1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和六十年四月十日(水曜日)
午前十時四分開議
出席委員
委員長 粕谷 茂君
理事 浦野 烋興君 理事 田原 隆君
理事 森 清君 理事 渡辺 秀央君
理事 城地 豊司君 理事 後藤 茂君
理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君
甘利 明君 尾身 幸次君
奥田 敬和君 奥田 幹生君
加藤 卓二君 梶山 静六君
高村 正彦君 佐藤 信二君
椎名 素夫君 東家 嘉幸君
仲村 正治君 野上 徹君
野田 毅君 林 大幹君
原田昇左右君 松野 幸泰君
水野 清君 伊藤 忠治君
上坂 昇君 浜西 鉄雄君
水田 稔君 横江 金夫君
和田 貞夫君 渡辺 嘉藏君
木内 良明君 草野 威君
西中 清君 福岡 康夫君
青山 丘君 横手 文雄君
工藤 晃君 野間 友一君
出席国務大臣
通商産業大臣 村田敬次郎君
出席政府委員
公正取引委員会
事務局経済部長 厚谷 襄児君
通商産業大臣官
房長 杉山 弘君
通商産業大臣官
房総務審議官 児玉 幸治君
通商産業省機械
情報産業局長 木下 博生君
中小企業庁長官 石井 賢吾君
中小企業庁次長 黒田 明雄君
中小企業庁計画
部長 末木凰太郎君
中小企業庁指導
部長 遠山 仁人君
委員外の出席者
大蔵省銀行局銀
行課長 松野 允彦君
大蔵省銀行局特
別金融課長 藤原 和人君
参 考 人
(商工組合中央
金庫理事長) 佐々木 敏君
商工委員会調査
室長 朴木 正君
—————————————
委員の異動
四月九日
辞任 補欠選任
浜西 鉄雄君 山花 貞夫君
同日
辞任 補欠選任
山花 貞夫君 浜西 鉄雄君
同月十日
辞任 補欠選任
水野 清君 東家 嘉幸君
奥野 一雄君 伊藤 忠治君
同日
辞任 補欠選任
東家 嘉幸君 水野 清君
伊藤 忠治君 奥野 一雄君
—————————————
四月四日
大店法廃止等に関する請願(木内良明君紹介)
(第二六六四号)
同外一件(福岡康夫君紹介)(第二七一七号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六二号)
半導体集積回路の回路配置に関する法律案(内
閣提出第六三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/0
-
001・粕谷茂
○粕谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、参考人として商工組合中央金庫理事長佐々木敏君の御出席を願っております。
参考人には、本日、御多用のところを御出席いただきまして、本当にありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見を承り、審査の参考にいたしたいと存じます。
なお、議事の都合上、御意見は質疑応答の形でお述べいただきたいと存じますので、御了承願います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田幹生君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/1
-
002・奥田幹生
○奥田(幹)委員 まず、本論に入ります前に、この商工組合中央金庫法の現行法、それから役所の方で提案されております改正案をざっと一読いたしまして、相変わらず片仮名の文案になっておるのです。四十年前に「堪へ難キラ堪へ忍ヒ難キラ忍ヒ」といういわゆる終戦の詔勅がございましたが、私はあれ以後は法律の文案も平仮名であるべきだ、なっておる、今後もそうあるべきだという感じを持っておるのですが、相変わらず片仮名の文案になっておる。ほかにもたくさん法律がございますけれども、戦後、戦前の法律を一部改正しますときには全体を平仮名に化粧直しするのが至極当然のことだと思うのですけれども、これにつきまして御見解を承りたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/2
-
003・末木凰太郎
○末木政府委員 確かに片仮名の法律は読みにくい点がございますし、一読して違和感をお持ちになるのは先生御指摘のとおりだと思います。しかしながら、最近の慣例といたしまして、片仮名の法律の一部改正をいたしますときに、それが部分改正でございますと片仮名のまま直させていただくということが通常のケースになっております。今回の商中法の改正は非常に重要な内容を含んではおりますけれども、量的には業務関係の規定を中心といたしました部分的な改正でございます。したがいまして、従来の慣例に従いまして片仮名でやらせていただくことにしておりますが、このようなケースは例えば最近の例で申しますと、四十八年に農林中金法の一部改正が行われておりますが、この場合も片仮名から片仮名へということでやらせていただいております。逆に片仮名法律を平仮名法律に直しました最近の事例、金融関係の例といたしましては昭和五十六年の銀行法の改正がございます。このときには、実は銀行法は片仮名の旧法では条文が三十七条でございましたけれども、これを新法の平仮名にいたしますときに全面的に全条文チェックをして見直しをいたしましてでき上がったものは六十六条にふえております。このような根本的な全文というくらいの大改正を行う場合に平仮名に直しているというのが従来のケースでございます。
なお、現存いたします法律の中でどのくらい片仮名法があるかということでございますが、約千五百くらいの法律があります中で片仮名法は一割弱の百四十ほどございます。そのうち金融関係法といたしましては日本銀行法、農林中金法、信託業法、無尽業法、保険業法その他数々ございます。そういう趣旨で片仮名で御提案させていただいているわけでございますけれども、要は今回の改正の趣旨が中小企業の方々によく徹底しなければいけないという御指摘だろうと思いますので、そこにつきましては、法律は片仮名といたしましてもPR、周知徹底については万全を期してまいりたいと思っておりますので、何とぞ御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/3
-
004・奥田幹生
○奥田(幹)委員 趣旨はわかりましたけれども、違和感を感じるのは私だけじゃないと思うのです。これは法制局との絡みもございましょうから、今後こういう事態が出てまいりました際にはぜひとも今私が申し上げておることを御一考願いたい、要望いたしておきます。
それから、昭和十一年十月に設立された中央金庫の存立の期間が五十年になっておる。私はこのプリントをちょうだいしまして、いろいろできました当時の時代的な情勢あるいはその後の経過等々についても拝見をいたしましたけれども、存立の期間が五十年というのはどういうところから設けられたのかということについてはなかなか理解ができないわけなんです。あの当時は人生五十年と言われておりましたから、それで五十年という期間が決められたのかとも思うわけでございますけれども、存立期間を決めてつくられておる金融機関、明治十五年の日本銀行、台湾、朝鮮銀行、これはもう終戦と同時になくなっておりますけれども、勧業銀行でございますとか興業銀行でございますとか、たくさんありまして、いずれも存立期間がそれぞれ二十年、三十年、長いのは百年というようになっておるわけでございますが、戦前の昭和二けた代にできました金融機関というのはこの商工中金をおいてほかにはない。その時点で五十年と決められておりますけれども、それはどこに根拠を置いておるのか、これをお教え願いたい。
それからもう一つは、五十年の期間は来年の十一月に来るわけですね。まだ一年半ほどあるわけですけれども、満期を残していち早くこういうような改正案を御提案なすった理由はどこにあるのか、この二点についてお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/4
-
005・末木凰太郎
○末木政府委員 第一点でございますが、先生御指摘のとおり日本銀行を初めとしまして戦前設けられました特殊法人である金融機関、いずれも存立期間の定めがございまして、おっしゃるとおり台湾銀行、朝鮮銀行、この二つが閉鎖されました以外は、それぞれ延長しあるいは延長しないで、最終的にはいずれも恒久化されてきております。
そこで、そもそもどういう趣旨だったかということでございますけれども、昭和の二けた代に入りましてからは、おっしゃるとおり昭和十一年の商中法しかこういう例がございませんのですが、そのときの経緯を調べてみますと、一番近くに制定された類似の立法例としまして産業組合中央金庫、これは現在の農林中金の前身、前の名前でございますが、これが存続期間五十年ということになっております。そういう身近な例に当時倣って五十年とされたものだと理解しております。
それでは、どうしてその産業組合中央金庫は五十年だったのかということでございますが、これは公的な記録が必ずしもはっきりいたしませんが、解説書等によりますと、先生おっしゃいますとおり人生五十年といった説があるなどということも書いてございますが、もう少し調べてみますと、参考例として、例えば日本銀行は三十年、興業銀行は五十年、勧業銀行が一番長くて百年ということであるのですが、百年は長過ぎるだろうということで五十年ということになった。それでは、勧業銀行はどうして百年かということでございますが、これは公式の帝国議会の記録がございまして、勧業銀行が貸し出せる最長期間が当時五十年でございました。そこで、政府委員の説明によりますと、仮に五十年ぐらいの営業期間を定めれば二年たつともう四十八年しか貸せないではないか、そういうことで五十年の倍、ツーラウンドということで百年ぐらいはなくてはなるまい、こういうことでございますという説明になっております。したがいまして、公式な記録ではございませんけれども、同じような類推をいたしますと、商工中金の場合には最長期間が現行法で二十年ということになっておりますので、倍にしますと四十年でございますが、当時の立法例等に倣い、切りよく五十年としたものではないかと思っております。
それから第二点の、存立期間の満了は来年の十月八日ではないか、まだ一年余あるのに今急いで法改正を行う理由は何かというお尋ねでございます。これには二つの背景がございます。
第一は、商工中金の資金調達面からの問題点でございます。商工中金は御承知のように商工債券を発行いたしまして、それによって集めた原資を原資の主力としている金融機関でございます。ところが最近この債券発行の金融機関の営業に非常に大きな変化が生じてきております。すなわち債券発行金融機関というのは商工中金を含めて六行ございますが、例えば興業銀行、長期信用銀行、日本不動産銀行等々でございますが、これらの債券発行銀行が例えば金融債と国債を結びつけた新しい口座を開発しまして、これを金融商品として売り出す、あるいはまた普通預金口座と金融債とを結びつけた債券総合口座というものを開発して売り出す、こういうふうにいろいろな金融商品を組み合わせまして、そこでお客様にとって金利面ではできるだけ高い金利をお支払いし、また金融機関の提供し得るサービスとしてできるだけ多くのものを提供する、こういうねらいの金融新商品を次々と出してきております。
国債と割引債を組み合わせたものは五十八年十月、それから債券総合口座と申しますものはことしの一月というふうに出てきております。そのほかにもいろいろな金融商品が次々出てきておりますことは御承知のとおりでございます。したがいまして、こういう中で商工中金が旧態依然として商工中金債を裸で、単体で売るということしかできない状態でおりますと、その売れ行きについて不安が生じてまいります。特に全体の約三割強を占めております個人売りについてそういう問題がございまして、これについては早急に対応する必要がある。これが第一点。
それから第二点は、簡単に申しますと最近の経済の変化、特に国際化等を背景といたしまして、中小企業の商工中金に対するニーズが多様化してきておりまして、これへの対応が急がれております。こういう二つの背景を持ちまして、一年余の時間を残した今、改正をお願いしている、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/5
-
006・奥田幹生
○奥田(幹)委員 確かに新しい商品が続々と出てきております。ここにございます中期国債ファンドでございますとか新型貸付信託、ビッグ、その他国債定期口座、マネーカプセル、数え上げると切りがないのですけれども、ここ三、四年の間に新しい金融商品が続々と出てきておりますし、そうしてまたニーズの多様化ということも、事実問題として当面私どもは非常に関心を持って何とかしなければならぬ。私どもの京都におきましても、たしかあれは去年の春だったと思いますけれども京都の信用金庫と大和証券が提携をいたしまして、普通預金と中国ファンドの自動振替、こういうようなものもスタートさせておるわけでございます。それで、こういう一連の新しい商品は、やはり非常に厳しい環境の中で何としても経営体質を強化していきたい、そういう努力のあらわれであるというように私も受けとめておるわけでございます。
今度商工中金が法改正をおやりになる。預金の受け入れ、国債等の取り扱い、有価証券の貸し付け、株式の取得、ずっとたくさんの項目が上がっておるわけでございますけれども、いわゆる組合のメーンバンクとしましての役割は今度のこの法改正で十分に果たしていける、これで十分だというような確信をお持ちになっておるのかどうか、まずその決意のほどをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/6
-
007・石井賢吾
○石井政府委員 御指摘の金融自由化の進展は極めて著しいものがございまして、商工中金といたしましては、民間から商工債券を発行いたして融資財源の大宗を調達するという立場にございますので、この変化への対応ということは一刻も怠ってはいかぬというふうに思うわけでございます。
それで、これまでの金融自由化のテンポは非常に速うございますが、私ども、今回、法改正によりまして、資金調達面に関しましては、他の債券発行銀行並みの業務体制を整備するということによりまして、少なくとも、これまでの金融自由化の動きに即応する新規金融商品の発売等ができるような体制をとるということを、改正の第一の眼目といたしておるわけでございます。
第二は、御指摘のように、組合員からする多彩な金融ニーズがございますが、組合系統金融という建前から、可能な限りその範囲を広げて、組合及び組合員のニーズに対応いたして業務拡大を図った次第でございます。
これは一つの私見かもしれませんが、大体、金融自由化の助走期間といいますものはほぼこれで終わったのではなかろうか。今後本格化する金融自由化の展望というのも、この助走期間にあらわれました幾つかの事象によりまして長期を展望し得るという判断をいたしました。そういった側面も検討いたしまして、今後特段大きな変化がない限り、組合系統金融の中核機関としての役割は、本法の改正によりまして今後十分に発揮できるものというふうに期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/7
-
008・奥田幹生
○奥田(幹)委員 今長官がお答えいただきましたのは、私の受けとめ方が間違っておれば別ですけれども、国内の情勢をにらんだ場合には大体これでいけるというような御答弁でなかったかと思うのですけれども、中小企業も海外進出がここ二、三年非常に目覚ましいものがあると思います。それで、国際的な資金の需要も必要になってきておるのではなかろうか。これについては今度の法改正で十分であるのかどうか。つまり、おととしてございましたか、ロンドンにも商工中金は事務所をおつくりになった。しかし、アメリカ大陸にも、あるいはASEANの方面にもこれからはこういう事務所が必要になってくるのではなかろうか。これについての備えはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/8
-
009・末木凰太郎
○末木政府委員 御指摘の国際関係業務でございますが、商工中金は現在、外国為替業務を行い得る政府系金融機関としては唯一のものでございます。
そこで、三十九年に外国為替業務を開始しまして以来、おっしゃるような中小企業の国際化への対応を今日まで努力を続けてきておりまして、例えば、貿易関係では輸出手形の買い取り、輸入信用状の開設、あるいは外貨預金の受け入れ、外貨の貸し付け、海外投資金融等、現在の法制で許される範囲のことはやってきておりまして、外為の取扱高もここ十年で、四十九年の一億四千万ドルから五十九年には九十二億ドルと非常に大きな伸びをしております。外貨預金も、五十六年にわずか七百万ドルであったものが、昨年末には九千二百万ドルというふうにふえてきております。
そこで、さらに最近の中小企業の国際業務の展開に即しまして、今後の体制といたしましては、以上の業務に加えまして、所属団体等が出資した海外現地法人等に対しまして直接貸し付けができるようにすること、それから、貿易取引の相手方、つまりメンバーである中小企業が輸出をした場合の輸入先に当たりますが、これについていわゆるバイヤーズクレジットができるようにすること、あるいは非居住者からの預金の受け入れ等を可能にして外貨調達手段を充実すること等の新しい国際関係業務を追加していただくベく、改正案に盛り込んだ次第でございます。
そこで、これらを支えていきます業務体制としましては、おっしゃるように、ただいまのところはロンドンに支店が一つあるだけでございますけれども、今後引き続き海外の事業所の充実に手順を踏んで努めてまいりますほか、国際関係の仕事を担える人材の養成あるいは海外関係の情報の収集提供等時に力を入れてまいるように商中も考えておりますし、私どももそういうふうに指導していく方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/9
-
010・奥田幹生
○奥田(幹)委員 部長のおっしゃるとおり、現地法人でございますとかあるいは海外での販売会社、こういうものがたくさんございまして、商工中金に対する海外での期待も非常に高まってきておる昨今でございますので、十分そういう期待にこたえ得るような体制を早く整えてもらいたいということを要望いたしておきます。
〔委員長退席、田原委員長代理着席〕
それから、この商工中金は、ほかにも中小企業金融公庫でございますとか国民金融公庫でございますとかありますけれども、何といっても、半官半民の中小企業専門の金融機関は商工中金ただ一つでございまして、そういうただ一つの非常に期待されておる商工中金である割には金利が高いのではなかろうか、率直に申し上げて。
長期物で、商工中金が八・一一七%、中小公庫は七・九七二、国金は七・九八六、こういうような数字になっております。都銀は七・四七二、地銀は七・五四六。こういう都銀とか地銀というのは歩積み両建てというようなものがございますから、一概にこういうものと比較するのはどうかと思いますけれども、それにしても八・一一七という金利は、半官半民の非常に期待度の高い金融機関としては少し高過ぎるんじゃなかろうかな、率直に私はそう思うのですが、これについてはやむを得ぬという御見解なのか、もう少し下げるように努力をいたしますということになるのか、お考えを承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/10
-
011・末木凰太郎
○末木政府委員 私どもの手元にあります資料で申しますと、商工中金のことしの四月一日現在の長期の約定平均金利は八・一一七でございまして、長期信用銀行の八・一一六とほぼ等しいかと思います。それから、短期の方は商中が六・二五七でございまして、これは都銀、地銀よりも高く、相銀、信金よりも低いという位置づけになっております。
そこで商中の金利についてもう少し安くならないかというような声は、正直に申し上げまして私どももしばしば耳にするところでございますけれども、ただいまのような数字でございますので、長期については非常に高いというふうには実は思っておりません。短期の方は若干差があることは事実でございます。それは商中の資金の調達の構成が、比較的金利の高い、そのかわり長期で調達できる債券によるものが七割を占めておりまして、比較的低いコストで調達できる、しかし期間は短い預金による部分が二割弱という構成になっておりますのに対しまして、貸し出しの方は短期が四割という差がございます。つまり短期で集めるものは二割で、短期で貸すものは四割あるものですから、そこのところは比較的コストの高い長期のものをまぜて短期の貸し出しに充てる結果、トータルとしてのコストが割高になるということでございます。したがいまして、そこについてはいろいろ努力をいたしまして、できるだけ下げていかなければいけない、これは長期についても方向性は同じでございます。
商中に期待されておりますものがいろいろある中で、この金利についての声が大きいことは十分承知しております。これについてはできるだけの努力をして、今後とも少しでも安いものを中小企業の方に提供していくという姿勢を持って対処していきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/11
-
012・奥田幹生
○奥田(幹)委員 総資金量八兆四千二百八十八億、この中で政府資金はわずか八%の六千四百億だけなんですね。あとは全部民間でございますね、九二%。そういう立場から今計画部長から御答弁をいただいたのでございますが、総代会あるいは総代さんの御意見を聞いて経営をなさっております佐々木理事長さんから、この点、もう一つ突っ込んでお考えを承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/12
-
013・佐々木敏
○佐々木参考人 理事長の佐々木でございます。先生方には常日ごろ大変御指導いただきましてありがとうございます。
ただいまの先生のお話でございますが、まさに私どもも政府資金をちょうだいいたしておりますし、また常日ごろ自己努力もいたしております。しかし、残念ながら資金調達の大半を、先生おっしゃいましたような商工債券で賄っておるわけでございます。したがって、資金コストは一般の金融機関に比べて非常に高いというのが現状でございます。先生おっしゃいましたように貸出約定の平均金利につきましては、御指摘のとおり都銀、地銀に比べまして高いわけでございます。しかし預貸率を考慮いたします実質的な金利につきましては、私ども、お取引先の中小企業に御満足がいただけるものと思っておるわけでございます。もちろん総代会等におきましては常日ごろ御指摘がございまして、私ども、十分努力をいたしておるわけでございます。
今回法律改正をいただきました場合には、資金調達の多様化が可能になりますし、さらに一層経営合理化等の努力をいたしまして極力コストを圧縮いたしまして、貸出金利の低減に努めたい、かように考えております。
〔田原委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/13
-
014・奥田幹生
○奥田(幹)委員 次に、私は政府の助成と民間の出資についてお尋ねをいたします。
これが昭和十一年に設立されました当時は国と民間が五百万円ずつ、一千万円でスタートしているのです。それから年を経るに従って資本金の増額が図られてまいりまして、現在では政府出資が千二百七十億、民間が五百四十四億、大体七対三の割合になっております。しかしながら、先ほど来御答弁いただきましたように、いろいろ厳しい環境の中で半官半民のただ一つの金融機関が中小企業界の要望にこたえてまいりますには、何としても足腰をしっかりしておかなければならぬ。そのためには政府はこれからも出資を増額していくことが必要だと思います。これについての見通し、さらにまた、こういう財政事情が非常に厳しいときでございますので、政府から大幅な出資が認められないとしますならば、やはり民間の出資に頼らざるを得ないことになりますけれども、その見通しはいかがなものか、両方あわせてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/14
-
015・末木凰太郎
○末木政府委員 現在、商工中金に対します政府の出資、先生おっしゃいますように全体の七割に当たるものを出しております。これは商工中金が組織金融機関といたしまして、貸し出しが小口多数にわたってコストが高めになるということ、そういうことから経営上脆弱性を抱えておりますので、それを補う、そして中小企業の組織化を推進する、こういう趣旨のものでございます。
過去の出資を見ますと、三十五年当時は政府の負担率が六三%でございまして、その後でこぼこはございますけれども、最近では五十七年以降政府が七割、民間が三割という比率で進んできております。
そこで今後の問題でございますが、今申し上げましたような中小企業の組織化政策の重要性、これは現時点においていささかも減じていません。また、その中における商工中金の役割というのもますます重要になってきております。私どもはそういう認識のもとに今後とも適切な政府助成を継続してまいりたいと思っております。
一方、御承知のように財政事情は非常に苦しい状況にございまして、中小企業予算全体につきましてもここ数年圧縮をやむなくされているような状況でございます。そういう中にありまして、商工中金に対する出資といたしましては五十八、五十九と百億ずつを確保し、六十年度も引き続き減らさないで百億を計上させていただいている努力をしているわけでございます。今後の見通しにつきましてはなかなか厳しいものがあるかと思いますが、努力を継続したいと思います。
一方、民間からの出資でございます。民間からの出資も、本来商工中金の設立の趣旨が、中小企業者が相寄り相助け合うという趣旨でございますので、できるだけ中小企業者みずからの出資をお願いしておりまして、かつて三十年代半ばごろは一けたの億円でございましたけれども、三十六年から十億円、四十一年から十五億円、さらに五十一年度からは三十億円、五十六年度には三十五億円、現在では五十八、五十九と四十三億円というふうにかなりの額を出していただいてきております。その結果、現在累積では五百四十四億という大きな金額になっております。中小企業者、特にこれは組合からの出資でございますので、厳しい経済情勢のもと今後についても大幅な増加はなかなか難しい面もあろうかと思いますけれども、業務量の拡大に応じて引き続き民間からの出資も期待していきたい、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/15
-
016・奥田幹生
○奥田(幹)委員 今の段階では抽象的なお答えしか引き出せないことは大体想像がつくのでございますけれども、やはり私は、この商工中金というのは中小企業界から見まして魅力ある金融機関というような方向に持っていってもらいたい。今のままではまだ若干その点が欠けているのじゃなかろうか。例えば配当にいたしましてもわずか五%、金利より低い。それではなかなか魅力ある金融機関として民間が出資をしましょうということも、理解を得るのが非常に難しい。一層努力を続けてもらいたいと要望をいたしておきます。
次に、この商工中金の一つの特色といたしまして、中小企業の組織化を金融面から支援していくんだ、こういうことが掲げられておるわけでございます。俗に私どもは、中小企業、今六百二十三万でございましたか、伺っておるわけでございますけれども、この六百二十万余りの組織化は今どういう状況になっておるのか、これが一点。それから、これらの皆さんの商工中金への加入率はどうなっておるのか、これについて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/16
-
017・遠山仁人
○遠山政府委員 中小企業の組織化率について私からお答えを申し上げたいと思います。
中小企業の組合の設立状況でございますけれども、五十九年三月末現在で見ますと、組合にいろいろ種類がございますけれども、事業協同組合が四万一千三十二組合、それから、そのほかに事業協同小組合、火災共済協同組合、信用協同組合それから企業組合、商工組合、協業組合、さらに商店街振興組合それからそういった組合の連合会、これを全部加えまして五万九百三十組合がございます。
そういった組合に、中小企業六百二十三万の中のどの程度が加入しているかということでございますけれども、最近の工業実態基本調査という調査によりますと、製造業におきましては事業協同組合に加入している割合が約三〇%、それから商工組合に加入している割合が一〇%、こうなっております。それからまた、別の調査でございますが、商業実態基本調査というのがございまして、それによりますと、卸売業におきましては事業協同組合で約二七%、それから商工組合で二三%。それから同じ調査によります小売業につきましては、事業協同組合で一九%、商工組合で二九%、こんなような状況でございます。
若干、調査の中身で、いろいろな組合に同時に加入しているようなものもありますので、なかなか余り詳しくはわからないのですけれども、大ざっぱに見ますと、中小企業者の中で約半数程度が何らかの組合に加入している、こんなような状況であるというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/17
-
018・末木凰太郎
○末木政府委員 中小企業の組織化率は今指導部長御説明のとおりでございますが、その中で商工中金への加入状況はどうなっているかということでございますが、商工中金の調査によりますと、結論的には五割強が商中の所属団体になっておりまして、最近おおむねその辺で推移しております。
具体的な数字で申しますと、五十六年度の所属率は五五・五、五十七年度五三・四、昨年末が五三・六で、大体五〇%台で推移しております。
ただ、これはいわばトータルのストックの数字でございまして、五十九年、最近の一年の動きを見ますと、非常に加入率が上がってきております。これは五十九年十二月まででございますけれども、五十九年に新しくつくられました組合のうち商工中金に所属するものは八割程度になっております。
そこで、五十九年において大きくふえてきております理由でございますが、これは調べてみますと、経済のソフト化とかサービス化とか言われておりますけれども、そういう新しい経済の変化に即応いたしまして、サービス業関係の組合がかなりふえております。例えばコンピューターを共同利用するためのソフトウエアの開発等を主たる事業とする組合とか、あるいは各種のレンタル事業の組合とか、また、よく話題になります宅配関係の組合とか、そのほか、ヒルサービス等のような各種の対事業所サービス業に属する企業の組合、こういったものがかなりふえてきております。
また、そういった背景に加えまして、商工中金は、ここ数年積極的に中小企業の組織化のお手伝いに力を入れております。また、加盟促進にも努力をしてきておりまして、そういった成果があらわれてきた結果ではなかろうかと見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/18
-
019・奥田幹生
○奥田(幹)委員 最近は非常に組織化が進んできておる。傾向としては非常に結構でございますが、これにつきましても、目的といいますか特色の一つに挙げられておる大事な問題でございますから、今後とも御努力をお願いいたしておきます。
それから、今度の改正によりまして、共同出資会社にも貸し付けが行えるようになっております。エネルギー関係でございますとかあるいは公害、こういうような問題に中小企業も真剣に取り組んで、共同出資会社をつくってやっていこうという動きが出ております。私は、それについても目を向けていただいたことは非常にいい、結構なことだと思うわけでございますが、エネルギーとか公害処理、この二つ以外にも何か対象にお考えでなっていることがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/19
-
020・末木凰太郎
○末木政府委員 共同出資会社でございますが、まず、その実態で申しますと、中小企業が寄り集まって何らかの共同の事業を行う場合に、御指摘のように、従来ですと公害処理を共同でやるとか、電気の受電設備を、団地の企業が共同施設をつくるとか、こういうタイプがかなり多かった、御指摘のとおりでございますが、最近の新しい傾向といたしましては、従来協同組合で行っていましたそういう公害対策とかエネルギー対策とかのほかに、協同組合で行います事業のうちでもう少しビジネス的な部分について、それを組合から例えばスピンアウトといいますか、分離独立させまして、会社形態で効率的な運営を図る。例えば、従来は団地の協同組合で公害もやり、エネルギー関係もやり、輸送関係もやっていた、そのうちでその輸送関係の部分は分離独立させて共同出資会社の方に移して、独立採算の運営をするとかそういうケースが出てくるとか、あるいは酒造業のケースでございますと、協同組合メンバーが共同出資会社をつくりまして、ある段階までの原酒の製造過程を共同化して、そこから以降の加工、瓶詰工程はそれぞれ個別企業で行う、そういうこととかいうふうに、共同出資の形で行う事業の態様がかなり多様化してきております。
これにつきましては、どう評価するかということでございますけれども、結局、中小企業の広い意味の共同化ということでございますが、これは新しい時代の流れに沿うものであると考えまして、これを組合に準ずる共同組織として商工中金の対象に加えたいという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/20
-
021・奥田幹生
○奥田(幹)委員 今聞かせてもらったことをせいぜいしっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、村田通産大臣にお尋ねをいたしますが、御答弁を聞いておりまして、今度のもろもろの改正内容はすべて当然のことでございまして、なぜこういう問題がもっと早く改正に着手されなかったのかな、少し遅過ぎた嫌いがあるのじゃなかろうかという感じを私は持つわけでございます。商工債券保有者からの預金の受け入れでございますとか、あるいは電気、ガス料金の収納業務でございますとか、代理貸付先からの預金の受け入れ、両替、こういうものは早くやりませんことには、ほかにもたくさんの金融機関がございまして、次々新しい金融商品が誕生してきておるわけでございますから、お客さんが逃げてしまう、そういう心配もあると私は思うのです。特に資金調達の面におきまして十分な資金が商工中金に集まりませんことには、貸し出しに影響が出てまいります。今度の法改正によりまして、一番大事な資金調達、これは十分いける、こういう自信が大臣におありでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/21
-
022・村田敬次郎
○村田国務大臣 先ほど来奥田委員の御質問をいただいておりまして、全般にわたっておるわけでございまして、商工中金の佐々木理事長、また、中小企業庁の石井長官初め関係政府委員からいろいろお答えを申し上げたところでございます。
その中にもございましたが、今回の改正は昭和五十六年の銀行法改正による銀行業務の弾力化に足並みを合わせるものでございますけれども、昭和五十六年当時は、このような銀行業務の弾力化を受けて、これを組合等の系統金融機関である商工中金の業務にいかに反映すべきかについては、なおその帰趨を見定める必要があったことなどから、存立期限が到来をする昭和六十一年までの間さしあたり見送ることとして、そして今回改正をお願いすることとしたということでございますが、これは、その後金融の自由化や金融の国際化が政府が指し示す具体的なガイドライン、スケジュールのもとで着実な進展を見るなど、金融環境は著しく変化をいたしましたために、組合等の系統金融機関である商工中金についてもその受ける影響、問題点などを幅広い見地から検討を加えた結果、今回所要の業務の見直しを行うことが適切であるという考え方からお願いをしておるわけでございます。
今回の改正では、今委員御指摘の資金調達の円滑化ということを主眼の一つといたしております。そのために、債券発行、他行が既に販売をしている債券総合口座を初めとした金融の新商品を販売できるように所要の法的措置を講じておりまして、法改正後はこれを最大限活用することによって商工債券による円滑な資金調達に万全を期することにしたい、こういう考え方で改正を進めておりますので、よろしく御理解を賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/22
-
023・奥田幹生
○奥田(幹)委員 大臣の御決意のほどはよく理解さしていただきました。
最後に、今、今度の改正は至極当然のことと申し上げましたけれども、業務の運営につきましては、第三条「主務大臣ノ認可ヲ受クベシ」、第四条「主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得」、冒頭に申したように、この文案自体がもう一つなじまないのですね。それから「主務大臣ノ認可ヲ受ケタル銀行其ノ他」云々というようなのが入っているのですね。こういうように「主務大臣ノ認可」というような文句で何か手かせ足かせになっている部分が残っているんじゃないか、率直に私はそういう感じを受けるわけでございます。さきにも申し上げましたように、国金とかあるいは中小公庫とは違いまして、この商工中金は総代会あるいは総代さんの御意見を聞いて理事長が取り仕切っていかれる、そういう経営の自主性というものも認められておる機関でございまするから、運営についてももう少し自由な形にならないものかな、こういう感じを持つのでございます。主務大臣云々というのは、私は拘束とは申し上げません、政府資金も出しておるのだから何らかの形で責任を持たなければならぬというお気持ちはわかるような感じがしますけれども、ただ一つの半官半民の、中小企業界からは期待度の高い商工中金でございますので、もう少し経営の自主性について何とかならないものかなという感じがいたしますので、御答弁をお願いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/23
-
024・村田敬次郎
○村田国務大臣 奥田委員の御指摘、非常にごもっともかと存じます。商工中金は組合などの相互扶助機関として組合などの出資によって設立された金融機関でございまして、公庫等に比べて予算、機構、定員の統制を受けていないというような経営の自主性が相当程度認められておりますけれども、他方、中小企業の組織化推進を金融面から支援するというような重要な政策課題を担っております。また、国からの多額の出資が投入され、半官半民としての性格も持っているといったようなことに基づきまして、必要な範囲内でその業務運営について、今御指摘のあった主務大臣の認可といったような国の関与が一部行われているものでございます。
今回の法改正は、最近の金融環境の急激な変化やその中での中小企業のニーズの多様化等に対応いたしまして、商工中金の業務規定の充実を図ることを主たる内容とするものでございますので、以上のような商工中金の基本的性格を変えないこととしておりますけれども、主務大臣の認可などの中でも、例えば商工中金が預金できる金融機関に係る主務大臣の認可など、時代の推移によってもはやその意義を失っておる認可事項等は今回の改正を機に廃止するなど、所要の見直しを行っているわけでございまして、委員御指摘の趣旨に沿う改正もこの中に入っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/24
-
025・奥田幹生
○奥田(幹)委員 大体これまで質問をしてまいりました事柄、なおもう少しという面もございますけれども、遅きに失した感もございまして、こういう法改正は早く実施に移してもらいたい、期待にこたえてもらいたいという感じを私は持っておりますから、今後とも佐々木理事長さんあるいは中小企業庁の皆さん方に何分の御努力を期待いたしまして、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/25
-
026・粕谷茂
○粕谷委員長 これにて奥田幹生君の質疑は終わりました。
続きまして、渡辺嘉藏君の質疑に入ります。渡辺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/26
-
027・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 商工中会法の一部改正につきましての質問をいたしますが、まず第一に、今度の法改正で、第二十四条で副理事長を設置をする、こういう法改正でありますが、その理由をまず承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/27
-
028・末木凰太郎
○末木政府委員 副理事長につきましては、定款で既に副理事長の制度を設けまして相当の期間実施してきております。
今回、商中法の改正をお願いするに当たりまして、相当大きな規模にまで成長しまして業務も多様化し、また今回の改正によりましてさらに新しい任務を担わせていただく商工中金につきまして、その内部の責任体制、指導体制というのをより明確化するという趣旨から、従来定款上の制度にすぎなかった副理事長を新たに法律上のものにして明確化しようという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/28
-
029・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 現在副理事長は既に定款で設置をしていらっしゃる。昭和二十六年からだと聞いておるわけです。昭和二十六年から副理事長が定款で設置されて、あらゆるパンフレットにも副理事長という名前が出ておる。ところが法律にはなかった。これを今度追認する、こういう法改正のやり方は好ましくないと私は思うのです。
それならば、現在専務と呼称されておる方があるわけです。これは立派な人物で、業務にも堪能な方なんですが、これは昭和五十七年の八月十一日からこういう呼称をするということになったんだそうですが、しからばこれは理事会でお決めになったのか、理事長がお決めになったのか。あるいはまた、今回こういうふうに副理事長というものを追認の形で法制化した、こう言うならば、この際専務、常務、専務というのは既に呼称的にあるんだから、これはなぜ法改正の中にきちっと入れて、定款上もきちっと入れてやらないのか、これを承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/29
-
030・末木凰太郎
○末木政府委員 先ほど私御答弁申し上げましたときに、あるいはちょっと舌足らずだったかと思いますけれども、定款で長年やってきたから、それだけの理由で法律に移すという御説明を申し上げたわけではもちろんございません。そういう背景を踏まえまして、この時点におきましてどの程度の役職を法制化するのが適当かという検討の上でもちろん御提案したわけでございます。
それから、専務、常務制でございます。これは民間の金融機関等で非常に多数の役員が存在している機関についてはそういう呼称あるいは制度が設けられておるわけでございますけれども、商工中金の場合、私は将来にわたりましてそういう制度が不要であるとか不適当であるとか申し上げる趣旨ではございませんけれども、現在のところは同規模の民間金融機関に比べまして、役員の数はかなり絞られたスリムな形になっております。したがいまして、その理事の中でさらに今のような役職づけをするものにつきましては、現段階の最小限必要なものに絞って御提案申し上げた趣旨でございます。専務の制度のようなものにつきましては、内部の一般的な呼称として言われておりますけれども、法制化につきましては今後の課題とさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/30
-
031・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 ちょっとまた質問に対する答弁漏れがあるわけですが、五十七年八月十一日からそういう呼称になったわけですが、これはどういうことでやられたかということを後で一緒に答弁いただきますが、八兆円からのこれだけの商工中金の大きな規模なのです。七千人近い従業員がおるのです。理事長、副理事長だけでなくて、当然この程度の規模なら専務がありあるいはまた常務があって当然のことだと思うのですが、そのことによってその役職の機構も整備されるし秩序も保たれるし権威づけられるし責任も持たされるわけですね。
私はこの方がいいと思うのですが、なぜ今度そういうことがなされなかったかということとあわせて、理事長と副理事長は今度の法改正によって任期が四年、他の理事は二年、こうなったわけです。今までは全部四年だったのです。そうすると理事長、副理事長だけが四年になった、あとの理事は全部二年にする、こうすることは余りにも理事長、副理事長の権限が強大になり過ぎるのじゃないか、私はこういう運営は好ましいと思っておらないのです。やはり大勢が、十一人でしたかの理事の役員の方々が全体となって当たるために、理事長、副理事長だけが任期四年、あとの理事、今専務と言われる人も含めて二年、私はこういうことは好ましいと思っておらないのです。この際会員四年なら四年、従来どおりでいいと思うのですが、なぜこういう改正をなされたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/31
-
032・末木凰太郎
○末木政府委員 任期の問題でございますが、理事長、副理事長四年、その他の理事が二年という差がございますが、その他の理事も含めまして再任は差し支えないわけでございます。
そこで、なぜあえてこう差をつけたかということでございます。これは最近の政府の申し合わせによりまして、法律改正の機会に特殊法人の任期につきましてはトップの、上からのお二方については四年、その他は二年ということで統一していこう、そうすることによっていろいろな刺激の効果もあるし、一方において専門的なことに習熟する必要があるという観点からは再任は妨げないということで、最近の改正の機会等の立法例がそういうふうになっておるのにそろえたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/32
-
033・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 まだ答弁漏れがあるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/33
-
034・末木凰太郎
○末木政府委員 専務の問題につきまして、恐縮でございますが今確認をいたして後ほど答弁させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/34
-
035・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 答弁聞いておって僕は理屈が通らぬと思うのです。再任は妨げない、こんなことは当たり前のことなんです。それだったら、理事長だって副理事長だって再任を妨げないのだから二年でいいじゃないか、こういうのは僕はおかしいと思う。このおかしい理由は次に聞きますが、理事長は今度佐々木さんですね。立派な方です。しかし前歴を聞きましたら、東京商工会議所の専務で永野会頭のもとで頑張っておられた、その前は通産省の局長さん、五十八年の十一月十一日から理事長に就任せられた。副理事長は昭和五十九年九月十四日に就任された、これは開銀の理事をやっていらっしゃったが、その前は大蔵省の銀行局長。常勤の監事は大蔵省の出身。名前だけの専務理事ですが、これは商工中金生え抜きのプロパーの人材。こうなってくると、主務大臣管轄下の通産、大蔵の天下りのいすだけが権威づけられたような印象を受ける。
商工中金というのは本来中小企業者のための組合金融の機関なんです。経歴その他省略します。その重要な意味は私が今さら申し上げるまでもない。今中小企業、零細企業の景気がよくなったと言われながら二重構造の底辺の中で本当に苦しんでおる、そういう相互扶助の金融機関に対して、中小企業の本当の苦しみがわかる人が役職につく、権威を持つ、当然だと思うのです。僕は今の役職の方が不適任だとは言わない。しかし、より好ましい人を選ぶ必要があるのじゃないか。これにはやはり中小企業が手形決済のために血の涙を流す苦しみを知っておる人、中小企業の相互扶助の本当に実践の理解者、こういう人々がなるならいい。そうでなしに、主務大臣の管轄下の通産、大蔵の二人だけが理事長、副理事長になって、それが四年だ、こういうあり方は好ましくないと私は思うのですが、これは主務大臣からひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/35
-
036・末木凰太郎
○末木政府委員 申し上げるまでもないとは思いますが、理事長、副理事長の出身によってこのように差をつけたわけではございませんで、先ほど申し上げましたように最近の立法例に倣ったものでございます。
それから、先ほど答弁がおくれておりました専務の問題でございますが、これは五十七年の八月に部内で理事長の決裁によりましてそういう呼称を決めた。五十七年八月に内部機構の改革が一部ございました、その際にこういう呼称に決めたというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/36
-
037・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 どうも納得のいく答弁ではないんです。幾らそうおっしゃったって実態がそうなっておるんですから、この際こういう改正の仕方は好ましくない。任期を四年にするならみんな四年にしておいた方がいいんです。プロパーの職員もしておく。それから副理事長を法制化するなら専務も法制化しておく。それは理事長の決裁で専務という呼称をつけられた、私はいいことだと思うのですよ。むしろ、これだけの、八兆円の大規模な組合金融機関なんです。専務が二人いて、そして何もかもがっちり押さえてやっていく、これは当然なんです。そういう点で今度の改正はまだ不十分と言ったら失礼なんですけれども、そういう点できめの細かい改正になっておらない。
いま一つは、先ほども出た話ですが、主務大臣が大蔵、通産と、こうなっている。どちらが上、下は別ですが、なっておる。これはこの際私は一本にした方がいいと思う。主務大臣が二人もいるものですから、両方に書類も出さなければいけない、両方に行かなければいかぬ。通産なら通産が主務大臣になって、そして大蔵と連携して協議してやる、このことはいいんです。しかし、両方に書類を出させる、こういう繁文縟礼のようなことをやめさせてすかっとする、このことも必要だと思うのですが、この際どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/37
-
038・村田敬次郎
○村田国務大臣 委員御指摘の大変重要な問題でございます。お答え申し上げますが、現在ここに来ていらっしゃる佐々木理事長また副理事長以下理事、ずっとおられるわけでありますけれども、委員御指摘の通産省御出身、大蔵省御出身ということはありますけれども、こういった役員の構成というのは、委員御指摘のプロパーの方もおられ、また通産省や大蔵省のようなところでこういった業務を長年にわたってよく見てこられた方もおられ、そのバランスによって非常にうまくいくものではないかと思っておりまして、その点は商工中金の理事長、副理事長、理事、各メンバーについては最も業務に適した方々、そして商工組合の内部の事務もよく知っていらっしゃる方、あるいは通産省などでそういった業務をよく多年にわたって研究しておられた方というバランスは、私は非常によくいっておると思いますし、また恐らく個人的な問題につきましては、委員も全く私と同意見を持っていらっしゃるように拝聴いたしました。今後商工中金の運営について、委員御指摘のようないろいろな問題は、ひとつ人の和のバランスでうまく運営をしていくということで御了解をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/38
-
039・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 今後の理事長の任命等につきましては当然主務大臣が当たられるわけですから、今後任命されるときには私は、そういう私どもの意のあるところも酌まれまして、そして万遺憾なきを期していただきたい、こう思います。
次に、現在大企業と中小企業の格差はいろいろな面で広がっておるわけですね。その中で商工中金の役割としては当然組合金融で、そして組合の相互扶助によって、そして設備の近代化、高度化等々を図っていくわけなんですが、そこで中小企業等協同組合等が行います高度化事業、工場集団化事業あるいはまた構成員に対する近代化事業等々に対してそれぞれの制度融資があるわけですが、その自己調達部分について、商工中金としては別枠を設けて対処するのが必要ではなかろうか。なぜかというと、この商工中金の金利の一覧表によりますると、こういう長期のものに対しましては七年以上八・一%から八・四%、こうなっておるわけですね。せっかく政府が低金利で出した、あと自己調達の分を商工中金に頼みに行ったら八%だ、これはとてもついていけないですね。
私は、この際商工中金は、そういう高度化資金なんかに対しては十二年物なら十二年物に合わせて、それでも一般市中金利よりも低利で例えば五・五なり六なり、それを十二年なり、そういうふうにこれは手当てをしてやる。しかし、もちろん自己資金の必要もありまするから、二〇%なら二〇%自己資金持ちなさい、それから三〇%ついていってあげます、あと五〇%等は国の制度融資で手当てしましょう、こういうことが今必要ではなかろうか、こう思うのですけれども、そうするとその部分は債券、預金等の金利との逆ざやが出ますが、これは政府が助成する、別枠になっておるからきちっとわかります。こういうことが今必要ではなかろうか、こう思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/39
-
040・末木凰太郎
○末木政府委員 高度化資金に連動した商工中金の低利の融資についてのお尋ねでございますが、高度化資金について既に非常に中小企業金融の中では優遇されている制度ではないかと思っております。すなわち、高度化融資の場合には融資比率を高いものは最高八五あるいは九〇まで見ております。それから融資の期間も十五年という程度のものなどで優遇しております。こういう点からいいますと、その残りの部分につきましては原則は自己資金でございますけれども、残りについて商工中金としましてはケースに応じましてできるだけのおつき合いをしてきているのが現状でございます。
これをいわば制度といいますか、新しい仕組みでさらに思い切った金利を商中の方も下げていくということにつきましては、先ほど申しましたように、高度化融資が融資率が非常に高い、期間も長い。それから金利が、申し落としましたけれどもゼロあるいは二・七ということで優遇されておりますので、それをさらに商中で非常に大幅な優遇というのはいかがかという感じがいたします。これは高度化案件につきまして、中小企業事業団の高度化融資そのものについてどの程度手厚くしていくか、あるいはそちらはほどほどにしておいて裏の部分、裏といいますか、その補完の部分の商中の方でどうするかという組み合わせの問題にもなりますけれども、私どもは中小企業事業団の方でできるだけの手を打っているつもりでごいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/40
-
041・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 答弁で八割も九割も貸しておる、これは工場集団化資金ではそういうものもあるのですよ。ところが実際はそれだけ出ないのですよ。対象除外の事業がたくさんあるのです。そういうことを御存じあるかないか、あると思うのですがね。そうすると今のような答弁できないはずなんです。実際は、八割まで貸せるようになっておったって七割、六割しか出ない。六五%の高度化資金でも、実際は五割か四割五分しか出ないのです。これが実態なんですよ。そういうところから言うと今のような答弁はできないはずなんです。
だから私は、そういうところにいわゆる商工中金が手当てをしてやることを考えるのがこういう大きな改正をするときに必要なことじゃなかろうかということと、それから、もちろん金利によってはゼロのもの、二・七のもの、いろいろありますよ。ありますが、しかしそれによって浮くメリット、助成よりも、一緒になることによって生ずるデメリットもあるのですよ。そして、そういうものができることによって、外圧もまた大きく受けるのですよ。この苦しみから考えますと、商工中金が七年物以上、八・一から八・四という一般金利で対応しますよ、こういうことは私は不親切じゃないか、こう思うのですよ。そういう意味でそういう別枠の制度を設けたらどうか、むしろその方がすっきりしていいんじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/41
-
042・末木凰太郎
○末木政府委員 実際のビジネスの世界では、本当に必要なお金に対して八五とか九〇にならないだろうとおっしゃる。それはそういうことはあるだろうと思いますが、私どもの制度は、そういうことも含め、踏まえた上で八五とか九〇とかいうのを定めておりまして、いずれにしましても、ほかの案件に比べまして事業団の融資は手厚くなっていることは事実でございます。
そこで、商中の方でございますが、五%台とかいうことは、それはちょっと難しかろうと思いますけれども、現在まで既に、高度化資金等で協同組合が行う共同事業について不足分を商中がお貸しする場合については、先生の御提案からすれば御不満かとは思いますが、ほかの場合よりも〇・二%低い金利で商中はお貸しをしているということになっておりまして、特に、高度化案件は期間が相当長期にわたりまして、これは一般の金融の相場で申しますと、こういう非常に長期のものについては金利は高くなるのが一般でございますので、それを逆に〇・二下げているということで努力をしているという点を御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/42
-
043・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 御努力いただいておるということは敬意を表しますが、二%のところにアクセントが入ったものですから、頭がちょっと聞こえなかったわけですが、〇・二%ですよ。その点をよく腹へ入れて、それで手厚いかどうか、ひとつ今後の課題として御検討をいただきたいと思います。
次に、昭和二十六年十二月十日付で、中小企業庁長官と銀行局長との連名で、商工中金は信用組合と企業組合の構成員とは取引してはならない、こういうふうに規制しておるわけですね。今日、信用組合の構成員とは取引を禁じておられる理由は何ですか。大蔵省から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/43
-
044・末木凰太郎
○末木政府委員 二十六年の通達によりまして、「信用組合の構成員と商工中金は取引をしないこと」ということになっておりますのに対して、現実にはあるのではないかという御指摘かと思いますが、二十六年の通達の趣旨は、信用組合の構成員と商中が直接取引をすることをとめているわけでございます。その趣旨は、信用組合は本来協同組合の一つといたしまして商工中金のいわゆる系統金融の組織の流れに入っているわけでございますから、親と子がその孫に対して商売を競い合うという形を避けるというのが本来の趣旨でございます。
現実にあるとすれば二つのケースが考えられまして、第一は、商工中金が信用組合を通じて代理貸しという形で行う場合で、このような場合には信用組合が第一線でやるわけでございますから、親と子が争うという実態にならないわけでございます。それからもう一つは、信用組合の構成員がたまたまほかの中小企業の、例えば事業協同組合のメンバーにもなっているという場合に、そちらの系統の資格でお貸しをしているケースがあるかと思いますが、これは外見上は信用組合のメンバーに直接貸しているようになりますけれども、たまたま二つの資格を持って、もう一つの方が働いたというケースではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/44
-
045・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 大体そういう答弁が出ると予想しておったわけですが、信用組合の代理業務、これはもうすらっといっていいと思うのですね、この通達の趣旨からいくと。ところが、信用組合の構成員と、商工中金と信用組合とが競合しないために取引を禁止した、しかし、たまたまその人が協同組合員であった、だからその協同組合の混合員に貸す、これは私はちょっとおかしいと思うのですね。そういうことは詭弁というのじゃなかろうかと思うのです。それなら、僕はむしろこの通達を実態に合うように直した方がいいと思うのですよ。昭和二十六年なんですからね、今から三十数年前なんです。戦後のあの混乱期なんです。そして、企業組合もまだできたばかりで、大蔵省も企業組合をどちらかというとこういう抑える状態であったときなんです。ですから、この際この通達は見直した方がいい。
とともに、企業組合に対しましても、それ以来三十数年たって今日に来たのです。この際これも、実務的な段階でもいいのですが、何らかの見直しをしてやっていただきたい。企業組合も、その昭和二十五年、二十六年にできた当時と今とは非常に中身も変わってきましたし、分散型の企業組合でありましても、これがきちっと一定のレールに乗って今の経済活動をやっておるわけなんですね。そういうような意味で、構成員そのものは、これは勤労者という単位になっておりますので、企業組合の場合これは難しいと思うのです。それでもやはり、事業経営の単位である営業所が一定の条件を整えたら、これと取引しても商工中金の本来の目的から逸脱するものではないのじゃないか、こう私は思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/45
-
046・末木凰太郎
○末木政府委員 企業組合の問題につきましては、先生御指摘のとおりの法律構成になっておりまして、構成員はその持っている資本と労働を全部組合に投入して勤労者の資格になっているわけでございますから、勤労者たる資格としての構成員に事業資金を商中がお貸しすることは法律論としてできないわけでございまして、そういう意味で二十六年の通達が出ているわけでございます。ここは信用組合の場合とちょっと趣旨が違うものでございます。
それで、先生が後半におっしゃいましたのは、勤労者としての面ではなくて、事実上分散型の企業組合という実態を踏まえて、実務的に、例えば支店とか事業所単位の代表者の名前で貸せないかというお話かと思いますが、そこは先ほどのような勤労者としての個人ということでなく、あくまでも企業組合という法律上の存在を代表する資格において事業所の責任者の方が出てくる場合には、よく実態を私どもも勉強しなければいけませんけれども、そういうことでございますれば、一定の条件を満たしていただくことはもちろん必要でございますし、それから、組合との関係で内部的な手続も必要な手続を踏んでいただかなければなりませんけれども、法律上あながち不可能ではないと思います。その点につきましては、実務的な観点から早急に検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/46
-
047・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 その点、前向きな御答弁をいただいて光栄ですが、ぜひひとつ実務的な面も含めまして、実態に合わせて、商工中金の本来の任務に邁進をしていただきたい。そのことによって今度は企業超合その他も発展、振興ができる、そして、広い意味では日本経済そのものの進展につながる、まあ大きな言い方ですが、私はそう思っております。それの一つだと思っておりますので、どうかひとつその点御了承いただくとともに、私は、昭和二十六年のあの通達は一遍この際見直しの検討を考えていただけないだろうか、こう思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/47
-
048・末木凰太郎
○末木政府委員 企業組合につきましては、今申し上げましたような実務的な検討をまずやらせていただきたいと思いますし、協同組合につきましては、詭弁ではないかというおしかりを受けたわけでございますが、まず私どもは、二つの資格を持っているということ自身は決しておかしなことではございませんけれども、それが全く何か脱法的に形式的なものであればそれは確かに問題がございますので、そういった点の実態も踏まえて今後勉強していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/48
-
049・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 次に、業域拡大の件について御質問いたします。
今度は二十八条でいろいろな業務が拡大できるわけですが、まずその中で、商工中金は本来の設立の趣旨から、この法律の中で、「所属団体又ハ其ノ構成員ニ対シ担保ヲ徴セズシテ五年以内ノ定期償還貸付ヲ為スコト」、二項にも同じような表現で「担保ヲ徴セズシテ二十年以内」、こういうふうに書いてあるわけですね。担保を徴せずにやりなさい、昭和十一年の設立の原点はそれだった。しかし今日、担保を徴せずにはやっていらっしゃらぬわけですね。二十八条の二項で「必要アリト認ムルトキハ担保ヲ」徴収することができる、こう書いてある。私はこういう表現はおかしいと思うんですね。担保を徴せずにやりますというのなら、それを大上段で、八割がそうだというのならいいのです。今は担保を徴せずにやっているものがありますか。もしないとするならば、この条文そのものをこの際考えなければいけないのではないでしょうか。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/49
-
050・末木凰太郎
○末木政府委員 おっしゃるように、確かに現行の商中法ではまず担保を徴しない場合が書いてありまして、後の方に担保を徴する場合が出てきます。おっしゃるような問題意識をお持ちになるのかと思います。現実にはどうなっているかと申しますと、約二四%ぐらいが担保を徴しないということでございます。この立法の趣旨からすれば、御指摘のように商工中金はメンバーシップの金融機関でありますし、メンバーシップであるがゆえにお互いにいわば連帯し合い、担保の不足を補う、ですから担保なしに借りられる場合を第一に書いたのだろうと思いますけれども、その精神は今日でも生きていると私は思うのであります。
ただ、その後商工中金も五十年間、規模も非常に大きくなりましたし、立法のときには、原資につきましても中小企業者が相寄り相助け合ってお互いに有無相通しという提案理由説明がなされておりますが、そうして足りないところを外部資金に依存するんだということでございましたけれども、現在では外部資金が非常に多くなってきております。したがいまして、担保のある方が三、ない方が一というふうになっておりますけれども、これはやむを得ないことかと思います。今後またこの有担原則というのがどうなっていくのかというのは、一商中だけの問題ではなくて金融界で大きな問題になっておりますけれども、そうした中にあって、今この時点でその立法のときの心構えをあえて消してしまうことはないのではないかと思います。現実はおっしゃるように違いますけれども、その設立のときの精神を残し、かつ必要な担保は金融機関として現在いただかなければならない、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/50
-
051・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 「商工中金のあゆみ」で、ここにその当時のことが書いてあるのです。私もこれを読み、あるいはまた当時の議事録も読んでみて立派なものだと思ったのです。だから、こういうまくら言葉がついたのです。担保を徴せずに貸しますよ、これが立法の趣旨だったのです。とすれば、こういう変わった銀行がある、金融機関があるということ、これを生かしていただく。今でも一般の金融機関だって三分の一や四分の一は担保を取らずに貸すのです。心配ない企業だから貸すのです。申し込んだだけで貸すのです。商工中金ばかりが二割六分、無担保で貸しておるのじゃない。これはおわかりだと思うのです。そういうような意味から、この商工中金本来の目的としてやったのならば、そういう人的保証も含めてなのですけれども、この本来の趣旨をもっと生かして、そして連帯した場合にはどうする、あるいはまた組合員が承諾した場合にはどうする、こういうきめ細かく、そしてこの人なら、この組織なら、この企業なら、あえて厳しい担保徴求でなくて信用していこう、せっかくこの条文を残すとおっしゃるのだから、残すならそういうふうな運用をお願いしたい、こう思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/51
-
052・末木凰太郎
○末木政府委員 若干繰り返すようになって恐縮でございますけれども、設立当初は確かに、現時点に比べますと御指摘のように物的担保よりも人的担保に重点を置いていたと思います。それは商中が設立されるに至ります昭和初期の何年かの間の非常な不況の状況を背景といたしまして、また、当時まだ資本蓄積も少なかった時代において、そもそも物的担保が絶対的に少なかった時代ということもあり、一方では組合員の数が現在に比べればはるかに少なくて、お互いに信頼し合う度合いが今日よりももっとコミュニティー的だったと思うわけでございますが、そこの実態は、これは遺憾ながらと申し上げるべきかどうか、経済の進歩でございますが、変わってきているわけでございます。一方、外部からの負債がございますので、どうしてもある程度物的担保に依存せざるを得なくなってきておりますけれども、数ある金融機関、いろいろな種類の金融機関の中で商中の特性というものはメンバーシップである、何重かの段階でお互いに皆知り合っている、そういうのを踏まえてお貸しをするというところに特色があるといたしますれば、ほかの金融機関よりもより人的に知り得る仕組みになっているわけでありますし、そういう特性は今後とも生かしていくべきではないかと考えているわけでございます。
ただこれも、いずれも組合の方々の判断というか選択が重要な問題でございまして、ある組合の場合には、我々のグループでは人的の連帯で商中と取引しようではないかというウエートのかかる組合があろうかと思いますし、他方においては、事業の協調面では大いに協調するけれども、金融の面、特にこの担保の面については各独自性でそれぞれ責任を持とうではないかという選択もあろうかと思いますので、そこはよく組合の意向、希望、実態を踏まえて今後対処すべき問題ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/52
-
053・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 次に進みますが、二十八条の四項で、本来の業務のほかに新たに、一口で言うなら員外貸し付けのような員外業務といいますか、そういうことが今度できるようになった。政令でその限度を定める、こうなっておるわけですが、政令をお聞きしますと二〇%を予定しておる、こういうことだそうであります。約七兆円の貸し金ですから二〇%といっても一兆四千億なんです。大変な金なんです。これが今度共同出資会社も含めましていろいろな方面へ出ていくわけです。こういう本来の業務以外のところへどんどん乗り出していく、そういう意欲はいいのですけれども、それがために本来の業務の方がおろそかになってくる危険の方を心配する。むしろ商工中金という本来の任務に邁進する方がこういうことをやるよりもいいんじゃなかろうか、二割をそういう員外の業務に貸すようなことをやるということよりもいいんじゃないか、こう思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/53
-
054・末木凰太郎
○末木政府委員 新しい二十八条の四の貸し付けの規定の関係でございますが、政令でこのカテゴリーについての総枠をかけ、制限をかける予定にしておりまして、信用金庫とか信用組合とか、ほかのメンバーシップの金融機関の例にならいますと上限百分の二十、二割を超えてはならないということになっておりますので、商中の場合にも政令ではそういうことになろうかと思います。ただ現実にはどうかと申しますと、今後新たにここで加わってまいりますものは、実はかなり限られたものを限定列挙いたしております。そこでこれは金融機関としての規模の利益だけを考えますれば、金融緩和の時期にゆとりがあるお金を借りてくれる方にはどんどんお貸しするということで、二割まで無条件ということであれば、お金の使い方としては最も機動的とも言えるのでございますけれども、そこは先生御指摘のように今回もあくまで商工中金のメンバーシップである金融機関、この本質を逸脱しない範囲において、厳密には加盟所属団体あるいはその構成員ではないけれども、これとこれはお貸ししても本来の趣旨に反しないのではなかろうかというふうに限定列挙いたしまして、一号、イ、ロ、ハ、ニ、ホとこう出てきております。したがいまして、現実の見通しといたしましては、到底二割というような大きな数字にはなりませんで、なかなかこれは海外関係等見通しは難しゅうございますけれども、その一けた下のような数字で当面は見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/54
-
055・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 じゃ、その点ひとつよろしく運用の中でお願いをいたします。
次に、今度、二十九条の余裕金の運用なんですが、従来は、余裕金は中小企業等協同組合等の所属団体やその構成員に短期融資等に限定をしておられたわけですが、今度はこれを拡大いたしまして「信託業務ヲ営ム銀行又ハ信託会社ヘノ金銭信託ヲ為スコト」及び金銭債権の取得、譲渡、こういうものが可能になってくるわけですが、この中身につきましては、時間もありませんので多く触れませんが、国内外のCD、譲渡性預金、あるいはまた外国のCP等の売買ができる、こういうことになってきたわけです。今度、金利自由化の中で変動がいろいろ出てくるわけです。まさかとは思いまするが、安いときに買っておいてこれを値上がりしたら売ろう、そういう投機的なことはまずないと思うが、そういう危険がないとは言えないと思うのです。こういう点についてどういうような対応とチェック機能で運営されるのか、これを承りたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/55
-
056・末木凰太郎
○末木政府委員 商工中金が半官半民で政府の助成を受けておる公的機関でございますから、いやしくも投機的なビジネスを行うということはあり得ないことでございますし、具体的には、例えば今度新たに追加をいたします金銭債権につきましては政府の認可にかけておりまして、これも先ほど御議論ございましたように、いたずらに手足を縛るという趣旨ではございませんけれども、こういう金融情勢の変化の激しいときでございますので、少なくとも当面手がたいやり方をして大事なお金を大事に扱っていきたいと思います。
ただ、余裕金につきましては、絶対値が一兆円を超えるように大きくなってきておりますので、今後少しでも効率的な資金運用を図りまして、そのメリットをメンバーに還元していくという趣旨から、今回自由度をある程度ふやさせていただこうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/56
-
057・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 次に、貸出金利の問題ですが、貸出金利が高いということは、これは先ほども奥田先生の質疑でなされておりましたが、商工中金の五十九年三月末の残高で計算をいたしますと、七・五六%になるのですね。これは業務報告書で計算をしてみたのです。貸出金利が七・五六に当たります。ちなみに五十八年度の都銀その他を比較いたしますと、都銀が七・四八、地銀が七・〇九、相互銀行が七・五〇、商中が七・五六、こうなるわけですが、この高い理由について重ねて承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/57
-
058・末木凰太郎
○末木政府委員 あるいは先生のお手持ちの資料と私どもの資料と多少違うかもしれませんが、基本的な認識といたしましては、先ほど奥田委員の御質問にお答えいたしましたように、特に短期の方で割高だと言われております。
その理由は、金貸し出しの中で短期の貸し出しは約四割を占めておるわけでございますが、調達面では、それに見合った四割が短期の取り入れになっていない。つまり、預金は二割弱しかございません。そこで、比較的コストの高い長期で取り入れたものを、比較的高い金利のいただきにくい短期資金にお貸しするということで、おっしゃられた問題が出てきておるわけでございます。ここを是正していくためにはいろいろな努力をしなければなりませんけれども、いずれの方法もなかなかそう簡単にはまいりません。
ただ、私どもとしては、今回の改正を機に商工中金としては、同じような業態をとっております債券発行銀行といわばイコールフッティングで仕事ができるような条件を整えることになりますので、そういう条件のもとに最大限の努力を商中にも期待いたしますし、また、政府としても適切な助成を講じまして、今の割高の問題を少しでも解決したいとは思っております。
ただ、一言触れさせていただきますと、商中の場合には、預貸率等を考慮に入れますと、表面の比較よりは本当は、民間銀行に比べますとそう高くはないということが一点と、それから、標準金利が定められておりましても、民間の金融機関の場合には、それより高いところ、それより低い場合というのが割合に振幅が大きゅうございますが、商中の場合には、大勢の中小企業の方にできるだけ等しい条件で御利用いただくということから、その金利のぶれの振幅が比較的小さくなっている、こういう点も一つ評価していただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/58
-
059・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 貸出資金の原資が債券並びに預金で賄っておる。だから、債券の占める比率が高いわけですから、どうしても原資が高い利回りで動いておる、これはわかるのです。
そこで、これも五十九年三月末のそれぞれの決算書ではじいてみますと、債券利息が四・八九%、それに債券発行差金償却がありますので、こういうものを含めましても六・七%、こうなるわけですね。預金の場合には三・八五%の利払いです。だから、今の差金を入れませんと、債券並びに預金に払っております利息は四・六七%、こうなるのです。四・六七%ということは、これは都銀、地銀、相銀、信金等と比べますと、都銀が六・九、地銀が四・七五、相銀が四・七八、信金が四・七四、こういうのと比較いたしますと決して高くないわけです。ところが、さっきの差金を含めますと六・一%になります。それでもびっくりするほどのことじゃないのです。都銀は六・九、もちろんこれは外国のものも買いますので、海外のものを扱いますので都銀は高くついておりますが、そういうような計算から見ますと、一概に債券だけ原資にしておるからということでそういう答弁は合点がいかないのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/59
-
060・末木凰太郎
○末木政府委員 大変申しわけございません、先生御指摘のものにぴたり見合う資料が今手元にございませんのですが、おっしゃいましたような差金、これは割引債券の償還との差額でございますので、いわば一種の支払い利子に当たる分でございますから、もちろんこれを含めまして比較しなければいけないわけでございますが、比較した上で今それほど高くなってないではないかというお話でございます。今お伺いしました数字、私どもよく検討いたしまして、また別の機会に御説明したいと思いますけれども、商中がメンバーのために存在している機関でございますし、今、こういう金融情勢のもとで各金融機関がいわばしのぎを削って貸出競争をしているのが実態でございまして、商中はそういう意味でもりもりとシェアをふやすというような基本姿勢ではもちろんないわけでございます。しかし、当然、民間金融機関がそういうふうにやっている中であって、仮にもどこかにお金を隠し込む、内部にため込む、そういうことであれば存在している意義がございません。したがいまして、不当に内部に利益を隠し込んでいるということはないはずでございますけれども、計数についてはいずれまた確認させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/60
-
061・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 金利の自由化を初め金融の自由化がどんどん進行するわけです。そういう中で今回国債との連動あるいはまた総合サービス等々の新商品によって商工債券の販売力を維持していきたい、こういうことですが、これは結構だと私は思うのです。ただ、それに走り過ぎますと、先ほど申し上げたように預金金利は三・八五で商工中金も預かっていらっしゃる。この面をおろそかにしてしまうと、どうしても資金コストはより高くついてくるのです。民間銀行と張り合えとか競争しろという意味じゃないのです、シェアが違いますから。それでも、やはり安い原資を集める、こういう意味で預金増強、預金増加は重要な柱だと思うのですが、これに対する対応がちょっと今度の中に出ておらないのです。これについてはどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/61
-
062・末木凰太郎
○末木政府委員 現状において預金が安いコストでの資金調達の有力な手段であることはおっしゃるとおりでございまして、預金もどこからでも自由にとれるということになれば、それは当面確かに調達資金コストは下がります。しかし、これは昭和十一年のとき以来あった長い議論でございますけれども、いろいろなタイプの金融機関が存在して、最近までは垣根などと言われておりました、だんだん自由化されてきておりますが、その中において今日まで債券を発行することができるというのは、特権と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、一つの有力な手段を特に六行だけ認められておるということでございますので、それと引きかえに預金については無条件ではないということになっております。今回、そういう意味で、そういう長年の経緯それから商中の本来の姿も全部まとめて検討いたしまして、預金の受け入れ先についても若干追加をさせていただいておりますけれども、広く一般大衆から受け入れるということには商中の性格上しなかったわけでございます。なお、従来から認められておりますものの範囲内においては、商中としても極力努力をして預金の増強に努めておるところでございます。
〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/62
-
063・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 貸出金利について地域別に検討を加えますると、関東地方、大阪を中心とした近畿地方、東海地方の三つに分けまして見てみますると、地銀の場合、関東が六・八六、東海は六・六三、大阪が六・七四なんです。それから相銀の場合、大阪が七・五六、関東が七・四七、東海が七・二三、信金の場合、東京が八・〇五、大阪が七・七三、東海が七・五七、こうなっておるのです。地銀、相銀、信金を見ますると、高いところと比べますると、東海地方は大体一〇〇対九五に当たっております。このことは、東海地域において中小企業者を含めて借りる側としては有利であると私は思うのです。もちろん高いところ安いところいろいろありますから、振幅のあることは認めます。いろいろありまして、ケース・バイ・ケースで貸しておるわけですが、しかし、全体の流れとしては東海金利と言われるほど東海は安いのです。
私は、これはいいと思うのです。そういうふうによそも下がればいいのです。ところが商工中金の場合は一つの標準金利があるわけです。だから、私どもの東海地域または岐阜でもそうなんですが、商工中金は高いというのが評判なんです。貸出金利が高い。今申し上げましたように東京、大阪に比べてもまだ東海地域は貸出金利が特に低いのです。当然これに対応して商工中金が東海地域の場合やっていただかないと、中小企業としては金利の安いところに一時的にでも走ります。もちろん金融緩和ばかりじゃありませんから、金融引き締めのときには商中も頼りになることは言うまでもないのです。それは私ども腹に置いておることは間違いないのです。一時的なそういうことに振り回されるつもりはありませんが、それでもこういう金利差がありますると、商工中金は高いというイメージと手続が難しいというイメージを与えます。
この際私は、そういうような意味で、金利については標準金利に対して地域差をつけた運用をやられたらどうか、またやっていらっしゃるけれども、その点を特に強調して申し上げたいのですが、商中、どんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/63
-
064・佐々木敏
○佐々木参考人 先生の御指摘のとおりでございますが、地域別には今のお話のような一般的な金利水準のようでございます。私ども実はお話しのような標準金利というものを決めておるわけでございます。総代の皆さんの決議によりまして決めておるわけでございますが、その標準金利に上下の一定の幅を設けまして、その幅の範囲においてそれぞれの地方の実情に従って、あるいはまた支店の実態に従いまして、それぞれの地域もしくは支店におきまして、支店長の判断によってある程度の弾力的な措置を講じておるわけでございます。
高いということが皆さんから言われておりまして、私どもも極力コストの低減その他努力をいたしておるわけでありますが、何分にも原資の問題のほかに運用面におきまして小口、多数の件数である、あるいはまた私どもの機関の性格からいたしまして全国に店舗網を配置しておる、そういった運用面のコストもございまして、なかなか御要望のとおりに下がらないわけでございますけれども、法律改正を機に一層頑張るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/64
-
065・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 次に、有価証券のことで聞きたいわけですが、今、商工中金は一兆円の有価証券を持っていらっしゃるわけですが、そのうちの八千億が国債なんです。商工中金が発行しております商工債券等の中で国が買い上げてくれるのが五千八百億なんです。国が商工債券を五千八百億買ってくれる、商工中金は八千億の国債を買っております。一種の相互乗り入れみたいなものです。相互もたれ合いといいますか、これは私はおかしいと思うのですね。本来、商工中金はそういう目的で国債を買うために持っておるわけではないのです。もちろん余裕金、支払準備金、これは当然必要ですから乱暴なことを言うわけじゃないのですよ。しかし、むしろ国債を二千二百億もこちらが余分に買っておるのです。こういうことは少しおかしいのじゃないか。むしろ商工債券を国の金で買うなら買う、そして、それをもっとほかに活用する方法を、もちろん国債も活用できますよ。できますけれども、そういうような運用を図るべきなんであって、こういう相互乗り入れのような形の持ち合いということは私は実質的に意味がないのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/65
-
066・末木凰太郎
○末木政府委員 五千八百億買ってもらって逆に今度国債を八千億買うというのは一見おかしいように見えるかと思いますけれども、これは趣旨がちょっと違うのではないかと思います。
まず運用部に買っていただく債券、これは例えば利付債、リッショーを買っていただきますと、これは五年間安定的な資金が手に入るわけでございます。そういう運用部も含めまして調達しました資金全体を、今度どう運用していくかという問題の一環として改めてまた出てくるわけでございますが、現在余裕金は五十九年末で一兆千三百五十億円ございまして、その中で国債を買っているわけでございます。問題は、その一兆一千三百五十億という余裕金をどう評価するかということと、それからその余裕金の運用の仕方として国債に使うのがどうかということ、二つになるかと思います。一兆を超える余裕金が多いか少ないかでございますけれども、現在預貸率、つまり調達しました預金、債券に対して貸し出しがどれだけのウエートを占めているかというのを見ますと、五十八年度末でございますが、商中は九〇・七%、約一〇%の余裕金を持っているわけでございます。これに対しまして長信銀は預貸率が七一・四ではるかに大きな余裕金を持っております。都銀は七五、地銀が七九ぐらいでございます。商中はそういう意味では預貸率は高い、余裕金はそれほど多くないという率になっております。
したがいまして、どの程度の余裕金を持つかについては、大蔵省の指導もございますが、現在高中は多過ぎるということはない。これは一つには、景気の変動に伴う資金需給の変化に対しまして必要なメンバーに対する融資の手当をできるようにしておくこと。もう一つは、特に預金関係の場合には引き出しに備えるということで流動性を確保しなければいけないわけでございます。
流動性の確保の一環としまして、流動性があり、かつ運用利回りもいいものを選んでいくということだろうと思いますけれども、安全性と有利性と流動性を組み合わせて考えるんだろうと思いますが、その結果として国債がおっしゃるような数字になっているわけでございます。この辺は商中が専門家として最も適切な判断をしているわけでございます。私は現在その判断に誤りないものと確信をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/66
-
067・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 今度、五十年の時限立法を無期限にされるわけですね。私も商工中金の存在意義と過去の実績を高く評価しておるし、それがために将来も、平たく言えば頑張っていただきたい、こういう気持ちなんですが、ここで、中小企業関係には中小企業金融公庫と国民金融公庫そして商工中金、この三公庫あるわけですが、それぞれ性格も違いますし任務分担も違います。違いますが、商中が約七兆六千億、国金が四兆八千億、中小公庫が四兆五千億、合わせて十六兆九千億ですね。これで中小企業対策をやっていただいておるわけです。農林中金を調べてみますと、農林中金は一行で十六兆八千億持っておるのですね。もちろん原資の中身も違いますよ。違いますが、今の農業対策のこの厚みと、この中小三公庫合わせて十六兆九千億、農林中金一行と大体合うのです。
こういうような意味で、私は今日この中小三公庫を今のままでいいかどうか、これはやはり検討の余地があるんじゃないか。今のような持ち味のままで生きていくやり方、一元化をして持ち味をそれぞれで生かすやり方、いろいろあると思うのですが、この点についてはどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/67
-
068・末木凰太郎
○末木政府委員 政府系金融機関と俗に言われるものが中小公庫、国民公庫、商工中金とあるわけでございますが、性格は商中は必ずしも同じではございません。中小公庫、国民公庫は一〇〇%政府資金に依存をしまして一〇〇%政策的な融資機関でございますが、商工中金の方は先生御承知のとおり、そもそも本来の性格が協同組合的な性格を持っている機関で、半官半民ということでございます。
そこで、例えば商工中金の場合には貸し付け、預金、為替というふうに通常の銀行業務と言われるものを全部できる、そういう意味でフルバンク機能を持っております。それから、貸し付けの期間で見ましても設備、長期運転、短期運転、いずれも取り扱っております。それに対しまして中小公庫は長期資金に限られておりますし、為替業務とか預金業務はございません。そういう意味で、商工中金につきましては少なくともほかのものとは明らかに性質が異なりますので、これを切り離していかにあるべきかというふうに考えてもよろしいかと思います。
中小公庫、国民公庫のあり方につきましては、これは現在いろいろな問題が提起されております。とりあえずは臨調からは、最近の赤字に対して収支相償を図るべしという御指摘もいただいておりますので、鋭意努力もしておりますし、勉強もしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/68
-
069・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 それぞれの持ち味とそれぞれの存在意義がありますので、私は一概に言わないのです。しかし一つの流れとしては、これは一元化をする、そうでなければ連係プレーの強化を図る、私はこれが必要だと思うのです。そうすることによってそれぞれでうまく対応できることを考えてやる。そうすれば仮に支店を今のままでいくと一つの都市に三つ置かなければならない。むしろそれもそれぞれが連携できればそこに一つ置いておいて、その二つの支店はよその地域に置いてやる、こういうこともできるわけなんです。だから、これから金融自由化の中で商工中金そのものも本来生きていかなければならぬわけですから、そういう連係プレーを強化していくことによって将来のあるべき姿をもう少し検討しなければならぬと私も思いますし、私自身も勉強しますが、一元化ができるならばむしろそういうことによって中小企業本来の金融機関として進めていったらどうだろうか、こんなふうに思ったわけですが、これにつきましては私の考え方を申し上げただけですからこれ以上言いません。
ただ、最後に一言聞いておきたいわけですが、今度の改正その他ずっと拝見いたしますと、いわゆる商工中金の半官半民のいいところを生かそう、私はこれはいいと思うのです。官の持っておる助成あるいはまた救済、育成、そうして役所のやることですからかたい、こういう面と、民間の持っておるいわゆるきめの細かいサービスを含めた活性的な行動力、この両者をミックスして商工中金を運営していこう、このことは一つの商工中金の本来の原点としていいことだ、私はこう思っております、評価しております。いつまでもこれがいいという意味ではなしに、私は今の時点でいいと見ておるのです。
ただし時代の流れがそういうふうに中小企業者を含めてニーズも多様化しておる、金融商品に対する好みも広まってきた、だからこれに対応しよう、これも必要なんです。必要ですけれども、何回も言うのですが、商工中金というのは一般の金融機関とは違うのですから、本来、組合を中心とした金融機関なんですから、所属団体を持った金融機関でございますので、その商工中金設立の原点に返ってお互い考えなければいけないのじゃないか、こういうことで今まで私はずっとこの時間申し上げてきたわけです。
そういうような意味で、そういう原点に立ち返って、組合金融として進めるために、いま一つは預金そのものもある程度ふやすことによって原資も安くしていく、そういうことと、それから政府がこれに対する助成をするときには、高度化資金もそうですが、別枠を設けたときにはそれに助成するとか、そういうふうにきめ細かく政府の措置も導入していく、こういうことによって、いたずらに時代の流れに幻惑されたり引きずられるのではなくて、本来の目的に立って貸し付け、余裕金の運用あるいはまた業務の運用を図っていただくのが必要ではないか。
そういうような意味から、まず第一は組合を本来とする金融機関らしい弾力的な貸し出しその他の施策をひとつ行っていただきたい。二つ目には、貸出金利はそういうような意味で安くし、地域の実情にも合わしてもらいたい。それから三つ目には、高度化、共同化、近代化等特別なそういう制度も設けていただいたらどうだろうか、こういうふうに思うわけですが、最後に当たりまして、これは大臣並びに理事長から承りたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/69
-
070・佐々木敏
○佐々木参考人 まさに先生のお話のように、商工中金は創業以来、中小企業協同組合の共同施設という特質を持っております。また、その中小企業の共同化を金融面で進めるという政府の御方針を支援する立場にあるわけでございます。私ども、五十年の歴史を踏まえまして、今回新しい法律改正ができました場合には、再び中小企業協同組合組織というその原点に戻って、中小企業の皆さんの金融円滑化のために精いっぱいの努力をいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/70
-
071・村田敬次郎
○村田国務大臣 渡辺委員の先ほど来の御高説をこちらで拝聴しておりました。今、佐々木理事長からも、また先ほど来政府委員からも申し上げましたように、商工中金は中小企業の組合等をメンバーといたしまして、これらに円滑な金融を行うことを目的とした専門の金融機関でございます。その業務が、国の行う中小企業の組織化の推進という国の政策目的にも合致をするところから、国として財政援助を行っておる、こういう基本的な性格がございます。
その意味で商工中金は、委員御指摘のように半官半民と呼ばれております。中小企業の組織化の推進の政策的意義が不変の重要性を有し、さらに現行形態において商工中金は、官の持っております公共性と、それから民の持っております効率性を遺憾なく発揮をしてきているというようなことから、こうした商工中金の基本的性格を守りながら、今後とも中小企業金融公庫その他政府の関係機関とも連絡をとりながら、委員の御指摘になられましたいろいろな業務運営について工夫を加えつつ運営をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/71
-
072・渡辺嘉藏
○渡辺(嘉)委員 時間がありませんので、そのほかの件は一切カットいたしますが、私は意見をいろいろ申し上げましたが、あくまで商工中金の健全な発展と所属団体へのいわゆる中小企業の共同組織の組織化、育成発展、このことが中小企業そのものの発展につながって、そして全体の振興を図っていくわけですから、どうかその意味を踏まえまして、今それぞれ承りましたので私も後ほど意見もつけたいと思いますが、どうかその意のあるところをお酌みいただいて、今後の運営にお当たりいただきたいと思います。
以上。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/72
-
073・渡辺秀央
○渡辺(秀)委員長代理 渡辺嘉藏君の質疑は終わりました。
午後零時五十五分から委員会を再開いたすこととし、この際、休憩をいたします。
午後零時十四分休憩
————◇—————
午後一時一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/73
-
074・粕谷茂
○粕谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。横江金夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/74
-
075・横江金夫
○横江委員 先ほど同僚議員、渡辺議員から、商工中金のプロパーの職員の問題につきまして強く指摘がございました。もう五十年の歴史もございますし、これからそのプロパーの諸君に対しましてもぜひ一層の登用の御配慮を賜りますように、まず質問の前に冒頭、要望してまいりたいと思います。
私は、商工組合中央金庫の本来の責務そしてその役割についてお尋ねをしてまいりたいと思うのです。
これはもう申すまでもありませんが、組合金融の円滑化を図り、中小企業の組織化を金融面から、そういう形でサポートする目的の唯一の中小企業専門金融機関であることは論をまちません。私は、きょう佐々木理事長さんにもおいでをいただいておりますが、先般、五十八年度の業務報告の中で、同金庫の使命というのは、組織金融を推進して、そしてあくまでも中小企業金融の円滑化に努めるんだ、こういうふうにその使命を言っておみえになるわけであります。
私は、そこで、組織金融の組織化という意味と、いま一つは、中小企業金融のその中小企業という範囲について含めて、申し上げましたように、この商工中金の責務そして役割等も含めながらまず冒頭御答弁をいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/75
-
076・佐々木敏
○佐々木参考人 お答えいたします。
まず冒頭に、先生から私ども職員七千人、プロパー職員に対する激励のお言葉をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。
ただいまの御指摘の、私ども商工中金、昭和十一年創設のときの使命が、中小企業協同組合の組織化を私ども金融機関の立場で御支援するということで、中小企業の皆さんの共同施設として設立されたわけでございます。その使命が政府の中小企業政策に合致する、そういった立場から政府の方からも多額のお金をちょうだいいたしておるわけでございます。そのような私どもの中小企業の共同施設、しかも政府の政策を支援する、そういった大きな目的を持っておる機関でございます。
五十年たちまして、今回法律改正をお願いいたしておる次第でございますが、新しい法律ができました暁は、中小企業の皆さんの金融の円滑化のため、さらには金融を通じまして中小企業組織化のために全力を挙げたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/76
-
077・横江金夫
○横江委員 今回の法改正のいわゆる背景についてもお尋ねをしてまいりたいと思います。
産業界等におきましては、商工中金も含めながら、そこらあたりが強い意図ではないと私は思いますが、いわゆる政府金融機関については大きな曲がり角に来ているんだ、よって、その端的な一番の理由はもう貸し出しの低迷にあると、先ほどからの議論の中でそこらあたりも実は集中的に議論がされているところであります。そういう意味合い等から、ありがたみがなくなってきたという意味も、一〇〇%ではありませんがそういう嫌いも含めて、そのような指摘もあるわけでありますが、私は一言で、いろいろな機関紙や産業界の皆さん方、そしてまた臨調も含めての中からいきますと、既に政府系の金融機関の使命は終わろうとしているとか、終わったんだというような感じの御発言もあるやに伺うわけであります。そういう背景を含めながら今回商工中金の法改正が行われたわけでありますが、商工中金、いわゆる金庫側からした場合の今回のこの法改正の真の背景についてひとつ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/77
-
078・末木凰太郎
○末木政府委員 臨調等をお引きになりまして、政府系金融機関の役割は終わったのではないかという問題提起をなさったわけでございますが、私どもは、金融情勢、特に金融自由化等の最近の情勢を踏まえまして別の考えを持っております。すなわち、金融自由化は中小企業にとりましては必ずしもプラス、よいことばかりではない、むしろ、より心配な点がございます。
それは、一つには、中小金融機関の間で資金コストの上昇ということが起こります。もちろんこれは大きな銀行の場合にも起こります。そのときに、そのコストのアップをどこに持っていくか。これは比較的、相対的に力の弱いところにそのコストのしわ寄せをされるおそれはないであろうか、こういう問題がございます。
それから、金融自由化で資金の移動が非常に大規模、活発に、国際的に動くようになってまいりまして、景気変動とか例えばアメリカの情勢とかで資金が大きく移動いたします。そういった情勢で資金が量的に逼迫いたしましたときに果たして安定的に常に見てもらえるのであろうか、こういう点の心配がございます。
それから国内の景気循環の問題といたしましても、これは過去のパターンでも、アメリカの最近の経緯でもはっきりしておりますけれども、金融引き締め期に入りますと、上位の大手の銀行からまず対中小企業貸し出しの勢いが落ちてまいりまして、それに反比例いたしまして政府系の機関の貸し出しの伸び率が上がってまいります。これは明らかに、金融引き締め期においてそういう補完的な役割を果たしているわけでございます。そのほかいろいろの変動要因がございまして、そういう量的に見ましても、いろいろ今後とも政府系の機関の役割があるのではなかろうか。
それから政策的な金融の担い手といたしましては、これは申すまでもなく、最近の情勢のいかんにかかわらず依然としてしかるべき役割を担っていくものでございます。一般的に政府系につきましてはそういう認識を持っておりまして、臨調におきましても基本的には、私は、内部の議論に参加したわけではございませんけれども、結果の指摘を見ますと、恐らくそう大きな相違はない認識に基づいて答申が出されたのではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/78
-
079・横江金夫
○横江委員 これからにつきましても、今の部長の御答弁のように環境が、今のような状態、金融緩和の状態がいつまでも続かない、緊迫するときもある、そういう状況も含めながら、しかも自由化に対応していくためにこのような法改正をしたんだ、その部分の意図については私も了とするわけであります。ただ、今回商工中金の法改正をしたものを全体的に眺めていきますと、商工中金の一番の業務、中小業者の皆さん方に融資をする、そして金融面から中小商工業者の組織化それから育成を図っていく。そういう中において、基本的にはいわゆる団体融資、その組合が転貸していく転貸融資、そしてまた、直貸しというのですか、いわゆる構成員融資、こういう三つの形で中小企業の金融面を実は支えてきているわけであります。
これを中心として今回の法改正の中身をグローバルに眺めますと、まず第一には、先ほど話がありましたような資金調達につきましては、今までの商工債券だけでは調達がこれから非常に厳しいんだ、だから国債を取り扱いながら、新商品の発行等々によっていい商品をブレンドして、そこで商工債の実績を上げていこうという改正と、いま一つは、業務の拡大の中で新規のお客さんというか貸出先をつくる。私は今、団体融資あるいは転貸融資そして構成員融資の三つを申し上げましたけれども、この改正の中身そのもので一番の恩恵を受けるのが、一番大事な団体の皆さんあるいは団体を構成しておる転貸しの皆さんじゃなしに、いわゆる直貸しの構成員融資を受ける皆さん方であるのだということを、全体の上から見て私は感ずるわけであります。
それはどういうことかと申し上げますと、先ほども議論がございましたけれども、バイヤーのクレジットにいたしましても、海外現地法人にいたしましても、あるいは共同出資会社にいたしましても、そのような新しい貸出先につきましては、今申し上げました本来の団体融資、転貸融資の組合や組合員の皆さんじゃなしに、構成員融資を受ける直貸しの皆さん方のための法改正ではないかということを実は強く感ずるわけでございます。もちろんこの場合にも当然中小業者の一員でもございましょうから私はあえて云々とは申し上げませんけれども、しかし、そのような改正以前に本来の団体、組合、協同組合の発展、そしてその改正が必要じゃなかったかと思うのです。その辺につきましてひとつ御答弁を賜ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/79
-
080・末木凰太郎
○末木政府委員 商中の貸し先別に三つに分けて御指摘ございまして、組合の共同施設に貸すもの、組合に貸してその構成員に転貸しされるもの、構成員にストレートにお貸しするもの、こういうふうに区分けをされておっしゃったわけでございますが、まず実態を申し上げますと、組合に貸すもの、これは組合自身の施設それから転貸しを含めてでございますけれども、これも実は絶対額では結構伸びておりまして、五十四年三月末と五十九年三月末の五年間比較いたしますと、その間に四一%ふえております。その内訳は、組合自身の施設に充てられる、共同施設に充てられるものと転貸しに充てられるものがたまたま同じ比率で伸びております。それから、その間に構成員に直接お貸しするものの方は少し伸び率が高うございまして、五八%伸びております。その結果、組合貸しと構成員貸しの比率は多少変化をいたしまして、組合貸しの比率は五十四年当時の五三・二が五十九年三月末に五〇・三と、確かに落ち込んでおりますけれども、これは今申し上げましたように、いずれも伸びている中で伸び率の差で生じた結果でございます。
なお、今のは残高でどうなっているかでございますけれども、これを年度間のフローで申しますと、五十七年、五十八年、五十九年はまだ途中でございますけれども、それぞれ年度中に新たに貸したもののウエートで見ますと、これは組合の比率がもうちょっと高うなってございまして、約五六%が組合向けでございます。この差が生じますのは、組合向けよりも構成員に直接貸す方が融資期間が概して長いために、ストックの方ではそちらの方が残ってくる結果算術的に出てくる結果でございますけれども、まず実態はそういうことになっております。
そこで、お尋ねの今回の改正の姿勢でございますけれども、私どもは商中のあり方として、今後構成員面接貸しのようなものが主流であるとか重点であるとか、そういうことは考えておりません。そもそも組合貸しから発足いたしまして二十六年の改正で構成員貸しが追加されたもので、御承知のとおりそういう経緯をたどっておりますので、もちろん組合貸しを重視をしているわけでございます。ただ、組合がまず借りて転貸しをするか、ストレートに構成員に貸すか、これは借りる側の選択の問題もあろうかと思います。もちろん商中の本来の趣旨に反しない範囲におきましていずれも大事なことであって、いずれも中小企業の組織化に役立っているものと確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/80
-
081・横江金夫
○横江委員 私は、今お話しのように例えば構成員貸しがだめだなんという発言をしているわけじゃありませんけれども、この本来の趣旨は組合の組織化、それを通じて組合の育成ということであるわけなんです。ところが、組合の育成あるいは組織化についての法改正というものはどの部分があるだろうか。全くないとは申し上げません。全くないとは申し上げませんけれども、構成員の直貸しの場合も、構成員も相当の人数がお見えになりますが、その全部の皆さん方にこの法改正はプラスになるとか、恩恵を受けるのじゃなしに、その中の本当に一部分の人、力のある人——例えば今の海外現地法人を必要とするような人はまず組合ではないのですね。組合それ本体ではない、組合が金を借りてそれを転貸する、転貸貸しを受ける人もまずない。直貸しの人。その直貸しの人の中で全部じゃないですね。ほんの一部なんですよ。例えばこの今の海外現地法人、こういう関係について大体どのくらいの要請があって、実際にはどのぐらいがその企業別に見ていきますと関係が出てくるのか、私はまずこの海外現地法人について一つお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/81
-
082・佐々木敏
○佐々木参考人 先生御指摘のように、私どもの本来の使命は組合貸しという昭和十一年の発足のときの目的でございます。ただ、昭和二十六年に構成員貸しにつきましてもこれが本来の組織金融の一環であるという立場からお認めをいただいたものでございます。組合貸し、構成員貸し両々相まって組織金融の柱である、私どもかように了解をいたしておるわけでございます。しかし、やはり組合貸しにつきましては私どもの大きな任務でございます。
今回の法律改正におきまして、もろもろの資金調達あるいは運用面におきまして所属組合並びに構成員のためにという表現になっております。両々相まって新しい時代に私どもの資金の供給ができるようにという趣旨でございますが、ただ、今先生の御質問の海外取引先あるいは海外進出企業、その構成員についてはどうかということでございますが、私どもの調査では、取引先のうち直接貿易取引をやっております構成員が七百社でございます。海外進出企業がお取引先の百八十七社でございます。海外現地法人が二百十二社という数字がございます。ただ、残念ながら、先生御指摘のようにこのうちのいわゆる中小企業と中小企業でない企業との比率はただいまつかまえておりません。全体の数字はこんな数字になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/82
-
083・横江金夫
○横江委員 私は、この七百社とかあるいは百八十七社、実際に組合の数だけでも、今商工中金に出資をしておみえになっている所属団体が二万七千で、七百また百八十七、しかもその場合に、いわゆる法定中小企業の皆さんでない大手の方もという話も今あるわけであります。私は大手の話については後から指摘をしたいと思いますけれども、現地法人だけとっても全体のほんの一部の方がこの法改正の対象になるという。これからはわかりません。これからの必要性からいってわかりませんけれども、現段階ではそうなんですね。
それではもう一つ伺いますが、例えば共同出資会社、これは員外貸しというのですか、先般商工中金の方に伺ったときは、これは構成員の方が入らなくても丸々員外なんだ、そして共同で出資して会社をつくれば対象として貸したい。ところが通産省の関係でいきますと、これはいやそうじゃない、これは何割かは構成員を入れてやっていくのです。実はこういうような話もあったのです。
だから、丸々員外でいくのか、構成員も若干入れて会社をつくるのか、私はちょっとその辺がわかりませんけれども、どちらにいたしましても、それこそ時代のニーズと言われればニーズかもしれませんけれども、もう組合金融から大きく方向が変わろうとしているわけですね。その方向が変わる中で本来のものが私は忘れられるとは言わないにしても、相当の部分目がそこに行かなくなるんじゃないか、こういう方向へ今変わりつつあるのじゃないかということを感ずるわけでありますけれども、そういう点についてはどういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/83
-
084・末木凰太郎
○末木政府委員 先生御指摘の国際関係の七百とか百八十という数字、確かに二万七千の加盟組合、参加企業からいいますとごく一部の少ない数ということはそのとおりだと思います。ただ、私ども今度この改正案をお諮りいたしました趣旨は、商工中金の力を専らそのために、そこでそれ自身を特別に重視するという意味ではなくて、あくまで従来の線に乗りまして組織金融であり、中心に組合がある、そういうものを活発化していくためにはどうしたらいいか。したがいまして、具体的には、例えばある組合の所属しているある企業が海外現地法人をつくって海外活動を活発化することによって、それをてことして組合自身の力が強くなっていく、こういうことがあくまでもねらいでございます。
具体例を一、二申し上げますと、例えばファッション性の衣類をつくっている組合がございます。その場合にそのメンバーである企業が海外に拠点をつくりまして、そこから新しい海外の情報をとれるようになる。もちろんこれは独立の私企業でございますから一番大事な情報を全部の企業の人に差し出すとは私も思いませんけれども、これは業界の中でおのずからそういったものは、そのメリットは仲間にもある程度均てんしていくわけでございます。そういう一例でございます。それからまた別の例で申しますと、あるメーカーの場合に同じように力をつけたことによって全国的な業界内におけるその所属組合の発言力が強まるとか、いろいろなルートを経ましてメンバーの力がつくことが結果として組合の強化につながる、そういうことをねらいといたしまして、そういうことになるように立案をしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/84
-
085・横江金夫
○横江委員 この関係が全部組合にそういう影響として組合の力を強くするという形ではね返ってくるならば、私は融資そのものが、また今回のこの改正というものが中小企業の組織化を側面的にフォローするということでは、これはそのとおりだと思います。しかし、そういうことは一部分であって、一〇〇%僕はそうではないと思います。だから、今その現地法人や共同出資会社をつくるということも、それは僕は全然やってはいけないとは言いませんけれども、ニーズに当てはめてやるべきはやるべきでありますが、肝心なことはもっと力を入れるべきではないか、そのことは何を申し上げようとするかといいますと、実はあなたの方で、この所属団体そのものが、組合というのですか、取引件数の推移が今まで出ておるわけであります。
先ほど申し上げました約二万七千の所属団体というか組合があるわけでありますが、この五年間の推移というものは、実際には約六割くらいが全然この商工中金さんに組合融資も受けてない、あるいは組合が融資を受けて組合に転貸するということもしてない、全く関係ないというのが本来の組合なんですよ。五十八年には所属団体二万六千八百十二、そのうちで融資の関係、いわゆる商工中金とかかわりがあったというのは一万一千二百八十二、四二%なんです。五八%、六〇%近い方はほとんど関係ないわけです。これは私は五十九年度にしてももっと数字が低くなってきているのじゃないかと思うのです。
こういう関係からいって、この辺をなおざりにして、そしてそれ、員外に貸し付けをするんだとか、ほれ、また構成員に対して直貸しをして、そしてそのことが、いわゆる海外の現地法人、この辺の改正じゃなしに、もっともっと一番大事なことはここにあるんじゃないか。もう六割も関係が薄いというところについて、ここにやはり今回の改正の中身も目をつけるべきじゃなかったか。どうしてこんな数字が出てきているのか。どうして中身がこうなっているのかということを私は分析もしてみえると思うのです。これは一番本来の業務だと私は思います。これは理事長さん、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/85
-
086・佐々木敏
○佐々木参考人 先生御指摘のように、確かに私どもの取引団体がここしばらく減少いたしております。ただ私どもは、基本的にまず商工中金の所属団体の増強といいますか、皆さんに商工中金に入っていただくということで実は五十八年から本部に組織開発部を置きまして、中小企業団体中央会と連携をとりまして既存組合の活性化あるいは新規組合の設立促進、さらには商工中金への御加入ということで努力をいたしておりまして、所属団体につきましてはここ二年ほど急激な拡大を遂げております。ただ、先生御指摘のように、所属団体は増加いたしておりますけれども取引団体が減少いたしております。
私ども考えますのに、一つはここ二、三年の金融緩慢という一般的な情勢によりまして、私どもから借りる組合が減っておるわけでございます。先生の今御指摘の数字は、実は組合貸しをやっている組合でございまして、それ以外に構成員貸しをやっている組合がまた五千ほどございます。それを加えますと、関係しておる組合は五十数%になるわけでございます。
ただ、実は最近の組合のニーズといいますか金融機関に対する非常に多様化しておるニーズからいたしまして、私ども共同施設、メーンバンクでございますから、お金を貸すことも重要でございますけれども、お金以外のいろいろな情報、経営相談その他の金融サービス、これも私どもお引き受けをいたしております。所属団体でたまたまお金は今必ずしも必要としていないが、そういった情報を必要とする団体につきましては密接に今御指導申し上げている、そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/86
-
087・横江金夫
○横江委員 私自身はこの具体的な数字の中で、いわゆる商工中金を支える協同組合の団体で、それは数字が、構成員の数を入れますと、私は六割は全く関係ない、あなたの方では五割だという話、まあそう違わないんです。
そうしますと、どっちにしてもこの一万件から一万五千件が、出資はしている。今の話で、情報だけは、これは中小企業として必要だからというので情報だけは聞く。果たしてそれだけのものだろうか。私は何か組合のあり方、協同組合が、あなた方は国際化あるいは自由化に乗っていこうとしている、組合そのものは時代に乗れないんじゃないんでしょうか。だから、組合が時代に乗れないものですので、乗っているところもあります。また新しく今のソフトウエアとかなんとかもあります。ところが、既存の組合で一万という大きな数字が、商工中金と、出資をしながらかかわりが薄いというのは、組合そのものが時代に乗りおくれている、そのような感じを実は私は持つのです。
今まで共同事業するにいたしましても、一括方式で何でもやってきました。ところが大きいものは得なんだという大規模でやってきたことそのことが、共同事業しても組合は余りそのメリットがなくなってきた。もう組合の共同事業については従来のような効果がない、メリットがないからそれじゃやめようじゃないか。あるいはまた組合離れというものも、まあ労働組合でもそうなんでございますが、そういうような組合離れというものがあって、いわゆるメリットが少なくなった。だから、今の所属団体のうちの一万以上の組合というものはあなた方との取引関係が非常に薄くなってきておる。そうしますと、金融面から組織化をしていこうということがもう全く五〇%、半減してしまっているわけなんですね。新しい皆さんを入れるよりか、今自分のものを、そのもの自身も半分以上は関係が薄いということ、この辺の調査はどのようにしておみえになるのか。
私は、それとあわせまして、今一括的なそういう方式というのはだんだんと時代におくれてきておる。端的にいいますと、先ほど一つの例が挙がりましたけれども、私は例えば協同組合の事業、一括方式の中でも洋服の関係を取り上げてみましても、今までは協同組合で一本で、ばあんと見本市でも何でも発表会でもできたと思うのです。ところが現在では、例えばメンズアダルトとかあるいはチャイルドとかあるいはまたディスカウントとか、いろいろ細分化されてきているわけですね。この細分化をされてきている中で今までと同じように組合がぽんと一括でやろうということでは、どうも中身と表とが合わないんじゃないか、こういう面が私は今の一万以上もあなた方との関係が薄くなってきている原因じゃないかというふうに思うのです。その辺についてはどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/87
-
088・佐々木敏
○佐々木参考人 先生の御指摘の点の、一般的協同組合の最近の状況につきましては中小企業庁の方からお答えいただくことになろうと思いますが、私からは、先般商工中金といたしましてアンケート調査等で組合実態の意識調査をいたしておるわけでございます。その結果によりますと、まず金融事業を実施いたしております組合のうち、その金融事業をさらに拡充したいと言っておられる組合が四一%ございます。現状の金融事業を継続したいと言われている組合が五五%でございます。今の金融事業は縮小もしくは廃止をするという組合は一%ということでございまして、全体としては引き続き金融事業に対する意欲が非常に高いものと推測をいたしております。
なお金融事業以外の事業でございますが、共販とかあるいは経済事業とかそういった共同事業をやっております組合。全体で共販、経済事業が六九・四%あるいは共同労務管理、共済などの事業が五〇%、ほとんどの組合が何らかの形の共同事業をいたしております。
最後に、先ほどお金をお貸しするという関係のみならず、いろんな情報交換その他の情報サービスに応ずる立場で御関係いただいておるということを申し上げましたが、実は私どもには、それぞれ各支店ごとに中全会とかユース会とか、そういった所属組合の皆さんとの交遊の場がございます。必ずしもお取引をいただいていない組合の幹部の方も、いろいろな研修会、講習会、そういったところには非常に勤勉に御出席いただいておるというような事実も申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/88
-
089・末木凰太郎
○末木政府委員 具体的な数字は今商工中金の理事長がお話しになったとおりだと思いますが、一般的に先生が前半で御指摘になった点について申し上げさせていただきますと、組合について、組合そのものの施設の資金需要が強かった時代というのは、確かに、成長率の高かった時代とかあるいは公害対策を短期間に一斉にやった時代とかエネルギー転換をやった時代とかいうときに資金需要が強かったのだろうと思います。これは今詳細なデータはございませんけれども、全般的に考えましてそういううねりといいますか、山が一つ越えた。その後で、先生おっしゃるように、もっと多品種少量生産の時代に来ているわけでございますが、これからについてはまた新しいうねりが出てくるのではないか。それが、先ほど午前中にも申し上げました最近の新しい組合員の動き、サービス化、ソフト化とか技術関連、コンピューター関連、こういったものについての組合共同事業の必要性というものが、今後また新たに次の山が出てくるのではなかろうか。そういった点については、これは商中の問題だけではなくて通産省、中小企業庁の問題でございますけれども、商中にもぜひその一翼を担って応援をしていただきたいと私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/89
-
090・横江金夫
○横江委員 理事長さん、先ほど調査の御発表もいただきましたが、先ほど申し上げました私の数字でいきますと、約六割が利用しないということは、高度成長の時代ではないのだから現段階ではこれは普通なんだ、こういう御理解をしておみえになるわけですか。組合そのものが商工中金からお金を借りない。いや、共同事業ができないのかもしれません。少なくとも、こういう数字が出ているというのは、六割は関係がないわけなんですよ。一体六割の人はどういうような組合なのか、眠っているのか、登記だけで終わっているのか、活動していないのか、一体その辺の調査はしてみえるのかどうか。これは当たり前だと思ってみえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/90
-
091・佐々木敏
○佐々木参考人 お取引をいただいておらない組合の皆様の商工中金への結びつきにつきましては、ただいま申し上げましたが、マクロ的に申し上げますと、私どもの融資残高は昨年末に比べましても一〇%ばかり上がっております。ほとんどが組合及び組合の構成員貸してございます。したがいまして、全体の融資がおかげさまで順調にきておるということは、中小企業の皆様からすれば、商工中金に依然として大きな期待を持ち結びつきを感じておるもの、マクロ的にはそう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/91
-
092・横江金夫
○横江委員 その組合の組織化の育成を金融面からということで、確かに貸し出しの金額はふえています。そういう意味で、それは組合ではなしに構成員の貸し出しでふえています。
私は、構成員の貸し出しの中でも、その構成員が力がつくことによって組合にいい影響が出てくるならば、そのことは了としなくてはいけないと思うのです。先ほどからの話からするとそのとおりなんです。ところが、直貸しでその構成員だけが力がつく、そして今の、貸出高が上がってくるということ、これで満足をしてみえるということではおかしいことじゃないかというふうに私は思うのです。
先ほども申し上げましたけれども、従来の組合の例えば共同事業や販売事業、それによる融資あるいはまた組合に対する金融事業からだんだんと構成員貸し、しかも構成員も、それはあくまでも構成員本人が金を借りる、組合に余り関係のない直貸しが非常にふえてきているということはあなたの方の調査の結果でも私はいただいているわけですが、例えば五十九年の一番新しい数字でまいりましても、この直貸しが三兆六千三百六十五億。このことが組合へいい影響が出てくるならば、これは全部出ないと言いません、しかし、その組合よりも自分自身の力をつけるだけの話が……。
私はなぜこんなことを申し上げるかというと、例えば協同組合でも同じような形の皆さんがお見えになるのです。そして、組合はそれなりに組合活動をしています。ところが、商工中金の方から融資を受けたいという中小業者がお見えになりました。結果として、調べたらこの方はどこも組合には入っていない、だから組合をあっせんをする。その組合をあっせんされたら、全く関係のないところへ商工中金からあっせんされまして、そしてお見えになった方は、これは組合長の同意をいただくだけで組合員という証明をいただいて、組合の皆さんとは全く融合しないわけなんですね。そういう直貸しの方々が一番多くなってきている。
そういう方々への融資というものは、結果的にはその組合に余り影響がない、私はこういう感じを受けるわけですので、その辺のことを今指摘しているわけでございますが、理事長からその辺についてもひとつお答えをいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/92
-
093・佐々木敏
○佐々木参考人 繰り返して申し上げますように、私ども、構成員貸しにつきましても、その構成員にお金を貸すことによってその構成員が健全な経営を営むことができれば、ひいては組合の健全な発展になる、かように考えまして、組合貸しも構成員貸しも両々相まって組織金融の大きな柱であろう、かように考えているわけでございます。
ただ、今先生が御指摘のように、特定の企業の方に、その企業の利益だけのためにわざわざ無理にある組合に加入させるというようなことは、実は私どもは考えておりません。先ほども申し上げましたように、組合に加入しておらない方を組合に加入させるようにということを中央会さんと御一緒に連携していたしております。
たまたま窓口に企業の方がいらっしゃいまして、金融を借りたいけれどもどうかとお問い合わせのあったときに、商工中金の性格を申し上げ、組合の構成員でなければ資格がございませんと申し上げた場合に、組合に入りたいから紹介してくれというような例は間々ございます。そのような場合には、私どもの使命といたしまして、本人の御了解のもとに、適当なる同じ業種の組合を御紹介し、そこに入っていただくということは数多くあることでございます。しかし、決して、組合の発展を無視して、特定の企業にお金を貸すだけの目的でそういったことをしておるという事実はないと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/93
-
094・横江金夫
○横江委員 私は、今のその紹介の話で、ある組合長の話を少し触れていきたいと思いますが、全く関係のない、しかも、我々が五の力であるならば百も五十もの大きな人がぽんと入ってくる、断れない、その人らは、自分たちの枠以上の融資を受ける。そしてその組合長は、その人らの商工中金だ、もう我々が商工中金へ行けば、とにかく態度は悪いというのですか、官僚的だという言葉を使っていましたけれども、書類は非常に難しいことを言わせる。ところが、そういう紹介された方の場合は何ら問題がない。日にちがかかり過ぎる。だから普通の市中銀行へ行った方がいいんだ。その上にワリショーを買えだとか、ほれ出資せよということばかりで非常に困るんだ。そういう人らについては優遇しながら、我々中小企業、小さなものをなぜ優遇しないのだろう、こういう指摘を実はもらっているのです。そういう話が一つと、とにかく商工中金を喜んでいるのは、そういう直貸しの大きな人だけなんだ、前からの一番大事な我々の組合はそうまで恩恵を受けておらぬ、そういう話が強いのです。しっかりしてくれというのです。その中で、我々が三百万貸してくださいとかなんとかで行きますと日にちがかかるのに、商工中金というのは一部上場株だとか大企業まで金を借りられるのはおかしいではないか、一体その辺はどうなっているのかということもあるわけでございます。
その辺、一言だけ私は申し上げておきますが、このあなたの方でもらいましたしおりには、商工中金の場合については中小企業等協同組合法に基づく従業員数と資本金の規模、それから「商工組合中央金庫法には、中小企業者の定義はありませんが、同金庫の取引対象は、小規模事業者を主たる構成員とする団体又はその構成員であり、概ね次のとおりです。」今の従業員の規模、それから資本金一億円というようなこと、組合の取引対象はこれなんだ、こういうことをこのあなた方のものにはっきり書いてあるんだけれども、そんな大手で十億以上の会社とか、一部上場が五十社ぐらいあるのですか、こんなことは大臣どうなんでしょうね。時間がありませんから聞きますけれども、これに、商工中金の場合には対象にはなりませんと書いてあるんですね、三百人以上、一億円以上は。これはあなたのところでもらったものなのです。この辺についてちょっと説明してもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/94
-
095・末木凰太郎
○末木政府委員 法律的には商中法第七条の一項の二号から八号までに商工中金のメンバーになれる組合が列挙してございます。これは事業協同組合、同小組合、企業組合、火災共済、信用組合、協業組合、いろいろ列挙してあるわけでございますが、この中で事業協同小組合と企業組合を除きますと、そのほかは法律的には大企業も組合のメンバーになり得ることになっております。そこで、その組合のメンバーになっておって、その組合が商中の所属団体であります場合には、法律的には商中はお貸しできるわけでございます。ただ、これは法律的にそうなっているというだけでございまして、商中の本来の趣旨は、小規模の事業者のつくった団体の金融の円滑化を図るということでございますから、先生おっしゃったような一部上場とか、それに準ずるようなものについては、特段の事情がない限りお貸ししないのが原則でございまして、抑制的にやっております。たまたま若干の例外があるとすれば、それはその組合が、例えば下請をたくさん抱えていて、そこに貸すことによって下請に非常にメリットがあるとか、あるいは地域の振興のための中核になってやっているとか、そういう個々に例外的な事情がある場合に限られているものでございまして、原則は抑制しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/95
-
096・横江金夫
○横江委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/96
-
097・粕谷茂
○粕谷委員長 これにて横江金夫君の質疑は終わりました。
続きまして、長田武士君の質疑に入ります。長田武士君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/97
-
098・長田武士
○長田委員 商工中金改正法の質問に入ります前に、昨日来報道されております政府の対外経済政策について、一言触れていきたいと考えております。
昨夕、政府は経済対策閣僚会議を開きまして、緊迫化する通商摩擦の解消を目指した対策を発表されました。今回の対策は、昭和五十六年十二月の第一次対策から数えて七回目に当たるわけであります。今回の対策もそうでありますが、これまでややもするとOECD閣僚理事会や、あるいはサミットの直前に発表されて、いわばその場しのぎ的な対策という印象もあったやに私は思っております。今回の対策にいたしましても、総理の談話が発表されるなど異例なことでありましたが、けさの新聞あるいはテレビ報道を私見たわけでありますけれども、どうもアメリカの反応はぱっとしない感じがいたしております。対日強硬派と言われておりますダンフォース上院議員がけさNHKテレビに出ておりましたけれども、一片の紙切れではなくて実績だということを大分声を高らかに唱えておりました。こうしたことは、アメリカ上院における九十二対ゼロという満場一致の対日報復決議、あるいは下院におきまして三百九十四対十九という決議に十分表明されておりまして、もはや言葉ではないという段階に入っているのじゃないかという感じを私は持っております。あした、この問題につきまして衆議院本会議で緊急質問があるということも聞いておりますから、私は、大臣に一問だけお尋ねをしたい、このように考えております。
本来、市場開放ということと対外不均衡の是正ということは別の問題ではないかと私は考えております。今回、四つの分野にわたりまして市場開放が問題になりましたけれども、これはアメリカの要求どおりに開放しても、アメリカの期待いたしますところの百億ドルの是正には、とてもじゃないけれども金額的におぼつかない。通信衛星はワンセットにいたしましても大体二億ドルと言われております。実際三百五十億ドルもの対米輸出超過の解消には、この数字からいきますとどうも役立たないのではないかと考えております。それよりも、自由世界第二位の経済大国といたしまして、市場開放は当然の義務ではないかというふうに考えておるわけであります。過去六回にわたる対外経済対策が自由貿易主義の強化であるとか内需の拡大であるとか、世界経済への貢献であるとか、繰り返し唱え続けてきたにもかかわらず市場開放の実を上げていなかった。それで今なお、具体的な例を申し上げますと骨なしの鶏肉あるいはミネラルウオーター、こういうものが貿易摩擦の対象品目として上がっている事実を見ますと、そういう感を一層私は強くいたします。きのう民間人による対外経済問題諮問委員会が、その答申の中で、市場参入は原則的にして、例外的にごく限られた分野のみ制限するように改むべきだ、こう提言をいたしておりますが、これも遅きに失した感は否めない、私はこのように考えております。今回の対外経済対策について、これで諸外国が納得するのかどうか、十分であると考えておられるのかどうか、通産大臣の御所見をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/98
-
099・村田敬次郎
○村田国務大臣 長田委員にお答え申し上げます。
非常に重要な現下の問題でございまして、しかも昨日の夜、中曽根総理自身が記者会見という形で国民全般に語りかけられたということで、現下の一番大きな問題の一つではないかと認識をいたしております。これは、今までも予算委員会等の国会審議を通じまして中曽根総理が所信を表明されており、また私も通産大臣といたしまして貿易問題全般にいろいろ働かしていただいておりますので、現在感じておりますことを率直に申し上げたいと思います。
まず、日米貿易摩擦の問題はどうして起こるのかという根本原因でございますが、これは何といっても両者とも自由主義経済の世界一、二の国である、したがって、自由主義経済のもとの貿易でありますから、分野によってアメリカ、日本それぞれ経済構造に大きな差がございます。したがって、その進展段階に応じていろいろな貿易上の対応があるのは当然でございますが、一つはアメリカが非常にドル高である、高金利である、そしてまた財政上の多くの赤字を抱えておるといったような一般的な事情から、対日貿易の点ではどうしても、ドル高でありますから、円安でありますから、アメリカから見れば輸入がしやすい、日本から言えば輸出がしやすいという一般的な情勢がございます。そのために、今長田委員御指摘になりましたように、貿易摩擦は何年も何年もわたって続けられております。しかし、特に日本とアメリカとの努力の積み重ねによって今までは結果的には円満に推移をしてきておりまして、日米を合わせれば世界のGNPの三分の一に達し、そして貿易額においても自由主義世界の中で最高の額を記録しておるわけでございます。ところが、昭和五十九年度、まさに三百数十億ドルという対米黒字が出るということになって、それが非常に政治問題化してまいりました。
ことし一月二日の中曽根・レーガン会談におきまして、こういった貿易上の不均衡の是正について、ひとつ特に四分野についてMOSS方式で語り合おうではないかという、ことし一月下旬来の話し合いの原点が定まりまして、それから高級事務レベル会議でたびたび日米間で行ったり来たりしておるわけでございます。特に、御承知のように、この四分野と申しましても、エレクトロニクス、医療機器・薬品それからまた木製品それから電気通信機器の四分野でございますが、特に電気通信機器が一番先に立って、これについては日本が最大限の譲歩をするという形でほぼ円満な解決を見るのではないかという明るい曙光が差したわけでございます。続いて合板関税等の木製品についての話し合いに移っておる、こういう現状でございます。
これは大筋から申しますと、自由開放貿易体制をひとつしっかりとつくっていく、それからもう一つは、新ラウンドの推進をしていくというのが日本にもアメリカにも課せられた最大の使命ではないかと私は思います。それを達成することによって、世界のために役立つ日本、世界のために役立つアメリカ、また自由主義経済諸国全般がよくいくであろうという推定が成り立つわけでございますが、やっとそれが、昨日の中曽根総理の対応によりまして、きょうの新聞その他、アメリカから入ってくるいろいろな情報を総合してみますと、アメリカも今回の措置を非常に歓迎しておるというニュースが入っております。まだいよいよこれからでありまして、まず安倍・シュルツ会談、その後で五月二日の直前にきっと開かれるであろう中曽根・レーガン会談等によって、私が申し上げました自由主義開放体制、また新ラウンドの推進ということにうまく継続することができるかどうかという非常な正念場であると思います。
総理自身が陣頭に立って非常に一生懸命やっておられるわけでありまして、私どもも政府全体を挙げてこの総理の努力に対して一生懸命ついていっておる。これからの対米のいろいろな折衝、またボン・サミットにかけての折衝、全力を挙げてやってまいるという情勢でございます。
今申し上げたところから大半をお察しいただきまして、なおこういった点はどうだということについては、これは極めて重要な問題でございますから、お答えを申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/99
-
100・長田武士
○長田委員 それでは、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案について何点かお尋ねをいたします。
我が国経済の中で中小企業が占める地位は極めて大きいものがございます。事業所数では約九九%、従業員では約八一%、製造出荷額では約五二%、商業販売価額では約七九%を占めておりまして、家族を含めた中小企業人口というのは七千八百万人に上ると推定されておるわけであります。これだけ、中小企業の動向いかんが国民経済に多大な影響を及ぼすと言っても決して過言ではないと考えます。
そこで、今日、内外ともに多くの不安要因を抱えております中小企業にとりまして、これに活力を与え、存立さしていくためには、どうしても一層の体質強化を図る必要があります。さらにこれを支援する中小企業対策、とりわけ金融の円滑化を図るための施策がより重要になってくることは当然でございます。
こうした意味から、私は、中小企業に対する金融の円滑化を図るための施策といたしまして、政府系金融機関の存在、特に商工中金についてはその役割は非常に大きい、また国民も非常に期待をしておるものである、このように考えております。
そこで、本題に入りますが、今回の商工中会法の改正では、五十年という存立期間の規定を削除いたしまして無期限といたしております。しかも、来年十月に迎える期限を一年繰り上げまして恒久的な機関にしようとするわけであります。金融機関としての秩序維持を図るためにはどうしてもとらねばならぬ措置であると私は聞いておりますけれども、現行法第四条が五十年と定めた理由、それと、それを削除しようという理由、これについて簡単に御説明をいただきたいと思います。
〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/100
-
101・末木凰太郎
○末木政府委員 戦前の特殊法人たる金融機関につきましては期限を定めるのが通例でございまして、最たるものは日本銀行でございますが、明治十五年に存立期間三十年ということで定められまして、これはその後四十五年に延長して、さらに昭和十七年に恒久化をいたしました。そのほか、台湾銀行、朝鮮銀行、北海道拓殖銀行、興銀、勧銀、横浜正金、農林中金等すべてさようでございまして、存立期間につきましては五十年というものが比較的多うございます。
商工中金につきましては、当時産業組合中央金庫と言っておりました現在の農林中金、これがいわば兄貴分に当たりますものですから、それを参考にして当時立案したようでございますが、当時の立法例にならって一応五十年ということにしたと理解しております。
なお、廃止された台湾銀行、朝鮮銀行を除きますと、その後、これらの期限を付された金融機関はいずれも恒久化されておりまして、最後に商工中金だけが期限つきで今日まで残っているということでございます。
これを恒久化するということでございますが、その後五十年近い、四十九年間の活動を通じまして、商工中金は中小企業組織、金融の分野で非常に大きな貢献をしてまいりまして、最近のところでは、中小企業金融におけるシェアは大体四・五%前後で定着をして、大事な役割を担っておりますし、伸び率も年々九ないし一〇ぐらいの貸し出しの伸びを見ております。こういう非常に重要な現実の役割にかんがみまして、恒久化をお願いしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/101
-
102・長田武士
○長田委員 商工中金の役割は依然として残っておる、これを廃止するわけにはいかない、こういう点については私も実は同感であります。
ただ、新聞その他でいろいろな批判が実はあるのですね。これは臨調答申や行革とも絡む問題の論議であります。しかし、もともと存立期間のなかった電電とかあるいは専売、そういうものでさえ民間に移行いたしました。また、国鉄においてもそうした方向で検討されておるにもかかわらず、なぜ商工中金を無限の金融機関に変身させる必要があるのかという論議もまた一方ではあるわけですね。私は基本的には今回の改正案に理解を示すものでありますけれども、こうした疑問や批判を参考にしながらこれから質問をしてまいりたい、このように考えております。
昭和五十八年十一月にレーガン大統領が来日の際に、中曽根総理との間に我が国の金融自由化について合意がありました。そして日米の専門家によりますところの円ドル委員会が設置されたわけであります。そしてこの委員会は五十九年五月には合意が成立いたしまして、同月、大蔵省から「金融の自由化及び円の国際化についての現状と展望」と題しまして我が国の金融自由化宣言を行っております。これによって、これまで臨時金利調整法をバックにいたしまして、いわゆる護送船団体制と言われておりました金融市場が、これからは競争原理を導入して金融の円滑化と金利の適正化を図ろうということなんですね。
そういうことになりますと、当然商品も多様化して、資金借り入れとかあるいは資金の調達の手段、こういう点も非常に多様化することは当然であります。私も民間の金融機関にいましたから、そういう点、最近は、私たちがいたときとは問題にならないほど金融機関のこの種類というのは非常に多様化してまいりました。そういう点で、いわゆる垣根と言われておりました長短分離であるとかあるいは信託分離あるいは証券と金融の分離というような問題も、相互乗り入れとか業務の提携などによりまして次第にそれが解消されざるを得ない、そういう状況に追い込まれております。現にこれらの問題は着々と進行しているというのはもう皆様方周知の事実であります。そこでこの法律案においても、商工債券の販売力維持や、債券総合口座を設けるとか、あるいは国債割引債口座を設けるとか、国債の窓口販売やディーリングとか、商工債や国債所有者からの預金の受け入れ、さらにはそれらの者に対する貸し付けや、電力あるいはガス料金等の収納等々の業務の拡大を図ろうといたしておるわけであります。
そこで質問いたしたいのでありますけれども、こうした改正の内容はいわば他の金融機関で既に行われている業務でございます。金融の自由化、国際化はどんどん進んでまいりますが、近い将来に再び市場の実態に対応し切れなくなる、こういう問題が早晩起きるであろうということを実は危惧いたしております。商工中金の活動分野の中心が主として組合金融という限られた組織ですから、そのことが私は非常に心配であります。この点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/102
-
103・石井賢吾
○石井政府委員 御指摘のように、ただいま金融革命と言われるような自由化の進展が著しく進んでおるわけでございます。そういう中におきまして、これまで約一年余のいわば金融自由化の助走期間を経まして、その間にいろいろ起こりました自由化の所産あるいは今後起こってくるであろう内外の金融情勢の変化、こういったものを一応展望いたしました。これまでの助走期間をもとにいたしまして得られました展望のもとに今回の商工中金法の改正を行った次第でございます。
その内容は、先生御指摘のように、あくまでも一義的には既に興長銀等債券発行銀行が行っております機能をキャッチアップするということに尽きるわけでございますが、最低限そういった機能の確保を行わない限り、組織金融機関としての機能を十分に果たし得なくなる懸念が非常に大きいわけであります。したがいまして、ある意味ではそれは最低限の業務拡大ということになるかと思いますが、これまでの経験で見る限りにおいて、そのような資金調達面における業務の拡充の手当てで、内外さほど大きな変動がない限りこれで対応できると考えておるわけでございます。
また、貸付業務その他につきましては、組合及び組合員のいろいろな金融ニーズに対応いたしまして、それにこたえるべく最小限の拡大をしたわけでございますが、こういったものを十分に活用することによって当面、今後の金融自由化の進展に対応して商工組合中央金庫の機能を発揮し得るものと期待いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/103
-
104・長田武士
○長田委員 私は、今回の改正につきまして民間の金融機関、都市銀行あるいは信用金庫等の皆さんともいろいろ事情聴取する機会を得ました。私が聞いた限りでは、今回の商工中金の業務拡大につきましては、少なからず我々の業務としても影響を受けます、こういうことを異口同音に言っておりました。商工中金が国債の窓口販売やあるいはディーリング、こういう業務内容、民間金融機関がやっておりますけれども、その分野に進出するということでありますから、少なからず影響を受けるのは当然であろう。そういう意味で私はお聞きしたいのでありますけれども、今回の業務拡大について金融界との意見の調整を図られたのかどうか、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/104
-
105・末木凰太郎
○末木政府委員 結論から申し上げますと、商工中金は前広に金融界といろいろ意見交換をしてまいりまして調整を図ってまいりました。それから、私どもと一緒に商工中金を共管しております大蔵省も、金融行政の立場から同じく調整の役割を果たしていただいております。そういうことで金融機関との調整は済ましております。
具体的に中身について若干触れさせていただきますと、冒頭にも先生から御指摘がございましたが、商工中金は政府系の機関ではございますけれども、中小公庫とか国民公庫とは趣を異にしておりまして、本質的には協同組合の性質を持つ特殊法人でございます。次に、必要資金の九〇%以上は市中で自己調達をしております。また法人税も払うとか民間出資者には配当をいたしますとか、民的な性格も兼ね備えているものでございます。
そういうものとして今回同種の銀行である債券発行銀行、興長銀、債券信用銀行、東銀、農中等でございますが、これらとイコールフッティングを求める、同じような条件で資金調達ができるようにしていただくというのが一番基本的な改正のポイントでございます。それ以外に貸出先等について組合に準ずるもの等を若干追加させていただいておりますけれども、本質的には従来の線を超えない改正でございます。信金等についておっしゃるようなところが本音だろうと私も思いますし、全国組織でこれで結構であるという御返事をいただいても、個別の金庫としてはあるいはそういうことをおっしゃる方がいるとは思いますけれども、私どもの期待としましては、信金も信用組合も相互銀行もいずれも中小企業金融の大事な役割を担っていただいているわけでございますから、それぞれ持ち場持ち場といいますか、中小企業のために尽くしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/105
-
106・長田武士
○長田委員 ところで、貸付先の範囲の問題でありますけれども、今回の改正案では国債や商工債の保有者に対しまして貸し出しできるようになっております。それとは別に大蔵省はリース産業など大企業に対しても貸し出しできるようにしたいという意向があるやに報道されております。現に五十九年度では商工中金の貸出金の一五・五%は大企業向けに貸し出されておるということも、私この一覧表をもらいましてはっきりいたしました。そうだとしますと、中小企業が出資しております商工中金の性格からいってもちょっと疑問が出てくるなという感じがいたしております。そうしたことよりももっと中小企業が借りやすいように商工中金の経営を改善していくべきである、私はそういうふうに考えておるのですけれども、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/106
-
107・末木凰太郎
○末木政府委員 第一に、リースについて格別のことを考えているのではないかということでございますが、リース会社について特別のことは考えておりません。
それから第二に、中小企業以外に一五%ぐらい貸しているのではないかということでございます。数字的にはそういうことになっておりますが、これはまず法律的に申しますと、商中法上、商中に出資をして所属団体になり得る者の資格は法定されておりますが、その法定されている各種の組合のうち大半のものは法律上は大企業も一部加入できるという法制になっております。したがいまして、商中の所属団体である○○組合に大企業が所属していれば、法律的にはその企業にも融資は可能でございます。
ただ、その点につきましては、本来の商中の任務は中小規模の企業者への金融の円滑化でございますから、そういう大きな企業については抑制的に運用しておりまして、先ほど先生御指摘になりました一五%といいますものは、中小企業、厳密な意味での中小企業であった取引先が成長をしていわば中堅企業になったけれども、まだ体質的には脆弱であって引き続き商中の融資を求めているというものがその一五%のうちの大半でございます。
ちなみに一件当たりの貸し出しの単価で見ましても、商中の場合には六千七百万程度、これは個別企業にお貸しする場合の平均値でございまして、例えば長信銀が中小企業向けに貸す場合の数字が三億三千二百万ということで比較いたしましても、大変な大企業にどんどん貸しているのではないという一端がうかがわれるかと思います。そういう実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/107
-
108・長田武士
○長田委員 商工中金は政府の組合の出資によるいわば半官半民の金融機関であります。
しかし、ことし三月一日現在の出資割合を見てまいりますと、七〇%が政府出資となっておりますね。また、六十年度の予算書を見てまいりますと、政府は六十年度におきまして新たに百億円の出資を行い、組合も四十三億円の追加出資を行うようになっております。その結果を見てまいりましても政府の出資割合というのはやはり七〇%台と変わっておりません。こうしたことから、むしろ政府系金融機関としての色彩が非常に強いと私は考えております。そういう機関が法律第一条の定めるところによって組合金融を行うわけであります。
ところが、今回の改正案では組合や組合員以外でも商工債や国債を買っている人から預金を受け入れたり、またはその人たちに対しまして貸し付けを行うというふうになっておるわけであります。さらにまた、電力、ガス料金の収納業務を行うほか、国債の窓口販売やディーリングも行える、こういうふうになっております。
こうした改正は、商工債の販売などを円滑に行うためには必要だろうと私は考えておりますけれども、しかし一般の金融機関に言わせれば、既に郵貯との間でも大論争を行っておる。そして民間金融機関の業務分野を荒らさないでもらいたい、政府系の機関は民間の補完に徹すべきである、そういう臨調答申の言葉が出てくるわけであります。今回の改正について、こうした非難は当たらないとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/108
-
109・末木凰太郎
○末木政府委員 臨調におきまして、特殊法人についていろいろ御審議があったわけでございます。
臨調で指摘を受けました特殊法人の数、何らかの形で言及されたものはたしか七十を超えていると記憶しております。その中で金融機関である特殊法人だけ数えましても十指に余るものが具体的に指摘を受けておりますが、商工中金につきましては、臨調の答申で一切御指示を受けておりません。これは、先ほど御説明しましたような半官半民の性格、これは官の悪いところと民の悪いところが集まっては大変なのですが、幸い官のいいところと民のいいところが生かされてきているという評価をしていただいたものだと思いまして、基本的なあり方が是認されたものと理解しております。
さてそこで、そういう前提のもとで今回の改正でございますが、政府の助成を受けながら民間並みのことをやるのは虫がよ過ぎるのではないかというお考えの方がもしいらっしゃるとすれば若干誤解でございまして、まず政府の助成は、これは全国あまねく中小企業のための金融の施設を張りめぐらす、そしてある意味では採算性のよくないお金を集めて小口でお貸しをするというような、経営基盤の脆弱性を中小企業政策として補う意味で助成をしているものでございまして、その域を出ません。
そうして、今度新しくやらせていただこうとしていることも、特権的にほかでできないことをやらせていただくのではなくて、類似の金融機関と同じことができるようにしていただきたい、特にこれは資金調達面でございます。例えば、最近非常に目立つのですけれども、退職のシーズンで、退職金についてはぜひ当行へという広告が二つ並んでおりますと、同じような仕事をやっておる商中は、退職金で商中債をお買いいただきたいとしか書けませんけれども、ほかの長信銀ですと、当店では割引債、利付債それに国債も扱っております、マル優のほかマル特も扱います、特別マル優も扱いますというふうに、非常に品ぞろえ豊富な宣伝ができますので、資金調達上の差がつくわけでございまして、そういったところを同じような状況に置いていただきたいということが主体でございます。したがって、御指摘のような点については私どもはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/109
-
110・長田武士
○長田委員 次に、商工中金の佐々木理事長にお尋ねをいたします。
中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫、これは御案内のとおり赤字経営でありますが、商工中金はその中でひとり黒字経営の機関でありまして、まことに喜ばしい限りと私は考えております。これは商工中金の資金の大部分が財投金利よりも低い商工債あるいは預金など、こういう資金源によって違うのだろうと私は考えております。中小企業金融公庫や国民金融公庫は財投からの資金でありますから、大体七・七%程度の貸付金利でありますから、経営の黒字ということはなかなか望むべくもないと私は考えております。昨今の財政事情にもかかわらず、六十年度も中小企業金融公庫で二百三十億円、国民金融公庫では百四十億円が補助金として交付されておるわけであります。それと比べてみますと、商工中金の経営は五十八年度で五十六億円、五十九年度では四十一億五千七百万円、それから六十年度の見込みといたしましても三十二億七千万円、このように利益が予定をされておるわけであります。毎年出資者に対する配当も大体五%くらいやっておりまして、私は経営はますますという状況だろうと思います。
しかし今後の自由化、国際化の情勢の変化を考えますと、決してこれは楽観できない。もう五十八年度は五十六億、五十九年度は四十一億、六十年度が三十二億というふうに下降線をたどっております。こういう点で経営もだんだん当期利益金というのが落ち込んでおりますから、従来のようなわけには今後経営できないであろう、このように考えておりますけれども、この点の自信のほどをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/110
-
111・佐々木敏
○佐々木参考人 先生御指摘のように、おかげさまで私ども若干の当期利益を毎年出させていただいております。政府の御支援を引き続いていただいておりますことのほか、私ども自身もできるだけの努力をいたしておるところでございます。ただ、今お話しの数字、例えば他の一般金融機関に比べますとまだまだ非常に小さな数字でございます。先般も申し上げましたように一般金融機関に比べまして原資の調達コストも高い、また運用コストも多数小口貸し出し、あるいは全国にわたる店舗展開、そういったことから非常に高いわけでありまして、収益、利益率は大変低いと言わざるを得ないわけでございます。特にこれからの金融自由化等によりまして当然に調達コストは必然的に高まらざるを得ないわけでございます。経営の健全化を今後ますます維持しなければ、こういった収益の維持はなかなか難しかろうと覚悟いたしておる次第であります。
しかし、おかげで今回法律改正をいただきました場合には、金融環境の変化に対応いたしまして業務の整備充実を図ることができますし、また今までに引き続きまして省力化、OA化等できるだけ効率化を図ろうといたしております。それによって何とか収益も維持いたしまして、極力中小企業に低利の金融ができるように、そのように努力をしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/111
-
112・長田武士
○長田委員 資金コストの点に関連をいたしまして何点かお尋ねをいたします。
商工中金が発行する利付債、それから割引債というのもあります。この割合でありますけれども、五十九年度で前者が七〇・九%、利付債の方が利息が高いものですから、これが七〇・九%、あとの二九・一%というのがいわゆる割引債でございます。こういう点で、私はむしろ利付債を少なくして割引債の割合をふやすべきであるというふうに実は考えております。実は、前回の四年前の商工中会法の改正の審議のときに、議事録を見てまいりますと、その中で、利付債、割引債の政府引き受け割合を金利引き下げの意味から大蔵省と十分検討していきたいということで、これは中小企業庁計画部長が答弁をいたしております。依然として、四年たちましてもこの利付債と割引債の割合が変わっていない、こういうことなのでありますけれども、この点はどうしたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/112
-
113・末木凰太郎
○末木政府委員 前回五十六年改正のときに確かに御議論がございまして、商中の資金コストを下げていくための手段が幾つか御議論されました。その中の一つとして、政府が引き受ける商中債の中で、利付債と割引債があるわけですが、割引債の比率を上げていったらどうだという御議論がございまして、よく大蔵省とも相談をしてみたいと思いますというお答えを当時の政府委員がしております。実はこれは当時大蔵省の方からも御答弁がございましたのですが、大蔵省資金運用部の方といたしましても、これはコストのかかるお金を集めておるわけでございまして、したがいまして、現在でいいますと割引債については非常に運用部としては採算の悪いものを引き受けることになるわけで、したがいまして一定の限界があるということを答弁なさっていました。
それから、商中の立場からいいますと、おっしゃるように割引債の方がコストは安うございますけれども、利付債の方が五年間という安定した資金になるという面もございます。そこで、そういう資金としての期間の面で見た安定性それからコスト面の有利性、これをどう考えるか、それから資金運用部の立場をどう考えるか、これらを総合いたしまして今日まで来たわけでございます。その結果、顕著な変化とは申しませんけれども、前回御議論いただいた当時は、正確には二六%が割引債、七四%が利付債、こういうことで運用部に引き受けていただいておりましたのが若干上がりまして、現時点で割引債が二九%、三ポイント上がっておる状況でございます。
問題意識といたしましては、当時の御議論と同じ認識を持っておりまして、今後ともそういった点を踏まえて適切に対処するよう大蔵省とも相談をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/113
-
114・長田武士
○長田委員 先日私は、商工中金から融資を受けているある協同組合の役員の方と懇談をする機会を得ました。その方は、貸出金利の高いことが最大の悩みであるというふうに非常に嘆いておったわけであります。また、ある組合の役員は、商工中金に出資してはいるけれども今日まで十年間お金を借りたことはありません、こういうふうに言っておりました。そのわけを聞いてみますと、あえて金利の高い商工中金よりも民間の金融機関の方が金利が安い、そういうことで民間から金を借りております、こういう実は返事が参りました。このように現場では高金利への不満が非常に募っておりまして、組織金融という商工中金本来の使命が私は次第に失われていっているのではないかというようなことを実は危惧いたしました。
まして、今回のように業務の拡大ばかりが論議の対象となっておりますことは、今日の商工中金の現状を象徴的にあらわしているように思えてなりません。商工中金の貸付原資の約二〇%は預金でありますから、商工債の消化が頭打ちである現在は、預金の大幅な獲得という点では相当困難であろうと私は考えております。そうした意味で、今回の改正案の中に役員からの預金受け入れを盛り込んだことは評価できますけれども、現在の商工中金にとって何よりも必要なものは、私は低利の資金をいかに多く導入をして、そして中小企業に対しては市中銀行よりももっと低利な融資をすることが望まれているんじゃないかなという感じがいたしております。
政府の出資が多く望めない今日、商工中金の本来の役割を維持し拡充していくためには、どうしても低コストの資金を集めることが重要な課題であろう、商工中金の使命はそこがポイントだろうというふうに私は考えております。この点についてはどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/114
-
115・末木凰太郎
○末木政府委員 できるだけ安いコストの資金を集めなければならない、御指摘のとおりでございます。
そのための手段はいろいろございますけれども、どれか一つだけで決定的に効くというのは今の状況のもとでは困難かと思います。したがいまして、今回追加をさせていただこうとして御提案申し上げております、例えば若干の預金の受け入れ先の追加とか、それから非居住者からの外貨預金の受け入れとか、これは外貨が必ず常にコストが安いというものではもちろんございませんけれども、安い場合に有効に導入できるようにするとか、それから一方においては経費の節減を図る等々全般的な努力によって、できるだけ低利の資金を供給できるように努力をしていくべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/115
-
116・長田武士
○長田委員 通産大臣にお尋ねをしたいのでありますけれども、昭和四十八年の石油ショックを契機といたしまして、企業は減量経営などを通じまして収益の維持に努め、特に財務体質の改善に努めてまいりました。
その一つは自己資本比率の向上であります。昭和四十年代には企業の自己資本比率は大体二〇%台から一〇%台に低下しましたけれども、五十年代には上昇に転じまして、五十八年には大体二一%にまで回復をいたしております。自己資本比率の向上は企業の金融収支の改善をもたらすと同時に、企業間信用の縮小、つまり売上債権の比率の低下をもたらしたわけであります。すなわち昭和四十年代は三%台だったものが昭和五十年には二・八五%。それが五十五年には二・五五%、五十八年には二・四五%と低下をいたしまして、それだけ企業の金融機関からの借り入れ依存体質も低下してまいりました。
ちなみに企業の金融機関からの借り入れ比率を見てまいりますと、昭和四十六年から五十年までは平均四〇%であったものが、昭和五十一年から五十五年には平均二〇%となりまして、五十六年−五十八年には平均一六%と激減しておるわけであります。特に長期借入金と割引手形の減少がどうも著しいということですね。それに加えまして、増資や社債の発行などによります内部金融は五十六年から五十八年の平均では年に八%もふえておるわけであります。特に五十八年だけをとってみましても一一%もふえているという状況であります。
さらに量近では財テクという言葉をよく私たち耳にするわけでありますが、インパクトローンとかあるいは外債発行、ユーロ円とか、資金の調達も国際化してまいっております。国内的に見てまいりましても、完全無担保の転換社債であるとか、あるいは現先であるとか、あるいは株式の時価発行であるとか、いろいろと資金の調達手段というのが非常に多種多様化してまいりました。しかも、その手段が大企業から中小企業へと移行しておるということもまた事実なんですね。
一方余ったお金の運用にいたしましても、既に証券会社の中期国債ファンドというのが銀行の普通預金のように利用され始めました。中期国債ファンドに積んでおきまして、銀行と提携しまして一定、五十万円なら五十万円きちっと振りかえるというものであります。ある銀行でやっているんですね。そういうようなことで、利息は普通預金に比較いたしまして大体二倍から三倍、一カ月複利で中期国債ファンドは利息がつきますから、そういうようなことで、非常に流動的預金、一カ月は据え置きになりますけれども、後は自由に出し入れできますから、流動性預金としては非常に魅力があります。
これも数字でちょっと申し上げますと、中国ファンドの誕生したのは五十五年の一月だと思いましたね。たかが四年であります。昭和五十六年における個人の金融資産で、増加した分の約六割は銀行預金だったのですね。そして、その年に証券会社に流れた分は約一五%でありました。したがって、銀行の総体的な預金から考えてみますと、証券会社に流れだというのは大体四分の一でした。ところが五十八年には、銀行が三三%、証券会社が三六%と実は逆転をいたしました。しかも、銀行に流れた三三%のうち約半分に当たる一六・五%は定期預金だったわけでありますけれども、証券会社に流れた三六%のうちの一六%は実は中期国債ファンドです。つまり、百年の歴史を持つ定期預金、銀行としては目玉商品として定期性の有利性というものを随分私たちにも宣伝するわけですね。そして、ぜひ定期にしてほしいということで銀行員は血眼になっていろいろ獲得をする、そういうことをやったわけでありますけれども、わずか四年で中国ファンドに肩を並べられてしまいました。先ほど中小企業庁長官が金融革命と言いましたけれども、まさしくここでも金融革命が起きております。
こうした傾向は、第一次石油ショック後のアメリカに早くもこういう現象というのはあらわれておるのですね。すなわち、MMFあるいはMMAとかスーパーNOWとか、そういったものが発売されまして銀行へお金が流れなくなったわけであります。これがアメリカの金融自由化の発端になったわけでありますけれども、我が国においても、中国ファンドのほかにビッグというのがありますね、あるいはワイドとかあるいはCD、そして三月一日から始まりましたところのMMC、これは五千万円以上でありますけれども、市場金利の連動型預金といいます、こういうものが発売をされております。
こうした中で、商工中金は果たして今後とも生き残れるのかどうか、非常に心配があるわけであります。そういう意味では、商工中金の使命の第一は、低利のお金を中小企業に融資すること、もちろん第一義としてそれがある。その資金の調達コストは今後ますます高くならざるを得ない。高金利政策、自由化をとっていきますから、どうしても預金者は高金利へ、高金利へと流れる。そう考えてまいりますと、中小企業への低利融資という使命が全うできるかどうか、非常に私は心配であります。こういう金融革命に対応できる商工中金になり得るかどうか、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/116
-
117・石井賢吾
○石井政府委員 御指摘いただきました金融自由化の大企業あるいは中小企業への影響というのを見てみますと、確かに御指摘のような、いわば間接金融から直接資本調達という形での、資金調達における手段の多様化、逆に言いますと、銀行離れといいましょうか、そういったものが進んでおりますのは、大企業の分野では、先生御指摘のように、株式の時価発行あるいは転換社債の発行、こういったことで非常に多様化が進んでおることは事実でございます。
また運用面にいたしましても、御指摘のような、CDあるいは中期国債ファンドの運用等、金利選好の時代に合う新規金融商品への移行が非常に進んでおるわけでございますが、これを中小企業にとってみますと、果たしてそういった恩恵をすべて受け得る体制にあるかといいますと、非常に中小企業の場合には制約を受けざるを得ないのであろうと思います。例えばCDでございますと、最近三億円から一億円に下がりましたが、これをもってしてもまだ中小企業がこれでうまく運用するというにはやはり敷居の高いものではなかろうかというふうに思いますし、そのほか、株式あるいは転換社債の発行といったものにつきましても、中小企業には大きく制約があろうかというふうに思います。
御指摘のような金融自由化による資金調達の多様性といいますか手段の多様化というものは徐々に中小企業には及んでくるとは思いますが、当面見渡す限りにおきまして、中小企業の金融自由化による影響といいますものは、基本的には従来の姿をそう大きく変えていないのではなかろうか。例えば、最近時点におきまして数年間の趨勢を見てみますと、やはり銀行借入への依存の増大、それから、その借入増大の中でも長期資金の借入の増大というのが現実の姿として見られるわけでございますし、都市銀行等、全体的な金融緩和の中で中小企業への貸し出しを強化している面もございますが、それもすべての中小企業に均てんするわけではない。こういった意味において、中小企業の金融ニーズというのは非常に高いものが依然として残っていかざるを得ないのであろうというふうに思うわけでございます。そういう意味において、そういった中小企業の組合金融のメーンバンクといいますかフルバンクとしての機能が商工組合中央金庫に求められていくというふうに考えておるわけでございます。
そういった場合に、それでは資金調達コストがどうなるか。先ほど来御指摘のように、低利の資金でございます預金を集めるのも、やはり政府関係中小企業金融機関としての一つの制約がございます。一般大衆から預金を集めることもできませんし、今回の改正でも一応考えました、組合の構成員の従業員等から預金を集めるといったようなことも、関係の金融機関との調整が必要でございますのでギブアップをせざるを得ないというようないろいろな制約もございます。
そういう中で今後進めていくのは、最低限商工債券による市中での原資調達ということになるわけでございますが、これはあくまでも債券でございますので、いわば市中追随といいますか、全体の市中相場の形成の中で行われていくわけでございまして、商工中金だけが特段のハンディキャップを負わなければいけないというような事態ではないのではなかろうかと思うわけでございます。その意味において、そういった市中における債券消化を、従来と同じような、あるいは従来以上に何とかその消化力を維持していくというような今回の改正によりまして、それを活用することによって、特に債券発行銀行としての商工組合中央金庫のハンディキャップが高まっていくということはないというふうに私は考えておるわけでございます。
そういう意味において、今回の改正によって、本当に近い将来展望される金融自由化に伴って生じてまいります諸問題に対応できるかどうかというのは、今回の改正ポイントを十分に活用することによって相当部分打開できるものというふうに私どもは期待いたしておりますし、また商工組合中央金庫においても、経営の合理化とあわせてそういった運用を進めていくことを期待いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/117
-
118・長田武士
○長田委員 そこで、貸出金利の問題でありますけれども、最近、中小企業三公庫の政策金融のありがたみがだんだん薄れてきているんじゃないかというような感じを私は強く受けます。その最大の原因は、やはり今申し上げましたとおり、貸出金利が高いということがどうも大きなポイントであるように思います。商工中金の場合もそうでありますけれども、中小企業三公庫の標準金利は民間の長期プライムレートよりも高いのですね。現在プライムレートは七・七でありますけれども、民間金融機関の実際の貸出金利というのは実はこれを割っております。いろいろ調べてみますと、都銀あたりでは長期資金では七・四七二%、それから地銀でも七・五四六%、これが実態のようであります。
こうした実態が今後とも続くということになりますと、商工中金の役割やその存在自体が非常に云々されるであろうというふうに私は考えております。この点の改善について、特に考えがあればひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/118
-
119・末木凰太郎
○末木政府委員 私どもの手元の数字で、おっしゃるとおりでございます。地銀が七・五四六、相銀が八・〇一〇、商工中金が八・一一七でございます。これは長期でございます。それから短期の方は、商中が六・二五七で、これは地銀と相銀の間に入っております。したがいまして、長期の方は非常に高いという認識ではございませんけれども、短期の方は確かに若干の差がございます。
ただ、実際の金利の負担を御判断いただきます場合には、この表面の数字だけではなくて、お借りになった方がその見返りに金融機関に実際とれだけ預金をしているかという預賃率も勘案して考えるものだそうでございまして、そういった実態を踏まえますと、商中と民間機関との短期資金の開きはもっと縮まってまいりますのが一点と、それから商工中金の場合には、基準金利の前後でお貸しするものの比率が比較的高い。これに対して民間銀行の場合には、それよりも低いものもあれば高いものもありまして、いわば取引先、相手によってかなりの差がございます。その中心のところにいる比率を比較しますと、全国銀行の場合には四四%程度がその中心の基準の帯のところにいるわけですが、商中の場合には六割近くがそこにおさまる、こういった点も第二として御勘案の上で評価をしていただきたいと思うわけでございます。
さて、今後の問題でございますけれども、金利を下げていくためには幾つかの手段がございまして、一つはコストのかからない出資をふやしていく。二つ目には比較的コストの安い預金をふやしていく。三つ目には経費の節減をすること。それからさらに、ちょっと質が変わりますけれども、同じお金でありましても、商中で提供される商品としてのマネーは、よその金融機関から提供される商品としてのマネーよりも質がいいという評価をしていただくことがあるのではないかと思います。これはつまり、商中がいろいろな情報サービスをするとか、経営のコンサルティングに応ずるとか、そういう金融機関に対するニーズが今多様化してきております。いろいろな調査によりましても、お金を借りることと、たまたま余ったときにはそこへ行げば有利な運用ができるということと、いかにいい情報が手に入るか、相談に乗ってくれるかとか、金融機関に対するニーズが多様化しておりますので、それにもこたえなければいけない。それをすることによって実質的な金利は下がっていくと経済的には考えられると思いますので、そういうすべての方策を全部とことん追求していくべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/119
-
120・長田武士
○長田委員 実勢金利というのは、そう政府機関の三機関が、民間の方が今プライムレートも下がっておりまして、そういう点では低いということを私は申し上げているのです。そういう点では、中小企業を対象とするこのような政府機関は民間の金融機関よりもある程度安くしてあげる、そういうところに半官半民の存在意義があるのではないでしょうか。これを踏んまえて、民間と同じだなんということになりますと、じゃ政府機関は要らないということに最後はなってしまうということなのです。マネーの質なんて、中小企業が百万借りる場合は札に質なんて書いてないのですから、百万円は百万円なのです。そういう意味では、民間の金融機関でも今相当経営にタッチしています。親切に面倒見ますよ。経営診断までやります。そういう点では、お役所だ、こんな考え方ではだんだん先細りしてしまうということで今申し上げたのです。
次に、金融の自由化、国際化という言葉とともに、先ほどからも申し上げておりますけれども、金融革命という言葉を最近非常に方々で聞くようになりました。これは基本的には我が国の金融の基盤、つまり資金の供給者と資金の仲介者、それから資金の需要者にそれぞれ大きな変化が起きているのではないかというふうに感ずるわけであります。つまり、金融の構造的変化が起きているということでありまして、今後金融機関が生きていくためには、こうした構造的な変化に十分対処できるような対応、これはぜひ必要であるというふうに私は考えております。
資金の供給面で言いますと、十年前には五〇%から六〇%が個人からのものでありました。現在では七〇%が個人のものなんですね。また、昭和四十年代には七%から八%が海外からのものでありましたけれども、最近十年間では一〇%が海外に依存をいたしております。そして、資金の仲介面では垣根の問題が取り払われまして、合併や提携ももっと進んでいくのではないかと私は考えております。また、ノンバンクスといいまして証券会社や生命保険それからカード業界さらには最近は百貨店、スーパーなどが金融界に本格的に進出をしてきております。また、金利が自由化されて国際化も進んでくる中で資金の仲介にまつわるサービスの競争も非常に激化してまいりました。INSやVANなどの通信技術の発達によりまして金融機関はホームバンキングなどによって生き残ろう、そういう対策も今、金融機関ではいろいろ考えておるのですね。そうした情報を通じまして金融機関同士の提携もますます進むであろうというふうに私は考えております。
さらに資金の需要面では、十年前までは資金需要の七〇%は企業で、一〇%が公共部門、こういうことだったのでございますけれども、現在では住宅ローンなどの関係で、個人向けが一二、三%、企業向けが三〇%、公共部門が五〇%というふうに、全く大変な変化が実は生じております。そうしてこれが金融革命の実態であろうというふうに私は考えております。
こうした中で、商工中金がこれらの実情に対処していこうとするならば、業務の内容はさらに拡大し、自由に活動できるようにしませんと、これはもたないなという感じが私はいたしております。今回の改正で、こうした金融革命に十分対処できることとは思えませんけれども、これをもっと自由に、一般の金融機関と全く同じように活動できるように改正しようとすればするほど、商工中金は政策金融としての目的あるいは範囲を逸脱しまして、どうしても民間金融機関の分野に入らざるを得ない、こういう状況だろうと思いますね。すなわち、二律背反的な運命のようなものを感ずるわけであります。
そこで、今後の金融の自由化、国際化の進展次第では、そのようなことまで決意しなくてはならないと思いますけれども、その点についてはどうでしょうか。
〔渡辺(秀)委員長代理退席、浦野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/120
-
121・末木凰太郎
○末木政府委員 先生から非常に長期的な視野に立った問題提起をいただいたわけでございます。私どもといたしましては、商工中金が現在の半官半民の性格から変貌いたしまして一般の民間金融機関になるということについては考えておりません。中小企業にとりましては、民間金融機関からもお金を借りる道がある、半官半民の系統金融としての商中からもお金を借りる道がある、そして純粋に一〇〇%政府機関である中小公庫のようなところもある。いたずらに競合があってはいけないと思いますけれども、幾つかの基本的なタイプの中小企業金融機関が存在をして、それぞれ得意のタイプで、ある部分は競争し、ある部分は補完し合うという形で中小企業のお役に立っていくというのが現在望ましくなっている姿ではないかと思っておりまして、商中はそのうちの一つの重要な役割を担っているものと認識いたしております。
そこで、商中といたしましては、おっしゃるとおり今回何でもできるということには改正案はなっておりません。それは組織金融機関としての基本を変えておりません関係で、一定の限界がございます。しかし、商中の組織金融機関としてのそういう限界は、別の面から見れば商中の存在としての強みにもなり得る背景あるいは条件であると思いまして、結論は、商中といたしましては、所属団体及びその構成員に評価されるような商中になっていく。また、そのために必要な最小限の措置は今度の改正案で講じられることになっていると思いますので、その範囲で商中当局の御努力を期待している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/121
-
122・長田武士
○長田委員 先ほど私申し上げましたように、中小企業金融機関の中で商工中金が果たしてきた役割、こういうものについては、その役割は十分果たしておる、こういうふうに私は評価をいたしておるのです。ですけれども、今後の行き方としてはちょっと難しいんじゃないかという危惧はたくさん方々の面で、金融自由化という中で難しい問題が出てきておるという意味で、私はお聞きをしているのです。
そこで、この論議の中で、通産大臣聞いてくださいよ。中小企業向けの政策金融機関が三つありますね。国民金融公庫それから中小企業金融公庫、それから今私たちこの改正の論議をいたしておりますところの商工中金。それぞれ役割あるいは存在意義、どうももう一つ明確さを欠いているように私たちは思うのですね。そういう意味で、このまま商工中金がだんだん自由化していく、その中においては民間金融機関との競合、そういう制約を受けながら、その分野に進出せざるを得ない、こういう面も確かにあると私は思いますけれども、こういう三機関をこの際一本にしちゃった方がいいんじゃないかという意見も実はあるのですね。この点は通産大臣どういうお考えですか。また、大蔵省の意見もちょっとお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/122
-
123・村田敬次郎
○村田国務大臣 長田委員の先ほど来の質疑を承っておったわけでございます。
今お引きになりました商工中金の存在意義と申しますか、この点でございますが、商工中金は組合みずからが相互扶助の精神に基づいてみずからの金融の円滑化を図るために政府の助成のもとにつくった共同施設、いわゆる中小企業者の、中小企業者による、中小企業者のための銀行、こういうことが言われておるのでございまして、民間的な色彩が非常に強い、いわゆる補完金融を旨として、全資金を国に依存する公庫とは大いにその性格を異にしておるところでございます。したがって、政府系中小企業金融機関三機関の中でも、商工中金は非常に特異の性格を持っておる。すなわち、中小公庫、国民公庫が国の代行機関として、中小企業者や国民大衆が民間金融機関から融通を受けるのが困難な資金の供給を目的とする機関であるのに対しまして、商工中金は、中小企業の組織化の推進という特別の役割を担いながら、同金庫への出資によりメンバーとなった中小企業の組合及びその構成員に対して資金の円滑な供給を行う機関でございます。
このように、政府系中小企業金融三機関といっても、その設立の経緯でございますとか、業務範囲でございますとか、原資の状況でございますとか、政策上の必要性などが異なっておりまして、おのおの極めて重要な機能を担っており、また果たしておる。中小企業の組織化という重要な政策課題を金融面から支援する役割を担う商工中金の存在意義は極めて高いものである、このように評価しておりますし、また、先ほど来の長田委員の御質疑を承りましても、存在意義は十分認めておいでになりながら、商工中金のために今後のことをいろいろと心配していただくという視点が非常にはっきりと見られるように思うのでございまして、ひとつ今後とも商工中金の前途のためにいろいろアドバイスを賜りたいと思うところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/123
-
124・藤原和人
○藤原説明員 初めに、今回の商工中会法の改正の考え方でございますが、特に民間の金融機関との関係につきましての御懸念を御指摘になったと思うわけでございます。
先ほど来の御説明と若干重複いたしますけれども、商工中金は、中小企業が相互扶助の精神に基づいて自己の金融の円滑化を図るという目的で設立された相互組織の金融機関でございますので、組合またはその構成員である中小企業の金融ニーズの多様化等に的確にこたえていくということが基本であると思うわけでございます。ところが、先ほど御指摘もございましたように、中小企業の金融のニーズというのが大変多様化いたしておりますし、金融の自由化というものがまた大変な勢いで進んでいるというようなことがあるわけでございまして、そういう中で商工中金の金融サービスの機能が、一般の例えば興長銀などに比べまして相対的におくれているという分野があるわけでございます。
今回の改正では、商工中金の基本的な性格、つまりメンバーシップの金融機関でありますとか債券発行銀行でありますとか、あるいは半官半民の性格でありますとか、そういう基本的な性格は維持するということでございまして、その中で商工中金の金融機関としての機能の低下を防いで、組合またはその構成員の金融ニーズの多様化にこたえるということが目的でございますので、基本的には、民間金融機関の分野を侵食するとかいうことではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
今回の御提案をしております改正内容を策定する過程では、商工中金を中心に各金融機関とも調整、意見の交換をなさいまして、基本的には、先ほど申し上げた商工中金の基本的な性格を踏まえた上で、かつ、今後の金融の自由化、メンバーの金融ニーズの多様化にこたえ得るような内容の改正案となっておるというふうに私ども考えておるわけでございます。一月には金融制度調査会にも御報告をいたしまして、基本的には了解を得て御提案をしているわけでございます。
以上が、ちょっと長々申し上げましたが、今回の商工中金法の改正についての基本的な考え方でございますが、あと、政府系中小三機関を一つにしろという議論があるけれどもそれについてどういうふうに考えるかということは、先ほど通産大臣がお答えになりましたとおりでございまして、それぞれの機能が大変異なっておりますし、国民公庫や中小公庫は基本的には民間金融機関の補完ということで、政府の資金を政策的分野に貸し付けるということで設けられている機関でございますのに対して、商工中金は性格が異なっているということでございまして、一つにまとめるという話は、これはなかなか困難な話ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/124
-
125・長田武士
○長田委員 それでは、時間が参りましたから最後の質問をさしていただきます。
昭和四十年代までの高度成長期は、護送船団体制の中で低金利政策をとられました。資金需要の大部分が企業向けで、しかも常に逼迫な金融情勢の中で金融機関があったわけですね。したがって、金融機関は床の間を背にいたしまして座っていれば、企業や個人が頭を下げてお金を借りに来た、そういう時代でありました。しかし現在では、資本が高い金利を求めて毎月一兆円もアメリカに向けて流出をする、国内にお金が事実上だぶついている状況でございます。しかも、企業の資金調達の四〇%以上が有価証券などによるいわゆる財テクによる調達であると言われておるわけであります。
こうなってまいりますと、金融機関同士の、金利を中心といたしまして、預金と貸し出しの両方において競争がますます激しくなる、こういうこともまた事実であります。今のところはMMCが五千万以上とか、金額が非常に制限されておりますからまだいいのでありますけれども、これが早晩、アメリカの例を見るまでもなく、小口にも金利の自由化というのはもちろん導入せざるを得ない、こういう時代に入ってくることは間違いないと思います。
そういうようなことで私が心配しておりますのは、やはり商工中金は本来の中小企業向けの、民間金融機関に対する補完的な金融に打ち込むということになりますと、ますますその生きる道というのは狭まってくるというのが現状だろうと思います。
そういう意味で、この五十年間果たした役割というのは私は非常に多といたしておりますので、今後とも経営の体質の強化さらには低金利の預金の吸収であるとか、こういうことで職員も全力投球していただいて、どうかひとつ立派な商工中金として育成していただきたい、この点をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/125
-
126・粕谷茂
○粕谷委員長 これにて長田武士君の質疑は終わりました。
続いて、横手文雄君の質疑に入ります。横手君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/126
-
127・横手文雄
○横手委員 私は、民社党を代表して、本法案に対しまして大臣並びに政府関係者に御質問申し上げます。なお、本日、参考人として御出席いただきました佐々木理事長には、まことに御苦労さんでございます。
私ども民社党は、我が国中小企業政策の確立につきましてはかねてその対策強化のために力を尽くしてきたところであります。我が国の中小企業は、事業所数で全体の九九・四%、従業員数で八一・四%の多くを占めており、我が国経済社会を支え、かつ、活力の源泉であると位置づけているからであります。したがって、中小企業政策については可能な限り万全を尽くさなければなりません。今日、我が国経済が全体的には上向いているとはいいながら、中小企業の多くの分野ではこの経済成長の陰にあり、厳しい状態に立たされているところが少なくありません。それは中小企業の倒産件数を見ても明らかであります。
そこで、大臣、現下我が国中小企業の置かれている実態と、政府としての対策についてまず御所見をお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/127
-
128・村田敬次郎
○村田国務大臣 政府の中小企業対策、非常に基本的な問題について横手委員から御質問をいただいたわけでございます、
今委員御指摘になられましたように、現在の中小企業を取り巻く環境は、技術革新、情報化の進展、国民ニーズの多様化といったような非常に新しい大きな変化が起こっておりまして、これにどうして対応していくかという大きな課題が課せられておるわけでございますが、このことは、中小企業に厳しい対応を迫る、また、中小企業に活躍の場を与える、こういった二面から見ることができると思います。こうした時代において今後の我が国経済の発展の牽引力として中小企業への期待は極めて大きいものがございまして、この意味におきましても、中小企業施策は非常に重要な、いわば国の施策の中心に据わるものでなければならないという認識をしております。通商産業省といたしましても、中小企業がこうした厳しい環境変化に対応し得るように各般の中小企業施策の充実に努めておるところでございます。
特に、新年度におきましては、まず第一に、中小企業の技術力の向上を図るために、この国会に提案申し上げております中小企業技術開発促進臨時措置法案による施策を含めまして、中小企業の技術開発の促進を図るための施策を総合的に推進をしていく所存でございます。
また、情報化の進展に中小企業が対応できるような情報化対策の拡充を図りますほか、中小企業大学校の整備拡充など、人材養成のための施策を強力に進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
また、これらの対応も中小企業の経営基盤が安定してこそ可能になりますことから、金融対策、倒産防止対策、下請中小企業対策等の施策もあわせて推進をしてまいる所存でございます。
ただいま申し上げましたような各般の施策により、今後とも創意と活力のある中小企業の育成を図るよう強力に中小企業施策を推進してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/128
-
129・横手文雄
○横手委員 ただいま大臣から中小企業政策について大変力強い広範にわたる対策をお聞かせいただいたわけでありますが、私は、中小企業の育成強化のためにもう一つの大きな柱は、同業種ごとの、あるいは地域ごとの組織化を行って、この組織の強化を通じて連帯のきずなを強めていくこと、さらにはこれらをまとめております中小企業団体中央会の指導体制の充実を図ることがもう一つの大きな柱であろうと思います。
中小企業の組織化の現状と今後の方針についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/129
-
130・遠山仁人
○遠山政府委員 中小企業の組合を通じます組織化でございますけれども、現在五万ほどの組合があるわけでございます。昨年の三月末の数字が手元にありますけれども、五万九百三十組合というふうになっておりまして、そのかなりの部分は事業協同組合でございます。これが四万一千三十二組合ほどありまして、そのほか事業協同小組合、火災共済協同組合、信用協同組合、企業組合、商工組合、協業組合、商店街振奥組合等、それからそういった組合の連合会がございます。こういった組合に加入しております中小企業の割合がどの程度かということですけれども、最近の調査によりますと、いろいろな組合がございますし、業種によっても違うのですが、大まかに申しますと、大体半数程度が組合に加入している、こういう状況だと思います。
そういう状況で、先生御指摘のとおり厳しい経済環境の中で、中小企業者が積極的な自主努力を進めることによりまして活路を切り開いたり、あるいは時代に対応したりということが要請されているわけですけれども、個々の中小企業ではなかなかできない面がございまして、御指摘のとおり組合を通じます組織化を通じての対策が極めて重要になってまいりますし、そうした意味で組織化の推進を図っているところでございます。
組織化対策の重点といたしましては、組織化指導を担っております中小企業団体中央会の指導体制を強化するということを進めておるところでございますし、それからもう一つは、組合活動の活性化を図りますために、個別専門指導の拡充としまして、個々の組合等に対します指導体制を強化するということとか、あるいは活路開拓調査指導事業ということで、組合が新しい活路を見出してどういうふうに事業を進めていったらいいかというような調査指導事業を行う。それから組合マーケティング強化対策事業という形で、組合として新しいマーケティング強化を進めるという事業等々を進めることといたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/130
-
131・横手文雄
○横手委員 御努力のところはよくわかりますが、中小企業の団体が何かをなそうというときに常に問題になっておりますのが、アウトサイダー等の問題が出てまいりますから、まとまって何かをするためにはお互いに協力をする、連帯していくということは大変大事なことでございますから、ぜひ今後ともに努力を続けていただきたいと要望を申し上げる次第であります。
次に、本法に関して御質問申し上げます。
商工組合中央金庫は、資金調達力の脆弱な中小企業の資金確保を円滑にし、その経営の安定を図るため、欠くことのできない重要な金融機関であります。したがって、我が民社党はこの商工中金の経営基盤の確立、さらに金融自由化時代を迎えた今日、資金調達の多様化を図り、もって体質強化を図るべしと主張してきたところであります。今回、かねて我が党が主張してまいりました多くの部分が取り入れられ、ここに法改正として提案されたことに敬意を表するものであります。
なお、具体的に明らかにしていただきたい点について以下御質問を申し上げます。
参考人にお伺いいたします。今回の改正点、たくさんの目玉がありますが、その中で国際業務の拡充が図られることになっております。これは中小企業の国際化の動きに沿うものでありますが、その効果をあらしめるため海外拠点の整備が必要であります。今ロンドンにその拠点が置かれていると承知しておりますが、これでは不十分ではなかろうかと思います。御計画がありましたらお示しをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/131
-
132・佐々木敏
○佐々木参考人 御指摘のように、中小企業の海外進出は近年極めて大きな動きがあるわけでございます。商工中金も既に昭和三十九年から国際業務を開始いたしておりまして、ただいま国内の外為店舗十八、海外コルレス先八十八カ国と結んでおるわけでございます。お話しのロンドンの駐在事務所は一昨年設置をいたしまして、ただいま支店ではございませんが、いろいろ貴重な情報を本部の方に送っているわけでございます。
ただ、このような激しい国際化の動きに対応いたしまして、ロンドンだけではやはり不十分であり、かつまたロンドンはなかなか支店に昇格できない事情もございます。したがいまして、法律改正を契機にいたしましていろいろな業務が、お貸し出しあるいは非居住者からの預金の受け入れ等々、非常に拡大するわけでございますから、海外の拠点につきましても今後早急に検討いたしまして主務省にお願いをする予定になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/132
-
133・横手文雄
○横手委員 関連して政府にお尋ねいたします。
我が国の中小企業が現地資本と提携して現地企業を設立した場合、それが我が国の中小企業の定義に当てはまらない場合、つまり資本金が一億円以上あるいは従業員が三百人以上、こういう現地企業になった場合にこの法律はどう作動するのか、あるいはまた、我が国の大手企業と共同出資の場合はどうなるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/133
-
134・末木凰太郎
○末木政府委員 海外におきます中小企業の定義をまず参考に申し上げますと、アメリカでは鉱工業、卸売業につきまして従業員五百人未満の企業を中小企業と言っております。それから、ヨーロッパの諸国はまちまちでございまして、例えばフランスは量的なそういうメルクマールを設けておりません。ドイツは、中企業五百人、小企業十人というような分け方をしております。
我が国の中小企業がこういった国に進出いたしまして現地法人をつくりましたときに、それが我が国の定義上中小企業の枠を超えた場合、これは現実には恐らくほとんどないのではないかと思いますが、法律上は、その親企業、本体の方の規模に着限をして今回の改正案を立案しておりますので、見かけが仮にそれを超えましても商中の融資の対象になるということでございます。
それから、大企業と共同の場合でございます。これは、大企業がパートナーとして出資に入ってきた場合も法律上は必ずしも排除はされませんけれども、実際問題として商中が海外の現地法人をやる場合に、あくまで中小企業が主体になって中小企業の分身と見られるものをやっていくのが今回の趣旨でございますから、法律上びた一文いけないということにはなっておりませんけれども、そういうふうに運用してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/134
-
135・横手文雄
○横手委員 中小企業が海外に進出しようとする場合には、どうしても国内における大手と提携をして進出をしなければ、技術的にもその他の面においてもなかなかできないという実態にあるわけでございます。今お答えいただきましたように、我が国における中小企業、つまり商工中金の構成員であるとするならば、外国へ行っても、それが我が国の中小企業の定義を超えても対象とするということでございますし、いま一つは、大手企業と提携をして外国へ進出をしていく、こういうことは必然的に起こってくるわけでございますから、その点における幅広い運用について、これらの適用ができるような道をぜひ開くべきだ、このように提言を申し上げておきたいと思う次第であります。
また、この法律が改正されますと、商工中金は構成員の要請に応じて株式を取得することができるように相なります。このことは中小企業者にとって一つの朗報であると思います。つまり、融資もお願いします、お金も貸してください、そして頭脳も知恵もかしてください、こういうことになるからであります。さらに今、中小企業投資育成株式会社がございますが、ここに株式を持ってもらっている会社は、その会社の会社概要等、外部に出すパンフレット等にはそのことがひときわ大きく印刷をされております。つまりこういったところと取引をしておる、あるいは株式を持ってもらっておるというのは、信用度を誇る一つのバロメーターになっているのであります。同じような現象がこの際出てくるのではないか、こういうことで評価をいたします。しかし一方では、普通銀行と違って政府機関であるから何とか無理も聞いてもらえるだろう、こういうことからこれを駆け込み寺と受け取られることも発生するのではないかと思いますが、株式取得の条件をお示しをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/135
-
136・末木凰太郎
○末木政府委員 株式取得につきましては、先生の言及されました投資育成会社の場合とは趣旨が違っておりまして、御指摘のとおり、金融を補完するといいますか金融取引の一環、そういった観点から考えて御提案した制度でございまして、審査については結局個別にケース・バイ・ケースでチェックをすることになると思います。基本的には金融活動の一環として行うわけでございますから、金融審査と同じように資本金とか純資産額とかあるいは利益率、配当率、自己資本比率等をチェックいたしまして、個別に株式取得をするかどうか判断していくことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/136
-
137・横手文雄
○横手委員 少し抽象的過ぎてよくわかりませんが、例えば過去の利益率だとかこういうものを見てと言われただけでは、どういう会社がどういう状態のときには断るのか、どういうときには要請に応ずるのか、このような点についてもう少し具体的に明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/137
-
138・末木凰太郎
○末木政府委員 言葉足らずで申しわけございませんが、そもそもどういう場合に積極的に考えていくかということから申し上げますと、取引先であるメンバーの中小企業が自己資本を拡大をして企業体質を強化し、事業を拡大していきたいという場合に増資を図るといたします。その場合にいろいろな関係のところから増資のお金を取り入れるわけでございますが、中小企業にしばしばありますことは、そのときに経営の自主性が不当に損なわれることを恐れるケースが多いわけでございます。そういう場合に、商工中金でございますと、商工中金が株主になってくれれば、これら経営にいたずらに干渉するとか、乗っ取るとか、そういうおそれがございませんし、非常に安心である。また安心であるだけでなくて、おっしゃるように社会的な信用もついて、そのことによってほかからの資本も集まりやすくなる、取引上も強化されるというようなことを評価して、希望してくるのだろうと思います。
したがいまして、そういうニーズにできるだけおこたえをしたいということでございますが、一方、これは金融の補完的なものとして考えます場合に、商工中金としてその投資したお金は、ある意味で固定もいたしますし、あるいはもし倒産のようなことがあれば返ってこなくなるおそれがございますので、安全性のチェックはどうしても必要である、ベンチャーキャピタルとして投資をするわけではございませんので、安全性のチェックとして、非常に長い間利益率が低い、あるいは赤字が続いている、例えば極端なケースで申し上げれば、これは困るとか、それから著しく自己資本比率が低い場合に、これは改善の必要があると認めても商工中金がまずトップを切ってそこまでやれるのかどうか、その辺は金融機関としての安全性の確保という観点から検討を要することでございまして、今後この改正法が成立いたしますれば、具体的な基準を詰めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/138
-
139・横手文雄
○横手委員 お答えを聞いておりますと、増資の際にというような言葉がよく出てまいりますが、増資のときに限るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/139
-
140・末木凰太郎
○末木政府委員 前向きの資本の需要という意味での増資の場合が多いかと思ってお答えしたわけでございますが、増資でない場合でも可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/140
-
141・横手文雄
○横手委員 今後さらに具体的なものが詰められるということでございますから、きょうのところはこの程度にしておきます。
関連して参考人にお伺いをいたしますが、先ほども申し上げましたように株式を持つということになりますれば、当然のこととして企業の経営相談、こういったことも多くなるし、また株式を持ってもらうということが、先ほども言いましたようにいろいろと面倒も見てもらいたい、知恵もかしてもらいたいということと同時に、株式を持ってくださいということにつながるケースが多いと思います。そうなりますと、商工中金としては、一方では職員の合理化等による省力化も今図られている最中でございますし、新たなまた多様化する体制をつくるために、その内部体制としてこれにこたえ得る方策をどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/141
-
142・佐々木敏
○佐々木参考人 株式取得の新しい業務でございますが、ただいま計画部長からのお話にもございましたように、既に取引先の企業の方の株式保有でございます。したがいまして、従来の貸し出し、預金その他のいろいろな取引をやっております先が多うございますし、したがいまして、取引の一環としてこの仕事が行われるということでございますから、もちろん新しい仕事であり、経営相談にも応ずるわけでございますから、仕事はふえるわけでございますけれども、私ども、それほど多くの人員が新たに追加されるとは考えておりません。
ただ、今先生御指摘の人員の問題につきましては、このほかに今回の法律改正によりましていろいろな仕事が追加されるわけでございます。そういったもろもろの新しい仕事を考えますと全体としては人員の増が必要であろう、かように考えておりますけれども、他方また、経費節減、省力化あるいは効率化という命題もございます。したがいまして、こういった新しく追加されるであろう人員につきましては、極力現在の電算化、合理化、効率化を進めまして、現在の人数以内で賄ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/142
-
143・横手文雄
○横手委員 これから具体的な作業が始まるわけでございますから、今お述べになったようなことでそれぞれ出先の店ではその体制をつくろうということで支店長を中心にいたしましていろいろと策が練られているようでございますが、どうか、せっかくこれら新しい事業に参加をしていかれるわけでございますから、中小企業の皆さん方も、事前のアンケートによると百数十社あたりから希望もあるようでございます。先ほども申し上げましたように、ただ単に株式を持ってもらうということだけでなくして、それに付随する経営指導なりそういったものも当然期待をされていることだ、こう思いますから、どうか中小企業の皆さん方の期待にこたえるような職員の体制なり、あるいはそういった業務の多様化に対応する体制というものをつくっていただきたい、こう御希望を申し上げておく次第であります。
さらに、今後商工中金が、その存在が揺るぎないものになるためには、ただ単に金を貸すということだけでなくして、今もありましたように株式を取得をして経営の指導にも入っていくとか、その他顧客のニーズにこたえるために情報の提供を通じて構成組合とつながりを強化していくことが極めて重要なことであると思います。
私は先日、福井支店に支店長を訪ねてお話をお聞きをしてまいりました。もう既に店ではこの法律の改正点について詳しく説明する解説書をお持ちでございましたし、あるいは支店長は地元の業界誌に「金融自由化と中小企業」と題して提言もしておられました。このようなことが積極的に行われることが、中小企業組合が商工中金こそまさに自分たちの金融であるという認識を持つことにつながると思います。先ほども御答弁の中でございましたように、中小企業の、中小企業による、中小企業のための金融機関であるというスローガンが、真にその組合員のメンバーの人たちがまさにそのことを実感として常日ごろからの経営の中に組み入れていく、こういうことが商工中金とそれらの組合をさらに密接なものにして、そのことを通じて商工中金の存在を揺るぎないものにしていく道だ、こう考えておりますが、これらのことについて参考人、どのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/143
-
144・佐々木敏
○佐々木参考人 先生御指摘のとおりでありまして、実は私ども中小企業協同組合のその共同施設である、五十年の歴史を持っております。実は私どもだけにある一つのお取引先とのつながりと申しますものをちょっと申し上げますと、各支店ごとにそれぞれ中金会というものができております。お取引先の所属の組合の幹部の方あるいは構成員の社長さん方、そういった中金会の方々が支店を中心にいたしまして、文店を自分のものとして常時密接な御連絡をいただいております。毎月定期的な会合その他いただいております。なお、中金会の下部機関といいますか、若い方のユース会というお取引先のメンバーの会合もございます。そういった中金会、ユース会という、私どものいわばお仲間、私どもをつくられた中小企業の方々との密接な信頼関係は今後とも維持してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/144
-
145・横手文雄
○横手委員 日ごろの御努力は承知をいたしておりますが、私も本院に籍をいただくまでは地方の労働組合の役員をしておりました。労働金庫の運営についてもいろいろと腐心をしたところであります。
この設立のときには、まさに働く者の銀行、団結の象徴、こういうスローガンでこの銀行の強化を期待したわけでございます。しかし、やはり運営をしてみますと、スローガン、精神論だけではなかなかうまくいかない、そこに会員との密接なつながりがあるし、そのことを通じて会員が私の銀行だということ、日常の中にもそれが生きてくる、こういうきめの細かい日常活動によって初めてこれら金融機関というものは大きくなるものだということを私も現実の問題として経験をしてまいりました。どうか、今多くの機関をつくりながら定期的な会合を持っておられるということでございます。そういうものが形式に流れないように、まさに生きたそれらのグループになりますように心から御期待を申し上げる次第であります。
続いて参考人にお伺いをいたします。
今改正では、預金の受け入れ先の拡大も図られます。その一つに、所属団体または構成員である法人の役員の項がございますが、あるところで私もいろいろと話を聞いておりましたら、こういったことを見て、商工中金は歩積みをさせようとするのか、こんな疑問が投げかけられました。私はそれは即座に否定をしてまいりました。そんなことを考えておられるのではないと承知をしておりますけれども、理事長の御見解をお伺いを申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/145
-
146・佐々木敏
○佐々木参考人 申し上げるまでもなく、金融機関における歩積み両建てにつきましては、これは優越的地位を利用するということでもって厳重に自粛をいたしております。絶対にそういったことをただいまいたしておりません。
今の、お願いをいたしております構成員の役員からの預金受け入れにつきましては全くそういった目的ではございませんで、中小企業の場合、会社である構成員とその社長さんといいますか、役員さんは一体のものである、そのような認識から、実はかねがね商工中金の総代会の席上で、皆様から役員の預金もできるようにという強い御要望をいただいておったわけであります。その趣旨は、そのようなことが可能になれば、当金庫といたしましてもコストの安い資金がちょうだいできる、そういったメリットがございますし、また構成員の皆様方からしても、その預金を通じまして商工中金との関係、特に構成員に対する金融取引のいわば枠といいますか、そういったものが増大するということでメリットがあろうかと考えておるわけでございます。
繰り返しになりますけれども、決して歩積み両建てのための考えは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/146
-
147・横手文雄
○横手委員 この預金受け入れ先の拡大について、当初構成組合員の従業員も含めたらどうだ、こういう意見もあったやに聞いております。しかし、今回の改正案にはそれが入っておりません。これは、大蔵省を窓口とする一般市中銀行等々とのいろいろの話し合いの中で、その結果こういうことになったというぐあいに聞いておりますが、ほかにもこのような事例があったのか、あるいはこの法改正のためには、市中銀行初め他の金融機関とのコンセンサスは十分にとられたのか、このことについて政府に御質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/147
-
148・末木凰太郎
○末木政府委員 メンバーの企業の従業員からの預金受け入れにつきましては、これを当初預金受け入れ先に追加することにしてはいかがかという案もございましたが、御指摘のように金融界との調整の過程で問題が残りまして今回見送りになったわけでございますが、調整の問題だけではなくて、今のところでは商中は政府系の金融機関としては店舗数は多い方ではございますけれども、それでも広く分布している従業員の方々の預金をお預かりして、給与振り込みが中心になると思いますが、それに使っていただくにしてはまだ必ずしも十分店舗網も整備されてないということも考慮の一部にございまして見送ったわけでございます。
そのほか、検討の過程でリストに上りながら改正案に入らなかったものといたしましては定期積み金、これは積み立てていきまして満期になると積立額プラスアルファ、利子相当分を加えたものを受け取るという定期積み金でございますが、これは長い間例えば信用金庫などが独自の商品として長期に扱ってきたものでもありますし、商中の方は債券の発行が認められておることもあり今回これは見送りにしております。
そのほか、さらに申し上げますと、今回電気、ガス事業者等の料金収納業務を扱わせていただく案になっておりますが、この料金収納のための口座に、普通預金口座でございますが、それに例えば定期預金口座をくっつければさらに金額が大きくなり得るわけでありますが、これは本来がこの部分につきましてはメンバーである中小企業の電気料金、ガス料金支払いの事務の便利を図るということでございますので定期預金は除くというふうにいたしております。
主なところはそういうふうな点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/148
-
149・横手文雄
○横手委員 いろいろの角度から検討が加えられたということですが、質問の二つ目の、窓口と市中銀行あるいはその他の金融機関とのコンセンサスの問題についてはいかがでございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/149
-
150・末木凰太郎
○末木政府委員 失礼いたしました。法律の形になる前から前広に商中が、ある意味では同業者でございますから金融界といろいろ話し合いをされましたし、それからある段階から後は大蔵省当局が金融行政を総括する、所管をするという立場から調整役を買っていただきまして、金融機関の業態別のいろいろの組織がございます、それぞれのところで御議論をいただき、最終的にそれぞれの全国組織からこの案について御賛成をいただいております。それを全部総括いたしまして、ことしの一月十六日には大蔵省から金融制度調査会にも御報告をいただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/150
-
151・横手文雄
○横手委員 申し上げてまいりましたように、今回の改正によって商工中金の金融活動の範囲は大幅に拡大をされるわけであります。すなわち、貸出期間の制限撤廃、海外現地法人を初めとする貸出対象の拡大、預金受け入れ先の拡大等、商品の多様化、国債等の窓口販売、ディーリング及び金銭債権の取り扱い、所属団体構成員の株式取得、債務保証の充実、各種公共料金の収納業務等金融サービスの向上、余裕金運用の改善等々でありますが、これらを積極的に進めれば進めるほど市中銀行を初め他の金融機関と競争が激しくなります。その結果、他の金融機関から政府出資を受けながら少し出過ぎだといった心ない非難も予想されるのでありますけれども、しかし、商工中金は不況時における中小企業への低利の貸し付け等特別な計らいをしなければならない。つまり、大きなリスクも背負わなければならないという特殊な任務を持っているのであります。かかる現実に立脚し、政府は今後とも商工中金の充実強化に努めるべきだと思いますが、大臣いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/151
-
152・末木凰太郎
○末木政府委員 民間金融機関の一部に、あるいは先生おっしゃるような考えを持っておられる方が皆無だとは思いません。先ほど申し上げましたように、組織としての調整は完全にしておりますけれども、個々には御指摘のような考えを持っておる方もおられるとは思います。しかしながら、これはお金を借りる方の中小企業の立場からいいますと、商工中金のような存在は非常に頼りになる存在でございますし、かつこれはメンバーシップという形もとっておるわけでございますから、もちろん商工中金が社会的に見て非常におかしなビヘービアをとれば格別でございますけれども、本来の任務に邁進する限りにおいて何ら差し支えないことだと思っております。また、現実の姿といたしまして、中小企業者でもある程度のところになりますと取引先の金融機関が必ずしも一つというわけではございませんし、商工中金を主力にしつつ地元のほかの金融機関からも融資を受けているというような実態も相当あるはずでございまして、ですから、商工中金とその他の民間の中小企業金融機関とは協調と競争という関係にあって、その結果がお金の使い手である中小企業にプラスになると考えております。そういう前提に立ちますと、私どもは今後とも商中についてできるだけの応援をさせていただき、商中には大いに頑張っていただきたいというのが基本スタンスでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/152
-
153・村田敬次郎
○村田国務大臣 ただいま政府委員から御答弁申し上げたところでございますが、委員御指摘のように、商工中金は組合みずからが相互扶助の精神に基づいてみずからの金融の円滑化を図るために政府の助成のもとにつくった共同施設、先ほど来お話が出ておりますように中小企業者の中小企業者による中小企業者のための銀行であって、非常に民間的な色彩が強うございます。いわゆる補完金融を旨とし、全資金を国に依存する公庫とは大いにその性格を異にしているわけでございまして、政府系の中小企業金融一機関といってもその設立の経緯とか業務範囲とか原資の状況とか政策上の必要性等が異なっておるわけでございまして、非常に独自の使命を持っておると思うわけでございまして、そういった意味で今後も商工中金を政府といたしましてもしっかり支援いたしまして、適正な業務をしてもらいたいと期待いたしております。
〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/153
-
154・横手文雄
○横手委員 今大臣がお述べになりましたように、民間的色彩が強くなればなるほど他の金融機関から出過ぎだ、政府の援助を受けながら、こういう心ない非難めいたものが出てくることが予想されるわけであります。しかし、そのときにはその現象だけでなくして、商工中金は先ほど申し上げたような特殊な任務も持っておるのだ、こういうことを十分に踏まえていただいて、今大臣の御答弁の中にございましたように、育成強化のために力を尽くしていただきたいと存じます。
次は、これは商工中金だけに影響することではなくして、広く金融業全般にかかわる問題でありますが、今取りざたされております大手企業の下請代金や仕入れ代金の一括支払い方式についてであります。このシステムについては御承知のとおりでありますが、この方式が広がってまいりますと、中小企業は親企業や品物の納品先のメーンバンクに借り入れを移さざるを得ない。したがって、預金もということになります。そうすると、中小金融業界が打撃を受けることが予想されますし、そのことを通じて、またそれら金融機関に依存をしている中小企業にも影響を及ぼすことが予想されるわけでございますが、このような動きに対しまして大蔵省の見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/154
-
155・松野允彦
○松野説明員 いわゆる一括支払い方式でございますが、これは今御指摘のように主として大企業の支払い事務の合理化あるいは省力化という観点で検討が進められておりまして、大手の都市銀行を中心に現在具体的な仕組みの検討が進められております。ただ、確かにこの制度の運用の仕方いかんによりましては、御指摘のように中小金融機関に非常に影響を及ぼすことも考えられますから、現在検討を進めております大手の金融機関に対しまして中小金融機関の従来の取引関係を尊重した形でこの制度の中に円滑に参加していただく、例えば中小金融機関と提携関係を組むとかいう形で従来の取引関係を尊重しながら制度に参加できるというような方法がないかというようなことを私ども検討を求めておりまして、現在、大手都市銀行と中小金融機関との間でこういう点についての話し合いが十分なされていると聞いております。ただ、もちろん制度の運用の実態はこれから出てまいりますから、私どもとしても今後運用の実態を見ながら中小金融機関が悪影響を受けないように十分配慮してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/155
-
156・横手文雄
○横手委員 私は、一括支払い方式は、大手企業の下請代金支払い等については非常にユニークなといいましょうか合理的な一面を持っておるということを否定するものではございません。しかし、これが進んでいけば今おっしゃるように中小金融に対する打撃が大きくなるし、そのことがひいては中小企業にも影響を及ぼしてくることを心配するわけでありますが、この問題について公正取引委員会はどう見ておられますか。あるいは今後どのような処置をとられようとしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/156
-
157・厚谷襄児
○厚谷政府委員 ただいま先生御指摘のように、いわゆる一括支払いシステムというのは支払い事務の合理化あるいは簡素化に資するところがあろうかと思うのでございますが、これを一部の企業が採用いたしまして、大企業が問題になるわけですが、取引上の優越した地位を利用して取引先の中小企業者に対し正常な商慣習に照らして不当にそのシステムヘの参加を強いるということになると、これは独占禁止法上の問題が生ずるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、公正取引委員会としまして、この問題について、最も重要なことは取引先の中小企業者がそのシステムを採用するかあるいは従来の支払いの仕組みをとるかというような選択につきまして実質的な自由を有している、任意な自己の意思決定によってその選択をしなければならない、そういうことを保証することが一番大事なことではないかと考えておるわけでございます。したがいまして、公正取引委員会としまして、今後におきましてもこの問題が生ずることのないように十分関心を持っていきたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/157
-
158・横手文雄
○横手委員 この法改正を通じて、今後の最も大きな問題であります金利体系の行方についていろいろと御質問を申し上げたいと思っておりましたが、時間が参りましたので、中小企業者の皆さん方が金融機関に望むものは、いつでも容易に金融が受けられ、しかもその金利が低いこと、これを望んでおられるわけでございます。また、それにこたえるための本法律案の提案であろうと受けとめております。どうかこれらの中小企業者の皆さんのニーズにこたえるために、今後ともに商工中金がその役割を担っていただきますように希望申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/158
-
159・浦野烋興
○浦野委員長代理 以上で横手文雄君の質疑は終了しました。
続いて、野間友一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/159
-
160・野間友一
○野間委員 商工中金の第一条の目的なんですが、ここでも明確に書いてありますように「中小企業等協同組合其ノ他主トシテ中小規模ノ事業者ヲ構成員トスル団体二対スル金融ノ円滑ヲ図ル」こういうふうにありますが、あくまでこれは団体に対する金融の円滑化ということになると思いますが、そのとおりですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/160
-
161・末木凰太郎
○末木政府委員 おっしゃるとおり、第一条には「主トシテ中小規模ノ事業者ヲ構成員トスル団体二対スル金融ノ円滑ヲ図ル為必要ナル業務ヲ営ム」と明記されております。そのとおりでございますが、これで構成員貸しも読んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/161
-
162・野間友一
○野間委員 聞いたことに答えてください。
「吾等は何故商工中央金庫の急速なる実現を熱望するか」これは昭和十年に商工中金をつくるときに出された文書です。これは期成同盟。これは商業組合、工業組合、輸出組合等で構成したものです。ですから、こういう要求があって、当時は金融機関から金を借りられない。たしか銀行から二割ぐらいしか借りることができないというような状況の中で、農林中金が生まれて商工中金が生まれたという経過があるわけですね。
ところが、先ほど部長が言いたそうに言っておりましたけれども、昭和二十六年の改正で団体の構成員に対しても直接取引ができるというふうに変わったわけでありますが、しかし、あくまで基本は団体に対する融資と金融、これは法の目的から確かにそうなっておるわけでありますからね。そこで聞きたいのは、二十六年の法改正後、直接構成員に対しても貸せますが、組合貸しと構成員貸し、この比率がどういうふうに推移しておるのか、この点明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/162
-
163・末木凰太郎
○末木政府委員 組合貸しの比率、最近数年を申し上げますと、五十六年度が五〇・六、五十七年度が同じく五〇・六、五十八年度が五〇・三、そんな状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/163
-
164・野間友一
○野間委員 四十年を見てみますと、これは六九・二、組合員貸しが三〇・七、これがずっと今推移が報告されましたが、組合に対する貸し付けはうんと率が減りまして、組合員貸しがずっとふえておるわけですね。
そこでお聞きしたいのは、運用上の基準等があるのかないのかよくわかりませんが、組合貸し、団体貸しと構成員貸し、この比率は何か基準があるのか。例えば五〇%とか、その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/164
-
165・末木凰太郎
○末木政府委員 数字的に明確な基準はございませんが、構成員貸しの比率が不当に大きくならないことというのを指導の柱にしておりまして、前回の商中法の改正のときにも、五〇に近づいてきているということで、構成員貸しが五〇を超えるようなことになると問題ではないんですかという御指摘をいただいたこともございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/165
-
166・野間友一
○野間委員 もう一つ、同じような質問ですが、全貸出残高に占める組合に対する貸出残高、この比率は昭和五十八年度はどのくらいになっていますか。これは余裕金の運用等がありますから。
〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/166
-
167・末木凰太郎
○末木政府委員 ちょっと先生の御質問の意味がわからなかったのですが、全貸し出しのうちで組合を除いた……(野間委員「いやいや、組合に対する」と呼ぶ)組合に対する比率——恐縮でございます。今すぐ計算いたしますので、でき次第申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/167
-
168・野間友一
○野間委員 では私の方から申し上げますが、昭和五十年が五五・四%。これが五十八年度には四九・一%、先ほどの部長の答弁では大体五〇%云々という話がありましたけれども、こういうふうに五〇%を割っておるというのが実態ですよ。ここに私は一つの大きな問題があるんじゃないか。つまり先ほど冒頭に申し上げたように、一条の団体に対する融資、融通ですね。そういうような目的からして、うんと組合貸しに対する比率が低下しておる。だから全体の貸付残高の中に占める組合貸しの比率が五〇%を割っているというのが実態なんですね。ですから員外貸し付けと申しますか、後でまた員外貸し付けは触れますけれども、本来的な仕事の目的であります組合貸しが低下しておること自体が非常に私は問題だと思うわけです。今の比率の数字が間違っておったら後でまた言っていただいたらいいんです、私は正確に計算したので間違いないと思いますが。
次にお聞きしたいのは、この員外貨し出しの問題であります。現行法では二十九条で余裕金の運用、それから二十八条ノ二で、これはみなし組合と申しますか準所属組合ですね、これにも一応貸し出しが認められておりますが、お聞きしたいのは、一つは余裕金が全体の中で一体どのくらいの比率あるのかということと、同時に今までの余裕金の運用についての貸し出し実績はどうなのかということ、この点明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/168
-
169・末木凰太郎
○末木政府委員 余裕金につきましては一兆強ございまして、全体の資金の約一割を占めております。これの貸出先等につきましては……(野間委員「いや、先じゃなくて」と呼ぶ)運用先でございますか。(野間委員「いやいや、実績」と呼ぶ)ちょっと数字を調べさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/169
-
170・野間友一
○野間委員 一割の余裕金の運用の一つの枠があるというお話ですが、それじゃ一体どのくらいの比率でこれを運用しておるのかということ、私ちょっと数字調べてみますと五十八年度で二・四%、金額にして千六百七十六億円。これは数字を計算したらすぐ出てくるのですが、これは間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/170
-
171・末木凰太郎
○末木政府委員 あるいは先生お手元の資料と定義が食い違っているかもしれませんが、余裕金の運用対象としましては、未所属の出資資格団体それから施設法人、商工債券担保貸し、それから金融機関に対するコールローン等が主なものでございますが、五十九年三月末ではこのトータルが八百四十九億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/171
-
172・野間友一
○野間委員 おかしいですね。そちらからもらった数字で、二十八条ノ二とそれから二十九条の運用ですね、このトータルは千六百七十六億円、二・四%となっていますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/172
-
173・末木凰太郎
○末木政府委員 失礼しました。先ほど申し上げました八百四十九億は五十九年三月末、先生に差し上げました資料は、さらに六十年三月の最新の数字を書き込みまして、これが千六百五億、御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/173
-
174・野間友一
○野間委員 若干の数字の違いはありますが、これはまた後でやりますが、いずれにしても恐らく二・四%前後、これは間違いないと思います。
今度二十八条ノ四、いわゆる員外利用ですね、これを新たにつくるわけですが、先ほどのお話では百分の二十というのが枠の限度だというふうに聞きましたけれども、政令でそういうふうに定めるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/174
-
175・末木凰太郎
○末木政府委員 員外貨し出しの限度につきましては、例えば立法例といたしましては農林中金の場合などは限界がございませんけれども、商中につきましては政令で他の例に倣いまして二割以内と定める予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/175
-
176・野間友一
○野間委員 そうしますと、これはラフな計算ですが、余裕金が今の時点で考えまして約一割ある。二十九条はそのまま残すわけですが、二十八条ノ四をつくりますから中はかなり変えますね。しかし、少なくとも余裕金は二十九条で残して、これは今のベースからいきますと百分の十の枠の中。それから今度百分の二十は、余裕金の有無にかかわらず員外貨し出しができるということになるわけですね、政令でそう定められるとするならば。そうしますと、百分の十と員外利用の百分の二十、これを足しましたら百分の三十になるわけです。残りが百分の七十、これが要するに組合ないしはそこの構成員に貸されるということになりましたら、しかもこれは五〇、五〇ということになりましたら百分の三十五、これはラフな計算ですが、組合に対して百分の三十五、それから組合の構成員に対する貸し出しが百分の三十五、それから員外利用、二十八条ノ四が百分の二十で、余裕金の運用が百分の十、こういうことになりますが、それは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/176
-
177・末木凰太郎
○末木政府委員 現在余裕金としてあるのがトータルの資金の百分の十でございますが、考え方として、今この時点で員外貸し付け、とのお金を持ってくるかということになりますと、残りの百分の九十というのは現在組合または構成員にお貸しをしている部分でございますから、その余裕金の部分で今度員外の方に充てるということになります。
法律上の考え方といたしましては、二十八条の本来の業務に支障のない範囲においてという判断基準がまずかかっておりまして、加えて総貸し出し二割というのをもう一つかけまして、それからさらに員外貨し出しについても二十八条ノ四で限定列挙をしているわけでございます。したがいまして、十をまず余裕金でコールローン等に運用し、それが残りの九十に食い込んで員外に貸すというふうにはなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/177
-
178・野間友一
○野間委員 しかし、論立てからすればそうなるわけでしょう。しかも、確かに業務に支障のないという縛りがあったとしても、今までのような余裕金の範囲の中でというのがなくなるわけですから、余裕金のあるなしにかかわらず貸し出しができる。そうなりましたら、これは繰り返し聞いておりますように、本来的な業務であります組合貸しが非常に率が低下する。そして同時に組合の構成員に対する貸し出しも低下する。つまり、員外利用といってもこれは親戚だ云々というふうなことを言われるかもわかりませんけれども、そうなりましたら本来的な組合の役割、任務からかなり乖離するのじゃないかというふうに私は思うわけです。多少数字というか違いがあるかもわかりませんけれども、少なくとも組合に対する貸し付けが低下する、あるいは構成員に対する貸し付けが低下するということは間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/178
-
179・末木凰太郎
○末木政府委員 繰り返しになりまして恐縮ですが、新しい二十八条ノ四、これが員外貸し付けの規定でございますが、「商工組合中央金庫ハ第二十八条第一項第一号ノ業務及同条第二項ノ規定ニ依ル業務ノ外政令ノ定ムル所ニ依リ当該業務ノ遂行ヲ妨ゲザル限度ニ於テ左ニ掲グル業務ヲ営ムコトヲ得」それで「当該業務ノ遂行ヲ妨ゲザル限度ニ於テ」ということで、二十八条の方のメンバーに対する融資、こちらの方の財源を削ってでも員外に貸すということはいけないのだ、そちらの方に十分な融資をしてゆとりがある範囲で、なおかつ「政令ノ定ムル所」で二割という天井を設けることにしておりまして、本来の業務に食い込むようなことは全く考えておりませんし、また商中としてそういう必要はありませんし、本来の趣旨にも合わないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/179
-
180・野間友一
○野間委員 そうおっしゃるだろうと思った。ただし、この「業務ノ遂行ヲ妨ゲザル限度」というのはあくまで注釈的な言葉であって、私はこの点についてきちっと運用の基準をつくってしなければ、これだけの縛りではだめだと思うのですね。余裕金の枠の中でということならともかく、そうではありませんから、理屈から言って法の読み方からしても、余裕金のあるなしにかかわらず、それが今言われた「業務ノ遂行ヲ妨ゲザル限度」で貸せるということで、今までの縛り方からすると非常に広くなるということは、法の建前から当然のことなんですね。この点について私は後でまた触れますが、そう思うのです。
それからもう一つ聞きたいのは、二十八条ノ四の第一項二号のロの共同出資会社ですが、これが現行法上の二十八条ノ二の規定とどう違うのか、何ぼ読んでもさっぱりわからぬのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/180
-
181・末木凰太郎
○末木政府委員 お答えがたまってしまったので、恐縮ですが先ほどのお答え、残ったところをまず説明させていただきます。
組合貸しと構成員貸しの比率は先ほど申し上げたとおりでございますが、先生さらにお尋ねがありましたのは組合貸し、構成員貸し、さらにその他貸し付けというのがあるであろう、それも含めた全体貸し付けの中で組合貸しの比率を見れば五〇を切っておるのではないかということだと思いますが、今手元の数字で五十九年九月、四九・〇でございます。確かに五〇を切っておりますが、私ども、五〇を従来一つのメルクマールとしておりました場合は、この全体ではありませんので、組合貸しと構成員貸し、これの合計を一〇〇としたもので従来議論していたつもりでございます。その他というのは短期貸し付け等のものでございます。それを入れると確かに五〇は切っておりますが、私どものメルクマールとは違うということをまず申し上げておきます。
それから第二に、従来余裕金の範囲でというのならわかるけれども、その縛りがとれてしまうので本来の仕事に食い込むのではないかという御指摘でございます。これは表現は変わりますけれども、本来の仕事を妨げない範囲というのは、まさに余裕がある場合にはそのお金でという解釈でございまして、実態を変えるものではございません。
それから第三に、二十八条ノ四一項二号の共同出資会社、確かに現行の二十八条ノ二、これは俗に準所属団体と言っておりますものと表現がよく似ております。似ておりますが、現在の二十八条ノ二の方は、これは中小企業者がそれぞれ本体の仕事を持ってやっていて、その人たちの共通の何か目的を満たすためにできている方針ということで、本体があってそれに附属するといいますか、仕えるという、そういうものでございます。今回の共同出資会社の方はそういう意味の本体はございませんで、共同出資会社でやる仕事そのものが本体である、そういう差でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/181
-
182・野間友一
○野間委員 わかったようなわからぬような——二番目の答えですけれども、それなら百分の二十の枠というのは非常に多過ぎる。つまり今の運用の中でも二・四%しか余裕金運用をしていないわけです。それを何で百分の二十という大きな枠を設けるのかという点が私は非常に不可解です。しかも共同出資会社も含めまして取引の相手方とか海外現地法人とか、非常に広くなるわけです。だから、それが中小企業の利益になるというなら、それはもう取引の相手方みんな利益になるわけですから、際限なく広がるのではないかという懸念を私は持つわけで、その点についてお聞きしておるわけなんです。
そこで次の質問ですが、この商工中金の貸し付けについてお聞きしたいのは、大企業向け、特に一部、二部上場会社、これに対してはどういう方針をとってきたのか、その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/182
-
183・末木凰太郎
○末木政府委員 大企業向けの貸付方針でございますが、法律的には、先ほど申しましたように、商工中金の所属団体のうち二つのものを除きました組合には大企業も加入することができまして、したがいまして、法律的に商工中金から融資を受けることが可能でございます。
しかし、本来商工中金はそういったものに融資をするためにつくられたものではございませんから、それはあくまで例外であろうということで、最近では、昭和五十年に商工中金に対してその点を明確にした指導をしておりまして、大企業に対する融資は抑制的に行うということで今日に至っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/183
-
184・野間友一
○野間委員 これが抑制かどうかという例ですが、五十八年度末、これは五十九年三月時点ですが、一、二部の上場企業向けの融資残高、これは数字ありますか。なかったらこっちから申し上げますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/184
-
185・末木凰太郎
○末木政府委員 上場企業だけ厳密に拾ったものは数字がございませんけれども、一部上場あるいはそれに準ずるものという本当の大企業、これは全体の貸し出しの約二%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/185
-
186・野間友一
○野間委員 この前の改正のときの我が党の小林政子委員に対する答弁で、当時木下さんがお答えになっておりますが、「商工中金といたしましては、従来からその企業が一部上場になるような大きな企業である場合には、そういう企業に対しては金を貸さないという形での運用をやっております。」というのが五十六年四月二十二日の当委員会で答弁されておりますね。これによりましたら、一部上場になるような企業には金を貸さないということで運用しておるというふうにありますね。今あなたのお答えでは、一部上場にも貸しておるというのがあるやになっておりますが、そうすると、この五十六年の答弁とは全く違いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/186
-
187・末木凰太郎
○末木政府委員 五十六年の当時の政府委員の答弁は私も読んでおりますけれども、変更はございません。
当時御説明いたしましたのは、法律的には可能でありますけれども、大企業については極力抑制的に行う、したがって、ごく例外的に大企業に貸すこともあるけれども、これはあくまで例外であります。どういう場合に例外かと申しますと、例えば、その大企業に融資をすることによって、その傘下の例えば下請企業がメリットを受けるとか、あるいは、地域開発の大きなプロジェクトで、特にそこにてこ入れをする必要があるとか、ごく限られた場合のケース・バイ・ケースのものであって、その他の場合には、新規の取引は申し込みがあってもしませんし、それから、長年の取引先が成長していきまして一部上場とかそれに準ずるくらいのものにまで成長した場合には、以後の新規の追加融資はお断りをし、過去のものもできるだけ減らしていく、そういう意味で五十六年にお答えをしているのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/187
-
188・野間友一
○野間委員 答弁の中にそんなことは一言も書いてないですよ。あなたが読んだとおっしゃるなら正確にお答えいただきたいと思いますが、「従来からその企業が一部上場になるような大きな企業である場合には、そういう企業に対しては金を貸さないという形での運用をやっております。」と、そんな前後のは何もないですよ。やはり正確にお答えいただきたいと思うのです。
それから、一、二部上場会社の残高が幾らあるかわかりましたか。申し上げましょうか。わかりますか。——わからぬようですから申し上げます。百十五社、七百五十五億円。違いますか。時間がもったいないですからこちらから申し上げます。
これは、中小企業庁はいっぱい資料を持っていると僕は思うのですよ。例えば、ここに私が持っていますのは、経済調査協会、これは最も権威のあるもののようですが、その「金融機関の投融資」という、これは五十八年十二月二十日付の商工中金の貸し付けの明細、いろいろ企業も金額も含めたのがありますし、それから、東洋経済の「金融と銀行」というのがありますね。これは五十九年十二月十二日付です。これを私は申し上げているわけですが、これではこうなっているわけですね。
しかも、私がびっくりしたのは、オリエントファイナンス、これは要するにクレジット会社ですね、これは、最初は昭和五十六年で八億円が今幾らか調べてみましたら、百四十九億九千八百万円とうんとふえているわけですね。しかも、一部上場でずっと見てみますと、例えば京成電鉄の四億一千万を初め、私が今申し上げた経済調査協会の資料によりますと、一部上場の企業に対して、これは九社ですが、相当皆貸しておるわけですね。しかもこれは、私が調べてみますと、例えば岡崎工業、これは一部上場ですが、これは、四十九年一億八千五百万円が五十六年度は三億二千二百万円とうんとふえておる。四十九年当時に貸し出しがなかったのが五十六年当時にはこれが新たに貸されているというのも、例えば日本紙業等あるわけですね。だから、本来的に商工中金というのは要するに中小企業に対する融資をするということを任務として運営されておりながら、私はこれを見てびっくりしたのです。
私はなぜこういうのを挙げるかといいましたら、今度、員外利用というようなことでうんとその枠を広げる。何かこの法の読み方によりましては、中小企業と取引するところはみんな親戚だ、取引するのは中小企業が利益を受けるのだからこれは貸すんだというようなことで、うんと際限なしに広がるというように思うのですね。したがって、今までいろいろ国会答弁では大企業には貸さないと言いながら、今申し上げたように、これは公開された文書の中でこういうふうに出ているわけですね。ですから、今度はこの法の改正によってうんとその範囲が広がって、員外利用がふえて、本来的な業務を非常に圧迫する、そのことが商工中金の自殺行為になるんだという感じがしてしょうがないものですから私はお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/188
-
189・末木凰太郎
○末木政府委員 一部上場企業の数字は、今調べまして、五十九年三月末で四百二十億でございます。これが全体の貸し出し七兆の中で多いか少ないかでございますが、私どもといたしましては、あくまで例外というものの数字であると認識をしております。
それから、繰り返して申し上げますけれども、先生もおっしゃったように、商工中金が本来、メンバーであり、商工中金に期待もし頼りにしている人たちにお貸しする仕事をないがしろにして大企業の方に顔を向けていった場合には、まさに自殺行為だと思いますし、また制度の趣旨にも合いません。今回の改正もそういうねらいでは全くございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/189
-
190・野間友一
○野間委員 いや、評価でなしに私は事実を申し上げて、その事実からすればそういう評価しかしようがないのじゃないかということで申し上げているわけですね。
例えば 今挙げましたオリエントファイナンスは、五十六年末では八億円が百四十九億円。これは大信販等々たくさんありますけれども、同じようにうんとふえているわけです。だから、大企業には貸さないと言いながらうんとふえている。これは金融機関ではあると思いますが、しかし、それにしてもこれもやはり問題だと思うのと、それから、そうでない一部上場の企業にもうんと貸しているということになっていますからね。だから、くどいですけれども、その員外利用がうんとふえて本来的な機能が損なわれるということを非常に私は危惧するものですからお聞きしているわけです。
それから、今度は金利の問題についてお聞きをしたいと思います。
午前中もいろいろ論議がありましたけれども、商工中金の貸出金利が非常に高い。これは実際にどこへ聞きましても常識と申しますか、よく聞くことですね。これは何でこうなるのか、いろいろ要因がありますが、一つの要因として私が考えるのは、政府の出資が少ない、利回りの高い利付債による資金調達が非常に多いということが、そういう金利が高い一つの大きな要因だというふうに思うのです。中小企業関係の組合とかあるいは組合員の要望は、この点を踏まえまして、例えば去年の十二月ですが、三十六回の中小企業団体全国大会の決議で、商工中金に対する要望として、貸出金利の引き下げを図るために政府出資を大幅に増額するとともに、利回りの低い割引債の政府引き受けを増額して、特別の措置が必要だというようなことを決議の中で挙げておることは、中小企業庁も商工中金の理事長も御存じのとおりなんです。これは中小企業の組合とか業者の切実な願いだと思うのです。ですから、この点について、やはり政府出資をふやすとか、あるいは後からまた触れますけれども、低利の引受債を政府に引き受けさせるとか、そういうことが非常に重要かと思うのです。
今度の新しい金融商品の販売も、一つは確かに大衆のニーズにこたえるということを言われるかもわかりませんし、自由化の中で一つの流れがあることを私も否定するものではありませんけれども、しかし、こういうことをやられる根拠として、先ほどからも話がありましたけれども、臨調の答申、これが大きな根拠になっておる。つまり、政府の出資とか財投の資金の援助、政府の引受債、こういうものを抑制あるいは削減するために、苦肉の策とまでは言いませんけれども、国債割引債口座とかあるいは債券総合口座というものを設けて、そして吸収したい、こういうことになろうかと思うのです。これはまさに臨調の答申の一つの具体化であります。しかし、これをやりましたら、今申し上げたように新しい商品が資金調達のコストをうんと高める。そうなりましたら、結局貸し付けの場合の金利にはね返ってくる、余計高くなる、こういう不安なり危惧は非常に多いわけです。これは衆議院の調査室の調査資料の中にもその点が書かれておりますし、私もやはりそういうふうに思うのですけれども、その点についていかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/190
-
191・末木凰太郎
○末木政府委員 政府の出資の問題と債券の販売の問題とは一応切り離して考えておりまして、現在の金融情勢のもとで必要な資金を調達するために、債券の売り方はどうあるべきかということで立案したのが今回の案でございます。
それから、今後の金利の見通してございますが、申し上げるまでもなく、非常に金融情勢は揺れ動いております。五十六年の前回の改正のときには、運用部の金利と金融債では金融債の方が高かったわけですが、現在では例えばそれが逆になっているとか、非常に変動しておりますので見通しは難しゅうございますけれども、基本的に申しますと、長期の金利につきましては、今かなりもう市場の実勢で動いてきておりますので、今後とも非常に上がっていくということはなく、もちろん循環的な動きはございますけれども、むしろ短期の方が現在規制金利になっておりますのが、だんだん自由化が進んでいけば上がっていくのではないか。そう考えますと、短期、つまり預金に依存する度合いの比較的少ない商中は一般の銀行に比べれば相対的にはむしろその波のかぶり方が少ないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/191
-
192・野間友一
○野間委員 どうも私は納得できないのです。
政府資金への依存度をずっと調べてみましたら、これは債券引き受け、出資それから借入金合計で、中小企業庁からもらった資料ですが、時間がありませんからこちらで言いますと、昭和三十年は政府依存が二六・五%、それから四十年になりましたら一九・五%、五十年になりますと一七・二%、これが五十九年の十二月になりますと七・二%、うんと減っておるわけです。これが、本当に利用したい顧客と申しますか、中小企業組合なりあるいは構成員の切実な要求として、先ほど挙げたように、もっと政府が出してくれということになって出てきておるわけです。絶対額は上がっておるとおっしゃるかもわかりません。しかし、昭和五十一年と五十八年とを比べてみますと、絶対額は昭和五十一年度が六千六百九十七億円、五十八年度は六千四百二億円、これまた減っておるわけです。ですから、率の上からも額の上からも減っておるということが私は問題だと思いますし、やはり制度金融としての商工中金の機能が大きく損なわれておる。しかも、今後の新しい金融商品の発売等々によって金利コストが上がり、しかもそれでとにかく何とか賄えということになりましたら、本当に商工中金の本来の機能を果たせるかどうかという点について非常に危惧をするわけです。
利付債と割引債の政府の引き受けの割合を見ましても、利付債が七割で、割引債が三割です。つまり割引債の方が利回りが低いわけでしょう。だから、この割引債等をやはりうんとふやしていくということが私は必要だと思うのです。私はこれは高度に政治的な問題だと思いますが、その点について通産大臣はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/192
-
193・末木凰太郎
○末木政府委員 まず数字でございますが、たまたま先生のお引きになりました五十一年と五十八年を比較しまして、絶対額で確かに六千六百九十億から六千四百億と減っておりますけれども、その間、同じ時期に政府の出資、一番コストに影響のある出資で見ますと、五十一年には四百五十四億、それが五十八年には千百七十億にふえておりまして、トータルは確かに減っておりますが、私どももできるだけの努力はしてきているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/193
-
194・野間友一
○野間委員 大臣。まあ大臣もお答えになりませんので……。
ですから、私はトータルで申し上げているのです。うんと減っておることはあなたも認めたわけですけれども、こういう状態ではどうにもならぬわけです。だから、くどいようですけれども、本来的な商工中金の機能を果たすためには、やはりうんとこういうところで政府が引き受けなりあるいは出資をする、こういうことを除いてほかにないと思うのです。
たくさん聞きたいことがあるのですけれども時間がありませんが、私の申し上げたいのは、結局新商品の販売等は、政府の財政負担を軽減する、できるだけみずからの商工中金の中で賄うというようなことが目的ではなかろうか。特に新商品の販売等について、これは確かに自由化の中でいろいろほかの銀行等々がやっておる、これに右へ倣えしたのだとおっしゃったらそのとおりかもわかりませんけれども、しかしながら、それをやればやるほどその業務が同質化されていく、つまり都銀、地銀とかそういうような銀行と同じようになっていくということを危惧するわけです。そうなりましたら、商工中金の本来的な役割とは全く離れていく、しかも員外利用がふえることによって、本来的に金が欲しいという人の要望、ニーズになかなかこたえにくくなる、コストも高くなる、しかも国債の消化についてこれを受け皿として認めるわけですけれども、これが国民に対して大量の引き受け、消化を強いることになるのではないか、だから経営基盤が非常に不安定になるのではないかというふうに私は思えてしかたがないわけであります。その点で、今度の改正については、極端に言いましたら何かカラスがクジャクの羽をつけてうろうろするような、これは決して利益にならないことになって、中小企業の立場からすれば逆行するのではないかという懸念が非常にするわけであります。
もうちょっと時間があるようですから、もう一問、最後に国金とか中小公庫についてお聞きしたいと思います。
これまた臨調答申の中では、うんと政府出資を抑制するとか、これを民間に移行するような動きが非常に強いわけです。「八〇年代のビジョン」の中で書かれておりますが、金融家の安本さんが書かれておりますね。これを見たら、そういう中小企業に関する制度金融、これは非常に重視をして今後とも発展させていかなければならぬ、これは民間の金融機関の補完をする非常に重要な役割を担うものだということが書かれておりまして、私はこのとおりだと思うんですね。この中小企業のビジョンに書かれた、制度金融機関、これを維持し発展させる、臨調ではいろいろ書いておりますけれども、こういう方向でぜひ今後とも政策を進めていくべきであるというふうに私は思いますが、その点について、大臣の積極的な答弁を求めて質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/194
-
195・村田敬次郎
○村田国務大臣 お答え申し上げます。
政府は従来から、政府系の中小企業金融三機関を通ずる融資などによりまして、中小企業者の資金調達の円滑化を図っておるところでございます。
六十年度におきましても、中小企業の資金ニーズの多様化にこたえるという観点から、今御指摘のありました中小公庫それから国民公庫の貸付限度の引き上げ、貸付期間の延長など、融資条件の大幅改善を図るとともに、貸付規模においても中小企業者の資金ニーズに十分こたえられるものを確保しておるところでございます。このほか、中小公庫に対しましては、経営基盤を強化するために、新年度において産業投資特別会計より二十億円の出資を行う予定であります。
今後金融自由化の進む中で、中小企業をめぐる金融環境が大きく変化することが予想されますことから、中小企業者のニーズに即応した貸付条件の改善などを図ることによって中小企業の健全な育成に一層努力してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/195
-
196・野間友一
○野間委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/196
-
197・粕谷茂
○粕谷委員長 これにて野間友一君の質疑は終わりました。
続きまして、後藤茂君の質疑に入ります。後藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/197
-
198・後藤茂
○後藤委員 同僚議員がもう既に詳細にわたって質問をいたしております。また、問題点については政府側から、さらにまた参考人としての佐々木理事長の方から御答弁がございましたが、私は、なお若干疑問なりあるいは不安に感じている諸点について二、三、大変短い時間でございますが御質問してみたいと思います。
一つは、昨年大蔵省が「金融の自由化及び円の国際化についての現状と展望」を発表されました。それ以来、私どもがこれまで理解をしておりました金融のあり方が大きくさま変わりしていくのではないだろうかという感じがするわけです。これまでは普通銀行と長期金融専門機関であるとか、あるいは普通銀行と中小企業関係金融機関であるとか、あるいは民間の金融機関と政府関係の金融機関であるとか、これがお互いの専門的な業務分野を持ちながら、なお相互に補完をしていくというような制度がこれまで私どもの頭の中に入っていた。したがって、いろいろな金融の相談なりあるいは融資等について理解していく場合に、これまでは比較的理解がしやすかった。中小企業なら、政府系であればこういうところへ行ったらどうだ、あるいは組織金融としては商工中金がどうだとか言うことができたわけでありますけれども、円の国際化あるいは金融の自由化というものが大変な速度で進み始めている。しかもそれぞれの専門分野の垣根が取り払われている。さらにまた新しい金融商品がどんどん開発されている。これまではどちらかというと貸し手側の市場という目で見られておったと思いますけれども、これからは、金融が緩んでいるという面もありますけれども、借り手側の市場化していくという面も出てくるのではないだろうか。
こういった状況の中で、中小企業金融というのはこれから一体どうなっていくのか。先ほど来御答弁がございますが、その中における半官半民という極めて特性を持った金融機関がどういう対応をされていくのだろうか、このことについて同僚委員の皆さん方が詳細にわたって質問をされているわけでありますけれども、まず大臣から、円の国際化あるいは金融の自由化が将来の展望の中で中小企業金融にどういう影響を与えるか、また理事長の方から、商工中金が今度の法改正で業務内容を若干広げていくということもあるわけですけれども、商工中金の側としてそれに対する対応をどのように考えておられるのか、最初にその点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/198
-
199・村田敬次郎
○村田国務大臣 佐々木理事長も御出席でございますので、後ほど専門的な視野からお答えいただくことにして、まず私からお答えを申し上げたいと思います。
今御指摘にありました金融機関をめぐる環境を見てみますと、金融自由化の中で市中においてはCDあるいは外貨預金など、資金調達における高金利商品のウエートが増大をしておりますのに伴いましてそのコストが増大をいたします。一方、運用利回りは全般的な企業の借り入れ需要の低下、資金調達方法の多様化などの中でむしろ低下しておりまして、利ざやは縮小しておる。したがって営業について厳しさを増しているものと見られております。
商工中金もこのような金融環境の変化の中で、特に資金調達面で市中に依存する割合が大きいだけに、この変化に早期に、かつ的確に対応する必要に迫られておるわけでございます。今回の法改正もこのような状況のもとで必要となったものであります。金融自由化に対処するための方策は、まず調達面では、商工債券による資金調達を今後とも円滑に行っていきますために、債券発行他行の金融商品と同様の金融商品を販売することとするほか、非居住者からの外貨資金調達を行い得ることとするなどを考えております。また運用面では、所属団体などの多様なニーズにこたえまして、国際業務の充実、所属団体等の株式取得による経営基盤の安定化への協力、有価証券の貸し付けなど、新たな金融サービスの提供等を行うことを考えております。
今後、金融自由化の帰趨は予断を許さないものがございます。非常に流動的でありますが、今回の改正によって商工中金は少なくとも他の金融機関とほぼ同等の機能を備えることができるので、当面はこの新たに付与される機能を十分活用することによって金融自由化に対処し得るものと期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/199
-
200・佐々木敏
○佐々木参考人 お答えいたします。
先生御指摘のように金融の自由化、国際化あるいはニューメディアの進展など、金融環境は大変厳しいわけでございます。金融機関の環境が大変厳しい中で、特に中小企業専門金融機関の環境がまさに厳しいという状況でございます。と同時に、金融を受ける企業、特に中小企業の立場では、これまた金融の自由化の波が大きくかぶさってきておるわけでございます。当分の間は金融緩和の時代でありますし、都市銀行も中小企業分野へ出ておるということで、一見自由化のメリットがあるようでございますけれども、中長期的に考えますと金融自由化は、金融機関のコストは上昇する、あるいは国際化の関係で資金の国際的なシフトもある、あるいは変動金利もあるということで、元来長期金融、安定資金を要求する中小企業としては、大変な時代に至るかと思います。
そういった中長期的に考えた立場で、私ども政府資金をちょうだいしておる中立的な、この商工中金の中小企業に対する金融、お貸しするという役目は、さらに重要な役割を示すもの、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/200
-
201・後藤茂
○後藤委員 資金調達のコストが、どうも商工中金の場合は、これからますます高くなっていくのではないかという心配を実はするわけです。
先ほど長官の御答弁を聞いておりましても、一般預金者の預金を、これはいろいろな制約があるものですから受けられない、債券発行でやっていく、あるいはこれから国債の取り扱いが行われていくわけでありますけれども、よほど政府の出資等もこれからは考えていかないと、中小企業者の低い金利のニーズにこたえていかれないのじゃないだろうか。
最近の商工中金の金利水準が、他の政府系金融機関との間でどの程度割高になっているのか、あるいは市中金利と比べてみて、一体どういう状況にあるのか。私どもがいろいろな必要としておる中小企業者に聞いてみますと、最近では、むしろ市中銀行あるいは中小企業関係の金融機関の方が、サービスの面においても金利の面においても非常に安く貸してくれる。ただ、商工中金へは一つの信頼度が非常に高い。ですから商工中金との関係というものは、これからも絶ちたくはないけれども、ただ実際の資金需要だけを考えていくと、むしろ金融自由化の中で、そうした商工中金でない他の市中銀行なり都市銀行なり、あるいは中小企業専門金融機関の方が大変借りやすくなってきているという話も聞くわけでありますけれども、この点、これは長官にもお伺いしたいわけですが、こうしたこれからの金融のニーズにこたえて、商工中金が資金調達のコストが高くなっていくという、そのしわ寄せを中小企業にしていかないという保証措置がどのように考えられているのか、この点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/201
-
202・石井賢吾
○石井政府委員 今後の金融自由化の進展がどういうふうに進むか。一つには、これまで規制金利のもとにございました小口あるいは預金等の金利の自由化が進むことも当然予想されるわけでございます。
そういった全体の流れを見てみます限りにおいて、先ほど来申し上げておりますように、商工中金は債券の発行によりまして資金を調達することに大きく依存いたしておるわけでございますが、この債券は、既に市中相場追随型といいますか、市中の全体の金利水準の連動の中で処理されていっているわけでございます。その意味においては、既に金融自由化の実際上の波と並行して動いていかざるを得ない立場にあるわけでございまして、その意味で、債券発行を融資財源の主たる財源としております限り、今後進んでいくであろう預金金利あるいは小口金利、こういったものの自由化による影響というのは相対的に低いものになるんではなかろうかと考えております。
ただ、全般的な動きは、単にそういった規制金利がどう動くかというだけではございませんで、全体的な金融環境は国際化してまいりますから、その市中実勢というのも大きく変動していかざるを得ないわけでございまして、これが直接的に中小企業に影響を与えるようなことになるのは、できるだけ緩衝機関としての商工中金が、そういった相場の大きな変動に対して緩衝的な役割を営むためには、むしろ商工債券以外に融資財源の調達を多様化していくという意味もあるかと思います。そういう意味の方向を探求すべきかと思いますが、全体の流れで見ますと、いわば相対関係で見る限りにおきまして、商工中金の資金コストが他の金融機関、特に興長銀等の債券発行機関との比較におきましては不利なことになるということは、今回の改正をもって防止できるのではなかろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/202
-
203・後藤茂
○後藤委員 政府の方からいただいた資料を見ますと、政府系の中小企業金融機関が金融機関の中で占めている地位が、五十年以降、前年比の伸び率が低下してきている。しかし、その貸出残高でのシェアは、五十年度末の一二・五%から五十七年度末の一六・八%へと高まってきている。
この背景は、最近の融資が投資リスクの大きな技術開発や、あるいは都市開発等の民間金融では採算に乗りにくい、大変リスキーな部門が拡大してきているという傾向だと思うわけですけれども、これに対する政府の考え方、どういうようにこれをごらんになっていらっしゃるのか。
それから、中小企業専門金融機関の地位が最近、これは各委員も指摘をされておりましたけれども、低下傾向をたどってきている。例えば全金融機関の中小企業向け貸出残高に占めるシェアは、五十五年度末の五一%から五十八年度末の四六・七%となってきている。こういう傾向を一体どのように政府は見ているのか、この二点についてお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/203
-
204・末木凰太郎
○末木政府委員 中小企業向けの金融に占める政府関係金融機関、これは中小公庫、国民公庫、商工中金、それに環境衛生金融公庫を含めました数字でございますが、五十三年から五十九年まで、若干でこぼこはございますけれども、やや下がっております。それは趨勢と判断するほど下がっているかどうか、ちょっと判断が難しいところでございますが、基本的には景気の波によりまして、資金需要のいかんによって、まあ政府系金融の場合には、多くが補完金融でございますから、お金が緩んだ場合にはその分落ちるというようなことが主な原因ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/204
-
205・後藤茂
○後藤委員 もう一つ、この商工中金の改正案が提案されてくるという過程で、各新聞がそれぞれ肯定的といいますか、賛成の立場あるいは大変批判的な立場、いろんな論調が出てまいりました。それぞれ理解ができる面があるわけでございますけれども、特に二月五日、日経新聞に論説が掲げられて、その中で、今までの時限立法がこれから恒久法になっていく、このことはどうも臨調路線にも合わないのではないかというような論陣も張られております。
これを読んでみますと、素朴に理解できるような面もあるようでありますから、むしろこの商工中金というのは、これから恒久法にして中小企業金融の組織金融としてこれからも必要であるという積極的な御説明を、この際、お伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/205
-
206・村田敬次郎
○村田国務大臣 後藤委員御指摘の二月五日の日本経済新聞の社説「商工中金は惰性のまま存続すべきか」これは私も興味深く読みました。
商工中金は、委員御指摘のように、政府系の金融機関とはいいましても所要資金の九割以上を商工債券などによって自己調達をし、組合等の中小企業組織に相互金融サービスを提供しております。この意味で、民間活力を最大限生かした機関だと言うことができると思います。
御指摘の第二次臨調路線でありますが、第二次臨調では、商工中金についてはその存在意義などについて幅広い論議が尽くされましたが、数次にわたる答申において個別の指摘は、御承知のように何ら行われておりません。多くの政府系金融機関に対してそれぞれさまざまな指摘がなされていることと比較をいたしますと、これは商工中金の実績が評価され、組織金融機関としての存在意義が基本的には評価されたものと私どもは解しております。
今回の改正は、金融環境の激変の中で資金調達の円滑化などを図ることで商工中金の経営基盤を強化し、あわせて業務面の充実を図ることによって、現在の商工中金の活力を維持しながら自立的運営を確保するというものでございまして、臨調答申の趣旨にも沿い、またそのための所要の改正をお願いしておるところだと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/206
-
207・後藤茂
○後藤委員 もう一点、最初に私が申し上げた点と関連するわけですけれども、旧来、都市銀行なり地方銀行というのは中小企業金融というものに熱心でなかったと言ったら失礼でありますけれども、そう大きなウエートを置いていなかった。金融が緩んでまいります、あるいはベンチャービジネス等がどんどん成長してくるということになってまいりますと、中小企業に本格的に参入していくという意欲が大変目立ってまいっております。とりわけ、いろいろな資料を見てみますと、新技術を持った中小企業には無担保で融資するといったようなベンチャーローン等も考えて、あるいは一定限度までは審査はほとんど細かくしないで借りられるようなローンの制度をやっている。あるいはまた新しい特別融資制度をつくったり、あるいは財団を設けて、開発後間もない中小企業に助成金を出していく、こういうようなサービス等もしてきている。つまりソフト化あるいはサービス化していく中で、これまでの都市銀行なり市中銀行の態度が積極的になってきているわけですね。
ここで、二つお聞きをしておきたいのですが、一つは、どうも片仮名社名が最近どんどん出てきております。これは新聞等にも報道されておりますけれども、この片仮名社名からそこの製品というものはすぐに判断できなくなってきている。とりわけベンチャービジネスなんかになってまいりますと、これが将来非常に大きな企業に発展をしていくのか、あるいは成長をしていくのか、この辺が大変判断が難しくなっている。こういう片仮名社名、従来取引がないところの要望というものに対して、むしろ特に中小企業関係でこういう分野に大変な進出意欲を持っているところがあるわけでありますから、これこそ私は、組織化していきながら、しかも商工中金の組織金融をしていくべき対象になるのではないだろうか。その旧来の審査体制になじみにくいこうしたサービス産業、ソフト産業にどのような体制をもって融資対象にしていくのか。これは理事長の方から、そういう体制が商工中金には整っているのかどうか、この点を一つお伺いしたい。
それから、大臣、実はアルコール専売法のときにも、あれは通産関係では片仮名法として残っている。私も当時の安倍通産大臣に、片仮名法が、商工中金法とアルコール専売法がある、しかもそれは附則は平仮名になっているわけです。どうだ、ぜひひとつ法案改正のときにはこれを読みやすくしたらどうかという提案をしましたら、大臣も、それは積極的に考えていきたい、こう言っておった。ところが商工中金の今度の法律も、これを平仮名にしていくというのはそう難しい法律じゃないわけでしょう。しかも、附則は平仮名になっているわけです。この辺でこの片仮名法を平仮名にぜひしてほしかったと私は思うのですが、今申し上げましたように、これからどんどん片仮名の企業が出てくるから片仮名法の商工中金の方がいいという判断に立たれたのかどうか、この点大臣、ひとつお聞きをしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/207
-
208・佐々木敏
○佐々木参考人 中小企業の共同施設、組合のお仲間の金融機関というその原点に立ち返りまして、かつ、新しい時代の前向きの業務、審査を含めまして、全員頑張ってやるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/208
-
209・村田敬次郎
○村田国務大臣 片仮名法の問題、お答えしたいと思います。
今回の改正は、金融革命と言われておる変動に直面している金融界の中で、中小企業のニーズに即した業務の弾力化を図る、そしてその機能の低下を防ぐことを目的とした極めて重要な改正です。あくまで商工中金の基本的性格を変更しない範囲内の改正でございまして、法形式上は、業務規定を中心にする部分的な改正でございます。
委員御指摘のように、片仮名で書いてあるということは非常に特殊でございます。これは調べてみますと、片仮名法というのは全体の一割弱だそうでございます。本来ならば全面的に書き直すべきではないかという御指摘であろうかと思いますが、今回はそういった法改正の範囲その他から勘案をいたしまして、従来の形式を踏襲することとなりました。御指摘の点は非常にごもっともなことだと思いますので、今後、法文の民主化という意味でも積極的に対応してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/209
-
210・後藤茂
○後藤委員 時間が参りましたので、一点だけ要望申し上げておきたいと思うのです。
渡辺委員からも指摘をしておいた、商工中金も五十年の歴史を持って、これから恒久法になるわけです。たくさんの人材が中金の中からは育ってきていると私は思うのです。そういう人々が役員に参加をしていきながら、実務担当者をぜひ登用していく道を開いていきますように、どうもその辺が欠けているのではないかという気がいたしますので、この点を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/210
-
211・粕谷茂
○粕谷委員長 これをもちまして後藤茂君の質疑は終わりました。
佐々木参考人には、長時間にわたり御出席をいただき、大変ありがとうございました。(拍手)
これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/211
-
212・粕谷茂
○粕谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/212
-
213・粕谷茂
○粕谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/213
-
214・粕谷茂
○粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/214
-
215・粕谷茂
○粕谷委員長 次に、内閣提出、半導体集積回路の回路配置に関する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。村田通商産業大臣。
—————————————
半導体集積回路の回路配置に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/215
-
216・村田敬次郎
○村田国務大臣 半導体集積回路の回路配置に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
半導体集積回路は、電子計算機、家庭電器製品、自動車等あらゆる工業製品に広範に用いられており、既に我が国産業経済、国民生活にとって不可欠のものとなっているのみならず、将来においても情報化社会における「産業の米」として一層その重要性を増すことが見込まれております。
この半導体集積回路は、わずか数ミリ角の半導体材料の上に数万から数十万個の素子を生成させることにより、情報を記憶し、または論理演算を行う等の機能を持たせたものでありますが、近年、著しい技術革新の進展を背景としてその集積度も飛躍的に増大してきております。かかる状況下で半導体集積回路の開発費用も増大しつつありますが、特に、トランジスターその他の回路素子及び導線の配置すなわち回路配置の開発費用がその大宗を占めております。
他方で、回路配置の解析技術の向上等により、他人が開発した回路配置を模倣した場合には極めてわずかな費用で同一の成果を得ることができるため、回路配置の模倣が行われる危険性が高まってきております。これを放置いたしますと、開発者の投資回収が阻害され、その結果開発意欲が失われ、半導体集積回路産業の健全な発展にも悪影響を及ぼすおそれがあります。このため、半導体集積回路の適正な利用の確保を図るための制度を創設することが喫緊の課題となっております。このことは我が国と並ぶ半導体先進国である米国においてもつとに認識されているところであり、同国では既に昨年半導体チップ保護法が成立し、施行されております。半導体集積回路の国際的取引が今後ますます盛んになると見込まれる現状にかんがみ、我が国においても同様の制度を創設することは、国際的観点からも極めて重要であります。本法律案は、このような観点から、回路配置の創作者に回路配置を利用する権利の専有を認める等の制度を創設しようとするものであります。
次に、この法律案の要旨につきまして、御説明申し上げます。
第一は、用語の定義であります。この法律案における基本的用語である「半導体集積回路」、「回路配置」等の定義規定を置くこととしております。
第二は、回路配置利用権の設定の登録についてであります。回路配置の創作をした者またはその承継人は、その回路配置について回路配置利用権の設定の登録を受けることができることとしております。
第三は、回路配置利用権についてであります。回路配置利用権は、設定登録により発生し、その存続期間は、設定登録の日から十年としております。権利の内容といたしましては、回路配置利用権者は、業として設定登録を受けている回路配置を用いて半導体集積回路を製造し、またはその回路配置を用いて製造した半導体集積回路を譲渡し、貸し渡し、展示し、もしくは輸入する権利を専有することとしております。また、専用利用権、通常利用権等についての規定を設けることとしております。
第四は、権利侵害についてであります。回路配置利用権者等は、自己の権利を侵害する者に対し、損害賠償請求権及び差しとめ請求権を有することとしております。また、半導体集積回路が各種の製品に組み込まれて広く流通している現状にかんがみ、善意無過失で侵害品の引き渡しを受けた者に対する特例規定を設けることとしております。
以上のほか、指定登録機関に関する規定、権利侵害者等に対する罰則に関する規定等の整備を行うこととしております。
以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/216
-
217・粕谷茂
○粕谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
次回は、来る十二日金曜日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十四分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110204461X01019850410/217
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。