1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十一年十月七日(木曜日)
午前十時十七分開会
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委員氏名
委員長 岩動 道行君
理 事 戸塚 進也君
理 事 中西 一郎君
理 事 野々山一三君
理 事 矢追 秀彦君
理 事 栗林 卓司君
青木 一男君
河本嘉久蔵君
嶋崎 均君
土屋 義彦君
鳩山威一郎君
桧垣徳太郎君
福井 勇君
藤川 一秋君
藤田 正明君
宮田 輝君
大塚 喬君
寺田 熊雄君
福間 知之君
藤田 進君
村田 秀三君
鈴木 一弘君
近藤 忠孝君
渡辺 武君
野末 陳平君
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委員の異動
九月十六日
辞任 補欠選任
福井 勇君 植木 光教君
九月二十四日
辞任 補欠選任
寺田 熊雄君 吉田忠三郎君
九月二十七日
辞任 補欠選任
植木 光教君 糸山英太郎君
十月六日
辞任 補欠選任
土屋 義彦君 西村 尚治君
十月七日
辞任 補欠選任
西村 尚治君 高橋 誉冨君
栗林 卓司君 和田 春生君
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出席者は左のとおり。
委員長 岩動 道行君
理 事
戸塚 進也君
中西 一郎君
野々山一三君
矢追 秀彦君
委 員
青木 一男君
糸山英太郎君
河本嘉久蔵君
嶋崎 均君
高橋 誉冨君
桧垣徳太郎君
藤川 一秋君
宮田 輝君
大塚 喬君
福間 知之君
村田 秀三君
吉田忠三郎君
鈴木 一弘君
近藤 忠孝君
渡辺 武君
和田 春生君
野末 陳平君
国務大臣
大 蔵 大 臣 大平 正芳君
政府委員
大蔵政務次官 高鳥 修君
大蔵政務次官 斎藤 十朗君
大蔵省主計局次
長 加藤 隆司君
大蔵省主税局長 大倉 眞隆君
大蔵省理財局長 岩瀬 義郎君
大蔵省銀行局長 後藤 達太君
国税庁次長 山橋敬一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 杉本 金馬君
説明員
大蔵大臣官房審
議官 佐上 武弘君
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本日の会議に付した案件
○調査承認要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法
律案(第七十七回国会内閣提出、衆議院送付)
(継続案件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/0
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001・岩動道行
○委員長(岩動道行君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。
去る九月十六日、福井勇君が委員を辞任され、その補欠として植木光教君が、去る九月二十四日、寺田熊雄君か委員を辞任され、その補欠として吉田忠三郎君が、去る九月二十七日、植木光教君が委員を辞任され、その補欠として糸山英太郎君が、去る六日、土屋義彦君が委員を辞任され、その補欠として西村尚治君がそれぞれ選任されました。
また本日、西村尚治君及び栗林卓司君が委員を辞任され、その補欠として高橋誉富君及び和田春生君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/1
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002・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
本委員会は、今期国会におきましても、租税及び金融等に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/2
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003・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/3
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004・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/4
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005・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/5
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006・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 御異議ないと認めます。
なお、その日時及び人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/6
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007・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/7
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008・岩動道行
○委員長(岩動道行君) この際、大平大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大平大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/8
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009・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) このたび引き続きまして私が大蔵大臣の重責を担うことになりましたが、現在の困難な局面にかんがみ決意を新たにいたしまして一層の努力を傾注してまいりたいと存じます。何とぞ各位の変わらざる御鞭撻をお願い申し上げます。
当面の財政運営に当たりましては、経済情勢にかんがみまして昭和五十一年度予算の円滑な執行が最も緊急な課題であると存じております。本年度に入りましてからの税収は、ほぼ予算において見積もった水準で推移しておりますけれども、自然増収を多く期待できるような状況ではございません。予算の責任ある執行を図り、財政の課題を着実に実現するためには、すでに成立し、執行中の五十一年度予算と一体不可分の関係にございまする特例公債法案の早期成立が不可決でございます。
何とぞよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/9
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010・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 次に、大蔵政務次官からもそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。斎藤大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/10
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011・斎藤十朗
○政府委員(斎藤十朗君) このたびはからずも大蔵政務次官を拝命いたしました。
このむずかしい時局にかんがみ、自重、自戒し、職責の遂行に誤りなきを期してまいる所存でございます。
よろしく御指導のほどお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/11
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012・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 高鳥大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/12
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013・高鳥修
○政府委員(高鳥修君) 今般はからずも大蔵政務次官を拝命いたしました高鳥修であります。
職責の重大さを痛感いたしまして、微力ながら全力を傾けて職務の遂行に当たりたいと存じます。
斎藤政務次官同様、何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/13
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014・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/14
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015・大塚喬
○大塚喬君 きょうから特例公債法案の審議に入るわけでございますが、御承知のように、前国会からの継続しての審議でございます。
私が初めに大蔵大臣にお尋ねをしたいことは、現在、予算編成時から少なくとも九カ月以上経過をいたしておるわけであります。したがって、当時と現在とでは経済の見通し、これに伴う税収の見込みがかなり相違しておるはずであります。したがって、公債発行の限度額、これも当然変更されなければならないものと考えるわけであります。本案の内容について変更を加える必要がないのかどうか、私は、これは十分に変更を加える、そういう要件があると、こう考えるわけでありますが、この点大蔵大臣からひとつお尋ねをいたしたいと思います。また、これについて政府内部で検討を加えたことがあるのかどうか、この点もあわせてお尋ねをいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/15
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016・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどのごあいさつにも申し上げましたとおり、私ども財政当局の当面の最大の問題は、五十一年度予算を着実に実行してまいることであると考えております。そのために財政当局といたしましては絶えずその執行状況につきまして検討を重ねておりますことは申すまでもないことでございます。
で、結論から申しますと、この予算が編成されましてから大塚委員が仰せのように、ずいぶん時間が経過いたしたわけでございますけれども、当時想定され、予定されました公債発行予定額というものを変える必要はないものと私どもは考えております。何となれば、まず御指摘のその後の経済状況の推移でございますけれども、ことしに入りまして以来、経済は私どもが予想いたしておりましたよりは、やや早いテンポで回復が輸出を中心といたしまして進んでまいりましたことは御承知のとおりでございます。もっとも、最近になりましてやや輸出の伸びか鈍化してきておりますことは御承知のとおりでございまして、ことしの春のような勢いでないことは事実でございまして、やや中だるみの感がないわけではございません。けれども、今年度全体の展望といたしましては、予算で想定いたしました経済の見通しと大きく変わるものではないと見ております。したがって、これをベースにいたしました税収も、先ほどのごあいさつで申し上げましたとおり、ただいままでのところ大体見積もりました税収が月々ほぼ確保されておるような実績が示されておるわけでございますが、今後も大きな自然増収というようなものは期待できないけれども、ほぼ見積もりました税収は確保できるのではないかと見ておるわけでございます。
それから、経済情勢以上の問題といたしましては、ことしは異常な災害、冷害がございまして、財政の手元が若干狂ってまいりましたことは申すまでもないことでございますけれども、これとてもただいままで手元に入りましたいろいろなデータを精細に吟味し、また今後起こり得べき事態もわれわれの経験律で考えてみまして、今年度内に国庫がどれだけの災害復旧費を用意しておけばいいか、冷害対策費を考えておけばいいかというような点を一応当たってみたわけでございますけれども、これに対応する経費は予備費の充当等で十分賄い切れるのではないかと考えておるわけでございますので、結論といたしまして公債発行予定額というものに変改を加える必要はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/16
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017・大塚喬
○大塚喬君 この特例法案では、公債の発行限度額は予算を以て国会の議決を経た金額の範囲内でと、こうしておるわけであります。予算の三兆七千五百億円、これはあくまで予算編成時の歳入欠陥額の見通しであります。しかし、現在は当時から比べますというと、九カ月以上、景気回復の見通しも明るい、三兆七千五百億円の赤字国債発行は、私が言うのは、こういう理由から変更を加える必要がある、これだけの額は必要ないのではないか、こういう考えであります。前にも主張いたしましたが、この発行限度額を本案に明示する必要がある、内容の変更が当然税収の増収等によってあると思うわけでありますが、私は、前からの主張のように、発行限度額を最小限度に抑える、このことが財政健全化の一番基本にかなうものであり、こういう観点からすれば、いままで九カ月の間その日暮らしの形で現在まで推移してきた。この間十分な期間があったはずでありますから、財政の健全化という立場に立って、趣旨に立って、私は、この発行限度額を最小限に抑えて明示する必要がある、こういう考え方を重ねてひとつ申し上げて、大臣の御見解を承りたいものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/17
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018・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 公債発行限度額というものは、でき得れば最小限度にとどめなければならない、財政健全化のためにそうあらねばならないという御主張は抑せのとおりでございます。そのことを五十一年度の予算の執行に照らして考えてみた場合、大塚さんは、経済の回復が明るい方向に向かっておるわけでございますから、それだけの税の自然増収も期待できるはずでございますから、この限度額はかなりそれだけ縮減が可能ではないかという御主張であろうと思うのであります。しかしながら、いま私がお答え申し上げましたように、五月、六月、七月、八月、今日までの税収の実績を見てみますと、詳しいことはまた御要望によりまして事務当局から説明いたさせますけれども、大体先ほども申しましたように、私どもが予算においてこれだけ期待できるであろうという見積もり税額が確保できるであろうという足取りできておるわけでございまして、自然増収が大きく期待できる状況ではないというようにわれわれとしては見ておるわけでございます。しかし、これから先どういう経済状況になりまするか、そして、税収が今後どのように推移してまいりますかまだわかりませんけれども、しかし、たとえ若干の変化がございましても、大塚さんも御承知のように、歳入というものを現実に、その年度の歳入を現実に掌握し得るのは、非常に年度が押し迫らないと私どもはつかみ切れないことは御案内のとおりでございまして、とりわけ三月十五日の最終の確定申告というようなものを踏まえないと税収というのは、その年度の税収というのは確実につかみ切れないわけでございます。若干の見積もり税額と徴収税額との間に相違があるといたしましても、それは年度の一番最終の段階でしかわからぬわけでございますので、いまの段階でこの程度のプラスがあるだろうとか、マイナスがあるだろうかというようなことを見当をつけるというようなことは、ほとんど不可能なことなんでございます。いまできますことは、過去の徴収実績に照らしまして、そういう傾向が出ておるということ、それから今後の経済の展望を見まして、こういう程度のことが予想されるのではないかというひとつの目安を考えておるにすぎないわけでございまして、そういうことから見ますと、ほぼ見積もり税額を確保できるということで、財政の執行を考えてまいるということが、いまのわれわれの認識なんでございます。したがって、いまこれだけ公債発行限度額を減らすことができるであろうとかというようなことを想定することは、私は、せっかくの御意見でございますけれども、確言申し上げることはできないことを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/18
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019・大塚喬
○大塚喬君 お話を聞いて、財政健全化ということに対する努力がやっぱり十分でないという私は感じを受けてなりません。
次に、最近中期国債の発行についての報道がしばしば続けられておるところであります。大分問題も多いようでありますので、この中期国債に関連をして若干の質問をいたしたいと存じます。
この中期国債というのは、個人消化の促進を図るために、国債の種類を多様化して中期債を発行する、こういうことは、私もその根拠についてはわからないものではありません。しかし、その方法の決定が、大蔵省としては、中期債、そして割引債、こういう方式を大蔵省側の方で初めから予定をして、そして大分シンジケート団、引き受け側の方に問題が多い、これを強引に押し切って押しつけると、こういう印象が新聞の報道ではしばしばなされておるところであります。この問題の多い中期債、割引債、これをどういう理由で大蔵省側が固執をして強行をしようとしておるのか、その辺の事情についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/19
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020・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 問題の始まりを、先生がいまおっしゃいました点からちょっと詳しく申し上げますと、個人消化の必要性ということは、もうすでに前から国債の発行について言われておりまして、大量な国債が発行されるようになりましてから、さらにその必要性がまあ各方面から叫ばれております。私どももまたその必要性を十分認識いたしまして、実は昨年の十二月にいまの国債——これは十年ものの国債及び利付債でございますから、そのほかに個人消化のために何か適当な新しい国債を考えられないかということで検討を始めたわけでございますが、予算の編成時期を終わりました一月の下旬ごろに、まあもう少し勉強をし検討をするべき問題があるんではないかということで、その当時に取り上げられるべき問題をさらに先に延ばして検討を進めてきたわけでございます。したがいまして、その後金融機関、シ団側でもこの問題意識のもとに研究会を開きまして、今日までに約二十回の研究会を開いてきている、こういうような状況で、唐突にこの問題が生じたのではなくて、むしろ個人消化のために何が一番適当であるかということから問題を解きほぐしてきたわけでございます。
そこで、いまお尋ねの、なぜ割引債方式をとったかということにつきましては、これは初めからその割引債方式を押しつけたということではなくて、何回も何回も回って議論をしておりますと、やはり個人消化のために一番適当だと思われるものが割引債であるということに結論づけられるようになったと、こういうことでございまして、そういう結論のもとに大蔵省といたしましても、いつまでもこの問題を、関係の方面の完全なる了解というものはまだ実は得られておりませんけれども、新しく金融商品を国が選ぶとすれば、それがどこかの金融商品と競合するからといって、それでやめてしまうというべき性質のものでもございませんので、その潮どきを勘案して、大体十月の二日に大蔵省から大蔵省の考え方というものを、いま現在シ団に示しておるところでございます。その示しておりますものが中期割引国債ということでございまして、そこで、前置きが長くなりまして恐縮でございますけれども、検討しました問題は、貯蓄国債的なもの——貯蓄債券的なもの、それから利付債で中期のもの、それから割引債の中期のもの、この三つを検討してまいりました。それで、それはいろいろ利害得失あるいはその長所短所と申しますか、そういうものがあるわけでございますけれども、端的に申しまして、割引国債が一番いいと思われる積極的な理由を申し上げますと、一つは、他に同種の商品がない、したがって新鮮であるということでございます。
第二点は、個人消化に限定される商品である。いまの利付債というのは、御承知のように金融機関も持っております、法人も持っております。ただ、中期債の割引債ということになりますと、これは決算操作——いろいろな関係から金融機関か決算上からもそういうものを持つのになじまない商品なものでございますから、個人消化オンリーというふうに考えて見ていただいてもいいかと思います。したがって、個人消化については、もっとも個人消化に限定される。法人が買うことはほとんどないであろう。こういう前提でございます。
それから第三の点は、やはり貯蓄目標が明確でありまして、額面が一応明示されておりますから、何年後にはそれが、五万円なら五万円が確保できるということで投資が行われるということでございますから、貯蓄目標がはっきりしているという、これは個人に非常に買いやすいということでございます。
それから、いろんな長所短所もそれぞれにございますけれども、私どもはそういう利点を考えまして、いまの時点では個人消化のために中期の割引国債をとることが一番よいのではないかと判断したわけです。
したがいまして、先生がおっしゃったように、何かこう強引に押しつけたという印象は、私は、まあ取り方で、そういうふうには考えておりません。
一月ごろからずっともう相当長いこと期間をかけて検討をいたしまして、なおかつ現在骨子をシ団に検討を願っておるわけでございますから、その点につきましては、われわれとしては十分お互いに話し合いをして決めていく、またそうあるべきものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/20
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021・大塚喬
○大塚喬君 従来昭和四十年からわが国の国債発行は利付公債ということで、単一の種類のものがずっと続けて発行されてきたわけであります。欧米各国の国債を検討してみますというと、ずいぶん多様化の国債が発行されておる。で、わが国で国債の多様化を図る、こういうことになった場合に、やはり国民の十分な理解、協力を得るということが一つの要件だろうと思います。いま理財局長のお答えでは、わが国の各種の条件に合っておる、そういう意味の一番いい方法だと、こういうことであったわけでありますが、欧米各国の国債を調べてみますと、利付債、割引債という以外に、ずいぶんと貯蓄債という形のものが取り入れられておる、こういうふうに見るわけであります。で、アメリカでもやはり貯蓄国債、これが十分取り入れられておる、こういうことでございますが、貯蓄債導入という件について、いろいろ検討を加えたということでありますが、これらの問題について、その検討の結果どういう結論を得られて、このたびの割引債ということに落ちついたのか、その辺の経過についてもひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/21
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022・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 先生の御指摘のように、主要国の国債を見てまいりますと、かなり多様化されておりまして、市場性のある国債でも、アメリカでは十年もの、それから中期国債、それから短期国債、イギリスでも、十五年以上のもの、五年から十五年のもの、五年未満のもの、西ドイツ、フランス、いずれもそういう形で個人消化向けの国債ということは多様化されておるわけでございます。日本はとにかく国債発行以来一種だけでやってきたわけでございます。
そこで、いま御指摘の貯蓄国債でございますが、貯蓄国債の定義という点になりますと、私どもはやはり貯蓄目的であり、かつそれが課税の関係とかいろいろな利点をつけるということになりますと、貯蓄目的がはっきりしているということであれば、譲渡禁止にするとか、いろんなような条件がついてまいるのだと。私どもはそういうことのほかに、まず日本と外国の違いは、特に貯蓄国債に関して申しますならば、郵便貯金というものがあるわけでございます。これは一種の貯蓄国債的なものだというふうに観念をして見ますと、これは非常に日本の場合に国民の金融資産の中で大きなウエートを占めておりまして、もしそういった外国の貯蓄国債と、それから外国にも郵便貯金というのかある国とない国か——アメリカはございませんが、ほかの国はございますが、そういうものを合わせた場合に、国民所得の中で比較してみますと、郵便貯金と貯蓄国債というようなものを比較してみました場合には、日本が実は一番高いんでございます。したがって、郵便貯金よりも魅力のある貯蓄国債的なものを出すということになりますと、それは郵便貯金が減って国債がその方にシフトするということがまず一つ考えられる。それから、そうなりますと、いま郵便貯金は資金運用部に預託いたしておりまして、その中の一部で国債を引き受けておるわけでございますから、そちらの方の国債が減るという形になる。その面におきましては、新しい開拓という面においては、果たして郵便貯金よりもさらに魅力がある貯蓄国債を考えられるであろうかという点も検討してみたわけでございます。そういうことだけではもちろんございませんけれども、たとえば途中解約というようなことを認める——譲渡禁止にいたしますと途中解約というのを認めざるを得ませんが、そういたしますと、いま郵便貯金は途中解約がもちろんできまして、期間対応の金利がついておるので、それが非常にほかの金融機関の定期預金とは違った魅力を持っておるわけですが、そういう途中解約というふうなことを認めますと、国の財政としては非常に不安定である、要するにそれに買い応じていかざるを得ませんので、譲渡禁止にいたしておりますからどうしても買わざるを得ない。そういうことから考えますと、どうも日本の郵便貯金というものとの比較において、やややっぱり割引債に比べて劣る商品だというふうに私どもは考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/22
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023・大塚喬
○大塚喬君 先ほどの理財局長の答弁の中で、強行、ごり押しというようなそういうことはないとおっしゃったわけですが、それについてもう少し突っ込んでお尋ねをいたしたいと思います。
政府は、ことしの五月の十二日でしたか、「公債政策のあり方について」というものを国会に提出をされたわけであります。その中で、中期国債の発行につき、大蔵省としてはシ団、引き受けのシンジケート団の検討状況に留意しつつ、これについて真剣に検討をしようとしているところであると。この文章をそのまま読んでみますと、シンジケート団がイニシアチブをとって、中期国債の発行の推進をしようとしておると、こういう表現に受けとめられるわけであります。ところが、これは新聞報道のなすところでございますので、私もその真相については直接担当しておりませんものですからわかりませんが、どうも結果的には、政府が横車を押して押しつける、こういう印象が新聞の報道からは少なくとも強くにじみ出ておるところであります。そうでないとおっしゃるならば、中期割引債発行について政府が現在までシ団とどのような交渉をとられてきたのか、その経緯を明らかにしてもらいたい。そうでなければ、どうも私が言う、あるいは誤解かもしれませんが、政府が強行しようとしている、ともかく何が何でも押しつけてこれをやるんだと、こういうことの、誤解かもしれませんけれども印象をぬぐうことができません。この交渉の経緯についてひとつ局長から重ねて答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/23
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024・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 何よりも大蔵省が先生の御指摘のようなことでないということを申し上げる一番はっきりした問題は、大蔵大臣からの、大蔵省の中期割引国債の骨子というものを正式に示しましたのは十月の二日でございます。いま先ほど先生がおっしゃいました、五月の衆議院の大蔵委員会での、大蔵省の国債に対する見解という五月から見ますと、すでに、六カ月近い日にちがたっておるわけです。もちろんその前に民間でもいろいろ研究会を開き、われわれも勉強会を開き、そしていろいろと意見の交換をやっております。したがって、一度もそれまでの間に、正式に大蔵省の考え方というものを紙に書いたりあるいはまとめたものとして示したことはございません。あくまでも金融機関との間で十分慎重の審議をするということでまいったわけでございます。その間に、もちろんいろいろ議論いたしてまいりますと、私どもは先ほど申し上げましたような中期割引国債というものが、検討してくると大蔵省側としてはだんだん煮詰まってくる。何回か行きつ戻りつで結局そこに落ちつくというような話を向こうにいたしますと、それに対して反論はもちろんございましょうし、また金融機関の中、シ団の中でも、直接自分の方の金融商品とぶつかりそうなもの、あるいは影響を受けそうなものという分野においてはやはり反対ということを言う方がある。そういう方から見ると非常にもう意見の違いはもちろんそこにあるわけでございますから、それを時間をかけてほぐしていくという慎重な態度をとっておりながらも、途中においてはいろいろと新聞等にそういうものが出てくるということでございまして、現時点におきまして私どもが見ました場合、大蔵省がこのような長い時間をかけて民間の意見を聞きながら、そうしてなおかつ今日大蔵大臣から骨子を示されて検討をシ団に頼んでおるというようなものというのは、珍しいぐらいに気を使っているわけでございます。私どもから言いますれば、決して押しつけどころか、むしろ大変気長ではないかと言っておしかりを受けたようなときもあったわけでございまして、この辺の事情は、国が国債政策の一還として取り上げたものである以上は、これはやっぱり信念を持ってやらざるを得ませんけれども、それまでの経過はきわめて民主的に私どもはやっているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/24
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025・大塚喬
○大塚喬君 理財局長の答弁を聞きますと、今度は慎重に時間をかけてやったと、こういうことでありますが、そうしますと、反面、いままでは大蔵省はこれらの金融機関関係に対しては相当強引にやってきたんだ、今度はうんと時間をかけてこれだからまず相当丁寧にやったと、こうおっしゃるようにいま聞こえたわけであります。
この引受シンジケート団の構成でありますが、御承知のように都市銀行、地方銀行、それから長銀——長期信用銀行、あるいは信託銀行、証券会社、それらがこの構成員になっておるわけであります。で、いろいろ各新聞などの報道によれば、この中期割引債の発行についてそれぞれ利害が異なっておると。その主張もしたがって、その自分の権益を守る、利益を守るということで主張もずいぶん相反するものがあるように私どもは受けとめておるわけであります。ここで大蔵省がこのように相当強い姿勢でこの中期割引債の引き受けをシンジケート団に認めさせる、こういうことの問題は、今後やはり私どもとして重大な関心を払わざるを得ない、こういう問題がその陰にひそんでおるのではないか、こう考えるわけでございます。
そこで率直にひとつ理財局長にお尋ねをいたしますが、政府が現在把握をしておるこれらの各種金融機関、これらの利害関係は一体どういうものか、具体的に理財局長からここで明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/25
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026・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 先ほど、他に同種の品目がございませんということが割引国債の一つの利点であると私が申し上げましたのは、全くそれと同じものというものはないわけでございます。ただ、中期ということで——まあ中期をどういうふうにとるかということでございますが、五年か三年かということで、七年もございましょうけれども、五年ということでございますと、いま利付債の五年というものがございますし、それでございますと、それは興長銀の売っております金融債とまさにぶつかるわけでございます。それから、五年という期間の対応でいきますと、五年ものの信託が対象となるわけでございます。したがって、期間の方から見れば、同じ品目ではないけれども期間としては同じものがある。それで、ただその興長銀の方のむしろ主張は、大変自分たちの売っておる一年ものの金融債、これの割引債、これの売れ行きに影響があるのではないかというふうに考えておりまして、そこは、興長銀の場合には五年ものの利付債というものを売っておりますが、五年ものの割引債が、国の割引債が出ることによって、五年ものの利付債との競合というよりも、一年ものの割引債との競合、こういうふうな主張をいたしております。それからあと、一般の金融機関と申しますか、いわゆる普通銀行の方の意見は、これはむしろ金融債そのものが預金を獲得するというか、集めるという場合から見ますと、金融債の方により魅力があるように思われるので、その魅力のあると思われるものを、また国もやるということであれば、自分たちの預金が減っていくんではないかと、こういう懸念でございます。これは懸念でございます。要するに、都市銀行が同じような競合商品を売っているわけではございません。したがいまして、端的に申しまして、何が競合するのかということについては、私どもは別の反論を持っておりますけれども、たとえば割引債——一年ものの割引債を出しましたときに、新しく新設の銀行がそれを取り上げることは、既得権の侵害であるというふうにかつて言われたことがあるわけですが、窓口を広げたために、金融機関がふえて窓口が広がったために、金融債というものが非常に認識を深くして、国民から非常に買われるようになったというような、懸念とは逆の現象が出てきたりなんかしております。私どもは、やはり国がやる以上は、そういった競合的ないろんな関係はもちろん頭の中に入れなければなりませんけれども、
〔委員長退席、理事戸塚進也君着席〕
ただ、それがあるからといって、さっき申し上げましたような、諸外国の例でもございますような、国がもう一つぐらい国債を出そうとすれば、それはいまの状況では何かにぶつかる。何かにぶつかるものだからやめるんだと、こういうようなわけにはまいらないわけでございます。したがって、そのショックをなるべくやわらげながら、なおかつ意見を十分尊重しながら進んでいくと、こういう形にならざるを得ないということでございまして、いま御指摘の対応商品が、あるいは反対問題がどこにあるかということになりますと、いずれもおそれがあるとかというようなことでございまして、直撃を受ける同じ商品というものはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/26
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027・大塚喬
○大塚喬君 いまお聞きしたんですが、そうしますと、特段の反対の理由ということは各金融機関ともないと、こうお認めになるわけですか。たとえば、全銀の会長がもう絶対反対だと、こういうことを言っておった。その都市銀行、そういう関係では一体何でそんなに強く反対をしておったのか。いまの局長の話をお聞きしますと、そんなに強い反対、それはないようにお聞きしたわけですが、本当にそうとってよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/27
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028・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 私どもは十月の二日に公式に大蔵省の骨子を提示いたしましてから、シ団といまこれは、それこそ正式な話し合いに入っておるわけでございますので、その段階においては私は次第に理解が深まってきておる。そしてやはりかなり大蔵省の主張に対して、従来の意見に対してはやはり、大蔵省の方からだけと申しますとあれですが、相互理解が深まってきている、こういうふうに私どもは考えております。そういう反対という意見は一部にございましょうと思いますけれども、それを大蔵省が何かねじ伏せてやるというような形で、この問題が処理されるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/28
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029・大塚喬
○大塚喬君 いまの局長の答弁で、反対の理由というのは、その既得権に若干触れる、損なうものがあると、こういうことで、大蔵省としては話し合いを進めて相互理解を深めると、こういうことのようでございますが、私はそこに重大な疑問を残さざるを得ません。
で、いまの答弁にもありましたように、国債引受シンジケート団のそれぞれの反対の理由というのは、政府がいままで各種金融機関に対して与えてきたこれまでの既得権、これが侵害される。しかし、その内容というものは、前の税制改革の際等にも申し上げましたが、各種金融機関に対する既得権、これは他の一般国民から見れば、過剰なまでにこの既得権というのが大蔵省によって保護され助長されてきたものと、こういう受けとめ方をぬぐうことはできません。現在他の業界が不況に苦しんでいる、もう十数カ月連続して膨大な倒産が続いておる中小企業の現状、こういう中でひとり安定的な高収益にひたっておる各種金融機関、証券業界、——この財政危機の中で国の政策の一翼を担う——当然なことであろうと思うわけてありますが、このことは単に私一人だけの考えではなくて、国民全体のそういう考え方であろうと思います。で、私は、ここで指摘したいのは、その話し合いを進めて理解を深めると、こういうことですが、それは局長の言うようにそう単純なもので、これらの全銀なり、あるいは長銀なり信託銀行なり証券界なり、こういうものが、簡単に、わかりました、はい結構でございますということで話し合いが、それだけの話で私はつくものではなくて、もっと複雑な裏があるものと私はどうしても考えざるを得ないものでございます。
で、この十月二日に大蔵大臣は、中村三菱銀行頭取、それから池浦興銀頭取、それから森田信託銀行協会長に電話をされたという報道がなされておりますが、これは事実でございますか。この中期国債発行について金融機関、シンジケート団の協力要請ということで電話をされたという報道がなされておりますが、これは事実でございますか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/29
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030・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/30
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031・大塚喬
○大塚喬君 私が指摘したいことは、少なくともいままでの各種報道によれば、このシンジケート団の反対は強力なものであった。ところが、最近、これらが条件闘争に切りかえられたという、そういう報道があるわけであります。で、国民の目の届かないところで、大蔵省とこれら金融機関の間で、この中期割引債発行に伴う、それによって生ずる損益、損なわれる既得権、これより大きな新しい何物かを得ようとするそういう腹があり、そうして大蔵省の方はそれを交換条件にして、あめをなめらせて、そうしてこれらのシンジケート田に対する引き受けを認めさせよう、納得させよう、こういう魂胆ではございませんか。政府がこの中期割引債発行についてシンジケート団の反対を押し切って実行しようという、その考え方で、各種機関に対してその反対給付として大蔵省は何をあめに出してそれらの納得をさせようとするのか、ひとつ私は具体的にお尋ねをいたしたい。
一つは、都市銀行、地銀、これらの反対の理由からして、一体この話し合いの中で、いろいろ大蔵大臣の電話の後で全銀の会長が新聞記者に述べておることがあります。それらは明らかに私の推察が邪推なものでなくて、全銀の方は十分な見返りをもらって、あめをもらって、大蔵省はそれを与えてこれを納得させよう、こういうことのあれが明らかに出されておるわけであります。長期信用銀行、それから信託銀行、証券業界、これらについて、ひとつそれらの問題について、いままでの話し合いの経過の中から、それらの考えておる内容を明細にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/31
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032・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 私どもはきわめて真剣にこの問題を——この問題と申しますのは、中期割引国債に取り組んでまいりまして、今日までかなり精力的にやってきたわけでございますが、いま大塚先生の御指摘のような、いやしくも大蔵省が何か代償でも考えているというようなことであれば、われわれはこういう仕事はできないわけでございます。われわれはもっと真剣にこの問題をやっておるつもりでございます。いささかも、したがいまして相手方に反対給付を与えてそこで納得してもらおう、そういうような考え方は毛頭持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/32
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033・大塚喬
○大塚喬君 そうしますと、大蔵大臣が電話をされた後で、全銀の会長が金融機関はかねてから主張していた税の不公正是正、郵便貯金と銀行預金の不均衡問題の解消など六項目について前向きで検討を約束したことで、そのシンジケート団で検討を始めると、こういう条件つきで全銀会長は、新聞記者に発表しておるわけであります。そういう事実は全く局長ないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/33
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034・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 私は、かねてからそういう金融機関の中に、たとえば預金、郵便貯金の問題でございますと、預金の伸びが普通の銀行の伸びに比べて郵便貯金の伸びが圧倒的に高いというような問題から、郵便貯金の制度そのものに対して疑念を持っている。そういうような問題点の意識というのはいずれもあるわけでございます。そういうような問題を中期国債で国が出そうと決意した段階においてかねてから自分たちの疑問なり意見なりというものを大臣と話されるときに私どもにも苦しい点がある。そういう問題はこれとひっかけた問題でないけれども、そういう点については、いわば個人の金融資産の問題として議論する場合には、当然に議論されるべき問題はありますというようなことを話題としておっしゃったという点において私どもは承知いたしております。したがいまして、それがたとえば、何か具体的に反対給付のような形でなければ、この問題が一歩も進めませんというような性質のものではもともとないわけでございます。前からある問題を指摘された、こういうことで、それはお話の中にたまたま出てきたのであろうというふうに私どもは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/34
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035・大塚喬
○大塚喬君 局長、そういうきれいごとだけ言ってここを逃れようとしたってだめだ。
大蔵大臣、お尋ねします。大蔵大臣は、二日に電話をされたときに六項目について前向きに検討をするという、こういう約束をはっきりなさったわけですか。その点をひとつ大蔵大臣からお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/35
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036・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 最初にお断りしておきますけれども、こういう問題を取り扱うにつきまして大蔵省あるいは銀行協会、信託協会等の首脳が反対給付ということで問題をリードしておるというような印象を与えるような御質問でございますけれども、
〔理事戸塚進也君退席、理事中西一郎君着席〕
これは大変私ども迷惑でございまして、私どもの名誉にかかわることでございますので、その点はいま岩瀬君からもお話し申し上げましたように、こういう問題私ども真剣に取り上げておりますこと、ひとつ御理解を賜っておきたいと思います。
それから、第二点でございますが、この中期債問題の検討の過程におきましていろいろな問題が出てまいっておりましたことは、大塚さんも御承知のとおりでございまして、
〔理事中西一郎君退席、委員長着席〕
いまたまたまお話がございました税制問題、利子・配当課税の公正の問題あるいは郵便貯金制度と銀行制度とを比較いたしまして、果たしてそれが公正が貫かれておるかどうかという問題は常々議論があった問題でございまして、前者は租税政策の問題でございまして、シ団が云々すべき問題でもないわけでございまして、立法問題でございます。行政府といたしましては税制調査会にお諮りして成案を得れば国会の御審議を経て、立法をお願いするという手順を踏んでまいるわけでございます。したがって、税の問題につきましては、いろんな問題点が御指摘、議論されておりますけれども、そういった問題はいま税制全般にわたって税制調査会で御審議を願っておりますから、そういうところの御審議をお願いいたしますということを私はお約束をいたしました。これは当然なことだと思うのであります。
郵便貯金制度の問題、郵便制度の問題というふうな問題は、古くして新しい問題でございまして、こういう問題は相互にいろいろ十分まだ理解が行き届いていない問題もございますけれども、金融政策の問題といたしましても、今後十分検討していかなきゃならぬ問題でございまして、直ちに中期債問題があったから、それの一つの条件としてこれはこうするのであるなどというような簡単な問題でないことは、あなたも御承知のとおりでございますが、この問題の検討の過程で出てきた問題でございますから、そういう問題につきましては、引き続き政府もこの問題の検討を怠らずにやってまいりますということは、当然の道行きであろうと思うのでございます。つまり、いままでの検討の過程で問題になりました金融政策上の問題等につきましてただいまの時点で政府の姿勢というものは一応首脳にお伝えいたしたわけでございます。これは行政当局として私は当然の責任であろうと思うのでございます。そういうことをもって反対給付のやりとりであるなどということはひとつ御勘弁いただきたいものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/36
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037・大塚喬
○大塚喬君 また大蔵大臣から御勘弁願いたいということですが、じゃ具体的にひとつ、一つ一つお尋ねをいたします。
私が申し上げることは、一般の業界が不況で苦しんでおるのに、金融機関というのは国の手厚い保護を受けておる。過当なまでの保護を受けておる。こういう機関が、この中期割引債引き受けということに関連をして、それ以上の手厚い恩典を受けるということは国民が納得できない。こういう立場からお尋ねをするわけでありますが、初め都銀と地銀についてお尋ねをいたします。
都銀、地銀の強い要望として、一つは、郵便貯金との兼ね合い、郵便貯金の複利預金の創設。複利預金の問題、これを都銀、地銀が創設を強く多年望んできたということは私は聞いておるわけであります。これらの問題。
それから、都銀、地銀が外債の発行、それから店舗行政の緩和、利子課税への配慮。先ほどの答弁だというと、これらの問題は一切取引材料にしないと、今後いままでの恩典の上にこういうことについて大蔵省はこれを引き受けるという、いわゆる都銀、地銀に対してこういう恩典をあるいは条件を緩和する、こういうようなことは一切持ち出して取引材料にしないと、こういう確約がいただけますか、ここで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/37
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038・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) いま先生おっしゃいました最後、利子課税の問題でございますか。利子課税何とおっしゃいましたか、恐縮でございますが、利子課税への最後、ちょっと聞き取れなかったんでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/38
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039・大塚喬
○大塚喬君 そういうことを今後銀行側の要望に従って配慮をするかしないかと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/39
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040・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) はい、わかりました。
銀行局長おりませんので、銀行の関係につきまして私つまびらかじゃございませんけれども……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/40
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041・大塚喬
○大塚喬君 その担当の局長からひとつ答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/41
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042・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 私がこの問題担当いたしておるわけでございます、割引国債の。その中で外債問題だとか店舗問題だとか、そういうものを私は一切頭に入っておりませんで、いろいろと交渉してまいりましたことだけでも、そういう問題は取引条件というので登場するわけがないと私は考えておりますが、ただ私も昔銀行局におりましたので、ちょっと感じで申し上げますと、たとえば複利預金というような問題は、そう簡単にできるものでないだろうと思います。銀行側に経費が非常にこれかさむ話でございます。郵便貯金であるからできるものであろう。したがって、やろうとすれば恐らく相当コストがかかって大変な問題であろうと思いますので、私どもいまそこに、そういう問題を金融機関が中期割引国債の問題の反対給付として取り出してくるとは毛頭考えられません。また、そういう反対給付をわれわれが聞くような態度、あるいは向こうからもそういうものを反対給付にしようなどという、出そうというような態度も全くございませんから、先生ちょっとその辺は余り前提をそこにお置き過ぎになっていらっしゃるんではないか。ただ、それぞれの金融機関にいろんな積年の問題はございます。自分たちの仕事の中で新しく何かこういうことをやりたいとかなんとかいう問題は、これはいかなる店においても、いかなる業種においても私はあるだろうと思うんです。それがあるからと言って、そこの相手と話をすれば、それはその問題は必ず何かこう反対給付の対象だというふうに考えられるのは、私はちょっとこの問題に関する限り、大臣がいまおっしゃいましたように、大臣、勘弁してくれとおっしゃったのは、そういう意味だろうと思います。要するに、私どもそういうことを考えたくない、考えるべきでないと考えておる問題を、何かこういかにも効果があるように、大塚先生がおっしゃることについては、私ども実は大変心外と申しては失礼でございますけれども、まさに心外なんでございます。
それから税制の問題は、これはいずれ新しい税制全体の検討の中で考えられるべき問題だというふうに私ども承知いたしておりますが、金融機関の側にどういう意見がありましても、それは私どもとしては、税制調査会なり主税局の考え方なりというものにゆだねる形で、私ども専門家でもございませんので、そういう話は向こうで税の不公平問題というのを持ち出してはおります。それは新聞に出ているような問題も含めてでございますけれども、税制全体として考えるべきことであって、局部的な議論の問題ではないというふうに、もう先方もそういうふうに承知していると私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/42
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043・大塚喬
○大塚喬君 この銀行関係の問題は、銀行局長からひとつ重ねて答弁をいただきたい。
それで、私が重ねて申し上げたいことは、他の金融機関側は、この都銀、地銀、そういう関係では、何か一つの条件でも満たされれば、この際条件闘争に切りかえてこれをのむだろうと、こういうようなことが言われておるわけであります。で、いま理財局長の答弁から言うと、この利子課税への配慮の問題、これは単独でやるか、税制全般の改革の中で取り上げるか、まあどちらにしても、こういう問題について銀行側の要望を受け入れるかどうか。で、私は大蔵大臣の電話の中でも、まあはっきりしたことをいまの時期でおっしゃれるはずはないということはわかりますが、そういうことについて検討を加えるという六項目の中身は、向こうの受けとめる側の方は、そういう理解を示しておるのと違いますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/43
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044・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 重ねての御質問でございますので、ちょっと先方の言い分——これは大蔵大臣とのお電話の中にあった話ではございません。もっと前から言っております問題は、割引債には、償還差益に対しまして根っこから一二%の税金が源泉で取られます。自分たちの預金については分離課税で三〇%の税金が取られます。したがって、割引債と預金の税金とを比べると、その一二%と三〇%の開きがあるので、国も割引債を出されると、恐らくそういう税制に変わるだろうから、そこに不公平があると、こういう御指摘があるわけです。私どもから見ればそれは、私は税の専門家じゃございませんからあれですが、きわめて局部的なお話でございまして、銀行預金につきましては三百万円のマル優という非課税制度がございます。それに準拠する限りにおいては、三百万円までは税金はゼロのはずでございます。そのゼロのところと一二%とを——一二%は、これは一万円買いましても一二%取られるわけですから、そこではゼロと一二%という問題があります。それからさらに総合課税されますれば一五%でございますから、いきなり高額の所得者だけが分離課税で受けておる課税の三〇%と比較すること自身がおかしい問題だというふうなことを、まあ私どもは考えておりますが、これはそういう、先ほども申し上げましたように、そこにある税金の問題、税制の中の一部だけを議論していることに問題があるのはおかしいのではないかといういむしろ税制全体の中で見直すものは見直す、いまのままでいいものはいまのままでいいということであるべきだというふうに考え、かつ先方がいままで主張してまいりましたそういう一二%と三〇%の比較は、片っ方は償還差益で税金が先に取られる話であり、片っ方は利子課税であって税の対象としても違うし、比較されるべきものがいかにもちょっと子供だまし的な、言い過ぎかもしれませんけれども、そういう議論をされるものですから、私どもはこれは税の専門家に任せておくべき問題であって、中期国債、割引国債の問題の中での争点ということではない。先方もその辺はだんだんわかってまいっておりまして、そのためにまたそれを引っ込めたらどうのこうのというような問題も実際ある話ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/44
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045・大塚喬
○大塚喬君 どっちでやるにしてもこれ以上の恩典が与えられるのかどうか、そこらのところが問題であろうと思います。で、長銀では三年ものの割引債の創設、これを認可してもらいたい、それから債券の発行限度額を引き上げてもらいたい、店舗行政の緩和をしてもらいたい、利子課税の配慮をしてもらいたい。信託銀行では店舗の増設を認めてもらいたい、利子課税の配慮を求めたい。それから、証券業界では配当税制の再検討、考慮を求めたい。こういうことがかねてからの要望のようであります。で、重ねてお尋ねするわけですが、今度の場合には、これらの問題はどれ一つをとっても取引の材料にはしないと、こういう確約、確言、はっきりした御回答をいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/45
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046・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) はっきりとお約束いたします。私のいまのお約束と申し上げましたのは、反対給付的なもので一切考えを、この問題と何か引っかけた考え方は一切ございませんということを申し上げているのでございまして、この点は先生のおっしゃったこと全部を何か私が、後日、たとえば店舗の増設なんというのは毎年銀行行政では私は必要なものは認めているんであろうと思います。そういうものはこれは当然の銀行行政の中の一つでございますけれども、それが仮に私の発言によってストップするというようなことでは大変なことでございますから、そういうことを心配して私は訂正さしていただきますが、いささかもそういう反対給付というようなことを考えてこの仕事をやっておりませんということをお約束しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/46
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047・大塚喬
○大塚喬君 次に、この割引債の発行によって引き受ける層がどういうところかという問題が一つあるわけであります。政府が個人消費の促進策としてこのたび割引債方式を実施に踏み切ったわけでありますが、それには相当大蔵省の強い意思がうかがわれるわけであります。現行の利子課税それから割引債の償還差益、これらに対する課税の方式、この方式を根本的に洗い直さない限り、中期割引国債を購入する大部分の階層は高所得層、高資産階層のものだけに限られると、私はこういう見方をするわけであります。このことは、税制の不公正是正が現在のコンセンサスとなっておるときに、利子課税のあり方が問題になっておるわけであります。で、新たな税の不公正を、その種をこの中期割引債発行実現と、こういうことによってより大きくなるばかりではなくて、財産の隠匿、国がこれを助長するようなそういう結果になるのではないか。余りにも国が個人消費促進を助長すると、そういうためにこの割引債を発行するということの弊害が当然反対給付というか、そういう形でくっついてくる、このことを私は心配するわけであります。
このように個人消費のあり方については、国会の論議、それぞれの皆さん方の御意見を衆知を集めていただいて、国民の理解を得て行うべきではないか、私どもの意見も当然その中に参考、参照にされてしかるべきじゃないかと、こう考えるわけでありますが、こういう観点からいまのようなこういう心配にどう対処をされるお考えか。さっき話が出ました貯蓄国債、こういうことに切りかえる、こういうお考え、そういう検討は必要ないのかどうか、そこのところをひとつ重ねてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/47
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048・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 個人消化の必要性ということは、もう先生もよく認めていらっしゃっていただいておるわけでございますから、私どもはいま中期割引国債を取り上げるに当たりまして、これが現在においては一つの最適な商品だというふうに取り上げているわけですけれども、さらに将来にわたって個人消化の促進のためにいろんな工夫や考え方といいますか、そういうものか必要であり、それからなぜ私どもがこういう新しい商品を出して国債を売っていこうかという基本的な問題は、やはり長く大きく見ますれば、日本の公社債市場というものがもっともっと育っていく、これは目的ではなくて結果でございますけれども、そういうようなことでないと、やはり財政の中に占める国債の役割りと申しますか、国債というものをこれはもう否定するわけにいきませんし、かなり長期にわたってやっぱり国債を国民の生活の中に定着させていかなければいかぬ、そのためのいろんな工夫の中の一還として出てきたものでございますから、割引債だからこれは金持ちの対象だと、私どもはそういうふうに考えてはおりません。むしろそれはたとえば、いままだ具体的には進んでおりませんけれども、割引国債の売り方の問題等をやっぱりある程度工夫する必要もあるのではないかというふうに考えておりますが、やはり国民大衆が割引国債を持ってもらう、それによって国債になじんでもらう、そういうことによって個人が、かつての証券市場から個人株主が離反していったのと逆に、そういう方向に走らないように、資本市場の中に、証券市場の中に個人がどんどん参加してもらう、そういうことによって市場ができてくれば、国債がもっともっと外国のようにちゃんとした商品として定着していけるんだと、この足がかりを私どもはつくっていきたいと考えておるわけでございますから、いろんな工夫はいまからも必要であり、これで終わりだと思っておりませんし、もしそこに御指摘のような弊害があれば、それを直していく必要があると思います。ただ、いま現在は、私どもは中期割引国債が最適だと考えて進んでおるわけでございますけれども、その売り方の問題等につきましては一工夫も二工夫もこれからしなければいかぬ、この辺はシ団との話の中にも当然に登場してくる問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/48
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049・大塚喬
○大塚喬君 これは十月三日の朝日新聞の社説の中にも「釈然としない割引国債の発行」という項で社説が出ております。いまの答弁を聞いて、ずいぶん安直にお考えになっておるなという感じをするわけであります。現行の制度の中で非課税となっておるもの、これは少額貯蓄の非課税、これはマル優制度、これで三百万円。それから郵便貯金、預け入れ限度額が三百万ということで、これも非課税。それから別枠国債の非課税、これが一人三百万円。それから勤労者財産形成貯蓄、これか五百万。そうすると、前の三つは、たとえば四人家族で、標準家族ということで考えてみれば、九百万の四、九、三十六、それから財形貯蓄が五百万ということで、お金を持っている方は四千百万円までは非課税という、そういう取り扱いになるわけですね。いまちょっとはしょって申し上げましたかおわかりいただいたでしょうか。——四人家族ということで、三百万、三百万、三百万これでいきますと三千六百万、それに御主人の財形貯蓄五百万ということになると、お金持ちの一般家庭、標準家庭では四千百万円まで非課税と、こういうことになっておるわけであります。
で、この割引債の償還差益に対する税率は一二%、これは分離課税方式でありますが、他の利子所得の分離課税の税率は三〇%になっておるわけであります。割引債の差益はマル優の対象にはならない、こういうことでありますが、中期割引債を購入するのは、すでにマル優等のさきに申し上げたような標準家庭で四千百万円というこの枠を、非課税の枠を使い切った人たちが、実際にはこれに飛びついてこれらの購入の対象になるのではないか。そうなりますと、三〇%の税率よりも一二%の低い税率を求めるということに当然なるわけであります。
ですから、これらの購入の対象として考えられる者は相当の資産家である、高資産家である。いままでのマル優、いや別枠国債の非課税三百万と、こういう対象の、その一格上のもっと余裕ある者がこの中に入ってくるのではないか、こういうことが一つ私が申し上げた根拠であります。
もう一つは、この割引債が無記名であるということ、これがきわめて重要な問題であろうと思います。預金の利子所得の総合課税化を進めなければならない、こういうときに、国が無記名の金融資産の名柄を新たに創設をしよう、これは一体どういう意図でそういうことをなさるお考えなのか。これではやっぱり国が高所得者の、高資産家の財産隠匿に協力する道を開いてやる、こういうことになるのではないですかと、こういうことでお尋ねをしておるんですが、この点について先ほどの理財局長の答弁では納得がいきません。重ねてひとつこれらの問題を、わかるように、全国民がひとつ納得できるような、そういう御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/49
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050・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) どうもこれはまあ、私もこれは、実は朝日新聞の社説というのは当日拝見いたしましたが、その後新聞を見ておりますと、いろいろ、私どもの割引国債方式を大いに進めるべきだという御意見もある新聞もございまして、私は、それはさておきまして、実は割引方式というものは、これはいまの一年もの金融債にもあるわけでございます。これもやっぱり無記名でございます。
したがって、国が新しい制度を導入するということではなくて、割引制度というものは、金融債制度というものは、すでにもうちまたにたくさん出ておるわけでございます。それは私は、日本のこれはちょっとやや強弁的な言辞になるかもしれませんけれども、個人の金融資産というものの多様化というものは、それはやっぱり国民のニーズに合っていろいろなものが出てきてしかるべきである、高額所得者だけが割引金融債を買うんだというふうに、必ずしもそれだけでは限定できない問題ではなかろうかと思いますが、私は、そういうものを国が取り上げるというのは、先ほども申し上げましたように、個人消化の一環として取り上げたものでございますから、さらに進んで多様化を図っていく上においてもっと適当なものが考えられれば、それは今度それを中心に進んでいくというようなことでいいんではなかろうか。一二%と三〇%の税率の比較だけで、それが無記名であるから、これは高額所得者だけを優遇するのだというふうに限定してしまわれる必要は私はないのじゃないか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/50
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051・大塚喬
○大塚喬君 どうも局長の答弁は、私どもに十分な説得力等を与えないという、そういう感じがするわけであります。で、朝日の十月三日の社説によっても、「財産運用の方法として割引国債に魅力を感ずる「個人」とは一般大衆ではなくて、富裕階層であることはおのずから明らかである」、実際にこういう人たちが買うものだと、私もそう思います。そういうことで国債の多様化を図るという、その名分を立てるために、そのほかの大きなそういうマイナス、弊害というものを起こして、それでもやるのかどうかということについては、私は依然として釈然といたしません。現実にこれらの買う階層は一体どういう階層なのか、それから財産隠匿ということに連ならないのかどうか、そこをはっきりもう一度お聞かせをいただきたい、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/51
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052・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) この問題を検討いたしますときに、金融債の割引債についてどういう階層かというのは、興長銀に聞いてみたのでございますけれども、これはもちろん統計もございませんので、またお客さんにそういう所得層あるいはその分析をやるということは不可能なことでございます。ただ割引金融債の利点というのは、先ほど申し上げましたように、貯蓄手段として非常に簡単だということで、税金の問題を一応横にちょっといたしますと、一年なり五年なりたったら何万円という、たとえば子供の入学資金とか、あるいは結婚資金だとかというのに貯蓄目標として立てやすいということで、わりに三十万とか、四十万とか、五十万とかというような、それ以下の金額の消化というのはかなりあるという説明を受けております。
それからいまここに期日の社説に書いてあります問題は、これはいますでに何兆か出しております割引金融債そのものが現に無記名であるわけでございますから、そういう問題と、これを国がそれを発行するからけしからぬのだということにすぐ結びつけていただくのはいかがなものであろうというふうに私ども思います。むしろこれはいま個人消化のためにいろいろと工夫をしなければならない段階でございますので、今後さらに研究を続けていきながら、新しい国債の出し方ももちろん検討していかなきゃいかぬ。いまは私どもは、デメリット、メリット、いろいろバランスをとりながら検討した結果の結論でございまして、ただそれが金持ち優遇だというような観点からだけとらえていただくのは、私どもとしては大変残念であるという感じがいたすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/52
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053・大塚喬
○大塚喬君 まあずいぶんお人のいい、そういう受けとめ方をされておるというふうに感じますが、実際は私はそういうものではなくて、私が指摘したような、そういう結果が出ることはこれはもう明らかだと、私はそういう心配を強くするものでございます。
で、次に質問を進めますが、いわゆるこの市場づくりの問題、まあここにも大分論があるようでございます。現在、それぞれの機関から電力債、貸付信託、利付金融債、割引国債、まあそれぞれ出されておるわけでありますが、これらの各種債券とこの割引債券、今度割引債券が出されるわけでありますが、この市場づくりということに関連をして税引き前の応募者利回り、それから税引き後の利回り、こういうものをひとつ具体的にどうなっておるのかお聞かせをいただきたい。
それからもう一つ、委員長にお願いしたいことは、この中期国債の大蔵省案、これはシンジケート団に二日に提示をされた、こういうことでございますが、本委員会としても、この大蔵省案の資料を早急にひとつこの委員会資料として提出を、いただくよう、委員長にお計らいをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/53
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054・岩動道行
○委員長(岩動道行君) ただいま大塚委員から御要求がありました、中期割引国債構想についての大蔵省のシ団に提示された資料については、大蔵省から速やかに本委員会に提出されるよう求めておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/54
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055・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) できるだけ早く提出いたします。
それから、いま先生の御指摘の発行条件でございますが、これはまあいま骨子を相手方に示したところでございますので、まだ利回りとかそういうような問題に直接入っておりません。したがいまして、もう少し時間がかかることであろうと思います。ただ、いま現行の対応する商品がございませんが、金融債ということでの割引債でございますと、この時点が極端に古くて恐縮でございますが、一年ものの割引債が応募者利回りが五十年十一月実施された、実施日が、七・三八八でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/55
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056・大塚喬
○大塚喬君 何がですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/56
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057・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 割引金融債の応募者利回りでございます。
失礼いたしました。税引き後の応募者利回りを申し上げますと、割引金融債が六・四五〇、これは先ほど申しました応募者利回りが七・三八八に対して六・四五〇でございます。それから事業債のB格、これは六・四五二、税引き後の応募者利回り。A格債でございますと六・二四一、それから国債は五・七九七でございます。十年ものの国債でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/57
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058・大塚喬
○大塚喬君 いまの問題は、ひとつまた重ねて質問を次回に譲って続けさせていただくことにして、次に、九月末の新聞報道によれば、税調が法人税見直し、こういうことを決定をしたという報道がなされております。で、法人税についてはまだ増税の余地がある、これを来年度と長期、別途に分けて検討を加える、こういう報道がなされておったわけであります。このことは、従来私どもが主張しておったことが遅きに失したと、こういうことを感ずると一緒に、やはり税調もそういうことを認めたのかと、こういう感じを持つわけでございます。で、このときに、その論議の中で、東京都知事の諮問機関である新財源構想研究会、ここで指摘した問題を、この法人税の優遇税制、こういう主張を退けたという記事がなされておるところでございます。この都の新財源構想研究会というところの報告を私も目を通したわけでありますが、一応私もこういうことをさもありなんと、こういう感じを私は受けたわけであります。その主張は、まず、企業優遇税制を解消すれば、現在の財政危機は存在しないと、こういう内容のようでございます。
〔委員長退席、理事中西一郎君着席〕
で、これに関連をして若干質問をいたしますが、この大蔵省の特別措置による減税、これは五十年度五千六百億円、これを減税の見込みだと、それから五十一年度四千九百二十億円、これを減税の見込みだと、こういうことでございますが、大蔵省がこの都の優遇税制を退けたと、こういうことの強い反論の内容ですね、私は、そういうことを大蔵省側の方が退けるならば、この特例措置による減税見込み、これをいつでも予算審議の際には公表されるけれども、その実績についてはいままで依然としてこれらの発表がございません。なぜ一体この実績を公表しないのか、その実績を明らかにしない限り、大蔵省の反論というのはやっぱり国民の理解を得ることには十分でないと、そう考えるところでございます。大蔵省の特別措置の減税見込み、一体実績はそれぞれの税の項目でどのようになっておるのか、ひとつこれは主税局長にお答えいただくのが適当だと思うわけですが、ひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/58
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059・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 実績につきましては、衆議院の大蔵委員会での御要望がございまして、四十六年度以降、私どもの計算をお出ししてございます。四十九年度までの計算がお出ししてございます。
それから、ただいまの御質問の中で、東京都新財源構想研究会の報告について、大蔵省が反論を加えたというふうにおっしゃいましたが、事実関係について申し上げておきたいと思いますけれども、私どもは法人税の御議論を願いましたのは九月二十八日、これは法人税の第一回でございます。そのときに新財源構想研究会のお出しになっておる資料を提出いたしました。税制調査会に出したわけでございます。私どもの気持ちといたしましては、まさしくおっしゃいましたように、大企業から二兆八千億増税すれば、赤字国債も要らないし、ほかの増税なんか議論する必要ないじゃないかという御主張なんですから、それでは税調でごらんおきいただきたいということでお出ししたわけです。その場で委員の方々からいろいろ御意見が出たわけでございます。その御意見を集約いたしますと、東京都の計算を中身を見ると、引当金を全部優遇税制にしておると。これはおかしくないかと。受け取り配当が益金不算入になっているのは、これは優遇税制だというのはおかしくないか。特別償却は実施額だけ載っておるけれども、それは毎年の計算をするときには、前年までの特別償却によって取り戻し効果が出てきて当年度の課税利益はふえているんだから、そういうものを差し引くべきではないかと。また欠落軽減税額というのは一体何だというようないろいろ御指摘がございました。そのまま私どもが、税制調査会が終わりますときには、財研と申します私どもの中の記者クラブに発表いたしました、そういう反論が非常に多かったと。事実そのままを伝えたわけでございます。報道は大蔵省が反論をしたと、こういうふうになっておりますが、事実関係はいま私が申し上げたようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/59
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060・大塚喬
○大塚喬君 いまの主税局長の答弁で、このときの出席者、税調の委員の方の出席者の中で、東京都の新財源構想研究会に名を連ねる委員の——ダブって名を連ねておる方の出席はなかったと、こういうふうに聞いておるわけですが、そうだとすると、その反論というのがどうしても私はやっぱり一方的なものに偏る。こういう結果がこのようなことになっておるのではないか。いろいろその算式にはそれぞれの方法があって、そこらのところがこのような四千九百二十億円というのと、租税特別措置による減税額が二兆六千億円という東京都のこの試算の数字というものが違いが出たと、こうおっしゃりたいわけだと思うんですが、それにしても少しこれらの問題の幅が大き過ぎる。そうだとすれば、それらの試算というものの内容はどういう算式の違いで、東京都のものが二兆六千億円の減税になっておるんだと。それから大蔵省の方がなぜ四千九百二十億円というきわめて少額な減税になっておるんだと。その根拠まで明らかにしていただかないと、国民は納得することが手段的に不可能であるわけです。そこらの問題をひとつ本日すぐここで資料を出せと言ってもむずかしいと思うわけですが、重ねて委員長にお尋ねをいたします。
委員長、よろしいですか——一つは、四十九年度までの租税特別措置による減税の実績、各税の費目ごとにひとつこれは至急に出していただきたい。
もう一つは、その大蔵省の四千九百二十億円というその減税見込み額、それから東京都のいわゆる二兆六千億円という減税の算出した根拠、その二つをひとつ早急に本委員会に資料として提出をされるよう、委員長でお計らいをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/60
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061・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 先ほど衆議院大蔵委員会にお出ししておりますと申し上げましたものは、法人税関係で、法人企業統計その他からわかり得るものによりまして作成したものでございます。その他の税目につきましては努力はいたしてみますけれども、実績というものが果たして税務統計その他からうまく出るかどうか、若干いまのところ自信はございません、その他の税目につきましては。
それから東京都の資料というのは、私どもがお出しするのが適当であるのかどうか、それはなお委員会としての御判断をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/61
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062・大塚喬
○大塚喬君 資料提出について重ねて発言をいたします。
先のその資料は本日の午後の会議には資料提出が可能でございますね。
それから後の分は、これは東京都から出してもらうのか、あるいは大蔵省から出してもらうのか、その二つあると思うわけですが、ともかく早急に、この財特法の審議を進めると、こういう段階でございますので、労を多とするところでございますが、ひとつそれらの詳細な資料を大蔵省の方でコピーでも何でもしてひとつ本委員会の審議に間に合うように、その資料の提出をお計らいいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/62
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063・中西一郎
○理事(中西一郎君) 委員長の方から申し上げますが、先の分は午後とおっしゃいましたが、先の分というのは東京都の財源……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/63
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064・大塚喬
○大塚喬君 四十九年度までの国の租税特別による実績、減税実績。それは大蔵省の方で衆議院の方へ出したというんですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/64
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065・中西一郎
○理事(中西一郎君) その分は出せますね、午後。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/65
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066・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 衆議院にお配りしましたときに当委員会にも来ておるんだと思うんでございますが、しかし御要求がございますれば発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/66
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067・中西一郎
○理事(中西一郎君) 改めて午後お出しいただきたいと思います。
そして後の分というのは東京都の方と連絡をしなければなりませんが、事務的に折衝していただいて、手に入った限りのものは追って出していただきたいと思います。
なお、わが大蔵委員会の委員部としてもあわせて東京都の方へ連絡をして、できる限りの協力をしてみようと思います。大塚委員それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/67
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068・大塚喬
○大塚喬君 この審議に間に合うかどうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/68
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069・中西一郎
○理事(中西一郎君) それは相手のあることですし、一生懸命やりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/69
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070・大塚喬
○大塚喬君 急いで出してもらわないと、この委員会での審議、ある程度日数が限定されておるもんですから、そこらのところが心配なんですが発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/70
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071・中西一郎
○理事(中西一郎君) できるだけやってみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/71
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072・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) それから先ほどの大塚委員の御質問の際に、東京都新財源構想研究会のメンバーが当日いなかったそうではないかという点がございました。私どもが現在専門委員でお願いしております中に、新財源構想研究会のメンバーの方が入っておられます。法人税の議論をいたしますときに御出席をお願いしたんでございますが、ある委員はたまたま国外出張中でございまして御出席がない。それからもう一人の委員は、メンバーではございませんが、非常にあちこちでこの二兆何千億という数字を引用していろいろ論陣を張っておられる委員がいらっしゃいます。この委員にもこういう問題が出てきますので、ぜひ御出席をいただきたいというお願いをしたいんでございますが、どうしても所用があって出られないという御返事で、残念ながらその日にはいらっしゃいませんでした。しかし、法人税の議論は一遍で済むわけではございませんから、今後またそういう委員の御出席のときに改めてこの問題の御議論が出る機会は十分あろうかと思いますので、念のために申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/72
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073・大塚喬
○大塚喬君 次に、大蔵省が五十一年五月十二日に出された「公債政策のあり方について」、これについて突っ込んでお尋ねをいたしたいと思います。
この公債政策のあり方について1、「公債政策の基本について」2——ずっとこうあるわけてありますが、初めにこの公債政策のあり方についてですが、歳出の合理化、重点化を図り、税収確保の方策について検討すると、こう述べてあるわけでありますが、もう期日も大分過ぎております。その具体策をひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/73
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074・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 本年、前の国会が終わりました後で、財政制度審議会の方で財政の状況を説明せいという御要請がございまして、七月の上旬懇談会というのをやりまして、財政状況を御説明しましたところ、新聞などにも報ぜられておりますとおり、大蔵大臣に対しまして七月の二十八日に建議がございました。その建議の中身は省略いたしますが、その中にこういう御指摘があったわけでございますが、「五十二年度予算編成の第一歩たる概算要求についても、各省庁に対し、自ら施策の優先順位の厳しい選択を行い、」云々という御指摘があったわけでございます。それで、まず予算編成の前段階といたしまして、七月三十日に概算要求の方針ということを閣議で決めていただいたわけでございます。これは御承知のように、昭和三十六年からシーリング方式ということをやっておるわけでございますが、最初五〇%、三〇%、二五%というふうにやってまいりましたが、五十一年度予算編成の際に、前年各省庁別に予算の総額の一五%増しまでで要求をしてくださいということを五十年にやったわけでございますが、本年の場合は財政制度審議会の御指摘もあり、一般経費については一〇%、それからその他の政策的な経費については一五%というようなシーリングをさらに厳しくいたしました。さらに四点の要求態度を閣議で決めていただいたわけでございますが、一つは、新規施策というのは入れかえて、スクラップ・アンド・ビルドでやってください。補助金は見直してできるだけ整理合理化をしてください。それから定員や機構についても極力抑制してください。さらに受益者負担等も適正化を団るように努力してくださいというようなことを申し上げました。それで御承知のように、八月三十一日までに各省がこういうような概算要求の基本方針に基づきまして御要求が出てきたわけでございますが、九月いっぱい説明を聞きまして、大体いま終わったところでございますので、これから各省がどういう中身の要求が来ているか、そういうようなものにつきまして財政制度審議会の建議、あるいは七月三十日の閣議で決めていただいた方針、こういう線に沿って鋭意歳出の合理化、効率化を図るべく編成作業をしつつあるわけでございます。
それで、基本的な考え方でございますが、財政制度審議会の御指摘は、現在の財政状況の困窮というのは、ただ単に最近時の経済変動に基づくものではない。高度成長下においていろいろなれ親しんだ制度に安易に依存しているという点があるのではないか。抜本的にそういうところの考え方を切りかえてかかるべきではないかというような御指摘がございます。われわれといたしましては、財政制度審議会のそういう御指摘はごもっともであると肝に銘じて、いま鋭意検討を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/74
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075・大塚喬
○大塚喬君 口頭で説明を受けたわけですが、時期も大分たっておることだし、少なくともそういうことの骨子については成案というものが当然もうできておる段階だと、こう考えるわけでございますが、そういうものをひとつ本委員会の検討の資料として提出いただきたいと、こう思うわけです。
で、財政収支試算によりますと、五十五年度までの歳出についてケースIを例にとりますと、公共投資では年平均一五・五%の伸び、振りかえ支出では一六%の伸びを見込んでおります。この試算の性格として新経済計画の計数を前提とした試算、これは計画ではありません、試算でしかすぎないわけでありますので、公債政策のあり方でいう方策が、少なくとも現時点においては固まっておらなければならない。そういうことで、その具体的な試算の段階から、具体的の検討の段階に至って今日に至っておるその内容をひとつ資料としてぜひ提出をしてほしい、こういうことが一つ。
それから、もう一つは、財政収支試算の年次別表を見ますと、公共投資の伸び率が五十二年度から五十五年度までは一六%ないし一七%台で推移をしております。こういう見込みであります。ところが、振りかえ支出の方は五十三年度までは一六%台の伸びでありますが、五十四年、五十五年度になりますと、一挙に一二%台に大幅に落ち込んでおります。これは、この計画の前半はともかくとしても、後半の方は社会保障関係の支出が急速に引き下げられる、こういうことをこの計画では明らかにしておるものと思うわけであります。そうしますと、いままで何度もこれは総理大臣、大蔵大臣からも聞かされたわけでありますが、福祉財政、こういう事柄は、これは表の飾りだけであって、実質は今後はこういうことはもう五十四年以降は約束がほごですよど、こういうことになるものと理解をするわけであります。で、これが先ほど言う公債政策のあり方ということについて、歳出の合理化、重点化、こういうことの内容を示すものかどうか、ここのところについてはっきりと解明をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/75
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076・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 資料の御要求でございますが、財政制度審議会の建議と、それから七月三十日の概算要求についてという文書を提出さしていただきますが、それから財政収支試算の方でございますが、これは前回の国会でも私どもの方から御説明したと思いますが、企画庁の五十年代前期概案というのがございます。このフレームによりまして計算をしたものでございまして、御指摘の公共投資については企画庁の概案の方で百兆という数字がございます。この中で一般会計、国費で分担すべき分野を計算いたしまして、五十年度の数字を頭にして計算したものでございまして、そういう性格のものでございます。それから、振りかえ支出という項目がございます。この数字も概案の方で五十五年度の規模は、国民所得比一〇%弱というような企画庁の方の数字があるわけでございます。これとやはりこれを一般会計ベースに直すと、そうしますと、最近時よりも四、五年先になりますと、保険料の方に依存する分野がだんだんウエートを増してくるというような関係がございまして、結果的に計算の結果にすぎないわけでございますが、伸び率がいままでよりは落ちておるというようなことでございます。何ら政策的な意図があるわけでなくて、企画庁の概案の数字にはめ込んで、それを一般会計に翻訳してみるという試算であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/76
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077・大塚喬
○大塚喬君 大分大蔵省には責任がないということでお逃げになっておると、こう思うわけですが、数字が現実にこういう数字で二八%台から一挙に一二%台ということになれば、これは文句なしに振りかえ支出のそのような減額、減少というのは社会保障関係、福祉関係、こういうものを大幅に後退させるという以外の何物でもないんじゃないですか。その点はひとつそうでないというのか、そうだというのか、そこのところを明確に御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/77
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078・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 振りかえ支出というのは一般会計、国のお金とあるいは公費といいますか、公費と保険料、そういうようなもので構成されておるわけです。概案の方の数字は、こういう全体の数字で形成されておるわけです。われわれのやりました試算は、その中の国費についてだけやってあるわけでございます。そこで、そういう数字の差が出てくるということになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/78
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079・大塚喬
○大塚喬君 いまの問題で大蔵大臣、ひとつ財政の責任者という立場から明確にこの国民の心配、杞憂というものがそうじゃないんだと、こういうことの御確答をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/79
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080・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) この財政収支試算の方の数字でございますが、これは私どもの数字は一般会計だけの数字でございます。実際は一般会計以外からの支出もあるわけでございますので、この教字はわれわれの試算作成の目的からいって一般会計だけを目標にいたしましたので、その数字だけを取り上げたというように御承知を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/80
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081・大塚喬
○大塚喬君 そうすると、この福祉行政、社会保障ということは、一般会計では漸次切り捨てていくと、こういう方針を国が明らかにしたということになりますか。私は、いまの大臣の答弁では、一般会計では福祉行政は切り捨てなんだと、こういうことの方針を、この国のいわゆる財政収支試算、こういうことの中にその意図を明らかにしたんだと、こう受けとめてよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/81
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082・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) そうじゃなくて、社会保障、福祉政策自体は国として力点を置いてまいる方針に変わりはないわけでございますけれども、厚生年金等の方の支出が自然にふえてまいるわけでございまするので、この数字だけで国全体の政策が貧血化するということにはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/82
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083・大塚喬
○大塚喬君 いまの答弁ではどうも納得できません。それは公債政策のあり方というところで「歳出の合理化、重点化を図る」と、こういうことをはっきり言っておって、財政収支試算では、その五十四年度、五十五年度からその方の一般会計の分が一二%に減額をされる、減少をすると、こういうことになれば、どのようなお答えをいただいても、数字の上でははっきりと福祉切り捨てだと、福祉後退だということ以外に何物でもないんじゃないですか。それならそうと、はっきりおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/83
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084・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 決してそういうわけではなくて、企画庁の方の概案で、昭和五十五年度の全体の経済の中に占める振りかえ支出の水準を、現在の八%から一〇%にするという政策目標があるわけでございます。その中をどういう財源で振り分けるかという問題になるわけですが、人口の老齢化の進展とか年金制度が年数がだんだん長くなるわけでございますね、そうなりますと保険料の方で入ってくる分野が広くなる、大きくなっていくということの反映であるわけです。決して一般会計で減らすとかどうとかということではなくて、その概案のフレームの中にはめ込んで計算したらこういうふうになっているということなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/84
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085・大塚喬
○大塚喬君 ていのいい逃げをおっしゃっておるとしか私は理解できません。
それでもう一つ、歳出の合理化、重点化ということとともに、「所要の税収確保の方策について検討をすすめる」と、こうあるわけですが、いわゆるその歳入年度の税収確保については、前国会でもそれぞれの方から論議のあったところでございます。この財政試算によりますと、五十二、五十三年、この両年度に二四%台の税収増を計画、試算の中に出されておるわけでありますが、一体二四%台の税の増収をどのような手段で達成されようとしておるのか、大変私どもこの二四%という数字は気になる数字でございます。ことしは所得減税をやらない、そして自動車関係の諸税を引き上げたと、こういうことでその数字が一七%台、そうしますと、いわゆる五十二年度五十三年度の二四%台というのは、一体何だろうと、どういう増税を国民に押しつけるのだろうと、こういう心配が大変大きいわけであります。これももう試算の段階から増税案作成の段階に至っておらなければ、この五十二年度予算編成という時期を考えて、時期的には合わないわけであります。増税案、この内容は、二四%台を五十二年度に確保すると、こういうことになれば、この案を税制調査会に提示をし、諮問することになっておると思うわけでありますが、その内容を二四%増税するんだと、税収の確保を図るんだと、こういうことの具体的な内容をひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/85
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086・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 中期財政収支試算によりますと、たびたび国会でもお答えいたしておりますように、この計画の示している姿から見る限り、
〔理事中西一郎君退席、理事戸塚進也君着席〕
ある時期に何らかの租税負担の増加をお願いせざるを得ないというところに追い込まれたんではないかという意識を強く持っているわけでございまして、税制調査会に前国会終了後そのお願いをいたしました。具体的には、六月二十二日に本年度としての最初の総会を開いていただきまして、大蔵大臣、自治大臣それぞれから、厳しい財政事情に顧みて今後の税負担及び税制のあり方について指針をいただきたいということをごあいさつをいたしました。これは通常は、諮問があったというふうに報道されているわけでございます。それを受けまして総会を二回、それからさらに各論の御研究をいただきますために部会をつくっていただきまして、合同部会を一回、九月十四日でございます。九月十四日以降は毎週一回どちらかの部会をお開き願いまして、現在まず現行税制を全部洗い直していただくという作業に取りかかっていただいております。ただ、この作業は、これまた報道されている言葉がほぼ熟してきたようでございますが、いわば中期税制としての御検討を願っているわけでございまして、来年度に具体的にどの税目でどのようなことをするか、またせざるを得ないかという検討にはまだ入っていただいておりません。これはもう少し後のことになろうかと思います。と申しますのは、何としましても、来年度の経済見通し自身がもう少しはっきりしてまいりませんと、また、それに対応しての歳出なり国債発行額なりというものと一緒に税制を考えませんと、税だけで先に、いわば先取りをして決めてしまうということは必ずしも適当でないという面もございまするので、五十二年度の具体的な問題の御審議はもう少し後になると、端的に申せば十一月もかなり深まってからでないと恐らくそういう問題には取りかかれなだろうと思います、ことしの場合は。
その場合に、一点だけ申し上げておきたいのは、中期財政収支試算の方の年割り額というものはいわば機械的に割ってみたものでございますから、五十二年度の所要税収の伸びが必ずあの数字になるという考え方はとっていないということだけを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/86
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087・大塚喬
○大塚喬君 大変抽象的なお答えでどうも満足できませんが、二四%というものは、その数字はかちんとした固まったものではないということをおっしゃったと思うんですが、増税案を実施に移すと、こういうことははっきりお考えになっておるわけですね。
それから、その際に、赤字財政の早期脱出と、こういうことは、おっしゃっることの意味はわかるわけですが、この赤字財政脱却ということと、大衆課税化ということの兼ね合い、この問題が私どもにとっては一番心配の大きなところでございます。前からも論議されております付加価値税の創設、税の大衆課税化という、こういう問題ですね。ここらのところを現在税制調査会に諮問をされておると、こういう話でございますが、そこらのところは、その方面の担当者である大蔵大臣、その大衆課税、具体的に言っていわゆる付加価値税の導入、こういう問題について五十二年度どのような現在お考えになっておるのか、そこのところをひとつ明らかにお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/87
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088・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 先ほど申し上げましたとおり、各論を御検討を願いますためにいま部会をつくっていただいております。第一部会の担当は所得に対する課税全部ということで所得税、法人税、それから個人住民税、法人住民税、そのほかに便宜法人事業税を取り上げていただくことになると思います。第二部会の担当範囲は、そのほかのすべての税目でございます。これを観念的に申せば、資産に対する課税、消費に対する課税、流通に対する課税というものを取り上げていただくことになっております。現在までの御検討は、先ほど申し上げましたように、まず現在ある税目を全部もう一度ながめてみる、どこかの税に負担増加の余地があるのかないのか、また、その税プロパーにいかなる問題がいま指摘されておるかということをやっていただいておりまして、第二部会で具体的に税目に入っていただいたのは先週でございます。先週は、嗜好品課税というグループとして酒、たばこを取り上げていただきました。それから個別物品及びサービスに対する課税ということで、現在の物品税を、それから砂糖消費税、これは嗜好品課税でございますが、そういうものを主として取り上げていただきました。次回に自動車関係諸税と流通課税、それから資産に対する課税というものを取り上げていただくつもりでございます。
そういう御研究を経まして、御討議を経ました上で、現行税目で資産課税、流通課税、消費課税でなお負担の増加をお願いする余地があるのかないのか、もう一度振り返っていただいた上で、さらに、現行税目と違う角度から何か新しいものは考えられるのかという御議論にいずれは発展するかもしれません。おっしゃいましたような新しい税というものは、そういうタイミングで議論のテーブルに上ってくる。したがって、物理的に申せばかなりの大きさの新しい税が五十二年度改正に間に合うという可能性は非常に乏しいかなというふうな感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/88
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089・大塚喬
○大塚喬君 現行の税制を洗い直す、その中で特に不公正税制を正す、こういうことは私どもも賛成であります。その際に、いまのお話の中で酒、たばこ、一体こういうものを大蔵省としては来年度もう一度税制改革で引き上げようとする、そういうお考えもあるやに承ったわけでありますが、そういう大衆課税、たとえば酒、たばこ、こういうものを来年度上げなければならないと、赤字公債を脱却するためにはそうしなければならないと、その他の大衆課税、こういうふうなものも考えておられると、こういうことになるのかどうか。
もう一つは、新しい税制、私は具体的に付加価値税と申し上げましたが、来年度は時期的に困難だと、こういう御答弁と承ってよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/89
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090・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) ただいま御検討願っておりますのは、繰り返しで恐縮でございますが、いわば中期的な視点から御議論願っているわけでございまして、来年さてそれでは何をどうするのかという問題にはまだ入っていただいてないわけでございます。したがいまして、酒、たばこの問題も、今後四、五年という感覚で物を考えたときにいまのままでよろしいでしょうかという問題提起になっておるわけでございまして、来年直ちに酒を増税する余地はございましょうかとか、ただこの値上げをもう一度お願いしたらいかがでしょうかというふうな問題提起はまだしておりません。しかし、しておらないということは、それはあり得ないというふうにお受け取りいただくわけにもまいりません。それはやはり五十二年度の財政の姿がどういうものになるのか、何としても、いわゆる特例公債を少しでも減らしたい、そのために歳出がどこまで切れるのかということと一緒に、もう少し後になって具体的な御研究をお願いするということになろうかと思います。
それから第二の問題の、かなりの大きさの新しい税目というふうなものは、これは研究をしていただくために相当の時間をかけるべきものであろうと思いますので、私が申し上げましたのは、その時間的に間に合わない危険がもはやあるだろうという趣旨でございます。五十二年度改正は十二月末に成案をお出ししなくてはならぬという、そちらから逆に考えますと、検討の時間的余裕がどうやらなくなってきたというふうな感じを持っておるという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/90
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091・大塚喬
○大塚喬君 いまの主税局長の答弁だというと、大衆課税、これはまあ要するに灰色だと、これはやっぱり別件逮捕をしないと調べられない、こういうことになるわけですね。どうもそういう臭みがきわめて濃厚な、そういうお答えをいただいたものと考えるわけです。
それから、付加価値税についてはやりたいんだけれども時間的に無理だと、来年以降は考えているんだと、こういうことに受けとめるわけですが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/91
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092・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 付加価値税という特定の税目でいつも御質問があるわけですが、付加価値税というのも、EC型でございますれば、これは消費に対する一般的な課税の一つのタイプでございますし、それから昔のシャウプ勧告にあったような加算型でございますれば、これは企業課税なのか消費課税なのかよくわからない、企業活動税みたいなもので、何だかよくわからないけれども、まあとにかくそこから税を納めていただこうというようなものでございましょう。ですから、法人事業税で外形標準課税を主張なさっておられる方は、いわば付加価値税を主張しておられるわけです、そういう意味では。ですから、そういう特定の税目についていま私どもか予断を持っているわけではございません。それは消費課税、流通課税の今後のあり方を御議論願うときに、どういう角度から税が考え得るかという検討はどうしてもやっていただかざるを得ないだろう、そのときにいろいろあるタイプの中の一つとして、付加価値税が頭から検討の対象から除かれてしまうということはないだろうと思います。それは、くどいようでございますが、大蔵省は必ずそれをやるんだと決めておるということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/92
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093・大塚喬
○大塚喬君 いま局長の答弁で中期税制構想という考え方、そしてその中には単年度でやるもの、それから引き続いて検討を加えて実施に移すものと、こういうお考えが明らかにされたと思うわけですが、
〔理事戸塚進也君退席、委員長着席〕
それではそれについて具体的にひとつお尋ねをいたしますが、法人税の性格、これは前の主税局長とずいぶん論争を重ねたところですが、これらの具体的な典型的な問題は配当課税の問題、こういう問題があるわけですが、そこらの問題を一体どのようにお考えになっておるのか。前の論議で主税局長から答弁いただいたことは、現在では少なくとも私は国民のコンセンサスを得ることはむずかしい、こういう感じがするわけですが、ひとつそこのところをお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/93
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094・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 前回法人の税負担につきまして第一回の御議論をいただきました。そのときにもこれまたいまの消費課税と同じことでございますが、五十二年度にすぐどうするかということではなくて、今後五年ぐらいの期間で考えた場合になお負担の増加を求める余地があるかどうかという問題提起がされております。その御議論の過程で、まさしくいま大塚委員のおっしゃいましたいわゆる基本的仕組みの問題、まあややきざで恐縮でございますが、ほかにいい日本語がございませんので、よく言われますインテグレーションの問題——インテグレーンョンと言われておるんですが、法人税と株主の所得税とをどう考えるかという問題、それをやはりもう一遍議論をしてみないと、法人負担について結論を出すには一つ議論が足りないであろうという御指摘がございましたので、次回にその問題について御論議をいただく予定にいたしております。これから御論議いただくわけでございますので、私がいま個人的にどっちの方向をより強く考えているかということにつきましての答弁は、恐縮でございますが、きょうの段階では差し控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/94
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095・大塚喬
○大塚喬君 問題の利子・配当所得の総合課税化という問題で、いまこれらを検討を加えるということは、従来の答弁からすると一歩前進だと私どもも評価をいたすものでございます。この法人税の性格について三十九年度の税調では、法人税の転嫁について委託調査の実施を研究を行ったと、こういうことを聞いておるわけですが、その結論は明らかにされないまま現在に至っておるようであります。研究自体も中断をされておる、こういうことで、このことについて新たに検討を加えるということは先ほど申し上げたように確かに一歩前進である。今後この研究調査、本当にこれらのものを実施に移すということでこちらの主張を述べておるわけでありますが、これらの研究調査をこれから実施するお考えがあるのかどうか、そこのところをひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/95
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096・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) ただいまの御質問の点は、先ほど私がお答え申し上げましたインテグレーションの問題とは実はちょっと違う問題であろうかと思います。法人税が転嫁するのかしないのか、これはおっしゃいましたように三十九年のときに研究をしていただきました。で、突然のお尋ねでいま手元に持っておりませんが、たしか一〇〇%以上転嫁するというような計数が出てきて、一〇〇%以上も転嫁というのはどういうことかなというようなことでやや中断ということになっております。外国の学者のいろんな研究もございます。それは転嫁しないという結論を出している研究もございますし、一〇〇%以上転嫁するという研究の結果も出ておりますので、その意味ではいわばまだ定説がないという状況ではなかろうかと思います。ただ、むしろ転嫁するという方が研究としては数は多い、しかし転嫁しないという研究もあるというふうに申し上げるべきかもしれません。ただ、それだけ申し上げた上で、いまの御質問に関連しましては、私は転嫁論の結論が出ない限り、法人税負担の上下は議論できないというわけにはまいらないと思います。それは結局いつまでたっても何もできないということでありましょうから、転嫁論というのは勉強は続けるにしましても、それはそれとして、いまの負担水準がいいか悪いかということの議論はまたやってわかざるを得ないだろう、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/96
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097・大塚喬
○大塚喬君 この問題で、所得階層別の間接税を含む総合的な税負担分布の調査、これをやっぱりどうしても必要ではないかと、こう考えるわけでございます。階層別の負担分布、この望ましい姿、御承知のように現在所得税、住民税は累進税率を適用し、応能負担原則をたてまえとしておりますが、この利子・配当所得、譲渡所得、これらの優遇はもう何回も指摘したとおりずいぶん厚いものだと、こう考えるわけであります。で、またその間接税の逆進性、こういうこともあわせて総合的な負担の分布は現在あるべきところからの姿からは遠いところにある。で、経済企画庁の外郭団体である、これから出されております答申、これ等を見ても、現在所得の階層の幅がこういうふうに広がっていっておるということも大変私どもの関心を呼ぶところでございます。現状の総合的な税負担分布の実情を明らかにしないままに、財源調達のために取りやすいところからその財源を取るのだ、税を増収するのだ、こういうことは租税に課せられた所得再配分機能を大きく損なうばかりでなく、国民の理解を得ると、こういうことにはならないと考えるわけでありますが、この点についてはどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/97
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098・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) その角度からの問題の御指摘はたびたびいただいております。私どもも御審議にたえ得るような計数か出ないものかということで、ずっといままでもいろいろ苦労してきておるわけでございますが、いまの段階で申し上げられることは、基礎的なデータとしてとり得るものが家計調査しかない、総理府の。総理府の家計調査でやりますと、サンプルが余りに少ないとか、あるいは非常に大きな収入階層がデータに入っていないとか、非常にいろいろな制約がございまして、本当にそれだけで議論をしていいのかなという意味で、自信があるものになかなかならないというのが現状でございます。ただ、御指摘でもございますから、私どもなりに何かやってみたいなということで部内での勉強は続けております。もし御審議に値するほどのものができるならば、お出しすべきであると思っておりますが、その点、必ずいつまでにというふうにどうもお約束ができないというのがいまの状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/98
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099・大塚喬
○大塚喬君 時間がなくなったものですから、最後に。
一つは、富裕税の新設。この問題についてどうお考えになっておるのか。ともかく現在は、物価調整減税を見送るほどのこういう段階に差しかかっておるわけであります。国民一般の声として富裕税の新設ということはもう当然過ぎるものと、いろいろのあれを考え合わせてもそう考えるわけでありますが、これについて政府の方針は一体どういうお考えなのか、こういうことについてお尋ねをいたしたいと思います。
それからもう一つ、最後ですので重ねて質問をいたします。租税特別措置の整理の年次計画、これはしばしば、もう一番国会の大蔵委員会の審議の中心課題になっておると思うわけでありますが、この年次計画を策定すべき段階に来ておるのではないか。たとえば利子・配当所得の特別措置、それから社会保険診療報酬課税の特例、不公正税制の典型というものがこの特別措置だと私は理解をしておるわけでございます。しかも、その廃止について、改廃について多年、そのことの主張は続けられてきたわけでございます。しかし、依然としてこれらが続けられておる。将来、期限到来の項目あるいはそれぞれの年次ごとの廃止、存続の、年度ごとにいままでなされてきたわけでありますが、余り進捗をいたしておりません。中期税制検討の機会に各項目ごとに改廃についての年次計画を策定し、これをその年次計画に従って改定すべきだと思うわけでありますが、これについてのお答えをいただきたいと思います。
これは最後にひとつ、いまの問題は大蔵大臣の決意のほどもお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/99
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100・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 第一点のいわゆる富裕税でございますが、これは第二部会の守備範囲の問題になろうかと思います。これは現行税制の検討が終わりました段階で、現行税制をもう一度さかのぼって見ていただくのか、それとも何か新しい税目ということで御研究に入っていただくのか、そこはまだ決まっておりませんが、仮に新しい税目ということになれば、まさしく付加価値税が検討の対象であるというのと同じ意味で、富裕税も検討の対象になるだろうと私は思います。富裕税につきまして従来いろいろ御主張がありながら、政府として御提案するに至っていない理由というのは、それはたびたび当委員会等でもお答えしておったと思いますけれども、やはり何といっても執行面での実質的な公平を確保することがかなりむずかしくないかと、つまり資産の把握というものがいまの体制でできるだろうかという点に一つ基本的な問題点がある。もう一つは、ほかの国の場合で申せば経常的なそういう財産課税をいたしております国では、大体は毎年の所得に対する課税というものは上限は必ずしも高くない。日本ほど高い最高税率を持たないシステムが多いわけでございまして、日本の場合にその問題をどう考えるか、富裕税を入れるんだから、所得税の最高税率は下げますよということに対して御同意が得られるのか得られないのか、それがやらないというんなら、きわめて低い税率でしか課税ができないだろうと思いますけれども、それらすべての問題を含めまして今後の検討対象になるであろうとは思っております。
それから特別措置の問題は、昨年、半年かけまして税制調査会で御検討いただきまして指針をいただき、具体的な改正は私どもとしてはかなりの改正を法人税関係について実施に移したと考えております。もちろん、これで終わりというふうに考えているわけではございませんが、かなりの大幅な縮減の後でございますので、少なくともここ数年は期限到来分を中心にして、引き続き昨年と同じ考え方で整理、合理化に努めてまいるというふうに私は考えておりますが、しかし、この問題も基本的に中期税制のときの一つの大きな問題でございますので、前回の第一部会に基本方針についての問題提起をいたしました。問題提起の仕方としましては、一つはこの際全廃すべきだという考え方をどうしましょう。これに対する考え方としては、やはり政策目的のために税を使うということを全く否定してしまうと、すると、中小企業のためにいろいろあるものもすべてこれはだめだというようなことになるだろうから、それはやはり個別の政策と、それの結果出てくる不公平とのバランスをどうやってとるかという問題であり、従来以上に不公平がなるべく少ないようにという感覚で縮減に努めると、ただし個別の措置の持っている政策的な意味を見ながらやっていくという考え方と、両方が対置してお出ししてございます。で、委員の方の大方の御意見はやはり全廃ということは適当ではないだろうという御意見の方が多かったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/100
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101・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) これは、年々歳々特別措置については見直してまいりましたし、五十一年度の通常国会におきましては平年度法人税を中心に千百五十億円の整理をやらしていただいたわけでございまして、われわれといたしましても今後、毎年、毎年見直していきたいと思います。ただ、貯蓄の奨励でございますとか、環境改善、地域の開発でございますとか、資源開発でございますとか、技術の振興でございますとか、それぞれ政策目的がございまして、今後こういう特別措置をこんりんざい考え——新しいものが出てこないかという保証は別にないわけでございますので、私どもといたしましては、租税政策の面から見るとできるだけ整理に努力をしてまいりたいと それから租税政策に余り過重な負担をおかけいただかないように希望いたしまして、仰せのラインに沿ってできるだけ整理に努めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/101
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102・大塚喬
○大塚喬君 最後に一言。
一つは富裕税の新設ですが、局長の答弁は、資産の把握が困難だからできないんだと、こういうことに聞いたわけですが、そういうことですか。
それからもう一つは、年度ごとにとぎれとぎれに思いつきのようにこの租税特別措置について手直しをしていくと。私は、そういうことではなくて、年次計画を立てて、この悪評高い不公正税制の典型である租税特別措置については全面的な改廃をすべきだ、こういうことを申し上げておるんですが、年次計画ということについてはどうお考えになっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/102
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103・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 富裕税の問題は、だからできないというふうにお受け取りいただいたとすればちょっと私の言い過ぎになるだろうと思います。どこにむつかしさがあるかという意味で、土地などはこれは登記がございますから、どなたが持っておられるかはわかると、しかし、たとえば一番わかりにくいといってよく言われるのは宝石とか、こんなものは一体わかるでしょうかと、いまの体制で。そういうものと対置して、間にだんだんさっきの言葉をかりれば灰色の部分がたくさんあって、ですから税として納税者の間でまた新しい不公平感をもたらさないでうまくやれるだろうかという点に問題があるということを申し上げたわけで、いやしかしそれは、いきなり一〇〇%を望むからそういうことになるのであって、とにかくやってみて、十年もやってみれば、それはだんだんよくなるよという御意見の方もございます。ですから、不公平不公平と言ってまた言われたんじゃかなわぬなというような正直なところ一つあるんですけれども、しかしそれはこれからの御議論でございましょう。
それから、年次計画を立てるという御意見は十分承りますし、税調にも特別措置の議論の機会にまた、そういう御意見が強く出ておりますということを申し上げますけれども、これは全廃するというたてまえをよしとすれば、それはそれなりに年次計画というような考え方は出るかもしれません。やはり個別に吟味をしようということで、それは期限が来るのを中心にというのが現在の税制調査会の委員の大方の御意見であるように受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/103
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104・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 午後二時まで休憩いたします。
午後一時二分休憩
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午後二時十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/104
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105・岩動道行
○委員長(岩動道行君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/105
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106・青木一男
○青木一男君 公債発行の特例に関する法律を必要とするのは、財政法第四条に「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」という規定があるからであります。国の歳出は、経常の歳入をもって賄うということは健全財政の基本理念でありますが、これを法律上の制約とした制度はわが国の戦前にはなかったのであります。私は、先般理財局長に対し、外国の法制にはそういう制度があるかどうか調査をお願いしておいたのでありますが、その結果について御発表を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/106
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107・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 先般、青木先生から御依頼がございまして、調べておくようにということでございましたが、実はまだ十分先生のところに御説明できるほどの資料が整っておりませんけれども、ただいままでございますところで申し上げますと、主要国の国債につきましては、いま日本のことにつきましては、歳入補てんの手段として建設国債を原則とする財政法四条、発行額は予算において定められるという形になっておりますが、米、英、仏、独の例をとってみますと、アメリカの場合は、国庫全体の収支じりの補てんの手段としまして、残高限度額の規制が議会の承認を得て行われ、必要に応じてそれが引き上げられるという形をとっております。イギリスにつきましては、国家貸付法という法律によりまして必要額の発行を行うことが包括的に規定されておりまして、この必要額は国家貸付法によって授権されております。フランスは、毎年の予算法に包括的に発行の権限をもらっているという形をとっております。ドイツは、やや日本と似ておりますが、毎年度の予算の中にその範囲を決めておりまして、さらに、経済安定成長促進法の中に、限度外発行五十億ドイツマルクまでを現在では認めると、こういう形になっております。
大体いずれも若干ずつ異なった制度でございます。日本のように、建設国債を原則という財政法四条に規定するこういう縛り方をしている国はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/107
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108・青木一男
○青木一男君 税制の改正については、憲法に「國民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」という規定がありますから、その憲法の関係から、増税案については歳入予算として決議するほかに、法律案として改めて決定することは当然であります。公債発行の特例の問題は、その立法理由がこれと異なるものであります。けれども、法律案が通らないと予算の施行ができないということは同様であります。昭和五十一年度一般会計予算は、歳出歳入とも二十四兆二千九百六十億余円として国会を通過しております。予算案の通過は国会の意思として二十四兆二千九百六十億円の歳出の権限を政府に認めたものであり、また、それだけの歳出のあることを国民は期待しておるのであります。この予算の歳入の部には七兆二千七百億円の公債金、このうち赤字公債三兆七千五百億円の収入を見込んでおり、国会はこれを議決しておるのであります。しかし特例法案が通らないと、その分だけ予算の実施が不可能となる。われわれはそういう欠陥のある半身不随のような予算案を可決したつもりはなかったのでありますが、結果的にはそうなる。そうして国民の予算に対する期待も裏切られるのであります。従来、増税案を織り込んだ予算については同様の結果を招くので、増税案は予算案と前後して国会を通過させる慣行が成立しておりました。すなわち予算に計上した歳入財源の確保は予算の一部であり、予算そのものであるという認識が政府にも国会にも徹底していたからであると思います。特例公債と予算との関係は、増税案と予算との関係とこの点では全く同一であるのに、年度開始後半年間特例法案が成立しなかったということは、予算の権威のために非常に遺憾に思いますが、大蔵大臣の所感を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/108
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109・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) いまの御指摘はまことにごもっともでございます。重要な歳入法案が未成立のまま予算の執行に入るということはまことに不都合なことでございますし、変則的な状態であることは御指摘のとおりでございます。重要な歳入法案は、予算成立と同時に成立いたしまして、予算の適正な執行が保障されることが必要であることは御指摘のとおりに心得ております。ことしは不幸にいたしましてきわめて変則的な財政執行を余儀なくされましたことはまことに残念なことでございまして、以後こういうことのないように政府といたしましては鋭意努力しなければならぬと心得ておりますけれども、残された会期期間に一日も早く公債特例法案の成立をさせていただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/109
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110・青木一男
○青木一男君 特例法案第二条によりますと、「予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。」と規定してあります。五十一年度予算において公債金のうち特例法による公債三兆七千五百億円を計上しておりますから、この点の法律の要件はすでに満たされておるわけであります。すなわち、国会は赤字公債三兆七千五百億円を発行することを議決しておるのである。同じ事案の表裏をなす特例法案を通すことは、国会の意思の分裂を避け、一貫性を保つ見地からも当然のことであると思います。
そこで大蔵大臣にお伺いいたします。ただいまこれからそういうことのないようにするとおっしゃいましたが、本年のような事態を繰り返さないため、五十二年度以降においては、いかなる事情があっても増税法案の場合と同じように、赤字公債の特例法案は、必ず予算案と同時に国会の通過を図る必要があると思う。改めで大蔵大臣の御決意のほどを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/110
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111・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 政府といたしましては、万難を排して予算成立までに重要な歳入法案が成立を見るように、国会の理解を求めるべくベストを尽くしてまいる覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/111
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112・青木一男
○青木一男君 政府にお尋ねします。五十一年度はすでに六カ月を経過しておりますが、租税収入の年度内の見通しはどの状態でありましょうか。赤字公債の発行予定額に影響があるかどうか。経済界の情勢、景気回復の程度と関係ありますので
一括して伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/112
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113・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) けさほど大臣がごあいさつの中で申し上げましたように、八月末まで現在判明いたしておりますが、ほぼ予算で見込みました水準で税収が入ってきておると申し上げてよろしいかと思います。一方、今後の見込みもなかなかむずかしい面がいろいろございますけれども、達観して申し上げますと、子算額程度の収入は何とか期待していいのではないかということであり、逆に申せば、予算額以上の自然増収を期待できるような状況ではないと申し上げるべきかと思います。具体的に数字を出して申し上げますと、八月末の税収が累計で申し上げておりますが、五兆八千八百九十三億円でございまして、これは子算額の十五兆五千百九十億円に対しましては三七・九%でございます。前年の同じ時期の決算に対する入り方は三七・七でございますから、その意味ではわずか〇・二ではございますが、若干上回っております。この〇・二という大きさから見まして、ほぼ予算で見込んだ程度の水準で入っておると申し上げているわけでございます。今後ともある程度経済情勢が緩やかながら上向きで推移するならば、税収もいまよりも若干よくなるんではないかという御指摘がございます。ございますけれども、その点につきまして、まあ何とか予算程度ではないかと申し上げております理由は、一つは、八月末までの税収の前年に対する増加率が一二・五%の増加で入っているわけでございます。予算を形の上だけで見ますと、全体として年度間で一二・八%の増加であれば予算が達成されるという計算になるのでございますが、ところが問題は、昨年度の決算の税収の中に、御承知の土地の駆け込み譲渡の部分がかなり大きくございまして、ことしはとうていそれは期待できない。したがって、去年の決算の方から土地の駆け込み譲渡の異常なふくらみの部分、つまり具体的には去年が土地関係で五千五百六十億円入っている。ことしの予算では千二百四十億円ぐらいしか入らないという見込みをしておりますので、その差額の四千三百二十億円というのは、去年独特のこぶであるというふうに考えまして、そのこぶを除いた姿で、去年に対してことしが幾ら伸びて入らないと予算に届かないかというふうな角度から見ますと、これは一六・五%増というぺースでないと予算に届かないわけでございます。八月末までがまだ一二・五でございますので、この年度間を通じて土地を除外して考えて二八・五に届くというのは、今後かなりのペースで上向きになってきてくれないとむずかしい、まあ予算に達しないかもしれないという心配が全く消えたわけではないという現状であると申し上げていいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/113
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114・青木一男
○青木一男君 目下編成中の昭和五十二年度予算は、依然相当額の赤字を予想せねばならぬと思いますが、この赤字の金額は五十一年度よりも減少することができる見込みであるかどうかを伺いたい。
欧米諸国も、一九七五年度予算では、景気回復のため積極的な財政政策を推進したけれども、一九七六年度の予算では歳出の伸びを抑え、財政赤字の縮減に努めております。わが国においても、五十二年度予算は同じ方向転換の年とすべきと思いますが、政府の見るところを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/114
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115・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、政府も五十二年度から公債を、とりわけ特例債を漸次減らしてまいりたいという念願を持っておるわけでございます。先般の通常国会におきまして、中期の財政収支の試算を御提出申し上げて御検討もいただいた経緯がございますけれども、あの試算は、申すまでもなく、いまの五十年代前半の中期経済計画に盛り込まれました財政需要というものを満たしながら、五十年代の前半に特例債から脱却するためには、どういう状態に歳入歳出を持っていけばいいかという一つのスケルトンを描いたものでございます。ところが、来年は、経済そのものが減速経済に入っておりまするわけでございますので、いまの税収の見込みにつきまして主税局長から御報告がございましたように、大きい自然増収が期待できない状態であることは申すまでもないわけでございます。ところが、歳出面を見てみますと、第一、地方財政におきましては交付税交付金というのが当然ふえなければならぬことに相なるようでございます。それから社会保障関係の経費の平年度化が進んでまいることも、これは避けがたい状況でございます。それから人件費でございますが、人事院の勧告等の取り扱い、近く政府は決めなければならぬことになるわけでございますけれども、これが明年度どのように負担増として出てまいりますか。こういった追加歳出需要というようなものを考えてみますと、来年度、事実、公債を減らしていくということは非常にむずかしい状況になろうかと思うのでございます。
しかしながら、仰せのように、いまのように公債に過剰依存した状態は早く脱却せにゃならぬことは、一ついわば至上命令でございます。歳出全体にわたりまして非常に厳しい選択を各省庁にお願いしなければならぬことになろうと思っておるわけでございます。したがって、八月末の概算要求の際にも、けさほど御報告申し上げましたように、シーリングの天井をずっと低めまして、要求それ自体から相当御遠慮いただくということにいたしておるわけでございますし、新規の経費につきましてはスクラップ・アンド・ビルドというような方式でお願いをすることを原則としなければならないと考えておりまするし、制度の改廃も含めた相当ドラスチックな検討を加えて思い切った財政刷新をやらないと、仰せのように五十二年度から減債の初年度に持ってまいるということは非常に困難であろうかと考えておるわけでございますが、しかし、これはやらなけりゃならぬところであると思いまして、財政当局といたしましては、いま不退転の決意でそういう目標に向かって努力をいたしつつあるのがただいまの状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/115
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116・青木一男
○青木一男君 特例法案によれば、赤字公債は借りかえを行わないということになっております。この点について財政制度審議会の報告は、そこまで徹底する必要はないではないかという見解を述べておる。それは、事実問題として借りかえ不可避の場合を予想した意見であると思います。特例法案の規定するように、借りかえなしに償還できればこれにこしたことはありません。しかし、借りかえなしに償還するためには、赤字なき財政すなわち均衡予算では足りないのであります。大幅な黒字予算によって歳計剰余を蓄積せねばなりません。今度の特例法案によると三兆七千億円は六十一年度までに償還することになっております。これは大変なことである。政府は、赤字財政の幅を漸減して、黒字財政に移る年度をいつごろと予想しておりますか。政府の昨年決定した昭和五十年代前期経済計画においては、計画期間中すなわち昭和五十五年度までに特例公債に依存しない状態に復帰する方針を示しております。これによれば昭和五十五年度をもって赤字から黒字に転ずる目標年度と解してよろしいかどうか、政府のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/116
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117・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 財政制度審議会の報告の点でございますが、青木委員が御発言になりましたとおり、本年一月の十九日にちょうだいいたしました報告におきましては、「借換えを行うか否かは、現行法制上は政府の判断に委ねられている問題である。事柄の性格上、必要かつ妥当なものとして法律をもつてその運営を政府に授権されている事項について、その一部を法律をもつてあえて制約する必然性はないものと考えられる。」という御指摘があります。しかしながら、後段のところでさらにこういうこともおっしゃっております。「以上の点から考えると、これを法定する必然性はないが、立法政策の問題として財政の節度を示すという観点からこれを法定するのであれば、あえてその意義を否定すべきものでもないと思われる。」こういうような御指摘もあるわけでございます。で、大臣が先ほど申し上げましたとおり、われわれの財政の節度という観点から、あえて本年の特例法におきましては借りかえをいたさないという規定を設けたわけでございます。
それから第二の、いつごろ特例公債がなくなるのであるかという御指摘でございますが、企画庁の概案におきましても、五十五年までの計画期間中にできるだけ早くこれを脱却、依存しない状態に復帰するものとするというくだりがございます。で、われわれといたしましては、先般の国会で試算というかっこうでお出しいたしましたのでございますが、企画庁の概案のフレームに沿ってスケッチを描いてみますと、この概案で言っているように、五十年代前半、すなわち五十五年までには赤字特例公債を脱却しなければならないというような考え方になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/117
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118・青木一男
○青木一男君 次に、国債の消化と金融機関の協力関係についてお尋ねをいたします。
昭和三十年、第二十二国会に、政府は金融機関の資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案を衆議院に提出した。その内容は、大蔵大臣は、金融機関の預金等の増加した場合、その一定割合に相当する金額を特定の国債、地方債、債券等の保有の増加に充てるべき旨の命令を発することができるという趣旨であり、衆議院を通過して参議院に送付されてきたのであります。このとき私は参議院自民党の議員総会で法案に対する反対意見を述べ、自民党は自由主義経済の本則に立つ政党である。戦時中の資金統制令の復活に類する立法を行うべきではないと主張しました。議員総会は法案の扱い方を大蔵委員長に一任することを決議しました。当時、私は大蔵委員長でありましたので、委員会では法案の審議に入らず、審議未了としました。この私のとった措置に対して、野党からも何ら異議が出なかった。当時、参議院の自主性として評価する向きが多かったのであります。大蔵省当局の中には、あるいは巨額の公債発行を必要とする今日、あの法案が通っていればと思う者があるかもしれません。しかし、それは大きな誤りである。私はあの法案を廃案にしたことはよかったといまでも確信しております。金融機関の自発的協力なくしては今日のような巨額の国債は消化できるものではない。大蔵省が国債保有を強制し、資金運用に介入することになると、民間への資金の融資その他、金融上の難問題のしりが全部大蔵省に持ち込まれ、大蔵省としてはとうてい処理できるものではありません。昨年来、巨額の国債発行に当たり、その消化について金融機関はきわめて協力的であって、よき成果を上げてきておると思います。これからも金融機関の全面的協力によって財政上の難局を切り抜けるほかはないと思いますが、金融機関の態度はどうか、政府の方針を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/118
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119・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 先生の御指摘のように、方針は全く同じ趣旨で事を運んでおるわけでございますが、国債の発行条件、発行額等は、これは国債に関する法律に基づきまして大蔵大臣の権限でございますが、国会で認められました発行額の中で月々の発行を行います場合の発行計画そのものは、当然に金融機関の引き受け部分が多い現状におきましては十分な話し合いをいたしまして、その意思を尊重しながら事を運んでおります。そもそも国債発行等懇談会という非常に、来年度の国債発行額を決めます場合にも、大蔵大臣、日銀総裁、そのほか各財政審議会の会長、全銀協の会長、あるいは学識経験者、いろんな関係の方々のお集まりをいただきまして御意見をちょうだいいたしております。さらに毎月々の発行につきましては、シ団を編成いたしまして、それもシ団の頭取クラスの世話人会から常務クラスの世話人会までかなり時間をかけて御意見を承りながら、大蔵省の考え方を示すと同時に、シ団の御意見を十分尊重しながら運んでおるわけでございまして、現在も青木先生おっしゃった精神は私ども拳々服膺しておるわけでございまして、そこに何ら行き違いはないというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/119
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120・青木一男
○青木一男君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/120
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121・戸塚進也
○戸塚進也君 時間がわずかに二十分でございますので、足らない分はまた時間があれば明日一般で伺うことにいたしまして、財特のことについて技術的なことも若干含めてお尋ねをいたしたいと思います。
まず、この財特の法律が今日に至った、こういうことは新聞も、あるいはまたそのほか世論にも通じまして、これは非常に大きな国民生活に影響があったということをいわれているわけでございます。こういう環境の中でこの審議がいよいよ大詰めを迎えようとしているわけでございますが、特に私、後ほど具体的に細かい金額は伺いますが、もし九月までにこの法律が通っておったとするならば、九月は相当額の赤字国債を発行しておらなければならなかったというような数字的な点もあるようでございます。これは後ほど少し大蔵省にその具体的な点について伺いますが、今日までの状況の中で直接、間接に、この法律がいまだに成立しなかったということによりまして、国民生活あるいはまた行政の運営上どのような困難な点が起こったか、支障が起こったか等について政府はどのように分析していらっしゃるか、まずこの点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/121
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122・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどもお話申し上げましたように、これは重要な歳入法案でございます。したがって、まず財政運営のたてまえから申しまして、予算成立と同時に成立さしていただかなければならない法律であることは申すまでもないことでございます。それがなくて予算の執行に入るということは、それ自体大変変則的なことでございます。私の権限で非常に大変変則的なことを今日やっているわけでございますので、これは一日も早くこういう変則状態はやめなければいけないことだと思います。
それから、この法律が成立していない、あるいはいつ成立するかわからない。したがってそれに基づきまして公債の発行がどういう手順で行われるかまだめどが立たないというようなことは、経済界、金融界、ひいては産業界全体に非常な不安を与えておるわけでございまして、これは目に見えないことでございまして、数字的に計量できないことでございますけれども、経済というのは信用を基礎にしておるものでございますので、この信用が揺らいでおるということは、一日も等閑に付してはいけないことであることは御理解いただけることと思うのでございます。
それから第三に、具体的な問題といたしまして、特例債以外の公債はすでにごく一部を除きまして八月までに発行を終えてしまったわけでございまして、九月は御案内のように大変な資金の余剰月でございますので、八千億以上の公債を発行しなけりゃならない月であったと思うのでございまして、そういう手はずを整えておったわけでございますけれども、まだ国会の方のお許しが出ないものでございますので、九月はこのチャンスを逸してしまったわけでございます。だといたしますと、この狂いをどのように十月以降の発行で穴埋めをしてまいりますか、下半期の金融状況が年末を控えての金融状況の中でどのようにおくれを取り戻してまいりますか、大変これは骨の折れる仕事になろうかと思うのでございます。しかしいま財政当局といたしましては、歳出を規制いたしまして、しなけりゃならぬというようなところへ持っていっちゃいけないと存じておるわけでございまして、何とかこのおくれを残された期間のうちで全力を挙げて取り戻しまして、財政の執行は予定どおり、国会の御承認をいただいた予算どおりやってまいることが、財政の執行はもとよりでございますけれども、経済の回復、雇用の維持から申しまして、どうしても踏ん張らねばならないことだといま考えまして、その手順をいろいろと工夫をいたしておるのがただいまの状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/122
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123・戸塚進也
○戸塚進也君 理財局長に事務的にお伺いいたしますけれども、ただいま大臣から九月には八千億ぐらいは発行をいたしたかった、しかし、それができ得なかったということによっていろいろ狂いが生じてきて、さらにこれを年度末までに発行しなきゃならぬという点には大変な困難があると思うと、しかし努力すると、こういうお話がありまして、よく理解はできました。
そこで、いまの大臣のお話は九月の予定をおっしゃったわけでございますが、ではもし八月までに財特法が成立しておったと仮定いたしますと、お話の九月はまあ八千億ぐらい、あるいはそれ以上、十月はではどのくらい予定されていらっしゃいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/123
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124・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) まあ、九、十、十一月は資金が一応余剰期でありますので、もともとまあかなり大量な発行ということを考えておったわけでございますが、いま大臣がおっしゃいました九月八千億、まあ十月はややそれよりも少な目のところで七千億ぐらいのことを一応考えておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/124
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125・戸塚進也
○戸塚進也君 そういたしますと、九月八千億、十月七千億、計一兆五千億ということになるわけでございまして、じゃ今日の時点で、まあこれはいつ通るのか、それはわかりません。これはこれからの審議のことですから、あくまでこれは仮定の話でございますけれども、たとえば今月じゅうにシ団との交渉等なさって発行ができると、法律が成立して、と仮定いたしました場合に、この一兆五千億をこの十月に発行することは可能でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/125
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126・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 十月もここまで参りますと、結論から申し上げますときわめてむずかしいと思います。御承知のように毎月一日から募集を開始いたしまして、十五日に締め切って、二十日に払い込みと、こういう形を、青木先生から先ほど御指摘のようなシ団と話し合いを前月にやりまして、そういう手はずを整えてやって初めてそういうことが可能なわけでございますが、これがもう十月に入っておりますので、この十月からの募集期間がおくれます。したがいまして、九月に現実に八千億を発行できなかったという、これを十月のこの状況の中でさらに取り返すということは非常にむずかしいことだと思いますが、ただ、そうは言っておりましても、後の月に行きますれば行くだけまたむずかしい問題が出てまいりますので、十月発行というものをできるだけ、その通常の七千億ぐらい見込んでおりましたのにオンしてどのくらいいけるかと、これは一日おくれれば一日おくれる分だけ私どもはやっぱり発行額が減っていくと、こういうふうに考えますので、一日も早い法案の成立というものをお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/126
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127・戸塚進也
○戸塚進也君 これは新聞等でちょっと読んだ話ですから、どうなるかわかりませんが、まあ場合によっては月じゅうに二回発行することも可能であると、ときには、場合によっては。ということも伺っておったんですが、いまの御答弁では、まあ今回は二回発行するということはなかなか困難であると、これはもう十月、この時点で法律が通ったとしても困難である。そういう中で七千億を予定していたけれども、それにはプレミアムをどのくらいつけますか、つけられるだけがんばりたいと、こういうふうなお話でございます。そういたしますと、そういう月じゅうの七千億にまた加えてともかく少しでもシ団にも理解を得てやるというには、相当この十月中の期間というものも必要だと思うんですね。言うならば準備期間といいますか、そういうことを考えた場合に、いまの時期はもうすでに上旬を過ぎんとしているわけですね。そういう場合に、いまお話のような七千億プラスプレミアというような形で発行をしていくというには、当局としてもよほどのやっぱりこれは入念な準備なり心構えなり決意なりというものがなきゃならぬと思います。そういうお心構えなり、またこれは法律が通っての、もちろんこれはもうそれが当然でございますけれども、そのときにおかしくならないように、支障にならないように、そういうことについての御決意はございますか、承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/127
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128・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 第一の点は、日にちがまだはっきり確定しておりませんで、最終的に金融シ団との間で話が決められません。ただ、おおよそ見当がつきましたところで準備をしてもらうというようなことで、法案が通ると同時にまあ動き出すと、こういうようなことをいま考えさしていただいておるわけでございますが、それにしましても、なかなか非常にむずかしい状況でございますので、本当はこちらから、いつ、どう心得たらよろしゅうございましょうかということをお聞きいたしたいような感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/128
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129・戸塚進也
○戸塚進也君 もう、それは大体御決意だけきちんとしておられれば私はそれで結構でございますから、別にそれ以上、あえてここで仮定の話を伺おうとは思いません。
そこで、大臣から先ほど青木委員の御質問に対して、来年度以降のこの赤字特例法の予算と不可欠といいますか、一体不可欠のものだということについてのお話があり、また来年は本当にそういうことが予算とともに何とか、成立するように最善を尽くしたいというお話がございましたが、これは、ただともかくこの法律を最善を尽くして予算と同時に通したいということの意味であるのか、あるいは何かの形で、こういうことがずっと行われておったのでは、国民生活に非常に大きな影響があるから、何かやはり大蔵省としてもこれは考えなくちゃいけないというような御答弁であるのか、その点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/129
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130・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) まず第一に、特例債を漸次減らしていくように努力することが第一だと思います。
そこから第二に、毎年特例債を発行することは、財政法に認められていない歳入調達の手段でございますから、これはどういたしましても、立法が必要でございます。で、その場合二つの方法がございまして、いまのように、年々歳々国会の御承認をいただくというようにいたしますか、それとも、財政法に特例を設けさしていただくか、どちらかの方法だと思いますけれども、私は後者はとるべきでないと思うのであります。毎年毎年いわゆる財特法案で苦労するのは、これは大変でございます。大変でございますけれども、これは当然苦労するに値するといいますか、そういう非常に異例な措置を国会にお願いしておるわけでございまするから、政府として誠心誠意国会の理解を求めまして、異例な措置を認めていただくということでございますから、こういうことをまとめてひとつ御承認を得ておこうということは、横着なやり方でございまするので、そういうことは私、とるべきじゃない。来年も再来年も、特例債が多少にかかわらず、特例債をお願いしなければならない間は、毎年毎年やっぱりお願いをする。しかし、御理解を得まして、予算成立と同時に成立をさしていただくように政府としてはベストを尽くすということ以外に、分別はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/130
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131・戸塚進也
○戸塚進也君 それでは、先ほど中期国債のお話が出ましたけれども、これについて、もう時間もありませんから、一言だけ伺っておきますが、先ほど青木委員からもお話かありましたように、この国債等は、当然これシ団に引き受けてもらう、こういうようなことで、将来、何年か先のことを考えますと、シ団のこの国債を引き受ける能力というような点においても、やっぱりシ団側の立場というものも考えてやらなきゃならぬ面も出てくると思うし、また中期国債というものは、国民一般が国債を買うことによって、やはり国の経済、国の力というものを国民一人一人が協力して分担し合っていくんだという考え方でいったら、それはそれなりに理解もできると思うんです。それは別に、決して私は根本的に否定をしようとは思いませんが、他面において、前者は、申し上げたような点もあり、また税制上の不公正を大きくして、むしろ金持ちが非常に得をするような形になってはいかぬのだという議論もあることは確かでございます。こういうことを踏まえて、この中期国債の問題につきましては、いま私が申し上げたようなことをひとつよく念頭に置いていただきながら進めていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございますが、それについて一言だけ承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/131
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132・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 先生の御心配の面、十分考慮しまして、私ども慎重に取り扱いたいと進んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/132
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133・戸塚進也
○戸塚進也君 それでは大臣にお尋ねいたしますが、まあこの財政特例法が仮に通過をし、そして大蔵当局が懸命な努力をして、その財政、予算執行に支障のないようにやっていただけたという前提でお尋ねをいたしますけれども、先ほど来お話も出ておりますように、まあ災害の問題、冷害の問題等、非常に国民生活にとって深刻な、かつ緊急に対策をしなければならぬ問題は、当然横たわっておるわけでございます。これについては、大蔵大臣が午前中の答弁の中で、予備費を使用したり、あらゆる努力をしてこうした問題には対処していくと、これには決して迷惑かけないというようなお話もあったことは、了といたします。ぜひそうしていただかなければならぬと思いますが、あわせて、現在の全国的なこの景気というものを考えてみますと、必ずしも景気がよくなってきている、中小企業も含めて何か非常にその基盤が固まってよくなってきているという認識とは私は少し違った感じを持っておりまして、必ずしも景気は暖まっていない、それどころか場面場面によってはますます冷え切って、倒産件数等も最近月を追って多くなっているんじゃないかと、こういうふうにも私は分析をいたしております。
そうなってまいりますと、当然この五十一年度予算が成立しましたときに、千五百億の予備費という問題につきまして、これはまあ景気の動向を見ながら公共事業等についても使えるようにしていきたいというふうなことで組まれたお金のように私は心得ているわけでございますが、まあこれを災害という問題に緊急にお使いになる、これはもちろんやむを得ないことでありましょう。これも公共事業の一つでございますから、当然やるべきでございます。しかし、地域的には、そうしたお金が場合によっては出されるかもしれないと期待していたところでは、そうした恩恵にもこうむれない、景気も必ずしも立ち直らない、こういうことでございますと、反面また深刻な経済問題も出るわけでございまして、できるならばやっぱりそうした公共事業全般の一般の公共事業、こういうものをいま少し力を入れていただく必要があるんじゃないだろうか。
ちなみにもう少し申し上げますと、私どもの県などで例をとりますと、昭和四十七年の一般公共事業と、昭和五十年の一般公共事業とが事業費においてちょうど同じだと、まあこういう実は情勢にございます。そうしますと、三年なり間があって同じだということは、事実上は、物価値上がりもございますから、公共事業は五割ぐらい落ち込んでいるんだというふうな状況になっておりまして、せっかく以前から年度計画で公共事業を進めよう、土木にいたしましても、あるいは農業基盤整備にいたしましても、いろいろ考えておったことが全くその考え方がその計画と現実が違ってきておる。あるいはまた、交通渋滞で困っているバイパスにはぺんぺん草が生えて、せっかく用地は提供したのに、いまだに仕事すら何もできない、こういう状態の中で途方に暮れているというところも、私の県だけじゃなくて相当にあるんじゃないかと思うのでございます。
こうして考えてみますと、災害、冷害等に対して十分な対策を講ぜられると同時に、やはり、財源の様子も見ながら、いわゆる補正予算というような考え方等はあり得るのではないかと私は実は考えるわけでございますが、こういった認識の私の考え方が違っておるかどうか、あるいはまた財源等を考えながらそうした点にも当初の五十一年度の予算成立のときの考え方を踏まえて考慮していただけるかどうか、お尋ねをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/133
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134・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、五十一年度の予算の編成に当たりまして、千五百億の公共事業等予備費を設けまして、景気対策として機動的に使い得る権限をまあ政府にちょうだいいたしたわけでございます。ところが、今日まあ異例な災害、冷害が発生いたしまして、明日の閣議からすでにこの千五百億の予備費を災害復旧費に充当が始まるわけでございまして、これはたまたまそういうことで予定してあったのにということでの御指摘はよく御理解できるわけでございます。
そこで、まず私どもは、ことしの景気でございますけれども、仰せのように、いままでは比較的順調に景気の回復が見られたようでございますけれども、夏以来足踏み状態にあると、いま評論界におきましても、学界におきましても説が分かれまして、楽観論と悲観論が交錯しておるようでございます。どちらが正しいかこれはよくわかりませんけれども。ただ、政府といたしましては、いまこの財政的措置を新たに講じなければ景気の回復ができない、えらいことになるというようなそういう判断はまず持ってないと、いまの段階は。ということをまず御理解をいただきたいと思うものでございます。
それから第二に、しかし、今後事態の進め方によりまして、補正の問題を考えてしかるべきじゃないかという御意見でございますが、補正を考えるといたしましても、どうせまずこの財源が必要なんでございますが、先ほど主税局長からもお話がありましたように、税収はまずまず予定どおりどうにか取れるのかということでございます。税外収入でこれという目ぼしいものは特にございませんで、だとすると、これまたひとついまこの公債の問題を御審議いただいておるわけでございますけれども、補正——このままいきますと、補正をやるとなると、やっぱり公債の増発をお願いせにゃならぬというような補正になるわけで、これはまず大変な国会にも抵抗がありましょうし、それからインフレ対策といたしましても、非常な問題をはらむことになるのではないかと思いますし、また、われわれ財政当局からいくと、また補正ということになりますと、追加財政需要から歳入からいろいろ計数が相当固まってこなければならぬ問題でございますけれども、まだとてもそういうほど追加財政需要の見当がまだつきかねておるようなことで、まだ補正を語るには時期が早いし、いまの場合で考えるとしても、そういう問題があるんだということでございます。
そこで、この間予算委員会のお話といたしましては、当面いまの事態に対する対応は予備費で、公共事業等予備費を含めまして四千五百億あるわけでございますから、それであらゆる起こり得る財政需要にこたえて、またこたえられるとわれわれはいま考えておるわけでございますけれども、いきさつから言うと多少横着じゃないかという御批判はあろうかと思いますけれども、予想以上の災害が来たわけでございますから、それに対応措置としては一応それでやらさせていただきまして、それで補正というふうな問題につきましてはいま考えていない、事態の推移を見てその問題は考える場合がないとは言えないかもしれぬけれども、いまともかく補正予算は考えていないということにいたしておりますので、大変歯切れの悪い答弁でございますけれども、事態そのものがちょっと歯切れが悪い状態でございますので、そのようにひとつ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/134
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135・鈴木一弘
○鈴木一弘君 財政特例法案そのほかちょっと関連してお伺いしたいんですが、最初は大臣の責任からひとつ伺いたいと思います。
五十一年度の予算では、御承知のように約三分の一に当たるものが国債依存になっているわけでございます。そういう七兆二千七百五十億円という超赤字予算、財政特例法によらない財政法のただし書きによるものであっても、四条のただし書きのものであっても、赤字であることは国債である限りは変わりはないわけですから、そういう超赤字予算を組まなければならなかったということが、一つの私は大きな責任だろうと、将来の国民に対しての大きな負担をかけるわけですから、それが第一点。
それからもう一つは、第二番目に指摘されることは、こういうような財政法上でなかった赤字国債を出して、特例法を出さなければならなかったと、そういう財政運営に至ったという点。
三つ目は、これは先般の国会で、この赤字公債を出す、財政特例法案が成立をしなかった場合には、大平大蔵大臣は辞任するという、そういうことの風聞も私は耳にしております。当然、あのときに財政特例法案が継続審議で終わりました。早々に財政当局としての責任者である大臣としては、次の国会をということに、直ちに召集をということが本当だろうと私は見ておったんですけれども、残念ながらそうならないで、それからいわゆる政変劇が強くなってきてしまいました。本来ならば、あのときに成立しなかったという時点で辞任をするべきじゃなかったのか。そういうような声もあるわけでありますし、責任としても、やはりそういう優柔不断な政府におったのではかなわぬということも、大臣としては先ほどからの御答弁を伺っておりましても、財政運営に非常に大変な状況でありますから、ただ大蔵大臣一人の責任ではない。内閣全体の姿勢の問題にもかかわってこういうことになったんだろうと。そういう点で、そうなればやはりたもとを分かつべきであろうと思ったんですけれども、そういう点いかがでございますか。
その点の三つの点から見ても大蔵大臣の責任というのは、これは問われなければならないわけでございますから、いまの点についていまどうお考えになっておられるかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/135
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136・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 今日いろいろな赤字財政を招いた責任が第一でございます。これは石油ショックを契機として起こりました財政危機に際しまして、やっぱり選択は大きく分けて二つあったと思います。一つは、思い切って中央地方を通じて歳出を削減したり、あるいは増税をやって財政の均衡をあの困難なときでも図るという財政本位の立場を貫くか、それとも経済の回復、雇用の維持、行財政水準の維持ということを当面の目標にいたしまして、財政の方の問題は、経済の体調を整えるに従って漸次体調−財政の正常化を図るということにするか、どちらかであったと思うのでございます。私は、後の方を選択いたしたわけでございます。これはひとり日本ばかりじゃなく先進国の多くがそういう選択をいたしたと思うのでございまして、今日先進国の多くが同じような、いわばシンクロナイズしたポリシーをとって世界経済全体を維持していかなきゃならぬというような立場におる状態も考えまして、この選択が間違った選択ではなかったと思うのでございまして、責任論から申しますと、私はせっかくの御指摘でございますけれども、返上したいという気持ちでございます。
それから第二は、しかしながら、それは特例債という財政法上認められていない領域に大きく踏み込んだんじゃないかという第二の責任でございます。これは程度の問題でございまして、あるいはやりようによりましてもっと少なくて済んだかどうかということはあろうかと思いますけれども、私といたしましては、大蔵省の同僚と相図りまして全力投球をしたわけでございますので、自分としては悔いのないことをやったことでございまして、もしあのときにこうすればもう少し少なくて済んだというようなものはいま思い当たらないわけでございますので、この点についても責任をとれということにつきましては、直ちに私は素直な気持ちになれないわけでございます。
第三の問題は、しかしながら、この大事ないわゆる財特法案が成立しなかったということ、その際に、三木内閣とたもとを分かって潔く閣外に去るべきであったじゃないかということ、これはひとつ鈴木さんの言われること、わからぬわけじゃないんです。ですけれども、本委員会で継続審議になったわけでございまして、否決されたわけではないわけでございます。また本委員会で皆様の御努力によりまして公聴会まで済ませていただいて、若干の審議を経て本会議が残ったというところまできたわけでございますので、財特法案というのは結局これはまあ幾らやってもだめだと、国会と政府との対立はもう溶けがたいものになったという、決定的なものになったとすれば、あなたの御提言に対して私は頭を下げますけれども、そういうものではなかったと思うのでございまして、せっかくの御忠言でございますけれども、いずれにいたしましてもやや見解を異にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/136
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137・鈴木一弘
○鈴木一弘君 まあ第三の点の、前の国会で確かに否決はされませんでしたけれども成立はしなかった。すぐ国会を開くという要求してやっていくというような声が伺っていたわけですよね、大蔵大臣の言明か、周辺から流れてきていることは間違いなかったんですが、それが今日までずっと延びてきたということについては、これは熱意が全然なかったような気を受けるわけです。その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/137
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138・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 枯れ芝の燃えるような思いであったことは、私ばかりでなく財政当局全体がそうなんでございますが、なかなか燃えていただかなかったのが非常に残念ながら国会であったのです。そこで、これは私どもがもし努力が足らないということでございましたならば、どんなおしかりでも受けるつもりでございますけれども、恐らく私どもの努力が足らない、あるいは私どもの答弁に御不満な点が非常に多かったのじゃないかということを反省いたしますけれども、それは今後いかようなおしかりも受けるつもりでございますけれども、私どもが出した法案の成立について、私どもが余り熱意を示さなかったという御指摘は、これはもう全然あなた見当違いでございますことでございますから、その点はどうぞ勘弁をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/138
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139・鈴木一弘
○鈴木一弘君 いま国会が燃えなかったというのですが、実際は私どもがこれは早々来るのじゃないかという感じがしてたのですけれども。だが、ところがどういうわけか大蔵省は燃えていたというのでしょう。それじゃどこか燃えないところがあったわけですね。そういうのについてはきちっとたもとを分かつというのが本当に筋ではなかったかということなんです。くどいようでございますが、もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/139
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140・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) ひとつ友情のこもった御忠告として拝聴いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/140
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141・鈴木一弘
○鈴木一弘君 友情……、政治家として処する道でございますから、それを伺っていたわけなんで、答弁が何か勘違いされたんじゃ困りますから、友情を押し売りされたんじゃ困る。
前国会では、いまも戸塚委員から指摘がございましたけれども、景気についてよくなった、悪くなったの話がございましたが、前国会の特例法案を提出したときの提案理由の中で、「国民生活と経済の安定及び国民福祉の充実に配意しつつ、景気の着実な回復と雇用の安定を図る」、こういうふうに述べられております。実際問題として、先国会の終わる時点と現在の時点とで、経済の実情はどういうようになってきているのですか。特に景気について大蔵省としてはどう掌握しているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/141
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142・佐上武弘
○説明員(佐上武弘君) お答え申し上げます。
先ほど大臣が申し上げました点を若干補足いたしますと、本年の一−三月の景気の回復は主として個人消費、住宅投資で、とりわけ輸出の好調に支えられまして、三・一%、年率換算いたしますと一三・二という非常に急角度の上昇にあったわけでございます。ところが四月−六月の速報が出てまいりまして、それによりますと、実質成長率が一・一、年率換算四・四という数字が速報値として出てまいりました。前回一二・二に対して四・四ということでございますから、世の中ではある意味においてこれは中だるみだというような議論がされているわけでございますけれども、年率一三・二といった一−三の上昇は明らかに非常に高いものでございまして、私どもこのような上昇を聞きますと、やはり卸売物価あるいは消費者物価に影響があるんじゃないかということを考えておりまして、四−六の年率四・四という数字は、これは前期が高きがゆえにある意味においてフラットになったという意味で、私は景気が中だるみだというふうには理解いたしておりません。確かにこの七−九の数字を見てまいりますと、輸出の増も一服でございますが、あるいは個人消費、設備投資というものの動意も一−三のような姿を見せておりませんけれども、底がたい推移を示しておるということでございまして、その関係もございまして、御案内のように、四十三旬続いて高騰しておりました卸売物価が、実は九月の中旬には、わずかでございますけれども、減に転ずるというような安定化の傾向を示してまいっております。そういうところからまいりますと、やはり景気の基調というものは依然として回復基調にある、こういうふうに私どもは判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/142
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143・鈴木一弘
○鈴木一弘君 着実な回復基調にあるというような見方でありますというと、税収の伸びですね、これは当初の予算作成のときよりも、税収の伸びであるとか経済成長率とか物価上昇率、すべてにわたって税収を判断し、歳入不足を見ていくためにも、大蔵省としてこの辺に修正をするべきじゃないかという判断を当然持たなきゃならないと思うんですね。経企庁を待つまでもなく、省自体として。それはどのぐらいにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/143
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144・佐上武弘
○説明員(佐上武弘君) 政府の見通しは、御案内のように五・六%の実質成長率を見込んでおりますけれども、この新年度に入りまして四−六の速報値をながめつつ、さらに七−九の大体の数字から判断いたしますと、政府の見通しの五・六の達成はまず確実であるというのは、政府部内のコンセンサスではないかというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/144
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145・鈴木一弘
○鈴木一弘君 それが税収見込みそのほかにどう響いてくるかという点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/145
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146・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 御承知のとおり税収見込みは予算編成のときまでの実績をベースにいたしまして、それ以後の状態は政府経済見通しにございますいろいろな要因をある程度推計の基礎に用いているわけでございますが、個別の項目でいろいろ異同があるにいたしましても、全体として政府経済見通しを変えないでいいんだといういまの判断でございますれば、その意味で税収を改定するという時期でもない。実際の税収がどうであるかという点につきましては、けさほど来お答えいたしておりますように、大体予算で見た程度で入っておりまして、まあ歳入、予算どおりに確保できるかどうかにまだ自信が持てない、したがって、また自然増収が出るというような状況ではないというのがいまの姿でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/146
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147・鈴木一弘
○鈴木一弘君 本来ならば五・六%というのを確実ということは、それを突破する見込みがあるという意味ですから、税収等の修正も当然あってしかるべき、ただ波及されてくるのは時間がかかるものですから、はっきりしないだろうと思うのですけれども。
じゃ、その点で逆にその一つ前を振り返ってみたいと思うのですけれども、前にこの委員会で五十年度補正予算後において税収の確定はどうなったか、増収額は幾らかと、そのころは見込みで聞いておりますが、それに対しての答弁で、財政法四十一条の新規発生剰余金が三千億円。財政法六条の純剰余金ベースで二千億円の見込みだという答弁がありました。正確なところを、もうすでに確定をしていると思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/147
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148・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 本年の七月三十一日に主計簿を締め切ったわけでございますが、財政法四十一条の剰余金は六千百二十五億三千七百万円でございます。で、先ほど新規発生剰余金という言葉がございましたが、この新規発生剰余金の方では五千八百三十四億二千六百万円でございます。それから財政法第六条の純剰余金は二千百六十八億五千五百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/148
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149・鈴木一弘
○鈴木一弘君 国債償還の問題では方法として三つあって、一つが、前年度初めの国債残高の百分の一・六の定率繰り入れ、一般会計の剰余金の二分の一以上の繰り入れ、そのほか必要に応じての予算の繰り入れと、こういう三つのやり方がございますけれども、償還財源のとり方が。五十年度では最終的にその繰り入れの実態はどういうふうな結果になったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/149
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150・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) いま御指摘の三つの点でございますが、第一の百分の一・六定率繰り入れに相当するものが千二百二十五億円、剰余金の繰り入れ、これは千三百七十八億でございます。
これは財政法上は二分の一以上ということになっておりますが、五十年度は特例法で五分の一。三の予算繰り入れでございます。これは六百二十一億、合わせまして合計で三千二百二十四億。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/150
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151・鈴木一弘
○鈴木一弘君 それから五十年度予算で、ことしの四月、五月に幾ら国債を発行する予定だったのか、それが剰余金等の発生で国債の発行は減らしたのかどうか、その辺伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/151
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152・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 二千二十億の発行を予定いたしておりましたけれども、剰余金が多額に残りましたために、その発行を取りやめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/152
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153・鈴木一弘
○鈴木一弘君 取りやめね。
問題は、この中期国債のことがかなりいろいろ詰まってきているような、ことが言われておりますし、ここに骨格等もいただいておりますが、この中期国債の五年もので割引国債であるとか、年間三千億円程度というふうに書かれております。こういう点で、この中期国債について、私は大きな問題が一つあるんではないか。それは国債の発行についてはその都度国会の審議を得て決定をされてきております。今回の財政特例法が出たのもそれだと思いますけれども、その赤字国債を出す中に中期国際が入るわけでしょう。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/153
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154・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/154
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155・鈴木一弘
○鈴木一弘君 その財政特例法案の第四条に、公債の償還計画を国会に提出するということを決めてありますね。それを受けて、御承知のように昭和五十一年度一般会計予算には予算総則に示され、償還計画表が添付をされております。五十一年度の公債の発行に関する法律の規定により発行を予定する公債の償還計画表、五十一年度のところに三兆七千五百億円の発行額、六十一年度に償還額三兆七千五百億というようにぴたっと出ております。で、そういうように十年後に一括して返すということになっているわけでしょう。そこへ今回その中に五年ものの割引国債を入れるというわけですね。そうすると、この中期国債の場合は償還期限が五年ということでしょう。これはいわゆる赤字国債の償還期限の変更ということじゃないですか。これは国会の審議がどうしても必要になるということになるわけでありますけれども、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/155
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156・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 中期国債の発行がまだ確定しておりませんので、仮定の問題になるわけでございますが、もし五十一年度内に発行されるということになりますと、その場合に予算書に添付されております財政法第四条二項の償還計画がどうなるかという問題でございますが、この財政法第四条の二項の償還計画の性格論をめぐりまして、再三当委員会においても議論をされておるわけでございますが、その都度私どもの方から申し上げておりますのは、第一点は、法律の解釈の問題でございますが、財政法第四条の二項の解釈につきましては、昭和四十三年に財政制度審議会で議論をしていただきまして、二項の規定の償還計画の意味することは、まず公債借入金の限度額について国会の議決を受ける際に提出するべきものだと、それ自体は議決の対象になっていないという解釈をとっておるわけでございます。こういう解釈をとりますと、今回仮に中期国債を出した場合に、金額の変更はないわけでございます。したがって、発行限度額の変更のない限り、補正予算、あるいは補正予算という形で償還計画表の手直しをするということは必要がないというふうに解されるわけでございます。ただ、実態論としまして、中期国債の発行が最終的に決まりまして償還期限なり発行額がはっきりいたしました段階で、何らかのかっこうで国会に明らかにすることができるように検討いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/156
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157・鈴木一弘
○鈴木一弘君 その場合、これは予算総則に決められて、しかも財政特例法の第四条でしたか、先ほど申し上げたその中に、この償還計画表を国会に出さねばならないということが決めてあって、しかもそれが十年ものということになっているからこの償還計画表ができているわけですから、五年が入るというと、昭和五十一年度と六十一年度との間に昭和五十六年度に幾ら幾らというものが入らなければならないわけでしょう。残っているものは昭和六十一年度にというふうに、この償還計画表が変わらなけりゃならない。予算総則にあるんですから、当然これは変わってくる。予算総則に示されて出てこれが添付されているわけですから。そうすると、予算書それ自体を変えて、新たに予算委員会を持って国会の承認を求めなければならないのは当然だと、いまの最後の答弁はそういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/157
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158・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 形式論といたしましてはいささか違うわけでございまして、先ほど財政法四条の二項を引用いたしましたが、今回の特例法の場合には御指摘のとおり、ただいま審議をしていただいております特例法案の四条でございますが、この四条の規定は財政法の四条の二項と同じ規定だというふうに解しておりますので、そういうふうに申し上げたわけでございますが、予算書に添付されております償還計画表は、予算総則によってやっているのではなくて、通常の場合は財政法四条による。それから今回の場合は財政法四条による分と特例公債法による分とで予算書に添付しておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、その意味するところは発行金額とそれから償還の方法、年賦償還でいくのかあるいは満期償還でいくのか、そういう点をお示しするというふうにこの法律の規定の償還計画を解しておりますので、先ほど申し上げましたように、法律的な意味において国会に提出する必要はないんではないか。ただ、問題が問題でございますので、はっきりいたしました暁に、何らかのかっこうにおいて御説明ができるようにいたしたい、そういうふうに考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/158
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159・矢追秀彦
○矢追秀彦君 関連。
いまのことに関連してですけれども、昭和四十六年度には七年債、十年債別の償還計画が提出されておるわけですけれども、その点といまの御答弁とは矛盾をしないのかどうか。その点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/159
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160・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 四十六年の際には、御指摘のように当時七年ものを一本で四条公債が出ておったわけでございますが、十年ものが出るようになりました。このときは確かに出したわけですが、これは補正予算の編成がございまして、公債の発行額も動いておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、公債の発行限度額については国会の議決対象でございますので、そういう意味合いにおいてお出しをしたというふうになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/160
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161・矢追秀彦
○矢追秀彦君 そうすると、いままでの御答弁で、仮の質問になって恐縮ですけれども、いままで政府は補正予算は出さないと言われておりますが、もし今後のいろんな推移によって、補正予算が仮に提出をされるというような事態になれば、いまのお答えのように、この四十六年度のときのように中期国債が発行されたならば、そこで償還計画表を修正をして出すとおっしゃるのか、あるいは補正予算が仮に提出をされないで、現在政府の言われているような範囲内でおさまって補正予算が出されない、そういう場合であれば、別途の方法、すなわちこの前に国会にお示しになったような予算書はそのままにしておいて、また償還計画の説明を出されましたけれども、そういうふうな形でお出しになるのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/161
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162・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 補正予算が本年あるかどうかというのも、これも仮定の問題でございますが、その際に仮に補正予算があったといたします。その場合に公債の発行金額が動く場合と動かない場合がございます。公債の発行金額が動かなければ、先ほど申し上げましたようなことでお出しする必要はないと考えますが、仮に公債発行額が動くならば、償還計画表もこれに伴って提出することになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/162
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163・鈴木一弘
○鈴木一弘君 予算総則は直に関連ないでしょう、確かに限度額を示しておるのですから。しかしそれがあるから、限度額が示されているから償還計画ができるわけで、限度額がなければ償還計画は出てこないわけですからね。そうすると私は、総則にも関係すると思わざるを得ないと思うのですよ。ただの参考添付資料というものだけで、これが予算書の中に載っているというふうには考えにくい、こういうように思うわけですけれども。ですからその点では、償還期限が、この中期割引国債を出した場合には、当然計画が変更されるわけでありますから、金額が動いてくるのですから、計画表を訂正する。それともそうでなく便宜上、計画表だけを出して、予算委員会の審議というよりも、こういうふうにやってまいりますということで添付書類というか説明というか、そういう書類だけで終らせるのかどっちかなんですが、本当言えば、私は国会の議決をきちんと得るようにするべきが一番大事であろう。確かに財特法の第四条に書かれておりますから、その趣旨に沿えばきちっと議決を求めるようにしなければいけないのだと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/163
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164・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 大変繰り返しになって恐縮でございますが、特例法案の第四条はあくまでも議決対象のものではなくて、添付書類あるいは参考書類というふうに財政法四条二項の規定と同様に解されますので、そういう意味合いにおきましては国会に提出することをしない、ただ実態的な問題といたしまして、何らかのかっこうでそういうことが行われましたときには明らかにいたすように検討いたしたいというふうに考えております。
なお先ほど変動があった場合と申しましたが、これは減する場合は従来もやっておりませんで、増額する方向だけの場合に償還計画表を補正の機会にやっておりますので、その点は若干舌足らずでございましたので訂正さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/164
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165・鈴木一弘
○鈴木一弘君 どうもこの問題はすっきり落ちないのですけれども、ペンディングにしておいて。
次に、こういう中期国債の発行とかそういういろいろ出てくるのは、全部何か金融機関の方だけを向いて国債運用というものを考えているように考えられてならないのです。やはり国民の方を向いた国債というものが必要じゃないか、イギリスで行われている物価スライド条項付の国民貯蓄証券あるいは物価スライド条項付契約貯蓄、これは貯蓄になりますとちょっと、そういう一種の福祉国債的なものですな、こういうものが発行されていますが、そういう点についての考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/165
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166・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 物価スライドという考え方、一部の年金なんかに採用した例がございますけれども、私は本来とるべきことではないと思うのでございます。なんとなれば、初めからその程度のインフレというものは予定いたした、インフレという闘いに対して、初めからもうイールドしたといいますか、そういう態度じゃないかという感じがするのでありまして、われわれはインフレとの闘争においてはあくまでベストを尽くさにゃいかぬわけでございますから、スライド制身構えて二枚腰でやるというようなことは本来やるべきことではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/166
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167・鈴木一弘
○鈴木一弘君 ちょっと先ほど補正の問題が出ておりましたので、それに関連して聞きたいと思いますが、確かにいままで増額についての補正はありますけれども、減額についての補正の必要はないと、これが政府の言われる態度ですけれども、これはどう見ても財政民主主義という、それから国政、国会の予算審議権がございます、憲法第八十三条にも規定されておりますが、それを無視するものだというふうに思わざるを得ない。やはり予算提出を憲法で政府に責任を負わしているわけですから。そういう責任から見れば、増額の場合でなくても、減額の場合も当然予算の提出、補正をする、補正予算の提出をするという態度をとるのが本当ではないかと思うのですけれども、先ほどは追加財政需要が固まってないんだから補正は出す必要がない、こういう話でした。これは一般会計だけの話ではそうかもしれませんが、特別会計の場合になるというと減額ということもあり得るのが今回はあるわけでございますから、そういう点で、その点どういうふうにいまお考えでござ
いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/167
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168・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 具体的な例で申し上げますと、いま議論になっております国鉄、電電の場合でございます、端的に申しまして。この場合に残念ながら料金二法がいまなお成立いたしておりませんので、国鉄の場合でございますと御承知のように月五百三十億ずつ減っていっておるというようなことで、歳出権の方も抑えられているわけでございます。この問題に関連しての御質問かとそんたくするわけでございますが、具体例として申し上げれば、この場合はやはり料金法が一体いつ成立するのかと、その成立時期によってもう一回歳入、歳出を洗い直してその段階で御指摘のように補正予算が要るものであるのかないのか、その点をその段階で検討するというふうに考えております。決して減額の場合は補正が必要でないというような考え方ではございません。われわれに許されておりますのは、歳出権が限度額ではございますが、その場合にわれわれが減額いたしますのは、予算執行上リーズナブルな範囲で節約をするとか、そういうような範囲、そういうものを中心に考えております。その場合には行政府に許されているんではないか。したがって、国鉄の例で申し上げれば何千億もの歳出権を切るというようなことは行政府限りでやることは当然適当でないというふうに私は思うわけですが、国鉄、電電の例で言えば、これは料金二法が成立した段階で全部を洗い直して、そういうことになるのかならないのか、それを検討して考えるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/168
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169・鈴木一弘
○鈴木一弘君 言われるとおり、国鉄、電電に関係して私は聞いているわけです。五十一年度の政府関係機関予算の中の二つの問題いまお話しのあったように、これから後でたとえ値上げ法案が通っても、いままでのいわゆる赤字、未収入の分については、上がっていれば収入のあるべき分については、増収見込みについてはこれは消えていくわけでありますから、指摘されたいまの御答弁のとおり一カ月国鉄が五百三十億、電電公社が六百五十億という収入減ができてくる。だからそうなると、いまそれが終わったところで一度全部見直してと、それはわかります。全部洗い直してということはよくわかるのですけれども、いまもうすでに国会が開かれている。そうすると、そこまで全部洗い直す前に一度これだけはこの程度はもうすでにいままでの時点が過ぎておりますから、すでにいま十月へ入っておるわけですから、九月末までは完全にアウトであったことは事実ですし、その辺までのところで一応は補正を出すというのが本当じゃないかと思うのですけれども、どうですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/169
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170・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) また例で恐縮でございますが、昨年の場合も酒、たばこ法案で非常にわれわれ悩まされたわけでございますが、あのときも申し上げたのは、金額がわからないわけです。それで二法を先にするか補正予算を先にするか非常に悩まされたわけでございますが、本年の場合も金額がともかくわからぬわけです。そういうことでやはり料金二法の帰趨を見きわめて歳入歳出を検討の上、そういうようなことを考えるのか考えないのか決めることに相なろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/170
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171・鈴木一弘
○鈴木一弘君 いまの答弁の中の、酒、たばこ二法案が上がらなくて悩まされたという発言については、これはちょっと言葉として穏当でない、穏当さを欠くんじゃないかと思うんですけれども、委員長の方でどう扱われるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/171
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172・岩動道行
○委員長(岩動道行君) ただいまの鈴木委員の質問に対する加藤主計局次長の発言中「悩まされた」という表現は、穏当ではないと存じますので、御訂正を願った方がしかるべきではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/172
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173・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) ただいま私の発言中不穏当なところがありましたので取り消さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/173
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174・鈴木一弘
○鈴木一弘君 いま補正との関係で十月中に成立をされて十一月実施というのが政府の考えであると、これは国鉄と電電ですが、そういうふうに新聞がもう伝えております。そうすると補正予算との関係で言えば、それまでに値上げができれば提出しない、この考えは先ほど変わって洗い直しをするという話がございました。一方は、今国会はおろか五十一年度中の値上げも場合によってはこれから何が出るかわかりません。そうなりますと、無理という声も出てきます。もし値上げができない事態になった場合にも補正は必要ないというのかどうか、この辺伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/174
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175・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) ただいま歳出権のサイドからのみ申し上げたわけでございますが、もう一点非常に重要な点があるわけでございまして、財源の面があるわけでございます。この財源をどういうふうにするかということをあわせて検討しなければならないので、やはり歳入法案が成立の帰趨を見きわめまして、その必要性の有無について検討するということに相なろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/175
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176・鈴木一弘
○鈴木一弘君 そうすると、補正予算が出てくるのは今国会、もし値上げ法案が通過すれば今国会ぎりぎりか、あるいは次国会という、そういう予定になってくるということですね、これは。すると通常国会に出てくると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/176
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177・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) そういうことではなくて、そういうことの必要性があるかどうかということを、法案成立の帰趨を見きわめて検討するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/177
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178・鈴木一弘
○鈴木一弘君 これは大蔵大臣、財政民主主義というたてまえからいきますと、とにかく入るべき収入が大幅に減るわけでございますから、それに伴って支出の方も大幅に減る。そういう当初予算で見込んだだけの収入が上がらないということになれば、支出の方もそれだけへこんでくるわけですから、もうすでに何回も何回も国鉄や電電はいろんな方を削ってきておりますね。そういうことですから、これは国会が開かれたときに憲法に規定する財政民主主義から言えば、当然補正予算を出してやるのがあたりまえだと、こう思うんです。そのときになってから洗い直しをして出すべきか出すべきでないかもそもそしていて、来年の三月終わっちゃってから出そうかなんというんじゃ、これじゃ話にならないわけですから、そういう点はやはり政治上大きな問題だと思いますし、これははっきりと補正予算をその場合は出すべきだと私どもは考えるわけでございますが、歳入、支出両面にわたってこれは切るわけですから、歳入についてはやらないということもあることはよくわかっております。しかし、支出については補正をするのが普通でございますから、その点の予算措置を明確にする責任がある、こう思うのでありますが、その点どう大臣はお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/178
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179・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 鈴木さんのおっしゃること理解できないわけじゃございませんけれども、私の理解では、歳出は国会によってこの範囲内においての歳出権が認められたと解すべきでございまして、それを全部歳出しなければならないという性質のものではないと思うのでございます。しかし、今度の国鉄や電電の場合のように、非常に大きな変更があった場合もっと明確にすべきで、当初計画と非常に狂った場合におきまして、財政民主主義からいきまして、国会との関係において、私は問題がないと申し上げておるわけではございません。ただ、補正をやるにいたしましても、これは国有鉄道の会計だけでできます場合もございますけれども、そうでなくて、ほかとの関連が出てくる場合もあるわけでございまして、財源の問題はほかでいろいろ考えなければならない問題もこれあるわけでございますから、加藤君が先ほどお答え申し上げましたように、法案成立を見きわめまして、それを踏まえた上で、補正予算の必要性を具体的に検討していくということが私は正しい態度じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/179
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180・鈴木一弘
○鈴木一弘君 これは日本国有鉄道法の第三十九条の十一には「日本国有鉄道は、予算作成後に生じた事由に基づき予算に変更を加える必要がある場合には、補正予算を作成し、これに当該予算に係る事業計画、資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、運輸大臣に提出することができる。」、こう出ております。ただし、追加の場合は、これは緊急となった場合に限りということになっております。もう一つ、日本電信電話公社法の第五十条も「公社は、予算作成後に生じた事由に基づき予算に変更を加える必要がある場合には、補正予算を作成し、」云々と、先ほどと同じことでありますけれども、ともに書かれている。こういう条文があります。この国有鉄道法あるいは日本電信電話公社法のこれらの条文に五十一年度は該当しないというその政府の解釈、いま該当するともしないとも言っておられませんけれども、しないようなニュアンスが物すごく強いわけですが、そういう解釈は少し無理じゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/180
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181・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) ただいま鈴木委員が読み上げられました条文のとおり、必要があるかどうかということを検討いたすということを先ほどから申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/181
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182・鈴木一弘
○鈴木一弘君 だから、私はそれはわかります。しかし、そういうことで必要があるかどうかを検討するというだけで、もし出さないということになってしまったら、これは大変だと、こう思うものですから、くどいようですけれども、何度も申し上げているわけですけれども、やっていって、場合によったら、必要がないということに結論が出たりすると、これは旧帝国憲法時代のままになってしまいます。現在の財政民主主義のあり方から言うと、やはりそれはまずいのじゃないか。一度予算が通過すればまるっきり政府に白紙委任をした、そういう考えで、思うような収入もなく、それに伴って支出も大幅に削減をした。それがわずかな、何兆に対して百億とか二百億というのじゃなくて、何千億というものが赤字になってくる。もっとそれ以上のものが欠落をしていく。歳入欠陥となり、そして支出に対しても同様に削らなければならないなんてことになったときに、白紙委任という考え方で直さないということになると、これは戦後の憲法が泣くような事態になりかねないのですが、そういう点だけはないようにお願いをしたいと思うんですが、もう一度これは大臣に政治家としての立場も含めてひとつ決意を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/182
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183・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 私どもの考えでは、成立の時点で補正が必要かどうかというのを検討してみたいということで足れりと考えておりますけれども、御指摘もございましたのでこの件についてはなお検討を重ねてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/183
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184・鈴木一弘
○鈴木一弘君 もう時間が余り十分ありませんので、若干、円問題が大分問題になっておりますので、これを一、二伺って終わりたいと思います。
非常にいま為替政策に対しての風当たりが強くなっております。これについて円相場の動きはどうなっているのか、それから風当たりについての概要をちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/184
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185・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 最近、対ドル為替二百八十七、八円というようなところでずっと安定した様相を呈しております。通貨当局は全然介入いたしておりません。市場の自主性に任せての相場の形成が穏当に行われておると思います。それで、アメリカの一部に誤解に基づきまして日本の通貨当局が不当に介入しておるのではないか、円安に相場を維持して輸出にドライブをかけておるのではないかというような批判があったことは事実でございます、アメリカの民間の一部でございますけれども。しかし、これは明らかに誤解でございまして、私どもの為替政策がそういうダーティーフローをやった覚えは全然ないわけでございます。このことはアメリカ政府当局を初めといたしまして、ヨーロッパの先進国なんかにもよく説明をいたしまして理解を得てあるところでございます。事実、日本の為替政策のこの経過をずっと克明に見ていただければ、もうたちどころにそういったことは理解していただけると考えておるわけでございます。それで、現にそういった誤解は解消いたしました。
最近のIMFのマニラ総会におきまして、ウィッテフェーンIMF専務理事が黒字国の責任というようなことを云々されたことは事実でございますけれども、これは抽象的な表現で黒字国の責任をうたったものでございまして、ある国を特定して名指しで言ったものではないことは鈴木さんも御承知のとおりでございます。また、ウイッテフェーンが言っていることも当然のことでございまして、貿易上の黒字国がそれなりの責任を持って、節度のある態度をとっていかなきゃならぬことは、これは彼の指摘を待つまでもなく当然のことだと思うわけでございます。その後のマニラ総会におけるディベートをずっとフォローしてみましても、これ以上問題の発展はなかったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/185
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186・鈴木一弘
○鈴木一弘君 時間が来たようですから、いまのお話で円安批判に対して円安でないということがさんざん言われているわけでございますけれども、実際問題六月ごろまで三百五円ぐらい、それが現在、いまお話しのように、二百八十五円とか二百八十七、八円とかというように動いてきております。このこと自体、円安でないと言いながら円が上がってきておることは、言っていることとうらはらという感じになるわけです。これは説得力がないんじゃないかと。このことを新聞の中では、サンファン会議で四円、ヨウ来日で五円、松川訪米で一円高なんというふうに、こういう言葉も言われていますが、そういう言葉は、外国の強い態度があればそのたびに動いていくという印象です。今度の管理されたフロート体制というのは、逆に政府の介入がしやすくなったというような悪印象というものを与える心配がないのかどうか、この二点だけきょうはお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/186
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187・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、政府か介入——いつ、どういう理由で、幾ら介入したかというようなことは記録がはっきりしておるわけでございまして、何もこれを円安にことさら持っていこうとかなんとかということではなくて、急に短資が入り込んできた場合におきましてはどう対処するか、一両日の乱高下を防止するために操作をしたことはございます。しかし、これをならしてみますと、われわれはドルを買ったこととドルを売ったことと比較してみましても、ドルを売ったことの方が、売ってそしてドルを支えたことの方が多いわけなんでございまして、そんなことはもう明らかにそうでないことは理解できると思うのでございます。ただ、日本の場合、非常に輸出が急に伸びてまいりましたので、日本の輸出によりまして影響を受けた部面におきまして、日本の為替政策というようなものが、たまたまエクスキューズになってきた対抗上、日本の為替政策が云々というようなことをたまたま援用する、間違った援用の仕方でございますけれども、なってきたのではないかと思うのでございまして、こいねがわくは日本の国内においてそんな議論が出ないようにせめてしていただきたいと思うのでございまして、正しい事実を踏まえて、正しい議論の展開をしていかないといけないのじゃないかと思うのでございます。相場は確かに最近六月から円高に向いておりますけれども、これはドルの需給がそうしておるわけでございまして、特に操作をしておるわけでは決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/187
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188・近藤忠孝
○近藤忠孝君 最初に大臣にお伺いいたしますが、これは前国会の五月二十二日、本法案の審議をいたしました当委員会の公聴会で、財政制度審議会の中川氏がこう言っているんです。予算と本法案とは一体に運営審議されて可決成立すべきだ、それが分離されている。さらに財政収支試算では、ここ二、三年財政特例法案を出さざるを得ない、だから、特例公債ではむしろ二、三年一緒に発行できる制度をつくるべきだと、こういう提案をしているわけであります。冒頭に大臣に、こういう提案についてどういうお考えをお持ちであるか聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/188
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189・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 非常に御理解いただいておる御発言だと思うのでございます。けれども、だからといって政府は当分の間、特例債を必要とする間は国会に対しまして特例債の発行を予算に定められた限度内で許していただきたいということをお願いすべきではなくて、やはり毎年毎年国会の慎重な御審議を経てやってまいるのが正しいやり方であろうと私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/189
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190・近藤忠孝
○近藤忠孝君 この問題は財政の単年度主義との関係で問題になると思うのですが、大臣としてはなぜ単年度主義をとっておるのか、これについてのどういう理解をしておられるか、この点についても伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/190
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191・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 憲法の八十六条に「内閣は、毎會計年度の豫算を作成し、國會に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」という条文がございますが、これを単年度原則の根拠規定であるというふうな学説があるわけでございます。われわれはこの規定の趣旨は財政民主主義の根幹をなす条文だと考えておりますので、そういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/191
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192・近藤忠孝
○近藤忠孝君 いまの理解ですと、たとえば五十二年度、五十三年度、五十四年度に、各年度に発行する特例債を一本の法律案にするということは法律的には憲法上できない、こう聞いてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/192
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193・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 必ずしもそうでございませんので、一般的な法律論といたしましては、この憲法の条文と矛盾しないやり方の法律構成は可能だと思います。たとえば具体的な例で申しますと、憲法に規定してあります債務負担行為あるいは財政法に規定してあります継続費こういうような、この憲法の条文を踏まえた手続を内包した立法構成というのは可能だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/193
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194・近藤忠孝
○近藤忠孝君 それが赤字公債の発行に関して可能なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/194
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195・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 一般論としては可能な構成を考え得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/195
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196・近藤忠孝
○近藤忠孝君 一種の脱法的な方法もあると、こういうぐあいに聞こえますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/196
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197・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 決して脱法ではなくて、継続費の場合なんかそうなんでございますが、毎年国会にお出ししておるわけでございます。だけど、まとめて金額をお認めいただいております。そういうような法律作法の技術論でございますが、憲法の条文に抵触しない法律構成は可能だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/197
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198・近藤忠孝
○近藤忠孝君 この問題いま法律的に可能かどうかの議論もありますけれども、問題は、この単年度主義の趣旨がやはり国民主権、財政民主主義、そしてさらに政府の自由裁量権を拡大するのを防止をしていく、まあ赤字財政、赤字公債で申しますと、財政の節度を失うのを防止して、借金財政の拡大を、いわば節度を持たせるのですね。そういう一つの歯どめのような面があるのじゃなかろうか、こう思うわけであります。そこで問題は、いまのような立法的に可能かどうかという問題とあわせて、これは最近の新聞によりますと、九月二日の財政制度審議会では、大蔵省はいまの単年度主義に基づいた財政制度、財政運営の方法を根本的に見直すことになり、二日開いた財政制度審議会総会でこの問題を検討する財政運営基本問題小委員会の設置を求め、了承を得たという、こういう記事がございます。これは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/198
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199・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) いささかわれわれが考えております考え方とちょっとずれたところがございます。われわれの考えておりますのは、財政制度の長期的な運営の方途はどうであろうか、あるいは機動的、弾力的方途はどうであろうか、それから財政運営に当たって体質改善をすべき方途はどうであろうかというような観点の検討を二、三年かけてやりたいというふうな考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/199
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200・近藤忠孝
○近藤忠孝君 時が時だけに、そういった中にいま私が指摘したような問題が含まれているんじゃなかろうか、こういう気もするわけで聞いたわけです。
この問題はさらにもう一つの面といたしますと、財政法第四条一項の建設公債も原則的に認めない、そして、建設公債も例外的に認めるという、こういう立場が、今度はこういう指摘があるわけです、財政収支試算では建設公債は長期にわたって発行され、特例公債は例外的に昭和五十五年まで出されると、こういう指摘がありますと、さっき言った問題もあわせて全体的に考えてみますと、建設公債が原則的になって、そして、特例公債が例外的になる、こういうひとつずれていくような方向がいま考えられているんじゃなかろうか、こういう気がするわけであります。前期経済計画でも「公債政策の活用にあたっては、建設公債原則を基本とする。」という、こういう指摘もあるわけですね、となりますと、財政法四条自体を改正して、公債発行を積極的に肯定し、建設公債が原則、そして、赤字公債例外、そして、いつでも出せると、こういう方向をこれまた考えているんじゃなかろうか、こういう気もするわけであります。
そこで、先ほどの単年度主義の問題とあわせて、いま財政制度審議会で財政制度の根本的な見直しがされると、こういうことでありますので、これはきわめて重要な問題であると、こう思います。
そこで、この審議会に対して大蔵大臣の諮問があるわけですが、それに関して幾つかの資料が出されたと思います。ですから、その資料と、それから、これをめぐって当日小委員会も設置されたということでありますので、当日の会議録、こういったものがあるはずだと思いますので、これを提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/200
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201・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 財政制度審議会は財政法の附則八条だったと思いますが、規定がございまして、調査審議させるというような任務になっております。それで通例は、大蔵大臣は審議会に対して諮問をなさっておりません。本年の場合も財政制度審議会に対して大蔵大臣は諮問しておりません。それで、審議会の方では、五十二年度予算編成についてどういう点が問題であるかということを調査審議されると、それからあわせて、近藤委員が御指摘にもございました小委員会というのを設けまして、最近の財政、経済の異常な激変に対処して財政制度の中で検討を要する点はどういう点にあるのかということで、先ほど三点申し上げましたが、そういう角度から長期の時間をかけまして調査、検討をされるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/201
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202・近藤忠孝
○近藤忠孝君 私が指摘した、具体的には単年度主義がはみ出していく。また、財政法四条の原則が崩れてくる、こういった方向がここでは議論されるようなことはないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/202
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203・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 先ほどの青木委員のときに、本年の一月の財政制度審議会のリポートを読み上げましたんでございますが、あのリポートの中に、別の場所でございますが、こういうことが書いてございます。財政の健全性あるいは財政の節度を守るという基本原則を踏まえて、先ほどの、経済社会の変化に対応する必要な点を検討すると、基本的にはそういうことでございまして、あくまでも憲法なり財政法なり、そういう根幹的な中に盛られておる基本的な考え方、これは当然ながら変更するというようなことはあり得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/203
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204・近藤忠孝
○近藤忠孝君 次に、中期国債の問題についてお伺いいたしますが、この中期国債は、買いオペの対象になるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/204
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205・後藤達太
○政府委員(後藤達太君) まだ発行が確定したわけではございませんし、条件等も決まっていないわけでございます。したがいまして、国債でございますから日銀の保有する資産として適格性はあるものだと私思いますけれども、それをどうするかは日本銀行と相談してみないといけないことだと思います。
ただ、今度の国債は個人消化を目的とするものでございますし、現実問題として金融機関が保有するということはほとんどないかと考えます。したがいまして、オペの対象になるかどうかといった現実問題としてはほとんど起こらないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/205
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206・近藤忠孝
○近藤忠孝君 今後この問題になっております中期国債がどんどん発行されまして、そしてこれに乗りかえるという可能性もこれはなきにしもあらずだと思いますね。そういたしますと、買いオペの対象となる可能性としてはあると思うんですよ。その辺どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/206
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207・後藤達太
○政府委員(後藤達太君) 仰せのように将来の問題としまして、金融機関が保有する可能性もゼロではないかと思います。そういう際にオペの対象にするという問題が起こってくる可能性もそれもゼロではないかと思いますが、先の問題でございますのと、まだ発行自体が本決まりになったわけではございませんので、日本銀行等とも相談をいたしておりません。今後の勉強課題とさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/207
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208・近藤忠孝
○近藤忠孝君 次に、これは鈴木委員も問題にいたしました償還計画の問題ですが、私も大変に疑問に思うわけです。
そこで具体的にお伺いしたいんですが、すでに償還計画出されておりますが、この償還計画表によりますと、昭和六十一年度の償還額三兆五千二百五十億円ですかについては、毎年度国債整理基金に繰り入れる前年度首国債総額の百分の一・六相当額の財源、それから後は財政法第六条に基づく予算による繰り入れ、それから後は剰余金等ですね。こういうことによって償還を行なう、こう決まっております。さらに状況によっては期限前償還または買い入れ消却を行う場合もあると、こうあるんですが、今回出される中期国債は、このうちのどれに当てはまるのか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/208
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209・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 五十一年の場合で申しますと、その注に書いてございます特例法に基づく公債ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/209
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210・近藤忠孝
○近藤忠孝君 特例法のどれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/210
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211・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) いま予算書についております償還計画の注をお読みになったかと思うのでございますが、あそこで言う特例法に基づく公債ということになります、本年の場合、もし出すとすれば。(資料提示)こちらではなくて、もう一つのこちらの公債になります、こちらの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/211
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212・近藤忠孝
○近藤忠孝君 要するに私の思うには、この間出されている償還計画とは違うんですね。違うものになるわけですよ。そこが同じか違うか、まずお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/212
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213・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 御指摘のとおり、本年の当初の三兆七千五百億の特例公債は十年ものとして予定しておったわけでございます。そういう意味においては償還期限が変わっておるわけでございます。ただ、金額はその中に入っておる。それから償還計画表の意味するところは、先ほど申しましたように償還の方法なり償還の期限を審議の便宜に供するためにお示しするという考え方によっているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/213
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214・近藤忠孝
○近藤忠孝君 期限はその中に入っていると言うんですが、しかしここの、先ほど私が読み上げた方の、期限前償還または買い入れ消却、これではないわけですね。となりますと、期限のうちに入っているというわけにこれはいかないんだと思うんです。これは全く別なものでして、まず五年、そしてもし十年、同じところにいきますと十年ということになるのですが、もう一度借りかえしなければいかぬ。その借りかえはこれはできない、しないことになっていますね。となりますと、いままで全く予定してない償還じゃないでしょうか。そこをはっきり認められることが大変大事だと思うんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/214
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215・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 御指摘の意味においては違うものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/215
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216・近藤忠孝
○近藤忠孝君 違うということがはっきりしましたので、そこで確認いたしますが、今度特例法の第四条——先ほど読まれましたね。これ、なぜこういう規定を設けたかと申しますと、これは財政法四条第二項に規定している償還計画とは違うからですね。あそこではあくまでも建設公債、そして特例公債を認めてないわけです。認めてないところでありますから、新しくこの法律によって償還計画を規定しておる。そしてそれはやっぱり国会の承認が必要だ。こういうのがこの法律のこれは論理的な解釈なんです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/216
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217・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 財政法四条にかかわらずという規定が、第二条に「のほか」という規定が入っておりますが、いまの償還計画の条文は、四十年の特例法の場合も同様に規定をしておりまして、法律的には四条の二項の償還計画と同じ性格のものだというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/217
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218・近藤忠孝
○近藤忠孝君 それはあなたの解釈だと思いますけれども、元来、財政法四条二項で認めてないものをこの特例法によって認めるんですからね。ですから償還計画も初めてこの法律によって出てくるわけです。ですからあなたのそれは一方的な解釈であって、これは国会の承認必要ないと、先ほど鈴木委員に答えましたけれども、これはもう一度この法の立法の精神に従ってそれは抜本的に考えてもらわなければいかぬと思うんです。あくまでも違う方法なんですからね、違うものなんだから。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/218
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219・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) ただいまも申し上げましたが、四十年の特例債の場合、それから昨年の十月の補正国会でお願いいたしました特例法、このいずれもこういうような条文が書いてございまして、その償還計画の意味するところは、財政法の償還計画と同じ概念であるというふうに解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/219
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220・近藤忠孝
○近藤忠孝君 それはあなたの解釈だと言うんであって、これは参議院大蔵委員会の調査室の参考資料にはこう書いてあるんですね。「本案によって発行しようとする公債は、税収不足を補うための公債であり、財政法第四条一項ただし書による公債と性格を異にしているため、ここに改めて償還計画の提出義務を明記したものである。」私はこれ支持します。となりますと、行政と立法の考えがこれ対立したことになるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/220
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221・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 決して近藤委員の考えておられることと私が申し上げていることとは違ってないんで、そこに使っている償還計画表は明らかに違うものなんですが、その償還計画表の概念は同じものだということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/221
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222・近藤忠孝
○近藤忠孝君 要するに、いままでのは建設公債と違って税収不足を補うための特別なんだから、だから特に国会の審議も要するという、こういうことですからこれ以上議論しませんが、私は、承認を必要としないという先ほど来の答弁は、これは誤りだと、こう思います。
時間の関係で先へ進みたいと思いますが、そこで、この発行条件でありますが、ほかの、たとえば電力債とか貸付信託などと比較しての税引き前の利回りをお伺いしたいんですが、電力債、貸付信託、そしてこの中期国債、これと比較して税引き前の応募者利回りは幾らでしょうか、それぞれ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/222
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223・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) まだシ団に対しまして骨格を示しているだけでございまして、五年ものという期間ははっきりいたしておりますけれども、それをどういう条件にするかということはまだ決まっておりません。したがいまして、そのもとになりますものが決まっておりませんので、税引きという形での比較はまだできないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/223
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224・近藤忠孝
○近藤忠孝君 伝えられているところによると、八・二二七と聞いておるんですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/224
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225・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 八・二二七というのは、現在の十年ものの国債の応募者利回りであると思います。いま私どもが考えておりますのは五年ものの割引債でございますから、それはまたおのずから期間対応の金利は変わってまいります。割引形式をとりますから、またそれと一様に論じられない問題ではないかと思うわけでございますが、まだとにかく未定でございます、いまから条件等を決めていくわけでございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/225
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226・近藤忠孝
○近藤忠孝君 ただ、先ほど来議論されておるとおり、割引債が一一%の分離課税になると、この点が不公平税制かどうかということですね、この辺が大分議論されてまいりました。そこで、この点について、これは先ほど大塚委員が指摘された点でありますが、この中期国債を買って利益になる限度と、それから利益にならない限度とあると思うんですね。大体それがどの程度の預金を持っている人の場合、それが分岐点になるのか。この点については当然算定していると思うんですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/226
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227・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) その免税になりますところの金融資産というものを全部、たとえばサラリーマンを例にとりまして集めますと、千四百万円までになります。それはマル優三百万、国債別枠三百万、郵便貯金三百万、それに五百万の財形貯蓄を入れますと千四百万になるわけです。それを、そういうものを全部使った人だけが割引債を買うのかということになりますと、それはいま現に割引債形式をとっている一年ものの金融債があるわけでございますから、これと同性質のものである。それじゃそういうものを買う人たちはそういう千四百万オーバーしたものが初めて出てくるのかというと必ずしもそうではございません。それから私どもちょっと非公式な統計で先ほど大塚先生のときにちょっと間に合いませんでいま調べておりますんですけれども、金融機関の窓口、あるいは非常に雑ではございますが、統計をとってみたところでは、金融債のその買う人の金額、一人頭の金額、これはもし大変な金持ちだけが買うということであれば一遍に買う金額というのはまあ三百万とか四百万とかというような金額であろうと思いますが、金融債のいまの購入金額の平均は五十万をはるかに下に下がっております。したがって、二十万、三十万という単位で買っておられる方、もっとあるいは十万、五万というような金融債の買い方というのは十分考えられるわけで、それは金融資産として何と比較して買っておられるのか、これはもうまことに千差万別であろうと思います。そういうものは統計のとりようもございませんが、たとえば三年後にあるいは五年後に何か計画があると、それまでの間の資金として十万円なら十万円を確保しておきたい、それを割引債の方式で買っておけば満期になれば十万円になるけれども、現在十万円持っているからその差額のお金を利用できるという魅力があるということで、税の一一%という頭のほかに、そういう計算でお買いになる方というのはかなりあるわけでございます。したがいまして、割引金融債を買う人は全部金持ちで、しかもそれは千四百万とか三百万とかの減税枠を消化した人たちだけが買うのだという概念で見ますと、私どもはどうも中期割引国債を出すのは大変心もとない感じがいたします。そういうことではなくて、そういう比較がなかなかできないのではないか。で、むしろ日本の場合は余りにも個人の金融資産の中で預貯金に対する偏り方が激しい、約五〇%は預貯金に行っている、こういう状態に対して、やはり一方では金融資産の多様化ということが言われておるわけですから、割引金融債というものの性悪説みたいなものだけが出てくるべきものではないのではないか、それをまたどの基準で比べるかということは、これはなかなか個人差がございます。そこにまあ金融資産の多様化というものが必要になってくるわけでございます。必ず千四百万まではみんな免税に行って、そして初めてそこから動き出すというような性質のものではないと私どもは承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/227
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228・近藤忠孝
○近藤忠孝君 いまの局長の答弁は、どういう階層の人が買うかという予測について漠然と考えているにすぎないんです。で、いろんな人がおると思うんです。しかし、たくさんいる中の一つの傾向というのは必ず出てくるわけですね。それがどんなのが基準になるかといえば、これは先ほど来問題になっておるとおり、たとえば四人家族の世帯で見てみますと、銀行預金の非課税三百万、郵便貯金の非課税三百万、少額国債の非課税三百万のマル優制度、これを四人とも利用して、さらに財形貯蓄の非課税限度額五百万、そうするとこれが四千百万になるというのはこれはもう当然単純計算で出てくるわけです。この四千百万というのは先ほど大塚委員も指摘があった数字なんですが、ここがやっぱり非課税の限度ですね。そうでしょう。これは計算でそうなるわけですよ。となれば、いろんな人がおるけれども、この非課税を一つの買うか買わぬかの基準にして判断する人が相当数おる。大体そういうものだと思うんです。となりますと、まず最初にお伺いしたいのは、いま私が指摘した数字が、要するに四千百万というのは一つの分岐点になるだろうと、この点についてはお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/228
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229・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 子供まで含めてそれだけの資産があるということになりますと、まずそれは、私、税の専門家じゃございませんが、贈与が行われたりなんかしておるわけで、そこで贈与の税金がかかったり、いろんな税負担が私はかかっておるだろうと、生まれた子供がいきなり一千何百万か、それは持つわけがございませんから、したがいまして、そういう計算は私どもはしておりません。むしろ実態的に見まして、割引金融債をたとえば証券会社の窓口で販売している状況を調べてみますと、五十万円以下の、件数でございますから大体六六%ぐらいが五十万円以下のお客さんでございます。割引金融債を銀行の窓口で販売いたしておりますが、これの一件当たりの買い方の平均額は四十九年で二十二万、五十年で二十六万でございます。したがって、やはり私はいまのような観点で見ていただくのではなくて、もっともっとやっぱり金融商品の多様化というものが行われていないための、いわば金融知識の貧困がむしろ預貯金に集まっているというふうに考えております。したがいまして、先生のおっしゃる点わからぬでもございませんが、その四千何百万というようなものを計算にされるのは、私はちょっと、ただ抽象的な計算にすぎないんではないかという気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/229
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230・近藤忠孝
○近藤忠孝君 いろんな要素がありますから、この四千百万というのは動く数字ですね。これは未成年者がおればあるいはもっと低くなるかもしれません。しかし標準家族で見て、これがメリットになるかならぬかの一つの基準である。人によっては、ある家庭によってはそれが三千万になるかもしれませんね。しかし一定の標準的な成年者がそろっているそういうところの場合に、四千百万というのは一つのメリットになって、そしてそれ以上が得をする、こういう情勢になっているのではなかろうか、そのことをお認めになって少しもおかしくはないんじゃないかと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/230
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231・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 四千四百万というのは千百万の四つの集まりでございますね。しかし子供はどうしてその千百万がいきなり資産として生ずるのかといえば、それは親からもらうか何かしなければない。それは贈与税がかかりますね。その税金負担してまでなおかつその無税の計算をなさるところにおかしなところが私はあると思います。大人が四人集まれば確かに四千四百万でございましょう。それはもちろんそのときに、その所得がどうやって生じてきたかという源泉はよく調べてみなければわかりません。しかし、子供がいきなり千百万の資産ができるわけがございませんから、それはいまの税法でいけば毎年六十万とかというものが免税の限度でございます。したがって、千百万に至るまでには何十年かかかります。そういうことを計算に入れないで、いきなり千百万、これは無税だと、子供も無税だと、だからそれだけの金を持っていた人が買うのだという計算にはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/231
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232・近藤忠孝
○近藤忠孝君 まあそういう答弁ですと、これは私の質問を認めたことになるんですね。要するに四千百万というのはあくまで理論的な一つの数字なんです。だから、一つの典型的な標準家族の場合にそうなるし、あるいは子供が多ければそうならない場合もあるし、それはそうなんですね。しかし、理論的にはそうなる可能性がある。そして、それ以上、四千百万以上預貯金を持っていると、普通の場合には三〇%の源泉分離選択課税をかけられるんですね。そういう人がここで救われる、有利になる。そういう一つの数字として私は四千百万というのは理論的に出てくると思うんです。これは三千万になってもそれはいいと思うんですよ。しかし、少なくともそういう一つの数字であるということ、それを前提として比較してみたいと思うんです。
まず、これは国税庁の調査でありますが、平均一世帯当たりの預貯金が百七十万となりますと、これは余りにもけたのはずれている、国民大衆にとっておよそかけ離れたところのメリットじゃなかろうか、メリットある基準がおよそかけ離れているんじゃないか、こういうことを指摘したいんですが、これは先ほどから指摘されているとおりまさに不公正税制の最たる重要な一つになるのじゃなかろうか、まさに不公正税制を助長奨励することにならないか、こういう疑問が出てくるのは当然だと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/232
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233・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 四千百万という数字を判断の基準にお使いになるということにつきましては、理財局長から申し上げたように、やや——どう申し上げましょうか、やや理に走り過ぎておってどうも実態に合わないんではないかねという感じが率直なところいたしますが、その問題を子供さんがどうなるとかなんとかいうことを別に考えますと、現に所得のある人について言えばそれは千四百万だと、これが高過ぎるという御指摘はかつて当委員会ではあったと思います。それはちょうど二百万を三百万に、それから財形の三百万を五百万に引き上げた法案を提出いたしましたときに、一人千四百万という非課税額は大き過ぎるじゃないかという御指摘がありました。そのときに私の記憶では——私は当時何をやっておったかちょっと記憶しておりませんが、政府側のお答えとしては、いやそれはそういう可能性を持っていることは認めますと、しかし、あらゆる方がまず預貯金をやり、いっぱいになったら別枠の国債を買い、それから郵便貯金にいき、全部使ってそれからほかの資産を持つというわけではないんではないでしょうかと、それぞれの一種のお好みのようなものがあって、私は郵便貯金の方がいいとか、私は近くの銀行へ預けているんだとかいうようなことであって、いわばそれぞれの選択のときにその金融資産としてどのくらいが妥当だろうかと。大衆の貯蓄について税を免除するということで大衆貯蓄を奨励しょうという感覚から言ってどのぐらいが適当なんだろうかということとして、現状ではまあ一つの袋が三百万というふうに考えて御提案したものであって、全部合わせて千四百万だという感覚で御議論いただくのはちょっと本意と違うんでございますというようなことを、たしかあのときの大蔵大臣は福田大臣であったかと思いますが、お答えになっておった。私もいまでもどうもそういう気がいたします。したがって、幾らの人がここから税金がかかり始めるかというときに、一人なら千四百万とか、四人家族なら四千百万というふうに問題を提起されましても、そうかな、それは大き過ぎるのかなあという気がしまして、現にあの三百万というのを下げろという御意見というのは実は余り伺ってないわけでございますね。一つ一つの袋について、郵貯の三百万が高過ぎるとか、マル優の三百万が高過ぎるとかいうふうにはどうも伺っていないものでございますから、私の立場から言えばいまくどく申し上げたような感じでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/233
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234・近藤忠孝
○近藤忠孝君 四千百万にずいぶんこだわっているようですが、また理に走るというのですけれども、大体大蔵省は理に走って理に従っているし、大体理財局というのはまさに理に従ってこれは行政をしているところだと思うんですね。その一つの理として私は四千百万というものが一つのめどになるんじゃなかろうかと、こういったことを指摘したわけであります。そうして、こういう国債の発行が、これから指摘するとおり、インフレとのつながりが大変あるということでありますが、そこで私は次の質問に入る前に資料要求をしたいと思います。
まず、国債関係としてこれは一覧表をお示ししてありますけれども、一番目に、昭和五十一年度の公共債、これは括弧内は、国債、地方債、政府保証債などですね、その発行予定額。二番目に、昭和五十年度末の公共債発行残高及び保有者別比率、その内訳は、日銀、都銀、地銀、相銀、その他の金融機関、証券会社、個人。三番目に、昭和四十一年度から五十年度まで各年度ごとの新規長期国債発行額と同国債の日銀保有残高の推移。四番目に、今後発行予定の中期国債、政府保証債、事業債、金融債、地方債及び長期国債の税引き前応募者利回りと税引き後の応募者利回り。五番目に、今後発行予定の中期割引国債の発行条件と償還計画。これは先ほど質問してはっきりしていない面もありますので、この点をさらに明確にしていただきたいと思います。
それから六番目は、いま私が議論した、標準世帯が現行の少額貯蓄、郵便貯金、少額国債及び財形貯蓄等の非課税制度のもとで中期割引国債を買って有利になるのは幾ら以上の元本の場合か、これを示してもらいたい。いま議論があった点をもしも大蔵省として一つのそういうものがあればお示しいただきたいと、こう思うわけであります。
それから、インフレとの関係について、これは前国会でも衆参両院で繰り返して議論されてまいりました。その際、前の理財局長は、国債の発行時にはマネーサプライは変わらない、しかしながら、国債発行を通じて調達された資金が市中に回るときにはマネーサプライがふえてこれがインフレ的な影響を及ぼすのではないかという意見が非常に強かった。私どもも非常に捨象された議論であればそういう可能性は十分にあるという認識を持っております。しかし現在の状況では、たとえば設備の稼働率がまだ低いとか、生産水準の現状では余り心配ない、こういう話をされておるわけであります。で、この考えはいまも変わりがないかどうか、現理財局長お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/234
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235・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) 節度のある財政運営と、それから適切な金融政策といいますか、そういうものがある限りにおきましては、私は国債を発行してそれが即インフレだと断定できないんではないかと。むしろ国債を発行しなくてもインフレは起きる経済はあり得ると思います。したがいまして、ある前提に立って——いまの御説に対しては、それは一つの学説としていろいろ言われておると思いますけれども、結論から申し上げれば、結局そういうことを踏まえてそういう金融環境に対して金融当局あるいは日本銀行、そういうものがどういう金融の調整をやっていくか、経済判断をどういうふうに下しているかというところに私は結局しぼられていくんだろうと思います。したがいまして、いまの御議論をそのままにいたしますと、たとえばいまのように需要が強くないときには、国債を出していてもインフレにならぬけれども、需要が強くなってきてあれすればインフレになっていくというようなことに帰着されるおそれがございますので、その点は私どもはやや心配でございます。むしろそれよりも、これから長く国債を抱えていく財政でございますから、それを踏まえた上でなおかつそれを、その金融環境をながめた金融政策というものが節度ある調整をやっていくならば、私はインフレに必ずいくというふうにきめつけるのはいかがなものであろうかとも考えております。
それから、先ほどの御資料の要求は、委員長、御提出できるものとできないものとございますので。それから、先ほどの中期債のようにまだ条件も決まっていないものもございますし、それから税引きの計算ができないものもございますので、私どものできますものだけを出さしていただくということでよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/235
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236・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 近藤委員の要求された資料につきましては、後ほど理事会においてお諮りをすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/236
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237・近藤忠孝
○近藤忠孝君 いまの答弁をもとにしてインフレと国債発行の関係について議論しておきたいんですが、時間もありませんのでこれは今後の質疑の一つの資料としてやはり資料要求をしたいと思います。
インフレ問題に関連する資料として四点ばかりありますが、第一は、ことし十月から来年三月主での各月別資金需給計画。二番目に、ことし十月から来年三月までのM1、M2の見通し。三番目に、過去十年間のマーシャルのkの推移及び五十一年度の見通し。四番目に、過去五年間とことし一日から九月までの各月別の企業の手元流動性、それを大企業、中小企業別及び業種別に示していたがきたい。そういった資料をもとにして次回にこの問題についてさらに質疑をしていきたいと思います。
あわせて、それからもっと今日のこういう財政危機をもたらした原因が、やはりいままでの政府の施策にあったということ、そんなことを指摘したいわけでありますが、それに関連する資料といたしまして、税制関係として、第一に昭和五十年代前期経済計画の経済見通しを基礎とした場合、税制改正がなく現行税制のまま推移したと仮定すると、昭和五十二年度から昭和五十五年度までの各年度ごとの税目別一源泉所得税、申告所得税、法人税、酒税、物品税、その他一税収額とその合計額及び印紙収入額と総合計額はどうなるか。これ一覧表で示していただきたい。
第二番目に、昭和五十年代前期経済計画の経済見通しを基礎とした場合、所得税法の改正がなく推移したと仮定すると、単身者及び標準世帯、これは夫婦子供二人の給与所得者の年収とその増加率、所得税とその増加率は昭和五十一年度から昭和五十五年度まで各年度ごとにどのように推移するか。昭和五十年度の年収を基準にし、次のケースについて試算した一覧表で示していただきたい。
一、単身者、それは年収百万の場合、年収百五十万の場合。二、標準世帯、年収百万、それから二百万、三百万、四百万、五百万、六百万、一千万。
それから三番目に、法人について所得金額に受取配当の益金不算入額、貸倒引当金、退職給与引当金、価格変動準備金、海外投資等損失準備金、特別償却額を加えた合計額について次の資本金階級別に法人税額、法人事業税額、法人住民税額はそれぞれ幾らになるか。また、その合計額の所得金額に対する負担割合、法人税額の実質所得に対する負担割合はどうなるか。次の資本金階級別に一覧表で示してもらいたい。
昭和四十九年分の法人企業の実態等の数値を基礎として算出されたい。一が一千万未満、二は一千万以上五千万未満、三が五千万以上一億円未満、四が一億円以上十億円未満、五が十億円以上五十億円未満、六、五十億円以上百億円未満、七、百億円以上。
それから四番目に、これは通産省に対する要求でありますが、通産省が昨年調査した企業の公害防止設備に対する税制上の優遇諸措置の利用状況を大企業、中小企業別及び業種別に一覧表で明らかにしてもらいたい。
それから五番目に、法人の受取配当の非課税措置、貸倒引当金、退職給与引当金、価格変動準備金、海外投資等損失準備金、公害防止準備金、特別償却、割増償却、試験研究費等の利用状況を次の資本金階級別に区分して最新の統計を提出してもらいたい。
百万円未満が一、二番目が百万円以上五百万未満、三が五百万円以上一千万円未満、四、一千万円以上五千万円未満、五、五千万円以上一億円未満、六、一億円以上十億円未満、七、十億円以上五十億円未満、八、五十億円以上百億円未満、九、百億円以上。この一部については先ほどお示しいただきましたので、残った分についてお示しいただきたいと思います。
それから次に、昭和五十年における主要間接税、これは酒税、たばこ専売納付金、砂糖消費税、物品税、電気ガス税、自動車重量税等です。の所得階層別負担額及び負担割合を一覧表で示してもらいたい。以上が税制関係であります。それからさらに、財政関係としてあと若干ございますが、一、一般会計歳出予算主要経費を、公共事業関係費防衛関係費、経済協力費国債費、産業投資特別会計への繰入費。社会保障関係費、文教及び科学振興費恩給関係費、地方交付税交付金、中小企業対策費食糧管理費。その他の経費、予備費に分け、過去十年間にわたる各費目の伸び率及び構成比を各年度ごとに示してもらいたい。
二番目に、道路整備、港湾整備、空港整備の各五カ年計画と、治山治水、下水道整備、住宅建設、都市公園等整備の各五カ年計画について、第一次五カ年計画発足時から、現在の五カ年計画に至る事業費の累計額と、その達成率を示してもらいたい。
三番目に、昭和五十一年九月二日に開かれた財政制度審議会に対する大蔵大臣の諮問に関する資料、大蔵省提出の一切の付属資料及び当日の会議録、これは先ほど質問した関連であります。
以上です。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/237
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238・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 先ほど理財局長から申し上げましたのと同様に、できそうなものと、とうていできないかもしれないものといろいろございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/238
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239・後藤達太
○政府委員(後藤達太君) 私どもの関係の資料の御要求も若干ございましたが、たとえば見通しに関するM1、M2というのは、ちょっとこれはなかなか計算のできないものでございまして、マーシャルのk程度の実績等はもちろん御提出させていただきますが、ちょっとできないものはそういうことで御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/239
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240・加藤隆司
○政府委員(加藤隆司君) 財政関係の御要求資料につきましても同様でございまして、一番、二番はつくりますが、三番の資料は、先ほど午前中の御要求がございました概算要求額についての閣議の報告とかそういうようなものをお配りしておりますので、重複いたしますので省略さしていただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/240
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241・岩動道行
○委員長(岩動道行君) それでは、資料につきましては、政府よりただいま答弁がありましたが、なお具体的には理事会においてお諮りすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/241
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242・和田春生
○和田春生君 今回の特例公債の発行につきましては、それを余儀なくされた事情というものについては、賛否は別にいたしまして事実問題として認めざるを得ないと思います。この点については先ほど青木先生が指摘をされたとおりだと思うのですが、しかし、この特例公債を発行する政府の姿勢と物の考え方については私どもはとうてい同意することができないわけであります。しかし、すでに審議は大詰めに近づいているわけでありますし、また大変時間的に限られておりますから、細かい数字のやりとりをやりましても大して有益ではないと思いますので、私は主として大蔵大臣に次の三点をしぼって質問をいたしたいと思いますので、できるだけ的確にお答えを下さるようお願いをしておきたいと思うのです。
その第一点は、この事態を招いた内閣の政治責任という問題についてであります。このことについて特に私が触れますのは、大蔵大臣御記憶であろうと思いますけれども、昨年の三月、本院の予算委員会の総括質問におきまして、五十年度予算の審議に関して、今日の事態があるであろうことを予測して、財政需要と歳入のバランスという問題で私は幾つか御質問を申し上げました。その均衡という問題については余りはっきりしたお答えは得られなかったわけですけれども、歳入面につきましては、やりとりの中で幾つかの注目すべき御答弁を大蔵大臣からいただいているわけであります。ここに議事録がありますが、議事録を一々読むことは時間の関係上省略をいたしますけれども、大蔵大臣は財政需要と収入とのバランスという中において、重要なポイントの一つとして間接税を見直していくんだという意味のことを言われました。それに関していろいろ言われましたので、私は一つは従量税から従価税あるいは売上税、付加価値税、これらも検討の中に含まれているのか、こういうふうに尋ねたことに対して、大蔵大臣は、具体的な手順をもってすでに政府が作業を進めていると、こういうことではないんだけれども、間接税の見直しということは非常に重要なポイントなんだ、こういうふうにおっしゃっておるわけであります。そして、その点について、私が五十一年度の予算編成までをめどにして検討をする、もし検討した結果、間接税の比重をふやすということはむずかしいとなったときには、やはり財政需要と歳入とのバランスはどこでとるおつもりか、こういうことを聞いたことに対しまして、歳出を御遠慮してもらうか、間接税がむずかしければ直接税の増徴ができるかどうか、それも不可能であれば、公債がどれだけ発行できるか、そういうことを検討するが、ここが大事なんですが、「私どもといたしましては、公債財政に対する依存はできるだけ薄めてまいる方向で問題を考えていくべきであると思っておる」と、こういうふうに大蔵大臣はお答えになっている。そして、この問題の最終的に毎年の財政のバランスのことを伺っているわけなんですけれども、そういう点について、それでは五十一年度の予算編成までには見直すというめどは一応立てておるけれども、具体的なことはまだ考えていない、こういうふうに理解してよろしいんですかと念を押したことについて、大平大蔵大臣は、「さようでございます。」と、それを肯定していらっしゃるわけであります。現在すでに五十一年で、五十一年度の予算はすでに成立をいたしておりまして、財政特例法の審議が諸般の政治的事情で今日に持ち越されているわけでございますが、昨年の補正後の特例公債、約二兆二千九百億円、これに対しまして、さらに大幅にふえて、三兆七千二百五十億円という赤字公債を発行しなくてはならなくなった。さらに先ほど来同僚委員の質問に対しまして、歳入の方の重要な根幹をなす税制その他については、一向に検討された気配がなさそうでございまして、これから取り組もうと、こういうふうにおっしゃっているわけです。去年の三月の大蔵大臣と私とのやりとりでは、五十一年度の予算の編成をめどにして見直しをするとあなたはおっしゃった、そして公債に依存をするということはできるだけ薄めていかなくてはならぬとおっしゃった、議事録に書いてあるとおりであります。ところが事実は全く逆になっているんで、相変わらず大蔵大臣をしていらっしゃるわけですが、その点に関する内閣としての政治責任というものをどうお考えになるか、この際しかと承っておきたいと、こういうふうに思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/242
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243・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 公債依存を薄めてまいるということは、私どもが日夜考えておりまする財政運営の基本でございます。具体的に申しまして、五十一年度の予算が二九・九%、約三割の依存率に結果的になりましたことは、大変残念でございまするけれども、これはわれわれが努力しなかったからこうなったわけでなくて、われわれが努力したにかかわらずこうなった次第でございます。この公債依存財政からの脱却ということについての政府の熱意は、常に変わらず持ち続けておるつもりでございますし、今後もそういう態度で終始いたしたいと考えております。
〔委員長退席、理事中西一郎君着席〕
それから第二の点でございますけれども、歳入の見直しの問題でございます。歳入の見直しという問題は、大変これは、一口に申しまして見直しと申しますけれども、これは大事業でございまして、けさほどからもお聞き取りいただきましたように、これは長期的見直しもございますれば、中期的な見直しもございますし、単年度の見直しもあるわけでございまして、政府は毎年度の予算を組むに当たりまして、まず歳入を固めてまいるわけでございまして、歳入計画が大体固まりますと、ほぼ予算編成の半分の仕事ができたという感じを私どもが持つに至るゆえんのものもそこにあるわけでございます。したがって、五十一年度のようなむずかしい予算の編成に当たりまして、歳入をどのようにあんばいしてまいるかと、それから税制をどのように見てまいるかということは、当然見直さなけりゃならぬ大問題でございまして、われわれの考え方は、まず中期的に見ましても、長期的に見ましても、相当日本の税制については見直さなければならない時期に際会いたしておりまするけれども、五十一年度は少なくともこの現行税制にもう一度かんなをかけて、不公正なものがありとすれば、それをまず取り出して処置していくということをやることによって次のステップにするということは、当面の目標でなければならぬと存じまして、かつてない大幅の租税特別措置の見直しをいたしたわけでございまして、なるほど平年度わずか千百五十億の減収を回避することで……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/243
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244・和田春生
○和田春生君 ちょっと御答弁の途中ですが、私の質問していることとちょっとお答えが違うんですよ。時間が余りありませんので、適確にお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/244
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245・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) ございますけれども、しかし重点はそういうことを五十一年度といたしましては見直しの場合に力点を置いたというように御理解をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/245
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246・和田春生
○和田春生君 先ほど省略しましたけれどもね、前提があって、三木内閣の方針として、静かな成長にもっていくと、低成長時代に経済優先よりも福祉を重視するということをおっしゃったのを受けて、しかしそうなってくると、国税収入は御承知のとおりもう法人税、所得税、酒税と、これは成長の度合いがずうっと低くなっていけば、そうそう自然増収も出て、前年度に比べてふえていくというわけにはいかない、そういう事情が一方にある。しかも建設的な事業でなくて、福祉というものは大事なことだけれども、これはいわば移転経費であると、そういうものを公債に頼っていけば自転車操業になるではありませんかということを前提にして、どうしてもその財政需要を満たすためには歳入というものがアンバランスになるんじゃないですかと、どこで持ってくるのか、もしそれを見直さないとすれば、どっかでへこまさなくちゃいけないんじゃないか。何をへこますのかということについてお答えがなかったから、それについて、じゃ収入を確保するために公債に依存するわけにいかないが、税制関係はどうするのかということをお伺いしたんです。それにあなたは、五十一年度の予算の編成までにそれをめどにして見直すとおっしゃった。議事録にちゃんと出てるんです。何にも見直しをしていないじゃありませんか。そして、そうなるよと言って指摘したにかかわらず、そのままでやって、結局赤字公債の三兆七千億円以上を出すということになったわけですから、その責任をどうお感じになっているんですかと私が問うて、あなたがお答えになったことと全く逆の結果になってきているじゃないですか。こうなることをもうすでに見通されておったから、私はどうされるつもりかと言ってお伺いしたのが、いわゆる昨年の予算委員会の総括質問の中身だったわけです。逆の結果になったじゃないですか。なっちゃったから仕方がない、赤字公債を発行しなけりゃ五十一年度予算はつじつまが合わないんだから認めてくださいじゃ済まないでしょう。大蔵大臣だけではなく三木総理大臣を含めて三木内閣の政治責任をどういうふうにお感じ取っているのか、そのことをお聞きしているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/246
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247・大倉眞隆
○政府委員(大倉眞隆君) 和田委員のただいま御指摘になっておりますのは、五十年三月の予算委員会での御質疑でございまして、実はその後、五十年の夏に予想外の歳入欠陥が生じまして、しかも、歳出も切らず、歳出を追加し、不足財源は増税によらず、公債によると、それが経済政策としてはそうせざるを得ないだろうという判断の時期がその後にはさまって、それで五十一年に移ってきたということで、五十年三月の状況では実はあのときにお出ししていた予算に比べて、なお三兆数千億も減ってしまうということが予測できなかった状態での御質疑から始まっておるんではないかと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/247
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248・和田春生
○和田春生君 大蔵大臣、残念ながらお答えにならないんですが、予測できなかったというお答えでございました。私どもは必ずしもそうは考えないわけでありますが、それは一つ置いておいて、それではそうなったということを前提にいたしまして、第二点の質問に移りたいと思うんですが、それならば、これから後についても、かつてのような超高度経済成長は認められない、そして財政需要というものは、年々一定の規模でふえていくということは避けがたい、そういう条件のもとに、これからどういう方法で財政運営をしていかれるのであろうか、特例公債が去年が補正、ことし、ことし限りではだめ、来年も再来年もと続いていけば、まさにこれは国家財政の自転車操業になる、ついには歯どめがなくなるわけです。歳入を確保しなくてはならない、どういうふうにお考えになっているか、その基本的な方針について、きょうは税制問題の議論ではございませんから、基本的な点について大蔵大臣として何に重点を置いて歳入面を確保していくというふうにお考えになっているか、端的にお伺いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/248
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249・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) それはまあ財政収支の試算でもスケルトンをお示しいたしましたように、どういう程度財政需要を満たすべきであるか、これに対しまして、われわれはどういう方法でその歳入を充足すべきであるかという中期的な展望をお示しして御審議をいただいたわけでございますが、これを貫く精神は、五十年代の前半には特例債をなくしようということを目標にいたしまして、歳入と歳出全般にわたりまして、かたきところをいろいろな施策をあわせ行いまして、その目標を達成しようというのが、いま政府の基本の方針でございます。
税収入につきましては、四十八年−五十一年の平均の税負担よりは、中央において二%、地方において一%程度税負担を重くしていただかないと、そのことが達成できないという試算になりますが、それをどう考えたらいいかということを中心にいたしまして、いま税制調査会で御審議を願っておるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/249
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250・和田春生
○和田春生君 そのことは承知しているんですけれども、国民の負担をふやさなくてはならないだろうと。それに対する賛否の議論はきょうは横に置いておきます。仮にそうなって負担をふやさなくてはいかぬというときに、直接税と間接税の二つがあるわけですけれども、間接税に重点を置かれるかのごとくに承っているわけですが、間接税に重点を置くとすると、どの間接税に重点を置いて見直すというお考えなのか、ひとつ端的にお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/250
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251・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) いま直間の比率が七対三ぐらいになっておりまして、先進国の中でも直接税に非常にウエートが高くなっておりますことは和田さんも御承知のとおりでございます。しかし、いま、だから間接税に重点を置いての御審議を願いたいというようなお願いの仕方はいたしていないわけでございまして、所得課税、資産課税、消費課税等、税制全体にわたっての見直しをいまお願いをしておるわけでございまして、政府はあらかじめ間接税を中心にしつつ、力点を置いてお願いしたいという意味の問題の設定はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/251
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252・和田春生
○和田春生君 私も、税調の委員も十年以上やっておりましたし、税の問題は多少勉強さしていただいたんですが、そういうあいまいなことではごまかせないと思うんですね。経済成長率がそれほど伸びないという場合に、直接税の伸びというものは余り期待できない、そうなんですね。そうすると、直接税の税率を思い切って引き上げることにするのか、それとも、それが非常にむずかしいとすれば間接税にウエートを置くのか、じゃ間接税の中で何にウエートを置くのかということでないと、財産税その他の問題もありますが、それは補完的なものであって、それでこれから需要は増大をしていくものに対応する歳入を確保しようといってもなかなかむずかしいので、大蔵大臣、腹で何をお考えになっているかということを聞いているんです。いまのお答えをそのままであるとすると、まだ何にも考えていない、これからゆるりと検討しようということに受け取らざるを得ないわけですけれども、五十一年度はもうすでに半年以上経過をしたわけでありますが、五十二年の予算の編成がいま進められておる。もうことしの年末には特別国会か通常国会、来年は五十二年度予算を審議しなくてはならない、その五十二年度予算の歳入の中における税のあり方というものについて、本当はもう大蔵大臣の腹の中になければならぬはずなんです。ないとすれば、大変これは一国の財布を預かる大蔵大臣として不見識であると先礼ながら申し上げなくてはいけない。そのことを端的に、具体的に何がどうだ、どれだけ、何%とかいう細かいことを聞いているんじゃない、どこに重点を置いて、どう考えようとしているか、ずばりそのことをお聞きしたい。それは、この五十一年度予算から五十二年度、五十三年度へ続いていく国家の財政の運営の基根にかかわることなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/252
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253・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 主税局長からもお話し申し上げておりますように、いま税制調査会では中期的な意味で税制の見直しをお願いしているわけでございますが、
〔理事中西一郎君退席、理事戸塚進也君着席〕
その中でこの五十二年度の予算編成までには、まあ本題のありかというようなものは一応の見当はついてくるんじゃないかと思いますけれども、そのうち五十二年度でさしあたってどういうことから始められるかというような見当は少なくともつけていただかなければならぬと考えておるわけでございまして、いま何に重点を置いてというようなことを申し上げられる段階ではまだありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/253
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254・和田春生
○和田春生君 与えられた時間、大変限られておりまして、この問題でやりとりしておってもらちが明きませんが、ただ、一言だけ申し上げておきたいのは、景気がいいからといって自然増収がある、どんどん減税をする、不況のときに増税をするというようなことは、実は財政のあり方としては逆立ちをしているわけであります。ちょうどいまの国家財政のあり方は、宵越しの銭を持たねえという江戸っ子の浪費と同じことで、単年度でパッパッパッとやっちゃっているわけです。この点について民社党では、まず五カ年の経済計画を立てる、経済計画に基づいて財政計画を立てる、財政計画に基づいて予算を立てる、そして毎年度それを見直していく、そして調節をすべきであるという、すでに基本的な法案を提出をしていることは御存じのとおりであります。そういう問題についても、この際非常に重要な時期でありますから篤と御検討を願いたい。機会を改めて歳入面の問題については議論をさせていただきたいと思いまして、第三点の質問に移ります。
先ほど来これは大変問題になっておりましたが、実は特例公債の償還計画でございます。この点についていろいろ御質問もございました。重複を避けますけれども、この五十一年度予算案に付属してまいりました特例公債の償還計画というのは、これは私はこれが計画であるというのは緻密をもって誇る日本の大蔵省としてまことにお粗末きわまりないのではないかと考えるわけです。そこで、ここに書かれている計画というのは、三兆七千五百億円の今年度の赤字公債について十年後の六十一年に一括してお返しをいたします、そしてできればその前に買い入れによって部分的にお返しすることもありますと。しかも、六十一年には、借りかえはいたしません、全部返すと、そう言っているだけなんですね。ですから、これ卑近な例で言えば、年商が二十億円程度の会社に例をとれば、年商二十億円程度で現在長期負債が二十三億円ある。国債の残高二十三兆円ですから、二十三億円ありますよと。そしてその中で毎年の消却が約三千万円ですと。利払いだけで一億三千万円、年に約一億六千万円ほど出しているんですと。どうしても赤字でお金が足らないので三億七千万円貸してくださいと。いいですか。返すのはどうするのかといえば十年後に一括してキャッシュでお返しいたします、できればその前に一部分お返しいたしますと、どうぞお貸しくださいと言っているのと同じなんですね。そういうことを言われてもし現在の大蔵大臣以下大蔵省の首脳部が、銀行の当事者とした場合に、はいよろしいと言って貸すでしょうか。もっと具体的に、毎年どれぐらいの年商で伸びがどれぐらいで、その中でどれだけ金が余って、そしてどういうふうになって幾らずつ返していくのか、返していく金は積み立てていくのか、どうなるのか具体的なものを持ってこなければ、そんな漠然とした話で銭は貸せるかいというのがこれは世間の常識でありますが、同じことをやっているんですよ、この償還計画というのは。さっぱりわからぬわけです。
そこで、もう節約をして申し上げますけれども、いまここでお出しを願いますと言っても間に合わぬと思うんですが、大蔵大臣、五十二年度の予算案を国会へ提出するまでに、この償還計画について、こういういいかげんなものじゃなくて——これは計画じゃないんです。ただ活字を並べただけの、散文にもなっていないんですね、これは。だめなんですから、きちんとしたものを出せるかどうか、それを約束できるか、そのことを確かめたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/254
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255・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 十年満期債でございますので、償還計画というものはそれ以外に出しようがないんです。あなたの言われるのは、いわゆる償還財源計画というものを言われておるんじゃないでしょうか。つまり、償還計画というのは、十年満期債でございますから、それは発行して十年たてば償還いたしますということ以外に、それ以外に書き方がないわけなんでございます。従来、これまでの国会におきましても衆参両院におきまして議論になりましたことは、それでは余りわかり切ったことじゃないかと。国債は義務費だから当然なことを書いたまでの話なんでございますが、問題は、財政計画をベースにしてどれだけの償還財源が、毎会計年度どれだけ一応積み立てが整理基金特別会計にできるかというような点ができないものだろうかという御相談は確かに議論の間に出たわけでございますが、私は、大変残念でございますけれども、そういう財政計画というようなものを十年間の展望においてやる能力はいまの政府は持っておらないわけでございます。政府といたしましてできますことは、償還財源をどのように、特別会計への繰り入れをどういう方針でやっていくか、それから償還財源は借りかえによって財源を得るかいなか、そういったことについて特別な配慮を、在来の減債計画、減債方針のほかに考えるか考えないかということが今日問われておる問題ではないかということでございまして、この特例債についての減債についての方針については、特別に配慮して借りかえを行わないこと等云々の方針を国会にもお約束をいたしましたし、今度の法律の中で借りかえを行わないことも明らかにいたしましたゆえんはそういうことでございまして、それは政府ができる精いっぱいのことは政府としてやっておるつもりでございますが、計数的にちゃんと償還財源計画を年次別に出せということは難きを強いるものであると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/255
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256・和田春生
○和田春生君 時間が来ましたので、簡潔に最後に御質問申し上げますが、いまの御答弁じゃ納得できないんです。で、この計画が高度経済成長期であれば何とかなるだろうという漠然とした気持ちは政府にも国民にも国会にもあったと思うんです。非常に厳しい状況になってきているから、十年後に一括してお返ししますと、借りかえはいたしませんと、そういう政府の約束をわれわれが信用して、そうですかと認めるか認めないかというためには、かくかくしかじかであるからというものがなければいかぬわけです。見通しには、いろいろ予測というものは狂うけれども、最悪の事態でも国民総生産はこれぐらいの伸びでいく、一般会計の歳出規模についてはこれぐらいの見通しである、歳入についてはこれぐらいのことをこれこれの方法で確保する、したがって借りかえをせずに返すだけの金というものはこうしてできるんですよと、したがって十年後に、六十一年には、借りかえをせずに全部返還をしますということは間違いございませんということを、最悪のケースと予測してもいまの政府の考え方ではこうなんですよということを説明をされるのが償還計画の具体的な中身であろうと思うんですね。それをお示し願いたいということを言っているわけですから、これ御研究願いたい。といいますのは、十年後になってあのときにああ言ったけれども、いや、それは実はそれできなかったんで借りかえしなくちゃいかぬのだと言うなら、うそをついたかと、そのときに大平さんがおられなければ、あれは前の大蔵大臣が約束したということになるかもわかりませんけれども、ひょっとするとあなたが内閣総理大臣になっているかもわからぬわけ。そうでしょう。そのときにやりますと言ったけれどもならなかったからどうだと、こういうふうになったときに、お手上げになったんじゃ困るわけですからね。そのこともやっぱり想定をされて、こういうことだから間違いないということを出さなければ——政府が借金するわけです、赤字公債。われわれ国民は安心できないわけですね。そういう問題について、なるほどそういうことなら何とかいけそうかいなという感じが出るものを裏づけ資料を添えて出すのが私は償還計画であり、政府の責任だろうと思うんです。その点についてもう一度一言大蔵大臣の所信をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
〔理事戸塚進也君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/256
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257・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) それはつまりこれから先の財政運営の具体的な方針、プログラムを明らかにせよということですね、それは。それはどえらいことになるわけでございまして、ひとりそれは、償還財源と一口に言いますけれども、これは歳出の一つでございまして、全体の財政の中の一つのことを明らかにするためには、要するに全体を明らかにせにゃいかぬことになるわけでございますので、私はそれは大変難きを政府に強いるものじゃないかと思うんでございます。普通会社が社債を発行する場合でもそんなことはやっていないはずです。やっぱりその会社の信用で社債は売れておると思うんでございまして、国は最大の信用を持っているわけでございますので、そんなことまでして私は日本の政府は公債を買ってもらうほど乏しい信用ではないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/257
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258・野末陳平
○野末陳平君 国債に関する議論が続いていましたけれども、ぼくが一番興味を持って聞いたところは、この中期国債を発行しますと、これはどういう客が買うであろうかと。その野党の委員の疑問といいますか、不安は、かなり資産階級といいますか、金持っていなくちゃこれは買わぬだろうというので、それに対して理財局長が反論して、実際に割引金融債を買っているのはそんな大口は買ってない。銀行の窓口、証券会社の窓口でもかなり小口だからというようなことを反論しておりましたけれども、ちょっと解釈が、それ聞いていてぼくは解釈ちょっと違うんですがね。現実に確かに理財局長のデータのように、現在の割引金融債はそんな大口がどんどん売れているほどではない。五十万単位あるいは平均すれば二十六万ぐらいだと、一件が。しかし、これはその人の資産状態をあらわしているわけじゃありませんで、この割引金融債をどういう層が買っているかということは端的にわかるんですが、マル優を使い郵便貯金を使い、要するに非課税の枠がいっぱいになった人が買うんですね。というのは、当然ごらんになっていると思いますけれども、広告、新聞広告など最近激しいですけれども、あるいは車内づりを見ても、要するにマル優の枠がいっぱいになった人には有利だから買いなさいというようなことをもう明らかにうたっている。現実に割引金融債は利回り七・三八八でしょう。ところが一二%税引き後は実質利回りが六・四五一なんですよ。そうすると、マル優のある人あるいは郵便貯金をやれる人はそれをやった方が有利ですからね、定期、定額の方が。ですから理財局長のデータ自体は間違いないけれども、その解釈が割引金融債は大口の人は買わぬというのはちょっとおかしいんで、もし今後非常に有利な条件で中期国債が発行されれば、これはかなり大口の買いが入る、節税手段として非常によくなるという不安は当然持つんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/258
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259・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) けさほど大塚先生からも御指摘がありまして、そのときにはまだ、先ほど近藤先生にお答えしたときのデータを持っておりませんでしたものですから、非常に五十万円以下の、件数でいけば五十万円以下のお客というのが大体六六%ぐらいでございますということを申し上げたんでございますが、それはそういうデータだけでもって私どもは何か正当づけようという考えを持っておるわけではございません。ただ、逆に今度は全部をお客さんが、マル優の枠を使い切ったお客さんだけが割引債を買うんだと、こうおっしゃるのもこれはいかがなものであろうかということを、このデータから見ればある程度それは両方水かけ論みたいなところもありますし、私は、ですからいま野末先生の御質問の中で、やはり金利が問題ではないかという御指摘は確かにそうだと思います。私はやはり割引債である、国がそういうものを出そうとするのであるけれども、何か他の金融商品に比べて圧倒的に有利なものを出してそこで勝負しよう、こういうふうな考え方を持っておるわけじゃございません。むしろその辺の金利の問題は、シ団とよく話し合いをしながら決めていきたいというふうに考えておりまして、当然に五年債でございますから、十年ものよりは利回りからいけば、利率からいけば下がるわけでございましょうけれども、それをどの辺に持っていくかというのは、その周辺の大体比べられる金融商品との兼ね合いで決めていくべきものだと思いますので、これは勉強していかなければならない。ですから、どうもちょっとなかなか私も表現するのに苦労しておるんでございますが、比較論をいたしますと、どうしても何か一つの一方のサイドから議論をされて、もう金持ち優遇だということをおっしゃるものですから、そういう面だけではなくてということで申し上げたデータでございます。これはいろんなケースがあると思います。
ただ、先ほども申し上げましたように、日本人の金融資産が余りにも預貯金に縛られ過ぎていやしないであろうかという点は、もう少しやっぱり債券というものに目覚めてもらってもいいんだと。その債券の比率を見てみますと、本当に先進国に比べますとやっぱりかなり貧弱でございます。そういう金融資産の多様化というものをやっていく面では、一つの国債もその中に加わっていってもいいんではないか、こういう考え方が私はあるんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/259
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260・野末陳平
○野末陳平君 まあ実際、日本人の場合は債券余り関心がないというか、余り好まないようで、公社債市場もだから余りぱっとしないと思いますけれども、しかし、この中期国債を発行してこれをどういう層に当てはめていこうかという場合に、単なる商品を多様化して、その中で好みで選ぶではないかというのは、ちょっとぼくずさんだと思うんですね。やはり利回りとか利率とか、とにかくかなり細かい数字というものが相当影響するんで、そこでさっきの非課税枠出ていましたけれども、ぼくは財形やっていれば千四百万ですけれども、それがないとした場合、九百万ですね。この非課税枠の中ではなかなか中期国債買わないだろうと思いますね。だから、もしそういう人にも買わせようというのだったら、理財局長のさっきの答えとおかしくなるけれども、相当有利にしなければならないという気もするし、それはわかりませんよ、もちろん個人消化はどういうふうになっていくか、これはわかりませんが、いずれにしても、とにかく余りにも有利なものを出すのはちょっとどうかと思いますよ。だから、その辺で他の商品と比べてどの辺に利回り、まあ実質利回りをどの辺に置くかというのが一番むずかしいところで、それ次第では先ほどから議論になる一部の資産階級が節税手段に相当利用するんじゃないかという面も出てくるかもしれない。そんなことも思うんで、理財局長、さっき漠然と何か利回りをまだどの辺に置くか決めてないと、他と比べて余りにも有利ではまずいしということがありましたけれども、頭に置いているのはどこと一番比較するのですか、郵便局の定額ですか、銀行定期、それから十年国債、一般の割引債、いろいろある、との辺とうまく——まあ競合する商品も問題でしょうけれども、どの辺と一番比較して利回りをこの程度に置きたいという、これだけちょっと聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/260
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261・岩瀬義郎
○政府委員(岩瀬義郎君) これはシ団といまからお話をしていかなければならない問題でございますから、あらかじめこの辺だということを申し上げるのは差し控えさせていただきますけれども、おのずから比較される金融商品というものは期間対応であるわけでございます。たとえば国債についてはいま十年ものと、それから短期国債しかございません。その有利度カーブというものは一つのカーブが描かれるわけでございます。それをたとえば五年の例にとった場合には、一体どのくらいになるであろうかというようなものも一つの参考にもちろんなるだろうと思います。ほかの金融商品との、五年ものがないものもございますから、その辺をやはり的確にとらえるには相当技術的なアプローチが必要である、かように考えております。まだとにかくそこまでいっておりませんので、国がやはり慎重にその金利を決めていく。これは国が、何せ三千億でございますからね、一応、そんなに圧倒的な有利なものを考えておるわけじゃございませんから、勉強をいたしておるということの段階でございますということを申し上げてお許しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/261
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262・野末陳平
○野末陳平君 国債のことはまだ聞きたいことがありますけれども、いまは私はそれ以上、資料ないということですので。
これに関連してぼくは最近非常に感じることは、時代が変わったせいか利回りとか利率というようなものを一般の預金者はものすごく神経質というか、敏感にとらえているようです、話題にもずいぶんそれが。あたりまえのことですけれども、以前に比べて非常にそれを耳にする機会が多くなった。その関連でたまたま大蔵省に質問書を出しましたが、どうもそれも答えが返ってきたんだけれども、ぼくが読むのに何かぱっとしない答えなんですがね。理財局長じゃなくて銀行局長に聞かなければなりませんが、その利回り、利率なんですが、ぼくがいまとりあえずお聞きするのは、銀行の定期預金を中途解約する場合の利率ですね。あれが非常に預金者に不利だとまあぼくは思うんですよ。具体的にたとえば言いますと、二年ものの定期預金を買ったとしますね。で、一年たって、一年三、四カ月で解約しようとすると、そうすると金利が年に五・五%になっちゃうんですね。一年もう完全に預けているんだから、一年もの定期預金は年六・七五でしょう。だから、まさかその分だけとは言いませんけれども、一・二五%も解約のペナルティがあるというのは、十万円に対して千二百五十円でしょう。ちょっとこのペナルティは大きいんじゃないか。さらに比べれば、半年ものの定期預金は年五・七五でしょう。だから、これと比べてもやっぱり低いんですね。だから中途解約するのは損だというのはこれは当然ですね。損ではあるけれども、しかしその損の量というか、ちょっとこれは厳しい。で、ぼくは解約利率が、ちょっとこれは預金者に不利で、理屈から言っても一年を経過して定期に置いておいて、後に何かの事情で解約しなきゃならぬのに、一年定期をはるかに下回る一・二五%の金利カットがあるというのはどうかなということで銀行局長にお聞きしたんですよね。そうしたらこれはあたりまえだと言うんですが、ペナルティとしてあたりまえでしょうかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/262
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263・後藤達太
○政府委員(後藤達太君) 先生の御指摘の点は、基本的には定期預金という預金者と銀行との契約の性格から来ているものだと私は思います。つまりいま御指摘の例で申し上げますと、二年定期を預金した場合には二年間は引き出しをいたしません。つまり期限の利益が銀行側にも当然ある契約でございます。その当初の契約に反して期限の利益を銀行側から放棄させるというのが、預金者の意思による中途解約でございますから、非常に冷たく理論的に申し上げますれば解約した方は損害金を払わなきゃいかぬというのが本来の筋だろうと思います。したがいまして、定期預金の解約レートは戦前から久しく普通預金レートだけをつける、ただいまでございますれば二・五%でございます。普通預金のレートしかつけないというのがもう数十年行われてきた慣行でございました。ただ四十八年、二年定期をつくりましたときに、まあいままで一年定期しかなかったものが二年定期という長いものができてくるということで、いま御指摘のような一年以上たったところで払い戻すというような場合には、本来は解約レートを落としてしまうか、あるいは担保借りをするか、このいずれかの方法であるはずなんです。そこを四十八年から預金者の立場を考慮することといたしまして解約レートを少し普通預金レートとは高めに払っていいと、こういう考え方を導入したわけでございます。したがいまして、その考え方としては、一年定期のレートよりはそういう場合に安くなるのはこれは理論上当然だろうと思います。ただ、それではどの程度にするかということでございますが、そういう場合に一番私ども比較して考えましたのは郵便貯金の中の定額貯金でございます。定額貯金は御案内のように六カ月据え置き後はいつでも払い戻せる、こういう契約になっております。したがいまして、その段階的なレートが定期預金のレートとは低目に決められております。したがいまして、その定額貯金のレート等を参考にいたしまして、同じ期間の定期預金レートよりは低目のところで、それで普通預金よりは高目のところということで現在の解約レートを決めておるのでございます。したがいまして、具体的には先生御指摘のように一年経過という場合には五・五%になる、こういうことにしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/263
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264・野末陳平
○野末陳平君 そうすると、損害金払うのはあたりまえで、これはいい。それで、その損害金が少しきついと言っているわけですが、それは郵便の定額と同じなんだから、まあまずまずだろうと。要するにどの程度のレートかという場合に、郵便と同じならまあこれは妥当ではないかという答えですか、いまのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/264
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265・後藤達太
○政府委員(後藤達太君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/265
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266・野末陳平
○野末陳平君 ここでどうして郵便貯金がまた都合よく出てくるのかわからぬのですけれども、まあ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/266
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267・後藤達太
○政府委員(後藤達太君) 中途解約と申しますのは、いわば要求払い預金と同じようなことに結果的に相なるわけでございますね。預金者の都合によって期限の利益を銀行側に放棄させて払い戻していくと。そこで、それに似通った預貯金ということで、いまの定額貯金は六カ月以上たちますといつでも払い戻しをしてよろしいと、で、現実に置いておいた期間に応じてレートがつく仕組みになっております。したがって、いまの中途解約も、現実に置いておいた期間に応じまして、長いものは普通預金に一拠に下げちゃうのじゃなくて少し高目のレートをつけるというときには、定額貯金の考え方というのは一番似ておるんではないかと、全く同じではございませんけれども。で、したがいまして、そういうものを頭に置きましていまの解約レートを決めたと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/267
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268・野末陳平
○野末陳平君 まあ銀行局長の説明はわかりましたが、大蔵大臣、その説明はそれは一応わかりますが、でもやっぱり銀行を別に過保護とは言いませんけれども、それはこちらが解約するんですから。しかしこの解約する人の都合というのは、本当は解約したくないのはあたりまえですよね。満期まで置いておきたいけれどもやむを得ない事情でもって解約するので、どちらかというとこっちの方に、いわば弱い立場になっちゃうわけですよ。それなのに対等で、銀行は違約してない、解約する方が違約しているのでそのペナルティーはこうだという考え方がぼくはちょっと銀行保護に過ぎると思う。銀行か何らそれによって——銀行ももちろん最初の契約どおり預けてくれるつもりで預かったのに、途中からそう解約されてもこっちも迷惑だということですよね。それはそのペナルティーですが、しかし、解約する人の立場というものを考えれば、もう少し、冷た過ぎるような損害金のレートを決めずに、もうちょっと色をつけてもいいじゃないかというのが、これがぼくの考えなんですよ。そうしないと、なぜかというと、理屈では銀行局長の説明が通ると思うのですよ。しかし、いま預金者というのは、別に銀行を憎んでいるわけでもなんでもないけれども、銀行側あるいは大蔵省側が全然何でこんなことを文句言うのかと思うような疑問とか不満とかいろんなのを持っているわけですね。で、それをやはりある程度納得できるような説明をきちっと与えないと、いたずらに理解のずれというかギャップがあって、それが税制への不満になったり、あるいは銀行当局への攻撃になったりしているわけですよ。だから、そういう現実をいろいろ考えますと、こういう場合も、郵便の定額はこうだから、しかもペナルティーだからこれでいいんだという考え方だけを押し通すというのはどうかなと、そう思っているのです。
そこで、大蔵大臣にお聞きしますが、まあペナルティーもやむを得ない。しかし、これはちょっときつ過ぎるから、いまのレートをもうちょっと預金者に少し甘くすることはいかがということなんで、もうこうなると、局長の立場で言うよりも、大蔵大臣が人間的に少し配慮してもらうしかない。そういうことが非常に重要だと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/268
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269・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 伺ってみると、四十八年にすでに精いっぱい考慮してあるそうでございますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/269
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270・野末陳平
○野末陳平君 その後事情も変わってますしね、経済状態もかなり厳しくなってますし、預金者というのが、まあ金利だけで生活している人もいろいろありますし、そんな意味で、一般の人は利回りや利率というものにいままで以上に神経質に、敏感になっている。だからこういう解約利率のほんの一%、あるいは〇・五%も重要だということをお聞きしたんで、四十八年はわかりましたから、五十一年、五十二年ももう一度検討するというぐらいのことを、大臣、そこで言っていただかないと、こちらも立つ瀬がない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/270
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271・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) なお勉強します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/271
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272・野末陳平
○野末陳平君 それでは、そんなことでこだわっても仕方がありませんが、本当に勉強していただきたいと思うんですが、ただ、その場合に一つ、銀行局長、ぼくはおかしいと思ったのは、金利はいいです。その解約利率が低いことはいいけれども、定期預金をつくるときに、そういう契約内容をもうちょっとはっきりさせないと、これは誤解を招きますよ。銀行のパンフレットの中に、中には解約利率を書いてあるのもある。それから、銀行の支店へ行くとすみっこの方に利率を張ってあるところもある。しかし、つくるときには、定期をつくる人は全然そういう契約内容を知らないでいるわけで、やはりその辺はどうですか、もうちょっと契約内容をきちっとさせて、解約利率まで何も説明することありませんが、やはりもう少し公正化といいますか、適正化といいますか、そういうことを徹底させるのは銀行としてはやるべきじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/272
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273・後藤達太
○政府委員(後藤達太君) いまの定期預金の解約レートに限らず、その契約の内容といいますか、そういうことを相手方にはっきりさせるべきであるという御指摘の点は実にごもっともだと存じます。たとえば、いまのレートの問題などは証書の約款に書いてあるわけでございますけれども、ただ証書の約款というのは細かい字で並んでおりまして、なかなかそう皆さんが簡単に、よくごらんになっていないというのが現実だろうと思います。したがいまして、こういう点について、レートに限らず、さらに内容を一般にわかりやすくするという努力は私どもはしなければならないと思っております。
なお、いま具体的に御指摘の解約レートの点は、これは数十年来普通預金レートということに相なっておりましたので、むしろ預金者の方はそうだと思っている方が多い。それを四十八年に、先ほど申し上げましたように、かなり上に上げたわけでございます。上げたわけでございますから、むしろ預金者にとって有利な扱いにしておるわけでございまして、したがいまして、その点のPR等があるいは十分でないということはあるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/273
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274・岩動道行
○委員長(岩動道行君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107814629X00119761007/274
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