1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年四月二十六日(金曜日)
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平成八年四月二十六日
午後零時三十分 本会議
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○本日の会議に付した案件
警察法の一部を改正する法律案(内閣提出)の
趣旨説明及び質疑
午後零時三十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02119960426/0
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001・土井たか子
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
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警察法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02119960426/1
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002・土井たか子
○議長(土井たか子君) この際、内閣提出、警察法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣倉田寛之さん。
〔国務大臣倉田寛之君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02119960426/2
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003・倉田寛之
○国務大臣(倉田寛之君) 警察法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、オウム真理教関連事件の経緯にかんがみ、都道府県警察が、広域組織犯罪等すなわち同事件のような組織犯罪その他の全国の広範な区域において個人の生命、身体及び財産並びに公共の安全と秩序を害し、または害するおそれのある事案に迅速かつ的確に対処することができるようにするため、所要の規定の整備を行うものであります。
以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
第一は、広域組織犯罪等に関する都道府県警察の管轄区域外における権限に関する規定の整備であります。
これは、都道府県警察は、広域組織犯罪等を処理するため、必要な限度において、その管轄区域外に権限を及ぼすことができることとするものであります。
第二は、広域組織犯罪等に関する国家公安委員会及び警察庁長官の権限に関する規定等の整備であります。
その一は、国家公安委員会の権限に属する事務に、広域組織犯罪等に対処するための警察の態勢に関することを加えるものであります。
その二は、警察庁長官は、広域組織犯罪等に対処するため必要があると認めるときは、都道府県警察に対し、広域組織犯罪等に対処するための警察の態勢に関する事項について必要な指示をすることができることとし、都道府県警察は、当該指示に係る事項を実施するため必要があるときは、その管轄区域外に権限を及ぼす等の措置をとらなければならないこととするものであります。
なお、この法律の施行日は、公布の日としております。
以上が、警察法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
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警察法の一部を改正する法律案(内閣提出)の
趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02119960426/3
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004・土井たか子
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。山名靖英さん。
〔山名靖英君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02119960426/4
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005・山名靖英
○山名靖英君 新進党の山名靖英でございます。
私は、新進党を代表いたしまして、ただいま提案のありました警察法の一部を改正する法律案につきまして、橋本総理及び関係大臣に質問をいたします。
国民の安全を確保することは、政治の最重要テーマであります。我が国は、世界の中で最も治安にすぐれ、安心、安全な国として高い評価を受けてまいりました。ところが、その安全神話が大きく崩壊する災害や事件、事故が最近多発しているのであります。
特に、昨年一月十七日に発生した阪神・淡路大震災は、前代未聞の死傷者と筆舌に尽くしがたい多くの被害を出しました。政府の初動態勢のおくれと希薄な危機管理意識、とりわけ情報収集や伝達体制の不備、そして緊急輸送路の分断は、被害を拡大したばかりでなく、被災者を不安と恐怖に陥れたのであります。
また、平成六年から七年にかけて、銃器を使用した犯罪やサリンという猛毒ガスを使用した大量殺人事件が発生し、国民生活の安全を脅かすばかりか、国際的にも大きなショックをもたらしました。
銃器使用が暴力団間の抗争のみならず、市民にその銃口が向けられるとともに、國松警察庁長官狙撃事件のように法治国家に対する挑戦状をたたきつけるごとき事態は、まさに安全な国日本という国民の評価、信頼を完全に崩壊せしめたのであります。
さらに、オウム真理教という宗教団体に名をかりたテロ集団の、サリンという猛毒ガス使用による無差別の大量殺人事件は、国際史上例を見ない残虐きわまりない事犯として、我が国のみならず全世界に衝撃をもたらしました。
このような過去類例を見ない災害、事件、事故がここ一、二年の間に集中して多発していることに、私は現在の野合政権の貧困さと無関係ではないと思うのであります。一国の政治レベルは国民のレベルに等しいと言われますが、一国の安全と災害は政治と同レベルと言って過言ではないと思いますが、総理、間違いでしょうか。
時の政治の安定性、その政権に対する国民の信頼性、時の政権の持つ理念等があらゆる社会現象としてあらわれることは、古今東西変わらざる原理と言えます。政治が信頼され、民意が安定し、経済が活性化すれば、自然災害も人為的被害も事件、事故も減少するのではないでしょうか。とともに、戦後五十年、平和の中に安住してきた我々
に対する警鐘でもあります。平和、安全、安心というものは、他から与えられるものではなく、みずからつくり出していくものとの大きな教訓ととらえていかねばなりません。
そこで、橋本総理に質問いたします。
総理は、最近の国民の安全に係るこのような事態に対し、一国のリーダーとしてどのような認識を持っておられるのか。安心、安全な国日本という神話が崩れた今日、総理はいかにその信頼を回復されようと考えておられるのか。決意も含め、御所見をお伺いいたします。
次に、ただいま提案のありました警察法の一部改正案について質問いたします。
今回の改正案は、新たに第六十条の三として「広域組織犯罪等に関する権限」の規定を設けて、「広域組織犯罪等を処理するため、必要な限度において、その管轄区域外に権限を及ぼすことができる。」としているところであります。
そこで、質問の第一は、この新たな規定は、相行法第六十一条の規定、すなわち「管轄区域外における権限」等の規定とどのような相関関係にあるのか。現行法六十一条ではどの点が不備であるのか。改正案に至った背景を含め、その理由を明らかにしていただきたいのであります。
第二の質問は、そもそも「広域組織犯罪」というのはどのような犯罪を指しているのか、具体例を明らかにしていただきたい。さらに、「その他の事案」というのはどのような内容を想定しているのか。
第三点として、「必要な限度において、」との内容はどういう意味なのか。必要、不必要というのはどこで何をもって判断するのか。さらには、「権限を及ぼすことができる。」との規定はどこまでの権限を指すのか、権限の中身について明らかにしていただきたいのであります。
次に、今回の改正案は、広域組織犯罪等に関するる国家公安委員会及び警察庁長官の権限について規定されておりますが、この点について質問をいたします。
第一の質問は、現行警察法第五条には国家公安委員会の任務と権限が、第二項には所管事務が定められておりますが、改正案では、広域組織犯罪処理のための警察態勢を公安委員会の事務として新たに加えているのであります。
公安委員会の役割については、言うまでもなく警察行政を運営・管理するものであります。しかし一方で、この国家公安委員会の任務は管理の権限を有するのみであり、実質的でない、形骸化しているとの指摘があるところであります。都道府県公安委員会におきましても、その事務はほとんどど都道府県警察が代行しており、十分な機能を果たしていないとの指摘に対し、橋本総理はどのような見解をお持ちなのか。また、私は、現在の公安委員の任命制ではなく、公選制の導入を含め、機能強化を図るべく法整備を行ってはと考えますが、御所見をお伺いいたします。
第二の質問は、警察庁長官の広域組織犯罪にける指示権の問題であります。
これは、現行法第十六条の二項すなわち警察長官の権限、第七十三条第一項、緊急事態布告における警察庁長官の指揮等の規定とは別に、広域組織犯罪においてその指示の権限をより具体的に定めようとするもので、事犯の重要性、緊急性及び限定性にかんがみ、一定、理解するところであります。
しかし、都道府県警察が市民に定着し、その本来の使命を十分果たしている現状、そして地方分権という観点から、警察庁長官に新たな指揮監督権を与えることは警察制度を逆に中央集権化するものであるとの見解が出されております。これらの疑問に対し明確にして、国民の納得を得なければならないと思いますが、総理、いかがでしょうか。
今回の法改正は、あの忌まわしいオウム真理教というテロ集団が、麻原という狂気的な指導者のもと起こした大量無差別殺人事件の反省、教訓にのっとって改正されるものとされています。私たち新進党も、この事件の重要性にかんがみ、広域組織犯罪に対処するため、独自の立場で警察法の見直しを検討し、議員立法の準備を進めた経過もございます。
ところで、警察がオウム関連で行動を開始したのは平成元年十一月の坂本弁護士一家失踪事件からであり、それまでオウム真理教については、各地におけるトラブルが続出したにもかかわらず、単なる点でしかなく、広域捜査に至らなかったのが正直なところであります。
平成六年には、上九一色村で元信者に対するリンチ殺人事件が発生、六月には長野県松本市においてサリン事件が発生、十一月には警察庁が上九一色村の教団施設付近でサリンの残留物を検出したことで、捜査陣はオウムとの関連に強い疑いを持ったのであります。さらに、平成七年二月、東京・品川区の公証役場事務長拉致事件、三月にはあの地下鉄駅構内におけるサリン事件が発生し、ここで初めて警視庁と山梨県警との合同捜査本部としてオウム関連施設の一斉捜索が行われたのであります。
なぜこのように捜査の手がおくれたのか。国際的にも優秀とされる我が国の警察力をしても早期検挙ができず、多くの犠牲者を出してしまったことは、まことに残念至極であります。今なお関係信者が指名手配にもかかわらず逃亡しており、国民の不安はぬぐい切れない状況であります。現在、麻原に対する公判中でありますが、引き続きの徹底した捜査に期待するところであります。
この事件捜査の反省、教訓等、十分な検証が必要であり、その検証なくして制度の改正のみで事足りるものと考えているなら、これは大きな間違いであります。橋本総理は、今回のオウム事件に対する認識、そしてこの事件の教訓、反省をどのようにとらえておられるのか、今回の法改正で今後の対応が十分果たせるとお考えなのか、お伺いをいたします。
さらに加えて、私は この際、今日の警察行政における情報公開を進め、国民がひとしく国家の安心と安全について意識高揚を図っていくべきと考えますが、総理並びに国家公安委員長の御所見をお伺いいたします。
次に、この際、私は警察行政に関し質問をいたします。
その一点目は、交通安全対策についてであります。
我が国のモータリゼーションの進展は諸外国の比ではなく、いわば限界点に達していると言っても過言ではありません。もはや一家に二台、三台という車社会がもたらしたものは、八年連続交通事故死亡者一万人以上という結末であります。この八年間で、約八万人以上の人口を抱える町が消失したことになるのであります。日清戦争の戦病死者が一万二千人と言われますから、八回も戦争が起きたことになるのであります。
このようなまさに交通戦争ともいうべき事態に直面して、どのような対策を講じてこられたのか。単に警察庁の問題のみならず、全省庁挙げて取り組むべきこの課題に対する総理の御見解をお伺いいたします。
次に、警察官OBの天下り問題で質問いたしす。
今日、住専問題に見られるように、大蔵省かの官僚の天下り、薬害エイズ問題で見られる厚省官僚の天下り等々、官僚の天下りによって特定の業界、団体の利益誘導が社会問題となっています。
その中で、警察官僚と言われる人たちの再就職先は、遊戯機関連企業や警備保障会社、金融機関等が特徴的と言われています。特に昭和五十九年の風俗営業法改正以降は警察の風俗営業への取り締まりが強化され、中でもパチンコ業界に対してプリペイドカードの導入が進められている関係から、関連会社への警察官僚の再就職が見られるところであります。
パチンコ業界は、現在、三十兆円産業とも言われるほど業績を伸ばしている娯楽産業であります。最近の機種が大きくさま変わりし、プリペイドカードの普及とともに脱税防止と経理の透明化などが進み、懸案問題がクリアされ、今や三千万人というパチンコファンを抱える大衆娯楽施設となっているのであります。しかし一方で、プリペイドカードの偽造事件や不正機種問題も後を絶たない状況であります。ともかく、PC機の導入により、カード会社やメーカーは、ある面でホール経営者以上に利潤を形成し、今や独占企業の感は否めないのであります。
このような企業に警察OBの天下り的再就職が進んでおり、許認可問題とリンクして新たな話題を提供していると言えます。現役をリタイアした後どこに再就職するのも個人の自由であり、とやかく言われる筋合いはないと言ってしまえばそれまでであります。しかし、警察官僚という人脈は、リタイアした後も一定の権力として存在するものであり、いやしくも企業、団体との癒着と受け取れるような事態だけは避けなければなりません。とともに、警察情報が安易に流れることがあっては警察に対する国民の不信が増すだけであります。この点、総理としてどのような認識に立っておられるのか、お伺いいたします。
質問の最後は、警察官の倫理問題であります。
さきに触れたように、警察の活動は多岐にわたり、かつ広域化して、その任務は極めて重大なものがあります。国民の生命、身体、財産を保護し、公共の安全と秩序の維持というとうとく重い責務を果たすことで、国民の警察に対する信頼も増すのであります。
しかし一方で、警察官の不祥事の発生の増加も見られるところであります。銃器の摘発の成果を競う結果として、暴力団から銃を購入して逮捕された例や、警察官による発砲事件、覚せい剤使用事件など枚挙にいとまがありません。なぜ警察官がという国民の疑問と不信感は、新たな警察権限を拡大するほど強まっているのであります。警察権という強力な権力を持つがゆえに、厳しく自己を律していかねばならないのは当然であります。
また、「親切で丁寧な警察」というスローガンもむなしく、現場での横柄な対応や不遜な態度と相まって、国民から不信の声が出ているのも事実であります。私は、国民、市民の声を警察行政に反映し、一層信頼される民主警察にするため、倫理委員会やオンブズマン方式の導入を提案するものであります。
総理並びに国家公安委員長の御所見をお伺いし、国民の安心、国家の安全のため、今後のなお一層の御奮闘を期待し、お願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02119960426/5
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006・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 山名議員にお答えを申し上げます。
議員が御指摘のように、阪神・淡路大震災あるいはオウム真理教関連事件などの凶悪事件を契機に、我が国が誇ってまいりました安全という神話に陰りが生じてきた。そして、まさに今、国民の安全を守る危機管理体制の強化が重要な課題になっております。
こうしたことから、政府におきましては、阪神・淡路大震災を貴重な教訓として、昨年七月に改定いたしました新しい防災基本計画に基づいて総合的な災害対策の充実に取り組んでおるほか、災害対策基本法等の一部改正により政府における防災体制の整備等を図ってまいりました。
また、最近の厳しい犯罪情勢を踏まえ、サリン等による人身被害の防止に関する法律等の法制度の整備等を図ってまいりましたほか、科学捜査力の強化、各国との連携強化などによるテロ対策の推進に努めるとともに、官房長官を本部長とする銃器対策推進本部を設置し、国内の銃器摘発や海外からの流入阻止など総合的銃器対策に強力に取り組んでいるさなかであります。
国民の生命、身体、財産を守ることは国政の基本であるという認識は議員御指摘のとおりであり、今後とも、安心で安全な社会の実現に向けて全力を尽くしてまいります。
次に、国家公安委員会の任務が形骸化しているのではないかという御指摘につきましては、私は、現在の国家公安委員会及び都道府県公安委員会は、警察の民主的管理という趣旨にのっとってそれぞれ適正に運用されていると承知をいたしております。公安委員会の委員の任命のあり方についても御意見をいただきましたが、私は、現在の公安委員会制度は適正に運用されておると考えておりまして、その制度改正の必要はないと思っております。
次に、警察庁長官の指示権付与は警察制度の中央集権化ではないかというお尋ねでありましたが、改正案六十一条の三に言う警察庁長官の指示は、広域組織犯罪等に対処するための関係都道府県警察間の役割の分担、指揮系統の調整等の態勢に関する事項に限られたものでありまして、個々の警察活動の指揮にわたるものではございません。したがって、都道府県警察がその判断と責任のもとに具体的な執行を行うこととする現行警察法の枠組みを変更するものではありませんし、警察制度の中央集権化という御批判は当たらない、そう思っております。
次に、オウム事件についての認識、教訓、反省というお尋ねがありました。
地下鉄サリン事件を初めとする一連のオウム真理教の関連事件は、複雑化する社会情勢の中で生じてきた閉鎖的な集団による悪質きわまりない組織的な犯罪であり、善良な国民を犠牲にした卑劣な事件だと思っております。
このオウム真理教関連事件の犯罪としての特徴は、高度な科学技術を悪用したことであり、組織的に証拠隠滅を図り、全国の広範な区域に犯行が及んだことなどでありまして、こうした原因により捜査が難航したものと承知しております。こうした教訓を踏まえて、専門捜査員の育成、装備、資機材の充実等、科学捜査力の強化のための措置を講じながら、一方では、広域組織犯罪などに迅速かつ的確に対応するため、今回、本警察法の一部改正をお願い申し上げた次第であります。
次に、警察行政における情報公開についてでありますが、警察行政の円滑な運営というものも国民の御理解と協力があって初めて実現されるものであり、警察においても、従来から国民に対する情報の提供には努力をしておるものと考えています。今後とも、国民の安全と安心にかかわる情報の提供については、一層の充実に努力させてまいりたいと思います。
次に、交通安全対策につきましては、議員御指摘のとおり、年間一万人を超えるとうとい生命が失われている状況というのは憂慮にたえません。交通事故は、直接国民の生命にかかわる問題でありますから国政上の重要な課題、そう考えております。政府としては、本年三月に作成いたしました第六次交通安全基本計画に基づきまして、政府一丸となって、関係機関・団体と協力をしながら、交通安全教育の推進、交通安全施設の整備、指導取り締まり等の施策を今後も総合的に進めてまいる決意でありまして、ぜひ御協力をお願いいたしたいと存じます。
次に、警察官僚OBの再就職問題でありますか、警察職員の再就職に当たりましては、警察行政の公平さが損なわれないこと、在職中に培われました知識経験を生かし、就職先の業務に貢献できることに配慮するよう指導してまいりました。
また、業界などに再就職いたしました警察OBにありましても、暴力団排除などを通じ業界の健全化にも寄与しており、このことによって警察行政が影響を受けることはないと信じておりますが、今後とも、警察に対する国民の信頼が損なわれないよう配慮してまいります。
また、警察職員の職業倫理につきましては、警察庁におきまして五項目から成る「警察職員の信条」を作成し、常日ごろから全国警察組織のそれ
ぞれの段階におきましてその徹底を期しております。また、全国会議等あらゆる機会を通じて、警察職員の綱紀粛正と職業倫理の確立について指導を徹底していると承知をいたしておりますが、なお努力をいたさせるようにしたいと思います。
また、都道府県警察へのオンブズマン方式の機関導入についての御意見をいただきました。しかし私は、全国の警察におきまして士気高揚あるいは不祥事案防止のためには既に各種の対策がなされており、オンブズマン制度等御指摘の制度につきましては当面は必要がないと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣倉田寛之君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02119960426/6
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007・倉田寛之
○国務大臣(倉田寛之君) まず、今回の改正案第六十条の三の規定を新設する趣旨等についてのお尋ねでございます。
今回の一連のオウム真理教関連事件につきましては、目黒公証役場事務長拉致事件や地下鉄サリン事件が発生する前に、警視庁が山梨県内のオウム真理教関連施設等に対し権限を及ぼすことができなかったのかとの御指摘をいただいているところでございます。しかし、現行法の六十一条によりますと、都道府県警察は、管轄区域内の公安の維持等に関連することを明確に認定できなければ、管轄区域外に権限を及ぼすことが困難でございます。
そこで、今回の改正案におきましては、オウム真理教関連事件のような広域組織犯罪等を処理するためであれば、すべての都道府県警察がその管轄区域外に権限を及ぼすことができるようにするため、現行法第六十一条とは別に、第六十条の三の規定を新設しようとするものでございます。
次に、広域犯罪等についてのお尋ねであります。
この問題につきましては、各方面におきまして御議論が行われていることは承知しております。今回の改正は、オウム真理教関連事件のような組織犯罪その他の広域組織犯罪等に迅速かつ的確に対処できるようにするために行うものでございます。
まず、「広域組織犯罪」とは、例えばオウム真理教関連事件と同種のテロ事件のほか、全国の広範な区域にわたって組事務所や傘下の組織を有する暴力団相互間の対立抗争事件などがこれに当たるものと考えております。また、「その他の事案」とは、広域組織犯罪に準ずる組織犯罪や組織性が明らかでない犯罪等であって、全国の広範な区域に影響の及ぶものを指すものでございます。
次に、改正案六十条の三の要件等についてのお尋ねでございますが、「必要な限度において、」とは、他の都道府県警察との関係におきまして必要がある限度との趣旨でございます。すなわち、特定の都道府県警察がその処理に当たれば足り得るときにまで他の都道府県警察が管轄区域外に権限を及ぼし得ることとなるものでまございません。必要な限度であるか否かにつきましては、他の都道府県警察との連絡調整等を通じて得た資料等をもとに判断を行い、広域組織犯罪等の規模、態様等に応じまして決まることとなると考えております。
「権限を及ぼすことができる。」との文言は現行法第六十一条と同様でございまして、及ぼす権限の内容は、警察官職務執行法、刑事訴訟法等の警察の権限について規定する個々の法律の定めるところによることとなるものであります。
警察行政における情報公開についてのお尋ねでございますが、災害や凶悪事件が続発する現下の厳しい治安情勢のもとにおきましては、警察行政の円滑な運営のために国民の理解と協力が何にも増して必要でございます。したがいまして、警察におきましても、国民に対する情報の提供にさらに積極的に努めているところであると承知をいたしております。警察の保有する情報には、犯罪捜査に関する情報等のように情報提供になじまないものも存在いたしますが、今後とも、国民の安全と安心にかかわる情報の提供につきましては、一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
警察職員の職業倫理に関しましては、先ほど総理から御答弁がございましたが、警察庁におきまして五項目から成る「警察職員の信条」を作成いたしまして、常日ごろから全国警察組織の各段階でその徹底を期しているところでございます。また、発生した不祥事につきましては、直ちにその原因の究明を行い、再発防止に努めているほか、全国会議等あらゆる機会を通して、警察職員の綱紀粛正と職業倫理の確立について指導を徹底していると承知をいたしているところでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02119960426/7
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008・土井たか子
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02119960426/8
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009・土井たか子
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時七分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02119960426/9
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