1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年二月二十八日(土曜日)
午前十時四十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事
大矢半次郎君
伊藤 保平君
菊川 孝夫君
委員
黒田 英雄君
西川甚五郎君
小林 政夫君
小宮山常吉君
野溝 勝君
松永 義雄君
政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵省主税局長 渡邊喜久造君
大蔵省主税局税
制第一課長 泉 美之松君
大蔵省主税局税
制第二課長 鹽崎 潤君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主税局税
関部長 北島 武雄君
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本日の会議に付した事件
○有価証券取引税法案(内閣送付)
○物品税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○砂糖消費税法の一部を改正する法律
案(内閣送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○国税徴収法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○納税貯蓄組合法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○特別減税国債法案(内閣送付)
○関税定率法等の一部を改正する等の
法律案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/0
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001・中川以良
○委員長(中川以良君) これより委員会を開きます。
本日は有価証券取引税法案、物品税法の一部を改正する法律案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、国税徴収法の一部を改正する法律案、納税貯蓄貯蓄組合法の一部を改正する法律案、特別減税国債法案、並びに関税定率法等の一部を改正する等の法律案、以上八案を一括して議題に供します。先ず提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/1
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002・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 只今議題となりました有価証券取引税法案ほか七法律案につきまして、その提案の理由を説明いたします。
政府は、昭和二十八年度予算に関連いたしまして税制の一般的改正を行うこととし、すでに所得税法の一部を改正する法律案ほか七法律案を提出し、御審議を願つている次第でありますが、今回、更に、今次税制改正の一環といたしまして、有価証券取引税法案ほか五法律案を提正すると共に、特別減税国債法案及び関税定率法の一部を改正する法律案を提出することといたした次第でございます。
先ず第一に、有価証券取引税法案について申上げます。
政府は、先に提案いたしました所得税法の一部を改正する法律案において、有価証券の譲渡所得に対する課税を廃止することとしているのでありまするが、有価証券の取引の状況等に顧み、この機会において、有価証券取引税を創設し、有価証券の譲渡があつた場合に軽度の税率により課税することとしている次第でございます。
有価証券取引税は、公社債券、株券、出資証券、証券投資信託の受益証券等の有価証券の譲渡がありました場合に、その譲渡価額を課税標準とし、その譲渡者を納税義務者として課税することとしているのでありますが、短期国債証券及び国民貯蓄債券の譲渡等につきましては、その性質に鑑み、課税しないこととしているのであります。更に、公社債券等の譲渡につきましては、その取引の現状等を考慮して、今後一年間は課税しないこととしているのであります。
次に、税率は有価証券の取引を阻害しないこと等を考慮して、公社債券及び貸付信託の受益証券については万分の十、株券出資証券及び証券投資信託の受益証券については万分の二十とし、又有価証券の譲渡者が証券業者である場合には、その譲渡が頻繁に行われる点等を考慮いたしまして、右の税率を、それぞれ万分の四及び万分の八といたしているのであります。
次に、納税方法につきましては、極力その簡素化を図ることいたしまして、証券業者が取扱う場合における税額については、証券業者が毎月分をとりまとめて納付するものとし、その他の場合における税額につきましては、譲渡の際有価証券取引書に印紙を貼付することとしているのであります。
第二に、物品税法の一部を改正する法律案について申上げます。
物品税につきましては、最近における物品税の負担の状況等に顧み、実用品的性格の強いとみられる紙その他の物品について税率を引き下げる等負担の調整を行うと共に、貴金属製品等の一部の物品について従来の製造課税を小売課税に改めて、課税方法を実情に即せしめる等の改正を行うこととしているのであります。
第三に、砂糖消費法の一部を改正する法律案について申上げます。
砂糖消費税につきましては、他の消費税との負担の権衡等を考慮して、分みつ白糖等につき税率を二割程度引き上げると共に、含みつ糖についてその種別に応じて負担の調整を図る等所要の改正を行うこととしているのであります。
第四に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申上げます。
本改正案におきましては、先ず、資本蓄積の促進に資するため、預金利子等に対する所得税の源泉選択税率を五〇%から四〇%に引き下げると共に、同族会社の積立金に対する法人税の非課税限度額を五十万円から百万円に引き上げることとしているのであります。又、価格変動準備金について新たにその対象に国債を加えると共に、繰入限度額の制限に関する経過的規定を廃止し、直ちにその全額を繰り入れることができるごととしているのであります。
次に、貿易の振興に資する等のため、貿易業者について新たに輸出損失準備金の制度を設け、一定限度内の積立をしたときは、これを損金に算入するごととするほか、貿易業者等が海外に支店等を設けた場合における設備費等について特別償却の制度を設けることとしているのであります。
次に、財産税調査時期後引き続き有している山林について山林所得の計算を簡素化するため、概算経費控除の制度を設け、納税義務者の選択により、その収入金額に一定割合を乗じた金額を必要経費として、控除し得ることとしているのであります。
更に、国有林野整備事業を容易にするため、民有林野と国有林野との交換があつた場合における所得税、再評価税及び登録税の課税について特例を設ける等最近の情勢に応じ所要の減税措置を講ずることとしているのであります。
第五に、国税徴収法の一部を改正する法律案について申上げます。本改正案におきましては、過誤納金の還付を促進するため、税務署所在地内の納税者に対しても、もよりの郵便局において還付を行うことができることとし、なお、延滞加算税額の計算の簡素化を図る等のため所要の改正を行うこととしているのであります。
第六に、納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案について申上げます。
現行制度におきましては、納税貯蓄組合の預金を納税以外の目的のために引き出した場合には、その部分の利子については所得税を課税こととしているのでありますが、この場合においても、一定の利附期間内に引き出された金額の合計額が三万円以下であるときには、その利子に対しては課税しないことに改め、納税貯蓄組合制度の普及に資することとしているのであります。
第七に、特別減税国債法案について申上げます。
政府は、先に産業投資特別会計法案を提出し、御審議を願つているのでありますが、同会計の財源に充てるため、昭和二十八年度において、三百億円を限り、特別減税国債を発行することとし、その利率は年四分、償還期限は五年以内としているのであります。
而して、特別減税国債の消化を促進するために、これを購入した者に対しては、一定の減税を行うこととしているのであります。即ち個人が購入した場合には、昭和二十八年分の所得税から、その税額の二〇%相当額を限度として、購入額の二五%相当額を軽減するこことし、法人が購入した場合には、昭和二十八年四月一日から昭和二十九年三月三十一日までの間に申告期限の到来する法人税から、その税額の二〇%相当額を限度として、購入額の二一%相当額を軽減することとしているのであります。
以上の減税と前に申し上げた條件とによつて、特別減税国債の実質利廻りは、個人の場合は一割二分、法人の場合は一割五厘程度と相成るのであります。なお、特別減税国債の利廻りが、右の額を不当に超えることとならないようにするため、法人が特別減税国債を売却した場合の損金算入について一定の制限を設ける等所要の措置を講ずることとしているのであります。
第八に、関税定率法等の一部を改正する等の法律案について申上げます。
この法律案は現下の情勢に鑑みまして若干の物品についてその関税率を引き上げ、暫定的に輸入税を免税しております品目を整備いたしますと共に、その免税期間を延長して、我が国産業の維持育成を図ることを目的とするものでありまして、その主要な点は次の三点でございます。
その第一はセメンシナほか六品目の輸入税を引き上げて、当該産業の維持育成を図ろうとするものであります。即ちセメンシナの現行輸入税率の無税を一割に、麦角の無税を一割に、サントニンの無税を二割に、群青の二割を二割五分に、カーボンブラックの一割を二割に、テレビジヨン受像機の二割を三割に、及びこんにやく芋の一割五分を四割五分に引き上げようとするものでございます。
第二は、児童給食用乾燥脱脂ミルク及び重要機械類並びにこうりやん、とうもろこし等の諸品目につきましては、暫定措置として本年三月三十一日までその輸入税を免除しているのでありますが、これらの物品につきましては諸般の事情に鑑みまして、引続き昭和二十九年三月三十一日まで一年間その免説期間を延長いたしますと共に、落花生についてはその採油産業を保護するため、採油に供されるものに限り免税することとし、菜種及びからし菜の種等はこの種国内産業を保護するため免税措置を廃止し、又企業経営の合理化を促進するため、せん孔カード式統計会計機械を新たに免税品目に加え、船舶については免税の期限を昭和二十八年六月三十日までとすることとすると共に、重要機械類については若干その免税機械類の範囲を拡げようとするものでございます。
第三は、鉄鋼の需給及び価格の状況等に鑑み、その輸入税を免除する必要がないと思料されますので、特定の場合を除き鉄鋼に対する免税措置を廃止しようとするものであります。
以上がこの八法律案の提出の理由並びにその概要でございます。
何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/2
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003・中川以良
○委員長(中川以良君) 最初に関税定率法等の一部を改正する等の法律案につきまして、内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/3
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004・北島武雄
○説明員(北島武雄君) 関税定率法等の一部を改正する等の法律案につきましては、只今提案理由の説明があつたのでございますが、若干その内容を補足いたしまして、御説明申上げます。
只今提案理由にございましたように、今回の改正の要点は、主要な点は二点でございます。
先ず第一には、関税定率法別表輸入税表中サントニンほか六品目の輸入税を引上げた点でございます。関税定率法別表輸入税表は、一昨昭和二十六年に全面的に改訂をいたしまして、只今まで参つたわけでございます。その間昨年の国会におきまして、砂糖及びそれに関連する数種類の品目について、関税率の改訂を行なつたのでございます。この約二年間の施行後の状況をみまするに、なお最近別表輸入税表中には、改訂を要する品目も相当ございまして、各省、或いは関係者等からいろいろ御希望があつたのございますが、この際といたしまして、私どもここに挙げておりますサントニンほか六品目について一応止むを得ざるものと考えまして、税率の改正をいたしたわけであります。御承知のように日本は只今ガットに加入申請をいたしておりまして、大体その関税交渉の開始せられるべき時期も相当真近に迫つているように考えられますので、この際といたしましては、できるだけ関税率をいじらないほうが、対外的感情上よろしいのでございますが、各省から相当御希望の品目もございましたけれども、この際といたしましては一応最少限度の改正に止めることにいたしたのでございます。
これらの品目につきまして若干御説明申上げますと、先ずサントニンにつきましては、現在無税を二割にいたしました。サントニンは戦前は全く我が国には生産がございませんで、専ら輸入に待つておつたのでございます。戦後北海道、東北地方におきまして「みぶよもぎ」と称するサントニンを含有する植物の栽培に成功いたしまして、それからサントニンを生産いたして参つたわけであります。最近におきましてはその生産も相当進みまして、国内需要を十分に賄い得るばかりでなく、相当量の輸出も今後可能な程度となつたのでありますが、然るに英国、インド等におきまするサントニンの市価は我が国のものよりも低いので、現在のサントニンの関税を無税にしようとします場合には、国産の圧迫を受ける恐れも多分にございますので、この際無税を二割に引上げたのでございます。
第二、セメンシナと申しまするサントニンの原料植物を、これを無税から一割に上げてございます。セメンシナと申しまするのは、これもやはり「よもぎ」の一種であります。ソヴィエト或いはパキスタン方面で栽培いたされておるのでありますが、サントニンの関税率を引上げますにつきまして、その原料植物であるセメンシナも無税にしておいては、サントニンの保護の目的を達することはできませんので、これに伴いまして無税を一割に引上げたのでございます。
次に麦角の輸入税の無税を、一割に引上げようとするものであります。麦角と申しますのは、裸麦に一種の菌類を発生させまして、これを採取いたして乾燥したものであります。何に使われるかと申しますと、婦人薬、話がちよつと長くなりますけれども、婦人薬で止血剤、血をとめる薬になるのでございます。相当重要な薬剤でございまして、戦前は我が国におきましては全く生産がなかつたのでございましたが、昭和二十三年頃から岩手県方面におきましてその栽培に成功いたしまして、現在では国内需要を十分に満たしまして、更に輸出もなし得るような状態になりましたので、この際無税を一〇%に引上げる、こういうことにいたしたわけであります。
次に群青の関税率の二割を二割五分に引上げようとするものであります。群青と申しますと、これは一種の青色の顔料でございまして、カオリン、珪藻土、ソーダ灰、硫黄、石炭等を原料として製造したものであります。その用途といたしましては、仕上りました綿布などに捺しまするインキ、或いは印刷用インキなどの原料になるのであります。本品の国産は昭和十三年頃から始められて参りまして、戦後におきましては昭和二十四年頃には四社が生産いたしておりましたが、これが外国の安い群青に圧倒されまして、次々に業務を廃止するような恰好になつて参りまして、そのままで放置いたしますれば、折角国産において可能になりましたものを、壊滅に帰せしめる恐れが多分にございますので、この際最小限度の引上げをいたしたわけであります。
次にカーボンブラツクの一割を二割に引上げようとするものであります。カーボンブラックは御承知のように、ゴム工業、印刷インキの製造、電線製造等の原料となるものでありまして、本品につきましては、大体数量的にはほぼ国内の需要を賄い得る程度にはなつておりましたが、未だその品質がアメリカの品に比べまして十分対抗でき得ないこと、並びに価格の面等におきまして、今までは輸入と国産とほぼ同数量程度で国内の需要を賄つておつたのであります。最近我が国の石油精製工業が発達するに伴いまして、石油精製工業の副産物でありますアロマテックと申しますか、芳香族性の重油から良質のカーボンブラツクを製造する方法が、日本におきましても発達いたしまして、近く四工場がそれによりまして生産を始めるべく、目下建設中でございます。昭和二十八年度中におきましては、相当市販品も出廻わるような状況でございます。この法によりますと、従来のカーボンブラックに比べますと、非常に良質な、殆んど舶来のものと違わないようなものができますが、この際国産業を保護するために、カーボンブラックの関税率を一〇%から二〇%に引上げようとするものであります。
次にテレビジヨン受像機も現行関税率二割を三割に引上げようとしております。テレビジヨンの放送は去る二月一日からNHKが開始いたしておりますが、それに伴いまして、テレビジヨン受像機の国産工業を至急に確立する必要があるわけであります。御承知のようにテレビジヨン受像機の製造工業を国内で確立いたしますことは、結局我が国が先進国に比べましてかなり遅れておりますところの超短波工業の確立に寄与することにもなりまして、我が国の工業政策上も大きな意義があり、目下のところ日本のテレビジヨン受像機の製造工業は、これから開始せんとする段取にありまして、この際外国の非常に安いテレビジヨン受像機に圧迫されますことは、その早期の確立することの妨げとなることと考えますので、この際二〇%の関税率を三〇%に引上げようとするものであります。
最後にこんにやく芋の現行関税率を一割五分から四割五分、三倍に引上げようとするものであります。こんにやく芋は我が国におきましては群馬県、栃木県、茨城県、静岡県、福島県、宮城県等の比較的傾斜地の山間におきまして栽培せられるものであります。その地方におきましては、これが殆んど唯一の金に換える作物、換金作物となつておるのであります。ところがインドネシア、或いは南支方面から極めて安いこんにやく芋がこの一両年入つて参りまして、それがためにこんにやく芋を栽培しておる農家の現金収入というものは相当顕著な減収をきたしておる状況であります。現在こんにやく芋を栽培しております約十六万戸の農家の生活にも、非常な影響があるようにも考えますので、この際従来の一割五分を四割五分に引上げようとするものであります。
第二点は現在関税定率法の附則等におきまして、暫定的に輸入税を軽減又は免除しております品目がございます。これらの品目につきまして一応期限は本年の三月末日で切れるのでありますが、一応期限延長いたしますまでの品目については、若干の整備をいたしておるわけであります。その内容は提案理由の説明におきまして、大体尽きておりますので、今更これに付加える必要もないことと思います。
第三点は鉄の輸入税免除に関する法律をこの際廃止しようとするものでありまして、鉄の輸入税は昭和十二年、ときの軍需生産拡大の必要から緊急勅令を以ちまして、免除の規定を置きました。その後法律に置き換えられました、次々に期限が延長されまして、昭和十六年にはこれを当分の間免除するということになつておつたわけであります。戦争中は成るほど鉄の輸入税を免除する必要が十分にあつたのでありますが、ところが終戦後その必要がなくなつたかと申しますと、戦後戦災によりまして、破壊されました鉄鋼業がまだ十分に確立せられない間は、まだ暫定的にこの法律を残しておつたのであります。最近御承知の通り鉄鋼の需給関係、生産状況と言い、十分に立ち直つて参りました。相当に輸出もあるような状況でありますので、この際鉄の輸入税免除に関する法律は廃止しようとするものであります。但しこれにつきましては二つの例外を設けまして、その一つは輸出用の玩具の製造に使用いたしますところの薄い鉄板の、傷物でございますが、これは今これを一挙に廃止いたしますと、それを作つておりますメーカーの相当な負担にもなります。又輸出の阻害という面も考えられますので、一応暫定的に一年間だけ免除いたしまして、その間にこれらの状態を整備いたしまして、できるだけ早い機会にまあ輸出のほうについては保税工場制度の利用に俟つことにいたしておるわけであります。取りあえず一年間だけそういう薄い鉄板、傷物については免税を考えておるわけであります。第二の例外といたしましては溝型レールでございます。これは市内電車の曲り角に使用されておりますところの溝になつておるレール、我が国におきましては、昭和十二年以後この輸入がなかつたわけであります。最近取替期になつて参つております。昨年度におきましては昭和二十七年度におきましては、東京都が約六百トンばかりこれを輸入いたしております。それから二十八年度におきましては東京都初め六大都市並びに函館、熊本におきまして、この溝型レールの輸入約三百トン程度のものを輸入する見込みになつております。これは鉄の輸入税の免除に関する法律が当分の間免除するということになつておりますので、各自治団体としてはすでに免税額において予算も組んでおります。又事業の性質にも鑑みみまして、一挙にこれを免税を取払うことは如何かという関係もございますので、大体その一応の輸入の終ります九月末日までを目標といたしまして、免税を延長するということになりますが、なお以上の改正に附加えまして、従来金工業に使用いたします特定の物品につきましては、金管理法におきまして、昭和二十八年の四月末日まで若干の物品が関税を免除せられることになつております。今回金管理法の改正に伴いまして、この輸入税の免除に関する事項は関税定率法のほうに移すことになりまして、差当り期間を来年の三月一ぱいまで免税を延長いたしますと共に、品目につきましては若干の整理をいたしたわけであります。
以上が今回提案いたしました関税定率法等の一部を改正する等の法律案の内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/4
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005・中川以良
○委員長(中川以良君) 次に引続き、その他七法律案につきましての内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/5
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006・鹽崎潤
○政府委員(鹽崎潤君) 先ず第一に有価証券取引税法案について御説明申上げたいと思います。今回所得税法におきますところの有価証券譲渡所得の税金におきまして、最近の有価証券の取引市場から考えますると、旧有価証券移転税の例にならいまして、有価証券の譲渡に対しまして、軽度の有価証券取引税を課税することといたした次第であります。その内容について概略を申上げたいと思います。
大体この有価証券取引税の構成は前回昭和二十二年に廃止になりましたところの旧有価証券移転税の例にならつておるわけでございますが、建前といたしまして、若干その制度は踏襲しておりますが、内容におきまして若干構想を変えております。先ず第一に旧有価証券移転税におきましては、すべての移転について取得者に課税するというようになつておりましたのを、最近の株式取引市場の状況から見まして、譲渡者のほうに課税するほうが株式の取引の流通を阻害することも少いのではなかろうか、こういう意味におきまして、譲渡者課税の原則をとつております。
それからその次には有価証券の課税範囲でございますが、これもおおむね旧有価証券移転税の例にならつておりますが、その後新らしく認められましたところの証券投資信託、それから貸付信託法によりますところの貸付信託、受益証券この二つを追加いたしておりますが、なおこの有価証券の範囲につきましては、証券取引法の認められておりますところの有価証券と平仄を一にいたしまして、結局現物の受渡しになりますところの権利株の取引につきましても、今回は課税することといたしております。但し現在におきましては差金決済の取引法は禁ぜられておるのであります。若しも行われましても取引税の課税となりますので、それは現物の受渡しのものの課税、こういうふうになつております。
その次は有価証券納税義務者の点は先ほど申し上げましたが、譲渡者を課税いたしておるのであります。で、前回におきましては贈与、遺贈、こういうものにつきましても、前回と言いますか、旧有価証券移転税につきましては贈与遺贈につきましても課税することになつておつたわけでありますが、前回は取得者課税の建前から、そういうことになつておつたわけでありまして、今回におきましては譲渡者、譲渡だけに限つておりまして、贈与、遺贈によりますところの有価証券の譲渡については課税いたさない、こういうふうにいたしております。これは贈与税も課税になつておる。これとのバランスを考えた次第であります。で、なお有価証券の課税範囲は以上のごとくでございますが、課税にならない譲渡といたしまして、信託の場合、それから消費貸借の場合、それから売出によりますところの有価証券の譲渡、それから引受発行の場合の社債、これらにつきましては旧有価証券移転税の例にならいまして非課税といたすことといたしております。
その次は第九條にあります課税標準であります。課税標準は大体大部分は売買によりますところの取引が課税になるわけでございます。その売買によるものにつきましては売買価格、その他の譲渡によるものにつきましては、そのときの時価、こういうふうにいたしております。その点は旧有価証券移転税にならつたわけでございます。
その次は税率でございますが、税率は先ほど申上げました有価証券の取引を阻害しないということを本旨といたしまして、軽度の税率を設けたわけでございます。先ず第一に証券業者を譲渡者とする売買によりますところの譲渡でございます。そのうちに二つに分けまして、先ず第一に株券、投資信託の受益証券、それから出資証券この三つにつきましては譲渡所得の発生する機会の多いこと、それから取引の流通の多いことを考えまして、この取引につきましては、甲につきましては譲渡価格の万分の八、こういう税率を設けております。それから乙といたしまして公社債の利付債券、この取引につきましては担税力の弱い点を考慮いたしまして、その半分の税率の譲渡価格の万分の四、こういうふうにいたしております。その次は証券業者以外のかたのなされる譲渡でございますが、これにつきましても同様に税率を区分いたしまして、株券、出資証券、投資信託の受益証券につきましては、譲渡価格の万分の二十、公社債等につきましては、その半分の、譲渡価格の万分の十、こういうふうにいたした次第でございます。証券業者と証券業者の方以外の方との税率を区別いたしました理由は、旧有価証券移転税の例にならいましていたしたわけでございますが、証券業者のかたの取引というものは、建前といたしまして、証券業者は売買仕切をするものではないという建前、それと同時に売買仕切をいたしましても、その回転が極めて頻繁であるという観点からいたしまして、証券業者以外のかたの税率に比べまして低くいたしておるわけでございます。
その次は納付方法でございますが、納付方法も大体旧有価証券移転税の例にならつております。大部分は証券業者の委託を受けまして譲渡が行われるわけでございますが、証券業者の委託を通ずるものにつきましては、毎月分をとりまとめまして、翌月末までに納付する、こういうふうにいたしております。証券業者が自己の売買いたす分につきましては、自分が徴収いたしまして、そのまま納めることになつております。その他の相対売買など、証券業者を通じない取引につきましては、これは一々税務署等に行きまして申告するのも厄介でございますので、旧有価証券移転税にならいまして、譲渡者が、有価証券取引審を作成いたしまして、これに印紙をはりまして消印をする、こういうふうにいたしております。
その他、利子税、軽加算税、重加算税等の徴収方法につきましては、大体通行税の例にならいまして、その制度を設けてございます。
なお形式的な問題といたしまして、先ず第一に、公社債の譲渡につきましては、最近におきますところの公社債市場がないということ、今後又公社債市場を育成する必要があること等を考えまして、向う一年間は公社債譲渡につきましては課税しない、こういうふうにいたしております。
第二点といたしまして、証券投資信託の信託財産に属しますところの株式の譲渡につきましては、その株の流通が相当頻繁であること、それから、最近におきますところの投資信託の育成の見地から見まして、この税率につきましては、二年間に限りまして、譲渡価格の万分の八と、証券業者なみの税率を設けておる次第でございます。
以上が有価証券取引税法案の概要の説明でございます。
第二の法案は、砂糖消費税でございます。この概要について御説明申上げます。
砂糖消費税につきましては、今回は砂糖消費税の、最近におきますところの消費税の負担状況を考えまして、分蜜白糖につきまして約二割程度の増徴をいたすことといたしたわけでございます。これに伴いましで、分蜜白糖との権衡を考えつつ含蜜糖につきましても相当の税率を設けたわけでございます。先ず税率について御説明申上げます。第一に含蜜糖、分蜜せざる砂糖となつております。この含蜜糖につきましては、現行法におきましては、一本の税率の四百円となつておるわけでございます。そのために、その四百円といいます税率は、分蜜白糖の税率に比べまして、分蜜白糖の税率は現益千九百五十円でございますが、その税率に比べまして非常に安い税率でございます。この税率を設けてありますところの根拠は、外国産の樽入黒糖を保護するというような見地から、相当低い税率が設けてあるわけでございますが、そのために外国から入りまする含蜜糖の中に、分蜜白糖に類する砂糖が入つて来る。或いは外国の粗製糖みたいなものが入つて来まして、分蜜白糖から作りました内地産の粗製糖との負担の権衡を失する。こういうような弊害が起つて来ておるわけでございます。そこで、今回におきましては含蜜糖を三種類に分けまして、先ず第一に甲類といたしまして、従来樽入黒糖、樽入白下糖といたしまして区分いたしておりましたところの制度を復活いたしまして、これにつきましては依然といたしまして、百斤につき四百円の税率を据置く、こういたします。乙類といたしまして、含蜜糖のうちの糖度の若干低いもの、八十度以下のものを設けまして、これにつきましては百斤につき八百円、丙類といたしまして、その他の含蜜糖、これを百斤につき千七百円といたしておるわけでございます。なお、八十度を超えるものにつきましては、全部分蜜白糖といたしまして、外国産の砂糖が入りました際にその鑑定等について問題を生じないような考慮を払つておるわけでございます。第二種の分蜜白糖、これは普通見られますところの白砂糖でございます。これにつきましては、二千三百五十円、現在の千九百五十円から二割程度の引上げを行なつております。その他、氷糖、糖蜜、糖水、これらにつきましては、分蜜白糖に対するところの税率の引上げ、程度を考慮いたしまして、おのおのそれに負担の権衡をとりつつ税率を二割程度引上げております。
なお、砂糖消費税につきましては、利子税の制度を、酒税、それから物品税等の例にならいまして、利子税の制度を設けておるわけでございます。
以上が砂糖消費税法の一部を改正する法律案の概要でございます。
第三に物品税法の一部を改正する法律案の概要について御説明申上げます。
物品税につきましては、最近の取引市場から見まして、極めて問題が多いわけでございますが、最近の租税収入の状況を考えまして、原則としては大幅の減税を行わないという建前から、若干の税率の調整を行つておるわけでございます。その他課税の充実、課税の権衡を図る意味から、一種の貴石若しくは半貴石、真珠、こういう物品税が当初設けられましたときに小売課税となつておりました物品につきまして、製造課税にされたものを、又小売課税に移す改正を行つておるのであります。
先ず第一に課税品目についての改正の概要について申上げます。只今申上げましたように先ず第一に新しく製造課税から小売課税に移す物品を設けたわけでございます。で、昭和二十二年の改正におきまして、物品税法においてそのときに小売課税制度を全面的に廃止いたしまして、製造課税に移したわけであります。そのときの理由といたしましては、そのときの闇市場、流通市場が崩れまして、小売課税制度の実施が困難であるという理由で、小売課税の制度をとつておりました物品につきましては、全部製造課税に移したわけでございますが、貴石、半貴石等の物品につきましては、製造課税の意味が極めて薄い、何が製造であるかという問題も非常に多いわけであります。そこで今回は最近におきます流通市場の整備に伴いまして、昔の制度に返えして、こういうことにいたしたわけであります。新しく小売課税にいたしました品目は貴石若くは半貴石、若しくはこれらを用いたる製品、真珠、貴金属製品、亀甲製品、七宝製品等であるのであります。そのうちで金属製品のうち金時計、白金時計、それからこれらの部分品につきましては、なお製造課税のほうが取引の実際、徴税の便宜にも適しますので、この物品につきましては、依然として製造課税といたすことにいたしております。その他製造課税の物品につきましては、税率の若干の調整を行つております。その根拠といたしましては大体実用品的性格の強いと認められる物品につきましては、最近の負担状況を考えまして、税率若干の引下を行うことにいたしております。その品目を申上げますと、写真機類、それから双眼鏡等につきましては現行四〇%を三〇%に、それからネオン変圧器につきまして、変圧器の使用用途から見まして、ネオン管に使われるときには高く、その他の用途に使われるときには無税であるということから考えまして、そのあたりの権衡を考えまして四〇%から二〇%程度に引下げる。喫煙用ライターにつきましては、他の喫煙用具等との権衡を考えまして三〇%から二〇%に引下げております。蓄音器用のレコード針につきましては三〇%から二〇%に引下げております。コーヒー、ココアは関税が課税されております関係から考えまして、コーヒー、ココア等につきましては二〇%から一〇%に引下げる、時計部分品につきましては、実用品的性格の趣旨を考えまして二〇%から一〇%に引下げる、化粧クリーム、ポマード等、金庫、タイル、ラジオ聴取機、このラジオ聴取機は五球以下のものにつきまして、それから受信用真空管、乗用三輪自動車、果実エッセンス、敷物類、紙、口中剤、これらにつきましておのおの一〇%から五%に引下げております。なおラジオ聴取機につきましては、オールウエーヴその他六球以上の高級品につきましては、蓄音器等の負担を考えまして、これらの点については税率を引上げて二〇%といたしております。なお紙、セロフアンにつきましては現在五%の税率でありますが、これにつきましては三%に引下げます。
それから第三種のサッカリン、ヅルチンにつきましては、最近の砂糖との競争関係を考えまして、その税率を現在一キログラム千円でありますのを三百円、こういうことに引下げることにいたしております。
なお、物品税につきましても、砂糖消費税と同様に、利子税の制度を設けることといたしております。
なお只今申上げましたのは法律の概要でございますが、法律によつて委任されておりますところの課税物品の最低限その他につきましては現在検討中でございます。なお最近の嗜好飲料の課税との負担を考えまして、果実水につきまして課税することを考慮し、自動車につきましては、従来の物品税法におきまして輪距区分が百十二インチで大型と小型を分けておつた。現行におきましてはそれを百二十インチといたしておりますが、これを輪距区分につきまして改正し、大型小型についての負担の権衡を図る、こういうことを考慮いたしております。
その次には国税徴収法の一部を改正する法律案について御説明申上げます。国税徴収法の一部を改正する法律案の概要について申上げますと、先ず第一に手続の問題でございますが、会社更生法によりますと、会社の債権債務の決済は全部本店に集中いたす、こういうことになつておりますが、そこで国税徴収法によりますと、物品税等につきましては工場所在地、源泉所得税につきましては支店の所在地と、こんなふうな徴収関係になつておりますのを、今度は会社更生法の適用を受けます際には全部本店に集中する、こういうふうな制度を設けて、なお延滞加算税額につきましては、先ほどから御審議を願つておりますところの所得税の例にならいまして利子税の簡易計算の制度にならいまして、簡易税額表を作る、その他過誤納金の還付方法につきましてこれを簡素化するために、税務署所在地の納税義務者についても、一々税務署に呼び出すようなことをせずに、最寄りの郵便局から支払うというような制度を設けることといたしております。
もう一つ納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案について御説明申上げます。現在納税貯蓄組合法に基きまして設立されましたところの納税貯蓄組合につきましては、その預けておりますところの預金につきまして納税のために引出すところの預金利子につきましては、所得税が非課税となつておるわけでございますが、納税以外の目的に引出されるときには課税する、こういうようになつておりますのを、納税貯蓄組合の制度を普及するために、政令で定める期間内において三万円未満のものにつきましては、納税の目的以外の目的のために引出されても課税しないということにいたしまして、納税貯蓄組合制度の普及を図る、こういうことにいたしております。
以上有価証券取引税法案、物品税法の一部を改正する法律案等についての御説明を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/6
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007・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 租税特別措置法の一部改正法律案について簡単に補足的な御説明を申上げたいと思います。
法案の中で初めのほうは主として條文整理だけでございますが、自主的な改正といたしましては一番最初に、二條の二第一項の中で「百分の五十」を「百分の四十」に改めるという改正規定がございますが、これは源泉選択の税率を、現在のまま貯蓄奨励の意味を以ちまして百分の五十を百分の四十に引下げたい、前回改正の全貌を御説明申上げましたときに申上げたことをこの規定において実現したいと思つております。それからその次の自主的な規定につきましては、五條の九の一項の「(国債証券を除く。)」というその括弧書を削る。これは価格変動準備金、これの対象といたしまして現在国債証券が除かれておりますが、いろいろな関係からいたしまして国債証券もやはり準備金の対象に入れようというのでこの規定を置いた次第であります。
それからその次の自主的な規定といたしましては、第五條の十二中の「第二号」を「第三号」に、「五十万円〕
を「百万円」に改める。」この規定でございますが、これは同族会社における積立金につきまして、五十万円を超えの場合に現在百分の五の税率で課税しておりますが、この制度はいろいろな意味を持つておるわけでございますが、更に今後検討を続けて行きたいと思いますが、この際といたしまして現在の五十万円の金額を百万円に引上げたい。これによつて中小の会社はあの積立金課税につきまして相当の負担の軽減を期待できるのではないかというふうに考えております。
それからその次に七條でございますが、七條と七條の二。これは七條のほうが個人、七條の二のほうが法人でございますが、規定の内容といたしましは、貿易業その他の事業の個人又は法人が海外に支店を設けました場合、その支店設置について特別の償却を認めて行こう、即ち機械器具その他のものでございますと、これは二分の一の特別償却を認める、それから建物その他でございますと三年間五割増しの特別償却を認めて行こう、権利金につきましては、土地、家屋のための権利金につきましては二分の一のいわば特別償却のようなものを認めて行こう。但しこの期間は二十八年一月一日から昭和三十二年十二月三十一日までの間に海外に支店を設置したといつたような場合に適用されるものでございます。
七條の二は、同じようなことが、法人の場合にこれを行うという意味において、別の條項として規定がしてございます。
それから八條、八條の二でございますが、これは先に御説明申上げましたいわばキャンセル準備金とも簡単に言い得るものだと思いますが、青色申告を提出しておる個人又は法人で貿易業を営んでおるという場合におきましては、これも五年間をめやすにいたしまして、二十八年から三十二年までの各年において、当該年中に成立した輸出契約の契約高の合計額からその年中に取り消された輸出契約の契約高の合計を差引いた金額、即ち契約の出来高について千分の五に相当する金額、又は事業、その貿易関係の所得の中で千分の五に相当する金額、そのいずれか低い金額を積立てることができる。この場合においては損金に見る。但しその最高限度としましては輸出契約額の千分の十を限度とする。同時に法人におきましてはその千分の十か又は自己資本の金額、つまり積立金を含んだ自己資本の金額を限度として積立てることができる、こういうような制度にしよう。八條、八條の二の個人及び法人におきましては多少字句が違つておりますが、狙いはそこにあるわけであります。
それから九條でございますが、九條の三項の中のこれは字句整理がありまして、その次に二項の次に一項を加える、これは国有林野整備臨時措置法というものができまして、国有林と民有林との交換関係がこの頃大いに奨励されておりますので、その場合における交換による登記の登録税免除ということを考えております。それからなお、この関係の所得税関係のものはあとにもう一つ條文がございますが、そのとき御説明します。
それから十條の三でございますが、これは外航船の建設のために資金を借りたそのとき抵当権の設定が行われる。このときの登録税につきましてこれは本来でございますと千分の六・五でごいざますがおおむねその半額の千分の三にしよう、今までは政府の見返資金の金が出ておりましたが、今度は開発銀行の金が出る、見返資金の金が出ております時分におきましては、見返資金のため金を借りるための抵当権の設定については別に登録税の課税がなかつたのですが、今度は全部開発銀行のほうで借りるとしますとそのために抵当権の設定の金額も殖えるということもございますが、それらのものはまあ特に政府がそんなふうな金を出して外航船を奨励しておる時期でございますので、こういう措置を考えております。
それから十二條でございますが、これは山林所得の計算の場合に、一応の特別な簡易計算の方法を考えたらどうだろうか、問題は御承知のように山林所得につきましては山林の譲渡価額から必要経費を差引くわけでございますが、財産税の課税当時に持つておりました山林につきましては再評価いたしまして、そうしてその再評価額とその後の経費を差引くわけですが、財産税の評価当時の価格がなかなかはつきりつかめない場合が、或いはつかみにくいといいますか、そういう場合があるわけでございます。例えば山林の間伐をやつた場合等いろいろな事例がございます。それでいわば標準経費率というようなものを作りましてそうして収入金額からその標準経費に当るものを差引いて申告すれば、政府としてもそれを認めて行こう。この場合は同時に再評価といつたようなややこしい手続をいたしますと、折角の簡単にしようという趣旨が消えますので再評価のほうはむしろそれへ織り込んでしまつて同時に再評価税の負担もその率を勘案する場合におきまして一応合理的な数字を出しまして、そうしてそれによつて行なつて行くということを考えてやつたらどうかというのがこの十二條の規定でございます。
それから二十條でございますが、二十條の二でございますが、これが先ほど言いました国有林野整備臨時措置法の関係でございまして、登録税のほうは前のほうに規定されておりますが、こちらのほうは交換があつた場合のその譲渡所得の課税の問題でございます。単純に交換だけでございまして、そこに余分に金をもらうといつた事実がない場合におきましては、この場合には譲渡所得税は課税しない、物自身が単に置き替つたというくらいに考えることを考えております。なおそこに民間のほうで渡した部分が多くて国有林のほうからもらつた分が少いということによりまして差金が出て来るという場合には、その分についてだけ譲渡所得の課税の問題を考えて行こう、これがこの法律の趣旨でございます。
なお、附則につきましては七項についてだけ簡単に御説明を申上げて置きます。価格変動準備金におきましてはその価格変動準備金を四期に亘つて四分の一づつ順次積み立て得るというふうに、一遍に積み立てない、といつたような制限があつたのでございますが、もうすでに二期経つておりまして、この際この制限はもう取り払つてもいいんじやないだろうかというので、その制限を取り払う意味の規定が第七項の附則でございます。それ以下の附則につきましてはそれほど大した重要な規定はございません。
それからその次に特別減税国債法案について簡単に御説明申上げます。
第一條の関係は、これはいささか大蔵省内部の問題になりまするが、理財局の関係の法文でございまして私のほうといたしましては主として二條以下につきまして御説明申上げたいと思いますが、一応第一條について申上げますと、先ほどの提案理由の説明にもございましたように、産業投資特別会計の歳出の財源に充てるために三百億円を限つて特別減税国債を発行する。利率は年四分、償還期限は五年以内で、これによりまして利廻りは個人の場合は、先ほど申しましたように一割二分、法人の場合が一割五厘ということが考えられております。で、特別減税国債を購入しました場合におきましては、二十八年分の所得税から購入額の個人でありますれば二割五分相当税額を軽減しようというのが第二條の規定でございます。その場合におきましてその所得税額が全体の二割を超えることはない、二割を一応の限度とする。
申告所得税、申告納付税の場合と給与所得、退職所得の源泉徴収の場合と手続的に多少違いますが、申告納税者の場合におきましては予定申告におきまして減税票を、予定申告の額について減税票を提出されれば、その年分の全体の見積額の二割の限度におきまして軽減ができる。予定申告するその一期分二期分というものについての二割という考え方でなくて、年全体についての二割を一時に軽減を受けることもできるというふうに考えております。
それから給与所得の場合におきましては、給与の支払者に提出しましてそうして軽減を受ける。この場合におきましても、給与所得は毎月或いは毎半月給与を受けるわけでございますが、その給与を受ける都度の分の所得税の二割という考え方じやなくて、それらの一年を通じての所得税額について二割の範囲内であれば、買つた分について一時に或る時期において軽減してもらうこともできる。その間の関係は全部年末調整におきましてこれを調整して行くというふうに、まあできるだけ便宜な軽減をとり得るようなことを考えております。それが第四條の規定であります。
それからなお途中で以て転職、会社を変わられたといつたような関係で特別減税票をもつて参りまして、その最初の会社でまだ減税が受けきれなかつたという場合には、未済票というものを出しまして、この未済票によつて、他の会社によつて受ける給与から減税を受けるということもできる途を考えております。
それから第五條に特例の規定を設けておりますが、これは予定申告の場合におきまして、大体この年は五十万なら五十万の所得があろうとして予定申告され税金をはじき出されて、そうしてその二割相当額の軽減を受けるつもりで以て減税国債を買われたかたが、その後当時予期しなかつた事情によりまして所得が減り、税金も減つたということによつて軽減を受け得る額が減るということが考えられるわけですが、この場合におきまして、その頭を出した分だけもう軽減しないということは、これはいろいろ無理が生じようかと思いますので、予期しない事情によつて、それが減つた場合においては、頭を出した分も軽減しよう。予期しないということについては、災害のような場合もありましようし、又当初においては商売を一年やつて行くつもりであつたが、いろいろな事情があつて急にやめることになつたといつたようなことも入るつもりでおります。同じようなことが給与所得税におきましても、ずつと一年続けて行くつもりで、従つて大体これくらいの年給与をもらうつもりといつた場合におきまして、それが途中で他の事情からその会社を出る、退かなければならなかつた、給与所得の額が減つたといつたような場合におきまして、その予定された税金が減つたという場合におきまして、こういうような場合に頭を出す分、これも同じように軽減して行こうというのが第五條の規定でございます。
それから第六條は法人の関係でございますが、法人の場合におきましては、予定申告、普通の場合の半年決算の場合は大体問題ありませんが、一年決算の場合は中間申告を出すことになつている。それから一年の後で又申告を出すことになつている。この場合におきましては、中間申告の場合は中間申告で納める税金についての二割を限度に軽減が受けられるということを考えております。それからあとになりまして、一年経ちまして、結局税金が全体として減つたという場合におきましても、中間申告の二割の軽減はそのまま認めて行こう、こういうふうに考えております。
以上が大体特別減税国債の全体の関係規定なんでございますが、ただ、特別減税国債を法人が買いまして、そうしてこれを税務署へもつて行つて、例えば百円買つてそうして二十一円軽減を受ける。そうして七十九円で買つたと同じ効果になるのですが、これを例えば六十円とか、五十三円とか、そういう非常に安い金額で他へ売却したといたします。その場合に若し百円から五十三円で売つたということによる四十七円でございますね。これが全部法人の損金に認めることにいたしますと、四十七円に対する損金の関係におきます法人税、事業税或いは住民税が安くなるわけでございます。この二つ、二十一円の軽減額と、五十三円で売つた場合の四十七円に対する軽減額とがそのまま加わりますと、大体百円額面のものが五十三、四円で売りましも、買つてすぐ売つてもいろいろ税額計算をしてみましてもそれほど損しないということに実は計算が出て来るわけです。ところが若し五十三円のものを個人の人が買つた場合になりますと、これはべらぼうな利廻りになつてしまうわけです。従いましてどうもこれをそのまま放置しておきますことは私はこの制度が悪用される理由になりはしないか。本来の趣旨と違つたほうに曲げられて減税国債が使われる虞れがあるようでございます。と申しますのは、又一つは減税国債の消化を目的としまして、譲渡とか、そういうことについてもう制限を作らないことにいたしました。それも一つはございます。それでその余り変に悪用されることだけはこれはやめたい。そのまあ典型的な法文が第八條でございまして、従いましてこの場合に額面百円で買うわけですが、二十一円軽減を受けた。それを六十円で例えば売つたとしました場合におきましては、七十九円と六十円の差額、これは損金に算入しますが、百円と七十九円までの間の金額はもう損金に算入しないというような規定を作る必要はありはしないか。併しこの金額は結局四年乃至五年経ちますと百円まるまる返つて来るわけですから、一年ごとに順々に値打は上つて行くわけでございますけれども、そこで四年経つてしまえばもうややこしいことは言わない。一年経ちましたら七十九円の代りに八十五円、それから二年経ては九十円になりまして、そうしてその九十円でその場合に例えば八十円で売ればその十円は損金に算入してよろしい。併し百円と九十円の間は損金に算入しない。こういう規定を作つておきませんと、いろいろまあ税法の技術的な関係からしまして、とんでもない利廻りが出て来る計算が出ますので、やはりこういう規定は必要のように思います。で時価は恐らくやはりまあ七十九円とか、七十五円とか、それより或る程度下廻つた値段が出るのではないかと思つておりますが、その場合はまあ時価によつて一応帳簿価格を作るというのはこれはまあ商法の原則でございますが、その場合の減額をそのまま税法上に反映しますと、譲渡した場合と同じようなことになりますので、これは譲渡した場合は今言つたような制限内では損金に入れる、単純な評価減はこれは一切認めない。それから価格変動準備金の対象としてもこの分は額面額の百円を基準にしてはこれは価格変動準備金の対象として認めますが、併し例えば二十一円減税を受けて七十九円以下の恐らく時価が出るだろうと思いますが、その場合に七十九円なら七十九円を中心にした価格変動準備金を作るということはこれは少し行き過罰のように思いますので、これはやつてはならないというふうな制限をやはり作つておくべきだろう。いささかこれは税の技術的な問題でございますが、やはりこういうような規定を作つておきませんと、減税国債の本来の狙いであります。まあ利廻り個人一割二分ですか、法人一割五厘ですか、こういつた関係が非常に撹乱される虞れがありますので、やはりこの程度の制限は必要であるというのが後に幾つか付いている規定でございます。
それからなお第十條でございますが、これは納期に納まらなかつた、税金がまだ残つている、こういう分について減税国債を持つて来た場合に、その税金についても軽減を認めるか、いろいろな議論がありましたが、まあそういう場合もやはり認めていいのではないか。但し単純に軽減するといたしますと、その納期から遅れた分についてのものが元から軽減されてしまう。これでは遅れたことについての、いわば利子税、加算税のような問題が残りますので、これは軽減票を持つて来たその以後においての分について軽減する意味におきまして、利子税は遅れた分についてはこれを取るという制限を作ろうというのが第十條の規定でございます。むしろ範囲を割合に広くする意味におきまして、その代り、軽減する限度においては或る程度の制限を作ろう、こういう意味におきまして、こういうような規定を作つたわけでございます。以上簡単に御説明申上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/7
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008・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは本日は余り時間がないようでございまするから、ここで一つ資料の要求等ございましたらおつしやつて頂いて、なお概括的な、簡単な御質問がございましたら、暫くそれに時間を与えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/8
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009・小林政夫
○小林政夫君 物品税の施行令と、それから品目別の課税見積価額、この新らしい変つた分のです。これは是非審議中に出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/9
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010・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 今御要求の点は細かい品目については特に改正の分として政令として出すつもりでおります。それから見積につきましても、できるだけ早く提出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/10
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011・小林政夫
○小林政夫君 審議の結論を出すまでに間に合いますね。それでなきや結論は出ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/11
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012・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 勿論間に合わせなければ御審議を頂けないものと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/12
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013・小林政夫
○小林政夫君 今の特別減税国債の、個人が一割二分、法人が一割五分この利廻り計算の基礎、あなたのほうの算出の基礎を出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/13
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014・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) かしこまりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/14
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015・松永義雄
○松永義雄君 有価証券の取引税のこの対象となる有価証券の数、これはおわかりでしようか。資料として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/15
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016・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 結局有価証券取引税の見積の基礎と我々は呼んでおりますが、そういうものでよろしうございますね。要するに株がどれだけ動いて、そうしてその中で、税率の幾つのものがどれだけあるかと、こういうふうなものと了解してよろしうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/16
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017・松永義雄
○松永義雄君 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/17
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018・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) かしこまりました。提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/18
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019・菊川孝夫
○菊川孝夫君 関税定率法の場合に問題になつたサントニンですな。あれは非常に戦後サントニンの密輸入等がやかましく問題になつておつたし、一時は回虫駆除をしようとしても、サントニンが無いので、代用品で間に合わして、回虫の駆除ができないというので、大変問題になつておつたのですが、今度その税率を上げるということになると、ますますむずかしくなるということを考えなければならない。ところがあなたの御説明では、日本でサントニンができるようになつたというのですが、そこで一つ提出願いたいのは、ここ二、三年のサントニンの輸入量、それから国内の生産量ですな。まあ去年一年の実績を一つお示し願いたいと思いますが、資料として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/19
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020・北島武雄
○説明員(北島武雄君) かしこまりました。只今御説明申上げましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/20
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021・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでも結構ですが、これは一応農林省と厚生省のほうとの係官のかたに出て頂きまして、説明を求めたいと思いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/21
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022・北島武雄
○説明員(北島武雄君) それでは厚生省の方面と打合せまして、御指摘の日に資料を持参いたしまして、御説明申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/22
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023・菊川孝夫
○菊川孝夫君 一つお願いしたいと思います。終戦前一時は大分サントニン、サントニンとやかましく言つて、サントニンの密輸入は或る政党のなにに使われているといつたデマもあつたくらいだし、税率を上げるということになると、なおひどくなる、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/23
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024・小林政夫
○小林政夫君 関税部長が来ておられますから、二十五日の読売新聞に羽田空港を舞台の大密輸団という事件が出ているのですが、一応あなたのほうで承知しておられる事件の内容をお聞きしたい。更に今日の日本経済新聞にも、闇金融だとか、密貿易の粛正だというので検事が合同会議を開いて、特に税関吏の粛正を先ず第一に取上げたというような記事も出ているのですし、いろいろその辺の点であなたのほうで今のところ感付いていることをお話願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/24
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025・北島武雄
○説明員(北島武雄君) 去る二十五日の夕刊紙上で、羽田を中心とする密輸団の検挙の内容が出ておりますが、これにつきまして私のほうで調べました点を一応先ず御説明申上げます。
昨年の九月の下旬、香港から或る飛行機便で以て干葡萄に仮装して、麻薬を積み込んだという情報がございました。この情報が横浜税関と警視庁の両方にございまして、おのおの調査いたしておりました。その情報のありました日、情報で指定いたしました日に、税関と警視庁で張り込んでおりましたところ、中国の徐坤祥という者を中心とするところの麻薬の密輸事件が摘発になつたのであります。その内容はちようど情報にありました通り、干葡萄に仮装いたしまして、干葡萄という積荷になつて、中を開けて見ますと、上のほうには干ぶどうが確かにある。中に時計が入つておつた。同人を追及いたしておりますうちに、その徐坤祥なる者が、曾つて同居いたしておりましたBOAC航空会社の社員の椙村昌雄という者があり、その椙村昌雄のところに香港から頻々と電報が来ているというのに税関並びに警視庁が気が付きまして、調査いたしましたところ、その椙村某ほか三名にかかるサントニン、エフェドリンの密輸事件が発見されたわけであります。そこで更に椙村等を追及いたしておりますと、その同人の自供によりまして、今回新聞に出ておりました中国人の陳巌等を中心とする時計の密輸事件がわかつたのであります。共犯関係にありますところの航空会社の従業員等も逮捕いたしまして調べましたところ、全貌が大体はつきりいたしたわけであります。
先般の新聞に出ておりました時計の密輸事件の主犯者と目されておりますのは、中国人の陳巌という三十二歳の男であります。これは日比谷の三信ビルディングの中のシャーマン・カンパニーという名ばかりの貿易会社ですが、その貿易会社の東京支社の社員ということになつております。同人はシャーマン・カンパニーの香港の本社と連絡を取りまして、先ず香港におきまして、BOAC会社の社員と結託いたしまして、積荷目録を二通作るわけであります。一つは正しく積んだ積荷目録、一つは密輸品を除外した積荷目録、それを先ず作りまして、羽田へ持つて参りまして、羽田におきましては、羽田に勤務いたしておりますところのBOACの航空会社の社員これを又抱き込みまして、税関の検査の手薄なのに乗じまして、飛行機が着きましたならば密輸品だけをさつと航空会社のほうに持ち込んでしまいまして、積荷目録に載つております物はその通り税関に申告する、こういうようなやり方でやつておつたわけであります。現在までにこの時計の密輸事件につきまして判明いたしました規模を申上げますと、昨年の七月二十七日から昨年の十一月十四日まで十一回到着いたしております。四十六梱になつております。それはおのおの約千箇の南京虫並びに三針と称せられるスイス製の時計が入つております。推計いたしましたところ、約四万六千箇の時計が密輸されておる。価格といたしましては約一億四千万円ばかりということになつております。
本件につきましては先に申上げました麻薬事件、サントニン、エフェドリンの密輸事件以来、警視庁の保安課と横浜税関の審理課或いは東京税関の審理課並びに羽田の職員と四者一体になりまして、共同調査を続行いたしまして、本年二月四日になりまして横浜税関におきまして、この陳の事件のうち、とりあえず証拠のはつきりいたしております。昨年十月二日に密輸入いたしました時計四十六梱分につきまして、陳巌ほか二名を関税法違反の罪名で東京検察庁に告発しております。残りの事件につきましては、この主犯の陳巌と共謀いたしておりましたこれも中国人の鄭如東というのが、本月二十四日と警視庁に自首して参りました。引続いて調査中であります。新聞紙上におきましては本件に税関官吏が五名関係しておつたというようなことが出ておりましたのですが、実はこの時計の密輸事件には関係しておらなかつたのであります、先に申しましたサントニン、エフェドリンの密輸事件に関連いたしまして、羽田税関支所の職員一名及び東京税関支所の職員一名が買収されておりまして、一人は約一万円の収賄となつておる。あとの一人は一回供応を受けたということであります。又一万円を収賄いたしました者は、東京地検から収賄罪で起訴されております。同時に税関におきましては懲戒免職にしております。一回供応を受けた者は微罪不起訴ということになりまして、税関におきましてはこれを一月十七日附で免職いたしております。一体どうしてこのような事件が行われたかという原因でございますが、実は甚だ申訳ないのでありますが、羽田税関支所の職員の手不足ということが先ず第一に挙げられるのであります。その後事件がはつきりいたしましてから、私の方でもかなり前から羽田は危いから人員を充足するようということを横浜税関のほうにそう言つておつたのであります。横浜税関といたしても横浜税関自体の仕事が非常に忙がしいものですから、なかなか羽田に人を割けない。羽田におきましてはその当時約四十数名の者がおりまして、そのうちの大部分が昼夜三交替で日夜入つて参ります飛行機の旅客について旅具の検査に従事いたしておりますというような状況で、航空貨物につきましては通関が非常に遅いという非難もありますので、その方に牽制されたこともございましよう。航空貨物を飛行機から降す場合マニフェスト、積荷目録と現品とを対照しておらなかつたというのが一番盲点でございます。その盲点を突きまして、先ず羽田へ着きますと今の二通のマニフェストをさつと航空会社の社員が抜いてしまう。税関のほうには申告する物だけを出すと、こういうやり方をいたしておつたわけであります。
もう一つは御承知のように、羽田のターミナルの設備が非常に貧弱でありまして、あそこの航空ワイヤーがないわけであります。羽田へ荷物が着きますとそれを一応羽田にございまする航空会社の極く簡単な倉庫に入れまして、翌朝でも東京の方へ送ります。東京の正式な航空ワイヤーへ入れてその東京の航空ワイヤーにおいて通関するというやり方になつております。これも又一つの大きな抜穴になつておりまして、いろいろ調査をいたしますと、航空ワイヤーに入つておつても途中で今の抜取をやる。そうして航空ワイヤーに入つておつても税関官吏の職員の目を眩まして、いなときに荷物をすり替えてしまうということをやつておつたわけであります。
それから又一方羽田は御承知のように検問所は従来進駐軍がずつとやつておりまして、税関官吏がタッチできなかつた。あそこが開放になりましてからも税関の職員の定員不足の関係から、検問所に人が置けなかつた、やすやすと結託した、企まれた、そうしてこの密輸事件が成功しておつたと、こういうことになると思います。
この対策につきましては、かねがねからどうしても羽田の空港を整備しなければならない。羽田の税関の設備を整備いたしますと共に、各航空会社の保税ワイヤーを羽田の中に造つてしまう。そこで厳重に税関官吏が監視をいたしまして、そうして積荷と目録を一々チェックいたしますれば、こういうことも行われなかつたわけでございます。現在におきましては早速、各航空会社の羽田にありますところの簡単な倉庫でございますが、それを保税倉庫として不適格のものは改装を命じまして、それに基いて保税ワイヤーとして取つておいて、そこで取締を行うということにいたしております。
それと共に羽田税関支所の機構も昨年暮一応若干拡充いたしまして、とりあえず数人ばかり横浜税関から人を持つて行つた。併し羽田税関の支所の定員、現在七十名と予定いたしておるのでありまするが、現在まだ五十三人しか実は配置できないという状況でありますので、目下本年度に卒業をいたします学生から相当程度多数採用いたしまして、そうしてそれを本館の比較的簡単な仕事に向けまして本館における熟練者を羽田へ持つて行く、こういう方法で以て取締をいたすというつもりでおります。
大変このような事件が起りましたことは申訳ないと思いますが、まあここに只今申上げた以外に、税関におきまして積極的に検挙いたした事件もございます。これは昨年の九月の下旬のことでございましたが、黒豆の罐詰の見本と称しまして、十二貫入の物が一つ、それから同じく九貫入の物が一つ、これが羽田税関へ参つたわけでございます。その当時一々貨物をチェックはしておらなかつたわけでございますが、若しこれが黒豆ということになりますれば植物検査を要すると思いまして、税関の旅具の検査場に一緒におります植物検疫官吏、農林省の人であります、その人の所に持つて行きまして、これは検査が要るから開けてくれと、こう言つたわけです。そこで植物検疫係りが開けて見ましたところが、中は罐詰だつた。罐詰だと又これは植物検査は要らないわけです。それじやいいやというわけで植物検疫官が見逃がそうといたしましたところ、税関職員がちよつと待つた、これはおかしい、罐詰にしちやあちよつと包装が変だというわけで、罐詰を振つてみた、そうすると罐詰特有の音がしていない。それで開けましたところが、密輸時計が約九百二箇入つていた。こういう事件もございます。今まで羽田を利用いたしましてそういうことが実は行われておつたのではなかろうかというふうに思われ、私ども非常に残念に存ずるのでありますが、今後は人も十配置いたしまして設備の方も整備いたしまして、このようなことのないように十分努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/25
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026・小林政夫
○小林政夫君 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/26
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027・中川以良
○委員長(中川以良君) 私から一つ資料の御要求を申上げますが、物品税の改正案に伴いまして、この今の御説明大変見にくいのでありますので、一つ種別、号別、それから品名、なお税率の現行と改正案、それから減収額或いは増収額の平年度、初年度の一覧表を一つ皆さんにお配り願いたいと思います。ちよつと速記とめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/27
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028・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
それでは本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X02519530228/28
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