは水害なりその他の問題も関連するかも知れません。けれども、大規模な首切りが行われようとする方向に対して、或いは組合を抑えようというこの法律の趣旨に鑑みて、そういうことで果して真に日本の自立経済が達成せられるか。或いはここに関連いたしております電力、石炭についてもそうでありますが、労働者の心からなる協力なくして本当に今お話になるような自立経済の達成ができるかどうかということについて、どのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/55
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056・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。
私は自立経済ということは国民の皆様がたがおのおのそのところを得られて、そうして生活の安定を得られるということを念願としておりますのでございまして、労働者の犠牲において輸出貿易を伸展するとかいうことは毛頭考えておりません。石炭のコストの引下げなんかにつきましても、私が考えておりますことは、御承知の通りに今石炭は炭坑が非常に老朽化しておりますので、竪坑を七十九本ほど作るという計画を立てまして、四百数十億円ぐらいな政府資金を投じまして、そうして能率を上げて同時にコストを引下げる、これも一、二割乃至三割くらいまでは引下げられるという見込みの下にやつておる次第であります。又中小炭鉱におきましても設備が全く陳腐でございまして、これを近代設備にしたいために約三十億円の政府資金を投じまして、これに対してコストの引下げをして行きたい、こういうふうなことを考えております。申上げるまでもなく、又お説の通り労使相協力して、そうしていろいろの施策を行なつて行くべきものでありまして、事業というものは人でございまして、この人の力というものを無視し、若しくは人の力というものを排除して州かの目的を達するということは、私はこれは民主主義国家の政策じやない、こう考えておりまして、この上とも労使お互いに相協力して、そうして設備とかやり方とか経営のシンプル化とかいうものによつてコストを引下げて行きたい、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/56
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057・吉田法晴
○吉田法晴君 今の答弁の限りについては、私どもいろいろ異議を申立てる筋合はございません。現実にここに電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案というものが出て来ておりまして、組合の争議行為の規制ということで労働組合の抑圧と、それから今お話になりました労働者が心から生産に協力することが困難になろうとすると法律が……。或いは先ほども申上げましたが、三井鉱山において七名、三菱鉱山において五名、明治鉱業一千五百、古河鉱業一千十、合計中小鉱山含めまして三万五千に上るという首切りが予定されているという実情を御覧になりました場合に、今のような精神からいたしましてどのように考えられるか、重ねて具体的に事例を引いて御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/57
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058・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私はいろいろあちらこちらで人員を選び出しているという噂も聞くのでありますが、併しこれにはいろいろ事情もあることと思いますが、併しこの辺のところはよく実情を調べた書類を持つておりませんので只今申上げかねますが、ただ前段の、今度のスト規制法によつて労働者を非常に抑圧するというようなお言葉がございましたが、併し私どもといたしましては、これはそういうことは絶対にないことでございまして、皆様も御承知の通りにおやりにならなければ一番いい、若しああいう炭労の保安要員を引揚げるというようなことが若しありとしますれば、資源というものを失うということ、又人命に非常な危険を及ぼすというようなこと、こういうことが出て来ますので、これは公共の秩序を維持する上において、私はそういうことは遠、慮すべきではないかと、こう考えている次第でございまして、あの保安要員の引揚げということに対して、或る程度の、そういうことはすべきものじやないということを明確にしておきますことは、やはり国民一同のためにやつておいてよいことだと思います。と申しますことは、私はこの前衆議院でも申上げましたことがございますが、恐らくそういうことはなさらないだろうと思います。併し指令が出て、やはりもうどうしてもそこまで行こうではないかということで興奮の余りそういうことをされるかたがありとしますれば、私は由々しき大事だと思います。と申しますことは、先ず第一に保安要員を引揚げて、爆発するとか何とかということで人命に危険を及ぼすということもさることながら、とにかく若しその保安要員が引揚げられた時に、その炭鉱というものがもう二度と使うことができない、若しくは使えても相当な時日の間たくさんの金をかけて補修をしなければならない、こういうことになりますし、又、先ず一番手近な例として考えなければならんことは、労働者諸君が成るほど闘争のために一致団結の力を以て出ている者は、それは意地で、ここまで来たんだからやつてしまえ、こういうふうな決心をされるかも知れませんが、その労働者に養われているところの家内や子供というものは、果してその御主人に協調するだろうかどうだろうかということは、私自身の身に引き比べて考えて見ましたならば、恐らくそういう場合でも自分の職場を失つてしまう、又今後自分自身が勤めて行くところの、主人が勤めて行くところの炭鉱が壊れてしまうとか、これを直すのに非常な危険が出て来るとか、又長く賃金をもらえないで直さなければならないという、そんなことでも出て来たら、明日からの我々の生活をどうしてくれるかということを家族のかたは御心配になりはせんかということも考えて見たこともあるのです。そうしますというと、まあストライキは或る程度の、即ち争議権の正当な範囲はとにかく、社会通念上はそういうことはすべきものでない、又炭鉱が壊れてしまつて自分の職場も失うというようなことは、まあしないほうにきめておいたほうがいいんじやないかと、こう私は考えている次第でございまして、労働者の争議権を抑圧するということではなくて、ほかに正当な争議権の行使もできることでございますから、とにかく国としても大事な資源を失い、危険にさらされる、又労働者自身としても、自分の働くべき職場が壊滅に帰するという、又今後その家族なんかに対しても相当な責任を持つている御主人でございますから、その辺のところはやはり事前にこういうことはせんほうがよいだろうというような意味におきまして、今度の法案が出ているような次第でございますから、これは労働者を抑圧するというよりは、私から考えれば、労働者の御家族なんかに対しても或る一種の保険をかけたような感じに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/58
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059・吉田法晴
○吉田法晴君 この法律は労働者を抑圧するものではない、むしろ保険をかけるようなものだと、こういうふうな御説明でございましたが、この間私ども参議院労働委員会が三班に分れて現地調査に参りましたが、常磐地方に参りました調査員にいたしましても、現地でそういうことは実際に坑内が水没したり、或いは坑内が破壊されるというようなことは起つただろうかという疑問に対しては、これを否定する意見のほうが強かつたと聞いております。私どもの参りました北海道は、九州と共に強いところでありますが、これは組合の役員の人の申しますのには、そういうことは実際には恐らく起らんだろうという、こういう点からお話を、意見を述べておりまして、この法案の必要性を否認いたしております。北海道においては昭和三十七年九月に裁判がございまして、これはこの前の三月に起きた事件だと思います。そういう保安要員を引揚げるという戦術がとられたことに関連して裁判がございましたが、それについて詳細に且つ被告の身上或いはその時の事情等を調べたが、十分な確証もないからというので、これは無罪の判決が言渡されております。戦術はまさにとられたのであります。こういつた点から考えまして、あの保安要員の引揚げという決定がどういう事情の下で決定したか、これは私が申上げるまでもございませんけれども、六十日を超します闘争の最後に、ほかに方法はないとして、第一決定は斡旋案の後にとられた戦術でございます。私はこの点については六十三日の争議の責任については、ひとり炭労の諸君に負わせるものでなかろう、四十数日というものは少くとも賃金切下案を出し、或いは交渉に応じなかつた経営者にも責任のあることは明白だと思うのであります。従つて、この戦術についての批判というもの、或いはこの保安要員総引揚げによる水没或いは炭鉱の全面的な破壊ということは望まないという気持はわかりますけれども、併しそれに対する責任の追及というものは、かかる法規を以て私は処理せらるべきものではないのではないか。特に電産の場合については最大二五%、一〇%前後が多かつたと思いますが、これは石炭の場合もそうでありますが、配電或いは採炭の責任というものは経営者が持つている。そうしてその配電或いは採炭がやや減少をいたしましたために影響を受けることもございますが、そのうちには渇水停電の影響もある。これに対して電産の現業のスト権というものを殆んど余すところなく剥奪してしまう、こういうことは、これは私は大臣の御指摘にもかかわらず、組合活動の大きな制限であり、抑圧だと考えるのであります。私は、或いはこの法案の趣旨、それからこの両三日の政府委員の説明によると、電産の諸君から、本当に若しストライキの権限が残らぬとするならば、私はあとに出て来るものは、これは或いは私どもが希望いたしませんような闘争方法をとる以外にないという実情となると思うのであります。私は民主主義の原則は国民の納得の下に生産に協力してもらうことであると考えるし、又民主主義的な方法を許して行かなければ、私は民主主義的ならざる方法をとらせる結果になると思うので、これを生産行政に携われます通産大臣は、これらの点についてどのように考えられますか、御意見について反対の事実を挙げ、重ねてお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/59
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060・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。常盤とか北海道方面を御視察になりまして、実際は起らん、又起き得ないだろうというような御意見でございます。そうでございますれば、誠に我々といたしましては欣喜に甚えない次第でございます。ただ問題といたしましては、百人のうち五人でも八人でも、非常に公共の福祉に影響を及ぼされるというようなことがあり得るという可能性が考えられますならば、実際してならないこと、又しないだろうというようなことを法制上きめておいても、私は労働者に対して何ら抑圧にもならんと考えます。この辺は意見の相違かも知れませんが、私はそう考えております。とにかく先ほど申上げましたように、この炭鉱が、炭鉱資源が破壊されるということ、又同時に人命が損傷されること、そういうような危険というものはやはり避けたほうがいい。又家族に対しましても、それだけの思いやりをしてやつて然るべきだと考えます。それから渇水期と、それから又ストの影響というものがどつちがどうだとかいうようなことの御意見もございましようが、これは無論渇水のために停電があつたことも事実でございましようし、これが重なつたことも事実です。ただ問題は、ものが少くなりますときには、その結果というものは加速度的に影響を与えることは多いのでございまして、渇水期でこの打撃を与えた、ストで一の打撃を与えた、合せて三の打撃を与えたからストのほうが軽いじやないかと申すかも知れませんが、世の中のことは二の渇水期で困り抜いているところへ、あと加わつた一のストライキの打撃というものは、恐らく私は算術級数では行かないで幾何級数的な効果を出して来るのではないか、こう思いまして、その辺のところは私はまあ電源ストというようなものは縷々労働大臣から申しましたことでございましようけれども、やはり法案に考えている通りの趣旨によつて、残しておくべきものじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/60
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061・藤田進
○藤田進君 通産大臣は炭労に関する本法第三条についての御説明、御回答について、若干非常に一面的な部分だけをお考えになつて本法案に賛成をされているように思われるので、二、三点関連いたしましてお伺いいたしたいと思います。
それは先ほど本法が必要であるというその主要な点といたしまして、鉱物資源の保全、延いては人命の安全、更に労働者が再び職場に帰つて来るという現場復帰の事情、こういうことが強く本法案の提案理由として通産大臣も御答弁になつたと思うのであります。併し現在起つております石炭鉱業における事情は容易ならん状態でありまして、それは通産大臣のほうがよほど詳しいので、恐らく釈迦に説法だと思いますが、北海道から常磐、九州、この炭鉱地帯におきまする現状は、すでに政府の施策を以てしても、私ども見るべき施策はあるとは思いません。思いませんが、併しそれにしても、もはや救いがない状態になつていて、私の調査によりますると、すでに五月の初め、五月一日現在の記録を見ましても、北海道ではその殆んど七〇%が潰れてしまつている。これは無論芋掘りを除いての中小炭鉱です。常磐におきましても百三十坑ばかりのうちで、すでに二十二は当時休廃止されていたのであります。九州におきましても六十坑が廃坑となつていて、四月末から五月、更に本七月にかけては、水害は別です、水害以外におきましても非常なる数と、その規模の炭坑が休廃止されているのであります。若しその事実がないとするならばないようにお答え願いたいと思うのですが、こういう実情から考えて、今日このスト規制法によつて一段と、今申上げたように若し潰れて参るならば、殆んどの労働者が、先ほど来数字を挙げて同僚委員から指摘されておりますが、一方こういう首切りなどによつて脅され、そうして労働者は今大臣の指摘されたように、家族の立場等を引用されましたが、この立場から見ても、首切りに対抗する手段としてあらゆる争議行為をしなければならない、いやでもそういう立場に追込まれるのであります。そこで問題点は、資源の保全、設備等々を言われて、本法案を制定すべきであるとお話になりましたが、それよりももつと大切なのは、こういつた数多くの炭坑が、保安委員どころか炭坑全体が潰れてしまつている。そうしてそれは日に日に潰れている数も増大しているというこの現実が、如何に我が国としては資源愛護の面から言つても大切であるか。この法案よりももつとその施策のほうが大切ではないか。而もそのことは、この法案よりももつと時間的に急いでいるのではないか、このように考えられるのでありますが、岡野通産大臣としては、経営者がストライキ規制法を出す時は、大切な国家資源を扱つている産業だと言われているけれども、経営者、資本家の意思に基いてもはや貯炭が多くなつて金儲は少い、炭価は下つて来る。儲からないところに仕事はないのだと称して、炭坑を潰して行つておるのだか、これに対しては何らの法案を用意されていない。むしろ政府と手を携えて炭坑を潰しているような感なしとしないのであります。この問題と、このスト規制法との関連について、どのようにお考えであるか、資本家、経営者のやることは止むを得ない、これは是認するけれども、労働者がその生活を守るための争議行為としては、これは認められない、こういうふうに割切つておいでになるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
更に第二の点に関連いたしまして、成るほど炭坑について一通りの政府の責任に対する答弁を聞きましたが、電気産業に対しましては納得するような、スト規制法を電産に適用する第二条、これについて御答弁は触れていないと思うのであります。ただ触れたと強いて言えば、渇水の停電があり、且つ争議行為による停電がある、こういういわば級数的に増大しておるところのこの停電が、そういうふうに重なつている場合に、やはり渇水停電があつて困つているのだから、せめてストライキによる停電だけでもなくしようというふうな意味にとれる先ほど御回答があつたのでありまするが、そういたしますると、渇水停電があるからストライキによる停電のほうは是非ともこのスト規制法によつてとめなければならないという先ほどの御発言に基いて第二条については御賛成になつたのか、成いは他に理由が通産大臣としてあつたのか。今日電気事業につきましては私は改めて通産大臣に対して明確なる御答弁を伺いたいと思つて用意いたしておりまするので、只今の二点に関連いたしまして御質問する次第でございます。
最後に、一言私の納得の行かない問題がありまするので、この際お伺いいたしたいと思うのでありますが、去る九月二十九日に当院の本会議におきまして通産大臣に私は質問いたしております。これに対して、当時通産大臣が本院の河井議長に対して御通告になつておりまする言葉は、岡野通商産業大臣は病気のため欠席せられております。他日出席の際に答弁する趣きであります。こういうことで御答弁が保留されているのでございます。で、その後永の御病気も全快いたされまして本院ではお見受けいたしたと思うのでございますが、未だ御回答がないやに私は思つているのでございますが、果してこの本会議の質問に対するお答えがあつたのかどうか。お答えがないとするならばお答えができないのかどうか。その点の事情を明らかにいたして頂きたいのであります。併せて、若しお答えがなしに、又お答えができるとするならば当然お答え頂かなければならんと思いまするが、速かにお答えして頂くよう、お約束をして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/61
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062・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。いろいろ只今炭坑が潰れておると、こういう御事情を伺いましたが、我々といたしましては、これは自由企業のことでございますから、経営者がこれを閉鎖するとか何ということに対して、閉鎖を抑止するところの権限はございませんけれども、困つて参りましたときには、やはり金融上の斡旋をするとか何とかいうことで助けて行くことに努力しておる次第でございます。と申しますことは、即ち首切りなんかが余り出て来ないようにということを念願してでございます。御承知でもございましようが、今度北九州にあの水害がありまして、中小炭鉱が非常に水没して困つておる。これに対していろいろ特別の融資融旋をしてくれとか何とかいうお話がございますので、我々といたしましては大いに努力しまして、そうして政府資金を預託いたしますとか、開発銀行に特別な枠を設けまして融資をするとかいうことにして、そういうことで倒れないように努力しておる次第でございますから、その点は通産行政といたしましてはでき得る限り潰れないようにして行く。ただ併し私企業で、自由競争でやつておられるところの経営者に、これを政府が昔の統制時代若しくは軍部独裁の時の命令経営というようなことをいたしておりませんことは事実でございまして、干渉がましいことはいたしておりません。御斡旋はいたしておりますが……。
それから第二条の件でございますが、これは御承知の通りに、この法案の出ました根本精神から考えまして、私はこの法案の通りに考えております。
それから本会議のことについては誠に恐縮でございます。実はその後答弁書を書きまして毎日持つて来ておつたのでございますが、本会議に出ます機会を失しましたので、まだ申上げておりません。いずれ……今日実は持つて来ておりませんので、その御答弁を申上げたいと思いますけれども、これは私がその機会を得ませんで御答弁申上げておりませんことを恐縮に存じますと同時に、改めて御答弁申上げたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/62
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063・藤田進
○藤田進君 然らば通産大臣のお考えは即吉田内閣の政策でもあると承わるのでありまするが、石炭の経営者が自由企業としてやつているのであるから、経営者が潰して行くやつはこれは何ともしようがない、これを拘束しようとは思わない、併し自由に勤労している労働者に対してはこの法律を以て罷りならんということのスト規制法を出す、こういうことに要約できると思います。而も経営者が困ればこれは金を貸してやる、無論中小企業など困つている炭鉱もあります。大手で日本の長者番付でもずらり顔を並べている炭鉱もある。いろいろあるが、このことについては関連いたしませんで、改めてお伺いいたしますけれども、併し今の御答弁はもう一度明確に承わつておきたいのでありますが、果して自由企業であるが故に、国家の資源を荒廃し、これを破滅に導き、鉱山、炭鉱全体を廃棄してしまうということ事態が、経営者の立場であるならば許されて、そうして労働者が、勿論労働者が炭坑を潰すというようなことは到底考えられない事実は、吉田委員によつて指摘されておりますけれども、この不明確な保安要員という形で一括網をかぶせて、ストライキによる結果日本の資源に何らか差障りがあつてはならないという程度で、法律で以て抑圧してしまう。できなくなるわけですから、ストライキが……。このことが今の吉田内閣としての、殊に通産行政としての岡野大臣として正しいとお考えになつているのかどうか。ポイントは経営者、資本家であれば、幾多の資源を潰していいが、現実に事例を挙げて申上げたのでありますが、労働者のほうは罷りならん、この理論が現実に立脚してどういうところから出て来るのか、どこに公共の福祉や法益の権衡なるものがどういう形で理論付けられるのか、この点を是非とも明確に伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/63
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064・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) 自由企業であるということと、今回出しましたところのスト制限法案というものとは、私はそれほどくつ付けるものじやないと、こう考えております。と申しますことは、スト規制、今回出しましたところの保安要員の引揚げ禁止ということはどういうところから出ているかと申しますれば、この炭坑が潰れては困る。それから又危険があつては困る、こういう意味であつて、そうして正当労働行為というものからまあ社会通念上離れておるのだから、これは禁止しておくべきものじやないかと、こういう建前から来ておるのでございまして、労働者抑圧ということを頭からきめておかかりになるということに対しては、私は見解の相違かとも存じますけれども、その点は私納得行きません。
それから経営者が潰すとか、まあ閉鎖するということによつて首切りが出て来ると、これは私は悲しいことでございます。できるならば日本の経営者というものは首切りをしないで、仕事を進めて行くとか、若しくはこの労働者をどこかに転職を、又その配置転換というようなことをよく心得てやつて頂くということは望ましいことでございます。併しながらどうしてもやつて行けないで閉めるというようなことになりまして、政府がこれを助けて行つて、これを何とかして行くというようなことでは、実は国民の税金を取つて仕事をしておりまするところの政府としてはやり得ませんのでございまして、その点は経営者にそういうことをお願いするということよりほかにございません。ただ問題は、このスト規制という問題が、正当の労働争議権を抑圧するとおとりになるかならないかによつて、甚だ潜越でございますが意見が違つて来ることと思いますが、我々といたしましては、正当争議権ではない、こう考えて出しておる次第でございますから御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/64
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065・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 只今ちよつと私伺つておりますと、答弁と質問者とに食い違いがあるようでございます。その食い違いは、藤田君の言つておることはこういうことと思うのですね、私が聞いておりますると、要するにスト規制法のいい悪いということでなくて、炭鉱の保安要員を引揚げることは炭鉱を壊滅に導くことである、こう政府が説明しておる。切羽がつぶれるとか抗道がつぶれる、こういうことはよくないと言つている。そのためにこの法律で縛るのである。そういうことが若しあるとすれば、石炭の増産については随分政府も今まで補助したこともあるし支援したことがあります。現在もやはりエネルギー資源として石炭は重要であると、そういうことであるにかかわらず、保安要員の引揚げどころではなくて、中小炭鉱を鉱業主の一方的な見解によつてどんどん休止、廃止が行われている。このほうが通商産業省の政策としては非常に重要じやないか。別に失業労働者をどうしろということじやなくて、産業行政としてそれが一番重要じやないか、ただ、切羽のつぶれるのを防ぐためにスト規制法を出すけれども、切羽どころの騒ぎじやなくて、山全体がこんな援助を受けてあそこまで回復して来た石炭を、公益事業であるといわれる石炭を、業者が勝手に山をやめてしまつたり廃止してしまつたり、そういうことをすることについて政府は何ら手を打つていないじやないか、その点はどうだ。こういう工合に質問なさつているのだと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/65
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066・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) 石炭の資源というものにつきまして産業行政上どう考えているかということでございました。たくさんこういうふうにつぶれているじやないかというお示しでございますが、ただ問題といたしましては、御承知の通りに石炭というものは非常に大事なものではございますけれども、併しコストが下らなければ結局日本としても困るという意味におきまして、只今増産ができているわけでございます。ところが増産の結果といたしまして、或いは経営不能になつた人も出て来ぬとも限りませんし、いろいろいわゆる独禁法で称しているような自由競争の建前上、山を閉めたほうが自分自身がこれ以上損をせんというような建前から閉めて行つたということになりますが、併し若しこれが日本全体の石炭の必要量からそれに対して供給量というものがどういうふうになつているかということを見合せまして、そして考えておることは事実でございますが、只今のところでは相当石炭を増産しておりますので、若し経営者が採算が合わないので閉めるということになりますれば、我々といたしましては通産行政上これをとめる筋合もないのじやないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/66
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067・藤田進
○藤田進君 具体的にお伺いいたしたいと思いますが、只今つぶれつつあるところの炭坑の事情は、いろいろその設備や様式はあるけれども、ところによつては資本家のほうで保安要員を引揚げてくれ、炭鉱はやめるから、労働者のほうでは、いや保安要員は引揚げないで事業を継続してもらいたい、いいですか、逆の現象があるのじやないですか。保安要員を引揚げれば無論その炭鉱はつぶれてしまい、やめる、廃坑になつてしまう。無論資本家がその意思を持つて保安要員の引揚げ命令をしてやめさせる。そういうときにはこのスト規制法は作用しないで、そうでない場合はこの第三条が作用する、これを一体どう考えるか。それは私有財産を持つている人が自由にするのであるから、これはもう政府として何とも仕方がない。石炭のコストは下がつても、はや炭鉱は儲からないのであるか仕方がないのだ、それで以て事が済むならば労働は再生産できない、で、賃金その他の労働条件を引上げて何とかしてもらいたい、生活のためにと言つている場合と、今日の労使の関係というものは法理論的にも又政府が言われるところの社会通念から見ても対等な五分五分、ましてや一国の政府は、この労使間に立つて極めて公正中立な立場でなければならんと言われていると思うのです。このことはしばしば政府の答弁として我々聞いて参りました。併し今炭鉱の現状を引出しまして答弁を求めるというと、果して今言うような資本家のほうがやるやつは止むを得ないとおつしやるけれども、逆な現象が今事例を挙げたように出ている。経営者のほうが保安要員を引揚げてくれと言う事実、労働者のほうは何とか企業をやめないでくれと言う、これを一体スト規制法のこの状態と関連してどういうお考えであるかということをお伺いしているのであります。資本家がやるやつはこれは法律は作らない、若し政府が対等の立場でどちらにしても、たとえそれが憲法にどうあろうとも、スト規制法のようにするなれば、財産権と称するものに対しても炭鉱の休廃止禁止法が出なければならんでしよう。休廃止してはならんという法律で出なければならん。それが出ないで、労働者の生活は置き去りにして、ストライキの手段は奪つて行こうという、この点に均衡を欠いてはいないか、石炭行政の元締である通産大臣に、殊に石炭の現状から政府の態度を聞いているのでありますから、ポイントを外さないで明確に御答え願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/67
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068・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) 私はとにかく労働者が、保安要員が、閉めるけれども閉めないでくれというようなことを言われる。これは至極結構なことで、引揚げないと言つて下さる保安要員は私は有難いと思つております。それと経営の問題とは別だと思います。
只今この法案で問題になつておりますことは、大きなストライキがありまして、そうしてたくさんの炭鉱が保安要員を引揚げるというようなことがありましたならば、これは国家的に非常によくないことだ、公共の福祉にも合わないからこれはやめてもらおうじやないかという意味を明確にしただけのものでございます。私どもの考えといたしましては、これは保安要員が是非やらしてもらいたいと言うことは、これは当然のことでありまして、それが一番いいことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/68
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069・吉田法晴
○吉田法晴君 これは、岡野国務大臣はよく質問の趣旨がわかつておりませんが、岡野国務大臣……、(「わかつていても答えられないのだよ」「答えようとしない」「全然説明がつかんじやないか」「議事進行」「委員長馴合いになつたら困るよ」「だめだぞ帰えつちや」と呼ぶ者あり)まだ我々は質問が残つている、関連質問を要求しているから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/69
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070・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 最後の結論の出るところに来ているから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/70
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071・吉田法晴
○吉田法晴君 あとの点は又いずれ……、政府は、この争議行為の規制に関する法律案を出すに至つて、公共の福祉のために労働者の団体行動権、そのうちの争議権を制限すると、こういう説明をしておられる。その公共の福祉の具体的な現われは、ストのために電気の配電が一部減少をした、或いは保安要員は引揚げられなかつたけれども、指令が出た……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/71
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072・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 吉田君にちよつとお願いいたします。今藤田君の追及しているところは非常に重要なところだと藤田君は考えておられる。岡野国務大臣は早く帰りたいと言つておりますから、その点はほかに外らさないで、その点を中心に一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/72
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073・吉田法晴
○吉田法晴君 この公共の福祉という意味は、電力については電力の供給を円滑にするということ、或いは石炭については石炭を十分に配給するということ、この石炭を生産する或いは電力を配給するということは私が申上げるまでもないことですが、公共事業令或いはその他で以て鉱業権者がこれの責任を持つている。労働者にはこれの責任はないけれども、公共の福祉ということから経営者が供給すべき責任の分までも責任を負担させて争議行為を規制しようとしている。然るに経営者のほうに対しては、電力の円満なる供給が行われなくても、或いは石炭の生産が十分行われなくても、これについて何らの制限も行われようとしておらん。公共の福祉は基本的人権については制限さるべきではないと思いますけれども、所有権については制限があることは政府も認めておる。為るに所有権については、或いは私企業については全然制限なしに、どんなことがなされようとそれには政府は頬かぶりで、労働者の権利だけを制限しようとするのは不当ではないか、通産行政の責任者としてどう考えられるかという点が私は問題の焦点だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/73
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074・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。この点が御意見の相違じやないかと思います。ということは、この保安要員の引揚げということが正当の争議権であるかどうかということの見解の相違に基因すると思いますが、そこで我々といたしましては、社会通念上正当な争議権の範囲を逸脱しておるものと判断しておりますのでこういう法案が出たわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/74
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075・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは伺いますが、電力を供給し或いは石炭を生産し、或いはここに問題になつております保安の確保ということは誰の責任とお考えになつているか承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/75
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076・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) 恐縮ですが、もう一度要点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/76
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077・吉田法晴
○吉田法晴君 電力の供給或いは石炭の生産、或いは保安の確保は誰の責任か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/77
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078・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは無論電力の供給は電力を供給する業者と私は心得ます。石炭を供給する責任者は、石炭を出しておるところの業者と、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/78
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079・吉田法晴
○吉田法晴君 公共の福祉という名前で国民生活或いは国民経済に影響があつたと言われるが、その供給すべき責任者の電力経営者或いは石炭の経営者という者にはその責任は問われないで、労働者にまつすぐに責任が問われようとしている。他方において生産の点において経営者の責任がある場合に、政府は責任を一向追及しようとしておらんのであります。それでは、政府としては経営者に対して責任を追及さるれ所存であるか、或いは別にそういう法律をお出しになるつもりであるか、その点一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/79
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080・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) お答え申します。(「労働大臣ではない、通産大臣だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/80
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081・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 岡野通産大臣。労働大臣はまだです。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/81
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082・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答えを申上げます。電力の供給をするのは電力業者、それから石炭の供給をするのは石炭業者でございますが、その供給がどうしてできなかつたか、そうするというと政府は責任を問うか問わないかという問題でございますが、これは正当の労働行為によつて行われた供給不足ということになりますので、これは不可抗力でございますから、問題は自然に誰の責任を問うということにはならないのじやないかと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/82
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083・吉田法晴
○吉田法晴君 昨年の争議によつて国民生活に影響があつた。その国民生活に影響があつたというのは、電力が円滑に供給されなかつた或いは石炭が十分に配給されなかつた、こういうことであろうと思うのでありますが、その責任はこれは経営者にあるとお認めになつた。経営者を通り越してすぐ労働者にこの責任をこの法律では転嫁しようとしておるのであります。先に炭山の閉鎖という問題も起りました。或いは電力の円滑なる配給が行われない、こういうことが起るならば、政府は法律を作つて処罰される所存であるか、こういうことをお尋ねしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/83
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084・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 吉田君にちよつとお願いします。通産大臣は大分お待ちでありましたけれども、そちらのほうがお急ぎになつて、三十分ということで帰りたいとおつしやるのですが、大分時間が過ぎましたから、どうせ保留になると思いますが、保留になる問題点だけはこれははつきりと研究せられるでしようから、よく調べておいて間違いのないように、今後は極めて簡明にお答えの願えるようにしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/84
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085・田畑金光
○田畑金光君 通産大臣がいつ幾日こつちへ来て答弁されるか、それを明確にしておいてもらいたいと思う。我々は今の問題については幾多の質問を持つておるが、時間が与えられないので黙つておる。いつ幾日こちらに来て答弁するかということを明確にしておいてもらいたい。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/85
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086・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 私今聞いてみると、明日十時から来られるそうです。問題点は、私が大体聞いておるところはこうだと思いますので、極く抽象的に申上げます。要するに通産大臣は企業の自由性ということからして、一つの鉱山に関する限りにおいてはその鉱山をどういう工合に料理しようと、それはその鉱山を持つておる人の自由である、こういうことを先ほどおつしやつた。やめようと廃止しようと自由である、こういう工合におつしやつた。それは間違いないわけですね。そうしますと、その中におる労働者諸君のことも自由である、これは公務員でないから自由である、こういうことになる。その場合にそういうことをお認めになつていながら、全くそういう企業として自由である鉱山の中の保安要員の引揚げということだけはなぜ干渉されるのか、ここが皆がよくわからないという工合に発言しておる。「(私有財産保護法ではないかと言うのだ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/86
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087・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは通産大臣に対する質問が途中で切れましたが、労働大臣にお導ねをいたしますが、昨日労相と中西労政局長、二人からであつたと思うのでありますが、社会通念ということに関連して、大衆の声は素朴でこれは神の声のごときものだ、学者の持つて廻つたためにする発言よりもこれは尊重すべきものだ、こういう発言があつたと思います。私は昨日民主主義のABCとして、深く民主主義の原則については触れませんでしたが、なお学者の意見について今日こういう考えを持つておられるかどうか。申上げるまでもなく或いは学説、判例等は、これは法律の法源として普通考えられております。恐らくこのことを労働大臣といえども否定されるはずはないと思うのでありますが、これらの法学説に関連いたしまして、なお学者の持つて廻つたためにするその発言よりも素朴な大衆の声のほうが確かだ、或いは反対のあることも認められた、社会通念に関連してなおこういうことを言われるかどうか、重ねて承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/87
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088・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 只今の私の発言と言われる中に、学者の持つて廻つたためにする云々ということでありましたが、私は学者ということを言つた覚えはございません。これは速記録を御覧になつて頂けば恐らくないと思います。なおこれを私が申上げましたのは、輿論というものだ、選挙の結果といつても別に当になるものじやないという御意見がありまして、私は決してあげ足を取つたりそんなことをするつもりではございませんですが、要するに民主主義というものはやはり素朴な大衆の声が積み上つてそこに生まれるものであるというふうに思いますので、やはり大衆の素朴な感情というものは尊重しなければいかん。むしろ我々は襟を正して大衆の判断に従うべきであろう、こういうことを申上げた趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/88
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089・吉田法晴
○吉田法晴君 私がお尋ねしているのは、大衆の声或いは社会通念の論議をここでしているわけではありません。一般に法源と考えられている学説、判例の中で、労働法学者が挙つて反対の意見を表明いたしましたこの法律に関する意見を、学者の持つて廻つた意見だ、この点はそういう言葉を話しておらんというお話でありますが、残念ながら今速記録がございません。朝来速記録について調べましたが、まだ翻訳をしていない、併し速記者もそういう発言のあつたことは認めております。若し速記録がなければ論議が進まんということであるならば、速記録を取寄せてからにいたしますけれども、法源の一つとしての学説についてどういう工合に考えられるか、そのように侮辱をなお与えられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/89
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090・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 持つて廻つたためにする意見よりもということは、確かに私言つたのです。それは私もさつき認めたのですが、学者のという言葉は附いていないと言つたのであります。別にそう侮辱であるとかそんな意味はございませんので、輿論は作られるという話があつたから、作るように持つて廻つたというような、そういう意見よりも、素朴なすんなりとしたほうが尊いのではないかと言つたわけで、これは速記録を見なければどうのこうのというふうに私は深く考えておりません。なお学説というものは尊重はいたします。尊重はいたしますが、学説即法源であるということは言えないと思うのであります。慣例乃至慣習法というものは、これは法源であることは当然でありまするが、学説即ち法源ではないということでりあます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/90
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091・吉田法晴
○吉田法晴君 学者の意見に対して侮辱を与えた覚えはないというお話でございますが、私が朝来調べたところでは、そういう発言があつたということは速記者もこれは申しております。その点は留保いたします。
それから学説が法源にならんというお話でございますが、この点は私は通説に反すると思います。それならばこれは昨日なども引合いに出ました、私も後刻引合いに出したいと思いますけれども、労働省等でお聞きになつた意見等も、これも全然法源にもならん、法令解釈の資料として一つの法源たり得るということは、これは法学通論の、大学でなくても高等学校でお聞きになつたところでも恐らく明らかだと思うのですが、法源だとすべての人が言つておりますが、その点もなお御否定になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/91
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092・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 学者もという言葉に大変おこだわりのようですが、私は申した覚えはない。私は覚えがいいほうではございませんが、委員会で言つたことについては責任を持つ、(「委員会とは何かな」と呼ぶ者あり)いやしくも委員会で言つたことに対しましては責任を持つ、御了承願いたいと思います。(笑声)大体学生に講義していたこともつい最近までございますのですし、そんなことは自分としては考えておりませんから御了承願いたいと思います。
なお行政解釈というものはどうかということでありますが、この政府の解釈、行政解釈は飽くまでも行政解釈であつて、法源とは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/92
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093・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは、行政解釈のことを尋ねておるわけではございません。学説というものについてお尋ねをしているのでありますが、この法律について労働法学者が品を揃えて違憲の疑いあり云々という意見を述べられたのであります。こういう学説について、それが法源でないとお認めになりますか、なりませんか、はつきりした御答弁を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/93
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094・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 学説は法源でございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/94
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095・吉田法晴
○吉田法晴君 これは新らしい学説だと思うのですが、(「小坂学説」と呼ぶ者あり、笑声)その点は又追つて論議するつもりでございましたが、法源でないというお話でございますが、法律の解釈、或いは法律がどういう具合に世の中に、社会に活くべきかという点について、私は法学に関しましては、プリミティヴな段階においてこれは法解釈の一つの材料であるということには間違いはないと思う。いわゆる通説ということがよく言われますけれども、その通説ということは一つの法源であり、或いは法文に書いてありますものを法として適用いたします場合の大きな私は材料であるということには間違いはなかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/95
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096・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) この法律の解釈に対しては、こうした通説があるということはよく申しますが、これは法源とは考えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/96
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097・吉田法晴
○吉田法晴君 論議をしても仕方がございませんから、その点については意見を明らかにいたしまして、次に進みたいと思うのでありますが、もう一つ。昨日中西労政局長から大臣の代りに御答弁頂きました際に、保安要員の引揚げが違法であるという社会通念がある、或いはそれに関連いたしまして判例等があるならばお示しを頂きたい、そのときに、中西労政局長の手許にありました判例を引いてお話になつたのでありますが、今日実はその写を頂いたのでございます。それによりますと、昭和二十三年の二月二十五日の北海道の井華奔別鉱業所奈井江坑において保安要員の引揚げ戦術を決定し、労務の不提供を行なつた事件について同年九月二十三日の札幌地方裁判所の判決があり、それに対する札幌高等裁判所の判決が出ているのでありますが、これにはそれぞれの数名の被告を調べました結果、犯意を認めるに十分な確証もないから犯意の証拠がないことになり、無罪を言渡すのほかはない、こういうことがはつきり書いてございますが、昨日の中西労政局長の御説明は、これは私が持つておりません資料でありましたために、私はそこで事実この判例と違つた事実を述べられたと了解をするのでありますが、なおこの点についてそうではないと言われるならば承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/97
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098・中西實
○政府委員(中西實君) 私もこの判例全文は今日実は見ましたので、確かにおつしやいますように若干私の引例は適切でなかつたようでございます。ただこの判例を最後までお読み頂きますると、犯意がなかつたから、結局は無罪でございますけれども、やはり行いました行為はこれは明らかに行過ぎであるし、労調法三十六条の規定の趣旨に明らかに抵触するものだということを申しておりますとただこの事件は刑法の隘水罪の事件でございます。御承知のごとく犯罪成立には先ずその犯罪行為の事実がある。それにやはり違法性がある。更に犯意があるというこの三つの要件が整わなければ刑法上の犯罪は成立しないのであります。この場合温水罪としましては犯意が十分でなかつたというので無罪でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/98
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099・吉田法晴
○吉田法晴君 これは昨日の中西労政局長の答弁は正当ではなかつた、或いは私が質問をいたしましたのに対する答えとしては適当でなかつたという点だけはお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/99
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100・中西實
○政府委員(中西實君) これは昨日は温水、結果においてやはりしなかつた事件だ、流水罪は、行為はなくても温水罪の結果が起る場合はやはりこれは犯罪になる、こういうことを申上げました。昨日の問題の焦点は、結局今出ております法第三条に関するものでございまして、この判例はすべて刑法の温水罪に関するものでありまして、若干例として引きますには不適当なものであつた、こういうことは認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/100
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101・吉田法晴
○吉田法晴君 昨日の論議は、私が言うまでもなく社会通念として不当であるという言葉を労働大臣は使われましたが、その不当であるということと違法であるということとは同じであるとあとで訂正をされ、そうして保安要員の引揚げ等について、これは電産関係の例は川崎の裁判事件を私は知つていました。そうしたところが、保安要員の引揚げ問題が違法であるとして判決せられた例があるとしてこの例を引かれたのであります。従つてその場合に違法であるかどうかどいうことは、これは判決の結果に関連しますならば、有罪であるか無罪であるかという点がこれは問題であろうと思う。その場合にあなたは、それはたしか溢水という事実はなかつたというお話があつたと思う。私は説明を聞いておつて温水罪について未遂が処罰されるのがどうということに疑問を持ちながら、判例もございませんから、疑問を持ちながら聞いておつた。実際に判例を頂いて見ると、やはり労政局長の答弁は間違つておつたという感じを持つたので、その点を念を押しておつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/101
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102・中西實
○政府委員(中西實君) 先ほど申上げましたように、この判例は溢水罪の判例でございまして、そこで刑事上犯罪の成立する一つの要素である犯意がなかつたから結局一応無罪だという判例になつておるわけであります。ところが無罪になつたということと違法でないということと必ずしも一致いたしません。本法案第三条で正常な保安業務の停廃で、そうしてここに列挙してあるような行為が客観的に起るような行為、これはやはり違法性は阻却されない、こういう趣旨に御了解頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/102
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103・吉田法晴
○吉田法晴君 私は中西労政局長が引かれた判決の最後の点は、無罪の判決を言い渡した後に、「使用者側においてもまた労働運動そのものに十分な見解を欠き、なお昔日の態度を完全に払拭し得ず、必要以上に労働者を刺戟せるものがないではなく、その後継起した多場くの事件により我が国民主化の前途に一抹の暗影を投げてきたのであるが、」、こういう使用者側に対する注意も書いてあります。反省を求める点も書いてございます。労働者側に対してもそれは行き過ぎであるという点が戒しめてある。いわばこれは判決を言渡した後に裁判所が労使双方に対して反省を求める上において書いた、これは主文ではございません。はつきり求められた、この有罪か無罪であるか、或いは刑法上違法であるか或いは適法であるか、こういう法解釈が中心になつてこの判決がなされたものだと思うのです。その点は恐らくお認めになるだろうと思う。問題は今のこの法律の第三条と、それから或いは労働組合法第一条第二項、こういう関連になりますと、これは私は人命に関する点は労調法三十六条、そうしてその他の或いは資源或いは重要設備という点になると、政府の説明によると、それは三十六条ではなくて一条二項だと言われる。そうして若しこの法律に反するならば、それは法の保護は認められない、或いは違法だと言われる。そうすると違法と言われるならば、恐らくこの法律が通ればこの判決とは違つて刑事上の責任も問われて参るだろうと思う。労働組合法一条二項は、これは刑事的な責任を中心にして違法性を私は規定しておるものと思うのであります。そうするとあなたはこの判決と、この事件と、そうしてそれに基いて違法と言われるが、これとこの法律ができた後の取扱いとはまるつきり違います。違うのをあなたはこれについてもこの注意書きに書かれておるから、それがこの法律の基礎になるのだ、こういう今説明をされるけれども、私は法律関係は違うと考えるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/103
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104・中西實
○政府委員(中西實君) この事件は昭和二十三年の事件です。そうしてここに明らかに被告の行いました行為は労調法三十六条の規定の趣旨に牴触する、こう書いてある。そこで三十六条に実は罰則がないわけです。そこで若しも鉱山保安法が当時ございますれば、当然やはり争議行為としては違法性は阻却されない、労組法の一条二項の正当な行為ではない、こういうことになりますので、この法律ができましてもできませんでも現在におきましては取扱いは同じだ、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/104
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105・吉田法晴
○吉田法晴君 ちよつと今注意をほかに外らして、十分間かなかつたのでありますが、私が申上げたのは、主文はこの行為の刑法上の責任を明らかにして、そうしてこの事件についてはこれは無罪だ、或いは刑法上違法でない、それからあとは、労使双方について裁判所が注意をいたしまして、そこであなたは一番しまいの点だけを抜き出して考えられますけれども、若し労調法三十六条違反の事件であるかどうかということについての裁判であるならば、私は中西労政局長の意見に賛成をいたします。併しながらこの判決はそうじやない。そうすると先ほど申上げたようにこの争議行為の方法の規制に関する法律案というものができなければ、少くともこの保安要員の引揚げという行為をなしたとしても、それは違法性を阻却されないという中西労政局長の意見は間違いだ、こういうことを申しておるわけであります。そうはお思いになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/105
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106・中西實
○政府委員(中西實君) この問題は検事のほうで刑法百二十三条の温水範囲罪で問題にしておる事件であります。そこで温水罪を成立するには犯意がなかつた、はつきり認められなかつた、従つて刑法百二十三条の罪としては無罪である。こういうことを主文で無罪である、こう判決しておるのであります。この理由の中でいろいろと考え方を謳つておるのであります。そこでは明らかに労調法三十六条の違反の行為である、こう言つておる。従つて結局争議行為としても違法性を阻却されない行為である。こういうふうに裁判所は認めておるのであります。従つて今度三条ができまして、判例の内容、内容といいますか、裁判所が理由として言つておりますこととちつとも変りはない、こういうふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/106
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107・吉田法晴
○吉田法晴君 労政局長の法理論も大変当てにならん議論でありますが、違法性を阻却しないというのであるならば、これは何らかの法的な責任を問うたでしよう。併しこれは問うておらんのではないか。重ねて今の御知識で答弁を願つても無駄であります。法務省がおいでになつた際に改めて論議をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/107
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108・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ちよつと御参考までに申上げますが、法務省は刑事局桃澤公安課長が見えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/108
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109・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) 只今の違法性阻却の問題でございますが、争議行為として三十六条違反として違法性が阻却されましても、若し該当する刑罰法規があつた場合にはその刑罰法規の処分を受けなければならないということになつております。ところが本件の場合には鉱山保安法がございまするので、鉱山保安法の違反として、その行為がありましても処罰の対象にはならない、こういうことになるかと存じます。先ほどの温水の件は、これは刑法百二十三条の問題でございまして、この刑法百二十三条の構成要件を充たし得る場合にはやはり有罪の判決があるのでございますが、判決を拝見いたしますと、犯意がないということで無罪になつておる、こういうことになつて来ると思います。でありまするから只今仰せになりました違法性阻却の原因がないときには必ず処罰を受けるはずだ、こういうお話でございましたが、それに該当する罰条がないと処罰されない、こういう結果になります。そのほか違法性が阻却されない場合には民事上の責任、こういうものは残つて来るかと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/109
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110・吉田法晴
○吉田法晴君 事件は御存じかどうか存じませんけれども、保安要員の引揚げという戦術の決定をしたのであります。そうして労務の不提供をやつたのであります。併しその場合に予想を本人たちもしておりましたが、職員が代つて坑内に入つて、或いは溢水その他の水利関係の刑法百二十三条でしたか、事実がないのです。で犯意の問題でありますけれども、これは事実が起つておらん、全然、それに違法である云々というお話がございました。問題は刑事的な責任の問題であります。三十六条違反関係云々というよりは労働法上の問題である。ここに問題になつておるのはこれは刑事的な責任である。そこで刑事的な責任について責任はない、こういう判決が下つて、あと御覧になるとわかりますが、労使双方に対して訓示的なものが下されておる。その訓示的な内容の中から労調法三十六条違反だけを取上げて中西労政局長が論議をされるということは、この判決の私は趣旨ではなかろうと思うのであります。労働関係は、労働法関係の問題として出ておりますならば、それは中西労政局長の意見を私もとらんことはないと思います。その点について中西労政局長のお考えというのは、この判決とそれから問題にしました点とピントが狂つておる、こういうことを申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/110
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111・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) この判決を拝見いたしますと、使用者の責任も裁判所は追及しておられるようでありますし、又労働者側へ行過ぎであるという追及もしておられるようであります。それで刑事問題としては問題になりません。仮に会社側でこの溢水が起きたという結果に対しまして民事訴訟、損害賠償の訴訟を起したという場合には、使用者側の責任過失と申しますか、そういうものを十分含めて判決がなされるだろう、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/111
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112・中西實
○政府委員(中西實君) ちよつと誤解がおありじやないかと思いますが、刑法百二十三条を御覧頂きますと、「温水セシム可キ行為」とあります。従つて結果が出ませんけれども、客観的に結果が出る行為をしたものは、刑法百二十三条で罰せられるわけであります。併しながらこの場合に犯意がはつきりしなかつた。違法性があつたけれども、犯意がはつきりしなかつたというので無罪になつた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/112
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113・吉田法晴
○吉田法晴君 法務省から来ておられるから伺いますが、これは判決は、行為がなかつたということは見てとつてよいと思います。これは百二十三条は水利妨害罪でございますが、「堤防ヲ決潰シ、水閘ヲ破壊シ其他水利ノ妨害ト為ル可キ行為」と書いてございます。それを労務不提供ということで、妨害となるべき行為があつたと、こういう労政局長の解釈でありますが、私はこれは刑法の解釈としてとらるべき解釈でなかろうと思います。重ねて一つ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/113
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114・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) 刑法百二十三条の関係から申しますと設例をわかりやすく申上げたら一番いいと思います。例えばこの奔別の事件において職員組合と連絡をとらずに保安要員が引揚げた、その結果溢水を生じた。これは明らかに有罪であろうと思つております。この判決の趣旨からいつても有罪であろうと思います。それからもう一つの設例を申しますと、職員組合と連絡なしに保安要員を引揚げた。ところがたまたまそのときは水が出なかつたために温水という結果を生じなかつた、この場合どうか。これもやはり百二十三条の「溢水セシム可キ行為」をなしたるものに該当すると思うのであります。判決はそのことを申しております。ただこの際は職員組合も引受けた、こう申しているのでありますから、組合側において保安要員が引揚げても職員組合で万全の措置をとつて温水は万あるまい、こういう確信を持つておつた事案であります。それ故に労組側に対しては犯意がない、こういう結論を裁判所はとる、こういうのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/114
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115・吉田法晴
○吉田法晴君 実は百二十三条の問題を論議しておるのではなくして、この法律ができない前の法関係と、それからこの法律ができてからの法関係とを実は論議をしておるのであります。中西労政局長は、この争議行為の方法の規制に関する法律案の中身をなしております或いは電源スト或いは停電スト、或いは保安要員の引揚げというものはこの法律がなくても違法である。そういう社会通念ができ上つている、それを規定したにとどまつている、こういうお話であります。そこで三十五条、三十六条、これは人命に関する点を規定いたしております。人命に関す」る趣旨と解釈するのが通説であります。通説を否定するなら別であります。その他のこの条文にいう鉱物資源の滅失或いは重要なる施設の荒廃或いは鉱害を生ずるもの、こういつたものは労調法三十六条所定の問題ではございません。それは労組法一条二項の問題、これは一条二項は主として刑事責任を規定したものだと私どもは思うのであります。これらの今挙げました人命の保護に関係のないものについてもそれは違法であるとして社会通念が成立をした、こういうお話でありますが、そういうこの違法であるという法関係がこの法律を待たずしてできておつたかどうか、この点を尋ねて、実は今そういう例があるだろうかどうかというお話をしたところが、この判例が出たわけです。その点について重ねて御答弁してもらいたいと思うのでありますが、少くともこの法律ができる以前において書いてありまするものが違法であるという私は取扱いではなかつたと考えておりますが、重ねて一つ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/115
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116・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) 只今の御質問の要旨と食い違つておるかも知れませんが、今回の法案の第三条の関係においての御質問でございましようか。私どもは第三条の関係におきましては罰則の点で申上げますと、鉱山保安法の五条、五十六条五号のときだけが問題なんでありまして、そういう意味から申しますと、これまで違法とされていたものと今後と少しも変りはないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/116
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117・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 ちよつと関連して。今の問題に関連するのでありますけれども、二条の場合であります。二条の場合で、労務不提供等の不作為による場合、この場合は公益事業令の八十五条ですか、あれの適用が当然あるかどうか、私少し疑問を感ずるのでありますが、その点を少し御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/117
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118・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) 只今梶原委員からのお尋ねのありました単純なる労務提供拒否二条違反になると同時に公益事業令第八十五条違反になるかというお尋ねでございましたが、電気の場合にとどまりませず、大体ストライキ権、争議権というものは単純な労務提供拒否ということをその内容としていることは申すまでもないことであります。ただ公共の福祉という点と争議権という問題との調和の問題がございますが、この公共の福祉に反するような争議行為はたとえ単純な労務提供拒否にとどまる場合であつてもやはり違法となることがあると、こういう解釈を私どもとつて参つたのであります。そのうち一番問題になりますのはこの第二条の関係であると思います。この場合にも我々といたしては原則的にはこれを変えない。併し中でやはり公共の福祉に反するものは違法とされる、かように解釈する次第でございます。他は単純な労務提供拒否であつて、許される例を一つ申上げますならば、例えば水門の取入口、そこいらにやはり労組員がおられるわけでありますが、これが先日の豪雨とまで行きませんでも、非常に水量が殖えて来ていて、水門の上げ下げを常時見ていなければならない、こういう場合に職場を放棄するということになりまするとやはり二条に該当して来るのじやなかろうか、然らずして平常な水の流れがあつて、二時間なら二時間、或いはもつとになるかも知れませんが、そこにいなくても危険を生じないという場合にはこれは許される。かように解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/118
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119・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 二条の場合に労務不提供、不作為を内容にする争議行為ですね、これはこれまでの御説明では、二条の規定それ自体から見て違法行為であるものと言われているわけですが、その場合にその不作為の行為によつて結果的に何ら電気の正常な動きに支障を与えない場合と与える場合とがあると思うのであります。与える場合にはこれは普通考えれば八十五条の適用ありということが、これは常識的に一応言い得るかと思うのであります。ところが結果与えない場合がある、現実に公益の侵害といいますか、それが起らない場合がある。併し不作為の行為それ自体は二条として飽くまでも違法と言われておるのであります。飽くまでも違法であると言われておるのであります。そのときに私は八十五条に違法だと言うので、八十五条により正当な理由がつけられて罰則の適用があるのか、そういう場合は現実に電気は正常に流れているのだから適用はないと、こういうふうに解釈するのか、その点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/119
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120・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) この第二条の関係から申しますと、結果の発生は必要要件となつていないと、こう考えております。生ずべき行為であれば、先どほの溢水でちよつと例を申上げました通り、あれとちよつと似たような関係になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/120
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121・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 そういたしますと、例えば発電所で職場放棄をした、職場放棄をするときに会社のほうに連絡をして、会社のほうでそれに対する対応策をとつて、正常な発電に何ら支障をもたらさなかつた。併し争議行為自体は違法だということで三年の懲役ですか、その刑罰を科する、こういうことに相成るわけなんですが、私は普通の犯罪と申しますか、違法行為と申しますか、そういう場合における罰則の考え方からいたしまして、これは非常に不合理なように感ずるのであります。
それからいま一つそれに関連してお伺いしたいのは、やはり二条の不作為の場合でありますが、八十五条の関係においては八十五条では正当な理由があればこれは違法ではない。争議行為自体は今度の法律が通ればこれは一応違法になる。併しながらそれ以外に八十五条に言う正当な理由があり得る場合があると思うのです。そういう場合はその正当な理由が活きるのか、それがなくなつてすべて二条によつて罰せられるのか。その点はどういうふうに見て行つたらいいか。例を挙げますと、この例は少し当りませんが、例えば現在の労働基準法等では必ずしも現場にぴつたりあれが合つているとは言い得ない場合がある。労働基準法通りやつて行くというと結果においては二条の違反になるような場合があり得りわけです。或いは定時退庁式の一つの行き方です。それはそれ自体としての一つの妥当性があるわけです。そういうものも全部二条としては認めないのかどうか、八十五条との関連において一つ簡単に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/121
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122・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) 最初の御質問の二条に違反するけれども、併し旧公益事業令の八十五条の正当性は認められる場合があるかという問題につきましては、二条で違法性があるということになりますると、八十五条の正当な場合に当らないという結果になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/122
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123・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 これは見解の相違になるかもわかりませんけれども、公益事業令において正常な公益事業の運営上八十五条の罰則規定があります。労働争議の場合においても労働争議の争議行為を規制するからといつて、普通の場合における罰則以上の責任と罰則を科するというのは私ども行き過ぎのように実は思えて仕方がないのであります。これは或いは解釈上の相違かもわかりませんが、今度のスト規制法案が従来の解釈といいますか、そういうものに対するよりも少し私は範囲を出て行くような印象を非常に受けるのであります。一つよく御検討をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/123
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124・藤田進
○藤田進君 さて、ますます法務大臣に来て頂かなければならないようになりまして、深くはそのときに申上げたいのですが、只今の御解釈によりますと、これは又大変な新らしい解釈が政府部内から出て参りまして、例えば洪水がある、ゲートの附近にいる労働者がゲートの上げ下げをやらなかつたならば二条に違反するのだ、こう言われたと思います。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/124
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125・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) ちよつと違います。かような場合に争議行為としてその職場を放棄するということが二条違反である。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/125
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126・藤田進
○藤田進君 結構です。無論今争議行為の状態について二条を論じているのですから、その通りでよろしい。その御答弁がありましたが、この第二条について今まで審議過程に明らかになつているのは、電気というのは生産即消費である。そこで公共の福祉に重大な影響を与えるという屁理窟を言われて、ここに説明をずつと続けて労働省は来られたのです。成るほどここに書いてあるように電気の正常な供給を停止する行為、直接に障害を……、なぜかというと、電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめる行為、こういうのであつて、ゲートの附近が、水路の横に穴があいているのをとめないとか何とかいうような、そんなことではなしに、電気の供給についてどうこうという問題を論じているのが第二条だということであつたのです。それは例えば争議行為としてゲートの附近の人たちがゲートを下すべきものを下さなかつたとか、或いは上げるものを上げなかつたということは、恐らく如何なる場合も、そういう場合には水が余つているときですから電気の供給には何ら影響もない。こう解釈して来たものが、新らしいそこに問題がありますし、更に公益事業令八十五条につきましても二条と関連して御答弁があつたが、決してその結果を招来するしないの問題ではない、当、不当とは言われているけれども、従来の御答弁ではこの点は違つているのです。或いは後日法務大臣のお答えのときに統一して頂いても結構ですが、恐らく現実には統一できないまでに発展していると思うんです。法務省とそれから労働省は現実にもうすでに統一しようにも、今まではこつちが嘘を言つていたんだ、おれのほうが正しいのだというふうなことをやり兼ねない限り統一はできないまでに来ているんですが、それはなぜかと言いますと、今言われた通り公安課長ですか、労務提供拒否そのものは不作為……これは本来の争議行為としてはこれは違法だと言つていない。あとはその規模における電源が二五%或いは三〇%、五〇%、それが法益均衡の十二条の面から、これは権利のもはや濫用であり、これがいわゆる公共の福祉、こういう限界ですね。これでやはり問題になつているのだというのが確かにもうここ四、五日前も、今も言われたようにずつと法務省が主張して、そういう意味においていろいろ法務大臣も従来触れて来られたと思うんです。それは正にあなたの御答弁の通りですが、一方労働省の労働大臣の答弁はそうではない、こういう点につきましてここで明らかにするについては、法務大臣と労働大臣が出られた上で私はしたいと思うので、この点は今直ちにお答え願おうとは存じません。
そこで関連いたしておりますのは、梶原委員の御質問の結果御答弁がありました、第二条は、ゲートやそういつたものを引例されているけれども、それが一体どこに当てはまり、解釈論としてどういうことが成り立つのか、この二条ですよ。これははつきりとあなたからお答えになつたのだからはつきりして頂きたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/126
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127・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) 只今のゲートの問題、もう少し正確に申上げたほうがいいと思います。私の説明は、発電に直結したゲートのことを申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/127
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128・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 公安課長に私ちよつとお尋ねしますが、ゲートが発電所に直接附いていようといまいと、只今の水力発電所も火力発電所もそうですが、全部自動調整装置を持つておりまして、そんなことで発電所の運転が左右されるような旧式な発電所は一つもございません、その点を御存じでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/128
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129・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) 私も一部しか存じませんが、大体只今委員長の御説明されたような場合には単純労務提供拒否が認められる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/129
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130・吉田法晴
○吉田法晴君 問題は大変微妙なところで、藤田君の言うように、労働大臣と法務大臣とお揃いの上これは究明すべき問題だと思うのであります。ただ一点伺つておきたいと思うのですが、やはり百二十三条水利妨害罪について生ずべき行為があつたならば結果は問わない、こういう御答弁が先ほどございましたが、大体刑法の規定は、未遂罪の規定は、未遂罪を処罰すべき規定はございません。それから殆んど各条章とも作為とそれから結果が現れているのが大部分だと思うのでありますが、結果責任ではなくして、結果は問わず生ずべき行為、これは争議行為等においては従来合法と認められて参りました行為であると考えるのでありますが、なおその点大臣その他局長等がおいでにならないでも、問題は保安要員引揚げという点に関連をいたしますけれども、水が入らなかつた、或いはそういうところまで行かないでも百二十三条処定の処罰すべき行為としてお認めになるのでありましようか、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/130
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131・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) この溢水せしむべき行為というような規定の仕方はいろいろございまして、まあ未遂の一つの形体とお考え下さつていいのではないかと考えます。やはり結果を生じなくても、生ずべき行為であれば処罰の対象になる、こういう意味に解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/131
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132・吉田法晴
○吉田法晴君 その点は別の機会にもう一遍私も判例等を調べた上で御質疑をいたしたいと思います。
それからもう一点は、先ほど鉱山保安法の処罰を受けるというお話であります。公益事業令にいたしましても或いは鉱山保安法にいたしましてもそうでありますが、鉱山保安維持の責任は鉱業権者にある、公益事業令においても電気の供給の責任は電力会社の経営者にある、これは明かだと思います。八十五条の点は若干疑問が残りますけれども、少くとも鉱山保安法についてはこれは間違いないと思うのです。そうすると私ども先ほど通産大臣に来てもらつて明かにしようといたしましたが、これは別の機会になりますけれども、この法律は一条に、「公共の福祉を擁護するため」という文字がはつきりと法律の中に書いてあります。公共の福祉というのは、電力の正常な供給なり或いは保安の維持だと思うのであります。その責任は、鉱山保安法においては鉱業権者ということははつきり規定してあります。鉱業権者の責任を保安管理者がこれを代理し、或いはそれに従つて保安係員或いは労働者が鉱山保安規則に従つてこれを実施する、こういう建前になつているのであります。そういう鉱山保安法上の間接的な責任を、なおこの法律を待たずして責任を追及せられるというようにお考えになりますかどうか。これは或いはここで御答弁を頂かずに、御研究を願つてもいいのですが、この点は問題を提出いたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/132
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133・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) 只今の御質問のうち、労働者の責任でございますが、鉱山保安法第五条で保安のため必要な事項の遵守義務が規定してございます。これを受けまして鉱山保安法の三十条に遵守事項の内容を省令に委任することができるようになつております。それによりまして、保安規則の四十七条三項に労働者の遵守義務が規定してございますので、これに違反した場合は本法に基きまして鉱山保安法の五十六条第五項に該当するその責任を問われる、こういう規定になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/133
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134・吉田法晴
○吉田法晴君 明らかになりませんが、先ほど申上げましたように法務大臣、労働大臣お揃いの上でこの点明らかにしたいと思います。先ほど通産大臣にも問題を投げかけて、そのまま御退席になつております。別の機会に通産大臣等御出席の上で質問を続行したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/134
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135・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 速記をとめて。
(速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/135
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136・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/136
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137・吉田法晴
○吉田法晴君 暫時休憩をして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/137
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138・宮澤喜一
○宮澤喜一君 刑法の四十四条「未遂罪ヲ罰スル場合ハ各本条ニ於テ之ヲ定ム」とありまして、例えば殺人の罪に、二百三条「前条ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス」、堕胎の罪と同じような規定がございます。堕胎のところはどこかにございましたが、ちよつと脅迫の罪……二百三十三条の三項を起しまして、「前二項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス」とありますが、温水の項はそういうふうになつておりませんが、解釈上は当然未遂罪となる、こういう御解釈でございましようか、これは純粋な法律問題として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/138
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139・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) 未遂罪について溢水罪の未遂罪はございません。併し潅水した行為を若し既遂罪といたしますと、温水せしむべき行為は丁度未遂罪に該当する、ほかの条文でいいますと、丁度未遂罪に該当する関係にありまして、結果の発生を必要としない、こういうことを申上げたわけでありまして、正確な未遂罪と申上げたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/139
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140・吉田法晴
○吉田法晴君 その点については、それは判例を出してもらうことにして……。それから大臣がおりません間の時間も、私の質問時間に取られる、ことは心外でございますので、その点は考慮して頂き、それから大臣が来られるまで休憩をして頂きたい。質問を続けるなら別に私の時間は一つ延ばして下さ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/140
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141・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 当然そうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/141
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142・宮澤喜一
○宮澤喜一君 私の質問を続けてよろしうございますか。……それではそういう場合、やはり未遂罪として罰せられると、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/142
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143・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) いえ、正確な未遂罪ではございませんから、百二十三条そのもので処罰される、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/143
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144・宮澤喜一
○宮澤喜一君 準備行為そのものが、準備というといけないかもしれませんが、仮に略式の言葉で準備行為そのもの、これは何ですか……それとも今未遂とおつしやつたのは、全く普通の言葉でおつしやつたので、刑法上の未遂罪という言葉では全くない、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/144
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145・桃澤全司
○説明員(桃澤全司君) ちよつと誤解を生じたかも知れませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/145
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146・宮澤喜一
○宮澤喜一君 ああそうですが。わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/146
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147・田畑金光
○田畑金光君 労働大臣どうされましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/147
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148・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ちよつとお待ち下さい。今確めますから……。今政府側から安井政務次官、それから各政府委員が来ておるので、これで質問のできる問題については質問をせられたいという要請がありますので、それだけお伝えしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/148
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149・藤田進
○藤田進君 政府を代表して官房長官からいろいろ約束されまして、成るほど通産大臣は極く僅かな時間ではあるが顔だけは見たわけですが、犬養法相並びに吉田総理については更に連絡をして、善処する。労働大臣も、自分の所管の国務大臣であるから善処すると、恐らく今その善処のためにおいでになつているのかもわかりませんが、委員長におかれてはこの点明確にして頂いて、お見えにならなければ然るべく議事の取運びをお願いしたいのであります。休憩なり散会なりして……、もう意味がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/149
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150・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ちよつと申上げます。岡野通商産業大臣は本日はもうお見えになりません。明日は十時から出席する予定であるということを申し残して行かれました。それから法務大臣は本日はおいでになりません。明日病気が回復したならば是非優先的に当委員会に出席をしたい、こういう連絡がございました。それから吉田総理大臣は、目下小坂労働大臣を通じまして交渉中でございますが、まだ当委員会へ出席をされる意向はないようでございます。小坂労働大臣は只今予算委員会に出席中でございます。
それでは委員会を開いておつては堅苦しいですから、このままの態勢で暫時休憩いたします。
午後五時五分休憩
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午後五時二十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/150
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151・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 休憩前に引続き会議を開きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/151
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152・吉田法晴
○吉田法晴君 関連して。話がやや細かく入つて行くのですが、尋ねようとしておりました点は、この法律とそれから法律以前の関係、法律ができました後の関係等に関連するのでありますが、その前にその指導理念であります公共の福祉ということについて、この法律における公共福祉は何であると考えておられるのか、労働大臣から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/152
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153・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 公共の福祉という言葉を一言で明確に申しますことは、定義づけることは非常に困難がありますけれども、常識的に表現いたしますると、部分の利益に対する全般の利益といいますか、一部の者の権利、利益が一般社会の秩序、利益を不当に侵さないということ、即ち部分の権利、利益の手段が一般社会の利益と秩序との調和を不当に破ることがないようになされることであると考えております。労働者の団体行動権と公共の福祉との関係についても同様でありまして、争議行為が多少世間に迷惑を及ぼすことは避けがたいのでありますが、それが一般社会の利益を不当に損うことなく、もろもろの一般的な基本的人権と労働者の権利とが調和を守つて発展することが公共の福祉に合致するゆえんだと、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/153
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154・吉田法晴
○吉田法晴君 この法律によつて何を守ろうとしているのか、或いはこの法律の守ろうとする法益は何であるのかを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/154
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155・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 公共の福祉であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/155
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156・吉田法晴
○吉田法晴君 公共の福祉という言葉でありますが、或いはもつと具体的に、この法律における公共の福祉は何かということをお専ねしているのですが、まさかストの禁止或いは制限がこの法律の目的或いは法益自身であるとは考えられないのでありますが、公共の福祉という言葉が使われておりますが、二条、三条等を読んで見ますというと、電気の正常な供給或いは保安の業務の正常な運営これが、この法律に謳われております法益の具体的な姿ではないかと考えるものですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/156
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157・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 法益の点は今申上げたように公共の福祉でありまして、ここに掲げてあるような争議行為と公共の福祉との調和を図らんとすることがその目的であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/157
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158・吉田法晴
○吉田法晴君 時間が余りないようでありますが、公共の福祉という言葉が憲法十二条、十三条にも書いてございますが、この法律にも書いてある。それから最近の行政法を見ましても殆んど全部書いてございます。例えば結核予防法にも第一条に公共の福祉という言葉が使つてある。或いは火薬取締法にもこれは公共の安全という言葉でありますけれども……、それから温泉法にも公共の福祉という言葉が使つてあります。或いは鉱業法等にも公共の福祉という言葉が使つてございますが、法律を読んで見ますというと、公共の福祉というものの概念には、それぞれの法律によつて、その守ろうとする法益、或いは結核予防法でありますならば、結核を予防するということによつて、大臣の今の言葉が言えば全体の福祉、或いは温泉法で言いますならば温泉を守るということによつて云々、こういうことが感ぜられるのでありますが、そういう点はお認めになりますか、どうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/158
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159・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 私も実は温泉法をよく読んでおりませんのでなんでございますが、何かやはり温泉というものは非常に公益と申しますか、一般の利益に適合するように使われなければならんというのでそういう字が使つてあるのじやないかと思いますが、私もよく法文を読んでおりませんので、その程度しかお答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/159
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160・吉田法晴
○吉田法晴君 お尋ねしているのは公共の福祉という言葉が使つてあるけれども、それぞれの法律が守ろうとする法益というものがある。それはそれぞれの法律に書いてございますが、或いは結核の予防法とか或いは温泉法であるとか、或いは鉱業法であるとか、具体的な内容をそれぞれの法律において持つているのです。この法律の場合には、先ほど申上げましたが、電気の正常な供給、保安の業務の正常な運営、こういうのが私はこの法律の中での公共の程祉の具体的内容ではないかと言つたのであります。その点についてどうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/160
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161・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 何と申しますか、この具体的な内容ということになりますと、結局争議権は一方において尊重すべきものである。併し一方において電気の正常な供給或いは鉱山の保安というものは確保しなければならん。それでこの間の調和が必要である。こういうのがこの法律の目的であろうと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/161
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162・吉田法晴
○吉田法晴君 公共の福祉という言葉で書いてあるけれども、具体的な内容がそれぞれの法文によつてあるのではないか、こういうことを申上げているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/162
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163・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 要するにそうした問題が国民経済及び国民の日常生活に対して非常に重要性がある、そこでそうした公共の福祉を擁護するために争議行為の方法に対して必要な規制をしなければならん、そういうまあ第一条の考え方で全般をお読み下さいまして、その間に御判断を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/163
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164・吉田法晴
○吉田法晴君 質問に答えてもらえぬのでありますが、例をとりますと、鉱業法の中にも公共の福祉という言葉が使つてございます。その中に十七条でしたか或いは三十五条、五十三条といつたような点で、公共の福祉の具体的の内容が書いてあつて、或いは林業或いは農業或いは土地の所有権、これと鉱業権なら鉱業権の法益の権衡というものを図れ、これが新鉱業法の精神だと私は思うのであります。そうすると、公共の福祉というものは、具体的な一つの法益との比較において出て来る場合には具体性を持つておる。それは先ほど温泉法なり或いは結核予防法等を挙げました通り具体性がある。それぞれの法律において具体性がある。そうすると公共の福祉というものは抽象的な言葉で言われておるのでなくて具体性がある、そうしてそれぞれの法益が比較されるのであります。この場合に、私はこれはそれぞれの法律から、公共の福祉というものの中には、或いは鉱業権と比較せらるべき他の法益、或いは農業、林業等々、今度の改正で温泉或いは天然記念物等も入つて参りましたが、それが指摘されるのであります。そうすると、所有権とこれは、そういう点から言いますならば今までの労働関係法は、団体行動権という権利を或いは法益を保護することを建前といたしておりますが、それが比較考量せらるべきものではないか、かように考えておるのでありますが、労働大臣はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/164
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165・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 鉱業法の場合でございますと、只今御指摘のように農業なり林業なり或いは鉱業権者との間のそうした各種の法益の権衡を保つために図ることを言うのであります。この場合二条を例にとつて見ますれば、電気を発生するものがある。一般に電気の供給を受けるものがある、その間の調整ということになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/165
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166・吉田法晴
○吉田法晴君 問題はこの法律を守ろうとする或いは電気の正常な供給或いは保安の業務の正常な運営、これと、それから争議権というものを比較するのでありますが、そこで憲法に帰つて、公共の福祉ということが、これが権利の濫用と共に、それぞれの権利の制約たり得るかどうか、こういう問題になつて参りますが、その際公共の福祉という抽象的な概念で基本的な権利がどんどん侵害されて参るということになるならば、これは民主主義というものはなくなつて参ると思うのであります。そこでこれは相当有力な説でありますけれども、基本的な人権については公共の福祉を以てしても制限し得ないというのが、これは私は通説だと思うのであります。そこは基本的人権の基本的人権たるゆえんだと思うのでありますが、憲法上保障せられました争議権が、公共の福祉という名で呼ばれておりますけれども、電気の正常な供給或いは保安業務の正常な運営と比べられます場合には、それは法益と法益との並列的な関係でなくて、憲法に帰つて私は比較さるべきものと考えるのでありますが、労働大臣はどういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/166
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167・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 憲法の十二条、十三条と二十八条をずつと読んで、頂きますと、やはり二十八条に定められるところのものは、公共の福祉を損うようなことであつてはならんし、それを守るために用いなければならんというそうしたことを予想して書かれたものであると、こう考えておるのであります。公共の福祉というものをどんどん制限するということはできないのでありまするけれども、やはり争議権と公共の福祉の調和を図るということは必要でありまして、そのために必要な調整はできるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/167
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168・吉田法晴
○吉田法晴君 憲法の精神がわからなければまあ論議を進めても平行線になると思うのでありますが、新憲法の精神がおわかりになつておりませんからそういうお話が出て来るのだと思いますけれども、公共の福祉という抽象的な概念で一条に規定してあるけれども、その中身は二、三条に書いてある、電気の正常な供給或いは保安の業務の正常な運営、これがその中身であります。それと憲法に保障されておる争議権とを比較考量するわけでありますが、なおここで私が申上げたいことは、その中の電気の正常な供給というものは、これは通産大臣がおいでになりましたときに申上げましたが、電気経営者の責任ではないか、或いは保安の業務の正常な運営というものは鉱業権者の責任である。これは鉱山保安法のごとき、何条でありましたか、はつきり書いてございますが、その間にはつきり経営者の責任が謳われておることについてお認めになりますか、御否定になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/168
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169・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) その通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/169
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170・吉田法晴
○吉田法晴君 それならば電気の正常な供給或いは保安業務の正常な運営というものが経営者の責任であるとするならば、その責任者に対する責任というものがこの法を離れて一般に考えられなければならんということはお認めになりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/170
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171・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 経営者の責任というものは、一般的にその当時その当時の客観的な実情によつてあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/171
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172・吉田法晴
○吉田法晴君 責任は社会的に別な場合に考えられなければならん……、或いはたびたび申しますならば、電気の正常な運営というものが実際に行われなかつたならば、それは原因が何であろうとも経営者の責任が先ず考えられなければならんという点はお認めになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/172
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173・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 責任論をしますれば、やはり善意無過失の問題もあると思います。併し過失責任の場合は経営者であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/173
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174・吉田法晴
○吉田法晴君 これは民法上或いは刑法上の責任を言うておるのではなくして、或いは公益事業令或いは鉱山保安法上の責任が問題になつておるのでありますが、それをお認めになりますかとお尋ねしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/174
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175・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) そういうことはあると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/175
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176・吉田法晴
○吉田法晴君 あると考えます。と……、法律にはつきり書いてあるのでありますが、考えるだけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/176
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177・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) あると考えますという程度ですが……、あるかとおつしやつたから、あると考えますと申上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/177
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178・吉田法晴
○吉田法晴君 もう一つ更に問題は、法益の比較をいたします際は、責任の点をお認めになりますか。電気の正常な供給或いは保安の業務の正常な運営が、第一次的に責任が経営者にあるとお認めになりましたが、それに対する労働者の責任というものが、この争議行為で問題になる。そうしてその争議行為の中の一部或いは大部分ということになりますが、そうすると他方で比較せられます法益との関係から、これは梶原委員がこの間御質問になつた点であります。けれども、この法律の守ろうとする法益は、私が申上げまするように、又大臣が認めておられたように電気の正常なる供給或いは保安業務の正常なる運営ということでありますならば、それは憲法上保障された争議権もさることながら、或いはその争議の影響が電気の正常な供給にどの程度に影響したのか、こういう問題になつて参ろうと思います。そこで社会的な責任はともかくといたしまして、法上の問題といたしまして、或いは正常な供給に或いは正常な運営に影響のないものについては、これは法上の責任をとられるのは当然だと考えるのですが、どのようにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/178
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179・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) やはり経営者が、電気の場合には電気の供給の責任があるということは先ほどもお答えいたしたのでありまするが、その場合この責任というものは無条件に出ているのではなくて、やはり供給をなし得る客観的な主体があるから供給できるのでありまして、そこでその主体の構成はどうであるかというと、経営者と従業員との間の協力関係だろうと思うのであります。その協力関係を前提として電気供給の責任というものがある。協力関係のみならずそこにある施設、その施設の持つところの能力、そうしたものを総合した上に立つての責任であろうと、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/179
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180・藤田進
○藤田進君 関連して……。そういたしますと、供給責任の所在は挙げて事業主にありという点は認められて従来参りまして、それはたとえ争議行為の過程においても供給責任はこれは事業主にあるのだということで参りました。只今の御答弁によりますと、従来触れていない一定の条件の下において、大臣が供給責任を論じておられる中に、その中には成るほど天災地変等による場合、或いは又経営者自身の作為、不作為、いろいろな事情はあろうと思います。これはいわゆる社会通念としてすでに成熟もしていると思う。ただ新らしく例示された中に、労働者との協力関係ということが一つの条件にここに入れられて来たと思います。然らば政府が従来御答弁に相成つておりました事務ストその他多くの争議行為が残されておる。決して争議行為全体を剥奪しているものではない、こう言われて参つて、而もその部分は大よそ八〇%の人になるのだ、こう言われて来たと思います。併し今の論理をそのまま当てはめて見ると、もはや八〇%になんなんとする電気労働者が争議行為という非協力の関係、当然これは非協力の関係であり、正常な業務を阻害する行為と労調法第七条に定義してあるのですから、そうなつて参りますというと、かかる争議行為の期間中においては一つの条件がある、無条件ではなかつたわけですから、今の御発言では……。労働者との協力関係がない、労調法第七条の状態が生じて来ておるということになれば、事業主の供給責任というものはもはやなくなつてしまう、こういうふうに解されるわけであります。延いてはその下においては公共の福祉が阻害される。供給責任がないのですから何をするかわからない。こうなつて来れば当然正当なる行為として公益事業令の経営者に対する条文が、これはいわゆる違法性が阻却されて来るということに繋かつてしまうと思うのです。それでいいのかどうか。当然今の論理をずつと発展させるとまさしくその通りになると思うのですが、よろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/180
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181・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 藤田さんの言われるのは非常に極論を言われるので、私はそう極端な関係を申したつもりはないのであります。要するに使用者だけを監督しておつても、事実上使用者の力では如何ともしがたい、ストのようなものについて使用者の責任ばかりを云々しても仕方がないので、従業員の協力義務について必要なものを法律で定めようとしたわけであります。大体ストライキというものを起さしむるということは、これは労使双方の責任であると思います。(「政府もあります」と呼ぶ者あり)それでその間に、双方の責任であるのでありまするから、経営者がストライキが起きたのだからしようがないということをのんべんだらりと言つているようでは経営者としての資格も疑わしいのであつて、それは経営者の社会に対する責任というものはついて廻るであろうと思う。そういうように私は考えておりますので、ここにはその場合直接障害を生ぜしめるようなことをしてはならない、こういうことになつておるのであります。先般のことに推し及んで、あなたのおつしやるような事務ストもできないのじやないかと言われるが、そうではないので直接に障害を与える行為はいけない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/181
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182・藤田進
○藤田進君 質問を曲解されては困る……。今言われた点につきましては触れませんが、然りとするならば、事業主の供給責任というものについては条件がある。それはよろしい。事務ストの問題は省きましよう。そうしますと、今言われたように一定の条件を具えていない電源ストをやる、如何ともしがたい状態であるので電気がとまる、これは供給責任者であるその経営者、事業主に、もはやその状態においては、電源ストをやつて労務提供がない、こういう条件においては事業主ですね、これには供給責任というふうに言い切れないと言われておると思うのです。よろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/182
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183・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 質問が切れたのかどうか、質問が切れたのならお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/183
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184・藤田進
○藤田進君 そういたしますと、全然今まで立てられた法理論なるものが、法理論までは行かないが、全く崩れてしまつて、いいですか、こうなんですよ。供給責任がある、あるけれども、これを補充すべく期待しても到底対抗すべき手段がない、だからこれは違法であるということで行かないと、社会通念も成熟したのだし、こういうことで今日いたのです。ところが相手方のほうが、つまり労働者と資本家との関係において、労働者の側が労務を提供しないということになれば、これは供給責任者としてはもう責任を逃れ得る、条件が欠けておる、欠格しておるから供給関係……だから事業主の責任というものは逃れ得る。なぜならば協力関係の条件が一つ足りないのだから。これをお認めになつておるならば、こういう第二条のごときものは出て来ないわけです。認めている以上はこれは出ないはずです。それはたとえ労働者側のそういつた事情が仮にあつたとしても、公共の福祉という面からこれは是非ともそれを補充しなければならないのでこの第二条が出て来ているのだということではないのではないかと思つていましたところ、端なくもそうではない。こういうことになつて来ますと、この第二条の出て来た要因そのものは全くないと思います。これについてあるならば改めて御答弁願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/184
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185・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 御質問の意味をどうも正確に把握し得ませんが、私は、第二条を御覧になつて場頂きますれば、「電気事業の事業主又は正電気事業に従事する者は、争議行為として、電気の正常な供給を停止する行為その他電気の正常な供給に直接障害を生ぜしめる、行為をしてはならない。」こういう意味であつて、電気を、争議行為として電源ストをやつたり停電ストをやつたり、或いはスイッチ・オフをやつたりするというようなこと、又事業者においてもロック・アウト等をするということは、これはいけないのだ、こういうことを言つている趣旨なので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/185
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186・藤田進
○藤田進君 いや、もつと砕いて申上げるとこういうことなんです。法の要因を申上げているのであつて、今出て来た、その通過した、実施された暁の運営なり影響を言つているのじやないのです。いいですか、それはやはり公共の福祉として片手落なしに労使対等の原則、その間に立つて政府の中立性、こういつたいわゆる論理は認めておいでになるのですね。認めておいでになるのです、政府自身も。そういたしますと問題になつて来るのは、ストなり何なりという、いわば作為、不作為によつてこれが労働者の側に……経営者として供給責任はあるけれども、争議行為の段階においても……、ノーマルな状態は無論そうです。供給責任者として事業主は当然義務があるけれども、併しそれは単に無条件ではないとおつしやつたわけです。それは無論無条件でないということは、天災地変ですね、その他こういうことについては無論論及しようといたしません。それは無論あると思います。全然世の中が吹つ飛んでおるのに電気が来ないと言つてみたつてこれは仕方がない。九州の水害などのときは経営者だつてこれは問題にならない。これはわかります。併しそうでない場合を今言われて、指摘されて、労働者の協力関係というこの条件が必要だ、この協力関係のないときについてはこれは事業主について供給責任ということは問うことはできないとおつしやつたわけです。労働者の供給責任については無条件ではないから、これをあなたはお認めになるならば、それが肯定できるならば……、これが皆さん政府としては肯定ができないからこそスト規制法が必要なんだということが言われて来たと思うのです。併しそれは仕方がないのだ、その供給義務がないのだというふうにおつしやるならば、もはやこのスト規制法第二条によつて電気事業を引括つてしまうということは、政府自身として否定しているのではないかということを言つているのです。わからない点があればわからない点を聞いて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/186
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187・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 供給責任というものは一つの、一定の条件においての供給責任である。そこでこの供給をする場合に協力関係が崩れるならば供給はできないのは当たり前じやないかというような御意見のようであります。供給をなしますことを、この争議行為の場合に、争議であれば何でも免責されるというような考え方と同時に、供給責任があるから、争議行為中であればいわゆるスキャップを雇つて、経営者側で運転しろ、こういう義務を課する、そういう気持は私どもにはありません。なお労政局長から補足させます。どうも御質問の趣旨がわからないので参……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/187
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188・中西實
○政府委員(中西實君) 私もちよつと御質問のポイントがわかりかねるのでありますけれども、あらゆる事業が事業主だけで運用はできないのであり、結局従業員との協力がなければならない。そこで端的に旧公益事業令によつて事業主に対して五十三条、三十六条によつて供給の義務を課しておる。併しそれは経営体全体の正常な通常の行われておる場合であつて、争議行為が起つたというような場合におきましては、これは供給しようとしても不可能な事態が生ずるわけでございまして、その場合に然らば事業主がスキヤツプを雇つてまで正常な供給をしなければならないか、そこまで義務を課しておるかということになりますと、私はそうではないかと思います。それが証拠に、例えば旧公益事業令八十五条では従業員にもやはり正常な業務の放棄ということについて罰則を設けております。こういう事情がございますので、結局ストの場合何が何でも事業主は正常な供給をしなければならないということにはならないと思います。これが根本でございます。それとこの二条とが、そうなれば二条が要らないというのがちよつとそこのところがわからない。私は二条はこういう公共の福祉という点でいいのじやないか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/188
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189・藤田進
○藤田進君 わかりました、迷いの点が……。いや、私が言つているのは、前々から継続していますね、関連質問もいたしましたが、従来スト権は、たとえ争議中であろうとも、争議状態ではなしに争議行為の期間中ですねストライキをやつておる期間中でも供給責任義務……とはなかなかおつしやらなかつたけれども、当然責任と言えば義務が伴うと言われたが、争議行為の期間中でも事業主にその供給責任はあるのだ、それがなければ生産管理だと言つて来たのだ、そこのところを言つている。先ほど吉田委員の質問に関連して出て来たことは、今労政局長も大臣の下命によつて御答弁がありましたが、それも、争議期間中は必ずしも供給しなければならんというようなことをきめておるのじやないのだそんな義務もなければ責任もないのだというふうに聞えるものですから、全然又新らしい、角度が変つた途を歩みつつある。政府としては昨日よりも、そこのところを先ず第一に明らかにして、それからこの法の要因について私は聞いていたのです。わかりますか、食い違いが出て来たものだから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/189
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190・中西實
○政府委員(中西實君) その点だけは先ほどからはつきりしております。大体わかつておるのでありますが、その点につきましては旧公益事業令によつて業者は供給の責任を持つておる、義務を持つております。ただ併し事実問題として、争議行為等で一般従業員の協力を得られないという場合には、供給したくともできない事態が起り得るわけでありまして、従つてそういう場合には結局業者としては如何ともいたしかねる事情にある。殊に電産組合あたり非組合員が二%そこらで、到底十分にできるわけはありません。すべて従業員の協力によつて初めて公益事業令の要求しております供給事務が達成する。勿論業者といたしましては、争議中、争議が若しそういうことになりましても、供給すべき社会的な責任、これはやはり感じるであろう、又感じなければならない、これは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/190
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191・吉田法晴
○吉田法晴君 勉強し直して出直してもらいたいと思うのです。話になりません。これは常識問題でしてね。社会的責任その他のことを言つておられますが、公益事業令も引かれた、或いは鉱山保安法に書いてある……、それから、これは私どもは何も新憲法を否定した議論をしておるものではありませんが、今の法制の中で争議権なり或いは経営権がどんなものであるかということを前提にしてお話しているのですが、その点もわからんで議論しておるのでは話になりません、まるつきり……一つ勉強をし直して臨んでもらわなければこれは進めません。どうですか、そういう不勉強というか、不勉強もひどいのだが、勉強し直して出て来るか、(「我々も質問の意味がわからんよ」と呼ぶ者あり)それともここで考えながら質問を進めて行くか、一つその基本的な態度を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/191
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192・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ちよつと私関連して質問しますが、経営者と従業員とが協力して電気事業法等の供給任の責を果して行くと、こういう工合におつしやつたのですが、それは労働者に対して経営参加が認められていると、こういう工合の御解釈なのか、もつと強く言えば、従業員に経営の責任の分担が法理的に持たれていると言われるのか、この点を明瞭にされると、私はもつとはつきり解決すると思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/192
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193・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 私からお答えいたしましよう。非常な結構なお取りなしを頂いたのではつきりいたしました。協力ということは、要するに経営する場合に或る所定の労務の提供が前提となつて経営があると、従つて例えば電気の供給がこれくらいであるということは、それに対応するだけの労務の提供というものが基礎になつておるのだ、こういうことでございまして、経営参加とかそうしたようなことは別に前提になつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/193
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194・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) そうすると従業員というものは飽くまでも会社、経営者に対して労働力の相互間において売買が行われておるという、こういう観念にはお変りはないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/194
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195・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 売買といいますか、そうした労務を提供する、それによつて電気の送電、発電があると、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/195
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196・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 余計なことを言われるからこちらもよくわからなくなる。もう一つ聞きますが、電気事業の場合を例に取りますと、電気事業の経営者は従業員に対して協力を要請するかも知れません。併し従業員に求めるものは、労働力の提供を求めて、その対価として賃金を払うと、この関係以外に私はないと思いますが、それ以上のものがあるのですか、これは常識問題ですから労働大臣でいいでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/196
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197・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 現在の社会機構といいますか、現在行われておりまする経済態勢の下におきましては大体そういうことであろうかと思いますがただ賃金の対価とか、労働の対価とか、売買というような考え方になりますと、私は考え方を異にしております。やはりそこにそうした物質的なものでないものの関係があるというように考えておりますが、それらはそれといたしまして、電気の場合は公益性が強いものであるから公益事業令の適用があると、こういうふうに私は考えてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/197
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198・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) それは公益事業令適用はわかつております。その公益事業令の適用の中で、そういうことがどこに明文に書かれてありますか、それをお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/198
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199・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 八十五条にそうしたことが掲げられてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/199
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200・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) この八十五条は労使間のことを何も言つていないでしよう。労使間のことを私は言つているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/200
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201・中西實
○政府委員(中西實君) 電気事業におきましても事業主と従業員の関係は、一般民間の労使関係と同じでございます。ただ公益性が強いが故に旧公益事業令八十五条に、従業員で取扱う者が正当な理由なくして取扱わないということについての、この場合のことを考慮して罰則を以てこれを禁止しておる、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/201
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202・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) わかりました。それは私は飽くまでも会社側と従業員との間の労働力の取引における関係を私は質しておるのであつて、そのお答えとして、小坂労働大臣が八十五条を引用せられましたことは、これは引用にはならないという工合に私は考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/202
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203・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は公益性という見地から申上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/203
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204・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 幾ら公益性でも、この法律以外に何も労使間の責任の方面を規制するものはないわけです。電気事業の経営に対する責任を追及する立法というものはこれ以外にない。そこの中に若し従業員関係が書かれておればそうですけれども、労使間の関係としては何一つこの中に書かれていない。八十五条では該当しないので、そのほかどこかに該当するところがおありかどうか、それをお教え願いたい、こう申しておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/204
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205・中西實
○政府委員(中西實君) 労使関係につきましてはございませんが、争議中といえども、経営者に全面的に責任があるというのが今問題になつていると思うのです。争議を天災地変に例えては如何かと思いますけれども、例えば天災地変で正常な電気の供給が、これは事実問題としてできない、従つて従業員が職場を放棄した、そのために事実問題として正常な供給ができなくなる。これは止むを得ないのじやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/205
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206・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) わかりました。そこで先ほどスト中は止むを得ないと、経営の責任というものも非常にまあないような状態になる、こうおつしやつたのですが、昨年のストですね、或いはその前年のスト、いつ頃からだつたか知りませんが、通産省、労働省は、電気事業者に慫慂せられて、スキャッブを成るべくたくさん集めて、そうして若し組合側がウォーク・アウトした場合には退職者或いは電気の運転の経験者をたくさん入れて、そうして運転に支障のないように努力をしろ、経営の責任を果せと、こういうことをしばしば御伝達になつた事実があるわけですが、これは今御説明になつたこととどういう関係がございますか、これは大臣にお尋ねします。それがそういう理由ならば、小坂労働大臣は当時労働大臣でなかつたから言えないとおつしやるなら、これは中西労政局長は通産省にも労働省にもいなかつたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/206
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207・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 当時の事情は私承知しておりませんが、恐らくそういうことを慫慂したことはないのじやないかと考えますが、正確を期しまするために当時の説明員を、齋藤説明員……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/207
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208・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 誰でも事情のわかつている者に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/208
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209・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 事情を知つている者に……、私責任を持つ立場としてお答えできない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/209
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210・齋藤邦吉
○説明員(齋藤邦吉君) 労働省におきまして積極的にそういうことを勧奨した例はないと承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/210
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211・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) じや通産省はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/211
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212・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 私も実はその当時の職にはおりませんが、ストの期間中におきましては、やはり政府といたしましては、できるだけの手段を講じて、仮に職場放棄があつても電気の正常なる供給に支障を来さないように努力しようというふうには十分の勧奨をいたしたものと思います。併しこれは責任の有無を問わず、責任者といたしましては、電気の供給につきましては万全の策を講ずるのが当然でありまして、本質上の責任があるかどうかということにかかわらず、徳義上の責任はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/212
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213・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 私は先ほどの関連質問はこれで切りますからどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/213
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214・吉田法晴
○吉田法晴君 別の角度からそれじや伺いますが、先ほどはこの電気の正常な供給責任、或いは事務或いは保安業務の正常な運営の責任が経営者にあるということは認められましたが、それは今まで余りお認めにならなかつたということで、逆に突込んで参つたのであります。そうするとこれらの責任について、労働者が経営者と対等の……、対等町という言葉は使われませんでしたけれども、関連上対等の責任があるように御説明でありました。そうするならば私どもの考えております現在の法体系とは違つて参りますので、或いは経営参加を認められ、或いは経営について対等のこの権限を持つている、或いは責任と申してもよろしい、責任を持つている、こうお考えになりますか、それならば生産管理が非合法であるという議論は出て参らんと思います。生産管理をお認めになりますか、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/214
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215・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 生産管理は認めません。(吉田法晴君「如何なる理由で」と述ぶ)電気に限らず、諸種の産業におきまして、或る一定の物を生産いたしまするにはやはり労働力の協力といいますか、従業員の協力を得なければできないことであることは当然でございまして、これは電気の場合だけを引き出して問題とされるほどのものじやないのじやないか、極めて一般的、観念的には認識せられておることである、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/215
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216・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ちよつとお待ち下さい。その生産管理という言葉を使われるから、小坂労働大臣は今のようね御答弁しかできないと思うのです。私は先ず第一点として、小坂労働大臣が先ほどお述べになつたことですね、お述べになつたことというのは、電気事業の経営というものは労使双方が分担して行つているのである。従つて労働組合が争議行為に入れば、会社側はその経営責任の……、半分でありますかどうか知りませんが、とにかく免責される、経営責任の有無は免責される、こういうような意味のことをおつしやつたのであります。ところが中島公益事業局長は、そうではない、少くとも昨年の争議までは供給責任は全部会社にあるとして、そして労働組合がウォーク・アウトをやつたときについてはあらゆる努力を払つて、とまらないように、発電所の運転をさせるためにスキヤツプを入れるようなこともその中に入つているわけですが、させた、こういう工合におつしやられているわけです。そこでそういう食い違いというものをそこに認められるかどうかということを私はお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/216
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217・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 明哲なる委員長のお話なんですが、私は経営責任が労使双方にあるということを言つた覚えは毛頭ございません。電気供給の責任というものは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/217
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218・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) じやそれを聞きましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/218
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219・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) これは経営者といいますか事業者にあるのだが、その供給ができるかどうかということは、その基本となるところの、例えば発電所において機械があり従業員があつて、それで仕事に従事するという関係が発生して来ることは、これは電気に限らずあらゆる工業においてそうであろう、こういうことを言つておるわけなんです。そこで供給責任というものがあるからと言つて如何ともなしがたい場合、即ち天災地変の例もございましたけれども、そういう場合でなくて、ストの場合というのは供給責任はあるのであつて、ただそれを供給するようにしなきやならんのは、善良なる管理者の責任においてすべきものである。併しながら如何ともなしがたい場合だつてあるのでございますということなんです。(「食い違いはないよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/219
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220・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) そういうことをおつしやると又発言しますから……。若しそういうことをおつしやればもう一遍質さなければならん、私は承服していないのだから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/220
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221・吉田法晴
○吉田法晴君 先ほど第一義的な責任は経営者にあるということはお認めになつた。まあ経営という点については言葉を訂正せられましたけれども、この場合に経営という言葉は電力の正常な供給或いは保安業務の正常な運営に関連してお話を申上げておるのであります。第一義的に認められた。そして労働者はこれに労働力を提供させられ或いは労働力を売買させられる、一つのこれは資本主義法制の下においても、体制の下においてもこれは事実だと思う、雇用契約の本質から考えまして。それから考えまするならば、これは従業員の供給責任或いは保安の運営責任というものは従属的な、或いは公益事業令に要請せられた限度において従属的な関係に置いてある。それを対等に、或いは天災地変と同じように考えられるならば、逆に供給の権限といいましようか、或いは保安の運営についての権限というものも出て参るはずです。いわば責任が追及せられるならば権限というものも対等に出て参る。そうするとそれが電力の供給という点になりますと経営というものに関連して参るが、その経営について、考えられるような対等の考えで考えられるかどうか、こういうことを申上げたのです。ですからどつちかが間違つている。第一義的だと考えられれば、それは今あとの労働者の責任というものも非常に間接的な軽減された責任になつて来る。逆に対等として言われるならば、その供給或いは供給のための責任というものは対等に……、こうなればこの法律の関係というものは、先ほど言われたように第一義的な責任を認められたのじやなくて……、従属的に考えられるのじやなくて、対等と考えられておる考え方が根拠になつておると考えられますので、その点を問題にするわけです。もう少しはつきりと御答弁願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/221
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222・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 一つ例示的にお答えをさせて頂きたいと思います。例えば鉱山保安法の保安責任というものは鉱業権者にあるのでありまするが、それは保安管理者によつてなされる。そこで更に保安管理者は保安係員にこのことを依頼いたしまして、保安係員に言つて実施される。で個々の具体的な行為はその労働者によつてなされるわけなんですね。そこでこうした協力関係があるということは、それはこれらが平等に同じ責任を負うということではないのであります。又或いは経営上に同じ参加権を持つているということではないのであります。そこで私はさつきお話を申上げたのでありまして、これはすべてそういう事業の運営という、事業に従事するということになれば、事業者と従業員との関係というのはそういうことになるというふうに思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/222
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223・吉田法晴
○吉田法晴君 そうすると一応議論は正常に戻つたと思うのですが、鉱山保安については第一義的には鉱業権者にある。それを保安関係者に代行せしめる、それから保安規則に定められた範囲において鉱山労働者が保安の義務を負う。或いは協力と言うてもいいですが、協力というのは対等ではございません。やはり義務を負う。そうするならば、これはこの法律が守ろうとする、電力の正常な供給或いは保安の正常な運営というものを守ろうというのであれば、それは今おつしやつた鉱山保安法における限度においてただ初めて責任ができる。この法律の建前は、公共の福祉ということのために電力の正常な供給或いは保安業務の正常な運営ということを守るにあるとするならば、それはこの法律で考えられておるような、いわばさつきの対等……、或いは経営参加を認められるという程度においてこれはあつたのではないか。或いはこの法律の基礎になつておるような昨年のストからこの国民の生活云云ということで、正常な供給に責任がある限度において労働者の責任を問われようとしているけれども、それは極めて限定された、保安法上或いは公益事業においての供給義務、従属した関係において、或いは労使の関係において、労働関係においてある限度ではないかということを申上げておるわけです。その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/223
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224・中西實
○政府委員(中西實君) 対等とかいろいろな話が出ますのでございますが、こういうことでございます。電気事業にいたしましても石炭鉱業にいたしましても、その労使関係は一般とちつとも変らないのでございます。ただ電気事業におきましては、先ほど申上げましたように、その公益性の故に旧公益事業令八十五条等もございまして、そうして従業員にも敢なくして業務をやめることを禁止する規定がある。それから石炭鉱業におきましては保安確保ということは、これは公益或いは人命に危害を持ちまする問題でございますが、そういう観点から鉱山保安法という一種の公法的な法規ができておるわけです。この公益的な見地から、結局鉱山業者或いは鉱山管理者という制度と、保安管理者制度というものを設けたり、それから副管理者制度を設けたり、係員その他の制度を設け、奥に又一般従業員にもその見地から鉱山一保安法によりましていろいろと義務を課しておるという関係になつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/224
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225・吉田法晴
○吉田法晴君 鉱山保安法、公益事業令、公益事業令については少し解釈が、私大臣にしても、中西労政局長にしても不十分だと申上げるのですが、それは全文を読んで、電力供給の責任は経営者にある、或いは鉱山保安維持の責任は経営者にある、鉱業権者にある、そしてその代理をする、保安の場合には管理者、係員があり、そしてその次に労働者の責任が規定されておる。そうすると本来これは炭鉱だけについて今言いますならば、保安管理者は全面的に鉱山保安を維持すべき責任がある。或いは先ほど判例等も出ましたけれども、職員等をして保安の維持をせしむる場合もございましよう。或いはそれと同じことでありますが、保安係員をして維持せしむることもございましよう。それは先ほど電力の供給責任について委員長から話が出たわけです。この法律はそういう前提、或いは法の体系というものを無視して、全的の責任を労働者に直接負わせるところに問題があるわけで、或いは仮に、梶原さんからも例が出ましたけれども、一人の労働者が保安業務を放棄するとしても、その責任をこれは直接労働者が問われるべきではない。鉱山保安を維持する責任は管理者にあるとするならば或いは又鉱業権者にあるとするならば、それはあらゆる方法を通じて保安を維持すべき責任があるでありましよう。そして労働者は、その第一義的にある鉱業権者或いは保安管理者の責任の極めて一部分を持つている。そうするならば、仮にこの法上不当の行為があつたとしても、その責任を全的に追及することにはならんじやないか。その辺の責任関係を追及しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/225
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226・中西實
○政府委員(中西實君) この鉱山保安法、それに基きます鉱山保安規則を御覧頂きますと、労使関係とは別の観点から、先ほど言いましたように保安確保のため、これは一種の公法的な見地から規定をいたしまして、そうしてこの鉱山保安責任は鉱山保安規則、これによりまして、保安管理者はこういう責任かある、それから係員はこういう責任がある、一般の従業員はこういう責任がある、それぞれ規則に書き分けてございます。ですからこの書き分けけてございます責任を保安上、保安管理上それぞれの立場において持つておる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/226
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227・吉田法晴
○吉田法晴君 鉱山保安規則の説明を頂こうとは思いませんが、鉱山保安規則に書いてございます労働者の責任は極めて小さいものです。これは全体の、炭鉱の保安問題から言いますならば、或いは人車以外に乗つてはいかんとか或いは人気坑を通つてはいかんとか、或いは結棚がしてあるときはどこ、これは労働者保護の観点からもございますが、細かい小さい責任が負わしてある。それは全体の、鉱山保安の責任者の下における小さいこれは協力関係である。具体的にお読みになればわかります。そうすると問題はですね、保安の業務の正常な運営を停廃する行為であつたとも言われるけれども、その中に保安規則に書いてあるような小さい違反事件が起つたとしても、それは鉱山保安法上の責任を問われることは私も知つております。併しそれを全部この保安の維持の責任を、直接この法律によつて、労働者に負わせるということは、それは酷じやないか。或いは、例えば部分的に言いますならば、一つのポンプ座ならポンプ座の一人の人間が病気で休んだとするならば、別の人間を持つて行つてそのポンプ座を維持する責任がある。これは管理者にあるのでありましよう。或いは本来鉱業権者にあるかも知れない、そういう点は、これはお認めになるでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/227
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228・中西實
○政府委員(中西實君) その点はおつしやる通りであります。そこで鉱山保安規則に、一番この第三条と関係のございますのは、四十七条で、その三項には「鉱山労働者は、坑内排水用ポンプ、扇風機、巻揚機その他の保安上特に必要な施設の維持および運転を妨げ、または停廃してはならない。」、この各条ごとに誰の義務というのがずつと書いてございますが、一般労働者にとりまして、殊にこの法案の第三条と関係のありますのはこれが一番大きいのじやないかと思つております。で、お話のように労働者の責に帰せない原因でポンプがとまつてしまつたとか或いは電気がとまるというようなことは、労働者の責任にならないのは当然です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/228
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229・吉田法晴
○吉田法晴君 法に関係のない事例、自然的現象、その他を持つて来て御説明になることは、論議を紛糾させますからやめてもらいたいと思います。問題は鉱山の保安に関連して、それから労務不提供と、こういう問題に関連して、労務不提供、言い換えますならば労働力の売買という関係において一人の人間が労務不提供をやつた。それについて普通であるならばこれは恐らく大事にならずに済むでありましようが、全面的な鉱山保安を確保する責任から、一人の人間が保安規則の四十七条三項、これについて云々ということは、これは別の問題であります。仮に別なもつと小さい、先ほど例に挙げましたような保安規則の問題について言いますならば、これはそこまで問題になつて来ぬ問題であります。そこで問題は争議行為の場合、そういう小さい行為をやつた場合に、まあ多く四十七条三項であろうと、こういうお話でありますが、そればかりではございません。この条文の中には鉱害云々といつたような問題もございます。施設の問題にしてもいろいろございます。いずれにしましても、そういう場合に個々の業務の停廃があつたとしても、それで保安全体についての責任を負わせるわけにはいかんのじやないか、こういうことを申上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/229
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230・中西實
○政府委員(中西實君) 個々の労働者がそれぞれ責任を果すのでありますが、ほかの者が一人この業務をやめた、当然その場合には保安管理者のほうで手当をする、他の者を充てるということは普通であります。今の、この法案の問題は、争議行為としてやる場合が問題になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/230
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231・藤田進
○藤田進君 関連して……。そこが問題だと思うのですね。これは通産大臣にお尋ねいたしまして、当時労働大臣おいでになりませんでしたから事情はおわかりにならないと思いますが、労政局長でも結構なんですが、これは平時の問題とアブノーマルの場合との関連を今はつきり建前を分けて言われた。それはノーマルな状態であるならば管理責任者が補充をしなければならんのですね。それから争議の時にはこれはこれに引かかるのだ、こういうことだと思うのですね。そこでそういうふうに分けて考えますと、法律論としてはやはりこうじやないでしようか。この規制法そのものが当か不当かというようなこと、或いは憲法については違憲か合憲かというようなことを論じておるわけですから、現在ですね、そこで通産大臣は明確な御答弁ないままに、又改めて御答弁があると思いますが、お立去りになりましたが、あのときに申上げたことは、労働大臣に対しても同様であつて、いわば罷業権、憲法二十八条と財産権、二十九条の関連についていずれがでは隷属しておるかというような問題にもなつて来る。つまり経営者の責任というものは、国家の資源をやはり擁護し、そして生産を高めて行き、公共の福祉にやはり努力をして、その増進を図らなければならないというような義務は当然あるけれども、併し実際に今行われておることは自由企業であり私的資本であるために、所有権である二十九条、この関係だと言われておると思うのですが、通産大臣の話を聞き、今のお話を聞きますと、やはりどうも労働権の二十八条だけを制限するということがはつきりそこにも出ておるようだ。つまり平常な状態においては管理者が補充をするし、又争議の時には第三条ですか、こういうことになる。今起つておるのは平常な状態だとすると、つまり保安にも問題があるでしよう。鉱山全体として争議行為としてはいけないけれども、争議行為でないならばよろしいということが、経営者にとつては現在存立しておるわけですね。現実に北海道から九州まで炭鉱は休廃止されておることは否定できないわけですから、数多く……。保安要員でなしに、鉱山を挙げて全体をこれを放棄してしまうということが現実に出ておる。これは現行法いずれの法を引張り出してみても取締ることができない。憲法十二条も及ばないんだと、まあそういう解釈で所有権者が、事業主がほしいままに休廃止しておる。ところが一山の保安要員につきましては、事争議行為に関してはこれは第三条として規定される、ということになりますと、ここに二十八条、二十九条の憲法論がどういう解釈になつてしまうのか、私的資本であり自由企業であるからと言われる。これによつて解決されようとするならば、二十九条の財産権を尊重するということになりましたならば、それによつて労働権は実にほしいままにされてしまつておる。全山が休廃坑になり、多くの労働者がこれは殆んど解雇されなければならないという運命になる。その解雇に対抗する争議手段は非常に制限を受けて、第三条による保安要員の引揚げもできないのだというようなことで、ここのところの法律論というものが我々としてはどうしても呑込めないのであります。この点を通産大臣については後刻又改めて御回答があると思うのでありますが、労働大臣或いは労政局長とされましてはどうここのところを御説明になるのか、具体的な事例を挙げましたのでお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/231
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232・中西實
○政府委員(中西實君) ちよつと先ほどの説明に言葉が足りませんでございましたが、平常のときならばいいが、争議行為のときはいけない、それはちよつと大分前のほうの言葉が足りませんので、鉱山保安の場合、平常でも積極的にいろいろな重要な施設の運転を妨げたり停廃するということは、もうこれは真向うから鉱山保安法の違反ということになるわけであります。それが争議行為としてやる場合にどうか、そういう場合に時に異説が出たりいたしますので、今度の法律の必要がある、こういう関係でございます。普通ならばいいが、争議行為としては問題だというのは、その通りにお取り頂かないように願います。
それからあとの点でございますが、鉱山の事業主の休廃止は、日本の今の経済事情その他の建前からいいまして、経済的価笹判断は一応所有者と申しますか、経営者にあるわけでございまして、従つてその経済的価値判断によつてこれを休廃止するということは大体許されるわけであります。それと今の罷業によりまして、その山を損壊に導くということとは、やはり意味合いが違うのでございます。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/232
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233・吉田法晴
○吉田法晴君 争議行為として、或いは争議行為でなく云々ということで、争議行為の場合にも鉱山保安法がそのまま活きるということであるならば、これはこの法律の必要はないのであります。そこでこの鉱山保安法があるにかかわらず別にこの法律第二条を作られるところにこの意味があると思う。先ほどは全体の保安業務、正常な運営について保安の維持の責任が経営者にあり、それから平常時と争議とを問わず、経営者は或いは保安管理者なりが、例えば先ほど差換えその他の例を出しましたが、部分的に争議行為をやつて、例えばそれの差換え、或いはさつきポンプの例を出しましたけれども、そのポンプに一人、或いは二人、或いはポンプは数十あると思いますから、その中でいくらということは申しませんけれども、その部分的に労務不提供が起つたとしても、これを経営者がカバーすべき責任と又事実とがあるならば、それを処罰すべき理由はどこにもないことになるのですか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/233
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234・中西實
○政府委員(中西實君) 勿論保安放棄がありました場合には、事実問題としてありました場合には、経営者は捨てておけますまいと思います。併しそうだからといつて、その放棄した者それ自体がいいということにはならないでありましよう。客観的にここに例挙してありますような重大な欠陥が生じます場合には、やはりこれは争議行為として違法性を阻却されないものである、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/234
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235・吉田法晴
○吉田法晴君 その点を実は問題にするためにずつと前から、公共の福祉から、それから経営者から来たわけであります。この法律の目的或いは行為というものは、電気の正常な供給或いは保安の維持、それにあるとお認めになつた。それから経営者の電気供給の義務或いは保安維持の義務を第一義に認められておる。これは労働者の関係もございましたけれども、これは対等なものでないという点もお認めになつた。そうして平時と或いはスト中とを問わず、個々の或いは一人と申上げますか、例えば一人なら一人の保安要員が入らなかつた。その場合に経営者はそれを補充すべき責任がある。一人と二人と五人、これは別問題として、全面的に保安の維持ができないような保安放棄であるならば別問題である。そうでなくて代替し得るような保安の放棄、労務の不提供、労務の不提供は憲法上の認める労務の不提供、そういうものをやるときに、それを違法とすべき理由がどこにあるか。法律を作つた目的から言つても、或いは実質的な、公共の福祉とか何とかいうことでなく、保安の維持或いは電気の正常な供給という点からいつても理由がどこにあるかということをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/235
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236・中西實
○政府委員(中西實君) 三条で申しますと、一応保安管理者の指揮命令に従つてやつておりますれば無難でございます。客観的に見まして、こういつた結果が生ずる行為……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/236
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237・吉田法晴
○吉田法晴君 どういう行為ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/237
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238・中西實
○政府委員(中西實君) ここに書いてあります「鉱山における人に対する危害、鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃」等、つまりこういつた結果が生じますような行為、これはたまたま偶然な事情で起らない場合もございますけれども、その行為自体は労働争議として行過ぎである。つまり違法性を阻却されない、こういうことは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/238
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239・吉田法晴
○吉田法晴君 極めて大事な御答弁でありますので、大臣を含めて御答弁頂きたいと思いますが、保安の業務の正常な運営を停廃する、人に対する危害或いは鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃、荒廃の点はあとで承わりますが、そういうことが予想されない、言換えますならば、全員の引揚げでなく、管理者において正常な運営がカバーされる、或は鉱物資源の滅失、炭鉱が全部水没してしまう或いは全部破壊されてしまう、こういうことでないならば、それはそういう範囲内においてこの法律の問うところではない、かように今の御答弁を聞きましたが、その点でよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/239
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240・中西實
○政府委員(中西實君) そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/240
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241・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 客観的に見てそういうことであるということならばよろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/241
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242・吉田法晴
○吉田法晴君 重ねて伺いますが、保安要員の総引揚げというようなことは、これは争議行為としてやつてはいかん、併し部分的な保安要員の引揚げというのであるならば、これは認められる、こういうふうに了解してよろしうございますか、今御答弁ではかように理解されますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/242
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243・中西實
○政府委員(中西實君) 保安業務は鉱山保安法並びに規則等にいろいろとございますが、そのうちでここに列挙してありますような行為を生ずるものは、こういう結果の生ずる行為はいけない、こういうことでございます。それから先ほどちよつと言葉が足りませんでしたが、二条にしましても三条にいたしましても、それだからといつて業者がスキャップによつて補充するこの義務はないという前提で我々考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/243
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244・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは今のスキヤツプの義務云々という点についてスキャップという言葉は私どもも使いたくございませんが、保安維持の責任が保安管理者にある。或いは本来ならば鉱業権者にある。代理的に保安管理者にある。ですからその保安を維持しますための全的責任があるということは先ほどお認めになつた。従つて或いは正常の場合において一人ポンプ方が休んだならば、それを補充すべき義務は保安管理者にある。そのことは争議の場合といえどもそうだと思う。或いは一人労務不提供があつたとするならば、或いは半分でもあつたとするならば、或いは係員等を使つて、或いは非組合員等を使つてそれを埋むべき責任がある。その重要なものについては四十七条三項にも書いてある。その責任はお認めになる。それで全的に正常な運営を停廃する、具体的に言うと、その人に対する危害、鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊一これはしばしば言われますように炭鉱全体を破壊する或いは全体が水没する、こういうことだと考えられますならば、その程度に至らんものは少くともこのスト規制法上は禁ぜられておるものではない。併し鉱山保安法上或いは保安規則等によつてそれぞれ禁ぜられておる行為はこれは別問題、かように理解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/244
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245・中西實
○政府委員(中西實君) 個々の保安要員と申しますか、労働者が病気とかそういつた正当な理由がございまして保安業務を休むそのために補充する場合と、それからやはり争議行為で組合として一斉に業務を停廃するということは質的に違うのじやないかと思うのであります。従つて個々の労働者が正当な理由で休んだ場合、これは当然保安管理者その他において代替の人を雇うわけであります。争議の場合、スキヤツプという言葉はどうかと思いますけれども、これを入れることは労使双方の協約等においてもこれをやらないというふうに大体きめる場合もあるくらいでありまして、その場合に使用者が代替者を入れる義務があるかどうか、これは我々としましてはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/245
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246・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 それに関連するのでありますが、そうしますると、鉱業権者といいますか、経営者の責任は全部労働者に転嫁されるのであつて、ストが起つた場合においては鉱山保安に関する責任は免責されるということになるのでありますけれども、極く素直に考えますると、そういう場合において、成るほどこの法律が通過すれば、或いは現在の鉱山保安法においてそういう個々の労務者が或いは違反に問われるかもわからない。その結果罰則で罰を科せられるかもわからない。併し責任者である鉱業権者はやはり保安の責任というものは一応残るので、その責任を果す上において不可抗力といいますか、手当がなければこれは別でありますけれども、責任がなくなるということは少し行過ぎじやないですか、率直に考えてですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/246
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247・中西實
○政府委員(中西實君) もとより如何なる場合でも、電気でもそうでございますが、正常な運営に経営者が努力すべきことは当然なことだと思います。併しながら法律の解釈といたしまして、たまたま会社側でうまく引継いでくれたらそのときはいい、併し引継いでくれないときには罪になる。引継いでくれるかどうかは極めて不確定でございます。そういう不確定な理由で違法性が阻却されたりされなかつたりする、これは私どもとしまして如何かと存じますので、やはり客観的に見まして、そういつた結果が生じます行為というものは、これは争議行為として行過ぎだというふうに解釈すべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/247
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248・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 私は争議行為のほうを問題にしているわけではないのです。経営者の保安に関する責任ですね、責任はストが起つたからというので全面的に免責になるということは、普通の常識からいつて考え得ないのじやないか。鉱山保安法に基く責任はあるのだ、それをいろいろの事情で果し得るか果し得ないか、それは別問題ですけれども、当然その責任は残つて、それを尽す義務はあると思う。こう考えるのが鉱山保安法の建前でもあり、当然の常識ではなかろうかと、こういう感じがするのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/248
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249・中西實
○政府委員(中西實君) その責務はあると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/249
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250・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ちよつと今質問者が出られましたので、この機会に私明日のことがありますので、中島公益事業局長に先ほどの問題に関連して一点だけ伺つておきます。
先ほど昨年或いはその前もそうであつたのでありますが、争議のときに会社側に対してあらゆる努力を傾注して電気の供給の責任を負うように、こういうことを業者に対して行なつたということをおつしやつたのですが、それはどういう方法でお行いになつたのかを一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/250
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251・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) これは口頭で言つたのであります。文書或いは公益事業令第何条というような正式の公文書ではなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/251
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252・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 第二点としまして、通産省は今度の労働省が出しましたスト規制法に対する提案の趣旨というのについては全面的に同意見でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/252
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253・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 全然同意見であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/253
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254・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) そうしますと、昭年のストで、電気事業者は従業員に告げる書として、初めのうちは黙つておつた、ところがあの非常に激しくなつてから初めて布告文のようなものを出しまして、こういうように今までは黙つておつた、今まではいいと思つていたが、こういう重大なスト行為、停電行為を行うようになつてはもはや正当な争議行為とは認められないので、従業員諸君は覚悟せられたいという意味の貼紙をほうぼうの職場にしたことがございますが、それは御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/254
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255・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 通産省としてはそういうことはやつたことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/255
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256・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) いや、通産省ではなくて、電気事業者が自分の職場におる従業員に対して告示するためにそういう措置をとつたことは御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/256
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257・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 私はそういうことは実は聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/257
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258・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) そういう事実がありますので、明日までに一つ電気事業者をお調べ願つて、そういう印刷物があるはずでありますから、これを一つここにお取寄せ願いたいと思います。と同時に、これは事実ですから私は言うわけであります。私は現物を見ておりますから申上げる。その場合に電気事業者、供給の最大の責任を持つておる電気の供給者が責任に任じながら、最後になつて電源スト行為は全部違法行為であるから、不当な行為であるからということではなくて、このような大きなスト行為を行うと、もはや正当な争議行為とは認めがたいというようなことを書いてあつたのでございますが、そうしますと電気事業者は労働省が提案したように全部不当な争議行為である、こういう工合には当時考えていなかつた。自分の供給責任を考えながらそういうことを考えていなかつたというふうに私どもは見ておるのでありますが、この電気事業者の意見、供給責任を一番持つておりますところの電気事業者の意見を十分に付度される必要はないのか、この点を公益事業局長はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/258
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259・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 当事仮にそういう事実があつたといたしまして、その意図が何にあるか私は存じませんけれども、ただ先般のストの進行によりまして、労働省から御説明のあります通りに、電源スト等はこれは違法であるという社会通念がだんだん成熟して来た、こういうようになつておるのでありますが、経営者といたしましては、そこまでの自信がなくて、少くともこの程度ならばという最も確信のついたところで例を引きましてやつたのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/259
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260・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 社会通念という言葉はいろいろ論議せられましたが、先ほどからここで問題になつておりますのは、正常なる電気供給の責任者は電気事業者であるということがはつきりいたしたわけであります。電気事業者が責任を持つておるのに対して、社会通念という考え方でそういう工合に広く枠を拡大するということは、これはいささか社会通念を冒涜するものではないか、こういう工合に電気事業者を冒涜するものではないかと私は考える。従つてこれ以上議論をしても進みませんが、先ほど私が申上げましたその書類、文章と、それから更にその文章を出した電気事業者の当時の気持というものを一つお聞きになつて、明日一つ御返事を頂きたいと思います。私の知つておるところでは、会社の社報などにそういうものを印刷して載せておるところもございます。ですからどうぞ一つお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/260
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261・宮澤喜一
○宮澤喜一君 只今他人の発行した印刷物を持つて来いとおつしやつたかと思いますが、公益事業局長の説明によりますと、通産省の発行したものでなくて、電力会社がそういうことをしたことは、自分は知らんが、委員長は事実を御存じである、そういたしますと、印刷物は他人の財産でありますから、如何なる根拠でそれを持つて来いと言われるのか、多少不審に思いますのでお尋ねいたします。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/261
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262・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 私は大蔵省とか厚生省にそういうことを申すということになりますと、これは甚だ以て筋が通らん穏当を欠いた要求だと思います。併し通産省の公益事業局と電気事業者との間は実に不離一体の関係にありまして、公益事業局が要求せられる資料は殆んど、電気事業者は今まで出しております。ですから別に盗んで来て下さいということを申上げるではないのでありまして、公益事業局が従来の慣例に従わたて、こういう材料があるならば提出せられたい、こういうふうに一言言われれば、恐らお喜んで提出せられるであろうということを私は知つておるものですから私は申上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/262
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263・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 私がとやかく品を出す必要は毛頭ないと思うのですけれども、御承知のように電気事業は公益事業として通産大臣の非常に厳重な監督下にあるのであります。従つて電気事業の会社が作成しておる書類にいたしましても、殊に昨年の重大なるストに対することであれば、これは公益事業を統率し監督しておる通産大臣としては、私は権限に基いて必要なものの提出は求めていいのではないかと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/263
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264・吉田法晴
○吉田法晴君 それじや私ちよつと気分が悪くて中座いたしたが、梶原さんの質問等を伺つたところでは、争議中といえども電気の正常な供給とか保安の維持の責任は経営者にある、こういう御答弁であつたと思います。もう一遍伺いますけれども、鉱山保安場法或いは保安規則による義務は別問題にして、この法の関係においては保安の業務の正常な運営を停廃する行然であつて、鉱山における人々に対する危害、鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃又は鉱害を生ずるような保安要員の引揚げをやつちやいかん、そうしますと、そういう結果が予想せられます全員の引揚げをやつちやいかん、併し鉱業権或いはその代理をいたします保安管理者が差換えができ或いはそれが維持できるような程度の保安要員の引揚げであるならば、この法の適用を受けるものではない、かように答弁を了承してかまいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/264
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265・中西實
○政府委員(中西實君) ここに列挙してありますような結果を生ぜしめないためには、どういうところにどの程度の要員があればいいか、これは大体山々で平常からきまつていると思うのであります。従つてそれに従つて運営されておれば支障はない、こういうふうに了解します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/265
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266・寺本廣作
○寺本広作君 関連して、非常に微妙なところだと思いますので私からも一言。今説明されなくても結構でありますから、あとでお調べの上でお答え頂いて結構でありますから伺つて率きます。「保安の業務の正常な運営を停廃する行為であつて」、こう書いてありまして、そのあとに「鉱山における人に対する危害」云々としぼつてありますから、保安の業務の正常な運営がなされている場合よりせばまることは予想されるのでございます。併し正常な運営といいますから、これは争議でない場合の運営を指していると思います。争議でない場合の運営で、人に対する危害とか鉱物資源の滅失損壊とか、鉱山の重要な施設の荒廃を防ぐとか、そういう係りに従事している者は全部入るのじやないか、それ以外の者がせばめられているのじやなかろうか。ここに書いてあるのはそれぞれの事項を指しているので、その事項に携わつている者は平時の通り従事していなければならんのじやなかろうか、こう考え、そう読める条文だと思いますが、この四つの事項に従事している人間でも、更に平常よりしぼり得るのだというふうな解釈の余地のある答弁であつたと思うのですが、ここは非常に微妙なところですから、お調べの上答えて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/266
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267・中西實
○政府委員(中西實君) 大体今寺本委員のおつしやつたように考えているわけで、労調法の三十六条で正常な施設の維持、あれと同じ意味でありまして、これは日頃その部門に携わつている者はその態勢で従事する、そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/267
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268・吉岡千代三
○政府委員(吉岡千代三君) 趣旨におきましては只今労政局長からお答えした通りでありまするが、平時におきましては例えば発破の仕事でありますとか採炭の仕事をやつておりますので、これに関連してやはり危険防止の技術職員なり労働者がいるのであります。従いましてそういう関係は争議中において原則として採炭なりそういうものはやらないという関係で、そういう関係の保安関係者は若干人数が減ると思います。併しそれ以外の通気とか排水或いは坑道の保持というような関係は大体において平時と同じ要員が要るのであります。併し全体の数におきましては平時保安業務に従事している者よりも実際には少数で済む、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/268
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269・田畑金光
○田畑金光君 今中、西労政局長お話のように当然に正常の場合の保安要員というものと、ストの場合の保安要員というものとは大きく違いがあるはずであります。今指摘されたのはその通りであります。ところが今お聞きしますと、この立法に当られた労働省の当局は、これらの四つの事項に従事している夢員は平常の場合においても争議の場合においても変りはないのだ、こういうふうな解釈をとられているわけであります。そういうような不完全な、通産省との話合いもなくして、そういうような認定の上に立つてこの立法はされたのかどうか、先ず第一点それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/269
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270・中西實
○政府委員(中西實君) 十分の打合せを遂げているわけであります。ここにありますように保安業務全部じやございませんで、ずつとしぼつてございます。しぼつてある、こういつた結果の生ずるところはこれは正常な日頃の運営で行かなければならない、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/270
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271・田畑金光
○田畑金光君 今中西労政局長は連絡してあると、こういうお話でありましたが、すでに食い違いがあるじやありませんか。(「ない」と呼ぶ者あり)ない……、これはどういうことを意味するものであるか、先ずそれを第一点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/271
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272・中西實
○政府委員(中西實君) 正常な保安業務というのはまあ正常な指揮、命令であるわけであります。ただ勿論スト中は石炭を掘らないのでありますから、その関係の差は出て来ますけれども、併しながら今ここに列挙してあります結果の生ずる保安の要員、これは当然スト中にでもやめてはいけない、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/272
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273・田畑金光
○田畑金光君 それでは一つ具体的にお伺いいたしますが、ここに鉱害が生ずると、こうあるわけであります。保安業務の正常な運営を停廃した場合に鉱害を生ずるということが具体的にあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/273
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274・吉岡千代三
○政府委員(吉岡千代三君) 昨年の争議の際の実際を申上げますと、鉱山保安法におきまして捨石集積場、いわゆるボタ山の管理の義務がございます。これは少くとも毎日一回巡回をいたしまして、ボタ山の崩壊とか自然発火による鉱害防止の面から巡視いたしまして、その結果を保安日誌に書く、若し異常があれば管理者に報告し応急の措置をとる、こういう規定がございます。従いまして昨年の争議中においてもこのボタ山の巡回の義務は各社ともやつているわけでございます。それからその他この採掘によります地表沈下に関連いたしまして、この水が溜つた、そのためにこれの応急処理という意味において排水ポンプを動かして水をどける。或いは逆に採掘のためにまあ地表に亀裂を生じまして、田畑等の水がかれるという場合にポンプで給水するというような仕事を一部の山において実施している例がございます。その他炭鉱によりましては、これは一般的に金属鉱ほどではございませんが、山によりましてやはり鉱廃水に酸性を含んでいるというようなものもあるわけでありまして、でこの廃水を中和する義務、こういうものもあるわけございまして、勿論そのほかの事項に比べますると比較的実例は少いわけでございますが、鉱害関係の保安業務が争議中に全然ないというようには考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/274
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275・田畑金光
○田畑金光君 鉱山保安局長からお話がありましたが、いわゆる陥没とか或いは洪水による被害とか、或いは廃水による鉱害の問題とか、こういうふうなことは、一般に作業をやることによつて発生する率が多いと思います。従つて作業をやめて、そうして坑内の作業が中止されている、こういうようなスト行為の場合においてはこういう鉱害というものはむしろ正常作業の場合よりも少いのが通例であると、こう考えるのでありますが、その点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/275
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276・吉岡千代三
○政府委員(吉岡千代三君) 今のお話の通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/276
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277・田畑金光
○田畑金光君 そうしますと、中西労政局長にお尋ねいたしまするが、今の御説明にあります通りに、保安の業務の正常な運営があるときむしろ鉱害というようなものは災害率が多いことはこれは常識であります。ところがこの立法によりますると、保安の業務の正常な運営を停廃することによつて鉱害の発生率があると、そうしてこれにこういう一般の行為をなした者が処罰をされると、こういうような結果になつているのであります。これは明らかに事実に反した、因果関係というものが通例の場合よりもより少いのであります。因果関係というものはより少いのであります。そういうものをこの立法によつて更に保安の業務の中に入れるということ、このことがどういう結果をもたらすかと申しまするならば、私は私の時間の際に細目に亘つて質問しようと思いましたが、こうなつて参りますならば保安の業務に名をかりて、保安要員というものが拡大されて、事実上争議行為というものが大きく制限をされる結果になつて来る、こういうことになつて来ようと思うのであります。この法案というものはこういうような炭鉱の実情に即して考えて見たとき、非常に事実に即せんものを多々含んでいるのであります。一体これは炭鉱の実情を調査してこの立法をなされたのかどうか、この点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/277
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278・中西實
○政府委員(中西實君) この点は通産省とも十分打合せをいたしまして中に入れたのでございまして、仰せのごとく鉱害は石炭山においては非常に少い、それから又スト中は新たなる鉱害の発生もそう多くはない。ただ併し鉱害によつて第三者には非常に迷惑がかかる、この行為はこれを規定しませんで、これを落しておきますというと、却つて逆にそれじや鉱害の防止の業務はやめてもいいか、こういう逆な解釈が成り立ちますので、ここに列挙しておるわけでございまして、なお技術的に細かい専門の点につきましては通産省のほうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/278
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279・吉田法晴
○吉田法晴君 ちよつと田畑さんに御相談しますが、鉱害の問題は又別にやりましようや。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/279
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280・田畑金光
○田畑金光君 それでもいいが、今のお話の中に、こつちの質問に対して答弁の中に非常に大きな食い違いがあるから私は追及しているので、私はもう少し掘り下げて質問したいと、こう思つているのですよ。それでちよつとお尋ねいたしたいのでありますが、「保安の業務の正常な運営」と、こう規定されているわけであります。保安の正常な運営というような問題に関連して、我々が想定されることは、炭鉱の保安というものは各山々々それぞれ違つているのが実情であります。まあ千差万別というのが実情だと思います。甲の山の保安業務に携わる保安要員、或いは乙の山の保安業務に携わる保安要員、それぞれ違つて来ようと思うのであります。更に又山によつては排水の必要もない、或いは何らその必配のない山もあると思います。又山によつては一トンの石炭を出すのに四十トンも五十トンも水を同町に排水しなければならん山もあると思うのであります。そういうような各種各様の違う対象を「正常な運営」という表現によつてこの規定はなされているわけであります。そこで問題は、各山々の千差万別の実情の違つた対象に対しましてこの正常な運営という基準はどこまで判断するのか、誰が判断するか、こういう点が出て来ようと思うのであります。一体こういう点についてはどういうお考えを持つておられるか、これについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/280
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281・中西實
○政府委員(中西實君) 一応はこの鉱山保安法によりまして、保安管理者、これが一応認定いたしまして、これに従つてやつておりますれば、一応保安上の免責といいますか、違法性を問われないと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/281
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282・田畑金光
○田畑金光君 それでは更にお尋ねいたしますが、保安管理者がこれを認定する、こういうことになつて参るといたしますならば、争議の場合等を仮に予定いたしました場合に、これも又保安管理者が決定をするのであるかどうか、これについてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/282
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283・中西實
○政府委員(中西實君) 争議中も一応保安管理者の指示に従つてやつておりますれば、第三条の違法性を問われないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/283
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284・田畑金光
○田畑金光君 そういたしますと、こういう結果になろうと思うのであります。保安管理者の指示によつて決定される、こうなつて参りますると、実にそれは広汎なことが予想されようと思うのであります。保安管理者というのは御承知のように鉱業権者がこれを選ぶわけであります。そうしますと鉱業権者が正常の場合においても争議の場合においても保安要員を決定する、こういうことになつて来ますならば、争議の場合にどういう事実が伴うか、こういうことになつて来ようと思うのであります。そこで私はその前にもう一つお尋ねしておきたいことは、一体争議の場合の保安業務というものはどの範囲を指すのか、これを一つ伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/284
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285・中西實
○政府委員(中西實君) 争議の場合は結局炭を掘つておりませんので、その点で平常の場合との差があると思います。三条所定の業務ということは変りはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/285
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286・田畑金光
○田畑金光君 三条所定の業務と言つても、これは非常に抽象的であつてわからないのであります。こういうような抽象的な仕事に携わる者は全部だと、これが保安業務だと言つてしまつたのでは、炭鉱のすべての、坑内、坑外、各職種すべてに亘ると思うのであります。一体そういうような対象のはつきりしない、炭鉱の事業の実情に即しない、そういう認定で以てこの法律を作られたら、この法律の適用を受ける労働者は浮かばれんと思うのでありますが、そういうような中西労政局長は不勉強でこの立法をなされたのであるかどうか。もう少しこの鉱山保安、鉱山保安規則というものがあるからして、これに基いて御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/286
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287・中西實
○政府委員(中西實君) 先ほども申されましたように山々で非常に事情が違う。そこで先ほども申しましたように、鉱山の保安という公益的な立場から鉱山保安法が規定され、それの定義によりましては、保安管理者は国家試験を受け、(「そんなこと聞いているのじやないのです」と呼ぶ者あり)国家の監督を受けてやつておる。この保安の程度はその山々具体的に客観的にきまつて行くわけであります。従つて争議中といえどもこの保安管理者の指示に従つて業務をやつておりますのが一番無難でございます。ただ保安管理者の命に従わなかつたからと言つて罰則もございません。そこで最後にそれを客観的に妥当であつたかどうか、これは裁判所で判断する、こういう恰好になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/287
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288・田畑金光
○田畑金光君 私はあなたにそんなことを聞こうと思つていないのです。具体的に鉱山保安法、保安規則というものができている以上は、この法律によつて当然鉱山労働者というものを護らなければならん保安業務の範囲が規定されているわけです。単に保安管理者の指令に従うとか、それも謳つておりまするが、それは命令系統を、平常の命令系統を……、但しそれも問題はありますよ、謳つているに過ぎないのであつて、一体その指示をするにしても、保安の内容というものが当然守らなければならん事項があるわけですが、その守らなければならん鉱山労働者の保安義務というものは具体的に言うとどのような点なのか、こういうことを伺つているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/288
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289・中西實
○政府委員(中西實君) 具体的などういうものがあるかという点につきましては、通産省のお話を頂きたいと思いまするが、先ほど申しましたように、山によりまして事情が違い(「そんなことを聞いているのじやない」と呼ぶ者あり)而も争議は、今までにも経験がございまして、大体山々で保安委員会或いは常々の労使の協定、そういうことでおのずからきまつておるのじやなかろうか、いつも労使の話合いで、先ず我々が聞いておりますところでは、相当論議はあるようでございますけれども、常にやはりこの点につきましては話合いできまつてやつておる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/289
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290・田畑金光
○田畑金光君 中西労政局長の答弁は答弁になつていないのであります。如何ようにあなたがそのような抽象的なことを繰り返しても私には答弁にならないのであります。あなた方は鉱山保安法も保安規則も勉強しないでこの立法をなされたかどうかということを私は疑うのであります。そういう不勉強で、而も通産省と連絡したと言うものの、何ら連絡もとれていない。研究もなされていない。そういうことで以てこの立法をなされたのかということを私は尋ねているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/290
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291・中西實
○政府委員(中西實君) 通産省と十分連絡いたしまして、技術面につきましては通産省にそれぞれ専門の方もおられます。政府部内分担をいたしまして当つておるわけでございまして、今の技術的の点につきましては通産省のほうからお聞き願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/291
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292・田畑金光
○田畑金光君 私は通産省の鉱山局長に……何とおつしやるのですか。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/292
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293・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 吉岡鉱山保安局長です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/293
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294・田畑金光
○田畑金光君 吉岡鉱山保安局長にお伺いしようと思つておりません。当然のことでしよう。中西労政局長、あなたは笑つているが、(「政府は一体なり」と呼ぶ者あり)一体これぐらいの立法をして、これは労働立法でしよう。労働立法、これの制限を受けるのは誰です。労働者じやありませんか。石炭と電気の労働者でしよう。この三条の中に、あなた方は至極簡単に考えられ、今日までの答弁は実に抽象的な答弁に終つているのです。併しながら一たびこの立法の内容に足を踏み込んで見るならば、あなた方は何もわかつていないじやないか。何十万という労働者がこの立法の対象となつて争議の制限禁止を受けるのです。少くとも炭鉱においてこの立法ができるならば、保安業務という名前によつてどういう結果が労働関係に生まれるか。労働関係です、労使関係にどういう結果を招くかということは当然わかつて来ようと思います。この点について小坂労働大臣にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/294
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295・中西實
○政府委員(中西實君) 非常に技術的な細かい問題でございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/295
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296・田畑金光
○田畑金光君 労働大臣です。(「委員長何をやつているか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/296
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297・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) まだ許しておりません。(笑声)小坂労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/297
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298・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 技術的な問題でありますから、政府委員をして答弁せしめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/298
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299・田畑金光
○田畑金光君 小坂労働大臣も研究なされないでこの立法を作られたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/299
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300・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) そんなことを言うなら言いますよ……どうですか、これは私しばしばお答えいたしておりますように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/300
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301・田畑金光
○田畑金光君 しばしば答えておりません。今初めて質問したのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/301
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302・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) これは「石炭鉱業の事業主又は石炭鉱業に従事する者は、争議行為として、鉱山保安法に規定する保安の業務の正常な運営を停廃する行為であつて、鉱山における人に対する危害、鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃又は鉱害を生ずるものをしてはならない。」こういいうのであります。そこで石炭鉱山保安規則によりますると、第四十七条第三項が第三条に該当するものであろう、こういうのであります。それを一体どう規定するかということにつきましては、先ほど通産省の政府委員もお答えいたしましたが、罷業という場合になりますれば採炭を停止するのであります。平常採炭によつて伴うところの、例えば発破をかけて、その石が飛んで来るからというのでその保安をやつておるとか、そういつたようなものは、その採炭の中止に伴つてその保安はなくなるわけです。併し平常の場合においては保安というものはどういう点であるかということについては平常から労使間において話合いがある。そして山々それぞれの実情によつて、その間に保安管理上適当と認められるものができている。而して鉱山保安管理者というのは保安監督部の、通産省の許可と監督の下にあるので、そこにおのずからなる何ら不当でないものができ上る。而も保安管理者がそういうことをいたします場合には、やはり一方的にこういうことだと言つてきめても、労働者諸君の納得を得なければこれはできませんから、その間に話合いによつて無理のないものができ上る、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/302
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303・吉田法晴
○吉田法晴君 議事進行。まあ私も非常に疲れているのですが、聞いておりますと、田畑君もやはり若干疲れがあるようです。(笑声)それで問題は協約の点、どういう工合に保安要員の範囲をきめるかと、こういう論議も出て参りましたが、これは更にもつと深く突込んで行かなければなりませんが、問題を明日に持ち越したいと思います。ただ私は先ほど来公共の福祉ということから、それからこの法律の行為、それから経営者の責任、そういうものから尋ねて参りまして、私に与えられた答弁は、全面的な保安要員の引揚げでなければいいかのような御答弁が中西さんからありましたが、あとから寺本さんから御質問があつたら逆の御答弁がございました。それから中西労政局長と鉱山保安局長の間にも答弁に食い違いが私はあつたと思つております。それらの点はなお私ども速記録を見て、それから明日クリアーな頭で論議を進めたいと思いますので、話を明日に持ち越すことにして、この程度で一つ今日は……。(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/303
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304・田畑金光
○田畑金光君 吉田君からの動議が出ましたので、私も賛成はいたしますが、明日重ねてこれに関連して質問を継続したいと考えます。ただ私、本日聞いて知り得たことは、如何にこの立法が杜撰なものであるかということ、私はだんだんとこれは私の言わんとする結論のほうに逐次持つて行かねばならんと考えておりますが、そういう不まじめな立法によつて電気産業労働者、石炭産業労働者を縛ろうとするあなた方の考えというものが、如何にこれは反動的なものであるか、或いは憲法の精神に違反したものであるかということだけはお互いに明らかにされたと思います。(「独断々々」と呼ぶ者あり、笑声)どうかゆつくり勉強してもらつて、明日更に質問を継続したいと思う、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/304
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305・吉岡千代三
○政府委員(吉岡千代三君) ちよつとお答えいたしておきたいと思いますが、先ほど実は労政局長のお答えがちよつとまあ言い足りなかつた点があつたと思いまして、私補足をしたのでありますが、この法案の解釈等につきましては労働省、法務省、通産省はこれに極めて緊密に何回も会合を重ねました。検討しておるのでありまして、私どもの間には絶対に解釈の食い違いはありません。(「答弁はさつき違つたじやないか」と呼ぶ者あり)なお先ほどのは恐らく(「勉強しなかつたのか」と呼ぶ者あり)お疲れになつた関係じやないかと思いますが、その点は一つ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/305
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306・田中啓一
○田中啓一君 議事進行に関連して。大体吉田さん、これで一廻りの分で、あなたのほうはこれでよろしうございますか……、そういうことになさらんと、これまだ明日ですね、大分廻さなきやならんので、そういうことで一つ次に廻すということでよろしうございますか。廻されんならば、誠にえらいだろうけれども、一つ続行して頂きたいと存じます。(「基本的人権だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/306
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307・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 速記をとめて。
(速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/307
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308・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて。
本日はこれにて散会いたします。
午後七時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X02119530728/308
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