1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二十一日(火曜日)
午前十一時十分開議
出席委員
委員長 二階堂 進君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君
理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君
内田 常雄君 小笠 公韶君
小沢 辰男君 海部 俊樹君
神田 博君 小宮山重四郎君
小山 省二君 田中 六助君
長谷川四郎君 村上 勇君
加賀田 進君 桜井 茂尚君
沢田 政治君 島口重次郎君
楯 兼次郎君 藤田 高敏君
森 義視君 安井 吉典君
麻生 良方君 伊藤卯四郎君
加藤 進君
出席国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
出席政府委員
総理府事務官
(臨時行政調査
会事務局次長) 井原 敏之君
北海道開発庁政
務次官 井川 伊平君
総理府事務官
(北海道開発庁
総務監理官) 小島要太郎君
総理府事務官
(経済企画庁調
整局長) 高島 節男君
外務事務官
(経済局長) 中山 賀博君
通商産業政務次
官 田中 榮一君
通商産業事務官
(大臣官房長) 川出 千速君
通商産業事務官
(大臣官房参事
官) 宮澤 鉄藏君
通商産業事務官
(通商局長) 山本 重信君
通商産業事務官
(軽工業局長) 倉八 正君
委員外の出席者
外務事務官
(経済協力局外
務参事官) 星 文七君
国税庁次長 喜田村健三君
通商産業事務官
(中小企業庁計
画部長) 井上 亮君
北海道東北開発
公庫総裁 北島 武雄君
北海道東北開発
公庫副総裁 亀井 茲建君
専 門 員 渡邊 一俊君
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四月十五日
委員米内山義一郎君辞任につき、その補欠とし
て田中武夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員田中武夫君辞任につき、その補欠として米
内山義一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十一日
委員米内山義一郎君辞任につき、その補欠とし
て安井吉典君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員安井吉典君辞任につき、その補欠として米
内山義一郎君が議長の指名で委員に選任された。
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四月十五日
物価値上げ反対並びに独占価格の引き下げ等に
関する請願外二件(茜ケ久保重光君紹介)(第
二七一六号)
同外一件(井岡大治君紹介)(第二七一七号)
同外二件(井谷正吉君紹介)(第二七一八号)
同(大原亨君紹介)(第二七一九号)
同外九件(角屋堅次郎君紹介)(第二七二〇
号)
同外三件(久保田鶴松君紹介)(第二七二一
号)
同(河野正君紹介)(第二七二二号)
同(實川清之君紹介)(第二七二三号)
同(楯兼次郎君紹介)(第二七二四号)
同外二件(辻原弘市君紹介)(第二七二五号)
同外一件(楢崎弥之助君紹介)(第二七二六
号)
同(藤田高敏君紹介)(第二七二七号)
同外二件(松平忠久君紹介)(第二七二八号)
同(武藤山治君紹介)(第二七二九号)
同外二件(安井吉典君紹介)(第二七三〇号)
同(山中吾郎君紹介)(第二七三一号)
同外九件(山口丈太郎君紹介)(第二七三二
号)
同外十八件(矢尾喜三郎君紹介)(第二七三三
号)
同外十五件(横山利秋君紹介)(第二七三四
号)
同(和田博雄君紹介)(第二七三五号)
同外一件(井谷正吉君紹介)(第二八三四号)
同外五件(石橋政嗣君紹介)(第二八三五号)
同(河野正君紹介)(第二八三六号)
同外三件(戸叶里子君紹介)(第二八三七号)
同(泊谷裕夫君紹介)(第二八三八号)
同(中澤茂一君紹介)(第二八三九号)
同外五百十三件(中村高一君紹介)(第二八四
〇号)
同(野間千代三君紹介)(第二八四一号)
同(原茂君紹介)(第二八四二号)
同(森義視君紹介)(第二八四三号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第二八四四号)
同(柳田秀一君紹介)(第二八四五号)
同外五件(山崎始男君紹介)(第二八四六号)
同外九件(石野久男君紹介)(第二九〇七号)
同(江田三郎君紹介)(第二九〇八号)
同外三件(大出俊君紹介)(第二九〇九号)
同外十八件(川村継義君紹介)(第二九一〇
号)
同外一件(栗林三郎君紹介)(第二九一一号)
同(楯兼次郎君紹介)(第二九一二号)
同(中井徳次郎君紹介)(第二九一三号)
同外二十六件(西村関一君紹介)(第二九一四
号)
同(長谷川保君紹介)(第二九一五号)
同外二件(三木喜夫君紹介)(第二九一六号)
同外二件(石田宥全君紹介)(第二九七四号)
同(大村邦夫君紹介)(第二九七五号)
同外三件(鈴木茂三郎君紹介)(第二九七六
号)
同外三百八十五件(永井勝次郎君紹介)(第二
九七七号)
同(二宮武夫君紹介)(第二九七八号)
同外二件(前田榮之助君紹介)(第二九七九
号)
同外六件(八木一男君紹介)(第二九八〇号)
同外七件(勝間田清一君紹介)(第三〇一六
号)
同外一件(帆足計君紹介)(第三〇一七号)
東北開発株式会社の再建案反対に関する請願外
三件(角屋堅次郎君紹介)(第二七九八号)
同(大原亨君紹介)(第二八三二号)
公共料金及び諸物価引き下げに関する請願(柳
田秀一君紹介)(第二八三三号)
同(前田榮之助君紹介)(第二九七二号)
奄美群島の電気事業に関する請願(伊東隆治君
紹介)(第二八九〇号)
独占価格の引き下げ等に関する請願(石橋政嗣
君紹介)(第三〇一五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一四四号)中小企業に関する件(企業倒産に関する問題)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/0
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001・二階堂進
○二階堂委員長 これより会議を開きます。
まず参考人出頭要求の件についておはかりいたします。
理事会において御協議を願いましたとおり、内閣提出の鉱業法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人から意見を聴取することとし、人選、日時等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/1
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002・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお、参考人の御意見は、商工委員会石炭対策特別委員会連合審査会において聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/2
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003・二階堂進
○二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/3
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004・二階堂進
○二階堂委員長 次に、内閣提出の輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。桜井茂尚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/4
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005・桜井茂尚
○桜井委員 私は外務省と経済関係省との関係についてまず最初にお伺いしていきたい、このように存じます。
そこで、新聞でも問題になっておりましたが、また臨時行政調査会からの答申もございますが、経済外交ということはどういうことであるか、従来まだあまり正確な規定というものはないようでございますけれども、政府としては経済外交というものをどのようにお考えになっているか、この点を御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/5
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006・福田一
○福田(一)国務大臣 経済外交の意味でございますが、これは大きな意味でいえば、政治と経済は分離しておりませんから、あらゆる外交はある意味において経済外交であると言えるかとも思います。ただ私たちが普通に考えて言っております経済外交ということは、いわゆる貿易に関連をいたしまして、直接間接にそれに影響のあるような問題を取り扱うことを経済外交と言っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/6
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007・桜井茂尚
○桜井委員 そこで、経済外交の事務量が非常にふえている、そう思うのでありますけれども、その内容の御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/7
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008・山本重信
○山本(重)政府委員 仰せのとおり、経済外交の対外折衝の仕事が最近非常に量的にふえてまいっております。計数的には申し上げかねるのでございますけれども、従来に比べまして一般的に貿易関係におきましても、そのほかの経済外交の交流にいたしましても、最近国際的な交流が非常にふえてまいっておりますので、それに比例いたしまして政府間の交渉も内容が広範になり、同時にまたかなり専門化してまいっております。たとえば最近では、繊維関係の問題につきまして、たとえばジッパー・チェーンは繊維品であるかどうかというような定義の問題まで事実議論をしなければならぬような段階になっておりまして、質的、量的に、ともに非常に増加をいたしておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/8
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009・桜井茂尚
○桜井委員 臨時行政調査会の「貿易関係行政の改善に関する報告」というのが出ております。その中で経済外交というもの、そしてその事務というものを、まず第一に海外経済行政事務、そしてその内訳といたしまして経済外交事務、これは「例えば通商条約、通商協定、貿易取決めなどの国際約束の交渉、締結の事務の場合にみられるように、外国政府および国際機関との間に生ずる行政需要である。この需要を充足するための事務は「外交事務」として把握することが適当と考えられる。」このように経済外交事務というものと、さらに次に一般海外行政事務、この内容は「①条約・協定など国際約束の実施にともなう事務②相手国の経済的背景事情および市場などの調査③輸入制限、アンティダンピング関税、混合関税等に関する対政府および対民間の協議、工作ならびにオーダリーマーカッティングのための指導、調整および協議など④クレームの処理、貿易取引の斡旋などの主として対民間関係事務」このように分けております。そうして最初に申しました経済外交事務は本来外務省が行なうということで、従来ともそうなっておるのであるが、次の一般海外行政事務、こういうものにつきましては非常に専門化、細目化している、したがって従来の外務省の外交という点では、非常に知識不足と申しますか、そういう点が生じてきている、このようにいわれております。この点についてどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/9
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010・山本重信
○山本(重)政府委員 ただいまお示しございました臨調の報告にございます点は、私たちもおおむね同感でございまして、最近対外経済交渉の内容が、ただいまもお話ございましたように非常にこまかい問題になってまいっております。輸入制限の問題にいたしましても、商品の規格によりまして、それが該当するかどうかということを非常に専門的な判断をしなければいけない問題が出てまいっております。したがいまして、これはよほど専門的な勉強をした者でないと、なかなか処理できない段階に来ておるように思います。したがいまして、それに対する体制、仕組みもまた新しい構想を打ち出してそれに対処していく必要があろうかというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/10
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011・桜井茂尚
○桜井委員 それで、非常に広範囲に量、質的に膨大なものになってきておる。たとえば昭和三十五年から三十八年の、過去四カ年間に締結された条約、協定などの数を見ると、総数で二百八件のうち経済関係分は百四十五件、約七〇%を占めている、このように報告されております。これは条約、協定だけでありますが、それ以外にも、先ほど申しましたような膨大な事務量があるわけであります。これに対しまして、外務省の経済担当官の陣容はどうなっておるか、外務省のほうからお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/11
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012・中山賀博
○中山政府委員 昭和三十九年二月十一日の調べがありますので、申し上げます。
全在外公館の職員を公館長、それから政務、経済、官房の担当に大別した場合に、その人数は大体次のように比率になっております。公館長が百七名、一三%、政務関係事務担当官が三百三名、三五%、経済関係事務担当官が百九十二名、二二%、うち経済省庁出身者百一名、これは経済担当官数の約五三%に当たります。官房関係の事務担当官が二百八十名で三〇%、計八百六十名となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/12
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013・桜井茂尚
○桜井委員 先ほど私が申し上げましたとおり、条約あるいは協定等だけでも経済関係が七〇%を占めている。それ以外に、一般海外行政事務が膨大なものになっている。しかるにかかわらず経済担当官は百九十二名、わずかに二二%であります。しかも、臨時行政調査会のこの報告によりますと、経済担当官は専門的知識が不足あるいは語学力が不足である。また、在勤期間が短くて、任地の事情の把握が非常に不十分である。また、国内事情の把握が逆な意味で非常に乏しい。国内産業の動向、こういう問題についての問題意識というものに欠けている、こういうような報告がなされております。これについて、この事実をお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/13
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014・中山賀博
○中山政府委員 人員に限度がございますので、いろいろやりたいことも必ずしも一〇〇%やっているわけではございませんけれども、最善を尽くして在外公館の者は働いておると思います。ただ、いま申し上げました公館長百七名、一三%に当たりますが、こういう者も、たとえば交渉も大きな交渉になり、また重要な段階になりますと、公館長みずから向こうの外務大臣あるいは経済関係の大臣と交渉することもございますし、それから政務関係の者も手伝うことがあります。いま申し上げましたパーセンテージは一応の目安でございまして、公館長のごときはみずからその交渉に当たる場合も多多あるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/14
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015・桜井茂尚
○桜井委員 私がいま質問申し上げましたのは、経済担当官の方々が専門的知識や語学力に不足であった、あるいは在任期間が短くて現地の事情を把握するのに非常に不十分である。また逆の意味でいえば、日本国内の産業の動向、問題意識、貿易手続、こういうようなものの知識が非常に乏しいと言われているが、これは事実かと聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/15
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016・中山賀博
○中山政府委員 私は事実でないと思います。ということは、実際に経済担当の事務に当たっております者は、関係各省からの出向者及び外務省自体の者でございましても、多くの者は、元通産省や、経済企画庁やあるいは大蔵省に出向しておった者がこれに当たっておりますし、できるだけ研修その他の機関を設けて知識の涵養につとめております。語学等につきましてはまだまだ至らぬところもございますが、戦後在外公館の一般のレベルは急速なスピードで上昇してまいっておりまして、かなりいまは満足すべき状態に達しておると思います。期間につきましても当初、ことに終戦直後等におきましては期間が一年半というように限定された時代もございましたが、いまは関係者は大体三年、長い人は四年ぐらいもおりましてこれに当たっておりますので、十分とは申せませんけれども一応の成績をあげておる、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/16
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017・桜井茂尚
○桜井委員 この件につきましては、民間からも、あるいは各方面から非常に不満があるのであります。だから臨時行政調査会においても審議をして、そして答申が出ておるわけなんです。外務省のほうでは違うとおっしゃるが、山村長官の御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/17
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018・二階堂進
○二階堂委員長 呼んでおりますけれどもまだ見えておりませんので、もう一ぺん催促をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/18
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019・桜井茂尚
○桜井委員 それでは山村長官が参るまでちょっと進めます。
次に移ります。外務省のほうではわかっているのだとおっしゃっておりますが、通産省とか農林省あるいは企画庁、こういう経済省庁のほうでは連絡が十分にとられていない、そしていろんな点におきまして支障を来たしている、こういう事実があるように見受けられますが、この点につきましてはいかがなものか、通産大臣から御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/19
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020・福田一
○福田(一)国務大臣 いろいろの面に連絡をとってやっておりまして、外務省のほうでもなかなかそういう面に努力はしていただいてくれるようでありますが、一部の面では、やはり必ずしも十分だとは私は思っておりません。しかしすべて行政官庁の間というものは、国内的な問題にいたしましても、そう全部が全部充足ざれるというものではないのでありますから、私は今後ともできるだけ外務省と連絡をとって、そういう経済外交の面においても過誤をおかさないように、また連絡不十分のために、そういういわゆる国に損害を与えるということがないように努力を続けていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/20
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021・桜井茂尚
○桜井委員 外交におきましては国家意思の一元化ということが非常に大切であります。いま通産大臣は、若干はというようなことばで申しておりましたが、私は若干ではなかろうと思う。一例を申し上げますが、「例えば、昭和三十八年六月三十日、日米綿製品取決め事項のガットへの通報に関する訓電を発するに当り、外務省は通産省に協議しなかったといわれる。この訓電は、日米綿製品取決めの結果、ガットには通告しないことにした覚書をも、本文とともにガットへ通告するよう訓令しているもので、これが放置されると、日米綿製品取決めの運用に当り、わが国が不利となる可能性をはらむものである。このガットへの通告の取消し問題は、以後三カ月かかってようやく落着した。」こういう例もあります。また、「例えば、外務省は、昭和三十六年末、自由化に対応する差別待遇改善交渉について、各在外公館の意見を集めた。これらの意見は、自由化に対処して、今後対外方針を強く持つか弱く持つかの重要な参考資料となるものであり、国内各省の方針策定に重大な影響をもつものであったが、これらの意見は、外務本省の執務参考用の情報であるとして、関係各省には通報されないものもあった。」またさらに、「海外開発計画調査の実施に当って、低開発国政府からの要請は、在外公館から外務省を経て、関係各省に連絡され、それに基づいて調査団の派遣が決定されることになっているが、この外務省からの公信連絡には次のように遅延しているものがある。投資前基礎調査委託費による調査団派遣に関する件」で、たとえば在ブラジル大使発電が昭和三十七年四月八日、外務省受付が昭和三十七年四月十八日、通産省受付が何と約四カ月おくれて昭和三十七年八月七日であります。またチリの件につきましては、在チリ大使発電が昭和三十八年五月二十九日、外務省受付は三十八年六月二日、しかるに通産省の受付は三ヵ月おくれて三十八年九月五日であります。このように通産省と外務省との連絡は非常に不十分である。私はいまこの臨時行政調査会の答申に基づいて申し上げたのです。これは事実なんですか、うそなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/21
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022・福田一
○福田(一)国務大臣 ここに書いてあることについては後刻事務のほうから答弁をしてもらうことにしますが、私の見るところでは、実はこれは経済外交というものが非常に多量といいますか、いろんな内容がたくさんございまして、そのうちには、場合によってはそういうような不十分な場合もあると思うのであります。そういうことが取り上げられておるのではないかと考えておりますが、何といっても私は、そういうことを申し上げては恐縮ですが、昔は宮廷外交といわれた、いまは経済外交ということが重点である。桜井委員の言われる意味も経済外交にもっと力を入れなければいけない、それには人的な面においてもあるいはまた連絡その他の面においても十分注意をしなければいけない、こういう御趣旨において発言をされておるのだと私は了解をいたしております。われわれはその御趣旨には十分沿うように今後とも努力をいたしてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/22
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023・桜井茂尚
○桜井委員 ただいま通産大臣からはそのような答弁があったのですけれども、外務省のほうはどのようにお考えでございますか。相変わらず従来どおりにやっていきたい、このようにお考えなのか、それとも何か改善をするとするならば、どういうぐあいに改善したいとお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/23
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024・中山賀博
○中山政府委員 われわれ事務当局の問題といたしまして第一義的に考えますことは、外交の一元化ということでございます。しかし御指摘のように、いろいろ仕事の量もふえてまいりますし、連絡すべき事項も多くなってまいります。また専門的な知識を要することも多岐多端にわたって起きている現状であります。したがっていろいろ改むべきことが多いと思います。たとえば今日各省間の連絡調整で一つの大きな問題点はやはり電信の機密の保持ということ、ことに暗号関係のものにつきましてそういう点があろうかと思います。これは従来、たとえば電信の解読は一から十まで手書きにしておりましたけれども、今後は機械の使用あるいはその他によりまして相当機動的にやるとか、あるいは連絡につきましても、いままでは定時的に人を発して通産省のほうや大蔵省のほうに御連絡しておりましたが、これをたとえばエアシューターというようなものを使って即刻できるようにするとか、技術面においていろんな大幅な改良をしなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/24
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025・桜井茂尚
○桜井委員 あとで行政管理庁のほうにお伺いいたしますことを留保いたします。
次に、EECのような機関が非常に発達してきた。これはEECのみならず、南米におきましても各地におきましてそういうような動きはございます。従来外務省は、一国または国際機関に派遣され、そして一国を任地とする使臣でありますから、国境を越えた問題につきましてはこれを処理する能力は非常に不十分である、こういう問題がありました。たとえばEECにおきましても、石炭鉄鋼の共同体であるとか、あるいはEEC全体としての関税の取りきめであるとか、いろいろな問題があります。こういう問題につきまして、先ほど申しましたように、処理する機能が不十分である、こういわれておりますが、事実でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/25
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026・中山賀博
○中山政府委員 たとえばEECの六カ国の中でフランスなりドイツなりイタリアなりが独自の問題、各国の経済問題をかかえているということとともに、域内の統合が進みますにつれて六カ国共通の問題が漸次ふえてきておる。そしてことに、ブラッセルにEECの本部がございますが、ここに約二千名にのぼる官吏が集まって統合の仕事をしている。そうなれば各国の経済の動向だけを見ていたのでは追いつかないので、やはりブラッセルに対しても相当働きかけをし、またこれを見ていかなければなりません。したがって今日におきましては、ブラッセルのわがほうの大使は同時にEEC事務局に対する代表として活躍しているわけでございます。しかしそのほかにも確かに、いわば六カ国の経済がお互いに相関関係を深くし、また流動性を保っているために、パリだけで見ておってもよくわからない、全体として把握しなければならぬということが起こってきていることも仰せのとおりでございます。そこで、ただいまわれわれとして企画しておりますことは、ブラッセルにある大使館の中に六カ国の経済を統合的に見る部をつくって、これが一応六カ国のことは総括的に見ていくという仕組みにしたいと考えております。したがって仰せのように、ことにヨーロッパにおける経済の統合その他の進展に伴いまして、これに対処する方策は考えていかなければならないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/26
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027・桜井茂尚
○桜井委員 これは私、ヨーロッパだけじゃなしに、今日におきましてはやはり世界的な関連性が非常に強くなっておるので、もし少し機動的にもののできるように、そういう機関といいますか、責任あるもの、そういうものをつくらぬことには解決できぬのではないか、このように思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/27
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028・中山賀博
○中山政府委員 確かに仰せのとおりだと思います。ただここに問題となりますのは、たとえば御指摘のような羅米の各国を見ましても、一方において統合する。経済統合に伴う若干の機関はできておりますけれども、依然として主力は各国の国内官庁が持っているわけでございまして、ラテンアメリカの例をとりまして、われわれも、たとえばある大きな国に相当人員を集中して集約的にこれを見るということをやろうかと計画したこともございますが、現状から見ますと、まだまだ各国の経済というも
のが主になっておるので、おっしゃる意味は、たとえば羅米の諸国を巡回して見る一つの査察使のようなもの、あるいは経済担当官のようなものをお考えになっているかと思いますけれども、たとえばアルゼンチンに在勤している者がブラジルに行って、ブラジルの高官に会おうとしてもなかなか困難でございまして、やはり現状ではまだまだ各国の持ち場持ち場で最善を尽くし、そしてそれを統合するというか、その知識を、定期的に集まったりあるいは出張というかっこうで回ることによって調整統合したらいかがかと思っております。ラテンアメリカにつきましては、そういう意味から実は従来からワシントンにラテンアメリカの専門家を置きまして、これが経済関係を統合的に見るという努力はしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/28
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029・桜井茂尚
○桜井委員 ではこの問題はまたちょっと保留いたします。
次に、現在ジュネーブで国連貿易開発会議が開かれております。これに対しまして、わが国からは宮澤長官が参りました。そこでわが国の貿易会議に臨むにあたりまして重点としていた点はどういう点だったか、それをお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/29
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030・中山賀博
○中山政府委員 南北問題に関連しまして、後進国から非常に強いプレッシュアがかかっているというか、先進国に対する突き上げが行なわれておる、そうして根本的にこの経済の仕組みを変えない限り後進国はいつまでも後進国にとどまり、第一次産品の交易条件はいつまでも悪いという声は強くなって、その声を集大成したものが私はプレビッシュ報告だと存じております。そこでこの今度の会議の全権団に出しました訓令のきわめて根本的な考え方を申し上げますと、一つは、われわれとしてはあくまでガットというものを尊重していきたい、ガットはいろいろ金持ちのクラブであるとか、あるいは事態に即応しないとかという非難もございますけれども、ガット自身も勉強して、そうしてあるいは機構の改革あるいは仕組みを変えたり、あるいはまた後進国問題を特に取り上げていろいろ議論して、いわゆるアクションプログラム、行動計画というものも発表している次第でございます。そこでわれわれはこのガットの精神というもの、既存の機関であるガットを尊重し、その精神あるいはその成果を、まず第一番にこれを実行する、守るようにしていきたいということが一つの根本的観念でございます。その次は、しかしガットでもまかなえないものがたくさんございます。ことにガットは金の面とかあるいは国際協定の面においては必ずしも十全のものと言えませんので、たとえば第一次産品に対する補償融資の制度とか、そういうような問題がプレビッシュ報告の中にも取り上げられているわけでございます。そういう問題につきましては、いろいろ財政的な措置も必要とするものでございますので、われわれとしては広くいろいろな意見に耳を傾け、そうして可能な限りにおいて事態に処していきたい。しかしそれにいたしましても、後進国の自助の精神というものが根本になるのじゃないか、こういう点も強調していきたい、こういうように考えて訓令を発した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/30
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031・桜井茂尚
○桜井委員 後進国も、やはり自分の国ですから、自分みずから何とかしたい、だれだってそう思っているに違いない。そこで自助といいましても、それなりの問題がございますから、こちらの都合のいいようなぐあいには必ずしもいくわけはないのであります。プレビッシュ報告は次のように述べております。「ガットの母体となったハバナ憲章の欠陥は市場法則が国際貿易面でも作用し、貿易の適正な拡大と世界資源の効率的利用をもたらすとの古典的原理に立脚していたところにある。かかる原則を経済の異る諸国間にあてはめるのはあやまりであり、そのためにこそ現に低開発国は交易条件の構造的悪化と貿易ギャップの泥沼におち込んでいるのである。最近ガットが低開発国に対しては相互主義の原則を抛棄したのは歓迎すべきであり、今や必要なのは古典的相互主義にあらずして現実的ないし黙示的相互主義に徹することである。」こう述べております。そういたしますと、日本政府はこの事実を認めないで、数字をあげてプレビッシュは報告いたしておりますが、こういう世界の戦後の変遷というものには目をつぶって、そして相も変わらず同じような態度でいこう、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/31
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032・中山賀博
○中山政府委員 確かにプレビッシュ報告は、現在の世界の貿易あるいは経済環境について鋭い批判をしておるところもあると思います。しかしわれわれとしては、たとえばガットの基本原則である貿易の自由化であるとか、あるいは最恵国待遇であるとか、そのよってもって立つところの経済的な理念である市場性の問題ということがそう根本的に誤った観念であるかどうかということは、問題があろうかと思います。要するに、新しい時代に即応して、確かに後進国というものを盛り立てていかなければならぬ、後進国の産業を興さなければならぬということはございますけれども、しかしそれはあくまでも自由なる経済あるいは無差別最恵国の原則の例外的なものでなければならぬ、かように考えるわけでございます。もちろんいま御指摘のとおり、昨年の五月、ガットの大臣会議におきまして、後進国に対しては今度の関税一括引き下げ交渉についても必ずしも全面的な相互主義は求めないということになっております。しかし私たちは、さればといってこの相互主義の原則を完全に放棄する、あるいは後進国のためにたとえば特恵というようなものを設けて、それを一般的な原則にするということは若干行き過ぎじゃないかと思っております。やはり特恵は最恵国あるいは自由の例外であり、かつ特恵というものは使いようによってはあるいは地域主義その他のものをもたらす毒にもなり、薬にもなるものですから、そこの評価ということは非常に大切じゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/32
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033・桜井茂尚
○桜井委員 世界の百二十一カ国が参加しましたこの会議におきまして、日本のような主張をなしておる、そういう国は何カ国ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/33
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034・中山賀博
○中山政府委員 百二十幾つの国の中で、後進国は確かに三分の二以上を占めております。ただ今日までの会議の過程を見ますと、たとえばフランスあるいはフランスがかなり主導権をとっておりますEECの態度等につきましては、われわれもどういうことになるかと思って若干心配しながら見ておったわけでございますが、やはり先進国と申しますか、EECの国、EFTAの国、それからアメリカ、日本、カナダ、豪州、ニュージーランド等を総合しますと、一応後進国の主張あるいは要求というものは認めながらも、しかし野方図に彼らの言うとおりにはできないという立場をとっておりまして、わが国とそう懸隔はないように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/34
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035・桜井茂尚
○桜井委員 私は何カ国あるかということを具体的に御質問したのでございます。たとえばフランスにおきましては全然変わった提案をいたしております。したがって、EECの諸国の中にも若干の意見の違いはありましょうけれども、EECの場合におきましてはわが国とは明らかに違った主張だ、このように考えられます。英帝国、いわゆるイギリスのブロックは、イギリス内の特恵というものが現にございまして、この特恵を一応全面的化するということを条件に、あるいはわが国と同じような態度に出ているというようにも聞いております。大体わが国とほとんど同じような主張をしているのはアメリカだけじゃないのですか。世界の大勢とおっしゃいますけれども、ほかにどこの国にそういうような主張をしている国があるのか、お教えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/35
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036・中山賀博
○中山政府委員 いま私が申し上げたのは、根本的にはフランスも入れて、後進国の自助の精神に基づいて、また根本的には従来のメカニズムを尊重しながら貿易を伸ばすという、こういった立場に立っておるという意味において先進国は一致していると思います。ただ、先進国のアプローチのしかたが同じ問題につきましても違う、問題の提起のしかたが違うということは、御指摘のとおりでございます。たとえばアメリカのアプローチはどういうアプローチかといいますと、第一次産品とかあるいは後進国の興味のある製品、半製品につきまして、関税とかあるいは非関税の障壁を漸次下げていく、あるいは将来は全廃していく、あるいは数量的な制限とかあるいは内国税をも廃止して関税、非関税の障壁を漸次減らしていくという考え方で立っております。これに対しましてEECのアプローチ、EECの考え方というものは、貿易の障壁を減らしただけでは依然として後進国は救われないのだ、そこで後進国の産品の値段をつり上げるということを考えておるわけです。つり上げるということの底には、それじゃほっておいてつり上がるかというと、やはりそこは需要供給の関係がありますので、ある意味においては、これを輸入する国に対しては輸入をコミットさせる、また輸出する国については輸出調整をさせるというような考え方でいっておるわけでございます。これは、ですから、根本的に後進国に対する立場というか問題の提起のしかたが違うのである。それには一利一害があって、われわれは必ずしもアメリカのほうにもついておりませんし、場合によってEECに味方をする場合もございます。ただ、いまEECの言うように、たとえば一次産品の値段を上げるという問題になる、また特恵につきましては特定の地域とだけ特恵を持つということになりますれば、まさにEECが考えているような、アフリカの、ことに旧仏領植民地との間の従来の連係を温存し、強化するということだけになって、後進国全体のためにはたしていかがなものかと考えますので、そのアプローチについては必ずしも好意的な態度をとっていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/36
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037・桜井茂尚
○桜井委員 何か後進国のためにというようなことをおっしゃっておりますけれども、それは一応前提といたしましても、日本のためにならないのじゃないですか。要するに、もっとはっきりおっしゃったほうがいいので、わが国産業が非常に第一次産品、原材料で依存する点が多いから、フランス案のようなやり方をとられるとわが国産業が重大なる影響を受ける。あるいはまた地域的取りきめをやられる、そうすると、われわれのようにかつての植民地といいますか、そういうようなものはいまでは持っていない、そういう国にとっては非常なる不利になる、だから反対だ、こういうことじゃないのですか。そうしますと、フランス案、EEC案というものとわれわれの案、わが国の考えておることと、これは根本的に違うのであって、決して中くらい、はんぱなものじゃない、こう私は思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/37
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038・中山賀博
○中山政府委員 確かにわれわれが日本の利益ということを考えておることは事実でございます。たとえば一次産品につきましても、その値段が上がってくれば、われわれのようなまじりけのない、ネットインポートである国としては、それだけ支払いが多くなるわけでございますから、その点は確かに考えておると申せましょう。しかし、最近までの会議の様子を見ますと、もう一つ著しい傾向は、後進国相互間に非常に利害の対立が明らかになってきたことでございます。たとえば、いま言ったような、EEC案によって、アフリカにある旧仏領植民地、あるいは現在EECと連係といいますか、アソシエーションの関係を結んでおります旧仏領植民地はよろしいでしょうけれども、これにはずれた国はどうなるかというような問題もございます。また特恵について考えますれば、どういう品目を特恵の対象にするかということによって、先進国の中でも、すでにある程度の産業を持っておるものと、それから、これから全くゼロから出発する国とは、そういうものによって、ことに後者のこれから出発しようという国にとっては、むしろ、後進国の中に先進国が既得権を温存し、またこれを維持するということについては必ずしも賛成ではないというのでございまして、やはり後進国の中にもいろいろ利害の対立がございます。われわれはそういう見地からも見て申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/38
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039・桜井茂尚
○桜井委員 ちょっと角度を変えて御質問いたしますが、宮澤長官は、会議で、日本政府としては、低開発国の貿易及び開発上の諸問題の解決を求めて、できる限りの協力を行なう用意がある旨を明らかにしております。そしてさらに、わが国はアジアの一国として近隣のアジア諸国の繁栄に強い関心を有しており、政治的にも経済的にも、これら諸国との協力関係を特に一そう充実せしめたい、こう述べております。このことは、東南アジア貿易重点、こういう方針を若干腹の中にかまえたニュアンスを持った発言と理解してよろしいですか。と申しますのは、EECのほうにおいて、ある程度の地域主義というものを固執しておる。そうした場合に、われわれとしては困る、われわれの逃げ道もなくなる。そういうような場合にわれわれとしてはある程度の――国際協定のことですから、自分たちの意見どおりに全部が通るとは限りませんので、したがって、そういう含みのあるニュアンスを残しておった、こう考えて差しつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/39
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040・中山賀博
○中山政府委員 私は、東南アジア諸国に対する顧慮、東南アジア諸国との経済的な関係の強化ということは、その可能性、あるいはわれわれの置かれておる環境に基づく可能性にいろいろ限度はございますけれども、われわれの念頭から離れないことでございまして、仰せのような意味で宮澤長官は発言されたものと了解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/40
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041・桜井茂尚
○桜井委員 そういたしますと、先ほど一番先におっしゃられました、従来は一様に全マーケットに対してコマーシャルペースで対処してきたという経緯がある。宮澤長官も会議の席上、自由貿易の基礎理念たる自由市場の法則を重視すべきものであると述べておる。これとの関係に若干の矛盾が生ずる。この点は、何しろ生きものでございますから、そう簡単に原則を原則どおりとしてやっていくわけにはいかないでしょうけれども、この矛盾はどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/41
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042・中山賀博
○中山政府委員 わが国が開放体制の経済に移行するにつれて、自由市場の原則というものに取り囲まれて、その原則に従って貿易をし、経済関係を結んでいく。そういうときに、たとえばわれわれが一番困る点は、自由化というものが必ずしも後進国からの輸入をふやすゆえんではなく、なかんずくアジアの諸国から輸入をふやすゆえんでないということがしばしば起こることは、これは私も認めざるを得ない点だと思います。現に、たとえばトウモロコシを買うのに、何も先進国から買う必要はない、南アから買う必要はない、タイやあるいはカンボジアから買えばよろしいわけですけれども、たとえばカンボジアのトウモロコシを買うにいたしましても、国際市場から見て一割あるいはそれ以上も高い。そうすると、開放経済あるいは自由市場を原則としているわが国の輸入業者としてはどうしてもこれを買うことはできない。これは一つの事実でございます。そこでいま申し上げた点、つまり自由市場の原則の尊重の上に立ちながら、何とかして同時に東南アジアあるいはアジア地域との貿易関係を強化し発展することができないかという問題が提起されるわけでございます。そこに経済協力の問題、経済援助の問題が生じてきますし、それから宮澤長官の御演説の中にも触れておられますような開発輸入というような思想もできてきて、そこは矛盾といえば確かに矛盾でございますが、その矛盾を克服するようにわれわれとしては努力したいものだと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/42
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043・桜井茂尚
○桜井委員 したがってガットというものが、すでにある意味におきましては、相当これは先進国に有利な制度であって、世界全体には有利な制度でないということが国際会議の席上において暴露された。そしてプレビッシュ報告となって出ており、あるいは共産圏からの反撃となって出ておる。いま国際貿易機構というものが大きく変わろうとしている一つの大きな転換期にある。この転換期に対処する場合に、われわれとしても旧来の観念をいつまでも持っておって、それに固執してものをやっておったなら、これはたいへんなことになるんじゃなかろうか。だからプレビッシュも言っております。ここに通産大臣がおられないのが残念でございますけれども、私この前、現実とは何ぞやということで通産大臣とだいぶ論争いたしました。そして明らかにプレビッシュもそのことに触れております。それは、現実とは何か。この現実主義とは、今日とるべき適切な行動の何たるかを知らなかったならば、将来生じたであろう事態を予知し認識しておくことをさすものと考えたい、こう述べております。これは報告の最終のところで述べております。したがってものの考え方、世界の大勢の流れに対する考え方、基本的な考え方というものをよほどいまの段階におきましてきちんといたしておきませんと、コンクリートのような頭でものを考えてしまいますとたいへんな事態になるんじゃなかろうか。先ほども申し上げましたとおり、プレビッシュ報告が採択されるにせよ、されないにせよ、一つの大きな問題になったことは事実なんです。そこで、たとえばプレビッシュ報告にあるような事態がもし出たとしたならば、日本の農業、中小企業に与える影響は甚大なものであろうと思いますけれども、これに対する影響はどのようなものであるか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/43
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044・中山賀博
○中山政府委員 日本の特殊な経済構造、農業問題、中小企業の問題等から、確かに後進国に対して何らかの寄与はしたいけれども、貿易の面でそこにおのずからはっきりした限度があるということは、これはもう疑うべからざる一つの事実でございます。そこで、たとえばプレビッシュ報告も、ガットの掲げております実行計画はこれはあくまでやらなきゃならぬ問題だ、こういっております。そこで、この実行計画一つをとってみましても、私は日本の農業に対して、あるいは中小企業に対して非常な大きな影響があると思います。たとえば、御承知のように熱帯産品としていまあげられておりますものは、コーヒー、ココア、紅茶、木材それから油脂等でございますが、このコーヒー、ココアあるいは紅茶につきましてガットの実行計画の考え方は、関税も、あるいは内国税も、あるいは輸入割当もなくしていくという考えでございます。しかし紅茶一つとってみましても、われわれはこれの完全なる自由化ということはもうなかなか望めないわけでございます。その他いろいろ、この問題の提起のしかたは違っておりますけれども、あくまでやはりより大きな自由化とか、あるいはより大きな、増加した輸入量ということが問題になってまいりますけれども、それは直ちに、たとえばわが国のいま申しましたような農産物だとか、あるいはわが国のかかえております非鉄金属類の問題だとか、あるいは皮、こういうような中小企業の産品に対する問題を提起して、そう簡単ではないということでございます。そこでわれわれの考えますのは、ですからそういう限度の中でできるだけのことをして、そしてまだ同時にわれわれの経済構造も漸次変わっていくわけですし、あまり出血ということはできませんけれども、できる範囲のことで新しい事態に即応していきたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/44
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045・二階堂進
○二階堂委員長 桜井君に申し上げますが、臨時行政調査会次長が見えておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/45
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046・桜井茂尚
○桜井委員 いま申されたことは、お茶あるいは皮程度の、どっちかといえば比較的小さな問題について言っておられるわけです。ところが製品、半製品の問題になってまいりますと、これは繊維産業あるいは日本の輸出の戦略産業と言われるラジオあるいは自転車、オートバイ、さまざまな実に重大な影響が出てくるはずであります。こういうものに対してもう少しはっきりした影響というものをおっしゃられて、そして国民に対して世界の状況はいまこうですということをアッピールする、そして心がまえを整え、われわれとしてはしからばどういう道をとっていこうか、各経済層におきまして真剣になって取り組むという姿勢がございませんと、世界の大勢からおくれて、あわてふためいてものをすれば、ますますもって摩擦が大きくなろうと思う。したがいましてそういう摩擦をなるべくやわらげるためにも、私はこういうものはなるべく国民大衆に訴えて、そして自分たちがいかにしたら問題に対処して生き延びられるか、わが国としてもやっていけるのかという方法をみんなして考えるべきじゃなかろうか。したがいまして、通産省、企画庁あるいは関係省庁においておそらくその作業の詰めをやっているはずであります。ですから私はその資料を提出していただきたい、このように存じます。本日はその点はこまかい質問は取りやめます。
次に、日本におきまして、池田さんは、大国だ、大国だとおっしゃったが、通産大臣は、いや中進国でございます、こうおっしゃている。都合の悪いときには中進国になるわけでございます。しかし日本の経済におきまして資金力といいますか、あるいはまた財政力、こういうものも必ずしも豊かなものではない。だからこの補償融資の問題についておそらく政府は触れなかったのだろう、こういうように思って報告書を読んでおりました。しかし補償融資以外にも、もちろん円借款やクレジット・ラインによる政府ベースの信用供与、こういうものもやらなければならない。きょうの新聞にも白書を出されて、こういう点について触れているようであります。ところが日本として非常に有利な問題があるのですが、なぜそれをやらなかったか。たとえば軍縮であります。プレビッシュ報告の中にはっきり出ておりますが、一般的な完全軍縮が行なわれるならば、そしてそれが後進国の開発に使われるならば、後進国の経済成長は七%に上るであろうこう言われております。わが国は先進諸国に比較いたしまして、憲法にもございますから、軍備は隠れ隠れやっておるような状態だから比較的小さい。だからわが国以外の先進国、これは軍備をたくさん持っている。これらのたくさん軍備を持っておる諸国がほんとうに軍縮をやって、そしてその余剰の資源をもって後進国援助に乗り出すならば、いま申しましたようなたいへんな効果がある。しかもわが国の負担は軽い。わが国の負担が軽くて済み、しかも後進国全体が非常に利益になり、しかも世界の平和に役立つ、この軍縮の問題をプレビッシュははっきり申しており、あるいはまたブラジルやルーマニアがはっきり支持している、こういう問題に対して、日本政府はなぜそれをはっきりあの会議の席上で言わなかったのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/46
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047・中山賀博
○中山政府委員 軍縮の問題は非常に重要な問題であり、わが国際政治の最重要な問題の一つだと思います。ただ国連の貿易開発会議におきましては、そういう点に触れておられる発言者もありますけれども、わが国といたしましては、むしろ問題を経済問題に限って発言をしたわけでございます。もちろんほかの場で、ほかの機会にまたそういう機運が醸成されることは、日本としてももちろん歓迎するところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/47
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048・桜井茂尚
○桜井委員 貿易会議の席上だから発言をしてほしかった。ほかの会議の席上でももちろん必要でしょう。しかしああいう大きな貿易会議の席上だからこそ日本において最も有利なそして世界平和をもたらし得る、そして後進国からは万雷の拍手を受ける、こういう点についてなぜ言わなかったか、いかなる政治的意図があって言わなかったのか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/48
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049・中山賀博
○中山政府委員 根本において軍縮というものが好ましいことであることはもちろんでございますけれども、政治的な意図があってこれを発言しなかったというのではなくて、現実的な問題の提起のしかたとしては、やはり経済問題に重点を置いて発言したほうがわが国のためにいいと考えたからであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/49
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050・桜井茂尚
○桜井委員 一国の外交をやるのに、そういう重大な問題、それを貿易開発会議だから貿易に限りましたと言う。日本の外交をどのように進めていこうとするのか、大きな外交上の問題です。この外交上の大きな基本的な問題に対して、逃げ回ったような行き方をなぜおやりになるのか。一言も触れてないのです。一言も触れてないのには、何かそれなりの理由があっただろう。それがもし知らずにやったのだとしたら、失礼ですけれども、政府としてあるいは外務省としてあまりにも無能であります。なぜやらなかったか、意図があるはずであります。それをお教え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/50
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051・中山賀博
○中山政府委員 私は、そういう政治的な意図があってわざと取りやめたということは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/51
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052・桜井茂尚
○桜井委員 では、あまりにも無能であるということを指摘だけいたしておきます。
次に、時間がなくなってきましたからはしょりますけれども、わが国の外貨収支の赤字の原因はどこにありますか。簡単に御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/52
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053・高島節男
○高島政府委員 外貨収支の赤字の点でございますが、最近あらわれております動向を中心にしまして申し上げますと、ここのところ経済成長率が御承知のように三十七年の後半から八年にかけて非常に高くなりました。したがって国内の鉱工業生産活動も非常な予測以上の高さを見せました。結局三十八年度の鉱工業生産活動が一三%くらいと思ったのが、一四、五%になっております。現在のところ輸入が非常な高水準になっておるわけであります。したがいまして、日本の経済成長というものが従来のように一〇%をこえるような形では輸入を引っぱり上げる、これが一つ問題点だろうと思います。そのほかに、三十八年度の特色としまして、ちょうど麦を中心とした不作がございまして、あるいは急に砂糖の値が倍にも上がったりしたような異常な要因がございます。そういった要因が若干ございますが、長期的な形としては、やはり成長率と輸入との関係が一つあります。
それからいま一つは、輸出の関係から見まして、日本の輸出は、ここのところ世界貿易の伸びが五、六%程度といわれております中で、その弾性値が二以上、すなわち一三、四%で、比較的ずっと好調になってまいっております。今後この形で行き得るかどうかということに問題がございますが、産業の実力、またはかなり過去においてやりました設備投資のいい面の効果として、競争力が次第につきつつございますが、まだ西欧諸国に比べて十分な競争力がついているかどうか、そこいらに問題がございまして、産業の基盤を固め、過当競争を防止し、その実力をつけていくということが政策の主眼点になるわけでございます。要するに輸出を円滑にこの調子あるいはプラスアルファで伸ばしていく、それと成長率との見合いになってくる、こういう構造であるのが日本の現在でありまして、適正な成長と円滑な輸出の推進ということがないと、日本の国際収支というのはそのつど困難を生ずる、こういう動向になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/53
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054・桜井茂尚
○桜井委員 たとえば日本の輸出の伸びは一九六二年、六〇年と比較いたしまして、六〇年を一〇〇として北米が一八四、EECが二〇九、EFTAが一四〇、共産圏が三〇〇、東南アが一一一、アフリカが九七であります。このように日本の輸出の伸びているのは、共産圏を除きますと、大体において北米と欧州先進諸国である。そして東南ア、アフリカ等におきまして、これは伸び悩みどころではない、アフリカにおきましては引っ込みがちであるし、東南アジアにおきましても、これは援助によって買ってもらっている。援助がなかったら、これだけの一一一%の伸びさえも見られなかっただろう。そして、アメリカのAID資金、こういうものもありましたから従来はよかったが、これが今後バイ・アメリカンということになってくると――もう現になっていますが、そんなに期待もできない。わが国の援助が即輸出という形にならざるを得ない。そこで今度は輸入のほうを見てみますると、大体六十二年をとってみましても、国際収支の赤字は、アメリカにおきまして五億ドル、カナダ二億ドル、オーストラリア三億五千万ドル、このように赤字であります。大きなところだけを申し上げましたが、六十二年にはこれだけで十億五千万ドルの赤字になっている。そして黒字のところはどこかといえば、東南アジアの四億九千万ドル、アフリカの一億一千万ドル、こういうことです。要するにアメリカ、カナダ、豪州、これらとの関係における赤字を東南アやアフリカにおいて埋めている。これが日本の貿易の構造じゃないですか。こういうような形でいったのでは、当然のこと低開発地域はますますもって外貨が不足する。したがって輸入制限をせざるを得ない。だから自由化、自由化とおっしゃいますけれども、低開発地域でも、わが国に対して自由化しているところがありますか、ほとんど大部分は輸入制限、こういうような状況になっている。時間がございませんから続いて申し上げますけれども、たとえば石油一つをとってみても、ほぼ十億ドルの輸入を六三年にいたしております。そしてその大部分というものは中近東である。そこで、中近東のイランやイラクはどうか。石油の日本への輸出は、イランやイラクの輸出と認めていない。だから、それ以外のものを輸出したら日本から買うけれども、石油が何ぼ伸びたからといって、そういうことは何らわが国の輸出には関係してこない。要するにアメリカ資本のもうけになる。こういうことは、たとえばペルーやチリの鉄の輸入にしましても、最近わが国は鉄鉱石を非常に遠くから輸入してくる。通産大臣は手配が十分してあるというようなことをこの前言っておりましたけれども、その手配はますます遠くへ行っておる。そしてチリやペルーの鉱山はアメリカ資本でありますから、したがって日本へ輸入するときにシップ・アメリカンを適用してくる。そこで今度はわが国の船賃収入の減となってあらわれてくる。あるいはまた大豆にしてもトウモロコシにしてもそうです。自由化ということが、現実に輸出に際しましては、相手国が相手してくれない。一例を申しますと、はきものにいたしまして一万ドルであるとか、あるいは綿製品の特殊な糸について五千ドルであるとか、こういうような貿易取りきめを結んでいる。だからそのワクの中で日本の業者がただ自由競争をやっておるにすぎない。輸出における自由化とはそういうことであり、輸入における自由化は、日本商社が買いやすいところからただ買ってくる。そうして一番もうかるところから買ってくる。だから、簡単にアメリカであるとかカナダであるとか、豪州であるとか、そういうようなところからばかり買いあさっておる。そこに日本の貿易上の国際収支の赤字の構造的な原因がほんとうはあるんじゃないですか。そこに構造上の赤字が発生する。この構造上の赤字を変えていくということなしには、日本の輸出はもはや大きくは期待できない、先進諸国を別にすれば。先進諸国だってそうです。EECのほうでもかなり輸入を制限しておる。アメリカに至ってはこうもりがさの骨まで自主規制である。こういうことがあるのですから、先ほどから申し上げましたように、世界貿易会議を契機にしてわれわれは大きく貿易構造の転換に迫られた時期にきているんじゃなかろうか、こう思うのですが、いかがなものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/54
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055・高島節男
○高島政府委員 確かにおっしゃいますように、非常にこの点はむずかしいのでございます。従来からのやり方、いわゆる自由貿易化を推進しておるときのやり方は、輸入品としては一番安いものを買う、こういうことで進んでまいったわけでございますが、ただ、その中で後進国の問題はおっしゃるようにそこでひっかかってくる。それが今度のプレビッシュ報告を中心にした国連の会議における一つの議論の焦点にもなって、日本側としても今後長期的な政策をどういう輸入構造でやっていくかというと、いろいろ検討しなければならないかと思いますが、ただしかし、先ほど経済局長がおっしゃいましたように、原則として自由な体制、お互いの競争力でやっていくということは、世界の経済の理念としてやはり中心に生きていくべきじゃなかろうかと私は考えております。それは、もしかりに価格をつり上げて買ってやる、クォータを設定してやる、おまえらだけ特定関税でやるぞという形にいたしまして、後進国に対して経済力をつけていくということをやってまいりますことは、かえって全体の運営として経済的な方向にいかない。しかし、そういう段階に達するまでの間ある期間援助していく、あるいは開発の援助その他の方式でやっていくことは、日本の国力が許す限り援助をしていくべきものだと考えています。したがって、その間の調整はおっしゃるように一がいに割り切れないものが残りまして、今後の政策として、こういった国連貿易開発会議あたりを契機として十分政府部内でも論議してみなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/55
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056・桜井茂尚
○桜井委員 自由競争の原則ということを主張なさって、現在までそうでしたが、しかし、日本の巨大な産業、そうしてそれによって犠牲を受けるのは低開発地域の国民並びにそういう貿易のアンバランスが招来された結果として、直ちに外貨収支の上で非常に困難を生じて公定歩合の二厘引き上げをやらなければならなくなり、その結果のしわ寄せば日本の中小企業が受ける。後進国国民と日本の中小企業の人々、これらの犠牲において日本の一部の独占大企業が、国際的には経済力はついてくる。競争力はついてくる。しかし、それはなおかつ現在の体制におきましては低開発諸国からのボイコットにあい、輸入制限その他の制限を受けて、もはやそういう意図は世界的に貫き得ないような状況にきているんじゃなかろうか、このように私は解しております。
そこで、もう終わりとして、一番最初の質問に返りますが、従来のマンネリズムの考え方、こういう考え方を何としても直さぬことには、直すというよりも、少なくとも検討しなければ、それこそ前向きに進むために――外務省と経済関係省、これらの間におきまして非常に意見の食い違いがある、連絡が不十分であると先ほど申し上げました。このような非常に不十分な国内の体制、これをこのままにしておくなり、あるいはまた若干の改善をするという程度では、いわゆる官僚主義、出世主義、こういうものに立ち打ちできるはずもなく、したがって行政機構の面からいきましても、抜本的な改正を行なわなければならない段階にきていると思いますが、行政管理庁のほうの御意見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/56
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057・井原敏之
○井原政府委員 実は唐突――唐突と申し上げては恐縮でございますが、私、事務局の次長をいたしておりまして、本件についての内容的なことを申し上げる立場ではないわけでございます。そういう立場と、もう一つ、いまいろいろ御意見を承っております問題と関連いたします臨時行政調査会の問題でございますが、ちょうど仰せのような関係のことにつきまして、いま七人委員会の段階で審議をやっておる最中でございます。前回新聞等に一部出まして、答申案がきまったという印象があるいは流布されておるかとも思いますが、御承知のように、調査会は行政制度運営の基本的な事項の改善をやるということで問題と対決しておるわけでございます。したがって、貿易行政、経済外交の問題にも、そういう観点から、ポリシー自体を云々するというのは調査会の立場ではございませんので、機構なり運営についての問題として、特に本件につきましては共管競合の問題の一環としてとらえたわけでございます。七人委員の中の一人であります高橋雄豺委員がこの問題を担当いたしまして、委員みずから主査になって検討しておる最中で、その作業の段階が前回委員会に報告されまして、それが一部新聞等に報道されたわけでございます。まだ七人委員が改革意見の原案を内部的にも結論にいたす前の段階でございますので、その辺にあまり歯切れのいいお答えはできない事由があるわけでございます。ただこの問題で、それではどういう検討で問題を攻めておるのかということになりますと、高橋委員のところで、貿易振興ということは一つの大きな方向でございますので、それに関連いたしまして、外務省及び経済官庁の関係について、いまの共管関連行政の改善という点でいろいろ問題があるように思うということで取り上げたわけでありますが、大きな行政需要の推移といたしまして、私が申し上げるのは全く受け売りになるわけでありまして、底の浅い御報告になるわけでありますが、外国においても、主権国中心というよりも、経済外交の面でもかなり広域化しているという行政需要がある。したがって、それに対応しなければならない。それから外交一元化というような鉄則があるわけでありますが、国と国との外交の問題に直接しない、その前の段階のある範囲の情報活動については、国内の経済官庁と在外公館とが直接取引をして事務の簡捷なりスピード化をはかる余地はないだろうか、そういう問題、また国内におきましては、外務省と関係行政省庁との調整の問題につきまして、経済官庁を中心にした政策の調整等につきましても、もっと経済関係の省庁が入り込んでくるような体制で国内調整が考えられぬだろうか、申し上げますならば、繰り返しになりますが、情報関係で、ある範囲のことは在外公館と国内の経済省庁との直取引を許す余地があるのではないか、海外における行政需要の変化によりましてもう少し主権国――主権国という単位のみならず、貿易の関係につきましては広域化の要請、それに対する職員の配置、その他事務の運営のあり方があるのじゃないだろうか、国内的には、先ほど申し上げましたが、関係省庁の調整の問題で、経済省庁がもっと外務省と肩を並べて入り込んでくる、いまの実情が、実は私非常に的確な情報、現状を申し上げかねるのでありますが、もう少し経済官庁が入り込んでくる立場を認めるべきじゃないか、こういう三点で高橋委員の作業が進んでおりまして、これの第一次案的な素案が前回七人委員に報告された段階でございます。これから七人委員がこれを検討いたしまして、最終的なものにいたしまして、調査会の時限であります本年の九月ごろまでに政府に意見を出す運びになるかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/57
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058・桜井茂尚
○桜井委員 山村長官が、おいでのようでございますけれども、御出席いただけなくて残念でございますが、あらためてまたお伺いするということにいたしまして、本日はこれで私の質問を終わります。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/58
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059・二階堂進
○二階堂委員長 次に、中小企業に関する件について調査を進めます。
企業倒産に関する問題について質疑の通告がございますので、これを許可いたします。安井吉典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/59
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060・安井吉典
○安井委員 私、この際、北海道木材化学株式会社がこのたび倒産いたしました問題に関連いたしまして若干お尋ねいたしたいと思います。御無理を願って質問の機会をいただいておりますし、だいぶ時間がおそくなっておりますので、短い時間で、端的なお尋ねという形で進めてまいりたいと思いますので、そういうおつもりで政府側も御答弁願いたいと思うのです。
北海道木材化学株式会社は、昭和三十四年四月の設立で、昨年の五月に工場が一応完成いたしまして、八月から操業をしておる、その出資は九億八千万円、ところがその出資額のうち北海道が二億五千万円、北海道東北開発公庫が二億円、つまり出資額の四六%をこういったような機関出資で占めているという点に特徴があり、しかもまたその仕事の内容は、例の木材を砂糖にするという問題をテーマとしておって、その仕事につきましても、硫酸法による結晶ブドウ糖というような問題は世界でも初めてなわけで、この特許権は北海道が持っている、こういうふうな特殊な会社であるわけです。この会社の倒産は、いわゆる道策会社というふうな立場で期待をしておりました北海道の人たちにとっても非常なショックであるし、また国全体の立場からいって、まさに。パイオニア的な企業だというふうなことも言えるわけでありますが、それが仕事がまだ本格的な段階に入る前に倒れたというような点において、あるいはまたこれに関連しております中小企業がこの倒産によって手ひどい影響を受けているという実態もございます。そういうような影響の大きさにまず着目すべきでございます。
私はまず政府当局に伺いたいのは、ずいぶん問題がたくさんありますけれども、ひとつ最初から核心に入って、会社更生法の適用を受ける措置に出た直接の原因はどういう点であったかという点からひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/60
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061・井川伊平
○井川政府委員 この木糖会社のお手上げになりましたことは、ただいまお話のありましたように、北海道はいまだ第一次産業時代が大勢を占めておるときであり、広く工場の誘致をはからねばならぬところに直面しておるわけでありますので、既存の大きな工場を一つ失うということは、お説のとおりに道民といたしましても非常に大きな悲しみであることは申すまでもない次第であります。この木糖会社が今日更生会社の手続の申請をするに至りました経過につきましては、すでに御了承を賜わっておりますように、昨年の暮れ以来いろいろと学者等に研究もしてもらい、あるいは拓銀及び公庫等から臨時のいろいろの融資も受けてまいったのでありますけれども、いろいろ研究の結果は、ただいまお話のありました硫酸使用による木糖工場の将来というものがはなはだ不安であるという点も考えられたようでございまして、この際このままで投資あるいは融資をお願いしていくということだけでは将来の明るさを見出し得ないというところから、みずから進んで重役会を開いてあの措置に出たようでございます。しかしお手上げと申しましても、更生会社として今後立っていく道があるかないかの研究はこれからのことでございますので、まだ捨ててしまったということではございません。実は北海道開発庁といたしましては直接には関係をしておりませんので、公庫を通じまして出融資の関係で補助を与えておる次第でありますので、詳細につきましては公庫側から御説明を申し上げまして、御了承をちょうだいいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/61
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062・北島武雄
○北島説明員 北海道木材化学株式会社の最近までの経緯を補足いたしまして、御報告いたします。
御承知のとおり、昨年の六月試運転に入りまして、引き続き八月から操業に入ったわけでございますが、それから機械の故障が相次いで起こりまして、去年の秋ごろまで大体一〇%ないし二〇%の操業度しか上がっておらなかったのでございます。北海道庁におきましても、これをたいへん憂慮されまして、昨年の十二月に北海道大学の工学部長大塚教授、それから北海道の工業試験所長緑川博士をそれぞれ団長とするところの調査団を派遣いたしまして、調査いたしました結果、会社の当初の施設には相当な欠陥が見出されまして、それを一応支障なく運転させるためには約二億六千万円ほどの追加設備を必要とするという報告がございました。さらにそれまでの設備の不足金額四千万円を加えますと、三億円程度の追加資金が必要だということに相なったわけでございます。したがって、さっそくこれに対して補修を加えることといたしたのでございますが、この補修が一応完了するのが本年の六月末ということでございますが、それまでにすでに運転資金の枯渇を来たしておりまして、このまま放置すれば一月には不渡り手形も出そうな気配になりましたので、公庫といたしましては、北海道拓殖銀行とも相はからいまして、今年の一応フル運転に至るまで、六月一ぱいまでの運転資金を目途として、一億六千万円と算定し、これをそれぞれ、その半分ずつ公庫と北海道拓殖銀行でとりあえず融資しようということになりまして、融資いたしたのでございます。会社も引き続きまして装置に補修を加えてまいったのでありますが、依然として操業度の上昇が見られません。さらに従来発見されなかった、設計に根本的な欠陥があるということが三月に至りまして会社側でわかりまして、これ以上このまま続けていきますと、さらに赤字が累増するばかり、当面とりあえず会社としては、このまま会社更生法の手続をして、そうして新しく再建方策を講ずるにしくはない、こういう結論に木材化学会社の役員会で決定をいたしまして、三月の末、旭川の地方裁判所に更生手続の開始申し立て、及び保全処分申し立てをするに至った次第であります。公庫といたしましてもせっかく多額の資金を投入いたしまして、はなはだ残念ではございますが、事ここに至りまして、会社が進んで会社更生の手続をするということにつきまして、やむを得ない次第と存じて、これに承諾を与えた次第であります。今後の方針につきましては、裁判所の手にゆだねられておりますので、今後管財人の選任等もあり、さらに更生計画の樹立もあることと存じます。この問題につきましては、公庫といたしましても最大の債権者並びに大株主といたしまして、今後について十分注目を怠らずに関係者とお互いに協力して、会社更生の先行きを見守りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/62
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063・安井吉典
○安井委員 いまの御説明の中から明らかになりますことは、結局出資の相当大きな部分を公庫が占めておるし、しかも十億八千万円の借り入れ金のうち五億三千万円までは公庫の貸しになっておるのです。そういうふうに公庫がこの会社経営の中で大きな役割りを占めておられるわけでありますが、その最後の段階で北海道東北開発公庫が追加融資を拒んだということで、最後的に、経過的にはそういうことで倒れざるを得なかったという事態の中に、いまの政府の経済政策が金融引き締めという方向に転じているわけですが、こういうようなものの影響も多分にあるように私どもは思いますが、そこで伺いたいのは、いまの会社なら金を出してもこれ以上はもうだめなんだ、しかし別の会社の形にしたら何とかやっていけるのだというお見通しなんですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/63
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064・北島武雄
○北島説明員 公庫といたしましては、設備資金の追加融資を拒絶いたしたわけではございません。一月に北海道の調査団の結論が出まして、二億六千万円の追加投資、それからさらに従来の不足分の四千万円、合わせて三億円の資金を必要とするという次第がわかりましたときも、公庫といたしましては、他の金融機関との協調融資を得ましたならば、これに対して応分の融資をする決意を固めておったのでございますが、いかんせんその後の会社の補修がはかばかしくいかぬ、しかも最後の段階に至りまして従来考えていなかった設備上の大きな欠陥が発見されましたので、会社としてはやむを得ず会社更生の申し立てをしたのであります。公庫において融資を拒んだがために会社がこういう手続をとったという事実はないわけでございます。その点まず御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/64
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065・安井吉典
○安井委員 総裁、そう言われますけれども、会社側が追加投資として必要とするという決定をしている額を、満度に公庫はお出しになっておるわけではないわけです。一部はお出しになりました。しかしその不足分があるために経営が行き詰まったということになるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/65
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066・北島武雄
○北島説明員 そうではございません。実は三億円の投資をいたしまして一応補修が終わるという見込みでありました。その当時におきましては公庫においても、先ほど申しましたように、他の金融機関と協調融資をする覚悟をきめておったわけであります。その後新しく予想しなかった設備上の大きな欠陥が発見されまして、会社側においてはこれに対してさらに巨額の追加設備が要るであろう、事ここに至っては万事休すということで、会社が進んで更生の手続をとるに至ったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/66
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067・安井吉典
○安井委員 私は、先ほどの政務次官からのお話あるいはまた公庫総裁のお話の中にも、再建の方向を進めていかなければいかぬという御決意の一部があらわれておると思うのですが、そうだとすれば、ダイジェスターの問題をも含めた融資措置を、協調融資でも何でもけっこうです、そういうようなものをその段階において真剣に講じることができれば、こういうようなことに至らないで済んだのではないでしょうか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/67
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068・北島武雄
○北島説明員 会社としては新しい欠陥にがく然といたしまして、そこで直ちにお手上げになったという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/68
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069・安井吉典
○安井委員 北海道東北開発公庫がこれまで投資あるいは金を貸したというような企業で、つぶれた企業はだいぶありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/69
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070・北島武雄
○北島説明員 つぶれたと申しますか、会社更生法の適用を受けて、更生計画ができておる会社が二件ございます。なお会社更生法の手続中の会社が数社ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/70
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071・安井吉典
○安井委員 それはいまのような経済事情の中で、若干出てくるのはやむを得ないのですが、おそらくその中でも一番大ものの一つだろうと思うのです。特にこの企業は、先ほども私ちょっと申し上げましたように、公庫も大きく足を突っ込んでいるし、地方公共団体としての北海道もこの中に入っている、入っているというよりも、むしろ一番初めに社会党の田中知事時代の試験的なといいますか、研究から生まれてきているわけでありますから、北海道自体が道策会社という立場で取り組んできているというふうな、ちょっとこれは例の少ない企業の一つであるわけです。しかもまた本格的な操業に入らないで、現実の商行為があまり行なわれないうちに倒れたという異例の事例にもなると思うわけです。しかも今日までの出資や借り入れ金あるいはまた負債の額も非常に大きな額になっているようであります。しかもまた地元では、商工会議所などが音頭をとって出資を呼びかけて、地元にりっぱな企業をつくろうではないかという呼びかけにこたえて行なわれているといったような点に特徴があると思うわけです。一般的に最近企業の倒産が年が明けてから相当ふえてきているという実態の中でも、特殊のケースだと私どもは考えるわけです。とりわけ政府機関としての公庫が中に入っておっての事例というような点に、私どもは特に関心を深め、国会がどうしてもこういう場で取り上げなければならない理由も私どもはそこにあると思う次第であります。つまり開発公庫が建てて――こう言っては、そうではないと言われるかもしれませんが、公庫の最後の追加融資が拒まれた、経過的にはそういうふうなことで会社が手を上げたというふうな印象が強いだけに問題があるように思うわけです。再建をするにいたしましても、これはやはり追加投資が必要ではないかと思うわけです。追加投資なしに再建はおそらくできないでしょう。だからあの段階においてもう少し、ダイジェスターの問題が新たに出ても、それを含めて公庫が中に入って問題に対する検討を深めていくというふうな作業が欠けていたように思うわけです。その点、何かいまの経営ではまずいから、会社更生法の適用を受けて、別な形に、たとえば別な大きな企業に肩がわりをさせるとかというふうな措置をとろうという、それは意識的な作業であったかどうかわかりませんけれども、そういうふうなものが裏にあってこういう措置になったのではないかという気持ちもしないではないわけです。まさかそうではないと思うのですけれども、何かいままでの経過からいえば、追加投資の問題を拒まれて、それで手を上げて――その段階においては別な補償の問題も起きてまいりますが、しかしそれを含めた検討があの段階でもっと進めらるべきではなかったか、それがなしに手を上げてしまったということは、何か次の段階を予測して作業が裏であったのではないか、思い過ごしかもしれませんけれども、そんなような気もしないではないわけです。そういうふうな事情について率直な御見解をひとつお話し願いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/71
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072・井川伊平
○井川政府委員 先ほど来総裁もいろいろ申しておりますように、また私も最初に申し上げましたように、この木糖会社をりっぱに育てていきたいという気持ちが精一ぱいでございまして、これに何らかの不利益な圧迫を加えるというような感じは毛頭持っておりません。なお、投資に対する制圧、貸さなかったということのお話のようでありますけれども、先ほど総裁の申しましたように、本年の六月までにフルに運転ができるようにしたいという御希望で、それまでのつなぎ資金といたしましては北海道拓殖銀行と半々で合計一億六千万の金を出してつなげることにして、そして六月の末にフルに運転ができる、そのときこそ十分御相談申し上げようといったような喜びを持ってそのときを待っておったことは事実でございます。しかるところ、この準備をして工事をしておられます最中に、また木糖会社が御自身の御自由なお立場におきまして東洋高圧の傍系会社であります東洋エンジニアリングコンサルトという会社に調査方を御依頼になったようであります。この調査の結果は、木糖会社には相当痛手のある結果が出たようでございまして、現在の製造方法をもってしては、将来明るいものを見出し得ないといったようなものであったようでございます。そういう結果で、われわれの側といたしましては明るい本年六月を待ちこがれておりましたところ、自発的にあのような処置を会社がおとりになったのでございますから、われわれのほうの責任におきましてこうしてしまったのだという点があるとすれば、誤解でございますから、この点は御了承を賜わりたいと存じ上げる次第でございます。
なお、御承知のように裁判所が更生会社としてのいろいろの御研究をこれからなさるわけであり、また管財人等の御選定もあるわけでありますし、またそういうことに相なるといたしますれば、広く学者の見解というようなものも参考にして、再建の方法を講ぜられるであろうと存じ上げます。そういう見通しが立ちました場合においては、あらためて公庫のほうにもあるいは開発庁のほうにもいろいろ会社側からお話があり、あるいは裁判所側からもお話があるかと存じ上げます。そういう時分には十分好意と誠意を持ちまして御交渉に当たる所存でございますので、どうぞよろしく御了承願いたいと存じ上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/72
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073・安井吉典
○安井委員 経過の問題について深入りしておりますと時間がなくなりますので、次に倒産という事態に至りましたその後の対策の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
ここで働いている従業員の人たちの問題については、再就職あっせんその他がだいぶ積極的に進んでいるということは私も知っておりますので、きょうは時間がありませんので、この問題をあと回しにいたしまして、これに関連しております債権者の問題についてお尋ねをいたしたいわけでありますが、負債額は四億三千万をこえる額にのぼっているようであり、関連する事業所も百五十五というふうなことで、大口もございますけれども、これももちろん問題でありますが、特に、地元の小さな業者の場合は問題が深刻であろうと思うわけです。いわば倒産が倒産を呼ぶ、こういうふうな事態に至らなければよいがというふうに思うわけであります。中小企業者のほうは、いわゆる道策会社というものですから、全面的な協力をし、この会社ができたことによってその企業ができたというように、まさに生死をともにしている企業もだいぶあるわけであります。ところが、払いが悪いものですから、労賃などの日払いのものについてまで立てかえ払いをしていたというような事情もございますし、この会社に対する信頼の度合いというのも、一例をあげますと、重役会議で再建法の適用を受けるということを決定したのが二十五日、ところが極秘ということでそれが伏せられて、三十日ですか、やっと発表になったわけです。ところが、二十五日の重役会議でもう会社を投げ出すことがきまっておりながら、三十日の午前中まで会社の請負工事をやっておるという中小企業者さえもあったわけでございます。まことに寝耳に水というような事態がこれらの人たちにあるわけであります。こういうような例は、この委員会でも、さきにもお取り上げになった問題もあるように、数多いわけでありますが、この種の場合における通産省としての御指導はどういうことでしょうか。この負債に対する処置、そういったような問題についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/73
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074・倉八正
○倉八政府委員 いまの救済の融資措置につきましては、私の担当外でありまして、別に確定的なことを申し上げられませんが、ただ私として言えることは、木材化学の中の、これは世界的にも全く特例な企業でございまして、そういう非常に技術的にはりっぱであるということがわかっておりますが、経営的にいまの不振を来たしたということで、通産省としては今後の過程において前向きで進めたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/74
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075・安井吉典
○安井委員 中小企業庁のほうのお考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/75
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076・井上亮
○井上説明員 北海道木材化学の倒産の問題につきましては、私どもといたしましても中小企業者に相当関係があるのではないかというようなことで、現在詳細につきましては調査中でございます。ただ、先般同じく当委員会において東発関係につきましていろいろ質疑があったわけでございます。あの問題を契機といたしまして、特に、最近中小企業の連鎖倒産が非常にふえる傾向にありますので、こういった事態に対処いたしまして、私どもといたしましては、さしあたりの当面の措置といたしまして、各通産局の商工部中小企業課を一応窓口といたしまして、今後不幸にしてこういった黒字倒産というようなことを余儀なくされる中小企業者に対しまして、できるだけ今後の注文の転換、ときには生産業種の転換を含むかと思いますが、そういったこととか、あるいは当面の金融措置についての指導あっせんというようなことをこの窓口を通じまして善処するように現在指示しておるわけでございます。この北海道木材の問題につきましても、そういった趣旨から申しまして、現在本省といたしましては、この調査を待ちまして、直ちに先ほど申しましたような善処をさしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/76
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077・安井吉典
○安井委員 この問題について地元の旭川市や北海道は、当面、四月十日決済の手形があったわけです。これは相当大きな額にのぼっていたものですから、これに対する制度金融のあっせんとか、補償とか、そういうような措置を緊急に講じているようです。当面は問題を切り抜けているというふうに私ども見ているわけでありますが、保証料の問題それから利息、こういうような負担が相当多額になるわけです。聞くところによると、五百万円ぐらいの場合でも年間約六十万円ぐらいになる、こういうようなことも聞くわけです。ところがこの場合においては、せいぜい一千万円ぐらいの規模の中小企業があって、どういうものか五百万円ぐらいのこの会社に対する貸しが残ったまま会社がなくなってしまった、こういうふうな事態もあるわけです。ですからこの保証料や利息の問題もこういうような企業にとっては――大きな企業にとってはこんな問題はたいしたことはないかもしれませんけれども、こういうような企業の場合には非常に重大な問題だと思うわけでありますが、国としてもこういうような場合に――地方公共団体のほうは一生懸命やっておるわけです。市も乏しい財政の中から持ち出して、北海道の財政の中からも持ち出しがあってやっておるわけです。政府としても、こういうようなケースに対して、もっと親切味のある措置というものが必要じゃないでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/77
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078・井上亮
○井上説明員 御指摘のとおりでございまして、中小企業庁といたしましてはこのような連鎖倒産をする中小企業に対しましては、ただいま申しましたように当該企業の所在いたしております各通産局を通じましてできるだけ親身になって各中小企業の今後の金融対策あるいは注文先の転換、こういうような点についてできるだけ親切に指導するように現在指導いたしておるわけでございます。なお、特に金融問題につきましては関連いたします中小企業者、これはもし組合の加盟員であれば商工中金の取引関係ができるわけでございますし、そうでないところでも相当の企業につきましては中小公庫等の関係もございますので、そういった政府関係金融機関に関連のつきやすい、つき得る企業あるいはすでに取引関係のある企業につきましては、私どもそういった面からもできるだけの措置をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/78
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079・安井吉典
○安井委員 具体的に、財政支出で、いまの保証料や利息の問題に対して、ずばりそのものの手当というものはお考えになる余地はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/79
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080・井上亮
○井上説明員 ずばりそのものということは、現在の制度の上ではむずかしい点があるのじゃないかというふうに考えております。といいますのは、政府関係金融機関でありましても、やはりこれはいわゆる市中銀行のコマトシャル・ベースということではなしに、ある程度政策金融という問題が当然あるわけでございますが、しかし、あくまでやはり金融ベース、規定はそういった立場でおりますので、無条件というわけにもいかないのでございます。ただしかし、実際の融資に際しましては、政府関係金融機関でございますから、政策融資という立場から、できるだけ担保条件その他はあまりうるさいことを言わないでめんどうを見ていくというような態度で、できるだけ前向きにお世話をするような態度で融資していただくように指導いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/80
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081・安井吉典
○安井委員 その点さらに御検討を願っておきます。
国税庁からおいでになっておりますね。――国税の減免といいますか徴収猶予の問題について、二月十九日、中小企業の資金難対策としての国税庁長官通達が出ているようでありますが、このようなケースは、いままでのお話の中から御理解を願えると思うのでありますが、国税の納期にあたっているが、こういうような事態でどうにもならないというケースに対しまして、特別に売り掛け債権の償却の特例もあるわけですね。そういうような問題だとか、それから猶予の問題だとか、国税庁としての対策、それをひとつお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/81
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082・喜田村健三
○喜田村説明員 会社更生手続の開始決定がございました場合には、その会社の北海道木材化学に対して有しております債権の二分の一までは貸し倒れとして処理して債権償却引き当て金を設定できる、こういう取り扱いになっております。またそれがさらに見込み額が二分の一をこえて貸し倒れになりそうだ、こういった場合には、国税局長の承認を得まして全額貸し倒れとして処理できる、所得の計算といたしましては、この会社に対する債権を貸し倒れとして処理できるという手続が一つございます。
それから納税の猶予の問題でございますが、これも会社更生手続の開始決定がございました場合に、そのために国税の納付が困難になった、こういった場合でございますと、その納付困難な税額につきまして一年以内、さらにやむを得ない理由があります場合に、延長申請がありました場合には、通算しまして二年以内の納税の猶予が認められることになっております。またこの場合に納税の猶予をした国税に関するその延滞税は、その猶予期間に対応する部分の税額につきましては原則として全部免除する、こういった取り扱いができることになっております。こうしたことを納税者のほうに周知宣伝して、適用をすすめる、こういったことを措置することになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/82
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083・安井吉典
○安井委員 時間がなくなってまいりましたので、もう少し詰めてお伺いしたいのですけれども、次に回しまして、最後に今後の再建の問題について伺って終わりたいと思います。
地元の旭川市の臨時議会も全会一致で再建に関する意見書を決議いたしましたり、北海道当局も、道策会社として再建をするというような論議が道議会の中でも行なわれて、対策が講ぜられているようでありますが、北海道開発庁は、昭和三十八年度から始めたいわゆる第二期八カ年北海道総合開発計画の中に、この木材から砂糖をとる、あるいはまたフルフラールやリグニンや、そういったような、いわゆる木材化学の発展という問題をも計画の中に策定済みであるわけであります。そういうような点からいいまして、この問題はあとをどうするかという点において非常に重大な問題が残ると思うのでありますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/83
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084・井川伊平
○井川政府委員 お説のとおりでありまして、開発庁といたしましては、再び元気よく再建されることを心より期待いたしておる次第でありますので、再建努力をすることによって再建ができることであれば、その努力は惜しまない考えを持っておる次第であります。
それから、先ほどの御質問の解散の場合の従業員の問題であるとか、あるいは小口債権者のかわいそうな問題をどうするかというようなお話もありましたが、現在では裁判所の手続となっておりまして、すべての支払いは自由にできない姿になっておるのでございます。しかし、この木糖会社が再建された場合においても、あるいはできない場合におきましても、従業員のお手当の問題であるとか、あるいは小口の債権者に対する支払いの問題については大口債権者にある程度の泣きを求めて、そういう方面には歩よく支払いができるようにすることが、今日まで各裁判所のこうした事例に対する措置の方法であったかと存じ上げますので、安井委員の御心配の全部がうまくいくかいかぬかは別問題といたしまして、大半そういう問題では裁判所の考慮が払われると存じます。そういう場合においては、開発庁といたしましては最善の努力をいたしたい、こんな考えを持っておる次第でありますので、あわせてお答えを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/84
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085・安井吉典
○安井委員 いまの政務次官の御答弁の初めの部分で、まあ再建のために努力するというのはわかりますが、ただどういうふうな再建をするかということが問題なわけです。ですから、閣議で決定をされまして去年から始まっている北海道開発計画、その中で一応位置づげができているわけですよ。そのとおりの方向で再建をされるという努力をなされるのか、それともそんな会社は別会社にしてしまって、別な仕事、たとえば製材工場か何かをおっ始める、こういうような形で再建をされるのか、その点が大事だと思うのです。やはり閣議でがっちりきまっておりますその計画どおりお進めになるということが本筋であろうと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/85
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086・井川伊平
○井川政府委員 御意見のこともございますけれども、問題は、更生会社としての手続が進められておるわけでありますから、一にかかって裁判所のそうした取り扱いが主になるわけでありますが、しかし裁判所といえども、事業面におきましてどうすればいいかということを法律の解釈のようにできるわけじゃございませんので、そうした会社経営の権威者の御意見も徴することでありましょうし、それからこの事業自体が世界でまれに見る新しい企業である点にも思いをいたしまして、学者の意見等も十分に取り入れられるであろうと存じます。ただ簡単に気やすい同情ではなしに、十分そうしたような研究を遂げまして、将来明るく健全に立ち直っていくことを期待し、そのためには力を十分尽くしたい。具体的にどういうことをするかということにつきましては、いましばらく考慮をさせていただいて、いろいろの研究を遂げた上にさしていただきたいと存じ上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/86
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087・安井吉典
○安井委員 いま新しい企業だというお話も出てきたわけですが、軽工業局長に伺っておきたいのは、こういうふうな。パイオニア的な企業については、やはりいろいろ企業的にも問題があるのは当然だと思うのです。たとえば新規の技術開発のために日本合成ゴム等には特別な立法までされて支援をしている。この企業も、さっきも申し上げたように硫酸化法によるものとしては全く初めてのものである。ところがこの結晶ブドウ糖だけじゃなしに、一緒に出てくるフルフラールの問題もまだまだ技術開発の余地がある。特にリグニンの問題がもっと解決できれば、この企業は私はぐっと生きてくるのではないかと思うわけであります。そういうような点からいって、やはり通産省としても積極的なてこ入れをしていく、そういうことが必要ではないか。特に会社更生法という形でこれから再発足する段階です。これは追加投資という面の努力も必要でありますが、同時にこういったような企業に対する積極的な国のてこ入れ、こういうようなものについてのお考えをひとつ伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/87
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088・倉八正
○倉八政府委員 この全般的な問題につきましては、いま開発庁の政務次官のお答えがあったとおりでございます。それからこれに対する見解は、安井先生のおっしゃったとおりでございまして、われわれとしましては、このリグニンにしろフルフラールにしろ、あるいは最近新しく出てまいりましたリグニンゴムも世界的に特異なものでございますが、こういうものは日本の化学工業あるいは今後の国民経済にとって非常に必要なものでございます。ただこれをコマーシャルベースでできるだけの規模とできるだけの価格を維持するということがこの会社の先決問題であるし、また根本的には大体八割というのが結晶ブドー糖とかキシローズとかいうものでございますから、それの確立とあわせて、通産省が担当いたしておりますそういう化学品を今後どう前向きで進めていくかということが基本問題だろうと思うのであります。したがいまして、われわれとしましては、日本の自給度の向上あるいは新技術の企業化という面におきまして前向きで進めていきたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/88
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089・安井吉典
○安井委員 ただ前向きということばだけではなしに、前向きのためには積極的に前向きになるような措置が必要なわけで、やはり金を出していただかなければ問題の解決にならないと思うわけです。これはいますぐどうというわけではないですけれども、ひとつこの再建段階において積極的な御考慮を願っておきたいと思います。
これでほんとうに最後にいたしますが、公庫の総裁、やはりいままでの段階でも公庫が重要な役割を演じてきたわけでありますが、再建の段階でも、金を貸している側でございますので、公庫の考え方というものが一番支配的に今後の方向づけをしていくのではないか、こういうような考えにならざるを得ないわけであります。特に私は、つぶれたのは公庫が金を出さなかったからつぶれたのだと言ったら、そうじゃないのだということをおっしゃいますけれども、経過的にはどうもそういうことなんで、ひとつ罪滅ぼしといったら何ですが、この最後段階、これを今後どういうふうな形で再建をしていくかという段階では、公庫の役割というものは非常に重大だと思うのです。これは北海道という立場からそう言うのではなしに、それだけではなしに、公庫には国民全部の税金が入っているわけですから――そういうような税金でできている、もちろん税金だけではありませんけれども、そういうふうな国民全体の金をもっともっと有効に使ってもらいたいという国民的な期待もあるはずです。それだけに慎重な態度で処理を願わなければならないわけです。ただ単に金を貸しているのだという金融資本家的な感覚で処理されれば、これはベースに合わないものは投げてしまう、こういうような方向にいくわけであります。やはり国の金融機関だという立場から、方向を誤らないような御措置を願いたいと思うのですが、ひとつお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/89
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090・北島武雄
○北島説明員 ただいまお話がございましたように、大事な公庫資金をお預かりしておるわけであります。すでに七億三千万円という巨額の融資をいたしておりますが、この先行きにつきましては、私どもほんとうに真剣になっていま考えております。もちろん会社更生法の手続によりまして適切な更生計画が樹立されまして、コマーシャルベースによってこの企業が遠い将来において伸びていくことを心からこいねがっておるのであります。ただ、公庫の立場は非常にむずかしいのであります。お話のように単に金を取り返せばいいというものではもちろんございませんが、それとともに大事な国家資金でございますので、さらにこの上にどろ沼に大事な国家資金を投ずるようなことは絶対にいたしたくない。それとともに、将来北海道にとって開発上有意義な、しかも採算のとれる企業でありますならば、当面は多少の赤で苦しくても、将来望みのあるものならばこれは今後とも援助していきたい、こういうのが公庫の基本的な考え方でございますので、何とぞひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/90
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091・森義視
○森(義)委員 関連いたしまして、先般当委員会で質問されました東発の倒産につきまして、早急に実情調査をして善処する、こういう御答弁もいただいておるわけですが、その後の経過、特に具体的な措置について、計画部長から最初お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/91
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092・井上亮
○井上説明員 東京発動機の倒産の問題につきましては、先般当委員会でいろいろ申し上げたわけでございますが、その後通産省といたしましては、東発に関係のあります富士電機、同時に東発の無担保債権者協議会の方々と数回にわたりましていろいろ懇談を申し上げたわけであります。そこで、まず第一に、私どもといたしましては東発関係の無担保債権者の現況はどうなっているかという実情の把握から始めたわけでございますが、その結果、私ども現在の段階で一応明らかになりました点をまず最初に簡単に申し上げてみたいと思います。東発の債権者全体の数は千八百一社ほどになっております。相当大きな数にのぼるわけでございますが、この中で東発に依存いたしております、いわゆる下請企業の数は二百五十一社でございます。この下請二百五十一社の内訳を申し上げてみますと、八〇%以上東発に依存しているという企業の数が二十七社ほどでございます。この債権金額は一億七千万円ほどでございます。さらに五割以上東発に依存している下請企業の数は五十一社、これは八〇%と五〇%の間ということでございますが、五十一社で三億八千万円。さらに三割以上東発に依存しておるのではないかと見られます企業の数が三十七社、金額にしまして二億四千万円程度でございます。全体といたしまして二百五十一社、十二億七千万円というのが下請関係者の東発に対する債権額になっておるわけでございます。これは下請関係だけでございます。いわゆる全体の千八百一社では約二十一億程度になります。
それから次に、私どもとしましては、この無担保債権者に対してどのような対策を講じたらいいかという検討を関係方面ともいたしたわけでございますが、ただいまのところ私どもとしましては、まず第一に金融面の対策といたしましては、一応市中銀行に対しましては、大蔵省を通じましてできるだけ理解のある配慮を市中銀行にしていただくような通牒を出していただいておりますが、これと並行いたしまして、政府関係の金融機関に対しましては、ただいま申しました千八百社、特に下請の二百五十一社につきまして、政府関係の金融機関に従来関係のあった企業あるいは現に融資を受けている、あるいは手形割引をしてもらっているというような企業が、どういう企業がそれに該当するかというような調査をいたしております。現在までのところ、公庫につきましては、大体代理貸しがまだ率直にいいまして明確を欠くわけでございますが、直接貸しの分につきましては、関係のある取引企業数が中小公庫で二十七社、貸付残高で四億三千万円、それから商工中金は取引企業数が十七社、手形取引の金額は千七百万円というようなことが一応判明いたしたわけでございます。なお国民公庫につきましては、現在非常に各支店にこまかく分かれておりますので、現在調査をしていただいております。そこで私どもといたしましては、市中に要請いたしますとともに、政府関係金融機関に関係のある、あるいは商中のような場合には御存じのように協同組合の構成員であるとか、あるいは商工組合の構成員であるというような場合には商中の関係者たり得るわけでございますので、そういったところに対しましては、できるだけ政府関係金融機関でも可能な限りの便宜を供するようにという指示を現在いたしておるわけでございます。
それからなお、これは中小企業庁というよりも重工業局の各課を動員いたしまして、この東京発動機の下請関係につきましては、これを業種別にさらにリストアップをいたしまして、たとえば鋳鍛造関係の下請あるいは機械加工関係の下請業者あるいは鋼材を主として納めているというような関係、各部品あるいは素材の関係、こういった業者に債権者のグループを分けまして、この名簿を各担当原課が関係通産局と一緒になって、これらの下請業者に対しましては今後の受注先のあっせんとか、あるいはその他御相談に応ずるというような態勢を現在とっておる島わけでございます。特に先ほどもお答えいたしましたが、各通産局にそれぞれ商工部中小企業課というものがございますので、ここが当面の窓口になりまして、何でも御相談に応ずるという態勢を特に緊急にとったわけでございます。東発の場合は、東京通産局の商工部の中小企業第一課がこの窓口として現在活動を始めております。すでに八件ほどの下請の方あるいはその他の方がお見えになって相談をされておりますし、これに対して通産局といたしましてもお世話する態勢でいま話し合いを進めておるわけでございます。
以上、簡単でございますが、まずこれを要約いたしますと、いままで必ずしも明確でなかった千八百社の債権者の仕分けをいたしまして、それぞれ対策が打てるような仕分けをいたしまして、それに応じてそれぞれの手を打つような態勢をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/92
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093・森義視
○森(義)委員 いまの御答弁で、金融関係について、市中銀行に対しては大蔵省を通じて善処方、それから政府関係の金融機関については具体的には調査中で、若干残っておるところもありますけれども、可能な限り便宜を与える、こういうようなことをやっておるようでありますが、政府関係の金融機関とそれからおたくのほうで機関の代表者が集まって、この辺の意思の疎通が十分にできておるのかどうか、あるいは無担保債権者の意図というものが、このような措置だけで何とかなるというふうなところで金融機関にそういうふうな要請をしておられるのか、無担保債権者との会合の中で、通産省としては特に計画としてはこういうことを考えておる、金融措置はそういうことをやってもらったらけっこうだという了解がついて、そうして金融機関と話し合いをし、金融機関もその程度なら協力できるというようなところまで来ておるのかどうか、その辺はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/93
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094・井上亮
○井上説明員 ただいまの措置は、一応無担保債権者協議会の方々あるいは東発の幹部との話し合いでさしあたりそういう措置を講じたわけでございまして、これだけで十分だというふうに無担保債権者が申しておるわけではございません。しかし、私どもとしましてはこれだけの措置にとどまらず、もう少し具体的に無担保債権者の方々の御意見も聞きまして、さらにいろいろ御相談に応じていきたい。それは金融面もありましょうし、あるいは特に依存度の高い下請の方々にとっては、新しい注文という問題が大きな問題になると思いますしいたしますので、そういった点でさらに話し合いも続けていきますし、それから同時にそういった措置もできるだけやっていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/94
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095・森義視
○森(義)委員 それからもう一つ聞きたいのですが、これは重工業局ですね、受注関係のあっせんをグループ別に分けて進めておる、それらのグループ別とあっせんの見通し、そういうものは井上さんはわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/95
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096・井上亮
○井上説明員 グループ別に分けた内容は――下請業者もグループに分けておるわけでありますが、そういったリストはございます。それから、そのリストにつきまして、通産局と重工業局関係の各課にそのリストを配りまして、関係の各課長がそれぞれ所管の業界の方と、ただいまいろいろ折衝しているという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/96
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097・森義視
○森(義)委員 そこで、そのリストとそれから可能性の見通し、そういうものをひとつ資料として出してほしいと思うのです。どの程度までこのグループはあっせんができるのか、そういうのがわかったら資料として出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/97
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098・井上亮
○井上説明員 リストはけっこうかと思いますが、可能性になりますと、これは誠意を持って努力するという以外にございませんので、その点は御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/98
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099・森義視
○森(義)委員 それでは国税局次長に、その後の税制面の経過を、東発関係でございますが、ちょっとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/99
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100・喜田村健三
○喜田村説明員 前回の委員会で御説明いたしましたように、一つは、更生手続が開始になった場合には、東発に対する債権の二分の一まで、必要あれば、局長の承認を得て全額貸し倒れとして処置して、債権の償却の引き当てができるという手続と、それからもう一つは、開始手続の決定がございました場合には、納税の納付困難な税額につき一年以内、必要に応じ二年以内の納税の猶予ができる、その場合には延滞税の免除ができる、こういう措置が取り得ることになっておるわけでございまして、これにつきましては、おもに下請企業の多いのは板橋税務署の管内でございますので、そこにおきまして、関係の法人、そこの管内の会社が、こうした手続について説明会を催すので説明してほしいという申し出がありましたので、そうした納税の緩和措置につきまして説明をいたしておりますし、また一般的に、そうした経済不況に対しましてはこのような措置が取れるという措置につきましては、そのほかにも周知徹底をはかるようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/100
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101・森義視
○森(義)委員 それで、この東発関係の倒産の中小企業ですね、これについては、おたくのほうから積極的に説明会をやられたのですか、それとも、向こうから要請があったから出ていって説明する、その程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/101
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102・喜田村健三
○喜田村説明員 先ほど申し上げましたのは、管内の法人会がそうしたことについて説明会をしてほしいという申し出がございましたので、税務署のほうから参りまして説明したわけでございますが、そのほか通産省とか中小企業庁のほうとも連絡をとりまして、積極的なPRについても十分検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/102
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103・森義視
○森(義)委員 ぜひやってほしいと思うのです。おたくのほうから通産省に連絡をとって、二百五十一社について特に説明会を統一してやる。板橋管内だけでなくて、その他の地区の人もおるのですから、法人会から要請があったからそれの説明に行ったという程度でなくやってほしい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/103
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104・中村重光
○中村(重)委員 関連して、井上さんにちょっとお尋ねいたしますが、その後の連鎖倒産の状況、これはどういうことになっているか。それから、会社更生法の適用見通し。もう一点は、富士電機と下請がいろいろと折衝しておったけれども、そういう関係はどうなっておるか。
それから、国税庁のほうにお尋ねするのは、関連下請のほうからあなたのほうに具体的な陳情、そういうことをやっているのか、こういう点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/104
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105・井上亮
○井上説明員 倒産の件数につきましては、御承知かと思いますけれども、本年の一月以降逐月増加いたしております。現在までにわかっておる範囲でも、三月には二百七十五件というように、逐月ふえておるわけでございます。私どもは今後、これに対する対策を十分実情に応じてやっていきたいと思っておるわけでございますが、特に連鎖倒産という問題につきましては、これは同じく、最近連鎖倒産のケースがふえってまいっております。いま手元に資料がございませんが、先ほどお話のありました北海道木材化学あたりもそうでございます。最近、資本金二億、三億以上の企業の倒産が目立ってふえてまいっておりますが、この程度の規模の企業が倒産するということになりますと、下請を使っているというケースが相当多いわけでございますので、私ども、事態の推移を見まして、いま今後の対策を練っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/105
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106・喜田村健三
○喜田村説明員 最近調べたことはございませんですが、一週間か十日ぐらい前に聞きましたところでは、まだ納税者側から相談は来ていないが、税理士からの質問があった、それに対しては、こういったような納税の緩和措置がとれる、こういう説明をしたということでございます。その後またもっと質問も出ておるかもしれませんが、そこのところはまだ調べておりませ
ん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/106
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107・中村重光
○中村(重)委員 さっき通産大臣と非公式に話をしたのですけれども、いまあなたから御報告があったように、一応調査できたわけですね。ところが、それじゃこれから取り組むんだということだろうと思うのです。一方、今度は連鎖倒産がどんどん出ても間に合わないということになる。いまのところ政府のかまえとしても――企業が放漫経営をやって倒産をするというのはいたしかたがないのですけれども、連鎖倒産は、これはまた別の角度から、倒産しないようにやらなければならぬということを大蔵大臣も言っているんだし、また日銀総裁も、そういうことを明らかにしているわけですね。ですから、倒産をさせないような対策を講じていかなければならぬ。調査はもちろん必要だけれども、それと並行して、そうした企業に対する対策を十分きめこまかくやっていかなければならぬと思います。
それから、先ほどお尋ねした富士電機と関連下請との折衝、いろいろやっているんじゃないかと思うのですが、そのあたりがわかっておればお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/107
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108・井上亮
○井上説明員 富士電機と債権者との間で特にやっておるということは、私の知っております範囲ではないのではないかと思います。そうじゃなく、むしろ東発の社長以下が、主として無担保債権者とかあるいはその他の一般債権者といろいろ折衝をしておられると聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/108
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109・二階堂進
○二階堂委員長 次会は、明二十二日水曜日午前十時より委員会を開会することにし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104604461X03419640421/109
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