1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年四月六日(火曜日)
午前十時五十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 深川タマヱ君
理事 石井 桂君
委員
小沢久太郎君
飯島連次郎君
小林 孝平君
小笠原二三男君
近藤 信一君
田中 一君
政府委員
建設大臣官房長 石破 二朗君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
常任委員会専門
員 菊池 璋三君
参考人
大阪府建築部長 吉田安三郎君
横浜市建築局長 内藤 亮一君
住宅金融公庫総
裁 鈴木 敬一君
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本日の会議に付した事件
○住宅金融公庫法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
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001・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) では只今より建設委員会を開会いたします。
本日は、公報で御通知申上げました通り、只今上程になつております住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、本案の施行された場合における宅地開発の具体的な計画につきまして、鈴木金融公庫総裁、吉田大阪府建築部長及び内藤横浜市建築局長を参考人として御出席願つております。なお政府からは石破官房長、鮎川説明員、前田説明員が御出席でございます。
この際ちよつと参考人に対しまして御挨拶申上げます。
御三方には本日は御遠方且つお足もとのお悪いところを御苦労様でございました。御照会申上げました案件につきましてどうぞ御懇切に御説明下さい。そしてあとで委員の質問に御答弁下さい。
では吉田大阪府建築部長どうぞ御説明下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/1
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002・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 御紹介にあずかりました吉田でございます。
一言御礼を申上げたいと存じますが、本委員会におかれまして御審議になつておりまする住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に関しまして、第一線で活躍いたしておりまする私どもの意見を聞いてやろうという思召しでお呼出しにあずかりまして、こういう機会を与えて頂きましたことに対しまして深甚の謝意を表する次第でございます。何分野人でございまするので、申上げることもお聞き苦しい点もあるかとも存じまするが、本当に第一線で悩んでおりまする事柄をぶちまけて端的に申上げたいと存じますので、あらかじめ御了承を願いたいと存じます。
申すまでもありませんことでございまするが、特に金融につきまして、大都市及びその近郊地におきまする宅地の価格の高騰、値上りに伴いまして、取得難が非常に顕著になつておるのであります。昨年度の例によりましても、すでに御承知のようにたくさんの数ある中から幸いにも住宅金融公庫の資金の貸付けに当選をしながら、土地の取得難のために涙を呑んで建設ができなかつたという事例は非常に多いのでありまして、特に東京初め大阪においては顕著なものがあるのであります。申すまでもなく、たしか昭和二十五年と存じまするが、住宅金融公庫が設立されました以後におきましても、なかなか土地の取得が容易でないという問題がございまして、特に大阪府におきましては金融公庫の融資を受けて建築する人のために、いわゆる分譲住宅というのを府が代行いたしまして、宅地の取得、造成、建設一切を府のほうで引受けて、金融公庫に当選した方に分譲をする、そういうような事柄を行なつておつたのであります。と申しましても内容は、府費単独で全部の費用を賄いまする関係上、なかなか多くを期しがたいのであります。併しながらこれの取得をされました方々は非常に土地の入手或いは建設工事の契約その他がスムーズに参りまするので、非常に好評を博しておりまして、府会を初めその他の方面からこういうほうの面の非常な飛躍を要望しつつあつたのであります。併しながら今申しました通り経費その他の点でなかなか多くを期しがたいので悩んでおつたような状況であります。
特に今回は金融公庫法を御改正に相成りまして、貸付金にかかります住宅の建設の促進を容易にするために土地の取得、造成の事業を行う者に関しても相当額の融資を図る途を講ぜられようという案が上程になつておるように拝聴いたしておるわけでありまするが、かねて金融公庫法の発足当時から今申しましたような事情もございまして、できるだけ早い機会にこういうような土地の造成、開発に対する融資の途の開かれんことを希望いたしておつたわけでありまするが、漸く今日陽の目を見るようになつたことは非常に欣快に存じておるわけであります。
勿論大阪府といたしましては、住宅事情その他は住宅年報その他で公表もいたしてございまするし、時間の点で詳細な数字は割愛いたしたいと思いますが、後刻御必要があれば委員の方に住宅年報その他もお送りいたしたいと、かように存じておるわけであります。
この法案に直接関係いたしました宅地分譲事業に関係いたしましての今日までの府の状況を申上げますと以上のような事柄でございまして、二十九年度といたしましては、特別会計によりまして宅地建物分譲事業というのをいたすことに計画を立てまして、去る三月の二十七日に府議会の議決を経たようなわけでございます。この特別会計の予算におきましては、二十九年度は十万坪の敷地を買収いたしまして、うち六万坪を適当なる価格で、勤労者にも買えるような価格で宅地造成をした上で分譲をいたし、なお二百戸の敷地付きの住宅を分譲いたそう、かように考えておりまして、予算総額といたしましては四億七百余万円を計上いたしておるようなわけでございまして、目下この事業のために敷地の買収の交渉をよりより進めおるような状況でございます。勿論府といたしましては、今申しました宅地の分譲事業もさることながら、一般の住宅建設に関しましても府みずからできるだけ、公営住宅にいたしますれば公営住宅の建設もやり、それと共にほかにおきまする衛星都市或いは町村その他の方々にも御協力を願い、そして十全の効果を挙げたい。かように考えておるわけでありまして、その点着々建設戸数も尻上りに上昇いたして参りました。昨年におきましては建設省或いは本委員会の方の非常な御助力によりまして六千六百六十余戸の実績を挙げるような状況になつたわけであります。
申すまでもなくこういうことを行いますにつきましては、私をして率直に述べさして頂きまするなれば、ただ関係の市町等その他にやれやれというだけで監督をして、叱咤勉励をするという存ではなかなか十全の効果は期しがたいのでありまして、みずからもやはり苦労をして何がしの戸数をこなして行く、そしてその経験なりいろんな苦しい事柄も理解した上で各市町村にもお入りを願う。こういうふうにやりましてこそ公営住宅の面もいささかその進捗の度を早めるのではないか、かように存じておるわけであります。
なお、一般の住宅の建設促進につきましてもあらゆる貸家組合或いはその他の機関を動員いたしまして、これも又本委員会のほうで多大の御支援を仰ぎました産業労働者住宅の建設につきましても労働部その他とも連絡し、各会社、工場の労政部その他とも緊密な提携をいたしまして非常な効果を挙げ、着々勤労者住宅の建設が上昇をしておるのも非常に欣快に存じておるわけであります。そういうわけでありまして、宅地の開発につきましても府だけがやれと言うだけではなかなか予算その他の制約もありまして、十全の効果を挙げにくいかと存ずるのであります。従来におきましても公営住宅の宅地の取得その他につきましては関係町村の御協力を願つておることは申すまでもありませんが、大阪は御承知のように扇の要のように私鉄その他が発達いたしております。従いましてこういうような私鉄その他とも十分な連絡をとりまして、用地の取得その他にも事欠かないで今日に至つたような状況でございます。
先ほど申しましたように、宅地の取得を容易ならしめるために土地を分譲いたしまするにつきましても、府も率先して、公営住宅において示したようにかなりのものは当期賄いたい、かように考えておるのみならず、公営住宅につきましては、まあ割当の五〇%余りを府みずからがやつているような状況でございます。従いまして今年度の宅地の分譲につきましても、大体私の予想では総額十五万坪くらいは府下でできるのではないか、かように考えております。そのうち初年度のことでもありまするので、府といたしましては先ず十万坪を計画いたしたわけであります。私鉄は御承知のように大阪におきまして五つの大きな私鉄がございまするが、こういう私鉄は過去におきまして相当の沿線の開発をいたしております。今日までの合計が約五百六十万坪の土地を戦前において開発いたしておつたように聞き及んでいるのであります。これらの私鉄はやはり沿線に土地を持つておりまするし、陳容その他も非常に整つておりますし、非常な経験も持つておりまするので、できるだけ私の考えといたしましては、こういう堅実に行ける、償還能力もあり、事業実績も過去においていいというようなものにつきましても、やはり相提携して宅地の開発を図つて行きたい。これに関係いたしましてはまだ詳細な数字は調べてはおりませんが、大体今日までの打合せの経過では、三社で、一社当り少くとも一万坪前後、全部で五万坪くらいは開発ができるのではないか、かように考えておるのでございます。府といたしましても多年の要望いたしておりました事業が本年度初めて陽の目をまさに見ようといたしておりまするので、当初でもありまするので、府といたしましては十万坪の計画を立てたわけでありまするが、将来はやはりこういうような健全な会社、その他の団体も土地開発ができるような途を開いて頂きましてこそ、府下一円となつて十分なる宅地の開発事業ができるのではないか、かように存じ上げているわけであります。
従いましてお送り願いました改正案を拝見いたして、十七条の第四項でございますか、非常に多年府といたしましても要望いたしておりました事項がまさに生まれんとしているような状況であり、先ほど申しましたように、如何に大阪府が宅地の分譲事業に熱意を持つて、而もいわゆるその道をつけて頂きますれば、十全な効果を挙げ得るという自信を申上げたいど存ずるわけであります。
なお開発その他に関係いたしましては、各沿線におきまして長所も持つているのでありまするが、何分まだ交渉過程にございまするので、具体的にどこの場所と申上げるのは如何かと存じまするので、その点はお許しを願いたいと思うのでありまするが、大体におきまして小さいところでは五千坪、大きい団地は一万坪くらいの程度をとりまして、今のところでは十四カ所で十万坪の開発を計画いたしているようなわけであります。勿論こういうことに関係いたしましては大蔵省の短期融資の途もあつたのでありまするが、やはり五千坪或いは一万坪とまとまつた土地の開発には六カ月の短期融資ではとても賄い切れませんので、少くとも三年以上の長期の融資がなくては困るということも勿論陳情もいたしておつたような状況でございます。
なお特別会計の宅地建物分譲事業の実施につきましては、その他の関係の取扱の内容、規則その他の草案も用意いたしておるわけでありまするが、何と申上げましても本委員会に只今御上程に相成つておりまする金融公庫法の一部を改正する法律案が成立いたしましてから本当のスタートをいたしたい、それまでにはできるだけの準備をいたしたいと思いまして苦慮いたしているわけであります。
重ねて申上げますが、府下の住宅難は東京に次いで非常に深刻なものがありまして、土地の取得造成は特に住宅難の癌に相成つておるわけであります。これの途を開けて行きまするには、府或いはその他の市町村だけに限らず、堅実なもので十分効果も挙げ、計画内容についても教えて頂ける範囲内でやれる見込のあるものにつきましても、そういうような融資をする途を開いて頂きましてこそ、官民を問わず現下の住宅難に対する、住宅の取得に関連して十全の効果を収める早道ではないか。かように存じますので、私といたしましては本日お呼び出しを願いまして、この住宅金融公庫法の改正案に対しましては満腔の賛意を表する次第であります。
以上大体のところを申上げまして、あとは御質問がありますればお答えいたしたいと存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/2
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003・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 有難うございました。
次は内藤横浜市建築局長どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/3
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004・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 横浜市の建築局長の内藤でございます。本日住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、参考人として特にその宅地開発の問題につきまして意見を述べさして頂く機会を得ましたことを厚く感謝しております。
申上げるまでもなく、住宅問題の開発の上には土地の占める問題が非常に多いのでございます。これは個人が自分の家を一軒々々建てます場合、我々地方公共団体が公営住宅その他の住宅を建設いたします場合でも、その困難なことは同様でございまして、なかなかこの解決が現在ではまだ十分でない、かように存じて曲るわけであります。
直接金融公庫法とは関係ございませんが、一例を公営住宅の敷地にとつてみましても、現在横浜市は毎年約三万五、六千坪の公営住宅の用地が要するわけでございますが、これを現在までは約十団地近く、少くとも数団地以上の団地に分けまして、適当なところから買収或いは賃貸いたしまして建設いたしておるわけであります。併しなが現在の状況を反省いたしますと、仮に数千坪宅地を、新らしく農地とか山林を買収いたしまして、水道或いは道路の敷設をいたしまして、公営住宅を作ります。翌年その周囲を又買いに行きますと、買収いたそうと交渉いたしますと、まあいろいろなインフレーシヨンその他の関係もございますが、土地が倍量になりまして、なかなか買収に骨が折れる。皮肉な見方をいたしますれば、公営住宅を建てまして郊外地を一部開発するのは結構でありますが、隣接の非常な地価の値上りを生じまして、公営住宅は近隣の地主の利益を一部において図つておるといつたような見方も言えないわけではないというようにも見られるわけであります。
そこで横浜市といたしましては幸い郊外に住宅適地が相当ございますので、現在計画いたしておりますのは、新らしく郊外電車の駅ができる予定の所がございますが、そこを中心といたしまして取りあえずは十万坪、将来は三十万坪程度の、ニユー・タウンまでは行きませんが、一つの集団住宅地を開発してみたい、こういう計画を持つておるわけであります。これは横浜駅から現在約三十分くらい郊外電車でかかるところでございますが、駅を中心といたしまして、取りあえずは一キロの範囲内、もう十五分、二十分と駅から離れますと、そんなに住宅適地とはならないわけでありますから、取りあえずは一キロ乃至一キロ半を範囲といたしまして住宅を建てているわけであります。これをいずれも全部公営住宅敷地とするわけではないのでありまして、できれば一方個人も、住宅金融公庫から資金を借りまして建てる人々も五十坪乃至百坪の住宅の敷地を見付けるのに困難をしている事情であることは御承知の通りであります。そういう方々にもできれば市が開発いたしまして、それを分譲するという計画も併せてやつて行きたいというわけで、ぽつぽつ地主との交渉も始めているわけであります。なおその場合に今までは、先ほど大阪の吉田部長からもお話がございましたが、短期の、六カ月乃至一年くらいの短期の融資ではなかなか理想的な計画ができないのでございまして、改正案にございますように三年程度の期間の融資でございますとこの計画が実現できるというわけで、非常に期待しておるわけであります。なお現在の公営住宅を例にとりますが、御承知のように公営住宅法の規定によりまして住宅三カ年計画というのがございますが、この三カ年計画は建設省令によりましていろいろ建設戸数、住宅の不足数を推定いたしまして、建設戸数の計画はあるわけでありますが、住宅開発とか或いは敷地の三カ年計画というものが現在まだ取上げられていないわけであります。非常に困難な問題でございますが、その程度まで土地についてあらかじめ地方公共団体が計画を立てませんといい住宅の開発はできないのじやないか、かように思つておるわけであります。これが現在の横浜市のごとき地方財政が余り豊かでない、赤字財政の地方公共団体ではなかなか市単独ではできないのでありまして、現在も建設省のほうで次年度以降分の用地費補助という制度がございますが、これに住宅金融公庫からの融資が得られるようになりますと、我々は少しでも都市計画的にいい団地を建設いたしたい、かような考えに立つてみますと、今度の改正は非常に結構な改正であると考えているものでございます。
ただ私どもが考えております実は計画を、この二十九年度の当初予算に市といたしまして計上するためにいろいろ上司にも諮つてみたのでありますが、結局はこの法律が成立してからということで、成立次第補正予算で是非実現して行きたいと、かように思つておるわけであります。ただその場合に私が市の上司にこの案について説明いたしましたときに、助役から、郊外地の開発も結構だけれども、横浜は進駐軍の接収解除地もある、市街地の高層化も図らなければならないというような注意もあつたのであります。これは当然のことでございまして、我々も日夜住宅を、既成市街地の立体化、特に横浜のごとき接収解除地の立体的な復興ということもこれ又非常に大事なことでございまして、今日お呼び出しのお尋ねは住宅地の開発でございますが、関連いたしましてこのたびの公庫法の一部改正案には既成市街地の多層建築物の住宅もお取上げになつておるわけでありまして、この点は我々念願いたしておりますところの二つの途を同時に解決して頂く糸口になるものでありまして、非常に喜んでおる次第でございます。勿論今回の改正はただ糸口をつけて頂く程度でありまして、今後ますます住宅の建設を飽くまでも都市計画的に、特に用地を計画的に推進いたしますためには、更に我々も驥尾に附しまして研究いたしまして、だんだん理想的なほうへ向つて行くように、将来は或いは更に法律の改正も予想せられるかも知れませんが、現在の段階では今まで取上げられなかつた問題を一方地方公共団体でも取上げ得るように途を開いて頂く理想を持つた案でございますので、その点は大いに感謝しているわけでございます。なお地方公共団体のみならず、会社にも融資するという問題もあつたのでございますが、この点につきましてはいろいろな見方があるのでございまして、これを否定的に考えれば、何分にも住宅金融公庫からこの二十九年度宅地の開発に融資頂きますところの枠というものがそんなに十分ではないようにも承わつているわけであります。従つて有力な私鉄なんかがございますと、我々が折角いい計画を立てておりましても、けちな考え方かも知れませんが、競合になり圧迫を受けるのじやないかというような危惧の念もないわけではございませんが、併しながら別の見方をいたしましたならば、それが地方公共団体の計画であろうが、或いは会社、即ち私鉄の計画であろうが、都市計画的に見ていい計画であるなれば、これは取上げて頂いていいのではないか、宅地の開発を地方公共団体の独占にする必要はないのじやないかというような幅のある考え方を実は私たちは持つているわけであります。
現に私どもが横浜の郊外で計画いたしておりますところの十万坪乃至は将来は三十万坪の計画におきましても、駅前の一部分は、而も資金難でございますので、郊外電車とタイアツプいたしまして開発をしてもらつたらどうかということに考えているわけであります。いずれにいたしましても、念願するところはできるだけ都市計画の線に沿つて、飽くまでも計画的に開発をして行くということを私どもは念願しているわけでありますので、その線に沿つた計画の一部でありましたなれば、これは私鉄でも誰でもかまわないのじやないか。公庫法に、この改正案に認められている融資対象は誰でもいいじやないか、こういうふうに思うわけであります。これが将来都市計画の癌になる、まあ癌になるというのはちよつと言い過ぎでありますが、余りプラスにもならないというような計画でありましたならば、これは十分住宅金融公庫のほうで御検討頂きまして、資金の枠は必ずしも十分でないように承わつておりますので、飽くまでもいい計画を育てて頂く、こういうようにお願いできたらと思つているわけであります。
お尋ねが大体私の錯覚かも知れませんが、まあ郊外地の住宅の開発ということについてのお尋ねのように承わりましたので、既成市街地の立体化の問題はこの公庫法に取上げてはございますが、非常に現在の段階では一歩前進したものである。将来は更にこれを推し進めて頂きたいという程度の希望を申上げまして、私の意見に代えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/4
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005・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 有難うございました。次は鈴木住宅金融公庫総裁どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/5
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006・鈴木敬一
○参考人(鈴木敬一君) 私が住宅金融公庫の鈴木敬一でございます。お見知りおきを願つておきます。
すでに只今同じく参考人として大阪府の当局並びに横浜市の当局からそれぞれ陳述がなされまして、お聞きの通りでありまして、私どもの過去五年ばかり実施し来たつた住宅建設に対する融資という立場から考えまして、追々年を逐うて再議のなかなか至難である宅地が残りが少くなる。或いは又その価格が高騰をいたすというような現象に伴いまして、我々のほうに申し込まれる方々の立場から考えまして、建設費の増嵩と伴いまして、否、それ以上に遥かに重きを持つて宅地の不足ということが隘路の最も大きなものに相成つて来たのでありまして、これらの諸点を認められまして、主務省において今回住宅金融公庫法の一部を改正せられる段階に立ち至りましたことは、又それについて国会が御熱心に審議検討を重ねておられますることについては深く謝意を表する次第であります。誠に事業を直接いたしまする我々としては旱天に慈雨と申しまするか、これらの改正条項が一日も早く成立し、実施の段階に立ち至りますることを待ち望んでおるのでございます。すでに他の参考人から申述べられましたるごとく、今回の改正の条項の重要な点は、新規に宅地化すべき土地を宅地として開発増加をして行きたいという問題と既成市街地、少くも既成宅地を利用する効果がより一層高度化するようにという二つの狙いを持ちました改正の条項がその主要なるものでございます。
内藤参考人が申述べられましたるごとく、他の条項たる既成宅地の利用の高度化、つまり建物を高層化する、立体化するということにおいて土地の利用を厚くする。そうしてこの宅地難に対して解決の一助たらしめるということは非常に重要であり、而も又他の点、例えば都市の不燃化とかいつたような建前から申しましても、都市計画的の見地から考えまして幾多の重要な関係があると思うのであります。本日お呼出しを受けました当該の問題でありまする宅地開発事業に対する融資の問題でありまするが、これは在来におきまして大阪府、神奈川県、福岡県、その他住宅難のひどいところ、又はその地方の当局をも含んでありまするが、地方の公共団体に対処する熱心なところにおかれましては、それぞれ建売り住宅という方法を以てこれが解決の一助たらしめておられるのでありまして、これは既成の宅地に建売り住宅を建設する場合も多々ございまするけれども、その多くは同時に皆先決問題として宅地を開発して、而してそこへ建売りせんがための住宅を建設して供給する、こういう事業でありまして、これはすでに私どものほうにおきましても、いわゆる建売り住宅の枠をそれぞれ各地方の要望によりまして、その計画案を仔細に検討いたしまして、地方の住宅難の程度・文殊に建売りを供給するということが現実に公正に行われるかどうか、並びに私どもの立場から償還が確実に行われるかなどの諸点を検討いたしまして、建売りの枠を与えて建設せしめておるのでありまして、これはお客である、建売りを購入せんとする人々も、多くはそれぞれの事業に携わり、又は庶民階層の多くはいわゆる勤人でありまして、時間的にも縛られておる人たちが殆んど全部でありまして、それらの人は土地の購入から又建設業者との交渉、建設工事の監督というようなことをさほど時間を割く余裕のない人たちでありまするのみならず、初めて我が家を建てる、全くそういうことに経験もない、ほかから借金をするということの経験もないというような全く純真と申しまするか、そういう方々でありまして、そういう方が一々建設工事にタツチするということは事実至難のことでありまして、それでありまするから、過去に我々が公共団体にいわゆる建売りの枠を示しまして、土地の開発と共にそういう事業をやつて頂くということについては非常に賛成が多いのでありまして、年を変るごとにその要望が多くなるというような実情でありまして、これは我々の立場からいいましても極めて結構な結果を生じておるんではあるまいかということに考えておるのであります。併し他の参考人からもお申述べになりましたように、いわゆる枠を与えて建売りをして頂いて同時に宅地開発をして頂くということは、その公共団体の財源において非常に至難な点がありますのみならず、一応自己資金で以て全部を立替えなければならないというような点において幾多の困難さを持つておるのでありまして、一般大衆から希望はされつつも、各公共団体と公庫との協力のみでいわゆる枠を与えるという程度の仕組においては一般の希望に到底応じ切れんというようなのが実情であるんであります。
その間に先ほども申上げました、すでに御承知のように住宅を建設するための宅地が非常に得にくいということが年を経るごとにその重要度を加えて参つて、非常な隘路になつておりまする今日、今回法律を改正せられまして、公庫の資金を貸付けてこの宅地開発造成の事業に資して頂くということは極めて時期を得た問題だと心得ておる次第であります。
それでお尋ねのこれらの事業の具体的計画如何という問題でありまするが、これは法律が成立した暁において関係の主務省令が示されるでありましようし、これらの法律並びに政令を土台にいたしまして仔細に検討をいたしまして、我々のほうの公庫の貸付に関する計画並びにその方法、方針等を具体的にきめたい考えを持つておりまするけれども、現在のところ根本の法律並びに政令が出ませんので、私のほうもここではつきり確定的に申上げる段階に至つておりませんことはお察し下されるところであろうと思います。ただその具体的の計画、或いは又方針等について折角お尋ねでありまするから、大体の心持を申述べて御参考にして頂きたいと存ずるような次第であります。
すでに他からも仰せの通り、今年度我々のほうの事業資金は決して豊富でないのでありまして、建設戸数は四万戸ということに相成つておりまするが、この四万戸建設を害しない程度において、それが達成せられる基礎において宅地開発造成の融資も取計らいたいと今年度においては考えております。併しこれは今年度は初年度でもありますし、我々のほうの方針、計画等も具体的なものを世間に発表し得る段課になつておりませんので、従つて世間で融資を希望される向きにおいても、いわば或る程度暗中模索の気分が、初年度は全部そうでありまするが、抜け切らないであろうと思いますので、たまたまさほど多くないという資金を持つてすることも、又慎重に貸付を誤まらないという意味合いにおいては即つていいのではないか知らん、かようにも考えておる次第でありますが、大体は土地面積において二十万坪程度に対しまして資金四、五億程度で貸付をし得るのではなかろうか、かような心持でおります。尤も実際上の問題となりまするというと、一々諸種の点において審議検討を要すると思うのでありまして、例えば貸付対象におきましても、法律では或る範囲の、比較的広い範囲の貸付対象をお認め下さるのでなければなかなかやれんと思うのでありまするが、それは貸付け得るという範囲を示されたものでありますので、具体的に貸付決定に至りまする場合において、必ずしもその全部を対象に貸さなければならんというわけではないかと心得ますので、事業計画の確実であるかどうか、又殊に都市計画的に見て適当な順序、位置であるかどうか、事業計画が確実に執行できるかどうか、償還が確実であるかどうか、諸種の観点から検討を加えて貸付決定をするつもりであります。
第一には地方公共団体、これは貸付対象としてなかんずく信頼すべきものであろうと思つております。並びに地方公共団体が設置をいたしました財団法人、これらも今のところ相当数に上つておりますので、これらを先ず一応の優先とも申上げられませんが、そういうような心持を以て臨みたいと考えます。
ただ先ほど来両参考人からしばしばお話の出たような郊外電車等の問題でありまするが、これも個々に検討を加えて確実な成果を挙げたいと思つておりまするが、大体においてさような事業者は当面の宅地開発事業を以て収益を挙げようという意図はないものと大体心得ていいかと思うのでありまして、将来における開発せられた後の運賃収入を目的とする、宅地開発事業そのものについては利潤を考えないといつたような性格のものが多かるべきはずでありますので、さような見地で検討を加えて、具体的の貸付を慎重にきめて参りたい。要は貸付の対象の如何ということが必要でありまするが、むしろ本当の狙いは、宅地開発事業そのものが収益事業でない、公益事業であるというようなところを見定めることが、我々に与えられた重大な責務ではないかと心得ておるような次第であります。
それにつきましても、初年度はとにかくといたしまして、かような貸付方法が法定されまして開始せられるとなりますると、世間の要望として非常な熱望が各方面に数多く出て来ることと考えておりますので、将来におきましては一般の住宅建設資金を多からしめて頂きたいということは申すに及びませんが、この宅地開発造成分譲事業に対する貸付資金の面におきましても、願わくばもつと将来においては多額の出資或いは借入ができ得るように希望して止まないような次第であります。これはこの機会においてついでに私の立場から率直な希望を申添えたわけであります。
なお皆さん方の御質問に応じてお答え申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/6
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007・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 有難うございました。お三方に対しまして御質疑のおありの方は順次御発言下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/7
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008・田中一
○田中一君 これはお三人に共通に伺うのですが、建設省から何か言われましたか、あなた方。実は委員会における反対の論拠というものはこうなんだ、こういうことになつているのだというようなことのお話がありましたか、それが一つ。
それからもう一つは、この委員会からの何と言うか、参考人に出席を求めた件は、今言う宅地造成のみに限られたというように考えておつたのですか、その二点だけ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/8
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009・鈴木敬一
○参考人(鈴木敬一君) 三人に対するお尋のようですが、代表と申してもおかしいのですが、私からお答えいたします。
大体委員会での御発言は承わらんではないという程度でございまして、よく正確には隅々まで知つておるということは申上げかねます。それから本日ここにお呼出状を持つておりますが、宅地造成事業に対する具体的の計画を聞きたい、私に対する書面はそういう御書面でありまして、一応それが主だと考えて参つたし、ほかの参考人も同様であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/9
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010・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) お答え申上げます。私のほうは離れておりまするので、委員会の経過その他については余り詳しくは存じ上げておりません。従いまして宅地開発の具体的計画というのにつきましては資料を準備したわけでありまして、高層化その他につきましては私は発言いたさなかつたのでありますが、若しそういう点もお入用なら申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/10
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011・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 只今のお話の点につきましては鈴木総裁の御発言と同様であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/11
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012・田中一
○田中一君 宅地造成というのですね、これは空間に高層化することによつても言い換えればこれは宅地造成なんですよ。ただこの法案に宅地造成ということが言われている、或いはその御通知があつたからそういうようにお考えになつているのでしようが、具体的に平面的な宅地造成を考えておると思うのですが、市街地における高層化というのは、これは宅地造成なんです。この点で私伺いたいのは、又委員会で以て皆さんの出席を要求したのも、一体平面的な新らしい宅地造成がいいのか、捨てられているところの空間における宅地造成がいいのか、その二点が大きな問題だと思うのです。先般も農地局長その他の方に来て頂いて、年々歳々日本の領土が荒廃して行く事実をよく知つているのです。又駐留軍とか保安隊とか、その他がいい土地を、領土をだんだん侵して行くというのも大きなものなんですよ。それを又年々歳々百数十万の人間が殖えるというときにおいて、なお且つ平面的な宅地造成をすれば、一体十年の後に日本はどうなるかということを考えているわけです。その点で以て私は皆さんに来て頂いてどちらがいいのかという点を伺いたかつたのです。ところがどうも吉田さんなど非常にこの法案を勉強していらつしやる。そして私鉄の五社を相手にして五万坪程度のものをやらそうというような相当突き進んだ御意見があつたので、或いは建設省のほうから何か耳打ちでもあつてそういう御答弁になつたのか、我々でもこの法案を見ると私鉄云々ということは隠れているのですよ。そこまでの考え方があり、又大阪としては私鉄にやらしたいのだからと言つて、どうしても営利法人にもやらしてくれという御希望があつてそういうことになつたのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/12
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013・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) お答え申上げます。先ほど申上げました通り区或いは市町村だけではとても全体的住宅難の解決が困難でありまするので、府の予算北も取急ぎ進めましたし、従来ともに公営住宅の建設用地の取得につきましても私鉄その他と十分関連をいたしておりますので、お尋ねの宅地開発の具体的計画ということにつきましては、取急いで各関係会社の計画、どういうふうに行けるかという点もまとめたわけでありまして、建設省のほうとは別に連絡をいたしたわけでもございませんし、何分離れておりますので、気にはなつておりましたが、内容はよく存じないわけであります。
なお先ほど申上げませんでしたが、宅地の開発計画と申しますと、田中委員仰せの通りできるだけ立体的にやろうという観念は私も十分持つておりまして、御承知の通り宅地だけではございませんので、大阪におきましては、建築基準法によりまして、駅前にはすでに十二階の高層のものもやつております。堺等におきましては金融公庫のほうから融資を受けまして、下が店舗付で四階建のものをやつております。なお又公営住宅の割当内容を御覧願いましても、大阪府といたしましては四割以上が耐火構造になつております。そういうものの土地の取得は極力旧市内或いは衛星都市におきまする駅前、その他都市計画的に見まして将来そういう高層化するにふさわしいところをとつているわけであります。併しながらでき得ますれば、理想といたしましては、横に伸びるよりは縦だけで高層化いたしましたほうが、ガスの施設或いは電燈施設、いわゆる地下埋設物の関係上有利でありますので、現在の状況におきましては戦災地といえどもなかなかこの取得造成は困難でありますので、極力一般の方々にも共同建築或いは高層による共同化ということを推進はいたしております。併しながらやはり大都市におきまする人口の転入、その他によりまする増加と併せ考えて、現実の問題といたしましては、市内の高層化と共に、或る程度の平面的な新住宅地の開発も止むを得ない。但しこの場合十分農地部或いは農地事務局等々と連絡をいたしまして、できるだけ山林その他を優先にし、止むを得ず田畑に及ぶ場合でありましても、できるだけ良田、良畑を避けてやるように、その点は公営住宅の用地の取得と同様にやつておりますので、先ほどの説明ではいささか足りなかつたかと存じますが、附加えてこの機会にお答えいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/13
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014・田中一
○田中一君 大阪は府の建築部長さんに伺つちやまずい。というのはあなたのほうは府としての行政庁として、とにかく市がまるで東京の区のような形で、大阪市を中心にぐるつとほかの市が、ほかの自治団体が囲んでいる。だからあれが一つの区になるような構成を持つているんですね、大阪府というものは。従つて大阪府だけが宅地造成というと、市街地は成るほど自治団体としての所管になりますから、だからやはり横に伸びるということ、平面的に伸びるということを考えざるを得なくなつて来るんです。今度は大阪市になりますと、今度はそういうことはありつこないんですよ。従つて宅地造成ということよりもとにかく上に伸ばさなければならんというような考え方になつて来る。これは大阪府の立場からはどこもここもみんな市なんですからそういうお考えしかないと思います。そこでその大阪府に聞くか市に聞くか、ちようと私わかりませんけれども、先だつて政府のほうから取つてある、不良住宅地区改良法に基くところの一応のその地区を、人口二十万以上の二十都市についてそれを資料を出してもらつたんです。大阪市はその地区数で三、それから面積で以て十二万二千四百坪というものを指定してあるんです。面積としましてこれは恐らく横浜も同様だろうと思うんですが、未着手なものなんですね。恐らく大阪市でも横浜でも先ず横に新らしく伸ばすよりも、非常に便利なところで、スラム街にこれは一つ金をかけてここを立体化する。十二万坪も大阪の場合には遊んでいる。横浜の場合は二万五千六百九十坪というものがこの地区に指定されて宅地が遊んでいるんですよ。これに現在地主は恐らく喜びますよ。県にしても、買つても何してもどうにもならん。地区の地主は、これは一掃されてきれいなものになれば一番いいことです。又その住民も居住権というものを認めてやれば或いは納得する形のものもあると思うのです。この問題と噛み合せればまだまだ敷地の造成なんて、横に延びて平面的に延びるというようなことは考える必要も何もないのですよ。これだけ延びただけでも恐しいものですよ。あなた幾らあると思いますか。百三十五万七千坪、二十都市の中にあるのです、改良地区が。この事実を見て、なぜその都心から離れ、職場から遠くなるような所へ電車に乗つて二十分、三十分、一時間もかかる。それから歩いて一キロ、二キロもある、そういう所に求める必要があるか。あれだけの宅地が残つているじやないか。一挙両得、二得、三得ぐらいの効果がある所が残つているじやないか。これがさつきから私が申上げているところなんですよ。
それで大阪の方に伺いますが、こういうものがある事実は否定できないと思うのです。これを国で例えば不良住宅地区改良費を出してもらつて幾分か補助してもらう。それから住宅金融公庫から足りない部分に対しては融資をしてもらう。それから防火建築帯ならば耐火建築促進法に基くところの補助をしてもらう。そしてこれを立体化するということなんです。これはあえて新らしい宅地を求めないでも済むんではなかろうかという考えを持つのですが、あなたのほうの御答弁をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/14
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015・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) お答え申上げます。
不良住宅地区が大阪市内でも十二万坪あるのは事実でございます。御承知の通り、これ以外にも地区としてまとまつたものではなくて、やはり未だ健康その他の点から見まして、十分でないような居住状況にある方々も相当あるわけでございます。要するに住宅面がそれだけ非常に深刻だということは事実であります。併しながら今仰せられました事柄も我々も考えないではないわけでありまするが、地主その他につきましては、そういうものを存続させることよりも取払つてみずからの手で利用をしたいという気持はあると思いますが、相当の低廉な価格と言いますか、採算の取れるような価格で手離すという点については現行法ではなかなか難点もあるわけであります。従いまして、又経費の点から言いましても、一挙にそれを改造いたしまするというと、その居住者を一時優先的にどこかへ収容しなければならないという問題もありまして、趣旨としては私ま非常に賛成でありまするが、現在そういう状況のものをこわして再建をするというよりも、現在府下或いは市内で困つておる点のものをどうするかという問題と両方ありますので、十二万坪を直ちに手掛けて行つてまあ千戸、千二、三百戸くらいのものができると思いますが、それだけでもとても転入の他のものは賄えない。而も大阪市内といたしましてもまだ成熟していない市街地もあります。従いましてそういうところも都市計画的な全体の将来の構想に合うように、考え方に合うように高層の建物で行けるところは高層で行き、或る程度横へ延びるのも大都市の近郊における現況としては止むを得ないのではないか、かように考えておりますので、不良住宅地区の改良につきましても関係方面とも連絡をしてやつているわけであります。
なお先ほど御発言のありました大阪市云々の問題でございますが、これはやはり大都市でもありまするし、大体大阪府の割当の三割五分から四割程度大阪のほうで、市のほうで頂いておりますが、大阪市自体もやはり大阪市の周辺においては土地の造成をやらなけければならん、かように考えておるわけでございます。要するに非常にむずかしい問題でありまするが、その点も十分府も考えておりまするが、だからと申しましてそのほうを一本槍で行くわけには参りかねる状況ではないか。その不良住宅地区の改良、高層化も平行してやり、いま暫らくは都市計画区域内における将来の各地区々々の建物の高さ、その他の密度のあり方を十分考えてやつて行くより仕方がないのじやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/15
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016・田中一
○田中一君 不良住宅地区の土地を買えというのではない。その人は恐らく終戦後八年たつてまだ困つておる。それでその今度の改正案によつて貸しておるのです。住宅金融公庫からお前さんの好きな家を金を貸すから建てなさい、その代り上だけこちらへ貸して下さい、買うのではない、その代り金は貸して上げます。五年間月賦で貸して上げる、お建てなさい、そして上の空間だけは一つ府のほうに任して下さい。アパートを建てますからね、そう言つてアパートの入居者が、上に建つ人がその地代は払う。地主が先ず自分で金を借りて建てて、そうしてその利子で以て払えるようになれば一番理想的なんですよ。住宅金融公庫の掛金も上からもらつた人ので払う、これが理想的なんです。一文も金は要らない。只で自分の家ができる。土地を買うのではない、借りるのです。でその人に建てる斡旋をしてやる。そうすると只の宅地が得られるというわけです。金を出して買わなくても宅地が得られるということです。
それからもう一つ今のお話で伺いたいのは、横に延びることは私はわかるのです。住宅金融公庫は今言う通り木造の枠が多く、耐火建築の、耐火住宅の枠が少くなるのであるから、どうしても横に延びるような貸付方法をしなければならない。従つてこの平面的な宅地の造成が必要です。……併しもう一つ伺いたいのは、一体、公営住宅三カ年計画の五万戸というものは今度は二十九年度までに予算化されないのです。併し若しこれを大阪府は、政府が国会の両院の承認を求めたものを誠実に実行して行く場合に、あなた方は土地がないからと断りますか。あなた方は公営住宅の五万戸分のものが大阪府に来た場合に、土地がないといつて断りますか。それとも割当が来れば当然建てられる土地があるとお考えになつておりますか。公営住宅の場合にどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/16
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017・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 先ほど申されました不良住宅地区の買収、或いは買収しなくても、下を建てて上を公営住宅で借りる或いは金融公庫のほうで借りるという問題でございますが、この点も一々当つた例はございます。併しながらなかなか借りる条件その他も、地主のほうの折衝も一朝一夕では行かないわけでございます。なお又現にそこにおる者などを収容するにいたしましても、耐火構造その他になりますというと家賃その他の点も相当問題が多々あるわけでございます。従いまして荏苒として放つておるわけではないのであります。できるだけ打開には民政部その他とも連絡してやつているわけでございますが、未だその機が執さないというか、そういうような状況でございますので、将来御趣旨の点は十分私も了承いたしておりますので、なお一層そういう点については努力をいたしたいと思います。
次にお尋ねの五万戸くらいの公営住宅が来た場合にやれるかというお話でありますが、やはりこういう問題は、前々からどれくらいやろう、どれくらいやれるかというように相当努力はいたしておりませんと、いきなり五万戸割当てられましてもなかなかそういう建物というのは、変な言い方ですが、土地に付いた不動産で、土地に関連しておる建物ですから、いきなり今年五万戸やれと言われましてもできません。やはり前々からどれくらい来るという予想、計画を付けて、それによつて横なり縦なり、どういう方向に伸びるかという割合、その他も検討いたして行きませんというと、いきなり五万戸を今年やれと言われてもちよつとできない次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/17
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018・田中一
○田中一君 その五万戸というのは全国で五万戸なんですよ。そのうち今までの比率で以て大阪に割当が来る。若し国会が二十九年度の予算にこの五万戸の予算を計上したならば無論受けるでしよう。そうすると五万戸というのは、平面的なものにすれば、二月について五十坪とすれば二百五十万坪、全国に平面的に見れば二百五十万坪の土地がなければならないですね。公営住宅を建てる場合に、平面的に計算すれば、立体性もあるでしようが、大体木造が多いから、その率はまあ百五十万坪くらいになるでしようけれども、二十九年度に五万戸の予算を計上すれば、全国的に敷地がなければならないのです。その敷地がなければならないのです。又必ずあなた方得られるでしよう。あなた方そうするのになぜ二十万坪ばかりの土地を造成しなければならないかということです。
それからもう一つは、これは大阪市のことになりますが、この防火建築帯で以て二十七年度中、防火建築帯の造で以て三千九百坪というものを完成しているのです。あなたま不良住宅地区にはなかなか話合いがつかんと言うけれども、このように補助を与えれば三千九百坪ちやんとできているんです。全国的に見れば大変な数ですよ。坪数にすれば約三万坪、一億八千万の予算を計上して、三万坪というものは喜んで耐火建築にしているんです。やつているんです、ちやんと三万坪というものは……。この見地から見ても、不良住宅地区の地主との折衝がなかなかできないということはありようがないですよ。ないならばあなた方の熱意がない。政府が予算の付け方をしてくれないから熱意がないはずなんです。政府が不良住宅の改良費を幾らかぽんと出せば、住宅金融公庫がさようにやつてくれるということになれば、あなた方も熱意を持つて具体的にそれならやつてみようということになるのは当り前だ。政府が熱意がないから、鈴木総裁が、幅の広い住宅問題解決に手を著けようとしても、政府というものが、勝手な自分のきめられた問題を、どうだこうだと紐を付けるものだから幅が広いものができない現状です。従つてあなたの、今吉田君が言つている問題は嘘ですよ。三万坪というものは現に耐火建築促進法に基いて完成しているのです。この事実を何と見ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/18
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019・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 今お話のありました防火建築帯の助成につきましては、法律の定めるところによりまして、府市共に残りの半々を補助いたしておりまして、仰せの通り防火帯におきましては或る程度の実績に得ておるわけでございます。併しながら不良住宅地区の山間地は防火対には現在のところ入つていないような状況でもあります。防火帯のところはまあ補助金の制度の現われもあり、又商社その他の建築も多いのでありまして、相当補助金の誘い水程度で立ち上るような態勢にあるわけでございますが、不良住宅地区のほうはやはりそういうような点がまだまだ熟していない。かように見ているわけでありまして、仰せの趣旨は十分体得いたしまして、できるだけ努力いたすように上司にも報告いたしまして、できるだけ御期待に副いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/19
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020・田中一
○田中一君 いや結構ですがね。結構ですが、私はこれは言い過ぎたかも知れない、御免なさい。技術家が研究が足りないのです。何も住宅金融公庫が高いものを作れと、東京都の住宅協会が、東京都民の家賃が三千円も四千円もするようなものを作れと言うのじやないのです。私が言つてるのは、やはりコンクリ—トの家の中へ唐紙を入れたり障子をはめたり、畳を敷いたりするようなものじやなくていいのです。やはり勤労庶民の家庭を建設的に……、容れ物でいいのです、容れ物で。そうすれば二万五千か三万でできるのです。あとはやはりたばこを、十本のたばこを五本に倹約して、そうして自分の家庭を築いて行くという意慾を持たせなければ家はできて行かないのですよ。三千円も五千円もするような家賃を払つて誰が入りますか、大衆は。だからそういう形を技術的に研究されなければならんと思うのです。これはあなた方の責任じやないのです。吉田内閣が悪いのです。この同じ吉田さんでも、あなたじやないのです。吉田内閣が悪いのです。金持以外には家を提供しないというのが間違つているのです。これは内藤君も同じことなんですけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/20
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021・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 横浜市の建築局長にもお尋ねがありましたので、私からも一つお答えしておきます。
先ほど私起ちまして、今日お招きの、お呼出しの用件が、宅地の開発の具体的な計画ということでございまして、まあそれを従来の観念の郊外の住宅地の開発と、こういうふうにまあ一応とつたわけであります。まあ広い意味ではお話のございましたように既成市街地の宅地の再開発、立体的な再開発という点もあるわけでございますが、まあそこまで十分私が至らなかつたということ自体は、今先生からお話のありました我々第一線の者も必ずしもその方面、これは非常にむずかしいからだと思いますが、そのむずかしいほうを一歩前進するという意慾或いは重点をそこへ置くという意慾が足りなかつ現われが、たまたま今日重点を郊外地の開発ということに置いたその結果ではないかと思うわけであります。そういう点で只今既成市街地の宅地造成について縷々お話がございました。これにつきましては先ほどもちよつと私も触れましたが非常にこれは重大なことでありまして、只今横浜市の不良住宅地区が二万何千坪あると、その開発をどう考えるかというようなお尋ねでありましたが、別の見方からいたしましたなれば、日本の大都市の既成市街地は全部が不良地区、都市計画的にいつて不良地区である。とまで私は考えているわけでありまして、まあ私はまだ外国の都市も知りませんが、いろいろな写真その他で見ましても全部が不良地区、ただ居住条件、居住者の生活は別といたしまして、とにかくこの中心部が木造で埋められて低層の家屋が密集しているということは、都市計画的にいえばこれは全部が不良地区だと思います。これもそういう点から見ましたなれば、横浜は決して二万何千坪ばかりの有閑地があるわけではないのでありまして、何十万坪の或いは何百万坪の今後再開発しなければならない地区があると、私は見ているわけであります。
その意味で、今度の公庫法の一部改正が一歩その方面へ手を差し伸べて頂いているということにつきましては、今まで何とかこれをやつて行きたいという意慾にも、まあ田中先生の言う意慾の半分ぐらいしがなかつたかも知れませんが、とにかくそういう意慾に燃えている一人であります。その点今度の改正は、私は今日お呼び出しを頂く前、もうこの政府の原案ができました際に、ここにおいでの鈴木さんとか、公庫の幹部の方々に、これはもう画期的な改正で、既成市街地の耐火建築促進法もその一つであります。併しこれは限られた防火帯だけでありますが、そういう点でこれを単なる防火帯のみならず、一般に推し進めて行こうという考え方は、一つの画期的な改正として……、勿論これで私は十分だとは思つておりません。思つてはおりませんが、とにかく我々がそこへ努力を向けて頂く途をつけて行くことに、この法律が施行されましたならば行くわけでありますから、その点で私は非常に今後仕事のやり甲斐があると思つている一人なのです。併しながらそれと、将来は別といたしまして、現状においては同時に郊外地が現実に蝕まれ……、将来も煩顔な問題となるような蝕まれ方をして来ると思うのであります。開発の仕方が、個人が勝手に、勝手にというと語弊がありますが、苦しまぎれに郊外地の適当な所に知人、縁故を頼つて五百坪、百坪と、だんだんと蝕まれつつあるわけであります。それを如何にも放つておくわけには行かない。こういう点は併せて考えなければならん。又事実横浜市会におきましても社会党右派の議員さんを中心といたしまして、公庫で宅地開発をやれ、そうして困つているじやないかというような御意見もあつたわけでありまして、そういう要望も一面にはある。これは現実にございますし、日本の国土の開発全体から見れば必ずしもいいことではないかも知れません。遠き将来から見ればいいことではないかも知れませんが、現実に悪く蝕まれつつある。これを如何に規制して行くか。少くとも開発するなればいい開発の仕方をして行きたい。こういう面も現状においてはこれはやはり必要なことだと思います。従つてこの面が取上げられてあるということは、私自身も実際住宅なり建築行政をやつて行きます場合に、一つの非常に有難い改正であるというふうに思つております。ただ現在仮に既成市街地の開発を五〇%、フイフテイ・フイフテイ、郊外地と両方を半々に仮にいたしましても、将来は何とか努力いたしましてこの既成市街地の立体化のほうに向けて行かなければならんということはわかつております。我々も十分存じているわけであります。併しこれは非常にむずかしいのであります。併し我々は別にやすきにつくつもりはないわけでありますが、得てしてむずかしいことはどうしてもないがしろにしがちであるという欠点があるということも私は認める一人でありますが、これを更に進めて行くためには、これを法制化するかどうか。例えば都市計画法によつて土地区画整理をやつております。この立体的な区画整理地区に指定いたしまして、単なる金融公庫の融資ばかりではなくて、政府から補助を、土地区画整理に補助をする、三分の一の補助をするというようなやり方でやつて行く、まあいろいろ今後進むべき途はあると思いますが、とにかくこれを一歩今回の改正によつて糸口が付くということについて私は非常に感謝しているのであります。
一例を申上げますと、横浜でも電車が通つておりまして、幅員は二十メートル以上の道路がある。まあ十分じやありませんが、鋪装されておる。ガス水道、下水が完備されておる。そういうところを自分で通つてみまして、まだ一部に平家建とか二階建とか、そういうところで非常に復興が遅れまして、そういう場所もあるわけであります。そういう場所を見まして、我々も誠にやはり非常に我々の力が足りないことを日夜痛感しておるわけであります。何とかこういうところにせめて四階建の建物を建てたいという気持があるわけであります。現在だんだん終戦後できました平家建のバラツク、二階建のバラツクをだんだん二階に一部ぼつぼつ改築して行きたいと思います。丁度絶好のチヤンスである。今ここで十人なら十人、全部二階建なら二階建に建てたいという資力のあります方がありましたならば、その上に二階、三階或いは四階に住宅を建てて行く一つの絶好なチヤンスであります。何とかこのチヤンスをつかみたい。ここへこの際にこういう多層家屋についての公庫の融資があるということは、まあ大きな言い方、大袈裟に言えば旱天に慈雨だと私は思つておるわけであります。私自身は力は足りませんけれども、熱意は持つておるわけであります。併しこれはなかなか容易なことでない。
今不良住宅の、それは無理があるかも知れないが、なぜ開発せんかというお言葉がありましたね。それは大分やつたのでありますが、不良住宅の改築はただ建物だけの問題ではございません。御承知になつておると思いますが、現在の不良住宅をどうするか。そこの不良住宅に住んでおる人の上に一般公営住宅を建てて、果して入居者の希望があるかどうか。いろいろな問題があるわけでありますから、だからいろいろ御要を承わりまして義々も今後そういう面はそれはできるだけ力を尽して行きたい。又既成市街地においては開拓すべき分野が山ほどあるということを私も山ほど思つております。併し公庫法の改正というような、今日においては非常に有難い改正だと思つておりますが、決してこれで十分だとは思つておりません。今後ますますその開発に全力を注がなければならない。だからど言つて郊外地の開発を無計画にして、このまま放つておいてもいいということは言えないのでありまして、当分はやはりやるべきであつても、今後はだんだんお説のような既成市街地の開拓に力を向けて行かなきやならない、こういうふうに我々も思つておるわけでありますから、その点だけ一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/21
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022・田中一
○田中一君 内藤君、これは結局政府から住宅金融公庫の或る地区に対する融資というものが一切木造は許さないというきめ方をするならば、あなた方は一生懸命にやるべきです。大体今度の貸付方針だつて木造のほうが多いでしよう。三割五分か、不燃建築は四割だうたか、とにかく木造のほうが多いでしよう。木造を重点にやるから平面的に拡張しなきやならんということになるのですよ。これはあなた方の罪じやないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/22
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023・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 今公庫がやるという方針をとるがというようなお話がありましたけれども、これは私ども逆に考えておりまして、我々地方の受入態勢ができていない。つまり逆に言えば我々の勉強が足りない。もう少しそういうことの見本を作りまして、こういういいものができる。幾らでも横浜でこなしますから、どうか建築のほうで融資頂きたいという準備も整えたい。まあ鶏が先か卵が先かという問題になるわけでありますが、これはもう皆様方の国会で、いろいろ建設委員会あたりで御激励、御指導を受けまして、政府も公庫も、地方の我々も、又国民一般大衆もだんだんそういうほうへ相協力して向つて行かなければならない。向つて行く方向はやはりそのほうがいいと思います。併し現在の段階においては残念ながら一躍、飛躍することは少し言い過ぎじやないか、こういうふうに思つておるわけであります。別にそういう公庫の割当方針に我我は甘んじてやつておるわけじやないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/23
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024・田中一
○田中一君 もう一遍両方に伺いますがね。政府ではこの宅地造成に一坪四千四百四十四円で一切ができ上るという計算で出ているのです。すつかりやつてですよ。宅地としてやつてね。これを結ぶ道路や何かはこれは別でしようが、こういう四千四百四十四円という計算を出しているのですが、これで大阪では十分ですか。
ちよつともう少し詳しく説明しないとわからないことになるかも知れないけれども、取得価額は二千五百円、道路敷地の負担額が五百円。給水が三百九十円、排水が二百五十円、電気が百三十円、ガスが二百五十円、宅地道路の構成が百円、切盛ですね、擁壁が三百八十円、計千五百円。従つて譲渡価額が四千五百円で売れる、こういう計算なんです。そこで四万坪、これにするのでありますが、そのほかに千五百円の取得価額のものもあります。それから七百五十円というのもあります。四千五百円、三千三百円、二千四百円程度で以て一坪売れるという計画の基準になつているのですがね。これで大阪府或いは大阪市、或いは営利会社ですね、電鉄なんかでやつてできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/24
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025・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 御質問でありましたが、いいところをとれば、これはなかなか困難かと思いまするし、余り又辺鄙なところで売りますというと、安い土地もないことはございませんが、やはり一定の目途でやりませんというと、言い方を換えればこれは多多益々弁ずというので、造成分譲する側から言えば買値は高いほうがいいとは思いますが、買主のほうから言えば安いほうがいいわけであります。今お示しの四千五百円なら十分やれると思つております。と申しまするのは、私のほうで今考えておりまするのを具体的に一部の例を申上げますと、大体取得する平均の価額がまあ二千円ぐらいと考えております。それに盛土その他切取り、いろいろの造成計画その他をやりますので、これに先ず千円ぐらいかかるだろう、合計取得価額が三千円、道路によるつぶれ地が二〇%、ガス、水道その他の地区外の工事も多少ありますが、三千五、六百円ぐらいで行けるのじやないか、かように考えております。現に公営住宅でやつておりまするのは、これよりも低廉な価額で開発をいたしておる実績があるわけでございます。従いまして端的に申しまして、只今お示しのような四千五百円の価額ではやや高いのではないいか。我々としては三千円そこそこの価額で、まあ三千円から三千五、六百円程度以下で譲渡できるようにいたしたい、かように考えておりまして、十万坪につきましては大体平均いたしましては三千円ぐらいで譲渡できる計画の下に進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/25
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026・田中一
○田中一君 これは電鉄会社にやらす場合、電鉄会社はその土地なんというものは恐らく寄付してくれますよ。小田急が慶応大学に日吉台の何十万坪か寄付したでしよう。寄付してくれますよ、電鉄会社はね。その代りその電鉄会社はその隣接する土地で以てしこたま儲けた。そんなことは常識ですよ。これは大阪の吉田さんのほうが詳しいと思いますが、一体どうです。各電鉄会社ですね、例えで阪神の電鉄が阪神間にああいう住宅街を作つた。あの場合に土地を幾らで買つて時価がどのくらいであるか、どのくらい電鉄会社が利潤を挙げているかということは、これはもう損をしていないことは間違いないのです。厖大な利益を得ていることも間違いないのです。
そこでそういうような形のものを私鉄に許して、そうして大部分を保守党の職員が顧問とか何とかいろいろしているのですよ。はつきりした例は箱根電鉄は堤康次郎さんが、衆議院議長が社長をしておりますね。たくさんあるのですよ。こんなのはね。例えば香川の何か善通寺に行く電車は大西某君という自由党の人がやつているし、長岡の長岡電気鉄道は自由党の田中角榮君が社長をしている。その他たくさんあるのですよ。この私鉄の定款にはちやんと宅地造成とか土地の売買ができるようになつております。そういうのによつて、まさか吉田さんがリベートをもらうわけではないでしようけれども、併し実際そういう疑ぐられるような形をしないで、大阪府なら府、市なら市がやられるということにしたほうが私はいいと思うのです。私は言いますよ。あれはどうもおかしいぞ、あれは阪神、阪急にばかり保守党は国家資金を流しているけれども……いや、流すのじやない、推薦しているけれども、どうもおかしいぞ。何でもないのですよ。仮に一万坪の市街地造成をやつてあなたのところに千坪上げますよと言いますよ。これは何でもないのですよね。隣接の大阪府が道路を作つてくれれば、その沿道はちやんちやんと値上りする。今あなたが説明した二千五百円か三千円か、四千五百円は高いという考え方はそこなんですよ。これはまあさつき横浜ですか、駅から一キロ範囲を探しているということを言つたのは。そうすると一キロ範囲以内の人は直ちに地価が値上るのです。住宅金融公庫が金を貸して宅地造成をしたために、善良なる市民は、克己心の強くて倹約心の強いいわゆる小市民は直ちに値上りを受けるのです。周辺の土地の値上りを来たすのです。住宅金融公庫が、国が国家資金を使つて宅地造成をしたお蔭で以てその周辺は直ちに値上りを来たすのですね。これは当然ですよ。これは私が言うのはおかしいぐらいで、あなた方は詳しいと思います。そこに水道管が来た、いや道路が敷けた、下水ができたならば必ず値上りします。吉田さん考えているのはずつと身延線とか大軌電鉄の山のほうを考えてみているのでしようが、そこに若し国家資金で造成されれば、その周辺が直ちに値上りするということは間違いないのです。これで一つ僕はあなたに実例を伺いたいと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/26
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027・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) お答えいたします。
現在のような情勢では、府或いは市が公営住宅の用地は造成いたしまするが、一般の住宅用地について、いわゆる低廉な価格と言いますか、適正価格で譲渡するような方法がないわけでありまするから、従つて公営住宅を建設された附近地というものは値上りを来たしておると思います。併しながら地価の問題は、市街地の近くは非常にデリケートな問題でありまするが、私をして端的に言わして頂くなれば、或る程度の需要に見合うような土地が公共団体或いはその他によつて適正な価格で、いわゆる貸付金の内容その他によつて抑えられるわけでありましようが、必ず年間どれくらいの土地が大阪府下なら府下で適当な価格で取得ができるという途を講じてやれば、そういう市民の住宅取得については何も好んでそういう高いところを買うわけではありませんから、却つてこういうところが浸潤して行つて、適正な価格でどれくらいの住宅用地が造成できるということがはつきりすれば、地価の値上りも或る程度抑制できるのじやないか、こういう見方も成り立つのじやないかと存じておりますので、要は府下全体において住宅金融公庫の土地、主としてこの法案によつて供給するわけでありますが、それ以外の土地もできるだけ適正な価格でどれだけの量が供給されるかというその見込によつて違う。現在の情勢では殆んど五十坪、百坪の土地を入手しようとしますとなかなかございません。従つて現在のような府或いは公共団体がやるのは公営住宅の用地をやつて、それで附近が相当値上りをする。我々のほうでは公営住宅と絡み合つて土地の取得をしよう、そうして公営住宅も建てて、その奥を分譲をやろう。而も分譲をやるについては、いわゆる公庫の総裁から言われました、金融公庫の金を借りる。分譲住宅もやつて徐々に堅実にやつて行きたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/27
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028・田中一
○田中一君 大阪市は未利用の公有地を百八十五万坪持つているのです。私は資料としてもらうと言いましたが、これは未利用……、ちよつと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/28
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029・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/29
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030・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/30
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031・田中一
○田中一君 まだ大阪市でも横浜市でも恐らく未利用の公有地があると思います。この調査の資料を出してくれと言つてもまだ出してくれないのですがね。それから国が国有の未利用の土地をたくさん持つているのですよ、それもまだ資料が出ていないのです。
これともう一つ、住宅公庫は一体本年度の乏しい予算の中から四億という金を宅地造成に注ぎ込むわけですが、一体何年計画で何千万の宅地造成をやるつもりなのか、もう内閣の命脈も蝋燭の火は消えそうになつておりますから、恐らく私は宅地造成なんというものが平面的に伸びるなどというのは、国土計画の上から見ると愚の愚です。これが恐らく僕は二十万坪の手を着けたぐらいでおしまいになるかと見ていたのです。こういうことは……。あなたは実際政府が何カ年計画で何百万坪の造成をするのだというふうにお聞きになつて、耳に入つておつて平面的な宅地造成というものを考えられておるのか、その点一つ聞かして頂きたいのであります。一体、じや若し強いて言えば、大阪府は十万坪と言つておりますね。本年度は希望が……、十万坪で何年計画で幾ら宅地造成するつもりでおりますか、大阪府においては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/31
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032・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 十万坪というのは二十九年度に府がやろうと考えている計画であります。或いは来年度に一部延びるかと思いますが、一応一カ年間だけの計画で、なお将来の計画につきましては、年間全部で十五万坪くらいと申しておりますが、私鉄その他にそういうものによるほうがふくらんで来ればそのほうはへこんで行つてもいいじやないか。そういう考えでやつて行きたいと考えております。詳細な年度計画というのはまだ立ててございませんが、過去の実績から見まして、十五万坪くらいは優に消化ができるというのでやつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/32
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033・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) ちよつとお諮り申上げます。未だ質疑のおありの方もあるようでございまするので、一応これで休憩にいたし、中食の後、午後一時半から再開いたしたいと存じますが、如何でございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/33
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034・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) それでは一応休憩にいたします。
午後零時四十三分休憩
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午後二時七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/34
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035・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) では只今より建設委員会を再会いたします。
御質疑を御継続下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/35
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036・石井桂
○石井桂君 今度の法律の改正案の中に一般法人も土地の造成ができることになつておりまして、この点については委員の一部の方も一般の法人に任せることは非常に心配があるという御意見を開陳しておられますが、この点について参考人の方々からどういうふうに考えるか。実際に一般法人は削除したほうがいいのか或いは原案がいいのかの御意見を承りたいと思います。吉田さん、内藤さんから一つ御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/36
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037・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 先ほど田中委員の御質問並びに冒頭に私の意見を申述べました際にすでに結論的に申上げたのでありますが、私の考えはできるだけそういうような公共団体以外の公益法人或いはそれ以外のものでありましてもやれるような途を開いて頂いたほうがいいのじやないかと考えております。勿論これに関連いたしました例としては、現在の住宅金融公庫法におきましても鉄筋アパートの共同建築、或いは鉄筋アパートを公益法人その他でやれるような途がすでにこの法律でも開かれておるわけでありまするが、勿論そういう場合の資金の貸付条件とせられましては、究極はその場合には家賃に関連するわけでありますが、家賃が三百十円以下であるとかいろいろな制約劣りますが、要するにアパートの例で申しますれば、公庫から借入金以外の、借入程度以上の、いわゆる借入は八割、その他の制約がありますが、残りの金を三十何年間無利子で出すような途を講じないというと業務書その他の規定でお縛りになつておる条件に合わないのであります。併しながらそういうような条件の下でやろうという場合には、営利法人であれ或いは会社であれ、組合であれやらして頂くほうがいいんじやないか。その理由は、現在の住宅難の解決にはやはり民間の資金の導入を考えなくちやできない。現に金融公庫法の改正も結構でありますが、公営住宅を見ましても五万余りしかできない。従つて公営住宅は全体の、大阪なら大阪における例を申上げましても建設戸数の二割には及ばない。そういうような状況にありますから、今例に申しました公庫のアパーにしてもできるだけ公共性といいますか、利益を度外視してやれるようなものがあればそういうものにも融資をする途を考えたほうが円滑に住宅建設は行くのではないか。それと同じような観点に立ちまして、土地の取得造成に関係いたしましても、とても公共団体だけでは金融公庫法による貸付を受ける方法の土地造成も全部は賄い切れない。府としても一応十万坪を考えておりますが、これでも千戸内外しかできないわけです。従つて住宅の需要というものは公庫の対象にして相当あるわけでありますから、これを全然制約を加えずして、そういうものを利用することに図らずして、一般の土地会社その他の営利企業のなすがままに任しておけば、やはりそういう土地を金融公庫の建物を建てる方がそれを目当に借りなくちやならない。で、公共団体のほうは或る程度の限度がある。そうすればこういう者にも貸せるような途を開いたほうが私は望ましいと思うわけであります。勿論貸される場合にはその会社の営業内容なり過去の経験なり、或いは又都市計画的な見地に立つて、その開発地区が妥当かどうか、或いは中の道路その他の設備がいいかどうか、或いは取得価額が適正であるかどうか、造成にかけた経費も適正であるかどうか、売出価額も妥当かどうか、そういう点を十分検討されて、妥当なものには貸すというようにして頂いたほうがいいので、先ほど田中委員からも言われましたように、いろいろものを行いまするに或る程度いろいろやり方によつては悪い点も付随しておるかも知れません。そういう点は貸付けされるほうで十分貸付条件で縛つて頂く。及ばずながらそういうほうの側面的な協力もして行つて十全の効果を挙げたほうがいいんじやないか、かように考えておるわけであります。窮極はやはりそういう途は開いておいて頂いて、すぐに貸す貸さんはその計画内容にもよるわけでありますし、現に現在の地方公共団体のやつておる計画内容だけでも今年度の貸付金の枠では賄えないというような御発言も聞いておるわけであります。やはり法としてはそういう途をこの際開いておいて頂いたほうがいいんじやないか。住宅問題、建設、土地の造成、共に公共団体だけではとても賄い切れないような状況でありますので、そういうような条件の下に運営して頂くほうがいいんじやないか、かように私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/37
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038・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 土地開発の融資の対象に会社も入れたほうがいいか、入れないほうがいいかというお尋ねでございますが、先ほどもちよつと午前中起ちまして申上げたんでありますが、成るべく住宅難緩和に協力してくれる人が多いほうが原則的にはいいということも言えるわけであります。仮に私鉄なんかを融資の対象にしないような場合を考えますと、地方公共団体或いは地方公共団体が出資いたしまして設立された公社、団体でありますが、それらだけにいたしますと、得てして独占的になり、工夫、努力が足りなくなるという心配がないでもないんであります。従つて先ほども申上げましたように、いい計画であれば又全体の都市計画的な見地から見て妥当だというような場合、特に地方公共団体と相協力してタイ・アツプしてやつて行くというような場合を予想いたしますと、そういう会社にも融資し得るようになつておつたほうがいいのじやないかと思うのであります。ただ私鉄や何かが開発いたします場合に注意しなければならん点もあるように私自身思うわけであります。それに現在も横浜市内でもいろいろ東京急行その他私鉄が分譲いたしておりますが、大体適当な価額でやつておりますが、私のほうの調査のまだ不十分な点もございますが、分譲後の土地がどうなつているかということを詳しく私はまだ調べておりませんから責任あることはここに申上げませんが、これが住宅金融公庫へ申込むために土地がない、本当に困つている人の手にその土地が渡つていればいいわけでありますが、どうかするとその土地が有価証券なんかに投資するつもりで土地の将来の値上りを待つというような投機の対象となる心配がありはしないか。この問題は地方公共団体がやります場合でもうつかりいたしますとそういうようなこともなきにしもあらずでありますが、私鉄なんかがやりました場合はそういうようなことがこれは大した心配でないかも知れませんが、そういう点が多少予想されますので、公庫が融資されますような場合には、はつきりと住宅金融公庫へ申込む、殆どまあ初めは例えば仮契約なんかしておつて申込んで、いよいよ抽せんその他によつて融資するときまつたときに本契約するというような、必ず直ぐそれが利用されるといつたようなことも併せて融資の基準にしなければならんと思うわけであります。
又いま一つの私鉄がやりました場合の心配は、土地を買上げます場合に、何分にも相当の資本の会社でありますから、そこでも金融公庫から融資がありますと、資本に物を言わせまして土地の価額を吊り上げはしないか、そういう心配がないでもないのであります。まあこれらの点も融資されます場合には実際の取得価額を不当に……まあ大体一定の土地にはほぼ妥当な価額があるわけであります。一例を申上げますると、横浜でそういう土地を、これはもう住宅用地ばかりではありません、学校その他用地の買収をいたします場合に、市に不動産評価委員会がございまして、勧銀その他法務局などの専門家の意見を十分聞いて、妥当な価額の範囲内において買収しているわけでありますが、これらの点もよく公庫のほうで考えられまして、大体その附近の妥当な地価というのがあるわけでありますが、それを逸脱しない範囲で私鉄が買収し、そうして妥当な価額で分譲する。而も分譲の対象者は本当に一日も早く住宅を建てたい、公庫から融資が下りるときまれば直ぐ建てるという人に融資するというようなことに御注意頂きましたなれば、以上私が申上げました二三の心配はなくなるわけでありますから、結論的には地方公共団体も或いは営利法人もいい計画であれば対象にしていいのじやないか。つまり融資の際に十分玉石混淆しないで、本当にいい計画だけをお取上げ項きましたならば、原案のほうがいいのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/38
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039・石井桂
○石井桂君 只今の内藤さんの御意見の心配は、適当の方法によつて補うことができるというそういう方法があればいいだろうということですが、それに関連して一つ政府当局のほうで、そういう方法、実際効力があるようにできる確信があるかどうかを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/39
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040・石破二朗
○政府委員(石破二朗君) その点が実は心配ないこともないわけでございますが、先ず価額につきましてはすでにかねてから御説明いたしております通り、譲渡価額は公庫のほうで一部監督いたします。それから又個々の誰にこれを分譲するかということにつきましても、この改正案の三十五条の二によりまして、ここに書いてありますのを念のために読んでみます。「貸付を受けた者で第十七条第一項第四号の規定に該当するものは、貸付金に係る住宅、土地又は借地権を自ら居住するため住宅を必要とする者に対し、同条第四項の規定による貸付を受けた者は、貸付金に係る土地を住宅又は住宅の建設に伴い必要とされる施設の建設のため土地を必要とする者に対し、譲受人の資格、譲受人の選定方法その他譲渡の条件に関し主務省令で定める基準に従い、譲渡しなければならない。」、こういうような規定も設けるつもりにいたしておるのでありますが、先日の当委員会におきましても御疑問がありました通り、規則はどうであろうとも、罰金覚悟の上で悪いことをやるというようなものは、実はこれはそういうことがないように十分監督しなければならんわけでございまして、私のほうといたしましては、やはり民間の土地造成事業をやる者につきましては、特に慎重に考慮いたしまして、やはり世間に名の通つた会社で、従来多年のその会社ののれんというものを尊重するような、罰金覚悟で悪いことをするなんていうことを考えられないような立派な民間会社を選んで貸すという、やはり人を信用して、信用できるのをやつて行くという以外にはなかろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/40
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041・石井桂
○石井桂君 その点は私もかねて考えておる考えと同じでありますから、この点につきましては質問をいたしませんで、更に別のことについて御意見を承りたいと思いますが、この改正案によりますれば、中心地は多層の建築物を建てるような途も開かれておりますし、併せて郊外の宅地造成に対しての仕事もできるというようになつております。そこで中心地には多層建築物を、郊外地には新しい宅地の開発をという両建で、二本建で住宅難を解決する意図のように見えるわけでありますが、先ほどから田中委員からは非常に極端なまでの多層建築物を中心地に成るべく建てるようにして、土地がだんだん少なくなつて行くから、この窮乏を救つたほうがいいじやないかという御意見があつて、誠に御尤もな御意見だと存じます。併し参考人の方々の御意見は、私は両立させたほうがいいというふうに拝聴したわけですが、その場合の主なる理由はどういう理由でありますか、お聞かせ下されば幸いだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/41
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042・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 両立させる主な理由は、新都市の開発或いは現在の住宅難が相当度緩和された暁におきましては、いわゆる都市の改造と申しますか、不良住宅の改良と申しますかそういう点にまでやつて行くのがよいと思いますが、現在の情勢では市内における空地だけが一応の狙いでありまして、現に低層建築で一応バラツクとは申せ立ち並んでおりますものを、改造或いは高属化して行くというには、現在の諸種の情勢から見て、今直ちにそれに主目的を置いて横の拡がりを全然抑えるということでは住宅建設というものはいろいろな暗礁に乗上げて遅れる、かように考えておるわけであります。
先ほど田中委員の御意見もありました通り、高層化すれば一応賛成するというお話もありましたが、てき上つた暁のみを考えますれば仰せの通りと私は存ずるのでありますが、現在そういう形に持つて行く過程を考えますと、先ほども少し申上げた通り、不良住宅地区を改良することにいたしましても、或いは一階、二階建ですでにでき上つている建物を改造いたしますにつきましても、一時そういう者を収容する施設も要ります。そうすれば職場の関係上なかなか遠隔の地に建設工事中といえども移転することの困難な場合も予想されます。いろいろ所有権その他の関係からなかなか今すぐに理想通りな計画を遂行するということも困難である。どうしても勿論都市計画の区、域もあり、いろいろ地域、地区もあり、いろいろな計画があるわけでありますから、或る程度の範囲内でそういう横の発展を考えるということも将来の都市的な利用方法からいつても止むを得ないのではないか、かように考えておりまして、窮極は二つの理由か平行して行くのが最も現在の要請に適合した妥当な穏健な行き方ではないか、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/42
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043・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 午前中もちよつと申上げましたが、両立、同時平行して既成市街地の立体化或いは高度の利用、同時に又郊外の住宅地の新らしい開発、これは同時に平行ということを申上げましたが、その理由でございますが、先ほどもちよつと申上げましたように、現実に現在郊外地の発展の状況を見ておりますと、将来又区画整理だとか又改造しなければならないといつたような誠に嘆わしいような発展の状況をしているところもあるわけでありますが、これらを正しい郊外地の発展の行き方に遵くというと非常に大袈裟でございますが、方向ずけて行くということも現在の段階においては必要だ。併し私自身は現在はともかくとして、将来はもつとく既成市街地の改造というか立体化に主たる勢力を注がなければならない。これは非常にむずかしい問題でありまして、なかなか簡単にできるかどうか危惧の念を持つておりますが、そうかと言つてこれはむずかしいから放つておくというのではなくて、どうしても立法的な措置を必要とするならば立法的な措置を考え、いろいろな面から当然進めて行つて、数年先或いはもつと将来になりますか、いずれにしても近き将来においてはどうしても重点は日本の都市の現状から見ますと、既成市街地の改造という方面へ目標を向けて行かなければならないというふうに思つております。そのためには午前中もちよつと申上げましたが、公営住宅法の三カ年計画そのものも、現在はまあ建築の様式だとか戸数だけの三カ年計画でありますが、各地方公共団体が住宅の敷地に対して、或いは郊外地に建てるか或いは既成市街地に建てるか、もつと具体的に言えば既成市街地のどこに建てるんだ、郊外のどこを開発して建てるんだというような敷地についての確固とした三カ年計画を持つまでに至りませんといけない、むずかしいことでありますが、建設省の住宅局なんかもそういう点に十分御指導を頂きまして、そこまで持つて行くようにしないと本当の住宅建設計画じやない、こういうようにまで思つておるわけであります。
繰返しますと、主目標は既成古街地に置くべきでありますが、併し現実に郊外が現在蝕ばれた発展の状況をしておりますので、これらの対策として、又一方個人の住宅を建てます場合の敷地の獲得の困難なんかを考えましたり、或いは又一般市民の要望なんかを考えますと、現在の段階ではやはり郊外地の住宅開発も一つの焦眉の急の問題であることは事実でありまして、その点でこの改正の原案に誠に妥当なものだと思つております。てる方法と、交外で宅地を造成する方法を両立せざるを得ないという理由だと解してよろしうございますか。……私は第二の質問についてはそのくらいにしまして、第三番目に、やはり午前中に問題になつた問題でありますが、不良地区の改良について更に御意見を承わりたいと存じます。先ほどやはり例として、大阪に不良地区が地積として十二万二千四百坪あるようになつておりまして、その中に世帯数として不発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/43
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044・石井桂
○石井桂君 そういたしますと、当面の只今直面しておるところの住宅難を解決するために、都心に多層建築を建てる方法と、郊外で宅地を造成する方法を両立せざるを得ないという理由だと解してよろしうございますか。……私は第二の質問についてはそのくらいにしまして、第三番目に、やはりご前中に問題になつた問題でありますが、不良地区の改良について更に御意見を承わりたいと存じます。先ほどやはり例として、大坂に不良地区が地積として十二万二千四百坪あるようになつておりまして、その中に世帯数として不良住宅の世帯が二千五百十六世帯あるようになつております。この不良住宅地区の改良という事業は、私も昔やつたことがありますが、大概不良住宅地区というのは密集地でありまして、小さな家が狭い所に一ぱいあるというのが状況であります。これらは主として木造でできておりまして、改良をいたしますについては三階とか四階とか五階の不燃住宅を代りに建てて供給するという方法になろうかと思います。で、この場合に日照等や何かを考えますと、従来あつた戸数を元の面積に収容し切れなくなるのが従来の私は経験した例であつたのです。尤も建てた不燃建築物の採光とか通風とかを考えませんでびつしりお建てになれば収容ができるのでありますが、衛生を考えて再び不良住宅を出現しないように配置するなれば、従来あつた不良住宅の戸数だけを新しい建物の中へ収容することは、従来の経験から甚だ至難の例が多いのでありまして、この点大阪或いは横浜、その他お引きになりました例で、うまく世帯の数が収まつたという例がありますかどうですか。又私が申上げました意見と違つた御意見であるかどうか、ありますれば参考人の方々に一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/44
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045・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 先ほど申されました大阪の三団地につきましては、私詳細な資料を持つておりませんので具体的に数字を挙げて説明することは、今日としては困難でありまするが、私もいささかそういうことにも関係を従来いたしたことがありまするが、お説のように不良住宅は土地も湿潤であり、道路も狭小であり、建築の建坪率或いは容積、その他万般の点で劣つておりまするので、これを現在公営住宅或いは金融公庫の貸付の規定の内容その他の程度に合せてやりますれば、恐らくそこに居住いたしておりまする全戸数を収容するのはなかなか相当の工夫をせないとできないのじやないかと私も考えております。更に又こういう問題は、そういう居住状況を変えただけで行けるかどうか。職業、その他の建築以外の面も附随いたしておりますので、そういう点は相当いろいろなトラブルがあると思います。要するに石井委員の言われましたように、不良住宅地区と銘を打たれるほどの地区については相当高層化はできるが、収容能力はそう殖えない。勿論逆に面積を、一戸当りの居住その他の縮小すれば別ではありますが、家族構成その他から、一応現在の標準のようなものを基礎にしてやれば困難だと言われました御意見には、私も全く同感であります。
戦後におきましてそういうことをやりました事例は、寡聞にして大阪府下でも現在まで聞いておりませんので、ちよつと第二の御質問についてはお答えいたしかねますが、戦前にありました例につきましては、石井委員の御意見のような結果になつた所があるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/45
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046・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 不良住宅地区も、極端なものからそれほどでもないもの、びんからきりまであるわけでありますが、一部甚だしい不良住宅地区におきましては、只今おつしやいましたようなふうに、既存の不良住宅の戸数を新らしい改良住宅に全世帯収容できないという場合もあるかと思います。午前中に田中委員からお話がありましたように、いずれにいたしましても既存の不良住宅地区内の世帯を収容し、なお且つその上階に公営住宅なり公庫融資の住宅を建てまして、第三者を別に収容するんだといつたような余裕のあることは困難だと思つております。仮にできましても、午前中に申上げましたように、不良住宅地区の改良にはいろいろなまだほかの面で難点もあるのでありますから、決してこれも等閑には付しがたい問題ではありますが、非常に簡単にできる問題だとも思つて居りません。申添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/46
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047・石井桂
○石井桂君 それでは御質問の方向を違えまして、今仮に多層建築を建てる敷地が中心地にあるといたしまして、そうしてその家が十分に来光や通風、その他衛生条件が得られるようなことにするためには、建設敷地が建物の面積に比較して十分なければならないのじやないかと思います。建築基準法に合格するだけのものならばこれは得られると思います。併し多層建築を住宅に使いまする場合には建築基準法だけの条件に合つただけでは住宅に適当かどうかは甚だ疑問でありまして、例えば多層建築は大概鉄筋コンクリートや何かでありますから、冬などは陽当りが悪ければそこはなかなか住居には適しない。適当な暖房施設がなければならんというようなことで、現にそういう施設が設けられないのが、普通の生活の標準からいつて当り前だと思うのです。で、従いまして私は都内にずらりと多層建築が並びます場合には、やはり日照の不足を補うべき暖房施設とかその他の衛生施設がないことには、結局はスラム化されてしまう虞れが多分にあると思うのです。そこで公営庄宅の建物が、高さの十七割離さなきやいかんとか、広い敷地を必要とするゆえんだと思います。月並な通りに軒を接して建てるビルが果して住宅に適するかという点について、若しそういう形ができた場合適するかどうかということについて参考人の御意見を承われれば幸いだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/47
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048・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 都市の高層建築をやつた場合に日照その他の点を考え、建築基準法程度以上のことを考えれば、御説の通り余り高層家屋の連檐している所では、或る程度の救済策はできますが、土地面積に対する家族数その他の点については余り多くは期待できないかとも思います。併しながら日照ばかりが生活の環境整備の問題だけでもございませんし、やはり或る程度、全然日照がないということでは、これは基準法にも触れましようし困りましようが、都心地の中でも上層部はやはり住宅にしてもよいのじやないか。勿論北面ばかりで全然日照のないようなところは困るわけでありますから、商社或いは事務所その他とコンバインいたしまして、耐え得られる程度の日照があれば、まあ大阪等におきましては西日の辛さもありましようが、或る程度のことは考えまして、都市形態、将来から考えて、現在やつておられるような理想的な、平たく申しますれば南面を中心にしてかまぼこの板を横に並べたような住宅ばかりで賄つて行こうというのには実情が少し違いはせんか。或る程度東向きであろうが、一部西南向きであろうが、外部の状況に応じて、やはり都市の都心地附近は高層なものを建てて行くほうがいいのじやないかと、かように私考えております。
結論的には日照もさることながら、都市全体の事柄、或いは都心地附近に耐火建築で住むほうが勤務の状況、或いはその他共稼ぎ、いろいろな問題もありまして、戸締り或いは防火、いろいろな点がありますから、そういう点をコンバインして考えて行くほうが妥当で、本当に日照といいますか、快適そのものの住宅を要求される方は、まあ現在の三階或いは四階程度のアパート、或いは本当に静かな環境を好まれる方は、不燃構造もそうでありましようが、一階或いは二階もこれは止むを得ないと思いますが、現在の大阪の市内、旧市内そういう所はあらゆる点から考えて四階或いは五階程度が望ましいのじやないかと、私はかように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/48
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049・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 旧市街地の構成を見てみますと、大体宅地の奥行きは十間乃至十二間ぐらい、十間ぐらいが多いのじやないかと思います。これがまあ背中合せになりまして一つの街区をなしておるわけであります。公営鉄筋コンクリートのアパートも大体六間あれば一つの計画ができるわけでありますから、そこで奥行に四間余裕ができます。これは勿論現在の一階から四階までが住宅であるという公営住宅の建設省の基準には合わないと思いますが、併しながら我々の考えておる市街地におきましては一階が商店、二階は住宅の場合もあり、或いは事務所の場合もある。三階、四階だけの日照を考えれば、現在の市街地で適当な日照を得られる高層アパート、まあ四階かせいぜい五階どまりだと思いますが、その程度は可能である。勿論不衛生な鉄筋コンクリートのアパートを作るわけには行きませんが、四階程度のものであれば可能であるというふうに確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/49
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050・石井桂
○石井桂君 多層建築については四階くらいまでの例は随分今まで都内にありまして、これらの、家賃については、一般の庶民の家で払える能力があり得ると思うのですが、五階以上になると構造上非常にエクスペンシブな構造になりますので、途端に四階から五階以上になると費用がかかると思いますが、そうすると結局家賃にそれが響いて、そして三割なり五割が一挙に上るという状況になるのですが、その場合に庶民性といいますか、つまり一般の庶民が或る程度の、いわゆる贅沢な人だけでなくして、まあ中流階級ぐらいが住める程度のものができるかどうか、甚だ私は疑問だと思うのです。その点についてのお考えは如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/50
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051・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 私のほうでも高層なアパートというのを只今計画いたしておるわけであります。仰せの通り地価も相当高いところでないと五、六階以上或いは三十一メートルに近いようなものが建てにくいわけであります。従いましていろいろ今までやりました結果、現在のものよりもまあ坪当りにいたしましても、まあ鉄筋だけという案も立てては見たのでありますが、一部やはり鉄骨も使わなくてはというような考えもありまして、八万五千円から、将来の暖房なんかも考えて配線をするとすれば十万円足らずの経費はかかるかとも思つております。従いまして若しやるとしますれば地価のほうで相当セーブをして行かなくちやならん。従いまして現在物色いたしておりまする土地は、いわゆる会社、商社等で所有をいたしておりまする土地で、その商社或いは会社としても一応五階なり四階なり、六階なりで賄いたい、それ以上は建てる必要がないというような芽生えがあるようなところに働きかけまして、いわゆる現在の住宅難に寄与して頂くというような観点から、その上に増設するような計画を理解して頂く、そういう場合には五階なら五階としての構造計算その他による設備もきまるのでございますが、上にそれだけのものを翻せることによつて下の主体構造の鉄その他の材料の殖えることであります。その点は上に載せるほうで持ち寄る、地価その他については、まあ住宅難に御協力願うという意味で按分的に階数で割付けて借地料を取るということでなくして頂いてやつて頂きたい。そうすれば四階建の場合に、四千円或いは八千円以内で土地を賄つてやるよりは格安につくというような構想の下に、現在そういうような考えでそういう芽生えのところを狙つて考えておるわけでありまして、いきなり下から上までやるような場合を考えますというと、石井委員の言われましたような問題がぶつかりまして、家賃についても現在の公営住宅の家賃よりも五割程度の値上りを考えなくちやならない。併しながら一面におきまして又住宅困窮者を考えてみました場合に、家賃がまあ安いのは結構でありますが、困窮者の程度を考えまするというと、非常に公営住宅の家賃でも困る。いわゆる社会保障その他が要るような方々の層も或る程度ありましようし、木造程度のもので十四、五百円の家賃がいいという方もあります。鉄筋の二千四、五百円程度のものが、まあ苦しくてもその程度が欲しいという方もありましよう。もう少し家賃が高くても都心地に近いところで欲しいという方もあります。要するに住宅難の大部分の方は、まあカーブを描きますといろいろの層が出て来るわけであります。従いまして私の考えといたしましては、そういう構造的なものの見本と申しますか、将来のサンプル、又は指導の目標といいますか、そういう意味合いで府としてもやつて行きたい。かように考えておるわけでありまするが、全般的に商業地域では三十一メートル、住居地域では六、七階の二十メートルまで全部この計画で賄つて行こうというのは困難かと思つております。要するに抱き合せで行けるようなところはそれで行きたい、こういうような考えで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/51
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052・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 横浜市は特殊でございますが、地盤の関係もありまして、現在四階建を標準に市街地の改造を考えておりますから五階以上のことは考えておりません。又個人的には、七、八階以上のアパートは、日本の将来を考えましても少し原則的には行き過ぎではないか。一、二例外は私はあるといたしまして、原則的には四、五階どまりが一番いいじやないか。特に横浜は地盤の上からも四階が一つの限度であります。それ以上になりますと相当基礎杭打ち事業に金がかかりまするので、庶民性を逸する憂いもありますので、現在は四階建を中心にし市街地の立体化を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/52
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053・近藤信一
○近藤信一君 二、三御質問するわけですが、先ほどの参考意見にもありましたが、だんだんと土地が郊外に伸びて行くのだということも考えなければならんのですが、日本の場合には土地が限られておりまするし、郊外に伸びることもいいと思いますが、初年度においては安く土地が収用できるかもわかりませんが、併し土地所有者という者は殆んど土地の価額の上つて来るのをまあ待つておるというような状態である。そういうときに郊外に土地を求めてそうして初年度の計画は立てたと仮定して、その初年度の土地を手に入れた価額が次年度に果して又その価額で手に入るかというと決して入らないと思います。そうした場合に初年度だけの計画で次年度からの計画というものがなされないという、こういう危険が来るのではないかと思いますが、そういう見通しをどのように考えておるか、先ずその点について参考人からお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/53
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054・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 市街地の価格構成というものはあらゆる面の要素がかち合つおりますので、なかなかむずかしい問題で、私も価格構成がどうあるべきかということについては考えおりますが、なかなか結論が得られないのでありますが、今言われましたように一般の物価指数、或いはその他の点から考えまして、或る程度ほかの物価の行き方とまあ平行しておるようなことじやないかと思います。
それからもう一つは、現在は都市或いは近郊の住宅地に連関しておる所から逐次開発されておるのでありますが、開発計画と言いますか、どこをどの程度に開発するかということが野放しになつておるわけです。従いまして開発された水道、ガスなどのそばそばと開発して行くことでありますから、逐次物価指数の変動に伴つて漸増的に上つて来ておるのであります。
併し将来の土地政策というような問題になりますと、私その柄ではないのでありますが、この程度の量を確保して行けば、先ほど申上げましたように非常な思惑的な値上りは防ぎ得るのではないかと考えておりますし、一方又できるだけ山林その他を当て込んで行くわけでありますが、若し市街地に近い田畑等の問題にしましても、現在は農地の関係もあります。そういうほうとよく連絡をして行けばそんなにひどい値上りは、特にここ二三年くらいにありましたようなひどい値上りは考えなくても済むのじやないかと思うのでありますが、この点は一般の物価その他の関係もありますし、地主としては予想をしておる者もありましようが、そういう場合にはやはり又別途にそういう事柄を防止するような方法を考えて行かないと、今すぐにどれくらい値上りをする予定か、或いは今年の計画通り土地が買えるかと言われましても、買えるとも買えないとも正直な話は申上げかねるのでありますが、不当なる、ここ一、二年のようにぐんぐんと上つたようなことは、公共団体その他に資金の面も流れて来てやれるという見通しが付けば或る程度緩和されるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/54
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055・田中一
○田中一君 ちよつと関連して聞きますがね、大島土地というブローカーがありますね、土地会社、これがね、昨年国分寺が三千二百円、今年住宅公庫の予算が通りましたが、今六千八百円です。一年前から比べると倍以上になつております。これは何かというと住宅金融公庫の貸付を開始すれば上る、現在上つておる。あなた方はどこを調べて上るとか上らないとか言うか。あなた自身が土地を探して歩いたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/55
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056・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 先ほど近藤先生のお尋ねの、仮に地方に公共団体が今年度宅地を開発して、道路なり水道なんかの設備を完備し、翌年その隣接地を買う場合に倍程度の値上りなんか予想されるのではないかというようなお尋ねでありますが、午前中私が申上げましたのも、現在市で計画いたしておりますのは、この近く開設される駅を中心といたしまして、一キロ範囲内をできれば一括して市が買収したい。或いは県の住宅公社なり、或いは郊外電車と一緒になつて一挙に開発したいということを申上げましたのは、今までは確かにお説の点もあつたわけであります。三千坪、五千坪と買いますと、その程度の計画では、お尋ねがございましたように隣接土地の所有者に不当な土地の値上りの、まあ権利といいますか、そういう不労所得を得さしめる結果になる危険があるわけであります。そこで大体住宅としての通勤距離なんかを考えますと、駅から一キロ以上離れたところはまあ大した値上りはなかろう。その範囲内を我々は対象といたしまして解決して行きたい。勿論現在折衝中の地主さん方も、どうしても売らないという地主さんもあるわけであります。これらにつきましては例えば都市計画審議会、各都道府県にありますところの都市計画審議会あたりの、まあその他相当権威ある機関において、例えば横浜市なら横浜市で先ず宅地を開発するところはどこだということを十分御審議頂きまして、或いは公営住宅三カ年計画にもそれを織込み、相当権威付けられた計画について、できれば土地収用法も適用のあるようにいたしたい。現在はこれは都市計画法に定められた規定によつて、指定された住居地域内においてそれが行われるわけでありますが、現在我々の考えているのはそれよりももつと外側の郊外であり、従つて土地収用法によつて収用することもできないわけでありますが、併しながら、まあでたらめと言いますか、その都度に収用するのは収用される地主さんも迷惑と思いますが、相当権威ある機関によつて審議されて、オーソライズされた計画地につきましては、又そういう地にこそ住宅金融公庫は融資、されるべきものだ。そういう土地の開発に融資されるべきものと確信するものでありますが、そういう場合には一部非協力な地主さん方には土地収用法の土地収用の手続も踏めるようにして行つたらそうした欠点も防げるのではないかと思うのであります。
なお、田中委員から先ほど大島土地の話がありましたが、まあ新聞の広告によると或いはそうだと思います。我々はそういうことのないように、それを防ぐために是非地方公共団体でやつて行きたい。良心的な土地開発をやつて行きたい。今までやりたくてもそれができなかつたわけでありますが、それが今度の改正によりまして、そういう民間の土地会社などの開発する計画がいいのか、我々地方公共団体の者が最も良心的に、而も都市計画の見地に立つて公庫から融資を受けて開発をしてそうして市民にサービスをするというほうがいいのか。これは相当我々は自信を持つて、この融資の恩恵によつて市民のサービスに進んで行きたい。今おつしやいました事実があるからこそこれを念願しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/56
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057・近藤信一
○近藤信一君 この郊外のほうへ伸びて行くということは、まあ市内に土地があつてもそれがだんだんと高くなつて、その土地が手に入らないという結果でだんだんと郊外に伸びて行こうという計画なんですけれども、やはりこれは先ほど大阪ですか、吉田さんが言われましたように、物価の漸増に合せて土地が上つて行くと、こういうような話ですけれども、私はそうは考えられないと思うのです。これは田中委員も言われましたように、やはり物価の値上り以上どんどん土地は上つて行く。私が知つているところでも名古屋の郊外のほうに、誠に不便な所であつたが、そこへ官営住宅ができた。電電公社の住宅、それから放送局の住宅、こういう官の住宅ができたがために、その附近の土地が半年くらいのうちに四倍、五倍と跳ね上つている。そういう事実だけから見ても、あなた方が今考えておられるようなことはこれは夢のようなことだと私は思うのです。一キロ範囲内全部買取つてしまうと言われるが、一キロ以外のところが又そういうふうにどんどん、三つて行くのです。便利になればなるほど、私はやはり土地の値上りというものが急ピツチで上つて来る。又名古屋市内の場合でも、これを一つの例といたしますると、半年くらいのうちに三倍くらいに上つて来ている。辺鄙なところだけれどもそういうふうに上つて来ている。こういうような事実から見ても、私は郊外に伸びることもよろしいが、日本のよう現状、狭い土地でだんだんとそういうふうに外へくと土地が値上りして行くと、実際勤労者が自分で家を建てたくても建てられないという状態が将来出て来るのではないか。初年度や次年度くらいだけは何とか政府の計画で行くかも知れませんが、だんだんとそうなつてしまえばだんだんと土地所有者の利益だけを図つて行くという結果になると思います結論的には……。そういう点で私は物価の値上りと土地とのあれが平行してという考えは認識不足じやないかと私は思うのであります。この点一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/57
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058・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 私の申上げておるのは将来の、こういうような法制によりまして、地方公共団体、或いはその他の営利を目的としないで造成をいわゆるするようなシステムを作つ行けば、そういうことになりはせんかということでありまして、現在は近藤委員も仰せの通り、私もそういう事例にぶつかつております。都営住宅を建設いたしますというとその附近地が、これは土地会社の思惑もありましようし、或いは地主の思惑もありましようし、なぜかといいますと、それはそういう公共的な見地から与える方法がない。従つて公営住宅の用地以外の用地を個人が取得しようとすれば、そういう土地会社か宅地建物取引業者の手を煩わして取得するよりない。従いまして先ほど言われましたように、公庫のほうで幾らまで貸すとなれば、それまでは金が借りられるのだから買うだろうというので、思惑で土地を釣上げて行く不健全な状況にあるわけであります。併し与える方向が筋道がつけば、そういう問題は或る程度防げるのではないか。併しながら今年と同じような価格で来年も買えるかという御質問に対しては、健全な経済情勢に立ち戻りましても、やはり相当一般の物価指数その他によつて或る程度の漸増はするかも知れませんが、一躍にして倍になるとか一カ月に一割くらい上るとか、そういうような懸念はこの改正ができればないのではないかと思います。究極的に申しましても、安くて利潤を考えない土地の供給方策があれば、一般の方々も何を好んでブローカーその他の高い土地をお買いになるだろうかということも言えるわけでありますから、結局はどの程度に予算を流して、宅地の取得に悩んでおる方々の宅地を解決するかということでありますから、若しこれが九牛の一毛でほんのちよつぴりしかできないというならば、これこそそういう開発された土地の取得に又抽せんその他、大いにそういう問題が起つて、それ以外の所が高くなるし、相当住宅問題の解決は長年月を要しまするが、年間どれくらいのものが民営でできるかという数字もありますので、そういう範囲の宅地の供給が公営団体或いは公共団体、或いは法人、堅実な会社、あらゆるものを動員して、或る程度の量が賄えるようになつて行けば、今近藤委員の危惧せられたような事柄を、私もこれは承知をいたしておりまするし、これは健全な方法でないと思います。できるだけこういう方面にも早くこういう手が打たれるようになつた暁には、そういうような思惑のほうの会社はおのずからさびれて行くのが当然じやないか、かように考えておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/58
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059・近藤信一
○近藤信一君 それから先ほど石井委員の質問のときに官房長ですね、一般法人にも金を融資するという、こういう意見と関連した意見を官房長から話がありましたが、確実な民間会社に融資をすると、こういうことを言つておられましたのですが、今日本に相当確実性があるという会社で、民間法人の会社でやつておりまして、而もその会社に相当泣かされておる庶民階級があるといつも新聞に出ております。そういう点からいつて果してどの範囲が確実性があるかということは、官房長はこういう見通しの上に立つての先ほどの御答弁かどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/59
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060・石破二朗
○政府委員(石破二朗君) 実はそういう具体的にどの会社は大丈夫だというようなことを見通した上のお答えではありません。まあそれたけが御質問の要旨かと思いますけれども、この際若干これに関連します考え方を申上げさして頂きたいと思いますが、先ほど来お話のありました通り、土地を造成すれば却つて附近地の値上りを来たしはせんか、特に民間会社などは土地造成事業をやればそういうことが特に甚だしくなつて、民間会社に不当利得を与えるということになりはしないかということは、一応御尤ものようにも私拝聴いたしたのでありますが、実はこれは誰が土地を開発し、宅地を造成いたしましても、仮りにそれが電鉄、道路、交通機関のないところに造成事業は、宅地というものはあり得ないわけでありまして、何かの交通機関が必ず利用し得るところに宅地は造成し得るわけでございますが、仮にそういうところに電鉄会社がやりましようと、その他の民間会社がやりましようと、公共団体がやりましようと、その交通機関を持つておるところの会社の営業成績というものはこれは挙がつて来るに間違いありません。これは事実だと思います。それから又そこまでガスなり水道なりが敷かれますと、その附近地も便利になりますから、これも若干は宅地の値段が上るだろうということは、これも事実だろうと思います。又ひとりこの土地造成ばかりでなしに、先ほどのお話にもありました通り、立派な公営住宅を仮りにどつかへ建てたとしますると、非常にまあその辺が住宅環境としてもよくなつたということで、附近地が相当値上りをするということも考えなきやいかんと思う。又現在全国にあります不良住宅地区を、これを非常な改良をいたしまして立派な生活環境にいたしますと、当該土地の値上りばかりじやなしに、その附近地の値上り、これも又当然予想しなければならん。で従いましてこういうものを徹底的に抑えるという態度をとるのなら別でありますけれども、まあ現在の建設省といたしましてはそういう強制措置は考えていないわけでございます。で私どもといたしましては、成るほど宅地を造成しますと、その附近地は或いは値上りを来すことはあるとは思いますけれども、仮にそこを新規な宅地を造成するなり、高層建築をするのでなければ、既存の宅地というものはいよいよ値上りをするであろう。全国的或いは一部市全体として、要するに需要と供給とによつて値段というものは大体動くものだろうと思いますけれども、全体として需要に対する供給を若干でも殖やすということは、総体の見地からすれば、やはり宅地の値段というものは下る結果になるのじやないかと思うわけであります。又相当な設備ができまして、これまでの荒れ果てた、荒れ果てたと言いますか、山地とか荒蕪地が非常に便利になつて、そこが値上りをするということは、値上りそれ自体は歓迎いたしませんけれども、高い値段をつけても、そこへ住む希望が出て来る。そのくらいよいよなることは、これは又あながち非難すべき事項でもないのじやなかろうか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/60
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061・近藤信一
○近藤信一君 これは去る三月の十三日に、五大府県と五大市の住宅会議が建設省の主催であつたそうですね。そこでいろいろと今後の、例えば多層建築、それから木造建築をやめて不燃化住宅を作れど、こういうような話があつたそうですが、そこで先ほどからも問題になつておりまするが、多層建築をやつた場合に、相当な家賃でなければならん。大阪府の計画では二十九年から計画しておられるそうですが、これが五大都市がずつとこういうような将来考え方で、各五大市の住宅建築では今いろいろと協議をしおるようでありますが、これが多層建築になつて、先ほど内藤さんが言われましたように、四階ぐらいならばそんなに高い費用はかかるまい。これが十階、十一階、今の計画で大阪府なんか十一階の計画だそうですが、そういう十一階、十階という建築だと相当費用がかかつて来る。そうすると従つて入居者は五、六千円の家賃でなければ入れんだろう。こういうことがちよつと新聞に出ておつたわけですね。果して五、六千円で入らなければならんというと、一体一般労働者ではちよつと入れないというような状態なんです。それを押切つてこうやるということになると、今一番住宅で困つておるのは、労働者階級がこれの住宅に困つている。やはりそういうのは、五、六千円の家賃を払つて入るという可能性はないと私は思うのですが、今各都市で計画されておるその多層建築ができ上つたときに、果して労働者が入れるかどうか。更に横浜の内藤さんが言われましたように、四階建くらいならば、見通しとしては家賃がどれくらいの家賃で、一体あなた労働者階級が入れるかどうかというような見通しについて若干お尋ね申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/61
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062・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 私どものほうでも不燃化建築につきましては、少くもと市の外辺部におきましては二階、やや中へ入りますというと四階、それを一応の目標にいたしております。ただ私の申上げたいのは、大阪全体を眺めまして、四階程度が、一般の住居地域でも相当こみ合つておるような住居地域については非常にその程度がいいと思つております。住居地域にいたしましても、その商社、店舗等に勤めておる使用人と申しますか、そういう人々の住宅はできるだけ商社、店舗の上層部を利用してやつてもらいたいという意慾でおるわけであります。併しながらやはり土地柄によりましては三十一メートル近い建築をしたほうが、地域その他の点等からもいいところもあるわけであります。そういうところはその上層部を、そのビルの主たる建築関係の会社その他のほうでその社員或いは労務者、その他の住居にしてもらいたいという指導方針をとつておるわけであります。従いまして先ほども石井委員、その他の御質問に参考に申上げました通り、そういう三十一メートル近いような、十一、二階というようなものの建ち得るような土地柄にはそういうものをやりたい。而もその下は自分のほうでやるが、上はそういう会社等ではやれないというものとタイ・アツプして、一つの指導の模範といいますか、サンプルを作りたい、かように私考えておるわけであります。結局先ほど申しましたように家賃と、そして住宅難にある方々の階層を調べますというと、低い家賃で困つておられる方もたくさんおります。現に一間借りて五、六千円出して、それでも勤務その他の点で困つておる方もあるわけであります。それで主力はいわゆる労務者住宅、いわゆる公営住宅、その他ではありまするが、やはりそうでない方々の住宅難の解決もかたがた図つてこそ、そういう方々がそこへ移られれば又そのあとが労務者その他の方々にも借りられるようなことになる。現に庶民的住宅として金融公庫の金を借りてお建てになつておる方では、十八年間月賦償還の月割にいたしますというと四、五千円の方も相当あるわけであります。で都市生活をしておつて、自分の家にならなくても貸家でもいいからという御希望の方もあるわけであります。ただ手頃の貸家がないので、その都市に十八年以上住むか住まないかわからないが、自分の持ち家にして住んで行きたいという方もあるわけであります。私といたしましては十階以上の高層が大部分を占めるとは決して考えておりません。比率としてはまあ四階或いは五階前後のいわゆる中層のアパートが大部分を占めまして、そうしてそれ以上の高層のやつはまあ一割といいますか、二分でも三分でもできればいいのじやないか、一つ二%そういうものがあればいいのじやないか。七、八〇%はそういう中層のものでやればいいのじやないか。どうしても周辺等におきましてはやはりまだこれは、或いは委員からお叱りを受けるかも知れませんが、やはり土に親しみたいという意慾も一般の方々には相当あるわけでありまして、理想としては全部高層にするのがいいのでありますが、まだまだそこまでついて来られないと言いますか、やはり草花を植えたい、自分にも専用の庭があるほうがいいという牢固とした国民的な慾望もあります。そういう点も併せ考えて或る程度の木造のものも現況としては止むを得ないのじやないか、こういう考えでやつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/62
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063・田中一
○田中一君 今大阪府がやつておるという行き方は耐用年限は何年見ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/63
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064・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 七十年くらいだと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/64
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065・田中一
○田中一君 鉄骨、鉄筋コンクリート建築は七十年耐用年限を見るのが正しいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/65
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066・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) まあ一応現在七十年から七十五年というのを基準としてやつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/66
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067・田中一
○田中一君 あなた建築屋さんでしたね。技術家でしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/67
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068・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 建築のほうを専攻した学校を出まして現在建築士であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/68
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069・田中一
○田中一君 そうでしよう。そこで申上げるのですが、一体七十五年とか七十年とかいう耐用年限を何の根拠できめたのです。どういう根拠できめようとするのですか。そういう意味のない、これならば大丈夫だろうという計算で以て七十年とか七十五年とか考えるから家賃が高くなる。コンクリート造りが発明されてから今日まで百年くらいにしかならんでしようけれども、少くとも百年前からのものは現存されておることも御承知の通りであります。従つてその実際の鉄骨、鉄筋コンクリートというものが完全な工事を施工したものならば、これが一体何年間を耐用年限として見ればいいかということに対しては、あなた方自身も疑問があると思うのですよ。従つて今までのいろいろな資料その他から見て、百年は保つのではなかろうかといつたような場合には、少くとも家賃は低家賃にならなければならない。百二十年と見た場合にはもつと低家賃にならなければならない。これは七十年、七十五年と押える根拠が、あなたばかりではない、共通した建築技術家に向つて問いたいのです。百二十年、百年が耐用年限だとした場合に、それより残つた場合の分は、それに対する利息というものは当然事業主体に入つて来るわけですね。それを見込んでもいいというのですね。従つて家賃の算定というものは簡単に七十年だ七十五年だということにきめてやるから、今近藤君が聞いたように高い家賃になるのであつて、もう一つ今度はそれに対して御承知のように現在は軽量コンクリートの建築が盛んです。こういう工法の面、それから施工の面においてもいろいろな研究の結果が総合されなければ家賃の算定なんかできないのですよ。あなた方自身の考えで割切つたもので家賃をきめるということは、国民に対して申訳ないことなんですけれども、その点はなぜ七十年なり七十五年にきめようとするかを明確にして下さい。これは内藤さんにもお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/69
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070・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 建築構造的には完全に施工がしてあれば恐らくそう変のない限り百年以上も保つかとも思います。併しながら家賃の算定その他につきましては、経済的な耐用年限その他も考慮しなければならないように聞き及んでおりますので、一応すでに本委員会その他におかれましても公営住宅法その他の審議の過程においてそういう問題を十分御検討の上、貸付金その他の算定に、七十年でしたか七十五年かをおきめになつたように聞き及んでおりますので、私といたしましては不敏ではありまして、何年が経済的その他のことを考慮してやつた耐用年限が一番いいかということについては、確信を持つてお答えする域に達しておりません。皆さん方の御研究の成果を奉戴して七十五年が一番妥当であろう、こういう考え方でやつておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/70
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071・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 耐用年限七十年の問題でありますが、これは今大阪府の吉田部長が言われましたように、完全に施工され、あとの補修が十分行われれば、よほどの場合を除きましては百年以上、建物自体としての構造的な耐用年限は百年ということも考えられるのでありますが、併しながら一つには今の科学技術の進歩によりまして生活様式も変つて来るわけであります。果して七十年の先に現在と近いような住居としての、生きた住宅としての価値が残存するかどうかという面も考えなければならないと思います。
いま一つ、最初戦災復興院時代に戦後初めて高輪にアパートができました。現在は若干改良されておりますが、四階建のアパートは壁式構造でありまして、鉄筋のコンクリート被覆も当初のものは必ずしも十分でない。ああいうものでありますと、果してどれだけ保つかということも一部の学者においてすら疑問視されている面もなきにしもあらずで、これは別に定説というものがあるわけではございませんが、いろいろな各般の情勢を判断いたしまして、この辺という妥当なところがまあ一応の通説になつているのであろうと思います。先ほど定説と申したのは間違いました。確説はないが通説がある。ただ我々は常識的な判断でやつて行く、こういうふうに思つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/71
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072・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 内藤参考人に申上げますが、只今近藤委員のお尋ねになつた横浜の四階建アパートの家賃云々の御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/72
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073・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 家賃がどれだけということでありますが、横浜の四階建を中心にした場合にどれだけの家賃かというお尋ねでありましたが、二分の一国庫補助の場合、公営住宅の場合は三千円、十二坪くらいの一戸当りの面積の住宅が三千円くらいでございます。それから住宅金融公庫の融資を受けまして、県市が実施しておりますところの県の住宅公社が住宅金融公庫の融資を受けて四階建のアパート、そのうち三階、四階部分が県の公社の住宅になるわけであります。その場合で一戸当り四千円ぐらい、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/73
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074・近藤信一
○近藤信一君 最後にもう一つお尋ねいたしますが、これは住宅金融公庫の総裁にお尋ねするのですが、住宅公庫の融資のあれができて五年になるのです。この五年の過去の体験から見て、相当今までに折角抽せんに当つたが放棄した人があると思うのです。私ども聞いている中でも相当ある。そこで放棄した人の放棄の原因は、一体土地がなくて放棄した人、当つたけれども、最後まで土地を見つけたけれども、どうしても土地がなかつたから放棄した人、こういう人と、土地はあるけれども建築資材の値上りによつて放棄した人、こういう放棄した人が二色私はあると思うのです。この二色の中でどちらで放棄したのが多いか、その点わかつておればお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/74
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075・鈴木敬一
○参考人(鈴木敬一君) 土地獲得難ということと、建築費の増嵩のために資金が十分にない、両方の原因で、中には両方のために落伍せざるを得ないというものも勿論あつたかと思います。正確な数字はなかなかつきとめがたいのでありますが、昨年の春、東京だと思いますが、アンケート風に照会したことがあるのであります。それによりますと、一定の期間内に貸付の金融機関における審査は済んだ。その次に、東京で言えば区役所で設計の審査を受けねばならん。設計の審査を受けるためには土地が確定しませんと、東側から入るか西側から入るか、北側から入るか等がきまりませんために設計が立たない。そこで設計審査の申請を区役所へ出す期限がその都度きめておるのであります。その時分では四十五日間と一応きめてあつたかと思います。それに間に合わない。遅れてしまつた。それで放棄せざるを得ないというような人たちにアンケートと申しますか、質問をしました結果で申しますと、土地が見付からないために遅れたというのが六、七〇%、いわゆる頭金が足りない、頭金の目当が狂つたというような資金関係の人が三、四〇%というようなのが概数だと思います。当時新聞では、むしろ建築費が上つたということが、当時の水害、台風というような災害が重つたために、こういうために、確かに建築資材関係の業者の方面では止むを得ず値上げせざるを得ないという趨勢もあつたかと思いますが、新聞ではそのほうが喧伝されましたけれども、私どもの見込では、今のアンケートの結果と私どものほうのこれは腰だめでございますが、しよつちゆうお客さんが出入りされて困つた困つたというような歎声も聞いておりますことから総合しまして、土地が思うように手に入らんために落伍せざるを得なかつたというのが大部分であつて、建築費も足らんという人も相当あつた。こういう結論が正確なりと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/75
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076・田中一
○田中一君 鈴木さんに伺いますが、あなた曾つて復興建築助成会社を主宰しておられたですね。実は復興建築助成会社は主として共同建築を目途としていましたね。共同建築、即ち過小宅地というものを有効に使うために共同建築をしたほうがいいのだということが主眼だつたと思うのです。この法律には十坪でも二十坪でも、三分の一以上住宅に使うならば金を貸してくれるのです。そこで私は少くとも三十数年前の震災の後この復興建築助成会社の使命というものは、何もあれは耐火構造、防火建築物が、住宅だろうが店舗だろうが、すべてそうした過小宅地を有効に使おうという観点からやつておつたけれども、今度の法律は、一面においては平面的なる土地の造成をしながら、過小宅地に建築されるための土地のロスというものは大きなものです。これを何ら規制していない、この法律は。十坪貸しませんよという場合があるでしよう運営上……。併しながら法律から言えば何も関係ない。私は若しこれが三十年前の政治家が考えられた頭が今この法律を提案する役人の頭にあるならば、少くとも過小宅地に対しては共同しておやりなさい。そうすればこうなりますよというくらいの親切さがあつていい。この点について総裁はどう考えます。それでこの立案者に、復興建築助成会社が三十年前に出発しましているく仕事をやつて来た、それについて何かの研究をしましたかと言つたら、一向研究しませんでした、こういう御答弁なんです。で、当時の責任者であつたところの鈴木さんに伺いたかつたのは、過小宅地に対する何らかの方途がこの法律に織込まれたほうがいいと思わないか。殊に内藤君は、さつきも土地収用法を発動してまでもやるのだということも言つている。こういう助成し、少くとも促進するような条文がこの法案にあつたならば、画竜点購、三十年前の政治家の頭にプラスされるというように考えられるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/76
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077・鈴木敬一
○参考人(鈴木敬一君) どうも私の古いことまで挙げてのお尋ねで恐縮でございますが、田中委員のおつしやいました通り、私、これは個人の意見でございますが、曾つての関東大震災後に諸種のいわゆる経済復興計画を立てられました当時の為政者、関係者の諸先輩には、その卓見の上において、又その実施力において、今日から振り返つて誠に多大の尊敬の念を禁じあたわざるを得ないものでありまして、お説の通り三、四十年前に当時の帝都復興計画を立てて、且つ実施されたことは誠に先見の明であつたと思います。それが当初の計画通りあえて実現を見ておりまするならば、今度の戦災に際しましてもいま少しその被害が僅少であり、戦後の立て直りもいま少しく私安易であつたのではなかろうかと想像せられるのでありまして非常に残念極りないことに考え、そういう点においては田中委員と全く同感でございます。それで当時の復興建築助成会社創立は大正十四年でございますが、甚だ遺憾にして当時の卓見を持つた立派な政治家或いは行政官もあつたにもかかわらず、当初の計画通り行つておらないのでございます。そのために単なる商法上の会社になつている等々のために、今日のような会社の現況についてもいろいろ考えさせられる点があるのでございますが、当時政府の企図するところは、横浜市及び東京市、両市の消失した焼け野原を再興したい。同じ再興するならば不燃建造物を以てこれを充満させたいというのが根本の意図であつたと思います。そのために政府の当時のいわゆる低利資金を事業資金としてこの会社に貸付けて、運用さして、焼土から立ち上るにやさしいように、而もそれが耐火構造で蔽われるようにというのが当時の卓見ある計画あつたと思うのでありますが、不幸にいたしまして、そういう卓見通りにいろいろな政治情勢或いは社会情勢、もつと申しますと両市民の、二つの市民の自覚と言いますか、啓蒙と言いますか、十分にこれについて行かなかつた憾みがあつたように思われます。尤も田中さんから、私が大いに初めから今まで立派にやり遂げたように聞えるようなお話があつたのでありますが、終戦二年前からこの会社に入つただけでございまして、それまでの諸先輩のなされたところ、非常にあとから見て十分な敬意を払つておりますけれども、やつぱり周囲の環境の然らしむるところ、本当の共同建築は東京市内において私の承知する範囲でたつた二棟だけでございます。あとは棟続きで四軒、五軒、六軒がコンクリートで建ち並んだというだけでございます。つまり例えば丸ビルのごときああいうふうの共同でエレベーターを使い、階段を使い、廊下を使うといつたようなそういう本当の意味の共同建築は今申上げたようにたつた二つであります。あとは一体となつた、店を並べた一体の建築というのに過ぎないのでありまして、これは当局の意図するところ、熱心に意図するところにかかわらず、そういうことに終つたことは、まあいろいろな社会情勢もございましよう。殊に建築主たる人々の経済力が十分でなかつた。もつと言うとやつぱり眼界が狭かつたというような批評をしてもあえて不当ではないと思うのでありまして、これは甚だ遺憾な結果でございます。なお田中委員さんの当面の御質問である建築面積と申しますか、宅地の面積と申しますか、この公庫法では今回の改正にもかかわらず、小さいものができやせんかという御懸念を持つておられるようでありまして、これは若しそういう小さいものが許されるというようなことでありますれば、これは田中さんと同じに憂いを共にするのでありますが、御承知の建築基準法等の規定で用途、地域によりまして、宅地と建築延面積との関係から申しまして、さほど小さいものは建つまりと思います。というのは、公庫で住宅に対して貸付けまする場合の最小限度は二尺九坪以上でなくちやならんということをきめておりますので、最小のものができたといたしましても一世帯九坪、これに住居地域、商業地域、その他の地域等の区別はございまするが、建蔽率がございますので、さほど小さいものは建ちがたいと思います。殊に今まで私どもが都道府県等の出資による財団法人に貸付けまして、いわゆる鉄筋アパートを建ててもらつた例が、一番小さいのでも十二坪程度でございまして、まあ十三坪、十四坪というようなところに相成つております。事実余りに小さい延坪の建築に融資しますことは、あなたと同じ考え方から、いたしませんつもりであります。過小宅地のできるようなことはこれは極力防がなければならんと思つております。それはお示しの通りでありまして、極力そのように貸付の場合に運営をして参りたいと思いまするし、今の公庫の建築基準等を踏み台にいたしまして十分防げることであると思います。
なお委員長さんに、起ちましたついでに申上げたいのでありますが、午前中田中さんからのお尋ねの中にもそういうような御意向が含まれておつたようでありまするし、たしか近藤さんの御質問の中にもそういう片鱗があつたように思いますが、いわゆる公益性の団体及び公共団体だけに宅地造成にいたしましても貸付けることに限られておりますれば、私ども公庫の当務者としては大変楽なんであります。まあ余り心配をせんでも済む。ところがこれは公庫全体のことに関係しましての、少し御質問外でありますが、考え方を申しますと、実に建築物についての金貸しでありますからむずかしいのであります。私たまたまさつき後指摘の助成会社の役員だつたために、この公庫に就任しろというのでいろいろお説き伏せになりまして、とうとうこれに入つたわけでありますが、私の心理状況としては本当にとうとうという、甚だ困つたものでありますが、入りました。お引受けしましたと申上げざるを得ないことでお引受け申上げてすでにもう四年を経過せんとしているのでありまして、殊に当初の頃には年五分五厘で、短いので当時十五年でありますが、十数年或いは長いのは三十年或いはそれ以上という長期低利の資金であります。これを民間、いわゆる企業者の腕で借りてうまく運用しなければ損だ、こういうふうなのが当時の社会情勢の一部であつたと思います。殊に私これをお引受けする前後に続々として起りましたのは、各委員とくに御承知の公団類のいわゆる浮貸し、或いは女中のつまみ食いといわれましたああいうものが、二十五年の初頭から五、六月に亘つて次から次と頻発した時期でありまして、新聞紙上を賑わしておつたのであります。如何に当時の社会情勢からいいまして、いわゆる金を扱う、殊に政府資金を扱うということのむずかしいものであるか、又気を許せばどんな事態が起きんとも限らないということは身に泌みて私考えたのでありまして、できるならば一つ固辞してお受けせんにしくはないという心理になつたのでありますが、いろいろ周囲から迫られまして、誰かがならなければならん、まあ私は役人をやつて国家の禄を食むこと二十五、六年もあつたのでありますし、当時幸か不幸か、追放に会つてなかつたというようなことから、周囲からお薦めがあつたものですからお引受けいたしましたが、公庫の最初においては、やはり世間の見るところ、曾つての公団類と同一でありまして、場合によつたら浮貸しくらいさしてもらえるといつたような、これは事実でありますが、そういうような類いを初めとしまして、民間の企業家がこの金を引出してアパートと言つてホテルでも何でも作ろうというようなのが続々として参つたのでありまして、まあ余り申上げることは手前味噌になるお叱りを受けますけれども、随分私としては頭を悩ませてまあ頑張つているという一言に尽きると思いまするので、今度の宅地造成或いは建売り事業等も地方公共団体及びその丸抱えの財団法人等に限定すると、こうして若しあれば、私の心配は、努力は、実に手軽くなりまして楽ではありますが、併し今の当面した宅地の困難性のことを考えて見ますと、困難ではあつてもこの急場に間に合せるためには公団或いはそればかりに限らず、なし得る限り少しでも多く一どきに開発をして、一般の需要者のお役に立てるがよかろう、こういうことに考え合せまして、この原案は、これは私個人の心境でありますが、よかろうということに同意しているわけであります。
いろいろお尋ねもありまして、至極御尤もな御意見をも含んだ、誠に傾聴すべき御意見を含んでいると思いまするけれども、まあその辺の困難を押切つて、まあ私がその局に当つているのだから頑張つて行くほかあるまいと、かような心境でいるのでありまして、それらに対する今度の新規需要に対する貸付は、その利益の帰着するところはやはり住宅不足に悩む庶民階層にこれを押し付けるようにして行きたい。その中間において営利会社、その株主の配当を余計にするとか、いわんや個々の個人ですな、えらい人もえらくない人も含んで、個人の利得に終るような、まあ私は断じてそういうことにならんように全力を挙げて努力したい。まあ単なるこれは精神的のことを申上げたので、お答えにならんので甚だ恐縮でありますが、これは結局人と人との知恵くらべのようなことになるのでございますならば、いろいろな方針とか規定を設けておきましても、人間の知恵ですることですから、又その裏をかくというようなことが過去の事例におきましても多々出ているのであります。これはもうみんなが、関係者が誠心誠意、本当に神明に誓つて、庶民階層の住宅難に奉仕しようという誠意で以て当るほかない。まあ私はかように考えて、この原案の通りお認め下すつた暁は、さような精神を以て私の同僚、部下とも相励ましまして、さような成果を挙げるべく最善の努力を尽したいと、かように考えているわけであります。
まあ包括的のお答えにもならんかも知れませんが、私の覚悟、決心を申上げましてお答えの一部に代えたいと思います。どうぞ御了承を下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/77
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078・田中一
○田中一君 今の前段の総裁の話、復興建築助成会社というものだと、棟を並べても、一つの壁を両方に持つて行つてもこれは結構なんですよ。宅地が造成されるのですから、ところがこの法案そのものにはその過小宅地に対する手が打つていないんです。軒並みに櫛の歯のようにここで十坪、ここが二十坪、ここが十八坪というふうに並んでも貸さなければならんようになつているということなんです。これはそうすると運営で以てやるのならば法律は要らんのです。運営でやるならば一本でいいんですよ。運営でやるならば……。まあ鈴木総裁なら立派な方だから運営でうまくやるでしようけれども、悪い総裁が来たらどうしますか。人間がやる、今のお話の通り、従つて今これに過小宅地に対する共同建築というような面があるならばもつと完全なものになるのです。鈴木さんが苦労しないでも運営ができるんです。これが抜けているのです。たしか復興建築助成会社の時代には共同建築に対しては貸付金は多かつたはずですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/78
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079・鈴木敬一
○参考人(鈴木敬一君) 国庫補助が多かつたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/79
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080・田中一
○田中一君 そのように助成しているのです。促進しているのですよ。三十数年前の政治家がそう考えたのです。ところが今の政治家は、今の政治家というよりも自由党内閣の吉田内閣は抜かしておるのですよ。片一方においては平面的な宅地の造成を企図し、片一方においては建蔽率があります。従つて宅地というものを有効に使わないという政策をとつている。この法案の二つの、この点は私の考えが間違いか間違いでないか、その建築家さん二人で返事して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/80
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081・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 端的に申上げますと、何から何まであらゆる事柄を縛つて行くのも決していかんという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/81
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082・田中一
○田中一君 政府の御機嫌取りの御答弁ならばイエス、ノーで結構ですから聞きません。だから今言う通り、私が言うのは、若しそういう共同建築的なものができるということになつていればそのほうが結構ですが、この法案ではそれができませんとかということでいいのです。御機嫌取る必要何もないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/82
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083・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 決してそういうことはありません。私も府のほうの部長をいたしておりまするので、そういうような観点から先ほど来御答弁いたしておるのでありますから御了承を願いたいと思います。
それで基準法その他におきましては、御承知のように三十平米プラスという問題がございます。それ以外におきましても、現に具体的に申上げまして大阪の十三の駅前、それから堺の宿院の大通りに面した所その他は共同建築をやつております。従いましてそれの最小限の敷地ということについてはこれ又相当論議がありまして、建築基準法のときにも何坪にするか、何平方米にするかということについて非常に論議があつたわけであります。そういう論議が相当されたにもかかわらず、やはり最小限幾らということがきまらなかつたようにも拝聴いたしております。趣旨は私非常に賛成でありまするので、厳重に今申上げましたように二団地については広い意味の共同建築をやらしております。要はやはりその関係者の御理解と、先ほど来御叱正を受けました建築行政或いは住宅行政の一班をあずかつておりまする担当者の熱意と、そういうようなものが熟して来ればできるのでありまして、基準法の範囲以上に過小敷地をなくすることは私も賛成であります。併しながら又そういう基準をきめますと、この基準ならは大手を振つていいじやないかというような逆のことも考えられまするので、今の状況とすればこの法案で或いは建築基準法で最小限宅地というものを市内一律にきめることは困難だと思います。趣旨は私は大賛成でありますから、現に堺、大阪でやつておりまするので、そういうような事柄を機会あるごとに啓蒙するような方針の下に共同建築を進めております。具体的にはそういうような共同建築の場合には現に住宅金融公庫における共同建築は健先的に扱つて頂けるような運営もして頂いておりまするので、現在としてはこれでも差支えはない。若し厳格に各都市々々に応じた既成の各地の状況、そういうものを見て頂いた上でおきめを願うのは結構でありますが、全国一律にきめるということは実情に合わないのじやないかというような事柄もありまするので、そういう方針は非常に結構でありますが、大阪の船場は過小宅地が幾ら、堺は宅地幾らというふうに現実にきめるのは、いろんな土地の分割その他収用或いは地上権その他についての事柄が輻湊いたしておりまするから、きめるという方針はいいですが、法律一本で全国一律にきめるというのはもう少し考究する必要があるのじやないか、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/83
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084・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) まあ私も外国の都市をよく現実には見ておりませんから、はつきりしたことは申上げられませんが、併しながら私どもが市街地の耐火建築を見ましても、従来の木造で建つておつたときのいわゆる過小宅地がそのまま従来の木造と同じような方式で耐火建築が建つた場合には、或る場合には却つて木造であればまだ建直すこともあるわけでありますが、それが耐火構造なるが故に却つて将来の都市計画にマイナスになる、事実私は鳥取のあの火災のあとの焼けた都市の立派に両側が耐火建築にできたあとを見ておりません、見ておりませんが、あの場合いろいろ写真なり、見て来た人の話を聞いておりますと、とにかくあの鳥取であの大火のあとであれだけの耐火建築が建ち並んだということは、私の恩師である東大の名誉教授の内田博士は、自分が生きている間にああいうことが起きるとは思わなかつた、こうまで言つておられまして、非常にまあ過去においては夢であつた、それが実現したわけでありますが、併し理想的な立場から見れば共同建築も多少あるようでありますが、併し間違いもあるという非難も一部には聞いておるわけであります。私も正直なところ写真なんか見まして多少そういう点を感じていないわけでない。そこで横浜市の接収解除地域の復興につきましてはできるだけ共同建築を現に進めております。未だ力及ばずして十分ではございませんが、できるだけ強力に共同建築を進めております。
そこで住宅金融公庫から防火帯における共同建築、まあ一階が店舗で二階が住宅といつたような場合でありますが、こういう場合には特別額をきめてございまして、設計基準がございますが、その基準にバスするのは特別額で融資がございます。この場合は四戸以上の共同建築という制限がつきます。なかなか先ほど公庫の鈴木総裁からもお話がありましたように、共同建築の強制をするわけでございまして、我々が指導して共同建築を進めて行く場合はむずかしいのであります。この公庫の特別額も、横浜では接収解除地域は、残念でございますが一組だけが現在工事をいたしておりますが、併しむずかしいながら、とにかく共同建築はもういいことは聞違いないのであります。恐らく今度の住宅金融公庫法の改正の多層建築で上層部に住宅が付く場合、これは只今公庫の鈴木総裁からお話がありましたように何戸という基準はこの法律には明確でございまいません。先ほど大阪の吉田部長からお話もありましたように、二間間口の在来の宅地が二軒共同いたしまして四間間品で共同建築を実施する場合、それは共同建築として果して推奨するに足るものかどうかということに私も疑問を持つておるわけであります。極端な場合には二間間口と一間の間口或いは一間半間品が二つ、これも一つの共同建築であります。そこで非常にこの共同建築というのは定義がなかなかむずかしいのでありまして、できれば誠に結構でありますが、只今公庫の鈴木総裁からお話がありましたように、融資の対象として優先的順位、或いは取捨選択をする余地を残しまして共同建築を進めて行く、これを法律的に共同建築を一間半間口、極端な場合には二間間口を二軒でもなお共同建築かどうか。三軒以上は共同建築かどうか、四軒以上は共同建築かどうか、これは切りがないわけであります。而も又全国必ずしもこれは吉田部長のお話のように画一的なものじやないわけであります。できれば誠に結構であります。併し一面公庫の融資の希望者が多い場合に、一定の基準でこれを一般に示しまして、そういうものを優先的にやるということでも、基準さえ示せば目的は達せられる、こういうふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/84
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085・田中一
○田中一君 耐火建築促進法御存じでしよう。これでははつきり土地収用を見ることになつておる。これは何かというと有効に宅地を使うのが一つと、煙道や火道を作らないため、耐火建築として……、これは建蔽率で行きましてもできればそれが煙道、火道になる、これは強制法があるのですよ。少くともこの法案で耐火建築帯に住宅を作るにはあの法律を適用するということになれば過小宅地よりも宅地は高度に利用されるのです。そうでしよう。現にそういう法律がある、耐火建築促進法にはそうしたものがあつて、この法律になくていいという理由はどこにあるのですか。耐火建築帯に建てる場合ですよ、住宅を建てちやいかんと言つておるのじやない、住宅でも何でもいいのです、建つてるのは。今の殊に下三分の一が店舗の場合もなし得るならば耐火建築を想定されるのです。あの法との関連性は何も持つていない。住宅金融公庫から金を借りて防火建築帯、耐火建築帯に建てる場合にはあの法律と結び付ければ共同建築ができる。過小宅地がなくなつて、そうして高度の建蔽率の、余分な空地がなくなつて来るのですよ。高度に利用される。今お二人で随分長くおしやべりになるけれども、結論はそれなんですよ。一方においては耐火建築促進法によつて強制しながらこの法律ではそういうことが抜けておるということは、法律を審議する我々としては、そうした片輪な統一のない思想の下の住宅政策なんというものは話にならないのですよ、実際。それをどつちがいいか悪いか聞いておるのです。耐火建築促進法にはなくちやならん、住宅金融公庫の融資にはなくていいのだというのかどうか、それを伺えばいいのです。どつちが正しいかを伺えばいいのです。あなた方が考えてそのどつちがイエスかノーか、それを返事してくれればいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/85
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086・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 簡単に申上げます。住宅金融公庫のほうの金は防火帯以外に、それ以外の場所もおしなべて貸すようになつております。従つて書かなくても防火帯の場合には、耐火建築促進法のほうで十分御趣旨の線に沿うような指導方針をとつております。
ただ収容云々ということになりますと、なかなか簡単に説明できないような問題が多々あります。というのは、建てることはいいのですが、建てたあとその人にどういうようにして使用させるかいろいろな問題がります。従つて具体的には地主のほうのやつを買収して、そうしてこちらで作つたやつを代償に向うに出すような方法で堺のやつはやつたわけです。従つて防火建築帯と競合する場合には、防火建築帯の規定をあのままで目的を達するように堺でやつた例があります。又その目的が達せない場合には耐火建築促進法の規定を十分に活用して行ける、こう考えておりますので、ここでお書きを願つてもお書きを願わなくても、私としてはどちらでも同じじやないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/86
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087・田中一
○田中一君 吉田さんに聞きますが、耐火建築促進法できめていない地域ですね、その際も共同建築でやつたほうが宅地の無駄がなくて済むのですよ。今の防火建築帯の問題、今度はそうでない場合、それは面積の、一棟の建坪を金がないために小さいものを建てたときはどうしても余分な空地ができるわけです。高度に利用できるけれどもそれは利用できない、建築の事情によつて、どうしても別の法律で、基準法によつて、使えば使えるけれども使えない無駄な宅地ができるということですよ、そうでしよう。共同建築というものに対する一つの幅を見せればこれはなくなつて来ると思うが、一方においては宅地を造成する、いろいろ今日足りない足りないと言つて、一方においては規制がないために宅地を無駄使いするわけですよ。これは法律の体形としてはおかしな話なんですよ。これを僕は伺つておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/87
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088・石破二朗
○政府委員(石破二朗君) 只今田中委員の御指摘の点、実は政府委員といたしましても、建設省といたしましてはまだ的確にこの御質問に御答弁申上げておりませんので、政府側の見解も一応述べさして頂きたいと思います。
御質問の御趣旨は過小宅地を整理する趣旨の立法は耐火建築促進法の中には入つておる。然るに耐火建築、いわゆる防火帯その他の地域全部に亘つて家を建てることになるこの公庫法のほうにはそういう法規が入つてないのは矛盾しておるじやないか、こういう御質問でありますが、結論は矛盾していないと私は考えております。その理由は、防火帯と申しますのは御承知の通り特に防火のために或る程度は土地所有者なりその他関係者の意思にもかからわず、相当程度の強制力を持たさなければ防火の目的が達せられないという観点からいたしまして、お話の通りの結果において過小住宅地の整理になりますような強制の規定が入つておるわけであります。強制措置をとり得る規定が入つておる。ところが一方公庫法のほうに入れておりませんのは、もともとこの住宅金融公庫法という法律の建前が、住宅金融公庫から金を借りて家を建てるなり土地を造成しようという、どちらかと言いますと国家権力の伴わない法律の建前になつておるように考えておるのでありまして、お話のようなことを入れるように規定するにいたしましても、公庫法に規定したほうがいいか、その他一般的にそういう規定を作るか、これは又議論がまだあろうと思います。そこでこれは形式の問題でありますが、更に実質に入りまして、先ほど申上げました通り、防火帯は相当程度は止むを得ず土地所有者等の意思を無視して、これに法律を以て強権的な措置を講じなきやならん理由は相当あると思うのでありますが、その他の地区につきましては現段階におきましてはやはり強制的に過小宝地を整理するというところまではまだ政府においては考えておらんわけであります。
なおこの改正案の中に過小宅地整理の奨励と申しますか、そういう趣旨が入つていないじやないかという御指摘が先ほどあつたようでありましたが、実は多層建築をしようとする場合に、公庫が金を貸します場合には、強制的ではありませんが、結果において多層建築を奨励し、過小宅地の整理を促進するような意味の助成的の配慮は若干はいたしておるわけでございまして、御承知の通り償還期限につきましてもこれを普通ならば三十年のを五十年にいたしますとか、或いは非住居部分の主要構造部についても貸付をいたしますとか、或いはその他第二十条第二項を御覧頂きますれば、土地所有者が特別の措置を講じます場合には、貸付の割合が結果的に多くなる措置を講じますとかというようなことも配慮いたしておりまするし、又これを実際に運用いたします住宅金融公庫なりその事務をいたします都道府県等の行政的の指導によつても、御指摘なり御希望の趣旨が達成できますように、行政上の措置として努力いたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/88
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089・田中一
○田中一君 官房長に対してまだありますが、長くなるのでやめますが、一つ総裁に伺つておきたいのですが、こういうケースは挙げられますね。これは防火建築帯でなくて防火地区という大きくかまえた地区、ここにスラム街がある。丁度千坪のスラム街がある。これを不良住宅地区、改良防火地区、あれで以てここに補助金を……。そして住宅金融公庫から逆に一階、二階ぐらいまでを金を借りて作る、それを今度は東京都で、上は公営住宅になつておりますね、現に十階でも何階でもいいです。千坪ありますから相当な家ができます。こういう考え方ですね。あれらに対しては公庫に、東京都住宅協会に上の権利を上げちやつて、そして東京乱住宅協会が賃貸契約を結んで、そうしてそれが、防火地区ならば防火建築帯の指定をもらつてそうして補助金をもらう。現在ある法律を全部総合すると非常に安くて、それで例えばさつき近藤君が聞いていたような三千円か四千円の家賃ではない。もつと安いものです。そういう形のものには住宅金融公庫は金を貸しますか。そういう形にたくさんいろいろなものを織込んだものがなくてはならないのです。財政資金も入れれば家賃が安くなるのです。そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/89
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090・鈴木敬一
○参考人(鈴木敬一君) その仮定を置かれた場合ですな。細かくまだ公けにお答えできる程度に研究の済まん部分がございます。冒頭にも今朝申上げた通り、けれどもいいことであればできるだけ今の仮定の場合には貸付けることに研究してみたいと思つております。ただ下のほうと上のほうと、或いは又更にその上と、それぞれ建築主、経営主が違うといつたような場合は、殊にお説のような共同建築の場合において管理が非常に複雑になりはせんかということも心配される一つでありまして、上と下と、殊に最上とは又違うといつたような場合にまで貸付けるがいいかどうか、まだ的確なる御答弁が研究中でありましてできません。けれども成るべくいいことであれば貸すように研究してみたいとは思いますけれども、結論が出ておりませんということを一応申上げておきます。
それから不良住宅地区整理改善、これも結構なんでありますが、私個人として不良住宅地区整理改善のその局に当つたことがありませんので、曾つての復興局時代等に傍から見聞きはいたしておりますが、まあ聞くところによると、現在建つておりまする不良住宅を整理する。即ち取りこわしてその中に現住するたくさんの世帯を一時ほかへ収容しなければならん。その仮設建築物と言いますか、そういうような人が大分いるように考えますので、午前中もお話の、既成都市の夏中にも宅地の再開発といいますか、そういう部分があるというお説に対しましては、全くその意味で御同感申上げますが、果してそれが不良地区改善を含んだ多層家屋ができて、その不良地区改善事業を含んだがために家賃が安くなる傾向になるかならんか、これはもう少し私も研究してみたいと思います。
それから国庫補助、助成金等を同時に伴います場合、これは現在の防火帯の耐火構造にもあるわけですが、これらはやはりその助成金を引いて、公庫から残余の建設費に対して貸すというのが妥当ではあるまいかというようにも今考えておりますので、これはなお法律案が成立し、且つ実施案を立てるまでにとくと研究をしてみたいとは思つておりますが、一応の今までの考えでは、どうもその助成金等を含んだままで公庫の貸付金と二重になるという場合には、資金が余つて来るような場合がその部分については発生するかと思うのでありまして、これらは他との権衡等から考えまして、相当考究を喫する事案ではないか、かように只今のところ考えております。なおよく研究します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/90
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091・近藤信一
○近藤信一君 今の田中委員が質問されているのに関連しているのですが、この法律が通れば一階、二階の商店街でも事務所でもいい、三分の二が住居になればいいと、こういうことになるが、例えば商店街の連中が共同して法人組織を作り、そうしてここに五階建なら五階建を作り、そうして共同して法人を作つた人たちが商店街を作つて、下なり二階なりが余る。その場合に住宅に対しては権利金を取ることでできないことになつているらしいが、事務所だとか商店にして余つたところを貸す場合に、これは権利金を取ることができるかどうか、取つてもいいのかどうか、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/91
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092・鈴木敬一
○参考人(鈴木敬一君) 只今までの実施したところは、下の住居以外の部分には金融公庫から貸付けておりませんので、そういう場合の下の、例えば店舗等は権利金を取ろうが、或いは高い、まあ高いと言つても程度問題でしようが、店料金と言いますか、家賃を取るのは我々のほうの貸付けてない部分ですから自由だというような考え方でやつております。やつておりますが、今度の住居以外の部分の使用、高層部を貸代けるということになりますと、その辺をどうすべきがいいか、これは私のほうだけでも相当考究問題じやないかと思つております。恐らくその辺については、この改正法案にもあるように、主務省令が出べきであろうと思いますので、そのまだ草案等も連絡を受けておりませんので、御意見がありましたらこの際承わつておきまして、主務省のほうにもですが、我々のほうも御意見を尊重しまして考究を遂げたいと思つておる程度でございまして、実は明答を申上げる段階にないことをお許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/92
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093・田中一
○田中一君 さつき総裁のお話では、できるならば営利会社に宅地造成の分は貸さないで、非営利法人ならば望ましいという御意見のようでありますが、併しながらこうやつて法律が出た以上はこれに協力してくれというようなお話があつたのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/93
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094・鈴木敬一
○参考人(鈴木敬一君) いや、それはちよつと趣旨が違いますから、あとでお答え申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/94
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095・田中一
○田中一君 私はこれでやめますが、大阪ではどうしても電鉄会社にやらしておるという御意見でありますが、横浜ではまあ何とかして安い宅地を提供するんだから、市の公共団体が一生懸命安い宅地を見付けて供給しよう、こういうような意見であります。大阪の場合には、考えてみますと、電鉄がああやつて四方八方に通つているんですから、恐らく電鉄会社はもう何千万坪というような厖大なものをその沿線に買つていると思います。大阪の人は電鉄で通つておりますから、電鉄会社の土地を買わなければその余地がないというような見解から大阪はそうなつたのか、その点伺いたい。それから横浜の場合はまだまだ京浜電鉄とか東京急行とかああいう程度のものしかありませんので、やはり同じようなケースで電鉄会社は宅地適地をたくさん持つているのか、そういう点も一遍お帰りになつてお調べになつて報告して下されば非常に参考になると思います。これを一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/95
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096・鈴木敬一
○参考人(鈴木敬一君) 今田中委員から私の陳述に対しましてお繰返しがありましたが、甚だ失礼ですが私はそういう趣旨で申上げたんじやありませんので、仮に公共法人、地方公共団体に限るということになれば、私どものほうの審査なり貸付の苦労が非常に減ります。減りますけれども、この場合宅地開発といいますか、宅地を殖やす趣旨は非常に緊急の問題であり、少しでもものになるならば貸付けてものにしたい、そうして大衆の住宅建設、それに伴う宅地の獲得ということに便利をお与えしたいから、田中さんのいわゆる既成市街地の宅地の再開発、即ち立体化というんですか、それとも必要だろうし、一概に郊外でもないと思いますが、横浜市のごとき立派な市中に候補地があるのでありまして、そういう宅地を開発する、新旧両用に歩留りのある限り貸付をして、宅地の開発並びに再開発をすべきである。私はそれが必要であると思つておりますと同様に、公共団体とか公益団体ばかりに限ることをせず、たまたま電鉄会社でも自分のほうの利得のために開発事業をするというのではなくて、開発事業そのものから言えば利得を離れてやりたい。勿論電鉄会社の将来の運賃収入の増大というようなものはあり得ましようけれども、その開発事業そのものでは極力安く、まあ損もできますまいが、低廉に国民大衆に宅地を供給するということだつたらば取上ぐべきではあるまいか。ただそれには私のほうは苦労が増す、こういうようなことを申上げたのであります。どうかそのように御訂正を願つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/96
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097・吉田安三郎
○参考人(吉田安三郎君) 私冒頭に申上げました通り、公共団体だけではなかなか全部の需要と申しますか、いわゆる近藤委員からも御質問がありました通り、こういう宅地の分譲事業をやるなら、相当の量が供給できるようにやらなくてはなかなか効果が挙がりにくいということが一つ。第二点は、公共団体だけではなかなか所期の目的を達成することが困難である。どうしても過去に経験のある、私鉄その他の堅実なものを、只今鈴木参考人から申されましたように、十分内容その他を厳選してやり得る途を開いておくほうがいいんじやないか、こういう意味合であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/97
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098・内藤亮一
○参考人(内藤亮一君) 実は横浜市で私のほうの建築局で宅地開発予算を二十九年度当初予算に計上して頂くために、上司に説明しました場合に、助役の一人が、こういうことも結構だけれども、私鉄に任したほうがいいんじやないか、市がやらなくてもいいんじやないかというような意見もあつたのであります。あつたのでありますが、まあ郊外電車、私鉄の開発しておるところを見ますと、現下の住宅用地の獲得に一般に困つておる場合に確かにプラスにはなつております。ただやはり大体数千坪から一万坪程度が多いのでありまして、ただまあ詳しくは存じておりませんが、相当東京急行あたりが横浜、川崎の奥地でありますが、大体田畑でなくて丘陵地の山林でありますが、これを坪三百円くらいですでに数万坪買収しております。これは高速度自動車のバスで東京へ輸送しよう、横浜市民のためよりも、東京へ通勤する人々のための住宅地の提供に相当大きな計画を持つておるようであります。これは都市計画的に見てどうであるかということはまだ自分も詳しくは研究をいたしておりませんが、とにかく何度も申上げますように、いい計画であればこれはもう推進すべきであるし、貧弱な市財政ひとりでやるよりは、郊外電車が進歩的な企画を持つて、それぞれの独特な交通機関を利用して新らしく開発するということも決して悪いことじやない、地方公共団体だけが独占する必要もないし、又公共団体をシヤツト・アウトして、私鉄だけにやらす必要もない。大きな見地から、困つている人のために公庫はいい計画には融資して頂きたい、もうそれだけの心境であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/98
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099・田中一
○田中一君 もうやめますが、一体今まで国家資金を民間に流した場合に、結論のいいことがなかつたと思うのです。例えば占領軍の要求で以て炭住の問題について途中で行政措置で二十億の利子を打切つたり、造船の利子補給の問題にしましても、国家資金を少くとも民間の営利会社に流して、その結果がいい例がないのです。今回の疑獄事件も皆そうです。こういう観点から多少疑われるような法律は、我々は国会の立法者の権威において避けたいんです。横浜市が一生懸命に小田急に対して、おれのほうはできないからお前のほうでやれと言えば、これは大変なものなんです。一万坪を造成して売つても、残つておる数千坪の値上りというものはこれは大変なものなんですから、併し横浜市がやつてもこの場合には同じです。少くとも国家資金を、自分のほうに力がないから民間にやらすというような形のものは我々はとりたくないんです。こういう観点から申上げておるので、今日皆さんの結論を伺つたことは幸いでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/99
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100・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 参考人に対する質疑はこの程度で終りにいたします。
ちよつと参考人の方にお礼を申上げます。本日は長時間終始御熱心に御説明頂きまして、当委員会といたしましても参考になるところが多かつたことを有難く厚くお礼を申上げます。御苦労様でございました。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914149X02219540406/100
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