1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十七日(水曜日)
午後一時三十六分開議
出席委員
委員長 沖本 泰幸君
理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君
理事 齋藤 憲三君 理事 始関 伊平君
理事 福井 勇君 理事 石川 次夫君
理事 三宅 正一君
岡本 茂君 海部 俊樹君
桂木 鉄夫君 田川 誠一君
村上信二郎君 三木 喜夫君
玉置 一徳君 斎藤 実君
出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
国 務 大 臣
(行政管理庁長
官) 木村 武雄君
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 鍋島 直紹君
出席政府委員
科学技術庁長官
官房長 馬場 一也君
科学技術庁研究
調整局長 梅澤 邦臣君
大蔵省主計局次
長 船後 正道君
委員外の出席者
文部省大学学術
局審議官 渋谷 敬三君
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四月十七日
委員佐々木良作君及び近江巳記夫君辞任につ
き、その補欠として玉置一徳君及び斎藤実君が
議長の指名で委員に選任された。
同日
委員玉置一徳君辞任につき、その補欠として
佐々木良作君が議長の指名で委員に選任され
た。
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本日の会議に付した案件
宇宙開発委員会設置法案(内閣提出第六〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/0
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001・沖本泰幸
○沖本委員長 これより会議を開きます。
宇宙開発委員会設置法案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/1
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002・三木喜夫
○三木(喜)委員 きょうは、本委員会に付託され、先日説明のありました宇宙開発委員会設置法案について質問いたしたいと思います。
この宇宙開発委員会設置法案は、いろいろ検討してみますと、根本的な疑問がありますので、鍋島長官にまず質問いたしたいと思います。
最初に、われわれの立場について、御存じと思いますけれども、申し上げておきたいと思います。
この法案は、表面的には、先日ときょう審議されておるような形ではありますが、事実は、数回にわたりまして与野党の間で法案の問題点を検討しているわけです。そのわけは、原子力開発とこの宇宙開発は、いわば国の命運をかけた研究、開発、そして利用を含めたビッグサイエンスであり、あすのための投資である、このように考えるからであります。一党一派の問題でないという認識に立ったからでありますが、しかし、日時もないままいま少し煮詰めておりませんので、このままでは疑問点や問題点が残りますので、この際、ただすべきはただして、将来悔いのないものにせねばならない、このように考えるわけであります。
そこで、問題点を申し上げます。
まず、第一点は、先日も長官にお伺いいたしましたように、わが国の宇宙開発の国家目標がはっきりしておりません。したがって、この委員会法案でも、人工衛星とロケットの開発をするとありますが、何の目的で、何を開発するのか、明確にしておりません。原子力開発につきましては、平和利用に限定して原子力基本法を制定し、自主、民主、公開の原則を入れて国是をはっきりと確立をしております。そして、その基本法の上に立って原子力委員会設置法をつくり、原子力研究各種開発事業団等の機関をつくってまいったのであります。このやり方からすれば、宇宙開発においても、当然、宇宙開発基本法をつくり、そしてこの委員会設置法をつくる、さらには、事業団をつくるというのが順序ではないかと思うのです。
〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
なぜそれをやらなかったかというふうな疑問にいまぶつかっておるわけであります。この点について長官のお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/2
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003・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 宇宙開発につきましては、本年度から緒につかんとしつつあるというように申し上げてもいいかと思います。したがいまして、これについては原子力同様、国の総力をあげてこれの開発に努力するべきであろうかと思います。したがって、第一点として、国としての開発目標は、宇宙空間の研究という問題があり、さらにそれから進みまして、現実的に実用衛星を上げていく、その計画は、昨年の宇宙開発審議会等の計画にございますように、四十八年度の静止衛星、しかも、インテルサットを考慮しつつ、それらに向かって国民の総力をあげて実現をしていく、こういったことを当面の目標といたすわけでございますが、宇宙開発そのものは、さらに広い分野にわたるものであろうと考えます。具体的に申しますと、当然、原子力のほうで行なわれているように、宇宙開発の基本法といわれるものを同時に御提出申し上げ、さらに、これに伴う宇宙開発のロケットあるいは衛星等の打ち上げを実際に行なっていく実施体制、特殊法人になりますか、国の総力をあげた実施体制というものを考えて進めるべきであると考えますし、その方向に進むことは、私たちも宇宙開発審議会の答申にのっとって十分承知をいたしております。しかしながら、現段階におきまして、そういった体制を整えるためにはどうしても宇宙開発の一元化等の問題が今日までいろいろいわれておりまして、したがって、そういうことを総合して、いま申し上げたような形に踏み込むという、その中心的な、いわば実行を行なう機関として、宇宙開発委員会というものを設ける。その宇宙開発委員会によりまして、直ちに国の総力をあげて御審議を願い、内閣総理大臣に答申を願って、そうしてその手によって、いま申し上げました筋道を通って、少なくとも来年度からはもう実施体制に入らなければならないというような気持ちをもって、また、そうしなければならないということにおきまして、この宇宙開発委員会の設置をまず第一にお願いを申し上げておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/3
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004・三木喜夫
○三木(喜)委員 ただいまの御答弁に対しましても、疑問がやはり残るのですが、これはあとで触れてまいりたいと思います。
そこで、次にまいります。第二の問題点は、この法律案は宇宙開発委員会の設置法でありますが、わが国の宇宙開発は平和目的に限るという大前提と、自主、民主、公開の原則を踏まえねばなりません。この委員会設置法には、全くこうした原則的なものが明示されていないところに、国策上致命的な欠陥を見るわけです。そこで、長官にお伺いいたします。昭和三十五年四月、総理府に宇宙開発審議会を設け、数回にわたり首相の諮問に応じて答申をさせております。すなわち、昭和三十七年五月には「宇宙開発推進の基本方策」、昭和三十九年二月には「重点開発目標とこれを達成するための具体的方策」、昭和四十二年十二月三十日には「宇宙開発に関する長期計画及び体制の大綱について」などの答申がなされておるわけであります。そのうち昭和三十七年の答申には、平和利用に限るということがうたってあるし、四十一年八月の建議は、人工衛星を昭和四十五年までに打ち上げる能力を養うことと、きわめて明確に答えがあります。こうした答申を受けておきながら、今日までなぜじんぜん日を延ばし、平和目的に限る宇宙開発、さらに静止衛星の開発目標を明記した宇宙開発基本法をつくるべきであったと思うのですが、なぜつくらなかったかというその理由が、ただいまの御説明では明確ではないわけなんです。なぜつくらなかったかということをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/4
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005・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 宇田開発審議会の答申に沿うよりも、わが国におきまするこの体制をつくること、実行に移ることが非常におくれておることは、ただいま御指摘のとおりでございます。国の力としてこれをやるために、私の前任者あるいは前々任者等もずいぶんお考えになったことかと思いますけれども、この体制に至らなかった。しかも、その途中におきましては、御承知のとおり、一元化の問題等がありまして、国の総力をあげてこれを具体化するいわば話し合い等が十分つかなかったという点も、やはりおくれた一つの原因ではなかろうかと思います。しかし、昨年十二月の答申によりまして、少なくともそれに一元化し、国の総力をあげて開発していこうという一応の体制だけができたわけでございまして、その点、まことに恐縮でございますけれども、おくれております。これはまあそのときどきの方々によって努力をなすったかと思いますが、そこまでわが国の水準も、あるいはかく一元化体制ができ得なかったという点にあろうかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/5
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006・三木喜夫
○三木(喜)委員 ただいまの御答弁によりますと、宇宙開発基本法をつくるべきであった、しかしながら、一元化体制の整備が非常におくれたために、そのほうに重点を移した。したがって、今後、長官のお考えによりますと、これは早急につくるべきものだ、こういうように思っておられるというように認識してようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/6
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007・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/7
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008・三木喜夫
○三木(喜)委員 私も、この一元化の問題では、相当やかましく言ってきた一人でもありますので、ただいまのお考えはよくわかるのであります。しかしながら、この一元化がこれだけやかましくいわれた原因を探りますと、やはり基本法を最初につくっておったらそうした線に早く乗ったのではないか、こういうことがいわれるわけであります。ただいまのお話にもありますように、わが国の宇宙開発は東京大学の観測ロケットの開発に始まり、国としての確固たる政策も体制もないまま、東大のラムダやミューによる科学衛星を打ち上げる段階まできてしまったという実情では、よくいわれる、目標と、かじのない宇宙開発といわれてもいたし方がないのであります。こうした責任は一体どこにあるかということは、私はやはり考えなければならぬと思う。長官は、えらい酷な言い方のようでありますけれども、この際明確にしておきたいと思います。この責任は一体どこにあるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/8
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009・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 この責任につきましては、それぞれ見方もあろうかと思いますが、終局的にはやはり国の責任にあろうかと思います。とともに、それぞれ国の行政機関等におきまして、大局を見ないで、いわば自分のなわ張りと申しますか、そういった点に固執してきた点にもあろうかと思います。したがって、やはりこういう大型プロジェクトであり、国の総力をあげて行なう場合におきましては、大きな観点に立って最善の努力をしてこれをまとめ上げるということの努力が、やはり国の面において足りなかったのではなかろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/9
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010・三木喜夫
○三木(喜)委員 私もそういう御答弁をいただきますと了承いたすわけでありますが、とにかく責任のなすりつけ合いでなくて、お互い反省をし、評価をし、そしてさらに改革をしていく、やはりこういう考え方の中で科学の進歩があると私は思います。そういう態度でひとつ、今後、国の大きなナショナルプロジェクトに取り組んでいただきたいと思います。
次に、国際的に見てはるか緊急性のある実用衛星とその打ち上げロケットの開発が今日では非常に手おくれになっている、そういうあせりから、政界にも産業界にも米国の技術導入を言うものがあります。こういうような情勢から、ジョンソン米国大使に対し宇宙開発の日米協力を要請し、ジョンソン大使からも、誘導制御装置など米国が技術を提供した場合、秘密保護の保証を日本政府に求めているというが、これこそ宇宙開発に機密保護協定を持ち込むことになり、われわれの承知できないところであります。その真相をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/10
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011・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 アメリカの協力につきましては、一月の十七日、ジョンソン大使が内閣総理大臣に会われました際に、まあメモといったようなものを出されまして、前の年の秋に佐藤総理がアメリカに行かれましたときの声明といいますか、共同声明に基づく一つの協力体制としてこういうことを考えておるということを総理大臣に申し込まれました。これはアメリカ側の希望によりまして公表しないことになっておることも、御承知のとおりでございます。その内容は、すでに新聞等にも出ておりますから、大体御承知のとおりでございますが、簡単に言いますと、全面的に協力をする、通信衛星等の製作といいますか開発についても、あるいはそれを打ち上げるロケットについても全面的な協力をしてよろしい、こういうことをいってきております。極端な言い方をすれば、アメリカで打ち上げてあげてもいい、あるいは衛星をつくってあげてもいい、アメリカ製衛星をアメリカ製ロケットで打ち上げて、それに日の丸の旗をつけてもいいというような、そういう協力までしてもよろしいといったような協力体制を示してきておるわけでございます。そこで、それを関係省が持ち帰りまして、事務的にどの程度アメリカの協力を受けるかということになりまして、中間報告としては、一応事務的段階として、現在、日本としての態度をきめるから、それまでお待ちを願いたいという返事を出してあると思います。基本的には、科学技術庁としての態度では、そういった全面的な協力ということよりも、やはり日本としては、あくまで自主開発をしていかなくてはならい、自主開発をしていく場合、それはあくまで平和利用であり、それから自主、民主、公開の原則にのっとっていくわけでございます。それらを十分調査するために調査団も実は出しておるわけでございます。あくまで自主開発をやって、どうしても自主開発ができ得ない、たとえば制御装置等の部分等につきましては、それは、場合によっては、協力を得ることもあろうと思いますけれども、そういう基本的な方針に基づいて、現在、アメリカから申し入れてきた協力体制に対する返事を事務的段階で検討中でございます。なお、幸いにして宇宙開発委員会等が発足することができますれば、まず、宇宙開発委員会にこれも当然おはかりし、宇宙開発委員会の御意向によって返事を出す、それまで返事を待つべきではなかろうかというふうに私としては考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/11
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012・三木喜夫
○三木(喜)委員 大臣のお考えに対して、私も賛成の点がかなりございます。しかし、ちょっと私、ふしぎに思うことは、過去四号答申と、四回諮問し、そして答申を受けておるわけなんであります。その中に、外国の技術導入にいたしましても、ただいまお話しになったようなことを審議会は答申しておるわけです。そういたしますと、何回も同じことを聞くということになって、いつも国の方針が低迷しておらなければならない、こういうことになるわけであります。そこで、これは委員会の所掌事務にもなるのですけれども、一たん審議会で審議し、そして四回も答申し、建議が一回あるから、五回ですね。三十五年からこちら、いろいろ、ああじゃない、 こうじゃないといってやってきた経緯があるわけですね。それをいまになって、そういうことをもう一ぺん委員会で聞くのだ、そのための委員会だということになりますと、いままでの審議会は何をしておったか、こういう疑問に私たちぶつかるわけであります。それはそれといたしまして、昭和三十五年三月二十五日の衆議院内閣委員会で、宇宙開発審議会の法案に対しまして附帯決議をつけております。その中に、「政府は宇宙の開発にあたり、国際的には常に世界平和を念願して、国際機構の確立と育成に、最大の努力を期し、」「国内的には、関連する各分野における基礎的研究をもあわせて、均衡ある総合的計画を策定し、かつ此の計画の実施にあたっては常に公開の原則を守り、民主的かつ恒久的な開発を期すべきである。」こういうようにしております。これこそ、わが国の宇宙開発の原則であろうと思います。長官もいま述べられたとおりでありますが、そこで、平和、自主、民主、公開の原則と国際協力を重視しておりますので、私は技術提携や技術導入をやって国際的交流をすることを否定するものではありませんけれども、秘密保護という名のもとに他国に首の根っこを押えられて、また機密保護法制定への端緒を開くということになりますと、これは非常な不安を感ぜすにはおられないのであります。こうした面からの長官のお話はいまなかったわけであります。その点について、どういうぐあいにお考えになっておるか、答弁を求めたいのであります。
さらに、さきにも言いましたように、宇宙開発審議会の第一号答申第三章には次のように書いております。「わが国の宇宙開発は、平和の目的に限り、次の基本原則の下に行なうものとしている。(1)自主性を尊重すること、(2)公開を原則とすること、(3)国際協力を重視すること」こういうようになっております。したがって、国際協力ということを否定するものではありませんけれども、しかし先がた申しましたように、二つの不安があるわけであります。この点についての長官の考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/12
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013・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 日本におきます宇宙開発は、あくまで将来におきまして——いまでもそうでございますが、将来において委員会等ができれば、ただいま言われましたように、平和目的に限る、それから自主、民主、公開の原則によって、これは当然やっていかなくちゃなりませんし、やるべきであると考えます。その点から、アメリカとの援助協定といいましょうか、かりにあるとしても、まずアメリカ自身が機密に属するようなものを持ってきて、秘密協定をつくらなければならぬようなものを公開してくるとは思いません。当然、日本の場合においては、あくまで自主、民主、公開ということを原則にしますから、その主張あるいは主義を変えない限り、アメリカからは持ってこないのではなかろうかと思いますし、それは堅持していくつもりでございます。したがって、今後アメリカに限らず、他国からの協力がありましても、それは承知で協力していただかなければならぬということになろうかと思います。何か技術の面におきまして、それとは別に協力を要請し、あるいは向こうからもらって秘密保護協定というようなものを結ぶというつもりは全くございませんので、この点は御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/13
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014・三木喜夫
○三木(喜)委員 よくわかりました。
そこで長官にお伺いしたいのですが、宇宙開発基本法は早急につくるべきであると長官は言っておられますが、私もそう思います。この法案は、内閣提案か議員提案かは別にいたしまして、基本法は当然この原則を踏まえてつくるべきだと思うのです。長官の所見を求めたいと思います。
〔石川委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/14
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015・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 宇宙開発基本法を考えていきます場合、現在大型プロジェクトとしてもう実行段階に入っております原子力基本法にやはりある程度準ずべきであり、その中心である平和利用に限るということと、それから、先ほど来申し上げております自主的な開発、民主的な運営、それから公開ということにつきましては、基本法の二条になりましょうか一条になりましょうか、少なくとも冒頭にそのことをうたって、宇宙開発の基本にしていくというふうにしなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/15
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016・三木喜夫
○三木(喜)委員 次に、法案の内容に入りたいと思います。
この法案の内容にありますところの宇宙開発のあり方がきわめて、狭いということであります。この法案の中に宇宙開発の定義として、人工衛星及び打ち上げ用ロケットを開発し、人工衛星打ち上げ及び追跡をするということと同機器の開発だけしかあげておりません。利用と観察、垂直に打ち上げるロケット等が入っていないのであります。元来、宇宙開発には広い範囲があるのに、この委員会の所掌範囲が非常に狭いために、宇宙開発の全体を見通し、バランスのとれた企画と審議がおぼつかないという不安があるのです。この委員会法ではどこかのメーカーの下請委員会だという酷評さえあるわけであります。この点について私たちは非常に不満に思うのですが、長官のお考えをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/16
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017・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 宇宙開発委員会設置法案の所掌事務のところに、ただいま御指摘のとおり人工衛星、それからそのロケット、これに伴う追跡あるいは施設というようなことを一応あげてございます。これは少なくともさしあたっての目標であり、それとインテルサットの関係もあり、これを急務として行なっていくということのためにあげたわけでございまして、宇宙開発委員会設置法案といいますか、宇宙開発委員会の所掌する事務と申しますものは、現実の問題として、日本の宇宙開発のあらゆる面における中心をなすものであろうと思いますから、ここにあげなくとも、現在まだ将来のことと思われる月ロケットとか宇宙空間のいろいろな研究、そういった点におきましても当然管掌していただく。その政策の決定なり今後の方向をきめていただくという意味において、委員会が中心になってこれを行なっていただくというふうに考えるべきである、そのように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/17
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018・三木喜夫
○三木(喜)委員 一たん委員会設置法をつくりますと——宇宙開発審議会は、三十五年から今日まで相当長いことこれが続いておるわけであります。その間に、宇宙の開発の現状は、国際的に見ましても、非常な進歩を示しておるわけであります。しかし、われわれの手が届かないからということで、あえてこの所掌範囲を狭い範囲にとどめておることは、一つには、垂直に打ち上げるロケットの中には、ICBMとかABMというような軍事利用の面も入るわけでありますが、そうした点からこれをあえて抜かしてあるのではないか、このような疑問をわれわれは持つわけであります。力がまだそこまで及ばないという御説明ですけれども、それよりも、そうした疑問のほうが大きいわけであります。
この間は長官がおいでになりませんでしたが、科学技術庁の説明をいろいろ聞いて、一体この宇宙開発委員会の仕事の範囲内にどういうものがあるのかということで図示を求めました。これであります。宇宙飛しょう体の図であります。それが一、二、三、四、五と五つ書いてあります。そしてこの委員会が直接つかさどるものは、このまん中にある二つだけだ、こいうことなんですね。いわゆる観測ロケットは入っていない。これは東大との関係があるからわかりますけれども、その点は私は遠慮してもいいと思いますけれども、直接打ち上げるロケットでは、いま言うような軍事利用があるわけなんです。それがはずされておる点と、それから月ロケットと月軟着陸、それから人工衛星のこれですね、マリナーと書いてある、こういうようなものはもう早急に——月までわれわれはどうするんじゃない、こうおっしゃいますけれども、やはりそんなことくらいは考える委員会にしておかなかったら、私はいかぬのではないかと思うのです。そういう意味合いで、この間から科学技術庁と話し合う中でこの問題を提起しておったわけであります。そこで私は、その範囲が非常に狭い、これでは全体が見えなくなってしまうし、時代おくれになるのではないか、このように指摘しておるわけであります。そういう点、どういうぐあいにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/18
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019・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 ただいまの御指摘の点は十私分もわかるわけでございます。ただ、非常に遠い将来といいますか、現実にこの実用衛星、それの打ち上げ、追跡ということを、インテルサットの関係上、まず行なうということを明確に設置法はしてあるわけでございまして、それ以外はしないというわけではございませんが、そのものにひとつやっていただきたい。あと五年、十年たちました後に、いわゆる宇宙空間におけるいろいろな大きな問題、特にこの文書に書いてございます月ロケット、月の軟着陸あるいは人工惑星というような広い面になりました際におきましては、これはあるいは軍事利用との関連も出てくるかもわかりません。しかそういうことじゃなくて、これは将来において十分委員会等で御審議を願い、その平和利用について確信が出てきたときにそれをやっていく。しかも、そのときにはすでに宇宙開発基本法も国会にお願いして、日本に制定せられておるときだと思います。第一段階としてこの設置法をお願いし、将来におきましては、これらのことはまた当然考えていくべき問題でございますが、いろいろ現在では手が伸びないと申しますか、そういう点もありますから、さらに次の段階として宇宙開発基本法をきめて、それではっきりして、そうして、おそらくその際におきましては、宇宙開発委員会が設置せられておりますれば、それからの御要望等もありましょうから、設置法の改正というような形へ入っていくべきであろうということでお出しをしていないわけでございます。この点ひとつ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/19
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020・三木喜夫
○三木(喜)委員 漸進的に改革していく、こういうように了解していいわけでございますね。
次に、この委員会の権限は、原子力委員会の権限と比べまして非常に弱いものになっておると思うのです。たとえば、前者は、議会の同意人事であり常勤であるのに比べ、後者は、内閣の承認と非常勤になっております。これでは前の宇宙開発審議会と何ら変わらないことになる。一種の諮問機関にひとしく、今日まで宇宙開発の一つのガンでありましたなわ張り争いといいますか、そういうものが解決つかぬのじゃないだろうか、私たちはそういう心配を持つわけであります。権限を非常に強くせよと言うわけではありませんけれども、せめて原子力委員会ぐらいの権限にしておく必要があると思うので、これに準じた方向に改正、いわゆる修正はできないか、こういうふうに私たちは言っておるのです。しかし、政府の立場として、修正してくれというようなことは言えないだろうと思いますけれども、その権限の弱い点、なぜこういうように弱くしておられるかということについてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/20
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021・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 常勤、非常勤委員の問題につきましては、原子力委員会の例といったことではなくして、実際においてこれを運営していくということを考えました際に、常勤委員、非常勤委員、そしてその重要性から見まして、やはり現在の日本における一番よりすぐった方にお願いをして、そうして、十分御審議を願って内閣総理大臣に御答申を願う、こういうことにする、そのためには、やはり今日最高の方に来ていただき御審議願うというには、常勤にいたしますと、おのずからその報酬等もきまってまいりますし、なかなか得られないといういろいろな運営の面があるわけでございます。そういう点から考えまして、まずさしあたり、とにかく非常勤委員の方によって最高のスタッフをそろえて運営をしていただくというふうにしたほうが妥当ではあるまいかということで、実は非常勤という形をとっておるわけでございます。したがいまして、今後の運営の次第におきまして、あるいは国会におかれても、そのほか、実際の運営の面で、あるいは運営に当たられる委員の方によって、これはもう常勤がいいということになりますれば、また、その際には十分ひとつ検討を加えて、常勤、非常勤の問題は今後研究問題としていきたいと思います。しかし、いま現在考えていく場合におきましては、日本の最高のスタッフをそろえ、しかも、御審議を願う場合に、ずいぶん報酬そのほかで違いますので、なかなかいい委員が得られないのではないかというようなことから、以上のようにしたわけでございます。
次に、国会承認の人事につきましては、国会承認の人事も非常に多いといったようなこと、いまのような、これから発足しようというようなときにおきましては、ある程度内閣が責任を負ってやったほうがいいのではないかという議論があり、一応内閣の方針としては非常勤委員でいこうではないかという点にきまったのでございます。私個人としては、委員自体の権威をつける上からも実はこの点に多少の疑問は持っております。事実また私も国会議員でございますから、そういう面から見ると、やはり国会承認人事というものにしたほうがあるいはよろしいのではないかというふうな気持ちは、個人としては持っておりますが、内閣の方針からば、いま私が申し上げたような理由もあって、法案作成の際には、承認人事じゃなくて内閣の任命という形になったわけでございます。なお、この点はひとつ十分御審議をいただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/21
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022・三木喜夫
○三木(喜)委員 個人としてのお考えまで述べていただいたわけでございますが、結局、これは勘ぐった言い方かもしれませんけれども、科学技術庁のいわゆる言いなりになる委員会、こういうようなものを考えておるのではないかと思うのです。こういうような小手細工を弄して、大きないわゆるナショナルプロジェクトと取り組む国の姿勢としては、いや俸給がどうだとか、人が得られぬからどうだとか、そういう、何かもうちゃんと人を予定しておいて法律案をつくるというような考え方、これはやはり非常にスケールが小さくなりますし、なお、文部省だ、また科学技術庁だという争いが、これでは解決つかぬと思う。科学技術庁に所属するような形の委員会では困ると思う。そこで私たちは、権限はもう少し強くする必要があると思うのです。はたせるかな、やはり審議会もそういう答申をしておりますし、自民党の宇宙開発特別委員会でも「原子力委員会に準ずる。」こういうように明らかに打ち出しておるのですから、それをことさらに小さくしてしまわれたところには問題があろうと思うのです。
きょう文部省からも見えております。将来こうしたことで争うべきでない、学問の府としての大学においては研究をしっかりしていただいて、開発、利用、そして打ち上げ、こういうことに大いに力を尽くしてもらいたいと私たちは思います。そこで文部省としては、この委員会のあり方、この間も聞きましたが、このような委員会でいいのかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/22
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023・渋谷敬三
○渋谷説明員 宇宙開発委員会の性格をどのように考えるかということにつきましては、先般の宇宙開発審議会におきましても、いろいろ論議のあったところでございます。しかし、結論におきまして、答申にもございますように、かなり強力な委員会が考えられていると思います。この答申につきまして、答申のあります最後の総会におきまして、文部省としてはこの答申に異存がないということを申し上げておるわけでございます。その後、これを法案にまとめるにあたりまして、これは科学技術庁におきまして関係各省と協議して法案を用意されたわけでございますので、その間、科学技術庁としても、非常な努力をされて法案をまとめられたわけでございます。その際、たとえば、委員の常勤か非常勤かというような点、答申と違うことになった点、あるいは原子力委員会と三、四の点で違っておると思いますが、そういう違うことになった点につきましては、科学技術庁側から逐一その理由等について御説明を受けて、それでいま長官からもお話がございましたが、科学技術庁側のその御説明につきまして、文部省側も、ごもっともであるということでこの法案に同意いたしておるわけでございます。そういうことで、いろいろな段階はあったと思いますが、基本的には、文部省としては答申に賛成しておるわけでございますが、法案を用意される段階で科学技術庁がいろいろ努力されましてここまで持ってこられたわけでございまして、その違った点につきましては逐一御説明を受け、文部省としてもごもっともであるということで、この法案に同意しているわけでございます。そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/23
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024・三木喜夫
○三木(喜)委員 次に、問題点は宇宙開発予算です。一つ一つ、四十一年、四十二年、四十三年と予算は申し上げる必要がないと思います、ここに資料も出ておりますから。しかしながら、こうした大きなプロジェクトを進めようとするならば、当然今後、昭和四十八年度までに総合的、全体的計画を予算の面からも立てられなければならぬと思うのです。動力炉開発予算が約二千億、こういうようにしております。宇宙開発全体の予算をどのように考え、今後この予算獲得をどういう方法でやられるのか、毎年困っておるようなことではいけないと思うのです。その点、長官のお考えを聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/24
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025・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 予算の獲得、あるいは予算の大綱につきましては、大体四十八年度に静止衛星を上げるに至ります予算は、今後千五百億前後必要ではなかろうかと考えます。そのうちで五百億弱前後がおそらく研究、これは文部省関係ではなかろうかというふうに思うわけでございます。したがって、それの総ワクは、大体見当はつけておりますが、現実にはやはり、委員会設置とともに、速急に、今後におきまする、大ざっぱな衛星を上げる計画をさらに緻密に、かつ詳細にきめまして、四十五年度のロケット打ち上げ、四十六年度の実験的な打ち上げ、四十八年度の静止衛星の打ち上げというふうに、大体の総ワクはきまっておりますが、それに伴います詳細はまだ十分研究され尽くしておりませんので、それを委員会におかけして速急にこれをおきめいただいて、そうして年度計画を立てて、これは財政当局と話をして、そういった一応の計画のもとにこれが遅滞なく進められるように、これは最善の努力を財政当局としなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/25
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026・三木喜夫
○三木(喜)委員 こういう法律案や、それから体制づくりということに前大臣の二階堂さんは非常に苦心されました。私はその苦心のほどをよく承知しておりますが、今回鍋島長官は、この予算を長期的にどうつけるかということが、私は長官に残された大きな仕事じゃないかと思います。これが不安定では宇宙開発も何もあったものでないと私は思います。その点の努力を予算面できちっと規定づけていただきたいのです。きょうは大蔵大臣にも来ていただきますけれども、その点はやはり私たちもやかましく申し上げなければいかぬと思っております。
ともあれ、十年前の科学日本の眠りをさましたものは、一九五七年十月ソ連のスプートニク一号が九十六分間で地球を一回転したことであろうと思います。そのためにわが国では一九五九年科学技術振興対策として科学技術会議を総理府に設置し、一方、教育の面では、小中学校の科学重視の指導要領に改正して、科学技術と科学教育振興に重点を移したはずであります。それから十年、アメリカでも宇宙開発については目ざましい技術の進歩を示しておりますし、特にソ連においては金星四号は四十二年六月十二日から十月十八日まで実にえんえんと百二十九日、三億五千万キロのこの長いコースを飛び続けて金星に軟着陸した。その誘導技術のすばらしさはただただ私たちは感嘆のほかはないわけであります。これは人類宇宙開発史上画期的なできごとであろうと思うのでありますが、アメリカにおいてもサーベーヤーは月の土をかき集めて、これを研究しておる。こういうように二大国は長足の進歩をしております。
この間、わが国の宇宙開発は一体どれくらい発達をしたかと考えると、ほんとうに格差は開くばかりであります。この原因は一体どこにあるか。やはり国の予算が少ないということもありましょうし、科学者の数、待遇にも考慮すべき点が多いと思います。さらに今日まで、宇宙開発に対する国家目的がさだかでなかった、国の研究体制が定まらなかったところにも大きな原因があると思います。そこで宇宙開発基本法、宇宙開発委員会設置法、宇宙開発事業団法、それに科学技術庁に宇宙開発局と、体制を早く整える機運になってきましたが、しかし、ここにやはり障害があります。一省一局削減、公社公団まかりならぬという行管の壁があります。これをどうするのか。こういう点は、どういうように打開していくか。国として大きな方針のもとに、いま言いました体制を整えなければならないのです。大臣はその方策をどのように考えておられるか、担当大臣としてお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/26
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027・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 科学技術庁としましては、率直に申し上げまして、この間も申し上げましたように、現在どんどん発展していく大型プロジェクトを中心に、さらに新しい技術の面にこれを指導育成していくということになりますと、技術屋はもちろん、一般事務的な人にしても十分とは言えません。したがって、一省一局を削減するというふうなことは、実はおそらくほかの省に比べて非常に困難性があると思います。むしろそれより増員していくべき科学技術庁であろうと私は考えます。しかしまあ一省一局削減は、これは佐藤内閣としての大号令であって、それを強力に推進するということの方針には、これは私も一国務大臣として従わなければなりませんので、これに実は従って今日に至っておるわけでございます。しかし、来年度におきましては、幸いにして宇宙開発委員会が発足をして、ほんとうにこれが具体的に行動をしていく場合、それを所掌するところの事務的な局が必要であることは、これはだれが見ても当然でございます。さらに一元化の一つの大きな所産として、特殊法人の事業団になりますか、あるいは他の形態になるか、これは別としまして、われわれは事業団を考えております。したがって、少なくともこの事業団をつくって発足せしめるということは、これはもう当然のことだと思います。しかし、現在事業団はふやさない、局の増設を許さないという一応のワクはございますけれども、来年度においては、この点の交渉を重点にして、いま申し上げた基本的な観念に基づいて、その所管庁である行管と、これはもう強い交渉をしていかなくちゃならない。そうして、現実の問題として考えていきます場合、決して科学技術庁が人員を縮小するとか、部局をなくなすような官庁でないという基本原則に立って、いま申し上げました事務局の問題なり事業団の問題については、これの増設を交渉してまいるという方針で進みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/27
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028・梅澤邦臣
○梅澤政府委員 ただいま大臣が申し上げましたのにちょっと補足さしていただきますが、先ほど三木先生が言われました局の削減、ここにもございますが、やはり宇宙については相当一丸としてやらなければいけないのじゃないかということで、参事官を一人もらいました。それに基づきまして、各局からある程度の人間をさきましても、もう一つ課をつくりまして二課と参事官という形で小さいながらも一つのまとめをとろうというのを今年度じゅうにやろうとしております。それから、推進本部が事業団になりませんでしたが、これもできるだけ推進本部の中で事業団的要素を出すということで、推進本部の中に技術顧問制度をとります。それから、技術委員会、運営委員会、これに官、学、民が相互協力してやれるような体制をさしあたり考えてみたい、この法律が通りますと、すぐさしていただきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/28
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029・三木喜夫
○三木(喜)委員 大勇猛心をもってひとつやっていただきたいと思います。新しくできた省庁でありますから、その中には時代の要請をちゃんとうしろに背負ってやっておられる仕事が多いと思います。私はこういう持論を持っておるのですよ。平和か戦争か、こういうような立場に立って、平和のほうが非常に大きくウエートが乗ってまいりますと、軍事のほうがだんだん少なくなってくる。現に、防衛庁におきましてはどんどん人をふやしておる、それとちょうどシーソーのようなかっこうになるのじゃないかと私は思います。こちらにウエートを置いて国がやってまいりますと、こちらの人員がふえ、軍事のほうがだんだん少なくなってくる、私はこういうことを思います。わが国の行く一つのバロメーターを皆さんのところで示されると思いますので、努力していただきたいと思います。
もう一つの隘路は、これは長官にひとつ十分御努力いただいておるだろうと思いますけれども、ぜひお聞かせいただきたいことは、文部省の東大のロケットも、科学技術庁のロケットも、根っから打ち上がらぬじゃないですか。こんなことで、進歩だとかなんだとかいうようなことを、ここで幾ら論議してみても、だめなんです。私は、漁民の納得を得ていないだろうと思いますし、さらに米軍の演習場、防衛庁の発射場、東大のロケット、科学技術庁のロケットの発射場を宮崎の辺に集中しておるところに私は問題があろうと思います。この点の批判だとか漁民の立場に立ってものを言う、これはちょっと別問題にしまして、端的にこれが一つの隘路になって打ち上がらぬ、このことは一つの壁だと思いますので、その点についてお聞きして、そして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/29
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030・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 種子島射場と、それから内之浦射場が、漁民のためにまだ交渉がつかないでストップしておることは事実でございます。だんだん調べてまいりますと、やはりいろいろ複雑な関係があって、漁民の方も、リマ水域の関係等から、どうしても種子島漁場というものを必要とするということで相からみ合っておるわけでございます。現段階におきましては、宮崎、鹿児島あるいは高知、愛媛等が大体この対象でございますが、一応鹿児島、愛媛、高知等は大体の話し合いがほとんどついておるわけでございます。宮崎におきましては、昨年暮れといいますか、十一月に黒木宮崎県知事にその交渉方を御依頼いたしまして、黒木知事によって、宮崎県の十漁業組合に対して、それぞれいろいろな御交渉を熱心にいただいて今日に至りました。幸いに年を越しまして、二月に入りましてから、宮崎県で一番対策をせられておりました一組合のほうも、少なくとも宇宙開発の重要性はわかるので、今後の漁業対策について十分国としての誠意を見せるならば交渉に乗ろうではないかというような段階に達しました。今年度はといいますか、本年度ありました三千万円の予算、それに昭和四十二年度の予備費から約三億五千万円を国に要請をしまして、大体のワクをきめてあったのでございますが、それが本年度に繰り越しまして、それを用意して現在その交渉に当たっておるわけでございます。宮崎県知事に約十日ほど前にお会いしましたときに、全力をあげてこの交渉をやりたいと思うから、もうしばらく待ってくれというお話でございます。内容につきましては、いろいろデリケートでございますから、申し上げません。これはいろいろまだ交渉ごとでございます。しかし、私たちの見通しとしては、近きうちに何とかこの交渉も妥結の線に向かって、そして、少しおくれましたけれども、こちらの発射もでき得るようになるであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/30
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031・三木喜夫
○三木(喜)委員 次に石川さんの質問がございますので、ただ一つ、いまの漁民との交渉にあたって要望しておきたいと思います。成田や王子のような強圧的な点はないのでしょうね。そういうようなことをやられると、また、科学の進歩といいながら漁民の基本的人権が侵されるというようなことになればたいへんなことになると思いますので、十分御注意いただきたいと思います。
それから、ただいまの質問を通しまして基本的な質問だけいたしました。問題点がだいぶ残ってまいりましたし、出てまいりました。この小さい点につきましては、後日詰めて明らかにしたいと思います。そのときまで延ばさしていただきまして、きょうは質問をこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/31
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032・沖本泰幸
○沖本委員長 次に、石川次夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/32
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033・石川次夫
○石川委員 三時に総理大臣が来られるので、もうあと二十分しかございません。したがいまして、私の質問は、とても思うことの一割も申し上げることができないのではないかと思うのですが、簡単な問題からまず質問をしたいと思います。
その前に、この宇宙開発の問題とちょっと違うのでありますけれども、新聞で最近たいへん大きく取り上げられている阿賀野川の問題が実は一つあるわけであります。この見解の内容は、まだ最終決定にはなっておらぬわけだけれども、日本経済新聞にこれが抜かれたのかどうか知りませんが、通産省の案と非常に近いものができているということでたいへんな論議を呼び起こしているわけであります。したがいまして、この最終見解が出れば、さっそくわれわれのほうもいただきたいと思いますけれども、実は科学技術庁というところは、もっぱら公正に、科学的にこれを判断して結論を出す庁であるという期待を持っているわけであります。この阿賀野川の問題の根源を科学的に断定するということは非常にむずかしい問題であろうということは理解できます。しかし巷間非常な疑念を持たれているのは、科学技術庁は通産省と非常に近いのだから、したがって、通産省と非常に近い案が出るというのも、科学技術庁の持つ性格上けだしやむを得ないのかというような疑惑の出る余地のないような見解をぜひ出してもらいたい。いずれこれはあとで取り上げて質問をする機会があろうかと思いますけれども、いまのところは暗中模索でありますので、その点だけを強く要望しておきたいと思います。
それから宇宙の問題で簡単な、時間の範囲内でケリのつくような問題をお伺いしたいと思いますけれども、宇宙開発というものが行なわれて、人工衛星が飛びかうということになりましてから、各国間でどういう協定をつくるかということで宇宙条約が一応できております。宇宙条約はできておりますけれども、その第二条でありますか、「月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国による取得の対象とはならない。」こういうことが一応きめられて、国家でもって独占をすることは認めない、こういう原則的なものが国際間の協定できまったわけであります。ただ問題は、人工衛星は現在千個ぐらい飛ばして、まだ現在でも相当数のものが残っていると思うのであります。その中の半分近くが、三分の一以上が大体軍事衛星ということで、敵地に乗り込んで——敵地ということばは妥当ではございませんけれども、地上の観測をするという役割りを果たしているということに対するいろいろの論議がいま起こっているわけであります。それは、一つには空間はどうにもしかたがないのだ、これは全部野放しだ、これは規制のしようがないのだという意見があるわけであります。それからあと一つは、宇宙飛行体の自由というものを全面的に認めるべきではない、これはある程度制限をすべきではないか、こういう意見もあるわけであります。それから、ある一つの意見としては、一つの国のある一定の高さまでは、その国の領空権として認めよう。それから上は、領海の自由と同じで、どうにも規制のしようがないではないかというようなことで、一定の高さまでは領空権というものは認め、それ以上はもう自由にしよう、こういうような意見が国際間で、国によっていろんな意見となってあらわれて、この統一がまだはかられておらないというのが実態ではないかと思っております。究極のところ、こういう問題については、いわば宇宙法というようなことになろうかと思いますけれども、国際連合を中心としてきめていく以外にはないのだ、こういう結論になるだろうと思いますけれども、その点について政府として、何らかの統一見解といいますか、はっきりした見解はきまらないまでも、こういう見解が正しいだろうと思うというような一応の見解がおありならば、ひとつお聞かせ願いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/33
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034・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 ただいま石川委員のお話しのように、世界におきまする人工衛星の打ち上げ状況は、もう御承知と思いますが、大体ここにございます一九六七年の統計によりますと、七百三十三個というふうになっております。あるいは最近また打ち上げられておりますから、大体八百くらいになっておるかと思いますが、そのような状況でございます。
したがいまして、この宇宙の問題について、いま宇宙条約といわれます、月その他の天体を含む宇宙空間の条約、これ以外に、いま言われましたような関係で、宇宙空間の問題に関する条約を結ぶ方針について、政府が何か考えておるかということでございますが、残念ながら、私も科学技術庁長官をいたしておりますが、はっきりした政府の方針というものを聞いておりません。ただ、それをきめる場合においてば、やはりわれわれ担当としてこれを考えていかなくてはならぬことでございますから、それらについての基本的な考え方を申し上げたいと思います。
まず第一に、これらのことについては、一応国際連合において当然検討さるべきことであり、その検討をすることについては、その時期は、私はまだ見当つきませんが、そのチャンスを見て、日本政府としても態度を決定して、国際連合にこれの検討方を申し入れるなり、あるいは日本としての案を考えるなりしていくべきであろうと思います。そうすることによって、一応各国の考えておることもわかりますし、まだちょっと見当もつかないような問題ではございますけれども、一応先進国であり、人工衛星を打ち上げておる国々の考え方が見当つくであろう。そういうことに対処して、少なくとも一部の国のみが独占をしたり、あるいは、何か一部の国だけがこれに伴って特例な権利を持つというようなことがないように、われわれとしては考えていくべきであろう。その程度しか考えておりませんが、一応申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/34
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035・石川次夫
○石川委員 これは、私もこういう考え方が正しいのだということを言い切るほど確信を持っているわけではないわけであります。たいへんむずかしい問題であろうと思いますけれども、やはりこれから相当議論になる問題ではなかろうか、こういう感じがしますので、この点については、よく政府のほうでも、ある程度の見解の統一というものを考えておく必要があるのじゃなかろうかという意味で、私は問題として提起をしたわけであります。この点は、今後の問題でありますから、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
それから実は、おととい科学技術庁長官に質問をしましたけれども、時間がありませんで、中途はんぱになっておりましたので、続いて質問したいと思います。
それは、この前の科学技術庁長官の答弁では、宇宙開発を何のためにやるか、その目的いかんということについて、きょうあらためてまた三木委員のほうから質問がありまして、答弁をされまして、だいぶ前進をされたと思っております。おとといの答弁とはだいぶ違っておるようであります。それはよろしいのでありますけれども、しかし、まだまだこの目的というものをいま少し究明してみたい、こう思うのであります。この間の説明でありますと、先導技術としての技術開拓という目的、意味が一つあるということと、国民の福祉、繁栄というものをもたらすという、きわめて抽象的な答弁でありまして、したがって、それに基づいてやることば何だといえば、とにかく衛星を上げるのだ、こういうことだけのような御答弁であったわけであります。きょうはだいぶニュアンスが違ってはまいりましたけれども、しかしそういう総合的に受ける感じとしては、科学技術庁長官としては、ほんとうに科学的に目的を究明して、このためにこれをやるのだということではなくて、何か上げればいいのだというようなことでは、私は科学技術庁長官の任務を全うしたものではないというような感じを受けるのであります。端的に言いますと、これは国威宣揚という意識と、あるいはロケット技術というものを開発するということに重点をしぼるということになれば、三木委員のほうから言われたように、軍事技術とのきわめて密接な関係というものが生まれてくる、邪推かどうか知りませんけれども、そういうふうに思われてもしかたがないのではなかろうか。
質問をいたしますけれども、ICBMを打ち上げた時期、あるいはスプートニク第一号を打ち上げた時期、これは長官御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/35
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036・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 私、よく年代までわかりません。ただ一九五七、八年、その辺であったというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/36
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037・石川次夫
○石川委員 私も最近こういうことがわかったのでありますけれども、一九五七年の八月にICBMが飛んでおります。それから、同じ年の十月に、人工衛星の第一号が飛んでおるわけであります。スプートニクの第一号が飛んだその発射装置は何を使ったかと申しますと、ICBMを飛ばしたそのロケットを使ったであろうということは、もう定説になっておるわけであります。したがいまして、平和利用と軍事利用というものは、ほかの国ではむしろ軍事利用というものが先行しておるということになっておるわけでありまして、原子力と同じようにもろ刃の剣になっておる。このことはひとつよく御記憶を願いたいと思います。最近ソビエトにおいて発表されておりますスクラグというものでありますけれども、これはソ連のICBMで、大体広島、長崎の二千五百倍の威力を持つ五十メガトンの水爆弾頭をつけて地球上どこへでも行ける。こういうものの発射装置は一体何だというと、これはやはり人工宇宙船を打ち上げたブースターを使っておるわけであります。したがいまして、これもどこからどこまで見ても、軍事関係と平和利用というものは、外国においては少なくとも密接不可分の関係でこれが開発されておるという事実を忘れてはならぬと思うのであります。したがいまして、日本の場合には、憲法において厳然と平和目的ということが国是としてきまっておるわけであります。先ほど申し上げましたように、科学技術庁長官は、とにかくロケットを打ち上げるんだということにあまり集中的な目的の表現をいたしますというと、これは軍事利用と密接不可分の関係だということから関連をして、ちょっとおかしいではないかということになるのも、けだし当然ではなかろうかと思うのです。申し上げますが、ICBMは地上三百キロのところで誘導装置を一回切りかえていけば、あと地上と水平に持っていけば、それで済むというきわめて簡単、といっては語弊がありますけれども、それよりは、たとえば静止衛星なんか二回も三回も誘導装置を用いなければならぬというほど非常に複雑なものであります。したがって、人工衛星ができるような技術を持てば、当然ICBMもできる。これはほかにまた問題がございますけれども、そういう関係があるわけです。その点をよほどしっかりお考えいただいて、平和目的に限るということに徹してもらわないと、非常に多くの問題が出るということを申し上げたいと思うのであります。
それで、平和目的という場合に、目的は一体何だといえば、結局どういうふうに人工衛星を活用し、どういうふうにこれを利用するかということになるわけでありますが、たいへん時間がございませんので、申し上げる余裕がないことは非常に残念でありますけれども、このあと機会を見ていろいろ申し上げたいと思いますけれども、宇宙空間にはいろいろな未知の世界というものがたくさん残されておるわけであります。おとといもちょっと申し上げたのでありますが、スプートニクの一号、二号を飛ばしただけで明らかにされておる点は、近地点におけるところの大気の密度は、ロケットで測定したものよりも十倍も多いのだ、あるいはまた、宇宙線の強度というものば二百二十五キロから七百キロの高度までに約四〇%も増加したのだとか、それから、大気の温度も、これまた理論的な観測値よりもずっと高いのだというようなことが一、二号を飛ばしただけで——二号にはライカという犬が乗っかっておりましたから、それによってパルスなんかも測定をして、人間が宇宙飛行に耐え得るかどうかということの実験的なこともやってのけたわけであります。その結果、人間を乗せてもだいじょうぶだという結論がスプートニク二号から出てきておるわけであります。一、二号だけでもこれだけの成果が出ている。それから電離層の厚さなどというものも、地上で学者が考えておったものよりばるかに幅が多いのだというふうなこと、密度の計算なんかもだいぶ違っておるのだというふうなことが一、二号だけで出たわけでありますけれども、人工衛星第三号になりますと、地球観測年でもって規定をし、これだけは調べようということについての測定値が全部ついております。一、二号はほとんど実験的なものでありますけれども、三号になりますと、高層大気の圧力と組成、陽イオンの濃度、人工衛星の帯電量と地球の静電量の強さ、地球磁気の強さ、流星じんの測定とか、太陽の微粒子放射能の強さというふうなものが、三号でもってほとんど必要な測定というものが行なわれております。こういうふうなことで、まだ三号まででそれだけのものがはかられておりますけれども、まだまだ未開拓の分野がたくさんあるというようなことでありまして、将来の夢といたしましては、北氷洋の氷の動きを観測する、軍事用にもこういうものは活用できるわけでありますけれども、それから、重力の異常というものから、海底あるいは地球上でもって新しい鉱脈、新しい油田、こういうものを発見することもできる、あるいはまた、だんだん太陽熱というものは強くなってくるようでありますが、これを遮蔽するとか、あるいは逆に北氷洋の氷を溶かすために、人工衛星を活用して、反射熱を何とか利用して氷を溶かすとかいうふうな、これはきわめて夢のような物語でありますけれども、これは実は夢物語ではなくて、現実に実現可能な夢として提示をされておるのであります。現在の宇宙科学ではかり得るところでもそこまではわかっておるのであります。こういうことで軍事利用だけではなくて、ほんとうのわれわれの民間の生活に密着をした平和利用という観点からだけでも、きわめて多くの未開拓の分野というものが開けておるのだというようなことを十分に科学技術庁長官としてはお考えをいただいて、平和利用に確信を持ち、平和利用をすることによって人類の幸福をもたらすことができるのだという信念を持って平和利用にこれをほんとうに限定をして、この開発を促進させなければならぬ、こういう意欲を持ってこれにひとつ取り組んでもらわなければならぬと思うのであります。そうでないと、とにかくロケットを上げるのだ、静止衛星をとにかく上げなければならぬのだというようなことだけで話を進めてまいりますと、非常にあぶないわなにひっかかる可能性も出てくるし、また、誤解を受ける危険性というものも非常に多くなるという点をぜひお考えおきを願いたいと思うのであります。
大体もう三時になりましたから、あとは中途はんぱになりますものですから、多くを申し上げませんけれども、そういう点でこの平和利用の大体どういう——地球上におけるいろいろな、まだ地上で観測したのではわからないという分野を何とか発見をするということについての余地というものはたいへん多いわけでありますけれども、気象観測としても、まだまだ人工衛星の活用の余地はたくさんあるわけです。まあ日本では気象観測といいますか、天気予報というものはさっぱり当たらぬというふうなことがありますけれども、観測所をつくることはなかなか容易ではありませんが、人工衛星をくまなく、くまなくといいますか、これを十分に活用することによって、台風の広がりとか、あるいはまた、ナトリウムを人工衛星から放出をして、高層大気の温度とかあるいは風速というものを測定するというようなこともできるし、雲の分布とその移動、あるいは雲海の状況、冷たい光とあたたかい光との境界線というふうなものを判定するというようなことも可能になってくるわけであります。そういうことを通じて気象観測というふうなものにも大きな新しい面が開けてくるというような、いろいろな利用面があると思うのです。それを、ただ単に人工衛星を飛ばせばいいのだということではなくて、あるいはこまかい専門的なことは委員会にいずれまたまかせられる専門分野にはなろうかと思うのであります。その辺の目的、目標、こういったものを軍事利用がなくて、こういうものにも使える、こういうふうなことに生かしてみたい、こういうふうな一応の考え方は科学技術庁長官としては持っていただかないと、何だか、ただ上げればいいのだということだけでは、われわれもひとつ腰を入れて一生懸命協力をしようという熱意を失わせるような答弁がおとといの答弁であったというふうに私は考えておるわけなんです。この点について一応の御見解を聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/37
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038・鍋島直紹
○鍋島国務大臣 いま石川委員のお話しになりました宇宙の利用は、今後においてまだ未知な面もございますととに、あらゆる面で前途洋々たるものがあると思います。
第一点の軍事利用の問題とロケット開発の問題でございますが、この点はわれわれの考え方の中に、やはり反省をしてみますと、インテルサットの問題が、昭和四十五年にインテルサットの本条約になるという問題があって、これに発言権を持つことと、それから、その条約に対して、やはり一応気になっておりますので、日本としてどうしても発言権を持って、日本の自主開発した衛星を空に打ち上げて、そうして日本の生活のために、あるいは国民の幸福のために使いたいという気持ちが相当あったものでございますから、あるいは、この前の御答弁の際には、ロケット開発のみに何か重点が置かれるようにお聞き取りいただいたかもしれません。さしあたり、やはりそういった点を一つの具体的な目標として進めることは、現段階におきましては、これは当然であろうし、やむを得ないものであろうと思います。しかし、開発委員会ができ、しかも、宇宙開発の分野は、先ほど三木委員からも言われましたように、月軟着陸の問題、人工惑星の問題、さらに、ただいま御指摘がございましたように、全般的にわたります宇宙空間の研究、その研究の成果から生まれてくるところの具体的な、あるいは北氷洋の問題、あるいは気象観測から持ってくるところのいろいろな問題、そういった点につきましては前途洋々たるものがあると考えます。私ももっと勉強をいたしますけれども、そういう点は宇宙開発委員会におかれましても十分御研究をいただいて、そうして、宇宙開発委員会の設置目的の中に具体的に挿入する時期が参るかと思います。一面、その前後におきまして、できるだけ早く宇宙開発基本法をつくるわけでございますから、この基本法によって今日政府として堅持いたしております平和利用、平和利用以外にはこれをしない、軍事利用はしないという目的も、明確に法文の中に明示されるわけでございますから、この点についてはひとつ御心配なく、平和利用に徹していくのだということはひとつ御了承をいただきたいと思います。
今後の利用につきましては、さらに、さしあたりは、いま申し上げましたロケットの開発、その中心であります衛星の開発に、これは郵政省あるいは運輸省あるいは建設省とも協力をしていただきまして、一丸となってこれの開発に努力していくべきだ、その後のいま言われました点も、十分ひとつ夢を持って、熱意を持って、ひとつ世界の進歩におくれないように進めてまいらなければならないと思います。ただ、考えますのに、これは蛇足かもしれませんけれども、他の先進国はやはり軍事利用という面を、ソ連にしろ、アメリカにしろ、持っておって、その軍事利用の中から引き出さるべき成果を持っておるわけでございますが、日本の場合は、あくまで自主開発を主張しながら、一面において平和利用に徹するわけでございますから、より困難な、熱意と研究が必要であろうし、金もより多くかかろうかと思います。これらの点にひとつ十分熱意を持って、もっとわれわれも勉強いたしまして進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/38
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039・石川次夫
○石川委員 それで先ほど三木委員の御質問に対しまして、アメリカとも技術提携といいますか、公開し得る技術については交換をする、こう言っております。そこで、問題は、静止衛星を上げるということは当面の目標だろうと思います。具体的な目標としては静止衛星を上げる。静止衛星は、赤道の上、大体三万五千八百キロの高さに上げてみると、地球から見る月の直径の大体四十倍くらいに地球が見える。面積も大体千六百倍ぐらいになるというようなことで、大体三カ所に上げますと、地球全体が見おろせるというふうなことに静止衛星はなるわけであります。静止衛星は、御承知のように、赤道の軌道に一応乗せておいて、それからさらに誘導装置を使って発射をして、そこで、地球を中心として、地球と同じ速度でもってこれを飛ばすというような誘導装置が必要なわけでありまして、これはICBMの誘導装置などよりははるかにむずかしい問題になると思うのであります。
総理大臣が来られたようでありますから、私ば、これで一応の質問を打ち切りたいと思いますけれども、これについての技術の導入について、いずれあらためて御意見を伺いたいと思います。一応予定された質問者がおりますから、これで質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/39
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040・沖本泰幸
○沖本委員長 ただいま総理大臣が御出席になりましたので、これより総理大臣に対する質疑を行ないます。三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/40
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041・三木喜夫
○三木(喜)委員 ただいま提案されております宇宙開発委員会設置法案に関し、総理大臣の御出席をいただきましたので、総理大臣に質問いたします。
佐藤総理大臣が総理になられてからも、宇宙開発審議会から、昭和四十一年に建議を受けられておりますし、さらに、昨年の十二月二十日には、諮問第四号の答申を受けておられます。かつては科学技術庁の長官もなさっておりましたので、宇宙開発の重要性には十分御認識があろうと思いますし、長期的な見通しも持っておられると思います。
宇宙開発は、国の経済発展、工業技術の水準向上にとって、もはや欠くことのできないものになっております。通信衛星によるテレビや電話の中継、気象衛星による台風の観測など、宇宙開発がわれわれにもたらす直接的な利益は年ごとにふえておりますし、宇宙開発によって間接的にもたらされる技術革新も、次第にその範囲を広げつつあります。わが国がその国力に応じて宇宙開発を進めることは、将来、工業先進国として立っていく上にぜひ必要なことであり、わが党も、このような立場から、宇宙開発の進展を支持するものであります。
しかし、宇宙開発に用いられるロケットは、そのまま軍用ミサイルとしても使えるという事実を、ここで見のがすことはできません。わが党は、宇宙開発が全国民の合意と支持のもとに、明るい空気の中で進められることを心から願っておりますが、そのためには、宇宙の研究、開発、利用が平和目的に限って行なわれるという保証がなければなりません。かりにも宇宙開発のロケット技術で軍用ミサイルがつくられるというようなことがあれば、わが国の宇宙開発は、全国民の合意と支持を得ることができなくなりましょう。それは、ときとして争いの渦に巻き込まれ、ときとしては激しい反対運動の対象となり、この健全な発展はとうてい望むことができなくなってしまうと思われます。原子力の研究、開発、利用の場合、国は、賢明にも、このような混乱を避ける方策を講じました。原子力の開発がスタートするとき、与野党は一致して原子力基本法をつくり、その中で、平和利用の原則をうたいました。原子力の研究、開発、利用は平和目的に限るということを基本法の第二条で明らかにしたのであります。この平和原則は、わが国の原子力開発がすみやかな発展を遂げる上できわめて重要な役割りを果たしております。たとえば、いま、わが国は、原子爆弾の素材ともなり得るプルトニウムや濃縮ウランの国産化計画を進めておりますが、われわれは、このプルトニウムや濃縮ウランが平和目的の原子炉用の燃料としてだけ使われるものと了解し、そのことに異論を唱えようとはしないのであります。しかし、原子力基本法に平和利用の原則がうたわれていないとすれば、われわれは、プルトニウムや濃縮ウランの国産化を断じて許すことはできないのであります。それはたちまち、原子爆弾の素材として利用されるおそれがあるからであります。プルトニウムや濃縮ウランの国産化計画が、国内の政治紛争の種ともならず、また、国際的論議の対象ともならず、スムーズに進められているのは、ひとえに原子力基本法の平和原則の確立によるものであります。
ところで、宇宙開発の場合はいかがでありましょうか。いま政府は、本格的な宇宙開発に乗り出そうとして、宇宙開発委員会設置法案をここに提案しておるのでありますが、まことに遺憾なことに、政府は、原子力基本法のような宇宙開発基本法を全く準備していないのであります。一部に伝えられるところによりますと、宇宙開発基本法をつくることになれば、どうしても平和利用の原則を盛り込まなければならない。したがって、このような基本法はつくらないで、ほおかぶりでいくつもりであるという憶測さえ出ておるのであります。日本が本格的なかまえで宇宙開発に乗り出そうとする今日、政府は、なぜ宇宙開発基本法をこの国会に提案しないか、その点、明確な理由を総理大臣から承りたいと思います。
次に、宇宙開発に対する全国民の支持と合意を得るためには、それを軍事目的に転用しないという明確な保証がぜひ必要であり、それがわが国の宇宙開発の健全な発展をはかるための第一条件であるとわが党は考えるのであります。佐藤総理は、平和利用の原則を盛り込んだ宇宙開発基本法が必要であるというお考えをお持ちであるかどうかも、あわせてお伺いいたしたいと思います。
時間がございませんので、私は、この一番問題のところだけお伺いいたしまして、あとは石川委員から聞いていただくようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/41
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042・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 三木君の考え方と私の考え方はおおむね同様でございますが、私自身、政府でありますだけに、御指摘になりましたような不安を実は持っておらないので、ただいま平和に徹する日本の態度から見まして、宇宙開発、また平和利用、そうして人類に貢献する、こういう方向で研究するという考え方でございます。したがって、何らの不安を持っておりません。しかし、まだ、ただいまようやくわが国の宇宙開発はその緒についたというばかりであります。たいへんおくれておる。そういうわけで、今日、基本法を制定することができない、その材料もまだございません。ただいま御審議をいただいております宇宙開発委員会、この委員会で特に力を入れてもらって、そういう点も御検討願う。そうして、成案を得次第、この基本法も提出したい。また、その提出する際は、ただいま御指摘になりましたように、原子力基本法第二条にちょうど対応するような規定が必要だろう、私もかように考えております。これはまだ、しかし、申し上げるのはやや早いようですが、いずれにしても、まず、委員会法を通していただいて、その委員会の各界の方々、わが国の宇宙開発はいかにあるべきか、まず、その辺から始めていただき、そして、それの利用等については、同時にそこでも研究していただく、こういうことにしたらどうだろうか、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/42
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043・三木喜夫
○三木(喜)委員 そこで、総理大臣のおことばですけれども、総理は、宇宙開発審議会から五回の答申のうち、二回答申を受けておられる。その中には、宇宙開発は、平和目的に限り、自主、民主、公開の原則を踏まえなければならないということの答申を受けておられるのです。あり方をいまさら、三十五年から設置したのですから、もう一ぺん聞いてみるというのでなくて、これはちゃんと受けておられるのでありますから、また同じことを二度、三度やられる必要はないと私は思うのであります。その点、総理もなかなかお忙しいですから、そういう点は目が通らないかと思いますけれども、やはり原子力基本法の原則を踏まえるということをここで言っていただかなければならない。もうそういう段階は済んでおるわけなんですから、いまさらそんなことをお聞きになる必要はないと思うのです。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/43
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044・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 ややことばが足らなくて誤解を招いたのかと思います。ただいま申しますように、原子力基本法第二条に対応するもの、これはもちろんでございますが、特にこの委員会においてこれからの利用方向だとか、それから、具体的にどういうような問題と取り組むか、そういう点を研究していただきたい、かように思うのです。ただいま通信衛星あるいは電話の利用等もお話が出ておりますけれども、さらに、気象観測にもやはりうんと働いてもらわなければならない、そういうので、宇宙開発の価値、意義というものはなかなか広範にわたる、かように思いますので、そういう点も考えていこう。基本的方針は、これはもう間違いがない。三木君ただいま言われたように、原子力基本法の第二条に該当するような原則を、基本法をつくる際には明らかにするだろう、こういうことを実は申したのです。誤解のないように願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/44
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045・三木喜夫
○三木(喜)委員 総理のお考えで平和に徹すると言っておられるでしょう。だから、明らかにするだろうでなくて、そういうぐあいにしたいと思いますという、やはり確固たる信念を言っていただかなかったら、これは話にならぬですよ。その点は、ひとつもう一回明確に言っていただいて、私も時間を長くとったらいけませんから、おきたいと思うのです。これはやはりこれから自民党の諸君と話をする根底になるのですから、この話、きっちり言っておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/45
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046・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 その基本に変わりはございませんから、どうか御遠慮なしに、その基本がもし狂うような話があったら、爆撃しておいてください。だいじょうぶです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/46
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047・沖本泰幸
○沖本委員長 次に、石川次夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/47
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048・石川次夫
○石川委員 三木さんと大体同じような趣旨の質問になると思うのでありますれども、原子力基本法の第二条では、平和、自主、民主、公開の原則を明記してある。原子力と並んでいる宇宙開発には基本法も何もない。したがって、この自主、民主、公開の原則が、現在の委員会の設置法案だけでは明らかになっておらないということがいえると思うのであります。伝えられるところによりますと、新聞などにも書かれておりますが、ジョンソン・佐藤共同声明というので、原子力の平和利用のための協力の可能性、打ち上げることを中心に協力の可能性をさらに検討するというような共同声明が出ております。その限りにおいてはわれわれもこれは賛成でありますけれども、新聞などでは、御承知のように、いろいろな新聞が書いておりますけれども、ジョンソン駐日大使から出ているところの誘導制御技術などを米国が提供した場合に機密保護協定を結ぶことが示唆されておる、こういうようなことがいわれております。もし、これが事実とすれば、これから機密保護法に発展をするという危険性が十分に考えられるわけです。したがって、そういうふうな協定がジョンソンとの間の話で行なわれたのかどうかということが、まず質問の第一点であります。
そういうことになりますと、日本の宇宙開発、平和利用ということの目的が、平和利用であろうとも、軍用ミサイルに関連する技術を導入するということになって、日本の平和なる宇宙開発が米軍の軍事基地に隷属をするということになると同時に、いま申し上げたような機密保護法制定に一挙に発展をするという危険性があるという点で、非常な懸念をわれわれは感じておるわけであります。その点についてまず第一にお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/48
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049・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 ジョンソン大統領との話もございますが、いまお尋ねになりましたのは、ジョンソン大使と私との話が主だろうと思います。これは、アメリカで申しておりましたのは、宇宙開発はなかなか金もかかることだし、技術もたいへんなことだ、そういう意味で、できれば協力はしたい、こういう申し出のあったことは事実であります。また、ジョンソン大使からも、その意を受けて、具体的に何かすることはないか、そういう話のあったことも事実であります。でありますが、ただいま言われるような国家的機密、あるいは国家的機密を要するような情報を私どももらうようなつもりはございませんので、ただいま御心配になるような点は全然ありません。
実は、私もかつて科学技術庁長官をいたしまして、ことしの施政演説でもそうですか、これからの最大の課題は、原子力の時代にもなるし、宇宙開発の時代だし、海洋開発の時代だろう、これにおくれをとらないように取り組まなければならないということを、実は施政演説でも申しました。いまもそういう考え方をしております。
そこで、科学技術庁長官時代に、一つの野心といたしまして、人工衛星を独自の立場で上げたい、そうして、世界第三の人工衛星打ち上げの国になりたい、これが実は私の一つの願いだった、それも国産でという、ところが、御承知のように、ソ連やアメリカや、さらにフランスと、こうなりまして、しかし、 フランスはアメリカから買って打ち上げたのです。独自のものではない。まだ私自身、負け惜しみを言っているわけではないが、日本独自の技術によってひとつ宇宙開発に乗り出し、人工衛星を上げたい、かように実は考えておるのであります。でありますから、ただいま予算の編成上におきましてもいろいろ困難な状態でありますが、それにもかかわらず、打ち上げロケットの開発等につきましては力を入れておる次第でございます。私は、いま一息ではないだろうか、かように考えますので、日本の科学陣、これをひとつ分散しないように、そして、みんなの総力を結集いたしまして日本的なものを打ち上げる、これは実は一つの政治的な目標でもあるのであります。したがって、アメリカからの協力、これはたいへんけっこうなことだが、日本がまだ手を上げておらない、もうこれはだめだ、自分たちの力でやれない、こうなれば別でありますが、たいへん親切な申し出ではあるけれども、ただいま自分たちの手でひとつやってみよう、こういうことでいま進んでおるのでございます。
ことに、それは先ほど三木君もお話がありましたが、私どものやるのはどこまでも平和利用でございますし、他の協力を得ると、そうでなくともいろいろ誤解を受けやすい、その上誤解を受けるのではないか、かようにも考えますから、平和利用という点に立って独自でひとつこの問題を開発しよう、こういうようなねらいを持っておるのであります。わが党の諸君もそのつもりでございます。また社会党の方も、それならひとつ力をかしてやろう、こういうことになるだろうと思いますので、どうか、私のいまの考え方はかたくななようですが、これはやはり独自の考え方でひとつ日本的な開発に乗り出す、こういう意味の御協力をぜひ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/49
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050・石川次夫
○石川委員 時間がないのでたいへん残念でありますけれども、そうしますと、機密は絶対に持ち込まないということを確約するわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/50
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051・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 機密というのにいろいろございます。商業上の機密、ノーハウというようなもの、こういうものは別でございますが、国家的機密、さようなものは絶対に持ち込まない、これはこの機会にはっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/51
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052・石川次夫
○石川委員 機密を持ち込んだということになれば、アメリカの軍事技術に隷属をするということになって、この平和目的の宇宙開発というものは国民の同意が得られないということになって、この発展が停とんをしてしまうということをわれわれ非常に懸念をいたしておるわけであります。
念のために申し上げておきますが、われわれ、宇宙開発についてもそうでありますけれども、国際協力で大いに公開して、技術を交流をするということを、別に閉鎖的に考えて拒否するという気持ちは毛頭ございません。いやしくも機密保護法につながるような、軍事技術に隷属するような形の、そういう技術導入があってはならぬということを申し上げておるわけでありますから、その点は誤解のないようにお願いしたいと同時に、また、三木さんと同じような趣旨になりますけれども、そのためにはやはり公開、自主的にやるというような原則は、原子力基本法第二条と同じように明確にしてもらいたいということを、念のために重ねてお願いをし、また、その決意があるかどうかということを伺いたいというのが第一点であります。
時間がありませんからついでに申し上げますけれども、この宇宙開発の技術を先導技術として生かして、国民の協力を推進するためには、どうしても開発体制を一元化しなければならない。開発体制を一元化するために今度の委員会の設置法というものが制定をされるという点で、われわれは賛意を表するわけでありますけれども、しかしながら、いままでのところは東大宇宙研、科学技術庁、それから郵政省、ばらばらになっておる。今度はそれを強化するということについては賛意を表しますけれども、しかしながら、この委員会の内容を見ると、その任務としては、打ち上げ用のロケットの開発と人工衛星だけに限っております。そういうことで、宇宙を観測するための垂直打ち上げロケットとか月を調べるロケット、人工惑星、そういうものについては全然発言権がない。それからさらに、人工衛星の利用に関しては全然おまかせしっぱなしというようなことで、原子力委員会なんかとは違いまして、利用の範囲とか権限とかいうものはきわめて弱体化されておるという点で、意欲はわかりますけれども、その意欲に伴うような法案の内容になっておらぬという点が私は非常に残念だと思うのであります。それと、この委員会の委員は四人、これは原子力委員会は六人であります。人が得られないから四人だというような御説明があったわけでありますけれども、現実に六人が四人に減っておる。それから非常勤である。原子力委員会は常勤であります。それから、原子力委員は内閣の任命ではなくて国会同意の特別職ということになっておるわけでありますけれども、これは全部内閣任命という形になっておるという点で、同じビッグサイエンスの原子力と並ぶ宇宙開発の事業ではあるけれども、委員会の委員の任務の権限の範囲、それから、常勤とか人数とか、それから、国会同意の人事ではないというふうな点で非常に弱いものになっておる。その総理大臣の意図するような形の力が発揮できるとは、とうていこのままでは考えられないという点で、われわれはどうしてもこれは、今度の国会で直せるものは直す、将来これはわれわれの意図するような方向にどうしても直していきたいという意欲を非常に強く持っておるわけでありますけれども、その点についてどうお考えになっておるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/52
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053・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 石川君にお答えいたします。
先ほど言われた三木君にもお答えいたしたのでありますが、これもはっきりしろということで、自主、平和、公開の原則、これは厳然と守るということを、重ねて申し上げます。したがいまして、早く基本法、そういうものができるよう、そういう状態でありたいと思います。まだできておらない今日でもそれには変わりはございませんから、重ねて申し上げておきます。
第三の問題といたしまして、統合した一つの委員会、これはまた、実はもっと大きくなるだろうと思います。私、科学技術庁長官をしておったとき、正直申しまして、それぞれの官庁が一番関心を持つのが、花火と言っては悪いですが、打ち上げにみんな関心を持つのです。そこで、運輸省が気象観測に精を出すとか、あるいは郵政省が通信に精を出すとか、こういうことならまだけっこうですが、東大も、それから各大学も、また、郵政省も、運輸省も、打ち上げにはたいへんな関心を持つ。しかし、その人工衛星の中身にどういうものを積み込むか、そういうことになるとどうもおくれておる、こういうことで、実は私、非常に不満を持ったのであります。こういうビッグサイエンスになれば、メタル一つつくるにいたしましても、在来のような考え方ではもうだめなんだから、やはり、新しいメタルを発見するにしても、これば総合的な力ではじめてそういうものがくふうできるのですから、そういう意味で技術陣容を一まとめにする。これに非常な努力をいたしてまいったのであります。そうして、私がいまさら申し上げるまでもなく、基礎的研究、これは学園でやるにいたしましても、利用開発の段階になると、もう学園から切り離してしかるべきじゃないか、私はかように思って、原子力研究所などもそういう方向でいろいろ取り組んでまいりました。この宇宙開発の問題にいたしましても、ただいまの基礎的な研究、それがさらに進んで、開発利用という面になると、もう学校から離れてしかるべきじゃないだろうか、かように思います。しかし大事なことは、学者の諸君が、先生であると同時に、開発利用の技師でもある、こういう二重の資格においていま働いておるのが日本の実情でございますから、なかなか理論どおりに、これまでは学術研究だ、基礎研究だ、これから先が開発利用になるのだ、こうせつ然と分けることもできないし、また、その働き方を区別することも非常に困難だ。いま大事なのは、やはり学者のグループがお互いに連携しあって、そうして、総合的に力を発揮する、そういうことでありたい、かように実は思うのであります。今回のねらいも、あるいは数が少ない、また数をもっとふやせ、あるいは非常勤よりも常勤がいい、さらにまた、その任命方法にしても、新しいものであるだけに、すべての機関がこれに関与し得るようにしろとか、いろいろ注文があるだろうと思います。私は、いままず第一歩を踏み出すのですから、これを不十分ながらも一応御了承いただいて、そうして先に進んでいく、その中身を整備する、こういう努力も方法としてやっていただいたらいいだろうと思います。ただ考え方、政府なかなかうまいことは言うが、いざとなったら直すのに時間がかかるじゃないか。最初からもっと詰めたものにしておかないと困るじゃないか、こういうことになりましょうと思いますが、そこら辺は皆さん方の良識でほどほどにやっていただく。あまり何もかも注文つけまして、いつまでもできないのも困りますから、その辺で話をほどほどにしていただいて、そうして先に進み、そうして中身をどんどん整備していく、こういうようにひとつやっていただきたい。お願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/53
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054・石川次夫
○石川委員 質問することはたくさんあるのですが、時間がないのです。それで一つだけ具体的に申し上げておきますが、委員の数のことについては将来の問題に残したいし、また、非常勤を常勤にするということは、予算と関係があるので、いま直ちにというわけにはいきませんけれども、来年からはひとつ常勤を考えるという方向で自民党とも話を進めておるわけであります。それから、原子力委員のように、やはり国会同意の人事であるべきではないかというのは、今度の法案で修正をするということにしたいと思っております。この点についてはどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/54
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055・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 総理大臣がきめるよりも、皆さん方のほうでよくひとつ話し合われてやられる——なかなか総理、全権を持ってはおりますが、民主的な総裁としてたいへん評判がよろしいのですから、どうかさように皆さんでお話し合いを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/55
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056・石川次夫
○石川委員 では、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/56
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057・沖本泰幸
○沖本委員長 次に、玉置一徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/57
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058・玉置一徳
○玉置委員 宇宙開発に関する基本的な問題につきまして、佐藤総理の御意見を伺いたいと思います。
わが国の宇宙開発が、米ソに対しまして、まず十五年から二十年、その他のEEC諸国から考えましても数年間の立ちおくれをいたしております。東大の宇宙研にまかしておったような問題を、早く国全般の機構として、その差を取り戻していこう、こういうことでおりまして、今度その第一発として、宇宙開発委員会の設置法案を出されたわけでありますが、まずお伺いしたかった、自主、平和、公開の原則並びに技術の導入に関する機密性の問題につきましては、佐藤総理の先ほどの答弁で明らかになりましたので、これを除きます。
そこで、次にお願いを申し上げたいのは、この委員会でありますが、問題は、人のよろしきを得て、これのまた運営のよろしきを得ることが非常に大事だと思います。いたずらに東大の糸川問題等だけで、せっかくの進む芽をつんではいかないのではないか。そこでお願いを申し上げたいのは、この委員会から意見を受けたときは、これを尊重しなければならない、こうなっております。行政機関でもなき諮問機関でありますが、ほんとうにこれは運営のよろしきを必要とするわけでありますが、佐藤総理並びに政府当局は、この委員会の意見にどのように対処されるか、決意をまずお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/58
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059・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 意見に対していかに対処するか、これはもう尊重しなければならない、この一言に尽きるかと思います。ただ問題は、予算的な措置を必要といたしますので、政府がそういう際に他の緊急支出、そういうものと比べまして十分考慮が払われるということでなければならぬだろうか、かように思います。
ただいまの玉置君の御指摘のように、日本の宇宙開発はおくれております。これはさっきも、負け惜しみを言うわけじゃないが自分の自主的なものをやろうとしてということを申しましたが、そういう意味でややおくれております。委員の意見が出てきて、そしてこれを進めることができるなら、私はさらに各党の協力を得まして大いに進めるべきだ、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/59
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060・玉置一徳
○玉置委員 次に、委員会が設置されまして、それの御審議によりまして必要な行政機構並びに実施機関が設置されるわけでありますが、これもなるべく早急でなければ実をあげ得ない、かように思います。そこで問題は、それをいつ提案されますか。
次に、特殊法人である場合が私は非常に考慮されると思います。ただいま一省一局削減でございますが、こういう問題は、全般的に考えて、その他のほうで思い切って削減してでもこしらえざるを得ないときにあると思います。そういう場合に、この特殊法人並びに実施機関及び行政機構についてどのようなお考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/60
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061・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、これはだいぶおくれている問題ですから、これを早く促進する、こういう意味で、機構あるいは特殊法人、そういうものはどれがいいか、来年度予算編成の際までには結論が出るようにひとつしたいと思います。私は簡素化を必要とするように考えております。今回のものがもし行政機構の拡大が必要にいたしましても、在来のような局をつくる、課をつくる、部をつくる、そういうことだけで済むわけのものではないだろうと思いますから、中身について十分働けるようなものをくふうしたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/61
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062・玉置一徳
○玉置委員 総理は、技術の導入を商業ベース以外はしない、自主的に開発する、こういう決意でこの立ちおくれを取り戻そう、こういうわけでありますから、一番大事なことは人のよろしきを得ることと、技術改良に相当思い切った予算を投入しなければ実施もむずかしい問題じゃないか、こう思います。
そこで、日本の宇宙開発における予算は、米ソに比べまして約二百分の一、これはやむを得ぬことといたしましても、フランス等欧州諸国の場合をとりましても四分の一であります。これは原子力の場合と同じようなことが言えると思います。こういうような意味におきまして、いままですでにおくれておる、それを取り戻さなければいかぬ、しかも、技術はできるだけ自主的に開発したい、こういう条件となりますと、どうしても予算措置の問題になると思います。
そこで、ただいま申しましたように、この立ちおくれを取り戻し、そして追い越していこう、こういうわけでありますので、どうしても思い切った予算が要るわけであります。フランスの四分の一よりもはるかに上にならなければいかぬと思います。そこで総理の決意と——決意だけでは、これはもうお話だけでありますので、特定財源をお使いになる、前向きに検討する用意があるかどうか。と申しますのは、石炭等に出ております原重油の関税でございます。四十二年度で六百七十五億円、それから四十三年度七百七十億円、四十五年度は二割アップの想定をいたしまして九百二十四億円、五十年度に至りましては千二百三十億円、石炭の問題もやや峠が見えてきたような感じがいたしますが、現在六百億ほど使っておいでになります以上に、いま申します輸入関税のあれはどんとふえてまいります。そういう余裕の見通しもつきますが、ほんとうに佐藤総理がやるというお腹があるのだったら、前向きにこれも検討するかどうか。ひとつはっきりお答えいただいて、質問をやめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/62
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063・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これは玉置君もよく御承知のように、日本のおくれ、これば一つ宇宙開発ばかりじゃありません。ことに社会開発が非常におくれておる、社会保障制度はおくれておる、こういうことで皆さんからしばしば予算編成上指摘されます。また一面、他のほうからも、公共投資のおくれておること、これはいつも問題になります。これは全体の問題として日本のおくれがあるわけであります。一つだけに特に力を入れてそれを優先的にというわけにはいかないのが行政の実態であります。そこで、政府自身が重点施策の一つにこの問題を取り上げる、これは今回の処置でもおわかりだが、取り上げると思います。施政演説にあれだけ大きくうたったことも少ないのでありますから、これは重点施策であることは間違いない。そうして、この予算は、他との緊急のものとよくにらみ合わせまして、均衡のとれた予算をつける、かようにひとつ御理解をいただきたい。しかし、私はかように申しましても、これを押えるような考え方はございませんから、積極的にこれだけの予算をつければロケットも打ち上げがもっと進むとかいう具体的なものがはっきり出ておれば、そういうものなら思い切ってつけてよろしい。しかし、ただ予算が多ければどうなるというようなわけでやられる、それには簡単には賛成しない、こういう意味ですから……(玉置委員「少ないということだけはわかりますね。」と呼ぶ)よくわかります。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/63
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064・沖本泰幸
○沖本委員長 次に、斎藤実君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/64
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065・斎藤実
○斎藤(実)委員 佐藤総理にお尋ねいたします。
今回の宇宙開発委員会設置法案に対して、佐藤総理はわが国の宇宙開発が非常におくれているということをお認めになりました。私どもは、今回の宇宙開発委員会設置法案に対しては、国の宇宙開発の重要政策、または各省の予算を企画したりあるいは審議、決定したりする非常に重要な権限を持っている委員会ですから、いわばわが国の宇宙開発の最高決定機関であるというふうに考えておるわけです。ですから、これを自主的に発足させてわが国の宇宙開発を促進するという非常に重要な法案である。
最初に、そういう立場に立って私は基本的なことをお尋ねしたいと思うのですが、委員会が設置されると同時に、宇宙基本法というものが必要になってくる。この基本法は一体どういうものを盛り込むのか、基本的に何を基本法の中に入れるのかということを、まず最初にお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/65
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066・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 先ほど基本法をつくるか、一体いつ出すのかというような質問が委員諸君からありました。それで、原子力基本法の第二条と対応するような規定が要るということは一つ申し上げました。これは基本的な態度だと思います。ただいまの委員会ができれば、一体宇宙開発とは実体は何なのか、こういう問題からまず研究してかからないと、宇宙開発、宇宙開発といっているが、一体何をするんだ、こういう問題があるだろうと思います。そういうものがはっきりすると、わが国の宇宙開発はどこまでやるのか、そういうものの利用は一体どうなるのか、こういうような問題が次々に起こるだろう、これはひとつ委員会で十分検討していただきたい、かように実は申しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/66
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067・斎藤実
○斎藤(実)委員 いまお答えがありましたけれども、政府として、三十七年の五月十一日に、宇宙開発審議会から宇宙開発促進の基本方策について答申があったわけですね。それから相当長くたっておるわけでありますが、どういう方向に持っていくのか、基本法はどうあるべきかということは、政府の部内で論議されたかどうか、その点お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/67
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068・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これは政府の中では実は絶えずしておるわけです。また、団体自身といたしましても、これは学界の問題でもあるし、団体の中の問題でもある。だからこそ、いや東大の研究がどうしたの、あるいは郵政省がどうしたの、あるいはNHKがどうしたのと、いろいろ出ております。これでおわかりだろうと思います。大体おくれておるとはいいながらも、私は、日本がそんなに卑下する程度にまでおくれているとは思わないのです。先ほどちょっと触れられましたいわゆる糸川ロケットだって、これが外国にまで輸出されているのです。これは東南アジアの諸国ではなくて、東欧の諸国にもやはり出ていっている。こういうような状態ですから、ユーゴに輸出したのは、あれは数年前、それからインドネシア、そういうようなわけですから、だから、おくれているといってみずからをけなすわけでもない。私は、日本の科学技術陣というものはりっぱな力を持っていると思います。ただ、その総体をまとめ上げる総合力というものをやや欠くのじゃないか。総合的な結びつきというものに特に力を入れないと劣るように思うのです。いま一番卑近な例で申せば、鉄道の新幹線をいろいろ自慢いたしますが、あれだってほんとうの総合的な技術の結集でできるのですね。それは電気がどうの、電気運転がどうのこうのと言いますけれども、これだって交流から直流運転に変わっていたり、あるいはガラス一つだって、在来のようなガラスではたいへんだろうし、また、金属そのものも、ああいう高スピードに対応し得るような軽いメタルが使われ、強いものができる。だから、そういう総合的な力を結集する、そういうことにこと欠くと、こういうような新しいビッグサイエンスはなかなか成り立たない。そういう点がややおくれておる。だからこそ、今回のこの委員会をつくっても、総合力の発揮、そこに重点が置かれておる。そこで皆さんが言われるように、いや数が少ない、その任命の方法が悪いとか、常勤でないのがいかぬとか、いろいろ注文が出ると思いますが、そういうことだろうと私は思うのです。だから、そういう点でこれはやはり見直していただいて、そうして、せっかく学者の連中も閥争いはあまりしなくて、仲よくやろう、こういう意気込みですから、ひとつそれを育てるようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/68
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069・斎藤実
○斎藤(実)委員 宇宙開発については、相当長期な研究あるいは企画というものが必要であるというふうに私ども思うわけです。それで、今回の宇宙開発委員会の委員長は科学技術庁の長官がなるというふうになっております。で、この委員会の特殊性からして、やはり長期にその国務大臣が専任をするということが望ましいのではないか、こういうふうに考えるのですが、総理大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/69
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070・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 国務大臣が長期にわたって専念すること、もちろん必要でございます。同時に内閣もかわらないように、これがまた大事でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/70
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071・斎藤実
○斎藤(実)委員 私もそのことを最初に申し上げようと思ったのです。実はわが国の原子力の委員長等も非常に短期日なわけですね。通算して二年足らずである。短い方は半年ということで、中には私は科学技術のことはわからないという大臣も出てくる。こういうことであっては私は困ると思うのですね。願わくは、日本の宇宙科学の発展向上のためには、佐藤総理が、長いほうがいいと言われるように、私もそういうふうに考えるわけですが、再度御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/71
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072・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 とにかく長期にわたるというだけでなく、ほんとうに情熱を注ぎ込むという、そういう姿勢が必要だと思いますし、いま人材は雲のごとくあるわけでございますから、それは一人の人でというわけでもないと思いますが、とにかく科学技術の進歩、宇宙開発に情熱を注ぐ、そういう者でないとこの仕事はなかなか完成されない、成果をあげ得ない、かように私も思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/72
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073・斎藤実
○斎藤(実)委員 時間も参りましたので最後に一点。この宇宙開発について、アメリカから全面的な協力をするということを言ってきているというふうに伺っておりますが、一方、ソ連の宇宙開発についての情報は、これはアメリカを通じてわが国は知っているのかどうかですね。直接ソ連との協力またはソ連からの協力等についてどういうふうに考えているのか。私がなぜこういうことを申し上げるかと申しますと、宇宙開発、人工衛星は非常に発達をして、通信、気象は実用の段階にまで達しております。ですから日本でも現在二局の地上局を持って、米ソの打ち上げた通信衛星を利用しておるわけです。そういうことからして、この宇宙国際協力という立場の上で、アメリカとももちろん協力をすることは必要でありましょうけれども、ソ連と宇宙協力をすべきではないかというふうに考えるのですが、この点、佐藤総理の所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/73
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074・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 こういうビッグサイエンス、また人類に幸福をもたらすかどうなるかというようなたいへんな問題、これは一国だけで独占するというようなことがないように、やはりインターナショナルの会議が持たれることが望ましいのではないかと思います。御承知のように、原子力についてはもう国際原子力会議がある。そうして、これには自由主義陣営ばかりではありません。ソ連も入っていて、そうして、それをやっている。そうして、原子力の平和利用、人類に役立つようにそれを使おうとしている。今度は宇宙開発がそういう場面にきているのではないか。さらに次には海洋開発というようなことになるのではないかと思いますが、そこでぜひとも国際会議が持たれるべきだ、かように思います。いままでは国連が中心になりまして国際会議を設けておるということでありますが、どうもまだ、ただいまのように、各国にまでこの問題がある程度レベルアップされないと、国際会議というところの開催までにいかないだろうと思います。しかし、私は、当然いま御指摘になったような方向で各国が協力するということが望ましいことだと思います。
これはお尋ねではございませんが、まあアメリカ自身は、先ほど申しましたように、直接に日本に対しても協力しよう、こういう申し出があります。ソ連からもそういう申し出があればたいへんしあわせですが、まだただいまのところない。そうして、いまソ連とアメリカが二大先頭を行く国として、ちょっと宇宙開発で競っているというか、競争しているような形ですが、私はやはり、原子力についての国際会議と同じように、こういうものは国際会議を持とうじゃないか、そういうことをまあ日本などが発言するのがわりに楽だろう、かように思いますけれども、それにしてももう少し日本が力を持って、その上でやるべきだろう、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/74
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075・斎藤実
○斎藤(実)委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/75
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076・沖本泰幸
○沖本委員長 それでは、大蔵大臣が御出席になりましたので、大蔵大臣に質疑をしていただきます。石川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/76
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077・石川次夫
○石川委員 大蔵大臣お忙しいところを恐縮でありますが、簡単に質問いたしますから、ひとつ簡明に御答弁を願いたいと思います。
それは御承知のように、今度の宇宙開発委員会ができて、当面の具体的な目標としては静止衛星を四十八年に打ち上げるということのようであります。これはわずか五年の間にかかる費用が、先ほど来科学技術庁長官にも聞いておるのでありますが、大体千五百億円という金額であります。考えてみますと、モーターの原理が発見をされましてから製品北するのに六十五年もかかっております。昔は、原理が発見されてからそれが製品化されるところで非常な年数がかかっておりまして、真空管は三十三年、ラジオは三十五年、こうかかっておりますけれども、最近はそれが非常にピッチがあがっている。レーダーはわずか五年であります。トランジスターは三年、太陽電池は二年というふうに、原理が発見されましてから製品になる期間がぐんと詰まっておるという観点からいえば、これはたいへんビッグサイエンスでありまかすら、そう簡単にはいかないにいたしましても、四十八年の目標というのは、ちょっと私は緩慢のような気もしないでもないわけであります。しかしながら、ともかく目標の四十八年に上げるとして千五百億円ということになれば、いまから一年間に大体最低三百億円はつぎ込まなければならぬということになりますけれども、ことしの科学技術庁、文部省、通産省、運輸省、郵政省、建設省、全部合わせた宇宙開発の予算が大体百億円足らずではないかというふうに見ておるわけであります。内訳は申し上げるまでもないと思います。
ところで、こういう計画は、あとになるほどだんだん金がかかるという、経済成長に見合ってだんだん金を出していくという形ではうまくいかないのであって、これは最初に設備や何かでもって相当思い切って金をかけるということが非常に効率的な金の使い方だということになるわけでありまして、三百億円平均に出すという形でこれが成功するとは限りません。そういうことで、これは中ぶくれといいますか、初めのうちは準備段階でそうかからないかもしれませんけれども、二年目か三年目になってぐんとふくらんで、あと最後の四年、五年というのはそうかからぬ、こういうふうな性質を持ってくるのが、こういう技術開発の一つの特徴じゃないかと思うのです。
そういう点でいいますと、ことしの予算から推測をして、静止衛星を打ち上げるのに十分な予算をとるということは、これは科学技術庁長官も相当努力しなければなりませんけれども、よほど大蔵大臣もこの重要性を認める場合は成功させる、成功させなければならぬ。成功させなければならぬとすれば、やはり予算というものはどうしてもつけてもらわなければならぬ。これは財政硬直化や何かでもって、かなりいろいろ窮屈な事情もあるようにそちらのほうではおっしゃっておるわけなんでありますけれども、しかしこれは成功させるということが至上命令であるならば、やはりこれに伴う予算だけはどうしても確立をしてもらわなければならぬ、こう思っているわけです。その点でひとつ大蔵大臣のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/77
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078・水田三喜男
○水田国務大臣 いまおっしゃられたような問題もあると思いますが、しかし、問題はやはり金の効率的な使用ということでございまして、効率的ということから考えますと、やはり計画が立って、順を追って必要な資金を使っていくということが必要だろうと思います。四十八年までに人工衛星を上げるという目標を立てましても、これから要する人材、資金、これはたいへんなものでございまして、この前提として、たとえば、誘導制御技術の開発とか、あるいはおくれているロケットの基礎的な技術の開発というようなものがどうしても先行いたしますので、そのためのいろいろな開発体制の整備も必要でしょうし、人材の養成も必要でしょうし、そういう順を追って費用は目標に向かってかかっていくものと思いますので、本年度はいろいろ各省の協議でこの程度でございましたが、ほんとうの計画が立って、こういう使い方をすれば実効があるのだというところへ踏み切ってからの資金的な裏づけはたいへんなものというふうに、私どももこれは一応覚悟しておりますが、しかし、これは私が早いときから言っておることでございまして、科学技術を振興させるのには、何といっても人工衛星を上げるというなら上げるという目標を立てて、それに向かって研究を集中することが波及的ないろいろな効果を持ち、波及的な開発を促すものであるので、目標がなくて科学技術の研究というよりは、早くこういう目標を立てたらどうだ、そのための金を出すということでしたら、私はいまのところ惜しくないという気持ちを持っております。もう国民の金の使い方としてはきわめて効率的でない金の使い方が国家予算の中にはたくさんある。一、二千億すぐ何とかできると思っておっても、なかなかそういう金を切ることについての抵抗が多くてわれわれは困っておって、今度硬直化というような問題を言っておりますが、これもそういう費用を切って、こういう問題に、どんどん新しい財政需要に振り向けていくということのほうがいいことだと考えているので、硬直化の問題もわれわれは持ち出しておるということでございますので、いい計画が立って、これが効率的に使われるということでしたら、そういう意味において私どもは資金の裏づけには十分努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/78
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079・石川次夫
○石川委員 たいへん力強いお話を伺って意を強くしたわけであります。人材の養成とかいろいろ——初めのうちは、いきなりこういう大きな予算はなかなか使い切れないと思うのでございますけれども、四十八年の目標というものを目標どおり達成させるということになれば、二年目、三年目は急膨張するということにならざるを得ないと思うのです。その点はひとつよく御理解を願いたいのと、千五百億円というと、たいへん大きな金のように思われるかもしれませんけれども、実はアメリカのアポロ計画は八兆円という予算を使っております。こんな予算と比較するつもりは毛頭ございませんけれども、そのくらい宇宙開発というものは、原子力と並んで相当膨大な費用がかかるし、成功させるためにばその決意をして、もちろん効率的な予算の使用ということは当然必要になりますけれども、それはひとつ決意をしてもらわなければならぬと思います。
それからあと一つは、ついでに申し上げてたいへん恐縮なのでありますけれども、実は核融合とかMHDとか核燃料の遠心分離法とかいう、非常にビッグビジネス、ビッグサイエンスがほかにもたくさんあるわけであります。アメリカあたりでは、核融合ができれば海の水が全部ガソリンに変わったと同じくらいのエネルギー源というものは無尽蔵にあるということになるわけであります。そういうことでアメリカあたりでもシャーウッド計画というものを立てましたけれども、結局のところは、いま計画を放棄しております。放棄をして、結局もとに戻って、プラズマ本性の究明というものから出発をし直すというところに来ておるわけであります。それからMHDなんかは、経済の関係もあるでございましょうけれども、これも、英国あたりではせっかくビッグサイエンスとして取り上げてはおるけれども、今度計画を放棄する、そして基礎研究に戻る、こういうことになっております。それからさらに、遠心分離法というものも、日本は西ドイツと並んで、かなりこの技術の開発が進歩をしておるとはいわれておりますけれども、しかし、これも各国の学者の意見を総合して判断をしますと、どうもこれは見込みがなさそうだというようなことにも聞いております。これは私は確信をもって申し上げるわけではございません。そうしますと、それを総合して考えると、ビッグビジネスというものを達成させること、その過程で失敗があっても、これは一応その失敗も一つの成果であるわけでありますけれども、結局は基礎研究に戻らなければだめだ、こういうことになっておるわけであります。これは宇宙開発とちょっと話が違って、宇宙開発みたいなものは、計画的にいろんな研究というものをその目的に集中をして総合し、この計画を立てるということが必要でありますけれども、同時に、基礎研究というものが確立されないとすべてのビッグビジネスは全部御破算だ、砂上の楼閣だ、こういう性格を持っておるということもひとつこの機会に申し上げておきたいと思います。
そういう点で、実は日本の基礎研究の予算はきわめて少ない。これは科学技術庁関係のことで申し上げておるわけではありません。大学を含めての日本全体の基礎研究のことを私は申し上げておるので、これは科学技術基本法のときに大蔵大臣や文部大臣とも十分にお話し合いをしたいと思ったのでありますけれども、防衛庁の研究開発費に比べて、大学全部を含めての基礎研究の科学研究費というものはきわめて少ない。飛行機十台節約するとこれが倍になるというように、ほかの国でおそらく考えられないような、未開国の基礎研究の予算しかとれておらないというのが実態であります。これをまず拡充強化をし、さらに、先ほど大臣がおっしゃったような目的を立てて計画性を持たせるということも必要であるし、基礎研究の計画を効率的に行なうことも必要でありますけれども、基礎研究の確立をしないところで、国威宣揚か何かのような形でビッグビジネスだけにあせる、と言うと語弊がありますけれども、急いでみたところで、もとのもくあみになる。どうしても基礎研究から出直さなければならないという点で、大蔵大臣は相当思い切って、基礎研究の充実ということに力を振り向けてもらわなければ、日本がほかの国に追いついて追い越すとか、日本の繁栄をもたらすということは非常にむずかしい、こういう点を私は常々痛感しておるわけであります。この点について、大臣何か御意見がありましたらひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/79
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080・水田三喜男
○水田国務大臣 今年度のいまの問題についての予算を、ちょっと事務当局から説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/80
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081・船後正道
○船後政府委員 四十三年度予算におきましては科学技術関係につきまして、かなり予算の増額をしたのでございますが、御承知のとおり、主要経費分類における科学技術振興費は四十二年度が六百五億円に対しまして、総額七百三十五億円、また、これに文部省所管、その他広義の科学技術振興費を含めました総額では、四十二年度の千九百九億円に対しまして二千百七十五億円、四十三年度予算の中では、科学技術振興費には特に重点を置いて増額したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/81
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082・石川次夫
○石川委員 私は、そんなことはわかっておるのですよ。いまさらそんなことについて議論すると時間がかかりますから申し上げませんけれども、科学技術振興というものについて、かなり関心を払ってこられたということはわかりますけれども、ビッグビジネスというのは、たとえば、静止衛星の打ち上げでもそうでありますが、原子力の動力炉を開発するという問題もそうでありまして、そういうものをぽかっと入れると、もうすぐに、二割、三割ふえてしまう。問題は、ほかの国との比較においてどうだということで考えていかなければならぬと思うのであります。宇宙開発にいたしましても、原子力にいたしましても、海洋開発にいたしましても、先進国に比べて、日本が少しくらい予算をふやしたからといって、これと肩を並べるというところにはまだまだとうていいっていないというのが実態であります。いま私はそのことを言おうとしておるのではないのです。いまの質問はいろいろな研究項目を出して、六万件くらいあって、その申請によって科学研究費というものを配分している。それの科学研究の予算が、昭和四十二年度は四十二億円、それから昭和四十三年度は五十億円、こんなものではほんとうの——目的基礎研究ですよ。大体テーマがきまって、配分をするところの科学研究です。これがわずかに五十億円です。これは飛行機十台分ですよ。こんなものでほんとうの目的基礎研究の充実がはかれるかどうかという点なんであります。実態は不明でありますけれども、防衛庁のほうば、四十二年度は五十四億円、これは前年度比十七億ふえて、ことしもまた十七億ふえて七十一億円。これに比べて、ほんとうの科学研究費というものはわずかに五十億円。こんなことでは、とても、日本がいままでのように、技術導入でもって、それを応用開発すればいいのだという限界はもう過ぎたのです。日本の技術開発は、どうしても自分で自主的に開発をしなければならぬというときになると、ビッグビジネスでも何でも、根本に立ち返れば、やはり基礎研究から出発しなければだめだということは定説です。そういうときに、テーマをもって配分をされるところの科学研究費がわずかに五十億円というのでは、あまりにもお粗末です。これでは未開国です。そういう点を考え直してもらわなければならぬ。これは宇宙開発委員会の話とはちょっとはずれましたけれども、これは国の将来に関するきわめて重要な問題である、こう思うので、大蔵大臣に御出席をいただいたときに、特にこのことを申し上げておきたいと思ったわけであります。この点について御意見があれば伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/82
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083・水田三喜男
○水田国務大臣 基礎科学の研究、これは私も必要だと思っております。それで、ことしは、予算編成のときには、私どもいろいろと科学者の意見もずいぶん聞いて、特に素粒子に関する研究費というものについても、私どもは何とか今年度予算化したいということでやりましたが、間に合わなかったということをいま聞きましたが、この問題ももう検討に入っておりますので、これも一つの問題でございますが、基礎科学の研究ということについては、これからは重点的に考えようと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/83
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084・石川次夫
○石川委員 何回も申し上げるようでありますけれども、とにかく基礎研究の充実、いまの科学研究費は、大体テーマがあって、テーマを振り分けてそれに割り当てる基礎研究の予算でありますが、これが五十億円で、防衛庁よりもはるかに少ないというようなことではいかぬ、こういうことを考え直してもらいたいのと、原子力関係でもいろいろ申し上げたいことがあるのですけれども、宇宙開発もビッグサイエンスということになれば、当面四十八年度までに最低千五百億円もかかる。そういうふうなところに費用をつぎ込まなければ、日本がほかの国に追いついていけないということは現実であります。したがって、そういう科学の関係の予算というものについては十分な配慮をしてもらわなければならぬということをひとつお願いをして、時間もないようでありますから、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/84
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085・沖本泰幸
○沖本委員長 三木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/85
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086・三木喜夫
○三木(喜)委員 行政管理庁長官、長らくお待ちいただきまして申しわけありません。
長官としてここへおいでになることは、およそ似つかわしからぬところだと思っておられたと思いますが、先がたからるる皆さんの御意見なり、総理の熱意ある御答弁を聞かれて、科学技術の開発というものはたいへんなことだなとお思いになったことと思うのであります。特に、今回取り上げております宇宙開発というものは、これは与党、野党を言っておられません。私たちは打って一丸になっていいものをつくりたいという考えを持っているのですが、しかし、はたと行き当たるところがあるのです。それは鍋島長官にも申し上げましたし、先がたの総理に対する質問もあったわけであります。しかしながら、科学技術の進歩ということにわれわれは力を入れなければいかぬということは、やはり一国の運命に関するものだという、こういう観点に立っております。
そこで、いま話もありましたように、第一は原子力開発、第二は宇宙開発、第三は海洋開発、こういうように次々に開発がありますけれども、ちょうど総理が号令をかけられました一省一局削減、それから公社公団の新設は相ならぬ、話をずっと煮詰めていきますと、そういうところにかちっと行き当たってしまうわけなんですね。そこで、いまの石川さんの話はお金の話、それから、先がたからいろいろ話をされておったのは、体制の話と人の話、そこで機構の問題が出てくるわけなんですね。私たちは、この基本法をつくって、宇宙開発委員会をつくって、それから事業団をつくって、その上に行政的にこれを管理するところの宇宙開発局をどうしても科学技術庁につくらなければいかぬ、実施機関についてはこういう三本の柱を持っているのですね。しかしながら、そういうことにぶつかってしまうのです。そこで行政管理庁長官としておいでいただいて、さてこれはどうしたものかということを御相談したいのです。だから、ひとつ率直な意見を言ってもらいたいと思います。私の考えでは、なるほど国民的な考え方では、総理の号令のとおり、一省一局削減を何か実効あらしめてもらいたいという考え方があるだろうと思うのです。と同時に、何でもかんでも一律に、しゃくし定木にいくことも問題だと思うのですね。新しく芽ばえてきた新興のものとしての意欲のあるところと、もうこれは削減してもいいというような古い面と同じように考えるというところは問題があると思うのですが、どのようにお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/86
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087・木村武雄
○木村(武)国務大臣 三木さんのお話は全くごもっともでありまして、原子力開発、宇宙開発、海洋開発というようにこれから新しい時代が開拓されていく、そのために必要な措置をいまから講じておかないと日本はおくれをとることになるから、ぜひやらねばならない、こういうお考えは私も大賛成なのでありまして、そのことそのものを決して私は否認はしていない、むしろ両手をあげて賛成している、それだけに非常な重要性を私は考えているわけであります。その点で鍋島長官ともいろいろと話をしてみたのでありますが、ただ、一番大切なことは、何をやるにも、それを担当する者の心がまえが大切なのではないかと思います。心がまえができてその問題と取り組んだのと、心がまえができなくてその問題と取り組んだのと、それから、何といいますか、甘い気持ちでそういう問題と取り組んだのと、きびしい気持ちでその問題と取り組んだのとでは、将来相当の開きが出てくるんじゃないだろうかということも、鍋島長官とも相談してみたところであります。そして、政府が時局に処して一省庁一局削減をやらねばならない現在の日本の置かれた政治の状態、それはゆるやかな気持ちではない、きびしい気持ちの一つのあらわれだと私は思っておるのでありまするが、このきびしい気持ちというものは、でき得れば行政全体に浸透せしめたほうがよろしいのではないか。そうでありまするから、そういう観点に立ちまして、私の担当いたしました一省庁一局削減の問題とこの問題は両立しないものではない、両立するものだ、結論において必ず一致するものだ、むしろ今日この際こういう問題と取り組んでもらう場所、人々には、そのほうが将来かえって生きてくるんじゃないか、こういう点で二人の間で話が一致したのであります。そして、この問題と取り組んでみたのでありまして、まず現段階において、そういうことの必要性は重々わかりまするけれども、既存の機構の合理的な編成というものをやってください、それからその段階に立ってあとのことを考えられても私は決しておそくはないと思う、そのためにおくれをとるようなことはないと思う、こういう話をした結果、さすがに鍋島長官でありまして、全くそのとおりだ、こういうことで意見が一致したようなわけでありますから、決して両立しないことじゃないと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/87
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088・三木喜夫
○三木(喜)委員 御訓辞いただいたような気がいたすのですが、いまの話では、鍋島長官と意見が一致した点が何かわけがわからぬですね。
私の申し上げておることは、ひとつ十分おわかりいただきたいと思うのですが、現在新設されていくところの若々しい省庁は、家にたとえてみれば新築の家ですね。この中でどこを取りはずせというところはないと思うのです。必要があるからこそ建てたのです。建てて何年かたっているうちに、いかぬところははずしていって建て直しということになったり、やめになったりするんですね。科学技術庁は、どこか一つところをはずすという基本方針はやはり守ってもらうことと、また、ふやすこととは両立するというような考え方のように聞こえるのですけれども、若々しい意欲でできてきているのが科学技術庁ですよ。それを、あそこをはずせ、ここをはずせと言ったら、家にたとえたら雨が漏りますよ。軒をはずしてしまえ——そうしたら、雨に当たらないでどうしてそこへ行くんですか。こういう理屈を言う気持ちはありません。
そこで、異常な決意をもって、きょうは私たち与野党一致して総理大臣にも来てもらい、大蔵大臣にも来てもらい、行管長官にも来ていただいて、もう四つも五つもの頭をみな寄せ合って、そうしてやろうというそういう考え方の中で、大臣から訓辞を聞こうとは私は思わなかった。あなたは先がたから入っていて、聞いておっていただいて、それはそうじゃ、これはやらなければいかぬという御答弁をいただけると思っておったんですが、鍋島長官と何を相談して、両方とも意見が一致したんですか。鍋島長官、言ってください。そのような意見を一致させて、あなたのところのひさしを削る話をしたんですか。そんなことをしては困るのではないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/88
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089・木村武雄
○木村(武)国務大臣 私の申し上げましたことは、あなたのおっしゃいました委員会がこれから発足いたしまして、その委員会が発足するにあたりまして、前に審議会というものが一つあった。それですから、二つは要らない。もうそれはやめて、委員会で発足していただきたい。それからもう一つは局の問題ですけれども、局という大きな機構をまずおつくりになる前に、責任者を一人置いてみてください。その責任者を一人置いて、そこで庁内の合理的な再編成をやってみてください。そうして、そこでスタートをして、なおかつ、足りないことはわかっておりますけれども、来年度になり再来年度になって、なるほど国家が思い切って飛躍していかなければならない、飛躍する土台ができた、こういうことであったならば、その時期によっては要求以上の局にするかもしれませんよ。そんなけちな気持ちで私は言っているんじゃないですよ。とりあえず、ことしはこれでスタートを切ってみてくださいということです。
それから事業団のほうは、それも新しくつくらないで、宇宙開発推進本部というものがあるんですよ。そこの充実強化をとりあえずやってみてください事業団をつくらないでとりあえずやってみてください。それで、ことしは、去年に比較いたしまして、人を二十九人ふやしたんですよ。ほかのほうはみな減らしておりますけれども、ここはふやしております。それでとりあえずやってみてください。それで、なおかつ、より以上飛躍できるという見通しがはっきりと立った場合においては、事業団をおつくりになることは一向かまいませんし、そういう行政需要が多くなることはわかり切っております。そうして、必ず多くなるというものは思い切って、取り上げて私としてはやってみたい、こう考えておるんですよ。ただ率直に申し上げますると、要らなくなった場所が相当あるんですよ。ここじゃありませんよ、古い場所にね。それを削ることを非常に渋るんですよ。それで、ほんとうにこっちは削るんだ、こっちは増すんだといって、すなおに率直に行政全体が認めてくださったならば、行政の運営というものは非常にやりやすい。やりやすいだけではなくて、時代の進運に行政そのものが貢献することができるのではないだろうかと思いますが、そういう点で私実は悩んでおって、そうして三木さんの御期待、それからここの委員会の御期待なんかに沿い得ないような足踏みみたいなことをやっておりまするが、本心はそうじゃありません。私は減らすものは思い切って減らしていく。そして、需要の多いものは思い切ってやってみたい。そして、ほんとうに行政が国民生活とマッチするだけではなく、国家の目的を大きく達成し得られるような行政にしなければならない、こういう気持ちの切なるものが実はあるのでありますが、何せ減らすほうがなかなか減らないものですから、出し渋っている、そういう点だけは御了承くださるようにお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/89
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090・三木喜夫
○三木(喜)委員 了解いたしました。ただ精神訓話だけかしらんと思ったところが、具体的な見通しも持ってやっておっていただいて、当面、宇宙開発推進本部、これを充実強化する形でやっていきたい、それは見通しも持っておられるから私も安心いたしましたし、さらに私は、科学技術庁でもありませんけれども、局は必要だと思うのです。これは一局でも二局でも必要とあらばつくる、こういうことで、非常に前向きな御答弁をいただいたわけです。
そこで、幸いこういう意欲的な長官を行政管理庁に持ったわけでありますが、しかし一代仏になったのでは困ると思うのですね。あなたの考えだけでこれが終わってしまっても困ると思うので、これをどうして次の内閣の考えに育てていくかということが大事です。幸い前の長官は意欲的であったけれども、今度はそうでなかったということになると、また一からやり直しということになるのですね。いかに受け継いでその精神を伸ばしていくかということが私は必要だと思うのです。それには、いまおっしゃいました、行政管理庁長官として切るべきところはうんと切ってしまわなければいかぬと思うのです、これは何のためにあるのかわかりませんから。それをようやらぬ、ここもようやらぬ、新しいところはようつくらぬ、こういうことになったら、それこそ大臣をつくっただけで、尸位素餐のそしりを免れぬと私は思うのです。この点は大臣の意欲にあると思いますけれども、その次にまたひとつ受け継いでいっていただいて、そして、新しい芽を育てていっていただくようにぜひお願いしたいと思うのです。よろしく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/90
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091・木村武雄
○木村(武)国務大臣 ごもっともだと私思うのであります。朝令暮改するような行政整理はいけないと私も考えております。私が今度行政管理庁長官になりまして、行政改革の三カ年計画案を樹立いたしまして、それも一年もかからないで、この八月までの間に改革の案をつくってみたい、つくるべくいま努力いたしております。私の寿命も八月までは続くだろう、こう思っておりますから、その間にあなたの御心配になるようなものは、すべてつくり上げまして、そして安心をしてもらう。それから、つくり上げる途上におきましても、素案ができましたならば、皆さまにも行政改革は、何も一党一派のものではありません。国民に喜んでもらうものですから、広く各位の御意見を聞きながら素案をつくってみたいと思っておりますし、素案ができましたときには、御相談もしていきたいと思っております。そして、なるほどと思われるようなものをつくることによって、その不安を解消してみたい、こういう考えでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/91
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092・三木喜夫
○三木(喜)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/92
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093・沖本泰幸
○沖本委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803913X01119680417/93
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