1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年三月四日(木曜日)
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議事日程 第六号
平成十一年三月四日
午後一時開議
第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
議員辞職の件
議員請暇の件
日程第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/0
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001・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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議員辞職の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/1
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002・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 議員鳩山邦夫君及び北脇保之君から辞表が提出されております。これにつきお諮りいたしたいと思います。
まず、その辞表を朗読させます。
〔参事朗読〕
辞職願
今般 私儀、一身上の都合により衆議院議員を辞職させていただきたく、ここにお願い申し上げます
平成十一年三月二日
鳩山 邦夫
衆議院議長 伊藤宗一郎殿
…………………………………
辞職願
今般施行の浜松市長選挙立候補のため衆議院議員を辞職いたしたく御許可願います。
平成十一年三月二日
衆議院議員 北脇 保之
衆議院議長 伊藤宗一郎殿発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/2
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003・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
鳩山邦夫君及び北脇保之君の辞職を許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/3
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004・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。
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議員請暇の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/4
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005・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
中山太郎君から、三月八日から十五日まで八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/5
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006・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
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日程第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/6
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007・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。外務委員長中馬弘毅君。
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在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔中馬弘毅君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/7
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008・中馬弘毅
○中馬弘毅君 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、
第一に、ドイツの首都機能の移転に伴い、在ドイツ日本国大使館をボンからベルリンに移転するとともに、在ベルリン及び在ボンの各日本国総領事館を廃止すること、
第二に、地名変更に伴い、グアムの在アガナ日本国総領事館の名称及び位置の地名をそれぞれ在ハガッニャ日本国総領事館及びハガッニャに改めること
等を内容とするものであります。
本案は、去る二月十二日外務委員会に付託され、昨三日、高村外務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/8
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009・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/9
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010・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第二 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/10
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011・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。建設委員長平田米男君。
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奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔平田米男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/11
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012・平田米男
○平田米男君 ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
奄美群島及び小笠原諸島につきましては、それぞれ昭和二十八年、昭和四十三年の本土復帰以来、特別措置法に基づく各般の事業を実施し、基礎条件の改善とその振興開発を図ってまいりました。
しかしながら、その自然的、社会的条件は依然として厳しく、奄美群島につきましては、本土との間に格差が存しており、近年では若年層を中心とする人口の流出や高齢化が進み、活力ある地域社会を維持していく上で、多くの課題を抱えております。また、小笠原諸島につきましては、交通が極めて不便であることから、人口の定着、産業の育成等が十分には達成されていない状況にあります。
本案は、このような現状にかんがみ、引き続き奄美群島及び小笠原諸島の振興開発を図るため、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法について、法律の有効期限をそれぞれ五カ年延長するとともに、奄美群島振興開発特別措置法につきましては、現行の奄美群島振興開発計画の計画期間の五カ年間の延長と、地方税の課税免除または不均一課税に伴う減収を地方交付税により補てんする措置を講ずることとし、小笠原諸島振興開発特別措置法につきましては、小笠原諸島振興開発計画の新たな策定を行おうとするものであります。
本案は、二月十二日本委員会に付託され、二月十七日関谷国土庁長官から提案理由の説明を聴取し、三月三日に質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
なお、本案に対して附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/12
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013・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/13
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014・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/14
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015・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。農林水産大臣中川昭一君。
〔国務大臣中川昭一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/15
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016・中川昭一
○国務大臣(中川昭一君) 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案につき、その趣旨を御説明申し上げます。
米穀は、国民の主食としての役割を果たすとともに、我が国の農業生産において基幹的地位を占める重要な作物であり、ウルグアイ・ラウンド農業合意におきましては、関税化の特例措置を適用することとしたところであります。
関税化の特例措置の実施状況について見ますと、ウルグアイ・ラウンド農業合意を受けて、ミニマムアクセス米の輸入を開始して以来三年余り経過した中で、一部低価格米に対する需要が見られる一方で、在庫が増加している等、外国産米に対する需要実態がある程度明らかになってきたこと、ミニマムアクセス米の輸入数量が年々増大し、このままの量的拡大が見過ごせない状況となっていること等の事情にあります。
このような特例措置の実施状況、国内の需給状況を総合的に勘案し、また、次期農業交渉の開始を一年後に控え、関係者間で行われた真剣な議論の結果も踏まえて、我が国の国益にとって最善の選択として、平成十一年四月から関税措置への切りかえを行うこととしたところであります。
これに関する国内法律の改正につきましては、関税措置への切りかえに伴う制度改正の全体像を明らかにする観点から、これらを一括法として整理することとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の改正であります。
米穀の輸出入の許可制を廃止し、これに伴い、許可を受けて輸入された米穀の政府への売り渡し義務を廃止するとともに、米穀等を輸入しようとする者から納付金を徴収することができるようにするほか、米穀の輸出入について届け出制を導入することとしております。
第二に、関税定率法の改正であります。
米穀等について、基本税率を設定することとしております。
第三に、関税暫定措置法の改正であります。
米穀等について、暫定税率を設定するとともに、特別緊急関税制度の対象とすることとしております。
以上、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案につき、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/16
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017・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小平忠正君。
〔小平忠正君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/17
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018・小平忠正
○小平忠正君 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
まず、同法案の内容についてお尋ねをする前に、今回の法案提出に至るまでの政府の姿勢について伺いたいと思います。
ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、我が国は、基礎的食料については食料安全保障の観点から、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境措置を講ずるべきであると主張し、いわゆる例外なき関税化について受け入れられないという姿勢を明確にいたしました。そして、困難な交渉の末に、特例措置としてのミニマムアクセスを受け入れたのであります。私自身、その当時与党の一員として身を置いた者の一人として、まさに苦渋の選択でもありました。
当時の政府の判断については、もちろん議論があるところであります。しかし、総理も御承知のように、当時この問題については国会の内外で国論を二分する大議論が展開され、その結果、関税化を拒否し、特例措置を受け入れるという結論に至ったのであります。
しかしながら、今回の関税化受け入れについての政府決定に至るまでの過程は、おおよそ国民的合意の形成からは余りにもかけ離れたものであり、政府・与党による密室協議と、形だけの極めて短期間の農協組織討議を経て、まさに駆け足で関税化の受け入れを決定したのであります。
これほどの重大問題にもかかわらず、農業団体との事前協議のみで事足れりとし、国民の代表である立法府には事後報告的に了解を取りつけようとする政府の姿勢に、私は怒りの念を禁じ得ません。
しかも、このような批判が各方面から上がっているにもかかわらず、政府は今後も、自民党と農協との単なる三者会議なる場でWTOの対応を協議するとしております。国会軽視もここにきわまれりの感がございます。今回の関税化受け入れ決定の過程で示された、このような立法府軽視の態度を、政府は今後も改めることなく貫いていくのかどうか、この点について、まず総理の見解を伺いたいと思います。
次に、法案の内容に関連して、数点お尋ねをいたします。
まず、政府が採用しようとしている基本税率についてであります。
今回政府は、関税化導入に当たり従量税を採用し、関税相当量を一キログラム当たり四百二円とし、これに基づき、九九年度の二次税率を三百五十一円に設定するとしております。しかし、当然の疑問として、このような高率関税が輸出各国に認められていくのかということであります。
さきに来日をいたしました米国通商代表部のフィッシャー次席代表あたりは、今回の関税率について大いなる懸念を表明し、あの悪名高いスーパー三〇一条の復活も視野に入れている、こう伝わっております。今後、輸出各国から対日圧力が一段と強まることが予想されますが、政府としてどのように対応していくお考えでありますか。
また、政府は、仮にWTO加盟国からの異議申し立てで譲許表の修正が四月一日までにできない場合でも、間に合わない場合でも、国内法の改正で関税化の移行は可能である、こう主張しておりますが、譲許表は条約に当たり、条約と国内法が食い違った場合は条約が優先する、この見方が一般的ではないかと思います。
これらの点について、政府の考え、総理を初め特に外務大臣、農水大臣、所管大臣からの見解をぜひお聞きしたいものであります。
関税化に移行した場合のミニマムアクセスの継続も大きな問題であります。
今回政府が関税化に踏み切ろうとしている主な理由が、ミニマムアクセス米の過剰にあることは、だれの目にも明らかであります。関税を導入し、ミニマムアクセスがなくなるか段階的に削減をしていくのなら、関税化も一つの手法と思われます。しかし、関税受け入れ後も、ミニマムアクセス米の輸入量は二〇〇〇年まで増加をし、その後も、国内消費量の七・二%、この数値が固定される。そうであるならば、我が国の農業にとって、依然として厳しい状況が続くことは明々白々であります。
今後の交渉において、関税化導入後のミニマムアクセスの引き下げは可能とお考えであるか、また、今後のミニマムアクセス米処理について、政府はどのように対処をするのか、農水大臣の御見解をお聞かせいただきたい。
農家経営安定対策も重要な課題であります。
関税化に移行した場合、仮に政府が予定する高率関税が実現しても、その後は漸次削減されていくことが予想されます。これまで自由化されてきた多くの農産物の生産農家がそうであったように、稲作生産農家も極めて厳しい状況に置かれることは、想像にかたくありません。生産性の向上に向けた農家の経営努力にも限界があり、経営安定対策は抜本的に改革をする必要があります。しかし、関税化後の農家経営安定策について、政府の考え方はいまだ明確ではありません。
また、伝えられるところによると、政府が現在検討している中山間地のデカップリング政策は、極めて限定的な支払い額と対象地域であると言わざるを得ません。これでは、稲作経営農家の不安はさらに大きくなる一方であり、もし関税化に踏み切るとするならば、平地、中山間地にかかわらず、農家の不安を払拭するような大胆な所得補償政策をしっかりと打ち立てるべきであると考えますが、政府はいかようにお考えでありましょうか。総理並びに農水大臣の見解を伺いたいものであります。
WTO次期農業交渉に臨む政府の姿勢と新たな農業基本法について、次にお伺いいたします。
今後、WTO農業交渉においては、困難な外交交渉が予想されます。米国は九六年農業法に基づき国内農政改革を進め、EUもアジェンダ二〇〇〇に基づく共通農業政策改革を急ぐなど、各国は、次期交渉に向けた国内の体制整備強化を固めており、本番の交渉には万全の体制で臨もうといたしております。
一方、我が国は、確かに今国会で新たな農業基本法制定に向けた協議が行われようといたしておりますが、デカップリングや農地制度の改革といった個別重要政策については先送りをされており、WTO農業交渉前の国内体制の強化という観点からは、弱腰の感は否めない、このように思います。
国際交渉の模様眺めをしながら、国内政策を詰めるという姿勢では、厳しい外交交渉に勝ち抜くことはでき得ません。政府は、我が国がとるべき農政の方向について断固たる姿勢を明らかにし、その上で次期農業交渉に当たるべきであります。
御承知のように、WTO農業協定は、一部の食料輸出国の利害が強く反映されております。それは、食料輸入国に対しては、ミニマムアクセスのような輸入義務を課し、罰則を設けながら、しかるに一方、食料輸出国が輸出の禁止や制限をする場合には、単に関係国への通達や協議をするだけで何のペナルティーも科さないというこの協定内容からも明らかであります。
このように、食料輸出国の権利は守り、一方、食料輸入国の権利は否定されるWTO農業協定体制下で、我が国のような食料輸入国は、主権国家としての大胆な農業政策を打ち出しにくい状況が続いてまいりました。
しかし、その一方で、深刻な飢餓、貧困、食料不足、こういう問題は、世界じゅうを駆けめぐり、あらゆる人々に農業、食料政策の重要性を再認識させ、九六年のFAO世界食料サミットにおいては、世界の食料安全保障の確保という共通目標が合意に達しました。そして、昨年十一月に開催された列国議会同盟の食料サミット・フォローアップ会議でも、各国とも、食料安全保障を達成し、食料への権利を現実のものとし、世界食料サミットで採択された、世界全体の目標と矛盾を来さない食料安全保障の国家目標を設定する政策、及び法的枠組みを整備する必要があるとする内容の勧告を採択しているのであります。
私は、このようなFAOの考え方こそ、我が国が次期WTO農業交渉の場でとるべき姿勢であると確信いたします。各国が主権国家にふさわしく、食料自給目標を掲げ、その達成に向けた農業政策を確立することが、今こそ重要ではありませんか。
欧米先進国の食料自給率は、七〇、八〇から一〇〇%を超える。一方、我が国の自給率は、昭和四十年には七三%という高い数値を示していたものが、平成九年にはわずか四一%まで落ち込んでいるのが実態であります。昭和三十六年に制定された現行農業基本法がどのような役割を果たしたか、この数値が雄弁に物語っております。
政府は今回、新たな農業基本法を国会に提出しようといたしております。そこでは、現行農業基本法路線からの大転換を図り、食料の安定供給の確保や多面的機能の発揮などを柱とするとも伺っております。
しかし、WTO次期交渉をにらみ、我が国の態度を明確にするためには、法律の目的に、食料自給政策の確立は主権国家としての当然の権利であることを明記すべきであります。そして、その上で、不平等条約ともいうべきWTO農業協定の改正を、我が国政府のイニシアチブで実現していくべきであると思うのであります。
WTO次期農業交渉に臨む基本姿勢と、我が国農政のとるべき方向について、総理並びに農水大臣のお考えを伺って、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/18
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019・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 小平忠正議員にお答え申し上げます。
まず、国会審議についてお尋ねでありました。
各方面で現行農業協定の検証が行われる中で、本年四月からの関税措置への切りかえが国益に最もかなうとの結論に達しましたが、このためには所要の手続期間が必要という、時間的制約のもとで決定せざるを得なかったという事情を御理解いただきたいと思います。なお、この決定に際し、本院の農林水産委員会におきましても御議論をいただいたところであります。
次に、関税率についてのお尋ねでありましたが、今回算定いたしました関税相当量は、農業協定の規定に従いまして適切に算定したものであり、その旨は強く主張いたしていく考えであります。
国内法の改正のみで関税化が可能かとのお尋ねでありました。
特例措置の適用の終了は、WTO農業協定上認められたものであり、農業協定上の基本原則にかなうものであります。我が国は協定の規定に従いまして対応いたしておりまして、仮に異議申し立てがなされた場合でも、国内法令の改正により関税化を実施することは可能と考えております。
次に、農家経営安定対策についてのお尋ねでありました。
今回の関税措置への切りかえによりまして、稲作経営に悪影響を及ぼすことはないものと考えておりますが、いずれにしても、農業者が将来にわたって安心して営農にいそしめるよう、各般の農業施策の推進に努めてまいる所存でございます。
次に、農業交渉の方針についてお尋ねがありました。
この交渉におきましては、二十一世紀の我が国農業を担う農業者が、将来に明るい展望を持って農業に取り組むことができるよう、我が国農業の実情、輸出入国間の貿易関連措置の状況も踏まえまして、農業の多面的機能や食料安全保障の確保を十分図ることができるような内容の合意が得られますよう、適切に対応していく考えであります。
我が国の農政の方向についてお尋ねがありました。
世界の食料需給について、長期的には逼迫する可能性もあると見込まれる中で、食料を安定的に供給することは国の基本的責務であります。このため、新しい基本法の基本理念として、国内生産を基本とした食料の安定供給の確保を掲げ、こうした考え方のもとで、新たな我が国の農政を構築していく考えであります。
以上、お答えといたしますが、残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣中川昭一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/19
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020・中川昭一
○国務大臣(中川昭一君) お答え申し上げます。
まず、関税率についてのお尋ねですが、農業協定では、その基礎となる関税相当量の算定につきまして、指針に従って得られるであろう関税相当量の水準について調整が行われる場合には、十分な協議の機会を与えるとされています。調整が行われていない場合には、協議が必要とされていないことを示しております。
今回算定された関税相当量は、いずれも、公表資料を用いて、指針に基づき適切に算定した上で、その得られた関税相当量には一切調整を加えていないことから、仮に関心国から異議が唱えられたとしましても、それらの異議に対し法的根拠を与えないものとなっております。このため、我が国は、農業協定の定める指針に従って関税を設定している旨、強く主張していく考えでございます。
次に、譲許表と国内法との関係についてのお尋ねですが、米の関税化への切りかえは、関税化という農業協定上の基本原則にかなうものであり、農業協定の附属書五では、加盟国は、実施期間中のいずれの年の開始時においても、特例措置の適用を終了させることができると定めております。また、その際設定すべき二次税率の算定方法や、ミニマムアクセス数量についても明確に規定しております。
我が国としましては、関税措置への切りかえを行うこととし、このために必要な食糧法等の一部を改正する法律案を国会に提出しているところであります。仮に、譲許表修正をWTOに通報した後の三カ月の異議申し立て期間内に諸外国から異議申し立てがなされた場合であっても、関税措置への切りかえは農業協定で認められたものであり、国内法の改正により実施することができます。
次期農業交渉におけるミニマムアクセス数量についてのお尋ねですが、改革過程の継続のための交渉と位置づけられており、この観点から、米国を中心とする輸出国は、アクセス機会の拡大等を主張することも予想されます。一方、継続のための交渉においては、農業の多面的機能や食料安全保障等の非貿易的関心事項についても考慮に入れて交渉を行うことが合意されております。
我が国としましては、我が国における米及び稲作の重要性等にかんがみ、将来にわたり、稲作農業が安定的に営まれ、国民の主食である米の需給と価格の安定が図られるよう、農業の多面的機能や食料安全保障等の非貿易的関心事項への配慮等を強力に主張しつつ、次期交渉に当たってまいります。
次に、ミニマムアクセス米の処理についてのお尋ねですが、ミニマムアクセス米の処理については、平成五年十二月の閣議了解にある、ミニマムアクセス導入に伴う転作の強化は行わないとの趣旨を踏まえて対応することとし、従来どおり、食糧庁におきまして、国家貿易制度のもとで、国産米の需給にできるだけ影響を与えないよう、国産米で対応しがたい加工用等の需要を中心に供給することとしております。
次に、農家経営安定対策についてのお尋ねですが、今回の関税措置への切りかえについては、ミニマムアクセス数量の増加を抑えるという利点があることに加えて、先ほどお答えしたとおり、ミニマムアクセスの取り扱いについては、今回の関税措置への切りかえ後も、国産米の需給にできるだけ影響を与えないよう供給することとしております。
また、ミニマムアクセス数量を超える部分については、農業協定に基づき適切な二次税率を設定することとしており、二次税率を加えた価格水準や現在の外国産米に対する需要実態にかんがみれば、米の輸入増は見込みがたいところでございます。したがって、今回の関税措置への切りかえにより、稲作経営に悪影響を及ぼすことはないものと考えております。
いずれにしましても、農業者が将来にわたって安心して営農にいそしめるよう、米の価格変動が稲作経営に及ぼす影響を緩和する稲作経営安定対策について、適宜必要な見直しを行うなど、新たな米政策大綱あるいは農政改革大綱等の目指す方向に沿った施策の推進に努めてまいります。
次に、次期農業交渉に臨む基本姿勢についてのお尋ねでありますが、先ほど総理よりお答えした基本的な認識のもと、次のような論点を強力に主張し、最終合意内容に我が国の考えを十分に反映させなければならないと考えております。
第一に、農業の多面的機能や食料安全保障の重要性、さらには国内の農業政策の円滑な実施や農業の文化への十分な配慮がなされること、第二に、真に公正な農産物貿易ルールを確立するため、輸出入国間の権利義務のバランスを確保すること、第三に、各国の農業が共存できるような国際規律とすることであります。
私といたしましては、このような基本的な姿勢のもと、関係者が一体となって国民的な共通認識を得ながら、揺るぎない交渉方針を築き、後世に悔いのない交渉結果を獲得すべく、挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、我が国の農政の方向についてのお尋ねですが、国民の必要とする食料を安定的に供給するとともに、不測の事態における食料安全保障を確保することは、国の基本的な責務であると認識しております。そのためには、国内農業生産を食料供給の基本と位置づけ、可能な限りその維持増大を図ることが重要であると考えております。
このような考え方に立ち、新たな基本法において、国内農業生産を基本とした食料の安定供給の確保と、その基盤となる我が国農業の持続的な発展を基本理念として掲げていくことを考えております。また、こうした基本理念の実現を目指した施策の基本方針もあわせて明らかにし、その実現に向けて取り組んでいく考えであります。(拍手)
〔国務大臣高村正彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/20
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021・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 我が国が設定した関税率についてお尋ねでありますが、WTO農業協定附属書五の付録には、加盟国が特例措置の適用が終了する場合に定める関税の基礎となる関税相当量の算定について、国内価格と国際価格の実際の差を用いて透明性のある方法で行う等の指針が定められております。今回我が国が設定した関税は、この指針に従って、十分な根拠を持って算定されたものであります。我が国としては、この点について引き続き主張していく考えでございます。
国内法の改正による関税化が可能かとのお尋ねでありますが、農業協定附属書五は、加盟国は、実施期間中のいずれの年の開始時においても、同附属書の規定に従い、特例措置の適用を終了させることができる旨定められております。また、加盟国による特例措置の適用の終了は、関税化という農業協定上の基本原則にかなうものであります。
現在、我が国は、農業協定の規定に従って、特例措置の適用を終了すべく対応しております。したがって、仮に、我が国の努力にもかかわらず、他国からの異議申し立てにより、四月一日までに譲許表修正手続が終了しない場合でも、農業協定の定める指針に従った関税水準を算定している限り、国内法令により関税化を実施することが可能でございます。(拍手)
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〔議長退席、副議長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/21
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022・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 漆原良夫君。
〔漆原良夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/22
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023・漆原良夫
○漆原良夫君 公明党の漆原でございます。
私は、公明党・改革クラブを代表いたしまして、このたび政府提案の主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係閣僚に御所見をお伺いいたします。
我が国の基幹的作物である米の輸入自由化につきましては、その重要性にかんがみ、衆参両院の本会議において、過去三回にわたり、国内生産による自給方針の堅持と自由化反対を表明する決議が行われてまいりました。こうしたことを背景に、政府は、ウルグアイ・ラウンド交渉において、米のような基礎的食料については、食料安全保障の観点や、農業の持つ国土、環境保全等の多面的機能の重視などから、例外なき関税化には一貫して強く反対をしてきました。
しかしながら、我が国の発展は、自由貿易体制のもとで経済の国際化と深くかかわっており、幅広い国民的利益という観点から、平成五年十二月、ぎりぎりの選択として、決断として、米についての関税化の特例措置と、その代償としてのミニマムアクセスを受け入れたわけでございます。
しかるに政府は、六年間の農業合意期間中であります平成十年十二月十八日に、突然、これまでの関税化の特例措置を関税措置に切りかえるという、米政策の一大転換を決定したのでございます。しかも、その決定に至る経緯につきましては、政府、自民党、農業団体の三者という、極めて少数の人数だけで協議がなされ、期間も、わずか二カ月という大変短い期間で決定されたのでございます。今回の政府の決定は、国民にとっても一般の農業経営者にとっても、まことに唐突の感を免れ得ないのであります。
ミニマムアクセスの受け入れは、米の例外なき関税化、米は一粒たりとも国内に輸入させてはならないと、七年間にわたって国論を二分したあの大激論の末、国民は苦渋の選択としてその受け入れを決意したのであります。
今回の決定は、法律上は確かに政府の専権事項に属するものでありましょう。しかし、ミニマムアクセスの受け入れに関する今までの経緯に思いをいたすならば、政府としては、一般の農業関係者や消費者を含めた幅広い議論を十分に展開し、不信と不安を解消するとともに、国民的合意の形成を図るべきではなかったのかと思います。総理の御見解をお伺いしたいと思います。
次に指摘しなければならないのは、米政策の一大転換ともいうべき重大問題に対して、政府は、一貫して国会における審議を避けてきたということでございます。昨年の七月に小渕内閣が誕生して以来、十分な時間があったにもかかわらず、政府は全くこの問題を議論しようとはしなかったのであります。
この問題に関する衆議院の農林水産委員会の審議が開始されたのは昨年の十二月十八日でありますが、その日は、三者合意の成立した翌日であり、しかも、野党議員の要求によって初めて開催をされ、審議時間も三時間という極めて短いものでありました。そして、政府は、国会審議の終了後、直ちに、関税措置への切りかえの閣議決定をしているのであります。
初めに結論ありき、国会にできるだけ審議の機会を与えない、このような政府の姿勢は、国会を軽視し、国民の声をないがしろにするものであります。私は、今回の政府の姿勢は、民主主義の精神に著しく反するものとして、強く抗議をしておきたいと思います。総理の御所見をお伺いいたします。
関税化の特例措置の期間中に関税措置に切りかえた理由として、政府は、当面のミニマムアクセスの量的拡大を抑える、そして、WTOの次期交渉に強い姿勢で臨むに当たっての交渉ポジションを確立するためと説明されております。
当面のミニマムアクセスの量的拡大を抑えるという理由につきましては、そもそも、特例措置の場合においては、一年目に四%、六年目に八%の設定が当初からなされ、ミニマムアクセスの量的拡大は、合意時において既に当然予定されていたことでございます。今になって、ミニマムアクセスの量的拡大を抑えるために関税措置に切りかえるという政府の政策の変更は、一体どのような必然性があるのか、国民に明確に説明するべきであると思います。
ミニマムアクセスの受け入れ時の状況と今日における状況とではどのような変化があったのか。また、関税措置に切りかえることによって、我が国農業にどのような利点があるのか。この点につきましても、明確に御答弁をいただきたいと思います。
あわせて、次期交渉に強い姿勢で臨むに当たっての交渉ポジションを確立するためとの理由につきましても、政府は一体どのようなことを念頭に置いておられるのか、具体的にその内容を御説明していただきたいと思います。
ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れに当たり、政府は、米のミニマムアクセスの導入に伴う転作の強化は行わないということを内容とする閣議了解を行っております。この閣議了解を踏まえ、政府は、ミニマムアクセス米については、国内米と区別した処理を行い、国産米の需給に影響のない運用を行ってきたとされております。
今回の関税措置への切りかえが、こうした今までの方向を変えることにはならないのか。また、農政推進に当たっての生産調整の位置づけと、その進め方について、政府はどのような考えを持っておられるのか、明確な御説明をしていただきたいと思います。
さらに、今回の関税措置への切りかえと関連しまして、特に問題となるのは、次期交渉において、ミニマムアクセスがどの程度の割合で設定されるのか。二〇〇〇年度時点では、国内消費量の七・二%、七十六・七万玄米トンであります。また、関税の引き下げがどの程度の率になるのか。現行協定のもとでは、実施期間中、毎年二・五%の引き下げとなっております。今回我が国が採用した関税相当量は、一キロ当たり四百二円であります。これに基づく第二次税率は、九九年度三百五十一・一七円、二〇〇〇年度以降三百四十一円となっております。
政府は、これらの数字は農業協定に基づき内外価格差を公正に算出したものと説明されておりますが、万が一にも、自由貿易という名のもとに関税率の大幅な引き下げが行われることになれば、我が国農業は壊滅的な影響をこうむり、ひいては国民の利益を大きく損なうことになりかねません。政府は、次期交渉において、二〇〇一年以降の関税水準及びミニマムアクセス水準について、どのような見通しのもとで、どのような方針で臨まれるのか、お答えいただきたいと思います。
今回のような高額の関税が次期交渉に当たり本当に維持していけるのかどうか、国民は大変に心配をしております。特に、アメリカによる対日圧力が一段と強まる可能性があります。政府は、この外圧に対してどのように対応していくのか、御答弁をお願いしたいと思います。
次に、次期WTO農業交渉についてお伺いいたします。
二〇〇〇年当初からの次期WTO農業交渉については、農業協定第二十条において、加盟国は、根本的改革をもたらすように助成及び保護を実質的かつ漸進的に削減するという長期目標が進行中の過程であることを認識し、その過程を継続するための交渉を開始することを合意すると位置づけられております。輸入国の立場を反映する上で、非常に困難な交渉になるのではないかと私は危惧をしております。
現協定は、国内支持、市場アクセス及び輸出競争の三分野のいずれもが輸出国に有利な内容とされ、輸入国である我が国にとって、まことに不平等、不公平な内容となっております。次期WTO農業交渉において、政府は、日本の農業と国益を守るために、この不平等、不公平を是正するために、断固たる決意を持って臨むべきであると考えております。そこで、政府としては、次期農業交渉にどのような方針で臨むのか、どのような基本方針で臨むのか、具体的な考えを明確にしていただきたいと思います。
前回の交渉では、交渉に臨む我が国のスタンスに必ずしも国民的合意が確立されておらず、これが交渉を弱めさせたのではないかとも言われております。総理は、平成十年十二月十八日付談話の中で、我が国の立場や主張についての国民的合意の形成に向け最大限の努力を行いますと述べておられます。政府は、国民的合意の形成に向けてどういう方策を講じようとされているのか、具体的な御答弁をお願いしたいと思います。
最後に、私は、日本は、国際的な食料危機に対する支援体制の確立を世界の国々に積極的に呼びかけて、世界の食料安全保障の確立に指導力を発揮していくべきであると考えております。
現在、アジア、アフリカを中心として、世界じゅうで八億人以上の人々や子供たちが栄養不良や飢餓にあえいでおります。我が国が米の過剰生産力を保持することによって、食料不足に直面している国々に食糧支援をするという国際的なシステムをつくるべきであると考えております。そして、我が国の稲作農家が、我が国の食料安全保障に寄与するのみならず、世界の食料安全保障に貢献するシステムが確立されたならば、農業を営む方々にとって、どんなにか大きな自信となり、誇りとなることでありましょう。
総理の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/23
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024・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 漆原良夫議員にお答え申し上げます。
まず、国民的合意の形成についてのお尋ねがありました。
米の関税措置への切りかえにつきましては、農業団体のみならず、各方面における議論を踏まえ判断したところであります。政府といたしましては、今後とも一丸となって、国民合意の形成に向けて、最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。
次に、国会審議との関係について、御批判を交えてお尋ねがございました。
各方面で現行農業協定の検証が行われております中で、本年四月からの関税措置への切りかえが国益に最もかなうとの結論に達しましたが、このためには所要の手続期間が必要という、時間的制約のもとで決定せざるを得なかったという事情を御理解いただきたいと思います。なお、この決定に当たりまして、本院の農林水産委員会におきましても御議論をいただいたところであります。
次期農業交渉に向けての国民的合意の形成についてお尋ねがありました。
関係者が一体となって協議、検討を進め、農業関係者のみならず、消費者団体、経済団体を初め、幅広く理解を得ながら、国民合意のもとでの交渉方針を構築していきたいと考えております。
食糧支援についてお尋ねでありました。
我が国は、従来より、二国間援助や世界食糧計画等の国際機関を通ずる援助を行い、政府保有米も一部活用してきてまいっております。また、昨年、既存の援助スキームで対応のできない規模で、国際機関の緊急アピール等がある場合には、国際ルールを遵守しつつ、政府保有米を貸し付ける仕組みを創設しており、このもとでの支援も可能でございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
〔国務大臣中川昭一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/24
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025・中川昭一
○国務大臣(中川昭一君) お答え申し上げます。
まず、米の輸入をめぐる状況の変化についてのお尋ねがありましたが、ウルグアイ・ラウンド合意を受けてミニマムアクセス米の輸入を開始して以来、三年余りが経過をいたしました。一部低価格米に対する需要が見られる一方で、在庫が増加している等、外国産米に対する需要実態がある程度明らかになってきたこと、ミニマムアクセス米の販売に当たっては、国産米の需給にできるだけ影響を及ぼさないよう努力してまいりましたが、輸入数量の増加に伴いその工夫も難しさを増す中で、量的拡大が見過ごせない状況となっていること、食糧法の定着、新たな米政策の策定等、生産者の自主性を生かした、足腰の強い稲作農業の展開のための新たな政策展開の方向が示されてきたこと等の状況の変化がございました。
これらの状況の変化を踏まえ、来年から始まる次期交渉を控え、我が国の交渉ポジションを固める必要がある時期に差しかかっているとの認識のもとで、米の関税化への切りかえの判断を行ったところでございます。
また、以上の米の事情に加え、農政全般につきましても、先般の農政改革大綱の発表により、次期交渉に向けた我が国農政の方向が明らかになってきたことからも、今回の判断を行うための環境が整ってきたものと考えているところでございます。
次に、米の関税化への切りかえの利点についてのお尋ねでありますが、今回の関税措置への切りかえにつきましては、特例措置の継続に比べて、ミニマムアクセス数量の増加を半減できること、二〇〇一年以降も特例措置を継続しようとすれば、ミニマムアクセス数量の一層の増大が避けられないこと、関税措置への切りかえは、関税化という農業協定の基本的な原則にかなうものであることから、関係国と協議を行うことなく、適切な二次税率を設定できること、極めて少数の国にしか適用されていない関税化の特例措置にこだわれば、次期交渉において連携を図るべき関係諸国の理解も得られなくなること等のメリットを勘案いたしまして、これらを行うことを決定したところでございます。
次に、関税化への切りかえと、次期農業交渉への交渉ポジションとの関係についてのお尋ねでございますが、今回の米の関税化への切りかえは、現行農業協定の規律や特例措置の実施状況、国内の米の需給状況等を総合的に勘案し、国益を守る観点から、最善のものとして選択したところであります。
同時に、今回の措置により、極めて少数の国にしか適用していない特例措置から、関税化という農業協定上の基本原則に移り、我が国が主要国と共通の土俵に立つことは、次期農業交渉において、関係諸国との連携を図りながら、強い姿勢で臨むための交渉ポジションを確立するためにも重要であると考えております。
私といたしましては、今回の決定を、次期農業交渉において、我が国農業、農村の発展のための確かな成果を得られるための出発点として、国民合意のもとで揺るぎない交渉方針を構築していきたいと考えております。
次に、ミニマムアクセス米の処理方法についてのお尋ねですが、ミニマムアクセス米の取り扱いにつきましては、平成五年十二月の閣議了解にある、ミニマムアクセス導入に伴う転作の強化は行わないとの趣旨を踏まえまして対応することとし、従来どおり、食糧庁における国家貿易制度のもとで、国内産米の需給にできるだけ影響を与えないよう、国産米で対応しがたい加工用等の需要を中心に供給してまいりたいとしております。
次に、米の生産調整についてのお尋ねでありますが、米について、構造的に大幅な需給ギャップが存在している中で、その需給と価格の安定を図るとともに、稲作、転作一体となった望ましい水田営農の確立を図るため、行政と生産者団体が一体となって生産調整を推進しているところであります。今後とも、米の生産調整につきましては、稲作を中心とする我が国の土地利用型農業の健全な発展が図られるよう、新たな米政策大綱や農政改革大綱等の目指す方向に沿って、その適切な推進に努めてまいりたいと考えております。
最後に、次期交渉の方針についてお尋ねでございますが、次期農業交渉は、改革過程の継続のための交渉と位置づけられており、この観点から、米国を中心とする輸出国は、アクセス機会の拡大等を主張することも予想されております。一方、次期交渉においては、農業の多面的機能や食料安全保障等の非貿易的関心事項についても考慮に入れて交渉を行うことが合意されております。
我が国といたしましては、我が国における米及び稲作の重要性等にかんがみ、将来にわたり稲作農業が安定的に営まれ、国民の主食である米の需給と価格の安定が図られるよう、農業の多面的機能や食料の安全保障等の非貿易的関心事項への配慮等を強力に主張しつつ、次期交渉に当たってまいります。(拍手)
〔国務大臣高村正彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/25
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026・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) WTO次期農業交渉における米の関税水準についてのお尋ねでありますが、次期交渉においては、今回我が国が設定した二次税率の将来の扱いも含め、我が国における米及び稲作の重要性を踏まえ、農業の多面的機能や食料安全保障の確保等の非貿易的関心事項への配慮など、我が国の考え方が十分反映された内容の合意が得られるよう、意見を同じくする諸外国とも協調しながら、全力を尽くしていく考えであります。
次期WTO交渉についてのお尋ねでありますが、我が国は、WTOの次期交渉は、農業、サービス等の合意済み課題に加え、鉱工業品関税の引き下げや投資ルールの策定を含む包括的な交渉とすべきであるとの考えであります。また、次期農業交渉においては、我が国農業の実情、輸出入国の貿易関連措置の状況を踏まえ、農業の多面的機能の発揮や食料安全保障の確保等、我が国の考え方が十分反映された内容の合意が得られるよう、全力を尽くしていく考えでございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/26
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027・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 松本善明君。
〔松本善明君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/27
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028・松本善明
○松本善明君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部改正案について、総理に質問をいたします。
本法案は、米の関税化、つまり米の輸入自由化実施法案であります。それを、政府は四月一日に実施するとしております。日本の主食であり、日本の文化でもある米の輸入完全自由化をこんな短時日の間に強行しようとすること自体、国民と国会をないがしろにする重大な暴挙であります。(拍手)
この本会議場で、当時の細川内閣に対して、与野党を問わず、米の関税化は認められないと主張したのは、わずか五年前であります。自民党も、現在の森幹事長が関税化反対の質問演説を行いました。さらに、この場では、三度の米輸入自由化反対の国会決議が全会一致でなされました。米輸入自由化問題の審議には、まさにこの国会の歴史と権威がかかっているのであります。
国際的には、我が国を初め百八十カ国が参加した九六年の世界食料サミットの世界食料安全保障のためのローマ宣言は、すべての人は十分な食料に対する権利及び飢餓から解放される権利を有することを再確認すると厳かに宣言をしております。
総理、食料に対する権利は人間の最も基本的な権利であり、国民にその権利を保障することは、政府の基本的な責務であります。日本、そして世界の食料問題でもある米の輸入自由化の是非については、国民の意見を酌み尽くす十分な審議が当然不可欠のことではありませんか。総理の責任ある答弁を求めます。
政府は、米関税化強行を正当化しようと、主として三つの根拠を挙げています。その一つ一つを、以下具体的に質問いたします。
第一は、米関税化によってミニマムアクセス数量が削減できるとしている点であります。
しかし、これは増加率の削減ができるということであり、関税化されても、米の義務的な輸入数量がこの二年間拡大されることに変わりはありません。削減される量も、現行に比べ、九九年度でわずか三万八千トン、二〇〇〇年度で七万六千トンにすぎません。一体、こんなメリットなるもので、米輸入自由化という日本の将来にかかわる重大譲歩を合理化することができるのか、総理の明確な答弁を求めるものであります。
しかも、重大なことは、ミニマムアクセス数量の増加率削減自体についても、その保証があるのかという問題であります。現在、政府は、WTO事務局に通報した米関税化実施を前提とした高率関税の譲許表の改正について、WTO事務局からの確認書の送付を待っております。しかし、この高率関税の譲許表改正について、他国から関税率が高過ぎると異議申し立てがなされれば、WTO事務局から確認書の送付はなされず、その結果、国会に対して譲許表改正の提出ができなくなります。
そのことは、現在のミニマムアクセス数量を記載した現行譲許表が残ることになり、それが有効なものとして機能することを示しております。言うまでもなく、譲許表は条約であり、たとえ本法案を改正したとしても、国内法より優先するものであります。総理、他国から異議申し立てがあったとしても、ミニマムアクセス数量の増加率の削減ができるのか、できるとするなら、その国際法上の根拠はどこにあるか、明確にお答えいただきたいと思います。
第二は、高い関税率の設定によって、米の輸入を抑制するとしていることであります。
しかし、関税化は関税率の削減が大前提になっており、アメリカなどから公然と関税が高過ぎるとの圧力が寄せられております。数量制限をなくし、関税によってのみ輸入を抑制しようとする場合、高関税のみが生命線であります。関税化に当たって、政府は、当初従価税を打ち出していましたが、アメリカの圧力がかかると、高い価格の米に有利な、つまりアメリカに有利な従量税に簡単に転換いたしました。
こんな日本政府のアメリカに対する弱腰姿勢で、どうしてアメリカの関税引き下げの圧力に抗することができるのか、はっきり御答弁をいただきたいと思います。
関税化の農業に与える影響については、九一年の牛肉の関税化で既に明白であります。牛肉の関税率は、関税化当初七〇%で、その後次々に引き下げられて、現行は何と三八・五%であります。この結果はどうでしょうか。農林中金総合研究所は、九四年に、今後の米問題を考える参考として、牛肉関税化の影響調査を行い、大多数の小規模農家を中心に、肉牛等畜産経営からの脱落、離農が急速に進んだと結論づけたのであります。
現に、牛肉の関税化以降、肉用牛の飼養農家は、九〇年の二十三万二千戸から、九七年は十四万三千戸へと減少し、三八%、四割に近い八万九千戸の農家が離農に追い込まれたのであります。牛肉の自給率は、九〇年の五一%から、九七年には三六%にまで下落をいたしました。
自民党の閣僚経験もある農政幹部も、九三年の衆議院予算委員会で、私は抜かったと思うことがある、それは、牛肉・オレンジの自由化、十年やった、今にして思うと、関税化というものがいかに怖いものであるかということを今つくづく私は反省すると感慨を込めて語っているのであります。
総理、米関税化の国内農業に与える影響は、日本のほとんどすべての農家に影響を与える点でも、日本の農業の根幹に深刻な打撃を与える点でも、その広がりと深さで、牛肉の比ではありません。米の関税化で、長期的に高い関税率を維持できる保証がありますか。関税率の低下で、米輸入が進展しないと保証できるのですか。牛肉関税化のような状況にならない保証があるのか、明確にお答えいただきたいと思います。(拍手)
第三は、今回の関税化前倒し受け入れのメリットとして、次期農業交渉で日本がより強いポジションで交渉に臨めるとしている点であります。
大体、政府は初めから、WTO農業協定の字句やフレームの変更は困難との前提に立って、関税化を強行したのではありませんか。交渉に有利だなどといっても、自由化を先に決めておいて、一体何を交渉するというのですか。国民によくわかるように、はっきりした答弁をいただきたいと思います。
WTO農業協定には、その前文に、食料安全保障、環境保護の必要その他の非貿易的関心事項に配慮しと明記され、次期農業交渉についても、二十条で、非貿易的関心事項を考慮して行うことが明記されております。また、WTO設立協定第十条は、協定の改正を提案する権利を加盟国に保障し、加盟国の三分の二の賛成で改正ができることを明記しております。
農業協定を、公正な、食料安全保障をはっきり位置づけたものにするために、正々堂々と積極的な提案を行うことは、日本政府の当然の権利であり、責任ではありませんか。また、これこそが外交交渉を成功させる正道ではありませんか。総理の見解を求めるものであります。
もともとWTO農業協定は、アメリカなど農産物輸出国と、巨大穀物メジャーなど多国籍アグリビジネスが、みずからの利益を最優先するため、気候や地理的条件の制約を強く受けて生産される農産物の特性を無視して、一律に貿易自由化を押しつけたものであります。ですから、自給率の保障をその枠組みに何ら組み込まず、日本のような自給率の極端に低い国の輸入規制や国内助成まで一律に禁止あるいは削減を迫っているのであります。
食料自給率を向上させることは、食料自給率わずか四一%の日本自身の食料の安全保障の上で不可欠であるとともに、世界的な食料危機を回避する上からも重要であります。それは、世界食料サミットが各国に食料の大幅増産を呼びかけただけではなく、多くの国際機関が二十一世紀にはさらなる世界的な食料不足が避けられないと予測をしているだけに、一層切実であります。
日本共産党は、真の食料安全保障を確立するためには、次の三点についてWTO協定の改正がどうしても必要であると考えております。
それは、第一に、食料自給の根幹をなす米を自由化の対象から外すなど、実効ある輸入規制が行えるようにすることであります。第二に、各国の生産拡大への助成措置を一律に削減、禁止する条項を削除することであります。第三に、環境保全のための施策に、アジアモンスーン地帯などでの、手間をかけて水田を維持する農業生産を加えることであります。この三点について、政府が改定を求める考えがあるかどうか、総理の明確な答弁を求めるものであります。
農協組織が行った新たな農産物貿易ルールの実現を求める請願署名に、一千万人を超える国民が賛同の署名を行いました。米を守れ、農業を守れは、農業者だけではなく、広範な国民の声であります。また、輸出国の利益に偏重したWTO農業協定を、各国の食料主権を尊重した公正なルールに改正することを求める動きは、日本だけではなく、世界各地に広がっております。
八十カ国、二千五百組織が参加した食料サミットNGOフォーラムの声明では、各国とも、みずからが適切と考える食料自給と栄養水準を達成するための食料主権を持つとして、WTO農業協定の改正を求めました。アメリカを含む家族農業者の組織、消費者運動、環境保護団体などにもその声は広がっております。
政府は、農業の再建と食料自給率の向上、八億人の飢餓人口のある世界的な食料問題の解決のために、WTO農業協定の改定を求める国際世論の高揚と、それとの連携に最大限の努力をすべきであります。総理は、この内外の協定改定を求める世論をどう見ているのか、明確な答弁を求めるものであります。
私は、日本国民に安全な食料を安定的に供給し、日本の国土と日本人が生存するために必要な環境を守るために、この法案を撤回し、食料自給率の引き上げを国政の中心課題に位置づけることを強く要求して、質問を終わるものであります。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/28
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029・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 松本善明議員にお答え申し上げます。
まず、米の自由化の是非に関する国民の意見についてお尋ねがありました。
米の関税措置への切りかえにつきましては、農業団体のみならず、各方面における議論を踏まえて判断したところであります。政府といたしましては、今後とも一丸となって、国民合意の形成に向けて、最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。
次に、関税措置への切りかえの利点に関するお尋ねでありましたが、ミニマムアクセス数量の増加を抑制させること以外に、特例措置の継続に伴う輸入の増大を避け得ること、農業協定に基づいた適切な二次税率が設定できること、特例措置の適用の終了により連携可能な国がふえるので、次期交渉における我が国の立場が有利になることなどの利点があり、判断したものであります。
関税化の国際法上の根拠についてお尋ねがありました。
特例措置の適用の終了は、WTO農業協定上認められたものであり、農業協定上の基本原則にかなうものであります。我が国は協定の規定に従って対応しており、仮に異議申し立てがなされた場合でも、国内法令により関税化を実施することは可能であります。その場合、最小限度のアクセス機会の増加率は、協定の規定に従って削減することとなります。
次に、関税率の設定についてのお尋ねでありましたが、今回の二次税率設定に際し、政府としては従価税を打ち出したことはなく、価格低下や低価格品についても安定的に機能し得ることから、従量税を選択したものであります。また、二次税率は、農業協定の規定に従い適切に算定したところであります。
次に、関税率の長期的見通しについてお尋ねがありました。
二〇〇一年四月一日以降の二次税率につきましては、次期農業交渉の結果によることとなります。政府といたしましては、将来とも稲作農業が安定的に営まれ、米の需給と価格の安定が図られるよう、農業の多面的機能や食料安全保障等の非貿易的関心事項への配慮等を強力に主張しつつ、次期交渉に当たっていく考えであります。
次期農業交渉の方針についてお尋ねでありました。
この交渉におきましては、二十一世紀の我が国農業を担う農業者が、将来に明るい展望を持って農業に取り組むことができるよう、我が国農業の実情、輸出入国間の貿易関連措置の状況を踏まえまして、農業の多面的機能や食料安全保障の確保を十分図ることができるような内容の合意が得られますよう、適切に対応していく考えであります。
食料安全保障を積極的に提案すべきとのお尋ねでありました。
我が国は、食料の安定供給と農業、農村の持続的発展を図るという観点から、農業の多面的機能や食料安全保障、輸出入国間の貿易関連措置の状況を踏まえた貿易ルールの確立を強く主張してきたところであり、次期農業交渉におきましても、このような基本的考え方を積極的に主張してまいりたいと考えております。
WTO協定の改定についてお尋ねでありました。
重要なことは、まず初めに協定の改定ありきということではなく、先ほど申し上げた次期農業交渉に向けた基本的な認識のもと、関係者が一体となりまして、国民的理解を得ながら揺るぎない交渉方針を築いた上で、二十一世紀に向け、農業者が明るい展望を持って農業に取り組むことができるような交渉結果を獲得するよう努めることであると考えております。
食料問題解決のための農業協定改定に関するお尋ねでありました。
国民への食料の安定供給、食料安全保障の重要性等につきましては、政府といたしましても十分認識をし、これらに対する国際的理解が深まるよう努力してきたところであり、次期農業交渉におきましても、適切に対応していく考えであります。
以上、御答弁といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/29
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030・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/30
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031・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十一分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
外務大臣 高村 正彦君
農林水産大臣 中川 昭一君
国務大臣 関谷 勝嗣君
出席政府委員
食糧庁長官 堤 英隆君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X01019990304/31
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