1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月九日(火曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 奧村又十郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君
理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君
理事 佐藤觀次郎君
上塚 司君 大泉 寛三君
大村 清一君 佐治 誠吉君
島村 一郎君 西村 茂生君
宮幡 靖君 小川 半次君
加藤 高藏君 笹山茂太郎君
吉田 正君 小川 豊明君
久保田鶴松君 坊 秀男君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 白石 正雄君
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
食糧庁長官 東畑 四郎君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主税局税制第
一課長) 泉 美之松君
大蔵事務官
(主税局税制第
二課長) 塩崎 潤君
農林事務官
(食糧庁総務部
主計課長) 厚味荘之助君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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十二月六日
米穀の売渡代金に対する所得税の特例に関する
法律案(井上良二君外二名提出、衆法第六号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法
律案(内閣提出第四号)
漁船再保険特別会計における漁船再保険事業に
ついて生じた損失を補てんするための一般会計
からする繰入金に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第九号)
漁船再保険特別会計法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一一号)
食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするため
の一般会計からする繰入金に関する法律案(内
閣提出第一三号)
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一四号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/0
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001・奧村又十郎
○奧村委員長 これより会議を開きます。
昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律案、漁船再保険特別会計における漁船再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案及び漁船再保険特別会計法の一部を改正する法律案、次に食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の五法律案を一括議題といたしまして前会に引続き質疑を継続いたします。質疑は通告順に許します。坊秀男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/1
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002・坊秀男
○坊委員 平田主税局長に一、二御質問申したいと存じます。このたびの減税案でありますが、これを昭和二十八年分臨時特例というふうに、昭和三十八年分ということに限定されておるようでございますが、従来こういう例があつたでございましようか。私寡聞にしてあまり知らないのでありますが、この昭和二十八年分というふうに限定された理由についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/2
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003・平田敬一郎
○平田政府委員 今回の所得税の改正は、今お話のように臨時特例ということにいたしておるわけでございますが、その理由は、来年度におきまして、いずれ来年度の本予算とともに所得税につきましても恒久的な改正案を国会に提案する見込みでございます。しかしこれはやはり来年度の財政計画と一体をなすものでございますので、今この国会でただちに所得税の一般的改正を行いますのはいかがであろうかと考えたわけでございまして従つてさしあたり措置しなければならない来年の三月までの所得税の分につきまして、臨時特例を設けた次第でございます。今のところは大体来年度におきましても、前今申し上げましたように、ほぼ今回の改正を本改正に織り込みまして、恒久的な改正にするという考えでございますが、現在のところは、臨時特例という方法による方がより妥当であるというふうに考えた次第でございます。なおこういう例があるかどうかという問題でございますが、これは実は昨年と一昨年と二度にわたりまして同じようなことをいたしております。ただその際は所得税の臨時特例という文句を使いまして、御指摘のように二十八年分といつたような字句を加えていないのでございます。所得税の臨時特例に関する法律案という同じ名前が連なりますと、独立の法律案でございますので、まぎらわしくなつてぐあい悪いので、本年は特に二十八年分所得税の臨時特例等ということにいたしたわけでございます。内容の主たる点は、来年の一月から三月までの源泉課税の臨時特例でございますが、二十七年分につきましても、年末調整にあたりまして、社会保険料を控除するという特例を設けております。従いまして題名も「等」という字がどこかに入つておるはずでございますが、二十七年分と二十八年分の所得税の、正確に申しますれば臨時特例に関する法律ということに相なるわけでございます。事柄の形式は昨年、一昨年にいたしましたのと同じであります。ただ法律の題名に同じ字句を使いますとまぎらわしくなりますので、今年だけはちよつと名前をかぶせまして、二十八年分所得税のということで、今までの法律と件名を異にしようという趣旨で、そういう文句を上につけ加えたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/3
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004・坊秀男
○坊委員 ただいまの御説明によりますと、昭和二十八年分ということは、ただほかの法律とまぎらわしくなるから、かように限定したというお話でございますが、従来の平田局長の御説明によりますれば、今度の減税案は、来年度の本格的の減税案の頭が今日出て来たわけであつて、来年度から減税するのを今年の一月からやつてやるのだ、こういうことになるのでございますが、この二十八年分得税の特例によりまして二百三十億の減税をやることになつております。これが来年度平年化することによつて約八百億の減税になるというだんだんの御説明なのでありますが、すでにこの二十八度分の所得税の特例という法律を実施することによりまして、税法が改正せられて、二百三十億の減税が国会通過とともに実施される、こういうことになりますれば、ただ来年度はこの二百三十億が平年化することによつて八百億の減税になるということであつて、来年度の本格的の税制改正によつてこの八百億を含めて約一千億の減税をするのだということは、一つの材料を二重に使つておる。今年千円札の表を見せ、来年千円札の裏を見せて、これで二千円だということになるのではないか。そこで来年の減税は、税法上は非常に多岐多端にわたる減税でありましようけれども、額としては一千億のうちで八百億というものはすでに今年の減税によつて減税されたものであつて、来年度の減税はその残りの——額ははつきりしませんが、約二百億程度のものであるというようなことになるのじやないかと私は思うのでありますが、局長の御所見はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/4
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005・平田敬一郎
○平田政府委員 本来から申しますと、減税は普通の場合でありますれば、通常国会と申しますか、来年度は通常国会ではないと思いますが、本予算と同時に所得税法の普通の改正で行くというのが、御指摘の通り私は本筋だと思います。従いまして、そういう計画を立てて、その際に一定の減税を行う、そういう考え方で行きますと、今年に比べまして来年は八百億ほどの所得税の減税になる。こういうことを申し上げているわけでございます。ただその際に、大体そのような見通しがついておりまするし、それから源泉課税につきましては、御承知の通り一月の給与の支払いの際から徴収いたしまするので、技術的に行きましても、やはり少し早くからやつておく必要がある。そういう意味におきまして、臨時特例を設けまして、補正予算で今回給与所得につきまして減税をするということにいたした次第でございます。その計画はもちろん全部一体として考えなくちやならぬ。ただ仕上げになりますと、今申しましたように、来年度の本予算と一緒でないと最終決定はいたしがたい。こういう事情がありますので、このような方法をとつているわけでございまして、従いまして今回の補正予算の減税計画は、むしろ来年度行いまする所得税だけ八百穂、その他を含めまして一千億前後の減税計画の一環として考えておる。そのうち、さしあたり早く実行を要する分をこの一月から実行せしめるために今回の特例法案を出しておる。こういうふうに御了解願いますれば、やはり来年度八百億の所得税の減税計画ということは御理解願えるのではないかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/5
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006・坊秀男
○坊委員 政府は減税ということを非常に大きな政策にしております。そのために今年の減税を、来年これを平年化するということによつて八百億ないし一千億減税になるということであつて、来年の減税が本格的な改正によつて八百億ないし一千億になるということは、少しこれはごまかしというとおかしゆうございますけれども、何か一つの材料を二つに使つておるというふうに私は思うのでありますが、それはそれといたしまして、従来数年間の予算の編成を見て参りますと、御承知の通り赤字公債と申しますか、歳入補填のための公債というものは発行されておりません。従いまして、予算を編成するにあたつて歳入官庁である主税当局は、このことについてもし万一歳入に欠陥が生ずるというようなことを非常に御心配、御懸念になつているだろうと私は思うのでありますが、まことにごもつともな次第でございます。そこで例年当初予算を編成するにあたりまして、歳出にバランスを合せて歳入の計画を立てて、そうして租税その他の歳入計画を実施して行くのでございますが、当初予算を立てた場合における歳出をまかなう財源というものは、その当初予算の歳出に限定してこれをまかなうべき租税その他の歳入でなければならない、かように私は思うのでありますが、結果におきまして自然増収が出て来たということは、これはちつとも悪いことではないと思いますが、最初から自然増収を予想して歳入歳出を立てているということは、これは財政上あまり感心したことではないと思うのであります。当初予算を立てるときにおきましては、必ずその年度における補正予算なり、追加予算というものが全然ないということは考えられない。必ずその年度の間におきまして追加予算というものは出て来るに違いない。そこで普通の財政の場合ならば、この追加予算の歳出をまかなうべきものは、歳入補填公債なり赤字公債なりというものが予想されるのでございますが、過去数年におきましてはそれが予想されなかつた。従いまして、この追加予算なり補正予算の歳出をまかなうために、あらかじめこれは自然増収があるだろう、この自然増収によつてまかなおうというような考え方でもつて予算を立てますと、勢い歳入官庁といたしましては歳入の見積りを寡少にしておかなければならぬというようなことになるのでございますが、来年度の予算の編成にあたりまして、主税当局はやはりそういうようなお考え方であるのかどうか。おそらく局長は、そういうことは絶対にないとおつしやるでございましようが、しかしながら追加予算というものは必ず組まなければならぬ。その財源を何かによつてまかなわなければならぬ、こういうことになりますと、今考えますと、この租税の自然増収にたよらなければならぬというようなことになるんじやないかと思うのです。局長の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/6
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007・平田敬一郎
○平田政府委員 今坊さんがお話になりましたように、私ども当初から自然増収が出るだろうということを予定するような税収見積りは絶対にやらないことにいたしております。あくまでもその当時といたしまして妥当な見積りをいたしまして、それによつて財政計画を立てる、こういうふうに行くべき筋合いのものでございまして、自然増収は、見積りを立てました当時に比べましてその後経済情勢がかわつたために、課税物件に消長を来し、それによりまして自然増収になる、あるいは自然減収になる、こういうことになるかと思います。過去の例も、先般内藤さんにも申し上げたのでございますが、やはり景気のいいときには相当の自然増収が出ている。たとえば大正五年から八年くらいにかけましては、年々三割ないし四割程度の実は自然増収が出ている。この表は後でお配りしてもよろしゆうございますが、これに対しまして昭和五、六年ごろの世界不況の時代には、逆に税が自然減収を生じている。それからずつと支那事変以後になりまして、経済界が年々上向きになりましたために、この当時は年々九%ないし一割前後の自然増収を生じて来ている。最近におきましては、先般申し上げましたように、昭和二十四年度が、実は最初予算を見積りました当時に比べまして、インフレが安定しまして、しまいにはデフレだと騒がれたくらいの情勢になつたのでございますが、この年はほとんど予算とぎりぎり一ぱいのところで、辛うじて予算額だけにしか行つていない。その後朝鮮動乱が起きまして、二十六年度は先般も申し上げましたように、法人の利潤が予想よりもべらぼうにふえましたために、一千億に近い自然増を二十六年度は法人税において生じておる。本年におきましてはどういうわけで自然増収が生じたかと申しますと、先般も申し上げましたように、賃金水準が私どもや安本で予想したものよりも以上に上つた。一般に考えられていたよりも以上に上つた。それが自然増収の大半の原因でございます。それが上りましたので、消費財の方の消費もふえました。物品税の課税実績におきましては、昨年の上期に比べまして、ことしの上期は四割増加しておる。昨年のちようど今ごろに見積つたわけでございますが、その当時といたしまして、そういうふうなところまで行くということは、実は私ども想像がつかなかつた。そういう事情で本年度も自然増収を生じたわけでございまして、今後におきましては、お話の通り、やはりそのときにおきましてできる限りの資料を集めましてある程度将来の予測を加えまして歳入見積りをすることになるわけでございます。決して最初から恣意的に見積りを左右するということはいたすべきではないし、またいたさないことにして参りたいと思う次第でございます。
それから、もう一点ちよつと追加して申し上げますが、実は今の所得税の構成から行きますと、所得が一割ふえると税収は実は二割以上ふえる場合によつては三割ぐらいふえてしまう。反対に所得が一割減りますと、税収は三割も減つてしまう。こういう構造になつている。その点先般もちよつと申し上げたかもしれませんが、なおこれは非常に専門的にわたつて恐縮でございますが、賃金の上り方がちよつと狂いますと、非常な差が出て来るということになりますので、もう一ぺん念のために申し上げておきますが、先般も申し上げましたように、給与所得、つまり賃金給与の支払い見込みでございますが、この予算に計上いたしております数字をもとにとりましても、総額でことしが一兆六千七百六十億でございます。これに対しまして基礎控除、扶養控除、こういういろいろな控除額を合わせまして九千三百六十億を控除して、差引課税所得は七千四百億、つまり基礎控除、扶養控除等のいろいろな控除額の方が、実は収入金額より多くなつている。そこで問題は給与が幾らふえるか——ということは、元の給与が一割ふえるかどうかの問題でございますが、かりに一割ふえるとしますと、課税所得は二割以上ふえる。正確に計算いたしますと、二割五分ぐらいふえることになります。従つて所得がちよつとふえますと、勤労所得税は所得がふえた以上にふえる。そのほかに累進税率がございますので、累進税率が今まで二五%の適用を受けていたクラスが、今度三〇%の適用を受けるように上にずれて行く。そういう関係で、所得税の増減は所得の増減よりも非常に甚しく出て来る。これが、技術的な理由からいたしまして自然増収なり減収を生ずる理由である。申告所得税は二百億近くの赤字を立てましたが、これが所得が見込みよりも五、六パーセント決定額が低くなりますと、相当な減になる。こういうような状態でございまして所得税の増加からいたしますと、経済情勢の変動によりまして、より多く歳入が変動して行く。構造自体がそうなつておる。そういう税制がいいんだということは、アメリカの学者が最近言つております。つまり景気のいいときには購売力はうんとキャッチして行く。不景気で所得が減れば、むしろ税が減つてもかまわぬ、こういう新しい学説がございますが、日本の所得税は、まさにそういう景気の増減に対しまして敏感で、それ以上にはげしく変動する、こういう要素をはらんでおる。そういう結果からいたしまして、今申しましたように給与なり所得の状況が少し違つて来ますと、遺憾ながらどうも見積りに差を来すということになつております。もちろん私どもといたしましては、そういう事情もよく考慮に入れまして、できる限り歳入見積りは的確を期する考えではございますが、結果から申しますとどうもそれに完全に合うように見積るということは、なかなかむずかしい問題ではないか。しかしできる限りそういう方向にやつて行きたいという考えでやつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/7
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008・坊秀男
○坊委員 ただいまの局長の御説明によりますと、当初予算を編成するときの歳入見積りはきわめて的確なる数字を見積る方針だというお話でございまして、しごくもつともなことでございます。二十八年度の当初予算を編成するにあたつても、やはりその通り厳密にそれを実行して行かれることだと思いますが、しかし二十八年度におきましても、必ずや追加予算を予想しなければならない。この追加予算に対して赤字公債を発行するというような財政上の百八十度の転換は、むろん今のところお考えになつておられないと思うのですが、一体この追加予算をどういう財源でおまかないになる方針であるのか、仮想の問題には、はつきりしたお答えはできないとは思いますが、その心構えなり、歳入官庁としての考え方をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/8
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009・平田敬一郎
○平田政府委員 最近数年間は、最初の予算を組みました後に事情がいろいろかわつて参りました関係上、補正予算を組むのが通例になつております。インフレ時代には三回くらい補正予算を組んだときもございますが、昨年が一回、今年も一回ということになりまして、大分おちつきを来しておるわけであります。歳出の方におきましても同じように、最初から本予算を組みます際に、追加予算なり補正予算を予想して組むわけではない。これはそのときといたしましては、できる限り一年間の必要な需要を調べまして、需要を満たすような予算を作成するわけでございます。ただその場合におきましても、やはりその後のいろんな事情の変化、状況の変化等に応じまして補正予算を組まざるを得ない場合が出て来るわけでございますが、これは当然そういうことだとして予算を組むべきものではない。これはちようど歳入の場合におきまして、私がさつき申し上げましたと同じことであります。ただ見通しとして、状況の変化がはげしいから、結局そういうことにならざるを得ないかどうか、これは一つの見込みの問題でございまして、私はまだそこまで来年度の問題について申し上げることは差控えたいと思いますが、今後におきましては、経済がだんだん軌道に乗りまして平常化しつつあるといたしますれば、そう大きな補正予算をあとで追加して出すどういうことは、まずないという方向に行くのではないか、大体におきまして、そういう方向に行くべきものではないかと考えます。そういうことをあらかじめ予定して税収等におきまして適当な見積りをして行くということは、厳に避くべきものであると考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/9
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010・吉田正
○吉田(正)委員 主税局長にお伺いしたいのですが、この補正予算に伴う税制改正の減税案におきまして、中小企業と農民に対する減税措置があまり考えられていないのですが、これはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/10
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011・平田敬一郎
○平田政府委員 その方は先ほど坊さんに申し上げましたように、この次の国会に所得税法の本格改正をやりまして、その際に基礎控除は五万円を六万円に、扶養控除は二万円を三万五千円——最初の一人でございますが、税率も下の方は下げる。こういう改正はひとり勤労者だけではなく、一般の申告納税者全部に及ぼす予定でございまして、第一回の納税が来年の七月でございますので、この次の国会に出しまして、来年度の計画でやつても十分間に合うということでございます。ただ勤労所得者に対しまして比較的今回優遇しておりますのは、社会保険料を本年一月にさかのぼりまして年末調整で引くことにした。それと申告納税者の場合におきましても、社会保険料を払つておる人につましては、三月十六日の確定申告の際におきまして、控除は法制上は同じ建前にいたしておるわけでございますが、結果として利益を受けるのは大部分が勤労所得者でございまして、約百三十億円程度年末調整で減税になる。約一月分の源泉所得税にほぼ近い、〇・八くらいになるかもしれませんが、勤労所得者は年末調整で一月にさかのぼることによつて、一箇月分くらい賞与の税額から減してやろう、こういうことになつておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/11
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012・吉田正
○吉田(正)委員 この減税案によりますと、給与所得だけ一月から三月に先にやつてしまう。ところが今は御承知のように供出米の最盛期なのです。それで超過供出の問題とか供出奨励金、早場米の問題につきまして、減税になるかどうかを非常に心配しておるわけなのです。さらに義務供出の問題につきましても、超過供出に対する減税をするくらいなら義務供出についても考えることがほんとうではないかと思う。低収穫の農家に対する考え方からいいますと、義務供出自体について考えるべきではないかという考え方で、これに対しては全国農民が非常に心配しておるわけなのです。それが結局供出を遅らせておるところの原因だと思う。一月から三月に給与所得に対してそれだけのことをやるならば、この期間において供出米に対する考え方を同時に考えるべきだと思うのですが、それに対する御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/12
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013・平田敬一郎
○平田政府委員 一月から二月までの給与所得者を先に考えることにいたしておるわけでございますが、実はこれは決して不公平な扱いではない。所得税は御承知の通り一月から十二月までの分を、勤労所得者は給与の支払いの際にそれぞれ天引して納めるし、申告納税義務者は、七月から始まりまして翌年の三月十五日までにその一年分の税金を納める、こういうわけでございます。従いましてさきに申しましたように、この次の国会に出してやりましても十分間に合う、こういう考え方でございまするので、その両者は別に不公平な扱いをいたしておるわけではございません。そのことをまず申し上げておきます。
それから供米の問題でございますが、この問題は今御指摘の義務供出の分、一般供出の分につきまして特別の措置をやりますことは、私は所得税沖を根本的にくつがえすものではないかと思います。これはどうも賛成できません。それから超過供出の分につきましては、昨年と申しますか、前年度におきまして、食糧問題の緊急性にかんがみまして——負担の議論から行きますといろいろな議論があつたのでございますが、食糧問題の重要性にかんがみまして、これに協力する意味で、特別法を設けまして免税いたしたのであります。ことしは若干前年と事情が違うようではありまするが、しかしなお超過供出に政府といたしましては計画配給上依存するところ多大なるものがあるということでございますので、この問題については目下慎重に考究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/13
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014・吉田正
○吉田(正)委員 超過供出、早場米の奨励金の免税問題につきましては、政策上供出を多からしめるためにやるのだというお話なのでございますが、そうするとそれ自体税制の根本に触れているわけです。これは承知できませんと言われたけれども、義務供出の問題と同じ性質のものだと思います。義務供出のものについて根本的に政策上やらないというならば、これによつて政府の考えている食糧増産五箇年計画は全然空文になつてしまうという根本的な問題でありますので、この問題は主税局長とは私は根本的に意見が違います。承知できませんと言えば、こちらも承知できません。その問題につきましては、今後われわれといたしましても根本的にいろいろとまた御質問申し上げて行きたいと思いますが、問題はやはり米の輸入を何とかして減らして、それによつて海外支払いを少くし、国際収支を改善する根本的な問題から、政策上、食糧増産のために、米作農民に対しては特例を設けるということ、これ自体は、たとえば石炭に対しまして、また石油に対しまして、新鉱に対しましては三箇年間免税ということがあるのでありますが、政策上それができないかどうか、もう一度それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/14
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015・平田敬一郎
○平田政府委員 普通の供出の分を課税しないということは、農民に所得税を八〇%、もう全然かけないという結果になる。これは常識で判断されればすぐおわかりになると思うのです。これは非常に重大問題でありまして、一般の勤労所得者、中小商工業者がそれぞれ所得税を分に応じて納めておりまする場合におきまして、このような措置をとりますことは所得税の負担を著しく不公平なものにする、こういうふうに考えております。しかしながら私どもは農民の生活程度、所得の水準が低い、そういうことは十分承知いたしておりますので、所得税の控除をなるべく引上げまして、基礎控除を引上げたり、あるいは扶養控除を引上げたり、下の方の税率を低くしまして、一般的に公平に、農民の方々にできるだけ税がかからないようにするということは大賛成でありまして、実はその趣旨で累次の改正をいたしておるのであります。納税者も農民が一番よけい減つております。昭和二十三年度はたしか三百四、五十万の納税者でありましたのが、本年度は資料で出しておりますように百三十万くらい、三分の一くらいに納税者が滅つております。今日では農民全体が約六百万戸近くございますが、その中で所得税を納めておられる方は百三、四十万、つまり四人か五人に一人くらいでございますので、私どもはそういうような方向に全体の所得税を持つて行きまして、公平に、同じ所得でも家族が多い場合は、農民も中小企業者も勤労者も、所得税をできるだけ納めなくてもいいようにする、こういう方向でございますればこれは賛成でございますし、極力その方向に努めておるのでありますが、ひとり農民についてだけ一般の所得税がかからないようにするという措置については、所得税の公平を期する意味におきまして、とうてい賛成しきれないと申し上げておきたいと思う次第でございます。なお農民の課税につきましてはいろいろ問題がございますが、御質問によりましてお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/15
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016・吉田正
○吉田(正)委員 農民に対して特に免税しろということを申し上げているのではない。米の供出義務を負わせている観点と、食糧増産という基本から、米をつくつている者に対しまして特別の措置を講ずることが、すなわち全体の国民のためにいいではないかという観点に立つて私は質問しておるのであります。
それから御質問したいことは、農業所得税の中でもつて、供出米の減税をされた場合にどのくらいの減税額になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/16
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017・平田敬一郎
○平田政府委員 私どもそういうことは問題にならぬと思つて、実はあまり検討しておらないのでございますが、私常識で判断いたしましても、おそらく農民が納めておる所得税は、普通の供出の分を免税にすれば七、八割は減るだろう、こう思います。もしも必要でございますれば、この次の機会に計算しまして申し上げてもけつこうでありますが、大体間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/17
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018・吉田正
○吉田(正)委員 私どもはそうならないと思つているのです。これは大事な問題でありますので、この数字をひとつはつきり出してもらいたい。これは次の会までにお願いしたいと思います。
それからもう一つは、農業所得税の自然増加が二十七年度で五十億ばかりになつておるので、その内容をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/18
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019・平田敬一郎
○平田政府委員 農業所得税の自然増加が五十億というのは、どの資料によつてごらんになつたのか知りませんが、私どもの計算では、二十六年分の農業所得税としまして決定いたしましたものは百六十億五千七百万、これに対しまして二十七年分としまして決定見込みのものが百七十九億二千八百万、約二十億円程度の増でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/19
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020・吉田正
○吉田(正)委員 私の数字の見間違いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/20
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021・平田敬一郎
○平田政府委員 これがふえますのは、生産が増加したのと、米価が昨年に比べまして上りましたことによるわけでございます。しかしそのままでございますと、もつとふえるのでございまするが、昨年よりも本年は基礎控除等が上つておりますので、この程度の増にとどまつておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/21
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022・吉田正
○吉田(正)委員 勤労控除の問題なのですが、勤労控除につきまして、中小企業と農民の勤労控除をどうしてやらないかということを、前の委員会でたびたび聞いたと思うのですが、もう一ぺんそれに対する理由をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/22
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023・平田敬一郎
○平田政府委員 給与所得の一割五分を控除いたしておりますのは、二つほど理由がございまして、一つは所得の計算上必要経費を控除しないで計算することになつている。それで事業所得の場合でございますと、一切の必要経費を控除して所得を計算する。もちろん給与所得の場合はそれほど必要経費は多くございませんので、そういたしておるわけでございますが、しかし全然ないわけではない。理論的には若干の経費的な要素があるのでございますが、それは税法上見ない。見ると申しても、なかなかむずかしくて見れないので見ないということになつております。もう一つは、勤め人の場合は本人が失職しましたりあるいはなくなつたりしますと、所得の継続性が全然なくなつて、すぐ所得がなくなつてしまう。これに対しまして、事業所得者の場合は、程度の差がございまするが、何かの形で事業が残りまして、またその次の人がその事業によりまして生活の資料を得ることができる場合が多い。全部じやないかもしれませんが、概して申しますと……。そういう点からいたしまして、給与所得と申しますか、他人に使われて働いている場合の所得は、担税力がそれだけ低い。この二つが実は勤労控除を認ておる一番大きな理由でございますが、そのほかに所得の把握が完全でないとか何とかいう議論もございますが、これは実情論でございまして、そういうことをやつぱり若干あわせ考慮いたしまして、妥当な率をきめたらどうか。しかしそれは決して表面の理由にはならぬと思いますが、やはり勤労控除をいたしまする理由は、今申し上げました二つが主たる理論的な理由だと私どもは考えておる次第でございます。従いまして事業所得の場合はそういう控除をしない。こういう考え方に立つているわけでございます。ただもう少し申し上げますと、事業所得の中にも、さつき申しました第二の要素でございますが、勤労所得的な要素があつて、力が弱いじやないか。理論的に申しますと、こういう要素はないとは言えない。若干あると思います。しかしそれを理由にしましてまた控除をいたしますると、今度は給与所得者の場合におきまして、はたして負担のバランスがとれるかどうか。そこに問題がございまするので、少くとも今の事情のもとにおきましては、事業所得につきまして、勤労控除を新たに認めるのはどうも少しどうであろうか。それよりもむしろ一般的に基礎控除なり扶養控除をできる限り引上げまして、低額所得者の負担の緩和をはかるという方がより実情に即するのではないか。こういう考え方でいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/23
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024・吉田正
○吉田(正)委員 これに関連しまして、青色申告の問題が出て来るわけでございますが、青色申告によりますと、農業専従者に対する控除というのは、勤労所得の観点から言うているのですか。その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/24
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025・平田敬一郎
○平田政府委員 青色申告者につきまして専従者の控除をいたしておりますのは、事業者の所得の中に、家族であつてその事業に勤めておつて、世帯主に事業所得が生じた場合、こういう場合におきましては、理論的に見ますと世帯主の所得の中に家族たる従業者が働くことによつて生れた所得が含まれているじやないか。実際問題としまして、幾ら含まれておるか、どの程度働いておるか、なかなかはつきりしないことは御承知の通りだと思いますが、青色申告をしておられる場合におきましては、そういう計算も比較的はつきりいたしますし、またはつきりしてもらわなくちや認めがたいと思うのでありますが、控除するということにいたしましても弊害もございませんので、青色申告助長という意味も含めまして、基礎控除の額を限度として給与を払うことを認めよう、払つた場合におきまして経費に引くことを認めよう、こういうことにいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/25
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026・吉田正
○吉田(正)委員 そうしますと、今のお答えだといたしますと、青色申告ということは、前に申し上げたように農家にできないことを強要していることなんだ。事実上一箇村でもつて一人か二人しかやつていないですから、これをやれと言つても、あんなむずかしいものは農家は書けつこない。やれないこと、しかも人口が一千人もある村でたつた二人くらいしかやつてないことを政府がやらせること、またそれによつて特別に専従者に対しまして控除するということよりは、むしろたとえば五反歩なら五反歩たんぼをつくつているとか、または八反歩の畑をつくつている場合におきましては、専従者というものは必ずあるものですから、そういうものを見込みで控除できないのかどうか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/26
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027・平田敬一郎
○平田政府委員 青色申告制度の問題につきましては、先般も吉田さんに申し上げたのでありますが、これは率直に申し上げまして、農家の方々の場合になかなかめんどうだという御議論は私もわかります。従いましてだんだん改善しまして、必要最小限度の記帳と申しますか、そういう方向に持つて行こうということにおきましては、吉田さんとまつたく同意見でございまして、そういう方向に持つて行きたい。しからば家族の専従者がおられるような場合にそれができないかと申しますと、これは今日では大体小学校あるいは中学校を出ておられる方々が大部分でございますし、農業の記帳ということは若干めんどうでございますが、そうむずかしいことではない、めんどうさえいとわなければ。まつたく一人でやつておられる場合は、帳面までなかなか手がまわらぬかもしれませんけれども、いやしくも十八才以上の家族で、主人のほかに専従者がおるという場合におきましては、青色申告ぐらいのことはやつてもらつても不可能ではない、できるんじやないか、できるようなふうに様式なりあるいは記帳の程度等を持つて行きまして、普及をはかるようにいたしたい。そうしますと、負担の実情にも即し、かつ青色申告の普及にもなりまして、課税上のトラブルはもちろん少くなり、またひいてはそれが農業経営の改善にも役立つ。指導農協あたりにおきましても、できる限りそういう方向に持つて行くように努力しておられますが、やはり私は先般申し上げましたように一年、二年ですぐできぬと思いますけれども、ある程度の時間をかけまして、そういう方向に持つて行くようにしたらどうか。それは不可能ではないことではないかと実は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/27
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028・吉田正
○吉田(正)委員 重ねてこの問題につきまして質問申し上げますけれども、できるんじやないかとおつしやるけれども、実際できないのだからしようがない。これは農家へ行つてお聞きになると一番いい。主税局長、少し山の中へ入つて研究なさると、よくわかると思う。だから村全体で二軒しか青色申告をしないということになる。それをできるんじやないかと言つているだけでは、問題にならないのです。やはり寒いときに山の中へ入つて調べてもらうといい。そうすると、はつきりしたことがわかる。今一、二年のうちには完全になるだろうとか、五、六年のうちにどうこうというような問題でなく、現実の問題です。政府といたしましては、実際村の二%くらいしかやらないようなことを条件にしまして、専従者に特にどうこうというようなことは、精神としておかしいと思う。そういうことを大蔵省が考えていることは間違いだと思う。この点につきましては、さらにひとつ御研究願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/28
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029・平田敬一郎
○平田政府委員 ちよつと補足して申し上げておきますが、青色申告の制度は二十五年度から始めたのですが、専従者の控除は、実はことしから設けたのです。専従者の控除があるということを承知で、青色申告をやろうということで始められるのは、実は来年度からでございます。この次からであります。私はきつと来年は、そういう青色申告が、専従者のあるような家族におきましては、増加するのじやないか。税務署等に対しましても、一部に非難がありましたように、青色申告を出されるとめんどうだから、いやだというような声がありますが、青色申告に対しましては、よく親切に指導してふやすようにやつてもらいたい。来年か、もう一年くらいの実績を調べた上でどうなるか判断しても、決して私はおそくはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/29
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030・吉田正
○吉田(正)委員 実は私、きのうは農村に入つたのです。そうしてこの問題の研究会をやつてみたのです。絶対にできないという話です。その問題につきましてあなたも御研究になつて、そしてもし青色申告をどうしてもやるということなら、もつと簡略な方式を考えて、こういう簡略な方式でやるんだということを、補正予算の税制改正の前までにひとつ御提示願いたい。どういうように簡略にするか、これは観念的に簡略化すると言うだけでは困ります。たとえばにわとりが何羽で、そうして一羽殺した。卵があと幾つ生れるというような計算はとてもできないのです。飼料もそれぞれ違うのです。そんなこまかいことをどの程度まで簡略にするかということを明示願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/30
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031・平田敬一郎
○平田政府委員 今お話になつたような農家の副収入になりますと、これはやはりめんどうだと私も思います。そういうのは、何か概括記帳ぐらいの方法で指導するという方法が、私は幾らでもあると思う。そういうこまかいところに力を尽しても、実は大差ないのでありますが、大筋の主作物につきましては、若干めんどうでもやつぱり記帳してもらつても、専従者のおられるところにおきましては、吉田さんあたりが御指導くださればできると思いますが、私どももなお研究したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/31
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032・吉田正
○吉田(正)委員 この問題につきましては、私質問を打切りますけれども、とにかく青色申告で、今考えておられるところの内容と、それから今度はどういうように改正して行くのかという簡略化の方式をお示し願いたい。次の機会でけつこうです。これをもつて私の質問は打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/32
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033・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 東畑食糧庁長官にお伺いいたしますが、今年度の外米の輸入状況及び来年度の見通しについて、ちよつと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/33
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034・東畑四郎
○東畑政府委員 外米の輸入状況でありますが、会計年度で申し上げますと、本年度予算で百一万トンという計算をいたしておるのでございます。今の見通しでは、大体百五万トン程度入るという見通しで補正をお願いいたしておるのであります。米穀年度で申しますと、昨米穀年度、大体百万トンという計画をいたしておつたのでありますが、九十五万トン到着をいたした、こういうように御了承願いたい。二十八米穀年度は、大体百万トンという計画でいたしておるのであります。輸入状況から申し上げますと、上期の方にたくさん入りまして、下期の方に比較的少く入るのであります。アメリカは輸出許可制になつております。割当をいたしておるのでありまして、これは政府が割当を許可しませんと入らないのでありますけれども、大体昨年程度は入るのじやないかというように考えております。タイ、ビルマ等につきましては、大体昨年は相当輸入に困難を
いたしたのでありますが、タイにつきましては、二十万トン程度よこす、こういう協定等もできておりますので、塩等の輸入とからみまして、われわれといたしましては、もう少したくさん輸入できるのではないか、こういうように考えております。ビルマ等につきましては、大体昨年程度入るのじやないか。昨年はイタリーから実は相当輸入をいたしたのでありますが、今年はイタリーからの輸入は、昨年ほどには入り得ないのじやないか、こういうように考えております。大体のところ、世界の米の貿易量は漸次上昇いたしておりまして、四百七、八十万トンが世界全体の貿易量であります。そのうちで百万トン程度の輸入は、努力いたしますれば可能である、こういうように実は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/34
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035・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 その次にわれわれが考えられることは、今米価の生産価格が非常に安いということは、天下周知の事実でございます。これは御承知のように、米価審議会の方でも問題になつておりますが、大体米価の問題は消費者の関係があるから、われわれの党では、米価の二重価格制を主張しておるわけでありますが、現在農林省がこういう制度をとられないという理由は、どういうところに原因があるか、ちよつと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/35
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036・東畑四郎
○東畑政府委員 米価は現実、二十六年産米につきまして、実は若干の赤字を結果として出したのでございます。二十七年産米につきましても、この補正で若干の赤字繰入れをしていただいております。その大きな原因は、完遂奨励金を財政負担をしていたということで、二十五億五千万円程度の負担をしていただくということになつております。なおただいま配給いたしております米は十キロ六百二十円でありますが、これは明らかにコストを割つておるのでございます。十二月までに新米で安売りをいたしますものが大体五十二億程度の赤字になります。そういうものにつきましては、赤字繰入れをしていただくということになつております。一月以後われわれのコスト計算をいたしますと、完遂奨励金を財政負担していただければ六百八十円程度になります。現在の農民から買上げる米価が安い高いという論はりくつに走るわけでございまして、現実に七千五百円に対しまして、いろいろな奨励金等を入れますると予算上の単価から申し上げますと、包装を抜いた裸で八千八十円程度になるのであります。これは農家によつて違いますが、平均石当り八千八十円程度の米の裸の所得、こういうことでございます。これに対しまして、完遂奨励金を持ちますと十キロで六百八十円ということで、この程度であればまあまあがまんできるのじやないか。こういう考えで、二重価格制という考え方になりますと、これは財政の問題にも触れて参るので、われわれとしてはがまんし得る程度においては、二重価格制でなくとも可能である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/36
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037・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 主税局長がおられるから、大分遠慮しておられるかもわかりませんが、義務供出の税の減免という問題が各党で問題になつておりますが、今超過供出の場合に減税するならば、むしろ義務供出の米価が非常に安い、特に今年度は御存じのように、供出価格と超過供出価格との差額が非常に出ております。こういう調整を食糧庁長官はどうお考えになつているか、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/37
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038・東畑四郎
○東畑政府委員 農民から買上げる米価が非常に安いという御非難はずいぶん伺つておるのであります。また生産費もなぜ十分入れないかということもずいぶん伺つておるのでありますが、率直に申し上げまして、石当り百四時間程度の家族労働が生産費にあるということが、農林省の生産費調査の結果であります。百四時間の男女平均の自家労働をどう評価するかという問題については、なかなか困難な問題がございます。そこでかりにこれを雇用労賃で評価いたしますと、非常に生産費は安くなります。農林省の二十六年度産米から延ばしましても、なかなか七千五百円という米価にはならないのであります。これは日雇い労銀で評価するのはいけないのではないかということになると思いますが、さてそれではどういう評価をするかということになりますと、なかなか議論が多くて、客観的な一つの評価方法がないので、パリテイをとつておるのでありまして、現在八千八十円程度の手取りになるわけであります。これで参りますと、一日あたりの労銀といたしましても、とても日雇いどころでなくて、相当のものになるのでありまして、われわれといたしましては、そう不合理な米価ではないと考えております。ただ絶対量が足りませんために、市価はございませんが、やみというものがございます。やみ価格等に比較いたしますと、非常に低く見える。これは絶対量の不足による一つの需給上のやみ価格がそうさせるのであります。そこで集荷その他等につきましても、現実にやみ等が高いために集めにくいという点がありまして、われわれといたしましては、マル公による供出米というものと、超過供出その他の奨励金等々を含めまして、なるたけ農民の実質的な手取額を補償して参りたい、実はこういう考え方をとつておるのであります。率直に申し上げますと、われわれの物価計算では、裸で七千八百円程度になつたのであります。それをいろいろなパリティその他アルファーの加算等を考えまして、大体今申しました八千八十円程度の手配りになるということにいたしたのであります。要するに農民の実質的な手取額というものを補償して参りたいというところから、あわせて集荷力を強めるという意味から、いろいろな奨励金を加算しておる、こういうふうに御了解願いたい、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/38
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039・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 食糧庁長官もよく御存じの通りに、供出問題が一番農林省の問題になり、地方においては県知事、それから地方事務所の所長、最後には町村長まで、この問題が全国的に問題になつておることは御承知であろうと思います。それはどういうことかと申しますと、先ほど申しましたように、みな定価の供出をいやがつて、できればやみに流したいというのが、私の愛知県の例でございますが、そういう例が非常に多いので、昨日も郷里に帰つておりますと、非常にそういう問題で、今村長は頭を悩ましておるわけであります。そういう点で今食糧庁長官が言われても、われわれは納得ができない。どうしても低過ぎるという考えを持つておるわけでありますが、現実に食糧庁長官よく御存じのように、供出問題で地方の県知事がよく上京して来るということは、米がとれないのではなくて、値段が安いから、非常に供出をいやがるというのが実際の状態であります。そこで近く米価審議会も新しい委員が選ばれて発足するのでありますが、今年度はどういう方法で義務供出の米の値段をきめる予定になつておるか、ちよつと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/39
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040・東畑四郎
○東畑政府委員 二十七年産米は、米価審議会にかけまして、いろいろな御意見をお伺いしたのでありますが、政府としましては、各般の事情を考慮いたしまして、今日七千五百円というものを決定いたしておるのでございます。従いましてパリテイ等の変動によりますバツク・ペイはございますが、基本米価の七千五百円という考え方につきましては、これを変更する意図は持つておりません。二十八年産米ということになりますと、また別個の問題と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/40
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041・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 この間小笠原農林大臣の本会議における答弁とは少し違つておりますが、それはあとにいたしまして、今の米の需給関係からして、自由党の諸君は、米の自由販売というようなことを盛んに言つておられましたが、そういう見通しがはたしてこの一、二年の間に実際立て得るかどうかということを、これは大臣に聞いた方がいいと思うのですけれども、食糧庁長官にひとつ説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/41
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042・東畑四郎
○東畑政府委員 米の統制の方式の問題になつて参りますと、これは刻々の条件によつて、現実に即して案を立てて行かざるを得ないと考えております。本年度産米については、統制を撤廃する意図はないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/42
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043・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 最後にちよつと御説明していただきたいのですが、米の供出をするいわゆる中農以上の分布状態と、米を供出しない農家との割合はどんなふうになつているか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/43
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044・東畑四郎
○東畑政府委員 これはなかなかむずかしい統計でございますけれども、大体供出農家というのは、三百三十八万戸程度と実は考えております。そのうちで五反以下というものは大体五十一万戸程度というように考えておりますので、まず六百五、六十万の半分が供出農家であります。そのうちで五反以下というものが、五十一万戸ある。こういうように了解をいただきたいと思います。なお詳細は資料でお出し申し上げてけつこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/44
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045・小川豊明
○小川(豊)委員 今の問題に関連してちよつと東畑長官にお聞きしたい。今資料を出すと申しましたが、その資料を出すときに、こういうことをひとつお願いしておきたいと思います。米作農家戸数、それからこれに対して供出農家戸数、それからさらに超過供出をしておる農家の戸数、それからこの超過供出をしている農家戸数を作付面積から見たような階層とでもいいますか、たとえばどのような耕作面積を持つている者が最も超過供出をしておるかというような資料をひとつつくつていただくと——今盛んに農村で、超過供出というものは富農用の政策じやないかというような意見が出て来ている。はたしてそういうような形がとられているかどうかということを知りたいために、この資料をひとつお願いしたい。こう思います。
それからいま一つちよつとお尋ねしたい。これは主税局長さんにお尋ねしたいと思いますが、畑の所得税などは、たとえば何をつくつているか、果樹をつくつているからこれは幾ら幾ら、野菜をつくつているから幾ら幾ら、こういうように大体税務署あたりできめて、農家の方と折衝しているようですが、そういう事実になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/45
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046・平田敬一郎
○平田政府委員 農家の場合にも、青色申告が普及しますと戸別的に所得計算ができるのでありますが、なかなかそう行つておりませんので、田でございますと、実収を調べまして、価格を調べまして、売上げと申しますか、収穫高、その金額に対しまして経費率が幾らかかるか、つまり所得率を見まして、それを乗じて計算する。それから畑の場合でございますと、やはり同じくタバコとか、野菜とか、果樹とか、いろいろございますが、それぞれ地方の実情に応じまして標準的なものをできるだけ調べまして、それをもとにしまして、それぞれできる限りこれも収入を調べまして、所得率を出して適用する。しかし収入がなかなか調べがつかぬような場合には、一反当り幾ら出すというような場合もこれはあろうかと思いますが、できる限り実情に即するようにやれということで、農協とよく協議をいたしまして、意見を聞きまして実行いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/46
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047・小川豊明
○小川(豊)委員 その交渉は、私どもいつも農民の代表というような立場で、畑はこれこれをつくつているから幾ら、これこれをつくつているから幾らにしてほしいということで、よく税務署と折衝をするのですが、そういう折衝をして、ことしは果樹をつくつている者は幾ら、たとえば蔬菜をつくつている者は幾ら、こういうふうにきめて、今度農家の方とこういうふうにきまつたが、これはどうかというようにやつているのが実情なんでございます。そういうことから見て、たとえばことしで申し上げますと、昨年は落花生などをつくつた。あれは九千円ぐらいの価格であつたと思うのです。ことしは非常に下落をしてしまつて六千円を割つている、こういう実情にある。こういうものに対しては、従つて税務署との折衝の場合当然これは引かるべきだ、こう思うのでございますが、そういうように引いた折衝が行われることは考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/47
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048・平田敬一郎
○平田政府委員 農産物の値段が下りましたら当然やはり減らすべきものでありますし、またそういうことを役所も調べておりますが、十分注意が足らぬ場合は、納税者の方からも遠慮なくひとつお申し出になりますことを御希望申し上げておきます。あくまでも所得は、やはり実際の収入から経費を引きまして計算するという、青色申告の実は行き方がほんとうなのでございますが、それができないから、やむを得ず今申し上げましたようなことをやつておるわけなのでございまして、それにいたしましても値段が下れば当然下げる。但し値段が下りましても、収穫がふえますと、収穫高と申しますか、金額が減らないという場合があるかと思います。それぞれよく実情を調べまして適正を期すべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/48
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049・小川豊明
○小川(豊)委員 これは質問でなくして、ちよつとあれになりますが、今おつしやつたように、価格が下つたから当然下ぐべきである。これはよくわかります。ところがそういうふうにきめてあるとすれば、収穫を上げるというような現象をつくつて来ては何にもならぬことになる。総収穫が下つたら急にその年だけは収入が上つたということはあるべきはずはないので、そういうことはひとつないようにお考え願いたい。これは質問ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/49
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050・平田敬一郎
○平田政府委員 私、その場合はそうだと申し上げておるわけでありますが、値が下つて収入がふえるということは、もちろん前提にすべきものではないと思います。しかしりんご等は、作柄がよくて値段が下つたという事情もございますし、事情を調べまして実際の収入を調べて、経費もよく調べまして適正を期する。そういう方向に努力すべきものだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/50
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051・大泉寛三
○大泉委員 さつき平田局長から税の自然増収について、所得がわずかふえても税収が非常に多くなるというお話はよくわかりますが、そこで承つておきたいことは、これが実質上の減税にはたしてなつておるかどうか。たとえば控除額を二万円から三万円に引上げても、給与所得は前年度から見ると相当多くなつておる。多くなつた分から引いてもらつても、実質上では減税になつておらぬという結果になつて来る。たとえば去年十二万円であつたものが今年は十五万円、しかし去年二万円控除されたものが、今年は三万円控除されても、課税率はかえつて重くなつておつて、実質的な減税には何らなつておらない。こういう結果になつておるのではないか。あらゆる方面から調さの結果妥当な減税を見出すであろうけれども、給与所得の値上りと減税の率とは均衡しなければ、いわゆる実質上の税の軽減にはなつておらぬと思いますが、この点はやはり実質上の減税になつておるというお考えですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/51
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052・平田敬一郎
○平田政府委員 お話のような議論もよく耳にしますので、私どもいろいろ検討いたしておりますが、これはりくつの上で物価が上つて、所得は物価が上つただけ上つて、それで税がふえるという場合は、放つておくと所得税は増税になる。これは論理は私ども認めますが、問題は、実際におきまして物価がどの程度上つておるか、それに対して基礎控除がどの程度引上げになつておるか、それによつて判断してもらわなければならないわけでありまして、これは内閣統計局でやつております消費者物価というものが一番一般的な指数でございますが、これをよくごらん願いますれば、最近大分実質的に減税になつておるということははつきりしておると思います。私いろいろの年度を一〇〇にした数字を持つておるのでありますが、まずこの事実をはつきり申し上げておきます。二十五年度一年の平均ですが、これを一〇〇といたしまして、消費者物価が幾ら上つておるかと申しますと、今年九月で二割三分一厘上つております。これは内閣統計局の調査です。朝鮮動乱以前から急激に上つておるじやないかという御議論がございます。二十五年六月動乱勃発直前、これを一〇〇としまして最近の消費者物価はどうなつておるかというと、これまた九月で二割七分七厘騰貴、基礎控除は二十五年度に比べまして、今年は三万円だつたのが五万円、来年六万円、二倍になる。もしこれが二割七分しか上つていないとなりますれば、減税といいましても差引きとんとんで、物価が上つただけ調整が加えられたにすぎない。理論としましては、私はそういう点は認めます。しかし現実といたしまして基礎控除、扶養控除等は消費者物価が上つたよりもはなはだ多く引上げられておる。その消費者物価が上つたのよりもよけいに引上げになつている分は、これはもう実質的なほんとうの減税であることは疑問の余地がございません。それで理論的に考えまして、物価が上れば何にもならないのじやないかということは、これは私は認めないわけじやない、認める。事実において幾ら物価が上つたか、幾ら控除が引上げになつたか、それから税率がどのようになつて所得税の負担が一体どうなつているのか、そこをよく見て、初めて実質的に減税になつているかどうかを判断していただかなければならない。そういう見地から行きますと、この税法上の減税が全部実質的減税とは決して申し上げないのですけれども、大部分は、この二、三年は実質的減税になつているということは申し上げることがはつきりできると思うのであります。これはいろいろこまかく検討し、研究したのもございまするが、あまりこまかくなりますとわかりにくいので、一例を申し上げたわけでございますが、大体今までの状況はそのようでございます。それからなお賃金が大分ふえているというのですが、これは物価が同じくらいしか上つていないのじやないかという疑問がおありですが、最近はそうではないのです。消費者物価をもう一ぺん申し上げますが、この一年間に物価と賃金はどうなつているのか、昨年の九月を一〇〇といたしまして、消費者物価はことしの九月は一〇二・三、つまり二・三%一年間に上つている。小売物価は逆に下つているが、家賃とか電気料金とか家計費に響くものが上つている関係上、小売物価は下つて、消費者物価は逆に上つている。上つているが、昨年九月よりことしの九月は二・三%の上り方、これに対して労働省で調べておりまする毎勤統計と申しまするもの、毎月幾つかの代表的な大、中、小にわけました工場によつて調べております給与、賃金でございますが、毎月きまつて支給する給与、これが昨年の九月を一〇〇といたしまして、ことしの九月は一割七分五厘上つている。つまり物価は二・三%上つているのに対しまして、賃金の方は一割七分五厘上つている。従いまして実質的にことしの方が確かに私は給与が上つていると思う。これは間違いない事実だと思います。
また朝鮮動乱の直前に比べましても、去年は賃金の上り方が少しおくれて、ことしになつてから上つたのでありますが、二十五年六月を一〇〇といたしまして比較いたしましても、やはり給与の方がよけい上つている。さつき申しましたように、消費者物価の方は二十五年六月を基準といたしまして、二割七分七厘の騰貴です。また二十五年六月、朝鮮動乱直前を基準にいたしまして、それと比較いたしまして今労働省調査の定期的給与は四割七分八厘の増です。しかし私は決してこれは賃金がよけい上り過ぎているという意味で申し上げているのではない。生産もやはり五割くらいふえておりますから、給与がこれだけ上るのは私理論的に考えましても当然のことじやないかと思いますが、事実はそういうふうになつているということも、これも私事実として申し上げて御参考といたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/52
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053・奧村又十郎
○奧村委員長 本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせします。
午後零時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01119521209/53
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