1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月十三日(月曜日)
午後一時四十九分開議
出席委員
委員長 原 健三郎君
理事 有田 喜一君 理事 今松 治郎君
理事 臼井 莊一君 理事 木村 俊夫君
理事 山本 友一君 理事 青野 武一君
理事 中居英太郎君
岡崎 英城君 佐々木秀世君
佐伯 宗義君 濱野 清吾君
眞鍋 儀十君 關谷 勝利君
徳安 實藏君 永山 忠則君
井岡 大治君 下平 正一君
正木 清君 山口丈太郎君
池田 禎治君 大西 正道君
小山 亮君
出席政府委員
運輸政務次官 河野 金昇君
運輸事務官
(航空局長) 荒木茂久二君
委員外の出席者
運 輸 技 官
(港湾局計画課
長) 中道 峰夫君
専 門 員 堤 正威君
専 門 員 志鎌 一之君
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六月十三日
委員永山忠則君辞任につき、その補欠として伊
藤郷一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人招致に関する件
日本航空株式会社法の一部を改正する法律案(
内閣提出第九三号)
港湾に関する件
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001・原健三郎
○原委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。
最初にお諮りいたしますが、自動車損害賠償保障法案につきまして、参考人より意見を聴取したいと思いますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/1
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002・原健三郎
○原委員長 それではさよう決定いたします。
なお参考人候補は次の通りであります。東大法学部教授我妻栄君、主婦連合会船田文子君、日本トラック協会会長小野哲君、東京海上火災保険株式会社社長田中徳次郎君、日本都市交通労働組合執行委員萩原信次君、全国旅客自動車交通労働組合執行委員伊坪福雄君、日本常用自動車協会連合会藤本威宏君、以上のような参考人について御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/2
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003・原健三郎
○原委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
なお日時につきましては、大体十七日金曜日午後一時に行いたいと存じます。さらに、変更等がありましたときには、委員長に御一任をいただきたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/3
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004・原健三郎
○原委員長 次に日本航空株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を許します。關谷勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/4
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005・關谷勝利
○關谷委員 政務次官にお尋ねをいたしますので、すぐに局長に転嫁しないで、政務次官からお答え願います。
この間参考人の人々を呼んで意見を聞いたのでありますが、そのうちで大体この法案に賛成と思われるのは、金融関係におきまして東垣内という人ばかりで、この人も民間の創意工夫をなすことの調和ということを言うておりますので、全面賛成でもないのであります。その他犬丸という参考人は、これは何にも知りませんので、参考意見になりませんので、これは別でありますが、ほとんどの人がこれに反対をしておるのであります。私たちもこの法案を見ておりまして、この法律の改正をしなければならないという理由がきわめて薄弱なのであります。従来の日本航空株式会社法によりましても、別に何にも差しつかえがないのに、ことさらこれに監督権を強化しようということは、事業の発展を阻害することがあっても益はない、こういうふうに考えられるのでありまするが、なぜこの法律案を出さなければならないか、以前の日航法では運営ができないのか、どこに支障があるのか、この点を政務次官に伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/5
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006・河野金昇
○河野(金)政府委員 運営には別に差しつかえがないと思います。しかし民間資本が十三億で、政府出資が三十億になり、また政府から補助金等も出すので、この政府出資並びに政府からの補助は、もちろん国民の税金であるわけなのであります。それを民間資本に比較して、比率からいっても、何倍ともいうべき相当の政府出資並びに補助を出す場合に、金だけを出しておいて、経営だけを事業家の自由意思にまかせることが、果して天下の輿論に従うゆえんであるかどうかということをおもんばかりまして、その見地からこの程度の修正をすることはやむを得ないものでなかろうかという見地に立って出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/6
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007・關谷勝利
○關谷委員 まことに妙な御答弁であります。国民の税金で出す出資金が多い、従ってそれを監督することが適切である、格好の上ではそうかもわかりませんが、普通の場合と違うのでありまして、企業体であります。せっかく国民の出した税金からこれを出資してやろうという場合には、その会社の業績を上げて出した金の目的に沿うこと、すなわち会社の業績を上げることが、国民の出した税金を出資してもらっておる会社としてとるべき方法であって、大体企業というものがほんとうに創意工夫をこらしますためには、監督権はむしろ強化しない方がいいのであって、監督権を強化すればするほど萎縮するものである。従って官業というものがすべて実績が上っておらない、こういうふうなことから見ればわかるのであって、私は今の御答弁は反対である、こういうふうに考えますが、もう一回御答弁を願いたい。
なおもう一つ、もしもこれだけの出資をし、これだけの補助をするということで、これだけ監督権を強化する、こういうことになると、これから先日本航空に対しましては、国家が大きな助成をしなければならぬ、なお出資もしなければならぬ。大体百七、八十億から二百億程度のものがなければ、国際航空等は完全にやれない、こういうことになってくるのでありまするが、その際民間の資本というものはあまり期待することができないといたしますると、政府がこれからも出資をたくさんしなければならない、補助もしなければならない際に、どこまで監督権を強化するかということになると、大へんなことになります。わずかこれだけのことでこれだけ監督権を強化しなければならぬということになりますと、将来が思いやられるということになりますが、この点もあわせて御返答を願いたいと思います。今の能率を上げてこの出資した趣旨に沿うことがほんとうであって、監督権強化ということは逆行する、こういうふうに私たちは考えておるのでありますが、その二つの点について御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/7
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008・河野金昇
○河野(金)政府委員 今度改正案を提案いたしまして、今主として問題になっているところは第四条の三でありまするが、これは關谷さんは抜き差しのならないように強化されたようにお考えになっておりまするが、私たちはそういうふうに考えてはおらないのであります。先ほど申しました理由によって、やはり国からの大きな出資補助等もあります関係上、手放しで経営をまかせるというわけにもいきませんから、ある程度形の上において必要があれば、監督を厳重にすることができるような立場をとりましたけれども、これは運営によりまして取締役を、現在十名でありまするが、これを任命する場合に、その株主総会の決定を運輸大臣が認可するのでありまするから、おそらくその間において政府からこれだけの出資をしておるものを、株主総会で勝手な御決議もなさらないであろうし、事前に話し合いが行われるであろうと存じます。そうすれば株主総会の決定にほとんど無条件に運輸大臣は認可を与えるものであろう。しかしながら株主総会等において将来妙な連中が出てきて、そうして妙な決定をするような場合には、国民の税金をこういう方面に出資した手前、やはりチェックする必要があるときはできる建前にしておくことが必要であって、決して運輸大臣が株主総会の決定を一々けちをつけたり何かするものにあらずして、必ず事前の打ち合せにおいてスムーズに行われる、法文はこういうふうにしておいても、運営の妙によって私は關谷さんの杞憂の点は払拭していけるのでなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/8
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009・關谷勝利
○關谷委員 四条とか十二条とかいうようようなことについては、これから深く突っ込んで御質問申し上げるので、私は総体的に広い意味で言っておるのでありますが、あなたは先ほどの答弁で、今までの日航法で運営の上に支障がないと言っておるのですよ。ないのにもかかわらず、これを強化するのは萎縮しはしないか、こういうふうなことを言いますと、あなたは、これだけ出資もするし補助もするのだから、国民の税金だからそういうふうな格好をとらなければならぬ、監督権を強化するのだ、こういうお話だから、私は、企業体というものはそういうものではない、企業体というものはむしろ創意工夫をこらして自由に活動せしめるところに、ほんとうの企業体の運営というものが円滑にいくのであって、監督権を強化すること自体が企業体の運営を円滑にするゆえんのものではない、従ってほんとうに国民が税金で出した金で出資をするというものであったならば、その趣旨に沿うように、ほんとうに会社の運営が円滑にできるようにして業績を上げることが、税金に報いるゆえんだ、出資の趣旨に沿うのだ、それはどう思うか、こういうことを一点お尋ねしておるのと、それともう一つは、今度そういうふうなことで十億を出資し、三億五千万のものを補助するというときに、すぐにこの強化ということになるのなら、これから先この日本航空に対してはほとんど出資しなければならぬし、補助しなければならぬが、その際にどこまで監督権を強化しなければならぬか、こういうふうなことになってくるのでありますが、この二つについてのあなたの御見解を聞いているのです。この監督権の強化は四条だけではありませんで、十二条にもあるので、それはあとでお尋ねしますが、総体的な一般的な考え方の上において誤まっておらないか、お尋ねしておるのであって、その点御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/9
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010・河野金昇
○河野(金)政府委員 おそらく今後も相当国が出資並びに補助を出さなければならないことは当然と申しますか、そういう見通しでありますが、今日この法案を提出している以上に強化するというような考えは持っておりません。おそらく關谷さんと私との考えの違い方は、やはり自由経済と、それから資本主義の経済の上に立ちつつもその自由に対してある程度の規制を加えていかなければならないという、根本においてはものの見方の相違からきておるのじゃなかろうかと思うのであります。従ってこれはおそらく關谷さんと私とはどこまで議論をしていっても、平行線であろうと思います。従って今ここであなたと議論しようとは思っておりませんが、私たちはやはりこういう企業体というものは自由にやらした方がいいとおっしゃるあなたの考え方も、一つの立場に立っておられると思いますが、やはり私たちはそうであっても、国民の税金等を——これは株主の出資によって御自由になさるのに対してどうこう言う気持はありませんけれども、国がこういうような、その会社の資本金の何倍というようなものを出資するような場合に、金だけ出しておいて、経営は諸君御自由におやり下さいという、そのやり方が果して妥当であるかどうか、私は妥当であると思いません。従って出しました法案を、私たちは今日の段階、この出資並びに補助を出しておる段階においては、正しいものなりという観点に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/10
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011・關谷勝利
○關谷委員 見解の相違ということで逃げられておるようでありまするので、それ以上追及する必要はありませんが、企業体というものは、あなたも事業をやられた経験があるかないか知りませんが、私たちは実業界で今までやってきた男でありますので、よくわかっておるのであります。官業に近い方式は、監督権を強化するほど業績が上らないのは、事実が証明するということだけを申し上げて、それ以上の議論はやめます。大体、そうするとこの法案というものは、民主党の党の性格を現わしておるもの、こういうふうなことになるわけでありますので、その点はわれわれと意見が食い違っておりますからこれ以上申し上げませんが、事実は逆にいくものである。今そのようにあなた方は言われておっても、実際ここ一、二年運営してみたならば、必ずそういう結果にたって現われてくるということを私はここで予言しておいて、将来これをあなたと論争する問題に残しておきたいと思います。
そこで、そうなりますともしあなたが言われるように監督権を——国民が出した税金で出資するのだから、監督権を強化するのがほんとうで、その方がいいのだ、そこまで言われるのなら、なぜこの十三億という民間資本を買収するところまでお考えにならないのか。もしそれだけ監督権を強化して、そうして商法の規定までも束縛しようというふうないろいろなことを考えておられるなら、もう一歩考えて、この民間株というものを買い上げるところまでいって、初めてあなた方の言う理屈は成り立つのであります。この民間株を、監督を強化するのなら、近い将来にでも買い上げるという意思があるかないか、この点伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/11
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012・河野金昇
○河野(金)政府委員 どうも日本人は、白か黒か、右か左かとはっきりと区別をしたがるのでありますが、おそらく民間の株主にいたしましても、今これを全部買い上げると言ったならば、実は買い上げしてもらいたくないという株主も相当あると思うのであります。私たちは、それは一つの徹底した官業にしていくというならば別でありますが、やはり半官半民と申しますか、今日の経済情勢において民間資本が十分集まらない、しかもこういう立ちおくれた産業について資本の集まらない場合において、国が出資をしていかなければならない、伸ばしていかなければならない事業でありますから、国は出資をしていきます。しかしながら、それは法文の上においてはある程度の強化となっても、私は運営の面においては、決して事業家の企業意欲を束縛するところまでやろうという意思は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/12
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013・關谷勝利
○關谷委員 政務次官は、法文の上ではなっておっても、事業家を束縛するような気持はない、こう言われますが、法文に出ておったならば、実際運営する、監督に直接当る面においては、この法文通りにいくのであります。従ってここでのあなたの御答弁とおよそ反するような現象が現われてくるのでありまして、私はこの点まことに今のあなたの御答弁に対しては——一応法文をその通り作っておくが、実際はその運営の面でというのなら、今までで何も差しつかえないものなら、別に強化をしなくても、今まで通りでやって、そうしてその運営の面をよく——今まであまりに放任に過ぎたというふうにあなた方思うのかもわかりませんが、それであったら怠慢であったのだ、こういうふうな結果になるのでありますが、私はどうもあなたの今の御答弁は納得をいたしかねます。条文にある限り、その通りを役人というものは実行するので、あなたが言われておるような、そういう気持が反映するということはない、こういうふうに考えますが、実際あなた方が今までやってみられて、そうして条文に現われたものを、条文には書いてあるが実はこうだということを、今の役人はやります。役人は権限を持たしますと、それを唯一の武器として運営していくのでありますが、そういうふうなことが行われると思われるか、あなた一ぺんよく考えて御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/13
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014・河野金昇
○河野(金)政府委員 個々の事例について言わなければなりませんが、たとえばきょうあたり参議院において承認を得た運輸審議会の委員にしても、これは一例にすぎませんけれども、内閣がきめて両院の承認を得るということになっております。たとえばそういうようなものを内閣がきめるといいましても、事実の上においてはこの候補者を各党に事前に相談して、その了解のもとに委員会に回し、国会の承認を得ているというのが今日の実情であります。従って私は、一国一党のような独裁政治のような内閣が出てきた場合はいざ知らず、今日のようなこの与党あり野党ありという段階において、こういう法文があったからといって、政府が一方的な、強権発動的な任命の仕方等ができるものとは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/14
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015・關谷勝利
○關谷委員 あなたはこの役員のことばかりを頭に置いておるのであって、ほかの条文のことを一つも頭に置かずして答弁しておられるために、そんなとんちんかんな答弁ばかりしておられるのですよ。私は役員だけのことをとらえて言うのではありません。この監督権の強化ということ全般に対して言うておるのであって、あなたはすぐに役員のというところで、何か横道に脱線してのがれようとしておりますが、私は役員のことはあとでお尋ねいたします。いたしまするが、実際に条文であった場合に、その条文通りに、むしろ書いてある以上に行こうとするのが今の趨勢であって、そうしてほんとうにあなたが今言われておるように、何ら運営の上においては差しつかえないというようなことができるかできぬか、こういうことを私はお尋ねしておるのであります。役員のこと、そういうことについて個々の問題についてはこれからまたお尋ねいたします。全般の問題について言うておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/15
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016・河野金昇
○河野(金)政府委員 全般として私はこの法案は、今日の段階において適当な法案なりと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/16
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017・小山亮
○小山(亮)委員 議事進行について。先ほどから關谷委員の質問は、今日政府が提出された法案に対してどういう事情で、こういう方針でこういう法案が必要であるかということを具体的に説明を望んで質問をしております。しかるにそのまじめな質問に対して政府委員の御答弁というものは、見解の相違であるから、いつまでたったって平行線で話してもしょうがないとか、あるいはまた質問に対しては顧みて他を言うというようなことをなさるが、これは私は非常にふまじめだと思う。私どもはこの法案に対して真剣にその性質をきわめ、改正の必要がいかなる点にあるかということを真剣に聞きたい。もっと政府はまじめに、真剣に、聞かれた問題に対して適切なる答弁を願いたい。顧みて他を言うようなことを言っていたら、何カ月議論したっておさまるものではありません。数をもって押そうというような考えならば、初めから説明なんかしないで、どんどんお押しになればいい。私はそうでないと思う。国民に納得させておかなければならぬ。納得したことに対して、私どもは責任を持たなければならぬのですから、もっとまじめに、具体的な問題に対しては具体的な御答弁を願いたい。委員長、どうぞ御注意を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/17
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018・關谷勝利
○關谷委員 私の言いたいところを小山委員が言うておるのでありますが、まことに心強い協力者を得たように考えます。どうも政務次官の御答弁は、ただ自分の考えがこうだからというふうなことで、これがいいと思っておるというふうな見解の相違では済まされない問題であります。この問題はいずれほかの委員からもまた出てくると思いまするが、もう少しよく御研究をせられて——今までの日本航空株式会社法で支障はないのだという答弁をせられる。支障がないにもかかわらず監督権を強化する、それでは実際に事業を萎縮する結果になって思わしくない結果を見るのだ、こういうふうなことを言うと、見解の相違だというようなことを言っておりますが、もう少しこうしなければどうにもならぬのだ、こういう理由だからこういうようなものを出したのだというふうに、納得のいくように、次の機会までによく考えて、そうしてわからぬところは局長にもよく教えてもらって、そこを研究した上で一つ御答弁を願いたいと思います。なお先ほどあなたは、民間株は買い上げるというふうなことを言っても、賛成する者も反対する者もあるというようなことでありまするが、今この日本航空株式会社に関係をしておる民間株の所有者は、払い込んだ資本に利子をつけて返してくれるのなら、こんな法律案が通るのなら買い上げてもらった方がいいのだというのが、これが現実の声であります。反対をするというふうな者があるということがおかしいので、あなたは実情を知らぬのだ、こういうふうに私は考えております。
なお、改正案におきましての役員の数であります。あなたはいつもこの役員のことばかり頭に置いて、とんちんかんな答弁をせられるのですが、今度は役員のことをお尋ねいたします。役員の数を、取締役十人以内、監査役は三人以内ということにして、今までより大幅に縮小をせられようとしておるのであります。この縮小しようという理由が、経費の節減の関係から出ておるのかどうか、なお取締役を十人以内ということにし、監査役を三人以内にした場合に、社内重役と社外重役との比率をどのように考えておられるのか、この点ちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/18
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019・河野金昇
○河野(金)政府委員 たとえば現在の日航の重役は、御承知のように現業の重役が十名か十一名で、あとが社外重役であったと思うのでありまするが、もしもこの法律が通って十名以内ということになりますならば、二、三名か四名程度の社外重役で、他は社内ということになるのでなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/19
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020・關谷勝利
○關谷委員 そういたしますると、十人の中で、取締役と申しますと、四名が社外で六名程度の者が大体社内重役、こういう御答弁ですな。今の日本航空は、あなた方直接関係しておられるのでよくおわかりだろうと思いますが、世間では社内重役が多過ぎるといううわさが立っておるのであります。これに対してあなたはどう考えておられるか。さらに、社外重役というものは、そのメンバー等を見ましても、いずれもエージェント等をやっておって、会社のために協力をしておる。そのために会社に対しては非常な貢献をしておる。しかもそれに対しまするところの報酬は月わずかに五千円程度、こういうことになっておるのでありまして、社外重役がほんとうの今の日本航空の宝であって、社内重役は多過ぎるのだ、こういうことをいわれておるのでありまするが、なるべく社外重役をふやして社内重役を少くすることが、経費の節減の点から見ましても、能率を上げる点から見ましても、私はそれがいいのだと考えておるのでありますが、社内重役はなるべく多い方がよろしい、こういう考えを持っておりますか、政務次官のお考えはどうか、承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/20
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021・河野金昇
○河野(金)政府委員 現在の重役が、定員二十五名以内で二十四名になっておりますが、社内、社外ということをまず最初度外視して考えてみまして、一般的にいって二十五名というのは多いという認識であります。従ってこれをある程度縮小したいという考えがあります。同時に、關谷さんも御指摘の通りに、確かに社外重役はエージェント等の関係がありまして、非常に協力をしておるし、また対世間的にいってもりっぱな人々が多いのであります。だから、との法の許す範囲内においてなるべく残す。御指摘のように社内重役は多いのであります。しかもこれはこの会社のできた経緯、あるいはその後の国が出資をするときの経緯等から顧みて、各役所が自分のところの人を押し込んで、無理に社内の常勤の重役にしておる面が確かにあります。従って今度の法律の改正が行われたならば、そういうことも勘案して、なかなかこれはむずかしいことではあろうと思いますけれども、關谷さんの御指摘のようにできる限り有力なる、しかも経費の面からいうと大した負担になっていない——負担になっていないというより、むしろ社外重役の諸君は月五千円程度のものしかもらっておられませんが、こんなものは出さなくてもいいくらいだ、むしろもらった方で御迷惑であろうとすら思うのでありますから、そういう点等を勘案して——これは社内重役からも猛烈な抵抗はありますけれども、この法案の改正を機会に、そういうような点も直していきたいということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/21
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022・關谷勝利
○關谷委員 今の御答弁は将来の上に必要でありますので、はっきりと御記憶を願います。社外重役は非常に大事なのでなるべく多くしたい、社内重役は減らしたい、それはほんとうであります。
そういたしますと、ここにまことに妙な条文があります。第四条の四でありますが、「会社の取締役は、他の報酬のある職務又は営業に従事してはならない。ただし、運輸大臣の承認を得たときは、この限りでない。」これは——あなたが今答弁せられたことは私はごもっともだと思いますが、その御答弁とは、現実の面においておよそ反することになると思う。社外重役というものは大事な存在でありますが、この人はほかのあらゆる職務に、または営業に従事しておるのであります。その職務を通じて日航に協力をしておるのが実情であります。そういう人が兼業をしてはならないのだということになってきますと、これはそういう人を締め出すような条文にだってくるので、この条文というものはあなたの今の御答弁とは反する結果になってきます。この点、どのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/22
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023・河野金昇
○河野(金)政府委員 常勤の重役はやはり兼業を禁止した方がいいと思っております。けれども常勤でない重役は、運輸大臣の承認を得ればこの限りではありませんから、今日までも社外重役をやっておられた方で、引き続き重役を願うような方に対しては、当然運輸大臣は無条件に承認をしてなっていただくことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/23
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024・關谷勝利
○關谷委員 それほどあなたがはっきり答弁せられるのなら、この四条の四は、常勤の取締役あるいは監査役は他の報酬のある職務または営業に従事してはならないとすることが、一番はっきりするのですが、こういうふうにぼやかすことが、やはりこの条文では適当であるとあなたはお考えになりますか。どうも私たちはふに落ちないのであります。会社の取締役は常勤ではない、しかもそれを運輸大臣が一々承認する、何やら運輸大臣がいばりたいためにこの条項を置くのだというふうな、官僚独善の姿がまのあたり現われたような気がするのであります。あなたは常勤の重役だけと言われるが、これはごもっともであります。常勤の重役はほかの報酬のある職務あるいは営業に従事するということは、私たちも反対であります。そこでこれは常勤の重役だけならば、常勤重役ということがはっきりするような条文に、これを変更する御意思があるかないか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/24
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025・河野金昇
○河野(金)政府委員 これは今私が御答弁申しました通りであります。この法案ができるまでの過程がいろいろありまして、あるいは言葉の足らない、考えの及ばなかった点もあるかとも思いますが、今言う通りで、常勤の重役は兼職を禁止しなければならぬと思っておりますから、これは適当にそういう意味がはっきりするように直しても、私としては差しつかえないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/25
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026・關谷勝利
○關谷委員 私としてはというのは、運輸政務次官としての河野金昇氏でありますか、個人としての河野金昇氏という意味か、どちらでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/26
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027・河野金昇
○河野(金)政府委員 政府としてこの法案を提出しましたから、今すぐ政府側としてこれを改正いたすというつもりはありませんが、国会の意思によってきめられることであるならば、これは御趣旨に従えることであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/27
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028・關谷勝利
○關谷委員 今の御答弁でよくわかりましたので、そういうふうな方向に私たちは進みたいと思います。
それから四条の三でありますが、重役の選任及び解任の決議並びに商法二百六十一条の規定による会社の役員の選任とか、あるいは解任というものは、運輸大臣の認可を得なければ効力を生じないということになっているのでありますが、そういたしますと、株主総会で選任した者を運輸大臣が認可しないことになりますと、それだけは欠員で置かなければならぬ。もしそれを補充しようとすると、臨時総会を開かなければならぬ。またそれが認可になるかならぬかわからない。こういうことになって参りますと、その煩を省きますためにあらかじめ打ち合せをするというようなことで、運輸大臣のごきげんをうかがって、その指示に基いた者だけしか選任できないという結果に、現実の問題としてはなるのでありまして、裏をひっくり返しますと、政府の任命制と同じことになるのでありますが、こういう条項は政務次官としては変更しても差しつかえないというようなお考えであるかどうか、承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/28
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029・河野金昇
○河野(金)政府委員 これは変更する意思はありません。これは運用によって、そういうような株主総会の決議を認めないというような事態の起きないように、運営の妙によってその問題は解決していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/29
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030・關谷勝利
○關谷委員 その運営の妙味というのが、事前折衝になるのです。事前折衝ということになると、運輸大臣の気に入った者だけしか選任せられない。従って運輸大臣の任命も同じことになると思いますが、それでも変更せられる御意思はないか、この方がいいと思われておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/30
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031・河野金昇
○河野(金)政府委員 この法律を提出した理由は、一番最初にあなたの御質問に答えた通りでありますから、その趣旨からいって、この程度のことは政府としてはやむを得ないことであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/31
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032・關谷勝利
○關谷委員 私たちの考えでは、社長というものは認可制にしてもけっこうであるが、取締役、監査役というものまでことごとく認可制にするということは、みんな任命制にするのと同じで、第四条の三は株主権を幾分認めたことになっておりますけれども、実際においては政府任命と同じになるのであります。あなた方のお考えがこれで適当であるというようなことであるならば、これから先だいぶ意見をかわさなければなりませんが、見解の相違であるといえばそうかもわかりません。そうなれば私たちは反対だということになってくるわけでありますが、ほんとうに会社の運営をやってきた者が見ますと、こんな条文なら、いっそ政府が任命する方が気がきいているのであります。この点はいずれまたあとで修正いたしたいと考えておりますので、あなたがそういうお考えであるならば、これ以上この点については御質問はしないつもりであります。
次にお尋ねいたしたいのでありますが、第十二条の二の第一項におきまして、「会社は、毎営業年度の開始前に、運輸省令で定めるところにより、当該営業年度の事業計画、資金計画及び収支予算を運輸大臣に提出して、その認可を受けなければならない。」事前に変更しようとするときも同様でありますので、すべてあらかじめ認可を得ておいて、しかもその後において変更しようとするときも一々認可を受けなければならない。これだけ監督権を持っておきながら、さらに第二項において、「会社に対し、その業務の適正な運営を確保するため特に必要があるときは、事業計画及び資金計画の実施並びに収支予算の執行について、監督上必要な命令をすることができる。」、このくらいやったならば、これ以上の監督権というものはないのであります。これほど強化をしなければならない理由がどこにあるか。一項だけで十分で、第二項というものは不必要なものである。あまりにも行き過ぎた条文であると私は考えておりますが、政務次官はどのように考えておられるか、御意見を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/32
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033・河野金昇
○河野(金)政府委員 政府委員より答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/33
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034・荒木茂久二
○荒木政府委員 これは非常に法律的に技術的な御答弁を申し上げて恐縮なんでございますが、実はこういう法規について罰則の規定を云々するということは、少し実際とかけ離れておりますが、各条文ともこういう認可事項がつぎますと、罰則の規定をつけるという建前になっておるわけでございます。そこで刑事局との打ち合せの結果、この第十二条の二につきまして、毎営業年度の開始前に最初のものは認可を提出させて、その認可を受ける。こういうことでございますので、そうしなかった場合には罰則規定がかかることになっておるわけでございますが、この変更認可のときにつきましては、変更がいつの段階において起るかということが明確でございませんので、変更認可を罰則にしなかったからということで、罰則にかけるということはしないということで、罰則規定がかかっていないわけでございます。そこで非常に峻烈なことを言うようになりますが、法律的なつじつまを合せますと、変更認可の際には会社が出して来たくてもそれをどうこうするわけにいきませんので、念のための規定といたしまして、非常にこまかいところまで気を配ったというてお笑いになるかもしれませんが、念のためにこの二項の規定ができておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/34
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035・關谷勝利
○關谷委員 そうするとこの十二条の二一項の前段の規定に違反して、事業計画、資金計画あるいは収支予算を提出しなかったときは、罰則の適用を受けるわけであります。そういたしますと、その後段の場合もまた同様と解していいわけで、前段と書かずに、二に違反したときは——私は法律家でないからわかりませんが、そんなことをわざわざする理由が私たちには合点がいかないのでありますが、その点御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/35
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036・荒木茂久二
○荒木政府委員 変更の認可をしないという場合は、罰則の規定についていないといいますか、既遂の時期が不明瞭であって、よって罰則規定を設けるべきでないというのが刑事局の意であったわけです。そこでそういう場合に、これはとことんまで追及して責める条文ではないかというようにお感じになるかもしれませんが、そういうことで、そこが抜けておりますので、二項でもってそれを補完した、こういう関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/36
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037・關谷勝利
○關谷委員 監督権を強化するために、何かちょっとしたことがあっても、それに罰則を適用したいと考えておられるこの法案というものは——まことに今までの運営に差しつかえないものを、そこまで考えて強化せられるということは、私は何かここに陰謀が含まれておるような気がするのであります。この点今まで局長にはお伺いしておりませんが、この法案を出して、そこまで監督権を強化しなければどうにもならないという理由がおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/37
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038・荒木茂久二
○荒木政府委員 これは今御説明申し上げたところから御判断になりますと、いかにもえげつないことまで考えておるというふうにお考えになる面もあると思いますが、実はこの条文ができましたいきさつは、今御説明申し上げましたようなことでありまして、何といいますか、法文のつじつまを合せるというか、むしろ法文作成上の潔癖という点から規定してある規定でございまして、そういう面から見ますと、いつもあらを探して、とことんまでやっつけようとしておるというように御解釈になるかもしれませんが、いきさつは今申し上げたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/38
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039・關谷勝利
○關谷委員 どんでもないことでありまして、まるで法の体裁を整えるために、何でもかでもやらなければならないというふうな考え方は、考え方自体よくないと思います。満州人が日本人を法匪と言っておった、その法匪の姿そのままを現わしておるような気がするのでありまして、まことに私たちこの点遺憾に思いますし、そういう条文は私は削除すべきであると考えておりますが、それはいずれあとでまた他の委員からも御質問がありましょうから、この程度でおきます。政府が全額を出資するとか、あるいは高度の補助をする、助成をするということで、経営は民間の有識経験者にまかせてやって、ほんとうに能率を上げておるというのが、世界各国の航空事業の実情であります。そういうふうなことも考えず、ただ監督権を強化すれば、それで能率が上がるのだというような行き方は、私は政務次官が何と答弁しようとも納得いたしかねるのですが、外国の状況と比較をして、この法案が行き過ぎておるという感じがするかしないか、航空局長の忌憚のない、腹を割った意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/39
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040・荒木茂久二
○荒木政府委員 この法案を作りますについて、いろいろ外国の法制等も調べてあるわけですが、アメリカが一番自由な考え方でやっております。補助金も相当に出しております。しかしそのために会社をどうこうしようということはいたしておりません。しかし経営の内容について、一々きまった形式でもって、決算その他を詳細に報告をいたしております。そしてそれに基いて補助金を出しておりますが、出資はアメリカではいたしておりません。それから政府から役員をどうこうするという問題はございません。これがアメリカの例でございます。ところがイギリスその他ヨーロッパの国に参りますと、趣きが非常に変っておりまして、イギリスでは二つの会社がございますが、これは全部パブリック・コーポレーションにしておりますので、任命は政府の任命、こういうことに相なっております。それからKLMという会社がオランダにありますが、これはもともと民間でスタートしまして、戦争中やめてといいますか、事実上休んで戦後再スタートをいたしまして、それで政府が非常に金をつぎ込んだわけでございますけれども、もう最近では黒字になってきております。従って政府所有の株を堂々と民間に放出し得るという状態になっておりますが、これは日本とちょっと趣きが変っておりまして、ボード・オブ・コントロールとボード・オブ・ディレクターズ、こういうものがございますが、これは全部政府任命でございます。ちょうどこれは社外重役というものに当りましょうが、そういったものは全部政府任命でございまして、社長はボード・オブ・ディレクターズの中できめるということになっておると思います。それからエール・フランスでございますが、これは重役の半数は政府が任命し、半数は株主総会で決定する、こういうふうな形になっております。それからこまかい監督規定等につきましても、相当の規定がついておるわけでございまして、外国の法制に比べまして、外国ほど日本政府は力を入れていなかったのにということはあるかもしれませんが、日本の政府としては本年度、来年度から、大いに力を入れていってもらわなくてはならぬと私は考えております。そういった面からいいまして、ヨーロッパ方面のものと比較しましてきついものとは考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/40
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041・關谷勝利
○關谷委員 今の局長の御答弁を聞いておりますと、アメリカあたりが詳細な報告を一々取っておるというのは、報告は詳細な報告を取っておいて、そうして欠損は全部補助してやろう、助成をしてやろうという意味でありまして、あなた方のような監督の強化の考え方と考え方が根底から違うのであります。やるだけは創意工夫をこらしてやらしてやろう、そうして報告だけは出しておけ、足りなければ補助をしてやろう、それがその姿でありますし、その他の国あたりのは、そういうふうなことをするためには、全額国が出資をしておる。そうしてしかも経営だけはうんと伸ばしてやろうというふうなことにたっておるのでありまして、そういうふうな考え方をするのでございましたならば、民間株を買い上げて、公社方式にするというふうなことが、一番今の改正の趣旨からいえば——私は先ほど申し上げたような十三億という民間株は買い上げるべきものである。あの株を置きながら、しかも監督権を強化して萎縮するようなところへいこうというこの行き方には、私はどうも賛成をいたしかねるものであります。ほんとうの事業というものは、あまり干渉が過ぎると萎縮をすることになるのでありますが、この法案がもし通過をしたというようなことになりますと、あまりにも干渉が過ぎる、このように私は考えるのであります。従って事業は必ず萎縮をすると考えますが、局長はこれに対してどう思われますか、その点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/41
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042・荒木茂久二
○荒木政府委員 監督規定と申しましても、分けてみますと、この役員に関する部分でございますが、これについては政務次官からもお話がございましたように、最後に非常に妙な人が役員になられるということをチェックする建前でございまして、現に国際電信電話株式会社というものが二、三年前にできておりますが、これも政府出資が現在四二%になっておりまして、もちろんこれには全然補助金も出ておりませんが、これも実は全役員が認可になっておるという前例があるわけであります。この点は私は会社の企業活動を萎縮させるということにはならないのじゃないかと思います。ただ問題になりまする点は、十二条の二でもってこの事業計画、収支予算、資金計画を全部認可によって縛る、それから変更するときにも認可によってやる、それから監督命令も出すということになりますと、役人どもがどんなことをするかわからぬというふうに御心配になって、この点がおそらくこの会社の仕事を萎縮させるというおそれがある条文だと、こう御指摘になっておることと考えますが、この中で監督命令の点は、今申し上げましたような形でございまして、われわれとしては監督命令を出すということは極力自粛すべきものだと考えておりますが、この事業計画と収支予算と資金計画の三つは、実は一年に二回出せばいいのでございまして、現実にこの間興業銀行の人が言われましたように、現在日航が五十九億円の借金をいたしておりますけれども、この借金は全部政府のひもつきでできておる借金でございます。それから今年度も赤字が相当出ますが、来年度も再来年度も全部赤字が出ることが予定されますし、そうしてそれが年度の途中でいろいろ問題が起ってきまして、政府どうしてくれるのだということで、資金的な面で結局政府があとめんどうを見なければならぬという事態に立ち至りますことは、今までの実績でもそうでございますが、そういうことに相なるだろうと思います。そこでほんとうを申しますと、この資金計画というものが一番大事だと思うのであります。この資金計画に、事業計画なんというものはきわめて簡単なものでありまして、太平洋を何回やるとかという程度のものでありますから、きわめて簡単でございますが、それに収支予算をつけて、一年間の収支はこういうことになって、資金計画はどういうことになって、政府もこういうふうにしてもらいたいということで、そうして年間の計画を立てていきませんと、現在のような状態ではとてもいけないわけでございまして、現に五億円しか赤字が出ないということでもってわれわれも計画し、資金計画もそういうふうにしておりましたところ、どんどんと赤字がふえまして、十億を突破して、年度後半においては非常な苦労をし、結局政府が何とかしてくれということで、やいやい言われるような実情でございまして、私はこの事業がペイしないで、相当な期間、少くとも来年、再来年は結局政府が資金その他の手当をしなければならぬということは、遺憾ながら避けられない事態と思いますので、事前にその認可を取って、政府と一緒にその資金計画をやるということが必要である。しかしもしそうでなくて、事業、資金計画もやらないでどんどんおやりになって、年度途中から大赤字になって、油代も払えない、あるいは給料も遅配しなければならぬというような、今年の二月ごろのような状態になることがあってはいけませんので、そういう事前の措置を講じたものでございまして、この事業計画、資金計画、予算収支をこちらに出して認可し、そうしてお互いに相談して、いいところだというところへいって、政府も責任を持っていくという態勢が私は必要だろうと思うのであります。そこでこれあるために政府が監督をやっていく、つべこべ言うということにはならぬと私は思います。ただ二項の監督命令の規定が、とかぐ今までの役人が運用上ちょこちょこ監督命令を出すというようなことがないということは保証できないとおっしゃられれば、その点は法文上はそういう保証でございますが、われわれはそういうことをやるつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/42
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043・關谷勝利
○關谷委員 おかしな話で、私は十二条の第一項には何も反対しておるものではないので、第一項で今の局長の言われることはみなできるのです。ことさら第二項を入れなくてもよいので、資金計画の問題もみな許可で、これを変更するときにも許可が要るのでありまして、一々相談できないことはわかっておるのでありますから、それはそのために第二項を置かなければならぬという言い分にならないのでありまして、第一項たけで十分であると、私はこのように考えておるのであります。局長が今言うておられたのは、ほかにも国際電信電話会社とかなんとかいうような前例があるから——そうするとそういうふうな、一方でいうと一つでも悪いものがあれば、それにならっていいというふうな言い方で、まことに妙な気がするのでありますが、その航空事業と電信電話が同じような事業と私ども考えてはおらないのでありますが、そういうふうな事業がそうであるから、航空事業もまたその通りであってよろしい、こういうお考えでありますか。先ほどのお言葉で、ちょっとお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/43
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044・荒木茂久二
○荒木政府委員 電信電話事業とこれとを同断に論じてそう言うているわけではございませんで、電信電話の事業の最近できました会社の法律にも、そういう前例があるということを一応申し上げただけで、電信電話についてこれが絶対にいいのだと私は自信を持って申し上げているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/44
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045・關谷勝利
○關谷委員 私一人がしゃべっても何でございますので、なお小さい事柄については、これからまたいろいろ修正も考えたいと思いますので、その際に同時に質疑をしてみたいと思います。一応私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/45
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046・原健三郎
○原委員長 小山亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/46
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047・小山亮
○小山(亮)委員 私は政府委員のどなたということを指定するわけではございませんが、一番航空局長がこの問題を御承知のようですから、本来なら大臣に伺わなければならない問題ですが、お伺いいたします。航空事業に対する政府としての基本方針というものは、どういう方針でおやりになるか。それから伺わないと、今の航空会社が損をする、損をすれば政府がしりぬぐいをする、また損をすればしりぬぐいをする。そうだから結局政府資金がたくさん入るから、政府が監督権を強化して、しまいには役人が経営しなければならないということに結論はなってしまう。それでは初めからなぜ国営にしないか。オランダのように、あるいはイギリスのように国営にして、政府が思い切った処置をやって、事業がだんだん業績が上って、民間にこれを渡してもよろしいというようになったら、民間にどんどん株を払い下げてやろうという処置をおとりになるのが一番いいのではないか。それを初めからどんなことをしても民間に経営させておく方がいいのだ、民間の企業意欲を旺盛にさせ、あるいは民間人によって運営の妙味を発揮させようという立場から、あくまで民間でやらなければならないということならば、思い切った補助でもどんどん出しておやりになって——昔すかんぴんの郵船会社を政府が全額出資と同じような援助をやって、今日の大きな船会社を作り上げた、あの方針をおとりになるのもよろしいじゃないか。そこが中途半端だ。中途半端だということはどういうことかというと、日本の航空に対する政府の基本方針というものがはっきりしていない。だから民間航空事業に対するところの政府の基本方針というものは、どうしても民間で行くのだ、あるいはある場合には国営にするとか公社にするという方針、どっちをとってどういうふうにやっていくか、そのきまった基本方針がおありになるのですか。もしあったらそれを伺っておきたい。そうしないとこの問題はその日その日のでき心で、金がなくなれば予算を出すということでは国民は納得しないと思う。その点はっきり伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/47
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048・荒木茂久二
○荒木政府委員 日航法を提案いたしましたときに、大臣からも御説明申し上げたと思いますが、国内線については自給自足といいますか、飛行場の設備その他を政府がやりまして、そして自給自足で行かせるという考え方で進んできた。国際線につきましても自給自足で、民間事業としてスタートして行かしたいという考え方を持っております。ところが国際線につきましては、御存じのように非常に日本の条件が悪うございますし、いろいろの面でハンディキャップがある。それから金が相当かかりますが、日本の民間蓄積の現状では、その必要なだけの資金が民間から吸収できない。そこで当分は国際線に関する限りは、民間側と政府と半分ずつ持って、政府が援助していこう、こういう考え方でスタートしたわけです。そのときの計算が少し甘過ぎたではないかという御非難であるならば、まさに少し甘過ぎたと思います。そこでこのやりました過程において相当の赤字でやむを得ないということで、民間の方も投資が集まらぬということでございますから、政府が今までよりもさらに力を入れてペイするところまで早く持っていかなければならぬ、こういう考え方で来たわけであります。そこでしからばそういうことでやっていけるのかどうかということについて、疑問をお持ちになるかもしれぬと思うのでございますが、これは現在の日本といたしまして、いわゆる軍事目的のために会社に飛行機を持たせるということは考えられないわけです。それから日本が植民地を持って、植民地との連絡は命令航路にしようが損が出ようが、政府がカバーするという場所もございません。従って日本が国際航空をやります限りにおいては、できるだけ採算的にいい路線を選んでやるということをせざるを得ないわけでございますが、そういたしますと現在運航いたしております太平洋とか香港までという路線につきましては、私は五年かからなくてもペイするところに来るだろうと考えます。そこでそういう見通しのもとに考えますならば、これの株を買い上げて国有にするというようなことでなくして、本来自由な活動をする民間運営でやる方が望ましいと考えて、この法律も日航のそういった性格を改変しないで、半官半民としての性格を保有しつつ、政府の援助が強くなるから、その区間に応じまして監督規定を若干強化する、こういう考え方でスタートしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/48
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049・小山亮
○小山(亮)委員 私の質問する要旨に触れておらないのですが、私は日本が現在のような敗戦後の状況から見まして、今のままで海運をうんと拡張して盛んにしようとしても、もうすでに海運というものはある程度限界が来ていると思う。残されたところは航空だけなんです。海運の現状を見ますと、旅客であるとかあるいは高級の雑貨とかいうものは、すでに空輸に移りつつある。そうして海上輸送の貨物というものは原料資材に限られてきている。そうしますと将来一番金になるところの輸送は、全部空に持っていかれているのです。そうしますと日本の将来というものは、どうしても空でなくちゃならぬ。防衛問題なんか私は考えてません。防衛問題なんかあんなものは必要がないくらい、むしろ空路をわれわれがどのくらい拡張すべきかということが、将来日本の商権を拡張するに必要じゃないか。そうしますとアメリカだけの輸送路でなく、カナダであるとか、あるいは南アメリカ、あるいはヨーロッパにも、なお日ソの間の国交が調整され、日中の貿易が再開するとなったら、その方にもどんどん空輸で行かなければならない地位に日本があるのじゃないか。そうしますとこの航空事業の将来の計画というものは、もっと大きなスケールであなた方が計画をお立てにならなければだめだ。今のところで一年か二年すればペイするとか、香港とどこをやれば損するとかもうかるとかいう問題でない。将来の日本の商権を拡張し、平和日本の経済を確立して、そうして世界に飛躍していこうというなら、どうしても今残されたところの空路の開拓以外にはないと私は思う。そうしますと今の局長が、さっきから私も言う通りに、これだけ大きなスケールでやるならば、もっとむしろ積極的に国家が資本を投下していく。そして民間人ではあなた方が信用できないというならば、むしろ国営でも何でもおやりになったらどうかということを私は申し上げておるので、結局それまでに航空事業というものを重要視しておいでになるか、もしおいでになるとすれば、何年後にはどれだけの計画を立てて、どこまで航路を延ばしていくのか、それにはどれくらいの国帑をつぎ込んでいったらよろしいかという案がおありでしょう。それを聞かなければ議論にならない。私はそれを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/49
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050・荒木茂久二
○荒木政府委員 実は航空路拡張何カ年計画という、非常に勇ましい案を立てたことはあるわけであります。しかしながらこれは非常に採算ベースに乗らないわけであります。日本の国力としてそれだけの金を出してもらえるということは、とうてい期待できないことなんです。そこでまず乗員の関係、その他いろいろの関係から考えまして、比較的いい場所でもって基礎を作って発展していくということにして行きたい、こういうふうに考えております。特に私が、政府から相当の補助金をもらって、採算ベースに立たなくても、ぜひやりたいと思いますのは、近回りの路線であります。たとえばフィリピンとか、あるいはラングーンとか、シンガポールとか、ジャカルタに行くというような問題でございます。遺憾ながら現在では朝鮮へも行けない、フィリピンへも行けない、ジャカルタへも行けないという状態でございまして、そういったことができないのを非常に残念に思っております。今おっしゃいましたように、将来の航空事業が、貨物輸送の面においても非常に重要な地位を持つということは、おっしゃる通りだと私は思っておりますが、そういうときに備えて、遠きおもんぱかりをもって長期計画を立てて、どしどしやれという御意見はまことにありがたい御意見だと思います。そういう意味におきまして、具体的な計画と資金的なめどができていないという意味において、国策がないと言われますならば、遺憾ながらまことにその通りでございます。われわれとしましてはいろいろ考えてはやっておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/50
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051・小山亮
○小山(亮)委員 私はそういう計画を持って、どしどしやれとか言っているのではない。政府がそれだけの案を持っておるかおらないか、何もないのか。採算ベースに合うとか合わぬとかおっしゃいますけれども、日本に最初船のない時分に、海運事業をやるということは非常に冒険だった。世界の海上で日本が七つの海を制覇するということは、とても夢にも及ばなかった。しかしとにかく戦前は押えておった。それには非常な国帑を費し、政府の強い応援があったわけなんです。ですから私は今の日本の段階において、日本の航空会社が今や一つや二つのアメリカの古い飛行機を買ってきて、それでもって輸送しておって、合うとか合わぬとかいう問題でないと思う。もし航空事業が合わないなら、どうしてオランダや、ドイツや、イギリスや、アメリカは採算を取っているのですか。外国でさえ採算が取れるのですよ。それなら日本だって採算が取れるわけでしょう。現在の状態だけでペイするとかペイしないとかということをおっしゃるならば、ペイするだけの規模でちゃんと仕事をしたならば、絶対戦って勝てるのです。それをやらないで——今のように航空事業の重要性を政府が認めたのではない。戦争後民間の人たちがわずかな金を集めてやり出した。血みどろになってやった。もく星号が墜落したり何かして、あの時分でも一体こんなことでどうなるのだということで、国民から指弾されたが、苦しい間は民間にやらして、今になって将来の見通しもややついてくると、政府が補助金を出す、また出資もするというようなことになって、突然として役人がこれをその手の中におさめて、そうして役人がこれを管理しようということは、これは少し政府のやり方が違っておるのじゃないか。航空事業に対する基本方針があるならば、政府がそれだけのちゃんとした規模を持って、このルートに乗っていけばやれるかやれぬか、やれぬものはやめさせて、やれる人間を政府が持っていくというならばわかりますけれども、無理やりに作ってきた仕事をもぎ取るようなことまでして、航空事業をやるというのだったら、もっと大きな構想で、民間ではとうてい手が出ない、政府でなければとうていやれないというような規模のものをおやりになるのならば、私はそれはいいと思う。ところがそうでなくして、たとえば先ほど關谷委員が質問されましたが、十三億の民間出資がある、これに政府出資が二十億ある。そうなると、ここでもって株式会社である以上、株数は絶対過半断を政府が持っておるのですから、株主総会を左右するだけの力を持っておる。そうなれば、その株主総会で選んでくるところの重役は、これは運輸大臣の思う通りの者が出てくるわけなんです。だからそれほどやるならば、もっと率直に思い切ってはっきりとして、だれにもわかるようなことをおやりになったらどうかということを私は申し上げておる。もっと根本的な航空に対する方針を立てていなければ無理じゃないか。一年か二年でペイするとおっしゃいますけれども、五年、十年、十五年向うにいって、どういう方法で政府は幾らまで金を出すおつもりなのか、それを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/51
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052・荒木茂久二
○荒木政府委員 今私は持ってきておりませんが、国際航空三カ年計画というものを立てまして、そうしてそういった方向で進めたいということで、航空審議会へも披露いたしまして、きめた案があるわけであります。これは非常に野心的で、三年くらいの後にはシンガポールまで行く、ロンドンまで行く、もちろんブラジルへも行く、こういうことでスタートしたわけであります。しかしながら今までの経営の実績にかんがみまして、遺憾ながらそういうルートをやりますと、とても日本の財政をもってはまかない切れない、赤字が出るということが想定されますので、そういった野心的な計画はひとまずストップいたしまして、地固めからまず行くという考え方に変ってきたわけであります。それですらも今申し上げましたように、相当の赤字を出しておるわけであります。国の財政から見ると、その金額は大したことでないと思いますけれども、これは私たち事務の者が考えまして、それだけの補助金なり出資なりを政府の財政計画から出していただくのは、非常に苦労いたしました。ようやくそういった面に踏み切っていただいたわけでございますが、そういう点を勘案いたしまして、一挙に飛躍的に発展するということはとうてい困難だ、こういうふうに考えております。しかし御指摘になりましたような、見込みがついたから、政府が出資して、コントロールして、これを乗っ取ろうなんということは、これは毛頭ございませんので、初めから申し上げましたように、ペイする段階になったならば、これを逐次民間に返していくということは、これは日航法ができたときからの変らざる方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/52
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053・原健三郎
○原委員長 この際、委員長から資料の要求をいたします。その政府の持っておる野心的航空行政の年次計画とその資金計画の資料を、至急提出されるよう望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/53
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054・小山亮
○小山(亮)委員 私はさらに伺いたいのですが、ほんとうに航空事業というものを採算に乗ぜようとするならば、ちょうど日本の船会社の発祥をお考えになるならばわかるのです。明治二十年ごろ外国の古船を買ってきて、政府がこれを共同汽船か何かに回航させて、それを郵船なり三菱汽船に無償で譲ってやったのが、日本の海運の発祥なんです。これがちょうど今の航空と同じなんです。アメリカの飛行機を買ってくる。古いのか新しいのか知らぬけれども、とにかくアメリカの年式のおくれたものを買ってくる。そしてアメリカ人のパイロットでこれをやっておる。また日本で整備をしましても、ハワイで整備するよりか、日本の整備会社で整備した方が高い。そういうようなことをやっておれば、採算が合わないことはわかっていますよ。だから日本の航空というものを、将来日本が世界と競争して勝てるようにするためには、まずパイロットの養成を考えなければならぬ、それから機械を整備する方法ももっと積極的に考えなければならぬし、飛行機自身も自分で作らなければならぬ。だから私の言うのは、どうしても二年や三年でできっこないですよ。それができるようになったときに初めて、世界のあらゆる国の航空会社と渡り合って日本が勝てる日が来るのです。その日は五年後であるか、六年後であるか、七年後であるかわからぬけれども、しかしその後には必ず勝てるということで計画を立てるならいい。私は、金の面については、これはほかの予算にも触れることだから言いたくはないけれども、現在海上自衛隊で作っているような、ああいう小さな駆逐艦なんというものを、今日何の必要があって作ったのかと思うのです。あれだけの金があったら、あんな金は防衛費を削って、この飛行機にぶち込んだ方が、よっぽど日本の将来のためになるとすら私は思っている。それに対してあなた方は、三年間の勇ましい計画を立てているが、三年くらいの計画では、勇ましい計画は立ちっこないですよ。三年でパイロットの養成ができますか。また三年で、日本でアメリカと競争のできるような飛行機を作れる目算がありますか。航空の基本的方針というのはそうなんだ。運航もそうです。路線の拡張もそうだが、私は、同時に整備であるとか、あるいは製造であるとか、あるいはパイロットの養成であるとかいうことの面まで、突っ込んで考えなければうそだと思う。それから航空の将来というものを考えてみますと、今の状態では、それはアメリカの北西部しか行かれないでしょうが、やがてはソ連の方にも行かなければならぬことになる。そういうときの対策はどうするか、それもすっかり考えて、もっと遠大な計画を立てておいていいのじゃないか。案というものは一つだけじゃないですよ。長期の案はこれである、次善案としてはこれである、現在の段階においてはこれであるというふうに、少くとも三つくらい案を立てて、そのどの案を持っていってもむだのないように持っていくのが、ほんとうじゃないでしょうか。今のようなことで、ただ足らず前だけを弁償してやっていくというようなことをやっておったら、それはみんなむだになりますよ。それだから私はあなた方の航空計画というものは、いつまでもアメリカの飛行機を買ったり、イギリスの飛行機を買ったり、ドイツの飛行機を買ってやるのじゃなくて、日本がどの程度まで積極的にやる方針をお立てにたったか、それを伺いたい。全然ないですか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/54
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055・荒木茂久二
○荒木政府委員 計画がないというわけではもちろんないわけでありまして、たとえば現在の航路をやるにつきましても、パイロットは、今ほとんど全部が外国人を使わざるを得ない。それからナヴィゲーターも、約半数くらいまで持ってきましたけれども、アメリカ人でやっております。それからメカニックもアメリカ人がやっておる。これを一人前のパイロットにするということは、日本人で持っていくことは非常にむずかしいことでございまして、そういった関係ともにらみ合していかないといけませんので、先ほど申し上げました非常に雄大な計画を立てましたけれども、現実はとてもそこまで行けないから、それでさしあたり地固めをする、足場固めをするという考え方でもって、現在のルートでもって、できるだけ整備基地もこちらに移してくる。現在整備も、先ほど昔の船のお話がございましたように、DC−6Bの整備はサンフランシスコでやってもらっておるというような状態でございまして、整備基地もこちらに移すというようなことを逐次進めて、それと並行していくということになりますと、自然発展のスピードはおそくなる、こういうことでございます。今おっしゃったように、大いに発展するという計画でもって進むということは、私も全面的に賛成でございます。そういうふうに早く行きたいものだと思いますけれども、現実の姿はそういうふうになかなか進まないわけでございます。
なお飛行機の面についてお話がございましたが、飛行機は、国際航空に用いられております飛行機は、ロシヤ側を除きまして大体三千機程度でございますが、その八〇%近くのものはアメリカ製でございまして、ヨーロッパの各国におきましても、自国製の飛行機を使っておるのは、イギリスが一部、フランスがほんのちょっぴりで、みなアメリカから買ってきて使っておるような状態でありまして、初めから日本でみずから旅客機を作って、部品もすぐに間に合うというようになることを希望いたしますけれども、これに対しては、いわゆる商業ベースで考えます限りにおいては、そう大きな期待はかけられないのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/55
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056・小山亮
○小山(亮)委員 現に政府がパイロットの養成なんというものをおやりになるならば、この際外国の飛行機会社か何かに委託してでもパイロットを養成する、ただ日本の日航だけに養成させておかないで、もっとフランスであるとかドイツであるとか、その他の国々に対してパイロットの養成を委託するということも必要じゃないか。ほんとうに急速に日本の航空を伸ばそうとすれば、それだけのことを政府がおやりにならなければうそじゃないかと私は思う。人の作った会社をわずかな金を出して乗っ取って、役人が監督権を強化してやろうなんというようなけちな考え方をしないで、今の日本航空がいけなかったら、ほかのをお作りになったらいい。そのくらいの意気込みでおやりになるのがほんとうじゃないかと思う。しかも今の日本航空の貧弱な内容というものはどうかというと、役人出身が重役でおりましても、航空長官をやめた人がやっておるとか、通産省の関係の役人が入っておるとか、あるいは大蔵省の役人が入っておるとかいうことになりますと、どうしても出身したところの役所の関係、コネクションの上に立っておりますから、それぞれの監督官庁——第一機械の方に対しては、現在では航空に関しては運輸省がこれを全部掌握しておるかというと、そうでないでしょう。機械の方になりますと、通産省の許可を受けなければできはしない。また通産省の役人に首を振られてはできはしない。資金の面になりますと大蔵省、その大蔵省の役人に首を振られたらできはしないということで、これはだれがやったってだめなんです。私は、これをやるには、どうしても日本航空を監督する監督権を一元化しなければだめだと思う。こういうことに対しては、局長は今までの経験からどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/56
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057・荒木茂久二
○荒木政府委員 今小山委員のおっしゃったようなことになると、非常にけっこうだと思いますけれども、微力にしてそういう情勢に持っていけない次第でございまして、そういうようなシステムになると非常に仕合せだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/57
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058・小山亮
○小山(亮)委員 航空局長が航空局長の権限でやるということは困難でしょう。だから航空事業というものは、日本の国策として、政府で閣議においてこれをちゃんと決定してきて、それからかかってこなければ間違いじゃないかと私は思うのですよ。たとえていいますと、大蔵省では今の日本航空というものの将来に対して非常に疑義を持っておりますよ、大蔵省の役人の偽わらざる心境は。私がたとえば大蔵大臣であったとしましても、今のような小出し的なことをやっておるなら、相当疑義があります。これに金を投下して果していいか悪いかということには、非常に不安を持ちます。それから航空機の検査とか製造とかいうことになると、これは絶対通産省ですから、通産省は通産省としての考え方でやりますから、そうするとなかなかうまくいかない。これはどうしてもここで考えなければならない。それから機械とかそういうような計画は、通産省は通産省で、運輸省にないしょでいろいろ研究し、いろいろな案を出しておりますよ。また防衛庁は防衛庁で秘密に研究したり、計画を立てておる。私は国防というような問題と結びつけたくはないのですけれども、日本の航空機の修繕であるとかあるいは製造であるとかいうことは、防衛庁で作る飛行機も航空局の方の関係の飛行機も、同じように研究をして力を合せてやるのでなければ、急速に伸びていかぬと思う。それをみんなちりぢりばらばらになって、セクショナリズムで、すっかりかきをこしらえてその中で秘密研究をして、お互いに話し合わないというようなことをやっておる航空事業の将来というものは、大蔵省が採算の上において、将来性について非常に疑義を持っておるということは私はほんとうだと思う。これにはやはりどうしても日本の国の国策の問題として、もっと深く掘り下げて研究する必要があるのではないかと思うのですが、あなたの御見解はいかがですか。私はあなたの責任を追及しているのではない。今日本航空が損しているのはあなたの監督が悪いから損したのではなく、実際にああいう状態になり得る面があるので損しているのだから、あなたの責任を追及しているのではない。航空局長として、日本の航空の将来性に対して私が今言ったようなことに対しては、あなたはどういうふうにお考えになるか、そのお考えを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/58
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059・荒木茂久二
○荒木政府委員 実は国際航空事業の将来性というものにつきましては、もうこれは損する事業にきまっておるのだというふうなお考えがだいぶ広く行われておるように思うのでございますが、しかしいろいろな外国の航空会社の実例から見まして、航空事業というものはそういうものじゃなくて、日本の航空事業も、年数は要するかもしれないけれども、必ずペイするところまで持っていけるものだ、こういうふうに実は私は考えておるわけです。それから政府が閣議にかけて、こういうふうにして航空を持っていくのだというはっきりした方策で、国際線はどこどこまで必ず出資してやるのだというふうな意味合いにおいて、きめてやらせるというような国策というものがないじゃないかとおっしゃられれば、その通りでございまして、そういうものができて、政府としてはっきりした態度で推進していただけるようになることが望ましいと私は思うのでありまして、またそういうことを推進しなければならないのは私の責任であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/59
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060・小山亮
○小山(亮)委員 そうしますと荒木局長のお考えでは、現在のような補助をすれば、三年の後には今の日本航空というものは赤字が黒字になってきて、もうかって独立して自分でやれるようになる、こういうふうに考えておいでになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/60
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061・荒木茂久二
○荒木政府委員 年数につきまして三年と限るわけじゃございませんけれども、私はこのルートでやっております場合には、ペイするところまで持っていけるものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/61
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062・小山亮
○小山(亮)委員 それがお役人さんの机上論で、私は非常に心配なのです。今の飛行機は、現在運航しておるところは最初お客は乗りません。日本人の飛行機なんというものに対しては、向うは深い関心を持っておりませんから乗らない。けれども回を重ねて何の故障もなく運航しておるということがわかると、だんだんお客がふえてくる。だから今のところはだんだんお客は出てくるが、次第に今度は新しい路線をあなたの方で開拓していかなければならないでしょう。新規路線を開拓するということになると、どうしても一年間ぐらいは赤字、それからまたよくなる。それからさらにまた新規の路線を開拓していかなければならないということになる。永久にずっと新しい路線を拡張するに従ってますます赤字を拡張して、入ってきた金で出す金を償うということは考えられない。もし現在のところだけで満足しておられるならば、何も政府が航空事業を助成するということを言わないでも、今のところならばこれはやがて民間の人たちだけでやっていけるところだ。もう少しあなた方が率先して金のあっぜんでもしてやりさえすれば、やっていけるところなのです。けれども日本の航空というものは、政府がそれだけ乗り込まなければならないということが根本なのだ。世界に向って日本の航空圏というものをどんどん伸ばしていかなければならないとすれば、それに伴う赤字は覚悟していなければならない。それをまずあなたにお考え願いたい。だから計画というものは最小限度どれまでの計画を持っておる、最小限度ヨーロッパの線を一本持たしてほしいとか、あるいは豪州線がほしいとか、南米線がほしいとか、あるいはソ連とか中共とかを飛ぶものも、最小限度日本としては国際線は大きいところ五本くらいはほしい、こういう考えがあって、それにはどれだけの資金を何年間でもってという計画がなければ、これは無理ではないかと私は思う。それで今の日本の航空の経営がいいとか悪いとかしりをひっぱたいても無理で、大体日本の飛行機は日本人自身が乗っていいか悪いかわれわれでも考えます。汽車でさえ故障ばかりでしょう。汽車でさえだめなのだから、飛行機に乗ればまたどんな目にあうか、ちょっと日本人でさえ考えます。それを外国の人たちまでみんな乗せようというのですから、それには何年間もやっていて、故障が何にもなかったということでなければ信用が得られない。それまでどうしても赤字というものはあり得るのであって、あったって、これが日本国家の将来のためにならぬということならつぶしてしまってよいが、日本の伸びていく道は航空以外にないということになれば、相当強い決心をしなければならぬと思います。あるいはそういう面からいって、政府が補助をして積極的にやらせるということなら、国際的の航空と国内的の航空というものを完全に区別して二つにしてやったらどうか。国内航空というのは、あなた方で許可されたものが二十くらいあるそうですけれども、しかしながら実際やっておるのはヘリコプターと、極東航空ですか、それと今の日航なのであります。せめてこの三つくらいは一つにしてしまわなければうそじゃないか。国内と分けるにしても、東日本と西日本と、日本の胴体を半分にぶっ切って、そうして片一方は許可する、こっちは許可しない、飛べないというようなことをすれば、そろばんは合わない。自由に飛ばせるのでなければ採算は合わない。初めから飛行をするときに東日本と西日本に分けて、お前は東だけ、お前は西だけ、向うへ行く人は途中で乗りかえろということになれば、これではそろばんは合わない。私は国内航空というものは打って一丸にし、国際航空というものも打って一丸にすれば、国内航空というのは相当の援助指導も必要ですが、これは独立採算制でやれるようにする。しかしながら国際航空というものは、将来の日本の商権を拡張するものであるから、思い切って政府がうんと金を出していく。場合によれば国営にでも何にでもする意気込みでいくというならわかるのでありますが、私はこれらに対するところの荒木局長の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/62
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063・荒木茂久二
○荒木政府委員 今の御質問で御答弁申し上げましたのは、現在のルートでやっておるならば、まあペイするところまで持っていけるだろうということを申し上げたわけであります。しかし御指摘の通り今のルートだけで満足していてよいのかということの御質問でありましたが、そうでございませんで、今あなたがおっしゃいました通りに、逐次発展していかたければならぬ。発展していく初めの一、二年というもの、お客がついてくるまでは赤字が出るということで、路線を拡張して行くのに必要なだけのものを、既存の路線全部でまかない得るという状態にはなかなかこないと思います。御指摘の通り新しい路線を拡張していくについては、それに要する開発費というか、そういうものは常に赤字が出てくるということで、その点については政府が援助しなければならないというふうに考えておりますし、今仰せになりましたように、逐次発展していく態勢で考える。そうしてそれに応じて補助金を出すということで、もう少し発展的に考えろという御意見につきましては、全く私らもそのように考えております。
なお国内線の問題でありますが、これは御指摘のようにいろいろ許可したものもございますが、定期航空として許したものは御指摘になりましたように三社だけでございます。しかしこの国内航空をやっておる二社を東と西に分って運営さしておるということは、実際の経過にかんがみまして適切でなかった。こういうふうに率直に考えております。これはまず一本になって飛行機の運航のふところを広くし、運航が便利になるようにいたすべきだ、こういうふうに考えまして、実は両社の合併を間接に慫慂し、希望しておる次第でございます。さらにこれをどういうふうに持っていくか、公営の一本にしていくかどうするかという問題については、まだ結論を得ていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/63
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064・小山亮
○小山(亮)委員 国内航空を発達させようとしましても、現在のように日航の走っておるところの空路と、極東航空であるとかヘリコプターなんかが飛ぶところの空路と同じなんですから、同じようなところでお客のせり合いをすれば、政府から援助を受けている会社が勝つにきまっている、いわんや極東航空もヘリコプターもそんなに内容のいい会社じゃない。気息えんえんとしている状態で、マイナスとマイナスと幾ら合せたってマイナスですよ。だからやはり生きていけるようにするためには、そんなところで同じ路線でせり合わないで、ほかの路線に両方を回すとかしなければ、ただ競争だけさせておいてもだめだ、そこで私はどうしても国内航空というものは一本にするという方針で進まれるのがいいのじゃないか、それがほんとうに経営が成り立つ方法じゃないかと思うのですが、この点には、私がさっきお伺いしたときにあなたの御答弁はお触れにならなかったから、それはどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/64
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065・荒木茂久二
○荒木政府委員 実は両会社を許しましたときの考え方は、日航のルートで競争するという考えで許したわけでは毛頭ないのであります。フィーダー・ラインとして日航のルート以外に出る。たとえば鹿児島へ行くとか、高松とか別府とか、日航のルートと別のルートで行くということで、フィーダー・ラインとしてこれを育てる——今日航が飛んでおります区間の飛行機を持っていきましても、そんなところへは持っていけない飛行機でございますから、中型以下の飛行機でないと、その他の飛行場は相当に整備いたしませんと使えませんので、実際問題として農地を取り上げて飛行場を拡張するということは困難でございますから、どうしても中型以下の飛行機でなければいけない、そして機種も違ってくるから、また別の会社があってもよかろうということで、実はフィーダー・ラインのつもりで許可したわけでございますが、遺憾ながらフィーダー・ラインとしての飛行場の整備がおくれましたので、それから両会社におけるパイロットその他の整備が、外国人を雇ってはとても間に合いませんので、みずからのパイロットを用いるということからいたしまして、そういった整備もしないで今日に至った関係で非常に不況に陥ったのでありますが、御存じのようにわれわれが許可いたしましたのは、日航と競争させるような考えで作ったのでは毛頭ございません。これを一本にしましても、フィーダー・ラインとして日航のルートにコネクトするほかのラインもぜひやるべきだ、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/65
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066・小山亮
○小山(亮)委員 非常に金のかかるのは、飛行機の製造は別ですが、パイロットの養成、エンジニアの養成、これが非常に金がかかると思います。また多年の経験も要しなければなりません。それを一営利会社にだけまかせておくということは無理じゃないか、普通の営利会社でもそうなんです。技術家を雇おうとすれば、みなそれぞれの最高学府を出たような人たちがちゃんとおって、それを雇うことができるのに、ひとり航空だけはそういう者を初めから自分が養成していかなければならぬ、それを営利会社に全部やらせるということは無理ではないか。もしそれをやるならば、思い切ってこれを養成するだけのものは政府が養成して、そしてその一人前にした者を供給してやるという方法をとらなければならぬ。操縦士であるとかあるいは機関士であるとかの積極的な養成方法、これに対してはもっと真剣に考えてやる必要があると思うが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/66
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067・荒木茂久二
○荒木政府委員 お説の通りでございまして、一人前のパイロットを作るということになりますと、非常な経費を要するわけでございます。そこで終戦後再発足の当時はそういった者がございませんので、その養成のための補助金を、二十七年度は三千万円、二十八年度は五千万円、途中で節約を一割か食いましたからそれだけ減っておりますが、その補助金を出したわけであります。ところが二十九年度から航空大学校を宮崎に開設いたしまして、ここで上級事業用の免状まで取らせるものを作って会社へやる、こういうことになりましたので、その補助金がなくなったわけであります。今パイロットの方は八人ずつ二回目の卒業生が近く出るわけであります。それから終戦後全然パイロットを作っておりませんので、終戦のとき二十だった者でも今は三十過ぎということになりまして、年齢的断層ができておりますので、フレッシュ・マンを作る。これが二年ということで、去年の十月から十人採用することになりまして、二年の課程を経て上級事業用の免状を取らせるというところまで持っていくということで進あております。ただ非常に困りますのは、現在は国内でも交通管制は米軍の手にありまして、日本側にこれがまだ戻っておりませんので、計器飛行は全部英語でやらなければいけない、こういうことになっております。それから国際航空に乗り出しますと、発着も全部計器でいくし、耳で飛ばなければなりません。これは幸いにして英語一カ国語で世界中が飛べる、こういう話し合いになっておりまして、英語を知ればいいわけでございますが、パイロットの腕と語学というものが一致いたしません。この点において日本人のパイロットの国際進出には非常な障害がありますので、苦労をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/67
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068・小山亮
○小山(亮)委員 定期航空などをやる飛行士の資格というのは、大体航空何千時間という制限がありますか。あれは何千時間で一人前の航空士ということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/68
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069・荒木茂久二
○荒木政府委員 定期航空の免状を取るまでに千二百時間要るわけであります。これは最短コースでございまして、そう最短コースでいけるわけではございません。それから実際からいうと国際線の長い渡洋をやるチーフ・パイロットというようなものは、一万時間オーバーという者が多いわけであります。それで戦前に飛んで、六千時間とか五千時間とかいう経験者を採ってきます。それに再訓練をしてパイロットのチーフにしておるわけでありますが、今申し上げました千二百時間というのは計算上出ます最短コースでございますけれども、実際問題として信頼の置けるものとしてやろうといたしますれば、太平洋のチーフ・パイロットにするためには、今日本が急いだといたしましても、五、六千時間を飛ばない人間をチーフにするということはできない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/69
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070・小山亮
○小山(亮)委員 私は大体八千時間ということを聞いておりますけれども、学校を出た生徒、それは国家試験を受けて、あるいは免状をもらうかどうか知れませんけれども、それをすぐに必要な航路に配属するというようなことは、冒険でできないことで、やはり七、八千時間の長距離の操縦をやったというような人でなければできないことだと思うのです。そうなりますとこれを養成するには相当の時間がかかるし、またそれをどこかに委託して養成しておりましても金がかかる。そうすると今のような学校をこしらえたから補助は要らないのだ。学校を出てから、技術をみがくのによそに委託されて、その技術をみがかせなければならぬが、そういう方面の補助というものはないのでしょうか。私はそれまで見てやらなければいけないと思うが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/70
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071・荒木茂久二
○荒木政府委員 そう急ぎませんと、学校を出た者を国内線のコ・パイロットにして、また実際経験を積まして、それを国内線のチーフ、それからこれを国際線のコ・パイロットにして、それを相当長期にやってそれからチーフに持っていくというふうに、相当年数はかかります。けれども、そういう余裕が実はありませんし、現在おりますのは三十から四十を過ぎた者ですから、旧日航時代の民間機を、一万時間までいかないにしましても、相当時間飛んでおりますから、相当早く国際線のチーフまで持っていけると思うのです。しかしその免状を取らすとか訓練するということになりますと、どうしてもお客さんを乗せてはできませんから、あの大きいDC−6BなりDC−4を、お客さんを乗せないで、いろいろ危険な四発の飛行機を全部とめてしまってやったり、一応そういう乱暴なテストをしなければならぬわけで、非常に金を食うわけであります。そこで今度大蔵省の方に本承認をいただきまして、そういった国際線のパイロットを作るための訓練が非常に金を食うものでございますから、今までに支出した金額と、それから今年度一億七千万円ばかり訓練費を要すると思いますが、それらをたな上げしまして、五年間で償却するということで、その金額の五分の一を今年度の国際線の補助金三億五千五百万円の中に、一億数千万円計上してあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/71
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072・小山亮
○小山(亮)委員 時間がありませんから、簡単に質問したことだけ答弁して下さい。
今の御方針だと、これから日本航空に対して、毎年何機ずつ飛行機を買い入れる予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/72
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073・荒木茂久二
○荒木政府委員 今のところは新しい航空機を買う計画をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/73
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074・小山亮
○小山(亮)委員 そうすると、今の飛行機は何年通用するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/74
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075・荒木茂久二
○荒木政府委員 物理的に申しますと十五年くらい。しかし新しい形式の飛行機が出てきますから、足の速い大きいものが出てきますと、経済的な競争力がなくなりますから、従って新機種を買わなければならぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/75
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076・小山亮
○小山(亮)委員 私は物理的のことを聞いているのではない。飛行機というものは修繕すれば何年で本使えるということを聞いております。しかし今言う通り、パン・アメリカンでは新しい飛行機をどんどん作って、日本のはもう古くなって乗らなくなると心配している。だからどうしても時代とともに新しいものを買っていかなければならない。そうすると、一年に一機買うか、二年に一機買うかという計画を立てておかなければならない。また不時の問題もあっていたむような問題もありますから、やはり私は購入する予算というものを立てていかなければならぬと思うが、これは全然ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/76
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077・荒木茂久二
○荒木政府委員 もうそろそろその計画を立てなければならぬ時期に来ておると思いますが、今年の計画には立てておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/77
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078・小山亮
○小山(亮)委員 今の日本航空を公社的な性格とした場合に、監督的立場より、技術であるとか製造とかいうものを見まして、一体役人がこれを指導した方がりっぱな優秀な技術者とかあるいは監督者を得られるか、民間人に経営させた方が優秀な技術者や監督者が得られるか、どちらが得られるとお考えですか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/78
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079・荒木茂久二
○荒木政府委員 今度の改正案でも、役人が経営するという考えは毛頭ないわけであります。半官半民の会社が経営するという建前でやっておるわけでありまして、これをパブリック・コーポレーションにして、役人みずから経営するというようなことは考えておりませんし、また私はそうでない方がいいのじゃないか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/79
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080・小山亮
○小山(亮)委員 あなた方が言っておいでになることは、いかにもそういうふうに聞えますけれども、実際問題として常任の取締役というものは兼任を禁ずるということになっているでしょう。今の時代に相当の腕前を持って相当の仕事のできるような人間が、無職でぶらぶらしている者はないですよ。役人か軍人の古手です。あとはもう大ていの人が、有用な人間はそれぞれの位置にいて重要なポストについています。あとに残っているのはみんな余っちゃった者なのだ。そうなるとあなたの方の案でいくと、必ずこの航空会社の重役になるのは、元航空局長であるとか、あるいは元大蔵省の何とか局長であるという人間が入ってくるにきまっている。現に航空会社の下の方、課長連中は三分の一は役人出身でしょう。それがちゃんと現にポストを占めているでしょう。今までの完全な民営にさせておいても占めているでしょう。これ以上に監督権を強化するということになれば、どんどんふえていくのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/80
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081・荒木茂久二
○荒木政府委員 今仰せになりましたけれども、課長以下が三分の一役人が行っておるということは全然ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/81
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082・小山亮
○小山(亮)委員 課長以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/82
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083・荒木茂久二
○荒木政府委員 課長以上そんなには行っていないと思いますが、私の方から資料を差し上げていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/83
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084・小山亮
○小山(亮)委員 どのくらい行っているか、あとで知らせて下さい。そして重役の数はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/84
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085・荒木茂久二
○荒木政府委員 重役は常任が十一人おるわけですが、十一名中四人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/85
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086・小山亮
○小山(亮)委員 常務が何人で、そうして役人が何人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/86
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087・荒木茂久二
○荒木政府委員 常務取締役が五名中三人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/87
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088・小山亮
○小山(亮)委員 そうすると事務もやはり役人出身でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/88
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089・荒木茂久二
○荒木政府委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/89
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090・小山亮
○小山(亮)委員 そうすると結局社長、専務、常務取締役というものは七人ですか。その中に役人が四人ですか。そうすると監督権の強化ということは、それはやはり今私の言うように、この中から兼職を禁じてしまうということになれば、もう余っている人間は幾らもいないことになって、結局は元の航空技術将校の古手か、あるいはお役人さんの首になってしまって行きどころがない人、これにきまっているですよ。そうすると日本航空というものは、先ほど国家の重要な金だからこれの監督権を強化しなければならぬというけれども、それはけっこうだけれども、お役人さんや軍人さんの退職した人の収容所になって、安楽な場所になられたのではなお工合が悪いと思うのですが、これに対する御見解はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/90
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091・荒木茂久二
○荒木政府委員 私も先ほど政務次官からお話になりましたように、役人がこういうところへそうたくさん行くべきじゃないというように考えております。しかしただ他の仕事についておられる力でも、ここへ来て専任してやっていただかなければいけないのじゃないか、腰かけでほかの会社と兼任で来て重要な業務をやられるということはいかがだろうか。この点は実はわれわれとして考えておりますのは、日航については業務の赤字が出ない、いわゆる経理上の業績が上るということに対しまして、非常な関心を持っております以上に、われわれといたしましては、航空の安全性というものに関心を持っておりますので、その意味におきましては、もちろん非常勤の方がいらっしゃることもけっこうだと思いますけれども、基幹の社長さん以下日常の業務をおやりになる方は、ぜひここへを腰を落ちつけて、ほかと兼任しないという格好で来ていただくのが筋じゃなかろうか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/91
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092・小山亮
○小山(亮)委員 民間の人よりも役人や何かがやって、故障のないようにするとおっしゃいますけれども、官営と民営というものを私が知っているだけでちょっと比較してみましても、今の私どもの使っている電話なんというものは、役人さんがこれを牛耳るためにあのくらい不便なものはないのだ。わずかなところ、横浜と東京との電話に三時間も待っていなければならぬ、人が行ってきた方が早いくらいですね。こういうことは役人がやっておるとどうしたって能率が上らない。それから非常な事故がある、事故があるということを言いますけれども、事故は最近の問題で、国有鉄道の洞爺丸事件であるとか、紫雲丸事件でもごらんなさい。やはりあのときに函館の港にひそんでおった民間の船は、一つもやられていない。みな逃げているのです。洞爺丸が沈没したときには、ほかにもたくさん民間の船がおったのです。ところが沈んだのは国鉄の船に限った。それからもう一つはこの間の紫雲丸の沈没事件、あのとぎにあの辺を航海しておった民間の船はたくさんある。それが一つも故障がなくて、残念にも政府経営の船だけがあそこで沈没して、あの事故を起している。それから航空の問題につきましても、防衛庁のやっておるヘリコプターは故障ばかりでしょう。民間のやっているヘリコプターは、今まで一回も故障がないじゃないか。これをごらんになりましても、役人がやったら安全であるとか、あるいは役人のやっているところは事故がないということは私はおかしいと思う。事実が証明している。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/92
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093・荒木茂久二
○荒木政府委員 今私が申し上げたことを、非常に私の申し上げた通りでなくお聞き取りになったようでございますが、私は役人がやるとか何とかということを申し上げたのでありませんで、この会社の経営をやるためには経営者が腰かけでなくて、本腰で来ていただかなければいけないのだという趣旨のことを申し上げたのでありまして、役人がやるということをもちろん申し上げたわけではございませんし、また役人がやるから安全性がふえる、こういう趣旨のことを申し上げたのでございませんで、ただこういった会社を経営するには、専心してやる基幹の人がいらっしゃらなくちゃいけない、こういうふうに思います、こういうことを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/93
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094・小山亮
○小山(亮)委員 事業の経営のことについていろいろ御教訓を受けるようだが、私は事業を自分で経営しているのだからよく知っている。それはほんとうに真剣に自分の命を張って、そこに骨を埋めるという気持になっていけばできるのです。けれども、運輸大臣の任命なんでしょう。兼職を禁ずるでしょう。重要な職におった人が航空の重要性を考えて職をなげうってきた場合に、それがたまたま政府の運輸大臣であるとか、あるいは内閣がかわって、次の総理大臣や何かに憎まれた場合に、たちまちやめなければならないでしょう。今の内閣が四年も五年も続くという内閣ならそれはわかりますよ。一年や半年で内閣がぐるぐるかわるたびに、この日本航空の役員がぱっと首になったり、また首がつながったりしたのでは、だれがやりますか、それでもいいと言っていく人間は、さっき言ったように軍人であるとか、役人で、命令で動いた経験のある人は喜んで行きますが、そうじゃない人は行かないのです。だから兼職を禁じちゃったら、得られないと思うのだ。そうすると、結論において役人や軍人しか行かないようになるのだ。そうしますと、安全性が保てなくなるということを言うのです。専念だからいい、専念だからいい、そんなものではございません。その点は、あなたもいろいろおっしゃるけれども、実例として、実際の問題としてそうなるでしょうが。今度でもそうでしょう。この法案ができると、せっかく日本航空へすわっているところの重役を、あなたは必ず首切るでしょう。首切られる者が出てくるでしょう。政府の命令にそむきそうなやつは……。そうすると、終生おのれの仕事だと思って一生懸命やっているのと、人から預かって腰かけでやっているのだというのと、考え方が違うのです。事業が伸びたり伸びなかったりするけじめは、そこでわかるのです。だから私はそう言うのです。政府の資金を出してやるということはけっこうなことだ。けっこうなことではあるけれども、一たびこれを任命した以上、終生これをしがいのある仕事として、全精神を打ち込んでやらせろというのならいいのですけれども、そうじゃない。それでは危ないではないか。それからまた株主総会でもってきめた人をきめるというけれども、株主権の行使というものは政府が持っているのだ。絶対過半数を持っている政府の株主権を行使されれば、重役はひとたまりもありません。みんなやめちゃうでしょう。そうすると、結局運輸大臣の思う通りになるわけです。その上になおあなた方の方で監督権を強化するとか、任免権はおれの方で指名するとかということになるならば、二重にも三重にも縛られる。公社的性格ではないとかなんとかおっしゃるけれども、これは明らかに公社的性格のはっきりしたものができちゃう。そのくらいならむしろ国有になすったらどうだと私は言うのです。民間から十三億出資させておいて、政府がもっとたくさんの株を出して、その十三億というものを押えつけて、当分の間配当もさせないで引っぱっていくのはかわいそうじゃありませんか。半官半民のような、そんなものになったって、民間人は絶対株式には応募しはしない。民間でやっていれば出してきます。それは今の社外重役が、それぞれの大会社に関係していて、月に五千円くらいのわずかな金をもらって——これは金じゃない、ほんの車賃でしょう。それで金を集めるから集まってくるが、それがみなあいそうをつかして出てしまえば、金は集まらない。結局全部政府の金になりますならば、十三億というものはむしろもと払い込んだ株でもって買い上げてやる方が親切です。それを、人の金はそこで十三億も眠らせておいて、そして向うが作った事業の上に役人がおおいかぶさって、内容がよくなるとずっと役人が入っていく。ことに大蔵省が監督権を強化しよう、大蔵省の思う存分に振り回そうということは、これは私は無理じゃないかと思うのです。航空局長もこの案に対しては決して満足じゃないでしょう。不満足でしょう。困るということはたくさんあるでしょう。だからもっと正直に、あなた方がこんなものな——これは相当修正されてきた案だというけれども、もっとざっくばらんに、もっと自由に仕事のできるように案を立て直したらどうでしょう。御意見はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/94
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095・荒木茂久二
○荒木政府委員 いろいろ御説明がございまして、株式が非常にふえるというので、そうすると民間の比重が軽くなるということは事実でございますけれども、まあ政府がバック・アップすることによりまして、民間の今まで出してきた資金も生きてくることになりますので、これのために民間資本十三億を圧迫するということにはならないのじゃなかろうかと考えております。全体においてこの法律をどういうふうに考えたらいいということをざっくばらんに言え、こういうお話でございますけれども、私はいろいろ考えはあろうと思いますが、政務次官から先ほどお話になりましたように、非常に監督を強くしろという案と、それから民間の自由にやらせろという両方の意見との妥協点として、この程度が適当じゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/95
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096・小山亮
○小山(亮)委員 中途半端といくのが一番いけないのですよ。やるならもっとしっかりやる。私の方は、航空の将来性を考えたら、政府が国営にしてやるべきものだと思うのですよ。それを中途半端にしておいて、名前だけは民営にしておいて、実は公社的性格を帯びさせる、役人が中へ入り込む、株主権を行使すれば政府の言う通りになる、そういうものに民間から投資しろと言ったって、民間の投資をバック・アップしてやるのじゃない。逃げてしまう。これは政府の経営は今までうまく行ったものが一つもないのだから、民間の方が逃げるのが当りまえです。政府事業でもうかっているのはタバコの専売局くらい。タバコの専売局のようにやたらに税金をうんとかけて思う存分やれば、それはいいですよ。そんなわけにいかないのだから、経営は。競争相手が外国なんですからね。それに勝たなければならぬから、タバコの値段をきめるようなわけにはいかないのですよ。だから私はどうしたってこの会社を生かしてやるには、政府の株主権の行使ということを禁止しなければならぬと思う。そうして思うようにまかせた人間にやらせるというのでなければだめでしょう。どうですか、御意見は。原案をお出しになったのだから、一歩も引き下がらないとおっしゃるか、修正されても仕方がないとおっしゃるか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/96
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097・荒木茂久二
○荒木政府委員 政府は出資はどんどんやるけれども、株主権の行使まで停止してしまうというようなことがいいかどうかということに関しましては、私はいかがかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/97
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098・小山亮
○小山(亮)委員 それでは重役の兼職の点、社外重役の点は、河野政務次官が兼職の方がよろしいと言われた。なるほど社外重役は郵船会社の社長とか、飯野汽船の社長とかいうのが入っておりますからね。この人たちにわずか十万や十五万円くれるからといって、お前兼職をやめてくれといっても、みなごめんこうむりたいといって逃げてしまう。兼職を禁止するなんと言ったら、相当の人間は来ません。これはわかっておる。どこにも行きどころがない人間しか来ません。だから私は常勤の重役ですら、兼職を許してやるというようなことを考えるべきときだと思うのです。真に人材を日本の国から求めようとしたら、どうしたってそこにあまりやかましい規則を作ったら、人間は集まりませんよ。事業の経営というのは人なんだ。人間さえ得られるならば、りっぱな仕事ができる。人間が得られたければだめなんです。どんなに政府がバック・アップしてもだめです。ぐうたらな無責任な人間では絶対だめです。ほんとうに命がけでやる人を一人でも二人でもつかまえれば、事業はうまくいくのです。その点は人が来られるようにしてやらなければだめだと思うのですが、御意見はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/98
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099・荒木茂久二
○荒木政府委員 この規定は、建前として常勤重役というものは、そこに専念するという建前をうたっておるのでありまして、非常勤の重役さんがいらっしゃる場合に、もちろん専心するということを要求する趣旨は毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/99
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100・小山亮
○小山(亮)委員 今度の日航法が国会を通過すれば、これは三十年の五月十三日の新聞ですが、現在の柳田社長も退陣をするということが書いてありましたが、こうしてだんだん退陣するとなると、だれかあなたの方ではそれにかわる適当な人というもののお目当てがおありなんですか。あるいはだれかお目当てがあって、こういう人間がやるのだから、今までの者は責任をとってやめていけという考えを持っておいでになるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/100
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101・荒木茂久二
○荒木政府委員 これは最高人事に属しますので、私の関するところでございませんけれども、そういうふうな新聞の記事を書いた新聞記者に伺っても、必ずしもそういうことはわからぬと思います。最高人事につきましては私は実は存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/101
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102・小山亮
○小山(亮)委員 最高人事だから私は知らぬと言うけれども、航空問題の一番の指導者である航空局長が案を作ったのであるから、だれであるかということをうすうすながら知らぬということはあり得ないですよ。これがないから、法案が通ったからといって、新聞募集をして、この会社の社長になり手はあるかといって天下に募集をして、試験をして採るというものじゃないのですから、これはあなたの方で、この間国鉄総裁をきめるに民間人から採ると言っておきながら、十河さんを持ってきてちゃんとそこに据えたと同じように、やはりだれかという腹案があるのではないですか。それがなければ私はこういうことはやりはしないと思うかどうですか。そこまでは知らぬけれども、大体の目当てはついておるというのか、全然そういうものはない、白紙だというのですか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/102
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103・荒木茂久二
○荒木政府委員 ほんとうにそういう最高人事につきましては、私全然今知りません。これはうそでも何でもございません。その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/103
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104・小山亮
○小山(亮)委員 そうするとどんな人が来て上にすわっても、あなたは異議がないわけですね。責任ある航空局長としては、上に来る人のすわり方によっては、承知できないといってしりをまくるのか、幼稚園の生徒みたような人を連れて来られてもいいというのか、どちらです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/104
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105・荒木茂久二
○荒木政府委員 最高人事は大臣のところでおきめになるわけでございまして、これはまだだいぶ先のことでもございますし、私は大臣とそういうことについてお話したことは全然ございませんし、全然知りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/105
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106・小山亮
○小山(亮)委員 何も見通しもなければ計画もなくて、こういう案を大胆にどんどん作って国会に出されるということは、どういうものであろうか。われわれ審議する方としては、だれが見ても適任者だというしっかりした人の目当てがついておって、こうすれば会社の内容は立ち直る、またこうすれば外国に信用のある人が入れるというような、何か明るい見通しを持ってこの法案に賛成したいのです。ところが今あなたがおっしゃるように何もない。どんな人が来るかわからない。しかもこうやくばりで、日本の航空に対する国策がない、飛行機を作るのもいつのことかわからないし、世界的な航空路に対する計画もない。とりあえず一、二年香港にでも行ってくればもうかるだろう。よくもこういうこうやくばりの案を出してきたものだと思う。なぜこんな案を出したのか。もっとしっかりした案をおきめになったらどうなんです。だれが何と言っても、これだけはやってのけるのだというような案でなければならない。これはまず内閣から腹をきめて案を出してくるのがほんとうではないでしょうか。真に日本の航空を考えるならば、果して国営がいいか、国有民営がいいか、あるいは民有民営がいいかというようなところまでよく検討して、ほんとうの案を出してくるのがほんとうではないでしょうか。ただこうやくばりの案を出してきて、これを審議してくれというのでは、これは無理というものです。そしてこれがいけなかったら、河野政務次官ではないが、あなた方は修正権を持っておるのだから、修正されても仕方がない。そんな権威のない出し方というものはないと私は思うが、御意見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/106
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107・荒木茂久二
○荒木政府委員 われわれの案は気宇狭少だというふうにおっしゃいますが、この点については、日本の財政からいって、私の考えでは現段階では一応この程度より進まない。遺憾ながら日本の財政、その他人的の面からいっても、この程度より進んだ行き方はできないだろうというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/107
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108・小山亮
○小山(亮)委員 その現段階においては、これだけしかできないだろうというのは、政府の閣議でそういう案をきめてのお考えなんですか。それともあなたのお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/108
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109・荒木茂久二
○荒木政府委員 航空計画とか何とかいうものを閣議で審議されたことはございませんが、予算問題としては審議されたことと思います。今申し上げましたのは、私、航空局長として、まずこの辺が実情に即したものではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/109
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110・小山亮
○小山(亮)委員 さっき私が言ったように、今あなたのおっしゃるだけの案だったら、私が大蔵省の役人だったら、経営の将来に対し疑義を持ちます。日本の国策としてこの程度まで行くのだということになれば、大蔵省だって腹がまえが違ってきますけれども、現在の段階では何もかも人から借りてくる。飛行機も借りてくる。しかもそれは向うの古くなった型のものを借りて、何とか使えるだけ使うのだ、こんなばかな計画では疑義を持ちます。だれだってやりはしません。また政府は毎年十億くらいの金を損して、どんどんつぎ込んでいかなければならない。おそらく将来は百億くらいの金をつぎ込んでいくようになるでしょう。それならば、もうほんとうに真剣に根本から案を立てるべきときではないでしょうか。そうしなければ日本は伸びませんよ。海上権は縮少され、すべての権益が縮少されておる今日、なお航空権まで他国から圧倒的に押えられて、日本の空は外国の飛行機でなければ飛べないのだというようになったら、一体いつのときに日本は立ち上ることができるでしょう。私は戦争をしようと思って日本の国力を伸長しようとするのではない。戦争をやめたから、せめて日本の商権をうんと伸していこうというのです。そうしなければ日本の民族がかわいそうだ。だから政府は日本に残されたただ一つの航空に対して、もっと真剣に取り組む必要があると思うのです。航空局長が自分だけの考えだというのではなくて、あなたは航空局のスケールの大きい案をどんどん立てて、それを出していただけませんか。またあなた方に案があったら、各政党の政務調査会に出して下さい。そうすれば政党の政務調査会はほんとうに考えてくれますよ。あなたのふところの中に入れておいて、出せと言えばちょっと待ってくれ、調べて持ってくる。そんなのではなくて、堂々とだれに本出せるものを各政党の政務調査会に出していただきたい。政務調査会はそういうのを調査したくて待っておるのです。三年くらいでなく、日本の将来の航空事業のことを考えたものを出していただければ、どんなに金が乏しくてもやりますよ。金が乏しくたって、アメリカに言われれば飛行機を作ったり、軍艦を作ったり、兵隊をどんどんふやしたりしているじゃないですか。金がないないと言いながら、あれだけできるじゃないか。そんなことに使う金があれば、こういう方にどんどん出せるはずだ。どうでしょう。あなたはそれだけに案をお立てになる気持はありませんか。あなたがおやりになるなら、私どもは外から声援しますよ、力はないけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/110
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111・荒木茂久二
○荒木政府委員 もちろんそういう気持でやりたいと思っております。案は現に、規模は小さいと言われるかもしれませんけれども、貿易外収支の線で作った案もございますし、さらに雄大な案を作るということになれば、最初スタートした雄大な案もございますし、案は幾らでもできると思う。それを果してどれだけ裏づけをしていただいて、どれだけ行けるかという問題はいろいろあると思います。案は作れると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/111
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112・小山亮
○小山(亮)委員 一つ伺いたいのですが、日ソの国交とか中ソの国交というものは、近いうちに私は必ず打開すると思うのですが、その際に今の日航の飛行機は、中共へもソ連へも飛べないでしょう。そうするとまた別の会社を作らなければならないということになるのじゃないですか。その点を伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/112
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113・荒木茂久二
○荒木政府委員 今の日航の飛行機で中共地域へ飛べないということはございません。ただ中共地域とかソ連地域へ飛びますと、その飛行機がアメリカ地域に入りますと、一年間でございましたか油の補給が受けられないということになりますから、現在のDC−4を使います限りにおきましては、DC—4は国際線に使いませんので、その点は差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/113
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114・小山亮
○小山(亮)委員 私はそうおっしゃると思った。それだから国際航空の方を使っておりますと、アメリカの方で認可がなくてずっと飛んだ場合には、油の補給は全然しませんね。日本航空という同じ会社であっても、今度は日本航空の在外資産を凍結されたり、日本の権益を向うから抑圧されますから、ソ連とやれば結局アメリカとの航空ができなくなってしまう。そういう点を考えて、ただ日本航空の飛行機が向うにも飛べる、こっちにも飛べるというわけではない。油の供給も全然されないし、日本航空のアメリカに対する営業にまで支障がくることになります。そうするとこの手当というものを、別に考えておかなければならない。そのときにぶつかってどうするというのではなくて、それまでに考えておかなければだめなんだ。だから私はそういう意味から、国内航空と国際航空を二つに分けておいて、別個の会社にしておいて、国内航空の線を一本延ばして、そして中共、ソ連の方に持っていくようにして、国際航空の今までの日航の方は、アメリカとの方の許された方をやることも一つの行き方ではないかと思う。そこで私は国内航空と国際航空を今のうちに分けておいて、採算の取れるように今のうちにしておいたらどうかということを前提として申し上げたのです。その点についてのお考えはどうですか。あまり先のことまで心配し過ぎるとおっしゃるか、それともそういうことも一つの考え方とお考えになるか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/114
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115・荒木茂久二
○荒木政府委員 一つのお考え方だと思います。ただ私どもとしましては今の日航をばらすということは、かえって得策でないのじゃないか、こういうふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように極東航空、ヘリコプターを一会社にして、強力なものにしたいということを考えております。それを日航に合併することがいいかどうかという問題は、まだ結論を得ていない。という点は、いろいろ諸般の条件を勘案して御答弁申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/115
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116・小山亮
○小山(亮)委員 極東航空、それからヘリコプター、これは両方ともさっき言ったようにマイナスなんですよ。どれもこれも死ぬか生きるかの境のようなもの、それを二つ一緒にしておいて、あなた方で何も援助もしないで、これが立ち直るとお考えですか。もしそれがどうもむずかしいというなら、何か援助の方法がありますか。予算的措置の必要がありはしませんか。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/116
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117・荒木茂久二
○荒木政府委員 今の形のままで合併しますと、非常なプラスはどうですか、プラスはあることは間違いない。しかし何らかの手を講じなければならぬと考えております。今予算的な措置はできておりませんし、マイナスを少くするという意味においては、二つが一緒になることで相当の効果があると私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/117
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118・小山亮
○小山(亮)委員 政府の航空に対する基本方針もなければ、今までのたとえばこういう民間を合併させるといったところで、無責任な合併を慫慂するにとどまり、しかもこういうようなきわめてずさんで、無計画であって、弥縫的な案をお出しになるということに対しては、非常に不満を持ちます。なおこの改正案の全面にわたっては、このままではとても私は賛成できないという意思を明らかにしまして、質問をやめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/118
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119・原健三郎
○原委員長 それでは次いで、新潟市日和山地帯の砂地の崩壊について質疑の通告がありますので、この際これを許します。青野武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/119
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120・青野武一
○青野委員 これは時間的に非常に急いでおりますので、日航法の改正案にはさまって緊急の質問を申し上げたいと思います。実はこれは計画課の課長補佐の諸君とわれわれの同僚が一昨日から昨日にかけて、新潟市の日和山の展望台の付近に実地調査をした事件であります。この問題について、これは緊急性を帯びておりますので、二、三ぜひ質問を申し上げたいと思います。
私どもが同僚からの報告を求めますと、明治時代から日本海に面して新潟市の岸壁の一部が、一種の砂の山で三段になっている。これが相当の山になって岸壁になっていたものが、二つの山がきれいに波に洗われてしまって、三つ目の山が、今展望台が上に立っておりますのが、直角の断崖になって——もちろんこれは岩でなくして砂でできている山ですが、もしそれが半年か一年のうちに日本海の波浪によって崩壊するようなことになれば、新潟全市は日本海の海水によって埋没するという危険に直面している。これは運輸省計画課の課長補佐も一緒に行っていただいたそうでございますが、こういう点については緊急な処置を急速に立てたければ、あとでどうすることもできない。もちろん防災費とか災害復旧費とか、過去において相当取っていただいておりますが、この点について昨年は国庫の支出額が大体三千万円、ことしはどれだけ三十年度予算に組まれているか、この点についてどういう具体的な災害防止を、もちろん新潟という都市の維持と人命保護の立場から、どのような具体的な方策をおとりになろうとするか。これを一つ港湾局長に承わりたいと思っておりましたが、参議院の予算委員会からどうしてもはずされないということで、計画課長に御出席を承めてお尋ねするわけですが、私の質問に答えられる重要な点について、具体的に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/120
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121・中道峰夫
○中道説明員 お答えいたします。新潟海岸の決壊につきましてただいまお話のございましたように、新潟港並びに新潟市といたしましては、信濃川の河口を中心にいたしまして、この東西の両海岸延長約八キロにわたりまして、冬季風浪害等によって侵食を受けております。その非常に激しい個所になりますと、過去六十年間に海岸の汀線が約三百メートル以上後退をいたしておるわけであります。ただいまのお話のように、海岸の砂丘が三列あったのでございますが、現在その前の方の二列はすでに決壊をいたしておりまして、最後の列が残っておるのであります。それもその三分の一を残すのみの状態になっているのであります。特に昨年から本年にかけましての冬季風浪は、近ごろにない激しいものでありましたので、付近の家屋あるいは海岸線等の人家密集の地帯の近くまで、海岸決壊が迫っておりまして、これを放置いたしますと、やがては港湾並びに市街地が海水の侵入にさらされるという状態になる、そういう危険な事態になると思うのであります。これにつきまして、港湾局といたしましては、これは災害の復旧事業と防災事業と二本立にしまして、この復旧を進めておるわけであります。そのうちの災害復旧事業につきましては、昭和二十九年度におきましては、事業費として約千八百万円、三十年度といたしましては事業費約一億七千万円を現在査定をいたしております。この災害復旧事業と申しますのは、海岸の決壊の一番激しい護岸の復旧をいたしまして、さらに決壊が進まないようにこれを防御する工事であります。その次の防災に関係いたしました事業といたしましては、ただいま申しました災害復旧事業と関連いたしまして、昭和二十七年度から国庫補助によります海岸の侵食対策事業を実施中でありまして、二十七年から二十九年度の二カ年間に約八千万円、そのうち二十九年度は約三千三百万円の補助費を支出いたしております。これは補助率が四割でございますので、事業費に直しますと八千万円以上になる。この海岸決壊につきましては、現地並びに研究所の方面におきましても、慎重に従来の決壊機構等について技術的な研究を詳細にわたって進めておりまして、現在までに決壊防止対策をやりましたところについては、現在のところこれ以上侵食は進んでおりません。ただそれがまだ未完成でございまして、さらにそれ以上の区域にわたりまして決壊が進みつつある傾向でございますので、その部分についてさらに防御工事を続けていかなければならないというふうに考えております。三十年度におきましては、現在のところこの復旧費を要求しておりますが、大体国費におきまして七千万円を考えております。従って事業費にいたしますと一億八千万円強になると思います。従来と比べまして格段にこの対策について重点を置いておる考えであります。以上のような処置によりまして、新潟海岸の決壊につきましては、これを防止することが可能であるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/121
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122・正木清
○正木委員 関連してお尋ねいたしますが、実は私も現状を見せていただいて、事の意外に驚いて帰ってきた一人でございます。もしあのままの状態で放任しておきますと、新潟が非常に重大な危機に見舞われる、こう思って実は帰ってきた一人でございますが、三十年度のこの予算で計上されるとおっしゃった七千万円、これは、このたびの衆議院の本会議を通過した三十年度の予算修正の中で、港湾費として五億増額を見ておりますが、この港湾費とは全然関係がないのでしょうか。この点を一つ明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/122
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123・中道峰夫
○中道説明員 ただいまの五億の増額の点も考慮いたしまして、この予算を考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/123
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124・正木清
○正木委員 そこでもう一点簡潔にお尋ねいたしますが、その七千万円とあなたがおっしゃいましたのは、最終決定でございましょうか。その点をお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/124
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125・中道峰夫
○中道説明員 これはただいま予算が参議院で審査中でございますので、これが決定いたしますれば、大体この線で見ていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/125
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126・正木清
○正木委員 大体当局の意向はわかったように考えますが、あの現地を課長はよく御視察下さって、事情はおわかりでございましょうか。また局長もおわかりでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/126
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127・中道峰夫
○中道説明員 私も過去すでに二回ほど現地へ参りまして、十分認識いたしております。局長も参って認識いたしております。私はすでに日和山の測候所が陥落した時分から関係いたしておりまして、その点を十分に知っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/127
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128・正木清
○正木委員 私も海岸から約三メートル沖に、鉄筋コンクリートの測候所がそのまま海没しておる姿を見て、実は事の意外に驚いた一人なんですが、そこで専門家であろうと思われるあなたにお尋ねするわけですが、二十七年、二十八年、二十九年、三十年と毎年継続事業ではございますが、わずかばかりのこれらの国費をもって、あの危険な状態にさらされておる新潟河口の海岸線一帯の安全を保ち得ると、あなたはお考えでございましょうか、その点一つ忌憚のない御意見を聞かしてもらいたいと思います。私は地元住民の案内によって現状を見せていただいて、事の意外に驚いたというだけではなくて、もしあのような状態が放任されておるならば、私は一大不祥事が起きるのではないかという不安な念にかられて帰ってきた一人でございますが、ほんとうに専門家の立場から見て、あなたの良心的に忌憚のない意見をここで発表してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/128
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129・中道峰夫
○中道説明員 先ほど申しましたように二十七年から防災工事をやっておるのでございますが、その工事をやって参りました個所につきましては、汀線の後退はほとんどないのでございます。従いましてこの工事については自信を持ってやっておるわけであります。新潟港におきましては、私の方の港湾局の直轄事務所もございます。県もこの問題について非常に深刻に検討いたしておりますので、県の技術関係と連絡いたしまして、現在までのところこの工法については自信を持ってやっております。これによって汀線は現状通り維持されておるわけであります。ただ昨年度の冬季ごろが特にひどうございまして、現在までにやりました個所以外の、それより西側になりますか、その附近が相当ひどくやられた、つまりまだ工事に手をつけてないところがやられたということに上りまして、実は昨年は強くこれを大蔵省の方に要求いたしまして、今まで八千万円程度の——二カ年で三千三百万円ですか、それを一年間で大体七千万円くらいというふうに画期的にふやしたわけでございます。そういうことによりまして、これを進めていきますれば、現在のような方法でやる限り支障がないと思っております。ただ記録的に見ますと、大体五キロ程度の範囲が決壊の対象になっておるわけであります。従って現在までのところでは約三分の二弱でございます。ですから、あとにまだ少し残っておりますが、それをなるべく早く取り進めたい、こういうふうに考えております。われわれの技術的な考えで、これは新潟の港湾とも関連いたしまして、いろいろな対策委員会——権威者を集めた委員会のようなものを作って、あらゆる面から検討しておるわけであります。従って現在の段階ではできる限りのことをやっておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/129
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130・青野武一
○青野委員 御説明になった点は了解することができたのですが、今御説明を聞いておりますと、大体災害復旧費と防災費を合せて二本立でやっておる。二十七年度から引き続きやって、そして二十八年度と二十九年度合計約八千万円、この八千万円のうちに、二十九年度は三千三百万円要った、ことしは七千万円で、二つを合計すれば大体一億八千万円だということでありましたが、果してこの金額で危険が完全に防止せられるのであるか、あるいはこれは三十年度の経費で、新潟市の都市としての防災が完全に行われるのには、予算的にまだどれくらい要るのか、それから完全にしていくのにはまだ何年かかるのか。おそらく今明日を通じて地元の代表者が、関係官庁なりあるいは運輸委員会あたりに陳情に見えられると私は思っておりますが、こういう点をもう少し詳細に説明をしておいていただいたらいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/130
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131・中道峰夫
○中道説明員 この全体計画でございますが、この海岸決壊の機構というものは、一種の災害的な性質を持っております。年々の冬季風浪等の条件もございますので、的確に幾らというふうにきめることはなかなか困難でございます。大体現在のところ、今後まだ相当の費用をかけなければ完璧にはならない。従って本年度の予算で全部完成するという見込みではございません。その状況を十分に見きわめながら、順次固めていくというふうな措置をとっておるわけであります。災害復旧事業は、御承知のように災害を受けた場所の復旧事業になりますので、これはその面でやっております。ただいま申しました八千万円なりあるいは七千万円と申しますのは、災害を未然に防ぐ防災事業としてやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/131
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132・青野武一
○青野委員 そうすると具体的に、これを完全に危険のないようにするということになれば、今後まだ数年間かかるし、予算も相当要る。その見通しはどれくらいですか。将来これを完全にやり上げるためには年々どれくらいの予算で、何年計画でやらなければならないか、あとに残っておる分ですよ。それから年数、これは地元の人が、この非常に危険になっておる海岸線からかなり離れておるけれども、軍事基地ができる、飛行基地ができる、それにまっこうから反対して、ほとんどみんなの諸君が戦々きょうきょうとしておるときに、こうやって山みたいになっておる海岸線が二つくずれてしまって、最後に残ったのが三分の二くずれておる。一番上に展望台がある、それがくずれてしまえば、町は海水面から下になっておるから、新潟の町は全部日本海の海水につかってしまうということになるので、やはりみな非常に恐怖心を持って心配しておられる。だから予算は今からこれくらい、年数にしてこれだけ、どういう具体的な工事をして、必ず安全に人命の保護をし、都市を維持していく、こういう点について大体当局として、特に計画課長が御計画になっておるところを発表していただけば、そこらに住んでおる人たちがやはりある程度の安心感を持つのじゃないか。今非常に恐怖戦慄して、飛行場の問題と海岸線の問題この二つでどうしたらいいのか、ほとんど夜も眠られず心配しておる。これをどういう形でとにかく実際の防災のやり方をやるか、こういう点についてもう少し詳しく一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/132
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133・中道峰夫
○中道説明員 ただいまも申し上げました通り、いろいろな天然現象が加わりますので、的確には申し上げられませんけれども、決壊機構はこの新潟の港の防波堤から約五キロの範囲において起っておりますし、特に防波堤に近い部分が激しいわけでございます。それから順次決壊が激しくなくなって、五キロの程度になりますと汀線の後退が非常にゆるやかになっております。従いまして現在のところ、一番決壊が激しい危険なところに手当をしておるというふうな状態でございます。そこでわれわれの方で技術的に現在一応考えております線は、大体これから今後の事業費といたしまして、約五、六億から七、八億くらいの見当で要るのじゃないかというふうに推定はいたしております。年数につきましては、予算の状況によってでございますが、できるだけ早い機会に完成さしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/133
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134・原健三郎
○原委員長 本日はこの程度にしまして、次会は公報をもって御通知申し上げます。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02019550613/134
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